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篠田国務大臣 先ほどからいろいろ議論されておりますが、いろいろ見解の相違があるようであります。しかし、さっきの「
公共災害嵩上額試算表(
昭和三十四年
災害について)」という表に戻りまして、ただいま
太田さんから御指摘のいろいな
お話もありますけれ
ども、このA、B、C、D、E、Fという六つのものを全部
合計いたしますと、三十四年度
災害、すなわち
伊勢湾台風の
災害のときにおきましては、国から出した金が二十四億七千六百万円ということになります。ところが、今回の
方式によりましてこの六つのものを
合計いたしますと、国から出す金は二十七億八千四百万円、言いかまえすと、約三億一千万円というものが、同じ
災害に対して国からよけい出す勘定になります。そうしますと、府県全体といたしましては、少なくとも今申しましたように、三億一千万円というものが、結局この六つの府県において、同じ
災害を受けたとすれば国がよけい出していることになる。だから、国の方としては
地方に対してそれだけのものをよけいに出しておる。
地方としてもそれだけのものをよけいにもらっておるのだから、結局において得をしているということになるのでありますけれ
ども、今申しましたようなその結果としてでこぼこができている、これは事実です。しかし、低いものに厚く、そうして高いものに薄くするということは、これはやはりいかなる場合におきましても政治の要諦であろうかと私は考えます。やはり、個人であっても
団体であっても、恵まれないものにより厚くして、そうして自分の
負担力あるいは自分の力というものを持っているものが、自分の責任においてある
程度弱いものを助けていくということが、これは人間の道であり、また政治もそういうところに重点が置かれなければばならない、社会党なんかのお考えは常にそういうところにあるのじゃないかと私は考えております。そういう意味におきまして多少のでこぼこは、これはそのうちにできるだけ国の
財政力によりまして直していくということは、当然考えなくちゃいけませんけれけれ
ども、今申しましたように
災害が起こるたびに陳情団が出てきまして、今度は
災害の
特例法をつくるのかつくらないのかと、議会と政府との間にいつでもそれが問題になってくる。そういうことでは
災害に対処するということはなかなかむずかしいのでありますから、こういうような総合的な
一つの
法律をつくっておきまして
災害が起こったときに
特例法をつくるかつくらないかという繁雑なことでなしに、この総合的な
法律に当てはめたならばどういうことになるかということをつくっておくということは、私は政治としまして一歩前進である。御不満な点については今後十分検討して、
数字その他についてはあるいは改定していく必要があるかもしれませんが、とにかくこの
法律については、私は対世間的にも国民的にも責任を持ち得るということをここで言明申し
上げます。