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1962-08-21 第41回国会 衆議院 内閣委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十七年八月二十一日(火曜日) 午前十時五十三分
開議
出席委員
委員長
永山
忠則君
理事
伊能繁次郎
君
理事
岡崎
英城
君
理事
内藤
隆君
理事
宮澤
胤勇
君
理事
石橋
政嗣君
理事
石山 權作君 内海 安吉君 小笠
公韶君
島村
一郎
君 園田 直君 高橋 等君 辻 寛一君
中島
茂喜君 藤原 節夫君 前田 正男君
田口
誠治
君 西村
関一
君 受田 新吉君
出席国務大臣
国 務 大 臣
川島正次郎
君
出席政府委員
内閣法制局参与
官 (第二部長)
野木
新一君
人事院総裁職務
代行
神田
五雄
君
人事院事務官
(
給与局長
)
瀧本
忠男君
行政管理政務次
官 宇田
國榮
君
総理府事務官
(
行政管理庁行
政管理局長
)
山口
一夫君
委員外
の
出席者
内閣法制局事務
官 (
長官総務室主
幹) 眞田 秀夫君
内閣法制局参事
官
加藤
泰守
君
総理府事務官
(
行政管理庁行
政管理局審議
官) 松本 操一君
総理府事務官
(
行政管理庁行
政管理局管理
官) 北川 力夫君
総理府事務官
(
行政管理庁行
政監察局長
)
山口
酉君 専 門 員
加藤
重喜君 ――
―――――――――――
八月二十日
委員金子一平
君
辞任
につき、その
補欠
として内
藤隆
君が議長の指名で
委員
に選任された。 同月二十一日
理事草野一郎平
君同月七日
委員辞任
につき、そ の
補欠
として
内藤隆
君が
理事
に当選した。 ――
―――――――――――
八月十八日
観光事業
の
振興
に関する
請願
(
井出一太郎
君紹 介)(第五号) 同(
唐澤俊樹
君
紹介
)(第六四号) 同(
中島巖
君
紹介
)(第六五号) 同(
下平正一
君
紹介
)(第一二五号) 同(
羽田武嗣郎
君
紹介
)(第一二六号) 同(
松平忠久
君
紹介
)(第一九一号)
公務員
の賃金一律五千円
引上げ等
に関する
請願
外七十四件(
川上貫一
君
紹介
)(第一三三号) 同外七十三件(
谷口善太郎
君
紹介
)(第一三四 号) 同外七十三件(
志賀義雄
君
紹介
)(第一三五 号) 同(
川上貫一
君
紹介
)(第一六七号) 同(
志賀義雄
君
紹介
)(第一六八号) 同(
谷口善太郎
君
紹介
)(第一六九号) 旧金鵄(し)
勲章年金受給者
に関する
特別措置
法案
の
修正
に関する
請願
(
池田清志
君
紹介
)( 第一三六号)
国有林野事業職員
の
雇用安定等
に関する
請願
(
東海林稔
君
紹介
)(第一三七号) は本
委員会
に付託された。 ――
―――――――――――
八月十八日
暫定手当
の本俸繰入れに関する
陳情書
(第一号)
地方農林局
の
設置反対
に関する
陳情書
(第二号)
定員外職員
の
定員化促進
に関する
陳情書
(第三号)
観光事業振興対策確立
に関する
陳情書
(第 九三号)
暫定手当制度
の廃止に関する
陳情書
(第一五四号)
沖繩農民
に
営農資金貸付
に関する
陳情書
(第一五五号) は本
委員会
に参考送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件
理事
の
補欠選任
行政不服審査法案
(
内閣提出
、第四十回
国会閣
法第五八号)
行政不服審査法
の
施行
に伴う
関係法律
の
整理等
に関する
法律案
(
内閣提出
、第四十回
国会閣法
第一五一号)
公務員
の
給与
に関する件 ――――◇―――――
永山忠則
1
○
永山委員長
これより
会議
を開きます。 この際、
理事
の
補欠選任
を行ないます。 去る十四日の
委員会
におきまして、
委員長
において指名するように決しました
理事
の
補欠選任
に関し、残る欠員一名につきまして、
委員長
は
理事
に
内藤隆
君を指名いたします。 ――――◇―――――
永山忠則
2
○
永山委員長
公務員
の
給与
に関する件について
調査
を進めます。 去る十日の
人事院
の、
一般職
の
職員
の
給与
の
改定
に関する
勧告
につきまして、
人事院当局
より
説明
を聴取いたしたいと存じます。
人事院総裁職務代行神田五雄
君。
神田五雄
3
○
神田政府委員
私、
神田
でございます。どうぞ、よろしく。
人事院
は、八月十日
国会
及び
内閣
に対しまして、
一般職
の
国家公務員
の
給与
に関する
報告
及び
勧告
をいたしたのでございます。
国家公務員
の
給与
は、昨年の
勧告
の
実施
により
改善
を見たのでありますが、
他方
、
民間給与
、
生計費等公務員給与
の決定に
関係
のある諸条件にも
わが国経済
の
実情
が反映して、この一年間に
相当
な変化が生じて参ったのでございます。 すなわち、
民間給与
につきましては、本院が、例年のごとく、本年四月現在で、
全国
の
民間事業所
約六千、その
従業員
約二十七万人について
給与調査
を行ない、これを
公務員
の
実態調査
の結果と比較いたしました
ところ
、
民間
の
給与
が
公務員
のそれを九・三%上回っていることが明らかになったのでございます。 ことに
民間
の
初任給
は、昨年に比べ、おおむね一五%以上も上昇しており、また
賞与等
の
特別給
もかなりの
増加
を示している
実情
にあります。
他方
、
総理府統計局
の
調査
によりますと、本年四月までの一年間に、
東京
及び全
都市
の
消費者物価
は、いずれも七%台の騰貴を示しており、また同局の家計
調査
における一
世帯当たり平均
の
消費支出額
は、同じく本年四月までの一年間に、
東京
では七・五%、全
都市
では一三・一%の
増加
となっているのでございます。 また、これらの
事情
を反映いたしまして、本院が毎年算定いたしております
東京
における十八才
程度
の
独身男子
の
標準生計費
についても、本年四月においては、月額一万九百六十円と、昨年に比べ千百四十円の
増加
となっているのであります。 以上の諸
事情
を総合勘案いたしまして、かつまた、最近における
民間
の
給与改善
が
中位
以下の層において相対的に大きく、これに対しまして、公務にあってはこれらの層の
昇給率
が低下の傾向にある
事情
を特に考慮いたしまして、今回、次のような
勧告
を行なった次第であります。 すなわち、第一は、
初任給
と
中位等級
以下の
職員
に重点を置きまして、特に
行政職俸給表
(二)の
適用職員
に配意して
俸給額
の
改善
を行なうことといたしますとともに、主として
中位
以下の
職員
を対象として
俸給制度
の
合理化
をはかることとし、これらを
内容
として
俸給表
の
改定
を行ない、これに逐次切りかえることといたしたのでございます。 なお、本年四月に新設された
高等専門学校
の教
職員
に対しましては、これに準用するため、新たに特別の
俸給表
を設けることといたしました。 第二は、
民間
の
賞与
に
相当
する
特別給
は、現在
公務員
については年間三・四月分でございますが、これを
民間
に合わせて〇・三月分増額することといたしました。 また、その
支給日
、
支給方法等
についても
適正化
をはかり、
勤勉手当
の一部については、三月に支給するようにいたしますとともに、
支給日
前一月内に退職する
職員
にも支給し得る道を講ずることといたしました。 なお、
宿日直手当
については、
民間
の
実情
を考慮いたしまして、土曜日退庁町から引き続いて行なわれる
宿直勤務
に対し四百二十円以内の額を支給し得るようにいたしております。 以上、今回の
報告
及び
勧告
につきましてその概要を申し上げましたが、この
勧告
の
実施
時期については、この
勧告
の基礎となっております
官民給与
の格差が
昭和
三十七年四月を基準としておりますことから見まして、本年五月一日といたしている次第でございます。 従いまして、この
勧告
が
実施
される場合におきましては、
給与
法の
適用
を受ける
公務員
約四十七万人につきまして、
昭和
三十七
年度
内におおむね、
俸給表
の
改正
に対し約百六十七億円、
期末手当
、
勤勉手当等
の増額に対し約四十億円、両者を合わせまして約二百七億円の
経費
を要する見込みとなっているのであります。 何とぞ、
国会
におかれましては、この
報告
及び
勧告
を御
審議
下さいまして、すみやかに適切な
措置
をとられるよう切望する次第でございます。 ――――◇―――――
永山忠則
4
○
永山委員長
行政不服審査法案
及び
行政不服審査法
の
施行
に伴う
関係法律
の
整理等
に関する
法律案
の両案を
一括議題
として、
質疑
を継続いたします。
質疑
の申し出がありますので、これを許します。
田口誠治
君。
田口誠治
5
○
田口
(誠)
委員
先般の
質問
に引き続いて、若干
質問
を申し上げたいと思うわけです。 私
どもしろうと
がこの
法案
