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1962-08-29 第41回国会 衆議院 農林水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年八月二十九日(水曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 長谷川四郎君    理事 秋山 利恭君 理事 田口長次郎君    理事 丹羽 兵助君 理事 足鹿  覺君    理事 東海林 稔君       伊藤  幟君    大野 市郎君       亀岡 高夫君    仮谷 忠男君       小枝 一雄君    田邉 國男君       谷垣 專一君    寺島隆太郎君       中山 榮一君    森田重次郎君       米山 恒治君    井手 以誠君       石田 宥全君    角屋堅次郎君       川俣 清音君    栗林 三郎君       中澤 茂一君    楢崎弥之助君       安井 吉典君    山田 長司君       湯山  勇君    玉置 一徳君  出席国務大臣         農 林 大 臣 重政 誠之君  出席政府委員         農林政務次官  津島 文治君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (畜産局長)  森  茂雄君         食糧庁長官   大澤  融君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  久我 通武君         農 林 技 官         (振興局農産課         長)      石川  里君         農 林 技 官         (食糧庁業務第         一部長)    田中  勉君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 八月二十九日  委員仮谷忠男君、田邉國男君、栗林三郎君及び  西宮弘辞任につき、その補欠として、吉田茂  君、森田重次郎君、川俣清音君及び井手以誠君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員森田重次郎辞任につき、その補欠として  藤枝泉介君が議長指名委員に選任された。 同日  委員藤枝泉介君、吉田茂君、井手以誠君及び川  俣清音辞任につき、その補欠として、田邊國  男君、仮谷忠男君、西宮弘君及び栗林三郎君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 八月二十八日  農地法の一部改正に関する請願江崎真澄君紹  介)(第三六一号)  農業構造改善事業に関する請願柳谷清三郎君  紹介)(第四一三号)  財団法人日本酪農講習所施設近代化に関する  請願柳谷清三郎紹介)(第四一四号)  農業近代化資金利子補給率引上げに関する請  願(柳谷清三郎紹介)(第四一五号)  水産物流通改善及び魚価対策確立に関する  請願柳谷清三郎紹介)(第四一六号)  第一種、第二種漁港整備事業費補助率引上げ  に関する請願柳谷清三郎紹介)(第四一七  号)  バナナ等果樹農業保護育成に関する請願外二  件(東海林稔紹介)(第四五八号) は本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  農林水産業振興に関する件(消費者米価問題  等)  有明海等におけるP・O・Pによる漁業被害対  策に関する件  請 願  一 農事組合法人に対する税の減免措置に関す   る請願井出一太郎紹介)(第一号)  二 同(唐澤俊樹紹介)(第五六号)  三 同(中島巖紹介)(第五七号)  四 同(下平正一紹介)(第一一七号)  五 同(羽田武嗣郎紹介)(第一一八号)  六 同(松平忠久紹介)(第一八七号)  七 傾斜二十度をこえる農地災害復旧施策に    関する請願井出一太郎紹介)(第二号)  八 同(唐澤俊樹紹介)(第五八号)  九 同(中島巖紹介)(第五九号)  一〇 同(下平正一紹介)(第一一九号)  一一 同(羽田武嗣郎紹介)(第一二〇号)  一二 同(松平忠久紹介)(第一八八号)  一三 ホップ価格引上げに関する請願井出   一太郎紹介)(第三号)  一四 同(唐澤俊樹紹介)(第六〇号)  一五 同(中島巖紹介)(第六一号)  一六 同(下平正一紹介)(第一二一号)  一七 同(羽田武嗣郎紹介)(第一二二号)  一八 同(松平忠久紹介)(第一八九号)  一九 公有林野整備拡充に関する請願井出   一太郎紹介)(第四号)  二〇 同(唐澤俊樹紹介)(第六二号)  二一 同(中島巖紹介)(第六三号)  二二 同(下平正一紹介)(第一二三号)  二三 同(羽田武嗣郎紹介)(第一二四号)  二四 同(松平忠久紹介)(第一九〇号)  二五 農業協同組合等による小水力発電事業に   関する請願松野頼三君紹介)(第七二号)  二六 新宿場外馬券売場の柏木三丁目移転反対   に関する請願石田宥全君紹介)(第九〇   号)  二七 開拓営農改善資金利子補給期限延長等   に関する請願鈴木善幸紹介)(第九一   号)  二八 鳥取県蚊屋井出豊田井手土地改良事業   促進に関する請願足鹿覺紹介)(第二〇   四号)  二九 開拓営農改善資金利子補給期限延長等   に関する請願山本猛夫紹介)(第二四二   号)  三〇 農事組合法人に対する税の減免措置に関   する請願増田甲子七君紹介)(第二九五   号)  三一 傾斜二十度をこえる農地災害復旧施策   に関する請願増田甲子七君紹介)(第二九   六号)  三二 ホップ価格引上げに関する請願増田   甲子七君紹介)(第二九七号)  三三 公有林野整備拡充に関する請願増田   甲子七君紹介)(第二九八号)  三四 バナナ等果樹農業保護育成に関する請   願(湯山勇紹介)(第三〇三号)  三五 同外三件(安井吉典紹介)(第三二三   号)  三六 三角港に輸出品検査所及び動物検疫所の   出張所開設に関する請願園田直紹介)(   第三四四号)  三七 農地法の一部改正に関する請願江崎真   澄君紹介)(第三六一号)  三八 農業構造改善事業に関する請願柳谷清   三郎紹介)(第四一三号)  三九 財団法人日本酪農講習所施設近代化に   関する請願柳谷清三郎紹介)(第四一四   号)  四〇 農業近代化資金利子補給率引上げに関   する請願柳谷清三郎紹介)(第四一五   号)  四一 水産物流通改善及び魚価対策確立に   関する請願柳谷清三   郎君紹介)(第四一六号)  四二 第一種、第二種漁港整備事業費補助率   引上げに関する請願柳谷清三郎紹介)(   第四一七号)  四三 バナナ等果樹農業保護育成に関する請   願外二件(東海林稔紹介)(第四五八号)      ————◇—————
  2. 長谷川四郎

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  請願審査を行ないます。  今国会において、現在までに本委員会付託になりました請願は四十三件であります。  これより、日程第一より第四十三までの各請願を一括して議題といたします。  まず、審査方法についてお諮りをいたします。  各請願内容は、請願文書表等によりまして御承知のことと存じます。さらに先刻の理事会におきまして慎重に御検討をいただきましたので、各請願については紹介議員よりの説明聴取等は省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、直ちに採決いたします。  本日の請願日程中第一ないし第一二、第一九ないし第三一、第三三ないし第三六及び第三八ないし第四三の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、ただいま議決をいたしました各請願に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  6. 長谷川四郎

    長谷川委員長 次に、本日までに本委員会に参考送付されました陳情書は、農業共済制度改善に関する陳情書外五十六件であります。右、念のため御報告をいたしておきます。      ————◇—————
  7. 長谷川四郎

    長谷川委員長 閉会審査に関する件につきましてお終りをいたします。  すなわち、内閣提出沿岸漁業等振興法案角屋堅次郎君外十二名提出沿岸漁業振興法案水産物価格安定等に関する法律案及び水産業改良助長法案川村継義君外二十一名提出南九州防災営農振興法案及び南九州防災営農公団法案石田肴全君外十四名提出土地改良区の財政の再処に関する特別抽選法案角屋堅次郎君外十一名提出漁業基本法案井手以誠君外四十九名提出農薬取締法の一部を改正する法律案並びに農林水産業振興に関する件、農林水産物に関する件、農林水産業団体に関する件、農林水産金融に関する件、農業災害補償に関する件、以上の各案件について、閉会中もなお審査を行ないたい旨を議長に申し出たいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  9. 長谷川四郎

    長谷川委員長 次に、閉会中の委員派遣の件についてお終りをいたします。  閉会審査案件付託になりまして、その審査のため現地に委員派遣の必要が生じた場合は、その調査事項派遣委員派遣期間派遣地等決定委員長に御一任願い、議長に対し委員派遣承認申請を行ないたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  11. 長谷川四郎

    長谷川委員長 昨日に引き続きまして、農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。安井吉典君。
  12. 安井吉典

    安井委員 きょうは大豆菜種交付金に関する問題につきまして、二、三お尋ねをいたしたいと思います。  最初に、三十七年産菜種の、大豆なたね交付金暫定措置法による基準価格の告示があったわけでありますが、その内容決定に至る経緯等につきましてお伺いいたしたいと思います。
  13. 大澤融

    大澤政府委員 法律、政令に従いまして六月三十日に六十キロ当たり基準価格は三千百八十円というふうにきめたわけでございます。
  14. 安井吉典

    安井委員 その価格は、やはり銘柄、格差別価格を示さないで、いわゆる総和平均価格という、そういったような方式のわけですね。
  15. 大澤融

    大澤政府委員 その通りでございます。
  16. 安井吉典

    安井委員 この大豆菜種基準価格の問題につきまして、この委員会あるいはその他の委員会でも、数度にわたりまして取り上げた経緯があるわけでございますが、それらの際に、価格が十分に生産者生産費所得を補うに足るような方向でなくてはいけない、あるいはまたその内容におきまして、いわゆる総和平均方式ではずいぶん矛盾が多い、こういうような指摘もずいぶんされたわけでございますが、これらの問題につきまして、何らかの配慮がなされたかどうか、その点を一つ伺っておきます。
  17. 大澤融

    大澤政府委員 御承知のように菜種基準価格をきめます根拠は、基準年次生産者販売価格農業パリティ指数を乗じて得た金額及び菜種生産事情その他経済事情を参酌し、再生産価格を確保することを旨として定めるということになっております。そこでこの規定に基づいてやったわけでございますが、法律趣旨は、自由化に対処いたしまして、自由化というようなことの影響を受けないときの生産者のいわば手取り水準所得、それに大きな影響を与えない、しかしながらそういうふうにしながら生産性は上げて、国際競争力に近づくように持っていく、そして何ら国が保証しないでも、国際的な競争ができ得るようにというふうにしていこうという趣旨だと思います。そういうことでございますので、今の法令規定に基づきまして、基準年次価格パリティをかけまして、さらに生産性の向上というような意味で反当収量の変化というようなことを参酌いたし、さらに生産費というようなものをながめて、今三千百八十円を交付するということでございますので、法律趣旨によってきめたということで、法律の要求する通りに従っておる、こういうふうに考えております。
  18. 安井吉典

    安井委員 私、けさこの菜種基準価格算定に関する資料を御提出願いたいとお頼みしたのですが、時間的な余裕の関係で、現在の段階では提出を拒否されておりますので、これはあとでいただけますね。
  19. 大澤融

    大澤政府委員 もちろん用意して、差し上げたいと思います。
  20. 安井吉典

    安井委員 今それがないので、ちょっと論議がしにくいわけでございますが、いささか問題はこまかくなりますけれども、若干その数字にわたりまして伺って参りたいと思うのでありますけれども、三千百八十円といいますと、去年とちっとも変わりがないわけです。ところが最近一番この問題につきまして関連が深いのは、米価や麦価の決定間脳でありますけれども物価値上がりという事情があの中に織り込まれて相当な引き上げがなされたという経緯があります。一体物価やあるいは賃金の値上がり実情が去年と同額の三千百八十円というような数字の中にどう織り込まれているのか、それを一つ伺います。
  21. 大澤融

    大澤政府委員 今申し上げましたように、基準年次生産者販売価格、つまり三十一年の六月から三十四年五月の平均ということになりますが、それに対しまして農業パリティ指数を乗ずるということでございますから、三十一年六月から三十四年五月の農業パリティ指数が一二二・六六でございます。さらに三十七年の五月農業パリティ指数価格をきめますときの一番近い。パリティ指数、これが一四〇・七〇でございますから、三千百八十円に一二二・六六分の一四〇・七〇をかけるということで物価値上がりというようなことが参酌されておるわけでございます。
  22. 安井吉典

    安井委員 そうなりますと、私ども計算でも、三千百八十円というふうな数字ではなしに、三千六百五十三円くらいの相当高い数字が出るはずです。今の長官計算からいえばそうなるわけでありますが、だから三千六百五十三円というふうな決定にすべきではなかったのですか。
  23. 大澤融

    大澤政府委員 農業パリティを乗じた額そのもの基準価格にするという法令規定ではございませんで、生産事情需給事情その他経済事情、そういうものを参酌してきめるということでございます。先ほど申し上げましたように、自由化影響最小限度に食いとめて、米準年次菜種生産者手取り水準といいますか所得をおのおの補償する、それより落ちないようにしていくのだという趣旨でございますので、今申し上げた物価の上昇ということのほかに、たとえば生産性というようなことを加味してきめるべきでございます。そういう意味生産性というようなことは、いろいろな面で生産性をつかまえなければいけない。たとえば菜種生産する労働時間ですとかいうようなことでつかまえる方法もありますが、私どもは反当の収入ということ、反当収量ということをつかまえております。そこでさらにこれに対して、基準年次と最近の反収伸びというようなものの割合を乗じまして得た数字生産費とをながめて、三千百八十円にきめたということでございます。
  24. 安井吉典

    安井委員 これもあと資料としていただきたいわけでありますが、菜種に関する作付面積反収価格、そういうようなものの推移を田畑別一つ別につくっていただきたい。これもお願いしておきます。それが今手元にありませんので、話が進めにくいわけでありますが、先ほどのお話の中で、三十一年六月から、三十一年、三十二年、三十三年、そういったような年の実収、反収等考慮の中に入れたというふうなお話でございますが、私ども手元資料でそれをいろいろ検討してみましても、三十一年、三十二年、三十三年という年は作付面積が現在よりも非常に多くて、反収が低く現われているというふうな数字手元数字の中から見出すわけであります。これらの年は菜種にとって田畑ともに作況のよくなかった年のようです。ところが最近になって、その三年間の平均よりも比較的上回ってきている。その実態は、先ほど申し上げましたように、三十一年、三十二年、三十三年の作付面積から現在はもう三割も四割も面積が減っている状態があることとにらみ合わせてみますと、特に生産力の低かった田の裏作の菜種がずっと減ってきている、こういう点を特徴的に見ることができるわけであります。畑の菜種の方は、実のところは反収においては若干上がりぎみである。それから反別におきましては若干減りぎみというふうな姿が出ておりますが、これからあと菜種作の主流をなすべき畑の方の菜種については、反収の大きな働きというものはそう現われていないというふうな実情を見ることができます。ほんのわずかな伸びでしかない。だから今三十一から三十三までの平均と三十六年というふうなものを比較されるということは、そういうふうな実態を頭に置いてからでなければ正しい比較というものはできないのではないか、私はこう思うわけです。それを今の長官の御説明では、ただ機械的に織り込んでおられるというふうな印象を受けるわけです。そういうようなことで、三千六百五十三円と比較的高めに物価情勢を反映して出てきたその価格を単に引き下げる材料に今の反収伸びというものを利用したのにすぎないというふうな印象さえ、私は受けるわけであります。今いろいろとこの交付金暫定措置法の性格についてお話がございましたけれども、しかしそのお話と、それからことしは三千百八十円という数字が出てきたということと二つの事実をにらみ合わせてみますと、どうやらこの措置法というのは菜種大豆価格をあまり上げないようにすることが目的ではないかというふうな気がするわけです。私どもはむしろ自由化に対しまして国内産の大豆菜種を守るためのいわゆる価格支持であるというふうな感じ方を持っていたのが、物価値上がりを示してきた現在におきましては、むしろ価格抑制特別措置法だというような感じを受けざるを得ないわけです。この辺の平時についてどういうふうな御見解をお持ちでしょうか。
  25. 大澤融

    大澤政府委員 そのようなことは決してございません。先ほどから私申し上げますように、この法律価格支持ということでなくて、いわば一種の不足払い制度ではないか、こう思います。そういう意味で、先ほど申し上げたような計算の仕方をしてきめれば法律趣旨に一番合っているのじゃないか、こう思います。  おっしゃったように、菜種面積は減っております。ことに田が減っているというふうなこともございますけれども、これはおそらく早期栽培というようなこともあって、作付体系の問題なんかもあって、そういう影響が大きいのだ、こう思います。畑での反当収量というものは、これは私直接資料を持っておりませんが、私の記憶では先生の御指摘のようなこととは逆に、最近非常に上がってきておるというふうに考えております。それから三十一年、三十二年、三十三年というときは、凶作というか、むしろ反当収量の少ないときだった、そういうときを基準にしてというお話でございますが、これは反当収量が低い、凶作であるというときには逆に価格が上がるというような行き方をするわけですから、基準年次ということを考える場合には、反収とか価格とか、そのときの需給事情とか、総合的に考えて基準年次をこういうふうにきめたのでありまして、そういう意味で、反収が低い、しかしそれは価格にもその通り反映されているというようなこともございますので、反収が低いということだけをおとりになって今のような御議論をお立てになるのはいかがかというふうにも私ども感じております。  先生の御質問に直接のお答えになるかどうかあれですが、そういうふうに感じております。
  26. 安井吉典

    安井委員 今のその反論に対しましても、また私ども議論はあるわけですが、そればかりで時間をとっておってもなんですから、先に進みますが、しかしいずれにいたしましても、去年は三千百八十円、ことしも三千百八十円ということは、物価がどんどん上がっている実際の状況から見れば、農家手取りは明らかに去年より減ったということです。これは明らかに減っていますよ。そういうふうな事実を私どもは見のがすわけにはいかないと思うわけです。  そこで、一体菜種生産費がどういうふうな情勢になっているかということでありますが、最近の趨勢につきまして、後ほど資料もいただきたいわけでありますが、一つこの際お持ちでしたらお聞かせをいただきたいと思います。
  27. 久我通武

    久我説明員 ただいまお話のございました菜種生産費趨勢を申し上げますが、六十キロ当たりで申しますと、三十六年はわれわれの調査では三千七百八十一円と出ております。的に三十二年から申しますと、三十二年が三千九百三十五円、三十三年が三千六百五十四円、三十四年が三千三百二十六円、それから三十五年に上がりまして三千五百四円、三十六年が、ただいま最初に申しましたように再びちょっと上がりまして三千七百八十一円になっております。  ただお断わり申し上げておきたいと存じますのは、生産費調査もいろいろのものをやってはおりますが、菜種につきましては全国でわずかに二百八十戸しかやっておりません。その結果でございますから、これで全体の生産費が上がってきたかどうかということを申すには、きわめて材料不足でございます。ただここでとりました二百八十戸の農家につきましては、ほとんど毎年同じ農家をとっております。その法家については多少上がってきておるということは事実でございます。
  28. 安井吉典

    安井委員 今統計部長お話で大体の傾向をのみ込むことができたわけでありますが、つまりサンプル数が少ないものですから、その絶対額についてはそれほど自信はないけれども、しかし傾向としては正しいというふうな方向を私も理解することができるわけでありますが、それにいたしましても、三十五年と三十六年を比べれば絶対額において三千五百四円から三千七百八十一円というふうに上がってきております。その絶対額が十分に信頼できるものでないかもしれませんけれども、三千百八十円といったような数字と大きな開きを示しているということの事実がここに明らかですし、しかも物価がどんどん上がっておるという趨勢がこの数字の中に傾向としても明らかに出ているわけです。だから、こういうふうな生産費の問題を無視して、この暫定措置法による数字がここにこういうような帆走があるからということではじかれるということでは私はどうも納得ができない気がするわけであります。生産費の問題は、この暫定措置法基準価格決定には全く考慮の外に置かなければならないのでしょうかどうでしょうか。
  29. 大澤融

    大澤政府委員 今お話しのように、生産費実額としてはこのように上がっておるわけですが、それも内容的なことを考えて見ますと、やはり物価値上がりというようなことが大きく響いておるわけであります。そういう意味で、農業パリティを使って一つの重要な要素として基準価格をはじくということで、そういう事情も全部が全部というわけにはいかないでしょうけれども、相当部分が織り込まれている。無視しているということにはならない、こういうふうに考えております。
  30. 安井吉典

    安井委員 今の長官のようなお話が続いている限り、農民は今後生産性を上げれば上げるほど値段が法律によって明らかに下げられていくという事実、これを農民は知るだけだと思うのです。これでは今後生産を上げていこうというような意欲なんかは出っこありませんよ。だから、私はさっき申し上げたように、これはもう交付金法案というものは私ども自由化の中から農民を守るためにつくった法律だと理解しておった。ところが、今では価格をいかにして押えつけていくのか、それだけが政府の運用の方針になっておる、そういうふうに見ざるを得ないわけであります。同じ農産物でありながら、米麦については米作農民の大きな期待には不十分ではありますけれども、何とかいろいろな要素の計算の中から上がる方向が出てくるのですが、大豆菜種等の問題については、どっちが選択的拡大の中心なのか私は知りませんけれども、何とかして押えつけようという気持ばかり先に立っているという事実は、これは農民の立場から、どんなような立場の農民であってもこれは理解することができないと思うのです。国際的な大豆価格、特に日本の油脂資源としての大豆はアメリカ大豆が多いわけでありますけれども、そういうようなものとの比較においても今の三千百八十円という価格は低いのではないかというふうに思うのでありますが、そういうような点にも検討を進められておりますか。
  31. 大澤融

    大澤政府委員 生産性を押えるということで生産性が上がれば全部取り上げるのじゃないかというようなお説でありますが、私ども生産性を見ます場合には反当収量というような点に着目してやっておりますが、別の考え方からすれば、菜種生産するのに要する労働時間の変化というようなことでも見ることができると思います。そういう点から見ますと労働時間は当時に比べて非常に減ってきております。労働時間が減ったということは、単位当たり家族労働報酬というものがむしろふえてきておることを示すのであって、今申し上げたようなことで、生産性が上がればというお話ですが、アローアンスはそういうところにもあり得るのだというふうに考えます。  それから国際価格お話ですけれども、この法律は国際的な貿易自由化というようなことで、国際的な価格からむしろ遮断をしようという趣旨であって、今言ったような国際価格を加味して基準価格を考えるというようなことにはむしろならないのじゃないかというふうに考えております。
  32. 安井吉典

