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1962-08-29 第41回国会 衆議院 社会労働委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年八月二十九日(水曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 秋田 大助君    理事 小沢 辰男君 理事 藤本 捨助君    理事 柳谷清三郎君 理事 小林  進君    理事 五島 虎雄君 理事 八木 一男君       井村 重雄君    伊藤宗一郎君       植木庚子郎君    浦野 幸男君       加藤鐐五郎君    佐伯 宗義君       田中 正巳君    中野 四郎君       中山 マサ君    楢橋  渡君       松田 鐵藏君    松山千惠子君       森田重次郎君    米田 吉盛君       赤松  勇君    淺沼 享子君       猪俣 浩三君    大原  亨君       岡  良一君    川村 継義君       河野  正君    島本 虎三君       田邊  誠君    滝井 義高君       坪野 米男君    中村 英男君       松井  誠君    吉村 吉雄君       井堀 繁男君    本島百合子君  出席国務大臣         労 働 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         内閣官房長官  黒金 泰美君         大蔵政務次官  原田  憲君         国税庁長官   木村 秀弘君         運輸政務次官  大石 武一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      岡本  悟君         労働事務官         (労政局長)  堀  秀夫君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      大島  靖君  委員外出席者         人事院事務官         (公平局長)  小林  巌君         人事院事務官         (職員局長)  大塚 基弘君         警  視  監         (警察庁警備局         長)      三輪 良雄君         大蔵事務官         (関税局長)  稻田 耕作君         通商産業事務官         (軽工業局無機         化学課長)   田辺文一郎君         労働事務官         (労政局労働法         規課長)    青木勇之助君         日本国有鉄道総         裁       十河 信二君         日本国有鉄道副         総裁      吾孫子 豊君         日本国有鉄道参         与         (職員局長)  河村  勝君         日本国有鉄道参         与         (公安本部長) 長沢小二郎君         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 八月二十九日  委員赤松勇君、淺沼享子君、河野正君、中村英  男君及び吉村吉雄辞任につき、その補欠とし  て岡良一君、松井誠君、坪野米男君、川村継義  君及び猪俣浩三君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員猪俣浩三君、岡良一君、川村継義君、坪野  米男君及び松井誠辞任につき、その補欠とし  て吉村吉雄君、赤松勇君、中村英男君、河野正  君及び淺沼享子君が議長指名委員選任さ  れた。     ————————————— 八月二十八日  医療保障制度一元化等に関する請願江崎真  澄君紹介)(第三五八号)  清掃事業施設用地費国庫補助等に関する請願  (江崎真澄紹介)(第三五九号)  国民年金事務費増額に関する請願江崎真澄  君紹介)(第三六〇号)  戦没者妻等特別加給金支給に関する請願(  加藤高藏君紹介)(第三六七号)  同(關谷勝利紹介)(第三九〇号)  老人福祉法制定に関する請願外十一件(中澤  茂一君紹介)(第三六八号)  同外六十件(小川平二紹介)(第三八八号)  同(古井喜實紹介)(第四七六号)  農山漁村幼児保育に関する請願志賀健次郎  君外五名紹介)(第三六九号)  同(八田貞義君外六名紹介)(第三七〇号)  同(保科善四郎君外三名紹介)(第三七一号)  同(松澤雄藏君外三名紹介)(第三七二号)  同(柳谷清三郎君外二名紹介)(第三七三号)  老人福祉法早期制定等に関する請願有田喜  一君紹介)(第三八七号)  戦傷病者のための単独法制定に関する請願(小  川半次紹介)(第三八九号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第四七五号)  環境衛生関係営業運営適正化に関する法律  の一部改正に関する請願瀬戸山三男紹介)  (第四〇三号)  戦争犯罪関係者の補償に関する請願瀬戸山三  男君紹介)(第四〇四号)  同(田中龍夫紹介)(第四四二号)  公衆浴場法の一部改正に関する請願小笠公韶  君紹介)(第四〇五号)  同外一件(唐澤俊樹紹介)(第四四三号)  引揚医師特例受験資格に関する請願柳谷清三  郎君紹介)(第四〇九号)  国民健康保険直営診療施設運営費補助増額に  関する請願柳谷清三郎紹介)(第四一〇  号)  北海道、東北地方に精神病後保護施設設置に関  する請願柳谷清三郎紹介)(第四一一号)  成人病対策の強化に関する請願柳谷清三郎君  紹介)(第四一二号)  失業対策事業打切り反対及び雇用安定等に関  する請願井堀繁男紹介)(第四六三号)  同(伊藤卯四郎紹介)(第四六四号)  同(稲富稜人君紹介)(第四六五号)  同(受田新吉紹介)(第四六六号)  同外一件(春日一幸紹介)(第四六七号)  同(佐々木良作紹介)(第四六八号)  同外一件(鈴木義男紹介)(第四六九号)  同(田中幾三郎紹介)(第四七〇号)  同(玉置一徳紹介)(第四七一号)  同(西村榮一紹介)(第四七二号)  同(本島百合子紹介)(第四七三号)  栄養士法等の一部を改正する法律案成立促進に  関する請願大高康紹介)(第四七四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  労働関係基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 秋田大助

    秋田委員長 これより会議を開きます。  労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、これを許します。松井誠君。
  3. 松井誠

    松井(誠)委員 私は、国鉄当局の最近における、国労に対する不当労働行為の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  最初に、この国労に対する不当労働行為の問題につきましては、先般公労委救済命令が発せられまして、それに対して当局の方では行政訴訟を起こしたやに聞いておりますけれども、その事実の有無についてまずお尋ねをいたしたいと思います。
  4. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいまお尋ねのございました通り、七月の三日付で公労委の方から不当労働行為救済命令が出されまして、四日に送達を受けたわけでございまするが、国鉄当局といたしましては、この救済命令内容につきましては納得しがたい点がございますので、法の定めによりまして、ただいま東京地方裁判所に対して、七月十九日付をもって不当労働行為救済命令取り消し請求行政訴訟を提起いたしまして、目下係属中でございます。
  5. 松井誠

    松井(誠)委員 その救済命令公労委が認めた不当労働行為というのは数数ございますから、従って、個別にどういう理由行政訴訟を起こされたかということはいろいろ理由があると思いますけれども、概して言えば、主としてどういう点が不服でこの行政訴訟を起こされたのか。個別の事実によっていろいろ理由がございましょうけれども、概括的に申せばどういうことなのだということがありましたら、一つまとめて……。
  6. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 一つ一つについては、御質問通りいろいろ理由はございますけれども、概括的に申し上げますれば、救済命令の対象として公労委が取り上げましたそれぞれの案件について、事実認定を誤っておるというふうに認められることがございますのと、法律解釈においても誤りを犯しておるというふうに私どもといたしまして判断されましたので、これに対する行政訴訟を起こしたような次第でございます。
  7. 松井誠

    松井(誠)委員 社会党の方では、先般新潟支社並びに金沢鉄道管理局に参りまして、具体的に一体どういうところが不服なのかということをお尋ねいたしたのであります。そのときに、全部ではございませんけれども、具体的に、たとえば組合結成に関与したような形、外から見ればそういう形はあるけれども、しかしそれは駅長個人の、あるいは助役個人の、いわば職制としてではなく個人のプレーにすぎない。いわば具体的な事実はあるけれども、その行為解釈の問題が問題なんだ。たとえばそういう理由ですね。あるいはまた金沢鉄道管理局では、なるほど国鉄側としていろいろな機関紙を出しておる。そのときに、言われたような事実内容のものを書いてある。しかし、それは国鉄側として当然やり得る行為ではないかという弁明なんですね。つまりそういう具体的な事実はあるけれども解釈そのもの異論があるというのが、全部ではございませんけれども、この救済命令に対して異論があるという大きな理由だとわれわれの調査では受け取ったわけですけれども、その点は間違いございませんか。
  8. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 当局側行政訴訟を起こしました理由は、この救済命令の中で、駅長あるいは助役等支配介入行為であるというふうに認定されましたものが、全く存在しないものである場合もございましたし、あるいは少なくともその内容が著しく誤認せられておりまして、何ら組合に対する介入とは認められない行為であるというようなものもございます。要するに、この命令の事実認定が、私どもの調べましたところでは著しく事実の真相に遠いものであり、全く支配介入の実質を有しないものを誤って支配介入認定したというような違法があるというふうに考えまして、行政訴訟を提起いたしたような次第でございます。
  9. 松井誠

    松井(誠)委員 この救済命令申し立ての事実そのものは非常にたくさんあったわけであります。その中で公労委がその大部分のものをむしろえり分けて、具体的にこれだけは不当労働行為だということで認定をされたものは、申立事実の中のほんの一部分にすぎない。元来、この差別待遇にしてもあるいは不当な支配介入にしても、理屈のつけよう逃げ道は非常に多い。そういう問題だと思う。外から見れば、たとえば差別待遇だということがいわば、客観的にはわかっておっても、しかし、具体的なしっぽをつかむということは非常にむずかしい。元来そういうものだと思う。そういうものの中からえり分けて、これだけはやはりはっきりした不当労働行為だといって認定をした事実そのものに、なおそういう異論がある。これは法律的にそういう道が開かれておるわけですから、行政訴訟を起こしたこと自体私たちはどうこう申すつもりはございません。そういうものが法律的に認められておる限りは、その限りではどうこう申すつもりはございませんけれども、問題は、その救済命令に対する取り消しを求めた内容そのものが問題じゃないかと思う。つまり具体的なそういう事実が初めからないのだという主張ならば、そういう認定の違いということならば、これはあるいは当然かもしれません。しかし、ともかくそのような事実はあるのだ、少なくともそれに類するような事実はあるのだ、しかし、それはそういう趣旨ではございませんというのは、もちろんこれは審問の経過でそういう弁解は十分なさったに違いない。そういう弁解をなさったに違いないにもかかわらず、しかし公労委はそのような認定をされた、そのような公労委が二重にも三重にもふるいにかけて判断をした、その判断になお不服があるという形で出されたことに一つの問題がある。これはこのような公労委という機関を設けた理由、そうしてそれによってこのような公共企業体労働者がいろいろな権利を奪われているという沿革、そういうものからの根本的な問題もございますけれども、それはあとでやられる方がございましょうから私は申し上げません。しかし、そういう問題を離しても、少なくとも非常に慎重な過程で、たくさんのふるいをかけて認定をされた事実そのものに、またもう一度新たに争いを起こそうという形で行政訴訟を起こされたことが、国鉄当局として多くの労働者をかかえて、そうしてこのような関係労働関係が非常に不安になっておる。その非常に不安になっておる労働関係の不安定さというものを、結果としてはさらに長く継続をするような形になる。行政訴訟を起こしたということに対して、むしろそのような政治的な配慮の足りなさというものを私は指摘せざるを得ないわけです。しかし、この点につきましては、ゆっくりした時間がございませんし、あとで取り上げる方があると思いますので、もうこれ以上申し上げませんけれども、しかし、このような形でともかく公労委不当労働行為というものを認めた一その何分の一ではございますけれども認めた、あるいは少なくとも国労の方でそういう申し立てをしたということが一つの機縁になって、最近の国鉄当局不当労働行為というのは多少形が変わってきておると思う。つまり第二組合結成前後、結成直後には、主として組合に対する不当介入という形で、おそらくは不当労働行為の何たるやを知らなかったかもしれない現場職制によって、非常に露骨な不当労働行為というものが行なわれた。しかし、なるほどそれはいけないのかもしれないということが、さすがにそういう認識が行き渡ったと見えまして、最近では、不当労働行為をやめたのではございません、そうじゃなくて、逆に非常に陰性な形で、非常につかまえにくい形で、いわば逃げ道をつくりながら不当労働行為というものが行なわれているのじゃないか。具体的には、いろいろな形での差別待遇という形で不当労働行為が行なわれておるのではないか。これがわれわれの調査をしたときの印象でございますので、その点についてまずお尋ねをいたしたいと思うのです。  そこで、われわれが各駅を回りましてまず訴えを聞きますのは、そのような非常に露骨な差別待遇昇給についてあるいは昇格についていろいろな差別待遇、そうしてその差別待遇をすることが第二組合を育成するてこにもなっておる。ですから、差別待遇をすることが、そうしてそれをえさにすることによって第二組合を強化し、第一組合に対する不当な支配介入という側面をも持っておる。そういう事実がたくさん出て参ったわけであります。最初お尋ねしますけれども、たとえば国労組合員と第二組合員、それは新潟支社あるいは金沢鉄道管理局管内で、具体的に、昇給の場合に、どれだけの組合員のうち昇給をしたのは国労の場合にはおよそ幾ら、第二組合の場合には——金沢金地労新潟新地労と言いますけれども、そのいわゆる第二組合組合員の場合には何%が昇給しているか。あるいは試験合格率について、受験をする率そのものが問題ですけれども合格率について、国労組合員合格率はおよそ幾ら、あるいは第二組合組合員合格率はおよそ幾らというようなことについて手元に資料でもございますか。
  10. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいまお尋ねの点についてお答えを申し上げたいと思いますが、その前に、公労委救済命令をお出しになるまでの間に、いろいろな角度から御検討下さいまして、慎重にお取り調べいただきましたことに対しては、私どもとしても感謝いたしておるのでございます。ただしかし、なおかつその結論として出された救済命令の中身につきましては、私どもとして異論がある点もございますので、そういう点はやはりはっきりさしていただかなければ困るという気持で行政訴訟を提起したような次第でございますので、この点は御了解願いたいと思います。当然のことでございますが、不当労働行為といわれるようなことをやってならないことはもちろんのこと、そういう疑いを招くようなことがあってもいけないのでございますから、現場の第一線の管理者等に対しましては、その後相当私どもとしても注意をいたしてきております。それでただいまお話がございましたように、先般来国会議員の諸先生等も何回か現場を御視察になっておられまするし、その際いろいろ御注意のあった点もあるいは直接あるいは間接に承っておりますので、それらの点につきましてはなお私どもとして重ねて調査もいたし、また注意も喚起いたしております。  それでただいま御指摘がございました昇給昇格の問題でございますが、これも今私が手元に持っておりますのは、一、二の場所について拾い上げて調べたものの報告に接しておりますので、その数字を御参考までに申し上げたいと思います。  まず、金沢管理局管内高岡の駅と福井の駅と、両方の三十六年、昨年の七月期の昇給と三十七年一月期、本年の一月の両方昇給実績を調べたものが今手元にございます。それによりますと、まず高岡駅について申しますと、三十六年の七月期に国労所属組合員昇給資格者が五十名でございまして、そのうち実際に昇給した者は四十九名でございます。それから金地労所属しております有資格者は百四名でありまして、そのうち昇給した者は百二名であります。ほかに組合未加入の者が一名おりますが、それも一名だけ昇給しております。合計百五十五名の有資格者に対し、昇給した者が百五十二名でございまして、この場合、国労金地労の間において差別があるとは認められないのであります。同じ駅でさらに本年、三十七年一月にまた昇給をいたしておりますが、その際の有資格者は、国労所属の者五十三名、国労が三名前回よりふえておりますが、そのうち昇給した者は五十二名、金地労所属の者は百三名でありまして、そのうち昇給した者百一名、こういうことで、百五十六名の有資格者中、百五十三名が昇給しております。  それから福井の駅の方について申し上げますと、福井の駅では、国労所属組合員の有資格者十四名、そのうち昇給した者が十二名、金地労所属組合員の有資格者が四十五名、そのうち昇給した岩四十四名、五十九名のうち五十六名が昇給しておるということでありまして、これも刑にそういう相違は特にうかがわれません。それから同じ福井の駅の本年の一月の昇給実績を見ますと、国労所属の有資格者十八名に対して、昇給した者は十七名、金地労所属の有資格者六十五名のうち、昇給した者は六十四名、合計いたしまして八十三名の有資格者中、八十一名が昇給しておるということでございまして、この場合にもそういうような差別はございません。  これはたまたま二つの駅の例でございまするが、他の駅におきまして、やはりでこぼこはあると思いまするけれども昇給に際して組合所属いかんによって差別待遇をするというようなことは厳に戒めておりますので、もっぱら職員勤務態度あるいは能力等を勘案してやらせるように指導をいたしておる次第でございます。  次に、昇職の問題でございまするが、これは本年の四月以降に実施されました営業関係係職及び構内関係係職登用試験で登用された者は六十五名ございまするが、そのうちで国労所属の者が二十八名、金地労所属の者が三十七名、この方は金地労所属の者が若干多くなっておりますが、これは試験の結果こうなったのでございまして、別に組合所属によって差別扱いをするというようなことは、これまた厳に戒めておりますので、片一方の組合所属組合員だけを差別待遇するというようなことは、やってはおらないのでございます。しかしそういうようないろいろの疑惑を招くということは、どこかにやはりやり方の悪い点があるからそういうことが出てくるのかとも思われますので、そういう点につきましてはなお厳に注意を喚起いたしまして、そのようなことのないように、今後とも労使関係正常化に努めて参りたい、かように思っております。
  11. 小林進

    小林(進)委員 関連して。今おっしゃった昇職の例の三十七年の四月というのは、どこの例ですか。
  12. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいま申し上げましたように、金沢鉄道管理局管内高岡の駅と福井の駅の例でございます。
  13. 小林進

    小林(進)委員 昇職ですよ、三十七年の四月からと言われた六十五名のうちの云々というやつですよ。これもやはり高岡でございますか。福井ですか。違うでしょう。
  14. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 昇職の例は、金沢管理局管内数字でございます。
  15. 小林進

    小林(進)委員 それでは、私は関連して御質問いたします。  私まだ質問をたくさん持っていますのであとでいたしますが、今ここで言っておかぬと、あなたの話がもっともらしく聞こえるから私はここで言っておきます。ここにいる河村君が、この前も国会証人としてうそを言っております。いやしくも証人台に来てうそを言っておる。これはあとで言いますけれどもうそを言ってはいけませんよ。新潟で三十二年の五月から第二組合をつくって組合を分裂させた、その第二組合初代委員長はだれですか。第二組合をつくった初代委員長はわかるでしょう。それはだれですか。
  16. 河村勝

    河村説明員 赤津友三郎という方であります。
  17. 小林進

    小林(進)委員 その赤津君が今何をやっていますか。その初代委員長が、三十二年、三十三年、三十四年、三十五年、三十六年と委員長をやって、委員長をやめて何をやっていますか。委員長をやめて現職は何ですか。
  18. 河村勝

    河村説明員 現在人事課に勤務しております。
  19. 小林進

    小林(進)委員 人事課の何です。
  20. 河村勝

    河村説明員 係のこまかいことまでは知りません。
  21. 小林進

    小林(進)委員 人事係長じゃありませんか。第二組合をつくって、あなたの意図を受けて組合を分裂さしたその人は、初代組合委員長をやめたら、直ちに新潟支社人事係長だ。そうして今の人事試験を全部やっている。それで李下に冠を正さず、公平にやっていると言われますが、それが公平な人事ですか。しかも第二組合結成組合分裂の問題について一番問題を起こしたのは坂町の駅だ。その坂町の駅の助役、問題が起きて、働いている労働者を苦しめて処分をしたり、ずいぶん悲しませたその助役は何をやっていますか。それも、赤津君が新潟支社係長なら、その下の筆頭のいわゆる人事係をやっているじゃありませんか。そうしてその下に行なわれている人事は、あらゆる昇給昇職試験をやる、私は例を幾つも持っている。あなたがそんなことを言うなら例を全部述べるぞ。六十五名のうち三十五名試験を受けたけれども、この三十五名は第二組合だ、一名も第一組合が入っていないという実績が上がっているじゃありませんか。あなた方は自分の都合のいいことだけ持ってきて、そういうような国会議員のわれわれを愚弄するような例を言うから、私は言わぬでもいいようなことを関連で言わなければならぬし、質問したくないことも質問しなければならぬ。しかも、第一組合と第二組合と公平に人事をやっている、組合や思想、信条によって差別しないというなら——第一組合と第二組合は血みどろの戦いをしている、そういう第二組合初代委員長だ、初代がずっと四、五年やってきているから、今二代目だ、それを、やめるとすぐ直後に持ってきて、新潟支社管理局の上にある支社係長にするという人事それで公平だ、客観的にわれわれが公平の人事と見れますか。それを公平なやり方だとあなた方言われたところで、われわれはそう信じられますか。そういう者が第一組合、第二組合を含めての全部の職員の、しかも一般の職員人事を取り扱っているんだ。しかもその下には、今も言うように、第一組合を弾圧して、出さぬでもいい犠牲者をたくさん出した、その一番強烈な助役をその赤津君の下に持ってきて主任の人事係にして、管内人事を思うままにやっているじゃないか、うそを言ってはいけません。そういうようなわれわれをごまかすような答弁をしないで、いま少し良心に恥じないような公平な答弁をしなさい。もし知らないなら、そういうことを知らないであなたは言っているんだから、無能吏だから副総裁なんかやめなさい。これで関連は終わりですが、うそうそでないか、答弁があるでしょう。
  22. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私が先ほど申し上げましたのは、新潟のことを申し上げたのではございませんので、金沢管理局における昇職実績について申し上げたのでございます。なお、職員である者が、前歴がどういうものであろうが、新たな職責を奉じた以上、当然その職務に対して忠実でなければなりませんし、その責任において考えるべき点は十分考えるように指導いたしておるつもりでございますけれども、なお一そうこういう点につきましては留意いたしたいと思います。
  23. 吉村吉雄

    吉村委員 関連。ただいまの新潟並びに金沢鉄道管理局内の昇給昇格、これについて今吾孫子副総裁の方から答弁がございましたけれども、私の調べている内容とはだいぶ違っております。今吾孫子副総裁が答弁をしたものは一、二の駅を事例としてあげておるのですが、私の方も相当詳細に調べたものがございますけれども、これは今回の不当労働行為の中での非常に重要な問題点であると思いますので、正確を期する意味で、一つ国鉄当局としては、この問題が起こった以降の、昭和三十三年以降の一月並びに七月期の昇給実績を、組合所属ごとに資料を本委員会に提示していただくようにしていただきたい。
  24. 河村勝

    河村説明員 もともと昇給昇格等については、組合別の調査を、差等をつける意思がございませんのでしておりませんので、過去にわたってまでそういう事実を調査してみましても、組合の間の異動は変わっておりますので、その点はわかりかねると思います。
  25. 吉村吉雄

    吉村委員 今私が申し上げている国鉄の問題は、相当長く取り上げられておるのです。そうして今吾孫子副総裁が答弁をされた内容は、ある特定の駅の比較をされておるわけです。私は、全管理局内の各駅ごとの状況というものを正確に把握しないと、あなた方の主張というものが正しいのか、あるいは私どもの今まで不当な扱い方であるというふうな主張が正しいのか、正確を期し得ないと思いますから、一つ国会の方に各駅ごとの、いわゆる業務機関ごとの組合所属ごとの昇給並びに昇格実績というものを委員会に提示してもらいたい。その意思があるかないかを明確にしておいてもらいたいと思います。
  26. 河村勝

    河村説明員 先ほど申し上げましたように、過去のものにつきましては資料も何もございませんし、組合間の異動がございますので、調査しましても、これは正確な結果を出すことはできないと思います。最近のことでございますれば、ここに一、二の例をあげましたのは、特にそのための事例として代表的な駅を調べたのでございます。それでもかなり手数がかかっておりまして、ごく最近の事実を調べるとしましても、かなりの時日を要すると思います。
  27. 松井誠

    松井(誠)委員 われわれがかように統計的なものを要求するのは、これは別にだてや酔狂で申しているわけではない。先ほど私は冒頭に申し上げましたけれども差別待遇というのはなかなかしっぽがつかみにくい。具体的に一つ一つの問題を出しても、それは勤務成績がいいとか悪いとかいうようなことで逃げられる。しかし全体の国労組合員がどれだけいて、そのうちどれだけの昇給昇格をしたか、あるいは資格がありながら試験を受けた人が何人おるのか。今そういう比率を双方で出してみれば、これは客観的な数字そのものはだれにもごまかすわけには参りません。そこで、そういうことによってむしろ差別待遇というものが歴然としてくる。だからこそわれわれは要求しておるわけです。われわれの手ではなかなかこれはめんどうなのです。たとえば昇給にしても昇格にしても、国労組合員がどれだけ試験を受けた、あるいはどれだけ昇給をしたということはわかります。しかし、第二組合員が一体どれだけ昇格をしておるかというようなことは、組合の手ではなかなか調査がむずかしい。しかし当局ならば、時間はかかるかもしれないけれども、やれないわけはない。しかも昇給や何かの上申書には、これは第二組合員でありますというような、いわば添え書きまでついておる。それは余談でございますけれども、とにかく統計はできないはずはございません。それが差別待遇かどうか、いわば決定的なきめ手になるのであります。むしろ当局がほんとうに差別待遇がないというならば、大量的に観察してこうなんだというものが出せないわけはないでしょう。どうなんですか。
  28. 河村勝

    河村説明員 繰り返して申し上げるようでございますが、組合別に候補者をチェックしておりませんので、調べようと思えば、ごく最近のものだけでありましたならば一人一人調べまして、その上でやりますればできないとは申し上げませんが、相当の手間のかかる仕事だというふうに思います。
  29. 大原亨

    ○大原委員 関連。吾孫子副総裁は、最近の問題だけれども出しておるわけです。その都度その都度においでだれが希望して試験を受けた、あるいはだれが昇格したということはわかっておる。そういう点については調べられないことはない。この問題は問題の核心なのです。水かけ論しないで、実際問題で客観的な事実に基づいて処理する、こういう判断をするということからいえば、きわめて大切な問題です。そのことはできることで、できないというふうなことを言うのはけしからぬと思う。吾孫子副総裁に御答弁いただきたいのですけれども、この問題はきわめて大切な問題であるから、今申し上げました資料を提出することは不可能なことじゃないのですから、一つ資料を出してもらいたい。
  30. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 実は組合所属について、どの組合に加入しているということは、やはり本人の申告に待たなければ正確を期することはできませんので、実は本人から所属を聴取するというようなことは、それこそ若干の問題もあるんじゃなかろうかと思って、そういう点は差し控えておったわけでございまするけれども、ただいまお話もございましたし、私どもとしても、そういう点は、明確にすることは必要かとも考えられますので、できるだけすみやかに御要望のような資料を整えたいと思います。ただし、職員局長も申し上げましたように、過去において一一組合所属というようなことを調べてはおりませんでしたので、相当時間がかかるかもしれませんけれども、とにかくやるつもりでおりますから、御了承いただきたいと思います。
  31. 松井誠

    松井(誠)委員 それでは、第二組合ができて以来ずっとということになりますと、その調査のために何年もかかったというのでは意味をなしませんので、時期を失わないように、可能な限りにさかのぼって資料を出していただくように、委員長からも一つお願いしていただきたいと思います。  そこで、たとえば今のように高岡福井の駅に関する昇給の問題に関して、この数字は間違いはないと思いますけれども、このような形でどこの駅でも、どこの職場でも行なわれておれば、不当労働行為差別待遇の問題は起こらないはずです。しかしそうじゃなくて、われわれの調べたところではこういうことじゃない。その前に一点だけお伺いしたいと思いますけれども金沢鉄道管理局の中で、国労金地労との組合員の比率は大体どれぐらいになっておるか。これくらいはおわかりでございましょう。
  32. 河村勝

    河村説明員 正確な数字はわかりませんが、金沢管理局においては、国労が七千で金地労が三千くらいだと思います。
  33. 松井誠

    松井(誠)委員 ただいまの昇格昇職ですか、それの割合が、七千人おる国労が二十八、三千人いる金地労が三十七ということでは、その比率は非常に違う。これは、なるほど国労の勤務成績が悪くて、金地労がみんな勤務成績がいいということが一般的な評価としても行なわれておるならば別ですが、そういうことは何もない。むしろ逆の場合が多い。これは一つの例ですけれども、この種の事態が示すように、差別待遇かどうかということを、いわばわれわれが知るきめ手としては、こういう大量的な観察が一番役に立つ。たとえば、われわれが各駅に行って調べてみましてある調べた数字がございます。お調べになって、もし間違っていたら一つ訂正をしていただきたいと思いますけれども、たとえば新潟県の青海駅、これもやはり昇格でございますけれども、三十五年の一月から三十七年の一月までの間に昇給で落とされた者は、第一組合に八名、第二組合には一人もない。抜擢昇給を受けた者が、第一組合では一人もなくて、第二組合では五人おる。あるいは糸魚川の車掌派出所、ここは過去四年の間に、国労組合員昇職試験に合格した者は一人もいない。福井の車掌区、これは三十六年の一月から三十七年の一月までの三回であったと思いますけれども昇給で落ちた者は必ず第一組合員、抜擢昇給を受けた者は必ず第二組合員。それから昇格でも、福井の車掌区は同じなんです。そうして大事なことは、その昇格をした第二組合員の中で、過去に相当重大な事故を起こした者がやはり昇格をしておる。これはそれだけの例をとれば、過去に事故があったからというて、現在の勤務成績が非常によろしい、すでに非常に勤務の状態がよくなっているということを理由にしておるようですけれども、実はこういうケースが非常に多い。あるいは南福井の駅で、これもやはり三十六年一月から三十七年一月までの昇給について、落とされたものは必ず第一組合員、抜擢昇給という形で昇給をした者は必ず第二組合員です。数字は上がっておりますけれども申しません。とにかく、おしなべて申しますとこういう状況なのです。そうして抜擢昇給を受けた者の中には、過去に大きい事故を起こしたという人がときどき入っておる。ですから、もし、先ほどのお話の高岡福井駅の昇給のような数字昇格にも大体出ておる、あるいはそれがほかの管理局の各職場に同じような形で出ておれば、不当労働行為差別待遇というような批判がどだい起きるはずはない。起きてくるということは、今申しましたような非常にはっきりした形の数字というものが多くのところで出ておる。その結果、たとえばその昇職試験を、もう国労組合員ではどうせ受かりっこないということで、だんだん国労組合員昇職試験を受けなくなってきておる。そういう事実をもう駅の現場の長が認めざるを得ない。そういう事実そのものはたしかにありますね、ということを認めておる。こうなりますと、一つは、そういう不当な労働政策というものがそういう形で出てくるということになると、これは国鉄全体として非常に大きな問題だと思う。こういう事実は一体お耳に入っておりませんか。
  34. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 先ほどもちょっと申し上げたつもりでございましたが、七月十六日ころから、前後四回ほど国会関係の先生方等が御視察をなさいましたことも承っててりまするし、その際いろいろ御注意なり御指摘のあった場所が、業務機関の数で申しますと、私が聞いておりますところでは九カ所くらい、なお件数で申しますと二十八件くらいに上っております。それらの点につきましては、私どもといたしましても、職場を明朗化して参ります上において看過することのできない問題であると思いまして、さっそくそれらの点につきましては取り調べをいたさせた次第でございます。その中に、ただいまおあげになりました——実は福井車掌区のことだけは、今私が手元に持っております調べの中にはございませんけれども、それ以外のところの昇給の問題とか昇格の問題とかについても、一応調べてございます。それによりますと、組合所属によって差別待遇をしたというようなことは現われておりません。しかし、職場の明朗化ということのためには、申し上げるまでもなく、労使関係正常化ということは、まず不当労働行為の疑いを招くようなことをなくしていくことからいかなければなりませんので、そういう点につきましては、これも再々申し上げておることでございますが、今後ともなお一そうの注意を払って参りたいと存じております。
  35. 松井誠

    松井(誠)委員 言葉じりをつかまえるつもりはございませんけれども不当労働行為の事実はない、しかし職場を明朗にするために、労使関係正常化するために、あるいはまた不当労働行為の疑いを除くためには努力をしたい、そういうことを言われましたけれども、私たちがお伺いをするのは、具体的に個々の場合についてこれが差別待遇であるかどうかということではなくて、先ほども申しましたけれども昇給で落とされた者は必ず第一組合員で、抜擢昇給を受けた者は必ず第二組合員だということ、そういう事実が、これは単に偶然に一つの駅であったというのではございません。多くの職場でこういうことがある。ないところもあります。全部が全部とは申しませんが、そういう職場が非常に多い。そういうものを積み重ねていって——問題は、不当労働行為であるかどうかということが問題になるのではないか。だから、適当な言葉で、ここでは不当な差別待遇はしておりませんという弁明だけでは問題の解決になりません。やはり具体的にこういうように出てきた数字を現実に変えさせるという結果が出てこなければ、単なる口頭禅で、明朗化いたします。正常化いたしますということだけではだめだと思う。だから、われわれが申し上げたいのは、先ほどの繰り返しになりますけれども、やはりそういう大量的な数字を出していただいて、そうすることによって——単に差別待遇はしておりませんということでは言いわけが通らなくなる。そういう事態を私たちはやはり国民の前にはっきりさせたいと思うのです。そういうことがなければ、これはもう積み重なってきておる差別待遇を是正する方法はないと思う、国鉄当局がほんとうにそういう気持にならなければ……。そこで、私が申し上げたように、この青海の場合あるいは米魚川の車掌派出所あるいは南福井駅の場合、こういう事実があるわけです。こういう事実があるということ自体、それはどういう原因かということは別として、落ちた者は必ず第一組合員だ、昇格するのは必ず第二組合員だという事実があるかどうか。これが一点。もう一点は、そういう事実が積み重なったために、国労組合員試験を受けようとしない。あるいは労働者はこういう苦肉の策をやっておる。それは、第二組合に行って昇給し、昇格をする、そうするとまた第一組合に戻る、そういう方法さえやっておるのですよ。そういう事実を一体どう見るか、この二点をもう一度お答えいただきたいと思います。
  36. 河村勝

    河村説明員 具体的な数字については、私どもはまだ承知しておりません。
  37. 松井誠

    松井(誠)委員 今の副総裁のお話では、福井の車掌区については自分は資料は持っていない、ほかの点については、不当な差別待遇という事実はないという御答弁でしたので、具体的な数字をお持ちになってそういう御答弁をなさったと思いましたから、われわれのさっき言った数字は一体間違っておるかどうかということを副総裁にお尋ねしたのです。
  38. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私の手元にございます報告は、数字は書いてございません。ただ三十五年一月から三十七年一月までの昇給のことについて御指摘があったというので調べました結論として、昇給の実施に際して、組合の別によって差別したという事実はないという報告がきておるわけでございます。
  39. 松井誠

    松井(誠)委員 それは報告を徴すれば、不当な差別はいたしておりませんという報告がくることは間違いない。しかし、それだけではちっとも事態の究明にならない。具体的なこういう事実があったかどうかという報告を徴して、いわばその数字がものを言う。報告書の内容そのものじゃなくて、数字がものを言う。その数字を集めるということに国鉄当局は非常に熱心じゃない。今のように、たとえばこういう不当な差別待遇がありましたか、いやございません、これはこういう勤務状態でございました、これは過去にこういうことがありましたということで、一つ一つ事情をあげればみんな事情はつきますよ。つきますけれども、そういう具体的な積み重ねが何十、何百と積み重なったときに、一体その数字は何を表わすかということが問題だ。ですから、私が聞いているのは、このような原因が第一組合であったから落ちたとか、第二組合だから上がったとか、そういう因果関係を聞いているのじゃない。第一組合の人は必ず落ちておるか、第二組合の人は必ず上がっておるかというその客観的な事実を聞いておるのです。そういうことについてお調べになっておってのお答なのかどうか、重ねてもう一度お伺いしたい。
  40. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいまお尋ねの駅について、そういうような調べ方で調査をした報告までは、私は今聞いておりません。
  41. 松井誠

    松井(誠)委員 そうだと思うのです。ですから、具体的な事実を一つ一つお尋ねになれば、さっき言ったように、不当に差別はいたしませんという答えが出てくる。しかし、それでは事態の究明にならないのです。国労全体の組合員はどうなっている、地労全体の組合員はどうなっているということを念頭に置いてお調べにならない。先ほどの職員局長のお話ではありませんけれども、それを具体的に調べることは非常に手間がかかるというような形で、そういう調査がいわば不当労働行為調査の核心だという考え方をなさっておらぬから、そういうことになるんじゃないかと思う。そこで先ほどちょっと申しましたけれども国労組合員はもう試験を受けないという気分が出つつある。このことは非常に重要だと思いますけれども、その試験の公正、試験の中立というものを担保するために、われわれはこうしてほんとうに公正な試験をやっている、ほんとうに試験に対しては中立なんだという具体的な担保というものがないわけです。たとえば組合の方では、せめて試験が終わったら模範解答を出してもらいたい。新潟支社にしても、金沢鉄道管理局にしても、そういう要求を出している。しかしこの二つでは、故意か偶然かわかりませんが、模範解答というものは出されていません。ほんとうに自分が試験に合格をするような答案を書けたのかどうかという、自分自身が判断する基準さえも国鉄の方では与えてない。ほかの鉄道管理局なんかでは出している。ところが、新潟金沢ではそれが出ていない。それだけではもちろん試験の公正を担保するという具体的なものにはならないかもしれませんけれども、そういう具体的な配慮というものについて何かお考えですか。
  42. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 仰せられるまでもなく、試験というものは当然公正でなければなりません。ただいま御指摘のございましたような、ほかの管理局では発表しておるものを、金沢新潟だけが特に発表しておらないのかどうか、実はそこまで私も的確に存じておりませんけれども試験というものが公正であるということを明らかにさせるための方法は、ただいま御指摘になったことも一つの方法であると思いまするし、なおよくそういう点については公正性を明らかにするように努力いたしたいと思います。
  43. 松井誠

    松井(誠)委員 その試験の問題ですけれども最初は筆記試験で大体第一組合員は落としておった。ところが、先ほど申し上げましたように、だんだんやり方が陰性になって参りまして、さすがに筆記試験ではあまり落とさなくなった。しかし、口頭試験というんですか口頭試問というんですか、そこで落とすというケースが非常に多くなった。そこでお伺いをしたいと思うのですけれども、たとえば口頭試問で、お前は国労か、お前は第二組合かどうか、国労に対してどう思うかというようなことを、試験のときにいろいろしばしばお尋ねになるということを聞いておりますが、そういう事実があるのかどうか、あるいはあるとすれば一体どういう趣旨でそういうことをお尋ねになるのか、これはどなたでもよろしゅうございますが、お答え願いたい。
  44. 河村勝

    河村説明員 そういう事実については聞いておりません。
  45. 松井誠

    松井(誠)委員 それでは、先ほどから副総裁や職員局長ばかりにお尋ねをいたしまして、せっかくおいでになっておる総裁にお尋ねをしないのもかえって礼を失すると思いますので、一つお尋ねをいたしたいと思います。しかしこれは、総裁にこの点をお尋ねするという意味ではもちろんございませんけれども、言うまでもございませんが、憲法では思想、信条の自由というものを許されておる。従って、そういう国鉄の職員試験を受けて昇給昇格をするかどうかということについて、その人が労働運動に対してどのような考えを持っておるか、どのような思想を持っており、どのような信条を持っておるかということは、昇職の判定には関係がないはずだと思います。しかし、そのようなことが現実に行なわれておるわけです。そこで、国鉄職員と憲法の保障しておる思想、信条の自由ということについて、総裁の御信念を一つお伺いしたいと思う。
  46. 十河信二

