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1962-08-22 第41回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年八月二十二日(水曜日)     午後一時二十八分開議  出席委員    委員長 永田 亮一君    理事 小澤 太郎君 理事 纐纈 彌三君    理事 高田 富與君 理事 丹羽喬四郎君    理事 太田 一夫君 理事 阪上安太郎君       宇野 宗佑君    亀岡 高夫君       久保田円次君    田川 誠一君       前田 義雄君    安宅 常彦君       二宮 武夫君    門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 篠田 弘作君  出席政府委員         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房審議室長) 江守堅太郎君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      五十嵐義明君         厚生事務官         (社会局長)  大山  正君         農林事務官         (農地局長)  庄野五一郎君         運輸技官         (港湾局長)  坂本 信雄君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君         自治事務官         (財政局長)  奥野 誠亮君  委員外出席者         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房参事官)  島村 忠男君         大蔵事務官         (主計官)   高柳 忠夫君         大蔵事務官         (主計官)   小田村四郎君         建設事務官         (住宅局住宅総         務課長)    沖  達男君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      松島 五郎君         自治事務官         (財政局財政課         長)      茨木  広君         専  門  員 曽根  隆君     ————————————— 八月二十二日  委員松井誠辞任につき、その補欠として西宮  弘君が議長指名委員に選任された。 同日  委員西宮弘辞任につき、その補欠として松井  誠君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  激甚じん災害に対処するための特別の財政  援助等に関する法律案内閣提出、第四十回国  会閣法第一五八号)      ————◇—————
  2. 永田亮一

    永田委員長 これより会議を開きます。  激甚じん災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。通告がありますのでこれを許します。太田一夫君。
  3. 太田一夫

    太田委員 自治大臣出ていらっしゃいますので、最初大臣お尋ねをいたします。  昭和三十四年から五年にわたりますところの一般財源の各県におきますところの人口一人当りの割合というものを見てみますと、たとえば東京、神奈川、あるいは静岡、福岡、京都、大阪というところは非常に金額が多い。いわゆる所得の多い人がたくさんいらっしゃるというわけでしょうが、たとえば三十五年度の決算におきまして、人口一人当たり道府県民税割合を見ますと、五千七百六十四円平均になっておるのがそういう富裕県であります。ところが、九州、四国あるいは中国地方、東北というような方面の場合になりますると、人口一人当たり千四百九十五円。これを千五百円としても、三分の一にも——四分の一程度にしか当たらないというような、非常に収入割合が低いのです。これは三十四年度の決算から見ましても、三十四年度は、いわゆる富裕県Aクラスにおいては四千四百四十二円に対しまして、最も悪いところというのは千二百十九円というような工合になっておる。そこで、その他一般財源調整が行なわれまして、大体昭和二十四年度五千円から三十五年度においては六千円ほどになったのでありますけれども一般財源において調整が行なわれるその調整力財政計画においていつも重点になっておるのでありますけれども激甚災害財政援助法においてもこのクラスの都道府県、まあ県だけに例をとりまして、Aクラスの場合とBクラスの場合、CクラスDクラスEクラスというように五つに分けてありますね、その五つに分けたEクラス、最低のクラスの各県におきましては、これは今度の財政援助法というものは配慮されておりますけれども、一体どういう工合に、簡単にわかりやすく言うならば各県の財政力指数というものを中心にしていかなる割合によって、いかなる段階によって今度の財政援助法というものは仕組まれておるか。財政力指数というもののからみ合わせはどうなのか、これをちょっとお尋ねいたしたい。
  4. 篠田弘作

    篠田国務大臣 今度の割合と申しますか、三十四年の伊勢湾台風を下回らないように、できるだけ、今おっしゃいました下の、財政的に低いといいますか、そういう団体に厚く、財政的に富裕団体に対しては財政的に低い団体よりも薄くしていくという方向で割合をきめておるわけであります。こまかい問題につきましては一つ財政局長から御説明させたいと思います。
  5. 太田一夫

    太田委員 財政局長お尋ねする前に、大臣、その辺のところを私どもは心配するんですがね。たとえば今度の財政援助法によりますと地方負担分基礎になる暫定措置法とかなんだとかありますが、公共土木何とかいう名前でしたか、あるでしょう、その国庫負担暫定措置法などによって補助をしました残り——残りというのは今の場合純然たる地方負担になる、それを激甚災害の場合にはさらに補助金かさ上げをしようというのが今回の法律でしょう。そこで政府提出の原案というのは、きのう御説明がありましたけれども、どう考えてみても、われわれが財政力が弱いと思うところに対して、今までと同じかないしはそれ以上に思いやりのある援助になるとは受け取れない。これの第三条「交付金を交付し、又は当該特定地方公共団体の国に対する負担金を減少する」、こういう例におきましても、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法などの残りの分に対して、おおむね五〇%をこの援助法で見ることになっておる。それは財政力指数に換算してみるとどのクラスまで五〇%であるか。こまかくなり過ぎるなら財政局長あとで答辞下さればいいですが、しかしどの辺まで貧弱県に対してA、B、C、D、Eのどの辺まで厚く見てあるのか。
  6. 篠田弘作

    篠田国務大臣 従来たとえば公共土木であるとかあるいは公立学校であるとか公営住宅であるとか、いろいろな問題につきまして個々別々にあれしたわけでありますが、今度は総合的にそれを全部含めましてその損害を見て、そうして事業費合計額を出しまして、それから通常国庫負担額を引いたものをさらにもう一ぺん合計いたしまして、それに対して伊勢湾台風を下回らないという標準——伊勢湾台風は御承知通り最近日本における最も大きい災害でありますから、それを下回らない程度にやるということになっておりまして、全体といたしましては非常に自治団体には有利になっておりますけれども個々の問題につきましてはあるいは多少不利になる団体もあるかと思います。しかし全体といたしましては不利にならないように考慮しているわけでございます。  パーセンテージの問題をおっしゃいましたが、パーセンテージの問題は私には実はよくわかりません。どういうお尋ねであるかわかりませんから、あと財政局長によく説明させます。
  7. 奥野誠亮

    奥野政府委員 基本的には今大臣お答えになった通りでございまして、自治団体の立場から考えますとかさ上げ額が大きければ大きいほどよろしいのでありますけれども、今回のかさ上げのパーセントをきめるにあたりましては、過去の実績をめどにしてきめたわけでございます。なおその間におきまして、できる限り三十四年の災害において実際国からかさ上げ援助を受けたそれとそう大きく変わらないというようなことも一応の目安にしながら、法律にきざんでありますようなパーセンテージをきめたということでございます。総額が三十四年災害の国のかさ上げ額と大同小異、若干上回る程度でございますけれども、そういたしておりまして、かせ上げ方法を書いておるものでございますから、当然団体間においては前に援助を受けた額よりも多い団体も出て参りますし、少ない団体も出てくる、これはやむを得ないことではなかろうか、こう思うのでございます。また将来どういう災害がどういう団体に起こるか、これもわからないわけでございますが、今回の方式におきまして地方負担額を総合するという線を出しておりますし、しかも個々団体標準税収入と比べまして地方団体負担額が多い団体ほど国からたくさん援助を受けられるわけでありますので、今太田さんがおっしゃいました考え方にぴったり合ってきているのではなかろうか、こう考えておるわけでございます。
  8. 太田一夫

    太田委員 そうすると大臣、今の奥野局長の話と合わせてみて、そういう精神で組み立てられるとするならば、各県を大体五段階に分けたということは、財政力指数の、あり方としていつも用いられる方法でしょう。だから五段階に分けたこの財政力クラスに対して、今のかさ上げをして有利にするとか、今までと大体一緒にしたい、二十八年災以来の各地の特例法に照らし合わせてもそれより下回らないというようなもの、それより有利になるというのはA、B、C、D、Eの五クラスの中のどこからどの辺でありますか。そういうことは言えないですか。検討されておったらお答えを願いたい。
  9. 奥野誠亮

    奥野政府委員 理論的には当然財政力の低い団体ほど有利になる仕組みになっておるわけでございます。ただ過去の実績と比べてどうなるかということになって参りますと、公立学校被害が大きかったとか、あるいは土木関係被害が大きかったとかいうような、対象によってこれはおのずから違って参るわけでございますので、過去の実績と比べて今度の制度がどうなるかということは、今御指摘になりましたように一律にはいえないということになるだろうと思います。ただ理論的には、くどいようでございますけれども、とにかく基準財政需要額と比べるのじゃなくて、基準財政収入額標準税収入額と比べまして、その割合がだんだん高くなるにつれてその分援助額を多くしていくわけでございますので、祖税収入の少ない団体ほど国の援助を多く受けられるという仕組みになっておることは、これは御理解いただけるものと存じております。
  10. 太田一夫

    太田委員 標準税収と比べるということはその通り法律に書いてあるわけですね。そうすると、きょう配付なされました資料の中でちょっと承りたいのがあるのですが、よろしゅうございますか。「激甚災害特別における超過累進方式」と一番最初に書いてあるものの四枚目に「公共災害嵩上額試算表昭和三十四年災害について)」というのがありますね。県分、これを見ると、Aの県おいては三十一億四千九百万円の標準税収に対して地方負担額が十三億七千一百万円となり、今回の案は五億二千八百万円になって八百万円のプラスになると書いてある。ところがその次のBというのは三十八億三百万円の標準税収に対して十六億八千五百万円の地方負担があり、今回の案によりますと、七億一千七百万円となりまして、これは少なくとも前回より九千万円ほどの減少になりますね。ところがA県は三十一億の標準税収に対して十三億ですから、四三%か四%の地方負担額片方のBの方が三十八億に対して十六億の地方負担ならば、これはやはり四二、三%の負担額になるはずでございますけれどもA県の方におきましてはプラスになるが、B県の方は九千万円と大幅に、いわゆる一割以上今度の助成は減るというのはこれはどういうわけです。
  11. 高柳忠夫

    高柳説明員 御説明申し上げますが、先ほど奥野局長からもちょっと触れたお答えになると思いますが、三十四年災のときの地方負担額をとりますときのこの地方負担額及びかさ上げ額をとりますときの場合には、それぞれの個別の特例法を用いておりますし、そしてその特例法を用いるにあたってのA、B、C、D、E、Fのそれぞれの県の災害多様性ということがございます。従いまして、その災害の種別によってかさ上げする率の適用がそれぞれ異なっておりまするので、たまたま総計してみますと、五億二千とか八億とかとなりますが、今回の案ではそれが一律にプールされますので、前回の各種の特別立法によるそれぞれの災害に対する特例率との比較では必ずしも厳格に対比できないのではないかと思うのです。
  12. 太田一夫

    太田委員 高柳さんそこが問題なんです。標準税収というものに対してすべての基準を置くならば、どうなる、パラレルに、いわゆる並列方式特例法を作っておいた方がわかりよくて、スピーディに解決できてよろしいんじゃないですか。一緒にしたからこんな工合の悪いことになる〇四三%なら四三%の標準税収に対して地方負担割合だ。その県が片方は一割得するが、片方は一割損するというようなことがどうして出てくるのですか。それは法案そのもの仕組みに問題があるんじゃないですか。
  13. 高柳忠夫

    高柳説明員 若干議論になるかと思いますが、今回の法律の目的が標準税収入を用いまして、その被害との比較において負担力の弱い、いわゆる弱小団体に対して特に公共被害国庫負担かさ上げしようという趣旨に出ておりますので、ごらんのようにC、D、E、Fの標準税収入の少ない場合に激甚災害を受けると、そのプール方式が従来よりも有利に働く、この点に思いをいたして立案しておるわけでございまして、中くらい以上の団体には若干こういったでこぼこがございますが、これもまた被害状況によって、これは一応の試算でございますので、前回よりも被害状況によって同額または同額以上になる場合も予想せられるわけでございます。
  14. 太田一夫

