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1962-10-11 第41回国会 衆議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    十月十一日  神田博君、中川俊思君及び松平忠久君が委員長  の指名石油に関する小委員に追加選任された。 ————————————————————— 昭和三十七年十月十一日(木曜日)    午前十時二十六分開議  出席委員    委員長 逢澤  寛君    理事 小川 平次君 理事 首藤 新八君    理事 白浜 仁吉君 理事 中村 幸八君    理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君       浦野 幸男君    菅野和太郎君       藏内 修治君    小平 久雄君       齋藤 憲三君    正示啓次郎君       田中 龍夫君    岡田 利春君       北山 愛郎君    久保田 豊君       多賀谷真稔君    辻原 弘市君       中嶋 英夫君    中村 重光君       山口シヅエ君    伊藤卯四郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  大来佐武郎君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局参事         官)      吉田  剛君         外務事務官         (経済局外務参         事官)     二階 重人君         通商産業政務次         官       上林 忠次君         通商産業事務官         (通商局通商参         事官)     谷敷  寛君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川出 千速君     ————————————— 九月四日  委員西村力弥辞任につき、その補欠として實  川清之君が議長指名委員に選任された。 同日  委員實川清之辞任につき、その補欠として西  村力弥君が議長指名委員に選任された。 十月十一日  委員浦野幸男君、齋藤憲三君、山手滿男君及び  小林ちづ君辞任につき、その補欠として仮谷忠  男君、坂田英一君、正示啓次郎君及び辻原弘市  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員仮谷忠男君、坂田英一君、正示啓次郎君及  び辻原弘市君辞任につき、その補欠として浦野  幸男君、齋藤憲三君、山手滿男君及び小林ちづ  君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  経済総合計画に関する件(新産業都市建設促進  法の施行に関する問題)  鉱業に関する件(金属鉱業に関する問題、大谷  石採石現場の保安問題及び天然ガス開発に関す  る問題)  通商に関する件(日米通商に関する問題)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 これより会議を開きます。  まず、先般東北地方金属鉱山実情調査して参りました派遣委員からの報告を聴取することといたします。中村幸八君。
  3. 中村幸八

    中村(幸)委員 先般行なわれました東北班現地調査の概要を御報告申し上げます。  派遣委員中村幸八、私外二名、現地参加として二名の五名で、去る九月二十一日より二十六日までの六日間にわたり産業経済実情調査、特に東北班自由化を目前に控えた金属鉱山及び石油並びに天然ガス実情調査する目的をもって行なわれたのであります。  視察個所は、金属鉱山関係として田中鉱業土畑鉱業所松尾鉱業松尾鉱山日本鉱業花輪鉱業所及び同和鉱業小坂鉱山石油天然ガス関係として、日本石油秋田製油所、帝国石油八橋油田、並びに石油資源開発秋田沖申地区油田実情調査して参りました。  なお、この間において、仙台通産局長を初め、地方自治体労働組合及び視察個所関係者との懇談会を開き、詳しく要望等を聴取いたしました。御承知のように、東北地方は、わが国鉱産量のほぼ三分の一を占める重要な地下資源産出地方でありますが、各鉱山山間僻地にあること、寒冷地であるため地理的条件が悪く、加えて輸送費等の割高及び諸物価の値上がり等により一そうに不利な条件に悩んでおるのであります。しかし、関係業界はかかる不利な条件を克服して、企業の健全な発展をはかるため、製錬所の新増設、採鉱、選鉱設備の増強、流通経費の軽減並びに新鉱床探査開発等に非常な努力を続けているのでありますが、本年当初より深刻度を増しつつある金融引き締め等により予想以上に資金繰りは悪化し、現在では鉱山休廃止並びに一時的探査の中止の鉱山が続発しつつあります。これに伴って人員整理賃金カット、第二会社への移行等の深刻な問題が発生しつつあります。  あらためて申すまでもなく、わが国は比較的鉱物資源に恵まれた国でありますが、鉱床規模が小さいために国際競争力が弱く、現状でも健全な経営を維持することはかなり困難であります。従って、貿易の自由化を迎え、このまま放置すれば金属鉱業石炭鉱業と同様の危機に陥る可能性があり、すみやかに抜本的な金属鉱業政策確立が焦眉の急であると存ずる次第であります。  次に、具体的な事例を申し上げますと、今回視察いたしました松尾鉱山は、わが国第一の硫黄及び硫化鉱産出量を誇る鉱山でありますが、現状はきわめて悪く、あらゆる合理化近代化にもかかわらず、海外市況の低落と肥料価格政策等のしわ寄せから、その前途は非常に憂慮されております。また土畑花輪、小坂の鉱山にいたしましても、銅、鉛、亜鉛等につきまして国際価格の変動がはなはだしい現状よりして、価格安定策確立と新鉱床開発等の施策が全面的に行なわれない限り、真の安定は期せられないのであります。われわれといたしましても、貴重なる国内地下資源開発及び活用には、今後とも一そう留意し、万全の措置を講ずべきであると信ずるものであります。  次に、現地におけるおもなる要望事項について申し上げます。  まず第一に金属鉱業について申し上げますと、そのおもなるものは、国による探鉱助成策積極化鉱産物価格及び需給安定化積極的合理化推進及び中小鉱業対策企業整備対策離職者対策及び地方自治体財政対策等であります。一、探鉱助成対策としては、新鉱床探査補助金大幅増額と単価の引き上げ及び全額政府出資による探鉱事業団を早急に設立すること。二、鉱産物価格及び需給安定策としては、緊急関税制度活用緊急輸入制限実施及び一手買取機関を設置すること。三、積極的合理化推進対策としては、長期低利資金確保及び人員整理に要する資金確保税制上の優遇措置を講ずること。四、中小鉱業対策としては、合理化資金確保をはかるとともに、企業診断並びに技術指導を強化すること。五、企業整備対策としては、石炭鉱業合理化事業団に準ずる事業団を設立すること。六、離職者対策としては、炭鉱離職者に準じた特別措置を講ずるとともに、雇用促進事業団活用をはかること。七、地方自治体財政対策としては、鉱山休廃止により生ずる地方税等の減収について見返り財源を国が補てんすること等であります。  特に離職者対策については見るべきものがなく、このまま大量に離職者が発生すると、鉱山所在地当該地方自治体の疲弊はもとより、鉱山労務者を初め、その他の住民に至るまで、極度の生活不安に追い込まれ、社会問題化する様相を呈するおそれがありますので、早急に具体策を講ずる必要があります。  次に、石油及び天然ガス探査並びに開発に関するおもなる要望について申し上げます。  一、国産原油長期安定引取価格の設定。二、国産原油及び準国産原油の一手買取機関の設置。三、天然ガス輸送パイプ等設備資金確保及びその他税制上の優遇措置を講ずること。四、石油資源開発株式会社に対する政府出資大幅増額措置を講ずること。五、石油及び天然ガス探査補助金額大幅増額を講ずること。六、石油及び天然ガス探査費大幅増額と未開発地域探査拡大をはかること等であります。  なお、先般制定を見ました石油業法に付されました附帯決議完全実施を早急に望んでおります。  以上、それぞれの要望等につきましては、慎重な検討を加えられんことをお願いして、簡単でありますが、報告を終わります。(拍手)      ————◇—————
  4. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 次に、経済総合計画に関する件について調査を進めます。  新産業都市建設促進法施行に関する問題等について質疑の通告がありますので、これを許可いたします。田中武夫君。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 過ぐる四十国会におきまして成立を見ました新産業都市建設促進法のその後の問題についてお伺いいたしたいと思いますが、もうすでに政令もできて、法は実施せられておると思うのですが、作業はどの程度進んでおりますか。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま申請を受け付けますに必要な指定についての基準を私ども役所作業をいたしておりまして、関係各省との協議に入ったところでございます。関係各省基準につきまして意見が一致をいたしました際には、その後に申請を受け付けるということになるわけでありまして、目標といたしましては、できれば年度内に申請指定までこぎつけたい、こういうような状態でございます。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 現在すでに申請が出ておるのは何件くらいあって、なお今後申請が出るであろうと思われるものを含めて大体予定は幾らくらい出てくるか。それに対してこれから予算折衝に入るわけですが、経済企画庁としては、本法実施のためにどの程度予算を要求しておるか、お伺いいたします。
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど申し上げましたような理由から、まだ関係各省と十分に協議が整っておりませんので、一応私ども役所考えておりますところを申し上げてみたいと思います。将来の公共投資いわゆる先行投資をできるだけ集中的にいたしたいという考えから、あまり多くの指定をこの際いたすことはいかがかと思われますので、いろいろ問題がございますけれども、できるだけ指定する都市の数をしぼりたいというふうに考えておるわけでございます。しかるところ、地方においては、本件に非常な関心を持っておられまして、ただいまの情勢では、おそらく全国で四十件くらいの申請が少くともあるであろう。しかも法律に定めるところによりまして、その申請は県議会の議決を経てというような非常に重い手続になっておりますので、事態をこのまま放置いたしておきますと、大部分の県あるいは地方に要らざる希望と失望とを与えることになる。その結果、地方の自治と申しますか、地方の政治に不必要ないろいろな問題を起こさせることになるのではないか。その点を私どもは一番心配をしておるわけでございます。従って、現在のところ、指定基準ができるまで申請を差し控えてほしいということをお願いをいたしておりますわけで、従って、今日まで正式に申請を受理したものはございません。なお、ただいまのようないわゆる行政指導をやって参りたいと思っておりますが、希望を持っておられる向きは、おそらく件数にして少なくとも四十件くらいはあるであろうというふうに考えるわけでございます。  それから、予算措置につきましては、そのようなことから、昭和三十八年度の予算編成そのものにはかっちりした個所づけの数が間に合わないということになるかと思いますが、しかし一年を空費することはいかにも残念でございますし、すでに公共投資についてはおのおの何カ年計画というようなもので、鉱工業地帯でありますとか、地方開発でありますとかいうかなりの傾斜がついておりますから、その傾斜予算執行の面でさらに指定をされました新産業都市よけいに傾けていく、三十八年度としてはそういうふうにやっていくべきかと考えておるのでございます。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 長官は当時大臣でなかったのですが、大体の様子は御存じだと思うのです。第四十国会におきまして、当委員会において本法審議にあたりましては、いろいろと疑義も多いし、ことに今言う予算裏づけ等から見ましてもまだ十分の審議が必要である、このようにわれわれ考えておりました。ところが当時の藤山企画庁長官及び藤山軍団に属する人たちが、盛んに早く通してくれ、しまいには、まあ少々の修正はのむから通してくれ、実はこういうようなことであわてて通したというか、そういうような審議過程を経たわけです。従って、われわれの修正案も相当入ったわけです。ところができ上がってから今日まで様子を見ておると、今おっしゃったような調子で許可基準がはっきりしていない等々で、三十八年度予算についてもまだ明確なところまでいかない。しかも当時の国会答弁では、この法律に基づくところの指定は十カ所以内、七、八カ所等々とも言われておりました。今四十件ほどあると、こういうことなんです。これは法律原案修正案との間に、あなた方、といってもあなたは当時大臣じゃなかったのですが、いわゆる経済企画庁担当者考えが変わっているのか変わっていないのかをお伺いいたします。
  10. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御指摘のように非常に運用のむずかしい法律であることは確かでございます。しかし、幸いにして法律を制定されますときに国会で御決議をいただいておりまして、その御決議がかなり、私ども行政をやって参りますときにいろいろ助けになると申しますか、指導方針になっておりますので、たとえば総花的になってはいかぬというような点につきましてもその通りであると考えますから、前の長官考えておられました十カ所前後といったような方針は、やはり将来の財政に対する需要などから考えましても、私どもそのまま堅持すると申しますか、踏襲して参りたいと考えております。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほど、指定基準の問題がまだはっきりしないから、それが各関係省といいますか、関係者において話がきまるまでは申請を待ってくれ、こういうように行政指導をしておるということなんですが、法律の第五条には「区域の指定要件」というのが定められてあります。しかし、これは法律ですから大まかに定められておって、政令で具体的に定めると思うのですが、その政令ができていないのですか。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 政令は八月一日に交付をいたしております。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、法律要件が定められ、政令もできておるのに、なぜまだ基準がはっきりしないのですか。
  14. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 申請をどういう様式でするかといったようなことについて、まだ決定していないということでございます。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 申請をどういうような様式でするかというようなことは、文書の問題ですよ。事務的な問題ですよ。そんなことじゃないと思うのですよ。あなた方の方で問題にしておるのは、原案では新産業都市の概念といいますか、これを「大規模な」というような考え方を、われわれが「相当規模」にかえた。従って、この「相当規模」というようなことはどういうことであるか、こういうことに議論があるのじゃないですか。従って、あなた方の考えておることは、前の長官の十カ所以内だという、それと同じようなことを考えておるということは、すでに原案で、「大規模な」ということを、われわれ委員会が「相当規模」と修正したにかかわらず、あなた方は修正可決せられた法律を、原案通り考えて進めようとしておるところに問題があるのです。どうですか。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そういうふうには考えておりませんので、なぜ申請書を受け付けていないかという御質問でございますから、先ほどのようなことを申し上げたのであります。確かにこの法律運用は、先ほど申しましたように困難でありまして、「相当規模」とは何であるかということについても、一応やはり基準をきめなければならないであろうという問題がありますから、実態的には基準をきめる、その段階でただいま作業を進めておるということを申し上げたのであります。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 その「相当規模」とは、今どういうふうにお考えになっておりますか。その基準をきめるのに困難であるということですが、これは当委員会において、衆議院及び参議院において、修正可決になっておるのです。そうであるならば、その修正提案のときに、「相当規模」というものについて説明しておるはずです。それが一つ基準になることは当然だと思いますが、どうですか。
  18. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それが一つ基準となることは確かだと思います。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、その「相当規模」はどう考えておられますか。
  20. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 「相当規模」とは相当規模と申し上げるしかないのでございますが、どういう基準を目下検討中であるかということを申し上げることがよろしいかと思いますので、ただいま事務当局から説明をいたさせます。ただし、これはそういう原案各省協議をいたしておるという意味でございますので、お含みおき願いたいと思います。
  21. 大来佐武郎

