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1962-09-03 第41回国会 衆議院 内閣委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年九月三日(月曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 永山 忠則君    理事 伊能繁次郎君 理事 内藤  隆君    理事 宮澤 胤勇君 理事 石橋 政嗣君    理事 石山 權作君 理事 山内  広君       内海 安吉君    小笠 公韶君       小川 半次君    辻  寛一君       中島 茂喜君    藤原 節夫君       足鹿  覺君    飛鳥田一雄君       淡谷 悠藏君    緒方 孝男君       岡田 利春君    小松  幹君       島本 虎三君    田口 誠治君       二宮 武夫君    武藤 山治君       安井 吉典君    山田 長司君       受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 志賀健次郎君  委員外出席者         北海道開発庁事         務次官     熊本 政晴君         防衛庁参事官  麻生  茂君         防衛庁参事官         (長官官房長) 加藤 陽三君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛庁参事官         (経理局長)  上田 克郎君         調達庁長官   林  一夫君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     沼尻 元一君         農林事務官         (農地局長)  庄野五一郎君         運輸事務官         (航空局監理部         長)      栃内 一彦君         郵政事務官         (電波監理局         長)      西崎 太郎君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 九月三日  委員笹本一雄君、飛鳥田一雄君、緒方孝男君、  田口誠治君、成田知巳君、西村関一君、柳田秀  一君及び山崎始男辞任につき、その補欠とし  て小川半次君、武藤山治君、岡田利春君、二宮  武夫君、山田長司君、足鹿覺君、小松幹君及び  安井吉典君が議長指名委員に選任された。 同日  委員足鹿覺君及び二官武夫辞任につき、その  補欠として淡谷悠藏君及び島本虎三君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員小川半次君、淡谷悠藏君、岡田利春君、小  松幹君、島本虎三君、武藤山治君、安井吉典君  及び山田長司辞任につき、その補欠として笹  本一雄君、西村関一君、緒方孝男君、柳田秀一  君、田口誠治君、飛鳥田一雄君、山崎始男君及  び成田知巳君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 九月二日  一、国民の祝日に関する法律の一部を改正する   法律案(纐纈彌三君外七名提出、第三十九回   国会衆法第九号)  二、旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法   案(小笠公韶君外八名提出、第三十九回国会   衆法第一〇号)  三、中小企業省設置法案松平忠久君外二十六   名提出、第四十回国会衆法第二六号)  四、駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改   正する法律案石橋政嗣君外二十一名提出   、第四十回国会衆法第四四号)  五、行政機構並びにその運営に関する件  六、恩給及び法制一般に関する件  七、国の防衛に関する件  八、公務員の制度及び給与に関する件  九、栄典制度調査並びに栄典法案起草に関する   件 の閉会中審査を本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  国の防衛に関する件(基地問題等)      ————◇—————
  2. 永山忠則

    永山委員長 これより会議を開きます。  国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石橋政嗣君
  3. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 大臣にちょっとお尋ねをしておきたいと思います。と申しますのは、昨日、いろいろな経過はございましたけれども防衛庁設置法改正案審議未了の形になったために、防衛施設庁が十月に発足することになるわけであります。いろいろな紆余曲折を経ましたので、問題も複雑になっておるということは、私どもも認識いたしておりますが、先国会において成立した通りの結果を見たわけでございますから、その途中のいざこざはすべてこの際水に流しまして、本委員会においてお約束を願ったいろいろな問題について、必ず実行していただきたいということを一つ要望したいと思うわけです。特に組合幹部の諸君に対して、今後報復的な措置をとるといったようなことがないように、この際、念を押しておきたいと思いますので、大臣から御答弁を願っておきたい。
  4. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいま石橋先生からお話のあった通り、いろいろ経過があったのでございましょう。私はよく承知しませんけれども、先生同様、きれいに一切を流して、新しい気分で発足さしたいと念願いたしておるのであります。従って、御指摘のありましたような、組合幹部をやったからどうの、あるいはまた指導的な立場に立ったからどうのというようなことは、一切考えておりません。第一、立法の精神が、調達庁職員の身分の安定を期するということが大きな主眼になっておりまするから、職員全体が安心して、新たに生まれる防衛施設庁の仕事にきん然として従事できるようにしたいというのが私の念願でございますから、ただいま御心配のような、差別をもってこれに当たるというようなことは、毛頭考えてもおりませんし、またそういうことはいたしません。さように御了承願いたいと思います。
  5. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 前半に私お伺いしました、過去の委員会における質疑応答の中で、こういうふうに取り扱いたい、処置したいといろいろな約束を願っておるわけです。これをあくまで守るのだということを、一つはっきり言明していただきたいわけであります。
  6. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 前国会でいろいろ話し合いのありました内容を一々私はまだ承知いたしておりませんけれども、ただいま申し上げた精神に基づいて、国会において話し合い、あるいは約束された問題は、忠実に実行する所存でございます。
  7. 永山忠則

    永山委員長 それでは、大臣は午後所用があるようでございますので、大へん申しわけありませんが、大臣に集中して、一人十五分くらいのめどで御質疑をお願いいたしたいと存じます。御協力を願います。小松幹君。
  8. 小松幹

    小松委員 私は、沖繩米軍演習大分県の日出生台で再びやる、こういう問題について、長官に御質問をいたしたいと思います。  最近、本年になりましてから、日出生台演習場を再び米軍が使うよう動きになって参りましたが、日出生台は、長い問日本陸軍演習場であり、終戦後は三十一年までアメリカ軍演習をした所でございます。講和条約発効後一応これが開放されて、初めて平和な、なごやかな日出生台の草原に帰ったわけでありますが、事が再びもとに返って、今演習基地になろうとしておるわけであります。その動きの中での一つ問題点は、どうも関係官庁調達庁あるいは防衛庁押しつけてきておるような感がしてならないわけです。この演習基地は、アメリカ軍あるいは日本政府当局地元大分県に押しつけてくるつもりかどうか、そのことをまず一つお尋ねします。
  9. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 お尋ねの問題でありますが、御承知通り日出生台演習場使用したいという正式な通告に接しましたのは、今年の四月でございます。そこで、防衛庁といたしましては、何と申しましても、地元の円満な了解、納得を得ることが必要でございますので、知事さんを通じていろいろ米軍希望その他を申し上げまして、目下折衝をいたしておる最中でございまして、いやしくも今日民主主義の時代におきまして、頭から強圧的にこれを押しつけるというよう考えは毛頭持っておりませんし、もっぱら話し合いで、しかも知事さんを通じて、折目を正していろいろお願いをいたしておる最中でございます。
  10. 小松幹

    小松委員 その経過は私も存じておりますが、しかし、県民考えている今の気持は、来てもらっては困るという考え方ですが、それを進めておる関係官庁並び押しつけられようとしておる知事あたりも、もうこれは既定の事実であり、きまったものだから仕方がないのだという押しつけ方をしてきておるわけですが、ほんとうに押しつけておらないのか、これはだめだと言えばお返しできるのか、その点をはっきりしていただきたい。
  11. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 再度申し上げるようで恐縮でございますが、いやしくも押しつけるというよう考え方は持っておりません。ただ、この演習場につきましては、米軍希望に沿うようにしなければならない任務がわれわれありますので、十分に地元関係方面と緊密な連絡をとりつつ、御了解を得るように努力する考えであり、また努力しておるところでございます。
  12. 小松幹

    小松委員 米軍希望を受け入れねばならぬ。それでは、米軍日本政府押しつけてきておるのか。何をたてに、どういうものを論拠に、米軍日本政府押しつけてきておるのか、そのことを承りたい。
  13. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 この問題につきましては、私から申し上げるよりも、従来の経過をよく体験いたしておりまする調達庁長官をしてお答えいたさせます。
  14. 林一夫

    林説明員 御承知ように、この日出生台十文字原演習場使用につきまして、米軍はかねてから要望があったわけであります。政府といたしましても、その必要性が十分あるものと考えまして、米軍使用させるべきであるという考えもとに、知事初め地元市町村長協力方を依頼いたしたわけであります。
  15. 小松幹

    小松委員 今調達庁長官は重大なことを言われた。米軍使用させるべきであるという考えもとに——一体その考えはだれの考えなのか、だれがそういうことを考えるのか。今長官自身は、地元意見を聞いてからと言われたが、あなたの意見は、受け入れるべきであるという考えもと知事に言っておる。だいぶ食い違っておる。
  16. 林一夫

    林説明員 私が申し上げましたのは、安保条約とか地位協定精神から申しまして、やはりこの日出生台演習場米軍使用させることが必要であるというふうに考えまして、その旨を知事並びに市町村長にお伝え申し上げたということでございます。
  17. 小松幹

    小松委員 これは重大な問題です。日米安保条約が取りきめられ、日米行政協定あるいはそのほかの法規があるが、それらのことは抜きにして、これを受け入れて米軍の意を迎えることが当然であると考えたからというその考えは、調達庁長官個人考えにしかすぎない。これはまことにけしからぬことなんです。今あなたが言った言葉は、速記録をとってみてもわかるように、あなた自身が自分の感じなり考え方受け入れようとしておる。もってのほかのことだと思う。これはどういうことなのか、もっとはっきり言ってもらいたい。
  18. 林一夫

    林説明員 米軍から日出生台演習場使用させてもらいたいという要求がありましたので、政府といたしましても、十分にその必要性妥当性を検討いたしまして、やはり安保条約地位協定精神に基づいて、米軍使用させるべきであるという考えもとに、現在地元知事地元町村長にその旨を伝えて、協力を依頼しておるというような状態でございます。
  19. 小松幹

    小松委員 事は国際問題であります。国内の問題じゃありません。それであるのに、あなたは今再び言を返して、政府決定したという。政府はいっ、いかなる場所で、どういうところで決定したか、承りたい。先ほどあなたは個人のという意見だったが、今度は政府という言葉が出た。政府はいかなるところでどういうことを決定したのか、承りたい。
  20. 林一夫

    林説明員 この日出生台演習場使用については、米軍から要請がありまして、この要請についていかにこたえるべきかということにつきまして、関係各省と協議いたしまして、やはり安保条約地位協定精神の上からいって、これは提供する必要があるという考えもとに、地元知事地元町村長にこの旨を伝えて、協力方を依頼したということでございます。
  21. 小松幹

    小松委員 長官お尋ねしますが、これは一度お返ししたものなんであります。しかも、日本独立してから、アメリカ軍は引き揚げたところであるにもかかわらず、これが戦後十七年経過をして、再び米軍が入って演習をしようということは、まさに独立後の日本実態として逆コースであり、これは国辱的な問題であります。私はそう考える。それを今調達庁長官意見を借りますと、政府決定は何もない、今ちょっと出したのは、通産省とか外務省とかどことかいう一役所役人が、勝手に使わせたらよかろうと思うというよう考え方があり得べきことかどうか。これは国際問題ですよ。国内の問題じゃない。ここに道路をつくろうかというような、小さな、ちゃちな問題ではない。一国と一国が、独立国が、しかも、一つの大きな国際法規もとにして取りきめをしようとするときに、一役所役人が、よかろう、受け入れねばなるまいというようなことで、物事を進めるということは、これは押しつけじゃありませんか。これは長官にもどっちにもお尋ねしますが、押しつけじゃありませんか。私はこれは法規違反だと思う。閣議決定もない、日米合同委員会決定もないのに、役所同上がお互いに国際法規というものを無視して県民押しつけようとしておる。これをどう思いますか。
  22. 林一夫

    林説明員 先ほども申しましたように、日出生台演習場共同使用要請がありました。この演習場米軍使用について、政府といたしましては、その必要性妥当性等について検討しました結果、やはり安保条約地位協定精神に基づいて、米軍使用させるべきであるというよう考えもとに、知事地元町村長協力方を依頼した。もちろん、地元意向を無視して、強制的に提供するということではないのであります。そういう考えもとに、地元知事あるいは町村長協力方を依頼したということでございます。
  23. 小松幹

    小松委員 その考えはあなたの考えですかと言っておる。あなたの考えだったら、協力せぬと言ったら、それでいいのですか。はっきりして下さい。
  24. 林一夫

    林説明員 これは政府として、やはり安保条約地位協定精神からいって、米軍使用させるの適切であるという考えもとに、地元知事町村長協力方を依頼しておるということでございます。これは、別に知事とかあるいは町村長押しつけて、何でもかんでもこれを認めようということではないのでございます。その協力方を依頼したということでございます。
  25. 小松幹

    小松委員 政府考えであると言ったが、あなたは政府ですか。あなたは政府使用者にしかすぎないじゃありませんか。その一役人が、その考えもとにということはおかしい。これは国際問題なんです。しかも、安保条約という条約あり、日米行政協定という協定あり、日米合同委員会という正規会議があるにもかかわらず、その正規会議にもかけないで、あなた自身、官僚が、役人が、考えもとにとは何事ですか。これはもう一回聞きたい、どういう考えですか、あなた一個の考えか。
  26. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 林長官のお答えが、ちょっと御理解が十分でなかったようでありますが、先ほど林長官の申し上げた通り、まず米軍希望をわれわれが受けまして、これを検討した結果、安保条約あるいは地位協定精神に基づいて、必要性ありと認めまして、これを各省関係者と協議をいたしまして、目下地元折衝いたしておるわけであります。地元の大体の方向がわかりますれば、これを日米合同委員会に持ち込みまして、日米合同委員会で合意が得られますれば、初めて閣議決定いたしまして、アメリカとの間に正式に取りきめをいたす建前になっておるのでございます。
  27. 小松幹

    小松委員 建前はさかしまであると思う。だから押しつけだと思うのです。建前がさかしまなんです。これは国内問題ではない、国際問題であります。だから、私ども決定したとか、ああいうよう役所の取りきめでこういう問題は押しつけてくるべき問題ではない。どこそこに堤防をつくるとかというのは、役所で一応考えてもいいでしょうが、こういう国際問題を、逆に役所が、受け入れてもよかろう、こういう考えもとにというような形で押しつけてくるということは、もってのほかだと私は言っているのです。だから、まだ何も国際的な日米合同委員会、あるいはそれに伴う閣議でも、何も決定してない。あなた自身も実は知らない。役所が知っているだけ、役所のお役人が勝手に解釈しているだけです。この点は重大な問題だ。今後に残す問題として、アメリカ軍から内緒に地方の調達庁に言ってくれば、それをまともに受けて動いて、国民の前に出てくる。話の筋道が逆だから、あえて私はこれを言っている。  その次に、今まで富士演習場を使っておったが、富士演習場からおっぽり出されたから大分県に来るというのかどうか。
  28. 林一夫

    林説明員 この日出生台につきましては、あの土地が地形、地勢上から米軍演習をするに適当なところであるというようなことで、かねてからあそこの使用については要望があったわけであります。そのようなことで、合同委員会を通じて正式に提供方要望がありましたので、この問題について検討した結果、その必要性を認めまして、地元に依頼をしておるというようなことでございます。富士演習場が十分に使用できないから、その補充として日出生台演習場使用させるというようなことはないのでございます。富士演習場の問題とこの日出生台の問題とは、全然別個でございます。日出生台演習場は、富士演習場問題と別個に、かねてからここを使いたいという強い要望から、それに基づいて目下調査をいたしているということであります。
  29. 小松幹

    小松委員 この問題は、いろいろ問題がありますが、あとに譲りまして、それでは米軍演習実態というものをどのように把握しておるのか、戦車あるいは射撃砲等、どのよう装備を持っておるのか、戦車は何トン、何人、射程距離、それから上陸はいかなる上陸の形をとるのか、空艇隊で入ってくるのか、海岸上陸をやるのか、海津上陸をやる場合には、演習上陸もあれば管理上陸もある。そういうよう演習、受け入れたらよかろうというあなたたちはどの辺までアメリカ軍演習、あるいは装備を認識しておるのか、承りたい。
  30. 林一夫

    林説明員 米軍があの演習場使用したいという訓練内容でございまするが、これは、現存の自衛隊が行なっておる程度範囲内で、多くて千五百名程度、それ以外の訓練内容も、自衛隊訓練内容範囲内というようなことでございます。  上陸の問題でございますが、これは、上陸演習をするということではないのでございまして、揚陸地点に参りまして、そこで揚陸をするということでございます。上陸演習をやるというのではございません。また、この揚陸地点につきましては、現在調査をいたしておる段階でございまして、まだどこでやるかということは、はっきり決定いたしておりません。
  31. 小松幹

    小松委員 自衛隊を引き出す必要はない。あなたは自衛隊自衛隊と言うが、自衛隊に引き比べてものを言わないで、はっきり砲の射程距離戦車のトン数、人員、上陸方法等、もっとはっきり、上陸上陸用舟艇でやるのか、あるいは港に着けるのか、そういうことを聞いているのです。今あなたは、管理上陸を一応言ったと思うが、もう少し具体的に述べてもらいたい。
  32. 林一夫

    林説明員 米軍演習内容につきましては、先ほど申しましたように、自隊衛演習内容と同じものでございます。そういう自衛隊使用条件演習訓練内容と同程度のものであるということであります。もちろん、その射程とか、そういうような点も自衛隊程度のものである、こういうふうに承知いたしております。この揚陸地点でございますが、これは別に港とか海岸というようなことは限定していないのであります。現在最も適当なところを調査いたして、もちろん、これを決定するについては、地元の御意見十分参酌の上決定したい、こういうふうに考えております。
  33. 小松幹

    小松委員 私の尋ねていることに答えてもらうように忠告してもらいたい。射程距離は幾らかということは、着弾地点がどこにあるか、そこにおる住民はどうなるかという問題に直結しているから、私はその砲の着弾距離を言っているのです。一応私が二月に聞いたときには、日出生台演習場は、射程距離が短いから使用価値がないということを防衛庁が言っている。ところが、最近は、防衛庁はこれでやるからという。一体砲射程距離は幾らか、戦車の重さは幾らか、戦車の重さを聞いているのは、道路がどれだけ耐え得るかということを聞いている。あなたは、上陸地点海岸でもない、港でもない。一体どこから上陸するのか、あいまいなことばかり言っておるじゃないですか。海岸だったら、どこどこの地点を押えるというのではない。どういう上陸の仕方をするのか。海岸から上陸用舟艇で上がるのか。港に着けて、港からそのまま陸に上がるのか。港の地域あるいは海岸とによって違ってくるわけです。それから九月の上旬に一応地点の整備をするようになっているか、どうなのか。
  34. 林一夫

    林説明員 この訓練内容のことでございますが、これは、現在自衛隊が使っておりますところの砲の射程距離と同程度の、またその特車につきましても、自衛隊使用しておる特車と同程度のものを使用するということでございます。この揚陸でございますが、これはLSTという舟艇でもって輸送して参りまして、それを揚陸地点に着けまして揚陸させるということでございます。その揚陸地点につきましては、現在現地調査をしておりまして、もちろん、これを決定するについては、地元の御意向十分参酌の上決定するということにいたしております。
  35. 小松幹

    小松委員 戦車の重さは、自衛隊が使っておるといってもいろいろある。十トン戦車も、二十五トン戦車も、三十トン戦車も、あるいは五十トン戦車もあるのです。どういう戦車でするか、それが何台くるかということによって、道路使用、橋梁の価値というものが出てくる。そういうものをやらないで、ただ受け入れたらよかろうなんということでやっているから、問題がさかさまになっていると言うのです。何も知らないじゃないですか。  それならば、さらに承ります。既設道路を用いるのやら、新設道路でいくのか、これはお役人の判断で受け入れようとしたのですから、お役人考えがあると思います。新設既設か。
  36. 林一夫

    林説明員 この通路の問題でございますが、先ほども申しましたように、この通路につきましては、現在調査をいたしております。いずれにしましても、これは地元の御意向十分参酌しまして、地元に迷惑をかけないようにいたしたいというふうに考えております。
  37. 小松幹

    小松委員 これは過去の補償ができていないのですが、来るという前に、あなたたちは過去の補償についてどういうことをやり、またどういうことをやらねばならぬと考えているか。過去の補償は、人命補償もありましょう。あるいは災害補償もありましょう。地元からさらに要求も出ておりますが、今度調査班がきたそうでありますが、調達庁の方は大蔵省の方に予算を幾ら請求しておりますか、承りたい。
  38. 林一夫

    林説明員 この日出生台演習場につきましては、過去米軍使用によって、あの周辺に大へんな迷惑を与えておるわけであります。従いまして、米軍が過去において演習使用したことに伴うところの被害に対しては、この周辺に実損補償をいたしておるわけであります。これをたとえて申しますと、河川のはんらんを防ぐための改修工事とか、あるいは砂防工事だとかいうような実損補償をやってきております。お説のように、まだ過去の損害に対して実損補償が残っている部分がございます。そういうようなものは、今後あわせて考えまして、全面的にできるだけ補償をいたしたい、こういうふうに考えまして、大蔵省折衝を始めておる段階でございます。
  39. 小松幹

    小松委員 時間がないそうですから、大臣に一間聞いて、あと調達庁文書報告をお願いします。地元意見を十分入れるというお考えでありますが、災害補償あるいは地元の反対の意見を十分入れて、押しつけでないやり方をするお考えかどうか、大臣に聞きます。  それと、文書報告をお願いします。一、三十一年十月の閣議決定に基づく補償基準の改訂はやるのかやらないのか。三十一年十月の閣議決定補償基準をそのまま続けるのかどうか。二番目、現在地元民と自衛隊演習等に関する取りきめがあるが、その自衛隊との取りきめ契約、あるいは採草権の問題とか、いろいろなそういう問題に対して、補償一つも入っていないが、この取りきめに補償の問題を入れるか入れないか。その自衛隊地元民との取りきめが、そのままアメリカ軍地元との取りきめに横すべりをするのかしないのか。次に、部落の損害の補償などについては、今後どういう取りきめ、あるいは基準でやるのか、それによってはっきり納得させ得るかどうかという問題になってくる。先ほど大臣に聞いた、地元意見を尊重するという考えについて、さらに長官の御意見を聞いて、私の質問を終わります。
  40. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 先刻来しばしば申し上げておりまする通り地元の意思は十分に拝承いたしまして、尊重することは当然でございますが、十分に理解、納得のいくようにまず最善の努力をいたす所存であります。
  41. 小松幹

    小松委員 文書報告委員全部に配って下さい。
  42. 永山忠則

  43. 二宮武夫

    二宮委員 十文字、それから日出生台の沖繩米軍使用についての持ち時間はすでに切れておりますので、一問だけお尋ねしておきます。  ただいま小松委員からお尋ねいたしましたことで、大臣の答弁では、地元の意思を尊重する、こういうことがはっきり確認されたわけでございます。しかしながら、問題は、地元といっても、小さな、わずか四十戸か五十戸かの部落が、非常にその被害を受けておる。その地域の人は、明治四十年以来、戦争はまだ終わっておらないという感覚を現在持っておる。それからずっと続いて戦争の犠牲になり、あるいは米軍の接収になり、あるいは自衛隊使用になり、今回また沖繩米軍がこれを使用する、こうなると、非常に平和というものはその部落にはこないのだという感覚を持ってくる。従って、政治をやる者、行政をやる者は、立場をそういう人の立場に置いて考えるということは、私は大事な問題だと思います。全部の市町村が反対をいたしましても、一部の部落はどうしてもそういう犠牲になっておるという問題がございました場合には、これを納得させなければ問題が解決しない、それは押しつけになる、このように私は考えるわけであります。従って、北富士の問題が、あのような採草権の問題をめぐって非常に反対があって、それがために演習を中止した。これは前々からあったというけれども、本年の四月になりまして十文字、日出生台に対して申し入れがあったという限りにおいては、やはり地域の人は、北富士がやれなくなったから、十文字、日出生台に目を向けたのだという印象しか受けられない。しかも、私の知っておる範囲では、足が片方びっこになっておる人が、ずっと入院して、それがわずかに三千円の見舞金をもらっておるというような現状であります。それも、アメリカ軍使用したいという申し入れがあって、具体的に調査する段階になって、初めてその補償の問題に対して再びてこ入れを始めたという実態なんです。こういう官僚的な、少数意見を無視したようなやり方では、私は問題は解決しないと思う。従って、大臣もこの点は、先ほどから小松委員が確認をいたしましたように、地元意見という場合には、単なる集まった町村だけの意見である、市だけの意見である、県だけの意見である。こういうよう意見ではなくて、実被害をこうむっておる小さな部落の人々を納得させる、こういう問題について、一つ十分に今後勘案する意思があるかどうか、この点をはっきり大臣にお聞きしたい。
  44. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいまお話の中にありました、北富士演習場におきまして、ある部落がいまだに納得しない部落があるのでございますが、そういう問題につきましても、われわれが最善の努力をいたしておると同様に、お尋ねの件につきましては、少数意見をあくまでも尊重して参りたい所存でございます。
  45. 永山忠則

    永山委員長 防衛庁長官は、渉外関係打ち合わせのために十二時半には本席を退席いたしたいと言っておりますので、大臣に集中的に質問をしていただきまして、一人当たり十五分くらいにお願いいたしたいと存じます。  なお、事務当局への質疑は、大臣の退席後も続けてやりたいと思います。足鹿覺君。
  46. 足鹿覺