を拝見いたしましたときには、
明治
二十三年十月十日に
制定
された
訴願法
が今日まで
改正
されておらず、大きく進歩した
ところ
の
行政不服審査法案
であるという、おおまかなこの
法案
に対する
考え方
で、この
内容
を
しろうと
なりに
検討
してみたわけなんです。いろいろ
検討
してみますと、
問題点
がずいぶんあるわけなんです。 そこで、これは一番
最後
に申し上げる
質問
かもわかりませんけれ
ども
、この
法案
に
関係
する
訴願
の
手続
、また
異議
の申し立て、こういう脈につきましては、特に多く問題が出てくるというのは、
社会保障
に
関係
する
法案
が多いように私
ども
思うのです。それで、詳細に調べてはおりませんけれ
ども
、おそらく
社会保障関係
だけでも、いろいろこれに関連してくる面が三十余件くらいあると思うのです。そうなりますと、こういう
法案
ができた場合に、
国民
にこの
法案
を利用してもらわなくてはならないわけなんですが、現在の
地方
の
行政
の
実態
、また、国が
法律
を作って
国民
に
徹底
する今日までの
徹底方法
からいきますと、
法律
はできましても、ほんの一部の人がこの
法律
を運用するという
程度
にとどまるのではないか。従って、
行政管理庁
としては、こうした
法律
が
成立
いたしました場合には、各
地方
の
行政官庁
あるいは
国民
に対する
ところ
のいわゆる
PR
、
徹底
というものをどのようにされるかという点を、私
ども
は従来の
徹底方法
からいって大きく危惧をいたしておるわけです。そういう点について
一つ
の構想をお持ちになっておられると思いますので、これは
最後
にお聞きすることだろうと思いますけれ
ども
、途中でございますが、この点を伺っておきたいと思います。
川島正次郎
6
○
川島国務大臣
その点につきましては特に注意をいたしまして、この
法案
の中にも
教示制度
というものを設けまして、
処分
を
国民
に通達する場合に、再
審査
の
要求
ができる、その
要求
をする
上級官庁
はどこであるかということを特に明示して通達するという、これはこの
法案
としてはやはり
一つ
の特色のある条文を入れておるわけでございます。そういうふうに、この
法案
をなるべく
国民
に広く利用してもらおうという
考え
を持っておりますから、今
お話
しの点、いよいよこの
法案
が公布になった場合に
国民
にどうして
徹底
させるかということについては、具体的な
方法
を私まだ
考え
ておりませんけれ
ども
、まことにごもっともな御
意見
でありますから、
一つ
具体的に
PR
の
方法
を
考え
ることにいたします。
田口誠治
7
○
田口
(誠)
委員
従来の経過からいきますと、
官報
に出す。
官報
に出れば、
国民
は知っておらなければならないということになっておるので、そういう一面から、こうした
明治
以来
改正
されておらない
法律
の
改正法案
をせっかく
成立
せしめても、
国民
がそれを知らないということになりますといけないので、まだ今の
ところ
では
PR方法
はお
考え
になっておらないということでございますけれ
ども
、これは単なる、
行政官庁
へ通達を出すとか、あるいは
官報
で発表をするというような
程度
では、この
法律
はいけないんじゃないか。これは
報道機関
が特別にどういうようにしてもらえるものかわかりませんけれ
ども
、やはり
行政管理庁
として、そうした
報道関係
も協力をしてもらって、そして
国民
に十分に
徹底
をさせる
方法
を
考え
ていただかなくてはならないんじゃないか、こういうように
考え
ておるわけなんですが、
長官自身
としてはあまりそうしたこまかい面まで心を使っておられぬかもわかりませんけれ
ども
、
局長
さん以下官房の力で何かお
考え
になっておれば、
一つ
御発表いただきたいと思います。
山口一夫
8
○
山口政府委員
お話
の
通り
、この
法案
の
趣旨
の
徹底
につきましては、
国民全般
に対し、また特に
中央
、
地方
を通じまして
行政庁
の当事者に対しまして、十分に
一つ趣旨
を
徹底
させまして、
法案
の
成立
に資したいと思っております。
法律成立
の暁におきましては、とりあえず
全国
――
中央官庁
、
出先官庁
、
都道府県
並びに
都道府県
以下の
機関
を大体
ブロック別
に集めまして、
趣旨
の
徹底
をまずはかりたいと思います。
法律
の
説明
、並びに
法律
の
精神
について特に
徹底
をはかりたいと思います。それと並行いたしまして、
全国
にいろいろ
行政
上の苦情の相談を受けつける
機関
を設け、それらにつきましてもこの
趣旨
を
徹底
いたしまして、話があったときには、そういう
人たち
からも
PR
する、そういうことをとりあえず
考え
ております。なお、
政府刊行物
その他の各種のマスコミの
利用等
によりまして、できるだけの
趣旨
の
徹底
をはかりたい、かように
考え
ております。 なお、これに必要な
予算
につきましては、前
年度
計上していただいた
予算
を繰り越して使えることになっております。それをとりあえず今
年度
分として使いまして、
明年度
につきましては別途新
年度
の
予算
で計上いたしたい、かように
考え
ております。
田口誠治
9
○
田口
(誠)
委員
今初めてお聞きしたのですが、
国民年金
の
普及徹底
の場合には、
相当
の
予算
をとって
徹底
をされたわけです。それで、各
他方自治体
としても
相当
の
予算
が交付されたので、やはり
相当
の成果も上げておるわけなんですが、今の
予算
というのは、
国民年金
の
普及徹底
をするときのような
考え方
の上に立っての
予算
であって、額も
相当
あるのですか、どうなんですか。そういう点ちょっと詳細に……。
山口一夫
10
○
山口政府委員
法律
の
成立
を予定いたしまして、
法律成立
の場合の
PR
の
経費
といたしまして七十二万円ちょっと一応ございます。なお、今後の新
年度
以降の分につきましては、大蔵省と折衝いたしまして、別途そのほかに
必要経費
を計上する予定でございます。
田口誠治
11
○
田口
(誠)
委員
予算
という
お話
でございましたので、だいぶん額もあると思いましたけれ
ども
、それは
予算
といえば
予算
という
程度
の額でございますが、ただいま私の方から
質問
申し上げました
精神
に基いて、また、
長官
の方からも重要であるというお
考え
の
答弁
のありました
考え方
の上に立って、やはり
予算
も組んで、十分にこの
法案
は
徹底
してやる必要がある、こういうように
考え
ております。これ以上は
意見
になりますので申し上げませんが、そういう点も強くこの際要望しておきたいと思います。 それから、この
法案
は、
行政処分等
を受けた場合の
自余
の
救済
を受けるときの、またはかる
ところ
の
法案
でございますけれ
ども
、その前も、並行してこれは
検討
されたかどうかということをお伺いいたしたいことは、
処分
を受けた
自余
の
救済
ということも必要でございますけれ
ども
、
事前救済
という
意味
を持つ
方法
、手段というようなものも
相当
に
考え
られるわけなんです。それで、やはりこういう点については
一つ
の
行政手続
の
法律案
を
検討
されて、
事後
、
事前両方
から
救済
をはかれるような
方法
を
考え
ていく必要があると思うのですが、この前に対する
ところ
のいわゆる
行政手続法
というようなものの
制定
ということについてまでは、この
法案
を出す
審議
の過程においてはお
考え
にならなかったのかどうかということを、まずお伺いいたしたいと思います。
山口一夫
12
○
山口政府委員
お説の
通り
、この
法案
は、違法または不当な
処分
に対する
救済
でございますので、違法または不当な
処分
をしないことがむしろより以上に重要なことは、全く同感でございます。
行政
の組織、
行政
の作用並びに
事後
の
救済
、これら全体を通じまして
行政
の
運営
の
適正化
をはかるということが、
行政運営
上最も重要な問題であるということは、私も痛感をいたしております。この
法案
が
審議
されます途中におきまして、
訴願制度調査会
の席上におきましても、
お話
の
行政手続法
と申しますか、
行政運営
を規制する
法律
の
制定
をあわせて研究したらどうかという
お話
が少々出たように伺っておりますが、何分時間の制約がございまして、
調査会
といたしましては、とりあえず
不服審査法
の
審議
だけをして答申いただいたのであります。
お話
の
運営法
の問題は、実は
終戦
後再三問題になっております。
行政審議会
におきましても、その旨の法規を
制定
する必要があるというような答申が、すでに
終戦
後間もないころ出ております。また、
国会
におかれましても、
昭和
二十七年であったかと記憶いたしますが、
国家行政運営法案
の御
審議
がありまして、
成立
には至らなかったのでありますが、問題を
検討
されたように伺っております。このように