    ○大来説明員 ただいまの御指摘の点でございますが、「相当規模」という問題と、この法律の第一条にございます「その地方開発発展中核となるべき新産業都市建設を促進し、」によりまして、その地方開発発展中核となるということが必要であるということ、それからこの法律の性質から申しますと、相当規模の工業が入って、その入れものとしての先行投資をあらかじめ行なうという点がございますので、国会で御修正になりました規模についての点と両方にらみ合わして、どの辺で線を引くかということを今事務当局といたしまして各省といろいろ論議をしておる段階であります。まだ具体的な線の引き方につきましては確実な案を得ていない、いろいろな考え方事務当局の間にもございまして、それを早急に整理して今月の末くらいまでに一応の考え方をまとめる、その上で地方開発審議会の議にかけまして、基準といいますか、選定方針を明らかにする、大体そういう段取りで参っておるわけでございます。
  22. 田中武夫

    田中(武)委員 おっしゃるように、法律の運営は、まず目的の上に立って、次に具体的な要件を定めたものを見ることは当然です。そこで、かりにこれが修正なくして通ったとして、「大規模な」ということをあなたはどういうふうに考えておられますか。
  23. 大来佐武郎

    ○大来説明員 「大規模」ということについての具体的な定義はないのですが、常識的に百万都市とか、あるいはそれに近いようなことがある程度考えられておったと思うのでありますが、この法律修正の結果、もう少し低い程度まで考えるべきじゃないかというふうに一応私どもとしては存じております。
  24. 田中武夫

    田中(武)委員 かりに法律が無修正で通ったとしても、今同じ段階ではないかと思うのです。法律では大規模として出してきたんでしょう。だからもしこの修正なかりせば一体どういうことだったかといっても、それははっきりしない。百万都市という構想であった、すなわちそのときの考え方七つ八つあったという。われわれはそれを全会一致で「相当規模」と変えたわけです。ところがそれについても前長官考え方を踏襲する、すなわち指定の数においては法が修正になったという上に立ってのことを考えておられない、こう言われたと一緒ですよ。従って、君たちは君たちのベースにおいて考え法律を出してくる、国会においてこれをどのように修正しようが、あなた方は修正事項を頭に置かずに最初計画のままのものを進めようとする。国会は何のために法案審議しているのかわからなくなる。そうじゃないですか、違いますか。
  25. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはそうではございません。私が踏襲すると申しましたのは、当然のことをどのように考えておるかとおっしゃいますからそう申し上げましたが、私ども考え方がそこで違ってきておるわけで、それはたとえば百万都市というものを本来考えておったといたしますと、この新産業都市というものは、総合開発計画で申しますところの過密地区は除くといたしまして、整備地区——関東地区とか東海とか近畿とか、そういうところに、おそらくはそういう百万都市が誕生する可能性が強いのでございますから、そういうものも指定するということになったであろうと思われます。しかし、これを相当規模というふうに御修正になりましたので、総合開発計画で申しますところのそういう過密地区周辺のいわゆる整備地区というものは、一つ産業都市の対象から除こうじゃないか、それ以外で七つ八つ、あるいは十のものを探そうではないか、こういうふうに作業しておるのであります。従って作業の内容は違っております。
  26. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしますと、今言われたところによると、この法律最初立案してきた過程において描かれておった地図は、この法律が「相当規模」というところに変わったので、それは別なんだ、そしてそれ以外のところに「相当規模」というものを基準づけて指定しよう、こう考えておられるのですか。
  27. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまそう考えております。
  28. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、先ほど言われました前長官の出与えておられた七つ八つ、こういうことはこの法律修正によって、もうすでに新産業都市建設促進法からワク外に出てしまったんだ、そしてそのあとに続くところ、大中小というなら中拠点とでもいいますか、そういう中のところを考えておるというか、中のところを指さしておる、そういうふうに考えておられるのですか。
  29. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 むろん全部ワク外に出たわけではございません。出たものがあると申し上げるべきだと思います。
  30. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、最初原案の大規模のときには大体七つ八つ構想であった。ところが「相当規模」と直った。そこですでに相当規模という中において完成せられておるというか、もうそれに近いところの何ぼかは除くのだ、それは別の法でやるのだ、そしてあと考えていなかった中でその相当規模というものを仕上げていって指定しよう、こういうことですか。
  31. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 結論としてはそういうことでありますが、それは一方では全国総合開発計画が具体的にきまりまして、そして東京、大阪名古屋というような、いわゆる過度密集地帯、それからその周辺にありますところの整備地域、こういう二つのものについては、これからのいわゆる地方の大開発という観点とは違った措置をとらなければならぬということにもなりましたので、両方あわせましてそういう地域を除いていこう、こういうことにただいまなっておるというわけでございます。
  32. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、数の点において最初言っておった七、八つとは違ったものが出てくるのじゃないですか。名古屋とか大阪というようなところは除くのだというけれども最初はそれは入るということだった。その上において二つ三つ除いたら二つ三つをすくい上げるというこれだけの考えですか。そうではなくて、私は「相当規模」という法修正の意義は、一度にそれらの三十も五十も指定できないでしょうが、それは一次あるいは二次というふうにしてワクを広げていくといいますか、指定の数をふやしていく、われわれはそういう気持でおったわけですが、そうじゃないのですか。
  33. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 このように申し上げれば御理解を得やすいかと思いますが、全国総合開発計画との関連におきまして、国民経済経済性もさることでありますが、五年なり七年先を考えまして地方との格差をなくすことも大切であるというふうに考えておりますので、従って、なるべくならばそういう過密・整備地帯を除きましたところによけい指定したいということであります。そこで、法律の建前から申しましても、指定ということは一ぺんで終わるということではございませんで、適当な期間をおきまして次の指定はあり得ることだと考えます。
  34. 田中武夫

    田中(武)委員 そういうことで、法案修正せられたからおのずからはみ出したものがある、しかしそのはみ出したものはもっと別なワクにおいて考えていくのだ、そうしてなお法修正の精神の上に立ってまず第一年度はこの程度考えていく、それは十以内である、しかし次々とやはり必要があれば追加指定をやっていって、だんだんと地域開発を進めていくのだ、このように理解してよろしいですか。
  35. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そういう原則でございます。
  36. 田中武夫

    田中(武)委員 ところがお役人、官僚というものは、国会修正せられても、そういうことに対して、どっちでもいい、勝手にあいつらが修正しているのだ、おれはおれたちの考え方を進めていくのだというような態度なり今までのなにがあるわけです。たとえばこの法律修正点は十二点ございました。そして要請大臣の中に労働大臣を加えました。そうするとこの施行令の第五条に「法第十六条第五項第一号に規定する政令で定める国の地方支分部局は、次の各号に掲げるものとする。」として、一から七まである。ととろが労働省を入れてない。われわれは労働大臣を要請大臣にした。しかし、この施行令の第五条には労働関係が入ってない。ということは、あなた方は原案に定めた通り地方支分部局しかあげてない。それは国会修正に対してあなた方はまじめでないという証拠なんです。どうですか。
  37. 大来佐武郎

    ○大来説明員 ただいまの点につきましては、この政令原案各省と相談いたしました過程でいろいろと労働省と相談したわけでございます。ただ総合的に地方を代表する部局として必ずしも労働省の出先については適当な機関がないという事情、それから必要に応じて関係の地方の出先機関に特に参加してもらうという建前で一応この中からはずすということで各省間の了解がついたわけでございます。
  38. 田中武夫

    田中(武)委員 われわれが労働省を特に要請大臣として入れたのは、新しい産業都市を作っていくのに、雇用労働ということを考えずしてそれは成り立たない、そういう点から特に雇用の問題、労働の問題を考えるべきであるという趣旨の上に立って入れたのです。労働省ないし労働問題を担当するものは、労働基準局とか職業安定所とか、機関があるのです。一々書けなくても、それを管轄する職業安定所とかあるいは労働基準局とか書いたっていいじゃないですか。労働省が入れてもらわなくたっていいと言ったのですか。それではちょっと労働省を呼んで下さい。職業安定局長……。
  39. 大来佐武郎

    ○大来説明員 これは各省間の協議の末合意に達して政令になっておるわけでございますので、いろいろ論議はございましたが、終局的には労働省も同意しておるわけでございます。
  40. 田中武夫

    田中(武)委員 その討議の中において出された意見、そして労働省を入れなかったに至る経過を説明願います。
  41. 吉田剛

    ○吉田説明員 一応その経過を申し上げますと、その地方の産業を広く見ておりますような機関というものは一応あげよう、それから今ございました安定所とかあるいは基準局というのは、実はその地域全体でこういうふうにあげるのには少しおかしいのではないかというふうな問題がございまして、労働省との話では結局ある地域が大体指定されるということがきまりますと、その地域を管轄しております安定所なりあるいは基準局というのが幾つかございますので、それはその場合にその地域指定に応じて必ず入れようということになっておるわけでございます。それ以外にも、運輸関係等につきましても、これ以外の地方の特別のものがございますけれども、その地域が関係している特別な機関の地域から一応予定された場合には、これは必ずその中に入れるということで申し合せがついておるわけでございます。
  42. 田中武夫

    田中(武)委員 その入れるということの保障はどこにあるのですか。
  43. 吉田剛

    ○吉田説明員 法律の第十六条でございますが、ここで協議会の構成を書いておるわけでございますが、第五項の委員の構成というところにございます「学識経験のある者のうちから都道府県知事が任命する者」というふうな項目でも、これを活用するという約束をいたしております。そういう点でこの中の三号委員として一応入っていただくという形にしておるわけでございます。
  44. 田中武夫

    田中(武)委員 そう持って回っちゃいかぬですよ。この政令自体が十六条第五項一号による政令なんですよ。そのもとがどこにある、法律にありますというのはあたりまえじゃないですか。その法律にあることを書いてないから言っているのです。どこに保障がありますか。問いをもって問いに答えてはだめですよ。
  45. 吉田剛

    ○吉田説明員 これは先ほど申しましたような何がございまして、申し上げますと、そういう場合には必ずそういうふうな人を選んでもらうという約束が、関係各省の間にはできておるのであります。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 約束とは何ですか。法律上の効果はどういうものです。約束の法律上の効果を説明して下さい。法制局も呼んで下さい。約束とは法律上どのような効果があるのか、法律政令に比べてどういう効果があるのですか。
  47. 吉田剛

    ○吉田説明員 法律政令の効果と申しますけれども、実はわれわれとしては実態的にそれを動かしていくということでは、それを必ず尊重するという建前でございます。
  48. 田中武夫

    田中(武)委員 約束があります。省間の約束でございますと言ったって、そんなものは何にもならないんだ。今まで国会で答弁して、約束を守ったこと、君らあるかね。約束ごとですべてできるなら、法律政令も要らないよ。そういう約束では事が運ばないから、ちゃんと憲法上の資格を持つといいますか、効力を持つ法律政令、あるいは条例、こういうものによってきめることになっておる。そういう約束があるというようなことで、この政令法律の趣旨に合わないことをつくって、君らはそれで済むと思っておりますか。
  49. 大来佐武郎

    ○大来説明員 条文に現われない点で各省了解事項で処理せざるを得ないような場合もございますが、法にございます趣旨を尊重して必ずそれを実行するということでございますので、御趣旨の点にはそむかないかと考えております。
  50. 田中武夫

    田中(武)委員 法律で定められたことにそむかないという保障が施行令のどこにあると聞いておるのですよ。そむかないと思いますというあなたの主観を聞いておるのと違うのです。
  51. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御質問をよく承っておったわけでございますが、それはしかし法律政令とさらに書き切れないものはその趣旨に沿って行政に落とすということはしばしばあることでございまして、問題は約束をちゃんとやるかやらないかということに私は尽きると思います。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 そういう約束が各省間にあって、それがスムーズにいくのなら、新産業都市というものはそうまごまごしなかった。各省間においてそれぞれの構想があっててんやわんやのときに、経済企画庁から言っても迷惑なものを押しつけられたという格好なんだ、従って、われわれはそういう上に立って関係のところを全部入れたわけなんです。しかも新産業都市建設するというのに、雇用の問題、労働の問題も出てくる。そこで労働大臣を要請大臣に入れた。入れることによって君たちは相当問題があったことを知っておるのです。ところが施行令にはそれが何らの格好でも入っていない。この施行令について、そのほかこの労働省に関しては、そこを管轄するこれこれのものをということを入れたって悪くないでしょう。どうなんです。そういうものは協議会できめるのでしょう、協議するのでしょう。そのときに労働省がいたらじゃまになるのですか。あなた方の考え最初からそれでしょう。これは一つの点をあげておるにすぎないのですがね。その後われわれが法律修正しあるいは附帯決議をつけても、政府は、あるいは役人は、全然そういうことを考えずにやっておる。その証拠がここにあるじゃないか、これをどないに考えますか。このままでいきますか。
  53. 大来佐武郎

