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1962-08-14 第41回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年八月十四日(火曜日)    午前十一時十七分開議  出席委員    委員長 上林山榮吉君    理事 岡本  茂君 理事 始関 伊平君    理事 岡田 利春君 理事 多賀谷真稔君    理事 中村 重光君       木村 守江君    藏内 修治君       澁谷 直藏君    中村 幸八君       濱田 正信君    井手 以誠君       滝井 義高君    渡辺 惣蔵君       伊藤卯四郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君         労 働 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         通商産業政務次         官       廣瀬 正雄君         労働事務官         (職業安定局         長)      三治 重信君  委員外出席者         通商産業事務官         (石炭局長)  中野 正一君         通商産業鉱務監         督官         (鉱山保安局         長)      八谷 芳裕君         労働事務官         (職業訓練局         長)      村上 茂利君     ————————————— 八月十四日  委員南好雄君辞任につき、その補欠として木村  守江君が議長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件      ————◇—————
  2. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 これより会議を開きます。  この際、福田通商産業大臣より発言を求められておりますので、これを許します。福田通商産業大臣
  3. 福田一

    福田国務大臣 一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。  このたび石炭行政を担当することになりましたので、第四十一臨時国会の初めにあたり、一言所見を申し述べたいと存じます。  わが国経済安定的発展をはかり、国民生活を向上させるためには、その基礎となるエネルギーを合理的かつ安定的に供給することがぜひとも必要であることは申すまでもないところでありますが、わが国エネルギー産業中心となる石炭産業は、いわゆるエネルギー革命の進展に伴い、構造的な不況に当面しているのであります。  政府といたしましては、このような事態に対して、昭和三十四年に石炭鉱業合理化基本計画を策定して以来、出炭規模五千五百万トン、炭価千二百円引き下げ基本的な目標として、スクラップ・アンド・ビルドを中心とする合理化の達成に努力して参りました。  すなわち第一に、非能率炭鉱整理については、三十七年度からは従来の炭鉱買収方式に加え、新たに石炭鉱山整理促進交付金制度を設け、三十九年度までに六百二十万トンの整理を行なうこととし、高能率炭鉱の造成については、近代化資金等大幅増額をはかり、また流通合理化のためには、流通設備近代化石炭専用船の建造の助成等措置を講じております。  第二に、五千五百万トンの出炭規模に応ずる需要確保については、電力、鉄鋼ガス等需要業界との石炭長期引取態勢確立基本として、産炭地及び揚地における火力発電所建設等を推進して参りました。  第三に、石炭鉱業合理化の過程においてやむを得ず発生する炭鉱離職者に対しては、特に中高年令層に重点を置いて手厚い措置を講ずることとし、疲弊の著しい産炭地域振興については、振興推進実施機関として七月二十日に産炭地域振興事業団を発足せしめ、いよいよ具体的な施策の充実を期しております。  なお、石炭鉱山における保安については、申すまでもなくきわめて重要な問題でありますので、今後その確保に一そう留意して参りたいと考えております。  しかしながら、石炭鉱業の前途はきわめて多難であり、この際抜本的な石炭対策確立がぜひとも必要であると考えられますが、すでに四月六日の閣議決定に基づいて、石炭鉱業調査団が全国各産炭地実情調査を行なうとともに、対策審議検討を重ねており、九月中旬ころには答申が行なわれる見込みでありますので、その答申に沿って根本的な石炭対策確立したいと考えております。  また、最近の金融の逼迫、石炭需要減退傾向によって、調査団答申を待って根本的な解決策実施に移される以前に、相当部分石炭企業の経営に行き詰まりを来たすおそれが生じて参りました。この事態に対処し、七月三十一日に石炭緊急対策について閣議了解を行ない、貯炭融資促進石炭鉱山整理促進交付金制度ワク拡大退職金金融のための石炭鉱業合理化事業団による貸付ワクの増大及び中小炭鉱緊急金融対策の諸措置を講ずることといたしました。  石炭行政を担当する私といたしましては、調査団答申に基づき、全力を尽くして石炭対策確立をはかる決心でありますので、本委員会におかれましても、今後一そうの御協力をお願いいたします。(拍手
  4. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 続いて、廣瀬通商産業政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。廣瀬通商産業政務次官
  5. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 私は、今回はからずも通商産業政務次官を拝命いたしました廣瀬正雄でございます。石炭行政に参与することになりましたが、まことに微力でありますので、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手
  6. 上林山榮吉

  7. 中野正一

    中野説明員 私、先般の通産省の異動によりまして、六月から石炭局長を拝命いたしました。非常に微力でございますが、一生懸命やりたいと思います。よろしく御指導のほどお願いいたします。(拍手)     —————————————
  8. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 なお、大橋労働大臣出席するはずでございますが、次に石炭対策に関する件について調査を進めます。  最近各地に発生いたしました炭鉱災害について、政府説明を求めます。八谷鉱山保安局長
  9. 八谷芳裕

    八谷説明員 最近、特に六月以降重大災害が続発いたしておりまして、本日もお手元に資料をお届けいたしておりますが、まことに監督の任にある者として遺憾にたえない次第でございます。この対策といたしましては、現地機関を督励いたしまして、厳重な監督陣をしきまして監督実施いたしております。また、この八月の初めに全炭鉱に対しまして、この種重大災害防止につきまして警告を発したところでございます。  今後の対策といたしましては、先般御審議をお願いしました保安法改正を、さらに規則の整備にまでこれを及ぼしまして、保安法規関係整備と、それから監督の強化によりまして、基本的に災害を防いで参りたいと思いますが、あわせまして、いろいろ災害原因を究明いたしてみますと、技術職員並びにいわゆる先山と申しますか、こういう人たちの未熟練さというようなことが災害原因になっているのが多々あるわけでございまして、こういう観点から、保安教育を徹底的に行なって、すでに係員になっている者もこれを再教育する、あるいは有資格者というようなものを証明いたしておりますけれども、こういう制度ももっと抜本的な改正を加えていく、こういう考え保安教育徹底化をはかりたいと考えておるわけでございます。  さらに、この合理化のきびしさの中から、一応本年度保安不良炭鉱四十五万トンの廃止勧告につきましては、すでに四十万トンの廃止勧告をいたしまして、大部分廃止勧告を終わりましたけれども、さらに、できますならば、予備金により本年度もさらにこれを拡大し、来年度はさらに廃止勧告制度を継続いたしまして災害防止に努めたい、かように考えておる次第でございます。     —————————————
  10. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 石炭政策について質疑の通告がありますので、これを許します。岡田利春君。
  11. 岡田利春

    岡田(利)委員 ただいま福田大臣から所信表明があり、あわせて最近の災害についての報告があったわけですが、今所信表明の中にありましたように、石炭鉱業調査団がそれぞれ現地調査を終了しまして、来月の中旬にはその答申を出す、こういう段階になっていると聞いておるわけです。私は、まずこの際明らかにしなければならぬ二、三の点について申し上げてみたいと思うわけです。  それは、四月の五日、特に炭労から政府に対する石炭政策の変更の要求があって、しかもその時点において、当時池田総理大臣並びに佐藤通産大臣、加えて福永労働大臣大平官房長官田中自民党政調会長出席をして、いろいろ事態の収拾について政府回答がなされておる。その回答が、四月の六日、閣議決定に相なっておるわけです。その四月五日、政府回答がなされたときに、特に池田総理大臣から発言がありまして、これからの新しい石炭政策基本になるものは、私はまず何といっても、今まで離職者対策もして参りましたけれども、雇用の安定について解決をしなければならぬし、大きく考えなければならない、できるならば雇用の問題については早急に調査団結論も出してほしい、このように考えております。第二の問題は、国際収支の面から、国内エネルギー最大のものである石炭資源活用をはかるという考えである。第三点は、昨今いわれておるエネルギー安全保障の面をこの際強く考えていきたい。池田総理大臣からその際こういう発言がありまして、所信表明がなされたわけです。ですから、まず炭鉱労働者雇用の安定を考え、さらに、国際収支の面から、国内エネルギー最大のものである石炭資源活用をはかる、加えてエネルギー安全保障の面を強く考えるという、この三つは、これからの石炭政策の柱でなければならないと思うわけです。ですから、当然今回の石炭鉱業調査団は、この三つの点について、答申の中にその柱として明確に確保されなければならないものである、こういう見解を私は持っておるのですが、大臣見解を承っておきたいと思うわけです。
  12. 福田一

