○海原説明員 ただいま御質問のごさいました千歳空港の状況でございますが、今御指摘のございました
ように、千歳は現在非常に忙しい飛行場になっております。函館と同じ
程度の離着陸がございますので、その管制につきましては、従来から運輸省との間でもいろいろと検討いたしておりまして、事故のない
ように万全の処置はとっておるのでありますが、ただいま御指摘になりました特に八月三十日の事件につきましては、私
どもの
調査いたしましたところでは、新聞に伝えられる
ようなことと多少その
内容は違っております。従いまして、一応事実につきまして申し上げてみます。
当日は、新聞によりますと、問題の北
日本航空機が千歳上空で一時間二十分待たされたということでございますが、実際に千歳の上で待った時間は五十九分でございます。函館に引き返すからという連絡は機長からございまして、その許可を得て函館に帰っておる。当日のその問題の時間前後をずっと拾ってみますと、民間機と
自衛隊機と両方ございますが、民間機の方だけが待たされて、
自衛隊の方が先に優先的に着陸したという
ようなことはございません。
参考までに、ちょっと詳細になりますが、申し上げてみますと、この北
日本航空機が千歳飛行場の上空へ参りまして——上空と申しますのは、千歳飛行場に着陸いたしますためには、千歳に入ります前に一たん無線標識施設、QDホーマーといっておりますが、QDホーマーのところまで参るわけであります。そこで管制塔の指示を受けまして、管制塔の指示に従って飛行場に着陸するわけでございますが、このQDホーマーに参りましたのが、北
日本のコンベアは十六時五十七分、その前に参りました日航機は十六時四十四分に参りまして、これは九分間上空におりまして五十三分に着陸しております。その次に問題のコンベアが十六時五十七分にQDホーマーの上に参りましたときに、ちょうど
訓練から帰って参りました第二航空団の飛行機と一緒になった。ここで御説明申し上げますと、新聞記事によりますと、
自衛隊機が優先権を与えられている
ようになっておりますが、現在私
どもと運輸省との
話し合いでは、いわゆるスクランブルと申しておりますが、領空侵犯に対処するために飛び上がる飛行機、これだけが優先度を与えられておりまして、
あとはジェット機であるとか、プロペラ機であるとか、
自衛隊機であるとか、民間機であるということの区分によりましての優先度はございません。いろいろな飛行機が当該飛行場に参りましたそのときのそれぞれの飛行機の状況、すなわち、スピードとか、あるいは保有燃料の状況とか、そういうものを判断いたしまして、管制塔が判断をしてそれぞれに着陸を指示するわけでございます。
そこで、一応どういう状況であったかということを簡単に申し上げますと、待たされたということでございますが、問題の北
日本の飛行機を別にしますと、大体その時期に参りました民間機、全日空のバイカウントは十三分、日航のDC7は二十一分、これは
あとになりますが、北
日本のDC3は十四分という時間が、QDホーマーから着陸までの間かかっております。これに反しまして
自衛隊機の方でございますが、これは第二航空団所属のF86F、T33、第六航空団所属のF86F、同じくT33でございますが、この、平均時間は一番早いので十三分、一番おそいのが五十四分、QDホーマーから着陸までの時間がかかっております。早く着陸いたしましたのは、基地に参りましたときに保有燃料が少なくなっておる、ぎりぎりの燃料しかない。通常これをミニマム・フュエルといっておりますが、最小燃料の状態であるというものだけは早く着陸さしておりますが、
自衛隊機とか民間機によっての優先度はございません。
なお、もう
一つ御参考までに申し上げますと、ジェット機は高度二万フィートで参りましてからこのQDホーマーまで、五千フィートでありますが、旋回しながら下へ下がっていくわけです。そこで今度は進入を始めるわけです。その間の時間が大体六分かかります。当日は天候が悪いために、GCAランディングと申しまして、地上からのレーダーによる誘導着陸をいたしておりますが、このGCAのための旋回の路線がきまっております。そこで、その路線を回りまして着陸するために約十二分かかる。従いまして、どうしても大体十八分かからないとおりられない。それからジェット機は二機編隊でおりて参りますので、編隊と編隊の間が大体三分ないし四分、こういう時間が必要でございます。そこで、QDホーマーの方にジェット機と足のおそいレシプロ機が参りましたときには、レシプロ機を先におろしますと、
あとにジェット機がたくさんだまりますので、管制塔の判断では、レシプロ機の方は燃料が十分あるからしばらく待ってくれということで、ジェット機の着陸を誘導したわけでございます。当初は第二航空団のために二十分間上空待機が必要であろうということを通知しております。その第二航空団をおろしている最中に、
先ほど申し上げた全日空のバイカウントがQDホーマーの上空に参りまして、これを十七時二十七分に千歳におろしております。そういう
ように間にも民間機を入れております。これが終わりましたときに、
小松から別の編隊が参りまして、そのうちの三機は待っている閥に燃料が少なくなった、
先ほど申し上げました最小燃料であるという状態を通知を受けましたために、この北
日本航空につきましては、さらに三十分
程度待機してもらうかもしれないということを連絡いたしております。その間におきまして、北
日本の機長が、千歳に参りまして五十分も上空で待機いたしますと、非常に待ち遠しい感じになりまして、そういうことも御判断になったと思いますが、函館に引き返すという許可を管制塔に求めまして、函館に引き返しましたのが十七時五十六分でございます。
以上の
ような状況でございまして、ちょうどこの時間にいろいろな飛行機が輻湊いたしましたのと、天候が悪くなりまして、GCAの着陸誘導をせざるを得なくなったということから、この
ような事態に相なった次第でございます。
なお、この北
日本のコンベアは、予定では十六時十分ごろに千歳に参る予定でございました。これが何らかの理由によりまして、一時間以上おくれて参ったということもございます。なお、北
日本は、本来丘珠の飛行場に着陸するものでございますけれ
ども、現在丘珠飛行場は整備中でございますので、たまたま千歳の飛行場を
使用しておる。この
ような状況でございます。
以上申し述べましたのが、八月三十日の新聞に報道されました事実につきましての私
どもの方の
調査の結果でございます。
繰り返しまして恐縮でございますけれ
ども、
自衛隊機であるから早くおろす、民間機であるからおそくおろすということはございません。当時の天候なり、各飛行機の状況を判断いたしました管制塔の指示によりまして、この
ような結果に相なった。こういうふうに御
承知いただきたいと存じます。
なお、
先ほど申しました
ように、千歳は非常に忙しい飛行場でございます。従来いろいろと
先ほど御指摘のありました
ような事件に類することもございますので、運輸省との間で、いろいろとこの事態の改善については相談をして参りまして、現在数点にわたっての
改正案を
考えております。また、現実に
防衛庁からは約十名、航空幕僚監察部の監察官を長としました
調査団を出しております。これと、運輸省の航空局の係官も現地に参りまして、事態の改善のためにお互いに今検討を始めたばかりであるということをつけ加えて御説明申し上げます。