○
村山説明員 お答え申し上げます。まず今年度並びに来年度の
自然増収の見込みでございますが、端的に申しまして非常に
見通しのむずかしい
段階でございます。今年度の
租税収入で、最近現在でわかっております
数字は、八月末の
数字でございます。八月末の
一般会計の
収入額は九千百二十一億に及んでおります。ただこの場合、
揮発油につきまして
徴収猶予の
期間を十五日間延長いたしましたので、もしそれなかりせばそれにさらに百十三億加わり、その
数字を足しますと九千二百三十五億と相なるわけでございまして、
予算額に対しまして四五・二%でございます。昨年同期の
決算額に対する
収入歩合を見ますと四〇・六ということになっておりますので、四・六%アップになっております。今後も同じような
収入歩合において好調を続けるものと仮定いたしますと、ことしの
予算額二兆四百二十一億に四・六%の
上昇が見込まれるということになりますので、それをかけてみますと九百三十九億
程度と試算されるわけであります。ただ心配いたしておりますのは、この前の
委員会でもお話し申し上げましたように、
物品税につきましては四、五の二カ月間は旧
税率の高い
税率で入っております。
ビールにつきましては四月と五月の半分が旧
税率、高い
税率で入っております。また酒につきましても、
入場税につきましても、一カ月間、四月分だけは旧
税率で入っております。ですから、その点だけはディスカウントする必要があるということでございます。それからもう
一つ心配になりますのは、
ビールの税金の
収入の調子が、四、五は非常によろしいのでございますが、六、七、八の
最盛期になりますとだんだん落ちてきておるという
状況でございます。四、五で大体対前年二七、八%
伸びておりましたのが、この八月くらいになりますと、対前年同期で一三%くらいの
伸びである。しょうちゅう、
合成清酒の系統が
予算額を
相当程度割るであろうと予想されるわけでございます。実は
酒税全体としては
ビールの
伸びで十分カバーできると考えておったわけでございますが、この
最盛期を迎えての
ビールの
伸びが悪いことがありまして、
酒税がちょっと切るのではなかろうかという懸念が今出てきておるのであります。しかし、何と申しましても一番大きな
要素はこの九月の
決算がどうなるかというところでございます。九月
決算につきましては、巷間伝えるところによりますと、
公表決算で大体対三月九五くらいと普通いわれておるわけでございます。これは
証券会社なり日経なり、いろいろな
観測が行なわれておりますが、それが
鉄鋼会社の
減配以前の
見通しであったわけであります。その後
一流メーカーがどんどん
減配しております。それでわれわれの心配いたしますのは、
公表決算の対
前期割合というのと
申告所得金額の対
前期割合というものは実は違うわけでございます。景気のいいときには、当然でございますが、
会社の方といたしましては、たとえば
有税償却をやるとか、あるいは
期間を少しずらしまして
公表決算の面では若干調整をいたすわけであります。そういたしまして次の
不況期に対する
配当政策なり
金融機関に対するいろいろな配慮をあらかじめとっておくのが普通でございます。従いまして、
好況期におきましては
公表決算よりも
税務申告の
上昇歩合がいいことはあたりまえなわけでございますが、
不況に向かいますと、
公表決算では前のリザーブした分を戻しまして直すわけでございます。
税務決算ではもちろんそういうことはできないで、堂々と悪いなり出してくるわけであります。それで世間でいっておる対
前期九五%という
数字はすべて
公表決算の上に立っての話でございます。
税務決算ではおそらくそれを切るのではなかろうか。しかも
一流会社が
減配ということに踏み切りますと、ほかの
会社の
決算態度にも
相当なる
影響を及ぼすのではないか。
一流会社が
減配に踏み切れば
自分たちとしてもそんなに心配することはない、悪いなら悪いなりに堂々と出せ、こういうような心理が働きやしないだろうか。そのことが
税務申告の上に
決算態度として微妙な
影響を及ぼすのではなかろうかというふうに考えられますので、実はこの九月
決算を現在
調査中でございますが、集計したところでどの
程度になるか、この点が大きく心配されるわけでございます。もし九月
決算が非常に悪いということになりますと、当然のことでございますが年末の賞与にも
相当影響を及ぼすであろうということでございます。従いまして、先ほど申しました現在の
好調歩合四・六%をかけますと九百三十九億出ると申しましたが、実はそれらの不安の幾つかの
要素があるわけでございますので、そのまま言えるかどうか、現在
会社の九月
決算の中に入りましてわれわれも一緒に向こうの
見通しを聞いておるわけでございます。
申告としては十一月に出て参るわけでございますが、この
月じゅうぐらいにおよその
見通しをつけた上で来年度の
税収見通しの確実なところをつくりたい、かように考えておるわけでございまして、それこれ考えますと、まずことしは、はっきりしたことは今言ったようなことで申し上げられませんが千億ぐらいのものではなかろうかというようなことでございますが、これもあまりはっきり自信を持って申し上げる
段階ではございません。
しからば来年度はどうなるかという話でございますが、今年度の
税収見通しは、はなはだ幅があり確たることを申し上げられませんので、来年度の