    太田委員 被害多種多様性があろうがなかろうが、地方において地方負担分が幾らになるかということはみな同じでしょう。金目のあるものが被害を受けたならば、それは被害の質は何%増しなんというわけじゃないのです。鉄筋コンクリートの橋で一億かかったのと、あるいは木造の橋で一千万円というのと、やはりあなたの方では一億と一千万円ということで、数字は何も変わりないでしょう。それを多種多様性とかなんとかおっしゃるけれども、私はあなたの立論の根拠が、そういう災害というものが実質的な何か形というものに求めていらっしゃるか、先ほど自治省の方は標準税収というものにすべてを置くのだ、標準税収基礎にするなら、目標を置くならば、三十一億と三十八億の違いがある。そうしてたかが十三億か、十六億の地方負担分でありますから、その間よく似ておるじゃありませんか。相似形でしょう。三角形は大きかろうが、小さかろうが一緒ですよ、相似形じゃありませんか。それをあなたは片方はふえるけれども片方は減るというのはどうやって説明できます。これはずばりとうまくしろうとにわかるようにだれか説明する人があったら言って下さい。
  15. 松島五郎

    松島説明員 今高柳主計官から御説明申し上げましたのと同じ趣旨にはなると思いますが、ただ先生がおっしゃいました三十一億と三十八億というお話でございますが、二十八億でございますので、御了解をいただきたたいと思います。  それから今標準税収に対しては橋がこわれようと学校がこわれようと同じではないかというお話でございます。まさに私どもはその通りに考えているわけでございます。従来は御承知通り個々特例立法をいたしますために、橋がこわれた場合の地方負担に対する措置と、学校がこわれました場合の地方負担に対しまする措置とが、それぞれ必ずしも同一に扱われていなかったわけでございます。今回の法律では橋がこわれた場合の地方負担の一億も、学校がこわれた場合の地方負担の一億も、同じ一億として合計をして、その二億がその団体財政にどういう影響があるかということを判断して、それを財政収入との関係で求めましてかさ上げをしていこうというものでございまして、まさに先生のおっしゃった趣旨に立ったのではなかろうかと思います。たた過去がそうでなかったために、かりに過去に向かって今回の措置を当てはめたならばどうなるかということになりますと、過去がむしろそういう仕組みになっていなかったために数字違いが出てくる、こういう趣旨でございます。
  16. 太田一夫

    太田委員 高柳さん、これは最初数字を私は読み違えたのでしょうか。このところのAの県が三十一億といって、その次の三十八億と読みましたのは、それは二十八億の間違いですか。
  17. 高柳忠夫

    高柳説明員 印刷が不鮮明で恐縮でございますが、Bの欄の標準税収入は二十八億三百方円でございます。
  18. 太田一夫

    太田委員 そこでこれは奥野さん、あなたにお尋ねしますが、三十一億に対して十三億の地方負担分を負わなければならないA県は、これは大体四五%なら四五%の地方負担額だ。これに対しては今までよりも、三十四災よりもかさ上げ額はよろしい。Bの方は標準税収に対して五七%、六割近い今度は被害を受けるわけですね。それがそんなにもひどい被害を受けておりながら、なおかさ上げ額の方は逆に減ってくるというのはどういうわけか。こういう矛盾がこの法案の中にあるのですが、これは間違いないのですか。
  19. 奥野誠亮

    奥野政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、三十四年の際にかさ上げを受けました額を対象別に拾合上げてみますと、も少しはっきりしたお答えができるのじゃなかろうかと思うのでございます。前は総合負担方式でなくて個別負担方式でございますので、たまたまかさ上げ適用を受ける被害額が多かった場合には有利になっているだろう、こういうことがいえるだろうと思います。Aの場合は長野県、Bの場合は岐阜県だそうでございます。どこの県だということになりますと、いろいろな弊害が起きますので、わざとこれを作られたところでは伏せられたと思うのでございますけれども太田さんの疑問を解いていただきますために率直に申し上げたわけでございます。  現在後進地域開発のための公共事業につきましては、国庫負担特例を定める法律がございます。この法律適用を受けておりますのが、四十六団体のうち、たしか三十五、六団体だと思います。岐阜県はその中に入るか入らないか、三重県、岐阜県がちょうど入るか入らないかというような団体でございまして、どちらかといいますと、上位から十番目くらいの団体でございます。長野県は問題なしに入る団体でございます。そういうようなこともございますので、岐阜県が悪くなるのは、まことに相済まない感じがするのでございますけれども総額が同じだ、その中で団体間に若干増減が出てくるのだという場合には、財政力比較的上の団体において減る傾向が生じてもまずやむを得ないのじゃないか、こう思うのでございます。全体がよくなれば申し分ないのでございますけれども、そういう場合にはかさ上げ額前回よりもずっと大きくしなければならないという問題が起きまして、国庫財政の問題も出て参りますので、そうはいかない、そうなれば若干食い違いが出てもやむを得ないのではないかと考えております。より正確には、さきに申し上げましたように、かさ上げ額被害対象別に拾い上げてみませんといけないわけでございますけれども、今その資料を持っておりませんので、総体的には今申し上げたようなお答えをさしていただきたいと思うのであります。
  20. 太田一夫

    太田委員 松島さん、さっきあなたのおっしゃったことと、今の奥野局長の御答弁に関連して、今の例をもうちょっと私は説明していただきたいと思います。岐阜県の例ばかりきのうもきょうも出て悪いのですが、岐阜県はBクラスでしょう。財政力指数からランクしました場合にはEクラスである。長野県はCクラスである。しかもCクラスBクラスとの差というものは実によく似ておるのですね。たとえば三十五年度におきまして、Bクラス人口一人当たり道府県税の額は、Bクラス二千六百五十八円に対してCクラス二千三百五十七円、一般財源においては逆にBの方が五千九百六十五円で、Cクラスの方が六千百七十二円で、それ以上に高いわけです。それから三十四年度も同じ傾向をたどっております。この三十四年のときも、やはり道府県税人口一人当たりの額というものは、BとCとほんのわずか違うだけだ。そのBにある岐阜県とCにある長野県というものは、ここにたまたま今出たA、Bの例の中に出ておるわけでありますけれども、今までの特例法というものによって割のいいところがあったのであるから、岐阜県などは今度割が悪くなるのだ、こういうことになるならば、今までの特例法がいいじゃありませんか。そういうことじゃありませんか。松島さん、これはどう見るのですか。
  21. 松島五郎

    松島説明員 今お話のございました、また局長からもお答えいたしましたように、この事業費の内容によって補助率前回と今回と変わる一つの原因がございます。たとえば災害関連事業というようなものをとりますと、前回特例法が制定されました場合には、事業費がどんなに大きくなっても三分の二、小さくても三分の二というふうに一律の補助率でございました。従いまして、国のかさ上げもまた事業費と全く比例関係にあるわけでございます。ところが公共土木施設のようなものにつきましては、事業費に対しまして超過累進的に補助率特例法では引き上げております。従いまして、事業費が大きくなる、その事業費に比例する以上に国庫補助が大きく交付されたということになっておりますそういうものを合算したものがこの三十四年の例でございます。従いまして、計算の仕方がそういうふうになっておりますので、今回のものは災害関連事業地方負担であろうと、土木地方負担であろうと、おおよそ地方負担に属するものは、一円は一円として、それについて財政収入との関係引き上げを超過累進的にやろうというわけでございます。従いまして、その基礎考え方が今申しましたように違って参りますので、こういう数字が出てくるわけでございます。先ほど来からお話がございますように、今までよかったから、そのままそれを維持したらいいのではないかというお話でございますが、そういうお考えももちろんあろうと思います。そうなりますと、従来と同じように、公共土木公共土木災害関連災害関連学校学校というふうに、個別的な立法をずっと並べていくという方式になるわけでございます。しかし何度も繰り返して申し上げますように、学校負担であろうと橋の復旧のための地方負担であろうと、地方負担という面から見れば、すべて十円は十円、百円は百円でございますので、それを基礎にして、どういうふうにその団体財政力との間で引き上げをしていくことがより合理的であるかという考え方に立って、この法案を研究しているわけでございます。
  22. 太田一夫

    太田委員 だから標準税収に対して六割近い被害自己負担しながら、岐阜県が——岐阜県にばかり味方をするようでありますが、岐阜県が三十四年災のときよりは、この法案によると一割以上損をしなければならぬとは何ごとですか。長野県よりも多いじゃありませんか。長野県は四五%、半分以下でしょう。標準税収の半分以下、四四%か四五%のところが割がよくて、標準税収の半分以上、五七%というところの方が、今回の案によっては、いわゆる自己負担の多いところがかさ上げ額が少ないというのはどういうわけですか。どうしてもわからない。今までよりもいい、いいと言うけれども、いいということの証明をしてもらわなければいかぬ。何か法令によらざる一億円くらいの助成金でも出しておったのですか。そうだというならいいですよ。それならまた会計検査院の問題でしょうが、その辺、何か説明して下さい。
  23. 松島五郎

    松島説明員 地方負担が、先ほど来申上げますように、橋であろうが道路であろうが、あるいは学校であろうが、地方負担という面においては、一円は一円であるというふうにお認めいただけますならば、その地方負担に対して財政力との関係で、どれだけ国庫かさ上げをしていくかということを出すことが、より合理的であるということは御承認いただけると思うのでございます。問題は、その率をきめる場合に、どういう率をきめたら一番いいかということでございます。これは先ほど大臣が申し上げましたように、昭和三十四年災のときに行なわれました地方団体に対して、国が特別に援助した総額を下回らないということをモットーとしまして率をきめたものでございます。制度が変わってきますので、率の刻み方も、すべての団体についてかりに総額としては動かないとしても、それを個々団体に配分する場合に、すべての団体について不利にならないようにするということは困難でございます。もちろん一方においては、財政力の貧弱な団体には有利にしていくということでございますから、もちろんこれは、この新しいやり方によりますと、総額も若干上回っておりますが、その上回り方を非常に極端に大きくしなければ、すべての団体を過去に当てはめて救済できるというふうにはなかなかいかない。そこでこの問題を判断していただくためには、全体としてこの方式そのものは合理化されているかどうか、そして全体としての国庫負担かさ上げ額が確保されているかどうかという観点で御判断いただきたいと思うのでございます。
  24. 太田一夫

    太田委員 だから私が最初大臣お尋ねしたのは、やはり財政力指数というのがこの際ものを言っているのだ、財政力指数というものにものを言わせれば、大蔵省の総合かさ上げ方式というものはもう一回再検討しなければならぬものがあると私は言うのです。あなたは総体的に予算をよけい出したといったって、そのよけい出したということだけで有利だ、有利だという証明を試みようとすれば、国民は納得しませんよ。岐阜県民は何人いるか知りませんが、岐阜県民は納得しませんよ。しかし岐阜県だけでなしに、ほかのBクラスの県、三重県——三重県はどうか知りませんが、富山県、滋賀県、千葉県、長崎県、和歌山県、石川県、茨城県、これがBクラスです。この大体同じ財政指数のところが不利だということになれば、Bクラスは一致団結して自治省に陳情しなければならぬ。五人以上は入ってはいかぬということですがね、五人以上で陳情したら、あなた方はごまかそうとして、総体的にたくさん出すから、あなた方は引き取りなさいと言っても、ほんとうに喜んで引き取れますか。なぜBクラスだけをひどい目にあわせなければならないのか。三重県の場合は、三十四年災と比べて、たまたまきのう私が申し上げたように、ずいぶんたくさんかさ上げになるように有利な資料が出ました。その同じBクラスの三重県の場合は、三十四年災のときに九億一千二百万円の有利なアルファがつく。同じBクラスでもそのようなことになるのは——総合かさ上げ方式というのは、早く言うならばどんぶり勘定みたいなことだ。総合かさ上げ方式という大蔵省案というもは、非常に現実にマッチしておらないということです。同じBクラスでこんなに天と地の差があるということはどういうわけですか。
  25. 松島五郎