    安井委員 その国際価格との比較につきまして私もっと政府の方でも試算をしてもらいたいと思うのでありますが、いろいろ私どもが入手いたしました資料によりましてもアメリカの大豆支持価格からそれを大豆油に換算し、それからさらにそれを菜種価格にまで逆算して持って参りますと、六十キロ当たり三千二百十一円四十二銭くらいになっているようです。あるいはまた、米国の大豆の市況価格から同じように菜種価格を算出してみますと、六十キロ当たり三千三百三十四円四十二銭ですか、こういったような数字になるというふうな話も聞いております。これはもう少し農林省でもそういうふうな計算をして、それとの比較において日本の菜種価格計算をする、将来は大豆の問題も、これは間もなく出てくるわけでありますけれども、そういうような場合に計算をしてもらいたいわけでありますが、今のその試算からいってもアメリカの支持価格や市況よりもむしろ安い価格に押しつけておられるような印象を私は受けるわけであります。  最近、大豆油の自由化がどうなるかというふうな問題をめぐりまして市価がむしろ高値を示したりしておるような状態もあるわけでありますが、大豆油の自由化の問題につきましては政府は延期というふうな方針に踏み切っておられるのですかどうですか、その点伺います。
  33. 大澤融

    大澤政府委員 大豆油の問題は、予定としては十月自由化ということになっておりますが、いろいろの間脳がありますので、今検討している段階で、どちらにするかという結論にまではまだ至っておりません。
  34. 安井吉典

    安井委員 この法律によりましても、生産者団体の意見を聞くという法第二条第四項の規定がございますが、これにつきましてはどういうふうに措置され、どういうような意見が出ており、それをどう参酌されましたか、その点を一つ伺います。
  35. 大澤融

    大澤政府委員 この価格を六月三十日にきめたわけでありますが、その前に集荷団体であります金版連、全集連つまり全国主食集荷協同組合連合会、それから全雑連つまり全国雑穀商協同組合連合会、ここからそれぞれ責任の方に来ていただきまして、御意見を拝聴し、さらに文書で御意見を出していただきました。こういうようなこともよく考えた上、あるいは御議論を申し上げた上で、先ほど申し上げたようなきめ方をしたわけでございます。
  36. 安井吉典

    安井委員 そこでこの価格計算の問題につきまして、私は最後にこれからあと総和平均の問題に入ります前に特に伺いたいと思うのでありますが、先ほど来長官の御発言を伺っておりますと、この大豆なたね交付金暫定措置法趣旨の中のつまり国際競争という面にだいぶ重点を置くようなお話がございましたけれども、この法律の第一条の目的の規定を見ましても、いろいろな手段、方法の問題をずっと書いてきて——この際読みましょう。「第一条、この法律は、大豆の輸入に関する事情の変化が国内産の大豆及びなたねの価格に及ぼす影響に対処するため、国内産の大豆又はなたねにつき、販売の数量及び方法等を調整してその販売事業を行なう生産者団体等を通じその生産者交付金を交付する措置を講じて、その生産の確保と農家所得の安定とに資することを目的とする。」つまり目的事項は、全体的な規定はありますけれども、その最後の締めくくりは生産の確保と農家所得の安定というのがこの法律の全体を流れる基調でなくてはならないと私は思うわけであります。ところがさっきからの御説明では、生産費はふえる一方で、その生産費は三千百八十円というふうな政府価格をはるかに上回っている数字が出ていながら、しかもそれよりもはるかに低い値段で昨年と同一な価格という形で告示をしているという事実は、農家所得の安定に資するというこの大目的に私ははっきりと違反をしているといわざるを得ないわけであります。一たん告示はされたわけでありますけれども、どうでしょう、もう一度検討をされて、この告示を訂正する、これは今すぐでなくともけっこうでありますが、もう少し先を見て、経済界の大きな変動もあることでございますので、訂正をするという御意向はありませんか。いかがですか。
  37. 大澤融

    大澤政府委員 従来の制度と違った新しい制度でございますので、実施をする間にはいろいろな問題が出てくると思います。そういういろいろな意味で今後検討を重ねなければならない、こう思いますけれども、先ほど来申し上げましたように、ことしの基準価格は、私どもといたしましては最も妥当なところにきめたというふうに考えております。
  38. 安井吉典

    安井委員 あまりにも私は強弁だと思うわけであります。さらにまた今度資料もお出し願うわけでございますけれども、それによって私どもも検討をいたしたいと思うのでありますが、だれがどう考えても、日本のどの農民の立場からいっても、これは中身の算出の技術的な問題は別といたしましても、常識的に考えて、去年とことしと同じ額であるというようなことを、長官、それを説明をして納得させる自信がおありですか。私は、ほんとうにこの問題だけは、他のどの問題よりも最も今の農政の誤った方向を示している一つのサンプルだといったような感じを受けるわけであります。さらにまた総和平均方式の矛盾の問題に諭旨を進めますけれども、この価格の算定そのものに対する問題は、ぜひ政府側でもさらに御検討いただいて、間違ったものを改めるのにはばかることなしに、一つよりよい姿でお進めをいただきたいと思うわけでございますが、きょうは政務次官もおいででございますから、一つ御所見を承っておきたいと思います。
  39. 津島文治

    ○津島政府委員 菜種価格の問題でございますが、ただいまのお話でございますと、米はもちろん、麦においてもそれぞれ物価の変動等につれまして値段が急昇しておるのでありますが、菜種については、そういう取り計らいはなかったというふうに存じております。これは、この価格をきめますのに非常にサンプルが不足であるということ、それからまた収穫が過ぎたというような一つの見解、そういうところに私は議論の余地があると思うわけでありますが、いずれにいたしましても、今年の菜種は低いような感を受けることは、一般農民から見たならば、確かに私はそうであろうと思います。しかしただいまこの告示を変更する意思はないかというようなことでございますが、これはどうもなかなか困難な問題でございます。しかし告示をし直さないで何かまたそこに打開の道がないものであるかどうか、私も検討をいたしてみたい、かように考える次第であります。
  40. 安井吉典

    安井委員 政務次官も青森県の御出身で、北海道と青森県は洋種の主産地ですから、内容は一番よく御承知のはずであります。事務当局がどういうお考えでこんな妙な結論をお出しになっておるのかよくわかりませんが、——そのわからないというふうなことは、政務次官も同感のようでございますが、いずれにいたしましても、このままで最後まで農林省が押し切ることができないというような感じを受けるわけであります。今すぐに結論を出すというふうには——きのう告示されたものをあす変えるというふうなことにはいかないかもしれませんけれども大豆油の自由化の問題といったような大きな経済変動もあるわけで、そういうような場合には、告示を変更することもできるような法令規定もあったように私は記憶いたしております。さらにまたその点私は余韻を残して、ぜひ御検討を願いたいというふうにお願いいたしておきます。  次に、大豆菜種交付金の問題につきまして二つの問題がいつも出るわけでありますが、第二番目の総和平均方式の矛盾の問題であります。従来とられておりましたこの方法についていろいろ論議がかわされているわけでありますが、今回の告示の内容につきましても何ら改善の跡がないということを私は残念に思うわけであります。この点従来と全く同じ方式菜種については昭和三十七年度もいかれるという御意向でしょうか、この点を一つ伺います。
  41. 大澤融

    大澤政府委員 いろいろ議論のあった点でございますが、私どもの今の結論としては、総和平均といいますか、そういう方法でやるのがしかるべきことだというふうに考えております。
  42. 安井吉典

    安井委員 ここで、いわゆる基準価格という方式はこれは現金農家手取り額でなくてはならないという私どもの考え方を以前から主張し続けてきているわけでありますが、現在の交付金の支給の仕方は、概算金というものを一応払って、一年か一年半後において交付金を上のせしていく、こういうようなやり方でありますが、今の長官の御答弁ですと、そのやり方を今度も続けていかれるというふうに伺うことができるわけであります。こういうような今の方式でありますと、農民はこの法律によって保護されているというが、一体どういうふうな形で保護されているのかさっぱりわからないといったような感じでいつもいるわけです。だから農民の側からすれだ、全販連なら全販連がたとえば大豆なら大豆三千二百円といたしましたならば、もう三千二百円を全販連がはっきり農家の手取りとして払ってしまって、全販連の実績販売価格がそれよりも不足であったならば、その差額を政府から全販連に支給して農民あとで交付をする、農民に支給して全販連の交付というような形で簡単に処置がつけられるわけであります。そのためにはやはり最初から銘柄、等級別な価格がつけられていなくては困るわけなので、そこで農民の方の要求は、常に最初から告示の段階において銘柄、格差別基準価格をはっきり明示してもらいたい、こういうような希望が多いわけであります。相変わらずその要望は無視されたわけでありますが、なぜそのような行き方が悪いのか、農民側の要望ではなぜ都合が悪いのか、そういう点を一つお聞かせ願いたいと思うのです。
  43. 大澤融

    大澤政府委員 御承知のようにこの交付金制度は、集荷団体が自主的に調整をしているという機能を前提にして組み立てられておるものであります。従いまして、共同販売をして結果として幾らに売れたのだ、またどういう銘柄のものはほかのものとどういう格差がついて売れたのだというようなことで、結果として生産価格が出てくるわけでございます。そういうものと先ほども申し上げました基準価格との差を、交付金としてそれぞれの銘柄のものに上のせをしていくという制度でございます。今までの農協等による自主的な調整の際でも、自分のものが結果として幾らに売れたということはあとからわかるわけですが、そういうことは今度の場合も同じであって、ただ最初から基準価格を出して手取り水準というものは大体この辺にいくのだということは、菜種をつくっておられる方にもおわかりになるので、また過去の銘柄、格差というものも御存じなので、自分のつくったものはこのくらいになるのだということはわかるようになっているのではないか、こう思います。今の農協等の自主的な調整機能というものを前提にして組み立てておりますので、こういうような形になっておるわけであります。  それともう一つは先ほど来から申し上げましたように、基準価格をきめる思想は、これはそれぞれのものについて価格支持をするということではなくて、自由化に対処してその影響最小限度に食いとめる、影響があってはならないということで、基準年次所得あるいは手取り水準を維持するという思想でやっておりますので、そういうことだと思います。
  44. 安井吉典

    安井委員 今の御説明によりますと、いわゆる農協のやっている自主共販を前提として組み立てたものだというお話でございますが、しかし農協のいわゆる委託共販制度といいますかその仕組みは、当時は価格の支持制度が十分になかったために、自主的に自己防衛的な措置として生まれてきたものであるわけです。農民がみずからの発意で、共同で団結をして資本主義経済に立ち向かうために生産者団体が年間の平均売りということを需要に合わせて進めていく、こういうような方式で誕生したものらしい。それから今のこの交付金の仕組みは、長官もおっしゃったように自由化によって今度は海外から無制限に入ってくる、これによって農民を保護する、そういう仕組みの中から生まれてきたものであるわけです。農民が自分で考え出して、自分で資本主義経済への対抗措置としてやっているそのやり方と、政府の保証措置とは、よって立つ基盤というものは全く違うわけです。今まで自主的なものがあるから、ただそれに乗っかってその方式をまねてやればいいのだということでは私は困ると思うわけです。スタートラインが全く違う問題であるわけです。やり方は似ているけれども、その目標なり仕組みというものは全く違うという点を指摘しておかなくてはならないと思うわけです。また農民の方は今までの例から銘柄別で一体どうなるか、どんなところにおさまるかということは大体わかっていそうなものだ、こういうふうな御説明でありますが、農民の方でそれくらいに農民感覚でもわかるような問題なら、なぜ政府は初めから——この問題の取り扱いに関する今までの実績資料はお持ちのはずであるのに、政府はなぜ法律の中にはっきりと銘柄、格差別方式を打ち立てないのかと私は思うわけです。農民が感覚的にわかるような問題を政府がなぜ法制的な措置としておやりにならないのでしょうか、その点いかがですか。
  45. 大澤融

    大澤政府委員 たとえば特定の銘柄について基準価格をきめて、それと実際出ました銘柄のものとの差ということを考えて交付金をきめる。その交付金は全部にやるというわけにはいかないわけであります。と申しますのは、いろいろな銘柄がございますので、銘柄別に今言ったようなことをやらなければならない、もしそれぞれのものについてやるということになれば、全体として交付金の額を算定するというのと同じ金額がおそらく出てくるだろうと思います。銘柄はなかなか簡単なものじゃないわけです。ことに農産物価格安定法の時代でも、すべてのものについてきめておくというようなことはできなかった。ある特定のものだけを買うということで一部のものについて価格をきめていくということだと思います。そういうことになると思います。
  46. 安井吉典

    安井委員 銘柄別の決定については技術的に非常にめんどうだというふうな言い方もなされているわけでありますが、しかしそれはもう何年もおやりになっております段階において、いまだにそういうふうなことを言われるというのは、これは私はいささか不勉強だと思うわけです。大豆だって、粒の大きさやあるいはつらの色、そういうようなものの組み合わせで幾つかの銘柄も分けることができますし、あるいはまた菜種についても、油の含有量から洋種、和種というふうな分け方ができて、菜種の方については比較的簡単な方法は私あるはずだと思うわけです。今までの段階においていまだにその銘柄別の区分けがむずかしいというようなことをおっしゃっているようでは、私は少しも問題の前進はないと思うわけです。ことに、いつかも私が申し上げたところでありますけれども、今のところ総和平均のやり方をやっている限りにおいては、農家の作付計画というものも十分に立たないわけです。いずれにしても一年後でなければその値段というものがきまらないのでありますからそういうことになるわけでありますし、また品質の悪いものをむしろ奨励するような形になりがちなわけです。何でもとにかくつくりさえすれば大豆は三千二百円、菜種は三千百八十円、昨年の大豆などの例を見ましても、三等以下の品質の悪い俵数が多くなって出てきておりますと、実質的に全体的な基準価格はそれに引きずられまして高く出て参ります。だから、基準以下の悪いものの生産が多ければ多いほどむしろ農家は得だといったような例さえ出てくるわけです。品質を改良するという熱意は菜種についても大豆についてもなくなってくるということではないかと思います。特にこの扱いの問題でも、農協と農協以外の業者と政府は一体どちらを直視されるか。答えは言わずとも明らかだと思いますが、おそらく重視されるはずの農協の方の立場から言いますと、その概算払いがなされる場合に、農協の方は規定に縛られて規定の概算金をそのままだが、しかしその他の場合でありましたらそれに幾らかでも上のせをして支払っている。そういうようなところで農家を農協以外の業者側が奪っていってしまう、こういうような傾向もありがちでありますし、さらにまた各業者側がいろいろ協定をして売り出し時期等を一定にしようというふうな協定がありましても、その協定を破って抜けがけをして高い売り値を得た業者の場合も、あるいはまた協定を守った農協の場合も、交付金は一定であるわけですから、少しでたらめをやった方の団体に属した農家の方がよけい交付金をもらえる、こういったような不自然な事情も私は出てくると思うわけであります。こういったようなことから結論的に言えることは、とにかく基準というのは一つのものさしだと思います。スケールだと思います。ところが、政府が今お示しになっているものさしは目盛りがついていないわけです。何でもかんでも基準価格は三千二百円だとか三千百八十円だとか書いてあるわけです。その目盛りは、最後にものが全部出てしまって、販売が全部済んでしまってから、初めて目盛りがつくわけです。目盛りのついていないものさしで、用が全部済んでからやっと目盛りがついてくるという今の仕組みについては、これではどうも政府がおやりになる仕事としては私はおかしいと思うわけです。製油用菜種六十キロ包装込み和種三等三千百八十円とか、あるいは十勝小粒規の一、三等幾ら幾らとか、そういう具体的なきめ方でなされなければ、とにかく目盛りをつけた水準をお示しにならなければ、私はそれはほんとうの政治ではないと思うわけですが、いかがでしょうか。
  47. 大澤融

    大澤政府委員 いろいろの御指摘があったわけですが、品種のよいものはやはり高く売れてそれに応じた額の交付金が交付されるということで、農民手取り水準は、悪いものをつくって売った人よりは高くなるということでありますし、それからまた作付計画がというお話ですが、私は先ほど来申し上げましたように、農協その他の自主的な調整活動だけであった時代と同じように、自分のものがどのくらいに売れるだろうかという判断をする材料としては、今度の場合も同じじゃないかどいうふうに考えます。それからそれぞれの系統組織でいろいろ交付金が違うというような御指摘があったわけですが、これはそれぞれの流通経費、コストというようなものについて同じように見ますと、もし実際に交付金が多いというものがあるとすれば、それぞれの機関の政府の価格によらない勉強の金額であるということも言えますし、それからまた基準価格と比べて販売価格の方は標準的な販売価格ということで、いろいろやってそれぞれの機関のものがみな総合されてきめられるものなので、それとの差で交付金がくるということで、売り方の差によって交付金が変わるということもなかろうと思います。それからまたもう一つ最後に御指摘があった、おそらく基準年次に、たとえば平均価格として三千幾らというものが出た、その内容的なものはいろいろなものがつくられておって、そういう平均手取り価格が出てくるのでしょうけれども、それと現実の内容的なものが違うという問題、これは確かにあろうと思いますが、これは基準価格をさかのぼってまたその割合で組みかえるということは今の段階ではできないことであり、また先ほどから私が申し上げたように、厳格にこの価格をそれぞれのものについて指示をするというようなことではなくて、この程度の水準を農民に確保する、そうして自由化影響というものを除去してやるのだという制度でございますので、今言ったようなやり方で十分じゃないかというふうに私は考えております。
  48. 安井吉典

    安井委員 銘柄、等級について基準価格をきめるという方式は今の法律規定の中でやれないことですか、またこの法律規定の中から総和平均以外でやってはいけないということが出て参りますか、その点を一つはっきり伺っておきたいと思います。
  49. 大澤融

    大澤政府委員 法律の二条二項「交付金の金額は、生産者団体等ごとに、第一号の基準価格から第二号の標準販売価格を控除した金額に、当該生産者団体等が」云々というふうに書いてございまして、この規定を読みますと、特定銘柄についてどうこうというのではなくて、総和平均できめるのだというような趣旨になっている、こう思います。
  50. 安井吉典

    安井委員 この法律は銘柄、等級できめてはいけないのですか。
  51. 大澤融

    大澤政府委員 そういう趣旨にはなっていないというふうに解釈いたします。
  52. 安井吉典

    安井委員 それは私は法の解釈の問題になってくるのではないかと思いますが、どうでしょう。ずいぶん農民の間では今の仕組みでは困るのだというふうな意見が非常に喰い、私もこの委員会等で幾度も問題を取り上げなくてはいけない、そういうふうな実情でありますが、今の仕組みがある限り、いつまでたってもこんな悪循環が切れないでいくのではないかと思うのでありますが、現在農民側から強く要求の出ている、この仕組みがうまくいくように、現在この措置法そのものをむしろ私は改めるべきではないか、政府が改められなければ国会が改めてもいい、そういうふうな感じさえ持つものですが、どうでしょう、御検討されるお気持はありませんか。
  53. 大澤融

    大澤政府委員 先ほどから申しましたように、法律の建前は、厳格にそれぞれのものについて幾らを保障するのだというふうなことではないわけであります。むしろそれを非常に厳格に貫くということになりますれば、政府が一定価格で全部を買い取るという制度になるのではないかというふうにも考えます。そこでむしろそうなることはいろいろ問題がございます。今のような考え方でいって、農民の方にも制度をよく理解していただくということで私どもも努めたい、こういうふうに思います。しかし新しい制度でございますので、先ほど来申し上げますように、いろいろ問題がございます。それからおそらく今後こうした不足払い制度というものはいろいろな形で発展していくと思いますので、常時検討し、私どものやり方についての反省もしていくということは必要だと思いますけれども、先ほど申し上げたような趣旨農民の方にわかっていただくという努力をむしろ私どもはしていきたい、こういうふうに思っております。
  54. 森田重次郎

    ○森田委員 ちょっとただいまの質疑に関連して政務次官にお尋ねいたしたいと思います。このただいまの議論の焦点、五、六点拝聴いたしましたが、私もその点については同感でございます。そこで、同じことを繰り返す必要もありませんので、これは有利に援用いたしたいと考えております。そこで法律自体に必ずしもはっきりした打ち出し方がしていないという点、こういう態度できめたものも、事務的にはいろいろ御検討の上、妥当だと思って示されたものでしょう。従いましてこれを変更する気持がないかとこう聞かれれば、一応変更する気持がないとお答えすることも、事務的には私はそうなければならぬと思う。ただしかし昨年六十キロ三等三千百八十円と打ち出して、それでああそういうものかということで一応生産者側も安心してこれはやっていけるという気持を持っておった。ところが今度の告示のやり方を見ていると、ばく然とした三千百八十円となっていて、これがどんなふうになるものかということについては、全販連その他についてただしてみたりなどしても必ずしも的確な説明ができない。そこで農民の間に非常に不安が起こっているということは、これは疑いのない事実であります。しかもほかの一般の物価がずっと上がっているのに、菜種だけは据え置きになるのだということは、常識的に考えてどうもおかしいじゃないかというのがこれは農民一般の考えなんです。そこで法律の運用が若干あいまいなんですから、農林省が一つの態度をとってお示しになられたといたしまして、それが生産者側に非常な不安を与えるということは、私は政治上の運営としては妥当を欠くやり方だと思う。そこでこれは政治的考慮を必要とする案件だと私は考えるのです。そこで法律の解釈が若干あいまいである場合は、刑事訴訟法の上では被告に有利にものを解釈するというのが法律の原則になっている。それと同じように、あいまいならやはり生産者の有利になるようにやっていくということは、農林当局としても農民のために立っている省なんですから、それくらいの愛を示すというところに私は政治というものがあると実は考えているのであります。ここでああでもないこうでもないといって法令の末端にとらわれた議論のやりとりをしてみても、なかなか質問者の言う通りですと長官が答えそうもない姿なんですが、そこでそんなことはそんなこととして、理論的究明はやはり必要ですから、法の改正を必要とするなら、ただいまの御意見の通り私も次にこれを農民から安心のできるようにもっと明確にこの法律は変えなければならないものだと考えるのです。ここでただいまの今度の表示の仕方はどう考えても、以上申し上げました理由によって、われわれ農民生産者側の代表としては納得できません。これはどこまでも私は追及して是正してもらうということを最後までやろうと考えているものの一人でございます。その点について一つ政務次官という立場から法の政治的運営の面での御態度をお伺いしておきたいと思います。
  55. 津島文治

    ○津島政府委員 ただいま森田先生からのお話でございますが、昨年と幾分改めたやり方につきましては、またそこに理由はあるようでございます。しかしそれは農林省の方の一つの理論でございます。この理論は必ずしも間違っておる理論ではない、かように考えます。しかし実際上施す場合において、相手のものが理解しない場合、これはまたそこに考えなければならないことが出てくるのでありまして、これが一つの政治の姿であろうと思うのであります。そこで私ども農林省としましては、ただいまの方式で御理解を願いたい、かように考えまして、今後努力をするつもりではございますが、どうしてもそこに一つの理解が生まれがたいという場合においては、やはり法の許す限りにおきまして、大いにこれを検討して、そうして善処するのがほんとうではないだろうか、かように考えておる次第であります。
  56. 森田重次郎

