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1962-08-22 第41回国会 衆議院 商工委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年八月二十二日(水曜日)    午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 逢澤  寛君    理事 小川 平二君 理事 岡本  茂君    理事 首藤 新八君 理事 白浜 仁吉君    理事 中村 武人君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君       浦野 幸男君    岡崎 英城君       藏内 修治君    小平 久雄君       齋藤 憲三君    始関 伊平君       田中 榮一君    南  好雄君     早稻田柳右エ門君    岡田 利春君       北山 愛郎君    久保田 豊君       小林 ちづ君    多賀谷真稔君       中嶋 英夫君    中村 重光君       西村 力弥君    伊藤卯四郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  小沼  亨君         経済企画政務次         官       舘林三喜男君         通商産業政務次         官       廣瀬 正雄君         通商産業事務官         (通商局長)  松村 敬一君  委員外出席者         通商産業事務官         (企業局次長) 高島 節男君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川出 千速君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済総合計画に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。板川正吾君。
  3. 板川正吾

    板川委員 私は、昨日当委員会におきまして、通産大臣及び経済企画庁長官所信表明がございましたので、それに関連して四点ほど一つ伺いたいと思うのであります。  まず第一は、この両大臣所信表明の中で、産業秩序を確立する、こういうことを両大臣とも言われておるのであります。この産業秩序問題について一つ伺ってみたい、こう思います。  通産大臣諮問機関である産業構造調査会、とこで新産業秩序はどらあるべきかということを議論しておるということが、新聞等で報道されております。また財界等でも自由化を前にしまして、EEC対策としましても、新しい産業秩序というものを求めておる、こういうことが宣伝をされておる。そこで一つまず伺いたいのでありますが、新産業秩序というのを通産大臣及び経済企画庁長官はどういう方向をお考えになっておられるのか。もちろんまだ最終結論は出ないと言うかもしれませんが、とにかく中間段階結論なりは出てきておると思うので、新産業秩序方向というものを一つ御説明願いたいと思います。
  4. 福田一

    福田国務大臣 お答えを申し上げます。実は、新産業秩序という言葉が通常用いられておりますが、まあその明確な定義といいますか、そういうものというものは私はまだここにできておらない、こう思うのであります。ただ、しかしながら、御承知のように、経済というものは生きものでございますから、そのときその場合に適合した施策をやっていかなければいけない。今日の状況から見ますというと、自由化の問題といい、EECの誕生といい、いろいろのこの場合に処して考えなければならない問題がある。そこでしからばそういうような問題をどういう観点から取り上げてみるかということになれば、もちろん生産関係という面から一つこれを考えてみなければいけません。それから同時にまた生産だけではなくて、これをキャリーするといいますか、何といいますか、みなに分けていく、いわゆる組織、こういう面ももちろん一つの新しい考え方を持たなければいかぬ。同時にやはりあわせて消費者問題等考えねばいけないし、労働者、いわゆるこれに従事しておる労務者の問題も十分これは考えなければいけない。こういう四つ研究すべき課題があるのでありますが、いずれにいたしましても、今日の段階において、今の産業をこういう面から見直してみますと、どうも少し二重投資をしておる傾向がある、あるいはまた過当競争をいたしまして、小さな企業が乱立しで、むやみに競争しておるというような事態があったり、いろいろここにわれわれとして考えなければならない問題がある。特に終戦直後におきましては、国内中心にして、占領下時代でもございましたが、産業というものを国内中心にして考えておった。海外との競争その他においてはいろいろそも大きな問題もなかった時代もあったのでありますが、今日になってきますと、どうしても自由化には踏み切らなければいかぬということになると、これは国内の問題だけではなくて、やはり国際的な視野に立って日本産業をもう一ペん見直してみる、こういう必要が現われてきておると思うのでありまして、こういう点から考えてみて、こういうような情勢に対してどういうやり方をしたらいいだろうか、通産省のいわゆる産業育成立場から見てどういう考え方をしたらいいか、また産業自体もどらあってもらいたいかというようなことをいろいろ研究をしておるというのが今日の段階でございまして、これはもう板川さんはむしろ専門家でいられるので、よくわかっておいでになることと思うのでありますが、われわれとしてはそういう認識のもとに立って実は今大いに研究をいたしておる、こういう段階でございます。
  5. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今通産大臣答弁をされた通りであると考えますが、通産大臣が今答弁されました四つか五つのレベルにおいて、平面においてものを考えなければならないと言われたのはその通りだと思います。そのうちでごく簡単にしょっちゅう言われるところの企業という面だけで考えてみましても、新産業秩序という最近言われ出した言葉観念には、ややなお整理すべきものがあるというふうに考えておるわけであります。たとえば、一方では国内にいわゆる過剰投資がある、あるいはシェア拡大競争があるといったようなことから、各企業の間の投資というものが必ずしも経済的に行なわれておらない。あるいは非常に長期の採算に乗って行なわれておるために、短期的にはおのおの採算割れがしておるといったような、そういう意味での各企業間の調整と申しますか、その間のできるものならば何らかの調整が生まれることが、本来国民経済全体としては望ましいであろうと思われます。そういう方向といいますか、問題点一つございます。  他方には、国際的な観点から見ましたときに、EECその他、あるいは米国との対比においてもそうでありますが、日本企業全体が非常に小さな基盤の上に立っておる。従って、海外競争力において必ずしも有利な立場に立てない場合が多い。そういう意味国民経済全体としての対外的な観点からの秩序の再確立というものが必要ではないか。この二つの問題は必ずしも同じ方向を指向してはおりません。同じ方向を指向した解決の方法は理論的にはあると思いますけれども、現実には同一の方向を指向しておりませんので、そこでそういう企業平面だけを見ましても、新産業秩序という考え方は、なお観念整理をする必要があるというふうに考えております。
  6. 板川正吾

    板川委員 経済企画庁長官の方がやや具体的な答弁ですね。通産大臣は自分のところの産業構造調査会いろいろ案を出し、通産省企業局中心になっていわゆる新産業秩序と言われているもり、協調方式というようなものを出して、こういう方向で今後の産業秩序一つ作っていこうという考え方はどうであろうかということを打ち出しているのじゃないでしょうか。その協調方式に対する考え方は、通産大臣のところの諮問機関である産業構造調査会でも、いろいろ討議をされて、中間報告もされておる。また通産省ではこの方式について各方面に意見を求めておる、こういう形じゃないでしょうか。ですから私はこの新産業秩序と言われる協調方式というものに対して焦点をしぼっていただきたいと思うのです。まだ実は検討中であってというようなことで逃げないで、天下に明らかになっておるのですから、通産大臣、これを御存じにならないということはないのですから、一つこの協調方式について焦点をしぼって質問をしますから、お答え願いたいと思うのであります。佐橋局長は、協調方式への批判に答えるということで、七月三十日の朝日新聞に、局長として署名入りで述べて、協調方式をとっておる。この協調方式というのは、私もこの前次官にもちょっと申し上げたのですが、非常に問題点があろうと思うのです。しかし、私一人でこの協調方式を勝手に理解してもいけませんから、通産大臣なり、企業局長おりますか、責任者から一つ――通産大臣答弁すべきだと思うのですが、協調方式という考え方をここで明らかにしてもらいたい。それについて質問をいたします。
  7. 福田一

    福田国務大臣 お説の通り、ただいま審議会においていろいろ研究をいたしておる。その場合に、通産省の一応こういうふうな考え方もありますがということは出しておると思いますが、これが正しいと思いますから、これにのっとってやっていただきたいということは、私は申し上げておらぬと思っております。ただいまの佐橋局長朝日新聞における問題は、私実は今初めてあなたからお伺いしたので、これについては次長が来ておりますから、次長からお答えをさしていただきます。
  8. 高島節男

    高島説明員 佐橋局長はきょうちょうどゼミナールの講演のために箱根へ参っておりまして、先生の御質問お答えできないのは残念であると言いおいて参りました。私から失礼でございますが、かわってお答えいたします。  ただいま大臣から話がございましたように、産業構造調査会の中に産業体制部会というのが設けられております。この体制部会問題点といたしましたことは、自由化が迫り、ヨーロッパの企業EECの統合で非常に強力なものになってきて、日本国際競争力というものがいろいろな観点から非常にシビアな条件に迫られておる。これをどう乗り切っていくかということのテーマの一つといたしまして、よく言われますことでありますが、日本企業規模が小さい、あるいは過当競争が行なわれている、そういった条件下にある点をこの機会にいかにしたら直していけるか、こういった建前で問題を提起いたしたわけでございます。その際に一つ問題になって参りましたのが、確かにこのままじゃだめだ、官も民もともにしっかりやらなければいかぬというような一般的なムードはありますが、そのとき一体、全体として経済界は、いわゆるよくいわれております自主調整と申しますか、民間話し合いだけでこれを乗り切っていくという体制がいいのか、あるいはそこに統制と申しますか規制と申しますか、法律等を設けまして、許認可等の力づくといいますか、行政権力でやっていったらいいのか、そういう意味方法論の対立はあったと思います。それで、それに対しまして、企業局として一案として申しましたのが、今の朝日新聞でございませんで日本経済に出ておりましたかと思いますが、しばしばほかの場でも一応フリーなディスカッションの材料にしておりますが、官僚統制的なやり方、これも非常にぎごちないやり方である、片方また民間自主調整だけにまかしていくということでは、現在の実態がそれに乗り切れていないし、また関連産業消費者の利益とかいった公共の立場からの問題を処理するのに十分じゃない。従って、ここにやはり三者協調方式といいますか、両者の間での協調話し合いの場を持っていくというような考え方一つあってしかるべきじゃなかろうか、こういう点に話が参りまして、これをほかの方で協調方式というような定義をつけられまして、今日流布されておると思います。  それに対する反響でございますが、現在まだ体制部会がちょっと夏休み状態に入っております。秋口に何か中間的な報告を出そうかという情勢なので、何とも申せませんが、概して言えますことは、日本経済が単なる自由競争で今後やっていけばそれでよいのだという感じではない、何らかそこに自主的なり国家の意思なりの規律を要するものであろう、しかし、その方法論としてはやはりこういった協調方式というようなやり方、中途半端かもしれないけれども、そういう方法一案ではなかろうかというような御意見が比較的多いように見受けられておる段階でございます。なお今後部会において詰めて参る過程にございます。
  9. 板川正吾

    板川委員 協調方式通産省ではどうかということで意見を聞いておるのですね。通産省としては、協調方式というものが新しい産業秩序方向としてはいいのではないか、しかし、まだきまったわけじゃないから、いろいろと意見があれば承りたいという形であろうと思うのです。そこで、その協調方式がなぜ必要かということは、今あなたが言われたように、日本企業国際競争力というのが非常に弱い、弱い原因は企業規模の小ささにあるのじゃないか、だからこれをなるべく集中合併方向へ導いて、そして国際競争力をつけたらどうか、しかし、それを強制的にやり、あるいは官僚統制といわれては工合が悪いから、三者が協調して話し合いの場を持つ、しかし、政府は権力的な背景を持たない、無権力的な立場話し合いの場へ顔を出していろいろと行政面的な指導をする、こういう方向で新しい産業秩序方向を打ち出したい、こういうことであろうと思うのです。  そこで、協調方式についてわれわれ非常に疑問に思っておることは、またこれが危険だと思うことは、協調方式が、中小企業零細企業の中でそういう方式をとられて、そうして中小企業協同組合化なりあるいは合併なりが促進をして、そうして大企業との経済競争力を持つ、こういう形の行き方ならば、われわれわからぬでもない。しかし、通産省考えておる方向というものは、問題のある産業ということでもいいのですが、その産業別にそのトップ・グループじゃないですか。それに参加するのは産業別のいわゆる大手業者、これが通産省金融業者との中へ入って、新しい産業過当競争あるいは二重投資を避けたり、企業規模をなるべく合併なり集中なりをして大きくしていこう、こういう形をとろうとしているのじゃないですか。私の理解が間違いならば言ってもらいたいのですが、この大企業中心に新しい産業秩序を打ち立てるというのは、結局これはわれわれの方からいえば、独占を強化する行き方になると思う。そういう協調の場というところに私どもは問題があると思う。たとえばどういう問題があるかといちと、ある問題のある中産業協調方式をとり、協調会議を設けた、政府通産省企業局長ですか、あるいは相当大きな銀行の――銀行業界の代表ということにしましょうか、それからその事業者、それで、政府が今のように設備投資を制限するというときならば多少そういう傾向もいいのですが、そこへ入ってきた政府が、経済は成長するほどいいのだ、経済のことは政府にまかせろ、ちっとも心配ない、こういう池田さんのような議論を吐いたとしますね。そうすると、その協調会議結論が、設備拡大することはいいのだということで、どんどん設備拡大していった、しかし、その結果、国際収支が悪化して、引き締め政策が行なわれる。そういう企業が不況に直面して大きなマイナスを来たした場合に、その企業責任は一体だれが負うんですか。そういう方式でやった場合に、だれが責任を負うかということが私は問題だろうと思う。そのときに、企業者側からいえば、いや政府心配ない、どんどんやれと言うので、協調会議方向でわれわれはやりました、重役会にはそう報告するに違いない。だから責任政府のそういったところに問題があるんだ。しかし、一般の株主なりあるいはそこで働く労働者は、そういう形で見通しを誤った場合に、一体どこにその責任を持っていっていいかわからない。社会もこれに対してどういう責任を追及していいかわからないんじゃないですか。だから、そういう点、協調方式を立案されている通産省側としては、どういうお考えを持っておられるかということを聞きたい。
  10. 高島節男

    高島説明員 立案者としての意見として申し上げますと、ただいま御指摘がありましたように、経済の将来の拡大、これが強気なのか弱気なのか、倍増計画でいいます。二%程度のテンポなのか、現にもっと高くて問題を起こした経験を持っておりますが、それがどの辺なのか、そこいらの点が民間の方の大企業中小企業全部集まりまして、その中で討議いたしましても、全体の行きどころというものは、具体的に非常につかみにくい。倍増計画といたしましても、なかなかそういうものがつかまえられておりません。従って、暗中模索の状態でありますことと、やはり他人より一歩といえども負けたくない、いわゆるシェア拡大の意識というものが非常に強いので、設備投資拡大は単に成長率を高く政府が言ったからということだけでなく、やむにやまれずある程度大きく拡大されていくというような形で今日の設備投資競争国際収支へはね返ってきたという面があると思います。政府の方からいいますと、責任のがれをするような気持で言いましたら、自由に勝手に見通しを立ててやっていけばいいんじゃないかということも一つ態度でございますが、それはもう過去においてつ失敗を繰り返してきたということではないか。そういたしますと、政府計画といいますのも、これもなかなかむずかしゅうございます。人によって一人一説でありまして、強気説もありますし、弱気説もございますし、そのときの材料から見られる大体の見当というようなものも一応の参考にはなって参りますので、そういう点を協調会議の場で披瀝していくというようなことは、やはり政府として指導上のとるべき一つ態度ではなかろうかということが一つでございます。  それから企業のスケールといたしましては、やはり現在自由化が迫って参りまして、企業のユニットというものを昔は輸入制限のもとでやっておりましたから、国内マーケットがあればそれで十分まかないがついていくし、小さい規模コストの高いものでもやれたのでありますが、今後は国際的な分野で競争をする、国内マーケットに攻め込んでも来られる、また海外でも大いに輸出を伸ばしていかなければならぬという形がございますので、やはり企業規模としても国際的な観点からこれを考えていかなければならぬ、そういう気持がございまして、一定の規模よりも小さいものが乱立する、あるいはいわゆる多品種少量生産といいますか、めいめいがこまごまとそれぞれ品物をつくっているというような態勢をある程度整備していかなければならぬ。こういうために政府がそこへ入りまして、ある程度相談に応じていく。そしてみんなで相談ずくスタンダードがきまって、そのスタンダードに合うようなものに近づけるように指導していくということは、今日の経済の実情からいって必要ではなかろうか、こういう気持でああいう形を考えているわけでございます。
  11. 板川正吾

