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1962-08-31 第41回国会 衆議院 本会議 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年八月三十一日(金曜日)     —————————————  議事日程 第八号   昭和三十七年八月三十一日    午後二時開議  第一 千九百六十年及び千九百六十一年の関税   及び貿易に関する一般協定関税会議に関す   る二議定書等締結について承認を求めるの   件  第二 日本国オーストラリア連邦との間の小   包郵便約定締結について承認を求めるの件   (参議院送付)  第三 日本国カナダとの間の小包郵便約定第   四条を改正する議定書締結について承認を   求めるの件(参議院送付)  第四 日本放送協会昭和三十五年度財産目録、   貸借対照表及び損益計算書     ————————————— ○本日の会議に付した案件  飼料需給安定審議会委員選挙  蚕糸業振興審議会委員任命につき国会法第三十   九条但書規定により議決を求めるの件  海外移住審議会委員任命につき国会法第三十九   条但書規定により議決を求めるの件  肥料審議会委員任命につき国会法第三十九条但   書の規定により議決を求めるの件  国立近代美術館評議員会評議員任命につき国会   法第三十九条但書規定により議決を求める   の件  米価審議会委員任命につき国会法第三十九条但   書の規定により議決を求めるの件  売春対策審議会委員任命につき国会法第三十九   条但書規定により議決を求めるの件  人事官任命につき同意を求めるの件  臨時司法制度調査会委員任命につき同意を求め   るの件  国家公安委員会委員任命につき同意を求めるの   件  運輸審議会委員任命につき同意を求めるの件  労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの   件  商品取引所審議会会長及び同委員任命につき同   意を求めるの件  貿易自由化延期に関する緊急質問北山愛郎君   提出)  日程第一 千九百六十年及び千九百六十一年の   関税及び貿易に関する一般協定関税会議に   関する二議定書等締結について承認を求め   るの件  日程第二 日本国オーストラリア連邦との間   の小包郵便約定締結について承認を求める   の件(参議院送付)  日程第三 日本国カナダとの間の小包郵便約   定第四条を改正する議定書締結について承   認を求めるの件(参議院送付)  日程第四 日本放送協会昭和三十五年度財産目   録、貸借対照表及び損益計算書  農林省設置法の一部を改正する法律案(第四十   回国会内閣提出)    午後二時八分開議
  2. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  飼料需給安定審議会委員選挙
  3. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 飼料需給安定審議会委員の任期が来たる九月二十六日をもって満了いたしますので、この際、その後任者選挙を行ないます。
  4. 草野一郎平

    草野一郎平君 飼料需給安定審議会委員選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
  5. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 草野一郎平君の動議に御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 御異議なしと認めます。  議長は、飼料需給安定審議会委員に    赤澤 正道君  坂田 英一君    谷垣 專一君  日野 吉夫君    湯山  勇君 を指名いたします。      ————◇—————  蚕糸業振興審議会委員任命につき国会法第三十九条但書規定により議決を求めるの件  海外移住審議会委員任命につき国会法第三十九条但書規定により議決を求めるの件  肥料審議会委員任命につき国会法第三十九条但書規定により議決を求めるの件  国立近代美術館評議員会評議員任命につき国会法第三十九条但書規定により議決を求めるの件  米価審議会委員任命につき国会法第三十九条但書規定により議決を求めるの件  売春対策審議会委員任命につき国会法第三十九条但書規定により議決を求めるの件
  7. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) お諮りいたします。  内閣から、蚕糸業振興審議会委員参議院議員小山邦太郎君、同中田吉雄君、海外移住審議会委員に本院議員二階堂進君、参議院議員高橋衛君、肥料審議会委員に本院議員白浜仁吉君、参議院議員北村暢君、同河野謙三君、国立近代美術館評議員会評議員参議院議員林屋亀次郎君、米価審議会委員参議院議員白井勇君、売春対策審議会委員に本院議員小林進君、同中野四郎君、同中山榮一君、参議院議員高野一夫君、同藤原道子君を任命するため、それぞれ国会法第三十九条但書規定により本院の議決を得たいとの申し出があります。右申し出の通り決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。      ————◇—————  人事官任命につき同意を求めるの件  臨時司法制度調査会委員任命につき同意を求めるの件  国家公安委員会委員任命につき同意を求めるの件  運輸審議会委員任命につき同意を求めるの件  労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの件  商品取引所審議会会長及び同委員任命につき同意を求めるの件
  9. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) お諮りいたします。  内閣から、人事官佐藤達夫君を、臨時司法制度調査会委員島田武夫君、長野國助君、山本登君、今里廣記君、阪田泰二君、鈴木竹雄君、我妻榮君を、国家公安委員会委員名川保男君を、運輸審議会委員青柳一郎君、長井實行君を、労働保険審査会委員上山顯君を、商品取引所審議会会長石黒武重君、同審議会委員上林正矩君、近藤止文君、日比谷平左衛門君、深見義一君を任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出通り回想を与えるに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  10. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えるに決しました。      ————◇—————  貿易自由化延期に関する緊急質問   (北山愛郎提出
  11. 草野一郎平

    草野一郎平君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、北山愛郎提出貿易自由化延期に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
  12. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 草野一郎平君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  貿易自由化延期に関する緊急質問を許可いたします。北山愛郎君。   〔北山愛郎君登壇〕
  14. 北山愛郎

