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説明員(
中野正一君) それでは私から
石炭対策の現状につきまして御説明したいと思います。
お手元に「
石炭対策の現状について」という資料が配付してあると思いますので、この順序に従って簡単に御説明申し上げたいと思います。
最初に、今、
企業局長から御説明のありました
石炭鉱業調査団でございますが、これは御承知のように四月六日に、この春の炭労を中心といたしまするいわゆる
政策転換闘争、これの収拾策といたしまして、四月六日に
閣議決定がございまして、これがまあ現在のいろいろ問題になっておりまする
石炭政策の
あり方、
石炭鉱業の
あり方についての基本の問題を決定いたしておりますので、御参考のために次のページに(参考1)といたしまして、四月六日の
閣議決定を集録いたしてあるわけでございます。この
閣議決定に基づきまして、最初のところに書いてございまするが、三ページのところに「今後の
石炭対策」の1といたしまして、
総合エネルギー対策の確立をはかるべきであるという要望が非常に強いわけであります。今、
企業局長からも説明がありましたが、通産省におかれます
産業構造調査会の中に
総合エネルギー部会というものを設けまして、現在審議をしていただいておるわけでございます。この
総合エネルギー部会におきまして石炭の
位置づけというものを中心といたしまする
総合エネルギー対策が、今後なお審議を重ねた上で決定になるというふうに考えておるわけであります。
それからその次の
労使休戦。四月六日の
閣議決定におきまして、
石炭鉱業調査団が結論を出すまでは
労使休戦であるということがうたわれてあるわけであります。もちろんこれには例外があるわけでありますが、そういう条件となりました雇用問題を初めといたします今後の
石炭対策の樹立につきましては、
石炭鉱業調査団、これはメンバーがその五ページのところに書いてございますが、
有沢団長を長といたしまして六人の
調査員が
内閣総理大臣の任命で当たりまして、その後調査を続けておりまして、その調査の日程につきましては六ページ以下にございますが、五月の中ごろから調査を開始いたしまして、数回にわたりまして
石炭局あるいは
労働省方面から出されました資料をもとにいたしまして審議を重ね、なお
関係者、たとえば
経営者側あるいは
労働者側あるいは
石炭対策特別委員会の
先生方との
懇談会等を経まして、第一回の
現地調査が、七ページの真中のちょっと上に書いてございますが、六月の七日から十月まで
北九州筑豊炭田を中心といたします第一回の
現地調査を行なっております。その後なおいろいろの資料につきまして検討いたしまして、第二回の
現地調査が六月の二十七日から七月の一日まで
西九州宇部地区を
現地調査をいたしております。それから第三回の調査が北海道、これは七月の九日から十六日まで第三回の
現地調査が行なわれております。それから八ページにございますが、七月の終わり、二十七日から八日にかけて第四回の
現地調査、
常磐地区を調査をいたしまして、これで
現地調査は全部終わったわけでございますが、その後その調査の結果を取り入れまして、昨日、一昨日と二日間にわたりまして
調査団の全体会議を催しまして、そうして現在では大体四つの
分科会といいますか、それぞれ
調査団の方々で
責任者をきめまして、四つの
グループに分けまして、第一が需給問題、すなわち需要の
確保対策の問題を中心として審議をしてきました。これにつきましては昨日も
相当論議が行なわれたわけでありまするが、現在
合理化計画できめられております
出炭規模五千五百万トンの需要を確保するということが、現在の石炭と石油の価格の状況、そのほかの
エネルギー効率の点から考えて、石炭の需要が先行き相当急激に減るのじゃないかという情勢が最近だんだんはっきりして参りましたので、この五千五百万トンの需要の確保につきましてどういうふうな対策をやっていったらいいか、これを主として鉄鋼、
ガス等の
原料用炭の
需要確保、それから
一般炭につきましては
電力用炭を中心とする需要の確保という問題を中心にして論議が重ねられておるわけであります。もしできれば五千五百万トン以上の需要も確保したいという気持はあるわけでありまするが、そこらの点が非常に問題になって論議が進められておるわけであります。
