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1962-10-10 第41回国会 衆議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十月十日(水曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 永山 忠則君    理事 伊能繁次郎君 理事 岡崎 英城君    理事 内藤  隆君 理事 堀内 一雄君    理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君       内海 安吉君    島村 一郎君       辻  寛一君    中島 茂喜君       藤原 節夫君    船田  中君       保科善四郎君    飛鳥田一雄君       淡谷 悠藏君    緒方 孝男君       島本 虎三君    西村 関一君       受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 志賀健次郎君  委員外出席者         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務官         (給与局長)  滝本 忠男君         総理府総務長官 徳安 實藏君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房公務員制度         調査室長)   増子 正宏君         警  視  長         (警察庁警備局         警備第二課長) 土田 国保君         防衛庁参事官  麻生  茂君         防衛庁参事官         (長官官房長) 加藤 陽三君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛庁参事官         (教育局長)  小幡 久男君         防衛庁参事官         (人事局長)  小野  裕君         防衛庁参事官         (経理局長)  上田 克郎君         調達庁長官   林  一夫君         郵政事務官         (電波監理局         長)      西崎 太郎君         専  門  員 加藤 重喜君     ――――――――――――― 九月十九日  委員飛鳥田一雄辞任につき、その補欠として  勝間田清一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員勝間 田清一辞任につき、その補欠として  飛鳥田一雄君が議長指名委員に選任された。 十月十日  委員成田知巳君及び柳田秀一辞任につき、そ  の補欠として島本虎三君及び淡谷悠藏君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員淡谷悠藏君及び島本虎三辞任につき、そ  の補欠として柳田秀一君及び成田知巳君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の防衛に関する件  公務員給与に関する件      ――――◇―――――
  2. 永山忠則

    永山委員長 これより会議を開きます。  この際、総理府総務長官徳安實藏君並びに人事院総裁佐藤達夫君から発言を求められておりますので、これを許します。徳安實藏君。
  3. 徳安實藏

    徳安説明員 私が徳安でございますが、今回の改造で総務長官の職につくことになりました。全く不敏でございますが、先輩、同僚の皆様の御支持と御支援によりまして全きを期したいと考えております。どうぞよろしくこの上の御支援を切にお願い申し上げます。(拍手
  4. 永山忠則

  5. 佐藤達夫

    佐藤説明員 ただいま御紹介にあずかりました佐藤達夫でございます。先般、国会の御承認を得まして、人事院総裁という私にとっては身に余る大役を仰せつけられました。実は新米でございまして、目下大勉強中でございますが、今後先生方の御指導と御援助によりまして、何とかこの大役を勤めおおせたいと念願しております。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)      ――――◇―――――
  6. 永山忠則

    永山委員長 公務員給与に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。石山權作君
  7. 石山權作

    石山委員 総務長官にお伺いをいたしますが、給与担当大臣大橋さんでございますけれども大橋さんを補佐していろいろなものを研究なさっているのはあなたの方の関係ですけれども公務員室関係がおもに給与問題をやっておりますので、概略のことをお聞き申しておきたいと思います。  この月初め早々に、人事院勧告に関しまして政府態度決定して閣議決定する、こういうふうなことが言われておりましたのですが、今日まで閣議決定が延期になっておる。それがきのう閣議決定になったというふうに漏れ承っておりますが、閣議決定になった要旨をばこの際御説明いただきたいと思います。
  8. 徳安實藏

    徳安説明員 ただいま御質問のございました閣議決定の問題でありますが、なるべく早く決定したいということで作業を急いでおりましたけれども、国の財政予算関係でございますとか、あるいは国一般経済関係等の見通しもございまして、にわかに決定しかねて、非常にひまどったわけでございます。ようやく一昨日各方面との調整もできまして、昨日閣議決定をいたしました。  それは、すでに御存じだと思いますが、十月の一日からこれを実施する、その要旨は、人事院勧告の線に沿うて、これを尊重してやる、それから、昨年の末でございましたか、暫定手当に対する処置につきまして、まだ処置をせずにおったものがございますから、これも今度はあわせて措置をするというような大あらまし決定を見たわけでございます。  この数字的な内容につきましては、御質問がございますれば、私よりか事務当局の方から詳細に申し上げた方がいいと思いますが、大あらましはそういう形で昨日決定をいたしました。
  9. 石山權作

    石山委員 これはおそらく政府としては臨時国会法律案として提出なさる予定だと思っておりますが、その点はいかがでございますか。
  10. 徳安實藏

    徳安説明員 もちろん次の国会にそうしたものを一括して提出するつもりでございます。
  11. 石山權作

    石山委員 私、この際、こまかい数字の点は差しおきまして、政府態度として、人事院勧告をば尊重なさって今回十月一日から施行する、こうおっしゃっているのですが、あの内容のうち特に私たちが主張申し上げたい点は、七・一%のベース・アップ、それが年度末になって七・九になるというわけなんです。ですから、これが十月の一日になりますと、民間との格差かなり大きく実態として残るわけなんです。そうすると、人事院勧告尊重というのは、去年とは非常に違うのです。去年の十月一日の施行ということと今年の十月一日の施行というのは、その内容においては雲泥の差があるということなんです。たとえば、去年度は、民間との格差が七・三%、人事院勧告が七・一%なんです。〇・二の差しか去年はございませんでした。今年度はそうじゃない。民間との格差というものは九・三でございます。それを七・一から年度末にかけて七・九というのですから、人事院がいろいろな点を考えながらこれは進めていったと思うのですが、そういう点を見ますると、去年の十月一日施行ということとことしの十月一日施行という内容においては、著しく違う。だから、ざっくばらんに言えば、政府人事院勧告尊重するという腹がまえは、今年度になって尊重度合いが大幅に後退したということになる。後退した理由は一体なんでしょう。そういう政治的なことは、この際総務長官からお答えをいただかなければならぬと思うのです。私の意見は、尊重度合いが去年よりもうんと後退したという意見です。その理由は一体何でございましょう。御説明をいただきたいと思います。
  12. 徳安實藏

    徳安説明員 結果におきましては御説の通りのように考えます。まことにこれは残念でありまして、私どもも、お話しの通りであることについては、もう数字が示しておるわけでありますから、あえてその抗弁をする余地はないと思います。ただ、これが、当初予算に組み入れられるような状態のときに勧告を受けまして、そして予算措置が十分にとれておりましたならば、もっと最善の道が講ぜられたであろうということを考えるわけでありますが、これは今後に残された問題でありまして、私どもも何とかこうした点は考え直す必要があるのではないかと思いますが、何しろ予算遂行の中途でありますのと、それから、この自然増と申しますか、それに充てる財源と、国の一般公務員だけならば別問題でありますが、これに準じて地方の諸君も同一に取り扱わねばならぬ処置等も考慮せねばならぬというような関係から、事態が非常に窮屈になって参りました。本来から申しますならば、勧告尊重するということであれば、五月からあの案通りに実施するのがあたりまえだと思うのであります。ですから、一部は尊重しても、一部は尊重できない形に追い込まれておるわけでありまして、これはまことに私どもも遺憾だと思います。しかし、今日の財政状態でそうせざるを得なくなりましたことはまことに残念でございますが、できますことならば、一つ今後、こうした勧告を受ける場合に、その勧告の線に沿うて予算がつくれるような時期、そういうものも考えて、今後こうした問題が将来残らぬような処置を考えてみたらどうかということも、政府部内にも今議論になり、課題になっておるわけでありまして、今回は、お話のように順次実施されることになりますので、一年度じゅうに全部が実施に至らないという結果、ある程度公務員諸君に対しては勧告通りには年度内に完成しないということは事実でございまして、これは残念でございますけれども政府の現在の財政的に窮屈な立場も御勘案願いまして、御了承いただきたいと思うのであります。
  13. 石山權作

    石山委員 あなたにあまり私も根っこを掘ったような格好お話し申し上げたくない。ただ、政府最高クラス方々としてお考え願っておきたいことは、公務員法律によって五%の差というものをつけられているわけですね。公務員なるがゆえに年間の給与が五%安くなければいかぬという規定も、そろそろ考えてみる必要があるのではないかと私は思うのです。それからまた、ほかにも、人事院勧告は、大体一年度を積み重ねた結果に四月現在を見るのでございますから、それで見れば、大体一年ぐらいおくれたという印象公務員方々にあるわけなんです。一年おくれた数字を積み重ねておる。それがまた十月だと半年ぐらいおくれるということになるのですから、どうも、私たちとしては、政府が前向きでより以上――人事院勧告そのものにさえもいろいろな疑義のある今日、情勢から見て、民間より五%安くていいということにはなり得ないと思うのです。それで、法律は規定されているのですからやむを得ないと思うのですが、差が五%ついたことによって初めて発効する人事院勧告なんです。これらを考えてみますと、去年よりも、ことしの政府は、公務員の賃金問題に対してはもっと親切でなければいかぬわけなんです。人事院勧告をもっと尊重しなければならぬわけなんです。去年とことしを見ると、尊重度合いがむしろ後退しておる。政府では今どういうことを考えておるか。さかのぼることは財政措置上不可能だとすれば、どうなんでしょう。たとえば、七月勧告が行なわれれば、五月あるいは四月、今までの例からしますと、大体二カ月はさかのぼっていますね。今回も二カ月さかのぼる。そういう措置からしますると、四月一日から施行する、五月一日から施行するとなると、六月ないし七月に勧告すると、四月ないし五月に施行が可能ということになるでしょうか。
  14. 徳安實藏

    徳安説明員 ただいま私どもが研究いたしておりますのは、できることなら予算編成のときにこういうものが現われて考慮することが望ましいと思いますが、それが技術的にかりに困難だといたしましても、少なくとも予算案が通る前にそうした措置が講ぜられるならば非常にけっこうではなかろうか、そうした道はないかということを今研究しておるわけでございます。
  15. 石山權作

    石山委員 それでは、人事院総裁、きょうは、あなたは初めておいでになりましたのだし、それから法律も出ておらぬのですから、あまり詳しいやりとりでなく、私どもが今度の人事院勧告についてはこういうように考えているという点を三つか四つ申し上げておきたいと思うのです。  先ほど総務長官にも私申し上げているのですが、今の人事院勧告に対して大きく出ている面は、つまり、給与内容体系そのものかなり問題を残しておりますけれども、今当面政治的に考えられる点は施行期日の問題と思っております。政府に対しまして人事院勧告すること今回で三たびです。僕らに言わせれば、三度も同じことを言うんじゃ何ぼかききめがあるのだろうと思っていたのですが、三度目に言ってもむしろ前向きでない、尊重が後退しているような政府に対しては、全く馬の耳に念仏みたいな格好で、おもしろくないのです。もう少し人事院勧告というものは尊重されて、厳格にこれが施行されるという建前をとられなければならぬと思うのです。体系尊重したが、経済的な大きな問題を残す施行期日に対しては、何ら前向きを示していないというこの点は改めていただかなければならぬわけなんですが、その改めていただくということに関しまして、今回、人事院勧告したが、そのあとについては、何らこの点に関しましては野放しにしていたのかどうかということです。この点を一つ、簡単でいいんです。こまかいことはあとでまたお聞き申し上げますから、簡単でいいんですが、お聞かせを願いたい。
  16. 佐藤達夫

    佐藤説明員 石山先生の御質問お答えを申し上げますが、人事院といたしましては、勧告を出しました以上は、その勧告通りのものが実現することを切望し、念願しておることは当然のことでありまして、その心がまえのもとに諸般の態度をとっておるわけであります。ただし、その実現を期します方法としては、人事院の性格から申しまして、各方面に政治的な圧力を加えるとか、そういうようなことはいたしかねる、また、そこは差し控えるべきであるという限界がございますので、結局、その限界の中において、勧告自体において十分その趣旨を明らかにいたしますとともに、勧告内容理解なりあるいは納得について、極力、いわゆる説得と申しますか、各方面の御了解を得る努力をする、そこに尽きるのではないかと私は今日まで考えておるわけでありますが、そういう趣旨人事院当局といたしましても従来善処いたしておったと思いますし、今回もそうであったと私は見ておるわけでございます。なおそれ以外に何かいい方法がございますれば、またお教えをいただきまして、これから善処いたしたいと思います。
  17. 石山權作

    石山委員 勧告施行が、出だしが七・一%、年度末において七・九%というふうなこういう仕組みは、給与問題に携わっている人でもかなり理解に苦しむ。ここには何かからくりがあるだろうというような気持は、給与をばしさいに検討しないおおむねの公務員は持ったのではないかと思うのです。  それから、もう一つは、これと同じようなことを申し上げなければならぬのは、先ほども総務長官に言ったのですが、去年度勧告よりことしの勧告は、民間との開きが大きい。なぜ大きくなったかということに対しては、やっぱりこれは政府景気調整あるいは給与対策の一端を人事院が仄聞しながら数字を積み上げたのではないか、こういうことをかなり言っておるのです。  もう一つ、これは特にあと給与局長あたりから詳細に説明を受けたいと思うのですが、例の初任給決定にあたっての、高校出十八才の独身者生計費、この積み立て方を見ますると、去年度とやり方が変わっているわけなんです。なぜ変わったか、これも数字からくりじゃないかというふうな意見を持たざるを得ないような現象が起きているわけなんです。  こういう点はよく公務員方々説明をしなければならぬことだし、もう一つは、大蔵省あるいは給与担当大臣において、これは十月一日ではとてもまずいんだ、実際からすると、勧告内容からすれば著しく後退の姿になるのじゃないかということについて、今回努力が薄かったのではないかというような考え方を持っておるわけです。今回の場合は、からくりのような前提三つくらい見える。そういう前提の上で数字が積み立てられているわけですから、不信感を持つ。その中で数字が積み立てられ、しかも、これが去年の民間との格差かなり違うということになれば、これは人事院苦心作品だと私は思っているのですが、公務員諸君から見れば、これは逆に苦心作品じゃなくて不信作品になっている。こういう点では、私は、もう少しこの勧告内容について、今度の臨時国会等では詳細に承りたいと思っております。  それから、もう一つは、施行期日の問題をどうしてもこの際もう一回人事院としては考えてみる必要があるとわれわれは思うのであります。世間では、一般人事院勧告によって春闘の目標が引き上げられると言っている。これをどこかで断ち切るというふうな工夫も、この際考えてみる必要があると思う。財政措置上からすれば、さかのぼるということは二カ月程度くらいしかさかのぼれないというふうな現実、こういうのをにらみ合わせながら、人事院勧告尊重されるという形をもっと実行に移すとすれば、やっぱり勧告の時期等にかなりに配慮を加えるというふうなことへだんだん追い詰められてきているのではないかというふうに思っております。それはなぜか。三回にわたって皆さんの方で五月一日施行しなさいと言ったって、ここに総務長官等がおるわけですが、全く馬の耳に念仏だ。そんなものを相手にして同じような文章を書いたって、ものになりません。十分にこの際考えておく必要があるから、この次の委員会には何か妙案があれば御答弁をいただきたい。  それから、もう一つ、私の方でも人事院政府の方にも異議の申し立てみたいなことを書いて差し上げたわけですが、その中に、一つ給与内容としまして、いわゆる技術部門の人をば少し優遇する必要があると思っておったのですが、そのほかに、もう一つ今考えられている点は、教職員の方々、あるいは大学の先生、あるいは高校先生、こういう方々をば考える必要が出てきたのではないか、体系から見てそういうふうに思っております。  きょうは、給与担当大臣おいでにならぬし、閣議決定した翌日でございますし、人事院総裁は当委員会に初めて顔を出したというふうなわけでございまして、私はこれ以上あまりお話を申し上げるのはちょっとうまくないような気持がしますから、この次の委員会でもう少し詳しくお尋ねを申し上げたいし、それから、人事院かなり強い明確な態度というものを、過去三回にわたっての実績の上から、新総裁はやはり次の勧告に対して態度を固めておく必要がそろそろあるのではないかと思っております。それで、今度の給与勧告内容とともに、次の勧告に対する人事院の腹がまえというふうなものをこの次お聞き申し上げたいと思っております。  きょうはこれで終わります。      ――――◇―――――
  18. 永山忠則

    永山委員長 次に、国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。石橋政嗣君
  19. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 お尋ねしたいことはたくさんあるわけでございますけれども質問を希望されておられる委員の方も多うございますから、できるだけ詰めて質問いたしたいと思います。  最初にお聞きしたいのは、ことしの六月二十四日、宮城県の松島基地で起きたといわれる、いわゆるT33Aの国外逃亡未遂事件であります。まだ詳しく御報告を受けておりませんけれども雑誌等で見ますと、非常に奇々怪怪事件のような印象を受けるわけです。この点についていろいろお尋ねをしたいと思いますが、まず最初に、当局の方から報告をしていただきたい。
  20. 小野裕