    北山愛郎君 私は、日本社会党を代表して、当面の重要問題である貿易自由化について政府の所信と対策をたださんとするものであります。  まずお尋ねしたいことは、この十月九〇%自由化繰り上げの原因となった昨年のIMF日年次協議において、政府が八条国移行の勧告を延期してもらうために、自由化計画を繰り上げて、おそくとも本年の九月中に九〇%の自由化を公約したいということであります。世間では、これをもって動かしがたい至上命令のように言っておるのでありますが、私は、このような約束はきわめて不合理であると思うのであります。国際収支状態が八条国移行できるまで改善されて心ない国が、将来の自由化を機械的に約束したとするならば、それはまことにはなはだしい矛盾といわなければならぬのであります。(拍手)従って、私は、当時の政府閣僚IMFに表明をしました九月中に九〇%自由化繰り上げのいわゆる公約なるものは、あくまで政府が自主的な努力目標として示されたものでありまして、そのような至上命令ではない、このように考えるものでございますが、これは当然のことでありますけれども、誤解があると思いますので、これらの点につきまして池田総理の見解を明らかにしていただきたいと思うのであります。(拍手)  八月二十四日の日本経済新聞は、大蔵省がこの秋のIMF総会あるいは対日年次協議を控えまして予想される八条国移行勧告につきましては、無条件で再延期するように要請する方針を固めたと伝えられておるのであります。私は、この大蔵省内の意見が正しいと思うのでございますが、大蔵大臣がおられませんから、総理からかわりましてその事情を御説明願いたいと思うのであります。  私は、日本国際収支の現況、また対外資金状態は、昨年の秋よりもむしろ悪化しておると思うのであります。従って、八条国移行はもちろんのこと、これ以上の自由化を進めることはこの際適当でないと信ずるものであります。なるほど貿易収支はようやく改善され、七月の経常収支は二千二百万ドルの黒字、また外貨準備は十六億三千五百万ドルと、昨年九月の線に戻っておりますけれども、それだけではほんとうの改善ではございません。  この理由の第一は、十六億ドル外貨準備は実質の余剰金ではないということであります。いつ逃げ出すかわからないような不安定な短期債務に基づいている点であります。昭和三十五年以来のわが国国際収支は、経常収支の大幅な赤字短期外資の増加によって補てんし続けて参ったのであります。三十五年度の初めに十三億六千百万ドル外貨準備は、本年六月までに十一億六千六百万ドル貿易赤字によって食いつぶされております。これを二億三千六百万ドル長期資本及び十二億七千八百万ドル短期資本の流入によってカバーしておるのが現在までの状態であります。言うまでもなく、外貨準備というものは、貿易為替取引の季節的な変動とかあるいは食糧の凶作とか、あるいは不況などの万一の事態に備えるものでありまして、その際に経済の破壊や為替危機を起こさないように万一の場合に必要な物資、サービスを外国から購入し得る、そういう準備金がすなわち外貨準備であります。いざというときに海外に逃げ出すかもしれないような外貨では、見せかけにはなるかもしれませんけれども、役に立つものではないのであります。  アメリカが今日百六十一億ドルという巨大な金準備を持っておりますけれども、しかもなおドルが不安である、ドルの信用が落ちているということは、一方で二百億ドル以上の短期債務アメリカがしょっておりまして、そのためにドル価の維持が心配されるからであります。この点は、IMF事務当局が出しておるいわゆる適正保有外貨準備の基準というものがございますが、その中にも、短期資本均衡的移動によって準備高の低下が見込み得る程度を考慮して適正な保有外貨はきめらるべきである、こういう一項目があるのであります。  私は、これらの点から、今日外貨準備十六億三千五百万ドルは表面だけの改善でありまして、その質の面からするならば、むしろ昨年よりも悪化しておる。従って、その質の面を改善し、今後の経常収支の黒字でもってこれを埋め合わせない限りにおきましては、昨年の状態に戻ったということはできないと思うのであります。一体、政府は、適正な保有外貨を幾らと考えておるのか、お尋ねをしたいのであります。昭和三十四年当時、経済企画庁が試算を発表して、昭和三十六年度輸出入を三十五億ドルと見まして、その際においては二十二億六千万ドルが適正な外貨準備でなければならぬ、こういうような計算をいたしておるのであります。その内訳は省略いたしますけれども、今日輸出入が五十億ドルというような程度のもとにおいて、一体適正な日本保有外貨は幾らなければならないか、また、保有外貨準備はどういう要件を備えなければならぬかということにつきまして、経済企画庁長官お答えを願いたいのであります。  大蔵大臣はおりませんから、総理からお答えを願いたいことは、保有外貨準備の内容とともに、長期及び短期対外債務の残高が幾らあるかということであります。特に短期債務の現在高を項目別に明らかにされたいのであります。あわせて本年度末までの国際収支の見通しと同時に、IMFに対するクレジット借り入れの必要があると考えておるのかどうか。これらの点を明確にしていただきたいと思うのであります。  わが国保有外貨のもう一つの問題点は、金の保有が非常に少ないということでありまして、外貨準備のわずか一七%、二億八千七百万ドルにすぎないのであります。世界各国の金の保有状況を見ると、アメリカが百六十一億ドル、ソ連は六十五億ないし九十億ドルあるといわれております。西ドイツは三十七億ドルイギリスが三十五億ドル、スイスが二十四億ドルフランスイタリアはそれぞれ二十二億ドルございます。いずれも外貨準備の五割以上を金で持っておるのであります。ポルトガルとかベネズエラ、スペイン、そういう小さな国ですらも四億ドルの金を持っておるのであります。これに比べまして、わずか二億八千七百万ドル日本は、まことにこれは少ないといわざるを得ないのであります。これは現在、アメリカの金の流出現象を中心としましてドルの不安、金価格の高騰ということが問題になっておるのであります。アメリカは一九五七年以来ずっと国際収支赤字続きで、五七年には二百二十九億ドルありました金が、最近では百六十一億ドルを割ろうかとするところまで落ち込んできておるのであります。その結果として、ドル切り下げの不安、金価格引き上げのうわさが世界の最大の関心の一つとなっておるのであります。ケネディ大統領は、この状況に対処するために、一方では国際収支をよくするために、バイ・アメリカン政策を初め、いろいろな努力を続けておりますが、同時に先般は通信衛星まで利用して、アメリカドル切り下げはいたしませんとテレビ放送を全世界にいたしましたが、しかもなお不安は逆に高まるばかりであります。フランスイタリアは盛んに金を買い集めて、フランスの金の準備外貨保有準備の七五%にも達するといわれておるのであります。池田総理によると日本大国であります。気前よく賠償も払い、金も貸してやる、しかし、金準備を見るというと、とても大国とは言えません。その他大ぜいの中に日本が入っておるというような、そのような大国はどこにもございません。もちろん、今は昔と違って金本位制ではないのでありますけれども、しばらくは金という神様の身がわりアメリカドルでもって間に合っておったのであります。ところが最近になってこの身がわりドルの信用ががた落ちになって、そしてその値打ちが切り下げられるという重大な状態になって参りまして、また再び神様である金それ自体があらためて見直されるという現状であります。  私は、この金の問題につきまして、二年前、三十五年の秋の臨時国会池田総理にこのことを質問したのでございますが、例によって木で鼻をくくったような答弁しかしなかったのであります。あなたの国際情勢の見方が間違っておる。新聞をよくごらんなさいというような失礼な答弁をあなたはされましたが、しかし、世界の動向を誤まって見ておったのは私でなくて、池田さん、あなたの方であったのであります。(拍手アメリカは、それ以来、引き続き景気の停滞と国際収支赤字、金の流出、そうしてドル不安に悩み続けておるのであります。これこそが、日本に対する貿易自由化の圧力となり、バイ・アメリカン政策となり、対日輸入制限の根因をなしておるではありませんか。もしも、池田総理が二年前、アメリカ経済を正しく見、ドル不安の問題を正しく理解しておったならば、三十五年の末に、あのような所得倍増計画を出して、それにまたさらに自由化を並行させて、民間投資をあおり、そうして今日、にっちもさっちもいかないような行き詰まりに追い込むような、ばかげた政策はやれなかった、また、やれなかったと私は思うのであります。(拍手)今になって気がついてみると、外国では将来を見通して、着々として金準備をふやしておるのに、日本は二億八千万ドルの金しか持っておらない。一体、なぜ金をふやさなかったのでございますか、説明を願いたいのであります。