それから第二の
グループは、この
需要確保と関連をいたしまするが、いずれにしても今後さらに
石炭鉱業については
合理化を進めていかなければなりませんのでございまして、それにはやはり従来からやっておりますいわゆる
スクラップ・アンド・ビルド対策というものをどうしても推し進めざるを得ない。そのときの
スクラップする山、ビルドする山というものがどういう形になるか、これはもちろん政府で一方的にどの山を残すとか、どの山は
スクラップにするとかいうことはきめられませんけれども、これは
会社経営者の責任において
労使協議の上でそういうことをきめられていくものと思いますが、一応しかし
調査団としての資料の整備というようなものを今検討しておりまして、それにはどれくらい金がかかるか、政府としてどの程度の援助をしなき
ゃこれがうまくいかないかどうかという点を検討いたしておるわけでございます。
それから第三の
グループは、
スクラップがある程度行なわれていかざるを得ませんので、この間にやむを得ず生ずる
離職者について、これの
雇用対策というものが相当大きな問題になってきておりますので、この点を中心にいたしまして、これは労働省が主として資料をいろいろ出しまして、検討を進めているわけであります。と同時に、この第三の
グループにおきましては、
産炭地振興——だんだんと石炭山が
スクラップされるにしたがって疲弊をして参ります
産炭地の振興、これはもちろん
炭鉱離職者の吸収という面を含めまして、
産炭地振興というようなものにどういう事業をやっていったらいいかということで、昨日は建設省を呼びまして、
北九州における
道路計画、これは
北九州を
東西南北に抜ける現在ある
道路計画がございますが、これをさらに期間を短縮する、あるいは道幅を広げる、あるいは筑豊と
北九州都市を結ぶところの、
弾丸道路と申しますか、直接にこれを結ぶところの新道路の建設というような問題を検討いたしまして、これにどのくらい金がかかるか、また、これによって
炭鉱離職者をどの程度吸収できるかというようなことをさらに検討することになっているわけでございます。
それから第四の
グループが、資金及び経理の関係の
分科会でございまして、先ほども申し上げました
スクラップ・アンド・ビルドあるいは
離職者対策というようなものを含めまして、資金がどういうふうな形で必要になってくるか。また、そういうことをやっていく過程おける会社の経理というものがそれにたえるかどうか。こういう点を第四の
グループで検討を進めているわけでございます。来週からさらに各
分科会とも活発な活動を進めまして、来月の七日、八日にまた全体会議を開くという段取りになっております。二十日くらいまでには草案を練り上げたいという段取りで進めているわけでございます。
調査団の関係では、今の四月六日の
閣議決定にございますように、「政府は、この際権威ある
調査団を編成し、これに対して
石炭鉱業の
近代化、
合理化および雇用の
実情調査を要請し、今後の政策について答申を求め、これを尊重する。」ということが書いてあるわけであります。この点は、総理も再三
関係者にそういう点をはっきり言っておられまして、先般の
予算委員会だったかと思いますが、その席でも、総理はそういう同じ趣旨のことを申しておられるわけであります。
調査団としても、真剣に現在この問題に取り組んでいるわけでございます。そうして、この
調査団の答申に基づく政府の決定があるまでは、
経営者側は新しい
人員整理はやらない、また
労働者側は
紛争行為を行なわないというふうに政府としては期待するということで、これに基づきまして、大手におきましては組合側と
経営者側との間に協定ができ上がっているわけであります。ただ、このカッコの中にありますように、
石炭鉱山保安臨時措置法に基づく事業の廃止によるもの及び四月六日にすでに労使間で
人員整理について交渉中あるいは実施中のものというようなものは、この四月六日の
労使休戦の規定からはずされているわけでございます。
それから今後の
石炭対策につきましては、1、2は、先ほど申し上げました通産省の
産業構造調査会の中の
総合エネルギー部会というものが「強力な
審議機関」ということでございまして、ここで審議をやっているわけです。
