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1962-11-12 第41回国会 衆議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十一月十二日(月曜日)    午前十時五十九分開議  出席委員    委員長代理 理事 秋山 利恭君    理事 田口長治郎君 理事 山中 貞則君    理事 足鹿  覺君 理事 東海林 稔君       金子 岩三君    仮谷 忠男君       小枝 一雄君    綱島 正興君       内藤  隆君    中山 榮一君       野原 正勝君    松本 一郎君       石田 宥全君    角屋堅次郎君       栗林 三郎君    中澤 茂一君       永井勝次郎君    楢崎弥之助君       安井 吉典君    山田 長司君       湯山  勇君    稲富 稜人君  委員外出席者         農林事務官         (振興局長)  齋藤  誠君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 十月十九日  委員仮谷忠男辞任につき、その補欠として橋  本龍伍君が議長指名委員に選任された。 同日  委員橋本龍伍辞任につき、その補欠として仮  谷忠男君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員楢崎弥之助辞任につき、その補欠として  田邊誠君が議長指名委員に選任された。 同日  委員田邊誠辞任につき、その補欠として楢崎  弥之助君が議長指名委員に選任された。 十一月九日  委員仮谷忠男辞任につき、その補欠として橋  本龍伍君が議長指名委員に選任された。 同日  委員橋本龍伍辞任につき、その補欠として仮  谷忠男君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員寺島隆太郎辞任につき、その補欠として  前尾繁三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員前尾繁三郎辞任につき、その補欠として  寺島隆太郎君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員西宮弘辞任につき、その補欠として永井  勝次郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員永井勝次郎辞任につき、その補欠として  西宮弘君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(農業構造改善事  業に関する問題)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 秋山利恭

    秋山委員長代理 これより会議を開きます。  過般、農業及び漁業構造改善事業農地開発事業てん菜栽培事業並びに酪農事業等実情調査ため、北海道及び愛知兵庫岡山香川徳島、秋田、青森の各県に委員を派遣したのでありますが、この際、派遣委員より報告を聴取することにいたします。第二班湯山勇君。
  3. 湯山勇