    足鹿委員 私は、主として鳥取、島根両県に重大な関係を持っております美保基地問題について、新防衛庁長官に若干お尋ねを申し上げたいのであります。  防衛庁長官は、御就任以来きわめて意欲的な態度をもちまして、防衛庁関係の仕事と取り組まれ、さきには自衛隊の農村派遣の構想なども発表され、また、従来の経過から見ましても、小中学校生の、基地の泊まり込み視察、あるいは陸海空施設の搭乗の無料サービス等、自衛隊はこのところやっきになって、災害出動その他も含めて住民感情を緩和をして、そして、でき得れば基地整備を間接的に促進したい、そういう意図のように思われるのでありまして、自衛隊の農村派遣等、そのこと自体に私は疑義を差しはさむものではありませんが、そういう趣旨が含まれることは、まことに従来の経過から見て遺憾に思うのであります。  そこで、この際、新長官に伺っておきたいのは、本年二月一日、衆議院予算委員会防衛庁から提出をされました資料によりますと、航空自衛隊重点事項として、一、各航空団基地の施設を整備する。二、百里基地を推進する。三、騒音問題の解決のため、学校、病院等の防音工事を推進する、これが重点事項として取り上げられておることを資料として提出しておるのでありますが、伝え聞くところによりますと、長官は、飛行基地等について基本的な構想を御検討中と承っておるのでありますが、その構想について、この際明らかにしていただくことができれば幸いと思いますが、いかように御検討になっておりますか、飼いたいと思います。
  47. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいまお話のありました基地問題に対する構想というようなものは、まだ持っておらないのであります。ただ、私は、就任早々でございますが、基地問題というものは、真剣になって考え直してみなければならぬのじゃないかという感覚でございます。そこで、しろうと長官でございますから、まず、全国に配置せられておる自衛隊の基地なり、あるいは米軍の基地というものはどういう状態にあるのか、あるいはまた地元との関係がどういう状況になっておるのかということを、目下私は調査中でございます。その調査の結果に基づきまして、私も政治家でございますから、おのずから何かしら新しい構想が生まれてくるかもしれませんが、勉強してみたい、このままでは壁にぶち当たって、にっちもさっちもどうにもいかぬのじゃないかというような感じがいたしますので、その感じの上に立って、今後新しい角度から勉強してみたいということで、目下基礎になる資料を収集中でございまして、現在新しい構想というものはまだまとまっておりません。
  48. 足鹿覺

    足鹿委員 それとの関連におきまして、最近、美保輸送航空団に対して、施設担当の専任副司令を就任せしめられておるのでありますが、これは長官の就任前のことのように存ずるのでありますが、それは測量等を具体的に進める意思によって、美保基地のジェット実戦基地化を具体的に進める使命をもって副司令を就任せしめられたものでありますか、この点を明らかにしていただきたい。  この問題は、われわれは二カ年間取り組んでおり、その前には、米軍の通信拡張問題がありまして、ついに地元住民の意思に米軍みずからも屈しまして、永久放棄をして、昭和三十二年に米軍基地は撤退したいわくつきのところであります。そういう地元の歴史的な面から見ましても、その後、このジェット実戦基地化が進みますや、地元の反対は熾烈をきわめ、境港市議会、安来市議会、米子市議会、松江市議会、島根県議会、八束村議会等、住民を代表する議会においては、ことごとく反対の議決をするというような事態もあり、昨年は自濱次官一行がおいでになり、引き続き強制測量のうわさが立って、海上デモが行なわれ、武装警官が待機をする、右翼団体が繰り込んでくる、こういう状態になりまして、第二の新島を現出する寸前に、ようやくこれは平穏に食いとめることができておる状態でありますが、そういう過去の事情をお知りになった上で、この施設担当副司令を就任せしめられておるのでありますか、その任務は、具体的に何でありますか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  49. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 その話は、最近になって私は聞いたのでございますが、先生がただいま心配になるようなことと全く関係がございません。いやしくも自衛隊の部隊を配置しておりまする以上は、責任ある者をそこの責任者に据えることは当然なことでございまして、今後新しい基地に発展させるための責任者として任命したのではございません。当然なすべきものの責任者を配置しただけでございまして、その点、御了承を願いたいと存じます。
  50. 足鹿覺

    足鹿委員 長官の明確な御答弁でありますから、本人が新聞談話で、少し気にかかるようなことを申しておりますが、これ以上追及いたしません。長官の今の御一言は、百万の重みを持つものだと私は思いますので、これ以上申し上げません。  第二に伺いたいことは、民間機とジェットの実戦基地等との共用の問題についていかようにお考えになっておるか。去る八月三十日、千歳空港におきまして、四十五分間の油しか積んでおらないジェット機が優先着陸をするために、民間航空が一時間以上もその周辺で待たされ、燃料が切れて、あわてて他の飛行場へ着くという事態が起きております。また、小牧の飛行場においては、かつては衝突事件が起きておるわけであります。現在そういう中にあって、千歳空港のごときは、米軍の第二基地がそのそばにあるのであります。それはほったらかしておいて、こういう事態を現出されるということは、まことに不合理であると思うのであります。現に美保培地におきましても、最近観光、産業その他の面から全日空が定期航路を開設いたしまして、利用者が非常にふえておるわけでありまして、将来を考えたときに、ジェットの実戦基地になった場合においては、きわめて危険を予知せざるを得ないのであります。従来からの美保基地の実情を申し上げますと、多くは申し上げませんが、その付近に境線が走っており、飛行場の滑走路のついそばに大篠津駅がある。基地のコントロール・タワーから危険信号が出ますと、日に数十回の電車あるいは列車は、そのつど停止を命ぜられる。しかも、その地険信号のシグナルは、全国に異例の一メートルのシグナルでございます。おそらくそういうシグナルを使っておる国鉄あるいは私鉄等は、類例がないであろうと思います。そして、かつては、離着陸のときに駅は執務ができなくなって、その離着陸の際の爆風よけの大きなコンクリートの防壁を築造するというような事態も、過去においてあったわけでありまして、全く環境から言いましても、おもしろくない事態であると同時に、この基地の滑走路の延長によりまして、山陰の総合開発の中心にも非常に大きな支障が起きる事態になっておるのであります。これは、事実を見ていただけばわかりますが、中海を淡水化するわけであります。そして鳥取県側と島根県側の島の間に樋門を作って、潮流の調節をやって淡水化をする、それとごくわずかのところの、二千四百メートルの着陸基地を含みますと、日本の面積に換算すると約六十町歩の大きな島が出てくるわけであります。中海干拓は、御存じのように百三十億の予算で、来年度においては二億二千万円の予算を大蔵省当局にも農林省は要求いたしまして、すでに実施設計ができ、地元との調整中の段階であります。来年は着工の状態であります。そういたしますと、六十町歩からの大きな埋め立てが行なわれることになりますと、技術的に見ても、遊水面関係に重大な支障が起き、それでなくとも境水道の副振動の問題、最大降雨量の時期における洪水危険の問題等、中海干拓自体においても大きな問題が起きておるのであります。その中にあって、技術的に見てもきわめて重大な関係を持つこういう地帯、いま一つは、弓浜地帯は細長い、幅の一番狭いところは一里足らないのであります。かつて三百年前には切れておって、一つの局でありまして、その断続した砂丘地帯であります。耕地面積はわずかに三千五百町歩のところに、農家戸数では七千七百戸あるのであります。日本でもこのような稠密な農村地帯はあまりないといわれておる特殊な地帯であります。そういうところにこういうものが設置されるということは、どのような見地から見ましても適当でない。私どもは、主義とか思想とか観念を越えて、実際問題としては不適当である、こういうことは私どもの年来の主張であり、地方住民の意思であって、米子、境市議会においても、成規の過半数の住民の署名をとって議会に請願をする、こういう形になっておるのであります。時間がありませんから、これ以上は申し上げませんが、従来の経過からして、このような環境の中にある、現在防衛庁が持っておられる美保基地のジェット実戦基地計画を白紙に戻して、再検討していかれる御意思はございませんか。この点、歴代の長官に私は理を尽くし、ほんとうの地元民の真情を訴えて常に迫っておる問題でありますが、新長官としては、先刻来きわめて誠意のある弾力的な立場から、基地問題の状況を全国にわたって調べ、地元との関係もよく精査してみたい、こういう御発言がございました。そういう中にあって、今私が指摘したような実情等を十分勘案され、白紙に戻されんことを希望いたすのであります。今直ちにこの問題についての御答弁はむずかしかろうと思いまして、十分その点についても御検討を願いたいと思いますが、御所見があれは承っておきたいと思います。
  51. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 美保の基地問題は、私は十分勉強いたしておるつもりであります。足鹿先生からもじかに、むしろ私の方からよくお話を承っておるくらいでありまして、積極的にこの問題と取り組んで、ただいま足鹿先生からお話のありました御意見をよく頭に置きまして、この問題を慎重に、また誠意を持って研究して参りたいと思います。これ以上のことは遠慮させていただきます。
  52. 足鹿覺

    足鹿委員 もう一点だけお許しをいただきます。  簡潔に申し上げますと、政府は先般来、基地問題等閣僚懇談会、また基地等周辺問題対策協議会等を設置し、そして基地周辺の開発投資の問題について検討をしておると伝えられておるのであります。前の藤枝長官もこの点について触れたのでありますが、その結論としては、たとえば二十八年四月一日の補償基準、三十三年十一月二十一日の防衛庁訓令等、この二つの補償基準等を変更する意思はない、また変更しておらない、こういうことも言われましたが、しかし、新しい、基地構想の再検討ということが考えられておるとするならば、二つのこれらの政府関係の検討の段階とその結論とを別にしては、おそらく来年度の予算構想等もできないと思います。そこで、私長官に伺っておきたいのは、二十八年四月一日の補償基準、三十三年十一月二十一日の防衛庁から出されました訓令等補償基準の変更を、来年度の予算に具体的にする意思があるのかないのか。また、基地問題等閣僚懇談会、基地等周辺問題対策協議会等において、自民党等から強く要請していると伝えられておる基地周辺開発投資の立法措置等について、現在構想があるのでありますかどうか。来年度の予算との関係において、この際明らかにしていただきたいと思います。
  53. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 お尋ね補償基準の改定の問題等、実は私は就任早々でありまして、先ほど申し上げた全般的な基地問題と関連して、この補償の問題もあらためて考えてみたい、そういう建前から、はなはだ不本意でありますけれども、明年度の予算には現在考慮いたしておりません。これは三十九年度の予算の編成を目ざして、基地問題その他を私はこれから勉強して参りたいと考えておる次第であります。  なお、開発投資でございますか、この立法化の問題も現在具体的に考えておりません。
  54. 永山忠則

  55. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、北海道十勝太に建設予定をされておりますロラン・サイト施設並びに矢臼別の演習場の問題について、質問いたしたいと思います。  時間がありませんので、端的にお尋ねをしますが、このロランCの問題は、すでに八丈島に建設の予定が、地元の強い反対にあって、それが硫黄島に変更するということになり、残されたのは、わが国の領土では十勝太の一地点になっておるわけです。そこで、私は、まず長官に、いろいろ政府からロランCについての説明がなされてきましたし、また本委員会でも問題になってきたわけですが、このロランCの施設を設置する目的並びにその利用の範囲を一体政府はどのよう考えておるのか、この点について、端的に一つ御答弁を願いたいと思うわけです。
  56. 林一夫

    林説明員 ロランCは、米軍米軍のために建設するものでございます。その機能は、御承知ように、このロランCから電波を発しまして、その電波を受信しまして、飛行機なりあるいは船がその所在位置を確認するということになっております。要するに、いわば電波灯台と申しましょうか、そのような機能を持っておるものでございます。米軍はそのような施設を必要とするということで、米軍のために建設することになったわけでございます。
  57. 岡田利春

    岡田(利)委員 今の長官の説明は、そういうことはわかっておるわけです。そういう答弁では、実は質問の対象にもならないわけです。少なくともこのロラン・サイトの施設をするためには、現行安保条約の第二条、あるいは第六条に基づいて、日米合同委員会において米軍の申し入れがあり、これに対して政府としてはこれを受け入れて、それを設置する場所を提供するということに実はなっておるわけです。ですから、当然政府としても、このロラン・サイトの使用の目的、一体どういう範囲にこれが使用されるのか、こういうことがもう少し具体的に明らかでなければならぬと私は思うのです。あなたが言っているのは抽象的で、一般的である。しかも、あなたの今言っておることは——札幌の調達局あるいは浦幌町に対するあなた方の説明は、もう少し極端に言うならば、この施設というものは、あくまでも平和利用が目的である、こういう一貫した説明を今日までしてきておることは、間違いのない事実だと私は思うのです。ですから、この内容は、一体どういう具体的な利用の内容を持っておるのか、この点はその程度よりわからぬのかどうか、明らかにしてもらいたいと思います。
  58. 林一夫

    林説明員 ロランCの目的と申しましょうか、機能は、先ほど申しましたように、遠洋を航海しておる船舶とか飛行機が、自分の所在位置を確認するために、このロランCから発する電波を受信しまして、その所在位置を確認するということでございます。その電波を発する施設でございます。このような施設は、従来日本にもあるのでございまして、海上保安庁の施設として、また米軍の施設としてロランAがあるのであります。同じような目的のために設置されておるのでございます。今回設置されますロランCというのは、この従来設置されておるロランAに比べまして、その電波の到達距離が遠くなるということでございます。要するに、遠洋を航海しておる船舶あるいは飛行機が、そういう遠いところでこの電波を受信しまして、その位置を確認することができるということになるわけでございます。これは、そのような機能を持っておりますので、どこの船舶にしろ航空機にしろ、この受信機を設置すれば、この電波の受信をすることができるのでございます。そのような意味におきましても、民間においてもこの電波の利用ができるということでございます。
  59. 岡田利春

    岡田(利)委員 ところが、わが党の大柴委員に対して、この問題についていろいろ答弁をされておるのですが、私の調べによりますと、この周波数は大体百八十キロサイクル、さらにピーク時には一千キロワットの出力を必要とする。この電波の到達距離は、昼間では二千七百キロメートル、夜間においては大体この倍、五千キロメートルに及ぶであろう、こう実は言われておるわけです。この点は、あなたの答弁と若干実は違っておるわけです。  そこで、私は具体的に聞きますけれども、原子力潜水艦が中距離弾道弾であるポラリスを発射させるために、潜水艦の位置を測定するために、どうしてもロランCのこういう施設が必要なんだ。特にこのポラリスを発射する場合には、位置が確定しなければ非常にめくら撃ちになる傾向があるわけです。こういうことがすでに発表されている。その位置を約確に確定するためには、こういう施設が必要なのである。だから、当然これはポラリスの発射に利用されると思うが、この点についていかがですか。
  60. 林一夫

    林説明員 このロランC設備は、先ほども申しましたように、電波を発信する、その電波を受信しまして、飛行機なり船舶がその所在位置を確認するということになるわけです。しかも、この電波を受信できますのは、どんな船でもどんな飛行機でも、どこの国の船でもどこの国の飛行機でも、とにかく受信機を備えつければ、その電波を受信することができる、その所在位置を確認することができるということになるわけです。従いまして、これは軍艦であろうと、軍用機であろうと、民間機であろうと、漁船であろうと、とにかくこの受信機を備えつければ、その電波を受信できるという趣旨のものでございます。
  61. 岡田利春

    岡田(利)委員 当然これは、原子力潜水艦からポラリスを発射する場合には、利用ができるのだということが明らかになったのだと思うのです。さらにまた三沢、横田、岩国あるいは板付、台湾の公館、これらには大陸間水爆機のB52、B57が配置をされておるわけです。この誘導にも当然これは利用されるという工合にわれわれは判断するわけです。あるいはロラン航法によって誘導する目的ですでに開発されている中距離誘導ミサイル、つまり、沖繩にあるメースBあるいは南朝鮮にあるマタドール、これらの誘導にも当然これは使われる。また、そういうためにこのロランCというものが開発されてきたのだ。あなたは漁船とかなんとか一般論で言いますけれども、一千八百万円の金がなければこの受信機をつけることができないのです。一千八百万円かかるのです。これだけの受信機をつける漁船というものはほとんどないでしょう。ですから、この目的というものは、軍事目的に使われるために米軍が施設をするのです。平和利用でなくして、当面の軍事目的に使うためにこれは当然設置されるものと私は考えるわけです。この点、あなた方は今までの説明や答弁、こういうものをずいぶんごまかして、電波について非常に弱いものだから、今までこの基地の住民に対する説明についても、これをぼやかしておる。平和目的の方を優先させて今まで説明を加えてきている。大臣、この点いかがですか。
  62. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 私は、あまり軍事兵器のことは勉強しておりませんで、ただいま答弁しました林長官の答弁通りと心得ております。
  63. 林一夫

    林説明員 先ほども説明申しましたように、この電波は、受信機を備え付ければ、どこの国の船でも、どこの国の飛行機でも、またこれが軍用船であっても、民間の船であっても、この電波を受信できるということになるわけです。そしてこの電波を受信することによって、その所在地を確認できる。たとえば民間の船ならば、あるいはこれは軍用船についても言えることでございましょうが、暴風雨のときの避難とか、その他魚群の誘導というようなことにも利用できるわけです。いずれにしましても、これはどの船にでも、どの飛行機にでも、その受信機を設置すれば、その所在地を確認できるという施設でございます。
  64. 岡田利春

    岡田(利)委員 私の質問していることに答えてもらえばいいのです。そういう一般論は、私は十分勉強して知っている。私の質問していることに答えてもらいたい。米軍が施設するのですよ。しかも、安保条約に基づいて、日米合同委員会において正式にきまっておるわけなんだ。だから、今私がポラリスの発射の問題、あるいはB52、これらの誘導、さらにまた、このロラン航法によって開発されてきたところのメースBあるいはマタドール、こういうミサイルの発射のためにこれは使われるのではないか。あなたが言うように、たとえば普通の日本の漁船の救助、あるいはまたその位置を確定する、こういうことには今のロランAで十分だということは、海上保安庁が言っているのですよ。だから、米軍日本国内に、しかも沖繩あるいは硫黄島、十勝太と、このように配置をされるわけです。その主たる目的は一体何なのだ、こういうことがわからないで、あなたはこれを日米合同委員会で了承しているのですか。その主たる目的は一体何なのだ。米軍が施設する以上、当然それが主たる目的ではないのかと私は端的に聞いている。そうならそう、そうでなければそうでないと明確に答えてもらいたい。
  65. 林一夫

    林説明員 先ほども申しましたように、これは米軍米軍のために施設するものでございます。米軍がこのような施設を設けまするのは、米軍の航空機、米軍の船舶、こういうものの航行安全、所在地を確認して航行の安全を期する。そのためにとのロランCを設置するというふうに承知いたしております。
  66. 岡田利春

    岡田(利)委員 航行の安全を期するというだけの問題でないわけです。自分の所在地を確定するということなんですよ。それはもちろん航行の安全にもつながるでしょう。その航行の安全に必要な中に、これらの三つの問題が当然出てくるわけです。ですから、これに利用されるであろうということを聞いているわけです。これは、日米合同委員会でやっているわけですが、利用されるかされないかくらいあなたはわからないで、このことに対して日本政府の態度をきめているのですか。当然利用されるだろう。利用されるかされないかということを、私はまずこの問題について明らかにしてもらいたい。しかも、九月一日からこの施設の建設開始にかかっている。地元においては、不穏な情勢が今日起きている。しかも、あなた方が一貫して説明したのは、おもに平和目的である。札幌の調達局においても、また大柴委員の質問に対しても、あなたが答弁されておる内容、全部一貫して流れておる思想は、あいまいもことして、しかも平和的に利用される面が非常に強い、こういう面をむしろ強調しておる。ロランAが今日あるのですから、ロランCという、こういう遠距離にものすごい周波数を出す電波塔を設置しなければならぬという主たる目的は何だ。軍事目的である。軍事目的のうち、飛行機あるいはまた船舶の所在地の確認である。そうなれば、当然その中で最も大きく今日取り上げられるミサイルの問題があるでしょう。あるいは原子力潜水艦の問題があるでしょう。あるいはB52の問題があるでしょう。こういうものが当然中心にならなければ、これほどの非常に遠距離に波長の届く電波塔を設置する理由がないではありませんか。この点をはっきりしてもらいたい。この答弁いかんによっては、あなた方は、今まで地元に対しても一般国民に対しても、電波に弱いことを理由にして、むしろその真相を明らかにしなかったということになる。あなたの言うような一般論をもし承知するような料学者があったら、私は教えてほしいと思う。数十人の科学者が、この電波塔の主たる目的は、こういう三つの問題におそらく重点があるであろうと証言されておる。いかがですか。
  67. 林一夫

    林説明員 先ほど来申し上げております通り、これは米軍の施設で、いわば軍事施設でございます。この目的は、米軍に所属するところの航空機、船舶、この所在を確認するために、この電波を発するということでございます。何か北海道において、この主たる目的が平和的利用である、こういうふうに言ったように伺ったのですが、平和的利用と申しましたのは、もちろん、これの主たる目的というのは、米軍が軍事目的のために使用する施設でございますが、先ほども申しましたように、民間の航空機も民間の船舶もこれを利用できるという意味で、平和的にも利用できると申したわけであります。
  68. 岡田利春

    岡田(利)委員 時間がありませんから、この問題は午後からじっくり私はやりたいと思う。  そこで、長官に次にお尋ねしたいのは、実は先般参議院でも、あなたは質問に答弁をされておるわけなんですが、自由民主党の山梨県選出の堀内一雄代議士が、自民党の国防部長として、今自衛隊演習場に予定をされておるいわゆる矢臼別も別寒辺台の演習場について、富士山ろくの現在の米軍の実弾射撃の演習場というものをこの地区に移動さしたい、こういう構想が実は発表になったわけです。長官も御存じの通り、今日いろいろ国内演習場がありますけれども、特にこの矢臼別に予定せられておる演習場は、その規模において他に比較にならないほどものすごい広大な地域になるわけです。私の調べによると、一億八千万平方メートルの演習場であります。ですから、そういう意味で、当面それは自由民主党の国防部長が一応その構想を発表しただけであって、そういう考え方は、あなた方はないと言われるかもしれない。しかし、今日日米安保条約があり、しかも、米軍がもしこの演習場使用したい、こういう大きい演習場がないから、他の規模とは倍以上、比較にならない一億八千万平方メートルに及ぶ演習場ですから、米軍がここを実弾射撃場に利用したいという場合、それは自衛隊演習場であるから、米軍演習場には使用させることができないという工合に、私は、端的に断わることができないと思うのです。この演習場ができれば、当然そういう米軍の申し出に対しては、安保条約の定めるところによって、これを認めざるを得ないと思うが、その見解はいかがですか。
  69. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 御指摘の矢臼別の演習場は、もともと計画のもとが、北海道に駐屯する四個師団のために計画をし、また、これを具体的に実行に移しつつあるわけであります。なお、このほかに、東北に駐屯する部隊などもあわせて考えたいと思うのです。従って、私の今日ただいまの考えとしましては、矢臼別が完全に演習場として取得できますならば、陸上自衛隊訓練のために年じゅうこれを使用して、これこそ自衛隊のオンリーの演習場であるというものに私はしたいと思っておるのであります。従って、将来取得した暁において、米軍使用方を申し出るかどうか、これは仮定の問題でございますが、米軍がいやしくも希望し得る余地のないように、私はこれをフルに使いたいのでありまして、私は、矢臼別の演習場は、あくまでも自衛隊のオンリーの演習場にして参りたいかたい決意でございます。
  70. 岡田利春

    岡田(利)委員 そうすると、あなたの前提は違うのです。私は、本問題を前の藤枝長官にずいぶん詳しく質問している。この使用内容というのは、これはわずか一年間に五カ月間ですよ。しかも、そのうち、一週間実弾射撃の演習をしたら、一週間休むのです。そして使用期間は五カ月であるということをはっきり言明されておる。議事録もあります。あなたの言っていることと違うのです。これは、あなたは申し送りされているわけです。当然余地はあるわけです。五カ月間のうち、一週間置きに隔週に実弾射撃の演習をするのだ、こういうことなんですから、どうもあなたの答弁と大きく違っているし、当初の計画とあなたの言っていることは全然違う。だから、米軍がここの演習場で実弾射撃の演習をしたいという場合に、安保条約の第六条、あるいは日米合同委員会に持ち出された場合に、あなたはかたい決意だと言うけれども、それを拒否する、断わる根拠というものはないではないか、余裕もあるのだし、こういうことを私はあなたに端的にお尋ねしておるわけです。
  71. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 これは、まだ取得も完全にできない演習場でございますから、今から、米軍使用するかしないか、あるいは希望があるかどうか、その仮定の上で私は考えてはおりません。もうこれは五カ月間しか使わないというようなお話もありますが、その点までは私も技術的に勉強しておりませんけれども、この演習場だけは、少なくとも日本自衛隊のりっぱな演習場としてこれを残していきたいし、そういうつもりでもともと計画をいたしておるのであります。従って、将来、ただいまお話のありましたよう希望が出ました場合におきましても、私はかたい決意でこれに当たりたいという程度考えであります。従って、現在アメリカ使用するかどうか、第一、演習場が完全にまだ取得できない段階でございますから、その問題は仮定のことでございますから、さように御了承願いたいと思います。
  72. 岡田利春

    岡田(利)委員 特にこの演習場の取得の問題については、当時の藤枝長官は、今年の四月一日ごろに解決したいと言っておった。ところが、まだ解決されていない。地元はこれに賛成していると言われますけれども自衛隊の部隊が兵舎を持って駐屯しない限り、これについては反対であるという明確な意思表示がされている。別海村の山崎村長は、もし正式に駐屯しないというならば、強行して演習する場合には、全村民がこの演習場に坐り込みをする、こういうことをはっきり言われておるわけです。ですから、この点について地元との話はどうなっておるか、そういう地元の最も関心を持っておる前提条件についてはどう検討されておるか、これが第一点であります。  それから第二点の問題は、最近の東北海道におけるいろいろな動き、あるいは話として私も聞いておるのでありますが、今日三沢並びに千歳の飛行基地というものは、大体気象条件からいって、日高山脈を中心にして、北海道の場合気象条件が違う。だから、同じ気象条件のもとで、三沢あるいは千歳の飛行場、こういうものを設置しておっても、いろいろ問題があるので、日高山脈を越えた、気象条件の変わった、特に釧根原野に、このF04Jですかのジェット基地をつくる、こういうことがいわれて、内々その調査が進められておるという話を私は聞いておるのでありますが、この点について、一体真相はどうなのか、そういう検訂がなされておるかどうか、この二点について質問いたしたいと思います。
  73. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 別海村との折衝の前提条件は、部隊を駐もさせるという前提条件で目下話し合いを進めております。
  74. 海原治

