○西崎政府委員 もう申し上げる必要もないかと思いますが、オート・アラームと申しますのは、ちょうど船の電波を利用した目ざまし時計といったようなものでありまして、一分間に十二の長線、こういった信号を五百KCで送りますと、そのオート・アラームという目ざまし時計が作動しまして、それによって寝ておる通信士を起こす。それによってどこかで遭難が起こっている、もしくは遭難に近い
状態が起こっておるということを知らせる。そういう装置でございます。従いまして、通信士が執務しておらなくても、どこかで遭難がありますと、その目ざまし時計が鳴りますので、それで目をさまして執務態勢に入れる。こういったしかけのものでございます。このオート・アラームは、国際的にも非常に歴史が長いわけであります。すでに今から四十年くらい前、一九二七年に、国際
電気通信条約におきまして、この技術基準というものが制定されておるわけであります。現在のオート・アラームの国際的な基準と申しますのは、千九百四十八年の海上における人命の安全のための国際条約、これに規定されておるわけであります。一々こまかい
内容には入りませんが、要するにそのオート・アラームの持っておるべき性能の基準をきめておるわけであります。たとえば、感度であるとか、選択度であるとか、あるいはまた自動利得調整装置、われわれAGCと言っておりますが、こういったものであるとか、いろいろそういったような技術基準を規定しておるわけであります。それで、この条約によりますと、その
あとの方に、新しい型式の自動警急機を承認する前に、当該主管庁は、実際上得られる運用
状態にひとしい運用
状態のもとで行なわれる実用試験によって、この機器がこの規則に適合することを認めることを要する、こういう一条があるわけであります。すなわち、これによって、各主管庁は、新しい種類のオート・アラームの型式ができた場合には、それに対して国として型式検定をすることが必要だ、こういうことを規定しておるわけであります。この規定によりまして、
日本といたしましても、
郵政省におきまして、そのオート・アラームの型式検定をやっております。これは
昭和二十七年からやっておりまして、現在すでに七つの機種が認定されておる、こういう状況でございます。それによりまして、
日本で製作されるオート・アラームの機器が、国際的な基準を満たしておるかどうかということをここで検定いたしておるわけであります。大体そういったプロセスを踏んでおるわけでございますが、実は
日本といたしましては、先ほ
どもお話のように、大半の貨物船はすでにもう三人の通信士を乗せておる
関係で、その通信士を使えば二十四時間ウォッチできる、通信だけじゃなくて、安全のためのウォッチもできるという態勢になっておるので、国内船についてのオート・アラームに対する需要は、非常に少なかったわけでございます。一方
日本は、船舶の輸出ということを相当やっております。そういう
関係で、輸出船の方につきましては、過去におきまして相当の実績を持っておるわけでありますが、その輸出の結果によりましても、ほとんどコンプレーンはない、こういう
状態であります。もっとも、最近におきまして、国内船に対する需要もだんだんと出て参りました。現在百七十二はいの船にオート・アラームを装備しておる、こういう状況でありまして、だんだんと性能はよくなってきておる。しかも、当然
郵政省で従来検定いたしておりますが、新しいものほどその性能がますますよくなってきている、こういう状況でありまして、少なくとも国際水準まではきておる、こういうふうにわれわれの方では判断いたしております。