    ○森田委員 さらに御検討をいただくというお答えで私は満足いたします。どうか至急御検討下さいまして、農民の安心のできるような方向へ結論を出していただきたい、こういう希望を申し上げまして私の質問を終わります。
  57. 安井吉典

    安井委員 今、森田委員からも御発言がございましたが、あくまでも農民的な立場に立って農政が行なわれなくてはいけないのはあたりまえでありますけれども、特に農民の諸君は手っとり早く物事が理解できやすい仕組みを好むわけです。回りめぐって、一体どこでどうなって政府が保護してくれているというのか。一年か一年半たって忘れたころに、金がどうやら農協の貯金通帳に入ったらしいというふうな仕組みでは、ありがたみも何も感じられないわけであります。とりわけ今のこの交付金暫定措置法が貿易の自由化から農民を守るという打ち出しであったはずのものが、たとい今自由化されて、アメリカの支持価格よりも日本の支持価格の方が安いという数字が現われておるとすれば、こんなものがなくたって、どんどん向こうから勝手に入ってきたって、今のところではやれそうだということになるわけで、ただ単に日本の農民の手取りを減らすために法律があるのだということに今なりつつあるような気がするわけであります。ことに物価が上がりつつあるという情勢は、先ほどのパリティ数字はその後においてどう変化するかわかりませんが、しかし、いずれにしても上がる方向にあることは事実です。ですから、物価が上がっていけばいくほど価格が据え置きだという事情は、今私が言ったように、農民を苦しめる方向にしか役立たないということになってくるのではないかと思います。そういうような意味からこの法律の細み立て方や現在の運用の仕方についてぜひ御検討をいただきたいと思います。このことは、今の森田委員の質問で政務次官からお答えがありましたので、私も別にお答えを要求いたしませんが、そういうことであります。  もう一つ、三十六年産大豆の概算金の問題やら、あるいはまた流通経費の問題やらが未決定でもめ抜いているというような話を聞くわけでありますが、現在どのような段階にありましょうか。もう新しい七年産の価格がきめられたり、あるいはまた次に新物についての措置が講ぜられる段階においてきめたい、そういうようなことだと聞くわけでありますが、いかがですか。
  58. 大澤融

    大澤政府委員 流通経費等についての基準等を示して……。ちょっと私申し始めたのは、三十七年産菜種のことでして、三十六年産大豆についても早く始末をするように努力をしたい、こう思っております。
  59. 安井吉典

    安井委員 いつも問題になる点は、交付金の支払いには、調製加工費用と加工調製による数量減少とを考慮に入れ、基準価格農家手取りとはっきりなるように措置してもらいたいという農民側の要請に対して、政府側がいつももやもやした態度でおられるものですから、そこでもんちゃくが起きている。それで三十五年産につきましては、一応こんなことで決定がなされたようでありますが、三十六年産についても、おそらくこの点に問題があるのではないかと思うわけですが、農家大豆の販売を有利にし、手取りを増すために、規格その一、すなわち素俵でありますが、それと本づくりの規格その二、この二つの規格を設けて、くず豆などを抜き取って、農協が調製加工して、外へ出していく。北海道の場合では、条例で規格その一という素俵の形で移出するのを禁止しておるというくらい、農家手取りを増すための保護が現実には行なわれているわけです。現在の仕組みからすれば、素俵の品位を高めてつくりにすることになると、逆に交付金が少なくなるというふうなことになる。これではおかしいじゃないか。質のよいものを消費者に提供しようとすると、かえってその意思があだになってしまう。こういうような事情を救済するために、十分な措置が必要だということを常に主張しておるようなわけであります。今おっしゃったようなお答えは、こういうような事情に対して、現在行なわれている要望そのままの形でのみ込まれるような形で結論が出されるのだ、そういうように理解して差しつかえありませんか。
  60. 大澤融

    大澤政府委員 おっしゃるように、昨年は加工調製費、これを流通経費の中に副産物などを引いて見ておるというようなやり方をした。ことしと申しますか、三十六年席大豆についても、そのような方法をとりたいと思いまして、それぞれの方面に交渉しております。
  61. 安井吉典

    安井委員 結論はいつごろ出ますか。
  62. 大澤融

    大澤政府委員 実績報告提出というようなことがありますので、そういうものがありますれば、できるだけ早く出したいと思いますが、まだしばらく時間がかかるのではないかと思います。
  63. 安井吉典

    安井委員 まだ問題はございますけれども、時間がだいぶ回っておりますので、これで一応きょうのところ質問を終わりたいと思いますが、先ほど来繰り返しますように、この法律ができたころの趣旨に沿わないような運用が現在行なわれておる、こういうような印象をわれわれはぬぐうことができないわけであります。価格の問題については、だれがどう見ても矛盾があるやり方がとられ、あるいはまた総和平均方式というようなことで農民を愚弄しておるような、そういうようなやり方でありましては、農政に対して農民は協力する気持にならないのではないかというような印象を受けるわけであります。これらの事態を一日も早く解決していただかなくてはならないと思うのでありますが、最後に、政務次官に重ねて御意向を承っておきたいと思います。
  64. 津島文治

    ○津島政府委員 先刻来御答弁を申し上げた通りでございます。いろいろの面で納得のいきかねる点があるようでございます。これらに関しましては法令の許す限りにおいて、また法令とあまりに抵触をしない限りにおいて、さらに御趣旨の点を考えて検討を加え善処していきたい、かように考える次第であります。
  65. 長谷川四郎

    長谷川委員長 午後一時三十分まで休憩をいたします。    午後零時十一分休憩      ————◇—————    午後二時三分開議
  66. 長谷川四郎

    長谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、足鹿覺君より有明海等におけるPCPによる漁業被害対策に関する件につきまして発言を求められております。これを許します。足鹿覺君。
  67. 足鹿覺

    足鹿委員 有明海等におけるPCPによる漁業被害対策に関する件について決議を行ないたいと思います。この決議は午前中の理事会後、自由民主党、日本社会党、民主社会党三党間で話し合いをいたしまして、昨日来の審議の経過等に基づいてその重点を取りまとめ、意見の一致を見たものであります。従って三党を代表して提案をいたすものでありますが、まず案文を朗読いたします。   有明海等におけるP・C・Pによる漁業被害対策に関する件  去る七月の豪雨に伴い、有明海、琵琶湖等に発生した水田除草剤P・C・P等による漁業被害は極めて甚大であって関係漁業者の窮状はまことに深刻なものがある。よって政府は、すみやかに左記の対策を講じ被害漁業者の救済措置にいかんなきを期すべきである。       記  一、被害漁場の復旧事業について高率の補助を行なうこと。  二、漁業の再生産を確保するため、稚魚、稚貝、種苗等の購入代について助成すること。  三、被害漁民並びに関連企業に対する税の減免及びその補てんの措置についていかんなきを期すること。   なお、政府は、速かに、魚介類に対し毒性をもつ農薬の使用規制及び新規農薬の普及をはかるため、農薬取締法改正に必要な各般の措置を講ずべきである。   右決議する。    昭和三十七年八月二十九日       衆議院農林水産委員会 以上であります。  提案の理由その他につきましては、先ほど申しましたような意味からこれを省略いたします。
  68. 長谷川四郎

    長谷川委員長 ただいま足鹿覺君から提案をされました決議案を本委員会の決議とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、ただいま決定をいたしました決議の関係当局への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定をいたしました。  次に、ただいまの決議に対しまして政府の所見を求めます。農林大臣。
  71. 重政誠之

    ○重政国務大臣 PCPの被害の問題はなかなかやかましい問題であります。政府におきましてもその被害が起こらないようにいろいろ措置は講じたのでありますが、先般は集中豪雨のためにはからざる被害を生じたことはまことに遺憾であります。ただいま御決議になりました御趣旨は、いずれもごもっともなことであると思うのであります。農林省といたしましては、御決議の趣旨を尊重いたしまして、できるだけ善処いたしたいと考えるものであります。      ————◇—————
  72. 長谷川四郎

    長谷川委員長 なお午前に引き続き農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。足鹿覺君。
  73. 足鹿覺

    足鹿委員 農林大臣に米価の問題についてお伺いをいたしたいのでありますが、今朝の新聞紙の伝えるところによりますと、農林大臣は昨日の記者会見において、十一月ごろ消費者米価を値上げいたしたいという趣旨の談話を御発表になったと伝えられておるのでありますが、その真意なり、その御発表になった内容について、目下国会は開会されておりますし、本日は当委員会も開かれるということを御存じになっておったわけでありますから、これは当然本委員会等においても明らかにさるべきものであると考えます。よってわれわれは、新聞紙のみをもって浸透することはできませんので、その真意なりをこの際明らかにしていただきたいと思います。
  74. 重政誠之

    ○重政国務大臣 昨日閣議終了後、定例の記者会見をいたしました。記者会見を終わりましてあとで雑談になりました際に、雑談のうちに私が消費者米価に若干触れたのであります。それはこういうことを申したのであります。消費者米価を引き上げるべき条件というものはいろいろある。あるが、どうも消費者米価を据え置かなければどうしてもならぬという積極的な理由が乏しいのではないかと考えておるということを私は話したのです。それを記事にしたのが昨日の夕刊であり、今日の朝刊であるわけでありますが、私自身、実は消費者米価をただいまどの程度引き上げることが適切であるという結論を得ておりません、正直のところ。それからまた、私が談話にしろ何にしろ発表いたすということになりますると、当然これは政府機関部内においてもあるいはまた党の方面においても、少なくともある程度の打ち合わせばいたさなければならないのであります。何らそういう手続も経ておりません。それを私自身が、現在消費者米価をどの程度上げなければならぬかというようなことは、まだきめておらないわけであります。目下検討をいたしておる最中であるわけでありますから、そういうことを言うはずもないことでありますが、そういう事情であの新聞記事が出たと思うのであります。御了承を賜わりたいと思います。
  75. 足鹿覺

    足鹿委員 今の大臣のお話を聞いておりますと、雑談中に自分のお気持の一端を述べたということでありますが、しかし目下国民の最大の関心事は、私鉄料金値上げの問題であるとかあるいは過般の生産者米価決定後における経過から見て、政府が消費者米価に対していかなる態度をとるであろうかということ、これに非常に関心が深いときにあたって、いやしくも農林大臣として談話を発表になったと新聞紙が伝える。雑談であれ正式会見の御発表であれ、それは報道機関としては、やはり農林大臣の資格においてあなたがおっしゃっておるのでありますから、直視するのは、私は当然だと思う。いわんやその御発表の中に、十一月ごろという期日も大体載っておるようでありますし、米価審議会を十月ごろ開いて諮問をしたいという趣旨の点が載っており、またその諮問の主文といいますか、諮問案についての構想等も伝えられておるのであります。ということになりますと、これは党の米価懇談会とも、非公式のある程度の結論を得られたものだとも一面考えられますし、また閣議である程度話題となり、了解となったのでもあるまいかとも考えられるし、あるいは農林省の首脳部間においてそういう意向が準省議として、あるいは正式の省議ではないにしても、幹部間においてそういう意向がほぼ固まったのではないかというふうにもとれますし、その与える影響は非常に大きい。かりにそのいずれでもない、ただ自分一個の雑談中の発言にすぎないということでは、これはいささか軽率のうらみがある。新聞社が誤って伝えたのか、大臣の御発言が軽率であったのか、そのいずれかではないかと私は思うのですよ。どの新聞も一斉にこれを大きく報道しておるわけです。あたかも臨時国会の末期にあたってもおりますし、この際ただいまのようなお話ではなしに、閣議における論議があったかどうか、自民党の米価懇談会との非公式あるいは公式の連絡はあったのかなかったのか、農林省内におけるところの大体の検討の段階はどうなのか、そういったようなことについて、ただいまのあなたの御答弁では、私どもはああそうでございますかと言うわけにはいささか参りかねるのであります。もっと詳細にあなたのあの発言に至るまでの経緯を明らかにしてもらいたいと思います。
  76. 重政誠之

    ○重政国務大臣 先ほど私が申し上げたことが、正真正銘であります。まだ党の方へも相談をいたしておりません。いわんや閣議においても、この問題は正式問題に出たことはないのであります。でありますから、これは私が先ほど申しました通りの事態であります。そこで、ただいま御指摘になりました十一月から実施するとか、あるいは十月中に未審を開いてどういうふうな諮問をするとかいうようなことは、全然私は申しません。これは記者諸君の推測であるわけであります。(「おかしいぞ」と呼ぶ者あり)これはおかしいといっても、それが事実だから仕方がない。私は決していいかげんのことを申しておるわけではありません。でありますから、しからばこれは農林大臣が軽率ではないかと言われれば、どうも仕方がないのでありますが、私の心持の中身はこれは話したのです。昭和三十二年から昭和三十六年までの間に、家計費の調査によれば、三割三分五厘家計費が膨張しておる。ところが消費者米価は三十二年に値上げをして、それを今日まで据え置いておるのであるから、米代の家計費の中に占める割合というものは漸次減っておるのだ、昭和三十二年当時においては一二%以上であったものが、今日では一〇%になっておるのだ、穀物を除いた一般物価の指数から見ても、三十二年当時に今日の三十六年の一般消費物価の指数というものを比べてみると、一割一分以上これが上昇をしておるのだ、であるからどうもこういう点を考えると、血管法は、消費者米価というものは家計の安定を旨としてきめろということになっておる。であるから、消費行米価を若干値上げをしたから、直ちにそれが家計の安定を害するとはどうも考えられぬ。いわんや食管制度自体において、農家から買い上げる米の値段と農家に配給する米の値段との間に逆ざやが生じておる。制度としてこういうことをほうっておくということは、まことにこの食管法制度の運用上困ることなんだという話はしたのです。それにもかかわらず、そういうことがあるにもかかわらず、消費者米価はどうしても据え置かなければならぬということの積極的の理由は、どうも今日まで自分の聞いておるところでは乏しいのだという話はいたしたのです。その程度の話をしたのは事実であります。ところが先ほど足鹿さんの御指摘のような、米審に諮問する諮問案まで、これは私がしゃべる筋合いのものじゃないのです。それを十一月から実施するとかいうようなことを、まだきまりもしないのに、一体どの程度どうするということを、ほんとうの私の腹がきまらないのに、またこれを党なりあるいは経済閣僚なりとも相談をしておらないのに、そういうはったりを私が言うわけのものじゃないのです。これはぜひ一つ御了承を賜わりたいと思うのです。
  77. 足鹿覺

    足鹿委員 要するに、あなたの真意を新聞紙は適当に伝えておらないということにどうもなるようですね。新聞紙が書き過ぎたのかというふうに、今のあなたの御答弁をそのまま信ずれば聞こえますが、たとえばある新旧紙のごときは、高額所得者に今のような安い米を食わせる必要はない、もっと高額所得者には高い米を食わしてもいいのだ、そういう趣旨の、雑談とおっしゃるがいろいろなあなたの御構想が出た。要するに所得別に米価をきめて、高額所得者からは相当な米価で買わせる。安い米は一般勤労者に買わしたらいいじゃないか、こういうような構想が、これは与党の中にも議論がされておるということはわれわれ仄聞はしております。そういったようなことが一々伝えられており、引き上げをする条件はそろっておるが、据え置きをしておく積極的な理由は乏しい。米価を据え置くとするならば、その理由いかんという趣旨の米審諮問案の要領をあなたが新聞社に語られたと伝えておるのです。そうなっておるのですよ。これはゆゆしい問題でありまして、どうも私も納得いたしかね、理解いたしかねて農林大臣の御真意を伺ったわけなんです。そこまで報道関係ではちゃんと中身を伝えておるのです。これは議論をしようとは思いませんが、今食管法四条の二項に言及をされまして、大臣は「家計ヲ安定セシムルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」ということになっておるとおっしゃいまして、少々上げてみても別に家計を害するあるいは家計を著しく不安定にするようなことはない、こういうお話でありますが、実際におきまして現在の消費者の実情というものは、夏季手当にいたしましても分割に支払うというような困った事態が出ておる。来年度の採用者も、八幡製鉄のような大きな企業がしばらく待つというような状態で、いわゆる政府の景気調整政策によって相当深刻な事態が予想されておる。一方、企業の合理化、技術の近代化等によって、相当の高額所得者はあるでしょうが、一面において一般勤労者の中に、かりに今あなた方が新聞紙を通じて伝えられておりますような一石千円、つまり一升十円ということが——従来から値上げをするとなればその程度だ。そうしますと、四千六百万石の買い上げをやれば、大体現在の赤字増の四百六十億は一応埋まる、そういうつじつまも合うのじゃないかということをわれわれも推測いたしております。すると何もかにも大体において引き上げの具体的な——そういう気持はないといわれても、すべてのおぜん立てがそういうふうに進んでおることをたまたまあなたが昨日おっしゃった、こういうことに受け取らざるを得ないのであります。しかし先ほども述べられたように、四条の消費者の米価のきめ方については、「家計ヲ安定セシムルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」というふうになっておりますが、高額所得者はなるほど一二%か一〇%になっておる層もありましょう。しかし、むしろ逆に先般も石田委員がるる述べられたように、一般勤労大衆の米消費は増加の傾向をたどっており、政府も食管制度始まって以来手持米が著しく減っておるという事実も、これは御存じの通りであります。そういう中にあって、かりに日に三升の米を消費する場合、月千円ですよ。これは家計の安定を著しくとはいかぬでも、相当の影響を与えることは、これはもう明らかであります。約千円米が上がるということになりますと、また他への影響というものもこれは見のがすわけにも参りません。従って、四条に対する大臣の解釈というものは、少なくとも勤労階級の直面しておる立場については十分御理解がないではないか。いわゆる高額所得者は日に一合の米も食わないで十分副食物で栄養を保っておる人々がありますから、そういう人々はややもすれば自分たちの生活体験の中から推定をして、一般の勤労階級の事情というものと遠い判断をなしがちであろうと思うのであります。そういう点について少し御認識が誤っておるということは言い過ぎかもしれませんが、少し不徹底な、事態の真実の底をもっとあなたが見きわめられる必要がありはしないか、私はこう思うのであります。これは議論でありますが、御見解がありましたから私の意見を申し上げたわけであります。  そこで、据え置きにしろ引き上げにしろ、食管法自体の中からは三条と四条の生産者価格と消費者価格というのは直接関係がない法律解釈をわれわれはとっておるのです。従って、今の米価引き上げ論の生産者米価を若干上げた、従って赤字がふえる、それをそのまま国が負担をすると、食管制度が危機に直面してくるような事態になる、従って、消費者米価はまあ高額所得者等にとっては大したことはないから少少の値上げはやむを得ぬじゃないか、そういうふうに出発点が生産者米価の値上げに基因して消費者米価の値上げに、だんだんとそこに結論づけられていく、こういうことになりますと、私ども法律の解釈をめぐって大臣にこの際はっきりしておいてもらいたい点があるのです。つまり第三条は、前文は省略をいたしますが、「米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」となっており、四条の二項は「家計ヲ安定セシムルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」、こうなっておりまして、この通り法を運用して今日まで買い入れをされ、売り渡しをされた結果が赤字となって出ておる。その赤字の内容についてはこれから事務当局にもお尋ねをいたしますが、これは当然なんですね。要するに、生産者米価が上がったから赤字が出る、赤字を埋めることは、困るから消費者米価にこれを持っていくのだという、そういう原則はこの食管法からは出てこないと私は思うのです。その三条、四条の解釈はきちんとしておいていただきたいと思うのですが、この点いかがですか。
  78. 重政誠之

    ○重政国務大臣 第一の御質問でありました米審に諮問をする諮問事項まで新聞に出ておったというお話で、私もそれを読みました。しかしこれは、どこの新聞でありましたか、一つの新聞だけです。これは明らかにその新聞の書き過ぎであります。私が前に申しました通り事情でありますから、この点は一つ御了承願っておきたいと思うのであります。これは確かに書き過ぎで、そういうことを言った覚えはないのであります。  それから第二の食管法の法律解釈の問題でありますが、これはまだよく詰めて検討いたしておりませんから、あるいは私のこれから述べますことが多少間違っておる点もあるかと思いますけれども、しかし私はこういうふうに信じておるのです。買い上げたものを初めから食糧管理特別会計が損をして売るということを前提にしておらぬ。もちろん食管法運用上政府が負担すべきものはあります。最も明らかなるものは人件費その他のものでありましょう。あるいは金利、保管料の一部分、運賃の一部分もこれは食糧政策を遂行する上において政府が負担するものであろうと思うのです。しかし、その他のものについて、政府が初めから損をして売らなければならぬという理屈はないと私は思う。米はやはり商品ですよ。しかし、ただいま御指摘になりました血管法弟四条第二項によって、そうではあっても、消費者の家計の安定を害さないように消費者米価を定めなければならぬ。だから農家から買う値段が高くて、そうしてまたその配給までに、消費者まで渡す間の経費が高くて、とうていそれを加えたもので売るわけにいかぬ、そういうことになって消費者の家計の安定を害すということになる場合には、その部分は政府が——食管会計が赤字になっても仕方がない。あくまでも消費者の家計の安定をはかることを旨として消費者米価はきめなければならぬ、こういうことではないかと私は思うのであります。食管会計の上におきましては、私は食管会計で社会保障を行なうなどということはとんでもないということだと思っている。これは私自身の考えですよ。私自身は、低所得階級あるいは生活保護を受けておられるような諸君に、筋を立てるならば、社会保障をやるならば堂々と社会保障として予算を要求してやられる筋合いのものでなければならぬと思っておるのです。いわんや百万長者に税金で負担をしてまで米を安く売るなどということはもってのほかである、こう私自身は思っておるのです。
  79. 足鹿覺