    ○海原説明員 ただいま先生の御質問のありました、後段のF04Jのための新たな飛行基地ということについては、私何も承知しておりません。
  75. 永山忠則

  76. 武藤山治

    武藤委員 大臣、非常にお忙しい時間のようですし、十分間という割り当てですから、就任したばかりの大臣で、まだ知らぬ知らぬということで、おそらく確答が得られないのではないかと心配をしておるわけですが、まず最初に、渡良瀬川遊水池を米軍演習地にしようという政府側の動きに対して、反対の陳情を受けた、その事実を覚えておりますか。その点いかがですか。
  77. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 しばしば反対の陳情を受けております。
  78. 武藤山治

    武藤委員 現存群馬県太田の大泉というところに、米軍演習地があることを大臣承知しておりますか。
  79. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 その点も承知いたしております。
  80. 武藤山治

    武藤委員 それは現在の時点で、はっきりアメリカ演習地ということで、従来の関係はそのまま存続されておりますか、その点いかがですか。
  81. 林一夫

    林説明員 従来通りパラシュート訓練場として使用されております。
  82. 武藤山治

    武藤委員 従来通りパラシュート訓練場として使用しておるということの契約がそのまま続いておるとするならば、そのままずっとこれを将来も続けたらよかろうと思うのですが、この点はどうでしょうか。
  83. 林一夫

    林説明員 ただいま申しましたように、これは従来からパラシュート訓練場として米軍使用いたしております。ところが、御承知ように、太田の大泉の訓練場は、数年前に首都圏整備法によって工場地帯の地域に指定されておる。そのようなことから、かねてからあそこの返還を地元としては希望しておったわけです。防衛庁といたしましても、そのような関係上、米軍にはなるべく早くあの訓練場を返還してもらうよう要求いたしておったのでございます。米軍の態度は、他に同等程度の代替地の提供があれば返還に応じてもよろしいということで、当方としましては、各方面についてその代替地の候補地を詳細に調査いたしまして、米軍折衝して参ったわけでございます。そこで、最近に至りまして、例の渡良瀬遊水池付近が比較的適当なところであろうというよう考えるに至ったのであります。
  84. 武藤山治

    武藤委員 渡良瀬遊水池付近が適当であろうと考えるに至ったその経緯や、そういう調査などをどういう方法でやったのですか。
  85. 林一夫

    林説明員 これは、各方面について候補地をまず選定しまして、候補地について現場調査をいたしまして、米軍といろいろの条件について話を進めてきたのでありますが、やはりなかなか話がまとまらない。まあ、渡良瀬遊水池ならば、大体米軍要求する条件も満たすというようなことで、渡良瀬遊水池、あの周辺全般について調査をいたして参ってきているわけでございます。
  86. 武藤山治

    武藤委員 長官にはあとで聞きますから、大臣にだけ答弁をしてもらいたいと思いますが、今、林長官の答弁で大臣も気がついたと思いますが、地元の群馬、茨城、栃木、埼玉四県にまたがる遊水池のこの地形を調査するにも、あるいはこれを候補地として勝手に選定をするにも、全然これらの四県と相談をせずに、さらに地元の市町村にも相談をせずに、勝手に調査をするという、そういう独善的なやり方で、一体住民の意向を尊重した態度と言えるでしょうか。その点、大臣の御意見を承りたい。
  87. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 おそらく私の就任する前の問題でございましょうから、詳細に私は前長官からは聞いておりません。やはり何と申しましても、今の仰せのように、知事なり、あるいは地元町村長なり、そういう諸君ときわめて緊密な連絡のもと調査をするのが穏当であろうと思いまするが、もしもかりにそういう努力が尽くされておらなかったとすれば、今後は、あえて渡良瀬の問題だけではなしに、今後起こり得まする基地問題については、十分にさような手を尽くして、地元と協議の上、調査その他をやりたいと思っております。
  88. 武藤山治

    武藤委員 大臣、河川の管理権というものは、一体だれが持っておるか、大臣の御認識をお聞かせ願いたいと思います。
  89. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 これはおそらく関係する知事でございましょう。
  90. 武藤山治

    武藤委員 関係する知事が管理権を委任されておるということがはっきりするならば、なぜ県の了解を受けずして調査をするのですか。そういう調査の仕方は、私はやはり役人の独善だと思うのですが、大臣、どうお考えになりますか。
  91. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 もしもそういうことがあったとすれば、はなはだ残念なことでありまして、今後十分に注意いたす所存でございます。
  92. 武藤山治

    武藤委員 もしも今後さようなことがあるとするならばという仮定の上に立っての答弁でありますが、事実本年八月一日に、日米合同調査、すなわち、米軍六人と調達庁役人六人でヘリコプターで現地に参りまして、しかもジープで現場を見て歩いた。このことが地元民にどういう刺激を与え、今後官側と住民側とでどういう衝突事故が起こるかということも想像がつくと思うのです。県の了解も全く受けないこういう仕打というものは、あなたが大臣になられたからは絶対させぬ、そういうかたい決意を持たなければ——先ほど大臣は、冒頭に、基地問題について考え直さなければならないという感覚を持つに至っておると言われたが、感覚だけでは困るので、政治家なんですから、それを具体的に政治の上に現わすという不退転の努力をしなければ、住民は信頼しないのです。そういう点で、八月一日のこういう調査ようなことを、全然関係各市町村なり、あるいは管理者なりの了解なしにやるということは、以後絶対しない、そういう確約はできますか。
  93. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいまの御忠告通りに実行いたします。
  94. 武藤山治

    武藤委員 そこで、私は大臣に強く要望しながら答弁を求めたい一点は、隣の県の群馬県に現在あるパラシュートの演習場なるものは、おそらく使用はほとんどしていないと思うのです。使用しても、回数はほんのわずかのものだと思うのです。しかも、今日のミサイルの時代に、極東戦略という点でアメリカの立場が非常に変化をしてきておるときに、こういうパラシュートの演習場を、その付近のどこかに代替地を見つけなければならぬということに応ずる今の調達庁の態度も、私は不見識きわまると思うので、こんな演習場は、もう太田をやめた場合に、代替地を見つけるなんという条件はけって、だんだん減らしていく、そういう土地は寸土といえども減らしていって国民のために使用させるという態度が、国民の信頼を受け、ほんとうに日本の平和という方向に国民の意思を結集する道だと思うのです。そういう点で、これから日米合同委員会なりあるいは施設委員会なりにおいて、大臣、大いにふんばって、そういうパラシュート演習場などはもうつくらぬ、やめたままでいいじゃないか、こういうことをアメリカ側に強く主張してもらいたいと思いますが、大臣の決意のほどはどうですか。
  95. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 御意見として十分に拝承いたします。
  96. 武藤山治

    武藤委員 御意見として拝聴するという、その謙虚な態度には敬意を表しますが、大臣は、先ほど基地問題について新たな考え方、感覚を今必要とする、そういうような意味のお話をしておったのですから、大臣に就任をしたあなたの政治家としての勇気を私は期待し、栃木県、群馬県、茨城県、埼玉県の住民とともに、こういう管理権を持った者の了解も受けずに調査をするがごときことは、断じてしないという約束をもう一度確認をして、午後、今度は事務当局に質問をしたいと思います。
  97. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいまも申し上げた通り、以後そういうことのないよう相努める所存でございます。
  98. 永山忠則

  99. 山田長司

    山田(長)委員 最近の国際事情は、一部において、必ずしも平和の方向にばかり動いておるとは考えられないと思う。そのことによって、軍備拡張の動きというものが、目に見えて最近あるような印象を受けるわけです。たまたま私は、こういうさなかに、先月モスクワで開かれた平和と軍縮の大会に参加をいたしました、それで、世界じゅうから百二十一カ国、二千四百九十六人の代表が出まして、最近の核爆発実験の反対とか、あるいは軍備の拡張についての反対とか、こういう世界各国からの人たちの世論を耳にする機会があったわけです。私は、今この報告をしようとしたり、あるいは詳細な説明をしようとしておるわけではないのですが、この動きの中から強く感じたことは、猛烈なる平和への欲求を持っておる人たちによって、今までに世界の人数始まって以来ない催しが持たれて、この中から私は強く感じたことは、今までのような世界のあり方であったのではいけないのではないかということを、痛切に感じたのです。そこで、日本の政治も、そういう点で大きく転換をしなければならないと感じ取ったわけです。このままの状態でいくならば、おそらく範三次世界大戦の状態にも追い込まれないとだれが断言できるかということです。  そこで、政府関係当局者に私伺いたいことは、そういう世界の動きがキャッチできないはずがないのでありまして、そういう中から、長官の方針としては、一体今までの日本の基地をこのままにしようとしておるのか、あるいはまたこれを少なくしようという方針なのか、それから調達庁のさっきの意見を伺っておりますと、必ずしもそういう印象を私は受けなかったのですけれども、これらについてはどういう長官のお考えであるか、まず最初に伺っておきたいと思います。
  100. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 先ほど申し上げましたように、私は現状のままでいくか、あるいはまたこれを減らすかというよう考えは出ておりません。私は、就任後、基地問題の重大であることを一そう認識いたし、防衛庁に参ります前は、比較的軽く、一つの基地問題としてこれを見ておったのでありますが、いざ責任を持ってみますると、これはきわめて重大であるという立場に立って、そこで勉強いたしつつある最中でございます。その基礎として、全国の基地がどういうふうになって、地元の関係がどういうふうになっておるのか、問題になっておりまする当地は、若干は私承知いたしておるのでありますが、これは、全般的に、米軍の基地、あるいは自衛隊の基地と二つに分けまして、いろいろ総合的にこれを勉強してみたい。勉強の結果、どういう結論が出るか、今から自分自身わかりませんけれども一つの意欲を持って基地問題に対処しようという腹づもりでいる程度でございます。従って、現在の基地を減らすのか、あるいは現状でいくのかどうかということについても、いまだ、私の考えは具体的に出ておりません。
  101. 山田長司

    山田(長)委員 新しい構想を、まだまとまっていないというけれども、何か持っているような、意味深長なことを今言われているわけです。しかし、今の日本の政情からいいますと、大体半年か一年であなたの寿命はないのです。そういうことを考えてみたならば、思い切って、日本国民の生活、環境及び欲求等を勘案してみまして、やっぱり何としてでも基地問題というものは、日本の土地から取り除かなければならぬ大きな問題の一つだと思うのですよ。こういう点についてまだ研究中のようでありますけれども、世界の大勢から考えてみ、さらに日本の現在置かれている立場等から考えてみて、もう日本の防波堤的な役割は終わっているのです。そういうような戦略的なことから考えてみて、アメリカ当局に減らすようなことを要請するお考えはないのですか。このままなんですか。
  102. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいま申し上げた通り、私の考えはまだまとまっておりませんから、アメリカに対してどうのこうのという段階には立ち至っておりません。
  103. 山田長司

    山田(長)委員 考え方がまとまっていないというのでは、これはそれ以上追及してもしようがないことになるのですが、やっぱりあなたの方針として、これについてどういう方針を持つかというようなことは、考えていないからというのじゃなくて——そうすると、基地問題というものは、何か新しい構想は持ちたいけれども、まとまっていない、こういうことのようですけれども、やっぱり減らすとか、要請があったらふやすのだとか、何かそういう点のお考えはなければ困ると思うのですよ。まとまりがないというなら、いつまでにまとまりますか。
  104. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 どうも私、ごらんの通り微力非才でございますから、早急に結論を出したい意欲はございますが、御案内の通り、基地問題は、単に日本だけの問題じゃございません。日米安保条約に基づいて米軍演習地はきまっておるし、また、自衛隊演習場は、在日防衛力整備の根幹をなすものでありますから、簡単に私の私見だけでは、この問題が解決できるものでもありません。ただ、私は、基地問題について勉強いたしたいと考えておりますことは、幸いにして歴代の防衛庁長官の努力の結果でございますが、内閣に基地問題等閣僚懇談会がございます。このような懇談会を最も効率的に利用しまして、単に防衛庁の方針ではなくして、政府の方針としてこれを積み上げていきたい、かように私は考えて、目下私の胸の中を去来しておる問題を集約しつつある途上でございます。
  105. 山田長司

    山田(長)委員 先ほど武藤委員からも質問がありました渡良瀬川の赤麻遊水池の問題も、私は、そういう見地に立って一応あなたに質問をしなければならぬわけですが、群馬の方では、実は都市計画の中に入ったから太田から引っ越せ、栃木の方は、そんなものは危なくてまわりに来てもらっちゃ困ると言う。一国の中で、群馬の方じゃ困ると言う、栃木へ持ってくるならば被害がないから、栃木へ持っていけ、それが有効に使われているならばいざ知らず、群馬の方では、あまり活用されていないということだけははっきりしている。こういうふうに問題が明確になっている以上、私は、これは調達庁自体も問題だと思います。調達庁自身も、あまり活用されていないものなら、群馬は都市計画に入っているから、栃木はかまわないから、そんなばかなことはないので、問題は、あまり活用されていないというならば、調達庁自身日米合同委員会で、当然これは活用されていないものであるから、一応両方ともやめてもらいたいくらいの意見を出すべきですよ。この点について、調達庁はどういう考えを持っているか。また、大臣、あなたはこういうあまり活用されていないところについて、全然ほうっておいて、新しい構想も何も出ないということでは、何かやろうという大臣のお考えとは全然違うですよ。
  106. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 私、全国的に米軍演習場並びに自衛隊演習場調査するということの目標も、そこにあるのであります。一体Aの演習場なりBの演習場がどういうふうに効率的に使われておるか、そういう内容を目下調査いたしておるのであります。従って、そういう内容をも調査した上で、私は私なりの考えをまとめて参りたいというのが今日の段階でございます。
  107. 林一夫

    林説明員 太田小泉の飛行場の返還については、もちろん当方といたしましては、全面的に返還してくれるよう要望いたして参ったのであります。米軍の方としては、どうも代替地の提供がなければ返還に応じられないという米軍の強い要望がありまして、そのようなわけでございますので、当方としては代替地の選定調査ということに重点を置いて進めて参ったわけでございます。
  108. 山田長司

    山田(長)委員 米軍が太田のかわりに赤麻遊水池をよこせというふうなことで、あなた方に対して譲らぬということであるならば、私は、米軍の戦略的なものの考え方にちっとも進歩がないと思うのです。そういう点が一つ考えられるし、もう一つは、一体これらについて調達庁当局も防衛庁長官一つ強く当局に言ってもらわなければならぬと思うのは、一体半年前と世の中の状態が全然変わっていると思うのです。私は軍縮と平和の会議へ行ってみて痛切に感じましたことは、もう地上における戦いなんという問題については、古い形といわれてきていると思うのだ。依然として太田の飛行場の問題をさらに赤麻遊水池にかえる。赤麻遊水池は、活用度において群馬との比較なんという問題は、一体どこできめているのですか。とにかく防衛庁当局がこれらについても強く反対意思を表明できないという理由は、一体どこにあるのですか。
  109. 林一夫

    林説明員 基地の問題については、合同委員会なりあるいはその下部機構である施設委員会において論議して参ってきておるのであります。当方としましては、政府としましては、あの返還を強く要望して参ったのですが、やはり米軍の方としては、代替地の提供がなければあの返還には応じられない、代替地を提供すれば返還に応ずる態度を従来とって参ってきておるのであります。そのようなわけで、代替地の選定調査ということに今まで重点を固いて進めて参ったわけでございます。
  110. 山田長司

    山田(長)委員 これはもっと長官に具体的に話してもらわなければいかぬと思うのです。当時の藤枝長官と小平総務長官とあなた方とが立ち会って、その席で、群馬が都市計画に入ってしまっておるから、群馬を変えて栃木へ持ってくる、と簡単なことで話をしているようですが、一体この利用度や何かについては、あなた方は調査をしているでしょうね。これはどうなんです。
  111. 林一夫

    林説明員 太田小泉のパラシュート訓練所の使用は、その月によって多少はございますが、今のところ平均週に二回程度使用されておるというふうに承知いたしております。
  112. 山田長司

    山田(長)委員 地元で聞いてみると、月に一、二回だという。こんな問題をさらに継続して、どこへ動かしていくというようなことについては、私はかなり問題があると思うのですよ。  そこで、大臣に伺いますが、一体こういうことを群馬か栃木でやらなければ、パラシュートの訓練場というものはないのか。ほかのところに集約してくるということは、大臣として当然考えるべきことなんですよ。一体栃木や群馬でやらなければ、日本の今の基地の中でできないのですか。こういう集約した形が大臣として考えられなければ、ちっとも新しい構想の範疇に入らぬと思う。一体どうなんです。
  113. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 私の就任前からこの問題が継続いたしておるのでございますが、継続いたしておるこの問題とは別個に、私は基地の問題を目下勉強中でございます。従って、先ほども申し上げた通り、Aの演習場なり飛行場が、ただいまのお話のように週に二回とか、あるいは月に二回とか、いろいろございましょうが、そういうものをもあわせ考えて、私なりの基地に対する考え方をまとめてみたいのであります。その上で、私はいろいろな施策を講じて参りたいと思うのであります。
  114. 山田長司

    山田(長)委員 必ずしもアメリカ日本に対する外交政策というものはうまく行っていないということを、私は知っている。少なくとも政府及び当局者としては、当然外交上においてもうまくいくことを常に考えなければならぬところだと思う。そういう点から考えてみても、そう使わなくてもいいところをむやみに使ったのじゃ、日米親善にも何にもならないと思う。日米親善という大きな見地に立って、集約できる範囲があったら集約して、都市計画を進めるようにする。赤麻遊水池の問題についても、足尾の鉱毒事件によって明治の初年にでき上がった谷中村の埋没地点、その周辺の埋没した村落の人たちというものは、一応反五百円の権利で借りている人もある。あるいはまた、あそこでカヤをとって海外まで輸出をしているような人もいる。どういう見地からあそこの土地の状態というものが低い利用度であると勘案しているのかわからぬ。大臣としては、当然日米親善の見地からも、やたらに拡張するということは、私は問題だと思う。そういう大きな見地に立っての大臣の所見を伺いたいのですが、日米親善という大きな見地に立って、基地問題というものを一つ考えの上、お答え願いたいと思う。
  115. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 大へん貴重な御意見として、今後私の基地問題に対する考え方をまとめていく場合において、いろいろ反映させるように努力いたしたいと思います。
  116. 山田長司

    山田(長)委員 最後に、長官に伺っておきたいのは、前の藤枝長官と小平総務長官及びあなたとの間で、これを栃木県に誘致するということの話し合いが秘密のうちに進められたといわれている。地元周辺における反対世論というものが起こってからでは間に合わないから、秘密のうちに進めるということで話が進んだという話があるのですが、一体その前後の事情はいかがですか。
  117. 林一夫

    林説明員 そのような事実はございません。
  118. 山田長司

    山田(長)委員 本年一月の次官会議における内容を、あなたも出席しているはずですが、それを明らかにしてもらいたい。
  119. 林一夫

    林説明員 私、ただいま次官会議に出席した記憶はございませんが、どういうことでございますか、その点一つ……。
  120. 山田長司

    山田(長)委員 基地問題について、群馬から栃木に持ってくるということについての話のようです。これは建設省も出ている。関東地建も出ているから、あなた方も出ていないということはないはずだと思うのです。
  121. 林一夫

    林説明員 この渡良瀬川遊水池を候補地の一つとして選定しました経過を申し上げれば、御了解いただけると思いまするが、渡良瀬遊水池周辺というものが、現在各候補地を調査した結果、比較的代替地として適当であるということで、私ども調査をいたして参ったのでございます。その間、この渡良瀬遊水池には、建設省所管の水利計画というものがございます。そのような関係もございますので、建設省と協議をいたしてきたということはございます。
  122. 山田長司

    山田(長)委員 そこで、最近の赤麻遊水池三千六百町歩の面積のほかに、十里ほど隔てた川下に田中遊水池というのができまして、これが二千数百町歩の面積を擁する遊水池として昨年の五月に完成しておるわけで、多少赤麻遊水池の遊水状態というものに変化が起こっておることは事実です。しかし、一雨降りますと、あの遊水池全体というものがかなり大きな水浸しになってしまって、全然これは役に立たぬ土地です。そこで、利根川の治水工事というものが大きく進められているわけですが、建設省及び関東地方建設局で、この問題についてどういう点であなた方に申し上げているか、一応この点を伺っておきたいと思います。
  123. 林一夫

    林説明員 建設省においては、御意見ように、水利計画があるわけであります。そこで建設省と、水利計画のことにつきましていろいろ御意見を聞き、その水利計画と調整できるかどうかというような点においても、十分協議を進めてきておるわけであります。
  124. 山田長司

    山田(長)委員 最後に伺っておきますが、そこで、今おそらくこれはあなた方が出したものか、あるいは建設省が出したものか知らぬけれども、現に町役場から、カヤの採取期に入っているにもかかわらず、中のカヤを切ってはならぬと通知を出しているそうですか、一体これには調達庁は関係があるかないか。それから、これは建設省の範疇に入るかもしらぬが、一体もう刈り入れ時期に入っているにかかわらず、これが唯一の生活の拠点になっているにかかわらず、こういうことをされては、これは地元住民としては死活問題なんですよ。一体どういう形で、藤岡町役場からこの中に入っている住民に対してそういう指示を与えたか、この点は調達庁に関係があるかどうかわからぬが、なければよし、あるいは知っているならば答えてもらいたいと思うのです。
  125. 林一夫

    林説明員 関係は全然ございません。そういう事実も存じておりません。
  126. 山田長司

    山田(長)委員 それでは、きょうは出ていないかもしれぬですが、建設省の方の人に、この委員会の名において調べてもらいたいと思うのです。地元の人たちは、カヤの採取に入れないというような状態で困っているわけですから、どうかその点は、一つ委員長の方で取り計らって、建設省の方のお調べを願いたいと思います。どうぞよろしく御了解を願います。
  127. 永山忠則

    永山委員長 この際、暫時休憩して、一時四十分より再開いたします。    午後零時四十一分休憩      ————◇—————    午後一時五十六分開議
  128. 永山忠則

    永山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑を許します。安井吉典君。
  129. 安井吉典

    安井委員 私、この際、千歳空港における航空符制の問題につきまして、政府当局お尋ねをいたしたいと思います。  千歳空港では、最近航空管制の上でいろいろな問題が起きているようであります。新聞の報道によりますと、八月、「十六日午後四時ごろ女満別−千歳間定期便の北日本航空機(乗客四十人)が千歳空港に着陸するため管制塔に指示を求めたところ、どういういきさつか後方の全日空機に着陸を指示した。このため北日本航空機が急ぎ上空で旋回した。瞬間、上方から第二航空団所属のF86ジェット機が突っ込んできて接触しそうになったが、小江機長の機転でかわし、事故を避けられたという。」全くあわやの瞬間だったというふうな記事があります。さらに八月の三十日のことでありますが、「午后四時ごろから同六時ごろにかけて、北海道千歳空港は飛行訓練中の航空自衛隊千歳基地のジェット戦闘機二十機が着陸したり、石川県小松基地所属の十機が緊急着陸したりして滑走路が大混乱した。このため午後四時十分着予定の北日本航空機(乗客三十五人)が着陸できず、千歳上空で一時間二十分待たされ、燃料が切れそうになったため函館に緊急着陸した。また千歳−羽田間日航機と全日空機六本も着陸できず三十分前後上空で待機させられたほか、日航、全日空上り便三本も一時間程度出発が遅れた。」こういうような記事があるわけでありますが、これと似たり寄ったりのケースが、ことしに入ってからすでに六十件をこしているそうであります。  運輸省はまだお見えになっていないそうでありますが、防衛庁の方から、これはもう時間がかかりますので、一つ一つの事情を詳しくお聞きするひまはないかもしれませんけれども、包括的に、千歳の今の航空管制上ずいぶん問題が多いという実情を御説明願いたい。さらにまた、特殊なケースとして、今の二番目のケースなどは、これはもう大へんな問題だと思うのでありますが、やや詳細にその内容等についてこの際お聞かせをいただきたいと思います。
  130. 海原治

