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1962-08-23 第41回国会 衆議院 法務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年八月二十三日(木曜日)    午前十時二十六分開議  出席委員    委員長 高橋 英吉君    理事 池田 清志君 理事 小島 徹三君    理事 林   博君 理事 牧野 寛索君    理事 井伊 誠一君 理事 坪野 米男君       有田 喜一君    上村千一郎君       唐澤 俊樹君    岸本 義廣君       濱田 幸雄君    阿部 五郎君       猪俣 浩三君    田中織之進君       田中幾三郎君    志賀 義雄君  出席国務大臣         法 務 大 臣 中垣 國男君         文 部 大 臣 荒木萬壽夫君  出席政府委員         法務政務次官  野本 品吉君         検     事         (刑事局長)  竹内 壽平君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     福田  繁君  委員外出席者         警  視  監         (警察庁警備局         長)      三輪 良雄君         法務事務官         (人権擁護局         長)      稲川 竜雄君     ————————————— 八月二十二日  委員猪俣浩三辞任につき、その補欠として矢  尾喜三郎君が議長指名委員選任された。 同 日  委員矢尾喜三郎辞任につき、その補欠として  猪俣浩三君が議長指名委員選任された。 同月二十三日  委員萬田尚登君及び片山哲辞任につき、そ  の補欠として濱田幸雄君及び田中幾三郎君が議  長の指名委員選任された。 同 日  委員濱田幸雄君及び田中幾三郎辞任につき、  その補欠として一萬田尚登君及び片山哲君が議  長の指名委員選任された。 同 日  理事稻葉修君同日理事辞任につき、その補欠と  して池田清志君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  検察行政及び人権擁護に関する件      ————◇—————
  2. 高橋英吉

    高橋委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  理事稻葉修君より理事辞任申し出がございます。これを許可するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高橋英吉

    高橋委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  つきましては、その補欠選挙を行なわなければなりませんが、委員長より指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高橋英吉

    高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、池田清志君を理事指名いたします。      ————◇—————
  5. 高橋英吉

    高橋委員長 次に、法務行政検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。濱田幸雄君。
  6. 濱田幸雄

    濱田(幸)委員 私は、昨年の四月から最近にかけて約一カ年余り高知県下の興津というところで小学校中学校同盟休校が前後四回続いて起ったわけでありますが、これに関連して質疑をいたしたいと思うわけです。これは地方学校のいわゆる盟休事件でございますから、いわば地方行政の面、警察とかあるいは教育を含んでの地方行政の面で取り上げなければならぬ点がたくさんあるのでございます。しかし、考えてみますと、この事件は同和問題と教育問題がからんでおることでありますので、単にこれは地方行政部面として処置することはできない面がたくさんあると思います。私の勘でございますが、このような事態は、単に高知県の興津地区で今回起っただけではない。高知県下を見ましても、それまで類似した事件が多々起こっておると思うのです。おそらくこういう事態が今後も他の地区にずっと及んでいくのじゃないかというおそれもある。そういうような事態でございますので、これはむしろ政治として、しかも同和問題、教育問題を結びつけてのこういう関係を見ます際に、為政者として非常に強い意思とあたたかい心、しかも非常に高い識見を持って対処しなければ、とうていこれは解決できない問題だと私は見ております。そういう意味合いで、きょうは法務大臣もお見えになっておりますが、文部大臣にも実は出席をお願いをいたしたいのでございますが、お見えになりません。その点は私非常に残念に思いますが、しかし、今申しますような意味合いで、この問題を私が取り上げながら、政府の所信をお伺いしてみたいのであります。  この事件は、特に文部当局に伺ってみたいと思いますが、私の見ておるところでは、今申しましたように、昨年の春から最近にかけて数回にわたって盟休が続いた。——ちょうど文部大臣がお見えになりましたから非常に好都合でございますが、文部大臣に先にお伺いをしてみたいと思います。  先刻申した次第でございますが、高知県の興津学校問題、これは繰り返して申し上げますが、同和問題と教育問題がからんでおる非常にむずかしい事態に追い込まれた事件であると私は見ています。そういう意味合いでこれは単に地方問題でなくて、政府としていかにこういう問題を処理していくかということについて、高い識見を持っての施策というものを私はお願いしなければならないと思うのです。  それで、私が先に説明するのがいいのか、あるいは文部省事務当局から伺うのが、いいのか、どうでしょう、初中教育局長見えておりますが、昨年来のこの同盟休校経過をごく概略承ってみたいと思うのです。私も及ばずながら承っておる点もありますが、政府としてあの経過をどういうふうにごらんになっておりますか、それを承った上で、私いろいろと問題を取り上げて伺ってみたいと思います。
  7. 福田繁

    福田政府委員 ただいまお尋ねのございました高知県の窪川町の小、中学校盟休事件につきまして、その概要につきまして今までの経過を申し上げます。  窪川町では、昨年の四月及び九月に興津の小、中学校同和教育に熱心な教員の人事異動等につきまして不満が出まして、小室という部落解放同盟子弟盟休を行なったのでございます。これに対しまして昨年十月末に町の教育委員は一応総辞職いたしまして責任をとるということで、事件は一たん解決したようでございます。本年四月になりまして、興津中学校長の又川という方でございますが、その方に対部落差別発百があったというようなことで、それが問題になりまして、同盟側校長免職等措置を要求しております。町の教育委員会は、これに対しまして同校長論告処分にしたのであります。それらに対する解決策不満として五月末に子弟をして一斉盟休に入らした、こういうようなことになっております。そしてそれ以後、消防会館というのがあるそうでありますが、消防会館でもって一部の同盟側は私塾的な授業を行なって参っておるのでございます。小室部落の中でも、盟休に入らない側の父兄は又川校長を支持して、学校先生の中で偏向教育を行なう者がある、それに対して反対だと唱えて強硬な態度を示しておったようでございます。  その後、盟休側父兄はいろいろと町の教育委員会等に対しまして陳情その他交渉を要求しておりましたが、非盟休側父兄の要求もありまして、ともかく義務教育でございますので、正常な学校の運営に返すというような立場から、町の教育委員会は、今年の七月四日になりまして、本校の校舎において授業を再開するというようなことで、盟休側に対してもそういうことを伝えまして、できる限り本校に登校して授業を受けるようにというような勧誘をいたしました。しかし、それに応じないで、しかも消防会館の中に机、腰かけ等を持ち出して、そこで私塾的な授業を行なっておりましたので、教育委員会としては、管理権に基づいて、いつまでにその机、腰かけを返してもらいたいというような通告をいたしまして要望したのでございますけれども、それに応じなかったので、消防会館にあります机、腰かけ教育委員会は撤収したというようなことになっております。その際にいろいろと不穏な空気等もございまして、警官隊を要請してこれを撤収せざるを得なかったというような状況になっておるようでございます。七月四日に小、中学校とも正常授業を再開いたしましたが、同盟側は依然として欠席のまま夏休みを迎えたというのが今日までの事態でございます。  先ほどお述べになりましたように、この事件は、義務教育正常化という建前から、非常に残念な事件でございますが、いろいろ行き違いもあることと思いますけれども、要するに、学校人事異動が一定の地区の住民の強要によって強制されるというようなやり方、しかもそれができなければ非常手段に訴えて、生徒児童盟休させるというようなやり方、こういう点がこの事件については特徴でもあり、非常に遺憾な点だと考えております。
  8. 濱田幸雄