    板川委員 考え方はわかったのです。たださっき言ったように、協調会議でいろいろ議論をする。たとえば集中合併方向へ行けば、税制面金融面政府は援助する、こういうことも考えておられると言っていますね。ですから無権力的な立場といったって、そういったって政府発言力というものが一番ものをいうことは事実です。ですから、政府のそういう発言力指導的な役割を果たして、そうして池田さんの二年前の経済見通しのように、とにかく設備拡大はできるだけした方がいいのだ、経済のことは心配ないのだ、こういう方式で行って失敗した場合に、責任をだれがどこで負うのですかということなんです。政府は負うのですかということ、その場合に政府は全然負わないのですか。ただ道徳的な非難、見通しを誤りました、失敗しましたという程度だけでいいのですか。それともその場合に政府責任の一端を負担して、それに対する救済措置なり何かを立てるというようなことまで考えるのですか。失敗した場合――成功した場合はいいとしましょう、失敗した場合に、だれがどこで責任を負うかということが聞きたいのです。
  12. 高島節男

    高島説明員 失敗しました場合、失敗せぬようにやるつもりでございますが、失敗した場合という前提でお答えしますと、あくまでも経済建前私企業の自由な活動を中心にした自由経済という、自由競争中心にしました根本思想は捨てないつもりでございます。従って、政府が中に入って参ります場合にも、たとえば五万トンくらいのプラントがぞろぞろできそうなときに十万トンでやろうという方向に行けば、それにあるいは財政資金を与えよう、あるいは税制上の恩典を与えよう、こういうスタンダードは出しますけれども、あくまでも五万トンでやるのだというやつをやめろと言う権能は持たない。従って、その場合の私企業判断で、政府はあんなことを言っているけれども、外国の企業だって賃金が高くなってコストが上がるのだから、五万トンでけっこうやれる、わしは五万トンでやるのだということでやりました場合には財政資金はつかない、あるいは税制上の特典は来ないということに相なりましょうけれども、その自由を束縛するといいますか、それをどうしようというようなことはないわけです。従って、最後の責任判断というのは、あくまでも民間企業の自由に即応しておりますから、万一政府がその席において言いましたこと、それにはずれた結果が出てきたとしましても、道義的な責任はございますが、企業の経営それ自身に立ち入った意味で直接責任をとるという態勢にはいたさぬつもりであります。
  13. 板川正吾

    板川委員 結論として、責任政府はとらぬということのようですから、それはそれでわかりましたが、あなたの今の議論はおかしいですよ。政府が十万トンのプラントの方がいいだろうと言う、その場合には税制金融恩典は与えましょう、こういうことを言った。しかし、五万トンでもやれるといったからやってみた。それは自由だ。その場合はそれでいいのです。ただ政府が言ったように、十万トンなら十万トンという規模でやった場合に、それに失敗した場合は政府は全然責任を感じないのかということなんです。感じたならばどういう責任を持つのかということを聞いているのです。政府の言った通りにした、それで失敗した場合にはどういうことなんですか。言った通りやらなくてもいいという自由、企業の自由は保障されているのかということを聞いているのじゃない。その点どうなんですか。   〔「長官答弁」と呼ぶ者あり〕
  14. 高島節男

    高島説明員 まだ私らの机上の素案で意見を披瀝いたしましたことについてお答えしておりますので、私でかんべんしていただきたいと思います。  まあその場合、私らの考えといたしましては、十万トンのプラントでやっていきました場合の政府道義的責任というものは、これは十分にあると思います。ただそれをいかなる形でとるかということについては、正直なところ、まだ全然研究しておりませんというか、詰めておりません。
  15. 板川正吾

    板川委員 私は、産業秩序というものがどうあるべきかということを考えるならば、産業秩序法というのは独禁法であろうと思う。これは日本経済憲法といわれているように、独禁法がいわゆる産業秩序法といわれているものであろう、こう思うのです。産業秩序考える場合に、これは通産省が原案を立てて持ち回るというよりも、指導的な役割を果たすというよりも、本来ならば公取の方でそういう考え方指導的な立場から研究されるというのが筋道じゃないかと思う。そして通産省と協議をするということが、実はほんとうじゃないか。そうでないと、通産省は、御承知のように、企業立場を代表する行政官庁ですが、ダンプカーの運転手交通整理の案を出せ、こういうような形を出した場合には、ダンプカーという巨大資本なり独占資本なりが、自分の都合のいい産業秩序というのを考えてしまうのではないか。もちろんダンプカーをどんどん動かせば、建設がそれだけ大いに進むのだから、国の経済の発展に寄与するじゃないかというへ理屈もつかぬでもないのですが、産業秩序というものを真剣に考えるならば、通産省よりも公取が中心になってこの案を考える。場合によっては経済企画庁ということもあるかもしれませんが、とにかく産業側の代表と言われる通産省でないところで産業秩序というのを検討されるというのが筋道じゃないか、私はこう思うのです。これに対して両大臣及び公取の見解を伺いたい。
  16. 福田一

    福田国務大臣 お説のような考え方もあるいはあり得るかと思いますけれども、われわれといたしましては、やはり産業の育成に当たっておる通産省が一応原案を出すのが当然だ。今御説明にもございましたが、運転手さんのあれをというお話もあったけれども、やはりこれは警視庁の方で、取り締まりの方でどういうふうにしたらいいだろうかという案を出しても、あえてそれは差しつかえないのじゃないか、こう考えておるのであります。
  17. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今の段階における結論は、通産大臣答弁されたのと同じことだと思います。  そこで、先ほど多少観念整理が必要であるということを申し上げましたが、通産大臣の言われた四つなり五つなりの平面において、新産業秩序考えるということになりますれば、企業とその下請、あるいは独立しての中小企業、ここまでは確かに通産省の関係であると思います。しかし、労務が入って参りますと、労働省の関係がございましょうし、消費者立場ということになれば、多少経済企画庁もまたそこで入ってくる。輸出入の面から見た場合には、概して通産省の所管になる。そういうわけで、秩序という観念がどういうふうに発展するかによって、それはいろいろな役所が関係をするでありましょう。主として消費者立場から、公取の関係する面もございましょう。しかし、現在の段階において指摘された程度産業秩序ということであれば、やはり通産省の所管でまず企業中心としてお考えになるということであろうと思います。
  18. 小沼亨

    ○小沼政府委員 公取としましては、いわゆる産業育成の官庁でございませんで、どこまでも私企業自由競争建前として、それを守っていくという関係にございますので、産業秩序をどうするかという問題につきましては、公正取引委員会がイニシアチブをとってやるべき問題でない。ただ通産省でやっておられます体制部会でいろいろ産業体制独禁法の関係が出て参りますので、その関係の限りでは、いろいろ通産省意見を申し上げておるということでございます。
  19. 板川正吾

    板川委員 まあ、公取としては、とても今の人員、権能等では、こういう産業秩序のような問題にとり組むわけにはいかないでしょう。しかし、本来からいえば、公取が主導権を握って産業秩序というものを考えるというのが筋道だと思うのです。これは私の意見ですから、それはそれとしておきましょう。  産業秩序考えた場合に、私はさっき宮澤長官も言われましたように、公的な、公共事業的なものと私企業的なものとが日本産業ではお互いに入り乱れておる。たとえば、公共的な事業である鉄道が、私的な事業である観光事業あるいは旅館、ホテルその他もろもろな私的事業を兼業しておるというふうなこと、あるいは非常に公共性の強く要求されておる電力等が、これまた私企業的な原則の上にある。こういうところに私は今の産業秩序の面からいって、どうもすっきりしないものがあると思う。本来ならば、産業秩序というのは、これは社会党の考える社会主義社会であればまた別ですが、今の自由主義経済の中で考えた場合に、公共性を持つ部門、ここには私はもっと政府の意思なり、国民の意思というものを政府を通じて出して、公共的な事業を規制するということは当然であろうと思う。これはもっと強くなっていいと思う。そういう意味でこの公共事業部門における二重投資あるいは不要な競争、こういうことを避ける意味においても、政府干渉というものがもっと強化されてもいいのではないか。しかし、私的な企業、ここにはいわゆる自由経済の原則というものをやはりきびしく行なっていくべきじゃないか。しかし、これは経済の民主化を原則としての話でありまして、自由経済で大資本がどんどん強くなっていいという意味ではないのです。結局、公共的な事業の面には社会主義的な要素をもっと取り入れてよろしい。そういう場合には計画性を持つことになる。従って、政府の干渉も強くなり、政府のこれに対するいろいろな援助も当然それに結びついてくる。しかし、他の一般の企業になりますと、これは自由経済の原則の中で、いわゆる独禁法の精神なりを保ち、そうして競争の中で国際競争力なりをつくっていく、そこへ政府があまり干渉をするということは、新しい産業秩序方向としてあるべきでない。ところが政府協調方式というのは、この私的な面と公共的な面と混同しておって、そこで両方へ政府の干渉を持ち込もう、こういう形をとろうとしておる。だから責任がはっきりしなかったり、とらないと言っておるけれども、とらないのでは、これは企業だってあまり大して魅力がないということになるでしょう。だから、いわゆる混合経済といわれるように、公共的な面に社会主義的要素を入れる、私企業的なものは資本主義的ないいところを牛かす、こういう形の中に新しい産業秩序方向というものがあるべきではないか。ところが日本はそうじゃなくて、電力、私鉄等に見られるように、公共的な面で私企業的な要素があり、私企業にまた公共的な要素を要求するという形で入り乱れておるところに産業秩序の非常にめんどうくさいといいましょうか、やりづらい点があるぜろうと思うのです。ですから、政府のいう協調方式というのは、そういう意味では決して新しい産業秩序ではない。これはいわゆる池田総理も言っておりますように、官僚が新手の若手財界と結びついた統制経済への復帰だ、こういうことを池田総理でさえ言っておるのですから、そういう統制のにおいがどうも強くなる。しかも協調会議では、カルテルは自由だ、これは独禁法なんかどっかへやっちゃへというような形になってしまう。独禁法は全く有名無実化しておる。そうしてお互いにカルテルを好きほうだい結んで、経済が硬直状態になった場合に、この責任政府は負わないという。それじゃ国民が困る。そういう建前からいいましても、産業秩序としては、政府協調方式というのはこれは問題があると思う。そういう方向でなくて、いわゆる社会主義的な計画経済的なものを公共部門に大いに取り入れ、私企業の面は私企業のよさを生かして競争さして、そして競争の中から国際競争力を養わさせる、こういう形にあるべきじゃないでしょうか。政府が中に入って合併集中をあっせんしていくというやり方は、私は戦時中の企業合同と非常に共通しているものがあって、これは決していい秩序方向じゃないと思うのですが、いかがですか。
  20. 福田一

    福田国務大臣 お説の通り公共性の関係部門についてはもっと政府が介入してもいいんじゃ、ないか、それから般の私企業についてはもっと自由にやらしたらいいじゃないかというお考えについては、原則としてわれわれは反対はいたしておりません。そういう考えでおるわけであります。しかし、同じ私企業の面におきましても、御承知のように、戦後と今日とでは事情がずいぶん変わってきておることは、板川さんもおわかりを願っておると思うのであります。そういうようなときに単に自由な競争だけをさしておいた場合に、今たとえば自由化なら自由化をやった場合に、はたしてそれがみんな、国内だけの競争ならいいけれども、国際的な競争に耐え得るだろうか、その部門の産業が参ってしまう、あるいは失業者が続出してしまうということになると、ある意味での社会問題が出てくる。一方において、そういうふうにしてその産業日本で外国資本が独占をしてしまうというような形になってしまうと、今度は値をつり上げて消費者に高いものを買わせるというような場合が今までしばしばあったことも御承知だと思います。こういう面を勘案してみますと、やはり国際的な競争が起こる、そういう段階に来ておる時代においては、やはりそこに何らかの、大体こういう規模にしたら対抗できるのじゃないかという考え方を、官といい民といい、みんな寄ってよく相談をして、決して官がイニシアチブをとるという考えでなくて、みんなで意見を持ち寄って、そして、こうだなという結論をその産業界全体の人によくわかってもらって、そして産業自体が生き抜いていくことができるようにすることが、やはり日本経済をうまく育てていくことになるし、また日本の国民生活を守っていくことに相通ずるのではないか、こういう考え方を持っておるわけでございます。
  21. 板川正吾

    板川委員 通産大臣考え方は、これは財界が多年独禁法の改正を要望している、その宣伝にまるっきり乗っている形ですね。これはわれわれ振り返ってみましても、昭和三十二年輸出が非常に不振で、不況のときに、過当競争をなくすということで岸内閣が独禁法の改正案を出した。当時は実際中小企業における過当競争は非常に目に余るものがあった。それに便乗して独禁法をずっと改正しようとした。幸いにしてわれわれの反対でそれを通すことはできなかった。その次は、今度は貿易の自由化、これもごもっともな理由ですよ。貿易の自由化をするための態勢を整えるためにという意味もあって、独禁法を改正しようという案を出した。今回はEECの中で企業合併集中が盛んに行なわれておる、それに対抗して国際競争力を持つためには企業合併集中というのを行なわなくちゃいけない、企業合併集中をするためには独禁法がじゃまだ、これを改正する必要があると言う。その時代々々にみんなそれぞれの理屈、まことしやかな理由をつけているが、根本は独禁法を改悪しようという考え方です。ところが最近は、この独禁法の改正はどうも表向き工合が悪い、社会党その他の反対でとてもめんどうだから、独禁法は旧道としてそのままにしておいて、その裏にりっぱなバイパス道路をつくって、そこをどんどん通して、そうして独禁法という旧道はたまにげたばきのはなお屋さんが通り、それが違反したなどということでつかまる程度にして、財界の大きい産業は全部裏の新しい優秀なバイパス線を通っていこう、こういう形を通産省はとろう、こういうことを言っておるのですね。これは通産省を代表した意見ではないけれども、両角という企業課長がそういったようなことを言っておる。その方向として新産業秩序をうたっておるのです。その方向として協調方式をとろうとしておる。企業集中する、あるいは合併して、自分の判断競争力を持つということは、これは独禁法禁止していない。それが私的独占の弊害をもたらした場合に、独禁法ではいかぬというのです。合併によって私的な独占の弊害が出れば、それは独禁法十五条でいかぬということになりますけれども、しかし、合併そのものは、私的な独占の弊害がない限りは、独禁法では許可することになっておる。とにかく独禁法を改悪したい、そのためにはどういう方法がいいか、正面から独禁法という道路を広げるのは大へんだから、バイパス路線をつくろう、そのために今協調方式考えているというのが、財界なりあるいは通産省考え方じゃないだろうか。そういう意味通産省産業秩序議論するということは、ダンプカーが交通法規をつくるのと同じである。だからそこに問題があると私は言いたいのです。そういう意味で今の競争力を養うために合併するといいうことはいいととじゃない。たとえば中小企業等の輸出業者が同じ地域に二十も三十もあって競争する、一個一ドルで売れたものを九十五セント、九十セント、八十セント、こういうふうに競争することに弊害がある、だからそういう意味で乱立している中小企業をある程度自主的に、強制ではなく企業集中なり合併していくという方向は、われわれ反対ではありません。それが共同化の趣旨に沿ってそういう企業が大きくなっていくことに反対はしませんし、独禁法だってこれは反対するものではないですね。ところがそういうような必要があるということを言いながら、実際通産省考えておる協調方式というものは、そういう中小企業じゃないのですよ。トップ・メーカーですよ。十人か十二、三人か知りませんが、集まって、こういう人たちが企業合併、合同をし、そうしてお互いに競争をなくしていこう、それで国際競争力を養うということは、まあ練習はお互に苦しいからあまり競争しないで、オリンピックでは優勝しようというようなものではないですか。国内競争はお互いに協定して競争しない、競争力を養わない、そして国際競争力――オリンピックに行ったら勝とうというのはちょっと虫がいいのではないですか。だからこの大企業中心企業集中合併をして、しかもあらゆるカルテルを縦横に結んでいこうという新しい産業秩序という方向は、これは私は問題がある、こういうことを言うのです。両大臣所信表明に毛簡単に立業秩序産業秩序というのですが、新しい産業秩序方向というのが、どうも大企業集中競争排除という形にあるのじゃないか、これは問題だということを私は強調しておるのですが、この点について両大臣の見解を促いたい。
  22. 福田一