    湯山委員 第二班の調査報告をいたします。  去る十月五日から十日まで、閉会中における国政調査ため派遣され、愛知兵庫徳島香川及び岡山の五県にわたって漁業及び農業構造改善事業中心としながら、現地におけるこれらの実情について調査をいたして参った次第であります。  以上の通り、今回の調査は主目的構造改善事業に置いていた関係から、報告に入ります前に構造改善事業の概要について申し上げることといたします。  まず農業に関しましては、閣議了解に基づく農業構造改善事業促進対策により、全国約三千百の市町村についてそれぞれ昭和三十六年度からおおむね十カ年を目途として実施されるものであります。しかして国は、本対策により市町村ごとにおおむね三カ年間を目途として実施する総合助成事業に対し、一市町村平均四千五百万円の補助を行なうこと、従って一市町村平均九千万円の事業費となるわけであります。また、この総合助成事業とともに補助対象とならない事業についても、一市町村平均二千万円の事業について農林漁業金融公庫資金及び農業近代化資金融通を行なわんとするものであります。従いまして補助事業及び融資事業を含めて一市町村平均一億一千万円の事業を行ない、資本と土地零細性を特徴とするわが国農業構造を改善し、農地保有合理化農業経営近代化をはからんとするものであります。  次に、漁業にあっては農林事務次官通達による沿岸漁業構造改善対策要綱に基づき、その対象を無動力船、または総トン数十トン未満の動力船を使用し、あるいは漁船を使用しないで営む漁業、すなわち規模の零細な階層が営む沿岸漁業に限定して行なわんとするものであって、一県一地域とし、全国四十二地域について実施するものであります。この場合、国は一指定地域すなわち一県平均三億円の補助をすることとし、本事業平均五割補助でありますから、事業費平均六億円となるわけでありますが、この六億円については、それぞれ半額に相当する三億円の規模における二種類の事業実施することにしております。すなわち漁場改良造成事業及び経営近代化促進対策事業実施せんとするものであって、その実施期間については前者は十カ年、後者は四カ年と異なっているのであります。また、農業におけるごとくワクの設定はいたしておらないが、これらの事業及びそれ以外の沿岸漁業近代化するため事業あるいは経営を安定するため事業について農林漁業金融公庫資金融通をはかることとしているのであります。  以上、構造改善事業趣旨について申し上げましたが、私どもはこれが現地実態について、まず愛知県においては農業用水の給源をなす愛知用水について東郷調整池である愛知池上野サイホン等を視察するとともに これが用水を利用して、従来の主穀中心経営から果樹、蔬菜を取り入れた商品生産的農業構造改善を行なわんとする西加茂郡三好町南部地区パイロット地域を視察いたし、また畑地潅漑実情を見て参ったのであります。  また、漁業関係については、愛知県は本年度から事業実施に入った沿岸漁業構造改善事業実施県であり、特に沿岸漁業のうち発展的漁業一つであり、本県における構造改善対策基幹事業とされているノリ養殖業について、常滑市において防波導流柵設置による漁場造成模様等を視察いたしたのであります。  次いで兵庫県においては、まず漁業関係について瀬戸内海漁業調整事務局において、狭い漁場に過剰な漁業人口をかかえ、さらに近年においては臨海工業地帯造成が進み、漁場利用関係がますます輻湊してきているわが国沿岸漁業の縮図ともいうべき瀬戸内海漁業一般的事情について説明を聴取するとともに、真珠検査所真珠加工場、神戸市須磨区において赤穂漁業協同組合が行なう観光漁業についてフィッシング・センターを視察し、あるいは淡路島においては由良町における大規模ハマチ養殖場等を視察いたしたのであります。  また、農業関係については、国の対策に先行して地元の非常な熱意と努力とにより、県営でもってすでに三十六年、三十七年の二カ年間で構造改善事業実施した加西桑原田地区における近代化パイロットファームを視察し、また淡路島においては三原郡南淡町における農業水利改良事業として建設中の県営大日川ダム現場を視察したのであります。  次いで香川県においては、瀬戸内海における沿岸漁業構造改善事業重要部門である海面養殖業を重点的に調査することとし、海面養殖業発祥地である安土池養殖場を初め、車エビ、カニ、タコ、フグ等養殖を行なう壇の浦を中心とする庵治養魚場、生島における車エビ養殖株式会社等を視察いたしたのであります。  最後に岡山県においては、養鶏主幹作目に選定し、二十一万羽養鶏による主産地形成を目ざす吉備郡高松町における構造改善事業について説明を聴取し、また久米郡久米南町東南に位置し、標高三百メートルの山間にある畝北集落において梅雨播ビート栽培実情を視察したのであります。  漁業関係においては、玉野市周辺における善兵衛島のハマチ養殖、その付近における真珠養殖実態を視察するとともに、岡山県における水産業実情、特にタイ、チヌ等高価な魚種激減傾向にかんがみ、これら資源の増加をはかるため栽培漁業センター設置を強く要望している牛窓町付近状況を視察いたしたのであります。  以上の通り、各県においてそれぞれ調査いたして参ったのでありますが、時間の関係もありますので、次に今回の調査を通じまして感じました重点事項等について若干申し述べることにいたします。  まず、農業構造改善事業について。  第一点は計画地域指定についてであります。農業構造改善の緊急度並びに地域内農業従事者及び農業団体熱意、能力、その他事業実施条件整備状況等から判断して、市町村区域のうち一定の地域を限定して指定することになっているのでありますが、この地域指定を厳格にする場合は、たとえば集乳施設設置等については小地域に限定され不適当な場合があるため地域指定を緩和することが望ましい場合があることであります。また同一市町村区域にあって実施地域とそれ以外の区域との調整の問題であります。この問題は事業規模とも関連することでありますが、実施地区をしぼって事業が行なわれる関係から、実施地区からはずれた地区に対する方策を考える必要があることであります。それがためには、引き続き第二次構造改善対策事業を考えることもありましょうが、とりあえずの方策について考えなければならないことを感じて参ったのであります。この点に関して、愛知県においては構造改善事業と並行して県費補助事業を三カ年計画実施することとし、一地域平均五百万円の補助とし、構造改善事業の円滑な実施をはかることにいたしており、一考すべき案として見て参った次第であります。  