    濱田(幸)委員 ただいま局長から説明を承りましたが、私のこれまで聞き及んでおるところも大体そういう経過をたどっておるように存じます。ただ、申すまでもないことでもありますが、小室地区生活環境でございますね、これは非常によろしくない。約百十戸ぐらいの世帯があるのでありますが、そのうちの八、九割、私の聞いたところでは八割七分ぐらいといっておりますが、月収一万円以下ぐらいの収入しかない、しかもその全世帯のうちの八割が生活保護を受けておるというような環境のもとにある子供たちでございますが、そういうような経済的に非常に恵まれないといいますか、立場に立っておる子弟、その教育ということは非常にむずかしいことだと私は思います。それがためにはいわゆる同和対策ということも考えなければならぬが、そのやり方はいろいろありましょう。しかし、それはそれとして、今局長から最後にちょっと説明がありましたが、教育問題というものと同和対策というか、同和問題というものがからんできておる。これがあの地方の今度の事件についての非常に不幸な面でございますが、私は、これまであの経過を聞きながらいろいろな面で感ずることがありますのは、たとえば昨年四月にこの問題が起こりましたときは、学校先生異動に伴って、非常に熱心に、同和教育というのですか、これはあとで承りたいと思うのですが、同和教育に献身して参っておった先生が他の地区に転出をした。それを元に戻してもらいたいというところからあの事件が起こったのではないか、そのときに地方教育委員としてはどういう態度をとったか。私が今からこれを批判するのは適当かどうかわかりませんが、おそらく地方教育委員としても、この事態を非常に憂慮して、あらゆる面からああいう措置をとったと思いますが、結果的に見ると、非常に糊塗的な一時のがれのような措置をとっておるのです。それで、転出した先生たち同和教育に非常に熱心であったという面も私どもはわかるのでございますが、しかし、それだからといって転出したものでない。他の事情によって、私は、県全体の教育事情から学校先生異動があのときに行なわれておると見ておるのです。それをあの地区父兄から要望せられて、まあやむを得ずでございましょうが、なるべく早く元へ戻しましょうとか、あの人事異動を是正いたしましょうとかということを四月に教育委員が約束してしまった。そうして一応盟休は取りやめることができた。ところが、九月の異動期になって、これは実行できないというので、また問題が起きて、また同盟休校になったというようなことですね。そしてだんだんだんだん、いわば私がはっきり言いたいのは、学校先生解放同盟の闘士が相談したものと断定してはばからぬのですが、そういうような行き方であの人事異動を是正しろということを要求せられて、そうして次に単に学校問題だけでないのです。同和対策全面にわたっての四十八項目というものを突きつけられた。とうとう町長解放部落といわれますかの部落代表者が四十八項目の取りきめをやって調印しておる。この四十八項目というものを見ますると、たとえば学力テストは絶対まかりならぬ、これは教育に関連したこと、あるいはまた道徳教育の時間を設けてはいけないということまでいわば約束しておるのです。町長がなるべくそれに沿いますということを言っておる。そういう教育問題だけでない。しかもあのとき学校先生異動については、小室地区からよその学校に転勤になった先生を元に帰すということだけでないのです。町内の、あの窪川町というところの他の中学校小学校校長をこういうふうに異動しろということを具体的に申し込まれておる、なるべくそうしましょうということまで言っておる。しかも、ああいう同和地区生活環境をよくするためにはこうせいああせいとあらゆる面にわたって、四十八項目の、いわゆる協定めいた覚書を作って、町長がこれをなるべく尊重して実行しましょうと言ったのです。とても私は地方町長なり、あるいは県教育委員でそういうことが実行のできるものとは思われないのです。しかし、一時を糊塗するためにそういうことをやった。そうしてこれはし実行できないというので、去年の九月か十月ですか、地方教育委員は全部やめちゃったわけですね。辞任したわけです。それでやっと去年の十月ごろに一段落片がついたと思っておったところが、本年の四月になると、今度は前と全然事情が変わって、あの窪川町の興津の又川中学校校長の非行を取り上げて、この校長を追放しろということでまた騒動をやった。去年からの経過を見ますると、初めにきっかけとなった問題とだんだんだんだん変ったことでいろいろのことが波紋を起こして今日まできておる。その意図がどこにあるか、そういう騒動を起こした意図はどこにあるかわれわれは大体わかる。それで私は冒頭に申した通りに、こういう問題は単に地方問題としては解決のできない問題じゃないか。私は、地方町長とか、あるいは地方教育委員を責めるつもりは毛頭ありません。そういう人々立場をわれわれはよく理解することができるのです。しかし、今の地方教育委員というもののあの力では、こういう教育問題をさばいていくことは私はほとんど不可能ではないかというような気がする。そこに国として考えなければならぬ点がたくさんあるのじゃないかと思うのです。そういうふうにこの問題を実は見ております。  それで、ちょうど三輪局長見えておりますから、警察庁の方の御意向を聞いてみたいと思うのですが、あの盟休事件が続いて行なわれました間に、特に本年に入りまして、この七月の三日から四日にかけてですか、警備隊の発動も見ておりますね。これはあの前後の情勢を客観的に見て、まあ私は結果的にはやむを得ない、またよかった措置と思います。しかし、見方によりますと、ああいう教育問題にからんで、特に百数十名の警備隊を動員をしなければならなかったような、そういう危険な空気が事実あの当時にあったのかどうかということ。それからもう一つ、私はちらっと耳にしたことがございますが、あのとき数名の人々公務執行妨害の容疑を受けて逮捕せられた。逮捕せられた人に対して弁護士面会を申し込んだところが、なかなか許可をせられなかったというような話もちらっと耳にしております。そういう事情、その辺のことについて警察当局としてあのときの事態をどういうふうに見たのかというような点について御答弁を伺ってみたいと思うのでございます。
  9. 三輪良雄

    三輪説明員 事件と申しますか、事態全体の御説明は、私どもも今文部省の御説明通り地元から聞いておるのでございます。盟休が始まりましてから、六月の初めころからと思いますけれども、たとえば部外者の応援を求めまして、六月の六日には町役場にピケを張りまして、町役場の職員六十名の登庁を阻止するというようなことがあり、要請もあり、警察側としても出る必要を感じまして、警察側が四十六名派遣をして警告をしたようなこともございますし、そのころから、盟休をいたしますのも小室部落全部ではありませんが、小室部落の中にも盟休には反対する人々もあったわけでございます。そういう方々盟休を主張する方々との間にトラブルが相次いで起こっておるのでございます。これは、そのことを契機として口論の結果、傷を負わしたというような傷害幾つか出ておりまするし、また盟休側生徒校長を取り囲んで交渉する。校長が家へ帰るというのも、これを帰さないでとめるというようなことで、これまた警察が出て制止するというようなこともあったのでございます。また、盟休を主張いたします側が——ただいまお話がございましたように、百十四戸と承知いたしておりますが、そのうち百四戸が盟休を主張する側、残り十戸がこれに反対する側と承知いたしておりますが、いわゆる村八分と申しますか、公共の施設を使わせない。あるいは船を引き上げます施設を使わせない、あるいは消防会館が公会堂のようになっているようですが、子供たちがそこへ行ってテレビを見る、そこを子供たちとして見させないようにする。いろいろなそういったこと、あるいは冠婚葬祭もちろんつき合いをしない。子供反対側と結婚すれば縁を切るというようなことまで取りきめて通告をしたというようなことでございまして、目下事件としてこれは取り扱っておるのでございます。そういうことが数々ございまして、七月の四日には、この消防会館その他にあります机を学校に持って参りまして、正規の授業を始めることに決定になったわけでありますが、これに対しまして、盟休側は絶対にこれを渡さないということを前もって言っておったように承知をいたしております。そこで町教育委員側といたしましては、これを学校に持っていきますために現地におもむいた際には危険があると判断をいたしまして、警護を要請いたしておるのであります。また警察側も、先ほど申しましたようにいろいろございますので、警察官を増派いたしておりますが、七月一日にも部落にやはりごたごたがあるということで届け出がありまして、三名の警察官が夜間参りましたところが、何しに来たかということでつるし上げを受け、まあ被害というようなことには及びませんでしたけれども、非常に緊迫した空気警察側としても見ておりましたし、また七月四日の前夜には村内放送で、明日は警察官を前にして町教育委員側が机を取りにくる、力には力をもってやらなければいけないから武装して集まれ、かま、竹やり等を用意して集まれというようなことを放送いたしておった。これはもう警察側も聞いておりますし、関係者側も聞いたと承知をいたしております。そういうような事態がございまして、そういう中で机を取りに参りますということになりますと、当然その間の争いは生命、身体にも危害が及ぶということも予想されまするので、警察といたしましては、当時三十五名その他の学校等にも派遣をいたしまして、総計制私合わせて二百十名ほどの警察官現地派遣をいたしまして事なきを期した次第でございます。詳細の御説明は後ほどお尋ねがございましたら触れますけれども、実際に机を取りに参りました状態では、車が消防会館の前で阻止をされまして、砂を投げつけられ、整理をいたそうとするその警察官に体当りをする。警察官の顔をなぐりつけるというような非常な勢いで暴行する者もございましたので、はなはだ遺憾でございますけれども、七名をそこで公務執行妨害として検挙いたしておるのでございます。そのほか警察として扱っておりますものは、その傷害幾つかございましたものと、それから村八分、これは警察的に言いますと脅迫に当たると考えたわけでございますが、そういうことで合計八名、合わせて十五名の検挙をいたしてただいま事件として処理をいたしておまりすし、なお、そのほかに起こりました事件につきましても、鋭意捜査を進めているところであります。  最後にお触れになりました弁護士の問題でございますけれども、これはお二人の弁護士がおつきになられたようで、最初の方は、検挙いたしましたその日の夜おそく見えまして、関係被疑者にはすでに五分間ぐらい、わずかな時間でございますけれども面会をしておられるのでございます。翌日の午後にもう一人の弁護士の方がお見えになりまして、これはちょうどお見えになりましたときに捜査上の必要ということでお待ちを願い、お帰りを願ったわけですけれども、その後数回にわたってお見えになったときにも同様な事情でございました。結局翌日の年前五時二十分から会わすということで、その直前にお見えになったわけでございます。ところが、その方はまで選任届といいますか、その被疑者の一人の親類の者から、弁護士選任依頼されたので届けを出すために見えたということでございます。そこで、御承知のように弁護士選任いたします者は、本人以外に法律にきめられた限度の方があるわけでございまして、はたしてその方の依頼であるかどうかということについて、通常依頼状等を持ってきていただくのだそうでございますが、そういうことでありますと、今からその親類のところに行くのに数時間かかるということで憤然としてお立ちになった。ところが十分くらいして、一人の人を連れてきて、これがにいさんだから、この人から依頼を受けたのだというお話であります。先ほどのお話と非常に違いますので、その人がはたしてにいさんであるかどうか、面識がないというようなことで、その人がにいさんであることの証明を伺うというようなことのやりとりをいたしておりますうちに、実は六時半ごろに検挙いたしましたので、六時半になりますと四十八時間の時間が切れるわけでありますので、午前六時ころに検察庁に送致をいたすというようなことでございまして、後に裁判所から決定がございましたけれども、この決定をいただきましたときには、すでに警察の持ち時間を過ぎておったのでありまして、これは結果といたしまして面会ができなかったということになったのは、はなはだ私ども遺憾に思う次第でございます。今のように特定の人の依頼を受けたということを確かめる、これは警察側としても責務があるわけでもございますけれども、そういうことを最初お話をしておれば、あるいはそのにいさんという方を連れてこられたときに、もっとそこでゆっくり話をすれば、その方がにいさんであるということがわかる方法があったであろうと思うのでありますが、そういう点ではなはだ配慮を欠いた点があると私ども非常に残念に思うのでございまして、地元本部長も、その点につきましては深く反省をするということを申しておるのでございます。弁護士交通権につきましては、きわめて重要な問題でございますので、かねがね私どももそういう指導をいたしておるのでございますけれども、こうなったことを非常に遺憾に存じております。  以上、あるいはお答え漏れがあるかと思いますけれども、それだけ一つ……。
  10. 濱田幸雄

    濱田(幸)委員 大体経過は承りました。今ちょっと局長からも説明がありましたいわゆる村八分的な事柄、先ほどもちょっと私触れましたが、昨年の九月に、町長、そしてその部落代表が四十八項目についての覚書を交換した。そのときの代表だった伴ノ内君ですが、伴ノ内君が本年の盟休ではいわゆる反対側に立った。どういう事情かそこは私はわかりませんが、しかもその伴ノ内君が、ずいぶんいわゆるもとの同志から圧迫も受けたそうです。そういうようなことは、ある意味では人権擁護という見地から、何らかの措置を平素われわれは考えておくべきものではないかと思うのです。人権擁護というと、国からの人権に対する侵害、これを保護するとか擁護するとかいうような見地でわれわれはこれに対して考えておりますが、お互い同士の間のこういうような極端な迫害でございますが、それに対して国としてというか、政治の面で何かの措置をとらなければ、とてもだめじゃないかと思うのです。先ほどのお話のように、いわゆる脅迫とか恐喝とかいうような面でこれを取り上げる方法もございましょうが、事実はこれはなかなかむずかしくないかと思うのです。これは非常にむずかしい問題だと思うのですが、大臣、どうでしょうか、こういう点について将来いろいろ研究願わぬとだめじゃないかと思うのですが、その面での御所信を承っておきたいと思います。
  11. 中垣國男