    小野説明員 細部にわたりますので、私から御報告いたします。  去る六月二十四日の午後三時ごろでございますが、宮城県矢本町にあります第四航空団飛行場におきまして、T33Aジェット練習機一機が、手続をとることなく滑走を開始いたしまして、離陸失敗、墜落した事故でございます。直ちに隊員、係官がかけつけましたところ、当該機中には同第四航空団の第七飛行隊に所属する整備担当高橋二等空曹が搭乗いたしておりまして、けがをしておるのを発見したわけでございます。直ちに部隊の医務室に収容いたしまして手当を加え、また、いろいろ事情を聴取したわけでございますが、本人ハルピンの方に行くつもりだったというようなことを申しておったわけであります。しかしながら、本人負傷をいたしております。この負傷は、離陸失敗後、キリまたはナイフをもちまして、みずからののどあるいは腹等を突いた傷でございます。  そういう状況でございますので、手当に専念をいたしますと同時に、その事故原因あるいはその状況事情というものにつきまして、ベッドの上で事情を聞いたわけでございますが、私どもといたしましては、直ちにこれに対する対策を検討したわけでございますけれども、とりあえず負傷手当に専念いたしますとともに、その後の捜査方針と申しますか、この事故取扱い方針決定いたしまして、傷がほぼいえました七月二日に、航空自衛隊警務官が裁判官の逮捕状発付を請求いたしまして、同日これを執行、直ちに宮城警察本部に身柄と事件を引き渡したわけであります。この点につきましては、逮捕状を請求いたしました理由は、ただいまの無断操縦をいたしましたT33Aの関係というよりも、そのとき、その直前に、同人が当時同飛行場内で待機しておりましたF86F戦闘機機脚部に損傷を加えておったという事実がございまして、とりあえず、それははっきりしておりますので、それを理由として逮捕状を請求し、執行したわけでございます。  さらに、その後の捜査につきましては、これも全くあげて宮城警察本部の方にこれをまかせたわけでございます。その捜査が進み、さらに検察庁へ送致され、その後九月十日に第一回の公判が開かれ、十月三日に第二回の公判が開かれておるという状況でございます。この警察捜査内容につきましては、私ども連絡は受けておりまするが、詳細のことにつきましては、なお私ども承知しない点もあるわけでありますが、いずれ公判廷で明らかになることであると存じます。  検察当局におきましては、七月二十四日に第一回の起訴をいたしております。これは、自衛隊法百二十一条違反、つまり、自衛隊の用に供する武器、兵器、航空機の損壊という関係で、自衛隊法違反起訴をされておるのであります。さらに、九月八日に、追起訴といたしまして、窃盗罪、また航空法違反、また出入国管理令違反の容疑をもって追起訴されておるわけであります。  本人勤務整備隊員でありまして、操縦の経験も全くない者であります。これがどうしてそういう気になったか、その動機その他につきましては、まことに不可解なものがあるのでございますが、本人は、ただいままでのところでは、あるいは生まれ故郷であるハルピンへ行ってみたかったというようなことを言っておったり、あるいは、どうも気に食わぬことがあってむしゃくしゃしておって、あっと言わせるようなことをやってやろうというような気になったというようなことも言っております。これらの点につきましては、公判廷において、さらにその動機原因理由というものについてこまかく究明されることと思うのでありますが、私ども考えましたときに、平素は比較的まじめに勤務をしており、順調に進級もしておる隊員でございまして、このようなことが起ころうとは夢にも考えられなかったことでございますが、まことに遺憾な事件であったと申すほかございません。  なお、その他の点につきましては、お尋ねによりまして補足いたしたいと存じます。
  21. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 ただいまの報告は経過だけなんですが、先ほど申し上げたように、いろいろ書かれましたものを読みましてまず感ずることは、自衛隊の隊内というものはいかにルーズなものであるかという印象です。それから、もう一つは、隊内で起きたことは秘密にしておこうと思えばいつまででも秘密にできる、この奇怪さです。率直にそういう印象を受けました。そこで、そういった角度からお尋ねをして参りたいと思うのですけれども、この高橋二曹がいろいろと準備をしておるはずなんですが、その準備の段階で全然疑惑を持たれなかったのか、これが私たちに納得いかないのです。ルーズだという印象を受ける原因なんです。たとえば、六月二十四日整備をしておった。これはF86Fの整備を行なっておったというふうに聞いておるわけですが、午前中はこの高橋二曹の所属する第七飛行隊、午後は第五飛行隊がやっておった、こういうことなんですね。そうしますと、本人は午前中の部に入るはずです。飛行機を引っぱり出したりなんかするのもおそらく午前中ではないかというふうな感じを持つわけなんですが、まずそこからお伺いしたいのですけれども高橋がT33を格納庫から運び出したのは午前中ですか。
  22. 小野裕

    小野説明員 正確な時間は承知しておりませんが、おそらく午前中であろうと思うのであります。ただ、高橋二曹の担当はT33だけでございまして、これは第七飛行隊の中にもいろいろ整備班が分かれております。86の班がございますし、T33の班がございますが、本人はT33の係でございます。その日は日曜日でございましたが、日曜日は常に整備に重点を置いておりますので、出てきておったわけでありますが、T33を出して、これを出すときに、部下の隊員に格納庫からエプロンまでこれを出すようにということで出さしたわけであります。それから、それに対して、本人としては整備の必要があるような態度をとっておった。これは、整備の小隊長がこれを見まして、きょうは予定にないのだが、どうしたんだということは聞いております。そのときに、実はこれは少し雨に打たれておるので、少し日に当てよう、風に当てよう、ちょっと手を入れるところがありますのでというようなことで、そうかということで、小隊長は一応承認をしたというようなことになっております。あと、その時間は、私、まことに申しわけございませんが、引き出した時間の正確な時間は承知いたしておりませんが、なお、そのほかのT33の班でございますので、自分の使った飛行機以外の飛行機についても仕事はしておったであろうと考えます。
  23. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そこで、一つチェックする機会があるわけでしょう。局長もおっしゃるように、整備の計画はないと、はっきりしている。整備の計画がないにもかかわらず引っぱり出していじくっている。問いただしたら、言いわけをして、それが通っているわけですね。これがまず第一です。おそらく午前中に引っぱり出しておると思うのですけれども、逃亡しようという意思を持っておるために、ガソリンも満タンにしているわけですね。それはどうですか。そうしますと、これは高橋が自分でガソリンは満タンにできる立場にあるのか、また、入れようと思えば勝手にいつでも入れられるのか、もし満タンにしておったとすれば、これはいつごろしたのか、その辺もまずお伺いしたい。
  24. 小野裕

    小野説明員 ただいまのガソリンの関係でございますが、これは、各航空隊におきまして、整備の済んだ飛行機にはいつも即時満タンにするということになっておるのでありまして、この飛行機は大体整備済みの飛行機でございますので、いつでも飛べる状況に置くために満タンにしてあったのであります。本人が入れるという必要もございませんし、また、入れるのが建前になっておった、それをそのまま利用した、こういうことでございます。
  25. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは、それは必ずしもその日に入れたのではない、練習機といえども常に満タンになっておる、こういうことなんですね。  それから、先ほどお話がありました、待機中のF86F二機に手を加えて、これをこわしているということなんですが、これはスクランブル用ですか。そういうものに対して手を加えておるということがわからない。緊急事態になったときに、一体そのまま飛び立ったらどうなるでしょうか。それはどのような時点で初めて故障しているということがわかったのですか。サイレンが鳴り渡った、飛び立とうとした、その段階で初めてわかったのですか。そうだとすると、高橋が破壊をして発見するまでに一本どのくらいの時間があったのか。しかも、このスクランブル用のF86Fでは、これは当然に武器としても完全に装備もしているわけでしょう。そういうものが置いてあって、全然視察も巡視も何も行なわれないわけですか。その辺の説明をしていただきたいと思います。
  26. 小野裕

    小野説明員 ただいまの待機飛行機が損傷されましたということは、まことに遺憾なことでございまして、何とも申しわけの立たないことでございます。高橋二曹がこの待機86二機の脚部に損傷を加えましたのは、ちょうど電線があるわけでありますが、そのコードをやすりのようなものでさっと一ぺんさわるだけで切れるわけでございますが、切ったような損傷でございます。もちろんこれでも影響は大きいのでありますが、簡単な作業であったのでございます。このことを発見いたしましたのは、本人事故を起こしました直後でございまして、本人の言い分では、それより二時間ほど前にやったということを申しておるのであります。その間発見できなかったことも申しわけないのでございますが、ただ、実際の問題、現実の姿といたしましては、待機飛行機については、その飛行機の操縦員の許可なしには何人も手を触れてはならないという規則はあるわけでございます。そばへ行ってならないという厳格な規定はなかったのでありますが、手を触れてはならない、これは一般に励行されておることでありますが、これがたまたま見のがされたということがあるわけでございまして、まことに遺憾に存ずるところでございます。  この飛行機の管理、警備につきましては、飛行場全般の警備の問題もございますが、特に待機飛行機につきましては、できるだけ近い場所に、それに搭乗すべき操縦員、パイロット並びにその飛行機に専属しておる整備員、これが近いところに待機をしておりまして、ただいまのお話のように、非常の場合にはすぐ飛び出すという形で近所におるわけでございまして、一般的にはその担当者が監視しておる体制にあるわけであります。しかしながら、ときにその間隙を縫われ、その視線に入らずにそばに行くということもあったということになるわけでありますし、また、同時に、機付の整備員が、そばへ来たというときに特別な疑念を持たなかったということもあり得るわけであります。この場合におきましては、そのパイロット並びに機付の整備員は、そうしたような者が近づき、また何らかの作為をしたということについては気がつかなかったというのが事実でございます。この点につきましては、今後、厳重に警戒といいますか、警備といいますか、その体制を整えるということにいたした次第でございます。
  27. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 立ち入らないように規則があるからということで、だれも立ち入らぬだろうというふうにきめてかかるということに問題があると思うのですよ。緊急要撃用の戦闘機なんです。ちょっとやすりか何かでやられただけで飛び立てない。それでは飾りものじゃありませんか。だからこそ立ち入らぬようにという規則を作っているんだということですが、規則があるから絶対立ち入らぬなんということはないじゃないですか。幾ら緊急用だ何だと言ってみたところで、何の役にも立たない。現に二時間も三時間も損傷を加えられてから発見できないのですよ。こんなでたらめな話はありませんでしょう。それじゃ各隊ともさっそく是正しましたですか。ただ立ち入り禁止というだけでは済まないということがわかったはずです。それじゃ、そのつど何時間置きかあるいは何分置きかに点検するというような方法を講ずるとかいうような手は打たれたわけですか。
  28. 小野裕

    小野説明員 まことにお恥ずかしい事故でございましたが、その事故の経験にかんがみまして、各部隊ともそれぞれ万全の備えをいたすようにいろいろと改善を加えました。たとえば、ただいまの待機飛行機の場合は、前面は別といたしまして、横並びに背部、後方、これは有刺鉄線をめぐらす、また、そこには専属の警備員を配置する、パイロットといえども、その機に近づくためには、通行許可証と申しますか、そういうものを持たせるというようなことも実施することにいたしております。
  29. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 これがチェックできる機会の二つ目なんですね。  それから、もう一つは、この高橋が飛行機に乗って失敗したときの服装ですね。これはどのような服装をしておったわけですか。報道によりますと、ヘルメットもかぶっておったし、酸素吸入器もちゃんとつけておったというようなことなんですが、もしそうだとすると、整備員がそういうものを自由に入手するチャンスがあるのか、また、そういうものをつけておっても、だれも不審に思わないような隊内の雰囲気なのか、その辺からまずお答え願いたいと思います。
  30. 小野裕

    小野説明員 当人が事故を起こしましたときの服装は、今お話しのように、マスクをつけたヘルメットをかぶっております。また、パラシュートをつけております。ただ、飛行服は平素の作業服であったようであります。持ち出しましたものはパラシュートとマスクでございますが、これは、飛行隊の管理室に続いておりますところにそれぞれ各パイロット用の装具が保管してあるわけでありますが、たまたまその管理室に人のいなかった機会あるいは人の目を盗んでこれを持ち出したというふうに考えられるのであります。その点につきましても、その飛行隊の管理室自体の警備という問題にも手抜かりがあったと考えざるを得ないのでありますが、そういうような状況でございました。
  31. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 盗み出したのだからしようがないということになるわけですが、整備員がそういうものを持ってぶらぶらしておって、全然不審に思われないのかと聞いているのですよ。そういうものですか、自衛隊の中の雰囲気というものは。その点はいかがですか。盗んだことは確かにしようがないでしょう。相手が盗む意思があれば、どんな方法を講じても盗むでしょうけれども、そういうものを持って歩けばわからぬわけにはいかぬでしょう。そういうときに全然おかしくないと考えていいのかというのです。
  32. 小野裕

    小野説明員 整備員がみずからそれを身につけたり、あるいは全く異様な状態において持ち歩いておりますれば気にかかるわけでありますが、比較的短距離のところを何らかの装備品を持って歩くということになりますれば、あるいはパイロットのためにこれを運んでいるということもございましょうし、あるいはこれを整備するために運んでいるということもございましょうし、一がいにおかしいということもないかと思うのであります。しかしながら、念には念を入れて疑えば疑えることでありますが、一般的には、その種のものにつきましてはそれほど疑問は持たれなかったのが普通ではないか、このように考えます。
  33. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それから、この逃走準備をずいぶん前から進めておったと思われるいろいろの節があるわけですね。たとえば、隊内の私物はほとんど焼却されておったというようなことが報道されておりますが、これは事実ですか。それから、機内から発見された地図、それから暗号表のようなものがあったというが、これは実際はでたらめな数字の羅列にすぎなかったというようにも言われているわけですが、こういうふうな小道具ですね、こういうものはどういうふうに判断しておられるわけですか。たとえば暗号表らしきものがあった。ほんとうにそれは暗号表であったのか。あるいはただむちゃくちゃに数字を並べただけというならば、どのような目的でそんなものを持っておったというように見ているのか。頭でも狂っているというように言うのか。それから、地図はハルピンまで線が引かれておったというように言われておるのでありますけれども、その地図は普通自衛隊の隊内で使っている地図なのか。そういうところを少し克明に報告していただきたい。
  34. 小野裕

    小野説明員 本人の事前の準備あるいは挙動等でございますが、隊内におきまして、上官はもとより、また同じところに起居しておりました者に当たりましても、本人に変わったような態度あるいは挙動というものは全く見られなかった、成績も普通で、相当に能率を上げて仕事をしておったということでありまして、ただいまお話しの、身辺を整理しておったというようなことは、私は初耳でございます。ただ、お話のように、あまり所持品がたくさんはなかったことは事実でございますが、整理しておったのかどうかは存じません。  また、地図でございますが、地図は、これはもうそうたくさんあるものじゃございません。ただ、参考用にあるものをいつどうして手に入れましたのか、これも私どもはまだこまかく聞いておりません。いずれにしましても、部隊のいずれかの書庫あるいは書類だな等から引き出したものではないかと思うのでありますが、普通使っておるものじゃございません。  それから、暗号書類似のものというものでありますが、これは、専門家の検討によりますると、暗号書としてりっぱに中身の整ったものではない、しかしながら、その様式というものは、一応そういう様式のものはあるのだ、これは、しろうとで多少そういうことに興味を持つ者が、暗号というものはどういう種類があるかというようなことを興味本位でかじった場合には、その程度のものは並べられる、書けるという暗号書類のようなものである、このように判断されております。
  35. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 とにかく、先ほど局長の説明の中でも言われておったのですが、何のためにこんなことをしたのか、お互いに一番知りたいところなんですね。防衛庁の方でもまだわからないというわけですか。少し頭がおかしくなっているのではないかということでもなさそうだ。動機がつかめないということになると、今後処置のしようもないわけです。全然精神異常でもないわけですか。
  36. 小野裕

    小野説明員 ただいまお尋ね動機原因等でございますが、日常の行動、言動等については何ら変わったこともないし、仕事も一通りやるという状況でございます。人とけんかをしたり、あるいは特に何か悩んでおるというようなことも見かけなかったわけでございます。全くその動機は不可解なのでございますが、最初航空団におきまして事情を聴取しましたときには、ただいまの地図があった関係もございますが、これは生まれ故郷のハルピンへ行きたかったのだと言っております。本人は確かにハルピン生まれでございまして、戦後引き揚げております。ただ、私どもここであまりにうがったことは申し切れませんが、戸籍関係、家庭の構成状況等を聞きますと、非常に複雑なものがあるように考えられるのであります。この点は個人の問題になりますので深くは触れませんけれども、家庭内に何か問題があるのではないかということが一つ感じられるのであります。本人最初に漏らしましたことが、ハルピンへ行きたかった、行くつもりだったと言っておるわけでございますが、その後にまた警察あるいは検察庁あるいは公判廷におきまして本人が申しておりますことは、そういう気持を持っておったこともある、ただ、あの飛び立つときにはそのつもりでもなかったのだというようなことを言っております。しかしながら、機内に飛行地図を持っておるということは事実でございますが、本人としては、そんなつもりはなかったのだ、従って、出入国管理令違反の点は自分は否認をすると言っておるのであります。公判廷でそう言っております。また、その中間におきまして、実はどうもぱっとしない、おもしろくない、もうやめようかと思う、その前に一つあっといわせてやろうかというようなことを感じたこともあるのだ、こういうことも言っておるのであります。全く、本人のその動機と申しますか、この点につきましては、今後公判廷で十分争われると申しますか、明らかにされることであろうと思うのでありますが、私どもといたしましては十分つかんでおりません。その点につきましては、先ほど申し上げましたように、七月二日までは傷の手当に専念したのでございまして、あと警察側へ引き渡したわけでございますが、その後につきましては、一回も面接その他のことはございません。従って、私どもとしてはそれ以上のことはつかみようがない、こういうことになるわけでございます。
  37. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 結論的に言って、これは整備員ですから失敗したと言えると思うのですが、パイロットならば完全に成功できたケースじゃないですか。当時の航空団司令の高岡司令もその点は認めておるようですが、そうお思いになりませんか。これだけ緻密に計画をしてやっておれば、パイロットならば成功したのじゃないか。その点はどういうふうに判断されておりますか。
  38. 小野裕