第二点は、事業費ワク拡大についてであります。補助事業費九千万円、融資事業費二千万円というワクづけは中途半端であってこれが拡大をされたいということであります。この点に関しては、農業基本法目的構造改善事業との関係等からしても当然のことである反面、財政上の制約もまた考えねばならないことであり、困難な問題ではあるが、ある程度弾力的な取り扱いが必要と考えられる次第であります。なお、これが一方法として、融資事業については事業ワクを設定しないこととするようとの意見もあったのであります。  第三点は、農業近代化資金等金融対策についてであります。この点に関しては、特に兵庫加西桑原田地区において実施した県営近代化パイロットファームの経験に基づいて出されたものでありますが、本事業は総額約一億三千六百万円であって、その内訳は、国及び県の補助約六千五百万円、農業近代化資金からの借入金約五千四百万円、地元調達一千七百万円で実施されておるのであります。このうち農業近代化資金からの借入金については根本的な問題が露呈されてきているのであります。すなわち、近代化資金はその目的から構造改善事業に対する融資に限定されたものではなくて、本来すべての農業経営者対象としており、しかも融資ワクが限定される以上、構造改善事業実施地域とその他の地域における農業経営者との資金ワク調整が必要となり、結局構造改善事業に対する融資に円滑を欠くこととなることになるわけであります。また、現実問題として農業信用基金協会が八割の債務保証を行なうわけであるが、それ以外の残りの部分についてある程度の有価証券を担保として要求すること等もあって、農業近代化資金を利用する上において相当問題があるようであります。これらのことは、農業近代化資金制度構造改善事業とあまりにも密着せしめて運用せんとすること等から問題が生じておるのであります。確かに本制度構造改善事業を推進する上において金融上重要な柱であり、これが資金ワク拡大をはかり、利子補給率の引き上げをも考慮して一そう効果的なものとするとともに、さらに基本的なものとして、構造改善事業資金融通に関する制度を確立すべきであることを強く感じて参った次第であります。  次に、その他の点について、それぞれ要望された点について申し上げます。  一、市町村事業主体となる事業については、補助残融資金を受ける道がなく、実際上不便があるので、この種の事業については、その種目の基準を明らかにして適債事業とし、起債を認めること。  二、山村における構造改善事業については、たとえば農道事業について見ても、受益面積実施基準に達せず、適格性がなくなる場合が多く、結局構造改善事業ポケット地帯となり取り残される。山村においては、農業を営む者があわせ営む林業経営近代化に必要な事業に対しても助成対象とされたいこと。  三、不動産取得税等が相当の負担となっているので、この事業趣旨から、構造改善事業によって取得した施設については、固定資産税不動産取得税を免除すること。  四、構造改善事業と並行して、青果物、鶏卵等農畜産物価格安定措置を確立すること。  五、農業近代化の根幹をなす土地基盤整備事業は、経済効果の速度がおそい点から特に補助率を引き上げること。  次に沿岸漁業構造改善対策事業についてでありますが、本事業についても、農業における場合と同様趣旨の問題が多いのでありますが、次に漁業上特に重要と考えられる二、三の点について申し上げることといたします。  第一点は、海面養殖業についてであります。沿岸漁業構造改善事業一つの重要な柱としていて、とる漁業からつくる漁業へということで、海面養殖業が特に瀬戸内海中心として急激に発展を見てきているのであります。その中でも代表的なものはハマチ養殖業であります。この種のものは養魚が比較的容易なこと等から、五十万尾に近い養魚を行なう網仕切式の大規模のものから小割式の小規模のものまでその数が増加し、生産量も急増を来たしているのであります。しかるに、これが市場調査あるいは販路の開拓等流通対策がこれに伴わず、今漁期において早くも魚価の低落が憂慮されている状態であります。また、これらの養殖業餌料としてコウナゴ、あるいは片口イワシを鮮魚のまま用いるものでありますが、これら餌料対策が十分でないため、漸次餌料割高現象を来たし、その経営を不安定なものとしてきているのであります。これがためには、人工餌料研究等により乾燥飼料を研究する等、飼料費の低減をはかることが重要とされているところであります。また、これら養殖業海面において行なわれる関係から、常に暴風あるいは赤潮等の天災の危険にさらされるため養殖共済制度の確立をはかり、漁業経営の安定をはかることが望まれていたところであります。なお、これら施策早期実現を期するためには、これらの者からなる全国的な組織をすみやかに整備する必要が感ぜられた次第であります。これら組織の要請を待つまでもなく、政府あるいは県当局においても、養魚技術指導もさることながら、他面市場調査及びこれが開拓を行なう等とともに、需給計画を確立すること、あるいは魚価対策を考究することが緊要の問題となっているところであります。  第二点としては、漁船漁業対策についてであります。海面養殖業については、立地条件に恵まれた一部の沿岸漁業者対策としてはある程度効果が期待されるところでありますが、沿岸漁業構造改善全国的に推進するためには、その中心はやはり漁船漁業対策であろうと考えられるのであります。しかるに、漁船漁業に対する具体策瀬戸内海においても残された困難な問題であるということであったのであります。この点について、愛知県においては、漁場探索等集団操業ため中心船の建造により、マグロはえなわ漁業あるいは外海出漁をはかるということでありましたが、これとても決定的なものとなり得るものとは考えられず、経営近代化対策事業を推進する上において漁船漁業対策は今後の大きな課題であることを感じて参った次第であります。  第三点は、海面養殖業に対する免許制度についてであります。さきの漁業法の改正により、大規模海面養殖業についての漁業権免許存続期間は、従来の五年から十年に延長されたのでありますが、今回調査に当たった香川県下の安土池養殖場は、従来から内水面として扱っており、海面扱いをしておらないのであります。この例に見られるごとく、築堤式による養殖業に対する制度取り扱いがまちまちであり、せっかくの漁業権免許存続期間の延長も受け入れられない結果となることも考えられるので、政府としてもこれが指導を十分に行なう必要があることを感じて参った次第であります。  以上、御報告を終わります。(拍手)
  4. 秋山利恭