    ○中垣国務大臣 人権の問題でございますが、この種の事件になりますと、一方的にどちらかの人権擁護をするといったような考え方に立ってはならないと思うのでございまして、個々のケースにつきまして十分調査をして、しかも公平な立場で訴える。たとえば、具体的な例を申し上げますと、先ほど警察庁からも御報告がございましたが、公務員に対する妨害の問題であるとか、あるいは児童の義務教育を受ける権利がそういう事例によって阻止されておる、そういったようなことなどを考えて処理すべきものだと思います。
  12. 濱田幸雄

    濱田(幸)委員 最後に、私は文部大臣に承ってみたい点があるのでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたが、この事件は、言うまでもない、いわゆる日教組の闘争分子といいますか、そういう諸君と解放同盟の諸君、この両者の、まあ計画したという意味じゃないのですが、提携と言いますか、して起こった事件であるように私は見ています。それで、これは教育の面から見まして、そういうような事態が私は将来も起こると心配しておるから承るのですが、こういう点について国としてどういうように配慮をしておられるのか、またおるのであるか、またおるべきものであるかということについて率直な文部大臣の御意向を承ってみたいと私は思うのです。  この事件経過を見ましても、先ほどからだんだん説明がありました通りに、これは一種の集団暴力的な抗争をずっと続けてきておるのです。これが公然と行なわれておる。しかもこれが教育の場において行なわれておる。最近、内閣総理大臣が人づくりということをしきりに言われておるのですが、どういう内容を予想しての人づくりであるかということはまだ私つまびらかにはしていませんが、少なくとも教育の面についてこういうようなことが公然行なわれるということは、これはもちろん望ましくない点でありますが、ただ望ましくないというだけでいいのかどうか。文部省として、そういう面についてどういうような指導をなさるのかという点について、私は率直に文部大臣からの御所見を承ってみたいと思うのです。  言うまでもなくこういう事態は、結局、子供たちを犠牲にしてああいう闘争が行なわれておるだけであって、子供の先々を考えると、こういうことはわれわれ父兄として絶対に許すべからざるものであると私は信じていますが、そういう意味において文部御当局としての御意見をまず承っておきたい、こう思います。
  13. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お話しの通り、私も、結果につきまして見てみますと、教育本来のあり方から逸脱しておる現象を見て、何が何でも遺憾千万に思うのであります。その原因はいろいろ複雑でもあるようでございまして、一言に言い尽くし得ないと思いますが、ことに義務教育の場においては、校長以下の教職員が、学校そのものでのまともな教育が行なわれるようにベストを尽くすべきことは当然でございます。教育委員会あるいは教育長等におきましても、そのことのために学校当局と協力し、また次第によっては、その職務権限に基づいて正常な教育がまともに行なわれるようなあらゆる配慮、努力をすることも当然のこと、平素からそういう気持で隔意なく話しながら問題に処しておれば、こういう事態にはならないじゃないかとも考えるのであります。同和問題そのことは、そういう事態とは別個の問題として、政府としてあるいは地方公共団体の立場におきましても、学校教育の場においては細心の注意をもって、善意をもって処すべき課題として別個に受けております。教組そのものがどういう行動をしたかつまびらかにはむろん知りませんが、濱田さん今御指摘の、たとえば道徳教育反対学力テスト反対というがごときは、日教組が中央できめまして末端に要求しておる事柄でございますから、その線から御指摘のようなことが現われなかったとは保証し得ないかと思います。そのことそれ自体が、私は元来教育も、法治国日本においては憲法、教育基本法、学校教育法以下のもろもろの法律制度、地方ではそれぞれ条例も県民の意思として定めておりましょう。そういう法令ないしは条例等のらち内において、教育が平穏に正常に行なわれるということに、教員諸君といえども当然協力すべき立場にある。だから教師側にも、だれがよかった、悪かったということは別としまして、一般的の問題としては、その良識さえあるならば、かような問題は将来にわたっても、少なくとも教育の場においては防ぎ得るんじゃないか、またそういうふうに持っていくように教育関係者は十分に戒め合って善処せねばならぬと思います。
  14. 濱田幸雄

    濱田(幸)委員 この事件は、もう申すまでもない、昨年の四月の学校先生人事異動からきておる。この異動が適当であったか適当でなかったかということは、見方もいろいろありましょうが、かりに万が一あの異動やり方が妥当でなかったとすれば、これに対する救済措置というものは、今の地方公務員制度のうちにもあるはずだと私は見ております。それを先ほどからの御説明によってもわかる通りに、一地区の、しかも一部の人々がああいうような闘争をやったということ、これは何と言っても私は残念に思うのです。これは教育の、面におきましても、そういうような人事異動に対する救済措置というものは考えられるから、当然その措置によってこれを処理すべきものでないかと思うのですが、これができない。しかも先ほども私申したのですが、去年の九月でしたか、地区代表町長が四十八項目についての覚書の交換までやった。とてもこれは実行ができないことまでも織り込まれておる。また実行してはいけない。国の方針として学力テストをやるとかあるいは道徳教育の課目を設けるとかいうことはきめておるので、そのきめておることを町長がなるべくこれをやらぬようにしましょうというような覚書をつくらざるを得ないような事態に追い込まれていったということ、それはいろいろ考えますと、私は地方教育委員制度というものについて、国がこの際再検討をする余地があるんじゃないかと思うのです。まあ率直に言いますと、町や村の教育委員というものは、私は、これは人選も非常にむずかしいと思う。また、そういう方々がいかに教育に熱心に勉強しましても、こういう事態が起こったときにはとてもこれは処理ができないのです。これはもう至るところにその例がある。ところがこういう事態が、私が冒頭に申した通り単に興津地区だけではない。高知県だけのあの狭いところだけを見ましても、次から次へとまだ起こる危険性があるのですよ。そういうことを考えますと、今の教育委員制度というものを根本的に国が考えなければならぬと思う。これは一つの単なる私案でございまして、何も自民党が考えている政策という意味じゃない。そんなことを申すつもりは毛頭ありません。単なる私の私案でございますが、町村の教育委員というものはむしろ廃止して、県教育委員一本にした方が、私なんかの郷里の実情から見ると、教育はうまくいくんじゃないかと思います。それは各県同じじゃないかと思います。そういう点について、国として配慮をされておるのかどうか、将来そういう問題を真剣に取り上げてみるお考えであるかどうか、念のため一応文部大臣に承っておきます。
  15. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 ただいまのお説はお説として承らさしていただきますが、御案内のように教育委員会制度、地方教育行政の組織としては、二、三の変転を経て今日にきておるわけですが、根本は、地方の特色を生かしながら地方分権的にやることが妥当なりという考えに立った制度だと思います。直接選挙が任命制になったりというふうな経過を経て今になっておりますが、これはまだ実施しましてそう長くたっておりません。高知県の状態を根拠に今お話がございましたが、全国的に見ました場合は、必ずしも、根本的な検討を加えて、たとえばお説のように町村の教育委員会ないしは教育長の制度を県に統一するということが必要であるかどうかということまで考えていないわけございます。しかし、そういう——ただいま問題になっておりますことに関してでなく、一般的に、常に前向きに地方教育行政組織をどうするかということを検討すべき立場にはむろんあるわけですけれども、具体的に検討を開始しておるわけじゃありませんことを御承知いただきたいと思うのです。要は、今例示されましたことにいたしましても、教育委員会それ自体が、法律制度ないしは教育行政のあり方というものについて明確な認識を欠いておる節もあるやに推察されるわけですが、それは実情の認識、制度の認識が明確になることによって是正され得る範囲じゃなかろうかということも思います。かたがた御指摘の点に関して、それを契機に、お話しのような制度の根本的な改革までも考えねばならないと、今直ちに思っておるわけではございません。御意見は、参考にはすべきとは思いますけれども、将来の問題でございます。
  16. 濱田幸雄