出炭規模につきましては五千五百万トンの
合理化路線、これは変更はしない。一応しないが、さらに
コスト切り下げの
可能性等を考えて、
総合エネルギー対策の一環として
出炭規模の拡大についても再検討するということで、これは再検討しているわけでございます。その際、同時に未
開発炭田、これは主として
原料炭でございますが、この開発の問題につきましても現在検討を続けております。
三番目の炭価二百円
引き下げの問題でありますが、これも従来の方針に従ってこれはやっていくが、三十七、八年度の
年次計画につきましては、
石炭鉱業審議会の答申を待って実施をするということになっておりまして、三十七年度につきましては、七月の五日に
石炭鉱業審議会が開催されまして、三十七年度二百五十円引きということを決定しておるわけであります。
石炭鉱業の実情から申しまするというと、三十四年に
合理化路線を決定した際には、資材その他の物価は横ばいである。賃金は毎年三・八%くらい上がるというふうな織り込みでもって、三十四年から、三十三年度に比べまして、三十八年度二千百円引きということをきめまして、あとに資料もついておりますが、大体この路線に沿いまして、三十四年度約二百円、三十五年度二百五十円、三十六年度二百五十円というように下げてきたわけでございますが、その間に物価が、電力料、運賃、その他の資材が相当上がっておりまして、それから賃金も大体
合理化路線で想定した率よりも倍近く上がっておりますので、そういう点を加味いたしますというと、少くとも二百円ないし三百円程度はそういうものでコスト・アップがあるわけであります。そういうものを吸収いたしまして、三十六年度まで
合理化路線に沿って下げてきたわけであります。その点から申し上げまするというと、三十七年度につきましては、二百五十円引きというものは、
石炭業界から言わせれば相当苦しい点であったわけであります。しかし
合理化路線の約束でもあるし、また先ほどもお話がありました電力、鉄鋼、
ガス等の
需要部門に対する
長期引取体制をくずさないという観点から言いまして、
石炭業界からいうと、泣き泣き二百五十円引きをのまざるを得なかったというのが実情でありまして、七月の五日には相当
炭労代表等からは論議があったのでありますが、二百五十円引きが決定になっておるわけでございます。しかし三十八年度以降の問題につきましては、もちろん
石炭鉱業調査団におきまして目下慎重にこの問題を検討しておるわけでございます。
それから四番目は
離職者対策、その他の雇用の安定の対策につきましていろいろな事項が書いてあるわけであります。それから五番目には
石炭鉱業の
近代化、
合理化のための特段の
金融措置。それから六番目に
最低賃金の問題が出ております。これは
中央最適賃金審査会の
中間答申を尊重して
専門部会が作られまして、大体もう結論に近づきつつあるようにわれわれのほうは聞いておるわけでございます。
調査団の関係の御説明はそのくらいにいたしまして、次は九ページでありまして、二番目は
合理化対策でございますが、この点についてはもう各
先生方よく御承知の点と思いますので、簡単にさしていただきたいと思いますが、要するに、先ほど申し上げました
合理化路線に沿いまして、非
能率炭鉱は整備をし、高
能率炭鉱を造成をして、それに生産を集中するという対策で従来やってきたわけでございます。能率の悪い炭鉱の整備につきましては、従来、昨年までありました非
能率炭鉱の
石炭鉱業合理化事業団による買収ということで、これは三十七年度まで六百三十万トンというワクでやっておりまして、現在約百万トン本年度残っておりまして、これもこの間方針をきめまして、この百万トンの買い上げは近く実施をいたします。それから新しく三十七年度から石炭鉱山整理促進交付金制度というものを作りまして、旧来の買い上げ方針にかえまして、鉱業権なり、租鉱権を消滅させるということを条件に補助金を出すという形をとっておるわけであります。これは石炭年間一トンに対して平均千百円で鉱業権の場合は買い上げをするということになっております。その八割は政府からの補助金で、あとの二割は