経済指標がどういうふうに動くであろうかということがまだわかっておりません。ただいろいろ試行錯誤いたしまして、その
方面を預かっておる人の
観測、これは公定の
観測ではございませんが、それこれあわせて考えますと、ことし千億ぐらいであるとすれば来年度は二千から二千五百億
程度になるのじゃなかろうか。これも非常に幅があるわけでございます。ただ、われわれは、来年度が三十五、六年のような好調を示さないであろうということは常識的に考えられますので、ちょうど
税収の約三分の一強は
法人税でございますが、これの
税収を決定いたします
経済指標は、ことしの九月から来年の八月ぐらいまでの
経済指数、これが実は最も
関係するわけでございます。
申告でいいますと九月の
申告から
税収になるわけでございますが、その
決算期は二月になります。それから六カ月さかのぼった
経済指標、それがいわばその
取引をきめ、その
利益率をきめて参るわけでございます。そういたしますと、ことしの九月から来年の八月ごろまでの
経済指標は
法人税の
税収をきめる基礎的な
指標であると考えますと、
経済の波としては一番悪いときにぶつかるのではなかろうかという
観測があるわけでございます。ちょうど
昭和三十二年から三十三年にかけましては、三十三年が一番
税収の面では悪かった時期でございます。このときの
法人の
所得率は、
前期に対しましてたしか八八%くらいに下がったわけであります。一体それほどのダウン・
カーブをとるかどうかには問題がございますが、やはり型からいいますと、ちょうど三十三年型のややゆるい型が型としてくるのではなかろうか。そういたしますと、われわれのそれほど多く望めないという
観測もまずまず当たっているのではなかろうか。今日
所得率が
前期に対しまして一%落ちますと、ことしの
予算ベースの規模が七千億でございますから、一%で七十億落ちるわけでございます。もし三十三年度のように一二%おっこちるといたしますれば、それだけで八百四十億落ちる
計算になるわけであります。そういうことでございまして確たることは申し上げられませんが、来年は
税収の面から見ますと非常に下り坂の
カーブにぶつかる年である、かように考えております。
次に来三十八年度の
一般会計に入れられます
剰余金の
関係でございますが、これは、三十六年度の
剰余金が
財源として使用し得るということになります。その
数字はすでに確定しておりますので申し上げますが、
租税及び
印紙収入におきまして千九百八十一億でございます。そのほかに
税外収入が四百三十八億ございます。合計いたしまして二千四百十九億、さらにそれに
歳出不用額の二百八億が加わりまして二千六百二十七億でございます。対前年度のこれに対応する
数字は千二百五十一億ということになっております。
〔
委員長退席、
足立委員長代理着席〕
従って、そこでは
差し引き千三百七十六億
増加額が一応対前年度に比べて出るわけでございます。御
案内のように、これらの分は主税で出ました
自然増収につきましては、これはことし
一般会計から
地方の方に
清算分として出すわけでございますので、それだけ
歳出がふえるわけでございます。なおそれから
ガソリン税で
自然増収が出ますれば、その分は自動的に
道路整備特別会計に入るわけでございます。その
数字を出しますと、
地方交付税の
清算分が四百八十八億、
道路整備費関係で五億でございます。従いまして、二千六百二十七億はございますが、これらを
差し引きせねばなりません。そういたしますと、その
数字は二千百三十四億、これから
財政法第六条によりまして
公債等の
償還財源に充当する
金額、これが半分あることになります。その
数字はちょうど半分といたしますと千六十七億、
差し引き千六十七億というものが
一般財源としてこの
剰余金中使い得る
金額になります。この
金額を、対前年はどれくらい使えたかということになりますと、前年度は四百九十七億でございます。従いまして、対前年度に対しまして今年度
一般財源として使い得る
増加財源ということになりますと、千六十七億から四百九十七億引きました
数字でございまして五百七十億ということになります。一見二千六百二十七億という
剰余金は膨大なように考えられますが、
一般会計剰余金としてしぼって考えますと五百七十億、かようなことになるわけでございます。
それから第三番目の問題として、来年度
税制改正は、
可能性はどうか、どういう点が問題かということでございます。御
案内のように、
前回の三十六年、三十七年を通じまして、
税制改正、
体系整備を含む
減税を実施したわけでございますが、これは
前回の
税制調査会の三年間の
検討の結果をいわばこの二年間でやらしていただいたわけでございまして、そういう
意味で、一応各税間のバランスはそれなりにある
程度推進できたというふうにわれわれは考えておるわけでございます。今度の
税制調査会では、また新たなる視野から、現在の
日本の
生産構造、
消費構造、それから
企業の問題、あるいは配分の問題というような広範な
角度から、さらにこの三年をかけまして、もう一ぺん
検討して参りまして、現
段階においてどういう
租税体系、
租税制度をやるのが最も
日本の
経済並びに
社会活動に貢献する
税制であるかということをこれからわれわれは探ろうとしておるわけでございます。まだほんの緒についたばかりでございます。従いましてそういう