    福田国務大臣 いろいろの御説明よく承りましたが、私たちとしては今上なたのおっしゃったように、中小企業の分についてはいいのだ、大企業は全部そういうふうにカルテル化していくのだというような考え方は、関係の当局においてもそういう考え方を持ってあらゆる新秩序というものを考えて去るとは思っておりません。また私自身、責任者としてそういう考えは毛頭持っておりません。私は、ただいまお話がございましたけれども、独禁法を今改正しよう、独禁法改正ができないなら一つバイパスの方を大きくしてしまって、そっちにみんな通せばいいじゃないかという考えも持っておりません。独禁法は依然として私たちとしては尊重すべき一つの大原則である、こう思っております。しかし、法律というものは、やはりそのとき、その場所によりまして、幾分の解釈の変化が生じておることは、これはあなたもお認め願えると思うのでありまして、今日自由化とかEECの問題とかいうようなことが出てきた場合に、これをあまり厳重にやっていくことが、はたして日本産業全体――産業全体という意味中小企業も含めた意味でございまして、決して大企業だけを言っておるのではございませんが、そういうものも含めた日本産業というものをいわゆる規制していくに適当な方法であるかどうかということになると、これはやはり部門々々の産業によっていろいろあります。これでやっていけるところもあるでしょう。やっていけない非常にむずかしいところもあるでしょう。そういうようなところについては、一つ今言ったような協調的な考え方で処理をやっていく。もちろん大企業だけで中小企業がないところならば、それはそれだけで済みます。その場合に、中小企業もあった場合は、中小企業も含めた意味でやはり今言ったような協調的な考え方でものを処理していくようにする。これは一応そうしたらどうかということで今御意見を承っておるという段階でございますので、そのように御了承を願いたいと思います。
  23. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほどのお尋ねとあわせてお答え申し上げたいと思いますが、いわゆる公益事業の分野で国がもう少し介入をすべきじゃないかということについては、そのように考えます。ことに総理大臣所信表明をいたしましたように、資本費の増加がある。先ほど御指摘の私鉄でありますとか、あるいは東北電力でありますとかいう毛のについては、できるだけ国が何らかのことをして、最終消費者の負担を軽くするということが必要だと考えます。おっしゃる通りであります。  それから、後段におっしゃいました私企業においては原則として自由であるべきである、それもその通り考えるのであります。問題はその両者の間に接点に属するものが幾つかあると思います。たとえば鉄とか石炭とかいうものでありますが、たとえば石炭鉱業については現在すでに国会そのものが、政府として何らかのことをすべきであるという要請をしておられるくらいでありますから、これは公益的な事業とは申せませんけれども、やはりそこに若干そういう問題を含んでおる。その接点の石炭とか鉄とかいうものについては、当然本来の問題があると思うのであります。  それから、ただいまのお尋ねでありますが、そういう設備投資の競合あるいは過大投資ということから、やはり民間企業の間に一つの反省が起こっておる。そうして将来設備投資調整しようではないか。このこと自身が本来からいえば、独禁法の精神を非常にきびしく考えれば、そういう相談というものは適当でないと言えるのかもしれませんけれども、現実の問題として、そういう調整の過程において政府意見を聞きたい、政府はどう考えるか、将来の見通しはどうかといったような程度のこと、これは現実の問題として私は国民経済全体として見て、消費者立場もあわせまして差しつかえないのじゃないか、こう考えております。
  24. 板川正吾

    板川委員 公共的な事業の分野をどこで線を引くかということがその国の社会化のバロメーターになる、そういう形になっておるのですね。だから私は今電力、私鉄を言いましたけれども、ヨーロッパの実例からいえば、鉄鋼も石炭も当然公共性を持つ事業の分野に入っておるようであります。しかし、公共性を持つ分野の幅が大きいほど、その国が社会化しておるということになっておるのが今の実態だろうと思います。この問題はまた一つお互いに勉強して、次の機会に議論してみたいと思うのです。  そこで一つだけ公取に伺いたいのですが、新聞等によると、独禁法の十五条がじゃまになって合併ができない、だから独禁法は改正すべきであるという財界の強い要望がある。もちろん改正するからには、十五条ばかりではなくて、今までの多年の念願であるあらゆるカルテルの自由というようなものもどんどんやろうということも考えておることは事実ですが、そこで独禁法の十五条が合併に支障を来たしておるという財界の考え方を公取としてどう考えるか。それから十五条があるために従来合併が否決されたといいますか、許可されなかった実例があるかどうか、こういう点について一つ公取としての見解を発表してもらいたい。
  25. 小沼亨

    ○小沼政府委員 第一の、現在十五条が合併の妨げになっておるかどうかという点につきましては、目下のところ具体的に独禁法に差しつかえて合併できないというケースはないようであります。結局独禁法では、一定の取引分野の競争を実質的に制限する場合に、これを禁止されておるわけでございますが、一定の取引分野の実勢というものは、結局支配力が関係を持つということでありまして、現在われわれの聞いております範囲で、財界でお考え合併が十五条のためにできないというケースはないように了解しております。  過去におきまして、合併禁止されたもの、十五条にひっかかって合併できなかったという実例はございませんが、ただ大阪中央卸売市場の卸売会社が、かつて合併独禁法上の問題になりましてできなかった例がずいぶん前に一件ございましたが、これはその後中央卸売市場法によりまして、農林大臣の認可ということで適用除外になっております。その他では合併独禁法上できなかった例はございません。
  26. 板川正吾

    板川委員 大阪の卸売市場は別として、産業界で合併しようとして独禁法で許可されなかったという例はない、こういうことですね。そうすると独禁法を改正しなければ合併できないというような財界の意見というものは、私は当を得ていないと思います。  最後に、独禁法の問題で一つだけ聞きたいのでありますが、日本の独禁政策は非常にきびしいという判断通産省側ではしております。産業界、財界でもそれを言っておる。アメリカももちろん日本よりも強いのですが、最近のヨーロッパ共同市場等を見ますと、独禁政策というものは最近非常に強化されてきておる。運用面を考慮するならば、日本よりもかえってきびしいんじゃないか、こういう独禁政策に対する公取の見解というのが新聞等に出ております。この独禁政策はいずれがきびしいかいなかということは、運用を十分検討してみなくちゃわかりませんから、この点は一つ通産省と両方から資料を出してもらいたい。  それから通産省にもう一つ産業体制部会のいわゆる新産業秩序に対するいろいろの資料を、討議の中間報告というようなものでけっこうでありますが、われわれもそれをなお検討したいので、資料をあとで一つ出していただきたいということを要求します。  それでは時間の関係もありまして、次に日中、日ソ貿易問題を続いて通産大臣に伺います。  まず日ソ貿易の問題についてお伺いしますが、最近の新聞の報道によりますると、本日でしたか、きのうでしたか、訪ソの経済使節団がシベリアを中心としてソ連各地を視察をした、その結果モスクワに戻って一つの見解を発表した。その見解の発表によると、ソ連では非常に労働力が不足しているということが目立つ、それからソ連の技術は劣っておるというような宣伝があったが、来てみると相当な水準を持っておるというようなこと、こんな感想を述べております。最後にシベリア地域のウラル地方だけ見たが、旧満州国の資源等は足元にも及ばないような膨大な資源がある。これは旧満州国でそういう方面をやっておった河合団長がみずから満州国の経験とウラルを視察した経験を比較されて、日本の隣にシベリアという未開発の地域があるということは、将来日本経済にとって重要な問題だ、こういうことを言っておるのです。シベリア開発を日本経済の発展と結びつけようという考え方を持ったのは社会党なんです。社会党は長期計画の中で、シベリア開発を一つソ連と相互の協力のもとで開発して、日本経済力を発展させようという考え方を持っておったのですが、これが財界のトップ・レベルの人たちですら、日本の隣に膨大な資源があり、しかも未開発の地域があるということは日本経済にとって非常に重要な問題だ、こう言っておるわけです。けさのラジオ放送等によりますと、この訪ソ使節団が非常な多額の貿易取引に成功した、こういうことを言っておる。これは一部でありまして、これからどんどんさらにこれは拡大するということを言っておりますが、この財界首脳の訪ソ使節団、しかも訪ソ使節団におけるそういった発言、将来日本経済とソ連経済との結びつき、こういった点について通産大臣としてはどういうような考え方をお持ちになるか、こまかい具体的なことはいいです。日ソ貿易の促進という問題について、基本的にどういうお考えでありますか。念のために言っておきますが、前の佐藤通産大臣は、あまり宣伝はしなかったのですが、なかなか実際的には日ソ貿易というものを非常に伸展させたのですね。佐藤通産大臣のときに日ソ貿易というものは飛躍的な前進を示しておる。こういう点等を考慮しまして、福田通産大臣がさらにこの上に日ソ貿易の促進というということにどういう熱意を持たれるかどうか、その点について所信を伺います。
  27. 福田一

    福田国務大臣 私も、通産大臣になってから日が浅いのでありますから、あまり大きなことを申し上げるのはどうかと思いますが、私感覚的に見ておりますことは、今日の世界貿易の姿を見ますと、自由貿易諸国の間におけるシェアというものはほとんど確定している。なかなか割り込んでいくには骨が折れる。そうして先進諸国はむしろ共産圏地域に対するシェアを獲得しようという意味で非常な競争をしておるような段階と見ておるわけであります。わが国といたしましても、こういう面からいって、いわゆる共産圏に対する貿易については、十分な関心を持つべきである。今度訪ソ使節団がおいでになってどういうことをされましたかは、私も新聞では見ておりますが、こういう席上で新聞のことでお答えをすることはいかがかと思いますから、これは帰ってこられてよく聞いてからお答えいたしますけれども、ああいうことが事実であるとすれば、喜ぶべき傾向であるということだけは申し上げることができると思う。しかし、それだからといって、貿易ということになれば向こうへ売る物と買う物が見合わなければいけないという  これは金で交換すればまた別でありますが、そういう問題がございますから、それらの点もやはり十分検討をしなければならないことは、板川さんもおわかりだと思うのでありまして、それはもちろんでございますけれども、しかし、日ソ貿易をもう少し進めていく、特にシベリアにそういう資源がありとすれば、重大な関心を持っていくことは当然でございまして、そういう意味合いで今後事態の推移を見守りつつ努力して参りたい、かように考えております。
  28. 板川正吾

    板川委員 日ソ貿易については、ただいまの使節団の成果なりは、新聞で伝えられておるところが事実であれば歓迎する、こういうことですね。新聞等だけじゃ詳しくわからないからというのですが、しかし、新聞の報道は、商談の成立、しかも財界首脳がシベリア開発に非常な熱意を持ってきておる、しかもソ連の首脳者と会って、シベリア開発に対して日本の財界人として一つできるだけ協力をしようということまで話し合っておるということは、私は日本の今の輸出貿易というものが非常に停滞ぎみな状態からいうならば、大いに喜ぶべき状態ではないかと思う。大臣所信表明の中では、非常に輸出貿易に重点を置いてやっていく、振興したい、こう言っておる。池田さんのときは、輸出は輸入をまかなえればいいのだということで、まあ結論的には同じかもしれませんけれども、輸出を軽視しておったような傾向があった。しかし、大臣一つ輸出振興を大いにやろうというのですから、政治体制はお互いにどうであろうとも、貿易商談が成立して、お互いに商売をさらに拡大をしていこうということは、これは当然喜んでいいことじゃないでしょうか。お互いにそういう方向を確認して、今後具体的な問題を話し合っていこうということは、歓迎して当然だろう。この上に立って政府一つ大いに日ソ貿易の拡大のために努力をしてもらいたいということを要望します。  それから次は日中の問題ですが、池田総理は、今度日中問題は積極的にやろうということを言ったといわれる。新聞の報道によりますと、石橋湛山前首相と会って、一つ日中貿易を大いに積極的にやる、こう言っておると言われております。池田さんが通産大臣のときに日中貿易についてどう思うかということを質問した。そうしたら池田さんは、日中貿易では自民党の中で私が一番積極論者です。昭和二十六年幹事長のときですか、このときに日中貿易を促進すべきだということを政府に持ち出したのは私です。日中貿易促進論者は自民党の中で私が一番だ、こういうことを非常に言ったんですが、しかし、実際には通産大臣当時日中貿易の前進というものはなかった。岸内閣以来、静観主義、静観主義と言って、今日までもう五年近く静観されておる。ここらで政府も、特に輸出振興を重要な重点政策とする通産大臣なんですから、日中貿易に対して一つの前進の道を開くべきじゃないだろうか、こう思うんです。こういう日中貿易の静観主義から一歩前進しようという心がまえですか、態勢というものは大臣お持ちじゃないですか。
  29. 福田一

    福田国務大臣 日中貿易につきましては、これは前の池田さんが通産大臣であられたとき、その後岸内閣をずっと経まして、今日までの経緯等を見て参りますと、その間いろいろなことはあったと思いますが、しかし、私は先ほども申し上げましたように、やはり貿易の振興、輸出の振興といいますか、輸出を促進するという観点から見ますならば、たといこれが中共でありましょうとも、あるいはソ連圏でありましょうとも、できるだけふやすようにするというのは、これは政治の建前でもってしかるべきだと考えております。従いまして、そういう意味合いで私は努力をいたしたいと考えておるものでございますが、これはあなたもおわかりのように、相手のあることでございまして、しかもまた日本と中国との間にはまだ平和条約も結ばれておらないというような制約等もございますので、それらの点もこちらとしては考えなければいけない。が、いずれにしても、私たちとしては同じくアジアの民族として私たちがこうして長い間つき合いをしてきた国のことでありますから、一つそういう面で、政治の面はこの際は別としても、経済の面だけでもほんとうに手が握れるところまで進んでいきたいという意欲を持っておる次第であります。
  30. 板川正吾

    板川委員 本年の春、政府が日中間の貿易を促進するための延べ払い問題等いろいろ案を出したことがありました。その当時アメリカの政府の某高官、一説によるとハリマン国務次官補だそうでありますが、非公式だが、日本が中国貿易を促進する形は好ましくない、こういう申し入れがあった、こう言われておりますが、この申し入れのあった事実については、政府自身これを新聞報道等でも言っておりますが、確認しておると思いますから、まあないとは言わないと思うんですが、日中貿易、特に延べ払い綱度を一つ設けて貿易の促進をはかろう、こういう日本政府考え方にアメリカが苦情を言ってくるというのは内政干渉じゃないか。特に日本の延べ払いの程度というのは、同じアメリカの友邦であるイギリスや西ドイツやフランス等よりはるかにまだ条件が悪い。その条件の悪いやつでも、日本がそういう方向でやって日中貿易に接近しようというのはけしからぬ、こういうのは私はまことにけしからぬ申し入れだと思う。こういうことに対する大臣考え方はどうですか。また事実私はあったと思うのですが、この点を明らかにしてもらいたい。
  31. 福田一

    福田国務大臣 お説のような、ハリマン氏からそういうことがあったかどうかということについては、今まだ私は確言はできませんけれども、日中貿易についてはまず延べ払いの問題を先に考えて、それから今度はやるとかなんとかいうことじゃないのでありまして、今考えておることは、お互いが両国の間で、そういうような国としてではなくて、いわゆる民間の形において一つ貿易をするようにしようという話し合いがまずできてこなければなりません。そういう了解がないと、なかなかそれ以上前には進めない。それが進んだ場合において、それでは今度はこういう品物について延べ払いするかしないか、こういう問題が出てくると思うのでありまして、私は新聞なんか言うておるのはいささか段階が飛んでおるように見ておるわけであります。  それから、そういう場合に、第三国からの何らかの干渉を受けやしないかというお話でございますが、日本は御承知のような地理的な条件その他いろいろ経済的な条件等もありますから、こういうことを十分世界の国々に理解してもらって、そうしてやはり何とかして日中貿易を進めていくようにしたいというのが私の考えでございます。
  32. 板川正吾