合理化事業団に対して残存する石炭山の納めます納付金でこれをまかなうという形になっておりまして、数量は三十九年度までに六百二十万トンということで、三十七年度は百二十万トン、三十八、九年度はそれぞれ二百五十万トンという予定をいたしているわけでありますが、最近、中山鉱山を中心といたしまして非常に買い上げ希望が多うございまして、経営の行き詰まり等から、これを早急に閉山したいということがございまして、現在でもすでに四百五十万トン以上の申し込みがございまして、そのうちで今年の十二月末までにやめるものを計算いたしますというと、これが三百二十万トンになりますので、不足分の二百万トンにつきましては、先般の七月三十一日の閣議了解、石炭緊急対策の御決定を願ったのでありますが、そのときに整備ワクを百二十万トン・プラス百万というふうにさらに増額いたしまして、これに必要な金は予備金で支出するという決定を見て、そうしてこれに従いまして、現在買い上げの調査あるいはそれの準備を進めているわけであります。もちろんこの際には、今申し上げました四月六日の
労使休戦、特に大手炭鉱につきましては買い上げ希望が数カ所出ておりますが、そういうものにつきましては、もちろん
調査団の結論が出るまでこれはストップさせるということになっておりますので、この二百万トンの追加のワクの中にはそういうものは入れておりません。除外しているわけでございます。したがいまして、二百万トンの追加というのはほとんど中小炭鉱というふうにお考えになっていいのじゃないかというふうに考えております。
それから十ページに参りまして高
能率炭鉱の造成でございますが、これは
石炭鉱業合理化事業団からの無利子の
近代化資金の貸付、これと開銀資金の六分五厘の低利の融資、この二つによりまして所要の設備資金を確保して、その
近代化をはかるということにいたしているわけであります。ここに三十七年度の予算が出ておりますが、大体、
近代化資金は三十二億、これは本年度から始まります
石炭専用船の助成金が三億七千万円、これは北海道、京浜地区に
石炭専用船を三隻建造することにいたしておりますが、これを含めまして三十二億、それから開銀資金は八十億ということで、
近代化の問題、流通機構の
合理化をはかっているわけであります。そういうふうにいたしまして、最近におきましては、だいぶ
石炭鉱業の能率も上がって参りまして、三十四年に作りました
合理化計画によりますと、三十八年の生産能率の目標は二六・二トンということになっております。これはもっとも昨年の
エネルギー懇談会の中間報告におきまして二八・四トンと引き上げられてはおりますが、これはまだ正式決定になっておりません。正式決定のものは二六・二トンということになっておるのでありますが、最近の実績は能率目標にはほぼ近づいているという現状になっているわけであります。ところが、一方そういうふうに
合理化の効果も上がり、最近ようやく労使協調というような体制もだんだん整いつつありまして、能率は上がってきたのでありますが、特にビルト山につきましては非常に能率が上がってきたのでありますが、そのために今年の初めからの出炭の状況を見ますというと、一年間にいたしまして約五千九百万トンの出炭ペースになっております。一方需要のほうは最近の石炭に対する競争
エネルギーの関係からなかなか需要が確保できない、また一般の経済情勢の悪化等もありまして、石炭の引き取りが非常に悪いというようなことから、貯炭がこの四月から累増いたしまして、そのためにやむを得ず
出炭規模を五千五百万トンに押えるために、七月から九月までの間に大手、中小を含めまして約百八万トンの出炭制限を通産省の指示によりましてやっておるわけでありますが、また増加する貯炭融資に対しましては、市中銀行あるいは日銀等にもその融資を要請いたしまして、現在、市中金融機関と関係の炭鉱会社との間に話し合いが進みまして、ある程度貯炭融資については目鼻がつきつつあるという状況でございまするが、そのために、出炭制限をするためにコストが上がるという面がございまするので、
石炭鉱業の経営はいよいよ苦しくなっておるというのが現状でございます。
それから、その次に資金対策につきましては、今申し上げました設備資金、それから、それから二番目に整備資金、これが非常に問題でございまして、現在でも相当大手の山で労働組合と話し合いをつけた上で離職を出しておるわけでありますが、その出た