意味では新しい
角度に立ちました体系的な
改正と申しますのは、来年度はなかなか
結論が出ませんので、とてもやり得ないと思っております。おそらく三十九年度までには、何とかその一部でも
結論を出して、その
方向に向かいたいとは思いますけれ
ども、三十八年度には遺憾ながら間に合わないと思っております。ただ部分的な問題といたしまして、昨年
検討いたしました点と、ことしに入って、並びに来年度の
経済指標を考えまして再
検討を要すると思われる問題はないわけではございません。何といってもその一番大きな問題は、最近における
消費者物価の
値上がり、それに伴います個人の
課税最低限の
検討という問題は、これはこの
体系論とは別にして直ちに
検討せらるべき問題ではなかろうかということを考えておるわけでございます。現在
自民党の
税制調査会におきましても、
政府はどういう点が問題と考えるかという御諮問がありまして、その問題はどういう答えが出るかわかりませんが、少なくとも
検討する必要があるであろうということを申しておるわけでございます。今度の
税制調査会も
政府の
税制調査会も、この十二日にそのための来年度の問題が取り上げられるわけでございまして、
政府の
税制調査会といたしましては、この十二日以降の総会において来年度の問題は論ぜられるというような
進行状況になっているのでございます。そこでもいろいろな問題が
調査会を通じて出て参ると思いますが、われわれが考えております
消費者物価の
値上がりという点からの
課税最低限の
検討というのも、その問題の
一つとして御
検討を願いたいと思っておるのであります。
消費者物価の
値上がりを見てみますと、ことしの一月から六月までの
消費者物価の
値上がりを各月の対
前期割合でとりまして、その平均をとっているわけでございますが、それを見ますと、大体
総合指数で八・九%くらい上がっておるわけでございます。そのうち
食糧費分だけを見てみますと、たしか九・八くらい上がっていると覚えております。実際の
生計費がどうなっているかということを見ますと、これは
家族構成によって上がり方が違っております。全部それを足すということは統計上どうかと思いまして、ずっと
世帯構成別に見ているわけでございますが、大体の感じでいきますと、
生計費指数としては約一四・五%
程度上がっておるのではなかろうか、
物価に比べまして、その
生計費の増があります点は、若干
生活内容の向上を
意味しておるのかというふうに読んでおるわけでありますが、いずれにしても
相当上がっております。
この前の三十七年度の
改正で
基礎控除及び
配偶者控除をそれぞれ一万円ずつ上げていただいたわけであります。三十六年にも
扶養控除とかいうものを上げて参ったわけでありますが、去年の
課税最低限の
検討の際に使いました
数字は、実は昨年の六月の
消費者物価に基づく理論的な
最低生計費、それを
もとにいたしまして、
課税最低限をはじきまして、まあこれならば大丈夫だということでやっておるわけであります。
ところが先ほ
どもお話申しましたように、その後
消費者物価の
総合指数で八・九%上がっておる、こういうことになりますと、これに置き直して理論的な
最低生計費というものを
計算せざるを得ない、こういう問題が
一つございます。もしかりにこの
課税最低を動かさないでいくということにいたしますと、来年のたとえば六月の
消費者物価指数を
もとにして考えるというのがほんとうなのでございましょうが、今までの
税制改正の
考え方では、大体一年おくれの
数字をとっておるわけでございますが、そこまで考えますと、いよいよその点については緻密な
計算をする必要があると思います。
それから、なお理論的な
課税最低限の
計算につきましては、われわれは
国立栄養研究所に頼みまして、モデル的な
生計費調査から得られたモデル的な
家族構成を想定いたしまして、そのときにそれぞれの
世帯の
所要カロリーが
幾らであるか、これについて十分考えた、過剰ではない
カロリーを考えまして、市場で求め得る最も安い値段でこれを調達するとして、
献立は
栄養本位ということで最も簡素な
——味については第二として、最も簡素な
献立を
組むということでやっておるわけであります。実はこれはだいぶ前に頼みまして、その後
献立表を毎年変えているわけではございません。そこでだんだん変わって参っておりますので、
献立表も変える必要があるであろう、今日の事態に即しまして。それは現在
国立栄養研究所に
調査をお願いしておるわけでございます。今われわれが
計算しておりますのは、前の
献立表で単純なる
消費者物価指数で伸ばしておって
課税最低限と比較しているわけでございますが、
献立も今のような現在まで移したところの
献立表に直す、そして
物価も最近の
物価をとってやってみたらどんなことになるであろうかということをこれから
検討しようとしているわけでございます。少なくともその点が問題になるのではなかろうかと思うわけでございます。
第三の、
可能性があるかどうかということにつきましては、われわれは、それによって
改正をする必要があるかどうかという
結論にかかるわけでございますが、あるといたしますと、われわれとしては、
税制を担当いたす者といたしまして、もし変える必要があるならば、ぜひとも変えていただきたいという
方向で今後努力して参りたい、かように考えております。