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齋藤説明員 農業構造改善事業促進対策の
実施のその後の経緯につきまして御
報告申し上げたいと存じます。
構造改善事業につきましては、おおむね十カ年にわたりまして三千百の
市町村を
対象にして
事業を進めるということにいたしておりますので、今後
指定されるべき
地域あるいはその
地域におきましての
事業の
あり方等を明示いたして参る必要があるわけでございます。
予算といたしましては単
年度の
予算が計上されることになっておりますけれども、今申し上げましたような十カ年にわたる
事業でありますし、また一
地域につきましても、原則といたしまして
計画期間を一年、
実施期間を三年というふうに考えておりますので、そういう内容を持った
事業であるという
関係で、六月の八日に
農業構造改善事業促進対策について
閣議の
了解を得まして、この
事業は十カ年にわたって三千百の
市町村について行なうものであるということ、第二には、この
地域につきましては三カ年間を
目途として
事業を
実施することにいたしまして、一
町村平均四千五百万円の補取と
平均二千万円の
融資を行なうことに
政府として努力するということ、第三は、本
対策の
実施につきましては、
実施地域において、
関係各省や都道
府県が、これに関連する諸
施策を総合的に推進するように努める、以上三点につきまして
閣議の
了解を得ました次第でございます。
これと若干前後いたしますが、五月の二十五日に
構造改善事業につきましての
促進対策の
実施要領をきめまして、これに基づきまして、各
府県の
計画の樹立、
事業の
実施の
指導に当たるという
措置をとることにいたした次第でございます。
構造改善事業そのものにつきましては、すでに本
委員会におきましても御
説明いたしたところでございますので、主としてその後の経過につきまして申し上げたいと存ずる次第でございます。
構造改善事業そのものにつきましては、すでに申し上げたことかと存じますが、
農業基本法におきましては、
農業構造改善という定義をいたしております。そうしてまたこの
構造改善に関連する諸
施策として、
基本法では
自立経営の育成であるとか、あるいは協業の助長であるとか、あるいは
農地の
細分化の防止であるとか、あるいは
農業教育の
振興であるとかいった各般の
施策を掲げておりますが、二十一条におきまして、これらの
農業構造改善事業の
条件整備に関する
事業を総合的に
実施する場合に、国がこれに対して
助成するという
措置を規定しておるわけでございます。従って、この
事業は、
構造改善対策の一環として、
制度的な分野につきましては、これは別のいろいろの
施策があるわけでございますが、
事業を通じて特定の
地域にその
条件の
整備をはかろうというのがこの
構造改善事業であるわけでございます。そういう意味におきまして、三十六
年度におきましては、御承知の
通り五百の
計画地域を
指定いたしたのでありますが、三十七
年度におきましては、引き続きそれに加えて三百の
計画地域を八月に
指定することにいたしたわけでございます。従って、現在では八百の
計画地域が一応
指定されておるのでございます。三十六
年度におい七
指定されました五百の
地域の中から
本年度事業を
実施すべき
地域といたしまして、二百の
地域を選ぶことに
予算上
計画いたしております。従って、この二百の
地域についての
事業の
審査に現在当たっておるわけでございまして、八月から今日まで
予備審査の
段階を経まして、現在
一般地域につきましては約十
町村の
事業の
承認をして、
事業実施の
段階に入ることになっておるわけでございます。引き続き、この
地域につきましては、
計画を
審査し、了承次第、逐次
承認をいたすということにしておりまして、十一月一ぱいには相当の数の
町村の
事業承認が行なわれるという
段取りにしておる次第でございます。
また、
パイロット地域につきましては、すでに
事業を
実施する
地域として、三十六
年度において
指定いたしたわけでございますが、この
事業の
計画審査につきましても、八月ごろから
予備審査をいたしておりまして、現在まで約三
地域だと思いますが、
事業承認を与えております。これも十一月中には大
部分の
パイロット地域の
事業審査を了して
事業に入るという
段取りに持っていきたいと考えておるわけでございます。当初は、七月にようやく各
ブロック会議を開きまして、
関係府県と
事業の
進め方についての打ち合わせを了して参りました
関係で、なお十分なる
指導の徹底を欠く
部分がございましたので、
事業の
審査あるいは
計画のその後の
進め方等について若干のおくれを来たしたわけでございます。そういう観点に立ちまして、本
年度におきましては、われわれのこの
事業の
審査のあり方といたしましては、できるだけ十分に時間を持ってよい
計画ができるように、また
町村としても
実施の諸
条件が整ったところを選んで参るという考え方をとりまして、必ずしもこの
予算上の
計画町村にとらわれないという考え方で現在対処いたしておるわけでございます。また、
パイロット地域につきましても同様な考え方をもちまして、その後において、自分の
町村は展示的拠点としての諸
条件を整えるには困難な
地域であるから、むしろ
一般地域に切りかえて
実施した方が望ましいというような
町村の意向もございますので、実は十月早々に各
府県に通達いたしまして、
パイロット地域についてもできるだけ優秀な
計画ができるように今後とも
指導して参るという所存でございますけれども、
実施の
条件が整っていない、あるいは展示的拠点としての
計画までには必ずしもふさわしくないというふうに
町村自身で判断し、
パイロット地域の
指定を解除してもらいたいという希望がある場合におきましては、これらの
町村は今月の二十日までに
指定の解除の申請をすることができるという道を開きまして、同時に、その
地域におきまして
一般地域として
事業を進めたいという
計画変更の届出があれば、自動的に
一般地域の
計画地域として三百
地域に加えて
指定する、こういう道を開くことにいたした次第でございます。これによりまして、九十一
地域の中の若干の
町村は
パイロット地域から
一般地域に移るものも出てくるであろうと予想しておる次第でございます。
そういうことで本
年度の