    足鹿委員 別に大臣のあげ足をとるわけではありませんけれども、考え方の基本ですから少し私の意見も申し上げますが、ただいま大臣は、米は商品なんだ、こういうことを申された。私の見るところでは、すべて米については食管法によって政府に売ることが義務づけられておる以上は、これは普通の資本主義社会、現在の日本の経済機構の中にあっては普通の商品ではない。いわゆる自由なる流通を認められておらない。生産されたものはすべて国は買う義務があり、農民は国に売ることが義務づけられておる。それがたとい強制買い上げであれ、予約制にそれが変わったであれ、食管法自体はちゃんと明文をもって国が全量これを買い上げる建前になっておる。従って、これには政府がマル公をつけて自由流通を禁止しておるわけなんです。自由流通で買ったものに対してはいまだに罰せられることになっておる。だから、前農林大臣の自由米構想とかいうものが出て、この食管法に手をつけようとなさるのはそういうところからきておる。思うようにならぬからそうこうことになる。従って、これは商品ではありません。国が管理する食糧という一つの物資にすぎない。重大な国民食糧という物資であります。商品ではないと私は思う。従って、食管法ではあらかじめ損をして売るということは別に規定しておりませんが、要するに再生産を確保することを旨として定められた米価が、家計の安定のために売られるときには、売買損が頭で生じてくる場合もありましょうし、いろいろな場合がある。結果として損が出ても、従来これは食管赤字は国費でもって補てんをすることになっておるのでありますから、頭から損をして売る。従って、この食管法を通じて社会保障的な意味をこれに含んでおるものとは思いません。なぜならば、食管法ができましたのは昭和十七年の戦争中のことであります。むしろこれは農民のつくったものを収奪していく強権収奪法であります。当時の米価がいかに低いものであり、再生産を無視したものであり、そしてその供出の方法がいかに権力をもって収奪されたかということは、これは何人もよく御存じの通りであります。戦後においてはジープとピストルとで、日本の農民にはひどい仕打で米を供出せしめておる。ですから、もともとできたときの精神は、社会保障どころか、むしろ農民を痛めて、乏しい食糧を消費者に不安ないように、食糧という重要物資に対して国が責任を持つ法律だと私どもは解釈しておる。それが最近池田内閣の政策によって、他の物資がどんどんと異常な値上がりをする、公共料金を値上げをしていく、そこで労賃も上がる、一般物価も上がってきたから、農民だけが押えられる理由がないというので、ことしの米価に限らず、例年の米価がもめておるのであります。従って、現在農民の立場からいえば、この生産者米価が再生産を確保するかどうかという点については、私どもは多大の疑問を持っておる、そういうものではないと思っております。従って、私どもは立法当初からの経過から見て、この法律をもって社会保障制度の一環に考えるなどというような考え方は毛頭持っておりません。ですから、そういう考え方でなしに、事実第三条と四条との解釈をそのまま忠実にやっていけば、結果として損が出てくる。しかし、食管会計全体の中では、このごろは少なくなりましたが、輸入米で政府は大もうけをした、そういう時代もあった。高い米を向こうから買って、そして日本の安い米価で埋め合わせをしたときもあったわけです。そういう経過をたどってきておることは御承知通りであります。ですから、農林省の役人としても長い経験を持ち、農政のベテランといわれる重政農林大臣から、今さら私の質問に対してそういうしろうとじみた御答弁があるとは私は思わなかったのです。社会保障だとかあるいは米は商品であるとか、損をして売るということを前提にしていないからというようなことではなしに、やはり現在の食管法の運営の上から、当然結論として多くを好むものではありません。私ども最小限度に赤字がとどまることを欲するものでありますが、しかし結果として出てきたものの多寡を論じて、しかもそれは生産者米価が上がったから赤字がふえたんだ、それは消費者へ持っていくのだ、こういう考え方、しかも所得の面において占める米価、米の位置というものが非常に低くなってきた。昭和三十二年に一二%程度のものが現在一〇%に下がったという統計数字をお示しになりましたが、それは階層によって違ってくると私は思うのです。平均ではそういうものになるかもしれませんが、最近米の需要がふえてきておるという傾向から見ましても、パン、めん類の消費が減って、そうして米に移動してきておるという事実は、むしろ勤労階級に固定的な消費層が拡大してきておる。従って、これは大きな問題だと私は思うのです。そういう点からも、当然これは三条、四条の関係から見ましても、運営上から見ても、政府が上げるというのならば、別な角度からあなたは何らかお考えになっておりますか。私が今言ったことを御了承になれば、何か別な角度からこの消費者米価を上げなければならぬのだ、そういう気になりつつあるのだ、そういう観点から検討しておるのだということであるならば、どういう角度から消費者米価を検討しておられますか。要するに生産者価格は上がって、消費者米価を上げなければ勢い食管の赤字が累増していく、これでは困るから上げるというのではないというならば、何を根拠にして米価の値上げをしようとされますか、その検討の真意は那辺にあるか承りたい。
  80. 重政誠之

    ○重政国務大臣 これは議論にわたりますので、ただいまの段階ではいろいろ申し上げるのは適当ではないかとも思いまするが、一応そういう御説が出ましたから、率直に私は私の考えを申し上げておるわけでありますけれども、こまかい問題その他につきましては、また別の機会に十分腹を割ってお話したいと思うのでありますが、お話通り生産者米価決定というものと、消費者米価をきめるということは、直接に関係はございません。現に昨年及び本年の生産者米価決定にあたりましても、財政の負担は顧慮することなく、食管法の命ずるところによって生産費所得補償方式によって生産者米価決定するという方針をまず立てたのであります。それで現在のような生産者米価がきまったわけです。そういうことになると、財政の負担がどうなるかということは第二段の問題なんだ、この処置をしなければならぬということになるわけであります。しかし私が今まで申し上げたところは、その財政負担が千二百億になる、このまま据え置いておけば、政府の買上量というものは四千二百万石を目標にしておるが、おそらく四千五百万石以上になるだろうとさえいわれておる。ますますその赤字は大きくなる。けれどもその赤字を減そうと思うために無理なことを考えておるのじゃ断じて私はないのです。あくまでも食管法の規定に従って、食管法を忠実に運営するという立場において、私は先ほど来申し上げておるのであります。今度生産者米価を値上げをしたから、それを補てんするために消費者米価をそれだけのものを上げようなどというような考えは毛頭持っておらないのです。私は。あくまでも消費者米価をきめるのには食管法第四条第二項に原則が定められておりますから、この原則に基づいて消費者米価はいかにあるべきかということを検討いたしておるわけであります。そこで、要は現在の消費者米価を据え置かなければ家計の安定をはかることができないのかどうかということが問題だ。一方において家計費は三分五厘も膨張しておる。従って現在の消費者米価は相対比においては低下しておる。これだけの開きがある。それでこの米価を据え置かなければ家計が困るということはいえないじゃないかというのが私の気持であります。そうして、勤労階級についてのことを農林大臣は考えずに言っておるじゃないか、こういうおしかりを受けたのでありますが、勤労階級のことも考えております。勤労所得を得ておる方々の家計費のうちで、一割足らずのものしかその家計費に影響はないわけであります。もちろん賃金その他の勤労所得を得られる方の階層があります。そのおのおのの階層についてももちろん検討をいたしておるわけであります。今具体的にどれだけどうということを実はまだきめかねておるのです。私の腹もできておらぬときでありますので、徹底的にこれらの問題について御意見を拝聴し、また私が答弁するというのは、現段階においては少なくともこれは適当でない、私はこう考えますので、足鹿さんの御質問の御趣旨は十分了承をいたしております。この程度で一つ他の機会にお譲りを願えればまことに幸いであると思うのであります。
  81. 足鹿覺

    足鹿委員 御要望の趣旨もありますからこれ以上申し上げません。  それでは具体的に最後にお尋ねしておきますが、要するにきのうの記者会見の発表は、農林大臣としての真意を伝えておらない、誤っておる、こういうことを御確認になりますね。それからまだ消費者米価の値上げ等については何ら具体的に自分の腹はきまっておらない、これも御確認になりますね。それから、第三条と四条との生産者米価と消費者米価の間には、両者は別個なもので関係はない、ただ問題は食管法の運営上から自分は考えておるのだ、こういう御趣旨のようでありましたね。その点だけは一つ御確認を願っておきたい。
  82. 重政誠之

    ○重政国務大臣 第一点の、昨日夕刊の各紙の報じたことが私の真意を伝えておらぬ、こういうふうに包括的にはちょっと私は申しかねる。それはただいままでいろいろ述べました通りのような心持で私は話しておるのであります。少なくとも十一月から適用するとか、あるいは米審にはこういう諮問案を出すとかというようなことは、これは私の真意ではございませんが、ただいままで私が答弁を申し上げたところによって、おおよそあの新聞紙が報じたことは、どの辺までは農林大臣の心持を伝えており、どれから先は少し勇み足であるということを御了承いただいたと思うのであります。  それから第二点の生産者米価と消費者米価との間の関係につきましては、先ほど私が申し上げました通りであります。当初から食管会計そのものはあらゆる場合に損をするということを前提にしてはおりません。大体は買ったものの諸経費を加えたもので消費へ売るというのが原則である。しかしながら第四条第二項の家計の安定を旨とする、こういう建前において制限を受ける点は、当然これは食管法が赤字を負担すべきものである、こういうふうに考えておるのでありますから、大体足鹿さんの御指摘のような趣旨だろうと思うのでありますが、そういうことに御了承を願いたいと思うのであります。  それから第三は、私が現在具体的に消費者米価についてきめておらぬということを確認しろ、その通りであります。
  83. 足鹿覺

    足鹿委員 ついでですが、自民党の米価懇談会は結論に達しておりますか。いつごろ達する見込みでありますか。また、消費者米価格間の米審はいつごろを現在御想定になっておりますか。これで大臣に対する質問は終わりますから、その点だけを聞いておきたいと思います。
  84. 重政誠之

    ○重政国務大臣 党の方の米価懇談会に私が相談をもちかけているということになりますか、党の政調には相談をいたしますが、政調の方ではあの懇談会でやられるのかどうか。これはいろいろ御都合のあることでありますので、私から何とも申し上げられませんが、これは私の方で大体の腹がきまり次第、これは御相談をしようと思っております。  それから米審をいつごろやるかという問題でありますが、これはまだ私きめておりませんけれども、原則的には、私の心持は新米を配給するという時期までにはきめたい、全部を完了したい、こういうふうな心持で現在おるわけであります。
  85. 足鹿覺

    足鹿委員 ちょっと理解しかねたのですが、大臣、松村代議士が御主宰になっておる米価問題懇談会は、前農林大臣の河野さんが農林大臣の諮問機関としてそこへお預けになったでしょう。党もまたそこへ預けたでしょう。だからあなたはその答申を、その意見を求められ、結論を得られる御方針かどうかという意味なんです。あれは党じゃない、前農林大臣がつくられたものです。
  86. 重政誠之

    ○重政国務大臣 ちょっと私誤解をいたしておりました。あれは党の特別委員会ではないわけであります。農林大臣の諮問機関というような形になっております。これは農林大臣がかわりましても研究を続行していただくことになっております。そうして少なくとも十月の上旬までにはできるだけの御意見をおまとめ願いたい。根本的にできなければ中間の報告の御意見でもけっこうでありますから、十月上旬、できれば九月の終わりまでに御意見をお聞かせをいただきたい、こういうことを申しております。これはもちろん私の重要な参考資料になると思うのであります。先ほど私が申しましたのは、党の方の、自民党の政調の関係の懇談会かと、こういうふうに誤解をいたしましたので……。
  87. 川俣清音

    川俣委員 関連。時間がないので端的にお尋ねしたいのです。よくわからぬという意味でお尋ねしますから、その意味で御答弁願いたいと思うのです。  重政さんが大臣になったので、前と違った意味で、何か消費者価格を上げるんではないかというムードが出ておるわけです。そういうふうに見られるのは本意でないかもしれぬけれども、そう見られているわけです。そこで足鹿君のような質問が出たと思うわけなんです。この際やはり明らかにしたい、こう思うのですが、確かに食管法からいいまするというと、従来の運営の上からいっても生産者価格と消費者価格の間においては関連を持たして考えないのだという考え方が基本的にはあったわけです。関連を持たせないからといって、それでは無関係かといえば、買った米価に対して何らかの中間の経費を見るということまで否定しないというのが今の大臣の答弁であったわけです。それなりに理解をいたしまして、その上で一つ質問したいのですが、それとは別にいたしましても、財政上千二百億というような赤字は何とか処理しなければならないであろうということも、一般に世間からいわれておることなのです。そうすると大臣でも無関心ではおれないわけでしょう。そうすると、この赤字と称されまする千二百億をどういうふうに処理していこうとする考えなのか。それをお聞きすると解決になると思うのですが、大臣はどういうふうに考えておられますか。
  88. 重政誠之

    ○重政国務大臣 赤字の処理の問題は、もっぱら大蔵大臣の問題でありまして、大蔵大臣から正式に千二百億は負担ができぬ、何とかしてくれという申し入れはまだございませんから、私は、もっぱら先ほど来申します通りに食管法四条第二項の消費者米価をきめる原則に従って消費者米価はどうあるべきであるかということを検討をいたしておるのであります。ただ、これだけを一つ御参考のために特に申し上げておきたいと思いますことは、冒頭にもちょっと申し上げましたけれども、逆ざや、端的にいえば、農家がかりに自分のつくったものを全部政府に出して、そうしてその自分の要るものだけ配給を受けるとすればどうなるかといえば、その方が得になるのです。私の試算によりますと一升四円得になる。こういう制度は食管法でいまだかつてない現象なのです。こういう制度は食管法としてはまことに困るのではないかというふうに考えております。この点は申し添えておきたいと思います。また他の機会もあろうと思いますが。
  89. 川俣清音

    川俣委員 経済上逆ざやだということはわからぬわけはない。しかし農林省及び農林大臣が、逆ざやなために農民が再び買うような事態が起こるということを頭に置かれておるとすれば非常な間違いであると思う。今の食管法は、生産者は配給を受けることができないのが建前になっておる。それを買うことができるであろうなんていう想定で逆ざやということは、農林大臣及び農林省の役人としては言うべきではなかろうと思う。食管法をやめるという考え方ならば別ですが、食管法の中で運営しようということになりますれば、それは少し勇み足どころでない、かけ足だというふうに見なければならないと思うのですが、そのことは別にいたしまして、どうしても千二百億という赤字を、三分の一財政負担をしようとか、あるいは四分の一負担をしようということは間違いじゃないかと思うのです。今の食管会計はどんぶり勘定です。どれだけが一体消費者に負担させるべきものかどうかという勘定ができていないのです。そこで問題になるのは、この赤字の中で生産者から買った値段について一体どれだけ消費者に負担さすべきかという勘定ができていないのですよ。それでいながら解決するというから、どんな解決をされるか不安だという問題が出てくるであろうことが一つなんです。もう一つは、日本の米穀史を見ましても、高橋是清などは、当時約二十四億の国家財政の中で三千万円の負担をして米価の安定策を講じたわけです。そういう事態もあり得るのであるからして、たとい直接統制をやめて間接統制にいたしましたならば、国が負担すべきものはどのくらいあるだろうかというようなことも考えて、その上で一体どの程度消費者に赤字を負担させるかということがわかれば、そこで初めて消費者もこの程度ならばがまんしようかどうかということでおのずから解決されてくると思うのです。ただ千二百億が一体米なのか麦なのか、あるいはほかのものが加わっておるかどうかわからない、どれだけのものを消費者が負担しなければならないだろうということになると、どっこいそういうわけにはいかぬよ、こうなってくるのではないかと思うのです。それだから、金額はわからないにしても、大臣は何となく上げるんだ、どこまで上げられるかわからぬというところに不安がむしろ出てきている。もう一つはなぜ消費者価格の安定をはからなければならないのか。不安定になったら日本の産業界というものは大動揺がくるという点にある。金持は、消費者米価が上がったって下がったってかまわぬが、おれの税金で負担させられては困ると言うかもしれぬけれども、世の中が不安定になりますれば、一番大きな打撃を受けるのはその人なんです。わずかの税金で済むならありがたいことだと思う。財界であれ、金持であれ、不安定になった場合一番大きな打撃を受けるのはそういう人たちなんです。従って、おれの税金で消費者価格を押えることはけしからぬということは、あまりにも自分の領域から見ただけのことであって、それに大臣が惑わされてはいかぬと思うのですが、そういう意味を加えて御答弁願いたいと思います。
  90. 重政誠之

    ○重政国務大臣 大丈夫です。決して惑わされてはおりません。ただいまの川俣さん御指摘の前段でありますが、政府が負担をするのはどれを負担する、どれどれは消費者が負担すべきものだということをきめるべきではないかという御意見であります。非常に私はそれに賛成なんです。できるかできないかわかりませんが、相なるべくはそういうふうにして明朗にこの問題をいたしたいと私は考えておるのであります。  それからなお、どんぶり勘定というようなお話もありましたが、これは現在はどんぶり勘定をいたしてはおりません。千二百億足らずの赤字が生ずるであろうという推算は米についてであります。現在は麦、輸入穀物及び農安法の運用の損益勘定というようなものは、おのおのその勘定を分けて食管会計ではやっておるのでありまして、ただいま申し上げたのはあくまでも国内米についての勘定でありますから、これは一つそういうふうに御了承を賜わっておきたいと思います。
  91. 川俣清音

    川俣委員 それは大臣だいぶ違うのですよ。どんぶり勘定というのは、今の勘定項目から見ますと、確かに前のどんぶり勘定よりは整理をされてきている。それは輸入米、輸入麦そういうものと国内との区別はできたけれども、今あなたに消費者に負担させる金額は幾らかと聞いてもすぐ返事ができないでしょう。ちゃんとそれができていないということが、どんぶり勘定ということなんです。今これからやって見なければわからぬということは、どんぶり勘定だからわからぬのです。ちゃんと毎月の清算をしてわかっておればすぐ答弁ができるはずなんです。できないところがどんぶり勘定だと私が言うのですよ。これから計算し直さなければならぬのだから……。
  92. 重政誠之

    ○重政国務大臣 これは私は今のあなたの御議論には賛成ですが、しからば千二百億のうち幾ら幾ら政府が負担するのだと言われると、答弁もお前できないじゃないか、こう言われるが、その通りなんです。だからといって、人件費にどれだけかかり、金利にどれだけかかる、保管料がどれだけ要って運賃がどれだけ要りますということがわからぬのじゃない。今直ちにどれだけかかるかということをお聞きになれば、直ちに私は数字を申し上げますが、それだけではだめなんです。どれだけの部分を政府が負担をするかということを政府がきめておらなければ、農林大臣はそれを答弁することはできない。これは当然財政当局なり経済閣僚懇談会において政府の方針を明らかにしておかなければ、私が答弁をすると、それこそ暴走になったり勇み足になるから、これはできないわけでありますが、私はそれをやりたい、こう申し上げておる。そこに一つの線を引いて明朗にやりたい、こういうことを申し上げておるわけであります。さように御了承願いたいと思います。
  93. 川俣清音

    川俣委員 それは事務費は幾らかということはわかりますが、米のための事務費なのか、一般の食糧行政をやるための事務費なのかという区別がついてないじゃないですか。そういう意味でのどんぶり勘定だ、こういうのです。もちろん事務費にしても、管理費にしても、すべての費用が一体米にほんとうに負担をかくべきものなのか、日本の食糧行政の上からやらなければならないものなのかという区別がついていないじゃないか。それをどんぶり勘定と、こういう。もっとすべてを清算すべきである。そこで初めて食糧庁の原案というものができて、その上に一体行政の判断からどれだけ一般会計が負担すべきかという問題はさらに出てくるであろうけれども、基礎になる資料ですら十分でないのではないか。そこから初めて消費者に一体どれだけかぶさるか、政府の行政の失敗までかぶせられるのではあるまいか——大臣、それだけお聞きなさい。災害が起きてもしも三千万石より米が集まらないということになったら、今の赤字が少なくなるでしょう。日本が災害を受けたために赤字が解消されるというばかな行政が一体ありますか。あるいは二千万石より集荷できなかったとすればもっと赤字は少なくて済む。災害があったために赤字が解消されたというばかな行政がありますか。私はそういう意味で言って、災害まことにけっこうだというような結果になるような赤字というものについて十分考えてやっていただかないと、消費者にとっては非常な不安だと思う。エンゲル係数から見ましても、四〇以上に上るところの係数を持たなければならぬ人口がかなり多い。そういう数はかなり多いということを見なければならぬ。そこで経済的な不安ができた場合には、そんな金で済まされない大きな財政負担がくるではないか。そういうことを憂慮すると、この赤字の問題についても、単に赤字だからこれを消費者に負担させなければならないというつもりはないでしょうけれども、そういうムードがあなたの付近にあるのですよ。それはあなたのためにもとらないと私は親切に言うのです。重政さんはベテランだからそういうことはなかろうとということは、われわれはそう思いますよ。非常に信用し過ぎるのですが、一般はそこまで信用しない。何となくかぶせられるのじゃないか、こういう不安が確かにあるわけですから、それを一掃するのがまず大臣としての先決の問題じゃないか、こういう考えで質問した。忙しいようだからまた別の機会に譲りますけれども、そういう意味です。
  94. 重政誠之

    ○重政国務大臣 御親切まことにありがとうございますが、まだそういうようなことで惑わされるには至っておりませんから、一つ御安心願いたいと思います。  それから各勘定別に人件費、運賃その他はわからぬではないが、こうおっしゃるのでありますが、正確に申しますれば、それはあるいはお話通りになるかもわかりませんけれども、はっきりわかるものもたくさんあるわけです。それで食糧庁では、一応全部仕分けをいたしておるのであります。が、申すまでもなく、食糧庁の大部分の仕事というのはこれは米でありますから、米の部分が非常に多いのでありますが、約二割前後のものは他の輸入食糧の問題でありますとか、内麦の問題ありでますとか、あるいは農安法関係のものであるとかいうようなものがあるわけであります。八割程度のものはこの米に関するものでありますけれども、一応こまかく仕分けはいたしまして、私の手元に持っておるわけでありますから、そうわけのわからぬどんぶり勘定というわけでもない。もう少しその辺のところはまた詳細に数字をあげて御検討をお願いする機会もあろうかと思いますから、本日はこの程度にして……。
  95. 安井吉典

    安井委員 先ほどの川俣さんの査問の中の特に逆ざやの問題について、これははっきりいたしましたから、大臣、これははっきりお認めをいただかなければいけないと思うのです。この点農家の場合は、完全に保有のある農家と不完全な保有農家とがあって、完全保有農家にはいわゆる食管法の第八条ノ三の購入通帳はいかないのですから、そこで逆ざやの起きる余裕はないし、不完全農家の場合も保有量に足りないだけの配給しかないわけです。それ以上配給量をやっているとすれば、これは農林大臣の責任ですよ。食管法違反です。だから逆ざやというものは、実際上は食管法の建前から起きないんだということをはっきりこの際確認をいただきたいと思うのです。というのは、これはあり得ないことを消費者米価を値上げする種に盛んに大臣は供されておるようです。あちこちでその話を聞くのです。あり得ないということをきょうここで確認するだけでも、きょうの会議は大へん前進だと思いますが、いかがですか。
  96. 重政誠之