  5. 小枝一雄

    小枝委員 委員派遣第三班の調査について御報告いたします。  第三班は、去る十月十一日から十四日までの間、私のほか倉成正君、石田宥全君の三名をもちまして、八郎潟干拓事業青森県等におけるビート栽培及びビート糖業事情上北機械開墾地区営農状況並びに岩木山麓開拓パイロット事業等について調査を行なって参りました。以下その結果について詳細にわたり報告いたしたいのでありますが、調査対象としたものがいずれも大きな事業であり、または重要な問題を含むものでありますので、報告に長時間を要します。そこで、この際、朗読は省略し、この報告書をそのまま会議録に掲載していただくよう委員長にお願いする次第であります。  ただ、ここで調査の結論を一言にして申し上げますならば、八郎潟干拓事業は、おおむね予定通り進捗し、明三十八年度に干陸化されますが、その完成を計画通りに行なうためには、予算を確保すること、並びに干陸後においていかなる形態の農業をここに創設するか、いかなる農村を建設するか等いまだ青写真が未定でありますので、わが国農業構造改善のモデルとなるような農業を創設するため早期に、しかも慎重にこれが大綱を定めることを望むものであります。  青森県等におけるビート栽培並びにビート糖業につきましては、この地方におけるビートの導入が希望を持って推進され、また新たに大工場の建設を見たときに際しまして、現下の砂糖政策は混迷し、生産農民及び糖業界に不安、動揺を与えておりますので、この際振興ための万全の施策を早急に確立すべきであると思うのであります。  次に、上北機械開墾地区営農状況についてでありますが、これは予想以上の成績をおさめ、七十万円以上の粗収入をあげているものもありますが、しかしながら、数年を経ずし階層分化が現われ、特に最終年次の三十四年度入植者には粗収入二十万円以下のものが十三戸も出ておりますので、将来に問題点を提起していると思うのでありまして、これらに対し適切な指導追加資金の供給、貸付金条件緩和等措置が必要と思われます。  岩木山麓開拓パイロット事業等青森県の開発事業に対しては相当の期待が寄せられますが、青森県全体の開発事業はきわめて低調でありますので、今後においては東北一の開発後進県の汚名を返上し、これを振興せしめるため早急に総合開発事業実施をはかるとともに、個々の開発事業の一そうの推進をはかる必要があると思う次第であります。  以上、簡単に御報告申し上げます。
  6. 秋山利恭

    秋山委員長代理 ただいまの小枝君の申し出の通り、第三班の派遣報告の詳細につきましては会議録に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 秋山利恭

    秋山委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。      ————◇—————
  8. 秋山利恭

    秋山委員長代理 次に、農林水産業振興に関する件について調査を行ないます。  農業構造改善事業に関する問題について齋藤振興局長より説明を聴取することにいたします。齋藤振興局長
  9. 齋藤誠

