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1962-08-31 第41回国会 衆議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年八月三十一日(金曜日)    午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 永山 忠則君    理事 伊能繁次郎君 理事 岡崎 英城君    理事 内藤  隆君 理事 堀内 一雄君    理事 宮澤 胤勇君 理事 石橋 政嗣君    理事 石山 權作君       安藤  覺君    内海 安吉君       草野一郎平君    倉成  正君       園田  直君    辻  寛一君       中島 茂喜君    藤原 節夫君       船田  中君    有馬 輝武君       緒方 孝男君    角屋堅次郎君       田口 誠治君    西村 関一君       受田 新吉君  出席国務大臣         農 林 大 臣 重政 誠之君  出席政府委員         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  山口 一夫君         農林政務次官  津島 文治君         農林事務官         (大臣官房長) 林田悠紀夫君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (農地局長)  庄野五一郎君         農林事務官         (振興局長)  齋藤  誠君         林野庁長官   吉村 清英君         水産庁長官   伊東 正義君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  久我 通武君         自治事務官         (行政局行政課         長)      岸   昌君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 八月三十一日  委員亀岡高夫君辞任につき、その補欠として安  藤覺君が議長指名委員に選任された。 同日  委員安藤覺君、倉成正君、有馬輝武君及び角屋  堅次郎辞任につき、その補欠として高橋等君、  笹本一雄君、柳田秀一君及び成田知己君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 八月三十日  防衛庁設置法及び防衛庁設置法等の一部を改正  する法律の一部を改正する法律案内閣委員長  提出、参法第九号)(予) 同月三十日  文部省に産業技術教育局設置に関する請願(安  倍晋太郎紹介)(第七七〇号)同外四件(逢  澤寛紹介)(第七七一号)  同外二件(小澤太郎紹介)(第七七二号)  同(小沢辰男紹介)(第七七三号)  同外一件(田中彰治紹介)(第七七四号)  同外五件(宇野宗佑紹介)(第八四六号)  同(大上司紹介)(第八四七号)  同外一件(首藤新八紹介)(第八四八号)  同(高橋清一郎紹介)(第八四九号)  同外一件(渡海元三郎紹介)(第八五〇号)  同(広瀬秀吉紹介)(第八五一号)  同(船田中君紹介)(第八五二号)  同(保利茂紹介)(第八五三号)  同外三件(和田博雄紹介)(第八五四号)  同(小平久雄紹介)(第八五五号)  同(有田喜一紹介)(第八七〇号)  同外六件(小平久雄紹介)(第八七一号)  同外一件(阪上安太郎紹介)(第八七二号)  同外二件(野原覺紹介)(第八七三号)  同(森山欽司紹介)(第八七四号)  同外十五件(安藤覺紹介)(第九二八号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第九二九号)  同外一件(受田新吉紹介)(第九三〇号)  同外三件(小澤太郎紹介)(第九三一号)  同(尾関義一紹介)(第九三二号)  同外二件(大村清一紹介)(第九三三号)  同外二件(小枝一雄紹介)(第九三四号)  同(小島徹三紹介)(第九三五号)  同外一件(田川誠一紹介)(第九三六号)  同外二件(田中龍夫紹介)(第九三七号)  同(津島文治紹介)(第九三八号)  同(富田健治紹介)(第九三九号)  同外九件(野田武夫紹介)(第九四〇号)  同外四件(保科善四郎紹介)(第九四一号)  同(三宅正一紹介)(第九四二号)  同(大野市郎紹介)(第九七一号)  同外三件(橋本龍吾紹介)(第九七二号)  同(西村力弥紹介)(第九七三号)  渡良瀬川遊水池米軍演習場設置反対に関する  請願小平久雄紹介)(第七七五号)  同(小平久雄紹介)(第八五六号)  恩給法第七十五条第三号に規定する扶助料受給  者の特別加給に関する請願河本敏夫紹介)  (第七七六号)  同(小坂善太郎紹介)(第八七五号)  同(寺島隆太郎紹介)(第九二四号)  同(藤原節夫紹介)(第九二五号)  同(増田甲子七君紹介)(第九二六号)  同(宮澤胤勇紹介)(第九二七号)  水戸対地射爆撃場返還に関する請願塚原俊郎  君紹介)(第九二三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、第四十回国会閣法第九九号)      ————◇—————
  2. 永山忠則

    永山委員長 これより会議を開きます。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたし、質疑の申し出がありますので、これを許します。角屋堅次郎君。
  3. 角屋堅次郎

    角屋委員 一昨日来、農林省設置法の一部改正案についての審議が、同僚議員によって続けられてきたわけですが、大臣も御承知のように、通常国会の際においてこの法案が提案をされましたときに、もちろん地方自治団体あるいは関係農業団体等の強い反対意見もありましたけれども、同一時に、今回の農林省の本省、地方を通じての改正というものについて、野党はもちろんでありますが、与党諸君の中にもやはり相当に批判反対意見があって、今日に持ち越してきたわけでございまして、私ども、新しい農林大臣就任機会に、農林省設置法のの問題については、今後の農林行政の将来の展望に十分見合わして再検討すべき問題だというふうに判断をいたしております。にもかかわらず、従来の原案のままで審議が行なわれるということは、まことに遺憾だというふうに思っておるわけであります。しかも、重政農林大臣就任をされまして、農林省にも古くおられた先輩でありますから、私ども大臣農政というものに相当大きな期待を寄せる気持を持っておったわけでありますが、大臣就任以来のいろいろな諸問題に対するお考え、御方針等を、あるいは農林水産委員会を通じ、あるいは新聞、ラジオ等を通じて判断をしておるところでは、今後の農政に対する農林大臣の基本的な考え方生産農民に対する農政面におけるところの熱烈なる愛情というものが十分にくみ取れない気持が、率直に言ってするわけであります。たとえば、食管問題関連をする消費者米価問題についての最近の発言、あるいは生産者米価問題関連をする、従来からありました予約減税廃止という問題について、みずから積極的に廃止方向のお考えを表明されるというふうな最近のお気持判断をしておりますと、率直に言って、だれでも勤まる農林大臣としていくのじゃないか、むしろ、生産農民立場に立った農林大臣としてこの苦悩の農林行政を乗り切っていくという、そういう立場気持を十分くみ取ることができない感じがするわけであります。私は、この機会に、農林省設置法の一部改正、つまり、農林省機構改革という問題を論ずる前に、今後の農政の基本的な方向というものについて、大臣が実際にどういう方に持っていこうとするかということを聞かなくしては、やはり農林省設置法一部改正問題を論ずることができない。いかに機構をいじってみたところで、現実に政策としておろす方向が、どういう性格を持っておるのかということとは無関係ではないのでありまして、そういう意味で、まず冒頭に、農政のこれからの基本的な方向というものをどういう方に持っていこうというのか、大臣の率直なお気持をまずお伺いしたい、こういうふうに思うわけでございます。
  4. 重政誠之

    重政国務大臣 一言にして私の考えを申し上げますれば、もうかる農業経営をやりたい、こういうことであります。この考え方は、昨年両院を通過いたしまして現に実施になっております農業基本法のあの線によってやっていきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  5. 角屋堅次郎

    角屋委員 もうかる農業経営をやりたい、こういうふうに一言にして言われておりますけれども貿易自由化のこれからの問題もあり、しかもまた、日本零細農耕の現在の宿命的な条件もある。そういう中で、もうかる農政というのは、さらに具体的にいえば、一体生産政策として、あるいは構造政策として、あるいは価格流通政策として、どういうふうな裏づけによってもうかる農政というものが生み出せるのであるか、さらにその点について具体的に一つお話を承りたい。
  6. 重政誠之

    重政国務大臣 すでにしばしば申し上げております通りに、一面においては生産性向上をはかる。土地条件の悪いところは、土地改良によって生産力の増大を一面においてはばかっていく。さらに生産選択的拡大を推進をして参る。あるいはまた真に農業経営畜産経営を取り入れて参る。あるいはこの農産物の価格政策の拡充をやって参る。あるいは金融制度改善をやる。流通構機改善をはかる。いろいろやるべき仕事は山積いたしておると思うのでありますが、方向は、生産力拡大農家所得をふやす、こういう目標に向かって私は農政を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  7. 角屋堅次郎

    角屋委員 農業関係問題は、これは諸外国の状況を見ても、資本主義経済体制であろうと、その他の経済体制であろうと、各国とも農業関係問題というのはやはり大へん苦労しておるという現状だと思う。これは一つは、やはり農業産業として持っておる基本的性格というものが、たとえば工業等と違いまして、従来の数百年前あるいはまたそれ以上の昔と今日の農業というものを比べてみれば、なるほどいろいろな点において進歩はしておるけれども、しかし、工業の異常な発展の性格というものと、農業自然的条件あるいは立地条件、各般の制約を受ける中でやっていかれる第一次産業農林水産関係問題については、これはどういう経済体制であろうと、どの国においても非常に苦労しておるということは、大臣承知通りだと思います。問題は、私どもが昨年の通常国会農基法問題を論じたときにも議論になった点でありますけれども、そういう今申しました農業基本的性格というものから見て、私どもは、やはり農業に対する保護的な政策というものを十分に織り込みながら、農業者生活向上あるいは所得向上というものを基本的に確立していかなければならぬということを思っておるわけです。しかし、もうかる農業という思想の中には、産業政策としての経済合理主義というものに基調を置きながら、従って、保護的な面というものはだんだんと取りはずしながら、ふるいにかかるものはふるいにかけていこうという、そういう思想の中で、もうかる農業という考え方が出てきているのではないかという感じがするわけですけれども、そういう農業政策としての基本的な内容というものを、大臣はどういう内容においてやっていこうというのか、その辺のところを一つお伺いしたいと思うわけであります。
  8. 重政誠之

    重政国務大臣 角屋さんの御指摘になりましたことは、基本的な非常に重大なことでありますが、私の考えと少し違っております点が一点ある。農業が他の産業に比べまして、所得を得ることになかなか困難性があるということは、もうおっしゃる通り、これは農業特殊性であるわけであります。しかしながら、できるだけその所得をふやすために、あらゆる努力をいたさなければならぬ。政府はこれにあらゆる法令上あるいは財政的の裏づけをして、その所得向上をはからねばならぬと考えておるのであります。  私が、角屋さんの御指摘の点で、一点だけ私の考えと違うと申し上げる点は、そういう農業をだんだんに所得が増大するような方向に持っていったら、それで手放すのではないか、政府はだんだん手を抜いていくのではないかというような御懸念があるやの御発言であったのでありますが、そういうことは断じてございません。私は、農業特殊性にかんがみまして、これはあくまでも政府保護政策を実行していかなければならぬ。しかし、その根本になるものは、やはりできるだけこの農業経営合理化をはかるということは当然のことである。しかし、これと同時に、政府は手厚い保護政策を実行していかなければならぬ。これが相待って農業所得がふえていく、こういうふうに私は考えておる次第であります。
  9. 角屋堅次郎

    角屋委員 さらに、数点、具体的な問題について、一つ簡潔にお答え願いたい、機構問題に入る関係もありますから。  まず第一点は、与党内でも非常に真剣に論議が展開されて参ります貿易自由化に対する対策の問題であります。この点については、農業関係あるいは中小企業関係等経済基盤の弱い、そういう面の関係貿易自由化に対する問題については、やはり日本国際競争力のできるまでは、貿易自由化窓口というものはできるだけコントロールする、こういうのが基本的方向だろうと思う。大臣は十月で貿易自由化率九〇%ということで、いろいろ論議をされておるわけですけれども農林関係貿易自由化が一〇〇%窓口が開けるというのは、いつごろそういう時代が来るというふうな見通しを持って農政を推進されようとしているのか、あるいは当面の貿易自由化という問題に対しては、基本的にどういう方針で臨まれようとしておるのか、この点を一つ簡潔にお答え願いたい。
  10. 重政誠之

    重政国務大臣 貿易自由化は世界の大勢であり、また、政府といたしましても、ある程度の了解も与えておるやに聞いておるのであります。そのために、できるだけ農業関係におきましても貿易自由化を推進して参りたい、こう私は考えております。ただし、貿易自由化をいたしましたために、国内の産業に著しい影響を与える、あるいは中小企業諸君に非常な悪影響を与えるというようなことは避けなければならぬ。そのためには、あるいは関税の引き上げを行なうとか、その他のいろいろな措置を講じまして、その影響が及ばないように、政府のいろいろな保護措置によりまして、競争ができ得るという見通しのあるものに限って自由化するつもりであるのでありまして、そうでないものにつきましては、九〇%十月から自由化をするというようなことも言われておりますが、若干それまでに到達しない場合がありましても、これはやむを得ないことである、こういうふうに考えております。
  11. 角屋堅次郎

    角屋委員 今年から来年の前半期にかけまして、農政上の注目されておる問題一つは、かねて河野農林大臣が、大臣就任以来食管河野構想というものを発表されて、これが最終的にどういうふうに取り扱われるのかという点であります。しかも、食管制度問題は、農政の根幹に触れる重要問題であります。大臣承知のように、今日農業所得の中に占める米の比率というものは、とにかく五割前後という非常に大きなウエートを占めておる問題でありますし、また麦その他を加えれば、さらにその比重は高まるのであります。いわゆる河野構想自由米構想というものを含めた食管制度改革問題——昨年の農基法審議の際に、私は特に池田総理出席を求めて問題にした点は、閣議決定された政府所得倍増計画の中に、今後の政策誘導方向として、この食管問題に触れて、米の直接統制廃止して間接統制に切りかえていくのだということが明文化されておって、その問題を取り上げて池田総理の所信を聞いたことがありました。大臣は、これはもうしばしば今国会始まってからも農林委員会その他を通じて論議されておる問題でありますけれども、今年から来年の前半期にかけて大きな政治問題になる、しかもまた、過般の消費者米価発言ともからんで、大きな政治問題に発展しようとする食管問題、この問題について、食管制度というものはあくまでも堅持していく、直接統制間接統制に切りかえていくということについては、これは考えてないという考え方であるのか、将来の展望等も含めて、大臣食管制度に対する基本的な考え方というものをこの機会に承っておきたいと思います。
  12. 重政誠之