    松島説明員 先ほど来何度も申し上げますように、これはたまたま過去にあった災害との比較でございます。従いまして、これを将来に適用いたします場合には、昭和三十四年災と全く同じ災害がその県に起った場合に、もとの法律でやった場合と新しい法律でやった場合に、どれだけの違いがあるかということの比較になろうかと思います。しかし先ほどから申し上げますように、今までのやり方と今度のやり方はやり方が違いますので、今後の問題として簡単に得になる損になるということを比較することはむずかしいと思いますが、何かの基準を求めて作業をいたしませんと作業ができませんので、こういう形をとったのでございます。今具体的に、三重県は上がるのに岐阜県は下がるのはなぜか、同じBクラスの県ではないかというお尋ねでございますが、三重県も岐阜県も財政力指数においてはほぼ同様の県であろうと承知いたしております。これが片方が下がるのはなぜかというと、先ほど申し上げましたように、事業の内容が違うからでございます。三重県は先生もよく御承知通り災害関連事業が非常に大幅に取り上げられた県でございます。従いまして、災害関連事業につきましては、従来一定の補助率でもって事業費が幾ら上がろうとも国庫補助率は一定であったために、事業費が大きくなればなるほど、それにスライドして国が負担率を引き上げても、なお地方負担は比例的にふえるという格好になっていたわけでございます。今度のやり方は、それらを全部合計して引き上げをいたして参りますので、事業費がふえればふえるほど比例的に地方負担がふえるのではなくて、事業費がふえればふえるほど、地方負担の方から申しますと、超過累退的に地方負担が減っていくわけでございます。そういう関係で新しい方式適用すれば、今まで災害関連事業が多かった県が比較的有利になるということであります。それが現実には三重県と岐阜県の違いになって現われてきているわけであります。
  26. 太田一夫

    太田委員 高柳さん、それでどうですか。災害関連事業だけが有利になるためにアンバランスができるのですか。
  27. 高柳忠夫

    高柳説明員 今の説明は一例を申し上げたのでございまして、そのように特例法によって設けられた補助率の相対的に低い事業が多い団体、従って言いかえれば地方負担比較的大きかったという団体に対しては標準税収入が少ない場合には有利にこの方式が作用するという意味でございます。
  28. 太田一夫

    太田委員 高柳さん、有利なところが出てくればふえるわけだ。今度のやつで有利というところが出て、三分の二が四分の三なり五分の四になるということになるならばかさ上げ額がふえてきますわ。ところが減るというのはどこか不利なところがあるのじゃありませんか。減るというのは不利なんでしょう。あなたは長野県の方がふえたということに対する説明は、あるいは三重県の方が有利だったという説明は、災害関連事業というのが三分の二がほとんど四分の四に近くなるから、従ってこれは有利だ、こうおっしゃるのかもしれませんが、有利ということの説明はつくでしょう、不利になったところはなぜ不利になったんでしょう、不利になったところは何か忘られておるのではないでしょうか、何が原因でしょう不利になった原因を説明して下さい。
  29. 高柳忠夫

    高柳説明員 特定の県を申し上げるのはいかがと思いますが、かって有利だったという団体はその災害を受けた事業の内容が非常に高率適用の多かったということかと思います。
  30. 太田一夫

    太田委員 かつて高率適用の事業が多かったところが不利になるなら、高率適用という制度をそのまま本法の中に残しておけば、不利なところが有利になるという一面があるならば今までよりも有利になる。それではなぜ高率適用というものが今度切り下げられたのですか、切り下げなければならぬという理由はどこにあるのですか。
  31. 高柳忠夫

    高柳説明員 今回の法律でもここに一号から十四号まで事業があるわけでございますが、その中で従来とほぼ同じような種類の災害を受けて今回の法律適用が行なわれる場合、標準税収入が一定の場合にはほぼ同じ程度国庫かさ上げが受けられるというつもりでおります。
  32. 太田一夫

    太田委員 高柳さん、大蔵省だから国民が喜ぶような法律を作ったという説明をしてもらいたいのだ。同じであったら標準税収入地方負担一緒災害の内容も一緒だということはあたりまえな話です。そんなことがありますか。伊勢湾台風だってあるいは二十八年災のときであっても同じ条件で同じだなんということはよくよくの場合で万に一つあるかないか、みんな違うでしょう。有利なものを削って不利にしなければならぬというのは何が原因しておるのですかと言っておるわけです。
  33. 高柳忠夫

    高柳説明員 これは松島さんからお話があったことと重なる点もあるかと思いますが、今回の援助法を立案する動機といいますか踏み切る心がまえと申しますか、それについての御理解を一ついただきたいと思うのであります。  従来のように個々特別立法をして参りました場合には、立法過程においてもいろいろ問題もございますし、それから国庫負担のめどと申しますか、激甚災害があったときに国はどのくらいの国庫負担を用意すべきかというめどもつけたい。同時に、反面地方団体側から申しますれば、激甚災害があったときに特別立法をしてくれるのかくれないのか。してくれる場合の特別立法が三十六災のときにも同じような議論がありましたが、二十八災並みであるとか三十四災並みであるとかいうふうな議論があったわけであります。そういう災害があった際にそういう議論を蒸し返すよりも、むしろ激甚災害に対する、地方負担に対して国がこういうふうな国庫負担をあらかじめ用意するというところにこの立法一つの大きな進歩的な意味があるのではないかと思います。それから第二点といたしましては、それにあたって全部によくなるというふうな方法一つ方法でございますが、やはり通常の国庫負担は相当大きくしているわけでございますからそれ以上に国庫負担をするにあたっては、やはり負担の公平と申しますか、国庫負担の増大化という点からも、できるだけ負担力の弱い団体に厚くするという一つ趣旨がこの法案立法の動機かと思いますのでその辺を一つ御理解願いたいと思うのであります。
  34. 太田一夫

    太田委員 その負担力の弱い団体というのはもっとはっきりというと何のことなんですか。
  35. 高柳忠夫

    高柳説明員 いろいろとり方はあるかもしれませんが、この法案でわれわれが考えましたのは、地方自治体が独自で徴収する地方税、いわゆる標準的税収入が、災害を受けた地方負担額との比較において、その負担額がはるかに大きいというのが災害の場合の地方団体財政力が弱い団体である、こう考えております。
  36. 太田一夫

    太田委員 だから標準税収ということになるならば、長野県は三十一億の標準税収に対して十三億の地方負担分というならば四五%だ。岐阜県は二十八億の標準税収に対して十六億というならば五七%だ。岐阜県の方が被害激甚であり、税収も、何か全体の税収の割合地方負担も多いし標準税収も少ないのだし、いかにも貧弱に見えるじゃありませんかというのです。外から見たってわからないが、この数字は当たっていますね。何かこの数字以外に、岐阜県がそんなに負担力が非常によくて、いわゆる負担力の強い団体ということの証明があるのですか。
  37. 高柳忠夫

    高柳説明員 これは……(「この資料はどこから出したのだ」と呼ぶ者あり)内閣から出したものであります。繰り返すようなことになりますが、Bの三十四災かさ上げ額八億五百万と今回の七億一千七百万円だけをこの字づらだけで御比較なさると、多い少ないということになろうかと思いますが、その中身の内容及び計算の方式前回と今回と変わっておりますので、それだけのお話にはちょっと説明がしにくいのじゃないかと思っております。
  38. 太田一夫

    太田委員 高柳さん、あなたの方は、予算編成のときにもあるいは首相の施政方針演説のときにも、あまり地方財政に触れられるということがないから、地方財政というのは忘れていらっしゃると思うのですよ。地方民は足りないところは自分らの金を出して、身銭を切ってやっているんだから、何も無理に出さぬでもよかろう、そうすればまた向こうの住民は自分の銭を出すだろう、いわゆる法外負担というものを知らず知らずのうちに正当化してきておるから、地方財政というものに対してあまり関心がないのじゃありませんか。だから今のような議論が出てくるのでしょう。私の言っているのは、財政力指数を中心として言っているのです。富裕団体と貧弱団体の差というものは何かということを言っている。財政力指数しかないじゃありませんか。それ以外に何をやるのです。財政力指数じゃなくて、たとえばおか目八目で、あそこから有名人が出ておるから、たとえば大野伴睦氏が岐阜県から出ておるから岐阜県の地方財政は豊かだ、纐纈さんが地方行政に出ておるから、纐纈さんと奥野さんとうまくやって何とかするから、だからAクラスの県だというのですか。そんなものじゃないでしょう。だからいわゆる財政力の強弱を何によって判断するのですか。たまたまこの例が一つ出ておるから、私はこの例をもって具体的に申し上げているのであって、これはどうしてもわからない。大蔵省は何で判断していらっしゃるのですか。
  39. 高柳忠夫

    高柳説明員 今の資料の一枚目に戻っていただきまして、下の方の欄の左側に県の地方負担標準税収入という割り算をした式がございますが、今先生がおっしゃる財政力指数という言葉は、未開発地域の国庫負担かさ上げ方式の場合に、財政力指数に応じましてかさ上げ率を、低い団体に高く、中ぐらいの団体に低く、さらに高い団体にはかさ上げをしないという法律が一昨年できておるわけであります。その考え方は、やはり最近の地方財政に対する国庫負担措置する場合の一つの基本的な考え方になっているかと思うのでございます。今回の場合にも、おおむねその考え方が通じておるかと思いますが、未開発の場合の財政力指数とは若干考え方を違えまして、現実の災害が起きた場合の地方負担額、通常の平率の国庫負担をした後の地方負担額とそこの標準税収入との割合が、比較地方負担額が少なくて標準税収入が多い場合には、この割り算で出てくるところの一〇から五〇とか、こういうきざみ方になっておりますが、これは一つ財政力を示しているのじゃないかと思います。この数字が少ないのは、それだけ財政力が高い団体である、比較的高い団体であるから、それに対してはその分に対して補助率は五〇にする。これがさらにずっと上の方に参りまして、二〇〇から四〇〇、四〇〇から六〇〇というふうに、負担がはるかに収入に対して大きいというものに対して累進的に高い国庫負担をいたしましょう、こういうふうな考え方であります。
  40. 太田一夫

    太田委員 高柳さんと議論していてもどうもこれはいかぬ、一ぺん大臣、あなたの、自治省としてこれで責任を持ってみんなの不平というものを押え得る自信がありますか、こういうアンバランスが出てきて。
  41. 篠田弘作

    篠田国務大臣 先ほどからいろいろ議論されておりますが、いろいろ見解の相違があるようであります。しかし、さっきの「公共災害嵩上額試算表昭和三十四年災害について)」という表に戻りまして、ただいま太田さんから御指摘のいろいなお話もありますけれども、このA、B、C、D、E、Fという六つのものを全部合計いたしますと、三十四年度災害、すなわち伊勢湾台風災害のときにおきましては、国から出した金が二十四億七千六百万円ということになります。ところが、今回の方式によりましてこの六つのものを合計いたしますと、国から出す金は二十七億八千四百万円、言いかまえすと、約三億一千万円というものが、同じ災害に対して国からよけい出す勘定になります。そうしますと、府県全体といたしましては、少なくとも今申しましたように、三億一千万円というものが、結局この六つの府県において、同じ災害を受けたとすれば国がよけい出していることになる。だから、国の方としては地方に対してそれだけのものをよけいに出しておる。地方としてもそれだけのものをよけいにもらっておるのだから、結局において得をしているということになるのでありますけれども、今申しましたようなその結果としてでこぼこができている、これは事実です。しかし、低いものに厚く、そうして高いものに薄くするということは、これはやはりいかなる場合におきましても政治の要諦であろうかと私は考えます。やはり、個人であっても団体であっても、恵まれないものにより厚くして、そうして自分の負担力あるいは自分の力というものを持っているものが、自分の責任においてある程度弱いものを助けていくということが、これは人間の道であり、また政治もそういうところに重点が置かれなければばならない、社会党なんかのお考えは常にそういうところにあるのじゃないかと私は考えております。そういう意味におきまして多少のでこぼこは、これはそのうちにできるだけ国の財政力によりまして直していくということは、当然考えなくちゃいけませんけれけれども、今申しましたように災害が起こるたびに陳情団が出てきまして、今度は災害特例法をつくるのかつくらないのかと、議会と政府との間にいつでもそれが問題になってくる。そういうことでは災害に対処するということはなかなかむずかしいのでありますから、こういうような総合的な一つ法律をつくっておきまして災害が起こったときに特例法をつくるかつくらないかという繁雑なことでなしに、この総合的な法律に当てはめたならばどういうことになるかということをつくっておくということは、私は政治としまして一歩前進である。御不満な点については今後十分検討して、数字その他についてはあるいは改定していく必要があるかもしれませんが、とにかくこの法律については、私は対世間的にも国民的にも責任を持ち得るということをここで言明申し上げます。
  42. 太田一夫