    ○重政国務大臣 その点は川俣さんの言われました通りに、法律上の若干の疑義はあるようでありますが、おおむね川俣さんの言われましたような事情であることは私も承知いたしておりますが、そういう状態に食管法を置くということが政府としてはおかしいのではないか、こういうことを言うわけであります。
  97. 安井吉典

    安井委員 食管法上あり得ないことですから、あり得ないことを、その食管法の運用の最高責任者である農林大臣がさもありそうなことを言って、こういうふうな矛盾があるから消費者米価を上げなければいけないのだというPRの材料にずいぶん使っておられる。それが私は一番大きな問題だと思うのです。
  98. 重政誠之

    ○重政国務大臣 やみ米は食管法の建前においてはあるべきはずはないんですよ。(「不謹慎だよ、大臣、そういうことを言うと……」と呼び、その他発言する者あり)私は事実を言っておる。言ってはいかぬという形式論であなた方が御得心がいくのなら、話は簡単である。われわれは事実は事実として認識をして、それを対象にして、前提として考えなければならぬ。だから言っておるんですよ。そういうことはない、法律上やみ米があるはずはない、あるはずはないが、厳然として事実は要実だ。今のお話川俣さんが言われる通りです。その通りで、そういうことが起こるはずはない。私もそう信じたい。信じたいのでありますが、制度としてそういう状態に置いておくということが一体いいか悪いかということが非常な問題である。
  99. 安井吉典

    安井委員 重大な問題ですよ。それは制度としてそういうことはできないということになっておる。それはやみ米の問題と二つの問題をお出しになるけれども、やみ米の問題は多いかもしれないが、逆ざやという問題はめったに起きませんよ。問題の幅が違いますよ。制度として認めるというけれども、今の制度では認めてないじゃないですか。その制度でできるようなことを言われる大臣の頭がおかしいと思うんです。
  100. 重政誠之

    ○重政国務大臣 またの機会に一つ……。
  101. 足鹿覺

    足鹿委員 私もいずれあらためてまたこの問題は検討する機会を委員長に御配慮願いたいと思っておりますが、問題は米価問題に関連する当面の問題について若干食糧庁当局に最初お尋ねし、その次にビール麦の問題について食糧庁並びに振興局、経済局等に伺います。なるべく簡潔にお伺いいたしますので、端的に御答弁願いたいと思います。  先ほど来政府は食管制度というものに対して、昔のような情熱を持たなくなったことは事実のようであります。それがいろいろな方面にいろいろな形で現われてきておると思うのであります。ただいま消費者米価の問題もあったわけでありますが、いま一つの問題としては、米麦の集荷面及び保管の面においても顕著な現われがあるわけであります。米と麦の集荷手数料並びに保管料はここ五、六年据え置かれたままになっておるのであります。その間賃金または物価は著しく高騰を続けてきているにもかかわりませず、現行の手数料なり保管料というものは末端の集荷の衝に当たっておる者には非常に愛情のないというか、要するにたくさん集めてもらうことはむしろ迷惑に思っている。むしろ米がなるべく少なく集まってくることを期待して、先ほどの議論のように、そういう下心が作用するのか、他の労賃なり物価値上がりに比しまして、著しく不当に手数料も安いし、保管料も安い。この問題に対して最近米は新米も出回ってきておりますし、保管問題も具体的に現実の問題となってくると思いますが、伝え聞くところによりますと、関係団体等々といろいろと御検討は願っておると思いますが、どのようなお考えを持って対処していかれようとしておられますか。長官の率直な御答弁を願いたいと思います。
  102. 大澤融

    大澤政府委員 集荷手数料と保管料についてのお尋ねですが、御承知のように、今御指摘のように、ここしばらくの間集荷手数料にいたしましても保管料にいたしましても結果は据え置きという形になっておりますが、たとえば集荷手数料をとりますと、年々米の扱い数量、単協での扱い数量というものがふえております。三十六年産米が三十五年産米よりも生産が少なくても、かえって多い数量が集まっておるというようなことも見られますように、取扱い数量が非常にふえております。御指摘のように、賃金の上がりあるいはまた物価の上昇というようなことは、もちろん集荷手数料、保管料を考えます場合に考えなければならぬ問題ですが、そういうことを考慮に入れましても、取扱い手数料が多くなるということで、単価としてはここ数年据え置くということで差しつかえないような勘定だということで、ことしの産米につきましても農協側等からいろいろお話もございますけれども、それはそれとして、昨年と同じ単価のものを——御承知のように米の供出というようなことも早場米が多くなるというようなことで早まってきておりますので、そういう供出の事務、農協なりあるいは食糧事務所での事務に差しつかえのないように早目にきめまして、昨年と同じようにやるのだということでやっておるわけであります。
  103. 足鹿覺

    足鹿委員 昭和三十年に四十八円の米穀集荷手数料が一俵当たりきめられてから三十一、三十二、三十三、三十四、三十五と、つまり六カ年間据え置いてあるわけですね。ようやく昨年五十円になって二円上がっておる。三十七年も集荷量がふえたからこれでいこうと思うというお考えでありますが、五十円全体の内訳を見ますと、系統農協の場合で見ると、全販連が一円七十銭、保管倉庫積立金として三十銭、県段階が八円、そして単位農協——末端農民から実際集荷しておる団体が四十円ですね。三十年の単価をわずか二円上げたままで、物価が高騰し労賃が上がった現在、これで集荷量がふえたのだからいいんだ、そういう御答弁であったように思いますが、今私が指摘したように、末端の人々は四十円で一体やれますか。あなた方は農協の合併問題を盛んにやられておりますが、要するに現在末端の農協というものが構造改善の面においても、あるいは生産指導の面においても、実際十分な活動ができないというのは、経済面から行き詰まっておる。実際今日七年前の単価で集荷量がふえたのだからやれ、こう一般的に割り切ることは妥当な考えでしょうか。ふえる単協もありましょうし、工場敷地、道路敷地、いろいろな公共施設等の敷地、都市の膨張等によって減っていく単協もありましょうし、中央の全販連とか県段階にはあまり大きな移動がなくても、末端のものは困っておるのですよ。その事実は御認識にならないのですか。三千万石から四千二百万石になったから、全体として数量がふえたからいいんだ、そういう大まかな、実際の集荷の系統組織の配分の実態も御存じの長官がさようなことをおっしゃるとは、私はいささか納得がいきません。もう少し検討される余地はないのでありますか。たとえば米穀の理管経費の変遷を見てみますと、私の資料によりますと、これは食糧庁の資料から抜粋したものですが、石当りの経費で見まして、集荷経費、運賃、保管料、事務費、金利、こういうふうに見ますと、集荷経費は、三十一年と三十七年との対比によりますと、八八・六、むしろ減じておる。その数字的根拠はあと資料を差し上げますが、集荷経費の面においては八八・六です。ところが運賃の面においては、これは日通とあなた方が特約をしておられるわけでありますが、日通の場合は一三一・一%、実に三一%の増を示しております。保管料は大体とんとん、九九・二というところ、これもやや少ない。別に事務費というのがありますが、これは食糧庁の人件費その他の事務関係だろうと思いますけれども、これはやはり労賃その他の状況を反映して一五三%というふうにふえておるのですよ。五割三分もふえておるのですよ。日通の運賃関係も三割一分ふえておるのですよ。それでもって保管料と集荷経費だけは現状でいい、そういう、いわゆる公平であるべき行政がその対象によって著しく等差をつけていくということは、私は穏当を欠くと思いますが、そういう点についてもなお御検討になってこれでよろしい、こういうお考えなんでしょうか。これは私は非常に遺憾千万だと思います。現在、農協の単協の職員がいかに物価高の中にあえいでおるかということは、これはもう申し上げるまでもありません。一番低いベースで一番つらい仕事をしておる。政府が農協の合併や農協を軽視していくならば別でありますが、農政の面において重視していこうという考えがあるならば、その財源の中に大きなウエートを占めておるこれらの問題に対しては、物価や労賃やその他経済事情をよく勘案して、少なくとも、この米穀の管理経費のほかの種目ともにらみ合わせて妥当に御決定になってしかるべきものではないか、私はそういうふうに思うのです。総体では数量がふえたからそれでいいとなお長官はお考えになりましょうか。さらにこれはもう少し深く掘り下げて至急に検討される余地はないのでありますか、その点をいま一応お尋ねしておきたい。
  104. 大澤融

    大澤政府委員 このことに限らず、私どものやっておりますことは、常に反省もし検討をして、より妥当なものにしていくという努力はしなければいかぬと思いますが、今御指摘のありました政府の経費の問題ですけれども最初の、集荷費が減ったというのは、おそらく集荷の奨励——これは三十年に予約制度をやりまして、非常に心配したわけですけれども、その後の模様を見ると、非常に円滑に予約も進み集まるというようなことから、今申し上げたような経費もだんだん要らなくなり減らしてきたというような面が大きく響いているかと思うのであります。あるいはまた事務費について大幅に上がっている——これは例の公務員のベース・アップあるいは物価というようなことが響いておると思います。また運賃についても同じようなことがいえると思いますが、先ほどから申し上げましたように、保管料にいたしましても、集荷の手数料にいたしましても、私どもは必要な使途、必要なもの、ことに必要な使途については、公務員のベースでものを考える。公務員のベース・アップがあったときにはそのベース・アップに応じたような経費も割り当てて考える。あるいはまた物価にいたしましても、ことしのベースで昨年に比べますと四%ぐらい上がっております。そういうものも織り込んで考えるというように、妥当な考え方をしているわけです。何せ先ほど申し上げましたように集荷の数量がふえるということが大きく響いて、ベース・アップあるいは物価の上昇というものを逆に打ち消しているというようなことになっていると思います。  なお、農協で少ししか扱わないところがあるというようなお話でございますけれども、これは農協も経済ベースでやり得るようにという——農協そのものの組織の大きさなり仕事の分量というものは、むしろ経済局の方でおやりになっているわけですけれども、合併促進というようなことでもやっておりますが、私どももまあ一応経済ベースでやっている農協を単位としてものを考えていくということになろうかと思います。  それからまた、御指摘の全販、県段階の団体に対する経費の割り振りということは、県によっていろいろ金額も違うようでございますけれども、それは内部問題として御処理を願わなくてはなるまいか、こういうふうに考えます。
  105. 足鹿覺

    足鹿委員 いつでしたかね、ことしは約二十億はかりというような——全糧連系統の配給マージンは本年約二十億ですか……。去年は十億程度ですか。ふえていますね。約三七、八%ふえておるんですね。そのおふやしになった根拠は、労賃問題もありましょうし、人件費、一般物価との均衡などもあってお上げになったと思うのです。そうすると公務員ベースで単協の場合でも集荷団体すべての場合も計算をしてそれを反映しておるとおっしゃいますが、三十年の四十八円が三十六年五十円になって、三十七年も五十円で、公務員ベースやその他のものがどういうふうに計算上反映しておるか、御説明がいただけますか。私はそれはちょっと長官の言う妥当とは受け取れませんね。それがどういうふうに反映しておるか。私ども資料から見ますと、たくさん資料を持っておりますが、現在倉庫の管理の問題につきましてもいろいろな面につきましても、幾ら金を出しても人がなくて困っておるんですよ。そういう状態なんです。そういう状態を見込まれてあなた方としては配給マージンの場合は三八%、一俵当たり百九円程度の増額を一方においてされておる。配給の面においてはそういう配慮を加えるが、集荷の面は数量がふえたんだからいいんだという。配給の面もふえておるんですよ。そうでしょう。それでは首尾一貫しないではないですか。どうも、日ごろのあなたの明快な御答弁といささかきょうは納得いたしかねるお考えのように思います。その五十円の中にどういうふうに物価高や公務員ベースを振り当てて妥当だと言われますか。
  106. 大澤融

    大澤政府委員 卸小売の配給マージンと比べてのお話がございましたが、配給マージンと集荷手数料の算定要素というか算定の仕方は別々でございます。集荷手数料の方にはないような、たとえば運賃であるとかあるいは俵のような副産物が配給マージンの方の計算には入ってくるわけです。ですから運賃の上がりとか副魔物、俵が売れなくて大へん安くなってしまうというような事情があって一もちろん集荷手数料と同じようにベース・アップですとか物価の上昇とかいうようなことを見ております。そういう集荷手数料の方にはない算定要素があるものですから、結果として卸小売マージンの方が上がったということがあるわけですが、そこで五十円の中にどう入っておるかというお話なのですが、これは昨年からことしにかけての公務員のベース・アップ、たしか七・一%だったと思いますが、その人件費の関係も見ておりますし、それから物価の上昇は昨年のベースとことしのベースではたしか三・七、八%だったと思いますが、それだけの上昇も見ているというふうに織り込んでおるわけであります。
  107. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますとあなた方食糧庁の資料に基づく運賃ですね、日通関係の運賃を三一・一%、事務費の一五三%、これらと対比した場合に、私は先ほど著しい差があるということを申し上げましたが、日通なりの運賃や事務費は上げているんだ、しかし集荷経費や保管料や金利は大体据置あるいはそれ以下でいいんだ、こういう論理はどこから成り立ちますか。去年まで出しておられました集荷協力費というのですか、それも三十六年までは三億六千四百万円出ておった。これは主として中央あるいは県段階がおもになり、若干が単協方面に出ておったと思いますが、その比率もあと資料でいただきますし、それから五十円の中にどういうふうに織り込まれておるか、その資料も、今あなたの並べられた根拠も一つ御提示願いたいと思いますが、そういうふうに集荷協力費もばっさり切っている。何か集荷そのものについてはそうたくさん集まってもらわなくてもいいんだ、ほっといても集まってくるし、数量も多くなる、こういう全体としての協管制度に対するあなた方の熱意というものが、一番冒頭に申し述べましたように各方面に来ておる、そういう印象を受けるのです。そういう印象をわれわれが持たざるを得ないような事実が数字になって現われておるわけですから、もっと全面的に公平に——私は不公平だと思うのです。もっと公平におやりになったらいかがですか。私も都市において、東京とかその他の大都市における配給マージンが、俵が前のように売れなくなった、むしろそれを捨てるのに時間がかかる、労力がかかる、こういう大都市の事例もありましょうが、地方に行けばまた必ずしも同一の条件ではない、それを三八%、約四〇%も値上げをしておる。大きなベースでものをお考えになるということはわからないではありませんが、私は次元をひとしくして比較しようとは言いませんけれども、少なくとも集荷面において上げなければならない要素というものがある場合は、運賃の場合でも、その他の場合はちゃんとあなた方見ておるんじゃないですか。それをなぜ集荷経費の場合は協力費も削る、それから現状維持で上げない、配給マージンは俵その他における大都市の特殊事情で困っておるから見てやったんだ、これではいかに末端の諸君が温厚であっても、最近激高しておることは私は当然だと思うのですよ。もう少し公平な行政をやっていただきたい。そこで日通の値上げをされたときの根拠となるべき資料を御提示願いたいと思います。五十円の中へ、公務員ベースの引き上げを根拠にしてどういうふうに織り込んでおるか、その他の資料も出してもらいたいと思いますが、いただけますか。そして、そういったものすべてを総合して、もっと当委員会等におけるところの意見を聞かれて、そして慎重に検討される御意思はないのでございますか。その辺をとくと一つ慎重に考えて御答弁願いたいと思います。
  108. 大澤融

    大澤政府委員 御要求の資料は、一つ用意をいたしたいと思います。  それから集荷手数料、配給マージンあるいは日通の運賃というようなものについて、私どもとしては不公平な扱いをしているという気持はございませんが、何かそういうふうにとれるような点があれば、私ども反省しなければいかぬと思いますけれども、今後の問題としても、それぞれについて最も妥当な方法でやっていきたいという気持には変わりはございません。いろいろ御注意がありますれば、率直に一つ御意見を承りたい、こう思います。
  109. 足鹿覺

    足鹿委員 最も妥当な方法で考えたい、注意があればその注意は聞かしてもらいたい、こういう御趣旨でありますね。——大体そういうことでありますならば、これ以上この集荷手数料の問題については申し上げませんが、先ほども申しましたように、上げるものは上げる、現状のものは現状だという形が出ておるのです。それにはあなた方には一応の理屈はあるでしょうが、日通運賃の場合は、三十一年度との対比をとってみましても、ずっと上がっておるのですね。若干の高低はありますが、石当たり三十一年が百六十四円、三十二年が百八十八円、三十三年が百八十五円、三十四年が百八十六円、三十五年が百九十一円、三十六年が二百二十五円、三十七年が二百十五円と、明らかに大きく上昇しておるじゃないですか。これはあなた方は農協の経済性ということを言われますが、一面、マル通というのは全くの営利追求機関ではありませんか。農協は、いやしくも法において利潤追求はできない建前になっている。組合員に奉仕する精神を持って運営され、法で規制されておるのですよ。そういう不自由の中にあるものはそのまま置いておくんだ、それでは私は通らぬと思うのです。たとえば事務費の場合、三十一年に二百円、三十二年に二百十円、三十三年が二百十六円、三十四年が二百三十二円、三十五年が二百六十三円、三十六年が二百六十七円、三十七年は驚くなかれ三百七円ではありませんか。三十一年に比べて百七円もふえ、五三%ふえておるじゃありませんか。このように、明らかに数字そのものが食糧庁資料によって示されておるのですよ、長官。ですから、最も妥当に公平に検討する、こういうことでありますから、十分あなたの良心において御検討され、そうしてわれわれの意見はこれからも申し上げるでありましょうし、また、その衝に当たる者たちと十分お互いがよく納得のできるような話し合いの場をあなた方も持たれる必要はないのでありましょうか、重ねてその点を伺いたい。あとで保管料の問題にちょっと触れますが、この点だけについてはこれで終わります。
  110. 大澤融

    大澤政府委員 先ほど申し上げたように、いろいろな意味で各方面の御意見を率直に拝聴するということは今後もやりたいと思います。その中で、ちょっと今お触れになりました、運賃が非常にふえているというお話ですが、これはタリフの改正と、それから輸送距離の延長というようなことが大きく響いておるので、そういうことになっておるのだと思いますし、また、事務費の増は、われわれ公務員のベース・アップ、これは取り扱いの数量に関係なく大きくなるというようなこともあって、そういうことになっているのじゃないかということを一つ申し上げておきたいと思います。
  111. 足鹿覺

    足鹿委員 十分にこれから検討を願いまして、不公平ならざるよう、また、その関係機関が納得をし、そうして政府の施策に進んで協力でき得るような公正な措置をとられんことを特にこの点は強く申し上げて、御善処を求めておきます。  次に、管理協力費の問題は先ほど述べましたが、保管料の問題をちょっと一つ申し上げておきたいと思うのです。  かつて政府が低温倉庫を奨励されて、現在苦しい中にも相当普及が進んできておりますが、この一期当たりの保管料が合理的に定められておらないことは非常に遺憾に思います。いやしくもできたものの米の品質なり、また保管したものの品質が、低温貯蔵によって変質することなく長きにわたって保管される、そのためには、施設費も相当かかり、相当のその経費があるわけでありますから、当然一般の常温倉庫と低温倉庫の保管料等については眼を開いて、そうして合理的な保管料を定められる必要があり、当局もかつては、四〇%程度を低温については考えよう、常温については二八%程度を考えてみようということを一時言われて、そうして末端の無理をしてつくった連中もそれに期待しておった。ところが、いつの間にかそのままになってしまって今日に至っておるわけでございますが、この保管料も、先ほど集荷手数料の場合に申し上げたと同じように、運賃その他主としてこの保管関係は労賃です。特に労力難の場合においては、非常に現在のベースではやりにくくなっており、また低温との関係も調整されておらない。そういう点で矛盾がたくさんあるように思いますが、この点について当局はどのようにお考えになり、対策を考えておりますか、少し具体的に御説明を願います。
  112. 大澤融

    大澤政府委員 いろいろ検討を進めたいと思いますが、もし詳細なことを御必要でしたら第一部長から……。
  113. 足鹿覺

    足鹿委員 第一部長からでけっこうです。
  114. 田中勉

    ○田中説明員 低温倉庫の保管料の問題でございますが、私どもも、米の集荷がだんだん増大をいたしまして、また保管の期間も相当長期間にわたるというようなことが、三十年以降徐々にそういう状態が出て参りましたので、やはり長期保管体制には米のあり方がどうあるべきかということを考えまして、低温倉庫保管ということが将来の方向であろうというようなことで、政府自身におきましても、政府直営の倉庫において低温の施設等もこれを計画して実施しておるわけでございます。そこで、民間が、あるいは農業倉庫また営業倉庫の関係もございますが、やる場合には、やはり坪当たりそういう低温の施設の経費が増大をするわけでございますので、さしあたり当面とって参りました私の方のそれの対策といたしましては、長期間保管をする。たとえば先ほど保管料の問題が出ましたけれども、農業倉庫の国内全体の一俵当たりの保管期問というものは、たとえば十期とかあるいは十一期とかこういうような平均になっておるわけでありますが、低温の倉庫の保管は、これは梅雨越しあるいは夏越しをする建前で、しかもそれを夏を越して配給をするということになりますので、ほとんど一年を通じて長期保管をする、こういうことになります。従って普通の常温倉庫に比べまして保管期間というものはその倍近く延びる。それからもう一つは低温倉庫におきましては、たとえば倉庫の中に積む段の段数の問題でございますが、これは普通の倉庫に比べまして二割増しくらい積んでも、保管管理上支障ないというようなデータも出ておりますので、そういう低温倉庫にはよけい積ませる、それから長期に保管をする、保管料を支払う、こういうことで、今言った施設の経費の増大とかそういう面に対処しておったわけでございますが、私どももいつまでも保管料を普通の倉庫と同じようにするということについては、これはやはりいろいろ検討しなければならぬ問題がございますので、先生指摘のように、確かに検討もいたしておるわけでございます。問題は、そうやって保管いたしまして、たとえば新米の出る直前に低温倉庫の米を配給するというようなことになって参りました場合、その米が普通の米に比べて多少高く売却操作ができますと非常にやりやすいという問題が出るわけでございます。そこで私ども最悪の場合、従来翌年度に持ち越している相当な古米がございまして、古米については配給業苦からなるべく早い時期に古米格差をつけろということで要望があるわけでございますが、そういう古米格差をつけるときには、低温の中で保管したものについては、古米格差の必要がないという経済効果があるということを一つのめどにしていろいろ検討しておったわけでございます。まだ実現はいたしておりませんけれども保管料全般の検討の問題とも多少関連いたしますので、低温倉庫の保管料については、今後とも検討いたして参りたい、こういうふうに事務当局では考えております。
  115. 足鹿覺