事業の経過は現在まで推移いたしておりますが、当
委員会におきまして二、三の点について申し上げなかった点を、ここで申し上げておきたいと存じます。
第一は
予算の
事業規模でございます。これには、先ほど申し上げましたように、一
町村平均四千五百万円という
補助額を総合的に
助成するという立場で交付するということが書いてございますが、
町村によりまして面積の大小あるいは農家戸数の大小等がございますので、一律に四千五百万円ということでははなはだ不合理であるから、当然それらを加味して増減すべきであるという要望もございました。また
計画を立てる場合におきまして、そういうある程度の見通しを与えられなくしては、
町村としてはどのような
事業規模を考えて
計画を立てていいか、
計画を立てるのにはなはだ苦労するという要望もございまして、そこで四千五百万円につきましての一応の各
地域の配分の
基準をその後において各
府県に示した次第でございます。その考え方といたしましては、農家戸数及び
農地面積に応じてこれを配分するという基本的な考え方をとっておるわけでございまして、
農地面積につきましては、水田と普通畑と果樹園と桑園に分けまして、それぞれの評価を行なって面積を点数で表示するという方法をとった次第でございます。草地につきましては、適切なる評価方法がございませんので、家畜頭数に換算しまして、換算した家畜頭数を評点に使った次第でございます。農家戸数につきましては、専業農家と兼業農家におきましては、換算率を変えて評点を出すということにいたした次第でございます。それによりまして、各
町村の評点が
全国平均したものが四千五百万円になるように、こういうことで各
市町村の評点を出したわけでございますが、これによりますと
補助金額としまして二千万円から九千万円くらいに分布されるわけでございます。従って
事業費として四千万円以上から一億八千万円以上というような
事業配分になるわけでございます。これにはいろいろ議論があるところでございまして、面積と戸数の増減に応じて配分するというのが一応公平な
基準であろうということで今申し上げたような方法をとったのでありますが、これには、たとえば今後の
計画内容を見て具体的に
事業費をきめるべきではないか、あるいは後進
地域については一そう厚くした配分方法をとるべきではないかというようなことが当然議論としてはあり得るわけでございます。そこで、一々の
計画の積み上げによって査定するということも困難でございますので、今申し上げたような一般的な
基準によるほかに、県においては約一〇%、国においては約五%の
調整保留分を持ちまして、これによって今申し上げたような
計画の内容あるいは今後の開発の重要度等を勘案してそれを
調整していこう、こういう考え方をとった次第でございます。
それから第二点といたしましては、この
事業につきまして各地で主産地化ということが行なわれておるわけでございます。
事業を進めますわれわれの考え方といたしましては、この
地域に包含される農家が今後の所得の増大をはかる
ために飛躍的に労働生産性を高める、その
ために
土地、資本、労働技術というような面について
経営構造の改善をはかっていくということが
一つの考え方でございます。他方におきましては、この
経営を実行する場合におきまして、やはり
農業も産業として考えていく必要がございますので、その際何をいかにしてつくるかということが当然問題になる。そこで作目の何をという場合には作目の選定が問題になるわけでございますが、これをわれわれは適地適産という言葉を使っておるわけでございます。同時にその適地適産を通じて営農
計画を立てます場合に、今の市場の
条件に適合するような生産の態勢を考えていきます場合には、やはりある程度の量的、質的なまとまりを持ったものを生産していく必要があろう。そこでこれを主産地化という言葉で言っておるわけでございます。
そこで、このような作目をどのようにしてやるのかという点につきましては、われわれといたしましては当然その地方におきまする——これは十七ページに今の点について規定いたしておるわけでございまして、十七ページの「
農業構造改善事業促進対策の
実施について」ということでございますが、その第2というところに今の点が書いてあるわけでございます。「その
地域における作目構成と
経営の現状についての明確な認識に基づき、今後の営農改善の方向と市場
条件の見通しに即しつつ、作目構成の単純化と
経営の専門化を指向するよう
指導するものとする。この場合特に配慮すべき観点は、次の事項である。」ということで、必ずしも一
地域について一作目とか二作目とかいうような限定的な考え方は全然とっていないのでございますが、そういう適地適産の考え方をここでうたっておるわけでございます。
そこで、そういうことになりますると、
市町村の
地域、行政
区域に限定することが必ずしも不適当ではないというふうにも考えられますので、先ほども申し上げました
実施要領におきましては、必ずしも
地域指定については一
町村に限らない。二
町村あるいは数カ
町村が合同で
事業をやるというような場合においては、数カ
町村を同時
指定するとかあるいは一
地域として
指定するという場合も差しつかえないというふうな扱い方の指示をいたしておる次第でございます。
大体以上のような経緯でございまして、各
町村からは、先ほど御
報告がありました中にありますが、もっと
事業規模を
拡大すべきである、あるいは
補助率が現状の
補助率によってはまだ低過ぎるというふうなことが要望として出ておる次第でございます。
事業費の
規模につきましては、これはできるだけ
実情に沿うという考え方からいえば、多いところもあり少ないところもあるわけでございまして、先ほど申し上げましたような
調整保留額の活用によって、できるだけその
計画がよりよいものに実現できるように
調整をはかるような努力をいたして参りたいと考えております。また負担率等につきましては、農林省の現在の
補助率から見ますと、今回の五割の
補助というのは必ずしも低い
補助率であるというふうには考えられないのでございますけれども、絶対額自身が相当大きくなっておりますので、農民から見ると負担感が多い、こういうふうな感じを持っておられることは、これはいなめない事実であろうと思うわけでございます。今後こういう面についての検討も引き続き行なって参りたい、かように考えておる次第でございます。
以上、簡単でございますが、経過を御
報告いたしました。