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1962-12-07 第41回国会 衆議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十二月七日(金曜日)    午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 永田 亮一君    理事 小澤 太郎君 理事 金子 岩三君    理事 纐纈 彌三君 理事 高田 富與君    理事 丹羽喬四郎君 理事 太田 一夫君    理事 阪上安太郎君 理事 野口 忠夫君       伊藤  幟君    大上  司君       大竹 作摩君    亀岡 高夫君       久保田円次君    三池  信君       川村 継義君    二宮 武夫君       門司  亮君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局参事         官)      玉置 康雄君         自治政務次官  藤田 義光君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (財政局財政課         長)      茨木  広君         専  門  員 曽根  隆君     ————————————— 十一月二十日  委員大上司辞任につき、その補欠として橋本  龍伍君が議長指名委員に選任された。 同月二十一日  委員橋本龍伍君が死去された。 十二月七日  委員亀岡高夫君辞任につき、その補欠として大  上司君が議長指名委員に選任された。 同日  委員大上司辞任につき、その補欠として亀岡  高夫君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治及び地方財政に関する件  (新産業都市地域指定に関する問題及び高校  生急増対策)      ————◇—————
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより会議を開きます。  地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますのでこれを許します。小澤太郎君。
  3. 小澤太郎

    小澤(太)委員 私は、この前の通常国会において制定されました新産業都市建設促進法、それに基づいて今関係の省庁において指定のことが準備が進められておると思います。ところがこれはあの法律にうたってありますように、地域格差是正ということが大きくうたわれまして、従来この問題でいろいろ問題を持ち、苦しんでおりました地方住民、ことに地方自治体におきましては、この法律によって格差是正並びに新産業都市建設ということについて非常な熱意を示しておるやに伺っておるのであります。従いまして、この扱いにつきましては、政府において十分に研究をされ、また法律趣旨に沿うて慎重にお進めになっておると思うのでありますけれども、時おり関係大臣とかあるいは責任者が、不用意にいろいろ漏らされる言葉がいろいろな憶測を生みまして、現在私の見るところでは、地方自治体等におきまして相当心配をいたしておる、あるいはまた陳情等が非常に多くて、政府の側においてもお困りになっておられると思います。このような状態を一日も早くすっきりした姿に戻しまして、そして政府のこの指定関係する業務が円滑に進捗することを期待、希望いたすのであります。こういう立場に立ちまして、私は、二、三、当局に伺ってみたいと思うのでございます。どうぞはっきりと率直に説明をしていただきたいと思うのであります。  まず、現在までの事務進行状況はどんな状態になっておるか、この点につきまして、経済企画庁玉置参事官が見えておられますので、一つお述べいただきたいと思います。
  4. 玉置康雄

    玉置説明員 新産業都市指定事務がおくれておりまして、ただいま小澤先生からお話がありましたように、いろいろ自治体側におかれて心配をされております点は私どもも遺憾に思っておる次第でございます。ただ、私どもも鋭意努力をいたしまして、事務的な手続から申しますと、まず、審議会において基準をきめていただきまして、それから指定に入っていくつもりでございますが、その基準につきまして、ただいままで関係各省の間でいろいろ協議を進めまして、大体においてまとまってきた段階でございます。十二月の中旬に審議会を開いて、そこで可決願いましたならば、それから法律の第九条に基づく基礎調査を行ないまして指定をしていこうと考えておる段階でございます。
  5. 小澤太郎

    小澤(太)委員 ただいまその基準についての業務を進めておる。十二月中旬には地方産業開発審議会を開いてそれに諮問をするというお話でございましたが、どの程度まで基準案が固まっておりますか、それをお知らせ願いたいと思います。
  6. 玉置康雄

    玉置説明員 何分、関係各省が非常にたくさんございますので、固まりますまでにひまどったのでございますが、現在までのところ、わずかな文字を除きまして大体の意見は一致しておる段階でございます。
  7. 小澤太郎

    小澤(太)委員 その現在の段階においてどのような基準を作っておられるか。実はけさ朝日新聞には、大体そのような記事が出ておりまして、私、拝見しておりますが、その点について説明をしていただきたいと思います。
  8. 藤田義光

    藤田説明員 ただいま参事官答弁しましたように、実は関係する役所が七つほどありますし、また首都に関することに関しましては首都圏整備委員会、あるいは北海道に関することに関しましては北海道開発庁等関係する政府機関が非常に多うございます。ただいま参事官答弁中に、二、三の文字の点で最後の調整が残っておるという答弁がございましたが、その調整がきわめて重大でございまして、けさ一部の新聞に報道されたのは政府審議している案の内容と相当違っている。まだ固まってはおらない。十八日、審議会を開きまして、その席上で確定する直前まではなかなかこれは固まることが困難ではないか、かように考えております。
  9. 小澤太郎

    小澤(太)委員 そうしますと、現在の段階ではその審議会にかけるための基準制定準備をしている。ところが、この法律の第三条でございますか、この指定について申請書都道府県知事から出ていると思いますが、その申請書を内閣で受けた場合に、これをいわゆる行政大臣、つまり各省の方へ報告いたしまして、そうしてそれに対して行政大臣から指定要請をするという段取りになっておりますが、この関係は今どういうふうな状態になっておりますか、それを伺いたいと思います。これは経済企画庁の方から伺いたい。
  10. 玉置康雄

    玉置説明員 まだ正式な申請書はいただいておりませんので、現在までいただいておりますのは、いわば陳情というようなものをいただいておるわけでございます。そのいただいております状況につきましては、各省にも御通知をし、各省間でいろいろお打ち合わせしておりますけれども、それはこの法律の第三条に基づく手続ではございません。
  11. 小澤太郎

    小澤(太)委員 それでは、指定についての仕事というのは、ただ基準をきめる、この法律の第五条によるところの指定要件、これについての細目をきめておるという業務段階にまだある、こう了解してよろしゅうございますか。
  12. 玉置康雄

    玉置説明員 さようでございます。
  13. 小澤太郎

    小澤(太)委員 十八日と今政務次官がおっしゃった審議会ですね。十八日の予定ですね。それにはこの基準諮問するということになっておるわけでございますね。
  14. 藤田義光