    ○大来説明員 この政令につきまして各省との相談をいたしたわけでございますが、もしも重大な瑕疵、きずがございますれば、もちろん各省間との協議をいたすことは必要かと思うのでございます。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 もし瑕疵ある場合は相談をし直す、こうおっしゃったんですね。私は瑕疵あるとして指摘しておるのです。従って、瑕疵あるものとしてもう一ぺん政令協議し直して、出し直してもらいたい。いかがですか。
  55. 大来佐武郎

    ○大来説明員 この正式の商工委員会で御指摘のございました点でございますので、早急に各省協議いたしてみたいと思います。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 そうして、政令を変えるのですね。
  57. 大来佐武郎

    ○大来説明員 これは協議の結果によりたいと存じます。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 私は、そういう申し合わせというようなことは何にもならない。従って、憲法上の資格を持つというか、効力を持つもの、法律政令、条例、こういうものでなければだめだと、こう言っている。従って、今私の言うことについて、この政令を再検討する、瑕疵ある場合と、あなたは今瑕疵を認めたじゃないか。瑕疵があれば直すのは当然じゃないですか。どうです。
  59. 大来佐武郎

    ○大来説明員 実はこの政令の制定の際におきます細部の点につきまして、この場で即答いたしかねる事情もございますので、直接の担当者ともよく協議いたしました上で、お約束をした方がよろしいかと思いまして、答弁いたしたのでございます。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、あなたは検討をし直すことは約束するのですね。その検討の結果これでいいということになるか、あるいは私の言っているように、何らかを追加しなければならぬかということは検討の結果だと、こういうのですね。どうですか。
  61. 大来佐武郎

    ○大来説明員 さようでございます。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 この政令はどこでつくった政令ですか。
  63. 大来佐武郎

    ○大来説明員 総理府の政令になっております。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 この法律自体は総理府であるけれども、窓口は経済企画庁になっておるのでしょう。従って、総理府の政令、すなわち経済企画庁の立案でしょう。あなた方が出した政令なんでしょう。それをつくったあなた方が、人に相談しなければ直すことができないのですか。もちろん政令をつくるためには、ことにこの法律のように各省間はいろいろと関係のあるものについては、各省の意見を聞くのは当然でしょう。だがしかし、直すか直さぬかということは、あなたの方できめるべき問題でしょう。
  65. 大来佐武郎

    ○大来説明員 御承知のように、この要請大臣が何人かおられます関係もございまして、一応経済企画庁が窓口になっておるわけでございますが、すでに各省と緊密に協議をしながらやって参るという建前でございますので、確かにお説の通り、窓口は私どもでございますけれども、やはり協議は必要だ。ここで独断でお答え申すわけには参らないと存じておるわけであります。
  66. 田中武夫

    田中(武)委員 それ以上言わすのもかわいそうだから、この程度にしておきましょう。だがしかし、私が言わんとするところは、国会において修正をした。ところがその修正に従ってのあなた方は仕事をしていない。最初から自分たちの考えておったことだけしかやらない。こういうことが間々あるわけなんです。その一例としてあげたわけなんです。われわれの修正した点、十二点あります。項目で九項目。これは、私は今二点をあげたにすぎませんが、その後どういうようなことになっておるのか。直ちに態度をきめて知らしてもらいたい。  まず第一は、「相当規模」とはいかなるものをさすかの定義をきめる。もしわからなければ、提案者は私です。提案者の私が言ったことがまず一つの解釈基準になるわけです。それがおかしければ反論を求めましょう。よろしいですか。それから今の政令の第五条、再検討して返事をする。その他数点直したところについて、法修正がなされたあと、どのような作業をしたかということの一切の経過を書面をもって報告してもらいたい。よろしいですか。
  67. 大来佐武郎

    ○大来説明員 承知いたしました。
  68. 田中武夫

    田中(武)委員 というようなことで、大体委員長もしっかりしてもらわなければいけない。ここできめて修正をしても、これらは全然そういうことを考えずに、最初おのれの考えておったことをそのまま続けていくということは、これは国会軽視なんですよ。まさに解任決議に値する行為なんです。いいですか、冗談じゃないですよ。  次に、この全国総合開発計画というものについてちょっとお伺いします。これは閣議ですでに決定されたのですね。
  69. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 過般閣議で決定をいたしました。
  70. 田中武夫

    田中(武)委員 これも国土総合開発審議会というのがあるのですよ。この国土総合開発審議会の私も委員なんです。ところが六月の十何日、参議院選挙のまっ最中にあなた方は開いたのですよ。これなんか、明らかに国会議員である審議委員が参加することをいやがっておる証拠なんです。何も好んで年に三回ほどしか開かない委員会を参議院選挙のまっ最中に開くことはないわけなんだ。あなた方も、来られないことはわかっておるでしょう。僕は欠席をいたしました。参議院選挙のまっ最中、六月十二日でしたか十三日でしたか、その辺だった。その辺に最終的答申をきめる審議会を招集した理由を聞きましょう。
  71. 大来佐武郎

    ○大来説明員 実はこの国土総合開発計画全国計画を作成するようにということは、しばしば国会でも御意見がございまして、法律上、国土総合開発法の法律に規定されておりながら十年余りも計画ができてないというような事情も御指摘を受けておったわけでございます。それで従来から、本年度の三月末までにこれを作成するようにというような建前で進行して参ったわけでございますが、最後の調整にいろいろ手間取りまして、しかもできるだけ早くやらなければならないという事情で六月十三日に開催いたしたわけでございます。ただいま田中先生の御指摘のような意図は全然ございませんでした。
  72. 田中武夫

    田中(武)委員 意図がありましたとは幾ら何でも言えないでしょう。何を好んで参議院選挙のまっ最中にやってしまったのですか。それは、うるせえ国会から選出せられておる審議委員の出にくいときをわざと選んだとしか解釈できません。そこで答申案をつくらして、こういう答申に基づきまして民主的にきめましたと内閣は言っておるのです。そこで宮澤長官は、これは内閣の決議を得たというのですが、たとえばこの五十九ページ「地帯別電源開発規模」というところに四ブロック制が取り上げられております。先ほどのあなたの御答弁によると、これは閣議で決定せられた、それならば電力再々編成の問題もすでに閣議で決定せられたのでありますか、いかがでありますか。
  73. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この計画には四ブロック制にせよというようなことは一向に書いてないと思います。
  74. 田中武夫

    田中(武)委員 この項を読んで下さい。五十九ページ。四ブロックという上に立って書かれているのでしょう。北地帯、東地帯、中地帯、西地帯……
  75. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 おそらく「地帯別電源開発規模」、ここのところと思いますが、これは従来四地帯別に電力需給計画などをやっておりましたので、それをそのまま言っておるのであります。別にここでそういうことをするとかなんとかいうことを言っておるのではないのであります。
  76. 田中武夫

    田中(武)委員 現在すでに北地区、東地区、中地区、西地区というようにしてやっておるのですか、これがいわゆる広域運営のことをさしておるのですか。
  77. 大来佐武郎

    ○大来説明員 現在電力の広域運営でそういう名称のもとに現実にやっておる状況をただ取り上げたわけでございます。
  78. 田中武夫

    田中(武)委員 しかしこれはやはり腹には四ブロックということを考えて、四つ出ておるのでしょう。どうなんですか。
  79. 大来佐武郎

    ○大来説明員 私どもこの原案の作成の過程には、経営形態の問題については全然触れておりませんで、ただ電力の潮流、流れの状態から広域運営は四ブロックで電力融通を考えておるという事実に立って、電力需給計画上の技術的な問題として考えておりましたので、経営上の問題までは全然考えておらなかったわけでございます。
  80. 田中武夫

    田中(武)委員 経営の問題には触れていないことはあなたの言う通りなんです。しかし、この四つの地区に分けて電力需給のアンバランスを考えていくのだ、こういうことでしょう。需給を策定していくのだ、これは前から言われておる四ブロック制のあれじゃないですか。現に東地帯は東北と関東、すなわち東京と東北電力の合併ということを宮澤さんは言っておるとか言わぬとか言っておるのですが、東地区にはちゃんと出ておるじゃないですか。このことは将来電力の再々編成を意味しておるのかいないのか、どうなんですか。
  81. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはちょうど適当な例をおあげ下さったので申し上げるわけでございますが、現在東京電力と東北電力との間で御承知のように電力のやりとりをいたしておるわけでございます。そういうふうに各ブロックでいたしておりますから、そういうことをその現実の上に立ってそこに書きましただけで、これ自身はそういう再々編成をするとかしないとかということについては何も言っておらないというわけでございます。
  82. 田中武夫

    田中(武)委員 全国総合開発計画でしょう。これから開発していこうというのでしょう。一番重要な電力を現状のまま、そのままを書いたんだということで通るんですか。開発を進めるためには、これだけの電力が要るんだ。そのためにはこうこう、こういかなくてはうそでしょう。電力の問題ですから、うっかり経営自体の問題まで触れたら困るので、ここは文章がごまかしてあるが、結局はこの四つのブロックで分けて考えなくちゃいかぬ。こういう上に立っておるのは明らかだと思うのですが、ここではそうであるとは言えませんかね。
  83. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは現在こういう四つのブロックでおもに広域運営をやっておりますし、もっと申せば、さらにはブロックを越えての広域運営ということも可能であると思います。しかしそれは何と申しますか、このこと自身から従って再々編成をやるんだということを閣議できめたとか計画できめたということとは関係がないわけでありまして、それは別途の観点から考えるなら考える、これとは無関係ということでございます。
  84. 田中武夫

    田中(武)委員 そうでもないでしょう。これを読んでごらんなさいよ。あなた東京電力と東北電力一緒になれなんてうっかり言ってだいぶしばかれたのと違うのかね。それでこのごろいやに警戒してものを言っておるんだが、いつかも言ったように、今の保守党政治家で鉄鋼と電力にはよう手をかけないんですよ。こう言われてむかつくなら、一ぺん手をかけてごらんなさい。だからこれは実態がそうであるので、広域運営という上に立ってそれをそのまま書いたのにすぎないというのならそれでよろしい。しかしこれを読んだら、全国総合開発計画ですよ。これから開発をこうやろうというのでしょう。そのときに電力はこう四つだということなら、頭の中には再々編成を考えずしてこんなことを書けますか。しかしここでそうだと言えないような事情があるし、言うだけの元気がない、勇気がないだろうと思うから、これ以上言いません。  次に、最後ですが、吉田さんだちょっとお伺いしますが、吉田さんは九月の十五日に姫路に行かれてだいぶん大ぼらを吹かれたようですが、そのときの話の内容をもう一度聞かして下さい。
  85. 吉田剛

    ○吉田説明員 私は大ぼらを吹いたと言われましたけれども、実はあのときはただいろいろな全国計画が進んでいるし、いろいろの新産業都市、その他も進んでいるので、事務的にどうなっておるか、一ぺん懇談会を開いてもらいたいということでございましたので、懇談会に参りました。そのときに約一時間半ばかりいろいろな角度からお話し申し上げたのであります。そのお話し申し上げた内容というのは、一応全国計画というものと新産業都市というものとのつながりということにいろいろ問題があるということがやはり重点でございまして、そのときの問題といたしましては、大体現在の段階では、新産業都市というものが全国計画の中に占める位置ということを考えますと、大体近畿圏、中京圏及び関東の広い範囲という圏内というところには新産業都市というものは大体置かないというようなことになってきております。それでは一体それをどうするのだということで、何を考えているんだということの御説明が中心であったわけであります。そうして、そこでは一応周辺地域というものは、播州で言いますと、近畿の広域経済圏というようなものの中で整備をしなけなくちゃならない、それはある意味で言えば、その新産業都市にならなかったからといって、播州なり近畿圏というようなものがそれにおくれるというふうなものでは決してない。むしろある意味では整備の非常に重要性のあるところである。従って、私どもの方はそういうふうな感覚ですべてどこの省でも大体考えている。従って、そのラインに乗って早急に整備を進めていく地区であるというふうに考えているというふうな大体の内容のことを申し上げた。  その際に、はっきり申し上げますと、私も少し勇み足をいたしたわけでございますが、冗談のように、懇談会でございましたので、何でも言ってくれというお話がございまして、実はそういうふうなものがきまってくるので、播州あたりは一応新産業都市としては取り上げられる範囲が、個人的意見としては、少ないのではないか、従ってこの問題について早々とおいでになるのはむだじゃないかと思いますというようなお話を申し上げたかと思います。
  86. 田中武夫

    田中(武)委員 地方へ行くと吉田参事官というようなものは神様みたいなものだ。あなたの言うたことがそのまその他区、すなわち播磨工業地帯でいろいろと憶測がせられておる。ちょっと勇み足になったというが、懇談会だからといって、あなたがついうっかり言ったことがやはり東京のおえらさんが来て言った、こうなるんだ、私は別にあなたは偉いと思っておらぬがね。そこでまず新産業都市とは別だ、こうはっきり言い切っておるんだが、先ほど長官の話にも若干出てきたんだが、それはだれがどこできめたのですか。そこで播磨地区をどういう方針によって整備していこうとしておるのか。
  87. 吉田剛