行政手続法
に対する法的の規制ということは、
わが国
におきましても、また同時に、
世界各国
における
一つ
の趨勢でもございますので、十分に
検討
いたして参らなければならぬ問題だと思っております。ただ、何分
行政
の
内容
が非常に複雑でございまして、これらを通則的に規制する
運営法
の
制定
ということになりますと、その
内容
がかなりきめにくい点があるのではないかと思うのであります。単に
行政執行
にあたる役人の心がまえあるいは訓示というようなもの以上に出る必要があります。また、複雑な各般の
行政
を全部おしなべて規制するということになりますと、その仕方もかなりむずかしい問題があります。いろいろ
法律制定
上の困難もあるかと思いますが、それにもかかわらず、おっしゃいましたように、この種の
法案
につきまして
検討
を進めて参ることは、ぜひとも必要であろう、かように
考え
ております。現在
臨時行政調査会
におきましても、この問題につきまして、
行政運営
の
一つ
の重要問題として
検討
を続けておられますが、それらの
結論等
を見まして、
政府
におきましても、将来は何らかの
措置
を講ずる必要があるのではないか、かように
考え
ております。 なお、
法制局
におかれましてもし補足されますようなことがございましたら、そちらから補足していただきたいと思います。
田口誠治
13
○
田口
(誠)
委員
ただいまの
質問
に対しての回答としては受け取れたわけでございますが、ただ、実際に私はやはり
事前救済
の必要を痛感いたしておりまするので、もし
法制局
でも
作業
が進んでおれば、この際承っておきたい。そして
最後
に、こちらから
意思表示
する必要があれば
意思表示
をいたしたい、こういうように
考え
ておりますので、
法制局
の方からも
一つ
御
答弁
をいただきたいと思います。
野木新一
14
○
野木政府委員
御
質問
のいわゆる
行政手続法
とでも総括して申しましょうか、そういう
法案
につきましては、この
訴願制度
の
調査会
をやっておる間におきましても、学者の先生からそういう
事前
の
手続
が必要じゃないかというような、非常に強い発言もありましたが、
訴願制度調査会
の
制質
上、
諮問事項
との
関係
もあって、そこまではいきませんでしたが、その間だいぶ
各国
の
資料
な
ども
収集いたしました。そして、私
ども法制局
といたしましては、非常に興味のある問題でありますし、また大切な問題でもありますから、引き続き、その
資料
などについては若干の研究は進めておりますが、何しろ
行政全般
にわたる大問題でありまして、
審査
を主とする
法制局
だけの手にはちょっと負えない形でありますので、それに着手するには、今言った
資料
などを研究して、またしかるべき
機関等
を設けてやらなければならないのじゃないかと存ずる次第であります。
田口誠治
15
○
田口
(誠)
委員
そこで、なお、関連してお聞きしておきたいと思いまするのは、この
法案
は
除外事項
がございますね。
ところ
が、
院外事項
の中には、
除外
してもらっては困るのだという
内容
のものがあるということについて、先般の
質問
のときに
質問
申し上げたわけなんですが、ああいう
個々
の問題を
法制局
としても
内容
を見られれば、当面全般的なものはできぬとしても、これとこれとは早急にこうしなければならないというような点がお気づきになっておると思うのです。そういう
ところ
の
作業
に全然かかっておられないのか、お聞きしておきたいと思います。
野木新一
16
○
野木政府委員
御
質問
の
趣旨
は、
行政手続関係
でございましょうか、それとも
不服申し立て
の制限の
関係
でございましょうか。
田口誠治
17
○
田口
(誠)
委員
先ほどの
答弁
には、
行政全般
にわたっておって、なかなか膨大なものであるから、その方面に気を使って
検討
はしておるけれ
ども
、なかなかこれを
法案
にして出すまでには容易なことではないという
意味
の御
答弁
があったわけなんです。そこで、私は、
行政面全般
のものをここで一まとめにして出すということになれば
相当
日時を要するだろうと思いますが、先日の
質問
にも申しましたように、今度の
法案
が、
明治
二十三年十月の
訴願事項
は六項目に限定されておるけれ
ども
、ずっと幅が広まっておるわけなんです。そうしてその中で、これとこれとこれは
適用
しないという
除外条項
があるわけなんですね。その
除外
されておるものに対して、やはり私は、その
除外
から
除外
をしてもらう必要があるのじゃないかという
質問
をこの間もしたわけですが、そういう必要のあるものに対してはピック・アップして、これはやはり
検討
をされる必要があると思いまするし、また、これは今度の
国会
で
修正
までできなくとも、次の
国会
にはなお
検討
をして、そうして
除外条項
の
内容
の中で必要なものに対しては、なお
除外条項
からはずすという法の
改正
を今後出してもらうことが必要でないかというように
考え
ての
質問
なんです。ちょっと
質問ぶり
が回りくどいので、わかるかどうかわかりませんけれ
ども
……。
野木新一
18
○
野木政府委員
この
行政不服審査法案
におきまして、第四条において十一ほどの
除外条項
を設け、それからそれ以外にこの
行政不服審査法
の
施行
に伴う
関係法律
の
整理等
に関する
法律案
で、
個々
の
法律
において若干の
除外条項
を設けております。その
除外条項
を設けてある
趣旨
はいろいろありますが、この
不服審査法本法
の方で設けておる
除外条項
につきましては、この前の
補足説明
の際に
山口局長
から
説明
があったと存じますが、
手続自体
が非常に慎重な
手続
で、
処分自体
が
事前
に非常に慎重な
手続
で行なわれておりますので、重ねてそれに
不服申し立て
してみても、あまり実益がないじゃないかというような
処分
が
一つ
。それからその
処分
の性質上、その
性格
から
考え
てみまして、この
行政不服審査法
というような
手続
によらしめるのが必ずしも
相当
ではなくて、むしろ、その
処分自体
の
性格
に即したそれぞれの
手続
を認めた方がよいのではないかといったようなものがあります。それはたとえば刑務所などの
処分
とか、人の学識、技能に関する
試験検定
の結果についての
処分
とか、
外国人
の
出入国
に関する
処分
とか、こういうものであります。たとえば
外国人
の
出入国
に関する
処分
は
適用
除外
しておりますが、
出入国管理令等
におきまして、非常に詳細な
手続
ができておりまして、それで十分まかなえることになっております。 それから他の
法律
で
除外事項
としておりまするのは、たとえば
土地調整委員会
、ああいうような
行政委員会
でした
処分
でありまして、これはその
処分自体
が、いわゆる先ほど申し上げました
行政手続法
ですか、
アメリカ式
の
行政手続法
というようなものにのっとった、非常に丁重な
事前手続
を踏んでなした
処分
が多いのでございますが、そういう
処分
は重ねてまた
異議申し立て
とか、そのまま
上級庁
に行くというよりも、裁判所に直接行く方がよいのではないかといったような
趣旨
からいたしまして、この
手続
には乗せず、むしろそちらの方の
手続
に乗せた、そういうようなものがあります。 それから第三に、
本法
に載っておりますのは、
緊急事態
に対処するための
処分
というものがあります。それは
緊急事態
の
処分
でありますから、これはその
処分
をやる上につきまして、一々不服の申し立て、この
手続
のような非常に丁重な煩瑣な
手続
を設けておりましては、なかなか
緊急事態
の
処分
は十分いきかねるのではないか。そういった点から
除外
しておるのでありまして、これでももちろん違法であるような場合におきましては、裁判所に行きまして、また不当であるような場合には、それぞれ別に、この
手続
でありませんが、普通の
請願
とか陳情とか、そういうような道も開かれておるわけであります。ただ、この
手続
は、
相当
丁重な一種の
手続
になっておりますので、緊急
処分
のような場合においては、必ずしもこの
手続
によらしめるのは適切でない。もし将来必要ならば、何かもっと簡易な
手続
を設けるということは別に差しつかえない。そのことは、この
本法
におきましてもうたっておりまして、四条二項で「前項ただし書の規定は、同項ただし書の規定により
審査
請求又は
異議
申立てをすることができない
処分
につき、別に法令で当該
処分
の性質に応じた不服申立ての制度を設けることを妨げない。」そういうようなことでありますから、そういうものにつきましては、また別途
個々
に研究いたしまして、それにふさわしい
不服申し立て
が必要ならばこれを設ける、そういうような立場になっておるわけであります。そうしてその点については、将来
個々
のものについてなお
検討
を進めていくということはもちろんでございます。
田口誠治
19
○
田口
(誠)
委員
それでは次へいきます。