    藤田説明員 そうです。
  15. 小澤太郎

    小澤(太)委員 そこでお伺いしたいことは、この第五条に要件として掲げてある事柄、これについてどの程度まで細目をしぼっておるか、そういう点について一つ伺いたいと思うのであります。と申しますのは、この法律制定いきさつ等から考えまして、この要件ということは非常に大事なことである。また、この要件について衆議院において若干の修正もいたしております。この考え方にどの程度合致してやっておられるかどうか。こういう点については、やはりこれを制定いたしましたいきさつ、それから立法府におけるわれわれの立場からいたしましても、どのような程度で進めておるかどうか、審議会にかけてきまったからもうこうなったというようなことではこれはおかしいと思うのでありますから、せっかくの機会でありますので、今だんだんに煮詰まってきつつある状況であるということを前提にいたしまして、どういうふうに、どういう形に基準をきめておるか、また意見の一致しない点はどういう点にあるか、これを一つ参考までに聞かしていただきたい。お願いします。
  16. 藤田義光

    藤田説明員 御指摘通り基準関係各省審議するにあたりましては、第五条の趣旨に沿いまして審議を進めておりますが、その基準の中では、問題の一つは、大体最初に新産業都市として指定する個所全国でどの程度にするか、これが一つ問題点でございます。この個所数に関しましてはまだ案が固まっておりません。  それから第二の問題は、こういう第五条の要件を充足させるためには臨海地帯であることを優先するかどうか、こういう点等中心基準案の論議が行なわれている段階でございます。なかなかまだ審議が固まっておりませんので、はっきりした答弁ができないことを残念に思っております。
  17. 小澤太郎

    小澤(太)委員 私が伺いますのは、こういうことは、何もそうあなた方は一生懸命になって隠す必要はないと思う。さっき私が申し上げたように地方では迷っておる。迷っておるところに相当明快な政府態度を示してやるということが必要だと思うのであります。これは大へん失礼なことですけれども、例を申し上げます。  先般、私は九州にある公務で旅行いたしました。九州新聞を見ますと、某主管大臣がこういう発言をしておられる。それは新聞記事が間違っておるのかあるいは発言をされた言葉が足らないための誤解か、それは存じません。しかし少なくとも責任ある大臣が、新産業都市指定にあたっては、これは何にもないところをやるのであって、すでに工業立地等の話が進んでおるようなところは、具体的に場所も新聞には書いてありまして、そういうところはやらないのだということを新聞に出しておられます。たまたま私が参りましたところは、その当該地域のあったところでございます。非常に心配しておりました。ところがけさ朝日新聞を見ると、これは間違っておるのかどうか、政務次官はどうもその通りではないと言われるけれども、その中に「企業の進出がすでに相当進んでいる、」という一カ条が入っております。これは非常に矛盾しております。  それからもう一つ、これはまた大へん失礼な話ですけれども、こういう問題を扱う場合においては、政府ことに主管大臣はえりを正してほんとうに地方開発のため、日本産業構造改善のため、地域格差是正のためというこの法律の目的、純粋にそのために考えていただかなければならぬと私は思っております。ところがある主管大臣におかれましては、これは冗談かもしれませんが、責任ある地方自治体陳情者に対して、お前のところは条件に合致しておるが、何とかして落とそうと努力しておるのだ、お前のところがやると、おれのところとつり合いがとれないようになるから、あれは譲ろうじゃないか、こういうような政略的な発言をしておられる。不謹慎のきわみだと思います。私は、こういうことがありますから、だからあなた方事務当局は、そういうことのないようにしっかりした案をつくって、そしてこれを主管大臣にも進言されると同時に、できれば早い機会に国民や関係者にも納得してもらう、こういうことが必要じゃないかと思うのであります。この委員会で私がお尋ねすることに対しましても、何かひた隠しに隠しておるような格好では、これは私は受け取れないから、この機会に率直に言っていただきたい。あるいはこれは傍聴者があって困るなら、秘密会議でもよろしゅうございます。とにかくそういうふうにしてはっきりしていただかなければ、混乱に陥るばかりである。またお伺いをすれば、地方からの申請も出てない、陳情程度であるということであるし、審議会において基準をきめるのに、まだ煮詰まってない、このような状態では私は困ると思いますから、どうかはっきりした御答弁をお願いしたいと思います。
  18. 藤田義光

    藤田説明員 御質問趣旨まことにごもっともでございまして、政府としましては第五条第一項に規定いたしております用地の問題あるいは水の問題、輸送の問題、こういう大方針に基づきまして具体的な基準をきめたいというので、関係各省作業を継続しておる段階でございまして、その作業を進める場合の審議重点は、第一点が新産業都市として指定すべき個所数はどのくらいにするかということが論議されております。それから第二点は、臨海地帯であることを重点考えたらどうかということであります。第三点としましては、国土総合開発法に基づく総合開発地区であることを基準にしたらどうか、こういことを中心基準案の作成を急いでおる。まあ大体現在の作業進捗状況からすると、この程度以上は進んでおらないというふうに御理解を願いたいと思います。
  19. 小澤太郎

    小澤(太)委員 それでは第五条につきまして一つしつこいようですけれども、伺ってみたいと思いますが、ただいまのお話個所幾つにするかということについて検討中だと言われます。しからばその個所幾つにするかということについて、いかなる基準でやるかということを考えておられるか。ただ急に幾つにするかということが出てくるはずがないと思う。それがこの第五条のいわゆる要件ということに合致するような考え方でやっておられるのかどうか。その個所をきめる基準というものを一つ伺っておきたい。
  20. 藤田義光

    藤田説明員 この個所数に関しましては、国土総合開発地区個所数あるいは明年度予算に予定しております地方開発専業債四百九十二億を現在大蔵省に請求中でございますが、この財政資金ワク状況、その他全国が大体指定を希望するであろう個所数の総数、これらを勘案いたしまして、適当な指定個所数をきめたい、こういうふうに案を練っておるところでございます。
  21. 小澤太郎

    小澤(太)委員 今のお話は、第五条の第二項の国土総合開発法第七条の規定による総合開発計画、これに適合するものでなければならない。これに基づいて、十月五日に閣議決定になりましたその計画に基づいて、合致するところに選定の基準を置いたと言われるのでありますが、その場合にあの計画のどこに重点を置いておられるのか、その点を伺いたいと思います。
  22. 玉置康雄

