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1962-08-29 第41回国会 衆議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年八月二十九日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 逢澤 寛君    理事 岡本  茂君 理事 首藤 新八君    理事 白浜 仁吉君 理事 中村 幸八君    理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君       浦野 幸男君    岡崎 英城君       藏内 修治君    始関 伊平君       田中 龍夫君   早稻田右エ門君       岡田 利春君    北山 愛郎君       久保田 豊君    小林 ちづ君       中村 重光君    西村 力弥君       伊藤卯四郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         経済企画政務次         官       舘林三喜男君         通商産業事務官         (中小企業庁長         官)      樋詰 誠明君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  大来佐武郎君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局参事         官)      吉田  剛君         総理府技官         (経済企画庁総         合開発局東北開         発室長)    森   仁君         通商産業事務官         (公益事業局次         長)      生駒  勇君     ————————————— 八月二十八日  公共料金値上げ反対に関する請願江崎真澄君  紹介)(第三六二号)  中小企業工場集団化に対する国庫補助融資基  準引上げに関する請願江崎真澄紹介)(第  三六三号)  防犯灯電気料金引下げ等に関する請願江崎  真澄紹介)(第三六四号)  新鶴見変電所新設及びこれに伴う道路工事反対  に関する請願菅野和太郎紹介)(第三七四  号)  同(田中龍夫紹介)(第三七五号)  同(坊秀男紹介)(第三七六号)  同(纐纈彌三君紹介)(第三九四号)  同(關谷勝利紹介)(第三九五号)  同(宮澤胤勇紹介)(第三九六号)  公共料金及び諸物価引下げに関する請願外二件  (川上貫一紹介)(第三七八号)  同外一件(志賀義雄紹介)(第三七九号)  同外二件(谷口善太郎紹介)(第三八〇号)  同(川上貫一紹介)(第三九一号)  同外一件(志賀義雄紹介)(第三九二号)  同(谷口善太郎紹介)(第三九三号)  同(川上貫一紹介)(第四三〇号)  同(志賀義雄紹介)(第四三一号)  同(谷口善太郎紹介)(第四三二号)  同外一件(川上貫一紹介)(第四四四号)  同外一件(志賀義雄紹介)(第四四五号)  同外一件(谷口善太郎紹介)(第四四六号)  同(川上貫一紹介)(第四五九号)  同外一件(志賀義雄紹介)(第四六〇号)  同外一件(谷口善太郎紹介)(第四六一号)  東北電力株式会社電力料金据置きに関する請  願(柳谷清三郎紹介)(第四一八号)  商工会の経営指導員及び同補助員完全配置に  関する請願柳谷清三郎紹介)(第四一九  号)  中小企業団地化資金貸付わく拡大等に関する請  願(柳谷清三郎紹介)(第四二〇号) は本委員に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  経済総合計画に関する件(新産業都市建設及び  東北開発問題等)      ————◇—————
  2. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 これより会議を開きます。  経済総合計画に関する件について、調査を進めます。  東北開発等の問題について質疑の通告がありますので、これを許可いたします。北山愛郎君。
  3. 北山愛郎

    北山委員 私は、この前の国会で通過しました新産業都市建設促進法、それからその他の全国総合開発計画あるいはこれに関連をして東北開発等の問題につきまして、きわめて能率的に御質問いたしたいと思います。  第一に、新産業都市建設促進法通りましたけれども、この内容につきましても幾多の問題が残っておるし、また運用につきましてもまだはっきりしない点もたくさんあると思うのですが、促進法が出ましてから、企画庁としてはどのようにこの実施につきまして作業を進めておられるか、この状況をまず最初にお伺いしたい。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 新産業都市建設促進法は過般の国会で御可決をいただきまして、その後関係政令を去る八月一日から施行をいたしました。なお前国会において附帯決議もございましたので、その後趣旨をも織り込みまして、この出ました政令に基づきまして具体的に地方から申請を求めようとする現在の段階であります。ただ、ただいま御指摘通り法律案が作成され通過するまでに相当複雑な経緯がございましたので、新産業都市とはいかなるものであるべきかということについて、関係各省間でもう少し意思統一をする必要があると考えております。新内閣が成立いたしましてから今日までその意思統一をはかりつつございますが、もうしばらく時間を必要とするかと思います。と申しますのは、大体政府としてどういう思想に基づいて、どういう種類のものをどの程度指定すべきかという一応のめどを持ちました上で、各府県に対しても大体こういう考え方でいかがでしょうかというようなことで、府県の方の申請なり何なりも考えていただきたい、こう思っておりますものですから、具体的に申請をとり、調査をするという段階に入ります前に、もう少し思想統一をしたい、こういうふうに考えておるのが現状でございます。
  5. 北山愛郎

    北山委員 そうしますと、その政令の中には新産業都市対象になるいわゆる相当規模産業都市というカテゴリーといいますか、要件政令の中ではっきりしておらぬ。要するに受け入れの基準というものがはっきりしておらないままに政令を出して申請を受ける、こういう格好でございますから、その申請する方から見ても、新産業都市に該当するかどうかというものさしがはっきりしておらないと、やみくもに申請を出すということにもなるかと思うのです。また実際にすでに申請も出ておるのじゃないかと思うのですが、その状況どもお伺いしたいし、またもう一つは、今度例の低開発地域工業開発促進法ですか、その第一次の地域指定があったわけですが、その指定対象になる地域と、それからその新産業都市対象になる地域と、概念的にはっきり区分が、そこで線を引いてやるのかはっきりしない点があるのではないか、こういうふうに思うのですが、今のところ相当規模産業都市というのはどういうところにめどを置いて考えていこうとするのか、一つ企画庁のお考えを聞きたい。  これは企画庁に聞くのはちょっと無理ということになるかもしれません。なぜかならば、国会修正になったのであります。最初政府案は大規模ということであった、それが相当規模ということに修正になったのですが、いわば議員立法の責任だと思うのでありますが、しかし、われわれの見解は、企画庁がこの前出しました全国総合開発計画の中のいわゆる大拠点、その次に中拠点というものを入れおります。その中拠点まで含むというような思想を持って、そこまで拡張して相当規模と入れたというふうな趣旨で、たしか委員会ではそういう説明であの修正が通っているわけでありますから、全国総合開発計画草案に言われますところの中拠点の定義というか要件、ここまでを含んでいる。立法の際にはそういう趣旨であったわけであります。これを具体的に企画庁がどういうふうに整理されようとしておるのか、この点がはっきりしないと、これは低開発地域関係もからみ合わせて、両者の法律適用範囲がはっきりせぬということになりますから、これはだれでも当然起こってくる疑問だし、実際上の問題でありますから、その点はどのようにお考えになっているか、明確にしていただきたい。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 新産業都市区域指定につきましては、法律の第五条でございますか、ある程度要件を規定いたしております。  そこで、政令におきましてはこういう要件に基づいて申請を出し得るような外形的な基準はすでに整えてございます。そこで、問題はまさしくただいま北山委員の御指摘通りのことでありまして、そもそも新産業都市とはいかなものあるべきかということについて国会修正経緯もございますし、また各省が従来いろいろ考えておったことのおのおの特質もございまして、概念規定をすることが非常にむずかしい。そういう点、先ほど申しましたような各省間の意見調整をもう少しはかりたいということを申しておるわけでございます。低開発地域工業開発促進法は、やはり先般指定をいたしましたけれども概念規定が明瞭であったと考えるのでありまして、全国の中でごく小さいところの地方の一局部の開発拠点となるような都市あるいは町村等をその地域一まとめにいたしまして、地域として指定をする。そしてこれには国の社会投資公共投資先行をするというようなことはないのでございますから、いわば地方税の減免でありますとか、あるいは開発銀行によるところの地方開発資金融資でありますとか、そういう程度の特典を与えまして、そうして人口にいたしますと十万のところもあり、三十万程度のところもあるわけでございますが、その程度の局部的な開発拠点にしようということで、これは概念としてはかなり明確に他と分け得るものだと考えておるのであります。ただ、新産業都市がただいま御指摘の大開発拠点と中開発拠点と、それとのどういう関係にあるべきかということあたりがまさしく問題でありまして、国が先行投資をいたします以上は、投資の効率が落ちないようにかなりしぼって指定していきたいというふうに私自身考えておるのであります。そういたしますと、いわゆる中開発拠点といったようなところまでいけない場合もある。むしろ中央の過密都市及びその周辺を除きまして、そうしてブロック別に見て将来の大開発地点になり得るような拠点を探すということになるのが法律考えておる姿ではないかと私は考えておりますけれども関係省の中にもなお異論もございますし、調整がまた済んでおりません。その他の点につきまして、開発局長から御答弁申します。
  7. 大来佐武郎

    ○大来説明員 ただいま大臣からお話がございましたので、あまりつけ加える点はないのでありますが、前国会の議案の審議の際にいろいろ、ただいま北山先生からの御指摘の点には論議があったわけでございまして、中規模というものをどの程度に解釈するかということにつきまして、ただいま大臣から答弁もございましたように、目下政府内部検討中ということでございます。
  8. 北山愛郎

    北山委員 具体的に言うと、この前低開発地域指定を受けた中で、たとえば八戸なんかは入っているわけですね。秋田市は入っておらぬようです。そこら辺に何か基準があって、八戸はもう低開発の方でよろしい、いわゆる中規模の新産業都市の方には該当しない、そういう考えでやっておるのでしょうか。
  9. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 説明員から説明させます。
  10. 吉田剛

    吉田説明員 今具体的に出ました問題について申し上げますと、低開発地域指定には財政力指数のある程度以上の高いものは指定しないというような問題とか、あるいは二次産業に従事する人口の比率のかなり高いものは指定しないという基準がございます。今おあげになりました中で、秋田市というのは、実はそういう関係で低開発関係指定を受ける資格がなかったわけでございます。それから八戸市はその点はまだ工業人口が少ない、あるいは財政力指数が低いというようなことでございまして、いわゆる低開発申請をする資格があった地域でございますし、また御承知のように低開発関係は、関係の県あるいは府からの申請によってわれわれの方は指定するわけでございますが、八戸の方はその申請が青森県から出ておったのでございます。従って、低開発としての資格は十分ございますので、したわけでございます。将来の問題といたしまして、今後あそこは新産業都市の候補としてもいろいろ言っておるわけでございます。一応そのときの問題でございますけれども、これも新産業都市規模なりあるいは新産業都市基準なりがどうなるかという問題がございますけれども、もしかりに八戸というような地域がそれに適合するということになりましたときに、低開発等で二重指定することはできないだろう、こういうふうに思うわけでございます。その場合には一応低開発地域としての指定は取り消しまして、新しく新産業都市の方によって指定するかどうかというような問題になろうか、こういうふうに思うわけでございます。
  11. 北山愛郎

    北山委員 そうしますと、新産業都市と低開発地域工業開発の両方にまたがるというか、重複して同じ地域がなるという場合はないけれども、しかし一応すでに指定された場合でも、新しい新産業都市ものさしによってそちらの方の区域指定するのだという場合においては、前の低開発の方は取り消して変更する場合もあり得る、こういうふうに了解してよろしゅうございますね。
  12. 吉田剛

    吉田説明員 それは筋合いとして当然あると思います。ただここに一つ問題がございますけれども区域が違う場合というのが予想されると思います。たとえば低開発地域といたしまして、かりにA・B・Cという都市をあ新る地域指定しておった。ところが、産業都市ではそのうちのB・Cは含まれるけれども、Aが含まれないという矛盾が起きる場合、これはあり得るかもしれませんが、その場合には、必ずしも全部が取り消されて低開発から全部新産業になるというのではなくて、その残ったAについては依然として低開発指定の効果があるというような場合も、これは現実的にはあり得ないかもしれないのでございますけれども、理論的にはあり得るということなのでございます。しかし、いずれにしましても一地区が両方重ねて指定されるということは、基準からいいましてないというふうに私ども考えております。
  13. 北山愛郎

    北山委員 そこで、その低開発との関係から考えまして、新産業都市対象になる区域というのは、この前の国会修正で若干幅が広がったとはいうものの、全国的に見ても非常に少ない地域になるのではないか、こう思うわけであります。そういう観点からしても、また新しい産業都市建設というものが、先行投資その他、あるいは相当大規模工業を誘致をしなければならぬというふうな点から考えましても、計画的に行なわれなければならぬ。単に地元がそういう熱意を持っているというだけではいけないわけで、非常に高い見地から考えていかなければならぬ。こういうことになりすと、むしろ前の新産業都市にありますように、地元申請がまず最初で、それを各省大臣が協議をして、持ち回って意見をきめて指定をするというような手続はまことに煩瑣じゃないか。むしろ原則としては、何条かに申請がない場合の区域指定がございますが、そちらの方でプランを立てて、予定地域として、むしろ地元地方公共団体なんかの意見を聞いて指定をするというふうにいった方が、これは事務的な能率からいっても、新産業都市の性格からしても、私は妥当ではないか、こう思うのです。法律は逆になっておりますけれども、しかし、この点は議論された点でありますが、新長官はどのようにお考えでしょうか。
  14. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まさしく仰せのような問題がございます。事務能率の点もさようでございますけれども、私どもがもっとおそれますことは、一応形式的に要件を備えているということで、各府県県会で議決をされて、こぞって申請してこられる。そうしてその結果、国会附帯決議で、無計画総花的指定に堕することがあってはならぬということをこの委員会で御決議になっておられるわけでありますが、その御決議に従って事を処理して参りますと、大多数と申しますか、非常にたくさんの府県に対して失望を与えるということが必ず起こって参ると思います。従って、事務的な能率から考えてもさることでありますが、そのような各府県の住民に要らざる期待と要らざる失望を与えるということはよろしくないことであるというふうに考えるのであります。そこで、法律の建前をこわすわけではございませんけれども、ある程度府県と話し合いをいたしまして、そうして相当可能性の高いというものにつきまして、実質的な調査をかなりの段階までいたしまして、その上で、お宅は一つ申請をしてみてはどうですか、こういったようなやり方でもいたすのが一番よろしいのではないか。北山さんのお考えのような問題に私どもも実は直面をいたしておりまして、解決の方法としては、一定の基準各省できめまして、それに基づいて相当可能性の大きなところについて実質的な調査をやってみる、このような進め方が一番よろしいのではないかというふうに考えております。
  15. 北山愛郎