    太田委員 篠田さんが責任を持っていただくと、それは一応そういう方法もあるでしょうね。けれども当初自治省が、いわゆる総合負担方式ではなくして各個別特例法の集積によるこの援助法仕組みを考えておられたということは巷間伝えられるところです。しかも、貧乏な地方団体と金持ちな地方団体とがあるけれども、その貧しい方に多く与えて金持ちの方はなるべくしんぼうしてもらいたいのだ。これも所得の再配分ですから、やはり財政の均衡をはかるという意味からはけっこうなことでしょう。しかしその思想とこれは合っておらぬじゃありませんかということをさっきから申し上げておるのです。あなたが責任持つということは、しからば、貧弱団体がこの方式でやったらあっとびっくりしてしまって、これはしまった、これではわれわれの思ってたほどではない、こんなばかなことはないというときにあなたがポケット・マネーをお出しになればいいんでしょうが、別に自治省のポケット・マネーを出しておやりになればけっこうでしょうけれども大臣ですから、地方債をどんどん認めて元利償還金を全部基準財政需要額に繰り入れてというような方法もあるでしょう。けれども、それでは何のためにこれをつくるのかわからない。だから弱いとか強いとかいう抽象論をおやりになる前に、弱い強いの判断はどこに線を引くのですかという科学的な議論を一つやっていただかなきやならなかったはずだが、それが出ない。どうして出ないのですか。出ないでおって弱いところにはなるべく多く、強いところ、富裕なところは少なくていいという思想は、その原則はいいけれども、それを財政援助法に仕組んでいかなければならぬのに援助法は今そうなっておらない。今ここに三重県、長野県の五つか六つ出ている例の中から私は気づいて申し上げておるのだが、だれが見てもこれはアンバランスがある。隣の人の財産はおれの財産だなんていうのはこれは石川五右衛門の思想ですからね。天下の財布は一つでしょう。昨年に比べて三億何千万円あるといったってもらう方は違うから、少なくもらった方は分配上の不平が出てくる。石川五右衛門のようにお前がよこしたらおれは夜黙って持っていくぞということをやればいいんだが、そうじゃない。あなたは石川五右衛門を奨励しておる。これはちょっと荒木さんにいうまでもなく、利益の道徳学を財政上もやってもらわなきゃならぬ。しかも強弱の指数というのは、今まで常にA、B、C、Dというランクに説明いただいておるのに、今度に限ってそれは全部御破算だ、大蔵省のペースに巻き込まれて、大蔵省ばかりを援護して国民の方にそっぽ向かれては、音に名高き篠田さんとしては聞こえないじゃありませんか。
  43. 篠田弘作

    篠田国務大臣 自治省の方に、最初この案に対して異論があったというお話でございますが、私も新しいので、そういうことがあったかどうかわからないので今聞いてみましたところが、そういうことはなかったそうです。そこで各省でもって話し合いをした結果、やはりその最大公約数と申しますかをとって、そうして総合的に意見をまとめたのがこれでありまして、もちろん人の財産と自分の財産は違うわけでありますけれども、これは一つの国策として災害というような問題に対処していくという場合に、別によその富裕の府県から持ってきて弱い府県にやるというわけじゃございません。富裕な府県から無理に金を持ってきて弱い府県にやるということになると石川五右衛門の思想になりますけれども、そういうわけじゃありませんから、これはだいぶ石川五右衛門とは違うのじゃないか、まあ私はそういうふうに考えます。いずれにしましても一つの問題をやるときに、初めから完全なものがどこにでもまんべんなく喜ばれるような政策というものはこれはなかなかできないと思います。ということは、国庫が非常に金をうんと持っておりまして、要求されるだけの分を、よし、持っていけ、持っていけと出せれば喜ばれるのでありますけれども国庫もやはりそういうわけにいきませんから、そこでやはり何か一つ新しいものをやろうとするには、そこに多少のでこぼことか、あるいは犠牲というとまあ少し言葉が大きいのですが、やはりそういうものができるんじゃないか。だからこれも、何もこのままをもって永久に通そうというのじゃなくて、皆さん方の御意見をいれまして、法律ですからだんだん国会において改正していけばいいのであります。ただ先ほど申しましたように、一番大きな眼目は、災害のたびに特例法をつくるとかつくらないとか、非常に陳情者がたくさん来る、そういう不安をなくして、災害というものは一定の基準において国家が見るのだ、そういうことを一つここにはっきりと基礎づけるということの効果は、私は地方に対して非常に大きいんじゃないか。それはものですから、プラス、マイナスしてみまして、あなたの御指摘のようなマイナス面はたくさんあるでしょう。あるでしょうけれども、総体としてプラス、マイナスしたときに、前のような個別的な、災害について学校だ、橋だ、あるいは児童の施設だというふうにして一々特例法をつくってやる方がいいか、あるいはまたこういうような一つの総合的な法律をつくっておいて、そうしてそれに当てはめる方が地方民が安心をし納得をするかということになれば、私はこの方が安心をするんじゃないか、そういう意味で私は責任をもって申し上げたのです。その点一つ太田さんにも御了解願いまして、一歩前進ということでお認め願いたい、こう思います。
  44. 太田一夫

    太田委員 まあそれは確かにあった方がないよりいいことは事実でしょう。そのつど定めておるよりは、恒久的なものをつくっておいて、そしていかなる場合にもそれが適用できるようにするのはいいと思います。これはいいのですが、何か金を持つところの大蔵省の圧力に屈して、心にもあらざる賛成意見を言うということは、国民に対する信頼を裏切るものであるから、そういう点を私はおそれる。とにかく今のかさ上げパーセンテージにいたしましても、なるほどこまかくやってあるけれども、これを一例で当たってみると、大体地方負担が五〇%ぐらいしかかさ上げされない。もっともっとこれは上げる必要あるんじゃないか、災害に対して、非常に甚大である災害をこうむった地方団体の施設を、これは地方団体でそのままやれということはどういうことです。国民に対しては何もやらないじゃないですか。家はこわれたわ、家人は死んでしまったわ、田畑は冠水したわ、作物はどうなったわということに対しては何ら補償はないでしょう。建物がこわれてお気の毒でございますね、それではあなたの家を建てるのをお見舞しましょうといって、国民に対して政府は出すかというと、そんな制度はないのだから、従って国民は災害にあっても何ら政府にしてもらえない。しかも公共土木施設なんというのは、橋だ、川だ、海岸だ、道路だ、あるいは学校だといったってこれは何ですか、国の施設でしょう、国の施設に対してなお地方民が税金だの負担金を出さなければならぬとは何ごとですか。逆じゃありませんか。これは全部に言うならば、そういう異常なる天災によって大きな被害を受けた者に対しては、全額国庫負担の思想をどこかに出さなければ国民の要望にこたえたとは言えない。全額国庫負担の思想がどうして出なかったか。これが出ないというところがおかしい。今までも国庫負担法という公共土木のものもありますけれども、あれじゃいけないからといって、あれを土台にしてさらに特別法をつくってきたのです。それを、一飛躍をすれば、総合負担方式という新しいシステムをつくるのももちろんけっこうでありましょうけれども、なぜ百分の百、十分の十を出すくらいの飛躍、勇断がなかったか。これが残念なんです。それを私は言うのです。これはもう少し地方団体負担を減少させるべしとか、あるいは場合によっては百分の百出すべきだという思想でありますから、お尋ねをする部分があまりくどくなりますから私は以上でとめておきます。建設省の方に……。例の高潮対策の事業費に対する補助というのは今度どうなるのですか。
  45. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 高潮対策事業でございますが、従来特例法をつくっております高潮対策事業の意味かと思いますが、それは災害関連事業という中に含まれて今後処置をされます。災害関連事業の中に入ります。
  46. 太田一夫

    太田委員 財政局長、あなたの方で計算されたときに、今の高潮対策の事業費というのは、海岸保全の補修費用というものは、関連事業として全部計算されておりますか。
  47. 奥野誠亮

    奥野政府委員 おっしゃっている高潮対策事業は、災害で海岸堤防がこわれた。それを復旧する場合に、従前の程度の高さ復旧では役をなさない。ある程度もっとかさ上げをしていかなければならない。そうするとそこのところだけかさ上げをしても意味がないので、まだこわれていないところについてもかさ上げをしていかなければならない。そういう高潮対策事業につきましては、当然災害関連事業として、今回計算されますときの総合負担方式の中の総合負担の中に入れていくわけであります。
  48. 太田一夫

    太田委員 河川局長、そうすると第三条の二号ですか、「新設又は改良に関する事業」というものの中に、高潮対策として防波堤を作るとかあるいは護岸を高くするとか、例の伊勢湾の和歌山県のどこやらからずっと伊勢海、三河湾に至るまで、全部今度——伊勢湾台風のときには高潮対策事業としてこれを補助対象にしましたですね。こういうものは、二号の中の改良工事、新設工事として、やはり同じように、一般の土木施設災害国庫負担法と同じように見るというのですか。
  49. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 国庫負担法による災害復旧事業は一号でございます。従来の高潮対策事業に相当するものが二号の災害関連事業で行なう、こういうことになります。
  50. 太田一夫

    太田委員 第三条二号の関連事業というのは、それだけでは再度災害の防止に十分な効果が期待できないから、そのために合併して行なう工事だと、こういうことになっていますね。そんなばく然とした中にほうり込まれておるようですが、そうですか。
  51. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 その通りでございます。
  52. 太田一夫

    太田委員 それがあるために、三重県の場合が非常にかさ上げ額がふえるということになったのですか。
  53. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 その点は先ほどからいろいろ御質問なりお答えがございましたが、そういうものも総合して、過去の実績に合わして見ると、三重県は従来の三十四年災の実績よりも今度の方が上回る、こういうことでございまして、高潮対策事業だけがそれの要因になっているかどうか、その辺はよくわかりませんが、その要因の一つになっている、こういうふうには考えられます。
  54. 太田一夫

    太田委員 従がって高潮対策の特例法というのが特にここの中にうたわれておらない、項目としてうたわれておらないが、入っておる、こういうことですね、それでわかりました。農林省のお方にお尋ねをいたしますが、今度の場合のこの第三章は、先回と比べまして率が相当に下回っておるというふうに思うのでありますが、これはいかがですか。あなたの方のお考えでは、やはり下回っているがやむを得ないというのでありますか、それとも何か御意見がおありでしょうか。
  55. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 農林関係の農地及び農業施設についての災害復旧でございますが、御承知のように農地及び農業施設の災害復旧補助暫定法でやっていきまして、三十六年災についてはそれを排除して特別法ができた、こういうことになっております。それで今回は、先ほどから御質問なり御答弁がありましたように、総合かさ上げ方式に切りかえる、こういうことになっておりまして、暫定法をまず適用しまして、暫定法によりまして農民の負担が二万円をこす場合、こういう場合に激甚災法として一万円から二万円が七割、二万円から六万円が八割、六万円をこす場合は九割、こういうようなかさ上げ方式をやったわけであります。それで従来の方法に対して、われわれ決して下がっているとは考えておりません。
  56. 太田一夫

    太田委員 ただいまのは、第五条の農地等の災害復旧事業に関する国庫補助、これは総合かさ上げ方式であるから、総体的には下がっておるとは思わない、こういうことですね。あと、六条、七条等についての御意見は入っていませんね。
  57. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 ただいまお答え申し上げましたのは農地等の災害復旧事業でございます。それから六条は共同利用施設でございますし、七条は開拓者等の施設の災害復旧でございますが、大体三十六年災と同じことでやっております。
  58. 太田一夫