    福田国務大臣 四月五日の総理大臣炭労の皆さんとの会見においてそういうお話があったということは承ってはおりますけれども、大体その後にいわゆる閣議決定事項として発表しました案があるわけでありまして、その案に基づいて、ただいま臨時石炭鉱業調査団、いわゆる有沢調査団というものが現実調査を進めておいでになる。もちろん今御指摘になった雇用とか、あるいはエネルギー対策というような観点というものは、当然そういう観点からこの問題の解決をはかるということになると思いますけれども、しかしその雇用なら雇用という意味にもいろいろあると思うので、そういうことを、では今までの人は全部置いておくとか、あるいはこれをどういうふうに考えていくのかというようなことは、私はやはり、相当学識経験のあり、しかもみんなから信頼されて今調査を進めていられる有沢調査団の結果を待って処理していくというのが私たち考えでありまして、この段階で私たち雇用の問題についてはこういうふうにしたらいい、あるいはまた、総合エネルギー観点から見ればこういうふうに考えていったらいいでしょうというようなことを私から申し上げない方が、いわゆる自由な立場から、この問題を公正な立場で見ていける、こういうふうな気持でおるわけでありまして、そのように御了承を願いたいと思います。
  13. 岡田利春

    岡田(利)委員 私はもちろん大臣の今の答弁はわかるのですが、閣議決定内容というものは、ずっと見ますと、これは石炭鉱業調査団を派遣して今後のいわゆる石炭政策をどうすべきかという問題について答申をしてもらうということを第一として、それぞれ各項目について閣議決定がなされておるわけです。そこで池田総理大臣指名によって、石炭鉱業調査団がその後活動を開始しておるわけです。しかし、池田総理大臣石炭鉱業調査団を委嘱して調査をしてもらうという場合に、これは全然自由に、勝手にやってくれということではないと思うのです。池田総理大臣としては当然、自分のこれからの石炭政策として考えるという三点について、やはり調査団にもその見解を述べられて、しかもその上に立って調査が進められておる、こういう理解を私はいたしておるわけです。ですから私ここで期待をするのは、雇用の安定を具体的にどうするのか、あるいはまたエネルギー安全保障とか、あるいは国際収支の面から国内エネルギー活用するとかいう問題についての具体的な問題をお聞きしたいのではなくて、そういう考え方がやはり、今度の調査答申をなされる場合に、これらについて調査団のはっきりしたものが答申として出さるべきが当然である、こういう見解を私は持たざるを得ないわけです。ですから私は具体的な内容をお聞きしているのではなくて、そういう考え方が当然答申の中に確保されるべきであるということは、私と通産大臣見解は変わらないのではなかろうか、実はこういう考え方に立つわけです。これは非常に大事な点ですから、もしこの点が佐藤通産大臣から申し送りがないということになれば、これはあらためて別途なところで論議をしなければならぬという問題も発生するわけです。しかも佐藤通産大臣福田通産大臣の間には、すでにその間調査団も活動しておるわけですから、ほかの問題と違って、これを継続的に考えなければならぬ問題だと思うのです。ですから、こういう総理所信表明というものは、具体的にはもちろんいろいろな方法があるでしょう、いろいろなことが考えられるでしょう、しかし考え方としては、答申を出す場合にこういうものが当然柱として確保されなければならぬ、こういう点について大臣見解を承っておるわけです。
  14. 福田一

    福田国務大臣 もちろん現在の石炭問題で、雇用の問題とか資源の問題とか、あるいはエネルギーの問題というのは、それぞれ一つの大きな柱ですから、これについて答申があるものとは私は考えておりますし、前の大臣から引き継ぎがあったかないかということは、これはもちろん引き継ぎがあったことでありますから、今さら申し上げることもないわけであります。
  15. 岡田利春

    岡田(利)委員 大臣は非常にまじめな方だと承っておりますので、私もまじめに質問をいたしたいと思います。  第二の問題は、今度の石炭鉱業調査団が派遣されるにあたって、特に炭鉱労働者から、今までいろいろ要求が出されてきたわけです。その炭鉱労働者要求整理してみますと、第一には、五千五百万トンで押えるという一応の考え方政府にあるが、拡大生産を基調として一つ石炭産業の安定をはかってほしいというのが、私は第一点だと思うわけです。第二の問題は、炭鉱労働者雇用が非常に不安定な状態にある、しかも内容的には、炭鉱労働者が非常に老齢化していっておる、新しい労働力確保しなければならぬ、こういういう側面も出てきておる、だから、これらの炭鉱労働者雇用の安定について政策的に十分配慮してほしいというのが第二点だろうと思うわけです。第三点は、いわゆる地下産業労働者でありますから、これは国際的に見ても、また相対的な各産業比較からいっても、炭鉱労働者にふさわしい労働条件といろ毛のが確保されなければならない。これに加えて、炭価引き下げ方向というものが、たとえば公共料金物価横ばいである、賃金は三%のアップを見込むという当初の合理化計画基礎になるものが、すでに今日根本的にくつがえっておるから、この面についての炭価引き下げのスロー・ダウンについては当然考えるべきではないか、こういう意見がつけ加えられ、大体大別してこの三つの問題が炭鉱労働者要求であったと思う。これらの問題は、昨年末の国会あるいは前通常国会においても、いろいろ議論されておるわけです。とれに対する政府答弁もなされておるわけです。ですから石炭鉱業調査団は、そういう今までの経過の上に立って前進的な答申が当然出さるべきではないか、私はそういう見解を持っておるわけです。石炭鉱業調査団が編成された当時と今日を考えてみます場合に、若干わが国経済情勢の変動があります。特に石炭需要の面では、鉄鋼操業短縮に踏み切るということによって貯炭がふえてきておる、あるいは、鉄鋼以外について毛操業短縮という傾向があって、今日若干の過剰貯炭という傾向が出て、これに対する生産制限ということも通産省方針として出されておる。大手の社長会議では、上期百万トンの生産制限をするという方針も一応確認しておるわけです。しかしながら私は、答申というものはこういう短い期間のこういう面を重大視するのではなくして、長期的な展望に立って、しかも政府回答としてとの石炭鉱業調査団炭鉱労働者に約束をされ、編成されたその当時の客観的な情勢とその趣旨に基づいて、あくまでも石炭鉱業調査団答申がなさるべきだと思うわけです。こういう点についての見解を私は承っておきたいと思うわけです。
  16. 福田一