    ○十河説明員 組合所属いかんによって不公正がないようにということは、副総裁や職員局長から繰り返し申し上げた通りであります。そういう事実があったかなかったかということについては、副総裁や職員局長すら知らないのでありますから、私はそういう報告を受けておりません。それ以上のお答えをすることはできかねますから、御容赦を願いたいと思います。
  47. 松井誠

    松井(誠)委員 具体的な事実をお尋ねしたのではございませんで、現実に思想、信条の自由によって差別を受けておるかどうかという具体的な事実をお伺いしたのじゃございません。そのようなものがあるかないかは別として、国鉄職員に対して昇給昇格のときにそのようなことが問題になるとすれば、憲法上の問題があると思いますけれども、その点についての信念というものをお伺いしたのです。つまり国鉄職員と思想、信条の自由というものとの関係について、総裁の考え方をお伺いしたのです。別に具体的な事実についてお伺いしたのじゃございません。
  48. 十河信二

    ○十河説明員 これも、先ほどから副総裁も繰り返して申し上げましたように、組合所属いかんによってあるいは得をし、あるいは損をするということがないように、またそういうふうな疑いを受けないようにすることが私は大切だと思っております。従来もそのようにやってきておると思いますが、今後なお、さらに一そうそういうことのないように努力いたしたいと思います。
  49. 松井誠

    松井(誠)委員 現実に口頭試問のときに、たとえばこういうことを聞かれておる。国労はどう思うか、金地労についてどう考えるか、国労金地労の相違は何か、君はなぜ国労に残っているか、理由は何かというようなことを具体的に聞かれておる。聞いた人の名前までもわかっております。これは金沢鉄道管理局管内ですけれども、こういうことは、何も私が一つだけ取り上げるのではない。そういうことがしょっちゅう行なわれておる。ということは、口頭試問という形でふるいをかけるときに、そういうものを考慮してないはずはないわけです。考慮をしてないとすれば、筆記試験ではほとんど合格をしながら、口頭試問で落ちるのはみんな第一組合員だという理由が出てこない。第一組合員が口頭試問で落とされるのは、まさにそういう思想、信条のふるいにかけられて、その結果落ちるのじゃないかというように、これはだれの常識でも考えざるを得ないと思う。そういう口頭試問の実情というようなものについて、国鉄当局では御存じでありますか。
  50. 河村勝

    河村説明員 先ほど申し上げました通り、口頭試問でそのような質問をしたという事実も聞いておりませんし、従いまして、それ以上に御返事のしようがないわけです。
  51. 松井誠

    松井(誠)委員 時間がございませんので、最後に一点だけ私お尋ねをいたしまして、ほかの人とかわりたいと思うのですが、それはこのようなゆがめられた労働政策というものが人事の面にこういう形で反映をしてきて、いわばその結果として非常に危険な状態というものが国鉄の職場の中で出ているのではないかということを私は憂えるわけです。先ほども何度か申しましたけれども、第二組合員であれば、過去に事故を起こしたということもほとんどきずにならなくて、昇給昇格をしておるという例、これは単に一、二の例ではございません。具体的な名前は個人の名誉のことでもありますから私は差し控えましたけれども、現実にそういう例があちこちの職場にあるわけです。そういういわば不当な人事管理の結果、その職場に事故が——これはまだ公然化されておりませんから問題になりませんけれども、しかしそれだけに大きな危険性をはらんだ事故の積み重ねというものがあるではないか。そのことを実はお伺いをいたしたいと思うのです。これは何もわれわれが、いいかげんな資料に基づいてお尋ねをいたすのではありません。具体的な名前をあげてもよろしゅうございますけれども個人の名誉に関しますので、具体的な事実を申せば、ああどこのだれだということを、多少の事情をおわかりの人ならばわかるくらいの問題であります。これはたとえば運転掛の助役といいますかをやっておる、それは過去にいわゆる第二組合のその地方におけるいわば最高幹部をやっておった人だが、それがたび重なる事故を起こしておるわけです。しかも、そのような事故を起こしておる当の本人が、最近はいわば職務上ですから、事故防止のいろいろな訓練を先頭に立ってやっておる。しかし駅の職員は、 いわばしょっちゅう事故を起こしておる当の事故の本人が事故防止の訓練をやるということ自体、初めからそっぽを向いておる。その事故というものは、多くは未然に労働者の協力で大事故にならないで防がれておる。防がれておるだけに非常に危険だ。駅の名前だけ申し上げますと、たとえば糸魚川あるいは小松、これは何か国鉄の以前からのしきたりで、事故をまるにするというしきたりがございますそうですけれども、そのいわゆるまるになったために、正式な事故としてはあるいは報告をされてはいないかもしれない。しかし、少なくともそういうものがあるという組合の主張、従って、これは何とかしてもらいたいという組合の要求、そういう形ではあるいはお耳に入っておるかもしれないと私は思うのですけれども、その点、何かもうすでに御存じのことでもございますか。
  52. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 今回御指摘の項目の中に、第二組合員関係しておったという理由で事故をもみ消したというような事実があったのではないかというような御指摘があったということも聞いておりますので、それは調べさせております。しかし、私どもが調べました報告によりますと、そのような事実はないということになっております。
  53. 松井誠

    松井(誠)委員 私がお尋ねをしましたのは、第二組合員であったために事故を不問に付したという、そういう趣旨ではございません。そうではなくて、事故を不問に付するというのは、実は今までは、いわば組合分裂前までは、それをまるにするという形で、つまり不問に付するという形が間々行なわれておった。そのこと自体には問題がございましたでしょうけれども、それを今度はまるにするということが、いわば組合の分裂に対する不当な支配の道具に使われておるということが一点なんです。つまり、お前は事故を起こした、これは不問にしてやるぞ、まるにしてやるぞ、そのかわりどうなんだ、そういう形で利用をされ出しておるということが一つ。しかしそれは、その限りでは単に労働政策の問題ですけれども、しかしそういうものが積み重なって、いわば能力のない者、その任にあらざる者がポストについて、それがために事故が起きるということになると、これは単なる労働政策の問題ではないわけです。私のお尋ねしたのは、そういう観点からのお尋ねなんです。つまり事故としてはまだ当局にはわかっていないかもしれない。しかし、それはゆがめられた人事の結果だという形で組合の方からいろいろ申し入れがあったであろうから、そういう事実があるなしにかかわらず、組合の方からそういう申し入れがあったかどうか。たとえば先ほど申しましたような具体的な駅で具体的な人間が、いわば第二組合員であり、あるいは過去には重要な第二組合の役員をしておった、そういう者が、いわばその能力がないにかかわらず、そういう地位についたというために、目に見えない、公然化されない事故というものが積み重なっておるのではないか。これはもう不安で仕方がない。そういう要求。たとえば糸魚川の駅、これは青海の駅におった場合ですけれども、労働組合の方から、労働運動の立場からではなくて、むしろ従業員の立場から、金沢管理局に要望をしておる。これではあぶなくてしょうがありませんという要望をしておるということもありますので、そういう意味でお耳に入っているかどうか。その原因が不当なそういう人事政策、ゆがめられた人事管理という問題と因果関係があるかないかは別として、組合の方でそういう立場から、つまり職場の安全が保たれていないではないかという意味の抗議なり要望なりというものがあったと思いますので、そういう趣旨で問題が出ておるということを御存じかどうかということをお尋ねします。
  54. 河村勝

    河村説明員 その点はまだ聞いておりません。
  55. 松井誠

    松井(誠)委員 これは具体的な問題ですけれども、糸魚川で最近引き続いて事故がある。そしてその事故を起こした人は、青海の駅でもいろいろの事故を起こしておる。しかし彼は第二組合の重要なメンバーである。そのために二段、三段の躍進をして、現在はそういう重要なポストについておる。しかし、そういう人がいては、いわば職場の安全が保たれないということで金沢管理局に申し入れをしておる。去年もおととしあたりもしてある。そのこと自体を実は金沢管理局でも知らないという話でございましたけれども、必要があれば、その具体的な事故の日時、列車の番号、そういうものをわれわれは全部控えております。ですから、そういうことに基づいて現実に事故があったかどうか。そして大事なことは、それが一体どういう原因に基づくのか、それが今のゆがんだ労働政策と具体的にどういうつながりがあるのかという問題をむしろ中心にして御調査をいただきたいと思う。こういうことは、私は何も最近国鉄に事故が多いからそういうことに無理に引きつけてということで考えているわけではない。しかしこれは公然化されないだけ、そういう事実が累積されるということに国民の一人として非常に不安を感ずるわけです。これも糸魚川の駅だけではない。小松の駅でも、やはり同じようなポストにいる人が同じような事故を起こしておる。それで私の方でも一応の資料を持っておりますけれども、ちょっとお伺いをしたいのですが、たとえば国鉄の中部支社にいろいろな管理局があって、そこの事故件数と組合員数という概数でもおわかりでしたら、一つお教えいただきたい。
  56. 河村勝

    河村説明員 ここにはその資料を持っておりません。
  57. 松井誠

    松井(誠)委員 これは一応私の方で数字を申し上げますけれども、それが間違っておるかどうか、あとで資料を提出していただきたいと思います。たとえば名古屋の鉄道管理局——これは私の方の調査も正確ではございませんけれども、多分三十六年度だと思いますが、中部支社管内で名古屋の鉄道管理局で事故件数が十一件——事故件数といっても具体的にどういう規模のものか私もよくわかりませんが、十一件、静岡管内が七件、金沢が十四件、長野がゼロ。組合員の数は、もちろん当局でおわかりでございましょうけれども、この金沢の十四件というのは組合員の数と比べてみた場合に、この数字に間違いがなければ、中部支社管内でほかの鉄道管理局に比べればはるかに多い。私は、これが全部そういう不当なゆがめられた人事管理の結果であるかどうかということを即断しようとは思いません。しかし、先ほど私が申し上げたことも、こういう数字一つ考え合わしてみたならば、やはり事故とそういうゆがめられた人事管理というものの間の因果関係というものがはっきりするのじゃないか。これは一つ、各鉄道局管内の事故件数と組合員数というものはすぐ出てくると思うので、これを一つ資料として提出を願いたい。これだけを要望いたしまして、私の質問をきょうは終わりたいと思います。
  58. 秋田大助

  59. 猪俣浩三

    猪俣委員 憲法の二十五条に、御存じのように、われわれは最低の文化生活を営むことが保障せられておるわけであります。この大原則に基づきまして、財産ある者は、憲法二十九条によって財産権が保護されておる。財産のない、自分の労働を売って生活しなければならぬ者に対しましては、二十八条で労働基本権として大原則が示されておるわけです。この中の団結権というものは、労働組合の生命であることは申し上げるまでもないのです。財産の保護につきましては、民法、商法、民事訴訟法なる法律が完備いたしておりまして、相当周密なる規定が運用されておる。しかし、労働基本権の保障につきましては、必ずしもしからず。ことに団結権に対する保障というものが法律的に乏しい。ただ唯一の道は、この公共企業体労働委員会不当労働行為に対する救済命令なんであります。ですから、これは結局において、憲法の生存権の保障からできております労働基本権の擁護のための法律規定としての唯一のものなんです。ただし、この委員会も、委員の構成から見まして、労働組合が欲するような線というものはなかなか出てこない。資本主義国家においてやむを得ない点でありましょうが、しかし今回は、実に珍しくこの公共企業体労働委員会救済命令が出たことは、これは天下に知れ渡った問題であります。  そこで、皆さんに考えていただかなければならないことは、これは実に氷山の一角だということです。もう何としても絶対に認めなければならぬ羽目に陥って、この労働委員会がこういう救済命令を出して天下を震憾さしたのです。これは天下を震憾させること自体が奇態なんです。しかし今まであまりやらない、やらないが、もうこれは逃げ切れない、何としても仕方がないということでこの命令が出たわけです。ですから、これに指摘せられておることだけなんて思ったら大へんな間違いだ。私のところにもずいぶんきている。これを全部一々言いましたら、二日も三日もかかってしまうから言いません。そんな心配なさらぬでよろしい。みんな血の叫びを出していますよ。かようなことをなさっていることが、どういう効果が期待されるか。今松井委員質問に対する答弁を聞いていると、徹頭徹尾、存じない、知らない、ない、それで終始されている。のみならず、この救済命令——これは労働組合の団結権を守る唯一の法的保護なんだ。この委員会救済命令それ自体に対して、これを不服として行政訴訟を起こされておる。これはそういう道があることですから、別に不当でもありません。この行政訴訟の請求の理由の中に、国鉄は、この労働委員会が指摘した不当労働行為の事実をことごとく否認して、これは全く事実の誤認である、途方もないことを言うているんだ、こういう認定をしている。そうして訴訟を起こしておる。これがはなはだ私は疑問であります。この委員会がかような認定をしたのを、ことごとく、これは虚構の事実を認定したものであるということになります。いま一点は、「駅長助役らに使用者たる原告の利益を代表する地位に在るものとしての支配介入の言動があったと断じ、それらの者が公共企業体労働関係法第四条第一項但書に該当するものであることを根拠として、直ちにその行為につき原告自体に責ありとする点についても、事実の認定及び法の解釈において誤りを犯した違法がある。」これも私どもは奇怪至極の論法と思う。駅長助役のやったことは国鉄に責任がない、こういう論法に相なる。そこで、私はこういうことについてお尋ねをしたいと思う。こういう行政訴訟を起こされたこと、そして今私が指摘したような理由行政訴訟を提起されたことに対して、その事実ありやいなや、それを認否して下さい、総裁。
  60. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいまお尋ねのございました救済命令が出ましたこと、並びにその救済命令に対して行政訴訟を提起いたしましたことは、先ほども答弁申し上げましたが、その通りでございます。
  61. 猪俣浩三

    猪俣委員 私は主として総裁から聞いておきたいんだが、あなたは相当の年配の方で、すいも甘いもかみ分けていらっしゃる方だとお見受けいたしますのでお尋ねするのですが、私は菊池寛氏でありましたか、ある小説を読んだ。その中に、ある裁判官、犯罪人に対して非常に寛大な判決をする裁判官、ことにどろぼうや強盗に対しては、彼らは貧ゆえに犯すという意味におきまして、非常に寛大な判決をした裁判官があったが、ある晩自分の家に強盗が入ってきた。それでちょうど妊娠中の奥さんがそれに驚いて流産をした。それ以来この裁判官は非常に態度が変わりまして、強窃盗に対して非常に重刑を課するようになった。これは裁判官の家庭生活、心理状況というものが判決に影響をするということを小説の形で表わしたもので、これは古い小説でありますが、現在裁判官の裁量権とその人の心理状態、家庭環境、そういうものについて、科学的に、量刑の問題とからみ合わせて研究されておるわけです。人間の心理状態、家庭生活あるいは職場の環境というものが、どういうふうに現実の職務に表われてくるかという一つの科学的研究であります。そこで、近来国鉄には災難が多い。一体こういう事故を起こした人たちのただ形式的な、外面的なことのみならず、その人たちの環境、心理状態、それまでも研究されたかどうか、それを一つ承りたい。
  62. 十河信二

    ○十河説明員 一々は研究いたしませんが、私は事故を防止するにはどうしたらいいかということを懸命に検討をして参りました。そして今お話しのような個人の家庭生活、個人の私生活が相当影響するというふうに感じまして、そこで大事な仕事をしておられる国鉄の職員の家庭をできるだけ平和に明るく、主人を職場に送り出すときには、なるべく明るい気持で朗らかに仕事ができるようにして参りたい、それが事故をなくするゆえんである、そういうふうに考えまして、そういうことを、至るところで家族の方々にも集まっていただきまして、懇請いたしておるような次第であります。
  63. 猪俣浩三

    猪俣委員 何十万人の国鉄従業員の人たちの一人々々の家庭事情まで詳しく把握するということはなかなか困難のことでありますが、まず第一に、今あなたは職場を明るくするということをおっしゃった。何をおいても、とにかく職場の明るいことくらいは、これはやってやれないことじゃないと思う。そこで私は、各個人の家庭環境まで調べろと申しませんが、一体彼らの、従業員の働く場所がどういう状態になっておるか。国鉄は労働組合を組織されておる。管理職以外は大ていみんな労働組合に入っておる。そうして同じ職場に働いておるわけですが、そういう組織の中に組合を分裂させるような行動をする者があって、あれは第一だ、これは第二だ、あの男は近ごろ第二にいったらしい、あれは第二のスパイじゃないか、こういうような空気があることが職場を朗らかにするものであるかどうか、総裁の意見を聞きたい。
  64. 十河信二

    ○十河説明員 先ほどから繰り返して申し上げますように、そういう組合員の仕事いかんによって悪い感情を持つとか、お互いにそねみ合うというふうなことがあってはならぬ、こう考えまして、そういうことのないように、できるだけそういう疑いを受けないように行動しろということを絶えず戒めております。
  65. 猪俣浩三

    猪俣委員 それはあなたが国会における答弁用としてまことにきれいに見える。ところが、ほんとうにそのお考えがおありなのなら、そのあなたの趣旨が末端まで浸透しないなら、あなたは統率力がないことになる。総裁という地位にふさわしくないということになる。あなたの言うことがほんとうであるならば、それを末端まで浸透させなければいけない。自分はそういう考えでありながら、あなたの配下は全くそれと違った行動をやっておって、総裁が自分の考えに統率することができないということになるならば、あなたは総裁の資格がないということになる。ところが、現実に行なわれておることは、私どもが最も心配している状況が出てきている。私はこれが国鉄事故の一つの原因をなしていることは事実だと思う。各職場におきまして、実に不明朗な空気が流れておる。同じ労働組合の中で、第一組合と第二組合の者は話し合わない、あるいは第一組合の者は助役あるいは駅長などとあいさつをしない。そうして今、松井君がるる説明したような具体的事実が山積しております。先ほど言ったように、私のところにもたくさんきているのだ。そういう事実は一切ない、それは虚構だ、うそだ、こう言って言い切るところに、あなたのほんとうに職場の明朗をはかるという誠意を私は疑わざるを得ない。大体、こういう公共企業体の公益委員を中心とした委員会におきまして結論が出て、救済命令が出ているのにこれに対して、この認定は間違っておる、虚構であるという行政訴訟を起こされている。かようなことが訴訟で争われることはもちろん合法的でありますが、一体こういう委員会において指摘せられたような救済命令を皆さんが反省の資料として、こういうことをやっちゃいけない、今度はきわめて努力して、かようなことをなくさなければいけないという反省の態度が見えない、こういう訴訟を起こしておいて争われるというところに……。そこで、今のあなたの職場を明朗にするという考え方と、現実に国鉄のやっておることとはマッチしていない。ますます今度は法廷で争う。労働組合と国鉄が法廷で雌雄を決する。労働委員会のこういう裁定までもけ飛ばしてしまって、どこまでも白黒を争うという態度、これをあなたは妥当だと思われるか、それについて……。
  66. 十河信二

    ○十河説明員 私は、私の精神が部内に徹底するように努力しておりますが、それは今御指摘のありましたように、なかなか徹底しておると申し上げかねます。しかしながら、法律できめられた救済命令に対して意見の相違は、それは公労委とわれわれの間にあり得る。この意見の相違を明らかにして、法律で許された道によってその事実を明らかにしていただくということは、われわれが一致団結して事故をなくし、国鉄の改善をしていこうということとは、何も私は矛盾することじゃないと考えております。
  67. 吉村吉雄

    吉村委員 今の救済命令に対する国鉄当局行政訴訟の問題について、少し関連をしてお尋ねをしておきたい。  申し上げるまでもありませんけれども、国鉄の労使関係は、公共企業体労働関係法によって規制をされておる。この公共企業体労働関係法というものの行為というもの、その成立過程というものを考えてみますと、非常に当時から問題があり、今日もなおこの公労法の問題になっておるのですが、しかし、この公労法の一番特徴点と考えられますのは、労働者のストライキ権というものを制限する、そのかわりに仲裁機関というものを設ける、こういうことがあって、初めて憲法二十八条の団結権に対する救済措置として成立をしておるものというふうに考えておるわけです。由来、相当長い期間公労法が運営をされて、非常に問題があったわけですが、しかし、賃金の問題等については、仲裁裁定の制度が、当初は国鉄当局なりあるいは政府の意向があって、これが完全に実施をされるということがなかった。こういう期間が相当長く続いて、労使の紛争というものも拡大をしておったと思います。しかし、ここ二、三年来は政府の方針も変わって、仲裁裁定は完全に実施をする、こういう方向になっていこうというものは、賃金の問題については、私は労使の関係というものについて、われわれには多くの不満はあります。問題点はありますけれども、しかしこの仲裁裁定を完全に実施する、そういう方向によってやや安定をしつつあるように考えられる。ところが不当労働行為の問題等については、今回初めて救済命令が出た。この救済命令に対して、当の当事者であるところの国鉄当局がどういう態度をとるかということは、今後の国鉄の労使関係ばかりではなしに、日本の労使関係にとって非常に大きな影響を与える、私はこのように考えておるわけです。ところが。公労法の趣旨というものは、第三者の意見を最大限尊重していこうということのように考えられておるのでありますけれども、この労働委員会が出したところの救済命令、しかも初めて出された、先ほど来各委員の方々が申し上げられておりまするように、これは数多くのうちの氷山の一角として出されて、これだけはもうどうにもならないというところで出された救済命令だと思うのです。ですから、私はこの救済命令というものを国鉄の当局が順守をし、第三者の意見を尊重していくということが、労使慣行確立の上から非常に重要であるというように考えておるわけです。そこで、国鉄当局の考え方というものは今総裁の方から話がありました。私はそれに納得するものではありませんけれども、しかし、あなた方にそういうことをやり得る権限があるということによって、それをやった場合に、これからの、あなたが望んでおられるとここで答弁をされた職場の明朗な状態が生まれようとするのか、生まれることが期待できるのかというならば、私は国鉄当局に対して不信感こそ持て、決して明朗な気持は職場の中に生まれてこない、こういうふうに断ぜざるを得ない。非常に不満があっても、今の国鉄の職員あるいは公労法の規制を受けるところの労働者は、この公労法の中で最も信頼をしていくのは第三者機関、第三者の意見というものだけでも尊重をしてもらう、こういうことによって、自分たちが制限をされたところの団結権に対する不満をカバーしようという気持になっているときに、そういうあなた方の態度は、労働者に対して決して信頼感なり何なりを与えはしない、こういうふうに私は考えるわけです。従って、この点については、今総裁からやや詳しく話がありましたけれども、しかし賃金問題の仲裁裁定の今までの経過等から考えてみて、いま一度これは考えを改めていただく必要があるだろうと思う。こういう点から、労使関係の将来の方向——とにかく日本の労働関係は歴史が浅いわけですから、現在の労使の当事者というものは、正しい慣行を樹立していくという意味では将来に対して大きな責任を持っておると私は思うのです。その限りでは、一つこの初めて出されたところの救済命令というものについて、これを尊重していくという態度が非常に大切じゃないかというふうに考えますので、こういう角度からいま一度総裁の意見を聞かしてもらいたいと思います。  それから同時に、労働大臣にお伺いいたしますが、今私は、公労法の今までの経緯、そして現在の労働者がこの公労法に対してどういう気持を持っているかということについて、仲裁裁定等の今日までの経緯等を含めて申し上げたわけです。今回出されたところの救済命令について、国鉄当局が、先ほど言うたように行政訴訟によって争う、こういう態度というものが、労働行政を担当する立場から見て一体いいというふうに考えられるのかどうか。私は、従来までのこの委員会におけるところのこの問題をめぐっての労働省当局の意見を聞いて参りましたけれども、どうも都合の悪いことについては、それは労働委員会が扱っておるのですから、私の方は意見を言うことは差し控えたい、あるいは前の福永労働大臣も、きわめてあいまいな答弁しかしていなかった。こういう態度でありましたけれども、しかし初めてこの救済命令が出た。この救済命令の扱い方というものは、非常に大きな影響を与えていくだろう。今後の全般の労使関係について影響が大きい、こういう問題について、労働行政を担当する最高責任者として、国鉄の今回とった態度をどのようにお考えになっているか、あわせてお答えを願っておきたいと思うのであります。
  68. 十河信二

    ○十河説明員 私は、今お話しのありましたように、第三者で構成せられておる労働委員会の意見なり裁定なりというものはできるだけ尊重すべきものだ、ひとり賃金の裁定だけでなく、何事でもできるだけ尊重すべきだという考えを持っております。その点においては今お話しの御意見と同意見であります。ただその意見の違うところは、あるいは協調することのできる限りは協調することも必要でありますが、どうしても事実の認定等において違うところがあるという場合には、これを明らかにすることは、大ぜいの職員を使って仕事をさせるときに、筋を通さないとみんな安心して仕事ができない、こういうことがありますから、私は法律の定めておる範囲内で、筋を通して事実を明らかにするということは必要じゃないかと考えております。
  69. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 先ほど来、不当労働行為に関連する問題につきましての当委員会での質疑応答は、十分に傾聴いたしております。そこで今回の国鉄の司法当局に対する訴えがどうかという御質問でございますが、この公労委救済命令につきましては、これに不服な当事者に対しては明らかに法律行政訴訟を提起することを認められておるわけでございまして、ただいまそれによってこれが裁判所に事件として係属をいたしております。これについて労働省の立場としてはどうこう、この場合に申し上げることは適当ではないと思いますので、御容赦いただきたいと思います。
  70. 小林進

    小林(進)委員 今の問題について、大臣も何か炭労の陳情が来ていて、席をはずすことを認めろということでありますから、私も関連して御質問を申し上げるのですが、本来ならば、私は猪俣先生の質問が済んだあとでじっくりお尋ねをしたいわけです。といいますのは、この国鉄の不当労働行為の問題に関しましては、去年やおととしやさきおととしの問題じゃないのです。思い起こせば、倉石さんが労働大臣のころから、これはずっとこの社労委員会で継続している問題です。そして歴代大臣にそのつど見解を伺ってきた。その中にはさすがに私どもの感心する労働大臣の答弁もあれば、実に感心すべからざる労働大臣の答弁もあった。しかしあなたは、労働行政については専門家でいらっしゃいますし、社労の委員も長くお勤めになっておりますから、この問題に関しては私は非常にあなたの答弁に期待しておる。その意味で質問するのですから、一つしっかり考えてお答えを願いたいと思うのであります。  先ほど猪俣委員からも言われたように、そもそも労働者、労働組合というものは、本来、憲法第二十八条に基づいて労働基本権三権というものが許されておる。ストライキ権が許されておる。終戦後においても、公労協の各労働組合は一斉にストライキ権を憲法に基づいて与えられた。与えられたのだが、この途中において、こういう公共企業体に一般労組と同じようにストライキ権を与えることは公共に若干の支障を来たすからということで、昭和二十三年に公共企業体労働関係法という法律ができ上がりましたことは、ほかのしろうとの大臣ならともかく、あなたならばよく御存じの通りであります。今まで基本的に与えられたストライキ権を奪って、それを公共企業体という法律でそのストライキ権をとるからには、そのストライキ権に該当するものを労働者に与えなければならないということで、非常にやかましくこの問題は国会で論ぜられた。私はこれを論ずるからには、当時の速記録を全部見て参りました。あなたがおかしなことを言われれば、私は速記録を前にしてあなたと論争しなければならない。民主憲法上、ストライキ権はあくまでも剥奪すべきじゃないというのが、当時の一般学者や野党全部の意見であった。けれども、政府側は強硬に押して参りました。その結果、そのストライキ権にかわるものとしてこの公共企業体等労働委員会というものが設けられた。その委員会の制度は、私が申し上げるまでもなく、あなたも御存じの通りであります。第二十条に、委員会の構成は、公益を代表する委員五人とそれから公共企業体、国鉄を中心にする経営者側を代表する委員が三人、それから労働組合職員側を代表する委員、こういうような構成なんであって、国鉄側の言い分を代表するいわゆる経営者側の代表というものは、この公労委の中にちゃんと入っているのです。入って、この三者の構成の中で論議を尽くされたその結論に対しては忠実に従う。けれども、公益委員というものは、残念ながら、その条項にありますが、労働大臣が使用者委員及び労働委員の意見を聞いて任命しているけれども、どうせ労働大臣なんというものはやはり経営者や資本家側に味方をする公算が多い。だから第三者機関であっても、労働者側にはえてして不利な仲裁裁定なり救済命令が出るかもしれないから、労働者側のその不満を救済するために提訴の機関をさらに設ける、これがこの法律の立法趣旨です。むしろ労働者側の救済のために、念には念を入れてこの提訴の機関は設けられた。それは公益委員と経営者側委員があっても、この二つを合わせれば労働者委員の方がやはり不利になるおそれがある、こういう労働者側、野党側の反論に基づいて、この提訴制度というものは設けられた。これは決して経営者の救済のために、経営者が労働者を圧迫するために設けられた提訴制度ではない。それはあなた、速記録から立法の趣旨を全部ごらんになればわかる。労働大臣なら知っておらなければいかぬ。労政局長は大臣のうしろにいて感心した顔をしているけれども、そういう事実をあなたは隠蔽して、むしろそれをもって労働者を圧迫し、事を紛乱せしめるような手段に用いるということは、私はけしからぬと思う。労働大臣、その点を、あなたはあなたの知性に基づいて良心的な答弁をして下さい。そしてその答弁に基づいて、こういうわからない総裁や副総裁なんかに一つ政治的に善処するように勧告するくらいの勇気を持って下さい。労働大臣に労働者の利益を守っていただこうと思って、労働省は労働者を保護してくれるんだという気持で、あなたのうしろには何千万の労働者が見ているのですから、その労働者の期待に沿うようなりっぱな答弁をしていただくことをお願いしまして、関連質問を終わります。御答弁を願います。
  71. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 小林先生の立法当時のいきさつについてのお話は、ただいまよく承りましたが、現在できておりまする法律は、労使双方に訴えを提起する権利を認めておるわけでございまして、ただいま、これは主として労働者のためにできた規定であるという仰せでございましたが、この法律の規定自体はそういうふうに読むわけにもいかないようでございます。しかし、いずれ今のようなお説は、この裁判の訴訟の中において当事者の主張として申し立てられる場合もあるでございましょう。それに対してはいずれ適当な裁判があると思うのでございまして、今私の方で申し上げられますことは、裁判がすみやかに確立いたしまして、事件が最終的な結論を出すように期待をいたしておるということだけでございます。
  72. 猪俣浩三

    猪俣委員 私は、国鉄側行政訴訟を起こされたことを法律的にかれこれ言うのじゃありません。これは法律に規定がある。しかし、その底に流れるものに、一体知ってか知らずでか、はなはだ国鉄のこの不当労働行為に対する認識というか理解というか、それが足りないものがある、あるいは認識しても故意にそれを隠蔽せんとする意図がある、反省が見られないというのが、私が政治的に非難する理由なのです。法律的に争って何が悪いといえば、それまでです。ところが、今小林君も指摘されたように、公労委という、公益委員を交えて労使双方で、しかもこれには証人尋問やらいろいろの、質問やらが尽くされておるわけなのです。国鉄からも出て十分説明したでしょう。それはどうですか、しませんか。国鉄の関係君が出て、労働組合から指摘された不当労働行為の事実について釈明されたかされないか、それを承ります。
  73. 河村勝

    河村説明員 当然委員会には使用者側からも出席して、主張すべきことは主張しております。
  74. 猪俣浩三

    猪俣委員 だから使用君側あるいは労働者側及び公益委員全部そろったところへ、訴えた者、訴えられた者が出て、あらゆる証拠を提出し、抗弁すべきものは抗弁した結果、最後の結論になって二年もかかっているじゃありませんか。それに対して諸君は、一体どういう理由行政訴訟を起こしたかというと、この公労委の事実認定はことごとく虚構である、そんな事実はないのだ、こういう認識のもとに出した。これは国鉄が私の会社でもあれば、もうとことんまでやってもいいでしょう。しかし、公企業体なんだ。いろいろの特権もあるかわりには、やはり普通の会社がとことんまでやることとは違った態度をとらなければならぬ。というのは、一労働組合員のためじゃないのです。こういう不当労働行為が行なわれておるならば、今十河さんが言った職場の明るさというものが失われて、抜本的対策をとらないなら、これでは非常な危険を国民に与える。それには何としても職場を明るくして、働いている者がお互いに親密に共同動作をするようにならなければ、国鉄の運営がうまくいかず、ひいて国民に危害を及ぼす、こういう特殊な公法人であるから私どもは言うのです。公労委で数年かかって結論を出したにかかわらず、これがみな虚構の事実なりとして行政訴訟として裁判所で争う、そういう態度に少しも反省の跡が見られぬじゃないか。そうすると、それに対抗するために、今度国鉄ではあらゆる事実を出してくるでしょう。そこでなお、公労委の結論は実に氷山の一角であるということを私どもが言うゆえんのものは、これは長い間この委員会の問題になっておっても、なかなか公労委が結論を出さないわけです。それで、公労委は中立性だと思いますけれども、この公益委員と称します中立性の人も、一体どういう職場にある人が公益委員になっているか、これは昭和二十二年六月から三十三年六月まで、十カ年間公益委員として選ばれた人たちの職業を見ますならば、弁護士が八百二十七人、国立大学の教授が四百八人、新聞関係者が百六十八人となっておる。その他各種団体が百三十八人、私立大学の教授が百六人。圧倒的多数は弁護士であります。私も実は弁護士なのです。労働大臣も弁護士上がりだ。ところが、弁護士には二通りありまして、非常に革新的な弁護士と保守的な弁護士とある。若い人は非常に革新的な人が多いのでありますが、相当の地位にある年配の人は、まず保守的な人である。そういう人たちは大てい大会社の顧問、嘱託あるいは重役、そういうものを兼ねています。元来が労働運動とか労働組合なんかに対して、快からざる感じを持っておる人が相当あるわけです。ですから、われわれの目から見ますれば、公益委員、中立委員といっても、やはり資本主義社会の保守党の政権下にあっては、ほんとうの労働組合の立場を考えての公正な判断をする人というのは少ないのじゃないか。そういう委員会なのです。  もう一つ心得ていただきたいことは、この委員会にいろいろ不当労働行為の立証をしなければなりません。私どもは、これは法を改正しなければいかぬと思いますが、立証責任が提訴者にあるわけであります。ところが、これは非常に困難なのです。なぜならば、助役駅長が、お前は第二組合にいかぬか、第二組合にいけば出世するぞといわてれ、第二組合に入った人がたくさんおるのです。しかし、それが証人になるかといえば、証人になりません。というのは、出世するためにいったのですから、それをばらしてしまったら、せっかくいったのに出世するどころか、えらい目にあってしまう。ですから、引き抜きが自由に行なわれる弱体の組合ほど証人になり手がない。これは非常に立証困難だということをよく考えなさい。言わないのです。またがちっと国鉄を守っている連中には、まずあまり働きかけない。あれはやってもだめだ、かえって変なことを言ってしっぽをつかまれるといかぬと思うから、そこは現場で毎日見ているのだから、なかなかわかる。そこで、これはものになりそうな、という者を引き抜くのです。そして第二組合へ入れる。これは公然の事実なんです。それをあなた方がここで、知りません、存じません、そういう態度が実にけしからぬと思うのだ。そんなことは知らぬはずはない。一年や二年来のことではない。それがいいか悪いかは別問題として、そういう行動を、職責を通じて、職階制を通じてやったことは、天下公知の事実なんです。そこで立証が非常に困難な問題のために、しかも公益委員という人たちの職歴からくる一つの立場がありますために、この不当労働行為委員会認定するということは容易ならざる大事業であります。しかも、どんどん切りくずしをやって、労働組合の生命である団結をくずしておる。それを急に食いとめなければならぬ、不当労働行為として救済してもらわなければならぬが、なかなかこれがすぐならない。本件だって三十五年なんですから、二年もかかっている。既成事実はみんなつくられてしまう。ほんとうの救済にならない。公労委自身がそういう性格を持っておる。これだけの制約を受けておる公労委がこういう結論を出したのは、よくよくのことなんだ。それを総裁、頭に置いて判断なさらぬと大へん間違いなんだ。職場を明朗にするなんていうあなたの目的は、達せられるはずはないのですよ。これは私どもは実地に即して言っておる。公労委の性格しかり、立証責任が実に困難だ。その中に労働組合が必死の訴えをいたしまして、できる限りの証拠を困難を冒しても提出して、ようやくこういう救済命令を得たわけであります。それを何ぞや、これはことごとく間違いだ、そんなことはないのだと国会においても答弁している、行政訴訟においても答弁しておる。こういう主張をしておる。不謹慎きわまると思うのです。公労委で認められた事実は事実として、こういうことを繰り返さぬように反省を重ねて、一日も早く職場を明るくするように全努力をあげるべきじゃないですか。それを国会においては、そんなことは存じませんや、知りませんや、いたしません、そうして裁判所へ今度行政訴訟を提起して争う。それは職場を明るくすることになるのか。そんなことは言わぬでも知れたことであります。皆さんの面子よりも、ほんとうに国鉄の運営をどうするかということを真剣に考えてもらわなければならぬ。くれぐれも言うが、公労委がこれだけの線を出したことはよくよくのことでありますよ。それを頭に置かぬととんでもない間違いだ。こういう訴訟で争うならば、また労働組合でも徹底的に応訴するでしょう。そういうことが職場を明るくすることになるかならぬか、総裁の見解を聞きます。
  75. 十河信二

    ○十河説明員 繰り返して申し上げまするように、私どももこういう事態が起きたことをきわめて遺憾なことだと思います。従って、不当労働行為はもちろんのこと、不当労働行為と疑われるような事実をなくしよう、そういうことをしちゃいかぬ、いやしくも疑われるようなことをするなということを言って、極力戒めておるのであります。しかしながら、今回こういうことが起こりましてこのようなことになりましたことは、どうもやむを得ないことでありまして、それで、はなはだ遺憾でありますが、そういう事実を明らかにしていただきたいということで、訴訟をいたしておるような次第であります。
  76. 猪俣浩三

    猪俣委員 とにかく若い人はどうか知らぬが、少なくともあなたは総裁として相当の年功の方ですから、よく考えていただきたい。  私は先般金沢へ参りまして、金沢の監督局長に会って不当労働行為の話をしました。まだこの救済命令が出ない前です。その話のときに、主として答弁しているのは総務課長か総務部長で、何という男か名前は忘れましたが、これが三十幾つの男で、局長に口を割らさないで、自分が前に出てばりばりやっていた。生気はつらつとしていいでしょう。そこで私は、あまり職場を暗くすることは危険じゃないか、私の方でも糸魚川の駅はまことに職場が暗い、事故が多い、この間も助役が過労で駅長を恨んで死んだということで、管理職であるにかかわらず、労働組合が葬儀に花輪を贈って弔意を表したという事実がある。それでそのわきに能生町の駅があります。この駅長は非常に苦労人で、しかも自分の息子がやはり駅へ勤めておりまして、国鉄労組へ入っておる。しょっちゅう息子と話し合って、労働組合に対する認識は実に深い。そこで労働組合の諸君に対して、十分同情ある態度をとっておるためにこの能生町は実に明るいのだ。私どもはちょっと駅へ入ってみてもわかりますよ。事故も少ない。だからこういう駅長でなければならぬじゃないかと私が話をして、局長の返事を待とうとしましたら、その若い何とかいう総務課長か、その男が、やあ能生の駅長ですか、それは無能ですよ、あれは低能なんです。あんなのはだめだと言うのです。不当労働行為で抗議に行っている私に対してそういう話をする。無礼千万なやつだと思う。あなたの駅を明るくするなんていうことが徹底しますか、一体。そういう元気のいいことを言う者が出世するらしいのだ。それはもう歴然たる事実じゃないか。だからあなたが抽象的に、いや職場を明るくしなければならぬなんて言ったって——私は、あなたは本音で言うておると思うのですよ。あなたは正直な方だと思う。しかしあなたは、それを統率できない。総裁の資格がないといわなければならない。あなたの善意を信ずれば、あなたは能力が足りない。能力を信ずれば善意を疑わざるを得ない。二者択一なんだ。一体あなたはどっちなんですかね。私はあなたは善意だと思うのです。そこで今まであなたは率直にあやまられたかもしれませんが、これだけの事実が明らかになって救済命令が出た以上は、これをきっかけとして、あなたは徹底的に部下に対して、明朗な職場建設に乗り出さなければならないじゃないですか。抽象論じゃなくて、あなたはどういう覚悟を持ちますか。あなたは、第一には、こういうあなたの親の心を知らざる部下どもは、信賞必罰、国鉄の明るい運営のために、無謀なことを言うやつは左遷させなければならない。これに対しておきゅうを据えなければだめですよ。あなたが職場を明るくしなければと言っておるのに、職場を乱している者はどんどん出世していく。これじゃあなた、あなたの言うことはさっぱりわけがわからぬ。一体どういう具体的な処置をされるか、それをお聞きしましょう。
  77. 十河信二