    ○海原説明員 ただいま御質問のごさいました千歳空港の状況でございますが、今御指摘のございましたように、千歳は現在非常に忙しい飛行場になっております。函館と同じ程度の離着陸がございますので、その管制につきましては、従来から運輸省との間でもいろいろと検討いたしておりまして、事故のないように万全の処置はとっておるのでありますが、ただいま御指摘になりました特に八月三十日の事件につきましては、私ども調査いたしましたところでは、新聞に伝えられるようなことと多少その内容は違っております。従いまして、一応事実につきまして申し上げてみます。  当日は、新聞によりますと、問題の北日本航空機が千歳上空で一時間二十分待たされたということでございますが、実際に千歳の上で待った時間は五十九分でございます。函館に引き返すからという連絡は機長からございまして、その許可を得て函館に帰っておる。当日のその問題の時間前後をずっと拾ってみますと、民間機と自衛隊機と両方ございますが、民間機の方だけが待たされて、自衛隊の方が先に優先的に着陸したというようなことはございません。  参考までに、ちょっと詳細になりますが、申し上げてみますと、この北日本航空機が千歳飛行場の上空へ参りまして——上空と申しますのは、千歳飛行場に着陸いたしますためには、千歳に入ります前に一たん無線標識施設、QDホーマーといっておりますが、QDホーマーのところまで参るわけであります。そこで管制塔の指示を受けまして、管制塔の指示に従って飛行場に着陸するわけでございますが、このQDホーマーに参りましたのが、北日本のコンベアは十六時五十七分、その前に参りました日航機は十六時四十四分に参りまして、これは九分間上空におりまして五十三分に着陸しております。その次に問題のコンベアが十六時五十七分にQDホーマーの上に参りましたときに、ちょうど訓練から帰って参りました第二航空団の飛行機と一緒になった。ここで御説明申し上げますと、新聞記事によりますと、自衛隊機が優先権を与えられているようになっておりますが、現在私どもと運輸省との話し合いでは、いわゆるスクランブルと申しておりますが、領空侵犯に対処するために飛び上がる飛行機、これだけが優先度を与えられておりまして、あとはジェット機であるとか、プロペラ機であるとか、自衛隊機であるとか、民間機であるということの区分によりましての優先度はございません。いろいろな飛行機が当該飛行場に参りましたそのときのそれぞれの飛行機の状況、すなわち、スピードとか、あるいは保有燃料の状況とか、そういうものを判断いたしまして、管制塔が判断をしてそれぞれに着陸を指示するわけでございます。  そこで、一応どういう状況であったかということを簡単に申し上げますと、待たされたということでございますが、問題の北日本の飛行機を別にしますと、大体その時期に参りました民間機、全日空のバイカウントは十三分、日航のDC7は二十一分、これはあとになりますが、北日本のDC3は十四分という時間が、QDホーマーから着陸までの間かかっております。これに反しまして自衛隊機の方でございますが、これは第二航空団所属のF86F、T33、第六航空団所属のF86F、同じくT33でございますが、この、平均時間は一番早いので十三分、一番おそいのが五十四分、QDホーマーから着陸までの時間がかかっております。早く着陸いたしましたのは、基地に参りましたときに保有燃料が少なくなっておる、ぎりぎりの燃料しかない。通常これをミニマム・フュエルといっておりますが、最小燃料の状態であるというものだけは早く着陸さしておりますが、自衛隊機とか民間機によっての優先度はございません。  なお、もう一つ御参考までに申し上げますと、ジェット機は高度二万フィートで参りましてからこのQDホーマーまで、五千フィートでありますが、旋回しながら下へ下がっていくわけです。そこで今度は進入を始めるわけです。その間の時間が大体六分かかります。当日は天候が悪いために、GCAランディングと申しまして、地上からのレーダーによる誘導着陸をいたしておりますが、このGCAのための旋回の路線がきまっております。そこで、その路線を回りまして着陸するために約十二分かかる。従いまして、どうしても大体十八分かからないとおりられない。それからジェット機は二機編隊でおりて参りますので、編隊と編隊の間が大体三分ないし四分、こういう時間が必要でございます。そこで、QDホーマーの方にジェット機と足のおそいレシプロ機が参りましたときには、レシプロ機を先におろしますと、あとにジェット機がたくさんだまりますので、管制塔の判断では、レシプロ機の方は燃料が十分あるからしばらく待ってくれということで、ジェット機の着陸を誘導したわけでございます。当初は第二航空団のために二十分間上空待機が必要であろうということを通知しております。その第二航空団をおろしている最中に、先ほど申し上げた全日空のバイカウントがQDホーマーの上空に参りまして、これを十七時二十七分に千歳におろしております。そういうように間にも民間機を入れております。これが終わりましたときに、小松から別の編隊が参りまして、そのうちの三機は待っている閥に燃料が少なくなった、先ほど申し上げました最小燃料であるという状態を通知を受けましたために、この北日本航空につきましては、さらに三十分程度待機してもらうかもしれないということを連絡いたしております。その間におきまして、北日本の機長が、千歳に参りまして五十分も上空で待機いたしますと、非常に待ち遠しい感じになりまして、そういうことも御判断になったと思いますが、函館に引き返すという許可を管制塔に求めまして、函館に引き返しましたのが十七時五十六分でございます。  以上のような状況でございまして、ちょうどこの時間にいろいろな飛行機が輻湊いたしましたのと、天候が悪くなりまして、GCAの着陸誘導をせざるを得なくなったということから、このような事態に相なった次第でございます。  なお、この北日本のコンベアは、予定では十六時十分ごろに千歳に参る予定でございました。これが何らかの理由によりまして、一時間以上おくれて参ったということもございます。なお、北日本は、本来丘珠の飛行場に着陸するものでございますけれども、現在丘珠飛行場は整備中でございますので、たまたま千歳の飛行場を使用しておる。このような状況でございます。  以上申し述べましたのが、八月三十日の新聞に報道されました事実につきましての私どもの方の調査の結果でございます。  繰り返しまして恐縮でございますけれども自衛隊機であるから早くおろす、民間機であるからおそくおろすということはございません。当時の天候なり、各飛行機の状況を判断いたしました管制塔の指示によりまして、このような結果に相なった。こういうふうに御承知いただきたいと存じます。  なお、先ほど申しましたように、千歳は非常に忙しい飛行場でございます。従来いろいろと先ほど御指摘のありましたような事件に類することもございますので、運輸省との間で、いろいろとこの事態の改善については相談をして参りまして、現在数点にわたっての改正案考えております。また、現実に防衛庁からは約十名、航空幕僚監察部の監察官を長としました調査団を出しております。これと、運輸省の航空局の係官も現地に参りまして、事態の改善のためにお互いに今検討を始めたばかりであるということをつけ加えて御説明申し上げます。
  131. 安井吉典

    安井委員 三十日の事件についてのお話はございましたが、ある民間会社のお話によると、最近でも非常に危険な状態になったのが二十回ぐらいある。新聞の報道では、ことしになってから六十件数えられるのではないか、そういうことでございますが、その点はいかがですか。
  132. 海原治

    ○海原説明員 ことしになりましてからの千歳付近におきましての危険な状態と申しますか、あるいは場合によってはあぶなかったと思われます事態につきましては、私ども承知しておるところでは、ことしの一月十三日以来十二件でございます。これは民間機と米軍との間もございます。航空自衛隊米軍との間もございますが、千歳付近におきまして、幸いにもと申しますか、まだ事故に至るまででございませんが、もしももっと状況が悪ければ、あるいは何らかの危険が生じたのではないかと思われるような事態というものは、十二件と私の方では承知しております。
  133. 安井吉典

    安井委員 千歳は、民間と自衛隊共同使用の空港であります。かつて同じ共用空港の事故の例は、昭和三十五年三月十六日の小牧空港の全日空と自衛隊ジェット機との衝突事故が、私どもの記憶にいまだ新たにあるわけでありますが、このよう共同使用の空港において、あのような事故が起きて以来、一体どのような対策が具体的に講ぜられてきているか、これも官房長もおいででございますので、特にお聞きをいたしたいのでありますが、当時のあの事故に際しまして、運輸大臣もあるいは防衛庁長官も、このような事故が将来一切起きないように善処する、特段の措置を講ずるということを国会においてはっきりと言明をしているはずです。あの当時から現在までにどういうふうな措置が具体的に講ぜられたか、それを一つ聞いておきます。
  134. 加藤陽三

    加藤説明員 小牧の事故かありまして以来、私の承知しておる範囲では、今航空局の方がおいでになりますと詳細お答えがあるかと思いますが、航空管制の機材を相当改善せられたよう承知しております。また、航空交通関係の一元的運営ということは、ぜひこの際やらなければいけないということでございます。防衛局長からお答えしたかと思いますが、ことしの一月から、自衛隊の運営しております飛行場につきましては、運輸大臣から防衛庁長官が委任を受けまして、民間航空機及び自衛隊機を含めましての航空交通の統制を行なうというよう措置も、その後とられた措置一つでございます。
  135. 安井吉典

    安井委員 先ほどの事故の内容についての解明を、これは運輸省は運輸省なりの見方もあるかと思うのでありますが、まだお見えになっておりませんし、その点は、さらに運輸省側のおいでを待ってお尋ねをすることにいたしたいと思いますが、千歳の場合には米軍もおるはずですし、自衛隊もある、さらに日航、全日空、それに八月十五日から丘珠飛行場の整備のために、先ほどお話がありましたように、北日本航空あるいは各新聞社の飛行機もみな千歳に集まっておる。こういうふうな事態で、それだけに今日非常な危険な状態が一そう増されているというふうなことであろうと思うわけですが、現在千歳所属の米軍機、自衛隊機の機種、機数はどういうことになっておりますか。
  136. 海原治

    ○海原説明員 ただいま千歳に米軍の飛行機が配置されておるというふうに私承ったのでございますが、千歳には米軍の飛行部隊は配置されておりません。時おり飛来することがあるということでございます。自衛隊は現在あそこに第二航空団のF86Fと、F86Dとが同居いたしております。その機数につきましては、これは編成上の数を申し上げまして、現在数ということになりますと、そのときの状況によりまして、オーバーホールとかその他の整備をいたしておりますので、まず平時は、今申します数の大体七割程度がおるものとお考えいただきたいと思いますが、編成機種といたしまして、F86F昼間戦闘機が三十一機、F86D、これは全天候戦闘機でございますが、二十六機、T33、これはジェット・エンジンでございますが、十三機、一応ジェット機といたしましてはこれが定数でございます。そのほかに千歳には救難飛行隊がおりまして、H19ヘリコプター二機、H21ヘリコプターが二機、以上が同飛行場における現在の配置の編成数でございます。
  137. 安井吉典

    安井委員 これは日によって違うと思いますけれども、一日当たりの離着陸回数は、これは民間機の場合もあろうと思いますが、大体どのとらいになりますか。
  138. 海原治

    ○海原説明員 昨年の合計をまず申し上げてみますと、昨年一月から十二月までの離着陸の発着機数でございますが、軍用機が四万二千四百三十三回、民間機が一万五百七十七回、月平均いたしますと、軍用機が三千五百三十六回、民間機が八百八十一回、こういう数字がございます。本年度につきましては、一応六月までの平均について申しますと、平均数は自衛隊関係、米軍も含めまして三千六百二十五回、民間機が一千二十五回、こういうことでございます。
  139. 安井吉典

    安井委員 大体伺いますと、羽田並みというわけにはいかないかもしれませんけれども、とにかくきわめて激しい離着陸の回数が現実にあそこにあるということを、今の数字からも知ることができるわけであります。先ほどの御説明で、これまで共用ということで運輸省側と話し合いができているということでありますが、空港運営協定ですか、そういうものの内容について若干お聞きをいたしたいわけでありますが、千歳の場合の管制の責任は一体どっちの方になっておりますか。
  140. 海原治

    ○海原説明員 現在共用の飛行場で、自衛隊が管制権を持っておりますものは千歳だけでございます。なお、たとえば松島のよう自衛隊だけがおりますところ、浜松もそうでございますが、こういうところはわが方が管制権を持っております。そこに民間機が来る場合には、当然わが方の管制に従うわけでございます。いわゆる共用として考えられますものにつきましては、先ほど申しました千歳だけでございます。なお、今後につきましては、さらに共用の飛行場がふえて参りまして、わが方が管制権をとる場合もあり穫るかと存じます。
  141. 安井吉典

    安井委員 その管制の具体的な実態について伺いたいわけでありますが、委託というようなことになりますと、運輸省の管制官は全然いないということですか。また、現在の職員はどれくらい配置されておりますか。
  142. 海原治

    ○海原説明員 管制官につきましては、従来は、実は自衛隊の方の管制官は、自衛隊側で教育をいたしまして、米軍の方のアメリカ国内の基準に従った試験を受けております。それが管制官として認められるという方式をとっておりましたが、先ほど官房長からも御説明がありましたような、今後の問題としまして、相互の協定をいたしまして、現在では、全部わが方の管制官は、やはり運輸省の方の実施しますところの管制官の試験を受ける。その認定基準に従って認定を受けるわけであります。従いまして、その能力等におきましては、完全に運輸省の方の管制官と同等の者が現在配置されておる、こういうことでございます。それで千歳につきましては、わが方の管制官だけで管制を実施いたしております。その人員は、私の記憶が正しければ大体二十名前後でございます。
  143. 安井吉典

    安井委員 私も、どうもこちらの問題はしろうとなんですが、羽田なんかの例と比べて、あるいはその他の飛行場なんかの例と比べまして、その人員の配置の状態は多いのか、少ないのか、普通なのか、その点一つ伺います。
  144. 海原治

    ○海原説明員 他の飛行場と比べましての数は、後刻運輸省の係官が見えてからお答えいただけると思いますが、私どもが管制塔に配置します人員の、これは編成と申しておりますが、編成の作成にあたりましては、米軍一つの編成の基準がございますが、これを参考にいたしますけれども、現実に日本国内における管制官の能力、それから発着を予定されますところの飛行機の極数、機数等を考えて、今申しましたような数字をはじき出しております。いわゆる標準並みである、このよう考えるわけであります。
  145. 安井吉典

    安井委員 運輸省の方、おいでになってすぐで恐縮ですが、先ほど来千歳空港の航空管制の問題についてお尋ねを続けていたわけですが、今日までの段階で、とにかく離着陸回数が千歳ではものすごくふえて、自衛隊機と民間機との間で衝突事故が現実に起きたわけじゃありませんけれども、接触しそうになった事故、あるいはまた新聞にも大きく報ぜられておりました八月三十日の自衛隊機がたくさん上がって、それをおろすために民間機の離着陸がおくれて、ことに北日本航空が函館から飛んできて、また函館へ戻ったという事態、こういうような事態につきまして防衛庁側のお話を聞いたわけでありますが、運輸省としての御見解を一つ伺っておきたいと思います。
  146. 栃内一彦

    ○栃内説明員 ただいまお話のございました千歳における北日本航空機に関します件につきましては、私どもも現地の方へ問い合わせいたしまして、実情の連絡、報告を求めておったわけでございますが、現地の方からの報告がございましたので、詳細な御説明ができるわけでございます。  北日本航空の飛行機が千歳に着陸しようとしても、進入管制の着陸の許可というものがおりない。その間に時間がたちまして、このままでは自分の飛行機もあぶないという懸念から、函館の方に引き返した。そして引き返してしまったということは事実でございます。必要がありますれば、さらに詳しく御説明してもよろしいのでございますが、その原因といたしましては、やはり自衛隊の飛行機がそのときに空中におりまして、これらが主として燃料の事情から着陸を急いだ。従って、自衛隊機を早くおろさなければ、自衛隊自身に事故が起るというような配慮から、いわば北日本航空の飛行機は、若干おくれましても墜落という事故には立ち至らないということで、自衛隊の飛行機の燃料の欠乏しておるというそのときの実情にかんがみましておろした、こういうふうに現地の方から私の方は報告を受けております。  なお、さきにお尋ねございました、千歳において大きな事故にはならないが、まあ心配をしたというような点は、先般私が千歳に参りましたときに、いろいろのことを聞きまして、これは放置しておいてはいけない、そこで十分その事情を確かめ、必要があれば防衛庁の方にも御連絡して、できるだけそういうことのないように、いわば事故が現実に起こってしまってから手を打つのではおそ過ぎるのでございますから、事前に十分そういうことのないようにお手配になったらどうかというようなことで、実は御相談を申し上げておるという段階でございます。
  147. 安井吉典

    安井委員 時間があれば、実は私もこの間の事故の内容をもっと詳しく両方からお聞きいたしたいのですけれども、きょうはそれだけ余裕がございませんので、深くお尋ねはいたしませんが、新聞記事では、北日本航空機は千歳の上空で一時間二十分待たされたというように書いてあります。運輸省の報告はどうなっておりますか。
  148. 栃内一彦

    ○栃内説明員 運輸省の本省で受けております報告によりますと、待たされた時間は五十九分、約一時間ということで報告を受けております。
  149. 安井吉典

    安井委員 函館−札幌間は北日本は所要時間どれくらいですか。
  150. 栃内一彦

    ○栃内説明員 北日本のタイムテーブルによりますと、四十分ということになっております。
  151. 安井吉典

    安井委員 とにかく函館から四十分飛んで札幌へ着いて、新聞の記事には一時間二十分、防衛庁のお話では五十分、運輸省では五十九分、とにかくまた函館へ戻れるくらい札幌の上にいて、また函館に戻らなければならなかったという、そういう事態であったわけであります。  さらに重ねてお聞きいたしたいのは、これだけの事故じゃなしに、今日までずいぶん数々あったというわけでありますが、一月以降ことしになって十二件ですか、こういうふうな問題でお宅の方でつかんでおられるのも。
  152. 栃内一彦

    ○栃内説明員 私の方で承知しておりますのは、これは一月以降でございませんので、五月以降ということで、これは現実に事故が起きたわけでございませんので、件数を何件ということで集計するかについては、いろいろな考え方があると存じますが、私の方で現地に照会いたしまして受けました報告では、いろいろな問題がございます。幸い、いずれも事故になっておりませんが、あまり好ましくないというよう考えられますのが、五月以降私のところで現在は五件ございます。今の十何件というのは、あるいは防衛庁の方のお調べかあるいはとる期間が違うのか、あるいは一つのことが起こりましても、これをいわゆる記録にとどめるとどめ方がいろいろな点で違う点があるかとも思いますが、私どもの方では、五月以降五件というものが報告を受けております。
  153. 安井吉典

    安井委員 防衛庁側のお調べは、これは自衛隊が現実に管制の仕事をされているわけですし、また、保安事務所の方も、これははっきりした、大体において事故になったであろうというふうな確実なものだけを計算されているでしょうが、民間機の側からいえば、実際のところは被害者であるのかどうかわかりませんが、おそらくそういうふうな印象を受けているだろう民間機の側からいえば、最近でも二十件くらい、ことしになってから六十件もあるのではないか、そういうふうな言い方がなされております。私は、どっちの数字が正しいとか間違っているとかいうようなことは申しませんが、いずれにしても、現在の管制の中にずいぶん大きな問題点があるということだけは、このいずれの言い方の中からも明らかに指摘することができると私は思うわけです。  そこで、これも先ほど防衛庁側にお尋ねをいたしておったわけでありますが、今の航空管制の問題ですが、千歳は全国でただ一空港のみ、民間との併用でありながらも、自衛隊におまかせになっておられるということであります。今の航空管制は、あくまでも運輸大臣の責任で行なわれなくてはならないことは明らかであります。全く全面的に、民間航空もありながら、自衛隊のみに完全にまかせっきりにしておくということは、航空法の趣旨からいって、それで正しいとお考えになっているか。また、もし事故が起きた場合の運輸大臣の責任はどうなのか、これを一つ聞いておきます。
  154. 栃内一彦

    ○栃内説明員 現在の航空法の建前といたしまして、全般的に航空管制の責任は運輸大臣が負うという点は明確でございますが、特定の自衛隊の飛行場につきまして、運輸大臣の持っておる包括的な管制権限の一部を、当該飛行場に最も適当した形ご委任をするということは、むしろ実情に合うという考えもとに、法律改正がなされまして、それによりまして、現在運輸大臣の権限は、特定の飛行場につきまして一走の範囲に、全体の航空管制の全国的管制をやる上において、また自衛隊の特殊の目的から見て、特定のところには自衛隊にやってもらった方が全体としてもうまくいくというような点につきましては、委任をしてやっておるということでございます。ただ、管制と申しますのは、全国的な一つの有機的な一体をなす必要がございますので、委任をいたしましても、白紙で委任をするということでなくて、特定の条件をつけまして、こういう方式でやるんだというようなことで、全体と調和がとれ、そごが起きないという形でやっております。その意味におきまして、委任はいたしておりますけれども、全国の航空路及び飛行場その他の管制の有機的な一体化というものが阻害されておる、かようには考えておりません。
  155. 安井吉典

    安井委員 先ほど防衛庁側の御説明によると、大まかに言って、年間軍用機の離着陸回数は四万二千回くらい、民間機が一万回くらい、こういうような御説明でありましたけれども、とにかく四分の一は民間機があるわけです。そういうものも含めて完全にそれを自衛隊の方に一任するという考え方が、私は若干ふに落ちないわけでありますが、一般的には、大体協定ができて、両方から管制官を出して当たる。こういう仕組みが一般的だというように聞いているわけですが、その点いかがですか。
  156. 栃内一彦

    ○栃内説明員 管制というものは、いろいろな複雑な手続を瞬間的にやらなければならない。しかも、これは一歩間違えば事故のもとになるというような、非常にきわどい仕事でございますので、責任体制というものを最も明瞭にしておかなければ、この仕事は円滑にいかないではないか。従って、一つの飛行場につきまして両方から管制官を出して、いわば合議制あるいは委員会というような形でやるには、むしろこの仕事の性質は向かないのじゃないか。お互いに希望を述べ合うというような意味で、委員会的なものは私はけっこうだと思いますが、管制そのものの実施につきましては、やはり責任体制を明確にしていかなければ、私は、かえって事故のもとになるのではないか、かよう考えております。
  157. 安井吉典

    安井委員 それではお尋ねいたしますけれども、最終的な責任は運輸大臣がお持ちになる、これは明らかですね。その場合に、一つ伺いたいわけでありますが、現在の千歳における航空交通管制に運輸省として満足しておられるのですか。その施設や人員の配置やその他について、欠点があることを指摘したり、あるいはまた不満に思っておるということはございませんか。
  158. 栃内一彦

    ○栃内説明員 最終的責任のお話でございますが、法律的に全般の管制についての責任は、もちろん運輸大臣が持っておりますが、委任をしました範囲内におきまして、委任を受けられた防衛庁長官はもちろん責任をお持ちになると思っております。  それから千歳の管制の現状につきまして、運輸省側から見て何か不満はないかというお尋ねでございますが、先般新聞に出た事件の発生する以前におきまして、私の方の係官が千歳に出張いたしまして、自衛隊のやっておられる管制の状況を視察をさせていただきました。これはなぜそういうことをしたのかと申しますと、先ほど申し上げましたように、私の方としても、千歳の管制について、いろいろな事故まではいかないが、いわばひやりとさせられたというようなことがあるということを、現地から聞いたことがございますので、そういうような点もございますので、一体実情はどうなのかというような意味で、視察に参ったわけでございます。その結果、多少の点で御注意申し上げるという必要があるのではないかということで、これの整理をいたしまして、目下防衛庁の方と御相談する、そしてわれわれの力を合わせて千歳の管制がうまくいくように、こちらで御援助できる点があれば御援助するし、あるいはこういう点でどうか、こうしたらいいのではないかというような点で、アドバイスできる点はアドバイスをして、できるだけ自衛隊側の管制がさらによくうまくいくように、またいわゆるあぶなっかしいというようなことが今後できるだけ起こらないように、十分御援助して、そしてやっていこう。こういうことでございますので、完全に満足しているかとおっしゃいますと、完全に満足しているということは申し上げかねる。従って、改良すべき点につきましては、われわれとしても十分意見を述べて、ともに千歳の管制というものを十分なものにしていく、こういうことで今連絡中でございます。
  159. 安井吉典

    安井委員 きょうは運輸大臣がお見えになっておりませんからなんですけれども、あなたは運輸大臣だというふうに一つ考えをいただきたいわけでありますが、運輸大臣は千歳の管制について監督権は持っていないのですか。法律上はどういうことになるのですか。というのは、とにかく民間機が四分の一ぐらいは離着陸しているわけです。それを一切自衛隊の手にまかせているという、そういう姿です。自衛隊の飛行機について、航空管制という面については、やはり最終的には運輸大臣がお持ちなんだろうと思うのですが、しかしながら、特に民間機がこんなにたくさんあるという事態において、今のあなたの御答弁を聞いていますと、いかにも遠慮がちに、防衛庁側のきげんをそこなわないような形で、せいぜいサゼスチョンをするぐらいしか運輸大臣は力をお持ちになっていないような印象を受けるわけです。特に先ほどような事故がどんどん起きている際であります。運輸省としては、もっとしっかりした気持で、運輸大臣が最終の責任をお持ちなんですから、監督権限はどういうことなんですか。監督権をお持ちなんでしょうから、どうぞ発揮して下さい。
  160. 栃内一彦

    ○栃内説明員 法律にございますように、運輸大臣は統制をするという規定になっております。従って、統制することは可能でございます。従って、自衛隊の方で、われわれの方の係官がタワーを見たい、オペレーションを見たいという場合には、防衛庁の方でこれを拒否するというようなことは当然できない。また、統制についてどういうふうにするか、先ほど申しましたように、自衛隊が独自の方式をつくるというようなことでは、全体の管制の統一を害するというようなことで、そういうことは困ると言うことはもちろんできます。そのほか、たとえばこういう点についてどうか、もっとこうすべきではないかというよう意見を出すこともできます。しかし、いわゆる監督という言葉は、法律には載っておりません。いわゆる統制ということで、航空局及び自衛隊の管制の統一をはかる、あるいは不工合の点についてこちらの意見をはっきりと言うという根拠になっております。
  161. 安井吉典

    安井委員 統制と監督という言葉のニュアンスは私はよくわからないけれども、しかし、羽田は運輸省が直接やっておられるわけですね。それと千歳と比べてみた場合に、羽田の場合ですと、運輸大臣の言うままに管制官は作業をする、施設も何も全部運輸大臣の言うままになる。しかし、千歳の場合は、運輸大臣がこう思っても、防衛庁側で頭を振られれば、それができない。いずれにしても、ニュアンスにおいて、運輸省の意見は通らないし、それだけ民間機の立場というものの扱いが、羽田の場合と千歳の場合とでは、どうしても千歳の場合の方がおろそかに扱われるような感じを私は受けるわけです。その委託という方法はとにかくとして、いかなる方法をとっても、もう少しがっちりした監督権を全国を通して運輸大臣が持っている、その権限を最高度に発揮できる姿を、千歳の場合にもつくるべきじゃないでしょうか。どうでしょう。
  162. 栃内一彦

    ○栃内説明員 監督と統制という言葉の違い、これはもちろん私も、監督と統制と比べてみますと、統制という言葉は、監督よりもニュアンスとしては弱い感じを抱くわけでございます。そこで、どういうふうにしたらいいか、すなわち、千歳の管制の工合が悪いという点につきまして、われわれも実情を見、そして専門家同士で大いに検討するということで、これは防衛庁の方で、私ども意見に対して、それに従わない、こちらで話をすることが十分根拠があるにかかわらず、これを受け付けないというようなことは、現在までのところございません。むしろ、自衛隊の力で、管制につきまして、運輸省の方の専門的なアドヴァイスも受けたいというようなことも、現地では言っておるというふうに聞いておりますので、ここでいわゆる上級官庁が下級官庁を監督するような意味の監督という制度にしなければ、実態が進歩しない、改善されないというふうには必ずしも私は考えておりません。防衛庁の方でも、おそらく運輸省の言うことで十分技術的に納得できることについては、決して改善にはやぶさかではないというふうにお考えになっていると思います。
  163. 安井吉典