    板川委員 大臣、それはやはり大臣の方が実態を見てないね。中国との貿易は、本来からいえば、大臣考え方は原則ですよ。政府間で話し合いをつけて、その政府間で話し合いがついたら、そういう話し合いがついた範囲の中で貿易を進め、さらにそれを発展さしていくということが一番望ましいのです。そうあるべきなんです。しかし、今のところ日本政府の側で、政府間で話し合おうという空気はないじゃないですか。政府間で話し合って、いろいろ取りきめをすれば中国を認めるということになる、これはアメリカさんに申しわけないという形で、いわゆる第四次貿易協定というのが結ばれない状態で今日まで静観主義をとっておったのじゃないですか。ですから、政府間で話し合いをつけて、大どころをつけて、それに従っていくということは望ましいが、しかし、なかなか政府自身がそれをやらないのだからできないのじゃないか。そこで次善の策としてどうしたらいいかということは、まあケース・バイ・ケースで、たとえば中国が電気製品なり機械を延べ払いで一つやってもらいたい、それなら買ってもいい、こういう商談がある。しかし、政府は延べ払いというのは中国は信用がない。だから第三国の銀行の保証がなければ延べ払いはしない、こう言っておるのですね。ところが外国では、西独でも、ベルギーでもあるいはフランスでも、イギリスはもちろん認めているのですから問題はないのですけれども、第三国の銀行の保証がなければ延べ払いをしないということをやってないですよ。そういうことを言っているのは日本だけですよ。やはり私が言いたいのは、それは原則として政府間で協定をすることが第一。それは政府ができないと言っているんだから……。おやりなっているなら、それでやってもらいたい。しかし、それは池田内閣の方針からいって、ここ当分はやはり静観主義でほおかぶりして行かざるを得ないと思う。だから、そういう場合にはケース・バイ・ケースで、一つそういう延べ払い制度も認めて、貿易を積み重ねていって、そうしてある程度段階に実績を持っていって、そういう中で政府間協定へというふうに持っていかなければ、実際この日中間の今の静観の状態を抜け出すのには、そういう方式で行くほかはないのじゃないか。実は政府の方の立場考えて、同情しているのです。そうだとすれば、なぜ延べ払い制度の問題のときにけちをつけて――これは大蔵省が主としてやっておるのでしょうが、通産省と大蔵省と協議してきめることになるのでしょうけれども、第三国の保証がなければやらないという。諸外国は第三国の保証をとっておらない。日本だけそういう注文をつけておる。それはなぜ注文をつけるかといえば、前回の日中の貿易が断絶をした場合に、向こうが勝手に、一方的に破棄を通告したからだ。従って、信用ができないから保証しない。保証がなければできないということだろうと思うのです。しかし、そういうことを言い合っておったのでは、日中貿易問題は一歩も進みませんね。ですから、私は過去を議論するよりも、やはりそういう段階を取り上げて、そうして第三国保証なんということは言わずに、商談を成立をさせて、そうしてその中で一歩々々日中貿易再開への道を積み重ねていく、こういう方式をとるべきじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  33. 福田一

    福田国務大臣 第三国の保証の問題は、確かに前にはそういう事態もございましたが、私は、ただいまのところでは、第三国の保証などというものは、まあまあ必要ないじゃないか、そういう面ではそう考えております。しかしながら、それだからといって、いきなり飛躍的にいけるものじゃない。そこにあなたがお考えになっているような制約もありましょう。また、われわれとしては、民間のいわゆる貿易関係の団体がまとまって、そうしてみんなで向こうとの話し合いができるようにしていく方が、個々のものがやっていくよりはいいのじゃないか、こういう考えを持っているわけなんで、そういう面についても今検討をしたり、いろいろ相談しているということであります。しかし、これは日本国内態勢でありまして、これを向こうが受け入れるか受け入れないかという問題もありましょう。しかし、いずれにしても、一歩々々とそういう障害をできるだけ除去しながら漸進的にやっていきたい、こういうように考えておるわけであります。
  34. 板川正吾

    板川委員 そうすると、延べ払い問題は、政府として通産大臣だけじゃいけない。これは大蔵省との共管事項だろうと思いますから、今の政府としては、延べ払い問題は、まあ第三国の保証は要らない、保証をとらなくてもいい、問題は別のところにある、とにかく保証問題は、第三国の銀行の保証がなくてもいいのだという結論になっておるのですね。そうですか。
  35. 福田一

    福田国務大臣 私としては、大体そういう考え方を持っておる次第であります。
  36. 松平忠久

    ○松平委員 今の問題に関連して、通産大臣の所信なり考え方を聞かしてもらっておかなければいかぬと思うのです。問題は、今通産大臣が言われたように、何らかの話し合いをしなければならないと思うのです。ストップしたときの状況から考えまして、鳩山内閣のあの当時のいわゆる民間協定というか、そういう形のものを政府がオーソライズするという点に関しまして、若干の日本側の方に、当時の内閣の更迭というようなことがあって、そのオーソライゼーションについて不信の念を持ったというのがストップした原因なんです。そこでまず政府は鳩山内閣当時の民間協定のあの線までは少なくともやるのだ、しかもそれよりやや前進した形でやるのだ、こういう覚悟を持つならば、私は立ちどころにできると思う。また、日中輸出入組合の人選も、その考えがあるならばできます。ですから、まず通産大臣が主になりまして政府部内をまとめて、あの線もしくはあれより一歩進んだ線を一つやるのだという腹がまえをつくってもらいたい。それが第一の問題です。あとはそれに関連したいろんな問題が出て参りますが、こういう問題は解決するのに困難ではございません。ですから、そういう腹がまえを持って政府部内をまずとりまとめる、こういうつもりで一つ努力をしてもらいたいと思う。これに関する通産大臣考え方というか、試みというか、覚悟というものをまず聞かせてもらいたい。それは遠慮要りません。こういうことはすぐ中共に伝わると思うのです。あなたの考えは。そういう考えなのか、そういう考えなら一つおれも考え直してみようということになるのです。今あなたがそういう勇気を持って、この場で発言できるかどうかということを私は試そうとしておるわけだけれども、一つ所信のほどを聞かせてもらいたい。
  37. 福田一

    福田国務大臣 ただいま松平さんのお話になりました件につきましては、私としてはそういう考えでやっていきたいと思います。しかし、これは政府としての問題もございます。また相手のあることでもあります。従って、そういう這般の情勢を見ながら、とにかく前向きに進んでおる。こういうことを一々この場合はこうだ、こうすればこうだ、こういうようなことを申し上げることは、かえってそういう問題を阻害することになるおそれがあると思いますので、これは申し上げませんが、一つ私の前向きに考えておる意欲だけは御理解を賜りたいと思っております。
  38. 松平忠久

    ○松平委員 その意欲があるということであるならば、これは歓迎すべきことであろうと思います。相手側がどういうふうな気持かということは、これはもうはっきりわかっておるのです。今さらせんさくする必要はないと思うのです。問題は政府自体――政府といっても外務省なんかを含めますとこれはうまくいきません。問題はやはり貿易中心という考え方でいけばいいのです。ですから、通産大臣がそういう一つの政治力を持たれて、そうして閣内で少なくとも総理からそういうオーソライゼーションをとりなさい、池田さんからとっておれがやるのだ、こういうことで今あなたが言われた前向きというのは、私が具体的に言うならば、鳩山内閣のあのときの条件、あれよりもちょっと進んだくらいの条件、それでもっていくのだ、こういう体制一つ整えられることを私は切に要望します。
  39. 板川正吾

    板川委員 通産省が、政府がこの日中輸出入組合を強化する。まず今通産大臣が言われた話し合いの窓口を一本化していこうという方針であろうと思うのです。この日中輸出入組合を強化して補助金を出したり、あるいは久しく欠員であった組合長を選任したりといったいろんなことを考えておられるようですが、この日中輸出入組合をいつごろまでに強化し、どういう人選を持ち、その再建に政府はどういったような力をいたして、これを発足させるのは大体いつごろとお考えになっておるか。
  40. 福田一

    福田国務大臣 日のことはどうも、政治は生きものですから、予定のあれでありますが、私の見るところでは、割合にだんだんみんな理解してもらっておる、前向きにその面では今解決しつつあるのではないかと考えております。
  41. 板川正吾

    板川委員 静観から今度は前向きというので、向きが変わっただけで、前向きに歩き出してもらわなければ困るんですね。今までは静観でじっとしていた、今度は前向きだ、向いたのはいいですが、せっかく向いたからには、その方向を定めて歩き出してもらいたいですな。前向き、前向きというが、前さえ向いていれば歩かなくてもいいじゃないかというのでは困るので、やはり歩き出してもらいたい。大臣が就任なさったときのあいさつの中にあったと思いますが、輸出入組合を強化して、とにかく窓口を一本化して、日中貿易の促進をはかるという、それは一つ前を向いたと思うんですが、大いに歩き出してもらいたいということを要望します。
  42. 福田一

    福田国務大臣 決して前を向いただけではない、一歩歩くのも歩く、十歩歩くのも歩く、一歩や二歩は少なくとも前に進んでいることは間違いないと思います。
  43. 板川正吾

    板川委員 一つ今後を期待します。大いに歩ってもらいたい。  それから、日本経済にとって、日中、日ソの貿易というのは、とにかく好むと好まざるとにかかわらず、これから大きなウェートを占めていかざるを得ないと思うのです。またそういう方向をとるべきだと思うのです。貿易自由化というのは、西側とのみ貿易を自由化して、東側と断絶するというのでは、真の自由化じゃないじゃないか。日ソ、日中の貿易は大いに促進せざるを得ないし、すべきだと思う。ところが、その場合やはり一つ障害になるのは、ココムの禁輸条項だろうと思う。池田総理は前に通産大臣のときに、私が質問したら、ココムの禁輸条項は問題じゃない、問題はほかにあると言った。問題がないかと思っていろいろ調べてみたら、やはり問題はあるんですね。日本の電子機械を中国で買いたい、売ってもよろしいということになってココムに申請したら、特認をもらえなかった。しかしイギリスは飛行機をどんどん売っているのです。しかも特認を事後承認でココムからもらっている。計算機なんか直接戦力じゃないが、日本が今輸出不振で困っておるときに、持ち込んでも許可をもらえない。イギリスはどんどん準兵器的航空機まで売り込んでいる、こういう点からいうと、ココムの禁輸条項というのは、池田さんが言ったように、問題じゃないということも問題だと思う。そこで、将来日中、日ソの貿易が発展をしてきますると、必ずこれはココムに対する政府考え方というのが明らかにされないと、せっかく商談が成立して毛、貿易ができないということになる可能性がある。政府は重大な決意をして、とにかく輸出貿易を重点政策として掲げてやるというのですから、あまりココムに縛られるようならばココムから脱退して、日本は自由な考え方、行動をとる、こう言うくらいの決意を持つべきでないですか。ココムなんか、場合によっては脱退してもやるぞという程度の決意を持つべきじゃないか。池田さんは問題じゃないといって大言壮語されたのだが、実際はやはりココムの禁輸にひっかかって、調査によると一年間で一億ドルくらいの輸出がそのためにできないという弊害があるそうであります。ですから、ココムに対する態度というのを一つ政府もしっかりやってもらいたいと思うのですが、大臣はどういうお考えですか。
  44. 福田一

    福田国務大臣 ココムにつきましては、ココムに関係のある国はみな平等の条件でございまして、特に日本だけが割りが悪いということはないと了解をいたしております。それからもちろんココム関係の部門の商談も、商売としては大事かもしれませんけれども、しかし、現実に今問題になっているのは、むしろそれ以外のことで相当商談があることはあなたも御承知通りであります。そういう面からだんだん道を開いていく、こういうことが必要になってくるんじゃないか、こう考えます。
  45. 板川正吾

    板川委員 日中、日ソの貿易が伸展して参ると、当然向こうではココム禁輸の品物もほしいということを言ってくるのじゃないか、たとえば電子計算機というようなものが向こうではほしい、ところが電子計算機は日本ではココムの持認が下りなかった。しかし、それよりも兵器的な航空機は、イギリスはどんどん輸出している。とにかくココムについては平等一律の扱いといいましても、結局ある程度ココムに対する押しがなければ、どうでしょうか、ああそれはあぶないから許可しない、こういう形になってしまうのだと思うのです。ですから、とにかくある程度ココムなんか無視して、政府責任を負って商談を進めるというぐらいの勇気を持ってもらいたいということを言っておくわけであります。
  46. 福田一

    福田国務大臣 商売ですから、なるべくよけいやるということについては意思は持っておりますが、そういう一つの制約があることも現実の事実でございますので……。それを将来できるだけ除去するようなことを考えてはどうかというお気持ならば、これは相手があることですから、話をするということはあり得ても、現段階においてそんなものはあってもかまわぬからやるのだというところまでは、これは無理なことになるかと思っております。
  47. 板川正吾

    板川委員 一つそういう心がまえでやってもらいたいという要望です。  それでは共産圏貿易の問題は以上にしまして、あと二つだけ、非鉄金属の問題と石油の問題をお伺いします。  非鉄金属の自由化問題について伺いたいのですが、先ほども鉱山の労働者の皆さんから、金属鉱業の緊急対策に対する要請が大臣にありました。この要請書にもありますように、自由化を前にして金属鉱山というのが第二の石炭産業と化しつつある。しかも相次ぐ倒産が、中小企業ばかりではない、大手筋にも倒産が行なおれようとしておる、こういう非常な緊急事態に直面しておると思うのです。この金属鉱山に対する措置については、前の国会で、当委員会で決議をし、本会議の採択を得ておるのであります。大臣のお考えは、非鉄金属については鉱業審議会結論を待って所要の施策を講ずることにしております。こういうのです。しかし、貿易の自由化は十月からやろうとしておる。伺うところによると、非鉄金属が全部十月一日でやるのじゃなくて、やれるものは十月一日でやり、最後に来年三月までには全部の非鉄金属は自由化する方針である、こういうようであります。とにかく十月から自由化を迫られておる、その迫られておるのに、全国会の決議がありますのに、しかし今日、鉱業審議会の検討を待って所要の施策を講ずることにいたしておりますというのですが、そういう自由化段階とにらみ合わせて一つテンポをお考えになってもらいたいのですが、鉱業鉱山関係の対策としては時期的に出しおくれのような、テンポの合わないような状態になりませんか。大丈夫ですか。
  48. 福田一

    福田国務大臣 非鉄金属の問題でございますが、これについては根本的な対策という見地から見ますならば、やはり審議会意見を聞いてやる、こういうことを申し上げたわけでありまして、現在差し迫っておりまする自由化の問題を考慮しないでおるかということになりますならば、これはもちろん非常に関係者に大へんな利害のことが起こる問題でもありますし、十分これを研究しなければなりません。従って、ただいま通産省としましては、個々の、たとえば石綿なら石綿についても、あるいはマンガンならマンガンにつきましても、いろいろな問題、もちろん銅、鉛、亜鉛は申すに及ばずでありますけれども、そういう鉱業が日本で今どれくらいあり、そうしてそれにはどれくらい従業員がおられるか、会社も幾つくらいあるか、それから海外の市価と甘木の値段の関係、あるいはまた関税を上げたわけでありますけれども、それで十分間に合うのかどうかというような点も含めて、今しさいに検討をいたしておる段階でございまして、御心配の時期おくれになりはしないか、対策がおくれはしないかということについては、そういうことのないように注意をいたして参りたい、こういう考えであります。
  49. 板川正吾

    板川委員 対策に手おくれのことはない、こういう大臣の約束ですから、それは一つわれわれもそれを期待をいたしますが、この貿易自由化というのは、御承知のように、二年も前から政府が声明をされて、自由化を至上の方針として遂行してきたのですね。今度十月から九〇%行なうということは、この間二年間もあったわけですね。しかも十月から行なうということは一番問題点があるから、今日まで延びてきたのですね。延び延びになって、一番あとになってきたわけです。ですから、このあとになってきた問題があるということはわかっておる。しかも二年前からその自由化の方針というのは、政府の至上命令として行なわれる。この二年間もあって、今自由化を前にしてまだ対策が検討中というのは、大臣ちょっとこれはどういうことなのですかな。通産官僚のサボじゃないのでしょう。やっぱりそれだけ対策がむずかしいのじゃないかと私は思うのです。だから、そのむずかしいのを慎重に慎重にと言っておって、実際適切な時期を誤ったら、第二の石炭産業的な方向になってしまうのじゃないかということを心配しておる。絶対に心配ない、おれにまかせろと言うなら、ある程度まかしてもいいですよ。しかし、どうなんですか。そういう点で十月から自由化をする。一体非鉄金属を十月から三月の間に自由化するというのですが、一つわかるだけ大きな品物、問題点の多いもの、それは何月、それは何月というような時期的な自由化の期限等も明らかにしてもらいたい。
  50. 川出千速