    ○十河説明員 私の能力の足りない点、私の善意が徹底しない点、これはいかようにおしかりを受けても——私はできるだけやっておるつもりでありますけれども、至らぬところが多々あったと思います。その点はいかんとも弁明のしようもありません。ただ、私は今お話しのようなことをできるだけやっていきたい、そういう部下を戒めるだけでなく、みずから私はその地方へ出かけまして、現場の苦労をしておる人のところへ行って、実際その苦労を見て、こういうことをしてやったらどうか、こういう点はこうしたらどうかというふうなことを考えて、できるだけみんなが喜んで、今お話しのように明るい国鉄の改善に尽くしてくれるように、私は一生懸命やっておるつもりでありまして、今おしかりを受けたように、能力も足りないし、あるいは善意も足りないということを言われれば、いかにおしかりを受けてもやむを得ないと思います。
  78. 猪俣浩三

    猪俣委員 そこで、実は涙の出るような手紙が相当私たちにきているのでありますが、今の国鉄労働組合が悪いならば、内部からやはり批判が出て、おのずから分裂するなら分裂していくのです。それはもうやむを得ないことなんです。ただ職階制を通じて、上の方からそういう不当労働行為の様相でやってもらっては困るというのが、私どもの念願なんです。私のところへきた手紙を、ちょっと総裁聞いて下さい。この前があるのだが、略します。「それ以後、駅の中は電気の消えたような日が毎日続いた。今まで仲良くしていた友人とは一切話することなく、駅長も、金地労へ行った人とは話をするが、国労に残った人とは話をしないようになった。駅長助役、または金地労の者とが、駅長室やあちらこちらとヒソヒソ話が続き、国労の者が駅長室へ行くと話がとまり、出ていくとまたヒソヒソと始めるといういやな日の連続である。このような空気を一日も早くなおしてもらいたいと思っております。平和で明るい職場にして下さい。国労に残った私たちの念願です。私たち、国労に残った同志は、勤務の都合で一緒になることができず、その対策に非常に困った。だが、その機会は一度だけあった。四月二十六日、直江津の某家にて四人でいろいろ話し合った。当面は駅長に責任あるものとして、転勤を局へ強く要求すること。四人は一致団結して戦っていくことを確認した。」これは北陸線郷津駅の風景です。これは至るところにあるのです。そうして、どこそこでだれか集まった、あれは何か話し合っているんじゃないか、どこそこで駅長とだれだれが話した、あれは引っこ抜かれたんじゃないか、そういう話で職場は持ち切りなんですよ。一体その原動力はだれが与えたか。これは僕は、何としても国鉄の上層部の根本方針で、過激な労働組合と御用組合のような労働組合とをつくって、両者を相殺することによって労働組合の威力をそごうという根本方針から出ていると疑わざるを得ない。今あなたのような考え方で、総裁がそういう考えで臨み、あなたの周囲の幹部がみなそういう考えで臨んだのに、なお下部の駅長助役が、わざわざ憎まれるようなこういう行為をやる道理がないじゃありませんか。みんなに親しまれておれば、駅長助役自身もいい気持だ。それをこういう憎まれ役をやって、こそこそやるようなことをやって、そしてある者は自分の味方であり、ある者は敵だというような職場にあるということは、一応駅長助役としてもつらかろうと思う。つらいのになぜやるか、出世したいからだ。それをやらぬで、みんな駅員の立場で考えて円満にやるのは無能だというのです。金沢の総務課長の言うみたいに。あれは無能なんだ、有能なのは組合を弾圧して、そうして第二組合、御用組合をだんだんふやして、その数によって、あれは腕があるということで、そういうのは抜擢せられておる。一体、あなた、それを知りませんか。それが現状ですよ。あなたのおひざ元にはいるんだ。労働組合を弾圧した人がみんな出世している。そういうことをやっておって、口で明朗化だの、第二組合をつくるなんていうことは国鉄はやっていませんと言ったって、通らないですよ。さっきも松井委員から説明したように、あらゆる方面にうつっている。臨時雇を本雇にするにも、第二組合に入った人はさっさとなっているし、そうじゃない人は、二年も三年も先に臨時雇になっておっても、まだ本採用にならない。ここにちゃんと統計が出ていますよ。ちゃんと調査したものがある。これは糸魚川駅です。こういうあらゆる不利な条件を持ち出してきて、そうして国鉄の第一組合を破壊しようとする。頼まれもせぬのに、駅長助役が憎まれ役を買って出るはずがありませんよ。金沢の課長が言うみたいに、低能扱いにされちゃ困る。出世したいんでやるのですよ。それを、あなた、直さなければとうてい直りませんよ、不当労働行為をやったような者は。労働組合から国鉄の本社にも相当陳情がいっていると思うのです。そういうものに対して、実情を一体調査せられたことがありますか、ありませんか、それを聞きます。
  79. 河村勝

    河村説明員 何回か問題になりました際に、そのつど調査はいたしております。
  80. 猪俣浩三

    猪俣委員 調査した。事実はどうです。どういう調査ですか。調査に行ったときに、一体労働組合の諸君とよく話し合ったり、あらゆる客観的情勢をあなたは判断せられたかどうか。調査したその結果はどうなんです。
  81. 河村勝

    河村説明員 今回の問題につきましては、御承知の通り行政訴訟の審理に待つべきもので、結論は当然出てないわけでありますが、従前、金沢で一回問題がありましたときには共同調査をいたしまして、それで相互の話し合いで全部話し合いが済んでおります。
  82. 猪俣浩三

    猪俣委員 私はまだたくさんお尋ねしたいことがあるが、時間がきますので……。ただ一点お尋ねすることは、国鉄から出されました行政訴訟の請求の原因ですが、今申し上げたように二つあるようです。公労委で認めたような事実は虚構であるということ、そんなことはないのだという主張、これは僕は非常に不謹慎だと思います。第二点は、さっき読みましたが、もう一度申しますと、前記駅長助役らに使用者たる原告の利益を代表する地位にあるものとしての支配介入の言動があったと右命令が断じている。それらの者が公共企業体労働関係法第四条第一項但書に該当するものであることを根拠として、直ちにその行為につき原告自体に責ありとする点についても、事実の認定及び法の解釈において誤りを犯しておる。さあ、これは一体どういうことですか。公共企業体労働関係法第四条に、労働組合員たる資格のない者が規定されている。「職員は、組合結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる。但し、管理又は監督の地位にある者及び機密の事務を取扱う者は、組合結成し、又はこれに加入することができない。」普通これを管理職と言っている。これは労働組合員じゃない。そこで駅長助役というような者はこういう者に当たる。こういう管理職の者がやった行為、一体国鉄のこういう者のやった行為に対して、国鉄は責任を負わぬでいいんですか。それをお聞きしたいのだ。責任体制は一体どうなるのですか。現在非常に汚職、涜職、これは官吏、財閥、財界を問わず労働組合にもある。綱紀が一般に弛緩している。ことにこういう官界や公社関係公共企業体における綱紀の弛緩というものは、責任体制がはっきりしないことからくるのです。責任を負うべき者が負わぬことからくることが多い。しかし、責任を負えということが、昔のように必ず切腹するという意味じゃない、辞職するという意味ではありませんが、何人が一体最高の責任であるか、その責任体制を確立しないと綱紀粛正はできませんよ。こういう労働組合に入る資格のない管理職の者、こういう者のやった行為でも国鉄には関係ないんだ、責任はないんだ、こういうことになると、一体駅長助役のやったことに対して、総裁を初め国鉄の幹部は責任を負わないでいといいうことになるのですか。これはあなた大へんな問題ですよ。それをお聞きします。
  83. 十河信二

    ○十河説明員 駅長助役が職務上に関してやったことは、全部私が最終の責任を負います。しかし、駅長助役個人としてやったことは、これは少し違うのじゃないかと思います。
  84. 猪俣浩三

    猪俣委員 この責任は、広い意味で法律上の責任と政治的責任とありましょう。しかし、たとえば助役駅長というものがどろぼうをやったという場合に、法律的責任はないかもしれませんが、あなたの部下がそういう犯罪行為をやったときに、これは自分は関係ないからといって一切の責任はありませんか。少なくとも監督責任はあるわけだから、監督責任を果たさなかったという責任はあるでしょう。法律的に共犯だとか刑事責任を負うという責任はないかもしれませんが、監督指揮をする地位にある者は、その部下のやった行為に対して何らの責任がないということでは監督はできないじゃありませんか。いわんや、どろぼうをやった、恐喝をやったというのじゃない、国鉄の職場内において不当労働行為をやるというようなことは、これは相当の責任が国鉄にあると僕は思うのですが、あなたはそうは思いませんか。
  85. 十河信二

    ○十河説明員 今、問題は、不当労働行為であるかないかということについて見解の相違があるということで起きた問題であります。すべての責任は、駅長なり助役としてやったことは全部私が責任を負います。
  86. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうするとこれは、あなたの考えと違った行政訴訟を起こしているのではありませんか。それがあたりまえだと思うのです。監督責任というものはそういうものだ。全然自分の知らざることについても責任を負うというのが、監督者の政治的責任です。これは、浅沼テロ事件について、内閣総理大臣は初め責任はないようなことを言っておったが、最後に責任がある。なぜなら、一切の行政権の最高責任は内閣総理大臣にある。もちろん浅沼を殺したテロ犯人山口が自殺するなんてことについて、直ちに内閣総理大臣が重大な責任を負わねばならぬ立場だとは思いません。ことに警察行政が、公安委員会というものによって権限が、責任の第一次があるという点におきましては——しかし、最後の責任は行政権の全責任者である総理大臣にあることは当然でありますから、池田さんもそれを認められた。ですから、助役駅長、あるいはその他の、労働組合員の資格を備えておらぬような、管理職といわれる人たちの行動については、もし広く言うならば労働組合員職員の行動についても、やはり最後の責任はあなた及び運輸大臣にあると思うのです。運輸大臣は監督責任があるのだ。日本国有鉄道法を見れば、日本国有鉄道に対する監督責任は運輸大臣にある。運輸大臣はきょうは来ていないが、不当労働行為なんて関係ないようなおつもりになっているのではないか。きょう来なければならぬ。労使大臣及び運輸大臣ですよ。運輸大臣は監督責任はある。だから、こういう不当労働行為に対しては責任がなければならない。この責任観念というものがはっきりしないと、すべての綱紀は弛緩します。しかるに、この訴訟を見ると、駅長助役のやったことが直に国鉄の責任になるというようなことの事実の認定を法の解釈において誤りを犯しておる、違法である、だからあなたに聞くのです。あなたは責任があるのだ、私は、この不当労働行為なんという責任は明白に総裁、場合によっては運輸大臣まで及ぶと思う。それはやめるとかやめないとかいう責任の量刑については別でありますが、責任があることだけは事実であります。そうしなければ、総裁というものの地位は何にもならぬことになる。また発言権というものは強まらぬ。全部自分が責任を負わなければならぬから、総裁の発言というものは強力になるわけなんだ。しかるに、この行政訴訟を見ると、助役駅長がやったようなことは国鉄本社と何ら関係がないようなことを言う。これは一体あなたの今の答弁とどうなのですか。
  87. 河村勝

    河村説明員 訴訟の文句でございますから、純法律的に書いてございますので、その点一般的な監督責任の問題とはおのずから違うと思います。総裁の先ほどの答弁でよろしいのではないかと考えております。
  88. 猪俣浩三

    猪俣委員 私は、職員がどろぼう、詐欺をやったとしても責任があると思う。しかし、それはある程度の政治上の責任でしょう。しかし、管理職が不当労働行為をやったなんという責任は、最後に総裁が法律上もあると思うのです。そうでなければ、上から下まで管理職一体の原則は貫かれないじゃないですか。助役駅長のやったことは本社は知らぬ。じゃ、言葉をかえて、不当労働労働行為じゃない場合は、駅長助役のやったことは国鉄の関係ないことだといって労働組合は従わぬのでいいのか。それじゃ管理職の務めは果たせないじゃないか。そんなことは法律的に考えても矛盾ですよ。管理職として上から下まで一体をなして国鉄運営の中心をなしておる以上は、そのかなめである総裁が責任を負うことは当然だ。都合の悪いことは責任を負わぬ、都合のいい場合は、これは国鉄の命令だ、そういうことになっていいですか。駅長助役のやった行為は総裁は責任を負わぬ、国鉄本社の責任じゃないという論理を貫いていいのか、そうすると駅長助役のやったことに対して、駅員がこれは本社の立場じゃないと理解してもいいですか、それはどう解釈されますか。
  89. 河村勝

    河村説明員 そういう点は、先ほど総裁が答弁申しましたように、助役の職責としてやったことについては国鉄として責任がある。国鉄と関係なしに個人的にやったことについては責任がないというふうに考えております。先ほどの総裁のお答えと同じだと思います。
  90. 猪俣浩三

    猪俣委員 その地位にある人が職責でやったかやらぬか、赤帽をかぶって職場の中にいれば、職責として見ることは当然じゃないか。どうやって区別するのですか。これは職責だから、これは職責じゃない、そんな区別ができる道理はないのだ。だから、たとえば自分の家において和服で雑談の中に言ったこととなれば、それもまだ私は問題があると思うけれども、多少あなたのそういう弁解もできるだろう。しかし職場において、駅長の立場において、しかも第二に入るならば出世さしてやるの、いい職場につけるの、そういうことを言う場合において、これを職責に関係がないと言い切れるか。どういう場合が職責で、どういう場合は職責でないということを、同じ赤帽をかぶっていながらどうしてそれが判明できる。そんなことはへ理屈というものだ。そういう問題についても、もう少しわれわれが納得できる説明を御検討願いたい。それを要望いたしまして、きょうの質問は終わります。
  91. 秋田大助

    秋田委員長 小林進君。
  92. 小林進

    小林(進)委員 大体約束の時間がきましたから、私はほんの簡単に質問をして、あとは後日に回すことにいたします。  官房長官もお見えになっておりますので、官房長官に第一番に御質問いたします。実はこの国鉄の不当労働行為の問題は、先ほどから申し上げましたように、これはきのう、きょうの問題ではないのでありまして、思い起せば三十三年からこの社会労働委員会で繰り返して、今お聞きの通り組合を分裂させて、職場を暗くして、労働者を圧迫して、そういうような労働行為が行なわれておる。その中で労働者はお互いに労働者同士がいがみ合い、疑い合い、あるいは嫉妬し合い、あるいはあの職員は今晩はどうも助役と一ぱい飲んで私の悪口を言うんじゃないか、あるいは駅長に呼ばれて、第二組合に誘導を受うて、そのかわり特進をするのではないか、私は定期昇給も落とされるのではないか、そういう空気がもう全国鉄内部に密集しておる。それが積もり重なってきてとうとう三河島事件となり、あるいは南武鉄道事件となった。こういう未曽有の不祥事件が起き上がっておるのでありまして、ああいう不祥事件は、せんじ詰めれば国鉄の労働管理のまずさと不当なる労働政策、あるいは当局の不当なる支配介入に基づく結果であるというのが、私どもの一貫した考え方です。  まず第一にお伺いいたしたいことは、あなたは内閣の総理大臣の番頭としてお聞きする。われわれだってこの委員会に、労働行政全般についてあらゆる問題で審議をしなければならない多くの問題をかかえておる。けれども、これほどの不祥事件を起こしながら、まだ国鉄当局はいささかも反省をしようとしない。しないから、私どもはこういう問題で何年も何年も、しかも何回も何回も、この社労委員会の中で繰り返していなければならぬ。国政の伸展、国政の審議、立法府の監督権、その行使の上にどれだけの支障を来たしておるかわからない。これを考えたら、この失うところの大きいものは、もしこれが形に現われたら大へんだと思う。今もみな国民を代表する議員先生方が、こうやって入れかわり立ちかわり彼らの反省を求めておるけれども、あなたもお聞きの通り、カワズに小便のような顔をして一つも反省をしようとしない。だから私ども、この国労の問題を次の運輸委員会でもまたやるのです。本会議でもこれをやるかもしれぬ。休会中もわれわれはこういう問題をやる。何回も繰り返してやらなければならない。私ども国会議員、与党、野党——与党の諸君もみなつき合って、こういうことを国会の中で繰り返しておることが、内閣として賢明な策であるとあなたはお考えになりますか。私自身、もう個人としてやりたくない。やりたくないけれども、大衆がいる。私もこの問題は飽き飽きしたと思っていると、大衆が私どもの命があぶないという。あの国鉄の総裁や副総裁や、ああいう職員局長なんかがいて、何をやるかわからない。晏然として過ごすわけにいかないから、どうしてもわれわれの代表である皆様方に、われわれの生命の安全のためにも、これは国会の舞台でやってもらわなければならぬという大衆の世論です。それがある限り、私どもはいつも繰り返してやっていかなければならない。あなた方がどんな法案をお出しになろうと、どんな問題をお出しになろうと、われわれは、内閣自身としての姿勢が直らない限りは許されない。そういう法律案は全部あと回しにして、どうしても国民に今危害と障害を与えておる、しかも責任をとらざる不当なる問題の解決に進んでいかなければならない事態でありますから、内閣としてはこの問題をどう認識されて、どう処置をとられるか、少なくともあなたは内閣総理大臣にどう進言せられるか。総理大臣になりかわって、この現実の上に立って、内閣の腹を一つお聞かせ願いたいと思います。これは単なる国鉄の問題ではなしに、あなた方内閣の、法案の審議から、予算の審議から、国会運営全般に関する問題でありますから、そういう点を勘案下さって一つ答弁を願いたいと思うのであります。
  93. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 先ほど来いろいろ御議論を承っておりまして、小林さんの御意見と国鉄総裁の御意見との間にかなりのそごがあるように拝聴いたしております。こういった問題で国会の審議をわずらわしておること自体が、国鉄にとりましても、また全般に対しても非常に不幸であり、残念なことに思っております。
  94. 小林進

    小林(進)委員 内閣を円滑に運営していかれる官房長官といたしまして、ただ、残念でございます。遺憾でございますでは、われわれは了承できないのであります。少なくとも私どもは、国民を背景にして、国民の要望にのっとってあなたに質問しておる。個人小林が言っておるわけではない。しかも、この問題解決のために各委員会が障害を受けます。現実にあしたかあさって運輸委員会があって、運輸委員会には、また総裁、副総裁、運輸大臣、政務次官、あなたも出てきてもらって、別の角度からこの問題がまた論ぜられる。国鉄自体も、国会に出てくるのは任務の一つでしょうけれども、こんなにしたら公社の行政はうまくいきますか。しかし、やらざるを得ない。やれというのは国民の世論でありますから、これがこのように繰り返されておる。この問題でだれが責任をとらなければ、出処進退を明らかにしない限りは、こういう状態が繰り返され、続いていくのですから、あなたに答弁を求めることは困難かもしれませんが、あなたは総理の番頭ですから、少なくとも総理に正しく話をしていただいて、総理みずから善処せられるようにお話をしていただきたい。この問題はどうでございますか。その結果について、あらためてまたこの社会労働委員会であなたの口を通じて総理の答弁を得たい。その総理の答弁が私ども納得いきませんければ、今度は委員長を通じてあらためて総理の出席をここにいただきまして、総理みずからお話を承り、決意を承ります。そうしない以上は、私どもも社労の一切の審議に応ずるわけにはいかない。われわれ社会党はそう考えます。その点を一つ決想をして御答弁をいただきたいと思うのでございます。
  95. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 小林さんの御意見はよくわかりましたので、総理ともよく相談をいたしまして、いずれ御返事申し上げたいと思います。
  96. 小林進

    小林(進)委員 時間もありませんから、その答弁を後日またここでいただくことにいたしまして、次に伺いますけれども、あなたは、南武鉄道事件が起きたときに官房長官就任早々でありましたが、総裁人事の問題について、前後三回新聞に談話を発表せられておるはずであります。一回、二回、三回とそれぞれ談話の内容が変わっておるようでありますが、這般の経緯をここで承っておきたいと思うのでございます。
  97. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 私の発表あるいは談話のニュアンスをどういうふうにとられましたかわかりませんが、私なり政府といたしましては、国鉄総裁の責任問題あるいは総裁の進退につきましては、総裁が各般の事情をよくお考えになって、御自分の良識と良心に従って行動をとるべきものだ、こういう見解で終始したつもりでございます。
  98. 小林進

    小林(進)委員 国鉄総裁の良心と良識に基づいて自主的に出処進退をきめるべきであるという談話でございましたが、それ以外に、内閣が総裁を任命するのでありますから、任命権のあるものはこれをまた辞任、辞職あるいは誠首せしめる権限も内閣にあるはずであります。総裁に辞任をせしめる場合はいかなる場合でありますか。総裁の出処進退は良心と良識だけの問題ではなくして、内閣にもやめさせる権限があるはずであります。その場合をお聞かせ願いたいと思うわけであります。
  99. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 御承知の通り、国鉄総裁の任命は政府がいたしております。それからまた総裁についての欠格条項もございます。この欠格条項に該当すれば当然にやめなければなりません。それから、いま一つ政府が積極的に罷免権を発動する場合は、やはり法律に規定がございまして、「総裁が心身の故障のため職務の執行ができないと認めるとき、又は総裁に職務上の義務違反その他総裁たるに適しない非行があると認めるときは、」かように限定をされておるのでございます。従いまして、非行事件は別に考えてみまして、それ以外に罷免権を発動するというのは、心身の故障のために職務の執行ができない——御病気でありましたり、あるいは非常な心労の結果精神が非常に弱られたという場合に初めてできるものでありまして、逆に申しますと、そういう場合以外は、とにかく国鉄総裁でありますから、これをおまかせするという意味で任命したわけでありますから、総裁の良心と良識によって自主的に御判断願うのが妥当であると考えます。
  100. 小林進

    小林(進)委員 それは国鉄法でございますか。その欠格条項は国鉄法の何条でございましたか。
  101. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 国鉄法の十九条が任命の根拠であり、欠格条項が二十条にございまして、罷免権は二十二条の二の規定になっております。
  102. 小林進

    小林(進)委員 私は今官房長官を通じて特に内閣総理大臣に御考慮いただきたいことは、この社会労働委員会はもちろんでありますが、運輸委員会そのほかの委員会においても論ぜられておるはずであります。その間における国鉄側答弁その他もありましたが、そういう前後を読んでいただけば、その欠格条項の中の非行問題には該当しないにいたしましても、心身の故障のために職務の執行ができないという条項にこれほどぴたりそのまま当てはまるものはないと私は考えるのであります。(笑声)総裁、笑いごとじゃございませんよ。笑っておられること自体、自分の心身の状況を言われて笑っておられる、これ一つだけでも、心身の故障のため職務の執行ができないという条項に十分当てはまると思うのであります。官房長官もごらんなさい。ごらんになればわかるでしょう。鼻をいじって笑っておられる。笑声あなたのごらんの通りですよ。それだけでも、心身の故障のために職務の執行ができない条項に該当すると私は考える。これは私だけの意見ではございません。他の諸君もそのように考えておる。さもなければ、私は申し上げるのでありますけれども、あなたは御存じの通り、国鉄総裁は四代目です。初代の下山さんは、御承知のように、今でもなお他殺か自殺かわからないような状況でおやめになりました。第二代目の加賀山さんは、横浜の桜木町事件で責任をとっておやめになりました。そのおやめになったときに世論は何と言いましたか。やめる必要はないと言いましたか。当然である、さすがに国鉄総裁である、みずから責任をとっておやめになったということで、あのごうごうたる非難は、総裁の一身を賭しての辞任によつて、潮の引くがごとく世論がおさまった。おさまりましたよ。そうして三番目の総裁はどうですか。三番目の総裁は長崎総裁であります。これはすなわち、瀬戸内海における紫雲丸事件が起きたときに、やはりこの問題で責任をとっておやめになりました。あのときも盛り上がる国民の世論の前に、総裁が一身を賭してみずから責任をとられたことによって世論はおさまった。一体この責任のとり方が、官房長官、これは妥当だとお考えになりますか。あなたは、もしやめる必要がなかった、あるいはその職において収拾に任ずべきが妥当であったかどうか。結果論でありますけれども、私どもは、やはり総裁が世論の前に、大衆の前にみずからその責任をとって職を辞せられたことが、私は非常に自後好影響を与えておると考えております。しかし今、この第四代目の十河さんの場合に起きているのは何ですか。三河島事件といい、南武事件といい、これは桜木町事件や紫雲丸事件に、その質といい、量といい、比較にならぬほど大きな問題であります。しかし、責任をとろうとはなさらない、責任をとって辞職なさろうとはなさらない。だから世論は常に硬化をしていく。われわれのところには毎日、猪俣代議士も言われたように、山のようにその陳情や請願や書類や書簡がきていますけれども、あれは猪俣さんだけではない。われわれのところにも朝となく夕となく、この国鉄総裁以下国鉄の管理者に対する非難の問題で落ちついて寝るわけにもいきませんよ。それくらいごうごうたる非難の嵐の中にあり、しかも総裁はこの跡始末のために残ると言っておられる。残って問題が好転しておりますか、事故がとどまっておりますか、事故はおさまっておりますか。私は資料がありますけれども、絶対事故は続発しておりますよ。さらに問題は連発しておりますよ。それはそうなんです。これくらい労働組合を弾圧し、職場を暗くし、しかも当然とるべき責任をとらないで、無事故に転換できる道理がないです。事故がおさまる道理がない。この問題を一つ勘案いたしまして、あなたは内閣の官房長官ですから、一代、二代、三代の総裁の責任のとり方が一体正しいのか、今の総裁の留任の仕方が正しいのか、一つ見解をお聞かせ願いたいと思うのであります。
  103. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 先ほど申し上げたように、責任なり進退につきましては、私どもは総裁の良心と良識によって自主的にお考え願いたい、こういう建前でございまして、十河総裁の御見解と皆さんの御見解とかなり違っておりますことはまことに残念でございますが、政府としましては、総裁が事故防止に努力する、こういう御言明もありますので、これを信頼しまして、しばらく推移を見る——と言うと少し言葉が過ぎるかもしれませんが、そのように総裁の御言明を信用しておるわけでございます。
  104. 小林進

    小林(進)委員 総裁が事故防止のために善処をするということをあなたは信頼するとおっしゃったが、事故防止の成績が上がっておりますか。私はここにいろいろの統計数字を持っております。桜木町事件、南武事件以後事故がおさまっているかどうか、いろいろ資料を持っておりますが、私はその資料の問題は別にいたしましても、ささやかな私の経験だけで申しましょうか、七月、八月における事故の内容を申し上げましょうか。私は七月七日に上野駅から上越線に乗っていった。上越線というのは、高崎を通って、清水トンネルを通って長岡から新潟まで行くのが上越線です。ところが、高崎まで行ったら、その急行が上越線へ行かないで信越線の方に行っておる。何だと言ったら、その日のうちに清水トンネルの中で事故が起こったから、上越線を行かないで信越線を回るのだ。私は午後二時に六日町の駅に町長さんや町会議長さんその他多くの人が集まって待っていただいているから、信越線を回ったらだめだと言ったが、長岡以南の人はしょうがない、高崎でおりてつまらない汽車に乗ってくれ、長岡以遠に行く人は信越線に乗ってくれと言う。そこで私は、もう後閑という駅から三国峠をハイヤーを雇って死にもの狂いで、一万五千円ハイヤー代を自腹を切った。しかも午後二時の会合が四時半になってしまった。この損害に対して、私は国鉄総裁を相手に損害賠償の訴えを今準備中であります。これがいわゆる七月中の土曜日、日曜日のできごとだ。そうしたら、その次の一週間日の日曜日に、私はまた私の新潟に帰った。今度は柏崎というところに行っていて、みな公的仕事をやって、夜十時に柏崎と宮内の中間駅から長岡まで来て、長岡で一時間ばかりの時間がありますから、その時間で自宅に帰ってカバンや何か持って、長岡発零時八分の夜の準急に乗って東京へ来て、国会活動をやろうと思った。国会活動をですよ。その中間駅に行ったら、十時に行ったら汽車が来ない。いわゆる柏崎から安田という駅を通って長岡へ来る汽車が、一時間待っても来ない。何だと言ったら、柏崎−安田間に事故が起きていつごろこっちに汽車が来るかわからない、こういう状態だ。それで私はまたハイヤーを雇って、自宅へ電話をいたしまして、そうして宮内という駅まで一時間で来て、宮内の駅からようやく上越線のその零時八分の汽車に乗った。ここまで来た損害金まさに八千八百円であります。これも私自身が総裁を相手に損害賠償の請求をしなければならぬ。これが次の日曜日である。自来私はこうやって往復している汽車の中で、完全に事故なしに時間通りに着いた汽車はなし。これはちゃんと助役や車掌さんにも言っている。国会の資料のために申し上げますが、きょうもおくれましたね、完全に着いている汽車はありませんね、助役さん、あなたの名前も聞いて、証言のために言っておきますからと私は言っている。試みに私自身が経験しただけでも言いまょう。七月中における大小の事故を言いましょうか。単なる西吉田駅という小さな中間駅における七月中の事故だけでも、越後線というローカル線の小さな線、本線でなく、その線の駅だけでも七月十六日大河津駅、同じ七月十六日越後曽根、十九日和納、二十日燕駅、二十一日吉田駅、八月二日と八月十二日、こういうふうにずっと事故が連発して積み重ねられている。今度それを職場に行って聞いてみると、それがみな事故を隠すんだ、隠している。そして事故をまるにして、無事故のように現場長あたりがやっている。これはまた隠すことが危険なんです。こういうことが蓄積せられて、これが三河島事件となり、いわゆる南武事件となる。おそろしいことだ。あまり事故が起き過ぎるものだから、事故が起きると立身出世に影響するものだから、あるいは国鉄のぶざまが表に出るものだから、これはもうまるにしておる。お前、これは言わぬでくれ、一ぱい飲ませるからと言って、しょうちゅう一ぱいあるいは酒一ぱい飲ませる。しかし、事実はかくのごとくであります。事故は少しもおさまっておりません。しかも三河島事件以来、職場に国鉄当局が言っていることは何だ。働きやすいように、働きやすい環境を提供するということで、監督を厳重にし、仕事を厳重にし、あるいは反省会を設ける。はなはだしいのは、事故防止のために非番の者までかり立てて、神社参拝をしてかしわ手打っている。そんなことまでやって、休養時間までとって国鉄の事故がおさまったらお目にかかりたい、そういうような状況でございまして、事故は激増しているが、ちっとも激減をしていない。その根本の理由は、私どもの言ういわゆる労働行政、管理行政の積み重なるこの不当な関係にあるということを私は申し上げてよいと思います。その点を官房長官お考え下さいまして、この事故の防止のために内閣はいかにあるべきかお考えいただきたい。御答弁を願いたいと思います。
  105. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 今いろいろとお話がございましたけれども、事故の頻発いたしますことは、これは国鉄はもとよりでありますが、監督しております政府としても、国民全体にまことに申しわけないことでありまして、国鉄、運輸省を中心に、今までよりも一そう絶滅と申しましょうか、絶滅とまでいかなくとも、この減少のために全力を尽くす覚悟でございます。
  106. 小林進

    小林(進)委員 もう時間がありませんから、私はまた後日に残して、きょうは結論を急ぐことにいたします。官房長官に言いますけれども、事故撲滅をやるためには、こうした積年の不当労働行為や不当なる管理行政を続けてきたその結果であるから、こういう人たちに責任をとって退陣をしてもらわなければ、この事故防止の根本的な解決にはならないと私は信ずるが、官房長官はどうお考えになりますか、これを質問しておきます。これはいかがでございましょう。
  107. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 今申し上げましたように、全力を尽くして参りたいと思います。あらゆる方面につきまして全力を尽くしたいと思います。
  108. 小林進

    小林(進)委員 あらゆる方面に関して全力を尽くすというその言葉の含みを私は了承いたしまして、官房長官には、総理大臣の御返答を次のまた国鉄問題を取り扱う社労委員会で正式に承ることになっております。官房長官に対する質問はこれで終わります。  運輸大臣おいでになりませんか。——政務次官にお尋ねしたいのは監査委員の問題であります。三河島事件が起こりましたときに、監査委員会は、この事件の原因その他の追及について発表をいたしました。けれども、私たちは、あの監査委員会の結論やその他についてはどうしても了承できない。しかし、その後の国鉄当局の新聞談話その他この国会における証言等も聞いておりますると、監査委員会あたりの結論や何かを隠れみのにして、なおかつ、またその地位にとどまろうと恋々とするような態度を続けられている。  一体監査委員の任命、あり方、機構その他について、これが現在のままでいいかどうか、お聞かせを願いたいと思います。
  109. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 お答えいたします。  監査委員は運輸大臣が任命いたすことになっております。その方法はよろしいと思います。
  110. 小林進

    小林(進)委員 どうも大石政務次官の御答弁は、これはちょうだいしてもちょうだいせぬでも、同じようなものでありますから、私はあなたに対する質問をやめまして、これは後日運輸大臣にもおいで願って、この問題についていま少しくきめのこまかい質問をいたしたいと思います。(「政務次官軽視だ」と呼ぶ者あり)いや、これは政務次官軽視ではありません。政務次官尊重でございます。政務次官は大臣以上でありますから、こまかいことはお知りにならない。  時間が参りましたから、私は国鉄当局一つ資料の提出だけをお願いしておきましょう。  次のこの不当労働行為の問題の調査のために、第一は、国鉄の美談物語りといたしまして、国鉄で顕功章というものをお出しになっている。これは国鉄内部における最高の勲章だそうであります。顕功章をお出しになるのはけっこうであります。お出しになると、某駅であります。あえて某駅と申し上げますが、その顕功章をもらった人を記念するという名目で、助役会だとかいうような方々が金を集めて、そしてその人の胸像などをつくって顕功章をもらった人に贈っている。あるいは十万円内外、十一万円内外。私はその人が強制的にやったとは言いませんけれども、その金を集められる人の中に非常に不満がうっせきをいたしております。それは顕功章をもらった人のごきげんをとるために、側近の一人か二人がいい顔をするためにそういうことをやるのだろうが、われわれはそんなことに寄付金を出すのははなはだ迷惑だ、けれども、出さなければ協力をしないといっておかしく思われて、立身出世に影響する、表面は笑って金は出すけれども、これは実に耐えられない、こういうような不満がずいぶん多いのであります。過去のことを言うのではないけれども、顕功章をお出しになるために、国鉄当局はこういうことをそのままにしていられればこれが一つの風習になって、次から次へと顕功章をもらった人のごきげんをとるためにこういう寄付行為をやって、その人の胸像をつくる、銅像をつくるような風習が国鉄内部にびまんしたら、これは大へんだと思います。こういうような問題がほんとうに好ましいことであるか好ましからざることであるか、あわせてそういう胸像をつくったものの内容が強制的なものか、ほんとうに任意にすこやかにやられているものかどうか、御調査をいただきまして、この次の機会までに資料をお出し願いたいと思います。  第二番目は、同じく駅長の問題でございます。これも某駅長と言っておきましょう。あなた方お調べになればすぐわかります。家族ぐるみで国鉄を美しくする運動に協力ということで、何か国鉄の情報なんかに載せられているが、その情報は何かといえば、某駅長さんが勤めている駅にえらい人が回ってこられるというときになりますると、駅長さんの家族、奥さんや何かが官舎か何かから出てきて、国鉄の駅のガラスを一生懸命みがいたり駅の庭を掃除したりしている。これを非常に美談であるとして賞揚せられて、家族ぐるみで国鉄を美しくする運動に協力というふうに経営者側の情報の中にあげられておる。これも一つの美談に名をかりた労働の強制ではないかというふうに、末端に働いている人々は非常に戦々きょうきょうたるものがあります。ところが、奥さんまで動員してその職場の庭掃きからガラスふきまでやらせた駅長は、とうとうおかしな職業病になって、長い間入院生活をせられた、こういう実情があります。これも私は昔の軍隊的な強制労働の変形ではないかと思いますので、こういう事実があるかどうかお調べを願って、お知らせを願いたいと思うのであります。  それから三つ目の問題であります。非番における草取りの問題も、本人の自発的意思に基づく草取りであるといいながら、公休のときに、君済まぬが草取りに出てくれ、しかし強制ではないという形で、公休非番のときに草取りをやらせる。こういう運動といいますか、風潮が盛んに行なわれているという点、これも当局側の御意思によって、総裁、副総裁、職員局長等々の御意思によっておやりになっておるのかどうか。これが好ましいことであるか好ましからざることであるかも、あわせて一つお聞かせを願いたいと思うのであります。これは全部資料をいただけばよろしいわけであります。  それからこれは河村さんにお聞きしたいのでありますが、今年の六月十一日であります。あなたは天坊参議院議員の応援のために西吉田駅へ行かれた。そして商工会議所会頭その他町の有志の方々と会見をせられた、こういうことでありまするけれども、私は実情を見たわけではございません。商工会議所内部におけるあなたの話の内容を聞いたわけではありませんので、その真偽のほどはわかりませんけれども、六月の十一日西吉田駅へあなたは行かれたかどうか、この点も、もう時間がありませんから、あわせて次の機会にお聞かせを願いたいと思います。  なお、あなたに続いて、これも参議院選挙の最中ですが、新潟にいた早田給与課長、これはあなたの重大な片腕でございましょうが、この本省の早田給与課長が、あなたよりおくれてでありますが、明確に天坊後援会出席のために西吉田駅に行っている。本人は仕事のついでに後援会に出席したのだと言っておられるそうでございまするけれども、西吉田町における天坊後援会は、前々から何月何日、早田給与課長が天坊後援会に来所せられるというビラを事前に町中全部にばらまいておる。そのビラは証拠として持っております。そういう事実があるかどうか、どういう逃げ答弁をせられるか、逃げ答弁をせられるならば、その巧みな答弁もあわせて資料として御提出を願いたいと思うのであります。  それからなお一つの具体的な例としては、長岡駅の操車場における問題であります。これは操車場だけではございませんが、休憩時間における労働者の自由の時間を制限せられておる、この例は明らかであります。これは労働基準法の三十四条第三項の「使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。」という労働者の基本権に関する重大問題でございまするが、それを制限せられておる。制限の理由は、休憩時間の組合活動をやっちゃいけないとかいうことではなくて、職員の集会及び職場オルグについてという書類を出して、そして労働者が当然休憩するために提供されたその場所さえも、休憩時間にオルグをするときには使用の目的、使用の時間、使用する場所等を事前に管理者の許可を得なければならないなどという、こういうような形で圧迫を加えて、休憩時間における組合の自由行動を制限しておる。これは一体、本省の職員局長等からこういうような指令を出して、労働者の休憩時間を制限されているのか、あるいは地方支社長だけの考え方でやっているのか、そういう事情も加えて、一つ詳しく資料の御提出を願いたいと思うのです。  まだたくさんありますけれども、みんなやってしまうと次のときに困るし、あなたの方でも資料をお出しになるのに御困難と思いますので、時間も経過いたしましたから、大体以上の要求をお願いいたします。早急にお願いいたします。  以上をもってきょうのところは私の質問を終わります。
  111. 秋田大助

