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1962-08-14 第41回国会 衆議院 本会議 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十七年八月十四日(火曜日)
—————————————
議事日程
第四号
昭和
三十七年八月十四日 午後二時
開議
一
産業投資特別会計法
の一部を
改正
する
法律
案(
内閣提出
)の
趣旨説明
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
議員請暇
の件
首都圏整備委員会委員任命
につき
事後
の
承認
を 求めるの件
公正取引委員会委員長任命
につき
事後
の
承認
を 求めるの件
産業投資特別会計法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
及び
質疑
午後二時五分
開議
清瀬一郎
1
○
議長
(
清瀬一郎
君) これより
会議
を開きます。
————◇—————
議員請暇
の件
清瀬一郎
2
○
議長
(
清瀬一郎
君) お諮りいたします。
議員千葉三郎
君から、
海外旅行
のため、八月二十日から八月二十九日まで十日間
請暇
の
申し出
がございます。これを許可するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
清瀬一郎
3
○
議長
(
清瀬一郎
君) 御
異議
なしと認めます。よって、許可するに決しました。
————◇—————
首都圏整備委員会委員任命
につき
事後
の
承認
を求めるの件
清瀬一郎
4
○
議長
(
清瀬一郎
君) さらに、お諮りいたします。
内閣
から、
首都圏整備委員会委員
に
金子源一郎
君、
工藤昭四郎
君、
島田孝一
君、
友末洋治
君を任命したので、
首都圏整備法
第八条第三項の
規定
によりその
事後
の
承認
を得たいとの
申し出
がございます。この
申し出
の
通り承認
を与うるに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
清瀬一郎
5
○
議長
(
清瀬一郎
君) 御
異議
なしと認めます。よって、
承認
を与うるに決しました。
————◇—————
公正取引委員会委員長任命
につき
事後
の
承認
を求めるの件
清瀬一郎
6
○
議長
(
清瀬一郎
君) 次に、
公正取引委員会委員長
に
佐藤基
君を任命したので、
私的独占
の禁止及び
公正取引
の
確保
に関する
法律
第三十条第四項の
規定
によってその
事後
の
承認
を得たいとの
申し出
がございます。この
申し出
の
通り承認
を与うるに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
清瀬一郎
7
○
議長
(
清瀬一郎
君) 御
異議
なしと認めます。よって、
承認
を与うるに決しました。
————◇—————
産業投資特別会計法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
清瀬一郎
8
○
議長
(
清瀬一郎
君)
議院運営委員会
の決定により、
内閣提出
、
産業投資特別会計法
の一部を
改正
する
法律案
の
趣旨
の
説明
を求めます。
大蔵大臣田中角榮
君。 〔
国務大臣田中角榮
君
登壇
〕
田中角榮
9
○
国務大臣
(
田中角榮
君)
産業投資特別会計法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
趣旨
を申し述べます。 御
承知
の
通り
、
政府
は、前
国会
におきまして、いわゆる
ガリオア・エロア等
の戦後の
経済援助
の
最終的処理
をはかるため、
日本国
に対する戦後の
経済援助
の
処理
に関する
日本国
と
アメリカ合衆国
との間の
協定
を提出し、
国会
の
議決
を得ており、また、この
協定
に基づいて
政府
が本
年度
中に支払らべき第一回の
賦払い金
にかかる
予算
につきましても、
昭和
三十七
年度
産業投資特別会計予算
において御
承認
をいただいております。さらに
産業投資特別会計
の本
年度
における
投資
の
財源
の一部に充てるため、
一般会計
から二百三十億円をこの
会計
に
繰り入れ
ることについても、
予算
上は御
承認
をいただいているところであります。 本
法律案
は、この二点につきまして、
産業投資特別会計法
を整備するために
所要
の
改正