訴願制度調査会
答申案の二十六ページ、項目で言うと7という
ところ
をごらんいただきたいと思うのです。それからこの
行政不服審査法案
の二十五ページ、項目で言うと6という
ところ
をごらんいただきたいと思うのです。それで私は、こういう
異議
の申し立てとか執行停止の申し立てをするというような、
国民
の
救済
に大きな影響のある
法案
は、いずれにいたしましても、日時を限定するということは非常に大事じゃないか、こういうふうにふだん
考え
ておるわけです。
ところ
が、この
訴願制度調査会
の答申案では、執行停止の申し立て等に対して、これを認めるかどうかというようなことを決定する場合には十日以内ということがやはり必要でないかというように答申されておるわけです。
ところ
が、この
法案
の三十四条の六項でいきますると、「
審査
庁は、すみやかに、」という表現をいたしております。それで十日より、すみやかにということは、早いと言えば早いわけですけれ
ども
、期限というものがなかったら、すみやかにということは、十日を超過しても、二十日たっても、場合によっては言いのがれができるわけです。従って、こういう
救済
をする
法案
というものは、もうがっちりとその
内容
を規定しておいていただかないと、実際に執行する面に入りますと、これはずるになるわけです。こういうような点から
考え
まして、私は、十日以内がいいんじゃないかという答申に対して、あえてすみやかにというように
内容
を変えておられる点は、どういうような
意味
から変えられたのかということがお聞きしたいのと、それから法文で言う
ところ
のすみやかにというこの概念は、これはおよそ幾日くらいをすみやかにというように言われておるのか、これもやはり専門的な面から明確にしておいていただきたいと思うのです。
野木新一
20
○
野木政府委員
御指摘の答申に刷られました要綱案の第25の7におきましては、「十日以内に当該
処分
の執行停止をするかどうかを決定し、」とございます。この案におきましては、すみやかにと面したわけでありますが、これにつきましては、いろいろ議論してみましたが、十日といたしますと、この執行停止ということは、この
法案
の三十四条にもございますように、ことに四項を見ますと、「回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があると認めるときは、
審査
庁は、執行停止をしなければならない。ただし、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、
処分
の執行若しくは
手続
の続行ができなくなるおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、この限りでない。」こういう、
相当
実態
と申しましょうか、複雑な事態をも一応判断に入れて、執行を停止するかどうかということを決定しなければならない場合もありますので、十日といたしますると、どうもそこがはたしてうまくいくか、十日も執行停止ができないとか、もう執行停止はやめようというようなことになってもいけませんし、また、一律に十日としますと、この前もちょっと議論がありましたように、簡単なものでも十日までいいじゃないかといったようなことになってもいけませんので、いろいろ議論がありましたが、やはり十日と一律に切るよりも、すみやかにというふうにいたしまして、その具体的
事情
に即した方がよくはないか、そういうような
考え
で、答申の要綱案には十日とありますが、すみやかにといたしたわけであります。ただ、すみやかにというと、十日とか五日とかいったのに比べまして、ばく然とすることは御指摘のようであります。すなわち、すみやかにということは、一種の価値的な概念でありまして、何と言いますか、公の秩序、善良な風俗といった用語に多少似たようなばく然とした点が出てきますが、やはり具体的場合々々に即して
考え
るのでありまして、たとえばすみやかには、むずかしい事件におきましては、やはりそのむずかしい事件を処理するという見地から見て、すみやかにという点が、十日より長いということになる場合もあろうし、簡単な事件の場合には、もっと短期間にということにもなるわけでありまして、一律にすみやかにとしたために、これは幾日以内ということは、やはり画一的には申せないと存ずる次第であります。ただ、具体的
事情
に即して
考え
る、やはりそういうことになるだろうと思います。
田口誠治
21
○
田口
(誠)
委員
そうしますると、この
法案
の三十四条をおつくりになった思想の流れは、六項に「すみやかに、」という表現はしてありますけれ
ども
、答申案要綱にある「十日」というような日にちの限定ではなかなかむずかしい面があり、それで、なお日にちがかかってもやれるようにするというのが、この
考え方
に流れる思想であって、早く
救済
の結論を出してやるのだという思想の上に立っての
法案
のつくり方でないように受け取れるのですが、その辺の
ところ
はどうなんですか。それは四項の
関係
を
考え
てみまして、むずかしいものもございまするし、まあ、十日間という余裕があれば、これは結論が出るのではないか。十日も
検討
しておって結論の出ないというものは、これはその間政治的な面とかいろいろな面が介入してきて、結論が出しにくいというようなものでなければ、結論は出ると思うのです。私は、当然原則的には、十日という原則は打ち出しておいて、そうしてもしこういうような場合はこういうこともあり得るのだというような打ち出し方が、やはり
国民
の
行政
罰の不服を
救済
するには法の建前として当然でないか、こういうふうに
考え
ておるのですが、今の御
答弁
でいきますると、どうもその思想が、私
ども
の
考え
ておる
考え方
と大きな開きがあるのですが、そういう点、
一つ
明確にして下さい。
野木新一
22
○
野木政府委員
救済
はできるだけ早くするという建前でこの
法律案
はできておるということは、やはり言わなければならないと存ずる次第であります。ただ、この執行停止の点におきましては、十日といたしますと、たとえば執行停止をするのは
処分
庁の上級
行政庁
である場合もあるし、それ以外の
審査
庁である場合もあって、そういうようなことを
考え
ますと、一律に十日で切ってしまうのはどうもあまり確信が持てない。決して十日をはずしたのがゆっくりしていていいという
趣旨
ではございませんが、やはり具体的妥当を期するためには、すみやかにといった抽象的概念にした方が具体的妥当を期せるのではないか。十日と規定いたしますと、
処分
庁の上級
行政庁
以外の
審査
庁の場合とか、あるいは先ほど言った、こういう判断がむずかしいという場合もあるので、どうもやり切れない場合があるといったような議論が強かったので、結局こうなったのでありまして、決して、のんべんだらりでいいという
趣旨
でやっておるわけでは毛頭ございません。
田口誠治
23
○
田口
(誠)
委員
この
法案
は
明治
以来の
改正
ですから、画期的な
法案
であるという
考え方
から、私はそういう点も突っ込んでお聞きしておるのですが、この
訴願制度調査会
のメンバーは、これは直接事件に
関係
をしておられる弁護士の方とか、その他大学の専門の教授とか、そういう方々が十分に
検討
をされて、十日以内というこの期限をつけられておるのですから、これは
法案
をつくられる立法府としては、そこまでの
考え方
というのは――大体官庁の仕事というものが、いずれにいたしましてもいろいろと複雑多岐にわたっておって、何ごともスロー・モーションであるということ、こういうことが頭の中に入っておって、専門家が十日で十分にできるんだと言っておっても、なおこれは十日にはできない面があるから、すみやかに――どう見ましても、私は、十日よりすみやかにという方が早いようにとるのですけれ
ども
、十日以上になるものが多いというような
考え方
に立って、十日という期限が切れなかったということは、どうも従来の官庁の事務処理の複雑化、スロー・モーションの
実態
からあなた方がお
考え
になって、この
法案
に盛られておるんじゃないかと思うのですが、そういう点はどうなんですか。弁護士さんにしても、大学の教授にしても、直接事件を取り扱っておられる専門家が答申をされたのであるから、これを変えるということになると、それはやはりそれ
相当
の理由がなければならぬと思うのです。ただいまの御
答弁
の範囲内の理由では私はちょっと納得できないと思うのですが、もう少し詳細に明確に御
答弁
をいただきたいと思います。
野木新一
24
○
野木政府委員
まことに有力な方々が集まった
調査会
の答申でありまして、ことに参考案のみならず、答申自体にも「十日以内」と書いてありますので、これは私
ども
といたしましても十分尊重しなければならない立場であるわけでありますが、実はこの答申を得ましてから答申を各行にずっと回しまして、各省の
意見
もいろいろ聞きまして、これは
行政管理庁
当局にも――私
ども
側面からタッチしたわけでありますが、聞きました
ところ
、十日では現状におきましてはむしろ執行停止ということはむずかしくなってきはせぬか、