離職者に対して退職金が払えないという山が相当あるわけでありまして、そのためにやめていった人が従来どおりやはり炭住に住んでおりまして、そこで結局またいい仕事がないというようないろいろな関係もございまして、いわゆる滞留——炭鉱の離職した地方に滞留をするというようなことのために非常に憂慮すべきような情勢にあるわけでございまするが、何とかしてこの整備資金すなわち退職金の問題でございまするが、これも何とか政府のほうでめんどうを見たいということで、本年度から、三十七年度から財政投融資の関係でございまするが、十五億円を資金運用部資金から借り入れまして、これを長期資金として
合理化事業団からこの炭鉱に貸し付けるという制度を作ったわけであります。なかなか長期に寝る金でございまするので、市中金融機関はなかなか乗ってこないという格好になっております。この金を今度の七月三十一日の緊急対策におきまして、さらに三十億増ワクをいたしまして、この金を今関係会社に貸し付けをしまして整備を円滑に行ないたいというふうに考えておりまするが、相当にこの金が今度の
石炭調査団のいろいろな検討によりましても、今後相当の金額のものが、もちろん今後整理をされていく人数いかんによりまするが、相当の多額に上るのではないかというように考えておるわけであります。
三番目は貯炭資金の問題でございますが、これは先ほど御説明いたしましたとおりであります。それからその際には、まん中にありまするように、中小炭鉱に対しましても越盆資金といたしまして中小企業金融公庫、商工中金合わせまして十五億円、それから炭鉱がやめていくに従いまして、その付近の商工業者あるいはサービス業者等が転業を余儀なくされるので、そういうものに対して約一億円の国民金融公庫からの融資ということを決定をしておるわけであります。
それから四番目は需給対策でございますが、これは先ほど
企業局長が言われましたので、その点は十三ページに載っておるわけであります。単価千二百円の
引き下げを前提といたしまして、
石炭業界と大口需要産業との
石炭長期引取体制の強化ということをやっておるわけであります。電力につきましては、九電力分といたしまして昭和三十八年度千八百万トン、四十二年度二千三百万トン、これは従来は二千万トンであったのでありまするが、昨年の
エネルギー懇談会におきまして、これを三百万トンふやすということになって、これは電力業界も引き受けておるわけであります。鉄鋼はその
原料炭につきましては三十八年度千二百万トン、それから四十二年度は千三百万トンということになりまして、現在の引き取り状況を見ますというと、大体本年度につきましても鉄鋼、電力業界は約束どおり引き取ってくれておるわけであります。それからセメントのこの三十八年度の推定五百万トン、四十二年度六百万トンというものにつきましても鉄鋼、電力業界は約束どおり引き取ってくれておるわけであります。それからセメントのこの三十八年度の推定五百万トン、四十二年度六百万トンというものにつきまして、いわゆる長期引取協定ではございませんで、これはその中へ入っておりますが、それほどはっきりした形のものではなくて、何とか努力しようというふうな形のものでありまして、その後の情勢をみますというと、本年度がすでにセメント用の石炭は急速に重油転換の関係で減りつつありまして、大体本年度が昨年の四百万トンから三百万トン台に推移しておりまして、これは今の情勢からいうと急激にセメント用の
石炭需要というものは減る情勢にあります。とてもここに書いてあるような数量は確保できないというような情勢にあるわけであります。
それからその次に十四ページに、先ほどちょっと申し上げました今までの千二百円引きの
合理化路線というものがどういうふうに下がってきたかということが、参考のところに、三十四、五、六、七年というふうに、大体千円近く今までに下げてきたわけであります。それから十四ページの一番下に、重油、石炭価格の、比較というのがございますが、これはちょっと御説明をしておきますと、重油価格は一番下の段の右でございますが、四—六月で日銀の御売価格で七千二百円、これは重油一キロ
リッター当たりの値段でございますが、これが電力向けは六千七百円、最近はこれをまた下回っているんじゃないかというふうに新聞では書いておりますが、大体六千五百円から六千七百円くらい、電力向けは。これで見ますと、一キロカロリー当たりの電力向けの値段が六十七銭、一般重油が七十二銭ということになっておりますが、これにさらに重油は石炭に対していろいろなメリットがございますので、メリットを一五%くらいあるとして、これに八五をかけますと六十七が大体五十七、八銭、五十八銭くらいになるんじゃないか、電力向けが。それから七十二の一般向けがやはり六十七、八銭になる。それで石炭の値段と比べてみるのが正確じゃないかということで、これは、したがいまして、