を行なうことを目的とした
法律案
でございます。 すなわち、第一に、
日本国
に対する戦後の
経済援助
の
処理
に関する
日本国
と
アメリカ合衆国
との間の
協定
に基づく
債務
は、
米国
対
日援助
見返
資金特別会計廃止
の際、その
資産
を承継した
産業投資特別会計
の
負担
とするとともに、この
債務
の
元金
四億九千万ドルに相当する円の
金額
千七百六十四億円を
資本
から
債務
に振りかえる等の
措置
を行ない、また、この
債務
の
元利金
の
支払い
をこの
会計
の歳出とする等
所要
の
改正
をいたしておるのであります。 第二に、本
年度
の
産業投資特別会計予算
におきましては、
日本
輸出入
銀行
、
農林漁業金融公庫
、
日本住宅公団
、
住宅金融公庫
、
商工組合中央金庫等
に対する
投資需要
を充足するために、
総額
五百三十二億円の
投資
を行なうこととなっておりますが、この
投資
の
確保
をはかりますためには、その
財源
の一部は
一般会計
から補充する必要があり、本
年度
の
一般会計予算
では二百三十億円の
産業投資特別会計
への
繰り入れ
が計上されておるのであります。よって、本
法律案
は
昭和
三十七
年度
において、
産業投資特別会計
の
投資
の
財源
の一部に充てるため、二百三十億円を限り、
一般会計
からこの
会計
に
繰り入れ
ることができるよう
所要
の
改正
を加えることといたしておるのであります。 以上がこの
法律案
の
趣旨
でございます。(
拍手
)
————◇—————
産業投資特別会計法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
に対する
質疑
清瀬一郎
10
○
議長
(
清瀬一郎
君) ただいまの
趣旨
の
説明
に対しまして、
質疑
の通告がございます。これを許します。
佐藤觀次郎
君。 〔
佐藤觀次郎
君
登壇
〕
佐藤觀次郎
11
○
佐藤觀次郎
君 私は、
日本社会党
を代表いたしまして、ただいま
趣旨説明
のありました
産業投資特別会計法
の一部を
改正
する
法律案
について
質問
をいたしたいと思います。 本
法律案
は、戦後
アメリカ
の
ガリオア・エロア援助
の
処理
に関する
日米協定
に基づき、その
債務返済
の
国内手続
を定めるために
国会
に提出されたものであります。ところが、戦後の
アメリカ
の
ガリオア・エロア援助
がはたして
日本
の
立場
から見て
債務
であるかどうか、ここに根本的な疑義のあったことは皆様も御
承知
の
通り
ございます。さればわが党は、
さき
の
国会
において、
ガリオア・エロア援助
は
日本
にとって
債務
ではないとの
立場
に立って、あらゆる
角度
から当局を追及したのでありますが、これに対する
政府
の答弁はすこぶるあいまいであって、何ら
国民
を納得させるだけの確実な
根拠
がなかったのであります。しかも、
政府
・与党は、ただ
国会
の頭数にものを言わせて、
アメリカ
の対
日経済援助
の
処理
に関する
協定
を無理に押し通したのであります。このたびの
法案
の
審議
にあたっても、わが党は、やはり
ガリオア・エロア
は
債務
ではないとの
根拠
から
審議
に臨む
方針
でありますが、以上この
立場
に立って、
池田総理大臣
並びに
関係閣僚
に若干の
質問
をいたしたいと思います。(
拍手
) まず、
ガリオア・エロア
の
援助
の
債務性
についてでありますが、第一、
昭和
二十四年の三月までの
援助総額
が不明確であります。しかも、
援助物資
であるかあるいは
商業ベース
の
輸入
なのか、それも判然としないのであります。
昭和
二十二年七月五日、本
院本会議
において、超党派で、
食糧放出
に関し、
連合国最高司令官
に対する
感謝決議
をいたしていることは、この
援助物資
を
贈与
であると認めているからでありまして、もしこれが
ほんとう
に当時
債務
であるとするならば、
政府
は、当然、
アメリカ政府
との間に
日米借款協定
を締結し、憲法第八十五条の
規定
に従って
国会
の
承認
を求むべきであったのであります。(
拍手
)ところが、
アメリカ
の言うことには何でも頭を下げて従う
政府
によってすら、この
手続
がとられていなかったのであります。ということは、すなわちこれが
贈与
であって、決して
債務
でないことの何よりの証明であります。現に、水田前
大蔵大臣
なども、最初には、
債務
であると思わなかったと
大蔵委員会
でも発言をされたのであります。 また、
昭和
二十四年四月十四日に締結されました
