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1962-08-24 第41回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年八月二十四日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 長谷川四郎君    理事 秋山 利恭君 理事 小山 長規君    理事 田口長治郎君 理事 丹羽 兵助君    理事 山中 貞則君 理事 足鹿  覺君    理事 片島  港君 理事 東海林 稔君       安倍晋太郎君    伊藤  幟君       金子 岩三君    亀岡 高夫君       仮谷 忠男君    草野一郎平君       倉成  正君    小枝 一雄君       坂田 英一君    田邉 國男君       谷垣 專一君    綱島 正興君       寺島隆太郎君    内藤  隆君       野原 正勝君    松浦 東介君       松本 一郎君    米山 恒治君       井手 以誠君    角屋堅次郎君       栗林 三郎君    中澤 茂一君       楢崎弥之助君    安井 吉典君       稲富 稜人君    玉置 一徳君  出席国務大臣         農 林 大 臣 重政 誠之君  出席政府委員         農林政務次官  津島 文治君         水産庁次長   村田 豊三君  委員外出席者         水産庁長官   伊東 正義君         海上保安官         (警備救難部         長)      樋野 忠樹君         参  考  人         (法政大学教         授)      原  暉三君         参  考  人         (全国漁業協同         組合連合会専務         理事)     増田  盛君         参  考  人         (全国海苔貝類         漁業協同組合連         合会会長)   庄司  嘉君         参  考  人         (日本鰹鮪漁業         協同組合連合会         副会長)    増田 正一君         参  考  人         (日本鮭鱒漁業         協同組合連合会         専務理事)   斎藤 三郎君         参  考  人         (全国真珠養殖         漁業協同組合連         合会会長)   御木本美隆君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 八月二十四日  委員湯山勇辞任につき、その補欠として井手  以誠君議長指名委員に選任された。 同日  委員井手以誠君辞任につき、その補欠として湯  山勇君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  漁業法の一部を改正する法律案(第四十回国会  内閣提出第一三二号、参議院送付)  水産業協同組合法の一部を改正する法律案(第  四十回国会内閣提出第一三三号、参議院送付)  漁業法の一部を改正する法律案角屋堅次郎君  外十一名提出、第四十回国会衆法第三八号)  水産業協同組合法の一部を改正する法律案(角  屋堅次郎君外十一名提出、第四十回国会衆法第  四一号)      ————◇—————
  2. 長谷川四郎

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる漁業法の一部を改正する法律案及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案並び角屋堅次郎君外十一名提出にかかる漁業法の一部を改正する法律案及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題といたします。  昨日の御決定に従いまして、参考人から御意見を聴取することにいたします。  御出席参考人を御紹介申し上げます。  法政大学教授原暉三君、全国漁業協同組合連合会専務理事増田盛君、全国海苔貝類漁業協同組合連合会会長庄司嘉君、日本鰹鮪漁業協同組合連合会会長増山正一君、日本鮭鱒漁業協同組合連合会専務理事齋藤三郎君、全国真珠殖養漁業協同組合連合会会長御木本美隆君、以上の方々でございます。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には暑い中、御多用中にもかかわらず、当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとう存じました。それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べ下さるようお願い申し上げます。なお、はなはだ勝手でございますけれども、時間等の都合がありますので、御意見開陳の時間はなるべく十分程度にお願いいたしたいと存じます。  それでは原参考人から御意見を承ることにいたします。原参考人
  3. 原暉三

    原参考人 時間がありませんから、かいつまんで簡単に申し上げますが、一番問題となっておるように見えるのが「各自漁業を営む権利」、これをどういうような手直し存ずるかということが、ある意味においては相当意味があると思うのであります。各自漁業を営む権利を有するところまではずしてはいかぬ。ところがこれがあるためにかえって非常に漁民零細化を誘導するようになっておる。つまり加入が自由であって、入ってくることによって自由に各自漁業をなすの権利で営むことができるということになると、非常に零細化する。何らかの意味において、これを制限する必要はないだろうか。これは総合的な漁業ならそうでもありませんが、小型定置とか地びきとかいうような漁業は、告白漁業を営む権利かわりばんこでやるようなことでは経営の安定はつとに維持できない。ここらをいかに調整するかということが、ある意味においては問題になるであろう、かように思います。これは行使規定をつくるという趣旨は、おそらくはそうなるのじゃないか。これは本来現在の漁業法がある個人権利が固定するということ声非常に忌みきらって、かわりばんこでもいいからまんべんなくやるという趣旨らしいのです。ところが反面には、そういうことによって漁業の安定というものは非常にくずれてしまうのです。地びき網を月にかわりばんこでやるとか、一週間置きにやるようなことでは意味がない。小型定置というようなものもそうです。これは共同漁業権になっておりますが、ある一年間にその人にやって、希望者が十人おれば五人で始めて、漁業権存続期間もあるのです。が、そういうことでははたして経営が安定できるかどうかということが大きな問題だと思うのです。結局内在的な矛盾と申しますか、みんなに振り当てるということは、みんなが非常に零細化する、みんなが非常に不安定になるという一つの問題がある。ですから行使規定によるというのは、ある程度個人に固定をさせるという結果になるのですが、遺憾ながら一種の妥協と思われる。それは議員諸先生によって御審議を願うよりほかはないのです。  その次に、管理漁業権というものは、漁業協同組合漁業権をどの程度まで持たすのが妥当かどうかということがやはり大きな問題だと思うのです。ある意味においては、すべての漁業権漁業協同組合に持たすという一つ見方もあるわけです。あるいは漁民管理に適する漁業権だけを持たすという考え方もある。ところができるだけ漁業協同組合が全部漁業権を収容して、そうして漁民に振り当てるということになると、管理に適するものと管理に適しないものがある。現に定置漁業自営になっておるのですが、今度は真珠母貝養殖なんかは管理漁業権に編入しておるのですけれども、この管理漁業権限界はどこにあるか。少なくとも個人経営に適する漁業権相当ある。そういうものを一々管理漁業権に組み入れるということは、結局管理でなしに貸付漁業権ということに置きかえられるということが相当大幅にあるのじゃないか。現に定置漁業は、自営主義であって、自営する者でなければできないとなっておるが、少なくとも七割借りておれば、みんな共同経営とか何とかの名目で、はなはだしいのは賃貸借契約を結んで、これを貸付漁業権対象にしていく。ところが漁業協同組合だけは別格であって、個人はだめだというような見方で、あまり宥恕主義というか、漁業協同組合に特別の扱いをすることがはたして妥当なのかどうか。特に法律の中ではすべてが平等の立場にあるにもかかわらず、そういう漁業協同組合は本来経済行為を営む団体であって、そういうものにすべての漁業権をまかすことがはたしてどうかという大きい問題がある。従ってその点を現在の管理漁業権相当整備しなければならぬ場面があるのではないか、かように思います。そういう関係上、今度の真珠母貝養殖といったようなものが管理漁業権に組み入れられる、こういうことが反面漁業協同組合のなわ張りを広めるというような関係にはなりますが、他から見ると、これがまた貸付漁業になる。現にある地方では、網漁業が非常に衰亡したから、養殖漁業に転換するということで免許を受けておるが、それが常にある地方の人に貸付対象になって動いておる。これをあえて怪しまないというのは漁業組合に対してあまりに宥恕主義過ぎやしないか。やはり個人にもきつくなれば、漁業組合にも同じように、自営主義とか管理主義なり、管理の十分いくようにやらなければならぬ。さようにして、今漁村もどんどん人間が減って青年がほとんどいなくなる、たとえばテングサ地帯においても、ノリにおいても、いなくなってしまったという時代ですから非常にけっこうでしょうが、もし都市が不景気になって漁村に帰ってくるということになると、管理漁業権中心にして、やはり相当出入りがある。そういうので、漁業権を行使するものをかっちりきめて、そうして一応の経営の安定というものをはっきりした方が適当ではないか、かように思われるのです。  また、漁業権存続期間の問題です。が、これは諸団体から非常に大きな運動があるようなんですけれども漁業組合漁業者関係においては、今の漁場計画というものが必ずしもそう不安定なものじゃない。あり余るものが小作に出すようなところは、小作しているものに分けるという一つ方式は、必ずしもかれこれ非難すべきものでないのですが、その意味において五年または十年の切りかえということがあるいは適当なのかもしれない。ところが他の産業部面、ことに公有水面埋没港湾区域というものに接触すると、たわいもなく権利が弱くなってしまっておる。五年すれば、その先ではこれが港湾区域になる予定地とかあるいは公有水面埋没予定地であるから、そこの免許を差し控えるということがしばしば行なわれる。そうすると、漁民からいうと、先祖代々伝わった漁場が、一工場を誘致するために土地を造成する、それでその漁場が目ざわりだから、漁場計画からはずすということがしばしば行なわれておる。これは何とかならぬかということです。また存続期間延長という制度があれば、一応それの補償の対象に当然なれるが、漁業権設定してくれなければ、多くの場合見舞金手一ぱいになってしまうということで、この実情から反映した延長を希望せられると思うんです。その点において、これは漁業法自身でどうすることはできないのですが、総合的な国の法律において、漁業権のところに、そういう土地造成その他の行なわれるときには、その権利関係をどうするかという調整をする一般法といいますか、総合法が必要ではないか。あたかも電源開発についての閣議了承事項というのがあります。が、それと同じように何らかの方法で滅びる沿岸漁業をそういう機会に助けてやるような政策が、われわれから見ると非常に必要じゃないかと思われる。実情から見ますと、多くの場合みんなじゃまだから漁場計画からはずすということが行なわれておる。そういうときには救済の方法がない。今の免許は御承知通り漁場計画を立てて、そのワク内で免許するのですから、漁場計画を出してくれなければどうするわけにもいかない、こういう実情にあるから、存続期間延長議論というものがことに業者の方から多く叫ばれる事理と思われる。  もう一点申し上げますが、今度の法律にはそれが出ていないのですけれども共有漁業権漁業権は大体仲間——仲間といいますか共有漁業権共同ということになじむ性格を持っておる。従って多くの場合は共有漁業権とする。ことに共同漁業権のようなものがそれなのです。ところが今は浮魚をはずした共同漁業権ですから、ほとんど共有にする必要はない。むしろ貝類、藻類に限っているので、これをしいて共有にすると、それを中心にして大きな紛争がある。むしろ紛争を誘致するような傾きがある。これなんかは、御承知民法では、共有をできるだけ忌みきらって、単独所有関係に置くように努力しておる。ところが、漁業法では民法規定を準用しておって、しかもその関係においては何ら特別な手当がしてないのですが、これは今度の法律に出ていないのですけれども、将来はこういう点も相当考えなきゃならぬ問題だと思うのであります。  私の総合的な意見は、まことに簡単で恐縮ですがさようなものであります。(拍手
  4. 長谷川四郎