    重政国務大臣 河野構想につきましては、御承知通りに、これは政府統一見解として発表せられたものでもないのであります。いろいろあの構想については批判があったわけであります。そこで、前農林大臣もしいてこれを推し進めていくという態度はとらないということで、農林大臣諮問機関と申しますか、相談相手と申しますか、農林省内に食管制度についての懇談会を設けられて、今日まで熱心に検討せられたわけであります。これは河野構想検討するということでなしに、食管制度全般について検討をせられて参ったのであります。その結論が出ないうちに、私が農林大臣就任することにことになりまして、その懇談会に対しましても、前大臣のときと同様に、さらに検討を進めていただきたいということを御依頼いたしまして、了承を得て、目下これを検討せられておるという実情になっておる次第であります。  食管制度について、将来の見通しをも含めて一体どういう考えを持っておるかという御質問でありますが、これはなかなかむずかしいことであります。申し上げられますことは、少なくとも現行食管制度というものは、米が非常に足らないときに、その足らない米を公平に消費者国民に分配するために必要な制度として設けられたものである。それがほとんど二十年後の今日において、国民並びに農家諸君努力によって、米の需給のバランスがとれるようになった今日において、制度全体について検討をいたして、改善すべき点はないかということを現在懇談会にも御依頼をし、また、われわれも検討をいたしておる次第であります。重大な問題でありますから、これはにわかに私だけの意見を申し上げるということも適当でございません。また、私自身意見もはっきり固まっておるという段階ではないのであります。御了承を賜わりたいと思います。
  13. 角屋堅次郎

    角屋委員 これは後ほどの機構問題関連してさらに触れる機会もありますから、次に移りたいと思うのですが、農業生産財資材、たとえば肥料、農機具、農薬、いろいろなそういう関係問題が、農業政策関連をして非常に重要な問題であります。たとえば米価問題考える場合にも、単なる価格論争ではなくて、やはり生産財資材に対するところの政策を十分やることによって、総体的に消費者のことにも十分マッチをし、生産者にもまた要望に十分こたえる政策というものが、今までの性格と違った姿において生み出されてこなければならぬということは、私は常々思っておるわけですけれども、この機会農業生産財のすべての問題に触れることは、機構問題論議でありますから避けますけれども、前国会以来問題になってついにさたやみになりました肥料二法の問題の取り扱い、これは大臣にまたそのままげたを預けられた問題であります。いわゆる通産その他とも十分協議をしながら、肥料二法の廃止という問題について、どう取り扱うかということをやらなければならぬ。大臣はこの点についてどういうお考えで臨まれようとしておるのか、承っておきたい。
  14. 重政誠之

    重政国務大臣 これは御承知通り 肥料二法は、現在の時点におきましては、これを廃止しない、こういう方針になっております。
  15. 角屋堅次郎

    角屋委員 構造政策問題で、これから構造改善事業ということをはなばなしく打ち出しておりますし、今度の機構改革を見ましても、農政局という新しくできるところがこれを担当し、第一線では構造改善部というものを地方農林局につくる、こういう内容に相なっておると思うのですが、構造改善あるいは農業政策としての構造政策というものの方向について、いわゆる農基法が示しておるように、自立農家の育成、協業の助長、こういう形の中で問題をとらえるというふうに基本的には思うわけですけれども、しかし、最近の農業情勢変貌状態を見ますと、専業から兼業兼業から転落、こういう方向が出てきておるし、農業内部におけるところの農業労働力というものが他産業に流出するという傾向、あるいは農業のにない手になならければならない若い世代の諸君を含めて農業外に出ていくという、憂うべき傾向が出てきておる。むしろ、政府考えていこうとする自立農家、つまり所得倍増計画考え方によれば、これから十年間で百万戸の自立農家を育成するのだという方向とは別の方向に、自然的な流れにまかせれば入っていく。しかも、政府自身が、積極的ないわゆる農地開発政策というか、開拓政策というか、そういうものを今日の時点では取り上げようという考え方はさらさらないように承る。そうすると、そういう中で、いわゆる農協法農業法の一部改正によって、農地の移動というものは、農業売り渡し信託あるいは貸付信託、そういうことを通じて促進していこうというお考えのことかと思うのですけれども構造政策に対する基本的な方向というものは、最近の農業政策性格あるいは最近の農業の動向から見て、進め得る自信があるというふうに考えておられるのですか。また、それを進めていくということのためには、裏づけとしてどういう裏づけをしなければならぬというお考えでやられようとするのか、その辺のところを承りたいと思う。
  16. 重政誠之

    重政国務大臣 御質問の第一点の農業人口が年々減っていっておる、青少年をも含めてそういう傾向にあるという御質問でありますけれども、私は、青少年農村を去るという点に非常に心配をいたしております。全体として農業人口が年々減少いたしておるということは、これはもう年来の趨勢であるわけであります。必ずしも人口農村に多いからいいんだとは私は考えておらないのであります。ただ、青少年問題については十分にこれは検討いたして、青少年がむやみに農村から離れないような方策を考えなければならぬと思っておるのであります。これは何といたしましても、農業そのものがもうかる農業にするということが第一の条件でありますが、それと同時にまた、青年の心をとらえると申しますか、そういうためにはどうしても高度の技術を練習さすということが必要だろうと思うのであります。技術的に大いに農村青年諸君を練習をせしめまして、そうして農業に対する意欲を保持していかなければならぬと考えておるわけであります。  農業改善事業についてのいろいろの御意見でありますが、これはなかなか御意見通り容易なものではございませんが、しかし、新農政方向といたしましては、どうしても構造改善という事業が私は大きな前提になるものと考えておるのであります。そこで私といたしましては、全力を上げてこの構造改善事業を成功せしめたい、こういうふうに考えておる次第であります。それがためには、構造改善を行ないます地域に対しましては、土地改良事業でありますとか、あるいは畜産、園芸その他あらゆる農林省の部局を動員いたしまして、その計画が実行できる方向に持って参りたい、これと同時に、農業金融問題も大いにこれは検討して改善をいたし、金融方面に対してはできるだけの便宜がはかれるように、資金が流れるようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  17. 角屋堅次郎

    角屋委員 今農林大臣は、農業金融という問題にも触れられたわけであります。昨日石山委員質問のときにも、三つのこれからの農政の重要な課題という問題指摘されたときにも、農業金融問題を非常に強調されて大臣が答弁になったように承ったわけであります。  そこで、農業金融問題関連をして、これをどういうふうにやっていくか、河野農林大臣のときには、農民銀行論というようなことを着想として言っておられたわけでありますけれども、いわゆる政府金融あるいは系統の金融、こういうものをいかに総合的にとらえてやっていくかという問題検討して参りますと、おそらく政府考え方としては、政府の財政投融資面で農林金融を豊富にするという方向は必ずしも積極的にとらなくて、系統の金を肩がわりして活用する、そういう方向を重点として考えていくのではないか、最近の近代化資金の問題をとらえましても、そういう傾向が出てきていると思うのですけれども問題は、そういうことと関連をして、農業団体の再編成問題、これは何もこのことだけで農業団体の再編成という問題というものが提起されるわけではありませんでして、最近の農業情勢の変貌あるいはそれに即応する農業団体のあり方という本来的な意味での、農業団体のあるべき姿をどうするかということは、十分論議されていいと思うのでありますけれども農業団体の再編成問題あるいは農業金融考える場合に、農林大臣としては、政府の手持ちの金を潤沢にするという方向農業金融問題考えていこうというのか、あるいは系統の金を肩がわりする方向を力点として農業金融を豊富にしていこうというのか、そこらの農業金融をこれから豊富にしていく、あるいは長期低利にしていくという基本的な内容を、どういうふうに考えておられるのか、さらにまた、その問題関連をして、今後の農業団体の再編成という問題というのが、信用部門の一元化その他と関連をして出てこようかと思うのですが、そういう問題に対する大臣のお考えはどこにあるのか、これをお聞かせ願いたいと思う。
  18. 重政誠之

    重政国務大臣 まだ目下検討中でありますので、はっきりしたことを申し上げる段階に至っておりません。至っておりませんが、私の心持ちといたしましては、農業金融制度考える場合の目標といたしましては、資金量を豊富にするということが第一点、第二点は、融資の条件、すなわち、長期低利の資金をできるだけその農業資金に回す、この二点が目標でなければならぬと思うのであります。そこで政府資金は、御承知通りに、現在も年々財政投融資等によって、政府農業方面にも投資をいたしておるのでありますが、それでは足らない。であるから、政府の将来の農業方面に対する資金の振り向けというものは、できるだけ多くしなければならぬことは当然であります。これと同時に、一般市場といっては大き過ぎるかもしれませんが、一般からの資金を吸収してこれを農業方面に振り向ける、こういうことが必要であると思うのであります。長期低利の資金をいかにして得るかということでありますが、これは政府が現在近代化資金において利子補給をいたしております。こういう方法も一つの方法でありますけれども、もう少し徹底した方法で、政府がこの長期低利の資金が農村に融資ができるような方策を考えなければならぬ、こういうふうに私は考えておる次第であります。  団体再編成問題についての御質問でございますが、私は現在のところ、よく申されます二段制、三段制——三段制は二段制にするのがよろしいというような意見も耳にするのでありますが、私は、そういうように形式的に一挙に二段制を三段制にするとか、三段制を二段制にするとかというようなことを考えてはおらないのであります。問題は、実際の面がどうなっておるか一ということであるのであります。近代化資金を皆さん方の御協賛を得てああいう制度が設けられておりますが、しからば、これがあるいは果樹の組合に対して十分にいっておるかといえば、これはなかなかそうでない。そういう面もあるわけであります。この酪農であるとか果樹であるとか、こういう成長部門の組合というものが、将来どんどん強化されていくものと私は考えております。こういうふうに強化せられていきますと、何も県を通って、また中央の団体の手を通して、そこで日銭を払わなければ市場に直結ができないという、こういうことは必要でなくなって、これが強化せられていきますと、県段階を通っていけば、直ちにこれは中央市場につながりがつくとかなんとかというような実際上の問題が、私は起こってくると思うのであります。そういう実際の問題が起こってくることによりまして、この二段制、三段制の問題は解決をつけていくべきものである、こういうふうに考えております。
  19. 角屋堅次郎

    角屋委員 大臣から数点にいて、今後の農政基本的方向という問題を若干お向いしたのですが、そういう御回答を通じて、きわめてはっきりと農林大臣農政方向を農民の立場に立ってこういうふうに持っていくのだというふうには、私は受け取ることができない。貿易自由化問題を初め、構造改革の問題にしましても、あるいは触れはしませんでしたが、重要な価格政策問題にいたしましても、あるいは食管問題、その他農業団体も含めての農政の受け入れ体制の問題、そういうふうな諸問題を通じて、農政基本的方向といというものを明確に把握することがなかなか困難であります。さらに、農政とはきわめて無関係なようで、与党諸君の中で数年来異常な熱意を持って推進をされて参り、おそらく来年度の予算編成のときにも、大きな政治問題になろうとする旧地主補償問題というふうな問題も、大臣がやはり裁いていかなければならぬ一つ問題であります。これは農政本来の問題ではない。すでに処理されておる別の性格問題であるのが、異常な熱意でもってこれが推進されようとしておる。昭和二十九年の最高裁の判決でもって、いわゆる法的にも裁定がついておる。旧地主に対する補償はしないという、この問題が根強く展開されておるのですが、こういう問題も、来年度の農村関係予算というものと無関係にこの問題考えることはできないのですけれども、この問題については、どういうお考え農林省としてはいかれるのですか。
  20. 重政誠之

    重政国務大臣 率直に申しまして、今御指摘問題は、私は合法的に行なわれたものと考えております。従って、今日に至って、これをその当時の事情から補償すべき義務が政府にあるとは断じて私は考えておりません。ただ、合法的に行なわれたものではあるけれども、当時の事情を考えてみますというと、言葉は過ぎるかもわかりませんが、簡単に言えば、社会正義に合致した土地改革が行なわれたか、つまり、その手続、内容がそうであったかといえば、これは四斗俵一俵と一反歩とがつり合った値段で強制収買せられたという事情にかんがみてみますと、必ずしもこれはそうではないのではないかというふうに考えるわけであります。そこで、それがために、非常に生活に困窮せられたり、あるいはまたその仕事も金がないためにできないというような、こういう旧地主に対しては、政府としては何らかの救済の方法も講ずる必要があり、かつはその当時の事情から考えてみまして、財政が許すならば若干のお見舞金というか、何かそういうものは考えてもいいのではないか、この程度のことを私は考えております。
  21. 角屋堅次郎

    角屋委員 農政上の問題はこのくらいにして、あまり論戦するつもりはございません。機構改革問題を論ずるにあたって責任者である大臣が、盛んに大臣権限ということをきのうも言うておりましたが、要するに、農政をやられるにあたっての基本的な考え方は、どういうところにあるかということを判断する問題として、少しお伺いしたわけです。  機構問題に入りたいと思うわけですけれども、まずその前に、行政管理庁からおいでになっておるかと思うのですけれども、御承知通り、臨時行政調査会というのが発足いたしまして、再来年の三月までおそらく任期があるものと判断いたします。今七人委員会を通じ、寄り寄り真剣な検討が行なわれておるかと思うのですが、さらに専門委員等も含めて、いろいろ精査されておるように承っておるわけですけれども、そういう臨時行政調査会の根本的な国家行政機構に対する検討とある意味では無関係に、ことしの通常国会の場合に各省から十幾つかの各省設置法の一部改正が出て参りました。またおそらく来年の通常国会にも、場合によっては各省設置法の一部改正というものが出てこないとも限りません。問題は、せっかく臨時行政調査会を設けていろいろ検討しておる、そういう前に一各省でいわば実績を作るというか、既得権を得ていくというか、そういう意識があるかないか、各省によってわかりませんけれども、そういうことで競ってなされるということであれば、これは問題は別になると思うのです。この臨時行政調査会で検討される過程の中で、各省から出てくる行政機構改革問題については、行政管理庁としては、基本的にどういう方針に基づいてこれを処理しようというお考えで今日まできておるのか、さらにまた、臨時行政調査会が生まれたから、行政機構の根本的な問題は臨時行政調査会の答申があるまで開店休業、こういう気持なのか行政管理庁としては、行政管理庁の自主的な立場において、臨時行政調査会は調査会として独自にやってもらうけれども、それと並行して行政管理庁として積極的に検討を進めているという状態であるのか、そういう根本的な行政機構改革問題についての行政管理庁の取り組み方というものは、今日どういうふうになっておるのか、その辺のところをまずお伺いをしておきたいと思うわけです。
  22. 山口一夫