阿波丸事件請求権処理
のための
日米政府
間の
協定
に関する当時の
吉田茂外務大臣
と
シーボルド米国務省顧問
との間の
了解事項
では、
日本国
の降伏のときから
米国
によって
日本
に供与された
借款
及び
信用
は、
日本国
が
米国政府
に対して負っている有効な
債務
であるということになっております。たとえば、
綿花回転基金
によって
日本
に供与された
借款
などは、すでにそれはそれとして
返済
をされているのであります。この
阿波丸協定
の
了解事項
にいうところの
借款
及び
信用
には、
ガリオア・エロア援助
は含まれていないというのが
ほんとう
と思いますけれども、これに対する
池田総理
の
考え方
はどういうような
考え方
でございましょうか、お尋ねします。
国際法
からいっても、
ヘーグ陸戦法規
第四十三条には、「国ノ
権力カ
事実上
占領者
ノ
手ニ移リタル
上ハ、
占領者ハ
、絶対的ノ
支障ナキ限
、
占領地
ノ
現行法律
ヲ
尊重シテ
、
成ルヘク公共
ノ
秩序及生活
ヲ
回復確保スル
為
施シ得ヘキ
一切ノ
手段
ヲ
尽スヘシ
。」と
規定
されているのであります。まして、
終戦
直後の
アメリカ占領軍
が、事実上
わが国
の主権を超越する超憲法的な権限をすべて握っておりましたことから
考え
てみましたならば、
占領地
の
秩序
の保持のために飢餓、
疫病等
を救済する
措置
を講ずることは、
占領軍
の当然の
責任
であり義務であったのであります。(
拍手
)ところが、その
アメリカ占領軍
の当然の
責任
に属することまでが
終戦処理費
の名目で
日本国民
の
負担
に転嫁されていたのであります。
アメリカ
の
占領期間
中に
日本国民
が
終戦処理費
として
負担
した
金額
は、実に五十四億ドルの膨大なものであって、
ガリオア・エロア援助額
の二倍以上の
金額
をすでに
日本国民
は支払っておるのであります。この上さらに四億九千万ドルという
資金
を
アメリカ
に支払うということは、いかにしても理解できないところであります。この
国民
のどうしても理解できないことをあえて
池田内閣
がやろうとしておるのは、
アメリカ
の
ドル危機
を救うために、その忠義立てをするのではないか、あるいはまた
アメリカ
の
極東戦略
の片棒をかつごうとしているとしか
考え
られないのでありますが、
池田
さんはどうお
考え
になっておられますか、お尋ねしたいと思います。
政府
は、一面、
西ドイツ
が
ガリオア・エロア援助
を
アメリカ
に
返済
している例をあげて、その
債務
であることを意義づけようとしているのでありますが、
西独
の場合は、その対
独請求権
が一九四五年の
ポツダム四国会議
で認められ、さらに、翌四六年の
米英西独地図統合協定等
でも確認されておりました。また
ガリオア・エロア援助物資
については、
西独側
の選択、
品質
や数量の
確認等
の
自主性
が十分に認められていたのであります。それに対して、
日本
の場合は、
援助物資
の品目や
品質
などについて、たとえばそれが
脱脂大豆
でも、粉のような麦、鶏に食わせるようなものでも、何ら
異議
を申すことはできなかったのであります。当時は
食糧
は不足でありまして、大へんありがたくいただいたのでありますが、
西ドイツ
のようなりっぱな
食糧
をもらったのでもないので、
日本
と
西ドイツ
の
立場
は違っているのであります。 また、このほか
外国
の例をあげよと
政府
が言うならば、
アメリカ
が
イタリア
に対して一九四五年から
平和条約発効
までの
民生品供給額
を
連合国軍債権
から抹消することにしたのは、明らかに
ガリオア・エロア援助
は
贈与
であることを示しております。さらに、
韓国
に対しても、
アメリカ
は一九四八年九月十一日以前の
復興救済債権
を
米韓決済協定
で放棄していますが、これもまた
ガリオア・エロア援助
が
贈与
であることを示しているのであります。つまり
外国
の幾つかの例を見るならば、
ガリオア・エロア援助
は、むしろ
借款
でなく、
贈与
であることを物語る例が多いのであります。 かくして、いかなる
角度
から見ましても、戦後の
アメリカ
の
経済援助
は
債務
であることにならないのであります。それにかかわらず、
政府
が
日本
の場合だけこれを
債務
とみなす
根拠
は一体何でございますか。これを本
会議
において、
池田総理大臣
から、
国民
に
ほんとう
に理解のできるように御解明をいただきたいと思います。(
拍手
) 次の
問題点
は、
政府
がこの
債務返済
にあたって、