    福田国務大臣 ただいま御指摘になったような三点についても、調査団としてはどういう考え方に立ってやるかということは、私は当然答申があるものと思いますが、前にこういう状態でこの調査団ができた、その後事情の変化があればそれも取り入れて、そしてできるだけ現実に沿った案がいいんじゃないかというふうに考えます。また、これは将来二年か三年の問題じゃなくて、石炭鉱業の長い目で見た対策はどうするかという観点、もちろんそういう点からも案が出てくるのではないか、こう考えますが、しかしいずれにいたしましても、私としては調査を依頼している立場におる者が、こういうことをきめなさいとか、こうしたらいいでしょうとか言うことは、これは差し控えさせていただきたいと思います。
  17. 岡田利春

    岡田(利)委員 まあ方法論は別にしまして、石炭産業政策をきめるチャンスというものは、私はこれからそうないと思うのです。石炭鉱業調査団結論というものは、将来の石炭産業に対する一つ方向をきめるものだ、こう実は理解しておりますので、従って長期的な展望、さらに、石炭鉱業調査団が委嘱されるに至った客観的な情勢というものが十分配慮されなければならぬ、こういう点については、大臣と私はあまり考え方が変わってないようでありますから、質問を次に進めたいと思います。  私はたまたまこの国会でも指摘をして参ったのですが、わが国において、総合エネルギー政策計画というものをつくったのは、これは国民所得倍増計画に基づくエネルギー小委員会で、一応これから十年ないし二十年のエネルギー需給計画について想定をしたのが初めてなんです。それまで政府はこれだけまとまった総合エネルギーのいわゆる見通しというものを策定したことはなかったわけです。ですから、当然、当面総合エネルギー政策を論ずる場合には、この小委員会報告基礎に私はならなければならぬと思います。また、石炭政策についても、当然この小委員会報告が私は基礎にならなければならないと思うわけです。そうしますと、当初石炭合理化計画昭和三十四年に策定をされた。その策定された合理化計画そのものが私は出発において大きなあやまちを犯しておるのではないか、こういう実は見解を持っておるわけです。それは今日の石炭鉱業近代化方向近代化の実態、こういうものから考えて、五千五百万トンの石炭というものはそう簡単に出るものではない、非常にこれは近代化を進め、相当な努力をしなければ五千五百万トンの石炭はなかなか出ないのである、こういう見解に立って一応五千五百万トンに生産需給見通し想定したという工合に理解をしておるわけです。しかし、今日の出炭ベースというものは、相当山の買いつぶしの問題もありますけれども、六千三百万トンを上回る出炭ベースを続けておるわけです。ですから、わが国のいわゆる石炭潜在供給力というものについて、根本的に誤っておるのではないか、それに伴って炭鉱近代化方向について見通しが誤ったのではないか、むしろ私は、積極的に申し上げますと、誤ったという見解を持っておるわけです。  第二の問題は、いわゆる炭価引き下げの問題なんですが、五年間で千二百円炭価引き下げる。ところがこの炭価引き下げ見通しというものは、物価は全部横ばいである。一方においては所得倍増計画を発表し、それに伴うエネルギー需給計画の中における石炭政策では、すベて物価横ばいである、公共料金横ばいである、賃金は大体当時の製造工業平均水準である三%程度、こういう想定をして、千二百円の炭価引き下げ方針を出したわけです。ところが今日この想定というものは見事にはずれておるわけです。ですから千二百円の炭価引き下げ、五千五百万トンというこの石炭政策の柱になる基礎というものが、根本的にくずれておるわけです。ということは、この炭価千二百円引き下げ基礎が大幅に変わっておるわけです。私はそういう点では、千二百円の炭価引き下げ方針そのものが非常に甘いと思う。これは一応の作文ならいいのですが、実施計画なんですから、実施計画としては非常に甘かった、ずさんなものであると言われてもやむを得ないのではないかという見解を持っておるわけです。この点についての大臣見解を承っておきたいと思います。
  18. 福田一

    福田国務大臣 ただいま御指摘通り、三十四年にこういうような五千五百万トン、千二百円価格を引き下げるという計画をつくったのでありますが、私はこういう計画というものは、いろいろな要因によって事情が変わってくることがあり得るので、その当時においては私は、それでよかった、最善の案を考えたのだと思うのであります。しかし経済というものは、御承知のように生きものですから、だんだん事情が変わってくることがあります。あなたがおあげになったような条件も  一つでしょう。私はむしろ最近注目しなければならぬと思うことは、重油という非常に安いエネルギー源が出てきたということが、石炭に対する一つの大きな脅威になっておるのじゃないか。こういうようなことは、今後たとえば原子力がもっと安く提供できるようになったらどうなるか、現在は想定はできない。しかしすべて計画を策定するのは、そのときそのときに、これでもう最善だということでやっていくよりほか仕方がないと思うのでありまして、間違っておったということで片づけて、それの責任を追及してもお互いにそれは仕方がないことで、それをどういうふうにしていくかということだと思うのであります。そういう意味考えていくよりほかに仕方がない、こういうふうに考えております。
  19. 岡田利春

    岡田(利)委員 私もそういう見通しの誤りを指摘して、責任を追及するとか、そういうけちくさい量見ではないわけです。問題はやはり、あやまちがあり、見通しの狂いがあれば、これを改めるのにやぶさかではないという姿勢が大事ではないか、政治の姿勢としても、特に困難な状態にある石炭産業を進めるわれわれとして、そういう姿勢が大事ではないか、こういうことを実は率直に申し上げたかったわけです。  そこで次の問題ですが、今日の日本の所得倍増計画による総合エネルギーの一応の需給見通しという想定は、これはやはりヨーロッパにおける ○EECのロビンソン報告影響を非常に強く受けておると理解をするわけです。大体アメリカを除いて主要産炭国では、これに加盟していない国であっても、一応ロビンソン報告長期エネルギー需給見通し、こういうものが相当な影響を与えていることは、これはもう今日の常識であると私は考えるわけです。そこで、そういう立場から一つ問題を申し上げてみたいと思う心ですが、大臣も御存じの通り、われわれのエネルギー伸びというものは、OEECの諸国に比べても比較にならないほど驚異的な伸びを示しておるわけです。これを計画的に対比してみますと、一次エネルギーだけで総需要量を計算して参りますと、ロビンソン報告では一九五五年を一〇〇とすれば、一九六五年には下限が一二五、上限が一三五、一九七五年の長期見通しは、下限が一五八、上限が一八三という、こういう数字がはじき出されて参るわけです。わが国の場合は、年度が若干違いますけれども、昭和三十四年度を一〇〇としますと、昭和四十五年度には二一一、昭和五十五年度には三四〇という数字が出て参るわけです。エネルギー需要伸びというものは、大体その国の経済成長率と密接な関係があるし、同様な傾向をたどっておることも、これらの数字を見ますと大体結論づけられて参るわけです。そうしますと、OEEC諸国の経済成長率長期的に年率約三%程度である、こういう見通しになるわけです。わが国所得倍増計画に基づきますと、年率七%をこえる成長率見通しであるし、これだけの開きがあるわけです。しかもエネルギー需要もその成長率の差以上の開きが長期需給見通しではあるわけです。ですから私は経済成長率が非常に高くて、エネルギー需要がものすごく伸びていくところと、経済成長率も約半分ぐらいで、エネルギー需要伸び率も非常に低いという場合における石炭政策考える場合に、これを同一視する——傾向としては私はそういう傾向を認めることはやぶさかでありませんけれども、同一視することに私は大きな矛盾を感ずるわけなんです。というのは、大臣が今言われたように、今日油と石炭の競合の問題があります。しかもエネルギーは、これは構造的な変化である、こういう名前のもとに油にどんどんかわっていく。しかしながら、今わが国エネルギー需要伸び考えます場合に、石炭の五千五百万トンというものを弾力的に考えて、ある程度石炭を伸ばしてみたところで、エネルギーの総需要伸びから見ると、そう無理な話ではないわけです。しかし、ヨーロッパにおいては非常に低いエネルギー伸び率ですから、これにさらに石炭を伸ばすということはおそらく不可能なことでしょう。結局、石炭というものは大体横ばいエネルギー需要伸び率が非常に低いわけですから、これは構造変化によって油にかわっていくということになることも、私は理解ができるわけです。ですから、わが国のこれからの石炭政策というものは、そういう総体的な総エネルギー需要伸びの中において、石炭を無理のない形で伸ばすことは決して不可能なことではなくして、今日石炭産業の現状を見る場合に、供給力も非常に高まっておるという現状から考える場合には、当然その点については無理のない形で消化ができると私は考えるわけです。こういう点について大臣見解を承っておきたいと思います。
  20. 福田一