    ○川出説明員 私の努力が足りませんものですから、十分な対策も立てられていないという御批判がございましたが、自由化の問題につきましては、現在政府がきめております方針は、自由化を当分延期をするということできめておるものが三つございます。それは、硫黄、硫化鉄鉱、それから金鉱でございます。それから本年の十月に自由化を予定しております品目が、石膏とか珪砂、先ほど大臣の言われました石綿、マンガン鉱石、モリブデン鉱石、アンチモン鉱石等、十数品目がございます。それから本年の十月から来年の三月末までの間に自由化を予定しておる品目としまして、銅、鉛、亜鉛の地金がございます。銅、鉛、亜鉛の地金は、御承知のように、わが国の鉱山の大宗をなしておるものでございまして、生産規模も圧倒的に大きく、あるいは雇用の関係も多いわけでございまして、相当に問題の業種でございます。  なお、最後に申し上げますと、現在までに鉱産物で自由化されておるのは、約八割自由化されておりまして、今後十月以降二割――まあ自由化しないのもございますけれども、そういうのが現在の予定になっておるわけでございます。  それから、従来自由化に備えてとりました対策は、一つは関税対策でございまして、これはいつかも御説明申し上げましたが、暫定的に関税を国内鉱山を保護するために引き上げて、鉱種によりましては関税割当制度を実施をする、これは自由化と申しましても一種の割当制度でございますので、いわば半自由化というような形の関税保護対策をとり、それから一方におきまして鉱山の体質改善にもっともきめ手になる炭鉱の補助金を今年分は相当増額をしておる。それから今後の長期的な日本の鉱業の発展には、海外にも進出しなければならないということで、海外開発会社、これは現在のところ、できておりませんが、近く成立する運びになっております。その対策を立てております。まあことしになってみますと、海外相場が昨年予想していたのに比べて非常に下がっているものが鉱産物の中に出て参りました。これについて慎重に今検討をしておるわけでございます。  なお、鉱業審議会につきましては、すでに四回会合を重ね、分科会等を合わせますと何回もやっております。非常に熱心に、国会の決議を議題の中心にいたしまして、具体策を研究しておるところでございます。
  51. 板川正吾

    板川委員 大臣にお伺いしますが、非鉄金属は対策が非常にむずかしい。だから今日までうまい案ができなかったと思うのです。しかし、大臣心配ないと言うのですが、もし対策が十分でない場合、立たない場合にはどうですか。自由化をその分延期するような考え方はございませんか。
  52. 福田一

    福田国務大臣 私が心配ないと申し上げた、心配ないようにすると申し上げた意味は、実を言うと、自由化する時期ですね、十月にやるべきかどうかということについて今検討をしておるということでありまして、別に今度は非鉄金属は非常な不況に見舞われておる。また自由化の問題もある。あわせてこの問題をどういうふうに処理していくかということは、もちろん今研究しており、そうしてこれは鉱業審議会意見も聞いてやっていこう、こういうことを申し上げたわけでございまして、私が心配ないと言って、何でもかでも全部まかせてくれというような意味で申し上げたわけではないので、これは一つ御理解を賜わりたいと思うのであります。しかし、異常な苦境に立っておるということはよく私も理解しております。そこでどういうふうにしたらいいか、もうすぐここで結論を言え、こういうことになりますと、まだそこまで私今結論を申し上げる段階になって一おりません。しかし、真剣に考えておるということを申し上げておるので、決して言いのがれのつもりでそういうことを申し上げてはおらないというふうに御理解を賜わりたいと思います。
  53. 板川正吾

    板川委員 そうすると大臣は、鉱業審議会結論を待って一つ施策考えよう、鉱業審議会でも、たとえば結論を出すのがおくれたりして、あるいは鉱業審議会結論が、あるこれこれのものは一つ自由化を三月以降にでも延期すべきだという結論が鉱業審議会で出れば、それは尊重していきたいと思いますか。
  54. 福田一

    福田国務大臣 まあ審議会でありますから、文字通り解釈すれば審議会ということになりますが、いわゆる通産省が非常に有能なお方だといって委嘱したお方が案を出されるということであれば、できる限りこれを尊重するということは当然だと思います。しかし、審議会が答申をしないからといってほっておいていいか、こういうわけには参りません。事態によっては、審議会の答申がなくても、われわれとして乗り出してでも処置をしなければならない場合もあり得る、こういうふうに考えておるのであります。
  55. 板川正吾

    板川委員 私の質問は、審議会自由化を延期しろという結論を出した場合に、大臣は延期しろという審議会結論を尊重されるかどうかということを聞きたいのです。
  56. 福田一

    福田国務大臣 そういうお話が出たときに一つ考えさせていただきたいと思います。
  57. 板川正吾

    板川委員 ここで審議会結論が出れば延期するということは、なかなか言明できないかと思います。しかし、そういう結論が出たならば、一つ尊重してもらいたいということを要望いたします。  そこで、非鉄金属の中で一番問題なのは、銅、鉛、亜鉛ですね。これが大部分をなして一おりますね。この銅、鉛、亜鉛はいつごろまでに――来年三月になりますか、それとも来年一月になるのですか。いつから自由化をする今の方針ですか。
  58. 川出千速

    ○川出説明員 銅、鉛、亜鉛の地金の自由化につきましては、先ほど申し上げましたように、本年の十月から来年の三月までの間に関税改正を実施するということになっておりまして、関税改正――これは関税引き上げでございます。関税引き上げをするということは、当然自由化意味しておるわけでございますので、十月から三月までの間ということを申し上げたわけでございますが、現在のところ、この銅、鉛、亜鉛、これは私の個人的な感じでございますけれども、十月に自由化をするのはなかなか無理ではないかという気でおります。
  59. 板川正吾

    板川委員 鉱山局長に伺いますが、アメリカではしばしば、たとえば輸入品の圧迫によって国内産業がどうも不況になったという場合に、輸入制限をやっておりますね。綿製品あるいは日本の商品が、体温計にしろ食器にしろみな輸入制限にひっかかっておりますが、これはガットのどういう条項によって輸入制限をやられておるのか、ガットの貿易自由化の原則とどういう関係があるのですか。
  60. 川出千速

    ○川出説明員 私そちらの方の専門家でないものですから、よく存じませんけれども、ガットの例外の何か法律がございまして、国防安全と申しますか、それによって、たとえば石油は原油の自由化を現在いたしておりません。それから鉛、亜鉛につきましても、現在自由化をいたしておりません。
  61. 板川正吾

    板川委員 これはアメリカは互恵通商法、今度変わりましたけれども、これによる手続は、国内法はそうですか、この基準となるものは、ガットの十九条の特定産品に対する緊急措置、いわゆるエスケープ・クローズの条項ですね。このガットの十九条の条項なんです。この十九条の条項では、今のアメリカの例をいいますと、石油の場合には、国防上の事由、しかしアメリカは、実際現在、鉛、亜鉛は――銅は十分自分のところでたくさんとれますから、鉛、亜鉛はアメリカでは自由化していないですよ。それは国防条項じゃないですよ。アメリカの鉛、亜鉛業者が、その自由化をすると、外国の安いものが入ってきて困るから、この緊急条項、ガットの十九条の緊急条項、免責条項、これを適用して自由化していないのですよ。これは一九五八年十月以来自由化をアメリカは停止しておる。国防上の安全の理由じゃないのです。自国の産業を保護するためにアメリカでも鉛、亜鉛は自由化していない。従って、銅もあれば銅もやったでしょう。アメリカでも一九五八年から今日ガットの十九条を適用して緊急措置として、免責条項として、とにかく自由化していない。アメリカでもやっていないのに、なぜ日本がやるのですか。日本はアメリカ以上にもっと小さい鉱山業者、アメリカ及び諸外国と競争をやったら、みな吹けば飛ぶようにつぶれてしまうような鉱山業者が多いのじゃないですか。アメリカはもっといい条件でやっている。そのアメリカさえ鉛、亜鉛  銅はやらないけれども、自分がたくさんあって安いからでしょう。アメリカでも自由化していないのに、なぜ日本はこの自由化をどうしてもやらなくちゃならないのですか。中小の非鉄金属鉱山がどんどん倒れているような今日、それでもやはりこれを強行しようというのですか、この点一つ大臣から伺いたい。
  62. 川出千速

    ○川出説明員 大臣から御説明があるかと思いますが、その前に若干御説明させていただきたいと思います。  銅、鉛、亜鉛の地金の自由化につきましては、先ほど申し上げましたように、関税引き上げの措置をとったわけでございます。ところが銅の方はむしろ最近は海外の市況が強含みでございます。鉛、亜鉛は極端に、戦後最低という相場に下がっております。昨年想定をした関税で自由化をいたしますと、これは相当の衝撃が国内鉱山に起きてくるということを考えるわけでございます。それに対処する方法としましては、緊急に輸入ストップをして、緊急関税という方法もございます。あるいは別個の対策もあろうかと思います。少なくとも現状のままで自由化することにつきましては、相当の問題があることは認めておるわけでございます。現在検討をしておるところでございます。
  63. 福田一

    福田国務大臣 ただいま局長が申し上げたのと同じことになりますけれども、今これはそういう予定で検討をいたしておるということでございまして、必ずこれをその通り一分一厘も違わずにやりますということはまだ申し上げておらないわけでありますから、検討中として御了解を願いたいと思います。
  64. 板川正吾

    板川委員 私、だから先ほど確認したのですが、三月までに銅、鉛、亜鉛はやるというのが政府の方針ですよ。しかし、これは「ガット」という本にあります。大蔵省の役人が書いた本です。この中にありますが、アメリカですら、鉛、亜鉛はとにかく自由化してないのです。それは国内産業を保護するという目的ですよ。ガット十九条による緊急措置をとっております。一番の自由化の本尊様のアメリカがやらないのに、なぜ日本が画一的にやらなくてはならぬか、これが私は問題だろうと思う。しかし、そういうこまかい点は、私は大臣承知してなかったと思う。これは事務当局として、今、鉱山局長、ちょっと自分からアメリカでも自由化してないということを言いましたけれども、してないのです。そういうことがわかれば、そういう資料を出して、アメリカでさえ問題があるのだから、いわんや日本では大きな問題なのだから、一つ自由化は延ばしてくれ、これは延期すべきだ、こういう結論をなぜ立てなかったのかということを私は問題にしたいのです。とにかくそういう実情ですから、私は、問題の多い非鉄金属については自由化を延期するように、自由化しないような方針をとってもらいたいと思う。これはやはりこのままで、とにかく対策もまだうやむやのうちに来年三月までだといって、これという対策はおそらくなかなか立たぬのじゃないですか。ですから、とにかくアメリカの実情から考えても、銅、鉛、亜鉛、この非鉄金属の重要産業は問題が非常に多いようですから、この際貿易自由化は延期をすべきだ、アメリカと同じようにガットの十九条を援用してもいいんじゃないか、こう思うのです。これについての大臣の御見解を承りたい。
  65. 福田一

    福田国務大臣 アメリカがガットの十九条によりましてそういう措置をとっておることは事実でありますが、それは各方面からある意味で非常な非難を受けておる状態であります。私としては、アメリカがこうしたからやらなければならぬとか、アメリカがやったからやる、やらないからやらないんだというような考え方ではなくて、日本立場においてこれはやった方がいいかどうかということを独自の立場一つ研究をさしていただきたい、かように考えております。
  66. 板川正吾

    板川委員 アメリカは世界に向かって貿易の自由化の原則を非常に主張されておるのですね。しかし、自由化をみずからアメリカもやっておるのですよ。みずからもアメリカは自由化をやっておるのですが、しかし、そういう免責条項をとって、それで問題のあるところは残しておるのですね。ガットの報告等を見ましても、とにかくガット十九条を援用しているのはアメリカが一番多いのです。そういう点を考えれば、ただ自由化を九〇%ときめたから非鉄金属全部やるんだというような画一的な自由化の方針というのが私は問題だと思う。だから一つ考えてほしい、こういうことです。結論はわかったと思いますから、一つよく検討していただきたい。  もう一つ、石油の問題について伺いますが、時間がございませんから簡単に言います。  前の国会で石油業法が成立した場合、衆議院、参議院ともこれについて附帯決議をしておる。その附帯決議で衆議院、参議院とも意見が一致しておる点は、国産油及び準国産油、アラビア、スマトラ等の国に援助をして、海外開発した石油、こういうものが、自由化した場合、引取体制というのが困難だ、従って、この引取体制を確立するために、買取機関を設けろ、こういう附帯決議がされておるのです。前大臣の佐藤さんは、いわゆる官僚統制といわれるから一手買取機関を法制化するのは少し待とう、とにかく話し合いで引取体制をとらせるようにやってみよう、それがどうしてもだめだった場合には考えるというような意味でした。従って、特に、海外開発油、カフジ原油が一番大きい数量で、国内油はわずかです。スマトラもまだわずかですから、このカフジ原油の今日までの国内引取体制、これは新聞等によると、非常に難航しておる。通産省が中に入って、近く植村経団連の副会長ですか、あるいは石油審議会の会長、こういったものが中へ入って、一つ話し合いで成立をさせようという、これは今日までのところそうだろうと思う。三十七年度はそうだろうと思いますが、ことしの十月から年率一千万トンということになる。そうすると、来年度の引取体制というのは、従来の話し合いだけじゃ結論としていかないのじゃないか。通産省でこの買取機関の設立を決意したというような報道もされておりますが、一体この海外開発油は、どういうような国内買取機関をつくってやろうとされるのか、明らかにしてもらいたい。
  67. 松村敬一

    ○松村(敬)政府委員 今、大臣からお話がございましたように、先ほどの鉛、亜鉛のことについて、ちょっとつけ加えて申し上げますが、アメリカが一九五八年から鉛、亜鉛について輸入制限をしておることは、お話しの通りであります。ただ、ガットの十九条によりまして従来一度自由化したところが、非常に輸入が多くなって怪しくなった。国内産業に影響があったというときに、そういう措置を急にとったわけであります。それ以来、各国から非常な非難が起きまして、実は鉛、亜鉛に関しまする国際会議が三回ほど開かれたわけでございます。ちょうど私三回とも代表で出ておりましたので、その間の様子は割合よく知っておるのであります。カナダとか豪州とか、各自由圏の生産国から非常な非難を受けまして、アメリカの立場としては非常に苦しい状態になっておったわけでございます。その後今鉱山局長の話がありましたように、鉛、亜鉛の国際価格が、当時そういう国際協定をつくりまして維持しようといたしました価格から非常に大幅な下落をいたしたわけでございます。日本の関税の対策も、昨年考えました幅では、必ずしも十分ではないというような状態になっておるわけでございます。そういう意味で、自由化をいつするかということについては、新しい要素の加わった問題として、なお慎重に検討いたしたいと思います。
  68. 福田一

    福田国務大臣 国内資本系の油の問題、すなわち国内産出の石油とカフジの石油の問題でございますが、これは前の大臣のときに委員会におきまして買取機関をつくってはどうかというような附帯決議がございました。その後通産省としては四つばかり、こういうようなやり方がありますという二とを出して、今御意見を聞いておる段階でありますけれども、しかし、実際の問題といたしましては、現在石油業者にどの程度引き取るかということをいろいろ話しておる段階であります。そうして所期の目的が達せられれば、私はあえてここでそういうものをどうしても作らなければいかぬかということをもう一ペん検討させてもらいたいと思いますが、これが所期の目的を達しないということであれば、これは附帯決議の趣旨を十分に尊重して考慮すべきである、かように考えておる次第であります。しかし、買取機関と申しましても、そこには利害、いろいろな問題もございます。それからこの石油の問題についてはただいま原油のなまだきという新しい問題がまた起こって参りました。これが各方面に与える影響というものは非常に大きいものがあると私は解釈いたしておるのでありまして、これらのことも十分考えながら問題の処理をしていく、そうして皆様の御期待にこたえるようにしていきたい、かように考えておるわけであります。
  69. 板川正吾

    板川委員 テンポの問題ですが、原油は十月一日から自由化するのでしょう。そうするときょうは八月の末ですからね。ですから一手買取機関をつくるといっても、つくるとすれば通常国会にやるほか今日ではないのじゃないでしょうか。そうすると、十月から自由化をされて、一手買取機関をつくるという決意をされて、それが法律になるのは来年四月か五月ということになるのじゃないでしょうか。その間にその海外開発油の引取体制国内原油の引取体制というものは心配ございませんかということを私は聞きたいのですが、その点はどうですか。
  70. 福田一