    安井委員 どうも私、頭の悪いせいか、わからないのですが、その点、私も実はあとの時間がございますし、あとまた淡谷さんも質問がありますので、もっと掘り下げてお願いをいたしたいと思いまして、あと二、三点だけ御質問して終わりたいと思いますが、先ほど防衛庁側から、自衛隊機優先というふうなやり方はないということが御答弁の中にあったわけであります。しかし、いろいろ民間側の話を聞いてみましても、着陸前の民間のプロペラ機がコースに入ろうとしたら、突然不許可となって、二、三十分上空に旋回をさせられ、ジェットに順位を譲ったという例がずいぶんあるということを、各社ともそういうような話を言うわけであります。私自身も、北海道出身ですから、千歳によくおりるわけでありますけれども、そういう機会にあったことがあります。とにかく、優先の原則というような仕組みにはなっていないというふうなことでありますけれども、どうも自衛隊の方が管制をやっているから、自衛隊だけを優先してしまっているのだと、これはもちろん断定はできないと思いますけれども、そういうような印象を受ける場合が非常に多いわけです。その点、さらに防衛庁の方と運輸省の方と、両方から一つお答えをいただきたいと思います。
  164. 栃内一彦

    ○栃内説明員 現在、千歳におきましては、自衛隊機優先という原則はございませんし、われわれも、そういう自衛隊機優先という原則を防衛庁が主張されても、それをのむというわけには参りませんですが、ただ、特定の場合、いわゆるスクランブルをやるというような場合に、自衛隊機が優先するというような点につきましては、これはそうひんぱんに起こることでございませんので、その際にプロペラ機である民間機、あるいはジェット機も民間機にはございますが、これの離陸があと回しになるというような点は、これはある意味では当然ではないか。ただ、自衛隊の飛行機は戦闘機が主でございまして、燃料が十分搭載できないというような点で、着陸の際に燃料が欠乏して、これ以上飛んでおっては事故を起こすというような場合に、緊急に着陸させる。その場合に、比較的燃料を積んでおる民間機が待たされるということは、現実問題として、ないわけではないと思います。ただ、この場合に、それでは民間機をホールドさせないで、民間機を先につけてしまって、自衛隊機が墜落するというようなことは、やはり好ましいことでないので、むしろそういうような事態にならないようにやっていくということが必要ではないかと考えます。
  165. 安井吉典

    安井委員 民間機を特に優遇をして、自衛隊の方がさあおりなさいといってずいぶん譲ったというような例はどうでしょう。
  166. 栃内一彦

    ○栃内説明員 そういう例は私は聞いておりません。
  167. 安井吉典

    安井委員 とにかくその優先の原則は、これは水かけ論になるのかもしれませんけれども、私は、やはり今の空港における管制形態その他の中から、ただいまの答弁からはどうも疑問を晴らすわけにはいかないわけであります。  この問題は、要するに、空港を民間と自衛隊とが共用をしているというところに、根本的な原因があると私は思うわけです。民間機と軍用機とではその目的がだいぶ違うわけで、民間機の方は、安全に目的地まで運びつけるということに主体があるわけですし、軍用機の方は、もちろん安全度の問題は大事でありますが、もっともときどき落ちるわけですが、まあそれは別として、とにかく敏捷な行動というものが離着陸の際に要請されるのだろうと思うのです。そういうふうに目的がだいぶ違う。その二つの機種が同じ飛行場を使っているということに、一番大きな原因があると私は思うわけです。だから、やはり同居はやめるべきですよ。最後の結論は、私はそとに落ちつくのではないかと思うのでありますが、この千歳の場合も、自衛隊は、北海道は広いのですから、どこか別なところに専用飛行場をつくるとか、あるいはまた滑走路を民間側とはっきり区別するとか、そういうふうな特別な配慮がなさるべきだと私は思うのでありますが、共用をやめるという問題について、一体政府はどういうふうにお考えでしょうか。これは千歳だけの問題ではありません。当面千歳の問題としてお答えを願いたいが、全国的な問題だと思います。いかがですか。
  168. 栃内一彦

    ○栃内説明員 ただいまの民間飛行場と自衛隊の飛行場とを分離するという点につきましては、これはいろいろな機会に国会でもそういう御議論が出ております。私どもといたしましても、理想的には全くそうあるべきであるというふうに考えますが、現在の用地取得の問題あるいは予算の問題、これはまあ相関関係がございますが、それを考えますと、一挙に両方の飛行場を——まあどちらが出ていくかという問題は別としまして、いずれにしても国費が相当かかる、また相当の面積を必要とするということで、理想として分離することがけっこうであるということは、みなよく承知しておるつもりでございますが、現実の問題としてなかなかこれができない。名古屋にいたしましても、あるいは千歳にいたしましても、現実の問題としては非常に困難で  ある。  ただ、千歳につきましては、従来滑走路が一本でございまして、その片側に民間機と自衛隊機と両方が雑居しておるということでございますが、最近第二滑走路も完成いたしますし、私の方で計画しております民航エリアというものが現在の側の反対側にできることになって、現在建築中でございます。これができますれば、民間側は向こう側に引っ越す。そうしてなお専用のエプロンをつくる。これは現在もう着工しておりますが、それから誘導路も別につくる。これは半分だけすでに予算化されて、あとの半分を明年度要求する予定でございますが、それが完成いたしますと、少なくともパーキング・エリアとタクシー・ウェーの民間機、自衛隊機の共用ということがなくなる。これだけでも地上における事故を幾らかでも減らす、あるいは滑走路の機能を十分に活用することができますので、二本の滑走路を十分に使えるということになれば、発着も容易になりますし、空中における飛行機のさばきもさらに能率的になるということで、十分とは申しませんが、少なくとも一つの改善であろう、かよう考え  ております。
  169. 安井吉典

    安井委員 防衛庁側で、その共用の問題につきましてどういうふうに考え、今日までどういうふうな努力をされておりますか。これはもう共用をやめるということになると、どっちか出ていかなければならないということになるわけですね。場所によりましては、民間空港があったところへ自衛隊の方が入っていって、民間航空の方が肩身の狭い思いをしているというような例もずいぶんあるようでありますが、この問題についてのお考えは、官房長いかがですか。
  170. 加藤陽三

    加藤説明員 防衛庁としての意見ということになりますかどうか、私は、大体今栃内君の申しました通り、理想としては、別々に持てればこれはいいのではないかと思いますが、現実の問題としてはなかなか困難である。そこでそういう現実の上に立って、いかにして事故をなくし、円滑に飛行機の離着陸をさばいていくかということに専心すべきであろうというふうに考えております。
  171. 安井吉典

    安井委員 そういうふうな、共用をやめるという方向に政府としては一そう御努力を願わなくてはならないと思います。しかし、そうなるったってすぐにはそういかないわけでありますから、とにかく現状をどうするかということに私どもはまた戻ってくるわけです。  そこで、千歳の実態からいいましても、とにかく飛行機がどんどんふえて、どうにもならないというふうな姿になってきているわけでありますが、これはもう私の憶測でありますけれども、千歳のよう自衛隊だけが管理をしているというふうな姿になると、何か昔の軍意識と言うと大げさでありますが、そういうようなものがないかと私は思いますけれども、何かわがもの顔をして、ここは自分の方のエリアだ、民間の方にただひさしを貸しているのだ、そういうふうなことで、民間側を肩身の狭い思いにさせている、そういうふうな例はないか、その点一つお伺いいたします。
  172. 海原治

    ○海原説明員 私どもがふだんから関係者といろいろ相談をいたしまして、現地部隊の方にも連絡いたしておりますのは、今先生が御指摘になったようなことがあってはいけない、また、かりにもそういうような感じを持たすような態度、あるいは処置があってはいけないということで、十分注意して参っておるわけでございます。先ほど官房長からもお答えいたしましたように、任務が違いますから、それぞれ別個の飛行場を持つことが理想的でありましょうが、現実にはそうはなかなか参りません。従いまして、平素から私どもは、運輸省の当該部局の間と密接な連絡をとっておりまして、いろいろ不都合なことがありましたら、お互いが努力してこれを解決していこうということで、今日まで努力はいたしてきているわけであります。不幸にいたしまして、民間の方が肩身が狭いというような感じを持つような事例がありますとすれば、これはまことに申しわけない次第であります。今後も決してそういう感じを持つことがいささかもないように、十分私どもは戒心して参りたいと思いますし、また、そのような注意を第一線の部隊の方にはさっそく出すようにいたしたい、このよう考えております。
  173. 安井吉典

    安井委員 私は、その意味で申し上げたいわけでありますが、今運輸省の方も防衛庁の方も、共用という、民間、自衛隊、対々だというようなお答えでありますけれども、もし今のようなお気持がおありなら、民間側としても、どうしてもこれはコンプレックスを感じがちだと思うのです。だからこの際、民間機優先というふうな方向にむしろ原則をお立てになったらいかがでしょう。それで私は、やっと一対一くらいな比率に最後的に落ちつくのではないかと思うのです。どうでしょう、それについてのお考えは。防衛庁並びに運輸省、両方から伺います。
  174. 海原治

    ○海原説明員 どうも民間と自衛隊とが張り合っておって、一対一では民間の方が負けるというように解釈できるお言葉でございますが、私どもとしてはそういう感じはございません。現実に第一線の飛行場に行っていただくとおわかりかと思いますけれども、管制官同士、お互いに共用しております同士は、非常に親密にやっておるということを、私は自信を持ってお答えできると思うのであります。ただ、先ほど先生から、民間の方が非常に肩身が狭いという感じがしているのではないかとおっしゃいますことは、今後の私どもの仕草を行なっていきます上の貴重な御意見として、十分これを聞かしてもらいたい、このよう考えるわけであります。民間が優先するんだ、自衛隊がそれに、何と言いますか、従属という言葉は当たりませんが、優先度が落ちるんだ、こういうこともちょっといかがかと思いますが、事が政府全般の問題でございます。私どもとしましては、あくまで民間航空といい、自衛隊航空といい、ともに日本の航空のことでございますので、お互いに譲り合って、仲よくやっていこうということで、従来ともにやってきておる次第でございます。
  175. 栃内一彦

    ○栃内説明員 ただいま民間優先をしてはどうだというお話でございますが、主として民間航空を担当しております航空局でございますが、もちろん、航空局は決して民間の飛行機だけの管制をやっておるわけではございませんで、管制面におきましては、自衛隊の飛行機も管制をやっておりまして、ジョンソン基地にありますセンターにおきましては、米軍機も自衛隊機も民間機もすべて一様に管制をしておるということでございます。各飛行場におきまして、われわれとしては、何優先ということよりも、むしろ、いかにして事故をなくすか、それからお互いにお互いの立場を理解し合って、いかにして協調してやっていくか、すなわち、理想とすれば、分離していくのが一番いいわけでございます。現実の問題、理想にいかない前提では、限られた飛行場をどうやったら両者が一番うまく使っていけるかということで考えていく。すなわちわれわれといたしましても、民間の飛行機が不当に自衛隊から圧迫を受けるというような事態につきましては、もちろん防衛庁の方に話をして、そういうことのないように取り計らってもらうという点は、決してそういうこともやらないということではございません。主張すべき点は十分主張していく。しかし、相手の立場というものも十分理解してやるというようなことでやっていくのが、限られた飛行場をすべてのものが十分に使うというためには、そういう態度でいきませんと工合が悪いのではないか。むしろ、お互いに角突き合って、非常な感情のもつれというようなものが、ある意味ではまた逆に事故のもとにもなるという点を考えますと、私は、自衛隊飛行場を民間優先にするということは、なかなか踏み切り方に問題ではないか、かよう考えております。
  176. 安井吉典

    安井委員 私が優先と言う意味は、これはほんとうの気持の持ち方として私が申し上げているわけです。現実に今まで起きた——事故までには至らなかったけれども、その寸前だというふうな問題につきまして、民間航空側のいろんな会社の方のお話を聞いてみますと、みんなどうも自衛隊機との接触の危険、自衛隊機の方がすべて先に扱われたというようなことから起きているというふうな印象を彼らはみんな持っております。だから私は、少なくも事に当たる運輸省なりあるいは防衛庁の立場としては、それくらいの気持の持ち方で事に当たってもらわなくては、問題の解決にならないし、さらにまた、大きな事故の原因にならないとも限らないということを申し上げているわけです。ぜひそういうようなことで進んでいただきたいと思うわけであります。  もう時間が参りましたので、私やめますけれども、千歳の空港の問題につきましては、どうもあそこに出入りするたびに実に感じの悪い思いをするわけであります。いまだにアメリカの衛兵みたいなのが立っていたり、その飛行場に入るのに、日本の公共用飛行場に入るのに、出入口で許可をもらって入らなくちゃいけないというふうな状態が、今日までずっと続いてきております。まるで外国の米軍基地に入るような印象を受けるわけです。昔、羽田もそうだったですね。しかし、今羽田はそうじゃありません。独立国であるし、決して弱小国ではないというふうな、総理大臣の言明にもあるような国の空港が、こういうような姿であっては私はよいとは思いません。あの中へ入りますと、米軍のいろいろな軍用施設やオフ・リミッツの立て札が一ぱい立っている。そこに民間航空会社のターミナルが、ささやかに置かせてもらっているというふうな感じを受けるわけであります。外国人もよく北海道へ来るわけでありますけれどもアメリカ人以外の外国人なら、これは実に奇妙な印象を私は受けるのではないかと思うわけです。ですから、あそこからとにかく米軍は出て行ってもらって、一つ日本人のエアポートをあそこにつくるべきだと思うわけです。先ほど運輸省の御説明では、ターミナルを新しくするというふうなお話もありましたけれども、今の構想で、私が申し上げましたような印象は完全に払拭できますか。
  177. 栃内一彦

    ○栃内説明員 先ほども申し上げましたように、現在のターミナル地区の反対側に現在工事中でございまして、すでにこの間参りましたときにはもう鉄骨ができておりました。それからエプロンの仕事もどんどん進んでおります。この地域はおそらく、私は、地理的に確信はないのでございますが、札幌から苫小牧に向かいまして千歳を過ぎてから右側に新しいターミナル地域への取付口ができる、こういうふうに図面の上では了解しております。あるいは実際には多少違うかもしれません。そうしますと、札幌から自動車で千歳の町を通って、飛行場のところをちょっと過ぎると、右に入れば、今度は全然米軍との関係のない、しかもまた、自衛隊とも全然関係のない新しい地域が民航地域としてできる、こういうことであります。
  178. 安井吉典

    安井委員 先ほどの共用解除という問題に関連いたしまして、一つお尋ねをしておきますが、北海道の場合に、ほんとうに大きな飛行機がおりられるのは千歳しかないわけです。千歳まで東京から飛んでいっても、あそこは特に冬になると霧が深い日があるわけです。そうなりますと、また東京へ舞い戻ってこなければならない。そういう例が幾度も一冬のうちにあるわけです。広い北海道の中にもう一つ飛行場があってもいいというふうな感じを、これはもうそういうふうな目にあった人は残らず言うわけであります。ローカル・ラインも、北海道のような地帯でありますと、もっと充実が必要でありますが、北海道における今後の空港整備の計画につきまして、この際ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  179. 栃内一彦

    ○栃内説明員 現在北海道のローカル空港は逐次整備されておりますが、現在工事にかかろうとしておりますのが帯広と中標別でございます。これはあと両三年すれば完成する、あるいはもっと早く完成するかもしれません。それから新たに明年は旭川と紋別の新規の要求をいたしたい、かよう考えております。
  180. 安井吉典

    安井委員 丘珠はどうですか。
  181. 栃内一彦

    ○栃内説明員 丘珠は現在防衛庁の所管の飛行場でございまして、目下運輸省が一時使用の許可を受けまして、滑走路、誘導路等の補修の工事を現在北海道開発庁の手でもってやっておる、こういう段階であります。
  182. 安井吉典

    安井委員 整備を一そう促進していただくことが、北海道の全体的な開発にももちろん役立つし、それから今考えられているような交通の錯綜による事故の防止にもこれは役立つように思いますので、その点一つ十分な御配慮でお進め願いたいと思います。  最後に、私は、きょうの今までの政府の御答弁の中には、どれもこれもあまり満足できない思いであるわけでありますが、ただ一番最初に官房長が数点の改善点を運輸省側と相談をしてあげて、十名の監察官その他を千歳に送った、航空局側よりも送った、そういうふうなお話を承っておりますことが、これからのこの問題の解決に幾らかでも前途できる手がかりになればという期待を持つわけであります。  ちょうど新聞のスクラップを整理していましたら、一昨年の名古屋のあの惨事の記事が出ていました。「閉ざれたヤミの中でサイレンがけたたましく鳴り響く。メチャメチャにこわれて散らばった飛行機の破片につまずきそうになりながら消火作業に当たる自衛隊員、走る警官、投光器の光でぼんやり浮きぼりされた飛行機のまわりには、愛知県警のパトカー、飛行場の消防車、救急車があわただしく行き交う。」「やがて機体から百メートルも離れた滑走路で服をはぎとられた血まみれの遺体が見つかり、担架で救急車へ運び込まれた。」「全日空機は文字通りひきちぎられた形で、前のめりに右へ傾いた機体の、ザクロのようにささくれた傷口が月の光に冷く光った。」大へん文学的な表現もあるわけでありますけれども、こういうふうな事故が起きてから、千歳の問題が、あるいは千歳と同じような状態にある全国の共用空港の問題が、そのときになって初めて考えられるようでは私はいけないと思うわけです。今度対策を積極的に講ぜられるために現地にも行かれたということでありますが、さらに問題の解決のために、防衛庁並びに運輸省がどういうふうな御決意で当たるおつもりか、その点を最後にお聞きしておきます。
  183. 海原治

    ○海原説明員 先ほど来いろいろと御意見をいただいておりますので、私どもはこの八月三十日の事件が起こった——事件と申しますか、事件になりそうであったということも一つの契機といたしまして、今後各飛行場における管制業務につきましては、運輸省の方とも御相談いたしまして、万全の措置をとって参りたい。この意味におきまして、先ほどからのいろいろな御意見というものは十分私ども戒心して努力して参りたい、このよう考えております。
  184. 栃内一彦

    ○栃内説明員 私どもといたしましても、前回に視察もいたしておりますし、今回また防衛庁の方で監察に行かれるということで、こちらからも参加いたしまして、よく共同調査をし、また航空局として専門的な立場でアドヴァイスができる点、これは十分いたしまして、また民間航空として当然主張しなければならないという点は当然主張して、今後こういう一歩間違えばいろいろ不幸な事故の起きるようなことが起きないように、協力して進んでいきたい、かよう考えております。
  185. 永山忠則

  186. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さっきから安井委員の質問に対するお答えを伺っていますと、どうも私にはふに落ちないことが一つある。今度の千歳空港で起こった事件を、事件と言うのを非常にきらっているようであります。事件とは言えない、偶然の事態とか、事故か事件かなんということを言ってみたり、特に運輸省の方は、これは事故とまでいかない、ひやりとさせられたと言っていましたが、ひやりとさせられるのはたくさんなんです。特に防衛局長は、新聞記事は誤っていると非常に強調しておりますけれども、滞空時間一時間二十分と五十九分では二十分の相違です。乗っている人は、五十九分、一時間も着かないでうろうろ空の中を回ったり、おしまいに油が切れそうになって函館に緊急着陸したということになれば、完全な事件じゃないですか。これはひやりとさせられる程度ならいいけれども、三河島みたいになったら大へんなことです。なりたての防衛庁長官の首がふっ飛んでしまう。そうなれば事件なんです。私は、これははっきり事件として処理すべき問題だと思いますが、その点の認識はどうですか。時間が非常におくれて着陸した、しかも、目的地からはるかに離れた函館へ着く、これはりっぱな事故じゃないか。これを事故と見ないよう考え方では、将来における航空事故の絶滅はできないと思いますが、その点はいかがでありますか。
  187. 海原治

    ○海原説明員 事故という言葉の意味につきましての御意見でございますが、私どもは、従来事故と申しますと、現実にそこに一つの事態が生じまして、何と申しますか。物質的ないろいろな損害と申しますか、そういうものが出た場合に、事故と言う習慣がございますので、ついそれとの関連におきまして、この飛行機に乗っておられた方にとりましてはまことに迷惑千万な事柄が起こった、事故と言うことを避けて御説明しました次第は、私どもがふだん使っております言葉の用い方にとらわれたわけでございまして、見方によりましては、この事態全般が一つの事故である、こういうふうな御意見は、私は、それなりにそういう意味での考え方としては正しいかと思います。
  188. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはくどく言うほどのこともありませんが、さっき航空管制についても話がありましたが、自衛隊というものの持っている目的と、一般航空の持っている目的はやはり違いますから、人間の受けるスリルの感と申しましょうか、生命に対する危険と申しましょうか、それの相違でこの事件に対する見方も大へん違ってくると私は思う。これは実際飛行機にしょっちゅう乗っておられる方は何とも思いますまいが、一生に初めて乗った人もあるでしょうが、その人たちが、着陸する時間が一時間もおくれて、しかも着けないで引っ返すというひやりとした感じは、これは刑法で言えば殺人未遂みたいなもので、殺人まではいきませんけれども、殺人直前みたいな恐怖感にとらわれる。これはりっぱな事故だと思う。まず、この重大性を十分認識されてお答え願いたいと思う。  そこで、加藤官房長にお伺いしますが、数年前にあなたが防衛局長でおられたころに、私ども国会委員が北海道の千歳空港の調査に参りましたときに、自衛隊の諸君から、今のような状態では非常な危険を感ずるから、すみやかに分離するように強い要請を受けました。これを国会委員会で、時の防衛庁長官に申し上げておったのをあなたは聞かれているはずなんです。あれから五年たっていますが、この間、一体防衛庁としては、そういう自衛隊要望に対してどうとたえておられるか、お伺いしたい。
  189. 加藤陽三

    加藤説明員 そのときのお話は、今正確に覚えておりませんが、私の記憶にありますところでは、当時千歳の飛行場は航空局の管制官が管制をしておったのであります。そのときに隊員の諸君の中で、当時はジェット機というのは旅客機にはほとんどなかったわけですが、自衛隊はジェット機を持っておる。ジェット機の航空管制というものと、レシプロの航空管制というものと、やはりそこにその実態に即したような仕方をしてもらわなければ困るのだ、それがなかなかうまくいかないというふうな意見が出てきたことは、今私記憶をいたしております。当時は航空局ともいろいろ話をしておりまして、結局千歳にあります航空団は、領空侵犯に対する迎撃の任務を与えられておる。その場合には、これはさっき言いましたスクランブルと言いますが、これは優先的にやろうということになっておったわけであります。その他の場合においては、一応そのときどきの事情に応じて適当だと思われる管制をしておられたのでありますが、どうもやはりジェット機に対する管制のやり方が、われわれの目から見ると十分でないというふうな意見は、確かにあったように記憶をいたしております。その後、航空局の方ともいろいろ御相談をして参りまして、ことしの一月から、先ほど申し上げました通り、千歳の飛行場につきましては、これは自衛隊のジェット機の使う回数が圧倒的に多いということから、千歳の飛行場の航空交通管制は運輸大臣から防衛庁長官に委任を願う。そのかわりほかの、たとえば小牧のようなところは、航空局の方の航空交通管制に自衛隊機も全部従うというふうなこともやったわけでございます。
  190. 淡谷悠藏

    淡谷委員 だいぶ時間が長くなったので、委員長もじりじりしていられるようですから、時間を節約する意味において、航空基地と申しましょうか、あるいは空港と申しましょうか、民間の専用の航空基地と、それから自衛隊専用の基地、共用の基地、特に共用の中でも、米軍自衛隊と民間との関係を、あとで書類で御提出願いたいと思います。今聞いておりますと長くなりますから、そうお取り計らい願いたいと思います。
  191. 永山忠則

    永山委員長 それでは当局から一つ書類で御提出を願います。
  192. 淡谷悠藏

    淡谷委員 なるべく価単にいたします。  そこで、私さらに防衛庁お尋ねしたいのですが、さっきから防衛庁の方でも、運輸省の方でも、共用は理想としては避けたいと言っておられる。これはこの前にお尋ねした場合にも、やはりそういう御答弁を防衛庁長官からも受けている。加藤官房長も、理想としてはそうありたいが、現実にはできないと言っている。それには用地の取得と予算の関係がある、こう言っておられる。一体用地の取得で非常にむずかしいというのは、絶対的な広さがないのか、あるいはなかなか民間が抵抗して自衛隊の基地には提供しないというのか、その辺をもう少し、理想の形態に近づける熱意を持って考えた場合に、どっちかもっと具体的なお答えを願いたいと思う。理想の、共用をやめるところに進めるために、何が一体阻害しているか、その点をもう少し率直にお聞きしたいと思う。
  193. 加藤陽三

    加藤説明員 これは各場所々々によりまして、事情はいろいろあると思います。たとえば民間空港でも自衛隊の飛行場でも同じであろうと思いますが、どこでも飛行場を選べるというものではございません。やはり地形の関係、風向きも一部関係いたしましょう。そういうところからいたしまして、おのずから候補地というものは出てくる。ところが、その候補地がそのまま使える場合もあるし、あるいは少しそこに手直ししなければならないところもある。それから、たとえそういう点を抜きにいたしましても、土地の買収になかなか困難であるという場合もございます。あるいは政治的な反対と申しては語弊があるかもわかりませんけれども自衛隊の飛行場には困るのだというような困難性を伴うことは、御承知通りでございます。いろいろでございまして、全体を通じてどういう点に困難性があるかとおっしゃると、ちょっとお答えしにくいのでございます。
  194. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私は、もっと率直に言ってもらいたいのです。最近共用がだめだという線がはっきり出ているならば、新しくできる空港基地については、共用の線をお出しにならない方がいいだろうと私は思う。依然として自衛隊と、つまり、軍用の航空基地と民間空港とを一緒にして、地元に誘致運動を起こさせている例を各地で見ている。これなども、だめなことがわかっておって、また共用を強要するというようなことは、どうも私には受け取れない。結局、自衛隊の基地にするのでは、はっきり言って社会党あたりが反対するから、地元がやはり反対するから、何とか民間の航空基地にするのだというような、いわばえさをもってつっていく共用の形で作ろうという気持じゃないですか。第一、小松がそうでしょう。私は、はっきり言ってもらいたい。
  195. 加藤陽三