    長谷川委員長 次に増田盛君。
  5. 増田盛

    増田(盛)参考人 漁業法改正案に限って申し上げたいと思います。本改正案は、相当な波乱の末、難産の末に生まれたものでありまして、過去の経緯から考えまして、あらゆる問題が完全に解決いたしたとは言いにくい点もありますし、短期間にこれを求めることも無理であろうと思うわけでありますが、しかし私どもといたしましては、全体といたしまして、大綱といたしまして本改正案賛意を表するにやぶさかではないわけであります。  以下数点につきまして意見を申し上げてみたいと思うのであります。  第一は、漁業権制度についてでございます。今回の改正一つの眼目となっております各自漁業を営む権利、いわゆる各自行使権原則に対する修正であります。この点につきましては、ただいま原先生からお話がありましたが、従来の漁業権行使慣行的性格からいたしまして、従来通りの方がよいという意見もあるわけであります。けれども、従来、漁協漁業権管理の態様を見ますと、各人平等の行使権考え方が、ともすれば経営規模零細化弱小経営乱立弊害を来たしており、また漁協組合員資格とも関連いたしまして、いわゆる一人一票の平等思想は、漁業に依存する度合いの強い漁民と、それから依存する度合いの薄い漁民との漁業権行使上の取り扱いを不明確にしておりまして、ひいては漁業権漁業を正しい姿において発展せしめようとする立場をとる場合にいろいろの弊害を来たしておる現状でありますので、一つ漁業権漁業を、真に当該漁業を依存するものが正しく行使できるようにし、もう一つは、漁協経済団体としての発展を助長するという点から改正がなされたと思う次第でありまして、原案賛意を表する次第であります。  第二点といたしましては、漁業権存続制度、あるいは漁業権免許方式というものに対して申し上げます。要するに、漁業権は、法律的には物権でありますが、本来その固有の性格からいたしましていろいろの制約があるのはやむを得ないといたしましても、この点に関しまして、関係漁民が絶えず不安を感じているものがあるのであります。それは、せっかく当該漁業を持続して営みたいと思っても、漁業権一定期間があり、その期間が切れた場合に、次の免許が確実にもらえるかどうかという不安をいかにして解決するかという点についての制度的保障の確立にかかっている問題でございます。近時埋め立て干拓等の進行とからんで関係漁民の不安は一そう強くなっている次第であります。そこで私どもがこの問題を考えていく場合の基本的態度といたしましては、政府のいう漁場計画主義というものを認めるべきかどうかということであります。この点につきましては、漁業権といえども時代の推移、技術の進歩等によりまして、当然その内容に変化のあるものでありますから、未来永劫に同一内容漁業権を子々孫々にまで維持するという考え方は否定し、ある一定期間ごと漁場総合利用をはかるために漁場計画を樹立して、いかなる漁業権設定するかを判断する機会を設けるという原案漁場計画主義は、今次漁業法改正の根本の趣旨とするところでありまして、これを認めざるを得ないのではないかと思うのであります。しからば、この大前提に立ちまして考えた場合、当該漁民の不安をいかにして解消するかという問題が次に起こるのであります。これにつきましては、二つのポイントがあると思うのであります。一つは、漁業権存続期間が満了した場合は、漁業調整その他公益に支障なき限り、行政庁期間満了相当以前に必ず漁場計画を定めなければならないものとする、すなわち行政庁を覊束する行為として、免許免許の間に切れ目をなくする措置制度化するということであります。それからもう一点は、これは法律解釈運用の問題であるかと思われるのであります。が、いわゆる公益判断についてであります。漁業権免許あるいは取り消し、停止、変更、全般にわたって公益上の必要の有無が判断の基礎となるのでありますが、この公益についての行政権の乱用を防止するために十分な措置を講じなければならないという点であります。公益判断の問題につきましては、従来まで権限行政庁において、工場誘致その他の理由を公益に籍口して漁業権免許を拒否ないし歪曲する事例が見られるわけでありまして、かかる事例を防止するためには、公益解釈を限定し、いたずらに拡大解釈したり不当に歪曲したりすることのないように措置を講ずることが肝心であると存ずる次第であります。これがためには、土地収用法第三条に、公益に該当する場合を制限列挙いたしておるのでありますが、このようにこれを厳格に順守すべき旨の通達をお出しいただく必要があると存ずる次第であります。  それから第三に、私ども系統団体が特に関心を持ち、問題といたしました点は、真珠養殖漁業権免許のあり方についてであります。結果的には私どもの主張はほとんど改正原案に実現していただけなかったわけであります。が、この点につきましては社会党提案の方に賛成いたすものであります。本問題につきましては、私ども真珠漁業権経営者原則を否定するものではございませんけれども、およそ漁民総有漁場の中におきまして、単に経営者優先主義のみを絶対的かつ恒久的に貫いていこうとする考え方には、おのずから当然の限界があってしかるべきものでありまして、真珠養殖業をやっている漁業者の大多数が漁協組合員であり、あるいはそこの漁場いかだ台数の大部分が組合員いかだであるというような一定条件を具備している漁協については、密殖防止あるいは生産規制の実行がかえって円滑適正に行なわれ、良質真珠生産に寄与でき、あわせて現在の免許弊害を是正するためにも、漁協管理の道を開くべきであると考えている次第であります。なお、本問題につきましては、将来適当な時期に適当な方法によりまして検討される機会が与えられるよう切望する次第であります。  第二に、許可に関して簡単に申し上げます。結論だけ申し上げますが、許可制度改正に関しまして、許可期間の一斉更新制の採用あるいは新規許可方式弾力的改正、それから承継制度制限的運用に関しまして、制度として相当に思い切った方式を採用いたしておることは、私どもとして賛意を表する次第であります。ただこの問題を沿岸漁業振興ないし構造改善立場から考えてみたいのであります。現在沿岸漁業振興あるいは構造改善が叫ばれておりますが、これとても沿岸に限定して構造改善を考えてもおのずから限界があることは自明のことでありまして、なるべく機会を与えまして、沿岸漁業関係者の正しい組織と計画をもって沖合い、遠洋への進出の方途をはかることの裏づけなくしては、沿岸漁業構造改善の真の趣旨が達成されないからであります。従いまして新しい許可制度改正が真に沿岸漁業振興のための大きなテコとして十分に運営されることを期待してやまない次第であります。  最後に、社会党の御提案になっている漁業法の一部を改正する法律案につきまして一言申し上げたいと思います。すでに同法案の前提となっております漁業基本法案と一連の関係を持つ関連法案性格を持っていると拝承いたします。日本漁業構造再編といった見地から、特に零細なる漁業者擁護漁業権についての漁協の地位の強化を初めといたしまして、沿岸漁業保護区域設定許可制度についても、より徹底した継続あるいは承継許可制廃止を考えておられますが、全体的におきまして日本漁業構造改善を意図されておることに対しまして、私どもといたしまして衷心より敬意を表する次第であります。  個々の問題点につきましては、いろいろ意見もあるのでございますけれども、時間の関係もございますので、今回は省略させていただきたいと思う次第であります。時間が参りましたので、私の陳述はこれでおしまいといたしたいと思います。(拍手
  6. 長谷川四郎

    長谷川委員長 次に庄司嘉君。
  7. 庄司嘉

    庄司参考人 まず政府提案にかかりまする漁業法案から申し上げたいと存じます。法案の全体を通じましての感想を申し上げますると、文字通り改正されておりまして、大へんよろしいのでございますが、特にその中におきましても、漁業権行使規定の制定の問題がございまして、ただいま両参考人からお話もございましたが、私はこの行使規定制度が初めて規定せられましたことに対しまして、政府の英知を深くたたえたいというくらいの気持なのであります。そのほかにも今申し上げます通り改正された点はたくさんあるのでありますが、私といたしまして少しいかがかと思われる点があります。るので、その数点につきまして見解を申し述べてみたいと存じます。  第一点は、漁業権延長制度の問題でございます。これは漁業の種類にもよりますが、特定漁業権、カキでありますとか、ノリでありますとか、あるいは海草というふうな、特定区画漁業権対象になりまする漁業につきましては、御案内の通り作為的な漁業でありまして、農業とほとんど変わらないのであります。そういう点からいたしまして、この種の漁業権設定にあたりましては、当然免許延長制度が採用されてしかるべきである、こういうふうな考えを持っております。特に現行法が立法せられました当時におきまして、この延長制度というものは、当分の間漁業調整のためにたな上げはするけれども一定期間——大体昭和三十六年と言われておりましたが、そのときに至りますれば、これをもとに戻して、そうして延長制度をとろう、こういうふうな話し合いがあったことが速記録に出ているのであります。ところが今度の改正案によりますと、その点が真正面から削除せられております。が、今、増田参考人からお話しになりました政府の御意図になります漁場総合利用という観点から申しまして、あるいはそういう考え方も出てくるであろうとは思うのであります。われわれといたしましては、どうにももう少し考え方がありはしないだろうか、こういうふうな気持がいたしております。そこで申し上げますが、都道府県知事公有水面埋め立てに対しまして免許する権限を持っております。同時にまた、漁業法執行管理につきましての権限地方自治法によりまして委任されておるのであります。そこにおきまして、最近地方によりましては地方公共団体の長である知事みずからがこの埋め立て事業をやる、そういうことに相なりまする限りにおきましては、知事がその二つ権限を握っておりまして、そして握っておる知事みずからが埋め立てをやろうとする限りにおきましては、当然にといってもいいくらいに漁業権免許しないでそして埋め立て免許をするであろうと私は察する次第でございます。従いまして、そういうふうな情勢を考えますると、また今日までそれに類する例が少なくありません。そういうことに相なって参りますると、零細な沿岸漁民漁場を取り上げられまして、結局生活できないような事態に追い込まれ、漁場と農地とでは事情は違いまするが、もし農民の諸君に対しまして耕作権知事権限によって取り上げられるというふうなことがありとしますならばこれは重大問題でございます。そういう点から申しましても、われわれといたしましては依然として延長制度を強く叫んで参りたいというふうな気持でございます。何分にも漁民にとりましての死活問題であります。もしそういうふうなことが法律趣旨をうまく理解しないで、そして悪用されることになりますと、いかなる不祥事態が発生しないとも限りませんので、その点を私は深く憂慮いたしております。もとより、延長制度をとることになりますと漁場の合理的利用は妨げられる場合があり、またその他の弊害も予想されないことはございませんが、この弊害は別に規制する道は私はあると思っております。  なお、他にも申し上げたい点がありますが、時間がありませんから、結局第一点といたしましては、漁場の利用に対する免許につきましては延長制度をとることが漁民に対しまして安心感を与えまして、生産意欲を持たせまして漁業の発展に沿うようなことに相なるだろうと思いますので、ただいま全漁連の増田参考人からお話がありましたように、回りくどい形式をとられるかのような感じはありますが、新規免許をいたしましても、形式は新規免許でありましょうけれども、実体的には延長制度と同じような効果の上がるような措置が当然必要であるということを申し上げておきたいと思います。  第二点は、漁業権存続期間の問題でございます。この存続期間考え方生産性と経営性、この二つから判断されるべきだと思います。具体的に申し上げますと、ハマグリなどに例をとりますならば、普通には三、四年かかるのであります。稚貝から成貝になるには。もしおすしの上に乗せるような貝をつくるとなりますならば五年、六年、七年という年月がかかる。それに対して五年の免許期間ではあまりにも不合理であると思います。またノリ漁業について経営面から申しますならば、今参考人からお話がありましたように、今日漁村におきましても労力が大へん不足して参りました。そういう意味におきまして、また農業にもありますように機械化が進んで参りました。その機械化のために大体一漁家におきまして六、七十万円の資本を投じなければならぬ。これは大した金額ではない。ないが、零細な業者にとりましては大へんな大きな金額であります。これを回収するのにはとうてい五年ではできない。そういう点から申しまして、少なくともこの特定区画漁業権につきましては七年ないし十年くらいの存続期間がしかるべきであると存じます。  第三点は、漁業権行使規定制度でございますが、先ほど申し上げましたように、この制度は非常によろしいのでございますが、ただ運用にあたりまして地元地区の当該漁民の三分の二の同意を前提といたしまして総会の決定が必要になっております。両者の意思決定ができない場合には、政府原案によりますと、せっかくいい制度を設けていただきましても、実際に運用できない場合が多々出ると思います。この点につきましての仲裁規定が何もない。それではせっかくいい制度を作っていただきましても、漁業権の行使ができない限りにおきましては漁民は生活できません。どういたしましてもそういうような事態に対処する仲裁規定と申しましょうか、救済規定と申しましょうか、そういう点の御配慮があってしかるべきように存じます。  最後に申し上げますが、漁業調整委員会権限の強化の問題、あるいはその他にもなおわれわれとしまして措置すべきものであるというふうな考えもございますが、それには触れません。  次には、水協法について簡単に申しますが、水協法におきまして今度の改正案が取り上げられることに相なりますと、今まで正組合員であった者が約十一万人准組合員に転落をいたします。そこで転落いたしました場合に、政府があるいは立法府におかれましてお考えになりました線を忠実に実行してもらいたいのであります。現在の漁業協同組合組合員の中には非漁民でありながら正組合員であるという形をもって加入しておる者がたくさんございます。そういう関係ともあわせまして、今後この点、水協法が成立いたしまして実施される段階におきましては、厳重な行政指導をお願いいたしたい、こういうことを申し上げまして、時間もありませんから私の公述は終わらせていただきます。(拍手
  8. 長谷川四郎