もちろん、今となっては、金を買い入れろといっても無理でございましょう。アメリカ市中銀行からまで一時借りをして、経常収支赤字を埋めなければならぬというような、そういう世界大国にもあるまじき前代未聞のことをやっておいて、今さらアメリカに金を売って下さいとは言えた義理ではないと思うのであります。(拍手池田総理の言われるように、経済は長い目で見なければなりません。しかし、それは答弁のときの申しわけに使われる言葉ではなくて、その衝に当たる者が、正しい長期の展望に立たなければならぬということを言うのであります。アメリカドル不安と金の問題について、あらためて総理の見解を承りたいと思うのであります。(拍手)  私は、以上申し上げたように、わが国保有外貨状態について、それが不安定な短期借金にささえられておる、また金準備が不足である、質の点では、昨年よりも一そうの悪化となっておる、また、今日の国際収支も、七月の経常収支は黒字になりましたけれども、八月の上、中旬はまた赤字といわれております。下期のアメリカの景気の下降も心配されます。貿易収支の前途は決して楽観を許さないのであります。私は、この段階では、IMF八条国移行の問題はもちろん、大幅の輸入自由化の実施も非常に危険であると判断するものであり、政府は、これらの事態を率直に明らかにして、IMFに対し、八条国移行の延期を要請し、また、既定の貿易自由化についても再検討することの了解を求むべきであると思うが、総理の所信を伺いたいのであります。(拍手)  八月一日から、政府は、大蔵事務当局の反対を押し切って、いわゆる株式元本外貨送金制限を大幅に緩和いたしました。投資元本回収送金を容易にして、青い目の株式投資を誘い入れ、一そうの外国資本を導入して、行き詰まり経済を再び成長の軌道に乗せようというねらいでありましょう。株屋にはだいぶ評判がいいようでありますが、これこそ危険きわまるギャンブル政策といわなければならぬのであります。(拍手)思惑的な投機資金が自由に出たり入ったりする、こういうことは、経済の混乱を招き、外国資本の株式、経営参加は、規模の小さいわが国の産業を、米国その他の巨大資本の支配にまかせるあぶない綱渡りの政治であります。総理は、今度は国づくり人づくりの上に、金づくり政策を練っておると伝えられておりますが、それはどうやらこの青い目の外貨導入のことのようであります。資本貿易自由化を進め、IMF八条国に移行させられると、今度はおそるべき日米通商航海条約が全面的に発動し、いわゆる内国民待遇アメリカ資本が自由に日本の国内で活動を始めるでありましょう。それこそ、アメリカに政治、軍事、経済を押えられて、文字通り日本が植民地化する道であります。国づくりではなくて、国を売ることにもなるのであります。(拍手政府は、すでに日本銀行から一兆五千億円のインフレマネー独占資本に貸し出し、物価をつり上げて大衆を苦しめました。今度は青い目の外国資本わが国の独立を脅かそうとする池田内閣を断じて許すことはできないのであります。国民には借金で物を買わせ、企業には借金で経営を拡大させ、国家は外資に依存してその独立を失わせようとするような池田内閣の一億総借金自由化強行政策は、健全な人づくり国づくり政策とは縁の遠いものであります。池田総理は、日米通商航海条約を改定して、わが国経済自主自立をはかる意思があるかどうか、明確にしていただきたいと思うのであります。(拍手)  次に、貿易自由化計画に伴う国内対策について質問いたします。  昨年九月二十六日、政府貿易為替自由化計画の中で、抽象的ながらも一連の国内政策を決定したのであります。石油自由化については、石油石炭を通ずる安定価格を可能にするエネルギー総合対策を立てろ、鉱産物については、内外資源効率利用をはかるために地下資源対策の確立、また農林漁業及び中小企業近代化及び雇用対策の強化などの方針をきめたのであります。これらの対策は、貿易自由化につき国内産業体制を整備する政府の約束でありましたが、自由化は着々進んでおりますけれども、これらの対策はいまだほとんど確立されておらぬのであります。石油業法は成立しましたが、国産原油、アラビア石油の引き取り処理の問題は未解決であります。石炭石炭調査団答申待ちであり、エネルギー総合対策エネルギー懇談会審議待ちであります。また、金属鉱業鉱業審議会審議待ちにまかせられて、いまだに基本方針の確立しないままに自由化ばかり強行されようとしていることは、政府のはなはだしい怠慢といわざるを得ません。(拍手石炭問題はいよいよ深刻な様相を呈し、すみやかに電力を含む全エネルギー総合対策の中で、石炭需給と雇用の安定をしなければならない段階であることは、何人にも明らかになっておるにもかかわらず、いまだに炭価引き下げによって石油に対抗しようというような姑息な合理化計画に固執しておるのであります。  ヨーロッパでは順調な経済発展を続けておるフランスイタリアイギリスなどは、石炭電力石油天然ガスについて、強い国の規制管理のもとにおいて安定したエネルギー対策の基盤の上に産業体制がしかれておるのであります。イギリス石炭電力、ガスは国営であり・イタリアは強力な国策公社エニーを中心として天然ガス石油精製あるいは原子力研究までの分野に活発に政府が活躍しておるのであります。フランス石炭電力、ガス及び原子力はいずれも国有であります。天然ガスは専売であります。先進資本主義国であるこれらの国々が貿易為替自由化を進める背景には、エネルギー政策につきましては強力な国家統制を行なっておるということを自民党の諸君も十分参考とすべきであると思うのであります。(拍手)貴重な国内資源である石炭産業を荒廃させ、国産石油国際石油資本の圧迫に放置し、電力会社の相次ぐ料金引き上げにただ追随するのみで、漫然と石油石炭自由化を許すことは、国民の利益のため、断じてこれを認めることはできないのであります。(拍手政府は、この際、石油自由化を延期し、総合エネルギー基本政策を急ぎ、国内石炭石油産業を安定せしむる方針を確立、実行すべきであると思うけれども、総理の所信を承りたいのであります。(拍手)  金属鉱業については、すでに前国会において具体的な内容を盛った自由化に直面する金属鉱業危機打開に関する決議が本院を通過しておるのであります。その中で、政府は、自由化実施までに抜本的な金属鉱業対策を樹立し、金属鉱業の発展と雇用の安定をはかるべきこと、また価格安定対策鉱業合理化対策中小鉱山振興対策など詳細な内容が盛られておるのでありますが、いまだ何一つ具体化されておらないということは、はなはだしく本院の院議を軽視するものであります。(拍手非鉄金属自由化は、十月から明年三月の間に行なうと政府は言明しておりますが、もしもそうだとするならば、鉱業対策について通常国会提出したのでは、全く手おくれなのであります。社会党は、すでに前国会以来、金属鉱産物価格安定臨時措置法案及び金属鉱物資源開発助成法案という二つの法案を国会提出をいたしております。鉱山所在地方住民には、社会党の成立を望む声が次第に高まっておるのであります。(拍手)野党の社会党具体案を出して、政府・与党が何の案も持たないというのでは、どちらが政府であるか、どちらが野党であるか、わからないではありませんか。(拍手)この際、政府は、自由化の実施前に、社会党の案に負けないようなりっぱな案を提出できるかどうか、総理から明確にお答えいただきたいのであります。(拍手)  政府自由化促進計画には、自由化に備える中小企業及び農林漁業近代化がうたわれておるのでありますが、しかし、所得倍増政策の失敗のために、中小企業は非常な苦境にあり、金詰まりから受注の減少が深刻化し、とても近代化どころではございません。東京商工興信所の調べによると、引き締め政策以来一年間の企業の倒産は、負債額一千万円以上だけで千六百十二件に達し、前年の六三%増であります。負債金額で千七百三十二億円、前年の実に三・四倍に達するのであります。これはみな池田内閣の所得倍増の成果であります。近ごろでは、中小企業の五人、十人は倒産してもやむを得ないなどというまずいことは言われないようになりましたけれども、口で言わなくてもやることだけは以前と何ら変わりがないのであります。(拍手)今回予定されている自由化品目のうちには、くだもの、野菜加工品、化粧品、ビスケットなど中小企業に影響のある品目が少なくないのでありますが、それぞれの影響を受ける業種、業態ごとにいかなる近代化施策がとられておるか、通産大臣から御説明願いたいのであります。  