    小野説明員 ハルピンまでもし行くといたしますれば、あの飛行機の状態で普通のパイロットであるならば飛べる状態であったと考えられます。しかしながら、現実に飛ぶとなりますれば、いろいろな制約があるわけでございまして、パイロットであっても、いろいろな点におきまして十分な連絡その他の準備がない限りは、簡単にはそういう飛行はできないことになるのではないか、物理的には飛べましても、現実的にはどこまで行けるか、どうなるか、それはわからないことであろう、特別の準備が全部整っておる、連絡その他すべての点が整っておるならば、これは別でありますが、ただ飛び出すというだけでは簡単には目的は達し得ないものではないか、このように考えます。
  39. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 その点は未遂ですからはっきりしませんけれども、大臣にお伺いしたいのですが、大臣はいつこの事件をお知りになりましたか。
  40. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 私が長官に就任しましたのは七月十八日でありまして、その後、事務引き継ぎ、各局の説明などがありまして、明確な日にちは記憶しておりませんけれども、就任いたしましてから約一週間くらいのころに承知したと思います。
  41. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私たちが納得のいかないもう一つは、先ほど申し上げたように、隊内でこのような重大な事件が起きたのを、隠そうという意思を持ってやれば隠しおおせるということです。現に、第一回の公判が行なわれるまで、完全に秘密が保たれておる。こういう点だけは自衛隊秘密主議に感心するのです。何のためにそんなに長い間隠さなければならなかったのか。また、公判の日に事件が明るみに出まして、大臣は翌日に高岡司令を処分しております。形は依願退職ですが、知られてからこの処分までの間にも相当期間があるわけですが、表ざたになったから処分したというような印象を受けるわけです。この事件を聞いたときに、これはいかぬ、当然責任を持ってもらわなければいかぬというようにお考えになったのならば、その報告を受けた直後に処分問題が出てくるべきではないか、私はそういう印象を卒直に受けます。それで、その点、表ざたになったから処分をしたんだというようなことはないと思いますけれども、期間が非常にありますので、そういう疑惑を持たれますから、一応釈明をしておいていただきたいと思います。
  42. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 私は、この不祥事件を承知いたしまして、事の重大なことに非常な責任を感じまして、直ちに法務大臣に会見いたしまして、徹底的に疑惑を解いていただきたいということを申し上げました。しかも法務大臣のお話によると、この事件は、当初は刑事事件として捜査をしておったけれども、後にこれを公安関係に移して、背後関係と申しますか、不可解な点を徹底的に究明しておる、いずれは追起訴をすることは当然であろうと思うが、しばらく待ってくれ、こういうお話でありました。その後、九月八日になりまして、法務大臣から私のところに連絡がございまして、ちょうど第一回の公判が開廷せられる二日前の土曜日の午後でございましたが、いよいよ三つの点で追起訴することに決定した旨の連絡がございました。私は、この事件を知ったときから、追起訴をするであろうということを予想しておったものでありますから、その追起訴内容を見た上で、さらに検討した上で、高岡航空団司令の処分をする決意を固めておったのであります。従って、じんぜん日を過ごして、秘密にしようとか、そういう意図は全然ないのでありまして、追起訴が行なわれなければ、完全に事件全体は公判に移らないのでありますから、それを待って処分をしようということで、九月八日まで私は待っておったような次第であります。追起訴を聞いて、直ちに私なりの処分をした次第であります。
  43. 小野裕

    小野説明員 ただいま長官のお話で尽きておるのでございますが、一言だけつけ加えさせていただきます。  自衛隊がこの事件を隠そうと思えば隠しおえるのではないか、そういう意図もあったのではないかというようなお尋ね、御疑念でありますが、この種の事件は、自衛隊法第九十六条によりまして、自衛隊警務官において最初から最後まで自分で処理できる事案でございます。自衛隊の施設内において、しかも自衛隊隊員が犯した犯罪でございまして、これは当然自衛隊警務官が最後まで司法警察捜査を行なうことができる事件でございます。それにもかかわらず、私どもは、これはあげて警察、検察の糾明をお願いしようということにいたしたのであります。そのことは、先ほどからお話がございましたように、何か背後関係というようなもの、複雑な事情があるのではないか、これを航空警務隊だけで調べるといっても調べられるものじゃございませんから、さらにまた、いろいろあとから世間の疑惑等を招いても困りますので、そういう意味で、もう事件が出ました直後において、これは警察側にお願いをしようという大方針をきめまして、即刻警察庁並びに宮城県警と協議を開始しております。それが七月二日に一応自衛隊で逮捕いたしまして警察に渡したのでありますが、約一週間でございますのは、先ほどから申し上げておりますように、負傷手当――警察側では留置場を使うわけでございますが、そこに入れるのにはけが人では困るわけであります。その期間はこちらで手当をいたしましたけれども、初めからこれはあげて警察にやってもらう。本来は自衛隊警務官が最後まで自分で処理できる事案でございます。それにもかかわらず、徹底的に洗ってもらおうということで渡したわけでございます。お話のように、最後まで隠そうと思えば隠せるかもしれません。けれども、私どもとしては、この種の事案は、あくまでも、公の機関、一般警察機関において調べてもらうことが適当である、そのように考えておりますことが、今回の事件の処理にも現われておることを御了承いただきたいと思います。
  44. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 今局長の発言の中で、背後関係という言葉が使われましたし、先ほど大臣のお話の中にも、公安関係事件として調べる意思があると法務大臣が言ったということも言われたわけですが、その方はすっきりしたわけですか。背後関係、思想的なもの、そういうものがないということがはっきりしたのかどうか、これをまずお伺いいたします。
  45. 小野裕

    小野説明員 その点につきましては、検察庁側との連絡の結果、また、公判廷における検事の冒頭陳述というような点から見まして、背後関係は出ていないという形でこの事件は審理されておる、そういう状況でございます。
  46. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 隠しおおす意思はなかったのだ、だから警察にも引き渡したのだというお話でありますが、とにかく、われわれの受ける印象としては、六月二十四日に事件が起きて第一回の公判が行なわれるまで全然これがキャッチされなかったということの中から、そういう疑問を持つわけなんです。  私は、この事件を聞いたときに、五年前の事件を思い出しました。これは幸いですからその後の経過をお聞きしたいと思うのです。というのは、昭和三十二年十二月十七日午前十時三十分ごろ、北海道の旭川の第九普通科連隊第一重火器中隊車両班一等陸士板東茂男という男が、こつ然と隊内から消えてもう五年になるのですが、これはその後判明いたしましたか、何らかの手がかりがつかめましたか。
  47. 小野裕

    小野説明員 事件発生の当時のことは私存じませんが、その後、国会でもいろいろ御質問もあり、また、いろいろなお話もございまして、その後の事情として若干承知しておりますことは、その後何らの手がかりと申しますか、事件の解明ということはできていないという状況でございます。
  48. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 自衛隊の隊内から消えた隊員の行方が五年たってもいまだにわからぬ。このときも問題になったのは、おらないということが判明したのが午後九時から九時半ごろだというのです。実際に消えたのはいつごろだろうか。これは午前十時三十分ごろ。ほとんど十二時間ぐらい、おらないのがわかってない、把握されてないのですよ。点呼も二回あった。しかし、どこそこに行ったのだろうとだれかが言ったら、そうかで通っておるということが当時報道されておったわけです。まことに奇々怪々ですね。それでは、その後どのような捜査をしておるわけですか。私は、この出身地の徳島県選出の阿部代議士にもきのう聞いてみましたが、両親もいまだにすっきりしない気持を持っておる、自衛隊の方は早く金を取れということを言ってきておるというようなことを聞きましたが、それでは、どの程度事件の解明に努めておられるのか、五年間の捜査状況を御報告していただきたいと思うのです。
  49. 小野裕

    小野説明員 御満足がいかないと存じますけれども努力はいたしておりますけれども、その後はっきりしないままで参っております。具体的な方法といたしましては、当時は、全国の自衛隊、また全国の警察にお願いをいたしまして、そうした家出人とか、あるいは、これは言葉がいやでございますけれども、変死体であるとか、こうしたものについての捜査を徹底的にやっていただいたのでありますが、それを一両年続けましたあとは、あらためて特に強力な捜査活動ということは実はいたしかねておるのであります。ただ、今日におきましても、特に北海道方面におきましての変死体あるいは遺骨でございますとか、こうしたものが発見されるたびに、その付近にそれらしい所持品と申しますか、携帯品と申しますか、そういうものの断片でもあるようなことはなかろうかというような意味におきまして、北海道におきましてはそういった点について注意は続けておるのでありますが、その後全然わかっておりません。
  50. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 時間があまりありませんから、もうくどくは申し上げませんが、何としても、いろいろお聞きしても、はっきり申し上げてすっきりいたしません。これに対して長官が責任者に対する処分をきちっと行なったということについては、私は共鳴できるものがあると思う。そういう決意の中から今後いろいろと対処してもらいたいと思うわけでありますが、とにかく、先ほどから申し上げておるように、隊内というものがいかにルーズなものであるかというような感じを持つわけですけれども、規則というものがあれば守られるものだというふうなわけにはいかぬのだということを例証する事件が、私の地元に一つあるのです。これは新聞記事ですが、これなども一つの参考になると思いますが、責任者が規則というものをいかにいいかげんに見ておるかということの例です。まずお伺いしたいのですけれども、武器を修理に出す場合に、どこの町工場にでも出せますか。
  51. 小野裕

    小野説明員 本日所管の者がおりませんので、あるいは間違いましたら後日訂正させていただきますが、たしか、民間の武器関係の工場というものは、通産省の関係で許可あるいは指定を受けておるところでないといけないのではないか。特に火薬類というものに関連しましては、その点ははっきりしておるのでありますが、その程度にしか申し上げられませんことを恐縮に存じます。
  52. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 これは、麻生さんがおられるのですが、自衛隊の武器修理は、主務大臣の許可を得て国の指定する工場に発注しなければならない規定があるというふうに報道されておるのでありますが、間違いありませんか。
  53. 麻生茂

    ○麻生説明員 間違いないと思います。
  54. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 にもかかわらず、佐世保において、指定のない佐世保電気工業株式会社という小さな町工場ですよ、ここに、海上自衛隊佐世保地方総監部の武器課から二十ミリ二連装重機関銃十四丁、この修理を出しているわけです。それを通りがかりの米軍のSPが見つけて、佐世保の警察署に急報した、こういう事件が起きておるんですよ。大きく新聞に出ておる。これは明らかに違法だということなんです。現に警察に呼ばれて武器課長というのがしぼられていますよ。ところが、三上という佐世保地方総監は何と言っているかというと、あれは武器として持っていったんじゃない、部品として持っていったんだ、こんなことをぬけぬけと言っているんですよ。まことに済まなかった、いろいろ急いだものだからというなら、まだかわいいところがあるけれども、ばらばらにして部品として持っていったんだから、武器じゃないと言っている。責任者がこういう態度をとって、法規なんというものは無視しているんですよ。下これにならうという風習ができるのはあたりまえじゃないですか。この事件については内局は御承知ですか。
  55. 小野裕

    小野説明員 私ども人事局といたしましては、いろいろな事故についての通報あるいは連絡を受けますが、その点につきましてはまだ承知いたしておりません。また、新聞も実は拝見しておりませんので、人事局としては承知いたしませんが、他の部局といたしましては装備局が所管だろうと思いますが、そこらのところは、ただいま関係者がおりませんので、何とも御返答申し上げられません。
  56. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 結局、全然指定外の町工場に便宜的に持っていって、メッキか何かやらしているんでしょう。しかも、この武器の引き渡し一切に担当者は立ち合っていないのですよ。「機関銃の修理に総監部の武器関係者が立ち会っておらず、受け渡しも町工場の自家用車が総監部に来て積み込み、輸送には隊員の同乗もなく、問題の火器は梱包もせずむき出しのままで、全く工場まかせのずさんな取り扱いだった。」、いいですか。しかも、その弁明たるや、総監談として、「総監部は、あくまで武器ではなく、武器の部分品であるという見解をとっており、隊規には触れないと考えている。」、堂々たるものです。こんなものが途中で盗まれて、銀行強盗でも起きてから騒ぐのですか。こういうところに問題があるというんですよ。私は、この問題も含めて、大臣に一つ、どうして今のこの隊内のこういっただらけた雰囲気を引き締めていくつもりなのか、しょっちょういろいろとおっしゃってはおるようですが、具体的にどうしようとなさっておるのか、決意のほどをお伺いして、この問題は終わりたいと思うのです。
  57. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 ただいま御指摘の佐世保における武器の発注修理の問題でありますが、実は私も承知いたしておりません。さっそく事情調査いたしまして善処いたしたいと思います。  なお、この際に、松島におきまする不祥事件その他に対処する私の腹がまえを申し上げまして、御了承を仰ぎたいと思うのであります。  松島の不祥事故につきましては、何と申しましても責任の所在を明確にすることが第一であると私は心得ておったのであります。従って、航空隊の飛行隊長、それから高橋整備兵の直属の責任者でありました整備小隊長、これはそれぞれ懲戒処分に対しまして、他の部隊にこれを転任せしめまして、大いに反省を促して、今日一生懸命やっておるのであります。最高の責任者として、高岡空将補の処分の問題が最後まで残ったのでありますが、これは、さいぜん申し上げた通り公判が整うまで、つまり、検察当局が追起訴をするまで待って、その事件の大体の内容を知った上で処分することが妥当であると考えまして、公判の二日前に追起訴を受けると同時に、私は処分をいたしました。高岡空将補は、パイロットとしては非常に得がたき人物でございますが、それとこれとは別でございまして、私としてはかなり厳正な処分に付したつもりでございます。従って、今後この種の事故を絶滅するように努力する前提として、責任の所在を明確にするということは、部隊の根本であります。その運営の中心、つまり、部隊の指揮掌握能力を確立するということは、何としましても責任者の明確な一つの方針を貫かなければならぬのであります。従って、まず、指揮する者の責任を明確にして、それが中心となって隊規を厳正にする。ただいま佐世保の問題もお触れになったのでありますが、まず率先して指揮する者の責任を明らかにして、そのもとに厳正な隊規を励行せしめて団結を強化する。同時にまた、信賞必罰を励行いたしまして、部隊の中を明るいものにしていく。それなくしては士気の振作というものはあり得ないのでありまして、そういう線に沿いまして、直ちに航空幕僚長に命じまして、全国の隷下の司令官を会同せしめまして、具体的な対応策を協議せしめて、大体その成案が出まして、目下励行中でございます。さらに、私は、問題の松島基地にみずから参りまして、事件の経過などもよく私なりに調べまして、現地の指揮官並びに末端の隊員に対しまして厳重な反省を求め、また奮起を求めておるのであります。さらにまた、来たる十七日に、陸海空の各部隊の責任者を東京に会同せしめまして、この点私から厳重に方策を指示すると同時に、また、部隊の責任者からも十分に建設的な意見を聞いて、今後不祥事故が発生しないように、絶滅するように、最善の努力をいたしたいというのが私の心がまえでございます。
  58. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 時間がありませんから、あとの問題は簡潔にお尋ねをしたいと思います。  まず第一は、大臣は来月早々アメリカに行くというふうにいわれておるわけですけれども、何の目的で防衛庁長官がアメリカに行こうとするのか、この目的を明らかにしていただきたいと思う。就任して相当たちましたから、日本の防衛問題についても完全に把握をいたしましたし、防衛庁の実態も掌握されておると思いますけれども、どうも若干不安はあるのです。もう少ししっかり勉強されてから行かぬと、向こうに行って御意見拝聴で帰ってくることに終わりはせぬかと、率直に言って私ども不安を持っております。短期間でも、人に負けないように勉強されて、十分にこなしているんだ、のみ込んでいるんだとおっしゃるかもしれませんけれども、ほんとうに行かなくちゃならない理由というものがあるのか、今のところ私ども納得いたしておりません。単なる話し合いなら、安保委員会というものもあるのです。ここで話し合うこともできるはずでありますから、一体何のためにおれは行ってくるんだということについて、国民の納得のいくように一つ所信を表明していただきたい。
  59. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 来月出発します私の渡米は、アメリカの国防長官の公式招待によって参るわけでございます。従って、私から求めて渡米するわけではないのでございます。そういう次第でありますから、私は、アメリカに参るについて、特定の問題をつくり上げて注文するとか、あちらさんの話を聞いてくるとか、そういうことのために渡米するのではなくして、日米共同防衛の精神の上に立ちまして、私は日本の防衛の最高の責任者でございますから、アメリカの国防の最高責任者のマクナマラ氏とじかに会うこと自体が大いに収穫があることであろうと考えております。これは、日米共同で極東の平和なりあるいは世界の平和に寄与せんとわれわれが心得ておりますから、アメリカの国防の最高責任者であるマクナマラ氏に会うということが、じかにはだに触れて、そうして話し合うということだけでも、私は非常に有効なことであろうと考えまするので、それ以外に渡米してどういう注文をするとか、あるいは話を聞いてくるとか、そういうことはございません。両国のそれぞれの国の防衛上の最高の責任にある者が互いに会う。おそらく日本が独立して以来そういう機会がなかったのでございますから、幸いにして、一つ呼ぼうじゃないか、それじゃ行ってやろう、じかに話し合おうじゃないかということが、私の主たる渡米の趣旨でございまして、それ以外に具体的な問題はございません。
  60. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 この間の第二回の安保委員会とか大臣の新聞談話を読みましても、大体この委員会なんというのは儀礼的なものだという談話が出ておったのを見てびっくりしたのです。安保委というのは、できた当時はそういう儀礼的なものとしてつくられておらない。新しい安保条約の第四条に規定されておる随時協議というのは、そういうような儀礼的なものとは説明されておらなかった。そういう肝心な会合でも儀礼的にやっておいて、わざわざアメリカまで行ってどんな話をするのだろうか、実のある話ができるのだろうかという疑問を持つのは当然だと思う。肝心なところで話していないのに、ことさらに行く必要はないじゃないか、そういう気持を持っていることは事実です。  その際防衛局長が一緒に行くということですが、防衛局長はナイキの分担方式などもそういうところで話をするというふうに報道されておりますが、そういう事実があるのか、また、あるとするならば、負担率というのは今どういうような形で話が進められておるのか、その辺を簡単に御説明を聞いておきたいと思います。
  61. 海原治

    ○海原説明員 私は大臣の随員の一人として今回の渡米に随行するように命ぜられております。今先生のおっしゃいました、向こうで防衛分担についての相談をするのかということでございますが、そういうことは考えておりません。ナイキにつきましての日本とアメリカとの分担比率の内容は、従来から東京におきましてMAAGとの間に事務的な折衝が行なわれております。従いまして、これはワシントンで折衝する問題ではないと私は考えております。
  62. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 MAAGとの間でどの程度の話が進んでおるか、七五対二五という要求がアメリカから出ているというふうに報道されておるわけですが、日本側が七五%負担だ、アメリカが二五%、そういう切り出しから始まっているというふうに聞いているのですが、その点間違いございませんか。
  63. 海原治

