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1962-09-01 第41回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年九月一日(土曜日)    午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 稻葉  修君    理事 秋山 利恭君 理事 大久保武雄君    理事 井手 以誠君 理事 角屋堅次郎君       池田 清志君    浦野 幸男君       仮谷 忠男君    正示啓次郎君       壽原 正一君    谷垣 專一君       中馬 辰猪君    綱島 正興君       濱地 文平君    前田 義雄君       松田 鐵藏君    宮澤 胤勇君       島本 虎三君    中村 重光君       芳賀  貢君    玉置 一徳君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 西村 英一君  出席政府委員         内閣官房長官 細谷 喜一君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (農地局長)  庄野五一郎君         水産庁次長   村田 豐三君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁警備局         警備第二課長) 土田 国保君         文部事務官         (管理局教育施         設部助成課長) 井内慶次郎君         厚生事務官         (社会局施設課         長)      瀬戸新太郎君         農林事務官         (大臣官房総務         課長)     石田  朗君         農 林 技 官         (農地局建設部         災害復旧課長) 梶木 又三君         農林事務官         (振興局参事         官)      橘  武夫君         気象庁長官   和達 清夫君         建設事務官         (河川局次長) 鮎川 幸雄君         建 設 技 官         (河川局防災課         長)      安芸 元清君         建 設 技 官         (住宅局住宅建         設課長)    尚   明君     ————————————— 八月二十八日  北海道における九号、十号台風等による豪雨災  害対策に関する請願(椎熊三郎君紹介)(第三  九九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  台風十三号、十四号及び三宅島の噴火による被  害状況に関する説明聴取  災害対策に関する件      ————◇—————
  2. 稻葉修

    稻葉委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  台風十三号及び十四号並び三宅噴火による被害状況について、政府当局から順次説明を聴取することにいたします。  まず、警察庁土田警備第二課長
  3. 土田国保

    土田説明員 台風十三号による被害状況でございますが、台風十三号は、中心気圧九百九十ミリバール、半径百キロ以内は十五メートルの暴風雨でございまして、八月の二十一日午後十一時ごろ鹿児島西南部、阿久根市付近に上陸いたしまして、その後阿蘇山付近を経まして豊予海峡に出たのでございますが、同月二十二日午後一時ごろには熱帯低気圧になっております。  この台風の進路となりました各地域では、平均二十メートルの強風と五十ミリから二百ミリぐらいの降雨がございまして、被害鹿児島宮崎熊本及び山口の四県で、八月二十二日現在、お手元に差し上げてございます資料にございますような被害が発生いたしております。行方不明一名、負傷者八名、建物の全半壊流失八十二棟等でございます。  この台風影響により被害を受けた鹿児島宮崎熊本及び山口の四県警察では、警察官延べ千六百二十二名を出動させて警戒警備救助活動などを行なっております。  次に、台風第十四号による被害発生状況でございますが、ただいま三重県知事さんからお話がございましたように、八月の二十六日午前四時ごろ三重県尾鷲市の北東約二十キロの地点に上陸しまして、その後滋賀県、福井県を通りまして、同日午前九時三十分ごろには日本海に抜けておりますが、この通過に伴いまして、その近隣に当たる関東、近畿地方を含む十五府県にわたって、死者五名、行方不明六名、負傷者四十五名、住家の全半壊約四百三十棟など、資料にございます別表の通り被害が発生いたしております。  この台風の来襲に対しまして、警察官延べ八千四百名を出動いたしまして、危険地域警戒人命救助中心災害警備活動に従事しております。  なお、神奈川県の死者行方不明者六名でございますが、これは本台風影響による降雨と、上流地域にありますダム放水によりまして、神奈川県を流れる相模川の急激な増水のため、下流地域で魚釣り中の人たちが濁流にのまれたという事件でございます。  次に、三宅島の噴火に伴う被害状況でございます。お手元資料が差し上げてございますが、三宅島の中央部にあります雄山は、標高八百十四メートルで、八月の二十四日以来断続的に噴火を続けておりましたが、八月三十一までに判明いたしました被害につきましては、次の通りでございます。  負傷者三十一名、これは避難に際しまして転倒等による軽傷二十名、爆発時のショック等による病人十一名であります。焼失家屋が四棟、倒壊家屋六棟、非住家被害、これは小屋などの焼失でございますが、六棟、道路の損壊十カ所、山くずれ、がけくずれ三十カ所、地割れ三十五カ所、土地の陥没一カ所、電柱焼損六十五本、コンクリートへいの破損が二カ所、牛の焼失が一頭、以上のほか、神着坪田の両部落中心に山林、農耕地等被害相当に発生している模様でございますが、これらについては目下調査中でございます。  警察措置概要について申し上げますが、所轄の三宅島警察署長は、爆発前の二十四日午後四時ごろ雄山の東側が地響きを始めましたので、万一の場合に備えまして、全署員署長以下警察官十七名でありますが、これを招集して、警備上の指示装備資機材の整備、点検などを行ないました上待機させておりましたが、午後十時二十分噴火が開始されまして、直ちに災害警備本部警察署に設置しまして、全署員を指揮し、村当局及び消防団協力を得まして、支庁の管理いたしておりますジープ七台を総動員して、噴火地点近くに出動いたしまして、火山灰等の降下により危険が予想された坪田神着の両部落民に対し避難指示誘導被害者救護等に当たった次第でございます。  警視庁本部では、三宅島署長からの報告を検討した結果、応援の必要を認め、とりあえず近くの新島に派遣中の機動隊一個小隊、隊長以下二十名の派遣を決定いたしましたほか、現地署長を補佐するための本部員派遣並びに装備資機材の輸送を行なうことといたしまして、海上保安庁、海上自衛隊等協力を得まして二十五日中にこれらを現地に到着させております。現在は警備要員合計四十名で警戒に当たっております。避難者誘導警備、交通の確保、警戒区域立ち入り制限避難後の部落及び危険区域警備、民心安定のための、特に流言飛語がだいぶ飛んでおるようでありますが、そのための広報活動被害調査報告、連絡といったような諸活動を現在まで不眠不休でやっておるという状況でございます。  島内に避難された人たちの数でございますが、三十一日現在で一千八百六十名でございました、これは伊豆小学校三宅中学校伊ケ谷小学校坪田公会堂坪田保育園阿古小学校の六カ所に分散収容されております。島外避難者は約千七百名でございまして、これは各個に東京都内その他府県に居住する親戚、知人等をたよって自主的に避難された方でございます。  今後の対策見通しについて簡単に申し上げますと、噴火は当初よりはおさまっておりますものの、なお断続的ではありますが、二、三度程度の弱震が続いておりますほか、ときには震度五くらいの強震もある状況でございまして、なお今後の再爆発についても正確な見通しができない現状でございますので、島民の不安はつのる一方でございます。警察村当局その他関係機関の間において、全島民避難について検討中でございまして、その場合には、海上自衛隊協力を得まして、大久保坪田、錆ケ浜の三港から避難を行なうことにいたしておりまして、とりあえず学童、老人、幼児等避難を九月一日から実施することにいたしております。集団避難計画につきましては、三十一日の午後、三宅島の対策本部学童集団避難を検討いたしました結果、希望者海上自衛隊船舶で九月一日避難させる、避難先は、千葉館山市所在の臨海学園に収容するということを決定いたしまして、関係向きに手続を完了いたしました。この決定に基づきまして、海上自衛隊船舶二隻を同島に停泊させると同時に、三十一日午後八時以降今朝までに船舶五隻を同島に向け、合計七隻を出向させております。警視庁におきましては、機動隊を三十名、船舶内の警備のために、海上自衛隊船舶で出発させております。今朝までに集団避難を希望した学童は、小学生が五百七十三名、中学生三百三十五名、幼児九十一名、つき添い四十二名、職員六十三名、計一千百四名でございます。これらの学童は、本日午後一時ごろ同島を出発しまして、午後四時ごろに館山に着く予定でございます。館山では、警視庁の依頼によりまして千葉県の警察官が出て警戒警備に当たる、かような状況になっております。  以上が、三宅雄山噴火に伴う被害状況警察措置概要でございます。
  4. 稻葉修