また、バナナ、レモンその他くだもの及び加工品など農畜産物関係の自由化計画は、農林省において検討の結果どうなっておるのかを農林大臣から具体的に御説明願いたいと思うのであります。これら品目の関係業者の中には、カン詰やジュース、菓子類の原料である砂糖が高くて、外国とはとても競争ができない。砂糖の方を自由化して安くしてもらう方が先決問題であるとの意見がありますが、これに対して農林大臣はどのような見解と対策を持っておるか、明らかにされたいのであります。(拍手)  自由化対策として最後に伺いたいことは、国産品の愛用であります。今まで自由化された食料品、家庭用品などの舶来品のはんらんは、まことに目に余るものがあるのであります。特に昨年下期の消費財の輸入は急増しておる。これは経済白書も指摘しておる通りでありますが、問題になったインスタント・コーヒー、ほしブドウ、冷凍エビなどの昨年度の輸入額はどれくらいに上っておるか、通産大臣から数字をあげて御説明を願いたいと存じます。十月自由化予定のリストの中には、置時計、万年筆、安全かみそりの刃、化粧品、毛製品、食料品、マカロニ、ビスケットなど、家庭消費財が含まれて、すでに外国の商社の広告、宣伝、販売体制が進められておるのでありますが、政府は、国産品愛用につき、具体的にどのような対策を用意し、実行しておるかを明らかにされたいのであります。  以上、私は、わが国国際収支の実態と自由化に対する個別対策の整備されてない現状において自由化計画を実行することは、金融引き締め、景気調整に苦しむ多くの企業、労働者、農漁民に対して二重の打撃を加えることであり、経済の自立と国民生活の安定にとってきわめて有害であるという見地から、あらためて総理に対して、自由化促進計画を再検討し、全面的に延期することを求めるものでありますが、総理の見解を伺いたいと思います。(拍手)  最後に、世界の大勢と称せられる貿易自由化の本質について一言触れたいのであります。  第一に、貿易為替自由化というのは、根本の自由貿易、通商制限の撤廃の理念に基づくことは否定しませんけれども、一九五八年ごろから急速にこれが推進されたというのは、その一つは、西ヨーロッパ諸国の復興が完了して、巨大な独占資本が発展し、EECのようなブロック経済圏を足場としてその市場を広めながら国際競争力を強化し、外部に対しては段階的に市場拡大競争のため自由化を進めつつあるということであります。他の一つは、同じ五八年ごろからアメリカ国際収支赤字、金の流出、経済成長の停滞のため、輸出貿易をふやすために積極的な意欲を見せて、ここに新しい世界資本主義間における競争が激化し始めた。いわば強い先進国の後進国に対する市場を拡大しろという要求がすなわち自由化であるということの本質であります。従いまして、わが国の大企業、大資本の何倍、何十倍の巨大企業が国内に進出してくることを意味するのであります。財界はどろぼうを見てなわをなうごとく、箱根の山に登って新産業秩序の形成、独禁法改正の論議をされたようでありますけれども、総理は、このいわゆる新産業秩序の形成、あるいは独禁法の改正にはいかなる見解を持っておるかを承りたいのであります。  以上申し上げまして結論を急ぎますけれども、私は、日本は単に自由世界に面を向けたのでは、日本の今後の平和な繁栄はあり得ないと信じます。世界の大勢、これは自由化だけではございません。自由化の及ぶ範囲は、いわゆる先進資本主義国の範囲であって、世界の三分の一にしか満たないのであります。その他の共産圏、あるいはアジア・アフリカのいわゆる後進地域には自由化は及んでいかないのであります。共産圏は、国営貿易、計画貿易のもとでは自由化はあり得ない。後進国は、自分の産業を保護するためには自由化はできないのであります。従って、日本のような自由諸国とも接触をしておる、共産圏ともあるいはアジア、アフリカとも接触しておる、この三つの質の違う領域のちょうどかなめの地位にある日本貿易政策は、断じて自由化政策だけであってはならない。この三つの地域にそれぞれ即応するような多面的な貿易政策を確立して、そして日本経済を自立させ、平和な中立な繁栄の中で初めて日本が今後発展し得る。このことを最後に申し上げまして、私の緊急質問を終わるものでございます。(拍手)   〔国務大臣池田勇人君登壇〕
  15. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) ただいまの御質問に対しましてお答え申し上げます。  まず第一、貿易自由化についてでございます。皆さん御承知の通り、われわれは、経済は自由経済であるべきという建前をとっております。従いまして、敗戦後三、四年の後、昭和二十四年より国内的には米を除いて完全な自由経済に立ち返りました。しかし、片一方国際的には自由化はできていないのであります。今後、世界の進運に沿って、日本国内経済のみならず、外国におきましてお互いに協力し合うという態勢におきましては、どうしても貿易自由化をはかっていかなければ、日本として立つ瀬がなくなることは、国際情勢の大勢であります。(拍手)従いまして、私は、岸内閣の通産大臣といたしまして、三年前に貿易自由化を打ち出してきたのでございます。その結果、当時三〇%前後の自由化であったのが、すでに七三%の自由化までこぎつけて参ったのであります。しこうして、今後日本貿易をますます高めるためには、今年の十月から九〇%の自由化を行なうことが、日本経済の内外における発展上ぜひ必要であるという考えのもとに進んできておるのでございまして、決して外国からの強制というのではございません。私多年の念願を実現しつつあるのでございます。  しこうして、IMF八条国への移行の問題と関連して、われわれが今回八条国に移行する、しないということを今きめるとかきめないとかいう御議論でございますが、これは少し早過ぎる、思い過ぎの点ではございますまいか。IMF八条国への移行は、今年十月の年次総会において、IMFの方々が日本経済の実情を見てきめるべきことであるのであります。しかし、向こうがきめましても、単なる日本への勧告だけでございまして、移行するかしないかは、われわれが、政府がきめる問題であるのであります。その点誤解のないように。自主的にと考えられるあなた方が、IMF勧告を受けたならばすぐそれに従うというような誤った考えで御議論なさることは、これは国民を惑わすものと思います。(拍手)現に証拠、ドイツは一九五七年に勧告を受けて、四年後の六一年に移行したではございませんか。その他イタリアにおいても、オランダにおいても、みな今までの実例を見たならば、おわかりになることでございます。出るか出ないかわからぬものを、出ることにきめて、出たならばそれにすぐ従わなければならぬというふうな、そんなゆるふんの政府でないことを、はっきり申し上げておきます。(拍手)  次に、適正外貨の問題でございまするが、いろいろ議論がございましょう。あなたがとらえられましたイギリス外貨準備を見ますと、百十億ドル、二十億ドル輸出入で、三十億ドル前後でございます。四十七億ドル、八億ドル輸出入額で、十六億三千五百万ドルは大体いいところではございますまいか。また、特に外貨準備の多いイタリアなんかを例にとられまするが、日本も将来は、あらゆる方法、観光事業その他で、イタリア並みにいきたいという念願は持っております。  また、金の保有が少ない、お話の通り少のうございまするが、必ずしも米ドル不安を高く掲げて、今すぐ金を買えとも言われませんが、われわれは、国際収支状況等によりまして、できるだけ早く金の保有を多くしたい・すなわち、外国の証券とか預金よりも金の方を多くしたいという考えではおりまするが、今直ちにこれをどうこう言うところまでいっておりません。  また、国際収支状況につきましては、従来申し上げておりますごとく、今年初めは社会党さんも非常に御心配のようでございましたが、私が考えておった四十七億ドルの輸出は、それ以上になることは大体はっきりいたしました。(拍手)また、四十八億ドルの輸入は、それでは少ないと言われておった社会党さんのお見込みは間違いで、四十八億ドル以下の輸入になることは確実でございます。(拍手)従いまして、予想以上に国際収支はよくなって参りました。