    ○吉田説明員 当日は私の個人的意見を聞かしてくれという話でございました。それで私は一時間半ばかりいろいろ話をしたわけでございまして、その点では、その私の新聞に載りましたのは違っているとかあるいは合っているとか申し上げるなにはないと思うのでございますが、私は全部を新聞に載せてくれたらそんな誤解はなかったのじゃないか、こういうふうに思っておるわけでございます。むしろ私どもは、今申し上げたように、いろいろな角度から全国計画その他から合わし、いろいろ考えた場合にはどうも新産業都市という点であがる可能性が少ない。それでは一体何だということで一応われわれが考えております。と申しますか、一応関係各省でいろいろ考えております鉱工業地帯整備協議会というようなもの活用内容というものはこんな内容であるというふうなお話を申し上げたわけであります。
  88. 田中武夫

    田中(武)委員 新産業都市は別だ、その中に入らないのだとあなたは言い切っておるのだな。今聞いてみると、新産業都市についての基準もまだ何もできていないんだ。それをあなたは入らない、別の方でやるんだ、こう言い切っておる。別の方とは何か、それを進める上における法律的、予算的の裏づけというものはどういうものなんだ。
  89. 吉田剛

    ○吉田説明員 これは法律的の裏づけはございません。実は施設計画ということでございまして、現実的には各鉱工業地帯整備協議会というのがございまして、各省でその対象を選びまして、必要な地域につきましては一応毎年その予算協議をやっているわけでございます。その協議によって総合的に道路なりあるいは港湾なりあるいは用水の問題という点の予算がこれは総合的に必要であるというような協議を行ないまして、それを一応統一して大蔵省へ届ける、大蔵省と折衝するという制度を現在やっているわけでございます。具体的にはその方でいこう、それから新産業都市につきましても、施設の今後の問題でございますが、一応基本計画を出すけれども、それから先の一応施設計画ということになりますると、同様な趣旨の中に入れてやるのかどうかということはまだはっきりいたしませんけれども、少なくとも現在そういうふうに動いておるものがあるということでございます。
  90. 田中武夫

    田中(武)委員 ここでも法律軽視、国会軽視の思想が出ておるのです。法律にはないけれども、その方がより強くやれるんだ、こうあなたはおっしゃっておるのです。法律がなくして行政が強くやれるという根拠はどこにありますか。さらに、あなたが新産業都市とは別だ、これは先ほど大臣もおっしゃったから一応あり得ることと了解しますが、新産業都市というものの申請もなされていない、基準もきまっていない、それにあなたが出しゃばってそういうことが言えるのかね。さらにあなたのこの発言に関連して、播磨をどう整備していくのか、具体的な計画を出して下さい、よろしいか。法律上、予算上どういうことになるのか、はっきりして下さい。
  91. 吉田剛

    ○吉田説明員 当日いろいろ申し上げました内容につきまして、まあそのままとはとても言えませんけれども、内容を全部記入して差し上げたいと思います。
  92. 田中武夫

    田中(武)委員 当日言ったことじゃないんだ。当日言ったことに対してどういう予算及び行政法律の裏づけがあるのかということを聞いているんだ。あなたがどんなことを言おうとそんなことはかまわぬ。大臣も、出先へ行って一事務官が勝手な大ぼらを吹くようなことは取り締まっておいてもらいたいと思う。いいですか、今言ったことができますか。言ったことじゃない、それを裏づけるものですよ、それを裏づけるものを出して下さい。発言の裏づけができないようなものなら、なぜ言ったのか、こういうことになる。だから裏づけのあるものを整備して出してもらう、よろしいか。
  93. 吉田剛

    ○吉田説明員 できるだけお出ししたいと思います。
  94. 田中武夫

    田中(武)委員 できるだけ——かっちりしたものを出して下さい。けっこうです。
  95. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 次に辻原弘市君。
  96. 辻原弘市

    辻原委員 時間がないようですので、ただいまの田中委員がるる指摘をいたしました新産業都市地域指定の問題に関連をして、二、三質問をいたしておきたいと思います。かなり具体的に田中委員から指摘をされましたので、それらの部分は重復を避けたいと思いますが、ただどうもお答えになりました点から判断をいたしてみましても、はっきりいたしません。従って少しはっきりしない部分からお伺いしておきたいと思います。  まず地域指定の問題でありますが、お答えによると、ただいま事務的な面でまだ準備が整っておらないから指定基準案が早々にはできがたい、こういうお話でありましたが、私は常識的に判断をして、事務的な手続等の問題はそうさして日にちのかかるわけではない、従って、問題はやはり法律政令に基づく基準案の作成での各層の意見調整に手間取っておるのじゃないか、こう私は判断しておるのですが、それに間違いありませんか。
  97. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 仰せの通りでございます。
  98. 辻原弘市

    辻原委員 そこで、いろいろ新聞に報道せられておりますが、おおむねいつをあなた方は目途に指定基準を決定せられるか、これらを明らかにせられる必要があると思います。というのは、先刻宮澤さんも言われたが、かなり希望地が多くて、しかも都道府県あるいは市町村等の議決を要するというかなり厳密な手続を要請しているわけだから、そういった手続等の準備に、また計画の策定ということには、かなりこれはそれぞれの当該地域希望地域においても準備の段階が必要なわけで、従ってそれが指定地域のきめようによっては、かなり地方的に混乱を巻き起こす重要な要素が私はあると思う。従って、そういうことのなきようにこれは慎重を期さなければならぬ。その慎重というのと、それから法律が要請している一日もすみやかに法の目的を達成するための地域指定ということとのかね合わせの問題があるわけだが、いろいろわれわれ漏れ聞いておりますけれども、そういう調整が非常に困難なために、こういうようなうわさも出ておる。とりあえず年内には大体問題のないような地域を若干部分指定をして、残余はかなりおくれてもやむを得ない、こういうこともいわれておるのだが、そういうような指定の方法をとるのか。まず大体大臣として決断をする、いわゆる決定を下すその時期はおおむねいつに想定をされておるのか。一つは何段階にも分けてそういうような指定をやるのか、あるいは一括これをやるのか、その点を一つ具体的にお答え願いたいと思います。
  99. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 指定基準案はなるべく今月中に作業を終わるように、事務当局には指示をいたしております。各省の意見がまとまりますと、審議会の議を経て基準を決定するということにいたすことになると思います。  それから、今回の指定については、これを幾つかに何回かに分けて分割して指定をする気持はございません。一度にいたしたいと思っております。その時期は、できるならば年度内にいたしたいということを目途にいたしております。
  100. 辻原弘市

    辻原委員 年度内にできるだけやりたい、これは原則だと思うのでありますが、ただ、先刻も申し上げたように、地方では、控えておる地方選挙等とからみ合わせてのいろいろな問題があるようであります。そういった点等も配慮されてこれをおやりになっておるのか、その点はどうなんですか。
  101. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まさに仰せのようなことを私も心配をいたしております。つまり、大部分の地方に対しておそらくは失望を与えるような結果になるわけでございますから、その結果が、これは政党政派の問題ではなくて、特定の人間の責任であるとかなんとかいう地方自治に好ましくないような影響が出ることを一番心配しておるわけでございます。それで、次の地方選挙が来年の四月にございますので、それに対して、政党政派の問題でなく、地方自治の面から好ましくない影響を与えることを避けたいということは、実は過般来考えておりますことでありまして、時期をきめますのに、その点も実は、正直を申しますと、いささか悩んでおる面がございます。
  102. 辻原弘市

    辻原委員 一括指定をするという方針で、先ほど田中委員へのお答えによって大体十程度を今の段階では考慮しているということであります。その十程度ということは、十以下というふうに明確に企画庁としての方針を下して、また各省の意見もそれによって調整をしよう、こういうふうな方向で考えておるのか、あるいは時と場合によれば十ということにこだわらず指定をする、こういうような考え方に立っておるのか、十ということはあくまで決定的な方向としてこれを企画庁は考えておるのであるかどうか、この辺がいろいろ言われておりまするけれども、どうも判然といたしません。それはどうなんですか。
  103. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど田中委員に申し上げましたように、関係各省とまだ十分に協議をいたしてはおりませんが、私どもといたしましては、十前後ということにいたしたい。それ以上にこの際なりますと、将来の財政投資が非常に分散をされるであろうということを心配しておるわけでございます。そこで、ただしこれを十前後に押えるということは、実はあちこちからいろいろな重い荷物がかかっておりまして、そのいわば圧力に対してどれだけ私どもがきちんと事をし切るかということにかかるわけでございます。そういうふうに私としては考えております。
  104. 辻原弘市

    辻原委員 ということになりますと、かりにあなたのお考え通り十以下に押えられなかった場合、その十以上の部分には、企画庁の方針だと新聞等にも出ておる過密地域それから整備地域、こういうものは除くんだという方針は若干改めて、少なくとも整備地域等についての必要地域だけはその中に含めるという考慮もなさっておるわけですか。
  105. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは先ほど田中委員に申し上げましたように、原則として過度密集地域整備地域は除きたいと考えております。ただその際に、厳密に申しますと、北陸地方があたかも整備地域であるようであり、また開発地域であるような二重な性格を持っておりますので、北陸については別途考えるべきかと思っております。
  106. 辻原弘市

    辻原委員 時間がありませんのであまりその方についてはお尋ねできませんが、北陸については指定をする際に考慮しておるようであります。そういたしますと、その他の整備地域については、これは新産業都市計画の中でいずれの場合にも含めないという方針は終始貫かれると、私はあなたの御答弁で受け取ったわけですが、これはもう一度確認をいたしておきたいと思います。
  107. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私としてはさように考えております。
  108. 辻原弘市

    辻原委員 そうしますと、先刻も問題に出ました全国総合開発との関係なんですが、新産業都市目的も、これはもとより人口過密を防止する——大都市周辺の、あるいは大都市に対する集中的な人口過剰を除くということが一つの大きな目的に掲げられておるわけであります。そうしますと現在いわゆる低開発地域であって開発を要する、将来については相当の希望を持っているけれども、少なくとも現実の段階においては直ちに法律の要請する目的を果たせないといった開発地域のみをやることによって、はたして大都市に対する人口集中が防止できるやいなやということ、これは常識的に明らかだと思うのです。  そこで必要なことは、総合開発計画でも決定されておる三地区に分けた、少くとも整備地域等についてはやはり新産業都市建設計画と並行して当然これはやるべきである、またやらなければならぬ事業であると思うのですが、その点は、全国総合開発計画が閣議決定を見ておる今日の段階で、地域指定等と並行して整備地域のいわゆる整備開発等を政府としては進められておるのか、またそういう具体的な構想を持っておるのか、この点を一つ明らかにしておいてもらいたいと思います。
  109. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まさしく仰せの通りだと考えております。ことに開発地域、新産業都市指定をせられ得る地域は、おそらくは五年ないし七年の先行投資考えるのでございますから、これをもってして過度密集地帯現状を救うということは当面考えられないわけでございますので、勢い整備地域をどういうふうにして整備をするかということは直ちに構想として考えなければならない、その通りでありまして、そういうことを考えかかっておるわけでございます。
  110. 辻原弘市

    辻原委員 考えかかっておるということでありますが、さっきのあなたの、指定地域の最終決定が年度内ということでありますと、今私が申しました大都市周辺整備地域開発という問題も、少なくとも年度内において具体的にこれを動かさなければならぬ。その動かすためには、いろいろな方法が考えられますけれども一つはやはり法律が必要だと思います。たとえば、私は近畿地方なんですが、近畿圏の開発法といったようなものを具体的に法律化をして、その予算の裏づけをやって実行に移す、こういうようなことが並行的に行なわれなければ、ただ絵にかいた開発計画だけを決定したからといってそれはやることにはならない。そこのところはすでにそういう法律を準備せられておるのか、またいわゆる開発地域決定と相待って法律の制定を考えておるのか、予算化を考えておるのか、そこのところをいま少し具体的にお話をいただきたい。
  111. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 論理としては仰せの通りでございまして、私も考え方に寸分違いはございません。つまり全国総合開発計画を今度はブロックの計画におろす、ことに整備地域を対象にしておろすということは必ずやらなければならないわけでございまして、新産業都市指定と厳格に同じタイミングで云々とは考えておりませんが、しかしほぼ同じ時期に並行してやらなければならないことは確かであります。これに法律案を必要とするかどうかは今のところさだかでございませんけれども、要すればやはりそういうことも考えなければならないでありましょうし、予算の裏づけというものは当然求めなければならないと思います。
  112. 辻原弘市