一般炭のほうは阪神地区でいいまして七十四銭、これに対して電力向けのほうは五十七、八銭、キロカロリー当たり二十銭くらい違うということでございます。したがいまして、それからいいますというと、まだこの値段だけで比べれば相当石炭の値段を千二百円引きにいたしましてもまだ、炭種によって違いますが、大体千円近くの値開きがあるんじゃないかということで推定されるわけであります。
それから十五ページは流通対策でありますが、これはこの問題も非常に大事だというので、この(1)に書いてありますように、流通機構の整備あるいは流通設備の
近代化ということで、貯炭、混炭、荷役設備の
近代化あるいは銘柄整理、流通設備の共同化というようなことをはかっております。特に
近代化資金でその点に重点を置きまして、最近は荷役設備の
近代化、共同化を高松あるいは宇部地区あるいは
常磐地区等について実施をいたしておるわけであります。特に北海道につきましては、担当京浜地区に持ってくるのに、大体陸上運賃、海上運賃を入れまして約千六百円くらいかかておりまして、そのうち約半分くらいは海上運賃でありますので、その八百円を何とかして
石炭専用船の活用によりまして相当
引き下げたいということで、北海道その他の
石炭専用船三隻の建造を助成するために
近代化資金三億七千万円、さらに三十八年度以降その強化をはかることになっております。
近代化資金が一番下に書いてありますが三〇%。運輸省所管の特定船舶整備公団から四〇%、海運業者の自己負担三〇%ということで、今、製造にかかろうとしておるところであります。
それからその次に、十六ページに書いてございますが、昨年の四月に国鉄運賃が値上げになりまして、これは石炭にいたしまするというと、平均一トン当たり六十円の値上げになりました。相当これは
合理化目標達成に非常な阻害になるわけでありますので、その半分の五〇%については延納を認めるということを閣議で決定をいたしました。ただ、それには担保が要るということで、ごたごたしておったのでありまするが、昨年の十二月一日の
閣議決定によりまして、大手十八社につきましては、各社別の相互連帯保証、その他の中小の石炭屋さん及び石炭販売業者につきましては
石炭鉱業合理化事業団の保証ということで、三千万円の保証基金を政府から出資をいたしまして、これによって三年間の延納を行なうということで、現在実施をいたしております。
ただ、非常に残念なことには十六ページの終わりに書いてございますが、三十六年十二月一日の
閣議決定にありました石炭運賃の国鉄、私鉄を通じて運送するものにつきまして、現在、通算制——通しで運賃を計算するものと、別々に運賃を計算する併算制と両方ありまして、併算制を現在とっておるものにつきましても、早急に通算制に直すということが十二月一日の閣議で、これは念のために十七ページの初めのところに
閣議決定のあれは書いてございますが、通算制については可及的すみやかにこれを実施するというふうに書いてありますが、いまだにこれは実施になっておりませんので、今、運輸省と早急に実施すべく、通産省で相談中でございます。
それから六番目が鉱害対策であります。これもいろいろ問題が多いのでありまするが、現在は臨時石炭鉱害復旧法というものによります原状回復、あるいは鉱業権者の金銭賠償というふうな形でやっておりまして、臨鉱法によりまする原状復旧につきましては、大体国が半分、鉱業権者が約半分という負担で原状復旧をやっておりまして、本年度の事業量が約二十億、そのうちの約十億を国が負担する、こういう形になっておるわけでございます。
それから十八ページの7の
産炭地域の振興対策でありますが、これも先ほど申し上げましたように、
石炭鉱業への依存度の高い
産炭地域経済の疲弊が著しいので、
炭鉱離職者の救済、また鉱害の処理のための地方財政の逼迫が非常に顕著であります。このためには、どうしても新しく石炭産業以外の鉱工業をこういう地域に導入、育成するということが必要でありまするので、