  5. 庄野五一郎

    庄野政府委員 台風十四号と三宅島の噴火によりまする農林関係被害につきまして御報告申し上げます。  台風十四号は、八月二十六日に三重県に上陸いたしました。台風十四号によりまして、近畿東海北陸地方等被害が発生いたしております。八月三十日までに関係府県から電報によりまして報告のありました施設関係被害額は、約十億円でございます。なお、統計調査事務所調査いたしました農作物関係被害額は、約二十九億円となっております。農作物のおもな被害は水稲でございまして、その生育が、東海地方では乳熟期出穂期または穂ばらみ期にあり、北陸地方では成熟期黄熟期または出穂期から乳熟期に当たったために、もみの変色、不稔、倒伏、冠浸水等被害がありました。  これが対策といたしましては、詳細な被害状況把握を急ぐとともに、被害実情によりまして、従来とりました対策に準じまして措置することにいたしております。詳しくは、お手元に配付いたしております資料によって御承知願いたいと存じます。  それから三宅島の噴火によります被害概況でございますが、八月二十四日から十数回にわたり爆発しております三宅島の噴火による被害は、道路被害及び人命救助優先のために、被害把握に若干時間を要すると思われますが、目下被害実情把握を急いでいる状況であります。八月三十日までに入りました報告によりますと、施設関係四千万円、農作物関係約九百万円ということになっております。最も被害の激甚でありましたのは旧神着村の区域でありまして、農作物被害は、作付面積約九十町歩が収穫皆無になっておるわけであります。これが対策といたしましては、被害の実態を早急に把握をし、実情に応じまして検討することにいたしておる次第でございます。なお、これにつきましても、お手元に、台風十四号と三宅噴火ということで、施設関係並びに農作物関係を分けまして数字を御報告申し上げておりますので、御承知おき願いたいと思います。  以上でございます。   〔委員長退席秋山委員長代理着席
  6. 秋山利恭

  7. 鮎川幸雄

    鮎川説明員 お手元の、災害関係資料という、建設省で出しております資料によりまして、台風十二号、十四号、三宅島の噴火に伴う被害状況につきまして御報告申し上げます。  まず第一ページは、台風十三号による被害状況でございますが、気象状況につきましては、先ほど警察の方からもお話があった通りでありますが、主として被害鹿児島県に発生しておりまして、八月三十日現在の被害総額は、約二億円でございます。そのうち、直轄災害は、下にもありますように、川内川の地点で五千万円、補助災害が、同じく鹿児島県におきまして一億四千八百三十五万円、合計一億九千八百三十五万円でございます。  次に、第二ページは都市施設被害でございますが、熊本鹿児島に四百九十万円の被害が発生しております。また、住宅被害につきましては、全壊二十八棟、流失二、半壊五十二、合計いたしまして八十二棟の被害を受けております。  次に、台風十四号による被害概況でございますが、この件につきましては、先ほど三重県知事から気象状況その他についてお話があった通りでありますが、公共土木施設被害は、主として岐阜県、愛知県、三重県等に起こっておるわけでありまして、八月三十日現在の被害総額は、約十八億円でございます。このうち、直轄災害が、河川につきまして九千五百八十万円、補助災害が十七億二千六百八十七万六千円、合計十八億余円になっております。直轄河川につきましては、中部建設局管内にあります揖斐川、牧田川、矢作川等被害が発生いたしております。  四ページは、十四号台風によります各地補助災害被害状況でありまして、一億以上の被害を発生した県を申し上げますと、三重県、岐阜県、福井県、滋賀県、山梨県、長野県、静岡県等でございまして、補助災害が十七億円になっておるわけであります。  おしまいのページは住宅被害でございますが、住宅被害は、全壊半壊合計いたしまして四百七十八戸になっております。  それから第三は、三宅島の噴火並びに地震による被害状況でありますが、公共土木施設のうち特にただいままで判明いたしておりますのは、三宅島の周囲を回っております都道百六十二号、線が雄山噴火によりまして約千六百メートル埋没しております。この損害額はまだ明確ではございません。目下調査を続けております。なお、数回の地震によりまして各地に亀裂や崩土がありまして、この分につきましては、被害額は百五十万円程度報告を受けております。その他市町村道につきましても相当被害を受けておるようでございます。住宅被害は四戸でございます。  建設省関係災害状況は、以上の通りでございます。     —————————————
  8. 秋山利恭

    秋山委員長代理 災害対策に関し質疑の通告がありますので、順次これを許します。中村重光君。
  9. 中村重光

    中村(重)委員 災害救助法あるいは一般災害の問題に対して、厚生大臣に質問いたしたいと思います。  その前に、事務的なことで局長にお尋ねいたしますが、災害救助法生業資金貸付、あるいはまだ仮設建築、さらには修理費等についての金額はどういうことになっておるのか、その点ちょっと承っておきたい。  いま一つは、災害救助法は、前国会におきまして三条の改正を見たと思っておりますが、施行令の九条の二、これが命令事項になっております。これは政令ということにする必要をお考えにならなかったのか、あるいは政令という形で改正しなかった意味、そのことを一応承っておきたい。
  10. 瀬戸新太郎

    瀬戸説明員 災害救助法に基づきます救助は、御案内のように、災害の混乱時における応急的な手当ということになっておるわけでございます。お尋ねの生業資金貸付でございますが、これは現在一戸当たり一万二千円ということになっております。一万二千円という金額は非常に低いのでございますが、最近、世帯更生資金でありますとか、あるいは、その制度の中に出ております被災者援護資金というようなものも三十七年度から創設されました関係上、そういう制度活用によって被災者生業面の処理をしているという実情でございます。  次に、仮設住宅の単価でございますが、これは一戸当たり五坪十三万円ということになっております。これも応急手当ということで、小屋がけという趣旨から、かような非常にか細いものになっておるわけでございます。  それから家屋修理費、これは家屋被害というものが非常に程度の差があるわけでございますが、ともかく一応何とか住める程度に手直しをしていただく、こういう趣旨で、一戸二万四千円ということに相なっております。  まことに恐縮でございますが、後段のことをちょっと聞き落としまして……。
  11. 中村重光