さきの参議院でお答えしたのでございまするが、この六月、七月の輸出入信用状につきましては、一億二千万ドル程度信用状の黒でございますが、この八月、あしたで締め切りますものは、よかった六月、七月以上の一億三千万ドルをこえる信用状の黒字になることがはっきりいたしております。(拍手)また、過去三カ月の輸出入承認額を見ましても、この状態ならば十二月までははっきり黒字でございます。一、二、三の輸入期になってどうなるか、これはまだ正確には申し上げられませんが、御心配ない程度に進んでいくことははっきりいたしておるのであります。(拍手)  なお、外貨準備の点について、いろいろ御心配のようでございまするが、国内経済の非常な伸びと経済基盤の強化等から考えまして、いわゆる短期で一番あぶないといわれる自由円あるいはユーロダラー等の金も六億ドル程度で、上下いたしませんので、世界日本に対する信用、ことに国際収支上の信用は日に日に高まっていっておりますので、御心配は御無用とお考え願いたいと思います。(拍手)  なお、アメリカ市中銀行から借りておりまする二億ドルの分は、十一月から十二、一、二と五千万ドルずつ払う考えでおります。また、EXIMから借りております今年分の支払い見込額三千三百万ドルも、今の様子では払える考えでおります。しかも、来年三月末までには、よくいえば一五億ドル、あるいは下がっても一四億数千万ドルとなる見込みでございますので、今年中に二億三千万ドル前年度の借金が払えることは、わが国信用が非常に高まり、経済がよくなったことを意味するものでございます。  次に、株式投資に対しまして、今まで二年間元本の持ち帰りを許さない規定を、半年まで据え置いて、それから自由に返すことにいたしましたのは、わが国外国資本が必要でございます。これは、明治、大正、昭和の時代、常に外国資本日本経済発展した歴史を考え、しかも、日本の高度成長に外国から金が入ったけれども、出るときには条件をつけて出さぬぞというやり方は、もう古いやり方で、今ごろの国際感覚に沿わぬやり方でございます。(拍手)大蔵官僚が政治をしておるのではありません。われわれ池田内閣政治をしておるのでございますから、われわれの信念通りにやることは当然であります。(拍手)今さら大蔵官僚が聞くとか聞かぬとか言われることは、私は国会としてはちょっといかがなものかと考えるのであります。(拍手)  また、日米通商航海条約も来年度満期になりまして、改定するかしないか、今検討を加えておるのであります。私は、国を売る政策なんかは絶対にとっておりません。(拍手)しかし、北山さんの考え方は、ちょうど敗戦後二、三年当時の統制経済によってインフレを来たす経済に逆戻りをしようという考え方のようにも受け取られるのでございます。世界の進運、有無相通じて、世界の繁栄と平和を守るために、われわれはほんとうに相協力して繁栄をもたらすように努力しておるその一端でございます。従いまして、日本がここまで参りましたときに、古いからの産業政策ではなかなか十分ではございません。世界の進運に沿い、日本経済の高度成長を考えながら、いかにすれば産業体制が秩序正しくりっぱになるかということは、常に私の検討しておるところでございまして、経済は、あなた方の御心配にもかかわらず、私は非常にうまくいっているということをはっきり申し上げておきたいと考えます。(拍手)   〔国務大臣福田一君登壇〕
  16. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) お答えを申し上げます。  エネルギーの問題に関しまして、石炭、電気、油の問題について、基本的な構想を立てて、これを位置づけてからこの自由化に踏み切るべきであるというお考えでございますが、われわれといたしましても、石炭、電気、油の問題につきましては、その産業日本経済の中において占める立場を十分に考えまして、そうしていかなる位置づけをすべきであるかということをただいま十分研究をいたしておる段階でございます。なお、今お話がございましたカフジ原油の点でございますけれども、これにつきましては、この国内精製の会社にできるだけ引き取ってもらうように交渉を進めております。さらに、それができない場合においても、われわれとしては適当な措置を講ずる考えでございます。  非鉄金属の問題につきましては、御説の通り、ことにおいて決議案が出ております。こういうこと等も勘案をいたしまして、関税の措置等もとって参ったのでありまするが、その措置で十分であるかどうかというようなことについても、今、十分この調査をいたしておる段階でございまして、全般の問題の、いかなるものを自由化していくかということにつきましては、ただいまこれを数百品目について個別に調査をいたしておるのであります。その最後の決定は、おそらくは九月の末に相なるかと考えておる次第でございます。  また、農産物に関係いたしまして、原料が自由化をされておらないのに、この製品についての自由化をどうするのかというようなお考えもあったようでございますが、これについては、ただいま農林省とよく打ち合わせをいたしております。  国産品愛用の問題につきましては、もとよりこれは重要な問題でございます。世界的に今、日本のいわゆる軽工業と申しますか、その種の機械、あるいは繊維等は非常に優秀であるということが認識をされつつある段階でございますが、御説の通り、国産品愛用の問題は非常に重要でありますので、機会があるごとに、このPRをいたしますと同時に、今後におきましても十分その措置をとって参りたいと考えておる次第であります。(拍手)   〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
  17. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) ホットマネー、ユーロダラーについて御指摘がございましたが、月末の残高は別段減少もいたしておりませんし、他方で外貨準備には含まれておりません短期債権が十億ドル余りでございますので、この程度外貨準備自由化を進めて参りまして別段心配はないと考えております。  ドルの価値について御質問がございましたが、今年は上半期の米国のドル流出はわずかに四億ドル余りでございます。ロンドンの金市場も三十五ドル十セント程度で持ち合っておりますから、御心配のようなことはないと考えております。(拍手)   〔国務大臣重政誠之君登壇〕
  18. 重政誠之

    ○国務大臣(重政誠之君) 農林関係物資の自由化問題について、一々、バナナ、レモン、畜産物加工品その他物資の名前をあげて御質問でございましたが、これらは物資別に現在慎重に検討をいたしております。近く明確な御答弁をすることができると思うのでありまするが、大体におきまして貿易自由化世界の大勢であり、また、わが内閣方針でありますから、さきに閣議で決定をせられました十月から自由化する品目は、原則としてこれをやるという建前におきまして、検討をいたしておるのでありますが、しかし、自由化をしたために、農業に対して非常な影響があり、あるいはまた、中小企業方面に対して、非常な影響があるというようなものは、もちろん影響のないように、各般の行政措置を講ずることを前提としてやるのであります。それでもなお非常な影響があるというような場合におきましては、これは自由化はいたさない方向に持っていきたいと思うのであります。(拍手
  19. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 先ほどの北山君の発言中、もし不穏当の言辞があれば、速記録を取り調べの上、適当な処置をとることにいたします。      ————◇—————  日程第一 千九百六十年及び千九百六十一年の関税及び貿易に関する一般協定関税会議に関する二議定書等締結について承認を求めるの件  日程第二 日本国オーストラリア連邦との間の小包郵便約定締結について承認を求めるの件(参議院送付)  日程第三 日本国カナダとの間の小包郵便約定第四条を改正する議定書締結について承認を求めるの件(参議院送付