実態
的にも具体的妥当を期するためには、十日と縛るよりも、やはりすみやかにとしておいた方が、むしろこの制度を活用するゆえんではないかという議論が非常に強くありまして、私
ども
といたしましては、そういう
行政庁
側の
実情
論を参酌いたしまして、この際は、答申には「十日」とあって、これを変えるのは私
ども
としてはなかなか忍びがたい点がありますが、この
法案
を
成立
させるという上におきまして、また
実態
的妥当を期するという
意味
におきまして、この案におきましては、「十日」ということを「すみやかに」というように、少し具体的妥当性を期せられるような文字に変えたわけでありまして、将来これでうまくなければまた十分
検討
するという立場に立って、一応この案はこういたしたわけでございます。
田口誠治
25
○
田口
(誠)
委員
実務をしている
関係
省の
意見
を聞かれて結論を出される、そのやり方については、私はいいと思いますけれ
ども
、回覧的に、また文書で問答を求めて、こうがいいのだということでそれで必ずしもいいか悪いかということは、今行管の方で、おそらく官庁の業務の民主化を含めたいろいろな簡素化というようなことも
検討
されているのですから、
意見
は
意見
として聴取されてもいいけれ
ども
、実際においてそうであるのかどうかというようなことも、十分
検討
されたのかどうかということと、それから
長官
の方にも、これは重要な点ですから、今後いろいろ配慮していただかなければならない点も、この中には要素が多く入っておりますから、お聞きしたいのですが、実務をされておられる各省の
意見
を聞いて、それを集約した最大公約数が「すみやかに」ということになったということでございますけれ
ども
、私は、従来の官庁の機構の
実態
からいっても、それから
手続
の
実態
からいっても、
国民
から見れば、非常に不満だらけであるわけでございます。従って、こういう点もあわせて
改正
をしていかなくてはならないのではないか、こういう点も十分に考慮されてあるのかどうかということをここでやはりはっきりしていただいておかなければ、ただ
答弁
として、今後必要があれば
内容
の
改正
もしたいし、また考慮もする
考え
であるというような
答弁
があっても、これは
答弁
のための
答弁
ということにもなりかねないわけですから、私はこの点は非常に重要な点であると思いますので、やはり長一宿の御
答弁
もいただき、なお
法制局
の方の御
答弁
も、具体的に将来の問題も含めて承っておきたいと思うのです。
川島正次郎
26
○
川島国務大臣
現在の
行政運営
の一番の欠陥は、ものが迅速に運はない、非能率ということでありまして、私は
行政管理庁
長官
になりまして以来、特にこの点に注意をいたしまして、
行政
の能率化、民主化についていろいろ
考え
ており、また手も打っているわけであります。
田口
さんの御
趣旨
のことは私もよくわかります。わかりますが、この
法案
をつくったいきさつは全く知らない。ただいま
政府
委員
、
田口
さんの
質疑
応答を聞いて初めて知ったのでありますが、おそらく
最後
にこの
法案
を
政府
でつくります際に、各
関係
官庁が集まっていろいろ具体的の事実を持ち寄って
検討
した結果、十日では処理できないということが
相当
あったのではないか、なるべくすみやかにやりたいけれ
ども
、ある特殊のものについては十日ではできないといういろいろな具体的な事例が出まして、そこで抽象的でありますが、「すみやかに」こういうふうに法文になったのではないかというふうに私は
考え
ておりますが、この「すみやかに」という文句の使い方でありますが、これは答申の
趣旨
に沿いまして、ほんとうにすみやかにやる、十日以内にやるというふうにこれから
行政
指導をして、
田口
さんの御心配をなくなすようにしたい、こう私は
考え
ております。今
法案
をすぐ直すというよりも、そういうことは
行政
上できないのじゃないか、これだけは私からはっきり御
答弁
申し上げておきます。
山口一夫
27
○
山口政府委員
一言つけ加えさせていただきますが、実は私
ども
といたしましては、ぜひ十日以内ということで各省を納得させたいというつもりで強力に主張しておりました。しかし、各省は具体的の事例をいろいろ上げて、この
趣旨
をほんとうに生かすためには、できるだけ強行停止の可能なものはするようにした方がいいのではないか、十日と切られてしまったら、
審議
が十分できないうちに十日の期限が来れば断わるしかないということで、かえってこれは
趣旨
が生きないじゃないかというような議論が
相当
強くございまして、そういう具体的事例をあげての議論につきましては、私
ども
も傾聴しなければなりませんので、それを尊重したわけでございますが、ただ、これは
調査会
で答申がございますので、実は
調査会
の答申の十日の議論というのは、実はそうつめた
検討
はされたわけではございませんけれ
ども
、一応ともかく
政府
に対してどうだという批判を出しましたので、そのことにつきまして
調査会
の会長並びに小
委員
になりました有力な
委員
の方々に、さらにこの点をその後申し上げまして御
説明
申し上げました
ところ
、それは十日ということよりも それではすみやかにということに変える方がよかろうというふうな御
意見
がございましたので、私
ども
といたしましてもそのような
措置
をとったわけでございます。ただ、これは、
調査会
は期限が切れて消滅しておりましたので、事実上
委員
であった方々に申し上げて御了解を得ただけでございまして、正式のものと申しますか、
法律
的なものではございませんけれ
ども
、実質的にはそういう
事情
については十分御了解を得る手段をとっております。
田口誠治
28
○
田口
(誠)
委員
ただいまの御
答弁
のお
考え方
でいけば、私は了解できる面もあるわけなんです。なるべく問題によっては日にちをかけても、多くの人を
救済
したいという
考え方
で、十日という期限を切るということが、これはかえって不利であるという
考え方
から、「すみやかに」ということに法の建前をされたということになれば、これは了解できると思いまするが、それにいたしましても、私は、やはり原則的なものは、日にちをぽんと切って、そしてその他こういうものについてはこうだいう、そういう法の建前をとることが、ただいまの御回答の
意味
も、私から申し上げておる
意味
も、両方やはり生かしていくということになろうと思うので、これはこれ以上は
意見
になりまするので、申し上げることを避けます。 まだ受田
委員
が御
質問
があるようでございますので、私も
質問
半分でございますけれ
ども
、一応私の
質問
は打ち切ります。
永山忠則
29
○
永山委員長
受田新吉君。
受田新吉
30
○受田
委員
川島
行政管理庁
長官
が外国へ御出張される前であるというので、あなたはぜひ自分が手がけたこの
法案
を実を結ばせたいという御熱意のほどを伺っておりますので、御出発前に大臣に一言お答えを願っておきたいと思います。 私は、この
法案
については、原則として、すでに前
国会
でこの
法案
が当
委員会
にかけられたときから賛意を表しておったおけでありますが、問題は、この
法案
の持っている意義、
明治
二十三年以来すでに七十年以上の歴史を持っている
訴願法
が、今日までなぜ
改正
をされるに至らなかったか、いろいろな途中の動きはあったようでございますが、とくにかく今日まで
訴願法
というこの
法律
が、古典的な古色蒼然たる旧
法律
文章をもって、しかも帝国議会ができる前の
法律
として残ってきたということですね。これはなかなかおもしろい持ち味があると思うのですが、あまり掘り下げた御
答弁
でなくていいですが、あなたは、この
訴願法
が、非常に長期間にわたって日本歴史の上に厳として
国民
の権利義務を擁護するために存在しておった、正式裁判でなくして、こうした
行政
救済
の
一つ
の道が、長期にわたって形態が同じに残ってきた理由は、どこにあるとお
考え
でございましょうか。
川島正次郎
31
○
川島国務大臣
この
訴願法
によりまして一体年間どのくらい
訴願
が出ているか、税
関係
まで加えますと、大体年間十万件
程度
訴願
が出て処理されているわけであります。従って、古色蒼然たる
法律
でありますけれ
ども
、
相当
国民
の権利擁護のためには役立っているのだと思うのです。戦前にも一回これを
改正
する議が起こったそうでありますけれ
ども
、結局
成立
しなかったことは、やはり何といっても、現在の官庁の機構、あまり
国民
の権利擁護に熱心でなかったということが、
一つ
の原因ではないかと思うのであります。いいかえれば、この
改正
には官僚が抵抗したということであると思うのですが、戦後は新憲法になりまして、全く
行政
の様相が変わりまして、各方面とも賛成して本案の提案にまでこぎつけたわけであります。 そこで、第一条に書いてあるのですが、この
行政不服審査法
の目的とする
ところ
は、簡易迅速な
手続
によりと書きまして、まず第一に「