    齋藤説明員 農業構造改善事業促進対策実施のその後の経緯につきまして御報告申し上げたいと存じます。  構造改善事業につきましては、おおむね十カ年にわたりまして三千百の市町村対象にして事業を進めるということにいたしておりますので、今後指定されるべき地域あるいはその地域におきましての事業あり方等を明示いたして参る必要があるわけでございます。予算といたしましては単年度予算が計上されることになっておりますけれども、今申し上げましたような十カ年にわたる事業でありますし、また一地域につきましても、原則といたしまして計画期間を一年、実施期間を三年というふうに考えておりますので、そういう内容を持った事業であるという関係で、六月の八日に農業構造改善事業促進対策について閣議了解を得まして、この事業は十カ年にわたって三千百の市町村について行なうものであるということ、第二には、この地域につきましては三カ年間を目途として事業実施することにいたしまして、一町村平均四千五百万円の補取と平均二千万円の融資を行なうことに政府として努力するということ、第三は、本対策実施につきましては、実施地域において、関係各省や都道府県が、これに関連する諸施策を総合的に推進するように努める、以上三点につきまして閣議了解を得ました次第でございます。  これと若干前後いたしますが、五月の二十五日に構造改善事業につきましての促進対策実施要領をきめまして、これに基づきまして、各府県計画の樹立、事業実施指導に当たるという措置をとることにいたした次第でございます。  構造改善事業そのものにつきましては、すでに本委員会におきましても御説明いたしたところでございますので、主としてその後の経過につきまして申し上げたいと存ずる次第でございます。  構造改善事業そのものにつきましては、すでに申し上げたことかと存じますが、農業基本法におきましては、農業構造改善という定義をいたしております。そうしてまたこの構造改善に関連する諸施策として、基本法では自立経営の育成であるとか、あるいは協業の助長であるとか、あるいは農地細分化の防止であるとか、あるいは農業教育振興であるとかいった各般の施策を掲げておりますが、二十一条におきまして、これらの農業構造改善事業条件整備に関する事業を総合的に実施する場合に、国がこれに対して助成するという措置を規定しておるわけでございます。従って、この事業は、構造改善対策の一環として、制度的な分野につきましては、これは別のいろいろの施策があるわけでございますが、事業を通じて特定の地域にその条件整備をはかろうというのがこの構造改善事業であるわけでございます。そういう意味におきまして、三十六年度におきましては、御承知の通り五百の計画地域指定いたしたのでありますが、三十七年度におきましては、引き続きそれに加えて三百の計画地域を八月に指定することにいたしたわけでございます。従って、現在では八百の計画地域が一応指定されておるのでございます。三十六年度におい七指定されました五百の地域の中から本年度事業実施すべき地域といたしまして、二百の地域を選ぶことに予算計画いたしております。従って、この二百の地域についての事業審査に現在当たっておるわけでございまして、八月から今日まで予備審査段階を経まして、現在一般地域につきましては約十町村事業承認をして、事業実施段階に入ることになっておるわけでございます。引き続き、この地域につきましては、計画審査し、了承次第、逐次承認をいたすということにしておりまして、十一月一ぱいには相当の数の町村事業承認が行なわれるという段取りにしておる次第でございます。  また、パイロット地域につきましては、すでに事業実施する地域として、三十六年度において指定いたしたわけでございますが、この事業計画審査につきましても、八月ごろから予備審査をいたしておりまして、現在まで約三地域だと思いますが、事業承認を与えております。これも十一月中には大部分パイロット地域事業審査を了して事業に入るという段取りに持っていきたいと考えておるわけでございます。当初は、七月にようやく各ブロック会議を開きまして、関係府県事業進め方についての打ち合わせを了して参りました関係で、なお十分なる指導の徹底を欠く部分がございましたので、事業審査あるいは計画のその後の進め方等について若干のおくれを来たしたわけでございます。そういう観点に立ちまして、本年度におきましては、われわれのこの事業審査のあり方といたしましては、できるだけ十分に時間を持ってよい計画ができるように、また町村としても実施の諸条件が整ったところを選んで参るという考え方をとりまして、必ずしもこの予算上の計画町村にとらわれないという考え方で現在対処いたしておるわけでございます。また、パイロット地域につきましても同様な考え方をもちまして、その後において、自分の町村は展示的拠点としての諸条件を整えるには困難な地域であるから、むしろ一般地域に切りかえて実施した方が望ましいというような町村の意向もございますので、実は十月早々に各府県に通達いたしまして、パイロット地域についてもできるだけ優秀な計画ができるように今後とも指導して参るという所存でございますけれども、実施条件が整っていない、あるいは展示的拠点としての計画までには必ずしもふさわしくないというふうに町村自身で判断し、パイロット地域指定を解除してもらいたいという希望がある場合におきましては、これらの町村は今月の二十日までに指定の解除の申請をすることができるという道を開きまして、同時に、その地域におきまして一般地域として事業を進めたいという計画変更の届出があれば、自動的に一般地域計画地域として三百地域に加えて指定する、こういう道を開くことにいたした次第でございます。これによりまして、九十一地域の中の若干の町村パイロット地域から一般地域に移るものも出てくるであろうと予想しておる次第でございます。  そういうことで本年度事業の経過は現在まで推移いたしておりますが、当委員会におきまして二、三の点について申し上げなかった点を、ここで申し上げておきたいと存じます。  第一は予算事業規模でございます。