    中村(重)委員 災害救助法施行令の第九条の二であります。これは「救助程度、方法及び期間は、応急救助に必要な範囲内において、予め厚生大臣承認を受け、都道府県知事が、これを定める。」こういうことになっておるわけであります。これによって、まかない費の問題であるとか、あるいは期間の問題という形の取り扱いが行なわれておると思うのです。従いまして、救助法災害基本法等改正ということで、前国会におきまして三条の改正を見たと記憶をいたしております。この九条の二、施行令によっておりますものは、いわゆる命令事項というような形になって参りますが、これは政令ということにする必要があったのじゃないか、この点に対して政令にしなかった理由はどういうところにあるのか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  12. 瀬戸新太郎

    瀬戸説明員 事柄の性質からいたしますと、お説のように、政令事項にすべきであろうというふうに考えられるわけでございますが、御承知のように、災害の規模、様相というものがきわめて千差万別でございます。救助実施基準につきまして、期間でありますとか、金額でありますとか、そういうものが一応のめどとしてきめられておりますが、きめましても、たとえば三重県の今度の南島町におきましても、仮設住宅に例をとりますと、全壊家屋の三割が仮設住宅実施限度ということに一応なっております。ところが、三割では事が済まないというようなこともございまして、そういう必要がある場合にはその割合を越えまして必要なだけ認めて参るという取り扱いをしておるわけであります。従って、あらゆる救助の種類を通じまして、非常に災害様相等によりまして変貌いたしますので、政令事項に書いてしまいますと、常時この政令事項と違った実施になる、こういうようなことを考慮いたしまして、災害救助法救助基準は一応のめどという理解に立ちまして、各都道府県実情に応じて府県知事がおきめ願っておいて、それに基づいて、災害状況を見て弾力性のある活用をはかっていく、かような趣旨から政令事項といたさなかったわけでございます。
  13. 中村重光

    中村(重)委員 厚生大臣、今、救助法生業資金の問題、あるいは仮設住宅建築の問題等々、お聞きの通りであります。私は過日の委員会におきまして触れたのでありますが、今度の九州災害において災害救助法等相当広範囲に実は発動されたわけです。ところが、まかない費におきましては、三食一人七十円、そういったような金額であるわけであります。従いまして、これは野犬の飼育にも劣るような金額である。しかもこの金額を決定した。いわゆるこの基準というものは相当古いものである。しかし、ただいまの御答弁の中にもございましたが、たとえば伊勢湾台風の際におきましては、期間におきまして、一週間を基準としておるけれども、最長三カ月である、あるいは、まかない費は九十円であったのだ。そういうことから、ただいまの御答弁の中にありました、いわゆる施行令の九条の二というものの運用の中におきましていろいろこれは処理できるのだ、こういったようなことであろうかと思うのでございますけれども、現実には、先ほど私が申し上げましたように、今次の九州災害におきましては、期間におきましても一週間、まかない費におきましては七十円ということで処理されておるということを承知いたしておるのでございます。こういうことが実情に沿うのかどうか、こういったような冷淡な待遇をしておいて、国民が納得するとお考えになっておられるのかどうか。私はこの点に対しまして先日も政務次官に質疑をいたしました。しかし、納得するような答弁はございません。生業資金の問題にいたしましても、いろいろ災害救助法等関係もあるのだ、そういう点も考慮しておるのだ、こういうことを言われます。しかし、この生業資金というものは、この貸付におきましてもきわめて厳格なのであります。調査もきびしいのであります。しかも災害を受けたすべての人に貸し付けられるものではありません。貸付におきましても、その災害を受けた地域対象者の二割五分であるとか、二割であるとか、そういったような基準もあるようであります。しかも貸し付けた金額は、当然これは償還能力がなければならないんだ、そして全壊した、あるいは流失をした、きわめてきびしい審査が行なわれるようなことになっております。そして貸付の場合におきましては保証人も要する、こういうことになっております。こういうことが今日依然として改められないまま運用されているというところに、先ほど私が指摘をいたしましたような、野犬にも劣るような形の、まかない費七十円というものが支給されておる。しかも、いろいろと伸縮性もあるのだ、政令にゆだねないことにおいて非常にやりやすい面があるということではございますけれども、九条の二においては、あらかじめ厚生大臣承認を受けなければならないということが規定されておるのであります。そのような規定から考えてみますと、政令においてこの基準を定めていく。そして伊勢湾台風の際におきまして九十円が支給されておるなら、物価が非常に上昇しておる今日の中におきまして、それより低い金額が支給されるといったような矛盾は、私は起こってこないと思う。厚生大臣としてはそれらの点についてどうお考えになられるか。このようなまかない費の問題、あるいは生業資金の問題、仮設建設も、五坪、十三万円、それから修理費も一戸二万四千円、今日の建築費暴騰、木材を初め、その他の諸資材の暴騰の中におきまして、この程度建設費あるいは修理費でどういうことができるとお考えになっておられるのであろうか、まずこの辺の点に対しまして一つ答弁をいただきたい。
  14. 西村英一

    西村国務大臣 災害が起こりまして非常に皆様方お困りである、それを救うのは、厚生省の最も大事な努めの一つでございます。しかし、このたき出し、その他の基準というものは、さいぜんも課長が例をあげて申しましたが、一つの目安であって、その基準のために援護ができないというような運用はしていないので、そのときに応じてやる。たき出しの点につきましても、よく聞きますと、昨年の五十円を今度七十円に上げた。七十円がはなはだけしからぬじゃないか、非常に安過ぎるじゃないか、そういう御意見も確かにあろうかと思われます。しかし、それは機に臨んで考える。要はあまり困らせないようにすることが必要である。ただし、この災害救助法建前が、あくまでも応急的なことを考えておるのだということが建前になっておるからということであります。しかし、それかといって、御意見のあるところを私たち全然認めないというのではありません。機会あるごとにこれが実情に沿うように、現在また、基準はありましても、それ以上にだんだん期間を延ばしたり、あるいは金額を、上げたりいたしております。こういうようなものでありますれば、基準が適合していないのだということにもなりますので、御意見を尊重して、物価その他の点等もにらみ合わして、要はそういうような災害につきまして、基準のためにお困りになるような方ができないようにということを私としては考えたいと思うのであります。  資金の問題につきましても、これは決して十分とは申されませんが、本年度におきましては、世帯更生資金のうちからさらにこの災害に対する貸付制度もつくったのであります。その貸付条件が非常にシビヤーではないかというような御意見もあろうかと思われますので、その条件等も今後十分検討いたしまして、一つ意見のあるところは十分尊重して参りたい、私はかように考えておる次第でございます。
  15. 中村重光