    濱田(幸)委員 大体わかりました。  それから最後一つ承ってみたいのですが、同和教育ということでございます。文部省の方の予算にも同和教育についての予算が組んであるかと思いますが、私は、これも私の単なる私見でございますからそのつもりでお聞き取りいただきたいと思うのですが、同和教育というものは非常にむずかしいと思う。先ほど私も申し上げたんですが、今度の事件のきっかけになった学校先生異動でも、同和教育に非常に熱心な先生が他の学校に移ったからということが、あの事態が起きた一つのきっかけになっています。同和教育とは一体何かということですね。私はこれは二つの方法を考えることができはせぬかと思います。非常に極端でございますが、一つは、徹底的に児童に同和問題というものを吹き込んで、そして部落というのですか、あれのこれまでの歴史的な沿革とか、その後の経過、こういうものをすなおに理解してもらって、そしてその理解の上で、いわゆる差別教育とか差別待遇というものを払拭するという行き方をすることが一つの行き方だと思う。しかし、それはむしろ逆効果になるのではないかという見方もある。私は、同和教育というものは、あまり看板を掲げて、しかもこうこうするということが、むしろいわゆる差別の意識というものを新しい世代の人々に吹き込む結果になるんじゃないかということも心配するのです。これは非常にむずかしい問題ですが、私は、自分の単なる私見としては、むしろあとの方法をとった方が望ましくはないかと思うていますが、ところが今の国の施策として、あるいは各政党においても同和問題を熱心に取り上げておりますが、そういう現実の行き方と、今私が考えておるような、単なる濱田一個の所見というものと食い違いがある。これを今一刀両断的に文部大臣に、どっちがいいということをあえて御答弁を求めるのも無理かと思うのですが、どうですか、そういう問題についてもっともっと将来考えてみる余地もないかということですね。  それともう一つ、私は、この問題を取り上げるには、冒頭に申したのですが、単に教育問題だとか、あるいは社会保障の面においての問題だとかなんとかいうような、そういう個々ばらばらの面でこれを取り上げて解決することはできないと思っております。むしろそういう問題を全部総合して、非常に高い識見を持って国の為政者がこれを解決しなければとてもだめではないか。しかも非常に強い勇気が必要だと思います。その一つの例を私は承知しておりますが、数年前に、やはり高知県下のことでございますが、土佐村という村の田井というところがあるのですが、田井の教育事情が非常に悪かった、実にひどかったようです。そして教育委員の諸君もこれに対していろいろ苦労したようでありますが、なかなかうまくいかない。たまたまそこに沢田何がしという若い、医者がおります。今でもやっておりますが、この沢田君が、自分の郷里の教育事態を見るに忍びずとして一人で立ち上がった。そうして教育正常化をやろうとした。たまたまそこに解放地区があります。その解放地区人々と徹底的に討論を重ねております。私は、その討論をしたときの録音を二、三時間にわたって沢田君から数年前に聞かされた。私は、その沢田君の勇気に参るくらいにほれた一人でございます。その解放地区の諸君に会って、君たちは劣等感を持っておるからいけないとまで言っているのですよ。これくらいの言葉を使うのは私はよほど勇気が要ると思う。そうして数時間にわたる討論をして、繰り返し繰り返し説得したのです。そして現在は、私先日も県の教育長が来ておったから、どうだあの田井の方はその後は、と言ったところが、非常にうまくいっておりますということです。そのときに県の教育長が、あれはお医者さんだからうまくいったんですよと言った。郷里には医者はたくさんおるのですよ。その医者がだれもやらない、たまたま沢田君がやった。医者だからできるとかできないということではない。もっと高い信念が必要ではないかと私は見ておるのですが、そういうことを振り返ってみて、これは単に一地区の問題ではない。同和対策というものと教育というものを結びつけていくときには、繰り返して私は申しますが、ほんとうにあたたかい心と強い意思を為政者が備えなければとてもだめではないか、そういう気持で私はこの問題を見ております。同和教育のあり方についての文部大臣の御所見を承ることができれば非常に幸いだと思いますが、そういう面での文部大臣の御所見を承っておきたい。
  17. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 ちょっとデリケートなむずかしいことでございまして、お尋ねでございますが、明快にこうだということを申し上げる資料を知りません。ただ少なくとも私理解しますことは、この問題は日本の長い間の歴史の中につちかわれた因襲がいまだに残っている。一般の迷信というものも明治初年の近代的な社会生活なり社会意識というものが植えつけられ、芽ばえ、発展して参って以来、先輩の努力によってほとんどいわゆる愚かしき迷信というものはなくなってきておると思いますが、ほぼそれに類したような課題ではなかろうか。今の憲法あるいは憲法に基づく諸制度ことごとく差別観を払拭せねばならないことを要求しております。制度としては完璧だろうと思います。ですけれども、理屈から離れた感情と言いますか、地域社会に根をおろした長きにわたる因襲がしからしめておる。その因襲を迷信と同様に払拭することが、端的にいって課題の焦点だと思うわけでございます。従って、お説のように、ことさら同和対策と言わない方がいいのじゃないかというふうなお気持もわからぬわけじゃない。さりとて現実にその因襲がある。その因襲のもとに立って、一人々が、憲法のきれいなうたい文句にもかかわらず差別観の中にあえいでおるとするならば、何らかそこに政治的にも、意識的、計画的に、しかもほんとうに親切に、なるべく表面立たないやり方で、自然々々に浸透するようなやり方でこの因襲を打破する協力があってしかるべきことは、同和対策という意味においてあるべきものと思うわけであります。そのやり方はまことにむずかしいことであろうとは思いますが、ひとり文部省だけで処理できるものじゃございませんけれども、しかし根源は、子供のときから、そういう因襲にとらわれた差別観というものが、人間として、日本人として好ましからざることだ、許されざることだという意識を子供心にもきわめて自然に植えつけることによって、その子供たちがおとなになるに従って雲散霧消する、その因襲が消えてなくなるというような心がまえの施策こそ望ましいのじゃないか、そういうふうに感じるわけでございます。どうも即席答弁みたいなことで申しわけないことですが、気持だけを率直に申し上げれば、そういう心がまえで取り組んでいくべきものと心得ております。
  18. 小島徹三

    ○小島委員 関連。先ほど三輪さんの説明の中だったと思いますが、役場でピケをやった際に部外者が加わっているという言葉があったのですが、部外者というのはどういう人々であったのかということが一点と、いま一つは、消防会館にいすや机を持ち込んで教育をしておったらしいのですが、そのいす、机の撤去について問題が起きたわけですが、その消防会館における教育には、一体小学校の教員が行って教えておったのか、その点だけ一つ……。
  19. 福田繁

    福田政府委員 ただいまのお尋ねでございますか、消防会館授業−私塾的な授業と申しますか、やっておりましたのは、やはり盟休について相当いろいろのトラブルがございまして、義務教育としてはやはり一日も欠かせないというようなことで、これは校長が所属の職員を派遣して授業をさしておったというような事実がございます
  20. 小島徹三

    ○小島委員 そうすると、それは校長の許可を得たというか、職務命令か何かで行ったわけですか。
  21. 福田繁

    福田政府委員 校長が正式に派遣したということになっております。
  22. 小島徹三

    ○小島委員 部外者の件は……。
  23. 三輪良雄

    三輪説明員 大へん申しわけありません。資料につきまして今調べますが、部外者の応援を得てということで、資料を見ておったのでございますが、その内容につきまして詳しいものがございませんので、調べればわかりますが……。
  24. 小島徹三