    ○海原説明員 七五対二五というようなはっきりした数字はまだまとまっておりません。と申しますことは、かつて委員会におきましても御説明申し上げたかと思いますが、ナイキ一個大隊、当初の一個大隊分の装備は無償援助で参ります。その一部のものだけが、ナイキ二個大隊分の装備、ホーク二個大隊分の装備を合わせて、これは有償援助、お互いに経費を分担してやる、相互でもってのいわゆるコスト・シェアリングと申しておりますが、そういう形においてお互いに金を出し合うというようなことを言っております。その中には、たとえば国内におきましてナイキのための一応陣地をつくります費用なんかも入っております。そういうものにつきましては、あくまで見積もりの数字でございますので、一応この程度の数字であればその費用がどの程度のものであるかという、前提付の比率は見ております。それは大体今先生のおっしゃいました七五対二五前後でございます。確定はいたしておりません。
  64. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 ナイキ・アジャックスが予定よりも早く到着いたしまして、こそどろのように運んだわけですが、そのあとホークの装備が予定されておるといわれておるんですけれども、最近の新聞の報道によりますと、ボマークの装備が緊急に話が進んできておるというふうにいわれておるのですが、この事実があるのか。新聞報道によりますと、アメリカ国防総省から防衛庁に対し、ボマークの生産を中止するが、防衛庁はどうミサイル装備をするのかと言って打診してきている、早く態度をきめなければならぬ段階にきているんだ、こういう話ですが、これは事実ですか。
  65. 海原治

    ○海原説明員 アメリカにおきまして、これは担当の会社はボーイングでありますが、ボーイングではボマークの生産を中止するということは、これは事実であります。それに関連いたしまして、現在ボーイングで持っております治具とか工具とかいうものの処分をどうするかということが関係の向きで考えられておるという、これも事実であります。しかし、防衛庁といたしましては、これは二次計画の御説明の際にも申し上げましたように、ボマークをこの期間中に装備する考えはございません。従いまして、先生お話のございましたように、早急にボマークを装備するということにつきましての検討はいたしておりません。
  66. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは、最後に大臣にお伺いしますことは、歴代長官みなそうですか、防衛省への昇格ということに異常の熱意を持っておられるようです。最近の防衛調達弘報によりますと、すでに防衛省に昇格させる構想を固めて川島行政管理庁長官の内諾を得た、こういうふうに報道されておりますが、そういう事実があるのか。大臣は、今度の内閣委員会はひまだから絶好のチャンスだなんて言っているそうですけれども、事実かどうか、内諾を得ているのかどうか。
  67. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 省に昇格の問題は、これは歴代の長官がいろいろ勉強して参っておるようでありますが、私も人後に落ちざる熱意を持って勉強はいたしております。しかし、川島長官から内諾を得たということはございません。私は防衛庁に関係の深い各省の大臣と始終お目にかかっておるのであります。それは話題にはなりましたけれども、今度防衛庁が昇格問題をやるからどうだろうというような話にはならないのでありまして、従来の経過などはちょっと私は参考までに拝承はいたしましたけれども、川島長官に一つどうだろうというような話は持ちかけておりません。全く雑談であります。目下研究をいたしておる最中でございまして、これを簡単に出すというところまでは私はまだ決心はいたしておりません。
  68. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 昨年の十月ごろ、防衛庁の昇格を骨子とする防衛二法の改正要綱が庁議でまとまったという事実はあるのですか。これは官房長ですか。
  69. 加藤陽三

    加藤説明員 その事実はございません。ただ、われわれといたしましては、長官の御命令があればその準備に着手するために、絶えず研究はいたしております。
  70. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは、前にお尋ねしました点、前に回答を得ておらない点を一つだけ伺います。  防衛大学の学生に対してアンケートを求めたところが、日本の自衛隊の悪いところの一つに、文官優位の絶対があるという回答が相当出てきた、そういう事実があるかどうか調べてみろと私言いましたところ、早急に調べてみると言いましたが、これは教育局長でしたか、その点を調べられたかどうか。
  71. 小幡久男

    ○小幡説明員 その点、先国会で御質疑がございまして調べましたところ、そういうアンケートをとった事実はありません。ただ、「小原台」という雑誌に、学生のそういう問題があるということをどこかで聞いたような記事を書いておったことはあったようでありますが、アンケートを実施したということはありません。
  72. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 アンケートを実施したことはないと言うけれども、シビル・コントロールの絶対というのがよろしくないという雰囲気が、何らかの形で防衛大学の学生の気持の中にあるのですか。
  73. 小幡久男

    ○小幡説明員 私の観察し、また聞いた範囲では、具体的にそういう意見は聞いておりません。
  74. 永山忠則

    永山委員長 西村関一君。
  75. 西村関一

    ○西村(関)委員 まず大臣にお伺いいたしますが、石橋委員質問の中にも問題になっておりましたナイキ・アジャックスの問題でありますが、大臣が、去る九月十三日でありますか、日は明確につかんでおりませんけれども、大阪において言明せられました中に、関西にもナイキ大隊を設置するという言明をしておられる。また、自衛隊の伊丹総監部におきましても同じような言明がなされておるのでございます。この点につきまして、ナイキ大隊の設置については国民が重大な関心を抱いておりますときでございますから、どういうお考えでナイキ大隊を関西に設置するのか、また、そのことが防衛庁においてきまっているかどうかということも、この際はっきり当委員会においてお答えを願いたいと思います。
  76. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 ただいまの西村先生の御質問、ちょっと何かとお間違えになっておるのじゃないか、さように思います。と申しますのは、私が防衛庁に参りましてから関西方面に出張したことはないのでございます。伊丹空港にもあるいはまた板付空港にも参ったことはないのでございまして、またそれは別として、私は関西にナイキ・アジャックスを新たに設けるとかそういうことを考えたこともなければ、部下の責任者からそういう話を聞いたこともございません。現在の首都圏を守るナイキ・アジャックスで頭が一ぱいでありまして、よそにこれをつくるなんということは考えたこともなければ、私の部下から聞いたこともなし、また、私が大阪にもどこにも出張したこともありませんから、もとより大阪においてそういうことをお話し申し上げたことはないのでございまして、あしからず御了承願いたいと思います。
  77. 西村関一

    ○西村(関)委員 最高責任者の大臣から御答弁になったのでありますから、私はそれを信用いたしまして、現在そういう考えは毛頭ないという防衛庁の御方針であるということを了承したいと思います。私の伺いましたのは、先般、関西の基地連、軍事基地連盟の代表者が自衛隊の伊丹総監部に参りましていろいろ質問いたしました中に、そういう言明があったのであります。大臣もそういう声明をした。また、自衛隊の伊丹総監部としては、大臣がそう言われるならばそういう方針で臨まざるを得ない、それならば場所は伊丹かというふうに聞きましたところが、場所は伊丹とは考えていない、関西のどこかにおいてナイキ大隊が設置されるという方針である、こういうことを答えておるのであります。この点について、今大臣の御答弁と基地連の代表者に総監部が答えましたものとは、だいぶ食い違っているように思いますしかし、最高の責任者である大臣がそう言われるのでありますから、私はそれを一応了承いたしたいと思いますけれども、その間非常に不可解に思うのでございます。そういうことを伊丹の総監部で言っているということになりますと、これは一体どういうことになるのかというふうに思いますので、重ねてお尋ねをいたしたいと思います。
  78. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 私の現在承知いたしている範囲では、ただいま申し上げた通りであります。ただ、将来の将来にわたって、やはり日本の国土の防空という建前からいろいろ今後議論になるかもしれませんけれども、それは私は現在考えておりません。ただ、将来の問題は、私がいつまでも防衛庁長官をやっているわけでもありませんから、最近は一年間と相場がきまっておりますので、その私がやめた何年後、十年も二十年も後のことをここでお話し申し上げることは非常に無理でございますが、少なくとも私の承知いたしております今日の段階におきましては、ただいま申し上げた通りでございますから、御了承願いたいと思います。
  79. 西村関一

    ○西村(関)委員 一応その大臣の御答弁を信用いたしたいのでありますが、防衛庁としてはやはり計画を持っておられる。今年の計画の中に、あるいは来年の計画の中に、次の計画の中に、関西、阪神地方にナイキ大隊を設置するという計画があるのかないのか。その点、そういうような自衛隊伊丹総監部の代表者に対する答弁もあることでございますから、そういう点について、そういうことが全然ないのにそういう答弁が出るということはないと思います。大臣がそう言っておられるから、それを信用したいのでありますけれども、もう一度その点について、大臣以外の防衛局長から一つお答え願いたいと思います。
  80. 海原治

    ○海原説明員 ただいま御質問になっておりますところの、ナイキ部隊を阪神地方に配置する計画ということにつきましては、実は昨年の国会でございましたか、ナイキの二個大隊についての配置計画につきまして私から御答弁申し上げました中に、第一大隊の分は関東周辺、第二大隊の配置につきましては、阪神地方、北九州ということについて事務的な検討はしているということを御答弁申し上げたことがございます。伊丹総監部におきましては、その約半年から一年前の事務的にいろいろと検討している過程をつかまえまして、阪神地方にナイキがくることがあるかもしれないという建前からの話があったのではないかと私は推測いたします。今日の段階におきましては、先ほど大臣からも明瞭に言われましたように、私ども事務当局の案といたしましても、一応北九州が第二大隊の配置としては適当ではないかという案を持っております。従いまして、大臣が第二大隊分につきましては阪神地方に置く考えはないと言っておられますことは、現在までの私どもの検討の結果とは合っているわけであります。伊丹総監部の考えは、先ほど申し上げましたように、過去においていろいろと検討した過程におきましてこれは事実でございます。阪神地方にナイキ大隊を置くことの可能性の問題またその適否の問題は、私ども制服の方の幕僚監部と絶えずいろいろな案について検討を加えております。その過程から、当時におきましてそういうような談話が出たもの、このように私は考えております。第二大隊の配置につきましては、先ほど申しましたように、まだこれは私ども事務当局の段階での検討案でございます。大臣が将来のことはわからないとおっしゃいましたことは当然でございまして、これも事務的に最終的な検討がありましたならば、長官のところで将来の方針につきましては御決定を願うという運びになっております。従いまして、先ほど大臣のお答えになりました伊丹におきましての総監の談話というものは、そういう経過がございますので、矛盾はしていない、このように御了承願いたいと思います。
  81. 西村関一

    ○西村(関)委員 防衛局長の御答弁によっても明らかでありますように、事務当局としては検討しているというのでありますから、そのことを大臣が御存じないというようなことではやはり困るのじゃないかと思うのです。そういう点はやはりもう少し勉強していただいて、アメリカへでも行かれるというならば、そのくらいのことは頭に入れていっていただかないと、私はやはり食い違いができてくるのじゃないかという心配をいたします。阪神地方には第二大隊は置かないという方針で検討しているという局長の御答弁でありますが、しかし、北九州にはこれを置くという見通しのもとに検討している、次は北九州だ、次は九州だということでありますが、阪神であれ、九州であれ、そういうことが具体的に進められておるということは、われわれとしても重大な関心事でございます。再度大臣の御答弁を伺いたいと思います。
  82. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 先刻来お答え申しておる通りでありまして、まことに勉強が不十分でございます。防衛局長の申した通りでありますが、私は、ここ当分、よそへやろうといっても、われわれの力がなかなか十分ではございません。それは事務的にはあらゆる問題をあらゆる角度から検討させ、また検討するのは当然でございまして、現在は事務的に検討いたしておる段階と御了承賜わりたいのであります。
  83. 西村関一

    ○西村(関)委員 大臣がそう言われるのでありますから、私はこの問題についてはそれ以上追及を現在はいたしません。  次の問題に移りたいと思いますが、北海道浦幌町の十勝太に設置を予定されております十勝太ロランC局について、政府当局の見解を承りたいと思うのであります。  去る九月三日の本委員会におきまして、岡田利春委員から質問がございまして、それぞれ当局の御答弁がありました。しかし、そのときの応答の経過をもう二度振り返ってみましても、まだ十分納得のいかない、了解のつかない面が多々あるのでございます。私は去る九月二十日に現地に参りまして、関係者と会合をし、また、親しく十勝太の設置工事を進めようとしておられるところに参りまして、調査をいたしました。その調査に基づきまして、若干のことをお伺いいたしたいと思います。  まず、岡田委員質問の中においても繰り返し言われておった点でございますが、これが軍事目的を持つところの施設であるか、平和目的を持つところの施設であるかという点でございます。これについては、林説明員も、米軍の航空機、米軍の船舶、こういうものの所在地を確認して航行の安全を期する、そのためにそのロランCを設置するというふうに承知しております。こういう御答弁でございました。つまり、米軍が設置するものであるから、米軍の軍事的な用に供せられるということが主目的である、こういうことを繰り返し岡田委員質問に対してお答えになっておられます。ところが、調達庁の札幌調達局から出しております「十勝太航海用電波燈台について」というパンフレットを見ますと、これはあくまで平和利用のために作られるところの施設だというふうに書いてございます。これは航海用電波灯台であって、一般の航行船舶、飛行機、漁船までも利益を受けるところのものである、これはもう平和利用が主たる目的なんだというような意味のパンフレットが出ておるのでございます。そういう点、確かにこれは受信機さえ備えつけておりますれば、一般の船舶、航空機も利用できるものではございましょうけれども、主たる目的が軍事的な用に供せられるところのものであるということは明らかでございます。そういう点について私の疑問に思いますることは、この札幌調達局から出しておりまするパンフレットを見ましても、ロランAとロランCとは性能が非常に違う。非常に違う性能を持っておるものであって、受信機の設置についても、これを備えつけるためには、現在日本には製造されてない、アメリカにのみ製造されているものであって、アメリカにおいては一台一万ドルからの高価のものであるということが、前回の本委員会における答弁によって明らかになっておるのであります。一台一万ドルからするところの受信機を漁船に備えつけて、この十勝太に設置されようとするところのロランC局からの電波を受けて、平和的な利益を受ける漁船が、その位置を探知し、あるいは天候の険悪なときに安全な航行がされるというようなことになるであろうかどうかということが、一番大きな最初の疑問になってくるのでありますが、この点につきまして、調達庁長官は一体どういうふうに受けとめておいでになるのであるか。おそらくこれが設置につきましては、現行安保条約によって日米合同委員会が開かれて、そこで論議されてきまったことであろうと思うのでありますが、長官のこれについての御見解を承りたいと思います。
  84. 林一夫

    ○林説明員 この北海道の十勝太に設置いたしますロランCは、米軍が米軍のために設置し、米軍が使用する施設でございます。ただ、この施設の設置の目的は、大洋を航行いたしまする船舶あるいは飛行機、これの航行安全をはかるということが目的でございます。そういうような目的のために米軍が設置する施設でございまするが、民間の航空機あるいは船舶におきましても、受信機を備えつけてこれを受信しまして、その航行の安全をはかるということもできるわけでございます。その受信機のことでございますが、私どもの承知しておるところによりますと、現在ロランAという施設がございますが、ロランAの受信機に付属品を設置すれば受信できるということを聞いております。いずれにしましても、受信機を設置すれば、民間の飛行機もあるいは船舶もこれを利用できるということでございます。
  85. 西村関一

    ○西村(関)委員 あなたの部下である札幌調達局長は、今長官が言われたように、Aの受信機を備えつけておる船舶でも、改装すれば優にCの電波を受信することができる、その改装のためには、約三十万円くらいの費用でまかなわれるのだというふうに説明をしておられるのであります。ところが、私が局長に会いましてそのことを聞きましたところ、言葉を濁されまして、私は確かに三十万円くらいで改装されるでしょうと申しましたけれども、はっきり三十万円でできるというような、具体的な数字に基づいて言ったのじゃなくて、三十万円くらいでできるであろうという、私の主観的な想像から申し上げたのでありますというような答弁でございました。これはきわめてあやふやなことである。そういうあやふやなことを言って、あなたが地元の漁民たちその他一般の人たちに対して安心感を与えるということは、間違いじゃないか、もっとはっきりしたデータに基づいて説明をせられなければ、最初から間違っておると最後まで間違ってくるんじゃないかというふうに私は詰問をいたしました。それに対してお答えがなかったのであります。今も長官からそういうお言葉がありましたが、電波監理局長の岡田委員に対する御答弁によりますと、これは日本では現在においてはできないのだ、Cの受信機はアメリカでなければ現在においては生産されてないのだ、しかも一機一万ドルからする高価なものである、将来多量に生産されるならばコストも下がるであろうけれども、現在は一万ドルであるということが言われておるのであります。一体今あなたは、AからCに受信機を改装する場合に、それができるという、はっきりとした技術的な、科学的な根拠に立って、しかも、あなたの部下の局長が言われたような、三十万円そこそこの金で改装ができるというお見通しを、はっきりとしたデータに立ってお考えになっておられるか、お話しになっておられるか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  86. 林一夫

    ○林説明員 ただいま私が、A型受信機に必要な付属品をつけて、ロランCの受信に利用できる、こういうふうに申しましたが、この点につきましては、お説のように、まだこういうものをつくっておりませんので、どのくらいかかるということははっきりわかりませんが、このA型受信機をつくっておりますメーカーがございます。そのメーカーあたりについて聞きますと、そういうことを言っておるのであります。私どもその程度の知識を持っているわけであります。そういうような点について、承知いたしておるわけであります。
  87. 西村関一

    ○西村(関)委員 この札幌調達局のパンフレットを見ましても、今お話になったようなロランAの受信機のことが、非常にたくさん書いてございます。あたかもロランAの受信機を持っておれば、このCの受信も、簡単な改装によって可能であるというような錯覚を与えるような書きぶりを、これをよく見ますとしている。そうじゃないのです。Aは現在利用されていることは事実でありますし、これは海運局においても施設を持っておるのでありますが、しかし、Aについてはそうでありますが、Cについては、まだ今回は日本において初めてのケースである。そういうものについてそう簡単に、Aの受信機を製造しているところのメーカーができるであろうと言ったというような、あやふやな、そういうことを言っておるということだけで、一般関係国民を安心させるというやり方は、私は、行政の府にあられるところの人たちとしては、これは間違いじゃないかと思う。もっとはっきりとしたデータに立って説明をせられなければ、初めから間違っているのですかう、終わりまで間違ってくるという心配が、どこまでもつきまとってくるのであります。そういう点については、これはもう少し根拠のある説明をなさらなければいけないのじゃないかというふうに考えますが、いかがですか。
  88. 林一夫

    ○林説明員 私どもが知り得ている知識は、ただいま申しましたように、A型受信機のメーカー、このメーカーの方々にいろいろ御意見を聞いた結果、これはできるという報告を受けましたので、そのような知識に基づいて、今まで説明を申し上げてきたということでございます。
  89. 西村関一