    加藤説明員 小松の飛行場の事件は、これは御承知かと思いますが、あれは昔、飛行場があったわけでございます。その後、米軍が使っておって、それをさらに今度は民同機も使っておったのです。そこを今度は自衛隊の方の飛行場にしたいという話になりました際に、地元の方で、民間航空機も一緒に使えるようにしてもらわなければ、なかなか交渉が進まない。そういうことでありまして、航空局と話をして、民間航空も使うのだということで話を進めたというのが実情でございます。
  196. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どうも私、その点はもう少しはっきりさせた方がいいのではないかと思うのです。たとえば今米軍の使っております航空飛地に自衛隊がどんどん入り込んでくるでしょう。たとえば三沢の基地のまん中に自衛隊の建物が建っているでしょう。これは厳密に言ったら、一たん米軍が撤退してから、あの土地は民間ならば民間に返すし、国有地ならば大蔵省に返して、あらためて自衛隊の基地として接収すべきがほんとうじゃないですか。いつの間にか、すっと入ってしまっている。その事実をお認めになりますか。
  197. 加藤陽三

    加藤説明員 三沢のことにつきましては、自衛隊の建物があることは認めます。あれはしかし、地位協定の何条でございましたか忘れましたけれども、その規定に基づいて、正当に自衛隊が使っておるものだと私は承知しております。
  198. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どうも米軍の基地にはそっと自衛隊が入って行って、米軍が撤退したときにはそのまま入り込むというケースが多い。特に民間の中にも、たとえば千歳はその通りでしょう。あれはもとは民間の空港でしょう。その中に自衛隊が一時間借りをして使っておって、おしまいには、どうも共用はまずいからといって、さっきの運輸省のお話を伺いますと、もうそろそろ家主である民間の方が追い出されていっているのです。今までの千歳は、今度は自衛隊専用にだんだんなっていくでしょう。これはあまりずるいじゃないですか。民間と一緒にやるのだと言って反対を封じておいて、できた暁には、この共用の無理というところにてこを置いて、あとでやはり民間を別な方へ移そうというのは、少しずるいじゃないですか。もっとはっきり、反対があろうがなかろうが、必要なら必要だということを打ち出して、もっと抜本的な解決をはかった方が欺瞞的ではないと思いますがね。自衛隊は、やはり欺瞞によってやったのでは、幾らこれは航空基地を作りましても、ほんとうの国防にはなりませんがね。どうです。その点は。
  199. 加藤陽三

    加藤説明員 千歳の飛行場も、これは御承知と思いますが、もともとは海軍の飛行場だったわけです。その後、戦後に米軍に接収されまして、米軍が使っておったわけであります。そのときから民間航空が使用するようになっておった。その事実を引き継ぎまして自衛隊が使っておるわけでございまして、特にわれわれが欺欄的なことを考えているとかいうふうなことはないことを御承知願いたいと思います。
  200. 淡谷悠藏

    淡谷委員 官房長、あなたがそんなお答えをするなら大問題になりますよ。前に言っているんですよ、私は。戦争前の軍隊と今の自衛隊は違うのです。性格ははっきり違っていますね。それを、戦争前に軍が使っているところは全部新しく自衛隊がこれをまた接収しようというところに、失地回復運動が行なわれているではないですか。   〔委員長退席、官澤委員長代理着席〕 自衛隊は、戦前の軍が使っておったところは全部もう一ぺんこれを失地回復するという構想でこの空軍基地を作るのですか。それは少し違うと思いますけれども、もっと新しい観点からやるべきじゃないですか。
  201. 加藤陽三

    加藤説明員 私は、その事実を申し上げたのでございまして、それをどういうふうに判断するかというととは、これはまた別だと思います。そういう経路で今自衛隊機と民間航空機とが使っておるということを申し上げたのであります。
  202. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私は、それはまずいと思う。さっきからあなたがおっしゃる通り、確かに自衛隊としては航空基地を選定する場合にはいろいろな困難はあるでしょう。しかし、もともと民間の空港と自衛隊の基地というものは、目的が違っているし、使用状況もおのずと違ってくる。同じ条件のところに二つできるはずがないのです。それをいかに困ったからといって、民間でも使うということをてこにして、将来に禍根を残すような共用の航空基地をこれからつくっていくことの構想の中に、非常な欺瞞があり、あやまちがあると思う。ですから、少なくとも今までの事実は私は認めますけれども、将来のことになったら、こういう点をもっとすっきりさせて基地をつくった方が私は正しいと思いますが、どうですか。やたらに基地をつくるために、民間に好餌を与えるような便法はお避けになった方がよろしいと思う。その点はどうですか。
  203. 加藤陽三

    加藤説明員 先ほど来、私のみならず航空局の方もお答えしております通りです。理想としては、やはり別の方がよろしいということは認めておるわけであります。ただ、現実の問題としてなかなか困難がある。しかし、何とかして飛行場はつくりたいということで、そのときの情勢を考えながら今までやってきておるわけでございますが、理想はあくまで理想でございまして、なるべくその理想を実現したいということは考えております。
  204. 淡谷悠藏

    淡谷委員 運輸省にお伺いしますが、運輸省で、この民間だけで使う空港をつくりがたいという隘路は、一体どこにありますか。自衛隊の方は聞きました。あなたの万は、一体純粋に民間だけで使うような空港をつくれない隘路はどこにありますか。
  205. 栃内一彦

    ○栃内説明員 この点も一般的に申し上げるということはなかなか困難と思いますが、一、二の例で御説明いたしますと、たとえば現在大阪の国際空港の拡張を私ども計画しておりまして、すでに予算的にもある程度措置がついておるわけでございますが、ここに至りますまでには、三年以上の間地元といろいろ折衝いたしまして、やっと解決したというような点で、防衛庁の飛行場をつくるということに比較しますれば、あるいは比較的に容易かとも存じますが、やはり民間につきましても、ジェット機が飛ぶという事態になって参りますと、騒音の問題はかなり地元の反対がある。もちろん、非常に誘致促進というようなところもございますが、場所によりましてはそういう反対もございます。それから、そのほかの問題は、主として予算上の問題でございまして、航空局の予算要求といたしまして、地方のローカル空港についてもちろん毎年相当な数の新設が認められておりますが、たとえば千歳というような大きな飛行場をさらにつくるということになりますと、経費的にも相当な金になりますので、この点は大蔵省方面において相当な難色があるのではないか、かよう考えます。従って、場所によっていろいろ事情は違いますが、全体を通じて申し上げられることは、地元において反対する場合もある、それから全体的に見て予算上の問題でなかなか理想が実現しにくい、こういう二点に要約されるのではないか、かよう考えます。
  206. 淡谷悠藏

    淡谷委員 誘致する方では、自衛隊の航空基地を誘致する場所も確かにあるでしょうけれども、大体地元はあまり歓迎しない。民間空港が誘致したいのだけれども、予算がつかないというのが実態じゃないですか。この二つの隘路が合作して今の共用というものを生んでいると思う。民間空港を作るには予算がつかない。防衛庁はずいぶん膨大な予算がルーズに使われているらしいから、防衛庁ならつくってくれるだろうというので、空港をつくるために、防衛庁の予算を使うという民間の意思と、自分たちの基地をつくるために民間空港ということを看板にするのと、この二つの意思が合作したのが、今の共用飛行場をつくっているんじゃないか、率直に申し上げて。その結果、使ってみたはいいが、さまざまな問題が生ずる。さて困ったから分離しよう、こんなことの繰り返しをやっておったのでは、私は空港問題の解決はつかないと思う。これは、自衛隊がなかなか歓迎されないというのには、歓迎されない理由もあるだろうし、これはこれとしてもっと純粋に解決すべき問題が残っておる。新しい防衛庁長官は、基地の問題でどうにかしなければならないという感覚を持っていると言った。それは感覚だけではなく、将来の政策にも出てくるだろうと私は期待します。それならば、やはりそこに便法を用いないで、そういうふうな困難があるということを自衛隊の方にももっと真剣に考えていただきたい。また、予算が取れないと言うけれども、そこはそこで方法はあると私は思う。それを便宜的に共用の方に進んだならば、私は、第二、第三の千歳事件というものを起こしまして、最後にはどうにも収拾がつかないような羽目に陥ることを心配するのです。その点は、私、もっとはりきり皆さんに割り切った形で空港問題の解決をしていただきたい。  それから特に、さっきも話が出ていましたが、航空管制の問題、今伺っておりますと、やはりもとは千歳空港も自衛隊が管制してなかった。それがやはりやってみるとどうもまずいので、自衛隊の方に管制を委任したらということで、さてやってみると、やっぱりまずいのではないですか。同じことが起こっている。運輸省がやっても、自衛隊がやっても、共用という事実のある限り、この隘路はなくならないと思う。その点に対する運輸省の見通しはどうですか。管制について率直な煩悶はございませんか。私は追及するつもりはない。もし管制についての煩悶があり、隘路があるならば、この際一緒に考えていこうじゃないですか。直すべきは直さなければしようがない。人命に関することです。お答え願いたいと思います。
  207. 栃内一彦

    ○栃内説明員 先ほど申し上げたように、管制につきましては、全国を一元的にやらなければならない。この意味におきまして、全体的な責任を運輸大臣が負っていくということは、これは今後も続けていくべきではないか。ただ、先ほど申しましたように、特定の飛行場について、委任をした方が適当であるという場合には、法律に基づきまして、防衛庁長官に委任する。しかし、委任するということは、まかせっぱなしということではなく、やはり、これは統制していく。この統制というやり方によって、全体の有機的な関連をそこなわないようにしていくという考え方でございます。  なお特定の、たとえば現在問題になっております千歳につきまして、これは今回の北日本航空の飛行機が約一時間ホールディングにあいまして、函館に帰った。このことにつきまして、これはもちろん私どもとしては残念なことだった、かよう考えます。そしてまた、そのほかにも、若干の別な形でもって不工合な点があったということも承知しております。従って、これらの事実に基づきまして、防衛庁の方でもさらに厳重な監察をやられるということでございます。私どもの方にも協力をしてくれということで、先般空幕の防衛部長が来られまして、だれか専門の係官を一緒に派遣して、できたならば専門的な知識経験を提供してもらいたいということなので、私どもも快諾いたしまして、これらの監察の方々が現地を調査しました。それによって、今後どう持っていったらいいかという結論が出て参ると思います。これをもとにしまして、さらに防衛庁本庁の方とお打ち合わせをして、今後こういう問題が起きないようにやっていくつもりでございます。なお、民間機として肩身の狭いというような点を、先ほどから何回かお話しになりましたが、私どもといたしましては、いわゆる肩身の狭いというようなことのないように、防衛庁の本庁の方と十分折衝していきたい、かよう考えております。
  208. 淡谷悠藏

    淡谷委員 今後そういうことが起こらないようにというのは、とのごろの口ぐせになっております。三河島事件が起こったときも、今後そういう問題が起こらないようにと言ったが、南武線の事件も起こっている。南武線の事件が起こっても、やはり今後そういうことが起こらないようにと言う。あしたから追及すると言っても、追及にならないのです。どうしても事件の起こった原因をはっきりさせなければ言いわけにはなりませんよ。  そこで、端的にお聞きしますが、今の千歳事件は運輸大臣に責任があるのですか、防衛庁長官に責任があるのですか。
  209. 栃内一彦

    ○栃内説明員 私の見解によりますれば、今度の問題につきましては、千歳の管制ということが直接の原因でございますよう考えられます。もちろん、そのほかいろいろな事情があるのかもしれません。この点は、監察の結果を待たなければはっきりしたことは申し上げられませんが、少なくとも千歳を自衛隊が管制しておるというところから見まして、自衛隊の管制のやり方に何か問題があったのではないかということでございます。問題は、現象的にそういうふうに見えますが、しかし、そこにどういう事情があったのか、現在のところは知りませんが、その点あるいは何か私の知らないことがあるか、その辺は監察の結果を見ましてからでございます。一応現在私どもの方に入っておる事実だけで判断しますと、管制のやり方に問題があったのではないかという点もございます。また別に実態的に考えますと、今度は飛行機が確かに函館に引き返したわけでございますが、その事情というものが、自衛隊の飛行機が燃料がなくなったというような点で、緊急に着陸させなければならない、いわばそのはね返りとして、函館に帰らざるを得なかったという点を考えますと、必ずしも管制だけの事情か、あるいはほかの事情か、その辺のところが、現在のところは明確でないわけでございます。私どもの情報としては、まだそこまでははっきり出ない。ただ一時間余りホールドされたという事実を聞いておるわけでございます。従って、これが防衛庁長官の責任であるかどうかという問題につきまして、今の材料では、こういう公の場で防衛庁長官の責任であるということをはっきり申し上げる段階には至っていない、私としてはかよう考えます。
  210. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私は、法制上のことを聞きたいのですが、かりに千歳ではなくても、こういう事態が起こって、明らかに自衛隊の管制の失敗であるとした場合、委任した運輸大臣に責任があるのか、委任を受けた防衛庁長官に責任があるのか。監督と統制とあなたはおっしゃる。監督の責任が運輸大臣にあるならば、これは明らかに監督の責任者である運輸大臣の責任でしょう。あなたは、監督はないが、統制をすると言っている。統制はするが、監督するのじゃない、こう言えば、監督の責任をのがれている。今あなたの言う委任ということは、そういう場合にどっちが責任をとるのかという問題です。
  211. 栃内一彦

    ○栃内説明員 私は、今の千歳の問題につきましては、責任問題をここで論ずるほどのデータを持っておらないということを申し上げたのでございますが、その他の飛行場における、もちろん千歳を含めてでございますが、一般原則的に委任を受けた場合にどうかということにつきましては、私は、当該事態というものの実態をよく分析しまして、何が直接の原因であり、何が間接の原因である、あるいは直接の原因だけであるというように、よく事態を分析しまして、十分慎重に調べませんと、抽象的にはなかなかその間の責任の所在は明瞭にならないのではないか、かよう考えます。
  212. 淡谷悠藏

    淡谷委員 具体的な問題は要らないのですよ。ただ、航空管制を委任するというこのあり方の中に、そういう場合はどうなるかというのです。委任された者に大きな失態があって事故が起こった場合は、その責任は一体どこにあるのか、監督権のない運輸大臣はそれでもなお責任をとるか、いかなる場合も委任を受けた者が責任をとるか、そういうことを聞いておる。三河島事件などで、十河総裁は私に責任がないのだと言いますから、はっきりしておきたいのです。航空管制を委任するというこのことの中に、私は責任の所在を明らかにしておきたい。
  213. 栃内一彦

    ○栃内説明員 委任をします場合には、委任すべきかどうかという点を十分考えなければならないことはもちろんでございます。それから何か事件が起きたという場合に、その委任したことが適当であったかどうかということは、問題の性質によって、そこはケース・バイ・ケースで考えるべきものではないか、かよう考えます。
  214. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そこで、統制ということの中に、監督の権限が含まれていないとすれば、監督上の失態は責任をとらぬことになりますね。監督が十分でないということに対しては責任をとらない。ただ、明らかに委任すべからざる者に委任をした場合には責任をとるのだが、個々のケースについて監督ができなかったということについては、運輸大臣は責任はとらぬという見方ですね。
  215. 栃内一彦

    ○栃内説明員 運輸大臣は、この件について防衛庁長官に対する監督権は法文上ない、かように私は考えております。
  216. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それじゃあとでまたこのことは十分御研究願いますが、これは非常にあいまいな点ですから、押し問答してもしようがありませんから、問題点としてあなたも十分慎重に考えていただきたい。  それから防衛庁の方に伺っておきますが、今度の事件の発生する原因となった演習について、あらかじめ民間航空会社の方に通知があったのかないのか。向こうは定期の航空だと思いますが、こういうふうな演習をするからということは通知があったのですか。
  217. 海原治

    ○海原説明員 当日の状況を申し上げますと、その演習を予定しております時刻、大体帰来しました時刻に、千歳に着く予定の飛行機は日航の十七時着というのが一機ございましたが、その日演習を行ないますにつきまして、この日航の十七時着の飛行機があるということは、一応現地の司令は知っております。この問題の飛行機は不定期便でございまして、本来は十六時十分に着く飛行機でありまして、これがおくれて着いたということが一応報告されたのであります。それにつきまして自衛隊の方で知っておったかどうかということについては、私はまだ報告を受けておりません。さらに今お尋ねの、会社の方に演習計画を連絡したかということでございますが、そういう事実につきましての報告はございません。私の方も聞いておりませんが、おそらくは事実として現地の者が知っておるということはありましょうが、自衛隊の名で、こういう演習を何時から何時までやるということは、通常連絡をしていない、このよう承知いたしております。
  218. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうすると、民間航空の時間とはほとんど関係なしに、随時自衛隊演習が行なわれておる、こう見てかまわないですか。
  219. 海原治

    ○海原説明員 民間航空の時間というものを考慮いたしました上で、演習の計画を現実はつくっておる、このようにお答えした次第でございます。
  220. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どうも私は、そうなりますと、今度の事件はますます不可解なんですが、一機か二機がおくれたというのならわかりますが、連続して多くの飛行機が着陸できなかった、その間、かなり長い間演習が行なわれておったというのは、これはやはり天候か何かに左右されたわけですか。
  221. 海原治

    ○海原説明員 関係いたしました航空自衛隊の航空機部隊は、千歳の第二航空団、それから小牧の第六航空団でございます。千歳の第二航空団は、現在におきましての訓練でございます。小牧の航空団は、浜松の射場におきます訓練に参加するため、その日の午後小牧から飛んで参った飛行機でございます。従いまして、この第六航空団は、小牧から千歳に移動するだけの燃料を持っておったけれども、そのうちの一部のものが、だいぶ長く待たされたために、いわゆる燃料が最小限度になったということの事実はございます。
  222. 淡谷悠藏

    淡谷委員 定期的な民間航空の施設の中へ、随時行なう自衛隊演習を繰り込でいくということは、もともと無理な構想だと思いますが、これは共用が無理だということからくるのですが、これは今の認識はどうですか。これは千歳だけじゃなくて、各地に起こる現象だと思います。いわば非常に激しい訓練をやり、演習をやっている飛行機が、定期航路の中に入っていって随時演習をやるということは、民間航空の空港を自衛隊演習に使うというこの構想の中に、どだい無理があると思いますが、その点は防衛局長どうお考えになりますか。
  223. 海原治

    ○海原説明員 先ほども御説明いたしましたように、千歳というのは、現在非常に忙しい飛行場になっておりますが、この程度の忙しさであれば、先ほど申し上げましたように、たまたまこの時間は民間航空機は一機ないし二機でございます。一機ないし二機程度の航空機が着きますこと、さらに出発の方は数機ございますが、これはおりることと関係いたしますが、おりる方の飛行機は、当時は十七時着の日航一機だけを考えておった。あるいはさらに十六時一分の飛行機がおくれているということはありましょう。現実に着いておりますものは、これは先ほど御説明いたしましたが、その時間の間に全日空のバイカウントが十七時にQDホーマーの上に参りまして、これは千歳に二十七分におろしております。こういうふうに一機、二機程度のものが、編隊で帰ってきます間に入って着陸することは、従来からもやっておることでございますので、まあ、特にそのために今度のような混乱が起こるということは、通常は考えられない、こういうことに私ども了解いたしております。
  224. 淡谷悠藏

    淡谷委員 通常は考えられなくても、起こればそれきりですし、事故というのは一本勝負です。待ったがきかないのですから、一回でも起こったら、これは大きな失態です。これはくどくは申し上げませんが、こういうケースは千歳だけじゃないと私は思う。忙しい空港は板付などもあぶないでしょう。どうですか、運輸省、板付の米軍機の発着回数、自衛隊、民間航空機など考えますと、あの形態も非常にあぶないのじゃないか、どうですか。
  225. 栃内一彦

    ○栃内説明員 板付につきましては、現在日本航空及び全日空が主として入っております。やはりあそこは相当飛行場が米軍訓練で混んでおります。しかし、今まで私の聞いたところによりますと、若干時間をホールドされるということがあるということは聞いておりますが、非常にあぶない、事件が起きそうだという点は、私自身はまだ聞いておりません。ただ、若干の事例があるということはときどき聞いております。
  226. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私は、時間を短くという約束ですから、もうやめますが、官房長に最後に要求しておきたいことがあります。あなたもはっきり、共用はよろしくない、理想的にいえば、共用より単用の方がよろしい、そう言っておる。たまたま現実的な事情のために、やむなく共用をやっておるということを言っておられますけれども、やはり航空が発達して参りますと、どこの航空基地も空港も忙しくなってくるのです。共用でやっておって、だんだんそこにトラブルを起こすよりは、初めからその構想を変えた方がよろしい。だから、一時的な便宜やあるいは基地取得の手段として共用をうたうようなことはおやめになった方がよろしいと思うが、この点はどうですか。自衛隊には新しい基地や演習基地についてずいぶん新しい構想があるのですけれども、これについては、いたずらに地元の利害打算の気持にこびてまで共用を主張してつくるということは、これは私は自衛隊として非常な邪道だと思いますが、官房長どうですか。
  227. 加藤陽三

    加藤説明員 これは小牧の事件についても申し上げましたが、交渉の過程におきまして、地元の方から民間航空機にも使用させるからという話が出たのでありまして、われわれの方としてそれを断わる理由は毛頭ないのであります。御承知通り自衛隊の飛行場は共用しているものよりか専用の方が多いのです。たとえば宮崎県の新田原、あるいは福岡の築城でありますとか、あるいは鹿県、八戸など、専用の飛行場はたくさんあるわけです。必ずしも飛行場をつくる場合に共用ということをえさにしてつくるということでございませんことを御承知願いたいと思います。
  228. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは資料を請求してありますから、資料によってまたいつか機会を見てやります。ただ一、二の事例——一、二の事例じゃありませんけれども、官房長が目の届かないようなさまざまな事態がございます。反対を食うと、いろいろな手を使って地元をうまく誘導して、極端に言えば、甘言に乗せて、どうせ民間航空で使っても自衛隊や何か来やしないのだからということでやっているところが相当ある。だから、その点は無理をなさらぬようにくれぐれも要望しておきます。なお、運輸省についても、旧軍に対する遠慮のような、非常な遠慮の仕方をして自衛隊をこわごわ扱っておるようですが、やはり大事な人命をあずかっている航空行政に携わるあなた方は、やはり隘路は隘路とし、あぶないことはあぶないこととして、はっきり主張なさるようにくれぐれも要望して、私の質問を終わります。
  229. 宮澤胤勇

    ○宮澤委員長代理 岡田利春君。
  230. 岡田利春

    岡田(利)委員 午前中に引き続きまして、質問申し上げますが、午前中質問しましたロランCの施設は、大体私の聞いておるところでは、沖繩、それから当初八丈島が硫黄島、加えて北海道の十勝太、並びにマーカス島の四カ所に設置をされる、このように承っておるわけです。そこで、政府は、当初、八丈島はこれは特に米軍から指定をされているし、最も妥当な地点であって、これを変更することはできない、そういう意思は毛頭ない、このように説明しておったのでありますが、これが今度八丈島から硫黄島に移した。この硫黄島に移したという理由は、当初国会政府が答弁している内容から判断しますと、どうもふに落ちない面があるわけですが、この理由は一体どうなのか。加えて北海道の十勝太における土地の取得、あるいはまた施設の状況、こういうものが、当初八丈島に建設を予定されておったものと比較する場合に、どういう違いがあるか。米軍の軍人の将来の定数の問題、あるいは日本人労務者の定数の問題、これを十勝太と、今度硫黄島になりましたけれども、当初の八丈島と比較した場合に、大体同規模でないように思うのです。その点の違いをまずお聞きしておきたいと思います。
  231. 沼尻元一

    ○沼尻説明員 当初、お話のように、八丈島と十勝太とが予定されたわけでございますが、十勝太の方につきましては、関係地元の御了解が得られた。しかし、八丈島についてはいろいろ問題がございまして、所有者の大多数の方々の同意は得られましたが、地方議会やその他の反対というものがございまして、なかなか地元関係をまとめるのに非常に手間取っておりました。しかし、米側としては、この施設を非常に急ぎますので、何とか早期に着工したい、そういう点からいって、八丈島がいつまでにそういう地元との話が円滑に進むか、そういう見通し等について、米側と協議をしておったわけでございますが、そういう見通しについてはっきりしたことを申し上げ得るよう段階にはなかなか至らなかったわけであります。米側としましては、この九月初めにはぜひこれは始めたいので、いつになったら始められるかわからないという状態では困るというようなことから、そういう情勢のもとに、米側としては、お話のように、マーカス、十勝太、八丈島というのが一体になって機能を果たすわけでございますが、そこで、この八丈島にかわるものとして、硫黄島でも間に合う、検討の結果、そういう結論になりました。工事を急ぐ関係上、見通しがないままにこのまま進むこともできないので、どうしても日本側が都合が悪いということであれば、硫黄島に変えようということになったわけでございます。
  232. 岡田利春