産炭地域振興臨時措置法というものを制定し、さらに先般の国会におきまして、この産
炭地域振興事業団いうものが設立されることになりました。政府出資が五億、資金運用部から五億、計十億の金で事業をやるということで、これは土地造成と融資が主体でございまするが、七月の二十日に設立発足を見ておるわけでございます。
それから二十ページが炭鉱
離職者対策でございますが、これは大部分は労働省の所管になっておるわけでありまするが、しかし
炭鉱離職者の問題につきましては、たとえば雇用促進事業団の事業につきましても、
炭鉱離職者のいろいろな措置につきましては、特に通産大臣もこれを共管をするということになっておりまして、できるだけこの発生する
炭鉱離職者につきましては、特に大手につきましては自分のところの会社の責任において、できるだけこれを系列会社あるいは新しく
産炭地域振興のためのいろいろな事業を起こしてもらって、そういう方面に吸収をするというふうに指導いたしておりまして、従来の実績から申し上げますというと、大手のほうの
離職者の約四五%は各関係の会社の責任においてこれをさばいておるわけであります。特に最近、景気の情勢がこういうふうになりましたので、今まで
炭鉱離職者で比較的順調に就職のできたものが、たとえば八幡地区等でいいましても、そこへ就職したものが、景気の悪化から再び解職される、はき出されるというふうな悲惨な状況になっておるわけであります。それから国におきましても、まず職業訓練あるいは広域職業紹介というようなことによりまして、できるだけ就職のあっせんに努める。また職業訓練につきましては、雇用促進事業団においてやっておりますが、職業訓練手当、あるいは別居手当、あるいは技能習得手当というふうな、いろいろな措置を講じて就職訓練をやらしておるわけであります。また、失業保険につきましても、
炭鉱離職者につきましては、大体半年のものを一年に延ばすような措置をとておるわけであります。特に
中高年令層の
離職者対策というものが非常にむずかしい問題でございますので、この点につきましては、やはり従来働いておった土地を離れて遠くに行って働かなければならぬということになりますので、どうしても住宅問題が一番大きな問題でございまして、この点につきましては、住宅手当あるいは雇うほうの側に対して住宅建設用の資金を貸し付けるということをやっておりますが、従来の方策では非常になまぬるい。結局、家族と離れて、そういうところに行くというような関係で、また、しんぼうしきれずに舞い戻ってくるというようなふうな形になっておりまして、住宅の確保ということが一番大事じゃないかということが、
調査団でいろいろ見ておりますと、そういう点が問題になってきておりまして、従来の方策ではなまぬるいということが言われております。また、ここにあります雇用奨励金制度、これはあまり現在までに活用されておらないようであります。ごく一部について採用されておりますが、これはたとえば二万円以上で
炭鉱離職者を雇った場合には五千円の補助金を政府のほうから雇った雇用主に対してやるというような制度でございますが、この二万円がどうもあまり高過ぎるのじゃないか、そのためにどうもこの制度が活用されていないのじゃないか。また、これは一年限りの措置でございますので、そういう点にも問題があるかと思いますが、せっかくのこういう政府の親心のある制度というものが生かされていないというのが現状でございます。こういう点について現在
調査団でもいろいろ調査をやっておりまして、特に
炭鉱離職者の問題につきましては力を入れなければいけないということになっておるわけであります。
予算については次に書いてあるようでございます。大体、通産省の石炭関係の予算が本年度約六十億、労働省関係の予算は石炭
離職者に対する緊急就労対策事業費というものを含めまして約五十億ということになっておるわけでございます。
最後のページは、先般七月の二十七日、三十一日に御決定を願いました石炭緊急対策、要するにこれは
石炭調査団が結論を出すまでに
石炭鉱業が行き詰まって混乱状態が起こるということを避けるために、主として金融対策を中心にいたしまして緊急対策の御決定を願ったわけでございます。
簡単でございますが……。
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