    秋田委員長 午後二時三十分まで休憩いたします。    午後一時三十三分休憩      ————◇—————    午後二時四十六分開議
  112. 秋田大助

    秋田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。八木一男君。
  113. 八木一男

    ○八木(一)委員 国税庁の長官に国税庁の不当労働行為組合の分裂を当局みずからが策した問題について御質問を申し上げたいと思います。  衆議院の大蔵委員会で同僚の横山君、それから参議院の委員会におきまして亀田得治君等から質問のあった問題でありますから、大体その内容を御承知だと思います。しかしながら、言を左右にして、そういうものはないとか知らぬとか言われましたならば、一つ一つ問題をあげて追及を申し上げたいと思いますから、そのおつもりではっきりといろいろ御答弁を願いたいと思います。  国税庁では、最近遠山審議官という人に、いろいろの分限だとか厚生だとかあるいは職員団体というような問題について任務を与えて、実質上は組合の分裂を国税庁が策しているという状況にあると私どもは考えておるわけでありますが、遠山君という人は一体いつから審議官になったのですか。
  114. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 遠山審議官は、ことしの二月に仙台の直税部長から転勤をいたしまして、現在審議官であります。
  115. 八木一男

    ○八木(一)委員 今の審議官の定員は、一名増員して遠山君を任命したわけですね。
  116. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 審議官の定員は四人ございまして、そのうち遠山審議官が赴任いたしました当時、二月でございますが、その当時は定員は四人でございまして、ただいまは三人でございます。
  117. 八木一男

    ○八木(一)委員 その問題はけっこうです。  遠山君が任命になってから、特に当局の分裂策動がはなはだしいという状況にあると思います。このように、遠山君というような人を使って国税庁としてあるまじきことをやっている状態がありますことを、衆議院、参議院の両委員会から指摘をされたと思いますが、長官はそれについてどう思われますか。
  118. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 遠山審議官は職員関係の仕事に携わっております。各地に出張をいたしまして、主として最近の労働情勢一般についての話をする、あるいは各地における組合の活動について、やはり秩序との関連においていろいろな事実をわれわれに報告をする、こういう職務を行なっておりまして、ただいま御指摘のように、組合の分裂を策するというような職務は与えておりませんし、またその事実もございません。
  119. 八木一男

    ○八木(一)委員 事実があったらどうします。
  120. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 先ほど御指摘ございましたように、衆議院の大蔵委員会で横山委員からそういう趣旨の御質問がございまして、重ねて当人の報告を求めておりますが、そういう事実はございません。
  121. 八木一男

    ○八木(一)委員 不当行為をしたことを指摘されたその当人が、自分に不利になるようなことを通常の状態では報告をしない。当人の報告だけで信用する者があるか。そういうでたらめな長官はいかぬ。事実があったらどうしますか。事実があったらその職をかえるか。
  122. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 私の部下でございますので、私は信用いたしております。もしそういう事実がございましたら、厳重に注意をいたします。
  123. 八木一男

    ○八木(一)委員 厳重に注意する——あやまちを犯した者をほかの職務にかえられないのですか。あなたは、あやまちを犯した、そういう条件のある者を、続いてあやまちを犯す危険性があるような職務にそのまま続けておいて、国税庁長官の任務が勤まると思うのか。
  124. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 ただいま申し上げましたように、私の調査いたしました範囲では、そういう事実がないことを確信いたしております。  また処分等の御質問でございますが、御承知のように国家公務員法違反の再実があればともかくでございますが、国家公務員法の懲戒等の規定に該当しない限りにおきましては、これを処分するという考えは持っておりません。
  125. 八木一男

    ○八木(一)委員 懲戒に値するかどうか、これは成規の手続をとればいい。とりますということを言いなさい。その次に、その仕事に不適であればほかの仕事にかえるということは、あなたがそういう人事権を持っておるはずだ。事実であったならば、そういうような不当なことが起こらないように今後最善の注意をし、最善の努力をするというような、積極的な発言をすべきだ。注意をするくらいでこの問題は済むと思ったら大間違いだ。性根を据えて委員会質問には答えなさい。  次に、遠山審議官はそういう事実がないと言っていると国税庁長官は言っているけれども、われわれの調べによれば、「五月七日高松税務署徴収課徴収第一係の「徴収事務打合わせ会」が開かれた。その席上において、徴収第一係長大蔵事務官児玉高明)は次のような発言を行なった。話半分にしてでもこのことは聞いておいてもらいたい。これは本庁(国税庁)の組合対策をやっている国税庁審議官遠山氏から聞いたことだ。(と前置して)東京地連沼波副委員長が免職処分となった暴力事件については、当局側の発表している通り、全く組合側の一方的な暴行事件である。今の全国税中央執行委員は大半が共産党員である。いろんなことを決定するときには、共産党員が過半数に達したときに採決をしてきめているのだ。今、皆の払っている組合費の三分の一は、首切られた専従役員のために使われている。今の組合は政治闘争に片寄ってしまっている。もっと経済闘争をやるべきだと思う。やったら処分されるのがわかり切っているのに、あえてやるというのは、組合のあり方からいって間違っている。しかし、組合はないといかぬ。組合がないと悲惨な目にあう。(と、第二組合結成の必要を宣伝した)」 ということになっている。これは遠山審議官の言ったことだといって、兒玉君が言っておるわけであります。こういう事実を前の委員会でも指摘されておるはずだ。その問題について調査しましたか。対象になる遠山君の意見を聞いただけでこの問題が済むと思ったら大間違いだ。事実があったかなかったか、調べたかどうか、はっきりした御答弁をいただきたい。
  126. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 ただいま御指摘の問題は、実は組合機関紙等によって私も承知いたしております。その際遠山審議官に事実の有無を確かめております。遠山審議官は高松へ参りまして、そこで事務打ち合わせをしたことは事実であります。ただ過去の高松署の実情を見ますと、しばしば組合活動の行き過ぎから暴力事件等が起きており、また最近の組合機関紙等でも、国税庁では事務の集中化をやって一万五千人の首切りを行なうというような報道が行なわれておりますので、こういう報道は事実無根であるという面についての実際の状況を、特に関係深い徴収系統の諸君に話をした事実はあります。
  127. 八木一男

    ○八木(一)委員 今私はわざわざ読み上げたのです。読み上げたことについてのことを調べたかどうか。
  128. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 ただいま申し上げましたように、従来の組合活動の行き過ぎ、また事実無根の報道が行なわれておりますので、こういうことに関連して、現在の組合の行動の行き過ぎに対する批判は行なった事実はございます。しかしながら、これは私が遠山審議官に与えている職務権限の内容として、当然その職務を遂行したということを私は確信しております。
  129. 八木一男

    ○八木(一)委員 大半が共産党員である、いろいろなことを決定する場合には、共産党員が過半数に達したときに採決してきめているのだ、こんなことが行なわれるはずはない。組合のあらゆる構成員が過半数になったときに決定する。共産党員たると社会党員たると自民党員たると、そんなことは組合には関係がない。そんなことがわからなければ国税庁長官は勤まらない。わかっているはずだ。そういう実態にないことをこのように説明をして、現在ある職員団体の悪口を言ってそれを崩壊させる方向を、当局のほかの任務を持っている者がやる。しかも、現在の組合についてかように事実無根なばりざんぼうをして、しかし組合がないといけない、第二組合をつくれ、そのような不当労働行為をやって、この問題についてぬけぬけとそれは国税庁長官の方針にそぐわないことではないというのならば、国税庁長官、あなた自体が不当労働行為を犯していることになる。あなたは不当労働行為をみずから犯していることになる。それはあなたは認めるかどうか。
  130. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 ただいま御指摘になりましたような、遠山審議官が高松局へ行って組合をばりざんぼうした、あるいは第二組合結成を促した、こういう事実はございません。それから私自身そういう不当労働行為類似の行為を指令したという事実もございません。
  131. 八木一男

    ○八木(一)委員 不当労働行為自体を指令したことがないと言っても、今言っているように、不当労働行為の事実があるわけです。あなたはそれを調べると言った。調べるときに、その間違った行為をしたはずの人間から聞いて——非常に正直な人間であったら、私はそういう間違いを犯しましたと言う人間もいるかもしれない。けれども、そうでない人間も世の中には多々いる。そういう疑いを持たれている人間に聞いて、それがその通り言いましたと答えるようなことを考えていたならば、あなたは国税庁長官としてはもう無資格ですよ。なぜそれなら、そういうことを言った児玉高明に限って——また、児玉高明があなたの逆鱗に触れることをおそれて、口うらを合わせてごちゃごちゃするおそれがあるから、なぜほかのそれを聞いた人たちに聞かないか。調査をすると言った以上は、責任を持って徹底的に調査をしなさい。疑いを持たれた人間に報告を聞いて、それでそういう事実がない、そのようなことをぬけぬけと言うことは不当労働行為だ、われわれはそう思っている。少なくとも濃厚な疑いのある問題について、調査を怠慢にしてほったらかしておる。また、その不当労働行為が続くような状態を継続さしている。それならば、国税庁長官自体が不当労働行為を陰で指導し、それをやらしているということになる。不当労働行為はやってはならないと国税庁長官が思うならば、この問題だけではない、たくさんある。徹底的にあなたみずからがその問題を、疑いを持たれている人間ではなしに、反対側から聞き、あるいは両方集めて聞く、そして事実を明らかにして、そのような問題があったならば、その問題でそれぞれの処分をするなり、それぞれの配置がえをするなり、あるいは今後厳重に戒めるなり、程度によってそれは違うだろう。そういう努力をするということをみずからあなたの方から言われてこそ、その問題は片づく。国会で追及されたときだけ調べます。遠山君に聞きました、事実はないようであります。そんなことで長官が勤まるか。国税庁長官ともなれば相当の学識を持っている。頭のいい人間であろうと思う。しかるにかかわらず、そういうことが気がつかないのは、あなた自体がそのような意思を内包しているからそういうことになる。そのような内包している気持を改めないで、国税庁長官自体が不当労働行為の意思を暗に持っているということになれば、どういう問題になるか。よくじっと考えて、そのような未熟な調査で問題を糊塗する、そういうことでは済まないということを腹に据えて御答弁を下さい。
  132. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 ただいまも申し上げましたように、私はそういう不当労働行為類似の行為を指令したこともございませんし、特にそういう使命でもって遠山審議官を出張させたことはございません。また遠山審議官につきましては、私、就任以来よく話を聞き、その人柄を知っておるつもりでございます。知っておればこそ審議官としての職務を続けさしておるのでございまして、そういう意味で遠山審議官の報告を私は正しいものと確信いたしております。
  133. 八木一男

    ○八木(一)委員 それは国税庁の通例ですよ。自分の判断が一番正しい、自分らは選ばれた人、選民である、かような考え方が昔から官僚の中にあり、特にそれが大蔵省に強く、特に国民から徴税する立場にある国税庁に強い。今の民主主義の世の中で、自分の考えだけが正しくて、ほかの人が幾ら熱心に言っても、事実を指摘しても、それは違うというようなことは通らぬ。しかもこの国会において、横山君あるいは亀田君が追及した問題についてはっきりとした調査をしない。調査をするということが、疑いを持たれている者から聞かれて、自分がそれを信頼しているからそれが正しい、そんなことで通ると思いますか。国税庁長官は、世の中の世論がどうであっても、事実がどうであっても、国会の論議がどうであっても、自分の考えが正しければそれが事実である、それが正しいと思うか。そうならばそうとはっきり言って下さい。そういうことが国家公務員としての職務として、職責として通ずるものであるかどうか。これは内閣並びに人事院に対して私は問題を提起します。あなたさえ正しいと思えば、いかなる事実があってもそれはあなたの考え通りで、事実でないということが通ると思うかどうか。通ると思うならばはっきり言って下さい。別の問題にいたします。
  134. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 私は何も、自分の考えだけが正しい考えであって、ほかの考えは絶対に間違っているというような独断は持っておらないつもりでございます。ただいまの御指摘の問題につきましても、組合機関紙等、目に触れるものはできるだけ集めて、そういう事実があったかなかったかという点についての調査を進めたわけでございまして、決して遠山審議官の答弁だけでもって満足をしたというわけではございません。ただ、先ほども申し上げましたように、私が信用して使っておる審議官でございますので、その者が責任を持って答弁いたしましたことに対しては、私は十分納得し、確信をいたしたということを先ほど申し上げたわけでございます。
  135. 八木一男

    ○八木(一)委員 大体あなた方は、国会でがあがあ言われたときだけいいかげんに過ごせばいいと思っている。なぜそれなら遠山君のほかに聞いたと言わないか。なぜ、自分の考えが絶対正しいと思っているのではなしに、ほかのこともあれだけれども、自分としては遠山君を現在のところ信用しているというような言い方ができなかったか。いつもそういう態度で、徴税を受ける国民に対しても、どんな事実をあげてこれは税金が重過ぎると言っても、国税庁がきめたらそれだけ納めろ、納めなければ差し押えをする、そのような習慣があなたのからだのすみずみまでしみ込んでいるからそういうことになる。考えを、心を入れかえて業務に当たらなければいけないと思う。  ところで、今言ったけれども、あなたは遠山審議官に聞いて、それから——これをさんざん、私が大きな声を出さなければその返事をしない。ほかの者にも聞いたというが、ほかの者はだれだれから聞いたのですか。
  136. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 ほかの者から聞いたと申し上げたのではございませんで、組合機関紙等、目に触れ得る限り多くのものを見まして、そうして、一体どういう非難があるのか、どういう点で疑念を持たれているかということをつかんで、そうしてその一部々々について遠山審議官に尋ねたわけでございます。
  137. 八木一男

    ○八木(一)委員 それではやはり遠山審議官だけにしか聞いていないのですね。あなたは今それで十分だと思いますか。今まではそれしかやらなかった。あなたの非常な怠慢ですがね。今後についてもそれだけでいいとお思いになるかどうか。
  138. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 今後どういう事態が生じますかわかりませんが、新しい事態に対しては、新しい事態に応じて調査をいたしたいと思います。ただいまの係長でございますか、その係長をこちらへ呼び出して、私が直接接触するという立場にはございませんので、そういう面で、もし遠山審議官の発言に疑わしいという点があれば、現地で接触した局長なりあるいは総務部長なり、そういう、私と当然接触すべき人間からも証言を求めたいと思っております。
  139. 八木一男

    ○八木(一)委員 そういうことだからいけないのです。あなたの方にほんとうに自信がおありになるならば、このことを問題にしている組合と立ち会ってそういうことをやられるべきです。あなた方は職制で国税庁の中ではえらい人です。えらい人だと思い込んでいられる。それで今度は四国の方の国税局長、あるいは課長にその通りに命ぜれるでしょう。ところが、さっきからわれわれが感ずるように非常に独断で、当局の言うことは絶対に正しいというような考え方を捨て切れない人ですから、その次に国税局長に言ったところで、課長に言ったところで、国税庁長官はこう思っているだろう、その趣旨に合うような証言をしなければ自分の将来に、出世に差しつかえるだろう、今の国税庁のあなた方のやり方ではそういうような意図が働きますよ。ですから、そのように調べられるときには、前もって言い含められたるそういうことは一切なしに、直ちにその問題を提起している組合委員長と会い、即時両方立ち会いでこれを調べなさい。あなた方は必要以上に権力を使い過ぎている。この問題全般に現われている。従って、この問題について国会で言われたから児玉君に聞くというのであれば、あなた方は必ず十中九まで圧力をかけられる。国税庁長官の遠山審議官から聞いた答弁に合うように証言をしろ、そういうことになると思う。首をひねっているけれども、ならないという確信があったら組合とすぐやったらいい。自分が正しくて不当労働行為をやっていないと思えば、相手側のその疑いを持っておる組合と一緒に立ち会ってやればいい。それをやらない場合には、やはり自分のそういう追及されているものを糊塗する意図があると思われても仕方がないことになる。あなたはほんとうに自信がおありになるなら、直ちにこの委員会が済んだら組合の執行部と会い、一緒にこの問題を調べよう、一緒に立ち会いでやろうということをここに言われてこそ正しいことだと思う。事実幾らほんとうの調べをされても、このくらいの問題がたくさんあった場合に、あなた方が圧力をかけたと当然一般通念では思われるわけですから、あなた方の方から直ちにこれから組合に団交を申し込んで、こういう問題を一緒に調査をしよう、先に工作はしない、そういうことをやられてしかるべきだ。それについてのお考えを……。
  140. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 今、この問題について直ちに私が発言をした人に会って話を聞くという考えはございません。これは高松に住んでおりますし、私と直接接触する立場にはございませんので、必要があれば、私は先ほど申し上げましたように、現地の国税局長なりあるいは国税局の総務部長なり、その監督の責任を持っておる上司に命じまして、調査を依頼いたさせたいと思います。
  141. 吉村吉雄

    吉村委員 遠山審議官の言動について若干関連して聞いておきたいのですが、遠山審議官が審議官として新たに就任されたときは四名の定数であったわけです。ところが現在は三名である。これは間違いはないわけですか。この遠山審議官が労務担当をするようになったというわけですけれども、それ以前は労務担当の審議官はおありになったのですか。
  142. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 これは遠山審議官を就任させるために一名定数をふやしたのではございませんので、もともと国税庁では四人の審議官の定数をいただいておったわけでございます。たまたまことし直税部に審理課という課をつくりましたときに、審議官の定数を減らして、そのかわり審理課長をつくるということで、一名振りかえまして、その関係で、先ほど申しましたように現在の審議官の定数は三名になっておるわけでございます。  それから過去においてそういう職員の服務、分限等に関する審議官が置いてあったかどうかという御質問でございますが、これは総務課長がここにおいてはやっておったわけでございます。しかし総務課長はほかに非常にたくさんの仕事を持っておりまして、一人で持ち切れないという事情もございますので、審議官一名にこの関係の仕事を専担させた、こういう経緯になっております。
  143. 吉村吉雄

    吉村委員 いま一つお聞きしておきますが、職員団体の数ですが、これはことしの三月以降どういうような変化を来たしておりますか。ふえておりますか、少なくなっておりますか。
  144. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 職員団体の数そのものといたしましては増減ございません。
  145. 吉村吉雄

    吉村委員 増員はないということは、従来通りという意味に解していいわけですけれども、これは国税庁がよく事実を確めて、間違いのないように答弁をしてもらいたいと思うのですが、私どもの調べた範囲では、相当職員の団体の数はふえておる、こういうふうに考えられるのです。それから、かりに職員団体の新たな結成がないにしても、そういう動きというものが現に起こっておると考えられる幾つかの現象があるわけですが、特に私がここで遠山審議官の新任以来の職員団体の動向について触れようとするのは、五月二十二日を契機にいたしまして、各税務署管内において、いわば不当労働行為と考えられるような現象が相当起こっておる。このうちの一部が、今八木委員の方からも指摘されたわけでありますけれども、これは遠山審議官が新たに労務担当の審議官として就任されて以降の現象であるだけに、私どもは重要視をしておるわけです。今の長官の答弁によりますと、遠山審議官の言動そのものについては決して問題がないというお話がございましたけれども、あなたの答弁の中でも私は非党に問題点があるというふうに考えております。それは遠山審議官の言動の中で、職員団体の行動について行き過ぎの点があったことについては言及をした、こういう趣旨の答弁がございました。職員団体の言動なり行動について、行き過ぎであるかどうかという判断をあなた自体がして、しかも労務を担当しておるところの遠山審議官がそれを発言する、こういうようなこと自体が非常に大きな問題だと思う。職員団体の言動というものが、あなたにとって行き過ぎであるかないかということは、これはいろいろあなたの主観がおありでありましょう。しかし、そのことが行き過ぎであるかどうかということについて、あなたの方で一方的にそれは行き過ぎだという考え方でそれに言及していこうとする労務担当の審議官のあり方というもの、それは当然だという考え方に立っておるとするならば、もしこの審議官の言動というものが、それが労働運動に対するところの、職員の団体の運動に対するところの不当な介入、支配であるというような場合には、あなた自身がその責めを負わなければならぬ問題を含んでおると思います。私はそういう点で、今あなたが答弁したところの職員団体の言動について行き過ぎがあるような点については言及をした、それは当然私の命じた職務の範囲内でございますという答弁については非常に重要な問題を含んでいると思いますから、この点はその通り今でも考えておるのかどうかということを明確にしていただきたいことが一つ。  それからいま一つは、関連でありますから簡単にいたしますけれども、あなたの方では遠山審議官の言動そのものについてあまり問題にしていない。しかしながら、現地においては、各税務署においていろいろ職員団体をめぐるところの問題が生じていることは、あなた自身も承知をされておると思うんです。それはいろいろ業務をやっていく場合に相当影響を与えているに違いない。一つの建物の中で仕事をしておる者が、そういうことのために職員同士が猜疑し合わなければならないような事態も起こっておるでありましょうが、そういうことで相当仕事の上でも影響を来たしておる、こういうように考えられるわけでありますけれども、この現象のすべてが遠山審議官の言動にあるというふうに私は申し上げるのではないけれども、しかし三月に新任をされて、五月以降にそういうことが各所において起こってきた、こういうような客観的な情勢というものは、私は相当問題がひそんでおるというふうに考えますので、そのように現地で起こっているような問題について、一体これはどういうことで起こっているのか、ここは一つ長官としても真剣に考慮をして、そういう事実があったのかないのかということを、あまりここで自分を弁護するという立場でなしに、実際に現地の方で混乱が起こっているとするならば、その原因はどこにあるのか。こういうことをなくしていくという立場でないといかぬじゃないかというふうに思いますから、今私が申し上げたような点について、どのように現場の実情というものを把握されておるのか。それからあなた自身が先ほど答弁した内応について、それでほんとうに間違いないというふうに考えておられるのかどうか、一つその点をお答え願いたいと思うのであります。
  146. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 御質問にお答えする前に、先ほど私が発言いたしました点を訂正させていただきます。と申しますのは、組合の数が四月一日現在と七月現在とで違わないかどうかという御質問に対しまして、同じでございますと申し上げましたが、現在三十八ふえております。この点を訂正させていただきます。  それから御質問の第一点でございますが、組合の行動について行き過ぎがあったということを私が判断をいたして、そしてそれに対して遠山審議官に批判的な言動をさせた、これは正しいかどうかという点でありますが、組合の行動の行き過ぎと申します場合には、もちろん私個人なり、あるいは私のところにおります特定の者が見て、これが行き過ぎであるかどうかという判断を下すのは間違いであろうと思います。やはり客観的に見てみまして、それが組合の行動、国家公務員法に定められておる勤務条件等に関する交渉、そういう趣旨のものから離れておる、あるいは暴力的な問題であるとか、サボタージュに瀕するようなものであるとか、公務の善良な執行に障害を与えるというような種類のものであるとかいうような、いろいろな活動の実態に即して客観的に判断をすべきものだろうと思います。従いまして、私が先ほど従来の組合の一部の活動に行き過ぎがあったと申し上げましたのは、そういう客観的な判断をいたした結果、行き過ぎがあったとだれしも認めざるを得ないということについて申し上げたのでございます。  それから第二点の、本年度に入りまして組合から脱落する人が急激にふえたという点についての原因でございますけれども、私たちの見ておりますところでは、一番こういう脱落者の多かった関東信越国税局及び高松国税局管内におきましては、御承知かと思いますが、たとえば関東信越国税局におきましては、過去における野球大会事件と称する、野球大会の開催にからんで総務部長が入院しなければならぬほどの重傷を負ったというような事件、あるいは巻税務署におきまする一連のサボタージュ事件、それからごく最近ではことしの三月十五日に新潟の税務署で起こりました事件、職員団体の一部の人が外部の団体と結託をいたしまして、三月十五日、所得税の確定申告時期のさなかに大挙して押し寄せられて、総務課長がつるし上げられ、また事務室に乱入をされたという事件がございまして、そういう事件に対する職員一般の批判的な考え方というものが出たのが一つの原因であろうと思います。  それからもう一つは、従来の一部の組合の活動方針といたしまして、職制に対する抵抗あるいは不服従ということを公然と唱えております。これらは、主として係長、課長級の人たちが、自分たちが加盟しておる組合が強くなればなるほど自分たちが窮地に陥るというような反省的な気分が起きまして、次第にそれが結実してこういう脱落を生じたものであろうと思います。
  147. 吉村吉雄

    吉村委員 私はさっきで終わろうと思ったのですが、あなたの方で訂正をされましたから、新たに質問しなければならぬのですが、実は遠山審議官が労務担当の審議官として就任以来と言ってもいいくらい、四月から七月までの間に職員団体が三十八もふえた、こういうことでございます。この事実は、私は内容的には非常に重要なものがそこにひそんでいる、このように考えざるを得ない。労務担当の審議官というものが新たに設けられて、事実のことは録音でもしない限りはわからないわけですけれども、その方がいろいろ問題のあるような発言をした。しかも今の長官の答弁によりますと、職員団体が労働運動を進めていくことについて、客観的にこういう運動はけしからぬじゃないかということをあなたの方では判断をした。そういう判断に立って、遠山審議官が各所でいろいろ訓辞らしいものをしたのではないかと思いますけれども、そういうふうにあなた方自身が判断をしていくことが、大へん問題だというふうに私は考えるわけです。これはおそらく公務員法からいうならば、人事院がそういうことについて最終的な判断をし得る権限を与えられているでありましょうけれども、当事者の一方であるあなた方自身がそういう判断をして、今の組合の動き方、職員団体の運動のあり方というものが客観的に見てどうもけしからぬ、それはあなた方にとって不利だということから生ずる考え方なんですから、どういうことが正しいか正しくないかということについて当事者がそういう考え方に立つということは、私は大へんな誤りだということを指摘をしておかなければならぬと思うのです。  そこで、四月一日以降三十八も職員団体がふえたということは、異常な状態といわざるを得ない。今あなたのおっしゃるように、労働者の批判の中からそういう空気が醸成をされてきたとか、そういうもの以外にやはり何かあって、そして意識的、組織的にそういうことが行なわれていた、こういうことがあるというふうに考えなければなりませんし、その幾つかの事例も私どもとしてはつかんでおるわけでありますけれども、しかしそれを総括的、客観的にながめてみますと、遠山審議官が就任以来の現象で、しかもあなたの方の組合の数というものは、職員が何人おるか今のところわかりませんけれども、三十八も一ぺんに組合がふえてくるということは、異常な状態といわなければならぬと思うのです。そういうことをあたかも当然のことである、こういうような考え方に立って労働者に対しているということが、大へん問題を混乱させている原因じゃないかというふうに私は考えますので、このような異常な状態を生んだ最大の原因というものは、やはりあなたのようなそういう考え方と、それを受けたところの遠山審議官の言動そのものにある。しかも職制を通じていろいろと組合を批判し、誹謗し、そして全国税を二つに割って分裂せしめていく、そういう動きがないというふうには言えないと思うのです。これはいろいろの立場から立証できることがあるのですけれども、しかし客観的に見ても、あなた方としては、わずか三カ月か四カ月の間に三十八も組合の数がふえてきたというようなことを、あたかも当然でございますというような考え方は非常に間違った考え方ではないかというふうに思いますけれども、そういう点についてはどういうように考えておりますか。
  148. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 四月一日現在で、全国の国税庁関係組合数が四百八十六でございまして、これは、先ほど申し上げましたように、七月二十日現在で五百二十四にふえております。三十八ふえたわけでございます。一般的に申し上げまして、私といたしましては、組合が国家公務員法の範囲内において合法的な活動を行なっております場合におきましては、これを支援こそすれ、これに不当に介入するというような考えは毛頭持っておりません。ただ、先ほど申し上げましたように、過去の事例を見ますと、相当法律のワクの外にはずれた行為がしばしばございますので、そういう場合には、組合に対し警告を発し、あるいはこれを阻止するということは、税務執行の責任を負わされておりますわれわれといたしましては当然の職務と存じております。
  149. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 関連。今、新しく任命された遠山審議官の言動が問題になっておりますけれども、それは労務担当の審議官であり、遠山審議官が就任をされてからのいわゆる職員団体、組合の動向の変化という点からいっても当然だろうと思うのですが、今までの長官の答弁を聞いておりますと、遠山審議官は組合の動向を正確に把握する、こういう任務を持っておる、この辺までは、これがいいか悪いかは別問題として、当局がとる一つの方法として、またわれわれは一応うかがい知ることができると思うのです。ただ組合が一体どういう現状にあるかという現状把握にとどめて、たとえば五月の二十二、二十三日に、仙台国税局の会議の際に話をした、この程度であれば、われわれはあえてここに持ち出して問題にしようということではないのです。ただ、これに対するところのあなた方の判断が加わり、たとえば現在の全国税という組合はきわめて政治色の強い、経済闘争よりも政治闘争をやるような組合で、これは好ましくない、これはやるべきでない、あるいは共産党員が非常に多くて、その決定はきわめて民主的でない、こういうような意見をあなた方は加え、そういったことは排除すべきだというような意向のもとに、いろんな会議を通じて遠山審議官がこれをPRするところに大きな問題がある。これは明らかに当局やり方としては行き過ぎであるということをわれわれは指摘をしているわけです。従って、長官はこの労務担当の遠山審議官に対して、組合に対してどのところに線を置いて現状把握し、動向というのは一体どのところまでを把握しよう、こういうことで指示されており、そしていろいろな会議を通じて現状把握という教育指導をする場合に、どこを言動の一つの限界線としているか、この点に対して、一つあなたの方針をこの際明確にしてもらいたいと思う。私は今までの話を聞いてみて、たとえばなぜ組合が一般から疑念を持たれておるか、こういうようなことを把握するんだ、これに対して当局の考え方を言っておるんだから間違いない、こういうことでありますけれども、これは問題であります。組合の現状が当局にとって好ましいものであるかどうかという点については、いろいろと考え方の相違はございましょうけれども、しかし、そのことを当局の労務担当の責任者が、いろんな会議、いろんな場を通じてPRするということは、とりもなおさずあなた方が組合に対して不当に介入するという結果になることは、これは現実の問題として明らかであります。  従って、第二番目にお聞きしたいのは、四月から七月の間に職員団体の数がふえたという。これは明らかに組合が分裂し、あるいは第二組合等の新しい組合結成が見られたからその数がふえたんだというふうに一般的には言えると思うのでありますけれども、このわずか三カ月の間に組合の数がふえたことに対して、あなた方は現状把握として好ましいと思っておるのですか、好ましくないと思っておるのですか、それに対する御見解を承りたい。
  150. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 遠山審議官の問題に関連しまして、先ほど、また今御質問になりましたように、当局にとってある組合が好ましいか、あるいは好ましくないかということは、われわれは考えておりません。そういうことではなしに、組合の活動がわれわれの職場の秩序を維持し、そして税務行政を円滑に執行していくために障害になるかならないか、行き過ぎがあるかどうか、そういう行動に対しての批判を絶えず行なっており、またこういう批判は、今の遠山審議官のみならず、職場の管理者である各局長以下の者に対して、私の責任において行なわしておるわけでございます。組合の活動が税務の執行に非常に差しつかえる、あるいは職場の秩序を混乱に陥れるというような場合、あるいは一部の組合の綱領にありますように、反税闘争的な運動に積極的に加わるんだというような、そういうことに対しましては、われわれ税務行政の責任者といたしまして無関心ではおられないわけでございます。  次に、組合の数が四月以降に非常にふえておるのは、当局にとって好ましいか好ましくないかという御質問につきましては、われわれとしては、別に好ましいとか好ましくないとかいう感じは持っておりません。問題は、先ほど申し上げましたように、組合の活動が合法的に行なわれておるのか、あるいは合法的な線を一歩はみ出しておるという点が、われわれにとって関心の的になっておるわけでございます。
  151. 八木一男

    ○八木(一)委員 幾つも問題があったから、一つ一つはっきり言っておきますが、先ほど言った遠山君の言動についての児玉君の話、これは事実があったかないかについて、組合と一緒に、逃げ隠れしないで、前に答弁工作をしないではっきりやるということ、それから事実があった場合、遠山君についてそれ相当の処置をとるという問題、これは今のは一点の問題ですが、ほかにたくさん問題があるのは、知らなければ教えてあげますけれども、あなたは知っているはずだ。そこの問題で、不当労働行為が行なわれているのです。そういう事実があったら、遠山君の職務をかえるなり適切な措置をとり、行き過ぎがあったら懲戒処分の申請をするなり何かする、次にその関係者すべてにそういうことがあったらその処分をする、またそういう点で情状酌量して注意くらいでいい事件があったら、今後絶対にそういう事件が起こらないよう指導する。今の不当労働行為とわれわれが認め、少なくとも客観的に非常に濃厚な疑いを持たれる事態、そういう問題について今後そういう問題が一切起こらないように、あなたの支配下にあるあらゆるものを指導する、そういうことができないようであれば、国税庁長官自体責任をとる、そういうことについて覚悟のほどを示してもらいたい。
  152. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 第一点の調査の点につきましては、先ほど申し上げましたように、私が直接この児玉君と接触するという立場にございませんので、必要があれば現地の局長なり、その児玉君に対する監督権を持っておる者をして調査させたいと思います。  それから第二点の処分の問題でございますが、これは御承知のように、国家公務員法には労働組合法第七条に規定するような不当労働行為を禁止した規定、あるいはこれに違反した場合の制裁規定というものはございませんで、不利益処分に対する禁止の規定のようなものはございますが、先ほど申し上げましたような一般的な不当労働行為としての禁止規定はございません。ただ事柄の性質から申し上げまして、国家公務員法が職員団体の結成を認め、また当局との交渉の権利を持つという点から考えまして、不当労働行為に類似するような行為を行なうことは不穏当であることは、当然であります。ただ、処分という問題になりますと、国家公務員法には懲戒に該当する場合が規定してございまして、はたしてこの種の不当労働行為類似の行為が懲戒処分に該当するかどうかという点になりますと、私は懲戒処分には該当しないというふうに考えております。ただ不穏当な行為であることは先ほど申し上げました通りでございますので、そういう行為が判明いたしました場合には、厳重に注意をして、今後そういう行為をしないように、監督を厳重にいたしたいと思います。  なお、ほかに対する指導でございますが、これはこの管理者の立場にあるものがそういう行為、あるいはそういう誤解を受ける行動がないように、十分注意をいたしたいと思います。
  153. 八木一男

    ○八木(一)委員 国家公務員の処分の規定を、あなた御存じだったら説明して下さい。
  154. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 国家公務員法の懲戒の規定は、八十二条以下に規定がございまして、「この法律又は人事院規則に違反した場合」それから「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合」等でございます。
  155. 八木一男

    ○八木(一)委員 その第二項をもう一回読んで下さい。
  156. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」でございます。
  157. 八木一男

    ○八木(一)委員 国税庁長官は、不当労働行為またはそれに非常に類似した行為、そういうことをやることを遠山審議官に指令されたわけですか。
  158. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 不当労働行為に瀕するような行為をやれということは、もちろん指令しておりません。
  159. 八木一男

    ○八木(一)委員 しからば、さっき言ったようなことが明らかになれば、明らかに不当労働行為でありますから、国税庁長官の任務を与えたことに違反をしておるわけです。さっきの第二項に該当いたします。そういうことで、あなたが任務を与えていない問題で非常に不当なことをしたということになれば、その第二項に当るじゃありませんか。それをあなたは、前もってそういうものに当たらないと思いますというようなことを言うところにあなたの独断があるのです。そういう独断は捨てて答弁をなさい。あなた自体を徹底的に追及をしなければならないことになりますよ。不当労働行為をあなたは指令してないと言ったでしょう。それがまだ疑いがあるから、調査して、そういうことがあれば当然その任務違反だ、任務を怠ったどころではない。任務と逆なことをしているわけです。当然その二項に該当するわけです。それからあなたとしては該当しないと思う、しかし厳重に注意するという、そんな間違いを犯した者、なまけただけではないですよ、国税庁長官の指導方針と逆な方向をやっている。そんなものを注意だけで事を済ませると思うのが、今の官僚主義の間違いである。たくさんの人がいるのだから、もっと適当な者にかえればいい。そういうような懲戒処分はできないにしても、不適当な人間を適当な人間にかえるのはあたりまえじゃありませんか。あなたは私の質問に対して、百分の一ぐらいの誠意を見せたような答弁をしているような格好をしておられる。ところが誠意がないことが、今のその答弁でわかる。懲戒処分に該当するかしないかは別としても、適当な人間にかえるというくらいのことはできるはずだ。遠山君でなければほかの人は何もできないわけじゃない。遠山君がいなかったときには、もっとうまくいっていた。しかもわれわれから見れば、客観的に見てあやまちを犯している疑いが非常に濃厚だと思う。職務をかえるぐらいのことはすぐできるはずだ。厳重に注意するくらいのことで済むはずはない。それを頭のいいあなたがおわかりにならぬはずはない。厳重に注意するということで委員会だけを逃げようとすることは、あなた自身組合を分裂させて、組合の力を弱めようという任務を遂行させようという意図を内包しているからそういうことになる。そういう気持がほんとうにないなら、その地位だけでもかえさせるというくらいの積極的な発言があってしかるべきだと思う。そういうことについてもっと明確な答弁をされなければ、国税庁長官自体が、腹の中では不当労働行為を慫慂しているということになる。国会委員会の追及さえのがれれば、あとは適当にやって組合を分裂さしてしまえば勝ちだ。このような労働法規では許されないことを腹の中では思っているとしか思えない。そういうことがないというならば、今の問題についてはっきりしなさい。
  160. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 私はそういう指令を下したことはございません。ただ遠山審議官に関する職務権限といたしまして、大蔵省組織令の服務、分限、厚生、その他職員の待遇に関する事項及び職員団体に関する事項、これを担当せしめることになっております。従って、この範囲に関します限りは、私は当然遠山審議官がその職務を行なうと見て差しつかえないと存じます。ただ御指摘のありましたように、不当労働行為類似の行為がありました場合には、先ほど申し上げましたように厳重に注意をいたしまして、この組織令の規定する職務権限の範囲を逸脱しないように注意を与えるつもりでおります。
  161. 八木一男