    玉置説明員 現在まで大体各省が一致しております意見は、全国総合開発計画は、全国を分けまして過密地区整備地区開発地区に分けておりますが、現在のところ過密地区には置かないということに意見が一致しております。それから開発地区は優先的に置くというところまで意見は一致いたしております。その中に、全国総合開発計画は、大規模工業開発地区中規模工業開発地区、こういうものがありますので、それらの中から新産業都市を選ぶという考えになっております。
  23. 小澤太郎

    小澤(太)委員 そういたしますと、開発地区から選ぶということだけはきまっておる。開発地区というのは、全国幾つありますか。
  24. 玉置康雄

    玉置説明員 全国で大体六つでございます。ただ北陸地区整備地区の中に入っておりますけれども、とりあえずは開発地区に準ずると書いてございまして、それを入れて六つになります。
  25. 小澤太郎

    小澤(太)委員 そうすると、大体その六つの中で一つ地区幾つかということになるわけですね。そういうふうな地域的なバランスというのですか、そういうことを強く考慮に入れておられるのか、あるいはその地区の中でいろいろほかの立地条件等検討した結果、適当な地区であればそれを拾い上げていくのか、新聞には実は十カ所内外と書いているが、そういう数の方から先にきているのか、その地区の中で開発地区を一応考えて、その中で条件に合うものを取り上げていくか、こういう問題が一つ。それからこの第五条の第三項に「区域指定は、産業立地条件及び都市施設整備並びに雇用の安定が緊急に必要である区域から順次しなければならない。」ということが書いてあります。そこでその開発地区地区ワクの中で考えるということはけっこうだと思いますが、その中でこういうふうな第三項の要件を特に考慮しておられるのかどうか、ただ数だけでバランスを取ろうとして考えておられるのかどうか、そういう点について一つ聞かしてもらいたいと思います。
  26. 玉置康雄

    玉置説明員 まず最初に先ほどの開発地区バランスをやはり考えなくてはいかぬと思っております。ある開発地区には一つもなくて、ある開発地区には二つも三つもあるということはないようにしたいということが第一点でございます。そういたしまして、その一つ開発地区の中で一つ二つ選ぶといたしましたならば、じゃどこにするかということはこの第五条の趣旨によって行なうわけでございます。  そこで先ほど政務次官からお答えありましたように、実にその点で文字からやるならば簡単な文字にしかまとまってないわけでございますが、内容政務次官がおっしゃいましたように相当重大な問題が、ただその数字等にかかってくるわけでございまして、たとえば相当規模産業都市という場合、その相当規模の大きさを何平方メートルと考えるか、そういう点の数字等につきましてまだ完全には意見一致してないところでございます。
  27. 小澤太郎

    小澤(太)委員 その相当規模について、これは衆議院で大規模から相当規模に修正されましたから、多少相違があると思いますが、委員会においての御答弁は、大体工業用地五百万坪、人口プラス三十万というのを考えておられる、こういうことを答弁しておられます。それが大規模という法案のときの説明でございますから、相当規模に変われば、多少それに対して面積等を緩和するというような考えがあるかと思いますが、それはどういう程度にやっておられるか。前に衆議院合同委員会におきましては私も質問いたしましたが、そのような御答弁があったと記憶しております。その点はどう考えておられるか伺いたいと思います。
  28. 玉置康雄

    玉置説明員 政府のまとまった意見ということでなしに、ただ経済企画庁意見ということで申し上げますならば、現在考えております相当規模というのは、ただいま小澤先生がおっしゃいました五百万坪よりは相当下回った数字考えております。
  29. 小澤太郎

    小澤(太)委員 まだお答えが十分でなかったと思いますが、第五条三項に、これこれの区域から順次しなければならぬ、こういう表現がしてありますが、今回の基準決定については今回限りのつもりですか、それとも逐次基準についてはこれを変えていく考えなのかどうか。またやはりこれも新聞紙でわかったのでありますから、私はその通りであるかどうかはわかりませんが、やはり責任ある大臣お話では、この新産業都市指定については、やはり二つくらいのクラスに分けなければならぬのじゃないか、こういうふうなことも言われておることが新聞紙上に出ております。そのように時間的に全国順次やっていくということがあるのか、あるいはまたスケールの上でいわゆるAクラスBクラスということで基準考えていかれるのかどうか、そういう点についてはどういうふうなところを考えておられるか伺いたいと思います。
  30. 藤田義光

    藤田説明員 御指摘のようなAクラスBクラス、時期的にずれて指定をするということは、まだ政府としては正式に議題にしたことはございません。ただ先ほど来、小澤委員から御質問があったことに関しまして、政府として総括的にお答えしましたことは先ほどの三項目のことでございますが、要するにこの新産業都市指定にあたりましては、指定に関する運用の基本方針というものを一方に持ちまして、一方には新産業都市指定基準という二つの方向から煮詰めていきたいということで今作業を進めておることを御了承願いたいと思います。
  31. 小澤太郎