産業投資特別会計
の
負担
において
返済
しようとしていることであります。
政府
が
一般会計
から
返済
するのを避けて、
産業投資特別会計
から
返済
せんとする
理由
は、
国民
から二重
払い
という批判を避けようと
考え
ている点だと思います。これはいかに解釈されますか。このため、この
産投会計法
の
改正案
では、四億九千万ドルに相当する一千七百六十四億円を
産投会計
の
資本
から減資することになっております。けれども、こういう方法をとれば、それだけ
産投会計
の
投資資金
が不足するのは当然であり、それを補うのには、
一般会計
から
産投会計
への
繰り入れ
をそれだけ増額しなければならなくなる理屈であります。本
法案
でも、
一般会計
から
産投会計
へ二百三十億円を別途に
繰り入れ
ることになっているのがそれであります。こう見て参りますと、結局
一般会計
の
資金
が、形式上は一たん
産投会計
へ
繰り入れ
られて、それから
アメリカ
への
返済金
として出ていくことになるわけで、実質的にはやはり
国民
の二重
払い
ということにならざるを得ないのであります。(
拍手
)こんなことならば、
一般会計
から直接
アメリカ
へ
返済
する方がありのままの姿で、
産投会計
をクッションとして介入させるだけ、
国民
の目をくらます小細工を弄するそしりを免れないのであります。私は、この際、
政府
はいさぎよく本
法案
を直ちに撤回して、本
法案
に関連する
予算措置
を組みかえ、先日も問題になりました
人事院
の
勧告
及び
米価引き上げ
、
災害対策
、
石炭対策
、
貿易自由化等
に対する
対策
などを織り込んだ
補正予算
を提出すべきだと
考え
ますが、
総理
の所見はいかがでありますか。(
拍手
) 次に、
大蔵大臣
にお尋ねしたいのでありますが、最近は
外貨事情
が好転したといわれております。ちょうど昨年の九月の末と同じように、本年の六月の末には十六億二千三百万ドルに達したということで、楽観の向きもありますが、しかし、その
内容
は非常に不安定であります。少なくとも
外貨
の主体をなしているものは、
外国
の
短期
の借金でつくられたものであります。現在、
政府
及び民間の長期、
短期
の
債権債務
がどんなようになっているのか、その数字を
大蔵大臣
から明らかにしてもらいたいと思います。 また、
日本
の
外貨準備
の中で
金準備
が少なく、わずか二億八千万ドルにすぎないのであります。これを
外国
に比較しますと、非常に少ないのであります。欧州ではこのごろ各
銀行
が
金準備
をふやしておるのに、
日本
だけはどうしてこれをやらないのか、
アメリカ
に遠慮してやらないのではないかといわれております。かかる不安定の
事情
の中にあって、今後膨大な金貨、すなわち四億九千万ドルの
資金
を
アメリカ
に放出することになるのでありますが、この
日本
の少ない
ドル資金
をどうして支払っていくのか、その
計画
があるのかを、
大蔵大臣
にお尋ねしたいと思います。 最後に、
政府
は今次
臨時国会
の会期中にどうしても本
法律案
を成立させる
考え
と聞いております。これは
池田総理大臣
が
アメリカ
・
ライシャワー大使
からしかられたという話も聞いておりますが、そういう
理由
で本
法律
をどうしても成立させようということは、私
たち
は承服できません。むしろ前
国会
の末期において、
池田総理大臣
は、
公職選挙法
さえ通れば、その他の
法律
などは犠牲にしてもいいという態度で、
参議院
で不成立になった事実がございます。それを一
アメリカ大使
からしかられて、これをどうしても成立させようとする
方針
というものは、私
たち
は納得できません。
日本
の国は
独立国
だといわれておりますけれども、一
アメリカ大使
のためにこういうような無理をされるということは、
日本
の権威いずこにありやといわれております。
政府
は、口を開けば、
アメリカ
に対する
国際信義
というかもしれませんけれども、それ以上に、
日本
の
国民
に対する
信義
と
責任
を忘れてはならないと思います。この見地に立つならば、
ガリオア・エロア援助
ははたして
債務
であるかどうか、その根本的な大前提に立って、慎重に
審議
し、
国民
に対して一点の疑念を残さないようにするのが、
国会
の大きな任務であるとかたく信じます。私はこの際、
池田総理大臣
に、この根本的な前提についての所信を特に伺いたいと存じます。 以上、るる申し述べましたが、
ガリオア・エロア
問題は、
国民
にとって、
タイ特別円
のごときと同じく、いろいろな疑問があります。この