    ○山口政府委員 お答えいたします。  お話の通り、臨時行政調査会は、三十九年の三月を目途にいたしまして、ただいま行政機構並びに運営の全般にわたりまして根本的な検討をしております。再来年の三月までにはその答申が政府にもたらされるものとわれわれは考えております。従って、行政管理庁といたしましては一こういう事実があり、現に作業が進展しておるということを十分念頭に置きまして、昭和三十七年、三十八年ないし三十九年度の機構問題に対処いたさなければならないと考えておるわけでございます。しかし、機構問題は、年々、月々、日々に動いておる国民の生活を対象にする行政に関係する問題でございますから、答申が出るまで全然現状のまま、お言葉を借りますれば、開店休業というわけには参らないのであります。一年半先に答申があるということを念頭に置きながら、しかも、八年、九年の行政の機構につきましてはそういう考慮のもとに考えていかなければならぬ、かように考えております。従って、ただいま議題になっております農林省設置法のきまりました三十七年度におきましては、政府の重点施策に関するものを除いて、原則として機構の改変は認めないという趣旨のもとに審査をいたして参りました。さらに三十八年度におきましては、三十八年度の年度末に答申が出る予定でございますので、それを控えまして、三十七年度よりもより厳重な抑制の態度を持って機構の審査に当たりたい、かように考えております。さらに三十九年になりまして、答申が出ました暁におきましては、その答申の線に沿ってこの際全面的に機構問題に対して考えていかなければならぬ、かような心組みでおります。従って、そういう態度を持ちながら、今年並びに明年度の機構の改変に当たりましての審査を行なうつもりでおります。
  23. 角屋堅次郎

    角屋委員 さらに、行政管理庁にお伺いしたいのですが、国の権限、地方自治体の権限、こういうものについては、国家行政機構関係では、それぞれ各省ともに大なり小なり出先を持つわけですけれども、そういう各省の持つ出先のウエート、出先の性格というものが、地方の権限との関係で、地方自治法の関係で、いろいろ検討を要する問題が当然出てくるわけですが、こういう基本的な国と地方自治体との権限の問題については、将来の方向として、国の権限というものを地方自治体にできる限り移せるものは移していくというのか、あるいは国と地方の権限については、そう大きな変動を加えずに、今の国家行政機構というものを合理化する方向考えていこうというのか、この辺の基本的な行政機構改革に対する考え方というものは那辺にありますか。なおまた、私は、臨時行政調査会が来年の末に答申を出されるということが予想されておる段階の中で、各省が機構問題考える場合に、中央段階における機構という問題であれば、これは内容にもよりましょうけれども農林省の今度の問題を見ても、まるで看板の塗り変えのような内容のようにしか私は受け取ることができないわけでありますが、そういう問題が将来の機構問題の場合にはそう大きな支障をもたらないことも考えられますけれども地方の、たとえば地方農林局とか、あるいは建設、運輸その他であるところの各省のブロック的な局の関係というようなものは、将来国家行政機構全般を通じて考える場合には、大きな問題をはらんでくる。たとえば、そういうことが将来生まれてくるかどうかは別として、従来から論議された国土省ならば国土省という問題がかなりに俎上に上るというような場合においては、いわゆる建設省の出先、その配置、あるいは運輸省の出先一その配置あるいは農林省の出先、配置、あるいは自治省関係の出先、配置という問題も含めて、やはり、それが切りかえの問題というようなものを将来はらむとすれば、これは非常に大きな問題になる。従って、行政管理庁の考え方としては、中央段階の問題について、必要なものについては精査をしてこれを認めるという方針をとるにしても、地方段階の問題は、やはりブロック、地域が各省によってまちまちだという今日の問題もあるし、あるいは所在地もまちまちだという問題もあるし、そういう問題が、将来の方向としては、行政の総合的な地方自治体と結びついた運営という問題から見ても、当然相当検討を要するポイントじゃないかという気がするわけです。そういうこととからんで、いわゆる各省から出ておる機構改革問題については、中央段階の問題については、必要最小限度の問題については、これを精査して認めるという方針をとっても、地方問題についてはやはり相当に慎重を要するという方針で臨むべきものじゃないか。そういう点では、今度の農林省の設置法の問題についても、そういう点の配慮というものがなかったのではないかという感じが私はするわけですけれども、そういう点は方針を持ってやっておられるのか、せっかく強くプッシュしてきたから、しかも、当然時実力者の河野農林大臣からの話でもあったので、聞かざるを得ぬということで聞いたのか、その辺はどうですか。
  24. 山口一夫

    ○山口政府委員 行政機構改革にあたりまして、中央の機構地方機構問題は別問題ではない、両者一体として、機構問題として考えなければいかぬ、かように考えております。同時に、中央と地方との間におきましては、行政を受ける対象である国民立場から考えまして、中央の権限を可及的地方に移して、第一線に近い部面において処理ができるように進めていくことが、方向としては正しいし、また、そうならなければいかぬ、かように私は考えております。たまたま農林省地方局の設置の案は、この線に沿っているわけでございます。これはひとり農林省だけでなく、各省を通じて同じような考え方で対処しなければいかぬと私は考えております。同時に、現在臨時行政調査会の内部におきまして、結論の出る段階にはむろんまだきておりません。これから検討しようという問題の中の最も大きな問題一つといたしまして、地方における組織、ブロックにおける中央の組織をどのように取り扱うかということが、テーマとして大きく浮び上がってくる。その方向から考えましても、委員会におかれましても、大体の考え方としては、私がただいま申し上げましたような線で何らかの結論が出てくるのではないか、かように考えております。いずれにいたしましても、そういう考え方のもとに、中央、地方を一体として、しかも、中央の性格を企画的な面を強く出し、地方自治的なものを強く、また広く取り入れていくという方向で、今後機構問題考えていきたい、かように考えております。
  25. 角屋堅次郎

    角屋委員 自治省からおいでになっていると思うのですが、農林省機構改革問題については、当初この問題の機想が発表されたときに、地方自治団体関係では非常に強い反対の意向があったわけです。そうして、自治省がそういう要請をそのまますなおに受けて、農林省との間でいろいろ意見の交換を私はやられたのではないかというふうに思うわけですけれども、今回の農林省の設置法の問題について、自治省として、地方自治という問題関連をしての見解をこの機会に承っておきたいと思います。
  26. 岸昌

    ○岸説明員 ただいま御指摘通り、この問題につきましては、法案が成立いたします過程におきまして、農林省との間に種々折衝があったわけでございますけれども、現在におきましては、政府一致の意見といたしまして国会へ御提案申し上げておるわけでございますが、お尋ねでございますので、その折衝の過程におきまして私ども問題といたしました点を、簡単に御報告申し上げます。  第一点は、理論的な問題でございまして、国と地方団体との事務の分配の問題でございます。これにつきましては、御承知通り、農林漁業基本問題調査会におきまして、現在国と地方との責任の区分が非常に乱れているということが指摘をされまして、国においては基幹的事項をやり、地方的、弾力的運営を要する事項は、これをできるだけ地方団体にまかせるべきである、こういう御趣旨であったと記憶しておるわけでございますが、そういう点から申しまして、中央の仕事を地方へおろすことは適当であるけれども、それならば、地方出先機関でなくて、地方公共団体に移譲すべきではなかろうかという点を、第一に問題としたわけでございます。  第二点といたしましては、現在国の持っております仕事を地方に移譲されました場合に、地方だけで問題の解決がつく、その補助金その他にいたしましても、地方だけで仕事が解決するということであれば、これは地方団体にとりまして一々東京まで出なくても済むわけでございますので、これは改善になると思うのでございますが、地方だけで解決しないで、地方農林局へ参りまして、それからさらにまた東京へ出てこなければならぬ、こういうことになりますと、二重行政と申しますか、そういうような弊害が起こりまして、地方団体としてははなはだ迷惑である、こういう点を問題としたわけでございます。  これらの点につきましては、第一の点につきましては、なるほどそうであるけれども、これは農林省関係の仕事だけの問題ではないので、将来国と地方との事務配分の一環として検討するという含みで、しかし、できるだけすみやかに自治、農林両省の間で、地方農林局の事務といたしたものをさらに都道府県へ移譲するかどうか、移譲するとすれば、どういう事務があるかということにつきまして検討する、こういう了解が成立いたしたのであります。  第二の二重行政、二重監督の弊害を生ぜしめないようにするという点につきましては、十分農林省としても考慮をいたしまして、そこの地方農林局の事務の分掌範囲を明確にするとともに、また両省間で十分協議して行なう、こういう了解が成立いたしましたので、さきのような問題点はございましたけれども、私どもといたしましては了承をしたわけでございます。
  27. 角屋堅次郎

    角屋委員 さらに、行政管理庁あるいは自治省の関係にもう一点お伺いしておきたいのでありますけれども、今日の府県あるいは市町村、特に市町村の場合は、御承知のように、町村合併が行なわれたわけであります。従って、旧来の旧市町村よりは相当拡大された市町村の形態を今日とっておるわけでありますけれども、いわゆる府県の統合問題あるいは道州制の問題というふうなことで論じられて参りました問題については、自治省としてはどういうお考え検討をされておるのか。あるいは行政管理庁として、今日地方自治体、特に府県等の問題については、臨時行政調査会で今後いろいろ検討されてくる国家行政機構その他の問題関連をして、並行的に自治省等と協議をしながら進める一つ問題点かと思うのでありますけれども、そういう問題についてはどういう方針考えておられるか。行政管理庁並びに自治省の方から、府県の今日の現状をどういうふうに持っていこうという前提でお考えになっておられるか、現在の検討の段階、将来の方向等について、この機会にお聞きしておきたいと思います。
  28. 岸昌

    ○岸説明員 ただいま府県制度の改革の問題につきましては、御承知かと存じますが、昭和三十二年の十月に、地方制度調査会から答申が出ておるわけでございます。この答申の内容は、全国を七ないし九のブロックに分けまして、そこに道州を設ける、こういう案と、現在の府県の性格をそのままといたしておきまして、三ないし四の府県を合併する、こういう二案になっております。この両案は、当時の成立の経緯から見ましても、僅少の差でつきましたところの、伯仲した考え方であったわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、現在の府県の区域はそういう方向において拡大していかなければならない、こういうことが、地方制度調査会の一致した答申の精神でございますので、政府といたしましても、そういう方向に従って努力していきたい、かように考えておるわけでありますが、府県制度の改革は、町村合併以上にいろいろ大きな問題を包蔵しておるものでございますから、政府全体の意向として固まりますまでの段階には現在至っておりませんけれども、そういう方向に向かって努力して参りたい、かように考えておるわけであります。
  29. 角屋堅次郎

    角屋委員 農林省機構改革問題に入って、大臣にお尋ねをしたいと思いますが、私どもは行政機構改革という問題考える場合に、今日政権を担当しておる政府政策方向と、また、それゆえにこそ、機構問題が何をねらいとしたのか、何にほんとうのねらいがあるのかということを感ぜざるを得ないわけです。たとえば、霞ケ関農政から地域農政へというキャッチ・フレーズは一非常に受け取りやすいキャッチ・フレーズでありますけれども、最近の農政変貌状態や、あるいは今後の保守党の農政方向というものを見ます場合に、一体発展産業として農業考えていこうというのか、あるいは斜陽産業、衰退産業として淘汰をしていこうというのかということが、やはり一つ問題であるし、また、先ほど来の論議を通じてでも、いわゆる農業基本的性格というものを見て、保護政策的な面というものを強くプッシュしていくということが続けられていくのか、あるいは産業政策として経済合理主義というものが強く前面に出てくるのか、こういう将来の方向というものから判断をして参る場合に、地方農林局なら地方農林局というのの性格も、サービス機関としての性格よりも、権力的な性格としてこれが農民に対する、こういうふうに把握するかどうかの分岐点に私はなってくると思うのです。従って、機構というものは、やはり現実に政権を担当しておる内閣の性格政策方向というものと無関係にこれを見るわけにはいかない。地方農林局の果たすべき役割というものは、サービス的な面であるのか、権力的な面であるのか。今後の農業の再編成あるいはそういうふうな政策をやる場合に、霞ケ関では手の届かないのを、地方農林局が探題として県や市町村ににらみをきかし、農業団体や生産農民ににらみをきかしてやっていくという、権力的な性格というものが強く出てくるのかどうか、こういう問題が、やはり今後の問題として私ども判断する場合の非常に重要な問題になるわけです。一体そういう点では、今回の中央、地方を通じての機構改革のほんとうの気持、ほんとうのねらいというものは、どこにあったのか、まず、大臣にこの点をお伺いしたいと思います。
  30. 重政誠之

    重政国務大臣 これはしばしば私が申し上げておりますように、日本は御承知通りに、北海道から九州の鹿児島の果てまで細長いのがあるわけであります。おのおのその地域々々によって、気候条件あるいは、立地条件が異なっておるのであります。それを東京におきましてやりますと、十分地方の実情に合うように調査もいたしてやるのでありますが、何といたしましても、画一的農政のそしりを免れない。でありますから、先生方には地方の実情に沿わない農政であるということをことごとに御批判を受けておるわけであります。昨年農業基本法が成立をいたしまして、そうして地域農政というものをどうしてもやらなければならぬ、こういうことになりまして、それがためには、やはり地域的に相当の農林大臣の権限を移譲した一つ地方局を設け、そこで十分に実情の調査もし、認識もいたしまして、そこで行政を執行する、こういう建前にいかなければならぬ、こう考えたのであります。もっとも、そういうことが、いろいろ御懸念になっておりますように、二重行政の弊害があってはならぬということにかんがみまして、農林局には大臣の権限を大幅に移譲するということを決意いたしまして、ここに御提案をいたした次第であります。  なお、これは申すまでもないことでありますが、農林行政は従来から指導行政であり、保護行政を主として実行いたしておるのでありまして、権力行政、権力というものは、私はほとんどないと思っておるほどであります。御懸念のような農林行政が権力行政になるというようなことは、私は、御心配はいらない、こういうふうに考えます。
  31. 角屋堅次郎

