○
桜内参考人 私からもお答え申し上げます。
ただいま
吉田参考人からお答え申した
通りでありまして、特に私は
事業の
運用は人にあるということを強調いたしたいのであります。それで人というものはどうしてつくられるかということは、その社の指導理念というものを末端まで浸透させなきゃならない。実は私はまことに申しわけないと思っております。私の
会社ごときはもっと早く
料金が安定いたしまして、そうしてもう今日あたり、いつ時分にはあるいは値下げでもできるんだという覚悟の発表ができるはずなんであります。しかるにそれができなかったということは、結局私もとの
会社から役員生活をもう十五年やっておりますけれ
ども、その間に
電力国家管理、配電統制、そして
再々編成、三回人間が移動しているのであります。それで今日の
電気事業の
経営基本でありまするが、まあ私
どもまことに非力ではございますが、末端までなかなかバックボーンの通った指導が
通りにくいのでございます。やっと最近そういった気分が盛り上がって参りましたので、私おこがましい発言をいたしたわけであります。従って私は
再々編成というものが具体的に非常な効果が上がるという結論が出ますならば、決して
反対するものではございません。しかしながら、そこに至りますまでにいろいろと問題がある。まず
料金の問題でございますが、現在は
各社が違う
料金をとっておる。もし全国一社あるいは
ブロック別一社になりました場合に、これを
一つの
料金にするか違った
料金にするか。違った
料金にするとしましたならば、これはどういう計算で違った
料金にするか。私は、違った
料金にいたしましたならば、とうていその煩にたえないと思うのであります。なぜならば、われわれの
会社が設立されました十一年前に、同じ
会社の中でも、電源県としからざる県とでは
料金を変えたらどうかという
意見が出たわけであります。しかしながら、それはいろいろの計算をやってみましても算出困難であります。またかつては水力が有利である、このごろは
火力が有利である、また石炭
火力よりも重油
火力が有利である、そのつどそのつど変わるのでありますそれを毎回
料金を変えた場合にはある県におきましては今度は値下がりになったが、この次は値上がりになった、決して安定したものができないような結果になる。それならば、一
ブロック同じ
料金にするということになりますと、現在より下がるところはよろしいが、上がるところはいかように考えるであろうということで、非常にここに大きな問題が私は惹起されるのじゃないかというふうに考えるのであります。
それからもう
一つ考究的な問題がございます。それは、先ほど申しましたように、あまり大きな仕事になりますと、いわゆる総合的
経営の能力限界をこえるというふうに私は考えます。もしかりに私
どもの
会社が今の形でまことに気に入らぬというおぼしめしであれば、私はこれを分割されるのであるならば、かえってよろしいと思います。なぜならば、そこに今までのものの考え方を新たにつくり直す必要はありません。また給与も変える必要もありません。
料金も変える必要もありません。そしてなおかつ大事な問題といたしましては、この諸規程、われわれの方も大きくなるほどやはり規程が多くなりまして、こんなにございます。これを全部変えなければならない伝票も全部変えなければならない。そうしてしかも、今度集まった場合には、分割した場合にはそのまま使えますが、集まった場合にはそれを直さなければならない。それから集まってきた人を適材適所に使うためにどういう人事考課をするかということで非常に苦慮するのであります。実は私の
会社は、現在でもまだ旧
日本発送電規程と旧配電規程というものを一部使わなければならぬところがある。これは給与問題でありまして、組合と話がつかぬために、もとのままの規程をほんの一部でありますが使っております。諸規程が新
会社として統一できましたのが大体五年かかっております。いろいろな帳面、伝票、これが一万五千種類ございます。これを全部統一いたしまして、簡素化して五千種類に今減しておりますけれ
ども、これが七年ほどかかっております。非常に過渡的いろいろな問題が起きますので、私は、慎重に御考慮をい
ただきたいと思うのであります。もちろんわれわれといたしましては、自分の
会社だけがいいということで事足れりというわけではございません。でありますから、私の
会社といたしましても、具体的な例から申しまして、
九州の
電気を大阪に送りますがために、私の方といたしましては、
中国を縦断いたしまする超
高圧の
送電線は必要でございません。大体現在でしたら二十万キロワットぐらいな
電気が通ればいいのであります。でありますから、十一万ボルトの従来の線路がありましたが、もう
一つ十一万ボルトの線路を入れればそれで十分足りるのでありますが、これを二十二万ボルトの線路に変えたのであります。そのためにどれだけ
費用がよけいかかっているか、これは大体十一万ボルトの線路でありましたならば、六十億円くらい、それが二十二万ボルトの場合は百三十億円かかっております。その負担は私
どもは
資金調達をしますには、ある
程度の資金に対しましては内部保留がありますから、総合金利は安い。しかし、ある
程度を越しますと、増資と借入金でありますと、総合金利は税金がつきますから、一割三分につくのです。その六十億円と百三十億円の違いを負担してまで私
ども協力しております。決して自分だけがいいという観念で
運用しておるわけではないということを御理解願いたいのであります。