    足鹿委員 先ほど手数料の場合でも申し上げましたように、保管料の一俵、一期当たりの料金を見ますと、三十年からずっとその推移を見ますと、これもそのまま据置になっておるのですね。これはやはり先ほど述べたのと同様なことが言えると私は思うのです。三十年に米一俵、一期当たり六円三十二銭のものが、三十七年に六円十二銭、この内訳は申し上げるまでもなく、ほとんど単協が大部分を占めておる。五円三十銭は単協、県と国とで八十二銭というわけでありますから、その九割までは単協が持っておる。事実、米の保管関係は単協の大きな任務でありますから、これもやはり物価なり賃金その他とにらみ合わして、集荷手数料の場合と同様に、もっと広く意見を聞き、そして再検討をされて、低温と常温との等差の問題も、あなた方が低温を指導されて成果が上がっていけば、国民は今ずりの米と味わいの同じものが食べられるわけです。低温米提供店というところで食べてみれば確かにうまいのです。何人もこれは否定できない。でありますから、これは国民に対する政府のサービスであってもいいではないですか。うまいものを国民に配給してやる。そのために国が若干の常温倉庫と低温倉庫の場合の等差をつける等して、奨励の方針を明らかにしていくということは、かりにこれは低温貯蔵米だからもっといい他にいくということができない場合でも、それは国民に対する一つのサービスではありませんか。そういう考えもお待ちになって、集荷手数料とあわせて保管料の問題も十分御検討願いたいと思いますが、政務次官、私が先刻から申し上げておりますこの二つの問題米の例を申し上げましたが、麦の場も同様であります。倉庫保管料の問題も同様でありまして、これは今はまだあなた方が適正な措置をとられると思って期待をしておりますが、このままむとんちゃくに放任をされますと、なかなかこのままではおさまらない事態も出て参りましょう。十分に検討されて、その業務に当たっておる者等と十分意見を交換され、そうして公平、妥当な料金を定められるよう、御善処の御言明をいただけますかどうか。
  116. 津島文治

    ○津島政府委員 集荷手数料の妥当を欠くような面につきましては、食糧庁の方からも、率直に今後いろいろの御意見をお聞きして、そうして検討の上善処をいたしたいということを申し述べたのでございまして、それに向かいまして私もまた十分な検討を加えまして、御趣旨の点に近づき得ますならばそういたして参りたい、かように考えます。  それから保管料の問題でございますが、ただいま低温の倉庫と常温の倉庫の優劣と申しましょうかをお話しでございます。まことにごもっともなことでございまして、何としましても、低温の倉庫に貯蔵する米は変質いたしませんで、非常に美味であるということは私も承知をいたしております。従いまして、親切心からこういう低温の倉庫をなるべく奨励すると申しましょうか、普及するようにする。そうするにはそこに幾らか格差があってもよいのではないかというようなお話でございますが、これもまたごもっともな次第でございまして、せっかく検討をして参りたいと思うのであります。
  117. 足鹿覺

    足鹿委員 私の言い分は矛盾しておらぬ、もっともだ、十分検討して善処するということでありますし、食糧庁長官も妥当かつ公平に検討、善処するということでありますから、この米の集荷手数料なり保管料の問題については、早急に措置されんことを最後に申し上げ、善処を強く要望して、この問題についてはこの程度で打ち切ります。  そこで、去る六月六日でありますか、参議院選挙の始まる直前に問題になっておりましたビール麦の取り扱いが、全中会長とビール酒造関係会社の代表者との間に一応取り扱いをめぐって協定が成立したということは、私どもは十分とは思いませんが、当委員会が長い間取り組んでおった問題が一歩前進したという点においてけっこうだと思っております。これはまだたくさん問題点はありますが、それはしばらくおきまして、私どもが不可解に思いますことは、国税庁の長官、農林省振興局長、農林経済局長、三者間に、六月四日、ビール用原料麦に関する覚書なるものが交換をされておるのであります。その内容自体に私はとやかくけちをつけようというものではありませんが、少なくともビール麦の生産について国が一歩足を進めていくということになるわけでありますから、そのこと自体が私は悪いことではないと思います。が、しかし、その内容について見ますと、一項に「昭和三十九年以降ビール用原料麦は、全量国内産麦をもって充当することとし、国産原料麦の生産、集荷が所要数量を著しく下回る等の事態が生じない限り麦芽の輸入を行なわないものとする。」こういうことがうたわれておりますが、もしこれを裏からひっくり返して見れば、実現しなかったら麦芽はどんどん入れるんだ、こういうことにも通ずると思うのです。こういう協定をされる前に、今日までもみにもんだ問題でありますから、生産者団体の中核ともなるべき団体ともっとよく協議をされてしかるべきものではないかと私どもは思うわけであります。国が全部の責任を持たれる、そして買い入れ希望数量というものまでも、ちゃんとここへ一種の割当生産が指示されておる、そこまできておるわけでありますが、要するにこの協定の内容を見ますと、前者のビール酒造会社の代表者と全中との間に取りかわされた契約の内容は、末端農協と各ビール会社との契約はそのまま認めて、そして全体として統括的に契約するということであって、依然としてそのなわ張りはなわ張りとして認めておる。そういう現実の上にあって、国が一たんこの程度の希望数量を都道府県に割り当て、あるいは都道府県を通じて希望を取りまとめたものに、国はどの程度の責任を持つものであるか、その生産者を代表する団体が本気になって増産をし得るような、実際上実現可能な対策なくして、ただ一応上から下へ流すという程度ではたして目的達成できるかどうか、私は非常に疑問に思っております。この点について今後ももっと反省をされて、麦芽を、国内で生産が不足した場合には何ぼでもその不足分は頭から無限大に入れるんだ、こういう反面のわれわれの最も好まないような結果が出ないようにするためには、ちょっとまだ手が足らないと私は思う。ことしもすでに六万数千トンの要求があって三万五千トンでありますかお認めになったようであります。来年そういう事態のないことをはたして責任をお持ちになれるのでありましょうか。責任をお持ちになっても実際うまくいかない場合はできません。以下述べるような実情によって、割当をされましてもなかなか実情が伴わないと私は思うのです。  たとえば種子の対策について、これはビール会社まかせですね。原々種の生産についてすらも会社まかせ、国は何ら権威ある対策をこれに講じておらぬということは、私ども理解ができません。以前の委員会において齋藤振興局長は、国においてもこの麦の問題については今後力こぶを入れる、特に小麦やビール麦の品種改良というようなことについては十分やるんだ、来年度予算においても元気を出すということでありましたが、このビール用原料麦や大麦の生産についての考え方において見ましても、全然そういう熱意が見受けられない。一体今後どうされるのか。私が一番心配するのは、二条大麦の短稈のわせ種のものが、ある県では大麦で会社によって相手にしない、ある県によってはこれはりっぱなビール麦だといって買い上げる、やはりこういう事実があるのですよ。御存じありますか、農産課長、そういう現実の事実があるのですよ。いわゆるビール麦とは何ぞやという定義についても、会社によってみな迷う。勝手に奨励上ほしいときにはビール麦だと言う、やっつけるときにはこれは大麦だと言ってけっとばす、そういう状態があるのですよ。事実において長い間日本のビール麦の中で中心であったゴールデンメロン種、晩生のたけの高いあのものは間作に向きません。私も長いことビール麦と取り組んで現地で知っておりますが、農家が求めておるのは、短稈でわせで間作のきくようなものをもっと積極的に出せば、農家は喜んでつくるのですよ。ところが会社は今言ったように、県によっては大麦だからだめだ、県によってはそれはいただきましょう、こういうことが現実にあることを知りながら、原々種対策一つよう国の責任において立てないようなことで、割当を一応したくらいのことで、一体ビール麦の対策が立ったといえますか。あなた方がこれと取り組まれる、そして国税庁と振興局と経済局との三者が一応話し合いをされた気持は私は大いに多とするものでありますが、中身がそれに伴っておらぬ。このことを私は非常に遺憾に思います。どういうふうにして今後おやりになるつもりか、この覚書の実践対策、特にビール麦の取り扱いが児によって変わるような事態をどう改善して、国が介入して正常に、短稈のわせ種のものであっても全国どこへ行ってもビール麦として取引可能なような、そういう対策というものも含めておやりにならなければならぬ。そのためにはビール麦の原種というものは国の責任においてつくる。一ビール会社の責任においてやらせるというようなことがいつまでも続いてはいかぬと思う。ビール会社がやることはやってもよろしいが、国の原種というものは国の責任において出す。しかも最近のビールの需要の激増によって、どんどんその作付がふえなければ需要にマッチする生米が伴わない。伴わなければ麦芽を輸入する、こういう状態に追い込まれておる。当然あなた方は、大裸麦の作付減反を指導された責任上、ビール麦がこういう状態になった、それきた、ちょうどいいというので飛びつかれたきらいもないではないでしょうが、それはそれとしてけっこうですから、もっと中身のある対策をどうしてお立てになるか。この覚書の中身に盛られた問題等を一々見ますと、私ども非常に矛盾のあることもわかりますが、裏づけをどうされるか。それを具体的に振興局と経済局から御説明を願いたい。われわれが納得いけば、私はこれで質問を打ち切ります。いかなければまだ二、三お尋ねをしたい。
  118. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 ビール麦の問題につきましていろいろの御指摘でございまするが、おっしゃる通りビール麦の問題につきましては、今まで農林省は、まことに遺憾でございますけれども、十分な体制でこれを作付指導をするなりあるいは流通面のめんどうを見るなり、そういうようなことは必ずしもやられていなかったということは今までの実情であろうと思います。そういうようなことで、最近どんどんビールの需要もふえて参りまするし、ビール麦の作付、流通、取引、それからそれで間に合わないで外国から入れなければならない、こういう問題がしょっちゅう問題になるわけでありまして、一昨年でございましたか、ビール麦の——ビール麦は御本知のようにビール会社とビール麦耕作組合との特約関係になっておるわけでございますけれども、これらの取引の面においても非常に明朗でない面があるのではないかということで、農業協同組合系統でも共販をやろうという動きがあったわけでございます。それらの過程にはいろいろ問題がございましたが、先ほどお示しのような覚書が両方でできまして、どうやら一応流通問題につきましても、それは完全とは申し上げられませんけれども、とにかく今までの非常な明朗でないような点が一応解決された、今後この問題はだんだん改善されていく、こういうことが緒についたといえるんじゃないか、こう思うわけでございます。そういうようなことについては農林省でも側面からいろいろ指導はして参ったのでございますけれども、それを機会に今後ビール麦の生産については麦作転換という問題もございまするし、農林省も本腰を入れて一つ生産に取り組んでいったらどうだろう、こういうようなことでビールの需要増を見込みまして、農林省でも生産についてのお世話をしていこう、こういう態勢をとることにいたしましたわけでございます。もちろん大蔵省の関係、それから農林省におきましても振興局の関係あるいは私の方もいろいろの関係もございましょうし、いろいろ関係するところがございまするので、それらの間で今後の取り扱いについての覚書といいまするか、考え方の整理をいたしたわけでございまして、これも必ずしもおっしゃるように十分であるとは思いません。しかし、やはりこれといえども、先ほど申し上げましたように、政府がビール麦の生産についてそれだけ腰を入れて今後も取りかかっていくんだ、こういう態度に踏み切っておるわけでございまするから、この点は一つそういう意味におきまして、御了承いただきたいと思っておるわけでございます。  その内容でございまするけれども、おっしゃる通り、たとえば生産計画を立てて、これを県に対していろいろ流しまして、そうして指導いたしました場合においても、もちろんこれは法的にきちっと強制命令でやるというわけでもありませんし、大体そういう来年度の需要なら需要の見通しに基づきましての生産の目標になろうと思うのでございます。それを目標といたしまして各県でもビール麦の生産なりあるいは流通なりについての協議会等をつくって、そこでいろいろ末端に対する目標を示しまして、そうして実際ビール耕作組合が特約関係に入っている。特約についても非常に今後の大きな問題でございまするが、特約契約そのものについても相当立ち入っていろいろ指導していかなければならぬ問題があるだろうと思います。そういう点は団体はもちろんでございますが、県なり農林省なりそういうようなところでも今後の問題として特約栽培についてのいろいろの指導をやっていかなければならぬだろうというふうに考えておるわけでございます。そういうような態勢をつくりまして農林省で考えておる通りきちっとした数字でできるかどうか、これはまだ疑問でございます。しかし一歩々々そういう方向で全体の需要をまかなうような生産ができて、それが明るい流通が行なわれる、こういう態勢にいけば非常に幸いじゃないかということで最善の努力をいたしたいと思っておるのです。  それから種の問題については、振興局長がおりませんからかわりにお答え申し上げておきまするが、もし間違っておりましたら農産課長がおりますからあとで訂正していただきたいと思いまするけれども、今までビール麦の種の問題、農林省はほとんど手をつけておりませんでした。おっしゃる通りでございます。これはビール会社のいろいろの好み等がございまして、いろいろの原種を確保して、そうしてこれを農民に流して、それで特約栽培をやっておった、こういうのが実態であろうと思います。しかしそのままでは全体として非常に適当ではないと思うのでございまして、二十七年でございまするか、一番ビール麦の主産地であります栃木県に対しまして指定試験でビールの品種改良の試験を始めております。それから昭和三十五年には、足鹿委員の選挙区でございまするが、鳥取県におきましてもビール麦の品種改良の指定試験を始めております。そうして着々ビール麦の品種につきましても、農林省も今まで不十分ではございまするが、手をつけておる、こういうようなことでございまして、今後の問題としては、その農林省の指定試験の品種改良で原々種がだんだんできて参ります。しかしこれは必ずしもビール会社の需要の全部をまかなうとは思いませんので、まだ相当部分ビール会社に依存する面があろうと思いますけれども、そっちの面も十分今後拡充していきたいということで振興局で考えておるわけでございます。  それから原種の問題は、これも十分ではございませんが、各県の原種圃を使いまして、ここで原種の確保をはかっていくように持っていきたい。それから採種の問題は御承知のようにこれは末端の採種団体が大体中心になってやるわけでございまするが、そういう面をビール麦につきましても十分一つ活用するようにして、そうしてビール麦の種というのがビール会社の勝手に持たれているのだというような姿でないように持っていきたい、こういう理想を持って本年からビールの生産についても手をつけたい、こういう工合に考えているわけでございます。
  119. 足鹿覺

    足鹿委員 もう一点だけ申し上げて、まだあと川俣委員湯山委員からの御発言がありますから、なるべく簡単に打ち切りますが、ビール麦に限らず契約栽培あるいは契約取引ですね、そういうものに対して会社と当事者側だけでやらしておるということについては問題が私は従来もあったが、今後出てくる可能性があると思います。これに対してはある程度私どもは国が法律的な根拠なりに基づいて規制を行なっていくような方向が今後出ていかないと、正常な取引がはかられない、あるいは価格その他の点について生産者の利益が擁護できないというような場合があるやに思うのです。それはそれとしてそういうふうに考えておりますが、契約内容について適正な指導を行なっていくということはけっこうだと思います。ぜひおやりになってよろしいと思いますが、そうした場合にやはり十分にあなた方としては、ふだんのいろいろないきさつは別として、これだけの問題を起こしたのですから、やはり全中を中心とする生産者団体の意向というものをよく聞く機会を持ち、事前に持ちあるいは事後にも持ち、随時持ってそうしておやりになる必要があろうと思う。そういうことは従来もおやりになっていると思いますが、すでに取り扱いの覚書が交換される前にもうちゃんと農林省としてはそれよりも一月も前に対策を立てられた。これはいい面もありますが、またちょっと当事者を抜きにして役所同士だけで話し合いをされておる、こういうような点についても私ども参議院の選挙の前でどさくさしておりましたから十分連絡がとれなかったと思いますし、その点残念に思いますが、今後はこういうことのないようにおやりになる必要があろうと思う。そのことが契約内容を正常化していくということのまず私は前提だろうと思うのです。要するにビール会社は幾らでもほしいわけなんです。それがこたえられなかったときには、今度はあなた方が割当なり、いろいろしてくれたけれども、足らない。輸入してくれ、こう言われれば御の字でそれに応じなければならぬようなやはり事態になってくると思うのです。特に国税庁長官をこれに入れられたということは、結局麦芽輸入の場合は、大蔵省はいつも大歓迎なんです。それを一枚入れられておるというところに、この第一項というものが実効が上がらなかったときには、今度は有無を言わさずに麦芽の輸入だ、こういうことになってきますと非常に困った事態が起こる。この心配は杞憂ではないと思うのです。この点は十分に御配慮になっておると思いますが、一つこの際経済局長からも御答弁を願い、十分に生産者団体との意思の疎通をはかって、その上において適正な契約内容を結び、実効を上げていく、こういうことの対策をとってもらいたいと思いますのが一点。  それから農産課長、この考え方というのを見ると、ビール用の種子計画ですね。要するに主要農産物の種子対策の中には入れ得る。しかしビール会社の農場において生産される原々種、原種の生産を除く。採種については採種圃生産が間に合わなかった、不足したというときには会社の買い入れ麦を充当する場合があるといっておりますが、これは頭から買い入れ麦なんですよ。あなた方は最初にとった麦を一般に配っておるという認識を持ってやっておられるのでか。冗談じゃないですよ。これは一等麦と称するものは、遠隔の地でとったものを、比較的交雑の少ない、比較的優良地のものをA地からB地に移すだけのことですよ。種麦でも何でもありません。私はつぶさに内容を知っております。が、ビール会社のビール麦の種というものはそういうものなんです。ですからさっき私が指摘したような遺憾な事実が起こるのです。そういう事実認識を間違っておられる。そういうものだから補助の対象にしないのはあたりまえでしょう。そういうものに補助する必要はないでしょう。だからむしろ国の原々種に連なるものを根幹にしていけば、ビール会社の特殊な好み好みと言われますけれども、それは会社によって若干好みはありますが、大きな問題とは私は思いません。さっき述べたようにゴールデンメロン種でもよければ短稈の新しいものでもいいし、とにかく麦芽として正常な麦芽力を持って、雨やその他の収穫時における不都合のない限り、ビール麦としてそう特別なものがなければうまいビールができないなどということは、これはちょっといただけない議論です。ですからそういう点も十分考えられて、少なくともこの国の原々種というものをもっと都道府県におろし、そうして農業生産者団体に委託採種等をさせていくという手も一方において打っていかないと、純良にして農家が経営上必要とする品種が得られない、こういうことが言えるのじゃないかと思います。もう来年度の予算の編成期なんですが、これにはあまりそういう予算対策がないようですね。予算対策として来年度どういうものを考えておられるのか。また生産者団体にも指導費というものをもらいますね。指導費というものをもらって、それを会の収入にして覚書によると特別会計にしておくということになっておりますね。それは何に使うか、やはり品種改良とかいろいろなことにもっと有効に使うべき筋合いのものだと思います。もっとそういうビール麦原料対策というものは個々のビール会社にまかせないで、国がある程度契約内容にもタッチしていく、優良な原料はその生産にも積極的に乗り出していく、そうして正常な流通価格対策が体系的に打ち出されていけば農家は喜んでつくりますよ。一俵四百円程度に飛びつく農家の窮状ですからね。私は四百円程度のものではほんとうの加算とは言えないと思っております。思っておりますが、これは実情からきておる問題ですから一挙にどうこうとは考えておりません。少なくともよいものが出ていけばビール会社自身も喜ぶわけですし、農民自身も経営に合った品種をつくってビール麦の増産に力を入れていくことができる。たとえば農作物をつくる場合には必ずたばこにしろ何にしろ間作をやりますね。風よけにみんな作るんですよ。それには短稈と早熟ということが絶対条件です。ところがビール会社が、このものはどうも品質上困る、こういうことをある県に行っては言う。ある県に行っては自分の勢力圏を拡大するためには、買ってあげますよ、りっぱなビール麦ですよ、どうぞ、こういうことで頭をなでていく。そういうような実情をよく認識されて、そうしていわゆる農家が農業経営にほんとうに求めておる品種をやはり国の責任においてつくっていく、そうして国がこれを試験研究の結果りっぱなものだといえば、ビール会社がこれにとやかく言う筋合いのものではないと思います。ですからその辺は頭からビール会社と対立するわけでも何でもありませんが、もっと国が本格的に取り組む対策なり予算的裏づけなり、いろいろ技術上の努力をしていかなければいけないと思います。それなしにただ単に覚書を交換して都道府県知事に買い上げ予定数量を流して、そうしてこの特例を加える通知書を出すという程度では、経済局長、所期の目的達成はまことに困難なことではないかということを私はおそれるわけであります。種子対策とこの契約内容の問題については、特に来年度の予算に組んでやるのだという御答弁がこの機会にいただけますか。それがいただけない限りは、どうも作文としてしか受け取れないと思いますが、どんなものですか。
  120. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 いろいろ御指摘でありますが、前段の問題であります大蔵省と農林省とのいろいろな話し合いの内容は、御承知のように今までしょっちゅうビール麦が足りないからモルトを入れてくれという問題があったわけでありまして、これはモルトをつくる設備がないのでそのためにモルトを入れなければならないという問題がございましたが、そういうことではいけないというので農林省は大蔵省に対して強く申し入れをいたしまして、モルトをつくる設備はだんだんと増設されて参っております。ですから最近は五、六〇%が増設されておりまして、今年は設備があっても麦がないというのが現状であります。そういう状況でありますので、麦が足りないといわれたときに農林省としては、麦が足りないものをモルトの輸入を認めないというわけにはいかない、これはどうも理屈の上から言ってそういうことは当然出てくるわけでございます。そこで農林省としては生産者団体等も指導して、とにかく農林省としてビール会社の需要を聞いて、その需要に応ずるようなビール麦の生産をしていく、農林省は責任をもってといいますか、目標を立ててやっていこう、それでどうしても足りないとやきは入れましょうということが、大蔵省もひっぱり込んで一緒にあれした内容でございますので、これは輸入しなくてもよいような態勢に農林省としてもできるだけ持っていきたい、こういう意欲の現われでありますので御了承いただきたいと思うのであります。あるいは中途の過程におきましてはなかなか思うようには進まないで、場合によっては輸入をしなければならないようなことが起こるかもしれませんが、しかしだんだんそういう工合に改善していくということであります。  それから種子対策あるいは規程の品種とか中生種とかいう問題は、もちろん今後の問題としては考えなければならない問題でございますので、これは当処ビール麦をそういう態勢に持っていくためには、その問題は振興局で踏み切って今後積極的にやっていくという態勢でありまして、農林省で全体のビール麦の生産数量、来年度の需要数量を大蔵省なりビール業界の事情をよく聞いて、そうしてそれに基づいていろいろな対策を講じたり、あるいは全品をビール会社が買うのだ、こういうことを中央でもはっきりきめて、そうしてそういう約束をさせまして、農林省でお世話をしていく、こういうようなつもりで考えておるわけでございます。何せまだ緒についたばかりでございまして、いろいろ不十分な点が非常に多いと思うのでございまするが、その点は十分また今後の運用あるいは実情を見ましてできるだけ改善していくように努力をいたしたいと思います。
  121. 足鹿覺