    北山委員 この点は立法の問題でもありますので、特にこの新産業都市区域指定というものはいわゆる要請大臣というようなややこしい、ちょっとわけのわからないような新しい制度が取り入れられております。そういうような非能率なような機構になっておりますから、一つ企画庁の方としても実際にこれをある程度やってみて、そしてもしまずければ改正案を出す。率直にそういうような方向で御検討を願いたいと思うのであります。  それから問題は、全国総合開発計画に関連いたしますが、この開発計画はいつごろでき上がるでしょうか。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 全国総合開発計画は、一案を作成いたしまして、審議会の御意見も伺って、実質的には案そのものはできつつあるわけでございます。ただ、今ここで一番問題になっておりますのは、全国総合開発計画考えておりますところの、つまり国民経済全体の経済性生産性を高めていくという要請地域間の格差をなくしていこうという要請とが、長期に見ればこれは一緒になるわけでありますけれども、短期的ないし中期的には必ずしも一致をいたさないわけであります。地域格差をなくすためになるべく地方に大企業を誘致したいということは当然地方考えるわけでございますし、また意味のあるところでありますが、企業自身としては地方のためにいくというような心がまえではございませんので、これは公共投資についてもある程度言えるところでございますが、そういう二つの短期、中期的には矛盾する要請をどういうふうにして解決するかということがもう一つ整理ができませんで、事務的な案を持ったまま閣議決定に至っていないというのが現在の段階でございます。
  17. 北山愛郎

    北山委員 一応の計画の案はできて、そしてこれを総合開発審議会に最終的にはかけておるわけですか。草案の方はかかっておりますが、あの草案だけでいいというわけですか。
  18. 大来佐武郎

    ○大来説明員 ただいま御質問の点は、国土総合開発審議会の議を六月十二日に経ております。あと政府内部閣議決定手続が残っておるだけでございます。
  19. 北山愛郎

    北山委員 そこで総合開発計画内容にも問題はありますけれども、一番の問題は、国土総合開発法全体を通じて最初に出されなければならぬ全国総合開発計画が非常におくれたわけです。そして特定地域計画なりあるいは地域開発特別法がどんどんまかり通った、こういう事態でやっと全国計画にたどりついたというような格好になって、その間総合開発につきましてはいろいろ観念上も変わってきておると思うのです。最初のころには水系別開発であるとか、あるいは資源の利用であるとか、いろいろな考え方があったと思うのですが、最近全国計画では、産業配置というような問題が中心になっておるようです。問題はどうしてもここで従来の特定地域計画と、それから東北九州その他の特別法による促進法とこれを統一的なものに整理をしなければならないのではないかと思う。私は東北開発促進法なりあるいは九州促進法なり四国の促進法が出る場合におきましても、これは従来の国土総合開発法のいわゆる地方計画としてもなし得ることであった。政府としては議員立法で出てくるものはしようがないということだったのでしょうけけれども、しかし、制度上からいえば地方計画というものがありまして、わざわざ別な法律をつくって、審議会をつくって別の計画をつくらぬでも、総合開発法のワクの中でバランスをとりながら計画ができたはずであります。従って、これを企画庁としては、国土総合開発法全体の運用の面からほうっておくわけにはいかぬのじゃないか。どのようにか調整しなければならぬのではないか。しかも今回全国計画が出るという段階になったわけでありますから、これをどのように調整するのか、新しい企画庁長官見解を聞いておきたいのであります。
  20. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 全く御指摘通りであると考えます。国土総合開発法昭和二十五年に制定をされておったわけでありますが、御指摘のように、その当時の情勢というものは、ただいままおっしゃいましたような水系別開発、これは多目的ダムをつくるとか、主として治山治水あるいは当時まだ食糧増産が言われておった時代でありますので、そういうことに主眼を置く、あるいは電力に力点を置く、こういったようなもので法律ができておりますが、その後総合開発計画ができずに今日に及びました。今日の要請はまさしく産業配置的なものでございます。そこで当時の情勢とはおのずから異なった計画ができてきておるわけでありますが、この計画ができませんままに、いわばそのキーになりますプログラムができませんうちに、各地方開発促進法でありますとか、あるいは特定地域でありますとかいうものが——特定地域はこの法律に沿ったわけでありますけれども、そういう計画先行をいたしまして、そこでこの際、総合開発計画をつくりますときに、現実にそういう先行しつつあるものとの調整をはからなければならぬことは御指摘通りであります。考え方としては、やはり今度の総合開発計画の中に、現実に進んでおる事態を織り込みながら開発計画キープランをつくりまして、そういう基本的な考えの中で地方の進みつつある計画調整していく、こういったようなことにならざるを得ないと考えておるのであります。
  21. 北山愛郎

    北山委員 大臣のお考えはわかりましたが、実際問題としてどういうふうにこれを処理するか、これらの今まで出てきたいろいろな雑多な総合開発計画地域計画というものをいかにして総合的に調整するかということについて、私は政府国土総合開発審議会意見を求めたらいいんじゃないかと思う。意見を求められなくても、ほんとうは審議会の方ではどんどん活発な意見を出すべきだと私は思うのです。しかし、政府の側からするならば、また長官がそのようなお考えであるならば、審議会に対して、今までの、あるいは重複しておる、またその計画がそれぞれ働いておらないような計画一つ整理をするにはどうしたらいいのか、どういう考えでいったらいいのかというようなことで審議会に諮問したらどうか、こう思うのですが、大臣はそういうようなお考えがございますか。
  22. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 各地方開発促進法というものが国会の御意思現実にでき上がっておりまして、それがまたおのおの審議会を持っておる、そうしてその審議会の議を経てできました案を閣議決定をする、こういうようなことを過去においてやって参っております。まさにおっしゃいましたような問題に私どもも悩んでおるのでありますが、そういう国会の御意思によって一つ一つ計画審議会を通して閣議決定をしておるという現状が片方にあり、他方で国土総合開発法に基づく国土総合開発計画がやはりその審議会を通じて閣議決定をされていくわけでありますので、そういう現われました国会の御意思に反しない程度において、やはり実際の問題としては国土総合開発審議会の御意見を聞きながらその間の調整をしていくということにならざるを得ないかと考えております。
  23. 北山愛郎

    北山委員 これは経済企画庁のあり方として問題だと思うのであります。従来の総合開発にしても、それ以外のいろいろな事業にしても、いわば圧力団体というか、地域の非常に素朴な要求、これをただ受けて適当に処理をして事態を流しているというような格好で行政が運んでおるわけであります。しかし、企画庁という経済計画を先に立てて計画的にいろいろ事業調整していくような立場に立つ役所というものは、それじゃいけないと思うのです。ですから、今度大臣電力について再編成を言われたごとく、率先、特定地域計画なりあるいは全国計画なり、ばらばらになっておる今までの総合開発というものを一本化し、総合調整をするということを進んで取り上げるというのが企画庁の役割じゃないだろうか、こう思うのでありますが、もっと積極的におやりになるお考えはございませんか。
  24. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私どもの悩みをよく御存じの上で御質問下さっておるわけでありますが、そういう方向で事を処置して参りたいと考えます。
  25. 北山愛郎

    北山委員 いや、何も悩むことはないのです。堂々と企画庁らしい行動をしていただけば、世論はこれを支持すると思うのであります。  それから、国土総合開発法一つの問題点として残っておるというか、忘れられておる問題は、農村の問題であります。今度の新産業都市にしても、あるいは全国総合開発計画にしても、過大都市地方に分散するということは言っておるわけでありますが、都市と農村との調整都市と農村とのあり方ですね、農村ということは考えないで、農村の中に都市が侵入していけばいいというような格好で一面的にとらえられておる。農村それ自体をどうするか、将来の日本の農村はどうすればいいかというようなことについて何らの考慮がない。だんだん農村の中へ都市的な要素が入っていく、侵入していけばいいのだというような格好産業政策も地域開発計画も行なわれておるのですが、しかし、総合開発法の中に、都市と農村の再配置に関する事項というものが、これはそういう意味じゃなくて、もっと両者の関連をそういう形でなく考えていかなければならぬ課題を残しておると思うのです。農村をどのようにしたらいいか、長官はどのようにお考えになっているか。
  26. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 作成いたしております総合開発計画におきましても、農村のあり方についてある程度考え方というものは申しておるわけでありますが、確かに傾向としては産業配置に重点を置いておりますために、その差し引いたものが農村であるといったような現状の御批判はあると思います。私どもとしては、農業基本法の構想というものが進んでいって、農村自身一つの姿をとっていく、そういうときにやはり全体をもう一ぺん考えなければならぬのではないか、こういうふうに考えております。
  27. 北山愛郎

    北山委員 時間がございませんから先へ進みますが、全国総合開発あるいは新産業都市の問題につきましては、まだまだいろいろな整備を要する問題があると思います。これは制度上からいっても問題が残っておると思いますので、一つ真剣にこれに取り組んでいただきたい、こういうことを要望しておきます。  それから次に東北開発でありますが、東北開発株式会社、これは決算委員会でもいろいろ問題になりました。問題になっておるのは、一つは会社の経理内容であります。すでにことしの春の決算までに約十五億くらいの赤字を出しておるわけであります。また本年度はこれにさらに六億ぐらいの赤字が出るのじゃないか、こう言っておるのであります。本年度の末になれば約二十億以上の赤字がふえていく。しかもそれは一時的なある事業部面だけに生じた赤字ではなくて、セメント事業にも、肥料事業にも、あるい亜炭とか、あらゆる面に赤字が平等にあるわけです。政府関係機関で、いわば財政的には国の予算なり、あるいは国が債務を背負っておるこの事業、国策会社というものが今のようなあり方である。これについて、その原因とかあるいはその内容、これをこまかくここでお伺いするわけではございませんが、一体この東北開発株式会社の今後の行き方について政府はどのように処理されようとしておるのか。これは単に会社をいじめていけばいいという問題ではなくて、われわれが聞いておる範囲でも、必ずしも会社だけの責任に帰するわけに参らぬような問題もたくさんあるわけであります。たとえばセメント事業についても、あのシャフト・キルンという特殊な方式を採用する場合に、この国会でもこれは問題になったわけです。そんな品質が悪いとわかっているものをこれからつくり出していいのか悪いのかということをわれわれが追及したのでありますが、それでも安くできるからいいんだということで政府は答弁をされてそういう方式を採用された。そのセメント事業というものが今日工合が悪いというので、新しくしポール・キルンを併設をして設備投資を当初よりもずっとふやさなければならぬという状態である。また品質の悪いという点が残って、それが業績を悪くしている一つの原因になっているということを考えますならば、それは会社の責任ではなくて、政府がそういう方式を採用したというところに私は問題があろうかと思う。一々その内容あるいはその原因というものも決定的に究明をしなければならぬと思うのでありますが、総体として開発会社がそのような赤字を出して、しかもそれから抜け出すという方法が今のところついておらないという現状を、一体これを所管しておられる企画庁としてはどのように持っていこうとするのか、どういうふうに解決をしようとしておるのか、それを大臣から承りたいと思います。
  28. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御指摘のように、東北開発株式会社は昭和三十六年度で十五億円の赤字を出したわけであります。また今年度も、経理の様子を聞いてみますと、黒字が出るということはなさそうであります。そしてその原因というものはいろいろあるようでございますが、ただいまおっしゃったこともその一つでありますし、全体として、生産をすればいいので、その製品をどういう販路に持っていってどうしていくかというようなことについて、あまり計画を持っていない、頭を使っていないような経営をやってきたように考えるのであります。本来非常にきびしい考え方をいたしますれば、これがもし東北でございませんでしたら、こういう会社というものは整理をしてもらうのがほんとうだと思いますが、これが東北という特殊な地域でございます。そういうわけにも参らないかと考えますので、ただいま積極的に企業の体質改善をして、製品の販路について考えるとか、あるいはいろいろな節減によって、とにかく赤字をできるだけ圧縮をしてもらいたい。人的にも入れかわりがありまして、現在の理事者の方はそういう気持で考えておられるようであります。ただ、当面一つ問題がございますのは、砂鉄事業を大々的にやっていきたいというこの問題でありまして、これ自身についてそういう事業が——特殊鋼をつくるわけでございましょうが、わが国全体の、これからの経済界において十分に採算がとれていくものであるか、具体的に販路をどうするのかというようなことが問題であります。聞くところによりますと、相当大きな販路を持っておるところの特定の会社と提携をして、そうして製品を売っていく、技術指導も受けるというような計画もあるようでございますが、この計画に相当莫大な金を食うわけでありまして、今の東北開発企業現状からしてそういう新しいものに踏み込んでいくことがはたして適当であるかどうか。私どもの判断だけでは必ずしもそういう見通しについてはっきりいたしませんので、実は先般来非公式に数人の学識経験者に御依頼をいたしまして、この事業をやることによって東北開発そのものの体質が改善できるかどうか、あるいはこの事業そのものが本来ペイすべきものであるかどうかということを研究をしていただいております。その結論は間もなく、おそらく一、二週間で——もう相当時間がたっておりますので、出て参るはずであります。それを伺いまして、その上で東北開発に対してこの際新規のことはやめて、ともかく従来のいろいろな乱れというものをおさめてもらうことが先決だ、こういうふうに申し上げるか、あるいはなるほどこの事業は起死回生の一策として意味がある、政府としても出資等で応援をいたしましょうと申し上げるか、その結論を見て参りたい。一、二週間のうちには結論が出て参るというふうに考えております。
  29. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、東北開発会社の新しい事業計画というものは、近いうちには、砂鉄を含んで全体として政府の認可といいますか、それが出るということですね。大体いつごろになりますか。
  30. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 出るか出ないかということでございますが、少なくとも私どもの役所だけで考えます限り、一、二週間のうちには考え方の基本はきまるであろう。東北という特殊な地域でございますから、純粋に事務的にあるいは財政的な配慮だけから結論を出してもいかぬことでございますから・協議をする方面もあるとは考えます。私どもとしては、一、二週間のうちには基本的な考え方をきめなければならないと思っております。
  31. 北山愛郎