    ○小島委員 あとでけっこうです。
  25. 高橋英吉

    高橋委員長 田中君。
  26. 田中織之進

    ○田中(織)委員 ただいま濱田委員より質問申し上げた事件について、党の立場と申しますか、私、問題になっておる地区部落解放同盟の支部を統轄する解放同盟の書記長という立場にあるわけなんですが、きょうは実はそういう立場を離れて質問をしたいと思います。  ただいま、濱田委員の質問を伺っておりますと、出身の高知県のことでございますし、この問題について、党派的な立場を比較的離れた質問に敬意を表するものでありますが、しかしながら、述べられている事実については、遺憾ながら、私どもの把握しておるものと違う点があるのを非常に残念に思うのであります。  できるだけ重複することを避けて伺いますが、濱田君が指摘いたしました、昨年の九月にいわゆる四十八項目部落の要求を町長との間にこれを実行してもらいたいということを取り上げた中に、確かに学力テストをやめてもらいたいという要求があることは事実です。部落の要求は、差別教育を助長する学力テストを実施するなということなんです。しかし、それに対する町長の答えは、教育委員会とオルグの見解は根本的に相違しており、研究課題として善処方を講じたい。町長教育委員会に直接指揮権を持っておらない関係から、もちろんこの団体交渉には教組の代表も加わったでありましょう。そこで、いろいろ部落問題との関連で教組の関係の諸君が出した要求については、確かに教育委員会とそういう解放同盟を支援しておるオルグ団との間に意見の食い違いがあるけれども、それを善処するようにということをむしろ町長が要望しておるので、この点は、国の方針をやるなということを、権限も何もない町長に集団の力で強要したかのごとき発言は、事実の真相を突き詰める上において間違いになるので、ここに、その四十八項目一々について町長がどういうように応待したかということを私持って参っておりますが、一つ感じましたので、この点は濱田君の方においても理解していただきたい。  この問題が起こってから、私も伊与木町長と、先月の二十三日でございましたが、約二時間にわたって地区代表者とともに会見をいたしました。この四十八項目の要求というものを町長が善処を約束したのです。約束して、中には実行に移されたものもありますけれども、そのうちにありました、たとえば部落教育に熱心な教員を戻すという約束を実行していないということから、今度の盟休事件も起こったわけでありますけれども、その当時の事情を伊与木町長は私にこう説明している。それは今までにない両方打ち解けた情勢の中で話したことなんで、今日もうそれはできることとできないこととは、田中代議士の言うように、自分もあると思うが、町でできることについては逐次やっていく考えだからということで確認をしておるので、何か解放同盟が教組の諸君などと集団的な威力を加えて不当な要求をしておるような——この四十八項目というものは、日本国民に約束されている健康で文化的な最低生活というものを基準にして、現実に津川町の小室部落の人たちが置かれておる生活環境をよくするための具体的な要求なんで、私は、これはどこに出しても恥ずかしくない問題だし、当然やってもらわなければならぬと思う。ここに私持ってきておりますが、これは最近の「女性自身」です。これは八月二十九日号の「週刊女性」ですが、ともにこの問題を扱っておりますけれども小室の百二十戸の部落の中で、新聞をとっているのは二軒しかない。テレビは、先ほど三輪局長が言うたように、消防会館に一台入っておるだけなんです。先ほど月収は一万円以下だというのですけれども、ここでは耕す土地をたくさん持っておるものでわずか三百坪です。イモ部落というのです。お米を食べるのは、それこそ盆と正月、病人になったときくらいしかない。郷分とか裏分とかいう旧興津村の二部落にしても、この小室の未解放部落と大体似たり寄ったりの部落です。興津といえば、県立公園の興津海洋のきわめて風光明媚なところで、かってはあそこから総理大臣も出て、とにかく終戦後十年近くも日本の政治をあずかった。その高知県がいまだにこういう状態に置かれているというところに、高知県の政治家諸君の奮起を要求したいような気持に一番最初に訪れたときになったような状況なんです。そういう中に、部落の人たちが自分たちの生活にからんだところの教育問題についての要求を町長なり、町教委なり、そういうものに出していくということは、私はこれは当然のことだと思うのです。それをあたかも今度の七月四日の事件などを考えれば、三輪局長も言われた通り、三日の晩には一切の武器を持って結集しろということを、他部落に聞こえるような放送をしたという。現地でもそういうことを言っております。三日の晩から二百五十名の警官が行っております。そのときには高知地検の検事正もその付近に行ったようであります。近藤という公安検事が指揮をして、三日の晩から二百五十名の警官が行って、今、初中局長が言ったように、消防会館盟休派の子供たちのいわゆる授業——校長学校の教師を派遣して、お前たちは父兄の要求とからみ合って出てこないのなら、消防会館授業を受けたらどうかと言って、机といすを三十脚持っていって、学校から受け持ちの先生派遣して授業のめんどうを見て、解決するためにいろいろな努力をやっておったのです。そういう中に、その三十脚ばかりの机といすを撤収する目的のために、二百五十名の警官を、地検の公安検事の指揮のもとに、百十戸の部落に対して八トン単のトラックをバックで一方通行の道路に向いて押し込んで、朝六町、八時、午後二時と三回にわたっていわゆる周波的な攻撃を加えて、三十脚のいすを撤収するというような事件は、部落民が暴力団か何か、それこそ革命の指導者の集団か何かでなっているのだというような想定の上にあなたたちがやった事件というよりほかにこの問題は考えられないところに、われわれがこれを国会の問題として取り上げなければならぬゆえんのものがあるのです。そういうような観点で、この問題を私は答弁をしていただかなければならないと思うのです。ことに荒木文部大臣は、過ぐる参議院の選挙のときに、高知県に自民党の候補者の応援に行かれて、教育行政の問題について高知県知事や高知県教委の諸君を激励した。その結果、解決寸前にありましたこの盟休事件が逆転をしたということすら言われている。初中局長の先ほどの濱田委員の質問に対する答弁の中で、あなたは非常に重要な点をわざと落としているのであります。それは、問題の六月二十三日から六月一ぱいは、学校は町教委によって臨時休校をやったじゃないですか。これは何ですか。六月十九日の日の紛争がありまして、そこで社会党の井上泉県会議員等が中へ入って、県教委の指導課長等が町教委との間で話し合いをつけるということで、片一方は盟休して消防会館で自習をやっている。それ以外の子供たち学校に来ているというような対立した状態の中で、問題の解決にはならないというところに、町教委が臨時休校という処置をとって、六月の二十四日の日に、現地窪川町で、県教委、それから社会党県議団、それから解放同盟というような三者が寄って盟休問題の解決をするということで打ち合わせができていたのが、県教委側の一方的な破棄によってこの問題がついに月末まで解決に至らず、一日の日になって、校長がおるにもかかわらず、教育委員会の名において、一片の文書で三十脚余りの机、いすを返還しろという通達が出たことは事実であります。  しかし、ここに私は申し上げますけれども、これは七月二日の日、問題が起こる前々日に、寒川町の教育委員会の前で拾った文書なんです。これには一日、二日、三日、四日、五日、三日の日に警察の出動要請は文書でやる、四日の日にどういうビラをまいて、マイクでどういうように呼びかけてやるかということを、町教委と警察側とが打ち合わせた教育委員会側のこまかいメモなんです。これは今事件になっている。もし起訴者が出て裁判に係属するということになれば、刑事裁判の証拠資料として出るけれども、問題はいわゆる部落問題に端を発した事件でありますけれども、七月の四日に二百五十名の警官を動員して、この問題の、いわゆる教育行政を正常化するということに乗り出した高知県警の態度、あるいは県教委の問題、私はこの問題については、やはり文部大臣も選挙時に行かれた関係もあって、事件の概要も知っておられるし、事件が起こる前から文部省は何らかの連絡を受けておったと思うのですよ。まずその点から伺いますが、あなたたちは事件が起こるまではそのことの推移は知らなかったのですか、どうですか。  それから初中局長に伺いますが、あなたは今私が申し上げた六月の二十三日以降において、県会議員が中へ入って、盟休事件解決するというようなことで、第三者のあっせんがあって話し合いの道が開かれたものを、教委側の一方的な態度によってそれが打ち切られておる。このメモの裏には、たまたまその打ち切られたことについての声明書の下書きみたいなものが書いてある。「私共、誠心誠意事態の円満解決に努力し教育正常化の一日も早きを期待いたしていましたが、今回県議団斡旋による解決案も同盟側の了解を得ること能わず、洵に遺憾に堪えません。」約束の日に県教委、町教委から一人も出てこないで、県議団をボイコットしておいて、それでいて、こんな一方的な声明を出す下書きがたまたまこの裏に書いてある。今私が申し上げたように、警察がどう行動するかということについてまで細部の打ち合わせをしたメモが書いてあるのです。私は、これは今までも問題になったけれども、菅生の交番爆破事件だとか何かというようなことと同じことで、三輪局長にも伺いますが、こういうメモがあって、大量の警官が入ってくるということで、下手すると騒擾罪にひっかけられるかもわからぬから抵抗するなということを、三日の晩に部落の集会所で話し合っているのです。あなた方は何の根拠をもって、一切の武器、かまだとかそういうようなものを持って集まれという放送を、警察関係者も聞いた、県警本部の土居警備部長も私にそう言いました。土居君、君は現場にいなかったか、現場にいたのです。現場にいて、他部落へも聞こえるような小室部落の備付の放送でやっているのだから、土居君、君は聞かないわけはないだろうと言ったら、私は聞いておらないと、こう言う。私は、そういうところに、やはりこの事件がどう考えましても、昔、徳川時代に権力的にえた狩りというものをやった、そういう昭和のえた狩りと同じことだと思うのです。あたかも暴力団の巣くつのような形で、権力をもって臨めばいいという。現在未成年者三名を含めて十五名検挙したけれども高知地検はいまだに処分決定できないというじゃないですか。犯罪になるかならないかというはっきりとしたきめ手がないからじゃないですか。この点については刑事局長から御答弁願います。
  27. 福田繁

    福田政府委員 ただいま御質問の中にございました点について申し上げますが、私ども新聞では多少そういう記事を見ておりましたけれども高知県の教育委員会から報告がございませんので、今月になって報告を受けたようなわけでございます。具体的な内容は知らなかったのでございます。お話の中に出ました六月に井上さんなど県会の議員団の一行があっせんに入ったという事実は聞いておりますが、その当時県の教育委員会としましては、教育委員会の会合を開きまして正式にこの態度をきめるというところまでいってなかったので、県議団の一行に随行しまして県の教育委員会の職員が同時に行くというようなことは取りやめたということを聞いております。そういういろいろな事情があったことは承知いたしておりますが、今申しました県議団のごあっせんも不調に終わりまして、七月の一日に教育委員会としては、すでに盟休が始まりまして正常な授業ができなくなってから一カ月経過した、これをやはり正常な授業に復したい、復すべきであるというような決定をいたしまして、就学の督励について文書でもって保護者に送付する、そういうことで教育委員会としては、いろいろな経緯があったにいたしましても、できる限りこの盟休事件を防ぐような状態において学校教育が続けられるということ、これをやめるという立場において相当の決意をして正常授業の再開の措置をとったというのが事実のようでございます。いろいろないきさつもございますが、そういうことになったので、私、ことさらに最初にその点を申し上げなかったわけではございません。
  28. 三輪良雄

    三輪説明員 今のお答えに若干重複いたしますけれども、私ども聞いておりますところでは、たとえば六月三十日付の高知新聞にも「県議、あっせん断念」という見出しで大きく掲載されておりまして、「県教委は二日までさらに盟休側の説得を続けるといっているが、いまのところたいした希望はもてないため、三日は登校側と盟休側の間でかなりの混乱が予想される。」というようなことが書いてございまするし、他の新聞にも同様なことを報じておるというようなことでございまして、県議団のごあっせんが効を奏さないで、この学校の再開について非常な混乱が起こるであろうということは客観的にも予想せられておったように承知をいたします。それから三日の晩に、あしたは武器を持って集まれというようなことば、どういう根拠で言うかというお尋ねがあったように思います。これは先ほども申しましたように、警察官が何人かで聞いております者があるばかりでなく、部外の方がやはり同様なことを聞いておりますということとともに、先ほど申しましたように今回の事件で十五名の検挙者があるわけでございますが、そのうちの被疑者の一名の方から、自分も放送した一員でそういうことを言ったということを御本人が述べられておるということも調書にあるように聞いておるのでございます。
  29. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 検察庁において受理した事件の処理の点でございますが、検察庁におきましては、本年六月十二日から八月の初めにかけまして、前後十三件、二十六人の被疑者警察から送致を受けて受理をいたしております。仰せの通り、これらの事件はただいま捜査中でありまして、結論を得るに至っておりませんが、結論を得ない状態にありますことを、証拠が不十分であって事件として処理できないんだというようなふうに今申し上げることは不適当でございまして、これら一連の事件は、なるほど脅迫事件とかあるいは傷害暴行事件とかあるいは公務執行妨害事件というふうに罪質は異なるのでございますけれども、いずれも先ほど来御議論になっております本件を契機として発生した事件でございますので、これらの事件は一括いたしまして総合的に判断をして適正な処理をすべきものだと私どもも考えておるのであります。現地の地検におきましても、まずその前提といたしまして捜査を遂げて、そうして総合的な観点に立って適正な処理をしたい、こういう考えに立っておるわけでございます。ただいま鋭意捜査中でございまして、いずれ近く結論を得ることと考えております。
  30. 田中織之進