これには、先ほど申し上げましたように、一町村平均四千五百万円という補助額を総合的に助成するという立場で交付するということが書いてございますが、町村によりまして面積の大小あるいは農家戸数の大小等がございますので、一律に四千五百万円ということでははなはだ不合理であるから、当然それらを加味して増減すべきであるという要望もございました。また計画を立てる場合におきまして、そういうある程度の見通しを与えられなくしては、町村としてはどのような事業規模を考えて計画を立てていいか、計画を立てるのにはなはだ苦労するという要望もございまして、そこで四千五百万円につきましての一応の各地域の配分の基準をその後において各府県に示した次第でございます。その考え方といたしましては、農家戸数及び農地面積に応じてこれを配分するという基本的な考え方をとっておるわけでございまして、農地面積につきましては、水田と普通畑と果樹園と桑園に分けまして、それぞれの評価を行なって面積を点数で表示するという方法をとった次第でございます。草地につきましては、適切なる評価方法がございませんので、家畜頭数に換算しまして、換算した家畜頭数を評点に使った次第でございます。農家戸数につきましては、専業農家と兼業農家におきましては、換算率を変えて評点を出すということにいたした次第でございます。それによりまして、各町村の評点が全国平均したものが四千五百万円になるように、こういうことで各市町村の評点を出したわけでございますが、これによりますと補助金額としまして二千万円から九千万円くらいに分布されるわけでございます。従って事業費として四千万円以上から一億八千万円以上というような事業配分になるわけでございます。これにはいろいろ議論があるところでございまして、面積と戸数の増減に応じて配分するというのが一応公平な基準であろうということで今申し上げたような方法をとったのでありますが、これには、たとえば今後の計画内容を見て具体的に事業費をきめるべきではないか、あるいは後進地域については一そう厚くした配分方法をとるべきではないかというようなことが当然議論としてはあり得るわけでございます。そこで、一々の計画の積み上げによって査定するということも困難でございますので、今申し上げたような一般的な基準によるほかに、県においては約一〇%、国においては約五%の調整保留分を持ちまして、これによって今申し上げたような計画の内容あるいは今後の開発の重要度等を勘案してそれを調整していこう、こういう考え方をとった次第でございます。  それから第二点といたしましては、この事業につきまして各地で主産地化ということが行なわれておるわけでございます。事業を進めますわれわれの考え方といたしましては、この地域に包含される農家が今後の所得の増大をはかるために飛躍的に労働生産性を高める、そのため土地、資本、労働技術というような面について経営構造の改善をはかっていくということが一つの考え方でございます。他方におきましては、この経営を実行する場合におきまして、やはり農業も産業として考えていく必要がございますので、その際何をいかにしてつくるかということが当然問題になる。そこで作目の何をという場合には作目の選定が問題になるわけでございますが、これをわれわれは適地適産という言葉を使っておるわけでございます。同時にその適地適産を通じて営農計画を立てます場合に、今の市場の条件に適合するような生産の態勢を考えていきます場合には、やはりある程度の量的、質的なまとまりを持ったものを生産していく必要があろう。そこでこれを主産地化という言葉で言っておるわけでございます。  そこで、このような作目をどのようにしてやるのかという点につきましては、われわれといたしましては当然その地方におきまする——これは十七ページに今の点について規定いたしておるわけでございまして、十七ページの「農業構造改善事業促進対策実施について」ということでございますが、その第2というところに今の点が書いてあるわけでございます。「その地域における作目構成と経営の現状についての明確な認識に基づき、今後の営農改善の方向と市場条件の見通しに即しつつ、作目構成の単純化と経営の専門化を指向するよう指導するものとする。この場合特に配慮すべき観点は、次の事項である。」ということで、必ずしも一地域について一作目とか二作目とかいうような限定的な考え方は全然とっていないのでございますが、そういう適地適産の考え方をここでうたっておるわけでございます。  そこで、そういうことになりますると、市町村地域、行政区域に限定することが必ずしも不適当ではないというふうにも考えられますので、先ほども申し上げました実施要領におきましては、必ずしも地域指定については一町村に限らない。二町村あるいは数カ町村が合同で事業をやるというような場合においては、数カ町村を同時指定するとかあるいは一地域として指定するという場合も差しつかえないというふうな扱い方の指示をいたしておる次第でございます。  大体以上のような経緯でございまして、各町村からは、先ほど御報告がありました中にありますが、もっと事業規模拡大すべきである、あるいは補助率が現状の補助率によってはまだ低過ぎるというふうなことが要望として出ておる次第でございます。事業費規模につきましては、これはできるだけ実情に沿うという考え方からいえば、多いところもあり少ないところもあるわけでございまして、先ほど申し上げましたような調整保留額の活用によって、できるだけその計画がよりよいものに実現できるように調整をはかるような努力をいたして参りたいと考えております。また負担率等につきましては、農林省の現在の補助率から見ますと、今回の五割の補助というのは必ずしも低い補助率であるというふうには考えられないのでございますけれども、絶対額自身が相当大きくなっておりますので、農民から見ると負担感が多い、こういうふうな感じを持っておられることは、これはいなめない事実であろうと思うわけでございます。今後こういう面についての検討も引き続き行なって参りたい、かように考えておる次第でございます。  以上、簡単でございますが、経過を御報告いたしました。
  10. 足鹿覺