  9. 増田正一

    増田(正)参考人 漁業法関係から御意見を申し上げます。  漁業法関係改正第一次案につきましては、大臣許可漁業関係におきまして本質的に大きな問題が幾多ございまして、そのそれぞれにつきまして私どもは実態に即した要望を重ねて参ったのであります。率直に申し上げまして、この改正法案は私どもとしてはしょせんカツオ・マグロ漁業への新規許可をやりやすいようにするためのものだというように受け取らざるを得なかったのであります。カツオ・マグロ漁業の現状とその動向につきましては、外部からとかく楽観的に見られがちでありますけれども、必ずしも余裕ある平穏なものではございません。すなわちその資源と申しましょうか、その漁況については近年いよいよ低下の傾向を強めております。また漁場の遠隔化とともに、航海日数が長くなり、操業の能率がはなはだしく落ちてきております。このことは年間航海数の減少となり、経費の増大となって経営を圧迫し、わずかにこれをささえておりました比較的堅調であった魚価も最近にわかにくずれかかっておるのであります。また、その市場面につきましては、国内においては生鮮消費の持つおのずからなる限度と、加工消費におきます魚肉ソーセージ需要の頭打ち等が見られまして、一方輸出面におきましては最近の米国マグロ漁業の好調と、カン詰製品の在庫増大等から、急激な対米相場の低落を見ております。また一方、欧州方面では対日輸入ワクを設定する等、さらには東部太平洋におきますキハダ漁獲の国際的規制等が具体化しております。また乗組員の不足の窮状は深刻なものがありまして、まことに多事多雑な現状であります。私ども業界といたしましては、今後の漁業経営についてひとしく深刻な不安を抱かざるを得ないのであります。このような情勢下におきまして、私ども業界は、これらの不安を何とかして克服し、長く経営の維持安定をはかってわが国のカツオ・マグロ漁業の健全な発展を期して参りたいと考えておる次第でございます。しかしながら行政庁におかれましては、このカツオ・マグロ漁業に対する考え方が、遺憾ながら相当程度楽観的であるように考えられます。業界といたしましては、真に余裕があるものであるならば、むげにカツオ・マグロへの転換等を受け入れるに反対するものではありません。ただいま申し上げましたように、カツオ・マグロ漁業の現状から、これまでに見られたように行政措置相当強力に打ち出される場合には、私どもカツオ・マグロ漁業といえども、かつての以東の底びきあるいは最近におきまする北洋のサケ・マスのごとく減船整理のうき目をいつの日か見るであろうということを予想するのであります。そしてそれ以前にすでに経営の現状は底をつき、多数の犠牲者が出るだろうということも、従前の例に徴しましても明らかなところであります。漁業法改正法案問題点と、よって来たる私どもの不安というものは、こうした点からも深刻なものがあったのであります。私どもは当初の改正案以来真剣にその問題点について検討いたしまして、行政庁とも長期にわたる各般の協議を重ねて参りました。そうして修正が加えられ、今日の改正案に至ったのでありますけれども、私どもはこの改正案をもちまして直ちに私どもの不安が十二分に解消されたものとは考えておりません。すなわち、一、内閣提出案の第五十二条の指定漁業許可につきましては、現行の指定遠洋漁業はその漁業の種類と定義を法律で明確に規定しておりますけれども提出案によります。とこれを政令による指定に譲っております。このために比較的容易に指定が変更され、あるいは定義が変更されるという不安があります。第二の点といたしましては、同じく五十八条の公示についてでございます。同条第三項のただし書きの規定でありますが、ある漁業を緊急を要する特別の事情として整理いたしまして、その整理されたものをさらに他の漁業へ転換される場合も、また緊急特別事情として新規に許可できるように解されるのであります。このような場合には、転換先の漁業実情につきましては、中央漁業調整審議会の意見を聞かないで行政庁判断のみで新規の許可がなされるといたしますれば、受け入れ側の業界としてははなはだ不安であることは言うまでもないことであります。  また、同条第四項の規定であります。が、これは同条第一項の規定と重複しているように考えられます。また読み方によりますれば、第一項の規定による公示隻数以外の隻数を中央漁業調整審議会の意見を聞くことなしに行政庁判断のみによって公示することができ、従って許可することもできると解されるのであります。第三点といたしましては、中央漁業調整審議会の構成についてでありますが、提出案によりますと、委員の数は漁業代表を十五名、学識経験者を十名としております。が、別途提案されております沿岸漁業振興法案におきましては、さらに中央漁業調整審議会の委員を増員する旨が示されております。このために漁業法において考えられました委員構成のバランスが相当変更される。そのために業界の意見というものが公正に反映されるかどうかという点もおそれられるのであります。  このように、私どもカツオ・マグロ業界といたしましてはゆるがせにできない不安の点がなお多々残っているのであります。しかしながらこれらの点につきましても、すでに一年有余の長期にわたりまして議論を尽くしたところでありまして、かたがた私どもカツオ・マグロ漁業者の中におきましても、一部の階層の中には、現行の中型カツオ・マグロ漁業のいわゆる百トン線のために、いかような方法をとりましょうともその船型の合理化が果たし得ないという矛盾もあります。この意味におきまして、ぜひとも早急の法改正を望む声もあります。従いまして、この段階に至ってただいま申し上げましたような諸点になお不安を待つのでありますけれども、全般の情勢から見まして妥当ではないかというように考えられる次第でございます。ただ、政府におかれましてはこのような経緯を十分御了解願いまして、今後の法の運用におきまして常に中央漁業調整審議会の意見を聞くとか、あるいは業界の意見を尊重して民主的かつ慎重に措置されまして、これらの問題点についても、いたずらに業界を不安、混乱に陥れることのないように、切に要望してやまないのであります。  次に水協法の一部改正につきまして意見を申し上げます。  今回の政府提出になります水協法の一部改正案につきましては、これを一言にして申しますならば、私どもとしては全く期待はずれであったと言うことができます。すなわちこの改正内容は部分的な修正にとどまっておりまして、基本的な問題について何ら触れておりません。最近の漁業の現状から見ますと、漁業者の組織の体制が漁業の実態に伴っておらないと思います。すなわち沖合い並びに遠洋漁業等におきましては、現にわが国漁業の中核をなしております。またこれら漁業を営む中小漁業者は、わが国漁業におきましても経済上きわめて重要な地位を占めております。それにもかかわらずこのたびの改正におきましては、これら中小漁業者の組織につきましてどうすべきであるかということの解決がなされておりません。しかも御承知のごとく、カツオ・マグロ漁業に例をとりますと、カツオ・マグロ漁業を囲繞する内外の諸情勢は著しく変貌を遂げております。一例をあげれば、国際的には意欲的な諸外国のマグロ漁業への進出があります。またその漁獲物の海外市場も激甚な競争場裏に立たされております。さらにまた国内的な自由化の促進や競争の激化等がありまして、これらに即応して経営の安定とその発展をはかるためには、どうしても中小漁業の事業の近代化を促進するとともに、その経済的な存立条件の不利を是正し、しかる後に生産性の向上と所得の増大をはかるべきだと存じます。しかしながら中小漁業者にはそのような情勢に対処するための組織体制ができておりません。  今回の改正案によりますと、業種別漁協にありましては、従業者を組合員資格から除く案になっております。従いまして従来以上に組合内部は等質化され、組合の中にありましては特定の者がその組合を支配したり、あるいは弱小の組合員が拘束を受けるというようなことは全くないと考えられるのであります。むしろそういった問題よりも、組合の外にあります大きな力に対しまして、中小漁業者の経済的存立条件の不利を除去するために協同してどう対処するかという問題が非常に大きな課題であり、緊急な問題であるというように痛感しております。従いまして、私どもは当初この現実に対処いたしまして中小漁業者が組合から脱落することのないように、とりあえずの措置といたしまして、その正組合員資格につきましては、法人については従業者の数が三百人以下、または使用漁船の合計総トン数三千トン以下というように引き上げ方を要望して参ったのでありますけれども、現行の水協法が漁民をおもな対象にいたしまして、その生活と社会的経済的地位の向上を目的としておりますために、中小漁業者経営の安定あるいはその発展を目的としておらないために、私どもの要望は取り入れられておりません。しかしながら、さきに申し述べましたように、中小漁業者の置かれております現状並びに将来の動向を考慮いたしますと、ぜひこの際私どもは中小漁業者経営の安定とその発展を目的とした新たな団体制度の確立が必要であるということを痛感するものであります。従いまして、私どもは今回の水協法の改正につきましては、政府原案を一応了といたします。しかしながら中小漁業者の組織のあり方につきましては、別途政府の方々並びに関係の業界の方々とともに研究を重ねまして、すみやかにその実現をはかりたいという念願を持っております。何とぞ国会の議員各位におかれましても、私どもの置かれております現状につきまして御賢察下さいまして、今後とも適切な御指導を賜わりますようお願いいたします。(拍手
  10. 長谷川四郎

    長谷川委員長 次に斉藤三郎君。
  11. 斎藤三郎

    ○斎藤参考人 今次の法の一部改正機会に、水産業全般共通の問題、あるいは私どものようにきびしい国際的な規制下に置かれておる北洋のサケ・マスの問題、こういう問題につきまして、それぞれ要望、意見を申し上げて参ったわけであります。その中に非常に御理解を賜わりまして、法案の中に盛り込んでいただいておるものと、あるいはまた御理解を願えないものといろいろあるわけでございます。が、先ほど来他の参考人から申し述べられましたように、通覧いたします。と、法の前進ということが認められまして、先進水産国としての日本のためにまことに御同慶の至りと思う点でございます。  特に私ども先ほど来申し上げましたように、非常にきびしい国際的な規制下に置かれておる北洋のサケ・マスの問題、立場上から、この問題に一応しぼって申し上げたいと思うのでありますが、例年きびしい規制を加えられまして、だんだんとその漁業が窮屈になって参っておるのでございます。本年度第三回目の減船措置等もあったわけでございますが、こういう現状におきまして独航船の漁業者が年々苦しい努力をいたして参っておるわけでありますけれども、法の建前といたしましては、百トン近い近代装備の漁船が何ら法的に権利が明確にされていない、こういう点が非常に私ども問題と存じまして、独航船の単独許可制をるるお願い申し上げたわけでありますが、内容的にはまだいろいろ問題があるのでありますけれども、一応独航船の単独許可という形が法案に盛られておるわけでありまして、この点私どもまことにありがたく感謝申し上げる次第であります。  このサケ・マス問題に関連いたしまして特に私ども触れておきたいと思いますことは、御承知のようにこの許可期間が今まで一カ年の単年許可であったわけであります。漁船建造あるいは資材の調達、こういう面におきまして、年々五千万に近いような資金を投入しなければならないこの漁業形態におきまして、わずか一年の許可で、現在非常な不安の中から出漁いたしておるわけでありますが、こういう形では非常に不安定である。少なくも他の漁業同様に五カ年の許可をお願いいたしたい、こういう痛切な叫びを申し上げて参っておるのでありますけれども、現状においては一カ年、特殊なものについては二カ年、こういう状態でありまして、従いまして、この許可期間延長の問題につきまして特に御配慮いただきたい。  公示に関しましていろいろ問題があるわけでございますが、この中審の意見を聴取する法案第五十八条の第三項のただし書きにいろいろ書いてございますが、このただし書きの削除をお願い申し上げたい。これは国際的な漁業であるために予測できない事態があるということから、多年の許可がされないものと存ずるのでありますけれども、サケ・マスにおきましても御承知のように、昨年のごとく年内にいろいろな資源討議が行なわれまして、明年度、言いかえますと本年度の大体の予測がついておるわけでありますから、先々のことはわからないということではなしに、十分予測ができるわけでありますから、こういうふうな単年にするというただし書きを削除いただきまして、安定した状態においてこの国際漁場へ出漁さしていただきたい、これが一つのお願いでございます。  それから、さらに加えまして、かような国際的な規制を受けまして、特にまた法に基づいて拘束された売買の形を規定されておるわけでございますけれども、こういう状態の漁業の漁獲物につきましては、価格の安定策、適正化という立場から価格構成するために、政府が仲介あっせんをするような行政あるいは立法の措置をぜひお願いいたしたい。私ども五月中旬から出漁いたしまして、帰港後すでに一カ月たち、約百日を経過しているわけでありますが、私どものように、法によって漁場で母船経営者に漁獲物を供給しておる者にとりまして、非常に困難な立場でこの魚価の話し合いをいたすわけでありますが、現在進行中であります。けれども非常にきめ手がない。非常に弱い背景のもとに進められる、こういうことで、非常に中小の独航船が不安にあるわけでございます。従いまして、国が、とった魚を母船に渡せという規定がある以上、そういう価格の正しい形成につきましてごあっせんを賜わり、こういうふうな立法措置あるいは行政の御配慮を賜わりたい、特にこの点を強く要望申し上げたいのであります。  それから次にお願い申し上げたいと思いますことは、許可期間更新の際に、官庁の必要によりまして許可しない場合、こういう場合には、少なくとも六カ月前に予告をいただきまして、なおこの期間中に許可対象者が異議の申し立てをすることができる規定を新たに法案の第五十八条に挿入するか、あるいはまた現行法第五十六条第三号を、改正漁業法案第五十六条に復活さしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。これは漁業直前に官庁が許可をしないということを発表することは、漁船の整備でありますとか、あるいは資材の購入、漁夫雇い入れ等の点におきまして莫大な損失を漁業者に与えるものでありますから、少なくとも六カ月前にこのことを予告するのが適当であると考えられます。なおこれにつきまして許可しない場合が不当と考えられるときは、許可対象者に異議の申し立てを認めることは現行法に存在しているのであって、これを復活することは妥当な民主的な措置と考えられるわけであります。  以上、二、三の問題につきまして要望、意見を申し上げます。(拍手
  12. 長谷川四郎

  13. 御木本美隆

    ○御木本参考人 今回、漁業法及び水産業協同組合法の一部を改正しようとする内閣提出及び角屋堅次郎氏外十一名御提出の四案について意見を求められたのでありますが、私は真珠養殖業に関する諸点について、まず総括的に意見を申し述べたいと存じます。  漁業法及び水産業協同組合法は、われわれにとって最も重要な漁場利用及び団体組織の基本を規定する法制でありますので、今日四法案を立案されるまでの各方面で払われた御努力に対し、まずもって敬意と感謝の意を表させていただきます。  さて、改正案を拝見いたしますと、われわれ真珠養殖業者の立場から見ますと、必ずしもわれわれの意図するところが盛られておりませんので、この点に関しましては不満足と申し上げますか、十分でないというふうに感ぜられるのであります。しかし、今日に至るまでの長い間の御努力といきさつにかんがみまして、また、不満足な諸点については将来適当な機会にさらによりよいものに修正されるのであろうということを期待いたしまして、私はここに内閣提出漁業法及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案賛意を表し、これが一日も早く通過するようお願いいたすものであります。  次に、その理由の一端を申し上げまして、御審議の参考に供したいと思います。  真珠は、日本の技術、天然資源のみで生産され、その全生産量の九七%を輸出し、数年前の輸出総額約四十億円が昨年は百三十億円をこえる盛況を見ておりまして、この実態は、戦後の不振な沿岸漁業の中にあって、有力な成長輸出産業であるということが言えると思います。世界に比類のないわが国独特のこの真珠産業は、施策よろしきを得れば、さらにより一段と輸出を増大することが可能であると信じております。このためには、真珠養殖業を近代的な産業として確立すること、品質の向上に努めること、全国的視野に立って計画的な生産体制に入っていくこと、以上と関連して真珠の価格安定をはかること等により、経営の安定と発展をはかり、そのことが基本的な真珠産業の方向を与えるものである、かように考えております。  次に、重要と思われます諸項目について見解を申し上げます。  真珠養殖業を近代的産業とし、企業として確立するためには、諸権利をみずからの努力によって実際に事業を営む者に帰属させること、すなわち、養殖業者に漁業権免許することが基本的であります。今般の内閣御提出改正案は、この原則をおおむね貫いておりますことには賛意を表する次第であります。  なお、今後開発されるであろう新規漁業は、品質向上のため最も必要な化粧巻漁場——仕上漁場意味でありますが、化粧巻漁場として重要な漁場でありますから、いたずらに地元の排他的利用に堕することのないよう、慎重に運用することをお願いするものであります。  私どもは、計画的な生産体制に持っていくためには、二十数府県にわたる真珠生産の基盤たる漁業権の府県知事による無秩序な免許を排しまして、農林大臣による免許制度を希望いたして参りました。これについては今回の改正案のいれるところとなっていないことは、まことに遺憾に存じます。これにつきましてはいろいろ御事情があることとは存じますが、少なくとも全国的視野に立つ施策の必要性をお認めいただきまして、運用面において善処されるか、あるいは真珠養殖事業法等において別途適切な是正措置を講ぜられるよう衷心から希望するものであります。  次に、免許期間の問題、抵当権等の問題については、改正案は、ほぼ私どもの希望する線であり、賛意を表します。なお、私どもは、真珠養殖に関する漁業権について期間延長制度を復活するよう希望しておりました。これについては、今般の改正案では採用せられておりませんが、少なくとも免許する行政庁の一方的な意向によって多年にわたる漁業権による経営が不当に中断されることのないよう、法制上及び運用上慎重に御配慮をお願いしたいと思います。私どもは、真珠養殖業を発展させるためには、協同組合組織を充実させることが最も重要と考え、及ばずながら着々その成果を上げて参りました。今回の内閣提出改正案においては、法人を正組合員として認める等、現状に即しおおむね妥当な改正と考えられ、賛意を表します。しかしながら、真珠養殖の今後の使命、すなわち自主的な計画生産のにない手としての組織としては、今回の改正をもってしても満足とは言いがたく、別途の課題として今後も引き続き検討さるべき問題ではないかと考えるものであります。  次に、将来の施策に対する希望を述べさしていただきます。  以上申し述べましたように、私ども立場から見まして不満足な点が少なくない次第でありますが、改正案を基礎として私どもが一致協力して現状を改善した暁には、さらに私どもの希望がかなえられる機会もあることと期待するものです。  さらにまた、私どもの希望する諸点は、あるいは漁業法及び水産業協同組合法のワク外の問題であり、真珠養殖事業法の改正等の問題に及ぶかとも考えられますので、関連する法制につきましては、今後一そうの御関心を示され、御検討下さるようにお願い申し上げます。  簡単でございますが、これをもって終わります。(拍手
  14. 長谷川四郎