問題点
を十分に
説明
していただいて、どの
根拠
から
国民
の血税を支払うのか、戦後十六年もたった今日、思い出したようにかかる苦肉の策を
政府
がとることは納得ができないのであります。 以上をもって、本
法案
の
質問
を終わりますが、何とぞ
国民
の疑惑の残らぬように、一つ御
説明
を願いたいと存じます。以上であります。(
拍手
) 〔
国務大臣池田勇人
君
登壇
〕
池田勇人
12
○
国務大臣
(
池田勇人
君) お答えいたします。
終戦
直後に行なわれました
アメリカ
の
経済援助
は、
わが国
の当時の社会不安を除去し、
国民生活
を安定し、
わが国経済
の
復興
に資するために行なわれたものでございます。しこうして、この
援助
は、
昭和
二十一年の七月十九日に、
最高司令官
の
指令
にありますがごとく、このものはくれたのではないのだ、いずれ
支払い
の条件その他の経理は追ってきめると、はっきり
指令
が出ておるのであります。(
拍手
)その
指令
によって、戦後の
内閣
はこれを受け取り、そうしてわれわれはこれを
債務
と心得るというので、
確定債務
ではございませんが、今まできておるのであります。このことは、過去数年間、ことに
さき
の
国会
におきまして、長く、また詳細に論議せられ、
説明
したところでございます。私は、こういう、この
債務
と心得ておるものを、今の
日本
のこの
状態
から申しまして、返すのが至当だと
考え
、
国会
の
議決
を経ておるのであります。 なお、
阿波丸事件
につきましての
お話
は、これは
日本政府
が
アメリカ
に対して背負っておる
債務
は有効であるということを認めたのでございます。そうして、
占領費
及び
日本
に供与された
借款
及び
信用
は、今までの各般の
綿花借款
と同様、こういう
日本
に与えられた
援助物資
につきましても、これは払うべきものであるということを、
吉田
さんが
昭和
二十四年に
阿波丸協定
できめておられる。そうしてその
内容
は、
昭和
二十四年の四月に、はっきり
参議院
で
吉田首相
より申し述べておるところでございまして、一点の疑いはございません。 なお、
ヘーグ陸戦法規
第四十三条を引用されましたが、
陸戦法規
には、
占領者
が被
占領者
の生活安定をはかるべしという
規定
はあります。しかし、安定をはかるからといって、無償でやるべきだと書いてはございません。どうぞ誤解のないようにお願いいたしたいと思います。(
拍手
) なお、
産投会計
より支出する
理由いかん
ということは、私が
昭和
二十四年に
大蔵大臣
を拝命いたしましたときに、それ以前の
援助物資
が
輸出補給金
や
輸入補助金
に使われまして、
国民
にその使途がはっきりいたしません。従って、私は、将来この
援助
を返さねばならぬと
考え
まして、
援助物資
に相当する
金額
をためおいたのであります。そのためおいた
金額
は二千数百億円、三千億円近くに相なっております。その金を
産投会計
に入れて
日本
の
経済復興
に今使っておるのであります。だから、その
産投会計
に入れたのでございますから、
援助物資
を返すのには、その
援助物資
を換価した金から、その金の
利子
で払って、
元金
はのけておこうという私の十数年前からの
考え
によりまして、
産投会計
から払うことにしたのであります。(
拍手
)あるいは、また、
賠償等処理会計
から出すべきだということの議論がございますが、これは、
援助物資
の金が
産投
に入って、その
利子
で払うというのでございますから、直接に
産投
から出す方が、はっきりして、
国民
にわかりいいと思うのでございます。 なお、私は、これをどうしても払う、どうしても払う
——アメリカ
から言われたのではございません。私は、
昭和
二十八年に
アメリカ
に行ったときに、これはいずれば
払い
ますよということを言っております。
アメリカ
から言われるのでなく、
日本
の名誉にかけても私は払うべきだと
考え
ます。(
拍手
) なお、
ドイツ
も
払い
ました。もう全部払ってしまっておりますが、
ドイツ
とは
財政経済状態
が違いますので、十何年かかってこれから払おうとしておるのであります。
イタリア
は、初めはわれわれとともに戦いましたが、一九四三年に
イタリア
は今の
アメリカ
、イギリスの
連合軍側
に加担いたしまして、
敵国
ではないのであります。またオーストリア、
韓国
は
解放地域
でございまして、
連合国
の
敵国
ではございません。
ドイツ
、
日本
は
敵国
であった
関係
をお
考え
になればおわかりになると思います。(