国民
の権利利益の
救済
を図るとともに、
行政
の適正な
運営
を確保する」こう書いてありまして、
国民
の権利、利益を
救済
することが主たる目的であります。
ところ
が、戦前の
訴願法
によりますと、これは従たる目的であって、
行政
の適正な
運営
をはかることを主たる目的として
訴願法
ができている。そういう
ところ
にこの
法律
の根本の
精神
の違いがあるわけであります。そういうことだと思って、今日まで二十三年以来改訂しなかったのでありますけれ
ども
、幸いに今回は提案の運びになりまして、皆さんに御
審議
を願っておるわけであります。
受田新吉
32
○受田
委員
この
法律
の主目的は、究極する
ところ
は、
国民
の権利、利益の
救済
と
行政
の適正な
運営
の確保ですね。ここにねらいがある。
ところ
が、現実に
行政庁
は、この
訴願
でも
行政
訴訟でも同じことでありますけれ
ども
、
行政
事務がはなはだ弛緩しているのです。これは、
行政管理庁
長官
としての、最近におけるあなたの党内における最も有力な実力者としての御努力が、漸次実を結びつつありますけれ
ども
、このような
法律
の
改正
をしたとしても、
行政
の
運営
が、この文句に書いてある「適正な
運営
を確保する」というそのこと自身は、
法律
の
改正
だけでできるものではないのです。実際に官庁が真剣にこれと取っ組むならば、今までだって、たとえば恩給法、援護法、その他のいろいろな
社会保障
的
関係
の
手続
などでも、提出をした書類についてもっと早く結論が出て裁決されなければならない。特に年令的に老齢に達している
人たち
は、こういういろいろな
手続
上の問題で、ついにその恩典に浴することなく、この世から去っていく人がたくさんあるわけです。
行政庁
がすみやかに申請とともに真剣に取っ組んでくれたならば、その人が生存中に幾つかの恩典に浴したであろうものを、ついにその人は墓場でもこれを見ることができないという人さえも出ているのです。
行政
そのものは
行政庁
の心がまえにあると私は思うのです。大臣、いかがです。
川島正次郎
33
○
川島国務大臣
行政
の適正な
運営
を確保する方策はいろいろあると思うのであります。そこで私は、先般御協賛を得ましてできた
臨時行政調査会
に対しまして、
行政
機構の改革と
行政運営
の
改善
と、この両方面から
検討
を願っておるわけでありまして、この
行政不服審査法
も
行政
の適正な
運営
の
方法
の
一つ
だと思うのです。これだけでもって
行政
の
運営
が適正にできるとは
考え
ておりません。
考え
ておりませんが、たしか一進歩だとは
考え
ております。なお今後とも
行政
の適正な
運営
につきましてはできるだけ努力しまして、あらゆる手を打ちたい、これは私が
行政管理庁
長官
になりまして以来の念願であります。ただいままでもいろいろ監査その他でやっておりますが、今後とも十分にそれはやっていきたい、こう
考え
ております。
受田新吉
34
○受田
委員
私があなたに御期待申し上げているのは、これほど熱心に
行政
機構の改革と
行政運営
の適正、機構と人間の両方ぴったりして
国民
の期待にこたえようとしておる熱意には、敬意を表しております。私たちがかつて
法律
を学んだ当時、この
訴願法
というものの取り扱いについて、
行政
訴訟とともにこれは大へん興味を感じて勉強した問題です。しかも、今、おおむね私
ども
のよわいよりも古い人々は、これに郷愁を感じている面が
一つ
あると思う、しかしながら、もう時代は急転して民主化時代になってきておるときに、今これに列挙された
改善
の要項などを見ると、確かにわれわれとしては、これは整理統合してすっきりしたものにしたいという新時代の要請も手伝ってきております。 そこで、私伺いたいのは、結論はまたあとから伺いますが、さしあたり、今度
改正
されようとした、
調査会
の答申などに基づいてやられようとしたその中に、もう
国民
の権利、利益
関係
の
救済
や
運営
の適正の方に重点が置かれて、
行政庁
の側には得る
ところ
がないのか、
行政庁
の側でも得る
ところ
があるかどうかです。いかがでしょう。
山口一夫
35
○
山口政府委員
さしあたり
行政庁
といたしましては、教示の規定に基づきましては教示をしなければならない。また、各種の拡大されましたいろいろな申し立て事項によりまして、一応不服の申し出が従来よりは出やすくなった
関係
上、いろいろ出てくると思います。こういう
関係
がございますので、さしあたり事務的にはある
程度
の負担がかかってくることは覚悟いたしております。しかし、これは、この
法律
の
精神
である
国民
の権利、利益の
救済
という大目的のための仕事でございまして、当然その期待にはこたえるように努力して参りたい、かように
考え
ております。
受田新吉
36
○受田
委員
事務的にかえって複雑になるとか
経費
もかかるとかいう
ところ
で、サービスの方が多くなって、別に得る
ところ
はあまりないという結論ですか。
山口一夫
37
○
山口政府委員
得る
ところ
というのは、結局
行政
が適正に行なわれ、また
国民
の権利、利益が拡大するということは、
行政
がよりよく行なわれることになりますので、その面におきましては非常な進歩がある。そういう
意味
の得る
ところ
と申しますか、そういう
意味
の効果は十分に期待できると思います。
受田新吉
38
○受田
委員
非常に
国民
全体の奉仕者としてのお立場の御発言で、
長官
、こういう部下をお持ちになったことを喜んで下さい。私は、ここで問題は、つまり、この
法律
が通ると、どんどん申し立てが出る、
異議
の申し立てにしてもどんどん出てくる、
異議
の申請も出てくる、不服の申し立ても出てくる、こういうことになってくると、仕事がますます複雑になる、そういうことであるが、
国民
の権利が擁護され、
行政
の
運営
が適正になる、それが得る
ところ
だ、この
考え
は大いに私は賞揚してあげます。ほめてあげます。その
考え方
で
行政
の
運営
に当たっていくことによって、
国民
に喜ばれるわけなんです。その心がまえを特に賞賛申し上げて、私の
質問
の次に移ります。 私はここで指摘したいことは、作為、不作為の
関係
です。不作為に対するこの不服の申し立て、これはなかなか妙味のあることなんです。当然なすべき行為をしなくて
国民
に迷惑をかけたときに、その不作為に対する不服の申し立てを認めておる。書類を出した、いろいろな口実かまたはなまけておって、それに手をかけてくれなかった、そのために、生きている間についにその恩典に浴することができなかった、これは
社会保障関係
でなくて、そのほか許可、認可等の事項でもけっこうです。とにかく非常に言を左右にして、まだまだといううちに日時を費やしてきたという場合ですね、こういう場合が入ってきておるわけです。そういう場合に、不服の申し立てをする申し立てに期限がありますか。不作為の不服の申し立て。
山口一夫
39
○
山口政府委員
不作為は、
相当
の期間のうちに何らかの行為をしない場合という、抽象的な……。
受田新吉
40
○受田
委員
そうそう、はっきり期間がなかったですね。
相当
ということが書いてある。さっき議論になったでしょう。どうですか。これは
相当
といえば、十日ということも出ておるし、二十日ということも出るんですね。一体
政府
はどちらをとっておられますか、
相当
ということは。
野木新一
41
○
野木政府委員
本案の第二条第二項に不作為の定義がありまして、「
行政庁
が法令に基づく申請に対し、
相当
の期間内になんらかの
処分
その他公権力の行使に当たる行為をすべきにかかわらず、これをしないことをいう。」こういう定義がございまして、ここから出発するわけでございます。
相当
の期間内というのを、たとえば十日以内とか二十日以内とか一月以内とかに切ったらどうかという議論も一応は
考え
られると存じますが、ここでそういたしませんでしたのは、
処分
その他の公権力の行使というものは千差万別でありまして、いろいろの事態があります。従って、一律にそういうように切るということは、やはり
行政
の
実態
に即して
考え
ますと、非常に困難であります。従いまして、
相当
の期間と申しますと、一種の価値的概念でございますから、多少ばく然としているのではないかといえばそうでございましょうが、やはりこれは客観的に見て、通常の人が
相当
の期間と認められる、そういう場合に従って
処分
をしたということにとらえておるわけでありますから、おのずから、そこに
相当
の期間ということは、その
処分
々々によって判例的に積み重ねられてできていくと存ずる次第でございます。
受田新吉
42
○受田
委員
はなはだばく然としているのです。これが問題ですね。
相当
の期間はおのおのの認識によって違うということになると、これは問題です。そうすると、
相当
の期間というのは、本人は十日か二十日か、おのおののいろいろな
考え方
があるでしょう。その間に何らの
措置
がない。そこでまた申し立てる、次々に申し立てができるものかどうか。そうなると何回でもできるものかどうか。