    長谷川委員長 これにて参考人各位の御意見の開陳は終わりました。  ただいまの参考人の御意見について質疑の通告があります。順次これを許します。角屋堅次郎君。
  15. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 本日は漁業法、水協法に関連する参考人の方々に御参集いただきまして、それぞれ貴重な御意見を拝聴することができました。まことに感謝にたえないわけでございます。御承知通り漁業制度の改革の問題につきましては、漁業制度調査会で数年来検討が行なわれ、その答申が出され、さらにまた、その後において農林漁業基本問題調査会の漁業関係の検討がなされまして、漁業の基本問題と基本対策、こういうものの答申等もなされまして、相並行して漁業制度の改革問題が今次漁業法の一部改正あるいは水産業協同組合法の一部改正、さらに政策的な問題については、政府から沿岸漁業振興法案、われわれの方からは漁業基本法あるいは沿岸漁業振興法というふうな形において審議されておるわけでございます。もともと漁業制度の問題は漁業政策の問題と無関係に論ずるわけには参らないわけであります。従って、審議の形態といたしまして一は、政府から出しております沿岸漁業振興法、あるいは私どもの出しております漁業基本法あるいは沿岸漁業振興法等と相並行して、そういう中で漁業法、水協法の今日時点における改正はどうすべきか、こういうふうにするのが本筋でございますが、今次臨時国会の会期その他の関係から見まして、しかもまた過般漁業権の二年延長をやりましたが、切りかえの時期あるいは海区調整委員会の、先般行なわれました選挙の今後の任期、それが漁業権の切りかえとからみ合って、こういうものもいろいろ勘案をいたしまして、とりあえず漁業法の一部改正あるいは水産業協同組合法の一部改正について、この際処理をしようじゃないかという運びになっておるわけでございます。従って先ほど来参考人意見の中でも、単に漁業法、水協法に対する御意見のみならず、今後の水産政策というものに関連をして、いろいろ貴重な御意見等もあったわけでございます。時間の関係もありますので、私は参考人から、数点にしぼってそれぞれお伺いをして参りたいと思います。  まず原さんにお伺いをするわけでございますが、原さんは漁業制度調査会の中にもメンバーとして加わられまして、いろいろ漁業制度全般の問題について論議をされてきたというふうに承っておるわけでございます。先ほど御意見の中に、各自漁業を営む権利を初め各般の問題について御意見がございましたが、これらの問題について詳細にいろいろ論議を尽くすという時間的ないとまがございませんので、原さんには、そういう問題はあとにいたしまして、一点だけお伺いいたしたいと思います。  それは、漁業調整の任に任ずべき中央漁業調整審議会あるいは第一線における海区漁業調整審議会の問題でありますが、御承知通り、今度は海区漁業調整につきましては一県一海区、そういう形において新しくすべり出していくという体制に相なりました。中央の場合にいたしましても地方の場合にいたしましても、海区調整ということの重要性から見て、委員の構成の問題あるいはまた事務局体制の整備の問題、そういうふうな点について、この際やはりがっちりした体制をつくるべきではないかというふうに考えておるわけです。従来制度調査会の審議に参加された方々の中にも、県段階における海区調整委員あるいは中央段階における審議会の委員については、その中で、意見として、中立側の委員、学識経験者等のそういうメンバーについては常勤制度にしてはどうかという意見も出ておるわけですけれども、そういう面についても十分配慮しながら、やはりがっちりした体制をつくる、片手間でそれを運営していくというのではなしに、委員等がもっと腰を落ちつけてやっていく、さらにまた漁業政策というものの近代化のためには、やはり漁業の中で働いておる漁業従事者、漁業労働者というもののこの面におけるところの意見も十分に尊重していく立場から見て、中審等については、積極的に漁業労働者等も代表の中に加えていくというふうな形を考えなければならない。私どもは、中審あるいは海区調整の問題については階層別代表ということで対案を出しておるわけでありますけれども、これはにわかに政府与党の方で受け入れてもらうという段階に参りませんが、いずれにしても、考え方そのものはすなおに政府原案の中に織り込んで、今後の運営を期してもらいたい、こういう気持を持っておるわけなんです。さらに事務局体制の問題についても、従来の数海区のものを統合した一県一海区ということになった機会に、はっきり法的根拠を与えて整備すべきものではないか。そういうことを通じて、今後長期にわたる漁業調整の問題について、委員としてもあるいは事務局体制としても、専門的な面を精査をして円滑な漁業調整の実現を期する、こういう面が、漁業法、水協法、特に漁業法の運営の問題では非常に重要な問題として今後考えていかなければならぬ。これらの問題について、原先生から御意見を承りたいと思います。
  16. 原暉三

    原参考人 ごもっともな御意見です。が、実は海区調整委員会の方はあまり深入りして勉強していないのですけれども、先ほどの調整委員をもっと専門家にというお話だったのですが、調整委員はいわばしろうと政治家が当たるべきものではないかという一つの流れがあるのではないかと思います。今おっしゃる事務局を強化するということ、これは確かに必要なことです。県庁へ依存して手足がないような事務局では、結局諮問せられた、たとえば漁業計画を出すのに、県庁の水産課といいますか、そこの言いなりほうだいとは申しませんが、そこでほとんどやってもらっておるような意味からいえば、事務局をしっかりして、そして今おっしゃった専門の部面はいわゆる専門員といいますか、そういうことをたんねんに調査する人を置いて、権威のある働きをやる、これは全く御同感です。お説の通りだと思うのです。ただ調整委員の専任といいますか、置くことができるかどうかということは、ちょっと大きい問題じゃないかと思います。むしろしろうと政治家といった方が漁村実情にかえってよく沿うのではないかというような心持で考えております。  それから海区を広くしたということは、今おっしゃったようないろいろな問題もあると思うのですが、海区があまり狭いと、ほとんど地元の漁業協同組合の代弁者といいますか、その利害の代表者になってしまって、公正なる漁業調整が行なわれない弊害に多分に陥る。そういう意味においては、むしろ一県単位くらいに広い区域において海区漁業調整委員会をつくった方が適切ではないかと思われる節があります。実際上の運用においては、非常に狭い範囲で何らかの紛争があっても、海区漁業調整委員会で片をつけることができないというのが従来の姿のように思われるのです。  大体そういうふうに考えております。
  17. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 全漁連の増田さんにお伺いいたしたいと思います。  私ども漁業協同組合の育成強化という問題は非常に重要な問題と考えまして、今回の漁業法の一部改正あるいは水産業協同組合法の一部改正も、そういう精神を十分配慮しながら、わが党の一部改正案を出した経緯がございます。御承知通り、水産関係というのは、数トンの無動力船から何百トンというふうな鉄船の漁業船まで、しかもまた経営内容を見ましても、数万、数十万の零細な漁家から何百億というふうな資本を持った水産会社に至るまで、漁業の内部を見ますと、階層間の段差というものは非常に広い。しかもまた戦後のわが国の漁業政策の中では、ややもすれば、大きなもの、あるいは遠洋方面の戦後の急速な発展に力を尽くすことに目を奪われて、沿岸漁業関係の面というのは非常に谷間に置かれてきた。今日、各自漁業権の問題初め各般の問題が指摘せられて、法改正の踏み切りになっておるようでありますけれども、そういう戦後の水産政策というものと無関係に、そういうものが生まれてきておるのかどうか。積極的に沿岸漁業振興対策を講じ、構造改善を通じて前進をはかるということを今日までの段階で進めて参りますならば、やはり漁業者に対する各自漁業を営む権利という昭和二十四年度の法改正一つの大きな柱であった点は建前としてそれを認めながら、適切な運営ができたのではないかというふうにも考えておるわけでございます。  この際増田さんにお伺いしたいわけでありますが、漁業協同組合の今後の水産業の発展に対する体制、力、こういうものは率直に申して必ずしも十分じゃない。やはり今後の水産業の発展、特に農林漁業基本問題調査会の漁業に対する答申の中では漁業経済圏、そういうふうな非常に拡大した形の中で地域の漁業の発展をはからなければならぬということを言っておるわけですが、その場合に果たすべき漁業協同組合の役割というものはきわめて重要でなければならない。ただ御承知通り、農協と迷いまして漁業協同組合の場合には地先漁業権というものと結びつくために、簡単に漁協の行政区画別の一漁協に統合するということはにわかにはいけない、しかしいけないというけれども、今日のような地先に結びついた漁業協同組合の零細な規模という形でいいのかどうかということには大きな問題があるのであって、漁業権管理体としての漁業協同組合性格というものと、経済活動あるいは漁業経済圏の中における漁業協同組合の任務というものとマッチした漁業協同組合の今後の発展方向という問題については積極的に検討すべきではないか、またそういう検討に基づいて時代の要請にこたえるような形で漁業協同組合が十分な使命を果たすという面で積極的にやはり献策をすべきではないかというふうに考えておるわけであります。けれども、この点について責任者であられる増田さんから御意見を承っておきたいと思います。
  18. 増田盛

    増田(盛)参考人 漁業協同組合の育成に関する基本的な方針について申し上げてみたいと思うのです。  御存じの通り、現在の漁業協同組合の現況を出発点として考えますと、御質問の冒頭にありましたように漁業内部におきます階層分化といいますか、これは農業とはとても比肩し得ないほど大きな勢いで進行いたしておるわけであります。従いまして、特殊な大資本会社は別といたしましても、現行の漁業協同組合内部にいろいろな種類の協同組合、それから一つの協同組合のそのまた内部、こういうようにそれぞれにおきまして巨大な階層分化が進行しておるわけであります。従いまして、今後の協同組合運動を進める場合におきまして、しかもそれを自分たちの水産業を発展させるという一点にどうしてしぼっていくかという問題におきましてなかなかむずかしい問題があるわけでありまして、たとえば地区漁協中心にしたいわば沿岸漁業あるいは零細漁業中心にした内部におきましても、組合員の状態を見ますといろいろな分化が見られるわけでありまして、いわんや業種別組合の関係を見ますと、それは協同組合という名前はありますけれども、やはり同業組合的性格あるいは中小企業協同組合的な、ちょっと漁業協同組合としてこれを同じ性質として取り扱うべきやいなやに関しましてはいろいろ問題があるわけでありまして、ただ問題があるだけでなしに、お互い同十一つの協同組合の内部でこれを規制していく場合におきましては問題が起こってくるのじゃないかという点もあるわけであります。こういう点に関しましては私ども漁業協同組合内部におきまして十分議論を起こしておるわけではないのでありますが、何とはなしにやはり非常にはっきりした階層分化に伴いますところの協合組合内部の分裂といいますか、それぞれ性質の違ったいろいろな傾向が出てくるということに対しまして不安を感じておるわけであります。この際におきまして、こういう点に関しましてはやはり抜本的にいろいろ検討を要する段階にきているのじゃないかと思うわであります。いずれにいたしましても、分裂あるいは個別的に区別するだけが能ではないのでありまして、やはり水産業の発展のために漁業者を全体としてある方向で締めくくる必要もあろうかと思うわけであります。それに対しまして十分意見を申し上げる余裕が現在ないわけであります。  そこで、最後にしぼってお尋ねの点でございますが、現在の漁業協同組合、これは特に地区漁協対象にいたします協同組合の場合に関する問題でございますが、いわゆる地先主義でしかもその中に固定化された観念、いわば歴史的には旧来の部落を対象にしてそれの中にくぎづけされたような協同組合というものの問題でございます。そしてその中に、御存じの通り漁業協同組合におきましては農協と違いましていわゆる経済的な面のほかに漁業管理権の主体であるという公権的な面があるわけであります。私は、ただいまのように経済的な面を特に重視しなければならぬ現在におきましては、この経済性を強調いたしまして、大きな組合に逐次合併していく、現在はないのでありますが、できれば農協におきます合併促進法のようなものを御制定いただきまして、これに対するいろいろな便宜をはかっていただく、そして合併促進の促進剤になるような、一つの刺激剤になるような補助金も出していただくというようなことで合併促進してもらうのが非常にいいかと思うわけであります。ただ、その場合におきまして、やはり管理漁業権の運営に関しましてどうするかという問題が起こるわけでありますが、これは私ただいま申し上げました地域の拡大という点に焦点を合わせまして解決できる問題ではないかと思うわけでありまして、農協と異なりましてそういう点におきましても非常に立ちおくれがあるわけであります。今後協同組合運動を堅実に伸張いたしますためには、経済主義といいますか、こういう面を十分に取り入れまして、この上で問題を解決していく、その上で管理漁業権の問題を解決していく、その方向で管理漁業権の問題は私は解決心能ではないかというふうに考えておる次第であります。  全国漁業協同組合連合会といたしましても、今後沿岸漁業はもちろんの問題でありますが、もう一つの点は中小漁業の問題に関しましても関心を相当持っておるわけであります。これは冒頭申し上げましたようないろいろ全体的な問題の中で、協同組合全体の考え方の中で私どもはもう一度そのあり方に対しましては考えて参りたいというふうに考えているわけであります。
  19. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今お尋ねした点について増田さんからもお答えがあったわけですけれども、中小漁業等の関係以上のところでは貿易自由化の問題、国際競争という中で、大きな視野の中で日本の中小漁業、つまり沖合いなり遠洋なりの形で十分競争できる態勢をつくっていこうという積極的な考え方を持っておる、当然であります。やはりこの沿岸漁業あるいは漁業協同組合もその例外であってはいけない。先ほどもお触れになりましたように、また私も指摘しましたように、漁業協同組合という問題については漁業管理権という関係一つあるわけでありますけれども。農業の場合といえども一郡一農協、一県一農協、やはり国際競争にたえる日本農業の協同組合としての役割を十分果たすためには、時代の要請に即応していかなければなぬらという立場から一つの積極的な検討がなされておるわけでありますが、なかなかむずかしい問題があるわけでありますけれども、せっかく増田さんが専務になられた機会に、今後の漁業の発展に即応する、しかもまた私どもが念願しておる漁業協同組合というものが地域の漁業の中では中核的役割を経済的にもまた諸般の問題でも果していくという任務を十分果たし得る態勢というものについて積極的に御検討願いたいと思うわけであります。  次に、庄司さんにお伺いしたいわけですが、御承知通り、今日政府の進めております沿岸漁業振興の中ではいわゆる浅海養殖あるいは養魚関係、こういうものは沿岸漁業における成長部門だ、そういうものを積極的に伸ばさなければならないということで進められておるわけであります。そのことはそのこととして非常に大切なことだと思いますが、ただ数国会以来私どもが考えて参りました、また討議して参りました貿易自由化との関連ということで、特にノリ等の場合においては無関係ではございません。つまり韓国からノリが大量に入ってくるというふうなことになれば、日本の浅海養殖というものはそれによって非常に大きな影響を受ける。従って国会といたしましても、衆参両院を通じて委員会の意思として韓国からノリ輸入というものについては、一億万枚を限度として、その範囲内で入れさせるということに押えてきました。昨年の通常国会でも本委員会で私が提案をしてその決議が可決されたわけでありますけれども、しかし今後の長期にわたる展望というものを見ます場合には、そういうコントロールというものが永久に続くものかどうかということについては、これは当然疑問があるわけであります。従いまして漁業法、水協法を通じての漁業権延長期間をやはり確立をし、浅海養殖におけるところの零細な関係漁民の利益を擁護していくという面については、法的にも十分配慮しなければならぬというふうに私どもは思っておるわけでありますけれども、同時に、やはり国際的な経済の波にもまれる中で浅海養殖の今後の発展をどうするかという問題についても、政策上の問題として非常に重要な問題でありまして、韓国のノリ輸入の問題については今後相当期間どもはコントロールしていかなければならぬという基本的な立場を持っておりますが、そういう問題も含めて今後どういうお考えで臨まれていくのか、こういう点についてお伺いしておきたいと思います。
  20. 庄司嘉