    ○田中(織)委員 最後にお答えになった竹内刑事局長の答弁でありますけれども、私どもの見るところでは、これは事件にならない。しかもすでに検挙が行なわれて検察庁が送致を受けてからでも一カ月半も経過しておる。十五名という大量の検事勾留を行なっておいて、その後、それはもちろん任意出頭等で身柄の拘束をし、身柄を拘束すれば、もう家族は生活保護の適用を受けない限りは生活を続けられないのでありますから、私は吉岡検事正に要請をして身柄の釈放を早く要求をしたのでありますけれども、私は、それでもやはり検察庁としては、少なくとも勾留期間中に証拠の収集なりそういうようなものについてある程度の捜査は進められておると思うのです。ところが、現在に至るまで関係者一人も処分決定者を出すことができないというところに、これが事件になるかどうかという、きわめてあいまいな問題がある。私どもの観点から言うならば、これはまるっきりこけおどしのでっち上げ以外の何ものでもないという判断の上に立っておるのです。この点は当時は、あるいはお聞きになっておらないかもしれませんけれども、このような事件に対して、私は、三日の晩から公安検事が出動して現地警察を指揮したという問題については、たとえば治安問題だという観点に立っても、それだけの問題であるかどうか。もしそういうことであれば、先ほども荒木文部大臣もお答えになったのでありますけれども、同和問題、部落問題というものに対するあなたたち政府関係者の認識からして伺わなければならない。何か部落民というものは向こう見ずでまるっきり法秩序というものを考えない。だから強力な権力を行使しなければだめなんだ。こういうように文部省また、末端の教育行政の問題についてはやはり話し合いというものを全然捨てた形で、最後の場になって、力というものによってやったところで問題は解決しないじゃないですか。あなたはまた小島委員の質問にお答えになったように、消防会館への机というものは、校長は、盟休側子供たちの不便というものを考えて貸与していたものじゃありませんか。それだから、かりにそれを返還する場合においても、これは三池の問題のときにおいてもそうでありますが、裁判所のいわゆる執行命令が出た場合でも、やはり執達吏からの協力というものの限界もあるし、警察が介入するというところにきわめてデリケートな問題がある。問題は、義務教育段階の学校の三十脚そこそこの机、いすの撤収の問題に二百五十名からの大量の警官が出動しなければならないし、またそういう要請を文書でやっているということを現地の西川窪川警察署長が言っておるのですが、そういうことをやはり文部省が地教委に指導しているのかどうか。私は、これはもうまるきり教育行政というものを踏みはずした形に進む大きな危険性がある端緒ではないかと思うのでありますが、この点についての文部大臣のお考えを伺いたいと思います。
  31. 福田繁

    福田政府委員 この問題につきまして、先ほど申し上げましたように、文部省としては何ら指導も助言もいたしておりません。従って、現地の具体的な事実についての内容は最近まで知らなかったわけでございますが、今申しました消防会館への机、腰かけの問題でありますが、校長義務教育であるという立場から、できる限り子供の学力を低下を来たさないというような配慮から教員を派遣して授業をやっておったということは一応認められますが、しかしながら、そういう変則的な教育を続けるべきではないという教育委員会決定に従って、本校での授業を再開しようということになったわけでございまして、従って、学校の器物等につきましては教育委員会の管理下にあるわけでございます。従って、それをしていただきたいということに応じなければ、これはそこにいろいろな問題が起きるわけでございますが、当然に正当な権限を行使する意味におきまして、教育委員会がどうしてもその机、腰かけ学校へ持ってこなければ困るというような状態であったようでございますから、従って学校の、教育委員会の管理下にある自分の財産を返してもらうということについて、いろいろ遺憾な経過はございましたけれども、そういう手続をとったわけでございます。文部省として特にそういうことについて指導も何もいたしておりませんけれども、一般的に申しまして、法律や命令等が普通に順法される場合であれば非常にけっこうでありますけれども、そういう状態にないような場合におきましては、やはり教育委員会としては、あるいは校長としては、必要な命令を出してそれを遂行するという以外には、教育の正常ははかられないというふうに私どもは考えます。
  32. 高橋英吉

    高橋委員長 田中君、法務大臣は今内閣委員会で設置法案があるそうですから……。
  33. 田中織之進

    ○田中(織)委員 了解します。  そこで私の質問を進めます。今初中局長の言われる業務命令というものの内容についても、特に七月四日に出した業務命令については、私、非常に問題があると思うのですが、これは後に質問するとして、先ほど濱田委員も指摘されましたように、この事件は国友先生ほか六名の同和教育に熱心な教師を、昨年の三月末、四月初めの異動に、ある人は赴任してから一年たつかたたないかで転任をさせておる。それはしかも偏向教育だ、いわゆる部落教育同和教育に熱心な先生偏向教育だという理由で配転をやっておる。こういうように私らが聞いておるのでありますけれども文部省は非常にうかつだと思うのです。七月十三日には、これは毎日新聞でありますけれども、東京にも配達されておりますが、興津校の盟休ということでこれだけ大きな記事で事件を扱っておるのです。今月へ入ってからでなければこの事件を知らなかったというようなこと自体が私は文部省としても怠慢だと思うのです。しかも、その国友先生は御夫婦でありますけれども、奥さんがちょうど妊娠をしてあまり動いてもいけないというような時期に、高知県にたった一つある島、沖ノ島というところへ赴任をとにかく命じた。しかし、奥さんがどうしてもからだの関係で赴任することができないということで、やむを得ず休職をした、こういう関係なのです。それだから先ほど濱田さんが言われた四十八項目の中に、そういう教員を町長なり町教委というもりが、四月の盟休のときでも、九月の異動では一つ戻すように努力しようという約束をして、九月にはそれはできなかった。それでは来年の四月ということになったわけです。ところが、ことしの四月に新しい問題が起こった。初中局長は又川校長の差別言動である、こう言うけれども、これは三輪さん、刑事局長が言われたように、校長の非行なのです。土居という臨時教員に対して校長がよからぬ思いをかけて、それがいれられないということで、その先生が臨時教員でありますから、ことしの三月に当然継続を希望しておるにもかかわらず、その臨時教員としての就職の延長ということについて本人の意思も聞きもせずに、手続きもせずに三月でとにかく先生をやめさしたという問題が契機なのです。だから、部落の人たちにとっては、同和教育に熱心な一ある意味から見れば、ここでは非常に生活環境が悪く、現実に差別がある。たとえば同じ興津の浜でとる砂が、小室部落の人のとる砂は一立米わずかに三百八十円にしか売れない。ところが小室部落以外の人たちが同じ品を持って行けば、千円にも売れる。こういうような不都合な問題があって、確かに同友先生らがその問題を取り上げて、現在も問題になっておるけれども渡辺というクリスチャンの先生たち部落の中に居住をして、そういう問題については、たとえば町であるとか県であるとか、あるいは地方事務所であるとかいうところで砂を購入する場合には、小室部落の人たちが採取した砂を買ってやりたい、それが千三百何がしに売れたときには、部落のその砂を採取したお母さんたちが手を取り合って喜んだというふうに、砂闘争と言われているのです。そういう中に、とにかく物心両面からたよりにしている先生が、そういう意味で、普通では考えられない懲罰的な配置転換を行なう。そういうことを行ないながら、たとえば権力を利用してほかの女教員に言い寄るような校長の非行というものについては、論告処分というけれども、それでは何も処分じゃないではないですか。あなたたちは、この問題が発展したからこそ、町教委はその後又川校長の休職処分ということをしておるが、おそらく興津学校には戻らないでしょう。しかもこれが盟休に入る前の五月二十九日の晩のなにでは、とりあえず校長をとにかく長期に休まして休職にして、円満に解決するというような形で、二十九日の晩には盟休に入らないで事態解決するような情勢の中に、町教委が約束した事項の中にも、やはり又川校長の非行というものは認めておる。ところが、現在の段階になれば、その非行の校長教育委員会側が、あるいは検察庁、警察側が権力をもって援護するというような結果が出てきている。これは私は本末転倒していると思うのです。そういう無理な配転をやっておる。この点から見れば、人事異動に地域の人たちの口ばしをいれさせない。しかし問題によっては、そういう形で町教委のやることだって神様でない限り間違いがあるでしょう。下からのそういう意見もいれなければならない。私はそういう観点に立って、たとえば今問題の興津の小、中学校にも、日教組の関係先生中学校小学校ともに一名しかいないのですよ。あとはみな非組合員なんですよ。それでいて何でこういうような扱いをさせるのかという点について私は疑問を持たざるを得ない。「週刊女性」でありましたか、やはり高知県から出ておられる自民党の仮谷君が、これはうしろに日教組がついているから、あるいは部落解放同盟というようなものが出なければ平和であったものを——差別をされて貧窮のどん底に押し込められていることを、部落の人たちが立ち上がらなければ、それは平和だというような考え方は、これは僕は根本的に間違いだと思うのです。これはことに自民党関係の諸君には大いに警告しなければならぬ問題があるわけなんです。問題は、部落民というものは、中国や朝鮮から渡ってきた人間の子孫だという考え方を、あなたの方の某君を初め、きわめて有益なごもっともな意見だという形で、そういうものを金科玉条として同和対策部落対策を考えられておったのでは、これは根本から間違っていると思うのです。もちろん決して僕はためにせんために申し上げておるのではないので、この「法学博士滝川政次郎述、歴史上より見たる同和問題、自由民主党同和問題議員懇談会」ここに滝川政次郎氏がはっきり書いておる。これは数千年来の問題だから、簡単に解放同盟が言うような形で解決しないんだというようなことが、自民党の諸君の部落問題に対する根本認識になっているということになれば、これは重大問題だ。私はいつか社労でもこの問題を取り上げたのですけれども、これはまた別の機会に私はその点を申し上げますけれども、内閣では限時立法によって、三党の共同提案によって同和対策審議会というものができて、国政の中に日本民族として最も悲しい問題について真剣に取り上げようという段階において、この部落問題に端を発するこういう、むしろ権力による人権侵害問題が起こっておる点を非常に私は遺徳に思うのです。  そこで私はお伺いをするのでありますが、かりに日教組の諸君が言うておる同和教育というものは、文部省としては偏向教育だという考え方の上に立って、たとえば地教委を指導したり、そういうようなことをやられておるのかどうか、この点をお答え願いたい。
  34. 福田繁

    福田政府委員 別に私どもとしては、日教組が考えておる同和教育自体がどうだこうだということを申し上げておるわけではございません。文部省としては、御承知のように従来から学校教育におきましても、社会教育におきましても、特に同和教育という特殊な教育をやっているわけではございませんので、一般教育の中で、基本法あるいは学校教育法の精神にのっとったいわゆる人権の尊重とか、あるいはまた国民みな平等というような観点からの教育を実施しておるわけでございます。ただその際に、各地方々々において、あるいは地域の実情なり、学校環境その他いろいろな特殊事情がございます。従って、そういう特殊事情があれば、そういうものを加味しながら、指導者がそれを適当に、教育の場において十分遺憾のないように指導していくというような態度をとっておるわけでございます。これを私どもは一般には、学校教育あるいは社会教育における同和教育活動というような名称で呼んでおりますが、従来からそういう方針をとっておりますことはあるいは御承知と思いますが、従って特に私どもとしては、学校先生とかあるいは社会教育の指導者というものに対して、その方面の教育を十分認識してもらって、そして学校教育なり社会教育の面において、今申した教育某末法の精神なり、あるいはまた憲法の大精神というものが忠実に行なわれるようにこれを特にやってもらう。こういうような意味で研修その他の講習会をやっておるわけでございます。
  35. 田中織之進