    福田国務大臣 ただいま申された通り、どの程度引き取るかということによって、ある程度当方としても考えてやらねばならぬ場合があり得ると思います。ということは、買取機関をつくってでもいいから、カフジ石油は十分国内で使えるようにしたらいいじゃないかというのが委員会における決議であると私は了承いたしておるのでありますから、そういう場合において、たとえば一千万トン・ベースの場合に八百万トンしかとらぬとかいうようになった場合にどうするのだ、こういう問題もあるでしょう。しかし、その一千万トンというのがはたしてほんとうにとれるかどうかということも、これもまたわれわれ実際に当たる者として研究してみなければなりません。しかし、できたものの一部分は引き取れるが、一部分は引き取れなかったらどうするかということは、これはわれわれとしてはある程度考えてやる必要がある。あるいは金融の問題で考える場合もあり得るでしょう。いろいろなことを考える場合があるでしょう。しかし、いよいよの段階においては引き取るのだ、消化してやるのだ、こういう考え方でこの問題の解決に当たりたい、こういうように考えておるわけであります。
  71. 板川正吾

    板川委員 時間がないようですが、私が言いたいのは、十月一日から自由化になるから、それで今は一応強権を発動しないで、話し合いで円満に引き取りをするようにしたい、目的はそこにあると言う。ところが円満に話がつかなかった場合には、委員会の決議を尊重してやって一こう。話がついた場合はいいんですよ。しかし、つかなかった場合に、委員会の決議を尊重しようといっても、次の通常国会しか法案は出ないのじゃないか。法案を成立さしても来年四月か五月が実施の時期ということになる。そうすると原油の自由化は十月一日から行なうと言っているのですから、自由化をするのですから、そうしますると、その間半年以上のギャップがありはせぬか。その間を心配なく引取体制というものを通産大臣責任を負ってやってくれるのかどうか、心配がないのかどうか、その点が一つ聞きたいのです。要望としては、それはやはりなかなかむずかしいし、外国の石油資本も、日本の法律でそういう体制がきまれば、比較的外国資本もここのところ非常に低姿勢で、一つその国の実情、国の方針というものは尊重しようということを言っておるそうです。ですから政府がそういう決意をされて、一手買取機関を設けても、一つ国内引き取りを完全に行なうのだという方針を決定されれば、外国石油業者も、その原油引き取りの契約をたてに、カフジ原油を引き取ってはいけないなどということは言わないじゃないか。だから通産省がここで買取機関を設置する方針こういうことをきめられていることは、かえって話し合いを進めるもとになるのじゃないか、こう思うのです。  時間もないようでありますから、そういうことを一つ要望して、石油はとれた、しかし一部新聞の報道のように、外国の石油を日本では買って、カフジの原油はどこかヨーロッパへでも売れ、こういうようなことを言っておるそうですか、そういうことのないように、準国産油として日本国内で消費するような態勢を必ずとってもらいたいということをくれぐれも要望いたして、私の質問を終わります。      ――――◇―――――
  72. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 休憩前の質疑はこの程度にとどめまして、この際、前委員長の早稻田柳右エ門君より発言を求められておりますので、これを許可いたします。早稻田柳右エ門君。
  73. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 お許しをいただきまして一言ごあいさつを申し上げます。  私の商工委員長在任中は格別お世話になりまして、まことにありがとうごさいました。顧みますると、在任期間はきわめて短うございましたが、その間石油業法を初め、重要な法案が数多く提出せられました。私の長い国会生活を通じて考えますると、提案された法案がすべて成立する、全部通過するということはきわめて珍しいことであります。しかるに提案された法律案がことごとく成立を見ましたということは、ひとえに委員各位を初め関係各官庁の方々のなみなみならぬ御協力と御援助のたまものでございまして、私の国会生活を通じて深い感銘であり、感謝でございます。この機会に重ね重ね厚く御礼を申し上げる次第でございます。  私の後任には、練達たんのうの驥澤委員長の御就任を見まして、慶祝にたえません。私もこの委員会に席をおかせていただき、委員長の驥尾に付してこれからも微力をささげたいと考えておりまするが、何とぞ委員各位の今後ともまた相変わりませぬ御厚情、御支援を賜りますようお願いを申し上げる次第であります。  以上まことに簡単でございまするが、一言申し上げて御礼のごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)
  74. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 次に田中武夫君より発言を求められておりますので、これを許可いたします。田中君。
  75. 田中武夫

    田中(武)委員 ただいま早稻田前委員長から御退任のごあいさつがございましたが、委員各位の御同意を得まして、この際私から一言謝辞を申し述べたいと存じます。  早稻田前委員長は、第三十九国会の初めに選任せられ、今国会に至る約一カ年の間商工委員長の重責を勤められました。  御在任中は、国際的にも国内的にも諸産業が種々の合理化あるいは事業改革を余儀なくされた日本経済にとりましてきわめて重要な時期であります。国会におきましても、貿易の自由化に伴う諸施策の論議を初めといたしまして、審議いたしました議案も今日最も多くの問題を含むエネルギー源である石油業法の新立法、輸出入取引の新秩序を期した改正案、低開発地域、産炭地域、新産業都市等の諸開発法の立法、中小企業、商店街、下請業等の組織、育成等の議案、さらには国民生活、家庭用品等の消費行政面での新法制定等、実に画期的な諸議案の山積した時期でありました。  早稻田前委員長は、これら難問題の積まれた本委員会にあって、与野党の相異なる立場を深く理解せられ、可とすべき案件はすみやかに成立せしめ、直すべきは改め、よくその任務を全うせられたことは、ひとえにその温厚篤実な御人格によるものであり、私どもも感謝いたすべき点が多かったのであります。さらには、米国が日本の綿製品あるいは陶磁器等の輸入制限措置をとるおそれが生ずるような事態に至りますと、時期を失することなく、率先して委員会あるいは本会議で決議をいたす等、骨のあるところもお示しになられましたことに対しましても、重ねて敬意を表したいと思います。  早稻田前委員長、長い間大へん御苦労様でした。在任中の御精励に感謝申し上げますとともに、今後の御活躍をさらに御期待申し上げます。  なお、逢澤新委員長におかれましても、前委員長同様、野党の意見も十分に聞いていただき、公正な委員会の運営に当たられ、いずれの日か、その退任に際しては、野党委員からも惜しまれるような名委員長として委員会の運営に当たられるよう希望申し上げまして、委員会を代表してのごあいさつといたします。(拍手)
  76. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 それでは午後二時まで休憩をいたします。    午後零時五十四分休憩      ――――◇―――――    午後二時三十一分開議
  77. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件について、質疑の通告がありますので、これを許可いたします。始関伊平君。
  78. 始関伊平

    始関委員 石油業法の通りましたこの前の国会のときから政府の方に出された宿題のようなものがあるわけでございますので、私は石油政策に関しまして若干の御質問をしたいと思います。  具体的な質問に入ります前に、大臣がおかわりになりましたので、新しい大臣にちょっとお尋ねしておきたいのですが、この前の国会を通過いたしました石油業法は、午前中議論がありましたように、最近の言葉でいえば、石油業界に秩序を与えるといいますか、そういうふうな観点からいいましても、それから日本の石油業界の内部にございますいろいろな困難で重要な諸問題を解決するためにも、私はきわめて不十分な立法であろうと考えます。これは外国の例をことごとく申し上げる必要もないかと思いますが、アメリカでもフランスでも、石油の輸入は、これは為替管理という建前ではございませんけれども、完全な国の規制外に置く。その他欧米諸国、また後進国でも石油の輸入、精製、国内価格、いずれも直接の国の規制外にあるわけです。これは事実なんです。先ほどの議論でいいますと、国の直接の規制下、あるいは協調方式というか話し合い方式というような議論もあるわけですが、少なくとも産業の中で、石油業については直接国の規制でやらぬといかぬ、これは各国共通の立場なんです。おそらく国際石油資本というのは、非常に手ごわい相手がおりますから、大臣が行政指導などといっても相手にしない。しかし、法律の形で現われた国の明白なる意思表示に対しては、国際資本といえども言うことを聞く、そうしなければうまくいかぬということだろうと思います。これは私の私見ではございませんが、衆参両院とも通したことは通したのですが、非常な不満のうちに通した。これは附則の第四条、いわゆる再検討条項というものを修正して、政府の方では将来は緩和するかあるいは廃止するか、そういう方向にだけ検討するのだということがございましたが、両院で直して将来これを強化する方向にまで再検討すべきだというところにも国会の気持が現われておると思うのであります。附帯決議も法案の行き過ぎを警告するという趣旨のものではございませんで、不足な面を何とか補っていくという趣旨のものでございますから、この点からも非常に不満ながら通したと言って差しつかえないと思います。  私はまず最初に、大臣にこの石油業法というものの運用により、あるいはそれを背景として、いろいろな石油政策上の問題がうまく今後処理できるというふうにお考えになっているかどうかということをお伺いしたい。  それとあわせてもう一つお伺いいたしますが、前の大臣の佐藤さんは、やはりあの規定では不十分だということをお認めになったと思います。しかし、財界あるいは石油業界の協力によっていろいろな問題を片づけていくんだ、また協力してくれるものと思う。ですから、国家の直接規制方式話し合い方式というか協調方式というもの、これをまぜ合わせて石油行政をやっていこうというのがこの考え方で、しかも比重はあとの方が大きいと私は見ております。しかし、日本の石油業というものは、だんだん申し上げますが、およそ国の言うことをすなおに受け取りにくい、そういう体質のものにでき上がっていると思うのです。大臣の就任後まだ日が浅いのでございますけれども、佐藤さんの期待されたような意味で業界なり財界なりが、十分とはいえないと思いますが、必要最小限度の協力はしてくれているというふうにお感じになっておられるかどうか。この二点を最初にお伺いしておきたいと思います。
  79. 福田一

    福田国務大臣 お答えを申し上げます。  まず、石油業法の内容でもって、現在置かれておる石油業界の問題をうまく処理していけるかどうかという御質問だと存ずるのでありますが、私としましては、ただいまお話がありました通り、就任後日なお浅いのでありますが、すでに国会においてこういう法律をきめていただきました以上は、この法律の精神にのっとって、そしてこれを十分に生かして、いわゆる業法が制定されました所期の目的に沿うように努力をいたして参りたい。これで十分と思うかどうかということになりますと、今後それをしばらく運用させていただきませんと、今ここに私がにわかにお答えを申し上げるということもいたしかねるかと思うのであります。  しからば、石油業界というものは外国系の資本その他が入っておったりいろいろな国内の問題があったりしてやりにくいのじゃないか、一体そういうような石油会社がほんとうに協力してくれるかどうかというお話でございますが、これにつきましては、だんだんといろいろの機会を通じて接触を保っておるわけでございます。これは一例でございますけれども、この間もエッソの副社長が実はやってきまして、そしておせじかもしれませんが、私のところに来てあいさつをしたときの話を聞いてみますと、われわれ外国系の石油会社としても十分にその当該国の、いわゆる買手であるところの国の実情を尊重する考えを持っております。そして今度はそこは――個々の問題を言っては恐縮ですが、あの会社は初めて支店長を日本人にしたわけです。日本の従業員の考え方も十分尊重してやるつもりであります。こういう話があったので、それは非常にけっこうだから、ぜひ一つそういうようにわれわれの立場も十分考えてもらいたいということを言うたこともあるのであります。今までの目で見ますと、必ずしも非協力ということではなくて、何とかやはりできるだけ協力しようという考え方を一応持っておる、こういうふうに思うのです。しかし、その限度がどこまでかということになりますと、これはもう少しやらしていただいてもらわぬと、なかなかそれが出てこないのでありますが、今の段階においては、それほど抵抗がきついというふうにも感じていないということでございます。
  80. 始関伊平

    始関委員 今実情がそうならけっこうですが、はたしてその通りかどうか、だんだんお尋ねしたいと思います。その前にもう一つ全般的な問題といたしましてお尋ねしておきたいのですが、これは必ずしも石油だけの問題あるいはエネルギーだけの問題とは思いません。自由化に伴ういろいろな困難な問題は、これから私が申し上げるようなことに帰する点が多いと思うのでありますが、特に石油なりエネルギーの問題として目立っております解決の困難な問題の一つは、全く同じものであるにかかわらず、その価格が違うことであります。たとえば、安い石油と高い石油がある、それからものは違いますけれども、同一の用途に充てられておるとなると、使用価値は同じだと思います。そういう事情であるにかかわらず値段が違う刀たとえば一番適例は石炭と重油でございますが、そういうことがあるから、石炭の合理化によるコスト・ダウンをやるのだとおっしゃっておりますが、しかし千二百下げるということ、それ自体が大へんなことですけれども、これに見合う重油価格というのは八千三百円、これが現在すでに六千円を切っておるというような事情で、この問題は非常に重要な問題だと思います。それから、先ほど大臣、原油のなまだきの問題にお触れになりましたが、私はなまだきという問題が技術的に解決されれば、電力会社なんかそれをやろうという場合には、それはいかぬという理由は全くないだろうと思うのです。しかし、なまだきをやれば、なまだき用の原油と重油との間に同じような格差の問題が起こってくる。重油は下がってもいいという前提に立てば問題はありませんが、なかなか急にはそうはいかぬような問題があるので、こういういろいろな似たようなもので価格の違うものが雑多になっておるということが、私は今日エネルギー問題のむずかしい非常に大きな事情になっておると思うのです。この点につきましては、前の大臣の佐藤さんともいろいろ議論をしたりお尋ねをしたりしたのですが、明快なわれわれの満足するような御答弁というものは実はなかったのであります。これを詳しく議論しておりますと非常に時間がかかりますから、きょうは大体でけっこうでございますが、大臣はこの問題をどういうふうに認識され、どういうふうな方向で対処していかれるのか、その点きょうは大体のところでけっこうでございますから、お伺いしたい。
  81. 福田一

    福田国務大臣 お説の通り、この油の問題というのは非常にむずかしい面がございまして、同じ用途を持っておるものでありながら、非常に値段の違うものがある。あるいは国際的に価格の非常に違ったものがあり得る。また事実違っておる。そういうようないろいろな問題を考えますと、なかなかこの問題はむずかしいのでありますが、しかし、基本線として、日本のエネルギーという面から考えてみますと、一つ考えなければいけないことは、やはり安定したエネルギー源を確保するということが一つ大きな柱だろうと思います。幾ら安いからといって、いきなりどかどかと入れておいて、それによって混乱されるというようなことは、また一面において考えなければならぬ。そういう安定したいわゆるエネルギー源を確保するという一つの柱と、もう一つは今言ったような値段の違うものの問においても、やはり国内にある資源というものを活用する立場から自由化考えてみなければならぬ。それは重油と言わず石炭と言わずでありますが、これにはもちろん限度があります。限度がありますけれども、国内の資源を活用するという立場で、一応この問題も見ていかなければならぬ、こういうことを考えております。しかし、その場合において、しからば自由化されたときにはそういうことを言ったってできないじゃないか、これをどういうふうに考えていくかというような御質問もあろうかと思うのでありますけれども、私としてはやはりその立場からすべて問題を一応見ていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。しかし、どうもあなたは専門家でずいぶん長いことやっていられたのに、私は最近になったばかりであまり御満足な答弁になっておらぬかと思いますけれども、私は考え方としてそういう考え方でものを見ていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  82. 始関伊平