    ○西村(関)委員 電波監理局長は来ておられますか。
  90. 永山忠則

    永山委員長 見えております。
  91. 西村関一

    ○西村(関)委員 電波監理局長にお伺いいたしますが、先ほど申しましたように、前回の九月三日の本委員会において、岡田委員お答えになりました点について、私が今繰り返して長官にお尋ねをしておるのでございますが、専門家の立場、また電波監理局という電波を監理する立場にあられる立場から、この前お答えになりました通り、日本では生産されていない、そして価格は一万ドルするということでありますが、そういう点について、今国民を代表して心配になる点を申し上げておるのですが、監理局長の方としては、これに対してどういうふうにお考えでございますか。
  92. 西崎太郎

    ○西崎説明員 ロランCの受信機の問題でございますが、前回も申し上げましたように、日本のメーカーでは、現在のところどこもつくっておりません。従ってロランC専用の受信機ということになれば、現在アメリカからどの程度で入手できるかということになるわけでございます。その価格は一万ドル、こういうふうに聞いております。もっとも、これがだんだん普及してくれば、今お話のように、さらに安くなるということが予想されるわけでございます。ただ、先ほど防衛庁の方からお話しされた点、これは補足させていただいた方がいいと思います。と申しますのは、実はロランCとロランAとの相違でございます。これは御承知のように、ロランCの方がロランAに比べまして、有効距離というものが倍くらい延びるわけでございます。それからまた、実際の測定の精度というものが一けたほどよくなる、そういうメリットがロランCにはあるわけでございます。そのロランCの電波を受けまして、ロランA程度の精度のものを得るということで満足するならば、現在のロランAの受信機に多少の付加装置をつけることによって利用できる、こういうわけでございまして、そのためにはそうした経費は要らない。しかし、具体的にそれが幾らでできるかということにつきましては、まだわれわれの方としてははっきりした数字は申し上げかねるのであります。もう一回申し上げますと、その付加装置を、今のロランAにつけるということは、それによってロランCの性能というものを十分発揮させるということではなくて、ロランA程度の精度のものは改造することによって得られる、こういう意味でございます。
  93. 西村関一

    ○西村(関)委員 そういたしますと、何も多額の費用を使って、ロランCを平和目的だけの利用のために設置するならば必要がない。ただ、米軍がたまたまつくるんだから、これをロランA程度の利用のために、航行船舶、飛行機が利用するためには、若干の改装程度でロランA程度の受信能力を利用するのならばできるであろう、こういう御答弁のようでありますが、そういうことであるならば、この十勝太に設置されようとしておりますところのCの恩恵を受けるであろうところの航行船舶、飛行機が、必ずしもそれだけの改装をしてまでこれを利用する価値がどこにあるかという問題が、一つ出てくると思うのでございます。それともう一つは、これが航行船舶や飛行機の位置を知らせるための電波を送るいわゆる電波灯台のようなものだということでありますならば、そしてそれが必要であるといたしますならば、米軍につくってもらわなくても、やはり日本政府の責任において、そういうものが必要であればつくったらいいと思うのです。米軍がつくるということは、米軍のための軍事施設であるということが第一義的な目的であるということは、これはもう明らかなんです。これは、林説明員もそのことは前回も述べておられるところでございます。そこで、たまたまそれが、今電波監理局長のお話のように、若干の改装をすれば、Cではあるけれども、A程度の受信能力を備えつけることができるんだということであるのでございますが、しかし、問題は、何のために米軍が多額の金を使ってここにC電波塔をつくるかというところに、われわれは大きな疑問を持つのであります。単なるどの国の船舶、飛行機であれ利用されるところのものであるから、戦争のために使われる心配は大してないんだというようなお考えであるかのごとく伺いますけれども、そういうことではどうも国民を納得させることができないのじゃないかというふうに思うのであります。  そこで、電波監理局長にお伺いいたしますが、このC電波塔から発せられますところの電波が、一般のラジオとかあるいはテレビとかいうようなものに対してどういう影響を持つか。この間の三日の本委員会における御答弁では、専門委員を派遣して調査したところが、大した影響はないというような御答弁でございましたが、その点はあらためてそのように認識をしてよろしゅうございますか。
  94. 西崎太郎

    ○西崎説明員 前回答弁いたしました通りでございます。
  95. 西村関一

    ○西村(関)委員 このC電波塔から発せられますところの電波が、短波の電磁石やレーダーの機能に目つぶしを食わせるというような働きをするという心配はございませんですか。
  96. 西崎太郎

    ○西崎説明員 使用いたします周波数が違いますので、そういうおそれはないと思います。
  97. 西村関一

    ○西村(関)委員 そういう心配はないということでございますが、この到達し得る距離内にあるところの船舶、航空機がみずからの位置を確認するということになりますと、もちろん水中にあるところの潜水艦もこれを利用することができるといわなければならぬと思うのでございますが、私どもの心配いたしておりますのは、ポラリス原子力潜水艦がみずからの位置を確認するということのために、これが利用されるということはあり得るとお考えになりますか。
  98. 西崎太郎

    ○西崎説明員 はなはだ申しわけありませんが、われわれとしましては、そういう資料を持ち合わせておりませんので、今先生がおっしゃいましたように、海洋を航行しておる船舶、空中の航空機、こういうものは十分利用できると思いますが、潜航中の船舶まで利用できるかどうかということにつきましては、何ともお答えいたしかねますので、御了承願います。
  99. 西村関一

    ○西村(関)委員 かりに三十メートルほど海面から沈んでおるという場合、それだけの水中を電波が通らないというような想定ができますか。
  100. 西崎太郎

    ○西崎説明員 問題は、どの程度の電界強度が海中の中で得られるかという、その程度の問題にかかってくるわけでございます。そういうわけで、具体的な御答弁をいたしかねると思います。御了承願います。
  101. 西村関一

    ○西村(関)委員 今具体的な答弁ができないということであればいたし方がございませんが、その点やはり一番国民が心配しているところだと思います。アメリカの高度の軍事戦略体制の用に供せられるのではないかということで心配をいたしております。その点、電波の波数が違うから、電磁石やレーダーに対する影響はないということで、これは明らかになりましたが、もう一つは、潜航中の船舶、潜水艦に対して作用をするかしないかということについては明確になっておりません。この点が一番国民の心配いたしておるところでございますから、その点について今はっきりお答えができないということでありますならば、後ほど本委員会に文書をもってお答えを願いたいと思います。  次に、調達庁は、政府の方針に従って十勝太ロランC局を設置するにあたって、地元の関係住民といろいろ話し合いをなさいました。その中でどうも納得の参りませんのは、今私の申しましたようなAとCとをごっちゃにして、地元の住民にこういう利益があるのだというような説明をせられた点が一点でございますが、第二点は、いろいろな利益を供与する、地元の要求しているところのいろいろな利益をこれに協力するということと引きかえに提供するということを約束しておられるのであります。その中では、いまだに十勝太は電灯もない無灯地区でありますが、電灯もつけるとか、道路もつけるとか、あるいは水道もつけるとかいうような、いろいろな条件を出しておられるのでございますが、その中で一番問題になりますのは、漁民の一番要求をいたしておりますところの漁船を入れる船入澗、これをつくるということについても、地元は重大な関心を持っておる。これは札幌調達局長に聞きますと、この十三カ条の中の船入澗をつくるということについては、はっきり約束をいたしておりません。つくる努力をいたしますということでございますが、私の聞きましたところによりますと、地元は、もうこの一点さえできるならば――電灯がつくとか水道ができるとかいうことは、二年ほど前から運動していることであって、おそかれ早かれこれは道の行政の面において解決する問題である、このロランC局設置に対して地元が協力するならば、何としてもこの船入澗を作ってもらいたい、このことは地元漁民の切なる願いであります。そうでないというと、十勝川にシシャモ等が上がってくる率が非常に少なくなって、ほとんど漁民は生活に脅かされておる。この船入澗さえ作ってもらうならば、沖の方へ出て漁をすることができるような船も持つことができる、だから、どうしてもこれを作ってもらいたい、そのためには頭の三つや四つなぐられてもかまいません、こういう言い方をいたしております。ところが、札幌調達局長は、これはどうも自分としては努力をすると言ったんで、はっきり作りますというお約束はいたしておりませんと言う。どういう努力をしたかといいますと、ほとんど何らの努力をしておられないのが現状であります。こういう点に対して調達庁の長官はどういうふうに責任をおとりになるお考えですか。
  102. 林一夫

    ○林説明員 おっしゃる通り、地元の町議会からは十三項目にわたる要望が出ておるのであります。その中のおもなるものは、ただいまお話の中にありましたように、飲料水の施設の整備とか、あるいは電化されていない部落の電化というようなこと、あるいは町道の整備というようなことがございます。それにただいまの簡易船だまり設置というようなことでございます。この四つのうち、前三つにつきましては、現在関係省と協議しまして、これは実現することになる。この簡易船だまりにつきましては、ただいま申し上げましたような項目と違いまして、なかなかむずかしいことでございますので、お約束するときに、まあこの問題は当庁限りで引き受けるわけには参らないから、関係各省と十分協議して実現に努力いたしましょうというお約束をしておったわけでございます。そういうようなこともございますので、現在関係機関と協議しまして検討いたしております。そういうような事情でございます。
  103. 西村関一

    ○西村(関)委員 どうもいつまで関係機関と協議し、調査をするのですか。この一点ができるかできぬかということによって、地元民の生活の死命を制するような問題ができるかできないかということにかかっているのであります。もうこのためには、たといアメリカが来ても、どういうむずかしいものか知らぬけれども、そんなことは言っておられぬ、あすの日から食えないんだから、この船入澗ですか、これさえ作ってもらえるならば、もうあとのことはしようがない、そういうような表情であります。これは、私は現に十勝太の漁民に会っていろいろ聞いてみた。頭の三つや四つなぐられてもしんぼうします。これさえ作ってくれるならば、という言い方をしているのであります。ところが、いつまで調査、協議をしておられるのですか。はたしてできるという見通しがおありなんですか。もしできないということになるならば、これはもう大へんなことになるというふうに私は心配をいたします。現地へ参りまして、実際に漁民に会って聞いてみましたその感覚から申しますと、これがもしできないということになりますならば、これは非常に大きな問題になると思うのであります。私の調べたところによると、道庁の漁港計画の百何十のその中には入っておりません。また、そういう話し合いをなさったということも聞いておりません。それは、こういう問題が出ましたから、道の漁港の係の係長くらいがちょっと来て調査をしたというくらいのことはあったようでございますけれども、これの実現のためにどうしてもこれを作ろうという熱意が調達庁の方において見られないというのは、非常に遺憾であります。どういう方針でおいでになりますか。
  104. 林一夫

    ○林説明員 先ほど申し上げましたように、関係機関と協議しまして検討いたしておるのであります。私どもとしましては、これが実現できるように努力するということで、はっきりお約束をいたしておりますので、何とか実現まで持っていくように現在努力をいたしております。水産庁あるいは北海道庁あたりとも協議いたしております。もちろん、こういうような施設をつくるにつきましては、いろいろ調査も必要なんでございます。そういうような調査を早く始めてもらうように現在話を進めております。
  105. 西村関一

    ○西村(関)委員 どうもこういう米軍の施設をつくる場合においては、地元民に利益を供与するということを、言葉は悪いですが、えさにして、地元民に協力させるということが間々あるのです。例の新島の試射場の問題にいたしましても、新島の島民が最も切実に要求いたしておりますところの船着場などをつくるということで、一部納得さした。ところが、今なお船着場はできていないという現状であります。それから、十勝太のお隣の上何とかというところにも十年ほど前から船入澗をつくっているのですが、いまだにできない。つくるということになっているが、できないということも聞きました。こういうようなことで、できもしないことをあたかもできるかのごとき錯覚を与えて、そうして非常に純朴な地元の漁民たちを、言葉は悪いが、だまして、そうして協力に持っていくというやり方は、私はいけないと思うのです。できることはできる、できないことはできないと言うべきだ。できるように努力します。少なくとも政府の責任ある立場にある人が努力をしてくれるならば、必ずできるというふうに思うのは、私は当然だと思う。どうですか、これは責任を持ってやるという決意を持っておられますか。
  106. 林一夫

    ○林説明員 この問題につきましては、実現できるように努力するというお約束をいたしているわけであります。そのお約束に従いまして、ぜひ実現するように現在努力をいたしております。
  107. 島本虎三

    島本委員 関連。ただいまの十勝太のロランCの設置の問題に対する条件、長官から今のような努力目標だけは示された。今私は関連に立ったのだが、そういうように努力してできるような問題であるならば、私はあえてここで言う必要はないと思う。長官、よく考えてみて下さい。あなたの方と米軍と両方で所管している駐留軍のいろいろな問題で、あなたも社会労働委員長から直接注意を受けている事項に対しても、努力すると言うだけで、まだでき上がっておらないという事態が現在あるでしょう。就業規則の問題、労働協約の問題、こういうようなものはちゃんと委員長からの注意も受けて、努力します一辺倒で今まで通ってきた。今の問題とはまた別に、あらためてこの内閣委員会で、十勝太の漁港の船入澗の設置の問題で、これは努力を約束されたようです。私が今ここで関連質問に立ったのは、あなたがそのようなことを言って、できなければ、はたしてこれが知事の責任になるのか、国の責任になるのか、長官の責任になるのかということなんです。私の考えとしては、電灯の問題と水道の問題、この問題については、現町村知事が四年前に当選するときの公約だった。そうして、電灯もつけてやりましょう、水道もつけてやる、そうして日の当たらない谷間をなくする、こういうように言っていた。それをいつの間にか、今度の米軍のロランCの場合に、あなたが取ってかわって、公約の実践を促進してやるような結果になった。こうなりますと、もしできなければ、知事は、私の責任の公約ではありませんと、全部あなたの責任に転嫁してしまって、もう林長官がいいと言った、これは国が責任を持ってやるから、防衛庁長官が責任を持ってやることになったので、私の責任でないということで、知事にのがれられないかどうか。それでも努力いたしますか。こういうような事態も全部御存じだったんですか。今言ったように、今までやろうとしてできないことに対しても、これはやはり期待している向きが多いのです。方々にそういうようなことばっかりやられたら、あなたたちは何も知らないかもしれないが、間接的に現在の知事公約不履行に対しての責任を皆さんが負っているような結果になっているのです。これは大事だと思うのです。これは一体どうなのですか。
  108. 林一夫

    ○林説明員 知事公約云々については全然存じておりません。私どもは、先ほど申し上げましたように、地元の議会から十三項目にわたる要望がございました。その中で四つの項目が非常に大事でございまして、そのうちの三つ、これは簡易水道の布設とか、部落の電化とか、あるいは町道の整備というものは見通しがついたので、これは実施するようにいたしましょうということで、はっきりお約束をしたのです。この船入澗につきましては、この事項につきましては事大きな問題でございまして、関係各省もこれあり、十分関係省と協議して実現できるように努力しましょうというお約束をしたわけなのです。全部努力々々でほおかむりしておるというわけではございません。その四項目のうちで三つだけは近く実施するようにいたします。ただ、この船入澗につきましては、そういうような事情もありまして、現在関係機関と協議いたしまして、何とか実現に持っていくように努力いたしておるというような次第でございます。
  109. 島本虎三

    島本委員 これができなければ、これは防衛庁長官の責任であるということに了解してよろしゅうございますか。
  110. 林一夫

    ○林説明員 これは調達庁長官が責任をもってお約束をしたことでございますので、調達庁長官一つ責任をもって努力するということでございます。
  111. 島本虎三

    島本委員 努力じゃない、設置ですよ。今度の機構改革で、現在いるものは全部防衛庁の中に入って、そのうちの一つの部課になってしまうような場合には、あなたが約束したことは、事務引き継ぎによって長官の方へいっているはずなんだ。そうだとすると、あなたが実現すると約束した以上、できなければ防衛庁長官の責任である、こういうふうに自動的に解されるのではないか。こういうところは私はまことに重大だと思う。そして、今あなたがそのように事実やれるように目安がついたと言う、いわゆる電灯の問題、水道の問題、道路の問題もございましょうが、これは知事の公約であった。そうすると、それをあんたがかわって実現してやる。国の機関がこのような知事のやるようなやり方を促進し、こういうようなものに対して大いに便宜を供与した、こういうようなことになる。そうだといたしますと、これも現在の調達庁のあり方、自衛隊のあり方に対して、国民は疑義をはさむようなことになりはしないかとおそれる。もしできなければ、これは長官が、船入澗の場合には問題じゃないかと思うのです。長官のこれに対するはっきりした御意見がございましたら、この際承っておきたいと思います。
  112. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 防衛庁長官の責任において、調達庁長官が地元にお約束したことを実行させるように鞭撻督励いたします。そうして実現を期するように最善の努力を私の責任において行ないます。
  113. 西村関一