    足鹿委員 最後に、価格の問題は先ほどもあまり多くを言いませんでした。きょうもあえて時間もありませんから多くを申し上げませんが、ほんとうに農家が喜んでつくっていくためには、先ほど私が述べた二つの問題を解決していく。と同時に、現在個々に結ばれておる会社によって非常に条件が迷う。価格も違う。実際ある会社によっては出荷して何カ月も言を左右にして支払いが停滞する。結局取り扱い団体が犠牲を払って、農家には盆の節季用に金融をしていかなければならぬ、仮払いをしていかなければならぬという実情が随所にあります。私はその会社名も実際もよく知っておりますが、あえて申し上げません。問題は、今言ったように四百円程度の加算では今の晩生種のゴールデンメロン中心の場合は私は不十分だと思っております。もっと合理的な、いわゆる価格問題は、少し時間をかけても困難な問題でありますが一つ解決をしていく。この問題が片づかなければ、必然的に業者の期待する数量が確保できない。勢い輸入だ、こういうことに発展せざるを得ない。結局所期の目的が達成できないことになりはしないかということを私はおそれるものでありまして、その点についても現在の取引内容というようなものをあなた方は現地についてもっとよく調べられて、そうして正当な価格というようなものももっと契約内容の指導においても織り込まれて、そうして対策に乗り出していかない限り、所要の国内産麦の確保ということにはまだまだ遠い事態が起きやしないか。そのことを特に申し上げて御努力を願いたいと思います。私どももこれに対してに独自の立場から、対策を立て、検討をし、運動も進めていきますが、これは政府自身がせっかく乗り出されたこの機会でありますから、特にこの点を強く申し上げて私の質問を終わります。
  122. 長谷川四郎

  123. 川俣清音

    川俣委員 食糧庁長官にお尋ねをしたいのですが、私も研究が十分じゃないので、その意味一つお尋ねしますから……。長官は、あるいは十分じゃないかもしれませんが、日通と総務部長との契約内容は十分理解されておると思いますが、この点はいかがですか。
  124. 大澤融

    大澤政府委員 理解しているつもりでおります。
  125. 川俣清音

    川俣委員 それではお尋ねいたしますが、日通が町村道を通ったりすることを非常に拒否されたりしておる。そのことはどういうわけですか。日通のトラックが町村道を通って道路をこわすということで拒否されておるようですが、または交通協会に対して食糧の輸送であるからして特別に積載量がオーバーしても寛大な取り扱いをしてほしいと申し入れをいたしておりますが、この事実をどうごらんになりますか、この点をお伺いいたします。
  126. 大澤融

    大澤政府委員 私どもまだ聞いておりません。
  127. 川俣清音

    川俣委員 御存じないということで契約しておられるのですか。契約内容を御存じだということになると、このことを御存じなければならないはずだと思うんです。日通の言い分によりまするとこういうことじゃないんですか。というのは、運賃の単価の値上がり以上に石当たりの経費がふえておりますこれはどういうことなんですか。昭和三十二年度、三十三、三十四年度と比較いたしまして、三十六年度は約一俵当たり二十円くらい上がっていますね、これは単価の値上がりだけじゃないですね。これはどういうわけなんですか。
  128. 田中勉

    ○田中説明員 私まだ資料で詳しくは持っておりませんけれども、やはり単価の値上がりの問題と、集配距離が、前年度の実績とかそういうものを毎年とっておりますがそういう距離が長くなる、こういうことによって起きる問題だと思います。
  129. 川俣清音

    川俣委員 距離が長くなるということはない。農地が移動しているわけじゃないんですよ。従って距離が延びるなんということはおかしい。そうじゃないのでしょう、トン当たりの積載量を減らしていったために運賃が高くなった、単価は違わないけれども積載量を減らしたから従って貨車数が多くなる、あるいはトラック数が多くなったということで石当たり単価が高くなった、そういうことなんでしょう。一俵当たりの単価が高くなったのではない、トン当たりの積載量を減らしたために一回で運ぶところを一回一分になった、こういうことで上がったのですよ。距離が上がったということは、一つは町村道なんか通るのがやかましくなったからほかを通った、なぜ町村道を通るのがやかましくなったか、それは、実際の契約はトン当たりおそらく九分以下でしょう、〇・八九くらいでしょう。ところが実際は一トン三分積んでおる。これは運転手に聞いてごらんなさい、責任量として一トン三分積むことになっておるのだから、実際は一トン三分甘みながら食糧庁からもらうときには〇・八九ですかの計算で運賃を持っておる、そうじゃないんですか。
  130. 田中勉

    ○田中説明員 これは現在の集配料金というものがきまっておりまして、その集配料というのは、たとえば二キロまでどうとかあるいは三キロまでどうとかいうことで、なお倉庫から駅出しまでの集配料金は運輸省の態度がきまっておるわけであります。その構成要素の中にたとえば四トントラック積みで計算するとかあるいは三トンのものはどうだとかいうことになっておるわけでございまして、私の方としましては現在の集配料金は距離による賃率を採用いたしておる、こういうことでございます。
  131. 川俣清音

    川俣委員 長官、御存じないのですか。あなたの契約を見てごらんなさい。前は一トンは一トンであったのを、九分に直した、〇・八九に直したのです。貨車もそうですよ。貨車に積みやすくするようにということで、まん中にわざわざ積まないということになっておるのです。実際は積んでおるわけです。ですから、ことに自動車の場合はそうですが、一番いい道路を通るということで距離が延びているんですよ。実際はそうじゃない、町村から文句を言われるように、短距離を運んでおる。ところがあれは道路が悪いからといって、契約をする場合にはキロ数を延ばしている。いい道路はキロ数が延びる。そうして、しかも五トン車には六トン三分ないし六トン五分積んでおる。それでなければ交通協会に対して緊急輸送のために積載量がオーバーしてもかんべんしてくれというようなことを申し立てる必要はないじゃないですか。契約通りの積載量でありますれば五トンは五トン積んでないのだから、それをオーバーするおそれがあるから寛大にしてくれなんて申し入れる必要はない。どうですか。契約以上のものを積んでおるということでしょう。積載量以上のものを実際は積んでおるから文句が出るのです。契約は内輪に契約されておる。不公平な取り扱いはいたしませんとあなたはさっき言われたが、これは不公平じゃないですか。農協と日通は不公平な取り扱いはいたしませんというのは、これはどうなるのですか。それで運賃を多く払っておるというのは、これはどうなんですか。これは不公平じゃないですか。
  132. 大澤融

    大澤政府委員 私、実態を必ずしも今よく知りませんので、御指摘の点、実務について検討いたしまして、あくまでも不公平とか妥当でないというようなことはいたしたくない、こう思っております。
  133. 川俣清音

    川俣委員 これは契約にあるのですよ。貨車は何俵と毎年下がってきておる、汽車も機関車も牽引力というものは増してきておる。十五トンは十五トンに違いはないが、それにもかかわらず、食糧庁の契約は一トン当たりの俵数を減らしてきている。貨車が能力がないんじゃない。日通のいろいろな手数を考えると、まん中をのけておった方が操作しやすいということで、俵数を減らしてきているのです。これは実情に合わしたということはいえる。そうすると、積算の構成内容というものを実態に合わした契約をした、こういうことになる。善意に解釈して、公平に解釈して、実態に合わして契約をした、こうじゃないのでしょうか。
  134. 大澤融

    大澤政府委員 道路法なりいろいろの規則に違反するというようなことをしているような契約はできないと思います。そういう意味で、合法的といいますか、そういう積載でちゃんとした道路を通るということを前提として契約せざるを得ない。もしもそういうものが、たとえば道路法なり交通関係の諸規則に違反するというようなことは別の問題としてあってはならないことだ、私ども面接の問題じゃないのですが、あってはならないことだということだろうと思います。
  135. 川俣清音

    川俣委員 その通りなんです。内容を現実に合わして、一トン以上をオーバーして契約するようなことは好ましくないから、従って実態に合わして、一トンを〇・九トンとか〇・八九トンというようなことで、できるだけ道路を痛めないように、あるいは運搬の便利なように構成要素を変えた、こういうふうに理解してよろしいじゃないですか。善意に解釈してそうだと思うのです。そうじゃないですか。
  136. 大澤融

    大澤政府委員 ですから、合法的なといいますか、妥当な積み方、妥当な道順を通るということを前提にして契約はしなければいかぬ、そういう意味での契約をしたんだ、こういうふうに思います。
  137. 川俣清音

    川俣委員 ですから、従来よりもトン当たりの積載量を減らしたということは実態に合わして減らした、こう理解する、しかし実際はそうじゃないということを申し上げましたけれども、それは一つの例に申し上げたのであって、日通はそれでもうけておるということにはなりますけれども、契約が悪いというわけじゃないのですね契約は悪いと言っているんじゃない。契約は実態に合わして構成内容をそう変えたんだ。そういうふうに実態に合わして構成内応を変えたとすれば、あなたの言われた通り、農協の集荷手数料もまた積算の基礎を実態に合わして計算をしなければならないということになるんじゃないでしょうか。そうじゃないですか。積算の基礎が変化している、構成内容が変化してている、その変化した事態に応じて日通とも契約をし直したのだから、また運賃ではございませんけれども、集荷手数料も当時算定した積算の構成内容と現状とが違ってきている。違ったようにあなた方が政策をとってきている。されば、これに応じた、積算構成内容に基づいた精算をもう一度しなければならないということはお気づきになっていなければならない。むしろ気がつかないで、日通の方だけはやった、農協の方はまだやらないということになれば不公平だという足鹿君の議論が成り立つのではないかと思う。どうですか。
  138. 大澤融

    大澤政府委員 先ほど足鹿委員の御質問にありましたように、役人のべース・アップ、物価の上昇、取り扱い数量がふえたというような実態に合わせて七・一%料金を上げる、そういうふうに実態に合わせて考えるという意味で私どももいろいろ努力しておったわけであります。
  139. 川俣清音

    川俣委員 実態に合わせて——当時の積算構成内容と現状では、食糧庁の方針に従って変わってきたのであるからして、その変わったなりの構成内容をとって積算し直すということが公平なやり方だ、こういうことになるのじゃないてしょうか。もう少し詳しく言うならば、時間がないから私の方から言うのですが、ほんとうは私の方から言いたくないので、あなたの方から言わなければならぬが、前の集荷と違って、今度の集荷は一時的に殺到するものでありますから、食糧庁は計画集荷という方針を立ててやられている。すなわち受検組合等を作りまして、だれは何日に、だれは何日にということで、いわゆる計画集荷対策を立てておられるそうです。これは食糧庁の通達によってそうなっている。それが最も合理的な集荷対策だということで打ち出された。かような命令を発し、指示を与えたにもかかわらず、それに沿うような積算内容になっておりますか。これは全然なっておりません。これはお認めになりますか。
  140. 大澤融

    大澤政府委員 いわば農協、単協にやっていただく仕事あるいは生産者が単協に頼んでやってもらう仕事、そういうものを総体として集荷手数料というような考え方をとっているのだと思いますが、御承知のように三十年に手数料が上がっているわけです。と申しますのは、前のやり方を変えて予約制度というものをとったというようなこともあって、そういうこともあったのだと思いますが、それ以後制度としては何ら変わっていないわけです。と同時に、初め心配したようなかねや大鼓で集めなければなかなか申し込みがないのではないかという心配、それもやっているうちになくなったというようなことで、総体としての仕事は、ある面は減り、ある面はあるいはふえるというようなことがあったと思います。その辺は仕事の分量というものを弾力的に考えてしかるべきものではないか、根本の制度は変わっていないということだと思います。
  141. 川俣清音

    川俣委員 積算の内容が変わったからして、その自分の持っている方針に従って、指示しました方針に従って積算をし直すべきではないか、こういうんですよ。上がるか上がらないか、枝算してごらんなさい。日通の方は実情に合わして積算内容を変えているでしょう。その結果上がった。決して上げたのではないが、結果は上がった。農協の方も集荷の内容が変わってきたのであるからして、前に要素として取り入れられたものもありますし、ないものもあるので、そこで積算内容が変化した、それに基づいて計算してみてごらんなさい。その結果上がるならば上げなければならぬ。あなた方が出した命令じゃないですか、指示じゃないですか。そのことは、一年にだらだらと出てきたものを能率的にしようという結果やられたことだ。今は集荷手数料は払っていませんけれども農民が負担している。そうでしょう。受検組合をつくって計画をやらせる。ところが一ぺんではきまらない。きまったものでも天候が悪ければもう一回やらなければならない。三回も会議を開いて内容を変更している。一々食糧事務所と連絡をとって集荷内容を変えて、それで検査員の派遣等もやっておる。そして能率が上がっている。その能率の上がった負担を食糧庁が負担できないために、受検組合が一俵について二円であるとか五円であるとかを——一俵について二円とか五円も上がれば、半分は農家負担で、半分は集荷量に応じた負担ということで負担させておるじゃないですか。現実は集荷手数料は上がっておる。支払いが出ておる。ただ食糧庁が見ないでおるだけなんです。農民が負担していることは間違いない。調べてみてごらんなさい。みな食糧事務所か出張所が受験組合をつくらして、二円なり三円なりの負担をやらしておる。そうして協議をしておる。首を振ったってだめだ。あなた方命令してやらしておるじゃないですか。それではこれは越権行為ですか。わからないとすれば、出張所が越権行為をやっておるのですか。その点だけお聞きします。
  142. 田中勉

    ○田中説明員 最近やはり出荷が非常に一時的に集中する傾向が量的にも時期的にも増大してきておりますので、検査場に持ち込まれたものをその日の検査ですべてこなすことはなかなか困難である、そういう観点もございまして、結局生産者の御協力を得まして、計画的な、やはり検査にマッチしたような集荷を配慮していただくということから、一部地帯で受検組合ということにもなって参りますし、またその趣旨が徹底されれば、必ずしも受検組合をつくらなければならぬということもない。生産者個々が、それぞれ部落なり、あるいはそういう地帯で受検体制を整備して、整然と検査を受けるというような配慮がここに集中されれば、それで事は足りると私は思うのですけれども、そこのところは、一部地帯において受検組合等をつくって、そういう体制になっておるわけでありますが、要は、やはり政府に売り渡しますので——農家個々から見れば政府への売り渡しです。しかも最近量的にも増大してきておりますので、それが一日一日で非常にアンバランスになって波を打つようなことでは望ましくない、こういう意味合いです。その趣旨の徹底の一つ方法といたしまして受検組合をつくる、こういうようなことが出ているわけでございます。要は、農家個々に、実際の受検の日取りとか、そういうものをよく理解していただけば、それで十分目的は達せられるわけでありますが、そのために特によけいないろいろな諸費用をかけるということは、私どもの意図していることではございません。
  143. 川俣清音

    川俣委員 意図しようと意図しまいと、それをうまく実行するためにはたびたびの会合を持たなければならないということでしょう。一ぺん手紙を出すだけでは役に立たない。一ぺん手紙を出すにいたしましても、一戸当り八円とか十円とかいう経費がかかる。趣旨牧民をさせるためにはやはり会合を持たなければならない。会合を持つためには経費がかかるということになるんじゃないですか。あるいは受検組合とも称したり、出荷協力会とも称したり、その出張所ごとに違っております。それは勝手につけたんじゃないのです。出張所の指導に基づいて、あるいは事務所の指導に基づいて協力をする協力体制のわけです。協力しながら協力費を負担しておるということです。農協に集荷手数料が相当にいきまするならば、それは農協のやるべき任務なんですまたもう一つあります。検査員が少ないために、本来でありまするならば、検印とか等級の判などは、検査員が打つのが原則です。しかし、とうてい打ち切れないために、農協の事務員を使いましたり、何人も使って、協力してもらっておる。そのように、いわゆる集荷の積算の基礎が変わってきたわけです。あるいは検査員を、おそくなった場合は自動車で送ってもらう。これはみんな農協の集荷費の中に入っておる。農協を幾らかかったか検査してごらんなさい。おそくなったときに弁当を出す。決してこれは悪いとか不正だとかいうのではないのです。いろんな意味で協力をしなければ検査完了ができない実態になってきておるじゃないか。その内容がわかっていながら、自分みずからが計画した内容であり、実態をみずから知っておりながら、その方は積算内容を変えないでおって、人にやらしておるものの方は積算内容を変えるということは不公平じゃないか。知らないために変えないなら別です。最も身近な場所にあって、処理しておる問題は知らないんだ、人のものはよくわかるんだ、こんなおかしな話はないと思うがどうですか。おかしくないですか。
  144. 大澤融

    大澤政府委員 こういうことだと私は思います。先ほどから申し上げたように、基本的な制度は何ら変わらないで、その上で集荷が行なわれておる。その集荷手数料を見ます場合に、これに専念する人の人件費を見たり、あるいは事務費として会議費であるとか、あるいはいろんな労務費だとか、そういうものを見ておるわけです。先ほども私申し上げましたように、当初のころ、これを集めなければいけないというようなことで会議を非常にひんぱんにやったというような費用はむしろ今は減ってきておる。今おっしゃったような、たとえば受検を整然とするための仕事がふえてきたというようなことがあろうと思います。しかし、そういう仕事の量としては、制度が変わってから以来というものは、出入りはあるけれども、全体として大きく変わっているということはないのではないかという判断でやっております。
  145. 川俣清音

    川俣委員 それは、人のことならわからない、大まかに見てもいいが、自分たちがやっておる内容がわからないというのはどういうわけですか。変わってきておる。その変わってきた実態に基づいて、計算をし直してみたところが、あまり前と変わらなかったというなら話がわかります。変わった命令を出しておいて、実態は変わっておるから、しかも検査員が足りなくて協力を求めなければならない、しかもある一時に殺倒してくるという事態において、構成内容が変わってきておるじゃないか。変わった内容に基づいて計算してみたところが、前の積算と変わらなかったというなら話がわかります。自分の命令は変わるように命令しておいて、変わらないであろうというのはどういうわけですか。そこがおかしいじゃないか。変わった命令、処理に基づいて、それに合わして積算してみたらどうですか、こういうことです。ただにしろとかなんとかいっておるのじゃない。それをやらないで、大かた変わりがないであろうということはひどいじゃないですか。自分がやっておる内容ですよ。内容を明らかにする義務があるじゃないか。それを積算しておるなら別です。積算してやはり六円くらいしかかからないというなら話はわかりますよ。それなら話はわかる。単に人件費とかなんとかじゃない、それにはもちろん人件費もかかるでしょうけれども、集荷の内容が変わってきておる、それは単に農民が変えたのではなくて、いやいやながらであろうとも、食糧庁に協力した態勢で内容が変化してきておる。その変化に基づいて積算してみたらどうですか、こういうことです。このくらいものわかりのいい話はないのに、それがわからないというのはどういうことですか。
  146. 大澤融

    大澤政府委員 私の申し上げておりますことは、そういう新たにつけ加わった仕事もありますけれども、申し上げたように、最初は米が非常に集まらぬじゃないか、申し込みがないのじゃないか、予約がないのじゃないかというようなことで、非常に苦労して、いろいろの仕事があったわけです。そういうものは減り、片やふえるものもある。ふえるものも減るものもある。しかし、プラス・マイナスしてみれば、大体事務量としてはそう大きな変化がないのじゃないかということで、事務費をはじき、人件費をはじいたということでございます。
  147. 川俣清音

    川俣委員 構成内容が非常に変化したのです。集荷、いわゆる供出のために努力したときの内容と、今はそれはなくなったけれども、計画集荷させるためにかかる経費の内容が変化したのだから、変わりがないであろうということは言えない。大いに変わったのです。しかし経緯は変わってなかったということはあるかもしれないけれども内容を検討しないで変わらないであろう、入るものがあり減るものがあったのだから変わらないであろう、どのくらい減るものが減ったのか、どのくらい入るものか、前のものが減って新しくあなた方の命令によって任務につかなければならない、積算の内容が変わったのですから、変わった内容に基づいて計算してみたらどうですか。これはわかり切った話じゃないですか。これがよそのことでごらんなさい。あなた方役人は必ずそういうことを言う。積算内容を明らかにしろ、もう口を開けばそれで逃げているくらいでしょう。自分のやっていることは積算内容はどうでもいいのだ、人のことは積算内容を明らかにしてなければ、それは予算なんかつけられませんよと言うのです。内容がよくわからないで予算なんかつけられませんよと政務次官だって言うでしょう。長官だって言うでしょう。自分のものは内容が明らかでない、おおよそ変わらないだろう。自分が出している命令ですよ。指示ですよ。指導ですよ。自分の出した指導について裏づけをしないでおって、それは幾らかかるであろう。前の分はなくなったが、この問題についてどれだけかかるのだ、当然これは計算してみるべきじゃないですか。これは一般の常識人ならそう見ると思うのです。食糧庁はどうか知らぬけれども、一般の常識人なら私はそう見ると思う。それで計算してみて、いや前よりも安くなったというならそれでもいいでしょう。いや前よりも高くなった、そのくらいの計算をする義務があるのではないですか。あなた方が出した命令ですよ、あるいは指導ですよ。そういう指導をしておいて、経費は前と変わりがないであろうというのはどういう話です。この捻出の仕方がないものだから、みずから農民が負担をしなければならないという実態があるじゃないですか。片方実態は非常にこまかく内容を御存じになりながら、農民の方の自分の直接の管轄の分はよく知らない。人のことはよく詳しいが自分のことは知らないのだというようなことはおかしい、こう思うのですが、どうですか。この辺でかぶとを抜いだ方がいいでしょう。
  148. 大澤融