    太田委員 大体同じというのはどの程度の誤差ですか。
  59. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 大体、全く同じでございます。
  60. 太田一夫

    太田委員 全く同じだとおっしゃるのですがたとえば第六条の中にこうあるでしょう。十分の四というところがありますね。激甚災を受けた共同利用施設のうち「暫定措置法第二条第六項及び第七項中「十万円」とあるのは「三万円」と、同然第三条第二項第五号中「十分の二」とあるのは「十分の四」カッコの中は抜きまして、「とし、その他の地域内の施設については、同号中「十分の二」とあるのは、「十分三」」、こういうふうに数字が出ていますが、伊勢湾のときには、十分の四というのは十分の九、十分の三とあるのは十分の五であったと思うのです。従って十分の四のカッコの中にある十分の九の方が適切であり、十分の三は十分の五であるべきで、十分の四、十分の三というのは、これは無用な数字である。伊勢湾の場合と比べると、下がったじゃありませんか。全く同じじゃないじゃありませんか。
  61. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 激甚災の場合に激甚災の地域指定をいたしまして、五条のような非常な地域指定をやります場合は十分の九、それから激甚災でございますが、一般災よりも災害が大きいということで、激甚災の地域指定はないのですが、激甚災があったような政令指定を受けました災害の場合には十分の四、こういうふうに区別されております。
  62. 太田一夫

    太田委員 伊勢湾台風のときの特例法と全く同じですか、違うのですか、と言っているのです。伊勢湾台風のときには十分の九だ、十分の四ということはなかったはずだから、伊勢湾のときは違うでしょう。
  63. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 三十六年災と同じにしてございます。
  64. 太田一夫

    太田委員 三十六年災のときも、十分の九と十分の四と二色あったとおっしゃるのですか。
  65. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 御指摘の通りでございます。
  66. 太田一夫

    太田委員 それではそのあと、たとえば——あなた、一緒だとおっしゃったのですが、たとえば天災融資法の場合におきましても、今一千五百万円という数字がここにありますが、最高頭打ち二千万円迄三十六年災のときには認められたと思うのですが、これも二千万円じゃなかったのですか。
  67. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 所管が違いますが、三十六年災のときには、長野県につきまして特別な事例として二千万円ということが認められております。全体平均いたしまして、今回は、一千五百万円ということで——農業協同組合の経営資金でございますので、一千五百万円というベースにしたわけでございますが、三十六年災は長野県の特別な例がございましたので、三十六年度特例として二千万円というのがあったかと思います。
  68. 太田一夫

    太田委員 安い方を取ったというわけですね。九条の森林組合等の行なう堆積土砂の排除事業に対する補助に「都道府県が三分の二をこえる率による補助をする場合には、」 とありますが、これは伊勢湾台風のときには九〇%の補助だったと記憶しておりますが、これは九〇%は間違いですか。
  69. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 これも農地局長の所管外でございますが、三十六年と同じだと承知しております。
  70. 太田一夫

    太田委員 高柳主計官、今の点所管外の点があって不明確なる御回答があるのですが、あなたの方のお調べになったところはどうですか。
  71. 小田村四郎

    ○小田村説明員 私からお答えいたします。  ただいまお話のございましたのは、従来通りでございまして、森林組合の排土事業、これにつきましては、従来三十四年災、三十六年災にはございません。今回新たに規定されました規定でございます。
  72. 太田一夫

    太田委員 従って三十六年災の場合に抵触はしておらない、下がっておるのではない、こうおっしゃったわけですね。  それでは漁船関係というのはお答えできますか。農林省いいですか。もしお答えできなかったら、だれでもいいんですがお答えしていただきたいんですが、小型漁船建造に関する助成でございますね、これはこの前の三十六年災の場合と同じでございますか。
  73. 小田村四郎

    ○小田村説明員 三十六年災と全く同じでございます。
  74. 太田一夫

    太田委員 全く同じだとおっしゃいますが、その三十六年災の法律は、小漁船型の被害が政令で定める基準をこえる都道府県の漁協に対して、漁協がその事業として共同利用の小型漁船を建造しようとするときは、国は八割の補助をするというものがある。八割の補助、違いはありませんか。
  75. 松島五郎

    松島説明員 ただいま御指摘のは、三十六年災のときは三分の二でございます。それからその前の宮城県のチリ地震津波のときも三分の二でございます。
  76. 太田一夫

    太田委員 三十四年災のときは三分の二ですか、間違いありませんか、松島さん。
  77. 松島五郎

    松島説明員 三十四年災のときはたしか全額であったと思っております。
  78. 太田一夫

    太田委員 伊勢湾台風のときの一これは激甚災としては最近の最も顕著な例ですが、伊勢湾台風のときとほとんど一緒だという答弁が何回かあるんだが、違うんでしょう。
  79. 高柳忠夫

    高柳説明員 伊勢湾台風が従来の災害の相当大きな災害であったということからして、昨日来伊勢湾台風をめどにして、それに高まらないような程度を設けるということは繰り返し御答弁申し上げたわけでございますが、農業関係、漁業関係につきましては、その後三十五年災、三十六年災の災害におきまして種々検討いたした結果、または災害の態様等によって若干の補助率の改定が行なわれてきておりますので、今回の成案にあたりましてもそういった点を考慮いたしておる次第でございます。
  80. 太田一夫

    太田委員 高柳さん、そうすると、別の言葉で言えば、伊勢湾台風のときよりは、この補助は下回っておる、こういうことですね。
  81. 高柳忠夫

    高柳説明員 下回っているという言葉が適切かどうかわかりませんが、変わっておる部分もないとは言えないということであります。
  82. 太田一夫

    太田委員 先ほど、言い違いかどうか知りませんが、高まらないように、そういうことをおっしゃったんですが、低くならないようにという意味でしょうね。前災のときの特例法を高まらないように配慮したということは大へんですわね。上に行かないように、常に下に下に押えてきたということになると大へんです。三十四年の伊勢湾台風のときよりも漁船の建造に関する補助金はうんと下がっておる。下がっておるとは言いにくいから同じではないと言っておるのでしょうが、そんなことを言ったのでは国民はわかりませんよ。俗な言葉でいえば、補助金は減っておるのでしょう。
  83. 松島五郎

    松島説明員 さっき私間違えまして漁船は十割と言いましたが、十分の九でございましたので訂正させていただきます。  なお、三十四年災を下回るか上回るかという問題でありますが、ものによっては、その後の経過等も参照いたしまして漁船のように改めたものもありますが、一方ものによりましては、たとえば身体障害者福祉施設でありますとか、精神薄弱者福祉施設でありますとか、当時なかったそういうものを新たに取り入れたものもございます。全体として見ていただきたいと思います。
  84. 太田一夫

    太田委員 松島さん、いいところだけを答えて、答えにくいところはそういう答え方をしていただくと困るんですよ。審議しているのでしょう。あなたが率直に言ったからあなたは参事官として不適任だとわれわれは言わないのです。下回ったら下回ったと言えばいい。十分の九と三分の一なら十分の九の方が多いにきまっている。その算術があなたにはわからないのですか。下回っているのか、上回っているのか、同じであるか、三つに一つの返事をして下さい。松島さんができなかったら高柳さんからして下さい。計数学の大家ですからね。
  85. 松島五郎

    松島説明員 私、先ほど間違って申し上げましたので訂正させていただきましたが、その際によけいなことを申し上げて恐縮です。十分の九と三分の二でございますから、その部分については下回っております。
  86. 太田一夫

    太田委員 そういう点が出て参りましたね。昨日お尋ねをいたしましたときには、補助率は下回っておるものがあるかといったときには、みな従前の例を踏襲しておるというふうにおっしゃいまして、ただ天災融資の関係が三十六年のときに二千万円というものがあったけれども、これは千五百万円に押えましたというお答えをいただいたのです。前例を踏襲するということは——踏襲という言葉がよくわかりませんが、今後踏襲という術語をお使いになったときには、上回るものがある、下回るものがある、同じものがある、千差万様であると理解しなければなりませんが、きのうのお答えとは何か違いはしませんか。だれがお答えになったのでしょうね。補助率は下回っておるものはありませんかと念を押したときに、それはありません、前例を踏襲しておる。踏襲しておるということは下回っているものも含める。総合かさ上げ方式の中ででこぼこが出るのは、総合負担方式という新しい方式にしたのですから少々やむを得ない点があるような気がする。完全に前例を上回るというわけにはいかないでしょう。けれども個々の場合、たとえば小型漁船などというような場合において、三十四年の伊勢湾台風のときより下回るということがかりにあるとして、それを踏襲という言葉で逃げていただいては、私ども審議するのに困ると思うのですね。
  87. 高柳忠夫

    高柳説明員 昨日の答弁の中で、天災融資法の例を一つ、下回った例として内閣の方から御答弁申し上げたのでございますが、その際に、またいずれ逐条的なこまかい御質問があるかと思って、一例を申し上げて、他はおおむね従来の例を踏襲しているというようにお答えしたかと存じますが、ただいま御審議の過程におきまして——従前という中には、三十四年災の場合とその後三十五年、三十六年という二つの災害を経て、そのときの状況に応じて補助率の改定が行なわれて参りましたので、今回総合的な立法をする際にあたっては、その従前のうち、勘案いたしまして、最近のものをとった例もあるわけでございますので、その辺御了承願いたいと思います。
  88. 太田一夫

    太田委員 高柳さん、従ってそういう場合もあるとするならば、内容の説明資料か何かの中に、具体的に変わっておる数字か何かで明記したものをお配りになっていらっしゃるのですか。たとえば今の漁船の問題は、伊勢湾台風の際に比べて、片方は十分の九、いわゆる九割の補助であった。今度は三分の一、三分の一、こういう補助である。三分の二ですね。三分の二というのは、六割六分六厘、そういうことでしょう。十分の八にしても十分の九にしても、はるかに上です。そういうものが資料の中にどこかに出ていますか。
  89. 高柳忠夫

    高柳説明員 一応われわれとしましては、手元に一般法と、それから起債の既往の特例法補助率と、今回の援助法に基づく補助率との対比は準備いたしております。個々に御質疑がございますればお答えできるように準備はいたしておるつもりでございますが、それに基づきまして、先ほど前回と同じと申し上げた場合に、前回に二十八年災から三十六年災までがあるわけでございます。そのときに言い落とした点もあるかと思いますが、今後も御質問がございますれば、既往の特例と今回との対比は御説明申し上げられると思います。
  90. 太田一夫

    太田委員 農林省にお尋ねをいたしますが、除塩作業に対する助成というのは、今度は減らされておりますね。その理由はどういうわけでございましょう。
  91. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 除塩は、三十六年の場合は特例法をつくらないで、予算措置でいたした次第でございまして、大体今回の激甚災の財政援助等法律は三十六年災を基準にいたしましてつくる、こういう方針でございまして、今後も除塩作業が起こりますれば、予算措置でこれを措置することにいたしております。
  92. 太田一夫

    太田委員 三十六年災を中心として、農林省当局は今度のこの援助法案をおつくりになったのですか。三十四年災というのは、伊勢湾台風災害というのが中心じゃありませんか。
  93. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 もちろん二十八年災、三十四年災あるいは三十六年災、こういうものを大体基準にいたしまして、かさ上げ補助の率等はきめたのでございますが、除塩につきましては、法律事項としないで予算事項として処置する、こういう方針で考えております。
  94. 太田一夫