    辻原委員 たとえば近畿圏の整備法等につきましては、御承知のように国会の議決になっております。それから地域開発と同時に、大都市周辺における整備ということは、本法が議決されたときの附帯決議にもあがっておるわけであります。ともに総合開発という限りにおいて総合的に運営をしなければならぬことはこれまた常識であります。どうもその辺のところが、宮澤さんの話によると法律を必要とするかどうか、あるいはタイミングが必ずしも合うかどうかというふうな、いささかわれわれの観点からすれば少しずれた御答弁があったように私は聞くのでありますが、すでに国会の議決ともなり、また法律附帯決議ともなっているこの取り扱いについては、結局は法律制定、予算化という両面の裏づけがなければ私はやっていけないと思います。いま一度それについての、国会の議決ですから、あなた方はどの程度に具体的に尊重せられておるのか、さっきの田中君の質問じゃありませんけれども、どうも国会の議決、あるいはその他の附帯決議もその中に入りまするが、後日の執行なり政府の取り扱いについては具体的なものがどうも出ない、こういう印象をわれわれは受けておる。たまたまその問題にぶつかりましたので、近畿圏整備法等の構想決議があったが、企画庁としてまた政府としてどういうふうにこれを具体化しようとしておるか、その点を地域開発と関連を持たせて少し詳細に承っておきたいと思います。
  113. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 前国会で近畿圏の整備について御決議がございまして、それに対して当時の企画庁長官が、御決議の趣旨を尊重いたしますという所信の表明をいたしております。その後近畿圏の問題を検討いたしておりますが、近畿圏については性格がやや複雑でありまして、その一部は明らかに相当な人口の密集地帯でありますが、そうでない部分、相当に開発を要する部分がまた別途にある、先般の低開発工業地帯指定を現実に受けたような部分があったりいたします。従って、近畿圏というものの持つ性格はかなり複雑なものでございまして、首都圏とも異なりますし、また他の開発促進法にいろいろきめられております他の地区とも違っておるようであります。しかし、ただいま辻原委員のおっしゃいましたような問題は、やはり私どもが直ちに手をつけなければならない問題でありまして、同じような問題が、東京周辺の、首都圏に含まれておらない部分についても実はございます。そういう問題は速急に検討をいたします。予算の裏づけは当然必要だと考えますし、もし法律案が必要であれば、その点についても御審議をわずらわすことになると思います。
  114. 辻原弘市

    辻原委員 最後に、私は、今質問を申し上げました点を締めくくって希望を申し上げると、結局は低開発地域の新産業都市建設、これは大いに促進をしなければならぬと思います。ただそのことだけでもっては、法律目的としておるその目標の半ばしか、少なくともここ数年来の間には達することができません。従って、どうしても今必要なことは、何といっても都市に対する人口集中を防ぐ、その裏づけとなるものは、工場等の適正配置、また大都市周辺地域の再整備、再開発である。従って、それなくしては、全国総合開発目的は達することはできないのであります。だから、食い違わないように、一つの事柄をやるときには、必ず多面的なものの考え方でもって、大都市周辺地域開発を同時に行ない得るような開発方式というものを政府は積極的に推進すべきだ、こういうことなんです。  それからもう一つは、新産業都市建設と申しましても、やはりそれに伴うものは、工場誘致、工場建設等でありますが、どうも従来のやり方、またこの法律におきましても的確ではないのであります。一体どういうような方法でもって、いわゆる工場の適正配置、産業の適正配置というものをやろうとするのか、ここらあたりの行政上の指導内容というものが——どうも、一般的なことだけわかりますけれども、はたしてその一般的なことだけで可能かどうか、これもはっきりいたしません。何か新しいそういう適正配置に対する構想がおありなのかどうか。ただ減免措置であるとかあるいは土地の取得に対する便宜をはかろうとかいったことではなくて、政府としての新しい一つの方法というものが考えられておるのかどうか、この辺のところも最後に一つ伺っておきたいと思います。
  115. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 必ずしもすべて私の所管ではございませんけれども、ただいま御指摘のことはその通りでありまして、工場立地のいわゆる整備、これはただいまおっしゃったことのちょうど裏になるわけでございますが、そういうことに法制措置が要るか要らないか、私自身は必要なのではないかと考えておりますが、そういうこととも関連をいたしまして、至急に検討をいたします。      ————◇—————
  116. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 次に、鉱業に関する件について調査を進めます。  最初に、大谷石採取場の保安問題について発言を求められておりますので、これを許可いたします。小平久雄君。
  117. 小平久雄

    ○小平委員 大谷石採掘による災害の実情調査する目的をもって、去る九月四日、宇都宮市に派遣されました委員を代表して、簡単に御報告を申し上げます。  現地に参りました委員は、私、田中武夫君及び板川正吾君の三名であります。なお、現地において、広瀬秀吉議員が調査に参加されました。  当日は衆議院出発、宇都宮市到着、栃木県庁において、大谷石採掘危険防止対策協議会より説明聴取及び懇談、大谷石採掘坑内視察、立岩地区陥没現場視察、帰京の行程で調査を行なったのであります。  まず、大谷石採石業とこれに伴う災害発生の概況を申し上げますと、大谷石採石業は、昭和三十一年の採掘量が二十三万トン、出荷額が四億五千万円で、逐年増加の一途をたどり、昭和三十六年には採掘量五十五万トン、出荷額十億七千万円に達し、需要の安定、増大のため、概して好況を続けて参りました。しかし、企業規模は小さく、労働基準法適用事業場九十九のうち、従業員数五十人ないし九十人のものはわずか三、大部分は従業員数三十人以下のものであります。また、業務災害の非常に多い業種でありまして、災害発生千人率では、全産業の三七に対し、大谷石採石業は一三二を示しております。災害発生状況は、最近七年間毎年百六十ないし二百二十の事故件数があり、昭和二十七年以降の大きな事故は約四十件、うち落盤事故が二十一件、死者三十人となっております。  最近におきましては、本年七月三十日に立岩地区で大規模な陥没事故があり、通行人一人と採石従業員二人の死者を出しております。また翌三十一日にも隣接した地区に陥没事故が発生いたしました。  このような災害に対処し、現在宇都宮市が中心となって、県、市・警察、労働基準局、通商産業局、業界等を構成員とする大谷石採掘危険防止対策協議会が設けられ、これに関係法規、災害発生時の処理方法及び安全採掘基準に関する三小委員会が置かれて検討を続けております。これより先に関係者が通産省地質調査所に委嘱して地下の状況を調査したところによりますと、立岩、瓦作地区では家屋所在の地下が空洞になっており、今後陥没事故の起こり得る可能性が十分ありと指摘されましたので、協議会より、事故の事前察知、徴候のあった場合の処置、廃坑または危険個所の表示、家屋の移転、安全採掘基準等について勧告が出されております。  次に、栃木県庁における関係者からの説明並びに視察現場の模様を概略申し上げます。  最初に、栃木労働基準局長より、大谷石採石業の概況、災害の状況等の説明があり、また従来は法的取り締まり、すなわち採石法及び労働基準法による取り締まりが不十分なきらいがあったので、今後は坑内外の安全法規を整備する必要がある、また行政庁間の連絡を密にし、業者の協力を得て実態調査を行ない、これに基づいた安全基準確立する必要があるとの意見が述べられました。続いて、同局安全衛生課長より、坑内の構造、陥没地区の地形等について説明がありました。  次に、宇都宮市厚生部長より、当面の危険区域である立岩、瓦作地区内の四十七世帯に立ちのき勧告を出しており、うち四世帯がすでに立ちのいたとの説明及び協議会と小委員会の構成、議題等について説明がありました。  次に、通産省工業技術院地質調査所の中沢技官より、陥没事故は自然的断裂系に採掘という人工が加えられてバランスがくずれることによって起こる、断裂系を調査すると、次の陥没は人家の下で起こると予想されるので、まず人家の立ちのきが焦眉の急である、従来の陥没は必ず断裂系に沿って起きているので、今後の災害を予知し、予防するためには、断裂系の調査と坑内測量に基づいた千分の一の地形図をつくることが必要である、この地形図は施業案の認可にあたってもぜひ必要であるとの意見が述べられました。  次に、東京通産局鉱政課長より、採石法に基づく行政指導検討しつつあるが、とりあえず旧廃坑の補強は行なわず、その上の建物の立ちのき等を行なうことと、採石操業は続行しつつ坑内外の安全を確保することとを基本方針として指導し、将来は採石施業案の通産局長による認可制を確立することと、保安地区を設定し、業者からの情報収集を徹底することとを実現したいとの意見がありました。  最後に、栃木県知事より、大きな災害が連続して起こらなかったためもあって、対策が不十分であったが、今後は人命尊重を根本に対策を考えたい、また従来の対策は業界が中心となっていたが、これからは市が中心となり、県がこれに協力する体制をとるとの意見がありました。  続いて、市内の採石場におもむき、抗内における側壁、柱、天井盤、運搬路等の状況を視察し、さらに立岩地区の陥没現場に参りましたが、一千余坪の広範囲にわたって地面が一挙に陥没し、到るところに亀裂を生じ、諸所にすりばち状の大穴を生じている惨状を目撃して、私どもも恐怖の念を禁じ得なかったのであります。この地区は陥没後一カ月を経た当時、なお少しずつ崩壊を続けているとのことでありました。  以上、調査結果の概要を申し上げましたが、大谷石採石業のような特に危険の多い業種については、関係行政庁間の密接な連絡のもとに完璧な安全操業対策を確立し、法規の整備をはかり、指導監督の万全を期することはもちろん、地質調査所技官が指摘した地形図の作成についても、当局において十分善処されんことを特に要望いたすものであります。  以上、簡単でございますが、御報告といたします。
  118. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 御苦労さまでした。
  119. 小平久雄

    ○小平委員 今の報告に関連して、ちょっと局長に伺っておきたいのです。これは結局基準法の関係と採石法の関係の、主として二つだろうと思いますが、採石法の関係で、私も詳しく調べたわけではありませんが、ただいまの採石法をもってしては、あなたの方の御関係では、いわば法に基づく監督指導というものがあまりできないのじゃないか、全般的に私はそういう感じを受けているのですが、特に採石法の改正等について、今どういう検討をなさっておられるか、それが一点。  それからもう一つは、坑内図などが整っておらぬということで、おそらくあの坑内というか、地下の模様というものがはっきりわかっておらぬのじゃないかと思います。地質調査所の技官も、今後の対策としてそういうものが必要だと指摘しているようですが、懇談会の席でも、そういう地図はどこがつくるのだ、一体どこが経費の負担をするのだというような話も出ました。それぞれ市においても、あるいは県においても協力はしようといっておりましたが、一体どこが責任を持ってこういうものをつくるべきなのか、とにかく今後のためにも必要なんですから、どこかがつくらなくちゃいけない。その辺のところも一つ説明いただきたい。
  120. 田中武夫

    田中(武)委員 ただいまの大谷石の現場視察に関連して二言申し上げておきます。今、小平さんから御報告もありまして、あとで意見も出ました。現場に行っていろいろ話を聞いて感じたことは、現在の採石法というのは採石権本位の法律である。ここに問題の解決がおくれるというか、解決ができないという点がある。何となれば、自分の土地において、所有権に基づいて採石を行なう者に対しては、一般的規定のほかは何ら規制ができない。こういう権利本位、しかも採掘権という物権に準ずる権利、これを中心に書かれておる採石法に問題がある。  もう一つ明らかにしておきたいと思うのは、栃木県の労働基準局が基準法第五十五条の解釈を誤っておった、これは法制局で調べははっきりしておりますので、きょうは労働省は来ておりませんが、今後労働基準法五十五条によって作業の停止ができるということがはっきりしておりますから、その点も申し伝えておきます。
  121. 川出千速

    ○川出説明員 ただいま御指摘がございましたように、現在の採石法をもってしましては、運用だけでは不十分な点があろうかと存じます。従いまして、採石法の一部改正、それをどのような改正にするか、その内容について現在検討をしておりまして、来たる通常国会に何とかして提出する運びに持っていきたいと考えておる次第でございます。  それからもう一つの地下の空洞の状況の調査でございますが、これは先ほどお話がございましたように、一部分についてはすでに行なわれておるわけでございます。これは非常に生命の危険を伴うほどのむずかしい調査だと伺っておるわけでございますけれども、今後も地元当局ともよく協力いたしまして、通産省としましても、地質調査所に専門の方もおられるわけでございますから、調査を進めて参りたいと存じております。
  122. 小平久雄

    ○小平委員 最後のところ、そういう地形図と申しますか、そういうものも必要だということは皆さんがおっしゃっておるのですよ。ただ、今の御答弁でも何か市なり県なりが協力してということを言っておりますが、向こうでも協力してということを言っておる。そうするとどこが主体となって責任を持ってつくるのか、これは今の法律では責任がはっきりしていないのではないかと思います。たとえば施業案を出さしてそれが適当かどうかを検討していきたいというようなことを言っておりましたが、こういう基準になる図面がなければ施業案を出さしてみてもそれがはたして適当かどうか、おそらくわからないのではないかと思う。そうすればそういう指導方針というものをまず持っていなければならぬのではないかと思う。そういうことからいえば、当局特に通産省というか局というか、それが当然持っていなければ人を指導することはできないだろうと思う。その責任はやはり通産省自体が責任を持ってつくるのだ、必要があればそれは地元に協力させてもよろしいでしょうが、お互いに三者ともそういう協力々々と言っておったのではつっかけもちになってしまうのですから、そこをはっきりさせてほしいということを私は言っておるのです。
  123. 川出千速

    ○川出説明員 国がインシアチブをとって地元の協力を得てやって参りたいと思っております。     —————————————
  124. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 次に、天然ガス開発に関する問題及び金属工業に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許可いたします。板川正吾君。
  125. 板川正吾