    ○西村(関)委員 時間が参りましたから、私はまだいろいろ質問したいことが一ぱいあるのでございますが、今の船入澗の問題は地元が非常に関心を持っているのです。あの十勝太の素朴な漁民たちがこの一点にかけていると言ってもいいくらいなのです。これをだますような結果に――だます意思はなくても、だますような結果になったならば、大きな社会問題が私は起こると思うのです。その点をただいま志賀長官は責任をもってやるというふうに言われましたが、努力する、努力するじゃいけません。どうしてもやってもらわなければ困るのであります。そういう点についてまだ明確なお答えを私は得ておりませんので、この一点につきましては質問を後日に保留いたしたいと思います。  最後に、一点だけお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。今警察庁長官がお見えになっておられないで、警備第二課長がお見えになっておると思いますが、今までお伺いいたしておりまする十勝太のロランC電波塔の設置をめぐりまして、一応の行政手続を終えて、これの工事が業者に移されたという段階において、業者は工事を進めようとする、これに対して幾多の疑問を持っているところの地元の道民の人たちを中心として、全国民がこの十勝太ロランC電波塔をつくってもらっては困るということで、反対運動の反対共闘組織ができて、そこで工事をやろうとする側と工事を阻止しようとする側との間に衝突が起こったということも、御承知の通りだと思います。これは現在冬季期間中は工事をやらないということで、一応ピケ隊もピケを解いたようでございますが、しかし、問題は解決したのではございません。将来に残っているのでございます。私が参りましていろいろ調査をいたしました結果、警察はやはり中立の立場を守らなければならないということは、これは今さら私が申すまでもないことであります。反対運動が起こっているのは、起こるべき理由があって起こっているのでございます。もちろん、これは道交法でありますとか、その他業務執行に関して、これを妨害する者を排除するというような法の立場に立って、警察が行動なさるということであろうと思うのでございますが、しかし、反対運動がただ反対のための反対ではない、理由があって反対運動が起こっているのでありますから、やはりその法を執行する場合においても十分な配慮がなければならないと思うのであります。話し合いをしようと言っておるところのピケ隊の隊長を社会党の宣伝カーの上から引きずりおろす、そうして手錠をはめて検挙するというようなことは、私は、少し行き過ぎではないか、やはり一応の話し合いをすべきではないかと思うのであります。この点はいろいろそれぞれの立場に立って見解の相違もあろうと思いますけれども、この種の問題についてトラブルが起こる場合に、警察が中立の立場を逸脱するような傾向が私は間々あると思うのでございます。この問題につきましても、私の聴取いたしましたところによりますと、相当な行き過ぎが警察にあったというふうに考えられるのであります。しかし、その点についてあくまで警察は中立の立場を堅持して、法を執行するために、法を守っていくために行動するのだとお答えになるだろうと思いますが、こういうことがあった。工事をするために資材を搬入するトラックが現地へどんどん入っていく、そうすると、十勝太の住民は、今までそんな車なんか通らなかったのに、どんどん車が入ってくる。子供たちが道ばたで今までは平和に遊んでおった。ところが、もう子供も遊ぶことができないので、親たちは非常に神経を使わなければならない。幸いにして子供の被害はなかったけれども、鶏がやはりひき殺されたというので、十勝太の住民の人が警察の方に電話をかけて、どうかスピードをゆるめてもらえぬでしょうか、鹿島建設のトラックが村の中を通るときはスピードを落とすように一つ警察から話してもらえぬでしょうかとお願いをいたしましたところが、その派出所の巡査部長は、一々土建屋の自動車に乗っていられるか、警察はそんなことはやっておられぬ、そういうことを言うやつは反対派のやつだろう、こう言ってきめつけた、こういうことを私に訴えております。私は、そういうことはやはり警察の民主化を考えておられる長官の趣旨に反すると思う。やはりそういう事態があれば、そういうこまかいことまで配慮して、そうか、それではスピードを落とすように一つ話し合いをしてやろうと言って納得させるのが、私は警察のとるべき態度ではないかと思うのであります。にもかかわらず、そんなことを言うやつは反対派のやつだろうといってきめつける。こういうことは、反対してない者でも反対派に追いやってしまう結果になるのじゃないかと思います。こういう点に対して、部下の指導に当たられるところの長官の立場に立って、警備第二課長のこういう問題に対する御見解を承っておきたいと思います。
  114. 土田国保

    ○土田説明員 今回の十勝太付近におきますところのロランC設置に伴いまして、土建会社が下請をいたしましてトラックの輸送をいたします。それに対しまして全道労協傘下の組合、その他若干の人員が現地の三叉路におきまして、これに対しピケを張ったという事案でございます。ただいま先生のおっしゃいましたように、警察といたしましては、あくまでも中立の立場に立ちまして、不法事案の発生の予防とその処理に対して慎重に進めて参ったつもりでございます。お話しの事件は、九月十八日に起こったことかと存じますが、その前にすでに数回にわたりまして、現地で約三百人前後のピケ隊が連日トラックの輸送を実力で阻止いたしました。その際も警告をいたしまして、最後にはやむを得ず実力行使の結果、道を開いて車を中へ入れるというような措置をとって通しておったわけであります。ただ、この十八日におきましては、その前にございましたピケといささか様相を異にしておるように現地からの報告がきておるのでございまして、具体的に申し上げますと、三叉路から後方の約七十メートルくらいの地点の小川の橋のほとりに三百名あまりが集団を組みまして、どうしても通さない、来るならきてみろというような態度で、地元の池田警察署長の警告にも全然耳をかそうとしなかったという事案であるようであります。そのため、従来のピケによる阻止とはやや違った悪質性が見られ、刑法二百三十四条にあります業務妨害あるいは道交法七十六条違反という事態が、眼前にはっきり出てきた次第でございます。こうなりますと、警察としては当然これに対し検挙をもって臨まざるを得ないということになりますので、八名を検挙した次第でございますが、おそらくその一名のことをさしておっしゃったのではないか、かように思っておりますが、まあ警察としてはやむを得ないことと存じております。  なお、次の鶏云々の問題でございますが、実は現地から具体的な報告に接しておりませんので、この事実そのものについてはお答えできないのでございますが、先生のおっしゃるような言動があったといたしますれば、これははなはだ遺憾なことだ、かように存じております。
  115. 永山忠則

  116. 淡谷悠藏

    淡谷委員 防衛庁長官にお尋ねしたいのですが、九月三日のこの委員会の大分県の日出生台の問題でありますが、米軍がこの演習場を使用することにつきまして、地元が大へん反対しておるようだが、どうなったかということに対して、長官は、決して押しつけるんじゃない、地元の了解を得てからやるんだとお答えになっていましたが、あの当時は演習場使用を日本側が許すことが決定されておったのですか、されていなかったのですか。
  117. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 調達庁長官から答弁させます。
  118. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはぜひ長官にお願いしたい、長官の答弁なのですから。ここにあなたの答弁がありますよ。長官に念を押しておきたいのです。
  119. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 もう一度お聞かせ願いたい。
  120. 淡谷悠藏

    淡谷委員 九月三日にこの委員会で、あなたは、日出生台の自衛隊の演習場を米軍の演習のために使用させることは、地元の事情も十分考えて押しつけない、こういう答弁をしておる。あの当時はこの演習場を米軍に使わせることに決定しておったかおらなかったかという問題です。
  121. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 日出生台の演習地の問題につきましては、かねて米軍の方から希望がございまして、いろいろ検討いたしたのでありますが、その結果、提供することの必要性を認めて、地元に協力方を要請いたした次第であります。
  122. 淡谷悠藏

    淡谷委員 長官、最近国民は、防衛庁の長官はロボットであると考えるのであります。さっきも伺っていますと、係官が知っておることを長官が知っていない。まるで防衛庁の長官も何か防衛庁のシンボルに変わったような気持を持っておる。しかし、これはあくまでも防衛の根本の大事な問題でありますし、また、憲法の関係もありますから、長官は大臣としての権利と義務で、責任のある答弁をしなければならない。国会において一ぺんなされたあなたの答弁が信頼できないものであれば、長官としての責任は果たせません。あなたは何と言ったか知っておるでしょう。読みましょうか。「地元の円満な了解、納得を得ることが必要でございますので、知事さんを通じていろいろ米軍の希望その他を申し上げまして、目下折衝いたしておる最中でございまして、」これはあなたの答弁です。「頭から強圧的にこれを押しつけるというような考えは毛頭持っておりません」だから、このときにすでに、あなたは何としてもこれは扱わなければならないという気持をお持ちであったかどうか、その点どうです。
  123. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 ただいまの私の九月三日の委員会における答弁の通りであります。私は、当時米軍の方から使用方の要請がありましたので、地元の納得を得なければとうてい実現はできないのでありますから、要請に基づいて地元の知事を初め関係方面に折衝いたしておったのであります。そのことを前回において答弁いたしたのであります。
  124. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私は長官のその態度は正しいと思う。ところが、現地では、知事は、安保条約があって、これは地元が幾ら反対しても強制的にやられるんだから仕方がないと言っておる。一体木下知事とあなたはお会いになりましたか。
  125. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 私が長官に就任して間もないころにお目にかかっております。
  126. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そのとき、あなたはこの日出生台の演習場を使うことについて、知事にどうしても安保条約の至上命令で承知しなければならないんだということを強く申されましたか。
  127. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 私は、安保条約の精神に基づいて米軍から使用の要請がありましたので、その必要性を認めて、使用せしめる腹づもりで地元との折衝をいたしておったのでありまして、そういう意味合いのことは、当時大分県の知事に話したと思います。
  128. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたは、前任の長官から日出生台の演習場について引き継ぎを受けておりますか。
  129. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 事務は引き継いでおります。
  130. 淡谷悠藏

    淡谷委員 何月から一体要請があったのですか。
  131. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 これは前長官以来の経過がございまして、私の不明な点もございましょうから、明確を期する意味において、調達庁長官から答弁させます。
  132. 淡谷悠藏

    淡谷委員 わかっているけれども、あなたがわかっていないから、聞いているのですよ。実際最近見ますと、調達庁や防衛庁あたりが万事やってしまって、長官をたな上げにしておる、道具に使っておるから、私は言うのですよ。あなたは長官として、やっぱりそういう間違いをはっきりきちっときめておく必要がある。でたらめです。実際あそこの使い方は。第一、安保条約のどの条項によって、これは使われなければならないという規定が出てくるのですか、長官にお伺いします。防衛庁長官、僕はあなたの認識をお聞きしているのですよ。
  133. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 安保条約第六条の精神に基づいて使用させるということであります。
  134. 淡谷悠藏

    淡谷委員 第六条のどこですか。長いですから……。
  135. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 第六条「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」この条文に基づいて使用させることにしたわけであります。
  136. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは許されるのでしょう、アメリカの方は。使用を許すのは日本側でしょう。そうじゃないですか。アメリカが要請した場合に、これを許すか許さぬかは、あくまでも日本側の政府の責任であり、また態度によってきまるのでしょう。そうじゃないですか。
  137. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 第六条の精神は、私は義務でもあると心得ておるのであります。従って、協議いたしました結果、使用させることにいたしたのであります。
  138. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは義務でもあるというならば、どこをどういうふうに要求されても提供する義務があると長官はお認めになるか、日本側は拒むことはできない、こうお考えですか。
  139. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 この点は私は明確じゃありませんから、調達庁長官に……。
  140. 淡谷悠藏

    淡谷委員 調達庁長官、あなたには別に聞きます。長官は安保条約をどの程度了解されて――地元はやはり防衛庁の長官が一番えらいと思っているのですから、あなたの言ったことを信じているんだ。それがあなたがよくわかりもしないくせに勝手な放言をされたのでは困る。というのは、あなたは政務次官を派遣したのでしょう。生田さんを派遣したのでしょう。長官がはっきりわからないものを生田君なんかわかるはずがない。それがさもわかったように、現地に行ってやはり安保条約を振りかざしている。長官の許されるということは、どのような条件でどのような要求をされても許さなければならないという至上命令に基づくものと思っているかどうか、あなたの見解を聞きたいのです。
  141. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 第六条に基づいて米軍の方で申し出があった場合、必要性があれば、また妥当性があれば、私の方でこれに応ずる、かように心得ておるわけであります。従って、そういう意味で日出生台を使用させることに決定した次第であります。
  142. 淡谷悠藏

    淡谷委員 生田政務次官が向こうで言っているのは、あの当時大臣が九月三日の内閣委員会で答えたのは、すでに腹はきまっておったけれども、言葉をやわらかくするために答弁したのだ、こう言っていますが、あなたはそのようなことを言ってやったのですか。ああいうふうに答弁したのだけれども、おれの腹はきまっておったんだ、何としてもやってこい、こういう態度ですか、それとも政務次官が勝手に言ったのですか。
  143. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 私は当時から、これは使用させなければならぬ問題であると判断をいたして、地元との折衝を開始いたしておったわけであります。従って、そういう筋合いをもって政務次官を派遣いたしておるのであります。
  144. 淡谷悠藏

    淡谷委員 地元の態度はどうでした。あなたの要求に対して地元は非常に喜んで応じましたか。
  145. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 地元とはその後多少の経緯があったのでございまするが、最近ではある一部を除いて円満に妥結をいたしておる次第であります。
  146. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その一部とはどこですか。
  147. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 これは大分県のある地点の漁業問題、補償問題に関する点が残されておる問題でございます。
  148. 淡谷悠藏

    淡谷委員 中須という部落はどうです。この反対はどうです。
  149. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 その点は一つ……。
  150. 林一夫

    ○林説明員 お説のように、中須部落というのがありまして、そこには従来被害を与えておったわけなんです。それで、これは米軍演習時代でございますが、今度米軍がこれを共同使用する場合においては、この部落の移転なりその他の補償をしてもらいたいという地元の要望がございました。そういう点は一つ検討する、こういうことで意見調整ははかったわけであります。
  151. 淡谷悠藏

    淡谷委員 中須部落という、大体被害を受けております自衛隊の射撃ですが、あの方は射程どれくらいあるところです。
  152. 林一夫

    ○林説明員 自衛隊が現在行なっておりまする当初の射程は約七千メートル、こういうふうに聞いております。
  153. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは防衛局長お答え願いたいのですが、七千メートルの射程は一ぱいじゃないでしょう。大砲の能力はもっといくでしょう。
  154. 海原治

    ○海原説明員 大砲の射程はいろいろとございます。いわゆる有効射程というのがございますし、それから一番遠くまで届く射程もございます。それから今の七千というのは、約六、七割程度のものと考えております。
  155. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その大砲の方向のまっすぐの部落に中須があるのでしょう。この中須部落がまっすぐにあって、流れだまによる被害がずいぶんある。その補償もなされていない。自衛隊の演習を始めてから一つも補償はやっていないでしょう。しかもまっすぐにいくその方向にあるのですから、この間は、木下知事を引っぱっていって、その方向を変えたでしょう。どうです。方向を変えませんか。
  156. 上田克郎

    ○上田説明員 自衛隊になりましてからは、発生した件数は少ないように聞いておりますが、それにつきましては、防衛庁の自衛隊が撃ちました場合はほとんど被害はないように聞いておりますが、ありましたものにつきましては補償いたしております。
  157. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どこへ補償したのか知りませんが、実際被害を受けたものは補償を受けておりませんよ。調べてごらんなさい。それからそのまっすぐのとろにあることは事実なんでしょう。砲撃の方向を変えたことも知っておるでしょう。知りませんか。私が行った日なんだから、木下知事を引っぱっていって、あぶないというなら方向を変えますといって変えたんでしょう。
  158. 上田克郎

    ○上田説明員 私の報告を受けておりますところでは、方向を変えてくれという現地の強い要望がございまして、われわれも変えるようにというつもりで、いろいろ技術的に検討してもらいました。若干変えたように聞いておりますが、主方向はそれほど変っていないように聞いております。
  159. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは長官にじっくり御認識を願いたい。間違えば落ちるたまなんですね。そうして米軍の場合はしばしばどころじゃない、ひんぱんなんです。自衛隊の場合もしばしばやはり流れだまが行っておる。そのまっすぐの方向にある村ですから、これはとても破れたネットのネット裏で野球を見物するくらいのものじゃないですよ、たまが当たるのですから。そのために方向を変えてもらった。変えたことは事実なんです。変えたことすら、あなたはまだ地元の事情をキャッチしていないんじゃないですか。変えたのは、生田政務次官が行った前ですよ。報告を受けておりませんか。これはどうです。
  160. 上田克郎

    ○上田説明員 先ほど若干変えたと申し上げましたことに少し追加したいのであります。若干ふれましたと同時に、弾着地を五百メートルほど小さくいたしまして、危害をできるだけないようにするという方向にいたしております。長官にはまだその報告は私はいたしておりません。
  161. 淡谷悠藏

    淡谷委員 変えたのは、実際はあぶないからなんでしょう。あぶないと思ったら、即時変えればいいんじゃないですか。変えてからまた撃っているでしょう。中須の部落民が、男も女もみんな行って着弾地にすわり込んだじゃないですか。そのときに何と言ったか。十月一日からときまったのだから、それまでは撃つなと言っている。あぶないと思ったら、すぐ変えたらいいじゃないですか。わからなかったら、ここに新聞があるから、新聞を調べてごらんなさい。写真まで出ている。地元の事情はよくわかりましたからこれでやるのだなんという考え方が、第一間違っている。  調達庁の長官に聞きますが、一体この演習場は、もとは軍の演習場でしょう。米軍の場合は、これは占領でとられたようなものでしょう。それがいろいろな損害を与えている。強姦もありますよ。傷害もありますよ。ろくにこれが補償されていなかった。そのために、あぶれてきた法律で、今あなた方が追っかけて補償しているのでしょう。この米軍の演習地がいつの間にか自衛隊の演習地に変わった動機を伺いたい。どんなふうな手続で、どんなふうな協約で自衛隊が使うようになったか、それを一つ伺いたい。
  162. 林一夫

    ○林説明員 お説の通り、この演習場は米軍の演習場でございます。それを三十三年におきまして合同委員会を通じて米軍にこれの返還を申し出、返還をいたしたわけであります。その後自衛隊がこの演習場を使用しております。
  163. 淡谷悠藏

    淡谷委員 おかしいですね。日米合同委員会でアメリカが返したのでしょう。この土地は一体どこの管理、どこの所管になりますか。
  164. 上田克郎

    ○上田説明員 現在は防衛庁の行政財産になっております。
  165. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そんなことはわかっておる。一体日米合同委員会で米軍が返した場合、どこの所管になったかと私は言っている。防衛庁の所管は、この騒ぎがあってから、ついこの間変わったばかりでしょう。
  166. 上田克郎

    ○上田説明員 返還されて防衛庁の行政財産になる前は、大蔵省の所管になっております。
  167. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その大蔵省と防衛庁とはどういう形で折衝されましたか。
  168. 上田克郎

    ○上田説明員 大蔵省に国有財産法に基づく使用承認をとって、使用いたしております。
  169. 淡谷悠藏

    淡谷委員 地元との契約はどうされましたか。あの中にはまだ開拓地もあったはずです。うちも建っていたはずです。まぐさを刈る権利も、入会権もあったはずです。こういうふうな数数の民間の権利は一体どう処理されたか。
  170. 上田克郎

    ○上田説明員 詳しく申し上げますと、昭和三十一年の十二月に覚書を作りまして、演習場を使用さしてもらっておったわけでありますが、ことしの三月になりまして、それを改めてまた新しい協定になったのであります。
  171. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ことしの三月はまだ早い。三十一年の十二月の内容を見たい。
  172. 上田克郎