    庄司参考人 ただいま角屋先生から御指摘のありました韓国ノリの輸入の問題でございますが、ただいま御指摘のありましたように、貿易自由化の問題がやはり水産業界にも押し寄せて参っております。われわれ業界といたしましてはこの点に対しまして大へん憂慮をいたしております。そこで問題は、国際競争場裏に立ちましていかにしてこれに対処していくかということでございまして、それには何と申しましても生産コストの引き下げということが重大な関係を持ってくると思うのであります。この点から申しまして、政府におかれましてただいま御配慮になっていらっしゃいます沿岸漁業構造改善、これをもっと力強く推進してもらう、同時に既存の漁業権のあった水面というものはいつまでも漁民に確保させまして——これを確保させないで構造改善だけを進めるということでありますと、足元を忘れて向こうの先のことを考えているようなことになりますので、少なくとも足元を固めて、その上に構造改善ということも加えて、その上にさらに経営の合理化等も指導し、あるいは技術の向上もはかって参りまして、要は、ただいま申し上げましたように、生産コストを引き下げまして、そうして対処していくよりほかに道はないと思っております。しかしながら当面それに対処いたして参りますような態勢にもまだございませんので、何と申しましても、当分の間は、先生の方でお話しになりましたが、そういうコントロールを考えてもらうよりわれわれとしては生きていく道がない、こういうふうに考えております。
  21. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今増田庄司参考人からお伺いしたことと関連して、特に庄司さんから強調された点でありますけれども沿岸漁業漁場をやはり確保する、あるいはそれを永続させるというふうな考え方を私ども必要であると認めまして、わが党の修正案の中では、沿岸漁業の保護水域というものを農林大臣が指定することができる、つまり、今日の経済の高度成長の中で、ややもすれば沿岸海業というのは工場の進出、埋め立てあるいは工場汚水というふうな中で犠牲にされていこうとする傾向が強い、現実にそういう問題も出てきておる、そういう点でやはり優良漁場というものはこれを確保していく、そうして優良漁場に確保したところについては、積極的に政府が財政投融資あるいは予算等をもって優良漁場をさらに前進させるところの施策を講じていく。こういうような形にする必要があるのではないかということで、そういう法的な措置を講じておるわけでございますが、きのうも与党の代表の方々と本法案の処理にあたって隔意のない意見を交換したわけですけれども、これは今日の時点で法制的にこれははっきり政府与党も認めるというのには若干余地があるわけですけれども気持の上ではそういうことを私どもは強く要望しておるわけであります。  次にカツオ・マグロの関係増田さんにお伺いしたいわけですが、これは私どもの選挙区においても非常に関係が深いわけでありまして、水産庁の第一次試案が発表されて、以下第二次あるいは最終案、政府原案といいながら、過程においてずいぶん紆余曲折がございました。ただいま増田さんからも第五十八条の三項のただし書きの問題に関連して御意見等もございました。やはり中審というものがある以上は中審が適正な大臣許可等に対してのコントロールをしていく、しかも中審の権限というものが、やはり聞きっぱなしでなくてそれが十分尊重されていくという形、そういうものを十分とっていかなければならない。従って緊急に名をかりてみだりにこのただし書きが乱用されるというようなことがあってはいかぬということについては、私どもは同感であるわけでございます。ただこの法案とは関係が別になります。が、最近中型カツオ・マグロの新規許可の問題が二万トンという形で出て参りまして、これが北洋漁業あるいは沿岸漁業の転業というふうな形等を加えて今日進行しておるわけでございます。先ほども御指摘のように、こういうものを考える場合に、問題はカツオ・マグロの国際的な水域におけるところの資源状況、また日本が進出可能なそういう状態の中において適切なる漁船量は、総トン数において大体どれくらいのものが適切なのかということが、やはり大前提としてなければならない。それがためには単にカツオ・マグロ業界だけの問題ではなくて、私は数日前の大臣に対する水産政策全般の質問の中でも申し上げたのでありますけれども、今日日米加の漁業協定の改定問題、あるいは李ライン問題あるいは日ソ漁業交渉問題、各般の国際的ないろいろな問題、なかなかむずかしい問題がいつも起こってきておるわけでありますが、この際国際漁業の問題について日本が権威ある何らかの機関をつくり、この長期展望の上に立った日本の国際漁業に対するところの政策、考え方というものをがっちりつくって、そういう中で日米加の問題に対してはどうしていくんだ、あるいは日ソ漁業交渉の問題についてはどうしていくんだ、こういう形で、問題々々が与えられたときにそれについてどうするということじゃなしに、もっとやはり国際漁業に対する日本の水産政策の基本、具体的なプランというものを積極的にこの際考えていく必要があるんじゃないかということを農林大臣に献策をしたわけです。そういう立場に立って、先ほど申し上げたようなこととも関連をして、一つ意見を承りたいと思います。
  22. 増田正一

    増田(正)参考人 ただいまの角屋先生からの御質問についてお答え申し上げます。  私どもカツオ・マグロ業界といたしましては、先ほど意見のときも述べたのでありますけれども、資源的には相警戒を要するという態度をとっているわけです。御承知のように現在カツオ・マグロ漁船の活動範囲は太平洋、インド洋、大西洋にあるわけです。従って形式的には非常に広範な漁場活動をやっておるわけでありますけれども、現実に採算ベースに乗り得る漁場、それはもう非常に集約されておるという点であります。私どもが資源を云々することは、非常に範囲も広いしまたむずかしい問題だと思いますが、日常漁業経営を担当しあるいは操業しているカツオ・マグロ業界といたしましては、釣獲率の低下あるいは航海日数の延長という形においてつかむのが最も端的な把握の方法であります。もちろん私どもはこのような釣獲率の低下なりあるいは航海日数の延長というものが、直ちにマグロ類の生物学的の資源そのものを現わすかどうかは若干疑義があります。ありますけれども全然無関係であるとは私ども考えておらないわけであります。特にこのカツオ・マグロ漁業から見ますと、やはり経営というものを前提にして資源というものを捕捉しなければならぬ。いうならば資源がかりに十分あるといいましても、現在の生産手段のもとにおきまして採算ベースに乗らないという場合になりますと、少なくとも私どもはカツオ・マグロ漁業一つの産業としてとらえているわけでありますから、かりに生物学的の資源が十分あるという見解を学者の方が言われましても、私ども業界としては直ちに資源が十分だというような見解はとり得ないわけであります。この生物学的な立場から見た見解と、業界が経営的の立場から見る資源論というものが、現在相当食い違っております。過般来北洋の転換なりそういったものを中心にいたしまして、カツオ・マグロ業界と北洋業界の間でいろいろ問題があります。また政府との間の資源についての見解の相違等もそういったところに根ざしているのではないかというように思われます。それで資源については私ども過般水産庁当局にも、あらゆる日本の学者グループあるいは研究グループを動員して、マグロ資源についてぜひとも究明していただきたい、一ときも早くこのマグロ資源について究明して、そういう資源の上に立った適正な漁獲量といいますか、あるいは漁船ワクといいますか、そういった形をつくっていただきたいというように私どもは念願いたしているわけであります。そういった意味合いから、過般二カ年間、二万トンという政府の案につきましてもそういう前提に若干の不安を持っておりますために、私ども立場としてはできるだけ徐々に漸進的に政策を打ち出していただきたい。先ほども私、意見で申しましたように、カツオ・マグロ業界も資源にほんとうに余裕があり、あるいは販路の将来があるということであれば、決して私どもは他からの転換を拒むものではありませんけれども、業界の立場からしますと、勢い数年先の経営状態がどうか、あるいは十年先の経営状態がどうかという前提に立って資金計画をつくり、あるいは金融機関から金を借りて償還計画を長期的に立てているわけであります。そういう立場から見ますと、やはり長い目から見た経営の安定ということが絶対的な私どもの要件であります。そういった意味においてこの資源というものが非常にはっきりつかめない過程において大規模な転換計画を立てられるということになりますと、カツオ・マグロ業界としては非常に不安になるということがいろいろ問題を起こしている根本原因であると思う。そういう意味におきましては、ただいま角屋先生からもお触れになりましたように、資源問題を究明して全体の漁船ワクといいますか、あるいは総漁獲量といいますか、そういった大ワクを一応つくり、そういった一つの目標を立てながら逐次今後の情勢の変化に応じてそのワクなり漁獲量を修正していくという形をとると、私ども業界としても非常に安心になるのであります。資源なり漁船ワクというものが不確定なままに、ただ余裕があるという前提で大きな強い政策を立てられると、既存業界としては非常に不安だということであります。  それから第二の点で、この際国際的な漁業の基本政策といいますか、そういうものを立てるべきではないかという御意見がありましたが、私どもとしては大賛成であります。過般来私ども全国的に総会をいたしました際も、逐次その場その場で政策を打ち出されるということは、先行き非常に不安なのです。少なくとも五年なり十年先、これは若干見通しが誤るかもしれませんが、少なくとも現在の段階において資源なり、あるいはマーケットの問題なり、経営の問題なり、魚価の問題なり、ロードの問題なり、諸般の事情を総合的に勘案して、とりあえず五年計画あるいは十年計画でこのような政策を打ち立てるという形で進めていくわけです。そして客観情勢、これは国内情勢もありましょうし、あるいは国際情勢もあろうかと思いますが、そういう情勢の変化に即応しつつ修正を加えていくという形をぜひともとってほしいというようなことを、過般来私ども全国の総会の席上でもそのような意見が出まして政府当局にも要望いたしているわけであります。  大体ただいま申しましたように、第一の点につきましてはやはり徐々に政策をやっていただく。第二の点について基本的な政策を立てることは私ども業界としては大賛成であります。
  23. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 サケ・マスの斎藤さんにお伺いをいたしたいわけですが、先ほども意見の中に出ましたように、日ソ漁業交渉、その他各般の問題と結びついておるわけでありまして、さらにこれからの問題としては、来年の六月で期限の切れる日米加漁業協定をどうするのかと私の方から農林大臣に承りましたところ、自発的抑止原則というのは、国際海洋法会議等においても認められておらない。その原則を日米加の中で取り上げておるという点では、こういうものを是正しながら平等の立場で改定をしていくのだということを表明されておるわけであります。この際こういう問題と関連の深い業界として日米加の漁業条約の問題、さらにはまた従来の日ソ漁業交渉等について、過般も大臣にお伺いしたわけでありますけれども、年明けて交渉が始まる、百日交渉、出漁まぎわまで紛糾する、そうして最終段階では農林大臣みずから出かけていくというのが過去の例の中に幾つかあったわけでございます。やはり日ソ漁業の交渉についても、もっとスムーズに、合理的に、しかも出漁態勢等には何ら支障の起こらぬという形、しかも長期にわたって安定していくという形等も含めて、日ソ漁業交渉のあり方というものについては考えていく必要があるのではないか、こういうことを申し上げたわけであります。これは政策上の問題になりまするけれども、せっかくの機会でありまするので、そういう問題について御意見を承りたいと思います。
  24. 斎藤三郎