    太田委員 三十六年災というのは立法も少なく被害の規模もさほど大規模でなかった。いわゆる二十八年災というのは、少し古いかもしれませんが、三十四年災に、激甚災害という一つのモデルがあるじゃありませんか。その際に除塩作業というものがあれほどやかましかったが、あの除塩作業というものに対する立法のそもそもは、これはたしか政府当局、最初からあまり乗り気でなかった。だからこの際、あの乗り気でなかったものを無理に災害特別委員会でつくったんだから、今度はこんなものははずしてしまえ、江戸のかたきを長崎で討ったのが今度の財政援助法だ、こういう気がするのであります。三十四年災のときにあれほど議論になった除塩作業に対する援助というものを切ってしまう、これは農民に対して少し酷じゃありませんか。農民は、この前の除塩作業のときの金額でも、どうもそれだけのもので排除溝をつくるとかいろいろの作業をするのには、スズメの涙なんだけれども、それもこの気持があるということがまことにありがたいんだといって、あの当時は、これは政府の善政だとたたえたものですよ。愛知県の海部郡などにおける広大な濃尾平野の農民は、それによってどれだけ助かったかわからない。今度はこういうものがなくなった。塩が内陸に入らないという保証はない。入った場合に一番影響するのは農地ですから、農地の除塩というのは、次から次に大災害があれば問題のあるものだと思うが、どうしてこれをおはずしになったのですか。その必要なし、あるいは別個に農林省は前例に基づいて出す別の予算措置を講ぜられるから、この中に入れないのか、この点はどうですか。
  95. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 江戸のかたきを今度討つ、そういう意思は毛頭ございません。農林省といたしましては、今後の災害において除塩措置を講ずる必要があるという場合には、予算措置として三十六年並み以上のことをいたしたい、こういうふうに考えおります。
  96. 太田一夫

    太田委員 それは必要があるといって、ないといったって、海の水は塩分が薄くなるという見通しをあなたは持っていらっしゃるのですか。今後海の水は塩分が非常に薄くなって、それが入った場合においては、かえって農地のためになるのだということなら、肥料にかわるものになるならば、海水の入ることを歓迎する。しかし塩が入れば、あと限定された作物しかできないし、その成育が悪くなるというときに、何らかの除塩作業をしなければならぬということは、あなたたちは何年間かの経験で十分御承知だと思う。その場合にそれを補助するのか。農民であるからいやだということでは、ちょっと情けないじゃありませんか。必要があるなら考えるというが、明らかにきまっておるものをなぜお入れにならないか。高柳さん、あなたが反対されたのか、あるいは農林省が出さなかったのか、真相を明らかにしてもらいたい。
  97. 高柳忠夫

    高柳説明員 今回の特別法をつくるにあたりましては、やはりできる限り基本的なもの、そして確定的な性質を帯びたものを中心に、一定の国の財政援助基準を示そう、こういう基本的な考え方が各省間に一致した意見となりまして、その意見を基礎にいたしまして、予算措置で可能なもの、またもうすでに特に必要としないもの、または今後さらに必要が増加するもの、そういうふうないろいろな振り分けをやりまして、今回の法律が一応できておるわけでございまして、その考え方一つとして、除塩事業は予算措置でやろうじゃないかというところに、大蔵省と農林省の間の意見が一致したわけでございます。反対と賛成とかいうことじゃございません。
  98. 太田一夫

    太田委員 そうすると、きょうは厚生省の方お見えになっていますね。たとえば水道関係補助ですね。これも今度除かれておるのは同じ趣旨ですか、五十嵐さん。
  99. 五十嵐義明

    ○五十嵐政府委員 ただいま農林省からお答えがございましたのと大体同じ趣旨で、予算措置で従来の補助を確保できるという見通しで、こういう措置をとった次第でございます。
  100. 太田一夫

    太田委員 三十四年災におけるところの水道関係補助は幾らくらいでしたか。
  101. 五十嵐義明

    ○五十嵐政府委員 ただいま手元に資料を持っておりませんので至急調べまして、適当な機会にお答え申し上げます。
  102. 太田一夫

    太田委員 水道というのは、一たん水が長期断水いたしました場合とか、あるいは土砂の流入があった、土砂くずれがあった——大きな災害には、必ずつきまとうのですが、これが流入いたしまして、大へんな被害をこうむるものなんですね。当時でも一応みんな、水道といっても地下に埋もれているのだから大丈夫だろうというわけでほとんど軽く見ていたのだが、さてとなって、復旧事業が大へんな事業だということで、この水道問題というのが当時非常な焦点を浴びたのですが、これは都市に水道が普及すればするほどこの復旧というのは非常に莫大な金がかかるということは、これは現在の事業費の動向を見てみましてもはっきりわかる。だんだんと中小都市に至るまで水道はふえてくる、その規模が大規模になってくる。その際に、災害復旧というものに対してかつてその思想があったのに、この財政援助法の中に入らないということは水道というものを軽く見ているような疑いがあるのですが、そういう点ございませんか。
  103. 五十嵐義明

    ○五十嵐政府委員 水道の必要性、重要性につきましては御指摘の通りでございまして、これはことしの東京都の水飢饉の例なんか見ましても非常に生活に直結した重要な問題であることはお話しの通りでございます。従いましてこの災害の場合の復旧につきましては従来予算措置あるい特例法によった場合もございますが、二分の一の補助をいたしましてその復旧に努力をしてきたような実績であります。
  104. 太田一夫

    太田委員 二分の一の補助にいたしましてもこれは非常に膨大なものだと思う。たとえばそういうものを特例として特に一条を起こして水道だけのものを出すか、それとも最初の第三条ですか、第四条ですか、総合かさ上げ方式の中にそれを入れるべきであるかという議論が相当なされなければならなかったと思うのです。この金額は、これを少なくするために、二分の一という金額に押えるためにこれをはずしたとしたら、水道が除外されているということは、これまた地方財政というものに対する圧迫という問題を検討する場合に、一つの盲点、こんな気がするのですが、地方財政のことを考慮されてなおはずされたのでしょうか。これは厚生省では地方行政、自治省とは違うので、何でしょうか、水道というものに対する被害はそんなにたくさん起きないであろう、だから二分の一の補助を今後も続けるのだ、こういうおつもりでおはずしになったのですか、その点いかがですか。
  105. 五十嵐義明

    ○五十嵐政府委員 私ども地方財政の点を全然無視しておるという立場ではございません。従来ともこの程度の率の補助によりまして復旧の事業も行なわれたという実績を考慮いたしまして、こういう措置をとった次第でございます。
  106. 太田一夫

    太田委員 じょあ災害救助法の件についてもお尋ねいたしますが、災害救助法関係補助も今度の場合やはりはずされておりますね。これは今の水道と同じことではずされたのですか。
  107. 大山正

    ○大山政府委員 災害救助法につきましては特別な理由がございまして今回はずしておるわけでございますが、それは従来災害救助法によりますと、災害救助費がその府県の普通税収入の千分の二をこえる部分についてだけ補助対象になっておりまして、千分の二以下は補助対象にならなかったのでございます。従来の激甚災害における特例立法といたしましては、この千分の二を千分の一に下げるというようなやり方をやっておったわけでございますが、前の第四十国会におきまして災害救助法を改正していただきまして、この千分の二とありますのを政令で定める額というように変えたわけでありますが、政令で百万円という金額をきめましたので、百万円をこえるような場合にはすべてもとから補助をするというような改正を行なったわけでございます。これは一面におきまして激甚災害に対処しますとともに、最近頻発します小災害に対処しようということでこの改正が行なわれたわけでございますが、この改正によりまして、従来の特別立法よりは、むしろ有利な改正がすでにできております。従いまして、今回の激甚災害に関する特例法の中には特に入れなかった、かような次第でございます。
  108. 太田一夫

    太田委員 かりに災害があったとして、それだけ急増する災害救助法の特例補助の総予算というものは、たとえば伊勢湾台風クラスのものがあった場合に、しからばどれくらいに目算をしていらっしゃるか。
  109. 大山正

    ○大山政府委員 伊勢湾台風の際における災害救助費に対する国庫負担額は約五十億、それから特例措置を設けたために、先ほど申しました千分の二を千分の一に下げたことによる国庫負担の増分が千四、五百万というような数字でございます。
  110. 太田一夫

    太田委員 今度の場合は百万をこえるですか、今度の災害救助法によって——一般災害救助法ではありませんよ。——激甚地に対して補助される基準というのは、もう一回はっきり言って下さい。
  111. 大山正

    ○大山政府委員 従来激甚地に対しまして千分の二を千分の一に下げておったわけでございますが、今回の改正によりましては、激甚地であるといなとにかかわらず、すべて百万円をこえる場合には補助をする、こういうことに変えたわけでございます。従いまして、従来の激甚災害に対する対処の仕方から見ますと、それにつきましてもさらに有利である。さらに激甚でない場合でも、小災害に対しましても処理ができるというような恒久立法を行なった、こういうような関係に相なっております。
  112. 太田一夫

    太田委員 百万円に下げたということについては標準税収等の問題とこれは関連なしにくることですから、百万円くらいのものはすぐにどこにでもあるということでそういうことをなさったのだろうと思うのですけれども激甚災害であるから特別補助をするのではない。一般的な災害救助法の一本でやるのだ、こういうふうにおっしゃるのですが、やはりその場合は激甚災と災害救助法が発動されたからというものとすべて同じだということは、よほど研究されておると思うのですが、たとえば何々地区の市町村に対して災害救助法が発動された。百万円こえたならば、それに対して二分の一を補助する。これは激甚災の場合に少々不親切なことになるじゃありませんか。
  113. 大山正

    ○大山政府委員 先ほどちょっと御説明が足りませんでしたが、災害救助法の国庫負担のやり方は、この災害救助費とそれから都道府県の財政力、これは普通税収入に見ておるわけでございますが、これに応じて負担割合が累進するような形になっておりまして、ちょうど今度の激甚災害立法と同じような思想でできておるわけでございます。百万円をこえるような災害がありました場合には、百分の二までは五〇%、百分の二をこえまして百分の四までは八〇%、百分の四をこえます場合には九〇%というような制度に相なっておりますので、激甚災害がありますと、当然その高率の補助率適用になるわけでございまして、十分激甚災害に対処し得るような制度に最初から仕組みがなっておる、かような関係でございます。
  114. 太田一夫

    太田委員 ただ千分の一と百万円を比べてみて基準財政収入額が十億以下のところ、そういうところは不利になるような気がしますが、そういう点はございませんか。
  115. 松島五郎

    松島説明員 基準財政収入額昭和三十六年度で一番低い県で十五億ばかりになっております。これはもちろん基準財政収入額でございますので、この中には道路譲与税のような災害救助費の計算の基礎になります場合は除外しなければならないものもございます。しかしそれとまた八分の十に戻して標準税収入にいたしますと大体十五億が最低ではなかろうかと考えております。従いまして、その千分の一といいますと百五十万円でございますので、現在では最低県でも千分の一にすれば百五十万円程度になるわけでありますから、百万円といいますとそれより下でございますので、百万円によって損になる県は今のところないのではないかと考えております。
  116. 太田一夫

    太田委員 この例を見ますと八億九千六百万円の標準税収のところの例が出ていますね、これは今後そういうことはありませんか。
  117. 松島五郎

    松島説明員 これは三十四年度の数字でございまして、最近では全体に税収入が上がってきておりますので、今申し上げたような事情でございます。
  118. 太田一夫

    太田委員 それからこれは奥野財政局長お尋ねしますが、今のように対衆から漏れた事業というのが多々ありますね。しかしそれは全部十割農林省なりあるいは厚生省が負担するのじゃなくして、何分の一ということになります。少なくとも地方負担分が相当上ると覚悟しなければならない。災害の場合のあなたの方の考え方、起債とかあるいはその起債を許可したあとの元利償還金負担ということについてはいろいろお考えがあるような気がする。たとえばことしのように地方交付税法の場合にあなたの方がおっしゃったことは、財政力に比して公債費負担の大きい市村町の公債費負担の軽減をはかるため、市町村が国庫負担金を受けないで施行した災害復旧事業の財源に充てるため起こした地方債の元利償還金を基準財政需要額に算入し、財政力補正をいすこととしたいと考えているというのでありますが、これは市町村というふうになっておりますけれども、県の場合でも、こういう何か相当考えなければならぬのが出てくると思う。激甚災の財政援助法の建前からいたしまして、今後災害が起きました場合に、激甚災の場合と一般災と別かもしれませんが、あなたの方はその地方負担分に対する起債の認可の一つ基準、具体的にこれは災害関係するなら一〇〇%認めて地方の要望を認めるというおつもりか、それとも何か財政力指数というものに応じてお認めになるつもりか、何か今お考え方があるでしょうね。最後のあれに関連しておるのですけれども、それを一つおっしゃっていただけませんか。   〔永田委員長退席、高田(富與委員長、代理着席〕
  119. 奥野誠亮