    小澤(太)委員 自治政務次官がたびたび御答弁していただくので、まことに恐縮に存じますが、私は政務次官答弁をみずから積極的に引き受けておられる態度を実は高く評価したいと思います。と申しますのは、この新産業都市は、理想的な都市をつくろう、つまり人口産業過密を防止して地域格差をなくすということ、そしてそれには理想的な円満な、工業中心とした——ほかの産業もそれにマッチして、そして住民の生活が十分に楽しくできるような完全都市をつくりたい、そういう基本的な考え方が私はあるべきであると思います。さらに地方制度調査会における、これは政府諮問機関でございますが、地方開発都市に関する答申につきましても同じようなことがいわれております。従ってこの新産業都市は、自治省におかれては非常に大事な仕事であると思います。従って私は、自治省が新しい理想的な都市をつくるんだという観点に立って、積極的にこの問題に取っ組んでいただきたいと思っておったのでありますが、お見受けするところ、政務次官大へん熱心に積極的に御答弁になっておるので一応安心はいたしましたが、そこで伺いたいことは、自治大臣要請大臣になっております。要請大臣としてどういうふうな気持でおられるのか。まだ地方から申請も出てない、出てないというのはおかしいので、とってないのか出してないのか知りませんが、陳情を受けておる程度だということでありますが、従って要請大臣要請一つも行なわれてない、ただ基準をきめる作業をしておるという程度であるかと思いますが、せっかくこれだけたくさんの要請大臣をつくったのでありますから、自治省としてはどういう考えでこの問題に取っ組んでおられるかどうか、その点を伺いたい。この問題は、一つには先ほど質問いたしました各ブロックにそれぞれ振り分けるというバランスの問題と——その問題については自治省として相当考えておられると思いますが、一面におきまして、ただ形式的なバランスだけではいけないのだ、実際その力のあるものがケルンにならなければ、ただ机の上でこうあってほしいということではこれは現実的ではないと思う。ですからそのバランスの問題と、実際にそういう完全都市ができるという——あなた方のねらいでこういうところはできるんだというその条件が備えられたところ、二つをかね合わせて、日本地域格差をなくするとか新産業都市をつくるとかというところに進んでいただかなければならないと思うのです。ただ形式的に各地域一つずつつくる、あるいは二つをつくる、そういうことではいけない。これは自治省もよく考えていただかなければならない。通産省や建設省ももちろん考えていただくことでありますけれども、そういう点についての御所見を承りたいと思います。
  32. 藤田義光

    藤田説明員 本日は篠田大臣が出席いたしまして、問題がきわめて重要でありますから、親しく答弁すべきであります。大臣もそういうふうに希望しておりましたが、閣議の時間と全く重複いたしましたので、私が代理しておるわけでございますが、大臣としましても、この問題には異常な関心を持っております。特に第五条の第一項の第二号、第三号、第四号等の問題に関しましては相当深い関心を持ちまして、この基準に理想的にマッチしたところを一つ取り上げて、自治省地方構成配分等にあたりまして長年苦慮しておる地域格差是正というものに対して、前向きの姿勢で新産業都市指定契機地方自治を推進したい、こういうことをいつも強調いたしております。従いまして、当委員会等で忌憚ない御批判をいただきまして、今後われわれの行政参考に供したいと思います。先ほど来の御発言趣旨も、とくと大臣にも即時連絡を申し上げたいと思います。御指摘通り、われわれといたしましては、地域格差是正の絶好の契機である、この新産業都市指定一つのきっかけになるということを期待いたしておりますとともに、指定されました地区が総合的な都市的機能を持った産業都市に形成される、これを非常に期待しておるわけでございます。
  33. 小澤太郎

    小澤(太)委員 大へんいい御答弁をいただきましたが、私のはちょっとニュアンスが違うのでありまして、ただ地方に均分的に分けていくということ、それはもちろん考え方によりましてはそうあるべきだと思いますけれども、理想の都市をつくるには、それにふさわしい力があるところ、そういうものを積極的に育成してやるということでなければ、画一的な形になる。そういう点について十分御認識をいただきたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。  時間があまりなくなりますので、ある程度でもうやめたいと思いますが、私が伺いたいのは調査の問題であります。第九条による基礎調査はこれからおやりになるということを先ほど御答弁になりましたが、そうでございますか。
  34. 玉置康雄

    玉置説明員 第九条に基づく調査というのはこれからということになりますが、実際上から申しましたならば、これから全部新規に調査しようというわけではございませんので、既存の調査資料をほとんど使うわけでございます。ほんとうにやりますのは、あとごくわずかなものであります。
  35. 小澤太郎

    小澤(太)委員 既存の調査資料というのはどういうものでございますか。
  36. 玉置康雄

    玉置説明員 まず通産省の工業立地条件調査、長年やって参りましたものがございます。それから最近やられましたものといたしまして、自治省の基幹都市調査建設省の広域都市調査、それからそれ以外に工業用水の問題が非常に重要になって参りますが、これは極端に申しましたならば、一年や二年調査をやりましても、河川の流量がわかる問題ではございませんので、何十年という非常に長年月にわたる建設省の河川流量の調査、そういうものが基本の調査に当たるわけでございます。また港湾建設につきましては、現在運輸省が持っておりますいろいろな資料、そういうものが調査資料として出てくるわけでございます。
  37. 小澤太郎

    小澤(太)委員 そういう過去の調査を基本にしてやる、これは第五条第五項にありますような、「政府が行なう工場立地その他に関する調査(国の補助金を受けて地方公共団体」云々、これに基づいてしなければならぬという制約がありますから、それの基礎調査をやる前に、そういうものを参考として基準等をきめておられると思いますが、そうでございますね。その中で、一体経済企画庁として総合的に何をとっておられるか、一番権威ある調査というのはどういうものなんですか。つまり新産業都市指定のために合目的的な調査、こういうふうな調査としてどういうものがあるか、それを伺いたいと思います。
  38. 玉置康雄

    玉置説明員 調査の重要性につきまして、私どもの方で別に甲乙をつける気はございません。ただあまり古い調査はどうかということになりますと、一番新しい調査といたしましては自治省の行なわれました基幹都市調査、そういうものが一番新しい資料でございますけれども調査そのものについて甲乙をつける気はございません。
  39. 小澤太郎

    小澤(太)委員 そういう調査をなされて、ほぼ大体の見当をつけた上で第九条の基本調査をやる。そうして指定をする。そうなりますとずいぶん時間がかかると思いますが、一体いつごろそういう指定が行なわれる段取りになりますか。
  40. 玉置康雄

    玉置説明員 実は現在手続がおくれておりますが、既存の資料の収集は私どもの方でいたしておりまして、あとほかに調査をいたしますと申しましても、その点は、実を申しましたならばそう時間はかからないわけでございます。でありますから、基準がきまりまして、それによりまして指定すべき個所が来年早々にでもきまりましたならば、あとこの手続を経まして、県からの申請によって指定をいたしますのにそれほどの時間はかからないと思っております。
  41. 小澤太郎