  20. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 日程第一、千九百六十年及び千九百六十一年の関税及び貿易に関する一般協定関税会議に関する二議定書等締結について承認を求めるの件、日程第二、日本国オーストラリア連邦との間の小包郵便約定締結について承認を求めるの件、日程第三、日本国カナダとの間の小包郵便約定第四条を改正する議定書締結について承認を求めるの件、右三件を一括して議題といたします。
  21. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 委員長の報告を求めます。外務委員会理事菅太郎君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔菅太郎君登壇〕
  22. 菅太郎

    ○菅太郎君 ただいま議題となりました三案件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、ガットの議定書について申し上げます。  一九六〇年九月から本年七月までジュネーヴにおいてガットの関税会議が開催せられ、わが国もこれに参加いたしました際、関税の相互的引き下げを目的として、米国、欧州経済共同体、スエーデン及びイスラエルと交渉し、その結果を収録いたしましたところの、一、関税会議の結果を収録するガットの付属議定書、一、ガットヘのイスラエルの加入のための議定書、右の二つの議定書が作成された次第でございます。  また、欧州経済共同体との関税譲許につきましては、フランス及びベネルックス三国が、わが国に対し、ガット第三十五条を援用しております関係上、議定書に定める譲許は、わが国との間には適用されないのでありまして、従いまして、別に交換公文を作成いたしまして、わが国と欧州経済共同体との間で直接に交渉した品目の譲許は、ガット関係にある締約国と同様に、これを相互に適用する旨を定めて、双方代表がこれに仮調印をいたしておる次第であります。  わが国は、前途の二つの議定書の付属譲許表におきまして、九十一品目の関税を譲許いたし、これに対して相手国より百一品目の譲許を得ることとなっておる次第であります。  次に、日豪小包郵便約定について申し上げます。  わが国オーストラリア連邦との間の小包郵便業務を規制いたしております現行の日豪小包郵便約定は、明治四十年一月一日に発効したものでありまして、現在の小包郵便業務に適せず、幾多の不備な点がございますので、両国政府は現行約定にかわる新約定の締結について交渉を進めて参りましたが、先般合意が成立をいたし、本年三月一日東京においてこの約定に署名を行なったのであります。  この約定は、現行約定を全面的に改めたものでございまして、主要改正点は、現行約定では具体的金額が定められておりますのを、両国郵政庁が協議の上、料金を随時決定し得るように改正したことでございます。  次に、日加小包郵便約定第四条を改正する議定書について申し上げます。  昭和三十一年七月一日に発効いたしました現行の日加小包郵便約定は、第四条において陸路料を具体的金額で規定しておりますが、昨年夏、カナダ側よりこの第四条を改正したい旨の提案がございましたので、両国政府間で交渉を進めました結果、合意に達し、本年二月二十一日東京においてこの議定書に署名を行なったのであります。  この議定書は、陸路料について具体的金額を定めている第四条1を削り、これにかわり、陸路料は両国郵政庁間の合意により決定する旨の規定を置くものでございまして、この改正によって、陸路料を改める場合、そのつど約定自体の改正を必要とした従来の不便が除かれるわけでございます。  以上のうち、ガットの案件は八月十六日本委員会に付託せられ、また、小包郵便の二案件は八月十六日予備審査のため付託された上、八月二十七日本付託と相なりました。外務委員会においては、政府の提案理由の説明を聞き、質疑を行ないましたが、詳細は会議録により御了承願います。  かくて、八月二十九日、右三件についての質疑を終了し、討論を省略して採決を行ないましたところ、右三件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  23. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 三件を一括して採決いたします。  三件は委員長報告の通り承認するに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、三件は委員長報告の通り承認するに決しました。      ————◇—————  日程第四 日本放送協会昭和三十五年度財産目録貸借対照表及び損益計算書
  25. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 日程第四、日本放送協会昭和三十五年度財産目録貸借対照表及び損益計算書を議題といたします。
  26. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 委員長の報告を求めます。逓信委員長本名武君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔本名武君登壇〕
  27. 本名武

    ○本名武君 ただいま議題となりました日本放送協会昭和三十五年度財産目録貸借対照表及び損益計算書に関し、逓信委員会における審査の経過と結果とを御報告いたします。  この日本放送協会決算書類の要点を申し上げますと、昭和三十五年度末現在における協会の資本総額は百二十三億四千六百六万余円、これに照応する資産は二百六十六億四百六十四万余円、負債は百四十二億五千八百五十八万余円であり、また損益では、事業収入三百二十四億三千五百五十八万余円、事業支出二百八十五億千三百二十二万余円でありまして、差引当期剰余金は三十九億二千二百三十六万余円となっております。  なお、本件には、会計検査院においては記述すべき意見はない旨の検査結果が添付されております。  本件は、去る八月二十七日国会提出、逓信委員会に付託されたのでありますが、委員会におきましては、同二十八日、二十九日の両日、会議を開いて提案理由の説明を聴取し、政府並びにNHK当局に対して質疑を行ないました後、討論を省略して採決の結果、本議案については異議がないと議決すべきものと決した次第であります。  これをもって報告を終わります。(拍手)     —————————————
  28. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 採決いたします。  本件の委員長の報告は異議がないと決したものであります。本件は委員長報告の通り決するに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告の通り決しました。      ————◇—————  農林省設置法の一部を改正する法   律案(第四十回国会内閣提出
  30. 草野一郎平

    草野一郎平君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、第四十回国会内閣提出農林省設置法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  31. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 草野一郎平君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  33. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長永山忠則君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔永山忠則君登壇〕
  34. 永山忠則