    北山委員 いずれにしても開発会社の状態というものは非常に憂慮すべき状態だと思うのです。ただしかし、これは先ほども言った通り政府東北開発会社をつくり、開発促進法をつくってやっても、特にこの開発会社につきましてはほんとうの熱意を持って指導したかどうか、この点に私はいささか疑念があるのであります。たとえば先ほどのセメントのこともそうであります。もしも純粋に開発会社のセメント工場あるいは唯一の政府のセメント工場をりっぱに運営されるという気持で熱心にやったならば、現在のような事態にならなかったのじゃないか、その経過を顧みて私はそう思うのですそういうことになると、いや開発会社をつくったがだめだ、やっぱり国策会社はだめなんだというような投げやりな気持で処理をされたのでは、これは困ると思うのです。政府もまた従来のそういうやり方について十分な責任を持って前向きにこの問題を解決される、こういう気持で臨んでいただきたいと思うのであります。  東北開発関係は大体以上の通りでありますが、それにまた一つ問題は、何の東北電力の値上げ問題であります。これは先般も公聴会をしたようでありますし、この値上げの検討を通産省としてもやっておられると思うのでありますが、その大体の検討の結果、それを一つ大ざっぱにお伺いしたいと思うのであります。会社の値上げの申請内容については承知をいたしておりますけれども、公聴会を済ませ、そして計数的にどういう結果になるのか、たとえば電灯につきましてどれだけの影響を受けるのか、これは各世帯だけではなくて、総体の金額としてもどれだけの影響を受けるのか、あるいは電力について、東北に工場を持っておる産業に対してはどういう影響がくるのか、こういうような点についての検討があると思うのでありますから、それを一つお伺いをしたいと思う。
  32. 生駒勇

    ○生駒説明員 ただいま北山先生の御指摘の点、私どもの方で事務当局といたしましてやっております経過を一応御説明申し上げます。  今、先生の御指摘がございましたように、東北電力は三十二年に値上げをいたしたわけでございますが、それ以来現在まで四年間そのままで推移をいたしたわけでございます。ところが東北地方の需用の伸びが大体七割くらいふえております。その結果、電源開発を推進していかなければならないということのために、現在までにおよそ七割の設備増加をいたしたわけでございます。この際、金利負担を主といたします資本費の増高、それからもう一つ東北の水力が漸次枯掲して参りまして、今後東北は火力をつくっていかなけれならぬという情勢に立ち至りましたために、この火力発電所を増設いたします。大体この二つの理由によりまして百二十億程度の赤字が出て参ったわけでございます。これを埋めさせますためには、どうしても一九・三%程度の値上げが必要だということで、五月十一日に申請をいたしたわけでござがます。私ども事務当局はこの検討をいたしましたわけでございますが、結局値上げの理由は認めざるを得ないという立場でございまして、それを前提として聴聞会を開いたわけでございます。聴聞会を二日にわたりまして開いたわけでございますが、その結果、電灯需用者の方は、どちらかと申しますと、無点灯部落でございますとか、離島でありますとか、東北地域には比較的そういう電気施設として不十分な地域がございますので、その分の改善をやれ、改善をやるならある程度の値上げはやむを得ないという聴聞会での意見が出ております。しかしながら、大口の電力需用者に関しましては、現在自由化その他が進行しております関係から申しまして、時期が悪い、値上げの理由はわかるけれども、時期が悪いから値上げの理由をなくすように政府としても努力しろ、それからまた値上げをなるべくおくらすか、あるいはやるといしましても最小限度にとどめるべきだというふうな意見があったわけでございます。現在におきまして聴聞会の結果として、受け取っております私どもの感触は大体そのようでございまして、やはり何と申しましても、大口の電力需用者の声が非常に強く議論された。そこで申請は受理いたしまして、聴聞会を開いたわけではございますけれども、その後の取り扱いにつきましては、内部的に各方面とも連絡いたしまして、政府の負担その他がどの程度行なえるか、あるいは料金制度上いろいろなほかの手だてはないかというようなことについて検討して現在に至っておる次第でございます。
  33. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、値上げをすれば、電灯の方が一五・四%、電力が二一%、電灯の方でどのくらい増収になる、あるいは電力の方でどれくれい増収になる、こういうことはどういうふうになっておりますか。
  34. 生駒勇

    ○生駒説明員 今、御指摘がございましたように、電灯におきまして一五・四、電力におきまして二一・〇、合計いたしまして一九・三という値上げ申請をして参っておりますが、収入面におきましてはたしか電灯の収入が二割くらいを占めておるはずでございます。ちょっと今正確にはあれでございますが、あとは電力でペイしておるのであります。しかしながら、東北におきましては、電灯の需用は一〇%でございまして、大部分の需用は電力需用者が消費しておるという格好になっておるわけでございます。
  35. 北山愛郎

    北山委員 増収になるのはどれくらいになって、その内訳はどうなるかということはわかりませんか。
  36. 生駒勇

    ○生駒説明員 増収になりますのは先ほど申し上げましたように百二十億でございますが、その百二十億も含めましてもとの数字で申し上げますと、収入が大体三十七年度の申請通りにいたしました場合には五百九十五億、そうして電灯収入が百七十九億、電力収入が約四百億というような数字になっております。その他、その他収益がございますがこれはわずかでございます。大体六百億のうち百八十億が電灯収入、四百億が電力収入という格好になっておるわけでございます。
  37. 北山愛郎

    北山委員 これはわれわれ常識的に考えますと、東北の場合はことに電力の方が九割で、電灯の方が一割、従って需用の伸び、そのために設備を急速に拡大しなければならぬというための資本費の高騰によって値上げを迫られておるというのであれば、そのいわゆる原価が上がったという原因になった需用というのは、やはり電力にある。電力の需用が伸びたため設備をどんどんふやして、そのためにコストが上がって料金を上げるのですから、その分は電灯の方で一部でも負うということはどうもおかしいのじゃないか。こういうふうなことが常識的に出てくると思うのですが、その点はどうお考えですか。
  38. 生駒勇

    ○生駒説明員 ただいま御指摘のございましたように、電灯が一〇%でございまして、全部の需用のうち、あとが電力であるということはその通りでございますが、しかしながら伸び率という点から見て参りますと、電灯も相当な伸びを示しておるわけであります。伸び率から見ますれば、電灯の方が率が大きいということになっておるわけでございまして、そこのところの御判断、御指摘のような御意見もございますし、われわれといたしましても、そこの料金の原価配分という点につきましてはいろいろ検討しておるわけでございますが、その料金配分のやり方は、電気料金制度調査会というものができておりまして、これが通産大臣に対して答申をした基準がございます。それが政令になっておりまして、一応その基準によりまして配分をいたしておるということでございます。
  39. 北山愛郎

    北山委員 電灯と電力の伸び率の比率でもって配分するというのは、私はおかしいと思う。数量的に初めから十倍も違うのですから、伸びた分の割合で値上げの分の負担がかかるということならわかるということなんです。その点はどうなんですか。
  40. 生駒勇

    ○生駒説明員 今私の説明が足りませんで誤解を招きましたことは申しわけないと思いますが、むろんその伸び率だけで議論しておるわけではありません。ただ、原価配分の際には、やはり大口だけの需用の伸びで設備増加をしたとも言い切れないという点を御説明申し上げた次第でございまして、原価配分の仕方はお説のように伸び率だけの議論ではございません。
  41. 北山愛郎

    北山委員 しかし、それならばこういう結論が出るのはおかしいじゃないですか。値上げ分の金額として二割が電灯であるというのはおかしいじゃないかというのです。その需用の伸びの数量比は、電灯と電力との数量比でもって計算をするということになれば、差はもっともっと電灯の方が少ないわけです。電灯の伸びによって増設をしなければならぬという事情は非常に少ない。その割合でもって電灯には幾ら、電力には幾らというふうに配分をしなければおかしいじゃないか。これは非常にしろうと的な常識論ですが、私はそう思うのですが、その点はどうでしょう。
  42. 生駒勇

    ○生駒説明員 御指摘のような御意見も電気料金制度調査会でいろいろ議論が出たわけでございますが、御承知のように、電灯に送電いたします場合には、電源から高圧の送電線で運んで参りまして、それを数次の変電所を通じまして電圧を下げまして、最後には、町の中にございますような大トランスというところに上げまして、各電灯需用家に電灯を送っておる。このコストは相当な比量でございまして、それに比べまして、大口の電力需用者に対しましては、御承知のように高圧のまま送りまして、それを自分の変電所に落としまして、電圧を落として自分の工場で使う。のみならず、また工場は大体におきまして発電所の近くが多いわけでございますが、そういう理由も一つございますが、そういう点におきまして、ロスその他から申しまして電力の方が安くなるということは、原価計算上私ども認めておるわけでございます。
  43. 北山愛郎

    北山委員 それから私ども常識的に考えておかしいと思うのは、今のお話の原価が電灯の場合には配電分が非常に多いからという理由はわかる。ところが送電のところまでは、これは同じ電気ではないかと思うのです。まさか発電所で、これは電灯用、これは電力用として発電するわけではないし、送電する場合もそうじゃないか。配電の段階にきてその原価に差が出てくると思うのです。ところが一体そのような計算になっていますか。送電の段階ですでに電灯用と電力用が二倍も差がついておるじゃないですか。そこにまたおかしなところがある。
  44. 生駒勇

    ○生駒説明員 今のお話のような点は、私どもはそういう計算をいたしておらないつもりでございます。もし後ほど御説明させていただければまた申し上げたいと思っておりますが、ただこの点だけは一つあるわけでございます。つまり電灯の需用というものは、今度は需用構成から見て参りますと、午後の四時ごろからずっとつける。午前中はつけない。このごろ電気冷蔵庫その他がございまして、午前中もつけておるわけでございますが、午後の四時ごろから夜中の十二時ごろまでずっとついておる。従いましてピークという点から申しますと、電灯の需用と申しますものは一番むずかしい時期にたくさん使うという格好になっておるわけでございます。それに比べますと、電力の方は朝から使い出しまして、そして必要がある場合には、これは電解電灯でございますが、必要がある場合には、ピークのときにピーク・カットをする。そのかわり電気料金というものは安くするという原価配分から申しまして、また需給の形態から申しまして、そういう特性がそれぞれあるわけでございまして、それがやはり電気料金として負担分になってくるということは一つのルールになっておるわけでございます。
  45. 北山愛郎

    北山委員 非常に専門的ことですから、これはあとで資料をいただきたいのですが、要するに今の料金のきめ方が電灯とか小口電力、大口電力の場合に、送電の段階までそれぞれどういう原価になっているか、配電の段階でどういう原価になっているか、こういうことはわれわれしろうとというか、外部から見るとおかしいのじゃないか。  それをどうも今のお話では私は納得しないのです。多少そういうことばあるかもしれませんけれども、それは数字的に出てこない。それから外部から見ておかしいと思うのは、燃料費も、それは火力発電がふえたから総体としてふえるということはわかる。しかし、燃料費そのものは、石炭にしても油にしても下がっておるわけです。それから人件費も、これは単位当たりはずっと下がっておるわけです。人員もとかえておりませんから、人件費が上がったためにコストが上がるということはない。むしろ逆に安くなっていると思う。それからロス率も改善されておる。そういうふうに原料も安くなり、人件費も安くなり、ロス率も改善をされているということになれば、どうもこんなに値上げをするというのはおかしいじゃないか。今申し上げたところでどの程度の吸収がなされておるのか、計算されておるのか。たとえば燃料はどういう計算でいくのか、人件費、ロス率は数字が出ておりますが、これを数字的に、金額的に言うとどういうことになるのか。どうもそういう点はわれわれは納得できないのです。
  46. 生駒勇