    福田国務大臣 これは、実はそこいらに問題の焦点がだんだん入ってくると思うんですが、やはり何といっても安いエネルギーをできるだけ使った方がいいということは、国民経済全般から見ればどうしてもそういう議論は成り立つと思います。そこで、どの程度に合理化して、どの程度にやっていけば石炭もそれに相応じていけるかというような、合理化という問題がそこに一つ出でくるわけでもありますけれども、いずれにしても、今五千五百万トンという数字が出てきたわけですが、そこら辺を中心にしてやったがいいのか、場合によってはもう少し減らしたがいいか、もう少しふやしたがいいかというようなことは、そういうような問題等も含めてやはり調査団に慎重に検討してもらいたいということでありまして、私がこの場合、多い方がよかろうとか少ない方がよかろうと申し上げるのはいささかどうかと思います。
  21. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 御質疑中でございますが、通産大臣と労働大臣とおそろいのところで御質疑を続けていただくことといたします。  ついては、大橋労働大臣より発言を求められておりますので、これを許します。労働大臣大橋武夫君。
  22. 大橋武夫

    大橋国務大臣 このたび労働大臣を拝命いたしましたにつきまして、ごあいさつを申し上げたいと存じます。何分にも非学短才でございますので、格別当委員会の皆様にはお世話さまにあずかることと存じますので、よろしくお願いをいたします。  石炭鉱業合理化の進展に伴いまして多数の離職者が発生し、その再就職のための施策を強力に実施しなければならないことは、御承知の通りでございます。このために政府は、炭鉱離職者臨時措置法に基づき諸般の対策を講じて参っておりますが、これら炭鉱離職者の再就職の促進につきましては、現下の経済情勢等よりなお困難な状況にありますので、近く予定されております石炭鉱業調査団答申を待って、できるだけ行き届いた措置をとりたいと考えておるところでございます。  次に、石炭産業の最低賃金制につきましては、現在中央最低賃金審議会の専門部会において御審議を願っておるところでございまして、その結論を待ちまして善処いたしたいと考える次第でございます。  冒頭に申し上げましたごとく、今後皆様の御意見を十分拝聴しながら施策の推進に力を尽くしたいと存じますので、重ねてよろしくお願いを申し上げます。(拍手
  23. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 どうぞ質疑を続けて下さい。
  24. 岡田利春

    岡田(利)委員 次に、今大臣エネルギーは価格が安い方がいいということを述べられたのですが、エネルギーの価格体系の問題、これは今まで国会でも非常に論争されてきたわけです。池田総理大臣あるいは佐藤通産大臣等も、エネルギーの価格体系の問題で見解を述べられたこともあるわけです。実際問題として、エネルギー安全保障の面をも考え、また経済の合理性も考えなければならない、国内資源活用考える、こういう立場に立てば、安い方がいいのだという簡単な言葉だけでは私は解決できないと思うのです。合理的な価格体系ということが問題にされなければならぬと思うわけです。佐藤通産大臣見解は、高いエネルギーの価格水準にこれを合わせることは、やはり経済政策上まずい。といって、最低のエネルギーの価格水準に合わせることは、これまたわが国国内エネルギーの現状からいえば、多くの問題がある。むしろ、これではわが国国内エネルギーは壊滅的な状態になる。とするならば、高いものと安いものとをあわせて合理的な価格体系を考えエネルギー政策を進めなければならないという見解が、佐藤通産大臣見解として当委員会で述べられておるわけです。このエネルギーの価格体系について、福田大臣見解を承っておきたい。
  25. 福田一

    福田国務大臣 先ほど安いと申し上げたのは、表現があまり簡単であったから誤解を招いたのではないかと存じますけれども、要するに、やはりエネルギーである限りにおいては、安定性がなければならない。それから、一定の量も確保しなければならない。そういういろいろな条件を加味して、それを全部入れても、いわゆる世間の言葉でいう安いもの、こういう意味で私が表現したと御理解をお願いいたします。
  26. 岡田利春

    岡田(利)委員 先ほどヨーロッパ諸国、いわゆるOEEC加盟国の長期エネルギー見通しについて若干触れたのですが、これによりますと、石炭の総エネルギーの中に占めるウエ−トというものは、やはりOEECの場合でも漸次下がってくるわけですね。一九五五年では、石炭はOEEC加盟国の全平均で七八・九%という数字が出ているわけです。十年後の一九六五年には、上限で六八・七%、二十年後の一九七五年には六二%という数字なんです。これをわが国エネルギー小委員会所得倍増計画に基づく報告を見まずと、昭和三十四年には石炭は総エネルギーのうち六六・四%、十年後の昭和四十五年には四一・二%、二十年後の昭和五十五年には二七・五%、こういう数字に相なっているわけです。世界的にエネルギーの構造が変化して石炭の地位が下がるという傾向は、私はもちろん否定しません。ところが一方においてエネルギー需要量が、OEEC諸国よりものすごく伸びるのに、石炭の地位は急激に下がるわけです。ですから、グラフで表わすと両方に開いているわけです。ここに今日石炭政策の矛盾があるのではないかと私は思うのです。ですから、OEECの場合には十年間で大体一〇%地位が下がる。それが日本の場合には、十年間で実に二五%下がっているわけです。二十年後には四〇%近く下がるわけです。  OEECの場合は二十年後の場合にはわずかに二五、六%より下がらぬわけです。エネルギーは倍以上伸びる。石炭の方は倍以上そのウエートが下がってくる。ここに今日、わが国エネルギー政策の悲劇があると私は思うのです。ですからそういう意味では、今日五千五百万トンというものは、もちろん経済性を高めなければなりませんけれども、だからといってこれは政治で解決できない問題ではなくして、むしろエネルギー安全保障面を考える、あるいは石炭産業というものは非常に付加価値の高い産業でありますから、そういう意味では石炭のウェートというものを考慮することによって、この解決は決して、ヨーロッパ諸国に比べても不可能なことではない。むしろその方向に今日力を入れることが、実際には経済政策としてあらゆる面を総合的、国民経済的な立場考える場合には前向きの方向ではないか、こういう考え方があるわけです。特に電力の場合、十年後には日本の総油の五〇%が発電をするためにたかれるという計画を持っているわけです。五〇%が全部電力、あとの五〇%はそれ以外の油を使う産業が使う、そして石炭の方はもうこれで押える、こういう政策をとっている国は、資本主義の、特に主要産炭国では、ないのです。ですから、今まで日本の供給力というものが低かったことは事実なのですが、それを単にここで押えるという政策ではなくして、今それぞれ申し述べました数字から見ても、やはり石炭産業の五千五百万トンについては弾力的に考え政策を加味して解決することが、今日雇用対策の面からいっても、 エネルギー安全保障の面からいっても、安定的な供給の面からいっても、またわが国産業政策の面から考えても、私は前進的な方向であるという工合に実は理解をしておるわけです。こういう点について大臣は、特に通産大臣になられて矛盾を感ずるのではないかと思うのですが、見解はいかがでしょうか。
  27. 福田一