    角屋委員 昨年の通常国会農基法が強行されまして、ことしの通常国会農地法、農協法の一部改正法案が農基法関連法案として通過して、いわゆる農基法体制下における農政というものを、好むと好まざるとにかかわらず、進められるという段階がきておるわけでございます。農林省としては、農基法の第五章の二十三条、「国及び地方公共団体は、第二条第一項又は第三条の施策を講ずるにつき、相協力するとともに、行政組織の整備及び行政運営の改善に努めるものとする。」これに基づいて、本省、地方を通じての行政をどうするかということを検討された結果、この問題が出てきたのだと思うのですけれども、しかし、この問題が出てきた経緯を見ますと、河野農林大臣の独走、あるいは一部の諸君といろいろ相談をして、農林省の各局長等とは十分協議の上に立たずにプランが示されて、それが骨子になったというふうな経緯も伝え聞いておるわけでありますけれども、そういうことは抜きにいたしまして、今度の本省、地方を通じての機構改革、まず、私は本省の問題から入りたいと思いますけれども農政局をつくる、あるいは園芸局をつくる。農政局問題は、これは従来の農林経済局あるいは振興局の関係を若干振り割りをして、いわゆる最近の農政には農政がないじゃないかというふうな批判があるので、やはり農政があるということを看板として、農政局ということで郷愁を感じたのかどうか知りませんが、農政局という看板を再び復活させた感じが、率直に言ってするわけでありますけれども内容を見ると、これは農林経済局あるいは振興の仕事の分野を再配置して、農政局というものの看板の塗りかえにすぎないような感じがしないわけでもないのであります。園芸局の問題は、これは畜産、果樹の成長というようなところから、いわゆる園芸を重親するのだということで、園芸局の独立ということを考えたものだと思いますけれども、園芸局の独立という問題は、これは考え方によれば、今後の方向として歓迎してもいいかと思うわけでありますけれども、しかし、何といっても、農業政策の対象というものは農家であることは間違いがない。農林省としては、やはり農民が何を望み、何を期待しておるか、こういうことにこたえて、中央、地方を通じての農業政策をやるという建前で、機構はどうあるべきか、こうなってくるべきである。現在の農林省の本省機構というものは、御承知通り、もの単位に大体なされておる。たとえば畜産、蚕糸、あるいは新しく園芸、あるいは食糧、水産、農地、こういうふうな形で、ものを中心に問題がなされておる。ところが、末端の農家の場合には、畜産もやれば、養蚕もやれば、果樹もやれば、あるいはそれらの複合した形で農業経営を現実にやる。上からおりてくる政策としては、やはりそういう縦割りの企画というものが、十分に連携をとって、総合的な農業政策としてやられておるかどうかということになると、従来はやはりいろいろな批判があるだろう。末端にいけば、問題は、率直に言って、社会党の党の方針として、そういう意見がまとまっておるわけではございませんけれども、私は、本省の農林省機構考えるとするならば、相手はやはり農家であるという立場に立って考える場合には、いわゆる生産面について、蚕糸も畜産もあるいは園芸も、そういうものを合わした形の生産を一本化した生産局なら生産局、最近農林行政の中で、生産、流通、消費という一貫的な農業政策が非常に欠けておるということをいわれるわけでありますけれども、そういう点からいけば、やはり流通面あるいは価格面、農産物価格の問題については、農林省の内部では価格局という形の中でそれを総合化するのだ、あるいは流通の問題については、流通局という形の中で総合化するのだ、国際的な農業の協力関係、移住関係、そういうものは国際局としてこれを総合的にやるのだ、つまり、今までの農林省のものを対象にした機構のあり方というものを、もっと総合的に農家を対象にし、あるいは農業政策の総合的な推進という立場から見て、もっと総合化されたような生産、流通、消費あるいは国際協力という問題で、機構考え方を打ち出してくるというのであれば、これは検討の必要があろうかというふうな感じが、率直に言ってするわけですけれども、この農林省の設置法の内容をいろいろずっと見て参りましても、単なる看板の塗りかえにすぎないのではないか。そういう総合政策というものが、どこまで今度の機構改革を通じて期待できるのかということになると、役人のいわゆる作業によってなされた機構改革であって、第一線の、しかも、今日非常にむずかしくなってきつつある農業政策の中で苦悩しながら、農業を進める生産農民立場から、本省の機構改革としてこれでいいのかどうかということには、私は率直に言って疑問を持たざるを得ないという感じがするわけでありますけれども、今回の農林省の本省の機構改革というものの目ざした点は、一体どこにあるのですか。
  32. 重政誠之

    重政国務大臣 確かに、ただいまお述べになりました角屋さんの行政機構のあり方も、これは一つの御意見であります。しかし、角屋さん御承知通りに、沿革的に申しましても、行政機構というのはだんだんに分化をしていくということが、これが行政機構の歴史であります。これはものごとがだんだんにこまかくなって、十分に親切に取り扱っていこうということになりますと、だんだんに分化をいたしていくことが、これが従来の歴史である。農林省におきましても、農商務省時代から今日に至るまで、そういう歴史をたどって参っておるのであります。これは横割りに全部やって、それでその成果があがるかといえば、私はそうは思っておりません。横割りにするということは、同様の逆の弊害が今度起こって参るのであります。それと同様に、縦割りにするということで弊害がないかといえば、ただいま仰せのごとく弊害がある。その間の連絡、すべて最後は農家のところでありますから、その弊害と申しますか、十分でないことが起こってくる。だから、その総合調整というものをやらなければならぬことになるのであります。それが、今日の農政局がそれをやろう、また、農家に対しては、構造改善ということによって十分にそれぞれの自分のやるべきことをはっきりと認識さして、その分野を明らかにしていこうというのが、今日ここに御提案申し上げておりますこの機構であります。また、一がいに農家が全部それを受けると申しましても、申し上げるまでもなく、米作を主としておる農家もあれば、養蚕を主としておる農家もある、あるいや野菜を作っておる農家もあるというふうに、すべての農家が均分に畜産、米作、蚕糸、園芸というようなものをやっておるのではないのでありまして、農家自体がそれぞれ専門的にやっておるものもある、あるいは園芸と米作を兼ねておるものもあるというふうな事情でありますので、実際申しますれば、農家自体の経営の状態によって、園芸局につながるウエートが強い農家がある、あるいは蚕糸局につながるウエートが強い農家があるということになることは、もう御承知通りであります。そこで、行政機構は、すべて便宜の問題でありまして、私どもは、やはりこういうふうに分化して参れば、できるだけ縦割りにして、そうして足らざる連絡を十分にとって総合して行政をやっていく、これがやはり今までの沿革に徴しましても、また実情に徴しましてもいいんではないか、こういうふうに考えておる次第であります。
  33. 角屋堅次郎

    角屋委員 農商務省が発足してからことしで八十一年目である。去年八十周年記念をやったわけです。そういう変遷の中で、しかも、今日の農業あるいは将来の農業の発展方向という中で、農林省の本省の機構はどうあるべきかということは、いろいろ議論として私はあると思う。いわゆる総合と専門化の調整というものを機構の中でどういうふうにやっていくのか、やはり従来の既成概念というものが一つ根強く伝統的にありまして、それは必ずしも末端農家の期待と希望から見てマッチしておるかどうかということについて、私はやはり問題があると思う。農林省機構問題考える場合には、第一線の生産農民立場に立って、農林省の本省の機構というのはどうあるべきか——役人のお好みによって農林省機構をどうするかというふうなことではもちろんないわけです。そういう点では、今回の農林省の本省の機構改革というのを見ておりますと、やはり園芸局の設置というのは、いわゆるものの専門化によって新しく園芸局が打ち出されてきた。そういう方向がやはり助長される形勢にある。ただ、そういう点で、農林省にもの単位で総合的な面がないという非難を、農政局農政があるんだという形で包んだのだというふうにしか新味を感じない。そういう点でも、農林省の本省機構という問題については、これは十分問題を含んでおるし、今日出してきておる農林省の本省の機構内容というようなものでは、時代の要請にこたえる形には必ずしもなってない、率直にそういうふうに感じておるわけです。問題は、農業政策の推進過程において、先ほど来いろいろお尋ねしておりますように、地方自治体としての県、市町村、それから末端機関におけるところの農業関係の諸団体、こういうものに農林政策の分担機関としてどういう使命と役割を期待するかということが、やはり農業政策を進める場合に非常に重要なことだと思う。先ほど来、県、市町村の将来の発展方向はどうかというふうな問題に触れたのも、そういう点と関連をしておるわけでありますし、農林水産関係の団体再編成という問題について大臣としてどうお考えかということも、そういう今尋ねんとする問題関連があるわけですけれども、私は、ここで、数字的なことで、一体都道府県に農林水産政策をやっておる第一線の職員は総合計として何人あるのか、あるいは農林水産関係の団体として、直接職員その他としてやっておる者は何人あるのだというようなことはお聞きしませんが、それらを集めてくると、農林省を含めて非常に大きな人数になるだろうと思う。それが末端の農業政策に直接、間接それぞれの責任分野において推進に当たっておるというわけですけれども、そういう場合に、県、市町村の農林水産関係農業政策の分担機関としての、農林省として期待をしておる役割というものは、大臣としてはどういうふうにお考えですか。従来河野農林大臣のときに、ややもすれば、感情的であったかどうか知りませんけれども、摩擦を生じたのは、何となく農業団体というものに対して感情的になりまして、総理官邸で持たれた市町村長の総会あたりでは、一時間有余にわたって演説をぶって、市町村長をおだてたという話を聞いたわけですけれども農業政策の分担機関として市町村というものに力点を置いていこうというのか、あるいは農業団体というものを一体どう考えているのか、新大臣重政さんの考え方をこの機会一つお聞きしておきたいと思います。
  34. 重政誠之

    重政国務大臣 仰せの通りに、農業政策を分担して実行をしていただく第一線の方々というものは、膨大な数であろうと思うのであります。私の目の子で言っても、全部寄せれば二十万ぐらいはあるのじゃないかというふうに考えるほどでありまして、これは非常に大切なことであります。私は、省の農業政策を分担して実行していただくのを、一つの団体だけにやってもらおうとは思っておりません。これは団体もいろいろありまして、それぞれ団体の機能というものが定められておるのでありますから、それぞれの分野に応じて、農家に親切に一つやってもらいたい。町村も、またこれは重要な御協力を願う機関でありますから、町村も申すまでもなく、農家のために親切にその行政の実行を願いたい、こういうふうに私は考えております。
  35. 角屋堅次郎

    角屋委員 冒頭から大臣といろいろやりとりしているのですけれども大臣の答弁というのはばくとして、これはやむを得ませんが、さらに入って参りたいと思います。時間の関係もありますので、本省の機構の一々についてお伺いするいとまはありませんが、園芸局が新設されたわけですけれども、園芸局の陣容、あるいはこれは成長部門として今後大いにやっていくのだという形で生まれたわけですが、園芸の将来というものをどういう方向に持そていこうというのかという基本的な考え方を含めてお伺いしたいと思うのです。
  36. 重政誠之

    重政国務大臣 陣容につきましては、政府委員から答弁をすることにいたしまして、園芸局をどう持っていくかというよりか、むしろ園芸というものをどういうふうに持っていくかという意味だろうと思うのでありますが、私の、これもばくとしたことでありますが、考えによりますと、果樹について申しましても、国民の果実の消費量はまだまだ私は増大をしていくと思っておるのであります。欧米先進諸国に比べましても、まだまだその半分にも消費は満たないという現状であるわけであります。従って、この果樹は大いに伸ばしていく必要がある。さらにまた、国際的な観点に立ってみましても、ミカンのカン詰を初めといたしまして、大いに伸ばしていかなければならない。また、伸びていく可能性があるものと私は考えておるのがあります。要は、その値段が安いことが必要である。少なくつくって値段を高くして農家所得を多くするというよりか、量を多くつくって、そうして値段は安くて消費が増大し、輸出が増進してその手取りが多い、こういう方向に持っていかなければならぬ、そういうことにいたしますと、必ずこの部門は非常に成長いたして参るものと私は考えておるのであります。
  37. 角屋堅次郎

    角屋委員 地方農林局問題に入りたいと思うのですけれども、先ほど来、自治省との関係の中でもあるいは行政管理庁との関係の中でも論議したことでありますが、臨時行政調査会の問題もあり、また地方自治との関係問題もあって、地域における出先機関の機構をどうするかという問題は、軽々にやるべき問題ではない。一たん発足をするとなかなかもとへがきかないという、きわめて慎重を要する問題だと私は思うわけでありますが、今回の地方農林局構想というものは、きわめてずさんであり、思いつきであり、しかも、いわゆる行政機構の権力的な面とサービス的な面との両刃のやいばのうちで、一体どちらの作用を強く考えているのかということと関連して、きわめて問題が多いと率直に言って私は感じておるし、また、地方農林局の所在地あるいはその所管範囲というものが、地域農政の——これは田口君からも指摘がありましたように、センターとしてふさわしいものであるかどうかということにも、率直に言って問題があるのであって、単に農地事務局の所在地あるいは範囲というものを、右から左へとそのまま地方農林局に看板の塗りかえをやったにすぎない。内容的に見れば、統計調査事務所の所在地のものを地方農林局の統計調査部の関係へ入れる、それに農地事務局の陣容をそのまま入れる。さらに、やはり地域農政という限りは水産も加えなければならぬ、民有林関係の林野も加えなければならぬ、こういうふうに加えた形で、地方農林局という姿を一応つくってみたわけですけれども、これがいわゆる地域農政を担当するにふさわしいサービス機関としての機構の陣容であるかどうかということは、きわめて問題が多いというふうに思うわけであります。昨日来の審議の中でも問題があったわけですけれども、食糧庁の関係はこれに入れていない、あるいは林野の関係についても、国有林野事業関係はこれに入れていないという問題は、一体どこに問題があるのかということです。大臣のお考えによると、食糧庁は現業的な性格を持っておるのだというふうな説明が昨日なされたように思う。現業的な性格とは何か。国家行政組織法にいうところの二十一条関係のところでは、現業の関係の言葉がはっきり出てきておる。ここでいう現業という定義は、これは行政管理庁として明確に定義があると思うのですけれども、そういう意味をまずお聞きして、農林大臣は現業々々という言葉を使われるけれども、それならば農地関係は現業でないのか、あるいは統計等の坪刈りや測量や経済調査等を現実にやっておる、そういう仕事の関係は現業的な性格でないのかということになってくると、農林省関係で現業的な性格を持たないところというのは、一体どこなのかということにならざるを得ない。従って、そういう点では、食糧を含まなかったという説明というものは、現業的な性格というのではきわめてあいまいである、きわめて便宜的な答弁のようにしか受け取れないわけです。これは行政管理庁が答えてからですと、大臣はそれに合わせてお答えになるかもしれないので、今申しました点をまず大臣からお聞きして、それから行政管理庁からお聞きしたいと思います。
  38. 重政誠之