    奥野政府委員 今お話しになりました市町村についてとる方式は、三十七年度分の地方交付税から採用したわけでございます。府県につきましては三十六年度分からその方式を採用いたしております。なお、災害復旧事業にかかります地方債につきましては、災害程度激甚でありますと、自然地方負担額も多くなるわけでございますので、従いまして、地方債を認める割合を高くしていかなければならない、かように考えておるわけであります。財政力が低いからよけい認めるとか、認めないとかいうことではなしに、地方負担が多くなるから地方債も割合を多くして認めなければならない、こういう考え方を持っておるわけでございます。この地方債の元利償還額を基準財政需要額に算入していきます場合には、財政力の低い団体についてはなるたけ大きな部分を算入するという方式をとるべきものだろう、こういう考え方をいたしております。
  120. 太田一夫

    太田委員 そうしまして、あなたの方の思想というものはこの第何条ですか、最後の方に載っておると思うのですが、全額を見るという思想はないのですね、いかに弱小といえども。そういう点は今までの前例に照らして見て差しつかえないですか。
  121. 奥野誠亮

    奥野政府委員 御承知のように、基本的には初年度一〇〇%、次年度以降よりは過年度災害につきましては七〇%、しかし災害激甚であった地域につきましては八〇%、あるいは九〇%というように上げて参ってきております。やはり災害復旧事業でありましても、次年度以降におきましては年度当初から予想されておることでございますので、一般財源をできる限りそれに向けていく、健全な運営を自力でやっていくのだという建前をとっていく必要があるのではなかろうか、こう思っておるわけでございます。
  122. 太田一夫

    太田委員 この精神として、起債によって何とか当面その補助のない分をやるというところは相当出てくると思う。最初の例で申し上げましたように、A、B、C、D、Eという五段階財政力指数というものは、今後の財政援助法には全然用いられておらない。用いられておらないというところから、それぞれの地方においては割の悪い災害が多かったために、相当地方負担額が多くなるという問題が出てきますね。だから、あれは六五%しか負担しない、いや起債も認めない、これは百分の五十しか認めないということでは少々しゃくし定木に過ぎるおそれがあると思いますが、その点あなたの方としては、さらに場合によってはこれはもう少し大幅に認める用意もおありなんでしょうか。
  123. 奥野誠亮

    奥野政府委員 今おっしゃいました五〇%とか六〇%は農地の復旧でありますとか、あるいは農林共同施設の復旧でありますとかいうような部分でございまして、住民全体が利用する施設とは違うわけでございますので、ある程度農地の所有者等に自己負担してもらうという建前から、御指摘のような方式をとっておるわけでございます。
  124. 太田一夫

    太田委員 公共土木施設についてはどうなんですか、小災害について一〇〇%ですか。
  125. 奥野誠亮

    奥野政府委員 公共土木施設でありますと、先ほど申し上げましたような考え方をとっておるわけでございます。ただ小災害をどの範囲まで認めていくかということにつきましては、一件々々現地におもむいて査定しているわけでありませんで、ある程度市町村の申請を信頼するとか、あるいは公共災害復旧事業費の額から見て推定するとかという方式をとっておりますので、若干団体によりましてはそこに希望と起債を承認する額との間にズレが生ずるということは起こり得る、こう思うのでございます。しかし原則的には災害復旧事業であります限りは、全体を対象といたしまして初年度一〇〇%、次年度以降七〇%という一般的な原則はとっておるわけでございます。しかしそれも先ほど申し上げましたように、激しい団体につきましては充当率を漸次高めていくということも考慮しているつもりでございます。
  126. 太田一夫

    太田委員 総理府の江守さんいらっしゃいますね。——江守さんにお尋ねしますが、長官にかわってお答えいただきたいのですが、今までの質疑応答に現れますように、ある場合によっては各省によって補助金を出す、ある場合には総合かさ上げ方式の中に入れておるのだ、激甚災の対象になる各省の復旧事業がオール網羅されて財政援助法一本に集約されておるとは受け取りがたい、こういうことでありますのは、何か画竜点睛を欠くうらみがあると思うのでありますが、一体当初からの援助法をつくるにあたって基礎的な考え方の中には、ある程度はずしてやろう、各省が自分の方で出そうといったものははずしてやろう、こういうような気持があってはずされたものでしょうか、その点を御説明いただきたい。
  127. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 この激甚災害財政援助法律は、基本法の中で国がこういった激甚災害財政的な援助をする際、従来のようにばらばらの立法をすることを極力避けて、できるだけ一本にまとめて合理的な仕組み財政的な援助をしようという基本的な思想に基づいてつくったものでございます。その際できるだけ一本にまとめるということにつきまして、各省の間でいろいろお話し合いをいただいたのでごいますけれども、中には先ほど二、三の例もございましたように、予算措置でした方がいろいろ災害の実態などから考えても適当であるというようなものもございます。従いまして、ここに御提案してございますように、三つの形でまとめ得るものをこの激甚災害財政援助法律としてまとめるということにして御提案申し上げたような次第であります。
  128. 太田一夫

    太田委員 江守さん、それは受動的な立場にあらわれたような御答弁でございますけれども、総理府として今度のまとめをなさる場合に、さあ除塩作業は全然別予算だ、小型漁船の建造に対する補助も別予算だ、医療機関も別問題だ、水道もそれは別だといって、合わせれば何百億というような予算を必要とするものを全部、除外々々々々ということだったら、私の方はぜひ入れて下さいといったところの条文のみが入っていることとなる。あなたの方に指導性がないじゃないですか。災害援助なら激甚災害援助法を見ればわかるというところに、一致してこの援助法をつくろうとした意味があり、国民もそのつもりでおるのに、除塩はどこにあるのかといったら、ない。これは百姓だからばかにされたかと思うでしょう。水道ということになると、何、水道が幾日とまろうと市民が困るだけだからそれで厚生省はこれをあと回しにしたのだ、こんなことになるとすれば、これは非常な問題だと思うのです。網羅するということを初めから原則としてお立てになったものならば、なぜ網羅なさらなかったか。網羅なさらなかった理由は各省の言う通りにああそうですかということだったのですか。
  129. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 激甚災害に対する財政的な援助の仕方としましては、一本の法律で規定をして措置するのが適当と思われますものと、他の法律で規定して措置するのが適当と思われるものと、さらに予算的措置措置するのが適当と思われるものと、この三つの種類があると思われるわけでございます。もちろん国民一般の御理解を得るという意味から申しますと、すべて一本にするということが一番好ましいと思われますけれども先ほど申しましたいろいろの理由に基づきまして、私どもが各省のお話をまとめまする上におきましても、このような形でまとめ得るものをこの際出す、そうして一本の法律に載らないものについても、もちろん何もしないというわけではございません。時宜に応じて敏速な予算的な措置をとり、またほかの法律でより適切な措置をとった方がよかろう。このように判断したわけでございます。
  130. 太田一夫

    太田委員 それでは公営住宅でも、一般的な非常の災害によって住宅が倒れたりする場合の第二種公営住宅の建設については、伊勢湾台風の前例をお用いになって、公営住宅そのものが損壊をいたした場合の特例は今回ちょっとないように思うのですが、それはいかがでありますか。やはりこれは単独ですか。
  131. 沖達男

    ○沖説明員 公営住宅そのものが滅失しました場合の復旧につきましては、全体の総合負担の中に含めております。
  132. 太田一夫

    太田委員 公営住宅の場合は、従って全部三十四年災の場合と一緒でありますか。それ以上進歩したものはありませんか。
  133. 沖達男

    ○沖説明員 同じでございます。
  134. 太田一夫

    太田委員 そこで総理府の江守さん、今お聞きになりました公営住宅法の関係というのは、これは三十四年災の伊勢湾台風のときと同じものを片方は単独立法にする、一方の新設の場合は一条つくり、第二種公営住宅の補修は、総合かさ上げ方式の中に入れた。そうですね。ところが水道の場合においては、これはどこにも入らないから単独に補助をするんだ、別個に補助をします。こういうことになった。それからその他の医療機関であるとか除塩であるとかいうようなものも全然別にして、別個の算定をしてやるんだ、こういうことなんです。この間の動きを見ると、あなたの方がこの中で取捨選択をして、たとえば住宅関係というのは今非常に国民から注目を受けておって、これを入れないとまずいから入れておきましょう。水道とか除塩なんということについては、だれもそんなに世論というものが関心を高めておらないから、こういうものははずしておきましょう。こういう気持があなたの方か所管庁かどこかにある。それをあなたの方として、まとめる窓口であるならば、何か基準をつくってこれは入れるのだ、これははずすのだという基準がなくちゃならぬでしょう。当初はずすとか入れるとかいうことに対して、あなたのおつくりになった基準があったら、これを一つ発表していただきたい。
  135. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 最初からどれを入れ、どれを入れないというような基準は別にございません。ただこの法律をつくりますときに、第一番の柱となりましたのが、いわゆるプールをいたしまして、今申しましたような地方財政力に応じた補助をいたそうということが一番根本的な思想でございます。それでこの第一の思想を盛り込み得るものはどの程度までのものであるかということが第一番の作業で、それからあと予算的措置でやる方がむしろ適当であると考えましたものがまたこれからはずれていったわけで、その中間にありますものについては、総理府はなはだ不勉強で申しわけない次第でございますが、それぞれ御担当の各省がお考えになりましたところに従ってまとめたということでございます。
  136. 太田一夫

    太田委員 あなたの方が不勉強じゃ困るのですよ。あれははずす、これは入れるというのは、たとえば今の公営住宅の例をとってみても、前回特例法のように高率補助というのはあらかじめ明らかに基礎として認めるというやり方もあるし、あるいはまた普通の公営住宅法そのものの補助率基礎として、あとのものだけを総合負担かさ上げ方式で中に入れる、こういういろいろの方式がある。その方法については甲論乙駁があるからあなたには言いませんけれども一つ法律は、そういうものは主管省が入れないといったから入れなかった。ある法律はこれは形を変えて入れました。そういうことでは首尾一貫しないじゃありませんか。入れるならなぜ全部網羅しませんか。その方が各省としても予算をとるにも楽でしょう。だからあなたの方におっしゃっていただきたいことは——隣りの高柳さんがそんなに入れたら予算がふえて困るから、この間の伊勢湾程度ちょぼちょぼぐらいにする。これとこれぐらいは切れと言われたから切ったのだ。それならそう言って下さいよ。予算が幾らふえったっていいじゃないですか。
  137. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 先ほど不勉強と申し上げましたが、少し言葉が足りませんで……。実はそれぞれ各省が行政の責任を持ってやっておられます。その御所管のことにつきまして、総理府としては積極的にいろいろお話し合いのおとりなしをするという立場でございまして、こうしろああしろということはできないわけでございます。従いまして、各省のお話し合いで、各省がそれぞれ自分の所管の責任に応じて御責任を持ってこの法律をおまとめになる。その際私どもとしては非常に大きな柱についてそれから逸脱しないように絶えず御連絡をしておったということでございます。
  138. 太田一夫

    太田委員 そうすると、この法案について意見がある場合に、だれのところに言っていけばいいのですか。あなた全部それを引き受けて下さいますか。
  139. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 いろいろ御意見は私の方で調整をする用意がいつでもございます。
  140. 太田一夫

    太田委員 具体的な例で言います。しからば水道の復旧事業費に対する補助、除塩事業に対する補助というものをここに入れてくれという国民の声が明らかにあれば、あなたの方はもう一回考え直されますか。
  141. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 この激甚災の今回提出しております法律案につきましては、各省この線で思想が統一されておりますので、こういう御提案をしたわけでございます。この法律が幸い施行になりましたあとにおいて、その運用面からいって、今申された方がより適当であるというような事態になりました際におきまして、私どもといたしましては、また各省にいろいろそういったお話はすることができる、こういう意味で申し上げたわけでございます。
  142. 太田一夫