    中村(重)委員 最後の御答弁は納得できます。しかし、前段の御答弁は私は納得できません。たとえばたき出しにしても、七十円ということは何もそう窮屈に実行されなければならぬということはないのだ、五十円を今度七十円に上げた、こう言う。しかし、先ほど申し上げましたように、伊勢湾台風の際は九十円支給された。ただいまの御答弁の中にもありましたように、物価は非常に上昇しておる。地方自治体の支出も非常に大きいわけであります。そういう中において、今度七十円支給されたということは事実であります。しかもまた、先ほど課長の御答弁にありましたように、生業資金の一万二千円の問題にいたしましても、あるいは仮設建設の五坪、十三万円にいたしましても、あるいは修理費の二万四千円にいたしましても、これは最近改定された事実はありません。今あなたは、何もそれにこだわる必要はないのだとおっしゃるけれども、これが基準になってその通り実行されておるというこの事実も、否定できないと私は思う。いろいろベース・アップが行なわれておる。国の予算にいたしましても、御承知の通り相当膨大な予算となってきておる。ところが、このように最も気の毒な人たちに対して、生業資金にいたしましても、これは底辺の人たちに対する貸付になるわけです。ほんとうに国が愛情を持ってあたたかい手を差し伸べていかなければならないそういったような人たちに対して、このような金額を引き上げていくという政治が行なわれていないではありませんか。だから私は申し上げておるのであります。あなたが最後に御答弁になった、そういう意見もわかるから、そういうことによってやっていきたい、こうおっしゃるならば、あなたが厚生大臣におなりになる前のこういうことがさらに改められないでおるのだから、この点がいけないと思うならば、これは確かに実情にそぐわないのだ、こういうことは改めるようにしていかなければならぬという答弁があってしかるべし、こう考える。前段におきましてはこういう実情を肯定される。そのことが私は納得いかないのであります。もう一度大臣の御答弁を伺いたい。
  16. 西村英一

    西村国務大臣 ちょっと言い回しが悪かったのですが、昨年もこれは実情に合わないから五十円から七十円に上げたのだ、今後も実情に合わないようになれば、一つそれは十分考慮しなければならぬ。しかし、基準というものは、一般の基準というものとは多少違う、ほんとうの目安で、災害でございますから、ケース・バイ・ケースで様子も違うから、一応の目安であるけれども、これはそのときに応じてやっていくのだが、さらにそれがはなはだしく実際と違うようになれば当然考慮しなければならぬというので、決して七十円が十分だと申し上げておるのではありません。昨年からことしも改定した、さらに必要があれば検討してこれを改定することがあり得る、かように思う次第でございます。
  17. 中村重光

    中村(重)委員 一応の目安とおっしゃるけれども、生業資金にしましても、あるいは仮設建設にいたしましても、あるいは修理費にいたしましても、この通り貸付あるいは補助、こういうことが行なわれておるのであります。伊勢湾台風の際も、今あなたがおっしゃったのは、七十円であったのを九十円出したのだから、それは一応の目安であったのだ。それはそういうことになるかもしれない。ところが、現実にはただいま私が申し上げたようなことが行なわれて、伊勢湾台風の際の九十円というものは全く例外である、こういう形に行なわれておるのが現実でありまして、単なる目安でない。これが基準となって、都道府県の支出あるいは地方自治体の支出にいたしましても、たとえば災害救助法は一週間だ、これを延期しなければならぬ、こういうことになりましても、延期に対してはなかなかきびしいのであります。延期というものはそう簡単には許可されない。しかし、地方自治体といたしましては、一週間だ、これでもう二週間の延期は許可にならない、こういっても、その日から打ち切るわけには参りません。地方自治体自体の負担においてさらに延長してたき出しをやり、あるいはその他の手当をやっておるということが事実であります。それだけ地方自治体の負担は加重され、また、そのようなきびしい基準というものは、このような被災者に対しまして、実に気の毒な冷淡な取り扱いがされておるということが事実であります。私は単なる形式論で申し上げておるのではありません。現場に行って現場の実情を聞き、目で見て、これではいけないのだ、決して今大臣が答弁されるような形が現場においては行なわれていない、こういうことにおいて申し上げておりますので、ただいまのようなそういう答弁でなくて、厚生大臣ですから、ほんとうにそういう底辺の人たちの生活をよりよくしていくということに全精力が傾けられなければならない、そういう立場の大臣であられる。私はそういう面から申し上げておるわけです。従いまして、一応の目安と言われるけれども、現実にこういうことが行なわれておるのだから、昨年は五十円を七十円に上げたというけれども、四年前に九十円出されたのが、今度の九州災害では七十円支給された、これが現実ではありませんか。だから申し上げておるのです。今そういう答弁でなしに、私が申し上げたようなことが事実であるということであるならば、そういうことではいけないのだから、調査をして実情に沿うように取り組んでいきたい、改めるべきものは積極的に改めていくようにしたい、こういうような誠意のある御答弁というものは得られないものか、もう一度、くどいようですが、考え方を聞かしていただきたいと思います。
  18. 西村英一

    西村国務大臣 くどくどしく申すようでございますが、実に七十円というような金額は少ないのでございますが、ただほんとうに応急ということで、伊勢湾台風のごとく長く期間がかかりますと、とうていそれではいけないのであります。しかし、実情に沿わないということになれば、これは当然その金額も改めていかなければならぬ、かように考えるわけでございまして、私たち災害で困っておる人を最大限に救うのが厚生省の務めでございますから、御意見は十分尊重いたしましてやっていきたい、かように思っております。
  19. 中村重光

    中村(重)委員 これ以上は申し上げません。実情に沿わないならばとおっしゃるが、生業資金の一万二千円、あるいは今言う仮設建設、あるいは修理費、たき出しの費用がこのような金額でもって、実情に沿うのか沿わないのか、この点は議論の余地はなかろうと思います。従いまして、こういった基準を引き上げて、そしてほんとうに実情に沿うような形に改められることを強く要望いたしておきたいと思います。  いま一つ、見解を伺ってみたいと思うのでありますが、個人災害に対しては、たとえば災害によって死亡したとか、あるいはけがをしたとか、家をつぶした、家敷がこわれた、あるいは商品が流失したとかいうような場合に対しては、貸付制度はございますが、しかし、これらに対して見舞金であるとか、あるいは弔慰金とかいったような制度はないのであります、これがはたして実情に沿うのか、今回の九州災害の特徴という点を見ましても、災害復旧をやった個所が、長崎県の諫早の例を見ましても、原形復旧のところはまたやられた、ことごとくと申し上げてもいいように、前の災害によって原形復旧したところがまたやられた。そういうことで水があふれたということで、河川の決壊という形によって市街地に水が流れ込み、そして商品がめちゃめちゃになってしまった。あるいは河川のはんらんによって建物が倒壊し、全壊半壊あるいは流失、こういう形になり、あるいは屋敷が流れてしまった。実に気の毒な状況にあるわけであります。私はあえて、このことに対しましては、これは天災というよりも人災であると言いたい。現在の、原形復旧というものを建前とし原則としておるのを、改良復旧という形に改められていったならば、あるいはその他、砂防工事であるとか、災害を単に復旧するということより、災害が起こらないような、防災という点に重点を置くような対策が講ぜられておったならば、このような大きな災害というものは防止された点があったのではなかろうか、国の政治の貧困の中から、災害対策のきわめて不徹底の中から、このような大災害となって多くの国民に非常な迷惑をかけておる、犠牲を負わしておるということに対しては、見舞金であるとか、あるいは弔慰金であるとか、こういうことをする必要が私は当然あるのではなかろうか、こういうことで、先日の委員会におきましても質問いたしましたが、政務次官からは納得いくような答弁はありませんでした、大臣はこの点に対してはどのようにお考えになられるか、その考え方を一つ伺ってみたいと思います。
  20. 西村英一