    ○八木(一)委員 国税庁長官は国税庁としては一番の責任者ですよ。そういう疑いが非常に濃厚なことが現在ある。それだけでもそれに対して対処をしなければならない。しかもその証拠が明らかになったら、当然対処をしなければならない。注意だけしかできない、そんな無能な国税庁長官ですか。国税庁にはたくさん人間がいる。そういう誤ったことをしないで、職員に非常な疑いを持たれないで、官庁の職員がぴったり一致となって公務に邁進できるような態勢を示すためには、適当な人がもっといなければならないはずだ。一人もいなければ長官自体でその任務を担当なさい。最も不適な、極度に疑い濃厚なる者を注意をする、そんなことで済みますか。あなたが遠山さんと個人的にどんなに親しいかわからない。わからないが、そんなことは公務じゃ許されません。これだけ間違った、これだけの問題を起こした者を注意をする。非常な公務上の不適なことをしたときに、あなたは全部注意で済ましているのですか。しかもそれは非常に責任の高い地位ですよ。相当の年配の人ですよ。若い人だったら注意をして直す、そういう配慮は必要でありましょう。そういう問題について、高い地位にあって、高い責任を持っている者がこれだけの——今は一点言っておるだけだ。あとから同僚の委員も私も申します。幾つもある。そのもとをつくっているのが遠山君です。しかも国税庁長官はそういうことは指令してない。長官の意思に反したことをやっている。私は懲戒に値すると思う。懲戒はとにかくとして、この問題は、その処分の方は別として、どんどん手続を進めていく。それまでそのような不適な人間がその職務に従事しているのをかえられないというならば、あなたは無能の極ですよ。国税庁長官、おやめなさい。自分が個人的に遠山君に何かした義理があるのか、あるいは遠山君という人だけを考えて、国税庁の任務がいかに重大であるかということを天びんにかけて、そのような私的感情の方が重いならば、あなたは国税庁長官として不適な人間です。辞表を出されるのが至当だと思う。そうでないならば、そのような誤ったことが二度と起こらないように、あなたの職権を生かしてかえるのがあたりまえだ。どうです。
  162. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 私は遠山審議官とは個人的には何ら知り合いではございません。二カ月あまり前に国税庁に職を奉じまして以来、顔を合わせたというだけでございます。ただしかしながら、配置がえの問題、処分の問題——配置がえの問題となりますと事は重大でございます。私といたしましては、現在までの調査の段階におきまして、遠山審議官を処分するとかあるいは配置がえするという気持は持っておりません。
  163. 八木一男

    ○八木(一)委員 それはかえる人がないからですか。あなたの言っている通り配置がえというのは重大だ。事実現われたことはあなたの指令したことと逆なこと、または逆な疑いが猛烈に濃厚なことをやっている。その人が動かない方が国税庁の職務としていい——そうしたら審議官はやはり人間ですから、食べなければなりません。月給を上げてもいいです。その仕事をさせない方がましだ。もっとほかの適当な人にかえたらいい。かえられないようなら、国税庁長官の指導よろしきを得ず人が得られないならば、その間の業務を停止して下さい。間違ったことをやるような職務は停止しなさい。または間違わないでその職務をやるような人物があったらかえたらいい、そういう考えは持っておりませんとは何だ。不当労働行為について、あなたは指令してない。国税庁長官の指令に違反した、任務を逸脱した労働問題について非常にけしからぬ行動をやった人間について、まだその職務を遂行させる、間違った職務を遂行させる、それが国税庁長官の責任ですか。責任をとった行動ですか。そんなことを処理できなくて、大きな国税庁という大事な役所をまかせられますか、あなた自体がまかせられると思いますか。どうしてもこんなに言ってわかることができないならば、国税庁長官自体が、裏からやはり遠山君を使って、あるまじき行為をやらせようとしておるとしか思えない。不当労働行為をやる。やるなら、やるつもりですと言いなさい。そうじゃなければ、遠山君についてそのような消極的なことではなしに、事実をもちろん明らかにした上においてそのようなことをする、そういう答弁をなさるのが当然だと思う。どっちか一つ——不当労働行為をする気持があります。私は指導してするつもりですと答弁をするか、不当労働行為をするつもりはありませんが、そのようなあやまちを犯した者については、その職務を担当させたのが不適でありますから、職務を担当させないようにいたします。なお、国税局長その他総務課長についても、同様の者があったら同様に処置をいたします。そういう答弁をするか、どっちかの答弁をするのが当然だと思う。どっちかの答弁をして下さい。
  164. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 私は、先ほどるる申し上げましたように、不当労働行為類似の行為をするという指令を出したこともございませんし、こういう行為をするということは、管理者としてははなはだ不穏当な行為であるということは先ほど申し上げました通りであります。ただしかしながら、そういう疑念を持たれたからといって、特定の管理者を配置がえをするとか、あるいは処分するとかいうようなことは、これは私としては行き過ぎであろうと思います。もちろん監督上の責任の立場にはございますけれども、しかし、国税庁の長官として、税務行政を円滑に執行していくために遠山審議官がこの職務に最も適しておるということで採用いたしておるわけでございますから、これに対して疑念があるからといって、これを配置がえするという気持は、先ほども申し上げましたようにただいま持っておりません。
  165. 八木一男

    ○八木(一)委員 私の言うことを全部聞いていて下さいよ。だから、さっき言ったように、あなた方が工作をしないように、かりに工作をしなくても、工作をしたということで疑念を持たれるようなことがないような場において、そのような事実があったかどうか、そういうことを即刻に調査をして、さっき言ったことが——あなた方だけでやるのではないですよ。疑念を持っておる方の組合を立ち会わせて、それで疑念がないような調査をして、事実があったときやるかどうかということです。それを言っておるわけです。疑念だけで配置がえをしろと言っておるわけではない。国会の論議については耳を澄まして聞いて下さい。前からそう言っておるわけです。あなた方がそういう工作をしない、そういう状態において直ちに調査をする。事実があった場合には、疑念ではなく、今度は事実ですから、今度は処置をする。そのことについて、あなたは不当労働行為を指令したことがないというのですから、その処置をする。そういう答弁をなさい。
  166. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 もしそういう事実があったらどういう処置をするかというお話でございますが、先ほど申し上げましたように、御承知の通り国家公務員法にはそういう一般的な不当労働行為に対する禁止規定あるいは処罰規定従って懲戒の規定というものはございませんので、これはそういう方法でなく、監督責任者である私から厳重に注意をいたしたいと思います。
  167. 八木一男

    ○八木(一)委員 大体注意じゃいけないと言っておるじゃないか。そういうことが二度と起こらないように処置をしろということを言っておるじゃないか。どんなことが起こっても、あなたは注意で済ませる気持ですか。何でも注意するのですか。注意するだけで、どんなことがあっても注意をして済ますのですか。これほど間違った問題を起こして、事実が明らかになったときに注意だけで済ますのですか。そういうことしかできない国税庁長官なら、あなたは無能の極ですよ。直ちに辞表を出しますか。辞表を出さなければ、長官としての任務を果たしなさい。私は事実が明らかになってからと言っておるのです。疑いでしろと言っておるのではないのです。事実が明らかになって、あなたの指令違反、そうして職員当局に対して非常に疑いを持つ、そのような公務遂行上非常なマイナスを与えるような事実があったならば、そういうことを二度と繰り返さないために、その職務を行政上移転させる。そうして懲戒上の問題は別に人事院の方で処置をさせる、当然じゃないですか。そういうようなことも答弁ができないようでは、あなたは高級な公務員としての資格はないと思う。国税庁を預かる長官としての資格はない。あなたが国税庁を預かる資格があると思うならば、そういう事実があったならば、そのような者にそういう職務をさせない。後任者に対してもそのような間違いを起こさせない。審議官だけではない。国税局長あるいは総務課長、そういうところにも絶対にそういう間違いを犯させないように今後処置をする、そのような積極的な答弁があってしかるべきだと思う。何とかかとかごまかして、一ぺん言えばわかるような頭を持っていながら、ひねくりひねくり、事実があがったならと言ってみたり、そういうことで時間を浪費する、そういうところにわれわれは、どうしてもあなたが不当労働行為を裏でやらせようとしている腹としか思えないような態度、そういう態度がなければしあわせだ。ないならばないことをはっきりさせるために、国民の疑念を晴らすために、そういうときにはこのような処置をするとはっきりお答え願いたい。
  168. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 繰り返すようで恐縮でございますが、そういう事実があったならば厳重に注意をいたしますと同時に、今後そういう問題を起こさないように指導いたすつもりでございます。
  169. 五島虎雄

    ○五島委員 関連して。今までの質問の中に、遠山労働対策審議官の問題については、不当労働行為の事実があっても厳重に注意するというだけで逃げている。そうすると、遠山審議官はやはり職掌の考え、事務分掌の中でのみやるということであろうから、従って、自分の部下であればそれは信用するのがあたりまえである。ところが、それがあなたが今答弁せられるようなワクを逸脱して、全国の税務署あるいは各地区において組合を分裂支配せしめるような言動があったということになるならば、そのときにはあなたは信用して、そうして国税庁のワク内において国家公務員法の職分を果たしただけだというならば、あなたはどういう立場になるのですか。そうしてその遠山審議官等々の行動は、八木さんがこういう事件はといって具体的な例も示さざるものを、あなたは信用すると言っておられる。これから八木委員は具体例をもって、これはどうだ、これはどうだということで、一つ一つ明らかにしていかれるだろうと思うのですけれども、その前にあなたたち国税庁当局は、こういうような秘密指令、通達を出しているんじゃないですか。たとえば五月の二十二、三両日の署長会議の資料とするから、控えをとらずに同会議に携行せよ。その携行する調査事項は、一つは全国税に加入している役付職員の名簿、これを携行せよ、それから同加入者が全国税の役員になっているかどうかを調査してこい。それから三、同加入者は全国税の主義主張にどのような考えを持っているか、思想の調査です。四には、同加入者は、全国税に加入していることによって、仕事にどのような影響を与えているか、これを調査してこい。五番目は、組合員という立場と役付職員という立場をどのように解決しているか、これを十分調査してこい。それから六番目は、全役付職員について飲酒を好むかどうか、こういうような嗜好の調査まで調べてこい、それから次に、同じくかけごとが好きかどうかということです。たとえばマージャンとかあるいは競馬とか賭博、ばくち、そういうようなことが好きかどうかということを調べてこい。この七項目を極秘裏に調べてこい。そうしてこれは複写をしてはならない、そのまま原本を持ってこい、そうして焼却する。まことに重大な秘密指令のようでありますが、こういう秘密指令を当局は出して、そうして各全国の税務署などの幹部を集合させて会議をされたことがあるかどうかを聞きます。私はこれを特別に聞くのは、遠山審議官は、何も国家公務員として、審議官としてのワクをはみ出してはいない、不当労働行為はしない、こういうようなことを長官は信じていると言われるから、あえてこれは質問しなければならない。こういうようなことをあなたたちが平気でやっておって、これは思想の調査になりませんか。どう思われますか。こういうようなこと一々——職員団体の結成は自由であるはずです。ここには人事院の職員局長も来ておられると思いますが、組合結成は自由でなければなりません。さいぜんからあなたの答弁を聞いておりますと、組合が行き過ぎるあるいは反税闘争をやる、こういうようなことは組合員同士が批判をして、組合員同士によって討論をし、それが自然発生的に分裂するのだったらいいのです。しかし、こういうことは困るからといって、遠山審議官等々、あるいはこれから問題が出てきますけれども、各税務署長とか上司あるいは上役の人々が、係員に、第二組合に入れ入れということを強要したり、あるいは連署をもって脱退届を出させたり、こういうようなことは、組合に対するところの自由の原則を侵すことになりませんか、長官はどう思いますか。それでこれは、職員団体に対していろいろの誹謗をすること、あるいは職員団体の構成メンバーはすなわち国税の吏員なんです。国家公務員です。それにいろいろの問題で誹謗をしたりなどして、組合員職員団体がおそれおののくというような場合を想定すると、これは確かに介入にはならないのですか。そういうようなことをあなたはどういうように考えておられるのか。そうしてあわせて人事院の見解を聞いておきたいと思います。こういうことがあるならば介入にならないかなるか。
  170. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 ただいま御指摘になりました書類のことにつきましては、多少誤解があるようでございますので、事実を申し上げます。  この指令は、これは五月の四日に仙台の国税局長から出したものでございます。遠山審議官とは何ら関係がございません。それからこれは思想調査ではなく、係長以上の役付職員が全国税の組合員であって組合活動を行なっている場合に、職務の執行上、それから管理体制上、職場秩序の維持上、どういう影響があるかということを仙台で調査せしめたものであります。従いまして、先ほども申し上げましたように、この全国税の戦術の中の一つとして職制抵抗、不服従というようなものがありますので、こういう積極的に職制に対して抵抗をするというような組合に加入し、活動しておる場合に、そういう役付の職員が一体どういう考えでおるだろうか、職場の秩序維持上どういう影響を持つものであろうかということを調査いたしたようでございます。従って、これは職場の秩序を保ち、また税務行政を円滑に執行いたす責任を分担せしめております国税局長としては、当然の職務を果たしたものと私は思っております。
  171. 五島虎雄

    ○五島委員 これは思想の調査ではない、当然の調査である。そうすると、全役付職員について飲酒を好むかどうか、あるいは同じくかけごとを好むかどうかということは——深酒等々は事故のもとである、とばくをやるということは国家公務員にふさわしくない、あなたたちは飲酒は好まないのですか、どうですか。
  172. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 内容につきましても多少間違いがあるようでございまして、今の酒を好むかどうか、かけごとを好むかどうかということは、この指令の中には入っておりません。
  173. 五島虎雄

    ○五島委員 これは仙台のことであって、あなたはよく御存じですね。これは公表されたのですか、組合の方から。
  174. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 組合機関紙でこういう事実があるという記事がありましたので、仙台の国税局に対して、その文書をこちらに提出するようにということを命じてとったものであります。
  175. 五島虎雄

    ○五島委員 人事院……。
  176. 大塚基弘

    ○大塚説明員 お答えいたします。  今の調査でございますけれども、そちらで組合機関紙によりましてお話しになったのと、国税庁長官の方のお話と食い違っておりますので、私どもとしてはどちらが正しいか判断に迷うわけでございますけれども、一般論として、職員に関する人事管理上必要な若干の調査がなされる場合というのはあり得ると思います。たとえば懲戒をやる場合、その事由になるものを調査するとか、それから報奨制度がございます。その報奨のような場合に報奨の事由を調査するとか、その他団体に関しても若干、たとえばレクリエーション——官側もレクリエーションをやる、組合側なりサークルなりがやっておるレクリエーションというものと共同でやろうというような場合に、調査を行なうということはあり得ると思うのです。ただ、お尋ねのように、もし組合に対する支配介入の意図を持ってなされ、かつそれをそういうふうに利用された、支配介入に用いられたということが事実としてありますれば、ともかく、法に触れる触れないは別といたしまして、好ましくない行為であることは明らかと思います。
  177. 滝井義高

    ○滝井委員 関連。今の人事院の方で答弁がございましたが、五島さんの発言と木村さんの発言に幾分食い違いがあるということですが、木村さんの発言の全貌はわからないわけですね。そこで、五月四日ですか、仙台の国税局からお出しになったものを今五島さん全部お読みになったのだから、あなたも一つ全部読んでみて下さい、そうしてみれば違いがはっきりしますから。仙台から送ってきておるでしょう。
  178. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 これは極秘通達になっておりますので、ごかんべんいただきたいと思います。しかしながら、私、誓って今の飲酒とか、とばくとかいうような事項がないこと、それから先ほど私が申し上げましたように、役付職員組合活動を行なっている場合に、職務執行上、管理体制上、職場秩序の維持上どういう影響があるかという調査である、そういう趣旨のものであることは、誓ってこの場でお答えいたします。
  179. 五島虎雄

    ○五島委員 そうすると、私がここに読み上げて、六項、七項の飲酒ととばくというようなことについてはだめだ。私があなたを信用するよりほかにない。出せと言ったら秘密の通達だから公開はできない。なるほどそうでしょう、焼却するというようなことも条件の中に入れてあるそうですから。だから、この通達を受けてある署の署長は、署議を直ちに開いた。そしてその署議を開きながら、君たちは第二組合に入る意思はないのかどうかということを署長が言った。第二組合をつくろうとする明らかな意思がその極秘書類の中に流れているということを署長が察知したがゆえに、その署員に第二組合に入るかどうかということを署長が言ったということ等々も入手できるわけです。確かにあなたが言われるように、組合の行き過ぎはいけません。法を犯すことはいけません。その場合は国家公務員法等々で十分堂々と処分はできます。しかし、自由に組合職員団体が成立されるべきが至当でしょう。そして職員団体はあなたたちと対等の立場に立って団体交渉し、あらゆる条件の問題を話し合う、これが行き過ぎだとかなんとかいってそれに力を加えるということは、人事院の職員局長が今言われたように好ましいことではない。好ましいことではないことが明らかになったら、それは不当労働行為といわなければならぬと思うのですが、どうですか。
  180. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 この通達が第二組合結成に特定の署で用いられたという御質問でございますが、私はそういう事実を承知しておりません。またそういうことはなかったと信じます。そういう趣旨のものではございません。第二組合を慫慂するとか、あるいは組合の脱落をはかるというような趣旨のものではなくて、先ほど私がお答え申し上げた趣旨のものでございます。
  181. 滝井義高

    ○滝井委員 何もこういうものを極秘にする必要はない。少なくとも民主的な税務行政をやろうとして、そして職場の秩序を維持する上に一体どういう人事管理をやればいいかということの問題でしょう。それを国会でそれは極秘だから出せぬなんということは、あなたが防衛庁の経理局長のときなら私は許します。しかし、いやしくも民主的な税務行政をやろうとする国税庁長官としては断じて許せぬ。防衛庁のときならよろしい。しかし民主的な、少なくとも日本の国民から税金を取り上げようというときに、そんな秘密があるわけがない。もしあなたが出せぬというなら、大蔵大臣を呼んでもらいたい。そういうばかなことはない。しかも大塚職員局長が言ったように、その文書が支配介入に用いられておるかどうかというようなことが一番大事なところです。思想調査をやっておったかどうかということが、その内容によってきまってくる。それをここで出せないということは、われわれは委員長に秘密会を要求してここで読んでもらいましょう。これが一番きめ手です。従って、人事院の大塚職員局長が言うように、これが支配介入に用いられるとか、あるいは思想調査をするというようなものであるかどうか、内容がわからなければ議論にならない。そんなものを極秘にする必要は何もない。民主的な税務行政を行ない、職員の秩序を維持し、税務行政を円滑にやるためには国会に当然出すべきものです。どうですか。あなたが出すまで私はがんばりますよ。お読みになっていただきたいと思います。
  182. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 委員会からの正式な御要求があれば提出いたします。ただ内容は、先ほど私が申し上げました通り内容でございます。決して第二組合結成を慫慂したような文書ではございません。
  183. 滝井義高

    ○滝井委員 審議上これは現在非常に重要な問題点です。一番のポイントです。委員会の正式な要求があれば出すというのですから、一つ委員長の方で出してもらいたいと思います。
  184. 秋田大助

    秋田委員長 後刻理事会を開きまして、相談をして善処いたしたいと思います。
  185. 滝井義高

    ○滝井委員 それは後刻というわけにはいかないのです。日にちがないですから。簡単ですから、読めば足りることです。
  186. 秋田大助

    秋田委員長 今審議中に理事に話していただきます。  それでは、木村国税庁長官にお願い申し上げます。委員会の意思で、一つその資料を御提出願いたいと存じます。
  187. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 承知いたしました。
  188. 八木一男

    ○八木(一)委員 委員長に申し上げたいと思いますが、大蔵大臣の御出席を要求いたしたいと思います。さっそくお手配を願いたいと思います。先ほどの問題について、国税庁長官が長官としての任務を果たすのに非常に不適当であると思います。直ちに国税庁長官が、注意という段階ではなしに、そういう事実が明らかになったらそういう処置をするということになれば、これは大蔵大臣を必要としませんけれども、このような決断のできないような国税庁長官相手では、この問題に関する限り平行線でありますから、大蔵大臣、さらに大蔵大臣がその問題について判断がつかなければ、内閣総理大臣の出席を要求したいと思います。  次に、この問題に潤して遠山君から聞いたことについて兒玉君が発言をした問題、その問題について全国税の労働組合の四国地連の幹部が抗議をしましたところ、高松国税局の総務課長松木克也という人からそれに答弁があるわけです。「思想、信条、結社の自由、団結権を侵害したことはない。前記兒玉の発言は、徴税事務の遂行上必要な(情勢分析)を伝えたものであって、管理者として必要かつ適正な行為である。」組合が「そのような情勢分析が、何ゆえ、徴税事務遂行上必要なのか、その判断の基礎を示せ」という追及に対して、「それは当局の必要性の判断によるものであって答弁の限りでない。」次に、組合で「それでは、当局が一方的に必要と認めたら、どんなことを言ってもよいのか。事実に基づかないことでもよいのか」ということについて、「うその情勢の分析を管理者にやらしたことはない。」 組合が「それでは、兒玉発言の共産党員云々はどうか。だれがアカで、だれがシロかというようなことを当局はどういう方法で調べたのか、また、そのようなことを調べる権限がどこにあるのか」に対して、「調査してある。当局が必要に基ついて行なったもので、調査の方法や内容を答える義務はない。」その次に、組合が「思想、信条の自由に対する侵害ではないか」に対して、「組合の動向を述べただけだから、憲法違反にはならない。」組合の方で「だれが共産党員であるかを調べることは、固有の基本的人権の侵害ではないか」に対して、「当局判断によって行なうことであり、当局は憲法を否定していないのだから)その行為もまた憲法に反しない。」というようなやりとりがあったことの事実をつかんでおるわけでございますが、これについて国税庁長官の意見を伺いたいと思います。
  189. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 高松国税局の総務課長が、ただいまお述べになりましたような趣旨のことを確実に申したかどうか、その点については、私まだ存じておりません。従って、この場で即時に御答弁申し上げるということは差し控えたいと思います。
  190. 八木一男

    ○八木(一)委員 このような今読み上げた問題についての意見です。そういうことについて長官はどう思うか。読んだだけでわからなかったらお見せしましょうか。
  191. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 高松国税局の総務課長がそういうことを申したかどうか、あるいはその当時の事実はどうであったか、こういう点を調査いたしまして、お答えをいたしたいと思います。
  192. 八木一男

    ○八木(一)委員 調査するというのは、こういう事実は非常に不当であるというふうにお認めですか、そうではないのですか。こういう事実があったならば不当なことであると思われるのか、不当でないと思われるのか。
  193. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 そういう事実、そういうことを申したかどうかが明らかではございませんのでお答えはできませんが、しかし、その中にはもっともなこともありますし、一番最後にお読みになったような点は、若干論理がおかしいと思うような点がございます。
  194. 八木一男

    ○八木(一)委員 そんなあいまいなことでは困る。どこがもっともで、どこがおかしいと思うのか。そのためにわざわざ差し上げたのですよ。そんなあいまいなことを言って何ですか。どこがもっともだと思って、どこが表現がおかしいと思ったか、はっきり言いなさい。
  195. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 これは私がここでお答えするよりも、高松の総務課長に報告を受けましてから、その上で確実な答弁を申し上げたいと思います。
  196. 八木一男

    ○八木(一)委員 そういうような答弁は、吉田茂君というような独裁的な人がそういうことを言っただけで、ほかのあなた方には許されないことですよ。仮定の答弁はできません。はたの政府委員で聞いていたからといって、そんなものがほかの委員会で通ると思ったら大間違い。この問題について、これが不当であるか不当でないかということを判断できないような、そんな公務員があるか。しかも国税庁長官という高い地位にあって何です。わざわざ読ましたのですよ。どこが不当で、どこが言葉が足りないか、はっきり言いなさい。
  197. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 総務課長がはたしてそういうことを言ったかどうか、その点について私がここで御答弁申し上げるということになりますと、それは総務課長が言わなかったことかもしれませんし、あるいはそういう趣旨のことを完全に言ったのかもしれません。その辺が、その前提が明らかではございませんので、確かめましてからお答えいたしたいと思う次第でございます。
  198. 八木一男

    ○八木(一)委員 総務課長が言ったかどうか、ここではっきりけじめをつけようというわけではない。こういうやりとりで、官側の総務課長がもしそれを言ったとしたならば、こういう応答の中の当局側答弁はあなたの考えと合っているのか違っているのか、どの部分が合って、どの部分が違っているのか、そういうことを聞きたいというのだ。(「仮定の上に立っての論議は意味ないよ」と呼ぶ者あり)仮定の上に立っての論議は意味ないというのは、非民主的な吉田茂君ならともかく、日本の国会では通じない。  あなたは日本の言葉を解釈できない——もう一回読みます。うしろの方から読みましょう。「当局は憲法を否定していないのだから、その行為もまた憲法に反しない。」これについてどう思いますか。あなたは判断能力がないのですか。その言葉についてどう思いますか。
  199. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 論理的にはおかしいと思います。
  200. 八木一男

    ○八木(一)委員 どのような意味でおかしいと思うのか。
  201. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 いわゆる完全な三段論法になっておりませんので、論理的には問題があると思います。ただしかし、高松の総務課長がそういうことを申したかどうか、これは一方的なことでなく、総務課長の方からも報告をとりまして、その上ではっきりしたお答えをいたしたいと思います。
  202. 八木一男

    ○八木(一)委員 論理的にはおかしいと思いますだけで、あなた済むとお思いになりますかな。あなたは憲法第九十九条を知っていますか。——知っておりますか。見なくてもいいですよ、知っているか知らないか先に……。
  203. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 存じております。
  204. 八木一男

    ○八木(一)委員 憲法第九十九条、あなた掲げてから見てあれですがね。  「天皇又は攝政及び國務大臣、國会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」となっていますね。あなたは公務員ですが、非常に高級者ですわね。指導者の方ですわね。さっき論理的におかしいということは——前の力の「憲法を否定していないのだから、その行為もまた憲法に反しない。」これは論理的におか  しいとあなたははっきり答えられたと思う。前の方の問題もきょうの問題に直接つながらないけれども、これは背景として大きい問題です。「当局は憲法を否定していないのだから、」こういうことが、あなたもそうだろうと思いますが、大蔵省関係、特に国税庁のお役人といわれる人の中にこういうことがしみ通っているわけです。特に尊重する義務を負っている者が、否定しておらないからと、そんな発言をしててん然としている。思想とか信条の自由を侵しても平気だ、労働者の権利を侵しても平気だ、非常に猛烈な査定をやって国民の生活権を侵しても平気だ、そういうような特権意識につながっているからそういうことを言う。憲法に関して否定していないのだからなんということを言う。あなたはこの前後の矛盾だけをついた。前の方については疑念を抱かなかった。あなた自体に憲法を尊重する気持がない。従って、このような重大な思想、信条、結社の自由、団結権というような憲法の考え方から見ますと大事なことを無視しても平気だ。そういう気分がある。従って、応答全体の中には妥当な点もあるというようなけしからぬことを言う。私の言ったことに間違いがあるかどうか、あなたの考え方、態度、今の答弁に不十分なところがあったことを認めるかどうか、それについて御返答願いたい。
  205. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 われわれ公務員が憲法を尊重し、これを擁護し、その規定に基づいて各般の行動を行なわなければならぬという尊重の義務があることは当然のことでございます。ただそのなにに書いてありますように、はたして高松国税局の総務課長が「当局は憲法を否定していないのだから、」ということを言ったかどうか、あるいは相手方の質問がどういう質問であっ  てそれに対してどう言ったのか、その質問に対する答弁としてはこういう言葉が適当だったのかどうか、はたしてまたこういうことを言ったのかどうか、そういう点についての疑念がありますので、先ほども申し上げましたように、はっきりしたことをお答えするためには、総務課長に当時の状況を報告させまして、その上でお答えをいたしたいと思います。  それから組合の思想、結社に対する自由、こういうものを、先ほども申し上げましたようにわれわれは問題にしておるのではございませんので、組合の行動が違法にわたる場合においてこれを取り上げておるわけでございます。
  206. 八木一男

    ○八木(一)委員 そういうふうに初めから答弁をなさい。われわれ公務員は憲法を尊重して順守する義務を負う職務を持っています。従って前後の関連というような問題ではなしに、「否定していないのだから、」こういう消極的な発言があったら、これは憲法についての認識が非常に少ない。みずからそういう問題についてそのようなあやまちを課長が犯しているなら、指導しますというようなことを初めから言いなさい。あなた自体にそういう考え方が薄いから、そういう答弁が出てこない。追及されて初めて出てくる。従って、今の思想、信条、結社の自由についてもそのようなあいまいなことを言っている。これはその前の続きですよ。共産党員がたくさんいるというようなことを言っている。共産党員であろうが、社会党員であろうが、民社党員であろうが、自民党員であろうが、それがそこに何人いても変わりないでしょう。レッド・パージというものがあった。共産党員の箔を張られて、いろいろな因縁をつけられて職務を解除された昔の例がある。そういうようなことだから、にらまれると大へんだということでそういうことが自由にできにくくなる。そういうことが思想や何かの実際上の自由の侵害になる。そういうようになるのだ。それをそういうふうにならないというような答弁をしている。あなたの憲法に対する認識は非常にあいまいだ。一番大事な憲法の九十九条も順守できないようなことで、国税庁長官が勤まるわけがない。またその他の管理者にもそれを浸透させなければだめだ。この問題について事実であるかどうかということを調べて処置をなさったらよろしい。しかしこういうところに、あなたの答弁の中に、そういう憲法を無視して思想、信条の自由をじゅうりんをしで、組合の団結権を無視する、そのような考え方がある。従って、その下の管理者自体にそれが浸透してくる。そういうあやまちを犯さないように、こういうことをさせない、そういう積極的な発言があってまずまずの及第点である。そのように今後処置しますか。そのような考え方で指導し、あなたも心を入れかえ、憲法の思想や信条の自由なり、組合の団結権については尊重し、いささかもそれに障害を与えるような行動はさせない、した者は処分する、そのような決意を披瀝することができますか。できないならば、あなたは直ちにそのような管理者としての任務に耐えられないということで辞表を出す決意があるか、どちらか御答弁を願います。
  207. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 公務員が憲法の規定を順守し、これを基準として行動を律していくということは当然の義務でございます。これは公務員だけではないと思います。従いまして、思想なり信条の自由、団結権を犯すようなことは、われわれとしてはいたすはずのものでもございませんし、今後もいたさないように指導をしたいと思います。
  208. 八木一男

    ○八木(一)委員 大蔵大臣はどうですか。大蔵大臣が御都合が悪ければ、総理大臣でもかまいません。
  209. 秋田大助

    秋田委員長 今都合を伺っておりますから……。
  210. 八木一男

    ○八木(一)委員 常にいろいろのところで非常な不当労働行為がたくさん行なわれていることは、参議院における亀田君なり衆議院における横山君のことで明らかなわけでございますが、そのとき横山君の質問に対して、あなたの答弁は非常にあいまいだったわけですけれども、このような不当労働行為について、直ちにそのようなことを起こした者について、その状況に応じて処分をするなり、配置転換をするなり、また厳重なる注意をするなり、そういうことをし、今後一切そういうことを起こさないように、あなた自体で、注意ということじゃなしに、こういう公明なちゃんとした局長の通達というような意味で、下の各官庁、国税局その他に出される必要があろうと思いまするが、それについてのあなたのお考えを伺いたいと思います。横山君に対するような、調査をしてというようなことでは、不当労働行為の問題を扱うこの社会労働委員会においては断じて承知ができませんから、腹を据えて答弁をして下さい。
  211. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 先ほどから申し上げましたように、そういう不当労働行為類似の行為があります場合には、厳重に注意をいたしますと同時に、今後そういう疑念を持たれるような行為を行なわないように指導をいたすつもりであります。
  212. 八木一男

    ○八木(一)委員 そういう不当労働行為というような長官の意思に反する、そして断じて客観的に許されない行動を持った人間について、処分なり、配転なり、厳重注意なり、そういうことをやられるということを即刻やっていただきたいと思うのです。調査はもちろんぐずぐずしてはなりませんし、調査については、先ほど言ったように、口うらを合わして事実を隠蔽するような行動ではなしに、組合と立ち会いの上でこれをやられるということについて、そのようにしますという御返答を承りたいと思います。
  213. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 調査は一部いたしたものもございますし、まだ調査を行なっておるものもございます。ただ、組合と立ち会いの上でというお言葉でございますが、われわれとしては、責任者である各国税局長を通じまして調査をいたすのが筋でございまして、各国税局長がどういう方法で調査をするか、その点につきましては私は国税局長にまかせたいと思います。
  214. 八木一男

    ○八木(一)委員 さっき調査をして積極的にそういう事実がないようにしたいと言われましたね。それはその答弁けっこうです。その答弁をされるとするならば、やはり実際に今までそういう問題が起こって、非常に論戦になっているという状態でございますから、あなたがそういう今言ったような気持になられても、今までの風習、それからまた誤った理解で、事実があってもそれを隠蔽した方が、国税庁長官あるいは該当の国税局長に小さな忠節を尽くす道であるというふうに、間違って解釈される方が相当あろうと思います。そういう方がなければいいですが、そういうことがないように配慮して調査をされないと、ほんとうの調査ができません。調査をして、そういうことのないようにしようとする長官の意思にも反するわけです。ですから、その問題について事を隠蔽してはならない、白事実を明らかにしろということを、各国税局長を通じて調査をされるならば、国税庁長官の通達をはっきり出されて、この問題は事実を隠蔽すべからず、事実をはっきりしろということを通達で国税局長に出される。その通達については、この写しを組合にも連絡をされる。それから国税局長が調査をされるときに組合と一緒にやることについて、できるだけそうやるようにするというような指導をあなたの方からされる。少なくとも事実を隠蔽したり、言葉うらを合わせるというようなことがないようにして、せっかく事実についての調査ができても、これは隠蔽した内容であって、信用ができないというようなことにならないように、あなたがほんとうにそういうことをしないような意思がおありになるんだったら、そういう結果が完全に信頼されるように、常にいろいろなことを組合に連絡をし、また下の人が間違いを起こさないように厳重に事実を明らかにして、不当労働行為の疑いのあるものは徹底的に事実を明らかにしてそういうもののないようにすべきだ。そういうことの通達をはっきり出される。口頭とか電話とか、それから審議官を通じてやるというようなことではなしに、国税庁長官みずから筆をとって、はっきりとそういうことをやられる。そうしてそういうふうにやりましたということについて、われわれにも報告、連絡をなさる、そういう配慮が必要であろうと思いますが、そのようにしていただけると思います。それについて一つはっきりと御答弁を願いたい。
  215. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 今問題になっております。管轄の各国税局長に事実をありのままに報告するようにということは、私から命ずるつもりでおります。これが事実でないものを事実として報告した場合におきましては、私は監督者としての権限を持っておるわけでございますから、そういうことはまああり得ませんし、またそういうことはさせません。  それから組合と共同調査というお話でございますが、これは先ほども申し上げましたように、各責任の地方局長の調査の方法にまかせたいと思いますので、御了承を得たいと思います。
  216. 八木一男

    ○八木(一)委員 もう少し事実の問題について申し上げてみたいと思います。  六月一日に今治の税務署長岩田徹二郎という人が、直税課法人税第二係田村欣一という全国税の愛媛支部の副文部長を署長室に呼んで、「うちの税務署ではこの問題であまり混乱を起こしたくない方針だから、組合も協力してくれ」という旨の発言を行ない、当局が分裂、脱退について、国税局、税務署を通じ、一定の方針、指示が行なわれていることを裏づける発言を行なった。その次に、高松税務署では、六月二日書留郵便で郵送されてきた脱退届(約八十通)を、名あて人(全国税分会長)に渡す前に、受付係員に命じて階上総務課に持ち運ばせ、差出人を記録した上で、再び受付に戻し、名あて人に渡すという方法がとられた。この間、分会長が、受付係員に郵便物の引き渡しを要求したが、「これだけしか来ていない」と言って数通を示したのみであったが、そのときすでに約八十通の郵便物が総務課に持ち去られていたのである。三、徳島税務署会計係長吉川一臣は、六月二日、約四十名のものに脱退届郵送用封筒及び切手を支給した。六月四日、今治税務署長岩田徹二郎は、全国税今治分会執行部の抗議に対して「分裂は、自分として本意ではない。局がやかましくて往生している」と述べている。六月九日、今治税務署長岩田徹二郎は、課長会議を招集し、「脱退届を今日中に出せ」と命令した。これに対する分会執行部の抗議に答えて、岩田署長は、「局がやかましくて仕方がないのでやった。課長に今日中云々と言ったことは取り消す」と言い、再び課長を集めて、「今日中でなくてもよい」と伝達した。たくさんありますが、これは一つの例であります。今治税務署長岩田徹二郎という人が課長会議を招集して脱退届をきょうじゅうに出せと命令をした。その背景は、局がそういうことをしろと言っているということを明らかにしております。これは明らかに不当労働行為だ。これはもう明々白々の不当労働行為です。これについては、横山君や亀田君の質問に対して調査をすると言われましたけれども、すでに調査ができておると思います。調査に基づいた処置をどのように考えておられるか。
  217. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 たしか今までの岩田署長は、この七月に退官をいたしておるはずでございます。ただいまこれらの高松局管内の問題につきましては調査中でございます。
  218. 八木一男

    ○八木(一)委員 たしか横山君の質問は七月の十日であったと思います。本日までにずいぶんと日限がたっておる。国税庁の事務というのはそれほど怠慢なものですか。税金の差し押えの方はずいぶんスピート・アップしてやると思いますけれども、こういうことにはこれほど時間がかかるのですか。ほんとうにやる気がないのでしょう。きょうまでに何日ありますか。五十日近く。その間にこのくらいな調査ができない。そんな怠慢な職務でいいと思うか。長官はそのような怠慢な職務についてどういう処置をとったか、長官の業務上の監督の責任についてお聞きしたいと思う。
  219. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 今の高松の問題だけでなく、阪神、仙台等いろんな調査を命ぜられておりますので、調査が出そろったものもあり、まだ調査が行き届いておらないものもございます。
  220. 八木一男

    ○八木(一)委員 だれが調査に行ってどういう方法で調査したか、いつそのような指令を出したか、いつ出したけれどもまだ返事がこない、そういうことを明らかにしてもらいたい。
  221. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 高松の問題につきましては、ただいま組合側から人事院に対して行政措置の要求が出ております。従いまして、総括的に調査をいたしておりますが、まだ出そろってきておりません。至急に調査をいたしたいと思います。ただ、やめた者もあり、局にいろいろ命令しておりますけれども、正確を期する上からあるいはこちらからも人を出し、調査をできるだけ早く了したいと思っております。
  222. 八木一男

    ○八木(一)委員 とにかく調査に今かかっているのですか。それでどのくらいまでわかったのですか。
  223. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 調査を現在やっております。先ほど申し上げましたように、大部分は終わっております。ただ一部がまだ終わっておりません。これは参議院における御質問の際に、調査をして書面にして提出せよという御要求でございますので、そういう準備を進めております。
  224. 八木一男

    ○八木(一)委員 それじゃ大体わかっているのだったら大体のことを教えて下さい。書面でなくて口頭でいいです。
  225. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 高松管内が一番おくれておりますので、ただいままだ調査中でございます。
  226. 八木一男