    太田委員 そうすると、補助率の多い少ないとか、対象の多い少ないとか、適不適だというような意見はあなたの方に言ってもしょうがない、各省というのが一応あなたの方の対象となさる意見の中心である以上、各省にこれは言わなければならぬわけですね。
  143. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 その通りだと思います。
  144. 太田一夫

    太田委員 じゃあ総理府としては単に取りまとめた、事務局をおやりになっただけでありますね。事務局ですか。
  145. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 事務局というものは別にこの法律を作ります上においてございませんでしたが、総理府の審議室の本来の仕事の性質から申しまして、今申し上げましたような連絡調整をして参ったということでございます。
  146. 太田一夫

    太田委員 実際補助率が不満だ、不十分である、対象が不十分だ、不足をしておる、こういうことなどをあなたの方は十分認識をしていて、あるいはこれで十分なら十分だということを確認されて、あなたの方の立場として責任を持って援助法を作るということでなくちゃならなかったはずだと思うのです。この援助法災害対策に対する基本法から出てくるのでしょう。基本法から出てくる援助法であるから、どこかでしっかりと一つの方針を立てなければならないが、各省間といったら、農林省は農林省で、わしの方は伝統的にそんなにたくさんの補助を出すわけにいかない、それから建設省の方は、いや、僕の方はめんどくさいから、何でもかんでもこの中にぶち込んでやらなければいけない、こういうような考え方が各省から出てくるとすると、そのときそのときの関係当事者のすき好みとかなんとかいう趣味嗜好がこの中に入ってきてしまう。そんなものじゃない。災害援助法なんだから、激甚災害に対する財政援助法なんだから、網羅するのがあたりまえなときに、ばらんばらんこぼれていくのを、単に各省の意見がそうだからといって見のがしてしまうのは、ちょっとまずいじゃありませんか。どうして拾い上げなさらぬ。
  147. 江守堅太郎

    ○江守政府委員 最初申し上げました通り、この法律案を作りますについての基本的な考えは総理府として貫いたつもりでございます。その間二、三御指摘になりましたような問題につきましても、この法案を提出いたします過程におきましていろいろ事務的にも相談をいたしました。また内閣官房の方でも十分に調整をいたしまして、政府としてはこれが現在の段階における最も適当な法律であるという確信を持って御提案をしたわけでございます。
  148. 二宮武夫

    ○二宮委員 関連してちょっとお尋ねいたしますが、私どもはやはり昨年の十四臨時措置法として立法したものがばらばらであってはいけない、従って、この際災害を受けた罹災者並びに災害の発生した自治体の立場に立って国が援助するという意味でこれを総合的に持っていく、こういうようにこの法律を解釈しておったのでございますけれども、今聞きますと、どうもその間にあいまいな点があるように思いますので、一つだけお聞きしておきたいと思います。  社会局長お尋ねいたしますが、災害救助法というのが先ほど問題になりました。災害救助法というので、大体百万以上の災害が生じたら災害救助法を発動する対象にするという特殊の事情があるから、この際この法律の中には入れなかったという説明でありますけれども局長、どうですか、一戸の家が崩壊をしたというような災害にあった場合に、災害救助法によってその自治体がその一戸の家に対して援助する金額は、全国で大体どのような平均金額が与えられておるというようなことの実態を御承知ですか。
  149. 大山正

    ○大山政府委員 災害救助法を発動いたします場合に、どの程度以上の災害があった場合に救助法を適用するかということになるわけでございまして、ただいま例にあげられました一戸だけというような場合には、救助法の適用がないわけでございまして……。
  150. 二宮武夫

    ○二宮委員 ちょっと待って下さい。一戸だけではなくて、災害救助法が基準に照らして発動された場合に、その災害救助法が発動された二月の家に対してどれくらいの救助が与えられておるというようにお考えになっているか、その実態をあなた御承知ですかと聞いている。
  151. 大山正

    ○大山政府委員 災害救助法が適用になりました場合に、一世帯当たりの救助費でございますが、仮設住宅を除いて考えまして、一世帯当たり一万五、六千円ということになっております。
  152. 二宮武夫

    ○二宮委員 私は災害対策の委員会の代表で江迎という地域のボタ山の崩壊地域を視察をして参りました。二百戸の住宅が土地に埋められておるわけなのです。幸いにして人畜に被害はなかったようでございますけれども、この二百戸の住宅に対して一戸わずかに一万五、六千円の災害救助費が支給されるというような実態についてあなたはどうお考えですか。
  153. 大山正

    ○大山政府委員 災害救助法によります災害救助は、災害が起こりました直後にとりあえずの応急的な措置をするということで、あるいは避難所を設置しあるいはたき出しを行ないあるいは必要な医療を行なうといったような費用でございますので、さしあたり応急的に要る費用ということでございまして、これのいろいろな、たとえばたき出しの費用は幾らであるといったようなことがございまして、これらの金額が従来非常に低額であるという御批判を受けておるわけでございまして、従前からそのつど改正をして金額等を引き上げて参ったわけでございますが、今後ともこれらの点につきましては実情に即して努力していきたい、かように考えております。
  154. 二宮武夫

    ○二宮委員 今、局長が申されましたように、一日の食費というのはわずかに七十円、しかもそれは六日間しかたき出しが行なわれない、こういう実態です。一戸世帯五人として、全部崩壊をしたという家に対してわずかに一万五千円というお金が渡されるという状態ですから、地方の自治体としましてはそれではどうしてもやはり見るに忍びないという気持が起こるわけなのです。従って普通交付税を前繰って支給してもらうとかあるいは特別交付税の中にこれをぜひ財政需要額として入れてもらう、こういう問題になりますと、災害を生じた自治体の財政に対して非常に大きな圧迫を与えるというように考えるわけなのです。そこで私はあなたがおっしゃるようにこれを単独立法として、この際国の高額援助という特別な財政措置をさせるということの中に入れずに、わずかに七十円で六日しかたき出しをやらない救助法というような、前時代的な救助法については、単独立法でそのまま押し通すということであれば、これを施行規則であなた方がおきめになって、今ごろになって人から言われるから、非常にどうも少ないから今後努力するのだ、こういうことでは、罹災者という気持に立って考えた場合にまことにまずい施政であると私は考える。従ってこの問題について私は当然この中に入れて考えるべきであると思う。それはなぜかといったら自治体の財政の中に非常な圧迫を与える問題であるからそのようにすべきであると考えますけれども、あなたのおっしゃるように単独でやるとするならば、これは昨年の国会で改正したからどうこうというようなことにとらわれずに、一つ相当大幅な抜本的な改正をやらなければ意味がないのではないかと考えるのですが、その点どのようにお考えですか。
  155. 大山正

    ○大山政府委員 今回提案になっております激甚災害特別立法に入れるかどうかという問題につきましては、先ほど申し上げましたような理由で、従来の災害特別立法と同等あるいはそれ以上の改正がなされておりますので、私どもといたしましては、今回の激甚災害財政援助法律には入れない、単独でいくというような態度をとっているわけでございます。なおその救助の内容自体が非常に低いじゃないかという御意見であろうかと思うのでございまして、この点については特に法律あるいは政令にはっきりした数字を入れてきめるというようなことにつきましては、むしろ実情に即しない、融通性がなくなるというようにも考えられるのでございまして、先ほど例に述べられましたたき出しの期間等も一応六日ということにしておりますが、たとえば伊勢湾台風のときのような長期湛水のような場合には、やはりこの六日というような一応の基準ではいけませんので、そのつどやはりそれを延長するといったような措置も必要でございますので、私どもといたしましては、これらの救助の内容につきましては、やはりそのつど実情に応じて増額あるいは援助をするような方策をとって参りたい、かように考えております。たき出しの一日当たりの金額等従前しばしば改正して引き上げて参ったわけでございまして、今日の七十円といったような金額ももちろん十分とは思わないのでございますが、今後ともに実情に即しまして努力して参りたい、かように思うのです。
  156. 二宮武夫

    ○二宮委員 法の運用の面で内容の充実をはかっていくという意見は一応了解いたしますけれども、もしそのような方向であるとすれば、なぜ今の運用の問題を昭和二十九年以来改正しないでそのまま放置してあったか、そのような実態で、実際問題として罹災者が、罹災者の立場に立って法の運用をやっておるというように考えられるかどうかということについて、私は非常な疑問を持つものでございますけれども、その点はどうです。
  157. 大山正

    ○大山政府委員 災害救助の救助基準につきましては、二十八年あるいは三十三年、三十四年あるいは昨年の三十六年九月十五日というふうに逐次改正して参りまして、たとえばたき出しの一日当たりの金額等も昨年の九月から引き上げておりますし、あるいは応急仮設住宅の一戸当たりの単価等につきましても、昨年の九月から改正いたしております。その他そのつど最も必要だと思われる点につきまして、財政当局と打ち合わせまして逐次引き上げを行なっているわけでございまして、昭和二十九年以来その救助基準について改正がないということはございません。そのつど必要に応じまして改正する、かような建前をとっております。
  158. 二宮武夫

    ○二宮委員 あなたがそのように答弁されるなら私はそれを一応認めますけれども、実態は、罹災者の立場に立って一つ法の運用をやる、こういうことでなければ、この場で答弁をうまいことやってみたってだめなんです。実際に罹災者の土地に行って実情を見てきなさい。そういうあなたの答弁のような実態ではない。これはまことに悲惨なものです。そういうように全くこれで法の運用が足りているという印象を受けるような答弁では、私は納得できない。従ってこれはあす合同審査がありますから、あらためてまた質問をいたします。
  159. 太田一夫

    太田委員 たくさんの方に来ていただいて、きょうは商工関係の方がおいでにならないのでありますが、商工関係、通産省関係におきましても、例の国有財産の払い下げの特例であるとかその他かなりはずされたり、問題のある点があると思うのです。一々これを各省にお伺いしているわけでありますけれども、これは財政負担の問題でありますから、本来いうと高柳さんが一人でお答えになっておる通りに大蔵省に中心があると思うのです。ところが総理府の方のお考えは、これは各省のそれぞれの考え方をとりまとめて、一本の法律をつくるために努力したのだとおっしゃる。けれども総合負担方式だとかあるいはまた財政援助法にすべてを網羅したとおっしゃっても、網羅されておるものに限定があって、これだけをもって激甚災の財政援助と見るわけにいかない。はずされたものがたくさんある。こういう点などを私どもは実際不可能に思うのです。少々資料が不足をしているようでありますが、自治省の地方団体に対する財政力の見方と、今度の場合のかさ上げ方式においてお考えになる方法とが関連がない、脈絡がない、こういう点なども実に不可解に思うのです。ぜひこの際はもう少し御答弁に中心になる方がおいでいただいて、もうちょっと真剣なお答えをいただきたいと思うのです。総合負担だとか何とかおっしゃる、総合負担と言ったって部分負担じゃありませんか。どうしてはずしたり入れたりという勝手なことができたのか、その基本的なことを一つどこかで一ぺんあらためてはっきりした御答弁をいただきたい。これは後日に修正する余地を残こすために、あまり完全無欠なものではいかぬから、左甚五郎じゃないが一ところだけ間違いをつくっておくのだ、間違いをつくっているのがはずした分だ、あと補助率を高めますよというのなら大きな期待を持ってわれわれははずされているのを喜びますよ。どういうわけではずしたか、こういう点などを少し御答弁なさる方あるいは御答弁の内容というものを、そちら側の方で一つまとめてきていただきたいと思う。  これ以上お尋ねしても少々無理なような気がしますので、一応本日のところは以上で私は終わらしていただきます。答弁の方でわけのわからぬことではなくして、はっきりしたところを一つこの次までに用意していただきたい、はずした理由です。
  160. 高田富與

    ○高田(富與委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十七分散会