    ○生駒説明員 今お話の点は三十二年度の料金改定のときにおきまして火力発電設備というものは東北にはなかったわけでございます。それを新しく増加してきたというところにコストが上がってくる理由があるのでございまして、その場合に石炭が下がりますということのメリットは、ほかに火力発電所がございます会社につきましては、火力発電所の運営上石炭が下がったことのメリットを十分享受できるわけでございますが、全然火力発電所のなかった、料金算定上それを入れておらなかった東北におきましては、燃料費の下降ということが料金算定上プラスになっては動いておらないというのが一つの前提になっておるわけでございます。またもう一つは資本費の高騰でございまして、大体東北電力の標準の電気料金というものの収入単価は四円四十銭くらいでございます。ところが、新設いたして参りますところの新しい発電単価というものは六円をこえるわけでございます。六円をこえるということになりますと、これは東京電力におきましても、九州電力におきましても、新しい発電の原価というものにはあまり差が出ないわけでございます。ところが現存の価格が全国で申しますと八番目に安い。北陸よりは高いけれども、ほかの電力会社よりは安いということになっておりますためにその吸収する幅が非常に小さいということからこの問題が生じてきたと私どもは理解いたしておる次第でございます。
  47. 北山愛郎

    北山委員 燃料についてはどうですか。それからもう一つは修繕費なんですが、会社の資料を見ますと、修繕費が非常にふえておるのですね。修繕費を実績でもって計算しているのか、あるいは何か標準の計算の方法でもって、標準修繕費といいますか、そういうような計算をしておるのか、そういう点はどうなんですか。
  48. 生駒勇

    ○生駒説明員 修繕費は実績の修繕費ではございません。やはり標準修繕費で、再建設費に対する一定の比率から出てきたものでございます。この点は一つ御了解を得なければならない点でございますが、東北は経理が苦しいために修繕費は相当切っておるわけでございます。そのことの結果、先ほど申し上げましたような聴聞会におきまして、電灯の電圧が落ちておるとかあるいは離島あるいは無点灯部落等が多いとか、そういう非難が多いわけでございます。その点で実績通り修繕費を切っていくということよりは、むし電気料金算定の基準に明らかになっておりますような再建設費に対する標準修繕費という考え方で計算しておるわけでございます。
  49. 北山愛郎

    北山委員 そういうふうな専門的な数字の点はまた別に資料などでもってお伺いする機会もあろうかと思いますが、問題は、今回の東北電力の値上げについては、電灯関係の一般家庭、これはコストが上がったことについてはあまり責任がない、従って値上げをすべきでない、常識的に考えて私はそう思うのです。  それからもう一つは、それならば産業の方はどうかということになれば、これは莫大な電灯料金の値上げによって負担が非常にふえるわけです。会社によっては数億の負担がふえるわけです。そうなれば、東北のようないろいろな工業の立地条件の悪いところで、電気料金ぐらいが安ければやっても成り立っていくというようなところで、電気までよその地区と同じようになってしまうというのでは、東北工業をふやすということにはならない。従って、これは政策の問題になると思うのであります。ですから、家庭用の人たちいわゆる電灯料金の方は今度の値上げの原因にはならないし、値上げするにしても、非常に最小限度にとどむべきだと思いますが、産業電力についてはこれはまた別個に東北開発とかそういう見地からこの値上げ問題を考えなければならぬと思うのですが、一体これについて企画庁長官はどういうふうにお考えになっておるか。
  50. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まさしく御指摘のように私は考えておるのであります。いわゆる小口の電灯の需用者と、大口の電力の消費者、これとの間の負担関係、先ほどからの御質問を承っておりまして、私も実は同じような疑念を持っておる一人であります。そのこと自体異議はございますけれども、大口の電力消費というものが、小口の電灯の需用のある程度負担の上において成り立っておるということはこれは言えないわけではないのでありますから、御指摘のような問題が確かに一つ存在はする、公益事業局次長がお答えをしましたように、それは送電のコストといったような問題もございますけれども、それだけで全部が言い切れるものかどうかという問題が一つございます。それから大口の電力の消費者、全体の八割を占めるわけでございますが、そのうちで化学工業が三八%くらい、鉄鋼業が二三%くらい、非鉄が一七%何がし、これは東北電力全体を一〇〇といたした場合であります。そのくらい大きな電力を食う産業東北にある。しかもそれも沿革的に見ますと、東北振興という意味から、政府が奨励をしたというような時代もあるわけでありますから、勝手に来たんだから勝手じゃないかというようなことを言ってばかりいるわけではありません、東北開発の観点から申しまして。一番大きな大口の消費者の負担がかりに二割一分といたしますと、年間に五億円くらいの負担増になるわけでございますから、これは企業の経営そのものにかなり大きな影響があるというふうに考えるのであります。  そこで東北電力そのものの経理を見ますと、先ほど公益事業局次長が申しましたように、経理そのものを、修繕費にいたしましても償却にいたしましても、相当無理をして、苦しいことをやっております。よその電力会社と比べて、経理が乱雑であるとか、経営者の心がまえがよろしくないとか、そういったようなことは私はないと思います。要するに、非常に不幸なところに置かれたところの電力会社である。需用者構成も悪いし、新たに火力というものをやっていかなければならない、資本費がかかる、非常に気の毒な立場にある会社であると思いますが、住民なり企業なりも同じくそういう気の毒な立場にあるわけでありまして、政府としてこの値上げの問題を考えます場合に、特段のことを考えたい。これは総理大臣が所信表明で、資本費の増加に基づくものについては、財政税制、金融、あらゆることをやってみたいということを申し上げておるわけでありますが、文字通りあらゆることを考えてみたいと考えております。それにつきましては、政府としても、あらゆることをとにかく考えてみますので、電力業界におかれても、電力業界全体の問題としてこの問題を取り上げてみていただけないか、このように私は考えておるのでございます。
  51. 北山愛郎

    北山委員 先ほど私は電灯需用者の肩を持ったというか、これは当然のことでありますが、しかしまた現在までの料金体系から見ても、電灯と大口の電力が四倍も開きがあるということは、外国に比べても、地理的な事情が多少あるにしても、あまりにも開き過ぎるのじゃないか、こういう料金体系そのものに私どもは非常な不満を持ち、また疑問も持っておるわけでございます。そういう根本論もございますけれども、しかし現在の経済の景気の後退なり、あるいは自由化を前にして、特に今お話になったような東北には非鉄金属とか、自由化によって非常に影響を受ける産業が多いわけであります。従って、自由化をする場合においては、政府が非常に自由化をスピードアップをしてやるというその前提の国内の対策としては、そのような基礎的なエネルギーなり何なりのコストを下げるというようなことが前提に準備されなければならぬ、そういうことだと思うんですね。そういう時期に、しかも十月九〇%をやるというような方針を立てながら、この今起こってきた電気料金の値上がりの問題、従ってこれは普通に、ただコストがこう計算したらこう上がってきたんだ、そういう単純な問題ではなくて、相当思い切った考え方でもって、今回の問題には対処してもらわなければならぬ。率直にいうならば、このような経済界の事態においては、その産業コストの相当部分を占める、これが値上がりをすればおそらく大きな打撃を受けるような、追い打ちをかけるような措置はとるべきではない。そしてこれにかわる別個の措置を考えるというのがやはり貿易自由化なり何なりを進めていこうとする政府としては当然とらなければならぬ措置だ。電力の事情から、会社の方の事情から考えて、これだけの原価が上ったから、これだけ上げなければならぬのだということにただ従っておられない。別個の角度から、相当の決意を持ってやらなければならぬという段階だ、そういうふうに私は政府に要望したいのであります。今の大臣のお答えも、抽象的ではございますけれども、大体そういうお気持だと思うのであります。ですから、再編成とかそういうことを言い出されたのは、通産大臣は、それとこれとは別だ、また常識的に考えても、東北と東京が合併するというふうな電気事業の編成がえの問題と当面しておる料金の問題とは直接の関連はないと思うのですが、料金問題については、今の大臣のお考えは、今後における電気事業の大きな方向を見定めながら、その方針の上に立って思い切った措置をとる要するに値上げをおさえるという措置をとる、こういうふうに私了解するのですが、どうでございましょうか。
  52. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御指摘のように、値上げの問題とからめまして、これをどうこうしようというような意思は毛頭ございません。そういうふうには考えておりませんが、全体の方向としては、やはり将来の日本の電力事業のあり方というものを見定め得る限り見定めながら今度の問題に対処いたしませんと、また次に何が起こってくるかわからないというふうに考えますので、大筋としてはお考えのように私としては考えておるのでございます。
  53. 北山愛郎

    北山委員 言葉をかえると、長官電力事業の再編成問題まで言及をしてお話しになったその真意は、やはり今回の東北電力の値上げというものは、できるだけこれを阻止したい。各家庭なり、あるいはこれを使っておる東北にある産業に対する影響を最小限度にとどめる、こういう事態での値上げはできるだけ押える、こういう気持で言われておるのじゃないか、私はこう思うのですが、どうでしょうか。
  54. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まさしく最小限度にとどめるために政府としてやるべきことを相当思い切ってやらなければならない事態である、こう判断しております。
  55. 北山愛郎

    北山委員 われわれ社会党の立場からするならば、電力の再編成というのは当然のことでありまして、これは単に東北電力の今回の問題だけではなくて、エネルギー全体として、石炭や石油の関連から考えても、もうすでにこの電気事業全国的に一元化する、そして産業の根幹をなしておるエネルギーというものを国の産業を盛んにし、それが国民の生活を豊かにするように電力事業を運営する、いわゆる社会化する。社会党としてはこれは当然のことでありますが、今の東北と東京を合併するとか、そういうふうなことはむしろこそくだというふうに考えるものでありますが、とにかく東北電力の今回の値上げに関する限りは、今申し上げたような事情、すなわち値上げの原因をなしておるのは産業電力であって、家庭用の電灯ではないのだ、この点は十分考慮しなければならぬ。それから産業電力については、東北開発と現在の経済情勢あるいは自由化の問題を十分考慮してやるべきである。こういう点を十分考えて、そしてこの問題に長官として対処していただきたいということを重ねて要望申し上げて、私の質問を終わります。
  56. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 西村力弥君。
  57. 西村力弥

    ○西村(力)委員 東北電力関係でちょっと簡単にお尋ねしたいのですが、次長がおいでですが、あなたは六月中に仙台に参られまして、東北電力の料金値上げは七月一日実施は不可能になった、まことに遺憾であったという談話を発表されておるようでございますが、これは事実でございますか。
  58. 生駒勇

    ○生駒説明員 今御指摘のような点は、私は全然聞いておりません。
  59. 西村力弥

    ○西村(力)委員 公益事業新聞という新聞を見ましたときに、あなたの談話としてそういうふうに載っていた。それを見ましたときに、私は非常に奇異に感じたのです。ですから、これは料金改定の申請当時から、通産省としては上げるという態度をきめているのだ、こういう工合に私は見ざるを得ないわけであります。そうしますと、聴聞会や何か開いても、それは単に形式だけのことになってしまう。聴聞会は十七日、十八日にやった。それに相当期待をかけてあの聴聞会に出たわけなんです。ところが七月三十一日には、あなたの方——これは署名はないけれども、通産省が出したということは間違いない。この「東北電力の料金改訂の申請について」というプリント、冊子を見ますと、これは上げざるを得ないんだ、東北電力の経理内容はかくほど悪化しているのだ、これに対処するために金融面においてどうやるか、開銀資金に肩がわりすればその利息の差額が二十億だ。全部の赤字を埋めるには千数百億という開銀資金全部を回さなければ不可能だ。税制の問題はどうか。固定資産税、あるいは事業税その他電気ガス税の全免、こういうことをみなやろうとしても、これも現実には不可能であり、今すぐには間に合いはせぬ、こういうことを書いてある。だから、これが十七日、十八日に聴聞会をやって七月三十一日という日付で出る限りは、わずか十二、三日間においてそういう結論が出て、あらゆる施策はだめなんだという結論をあなたの方から出してきているわけです。ですから私の方としてはどうも通産省の態度というものは、申請を受け付けた当初から、もう値上げをするんだという既定方針でずっと来ているのだ、こういう工合に思われてならないのです。聴聞会というものは一体どういう趣旨で開くのであるか、これは法律条項から言いますと、許可をするときには聴聞会をしなければならぬということであるから、聴聞会の意見を尊重して、そして最終態度を認可権限者としての決定を行なう、こういう趣旨だろうと思うのです。そういうものは一切だめなんだ、もう方針はきまっているんだ、——もちろんあなたの方では東北電力申請を、説得し行政指導をして押えてきたんだろう。だからもうこれ以上がまんができないからというので、申請をしてもよろしいと言ったときに、その腹が固まったんだということも言えるかもしれないけれども、私たちから見ると、通産省というのはどうも最初から電力会社と腹を合わせてこの作業を進めておったのだ、こういう工合に思われてならないのだが、その間の通産省の態度はどういうことなんですか。
  60. 生駒勇

    ○生駒説明員 今お話のございました七月三十一日ごろに何かそういうことを出したじゃないかという御指摘でございますが、実は私どもといたしましては、値上げの理由は認めざるを得ない、——これは値上げの理由は需用の動向なり燃料費の増高ということでございます。その点は認めざるを得ないのだけれども何と申しましても、一般に対する影響が非常に大きいという点は御指摘通りでございますので、その点をどういうふうにしてやったらいいだろうかという点につきまして、事務的にいろいろ検討いたしたわけでございます。それが今お話のございますように、当然値上げをしなければならぬという結論に持っていったんじゃないかという御指摘を受けるような誤解を生ずるような、もし書き方でございましたならば、はなはだ申しわけないと思っている次第でございますが、ただ、どうにかしてそれを避けるためには、どういうふうにやったらいいだろうかという点を、通産省といたしましても検討しておったことは御指摘通りでございます。
  61. 西村力弥