    ○斎藤参考人 大へんむずかしい問題でございまして、軽々には申し上げかねる内容もあるわけでありますが、まずそういう国際的な問題を有利に処置いたしますためには、国内のサケ・マス政策、サケ・マスの関連というものをまとめる必要があるのではないか。それにつきまして私ども両三年来水産庁の方にもお願い申し上げているのでありますが、われわれサケ・マス業界の関係も、一口にサケ・マスではございますが、いろいろ内部的に分かれておりまして、しかも操業場所等も多岐にわたりますし、それから種類別の資源におきましてもいろいろの要素があるわけでございます。従いましてこういう多岐にわたるサケ・マス業界を一貫いたしまして、恒久安定するような施策を立てたい、そういうことのために水市庁の御指導、音頭とりをいただきたい、こういうふうに申し上げて参ったわけであります。そういうものを中心にいたしまして、たとえばサケ・マスの審議会のようなものをつくっていただきたい。幸いにして長官の方からお取り上げをいただきまして、来月の中旬ごろに、国内の反省、あるいは将来の問題の検討、こういうものが開かれるように承りまして大へん心強く、私どもその線に沿いまして意見の一端を申し述べていきたい、こう思っておるわけであります。そういうふうに国内態勢を整備しながら米加のような、あるいはソ連のような国家勢力の強い、しかもこの資源に対して非常に増殖の努力を払っておる諸国家に対しまして、われわれの考え方を進めていかなければならぬと思います。まず日米加の問題につきましては、これは私どもサケ・マスのほかに他の魚もあるわけでございます。しかしながら、一番典型的なものはサケ、マスでございますし、当時この条約がつくられましたときの環境と現実がだいぶ変わって参っておる。そういたしますと、この現状に合わせるように、先ほど来御指摘の抑止の原則というようなものもこの際われわれサケ・マス業界においては改めていただきたい、現状にマッチするような政策、現状に合うような条約をおつくりいただきたい、こういうふうに考えておりますけれども、国際法学的にいろいろの面から見て、かなりむずかしい問題もあるやに承っておりまするし、怪々な発言はなかなか申しにくいのでありまするが、いずれにいたしましても、私どもがとらしていただいておるサケ、マスが西経の百七十五度線を越えまして、行ったり来たりしておる、こういう事実がございまして、そういう資源的な面、その他増殖の面等も関連いたしまして、十分抑止原則にかわるような何らかの適正な措置がいただきたい。そのためにもわれわれ業界も十分検討を加えまして、政府の御方針に協力申し上げたい、こういうふうに考えております。  次にソ連との関係でございますが、御承知のようにだんだんと減って参りまして、ことしはすでに第一回の十二万トンから半分以下の数字に規制を受けておるわけであります。従いまして多数の漁船が減船をされまして、現在いろいろな経費を含めまして六十億に近いようなしわを背負いながら、非常に苦しい段階で北洋に出漁いたしておるわけでありますが、この漁獲量がだんだん減って参りまして、採算ベースを割る場合にどういう形になるかという問題が、われわれ業界にあるわけであります。御承知通り今の条約区域、A区域で申しますと、母船式という形で出漁いたしておるわけでありますが、これを公平に、陸上のカン詰工場と海に浮かぶカン詰工場とを対比いたしてみますと、非常な経費がかかっているわけであります。端的には数倍の経費がこの母船式にかかっている。そういう形から、従来われわれ独航船側と母船経営者側との話し合いでは、許可が一本の共同許可でございますから、従って共同経営という理念に基づきまして、その取り分は利潤の配分という体系をとって参ったわけであります。ところがこの利潤の配分をきめるために広範な作業が要るわけでありまして、あたかも日ソ交渉のような百日交渉を繰り返しておるわけでございます。ところが今度の法案によりまして、この独航船の権利内容がはっきりされて単独許可という形が出て参りますと、私ども共同経営ではなしに共同操業である、海上において一体をなしてサケ・マスをとる漁業に従事するわれわれが、漁撈をいたしまして、とったものを母船経営者の工場あるいは市場にお売りするというように割り切ったらどうかということで、本年からそういう体制に入ったわけでありますが、いずれにいたしましても、自由時代を越えて規制時代の母船経営というものが非常にコスト高になっておる。非常に高い経費だということは魚価に反映いたしまして、北海道道東におけるサケ・マスの価格よりも約二分の一以下の価格に現在なっているわけであります。端的に申しまして、非常に安い価格をわれわれは甘んじてちょうだいいたしておるわけであります。これはとりもなおさずこの業態からくる必然性がそうであろう。これは特殊性としては甘んずるものの、非常にそこに企業性の問題がありまして、しかもとりますサケを、カン詰によりまして米本国を中心に輸出いたすわけでありますが、そういう国際的な競争におきましても、こういうコスト高の漁業ではどうであろうかという吟味はいろいろなされるわけであります。先般来漁業減船の場合に他の団体から構造改善の問題が出たと同じように、そういう国内問題を整備しないと、日ソの問題についてなかなか言及しがたい問題もあるわけでありまして、あわせて増殖の問題あるいはその他の問題等、いろいろ複雑な要素がからみ合っております。  御質問のお答えには少しはずれたかもしれませんが、内部を整備しながら、そうして政府の施策に協力していく、こういう形をとっていきたいと考えておるわけでございます。
  25. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 わが方の漁業法、水協法については皆さん方からあまり意見が出ませんでしたが、母船式漁業のあり方というものについて、私どもの方では独航船は別になりますけれども、母船については、母船式漁業の公社的なものをつくるということはどうであろうかということで法案としては出しておるわけです。これは十分検討を要する問題だと思いますけれども、やはりそういう方向も、国際的な競争の中で日本の体制を整備するという重要な構想の中では考えてみたらどうかというふうに思っておるわけです。この点については御意見を求めません。  最後になって恐縮でございましたが、御木本さんにお伺いしたいわけでありますけれども、御承知の真珠関係許可条件につきましては、漁業制度調査会でも、特に業者の参考人を招致して御意見を求められて答申をまとめられたという、漁業制度調査会で漁業基本問題を取り扱った場合の問題の一つの焦点であったわけですが、私ども真珠産業というものを考えました場合に、先ほど御木本さんもお触れになりましたように、これは輸出産業として、農林水産関係ではすでに百億を突破しておる重要な輸出産業であって、たまたま沿岸漁場を使っておるけれども、産業の性格としてはやはり輸出産業としての性格というものも十分配慮しなければならぬというふうに考えますし、また漁業権という問題については、御承知通りわが党の漁業法では、原則として漁業協同組合ということを考えましたけれども、やはり真珠産業の特殊性と輸出産業としての重要性というものから見て、この問題については制度調査会の答申を尊重する立場から配慮したつもりでございます。今後輸出産業として大きく伸びていくためには、過般も水産庁長官にお尋ねしたわけでありますが、かねてから懸案になっている真珠事業法の問題について、今後、時代に即応するようどういうように改正すべきであるかという問題も、重大な問題でありますし、また同時に、この機会にお伺いしておきたいと思いますのは、真珠産業が、今日国際的にも輸出産業としてどんどん発展をしてきておるわけであります。が、従来いわば日本の独占産業的に、しにせとして発展をしてきたこの真珠産業も、漁場としては東南アジア等の海外にもこれを求めて、そういうところの漁場もやはり真珠産業の漁場として利用していこうということで、今日動いておるわけでございます。こういう国際的な漁場を活用していくという問題を、従来伝統的に保有してきた真珠産業の日本独自の発展という問題と結びつけて、今後どういうように考えていったらいいのかというふうな問題等も含めて、この際最後に御意見を承っておきたいと思います。
  26. 御木本美隆

    ○御木本参考人 御質問の点を二点にしぼりましてお答え申し上げますと、第一番の制度調査会の御答申に関してのことでございますが、真珠業界といたしましては、はなはだなんですが、あの制度調査会の御意見には私どもは実は反対でございましたので、その旨を関係各方面に陳情さしていただいて、今日まできております。こういうことを申し上げるのはどうかと思いますが、真珠業界七十年の歴史を経ておりますが、全国的な連合会が組織づくりできましたのも二年前のことでございますので、そういった意味で、その他の業種の方たちと伍して、そういう制度調査会にたとえば関連の委員の方が出るとか、そういうことで非常におくれておりました。非常に御理解のあるお話がございましたけれども、出て参りました御意見は、当時といたしましては、私どもの企図しておりますところと違っております点がございましたので、これにつきましては私どもの要望しておる点を官庁その他の方へお願い申し上げて、今日まできておるわけでございます。  それから第二番の点は、日本の独自の産業としての真珠が、最近国際的な事情からよその海域でできる、この問題が国内真珠産業とどうかというふうに承ったのでございますが、これはもとより私ども業者といたしましては、日本の真珠養殖事業というものはあくまで日本の特殊産業として発展させなければいけないというふうに、かたい決意を持っております。従って業界が関連しております水産、加工、輸出各段階におきまして、あるいはこれを統合いたします日本真珠振興会におきましても、この点におきましては異論がないのでございまして、海外における真珠養殖事業も、日本から出て参ります場合には、日本の国内真珠養殖事業を害しないような措置をとるという基本的態度を持っております。具体的方策といたしましては、耳珠海外養殖事業者協会というものをつくりまして、これが日本の真珠養殖業者と話し合って、三原則というものをもって、海外養殖に従事することにしております。三原則と申しますのは、日本で発明しました技術を他国人に公開しない、すなわち技術の非公開。でき上がった品物は日本へ持ってきまして日本市場を通じて売るということ。それから二番目には、日本の計画生産と海外における真珠養殖の計画生産と関連せしめる、こういう点でございます。しかしなお今後真珠養殖事業法を改正いたします暁には、こういった点も考慮に入れまして、そこらの海外真珠養殖事業と国内真珠養殖事業が将来相剋する形にならないように何らかの方法を講じたいと考えております。
  27. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 大へんどうもありがとうございました。いろいろお聞きしたいこともたくさんありますけれども、時間の関係もございますので、この程度で終わります。
  28. 長谷川四郎

    長谷川委員長 これにて参考人各位に対する質疑は終了いたしました。参考人各位にはまことにありがとう存じました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。     —————————————
  29. 長谷川四郎

    長谷川委員長 この際政府当局に対する質疑の通告がありますので、これを許します。片島君。
  30. 片島港

    ○片島委員 私は一点だけお尋ねをいたしたいと思います。最近、沿岸漁民漁場を荒らされて、そうでなくても非常に貧困な沿岸漁民というのに最近非常に違反操業が多いのであります。私は宮崎県でありますが、私の近所ばかりかと思っておりましたところが、聞いてみますと、全国的な違反操業が非常に多い。しかしそれを取り締まるのは海上保安庁の方が取り締まっておるので、水産庁の方が取り締まりをやっておるのではない。水産庁ではそういう悪質な違反船に対しては許認可をしない、あるいは途中で許認可を取り消す、こういうことをやっておりますけれども、たとい許認可が取り消されましても、どろぼうをするのには鑑札は要らぬわけでありますから、持たない人でも操業する危険もある。また現実にそういう事例があるわけでありますが、取り締まる方の海上保安庁としての——窃盗的に最初は盗んでとろうというふうに出て参ります。それを見つけたはえなわあるいは一本釣の人たちが文句を言いますと、文句があるなら来い、こういうふうに言う。行くと袋だたきにあった例があります。窃盗が変じて強盗になるわけです。海上保安庁の方からようやく見つけ出して遠くから追っかけていっても、海上保安庁の船がボロ船だからどうしても速度が出ないので、向こうの方が先に行ってしまう、こういうふうなケースが非常に多いのでありますが、あなたの方の取り締まりの現在までの方針、あるいはこれから先の対策というものについてお尋ねをしてみたい。
  31. 樋野忠樹

    ○樋野説明員 密漁の件数が非常に多いことは事実でございます。検挙件数の大体六〇%は密漁関係でございます。特に中型、いわゆる漁業区域の侵犯、期間の侵犯等が大体二〇%を占めておるような事情でございます。先生の御指摘のように沿岸漁民が非常に困っておるのは一実でございまして、さような事態の発生いたしました場合には、私どもの方は関係保安区の全艇を集合いたしまして、事前にこれらのことが起きました場合には集結いたしまして、海上におけるそういう事故のないように厳正に取り締まっておるような現状でありまして、将来ともこういう無許可である、あるいは水産庁で当然きめられておる法規に反するものは私どもの全力をあげて摘発したい、かように考えておる次第でございますが、今先生の御指摘になりました通り、当庁の巡視船艇は非常に老朽になって、また堪航性に欠けるものが非常に多いわけでありまして、巡視船二十八隻、巡視艇におきまして六十一隻が普通のものならば廃棄するような実情でございます。御指摘の通りスピードがはなはだしく出ます底びきより低いのがかなりございまして、また配属しておりますもののうち、二十三メートル型、約五、六十トンのものもございまして、しけの場合には出られないような場合もかなりございます。非常に皆さん方に御迷惑をかけておるとは思いますが、私どもはかような意味合いにおきまして、本年度以降五カ年間に約二十億ずつ、約九十億の予算要求をして、皆さんの御期待に沿いたいと考えておる次第でございます。
  32. 片島港

    ○片島委員 どうも海上保安庁の何だか無力さをここで暴露しておられるようにわれわれ考えられてならぬのです。が、非常に老朽船であり役に立たないものであるならば、早くつくりかえるとか、あるいはもう少し船腹をふやすとか、これはあなたの方だけの問題でなくて、全国の沿岸漁民の問題なんです。農林省あたりとも提携をして、十分な態勢をつくっていただかなければ、法律を幾ら改正をいたしましても、法律だけではどろぼうというものはなくならないわけですから、取り締まりが非常に厳重になって水も漏らさぬ態勢ができなければ、法律をつくってもそのままほうっておいたらどろぼうは減らない。この点は私たち常々地元からやかましく言われておるわけです。この問題は委員長とも先ほど私打ち合わせしたのですが、今後とも一つ一つの問題について掘り下げてあなた方の方との質疑応答を重ねたいと思います。今日漁業法の一部改正と水協法の一部改正の審議が最終段階にきておりますので、一言だけ私から実はお尋ねしたわけです。
  33. 長谷川四郎

    長谷川委員長 樋野さん、私から一言お願いしておくのですが、こういう問題が非常に大きく取り上げられておりますので、あなたの方でおっしゃったようなその任務の全からしめられない理由というものがあるわけです。こういう項目でよろしゅうございますから、何か書いたものを私のところまで一通お届け下さい。私の方で大蔵省の方と折衝いたします。お願いをいたします。
  34. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 最後に、大臣に対して私から簡単に数点についてお伺いをいたしたいと思います。  先ほど来それぞれ実際に水産業をやっておられる関係の代表の方々に御参集をいただきまして、いろいろ貴重な御意見を承りました。その際、やはり現実に漁業をやっておる立場から、政府の出されておる漁業法の一部改正水産業協同組合法の一部改正については、当面この法案が大部分こういう形で通るということについてはやむを得ないといたしましても、今後貿易の自由化問題あるいは国際漁業との競争というふうな立場から、さらに今後の漁業の発展に即するように改正をして参りたいというふうな意見が、それぞれ出されて参りました。大臣といたしましては、漁業法とか水協法というものは、水産政策と関連をして漁業制度上の重要な問題でありまして、漁業制度調査会あるいは農林漁業基本問題調査会のそれぞれの答申をしんしゃくして、今回の法改正を出されたわけですけれども、今後の問題としてやはり水産業の発展に即応して、必要なものについては、これは適時適切に改正をするに決してやぶさかではないんだ、そういう心がまえであるのか、あるいはこれは相当長期にわたる展望の上に立って、これでいくんだというお考えであるのか、その辺の所信をまず承っておきたいと思います。
  35. 重政誠之