    足鹿委員 資料の要求があります。この資料は、でき得れば明日の参考人の意見聴取中に御配付を願いたいと思います。これはパイロット地区なり一般指定地域別でございますが、以上申し上げます。  第一が、実施を取りやめた地域名、いわゆる指定返上と言われておるものでございますが、それをお知らせ願いたい。それからただいま御説明になったパイロット地区から一般地域に切りかえたもの、その地区等をお知らせ願いたい。  それから第二が、指定を受けたけれども計画書が出ない、つまり現地ではなかなか難航しておると認められるべきもの、そういった地区名を県別にお知らせ願いたい。  第三は、計画審査したところ不適当と認めた地区名、またその顕著な理由、事例等がありましたら、それをお知らせ願いたい。  第四が、その他今申されたように十一月中に相当数が承認される見込みだというお話でございますが、審査の一般状況と見通しはいかがか、どの程度承認ができ得るか、これは前の資料要求との関連において、一応の見通しでけっこうでございます。  最後に、計画が優秀と認められる地区計画書の写し、またはその要領、これは。パイロット地域別等は前もって申し上げた通りであります。  以上を要求いたしますが、補足説明等があれば、それをも参考にしたいと思いますので、よろしくお願いします。
  11. 齋藤誠

    齋藤説明員 ただいまの第一の、一般地域に切りかえたものの町村名ということでございますが、これは二十日まで待たないと出て参りませんので、その点御了承願いたいと思います。
  12. 足鹿覺

    足鹿委員 見込みでけっこうです。
  13. 齋藤誠

    齋藤説明員 これは町村数くらいのことしか出ないと思います。  それから第二の、地域として指定されたけれども、計画が出ないものの地区名という御質問でございますが、これは地域は別にまだ指定していないわけでございまして、計画五百地域から一般的に実施したいというものは名乗りを上げなさい、そういう事業計画審査して実施地域をきめる、こういう考えでその実施地域予算上は一応二百と計画を予定いたしておるということでございます。現在この二百地域に対しまして、計画五百地域の中から事業審査をしておる対象町村数は、約百八十五町村になっております。従いまして計画地域自身について、不当であるからこれを却下するというようなことには手続上まだならないわけでございます。  第四の今後の見通し、それから優秀な計画についての計画内容等につきましては取りそろえて御説明したいと思います。
  14. 秋山利恭

    秋山委員長代理 次会は明十三日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十分散会      ————◇—————