    ○西村(力)委員 これは大臣に見せてやっておるのですか。通産省の大臣を通しての意見だという工合にとってよろしいのですか。たとえば税制問題、金融問題、にしても、「昭和三十七年度における収支の不均衡約百十億円を解消することはできない。」と書いてあって開銀融資に切りかえてもそれはできない、こういう工合に断定しておる。あるいは「法人税に関する下記の諸点がかりに三十七年度から実施されるとしても約十四億円の軽減にすぎない。」と書いてあり、こんなものでは焼石に水だというこういう断定をとっておられる。だから池田総理が金融面において、税制面において、そういう諸施策を持って、そうして対処していこうということを根本的に否定する、こういう書き方になっているのです。これは福田大臣の前かどうか、それは忘れましたが、いずれにしても前の佐藤大臣にしても、この冊子というものは大臣を通して出たものかどうか、それはどうなんですか。
  62. 生駒勇

    ○生駒説明員 その資料は事務的に検討いたします場合のあくまで基礎資料でございまして、御指摘のように政治的に確認されたというものではございません。
  63. 西村力弥

    ○西村(力)委員 次に聴聞会の問題でありますが、これは関係者を指定して出てもらったほかに、公告をして、一般の人も募集したわけですが、その一般の人々は、出たいという希望の人が時すでにおそしというのが非常に多かったですけれども、こういう点はどういう方法をとられたのか。聴聞会の供述者を一体どういう工合にして選定したか。一般公募の場合にどういう措置をとられたのか。ほんとうに直接影響を受ける東北住民全体非常に関心を持っておるものでありますから、聴聞会に対する期待は大きいわけです。ところが内部において適当な形において結論づけるために有利な形の人選や何かが行なわれているのじゃないか、こういう工合に見える。その結果、聴聞会の集約を見ますると、あなたの方で期待するような集約が大体現われておる。こういう工合に結果の記録は集約されておりますが、聴聞会は決定的なものではないにしても、こういうものはやっぱりもっと公平に、自由にそして親切に行なわれなければならないのだと思うのだが、こういう点に対する配慮が非常に欠けておるのじゃないか。そして、申請をしてきたときにもう既定方針通り上げるのだという態度を決定しておいて、それだけの手続をする、進められておるのじゃないか、こういうように見えるのです。この聴聞会の自由な公平な立場を保持しようとするためのいろいろな配慮はどういう工合になっておるか。人選はどういう工合になっておるか。
  64. 生駒勇

    ○生駒説明員 聴聞会を開きます場合の人選の方法でございますが、これは聴聞規則という通産省令できまっておりまして、聴聞会を開催する前のたしか二十日前に告示をいたしまして、とにかく利害関係者であって聴聞会に出席して意見を述べることを希望する人は申し出てくれということを十日前に募るわけでございます。それによって整理されました人全部が長い時間聴聞会において意見を述べるというわけにも参りませんために、大体ある一定の時間、たとえば五分なら五分というものでもって意見を述べていただく、しかし同時にその前に聴聞主意書というのを出していただきまして、文書と口頭と両方で意見を伺うという制度になっておるわけでございます。
  65. 西村力弥

    ○西村(力)委員 申告した場合、あなたの方で選択せられたことになっておるが、そうじゃないのですか。こちらからお願いするという人がやはり相当おるのでしょう。
  66. 生駒勇

    ○生駒説明員 今の西村先生の御指摘のように、私どもの方から指定をするということはございません。公告と申しますか、官報その他に公告をいたしまして、希望者が出て参りました場合には、その人数の関係出席者の時間の制限は五分とか何とかいたしますけれども、あとは利害関係者である場合には、出席すれば何人でも意見を述べられることになっております。
  67. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうすると、その中に関連産業にいる人、株主とかさまざまな人を入れなければならぬという規定があるとすると、そういう場合にこちらから連絡をするように適当にやっているのではないか、ただ一般の人の場合には、官報に公告すると言われるが、これはちょっと縁が遠いものですから、そこのところはやはり親切にやるべきではないかという気がするのです。すでにして気がついたときには、申告をしても時間切れになったということがたくさんあるわけですから、そこのところを実際はどうしているか、形式的には今申したように、公告して申請してくる者をこちらが選択をしたということでしょうけれども、その関係がこういう場合における役所的なやり方でなくやるべきではないかという希望を私は持つわけなんです。  それはそれでよろしいとしまして、先ほど北山君の話で、大口電力にしても、電気関係にしましても、ある程度の何千なら何千ボルトということで持っていくとところまでは同じ単価ではないか、こういうことであります。その資料は別にお願いしたいと思いますが、これは各電気関係で定額電気、従量電気というような分け方でもいいし、大口業務用、小口用というような分け方でもいい。この冊子によりますと、電気関係は定額電力、従量電灯、電力関係は業務用電力、大口、小口電力というような分け方をしております。その分け方もいいが、電気関係の収益率というものと、それから電力関係の収益率、これを一つ各種類別、年次別に数字を出してみてもらいたいと思うのですが、どちらが一体収益率が高いのか、どれだけの差があるのか、これはあなたの方で出せるでしょう。電気は末端に送るまでこれくらいかかる、経費はこれだけだ、上がるのはこれだけだといえば、そこに収益率が出てくる。電力は経費が何ぼ、これで上がりが何ぼという収益率が出てくるわけですから、その収益率というものを年次別、種類別に出してもらいたい。これはできませんか。
  68. 生駒勇

    ○生駒説明員 収益率という問題になりますと、私もあれでございますが、御意見を伺いまして、後ほどできる限り資料を整えたいと思います。
  69. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それがわからぬということはちょっと解しかねるのです。今もずっといろいろ言って、電気関係が重く料金がかかっているのではないか、それはこれだけの経費がかかっているのだから決して重くないという割り切り方をしているが、その基礎がなければならぬ。その基礎は何かというと、収益率の問題だ。電気関係では何ぼの収益率を上げておるか、電力関係で何ぼの収益率があるかという場合に、ほんとうの資料が出ておるならば、今の御意見のようなあなた方の考え方というものが証明されるわけでありまして、私は宮澤長官の言うように、これはやはり電気関係が相当率を高く負担して、企業利潤の中に率を高く——金額ではあまり多くないかもしれぬ。何といっても電力全体の消費は電気の方は一五か一〇で、あとは電力関係だということになれば、金額そのものは大したことは電気関係はないかもしれぬけれども、その収益率の関係です。これは数字的な確信がないようですが、一つはっきりつかんでいかなければならぬのではないかと思う。電気関係は個人生活に影響があるから、値上げ率を一七・九でしたか、それから電力関係は二〇何ぼで大体よかろうというような計算ではよくない。これは収益率というものをはっきり出さなければいけない。それが出たあとに政策的な配慮が行なわれて初めて最終的な決定がなされるわけですが、それを一つ出してもらいたいと思いますが、どうですか。
  70. 生駒勇

    ○生駒説明員 今お話の電灯電力関係の使途別にどういうコストになって配分されておるかという点につきましては、あとで提出いたしたいと思います。
  71. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それから三十二年度の改定からのでよろしいのですが、東京電力東北電力の出水率というものを出してもらいたい。出水率は料金計算の場合には何ぼに見て計算しておるのですか。
  72. 生駒勇

    ○生駒説明員 出水率は料金制度調査会でいろいろ議論されたところでございますが、過去十年の平均出水率をとることにいたしております。
  73. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それは数字的にどのくらいになりましょうか。
  74. 生駒勇

    ○生駒説明員 数字的にという御意見でございますと、たとえば水力の発電所が東北でございますと現在七五%、火力が二五%、その供給総力の七五%の水が、これだけ出るとすれば、各発電所別にどのくらいの発電量があるがというようなことを積み上げるわけでございます。それによって水力量というものがきまるわけでございます。水力発電量がきまりますと、それに水力発電のコストを載せますと、水力発電費というものがまず原価に出て参るわけであります。それに火力を加えまして、それと先ほど先生御指摘のございましたように、各費目に配分していくという経緯をとっておるわけであります。
  75. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私の言うのは、発電設備が何万キロなら何万キロワットあると、そのときには出水率は一〇〇%なら一〇〇%、こういう工合になったときにそうなるのだということになるのか、料金計算の場合には一〇〇%の出水率にならないで七五なら七五として料金計算をする。水はそれだけしか出ない、その程度だ、こういう工合にしておるのか。そういう場合に一〇〇%ずっと出水すれば、そこの幅というのが出てくるわけです。その幅があるならば、それだけ電気量がよけいに出たという料金計算を上回った勘定になる。上回った勘定が、今度は火力発電所における燃料費の節限ということになるのですよ。そうでしょう。だからそこの関係は数字的にどうなっておるかということを私は聞いておる。私はしろうとでわからぬけれども、とにかく料金計算において一体出水量というのは平均してきめるのだ、こういうことですか。何%としておるか。それが年次的にずっとどういう工合に水が出て、発電量がどういう工合になっておるか。それから火力発電の発電量と燃料費の関係、こういう関係について資料的に私は知りたいと思うわけです。それを出してもらいたいと思います。  それで福田大臣もおいでになりませんが、あとはやはり政策的な政治的な判断の問題、こういうことになってくると思うが、今宮沢さんもいろいろお話がありましたが、通産省のこの事務的な段階におけるこの書類を見ますると、財政金融措置はゼロだ、こう書いてある。だからあなたの方で政治的にこれを打ち破っていく、一体そういう作業はどう進んでおるか、これは東北開発の問題もありまするし、それから電力料値上げによって受ける国民生活の問題もありまするし、大体電力の庶民消費なんかについては全国一律だ、これは公共的な国家的な必需品ですし、国民の必需品ですから一律であると私は思うのでありますが、これは他を上げたからそこまで上げろという趣旨ではないけれども、そんな関係から、またもう一つはその電気施設投資をやれば、発電量を増せば増すほど、大量生産をやればやるほど電気料のコストが上がっていくなんというこういふ矛盾は、これは私企業的なもの、現在の営業形態では解決しない、こういう考え方を持つわけです。発電量を増せば増すほどコストが上がっていくなんということは、これは自由経済の他の産業から見るとそういう矛盾というものを抜本的に解決する方式がなければならない、そういう立場から私は主張するのですが、それは東北電力の松永構想ですか、あの程度のことをちょっと言われてあれが新聞で問題になっておりますが、それよりも抜本的な対策を立てられなければならない、こう思っておるのです。  それはそれとしまして、こういう工合に通産省の事務的段階においてはどれもこれもだめだと書いてある。それですから、これを打ち破る検討をされておるわけでしょうが、今相当進んだ形における検討の焦点というものはどこにあるのか、こういう点を一つはっきりしてもらいたいと思います。
  76. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 総理大臣が所信表明をいたします際に物価の問題をどう扱うかということが閣内で相当議論になったわけであります。そうして今回初めて、この物価の値上がりの中にはいわゆる経済の高度成長に伴うところの資本費の増加に基づく部分が確かにある。これは経済が先進国型経済に移行する際に生ずる一つの現象であるから、財政、金融、税制等あらゆる措置を通じてこれを極力押えたいということを所信表明で申したわけであります。あのときに私ども考えておりましたのは、この東北電力の問題もまさしくその一つであると思いますしまた私鉄において年々一二、三%の輸送人口の年率にして増があるというようなことも、これも異常な現象であります。私どもはこういう異常な現象というものは、高度成長というものが一応行きつきまして一つの均衝に達したときにはおさまるであろう、西村委員の御指摘のようにたくさんつくればつくるほどコストは本来下がるのが、これが原則でありますが、需要が急増いたしますために火力というものを東北の場合どんどん増設しなければなりません。償却済みの資産はないというようなことが起こる。これは二、三年でありますか、数年でありますか、一つの経過的なできごとであろう。所得が必ずしもそれについていっていないという、そういう経過的な時点においてこれをそのまま放置することがよいのか、あるいは経過的であるがゆえに多少税制における公平の原則であるとかあるいは財政投融資においてこういうものは普通ならやらぬとかやるとか、そういう原則的な配慮を多少この際改めまして、経過的であるがゆえに経過的な措置を思い切ってとることがしかるべきではないかということが、総理の所信表明をいたしたゆえんであるというふうに私は了解をしておるのであります。そこで、従来の各省間の事務的な折衡から申せば、東北電力にこういう問題があるから電気ガス税をどうしようとか、固定資産税をどうしようとかということにはとうていなって参らないのでありますが、先ほど思い切った措置と申しましたゆえんのものは、そういうことをもひっくるめて、この問題は考えなけばいかぬのじゃないか、こういうふうに申しておるのであります。むろんそういう場合にはさっそく困りますのは地方団体でありますが、その場合にかわりの財源をどう考えてやるかというようなことまで見通さなければならない。いずれにしても、これは相当思い切った従来の税制なり財政なりからはみ出すようなものの考え方でございますので、よほど閣内でしっかり協議をいたしませんと結論は出て参らないことだと思います。少なくとも総理大臣が所信表明をいたしました際にああいうことを申しましたのは、そういうことを検討するべきではないかということを問題として提起したのである、私はそういうふうに了解をしておるのであります。
  77. 西村力弥