    重政国務大臣 私が現業的な性格と申しましたことについて、どうも非常に言葉を厳格にお考えになっていろいろ御指摘があったわけでありますが、私の心持はこういうことなんです。外国食糧を輸入する、つまり、売ったり買ったりするということなんです。食糧について申しましても、農家から米を買う、そうしてそれを本省へ持ってきて、それから消費者に配給する、こういうのは、行政という点から申しますと、ほかの部門における行政とちょっと違うわけであります。林野について、国有林について申しましても、賃金を払って木を伐採して、これを市場に払い下げる、これは簡単にいえば、売ったり買ったりすることなんです。そういうことは他の行政とは違う。でありますから、よく私も耳にするのでありますが、林野の今のような経済行為をやるというようなものは林野行政ではない、だから、これは一つ別に公団でもつくってやったらどうかというような意見が出る。食糧庁の行政についても同様な意見が出る。そういうふうに、一般からも、他の行政とは区別がつくと私は思うのであります。そういう意味で私は現業的な仕事ということを申し上げたわけであります。厳格な意味で現業とはどういう定義があるか、私存じませんが、そういうことで、そういうものを地方農林局に移譲するということはどうも適当でない、こういうふうに考えた次第であります。
  39. 山口一夫

    ○山口政府委員 国家行政組織法において用いております現業という意味は、いわゆる五現業であります。大臣の御答弁にありました現業というのは、もう少し一般的な意味で、事業特別会計を設けて、事業的な仕事をしているという意味で、現業という言葉をお使いになったのだと思います。
  40. 角屋堅次郎

    角屋委員 地方農林局問題で、今現業という問題についての大臣のお考えをお聞きして考えることは、いわゆる農林漁業基本問題調査会で、行政と事業との分離ということが一つ意見として出されておるわけですけれども、その場合に、地方農林局農林省の出先機関の中で食糧事務所を含んでおらない、あるいは国有林野の関係を含んでおらないという意味は、これは、大臣も、私が質問する前に、公団、公社の問題という形で触れられたわけでありますけれども、結局行政と事業との分離という前提に立って、今後第二段の行政機構改革というものを考える場合に、これを含めておいたのでは困る、従って、これは将来の問題検討するためにも、この機会にはずしておかなければならぬ、こういう意味で、国有林野事業関係あるいは食糧事務所の第一線の関係地方農林局からはずされたという意味にとっていいわけですか。
  41. 重政誠之

    重政国務大臣 そういう意図は全然ございません。これはもう正真正銘私が先ほど申し上げましたようなことで、地方農林局に移管することはどうも適当でない、地方農林局に権限を移譲しまして、地方農林局がやりますものは、これは農家の指導でありますとか、あるいは補助政策を実行していくのが主体になっておるわけであります。それにしいて米の問題、あるいは国有林の材木の問題あるいは植林の問題というような国有林野関係の現業的なものを加える必要はないではないか、こういう考えからはずしておるのでありまして、将来これが公社、公団にするために今からそれを中に入れずにおるというようなことは、これは御推量でありますが、少し行き過ぎた御推量ではないかと思います。
  42. 角屋堅次郎

    角屋委員 それはむしろ逆に、私から言いたいわけです。質問する前からそういう意見大臣みずから出されるから、それがやはり常に頭の中にあって、そしてわれわれも、そういう方向というものを考えておるのではないか、特にそういうふうに除外をしておるという関係から見て、そういうことを考えておるのではないかと見て、再質問せざるを得なかったわけです。地方農林局というものの位置あるいは範囲、それからお配りをいただいております地方農林局へ移譲予定の事務、あるいは地方農林局の内部の機構、陣容、こういうものを見てくるというと、ずいぶん問題が多い。自治省の方から指摘になったような、当初の地方自治団体意見とも関連して、ずいぶん問題が多いということを、率直に言って感ずるわけでありますけれども、同時に、この農林省の付属機関としてある、たとえば特に試験研究機関等と地方農林局との問題、御承知のように、農林省の付属機関として農事試験場なりあるいは農業試験場なり、畜産関係あるいは蚕糸関係、茶業関係、いろんな試験研究機関というものが、各地域にそれぞれ場所は違いますけれども配置されておる。そういう試験研究機関と地方農林局との関係というものは、別に機構の中ではうかがい知ることができない。日本農業の発展という問題考える場合には、やはりこの農業の近代化、あるいはまた先進農業国のいろんな点を日本農業にあてはめてみて、あるいはまた日本土地でいろいろ試験研究した結果というものを農政上に生かすという面では、試験研究機関と農政との一体的な運営、こういう問題が非常に重要だというふうに考えるわけであります。ところが、地域に農事試験場あるいは農業試験場、いろいろな形であるそういう試験研究機関というものと地方農林局関係、これは統合するかどうかという問題は別にして、あるいは場合によってそういうことを検討したのかどうかという問題にもなるわけですけれども、こういう問題考えてみても、何か地方農林局というのは、総合的な地域農政ということは言っているけれども農地事務局と統計調査事務所の所在地のものだけ合わせて、地域農政というので 林野関係の民有林あるいは水産関係なんというものを加えて、しかもその陣容というものは、各課せいぜい五名か十名程度で、一体何ができるかという新しい課の新設状況の中で、地方農林局というものは何かということにならざるを得ないわけでありますが、大臣にお聞きしたいのは、いわゆる農林省の付属機関としてある特に試験研究機関というものと、地方農林局との関係というものについては、一体どういうふうな考え方でおられるのか、これをお聞きしたい。
  43. 重政誠之

    重政国務大臣 御指摘通り、試験場、研究機関というものが十分に利用をせられるようなあり方になっておらなければならぬということは、全く同感であります。ただ、この研究機関を各農林局に付属せしめないということは、これは非常に意義のあることであります。これはもう角屋さんも御承知をいただけるかと思うのでありますが、たとえば地方農林局長のもとに試験場というものを置きますと、どうもセクショナリズムになりまして、全体としての試験研究というものがおろそかになるものは、今日までの経験のしからしむるところであります。そこで、従来各局に付属しておりました林業試験場であるとか、あるいは農事試験場、その他いろいろの試験場も、今日におきましては、農林省技術会議というものを設けて、そこで全国的に統一いたして研究をそれぞれやらしめておるというのが現状でございます。もちろん、その研究のテーマ等について各局において必要なことがあれば、これはその技術会議を通じてこれを取り上げる、そしてそれぞれの試験場長にこれを通達いたしまして、研究に専念をせしめる、こういうことになっておるのであります。それで、ただ研究をして、その結論が出て、そのまま学者的に専門家だけが知っておるというのでは、御指摘通り意味はない。でありますから、各局は十分に連絡をとり、また、今度設置をせられます地方農林局は、もちろん十分に試験場と連絡をとって、そして注文もすれば、またその結果を知ってこれを農家に流す。これは地方農林局だけではございません。県におきましても同様のことが望ましいことでありまして、最近におきましては、そういう考え方を試験場、研究機関に対しては強く要請をいたしまして、その結果の普及方についても、試験場自体、研究機関自体としても十分に配慮をいたすようになり、漸次年とともに試験場と農家との間の連綿がついてきておるというのが現状になっておるのであります。御指摘のように、十分にこの試験研究調査機関とは連絡を緊密にして、その成果を上げていく、こういう方針でおる次第であります。
  44. 角屋堅次郎

    角屋委員 農業関係問題で、大学の農学部の関係、あるいは農業高等学校の関係、あるいは国の試験研究機関、あるいは県、自主的な民間の試験研究機関というものの、総合的な理論の追求の問題、これは、国際的水準とやはり十分太刀打ちできる理論的な研究というものは、もちろん鋭く進めていかなければならぬと同時に、実用面という問題も、地域的なカラーをもって考えていく必要があるだろうと思う。そういう面の総合的な調整というか、試験研究機関というものが、大学は大学、高等学校は高等学校、国は国、県は県、あるいは民間は民間という形であっては、まだまだこれから大きく躍進をしていかなければならぬ農業の試験研究という問題では、非常にむだというか、そごというか、そういうものが出てくると私は思う。そういう面から見て、せめて国の試験研究機関というものと——地方農林局にはわれわれは賛成はできませんけれども、一応その地域農政ということを考えてやるという政府考え方からすれば一そういうこれからの農政の重要な面での配慮というもの、それは実際見ておると、うなずけるようには出てきてない、旧態依然たる考え方があるのではないかと思うわけであります。  時間の関係もありまして、そういう問題はさらに議論していくとあれですが、ただ、この機会に、農基法でいっておる次代の農業のにない手に対する養成とか教育問題が、農基法の重要施策の中で重要項目として出ておるわけですけれども、最近の農業教育の関係というのは、ややもすれば、経済の高度成長なり所得倍増計画の中で、工業方面に目を奪われて、農業教育軽視の方向というものが、率直に言って出てきておると思う。また、現実に農業自身に魅力がないという農業政策上の根本的な問題もあろうかと思いますけれども、次代のにない手としての農業者の教育という意味における農業教育の問題、今言った試験研究の問題、さらに農林省内で手持ちしておるそういう教育関係問題としては、従来から水産講習所、水産大学校という形で下関に置いておるわけですけれども、そういう旧来からのものは、旧来からずっと受け継いでいるという形でなしに、農林省自体として、先進的な農業発展のための自主的な立場における教育問題、それから文部省が取り扱うべき農業教育の問題についての最近の現状から見て、これは決して好ましい方向とは私は言えないと思うのです。そういう方向に対する問題等も、やはり十分考えていかなければならぬと思うのですけれども、この点、大臣どうですか。
  45. 重政誠之

    重政国務大臣 これは全く角屋さんのおっしゃる通りでございます。この問題は私も重視をいたしまして、文部省方面に対しましても、農業教育の問題について十分にやってもらうように要望をいたしておる次第であります。三十八年度におきましては、農業専門教育というようなことも考えてもらうということで、目下検討中でございます。
  46. 角屋堅次郎

    角屋委員 一日もらえば相当質問ができたかと思うのですが、時間の制約を受けておるようでありますので、地方農林局問題でさらにお聞きしたいわけですけれども、まず、農地局の関係と統計事務所の所在のことですが、問題を簡潔にするために、統計調査の関係からお伺いしたい。  実は、私は、農林省におる時分には、統計調査の関係で仕事をしておったわけですから、詳細にこの点については承知しておるつもりですが、農地事務局の所在地の事務所は、統計調査部として地方農林局の中に入れる、所在地以外は、従来の統計調査事務所そのままという形に現実になっておる。この問題は、統計の問題ばかりではなしに、先ほど来自治省にお伺いしましたが、都道府県の将来の方向について、自治省としては地方制度調査会の答申等の方向で今後努力をしていくんだ。こういうふうに考えてくると、地方農林局の範囲あるいは位置という問題は別として、地方農林局そのものの性格というものが柱になって、府県にある農林省の今の出先という関係は、いわばもっとウエートが軽くなった形に将来の方向として持っていくのかどうかということが、これは大臣にお聞きしたいけれども一つ問題だと思う。つまり、大臣権限と盛んに大臣が強調されておる面を地方農林局に移したんだと言われておるわけです。いろいろ専門的にお聞きすればいいのですけれども、それは別にいたしまして、今日模様がえしようとしておる地方農林局が柱になって、県段階にある出先機関というものはだんだん影が薄くなっていくのだ、単位としては国、地方農林局、そしてそれから派生的に県段階の出先があるという方向に、将来の方向として考えておるのかどうかということが一つ問題点なんです。そうでなくて、やはり地方農林局地方農林局として、地域的な総合農政をやるためにつくりはしたけれども、県段階の出先機関のウエート、あるいは仕事というものは変更はないんだ、こういう考え方でこの問題考えられたのかどうか、まず、大臣からその点を一つ伺いたい。
  47. 重政誠之

    重政国務大臣 大体ただいまお述べになりました通りのことでございまして、統計調査事務所というようなものは、もう私が申し上げるまでもなく、御承知通りに、敏速でなければ用をなさない場合が非常に多いのであります。地方農林局にその地域内の各府県にある統計調査事務所を統合いたしますと、敏速の点に欠けるところがある。そこで、各府県にある統計調査事務所は、本省の調査部に直結をして、従来通りやっていく、こういうことにいたしておる次第であります。
  48. 角屋堅次郎

    角屋委員 統計調査部長にお伺いしたいわけですが、地方農林局の中にある統計調査部、これは、統計調査事務所に対していわゆる連絡事務所長的な役割を果たすという考え方考えておられるかどうかということが一点。それから人事、給与その他の面で、地方農林局関係については、本省の中に新しく地方課というものを作って、これがやはり窓口になる。そうすると、人事の面では、統計に例をとれば、地方農林局内にある統計調査部の関係地方農林局長、さらに地方課という窓口を通じて人事その他の問題を処理するという形になる。地方農林局の所在地にない統計調査事務所の関係は、ダイレクトに統計調査部長がそのまま掌握をしていくという形になる、現実にはこういう二重の形になるのですか。
  49. 久我通武