    ○田中(織)委員 初中局長、あなたの方でも同和教育研修会というようなものを昨年においても二回も持って、ちゃんと同和教育の実施要領というものに基づいてあなたたちはやられているわけなんですから、これは速記録を見ればわかるのですけれども、いいかげんな答弁はよして下さい。  そこであなたは先ほど、地教委の場合でも、正常授業というような場合に業務命令を出さなければならぬ、私はそうだと思うのです。ところが、その業務命令の遂行のためには、あなたたちは警察権力というものを動員してもいいという考え方なんですか、どうですか。  ことに私が伺いたいのは、問題の起こった七月四日の窪川町の教委の出した業務命令というのは、便所へ行くのにも教頭——校長は休んでいる。教頭の許可を得なければならない。校内で二人以上で話し合ってはならない。職員室へ私服警官を入れるということ。放課後といえども、教員は小室部落に行ってはならない。こういう内容のものを、県教委の管理課長、警察官の立会の上で、七月四日に興津の小、中学校の教師に対して出している。この業務命令が正当なものだとあなたはお考えになるかどうか。
  36. 福田繁

    福田政府委員 ただいまの御質問でございますが、今お述べになりましたような具体的な業務命令が出ておるかどうか、私、まだ承知いたしておりません。県の教育委員会の方からの報告によりますと、これは少し前でございますが、この学校の中に私服を入れるとかなんとかというようなことは今ないということを伺っております。  それからまた前段の御質問でございますが、一般的に、これは教育の場でございますので、そういう警察官を導入するというようなことが望ましいとは考えておりません。しかしながら、正常な教育を実施する場合におきまして、どうしても教育委員会だけの手ではどうにもならぬというような事態が起きれば、これはやむを得ず警察官にお願いをしてやるということも、これはあり得ると思います。
  37. 田中織之進

    ○田中(織)委員 正常な授業をやる場合に、万やむを得ない場合と、あなたは逃げておりますけれども教育行政という場面において警察権力を動員しなければならぬというような事態は、悲しいことじゃないですか。それだから、絶対に避けるようにあなたたちはやるべきではないですか。そこのところを私は、戦時中のあの軍閥、警察国家の時代でも、学校に常時とめておく、職員室に私服警官が入るというような事態は考えられなかったことが、高知県の窪川の小、中学校では現実に行なわれておるという事実を私は指摘したいのです。そんなことでは正常な授業をやれない。部落解放同盟——敵国人かなんかであれば、それはまた違った考えかもしれませんけれども、今度ば捜査令状も持たないで家宅捜査をやっている。天井まではがしているのです。何か武器を持っているだろうというので、一つとして武器は押収されていない。そういう平和な、その意味から見ればもう立ち上がる気力のないところまで押し込まれておる人たちに対して、これは権力機関としてやるとしても、愚の骨頂なやり方だと思う。警察が介入しないで教育行政がやれるような情勢をつくる、そういうような努力を、父兄及び教師、学校の管理者、教育委員会というものが努力するのが本筋でなければならぬ。それが教育基本法第一条の建前だと思うのです。あなたの言うように、万やむを得なければ権力の出動もあり得るというような、そんな文部省政府委員の答弁をそのままお聞きするわけにはいかないのです。あなた、訂正する意思はありませんか。
  38. 福田繁

    福田政府委員 私は、おっしゃるように、教育の場に警察官が入ってこないことを、そういうことによっていろいろ混乱が起きないということを希望するわけでありまして、一般的に、警察官を導入してどうこうしなければならぬというようには考えておりません。必ずしも望ましいとは考えていないわけです。
  39. 田中織之進

    ○田中(織)委員 それが本来の筋だと思う。その意味で今度のようなことについても、私は文部省も、今後の地教委の指導について考えてもらわなければならぬ。ことにこの七月四日の業務命令のことについては、これは業務命令だから外へ漏らしてはいかぬ、漏らしたら、職務上知り得た秘密を漏らしたということで、地方公務員法違反だということまでつけ加えている。それかあらんか、渡辺という、クリスチャンの先生なんです。部落の問題については実に熱心なんです。その先生は、どういう罪名かわからぬけれども、家宅捜索を受けておる。しかも私どもが心配するのは、又川校長はとにかく非行というようなものがあって、教委側もおそらく大いに折れたつもりで、現在休職になっておる。目の前の九月異動に現在残っておるそういう渡辺先生というようなものを配転をやる、そういう人事異動というものが計画されているのではないか。もしそういうことが行なわれるならば、現にまだ盟休という事態解決しない、それをこの夏休みの間に盟休というようなものを解決して、九月の新学期から子供たちが一緒に勉強できるようにということのために、私どもの組織としても人を派遣して現地の人たちを説得しているわけなんですけれども、こういう業務命令の内容から見るならば、九月に渦中の渡辺先生というような人たちが、やはりけんか両成敗的な形で配置転換というようなことをやるということがもし行なわれるとすれば、やはり又川校長の非行というものを教員は取り上げて、部落の差別をなくするために、差別された部落の人たちが今日置かれておる状態を引き上げるために、教育の場においても努力しようじゃないかという、こういう諸君に不利益な処分を行なうということになれば、これはひいては日本の憲法で認められておる部落解放運動というような社会運動、政治運動に対する弾圧だという結果になると私は思う。ことに、先ほど警備局長は、部落の中の盟休反対派に村八分的なことをやったと言うけれども、現に私が今申し上げた渡辺先生には小さい子供さんがいます。従って、興津のある部落から子守さんを雇うておったら、部落の人の肩を持つような教師のところへ子守にやってはいかぬと言って、その子守をやめさせられている。ある中学校先生の奥さんがパーマネント屋をやっていたら、解放同盟に肩を持つ先生の奥さんのやっているパーマネント屋へ行くなということで、現在そのパーマネント屋が開店休業の状態に陥っている。道を歩くと日教組なんか帰れと言ってつばを吐きかけられる。これは私は高知の地検でも申し上げました。県警の本部でも申し上げました。きょうは人権擁護局長に出てきていただいておると思うのでありますけれども、私は、こういうような問題こそむしろ人権侵害の問題として、法務省の中の二部局として存在する人権擁護局が取り上げなければならぬのじゃないかと思う。また、便所へ行くにも校長の許可を得なければならぬ、放課後小室部落へ行っちゃならぬ、それは盟休を長引かせることだ——放課後の教師としての職務時間、拘束時間を離れたものについてこういう業務命令を出すこと自体が人権侵害、違法な行為じゃないでしょうか。私は、内容は詳しく知りませんけれども、今度の学力テストの問題について、実施について京都市の教育委員会で出した業務命令の問題は、やはり人権侵害だということで、京都の法務局は提訴を受けていると聞いておるのでありますけれども高知でも、この問題については、関係方面に、むしろ人権侵害の問題として取り上げなければならぬということを私は申し上げたのでありますが、人権擁護局でこの間脳をお調べになったことがあるのかどうか、擁護局長がおいでになれば、この点についての御見解を伺いたい。
  40. 稲川竜雄

    ○稲川説明員 地元の高知法務局におきましても、この問題につきまして、まだいずれからも人権侵犯の申告がございません結果、調査には着手をしておりません。しかしながら、この問題の過程におきまして、そういういろいろな意味における憲法上の某本権が侵されたと行えるような問題がありましたならば、われわれとしては十分に調査をいたしまして、その結論を出したいと思っています。
  41. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私の方で人権侵犯の事件として法務局へ提訴しない、手続をとっていない、私の方でやっていないのだ。やはりこういう問題が取り上げられているということになれば、提訴がなければ取り上げないということではなくて、むしろ本省からでも人を派遣して実情を調べるべきだと私は思うのです。ことに、村八分をされたということで、傷害を受けたといって提訴している女のある部落の民生委員がいるのですが、解放同盟関係で町当局に対して生活困窮者に生活保護の手続をいたしましたら、そうすると、自分の部落に相談がなかったということで、町で生活保護の適用の扱いをしたことも逆にねじ込んだというような事実もあるのです。それが民生委員ですよ。それだから、現地の人たちに言わせれば、われわれこそやつに村八分にされることはあっても、そういうことではないということをとにかく言っておる。この問題も、教委の業務命令の内容の問題については人権擁護局長は答えられませんでしたが、こういうものが教育委員会の業務命令の内容だということになれば、それこそ戦時中にも見られなかった恐怖の中に教員が仕事をやらなければならぬということになるので、あなたたちは、提訴のあるなしにかかわらず、こういう問題があるということを知ったら調査すべきだと私は思う。その点重ねて伺いますが、いかがですか。
  42. 稲川竜雄

    ○稲川説明員 現地の法務局といたしましては、この問題につきましてかねて承知はしているのでありますが、どの点がどういう問題にからんで憲法上の基本権を侵害するかということも、これは非常にむずかしい問題でございます。その点慎重にかまえた点はあると思うのでありますが、従ってわれわれの方にも、現地からの、本日お話にありまするような詳細な報告がありませんで、私たちも存じない点はたくさんあるのであります。しかし、事が明らかになりました以上は、いろいろ問題点がございますから、かような問題点につきまして、憲法上の基本権を侵しているかどうかという点について、できる限りの調査をいたしたいと思っております。
  43. 田中織之進