    ○上田説明員 申しわけございませんが、今手元にございません。
  173. 淡谷悠藏

    淡谷委員 即刻お取り寄せを願います。これが大事なことなんです。なぜならば、ことしの三月に新しい協約を結んでおいて、これが防衛庁の所管になったら発効するというのでしょう。いいですか。前の覚書いかんによっては、あなた方は不当使用ですよ。米軍の演習地使用は一年ごとに更新している。当然防衛庁も一年ごとに更新すべきが、財政法の上からいっても当然のはずである。それをことしの三月にやっておいて、この覚書は九月に発効するならば、間は何で使用したのですか。不当使用じゃないですか。だから、前の覚書が、これはもう予算の規定や財政法の規定に何も従わないで、ずるずると使っていたということになれば、前からの不当使用ですよ。しかも、そういうやり方をやっておって、米軍が来た場合には、防衛庁でやっておるやり方をそのまま踏襲するというのです。紛争が起こるのは当然じゃありませんか。あなた方が紛争を起こしている。紛争を起こしておいて、これに対して反対するのをふん縛る。これでは国民を敵とする自衛隊です。  私は前の協定書がなければ質問を続けられませんから、きょうはこれで保留しておきますが、長官も、今目の前にあるこの日出生台の問題は慎重に考えてもらいたい。しかも、米軍は何のためにあの別府の市街地のすぐそばから上陸するというのでしょう。ついこの問わずか二そうか三そうの軍艦が入ったときに、子供たちに対して十円の金を投げて、それを拾う子供たちをカメラにおさめて帰ったじゃないですか。これは金だからいいけれども、たまのからならば相馬ケ原の二の舞ですよ。千五百名入る、しかもあの観光地たる別府から入る、それが地元の事情をまだろくにわからないくせに、一方的にこれで強行するんだというような態度は、これは当然反対運動の激しさを増しますよ。お調べになるならもっとはっきりお調べなさい。生田政務次官なんというのではなくて、長官自身行ってみてきなさい。特に私は、中須部落の問題、それから米軍の補償の実態についてもお調べ願いたいと思う。補償のワクを越えていますよ。これは一体防衛庁や調達庁が、演習地をほしいばかりに、農林省がやるべき仕事、運輸省がやるべき仕事、建設省がやるべき仕事、それをただ演習地をとりたいために利益提供の形で出すことは、これは非常に困る。防衛庁は防衛庁のちゃんと職分を守りなさい。調達庁でやっておる補償の問題もあるのでしょう。それが実にばく然と、協力したとかなんとかいって、まことに不明朗だ。現に湯布院にしても、中須にしても、その他の部落にしても、非常な不満を持っている。要求した補償の半分もまだきまっていないでしょう。これから自衛隊に対しても補償を要求するのだと言っている。そんな形のままで今千五百名の米軍を上陸さしたら、とんでもない事態になりますから、長官もっと慎重にこれを調査される御意思をお持ちですか。
  174. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 十分に調査いたします。
  175. 淡谷悠藏

    淡谷委員 では、きょうは時間もありませんし、資料もないようですから、即刻前の協定書をお出し願いたい。それから改めてやりましたものも細則ができておるはずですから、どういう細則なのか、それも一つ出してもらいたい。それからもう一つ、大蔵省と防衛庁との間に取りかわされた契約、使用条件、これなどもあるはずですから、どういう条件で使わしたか、そういう点も一つお出しを願いたい。それによって、機会を見てさらにまたやりますが、これは非常に迫った問題ですから、こういう点が明朗になるまでは一切促進しないでほしい。これは強く要求しておきます。  これで終わります。
  176. 永山忠則

  177. 島本虎三

    島本委員 長官の時間が限定されているようで残念です。できるだけこれに沿うように質問をいたしますから、答弁の方も簡潔に願いたいと思います。  まず、一昨年か一昨々年か、ロッキード単座機約二百機を発注し、現在三機だけ千歳の方に届いているように承っているわけです。前の委員会で、長官は、基地問題は重要だから、一そう認識を深めてこれに対処するということを私は聞いた。これはまことにりっぱな言葉である。現にこのようにロッキードF104Jがすでに三機も演習用に供されておるとなると、騒音の問題も、その土地の市町村とのいろいろな関係またはそのほかの問題で、重大な問題も発生する可能性が十分あると思う。今後こういうふうな演習をさせる場合には、特にこの基地問題の重要性を一そう認識した上で、ある場合には直接これに対処するような長官自身の積極的な意思がなければ、トラブルはふえる一方じゃないかと思うのです。長官がこのF104Jの騒音、その他の演習に対してのはっきりしたお考えがございましたならば、この際聞いておきたいと思う。
  178. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 仰せの通り、基地問題は大へんな問題でございます。私は、ジェットによる騒音の防止、これは単なる対策ではなしに、やはり人道問題に対処する考えでやるという決意のもとに、目下具体的な成案を急いでおる次第であります。たとえば学校施設の防音施設につきましては、従来五カ年計画でやろうという案も防衛庁内にはあったようであります。これではいかぬから、一つ三カ年以内にやれということで、三カ年計画を新たに立てまして、目下大蔵省と具体的に折衝いたしている最中でありまして、その他民生安定の対策につきましても、ただいま申し上げたような心がまえで、人道的な立場に立ってその解決を促進いたして参りたいと考えておる次第であります。
  179. 島本虎三

    島本委員 このロッキードF104Jの問題については、現在なおその騒音がどの程度の被害を住民に与え、それに対する補償やいろいろな問題をどのようにしているのかということの対策が、十分できていないかのように聞いているわけです。そのほかの機種のものはそれぞれ考えられておるけれども、これに対してはまだできていないかのように聞いている。もしそうだとすると、これはまことに重要なんですが、この配置の状況だとか演習の計画だとか、これについて一つ具体的に承りたいと思います。
  180. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 具体的な内容につきましては、防衛局長からはっきり答弁いたさせます。
  181. 海原治

    ○海原説明員 F104Jの部隊配置につきましては、ただいま先生のおっしゃいましたように、千歳に最初の航空隊を配置することはきまっておりますが、その後の部隊につきましては、まだ具体的なことはきまっておりません。ただ、方針といたしましては、これも先般御説明申し上げたところでございますけれども、二次計画の過程におきまして逐次104Jの部隊が出てくるに従いまして、西部地方に一基地、中部地方に二基地、こういうところに配置したい、こういう構想は持っております。具体的にどこの飛行場ということはきまっておりません。さしあたり二は千歳飛行場に今年度、おそらくは年度末程度になると思いますが、正式な一飛行隊の配置ということが出てくるかと思います。
  182. 上田克郎

    ○上田説明員 御質問の騒音対策につきまして、追加させていただきます。  F104Jは、御承知のF86に比べまして馬力が相当強いものでございますから、その騒音が激しかろうということは予想されておりましたので、われわれの方では技術研究本部によく研究させまして、固定式の消音装置というものを特につくりまして、現在消音装置を二基ほど千歳の飛行場の一隅に設置しつつあります。それからそのほか、いわゆる可搬式と申しますか、ポータブルのものはすでに配置してございます。なお、長官が申されましたように、学校騒音につきましては、特に優先的に処理しなければならないという建前で、従来とも千歳の周囲の学校につきましては工事を行なってきたのでございますが、現在七件につきまして工事進行中でございます。なお来年度も学校一件、病院一件につきまして防音工事を実施する予定になっております。なお、七件と申し上げましたのは、学校だけで七件でございまして、病院はその一つでございます。
  183. 島本虎三

    島本委員 それで、今のような状態で、まだ研究中という過程が多くて、なお、飛び上がらない前の騒音を消す装置だけは今考えられて、これを実施中のようですが、おそらくは八十フォンか九十フォンの間あたりまで下げられるだろうと思います。それでなお、私どもが長官にこういうような具体的な例を示して、その次にもう一つ、それに対する対策を具体的にお伺いしたいのは、九月の中旬に千歳の基地に配置されたF104J三機が、下旬から飛行訓練を開始しておる。飛行訓練を開始されて、九月二十六日に一回、十月二日に一回、千歳の上空に砲音に似たような、大砲の音に似たような響きがした。そして今度は二空団では、民間航空のダイヤと自衛隊の離着陸をずらす関係からいろいろな対策を講じて、早朝と夕方に訓練をするようになった。そのようなために、今度早朝並びに夕方、あまりにひどい音が出るために、また住民が困り出している。民間航空の基地でもある関係上、その音が、明け方に一斉に訓練を他のジェット機と一緒にやられたら、これはまた困るのに、同じ時期にF104Jもそれをやられて、消音装置を一個か二個やられても、それに加えられた音というものは、プラス・アルファになってものすごい音だ。そのため、市役所内の公害対策事務局の方に、今度本町の主婦の方から重大なる抗議が来ておる。それによると、生まれてただ二カ月ほどの幼児が、そのためにすっかり神経過敏になってしまった。それから直撃音というか、衝撃音というか、それをこうむったと思われるような、いわゆる大砲の音のような、どこで発したかわからぬような音がする。そういう場合には、からだがびんと飛び上がるほどびっくりするようになっておるので、これは育児の面から重大だ。それで市役所の方でも、早朝はやめてもらいたいということを議会で議決してまで申し入れてあるようです。しかし、現地では、具体的にこれに対する何らの手が施されていない。こういうような問題に対して、長官、これはこのままにしておかれない。将来こういう対策を講ずるために、現在演習しているこの事態において、こういう事態が発生しておるということは、ゆゆしい問題ではないかと思います。こういうような問題に対しては、このまま演習を続行させるのですか、住民の要望に対して、早朝演習をやめる、または音を十分調査して、この公害のおそれがないような状態にし得るまで演習の場所の制限、そういうようなことをはっきりするのでないと、これはもうとんでもないことになると思うのですが、この点に対してどのように考えておられますか。
  184. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 十分に実情を調査しまして、対処いたしたいと思います。
  185. 島本虎三

    島本委員 そうすると、調査して対処するというのは、こういうようなデータが出るまでは演習はそのまま続けられるわけですか。
  186. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 それをも含めて対処いたしたいと思います。
  187. 島本虎三

    島本委員 具体的に長官にお伺いしますが、この千歳上空で演習するような計画になっておるのですか。
  188. 小幡久男

    ○小幡説明員 千歳はまず最初にF04Jの乗員の養成の皮切りをやる予定になっておりますので、現在は九名のパイロットが入っておりますが、そのうちの一部分が機上訓練をやろうと思っております。国内の乗員の養成は、来年の一月から最初の養成を開始したいというように考えております。
  189. 島本虎三

    島本委員 これはどうも私はよくわからぬのですが、現にそれでも飛び出していって、こういうような騒音による被害、いわゆる衝撃波という一つの影響を市民に与えているのです。そういうようなことも、演習の場所がそこであるならば、それに対する対策が十分講じられなければならない、演習をそういうような場所でやるべきでは当然ないのではないかと思うのです。私どもの方では十分調べてある。日高沖と指定されて、そっちの方でやるようになっておるんじゃないですか。ところが、どういうわけで千歳のようなうちの密集しているところの上空へ来て演習をされるのか、そういうような点があるとすれば、将来これは重大な問題です。こういうような千歳の上空へ来てやるようなことは、私らとしては考えられない。そして第二航空団の方では、こういう訓練計画は至上命令であるので、これは要求に応ぜられないとして、口を緘して語らないのです。しかし、今長官の話を聞くと、やはり長官はこれから十分調べて対処したいと言う。現地ではもう行なわれているのです。これから対処するような段階ではないのです。研究するような段階じゃないと思うのです。しかし、長官はあまりにも知らな過ぎるんじゃないかと思うのです。今言ったように、現地の方では、飛べと言われているから飛んでいるんだ、これは長官は知らないとすれば重大な問題です。これは将来わかるまでこのまま続けるんですか。
  190. 小幡久男

    ○小幡説明員 ただいま長官からもお答えのありました通り、さっそく調査いたしまして、必要な対策を講ずることが必要であれば、しかるべき措置を講じたいと思います。
  191. 島本虎三

    島本委員 長官も同じですか。
  192. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 ただいま教育局長からお答えした通りでございます。私二、三航空基地を見て歩いたのでありますが、騒音のひどいことは身をもって体しておるのであります。従って、従来防衛庁では、学校施設に対する防音施設が五カ年計画というようなのんびりした計画を立てておったものであるから、これは三年計画に短縮してやろうじゃないかと乗り出しておるのでありまして、この問題は実情をよく調べて、実行するものはすぐにも実行に移したいと思っておるのであります。対処したいという意味はそういう意味でございます。
  193. 島本虎三

    島本委員 長官に、忙しい中に特に一つだけ私の方で申し上げておきたいのは、本年の五月二十七日付の朝日新聞ですけれども、そこに、日常生活で、普通の人がこれ以上がまんできないという程度の騒音や振動を出した者は損害賠償の義務がある、こういう東京高裁の判決が下ったということを報ぜられてある。それと四月二十四日には、米国では、ジェットの騒音に対して住民の損害賠償の訴えがあったが、当局ではその損害を補償する義務ありというようにして、ジェットの損害の賠償の義務は米国でも同じように下っておるという。そういたしますと、今までは86Dですが、今度はF104Jですか、こういうふうにして、そういうような判決もあり、被害も当然あると思われるような問題に対しては、もっと慎重に対処しなければならないのじゃないかと思っておったわけです。こういうような問題にもし対処するとするならば、移転の補償の問題から、防音装置の問題から、演習の場所から、時間から、いろいろ地上の装置の問題まで全部検討してからでないと、そういうような問題はやってはうまくないんじゃないかと思うのです。こういうような判例も出ているそうです。これに対して長官は今後十分の措置は法制的に講じますか。
  194. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 何度も申し上げております通り、誠意を持って即刻実施しなければならぬものは実施するという建前で、対策を進めて参りたいと存じております。
  195. 島本虎三

    島本委員 長官はよろしゅうございます。  それで、なお事務当局の人が残っておりますから、ゆっくりお聞きいたしますが、今長官が答弁されたその考えをずらさないように――誠心誠意その補償を考えた上でいろいろ計画を進めたいという、それも法制化する必要があったならばやるという意向のようです。それで、この騒音のために飛行場の付近の住民に集団移転の希望があるような場合、また、その自治体の長の方からそういう要請があるような場合には、何らか支援をしてやるような態勢をしなければならないと思うのです。支援というと、少し言葉がおかしいのですが、まさに対処してというような場合には、集団移転を希望する者に対しては、被害を受けないような場所などを援助してやらなければいけないのじゃないかと思うのです。今までこういうような申し出や、こういうものが全然ございませんでしたか。
  196. 上田克郎

    ○上田説明員 私の承知しておりますところでは、集団的に移転していただいたのは、小牧基地にちょうど滑走路の直下になりますところでその例がございます。それから一部浜松であったように私記憶しておりますが、今ここに詳しい資料を持ちませんけれども、浜松でも移転を全面的に国費で補償したという例がございます。しかし、何を申しましても、予算が少ないものでございますから、ほんとうに危険があるとか、あるいは今申しましたように、滑走路の直下にあって、しかも飛び立ってからまだごく低い高さの滑走路の直下にあるというような、他に比較して騒音ががまんできないようなところの方を優先的にやっておる程度でありまして、飛行場のそばにおりますと、御指摘のように、いろいろと騒音の被害はあるわけでありますけれども、その方が移転の御希望がありましても、現在のところはなかなか御希望通りにはいかないというのが現状でございます。
  197. 島本虎三

    島本委員 それと関連して、今度現地の方では、F104Jの衝撃波による被害という状態が全然わかっておらない。どの程度の被害なのか。そしてこれは一切あなたたちの方で現在やっておるのだから、調べておるのだ、そちらの方に直接聞いてくれということで、現地の責任者は口を緘して語っておらない。衝撃波があるということになると、これは大砲を撃たれたような音なのかどんなのか、私まだ聞いてないから知りませんが、この衝撃波による被害というものは現に現われておる。しかしながら、それに対して皆さんの方では現地の方にはっきりしたそういうような指導をしておかないと、これはとんでもないことになるのではないかと思うのです。こういう被害は今まで日本には全然なかったのですか。これに似たような被害もないのですか。これが人体に与える影響というものに対しては、全然データはございませんか。それをはっきりここで言ってもらいたい。
  198. 上田克郎

    ○上田説明員 はなはだ申しわけないのでありますが、衝撃波による被害の点を直接聞きましたことは今までございませんし、きょう初めて先生からそれによる被害ということを申されたような次第で、現在のところ、私たちはその被害の実態を存じておりません。ただ、私は一回名古屋で聞いたことはございますが、やはり大砲を撃つような音がぽんとしたと私は記憶しておりますが、直接の被害は承知しておりません。
  199. 島本虎三

    島本委員 おそらく飛ばしておりながら、そういうことを知らないということは無責任だと思う。これはやはりいけないと思うのであります。それらしいような被害を受けた人、こういうのは、今言ったように、子供が引きつけを起こしたりする例がもうあるのです。演習する場所でないところでそんなことをしておるから、そんなことが起こるのじゃないですか。それは何か私どもの方ではわからないから、調べてもらったところによると、ソニック・ブームとかなんとかいうのだそうです。そしてこんなことはあなたの方で調べてあるのじゃないですか。これに対する影響なんかも調べてあるのじゃないですか。これを見てもいいです。これを今ごろ知らないと言ったのでは、あなた私が知らないと思ってごまかすのじゃないですか。私をごまかしてもいいけれども対策をごまかしてはいけないと思う。これはすでに人畜に被害を与えています。それがまたよりによって、たった三カ所しかないのに、北海道の千歳飛行場だけがそれに適した飛行場らしいのです。そうすると、その辺に住む人は世界残酷物語を地で行くようなものじゃないですか。こういうようなことをさせておいて、対策が十分ないなんということは、得てして私をごまかしてもいいんですが、住民をごまかしてはいけないと思う。ちゃんとあなたの方で、いわゆるソニック・ブームというような意味で、衝撃波というやつを解説して、こういうのがそうだということを言っているのではないですか。これを見てごらんなさい。これはまだその影響は全然わからぬのですか。
  200. 上田克郎