    ○久我説明員 第一の御質問の点からお答え申し上げます。  新しくできますところの農林局において統計調査部がどういうことをいたすか、先ほど来だんだん大臣からもお話がございました、地域の農政というものを進展させるための統計を作成していく、統計を作成いたしまするにしても、材料は、従来の国一本でとるものと調査は同じでいいわけでありますから、それらを地方農林行政に合うようにつくりかえていく。あるいは統計で申しますなら、再集計をしていくというような仕事をする。それらの仕事に関係して、ほかの事務所を指導するということはございますが、従来からやっておりますように、国の仕事をとっておりますほかの事務所と同様な統計はとるわけでありますから、その面におきましては、従来と何ら変わらないわけであります。すなわち、地方地方農政をやるために必要なものを付加していくということだけでございます。従って、仕事の面では、何らほかの事務所の仕事が軽くなるというようなことはないわけであります。それから人事その他の点につきましては、ただいまお話のありましたような形式は当然とるわけでございましょうが、しかし、中央においては、ただいま申し上げたような仕事でありますから、従来と同じように取り扱いながら、しかも形式としては、それぞれ新しくできます部署を通じて行なわれる、こういうことになろうかと思います。その点につきましては、従来と実質上別段変わるということはございません。
  50. 角屋堅次郎

    角屋委員 地方農林局の中で、統計調査事務所以外に、総合農政ということで、水産関係、林野関係その他を振興部という形でとらえて、新しく部を作っておるわけでございますが、これは、官房長にお伺いするのがいいと思いますけれども、一体農務課、畜産課あるいは林務課、水産課、漁港課というものは、大体人員としては、おそらく五名か十名くらいのものだろうと思う。しかも、新設の課は、従来からある統計調査事務所とか、あるいは農地事務局というような形ではなくて、地方農林局にこういう課をつくっても、そうきちっとした足を持っているわけではない、数名の者で、中国の場合においては、中国、四国まで含めた地域農政のにない手として、水産関係をやるとか、あるいは民有林関係の林務関係をやる、そういう形を考えておるわけですけれども、そういう形で地方自治団体を指導し、あるいは関係団体を指導し、そして地域農政のいろいろなことができる十分な体制が組めるというふうに見ておるわけですか。
  51. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 まず、地方農林局の定員でございますが、これは、振りかえ定員のほかに、新たに百四十九人の純増をいたしまして、八千三百三十八人の定員で発足をいたしたいと考えております。従いまして、仰せのように振興部とか、あるいは構造改善部、それから振興部の中には水産、漁港、林務、畜産、農務というものを入れていくわけでございますが、各局から振りかえました定員のほかに、そういう新たな定員をも用意いたしておりますので、発足当初でございまするから十分とは申せないと存じますけれども、これをもちまして遺憾なく事務の遂行をやって参りたいと考えております。
  52. 角屋堅次郎

    角屋委員 私は、この地方農林局というのは、しばしば申し上げますように、農地事務官と統計調査事務所の関係を合わせたという形では、地方農林局という一般に対するアピールにならない。従って、水産も林野もあるいは畜産もという形で含めはしたけれども、結局それぞれの担当課というのは五名ないし十名くらいの者しかおらぬという段階で、ブロック内の県、市町村、あるいは関係団体というものに対する総合的な担当課の行政というものができるかどうか、そういう点では、単なる地域総合農政という形を整えるための課新設ではないかという感じが、率直に言ってするわけであります。これらの問題は、時間の関係上この程度にしまして、最後に、人員その他いろいろな問題を含めてお伺いしたいわけであります。  特に冒頭にお伺いしたいのは、かねて行政管理庁、あるいは林野庁の関係でもいろいろ検討がなされておるわけでありますけれども、国有林野事業のあり方、そういう中で働いている従業員の問題、常用作業員の定員の定員化というような問題で、御承知通り、一万二千名近くの者がいまだ不安定な雇用条件に置かれておるというような問題が現実にあるわけであります。私は、農林省機構の中で特に農業労働者の問題、あるいはまた労働政策上の近代的な取り扱いの問題が、これから十分配慮されていかなければならぬというふうに思うわけでありますけれども、特に冒頭にお伺いしたいのは、林野庁の定員外の今の問題について、基本的に行政管理庁としてどういうふうに考えておられるのか。これは、今文部省関係あるいは林野庁関係というふうに限定されたところだけに問題が残されておるのであって、文部省関係については、これはやるということに方針がきまっておるというふうに承っておるわけでありますけれども、まず行政管理庁から、林野庁のこういう問題に対してどういうふうにお考えかという点と、さらに林野庁長官から、今後の問題についてどういうふうにしていこうというのか、お伺いしたいと思います。私ども考えから申しますならば、やはり国有林野事業の安定的な経営という面から見て、年次計画を持って、少なくとも三年なら三年のうちにこれを常用化していく、雇用の安定を期していく、こういう方針でいかなければならぬというように思っておるわけですが、その点、いかがですか。
  53. 山口一夫

    ○山口政府委員 定員化の問題につきましては、数年来の懸案でございまして、過去数年にわたりまして逐次解決をはかって参る。一応現在の段階におきましては、定員化が終了したというふうに考えております。特にこの間、問題がございました国有林関係の公務員といたしましては、その勤務の実態がかなり一般の公務員と違っております。その勤務の状況につきまして実態の調査をいたしました結果、定員化という線から見ますと、国家行政組織法に規定されております定員の概念の中に入れがたいものがございます。それに該当するものにつきましては、ことごとく定員化するということで、現在一段落をしたところであります。
  54. 吉村清英

    ○吉村政府委員 国有林の一般常用作業員の定員化の問題でございます。今行政管理庁の方から御答弁がございましたように、私どももこの国有林野事業に従事いたします一般作業員につきましては、先般行なわれました定員化という措置によって定員化されるのにはふさわしくないというように考えておりまして、さらにこの措置も、一月十九日の閣議決定によりまして一応終了いたしたことになっております。従いまして、私どもはここで一般常用作業員を定員化するという方向には考えておらないのでございます。ただ、この国有林野事業に従事いたします作業員の雇用の安定ということは、先生のおっしゃる通り、非常に大切なことでございます。従いまして、この常用化をいたしまして、身分も安定いたし、雇用も安定をいたして事業を遂行して参りたいという考えによって、その常用化を進めておる次第でございます。
  55. 角屋堅次郎

    角屋委員 一般常用作業員一万一千三百三十名の取り扱いの問題については、行政管理庁の考え方は、従来私ども承知しておるところとは少し違うように思う。これはすでに時間が来ておりますので、いずれ参議院でもこの問題を取り上げられてさらに論議されると思うので、私もまた別の機会にさらに論議したいと思っております。  実は過般北海道に参りまして、北海道の林野の第一線の現地調査をいたして参りました。そういう実態から見ても、きわめて不十分だ、これはすみやかに是正をしなければならぬというふうに痛感をして参った問題でありまして、今定員化の問題については、行管では終わったかのごとく言っておるけれども、それでは実情に反する、こういうふうに思うわけであります。この点は、大臣に、今回の場合お聞きしませんけれども、やはり国有林野事業の従業員の実態、国有林野事業の安定的発展というものから見て、そこで働いておる者の身分、雇用の安定という問題については、十分実情に即して善処してもらいたいということを強く希望しておきたいわけであります。  きょうは、午前来農林省設置法の一部改正問題について、重政農林大臣農政をやっていく今後の基本的なお考え、さらに、今回の農林省の本省、地方を通じての機構改革考え方というふうなものについて、重点的にいろいろお伺いして参ったのですけれども、質疑を通じてでも私は痛感をするわけでありますが、今回の農林省の本省、地方を通じての機構改革問題はきわめてずさんであり、検討を要すべき問題を幾多含んだ内容でありまして、私どもは今度の国会においてこれを通すという考え方にはあくまでも反対でありまして、ぜひ一つ農政を推進する立場から、もう一度、今後の農政方向に即応する本省、地方機構のあり方はどうか、さらに臨時行政調査会の今後の方向と見合せまして、特に地方の自治団体に関係のある部分について、今日やはり是正すべき点については暫定的な方向問題考えて、抜本的な問題については、臨時行政調査会の答申、今後の国家行政機構地方自治団体のあり方等と関連をして、末端の生産農民の期待と希望に沿う、中央、地方を通じての機構のあり方はどうかという際、結論を出すという方向へぜひ考えていただきたいのですが、大臣、最後にいかがですか。
  56. 重政誠之

    重政国務大臣 私は、それらの点を十分に検討いたしました上で、新農政を実行していきますためには、一日も早くこういう機構を確立しなければやれない、こういうふうに考えて御審議をわずらわしておる次第であります。何とぞ十分御審議の上で御了承を願いたいと思います。
  57. 角屋堅次郎

    角屋委員 私は以上で質問を終わりますけれども、この問題は、まだ衆参両院の審議の期間があるわけですから、今まで田口委員石山委員あるいは私が、農政立場から、農林省の中央、地方を通じての機構改革はどうあるべきかということで論じて参りました点を、単に、われわれは多数を持っているのだから、それで原案通り押し切ればいいというのではなくて、やはり討議の過程でも問題を含んでおるし、また、今後の行政機構の全体的なあり方の問題の中でもいろいろ検討を要すべ問題があるわけですから、今後ともこの問題については慎重に取り扱われるように、特に強く希望しておきたいと思います。
  58. 永山忠則

  59. 受田新吉

    ○受田委員 わずか十五分しか割当を受けていませんので、ごく簡単にお尋ねしたいと思いますが、私は、この法案の中身で、具体的にずばりとお尋ねしたい二、三の問題点を指摘して、御答弁を願います。  今度の大幅な農林省設置法改正案の中で、振興局を農政局に改められる、これはどういう意義があるのか、御答弁を願います。
  60. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 振興局を農政局にいたしましたのは、消費構造の変化に対応いたしまして、新たに局が専門分化して参るということになっておりますので、これをなお農業経営の見地から一まとめに考えたいというような考え方をもちまして、農政局に振興局を改編するという措置をとったわけでございます。
  61. 受田新吉

    ○受田委員 振興局の前は、たしか農業改良局というのがあったと思います。それが新興局に変わって、同時に、いわゆる新農村建設事業というものをお進めになったことを私は思い出すわけです。この新農村建設事業というものは、その後どうなったのですか。三十一年からだったと思うのですが、これは一体どういうふうに進行し、どれだけの偉大な成果を上げたかを御答弁願います。
  62. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 御承知のように、新農村建設事業は三十一年度から五カ年計画で実施することにいたしまして、三十七年度で一応事業が完了することに相なっておるわけでございます。指定いたしました地域は約四千六百幾つかと存じますが、事業といたしましては、約一千万円の特別助成事業に対しまして約四割の補助をする、そのほかに、新農村の建設計画に応じまして、農林省の各局の施策をこれに合せて実施していくという計画になっております。考え方といたしましては、また事業内容といたしましては、当時の情勢から、だんだん適地適作の方に農業生産を持っていくべきである、こういう見地に立ちまして、各地方で自主的な計画として行なわれたわけでございますが、主要な施設といたしましては、約五割くらいが、特別助成事業として共同施設の事業になっております。それ以外に、小規模の土地改良事業であるとか、あるいは適地適産施設を設けるというような事業になっておるわけであります。
  63. 受田新吉

    ○受田委員 振興局がやったお仕事を拝見して、そういう御答弁にかかわらず、実態は決して成功であるとはわれわれは認定できない。いわゆる幅広く、底浅き事業の成果であったとしか言えないと思うのです。そこに今度新しい反省を加えられ、また適地適産主義を踏襲されておりますけれども、新しく構造改善事業の実施地域を指定されて、この農政局のスタートとともに、農林行政のポイトを置かれようとしておると私伺うのです。この構造改善事業の実施計画は、新農村事業計画のような、あまり実入りのないようなやり方でなくして、もっと根強いものを持っておると思う。実施地域の見通し、いつごろ実施地域を決定するのか、そういうことに対する農林省の真剣な態度というものを一言だけ伺いたいのです。
  64. 重政誠之

    重政国務大臣 先ほども角屋さんから御指摘があったのでありますが、構造改善事業というのはなかなか重大な事業であり、そうしてまた、相当困難な事業であると私は心得ております。そこで、一応予算的には二百を三十七年度には実施する、来年度はまた三百を実施するというように予算を計上しておりますけれども、実施上におきましては、適当ないい計画であって、地元に非常に熱意があって、そうして実施がスムーズにいく、こういうところから始めていきたいと考えておるのであります。でありますから、画一的にこれを必ず予算面と合わせて実施をしていこうというような考えは持っておりません。
  65. 受田新吉

    ○受田委員 農林省構造改善事業というものは、今までのように特定の地域を指定して、重点を入れるといういき方を進めると、その指定をされない地域が取り残される。そうして同時にもう一つ、僻地僻村、こういうところは、特に労働力、労働人口等が過剰になっておる地域になっておるわけですが、そういうところの対策などはおろそかにされる、重点施策と裏表の関係の地域がおろそかにされるという現象が起こることを大臣は御存じですか。それに対する施策はどうお持ちでありますか。
  66. 重政誠之

    重政国務大臣 これは山間の地帯におきましても、地元においてその非常な熱意があり、そうしてまた、構造改善計画が適当なものであれば、もちろんこれは実施をいたしていくつもりであります。全部の実施を終わりますまでの間、数年を要するわけでありますから、その間、ただいま御指摘になりましたような点もあろうかと思いますが、そういう点については十分留意をいたしまして、遺憾のないようにやっていきたいと考えております。
  67. 受田新吉

    ○受田委員 それに関連しまして、大臣は、農村の適正人口というものを、十カ年後にどこに置いておられますか。年々農村の労働人口の増加と他産業への転進というようなものとあわせ、簡単に御答弁願います。
  68. 重政誠之

    重政国務大臣 これは、なかなか人為によって農村人口をどれだけに減らしたらいいというような簡単なものではございません。その地域々々によっての特質があるわけでありますから、一がいにこれを幾ら幾らと言うわけには参りませんが、やはり先ほど来申し上げます通り農業経営に必要なる人口というものは保有をいたしていかなければならぬ。ことに青少年農村がら出払ってしまうというようなことのないような施策を講じて参らなければならぬ、こういうふうに考えております。
  69. 受田新吉

    ○受田委員 農村人口を、大体十カ年計画でどの程度のところまでを目ざして縮小していくかということは、すでに池田内閣でも構想が出ておるし、あなた御自身も一応のめどをお持ちでなければならぬと思う。重政農政の目標はどこにあるのですか。
  70. 重政誠之