    西村国務大臣 個人災害に対して何とかしなければならぬのじゃないか、このことは、ずいぶん前から全般的な問題でございます。また私も、中村さんと同じように、自分の郷里に災害があった場合に、そういう感じはつくづくいつもするのでございます。しかし、今までそれに対して皆様方の御希望に沿うような制度ができておらないのは、はなはだ残念でございますが、個人を相手にするということになれば、国の制度としてそういう制度を打ち立てるということになれば、そこにいろいろたくさんな問題があるようでございます。特定の災害について個人にそれをするということならば、個人間のこれは均衡ということもありましょうし、また、全般に及ぼして額をどうするかということになれば、財政上の問題も起こるわけでございまして、何とかしたいという気持はほんとうにやまやまでございます。しかし、今のところ、それに対応するところの制度ができておらないのであります。私はそんなものは必要ない、できぬのだ、こう言い切るあれはございません。何とか一歩を進める方法はないかというようなことについては、皆様方と一緒になって十分検討していきたい、かような気持を持っておりますが、今直ちに私がこうしたらというような案を持ち合わせないわけでございまして、御意見のあるところは十分私もわかるつもりでございますので、今後検討して参りたい。不十分なお答えでありますけれども、今の心境はそういう心境でございます。
  21. 中村重光

    中村(重)委員 私どもは、個人災害に対してこれを救助するための提案をいたしております。もう数日前でございます。大臣は非常に誠意のある御答弁でございました。御多忙であったでございましょうが、私どもの提案をいたしました法律案にお目通しを願ったことと思いますけれども、いかがですか。
  22. 西村英一

    西村国務大臣 法案を拝見いたしました。
  23. 中村重光

    中村(重)委員 そうしますと、私の質問は、私どもが提案をいたしました法案の内容と大体同じような線であるわけですが、ただいま大臣は、何とか個人災害に対してはやらなければならぬ、そのような救済の方法が講じられていないということは残念である、こういったような答弁でございます。従いまして、私はその点に対しましては反駁するところはございません。ただ、大臣に強く一つ希望をしたいと思いますのは、いろいろむずかしく考えれば切りはございません。一つの法律をつくる場合、新たな行政をやれば、いろいろ引っかかってくるところが起こって参りますのは当然であります。しかし、この法律をつくれば、こういった前向きの行政をやるならば、こっちに引っかかってくる、右にも左にも引っかかってくるんだ、こういうことになりましては、私は前進はないと思う。やはりそのようなむずかしい問題、条件、それを克服していくというところに、私は正しい行政のあり方というものがなければならぬと思う。私どもの今度提案いたしました個人災害の法案は、実は先の国会におきましても提案をいたしました。しかし、これは否決されたのでございます。しかし、法案の内容を見てみますと、いろいろむずかしい点もあったようであります。与党の諸公から、あるいは政府から、難色を示されるような点もなきにしもあらずと考えました。従いまして、時限立法という形に法案の内容はなりましたが、この内容ならば、政府はもちろん、与党の諸公も当然これはのむべきである、のんでもらえるであろう、こういったような考え方のもとに実は起案をして提案いたしたのであります。大臣も十分一つこの点は誠意をもって検討をしていただき、与党の諸公もぜひ一つ——日にちはきょう一日でありますけれども、何も内容はむずかしい内容ではありません。従いまして、民間の人たちが、何とかしてもらいたい、こういった強い熱望——強い熱望ということよりも、このようなことに対する救済策がないということに対して、強い憤りを持っておるというこの現実を十分一つ認識されて、私どもが提案をしたこの個人災害の救済の法案をぜひ一つ可決していただきたい、こういうことを強く政府並びに与党に要望いたしまして、私の質問は、時間的な関係もありますので、これをもって打ち切りたいと思います。
  24. 秋山利恭

  25. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 冒頭に警察庁並びに各省の関係から、台風十三号あるいは十四号、あるいは三宅島の噴火及び地震等の被害あるいはその後の対策状況についてのお話があったわけですが、まず冒頭に、三宅島の噴火並びに地震に対する被害対策の問題について、数点お伺いをいたしたいと思います。きょうはその関係では黒金官房長官の出席を求めたわけでありますけれども、各委員会の出席の関係その他の行事で御出席がないようでありますが、ちょうど関係の深い厚生大臣も出席しておられますので、数点についてお伺いをいたしたいと思います。  先ほど警察庁の方から状況報告があった中にもありましたように、きょう、学童中心にいたしまして、千葉館山の方に集団の避難を行なわれるというふうな段階にきておりますし、同時に、三宅島におけるその後の地震あるいは噴火状況等というものは、現地島民の不安をますますつのらしているような状況がうかがわれました。場合によっては全島民避難ということも考えなければならぬということが、報告で言われたわけでございます。そこで問題は、そういう性格の災害ということになりますと、通常、台風等による被害の場合は、台風が通過をしたあと非常な災害を受けた場合でも、直ちに農業用施設にしろ、土木の施設にしろ、あるいは個人の住宅の問題にしろ、立ち上がりが始まっていくということでありますけれども、しかし、今度のようにいつまで噴火あるいは地震が続くかわからぬという場合には、生業一つできない、あるいは避難する場合においては、とにかく子供の教育問題、あるいは生活の問題、いろいろな各般の問題が加わって、通常の災害の場合と違った性格を御承知のように持って参ります。従って、こういう災害対策については、政府としては、十分災害の特性に応じた態勢をとることは当然でございます。  そこで、官房副長官にお伺いをしたいわけでありますが、三宅島の噴火並びに地震による被害の問題について、総合的に政府としてどういう災害対策という考えでいかれようとしているか、こういう点をまずお伺いいたしたいと思います。
  26. 細谷喜一