    ○上田説明員 私もほんとうに知らぬのでございます。大へん申しわけございません。
  201. 島本虎三

    島本委員 それがはっきりわかるまで今後演習を禁止するようにすべきだと思うのです。わからぬで被害だけ与えてはいけないわけです。これはよろしゅうございますか。
  202. 上田克郎

    ○上田説明員 知らないと申し上げましたが、衝撃波ということは知っておりましたが、それによる被害があるということを知らなかったのであります。ほんとうに知らなかったのですから、お許しを願いたいと思います。
  203. 島本虎三

    島本委員 それがはっきりするまで演習を中止すべきだと思うのです。これは長官行く前に誠心誠意これをやるというのですから、はっきり次の内閣委員会で答弁を得るまでは、F104Jの演習、衝撃波によるところの被害、影響を与えるおそれがある、全然ないということがわかるまで中止、こういうようなことに了解しておいてもいいですか。
  204. 小幡久男

    ○小幡説明員 先ほど長官からお答えしました通り一つ現場の状況を視察しまして、必要な対策を講ずる要があればあれしたいと思っております。
  205. 島本虎三

    島本委員 演習中止は……。
  206. 小幡久男

    ○小幡説明員 その点は、長官申しました通り、すべてを含んで調査いたしまして、いろいろ対策を考える必要があれば考えたいというふうに考えております。
  207. 島本虎三

    島本委員 調査できるまでは飛ばさぬですか。
  208. 小幡久男

    ○小幡説明員 ただいま経理局長から申し上げました通り、衝撃波のあることは、理論的につとに解明されておりますが、現実にどういうことでそういう被害を与えたのかということを調査いたしまして、やりようによってはそういう被害がなくなるという道があれば、直ちに演習を中止することも必要ないと思いますが、その辺のことをあわせまして調査いたしました上で善処したいと思っております。
  209. 島本虎三

    島本委員 ではそれは善処を期待しておきます。  次に入りますが、自衛隊が地方自治体へのいろいろな圧力、干渉というようなものを強力にしてはいけない、これはもうそういうようなことはないということを皆さん当然お考えであろうと思うのです。しかし、今回同じように千歳市のできごとなんです。これは都市計画で第一次区画整理まで完了して、宅地七万二千平方メートルを市が買い上げておる。そうして昭和三十七年六月十二日に、千歳市の空港北側の市有地に市営住宅九十戸、五千三百十万円を本年建てる予定で市が予算を組んで、議案として出したところが、ジェット機の騒音があってもこれは補償しないぞという。これは、千歳基地司令の渡辺正さんからそういうような文書が千歳市長の手元へ直送されていった。それで、市の方ではあわを食って、都市計画の変更をやむなくされたような事情があったようですが、こういうような件に対しては皆さんどのようにお考えですか。
  210. 上田克郎

    ○上田説明員 その件につきましては、私も事情を聞いておりまして、先ほど申し上げましたように、そこへ住宅が建ちますと、まだ学校の防音工事の方はやっと手がついてできるだけやっておりますけれども一般の市民の方の住宅について防音工事を施すほどの予算措置がとれない状態でございますので、騒音がありましてもなかなか補償ができがたいという事情を申し述べて、できればそういう事情をよく勘案して計画していただけないだろうかということを申し入れたことは聞いております。たとえば先ほどのように、すでに民家がございますところに飛行場をつくりまして、その上で飛行機が離着陸をするというような場所については、集団的に移転をやった例も一、二ございますけれども、現在飛行場のあるところに新しくつくられるというときには、どうか一つそういうことは避けていただきたい、そういうことを申し出事情があることは承知しております。
  211. 島本虎三

    島本委員 それがはっきり市の方できまって、もうちゃんとやるばかりに予算措置をして、そして市の一つの本年度の事業として出されたときに、急にそれをやられた。その以前から話し合いの機会が幾らでもあるのに、黙ってそれを急にやられた。当然行政干渉じゃないか。念のために国会図書館の方でもこの例なんかもいろいろ調べてあるのです。すべての都市計画は中央集権的な考え方で貫かれておりますから、それはもうあなたたちの方で全部責任を持っていろいろと対処されているような現在の自衛隊の機構であってもおわかりの通りなんです。これはもう建設省の方ではっきり統轄しておる。その中で、建設大臣の決定及び内閣の承認ある場合は、都市計画の変更はこれは可能なんです。ところが、現実にはすでに予算措置が講ぜられて、そして地方自治団体によって執行の段階に入る、こういうようなときに、よほど重大な原因がない限り、都市計画変更の決定は、これはなすべきではない。ことに自衛隊が直接に地方自治団体に対して、都市計画の変更にかかる事項に対して、こういうような要求を行なうことは当を得ないものと思われる。こういうようにはっきりした調書がわれわれの手元に来ているわけです。これは行政干渉であろうと思うのです。皆さんの方では、今後こういうようにして、基地の都市であるならばこういうようなことを平気で行なってもいいと考えておるのか、こういうようなことはあまり好ましくないと考えておるのか、これはどうなんですか。
  212. 上田克郎

    ○上田説明員 事前に計画の際によく事情を申し上げるべきであろうという意味では、好ましくないと思います。しかし、この場合も、実は御指摘のように、せっかく市がおやりになるような場合に、何か干渉がましいようなことになるのは、われわれとしては避けねばなりません。ただ、実際そこにおつくりになって、騒音があった場合に、つくったから移転させてくれとか、あるいは防音措置をしてくれとか言われても、今の予算の現状ではなかなかいたしかねるので、事情をよく申し上げて、変更できるものならということで、基地の司令から言ったんだと私は了解いたしております。もちろん、この場合も、それでも計画通りおやりになるとおっしゃれば、この騒音をがまんしていただくということがはなはだ心苦しい。その意味でお願いした次第であります。
  213. 島本虎三

    島本委員 初めからあすこには公害対策委員会という組織があるはずです。その中には、私はそういうことは望ましくないと思うのですが、しかし、市が認めて、強引に自衛隊の方からも責任者が入って運営されておるはずなんです。こういうような機関がありながら、そんなものはやらないでおいて、あとから計画の変更をした、自治干渉と思われるようなことを平気でやってくる根性がよろしくないということ、そういうような状態だから、飛行機に乗って逃げようとする人も現われてくる。これはうまくないです。初めから平和裏に話し合いの機関があるならば、十分それを活用すべきです。あとからこういうように干渉がましく、このうちには、将来防音工事や移転補償の申し出がありましても、防衛庁としては要望に応じ得ないものと考えます。こういうことをやって脅迫しておる。それだったら、そういうようなことはみな変えますよ。それでなくとも、衝撃波によって困っているところなんだから、こういう状態において干渉でないと考えるのは、皆さんの方がよほど感覚が狂っているんじゃないかと思われる。おそらくこういうものは厳重に注意をすべきだと思う。そして事前に、そういう機関があるんだったら、機関の中で十分話し合ってやるべきで、それでも建てるという場合は、これは補償こそしてやれ、干渉すべきではないと思う。この考え方は間違いですか。
  214. 上田克郎

    ○上田説明員 発言の機会があったときになぜ早く言わなかったかという点につきましては、お説の通りだと思います。言うべきだったろうと思います。それから新しくお建てになるところに限らず、基地周辺で騒音にお困りの方には、将来もし予算が許せば騒音で御迷惑にならないようなふうに持っていくべきだという根本的なことについては、私もそのように考えますが、何を申しましても、現在の予算事情では、基地の周辺、既存の人に対してもまだなかなか補償が十分にいっていない、あるいは公害に対する救済が十分にいっていないということが現状でございますので、新規におやりになる方はなるべく一つそのことを考えてやっていただきたいという希望を申し上げたのだと私は了解いたしております。
  215. 島本虎三

    島本委員 それだけじゃないのです。自衛隊は国の機関である。そうですね。それが地方自治体に対していろいろな圧迫を与えることはいけないことははっきりしている。しかしながら、干渉することもこれは控えなければならないのは、皆さん御存じの通りです。ところが、具体的な例として、市民が困り、道民が困って、国の方からの援助を得て公営住宅をつくるのです。いまだにまだ住む家もない、また、ほんとうに困っているような住宅難にあえぐ人のために、こういうような市営住宅を建てて、市の責任者が市民を入れてやらなければならない。ところが、千歳市の場合は、私の調べたところによりますと、自衛隊が約八割まで全部先に入ってしまう。たった二割くらいしか市民にワクがない。これが自治体に対する干渉なんです。これは皆さんの方からこうせいと言ってやっているのですか、これは現地だけでやっているのですか、どうなんですか。
  216. 小野裕

    小野説明員 住宅関係は私どもの方の所管でございますから、ちょっとお答え申し上げますが、住宅の困窮状態は、市民の方はもとよりそうでございますが、自衛隊隊員につきましても非常に窮迫しておるわけでございます。自衛隊といたしましては、地元の市町村に対しまして、御協力をいただくということについてはお願いをいたしております。しかしながら、現実にどの程度、どういうふうにお世話をいただくかということにつきましては、これは現地の問題でございまして、私どもとしては詳細には存じません。また、現地の部隊といたしましても、非常識な無理なお願いはいたしてはおらないであろう、私どもはそう信じたいのでございますが、こまかい実情を存じませんので、それ以上のことは申し上げられません。
  217. 島本虎三

    島本委員 今私が言ったのは当然だというお考えなんですか、それはいけないと考えているのですか。
  218. 小野裕

    小野説明員 ただいま市営住宅の八割まで自衛隊員が入っておるというお話でございますが、その事情は私存じませんと申し上げたのでございますが、町の、市の事情から入れていただく余裕があるならば――余裕と言ってもいろいろございますが、あれこれその困窮の度合いをお考えになって入れていただけるならば、ありがたいことであるとは考えます。ただ、八割くらいということは私よく存じませんし、また、それを無理にお願いしたとは考えていない、このように申し上げたわけでございます。
  219. 島本虎三

    島本委員 ところが、今までそれほど入っている。公営住宅の自衛隊入居が七割五分に達し、その他の市民が入居から締め出されている、国の機関が市や市民に重圧をかけていることを考えて、これを処置してもらいたい、こういうような声があるのです。私の手元へもきているのです。それに対して、これはもうあたりまえなんだ、将来こういうようなことをするというならば、あらためて私の方では、今度こういうようなやり方が妥当なのか妥当でないのか、これに対して調べなければならない。現在、これでも地財法の二十七条の三項に違反するのじゃないかとさえ思われるほど、国の機関がやっているのじゃないか。こういうことはもっともっと考えて、必要な住居ならば、自衛隊の方で義務完成というのですか、これはちゃんと建てておやりになったらいいじゃないですか。それを市民の方に割り込まないで、特にそういう官舎なり宿舎なりを建てて、安心して働けるようにしてやったらいいじゃないかということなのです。これをやらないから、今のような事態が起こってくるのです。今までやっていたことは、私として反省してもらわなければならない、こういうように思っておるわけなのです。これはどうなんですか。
  220. 小野裕

    小野説明員 自衛官の宿舎、住宅でございますが、できれば特設の宿舎を大幅に増築いたし、あるいは自衛隊員の共済組合の住宅も増設をいたしたい。このことはかねがね念願をし、努力はして参っております。ただ、何と申しましても、多数の自衛隊員の用に供する住宅として、特設あるいは組合という方式では思うようにそろわない状態でございまして、結局は地元の住宅をお借りする、これは一般の民家の借り上げ、借家と借間とございます。また公営の住宅をお借りする、これをいたさなければ住むところはないわけでございまして、そういう意味において、地元の御協力、御好意をいただきたい、御援助をいただきたいということは、かねてからお願いしておりましたし、また今後もお願いいたしたいと思うのでございます。隊員でございますが、同じ市民でございますけれども自衛隊側が強圧的に市当局に対して割当をやらせるとか、ふやしてもらうとか、あるいは非常に無理な状態自衛隊員のみがお世話になっておるというような形であってはおもしろくない、このことは同感でございます。ただ、どの程度に御配慮いただけるか、これはもっぱら現地の実情、その土地における住宅事情、また住宅困窮者の間のいろいろな比較、こういうような点から、私どもとしてはできるだけ協力していただきたい、こういう考えは変わってはおりませんけれども、無理をしてまでということは考えてはならない、かように考えております。
  221. 島本虎三

    島本委員 大体の考えはわかったのです。無理をしてそれをやってはいけない、これはわかったのです。そうさせるためには、必要な手段を講じなければならないでしょう。そういうおそれがあるような入居の方法は妥当じゃないぞということをちゃんと言ってやらなければいけない。  もう一つ例があるのです。自衛隊の陸曹クラスの住宅約二十戸を別予算でつくらしているのです。これは完全に干渉じゃないですか。市民権があるのだから、市民と一緒に抽せんで入るというならば、これはいいです。他の方は住宅選考委員会なんかをつくって抽せんで入るようになっているのです。ところが、七割五分なり、また二十戸なりを、これは特別なんだというワクをとって入れているところは千歳以外にないのです。ただし、他の内地の都道府県にあるかもしれない。最近こういう傾向がふえてきておるということを聞いております。こういうふうなやり方をしてはならない。同じ市民であったならば、同じ困っておる人と一緒に抽せんでやって、よけい入ったからしようがないというならば、みなあきらめるでしょう。ほかの人は抽せんでやっているのに、そっちだけ初めから七割五分入ってしまって、また二十戸ばかり陸曹クラスの家を別に建てさせる、こういうことは特権的なやり方じゃないですか。同じ市民として当然の要求なんですから、こういうことはやっちゃいけないということを上からちゃんと示唆してやらなければいけないと思う。どうですか。
  222. 小野裕

    小野説明員 ただいまお話しの七割五分であるとか、あるいは二十戸別ワクであるとかいうことについては、私存じておりません。ただ、こういうことで地元の市当局から御配慮を少なくともいただいておることは事実でございます。御配慮いただいておることに対しては非常に感謝をいたしております。また、今後ともできるだけ御協力、御配慮をお願いしたい、こういうことも考えております。ただ、その場合に、どういう方法でどういう範囲で御心配いただくかということにつきましては、現地の市当局あるいは市議会当局、また市民の皆さんの御配慮というものが集まりまして、そうしたような形になることと存ずるのでありまして、私どもの方で無理なお願いはすべきではない、この点はかねてから達してあることでございまして、ただできるだけお願いをしたいという、このできるだけがどういう形で現われるかは、現地でどういうふうにお扱い下さるかということになるのじゃないかと思います。
  223. 島本虎三

    島本委員 どなたに聞いていいのかわかりませんが、そういうような必要な住宅は、自衛隊自身が建てる計画なり、そういうものを建てて安心して住居させるようなやり方は、方針としてとっておらぬのですか。将来もこういうようなことは考えないのですか。
  224. 小野裕

    小野説明員 住宅対策は、自衛隊におきましても非常に大きな問題になっておりまして、年々努力はいたしております。ただ残念ながら、その大きな発展と申しますか、改善と申しますか、なかなかできないのでございます。ざっくばらんに申し上げますと、自衛隊で住宅がほしいという者が数万あるわけでございます。あるいはもっとこまかく申しますならば、十万に近い人が住宅がほしいわけであります。それに対しまして現在いわゆる特設の官舎というものは、年々五百戸とか千戸とか作っていただきますけれども、まだ一万とか一万五千とかで、ただいまのところでは、いわゆる特設宿舎への入居率という一つ数字がございます。大体どれだけの人が特設の宿舎がほしいか、国家公務員として住宅がほしいかというその需要に対しまして、一般の官庁では大体五〇%前後が希望がかなえられて入っておると思います。それに対して自衛隊の場合は一八、九%、二〇%弱でございます。そういうような意味から、私どもといたしましては、予算当局を通じ、大蔵省に対しまして住宅の大幅な増設という計画を毎年お願いをしておるわけであります。それで少しずつできて参りますけれども、何万という不足に対しまして一挙に解決するということは、とうていできないことでございまして、そのできますまでの間、これもなかなか大へんでございますが、やはり地元の御協力、御好意をお願いしたいという事情にある状況でございます。
  225. 島本虎三

    島本委員 この問題は、今言ったような事実を十分調べた上で、自分らの手によって、他に迷惑をかけない住宅政策を中に盛り込んで十分対処をしなければならないと思う。金は余っているじゃないですか。そういうような点を十分考えて、そういうような点によけい使うようにしてやって下さい。おそらくそうでない以上、住民とのトラブルは、公害の問題を解消しても、こういうような問題が残ったら何にもならない。  私どもの方ではこれだけで終わらせようと思っているのですけれども、これだけでもないのです。地方自治行政を圧迫するのに、今度はいろいろな寄付の申し込みが自衛隊から出ているということなんです。私はこんなことはあってはいけないと思うのです。これは千歳市の九月二十七日の新聞に出ているのですが、九月二十五日の定例議会の中で、同じようなこういう問題で紛争をかもしておる。それは「自衛隊第一特科団の創立記念行事費用の一部負担を同団から要請されたので、市としては十五万円を寄付したい」という申し出を市長がしておる。十五万円は少ない金額でしょう。要請されたから、これを議会に諮って出してやるというこの行為はどうなんです。そのほかに、七師団ができたおりに三十万を寄付しておる。こういうような貧困な財政力しかないような都市に、それもこういうようなたびごとに市の議決を経たようなやり方で寄付を強要するような態度は正しいのですか。
  226. 小野裕

    小野説明員 各地の部隊が経済的な面で地元の方に御迷惑をかけているのではないかというお話でございますが、もとより寄付金を強要すると申しますか、お願いをするということについては、これはしかるべきことでないと考えます。ただ、地元の特殊な行事等、たとえば十周年の記念であるとか、開隊の行事とかいうようなときに、地元の御好意がいただけるならば、それによって助けていただくということはやむを得ないかというふうに考えておりますが、強くこれを強要するようなお願いをするということは間違っておる、このように考えます。
  227. 島本虎三

    島本委員 これは明らかに法に照らしてもこういうような行為は認められないと思う。なお今のような事情を十分調べた上で、今後再びこういう誤解を生むようなことがないように十分対処してもらいたい。  私はこれで終わります。
  228. 永山忠則

    永山委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることにして、散会いたします。    午後二時二十六分散会