野木新一
43
○
野木政府委員
ある時点におきまして、
相当
の期間と認めて申請した。
ところ
が、それが結局上の
審査
庁におきまして、
相当
の期間たっていないということで、申し立てを認めないという場合、それから後になりましてまたやるという場合におきましては、そのときには
相当
の期間たっているということもあり得るわけであります。それはやはりその
事情
が違ってくるわけでありますから、異なった
事情
においては、また異なった申し立ても可能だ、理論的にはそう
考え
ておる次第であります。
受田新吉
44
○受田
委員
それは私問題だと思うのです。何回も申し立てができるという理論が、理論的に可能だということになると、これは例の最高裁の判決などでも、すべてこの
訴願
を経なければ出訴することができない、正式裁判というものは、
訴願
の
手続
を一応経ておらなければやれないということになっておるわけです。それを何回も申し立てするということになると、今までよりはよほど複雑になって、四段階も五段階も
手続
が要る。
救済
手続
が何段階も何段階も要るということになったら、いよいよ複雑になって、今までよりも本人には不利になるのじゃないですか。
野木新一
45
○
野木政府委員
その点につきましては、今度の法務
委員会
でやられました
行政
事件訴訟法におきまして、いわゆる現在は
訴願
前置主義というのが一般に取られておりますので、おっしゃったような問題もあるいは起こるかもしれませんが、新法におきましては、
訴願
前置主義をはずしておりまするので、おっしゃったような御心配というものは起こってこないように思います。
受田新吉
46
○受田
委員
それは現状においてはまだそういう
考え方
として、これに切りかえた場合に、申し立てがどんどん繰り返されることによって、正式裁判を仰ぐ機会がおくれてくる。何回も申し立てができるという今のお説でいけば、こっちの方では申し立てておいて、こっちの方では出訴ができますか。両方できますか。
野木新一
47
○
野木政府委員
選択主義ということになっておりますので、どっちでもできるのでございます。
受田新吉
48
○受田
委員
それではっきりしました。どちらでも選択で自由だ。一応その選択主義に問題があると思うのです。一方で不服の申し立てをしておる、一方では正式裁判を仰いでおる、こういうような行き方、選択というと、両方やってもいいのでしょう。どちらかでなければならぬのでしょうか。両方やっていいのでしょう。
野木新一
49
○
野木政府委員
訴願
前置主義をはずしましたのは、いわゆる選択主義に変わりまして、その欲する
ところ
に従って、両方できる、自分の好きな方ができる、両方やってもいい、そういう建前でございます。
受田新吉
50
○受田
委員
どっちをやってもいいし、両方やってもいい、こういうことですね。これで
一つ
問題が別の力で起こってくるわけなんですが、そうしたことは、結局正式裁判の方を重点を置く、つまり、すぐ裁判へ持っていってもいいのだということになるので、この
行政
不服の
審査
の方が軽視される。今までは
訴願
を経なければ正式裁判へいけなかったが、今度は最初から裁判にいってもいいということになってくると、事務的な
行政
処理でできるものを、
行政
処分
に対する不服を解決する
行政
救済
手段として、簡単にいくもりを、裁判で念入りにやるという行き方、これはかえって本人には非常な不利を与える場合がある。本人が選択するのでやむを得ませんけれ
ども
、選択の仕方によって、裁判の方へ持っていったために、
手続
が大へんやっかいになり、費用もかかった、
行政
不服の方でいけば、もっと簡単に費用もかからなくて済んだ場合があるのに、裁判に持っていったためという場合が起こりますね。そういう場合があり得るかどうか、これはいかがですか。
野木新一
51
○
野木政府委員
御
質問
の要点は、この
行政
事件訴訟
法律案
の際に、
訴願
前置主義をとるかとらないかという問題に関連して、非常に重要項目となって議論された
ところ
につながる問題であると思います。そしてその答申並びに
法律
におきましては、今言ったように、現行
行政
事件訴訟特例法のとっている
訴願
前置主義はとらないということで、
法律
ができているわけであります。従いまして、
行政
不服
審査
と訴訟法との
関係
におきましては、いわゆる学者の選択主義という主義になっておりまして、先ほど申し上げたように、
行政
処分
によって権利、利益を侵害された者は、訴訟にいこうと思えばいけるし、また、
行政
不服審荘を申し立てようと思えば申し立てられ、どちらでもいいという選択主義が原則になっているわけであります。これが、結局新しい憲法下において、
国民
の権利、利益を擁護するのに適しているのではないか。というのは、権利
救済
の本筋というものは、やはり司法裁判所だ。従って、
訴願
前置主義にしますと、どうしても
行政庁
の判断を経なければ裁判にいけない、それでは新憲法の司法裁判所が
国民
の権利擁護の
最後
のとりでといった点と少し不適切じゃないかという点から、
訴願
前置主義は廃止されたわけであります。ただ、選択主義になっておりますが、たしか
行政
事件訴訟法におきましては、訴訟が起こされ、また不服
審査
の
手続
が起こされた場合には、裁判所は、場合によっては
審査
手続
を停止して、こちらの
手続
の進行を見るというような調整規定もあったと思います。そういうような調整ははかっている次第でありますから、その点で
相当
救われるのじゃないかと存ずる次第であります。
受田新吉
52
○受田
委員
これは、前置主義を採用するかどうかという議論もずいぶんあったそうでありますから、だから裁判の前の、裁判に近い別の方式でやるということですから、この問題は、大まかに言えば、
行政
救済
手続
の体系化という上から
一つ
の問題があると思う。つまり、正式裁判の司法手段に基づく前の
行政
救済
手段というようなもの、また、
事前
の
救済
手段と
事後
の
救済
手段とに分けてみる、そういう
一つ
の
行政
救済
手続
制度というものの体系化を、一体どういうふうに
考え
てきたのですか。体系化というものは全然
考え
ていないですか。
調査会
で一応の体系を
考え
るという
意見
はなかったわけですか。
野木新一
53
○
野木政府委員
行政
処分
によって権利、利益を侵害された者の
救済
という点を体系的に
考え
てみますと、まず
行政
処分
をする際に、権利、利益の侵害でないような、そういういろいろな
手続
をとって
行政
処分
をするようにしたらどうか、これがどっちかというと、いわゆる
行政手続法
の問題でございます。
ところ
が、次には、
行政
処分
が一体あったか、あって権利、利益が侵害された、それをどういうようにして
救済
していくかという法体系を
考え
ていく場合におきまして、ここに二つありまして、それが権利の侵害、違法という面におきましては、これは裁判所にいく道は、憲法上当然開かれておるわけでありますが、その前に、
行政庁
として自分でやった
処分
であるから自分の中で
救済
をはかろう、そういうのは、いわゆるもとの
訴願
、今度の
行政不服審査法
であります。そういう二つの
考え
でありまして、ただ、この二つの
考え
をどういうふうに組み合わせるかという点になりますと、今言ったように、現在の
行政
事件訴訟特例法でとっております
訴願
前置主義、まず
訴願
手続
をしてこなければ、訴えを起こしても受け付けないという制度、それから今度とりました選択主義、どちらでもその権利、利益を侵害されたものの選択にまかすという主義、そういうふうに体系的に一応
考え
ております。ただ、先ほど申し上げたように、
行政手続法
の方は、まだ十分
法案
の
手続
は伸びていないということであります。
受田新吉
54
○受田
委員
問題は、この新しい制度が、ほんとうに
国民
の権利、利益を擁護するのに適切であるかどうかということですから、大所高所から一応結論を得る過程をお聞きしてみたわけです。それから現実にこれから問題があるという選択の過程においても、なお両方の進行状況で打つ手があるということでありますから、そういう
ところ
は実際の
運営
ができれば私はいいと思う。 ちょっと話が横にそれますが、独立の
行政
裁判所の設置ということについての
意見
は出なかったのですか。
野木新一
55
○
野木政府委員
独立の
行政
裁判所という
意味
でございますが、いわゆる最高裁判所、司法裁判所の系統から離れた
意味
の、全然旧の
行政
裁判所と申しましょうか、そういう
意味
の
行政
裁判所、これは現行憲法上からはどうもむずかしいのではないかという議論が強かったわけであります。そのほかに、そうじゃなくて、最高裁判所の系統におきまして、たとえば今家庭裁判所があるのでありますが、最高裁判所、高等裁判所、
地方
裁判所、簡易裁判所が通常の過程でございますが、そのほかに、家庭裁判所と似たような
行政
裁判所を
中央