    ○八木(一)委員 実際、長官それで済むと思いますか。長官は国税庁長官としての職責をじっと今かみしめられて、その問題についてそういう怠慢なことで済むと思うかどうか、御答弁を願いたい。
  227. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 先ほども申し上げましたように、相当広範囲な調査を御要求になっておりますので、あるものは出そろい、あるものはまだ出そろっていないという状況でございます。そろっているところはもちろんございますけれども、しかしそろっていないところ、ただいま申し上げたようにこの職員がやめた等の事情によって、その職員のところに出向いていって調査をするということも必要でございますし、まだ調査がそろっておるという段階には至っておりません。
  228. 八木一男

    ○八木(一)委員 高松のこの問題について調査を依頼されたほかに、長官何かやられましたか。
  229. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 現在職員を出張させ、また局の方で調査をいたしてこちらへ報告をする手はずになっております。
  230. 八木一男

    ○八木(一)委員 そのほかに何かなさいましたかと聞いているのです。ちょっと思い出して下さい。
  231. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 どういう意味でございましょうか。
  232. 八木一男

    ○八木(一)委員 この高松の問題があった調査を、参院の方からそういう要求があってしていられる。しかし、こういう問題について長官深く考えられて、何らかの処置をとられたかどうかということ。
  233. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 現在その調査が出てくるのを待っておるところでございます。
  234. 八木一男

    ○八木(一)委員 ほんとうは長官になられる方は頭がいいのだろうと思いますが、防衛庁の経理局長としてそっちの方はえらいのかと思いますけれども、今までのところではあなたくらい足りない長官いないですよ。この部面に調査をするということは、こういうことが起こったらいけないということなのです。二回も三回も親切に聞いてあげたんですよ。一切このようなことが起こらないように指令を出す、そのようなことがなぜできないのか。このような調査だけでは済まない、これがいけないということで調査を命ぜられている。それならそれに並行して、そのようなことが一切起こらないようになぜ指令をしないのか。そういう無能な長官は日本じゅうにあったものじゃない。みずから責任をとって直ちに辞表を出しなさい。(「何べん辞表を出したらいいんだ。三十回ぐらい」と呼ぶ者あり)三十回辞表を出しても足りないような無能な長官です。そのようなこともできないんですか。そんな無能な公務員は世の中にあったものじゃない。そんな者が、国税庁の長官の職を今まではずかしめただけでも、たくさんであります。いま一ぺんほど反省して、辞表を出す意思があるかどうか答弁なさい。
  235. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 個々の調査内容によりまして、措置すべきは措置をしたいと思います。私はただいま辞表を出す意思はございません。
  236. 八木一男

    ○八木(一)委員 ただいま辞表を出す意思がないというけれども、こういう疑わしい問題が起こった、そういう問題について今後起こらないように注意をすることが一庁をあずかる長官としての当然の任務であるということがわからないのかどうか。そういう心がまえで国税庁を預かってもいいかどうか。大蔵大臣に聞いてごらんなさい、あなたが聞けないならば、大蔵大臣のいる前でわれわれが聞きます。あなたは何でも自分のことは正しいと思っている。今までの答弁で、どんなにあなたがこの面において国税庁長官として不適であってもあなたはその地位を得たい、その俸給を得たいということにとどまっていいのかどうか、そういう問題について反省が一つもない。その非を改めて陳謝をして、そのような疑いの起こるようなことは一切起こらないように、強く全部通達をする、そうすればいいのです。そういうことを一切言わない。この問題については調査の結果を待つ。国税庁はあなた一人のものじゃないのです。今までについて反省されるのならそれ以上は追及しませんけれども、直ちにこのような問題は一切起こらないように厳重な通達を国税局長、総務課長に出す、そういう返事ができるかどうか。
  237. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 先ほどから申し上げますように、不当労働行為類似の行為を行なわないように、また外からそういう疑念を持たれないように、これは通達をいたしたいと思います。なお、通達だけでなく、局長会議等においてさように発言をいたしたいと思います。
  238. 八木一男

    ○八木(一)委員 この問題は調査と言われるけれども、どう考えてもこんなものは事実ですよ。調査を早く、ごまかさないようにやって下さい。こういう大ぜいの人が脱退届をきょうじゅうに課長に出せと言った。それからその前後に、局がやかましくて仕方がないのでやった、そこの国税局長であるか、またそういうようなことを一生懸命忠勤をぬきんでて間違ってやっているような総務課系統の課長さんかだれか、それは知りません。知りませんけれども、とにかくそういうことを局の方から署長の方にやれという圧力をかけている。そういう問題についてそういうことをやった事実があれば、その国税局長についてはそれ相応の処置をする。程度によって厳重注意でもよろしい、しかしそのようなことが改まらないような人物であったら、その職を変えてもらわなければならない。そういうことを即時やられるかどうか。今後注意するとともに、そのようなやった者に対しても、問題の程度によって、それはあなたの職責でしょうけれども、それについての何ようの処置をするということをやらなければならないと思う。それについての長官の御意見を伺いたい。
  239. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 今後そういう不穏当な行為をやりました者につきましては、監督の責任者として厳重に注意をいたすつもりでおります。
  240. 八木一男

    ○八木(一)委員 さらに同僚の委員がたくさんお待ちでございますので、私の方の申し上げることはだんだんつづめて参りたいと思います。さらにこの問題について五、六人の委員がお待ちでございますので、その方のおっしゃるような問題にあまり触れないように、ほかの問題に入っていきたいと思いますから、長官も結論があれば、端的に早く出るように、一つ腹を据えてはっきりと御答弁を願いたいと思います。  先ほどいろいろなことを五島委員吉村委員の御質問について言われましたけれども、あれについても、性根を入れかえて考え直して指導していかれなければならない。組合にもし行き過ぎがあったならば、組合員の民主的意見によって行き過ぎが必ず変わるものであります。組合組合で自主的に運動をしていく。当局がそういうものに介入すべきものではない。当局職員団体について何かはかろうという考え方があるならば、その職員団体の要求がどういうものか、たとえばいろいろな転勤が多い。そして住宅が少ない。実質的に転勤を命ぜられて、住宅がないために非常に生活が困る。そういうような問題について当局としてどう対処するか。たとえばいろいろなところで中に入れてくれ、入れてくれないという問題が起こる。そういうときに、当局がみずから進んで団交に応じようということがあれば、そういう問題は起こらない。そういうような点について当局が配慮すべきであって、組合の内部干渉になるようなことを一切当局は考えるべきではない。今後、組合とのいろいろな問題について、団体交渉について積極的にやらなければならない。ところが、その問題については後刻田邊委員からも御質問があるので簡単にいたしておきますけれども、国税庁の団体交渉に対する態度は、積極的なものは一つもない。ほんとうに職員の団体と話し合って、理解し合って、公務がりっぱに遂行できるように、職員の権利と生活が確保されるように、そのようにするためにはほんとうの話し合いの場が必要だ。本庁においても国税局においても各職場においても、そのような団交を当局の方から、みずから持とうという考えでもっていかれるのが至当である。しかも要求に対して、それを何やかやと言って形式的に、ごく頻度が少なく、ごく短い時間でそういうことをやろうとすることにいろいろな問題が起こるもとがございます。従って、団交については、積極的にみずから団交しようじゃないかというぐらいの態度でこれからやられる必要があろうと思う。国税庁長官自体も、あるいは各国税局長も、そのような態度でいかれる必要があろうと思いますので、それについての積極的な御発言を伺いたいと思います。
  241. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 交渉につきましては、組合が国家公務員法上交渉を許されておる事項につきましては積極的に交渉を行ない、話し合いの上でそのことを進めていきたい、かように考えます。
  242. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 時間の節約で、あと質問を関連で終わらせます。  長官はいつ御就任になったのですか。あなたが長官に就任されてから、組合と団体交渉を何回持たれましたか。
  243. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 私が直接交渉をいたしましたのは、全国税と一回、国税労組と二回やっております。二カ月余りになります。
  244. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 一体その間に、職員団体の中でもって交渉をする事項があり、交渉を具体的に長官に申し込んだことが何回ございましたか。
  245. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 ただいまの全国税との交渉につきましては、六月の十九日に国税庁の職員に対して全国税の書記が暴行を行なっております。われわれとしましては、組合からの団体交渉の申し入れを受けておりますけれども、交渉の議事の内容に入るに先だって、暴力行為に対しては陳謝をして、今後そういう問題を起こさないようにという約束をしてもらいたいという申し出をいたしております。それに対して全国税の組合の方からはそれを拒否しておりますので、その後交渉は事実上進んでおりません。
  246. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 暴行が行なわれた、それを陳謝しないうちは団体交渉しないというのですね。団体交渉の席上でもって暴行事件があったのですか。
  247. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 陳謝しなければ交渉をしないというのではなくて、交渉の議事の内容に入るに先だって、暴力によって管理者側に圧を加えるということでなく、円満な話し合いを行なうために、今後そういうことをしないようにという約束をしてもらいたい、こういうことでございます。それからその暴力行為の起きました六月十九日は団体交渉の場ではございませんで、職員の登庁のときに庁舎の前で起こった事件でございます。
  248. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 従って暴行事件の云々については、われわれはまだあなたにいろいろ問いただしたいと思いますけれども、それは時間がございませから省きますが、団体交渉の席上でもって暴行事件が起こったというならば、それに対するところの始末をしなければ他の団体交渉の事項に入れないということはあるでしょう。しかし、一般的に考えた暴行事件があったかどうか、これは私は問いただしませんが、しかし、そのことによって、いろいろな問題が山積をしておる正規の法律上に定められた団体交渉ができない、それをしないという態度は、これはいささか場違いなことではないか、これはいささか当を欠いているじゃないかと私どもは思います。いかがですか。
  249. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 私たちといたしましては、組合との話し合いにあたりましては、円満にしてかつ秩序ある話し合いをするということが主眼であろうと思います。とげとげしい感じでもって議事を進める、あるいは場合によっては、六月十九日に起きたような事件がまた繰り返されるというような雰囲気のもとで交渉の議事の内容に入っていくということはいかがかと思いまして、その議事に入るに先だって、その過去の事件については、今後こういうことはしないという約束をしてもらいたいというつもりで、そういう要求をしておる次第でございます。
  250. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 この暴行事件なるものがあったかどうかということについて、ここで白黒をつけることはもちろん必要であります。必要でありますけれども、私は団体交渉の中において非常にやりとりが激しく、あるいは今あなたが言われたようなとげとげしい空気あるいは暴力をふるうような雰囲気、こういうことがあったのでは、正しい意味におけるところの団体交渉はできないということになるならば、これはある程度了解することができる。しかし他にあったかどうかは不明でありますけれども、いずれにしても団交そのものの中で起こった問題でないとすれば、これは団体交渉の中であるいはその問題について話し合いをすることもいいでしょう。しかし他に起こったことを引用して、それでもって団体交渉そのものができないという、こういうことが行なわれているということは、これはどうしてもうなずけないことであろうと私は思います。そのことをいわゆる団体交渉の中の対象事項とされて、これに対するところの解決方法をとることも、これまた一つの方法でありましょう。しかし、いずれにしても、団体交渉そのものを他の問題にきっかけをつくってやらないというこの態度は、私どもとしては、やはり組合に対するところの全般的なあなた方の考え方が間違っているというふうに思わざるを得ない。この点に対して団体交渉の中でいろいろな問題を解決する、こういう誠意と熱意があれば、団体交渉は即座に開催ができると思う。今の問題も含めて、やらないならやらないでよろしゅうございましょうが、いずれにいたしましても、問題の解決を団体交渉の中でやるという誠意があなた方におありであれば、団体交渉は再開できないはずはないと思う。いかがですか。
  251. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 私たちといたしましては、こういう忌まわしい事件をきっかけとして、それに藉口して団体交渉を拒否するというような卑劣な考えは一切持っておりません。ただ今後の秩序ある交渉を進める上におきまして、こういう事件が今後繰り返されないように約束を取りつけたい、それだけはわれわれとして念願をいたしております。
  252. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 ですから、私どもはそういう問題を含めてでもよろしいから、いずれにしても団体交渉というものを持ちなさい、これはどの委員も反対されないと思う。その中で問題の解決に当たられる、ほかのいろいろ山積する問題についても話し合いをする、こういうことが必要なのであって、何かすぐ陳謝をしなければ会わないぞという、こういう態度でなくて、これは会って話し会いをされたらいいでしょう。その中でもっていろいろ意見の交換はあるでしょう。あなたは、組合に対するどころの何か考え方もお持ちであろうから、それを表明され、組合組合としてのそれに対する事実の有無、あるいは態度、こういったものを話すでしょう。そういう中でもって問題は進展をしていく、こういう形になると思う。これは何らの不思議もないです。不思議もないから、そういう方法をとられることだけは、これは当然なし得ることではないかと言っておるのであります。もう一度一つ答弁をわずらわします。
  253. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 私の方の担当の総務課長から、組合側に対しては、いつでも団体交渉を開く用意をしております。ただ先ほど申し上げましたように、今後暴力行為を起こさないように、交渉の議事内容に入るに先だって、そういう点の確約を得たいということを総務課長から申し入れをしておるわけでございまして、団体交渉をいつでも開く用意をしておるということは、再三にわたり組合側に申し入れしております。
  254. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 それでは、組合はその暴力男性なるものを肯定をして、そういったことがあなた方の言われるような状態で、あったということを肯定をしておるのですか。
  255. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 組合は肯定をしておりません。ただ私たちといたしましては、その場に居合わせた人の証言あるいは本人が身につけておりましたシャツ、品物、そういう面から見ても暴力行為があったということを確認し、その確認のもとにおいて先ほど申し上げたような手続で、総務課長から組合側に対して申し入れをしておるわけでございます。
  256. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 ですから、あなた方の態度は一方的だと言うのです。これは私ども聞くところによれば、具体的な刑事事件になっていない問題だろうと思う。組合もその事実を認めておるならば、それはあやまらなければならぬでしょう。しかし、両者の見解に相違があるとすれば、いずれにしてもあの中でお互いの言い分を言い合い、その中でもって一致する点は一致をし、それでもって解決をはかる、こういう態度をとらなければならない。見解が違っておるものを一方はあやまれ、一方はあやまらない、これじゃ何の進展もないわけですから、その問題を含めてもいいから、その団体交渉という窓口だけは開きなさい、その中でもってあなた方の言い分を十分言い合いなさい、こういうふうに私は言っておるのです。どうですか。この態度は不思議ですか。間違っていますか。あわせて一つ人事院のこの種の問題に対するところの見解もお聞きをしたいと思う。
  257. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 これは事実があったかなかったかという事実の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、われわれとしては、役所の守衛あるいはほかの職員等からの証言に基づいて被害者から警察へ被害届を出し、また被疑者に対しては八月の終わりでございますか、警察に逮捕をされたような事情でございます。われわれは、先ほども申し上げましたように、こういう問題をつくるとか、あるいはこれをきっかけにして交渉を拒否するとかいうような卑劣な考えは一切持っておりません。従って、今後そういう行為が繰り返されないという保障がどうしてもほしいということで、先ほど申し上げましたような申し入れを組合側にいたしておるわけでございます。団体交渉の場において事実があったかなかったかという議論をするという考えは、現在までのところ持っておりません。
  258. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 人事院から……。
  259. 大塚基弘

    ○大塚説明員 御質問がわからなかったのですが、何ですか。
  260. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 ですから、今言ったことは、刑事問題としていわゆる警察なり検察庁なりが、これは事実の問題として調査をすることは別問題です。しかし両者は見解が違うという格好になれば、これはその限りにおいては平行線、従って、そのことによって団体交渉は窓口が開かれないということでは困るじゃないか。従っていろいろな問題が山積しておるとすれば、これは当然な結論として、団体交渉というものを法律上の建前からいって拒否することは、国家公務員法、人事院規則に違反をするという行為になるのであるから団体交渉をするべきだ、こういうように考えるのですが、その点に対する人事院の考えを承りたい。
  261. 大塚基弘

    ○大塚説明員 御質問の点ですが、団体交渉と申しますのは両当事者の事実上の問題でして、今までのお話だけでどちらが当か不当かという判断は私どもいたしかねるのであります。国税庁側でおっしゃっているのは、決して団体交渉を否認されておるわけではないので、その点では国家公務員法違反だということにはならぬと思う。団体交渉というのは、やはり両当事者が納得してやるべきことなので、たまたま納得がいかないとか、あり得ないということが直ちに違反行為になるとは思いません。
  262. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 私どもは正常な状態で団体交渉をしてもらいたいと思うのです。従って、それに対する解決の道というものは、両当事者間がお互いの誠意と熟慮を持っていたすことが最も必要である、これがまた法理にかなった道であろう、従って、今の暴力行為云々に藉口して団体交渉を事実上していないということはきわめて遺憾な事実であり、そういった点から言いますならば、そのことも含めてやはり当事者間が話し合う場をつくれということを、私どもは先ほどから強調しておるのであります。そういたしますならば、団体交渉をそのために事実上拒否しているのですから、団体交渉を拒否することは当たらないじゃないか——それが違法行為だとわれわれきめつけておるわけではない、当たらないじゃないか、従って人事院の通例の一般的な考え方から言えば、そういう場合であっても団体交渉ができるならばすることが望ましい、こういう見解であろうと思うけれども、あなたのお考えはいかがですか。
  263. 大塚基弘

    ○大塚説明員 今のお話の点なんですが、国税庁長官のお話によりますと、確かに当の暴力行為なるものを団体交渉の内容にしていたことは明らかだと思います。たまたまその団体交渉の内容にされておるものの話の行きがかりが行き詰まっておるというだけだと私は判断いたします。団体交渉を始めるための条件となさっているのじゃなくて、まさに団体交渉の話の中身だったといとことは明らかなような気がいたします。  それから一般論といたしましては、確かにおっしゃるように、団体交渉というのはなるべく要求のあったときに、業務の支障のない限り、しかるべき人が会って交渉に応ずるのは至当なことだと思われます。ただこれもテーマになっておる交渉事項そのものが、時間的な関係やいろいろな問題があると思いますので、必ずしも何日かに一ぺん会わなければならないというような判断は一般的にむずかしいと思います。
  264. 八木一男

    ○八木(一)委員 人事院の方の見解は今伺いました、人事院の方の回答はさっきの国税庁長官と田邊委員質問を取り違えて質問に応じておられたようであります。国税庁の長官は、団体交渉を始める前提要件として、今組合の要求しておられるようなことを言っておられるわけです。それが団体交渉の前にそれをしなければいけないということを言っておるわけです。人事院の方は、そうではなくて、団体交渉の中身としてやるのはいいだろう、その前提要件としてではなく、さっき答弁されたわけです。ところが国税庁長官は、そういう問題が片づかなければ団体交渉に応じられないということです。これは団体交渉という重大なことを——その事実があるかないか、これは警察なり何かではっきりしますでしょう。それから国税庁長官としてはあったと言われておる。あったかないか、またあったと指摘するような内容であるかどうか、この問題については国税庁はそう言っておられるし、また組合はそれを認められるかどうか、まあそういう問題は残りますけれども、とにかく団体交渉というものが、団体交渉の場でもないほかのところで起こった事柄によって実際上行なわれていない。国税庁長官の方は、その問題を団体交渉の前の前提要件としておる。そういうような前提要件でなしに、それを別な問題として当局組合で話し合いを持たれるのはもちろんいいし、また団体交渉の中身でそういう問題について話されてもそれはかまわない。ただその問題を前提要件とすること、そういうことに藉口して実際上組合との団体交渉が長い期間途絶していることは、人事院の解釈としては——職員団体が団体交渉権を持つことができる、できるというのは法律用語であって、今の法律用語ではするということです。その当然の権利をほかの問題に藉口して当局の方が遮断をしていることになる。中身として話されるのはかまいません、そういう事実があるのなら。あったかないか私見たわけではないから知らぬけれども、それを前提要件として団体交渉に応じないということは、これは職員団体と当局との団体交渉の問題について、非常に不適当であろうと思います。それと、このことについての人事院の見解を、さっきやりとりについてすっかり把握しておられないで御答弁になっておったように想いますから、一つお聞きしたい。
  265. 大塚基弘

    ○大塚説明員 おっしゃる通り、それからあと組合側がもっと勤務条件そのものの交渉を申し入れなり何なりでしているのならば、その案件については確かに団体交渉が拒否されている状態にあるということが言えると思います。ただ広い意味で団体交渉というのは、お話しの通り事実上双方が会って話し合いをすることなんで、従いまして、今の暴行事件なんかに対する管理者側の態度というものは、組合側と話し合っている限りにおいては、広い意味においての団体交渉の一部であるというふうにわれわれは解釈いたします。従いまして、それが解決しないでほかの問題が中絶している状態——しかし、もちろんお話しの通り、なるべくプロパーな勤務条件に関して団体交渉が再開されることが望ましいことは言うまでもないことです。
  266. 吉村吉雄

    吉村委員 関連して。だから今問題になっているのは、団体交渉をやることについて、そういう阻害をするような条件というものが起こっているならばそれは問題だと思うのですよ、勤務条件その他の問題について、たくさんの要求なり何なりで交渉したいという動きを組合がしておる。ところが、その暴行事件というものがあるために、そのことについて約束が取りかわされない限りは他の問題についても交渉に応じないという態度をとっているから、それは問題じゃないかということを指摘しておるのです。だからそういうことについては、団体交渉を進めるのにあたって、その交渉の場の雰囲気が悪くなるとかあるいは険悪になるとかいうことであるとするならば、これは拒否するという理由一つになるかもしれぬけれども、別個の問題について団体交渉の申し入れをたくさんしておる。ところが、その暴行事件があるかないか、それはわかりません、これは対立する意見があるようですが、それを一つの原因として、そのことを理由として他の問題についての交渉を拒否するという態度はいかぬじゃないかということを言っているのです。
  267. 中野四郎

    ○中野委員 議事進行。どうも先ほどから伺っておってわからぬ点があるのですが、人事院の見解は別としても、国税庁の長官は団体交渉の用意ありと言っておる。しかし、暴力行為がある場合をおそれて——おそれるには前段の何かがあるはずなんです。従って、それをしないという約束さえしてくれれば、何どきでも団交に応じる、こう言っておる。してみれば、ここはお互いに話し合っていく上において、少なくとも組合側も権威ある団体交渉を行なおうとするなれば、いやしくも暴力行為をしないということは、今日の民主国家において何ら恥ずべきことではないのだからというて、そうして国税庁との間に団交をすみやかに行なわれる方が正しいと思う。もし今の吉村委員なり田邊委員なりのお言葉を借用して言うなれば、あったかないか知らぬ、しかし国税庁の長官は、前段をもってこういう例があったと思うと言うておるのですから、これ以上話を進めようとするなれば、私の申し上げた定義がもしいけなくてお話をしようとするなれば、むしろその暴力行為のあった当時の実情を明らかにして、そうしてわれわれが委員としてこれを判定し、はたして全然それに関係なかったかあったかということによってものを判断して議事を進めていくことがよいように思うのですが、これは一つ皆さん方の良識ある御解釈を願いたいと思います。
  268. 五島虎雄

    ○五島委員 それについて……。私はそれ以前の問題を考えなければならないと思うのです。ただいま中野委員が言われたような手続で、そうして長官が言われたように、もう誠心誠意をもって平穏のうちに団体交渉を進めて、労使対等の立場で話し合って、そうしていろいろの問題を解決していくという、その言葉そのものはそれでいいと思う。ところが暴力事件があったから、それを組合は了承していない、それをあやまれあやまれといっても、それは困難じゃないか。そこで、そういうようなことは今後労使の関係としてあるまじきことではないかというようなことを団体交渉の席上でいろいろ平和のうちに話し合って、そうすると、民主的な組合ですから、あなたたちは堂々と団体交渉をしようとされているわけでしょうから、そこで——民主的な組合が暴力を使うことはありません。従って、団体交渉の席でそういう行き適ぎたことがもしもありとするならば、事実をもって話をしながら、そこで、それは行き適ぎましたとかなんとかいう言葉が出てくるのじゃなかろうかということが期待されるわけです。そこで私たちは、その国税庁当局組合との正常な姿に返すためには、やはり権利であり、対等の立場を援用すれば、人事院の職員局長から今解釈が行なわれたように、それは一般の問題として一それは入りにくい事実の問題はいろいろあるでしょう。しかし、すみやかに団体交渉に入って、そうしてそれらの問題を解決することが僕は至当じゃなかろうか、こういうように思うのです。ですから、中野委員の言われたことをもう少しやわらかい気持でもって直ちに団体交渉をやれば、何のことはないのではないかと思うのです。そういうことを私はあなたたちに要望したいと思うのです。
  269. 八木一男

    ○八木(一)委員 何か私の質問の本筋から離れましたが、今言われましたように、とにかく基本的な勤務条件その他の問題について団交が申し入れられているにかかわらず、他の、しかも団交の席上でも何でもないところに起こったと称せられる問題を前提要件として団交拒否が続けられている。これは先ほどの見解で示された通り、そういう職員団体と当局との間の問題としては不適当な問題であるということの人事院の見解が発表されたわけであります。国税庁長官としては、この問題について、人事院が職員団体と当局との間の問題についてはこういう解釈をしておられますから、その点について勤務条件その他の問題について、団体交渉は前提要件をつけずに直ちに再開をされる、そういうこと。それからそちらの方の、もう一つの暴力事件と称せられるあなた方のいろいろなこと、そういう問題については、団交と別の立場であなた方が要求されてもそれは一向差しつかえありませんし、また団交の中でこういうことがあったとあなたが主張されて、そういうことについてはこういうことをしてほしいというふうに言われてもちっとも差しつかえない。本来の団体交渉、当局職員団体との団体交渉、人事院の解釈にありましたように、また一般の労働法上の概念で団体交渉を、他の団体交渉と違う問題によって拒否するということは、これは許されない問題でございますから、今まではそういう御解釈でやっておられても、そこは人事院の解釈に従って団交を勤務条件その他で再開をされる。その問題の中で、国税庁の方のその問題についての御主張は、その中でやられても別なところでやられても並行してやられても、これは御自由であります。そういう問題があったとしたならば、いわゆる当然の権限がおありでしょう、それはほかでやられてもけっこうだけれども、勤務条件についての団交はほかの問題に藉口してこれを延ばすということは、人事院の解釈においても一般労働法上の概念でも許されないことでございますから、今までのそういうことはとにかくとして、今までのことについては、われわれはあえてこれからすぐ再開されるならば問いませんけれども、これからすぐ再開されるということをしていただくことが至当である、それについての国税庁長官の御意見を伺いたいと思う。
  270. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 先ほどからるる申し上げましたように、私たちは団体交渉を拒否しておるというのではございまん。団体交渉の議事に入るに先だって、これを第一番に先議してもらいたい、こういう事件が起きたことについて謝罪をし、そうして将来そういうことが再び起きないように約束をしてもらいたい、あらゆる議事に先だって取り上げてもらいたいということを、総務課長から再三にわたって申し入れておるわけでございます。ついせんだって、一週間くらい前でございましたか、組合の大会がありましたので、おそらくその前に団体交渉を行なわないということは工合が悪かろうという感じがいたしましたので、その前に行なえるようにもう一度念のために総務課長から向こうの方へ申し入れをした事実もございます。従って、私たちとしてはあくまでも交渉を拒否するという考えではございませんで、今後こういう問題が起きないような約束が得られれば、今からでも団体交渉に入りたいと思います。
  271. 小林進

    小林(進)委員 関連して。私はこの問題については、実に国税庁は巧妙な論旨を用いて、そうして団交を拒否する巧妙な言いわけをつくられている。これは私は管理者が団交を拒否する巧みな一つの新しい戦術を編み出したと思っている。これはあなたたちだけじゃない、今の職制は全部これをやっている。私がけさからやっている国労の問題でも、あなたたちと同じ例がある。たとえて言えば、国労の中で、組合の情報文で駅長を誹謗した文書があるから、これをあやまらなければ団交に応ぜられない、あるいは道ですれ違ったときに面罵をしたから、その面罵に対してあやまらなければ団交に応ぜられない、こういうケースが方々の役所や公労協ででき上がっておるのであります。これはあなただけの戦術じゃなくて、職制が長い団交の過程で編み出した実に巧妙な団交拒否の弾圧の方策です。だから、あなたたちがそういうようなことをここでいけずうずうしく言われても、われわれは了承することができぬのです。いわゆる暴力行為があるならば、暴力行為に対してちゃんと法治国家における処置、処断の方法があるのです。しかし、それを一つ理由にして、いやしくも労働者に与えられた重大な権利を拒否する言いわけにするということは、みそとくそを一緒にした、目と鼻を一緒にした実に卑怯なやり方です。そういうようなことは、しろうとには通っても、少なくともその道で苦労してきておる社労委員会のわれわれの前で、言葉巧みにそういうことを粉飾する、言葉を飾ることはやめてもらわなければいけないと思います。ここには人事院もいられるだろうけれども人事院の解釈はどうか知りませんが、これはいけません。ほんとうに暴力行為が起こって傷害行為があるならば、そのために日本には刑法がある、公務員の服務規定もある。ちゃんとそれで処置しなさい。しかし、団体交渉に応ずることは、それとは別個です。これは労働者に与えられた基本的な権利でありますから、当然応じなければならない。そういうようなことは絶対に許されません。答弁しなさい。
  272. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 私たちがこういうありもしない事件をでっち上げて、それを戦術として団体交渉を実質的に拒否するというような卑劣な考えを持っておらないということは、再三申し上げた通りでございます。従って、これがあったかないかということをここで議論することは、もちろんこの場所では適当でないと思いますけれども、現在警察でも先ほど申し上げましたように調査をしておりますので、おのずからその事実は明らかになると存じます。戦術としてそういうことを用いたというようなことは絶対ございません。
  273. 大原亨

    ○大原委員 関連。ちょっと頭を冷やして冷静によく考えればわかるのです。中野委員の議事進行に関しての発言を聞きましたが、中野委員の議事進行に対する意見の中には、私も理解できる点があるのです。中野委員の話はそうだと思うのです。僕はそれが当然だと思うのだが、問題は謝罪をする云々の問題なんだ。謝罪をして約束するという、二つあるのです。あなたが議事録を見ればわかるように、謝罪をして約束をするというのがくっついているから、謝罪は、労働運動の中で人命その他けがとかいろいろな傷害とか、そんな問題がもし起きたとすれば、これは別個の問題ですよ。これは刑事事件として処置すべきことなのです。だから、その問題については——その問題についてでなしに、あなたの方が団体交渉を再開するということになれば、誠意があれば、謝罪云々の問題でなしに、平穏のうちに団体交渉してもらいたいという申し入れをあなたの方が組合側にして、団体交渉の話し合いの段階においてして、組合側が、その点について過去の問題は触れないで、この問題については平穏のうちにやるということは当然ですから、その問題についてお互いに意見を表明して団体交渉を始めればいいのであって、謝罪を条件にして、過去の事件云々に藉口して、そして団体交渉を拒否しているから問題になっている。それだからいわゆる団体交渉権の侵害になっているのです。だから中野委員の議事進行に対する発言は、私が言ったと同じようなことなんです。これは事件を明らかにするというのだったら、また別個にその当時の関係者を持ってきて本院においても明らかにします。これは私たち関係者を全部出してやることにやぶさかでない。しかし、これは、今問題はいろいろ手続上あるのでしょう。だからそのことを理由にしてはいけない。謝罪をしなさいということはいけない。将来お互いに平穏にやりましょうということで合意に達したら、団体交渉を始めたらいい。それが団体交渉権を認めるということになる。中野委員の発言はその通りであります。人事院も聞いているけれども、そうでしょう。
  274. 中野四郎

    ○中野委員 ちょっと議事進行に関してもう少し。私は議事を逃行せしめるために申し上げておるのであって、異論をはさむのではない。もしどうしてもそのことの事態を明らかにするというなら、この機会に、当時のいわゆる暴行事件が起こって、そのことが将来の団交に支障ありと認められるゆえんをこの委員会で明らかにしていただいて、そして初めてそこにお互いの了解点に達する道を選ぶということが正しいと思うのです。しかしこれは、両方が意見をこのままでおったのでは平行していけません。私は議事進行上申し上げたのであって、なるほど大原委員が言われるように、謝罪という点は私は知らなかったのです。先ほどからのお言葉の中になかった。ですから、謝罪するかしないかということは、これはあなた方の見解であろうけれども、しかし一応刑事事件とあるならば、その人間はそれぞれの刑事処罰を受けることになる。しかし、あなたが団交なさろうという場合に、やはりそれと同一の企画のもとに行なわれるということをおそれられる点においては、われわれも同感です。従って、このことをまず事前に行なわないということを約束することは、何ら不思議なことではない。いわんや、社会党の諸君がもしその団交を支持されるとあるならば、皆さん方の党員の方もおいでになり、協力者もおいでになるのだから、良識ある皆さん方が勧めて、その団体交渉に入るように、暴力を行なわない、そしてお互いの団交を進めるのだということをお約束になって、安んじて団交の目的を達するようにお取り計らいになることが正しいことではないか。この程度で一つよろしく進めていただきたいと思って申し上げているのであります。
  275. 大原亨

    ○大原委員 今の中野委員の発言で、国税庁長官答弁とは違うのです。というのは、議事録を見ればわかるのだが、あなたは謝罪をして将来しない、こういう二段階に分けているのです。将来しない、平穏のうちにやりましょうということについては合意に達するのです。団体交渉、双方が話をする場合にはそれは当然です。団体交渉は平穏にやるのです。謝罪云々を条件にするからこれが混乱しているのです。だから中野委員と私の意見はほとんど一致しているのです。これは団体交渉の常識なんです。他の問題をからましてはいけない。将来についての保障をやればいい。
  276. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 ただいまの中野委員から御発言がございましたことと、私はその趣旨は同じでございます。要するに、今後交渉を続けていく上において、管理者側を暴力でもって脅かすというようなことのないような保障がほしい、これが趣旨でございます。従いまして、その方法としては、すでに起きた事件について謝罪をしてほしいという工合に考えておりましたが、しかし今後将来においてそういう暴力行為は行なわないという確約が得られますならば、ただいま中野委員がおっしゃった通り団体交渉を開きます。
  277. 大原亨

    ○大原委員 それでは、団体交渉というものは平穏にやるということなんですから、中野委員がお話しになったように前向きの形でこのことは考える、こういう意味において双方ともそういう点について平穏に誠意を持ってやる、こういうことを前提として団体交渉の再開をやっていただけますね。長官、やりますね。
  278. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 今後暴力行為を行なわないという趣旨の約束を得られますならば、団体交渉に応じます。
  279. 八木一男

    ○八木(一)委員 今の問題を初めとして団交については積極的に応じられるということ、それから……(「前提があるよ」と呼ぶ者あり)とにかく言論の自由をあまりブレーキをかけないでくれよ。(「人のヤジを一々相手にするやつがいるか。われわれは幾らだってヤジられているよ」と呼ぶ者あり)ヤジをやっているとそれだけおそくなるから、覚悟してくれ。  とにかく団体交渉を積極的にやる。そこで団体交渉で、今まで国税庁長官も各国税局長も、それから各署長も、私いろいろな事象を知っております。私自体それについて問題があって立ち会ったこともございますけれども、非常に積極的ではないわけです。たとえば事実、その問題を話し合うに足りないような時間に時間を制限する。それからその間に形式論を持ち出して、たとえば限られた時間の約束の中の半分くらいを形式論でつぶしてしまうようなことをする。それで実際、その日に団交しなければならない問題を形式的に時間をつぶすことによって時間かせぎをして、それについて実際の話し合いに及べないようなことをしてしまうというようなことが非常に多い。そういうことでなしに、ほんとうの意味の団体交渉が実質的にできて、話し合いがうまくいって、当局職員団体がお互いに信頼をして公務を遂行できれば、労働者としての権利の生活も非常に保障されるという道を積極的に進めていかなければならないと思う。その点でありとあらゆる意味において、非常によい意味において団体交渉と積極的に取り組まれることが必要であろうと思います。抽象的なことでございますが、そういう点について国税庁長官の積極的な御発言を願いたいと思いますし、各国税局長、またその他の団体交渉に応ずべき人についても、そのような心得でやるように、一つ国税庁長官から指示をしていただきたいと思います。それについての国税庁長官の御答弁をいただきたい。
  280. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 国税庁または国税局、署におきまして円満でかつ秩序のある交渉をして、ただいま御指摘になりましたように形式論に失することなく、実のある交渉をするということについては、私も全く同意見でございます。今後その方針で参りたいと思います。
  281. 八木一男

    ○八木(一)委員 その次に配転の問題で、今度の七月の配転の中で、これは全般に及ぶかどうかはわかりませんけれども不当労働行為と私どもが考えなければならないような事象が方々で起こっておるわけです。それは私のところの例を申し上げますと、配転について当事者は、不当配転といわれている問題で、身上申告というようなものを当局の方からどうしても出せといわれた。それに従って身上申告を出した。ところが、身上申告と全然相反するような——もちろん第一希望が全部通るとは言いませんけれども、いろいろな希望が通らないで逆になるような配転を受けた人がいるわけです。その配転を受けたのを、奈良税務署の例をもって申し上げますれば、当事者として不服である、不当配転と称している六県の中で、五県は労働組合職員団体の指導者であります。そういうような事象から見ると、配転という場において、労働組合の指導者を意に反するようなところに無理に持っていこうというような傾向が多い。それを通じて労働組合の正常な組合活動を弱化させようという傾向があるように思われます。そういうような傾向について長官はどう思われますか。
  282. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 私たちが毎年相当大量の職員について配置転換を行なわねばならないということは事実でございます。現に昨年も国税五万の職員のうち一万六千、今年も一万四千人というような大量の配置転換を行なっております。これは国税という、税務執行という仕事の性質上やむを得ず行なっておるわけでございますけれども、配転を行なうにつきましては、まず第一に適材適所ということを考えるのは当然でございます。そのほかには、今御指摘になりましたように、各人から身上申告書を出してもらって、できるだけその希望に近いところに配置転換をする、また配置転換をするに先だちまして署長の内申を求める、あるいは不審がある場合には、署長に一々相談をするというような慎重な手続で配置転換を行なっておるわけでございます。しかしながら、今申し上げましたように、非常にたくさんの人の配置転換を行なわなければならない関係上、しかもこの希望というものは往々にして特定の税務署に片寄りがちでございます。そういう場合におきまして、必ずしも、この身上申告書に述べられておる希望の署に配置がえをすることができない場合がございます。この点は御了承を得たいと思います。  また第二の、組合関係の仕事をしておる職員につきまして、特に何か配置転換上不利な処遇をしておるというような趣旨の御質問のように思いますが、私たちは一般職員と同じように考えておるわけでございまして、決してそういう意味で不利な取り扱いをいたしておることはございません。
  283. 八木一男