拍手
) 〔
国務大臣田中角榮
君
登壇
〕
田中角榮
13
○
国務大臣
(
田中角榮
君)
佐藤
さんの御
質問
中、
総理大臣
よりお答え申し上げました部分を除いた四点に対してお答えを申し上げたいと存じます。 第一点は、
一般会計
より
繰り入れ
のある
産投会計
より
ガリオア・エロア
の
返済
をすることは二重
払い
にならないかという
お話
でございますが、二百三十億円を
一般会計
から
繰り入れ
ますのは、
ガリオア等
の
債務
の
返済
の
財源
として
繰り入れ
るのではございませんで、今
年度
における輸銀、
住宅金融公庫
、
農林漁業金融公庫等
に対する
投資計画
五百三十二億円の
財源
の一部に充てるために
繰り入れ
るのでありまして、
ガリオア等
の
債務
は対
日援助
見返
資金関係
の
資産
の収入で十分
返済
できるのでありますから、二重
払い論
は起きないわけでございます。 第二は、
補正予算
との
関係
でありますが、
ガリオア返済
のための
支払い予算
は、御
承知
の
通り
、今
年度
分におきましてはすでに
産業投資特別会計予算
において
国会
の御
承認
を得ておるのでありまして、
補正予算
を計上する必要はないわけであります。ただし、
人事院勧告
の実施のために、あわせて
補正予算
を組んだらどうかという
お話
でございますが、
人事院勧告
につきましては、他の
特別職員
の問題、
地方公務員
の給与、
公務員全般
に関する問題もあり、なおかつ、この
勧告
は非常に広範にわたっておりますので、これを今精査、検討いたしておりまして、現在この
国会
に
補正予算
を提出するような
考え
は持っておらないわけでございます。 第三点は、
外貨
の
内訳
について知らせるようにという
お話
でございます。
外貨準備高
は、本年一月以降、御
承知
の
通り
、漸次増加の一途をたどりまして、七月末現在は、十六億三千五百万ドルに達しております。しかも、最近、
国際収支
が漸次好転をしておりまして、
米国市中銀行
からの借り入れ三億二千五百万ドルもあったわけでございますが、
国際収支
の見通しにつきましては、最近の
信用状
の
動向等
から見ましても、今後とも均衡を維持して参れるものと思われます。なお、
外貨準備
につきましても、その
内容
は
十分流動性
を
確保
しておりまして、今後の
借款
の
返済等
につきましては、金繰り上も
支障
は全然ないと
考え
ております。七月末現在の
外貨
の
内訳
、すなわち十六億三千五百万ドルの
内訳
は、金が二億八千九百万ドル、
外貨
が十三億四千六百万ドルであり、うち、預金が七億五千九百万ドル、合わせて十六億三千五百万ドルでございます。 第四点は、四億九千万ドル
支払い
と
わが国外貨
との
関係
について御
質問
がございましたが、
ガリオア等
対
日援助
につきまして、
政府
は、従来からこれを
債務
と心得ておるのでありまして、先ほど
総理
が申された
通り
、
債務負担
の能力も増大をいたしましたので、この機会に解決を妥当と
考え
、先般
協定
を締結いたしたわけでございます。
ガリオア等債務
の
支払い手段
につきましては、円貨による
支払い分等
をできるだけ多くするように
米側
と折衝したのでありますが、
債務額
、
支払い期間等
を総合的に判断をしまして、御
承知
の
通り
、四億九千万ドル、十五カ年といたしたわけでございます。第一回及び第二回
賦払い金
は、おのおの九百四十五万ドル、第三回分以降二十四回
賦払い分
まで各二千百九十五万ドルずつであります。その後の六回は、各八百七十万ドルずっとなっておりまして、しかも十五年間の
分割賦払い
でありますので、
わが国
の
外貨事情
にさして重大な影響を持たずして
支払い
得るものと
考え
ておるわけであります。(
拍手
)
清瀬一郎
14
○
議長
(
清瀬一郎
君) これにて
法案趣旨説明
に対する
質疑
は終了いたしました。
————◇—————
清瀬一郎
15
○
議長
(
清瀬一郎
君) 本日は、これをもって散会いたします。 午後二時三十七分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣
池田
勇人
君 外 務 大 臣 大平 正芳君 大 蔵 大 臣
田中
角榮
君 国 務 大 臣
川島正次郎
君
出席政府委員
内閣
法制局長官 林 修三君
内閣
法制局第一 部長 山内 一夫君 外務省条約局長 中川 融君
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