    重政国務大臣 これはただ机の上で、多くの前提を持って、そうして人口がどうなるというようなことを言ったところで、私はそれは意味がないと思うのであります。まず根本は、農業経営の規模がどうなるかということから出てくることであって、結論は、私ただいま申しました通りに、必要なる人口は保有をするように努めなければならぬ、こう考えるのであります。現状は、私が先般も申し上げました通りに、農業人口が従来年々四十万ずつ減っておる、こういうことをいわれておった。それが昨今になりましては、六十万というふうにいわれておりますが、全般的に申しますれば、これはそれほど心配をする必要はないと私は考えておる。ただ問題は、青少年の離村ということを重親すべきである、こう考えておるものであります。
  71. 受田新吉

    ○受田委員 あなたも農林大臣になられた以上、農村の再編成、特に人口対策というのを、十年後にどれくらいのところに置けば適正農業経営ができるくらいの計画性のないような、そういう農林行政をやられる大臣では、私は大へんたよりないと思うのです。ある程度の目標はお持ちにならなければいかぬと思う。目標は全然ありませんか。ばく然と場当たりでやられる農林大臣であるかどうか、御答弁願います。
  72. 重政誠之

    重政国務大臣 人口の数をどれだけ減らすというようなことを考えるよりか、農業経営の規模をいかにするか、これを何年かかってやるのかということの方が先決問題であると私は考えておるのです。でありますから、ただ計数的に、経営面積は三町歩がいい、これをところによって大へんな違いです。地力が問題でございますから、生産力問題にして考えなければならぬから、北海道も内地の方も一律にこれは五町歩だ、十町歩だといってみたところで、そうは参らないのであります。問題は、この経営面積をいかにして拡大をしていくか、この方が先決問題であると私は考えておる。
  73. 受田新吉

    ○受田委員 農業経営方式を考えることはもちろん大事です。基礎です。しかし、その経営の規模に基づいて、今いろいろと地域の特性があります。農林行政なんかでは、地域の特性を背景にしなければ仕事はできない。その農業経営の方式をあなたが計画されている。従って、十カ年後には、その農業経営規模に基づいて適正農家をどのくらいのところに置くかというくらいの目標がないような——経営方式を考えれば、農村の適正人口の目標をどこへ置くか、経営に基づく人口というものは出るはずです。それさえもあなたは用意をしておらないということになると、これは場当たり大臣と言っても過言ではない。
  74. 重政誠之

    重政国務大臣 これは、ただそろばんをはじいて、机の上で、十年後には一千万にするとかなんとか言ってみても、私をして言わしむれば、そういうことは大なる意義はない、こう私は考えております。
  75. 受田新吉

    ○受田委員 農林当局のそういうあいまいなことを今初めて伺うわけです。一応の目標は、所得倍増計画に基づいても考えられるし、農業経営規模に基づいても考えられる。その目標というものを、十カ年計画でどの辺に置くべきかというくらいのことのない農林大臣ということで、大みえを切って御答弁されるところを見ると、場当たり大臣の異名を与えても過言でないと言ったのであります。  同時に、今非常に意気込んで御答弁になっておられたので、私折り畳んでお聞きいたしますが、あなたは農業経営の規模を高めることを非常に熱心に考えておられるが、現在農林行政の中には、はっきり言えます。流通的な施策というものに事欠いておる。農産物の価格安定に事を欠いておる。そういう不安定な条件の中で、地域の農民たちはどう生きていくかということに非常に苦労をしているのです。その流通対策、価格安定対策、農産物価格安定法に基づく適用品目をふやしていく、そして労働力の評価などをばかに低く見ている農村に対して、所得補償方式なども十分考慮してやる、適正な農産物価格を広く広げていくという努力を、あなたはどうお考えになっておられるか。
  76. 重政誠之

    重政国務大臣 先ほどの人口問題も、十年後に農村人口をどれだけにするということが私は基本ではないと思うのです。やはり根本は、ただいまもお述べになりましたような、農業経営ということが先行をいたさなければならぬ、こう私は考えておるのであります。  なお、価格安定対策その他の問題につきましては、私がしばしば申し述べております通りに、その内容の拡充を漸次いたしていかなくてはならない、こういうふうに考えておるのであります。
  77. 受田新吉

    ○受田委員 ばく然とした御計画だけでなくして、中身のある御答弁を願いたいのです。私あなたには非常に期待をしておるわけなんです。重政さんが農林大臣になられて、多少農林行政に対するほこ先をかえようかと思ったわけですが、どうも期待を裏切るということになれば、現実に苦労している農民たちの立場から、あなたに大いに攻撃を加えなければならないことになる。  時間が迫っておりますから、いま一つ。あなたは今度の改正案で、園芸政策を大いに進めたいというお気持のことが出ております。ただ園芸を進めるというだけでなくして、あなたはたくさんつくって安く売るのだということを言われた。これにはやはり農産物価格安定政策が伴うことであり、同時に、貿易自由化に対応した諸施策が講ぜられなければならぬと思うのです。あなたのお考えの中に、園芸の製品を輸出するためには農産加工が大事である、従ってカン詰をつくるというように、具体的に一つ角屋さんの質問に答えられておる。そういうような農産加工事業というようなものをやろうとする際に、ただ単に農協中心の資金融通などという地域にまかせるような方法ではなくて、積極的に国が低利で長期融資をするというような態度を持っているかどうか。同時に、貿易自由化に対応して、農産物の将来をどういう方向へ持っていこうとするのか、この二つの点について御答弁願います。
  78. 重政誠之

    重政国務大臣 全く同感であります。私が、本委員会におきましても、角屋さんの御質問でありましたか、どなたかの御質問にお答えした通りであります。園芸農産物の価格安定の施策を実行し、また金融は、融資の条件のいい長期低利の資金を融通する方向に向かわなければならぬ、こう私は全く同意見であります。  貿易自由化問題関連しての第二の御質問でありますが、私は内地の農業が非常に困るような事態のあるものについては、貿易自由化はしないつもりでおるのであります。しかし、かといって、いつまでも貿易自由化の世の中に日本農業だけが門戸を閉鎖して、日本の内地だけの農業ということに縮まっておるわけには参りません。そこで、根本は、あくまでも生産のコストを下げて品質のいいものをつくる、ことに技術の進歩によって、他国の農産物以上の品質のいいものを日本でつくって、その値段を安くし、さらに外国の農産物とも競争ができるような競争力を養わなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。
  79. 受田新吉

    ○受田委員 私もう二つだけで質問を終わりますので、御協力をお願いいたします。  今の貿易自由化について、個々の問題でお尋ねしたいところですけれども、皆さんに御協力する意味で省きます。  あなたは農民に迷惑をかけないような意味で、農産物に関する限り貿易自由化は十分に考えておるのだ、こういうことでございましたから、急いで農民の不利になるような施策がとられようとは考えておりません。これははっきりうかがうことができるわけです。  そこで、二つのうちの一つは、今度の改正案で水産庁の次長を一人はずすことになっておる。これは水産庁を軽視するというそしりを受ける危険も一方であるわけですが、蛋白資源を確保するという意味で、水産政策というものは決してゆるがせにできませんよ。大いに力を入れて、水産省を設置すべしという声まであるくらいです。そこで、あなたに水産行政に対する熱意を伺う意味で、次長を廃して園芸局長にこれを切りかえたという行き方は、どういう魂胆でやられたかということ、いま一つは、漁業を十分尊重するという意味で、漁業制度とかあるいは漁業経営の近代化、こういうものを十分に練るための、農業基本法に対比する漁業基本法というものを打ち立てて、特に沿岸零細漁民たちの立場も十分将来開けるような基本的な漁業基本法の制定というものを構想としてお持ちかどうか、この二つを御答弁願います。
  80. 重政誠之

    重政国務大臣 ただいまの漁業基本法的な構想を持っておるかという御質問は、これは、御承知のように、国会に提案をいたしております。おそらくこれは継続審議になりまして、来国会において十分御審議をわずらわすことになるだろうと思うのであります。  なお、水産庁の次長を振りかえました点であります。これは、漁業を軽視するという考えは絶対にないわけであります。ただ、限られた農林省の定員の中でやりくりをいたすのでありますから、がまんのできるところはがまんをする、こういう行き方で考えておるのでありまして、これは全然他意はございません。
  81. 受田新吉

    ○受田委員 この次長をなくしたということは、もうそれだけで、はっきり言って水産庁軽視ですよ。これはもう明瞭です。そういうことから言えば、そうした次長が要らないで済むところに今まで次長があったような気がしてしょうがないのです。  これに関連して、行政管理庁の方から一言御答弁を願っておきます。いわゆる外局の次長制というものは、そう大きな意味があるかどうか。今部内のいろいろな話し合いで、水産庁の次長をはずして、園芸局長のポストをつくったというように、ごく軽く大臣は答弁をされておるが、行管の立場から、外局には次長は必要でないというなら、一斉にはずせばいいし、必要があるというならば、これはわざわざはずす必要はないと思う。いかがですか。
  82. 山口一夫

    ○山口政府委員 外国の次長制につきましては、その局の仕事によりまして一がいに必要、不必要ということは言えないと思います。水産庁におきましては、沿革的な理由もありまして、また対外折衝等も非常に多かったというような事情もありました。今回の改革におきましては、部内を整理されまして、また、地方事業を移譲するということによりまして、次長がなくても仕事ができるという見通しでございましたので、今回次長を削ったわけであります。なおそれと、全体の方針といたしまして、私どもの方といたしましては、極力機構のワクをふくらませない、拡張しないようにしたいという考えが全般にございましたので、この方針に沿えるものにつきましては、極力御協力を願いまして、水産庁におきましても、その点に沿って御協力を願った次第でございます。
  83. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、水産庁は次長をなくして、地方農林局などをつくったり、園芸局をつくったり、その方へ力を入れたとなれば、水産省をつくってもらいたいというようなすなおな国民の要望とは逆に、水産の方を軽親してほかの方へ力を入れるという結論が出ますね。これは、一応ポストの問題だけのように見えますけれども、実際は決して水産漁民、水産業者というものを尊重する立場ではないと私は思うのです。大臣、あなたは軽くこまを動かすというようにお考えになっておられても、全国漁民に与える印象は深刻な影響があると私は思うのです。おわかりになりますか。
  84. 重政誠之

    重政国務大臣 これは、先ほど私が申し上げました通り農林省に定員がございますので、その間のやりくりでやったということでございまして、ほかに他意はございません。この次長を廃止するために、水産行政をおろそかにして漁民に迷惑をかけるなどということは、毛頭考えておらないのであります。断じて迷惑はかけません。
  85. 受田新吉

    ○受田委員 農林行政部内の差し繰りで水産庁が犠牲になる——犠牲になりますよ。確かに次長がいなくなるだけ、重要ポストの人がいなくなるだけ欠陥が起こりますよ。それはおわかりですね。それは機構上の問題として大事な点です。
  86. 重政誠之

    重政国務大臣 これは一つ全般的にごらんをいただかなければ、次長をなくして、地方農林局でも、水産については何ら職員を配置しないとかいうことですと、これはまた別でありますが、ごらんの通りに、水産の必要なところには、地方農林局に水産部というものを設置しようとしておるわけであります。ただ単純に、次長があるからそれを非常に重視したとかなんとかいうことになりますと、それじゃ、林野庁なりあるいは食糧庁には次長がおらぬから軽視しておるかということも、これは理屈でありますけれども、言われるわけであります。そういうふうにお考えをいただかずに、全局をごらんいただいて、決して水産を軽視しておるわけではないのでありますから、一つ了承を賜わりたいと思います。
  87. 受田新吉

    ○受田委員 これは決して軽視しているのではないと言うが、軽視しておるのです。はっきり申し上げておきます。  それから今の管理局長の御答弁で、次長はなるべくない方がいいのだということがありましたね。次長がない方がいいなら、いかなる外局の次長も一斉に整理する方針をおとりになる方がいいと思うのです。御注意しておきます。  あと一点で終で終わりますが、林野庁の職員の問題です。今角屋さんからも指摘をされたと思いますので、私は角屋さんの指摘されなかった点で、お答えだけを願っておきます。林野庁の職員というのは特殊のケースを持っており、林野庁の職員は、特に常勤的性格を有しない皆さんは、非常にお気の毒な立場に立っておると思うのです。林野庁が職員として規定してある種類が幾つもあるはずです。この幾つかの種類について、定員内の正規職員と常勤的作業員というもののほかにどういうものがあるか、御答弁願います。
  88. 吉村清英

    ○吉村政府委員 まず定員内の事務官、技官でございます。それから一般常用作業員、それから定期作業員、臨時月雇い作業員、それから日雇い作業員、これだけであります。
  89. 受田新吉

    ○受田委員 なかなか複雑なんですね。臨時月雇い作業員、臨時日雇い作業員というところまでいくと、なかなかめんどうなことになる。現実にこういう日雇いの臨時職員は、これは非常な数字に上っておる。しかも六カ月か九カ月だけ採用して、あとは失業保険をかけさせて失業手当を出しておるのですね。従って、林野庁に御協力し、農林省に御協力されているこの全国の国有林野に働かれる皆さんは、身分が安定しておりません。常勤的性格を有する職員のような退職手当制度とか、恩給、共済年金等がないですね。こういうところで、できれば空白の期間を一時帰休のような形にでもして、常動的性格を持つ臨時職員という取り扱いをしても決して不当の待遇ではない。不安定な身分に賢くよりも、常用的な性格を持つ臨時職員として切りかえをされて、その三カ月とか六カ月の失業手当をもらう期間を一時帰休の方式か何かにして、勤続の形式がとれるような御努力をされてみてはいかがです。
  90. 吉村清英

    ○吉村政府委員 御承知のように、山の仕事と申しますのは、非常に季節的な作業が多いものでございまして、一年を通じて一貫して一応の作業をやっているというようなことは、非常にまれなのでございます。従いまして、先ほども申し上げましたように、季節的な作業員を使うというようなことが非常に多くなっております。この作業から離れる期間、雇用から離れる期間を、帰休制度によって身分を安定したらどうかということでございますが、ただいまの制度といたしましては、先ほど仰せのように、失業保険によって保険を給付しておるのでございますが、この制度は、御承知のように社会保障制度でございまして、この作業員の勤務しない期間に賃金を支払うということは、やはり雇用のといいますか、賃金の支払いの考え方から申しましても、どうも私どもといたしましても、そのようにはなかなか考えられないように考えておる次第でございます。
  91. 受田新吉