    大澤政府委員 川俣先生は私が申し上げたことはわかっていただいてのお話だと思いますので、先ほどから私申し上げておりますように、集荷手数料を構成する要素としては、今申されたような事務費に当たるもののほかいろいろあるわけであります。そのうちの事務費に当たる部分だと思います。はっきり私は先ほどから申し上げたような事態を消していいんじゃないか、こういうふうに思っております。
  149. 川俣清音

    川俣委員 結論として計算されれば私はそれ以上言いませんよ。しかし昔の場合は検査員が多くおったし、その補助もおった。今はそういう補助はみな切ってしまっておらない。検査員一一人です。たまには応援を出すことがありますけれどもあとは農協の協力に待たなければならないのです。拒否されてごらんなさい。もう倉庫の外に枝みっぱなしになって漏ってしまうでしょう。このくらいな実態はこれはよく理解しておかなければならぬ。みな下部の機関からそのことは上がってきているのですから。これは私が言うのではないのです。地方からそういう問題は上がってきているでしょう。(「どうです。その程度で一つ……」と呼ぶ者あり)計算し直さない限りにおいては私はやめません。このくらいわかった話はない。上げなさいというのじゃないから、
  150. 長谷川四郎

    長谷川委員長 委員長からよくお話し申し上げておきますから、その程度にしておいて湯山さんにかわってもらいます。
  151. 川俣清音

    川俣委員 政府側から答弁させなさいよ。幾ら上げなければならないというのだったらむずかしいかもしれないけれども、そういう計算内容を変えなさいというのです。よくするのですから、このくらいできないのはおかしいですよ。
  152. 大澤融

    大澤政府委員 個々の事務についてどのくらいの経費がかかるかというような、事務の個々について計算をしてやるということは、農協の仕事が米だけでなくていろいろな部面にございます。ですからそういうやり方をやることがなかなかうまくいくかどうかという問題もございますから、今は別の計算をしているわけですけれども、せっかくの川俣先生の御指摘、できるならばそういう計算も試みて参考にしたいと思いますが、そのような計算が総体としてできるかどうかということは、ここではっきりできます。その通りやりますというようなことは、ちょっと申し上げにくいと思います。
  153. 川俣清音

    川俣委員 そんな答弁ではいけない。承知できない。自分が命令なり指示なりあるいは要綱なりを出して、その結果どれだけの負担が農協にかかっているかという計算ができないということはないでしょう。自分が出した命令でしょう。自分が出した指示でしょう。自分が出して協力態勢を求めた。その結果どのくらいの経費がかかったのか。そのほかに、命令を出さないでも好意的に協力しておる。女の子ですら判をついたりする協力もある。あるいは検査員でなければ認めは押せないのに、女の子が押しているでしょう。そういう経費が新たに加わってきているでしょう。前は要らなかったのが今加わってきている経費もある。人件費ばかりではない。夜置けばこれを夜勤をさせなければならぬし、飯も食わせなければならぬし、そういう変化に応じた計算というものは当然されなければならぬであろう。昔のように無理に一軒々々回って集荷を督促するような経費はなくなったでしょう。これはなくなったでしょう。ただ新たな経費が出てきたんだというから、それと前と比べてどれだけ違うかというような計算をすべきじゃないか。これはどうなんだ。無理じゃないだろう。どうなんだ。みながわかっているのに、長官だけわからないというのはおかしい。だから上げなさいということを言っているんじゃない。結局上がるだろうということは予想しますけれども、上げなさいと言っているんじゃないんですからね。この程度にしておきますが、ほかの人はわかっているのに、長官だけわからないということがおかしいです。
  154. 長谷川四郎

  155. 湯山勇

    湯山委員 もう時間も超過いたしましたがお尋ねいたしたいと思います。一つ事務的な問題で大津長官にお尋ねいたします。  さっき大臣がちょっと変なことを言いましたので、そのことに関連してですが、供出した農家が配給を受けられる、そういう抜け道があればお教えを願いたいと思う。これはさっき大臣が、供出しておいて配給を受けるというようなことを言われたので、そういう脱法行為、抜け道が実際できるものかどうか教えてもらいたいと思う。
  156. 大澤融

    大澤政府委員 現在の制度としてはそういう道はございません。そういうふうにはならないと思います。
  157. 湯山勇

    湯山委員 私の聞いているのは、今の食管制度では、大臣が言ったのはやみ米が抜け道であるように、今の食管制度で供出した農家が配給を受ける、そういう抜け道があるというようなことを言われたものだから、はたしてそういう脱法行為、抜け道があるんならば、お教え願いたい。事務的でけっこうです。ないならない、あるならあると。
  158. 大澤融

    大澤政府委員 どういう道でそういうことができるかということは、ちょっと思いつきませんけれども制度としてはそういうことはできないようになっております。
  159. 湯山勇

    湯山委員 この問題は、また大臣にあらためて追及いたします。ただああいうことはできない脱法行為を大部分の農家がやるような発言を、これは長官にしても政務次官にしても大臣にさせないようにしていただかないと、明らかに農民に対する侮辱ですから、補佐の任にある皆さん、一つ御留意願いたいと思います。それで長官に対する質問は終わります。  次は畜産局長にお尋ねいたします。最近乳価の問題が各地で若干トラブルを起こしておるようでございます。その原因をたずねてみますと、政府の牛乳の需給に対する見通しの誤り、そういうところから発しておるものがあると思われます。たとえば脱脂粉乳三千トンが輸入されたとか、バターを何百トンか輸入されたとか、あるいは学校給食を、多分夏場は牛乳が足りないだろうというので、秋ごろまでは見合わされる。そういった一連の措置は、おそらく夏場は牛乳が足りないだろうという見方に立ってなされたことだと思います。ところがその需給見通しが狂って、実は生産過剰とまではいかなくても、それほど不足を来たさなかった、こういう需給見通しの若干の狂いがあったということは局長はお認めになられますか。
  160. 森茂雄

    ○森政府委員 二、三月ごろ想定いたしました三十七年一ぱいにおきます想定と、現状におきまする想定とは、いささか予定しました状況が変わってきておることは事実であります。
  161. 湯山勇

    湯山委員 そういう観点から、政府の方で今の学校給食を延ばすとか、あるいは輸入をされた。輸入されたものが放出されておるとは思いませんけれども、しかし、それだけ輸入したという情報は、やはり乳価を弱める材料として働いておるというようなことも考えられます。そうすると、今乳価問題で起こっておるいろいろな問題は、その一半の責任はそういう政府の需給の見通しの狂いからきている。もっと端的に言えば、そういう問題に対する若干の政府の責任もあるというように言っても、決してこれは言い過ぎではないと思いますけれども、局長のお考えはいかがでしょうか。
  162. 森茂雄

    ○森政府委員 二、三月ごろ三十七年一ぱいの需給の想定をいたしましたが、御質問の第一点は、その想定で市乳等が不足するではないか、これに対して粉乳手配を外国からしたことが乳価に圧力を加えている関係にあるのではないかということが一つと、それから需給関係で見誤りがあったのじゃないかということでありますが、前打の問題につきましては、確かに政府あるいは政府機関畜産事業団でかかえております三千トンの粉乳が乳型品の価格に対する牽制になっておることは事実であります。その乳製品の関係から、生乳の価格にそれが反映しておるという気分的なことはあったにしましても、生乳価格は生乳価格で政府は別の意味で別途指導いたしておりますので、現実の問題といたしましては、現在の乳製品の事業団に対する手当は、いざ悪い場合に市乳等消費関係につきましての手配関係から、万全過ぎて余るという悪い関係の方にも影響があったということも事実でありますけれども、これは天候やいろいろの関係でそういう手配をしておくということ、これは放出すれば別でありますが、手配をしておくことはやむを得ないことじゃないかと考えております。  それから需給見通しの関係でございますけれども、毎年々々少なくとも一割ないし一割一分程度飲用乳がその年度の前年に対して増加してきております。従って前年に対する増加率に応じて手配をせざるを得なかったということは、天候あるいは経済条件の変化ではありますけれども、万が一の場合も考えまして手配をいたしたわけであります。そういう点で経済関係なりあるいは気象、消費関係の伸びをもっと的確に押えるべきである、こういうことはありますけれども、足らない場合の関係を考えなければならぬこともございますので、少なくとも生産者に対する生乳価格については、政府の市乳対策として手当いたしたものが、御指摘のように悪影響がきないように私どもは極力努力いたしております。
  163. 湯山勇

    湯山委員 今の局長の御答弁については、内容に立ち至って詳細に質問をすればもっと明確になると思いますけれども、全体として局長もそれは必ずしも見通しの誤りというのではなくて、こうあるべきものが特殊な条件で見通しが違ってきたというような意味で肯定しておられますし、また粉乳等の輸入がそういう気分的な弱含みの材料になったということも肯定しておられますし、全体的にはそういうお立場をとっておられることは私も大体それでいいと思いますので、結論的なことをお尋ねいたしたいと思います。  そういうことによって紛争が長期化する、あるいはまた乳業者の方も、そういう条件があるからということで生産者との交渉を非常に長引かせるとかあるいは渋っていく、あるいは値上げ等を差し控える、こういう事態も実際問題としては私ども乳業者に当たったところでははっきり出ております。そこで、たとえば今起こっておる愛媛県の南予地区の乳価に関する紛争、こういうことについては当然政府の方でも関心を持ち、事態によっては政府がこれに対して適切な措置をおとりになる、こういうことも場合によっては必要ではないかというように考えますから、今どういうふうになっておるか、政府、局長の方で御把握になっておる大ざっぱな情勢、それに対して今後どういうふうな措置をとっていこうとしておられるのか伺いたいと思います。
  164. 森茂雄

    ○森政府委員 現在の生乳取引に関するメーカー側と酪農団体との交渉の問題でございますが、先ほど御指摘になりました粉乳を事業団をしてかかえさせておることと、現在の生乳の価格闘争といいますか、値段交渉は別個に考えております。かりに本年度粉乳をかかえないにしても私ども農林省の考え方としては、農業基本法が成立を見、かつ畜産等につきまして拡大生産を続けていくという原理から、従来の関係以上に生産者所得水準を上げていくという関係から二月末末端の、たとえば東京におきますれば白ものについて一月上げた際に、メーカー、小売に半分取らせあと全部生産者に取らせるように指導しておるわけであります。三千トンかかえなくてもこういう夏季にはいろいろ交渉がございまして、年々傾向といたしましては平均一割二分の価格増加を続けておるのであります。従って三千トンを持っておりますのは、もちろん乳製品価格影響のないように現在は一トンも放出しておりません。ある配給団体から要望のありました際に、私ども相当の安価で配給しようといたしました場合に、メーカー側もその価格で実需者団体に応じて政府がかかえたまでであります。従って現在の……。
  165. 湯山勇

    湯山委員 ちょっと途中ですけれども、局長誤解されておるところがありますから……。私が輸入の脱脂粉乳等の影響というのは、実際にはそれを放出したというんでないから、気分的には影響しておるものがあるんじゃないか。それからもう一つ申し上げたのは、学校給食の問題、これも年度当初からおやりにならないで、事業団に移して、しかも秋からやるというようなことも実は不足するという見通しに立ってやられたので、そういう具体的な例がまだほかにもあるわけです。これらは一つの例示であって、決定的に輸入脱脂粉乳が影響したということを申し上げたのではないわけです。局長はむしろそちらに重点を置いて御答弁になりますから、そうじゃなくて、需給の見通しの違ってきたことから今のような問題が起こっている。具体的に、じゃ輸入脱脂粉乳やバターがどうであったか、あるいは学校給食の問題がどうであったか、その他の問題もありますけれども、そういう内容については触れません。たとえばそういうものが影響してきて今のような問題を起こしておるんだから、それについて国としてどうお取り組みになられるかということが質問の趣旨でございますから、そういうつもりで御答弁をいただけばいいわけです。
  166. 森茂雄

    ○森政府委員 裏から申し上げますと、各地において乳価の問題の交渉が行なわれております。愛媛、青森その他の地区において行なわれております。政府といたしましては、事前に生産者団体等を中心として生産者だけの酪農会議をつくりまして、そうして一本のルートでメーカーに少なくとも県単位で当たっていただく、必要によっては大消費都市を中心に数ブロックで中央団体等も乗り出して当たっていただく、こういうことで漸次いわゆるコマーシャルな乳価を、農村の供出者側に従来の価格より以上の価格になるように、それから個々の単協とメーカーではなくて、ときどきの乳価で、乳価闘争の場合だけいろいろ問題にして騒ぐんじゃなしに、経常的に取引も一本にして、場合によっては都道府県も中に入って明朗な取引関係をさしていこうということで指導しています。その指導のやり方の途中でございますので、いろいろもんちゃくが起きておりまするけれども、これは県庁の線に乗せて問題の解決のできないところは、なお必要によっては——現在うしろから中央指導をしておりますから、なお必要があれば乗り出していって、これはコマーシャルの問題ではございますけれども、問題は農民所得の問題等に、要するに酪農振興の問題に響きますので、重大な関心を持っておるわけであります。
  167. 湯山勇

    湯山委員 今の局長の御答弁でけっこうだと思います。  そこで、今のような御精神であるならば、ことに先般畜産物価格安定法の制定も見ましたし、それから選択的拡大の中で酪農等を振興していっておる。今また酪農会議を発足させようとしている。そういう段階で起こっておる今のような紛争に対しては、積極的に実態調査もなさる。調査することが、今おっしゃったように次への対策の基礎になるわけですから、そういう調査もなさるし、あるいは今度の愛媛の場合等は酪振法二十条による調停を申請する模様でございます。そういう行為は今までほとんど行なわれていない。初めてそういうことが行なわれるとすれば、そういうことに対する指導、知事なら知事が調停する、そういうことに対する指導も要るでしょうし、あるいはそういう中で知事が農林大臣の助言、資料の提示ということを求める、そういうことについても、初めてのケースですから、やはり十分な指導が要るのではないか。これは行政面の指導です。法に示されたそういう意味の助言とか資料の提示とかいうのじゃなくて、行政面の指導が必要ではないかと思います。そういう意味合いで、今度の一番表面に出ている愛媛の問題、そういうことについては、これは早急に納得のいく線で解決すれば別ですけれども、そうでない場合には、政府としてそういう行政的な指導に乗り出されるという必要があると思いますけれども、いかがでしょうか、そういう御意思がおありになりますか。
  168. 森茂雄

    ○森政府委員 牛乳の生乳価格あるいは乳製品の価格対策といたしまして、政府は畜産事業団が買う、それは乳製品の下位価格であるというような制度をしいておりますが、これは直接的には原料乳地帯における現実の対策ではあっても、しかも価格決定が上の価格と下の価格をつくっておる関係上、かつ、現状におきまして生産者団体の共販体制ができておらない、単に村単位あるいは単位農協とメーカーの関係になっておるのが大部分の体制でありますので、結論的に申し上げますと、畜産事業団の幅価格よりも現実にメーカーと農民とで行なわれる取引価格をできるだけ経済の混乱の起きないように——メーカーがつぶれても困りますから——それから、生産が継続され、できるだけ所得が増大するように、その幅の中でなるべく高値に——高値といいますとちょっと語弊がありますが、農業基本法の精神に従って、ある将来における目標を目ざしつつ現状の取引価格をおさめていくこと自身が最も重大な問題だと考えるわけであります。従いまして、酪農振興のこの牛乳の問題につきましては、その取引価格の指導、あっせん、場合によっては、これは強権発動ではございませんけれども、政府という立場におきまして十分指導すれば、現実の問題として解決していくのじゃないか。ただ理想としましては、早く共販体制を整え、やっていけば、現在の畜産事業団の方法がいいのか、あるいは生乳等の処理をある計算プールによってやるのがいいか、いろいろ制度の問題になってきますが、現状の問題としては、湯山さんの御指摘通り、できるだけ県庁単位で調停あるいはあっせん等に乗り出してきめていただく、そのきめていただく精神はわれわれは常に地方に流しております。必要によっては政府が乗り出していって、その現実の問題を解決する、そのこと自身が、市乳、原料乳を通じての一番大事なことだと存じます。
  169. 湯山勇

    湯山委員 ぜひそういう方向で今回の問題も御処理願いたいと思います。  いま一つお尋ねしたい点は、そういう場合に、今度の紛争の経過の中でも明らかになったことですけれども、今のように需給状況が当初の見通しと変わっていたということから、業者の側が受乳拒否をする、こういうようなことがもしあったとすれば、一体それに対してどのような指導、どのような措置がとられるのでしょうか。
  170. 森茂雄

    ○森政府委員 受乳拒否ということになりますと、生産者側も結論的に不幸な結果になる、あるいはメーカー側もそれがためにいろいろ別の意味から必ずしも仕事が円滑にいかない、将来に禍根を残すということになりますので、受乳拒否という交渉の経過においてのいろいろなやりとりといいますか、強い容貌がそういう言葉で取りかわされましても、そういう事態のないように、最後まで努力を、政府なり県庁には続けさせたいと思います。そういうことでは結局問題が解決されないのでありますから、そういうことがやりとりとしてあったとしましても、また愛媛等においてすわり込み等の事実があったにいたしましても、なるべく早く話し合いを円満につけて、一気に目標に向かっていくわけにいきませんけれども、暫定的にお互いにがまんし合うようにいたしまして、また、それにつきまして会社側でいろいろ損失があるというようなこともありましょうけれども、そういう場合につきましては、特に今回の会社は全国的な会社でもございますので、会社側とも十分お話し合いを続けて、そうして円満に解決いたしたいと存じます。
  171. 湯山勇

    湯山委員 この際局長に伺っておきたいことは、来年度予算の中に調整工場の構想がおありになると聞いております。これはどういう構想なのか。そういう調整工場ができれば今のような政府の指導もより強力に適正に行なわれると思います。そこでわれわれの希望としては、現段階においてはできるだけたくさんの調整工場を持つことが望ましいと思うのですけれども、調整工場の構想はどういう構想なのか。何でも聞くところによりますと、粉乳にすることを主として、しかも全国に数カ所程度しかつくらないというようなことでありますが、当面来年度はどういう構想であって、将来はどういうふうにやっていくんだというような構想があれば、一つこの際お教え願いたいと思います。
  172. 森茂雄

    ○森政府委員 従来とも生産者みずからあるいは農協資本で会社をつくって運営して参って必ずしも全部が成功したというわけではないわけであります。できるならば生産者が自分の生産物を加工まで処理していくということであるわけでございますけれども、現在政府の方で黙っておりましては、やはり全国的に見まして畜産事業団の制度によって最低をささえるという制度がありましても、生乳が増産され、一定数量出る近辺に製品をつくる工場がなくて、単に大カン・ドラムで砂糖をまぜて練乳をつくる程度ではいざという場合の安定的な生産を続けていくわけには参りませんので、政府側といたしましてはなるべく生乳の——自然的に待てば、それはそれぞれ大メーカーあるいはその他のメーカーで進出して工場を設けることになりましょうけれども、やはり生乳増産の勢いが、現在の指数をとりましても毎年々々前年に対して一割二分あるいは一割三分、本年度につきましては昨年に対して一割四、五分伸びる予定でございますので、企業者あるいは生産者団体が逡巡しておりましてもそういう態勢が整いませんので、政府側が乗り出して、積極的に、地域によっては相当の製品、施設ができる工場をつくらせよう、こういう考えで生産者団体なり中小企業団体等にできるだけの慫慂をしておる最中であります。従いまして調整工場という考え方は、やはりいざという場合に貯蔵にたえる製品をかかえておいて、そうして物が足りなくなったときにこれらを出すというようなことで、需給といいますか生産の安定をはかる意味において必要だと考えるのであります。
  173. 湯山勇

    湯山委員 来年度何カ所ぐらいで、そして、たとえばブロック別とか県別とかそういったようなことはどうなっておるんでしょうか。
  174. 森茂雄

    ○森政府委員 現在のところ担当の課ではいろいろ計画はいたしておりますし、現実に中小企業者等ともあるいは必要によっては生産者団体とも話を進めたいと思っておりますが、現在農林漁業金融公庫で融資の道が一つあります。それから近代化資金でも融資の道があるわけであります。それだけではまだ不可能ではないか、設置を慫慂していくのに十分でないじゃないかという議論もありますので、できれば、場合によっては、これはわれわれの構想でございますので、財政当局の交渉を待つ必要があると思いますけれども、一部政府といいますかあるいは事業団の交付金等で出資をいたしまして、施設費の一部について一度に生産岩関係あるいは中小企業関係が金を出すのに、施設をするのに手が回らぬという関係について援助をいたしていこう、こういう構想であります。従いまして現在といたしましては、四つか五つということで、少なくとも二、三億円ぐらいはかかる施設になりますものですから、四カ所とか五カ所とかいうことで、具体的にどこどこへどうするのだ、これは相手方さんのあることでもございますし、やはり全部出資するわけではなく、一部をささえていこう、何といいますか、資金の充実の意味で慫慂していこう、慫慂する以上は政府としても資金的に援助していこう、その意味合いでおりますので、相手方さん次第では、これは情勢によりますが、ふえるとも減るとも申し上げられませんけれども、まあまあそこら辺で、まず初めてのことでございますので、こういうことができたらということで、少なくともそういう道をあけましてそうしてまたほうはいとして起こってきますならば、着手する場合、場所を決定する場合におきましては、もちろん十分現在の生乳の生産状況、各工場の分布状況、各工場の施設の内容で穴が非常にひどいところにやっていきたい。非常に抽象的な話で申しわけございませんけれども、特に穴がひどいと通観して考えられるのは中国、近畿といいますか、西日本関係でございます。
  175. 湯山勇

    湯山委員 質問はこれで終わりますが、せっかく選択的拡大で振興していこうという、たとえば豚が昨年ああいう状態、今また牛乳がこういう状態ということになって参りますと、こういう事態に対して農民の不安は相当大きいものがあると思います。そこで、せっかくですからこういう紛争の機会に、あるいは今後の、今のような施策を通じてほんとうに安心してできるような酪農行政といいますか、畜産行政をぜひ早急に打ち立てていただいて、こういうことの起こらないように一つ政府の御善処をぜひお願いいたしたいと思います。これで終わります。
  176. 長谷川四郎

    長谷川委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十八分散会      ————◇—————   〔参照〕  請願に関する報告書   〔別冊附録に掲載〕