    ○重政国務大臣 御意見まことにごもっともでありますが、国際情勢の変化もございましょうし、また国際漁業の情勢の変化ということもございますから、それらに対応いたしまして改正すべきものは改正していく、こういうふうに考えております。
  36. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 特にさきの通常国会で本法案提案されたときに参議院先議という形でございましたけれども、その参議院先議で参議院で約一週間近くにわたって審議された内容を議事録で拝見いたしますと、その審議の焦点はノリ等の区画漁業中心にした第二十一条関係というふうな関係漁業権延長問題ということが零細な浅海養殖に従事しておる問題の立場から見て、今後の経済の高度成長あるいはそれによるところの埋め立てその他の各般の問題から見てきわめて不安が多い。ぜひこの点については不安のないように修正をしてもらいたいという強い要請がございました。大臣も御承知のように、参議院でもその問題がほとんど焦点になって論議が行なわれた。また衆議院にこれが送られてきた段階では時期的に非常に逼迫をしておりまして、十分な審議を尽くすといういとまがありませんでしたけれども、やはりそれが大きな焦点でございました。政府といたしましては、そういう零細な浅海養殖あるいは沿岸漁業の今後の成長財といわれておるこういう方面の発展のために、そういうふうなことが委員会においていろいろ論ぜられ、そういう方向について、これはやはりそういう要請を受けていこうということであるならば、政府としてもこれを受け入れるということにやぶさかでないと思うわけですけれども、こういうふうな問題に対してどういうふうに国会を通じての審議あるいは関係業界の御意見というふうなものを判断されて御所信を持っておられるか、お伺いしておきたいと思います。
  37. 重政誠之

    ○重政国務大臣 今お述べになりました点は漁業権の更新の問題と申しますか、そういうことに関係した問題だと思うのですが、もともと期間満了したから全然新たなる角度でさらに漁業権許可をしていくというような考えはないのであります。御要望の点、私どもは御趣旨のあるところは十分わかっておりますから、その意を受けて将来もこの問題に関しては運営をしていきたい、こう考えております。
  38. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今度の漁業法改正の中で私どもが非常に重要視しておる一つの問題は、第八条の「各自漁業を営む権利」というのを今回否定をいたしまして、漁業権行使規則あるいは入漁権行使規則、こういう中で組合の範囲を限定をしていこうという法改正が御承知のように出ておるわけでございます。これに過去の昭和二十四年の法改正以来のいろいろな経緯から見て、そういうふうにしていくことが今後の沿岸漁業の発展上必要なんだという判断をされたのかと思うわけでありますけれども、私は逆に、先ほどの参考人との中でも申し上げたことであります。が、そういうところへ追い込んでいった原因の中には、従来の戦後における水産政策というものが沖合いあるいは遠洋を中心にした資本漁業のすみやかなる回復と、あるいは国際競争にたえるような日本漁業本来の沖合い、遠洋漁業における発展というところに非常に力が注がれ、その間沿岸漁業という問題が谷間に置かれてきた。そういう谷間に置かれてきた中で、各自漁業を営む権利というものが場合によっては弊害を生じてきたという一つの要因をつくっておると思う。従って、やはり今後の問題としては、政府としても沿岸漁業振興法の中で、沿岸漁業振興については大臣の御所信でも明らかに第一番の重点項目として言われましたように、そういうことを通じて沿岸漁業の積極的な振興対策あるいは構造改善事業というものには予算も十分にとっていく。今日沿岸漁業構造改善あるいは振興対策のための予算というものは、今までの段階では微々たるものでありますが、こういう方面に積極的に予算、財政投融資面も受けていくというふうなことが従来において行なわれておったならば、そういうことを原因にして、いわゆる歴史的に地先の中で長い間漁業をやってきたそういう人の基本的な権利というものは否定する方向にいかなかったのではないかというふうな感じを率直に持つわけです。従って、かりに政府の各自漁業を営む権利を否定する法律案が通るというふうな場合においても、従来のやはり歴史的な経過あるいは沿岸漁業に依存をしていく零細漁民の実態というふうなものを十分に配慮しながら、一刀両断に物事を処理していくということではなくて、実情に即応し、またそういう歴史的な経過の中における零細漁民の従来の権利というものについては十分尊重していく立場を配慮しながら運営をしていくということが当然必要ではなかろうかというふうに思うわけでありますけれども、これらの今後法が通りました場合の行政指導上のお考えについて承っておきたいと思います。
  39. 重政誠之

    ○重政国務大臣 角屋さんの御意見まことにごもとっともであります。それらの点につきましては運営上一つ無理のないようにやっていきたい、こう考えております。
  40. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは漁業基本法あるいは沿岸漁業振興法、さらに漁業法の一部改正というそれぞれの結びつきのあとの三法案の中で重視しておる問題の一つは、新しく沿岸漁業保護水域というものを農林大臣が指定することができるようにする。これは気持としてはやはり沖合い、遠洋、特に沖合いになりますが、そういう外部からの沿岸漁場の、先ほども片島さんからお話がありましたような、荒らすという、そういうことから沿岸漁業漁場を守りたい。そうしてまたそういう保護水域の指定をもって優良漁場等をはっきり確保していくという形の中で、積極的に長期にわたる沿岸漁業振興対策に政府が施策を講ぜられるようにしていく、こういうふうな気持から沿岸漁業保護水域というものを設けてはどうかということをわが党提案としては提示をしておるわけです。これを法制的に直ちに受け入れるかどうかは別として、やはり沿岸漁業を保護するためには沿岸漁業漁場というものをはっきり確保してやるという配慮が当然必要でありまして、従来の沿岸漁業の実態の姿を見てみますと、必ずしもそういうふうな形になっておりません。これは単に沖合い方面の取り締まりを強化するだけの問題ではなしに、積極的に主体的な立場沿岸漁業漁場をやはり確保してやる、それをまた積極的に優良漁場として将来発展さしてやる、こういう配慮が必要ではないかと思うのですが、そういうことに対する御所信を承っておきたいと思います。
  41. 重政誠之

    ○重政国務大臣 沿岸漁業の海域を確定するということは、これはよほど検討をいたさなければならぬと思うのでありますが、要は、やはり沿岸漁業振興をはかりますために、何といってもまず第一に魚族が沿岸に住むということが一番の問題だろうと思うのでありまして、それらの施策につきましては大いにやらなければならぬと思います。それと同時に沖合い漁業のものが沿岸に来て荒らすという面の取り締まりが必要だろうと思うのであります。が、その両者を十分に行ないますれば、今お述べになりましたような趣旨は目的を達することができると私は思うのであります。海域を確定するということになりますと、そこにまたいろいろな問題が起こってくるのではないか、こういうふうに私は考えますので、今申し上げましたような方向でお述べになりましたような趣旨を徹底していきたい、こういうふうに考えております。
  42. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今度の新しい漁業法の法改正の中において、指定漁業という形に切りかわっております。この指定漁業許可等の問題、これはきのうの与党との話し合いの中でも指摘した点でありますし、しかもまた通常国会において参議院で審議された場合にも附帯決議としてつけられた問題であります。けれども漁業法上の違反問題あるいは労働法上の違法問題というふうな形のものが、ある場合においては許認可あるいはまた認可の取り消しというふうなことが、法制的にはいわれておるわけでありますが、必ずしもこれは従来の水産庁の行政指導としては適切になされておったとはいえない。こういう問題は、法では生きておっても実際にはこれが十分に適用されておらない。そういうことを通じて近代的な水産政策というものの前進がはばまれておるという点が私はあると思う。今後指定漁業の許認可の問題については、許認可の集中ということはもちろん排除していかなければならぬと思いますが、同時に許認可にあたっては過去の実績の経過を見まして、十分そういうものについて戒むべきは戒め、正すべきは正して、正しい漁業の操業が行なわれていく、あるいは労使間におけるところの近代的な政策がそういうところに浸透していくということを配慮しながらやっていく必要が行政指導上大いにある。過去の経緯から見てもその点は特に配慮していかなければならぬのじゃないかというふうに考えるわけでありますけれども、この点について一つ
  43. 重政誠之

    ○重政国務大臣 御意見全く同感であります。そういう事情は十分に配慮して参らなければならぬ、こう考えております。
  44. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 先ほどの参考人に対する質問の中でも触れたわけでありますけれども漁業調整上の問題というのは従来もそうでありましたし、今後ともに漁業の円滑な運営のためには非常に重大な役割がございます。今後一県一海区ということで海区が非常に拡大をいたしまして、そういうことに伴います県の海区漁業調整委員会の運営問題あるいは執行体制、事務局の充実という問題は非常に重要な問題であります。また中央の審議会の場合にも、委員の構成、たとえば労働代表等を積極的に含んでいく問題、あるいはまた相当に本腰を据えつけてやるように、給与その他の問題についてもそういう面では従来よりも十分前進させていく。片手間でやるのじゃなくて、水産日本にふさわしい漁業調整上の役割を十分になっておるという自覚のもとに、委員が落ちついて仕事ができるように、執行体制についても充実させていくことが、案外陰に隠れておりますけれども、非常に重要な問題だと思うのです。が、これらの問題について、今後行政指導上十分配慮されていく必要があると思いますので、この際所信を承っておきたいと思います。
  45. 重政誠之

    ○重政国務大臣 それらの点につきましては、十分に検討いたしまして前進をして参りたい、こう考えております。
  46. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 最後に、漁業協同組合というものが沿岸漁業振興の面では非常に大きな役割を果たさなければならぬ。ところが、これは漁業権管理というような問題と関連をいたしまして、小規模の漁業権 小規模の漁協という形からなかなか前進できないという姿があるわけです。農林漁業基本問題調査会の答申を見ますと、漁業は行政区画別に拡大をしていくということが漁業経済圏の今後の拡大発展の方向から見て考えていかなければならぬ問題だということを指摘しているわけですけれども、そういう漁協の今後の水産業の発展に伴うところの整備強化、あるいはまた拡大というふうな問題と、漁業管理権というものを適正に調整しながらどういうふうに持っていったらいいのかということについて、今後一つ十分検討してもらいたい。またこれは農業の場合では、御承知のように一県一農協あるいは一郡一農協ということで、経済の発展に伴いますところの協同組合の使命を果たすためには、従来のような経済基盤の弱い、執行体制のきわめて劣悪なそういう状態から逸脱しなければならぬというふうなことで、積極的に取り上げられているわけでありますけれども漁業の面では特殊な事情があるわけでありまして、そういう特殊な事情をどうマッチさせていくかという問題につきましては、積極的に検討してもらいたいと思いますが、この点について最後に大臣の御所信を承っておきたいと思います。
  47. 重政誠之

    ○重政国務大臣 十分それらの点は検討をいたします。
  48. 長谷川四郎

    長谷川委員長 この際お諮りいたします。  内閣提出にかかる漁業法の一部を改正する法律案及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案の両案につきまして、質疑を終局するに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  50. 長谷川四郎

    長谷川委員長 この際田口長次郎君外一名より内閣提出漁業法の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております。
  51. 長谷川四郎

    長谷川委員長 趣旨説明を許します。田口長治郎君。
  52. 田口長治郎

    ○田口(長)委員 私は、自由民主党及び民主社会党を代表いたしまして、漁業法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  修正案は、お手元に配付してある通りでありますので、原文の朗読は省略させていただきます。  御承知通り漁業法の一部を改正する法律案は、最近における漁業の実態の変化に即応して漁場利用の合理化をはかり、漁業生産力の向上に資するため、漁業権制度改正を初め、漁業許可制度を整備し、あるいは漁業調整機構を改善する等漁業制度全般にわたって改正を行なおうとするものでありますが、なお、沿岸漁業生産力を維持発展せしめる見地から、漁業免許に関する規定につき若干の修正を行ない、沿岸漁業者の漁場を確保することに資することといたすとともに、改正法案が前国会において成立に至らなかったことに伴い、施行期日の定め等につきまして所要の修正を行なう必要が生じて参りましたので、ここにこの修正案を提出いたす次第であります。  次に、修正案のおもな内容について御説明申し上げます。  第一点は、いわゆる漁場計画の策定について基準を整備しようとすることであります。現行法におきましては、都道府県知事漁業免許について、免許の内応たるべき事項、申請期間等を事前に決定すべきことを規定しておりますが、この決定をする基準及びその時期等につきましては明定しておらず、関係漁業者の不安を招いているうらみがあるのであります。  そこで、都道府県知事は、漁業上の総合利用をはかり、漁業生産力を維持発展させるために漁業免許が必要であり、かつ、免許をしても漁業調整その他公益に支障を及ぼさないと認めるときは漁場計画を定めなければならないことを明定することとしたことであります。  また、漁業権存続期間に切れ目を生じないようにしようとすること等の配慮から、この定めをする時期については、現に漁業権の存する水面につきましては存続期間の満了日の三カ月前までに、その他の場合には免許予定日の三カ月前までに必ず定めなければならないこととするとともに、さらに海区漁業調整委員会漁場計画を定めるべきことを都道府県知事に対し積極的に建言し得る旨の規定を設け、これら規定の適正な運用を期せんとする次第であります。  なお、このことに伴いまして、都道府県知事は、漁業調整その他公益上必要があると認める場合には、漁業免許をしてはならない旨の規定は削除いたすことにいたしたのであります。  第二点は、施行日を改めることであります。  前国会において本法案の成立を見ることができなかった関係から、漁業調整委員会の構成及び委員の任期、玄海連合海区漁業調整委員会の設置、あるいは中央漁業調整審議会の構成等の施行期日について、昭和三十七年八月十五日からとあるのを同年十月一日からに改め、当然のことではありますが新法の成立後すみやかにこれに移行することといたしたのであります。  第三点は、漁業調整委員会の構成の改正等に伴う経過規定を改めることであります。  すなわち、去る八月八日に海区漁業調整委員会の一般選挙が実施されたことに関連いたしまして、昭和三十七年十月一日に現に在任する海区漁業調整委員会委員、すなわち、今回の選挙によって選出されまたは選任された委員の任期及びその委員が在任する間の委員会の構成、あるいは常設の連合海区漁業調整委員会委員の任期等については従前の例によることとし、また、改正法案規定に即し、常設の連合海区漁業調整委員会の互選による委員は、選出母体たる海区漁業調整委員会の選挙による委員がすべてなくなったときはその職を失うこととする等所要の経過措置を講ずることといたしたことであります。  第四点は、中央漁業調整審議会の委員の任期の満了日を改めることであります。  今回審議会の構成を改めていることに伴って、昭和三十七年九月三十日に現に在任する委員の任期は、その日に満了することに改め、同年十月一日から改正法による構成で新発足することを期しているのであります。  以上が修正案提出趣旨及びその概要であります。  何とぞ各位の御賛同をお願いする次第であります。
  53. 長谷川四郎