    福田国務大臣 石炭産業が非常に苦しい立場におる、そうして日本では、よそとは違いまして、石炭産業が占める地位がぐんぐん落ちていくということは一種の悲劇だとおっしゃったが、私はお説の通りだと思っております。それだからこそ、ここで何かわれわれとして考えねばいかぬ、処置をしたい、こういうことになるのですが、しかし一方、それではそういうものを何とか考えてやるといっても、どこでどれだけ使ってくれるかという需要先という問題が一つは出てくるわけです。これは、大体五千五百万トンくらいまではどうにかなろうということになって、もちろんこれは維持するという考え方でしょうが、その上の問題になりますと、ではこれはどうしたらいいかというようなことが出てきませんと、にわかにこれは賛成とも反対とも言えないことになると思うのですが、あなたがおっしゃった電力との問題において関連して考えてみてはどうかというお考えについては、私は一つ考え方であろうということだけは申し上げておきたいと思います。
  28. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は今の大臣見解は、まさしく当を得ている見解だと思うのです。特にそういう点について、これから一つ十分検討をお願い申し上げたいと思います。  次に、先ほどから論議をして参りました当面の炭鉱労働者雇用の問題なのですが、これは労働大臣が来ておられますから、労働大臣質問をいたします。  もちろん今回の調査団の場合にも、雇用の問題については特にいろいろ意見がありまして、労働省からもそれぞれ事務当局が実はこの調査団に随行をいたしておるわけであります。そこでたまたま当委員会でも問題になりましたが、先ほどの災害報告の中にも出ておるように、最近の災害を見る場合に、その炭鉱の坑内における直接雇用労働者によって災害が引き起こされたもの、それ以外の組夫とか臨時鉱員とか、こういうような形で災害が起きたもの、こういうものが特徴的に実は出ておるわけなんです。  そこで今日、炭鉱の坑内の場合には普通、基準法でいうと、安全管理者と人事権というものが一致しておるわけです。ところが鉱山保安法の場合には、鉱山の保安管理権というものは、鉱業権者あるいは保安管理者が持っておるわけです。そうして、人事権というものはないわけです。これは安全規則と鉱山保安規則の明確な違いなんですね。ということは、この法律をつくるときに、炭鉱の地下労働というものは保安上非常に問題があるのだから、直接炭鉱雇用する人を使って、人事権と保安管理権というものは当然同じであることが常識なんだ、こういうことを前提にして今日の鉱山保安法というものは制定されたと思うわけなんです。ところが最近職安法の施行規則の改正に伴って、これが地下労働にまで及んで、組夫が無制限に入れられる、あるいは準鉱員という名目で坑内労働が行なわれている。極端なのは、臨時夫という制度がある。しかも、災害にはそういうものがはっきりと現われておる。ということになりますと、そういう趣旨からいっても、当然、少なくとも炭鉱の坑内の労働者は、ある一定の期間坑道を掘進して終わるという一時的な作業以外は、その鉱山が直接雇用する労働者によって占められるべきであるという見解が、私は正しいと思う。労働省としても、この点は特に調査をするという見解が今まで述べられてきておるわけです。この点についての労働大臣見解を承っておきたいと思います。
  29. 大橋武夫

    大橋国務大臣 鉱山におきまする組夫の問題につきましては、労働省といたしましても、これを極力制限するのが当然だという考えのもとに検討を続けて参っておるのでございまして、最近それにつきましてある基準を作りました。今後はこの基準によって取り締まりを励行いたして参りたいと存じます。お話の通り、組夫の問題に関連いたしまして、災害の予防対策あるいはそれに対する救済の責任、補償の責任というようなものが混乱をいたしますることは、まことに不都合でございますので、今後この点について一そう注意をいたしまして取り締まりを励行いたしたい、かように考えております。
  30. 岡田利春

    岡田(利)委員 現在、石炭鉱業合理化臨時措置法に基づいて、たとえば自分の山はもうやっていけないということで買い上げを申請した場合、事業団の業務方法書に基づけば、その場合当該労働者の同意を要する。あらかじめ申請しても、あとから自分でもっていやなら取り消しもできるし、しかも、買い上げを決定する条件としては、当該労働者の同意を要するということが業務方法書に書かれておるわけです。これは終閉山に伴う混乱を避けるというための当然の規定であると思う。特に最近はさらに二百万トンの買い上げを、まだ調査団結論を出さぬうちに、政府が一方的に追加した。このことは閣議決定に相反するのではないか。相反しないという見解があるとしても、あの閣議で決定した関係者に当然そういう点についての説明がなされた上で、そういう結論というものが出されるのが至当であったと思うのです。いずれにしても、そういう買い上げのワクが増加をされる。さらにまた、これからの調査団の結果報告いかんでは、スクラップという方針を変えない限り、買い上げの炭鉱がふえていく。これからさらに閉山という問題、合理化臨時措置法に基づく買い上げ炭鉱というものが増加して参るわけです。そうすると、これは単に業務方法書で当該労働者の同意を要するという事務的な問題として解決するのではなくして、これから特に労働者の協力と納得を得るという面では、法的にもやはりそういう点について明確に規定すべきではないか、実はこういう第一点の見解を持っておるわけです。  さらに第二の問題は、今日買い上げによって閉山する山あるいは鉱命がなくなってきて終掘になって閉山をする場合、あるいはまた炭層条件が悪化し、経済ベースに乗らないために、石炭資源はあるけれども、終山、閉山をしなければならぬという場合が想定されて参るわけです。この場合に、今日の雇用状況から判断しますと、単に企業のその時の状況だけによってぼんぼん炭鉱労働者がちまたにほうり出されてくるとすれば、私は計画的な雇用転換対策なり、あるいはまた職業訓練の計画というものは、なかなか立ちにくいのではないかと思うのです。ですからこの点は、ある程度無理のない形で、どうしても出てくるものについては産業転換ができ得る、こういう方向計画的に措置をされなければならぬ問題ではなかろうか。それをある程度計画的にやるとすれば、当然これは国が十分それを監視でき、状況把握でき、それを監督していくという、そういう機関なり体制というものがない限り、実際上、自由企業なのですから、幾ら口先で言っても、そのように計画的にやるというととは非常にむずかしいと私は思うわけです。実際これは今までもいろいろ言われたけれども、計画的になかなかできていないわけです。あそこは首切りがないだろうと思うところに、ぽっと首切りが出てみたり、そういうような例も実はあるわけです。従って、私は第一点の、買い上げの場合には同意を要するということは、当然合理化臨時措置法なり何かの法律で明確に規定をして、労働者理解と納得を求めるという、そういう線を前面に出す必要があるし、後段に述べたような、計画的に雇用転換をはかるという面では、監視の機関、それを把握する機関が当然考えられない限り、今の労働省と通産省の行政の中では、私はとうてい解決できないという見解を持っておるわけです。今までもずいぶんやってもらったわけですが、通産省の方はこれは合理化でいく、労働省の方はできたものをどうするか、こういうことでなかなかうまくいっていないわけです。こういうものが、これから長期的に石炭産業の問題は続いていくわけですから、それに即応する体制、機関というものが当然検討されなければならぬのではなかろうか、こういう見解を持っておるのですが、両大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  31. 福田一