    ○細谷政府委員 お答え申し上げます。  とりあえずの引き揚げ希望者、これに対する問題は、すでにお答えがあったのでございますが、整理して申し上げますと、御存じのように、約千名の方はすでに御縁故等をたよって引き揚げておられますが、ただいま各種の艦艇合わせて八隻が三宅島に参っております。大体きょう引き揚げてくる学童及びそのつき添いの人々は、千四名収容されることになります。大体夕方の六時ごろには館山に着けるようになっておりますが、それ以外に約四百名の希望があるそうであります。もちろん、この四百名についても、これを収容する余裕が十分ございますので、参っております船でこれを収容できるようになっております。なお、館山までお連れできたあとの扱いでございますが、これは東京都が中心になりまして、都立の臨海学園、区立の臨海学園十八カ所ございます。大体ここに約三千名までは収容できるということで、その方の手当は一応臨機の措置がとれております。ところで、けさ八時に、自治大臣が、現地の見舞を兼ねて、今御指摘のように、今後長期にわたる対策等の問題も当然起こって参りますので、その状況の視察をあわせてお願いいたしました。とりあえずきょうそのために、中央防災会議の事務局次長藤井消防庁長官、それから今後の引き揚げ等の関係もございますので、防衛庁の白岩考査官、それから警察庁からは守谷参事官、特に厚生省からは、当面いろいろごめんどう願う面もございますので、大山社会局長建設省からは中安技監、以上が随行して現地に参っております。これがきょう夕方までには戻ってこれますので、その状況報告を受けた上で、引き続いて関係省急遽集まって、仰せのような今後の対策も相談を進めたい、こういうふうな状況でございます。
  27. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 厚生大臣にこの機会にお伺いをしたいのですが、先ほど中村君の方から、災害救助法発動関係のいろいろな問題について御質問があったわけですけれども、現実に現地にまだとどまっておる島民の場合、あるいは今御報告のように自主的に島外に避難をした者、あるいは今度学童等を含めて集団的に千葉館山に疎開といいますか、避難をした者、こういう問題に関連をいたしまして、この災害救助法の問題、あるいはそれの期間の問題、あるいは今後の長期にわたる場合の給与その他のいろいろな現実に即応した取り扱いの問題、こういう問題がいろいろあろうかと思うのです。これは先ほども御指摘のように、伊勢湾の場合は、長期湛水の広範囲の地域がありまして、実情に即して取り扱うということも従来行なわれたようですが、今度の場合は、火山噴火あるいは地震等が長期にわたって続いている、まだ見通しがつかない、これが二カ月になるか三カ月になるか、そういう点については、今のところ確たる状況にまで発展をしていないという段階でありますが、これはやはりはっきり現地に帰れる、落ちついて災害復旧や生業ができるという段階までは、当然政府の責任においてやるのだというお考えだと思うのでありますが、これらの問題について、さらにまた厚生省としては、そういう現地においても御承知のように避難先で集団生活が行なわれておるし、あるいはまた、これから千葉館山でも集団生活が行なわれていくという場合は、生活環境も激変をいたしますし、相当の人数になるわけですから、衛生その他の保健上の問題についてもやはり十分手を尽くさなければということだと思うわけであります。これらの問題について、特に厚生省関係の諸問題について、どういうお考えでこの問題に対処するか、現地から避難をした方々、あるいは、今現地にとどまっている方々を含めての、政府の責任ある、特に厚生省関係についての責任のある御方針を一つ承りたい、こういうふうに思います。
  28. 西村英一

    西村国務大臣 とりあえずは、災害救助法を発動いたしまして、いろいろな手配をいたしております。毛布を幾ら送ったとか、そういうようなこまかいことは、後ほど、必要があれば課長から報告させますが、私の方といたしましては、篠田自治大臣が本日行きましたので、社会局長をそれに同行させております。  今度の災害は、御承知のように風水害とちょっと違うのでありまして、全く見当がつかないのであります。従いまして、事と次第によっては、現在の災害救助法を越えて、これが何カ月もそういうような鳴動を続け、あるいはその地で生業ができないというようなことになれば、別個の方法を内閣それ自身としてきめなければならぬと思うのであります。簡単におさまってしまえば、またこれは考え方があろうかと思うのでありまするが、今のところ、その状況を見まして、視察団がせっかく行っておりますから、とりあえずのことにつきましては十分な援護を尽くしたい、あとの恒久的な問題で、これが続きそうだということになれば、それはそのときに臨んで、これは厚生省のみならず、内閣全体として、おそらく防災会議を開いて十分な措置が講じられるもの、私はかように思っておる次第でございます。
  29. 瀬戸新太郎

    瀬戸説明員 先ほど警察庁からも御報告があったわけでございますが、現在六カ所の避難所におきまして約二千四百人の人が収容されております。それから館山集団避難するという計画も、先ほど御説明のあった通りでございます。  そこで、現在現地におきましては、今申し上げました避難所の開設、たき出し、食料品の給与、被服、寝具の支給、医療班の派遣、こういったような必要な救助を本庁からも必要な人員を派遣して実施いたしておるわけであります。さらに、東京から乾パン一万八千四百食、カン詰五千食、寝具、毛布一万枚、被服四千点、たくあん、福神づけ、梅ぼし八十一たる、こういうような数量を現地に送って、救助実施に万全を期しておる次第であります。お話のように、館山に引き揚げた後の措置につきましても、実情に沿いまして、期間の延長、あるいは環境の変化に伴う必要な措置をとって参りたい、かように考えております。
  30. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 厚生大臣にもう少し明確に一点だけお伺いしておきたいと思いますのは、今篠田自治大臣が現地関係の方々を連れて行っておられるということは私どもも承知しておるわけですが、最後の問題は、そういうものを待って、さらに、今もお話のように、現在の法律の問題以上の措置、あるいは実情に即して行政措置でもいろいろなことができるわけですから、そういうことで今後の問題については実情に即して考えたいということはわかるわけですが、ただ一点、災害救助法等の適用に伴うところの期間その他の問題については、やはりこういう災害の特性から見て、問題がきちっとおさまるまで、つまり、現地島民がそれぞれ避難先からも帰って、落ちついて災害の復旧なり、あるいはまた、生業につけるという状態までは、厚生省の関係については全責任を持ってやっていくのだ、こういう御方針だと思うわけです。その点は間違いないと思いますが、いかがですか。
  31. 西村英一

    西村国務大臣 その点は十分留意いたしまして、避難民が困る、島民が困るというようなことはさせないつもりでございます。
  32. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 文部省は来ていないということでありますから、官房副長官の方にお伺いをいたしたいと思いますが、文部省関係で、たとえば千葉館山学童が疎開をして、これから相当期間あそこで生活を続ける。授業もそこで行なうことをすみやかに考えていかなければならぬ。児童の生活環境の激変に伴うところのいろいろな保健衛生上の問題についても、給与その他の問題でも、十分親心をもってやっていかなければならぬ。その場合に、先ほど来災害救助法の単価の問題も出ておりましたけれども、児童の場合の学童給食というふうな問題についても、今回のような形で疎開をする、あるいは島民に疎開する場合も含めて、これは政府の責任において、そういうものは父兄の負担というようなことを考慮せずに、特別措置としてそういうことはやっていく、これは行政措置でも私は考え得る問題だと思うのであって、災害救助法の単価という問題になると、それだけで十分長期の実情に沿うかということになると、従来の私どもが努力してきた点からも、なかなか一挙に乗り越え得ない問題があったわけですが、そういう問題は、各省のでき得る範囲内の最高度というものを総合化して、そして現地島民の要請にこたえていくというのが政治の本筋だと思うわけでございます。そういう問題について、学童の給食等の問題も、現地館山の施設状況はどういうことはよくわかりませんけれども、しかし、児童に対するそういう給食というふうな問題についても、政府の責任、つまり、文部省の責任においてそれはめんどうをかけずにやっていく、できれば災害救助法を、単価その他の制約を受けることなく、そういうものにさらに積み重ねるのだという気持の上に立ってそういうものをやっていくというお考えが当然あってしかるべきだと思うのですが、そういう点はいかがですか。
  33. 細谷喜一

    ○細谷政府委員 館山へ収容できたあとの扱いと、仰せのように給食問題も大事な一件でございます。さらに考えてみると、相当長期にわたる場合に、子供たちの学業などもどうするか、いろいろあると思うのでございます。それで、幸いに臨海学園でありますから、ある程度の施設があるであろうと思いますが、それらは東京都が当面の責任者でありましても、仰せのように文部省の方に私どもの方から連絡をいたしまして、東京都のできる限界、その足らざる面について、文部省としてどういう行政指導なり行政上の応援ができるかという点については、十分連絡をして、御趣旨が生かされるように取り進めたいと考えております。
  34. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 建設省、農林省関係三宅島の問題でありますが、災害の復旧問題と申しましても、こういうふうに噴火が続き予震が続いておるという実情から見て、当然、道路の崩壊その他の問題については、適時適切に応急復旧をやらなければならぬかと思うのであります。あるいは農地の復旧の問題にいたしましても、台風のように、台風が通ったあと災害復旧に取りかかる、そういう性格の姿ではなくて、やはり被害が累積をしていくという形が現実に姿として出ておると思う。建設省あるいは農林省の関係で、災害復旧というものを三宅島で考える当面とっておる方針というものは、どういう方針でやられようとしておるか、そういう点を一つ農林省並びに建設省からお伺いをしたいと思う。
  35. 庄野五一郎