    始関委員 安いエネルギーも高いエネルギーも両方使っていこう、特に国内にあるものを活用しよう、心がまえとしてはその通りなんですが、しかし、いろいろな違った価格があるということを考えますと、西ドイツでやっておるようにうんと高い関税を取るか、それがいかぬならばどこかでプール計算しなければいかぬ。消費者のところで、たとえば電力会社のところでプールしようということが前大臣の御意見であったのですが、それ以外のところでもプールするということも考え得ると思うのです。それはあとでお尋ねしますが、その前に具体的な問題に入りまして、先月の十七日に、昭和三十七年から四十一年度までの五年間の石油の供給計画というものを通産省が決定して発表されました。これによりますと、三十七年度の精製用原油輸入量は四千三百八十七万キロリットルというふうに作成されております。私はこの問題につきまして二つのことをお尋ねしたいのですが、最初の一点は、政府が四千三百八十七万キロリットルというふうにおきめになったのですが、この供給計画と今後の実際の各社の輸入計画、従って生産量とを見合って、自由化後も石油業界が製品の需給なりあるいは価格の面で、大した混乱なしにやっていけるというお見通しがあるのかどうかという問題。実は自由化の前、現在すでに非常にはでな販売競争、ちょっと見るにしのびないような過当競争が行なわれておりまして、値段も非常に下がっているし、三月決算は各社いずれも赤字だというようなことで、石油市況はどこまで悪化するのかわからぬというようなことに承知しております。これは石炭の需給を圧迫するということ、それから価格の面からも圧迫するということでおもしろくない。もう一つは、これは国会のこの前の法案の審議の際にも問題になったのですが、日本の石油業というものが、会社の経理が苦しくなりますから、今後ますます国際石油資本その他関係会社への依存度、隷属度が高くなりまして、名前は日本の石油会社だが、日本人の会社としては全く自由意思のない、自主性のない会社になってしまう。そういういろいろな意味からいっても、非常におもしろくないと思うのです。私は第三者、つまり政府責任者でない立場から言いますと、収拾すべからざる混乱状態に陥ると思う。これはほぼ火を見るよりも明らかであって、政府はこれに対して有効に対処する法的手段も何も持たない。でありますから、私はそういうふうに言うのが正直な答え方だと思いますが、責任大臣としてはそんなことも言えないと思いますが、一体どういう見通しであるか。一ぺん極端な混乱状態になりますから、そこから今度法律を改正するなり何なり、新しい施策をしようという考え方であるのか。問題がややこしくなりますからここで一つ答弁願いたい。
  83. 福田一

    福田国務大臣 先月の十七日ということになりますと、実は私がまだ就任をしておりませんので、どういう事情でございましたか、ちょっとよく聞いておりませんから、あとで鉱山局長から説明をさせます。  それから今の、こういうような状況下において自由化をしたならば非常な混乱を生ずるであろうと思うが、これについてどう考えておるかというお話でありますが、確かにいろいろな問題をはらんでおると思います。確かに石油業界には始関先生のおっしゃったような問題がたくさんあると思いますが、しかし私は、非常な大混乱が起きて、どうにもこうにもならなくなるというようなところまで行くとは考えておらないのでありまして、そこにやはり石油業をやっている人たちのある程度の良識というものが働いてくるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  84. 川出千速

    ○川出説明員 石油業法によりまして、大臣御就任の前の石油審議会でございましたか、五カ年間の石油の供給計画を諮りましてきめたわけでございます。先ほど御指摘のように原油の精製用の輸入量が四千三百万以上の数字になっております。これは政府見通しでございます。十月以降自由化になりますと、これは建前としまして、各社、各企業は原油を自由にどこからでも購入することができるようになります。設備に若干の余裕を持っておりますから、もちろんフル稼働しようと思えば、これは上回ることもあり得るかもしれません。石油業法のかまえは、そういう供給計画政府が発表いたしまして、あと精製の各企業から事業計画をとることにしておるわけでございます。その期限が今月の終わりごろになっておりまして、まだ実のところ私のところへ各企業から自分のところの事業計画と申しますか、その前提になる原油の購入ももちろん入っておるわけでございますが、それが全然出ておりませんものですから、その集計がはたして政府見通しを大きく上回っておるのか、あるいは大体いいところにいっているのか、もう少しするとわかると思います。現在のところではまだはっきりしないわけでございます。
  85. 始関伊平

    始関委員 私は今さら原油の自由化を延期しろという議論をするつもりはないのです。ただ、さっきも申し上げましたように、外国の立法例なんかを見ましても、いわゆる為替管理の観点ではない別個の観点から、ちょっと石油の全体の規制というものを考え直す必要があるだろうという立場で申し上げておるわけです。  もう一つ大臣と私とだいぶ認識が違うのですが、諸外国の石油産業というのは、日本に比べますと、ガソリンにしても、重油にしても、はるかに価格が高いんですね。そこでそういう高いレベルで安定させて、もうかりますけれども、もうかった金で方々の石油資源の探掘その他をやらそう、もうけさすかわりに国の言うことも聞かせよう、いろいろな積極的な石油資源の開発あるいは精製設備なんかも、あまり外国から借金しなくてもやっていけるような、そういう健全な企業として石油産業というものを育てていこう、こういうのが外国の立場であって、そういうのと日本の現状と比べると、ほんとうに違うんですね。私に言わせれば、石油業界の現状というのは、もうすでに見るに忍びざるような状態なんです。それは大臣と認識が違いますから、これ以上申し上げません。ただ将来お考えを願いたいと思う次第でございます。  それから、先月の十七日に策定発表されました石油の供給計画に関連して、もう一つお尋ねしたいのですが、実はこの中に私どもとしては非常に関心を持っておるアラビア石油と北スマトラ石油の数量が明示されていない。これは一番大事な点が落ちておるように思いますが、政府はこれをどういうふうに見込んでおるのかということと、私はこういう供給計画というものをつくる以上、当然その中に入れるべきではないかと思いますが、どうされるつもりなのか、発表されるとすれば、いつごろ発表されるつもりなのかということをお尋ねしたいのであります。いろいろ海外開発原油の引き取りについては、単に民間話し合いだけにまかすべきものではなくて、そこに一つの国家意思を発動すると申しますか、政府の方から言えば、行政指導ということになろうかと思いますが、そういうことでやるというふうに佐藤前大臣もおっしゃっておられたのです。当然のことかと思いますが、その基本的な態度、これは大臣一つ答弁願いたいと思います。
  86. 福田一

    福田国務大臣 先月の十七日に発表されたあの数字の中には、確かにその点は抜けておりますが、これは引き取りの数量の問題につきまして、まだその当時はっきりした案が出ておりませんでした。そしてその後も実は今鉱山局の方でいろいろ関係各社と話し合いを進めておる段階でございまして、私はすぐにというわけにも、これは交渉事というか、そういうことでありますから、急に五日や六日できまるとは申しませんが、近いうちに話し合いが一応つくものである、こういうふうに考えております。しかし、その場合において非常に数量が食い違った場合はどうするかということになれば、これは先ほども板川さんの御質問にもお答えいたしましたけれども、われわれとしては何としても引き取るという体制においてこちらとしてなすべき手も考えていかなければならない、こういうふうな考え方でおるわけでございます。
  87. 始関伊平

    始関委員 こういう問題につきましても、私はやはり法的な背景がもう少し必要だと思うので、たとえばフランスでは石油が専売というような形で完全な国家規制になっておるのです。そういうことを背景にしてサハラ石油なんか、これは非常にはっきり話し合いがうまくいっておるそうですか、いかにも日本では企業の体質といい、石油業の規制に関する法律といい、不十分で、大臣あるいは局長に御苦労、かたきをしいられておるような格好で大へんお気の毒に思っておりますけれども、しかし政府には法案提出の手続もあるのですから、御遠慮なくおやりになったらどうかと思います。それから次に国産原油の問題ですが、これは供給計画に三十七年度で九十万キロリッターと想定されておりますが、こっちの方は数量はいいのですが、価格の方が不安定だ、国産産油についての通産省の合理化目標は、キロリッターあたり六千円だというふうに聞いております。合理化目標をさらに下げる余地があるというのであればまた話は別ですが、一応六千円の線がぎりぎりということであれば、そこで何とかしなければならない。これもまた通産省当局としては大へん厄介な問題だということになります。現在の輸入原油は五千円を割ったというような状況ですから、商い価格のままで、日石、昭石、あるいは日本鉱業、これは歴史的な関係が量るわけですが、引き取らせることができるのかどうか。私は今日のようにぎりぎりの線で精製業者が競争しておるというときに、歴史的因縁があるからといって、この三社だけに対して高い値段で引き取れというのは、ちょっと無理があるのではないか、渋る方にちょっと無理からぬ点があるんじゃないかと思うのですが、これは一体どういう方向で御解決になるか、ちょっと伺いたいと思います。
  88. 福田一

    福田国務大臣 ただいまその問題につきましても、実は大体六千円のべースで話を進めておりまして、もう大部分――大部分というとおかしいのですが、二社はほとんど話が進んでもう一社と具体的な話、引き取らせるような話をしておる段階でございます。
  89. 始関伊平

    始関委員 私は午前中に板川君からもお話があったのですが、要するに現在の日本は国際的に見て過剰気味な石油のダンピング市場になっておる関係で、世界中で一番石油の輸入価格が安い。従って、国産石油は販売競争だけでいくにはまだ若干の値開きがある。二、三に引き取らすということで大へんけっこうですが、そういうことが長続きするか、いささか疑問の点があると思います。それからこれは日本の石油市場に特筆大書すべきことではないかと思うのですが、海外開発原油は、精製各社が外資導入なりあるいは外資借款の際の原油輸入契約に制約されておるというような事情のために、普通売買交渉では数量がだいぶ食い違っておるようですが、どうしてもうまくいかないような点がある。そこで、この前の国会で国産原油と海外開発原油の安定的な供給を確保するために一つの機関を設けたらどうかという決議がございまして、それについて当時の通産大臣が善処を約された、こういうことになっております。大臣はこれに対して、うまくいけばこれはつくる必要はないし、どうしてもうまくいかなければつくるということを考えるというお話でございますが、石油精製会社が国際的ないろいろな制約を受けておりまして、二つの北スマトラにしてもアラビア石油にいたしましても、あれは要するに個人会社なんですね。そういうものを特別扱いするというところに非常に、本社といいますか、海外の出資会社に対して説明しにくいような点もあるということでございますし、これはもっともな点ですから、一ぺん国策会社、国家機関に引き取って、そこでその油にいわば一つの国家的な性格を持たせるようにするということが一つと、もう一つは、高いものと安いものとが同時にやったのでは、やはり長続きしない、うまくいかないから、安い石油と高い石油とをプールする必要のある国産石油の問題になる額は約十億だそうでございますが、その額を今後この機関で負担するような方法を講ずべきではないか。そうするためには、一方において安い石油がなければいけない。そのためにはソ連原油が一番格好な、最上の原油ですが、条約上うまくない点があるということですから、これは御研究願いたい。その原油も生だきを認めるそうですわ。ある程度高くてもいい、そこにも財源ができる。そういう財源が特にない場合は、現在原油の輸入関税が一割相当の重量税、五百三十円ですが、これは一割より上になっておりますので、これはある程度負けて、それに見合う賦課金のようなものを取って、今申しました操作用の財源にする、あるいは現在の関税をそのままにしておいてかけるということも考えられると思いますけれども、そういったような方法を講じて何かやっていく。これは前の国会では非常にやかましく議論されたのですが、石油の貯蔵星というものは操作用が二十日前後しかない。ロビンソン報告では八週間くらいの貯油をするようにEECの各国に勧告しているということを相当聞いておるのです。こういうような必要を電力会社その他だいぶ感じておるようなことも承知しておりますが、そういうような機能を持たせる。別に新しい機関をつくるにしても、現在の石油資源開発会社にこういう機能を担当させるということもできるわけでございますが、要するに私は今日のように利害関係が深刻になり、むずかしくなってきた石油行政をやるのに、政府が素手で、単に行政指導というようなことでやったってなかなか無理だというのが実情じゃないかと思いますので、こういう方面についてもっと積極的に、様子を見るといったってわかっておるので、前面きに五歩なり十歩なり進むという方向でお考え願いたいと思います。いかがでございますか。
  90. 福田一

    福田国務大臣 お考え方は、この問題処理の一つ方向として十分価値のあるお考え方であると私も存ずるのであります。一つ十分研究させていただきたいと思います。
  91. 松平忠久

    ○松平委員 ちょっとおかしい。大臣、附帯決議を読んでみると、「等」という字があるんですよ。そこで大臣のお考えが少し誤解が生まれているのではないか。安定供給をするために一手買い取り等のようなものを考えられたらどうかというようにお考えになっておるようだけれども、委員会の決議はそうなっていないのです。「買取等」を行なう機関を設けろ。そこでそのときの含みは「買取等」の「等」の中には、実はリファイナリイだとか、そういうものもこの一手買取機関で将来やる余地を残しているんだ、あるいは貯油しなければならぬ。そういうような考え方がありまして、そこで当時のいきさつとしては「等」という字を入れたんです。ところが、先ほど聞いていると、板川君に対する大臣答弁、並びに始関君がそれを指摘されたんですけれども、その大臣のお考えによると、何か安定的な供給をするための一つ方法として一手買取機関というものを検討するというふうな考え方になっておるのではないかと思うのです。ところが附帯決議はそうじゃなくて、やはり一手買取機関をつくるんだ、こういうことを当時採択しているわけです。ですから、大臣考え方が附帯決議を尊重するということであれば、これはつくるということが前提になっておるので、どういうものをつくるかということは、それはあなたの方で考えてもらう。そういうゆとりは残してありますけれども、つくるということは附帯決議には実は決議としてできているんです。そのところに少し誤解があるのではないか。
  92. 福田一

    福田国務大臣 いや、私は実は答え方がまずいものだから、誤解をいただいたかと思いますけれども、附帯決議の意味は、もちろん買い取る形において、場合によっては貯油、精製までやっていくんだという含みを持っておいでになるというととはよくわかっております。しかし、この石油の問題を解決するにあたりましては、今おっしゃったような形で解決をいたしていこうとしますと、またここにいろいろの副作用やいろいろな問題が起きてくる、あるいは資金の面あるいはコストに及ぼす影響あるいは既存の石油会社との関係等やいろいろできてくると思います。そこで、現在あるいわゆる精製会社がこれをうまくさばいてくれるならば、無理をしてそこまでやらぬで毛、一応目的が達せられるかもしらぬ。それをやってみて、なおかつそういうふうに油を引き取ってもらっても、なおこれでもやっていけないということが起きれば、これはもちろんそういうようなことにまで踏み切っていかにやなりません。こういうふうな考え方を実は持っておるわけでございまして、決して附帯決議のあれを安定的な立場からというのでなくして、もちろん附帯決議のお気持は十分くみ取ってやっていくということでありますが、ここに非常な二重投資的なことがあるから、摩擦を起こしてまでそこまでやっていいかどうか。今までの既存のものでうまく間に合うならば、一つそれで間に合わしてみよう、こういう考え方でやっておるわけであります。もうしばらくやらしてもらわぬうちは、私もこれ以上こうします。ああしますということは言えないので、一つ御了解を願いたいと思います。
  93. 松平忠久

    ○松平委員 大臣、よくわかりました。気持としてはそういう気持でもいいですよ。いいけれども、附帯決議の趣旨はそういう関係手続をとかいう言葉は書いてないので、おきめになることは差しつかえないと思う。しかし、最終的にはやはりこれをつくることが附帯決議の当時の趣旨だった。現在読み直してもそうですよ。だから、その附帯決議はそういう趣旨だったということを大臣は腹の中に入れておいてもらって、あなたの言われる手続関係はいかようともやってもらって差しつかえないと思う。しかし、最終目標はそうだということは、やはり念頭に入れておいてもらわぬといかぬのではないか、こう思う。
  94. 田中武夫

    田中(武)委員 今の松平委員の質問といいますか、要望と同じことなんですが、念のために読み上げておきたいと思うのです。大臣の御答弁のような趣旨は、参議院の附帯決議ならば、そういうように読めないこともないんです。参議院は「国産原油、海外開発原油の引取体制を早急に確立すること。」となっている。ところがわれわれの方はそうじゃなくて、「国産原油および海外開発原油等の安定的供給を確保するため、買取等を行うための機関として特殊法人を速やかに設立すること。」となっているのです。ちょっとニュアンスが違うわけです。何も国会の附帯決議がそのまま法律的に政府を束縛するとは思っていませんが、そのときの決議に対して通産大臣は「石油業法案の御審議にあたりましては、大へん慎重に、また熱意を持って御審議をいただきまして」と始まって「強い御指示を附帯決議の形で伺ったのでございます。これらの点は、審議の過程におきましても、十分政府の意のあるところも御説明申し上げ、また当委員会の皆様方の強い御要望も伺った次第でございますが、ただいまかような附帯決議を見ました以上、政府はもちろんこの附帯決議の趣旨を十分尊重いたしまして善処する考えでございます。」こう言っているのです。従って、今別に直ちにそうしますという答弁を求めてはおりませんが、少し考え方の基礎が違うから念のために……。
  95. 板川正吾