    長谷川委員長 以上で趣旨説明を終わりました。     —————————————
  54. 長谷川四郎

    長谷川委員長 これより漁業法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案、並びに水産業協同組合法の一部を改正する法律案を一括して討論に付します。  討論の通告があります。これを許します。角屋堅次郎君。
  55. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま討論に付せられております漁業法の一部を改正する法律案水産業協同組合法の一部を改正する法律案、並びにただいま田口さんから提案をされました漁業法の一部を改正する法律案の修正案、これを含めて反対の討論を簡単にいたしたいと思います。  冒頭に申し上げたいわけであります。が、漁業法の一部を改正する法律案並び水産業協同組合法の一部を改正する法律案は、申し上げるまでもなく漁業制度調査会あるいは農林漁業基本問題調査会の数年にわたる討議を経て、漁業制度の改革をどうするかという水産政策上きわめて重要な問題について法律案として提示されておるわけでありまして、この問題は当然水産政策全般、つまりわが党で申しますならば、漁業基本法、沿岸漁業振興法、政府提案で申しますならば、沿岸漁業振興法という水産政策の問題と密着させながら、その政策の中における漁業制度はどういうふうに改革すべきかということで本来論ずるのが筋道だと思うわけでございますが、各般の状況から、漁業法の一部改正水産業協同組合法の一部改正を先行して処理しなければならぬという段階になったのは、まことに遺憾でございます。従いまして、漁業政策全般の問題については、政府から沿岸漁業振興法あるいは漁業法の一部改正、水協法の一部改正が出されており、わが党からは漁業基本法を初め五法案を出しておるわけでありまして、今回の漁業法、水協法の政府提案に対する反対の理由というものは、わが党の対案を詳細に精査されましたならばおのずから明らかになるところでございまして、ただこの機会に一言触れておかなければなりませんのは、ただいま田口さんから提案をされました一部改正の問題については、さきの通常国会の際に参議院先議になりました場合にも、ノリ中心とした区画漁業権の問題については、漁業権の存続を零細浅海漁業者の保護という立場から、強く政府原案改正が望まれていたわけであり、われわれもこれに協力してその修正を迫ってきた経緯がございまして、ただいま提案をされました一部修正の修正案については、その趣旨とするところについてわれわれも賛意を表するのにやぶさかではございません。しかしこれだけをもってして、それを含む政府原案というものに賛成できるかどうかということになると、これは水産政策の基本的な問題に相なるわけでありますから、遺憾ながら全般としてこれに賛意を表することができないという立場を党としては持っておるわけでございます。漁業法改正の問題の中では、いわゆる漁業権免許というものをどこに与えるかという考え方において、わが党の対案と政府原案とは違っておるわけでありますが、私ども気持としては、従来沖合い、遠洋漁業の中で規制されてきた沿岸漁業というものを、今後積極的に進めなければならぬ。そういう場合には当然漁業協同組合というものを育成強化しなければならぬ。こういう立場に立ちまして、しかも漁業協同組合自身も今後漁業経済界の発展と、その中で体制の整備をはかる、行政指導ももちろん必要でありますけれども、それと呼応して、やはり漁業協同組合の育成強化、沿岸漁業における漁業権免許というものは、漁業協同組合原則として与えておけばいいじゃないかという考え方を対案として提示をいたしておるわけでございます。この点については真珠産業のような輸出産業の生格を持ち、今後大いに発展をさせていかなければならぬ特殊事情の問題についても、わが党といたしましては制度調査会の答申を尊重してその立場をとって対案を出しているわけで、こういう漁業権免許問題ということについても、今後政策の重点をどこに向けていくかという立場で、政府の修正案とわが党の対案とは大きな相違を見せておるわけでありまして、政府原案にはにわかに賛成しがたいわけでございます。  また、許可漁業等の問題につきましても、今後やはり考えていかなければならないのは、いわゆる資本の集中というものが許可漁業の中でのさばって参りまして、そういうことによる沿岸漁業の今後の構造改善によるところの進出あるいはまた中小漁業等が大きな資本力から圧迫を受けないという配慮を許可漁業の面においても十分法制的に整理をしなければならないと考えまして対案を出しているわけであります。けれども政府原案の中ではそういう問題についてはやはり強い者が伸びていくというふうな傾向が相当に出て参るのではないかという危険を感じておるわけでありまして、そういう面からも対案の趣旨に基づいて改正することができないという立場を持っておるわけであります。  なおまた漁業法の一部改正の中で、従来の沿岸漁業の実態から見まして、沿岸漁業を保護するためには沿岸漁業を保護するための漁場というものをはっきり確保していく、そのための立法的な根拠というものを与える必要があるという気持から、沿岸漁業の保護水域というものを農林大臣が指定することができる。農林大臣がこれを指定する場合においては、それぞれの地域における実情を勘案をして適切な指定を行なうとともに、そういう指定地域においては優良漁場として積極的にこれを育てていくという今後の配慮もなされていくということによって、安心して沿岸漁民沿岸漁業構造改善沿岸漁業の発展のために力を尽くしていくという体制をこの際整備すべきではないかというふうにも考えているわけであります。  なおまた昭和二十四年の法改正の際に、非常に重要な柱でありました各自漁業を営む権利、第八条の関係で今度否定をされましていわゆる組合員の純化をはかっていくという美名のもとに零細な沿岸漁民というものが漁業権の行使から締め出されていく危険性が包蔵されているわけであります。つまり漁業権の行使規則あるいは入漁権の行使規則という中で零細な沿岸漁民を締め出していく、そういうことを通じて漁業構造改善をやるという方向を強めようとしているわけでありますけれども沿岸漁業の今日の実態から見ますと、むしろその前に政策的な面における従来の歴史的な欠陥、それを反省をいたしまして、今後そういう面において積極的に進める中で、行政指導として適切な運用をはかる方が実情に即するのじゃないかというふうに考えるわけでありまして、やはり各自漁業を営む権利というものは厳然として建前としては認めていくということを私どもとしては強く主張いたしておるわけであります。  なおまた海区調整の問題につきまして、中央審議会の問題につきましても、あるいは県の段階における海区調整委員会の問題につきましても、これは任務としては非常に重要でありまして、これらのものが委員におきましても腰かけ的にやられるのじゃなくして、本腰を入れてやれるような体制を整備する。さらにまた事務局体制等についても、法的根拠を与えて事務局体制として中央・地方を通じて体制を整備する、さらにこの構成につきましても、従来の構成というものを階層別の代表という形に改めまして、もっと零細な漁民代表あるいは漁業労働者というものがこういう審議会に入りまして、積極的にそういうものの意見が反映されて、そういうことを通じて漁業の近代的な政策というものが漁業調整を通じてでも十分反映される配慮というものが政府原案の中では乏しいわけでありまして、そういう面からも政府原案にはにわかに賛成しがたいというふうに考えておるわけでございます。いろいろ、漁業法の問題につきましても、詳細にわたってはわが党の対案をごらんになればわかりますように、これこそが今後の水産業の発展の適切な、漁業制度の根本的な改革の方向であるというふうに考えるわけです。  なおまた、一言つけ加えておきたいのは、母船式漁業の問題等につきましても、今後国際的な漁業と競争し得る日本国内における体制整備のためには、この際法的な機関を与えた母船式漁業の公社制度というものについても考えていく必要がある、そういう方向でいくべきではないかということで対案を持っておるわけでありまして、そういう面について配慮されていない点はまことに遺憾だと思うわけであります。  なおまた、水産業協同組合法の一部改正につきましても、漁業協同組合の育成強化に即応した所要の法改正を初め、各般の問題について対案として提示しておるわけでありますが、政府原案ではいわゆる組合員の純化あるいは資本を持った、力の強い者がどんどん組合員としての格上げをするという中で、水産業協同組合の内部というものの変革が考えられておるわけでありますが、そういう問題についても、今日の水産業の実態から見て、特にやはり配慮しなければならぬ問題は沿岸漁業の積極的な振興、沖合い、遠洋漁業におけるところの資本の集中的な傾向に対するこれのコントロールという問題が当面非常に重要な問題であって、そういう面から、やはり漁業法の一部改正水産業協同組合法の一部改正というものをやるのが、今日時点における適切な法改正ではなかろうか、こういう観点でわれわれとしては反対をいたすわけでございます。  冒頭に申し上げましたように、先ほど田口さんから出されました一部修正につきましては、その趣旨についてわれわれは賛意を表するにやぶさかでございませんけれども、先ほど来申しております漁業制度の根本的改革という面における政府原案とわが党との考え方に大きな開きがありますので、全体を含んでのただいまの政府の御提案に対しては、反対の意思を表明する次第でございます。  何とぞ与党の諸君も今後の水産業発展のために、わが党の考えております。法案の方向で賛成されますように希望いたしまして、反対討論を終わりたいと思います。
  56. 長谷川四郎

    長谷川委員長 以上で討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  初めに漁業法の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、本案に対する田口長治郎君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  57. 長谷川四郎

    長谷川委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決をいたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  58. 長谷川四郎

    長谷川委員長 起立多数。よって、本案は修正議決をいたしました。     —————————————
  59. 長谷川四郎

    長谷川委員長 この際、片島港君外二名より本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  趣旨説明を許します。片島港君。
  60. 片島港

    ○片島委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表いたしまして、漁業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案を提出いたします。が、今日までの質疑応答及び討論の内容とその案文に尽くされておりますので、朗読をもって提案にかえたいと存じます。    漁業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、この法律の施行にあたっては、次の各項の実現に遺憾なきを期すべきである。  一 沿岸漁場の保護と沿岸漁民の操業の場の確保を図るため、魚礁の設置その他沿岸漁場の造成、改良、開発については一層強力な施策を講ずるとともに、沿岸漁民の操業に重大な影響をあたえる沖合漁業の違反操業の防止に関する措置を強化すること。  二 漁業関係法令又は労働関係法令を遵守する精神を欠くものに対しては漁業許可を取り消すことができる旨の規定があるにもかかわらず、従来、本規定を実際に適用した例が殆んどないことは極めていかんとするところである。    よって、今後は、水産資源の保護、漁業秩序の維持及び漁業従事者の労働条件の改善に資するため、関係法令の厳格な運用を期すること。  三 指定漁業の許認可にあたっては、国際人命安全条約、国際満載吃水線条約等を考慮し、現行の船舶総トン数制による許可基準について検討を加え、もって、人命及び船体の安全を確保すること。  四 海区漁業調整委員会の機能を充実強化するため、委員会の運営に必要な予算の増額を図るものとし、これがため特に書記及び補助員の増員の措置を講じ、併せて事務局の設置を法制化するよう検討すること。  五 中央漁業調整審議会の委員の任命については、漁業の実態を考慮し、適当な数の漁業従事者代表を加えること。  六 改正法第十一条第一項にいう公益の範囲については、これを明確にする措置を講じ、極力これが拡大解釈を防止するとともに、従来、漁業権設定されていた漁場区域については、漁業権に切れ目を生じないよう適切な運用を図り、もって、関係漁業者に不安なからしめること。   右決議する。  以上であります。
  61. 長谷川四郎

    長谷川委員長 お諮りいたします。  片島港君の動議の通り決するに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。     —————————————
  63. 長谷川四郎

    長谷川委員長 引き続き、水産業協同組合法の一部を改正する法律案について採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  64. 長谷川四郎

    長谷川委員長 起立多数。よって、本案は原案通り可決いたしました。     —————————————
  65. 長谷川四郎

    長谷川委員長 この際、稲富稜人君外二名より、本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  趣旨説明を許します。稲富稜人君
  66. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただいま議決されました水産業協同組合法の一部を改正する法律案に対し、自民、社会、民社三党を代表いたしまして、附帯決議を付するの動議を提出いたします。  案文を朗読いたします。    水産業協同組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本改正法の実施にあたっては、沿岸漁業者の組織体である漁業協同組合の実態が経済的にきわめて弱体である現状にかんがみ、沿岸漁業構造改善対策等と相まって強力な育成措置を講ずべきである。   なおあわせて、中小漁業者のための組織の在り方についても、今後の漁業の発展に即応し得るようすみやかに検討を加えるべきである。  以上であります。
  67. 長谷川四郎

    長谷川委員長 お諮りをいたします。  稲富君の動議の通り決するに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に附帯決議を付するに決しました。  ただいまの附帯決議に対する政府の所信を求めます。農林大臣。
  69. 重政誠之

    ○重政国務大臣 ただいま御決議になりました両法に対する附帯決議は十分尊重いたしまして、将来適切なる措置をいたしたいと考えます。
  70. 長谷川四郎

    長谷川委員長 両案議決に伴う委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日はこれにて散会をいたします。    午後一時十七分散会      ————◇—————