    小澤(太)委員 十分な御調査をお願いいたしたいと思います。  そこで、昭和三十一年に鉱工業地帯整備協議会というのができましたね、私、地方におりました経験からいたしましても、この協議会による調査につきましては、ずいぶん協力もいたしたつもりでございます。大体あれは、鉱工業の開発地帯についてどこどこというようなことがきまっておったように思います。それと、今回の新産業都市指定において、鉱工業中心とした新産業都市建設するにふさわしい、この第五条の要件に当たるようなところとの関係はどういうふうにお考えになっておられるか、この点を伺いたい。
  42. 玉置康雄

    玉置説明員 鉱工業地帯整備協議会とこの関係でございますが、その関係を、私どもも十分に煮詰まって考えておりません。この鉱工業地帯整備協議会がなくならないことは確かでございまして、なぜならば鉱工業地帯の方で指定をいたしましたものには四大工業地帯それ自体が入っておりますから、新産業都市指定になりましても、鉱工業地帯が残ることは確かでございます。それならば、新産業都市指定になりましたところが鉱工業地帯の個所であったならばどうなるかという問題でございますが、私どももこの点は、一応鉱工業地帯の方からはずしていいような気もいたしますし、ただ法律の条文だけを読みますと、現在の新産業都市建設促進法では、建設基本方針建設基本計画という長期の計画があるだけでございまして、毎年々々の事業計画をやるように法律上では明らかになっていないわけでございます。ですから毎年々々の事業計画につきましては、現在の鉱工業地帯整備協議会を使うのか、あるいはやはり、この新産業都市建設促進法にはっきり条文はございませんでも、その幹事会等でやっていくのか。その点はまだはっきりきめておりません。
  43. 小澤太郎

    小澤(太)委員 そういう点についてはまだきめておられないかも存じませんが、あの協議会によって鉱工業地帯についての調査は相当したはずでございます。私どもも協力いたしましたし、そしてそれによって鉱工業建設促進すべき、発展させるべき地域としての大体の決定も見たわけでございますから、これなんか私は有力な参考資料になるのじゃないか。そういうふうにやはり中央の調査資料としては相当権威あるものとしてお取り上げになることが望ましい。私どももそのつもりで一生懸命やったわけでございます。その点一つとくと御考慮いただきたいと思います。  あまり時間が長くなりますから、これでやめたいと思いますが、どうか願わくば、この問題が非常に混乱を起こしておるという事実、そして各関係省が多いためにそれぞれいろいろな意見を、しかも責任ある者が不用意に漏らしておられるということは実に遺憾でありますから、どうぞそういうことのないようにこの法律趣旨に沿うて、ただ形式的にいろいろな話し合い上こういうことをやるんだという考え方でなしに、日本の国土をほんとうに開発していくのだ、そしてそれについてはその条件をあなた方が厳正に考えられ、その条件に適合するところをさらっていくというような観点に立っていただかないと、ただ政略的な取引によって、あそこをやっては工合が悪いからここをやるとか、そんなことでは相済まぬと思います。そういう印象を国民に与えつつあるということを私は非常に遺憾に思いますので、どうかそういう意味で、日本産業を伸ばしていくのだ、そして日本産業構造改善をしていくのだ、こういう観点からやっていただきたい。ただ形式的なバランスとか政略上の取引とかそういうことはやめてもらいたい。そのことを特にお願い申し上げまして質問を終わります。
  44. 永田亮一

  45. 阪上安太郎

    ○阪上委員 きょうは理事会の申し合わせで十二時までということになっておりますから、二点だけ質問いたしたいと思います。一つは、ただいま質問がありました新産業都市、いま一つは高校生急増対策について、この二つについて御質問申し上げます。時間がありませんので、一つ簡単に要点たけお答え願いたいと思います。  新産業都市についていろいろな問題がありますが、きょうお伺いしたいのは、一体政府はこの地域指定についてどういう考えを持っておるか、速度の問題です。一つは、何か全国で十カ所くらい調査をやって、そして同時に指定をやっていこうという考え方を持っておるという向きがある。いま一つは、立地条件の整った、いわゆる新産業都市としての熟度が非常に高いところから順次手をつけていこうという考え方がある。一体政府はこのどちらをとろうとしておるのか。小澤さんは何か奥歯にものがはさまったような質問をしておりましたが、僕は端的に質問をいたします。一体政府はどっちをとるのだ。端的に一つお答え願います。
  46. 玉置康雄

    玉置説明員 先ほど申し上げましたように新産業都市指定につきまして、現在まで大体まとまりつつある意見といたしまして、全国総合開発計画の中の開発地域に優先的に指定をしようということは、地域所得格差の是正をまず第一に考えておるわけであります。ただ、まだ政府各省の間で十二分にまとまらないと申し上げましたのは、開発地区の中を考えましても、中で熟度の点が違うわけでございます。たとえば九州という開発地区考えましても、北九州指定しようという人はございませんけれども、北九州に近いところはかなり熟度が高い。しかし地域所得格差を非常に重く考えますれば、所得の一番低いのは全国で鹿児島県が一で宮崎県が二でございますから、そういう点が一番重大だと考える方もございますし、そこのニュアンスの違いがまだ十二分に固まらないということであります。
  47. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私の聞いておるのはそういうことではなくて、全国総合開発プランニングの中の開発地域を新産業都市指定地域として考えるのだということはわかっておるのです。大体そういうところだろうと思う。問題は、その取り上げ方の順序のことを聞いておるのです。熟度の非常に高いところから取り上げていくのか、それとも一せいに取り上げていくのかというところの問題を聞いておるわけであります。もちろん一せいに取り上げるためには指定を早くしてしまうと条件が整わないところは条件を整えるだけでも二、三年かかってしまう。そうすると、建設も十カ年計画ということで進めていくということになれば、あと七年しかないというような矛盾も出てくるわけであります。そういうところを考えつつ、一体どっちの方へ踏み切ろうとしておるかということを私は聞いておるのです。企画庁わかっておるでしょう。それどうなんです。
  48. 玉置康雄

    玉置説明員 政府としてでなしに、経済企画庁意見で申しますが、現在までのところ、少なくとも最初指定いたします——企画庁の長官は十内外と言っておられますが、それについては一せい指定というふうに考えております。
  49. 阪上安太郎