に設けて、それの裁判判決が違憲とかなんとかいう場合には、最高裁判所につながらしたらどうかという議論もありましたが、それは今の段階においては、やはり司法裁判所、通常裁判所一本にするのがいいのじゃないか、ことに統一的に
中央
にそういう
行政
裁判所を設けるというのは、裁判系統に入れるとしても、多少逆行のきらいがあるのじゃないかという
意見
が、少なくとも現在の段階においては強くありまして、そういうふうに
考え
ておりません。ただ、裁判所でたとえば
一つ
の
行政
専門の部のようなものを設ける必要があるかもしれないという
意見
は出ましたが、いわゆる独立というか、家庭裁判所と並んだ
行政
裁判所、
中央
に統一的な裁判所を設けるという点までには、議論は熟しませんでした。
受田新吉
56
○受田
委員
ここでちょっと
不服申し立て
と、それから
法律
の対象になる事件とのつながりからお尋ねすることがある。たとえば今試験問題が盛んに漏れておる。私は文教
委員会
でしばしば追及してきたのですが、これによって不利益を受けた者の
救済
は、今度の
法律
で救われる対象になるものかどうか。一般概括主義に転化した現段階におけるこの
法律
で、試験問題が漏れて、そのためにわかった人とわからない人と――試験問題がわからぬ方は、まじめにやった分はどうして不服を申し立てることができるか。これは
行政
不服の方に入る問題じゃないか。一例をあげてお尋ねします。
野木新一
57
○
野木政府委員
御指摘のような問題、試験に関連する問題は、いろいろ議論になりましたが、試験というものは、何しろ非常に特殊なものでありますので、この
手続
は、一般の
行政不服審査法
という
手続
の活用にはやはり適当ではないのではないかということで、この
法案
におきましては、四条十一号におきまして、「もっぱら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての
処分
」ということにつきまして、試験
関係
は一応この
手続
からはずしております。しかしながら、もしそういうものが何か特別の
救済
が必要だというならば、二項で「前項ただし書の規定は、同項ただし書の規定により
審査
請求又は
異議
申立てをすることができない
処分
につき、別に法令で当該
処分
の性質に応じた不服申立ての制度を設けることを妨げたい。」という規定がありますから、それに適したものは、必要であればこの道は開いておるわけでありますが、しかしながら、何といっても、試験というものは非常に特殊なものでありまして、この
不服審査法
を活用していくには不適当である、こう存ずる次第であります。
受田新吉
58
○受田
委員
どうもはっきりしない
ところ
が
一つ
あるのですが、これは実際
運営
の上で、途中でいろいろ問題が起こります。この
法律
の
適用
を受けるべきものかどうかということについて、実際やってみると、この法の
適用
とすべきもの、除去すべきものというようなことにひっかかると思う。これはまたそのときになって
法律
を
改正
すればいいわけですが、十分研究しておいてもらわなければならぬ。 いま
一つ
、審理の問題でお尋ねしておかねばいかぬですが、これは審理方式というものが非公開主義ですね。どうなっておりますか。
野木新一
59
○
野木政府委員
原則として公開主義ではありません。非公開ということになっております。
受田新吉
60
○受田
委員
そこで、先ほどお答えいただいた選択主義を採用されて、裁判でもいいし、この
行政
不服の
法律
でもいい、どちらの
適用
を受けてもいいということになりますと、これは
国民
の権利、利益を守る立場から二つの裁判方式ということになれば、憲法に規定する公開主義をとるべきではないか。秘密のうちに処理していくということになれば、これは問題がある。原則としては、ある
程度
の公開主義をとるのがいいというお立場はどうでしょう。
野木新一
61
○
野木政府委員
公開、非公開と申しますが、これは別の言葉で申しますと、書面審理を原則としておるわけであります。ただ、全部公開主義をとるという点は、この審判の性質からいたしまして、必ずしも全部の
処分
についてそこまでいく必要はないのではないか、そういうこの
法案
の立場に立っております。もっとも、今言ったように、申し立てがあれば、たとえば二十五条で、「
審査
庁は、申立人に口頭で
意見
を述べる機会を与えなければならない。」とか、あるいは二十七条で、「参考人としてその知っている事実を陳述させ、又は鑑定を求めることができる、」それから三十三条二項で、「
審査
請求人又は参加人は、
審査
庁に対し、
処分
庁から提出された書類その他の物件の閲覧を求めることができる。」こういうような規定がありまして、原則的に公開主義をとらなくても、このように口頭
審査
というものをある
程度
とり入れることによりて、書面審理のみからくる機密性というものは、ある
程度
除かれていくのではないかと存ずる次第であります。
受田新吉
62
○受田
委員
それに関連するのですが、書面審理主義と、また口頭審理主義と申しますか、どちらでもいい。書面審理主義と口頭審理主義という立場では、書面審理主義を原則としておられる。一方では非公開を原則としておられる。そこに私はつながりがあると思うのです。やはり憲法で、個人の権利とか自由とかいうものが制限されるときには、これに対して反対審問を保障されているわけです。そういう
意味
からは、堂々と口頭で申し入れて
意見
を述べさせるような道を開く、この方を原則とする方が正しいのではないかという
考え方
はいかがでしょう、
経費
の節約とかいうことでなくて。
野木新一
63
○
野木政府委員
口頭主義というものをとりますと、口頭で審問するということは、やはり一種のテクニックを
相当
要するのでありまして、普通の
行政庁
の方でありますと、なかなかそれに習熟するのもむずかしいし、また、
手続
が非常に繁雑になるわけです。
行政不服審査法
の、簡易迅速に何とか
救済
をはかろうという
一つ
の立法目的から見ますと、どうも口頭主義というのは、やはりその
趣旨
に沿わないじゃないか。従って、原則としては書面審理にしておきまして、当事者が申し出たときは――二十五条にありますが、
審査
請求人から申し立てがあったときは、申し立て人に口頭で
意見
を述べる機会を与えなければならないといったような
程度
の、折衷主義と申しましょうか、口頭主義をある
程度
入れた方が、やはり簡易迅速に
行政庁
でやるという立法目的にはかなっておるのじゃないか、そういう見解からこの案ができておる次第であります。
受田新吉
64
○受田
委員
私は、こういう
異議
申請、
不服申し立て
のようなものを取り扱うお役人は、やはり優秀な人だと思うのです。無能な人はおらぬと思うのです。従って、そうした優秀な人によって処理されるものは、やはり筋を通してやる
手続
にしておくべきじゃないか。書面審理というようなことになると、また本人を呼び出さなければいかぬことになる。本人の代理人が出るというような場合も起こって、書面審理でかえって複雑な結論を出すおそれもあるので、やはり口頭主義というものを採用しても、そこで本人の意思もすぐ伺うことができるし、書面で満ち足りないことを解決することもできるのであります。非常に基本的な問題でありまして、根本的な問題になると、憲法の
関係
と裁判の
関係
にも及びますので、根本的な問題で時間をかけることを避けますが、これは大事な問題だと思うのです。書面審理がかえって日数をかけておる。こういうのが従来の例です。やはり本人がそこに行って十分申し開きをして、その場で解決できることの方が、効果があるということも含んでおいていただきたい。私はこれだけで
質問
をおきますが、要するに、この
法律
ができ上がりましても、
行政
の
運営
の
適正化
をはかるためには、やはり役人の心がまえが大事なんで、役所でマージャンをやったり、午前十時ごろ役所に出たり、
局長
、
委員長
――
審査
委員長
みたいな
委員長
ですが、
行政委員会
の
委員長
、管理監督の地位にある人が、自動車の
事情
などでおそく御出勤になる。従って、下の方にも影響して――河野さんのような大臣がおられると、九時に出始めておりますが、川島さん、あそこは勤務時間が大臣の御要望に沿うているようです。私の
関係
者があそこに勤めておりますが、九時よりおそう出られないそうです。十時までの一時間の余裕部分をそういう仕事に充当してくれれば、これは受信主義をとっておられるようですが、その翌日には裁定が下って本人に行くというように、非常に簡潔な
手続
で能率を上げるという手もあるわけです。これは運用さえよければ今までの行き方よりはよいのです。だから、この
法律
が通ると同時に、
行政管理庁
が中心になられて、官紀、綱紀の粛正と事務能率の高揚をはかられて、手さばきのよい事務をやって、
国民
の権利、利益を守っていただく、さっぱりしたものをやっていただくように私は希望して、
質問
を終わります。
永山忠則
65
○
永山委員長
本日はこの
程度
にとどめて、次会は、来たる二十三日木曜日十時
理事
会、十時半
委員会
を開会することとし、これにて散会いたします。 午後零時三十五分散会