    福田国務大臣 ただいま、閣議の決定の趣旨に反するのではないかという御質問だったと思うのでございますが、私たちの了解しておるところでは、やはり審議会にも諮問をいたしまして、そしてよかろうというので——御承知のように、審議会には炭労関係の方もおいでになっておりますし、まあまあよかろうということでございましたので、二百万トンという数字を出したわけで、それは閣議決定内容をごらんいただければ御了承願えると思うのです。しかし将来の問題として、これを円滑にやっていく上にはこういう業務規定でなくて、はっきりとそういう、たとえば組合なら組合の承諾がなければやれないんだ、また、そのあとでそれをやる場合でも何か一つ工夫していったらよかろうという御質問だったと思います。これは一つ研究をさせていただきたいと思います。
  32. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この臨時措置法の中に、買い上げの申請に際しては、当該労働者の同意を必要とするというような法律の規定を考えてはどうかという点でございますが、この点につきましては今後研究をいたしてみたいと思います。  それからもう一つ離職者対策と買い上げ、閉山等との間に食い違いのないようにするために、これを計画的に処置することが必要である、そのための機関を必要とするではないかという御質問でございましたが、この点につきましては従来は通産省、労働省の関係機関におきまして事実上十分連絡をとりまして実施をするというような方法でやって参っておるわけでございます。しかし、今までのやり方につきまして必ずしも遺憾な点がなかったとは言い切れないと思いますので、今後さらに一そう連絡を密にいたしまして、御趣旨のような線に沿うように努力をしたいと思います。今日の二百万トン買い上げ増加につきましても、労働省の当局といたしましては、現在すでに措置されておる予算で当面事態を収拾できるという見通しでやっておるわけでございます。もとより個々の山の閉山の実施、またそれによる離職者等につきましては、十分に通産省と連絡いたしまして、できるだけ早期に事態解決できるように努力いたす考えでおります。
  33. 岡田利春

    岡田(利)委員 通産大臣答弁は、検討して研究してもらうということでいいのですが、労働大臣答弁は、閣議決定にも雇用に関する審議機関を作るということがありますし、回答もなされておるわけです。ただこれは、具体的内容はどうかということはもちろんございます。しかし一応閣議決定には明確に、雇用に関する審議機関を作るのだ——とういう機関であるかはこれは別の問題です。通産省の今のいわゆる石炭鉱業審議会の中につくるのか、あるいは別途にそういう審議機関をつくるかは別にして、あるわけです。ですから、この点は当然具体化されなければならない問題だと思います。どういう構想なのか、閣議決定に明確にあるわけですから、この点ちょっと大臣の認識が違うのではなかろうかと思うのですが、いかがです。
  34. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私もまだ就任早々でございまして、閣議決定内容につきましてさらに詳細検討いたしまして、他日お答えいたしたいと思います。
  35. 岡田利春

    岡田(利)委員 あと質問者がおりますからもう一点だけ質問いたしますが、日本の石炭産出の分布状態というのは、資本主義の主要産炭国比較しますと、九州、北海道に炭鉱が偏在をしておるという条件は、ちょっとヨーロッパにはないわけです。イギリスを見ても、フランスを見ても、オランダを見ても、国が非常に小さいわけですから流通上の問題はないわけです。日本の場合には列島で、しかも九州と北海道に最大産炭地帯が偏在しておる。これは人為的に解決できない、日本の石炭鉱業の一番弱い点なんです。しかも九州の場合ですと面積上あまり広くはありませんけれども、北海道の場合ですと、東北大県、新潟の広さがある。あるいは九州、四国と山口県、沖繩を合わせた広さがある。内陸運賃でも遠いところは八百円かかるわけです。海上運賃の場合には、石炭専用船等をつくるとある程度運賃を安くするということは可能です。しかしこれも、今年度予算がつきましたけれども、ずいぶん時間がかかる問題なんです。そうすると、今日こういう困難な状態にある石炭政策というものは、私はそういう当面人為的には解決のできない、しかも資本主義の主要産炭田に比べて一番弱い点についてとらるべきではないか、こういう一つ見解を持つわけです。しかも一方においては、炭価のスロー・ダウンの問題は、国会でもいろいろ論議をしたり、あるいは事務当局でもいろいろ作業をしたりして、大体スロー・ダウンの方向というものが、物価がどんどん上がったために、起こってきたわけです。私は有沢さんが若松でスロー・ダウンについて触れられたことも決して偶然ではないという見解を持つわけです。ところがその後、鉄鋼業界あるいは電力業界から反対をされて、二百五十円以上も下げてダンピングの傾向があるから、むしろ二百五十円下げた方がいいのだという一つの議論があって、今年度も二百五十円炭価引き下げる。スロー・ダウンについはやらない、こういう措置が今日とられているわけです。もちろん、経済変動のために鉄鋼は操短に入るという問題もありますから、そういう点がなお拍車をかけたと思うのですが、しかし、スロー・ダウンしなければなかなかやっていけないという現状認識については、政府もあるいは調査団も、あるいは関係者も、これは大体一致して認識しておるところだと思うのです。そうしますと当然、これからの石炭政策を進める場合には、その炭価のスロー・ダウンについて民間の業者同士で話し合いがつかないとするならば、その現状認識に立って個々の政策の具体的なものが考えられなければいかぬじゃないか、十分検討されなければならぬ点じゃなかろうか、こういう二つの点について、私は特にこれからの石炭政策を進める上において重点的に検討され、研究されなければならぬ事項だと思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  36. 福田一

    福田国務大臣 まず地域の問題ですが、お説の通り石炭を掘ってすぐそこで使えるようなところに工業が起きているというのが、一番望ましいあり方であります。ところが日本の場合には、これが北海道と九州という、いわゆるエネルギーを使う場所といささか離れているところにあることは、これは確かに不幸なことであります。そういう意味で何かの政策考えていかなければいかぬじゃないかというお話でありますが、一つそういう意味で研究をさせていただきたいと思います。  それからスロー・ダウン、値段を下げる問題について、これをどういうふうに考えていくかということになりますと、これはいろいろエネルギー全般の問題とも関連をしてくる問題もありますし、ここで簡単に、それじゃもうスロー・ダウンしないでいいんだとも言えないし、あるいはまた、どうしてもスロー・ダウンしていくということならペイしないじゃないか、それなら補助でもしたらいいじゃないかということも一つ考え方とは思いますけれども、これらは一つ調査団でもいろいろ研究してくれることだろうと思うし、私たちとしても慎重に検討していきたい、こういう考えであります。
  37. 岡田利春

    岡田(利)委員 これは非常に小さい問題ですが、一つこの機会に聞いておきたいのです。実は北海道の北炭の空知鉱業所ですが、ここには空知と神威という二つの山があるわけです。これが空知鉱業所傘下にあるわけです。ここにおいて北炭の会社から組合に対して、石炭調査団調査を受けたが、との結果閉山の可能性がきわめて強くなったので、七月末現在の人員を減らしたいという提案が実はなされておるわけです。それ以来職場規律の問題、労働施設の問題、福利厚生の問題、賃金関係の問題、こういういろいろな問題がありますけれども、これは閣議決定とは関係のないものですから、この点は私は問題にする考えはありませんけれども、人員削減については、少なくとも調査団調査を受けて閉山の可能性が強くなった——これは、ストップをするということをお互いに協定書で確認をし、政府がこれを保証しておるのにこういう提案をするということは、これは閣議決定に反することであり、道義的にもこれは問題があると私は思うのです。最近、調査団がこう言ったからというものの言い方が非常に流行しているわけです。調査団労働者を合法的に首切ることにむしろ逆用されている傾向があると私は思うのですね。これは厳に慎まなければならぬと思うのです。これは首切りの問題だけでなくして、それ以外の問題についてもずいぶんあるのです。こういうことがもし言われたとすれば、これは根本的に調査団の性格の問題になるし、閣議決定違反であるし、重大な問題だと思うのです。こういう事実が一体あるのかどうか、一体どういう指導をしておるのか、承っておきたいと思うわけです。
  38. 中野正一