    ○西村(力)委員 池田総理のおっしゃるそういうことが、今この問題にあたってどういう具体的な進め方が行なわれていくかということなんです。企画庁の立場からいきますと、申請通りやられたときには、東北開発地域差解消ばかりでなく、むしろ消費も拡大することになるだろうと思う。そういう関係はどうなるか、あるいは所得階層別の生活に対するはね返りはどうなるか、これを検討していく。そうすると、企画庁としては経済全体の将来の健全な発展のために、もうぎりぎり、上げるにしてもこれ以上はだめだという線が今出ていなければならぬ。その線をどのくらいに置いているか、その線を置いて、それでは具体的にどうするという工合に出ていかなければならぬ、この線を設定するのはあなたの方の一つの担当任務でもあると思うのです。全然上げないという工合にしたいという気持を持ちながら、やむを得ないならばそれはぎりぎりどうだ、こういう線の設定は今どうなっているか。
  78. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 正確に申しますと、この問題は通産省で今検討をしておられるわけでありまして、通産省としてある結論を出されましたときに主として私どもは消費者なりあるいは国全体の経済の立場からでありますが、御協議を受ける、こういう立場にあるわけであります。従ってまだ正式にと申しますが、通産省としては結論を出しておられませんので、私どもは多少僭越かもしれませんが、その資料をもらいながら並行的に検討をしておるわけであります。そこで、どういう結論が出て参りますかによりますが、一定の結論が出ましたときに、それを財政なり税制なりあるいは金融なりでどれだけ負担できるか、そうして残りは、まことに残念であるけれども、それは消費者に負担をしてもらおう、その負担を大口と電灯とでどういうふうにやるか、この辺のことになると思います。その間に、財政なり税制なり金融なりでどれだけしょい得るか、そのことがいいか悪いかというようなことは、これは過去に前例のないような種類のできごとでございますから、これは閣内で総理大臣を中心に大いに議論をいたしませんと、私としても目安の立ちにくいことであります。従って、今どの線でということを申し上げる段階に参っておりません。
  79. 西村力弥

    ○西村(力)委員 企画庁というのは、全体の調整というか、そういうことで弱い官庁かもしれませんけれども、しかし、今こういう経済的な日本の将来の問題というものがいろいろな点において重要な段階に来ておるときに、経済企画庁というのはアクティブにこういう問題に進むのがやはりほんとうじゃないか。それを通産省の作業の結果を見て、それを受けてから検討するなんというまことに大人ぶっておりますけれども、それは本来的な使命に忠実じゃない、私はさように思うのです。それをぜひ積極的にあなたの方からこの問題に対して作業を進めて、企画庁側の結論というものはこうだということを、そしてまたこの問題はあくまでも、去年の三月でしたか公共料金は当分の間引き上げをしないと池田内閣は言った。今度内閣がかわったけれども、あの方針というものはよく生かされていくべきだ通産省は、今企画庁がそういうようなことを言われるのですが一体これから値上げをするのはいつになるか、十一月になるか十二月になるか、そのために営々と作業を進められていると思う。今言われたように企画庁なら企画庁に相談するというような時期というものはいつになるのか。今そのために、極力値上げを抑制するための作業というのはどういう方面に向かって行なわれておるか、現状一つ説明していただきたい。
  80. 生駒勇

    ○生駒説明員 ただいま企画庁長官が御説明になりましたように、私どもも作業しておるわけでございますが、やはり根本問題はいろいろございます。その点いろいろな角度から検討しまして、一日も早く企画庁の事務当局に持ち込みまして、いろいろ御相談しながら進めていきたいと考えておる次第であります。
  81. 西村力弥

    ○西村(力)委員 何かやっておるでしょうが、内容はわれわれには示されないような話です。それで企画庁一つ頼みたいのですが、今の申請通りに許可した場合、所得階層別のはね返りです。かこれを半分に切り下げた場合のはね返り、こういうようなものの試算ができるならばしてもらいたいと思います。すべて物価値上げをあなたの方で責任を持ってやる場合には、その試算というものは責任あるものが出なければならぬ。それから運賃の引き上げがあり、消費者米価の引き上げがある。そのとき、業態上やむを得ない、あるいは米価の方ですと食管赤字がこんなでは負担しきれないからやむを得ない、それだけの理由で公共料金に対する政府の態度をきめてはいかぬ。これだけの認可をすれば所得階層別のはね返りはこうこうなる、それはこういう工合にして吸収されるこれは——池田総理のように、所得は何割伸びているから何ぼ上がってもかまわないというばくとした全体的な言い方ではだめだ。やはり階層別にそれをはっきり出して、それだけの救済措置というものが裏づけとなって準備されて、そうして認可するという工合に責任ある態度をもってやってもらわなければならぬ。だからその点に関して、これを申請通り認可した場合においては、そういう庶民の生活に対するはね返りはどうか、あるいは東北産業発展あるいは所得格差の是正にどれだけマイナスになるか、こういうようなほんとうの責任ある資料というものを常に検討して準備しておかなければならぬと思うのですが、それを一つ出してもらいたい。それは何ぼに押えるかということはきまっていないから、その線における決定的な最後的な資料は出ないにしても、試算というものはあってしかるべきだと思う、三分の一に押えた場合あるいは一般収益率を見るときにもう少し下げてもよろしいといえば、その方の率を押えることもあるでしょうしね。だからまるのみにこれを認可したた場合、半分にした場合、三分の一にし場合、こういうふうにいろいろな試算というものがあってしかるべきだと思うのです。それについて今資料要求するのは無理かどうか。これは認可の場合においては、私どもは完全な資料というものを一番要求したい。それだけの責任を持ってもらわなければならぬ。その責任は、実際においては政府が言うような工合に安易なものではない。庶民生活というものはそんなものではないということ、事実上そうなるでしょうけれども、しかし真剣に検討して、それを出し、こうこうだからこれだけの線はがまんしてもらいたいと判こをついたのだ、認可したのだ、こういう態度が常にとられなければならないと思うのですよ。それを一つ電力関係においても早急に試算をつくって、われわれに出してもらいたい。どうですか。
  82. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはしごくごもっともな要求だと思います。そういうものをつくってお手元にお届けいたしたいと思いますが、二、三前提がございますので、それはそれとしてお聞き取り願いたいと思います。  第一は、大口の電力が上がりますと、それは製品のコスト増となって、当然に消費者生活にはね返るはずでございますが、その算定は非常に困難でございますので、それは一つお許し願いたい。  それから次に、政府が何らの処置をとらない場合には、消費者にこれだけの負担になるはずであるという計算ができるわけでございますが、その間に政府としてどれだけの処置がとれるかということを研究しておるわけでありますから、これこれの処置をとればこうなるという点は、一つお許しをいただきたい。つまり私の申す意味は、電気ガス税をやめてしまえば、それだけ消費者の負担は減るわけでございますが、そういう計算をいたしますと、あたかもそういう施策をとるように御了解願ってもいけませんから、その点は一つ除いておきます。  最後に階層別というのはちょっと困難かもしれません。階層別というのは非常にむずかしいので東北住民の階層別の生活内容というものが総理府の統計局にどれだけございますか、それはちょっと何とも明言しかねるのですが、ただおっしゃいますように、これだけ小口電力が上がれば一般的にこれぐらいの平均として消費者の負担になるはずだ。何%であるというようなものは当然つくりましてお目にかけたいと思います。
  83. 西村力弥

    ○西村(力)委員 前の方のいろいろの条件というものは了承しますが、最後の階層別の点は僕は了承できない。平均したはね返りなんといったって、それは実態はわからぬ。しかもあなたの方では国民生活研究所があって、そこでやるべきことは、階層別の研究をやっていかないとほんとうの国民生活の研究にはならないのです。あそこではそういう形の研究を始めたようだし、あなたの、企画庁のどこかの役所ではそういう研究を当然やっているはずだ、そうだろうと思うのです。階層別のはね返りというものを見なければ、生活の実態というものは把握できませんからね。これはぜひそういう形で出してもらいたいと思う。
  84. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御指摘の点わかりますから、幾つかのモデルの世帯をとりまして、このくらいのあれならこう、こういうような形で一つつくってみたいと思います。
  85. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それではちょっと中小企業関係、一問だけ、ついでですから言わしてもらいます。問題は中小企業近代化資金ですが、これは資金量が足らぬとか、いろいろ問題がありますけれども、とにかく無利子で貸付になるわけです。ところが各県、各市町村、そういうものは、近代化資金に該当しない、もっと一段と低い零細性を持った企業の場合、私は山形ですが、山形の例を引いて申し上げますと、機械貸与公社というのをつくっておるのです。これは、近代化資金のベースに乗らないそういう人々に現物で貸して、それを年賦で償還させて本人のものにする、こういう公社をつくっておりますが、一体全国的にそういう形が何ぼあるかということをまず知りたいのです。それとともに、その場合には六分の利子を付加しておるおるわけなんです。より高いとところの人々は無利子の近代化資金を都合ができる。それより下の人は六分の利子のつく金を使わなければならぬのです。こういう矛盾というものを解消すべきじゃないかということなんです。その利子というのはどういうのかというと、大体は公社の経営費、運営費、それを埋めるためにはやはり利子を取らなければいかぬ。六分の利子を取って、それで運営費をまかなう。運営費負担というものを県費で出す、県費で出せば、その出した分だけは国からそうい形で県の方にその金を出してやる、こういう工合にすれば利子を取らないで、やはり近代化資金と同じように無利子でそういうことができるんじゃないか、こういうことは、近代化資金のほんとうの意味が、もっと小さいところまで行き渡る一つの便法として早急に考えてしかるべきじゃないか、こう思ったので、今度の予算要求の時期でもありますし、近代化資金の要求の中にそういう趣旨を入れてやっていただくことがけっこうじゃないか、そういう形であれが一体どういう状態になっておるか。東京なんか、きょう新聞を見ますと、信用金庫なんかに中小企業振興の金を入れてやると、ひもつきであるのに別の方に行くというような、そんなことを言っておりましたけれども、そうじゃなくて、現物のまま貸し付ける、それしか借りられないし、それにしかたよれないという零細企業はそれにたよっておる。そして規模の小さいものが利子を払って、上のものに無利子でという、こういう矛盾を解消してもらいたい。少しくどくど申したが、趣旨はおわかりでしょう。
  86. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 ただいま御指摘の近代化補助金の点でござがますが、これは西村先生御存じのように、元来ある金融ベースに乗りがたい人に対して、政府と県とで半額無利子、一年据置、四年返済ということでお貸しして、その後その企業一つの呼び水となりまして、一般の金融機関等からも金を借りて、りっぱに自立できるようになることをねらいとしてつくった制度でざいます。たまたま過去におきましてこの制度趣旨が若干乱用されたと申しますか、必ずしも金融ベースに乗りがたいというような人でないような人のところに流れたというようなことで、ほんとうにほしい人のところには流れてこないというような府県が若干ございまして、政府の中の補助金等合理化審議会等においてもこういう使い方は適当ではないんじゃないかいうような議論のあったことがございます。しかし、最近はそういうほんとうに制度趣旨に沿わない方へ資金が流れることは極力押える。やはり趣旨はあくまでも零細企業金融を確保するということでできた制度でございますので、非常に審査を厳重にいたしまして、できるだけ小規模の方にいくようにということで最近は運用しているつもりでござます。ただ、現在までのところでは、運用規模が、政府の補助金が三十五億、県から出るものが三十五億、それにことしは回収金二十億、九十億くらいの金を貸し付けているわけでございますが、まだ少し不足するのではないかということで、われわれといたしましては、三十八年度以降もう少しこれを増額していただきたいというふうに思っております。それと同時に、もう少し大きな方であるいは数人が共同してやられるというような方がいろいろ近代化のために資金をほしいといったような場合に、せっかくの今の近代化補助金から頭をはねられるというようなことでは、中小企業、ほんとうの零細企業の方はお困りだろうということで、三十八年度以降は国に別途の特別会計を作るということで、たとえば団地でありますとかあるいは共同施設であるとかといったようなものについては、ほんとうの零細対策として、設備近代化ということと別のルートで金が流れるといったような制度をつくって——今までございます制度は金融ベースにほんとうに乗りがたい、しかし、ちょっとここで手を貸してあげれば、それが呼び水になって将来は立ち直る可能性があるというような方々に二分の一お貸しするということで、ほんとうに生きた使い方をやりたいということで大蔵省にこれから折衝したいと思っております。それと同時に何と申しましても零細な方に対する金融の一番大きなもとでございます国民金融公庫あたりの資金量をふやすというようなこと、あるいは小口保険の保証率を引き上げる、あるいは保証協会自体の保証能力等、総体的に保険公庫を通じて資金の確保ができるようにといったような予算要求をいたしたいと思いまして、現在準備いたしております。
  87. 西村力弥