    ○板川委員 私はまず金属工業の問題について政府に質問したいと思うのです。  先ほど中村委員から報告がありましたように、私も今般東北方面の鉱業調査に行って参りました。約一週間でありますが、予想を上回る非常な危機の状態であるということは身をもって感じて参りました。東北地方は日本の鉱業の三分の一を占め、四割を生産しておるところだそうであります。ところが、そのうちの半分というか、四十という鉱山が閉山ないし大幅な首切りなどを行なわざるを得ないような状態に直面しておる。とにかく働く者の半分が首を切られるような危機というのは、私はどこの企業でもこれじゃ仕事が手につかないということになってくるのは当然だと思うのです。そこで、さきの国会では、当委員会で金属工業危機打開に関する決議案を出して、本会議で満場一致で決定を見たわけです。この金属工業危機打開に関する決議は、鉱業を第二の石炭にしてはならない、こういうことをして政府もできるだけ事前に対策を打ちなさい、石炭のようにせっぱ詰まってからじゃ、なかなかいい手が打てないから、多少時間のあるうちに事前の対策を打って危機打開をしてもらいたい、こういう要望であったと思うのです。その際、まず第一に、これはまあ小委員会の結論を見たのですが、鉱業審議会で答申が出るまで、そうして答申が出て政府がそれを具体化するというときまで首切りは一つしないでほしいということを大体了承しており、政府もこれの行政指導を強力にやる、こういうことであったわけです。ところが、そのトップ・メーカーといわれる日本鉱業ですら、三千数百名の首切りを行なおうとしておる。以下全国的には同じような傾向で半分以上が首切りの対象になりつつある、こういうことなんですが、鉱業審議会の答申が出ないうちに首切りが先行するということは、今まで通産省としてどういう対策をしておったのですか、この点をまず第一に伺いたいと思います。
  126. 川出千速

    ○川出説明員 ただいまお話がございましたように、本年に入りましてから、これは必ずしも自由化問題というだけではなくて、一般的な市況の問題なりあるいは鉱山そのものの鉱量が枯渇をしたとか一まあ理由はいろいろあろうかと思いますけれども、結果としましては相当の人員整理が相次いでおるのは、私はきわめて遺憾に思っておる次第でございます。私としましては、そういう人が一人でも少ないことを心から希望をしておるわけでございますけれども現状としましてはただいまお話がございましたようなことになっておることは、これは否定できないわけでございます。鉱業政策の基本は、やはり体質改善をしつつ、そういう問題の発生を極力防ぎつつ、発生したものについてはやはりその対策は立てつつということが基本ではないかと考えておる次第でございますけれども、ただいまお話のありましたような現実になっておることは、私としましてもはなはだ遺憾に思っておる次第でございます。
  127. 板川正吾

    ○板川委員 当面は、私は遺憾だというだけではいけないと思う。どうしても早急に鉱業政策を確立をして、危機を打開する手を打たなくちゃならぬと思うのです。  そこで伺いたいのですが、十月一日から八八%自由化を強行した。この自由化後における非鉄金属への影響といいますか、扱いといいますか、この問題について説明を願いたいと思います。
  128. 川出千速

    ○川出説明員 十月一日になる前にすでに鉱産物の中の八〇%は自由化されておるわけでございます。十月に自由化されます予定になっておりました品目は十をこえておったかと思いますけれども、そのうちでいろいろ問題もございます三品目を具体的に申し上げますと、水銀とアンチモニーとタングステン鉱でございますが、これは自由化を延ばしたわけでございます。それから問題となります品目と言われておりましたマンガン鉱石と石綿につきましては、これは自由化ではございますけれども、いわゆる自動割当制のもとに、政府が輸入状況を監視態勢のもとに絶えず監視しつつ自由化をするという態勢で始めておるわけでありますけれども、ただいまのところそれに対する影響は現われていないわけであります。今後ともこの点につきましては慎重の上にも慎重に見守っていきたいと思っておるわけでございす。なお通常国会におきましては、これはタリフ・クオータ制でやっておりますけれども、二次関税率の引き上げを考えておる次第でございます。
  129. 板川正吾

    ○板川委員 十月からマンガンと石綿をやったわけですね。このマンガンと石綿が自由化した結果、非常に輸入が急増して、国内産業が困るような場合には関税を上げるなりあるいは停止をさせるなり、割当制度を復活するなりして、急激な打撃を与えないような調整をする、こういうことですか。
  130. 川出千速

    ○川出説明員 おっしゃる通り万全の措置をとりたいと思っております。
  131. 板川正吾

    ○板川委員 それから水銀、アンチモニー地金、タングステン鉱石、これは当面しないというのですが、いつごろしようとしておるのですか。大体目途がありますか、それとも当分しないという方針ですか。
  132. 川出千速

    ○川出説明員 今御指摘の三品目は、実は昨年来、本年十月に自由化をする予定にしておったわけでございます。それを延ばしました理由は、海外相場に激変があったわけでございまして、当初予定しておりました関税ではいささか無理であるというために延ばしたわけでございますので、通常国会におきましてその三品目のうちの全部とは申しませんけれども、関税について検討をしたいと思っております。
  133. 板川正吾

    ○板川委員 あとの三品目のうちでは価格の変動があったから、要するに海外の価格が非常に下がったから、従来考えておった関税では十分な対策ができない、そこでその関税の改正なりを通常国会でやった後考える、やるかやれないかわかりませんが、とにかくそういうこととにらみ合わせて通常国会の期間中自由化するかしないかきめる、こういうことですか。
  134. 川出千速

    ○川出説明員 今の三品目のうち、水銀につきましては海外相場はあまり変動しておりませんので、関税の問題は起きないかと思いますが、ほかのものにつきましては関税改正をした上で自由化したいと思っております。
  135. 板川正吾

    ○板川委員 それでは来年三月ごろ行なわれるかもしらぬ、こういうことになりますね。それから硫黄ですが、松尾鉱業等でいろいろ説明を聞くと、大体カナダなりアメリカなりの硫黄というのは半値ですね。日本は倍、こういうことなので、自由化をされたら日本の硫黄鉱業はほとんど全滅してしまう。しかし日本で使う硫黄は日本の生産で十分というか、大体間に合う、こういうことなのですが、こういう品物でも将来自由化する方針ですか。それともこれに対する何か指導上の考え方をお持ちですか。
  136. 川出千速

    ○川出説明員 硫黄はお話の通り一〇〇%自給しております。輸入が一トンもございません。内外価格の値開きが相当のものであるということは御指摘通りでございます。従いまして、硫黄につきましては自由化をしないつもりでおります。ただし今の国際条約と申しますか、ガットの関係では永久に自由化しないというわけにはいかないようでございまして、ハード・コア・ウエーバーの要求事項になると思うのでございますが、その期間につきましてもあらん限り長い間自由化しないで済むように努力したいと思っておるわけでございます。硫黄につきましてはそういう方針でおります。
  137. 板川正吾

    ○板川委員 硫黄産業は非常な不況で、これは自由化というよりも今の経済界の沈滞というものが大きい原因だろう。それからまた硫黄を必要としないということになってきた点もあるだろうと思いますが、しかしいずれ自由化ということが迫られてくるにしても、相当の対策の期間が必要だろうと思う。まあ四、五年はしないもの、こう考えていいですか。
  138. 川出千速

    ○川出説明員 できるだけ長い間自由化したくないわけでございまして、私は少なくとも四、五年は、それはもう絶対にしてはいけないと思っておるわけでございます。
  139. 田中武夫

    田中(武)委員 関連。——できるだけ長い間とか、少なくとも五、六年じゃなしに、絶対にやりませんという答えはできないのですか。
  140. 川出千速

    ○川出説明員 これはできればそれがいいわけでございますが、私はあのガットの関係の規定というのをよく存じないわけでございますけれども、それによりますと、外国の例を見ますと、そういう交渉をしまして三年とか五年とかいうのが前提になっておるそうでございます。それで、それをもとにしてお答えしたわけでございます。
  141. 田中武夫

    田中(武)委員 現地に行っていろいろ聞きますと、やはり今は生き延びる、しかし三年先、五年先にどうなるかわからぬということで、不安定な状態があるわけなんです。そこで、絶対にやりません、こういうことなら、その上に立ってのいろいろの対策が立てられるわけです。どうも私現地でいろいろと意見を聞いて感じたことは、そういうように今はやらないが、三年あるいは五年先にはわからぬと、こういう言い方に対して将来の生産計画が立たない、こういうことじゃなかったかと思うのです。絶対やらぬということがガットの関係上言えないのですかな。
  142. 川出千速

    ○川出説明員 その辺実は私専門でないものですから、そういうふうに聞いておるものですから、言えないというように聞いておるものですから、お答えしたわけです。
  143. 板川正吾

    ○板川委員 その点また専門家を呼んであれします。  それから銅は来年三月に自由化する方針ですか、この点を一つ。それから鉛、亜鉛はどういう方針であるか、この点も一つ
  144. 川出千速

    ○川出説明員 銅と鉛、亜鉛につきましては、昨年に方針をきめたわけでございまして、本年度の十月から来年の三月末までの間に関税改正をする、つまり関税の引き上げをするということで関税法が今年の四月に国会を通過いたしております。関税改正をしまして関税を引き上げるということは、裏からいいますと、自由化をするということになっておる次第でござます。従って、当初の予定は、本年十月から銅、鉛、亜鉛について自由化をするというのが方針であったわけでございますが、諸般の事情から、これは非常に無理でございますので、いろいろ措置を講じなければいけないということで、鉱業審議会でもいろいろ議論をしたわけでございます。銅につきましては、大綱についていろいろな答申がなされておるわけでございます。これをもっと詰めて、三月末でございますか、それを目途に考えておる次第でございます。  なお、鉛、亜鉛につきましては、鉱業審議会でまだ議論をしておりませんので、中間答申にも盛られていないわけでございます。鉱業審議会は今後も継続して審議を続けて参りますので、その辺で慎重に審議をしたいと思っております。ただいまの予定は、関税法上は十月から三月末までということに相なっております。
  145. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、銅、鉛、亜鉛は十月から関税を上げて自由化をするという方針でおります。ただし関税を上げるという手続なりがまだ完了してないからやらないでおく、その間手続が、これは日本の方で積極的にやらなくちゃ変わらぬと思うのですが、それをなるべく延ばしつつやったとしても、来年三月ころには銅は自由化しなくちゃならない、それから鉛、亜鉛の問題も原則として自由化をする建前になっておるが、市況の変化等があるので、関税交渉をしばらくおくらしていこう、こういうことなんですか。
  146. 川出千速

    ○川出説明員 鉛、亜鉛につきましては、銅と異なりまして、海外相場が戦後最低に下がっておりまして、これは各国とも非常に困っており、そういう鉛、亜鉛特有の事態が現出しております。従いまして、鉛、亜鉛の対策問題については、先ほど申し上げましたように、鉱業審議会において特に取り上げて措置を講じたいと考えておる次第でございます。  現在どういう方針かとお尋ねになりますと、これは三月を目標に自由化するというお答えになるわけでございますけれども、そういう非常に海外相場が暴落しておるという現実の問題がございますので、それをあわせて今後慎重に検討したいと考えておる次第でございます。
  147. 板川正吾

    ○板川委員 こうですか、結論として言うと、銅についてはこの鉱業審議会の答申にいろいろ対策があるから、この対策を採用しつつ来年の三月なりを目途として自由化をせなくちゃなるまい。しかし、鉛、亜鉛については鉱業審議会でまだ結論を出していないし、そういった手続的なものがおくれてくるだろう。しかし正面から問われれば、三月までには日本政府としては自由化しなくちゃならないという形になっております。こういうことなんですか。
  148. 川出千速

    ○川出説明員 さようでございます。
  149. 板川正吾

    ○板川委員 これはこの前も私言ったのですがね、鉛、亜鉛のごときは、アメリカでさえ自由化していないのですね寸世界の批判を受けても自由化していない。ガットの中には自由化をすることによって自国の産業に壊滅的な打撃を与えるおそれがある産業については自由化をしなくてもいい、それは自由化を免除できる、こういう項目があるのですよ。ですから、硫黄にしてもそうですか、銅、鉛、亜鉛でもそうですか、やはりガットのそういう緊急条項を適用して急激な打撃を与えないようにしてもらいたいと私は思うのです。特に鉛、亜鉛のごときはアメリカでさえ自由化をしていないのに、日本がなぜどうしても自由化しなくてはならぬか、理由がわからない。自由化の一番のリーダーが自分でやっていないのですから、アメリカは貿易の量が大きいから非常に自由化の先頭で、いかにも自由化の神様のごとく言うけれども石油だって自由化していない。みな都合が悪いことは自由化していないのですから、そう何もアメリカさんの言う通りにやらなくたっていいじゃないか、こう思うのです。これは希望です。  そこで鉱業審議会の答申案が今度出されました。これは骨子だけでもちょっと説明していただきたい。詳しい説明は要りません。
  150. 川出千速