    ○八木(一)委員 配転について、勤務だとか本人の希望だとかを考慮せられる、これは大切なことでございます。しかし、配転をした場合に、たとえば住宅の設備がほとんどない。従って、住宅なんというような問題でその人が非常に生活上困る、前の人なら親戚があって行けたかもしれないけれども、今度はなくて行けないというような問題がございます。国家公務員全体の給与の問題については、もちろん少ないからどんどん上げていかなければなりませんけれども、現在のそういう不十分の状態の中においては、そのような住宅であるとか、それから遠くから通勤するときに非常に通勤料がかかるとか、時間的にそれで非常に疲労を増すとか、そういう条件を十分に配慮して、そういう問題を考えなければ、そのような職員がほんとうに安じて一生懸命公務に邁進するということができない、そういうことについて十分な配慮をされる必要があろう、そのために身上申告がやられたという——そのほかの点もありましょうが、それが一つの意味である。  一つの例を申し上げますと、こういうことがあります。ある当事者が京都に勤務をしている。そのうちで第一、第二、第三、第四希望が出て、一番しまいの方に、東京であればという配転希望が第三次か第四次にあった。ところが、それを理由にして滋賀県の十日市というところに配転をされたということがあります。これは希望に反する、何とかしてもらいたいという当人の希望に対して、君は東京に配転を希望したから京都と離れていいというような解釈をして、この決定をされたようであります。このように、あなたの方の指揮統率をしてあられる国税局では、あまり当を得てない処置をとっておられる。京都の人が京都の中で勤務をしたい、それからそれがどうしてもできないときに東京に転勤したいというのは、東京に何らか親戚があるとか、あるいはまた勤務のあとで定時制の大学にでも通いたいとか、いろいろな要件があったと思う。ところが、そういう問題と全然違う。滋賀県の交通不便なところに回すそのもとが、その東京に転勤することはいささか希望であるという身上申告をもとにしてやっておるというような、当を得てない問題があるわけです。そういう問題について、大ぜいのことでありますから不十分なことが一つも起こらないということは言えないと思いますけれども、万全を期して、そういうような職員が非常に情けない気持で公務にいそしむのではなしに、満ち足りた気持で、当局職員のことを考えてくれるという気持で職にいそしめるような指導をされる必要があろうと思う。それとともに、人員の配置中にどうしてもそういうことができないという場合ももちろんあります。そういう場合に、ばさりときめたその通り、きめたからこのまま行けというのではなしに、こうこうこういうふうにしようと思う、だから納得してそこに行って一生懸命公務をやるようにというように、事前に何らかの話があることが必要であろうと思う。人間というものはやはり理性もあり、感情もある。こうこういう理由のもとにこれであれば、私としては希望ではないけれども公務に従って一生懸命やらなければならないという理性もあれば、そのような親心を示してくれたということであれば、このようないい気持で、いい気分のもとに仕事ができる。そういうところを、公務ということで、本人のそういう形式的な審査しかしない身上申告をとるだけで、ばさりとやるということに問題があろうと思う。でございますから、当然私は事前協議すべきだと思いますが、それについて国税庁長官の御意見を伺いたいと思います。
  284. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 配置転換をいたします場合に、住宅の問題が、ただいま御指摘のございました通り、私たちの最も注意をしなければならぬ問題だと思います。公務員宿舎が転勤先においてある場合はけっこうでございますが、これがない場合には、税務署において極力宿舎のあっせんをするという方向で現在進んでおります。今後とも職員の配置がえにつきましては、こういう身上申告書にある希望とにらみ合わせて、宿舎が転勤先においてどうなるかという点においては十二分に検討をし、職員に無用の失望感を与えないように十分注意をいたしたいと思います。ただ問題になりますのは、たとえば離島でありますとか、あるいははなはだへんぴな税務署になりますと、希望者が全然ございません。しかしながら、われわれとしては、全国に税務署がある以上、しかもそこに何がしかの職員の配置をしなければならない関係上、どうしてもへんぴなところ、また場合によりましては壱岐、対馬とか、そういう離島でありましても行ってもらわなければならないという場合があるわけでございます。従いまして、こういう場合に一々本人の希望を聞いて参るという場合におきましては、ほとんど希望者がない、配置転換ができないというような事情もございます。そういう点から事前に協議をするということは今までもやっておりませんし、この点は御了承を得たいと思います。しかしながら、できるだけ宿舎等の面につき、また本人の希望につき十分それらのことを考慮に入れて、ただいま御指摘になったような、どういう事例か私も存じませんが、そういうことがあるとすれば、そういうことのないように末端まで趣旨を徹底いたしたいと思います。
  285. 秋田大助

    秋田委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  286. 秋田大助

    秋田委員長 速記を始めて。
  287. 八木一男

    ○八木(一)委員 今の住宅や何かの配慮、それから職員についてのいろんな配慮、そのお気持はそれでけっこうであります。その通りであります。ところが事前協議の点ですが、当局がいろんな必要性、それからそれについていろいろ一生懸命考えられたこと、そういうことを披瀝なさったならば、事前協議をなさった場合に一番よくいくと思うのです。当局の方で不当なことをなさらないんだったら、これは話がつきます。ですから、そういうことで事前協議を前向きに考えていただきたいと思います。それについての長官の御答弁を伺いたいと思います。
  288. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 先ほども申し上げましたように、希望を聞いておってはどうしても行く人がないというような場合も起きます。従いまして、事前に話をするということはかえって混乱を巻き起こすという点で、従来もそういうことはやっておりませんし、今後も、先ほど申し上げましたように、本人の希望あるいは住宅環境、そういうものを十分注意してやるように、なお趣旨の徹底をはかるつもりでおりますが、事前協議につきましては、直ちにこれを行なうということをここでお約束するのは私として決心がつきかねます。
  289. 八木一男

    ○八木(一)委員 その問題は、私の申し上げた趣旨を十分かみしめて御検討をいただいて、事前協議に踏み切られる、あるいはそれに近い形でそういう問題を——やはり同じものがきまっても、よく前後の経過等、納得づくでいった方がすべてはよくいきますから、事前協議に踏み切られるか、そこまで一ぺんにいかなくても、それに近い形で前もってある程度の相談とか指導とか、そういうことをされて、それがいいようだったらそれをまた発展されるというようなことを、ぜひ前向きで御検討になり、前向きでそれをやっていただくように一つお願いをしたいと思いますが、一つ前向きの御答弁を伺いたい。
  290. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 ただいま仰せになりましたように、われわれとしては前向きの形で今後この配置転換の問題を検討させていただきたいと思います。できるだけスムーズに配置転換を行なうということはわれわれの希望するところでもございますし、職員に対して与える苦痛ができるだけ少ないということはわれわれの念願でございますので、その点は前向きの方向で、態度で今後検討をして参りたいと思います。
  291. 八木一男

    ○八木(一)委員 今の問題については、他の官庁では、実際すでに同じような公務員のところでやっていられる事実がございます。他の官庁のスムーズにいっていることなども御参考になって一つやっていただきたい。  それからもう一つ、労働組合の点でございますが、私の知っている事実においては、労働組合にねらい打ちに、その人の希望と反する配転があったように思われますが、そういうことも一切起こらないようにしていただきたい。ことに労働問題については、その人がそこに行けば、労働問題が健全に進むことにまた一時的に阻害が起こることがありますので、勤務条件それからいろいろな本人の希望という問題に大した差がなければ、労働組合の指導者は大体その場所において職務を遂行し、さらに労働組合を指導できるような配慮がどこの官庁でも実際上行なわれているわけであります。また特にそういう問題について具体的な話し合いが持たれるということが、当局職員団体との間を非常にスムーズにしていき、健全な意味で労働組合運動が発展し、いい意味の公務の執行、それからよい意味で職員の生活あるいは権利の問題が前進するゆえんであろうと思います。他の国家公務員の団体においては、そのような労働組合の指導者の配置転換については、事前に話し合いが行なわれ、そのためにできるだけ労働組合運動が停止しないような、配置転換はなるべく行なわれないような配慮が行なわれておる。そのような他の官庁の非常にスムーズにいっている例も御参酌になって、そういうことについても前向きに御努力を願いたいと思います。それについての長官の前向きの御答弁を伺いたいと思います。
  292. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 組合関係職員を一般の職員と区別して、特にその配置転換について有利な待遇をするということは、私考えておりません。しかしながら、一般の職員と同じようなベースでもって考える。もちろん組合関係者であるがために不利な待遇、配置転換をするというようなことはあってはならないということでございますので、この点は厳重に末端まで徹底をさせるつもりでおります。現在までもそういう方針でおることは、この国会等でも言明をいたしておる次第でございます。
  293. 八木一男

    ○八木(一)委員 不利にするようなことがあってはもちろんなりません。有利にしろとか非常に格上げしろとか、そういうことを言っているわけじゃないのです。国税庁にもいろいろな職務があります。勤務が同じでいろいろな場所があるわけです。それからこれが三年で転勤になる人も、五年で転勤になる人も、二年で転勤になる人もいるわけです。どっちにしようかと、いうことで国税庁の人事を考える人でも、これはここかここがいいというような判定になるわけです。一、二、三と四、五のときもある。ここかここかのときに、労働組合運動上マイナスになるところもあるし、続けてできるところもあるわけです。格上げしろとか月給を特に上げろとかいうことを言っているわけじゃない。そういうことの配慮が必要である。そういうことが他の官庁では職員団体との間では行なわれておる。不利にしてはもちろんなりません。特別に有利にしろとか、職員としての地位とか月給を有利にしろということではなしに、そういうことが同じところで、場所的に見て、職務を遂行しながら当然労働組合運動を正当に続けて、健全にやっていけるという配慮が必要であろう、そういうことについての話し合いが行なわれることについて、前向きに一つ御検討を願いたいということであります。これは非常に微妙な問題でございますから、直ちに行なうという返事はしていただきたいけれども、なされなくても別に大きな声を立てるわけではありません。この点について前向きに御検討になって、組合ともいろいろ話し合われて御検討になっていただきたいということであります。これについての前向きの御答弁を願いたいと思います。
  294. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 ただいま申し上げましたように、大量の配置転換を毎年行なっておりますので、転勤にあたりましては組合関係者以外の者、組合関係者、ともに同じ方針で、差別に不公平が起きないように十分配慮をして参りたいと思います。その点につきましては、先ほども申し上げましたように、末端まで趣旨を徹底いたしたいと思います。
  295. 八木一男

    ○八木(一)委員 私の言っていることがわかりませんかね、かたく構えないで。こことこことに同じ仕事がある、同じような都会である、そういうようなときに、これをかえたためにこの人が不利になるなら別ですけれども、同様に同じようなところがあって三人をどこにやってもいい、五人をどこにやってもいい、条件が同じだ、そういうときは労働組合運動のできるところにやる——特に有利にするわけでも何でもない、ほかの人を不利にするわけでも何でもない、そういうときには労働組合が健全に発達するように、続けてやることを配慮してもらいたい。そういうことを検討してもらいたい。特に有利にしろとか、ほかの人を不利にして、その人をどうしろということではない。そのくらいのことは考えられなければ、これは健全な労働組合運動を——形式的に言えば介入してないというけれども、逆に無理に介入しているといわれても仕方がないことになる、不当配転は労働組合の人が一番多かったという事例から見ても。そういうことではなしに、労働組合運動を中途で遮断しないような配慮をすることを検討してもらいたいということであります。このことについては前向きに検討していただきたいと思う。検討というのは、必ずしもその通りやるということではない、前向きに検討して、私が静かにじっくりと誠意を持って申し上げたことを、もう一回速記録でも読まれてよく考えられて、私は妥当であると思いますが、国税庁長官も妥当と思われたならばそれを検討して、その程度において実施されるというふうに御検討願いたい。どうか前向きに御検討についての御意見を一つ
  296. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 ただいまおっしゃった意味におきまして十分検討をいたします。
  297. 八木一男

    ○八木(一)委員 私まだ質問もございますが、同僚委員が待っておられますので、これからの同僚委員質問の過程においてはまた質問をさせていただくかもしれませんが、一応私の質問はこれで終わります。今まで申し上げたことについて、非常に国税庁長官の大事な発言があるわけであります。その大事な発言については、必ずその通り実行をせられるように、それで実行せられたことについては、近々の社会労働委員会で、どのように実行せられたかということを私ども御報告を伺いたいと思いますので、ぜひ誠意を持って即時実行をしていただくようにお願いしたいと思います。それについての国税庁長官の総括的な決意を伺いまして、終ります。
  298. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 私が先ほどからここで申し述べましたこと、お約束しましたことについては、実行をいたすつもりでおります。
  299. 秋田大助

  300. 坪野米男

    坪野委員 私は、国税庁長官に全国税の不当労働行為に対する問題について一つだけ、非常に重要な問題でございますのでお尋ねをしたいと思います。お尋ねをしたいというよりも、むしろ抗議を申したいという事項が一つあります。  それは、私たち社会党の不当弾圧対策委員会において、この全国税の不当弾圧についての調査をしたわけでございます。衆参両院三人ずつ、六名の国会議員団が調査に参ったわけでございますが、新潟の小千谷税務署に参りまして、不当弾圧の事実の有無について調査をしたわけでございます。この調査内容については質問を省略いたしますが、問題は、その調査に参った際、現地の小千谷税務署長のとった態度でございます。社会党の調査団の調査を拒否するという態度で、終始われわれ国会議員の現地における調査について、非常に非友好的な妨害を受けたという事実がありますが、この件について国税庁長官は、われわれ社会党の議員団が調査に行って、現地で調査を拒否されたという事実について、承知をしておられるかどうか、最初にお伺いしておきたい。
  301. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 社会党の議員の方が六名、小千谷税務署においでになって御調査をなすったことにつきましては、報告を受けております。
  302. 坪野米男

    坪野委員 われわれ衆参六名の議員団が調査に参りました際に、税務署長は中沢という新任の署長でありましたが、署長及び総務課長は、われわれ国会議員団の質問にお答えしよう、しかしながら、他の職員については勤務時間中であるから、また庁内での調査は困る、こういうようなことで拒否されたわけであります。聞くところによると、これは小千谷の一税務署長の判断でなしに、関東信越国税局長なり国税庁の総務局長の指示によって社会党の調査団の調査を拒否せよ、こういう指示がなされておったやに聞いておりますが、そのような指示がなされたのかどうか、その点をお伺いしたい。
  303. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 そういう指示はいたしておりません。
  304. 坪野米男

    坪野委員 八月九日でありましたが、私たちが九時過ぎに小千谷の税務署に参りました際に、われわれが到着する直前に、署内のマイク放送で総務課長から、勤務時間中は外部の者と一切話をしてはいけない、特に社会党の調査団が来るが、この調査団に対して職務時間中には一切話し合いをしてはいけない、こういう署内放送をしておったそうであります。そしてわれわれが六名参りまして、もちろん社会党の調査団でありますから、随員として社会党の現地の幹部が一名、また全国税の本部から一名参っておりましたが、この随行の社会党員なりあるいは全国税の役員の入署を拒否する、こういう総務課長の不当な態度がありました。そこで若干トラブルがありましたが、最終的に署長に会って、われわれが来署の趣旨を伝えて、そして任意に調査に応じてもらいたいということを申し入れた際に、署長は、個々の職員についての調査は困るという態度であったわけであります。そこで私がお尋ねしたいのは、おそらく局長なり国税庁の方で、そういった成規の国会あるいは委員会の派遣による国政調査でない、個々の議員団であろうと、あるいは政党の代表であろうと、そういった形の調査に応ずる義務がないのだ、必要がないのだという立場から拒否をせよという指令がおそらく流れておった。一税務署長の裁量で、われわれの調査を非常に悪意を持って拒否したという事実にぶつかっておりますから、私はそのように推察しております。そこで長官にお尋ねしたい点は、なるほど国政調査権というものが国会にあり、また委員会にそれが委託されておるということは、法律家でありますから私は十分承知をしておる。けれども国会を構成しておる個々の議員が、国政を調査する国政調査の予備調査として行政庁に参って、行政権の行使について任意に調査をするということがはたして許されないことであるかどうか。われわれ議員活動の一つである国政調査の予備調査ということが、一体あなた方の見解でそういうものが許されないのだというのか、あるいはそれは差しつかえないのだというのか、その見解を最初に伺いたい。
  305. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 国会議員の方が、成規に国会法あるいは議院規則によって国政調査権の発動をして御調査になる場合におきましては、当然われわれとしてこれに御協力をし、そして調査なり報告なり、できるだけのことをする義務があることは、私よく存じております。しかしながら、この予備調査に対して権限ありやいなや、あるいはそれを妨害したのではないかというふうな御趣旨の御質問でありますが、私が報告を受けております限りにおきましては、現地の税務署長は予備調査に対して妨害をしたとか、あるいは予備調査をお断りしたとかいうことではなくて、勤務時間中にそういう意味で職員を個別に呼び出されるということは困ります。正式の国政調査権の御通告をいただいておりませんので、任意においでになった場合におきまして、勤務時間中は公務員として勤務に専念をいたす義務がございますので、そういう意味で個別にお呼び出しになっていただいては困りますという御趣旨のことを申し上げておるはずでございます。   〔発言する者あり〕
  306. 秋田大助

    秋田委員長 御静粛に願います。
  307. 坪野米男

    坪野委員 私たちは現地の税務署長に事前に連絡をして、調査に参りたい、そして協力を願いたいという趣旨のことを連絡いたしております。そして現地に参りまして、その業務に支障があるような調査方法、勤務時間中で働いておるから業務に支障があるということであれば、もちろんそういう調査を無理押しにしようというようなことは決して申し上げておらないのです。短い時間、一人当たりせいぜい十分くらいで済むんだ。そして職務上の秘密に属するようなこと、あるいは業務の運営に支障を来たすような調査方法は遠慮する。しかし、われわれもせっかく来たんだから、任意にわれわれの調査にできるだけ協力してくれということを申し入れたわけであります。ところが現地の税務署長は、まず——職員の執務をしておる部屋で調査をすることはお互いに迷惑だから、あいておる会議室があったらその会議室を貸していただきたいとお願いしたのですが、税務署長は、そういう前例がございませんからと言う。酒税組合のだんな衆には会議室をしょっちゅう貸しておる。ところが、国会議員の先生方に会議室を貸した前例がございませんので、私の一存では決しかねます。こういう非常識な答弁をする。二十八才の若い署長でありましたが、いやしくも税務署長といえば一国一城のあるじ、その官庁の長であります。外部から来た来客が好ましからざる来客であっても、あいておる会議室を一時間、二時間、そういった短い時間使用させて差しつかえがあるかどうかというような判断は、一税務署長の裁量でこれは十分できるはずなんだ。税務署長がそれくらいの裁量ができないというようなことでは、これはロボットだと思う。そういうばかげたことはない。まずそういう形で会議室の使用を拒否された。そしてわれわれは、短い時間でいいんだ、職務に支障があればそれは遠慮しましょう、あるいは職務上のことについて聞くのではないんだ、今労使間の不当労働行為というような問題について、個々の職員、それも全員ではございません、少数の職員についてじかに聞いてみたいんだ、もちろん本人がその調査には応じない、質問に応じないということであれば、われわれとしては強制する意思はない、任意にわれわれの調査に応じてくれるならば、短い時間、職務の支障のない範囲で調査をしたいということを申し入れたけれども、これも拒否をされた。それならばやむを得ないから、休憩時間中に応じてくれる人に調査をしたい。しかしここじゃなく外でやってくれと言いましたが、会議室を貸してくれたらどうかというわれわれの申し入れに対しても、それは困る。結論的には拒否をされたという形で、われわれの国会議員としての国政調査に、あるいは立方活動その他に参画する国会議員のそういった活動を、直接間接に妨害を受けたわけです。私は長官にお尋ねしたいのですが、なるほど個々の議員が行政庁へやって参って、そしてある事項について、行政権の行使についてお尋ねをする、それについて法的に答える義務はない、あるいは協力する義務はないということはわかり切っていますけれども、そういった個々の議員の調査活動に協力してはいけないという法律上の根拠があるかどうか。国会議員が勝手にやってきて、税務行政についてあるいは税務署内の労務行政について、いわゆる行政権の行使について調査に来た場合に、そういった調査を拒否しなければならないという法的な根拠があるのかどうか、それを一つお尋ねいたします。
  308. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 国会議員の方が税務署等においでになったときに、この調査に協力してはいけないというような規則はありようはずはございませんし、またわれわれもそういう指導をいたしておりません。かねがねわれわれとしては、国会議員の方がおいでになったときには、できるだけ礼を失しないようにしなさいということを申しておるわけでございままして、そういう今言うておられるような指導はいたしておりません。ただ小千谷においでになりましたときには、会議室を貸してもらいたい、それで個々の職員について時間を区切って取り調べたいから協力してもらいたいというお話がございましたので、署長といたしましては、勤務時間中に個々の職員が呼び出されるというようなことに会議室を使用されることは非常に困るので、こういう御要望には残念ながら沿えませんという趣旨のことを申し上げているのでございます。
  309. 坪野米男

    坪野委員 長官は小千谷の署長からあるいは局長からどのような報告を受けているか知りません。私は現地に行って、実際に自分が経験してきたのです。今の長官の受けておる報告とはずいぶん違いますよ。  そこで、われわれ国会議員調査に対して、そういう非礼なことをしておらないということでありますが、先ほど私が申し上げたように、個々の職員についての調査は勤務時間中だから困るということで拒否されて、それじゃわれわれは昼休み中にやろうということで、そして会議室を貸してもらえないから、組合の名前で組合から署長あてに会議室の使用願いを出させて、そして一時間の休憩の間に個々の職員についてわれわれは調査をしたわけです。ところが、今勤務時間中だから、五分でも十分でも職務に専念する義務があるから、そんな国会議員の個別の調査に応じられない、こういうことを署長は言っておきながら、十二時十五分から一時十五分までの休憩時間ですけれども、われわれは署長にそういった交渉をしているのに、十二時を過ぎると、組合員であるかどうか知りませんが、課長クラス、係長クラスは勤務時間中に昼飯を食っている。職務に専念しなければならないから、国会議員調査は困ると言っておきながら、われわれの見ている目の前で弁当をあけて昼飯を食っている。署長に対してこれはどうだと言ったら、仕事が終わったから早く飯を食って、また早く勤務につくのでしょう、こういうことを言っておりますが、職務に専念する義務があるのならば、十二時十五分まで机に向かってすわっていなければならぬはずです。それを十二時の鐘が鳴ると同時に飯を食い始めているのです。こういう指導はどうですか。
  310. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 はたしてそれがどういう状況のもとに、また何時に食事をしたかということは存じませんが、しかしながら、勤務の状況によってはあるいは所定の昼食時間に食事ができないので、これをあとにずらす、あるいは前にずらすということもあり得ることかと思います。それらの事情につきましては、私ども報告を受けておりませんので、ここで何ともお答がいたしかねます。
  311. 坪野米男

    坪野委員 大体大蔵官僚というか、税務署の職員というのは、それは頭はいいか知らぬ。法律をたてにとっていろいろ理屈を言っておるけれども、都合の悪いときには法律を無視して常識的に処理する。勝手なときには法律をたてにとってわれわれの要求をはね返すというような、まさにこの場合も、勤務時間がまだ終わっておらないのに飯を食っておる。私が署長にこれはどうなんだと言っても、それに対して答えようとしない、こういう態度です。私はなるほど法律によって行政をやる、これはもちろん役人の義務であります。しかし、法律というものはもう少し常識的に——常識にはずれた法律解釈というものはないと思う。そういう非礼なことが一つありましたが、もう一つ私はけしからぬことだと思ったのは、一時十五分に勤務時間がきたから、われわれの調査は簡単に済みました。そこで、組合の諸君に職務についてもらった。ところが、組合の諸君の好意で昼弁当を出してくれたのです。われわれは税務署長から非常に非礼な扱いを受けて憤慨しておったから、税務署の飯など食わぬというつもりだったのですが、組合の諸君が出してくれたというから弁当を食おうと思って、その会議室で昼飯を食っておったのです。そうすると総務課長が出て参って、どうぞ署長室の方へおいで下さい、あちらがあいていますと言う。われわれは最初、これは署長なり総務課長の好意から、こういう会議室でなしに署長室で飯を食ってくれということだと思っておった。ところがこれは全くの誤解であって、国会議員のやつらにはこの会議室は貸していないのだ、休憩時間中に組合に貸してやったので、休憩時間が済んだからもうここを使用させることはできない、だから国会議員のわれわれを追い出せ、こういうことで、まさにいんぎん無礼、署長室に来い来いと言う。それでわれわれはけしからぬというので、私はその場でどなりつけた。国会議員調査に参って、なるほど署長の拒否にあって必要な調査ができないというなら、これはやむを得ない、任意の調査でありますから。しかし税務署にやって来て、署長室でお茶の一ぱいをいただく、あるいはあいている会議——署長室からほんのわずかしか離れていない、かぎもかかっていないあいている会議室でほんのしばらくの間休憩させてくれ、昼飯を食う二十分くらいの間、その間も国会議員会議室を使用せしめたということであれば署長からしかられ、自分の出世の妨げになるというのか、この総務課長は非常識にもわれわれをこの会議室から追い出そうとしてかかった。そういう非常識なことを言うな、もしわれわれ国会議員を追い出したいのであれば、警察官を呼んでわれわれをつまみ出せ、そういう無礼なことを言うなといって私はしかりつけたのでありますが、こういう無礼な、あるいは非常識きわまる税務官僚、まさにこれは法律の奴隷だ。法匪というのはこういう総務課長を言うのだと思う。こういう非常識な法匪に、あるいは非常識なばか者にわれわれの税務行政、特に税金の徴収をまかしておくということは、これは国民にとって大きな不幸だと思うのです。こういう非常識な人があなたの部下におるのです。あなたはそういうことを知らないのです。おそらくこれは末端の課長なり、あるいは税務署長の非礼ではないと思う。おそらくあなた方にとって好ましからざる、招かれざる客である議員団の調査を積極的に拒否しようという態度から、末端の課長がこういう形でわれわれに対して非礼を働いておるのではないか。私は非常に憤慨したわけでありますが、会議室で昼飯を食う、並びの署長室の狭いところではない、六、七人おるのですからね。今まで使っておった会議室、もう組合の諸君が帰ってしまって、あと十分か二十分飯を食ってお茶をよばれて引き揚げる、そういう使用を拒否しなければならない、それほど税務署というものは法律を無視したものであるのか、またそれだけ拒否しなければならない根拠があるのか、それを一つお尋ねしたい。
  312. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 私はその場に立ち会っておりませんので、ここで私が受けた報告の範囲内で御答弁を申し上げます。  確かに総務課長がこの会議室から出ていただきたいということは申し上げておりますが、しかしその際に、総務課長は、食事は署長室に準備しますから署長室で上がって下さいと申し上げておるはずでございます。こういうことを申し上げておりますので、必ずしも、ただいま御指摘になったように、追い出すとかなんとかいうようなことではなくて、署長室に準備いたしますから、そちらで召し上がって下さいという趣旨で申し上げたものと私は確信いたしております。
  313. 坪野米男

    坪野委員 そういうその報告を受けておられるから困るのですよ。それは税務署長がわれわれにごちそうを出したというなら——われわれも初めはそういうことかと思ったら、そうじゃないのです。そちらに用意してございますからと言うが、用意してございますでも何でもない。用意したのは組合の連中なんです。この部屋から放り出したいためにわれわれにそういうことをしつこく言うのですよ。よく考えてみれば、なるほどあなた方にその点があるのだということの意味がよくわかったから私どもは憤慨したのです。ですから、よく一ぺん調査して下さい。ささいなことですよ。つまらぬのです。われわれはこういうつまらぬことを国会委員会で言いたくないのです。しかし私は、一つ長官に最後にお尋ねというよりも、強く要望しておきたいのは、国会議員が国政調査の必要上——もちろん憲法にいう調査そのものではないのですよ。けれども国会議員国会活動、あるいは行政権の行使に対して国権の最高機関としての国会の一員である議員が活動する際に、任意に調査して——もちろん好ましくない調査を拒否するということもあるでありましょう。けれども、全面的にわれわれの入室を拒む。われわれは暴力的に入ったわけでも何でもない。そういう指示をしておらないと言っておりますけれども、あの当日われわれの受けた処遇は、まさに全面的にわれわれの調査を妨害されたという一語に尽きるわけでありますが、今後この関東信越国税局の中でこういう部下が——もちろん労使間の非常にシビアな問題で対立しておりますから好ましくない来客であろうけれども国会議員調査活動についてこういう形の非協力あるいは妨害といったことについて、一つあなたの方の部下の報告だけにたよることなしに、もう少し客観的な立場で調査をして、そういった非礼があったということであれば、今後厳重に部下を監督していただきたい。こういうことは確かに私だけではない。小林委員も一緒に参ったわけであります。全部がこれを経験して、非常に不愉快な思いをして帰ったわけであります。ですから、その点くどくは言いませんが、われわれの調査活動に対するこういう形の妨害については厳重に監督をしていただきたいということを強く要望して私の質問を終わります。
  314. 小林進

    小林(進)委員 関連して。私も実はこの問題で質問をするつもりで用意をしてきましたが、きょうは時間がありませんからやめます。一日にあらためて質問いたしますが、その小千谷地区における実情はあなたの部下の今の答弁うそですから、そういう同じ答弁を一日も繰り返さないように、いま一回あなたたちが小千谷の税務署に行かれるか、さもなければあなたにかわるしっかりした人が行って、事実をくまなく再調査をしていま一回答弁をしていただきたい。私ども国会議員は、災害があろうと、台風があろうと、あるいは不祥事件があろうと、労働事件があろうと、問題があればくまなくそれを調査して実情を調べて、そうして国政に反映せしめるという崇高な義務がある。あなた方役人というものは、国会の正式の委員会の任命で行くときはもちろんでありますけれども国会議員の国政の調査に対しては、そのいかんを問わず、基本的には協力する崇高なる義務がある。それをそういう形で拒否せられたことは、私ども民主政治を破壊する重大な問題だと考えておる。一つあなた方も実情を調査して答弁をしていただきたい、これだけ要望しておきます。
  315. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 私たち公務員は、法律に定められました国会の国政調査権につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、全面的に御協力をすべき義務がございます。これは法律上当然のことでございます。ただ、国会議員の方が個々においでになって任意に御調査になる場合におきましては、非礼にわたらないようにという注意はいたしておりますけれども、しかし全面的に御協力をいたすということにつきましては、職務の執行との関係であるいは御要望に沿いかねることもあるかと思いますので、この点は御了承をいただきたいと思います。
  316. 秋田大助

  317. 川村継義

    川村(継)委員 数年前この委員会でずいぶん御審議をわずらわした事件がございました。それは熊本の南端にございます水俣市にございます新日窒工場の廃水であるといわれた有機水銀が原因だという指摘のもとに、おそるべき水俣病の発生を見た事件がございましたが、その当時、国会におきましてもずいぶんと審議をわずらわしたのであります。その工場で、現在まことに残念でございますけれども、大へんきびしい状態になっております労働争議が勃発しております。私は先般、同僚議員と一緒にこの争議の状況を見て参りましたが、いろいろと疑問に思われる点がございますから、二、三この際当局お尋ねをしておきたいと思います。大へん時間もおそくなっておりますし、いろいろとこまかな論議は別にして、私が疑問とするところをお尋ねいたしますから、なるべく的確にお答えをお願いしたい、このように思うのでございます。  皆さん方もうすでに御承知の通りだと思いますけれども、この争議の経過は、これを申し上げておるともう時間がたって仕方がありませんから大ざっぱに申し上げますと、二月一日に組合側が会社側に対して賃金要求を出した。これから実は始まっているわけでございまして、その後団交が重ねられておりましたけれども、なかなかはかばかしくいかないで、三月の二十六日に会社側が回答ゼロの返事をよこしたのであります。これから組合側がスト権を行使いたしまして、二十四時間のストライキをやったり、さらに団体交渉を再開いたしたりして参っております。越えて四月の十七日に、突如として会社側が安定賃金方式による回答を出しまして、これをのめと組合側に要求したのでございまして、これから相当事態が悪化してきたと考えるのでございます。五月の四日には、組合側とともに中労委にあっせんの申請をいたしました。自来中労委があっせんをいたしましたけれども、ついにこれが六月の六日に至りまして不調に終わったのでございます。組合側はこの中労委にあっせんを依頼したときに、いわゆる平和条項というようなものを提示いたしております。これは後ほどまた必要によって指摘をしてみたいと思います。これから、中労委のあっせんが不調に終わりましたので、事態がいよいよ憂慮すべき状態になって参ったのでございます。越えて七月の二十三日に、会社側がロック・アウトの通告をいたしました。これによって組合側が全面無期限ストに入ったのでございます。それから今日まで労使の対立が非常に激化して参っておるわけであります。この状態に対処いたしまして、地労委が中労委から管理権の委譲を受けまして、八月の十日ごろあるいは八月の二十日ごろ、両度にわたってあっせんをしようといたしましたけれども、会社側が頑として応ぜずに今日に及んでいるわけでございます。会社側は八月の六日に仮処分の申請をいたしましたが、これがまだ決定を、裁定を見ないうちに、八月の十一日に、ついに新しく会社側によってつくられましたところの、いうところの第二組合、これによって強行就労をいたして、事態はますます紛糾をいたして参っているわけであります。越えて八月の二十七日仮処分の裁定が下りまして、今度の裁定をめぐりましてさらに大へん憂慮すべき事態に立ち至っているわけでございます。  これが大ざっぱに申し上げまして経過でございますが、この争点は、申し上げるまでもなく、安定賃金方式をめぐる会社側と組合側との争いということになっておるわけでございます。安定賃金の内容については、当局はお聞き及びのことだと思いますが、私が今それをここに述べておりますと時間を要するわけでございますが、要するに、簡単に申し上げさしていただくならば、今会社は合理化をやらなければならない、あるいは千葉の五井にコンビナートを建設にかかっている、そこで、今後四年間絶対にストライキをやるな、そうして次のような賃金の方式をのめ、こういうようなことであります。ところが、組合はこれを、そういうことはわれわれとしては認めるわけにいかぬというのが争いになっておるわけでございますが、そこでまず第一に通産省にお尋ねをいたしたいと思いますが、新日窒の工場、会社側は非常に経営が悪いということを申しております。そこでまずお尋ねしたい第一点は、安定賃金の争いにかんがみまして、新日窒の経営状態は、通産省の皆さん方はどのように分析して見ておられるかということであります。そこで、これは一つ一つお尋ねするのが当然かと思いますけれども、私が項目的に申し上げますから、皆さん方の方でおわかりのところをお知らせいただきたい。  まず第一に、新日窒の方は、この工場のいわゆる製造原価の中に占めている労務費というものがどれくらいのパーセントを占めているか、これが一つであります。その次に、新日窒工場の会社側の経営のいわゆる問題として、長期、短期の借入金その他負債、こういうものは一体どれくらいあるかというような問題、これをまず初めにちょっとお聞かせいただきたいと思うのです。
  318. 田邊誠

    ○田邊説明員 ただいまの御質問に対してお答えいたします。  私、無機化学課長をいたしておりまして、高圧ガス取締法に基づく取り締まりの職にあるものでございまして、ただいまの御質問の点につきましてはつまびらかでございませんので、帰りまして上司に報告してお答えいたしたいと思います。
  319. 川村継義

    川村(継)委員 そうですか、そうしたらちょっと困りますね。あなたの方ではおわかりにならないはずはないと思いますが。
  320. 田邊誠

    ○田邊説明員 私はただいま存じ上げないのであります。
  321. 川村継義

    川村(継)委員 あなたの方が、局長が非常に何か差しつかえがあるというので、課長の方で責任を持って答弁しようということでありましたので、差しつかえございませんと私個人としては御返事したのでございますけれども、それがはっきりしませんと、実は安定賃金をめぐる両方の争点が、一体どちらが正しいのかわれわれはつかめないのでございます。それがわからないとなりますと、私がついでにお尋ねしようと思っておりました、いわゆる新日窒あるいは日東化学、東洋高圧、住友化学、こういうような総合各社におけるところの財務関係について、あるいは固定の比率がどうなっておるのか、平均払い込み利益率はどうなのか、資本構成はどうなのか、こういうこともお答えいただけないわけですね。
  322. 田邊誠

    ○田邊説明員 お答え申しあげることができません。
  323. 川村継義

    川村(継)委員 これは一体どうしたらいいか困るのですが、では両方の争点がはっきりしませんと、私たちせっかく現地を見てきて、一番問題点になっておるのをここで考えてみたい。それにはどうせ皆さん方の調査に基づいている資料をいただかなければ考えられないのでございます。課長の方でおわかりにならないなら、これはどう言ったって仕方がないのですが、それでは課長、大ざっぱに聞きますけれども、今私が申し上げましたような総合各社の財務のいわゆる固定比率の問題、あるいは平均払い込み利益率の問題、あるいは資本構成の問題、流動比率、こういうような財務関係の問題から、あるいは会社の負債、長期借入、短期借入の状況、製造原価に占める労務費、こういうものがどうなっているかということは、ほかの日東、東洋、住友、日産、東亜合成、宇部鉱山、三井化学、三井合成、こういうような各社に比べて一体どういう位置にございますか、悪いのですか、よいのですか。
  324. 田邊誠

    ○田邊説明員 先ほど申しました、私高圧ガスの取り締まりの関係をいたしておりまして、新日本窒素の生産品目に関しましては所管でございませんので、他との比較の実情を御返事できないような状態です。
  325. 川村継義

    川村(継)委員 これはちょっと困ったのですが、それではちょっと今のはやむを得ません。これは大事な問題でございまして、これをお聞きしなければわれわれは考えがつかないのでございますが、それでは工場のいわゆる操業上の、保安上の、技術上の問題、これはおわかりですか。
  326. 田邊誠

    ○田邊説明員 一応お答えできます。ただいまの問題については、御質問に応じてお答えいたします。
  327. 川村継義

    川村(継)委員 実は八月の十一日に新しい組合職員が二、三百中に入ったという、そうしてそれで操業しているわけですね。ところが、新しい組合の諸君の大体の構成は事務系統の諸君、それから係長、課長、こういうような職員クラスの人が多いわけです。実際その工場の日常運転に携わっておったところのほんとうの技術者というのが少ない、こういうことがいわれております。そこで私たちが現地を見て一番心配したのは、無理にそういうようなことで仕事をさせたら大へんな事態が起こりはしないか、もちろん組合側が保安要員は入れておりますけれども、大へんな事態が起こりはしないか。御承知の通り、あそこの工場は、昨年二回思わない爆発を起こして死傷者も出しておる。付近の民家に相当な被害を与えておるわけですね。これは私なんかのしろうとが言わなくても、化学工業が一つ操作を誤ったらどんな事態になるかは御存じの通りです。そこで私たちは、先般局長も課長さん方もおいでいただいて、何とか一つこれを、会社の方に有利になるとか、組合に有利になるとか、そんなことは抜きにして、大事な保安上の問題だから通産省でこれは現地を調査する権限があるはずだから、ぜひやってもらいたい、そしてそういう不慮の爆発事故等を起こさないようにしてもらいたい、こうお願いした。どのような処置をしていただきましたか、その結果と、それから向こうの状況おわかりでございましたらちょっとお話しいただきたい。
  328. 田邊誠

    ○田邊説明員 八月二十三日の日に、熊本県庁に対しまして、県の労働基準局と打ち合せの上現地におもむいて、保安官に対して保安設備、作業状況あるいは就労の状況について調査をするように指示いたしまして、県の方でもそれを了承しております。なお、本日県に連絡いたしまして、本日まで県庁と現地の労働基準局で、まだ現地に行っておりませんが、それで私の方で電話をかけまして事情を伺いましたら、できるだけ早いうちに行なう、その際通産省といたしまして、さらに福岡通産局の担当者を派遣するということにいたしております。
  329. 川村継義