    ○西村(力)委員 近代化資金を本来の姿に戻せば問題が解決するようなお話でありますが、しかし、あの近代化資金は自己資金の調達ということがネックになる。だから、それができない人はこっちに貸付資金があっても借りられないということでそれで県で貸与公社というものをつくって、自己資金の調達できない人々にもそういう工分にしてやる。ところが、規模の大きいのは無利子でこっちは六分の利子というのでは問題がある。これについて何らか方策を立ってもらわなければならぬと思うのです。私案としてさっきの県が運営費を出して無利子にして県へ補助するという形を考えているのでありますが、それによらずとも、無利子でやれる方式を何らかの方法で、あまり回りくどくて結局だめだということでなく、端的にこういうことの解決の道を考えていただかければならぬと思いますが、どうでしょうか。来年度において何らかの方策を立てる、こういう気がまえでやっていただけぬものでしょうか。
  88. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 ただいまの無利子で貸すことの思典にも浴さないというような人々のために、国で県に対してある程度の財政援助をしてやることによって、県で無利子で機械あたりを貸与したらどうかというお話でありますが、実ははなはだ申しわけございませんが、私といたしましては、そういうことについての案はまだ十分検討いたしておりません。ただ、今お話にございましたので、今後、中で検討さしていただきます。しかし、中小企業庁といたしましては、今後の中小企業政策というもの、これを経済ベースと社会政策的な考慮あたりをやはりある程度分けて考えることも必要ではないかというふうにも考えておりますので、それあたりの考えとの兼ね合いというようなことも十分の勘案いたしました上で検討さしていただきたいと思います。
  89. 西村力弥

    ○西村(力)委員 社会政策という言葉が出たのですが、そういうことでなくても解決できると思いますので、一つ検討願いたいと思います。とにかく私としては、単純な考えですが、規模の大きいものが無利子の金を使って、小さいものが利子を負担しなければならぬということは、矛盾として解消されなければならぬと思いますので、よろしく。
  90. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 久保田君。
  91. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 二、三宮澤長官にお伺いいたしたいと思います。新産業都市建設実施の段階になるわけですから、それに連関した問題についておもな点だけを、あまり時間もないようですから、簡単にお伺いいたしたいと思います。  第一番の基本の問題として、政府として、特に長官としてこの事業をやられる上で一番問題になるのは、いわゆる池田内閣の高度成長政策というものとこの新産業都市指定なり建設というものをどう調和させるかということであると思うのです。と申しますのは、この新産業都市政府の構想は一体どこから発想したかといえば、いろいろの要因があります。ありますが、いわゆる高度成長政策によって独占資本の合理化なり拡大がどんどんできてしまった。しかし、それを裏づけていく社会的施設、つまり社会資本の立ちおくれというアンバランスができた。これを全般的な立場から調整しよう、これは政府が何と政治的に言われようと、経済的に見れば結局そういうことになろうと思う。そこで、問題になってくるのは、池田さんの考え方は、政府の高度成長政策で民間が行き過ぎてしまった、その景気の行き過ぎを調整するのだ、この調整がつけばまた池田さんの考えておられるいわゆる所得倍増計画のベースへ戻ってくるのだ、こういうふうなことだろうと思う。そういうことを前提として実施せられるのだと思います。ところが、私の理解では違ってきていると思う。今までの高度成長政策というのは、これは私が言うまでもなく、あなたは専門家であるからよく御承知の通り、つまり設備投資を中心にした指導力のないもので、それで今行き詰まってきておる。単なる一時的行き過ぎではなくて、根本的に行き詰まってきた。つまり、国内においてはこれによって生産能力が工業を中心にして非常に大きくなってきた。それと同時に市場との関係で非常なアンバランスができおるというところに問題があろうと思う。市場でこれから伸びていくという点は、何といっても、従来のような設備投資を中心にしたいわゆる高度成長政策、これから先どうこの調整過程がおさまろうと、長期的にここに大きな矛盾が出てきている。従って、結論的にいえば、今後とも伸びていく面は、輸出の面なり、あるいは個人消費の面なり、つまり広い意味の政府の財政による消費の拡大、そして市場を拡大する、この三つしかないと思う。ないと思うが、拡大をした生産能力ということから考えてみれば、このいずれもそこに非常な困難があると思います。従って、結論として私申し上げたいのは、池田さんの考えておられるような七・二%、こういうような高度成長政策、つまりその内容は従来は少なくとも設備投資中心です。そういう設備投資というものは今後持続は困難になる、できなくなる。この設備投資がいわゆる工場になり、その工場が中心になって町づくりをやろうというのが、大体において今度の案です。この設備投資中心の高度成長政策というものと、それを裏づけるためのいわゆる新産業都市計画というものであると理解をせざるを得ないのです。その設備投資を今後政府計画ないしは財界の希望のようには伸ばし得ないという客観情勢が出ている限り、設備投資は相当下回らざるを得ない。この事態の内部にはいろいろ矛盾はありますけれども、それはあとで順序を追ってお聞きしますけれども、この新産業都市計画そのものは、一応出発して、そういう前提に立っておるそれと見合ったものとして発展していくということになる。いわゆる先行投資です。多少のでこぼこはありましても、そういう設備投資計画通り高度成長政策でいく。つまり設備投資がいくという前提に立ってそれを裏づけていくためのいわゆる先行投資、こういう考え方はそこに基本的に大きな食い違いが当然出てくると思うんです。これは出てこざるを得ない。この計画そのものにもいろいろの問題はありますけれども、その基本の問題が私は必ず狂ってくると思う。現に私どもの方あたりもそうなんです。たとえば石油コンビナートができるというので、もう三年も四年も一生懸命でいろいろな準備でがたがたやっている。ところが今になってくると、いわゆる石油コンビナートができるかできないかわからない。こういうことになります。まだ金を出しておりませんからいいです。ところが農民その他の連中は、そういうことを三年も前から言われておりますから、農業の計画が立たない。みんな土地が取られるのだということから百姓がでなくなるということで、農業の計画を本気に立てるのがいいのか、農業の再編成をするのがいいのか。どうせ農業がだめになるから、どうしたらいいかわからぬ。町村もそうです。県もそうです。こういう問題が出てきます。予定通りやると、私のところあたりは三千四百億くらいの設備投資が行なわれる計画ですが、これがどう変わってくるかによって、これを含めて都市計画なり何なりが変わってこなければならぬ。計画が立たぬですよ。個々によって非常に違いがあると思うけれども、その間のずれが出ますと計画が過大になってしかもそれは地方財政としては非常な財政負担をした上で、その財政負担は返ってこないということになる。今政府としては、政治的な立場からは池田さんは高度成長政策を続けると言わざるを得ないでしょう。その立場はよくわかります。私どもはそれを肯定するわけではありませんけれども、今の池田さんの立場としては、一応今回のいわゆる景気調整が終われば、普通の成長ベースになれば、当初のようなことをせずに、企画庁が本来立てた例の七・二%なら七・二%を中心にしたものをやっていく。しかもその中心もやはり設備投資が中心です。ところが内外の環境というものは、そういう意味での設備投資を主動力とするいわゆる高度成長政策というものはすっかり行き詰まりだ。そうすると、これはいや応なしに設備投資というものをダウンさせざるを得ないと思うんです。ところがダウンしないという前提でこういう新産業都市計画をやったら、この負担は国としても私は大へんむだなことになるし、ある意味においては、国全体とするれば三重の投資になるわけです。今でもすでに二重投資があり、いわゆる過剰投資が盛んに行なわれている上に持ってきて、今度は社会資本の方でもまたさらに非常な過剰投資、いわゆるむだな投資をせざるを得ないということになるのは必然だと思うのです。そこで、法律基準や何かの適用はいろいろありましょう。ありましょうけれども、内閣として一番考えなければならぬ問題は、特に企画庁として考えなければならぬ問題は、正直に今後の日本の経済の持っていき方——もちろん私は全然これからの経済成長がないと言っているわけじゃありません。もちろんいろいろな要因がありますから、ある程度の成長というものは当然あり得ると思います。それを国としてどういうところに重点を置いてやっていくかということが政策の問題になろうと思うのですが、いずれにしても、その根本の点はもう少し反省してから各省考え方なり何なりの調整にかからないと、非常に変なものになるというふうに思う。その点を心配するわけです。それはなぜかといいますと、それがことし一年だけの問題ではないわけです。あるいは来年一年だけの問題ではなくて、今後一カ所ができ上がるのには少なくとも十年近くかかる。その間の経済の見通し、経済の動向というものを間違ったら、その結果は十年たたないうちに非常に大きなガンになるということは明らかです。私はそういう点において、政府が的確なこれからの見通しを立てることはなかなか困難であろうと思いますけれども、しかし、当面の内閣のいわゆる政治的立場というものにとらわれてこういう問題が扱われておったら、将来において大きな禍根を国全体に残すという観点から、企画庁としてはそういうことをやる役所ですから、政治上のいろいろの立場もありましょう、当面の短期の立場もありましょうけれども、これから後の日本経済の成長率がどうなるのか、そしてそういう場合におきます指導的な役割をするものがどういうものになるのか、従来通り設備投資を中心にしたもの、つまり工場の新設、増設ということが中心になったものでいけるのかいけないのか、こういう点を一度基本的に反省して、それと見合って、過去にできた、たとえば都市におきますこういう工場の過剰集中といいいますか、こういう問題の修正に重点を置いてやるのか、あるいは中小企業その他そういうものに重点を置いた設備投資なり、そういうものに重点を置いてやるのか、あるいは大企業を中心とした従来と同じ式のものをやるのか、そういうものが地域的にどのような配置になった場合において初めて日本のこの高度成長政策によってできた地域的アンバランスの是正に役立つのか、こういう点をもう一度再検討をしつつこの実施を考えなければならぬ段階となってきたように私は思うのであります。こういう点で、長官としてはどういうふうに基本的に御認識を持っておられるのか、これを一つお伺いしたい。
  92. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この数年の高度成長というものが設備投資を中心に行なわれてきたということは、私は御指摘通りだと思います。そしてそれが誤っておったかといえば、私は誤っておったのではないというふうに考えるのであります。消費にいたしましても、あるいは輸出はもとよりでありますが、国の社会投資公共投資すらが実はこの設備投資の上において可能になるわけでありますから、この設備投資が中心になって高度成長してきたということは、私は健全なことであって、少しも間違っていないというふうに考えるのであります。そうして、これから先これほどの激しい設備投資の伸びは一段落するであろうという御見解は、私もそのように考えます。所得倍増の十カ年計画においても、十カ年の当初においては設備投資が中心になっていくであろう。そしてそのことから中期にかかけていわゆる社会投資先行投資というものが現われてきて、最終的な段階ではむしろ国民消費といいますか、社会福祉等の充実によって国民全体の生活水準、消費水準が上がる、そういう姿になっていくのではなかろうかということを言っておるわけでありますが、大まかに見て私はそういうことだと思うのであります。  ただそこで、設備投資がここで一段落をいたしますけれども、これだけの国民経済が持っておるエネルギーが、ここでもうそれからあとは単純再生産になっていくというふうには私は考えないのであります。おそらくその後もこういう急なテンポではないけれども、拡大再生産を続けていくであろう、まあこれは予想の問題になりますが、私はそう考える方がむしろ常識ではないかというふうに思うのであります。そこでそういう非常に飛び抜けて高度でないところの、いわば恒常的な拡大再生産が進行していきますような時点、これはおそらく四年とか五年とか先になるかもしれませんが、そのころには、もういわゆる四大工業地帯というものは、現在でも過密というような状態になっておるわけでありますから、そういう投資を受け入れるだけの余裕がない。勢い、これは好ましいことでありますが、それ以外の適地を探さなければならない。その際に、国がそれまでの間に先行投資をしておけば、企業の側から見ればそういうところへ入りやすいわけでありますし、また地方の側から見れば、それが地方格差の是正ということになる、こういう考え方であります。従って、新産業都市というものは、七つとか、十とか、あるいは十五とか、これから三年先にもう新産業都市として動き出すというふうには私ども考えておりませんので、おそらくは五年とかなんとかくらいまでの間に先行投資がぼつぼいって、そうしてそのころになって拡大再生産に見合うところの新しい設備投資というものがそういうところへ向かっていくであろう、そういうふうに考えておるわけであります。
  93. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 これからの経済の発展の見通しやその要因等の問題はまた別の機会に私は申し上げたいと思うのです。また論議もしたいと思いますが、ただ私が今特に強調しておきたいのは、特にこの計画を立案されるときは、いわゆる池田内閣の高度成長政策なるものをそのまま一つの土台にして、それに見合うところの都市づくりをやっていこうということが基本の構想であったことは間違いないのです。従いまして、それが長期的な目から見ても、短期的な目から見ても、相当大きく今日変更が来ておるときですから、これの実施についてはどこに重点を置くかという点等についてよほど慎重にその点を反省しながらやってもらわぬと、指定を受けたそのときは喜ぶでしょう。そのときは喜ぶでしょうけれども、さてあとで、今すでにどこどこで起きているようにもうだいぶいろいろの、たとえばコンビナートの建設のごときことをやっておっても、予定した企業が来なくなった。従って、県あたりはあちこち借金をしてやったところが、その財政的な行き詰まりがひどくなってきたとか、その財政的なやりくりがなかなか困難になってきたとか、いろいろな事案が、表には出ておりませんけれども、すでに相当出ております。私どもの耳にも入っておる。アンバランスを是正するつもりで始めたものがかえって大きくなる。ですから府県指定等についてもよほどそういうことを慎重にやってもらわぬといかぬということを、私は今特に実施の最初段階ですから、申し上げておきたい。特にその点について政府にお願いをしておきたいのは、この前もいろいろお願いをしたのですが、なかなか資料が出なかった。いよいよ実施段階になって参りましたが、たとえば五井であるとか、鶴崎であるとか、水島であるとか、いろいろな新産業都市指定を受けるべきような要件をほぼ備えておるところ、すでに始めておるところがあるわけです。そういうところの実態の調査をされたはずです。この前これを審議するときには、そういう実態調査の報告をもらいたいと言ったけれども政府としてはまだ調査が十分できておらないということを言われましたので、やむを得ずわれわれは現地の県等からいろいろなことを聞いたり、資料をもらいましたが、いずれも部分的な資料です。これを掘り下げた調査も相当政府としてはされておると私は思いますが、ぜひその資料を一つ出していただきたい。次期国会でこの問題はもう少し掘り下げて検討してみたいと思いますので、お願いしておきたい。  それからこの実施についてでありますが、この前の国会における政府側の答弁では、大体ブロック別に分けて、一つぐらい多ければ、九つか十くらいに最初はしておきたい。まあ実際の措置はそんなふうになるのではないかと思います。そこで問題になる点は、あのときの附帯決議に盛られているわけですが、現実に問題になる事項については、これらの準備はどの程度進められておるのかという点を具体的にお伺いをしたいのです。これは大臣でなくても、事務当局でもけっこうです。
  94. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど北山委員にお答えいたしましたように、新産業都市が来るというので、それが何かあしたとかあさってとか来年というふうに思っておられる地方が多うございますので、要ら、ざる期待なり要らざる失望を与えてはいけないけれども、これは長期にわたっての問題でございますから、そういうような方法で指定をいたします前にその調査をすべきではないか、その際には附帯決議にありますような御趣旨も十分にくんでいたさなければならない、こう思っております。  資料の点は、ただいま整備をいたしてある様子でありますので、でき次第お目にかけたいと思います。  自余は開発局長からお答えいたします。
  95. 大来佐武郎