    ○川出説明員 中間答申の骨子について御説明申し上げます。  鉱業審議会は本年の通常国会の設置法に基づいてできた政府の公式の機関でございます。先般の通常国会における国会決議を受けまして、自由化に対処する鉱山のあり方いかんという大臣の諮問に答えまして、とりあえず急ぐ問題について中間答申ということで取りまとめたわけでございます。前後八回本会議を開き、そのほかに分科会も開いておるわけでございます。鉱山につきましては、これは将来需要が伸びていくわけでございます。外貨節約にもなりますし、雇用の問題もございます。地方の産業の振興という問題もございます。いろいろそういう問題から考えまして、これは保護し、発展させていかなければならない。鉱産物は安定にしてかつ低廉な供給をすることが必要であるという基本観念に立って答申ができておる次第でございます。従いまして、答申のおもな内容は、自由化に備えて鉱業の体質改善をはかる措置を講ずべきであるということでございます。  体質改善の方途といたしましては、石炭と違いまして、鉱山の場合は探鉱助成が一番大切なことでございます。従来もちろん政府は努力はして参りましたけれども鉱業審議会の各委員の御議論は、あまりにも今までのあれでは不足である、もっと思い切って探鉱について政府は助成すべきであるということで、その方法の一つといたしまして、探鉱事業団というものをつくるのが適当ではないかという答申になっております。なお、探鉱事業団を設立する場合に、既存の機関あるいは機構等との調整については検討を加えてもらいたいという注文がついておりますが、探鉱事業団をつくることは適当であろうという答申になっております。  それから、従来の中小鉱山を中心にいたします探鉱補助金、新鉱床探査補助金といっておりますが、いわゆる探鉱補助金については拡充せよということを審議会では答申しておる次第でございます。  それから、鉱山合理化、つまり採選鉱設備なり製錬所の設備の合理化につきまして、長期低利の国家資金確保をはかるべきである、あるいは鉱業の多角化、これは雇用の安定あるいは経営の安定に資するというものでなければいけないわけでございますが、それについても財政面の援助を加えるべきであるという点が答申されている次第でございます。  それから次に現実の問題としまして、すでに相当数の離職者が発生しておりますから、これについては緊急に石炭に準じたような転換措置と申しますか、受け入れ措置と申しますか、そういう措置を講ずべきであるという雇用問題についての答申がされているわけでございます。  その次に、これは国会決議にもあったわけでございますけれども、非鉄金属はものによって違いますが、国際相場の変動の激しいものでございますから、需給の安定あるいは価格の安定について十分対策を講ずべきである。たとえば、緊急関税の弾力的な運用あるいは関税割当制度の採用、あるいは銅につきましては特別の具体的な大綱でございますけれども一つ考え方が答申されておる次第でございます。銅については、本邦鉱山の中で生産額におきましても、雇用の問題におきましても、何といっても一番大きな業種でございます。それについていわゆる徳永方式を若干修正しておりますけれども、それを採用すべきであるという答申をしておる次第でございます。  なお、先ほど申し上げましたように、鉛、亜鉛なり硫黄なり、そういう問題についてはまだ中間答申では触れなかったわけでございます。税制の問題とともに今後審議を重ねていきたいと考えておる次第であります。  ごく要点だけを申し上げました。
  151. 板川正吾

    ○板川委員 これは政務次官に一つ聞きたいのですが、国会決議が行なわれた、大臣から鉱業審議会に答申を求めたわけです。一体この答申の骨子というのは、今局長が説明されたように、探鉱助成の促進とか補助金の増額とか、あるいは探鉱事業団の設立、価格安定対策、こういったものを中心として鉱業政策を確立せよ、この内容自体まだ非常に抽象的で不十分です。しかし、積極的に鉱業政策を前進させることが必要だということは、この答申の中に盛られておると思うのですが、こういう答申を出されても、要はこの資金の対策というのが十分でなければ絵にかいたもちになってしまいます。予算編成期を前にして、通常国会でどういった、ほんとうにこの内容をさらに充実をして発展させるような資金的な対策をとる自信があるのか、とってもらいたいと思うのですが、その決意のほどを表わしてもらいたいと思うわけです。
  152. 上林忠次

    ○上林説明員 先ほどから問題になっておりますように、日本の金属鉱業の中心、基盤になりますメタルの生産、これが相当窮境に陥っておるということについては、国としては大問題だということで、何とかしてこの際救済策を講じなければならぬ。衆議院における委員会決議もありますし、また鉱業審議会のこういうような中間報告もあります。通産省としましては、先ほどからの御希望、御要望の線に沿いまして、予算措置を講じたいというつもりであります。大きな問題は、探鉱の促進とか合理化資金確保とか、また需給の安定とか、特に中小鉱山に対する処置をどうするかとかいろいろ予算措置を講じております。何とかしてこの危機を打開していきたい。日本の鉱産物金属鉱業の基盤になるこの産業をこわしたくない、動揺させたくないという気持で一ぱいであります。通産省の意見をちょっと批瀝いたした次第であります。
  153. 板川正吾

    ○板川委員 国会決議もあったことですし、真剣に一つ資金の対策を戦い取ってもらいたいと思うのです。それを一つ要望いたします。  そこで、答申の内容についてちょっと質問をしたいのですが、この新鉱床探査補助金は大幅に増額しろ、これには中小企業と大企業に差別をつけるなという意見もあったと思うのです。この点が、この答申の内容では、具体的にどういうことになりますか。
  154. 川出千速

    ○川出説明員 新鉱床の探査補助金、いわゆる探鉱補助金をめぐりまして、鉱業審議会ではだいぶ議論がございました。この答申にもその点は触れております。その議論の一つは、大中小を問わないで、国の補助金でいくべきであるという議論が一部に非常に行なわれました。それにつきまして、むしろ補助金の方は中小を中心にして出与えていく、大手の方は要するに資金の手当が非常に不足しているわけですから、それを大量に確保するためにはむしろ融資ベースの方が目的を達するのではないかという議論もございました。結論といたしましては、中小を主にしたものについては補助金、それから大手につきましては長期低利の金融が適当であろうというのが答申の結論であったわけでございます。御承知のように、現在のところは、大手につきましては、国の探鉱に関する援助というものは絶無でございます。その点から考えますと、この答申は相当思い切った形になっておるのではないかと考えておるような次第であります。
  155. 板川正吾

    ○板川委員 それから探鉱事業団を設立せよということになっておりますが、この探鉱事業団規模、内容等についてどういう程度構想を持っておられるのですか。
  156. 川出千速

    ○川出説明員 ただいま通産省として考えております探鉱事業団構想は、おもな事業が三つございます。一つは自主的に、鉱区にかかわらず——鉱区というのは非常に複雑に入り組んでおりますので、鉱区にかかわらず、探鉱事業団鉱床賦存地域と目されておるところを計画的に選択いたしましてボーリングをする。そして基礎的な調査をして、個々の企業が探鉱する便宜を与え、指針を与えるということでございます。それからもう一つは、中小鉱山に対しまして鉱山機械の分割譲渡と申しますか、中小鉱山資金力が弱いわけでございますので、それを援助するために、鉱山機械の分割譲渡——これは国会決議にもあったわけでございますが、それを一つの事業にいたします。それから第三といだしましては、先ほど申し上げましたように、探鉱に関する融資というのは、現在国の機関では行なえないわけでございますので、これを探鉱事業団の仕事として探鉱に関する特別の融資を行なうという三つの仕事をやることになっておる次第でございます。
  157. 板川正吾

    ○板川委員 いずれにしろ、これは予算上の措置が必要だと思います。これで大体資金的な見通しというか、融資関係をやろうというんですが、利子はどのくらい考えておりますか。石炭合理化資金は無利子というのですが、この探鉱の資金はどのくらいで一つ融資しようという方針ですか。
  158. 川出千速

    ○川出説明員 できれば無利子が一番けっこうかと思うわけでございますけれども、これはまた反面から申しますと、いろいろな法制的な問題も出て参りますし、政府金融機関で出しております融資としては六分五厘ないし七分くらいが低利かと考えておりますが、その辺を目標にいたしておる次第でございます。
  159. 板川正吾

    ○板川委員 六分五厘という話も聞いておるのですが、石炭から見ると非常に高いように思うので、一つ産投会計よりの融資を大幅にとって、もうちょっと金利を低くするような方針一つ努力してもらいたいと思うのです。  それから、一番問題点は、銅を中心とする価格安定対策だと思うのです。この徳永構想を主としてとってやられておるんですが、問題は、計画通り輸入があって、国内の幅と輸入の幅が少なくて、しかも輸入が多いということになれば、この徴収金から取った金で交付金がまかなえるという形になります。ところが、たとえば銅の地金輸入の状況を見ると、三十六年は八万トン入っています。しかし三十七年、ことしになったら需要がとんと伸びなくて、輸入がゼロという状態です。近く若干入るそうですか。これを三十八年から実施しようとすると、三十八年にある程度見込んだ輸入量がなければ、徴収金を取ろうといったって取る相手がないということになる。もっともそうすれば、輸入がなければこの交付金もする必要がなくて、値段でつり合いがとれるということになるかもしれませんが、どうもその徴収金と輸入数量との関係で、なかなかうまくいかない場合があるんじゃないか。これは徳永構想についてやり方の骨子だけはうたってありますが、こういう方式でやった場合に、ゼロということもないでしょうけれども、もし輸入の数量が低くて、交付金を出そうとしても足らないという場合には、どういうことになりますか。どこからかそれを捻出しようということになりますか。
  160. 川出千速

    ○川出説明員 交付金の財源といたしましては、輸入の地金とそれから輸入鉱石の方と、両方ございます。輸入の鉱石は、これは必ず相当のものがあろうかと思います。御指摘の輸入地金につきましては、確かに本年は市況の関係で非常に減っておりますけれども、これはむしろ異常な状態でございまして、長期的に見れば、必ず構造的に地金の輸入というのはふえてくるというように思っておるわけでございます。しかしながら、御指摘のようなことは一方で当然予想されるわけでございまして、この点について現在鉱業審議会の分科会でいかにするかということで案を練っておるわけでございます。一案としましては、そこを金融でつなぐ方法はないものであろうかということで今研究をしておる段階でございます。
  161. 板川正吾

    ○板川委員 徳永構想価格安定対策をやった場合に、地金は入らないけれども、鉱石は入りますね。鉱石から徴収金は取れるから収入はあるわけですが、暫定関税をもう少し上げる、現在三万円ですが、三万円をたとえば三万五千円なり四万円にするということはなかなかむずかしいですか。
  162. 川出千速

    ○川出説明員 これは昨年来需要業界と非常にもめた問題でございまして、需要業界は三万円でも非常に涙をのんで譲歩した限界であると申しておりますので、これ以上上げるということは非常に至難であろうと考えます。
  163. 板川正吾

    ○板川委員 需要業界が輸入鉱石なり地金に対して徴収金を取られる、コストの高いものを買う、従って全体の生産コストにそれが影響を与えて、消費者なり輸出なりが高いものを買う、こういうことになるのだと言っているわけですが、この需要者がそういった高いものを買うということに対する手当はどういう程度考えておられますか。金融面なりでやろうということを言っておるのですが、どういう程度のことを考えておりますか。
  164. 川出千速

    ○川出説明員 銅の生産者側と、消費者でございます電線・伸銅とは、伝統的に深い協調関係に実はあるわけでございまして、その協調関係をもとにして初めていわゆる徳永構想的なことが銅についてはできたわけでございます。といって、三万円の関税をかけた上に徴収金を取るというわけには参りませんので、その辺は国内の地金を優先引き取りをする協調的な態勢がとれる、需要業界については関税の減免を考え、その減免をされた部分を徴収するというやり方が答申の考え方になっておる次第でございます。
  165. 板川正吾

    ○板川委員 それから日本銅地金株式会社の強化というのは、これは具体的にはどういうことを考えておりますか。
  166. 川出千速

    ○川出説明員 まだ具体的に結論が出ておるのではございませんが、銅地金会社というのは現在すでにできておる民間の会社でございます。これは鉱山側と需要業界と両方の出資でできておる会社でございまして、いわば一時的に滞貨が生じた場合にそれを買い上げる、あるいは融資をする、そういう機能を持っておるわけでございますが、何しろ資本金も二億ないし三億くらいでございますので、これについて場合によれば特殊法人にして強化をする、それが金を借りやすいように政府が援助をしてやる、こういう角度で銅地金会社の強化というのが答申の趣旨だと思います。
  167. 板川正吾

    ○板川委員 鉱業政策についてはこういったように審議会の答申も出ました。内容もまだ抽象的で不十分でありますが、しかし、精神は、日本の鉱業現状の危機を何とか打開したい、こういうことにあろうと思うのです。ぜひ一つこの精神を体して、次の国会にはしっかりとした政策を出してもらいたいということを要望いたします。  そこで今度は、関東地域における天然ガス開発という問題ですが、これについて鉱山局長に質問をいたします。  過日全国紙に、埼玉県春日部地区における工業技術院の地層調査、層序試錐ですか、その結果が発表になった。その結果によると、あの地層からいうと、新潟の天然ガスに匹敵し得る地層を持っておる。だから場合によっては天然ガス石油が出るかもしらぬ。非常に有望だ。こういうような意味のことが全国的に報道されました。従来通産省としては、石油天然ガスが出るまではあまり積極的に発表しないのに、出る可能性が非常に大だという発表をしたということは、相当の根拠もあり、自信もあってのことだと思うのです。そこで、この層序試錐の結果、そういう発表をするに至った間の状況を説明してほしいと思います。
  168. 川出千速

    ○川出説明員 層序試錐と申しますのは、直接に天然ガスなりあるいは石油を掘り当てるという目的ではないわけでございまして、地質構造を調査いたしまして、そういう天然ガスなり、あるいは石油が埋蔵されておる可能性があるかどうかということを直接調べるのが層序試錐でございます。本年の五月の十四日に開坑をいたしまして、八月の二十一日に、もうそれ以下には石油天然ガスはないであろうという、いわゆる中生層に到達したわけでございます。その距離が地下三千百メートル以上でございます。従来関東平野に、水溶性のあることは確認されておりますが、構造性の天然ガスがある、あるいは石油があるという点につきましては、物理探鉱なり、あるいは露頭なりで、いろいろな議論はあったわけでございますが、むしろ悲観的な意見の方が多数説であったように聞いておる次第でございます。今回層序試錐をいたしました結果、先ほどお話がございましたように、地下二千五百メートル辺の地層の母岩が、新潟県の天然ガスなり石油を出しておるところと同じものがある。そういう意味で今までの多数説とは逆に、関東平野にもそういう可能性が十分あるということがはっきりしたものですから、最終結果は来年の三月に取りまとめることになっておりますけれども、とりあえずそういう中間発表をしたわけでございます。なお、来年度北関東に同じような層序試錐をいたしますので、さらにこの点が明確になろうかと思っておる次第でございます。
  169. 板川正吾

