○赤松
委員 それでは、今
大臣がお述べになりました点につまして、私も意見がありますけれ
ども留保しておきましょう。
重ねて
大臣にお願いしておきますけれ
ども、
刑務所の職員は、御
承知のように非常に悪い待遇の中で一生懸命勤務しておりまして、そういう不可抗力の問題で処分されておったのでは気の毒だと思うのです。ですから、この
事件に関してだれか処分をするというようなことは絶対に
一つやっていただかないように、強く要求しておきたいと思います。
なお、
刑事局長に、先ほど申し上げましたように、この次の
委員会で再び帝銀
事件の問題につきまして御
質問したいと思いますから、私の要求しましたものを御提示願いたいと思うのです。
それから、矯正局長は来ておられませんが、これは御答弁願えますか。鹿児島の
刑務所の中から私あてに陳情書が参っておりまして、これについてきょうの
委員会で
質問しようということになっておりますけれ
ども、時間が非常におそいし、私も実は十二時にのっぴきならぬあれがあるのでございますけれ
ども、何だったらこの次の
委員会でもけっこうです。この鹿児島の
刑務所の中の処遇は非常に悪い、のみならず人権じゅうりんの疑いがある、こういうことを言っておりますので、
人権擁護局長来ておられますね、来ておられませんか。
——そうしたらこれはきょう希望だけ言っておきますが、矯正局長の方と
人権擁護局長の方とよく相談していただきまして、その結果を私の方に知らせていただきたい、これを要望しておきます。
それからもう一点。凶悪
犯人が
裁判中に逃亡する
事件が非常に多いという問題が起きております。特に大阪、東京地検などでこれが頻発をしておる。東京地検の例では、一昨年三月最高検、東京高検、同地検三庁の合同
捜査班をつくってあれしているけれ
ども、現在全逃亡者の八〇%は収監したが、しかし二〇%はまだ野放しになっている。それから一昨年この合同
捜査班が発足以来逃げた
被告人は千三人、名古屋地検
関係では五十人に近い逃亡者を出している。それからこの千三人の逃亡者の中で収監をしたのは七百九十八人、
あとはまだ逃げたままになっておる。この逃亡者はおおむね暴力
犯罪人が多い。ほとんど暴力
犯罪人、暴力団
関係が非常に多い。被告の四〇%は暴行、恐喝、傷害、そういう
犯罪でもって検挙された、やくざの団体に所属しておる。逮捕されるときはほとんど抵抗しておるわけであります。その実例がずっとあげられておりますけれ
ども、これも今の
法務大臣のお話にありましたように、それぞれのケース、ケースによって違うと思うけれ
ども、いやしくもやくざで暴力団体に属しておるという凶悪
犯人に対しましては、検察庁は強い態度をもって
一つ臨んでいただきたいということを強く要望しておきます。
それから神戸地検では、暴力団の暴力
事件につきましては、非常な悪質な者は倍求刑する、こういうことを方針としてきめておるようでありますけれ
ども、近時暴力団体、いわゆるやくざなるものがだんだんふえまして、東京都におきましてはたしか条例ができまして、すでに新宿を
中心に取り締まりが始まっておるようでありますけれ
ども、こういう点につきましては、実は非常に貧乏なために
犯罪を犯したという同情すべき被告がなかなか保釈されない、あるいは保釈に必要な金がないというような場合が非常に多い。ところが、暴力団の方は保釈金は自由になる、そうして保釈金を積んで保釈になって、すぐ逃げる。つかまえようとすると、
ピストルやその他の凶器でもって逮捕にくる人に抵抗するということから、取り締まる方の側は、ややもすればへっぴり腰になるというので、こういう点につきましては、
一つ勇気を持って立ち向かっていただきたいということを要望しておきます。
なお、先ほど申し上げましたように、この
委員会で取り上げて参りました
再審制度に対しまして、だんだん世論の中に関心を持つ傾向が強くなりつつあることは、お互いに慶賀にたえません。私
どもは、今
坂本委員から
質問のありました
藤本なる者の
死刑の
執行の過程におきましても納得できない点が多々あるわけであります。今
刑事局長から
死刑執行前後の模様をお聞きしましたが、もしそれが事実であるとすれば、
藤本というのはまるで神様のような男なんですね。しかし、ああいうように泰然自若として、悟り切って
死刑を
執行されるなんというような例は、ほとんどないわけです。もちろん下から上がってくる報告はそういうように書かれておりましょうけれ
ども、
法務大臣は、人間一人の命がいかに大切なものであるかということは、私が言わなくても十分おわかりであろうと思うのであります。どうも世評によりますと、今度の
法務大臣は間違った勇気を持っておる、
死刑執行については非常な勇気を持って、ぽんぽん、ぽんぽんとまるでパチンコをやるように判こを押しておるというような声があるわけであります。しかし、愛知県のある雑誌が書いておりますように、愛知県の生みました将来性のある、保守陣営で非常な期待の持たれておる
中垣さんでありますから、どうぞあなたの心の中にヒューマニズムを忘れないで、ちゃんと持っておっていただきたい。しょせん政治というものはヒューマニズムですから、ややもすれば世上そういうことを申す者もございますので、どうぞ
死刑執行の際は十分に
一つ慎重に取り扱っていただきたいということを申し上げまして、私の
質問を次会に譲りたいと思います。