    岡田(利)委員 ただいまの説明で、八丈島から移った理由がわかったわけなのですが、若干専門的なことになると思うのですが、いわゆる略称ロランCの——ロランAというのが、今日米軍の施設だけで五カ所あるんですね。しかも、わが国の施設を含めると、大体ロランAの施設というのは、全国十二カ所あるという工合に実は私は調べておるわけです。米軍がロランAが五カ所あるのに、長波のロランCの基地を四地点につくるという理由なんですが、普通一般の近海の船の航行安全あるいは飛行機の航行の安全ということだけを考える場合には、これは現在のロランAで私は十分だと思うのです。しかし、ロランCの場合には、これは最大波長が夜間になりますと五千キロメートル、こういう非常に遠い遠距離までこの波長は到達をするわけです。そうしますと、大体四地点で検討すると、北ベトナムから中国のほとんど、むしろモンゴル共和国まで入る。それから北の方はいわゆるカムチャッカ半島全部、五千キロメートルの範囲に入るという、きわめて膨大な範囲に届くわけです。こういうものが、ロランAがあるのにかかわらず、ロランCが必要だという理由を、午前中から私は聞いたのでありますが、これに対して確たる返答を実は得ることができなかったわけです。従って、私は、ここで端的に一つ一つお聞きしたいと思うのですが、原子力潜水艦、いわゆるわれわれが言っておるボラリス潜水艦の場合、当然船のわけですから、この位置確定については、このロランCの設置によって、この原子力潜水艦も自分の位置をはっきり確定することができる。特にミサイルの場合には、発射する地点がはっきり確定しないと、ミサイルをめくらめっぽう撃つわけにはいかないのですから、一番これが先決問題なんです。従って、この場合にも、当然これは利用されると私は考えるのですが、これは端的に、当然利用されるかされないかという答弁を一ついただきたいと思います。
  233. 沼尻元一

    ○沼尻説明員 このロランという言葉が、非常に私たちには耳新しい言葉でございますので、いろいろな誤解を生む面もあろうかと思いますが、このロランというのは、ロング・レンジ・エード・フォア・ナヴィゲーション、航行に対する長距離用保安施設ということでございまして、あくまでも言葉の示す通り、航行安全のための施設ということになっておるわけでございます。しからば、なぜロランAがあるのにロランCが必要かと申しますと、先ほど調達庁長官から話がございましたように、電波の到達距離が遠いということ、それから正確度が期せられる、そういう点から、ロランCという施設の要求があったわけでございます。戦後、ロランAというものが各国に発達してきたわけでございますが、ロラン施設は、航空機や船舶の発達とともに、そういうものと関連して発達してきたわけでございまして、現在米州、アメリカ諸国においても、ロランAにかわって、ロランC施設というものが取り入れられつつある現状であるというふうに私は承っております。
  234. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は端的に聞きたいのですが、あなた方は、やはり日米合同委員会でこの施設の設置の要求があって、日本側としてはこれに同意をして、その申し入れ地点を提供する、こういうことになったと思うのです。従って、それが具体的にどういう目的で、どういう性格であるか、また、今アメリカにおいてもこういう基地が設置をされておるわけですから、そういう点についても十分調べて、あなた方は日米合同委員会で同意をしたのだと思うのです。向こうが言ったから、無条件で、何も知らぬで同意するわけではないと思うのです。従って、私は、特にこの配置の状況から見て、しかも、この電波の及ぶ範囲を見ると、単に日本近海あるいはまた太平洋上というのであれば、今この地点に無理してつくる必要はないと思うのです。太平洋には相当な島があるわけなんですから。特に沖繩、硫黄島、十勝太、そうしてマーカス島、こういう地点に設置されたのは、やはりアメリカの極東戦略体制の一環として、この地点の設置が要請されてきておる。これはだれが考えても、常識的に判断がつくと思うのです。そうすると、最近の米軍のいわゆる装備状況あるいはまた戦略体制の一環として考えた場合、もし戦争があった場合に、これはもうミサイル戦争になるであろう。あるいは防衛という立場に立っても、今日第二次防衛計画では、ミサイルが四十二年度までの間に大きくとり入れられておるわけです。そういう面から私は考えても、今ポラリス潜水艦は二十九隻アメリカでつくる。しかも、その半分近くはこの海域に派遣されるのではなかろうか、こういう発表すらもあるわけです。そうすると、こういう潜水艦が自分のポラリスを発射する場合に、まず位置の確定ということが一番大きな問題になってくる。だから必然的に、ロランAは問題があるから、ロランCという工合に、ロランCの建設に踏み切った。そういう要請日本政府に申し入れたのだと解されるが、米軍の軍事目的に設置するのですから、私は午前中に言いましたように、当然そういうためにも使われるということをなぜ言えないのですか。実は私はそういう端的な答弁を聞いておるのです。防衛局長もおるのですが、あるいはミサイルのメースBあるいはマタドール、こういうミサイルは、いずれロランCの電波航法によって開発されてきたミサイルだと私は思うのです。もしそれと全然関係がないということであれば、そういう点についての見解もあわせて承っておきたいと思うのです。
  235. 沼尻元一

    ○沼尻説明員 これはもうロランという言葉そのものが示す通り、あくまでも船舶並びに航空機の航行の安全という立場から取り上げられておるわけでございます。
  236. 海原治

    ○海原説明員 ただいまの御輿間の中に、ロランというものが、メースBであるとか、あるいはマタドールというものとの関連で考えられているんじゃないかという御質問がございましたが、私の知っている限りにおきましては、全然無関係と存じます。と申しますことは、メースBが、沖繩に四基地が建設されまして、近く配属されるということでございますが、どこに飛ばすかということは、あらかじめそのメースBの誘導装置の中にセットするわけでございます。その詳細につきましては、もちろん軍事機密でございまして、私どもうかがい知りませんが、あらかじめマップ、いわゆる図式でもって、どこへ飛ばすかということをきめまして打ち出すわけです。あとはそれに従って飛ぶ、こういうものでございますから、どこからか何かで誘導するという性質のものじゃございません。従いまして、一説には無人飛行機というようなこともいわれております。マタドールも同様な性質のものでございますので、この二つにつきましては、ロランというものとは全然関係がない。それから万一の場合の軍事的利用というお話がございましたが、実際に弾を撃ち合うようなことになりますと、通常の考え方で参りますと、いわゆる友軍の間の通信というのは一切封鎖いたします。従いまして、そういうときには役にも立たないものではないか、こう考えられるわけでございます。と言いますことは、飛行機の行動または艦船の行動にいたしましても、一切が秘匿されますので、そういうときは通信封鎖が行なわれるというのが通常の考え方でございます。
  237. 岡田利春

    岡田(利)委員 電波監理局長も来ていますね。今防衛局長からも説明があったのですが、先般、アメリカで超高空の核実験が行なわれたわけです。そのことによって、いわゆる通信関係がブラックアウトされたということになっておるわけなんです。この場合、これは郵政省でいろいろこの問題について研究をされたようでありますが、郵政省の電波研究所の実験によると、一般電波の場合はとだえてしまう。しかしながら、ロランCに使用される長波はかえってかなり遠くまで届くということがわかった。むしろ、これは二倍の距離にさえ達する、こういう研究所の結果報告があるわけです。これは間違いがありませんか。
  238. 西崎太郎

    ○西崎説明員 高々度におきまする核爆発が起きますと、ちょうど人工的にデリンジャー現象が起こりますと同じようなことになるのであります。そういうことから申しまして、大体において短波帯、ここが最も被害を受けるところであります。従って、国際通信その他はとだえるわけであります。波長にして長いところ、すなわち、それは今度ロランCに使うとか、あるいはマイクロウエーブ、波長の短いところ、こういうところが影響がないか、あるいは場合によっては、かえって距離がその間は延びるというような現象が起こるわけであります。
  239. 岡田利春

    岡田(利)委員 今電波管理局長から説明されたように、最近の核爆発の実験の状況、あるいはミサイルの開発、こういうものからずっと系統的に考えて参りましても、あなた方が言うように、ロランCの目的は、単に英語を訳すれば、遠距離の電波の航行施設だ、こう言われるからそうなんだという、単純なものではないと私は思うのです。あなた方が名前をそう直訳して、だからこれは普通一般の船舶あるいは飛行機の航行の安全のために利用されるんだ、そういう簡単なものではないと思うのです。ソビエトにおいてもアメリカにおいても、ものすごくこれは研究が積まれているわけです。そうしますと、もし戦争が起こるとすれば、当然ミサイルの攻撃が始まる、大陸弾道弾の攻撃が始まる。しかも、その基地に向かって攻撃が始まることは、これまた今日の常識だ。そうすると、この基地の施設が破壊されないように、最近アメリカにおいてもソ連においても、ずっと地下に大陸弾道弾の発射基地をつくっておる。ところが、これすらも絶対安全だとは今日保障はないわけです。これがもし破壊された場合には、むしろ、原子力潜水艦をつくって、その原子力潜水艦をそれぞれ配置しておいて、そうして、海上から三十メートルの水中においてポラリスを発射することが可能である。しかもそのためには、どうしてもそういう通信網がブラック・アウトされてもできるような施設というものが必要になってくる。こういうような軍事目的の中にロランCが含まれているというのが、私どもの見方なんです。だから、そういうものが、そういう場合に利用できるということだけは明らかじゃないですか。もちろん、それ以外にも利用できるでしょう。しかも、米軍がつくるんですから、米軍の軍艦とか軍用機とか、こういうものに限って使用するということがあるでしょう。普通のものですと、これはロランAがあるわけだし、海上保安庁でも持っているわけです。そうすると、当然軍艦、飛行機となると、こういうものがあります場合に使用できるということは明らかじゃないですか。この点はいかがですか。
  240. 沼尻元一

    ○沼尻説明員 航空機や船舶の発達に従って、その航行保安施設というものも、ともに発達していくというのが世の必然でございまして、そういう意味から、最近の航空機の発達や何かにつれて、ロランA施設が漸次C施設に発展しつつあるということも、常識的にはうなずけるのではないかというふうに存ずるわけでございますが、このロラン施設というのは、そのような航行保安施設の発展というふうに理解しておるわけでございまして、日本においては、まだロランAの施設そのものの発達もおくれておるようでございますが、現にそういう施設ができますと、このロランAの施設を活用するために、日本における船舶や航空機等がこの受信機をつけて、現在相当広く活用されているというふうに聞いております。そうしてさらにこのロランC施設ができました暁には、この受信機に多少の改良を加えて、そのロランC施設を米軍以外の日本の民間航空機や船舶も利用可能であるというふうに聞いているわけでございますが、まだ現在日本においてはこういうC施設がございませんので、その活用ということは問題になっておりませんけれども、今度このC施設ができますれば、そういう活用という面が起こってくるというふうに考えております。
  241. 岡田利春

    岡田(利)委員 どうも先般大柴委員に対する説明も、そういうあなたが言っているような調子なんです。私は、この際、電波局長にもう一度お尋ねしたいのですけれども、ロランAの受信機とロランCの受信機では、精度がものすごく違うわけです。精度からいうと、大体三十倍くらいのものだという工合に私は聞いているわけです。しかも、受信機だけ一千八百万円もするというのです。私の調ベでは一千八百万円ですよ。あなたの答弁のように、そう簡単に漁船とかそういうものにはっけられないということになるのじゃないかと私は思うのです。この点は専門家としてどうですか。
  242. 西崎太郎

    ○西崎説明員 初めにちょっとお断わりしておきたいのですが、ロランCはまだ日本ではできておりませんので、私はその道の専門家ではございませんことをお断わりしておきたいと思います。  私が聞いておりますところでは、性能としまして、先ほどもお話がありましたように、有効距離が延びるということと同時に、粘度が一けた上がるというふうに承知いたしております。それから価格の問題でございますが、これも実は日本ではまだ生産いたしておりませんので、また、世界的に申しましても、まだロランAの受信機ほど普及いたしておりませんので、当然価格は高いわけであります。われわれ聞いておりますところでは、大体一台一万ドルというふうに聞いておりますが、これも普及すれば当然安くなるというふうに考えております。
  243. 岡田利春

    岡田(利)委員 私が聞いた価格よりまだ高いことになるようなんですが、今お聞きになった通りなんですね。だから、そう簡単に——たとえば北洋に行っている漁船は、小さいものは六十トンか七十トン、大きくても百二、三十トンか百四十トンでしょう。こういうのがこういう施設をつけて利用できるものではない。また、アメリカ日本の間を往復しているのは、こういうものをつける必要はない。アメリカまで及ばないのですから、及ぶ範囲があるわけなんですからね。ですから、あなた方の答弁というのはどうも不十分なんです。しかも、札幌の調達局でも同様なことを言っている。むしろ平和的に利用される方が多いのだということをあなた方は説明している。町に対してもそうなんです。住民に対してもそうなんです。それを間接的に説明している。しかも、北海道でラジオ放送になったのは、札幌調達局としては、この問題については、その内容を具体的に現地に行って説明をします。あるいは公聴会等も開きましょう、このように言明している。そのことが全道に放送されている。また、いろいろな席上でもそういう態度が表明されているわけです。ところが、そういうことは今日まで一度もあなた方は行なっていないわけです。しかも、九月一日からいよいよ器材を運び込んで建設にかかるということで、きのうの状況では、もう警官とこれに反対する多くの人々の間にいざこざが起きているわけです。どうしてそういう約束したことをやらないのか。しかも、今言ったようなことをあなた方が御存じないはずはないと思うのです。少なくとも権威ある日本政府アメリカ政府との間に、日米合同委員会でこの設置をきめているのですから、今言われた以上にあなた方は詳しく知っていなければならないし、説明がなされなければならぬと思う。これはやはり多くの住民をペテンにかけている。国会の答弁をずっと読んでも、これはお茶を満しておけばいいという程度の答弁しかしていない。具体的な説明がなされていない。波長がどうだ、出力が一千キロワットだ、あるいは鉄塔の高さが四百メートルから四百五十メートルだ、あるいは米軍が三十名来るとか、こういう点は説明されているけれども、これの使用目的なり具体的な内容については何ら説明されていない。こういう一つの施設をつくる場合、こういう態度であっては私は遺憾だと思うのです。当然そういう点について十分住民が納得できるように、また、その持つ内容についても説明する態度が必要ではないかと私は思う。これは今からでもおそくはないのですから、そういう点についてどうお考えか、承りたいと思うのです。
  244. 林一夫

    林説明員 このロランCの目的と申しましょうか、設置の趣旨でございますが、これは先ほどから説明いたしておる通りに、航空安全の施設、私ども俗名電波灯台と申しておりますが、ここから発する電波によりまして、遠洋を航行する船舶、飛行機が自分の航行しておる所在位置を確認する、そして航行の安全をはかるということがこの電波灯台の目的でございますが、そのほかに別に特別なる目的をもって設置するということはないのであります。そのような目的を達するために、このロランCを設置するというふうに私ども承知いたしております。
  245. 岡田利春

    岡田(利)委員 では米軍が施設をするわけですから、アメリカの極東戦略体制の一環として施設されることだけは間違いないでしょうね。いかがですか。
  246. 林一夫

    林説明員 ただいま申しましたように、この設置の目的は、船舶、航空機、これらの航行安全をはかるために発する電波発信装置であります。従いまして、受信機を備えておれば、軍用機でもあるいは民間の船でも、民間の航空機でも、この電波を受信することができまして、航行の安全をはかることができるということでございます。
  247. 岡田利春

    岡田(利)委員 民間の船舶が安全をはかることができると言うが、それはつければできるでしょう。しかし、そのために何もアメリカ軍がものすごい高いお金を出してこういう施設をつくる必要はないわけです。だから、やはりアメリカの軍隊がつくるのですから、当然軍事目的のためにつくるのでしょう。軍事目的以外の何ものでもないでしょう。それ以外に一歩も出ないと私は思うのです。それがあなた方の説明を聞いておると、むしろ平和目的にも大いに利用できるのだ——そうであれば、何も安保条約に基づいて手続をとる必要はないと私は思うのです。安保条約を締結した精神からいっても、当然そういう極東の戦略体制の一環としてこれが設置されて、米軍がむしろ自分の行動のためにこれを設置するのでしょう。だから、たまたまこの受信機があれば利用できるという程度のものでしょう。ここを間違ってはいけないと思うのです。だから、その点についてウエートがどこにあるかということは、一年生でもわかるのです。それをなぜはっきり言えないのです。そういう態度について私は非常に不審に思うわけです。  この際、重ねて電波局長に聞きますけれども、このロランCの設置された場合、この周辺のいわゆる気象放送とか、あるいはそれ以外のラジオ放送もあるでしょう、その他広範な電波の受信が不能になり、あるいは混信する、あるいはまた雑音が入るという点が指摘をされたわけです。これは科学者の意見です。この点、日本ではまだできていないから十分わからぬかもしれませんけれども、これはそういう実績もあるし、当然波長の問題からいっても、その設置される場所からいっても、こういう問題について想定がつくと思うのですが、この点の見解はいかがですか。
  248. 西崎太郎

    ○西崎説明員 今御指摘のように、このロランCの施設を日本につくる場合、われわれの一番頭を痛めた点は、この電波妨害がどうなるかという点でございました。従いまして、この問題につきましては、実はたまたまアメリカに行っておりましたわれわれの方の次長にも、よく現地の状況を視察させまして、いろいろとその関係の資料も持って参ったわけであります。そういうものを基礎にしていろいろ検討して参ったわけであります。その結果、われわれが最初に案じていたほどひどいものではない、また、適当な対策を講ずることによってその妨害を排除することもできる、こういう結論を得たわけであります。  それからもう一つ、ちょうどこのロランCと同じ電波を使えば、これは当然混乱が起こる、その関係につきましては、今御指摘の気象放送の周波数、これにつきましては、その周波数を変更するということが必要になって参ります。それに必要な代波、かわりの波というものは、米軍から出してもらうということに話がついております。しかもなお念を入れまして、かりにこの施設ができました場合には、いきなりフル・パワーを出すのではなくして、だんだんと小さい電力のものからフル・パワーまで上げていく、そうして十分その電波妨害の点も勘案しながら、フル・パワーに持っていく、こういう了解もついておるわけであります。
  249. 岡田利春

    岡田(利)委員 電波の問題は、これは電波法があって、厳格に国内では規制をされておるわけです。米軍の場合には、安保条約の問題で国内法が及ばぬということになるのでしょうけれども、しかし、十勝太につくる場合、最大出力をした場合には、これらの影響がどの地域まで及ぶものか、こういうことが当然私は検討されなければならぬと思うのです。最大出力の場合には、どの範囲まで及ぶのか、あるいはまた普通徐々にやっても、人体ピーク時で一千キロワットですから、五百キロワットくらいのときはどの地域まで及ぶのか、もし民間放送や、あるいはまたそれ以外の電波のいわゆる受信が不能だとか、混信だとか、あるいはまた非常に雑音が入るということになれば、少なくともその地域に住んでおる住民がおるわけですから、これに対する責任は、結局一体だれが負うのか、こういう問題が私は残ってくると思うのです。この点についてはどのよう考えますか。
  250. 西崎太郎

    ○西崎説明員 今一千キロワットと申されましたが、われわれの方で承知しておるのは、いわゆる尖頭時出力、ピーク・パワーといっておりますが、これで三百五十キロワット、従って、いわゆる平均のパワーはこれよりずっと低いわけであります。それで結局問題は、特に一般への電波妨害ということになりますと、ラジオに対してどういう妨害があるだろうということが一番切実な問題だと思いますが、この点につきましても、われわれの方では相当検討いたしまして、御承知ように、ラジオに使っておる周波数と、それから今回ロランCに使う周波数とは、だいぶ離れておるわけでありますので、実際問題としてはそう案ずることはない。   〔官澤委員長代理退席、委員長着席〕 また、かりに古い受信機の性能が悪くて、多少の妨害が起こる場合も絶無とは申されないと思いますが、この点につきましても十分対策があると考えております。
  251. 岡田利春

    岡田(利)委員 その性能等についても、私の聞いておる範囲では、若干違いがあると思うのです。これは調達庁長官に尋ねておきますが、周波数とピーク時における出力は、あなた方の受けておるのではどういうことになっておりますか。
  252. 沼尻元一

    ○沼尻説明員 これらの点は、非常に技術的な問題でございますので、郵政省の方に御検討願っております。
  253. 西崎太郎

    ○西崎説明員 かわってお答えしますが、周波数は百キロサイクル、それからその幅としましては、九十から百十キロサイクル、すなわち、百KCを中心にしまして、プラス、マイナス十KCでございます。それから電力は、先ほど申しましたように、尖頭時で十勝太の場合は三百五十キロでございます。
  254. 岡田利春

    岡田(利)委員 これはそうしますと、沖繩、あるいは沖繩を除いても、当初八丈島に建造するということで、あなた方は検討されたと思うのです。この八丈島の場合と比較していかがです。
  255. 西崎太郎

    ○西崎説明員 ちょっと御質問の趣旨がはっきりしませんが、八丈島は周波数は同じであります。それから電力は尖頭時で千キロであります。八丈島の場合そういうよう考えております。
  256. 岡田利春

    岡田(利)委員 そこで、これは、結局質問の中で明らかになってきておるのは、このロランCというものは、アメリカの戦略体制の一環として、いわゆる日米合同委員会でその設置をすることにきまった。今言ったような専門的なことについては、非常に地元では不安な問題なんです。ところが、あなた方は、そういう点について具体的に一回もそれを説明してないですね。そうして札幌の調達局では、やりますという約束を二へんにわたって行なっておるわけです。それでもあなた方はやっていない。どうしてそういう説明をしないのか、私はふしぎに思うのです。そういう点についての公聴会やあるいはまた説明会を、あなた方は開く意思があるかないかをお聞きしたいと思うのです。
  257. 林一夫

    林説明員 ロランCの設置目的等につきましては、十分に地元には説明をいたしております。この周波数の問題につきましても説明をいたしております。今後なお、まだ説明が不十分でございましたら十分いたしたいと思っております。
  258. 岡田利春

    岡田(利)委員 説明しておるというのは、あなた方は地元のだれをさして説明をしておるのかということが非常に疑問なわけです。たとえば町長とか二、三の人間を呼んで説明したから、これは地元に説明したんだ、これでは私はきわめて問題かと思うのです。この問題が提起されたのは昨年の十一月でしょう。もう約一年近く、十カ月ぐらいになる。具体化してきた面から見ても、半年以上に実はなるではありませんか。その間、現地に入って、長官は札幌まで行って、これは早急にやりたいんだということを、新聞記者の前で談話を発表している。あなたも、この問題について札幌まで行ったでしょう。ところが、そういうことが行なわれてない。しかも、現地調達局は、これに対して約束違反を行なっておるのです。あなた方がもし行かなければ、指示をして、札幌調達局が現地に行ってそういう点についての説明会を開くとか、公聴会を開くとか、こういう措置は当然とるべきだと思う。これはとっていただけますか。
  259. 林一夫

    林説明員 この趣旨の説明につきましては、きわめてわかりやすい文章で、たとえばその電波灯台の目的とか、必要性とか、その規模とか、具体的にことこまかにパンフレットをつくって、これを配付いたしまして、説明はいたしております。これをごらんになれば、十分にその趣旨はおわかりになると存じます。
  260. 岡田利春

    岡田(利)委員 その趣旨の内容であなたは説明している。しかし、いろいろな文献を見たり、あるいは科学者等の意見を聞くと、あなた方の場合には上すべりしか説明してないわけです。そして先ほどから私とやりとりしている程度の説明よりしていないわけです。しかしながら、実際問題として、これはあくまでも米軍の軍事目的で作るのだから、その大部分は、アメリカの軍艦や潜水艦やまた飛行機がこれを使用するということは間違いがないでしょう。ところが、あなた方の説明というのは、長官が言っているように、何かとにかくこれは船と飛行機の安全航行のためなんだというばく然とした説明で、しかも、これは平和的なものなのだ、平和目的なのだという点をあなた方は強調しているではありませんか。ところが、先ほど私が説明を聞いたように、いわゆる戦時出力といいますか、結局ある時点における重大な段階に来た場合に、この電波がより一そう戦闘目的に使われることは間違いがないわけです。そのための性能を持っておるわけです。また、そのために施設をつくるわけです。ですから、私がはっきりしていただきたいのは、あまりこの問題で長くやっておれませんが、少なくとも言葉を解釈すれば、船舶、飛行機の航行の安全であるけれども米軍がつくる以上、これは軍事目的であって、いわゆるそれぞれの船舶の自分の位置を知るのだ、自分の位置を知るためにこの電波が必要なんだということは間違いがないと思うのです。あるいはまた、先ほどミサイルのメースBあるいはマタドール等の問題についても、これは軍事機密の問題があるということで、私の聞いておる範囲では若干見解を異にしておるわけです。あるいはまた、大陸水爆機であるB52、B57、こういう場合においても、自分の位置を知ることができるということは、その及ぶ範囲が限られておるわけです。そうすると、今日の安保条約の持つ性格からいって、またアメリカの極東の軍事体制からいって、これはもうほとんど一〇〇%が自分の軍事目的のために施設をするのだ、たまたまそういう受信機を備えておればそれが利用できるのだ、こういう程度のものでしょう、この見解に間違いがありますか。
  261. 林一夫

    林説明員 先ほどから申し上げております通り、これは米軍要求によって提供しました施設でございます。米軍の施設でございます。その目的とするところは、遠洋を航行する飛行機、船舶、これらのものがここから発する電波を受信しまして、その所在位置を確認して航行の安全をはかるという目的の施設でございます。
  262. 岡田利春

    岡田(利)委員 あなたはずいぶんがんこな人だ。私は、そのことを先ほどから聞いて知っているんですよ。そのこと自体が軍事目的でしょうと言っているのです。一〇〇%軍事目的のためにこれは設置されるんでしょう。米軍が自分の航行の安全をはかる、これは何も一般船舶の航行の安全をはかるためにやっているんじゃないでしょう。軍艦、飛行機の航行の安全、自分の船と飛行機がどこにいるかという地点を正確に確定するために必要な施設でしょう。それが軍事上必要だからつくるんでしょう。私が先ほどから言っているように、これは間違いがないんでしょう。
  263. 林一夫

    林説明員 これは先ほどから申し上げておりますように、米軍米軍の安全のためにつくる施設でございます。その施設設置の目的は、遠洋を航行する船舶、航空機の航行の安全をはかる目的で設置する施設でございます。
  264. 岡田利春