    ○板川委員 従来の学者の説によると、日本列島を縦に見て左側、日本海側には石油がある。これは分布されておる。しかし、東海岸側では石油は出ないというのが従来の学説であったようですね。その東側の一番中心にあり得る、出るとはまだ言っておりませんが、地層上、新潟と同じような地層を持っておるから、これは一つさらに探鉱をし、ボーリングをし、あるところへいけば必ず出るという地層を持っておるということだと思うのです。もし、東側にも石油天然ガスが出るということになれば、これは地下資源の開発の上からいっても、日本の経済に資するところは非常に大きいものがあろうと思うのです。従って、さらに層序試錐を二本ばかり来年はやりたいというそうでありますが、まず私は、春日部の付近であり得るというのですから、さらにこれを探鉱して、あるかどうかを確認するということが当面必要じゃないか、こう思うのです。  そこで、春日部地域における天然ガス開発あるいは石油開発を今後どういうような順序でさせようとしておるのか。これは直接通産省がやるものと、あるいは民間にまかせるものとあろうかと思いますが、どういう構想で次にやろうとしておられるか、その点を明らかにしてもらいたいと思います。
  170. 川出千速

    ○川出説明員 現在、具体的にどういう構想があるかということはまだまとまっておるわけではございませんが、春日部地区でそういう層があることが確認をされたということでありますが、これは北関東でもやってみないと、実のところ、ほんとうのところがよくわからないということでございますので、来年度の層序試錐の北関東の結果と相待って、ほんとうの結論が出るのではないかと思っております。しかしながら、少なくとも春日部ではそういうデータが出たわけでありますから、今後は企業がむしろそういうボーリングなり探鉱をやるという段階ではないかと思っております。もちろん、地質調査所も基礎的な物理探鉱その他はやるわけでありますが、企業ということになりますと、大きいのは国策会社の石油資源あるいは帝国石油というようなところが探査あるいは開発に乗り出していくのが手順であろうと思っております。
  171. 板川正吾

    ○板川委員 あの周辺の鉱区を設定しておる企業というのは、帝石と石油資源開発と、その他どういうものがありますか。
  172. 川出千速

    ○川出説明員 そのほかに木下産商があるそうであります。
  173. 板川正吾

    ○板川委員 そのほかありませんか、中小は。
  174. 川出千速

    ○川出説明員 そのほか中小企業が若干鉱区を持っておると思います。
  175. 板川正吾

    ○板川委員 石油資源開発、これは国策会社、それから帝石も民間会社ですが、やや国策的な関連も持っておる仕事をやる、木下産商、あるいは中小企業の人が四人ほど鉱区を持っておるそうですか、この入り乱れた鉱区を、中にはこれは石油資源開発で全部やってくれ、出るようになったらおれの方も掘るんだということになると、さっきの鉱業審議会の答申ではないが、こういうものはひっくるめて、石油資源開発も帝石も木下産商も中小もひっくるめてその地域計画的に地震探鉱なりをして、背斜構造というのですか、石油のありそうな山を見つけると思うのですが、そういうものを計画的にやらすということは、通産省としては考えておりませんか。
  176. 川出千速

    ○川出説明員 現在具体的なプランを持っておりませんが、そういう方向で今後行政指導なり、あるいはその裏づけになる対策を考えなければいけないと思っております。
  177. 板川正吾

    ○板川委員 来年度は石油、ガス開発に対する探鉱助成金等もあろうかと思いますから、そういうものも一つ積極的に予算を取っていただいて、そしてこの中小も全部ひっくるめて、あの地域計画的な探鉱を進めてもらうように指導していただきたいと思います。  以上で私のこのガス開発についての質問を終わります。      ————◇—————
  178. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 次に、通商に関する仕について調査を進めます。  日米通商に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許可いたします。板川正吾君。
  179. 板川正吾

    ○板川委員 日米通商航海条約の期限満了が切迫しておるわけです。そこで政府の方針をただしたいと思ったのですが、大臣がおらなければ条約局長と思っておったのですが、条約局長も来られないのですか。その理由を説明して下さい。
  180. 二階重人

    ○二階説明員 お答え申し上げます。経済局長が答弁に上がるはずでございましたが、経済局長は今出張中でありまして、私、参事官の二階がかわりに参りました。
  181. 板川正吾

    ○板川委員 条約局じゃないのですか。
  182. 二階重人

    ○二階説明員 経済局の参事官でございます。
  183. 板川正吾

    ○板川委員 通商航海条約は条約局の管掌ではなくて、経済局の所管ですか。
  184. 二階重人

    ○二階説明員 御説明申し上げます。実質問題につきましては経済局でございます。
  185. 板川正吾

    ○板川委員 きょうの質問は、内容の実質論争よりも手続的な問題を実は質問しようと思った。だから大臣がおらなければ条約局長に来てほしいと思ったのですが、担当が違いませんか。
  186. 二階重人

    ○二階説明員 その問題は、今御説明申しましたように条約局と経済局と共管でいたしておる問題でございますが、私で御説明できる範囲において御説明いたしたいと思っております。
  187. 板川正吾

    ○板川委員 大臣あるいは次官はどこに行っておられますか。
  188. 二階重人

    ○二階説明員 御説明申し上げます。実は大臣というお話でなかったものでございますから、私が参りましたのです。
  189. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  190. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 速記を始めて。板川君。
  191. 板川正吾

    ○板川委員 外務省に伺いますが、日米通商航海条約は有効期限が三十八年十月三十日、こういうことになって、十年間で切れます。そこで、この二十五条の三項によりますと、一年前に文書で予告をすることによってこの十年間の効力は終了する、こういうことになっております。一年前というと、ことしの十月三十日でありますか、二十九日でありますか、ここに予告しなくてはならぬということになります。この日米通商航海条約が結ばれた当時は、今から見れば九年前ですから、占領直後であり、アメリカの意思が十分に尊重されて、ある意味では対等の条約ではなかった点もある、こう思うのです。そこで十年たった今日においては、この日米通商航海条約を平等な条約にするための改定も必要だろう。ところがこの航海条約には改定の条項はありませんから、どうしても一年前に予告をしなくちゃいけないわけです。ところで、日にちは忘れましたけれども、ことしの春から再々新聞に報道されているのは、この日米通商航海条約の改定をめぐって、通産省と大蔵省、外務省、これが、どういう点を改正しようかということでしばしば協議をしている、こういうことをいっておる。この新聞報道等がなされたのは数回ありますし、約半年以上前からそういう事実を報道しておるのですから、この改定なり、有効期限を打ち切るという申し入れの日にちを前にして、外務省を中心としてこの通商航海条約を平等に改定するという原案がまとまっているんじゃないか、こう思っているわけです。ところが新聞等を見ましても、この通商航海条約の改定案については何ら報道されていない。だから、しばしば報道されておるように、一体改定しようとしておるのか、それともこのままずるずると予告をせずにいくと、自動的に十年有効ですから、来年の十月三十日まで有効ということになりますが、ずるずるとこのままでいくのか、予告をして改定をしようというならどういう内容の案を持っておるのか、その案によってはわれわれは注文も出したいという気持を持っておるわけです。そういう点がどうも明らかではない。どうもアメリカにものを言うときには非常に遠慮して向こうの内意を承り、了承してからでないとものが言えないというような態度でおるから、どうもこういう問題について積極的な発表なり発言なりがないのだろうと思うのです。そこで、この日米通商航海条約の改定を前にして外務省としてはどういう態度をとられようとしておるのか、あるいはこれは通産省も共管ですから通産省にも承って、両方でけっこうですが、これに対する態度を政府としてどうきめようとしておるのか、きめたのか、きめたらどういう内容であるかということについて一つ説明を願いたい。
  192. 二階重人

    ○二階説明員 御説明申し上げます。ただいま先生が御指摘になりました通り、本条約はことしの今月の二十九日から一年の予告をもちまして、失効させることができるわけでございますが、改定に関する規定はございませんので、改定については両国で話し合ってきめる、こういうことになりますので、必ずしも改定の申し出後一年たたなければ効果が生じないという問題ではございません。そこで、この条約が署名されましてから相当長い期間がたっておりますので、この条約をそのまま続けるかどうかということにつきましては、御指摘通り関係各省協議を続けて参っておりますが、固まった案というのはまだできておりません。なお本月の二十九日までにこの問題をきめるように、事務当局の案をきめるようにという指示も私たちは受けておりません。
  193. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、結局二十五条の三項によって条約を終了させるという予告はしないという形になりますね。政府の準備が今できておらないですから、おそらくそれはやらぬことになるだろうと思います。しかし改定の——私は改定と言いましたけれども、今言ったように、改定に関する条文はないのですから、私はこれは改定じゃなくて、結局一年の予告をもって終了して、新しい条約を結ぶほか手続的にないじゃないか、こう思うのです。だから一年で予告をして来年十月三十日までに新しい条約を結ぶ、実質的に内容改定するということになりますが、手続的にはそうするほかはないじゃないか、こう考えておるのです。改定に関する手続はこの条約にはないのですから。だから、そういう点から考えて、少なくとも不平等な点を是正するという意味において、この十月二十九日には文書をもって通告するというのが政府としては当然じゃないか。しかし、今説明によると全然そういう意思がないようでありますから、この点についてはまたわれわれも日をあらためて大臣なりに質問しようと思います。
  194. 田中武夫

    田中(武)委員 今、板川委員からの質問があったが、条約の二十五条の三項を見てみますと、一年以前に予告となっておる。今あなたの話を聞くと、関係省間においていろいろ意見を調整しておるということは、原文のままではいかぬ、変えろ、こういう上に立っておるのでしょう。そうするならば、本年の十月末までに予告をしておいて、あとの一年間で交渉する、そうしなければ来年の十月が終わると無協約という状態が来るわけです。少なくとも部内における各省間の意見が十分一致してなくても、このままではいけないということが出ておるならば、当然通告をすべきなんです。そして一年の間に固め、また交渉ということになると思うのです。そうしない限り、これは動きがとれぬことになると思うのです。さきに私前の通産大臣の佐藤さんにそのことを言って質問したときに、佐藤さんも変える必要を認めたのです。今あなたにそれを言ってもだめなんだから、というて今の予定では今月じゅうにとの委員会をやる予定はありません。そこで、直ちに外務大臣の出先へ連絡をとって、文書でいいから外務大臣名でどうするのかを知らしてもらいたい。そういうことで、もうあと残されたのは二週間足らずです。その間に文書をもってやらなければだめなんです。わかっておるでしょう、違いますか。少なくとも各省間において折衝しているということは変えろということなんです。このままではいけないということです。先ほど言ったように佐藤大臣も変えると言ったのです。言ったのだから、文書による通告をしておいて、あと一年の間に違った交渉をして、これが消滅と同時に新たなる通商航海条約ができる、こうでなければならないのです。それ以上のことをあなた説明員としては説明はできるかもしらぬが、答弁はできない。従って、責任ある者、外務大臣の名をもって文書によって当委員会へ提出せられんことを求めます。
  195. 二階重人

    ○二階説明員 先ほど御説明申し上げました通り、改定に関する規定はないわけでございますから、従って改定につきましては両国で話し合ってきめられるわけでございます。もう一つ、今先生から研究しておるということは改正するということではないか、こういうふうにおっしゃいましたけれども、今寄り寄り関係各省と研究いたしておりますのは、改正するかしないかという問題でございます。
  196. 田中武夫

    田中(武)委員 改正するかしないか、このことは、この条約の条文でいく限り破棄の通告をするかしないかの問題なんです。いずれにしてもこの末までにこの通商航海条約についての態度をきめて、相手方に文書で通知をする必要がある。だからそれはどういう上に立って通告をするのか、あるいはどういう上に立ってそのままにしておいてなお存続せしめるのか、これを私は外務大臣の名前で答弁しろ、こう言っておるんです。ここにおれば直ちに答弁を求めるのだけれども、いないから、直ちに帰ってあなたは——私は外務大臣がどこにおるのか知らないが、行って文書に書いてもらって判を押してもらってここに持ってきなさい。どうですか。
  197. 二階重人

    ○二階説明員 今御説明申し上げました通り、改正するかしないかは規定がないわけでございますから、そこでこの問題は両国で話し合ってきめられる問題である、この点を申し上げた次第でございます。  文書をもってお答えする点につきましては、委員長の御指示に従います。
  198. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 委員長から申し上げます。  今、田中委員の方から要求したように、責任ある大臣からこのことを回答するように委員長から通告をいたします。      ————◇—————
  199. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 この際小委員増員の件について御了承を願っておきたいと存じます。  小委員の増員につきましては、委員長に御一任願っておるのでありまするが、石油に関する小委員は三名増員し、委員長において指名することといたしますから、以上御了承を願います。  次会は公報をもって通知することといたし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十三分散会