    ○田中(織)委員 それでは、あと二、三点の問題に集約して私の質問を一応きょうは打ち切りたいと思うのであります。  その伺いたい一点は、先ほど濱田委員からも述べられましたが、この事件で、四日の日に七名の検挙者が出たときに、大阪弁護士会所属の山田弁護士がちょうど高知県へ参りましたので、解放同盟の方から依頼をいたしまして弁護についてもらうことにした。たしか四日の晩おそく、五分間ぐらいずつでありますけれども被疑者八人、傷害で逮捕状が出ておった者を含めて八人に面会をいたしました。そうして翌日、これまた大阪の弁護士会所属の小林君があすは弁護届けのために来るからということを山田弁護士窪川警察の署長に約束をして、その日は弁護士は面接して、届け出た。翌日小林君が参りますと、先ほども三輪局長が言うたような形で、取り調べ中だということで、何回も行っておる。そのうちに、二回目でありましたか、業を煮やしまして寒川の簡裁へ参りました。どうしても弁護士に接見をさせないということがあるかということで、裁判所の方から警察へ二回、三回にわたって実は警告を出されているのです。その点は、現地警察から警察庁の方へ報告がなかったとすれば、これは不当だと思うのであります。   〔委員長退席、小島委員長代理着席〕  これは実は七月の三十一日付をもちまして、今申しました小林君、それから大阪の佐々木哲蔵君、田中清臣君、ほか亀田得治君等、大阪の弁護士二十名の諸君から高知地方検察庁に対して告訴並びに告発状が出されておるのであります。その中にはっきり出ておることでありますけれども、弁護届を出すということに対して、今度の高知窪川警察署で山田弁護士なりあるいは小林弁護士が受けたような取り扱いを受けたということは、いまだかってないことだということで、大阪の弁護士会としても、きわめて重要な問題だという形で、現在告訴、告発が行なわれておるのであります。この間の事情については、簡裁から、面接までの間に、それはおかしいじゃないかということで注意があったはずなのです。それで一番しまいにどうにもならなくなって、六日の「午前弐時頃再び窪川簡易裁判所裁判官に前記申立に対する決定を要請した。裁判官はこんどは自ら電話で被告訴人らにその違法を指摘せられ、これ以上会はさなければ決定を出す旨の強い勧告をせられた。そこで被告訴人らはやむなく午前参時頃になって午前五時弐拾分から被疑者に接見させる旨を指定した。午前五時弐拾分に告訴人は三度同署に行った。そこえ二階から降りて来た被告訴人矢野は、ところで依頼書を持っているかと突然云った。驚いた告訴人が何故そのようなものが要るのか、今迄にそのようなものを請求した例はないではないかと答えると刑訴法何条により、あなたは未だ正式の弁護人でないからその依頼の事実を立証する必要があるといって法規例集を告訴人に渡した。」そうして刑訴法第三十九条及び第三十条の解釈としても、それが誤っていることは明らかだということを言ったけれども、どうしても会わせようとしなかった。そこで窪川警察から五百メートル離れたところの興津問題対策本部の二階に、被疑者のうちの浜崎、それと土方という、これは未成年者でありますが、この実兄が泊っていたのを思い出して、引き返してそれを連れて行ったそうです。そうすると、お前が被疑者の兄であるかどうかということはわからぬじゃないか、それで米穀通帳か戸籍謄本を持ってこい。こういうことで、たまりかねて、今度は一晩中翻弄されて窪川の簡裁へ行って決定をもらって、それで行ったところが、もう先ほど言うたような形で身柄を検察庁へ移している。検察段階で、四十八時間の警察で拘束できる間に、弁護士をつけることを計画的に妨害をしているのです。しかも、私も現地警察本部長なり、あるいは警察署長なりにもとにかく言ったのですけれども、そればどこの者が頼んだかわからぬような形、しかもその兄貴であるかどうかわからぬというような者を、たまたまほかの事件で逮捕状が出ていたということで、一階へそういう関係で連れてきている者を、兄貴であるかどうかわからんから、戸籍謄本を持ってこい、米穀通帳を持ってこいと言われておる人間を、別の警官が連れていって、お前は逮捕状が出ているからと言うてパクッている。これは検察庁で弁護人諸君が出している告訴状、告発状その通り事実なのです。これがもし事実でないとすれば、誣告になるのです。弁護士が、小島委員長代理も上村さんも弁護士であられますが、こんな取り扱いを受けた。これは少なくとも前日の四日には、そういうことであったけれども、これは私が先ほど言ったように、最初から無理なこけおどしな、大がかりな網を打ってえた狩りと同じような形のものをやろうという考え方、あるいは解放同盟から専門の弁護士が来て、事件にならなければ自分たちの面子がないというような考え方でやっておる。さらにあなた方は憲法の三十四条ですか、拘禁された者は弁護士選任することができるという憲法で認められた権利を無視しておる。従って取り調べにあたっては弁護士をつけられるのだということを被疑者に告げる義務があるにもかかわらず、告げていない。しかもその被疑者たちあるいはそういう家族の者から要請があって行った弁護士に対して、警察で拘束している間接見させないというようなことをやっておるということは、どう考えても私は警察の行き過ぎだと思う。それを依頼人がだれであるかというようなことを調べる権限があるのかどうか。弁護士の諸君が、それで黙っているかどうか。そんなことがどこにあるのか、私は明らかにしてもらいたいと思う。とともに、こういう形で警察官警察本部が指導しているということになれば、それこそ私は重大な問題だと思う。憲法違反の問題だと思うのです。  それからもう一つの問題は、九日の勾留理由開示の須崎支部の公判廷で、近藤検事は、被疑者たちはいずれも部落解放同盟の幹部だから証拠隠滅のおそれがあると言っているが、証拠隠滅ということは、いわば犯罪行為でしょう。そういうことを部落解放同盟の役員がやるのだという考え方は、これは明らかに検事の偏見じゃありませんか。過去においてもそういう例がある。部落問題についての高松の差別裁判、あるいは最近の例では、現在の清原検事総長の時代でありますけれども、一昨年の五、六月であったと思いますが、最高裁で広島高裁へ差し戻した事件があります。これは広島県の福山の部落青年が、部落外の娘さんと見合いの晩から結婚した問題についても、昭和部落というのは特殊部落として一般との交通を遮断されているから、尋常一様の手段では一般の娘さんと結婚することはできないというので、詐術と脅迫をもってこれを拉致するよりほか方法がないということで、監禁をして無理やりに結婚をしいたということで、福山支部も、広島高裁も、いずれも本人及び仲人を懲役一年の実刑に処した。しかし、これは最高裁で差し戻しになって、広島高裁で無罪になった事件であります。私は、そのときにも検事総長に申し上げておる。この事件については、そのときの法務委員会でありまするけれども、私も取り上げております。今度の警察弾圧の問題でもそうでありまするけれども、いまだに検察庁なり司法当局の中に、部落解放同盟だとか部落民とかいうものは、そういう法にはずれることをやる徒党の集団であるかのごとき考え方があるように見える。そういう考え方の上に立ってものを処理されたのではたまったものではありません。これは検事正にも抗議を申し上げておいたのでありまするけれども、私はこういう問題については、直接的には検事総長の指揮下にあるものでありまするけれども、法務大臣としてもやはり考えてもらわなければならぬと思う。高松事件のときから司法次官通牒で、部落問題に対する取り扱いについて厳とした注意が出ておるにもかかわらず、今から六、七年前に袖山でそういうことがあった。最高裁の段階までその考え方をなにするので、私どもも最高裁の異例の口頭弁論の当日、検事総長にお会いして、そのときの公判部長は井本君でしたが、井本君立ち会いの上で、三人の間で、最高裁の法廷に出した検事の趣意書の中から、重要な差別問題に関しての部分を削除するというような失態を検察庁は演じている問題があるのです。私は、今度の須崎における近藤検事の、部落解放同盟の役員だから証拠隠滅のおそれがあるというような、そういうきめつけ方は断じて許すことはできない。この点については、本省の方ではお聞きになっておるのかどうか。この問題はこの問題として、私はやはり法務当局において取り上げてもらわなければならぬ重要な問題だと思うのです。あといろいろ伺いたい点がありますが、いずれまた、処分も未決定の問題でありますし、私どもの期待しておるようにこの事件が裁判に係属しないような形で、一応警察なり検察庁の黒星としてでも終結するということであれば、おのずから違った形に発展するでありましょうけれども、もしそういうことになるとすれば、これは今申し上げたような問題とも、最後の二つの質問ともからんで私は非常に大きな問題に発展していく性質の問題だ、こういうように考えておるので、この点については特にきょう法務大臣も出られておるので、単なる地方的な開映ということではなしに、これは濱田委員も指摘されたように、国の政治の中で解決しなければならぬ大きな問題だという観点に立って善処していただきたいと思う。この三点についてお答えをいただきたいと思う。
  44. 中垣國男

    ○中垣国務大臣 田中さんのお尋ねの点でありますが、私でお答えできる点が二点あると思いますので、それをお答えいたします。  第一点は、接見禁止の問題でありますが、ただいま告訴、告発をされまして、審理中でございますので、その結論をどうこうと言うわけには参りませんけれども、御指摘のような観点に立ちまして十分に重視しまして法務省としては対処したいと思います。  それからもう一つの問題は部落解放同盟もしくは部落等の問題について官憲なりあるいは法務省あたりが何かの偏見を持っていないか、先入主を持っておるのではないか、そういうことがあっては断じてならぬと思います。そういうことがあってはならぬと思いますが、また私は、そういうことがあるとは実は思いません。この問題につきましても、御指摘のようなたとえば警察官の問題、あるいは先ほどからしばしば指摘されました検事の問題、そういうことがもしあるとしますならば、法務省としては十分に調査をしてみたいと存じております。
  45. 田中織之進

    ○田中(織)委員 最後に一言。先ほど文部当局に伺いましたら、七月四日のいわゆる業務命令というものの内容について詳しくお知りにならないようでありますけれども、この問題は、内容そのものが人権侵害だし、こういうようなものが業務命令の内容だということになりますならば、これは日教組に関係あるなしを問わず、私は教員として、また公務員の場合に非常に重要な問題になってくると思うので、この点については文部省の方においても、あるいはまた人権侵害のおそれがありますから法務省の関係においても、あるいはまた捜査当局の段階においても、私はやはり真偽を調べられて、これに対する正しい処置をとられることを最後に要望して、私の質問を打ち切ります。
  46. 小島徹三

    ○小島委員長代理 田中君に申し上げますが、先ほどの質問の中に自由民主党の方の同和対策についてのお話がございましたが、幾分誤解が生ずるような点があるかとも思いますから、その点はあとで御相談して訂正していただく点は訂正していただきたいと思いますから、御了承願います。  次会は明二十四日午前十時より開会することとして、本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十五分散会