    ○永山忠則君 ただいま議題となりました農林省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、本案の要旨を申し上げますと、  第一は、農林省の内部部局として新たに園芸局を設置し、振興局を農政局に改組し、農林経済局の所掌事務を整備することでございます。  第二は、肥料検査所及び飼料検査所を統合して肥飼料検査所を設置することでございます。  第三は、農林省本省の地方支分部局として新たに七つの地方農林局を設置し、これに農地事務局等を統合することでございます。  第四は、林野庁に職員部を、水産庁に長官官房をそれぞれ新たに設置するほか、水産庁に関する規定を整備して農林省設置法に加え、水産庁設置法は廃止することでございます。  第五は、定員外職員の定員化等のため、職員の定員を八百六十二人増員すること等でございます。  本案は、前国会より継続審査となり、八月四日あらためて本委員会に付託され、十四日政府より提案理由の説明を聴取いたし、慎重に審査を行なったのでありますが、詳細は会議録によって御承知を願います。  かくて、三十一日、質疑を終了いたしましたところ、自由民主党の岡崎英城君外四名より、施行期日等を改める修正案が提出されて、その趣旨説明が行なわれ、次いで、討論に入り、日本社会党を代表して有馬委員が反対の意見を、自由民主党を代表して藤原委員が賛成の意見をそれぞれ述べられました後、採決の結果、本案は多数をもって修正案の通り修正議決すべきものと決定いたしました。  なお、本案に対し、自由民主党岡崎英城君より、政府は、地方農林局に対しては、できるだけ大幅に法律上及び予算上の権限を委譲すること並びに地方農林局の位置及び管轄区域については、今後十分検討の上改善を加えることに留意すべきであるという趣旨の附帯決議案が提出され、これまた多数をもって議決されたのでございます。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  35. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。田口誠治君。   〔田口誠治君登壇〕
  36. 田口誠治

    ○田口誠治君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました農林省設置法の一部を改正する法律案に絶対反対の態度を表明するものであります。(拍手)  本案の改正の範囲は、戦後最大の大幅な機構の改革でありまして、一方的な主義主張にとらわれることなく、慎重に十分に審議を尽くし、最良の結論を出すことが最も肝要であると存ずるのであります。しかるにもかかわらず、短期間である臨時国会の会期末に強引に成立せしめんとするこの段階に追い込まれましたことは、健全な農業の発展とすべての農民の所得の増大をこいねがう全国の農民の名において、遺憾の意を表するとともに、限りない怒りを禁じ得ないものでございます。(拍手)  そもそも、この法案提出された理由は、過ぐる三十八国会で、好ましからざる議事の混乱を巻き起こし、話し合いによる収拾策、正常な国会の運営に正す努力をもすることなく、一方的な単独審議的審議によって成立せしめた農業基本法の二十三条にのっとり、きわめて機械的に農林省の行政組織を改変するものであるのでございます。本案の実施は、将来は言うに及ばず、当初から憂うべき点が多く発見され、このことは政府といえどもこれを認めざるを得なくなり、不完全な改正案であることは審議の過程において暴露されたのでございます。(拍手)  改正される内容を申し上げますなれば、本省の局、課の新設または名称の変更が十七、それに全国七ブロックに地方農林局を新設、それに伴う八部三十数課の機構体制と規定の一部の改正をすることになっているのでありまして、日本憲政始まって以来の大改革であることを重ねて申し上げ、ますます政府の慎重さを欠くこの軽挙に対しまして、声を大にして反省を促すものでございます。  現在農林行政にとって緊要な課題は、いかにして農政の方向を定め、農業を引き合う収支の企業として他産業並みに引き上げるか、いかにして他産業との格差を是正するかにあるということは、論を待たないところでございます。政府原案の農業基本法が通過して一年、農家はこの基本法がいかに無意味なものであったかを、身をもって体験をしつつあるところでございます。  当時日本社会党は、みずからの農業基本法を準備して政府原案と並列審議を促したのでございまするが、それにもかかわらず政府案が一方的に審議が進められまして、基本法の中で農業発展の阻害を取り除くのは、国の政府の重大な責任であることを、私は明らかにいたしたのでございます。農業をして他産業との格差を是正するためには、予算、金融についての確保を明文化し、土地の利用と生産基盤の改正整備についてその方向を具体的にし、生産費・所得補償方式によるところの農産物価格の安定をはかるとともに、流通機構の整備をはかるなど、総合的な施策を明示したのでございます。あわせまして、肥料、農薬などの国営ないしは国家管理によるところの需給の安定を企図し、共同化、機械化によるところの近代的な今後の農政の方向を明らかにするなど、抜本的にして真に農業が企業として成り立ち得るための条件を整えることに努力をし、それに重点を置いたのであります。との社会党の農業基本法こそが、日本の農家の真の希望するものであり、この方向でなければ、窮地に立たされておるところの日本の農業の活路を見出すことはきわめてむずかしいのでありまして、それがゆえに私どもはあの農業基本法の成立に大きな不満を感じておるような次第でございます。これは、自由民主党が、重要農産物の価格政策あるいは農政審議会の委員の選考など、七項目にわたる附帯決議をつけざるを得なかった経緯について見ましても明らかであるのでございます。ただいま私の申しましたことが、このことによって立証されるわけでございます。  現在、政府がしなければならないことは、この通過した政府原案の農業基本法を克服して、真の農業行政を確立することであって、単なる機構いじりであってはならないのであります。(拍手)これが反対するところの第一の理由であることを申し上げる次第でございます。  第二の反対理由は、政府の法体系の秩序に関する態度が混乱をきわめておることについてであります。昨年臨時行政調査会が設けられ、行政の運営並びに機構等の整備されることを三年間にわたって鋭意検討することに相なっておるのでございます。ただ農林省に限らず、これは各省にわたる行政機構のあり方を、この審議会において答申されるものであるのでございまするが、この調査会を設けた精神に沿わない現状にあることは、私どもが非常に遺憾とするところであります。(拍手)その答申を待たずして、ただいま申しましたようなきわめて膨大なる機構改正を提案することは、法の精神を無視するもはなはだしいものであると存ずるのでございます。(拍手)なお、今次改正が場当たり的なもので、また近く改正を余儀なくされるのではないかということが明確になっておるということであります。このことは、昨昭和三十六年度も農林省設置法の一部が改正された事実から徴しましても明らかでございます。すなわち、昨年度農業に関する試験研究の管理事務を農林水産技術会議に一元化し、農林水産業に関する基本的な計画、調査を行なうための大臣官房の機能の強化を目的とするところの改正が行なわれたのでございます。それからまだ一年もたたないのでありますが、このようなわずか一年でさえその展望を持ち得ないようなこういう場当たり的な法改正は、われわれはまつこうから反対をしなければなりませんし、こういう行政府の態度を是正することが、立法府の責任でもあると思うのであります。  第三の反対理由は、農政の重要なにない手である各種団体の意向、そうして市町村、地方自治体の意向が全然聞かれておらないということでございます。この法案が出まするや、全国の知事会議はこれに反対の意見を表明したではございませんか。農林行政をスムーズに行ない、ただいま申しましたところの地方の七つの農林局が農業の中心となり、農業のセンターとなるならば、少なくとも地方の自治体、関係団体の意見を十分に聞いて、その上に立ってこういう改正案を出さなければならないと思うわけであります。私は、地方の実態を無視した机上のこの改正案に対しましては、まつこうから反対を重ねて申し上げるわけでございます。(拍手)  第四に申し上げる反対理由は、今回の改正案自体がきわめて中途半端のものでございまして、内容は全く複雑なものであり、農林行政をさらに複雑化するものであることが明々白々であるのでございます。農林行政の総合調整をするというようなことを政府はたびたび口にいたしておるのでございまするけれども、この案を見まして、どうして総合調整ができるかと私は言いたいのでございます。