○坂村政府
委員 ビール麦の問題につきましていろいろの御
指摘でございまするが、おっしゃる
通りビール麦の問題につきましては、今まで農林省は、まことに遺憾でございますけれ
ども、十分な体制でこれを作付指導をするなりあるいは流通面のめんどうを見るなり、そういうようなことは必ずしもやられていなかったということは今までの
実情であろうと思います。そういうようなことで、最近どんどんビールの需要もふえて参りまするし、ビール麦の作付、流通、取引、それからそれで間に合わないで外国から入れなければならない、こういう問題がしょっちゅう問題になるわけでありまして、一昨年でございましたか、ビール麦の——ビール麦は御本知のようにビール会社とビール麦耕作組合との特約関係になっておるわけでございますけれ
ども、これらの取引の面においても非常に明朗でない面があるのではないかということで、農業協同組合系統でも共販をやろうという動きがあったわけでございます。それらの過程にはいろいろ問題がございましたが、先ほどお示しのような覚書が両方でできまして、どうやら一応流通問題につきましても、それは完全とは申し上げられませんけれ
ども、とにかく今までの非常な明朗でないような点が一応解決された、今後この問題はだんだん
改善されていく、こういうことが緒についたといえるんじゃないか、こう思うわけでございます。そういうようなことについては農林省でも側面からいろいろ指導はして参ったのでございますけれ
ども、それを機会に今後ビール麦の
生産については麦作転換という問題もございまするし、農林省も本腰を入れて
一つ生産に取り組んでいったらどうだろう、こういうようなことでビールの需要増を見込みまして、農林省でも
生産についてのお世話をしていこう、こういう態勢をとることにいたしましたわけでございます。もちろん大蔵省の関係、それから農林省におきましても
振興局の関係あるいは私の方もいろいろの関係もございましょうし、いろいろ関係するところがございまするので、それらの間で今後の取り扱いについての覚書といいまするか、考え方の整理をいたしたわけでございまして、これも必ずしもおっしゃるように十分であるとは思いません。しかし、やはりこれといえ
ども、先ほど申し上げましたように、政府がビール麦の
生産についてそれだけ腰を入れて今後も取りかかっていくんだ、こういう態度に踏み切っておるわけでございまするから、この点は
一つそういう
意味におきまして、御了承いただきたいと思っておるわけでございます。
その
内容でございまするけれ
ども、おっしゃる
通り、たとえば
生産計画を立てて、これを県に対していろいろ流しまして、そうして指導いたしました場合においても、もちろんこれは法的にきちっと強制命令でやるというわけでもありませんし、大体そういう来年度の需要なら需要の見通しに基づきましての
生産の目標になろうと思うのでございます。それを目標といたしまして各県でもビール麦の
生産なりあるいは流通なりについての協議会等をつくって、そこでいろいろ末端に対する目標を示しまして、そうして実際ビール耕作組合が特約関係に入っている。特約についても非常に今後の大きな問題でございまするが、特約契約そのものについても相当立ち入っていろいろ指導していかなければならぬ問題があるだろうと思います。そういう点は団体はもちろんでございますが、県なり農林省なりそういうようなところでも今後の問題として特約栽培についてのいろいろの指導をやっていかなければならぬだろうというふうに考えておるわけでございます。そういうような態勢をつくりまして農林省で考えておる
通りきちっとした
数字でできるかどうか、これはまだ疑問でございます。しかし一歩々々そういう
方向で全体の需要をまかなうような
生産ができて、それが明るい流通が行なわれる、こういう態勢にいけば非常に幸いじゃないかということで最善の努力をいたしたいと思っておるのです。
それから種の問題については、
振興局長がおりませんからかわりにお答え申し上げておきまするが、もし間違っておりましたら農産課長がおりますから
あとで訂正していただきたいと思いまするけれ
ども、今までビール麦の種の問題、農林省はほとんど手をつけておりませんでした。おっしゃる
通りでございます。これはビール会社のいろいろの好み等がございまして、いろいろの原種を確保して、そうしてこれを
農民に流して、それで特約栽培をやっておった、こういうのが
実態であろうと思います。しかしそのままでは全体として非常に適当ではないと思うのでございまして、二十七年でございまするか、一番ビール麦の主産地であります栃木県に対しまして指定試験でビールの品種改良の試験を始めております。それから昭和三十五年には、
足鹿委員の選挙区でございまするが、鳥取県におきましてもビール麦の品種改良の指定試験を始めております。そうして着々ビール麦の品種につきましても、農林省も今まで不十分ではございまするが、手をつけておる、こういうようなことでございまして、今後の問題としては、その農林省の指定試験の品種改良で原々種がだんだんできて参ります。しかしこれは必ずしもビール会社の需要の全部をまかなうとは思いませんので、まだ相当部分ビール会社に依存する面があろうと思いますけれ
ども、そっちの面も十分今後拡充していきたいということで
振興局で考えておるわけでございます。
それから原種の問題は、これも十分ではございませんが、各県の原種圃を使いまして、ここで原種の確保をはかっていくように持っていきたい。それから採種の問題は御
承知のようにこれは末端の採種団体が大体中心になってやるわけでございまするが、そういう面をビール麦につきましても十分
一つ活用するようにして、そうしてビール麦の種というのがビール会社の勝手に持たれているのだというような姿でないように持っていきたい、こういう理想を持って本年からビールの
生産についても手をつけたい、こういう工合に考えているわけでございます。