    庄野政府委員 三宅島の噴火によりまする農地あるいは農業施設の復旧の関係でございますが、先ほど被害状況で御報告申し上げましたように、まだ十分その実態を把握しておりません。東京都からとりあえずの報告が、先ほど御説明いたしましたような程度に参っておる次第であります。御指摘のように、溶岩の下になったり何かした、あるいは噴火口に近いといったようなところもあるかと存ずる次第でありまして、そういうところは、もう少し火山活動がやむか、あるいは安定するといったような状態において現地調査等をいたしまして、復旧するか、あるいはそのかわりにどういうような措置を講ずるか、こういう点は考慮いたしたい、こういうふうに考える次第でございます。
  36. 鮎川幸雄

    鮎川説明員 先ほど申し上げましたように、現在建設省関係公共土木施設といたしましては、ただいま判明いたしておりますのは、都道が埋没しておる、それから地震等によって相当の亀裂、崩土等があるわけでありますが、この災害復旧につきましては、先ほど農林省からも話がありましたように、私どもも、現地の実態及び今後の火山活動というものがどういうふうになるか、まだわからない点が相当あるわけでありますので、実態をよく確かめて、災害復旧の態勢がとれるようになりましたら、私どもとしても万全の措置をとりたい、かように考えております。
  37. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 あと十四号の問題に対する質問もありますので、三宅島の問題についてさらにいろいろお聞きをする時間的な余裕がありませんが、ただ三宅島の問題は、私現地に直接現地に行っておりませんので、必ずしもつまびらかでありませんけれども、たとえば建設関係災害復旧の問題をかりに考える場合でも、いわゆる火山の噴火あるいは地震というものを考えて、道路の問題をどうするか、あるいは住宅、あるいは学校というふうな問題を、そういう三宅島の特性に合わせて今後改良的な性格の面で積極的に考える面はどういうふうな問題があるのかという点は、私はいろいろ考えられなければならぬと思う。これは御承知の伊勢湾台風の際の、学校なら学校の災害復旧の場合に、水の被害でありますから、水が長期にわたって学校をひたひたと浸しましても、実際には必ずしも半壊あるいは全壊ういう形になっていない。しかし、避難校的な性格というものを考えて、この際積極的に改良復旧で鉄筋の学校にするんだ、これはデルタの低湿地帯についてはそういう方向をわれわれ強調し、それを相当程度文部省で取り上げたという経緯があるわけであります。従って、今度の三宅島のような災害性格からすれば、学校一つ考える場合にも、学校そのものはそう大きな被害を受けてないというようなことがかりにあっても、やはりそういう災害に対する避難校的な性格というふうなものを考えて、この際特別な配慮で、そういうものをやる考えについても積極的に検討することが必要じゃないか、あるいは道路の問題についても、既設の道路の崩壊をそのまま踏襲して道路を補修していくという形じゃなくて、道路の路線のつけかえとか、いろいろな現地実情に適したそういう考え方で災害復旧をやっていく、そういうふうな性格の問題もあろうと思うし、また住宅の問題についても、資料によりますと、全壊といいますか、焼失によるところの家屋等は必ずしも多くないように現状では拝見をしておりますけれども、そういう問題についても、火山の噴火地震に対する面から、いわゆる住宅対策という問題を前向きの姿勢で考えていくということが、私はやはり考えられていいんじゃないかと思うわけです。そういう問題については建設省として御検討願っておるのか、あるいはそういう方向で考えていこうというお考えであるのか、その点はいかがです。  文部省の関係についても、今言った点に関連して今後の問題についてお伺いをしておきたいと思います。
  38. 鮎川幸雄

    鮎川説明員 災害復旧は、お話のように、原則として原形復旧を中心として考えておるわけでございますが、現在災害復旧のいろいろな場合には、できるだけ再度災害を防止するための立場から、また原形復旧のみではその効用が果たせないという場合には、改良復旧ということを加味いたしまして、木造橋を永久橋にするというような考え方で、災害復旧の際には改良復旧を加味してやっていっているわけでございます。あるいは災害関連事業などもやりまして、再度災害の防止ということを考えまして実施いたしておるわけでございますが、三宅島の場合、災害復旧の段階に至りましたならば、そういう点も十分考慮して考えて参りたいというように考えております。
  39. 井内慶次郎

    ○井内説明員 ただいま学校の災害復旧につきまして、特に改良復旧の点につきましてお尋ねがございましたが、今国会でおかげさまで改良復旧の法改正を成立さしていただきまして、この方向に全面的に今後努力することにいたしておるわけであります。  なお、具体的に三宅島の場合、今回被災しております学校の被害状況は、大体補修程度のものが多いんじゃないかと思っております。ただ、今回の場合も、集団的に避難する場所といたしましては、やはり学校が非常によく使われておるわけであります。その意味で、災害復旧でどこまで今回負担できるかという点も早急に検討いたしますと同時に、特に火山による爆発とか、あるいは地震がたびたび参りますと、耐力度点数が相当急激に減ずるというのが実情じゃないかと思いますので、耐力度調査もあわせて行ないまして、改築の補助対象という手も一つ用いられるのではないか、そういう点もあわせ検討いたしたいと思っております。
  40. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間の関係もありますので、台風十四号の問題を中心としてお伺いいたしたいと思います。先ほど三重県知事から、台風十四号に対する三重県の被害状況について御報告がございました。たまたま私の地元の関係もありますので、現地状況については承知をいたしておるわけでありますが、厚生省が一たん帰られましたので、この問題はあとにいたしまして、おられる関係の問題から入っていきたいと思います。  まず農林省、建設省関係で最初にお伺いしたいのは、今度の台風十四号というふうな災害の問題についての査定の段取りというものはどういうふうに考えておられるのか、その点からお伺いしたい。
  41. 庄野五一郎

    庄野政府委員 ただいま報告が参った次第でございますが、農地及び農業施設の災害復旧のための査定につきましては、あの地帯については、従来の例もございまして、災害復計画概要ができますれば、直ちに査定を開始するというふうに考えております。もちろん、緊急復旧を要する、こういったところにつきましては、かねてから通達をいたしておりますが、被害状況等を写真等で十分保存するようにいたしまして、原形復旧に直ちにかかるのがよろしい、こういうような考え方で、緊急復旧の分は直ちに災害工事ができますようにやる、それから一般的なものにつきましては、災害復旧の計画概要ができまして、それによって直ちにやるということで考えております。そう手間をとらない、こういうふうに考えております。
  42. 鮎川幸雄