    ○大来説明員 ただいまの御質問の点でございますが、現在の事務当局といたしましては、まずこの新産業都市指定考え方基準等につきまして、先ほど来御議論もございましたが、いろいろ検討中でございますし、関係各省とも打ち合わせておるわけでございます。附帯決議にございます幾つかの項目につきましても、並行をして進めていくわけでございますが、これはここにもございますように、次期通常国会までにいろいろと御説明できるような段取りで参りたいとただいまやっているところでございます。
  96. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 そう言われると、あと質問ができないわけですが、何とかして次難通常国会までに出しますということですが、この前の説明でも、これは新産業都市建設の基本法であり、従って、ある意味においては宣言法みたいなものだ、実体法については早急に整備して出すということを大臣は言明されておられるわけです。そこでいろいろ問題の点をこの附帯決議に盛り込んだわけです。そこで一番問題になるのは、何といっても、過去これに連関する諸事業の国の補助率では今やれないということです。国の補助率については、今の法案そのままの実情では、たとえば道路一つとったところが、新しくそういうところにできる道路はいずれも今までの建設基準ではだめです。新しい道路をつくる場合には、国道にするなり何なりして、補助基準を上げて、程度を上げていかなければだめだという問題が出てくる。これも運用である程度できる、そういうお話が出ましたけれども、やはりそういう点もある程度現行法の改正がぜひ必要です。これは水道についても、工業用水道なり下水道なり、港湾についてもみな必要です。そういう点については、ただ単なる適用では困る。この点については、実体法の改正をして出せということをこの附帯決議は要求しているわけですから、そういう点の用意ができておるのかどうかという点であります。もう一つは、ここにもあります通り、公社、公団というものの構想についてもいろいろあるわけです。中央にそういうものをつくるのと、あるいは府県にそういうものをつくるのといろいろあります。ありますが、そういうことについて今の法律にははっきりした規定がない。あのままの法律では、これはやっていけない。従って、そういうものについてもはっきりした公団法なり公社法なり、あるいは地方財政法なり、自治法なり、そういうものとの関連法案を改正しなければ、この問題はやっていけない。そういう点についてはこれは次の国会までぜひ一つやってもらいたい。そういう点についてどういうふうに作業が進んでおるのかをある程度お聞きしておきたいと思うわけです。これは事務当局でけっこうです。
  97. 大来佐武郎

    ○大来説明員 ただいまの御趣旨の点は私どもも非常に痛感しておりまして現実工業地帯の造式についていろいろ問題も出てきつつあることは聞いておるわけでございますが、事務当局としましては、ただしまのところはまずどういう考え方でどういう地域指定するかということを中心にしてやっておりまして、この附帯決議にございます個々の問題、特に各種の実体法にも触れるような問題については、この指定基準考えが明らかになりほぼ輪郭が出て参りました段階におきましてさらに掘り下げて関係各省と話を詰めて参りたい。実はただいままでのところは先般の低開発工業地域指定がございました関係上、率直に申しまして、新産業都市関係が少しこの低開発の問題が一応一段落をつけるまでずれて参った事情もございますけれども、現在事務的にはこの問題に全面的に取り組んでおりますので、通常国会までにはただいま御指摘がございましたような御要望にできるだけ沿いたいと考えておるわけでございます。
  98. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 今のような御事情たらやむを得ないわけですが、その実体法が整備しなければ、指定だけしても、受けた方も困ります。ですから、この点ははっきり早急に少なくともそのうちの主要なものについては次の通常国会に実体法の改正案なりあるいは新設としてぜひ出すように一つ作業を進めてもらいたい。大臣いかがですか。そこまでやれますか。
  99. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは現実調査に入りますと、おそらくこういう問題がどんどん出て参りまして、その必要を各省も痛感するようになると思います。調査にどれだけかかりますか、数にもよることでありますが、そういう方向で努力いたしますと申しますよりは、そうならざるを得ないだろうというふうに考えております。
  100. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 どうも今の程度の準備の作業の段階では、それ以上突っ込んだことをお聞きしてもしようがないと思いますから、時間もありませんので、もう一問にいたしておきます。  そこでもう一問だけ重要な点をお伺いいたしておきますが、要するにこれを実施する場合の予算の組み方であります。これを道路は建設省だ、何はあれだといってやったのでは、やる方からいいますとざっくばらんにいりて非常にやりにくい。かといって、また各省からいえば、現実に新産業都市の中の道路をやるのは、これだけは別扱いにするということでは、従来のなわ張り根性からいって困るという問題も必ず出てきておることは私も承知しております。そこで、この予算に連関して特に長官にお伺いをいたしますが、明年度予算には新産業都市の実施のための予算を組まれるのか組まれないのかということが一つ。そうするならば、大体の見当からいうと、各ブロック一つとすれば九つか十一ということになりましょう、その初年度ということになれば、どういうふうなことになるか知りませんけれども、どの程度規模の予算をお考えになっているのかどうかということ。それからそれに連関する実態的な経費の要するにその予算計上の形をどういうふうに今の点でされるかということ。各省所管のものは各省所管のそれぞれの項目のうちに別ワクを設けてやられるのか、あるいは新産都市関係の予算として一括して企画庁でやられるのか、これはこの事業の今後の進め方に非常に大きく影響する問題でありますので、これらの点については少なくとも今予算編成期で企画庁としての考え方はもう大体において統一されていなければならぬ時期だと思うのです。さらにそれを裏づけることについては、来年度は初年度でありますから必ずそこまでいくかどうかわかりませんけれども、たとえばこの中に財政投融資を特別にこれにつける、起債を特別に認めるということをいっております。それからまた同時にもう一つは不均一課税、つまりはっきりいえば減税です。不動産取得税の減税並びに固定資産税の減税という問題が必ず企業間の要求によって出てきます。しかし、これは実は非常に困る問題です。下手にやりますと、不動産取得税もほとんど——これは地方としてはあまり問題になりませんが、特に固定資産税の問題は、御承知の通り最初三年なり何なりやりますと、それでもって減税をしますと、それからあともみんな減価償却をしていますから、三年間あれをしましても、その次になりますと会社側から固定資産税が多くの場合ほとんど永久的にとれないような格好になります。これは今の地方税の、特に固定資産税等の減税等の規定が、たしかこの前出してもらった資料でもほとんどできております。実際にやってみますと、各会社がどんどん減価償却しております。今御承知の通り早目にやるでしょう。そうすると、国税資産税がほとんど取れないということになる。こういう問題で実は各市町村も困り切っているわけです。相当に持ち出しをして無理をして来てもらった。さてやってみて減税の条例をつくって、固定資産税その他減税をしてやったら、それを利用して会社が固定資産の償却をどんどんしておりますから、ほとんど税金をかけることができないという状況になって参っている場合が非常に多いのです。こういう点も考えて、来年度ももし実行するならば、こういう点についての予算措置というものを——幾つ指定をされますかわかりませんけれども、大体の見当はつけて予算に対する方針をすでにお立てにならぬと、これは絵にかいたもちになって、その間に今のように、地方では事情がわかりませんから、みんなおれのところは幾つだ幾つだといって、今のところ見ると、大中を合わせて一つなんていうところはいいところで、下手なところになりますと二つから三つくらい、私の県の中でも二つくらいの申請をするというので、両方で今一生懸命にけんかをしていますよ。ばかな話です。そういうばかな現象ばかりが出てしまって、これがかえってそういう中で毒されてしまう。ですから、少なくとも企画庁としては予算についての方針を早急に明確に立てられることが、私はそういうことにある程度道をつける道になるのじゃないか、こう思うのですが、この点はどうでしょう。
  101. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはまことにごもっともな御指摘だと思います。私もそれで実は非常に気にしておるのでありますが、仕事が多少おくれましてこういう状態でありますので、本格的に新産業都市関係の予算を来年度の予算に組み込むことは、この一、二カ月のおくれで実は困難だろうというふうに率直にそう考えております。調査をいたしますと、その結果指定をいたしますわけでありますが、それが予算の編成期に間に合わないことはもう明らかであります。従いまして、初年度の考え方としては、ある程度のものを企画庁としては調整費に組んでおいてもらいたいというのが一点と、それから予算のしばしば個所づけと申しますが、実行の段階、配分の段階で間に合いますれば、この指定された新産業都市への傾斜を幾らかつけていきたい、これが二点であります。むろん調査費を計上することは問題でございません。そのように考えております。初年度としては、この二、三カ月のおくれが非常に痛うございまして、編成期に間に合えばほんとうによかったと思いますが、残念ながらそれができませんので、そのように処理をしていきたい。  それから本格的に予算に計上されるといたしますと、従って三十九年度になっていくと思いますが、その場合にも、新産業都市分として一括して企画庁に予算をつけるというやり方は適当でないだろう。この指定調査をいたしますときに、各省がほとんど全部財政当局も含めまして作業に入りますので、従って、その結果というものは、予算の編成、査定、配分のときに当然財政当局をも拘束する、関係各省も拘束いたしますから、そういう予算の組み方を将来していったらいいのではなかろうか。地方税の点につきましてももっともでございますから、地方交付税との関係考えて善処しなければならないと考えております。
  102. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それでは、長官のお考えは、予算はたとえば新産業都市分なり地方工業開発分なりというものは、各省のたとえば道路関係の予算の中で別ワクをとっておるわけですか、あるいは港湾関係でもその他でも別ワクをとってやっていくという考えですか、どうなんですか。
  103. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 片方で調整費を活用することによってある程度のことができると思いますけれども、実際この分だけを企画庁の道路計画とか港湾計画というものから取り込むということは、いたずらに煩瑣であって、無理であると思います。幸いにして各省が全部一諸に作業をいたしますから、財政当局なり建設省、運輸省等も当然拘束されますので、そういう形で予算の編成なり実行を通じて傾斜をつけていく、こういう形になるのではなかろうかというふうに私は考えます。
  104. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 その点にも非常に問題はあるわけですね。しかし、二、三カ月おくれて、大体のお話は今ようやっと作業に取りかかったという程度のところのようですね。大体においてそれじゃどうも話になりません。いろいろむずかしい問題ですから、基本の点から十分考えながら、一つ地方がやりいいように、国が直接やるなら別ですが、地方の方は少なくとも県が中心になってやるでしょう、そういうことになればその地方がやりいいように——これは何しろ非常に金がかかる仕事ですから、これが失敗しますと府県の財政なんか大体において吹っ飛んでしまいますよ。  それから、この前のお話でも、一カ所大規模のところとなると、最初政府のお話では、一カ所で総事業費が千五百億はかかるだろう、特定その他の仕事を除いても八百億はかかるだろう、今の補助率でいきますと、少なくとも四百億近くのものが地方負担になります。それをかりに府県で起債でやったにしましても、そういう問題が中心になりまして、府県なり関係市町村がよろめいて、にっちもさっちもいかなくなるような事態が来ることは目に見えております。いろいろ、この前もこの法案をぜひ通すという企画庁のお考えから、私ども、こういうことも将来企画庁あるいは政府全体の善処に待って常識的にうまくやってくれるだろうということで、一応賛成をしたわけであります。ですから、そういうところを私はざっくばらんに言いまして、今の政府関係の中では、そこらの問題がすべて一気に解決をするとは考えておりませんが、少なくとも主管をする企画庁としては、そういう問題の所在というものを、あなたの方は直接地方にタッチしておりませんからよくわからぬ、だから地方のお役人のああだこうだ言うことを聞いておって、何が何だかわからなくなるようなことが多いが、そういうことがないように、重要なところから一つでも二つでもきちっと固めていくようにお願いしてきょうは時間がありませんから、大臣も時間がないようですから、私の質問を終わっておきます。      ————◇—————
  105. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 この際参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。  通商に関する件の調査のため、明三十日、日ソ貿易問題について参考人より意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、人選等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次会は明日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後一時十四分散会