    ○阪上委員 藤田さん、今のは企画庁の考え方ですが、自治省はどう考えておりますか。
  50. 藤田義光

    藤田説明員 大体企画庁と同じ意見でございますが、もう少し補足しますと、国土総合開発法に基づく地域過密地域整備地域、開発地域とございますその中の開発地域、すなわち北海道、東北、中国、四国、九州、この開発地域から大体指定をしていきたい。御承知の通り整備地域の中には東海地区もありますが、一番おくれておる開発地域から後進地域指定することによりまして地域格差是正、こういう方向で考えております。
  51. 小澤太郎

    小澤(太)委員 関連。今阪上委員からの御質問は、私が理解するのは第五条第三項にあるいわゆる産業立地条件及び都市施設整備云々等が緊急に必要である地域から順次しなければならぬ、こういうふうにちゃんと法律に書いてある。多分そのことを言われたと思う。いわゆる熟度という言葉を使われた。熟度によってやっていくのだ、これは法律に書いてありますから御答弁いただく必要はありません。私はその角度の前提に立って質問申し上げておると思う、それがわからぬようでは困ります。この点を一つ確認していただきたい。つまり熟度、緊急度、こういうところからというのは、そういう緊急度が濃いということは、ある程度熟しておるということなんです。これは法律にはっきり響いてあるのです。それを否定することはできないと思うのです。阪上委員の御質問がその意味であるならば、これはもう法律が回答していると思いますので、これに政府は従わざるを得ない、こういうふうに私は理解いたしますから、そういう御答弁をいただきたいと思います。
  52. 阪上安太郎

    ○阪上委員 この法律審議の過程において、ただいまのところについてはこれは修正されたというふうに聞いております。そうしてその精神は、立地条件が完全に完備したところ。そんなところはもうほうっておいていいんですよ。そういう意味で私はそういう言葉を少し拡大解釈ができるように幅を広げてきたということなんです。私の言っているのは別に熟度がどうのこうのということではなくして、一体どっちから先に手をつけていくのかということを言っておる。熟度を完備してそれからやっていくのかという問題と、ある程度熟度がかなり高いところから手をつける、それは法律ではっきりしているのです。私が言いたいのは、なかなかものさしできちっとはかるわけにいかないので、一応十カ所なら十カ所というものを考えておられるということなら、熟度がそこまであるものと見て同時に手をつけるのかどうかということを聞いている。  そこでいま一つ伺っておきたいのですが、先ほど質問の中で相当規模の問題があったのですね。相当規模は何か五百万坪とかなんとか言っておったのですが、あれは何か間違いじゃないですか。相当規模の新産業都市というのは、法律審議の過程においては、最初原案として出てきたのは大規模のということなんです。それを相当規模に改めたいということのねらいは何であったかということはよく御存じだと思うのですが、一ぺんここでおさらいに言ってみて下さい。
  53. 玉置康雄

    玉置説明員 先ほど私がお答え申し上げましたのは、現在少なくとも企画庁で考えておりますのは、五百万坪よりも相当少ない面積のものを考えておる、申こうし上げたわけでございます。
  54. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それはおかしいんじゃないですか。そんなちっぽけなものじゃないんじゃないですか。五百万坪というのは工場かなにかの規模考えているんじゃないですか。相当規模の新産業都市というのは五百万坪の新産業都市ですか。そんなものはおかしいじゃないですか。
  55. 佐久間彊

    ○佐久間説明員 国会の御修正の過程におきまして、私ども自治省といたしまして承知いたしておりますことを申し上げますと、政府の原案におきまして大規模と書いてございまして、当時俗に百万都市というような言葉が言われておりましたので、何か人口百万くらいなければならぬ、そういう大都市を意味しているかのような誤解もございましたので、御修正の過程におきましては別にそういうことを問題にしているのじゃないんだ、その地方の開発、発展の拠点になる、そういう機能を営むものであるならば、必ずしも人口百万とかなんとかいうことにこだわる必要はないじゃないか、もうちょっと幅を持った表現にして考えていいじゃないか、こういうような御趣旨があったように拝聴いたしておるわけでございまして、私どももその点は政府原案よりも弾力性を持ってこの法律を解釈運用していくべきものであろう、かように考えておるわけでございます。先刻工場の規模等のお話がございましたが、それは直接法律で申しております相当規模が即そうだというわけではございませんで、おそらくそういう開発、発展の中核になるような都市だというようなことになりますならば、工場についてもある程度規模用地を持ったものでなくてはならぬじゃないかということで、前国会で御質問がございましたときに、経済企画庁の方から御参考までに一応の御答弁があったことも存じておるわけでございます。
  56. 阪上安太郎

    ○阪上委員 ただ単に臨海工業地域というものだけを考えるのではなくして、内陸の方面まで考えていこうというようなこともこの法律がああいうふうに修正された過程にあるわけなんです。ですからそういうことをよくお考えいただいて、この新産業都市と取っ組んでいただかなければならぬ、こういうことだと思うのであります。しかも聞くところによると、もう指定をする場合にそういった基幹産業等を取捨選択して、そうしてこれをどこへ持っていくのだ、かしこへ持っていくのだという細工の余地がなくなってしまっている。これは企画庁の方の調査の結果においてもそういうことが言えると思うのです。大手産業というものは今ほとんどどこかにへばりついてしまっているんじゃないですか。昭和四十九年くらいまでの計画というものは、大企業がすべてどこかにへばりついてしまっている。従って、へばりついたところでものを計画する以外にもう手はない、こういうところに来ているのに、すったもんだやって、政府部内でどういう裏話があるのか何か知らないけれども、もうきまりきっているのです。大分県の鶴崎にへばりついているものもあれば、裏日本の富山・高岡地区にへばりついているものもある。室蘭・苫小牧地区にへばりついているものもある。しかもそれが十カ年計画ということを考えていった場合に、そういった臨海工業を主としたものの考え方で進んでいったときは、もう取捨選択する余地がない、こういうところまできているのじゃないか。それだのに、先ほど言いました、取り上げていく順序というものを忘れてしまって、そうして先ほど言ったように法律に熟度というものもはっきりしておるにかかわらず、いまだにそれを指定しようとしない。この考え方は現実と非常に離れたものの考え方に立っておると言われてもしかたがないと思うのです。しかしこういう点につきましてここで議論をやっておりましても、一日や二日で終わりませんから、きょうは申し合わせで十二時までということになっておりますので、この産業都市につきましての質問はこの程度に終わりたいと思います。  次に、高校生急増対策なんであります。今御承知のように全国では高校生全入運動というものが展開されまして、去る四日以来、東京へも地方から陸続と中学浪人をなくせというようなことでもって、おかあさん方が上京しておるわけです。そうして各省に対してそれぞれ陳情等もいたしておる、こういう段階でございます。私、きょうここで伺っておきたいのは、一体文部省が公表いたしております昭和三十五年度を基準として急増するであろうそのピークを、三十八、三十九、四十年と考えて、その総数が百二十三万名程度の急増であろう、こういうように考えておる。そのとき基準になったのが三十五年度の進学率でありまして、当時は確か青森が三十三くらいで東京が六十八くらいであった。これは全国平均六十と見てはじき出した数字が百二十三万、この数字について自治省の方ではどういうようにお考えになっておりますか。これはいろいろ財政計画その他で当然考えられなければならぬ基本的な数字だと思いますが、どういうようにお考えになっておりますか。おわかりでしたら一つお伺いしたいと思います。
  57. 茨木広