この案を決定されたときの実情を、質問の過程において聞きただしてみますれば、全く将来におけるところの展望あるいは出先機関の行方というものに対しましては、十分なる検討がなされておらないという事実を発見をいたしたのでございます。こういう下部組織を無視したところの法改正に対しましては、これは私のみならず、全国の農民の皆さんが大きな不満を抱いておるということは、私は想像にかたくないものがあるのでございます。  さらに申し上げたいと思いまするのは、この改正案に対しましては、農林省の農林大臣に拘束されておるところのいわゆる特別職の諸君は、いやいやながら賛成の色を現わしておるのでございまするけれども、その他の農林省の職員は全部が反対でございます。農林省の職員は、少なくとも善良な国家公務員でございまするために、自分の省の行政のいいところと悪いところとは十分に承知をいたしておるのでございます。こういう人々がまっこうから反対をしておるこの内容が、いかに場当たり主義的なものであり、また、農業基本法の成立に伴って二十三条の規定によってやらなければならないというような機械的な改正をなされておるということを私は指摘をしなければならないと思うわけでございます。(拍手)  さらに私は申し上げておきたいと思いまするが、いつの機構改革のときでもそうでございまするが、これには人員の過剰云々というようなことに名をつけまして、人員整理がつきものであるわけでございます。不当配置転換が大きくあるのでございます。私どもは不当なる配置転換、無意味な機構いじりによって犠牲者を多く出すという本案に対しましては、まっこうから反対をするものでございます。  従って、私は最後に申し上げておきたいと思いますことは、こういう法案でございますために、まだ日時は残されておりますので、自由民主党の諸君もこの期間におきまして、十分にこの案を熟読され、反省をされまして、そうして私どもの希望するところの線に乗ってこられますことを、声を大にして希望を申し上げ、反対の意見を終える次第でございます。(拍手
  37. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 倉成正君。   〔倉成正君登壇〕
  38. 倉成正

    ○倉成正君 私は、自由民主党を代表して、本案に対し賛成の意見を表明せんとするものであります。(拍手)  今日、農業問題は世界共通の最も困難な問題の一つであります。西ヨーロッパ諸国、アメリカ、東南アジアあるいは中共、ソ連、東ヨーロッパ諸国等、自由陣営であると共産陣営であるとを問わず、世界いずれの国においてもこの農業問題の対策に頭を悩ましているというのがその実情であります。この間にあってわが国農業は、経営規模の零細性という悪条件のもとにおいて、いまだかつて経験したことのない試練に直面しているのであります。すなわち、他産業の急速な発展に伴い、農業の低生産性、また貿易自由化、EECの発展に伴う外国農業との調整の問題等であります。  昨年六月成立した農業基本法は、生産性向上、所得均衡という二つの目標のもとに、選択的拡大と構造改善という大きな柱を掲げて、日本農業の新しい方向を示し、各般の施策によって一歩々々明るい方向に進もうとしておるのであります。  今回提案された農林省設置法は、これらの諸情勢の変化に即応して、農業基本法の諸施策を展開するため、農林本省の機構を再編成し、さらに地域の実情に即したきめのこまかい行政を強力に推進しようとするものであります。  この見地に立って考えますと、まず園芸局の設置については満腔の賛意を表するものであります。(拍手わが国農業は、従来米麦農業を中心としてこれらの面については手厚い保護を加えてきたにもかかわらず、果樹園芸等の方面に関しましては見るべき施策なく、ほとんど自力で最近までやって参りました。一例を果樹にとれば、その生産額は今日一千億円をこえ、ここ十年のうちには三千億円をこえようとしております。ミカンのカン詰だけでも、輸出額百億近いものがあります。わが国の自然条件に適し、発展の可能性のあるこれらの果樹園芸の振興のため、独立した部局を設けようとすることは、むしろおそきに失した感すらあります。(拍手政府は、園芸局の設置を契機に、果樹園芸農家の安定のための価格、流通、加工面において万全の施策を講ずるとともに、技術者の確保、画期的な予算の措置等について遺憾なからんことを望むものでございます。  次に、農政局の設置については、従来畜産、蚕糸、園芸等の縦割り行政を農業経営改善という立場から総合的にとらえんとするものであり、農業基本法の柱である農業構造改善事業の推進的役割を果たす性質のものであります。もちろん、構造改善という大事業を推進するためには、農政局の機構のみをもってしては不十分であります。農林大臣の意図せられるごとく、さらに今後の機構の整備を期待するものであります。  その他の各部局の改正については、それぞれの情勢の変化に応ずるものでありますが、特に野党諸君に御意見のあった地方農林局について申し述べてみたいと思います。  およそ、日本農業といっても、北は北海道から南は九州までその態様は千差万別であり、地域の自然的、経済的、社会的諸条件に適合した農林行政を行なうことは、農業基本法の規定するところであるのみならず、全国農民の期待するところであります。地方農林局の設置は、従来農林省関係のすべての事務が東京に行かねば解決せぬという陳情政治の弊を一掃し、地方住民のために福祉をもたらすものと信ずるものでありまして、まことに時宜に適したものといわねばなりません。この点は、すでに通産、建設、大蔵、郵政の各省は地方ごとに分局を有しておるのでありまして、農林省だけがこれを持たなかったということは、むしろ奇異の感すらするのであります。地方に分散している農林省の出先をできるだけ統合し、さらに農林大臣の権限を大幅に委譲し、地域の農業の実態に即し弾力的なきめのこまかい行政を施行しようとすることは、その運用が適切に行なわれる限り、二重行政であるとか、地方自治の侵害というような議論は、まことに事柄の本質をはずれたものといわなければなりません。(拍手)農政の責任者が地方農林局設置の趣旨を十分に尊重し、優秀な人材を地方局に配置し、また、これらの人々が安んじて職務に精励できるような環境をつくることが何よりも大切なことでありまして、委員会質疑においても農林大臣の誠意ある答弁を了とし、地方農林局が所期の目的を十分に発揮することを期待するものであります。  およそ、行政機構は時代の要請に応じて改編整備されるべきものであって、農林行政は旧套を脱して大幅に脱皮すべきときに到達しているのであります。今回の改正は一部これらの要請にこたえたものでありますが、近い将来において、さらに次元の高い臨時行政調査会の結論等を待って、強力な農林行政を確立すべきと信ずるものであります。  私は、政府が自信と情熱を持って、新機構のもとに今日の農業の発展期に対処せられんことを期待し、ここに賛成の討論を終わるものであります。(拍手
  39. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。  本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  40. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り決しました。(拍手)      ————◇—————
  41. 原健三郎

    ○副議長原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時四十七分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         農 林 大 臣 重政 誠之君         通商産業大臣  福田  一君         郵 政 大 臣 手島  栄君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         内閣官房長官  黒金 泰美君         内閣法制局長官 林  修三君         外務政務次官  飯塚 定輔君      ————◇—————