    ○受田委員 これで終わります。私は今の御説明の中で、雇用という形がとれないとか、これは仕方がないのだという御答弁があったように思うのですが、一時帰休的に、休暇を与えるということにすれば、やや休暇が長期にわたっても、失業保険をもらってまた来年は季節的に来るのですから、大事な人なんだからそのほかの人が来るのじゃない、その人はそのことをあてに生活をしているのですから、一時帰休制度の長期休暇の形で勤続の形をとらして、一年常用の、一年雇用のような形にして、その待遇を考えてあげる。これは相当膨大な人数でありますけれども、そういう心組みを十分される必要がある。私はこの点を特に要望をしておいて、私の質問を終わります。
  92. 永山忠則

    永山委員長 これにて質疑は終了いたしました。     —————————————
  93. 永山忠則

    永山委員長 本案に対し、岡崎英城君外四名より修正案が提出されております。
  94. 永山忠則

    永山委員長 提出者より、修正案の趣旨の説明を求めます。岡崎英城君。
  95. 岡崎英城

    ○岡崎委員 ただいま議題となっております農林省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案について、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げますと、本法案は本年七月一日から、一部の改正規定は四月一日から施行することになっておりますが、これらの期日はすでに経過しておりますので、施行期日を十月一日と改めるものであります。  また、地方農林局の設置及びこれに関連する改正規定は、諸般の準備に要する期間を考慮して、原案では十月一日から施行することになっておりますが、この施行期日を十二月一日に繰り下げるものであります。  これらの修正に伴いまして、定員の経過措置などにつきましても、あわせて所要の修正を行なうものであります。  以上、はなはだ簡単でありますが、何とぞ御賛成をお願い申し上げます。     —————————————
  96. 永山忠則

    永山委員長 本修正案に対して御質疑はありませんか。——御質疑もないようでありますので、本案及び修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。有馬君。
  97. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております農林省設置法の一部を改正する法律案、並びにただいま御提案になりました修正案に対しまして、絶対反対の態度を表明いたしたいと存じます。  現在農林行政にとりまして緊要の課題は、いかにして農政方向を定め、農業を引き合う企業として他産業並みに引き上げるか、いかにして他産業との格差を是正するかということにあることは、論を待たないところであります。政府原案の農業基本法が通過して一年、農家は、この基本法がいかに空疎にして無意味なものであったかを身をもって体験しつつあるところであります。当時、日本社会党は、みずからの農業基本法を準備して、政府原案と並立して審議をわずらわしたところであります。そして基本法の中で、農業の発展の障害を取り除くのは国の政治の重大な責任であることを明らかにいたしました。農業と他産業との格差を是正するためには、予算、金融についてその確保を明文化し、土地利用と生産基盤の改良整備について、その方向を具体的にし、生産所得補償方式による農産物価格の安定をはかるとともに、流通機構の整備をはかるなど、総合的な施策を明示したのであります。わが党案は、あわせて肥料、農薬などの国営ないしは国家管理による需給の安定を企画し、共同化、機械化による近代的な今後の農政方向を明らかにするなど、抜本的にして、真に農業が企業として成り立ち得るための条件を整えることにその重点を置いたのであります。この日本社会党の農業基本法こそが、農家の真に希望するものであり、この方向でなければ、窮地に立たされた日本農業の活路が見出されないことは、きわめて当時明らかでありました。そのゆえにこそ、参議院において、自由民主党みずからが、重要農産物の価格政策あるいは農政審議会の委員の選考など、七項目にわたり附帯決議をつけざるを得なかった経緯によってみても明らかなところであります。現在政府がしなければならないことは、この通過した政府原案の農業基本法を克服して、真の農政を確立することであって、内容のない単なる機構いじりであってはならないはずであります。重政農林大臣農林省にこられて、重政農政の確立を企図しておられるその重点は、そこに置かれなければならないはずだと思うのであります。  第二の反対理由は、政府が法体系の秩序に関する態度において、混乱をきわめておることについてであります。  昨年、臨時行政調査会が設けられ、行政の運営並びに機構等の整備を三年間にわたり鋭意検討することになっております。その答申を待って、ただ農林省に限らず、名君にわたる行政機構のあり方を固めてからその整備にかかることこそが、本調査会を設けた立法の精神に沿うものであり、法秩序を重んずるゆえんかと思うのであります。にもかかわらず、その答申も待たずして本法律案を提案することは、法の精神を無視するものであり、ひいては、今次改正が場当たり的なもので、また近い機会改正を余儀なくされるであろうことは、明らかに予見されるところであります。このことは、昨昭和三十六年度に農林省設置法の一部改正が行なわれた事実に徴しても明らかであります。すなわち、昨年度、農業に関する試験研究の管理事務を農林水産技術会議に一元化し、農林水産業に関する基本的な計画調査を行なうための大臣官房の機能強化を目的とする改正が行なわれたばかりであります。それからまだ一年もたっていないのであります。このような、わずか一年でさえその展望を持ち得ないような場当たり的というか、イージーというか、めまぐるしいばかりの法改正案提出の行政府の態度に対しまして、これを是正することが私ども立法府の責任でもあると思うのであります。  第三の反対理由は、農政の重要なにない手である県や市町村その他地方自治団体、各種団体の意向、全然反映されていないということであります。農家の意向はもとより、農政の推進にあたって重要な役割を果たしているこれら団体の意向を無視した改革が、実情にそぐわない、浮いたものになるであろうことは、明らかに予見されておるところであります。  第四の反対理由は、今回の改正案自体がきわめて中途半端で、ただでさえ複雑な農林行政をさらに複雑なものにするおそれが十分にあることであります。本改正案農林行政を総合調整することにその眼目を置くとすれば、その眼目にそぐわないこと、はなはだしいものがあると言わなければなりません。私たちは、もとより今回の改正の中で、地方農林局の設置等については絶対に容認できないところでありますけれども、国有林野事業を担当する営林局署、食糧管理行政を担当する食糧事務所、水産庁の各出先機関をそのまにして、どこに総合調整の実があがると言えるでありましょうか。このことは、補助金行政についても端的に言えるのであります。今回、補助金に関する所掌事務を地方農林局に大部分移譲することになっておりますが、農林省所管の補助金が一時は二百数十項目にも上ったことがあります。せっかくの補助金が、その複雑さのゆえに、その額が少ないがゆえに、その流れる系統が多岐にわたっているがゆえに、補助金本来の持つ役割をいつか喪失している事実さえあるのであります。たとえば種苗対策費が一戸当たり五円というがごときは、浮世離れをしているもはなはだしいと言わなければなりません。今農林省がしなければならないことは、この補助金を地方農林局に机プランで移譲することではなくて、補助金本来の姿を再検討して、真に農家のための補助金にすることでなければなりません。現在の農林行政は、農林省の各出先機関及び各地方自治体によって推進されていることは言うまでもないところでありますが、ここに新たに地方農林局を設置するということは、本委員会審議を通じても明らかになりましたように、本省、局の事務分掌の重複、あるいはあいまいさ、そういったものによって屋上屋を重ねるだけで、二重行政、三重行政の弊をたちどころに惹起することは、これまた明らかであります。  第五の反対理由は、現在の機構を十分生かした上でのやむにをまれぬ発展を約束する改正ではないところにあります。たとえば、過去はもちろん、今後の農政に重要な役割を果たす試験研究機関の機能を十分に生かしていなかったことは、幾多の事例でも明らかなところであります。たとえば三十五年一月、四国農業試験場の職員は、国家公務員法八十六条に基づきまして、旅費の完全支給について人事院に対して行政措置の要求をいたしまして、六月、当時の入江総裁がその判定を下しております。旅費が所要額の三分の一あるいは五分の一くらいで、極端に不足している事実を認め、その不足を脱法行為にも近い内部規定で補っていることは、早急に是正すべきであり、農林省当局もこれを認めたのであります。この旅費、超勤の不足、設備の不備、人員の不足、図書費の不足、こういったことは、一場所にとどまらないで全般的なものであることは、まぎれもない事実であります。試験研究機関で、図書費が、専門の図書はおろか、月刊誌の購入にも事欠くような実情で、あるいは研究の結果を発表する会議出席する旅費も出ない実情の中で農政発展の契機をつかもうなどとは、まるで夢物語であります。現在の機構の機能を十分発揮させる、機能を発揮し得ない障害があれば、それを除去するというのが先決でなければならないはずであります。  第六の反対理由は、今回の地方農林局の設置場所が、地域農業の発展ということを考慮に入れた本来の要求から発したものではないことであります。もとより、日本農業がその持っておる地域、気象条件から、地域の特性に応じた農政方向が打ち立てられなければならないことは、古くよりいわれておることであります。ところが、今回の地方農林局の設置が、たまたま農地事務局がそれぞれの地域に七局あったからという、きわめて微弱な理由に基づくもので地域農業のあり方を検討した上での適正な場所の選定では決してなかったのであります。  最後に、これが反対理由の第七でありますけれども機構改革が無意味な、実情にそぐわない人員整理を約束するおそれが十二分にあるということであります。私たちは、過去幾たびか機構改革が無意味な人員整理を余儀なくさせ、農家の期待を裏切り、農政の後退を来たした事実を見てきているのであります。そのときは、人員整理など全然考えていないとしながら、時日がたつにつれて、剰員整理という名目で、ただでさえ不十分な定員をさらに削減するがごときことは、絶対に許せないのであります。  以上、反対理由の一部を申し上げましたけれども、真に農家のための農政の確立にはほど遠い、むしろ農政を後退させる今回の農林省設置法の一部改正案に、絶対反対の態度を表明いたしまして、特に日本農業の発展のために、与党の各位も、真に農家立場に立って将来の日本農政展望して、本法律案の再検討機会を持たれんことを強く要望いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
  98. 永山忠則

  99. 藤原節夫

    藤原(節)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま上程されております農林省設置法の一部を改正する法律案並びにただいま提出されました修正案に対しまして、賛成の意を表明せんとするものであります。  われわれは、時代に即応した新しい農政推進のために、さきの国会農業基本法を制定いたしました。農業基本法は、今後の日本農業のあるべき方向を示したものであり、この農業基本法に示された施策を遂行するためには、行政機構がこれに即応したものでなければならないことは申すまでもございません。今回の農林省設置法改正案は、その重点といたしまして、本省においては、新たに園芸局を設置するとともに、振興局を農政局に改変する。また、地方におきましては、地方農林局を設置して地域の実情に即した行政を行なうようにしようというものであります。まさに農業基本法の基本的な方向に即応した機構改革と申すことができます。農業構造改善事業を積極的に推進しようとする現在におきまして、まさに時宜を得た案であるということができると思うのであります。  この改正法案に対する反対論といたしましては、特に地方農林局において、それが地方自治の精神に反するものである、あるいは二重行政に属するものである等の批判があるのでありますが、地方農林局は、本来農林大臣の持っておる権限をその一部について移譲されるというものでありまして、都道府県知事に委任された権限に変更を加えようとするものではありません。従って、地方自治の精神に反するものではないし、また、二重行政の非難につきましては、これは行政運用の問題でありまして、必ずしも機構問題とは申すことができないと思います。従って、運用を適切に行なうことによりまして、十分この弊害は避けることができると考えられるのであります。このように、地方農林局に対してなされております批判は、当を得ないものと考えます。  ただ、これが実際の運用にあたりましては、十分注意を要する点があると思うのであります。すなわち、まず第一には、地方農林局が設置されるにあたりまして権限の移譲が十分に行なわれませんと、いわゆる二重行政の弊に陥る、行政が一そう複雑化するおそれがありますので、できる限り法令上、予算上の権限を大幅に移譲するということが大事な点であります。  第二といたしましては、地方農林局の設置の場所及びその管轄区域につきまして、現在の案としましては、農地事務局の設置場所及びその管轄区域を引き継いでおりますが、これは地域行政の推進という観点から今後十分に検討をし、これについで、必要があれば今後においてさらに改善を加えるということに努力する必要があろうと思います。  以上、要するにこの農林省設置法改正法案は、中央におきましては、選択的拡大に資するための園芸局を設置し、また機能別行政を総合化するための農政局を設置する。同時に、地方におきましては、地方農林局を設けまして、地域の実情に対応してきめのこまかい行政を展開しようとするのであります。いわゆる霞ケ関農政から地域農政への転換をはかろうという行政機構の改革であるということができると思うのであります。まことに時宜を得た案であると考えまして、賛成の意を表るる次第であります。(拍手)
  100. 永山忠則

    永山委員長 これにて討論は終了いたしました。  農林省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   「賛成者起立」
  101. 永山忠則

    永山委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いた原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   「賛成者起立」
  102. 永山忠則

    永山委員長 起立多数。よって、修正部分を除いては原案の通り可決いたしました。  これにて農林省設置法の一部を改正する法律案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  103. 永山忠則

    永山委員長 ただいま議題といたしました農林省設置法の一部を改正する法律案に対し、岡崎英城君より付帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者より本動議の趣旨の説明を求めます。岡崎英城君。
  104. 岡崎英城

    ○岡崎委員 まず、案文を朗読いたします。   農林省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法律の施行にあたっては、左記事項に留意するべきである。     記  一 地方農方農林局に対しては、できるだけ大幅に法律上及び予算上の権限を委譲して行政の能率化を図り、いやしくも二重行政の弊に陥らないよう措置すること。  二 地方農林局の位置及び管轄区域については、地域の実態に即して農林行政が合理的に推進されるよう今後十分検討の上改善を加えること。  右決議する  すなわち、第一点は、地方農林局の権限が小さくては行政が複雑化するにすぎないと思われますので、大ていの問題地方農林局限りで解決できるように、できるだけ大幅の権限移譲をすることが摘当であると思うのであります。  第二点は、地方農林局の位置と管轄区域が農地事務局と全く同じであるということは、地域農政の推進という新たな観点からの措置としては必ずしも最善のものであるとは思われませんので、これらにつきましては今後十分検討を加えて、改善する要があると存ずるのであります。  何とぞ御賛成をお願い申し上げます。
  105. 永山忠則

    永山委員長 本動議について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   「賛成者起立」
  106. 永山忠則

    永山委員長 起立多数。よって、本動議は可決いたしました。  なお、本案の委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 永山忠則

    永山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次会は公報を持ってお知らせいたすことし、本日はこれにて散会いたします。   午後一時二十七分散会      ————◇—————