    ○茨木説明員 高校生の急増問題は、御案内のように、終戦後の出生数の増加の部分が三十八年からそれがぶつかってくるということから原因があるわけでございます。従って、自治省といたしましても、この問題は三十四、五年ごろから一応検討を加えておったわけでございます。どうしてもやはり財政上の問題もございますから、できるだけ早く地方においても準備を願わなければいかぬということで、三十六年度のときから調整係数の中におきましても、高校の起債ワクというものを独立ワクにいたしまして準備をし、その線に従って地方においても建物を早目に準備をいただく、こういうことをやったわけでございます。引き続き本年度の三十七年度においても起債それから交付税等においてもその準備をするということで、自治省としてとるべき点についてはとったわけでございます。  ただいま御質問の、三十七年度の政府計画を立てます際の基礎になりました進学率等の問題でございますが、これはただいま御質問の中にございましたように、一応三十六年度の中学の卒業生というものが非常にダウンいたしております。従って、その一番最近の平常の状況と思われます三十五年度を基礎にとるということで当時の政府計画は発足をいたしたわけでございます。その線に従ってさらにそれから今後の進学の伸びというようなものも考慮に入れまして、三年間において三%をアップしていくということを一応急増計画というものの基礎にはいたしておるわけでございます。と申し上げますのは、政府計画の中には国庫補助の分もございますし、それから交付税で計算いたしておる面もございます。それから地方債で計画いたしておる面もございます。これらはすべて通常の生徒数とそれから三カ年にわたります急増する期間の生徒数との間の調整をするという意味でいわゆる急増対策と申しますか、そういうことで別途取り出した計画でございます。そのほかに地方団体としては、私どももそれぞれ関係者には何回も申し上げておりますが、従来の財政規模の中においても、三十年から三十五年までの状況をとってみましても、当然毎年約一%近い進学率の増を見ている。その校舎をそれぞれ準備をいたしておるわけでございます。でありますから、そういうものとそれから今度こちらの新たに対策を立てました急増対策分を合わせまして、今度の生徒収容の建物をつくっていただこう、こういうような計画を立てておるわけでございます。その後さらに三十七年度の状況等も勘案いたしまして、なお今、さらにこれに急増分として追加措置を講ずべきものがあるのではなかろうかということで、実は関係省間において目下相談中でございます。その中にはやはり文部省の方で責任を持ってもらうべき部分と、地方財政として考えていくべき問題がございます。地方財政として考えていくべき問題については、理財課の方において理財局の方と相談をいたしております。文部省の方において責任を持ってもらう面について線が出ました上で、全体計画を修正するものは修正いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  58. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そういたしますと、あれ以来毎年一%以上も進学率は上昇しておる、従って、それに伴って当然本年の予算編成その他についても修正されなければならぬということは言えるわけですね。  そこで次に伺っておきたいと思いますのは、この前の四十国会、四十一国会でも問題になったのでありますが、一体この高校生急増対策という事務は、国の事務地方事務か、この点は自治省はどう考えるか、これを一つ伺いたいと思います。
  59. 茨木広

    ○茨木説明員 これはいろいろ事務考え方があるわけでございますが、非常に原因になったのは、先ほどちょっと触れましたような生徒の、各年度別に見ますと波があるということでございます。その波が、特殊なものがあるために、どうしても特別の対策を講じなければいかぬということは明らかであろうと思います。ただ問題は、小中学校でございますと、人件費は明らかに二分の一は国庫負担をするという制度がはっきりしておるわけでありますが、一応建物についても、従来から相当補助制度というようなものがはっきりしてきておる。高等学校については、御案内のように人件費は一応全部地方団体で持つのだという建前になっておる。それから建物についてはようやく危険校舎等について補助制度というようなものがぼつぼつ始まってきたというのが高等学校の方についての問題であります。それから団体の方の側からながめますと、小中学校は市町村が設置責任者でございます。従って、市町村の中には、財政力的に見て非常に弱い団体が多いということで、国庫の手当も非常に厚くなっておるということが言えるのじゃなかろうか。高等学校の方になりますと大体設置義務者が主として県になるというような点からいきまして、財政的に見ましてもある程度の弾力性があるというようなことから、今度の問題につきましても、当然国も相当国庫補助を当初から出すべきだという考え方と、いやそれは県の方でやってもらうべきだという考え方二つ、いろいろ過程において論議されたことは御案内の通りであります。私どもも今度の問題については全部地方で持つべきものだというふうには思っておりません。政府計画の中にも国庫補助の分がございます。従って、現在の自治省の内部といたしましては、これを全部地方の起債その他でもってやっていくのだということにはどうしても引き受けかねる、やはり当初の政府計画にありました国の補助分について、その後の事情からいって手直しすべきものがあるはずであると思っておりますが、その分については当然国としても責任を果たしてもらわなければならぬ、地方の方において責任を果たすべき分野については、県の今の財政状況からいって、足りない分については臨時に起債で借りまして、あとで償還をしていくということもやむを得ないのじゃなかろうか、こう思っておるわけでございます。
  60. 阪上安太郎