    岡田(利)委員 だから、軍事目的のわけでしょう。米軍の軍艦や軍用機の航行の安全と言いますけれども、これは直訳すると、航行の安全とかいうことになるけれども、もちろん航行の安全にもなるでしょう。しかし、最大の問題は、自分がどこにおるかという位置が常にわかるから、航行の安全になる。従って、航行の安全が強調されるわけです。これは電波を四方から受けておる。一方や二方では非常に不正確だから、沖繩と八丈島と十勝太とマーカス島につくるのでしょう。だから四カ所ロランCをつくるのです。これは多ければ多いほどいいわけです。そのために、四カ所に置いて自分の位置を正しく読む。次の作戦をするために、どこにいるかわからなければ作戦ができないでしょう。当面の航行の安全なら、これはレーダーもあるのですけれども、レーダーでは自分の位置を明確に確定することはできない。単なる航行の安全ならレーダーでできるでしょう。レーダーでもどんどん優秀なレーダーができている。だから、航空の安全と言われても、このロランCの目的というものは、どこにおるかという正確な地点を確定するということが目的なんでしょう。そのことは、もちろん航行の安全にもつながりますけれども、しかしながら、前段の方にやはりウエートがあるのでしょう。
  265. 林一夫

    林説明員 先ほどから繰り返してまことに申しわけないのでありますが、米軍米軍のためにこの施設を要求してきたのでございます。その設置の目的というものは、航行の安全をはかるためこの施設を設置するということであります。その航行の安全をはかる方法としましては、ここから発する電波を遠洋を航行する船舶なり航空機なりが受信しまして、その所在位置を的確に確認しまして、航行の安全をはかるということでございます。
  266. 岡田利春

    岡田(利)委員 あなたは航行の安全、航行の安全と言われるけれども、航行の安全だけなら、先ほどから言っているレーダーがある。レーダーというものはものすごく進歩しているでしょう。大体これは航行だけの目的であれば、その方にウエートがあるならば、私はそう問題ではないと思うのです。問題は、今どこにおるか、これが大事なんです。このロランCをわざわざ金をかけて設置するというのは、そこにあるのです。それをあなた方がこれは単なる航行の安全というような認識であるならば、間違いです。そういうようなあなた方の考え方は、今のあれでは通らぬですよ。しかも、米軍が軍艦や軍用機のために必要なんだ。とするならば、当然これは軍事上の目的があって必要なわけでしょう。これもまた一年生的な議論だと思うのです。その点なぜはっきり言えないのですか。米軍が自分がどこにいるかという地点を確認して、そして航行の安全をはかる。航行の安全をはかるというのは、軍艦が動く、これはやはり練習の場合でも、一応軍事目的でしょう。一朝何かあればという戦争のために、それが必要だからでしょう。——なければ幸いです。そういうすなおな理解でいいのでしょう。
  267. 林一夫

    林説明員 これも繰り返すようなことになって恐縮なんでございますが、ここから発する電波を受信する航空機、船舶がその電波を受信しまして、その所作位置を確認する、かくしてその航行の安全をはかるということが目的でございます。その点は、はっきり私どもはそういうふうに承知いたしております。
  268. 岡田利春

    岡田(利)委員 そこで、これはあまり時間はかけられませんけれども、今十勝太では、具体的にこの施設をつくるための作業にかかっているわけですね。かかりつつあるわけです。あなた方は説明はした、パンフレットを出したのだからというようなことを言っているわけですが、北海道では特にこういう軍事基地をつくる場合には、知事の諮問委員会等もつくっているのです。そして札幌調達局では——あなた方は札幌調達局からどういう報告を受けているのか知らぬけれども、その地元の人々にも、現地に行って、さらにいろいろな疑問に十分答えて解明しましょう、こういうことを言っておるわけです。そういう説明をしておるわけなんですよ。そういう約束をしている。そういうこともやらないで、この施設の着工にかかるということは、私は問題だと思うのです。そういう場合には、郵政省の電波監理局だって、そういう地元民の要請があれば十分説明しなければいかぬでしょう。そういう要請があれば、当然しなければならないと思うのです。地元に行ってその説明をする用意がありますか。両方にお聞きしたいと思うのです。
  269. 林一夫

    林説明員 調達庁といたしましては、ここに詳細に説明をいたしましたパンフレットを用意いたしました。これを地元に持参いたしまして配布いたし、十分説明いたしております。なお、道議会につくられております当地対策委員会には、道の知事から諮問いたしまして、御了解をいただいております。
  270. 岡田利春

    岡田(利)委員 それは私は知っておるのですよ。知っておるけれども、そのパンフレットには、たとえば私が今電波監理局長にいろいろ質問したことなどについては、何も触れられてないわけでしょう。そういう点で、単にパンフレットだけ——日本人は、われわれもそうなんですが、電波とかエレキには弱いのですよ。だから一般住民は、普通の基地問題と違って、ああそうか、ああこんなものかという程度なんです。ところが、その後多くのいろいろな科学者の意見も出ておるわけですよ。それからまた、ロランCのアメリカで開発された目的というものが、やはり解明されてきているわけです。そういう中で多くの疑惑を持っておるわけです。それで、不十分な点についてはあなた方が積極的に答える、こういう態度が今日必要じゃないですか。これは反対するのだから説明してもつまらぬというものでもないでしょう。だから、そういう点をぜひ一度やってほしいということを私は要望しておるし、札幌調達局はそういう約束をしておるわけです。単にパンフレットを配るという約束じゃないのです。地元に行って、十分みんなを集めて、その席上、いろいろな問題点があれば、話を聞いて説明をしましょうということになっておるのです。それが行なわれてないわけでしょう。そのことをぜひやってほしいということを言っておるわけです。現実に警官とこぜり合いまで起こって、現地では不穏な状態がきのうから現出しておるわけです。そういう情勢がより悪化しても、今のままではよくならないのですよ。ですから、あなた方が一段の努力がないということは、あとからもし問題が起きれば、あなた方の責任になると私は思う。だから、そういう点について、現地に十分説明をしてもらいたい。郵政局の方では協力すると言っているんだ。これはまた当然義務でもあるわけです。やる意思はありませんか、それでも。
  271. 林一夫

    林説明員 これもまた繰り越すようで恐縮でございますが、十分にこの趣旨の説明をいたしましたパンフレットをつくりまして、地元に持参いたしまして、地元の方々には説明をいたしております。また、地元の議会についても十分説明いたしまして、議会の御賛同を得ておるわけであります。県におきましては、先ほど申しましたように、知事が諮問委員会に諮問いたしまして、御了解を得ておるということをいたしております。十分に説明は私どもとしましてはいたしておるつもりでございます。
  272. 岡田利春

    岡田(利)委員 先ほどからいろいろやっておるのですが、のれんに腕押しのような感じもあるわけです。しかし、私は先ほどから説明しておるように、幾らあなたがそういう答弁をされても、今日日本の多くの科学者、こういう人々の意見を聞いても、ロランCの使用目的は何なのか、しかも、今日のアメリカの極東戦略体制というものを考える場合に、これが一体何に重点的に使われるのか、こういう点が明らかになってきておるわけです。ですから、そういう意味では、これは明らかに、特に核戦争につながる、いわゆる核兵器を中心にした米軍の極東戦略、その一環としてロランCが建設をされるということは、もう幾らあなた方がその場限りの答弁でうまくごまかして逃げようとしても、これはもう今日多くの専門家の人がそういう意見を言っておるわけです。むしろ、それを率直に認めて、日本としてはそういうあれに協力するなら協力するという態度をとった方がりっぱです。その場だけの答弁で、地元の住民には平和目的であるということを宣伝をして、これを通すという態度についても、私は納得ができないわけです。しかも、こういう電波等の問題は、むずかしい問題をわかりやすく書いてパンフレットで配ったから——しかし、そういうパンフレットを配っただけでは、問題は解明されていないわけなんです。だから私は、この点については、今後起こるいろいろの不測の事態を考える場合に、ぜひ地元において、あなた方が出かけて十分説明をするという態度をとってもらいたい、このことを強く要求しておきたいと思うわけです。  時間がありませんから、ロランの問題だけで時間をとれないわけですが、午前中、これも大臣に聞いておったわけですが、矢臼別の演習場の問題について、私が今年の二月に取り上げて質問をいたしておるわけです。その後、開発庁並びに面接財産の管理者である農林省において、これは今後十分話し合いをして、特に開発庁としては、今後の開発計画にも重大な影響がある、あるいはまた農林省としても、この地域は開拓財産であり、開発指定地域であるのであるから、今これを変える意思はない、こういう態度が実は表明されておるわけです。その後、矢臼別の演習場の問題の経過については、一体どうなっておるか、この点を防衛庁と開発庁と農林省から説明を願いたいと思うわけです。
  273. 上田克郎

    ○上田説明員 お答えいたします。  現在、この演習場を、北海道にあります四個師団のほか、でき得るならば内地の師団もそこで自衛隊演習できるように、師団の対抗演習ができるよう使用したい、そういう希望を所管の関係省庁、特に農林省と北海道開発庁の方にお願いいたしておりまして、現在その取得のために協議を実行いたしている段階でございます。
  274. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 矢臼別の演習場の問題でありますが、御承知ように、矢臼別第三地区として、農林省といたしましては二十九年から地区開発計画を樹立いたして参った次第でございます。ところが、今防衛庁の方から御説明がありましたように、矢臼別第三地区を含むこの周辺の山林原野を防衛庁自衛隊演習場としてぜひ使用いたしたい、こういうようなお話が出まして、これにつきましては、農林省、防衛庁、北海道開発庁とも十分協議して参った次第でございます。それがことしに入りまして、防衛庁の方から、ぜひこれは、今説明がありましたような、北海道の四個師団の演習場並びに師団対抗の演習場として、この未墾地を使用したい、こういう申し出がありまして、農林省としては一方において開発計画を進めておった次第でございますが、そういう問題との調整上、農林省としても、北海道並びに地元町村並びに地元町村関係農民その他の意見を徴する必要がありましたので、この矢臼別第三地区につきまして、道の方に地元意向を照会中でございます。
  275. 熊本政晴

    ○熊本説明員 ただいま防衛、農林両省から今までの経過のお話がございましたけれども、その通りでございます。
  276. 岡田利春

    岡田(利)委員 折衝中ということですが、すでに釧路から中標津の開発基幹道路の変更等についても決定が行なわれておる、こういうふうに私は聞いておるわけです。一説によると、二キロ迂回するとかいうことも確定しておるというような話を私は聞いておるわけです。開発庁としてもこれに同意をしている、こう私は聞いておるわけなんですが、この点についていかがでしょうか。
  277. 熊本政晴

    ○熊本説明員 大へん具体的な御質問でございますが、先ほど防衛、農林両省からお話がありましたように、ただいまの段階といたしましては、そういう具体的な問題には触れておりません。そして現に、私ども開発庁の方に対しては、非常に抽象的なお話がある段階でございますので、今お話がありましたような具体的な問題には、ただいまのところ立ち入っておらないわけであります。
  278. 岡田利春

    岡田(利)委員 特に防衛庁希望しておるのは、第三矢臼別と別寒辺台地区です。しかし、この両地点というのは、非常に細長くなっているわけですね。従って、この間にあるトライベッ地区あるいはミマッカ地区、両地区が問題になってくるわけですね。しかし、ここは今現に入植者が入っておるわけです。実際問題として、二十キロも射程距離を持つ加農砲の実弾射撃をするということになりますと、当然両地区が問題になると思うのです。この点について防衛庁はどう考えておるのですか。
  279. 上田克郎

    ○上田説明員 ただいまの御指摘の通りに、矢臼別第三地区と別寒辺台地区を結びますと、まん中がくびれて参ります。そうしますと、御指摘のミマッカ地区も、射撃演習の関係からいいますと、必要ではないかと考えております。しかし、具体的なことにつきましては、農林省並びに北海道開発庁の方に交渉をお願いしているところでございます。
  280. 岡田利春

    岡田(利)委員 特に先ほどの答弁で、地元としては演習地だけでは絶対に反対をする、そういうことに押されて、午前中のあなた方の答弁では、部隊を駐屯させるという前提で話し合いを続けている、こういうような説明をされたわけです。これは一個大隊ですか。
  281. 上田克郎

    ○上田説明員 私直接担当いたしておりませんので、記憶がはっきりいたしませんが、大体一個大隊程度だったかと思います。
  282. 岡田利春

    岡田(利)委員 これはもうすでに第二次防衛計画で各部隊は配置されておるわけです。ことに釧路・根室地区では、釧路の天寧に大隊が配置されたわけですが、どこの部隊が配置されておるわけですか。
  283. 上田克郎

    ○上田説明員 私が承知しておりますのは、別海村の方の御要望では駐屯地をぜひつくってほしい、そういうところでございまして、その駐屯地をつくる予定地も一応考えておると聞いておりますが、具体的にどこの部隊をそこへ持っていくかというところまでは私承知しておりません。
  284. 岡田利春

    岡田(利)委員 しかし、午前中の答外で説明があったのは、地元がそういう意向だから、演習場ほしさに部隊を持っていくのだ、すでに北海道の四個師団のあれは施設が大体整っておるわけです。駐屯地も現場配置されておるわけです。ここに新たに別海の、西別になるかどこになるか知りませんが、——一側大隊というと大体千名でしょう。そうじゃないですか。それを新たに常時駐屯させるということになりますと、今までの配置計画の変更にもなる重大問題です。それを単に演習地の条件だけで、部隊配置をいつでも変えるのですか。これは当初から問題になっているのです。部隊が駐屯しなければ絶対反対である、それが地元の最大の、第一の条件なんです。もし演習場の問題があったら、部隊が駐屯してくれればがまんしよう、しなければ断固反対である、こういう条件で、少なくとも計画的に配置されておる部隊の一個大隊、千名、これに付随する人員を含め、これに要する施設、費用というものを考えると、膨大なものです。そういう前提であなた方は話をしているというのですが、そうであるならば、そういう内容というものがなければおかしいでしょう。その点はいかがですか。
  285. 上田克郎

    ○上田説明員 御指摘の点ごもっともでございますが、先ほど申し上げましたように、私自身そこに駐屯地をつくるということは一応承知しておりましたが、一個大隊千名つくるのかというところまで私実はまだ研究しておりませんので、大へん失礼でございますが……。
  286. 岡田利春

    岡田(利)委員 その点、私のところに文書で一つ回答してもらいたいと思うのですが、いかがですか。よろしいですか。
  287. 上田克郎

    ○上田説明員 そのように取り計らいます。
  288. 岡田利春

    岡田(利)委員 これは無理な問題かもしれませんけれども、午前中も若干質問しましたように、富士の米軍演習場の代替として矢臼別地区を考えたらいいのではないか、こういう話題を実は投げかけたわけです。これも若干午前中質問しているわけですが、私がなぜ心配するかというのは、この演習場は現在予定しておるだけでも一億八千万平方メートルです。今日本演習場を調べて参りますと、自衛隊だけで総面積大体四億九百万平メートルの演習場があるわけですね。個所にして六十一カ所程度あるわけです。一番大きいので三千三百万平方メートルの演習場が、矢臼別を含んだとしても七カ所、そのうち四カ所が北海道です。北海道は土地が広いから、広い演習場は北海道だというのもけっこうでしょう。しかし、三千三百万平方メートルで、わずか七カ所、そのうち四カ所が北海道。米軍関係を見ると、これまた百四十九カ所で、倉庫から何から一切入れて三億一千万平方メートルです。米軍の場合、共同使用しているのは二十八カ所で、三億一千万平方メートルのうちで一億六千万、これは大体富士の演習場がほとんどですね。広さからいうと、共用している中で、大体半分を占めている。そうすると、どう考えても、富士の演習場演習ができないということになると、これに匹敵する既存の演習場というのは、なかなかないわけですね。今度予定されている第三矢臼別地区以外にないのです。富士で実弾射撃の射程ようやく八キロでしょう。ここでは二十キロできる。しかも、ここで安保条約に基づいて、地位協定二条の一項の(a)あるいは条約第六条、そうしてまた日米合同委員会、もしここでうまくないということになりますと、あるいはここを使うとしても、射程は八キロしかないのですから、二十キロの演習場自衛隊にあるならば、ぜひ演習させてくれ、使わせてほしいという場合に、これは五カ月間のうち、一週間ずつ隔週で演習をするのですが、これを拒否するということはできないと思うのです。その場合、今の安保条約精神からいって、拒否することができると思いますか。その場合には、やはりその期間があれば演習させることはやぶさかでないという態度をとらざるを得ないものではないでしょうか。この点はいかがでしょう。
  289. 上田克郎

    ○上田説明員 その点につきましては、けさほど防衛庁長官からお答えになった通りでございます。
  290. 岡田利春

    岡田(利)委員 長官がいなくて非常に残念です。特にこの問題は、地元の今第二の条件になってきた。今まではこういう条件はなかった。米軍なんというのは考えてなかったのです。ところが、たまたま自民党の国防部長がああいう談話を発表した。この打ち消しに今やっきになっているわけです。地元の村長からは、米軍使用するなら絶対にお断わりするという電報が、あなた方のところにきているはずなんです。そこで、この打ち消しにやっきになっている。ところが、どう考えても、射程二十キロの演習場がそうたくさんできる筋合いのものではない。だから、私は、当然、今の安保条約が解消されない限り、米軍から使用申し込みがあった場合には、これはやはり防衛庁としては認めざるを得ないというのが実際だと思うのです。私は、特にこの点を強く指摘しておきたいと思うのです。もし地元から、絶対に米軍使用するのは反対である、使わないという確約、保証というものをはっきりしてもらいたい、防衛庁地元の村で、それを何か念書か協定書にして結んでほしい、そういうことが絶対な条件であるとするならば、そういう場合には、そういう念書とか、はっきりと確約をするような証拠物件、文書、そういうことで確約できるかどうか、私は見解を承っておきたいと思うわけです。
  291. 上田克郎

    ○上田説明員 ただいま先生御指摘なさいましたように、現地の町長さん並びに議長さんから、米軍に使わせるのであれば絶対反対である、真意はどうかということが電報が参りまして、直ちに長官の名前で、そういう考えは毛頭ないということを申し上げてございます。
  292. 岡田利春

    岡田(利)委員 長官は、長官がかわってしまえば何にもならないわけなんです。でき上がってしまってから、こういう演習場がないのだから一つ使わせてほしいという問題が出てこないとは、だれも断言できないわけでしょう。ですから、その保証として、地元に対してはぜひ協力してもらう、そのかわりには、絶対米軍にはこれは使わせません、安保条約がある限りにおいても、とにかく使わせませんということを、防衛庁として権威のあるそういう約束が、文書か何かで交換できるかどうかということを聞いているのです。そういう例があるかどうか、そういうことができるかどうかということを聞いておるわけです。
  293. 上田克郎

    ○上田説明員 実は、私の所管でございませんので、ここで明確に御答弁できませんのは大へん申しわけなく思いますが、そういう約束をした例は、私はまだ聞いておりません。
  294. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういう例は、私もあまり聞いておりませんけれども、なきにしもあらずというような感じも実はするわけです。そういう点も、この点がはっきり確約できるかどうか。ただ言明だけでは、大臣がしょっちゅうかわってしまうから、かわってしまえば終わりになって、あの大臣の言ったことは私は聞いておりませんということで、これで終わりだ。この点について、私は、特にそういう例があるかどうか、そういう用意があるかどうかということを、あなたが担当でないとするならば、とにかく先ほどの問題と一緒にお伝え願いたい。  最後に、非常に時間がなくて質問できないわけですが、北海道の総合開発については、第二次計画がようやく策定された、こういう段階に今なっているわけです。しかも私の聞いておるところでは、すでにある地区の開発はもうあきらめておる。昨年も床丹南部開発の四千七百万円の第一次査定は、これは全部第二次査定のときに削られてしまったということで、地元の釧根開発というものはもうできないのではないか、こういう危惧すら持っているわけです。基幹道路は一体どうなるのだろう、こういう心配も実はあるわけであります。しかも、明らかに演習場にした場合に、基幹道路はどの地点を通さなければならないかということをあなた方は検討をしているということも、これは伝えられているわけです。火のないところに煙は立たないわけです。しかも防衛庁としては、今年の四月一日、できればぜひ四月に解決したいということを、国会で言明しておった。ですから、相当な作業が、私は、あなた方の答弁とは違ってされていると思うのです。ですから、私は、この北海道開発に対する計画をしている開発庁としては、この点に対して、特にきぜんとした、はっきりした態度をとってもらわなければ困ると思うのです。しかも、もしそれが簡単に演習場になるということになりますと、特に周辺の酪農地帯の音に敏感なジャージーが、一体酪農経営にどういう影響があるか、こういう問題についても、あなた方は明確に見解というものを明らかにして、そうしてこれらの問題の解決というものを考えなきゃならぬと思うのです。従って、私は、特に北海道開発庁次官にこの点——前の木村監理官は、われわれとしてはあくまでも開発指定の解除は避けたいという立場で努力しているのだ、こういうしばしばの言明があったのですが、次官がかわっておられるので、そういうあれについては変わりがあるのかないのか、お聞かせ願いたいのです。
  295. 熊本政晴

    ○熊本説明員 まず、矢臼別の問題になっております地区と、第二期の私どもの計画との関連性とでも申しますか、そのことについて申し上げます。  北海道は、御承知ように、まだ手のついておりません未開発地区が約八十万町歩ばかりあるわけです。そのうちの三十五万町歩くらいをこの次の第二次の五カ年計画として開発を進めていきたい、そういう考え方を持っております。そこで、矢臼別地区の、つまり、根釧のあの地区はどのくらいあるかと申しますと、大体地域面積といたしましては、五十万町歩くらいあるわけです。そのうちいろいろ調査をしてみますと、開発の適地だという地区が約二十万町歩くらいあるわけでございます。これらの地区につきましては、第二期の長期計画の中に開発していくべきであるという観点からいたしまして、計画の中にそれを取り込んでおるわけです。そこで、現在根釧地区の五十万町歩のうち、開発適地である二十万町歩の過去あるいは将来はどうかということに関連するわけでございますが、その二十万町歩のうち、すでに床丹第一あるいは第二、矢臼別の第一というふうに手のついております分が、約一万町歩ばかりあるわけであります。  そこで、ただいまのお話で、問題になっております矢臼別の地区は、約一万町歩何がしというふうなことでございますので、私どもとしては、二十万町歩あるその地区のうちの一万町歩というふうなことにもなるわけであります。従いまして、長期計画全体としては、ただいま申しましたように、三十数万町歩の長期計画を立て、そしてそれぞれの地区別の開発計画というものの積み上げ、そういったものはごくマクロ的にやってありまして、個々の地区の何千町歩をどうするというふうなことは、ただいま作業をまだやっている段階でございます。従いまして、矢日別の地区を、お話のありました軍用の演習場決定したのだということになりますと、私どもとしては、まだ他に幾らも余地がございますので、そういった点で三十五万町歩の開発計画を進めていくというふうに考えておるわけであります。
  296. 岡田利春

    岡田(利)委員 そのあれは私も知っておるわけなんですが、あなたもまた御存じの通りに、第三矢日別地区というのは、もう国の資金が入って調査が完了して、一番いい地区ですよ。釧根原野でも、今の残っておる開拓予定地では最も条件がいいところだと思うのです。別寒辺台の方は別としてですね。ですから、私どもは問題にする。一番いいところを演習場にする、それよりずっと条件の悪いところ、しかも、気象条件の悪いところの、その釧根原野の中で、より悪いところを開拓をして、一番いいところを演習場にするということは、われわれにはわからぬわけです。だから、自衛隊国民からなかなか親しまれないという問題も出てくるわけであります。これは、次官もこの認識は同じだろうと思うのですね。だから、われわれは、ああいう気象条件の悪い、状況が不利な中で、一番適地だといって、床一、床二の地区に二十町歩ずつ農地を与えて、集約酪農をやろうという青写真が出たものを、演習場に横取りしようとするのが防衛庁なんですから、そこで、私は先ほどから、次官は詳しいのですから、その決意を促しておるのです。  そこで、最後に、先ほども農林省から今地元に照会中というのですが、いつまでにその作業が完了するか、承っておきたいと思うのです。それと、今度の矢田別演習場取得の予算ですね。予算が伴うでしょう。この要求は非公式なものを防衛庁はしておると聞いておるのですが、その事実はあるかないか、これだけお聞かせ願いたい。
  297. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 北海道庁の方に照会いたしましたのは八月の十三日でございますが、農地局長より北海道の知事にあてまして、この矢臼別第三地区を含む地区の防衛庁としての演習揚移管についての地元関係者、農業委員会及び町村等の意見、それから本件の可否を明瞭に判断できるような詳細な道の意見、その他この地区周辺等の開拓農民その他の意見、こういったものを照会しております。これについては期限は付してございませんので、道においても何回か農地開発部長も私のところに見え、また関係方面にもいろいろ地元の動向等は報告されておると思いますが、道としても、御承知ように、道議会の中にも対策委員会等もございまして、いろいろな点から公式な道としての最終の意見を出す、こういうことになっております。まだいつまでという日は区切っておりませんけれども、また北海道の方からもいつまでに出すというふうには私は聞いておりません。できるだけこれは来年度予算との関係もありますから、早く出していただきたい、こういうふうに申し上げております。  以上でございます。
  298. 上田克郎

    ○上田説明員 防衛庁といたしましても、できるだけ早くこのよう演習地がほしいわけでございます。積算の根拠といたしましては、来年は協議が整い次第でもすぐ払えるようにというようなつもりで、予算の積算は準備いたしております。
  299. 岡田利春

    岡田(利)委員 予算を準備することはけっこうなんですが、まだ問題がきまらぬのに、予算をきめて、それであなた方はしゃにむにでもとにかくこれはやるのだということだろうと思うのです。あなたの今の説明では……。しかし、私は、やはり釧根の恵まれない現状をよく考えるとともに、時間があったらまだまだやりたいのですけれども、ああいう現実、国後、択捉、歯舞、色丹がソビエトに占有されて、実弾演習の音が聞え、向こうでハッパをかけたらその音が聞える。しかも、安全操業はうまくいかない、拿捕は続く、しかも、その周辺は低生産地帯で、一番いいところがとられる、こういう点を私はやはり特に強く考えてもらいたい。従って、今後も十分その住民と住民の意向を尊重するという態度と、十分話し合いをするということを特に私は強く要望しまして、質問を終わりたいと思います。
  300. 永山忠則

    永山委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十四分散会