    中野説明員 今御質問のありました北炭の空知鉱業所、これは御指摘のように、神威と空知と二つあるのでありますが、ここには調査団が参りました。それでいろいろ調査をしておるわけでございますが、今御指摘のように、四月六日の閣議決定によりまして、新たなる首切りというようなものはやらない、こういうことになっておりますので、その点につきましては、調査団の意向、あるいは場合によっては石炭局で作りましたいろいろな資料——これは当然調査団にいろいろな資料を提出しておるわけであります。これは調査団結論が出るまでのいろいろの討議の過程において、われわれは資料を出すわけでございますが、決してこれによって政府の方でああせいこうせいということを言っておるわけではございませんので、そういうものを利用して、何か政府はこういうふうに考えておるらしいから閉山するんだとか、そういう新しい提案は絶対行なわないように、これは今の北炭の問題ではございませんが、ほかにそういう話をわれわれ聞きましたので、調査団関係の担当の責任重役を全部呼びまして、私から厳重にそういうことがないように申し渡しをしてございます。  今の北炭の件につきましては、私現在のところその話を聞いておりませんが、ただ北炭といたしましては、調査団が参りまして、そのときのいろいろの討議の結果、合理化については北炭の考えというものはまだまだ甘いのじゃないかというふうな印象を労使双方相当受けられたのじゃないかというように、私は感じております。従いましてそういう関係で、あるいは組合と何か話し合いが行なわれておるのじゃないかと思いますが、そういうふうな閉山するとか何とかというふうな提案ではもちろんないというふうに私は考えております。なお御指摘の点は十分調査いたしまして、厳重に注意をしたいというふうに考えます。
  39. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 井手以誠君。
  40. 井手以誠

    ○井手委員 先刻両大臣から、石炭対策に対する所信表明を承りました。差し迫った石炭問題について両大臣とも調査団報告待ちということでありますが、この事態を切り抜ける担当大臣所信としてはいささか不満であります。しかし本日は時間の関係もございますから、石炭問題の全般についてはあとの機会に譲りたいと思います。  ここで一点、労働大臣にお伺いしたいのは、先刻岡田委員質問に対して、二百万トンの追加買い上げがきまっても、予算措置はすでにきまっておるから大丈夫だという話がございました。しかしその当時と今日の雇用の客観情勢というものは、だいぶ違っておるのでございます。私どもは調査団報告を実はもっと早く期待いたしておったのでございますが、いろいろな事情から九月の中旬と承っておるのであります。雇用の客観情勢が非常に悪化して参りました。そのときに二百万トンを予備費で追加しなくてはならないという、買い上げの申請が殺到しておる今日の状態考えて参りますと、雇用対策というものが私は非常に重大であると考えるのです。二百万トンの離職者ワクについては大丈夫だとおっしゃいますけれども、その対策ではきわめて不十分だと思うのです。また、調査団においても現在離職者対策については相当研究をなさっておると思いますが、その調査団報告を待つ間に、次々炭鉱はつぶれておるのであります。私の方の佐賀県においても小城、別府、三菱相知はすでに買い上げがきまりましたが、そのあとにも続いて買い上げがきまるのが数山あるようでありますが、それらの離職者対策というものは、調査団報告を待つわけにはいかぬのです。緊迫しておるのです。従って、おそらく調査団はかなり思い切った対策を出されるであろうとは期待いたしておりますが、おくれる調査団報告の前に、調査団と十分打ち合わせをされて、現在閉山離職されつつある炭鉱離職者をどう救っていくかという、緊急の事態に備える対策が私は必要であると考えます。だから私がお伺いしたいと思うのは、調査団と打ち合わせをなさって、調査団考えを聞いて、事前に一つ離職者対策考えていただきたい、現在の雇用情勢に沿った対策考えていただきたい。また、調査団報告に基づいて政府方針がきまるのは、おそらく私は秋になろうと思うのです。九月中旬に出たからといって、事情も聞かねばならぬでしょう。政府もいろいろ打ち合わせねばならぬことなども考えて参りますと、おそらく政府方針が決定するのは秋になり、実行されるのはそのあとになろうと思うのです。そうなりますならば、その前に、閉山離職される炭鉱労働者の諸君に対して何らかの手を打ってもらいたいという私の気持なんです。もし調査団報告によって政府方針がきまれば、おそらく今まで以上に離職者対策が強化されるであろうと思います。その対策を今閉山離職しつつある炭鉱労働者にも、遡及して適用してもらいたい。これは通産省石炭局長のお話も聞かなければわからぬでしょうが、大体見当として百二十万トン・プラス二百万トン、それは現地でも、炭鉱でも、あるいはこの情勢でございますから労働者の方からも、おそらくかなり積極的な意見が出てくるだろうと思うのです。どうにもしようがないというので、組合の方でも閉山やむなしという線が出てくるでありましょう。そうなりますと、三百土十万トンの買い上げというものは、かなり早まると思うのです。それらの三百二十万トンに関連する炭鉱労働者の諸君を、この調査団離職者対策で救ってもらいたい。今までの方針じゃなくて、新しい対策で救ってもらいたい。それに対する労働大臣所信をお伺いいたしたいのであります。ただよく調査をしてということじゃ困ります。  もう一つ私はこの機会に申し上げておきます。あるいは調査団報告の中にも出てくるかもしれませんが、今の雇用情勢考えますならば、やはり離職者をもって建設労務公団などという、かなり長期の安定した労務対策考える必要がありはせぬか、現地付近においてかなりの期間雇用できる対策、建設労務雇用公団などというそういう構想も必要ではないか、これは御返事は聞かなくともよろしゅうございます。御研究を願っておきたいのでありますが、そのくらいの根本的な対策が必要であるという私の考えを申し述べまして、労働大臣所信を承っておきたいと思います。
  41. 大橋武夫

    大橋国務大臣 井手委員の御質問通り、今後の石炭対策の進行の状況を予想いたしますると、現在の労務対策ではおそらく不十分でございまして、従って、一そう強化した新しい対策をとらなければならぬであろうということは疑いのないところであると存じます。従いまして、御質問の御趣旨は、現在買山その他で整理が進行中である、そのために出てきておる離職者に対しては、当然今後決定される新しい対策が適用になるようにすべきではないか、こういう御趣旨でございました。これにつきましては、もとより新対策内容がまだきまっておりませんのでございますから、ここではっきりこうするということを申し上げるわけにはむろんいきませんが、しかし対策をいよいよ決定するときにあたりましては、そういう現在の離職者をも含めまして適用になりますよう考慮したいと考えております。ことに現在発生しつつあります離職者は、一応失業保険のワク内に入っておられます。その後に新対策に引き継がれるというような時間的な関係等も考えますると、大体漏れなく新しい対策に該当されるのではないかということが予想されるのでございますが、しかし対策決定に際しましては、先ほど申し上げましたように、はっきりそういうふうになるように考えたい、こう思っております。
  42. 滝井義高