    ○阪上委員 わかったようなわからないようなことなんですが、今のあなたのお話では高校というのは設置者はやはり府県、五大市というようなものであると初めから言っておるわけであります。現行の関係法律から見ればそれはそうでしょう。私が言っているのはそうじゃない、高校生急増は一体どうだ、これは戦後の特異な現象といわれておるでしょう。そうして今言っている高等学校が府県の義務設置ということになっておる現行法律が、この異常な現象というものを予想しておったかどうか。予想していないはずです。もしそういうことであるなら、あなた方の財政計画の中に毎年それが入ってこなければおかしいじゃないですか。入っていないでしょう。三十七年度だけわずかに入ってきたわけなんでしょう。交付税でもって九十億とかなんとかいうのが入ってきたのはそうなんでしょう。今まで財政計画には出ていないじゃないですか。そうすれば予想していなかったところの問題といっても差しつかえない。予想してなかったところの問題を処理するのは一体だれなのです。私はこの場合国がやっても地方がやってもいいと思います。しかし予想していなかったということになるならば、全額国庫負担という形におけるところの仕事を府県にやらした方が便利ということであるならば、県にやらしてもいいから財政の裏づけをやはり明確にすべきじゃないかと思う。これは新たに増加したところの所要財源だと思うのです。今までも国が一部やっているというけれども、あれは工業高校だけでしょう。一般普通高校にはこれは全然ついていませんね。私が聞きたいのは、文部省はああいう足りないところですから、大蔵省に全額国庫負担といって持っていったところがはねつけられて、そうして荒木文部大臣はしおしおと引き下がってきて、今まで盛んに主張しておったところを裏返してああいう逆なことを言っておった。そしてそのけつを持ってきたのはどこかというと地方財政に持ってきた。三十七年度のあれを見ましてもわずかに十三億だけでしょう、あとは全部地方自治体の負担じゃありませんか。しかも交付税というのは明らかに地方財源であります。地方債の元利償還をしない限りにおいては明らかにこれは独自の地方自治体の財源です。そんな形でこれを処理しておって自治省が黙っておられては私は困ると思うのです。高校生急増の問題についてはいろいろと問題があるけれども自治省として特に考えていただかなければならぬのはこの点じゃないかと思う。  時間がありませんから私は言い分だけ先に言っておきたいと思いますけれども、この際われわれとしてはどうしてもやはり地方債のワクを広げてやる、この地方債につきましては元利償還を国の責任においてやるべきである、こんなことは明らかじゃないですか。だから交付税等の方法でやるということは私はあまりいい方法じゃないと思うのです。それとも交付税を三〇%くらいに引き上げてやるという考え方があるかもしれませんけれども、それよりも元利償還を全部国で持ってやるのだ、しかも起債のワクを広げてやるのだ、これでなければおさまりがつかぬと思うのです。ほかのことはきょうは別にいたしまして、この点だけ考え方一つ明らかにしておいていただきたいと思います。
  61. 茨木広

    ○茨木説明員 まず普通高校と工業高校との関係でございますが、一応急増対策の中におきましては、普通高校と工業高校と同じように考えておるわけでございます。ただ国庫補助の出ます分については、御意見のように産振関係中心にして出ます関係上そういう関係になります。根本的には国庫補助金と申しますか、その方がなまの金でございますから、地方としても好ましいわけであることは十分私どもとしても了解いたしておるのでございます。地方債のお話がただいま出ましたわけでございますが、私どもの基本的な考え方といたしましては、やはりその当該年度の財政状況全般を見まして、どうしても足りない部分は地方債でやるという考え方をいたしておるわけでございます。当初から地方債で何でもかんでも引き受けますというふうに言いますと、いろいろなものがまたここにかぶさってきましてもなかなか大へんでございますので、やはり財政全体の状況を見まして、その限度において地方債の方の額をきめていきたい、こういうように考えておる次第でございます。なおこれからの問題といたしましても、やはり産振関係中心といたします国庫補助の分について手直しをいたさなければならぬ部分があるというふうに私ども考えておるわけであります。それと相待ってこの地方債の方もきめて参らなければいかぬのじゃないか、地方債だけというようなことになりますと、大蔵省の方は喜ぶわけでございまして、地方としてはどうしても泣かなければいかぬということになりますので、やはり筋のあるものはどうしても国庫補助の方で出してもらわなければならぬ、こういう気持でやっておりますので、御了解をいただきたいと思います。
  62. 藤田義光

    藤田説明員 ただいまの御質問について答弁を補足いたします。  高校生急増対策の根本原因をなす敗戦、またそれに伴うベビー・ブーム、こういう特異の現象から出ておりますので、高等学校の設置義務者は地方団体でございますが、政策の考え方としては、政府が十分責任を持つという気がまえが必要であると私は考えております。ただいま財政課長から答弁したことでございますが、当委員会で申し上げますと、実は非常に微妙な問題がございまして、今大蔵省に補助金を出すか出さぬか、相当出せ、その見通しが立った上で直ちに地方債のワク拡大に追い打ちをかける作戦でございますので、あまり詳細な答弁ができないことを非常に残念に思いますが、方向としては大体質問者の方向で参りたいと考えております。
  63. 阪上安太郎

    ○阪上委員 去年も文部省と大蔵省の間のそういう問題がございまして、結局やはり文部省が引き下がってきた。日教組には非常に強い文部大臣でありますけれども、大蔵省には非常に弱いのであります。しかも財源措置は、三十七年度では、御承知のようにほとんど地方財政でカバーしておる。そうなると高校生急増という問題については、ほとんどもうこれは文部省の所管から離れて、自治省の所管に入ってきておる。そこで問題は、そうなったらいいですから、自治省はひっかまえて、文部省なんかわれわれ相手にしておるわけにはいかないから、今度は大蔵省に一つ猛烈にぶつかっていっていただきたい。今ちょっと作戦の一部を伺いまして、私非常に意を強くいたしたのでありますが、この問題については、またいろいろと通常国会等を通じましても皆さんとともに審議しなければならぬ問題だと思っております。  きょうは申し合わせもございますので、この程度で終わりたいと思います。どうぞ一つよろしくがんばっていただきたいと思います。
  64. 永田亮一

    永田委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後零時五分散会