    川村(継)委員 そうすると、まだ調査の実態、結果というものはわかっていないわけですね。
  330. 田邊誠

    ○田邊説明員 まだわかっておりません。
  331. 川村継義

    川村(継)委員 そうしますと、私とやかく申し上げませんが、今のお話しのようなことで、至急に一つ最も有効な手段を講じていただきたい。先ほど私が申し上げましたようなとんでもない災害が起こらないように、できるだけの一つ指導をしていただきたい。
  332. 田邊誠

    ○田邊説明員 県に連絡いたしまして、できるだけすみやかに現地調査を実施するように督励いたします。
  333. 川村継義

    川村(継)委員 その結果またこの委員会にお知らせいただけますか。
  334. 田邊誠

    ○田邊説明員 結果をお知らせいたします。
  335. 川村継義

    川村(継)委員 それでは次に、労働省の方の皆さんにちょっとお聞きしたいと思いますが、労働行政についてちょっと私疑問のあるところがあるからお尋ねしますから、教えていただきたいと思うのです。  実は先ほどもちょっと申し上げましたように、八月の初めころと八月の半ばに、地労委が二回ほどあっせんに入ろうとした。ところが、会社がもうあっせんに入る前にやってくれるな、こういうことで拒否をしておるわけです。もちろんこういうような紛争は、私考えましても、お互いの両者の間に、自主的になるだけ話し合いをして解決していくことが望ましいと私は思っております。しかし、事態がこんなに紛糾してこじれてくると、なかなか両者でうまくいかない。そういう場合に、やはり労働委員会のあっせん、仲裁、そういうような方法が必然的にあるだろうと思われるわけであります。ところが、この点について会社が受けない、こう言ったら、一体労働委員会というものは、そうでございますかと、こう言わざるを得ないのでございますか、その辺のところをちょっとお答えいただきたい。
  336. 堀秀夫

    ○堀政府委員 今回の水俣争議につきましては、御承知のように双方の主張が非常に対立しておる関係もございまして、難航をしておるのでございますが、労働省といたしましては、この紛争がなるべくすみやかに円満に解決することを期待しつつ、関係機関においてできるだけの努力を払うことにいたしまして、いろいろやっておるわけでございます。ただいまお話しのように、五月から六月にかけまして中労委があっせんをいたしましたが、そのあっせんは不成立に終わったわけでございます。そこで中労委から、最近の情勢にかんがみまして、管轄の熊本の地労委に対しまして管轄の指定を行なったわけでございます。熊本の地労委は、それに基づきまして目下あっせんを行なっておる段階でございます。あっせんと申しますのは、御承知のように、労働組合法に基づくところのあっせんでございます。あっせんにつきましては御承知のように強制権限はないのでありまして、当事者の間に労働委員会としてあっせん員を立てまして実情を調査し、事情によりましてあっせんをする、こういう段階でございます。強制権はないわけでございます。
  337. 川村継義

    川村(継)委員 その辺は私も大体承知しておるわけでございますけれども、実は労働法、労調法、それらの目的を考えてみると、これは大体労働者を守っていくという趣旨から生まれているということは言えると思います。そうなりますと、今度のあっせんにいたしましても、法律の建前は今お話しの通りだと思います。ところが当然これはあっせんすべき内容を持っておると私たち見ておる。それをあっせんに入ろうとすると、会社がやってくれるな、こういうように拒否される、ものにならぬということになりますと、今日の事態に立って考えると、結局は会社側のいろいろの思惑あるいは計画、手段に地労委というこの機関が援助している、大へんこれは言葉が悪いかもしれぬが、援助している結果になってしまうのじゃないか。労働組合はあっせんをしてもらいたい、こう言っておる。そうなると、そのあっせんがどういう形において成立するかどうか、あるいは出たものを受けるかどうか、これはいろいろありましょうけれども組合側があっせんを受けたい、こう言っているときに、会社側は受けない、こういうような状態にあるときに、そうでございますか、こういう機関では、何か今日の事態を考えるときに、大へん残念な気がするわけです。つまり会社は、率直に言うと先ほどちょっと申しました安定賃金をあくまでものませたい、それがためには今の新しい組合をどんどんつくっていって、そして第一組合、もとの組合を少なくして自分たちの意図に従わせよう、こういうことであらゆる手段を尽くしておるわけですね。ところが地労委等があっせんができないということになりますと、結局そういうようになっていくであろうということを容認せざるを得ないような結果になるのじゃないかというところにおいて、地労委のあっせん等について、非常に熊本の地労委の人たちが善意に努力を重ねて下さることは非常に認めておりますけれども、結果においてそういうことになりはしないか、こう疑わざるを得ないのであります。この辺についての御見解をちょっと聞かしてもらいたい。
  338. 堀秀夫

    ○堀政府委員 労使関係の問題についての基本的な労組法あるいは労調法の考え方は、当事者労使双方が自主的に交渉を尽くし、話し合いを尽くして、その平和的な解決を期待する、この根本的な基調に立っておるわけでございます。しかし、当事者双方間においていろいろ問題が対立するというような場合におきまして、労調法等に基づきまして労働委員会がその間に立っていろいろな努力をする、このような建前になっておるのでありますが、やはりその基調と申しまするのは、当事者双方がいろいろ話し合いを行なうということを助長し、援助する、それと同時に、労働委員会はあっせんその他の事実行為を行なうことによりまして、その当事者を取りまく社会的な環境あるいは世論、そういうものに訴えつつ争議解決のための努力をする、このような建前になっておるわけでございます。ただいまお話しのように、あっせんというものが強制力はございませんので、いかにもなまぬるいようにお考えになるわけでございますが、あっせんと申しますのは、何と申しましても労使及び公益の権威者を集めまして、その権威者をもって構成されるところの労働委員会がいろいろな努力をする。これによって当事者間の紛争解決のための努力をさらに前進させようというのがねらいでございます。  お話のように、当事者間においていろいろ意見がありまして、あっせんが難航しているのは事実でございますが、熊本の地労委におきましても、実は最近総会等を開きまして、さらに解決のためのいろいろな方法を考えておられるようでございますので、私どもといたしましては、熊本の地労委がせっかく今努力中でございますので、さらにその努力の結果を待つという態度で、これをもう少し見守って参りたいと考えておるわけであります。
  339. 川村継義

    川村(継)委員 私は意見はなるべく申し上げないつもりでおりますけれども、お気持はわかりますけれども、実は仮処分が出た。そうすると、おそらく近々また強行就労というようなことが行なわれたりなどして、大へん憂慮すべき事態が起こるのではないか。そうなりますと、せっかくあっせんを一つやってやろうとお考えになっても、そんなものはどこかへいってしまうのではないか。そういう点が気になる。しかし皆さん方の考え方はわかったわけです。  そこで次に、会社側は、実は安定賃金の内容も御存じだと思いますけれども、四年間ストライキをやるな、そのかわりこの賃金をのめ、こういうのが安定賃金の会社から示している方式でありますが、四年間もストライキを規制していくような労働協約を結ぶということと、労働組合法にいいますところの十五条の有効期間、これはどういうように考えたらいいのでございますか。
  340. 青木勇之助

    ○青木説明員 今御指摘のような労組法第十五条におきましては、労働協約に有効期間を定めます際は三年以上を越えることができない。しかし、無期限の労働協約のときはこの限りでない、こういうふうになっておりまして、ただいま会社側が提案いたしております安定賃金等でこれが確定期限付のものになるのか、あるいは期間を定めずその内容において四年間ということできめるのか、現在はっきりいたしておりませんが、一応法的には確定期間をつける場合は三年、期間をつけないときはそのままでもかまわない、こういうふうに相なっております。
  341. 川村継義

    川村(継)委員 あるいは組合に示した会社の内容をお聞きになっていないかと思いますが、こまかいことは申し上げません。私が今申し上げましたように、昭和三十七年、八年、九年、四十年、千葉の五井のコンビナートの建設が終わるまで四年間ストライキをやめろ、そしてこの賃金をのめ、こういうことなんです。いわゆる十五条違反じゃないかと思っておるのでありますが、これはいかがですか。
  342. 青木勇之助

    ○青木説明員 当該締結されました結果の労働協約を見ないと、直ちにそれが労組法十五条に抵触するかどうか、これははっきり申し上げられないと思います。内容がたとえば五年、十年にわたるものでありましても、その協約に確定期間がついておらないという場合でございますれば、一方当事者は十五条の規定に従いまして、九十日前の予告によりいつでも解約できる、こういう建前になっておりまして、締結されました当該協定がどういう格好に相なるか、これで労組法十五条との関係が規定されると思います。
  343. 川村継義

    川村(継)委員 まだ締結されてないんですね、今けんかのまっ最中なんですから。わかりました。  それから十七条関係に一般的拘束力をうたっておるわけですが、実は会社側は新しい組合ができまして、その新しい組合といろいろ協約的な申し合わせをして——正式に労働協約となっておるかどうか私知りません、しかし賃金はこう払う、あるいはこうするという、いろいろ申し合わせができておるわけです。ところが、この新日窒の従業員は三千四百ばかりおります。その中で、今大体六百ばかりが新しい組合です。そうなると、一体新しい組合と会社が取り結んだそういうものは、もとの組合を押しのけてそれが有効になるかどうか、この辺の法律の考え方をちょっと聞かせてくれませんか。
  344. 青木勇之助

    ○青木説明員 御指摘の労組法第十七条は、一の工場事業場に常時雇用される同種の労働者の四分の三以上の者が一つの労働協約の適用を受けた場合は、当該労働協約が他の少数労働者にも適用がある、こういう旨を規定いたしております。従いまして、現在問題になっております新日窒の数の問題は別といたしまして、四分の三以上の労働組合がかりにある特定事項について労働協約を締結したという場合は、他の少数組合にもその適用が及ぶ、しかしながら、多数組合がまだ協約を結んでおらない場合は、少数組合と会社間で締結いたしました労働協約もなお効力を持って当該小数組合組合員に適用される、こういう法律関係に相なります。
  345. 川村継義

    川村(継)委員 解釈はそうだと思いますね。ところが、新日窒の場合は、もとの組合はちゃんとした労働協約を持っておるわけですね。会社側は六百ばかり引き抜いて新しい組合をつくった。そのつくったところの組合といろいろと申し合わせをして——これが正式の労働協約になっておるかどうか知りませんよ。かりに労働協約をつくったとした場合に、それが有効であるかどうか。私は十七条のあれからいくと、それは有効ではないのじゃないかという疑問を持っておるわけです。それはどうなんですか。
  346. 青木勇之助

    ○青木説明員 私、まだ現に旧労と、旧労と申しますか、分裂前の組合と会社とが結んだ協約の内容、それから新しくできました組合と会社間で結びました協約の内容、ここらあたりを見ておりませんので、どういう法律関係になるか、ちょっとここではっきり申し上げかねます。  なお、当該協約の内容自体にも問題点がございまして、第一組合の方の締結しました協約内容と別個の観点から新協約が結ばれておるということになりますと、その関係からもやはり適用関係については問題が出て参る、こういうふうに考えております。
  347. 五島虎雄

    ○五島委員 関連して。今の説明で、三年以上こえて労働協約を締結することはできない。有効期間は三カ年だ。しかし無期限の、期限をきめてない労働協約は何年でもいいというように説明されたと思うのですけれども、何年でもいいあれは、三年をこえることはできないということに制限されて、無期限にやるような労働協約というものは法上認められていないと解釈するのが正当じゃないかと思うのですが、どうですか。
  348. 青木勇之助

    ○青木説明員 二十四年法の改正の際は、たしか無期限の労働協約は認めないということになっておりました。しかし、二十七年改正で、十五条の第三項の前段にもございますように、「有効期間の定がない労働協約は、」云々、こういう規定がございまして、法律上は当然に無期限の労働協約を前提として規定されてあるわけでございます。
  349. 五島虎雄

    ○五島委員 そういうあれだったら、労働協約は何年間でも結ぶことができる。しかし一方では、「労働協約には、三年をこえる有効期間の定をすることができない。」そして二項には、「三年をこえる有効期間の定をした労働協約は、三年の有効期間の定をした労働協約とみなす。」だから三年以上が無期限であっても、それは当然三年間が労働協約の有効期間であって、三項の解釈は、それ以上一年であるか二年であるかという有効の期限の定めがない場合は、当事者の一方から破棄できるということに読んだ方が正しいんじゃないですか。四年間の安定賃金というものは、これは一つの協約になるわけです。従って、三年をこえては期間をきめることができないと解釈するのが至当であって、四年間の安定賃金をきめた協約というものは、それ自体が三年間に限定される、こういうようなことに解釈されないですか。いや、それが正当だと思うのですが……。しかしわれわれは、昭和二十七年の改正以前には、なるほど無期限の労働協約をつくってきました。しかし改正後は、三年間の労働協約をそれぞれの組合が結んでいるはずです。無期限の労働協約を結んでいる組合はほとんどないと思いますけれども、労政関係では全国でそういうようなものがあるのかないのか。あって、無期限の労働協約の場合は、いつまでも有効であると解釈されるような労組法の運用をされているのかどうかということを聞いておきたい。
  350. 青木勇之助

    ○青木説明員 まず第一点、十五条の解釈の問題でございますが、第一項におきまして三年間という最長確定期間を限りました法の趣旨は、確定期間を設ける労働協約については、その期間があまりに長きに達しますと、経済情勢その他の変更等によりましてかえって労使間に紛争が起こる。そういう観点から、有効期間について確定期間を設ける場合は三年です。従いまして、確定期間として五年あるいは十年というふうに期限を切って協約の有効期間を締結いたしましても、第二項の規定によって三年というふうに相なります。今先生御指摘のありましたように、昭和二十一年法のもとにおいては、無期限の協約も一応認められております。それが二十四年法の改正で、無期限の労働協約はだめだ。これが二十七年改正で現在の三項が入りまして、無期限の協約の場合は有効に存続し得る。ただし確定期限付の場合は、当該確定期間が経過いたしませんと、協約を一方的に破棄することはできません。これに対しまして、無期限の労働協約につきましては、第三項の規定によりまして、九十日前の書面による予告によって一方的に解約できるということによりまして、経済情勢の変更その他には対処しておるわけであります。  第二点でございますが、四年間の内容を提示しておるじゃないかという点の御指摘でございますが、内容は一応四年間でありましても、確定期限付で有効期間は三年という協約の締結方法もございます。内容は一応四年としておきまして、無期限にしておき、経済情勢の変動その他によって、いつでも一方的に破棄し得るというようなきめ方もできるわけであります。  第三点は、二十四年法の改正以来労働協約の届出制がなくなりまして、現在無期限の労働協約が全国でどれだけ締結されておるか、そういう実態についてはちょっと把握いたしておりませんが、現に無期限のものもございます。
  351. 川村継義

    川村(継)委員 論争しておると時間をとりますが、今の点は、率直に言って、会社の回答の示してきた内容をほんとうは私は申し上げるべきです。四年間ぴしゃっときめていこうというのですから、あなたの解釈からすると、やはり四年間は、これはちょっとおかしいじゃないかという解釈になるわけですね。そういうところで私は了解しておきます。  そこで、局長さんにちょっとまたお尋ねいたしますが、この内容で安定賃金を示しておる。われわれは、こういう問題はやはり労使が話し合って、おそらくストライキするのは両方とも好まないわけですから、いろいろな賃金問題が起こった場合には、話し合いをして、できるだけ一つ円満に妥結点に到達しようというような形でいくのがほんとうだと思います。ところが、四年間ストライキはやめなさい、そのかわり賃金を四年間やってやる、こういうような形で組合に持ってくるという考え方、これは法律論じゃないが、そういうような押っつけ、これは一体どうでございます。
  352. 堀秀夫

    ○堀政府委員 賃金をどのような形態において、あるいはどのような期間にわたって定めるかということについては、いろいろ利害得失の存するところであろうと思うのでございます。あるいはお話のように、賃金というものはそのつどそのつど話し合って、なるべく短期間に更改していくという考え方もございましょうし、あるいは会社の経営その他から見まして、なるべく長期にわたって安定した協定を結んでいこう、こういう考え方もあると思うのでございますが、外国の事例等を見ましても、いろんな場合があるわけでございます。ただいまの御質問でございますが、私は率直に申しまして、ただいま安定賃金を結んではどうかという問題が労使間の焦点になっており、そのために紛争が解決されないでおるのでございます。その過程におきまして、先ほど御答弁申し上げましたように、中労委が介入し、あるいは地労委がただいまあっせんをいろいろしておる、こういう非常にデリケートな段階でございます。このような段階におきまして、会社側の主張するところが適当であるとかあるいは組合の主張するところが適当でない、あるいは適当である、そういうようなことを私が申し上げますることは、非常にデリケートな立場にある現在の情勢におきまして、かえって紛争の早期円満解決を阻害することにならないかとおそれるものでございまして、お尋ねでございまするが、いろいろな考え方がその場合々々において成り立ち得るということだけを申し上げて、それ以上に、会社の主張が正しいかあるいは間違っておるか、あるいは組合の主張が正しいか間違っておるかというようなことは、私がこの席において申し上げることは遠慮さしていただきたいと思います。
  353. 川村継義

    川村(継)委員 立場はよくわかるのですが、ただわれわれが考えるのは、皆さん方に、会社の方に有利になるとか組合に有利になるお答えをいただこうとは思っておりません。ただ労働者に与えられた罷業権というものを抹殺する、そういうようなことを強制するような考え方、そういったやり方が正しいかどうか、これはあなたの立場でも何か回答ができそうなものでございますね。そうでしょう。罷業権を抹殺する、取り上げるということは一体どうなんだ。安定賃金方式をとっているところもあるかもしれませんよ。しかし、組合側がここまでは譲歩しよう、こういう形でいきましょう、しかし罷業権まで奪い取るようなことだけはやめてくれ、こう言ったときに、それをのまなければだめだというようなことで、罷業権を抹殺するような考え方でこの安定賃金というものをのませようとしておるそのことは、これは一体組合法その他から考えて妥当であるかどうか、これは皆さんは法律の番人なんですから、おわかりだと思いますがね。
  354. 堀秀夫

    ○堀政府委員 罷業権はもとより労働基本権の重要な一つでございまするから、これを抹殺するというようなことは適当でないとは思います。ただその場合におきまして、労使合意で労働協約を結び、この間はこういうような賃金形態でいこう、その間はストをやらないというような労働協約を結ぶことは、これは適法であるわけであります。しかし、それが妥当であるかどうか、そういうふうにすべきかどうか、特にこの熊本の場合においてどういうようにするのが適当であるということを私が今申し上げることは、かえってデリケートな立場にある現在の労使間にデリケートな印象を与え、それによってかえって紛争の早期解決を阻害することになると考えます。従いまして、労働者の基本的権利の重要な部分であるストライキ権を一方的に抹殺する、これはもとより許されるべきことではありませんが、しからば労使が話し合ってそのような協約を結ぶことができるかといいますと、これはできると申し上げざるを得ない。しかしできると申し上げるのは、これは法律上できるということでありまして、この場合にそれが適当かどうかというようなことを私は申し上げるつもりはありません。その点は、この場合において、私の考え方を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  355. 川村継義

    川村(継)委員 これ、なるかならぬかわかりませんが、私は大へんな事態を憂慮しておるわけですが、中労委の方から地労委等に管理権を移してもらっているわけですから、地労委のあっせんの努力によって解決できる方法がありましたら、一つ早急にうまくまとめてくれるように努力をお願いしておきたいと思います。  そこでもう一つ、今度は警備局長おいででございますから、この争議について、警察の警備問題についてちょっとお尋ねをしておきたいと思います。  いつでも労働争議に対して警察権の行使というのはよく問題になることでありまして、大へん残念でありますが、われわれは警察も、最も公正に警察権の行使を考えておられると信じております。今度の水俣の場合も、警備の責任に当たっておられる諸君は十分配慮はしておられるようでありますけれども、事実は幾つかの警察権行使の行き適ぎじゃないかと思われる事件が起こっておる。それらについて二、三お尋ねをしたいと思いますが、現地における警備方針というものがどう立てられておるか、御承知でありましょうから、一つそれを初めにちょっとお聞かせ願いたい。
  356. 三輪良雄

    ○三輪説明員 お言葉にもございましたように、労働争議そのもの介入いたすことは断じてないということで、ただ労働争議に伴いまして、労使いずれの側も、争いでございますので勢い法の範囲を逸脱いたしまして、違法行為にわたることも間々あるわけでございます。そういうことに対しましては警察本来の任務でございますので、犯罪の発生を防ぎ、また争いによって生じますお互いの身体、財産の危険を防ぎ、不幸犯罪が起こりました際にはこれを検挙するということにならざるを得ないのであります。これは一般論でございますけれども、今回の水俣争議におきましても、先ほど経過につきましてはお述べになりましたが、大体七月二十三日に組合側が無期限部分ストを通告し、同日会社側がロック・アウトをいたしまして、その翌日、先ほどのお話のいわゆる新労組、第二組合というものができたわけでございますが、自来旧労と新労との間で非常に感情的対立がございましたし、それから三池の炭労の組合員を初めといたしまして、ときによって違いますが、五百ないし千の旧労に対する応援もございます。そこで、そういうものを含めまして旧労側が三千ないし三千五百、新労側が七百ほど、その間にいろいろな機会にトラブルがあったわけでございます。そういうことで、現在までで申しますと、私どもが刑事事件として扱わなければならぬと判断いたしますものが実は三十一件もあるのでございます。うち十二件は告訴でございます。  そういうようなことで、次第に第二組合が就労をするという気がまえを見せて、二つの間の対立が非常に激化して参りますにつけまして、そういった事故が起こりませんように、警察としては必要な警察力を持っていっておるわけでございます。大体七月二十四日百名でございましたが、自後、事態に応じまして、実は八月六日ないし十二日は約千名の警察官を持っていっております。十二日から十六日までは、実は交代要員ということもございまして、鹿児島、宮崎から合計二百人足らずのものを、応援を求めましてやっておったようなことでございます。自来、だんだん五百ほどに減らしましたが、実は一昨二十七日に仮処分が出まして、また製品の搬出あるいは材料の搬入あるいは新労員の入構というような問題が予測されますので、再びほぼ千人の警察官を持っていって、そういった事態が起こらないように警備をいたしておるのでございます。繰り返して申しまするけれども、いずれの側に警察が立つということでなくて、そういった事態を防ぐという趣旨で警察が警備を行なっておることを御了解いただきたいと思います。
  357. 川村継義

    川村(継)委員 当局の考え方、一般的な警備方針、それはその通りだと思います。しかし実際は、いろいろと現地では問題が起こっているわけですけれども、町の声あるいは特に相手側であります組合関係の諸君は、警察は会社の手先だ、新しい組合は警察によって守られ、育てられておる、こういうような見方が大へん強い。というのは、いろいろ事実があるわけです。それで、私は過ぎ去ったことを、あまりその論議をしてとやかく言いたくありませんけれども、やはり警察権力行使の公正を期する意味においては、十分一つ参考にしていただかなければならぬ、また、今後の警備上の問題として一つお考え願わなければならぬと思います。  そこで、まず一つお尋ねいたしますけれども、これはあと内容を申し上げたいと思いますが、八月上旬水俣署の次長が急遽転任になった。これはあなたはどういう理由で転任になったか御存じでございますか。
  358. 三輪良雄

    ○三輪説明員 次長が特に特別の理由があったと私は承知をいたしておりませんが、実はちょうど七月というのは、四月と並びまして警察では異動をいたします時期でございます。そこで、管内である程度の異動をいたすということにつきまして、この事件にかんがみて、当該の署の係を動かすことはいかがかということを考えたようでございますけれども、しかしこの争議というものは相当長引く見込もございまするし、全体の警察の人事というものから見て、必要だと思うものにつきましてはこの際断行をして、新しく行った者に新たな観点でこの仕事に当たらせるというような結論に達して、異動をいたしたものというふうに聞いておるのでございます。
  359. 川村継義

    川村(継)委員 それから八月の五日、これは実は市街地の地図がないとなかなか了解しにくいことだと思いますが、この工場の従業員の社宅がある一角があります。これは八幡社宅と言います。この八幡社宅の入口で実はトラブルが起きていて、逮捕者を出しておるのですね。それで、警察側の意見を聞くと、組合員が警察に暴行を働いた、公務執行妨害だ、こういうような形になって逮捕されたようであります。ところが、実際の現地の状況をつぶさに見てみると、そういうような事件ではないのです。つまり、その八幡社宅というのは、新しい組合の諸君がほとんど大部分そこに居住をしておる。ところが、ほかにもまだたくさん居住をしておる。それが一団となってそこに入っておる。そこで、元の組合員——これはずっと申し上げているときりがないのですけれども組合員が新しい組合員に、一つ行かぬでくれ、こちらに残って一緒にやってくれ、こういう説得工作を二、三日続けておりますね。ところが、たまたま八月の五日の夕刻には大量に、約百何十人か二百人近くの諸君が、よその社宅の者もそこに入ろうとしたので、そこにおった元の組合員の約二、三十名で説得工作をしておった。ところが、ちょっと空気がおかしいので、警察の方で何名かそこに入って、そうして紛争の起こらないように監視をしておった。時点はそうです。ところが、いろいろ説得工作が続いているうちに、警察側が、突っ込めという号令一下ばあっとそこに入っていった、これが真相のようであります。こういう点は、非常に一般の市民からも元の組合員からも憤激を買っているわけです。しかもその警察が突っ込めと言ったときには、そこの警察の本部——本部と申しましても、派出した警戒本部です。その警戒本部に相当数の警官がだあっと待機しておりまして、それをやったというのがどうも真相のようであります。  そこで、実はこれについていろいろお聞きしなければなりませんが、もう時間もないですから、私は率直に、そのときの非常にくやしい気持で手紙がきておるから、これを大急ぎで読みます。その前に書いてあることは略します。前略でございます。いろいろとくやしい気持を述べております。そこで重要なところをちょっと申しますと、  事件の有ったのは御用組合がアパートへ宿泊に来る様になって四日目(八月五日)で、その前に八月二、三、四日と夕方にばかり三回来ましたが、其の時は御用組合員ばかり六〇−七〇名位で、警官は来て居ませんでした。三日間とも話合いで済み、何事もありませんでした。三日目の話合の事は、正門ピケについて居ました私達も、「今日も来たけど明日から居住者だけ宿泊してもらう様話が付いた」と聞き、安心して居ました。丁度ピケ交代の五日(四日目)の午後六時二十分頃、非常集合の合図にピケの服そうをして拠点本部に行きました。その時二〇名位の組合員がアパートに向って行く処でした。二列で現場に向いました。私も列の後尾につきました。拠点から現場までは五百米位有ます。途中右側に警察の自動車が七、八台も並んで、三〇名位の制服警官をみましたので、「今日は何事か変った事があるのかなあ」と思ってアパートの門まで来て見ると、制、私服の警官が現場の所まで一五〇−二〇〇名位も居りました。現場には組合員が二〇名位と御用組合員が六〇−七〇名と向合って話合中でした。私達は二〇名の中に加ってピケを組ました。私達の廻りは、カメラを持った私服の警官十数人が、私達の組合員の方ばかりカメラを向けて、「写真をとるぞ」とさかんにおどして居ますので、あまりのことに、「御用組合の方もとって下さい」と言いました。私達が着いて五分も経たないうちに、私達の方に、ヤアーと喊声を揚げて制服の警官が突込んで来ました。其の時「ツッコメ」と号令を聞いている人が沢山います。突込んだ処が労組の左前でしたので、私は右端の方に居ましたし、少し前方に出ましたが、その時私の二、三人左に居た入が警官に引出されようとして居ましたので、私は反動で少し後に退りました。警官とのかんかくもあり、体もふれて居りません。其の人が引出されたので、そこからスクラムが切れ、私達は右の方へ出て居ました。その時二−三米の所から私服の警官一名が私の方へかがみ込んで来て、「お前は突いたネ」と旗ざおをにぎり、逮捕すると言いました。私は「突かない」と言いはってふり切ろうとしましたが、どうしても出来ず、私服三名につかまり、(周囲は警官ばかりでした)無理矢理にジープの中にのせられてしまいました。私はジープの中でも、絶対について居ないと言い張りましたが、「両手でこんな風に突いた」と警官が動作までして見せました。スクラムを組んでいてどうして人を突く事が出来るでしょう。私は署でも、警官がつくり立てた「うそ」を調書に書き込んで下さいと頼みましたが、不利になるのでどうしても書込んでくれませんでした。ほんとうにアッと云ふ間の出来事でした。あんなに警官が来ていた意味も私達にはわかりません。もみ合ったり等していると云うのならともかく、誰も、何もしていないのです。何もしなければ決して捕まらないと私は信じて居りました。それだからこそ張りめぐらされた警官のアミの中に平気で入って行ったのです。そして何もしていないからこそ、平気でその場に立っていたのです。組合側は御用組合の人と話合っていたのだし、警官にはむかう理由も絶対にないのです。語り尽せませんが、私の場所から私が見、私がうけた不当逮捕のもようは、次のような次第でございます。私が捕まる前に数名捕まろうとして振り切っておられます。運悪く捕まった私達三名と家族はその苦しみとふんまんをどこへ訴えたらよいのかと胸の中が煮え返る思いです。 こういうことでずっとあと結んでおります。これは二、三日前に私がもらった手紙でありますが、現地を見たときにもやはりこういう実情をよく話しておりました。そこで、おそらく警察側にもこれはいろいろ言い分はございましょうけれども、あの逮捕事件というのは解せない疑問点が多く残っている、こういうことでございますから、どうも警官は会社の手先だとか、大へん警察にとって不名誉なそういう見方をされているということは残念だと指摘しなければならぬと思います。  そこで、その次の問題として、私先ほど次長の転任を申し上げましたが、実はこれはこんな場所で言いたくないのでございますけれども、七月の二十五日の夜だったと思います。私現地に参りまして警察の方にお伺いし、たくさんの警官が警察署に一ぱいおられました。そこで署長や、本部から来ております警備課長はおられませんでしたので、次長さんにお会いしていろいろ警備の状態もお聞きし、御苦労なさっておるところの慰労の言葉を申し上げて、今後よろしく一つ公正にやってもらいたいと話をしておりましたところ、署長が帰ってきました。そのとき相当署長はめいていしておりました。私があいさつをしようとしたら、もういいです。こう言って私のあいさつを受けないで、私と一緒に席を同じくしていろいろな話をしてくれました。ところが、その中で出た言葉は、これは短期決戦です。やっつけてしまわなければなりません。いつまでもやると癖になります。こういう言葉が、酔っておられたこともございしょうが、盛んに鋭い言葉が飛んだのであります。次長さんはその言葉を聞きながら、全く顔を伏せておられました。私はどう答えていいかわかりませんから、話を聞いておりましたところ、あとで私が国会議員であるということを気づかれたので、署長も驚かれたようでありました。しかし、私は川村ですよと、こうあと紹介しましたら、それならそういうふうになぜ早く紹介しないか、こういうことでございます。僕が自己紹介しようとしたらあんたがとめたじゃないか、こういう冗談を言いながら帰ったのですけれども、あのような考え方で部下を指揮して下さるならば、これはやはり町の諸君がいろいろと警察によからぬ見方をするということも生ずるだろう。このことは、実はこういう場所で申し上げることはよくないと思うのです。そこで私は、次長さんが転任なさったのは、定期異動であるということなら何も言いません。ただ私はそれを見て、何かそのときに、私との間でその関係があって遠いところに転任させられたのではないかということを非常に憂慮したのであります。そこでお尋ねしたのでありますが、それは局長のお話で安心いたしました。要するに、そのような指揮者がやはりおられるということが、事態を円満に持っていこうとしておる責任者の考え方と末端の行動とが違うことになってきているということを憂えるのであります。この点も一つ指摘しておきたいと思う。  そこで最後に、十一日のいわゆる新しい組合員が強行就労したときの警備状況、これは局長御存じだと思いますが、概略を一つなるだけ簡潔にお話を願いたいと思います。
  360. 三輪良雄

    ○三輪説明員 十一日には、かねて実は就労をするという希望を強く述べておったようでございますが、三手に分かれまして、一手は七隻の船に乗って海から入ろうとして、これは十七隻のピケ船にとめられたということであります。一手は、百四十人ほどの者は、正門に参りまして、入れろ入れないというようなことがありまして、これもまた入構を断念したようでございます。ちょうどそういうことがあります時刻に、そこから百数十メートル離れたところに引込線があります。相当の水かさを増したみぞがありまして、そのみぞをレールが乗り越えておる貨車の引込線でございますが、そこからバスに分乗をいたしておりました三百六十人ほどの新労員が急拠入構をいたしたわけでございます。聞きますと、そこには十人余りの旧労のピケ員もおったようでございますけれども、にわかのことと人数との関係で、説得行為も行なわれないままに数分にして入った。中にはみぞに落ちてずぶずぶになった者もずいぶんあるようでございますけれども、一部の者は門を乗り越え、一部の者は門をあけまして中に入ったということであります。正門のところで入れろ入れないと言っておりました旧労員が、そこに入った様子を見まして、二百人ないしそれ以上の者がそこにかけつける様子でございました。当時入構をいたした場所には警察官がおりませんでしたけれども、当時の入構はどの門からも入るというようなことを聞いておったのでございますが、そこで警察力を分散して配置いたしておりましたものが、そこにかけつけてくる旧労員をとめたわけでございます。これは何と申しますか、すきを見て入られたというような憤激もございます。こん棒等を持ち、努号をしながらそこにかけてくるというような状態でございます。そこでそのままこれがそこに行くということになりますと、大部分はもう入った時刻のようでございますけれども、しかしやはり残った者もございましょうし、また三池等の場合にもございましたが、入ったあとから旧労員がそれを追尾したというようなことで事故があったこともございます。そこで食いとめたのでございますが、今考えますると、そこでとめたということで大きな事故がなかったのではなかろうか。従いまして、そこで食いとめたという措置は、結果的に見て事故を防いだことになったと私は考えるのでございます。  なお、それが今お尋ねの十一日の入構の状態でございますけれども、先ほどのお話の中で、八月五日の問題は、どうも私ども聞いておりますことと著しく違うのでございます。お許しをいただきまして、その点で、私ども見ておりますところを、ちょっと聞いておりますところを申し上げておきたいと思います。  実は八幡アパートということのお話もございましたように、新労員が住んでおるアパートでございまして、実は二日、三日、四日にもそこに帰るという者が行きましたけれども、ピケ員が裏切り者というような努号をするということで、帰宅をあきらめて帰っておる、つまり組合の事務所の方に帰っておるという状態であったそうでございます。そういう状態が続きますので、そこに実は私服員を数名配置いたしておりましたところが、当日は四名そこに帰る、それを護衛して入れなければならないということで、七十名ほどの新労が護衛というような格好で行ったそうでございます。これらは別に鉄帽をかぶったり、物を持ったりしておった状態ではないようでございまして、それが参りますと、お言葉にもありましたように、二十人そこにはピケがおりましていわゆる説得が始まり、次いで次第にそのピケ員もふえて参りました。そこで両方の間が言葉のやりとりから激して参りましたので、これ以上乱暴にわたることがないように警告をいたしましたが、次第に間隔が詰まり、もみ合いになるというような状態でございましたので、警察が実力行使をして引き分けるということを警告いたしまして、その間に割って入ったわけでございます。その際に、警察官に対しまして旗ざおに旗を巻いたものでこれを突く、結果警察官三名が三日程度の負傷をいたしておるわけでございますが、これは突かれた警察官がその場においてその同僚とともに逮捕いたしたということを聞いておりまするので、これは今のお手紙の中に全然そうでない者がつかまったようにおっしゃいますけれども、警察側の方といたしましては、その現場で現に突かれた者とその隣の同僚とが検挙したというふうに聞いておるのでございます。しかし、その際にも実はいわゆる話し合いというものがうまくいかずに、その晩もその宿舎に帰るべき人も帰らずに、第二組合の詰所の方に帰ったということを聞いておるのでございます。  変なことを申すようですけれども、いずれにしても争いでございますし、ことに一緒にやっておりました者が第一、第二と分かれる、そういうことになりますと非常な憎しみをお互いに持つということは、三池の場合、今度の場合同様でございます。そこで、今の手紙にもありましたように、御用組合御用組合というふうに書いておるように、やはり非常な憎しみを持っておったということはあろうかと思います。従いまして、警察がその新労を守ったというふうにいわれるのであります。よく争議の場合に、警察は違法行為一つも取り締まらぬじゃないかという会社なり新労なりの不満がございますとともに、いわゆる旧労側からは、会社とぐるになっておるというような非難を受けまして、警察としては、公正な立場を持しながら、両方からそういう非難を受けるのがしばしばあることでございます。これは私、現地の警察の報告、並びに本部からも係の者を派遣いたしまして、現地を見た者の報告も聞いておるのでございます。従いまして、ただいま川村委員のお話しになりましたそういうお考えも現地にあろうかと思いまするけれども、私どもが承知いたします限りは事情がやや違いますので、その点を申し上げておきたいと思います。
  361. 川村継義

    川村(継)委員 催促もあるようですが、大体一時間ばかりお許しいただきましたので、私もそう長くやりたいと思いません。今警備局長のお話の十一日の問題でも、これはまたいずれ私たちが現地を調べて、状況を図面にして、もう少しこまかに警備局長と意見交換をしたいと思っております。ここで空体で言ってもわかりません。ただ申し上げねばならないことは、十一日の新労の強行就労の場合でも、これはやはり警察の道路遮断あるいはその他の行為が、完全に新労が中に入っていくのを擁護しているような、そういう警備体制でやられたというところに問題があるわけでございますから、この点を一つ指摘しておきたいと思います。  そこで、いよいよ仮処分も出て、これがどういうふうに事態がなっていくかわかりませんが、私たちはそのようないやな事態が起こらぬことを念願しております。しかし警察は、当然警備の責任上その権力を行使なさる場合もあろうと思いますけれども一つその点は、いろいろな事態にかんがみて、なるたけ公正な行為をやっていただかなければ警察それ自体の信用にもかかわる問題だと思うわけであります。  実はいろいろとそのほかこまかな論争点もあるようでありますけれども、お約束の時間もきておりますから、以上で私は質問を終わりたいと思いますが、この問題は、実はわずかな時間では論じ足らない問題がたくさん伏在しておると思います。そこで、私がこのようなお願いをするのは僭越かと思いますけれども委員長におかれましては、社会労働委員会を担当していただいておる一つの権限として、機会がございましたらなるだけ早急に、社会労働委員会として、現地において今までの状態あるいは今当面しておる状態等をさらにさらに調査していただけますならば、そしてこういう事態がなるだけ円満に解決できることになると幸いだ、このように念願をしておるものでございます。とくと社会労働委員会の皆さん方の御配慮をお願いいたしておきたいと思います。  ちょうどいただいた時間一ぱい参りましたので、一応これで終わりたいと思います。
  362. 秋田大助

    秋田委員長 川村君の最後の点についてお答えいたしますが、その点は理事会にお諮りいたしまして善処いたしたいと思います。  本日はこの程度にとどめ、次会は明三十日午前十時理事会、十時十五分委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後八時二分散会