    板川委員 附帯決議をそうしてあるのですが、なぜそうしたかというのは、石油を安定的に供給する、これがもちろん第一ですが、しかし安定的供給を確保するというばかりじゃないのですね、そのときの審議の過程では国の影響力を――今石油の九八%は輸入に待っているのですから、ほとんど一〇〇%近く外泊系の支配下に置くのは、いざというときに困る。従って、国防上の理由から、アメリカは石油を自由化してない。フランスは国営でもってサハラで開発しておる。イギリスは少数の、二、三社で、国の意思を反映している。イタリアはエニという特殊法人の会社が、三分の一近くのものを――国策会社ですから、これが代表して国の意思というのか、――重要なエネルギー源である石油の三分の一くらいは持っておかないといざというときに困るということもあるんですね。アメリカの国防上と同じような意味がある。産業の防衛上とうしても必要だ、そういうために今まで九八%も全部外泊系にまかしておいたのだけれども、石油業法を機会に政府がコントロールできる程度のもの、三分の一くらいはなくちゃいけない、そのためには準国産油いわゆる海外開発油、国産油を中心として買取機関なりを設けて、これで政府のコントロール下に置くような方向に努力せよというのが附帯決議に現われた審議の過程なんです。だから、ただ外国油を買って不足なく供給すれはいいんだろうというのじゃない、国の意思をこの重要なエネルギー産業、公益事業的な産業、あらゆる産業の基盤になるものですから、国の意思を反映する、そのために買取機関を設けるような方向から出発しよう、こういうことであったのですから、そういう点も御了承いただきたい。
  96. 始関伊平

    始関委員 アラビア石油がどのくらいの買い取りを要望し、精製会社がどのくらいのことを言っているかというような問題につきまして議論するのは適当でないと思いますので、差し控えますが、いずれにしてもギャップは非常に大きいのですね。だんだん大きくなる。ですから引取会社をつくることは、必ずしも一〇〇%解決策になるものじゃないのですが、円滑なる解決に資すること多大なるものがある。私は万やむを得なければなまだきで、アラビア石油の出資会社である電力会社に使わせたらいいと思うのです。少し高くしてプール計算の調整財源もとりながら電力会社に使わすというような、いろいろな手があると思う。要するにしかけがなくちゃ、ものはできないわけですから、三分の一なんてけちなことを言わずに、私は全部を国の規制下に置けという議論ですけれども、特にそのうちの三分の一なら三分の一はほんとうにじかに握るという態勢にしないと私はなかなかうまくいかぬと思いますので、これ以上しつくこ申しませんが、今のお話について私はもうちょっと積極的に、この次の通常国会には案を出すというくらいに腹をきめていただくようにお願いをいたします。  それからあと若干ですが、附帯決議の第一項は国産原油と天然ガスの探鉱開発費の問題ですが、これについては「財政上税制上の保護及び助成措置を画期的に強化拡充すること。」こうあります。この意味は、申すまでもございませんが、自由化になって六千円に下げても、千円ぐらいですか、だいぶ下げたことになるのですね。そうすると探鉱費に充てる部分がなくなるということから、助成をもう少し強化しろという趣旨でございまして、来年度予算なりあるいは財政投融資の問題になっておりますが、大臣としてはどの程度に御認識になり、またどういうふうにやっていただくつもりか。簡単でけっこうでございますから……。
  97. 福田一

    福田国務大臣 まずもって社会党の三名のお方から特に御注意もございましたから、そのことについてあわせて答弁を申し上げたいと思います。  附帯決議の趣旨は十分尊重するといろ意味で前通産大臣お答えになっておるというその趣旨は、私もそのまま受け継いでやっていくつもりであります。しかしながら、先ほども田中さんがおっしゃいましたけれども、決議があったからそれが全部の政治の姿を縛るものでもないのだというお話もございましたが、もしそういうことをしないでも所期の目的が達せられるような場合があるといたしますならば、そういうことも一応考えてみるというのも政府に与えられた一つの仕事である、こう考えておりますので、そういう意味一つ骨を折ってみたいのだ、こういうことを申し上げたのでありますから、御了承を願いたいと思うのであります。  それから、ただいま始関先生から探鉱費の問題につきまして、税制その他補助等の問題についてどういうふうに考えておるかという御質問でございますが、これはもうおっしゃる通りでございまして、十分そういう意味において、税制面においでもあるいは探鉱費の補助の問題についても一つ考えて参りたい、かように考えておるわけでございます。
  98. 始関伊平

    始関委員 附帯決議はもう一項ございますが、これは、「石油精製業の国家的重要性にかんがみ、所要資金については格段の措置を講ずるとともに、原油の購入その他経営全般についてその自主性を高めるよう積極的指導を行なうこと。」こういうふうになっております。これはもう申し上げるまでもございませんが、日本の重要産業、基礎産業で、石油精製業くらい国家的に冷淡な、無視された扱いを受けた産業はほかにないのですね。だから、しょうがないから外国にたよる。その結果、今度アラビア石油ができたから使ってくれと言っても、何だというようなことで、何か国の言うことをすなおに聞けないようなひねくれた子供ができている、こう言ってもいいと思うのです。そこで、おくればせながら、日本のそういう意味での石油精製業の体質改善をするという意味からいって、財政投融資その他をできるだけやってほしい、こういうことで、これは実情必ずしも思うようにいかぬと思いますが、これはぜひやっていただきたいと思いますが、大臣、どの程度にこの問題を御認識になり、おやりになるつもりか、お聞かせを願いたい。
  99. 福田一

    福田国務大臣 附帯決議の御趣旨は、筋としてけっこうな考え方であると思いますが、何しろこの財政投融資というものは、方々から要望がございまして、はたしてどの程度まで御趣旨に沿えるかどうか、私、今明言することはできませんけれども、しかし、附帯決議のお考えは、これは当然なことでありますので、私としても努力をして参りたい、かように考えておる次第であります。
  100. 始関伊平

    始関委員 あとの問題は、鉱山局長に御答弁願ってけっこうなんですが、もしおひまがちょっとございましたら、お聞きいただけば大へんけっこうでございますし、非常にお忙しいのでしたらそれでけっこうですが……。  潤滑油の問題でございますが、これは最近やはり経済不況を反映して、非常に潤滑業者が困っておる。これは大体中小企業である潤滑油の専業者が、先般から二割ないし五割の操短をやっておるのだけれども、二、三の石油精製業者が、実情を無視して潤滑油の生産を盛んにやっておるので、中小企業である潤滑油専業者が非常に困っておるということで、これは鉱山局長のところに陳情があったはずだと思います。これは大企業中小企業が同じようなことをやっているわけです。中小企業の方は操短をやっておるわけですが、大企業の方は、いろいろな事情というか、特に重油の売れ行きが悪いとかいうようないろいろな事情があるようで、中小企業がやめておるのにますます精を出しておるから、非常に圧迫しておる。これは行政指導の問題になるのですが、この問題について何かしかるべき一つ指導、御措置を願いたいと思いますが、いかがでございますか。
  101. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 ちょっと速記をやめて下さい。   〔速記中止〕
  102. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 速記を始めて下さい。
  103. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 関連質問で、簡単に大臣にお伺いをいたしたいと思います。  石油業法審議の過程におきまして、われわれは、本年十月、貿易自由化を前提としての石油に関する国内市場のあり方ということをいろいろ検討いたしたのでありますが、これはなかなか論ずべくしてその見通しというものはむずかしい。そこで、当局の立案になります石油業法というものの制定に賛成をいたしまして、まず、先ほどから御論議がございました通り、非常な混乱はないだろうが、多少の混乱はあるだろう、その混乱の生じた場合に、適切な処置を講じていくというのが一番いいんじゃないかということで私も賛成いたしたのでありますが、そのときに問題になりましたのは、ただいま御質疑がございました附帯決議において、特に私の観点を深めておりますことは、国産石油に対して当局はどういう措置をとられるかということであったのでありますが、これは附帯決議ではわれわれの希望を盛ったわけでありますけれども、当局は善処するというだけの御答弁になっておりまして、昭和三十八年度に国産原油開発に対するいかなる構想を予算に盛られるかということについては、まだ的確に承っておらないのであります。そういう観点に対して、国産原油はどういうふうに今後措置をしていくつもりであるか。もっと具体的に申し上げますと、石油資源開発会社等の機能に対して、新しく通産大臣として御就任になりました立場においてどういうふうにお考えになっておられますか、それを一つ簡単に承っておきたいと思います。
  104. 福田一

    福田国務大臣 国産石油の問題につきましては、これは必ずしも石油だけというわけでは、ございませんけれども、国内資源をやはり活用していくという観点で十分考慮していきたい。ということは、ただいま六千円で受け取るか受け取らぬかというような話もありますけれども、こういう場合においても、何としてもそれだから、値段が引き合わなくなったからそれを全部やめさせるとかそういう考え方ではなくて、どういう方法をするかと言われると、今私ここで明言はできませんので、これは研究さしていただきたいと思うけれども、とにかくこの国産石油が何とか立っていけるような措置を講ずるのだ、こういう考え方で問題を処理をしてもらいたい、こういう考えでございます。
  105. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 国内石油のキロリットル当たり六千円、これを今中心として国産石油の問題が論議されておるようでございますが、私の関知いたしておりまする限りにおきましては、この石油の開発は天然ガスの開発と不可分の関係にあるわけでございますので、日本に天然ガス対策というものを確立いたしまして、この石油と同時に出て参ります天然ガスを十分に活用いたしまするならば、四割ぐらいはまだ価格の減少を見込めるのじゃないかという論があるのであります。通産行政の中で私の最も遺憾にたえないのは、四千億立方メートルないし六千億立方メートルの天然ガスが見込まれておる日本において、天然ガス対策というものが確立されておらないことであります。こういうような石油と不可分の地下資源がたくさんに埋蔵されておるという現実がわかっておるにかかわらず、毎年盛りまする予算というものはまるでスズメの涙みたいなもので、開発をする方で戸惑うような予算を盛って、そうして総合エネルギー対策を確立するというがごときは、私は、これはつじつまが合わない政策じゃないかと思っておるわけであります。昨年度におきまして通産当局は、思い切って四億の天然ガス開発の予算を盛ったようでありますが、とうとう腰が弱くて地質調査所、特別研究所の中にわずか一億円の歩どまりを盛っただけであります。簡単に申し上げますと、過日私、石油資源開発会社に参りまして、一カ年の探鉱状況を聴取いたしました。これは私の県秋田県だけにおきましても、海底油田その他において膨大な埋蔵量を予想し得る調査が行なわれておって、昨年の実績ではこれはとても足らないのじゃないかということになっておるようであります。日本の過去の石油及び天然ガスに対するところの調査はきわめて浅薄な、児戯に類するとまではいかなくとも、世界に対比いたしますると、きわめて小規模な探鉱しか行なわれていない。でありますから、私は、この石油問題が、貿易の自由化を前提として非常な関心を高めておる最中に、せめて国内資源でありまする石油とかあるいは天然ガス対策というものに対してはっきりした態勢を整えられて、それが実現のできるような予算を盛って、一つ思い切って調査開発を進められていくことがいいのじゃないかというふうに考えます。一つ国内石油を取り扱われますお考えの中に、天然ガスというものも一緒に含められまして、そうして対策を立てられたいと思うのでありますが、大臣はいかがにお考えになりますか。
  106. 福田一

    福田国務大臣 大へんけっこうなお考えだと思いますので、一つ十分研究さしていただきたいと思います。
  107. 川出千速

    ○川出説明員 ただいま始関先生からお話のありました点、中小企業である潤滑油の製造業界から要望を聞いております。大企業である石油精製業が進出をしてきて、そのために中小企業が非常に迷惑をしておる、あるいは迷惑をするおそれがますます強くなっておるというようなお話でございまして、実態調査も現在いたしておるわけでございまするが、現在のところはそれほどではないにいたしましても、今後はそういう懸念が多分にあるように見受けております。現在中小企業の業種別振興法の中に潤滑油を指定をいたしまして実態調査をしております。近くそれに基づく改善事項の指示も出る運びになろうかと思います。そうなりますと、中小企業と大企業との生産分野の調整に関する勧告ということもございます。あるいはこれは石油業法の対象には潤滑油はなっておりませんけれども、精製業界に対する行政指導というのはまた別個の観点からもできます。そういうような点、両方を考えあわせて今後やってみたいと思っております。
  108. 始関伊平

    始関委員 ただいまの御答弁でけっこうですが、潤滑油も時期を見て石油業法の適用を受けるようにする。もちろんあまり小さいのはあれでしょうが、一定規模以上のものは潤滑油業の場合はそうすることを考えていただくのが適当じゃないかと思います。それで今の御答弁で大へんけっこうで、尽きておるのですが、何か二、三の精製業者が、設備の問題、さっき生産の問題を伺ったのですが、潤滑油部門の設備を非常に増設しようとしておる、これも一つ行政指導で押えてもらいたいということを陳情しておるようですが、いかがですか。
  109. 川出千速

    ○川出説明員 潤滑油の設備も実は石油業法の対象になっていないわけですから、法的規制を加えるということには参りませんですが、行政指導の面で指導して参りたいと思っております。
  110. 始関伊平

    始関委員 それからもう一つ。これも業者の陳情ですが、ある業者が、特定の業者が潤滑油の輸入を相当大げさにやろうと、そのために現行の潤滑油輸入関税ですね、二二・五%くらいだと聞いておりますが、これを引き下げようという運動があるのだと聞いておりますが、関税の問題をそう簡単にどうこう言うわけにもいかぬと思いますが、二割前後の関税ならば私は据え置いてもいいのじゃなかろうかと思いますが、そういう動きがあるのかどうか、通産省としてこの点について考えておる点があればお聞かせ願いたいと思います。
  111. 川出千速

    ○川出説明員 実は潤滑油はだいぶ前からすでに自由化されておるわけでございます。現在の関税の率はガット税率で二二・五%だったかと存じます。私どもとしてはこれを下げるというようなことは全然考えていない、こういうことでございます。
  112. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 関連して――新聞によりますと、需要に応じ切れないほどLPGというものは盛んに使用されておるということなんですが、ちょっとその状況を話して下さい。
  113. 川出千速

    ○川出説明員 LPGの需給関係は夏場と冬場と非常に違うところに実は非常に困った問題があるわけでございます。LPGは石油業法の一応の需給計画の対象になっておりますので、いろいろその計画を立てておりますが、現在のところ、むしろ夏場であるせいもあるのでしょうが、供給過剰ぎみだと聞いております。これは石油化学の方が思うように伸びないためにとりあえずLPGで市場に放出するという分もだいぶあるようでございます。しかし、これが冬場になりますと、今度はむしろ需要は非常にふえますので、現在の供給通りであっても足りないことが起きるかもわからないという事態も予想されるわけでございます。そのためにはやはりLGPの貯蔵設備を相当に設けて、需給の調整をしなければならないという問題が将来残された課題になってくるかと思います。現状のところでは、不足しておるというよりも、むしろ過剰ぎみだというように聞いております。
  114. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 そのLPG対策というのはあるのですか。
  115. 川出千速

    ○川出説明員 これは今実態調査をしておる段階でございまして、これは家庭燃料あるいは工業用の需要の原料といたしまして将来ますます需要は伸びるでございましょうし、一般消費者の生活にも影響するところきわめて大でございますので、ただいまそれじゃどういう対策を立てるか、あるいは法的規制を加えるかどうかというような問題があるかと思うのですが、現在のところ確たる対策を持っていないわけでございます。
  116. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 LPGの需要というものは、当然文化国家の将来を考えますと、これは増大していく見通しが立つと思うのでありますから、これに対してやはり政府当局は今から確固たる対策を樹立するのが望ましいことであるし、それと同時に、先ほど来大臣にも申し上げました通り国内の天然ガスというものの開発と相待って、日本はLGP対策を確立していかなければならぬ、私はそういうふうに考えておるわけでありますから、こういう点は一つ抜かりなく総合エネルギー対策の一環として、また国内資源確保の意味からも、一つ十分御検討を加えられて、昭和三十八年度の予算には、われわれが希望する通りとはいかなくても、強力な一つの対策を立てるような構想で進まれたいと思うのでありまするが、局長は一体これに対してどういうお気持でありますか。
  117. 川出千速

    ○川出説明員 昨年も大いにやったつもりでございますけれども、先生からはどうもけたが違っておるのじゃないかという御叱責も受けたわけでありますが、ことしも大いにやってみるつもりでございます。
  118. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 次会は明後二十四日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することといたし、本日はこれにて散会をいたします。    午後三時三十八分散会