    ○滝井委員 ちょっと井出さんのに関連しますが、現在ニュー・スクラップで、政府が今までの百二十万トンに二百万トンのワク拡大したのは、異常に申し込みが多いためだと思うのです。新聞等によりますと、四百四十万トンくらいの申し込みがある、こういうことだそうですか、現在どの程度の申し込みがあるのか、それを教えていただきたいことが一つ。  いま一つは、申し込んでおる炭鉱の鉱区が差し押えをされておる状態ですね。国税その他開発銀行あるいは中小企業金融公庫等から差し押えをされておる状態を、次の委員会までに資料として一つ出してもらいたいと思うのです。これは今後本格的な質問をやる上に非常に重要な資料になりますから、ぜひお願いをいたしたい。  それから労働大臣質問ですが、第二会社に移行するときは、会社は非常に低姿勢で移行していくわけです。そして一たび第二会社ができますと、今度は第二会社の雇用については非常に高姿勢になってくる。とこで具体的に名前を言うと工合が悪いので、名前をふせておきますが、第二会社になるまでは、組合との話は病弱者以外はできるだけ全部、希望者は第二会社に雇用いたします。こういうことで第二会社になったわけです。ところが、なりますと直ちにどういうことが起こるかというと、まず扁平足はだめです。今まで第二会社になる前の会社ては黙って使っておったのに、今度は身体検査をして、お前は扁平足だからだめだ、こう言うわけです。お前は結核の既往歴があるからだめだ。この前までは自分の会社で使っておって、結核を療養させてよくなって働かしておいたのに、第二会社になったら、身体検査して、お前は結核の既往症があるからだめだ、こういうことになる。それは何かというと、かつて三池で、職場活動家というものを全部排除しました。そういう故知にならったわけです。あれは前の会社のときに組合の幹部その他をやった労働運動をやっておった、しかし、労働運動をやっておったからといって排除するわけにはいかぬから扁平足、結核の既往歴がある、こういうことになる。はなはだしいのになると、あなたは私の会社では使い切れません、理由は何だ、とにかく係員であなたを使い切る者がいたいのです。こういうことで雇用を断わるのです。そうすると、炭鉱労働者にしてみれば、組合との円満な話で第二会社になった、自分の子供がたまたま高等学校や中学校へ行っている、今学校をかわる時期でないから、転職の希望をせずに、賃金は安くなっても第二会社に雇用していただこうと思ってやっていると、会社が身体検査をやり、いろいろやるわけです。こういうのが出てき始めたのです。しかも堂々たる大手に出てきておる。こういうことが第二会社に切りかえられたあとで公然と許されるということになれば、これは大へんなことです。そういう烙印を押された者は、今度は東京とか大阪に広域職業紹介を幾ら労働省に頼んでもこれはできません。こういう実態が出てきたわけです。これは大手です。名前を言えといえばあとで言ってけっこうです。第二会社になる前には辞を低うして、七重のひざを八重に折って約束しておきながら、なったとたんにそういうことをやる。第二会社は今後なかなか許さぬことになっておりますが、現実になったのもがそういう格好をとっておる。従って、そういう形をとるので、今度第二会社になったら四百人、五百人の労働者を集めてやろうとしたのだが、集まらない。集まらないから出炭計画が立たぬ、こういう事態になっておる。これは大手の炭鉱にあるのですから、そして大手の炭鉱は第二会社をみなやりつつあったのですから、労働省としては石炭協会の首脳部を集めて、こういう点について厳重な警告をしてもらいたいと思います。そしてそういうものについては、断じて労働省は、雇用政策上莫大な金を炭鉱離職者対策のために使っているのだから、自分のところの雇用する労働者は過去において労働運動をしなかった者というようなえり好みをやるということは許してはいかぬと思う。そういうことを許すとするならば、他の事業主、炭鉱関係なかった人が、雇用奨励金を出したって雇いやしないですよ。その点は現実にあるのですよ。現在地方労働委員会か何かに持ち出しているところがあるのですよ。だからこの点は、一つぜひそういうものについては厳重な警告を発するように労働省にお願いいたしたいと思うのですが、そういうものに対する、まず労働省の見解をお聞かせ願いたいと思います。
  43. 三治重信

    ○三治政府委員 第二会社の問題について、従来雇用された人を第二会社が雇うということで、それをえり好みするというのは、具体的な例は今初めて聞きました。むしろわれわれの方で第二会社を非常に問題にして今検討しておりますのは、第二会社は従来の整理解雇者を雇おうとするのにかかわらず、その方々が退職金か何かをもらったために第二会社になかなか雇われようとしない。むしろ、第二会社を作ったけれども、従来の、その整理された人以外の人を会社が雇い始めている、そうしないと第二会社が持たぬというふうなことを聞いておりまして、それではやはり何か第二会社というものが少し幽霊的でおかしいじゃないか、雇用の安定のために第二会社をつくるといったのに、自分のところの離職者は第二会社に行かない、ほかから雇うという、そんな場合には第二会社は必要ないのだから、もう少しそういう第二会社については指導的に再検討すべきだということをわれわれの方で今考え中だったところで、今の、むしろ従来の整理者が雇用してもらいたいのだけれども、何だかんだと言って雇用しょうとしないというのは初耳ですから、至急現地から報告を求めます。いずれにしても、第二会社について労働省としては、整理解雇者の中で家庭の事情その他でやはり第二会社を希望するということで組合と会社が円満に話がついたならば、ある程度労働条件が下がっても、やはりそこのところの雇用の安定上やむを得ないという立場でおったのですけれども、実際問題として、従来雇われた人の雇い入れを一部拒否するとか、あるいはそういう人に就職の希望がなくて、全然他から雇うというふうな第二会社の性格になりますと、われわれは、やはり今第二会社の社会的な風評というものも、初めから相当疑問が持たれておる問題ですから、立法措置とかなんとかいう問題ではなくて、やはり道義上の問題として相当指導面と申しますか、そういうことのないように注意していきたいというふうに考えております。
  44. 中野正一

    中野説明員 三十七年度石炭鉱山整理促進交付金の申し込みのトン数でございますが、三十七年度中に整理対象として考えておりますものは、四百五十二万六千トンでございます。そのうち今年の十二月までにやめる予定になっておるものが三百二十万トンでございますので、既定の予算が百二十万トンでございますから、あと二百万トンを今度の予備費で追加をする、こういう計算にしておるわけであります。残りのものは三十八年度以降の予算で買い上げをやればいい、こういう計算に考えております。  それから資料要求の点でございますが、差し押えになっておる案件というようなことは、ちょっとこれは会社の秘密の問題といいますか、そういう問題にもなりますし、どの程度調査がわれわれの方でできますか——しかし確かに御指摘のように、そういう問題も今後の問題を考えていく上に大事な問題と思いますから、できるだけ調査をしてみたいと思いますが、あまり具体的に会社の——一つ御趣旨の点を体しまして、一応研究させていただきたいと思います。
  45. 滝井義高

    ○滝井委員 ニュー・スクラップをするためには、局長さん御存じの通り、鉱区を抹消しなければならない。鉱区を抹消するためには、差し押え権者の同意を必要とする。従って、あなた方の三百二十万トンが十二月までに終わるか終わらぬかということは、この差し押えが解除できるかできぬかにかかってくる。いずれこの問題は具体的に質問をしますが、AならAという炭鉱が差し押えされているかどうかということは、これは鉱業権の登録簿を持ってくれば、みな書いてありますから、すぐわかるわけです。しかしそれは、Aというのが差し押えされているということを教えてもらう必要はない。たとえば九州でニュー・スクラップの申請が五十あるとする、その五十のうち三十は鉱区を差し押えされている、そういう地域別、炭田別に申請されているものについて、名前でなくて数でけっこうです。これは委員だけでもけっこうですし、また私が質問したのですから、私だけでもけっこうです。一応それを出していただきたいと思います。
  46. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十六分散会