    鮎川説明員 災害査定につきましては、御承知のように、すでに今年度は台風十四号に至りますまでに九州各地及び北海道方面各地災害が発生いたしておりまして、ただいま各地災害査定を急いでおるわけであります。ただいまお話三重県の査定につきましては、県の方とも十分打ち合わせいたしまして、できるだけすみやかにやりたいと考えております。
  43. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 農林関係の問題で、先ほども知事から御指摘がありましたが、農作物関係被害というものが約十五億、そういう被害額が出ておるわけですが、これは稲の関係で、ちょうど風も相当な強い風でありましたが、三重県の関係は、長島へ上陸してから南北に縦断をしたわけでありますので、被害が広範囲に及んでいるわけでありますが、ちょうどなかて、おくて係、そういう方面の水稲に関する被害相当出ておるわけであります。共済金の仮払いの問題、いろいろなそういう関係の問題があるわけですけれども、そういう農業共済の関係との問題での手配というものについて一つお話し願いたい。
  44. 石田朗

    ○石田説明員 お答え申し上げます。  ただいまお話がございましたように、十四号台風は、ちょうど稲の出穂期前後に当たっておったというような関係もありまして、三重県を初めといたしまして、現在までのところ、約二十九億円くらいの被害になっておるようでございます。なお、この数字は、まだ若干未定のところがございまして、もう少し動いて参りますが、これに対応いたしまして、共済の問題、なおその後の融資の問題等がございますが、共済の問題につきましては、これは大きく全体的に被害を受けまして仮払いを必要といたしますものにつきましては、その措置をとっていただく、これに対しまして、なお各県の関係におきまして資金が不足をいたします場合には概算の中央からの資金の供与をいたす、こういうような措置を考えておるわけでございます。今までのところ、各県からそれらの資料につきまして連絡をとりつつあるところでございます。  それから、さらに天災融資法の適用等についても現在検討を進めておりますが、いま少しく統計調査部等の数字がまとまりませんと、これらについて確定的なことを申し上げられないというところであります。
  45. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 天災融資法の関係について今御指摘がありましたが、天災融資法の発動というものを早期に行なうように、これは統計の報告との関係もありますが、現地災害金融という問題にも関連がありますので、なるべく早期に御手配を願いたいと思います。同時に、その問題と関連をいたしまして、自創資金災害ワクの問題でありますけれども、これは本年度の北海道あるいは九州の災害以来ずっと今日までの災害の手配から見まして、自創資金の中の災害ワクというふうなものは現実にどういうふうに進めてきたのか、具体的な数字で御説明を願いたい。  さらに、台風第十四号等に対する手配というようなものについては、特に心配のない手配ができるというふうな関係にあるのか、具体的な数字をもってお話しを願いたいと思います。
  46. 庄野五一郎

    庄野政府委員 自創資金につきましては、本年のワクは百九十五億、これは、御承知と思いますが、農地の取得資金と維持資金、こういうふうに分けまして、大体農地の取得資金は、第四・四半期当初に配分いたしております。それから維持資金につきましても、本年度発生いたします災害を除きまして、従来からあります維持資金等は配分を終わっております。それで、災害ワクといたしまして現在保留してありますのが約二十四億ございます。これについては、本年におきます台風その他の大災害におきまして、天災融資法の発動と並行いたしましてこの配分を進める、こういう方針でございままして、ただいま北九州あるいは北海道等を含めて検討いたしておる次第でございますが、台風十四号につきましても、統計調査部等の地元の被害実情の統計数字がはっきりいたして参りましたら、それに含めて考える、こういうことにいたしております。
  47. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 自創資金運用の問題については、これは議論としては、農地の取得資金的な性格、あるいは維持資金的な性格の比率をどうするか、あるいは全体のワクが非常に少ないじゃないかということは、農林の関係委員会でもいろいろ議論してきたところでありますが、本日はそういう問題は抜きにいたしまして、まだ今後災害が九月の下旬までに発生の可能性も考えられる段階の中で、今まで災害を受けて参りました北海道あるいは九州、あるいはまた、今回の十四号の関係は大体三重、愛知あるいは岐阜というようなところが中心になるわけですけれども、そういうところを含めての自創資金災害ワクという問題について、もし不足が出てくれば、十分それに対する手当をしながら、災害の要請にこたえる資金の確保という点で今後とも大いに努力をしてもらわなければならぬ。これはいわゆる閉会中の審査等を通じ事態がさらに明らかになって参りますれば、その時点で申し上げたいというふうに思うわけです。なおかつ、天災融資法の関係では、私の名前で、実情に即した額の変更等の改正案も出しているわけですけれども、これらの問題についても、時間の関係上ここでは触れないことにいたしたいと思います。  三重県の場合でも、香良洲、その他熊野灘に面した南勢、南島から紀州路にかけては果樹の本場でありますが、そういう海岸地帯並びに香良洲その他の関係を含めて果樹の被害が出ておるわけですけれども、従来から、数年前の長野の被害あるいは山梨の被害等の際にも、果樹の被害に対しては果樹共済もないし、いろいろな関係で果樹に対する対策というものはきわめて不十分じゃないかということで、いろいろ議論をしてきたわけですけれども、現実に数年を経過してなおかつこういう被害に直面してみると、果樹に対する対策というものは大きく前進をさせなければならぬということを痛感させられるわけですが、農林省として当面果樹被害に対してとる対策の内容というものをどういうふうに考えておられるか、一つお伺いしたい。
  48. 橘武夫

    ○橘説明員 果樹の災害に対します対策につきましては、当面のところは、農林金融公庫からの果樹植栽資金貸付という道が開かれております。なお、果樹被害につきまして、天災融資法が発動になりますれば、天災融資としての経営資金貸付というものが当然考えられるわけであります。なお、その他、先ほど御指摘のありましたような果樹の共済の問題につきましても、経済局で果樹共済のやり方などについて目下実験ないし調査を進めておる段階でございますが、それは今回直ちに適用する段階には遺憾ながらまだなっておらないわけであります。それは今後検討を進めて参りたいというふうに考えております。
  49. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 果樹の問題は、数年来、私ども災害対策に四年近くずっと席を置いて議論をして参りましても、なかなか前進しない問題でありますが、成長財としての畜産、果樹のこれからの指導助成というふうな立場から見ると、今日の現状というものは、ある意味ではまことに遺憾だと思うわけです。果樹共済というものはすみやかに今後考えなければならぬ問題かと思うのですけれども、そういう問題の前に、たとえば樹勢回復のための肥料の問題、あるいは苗木の問題、各般の問題について、もっとやはり助成という立場からの処理を前進させる必要があるのではないか、これは必ずしも法的根拠がなくても、行政でも従来やった例もあるわけでして、今回の場合も、そういうところの行政として助成をするということは、これは考えてしかるべきだと思うのですが、その点はいかがですか。
  50. 橘武夫

    ○橘説明員 果樹の樹勢回復のための肥料なり農薬につきましての助成というのは、以前にもそういうことでいろいろ検討されたこともございますし、過去にも実例がございますが、なかなか現実の施用の実態を確認することも困難なような関係もございまして、経営資金の中でむしろ融資の問題として考えるというのが、従来の大体の対策の立て方でございますが、この助成の問題につきましては、さらに今回の被害の実態も数字的に検討いたしまして、なお考えてみたいと思います。
  51. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 村田水産庁次長もおいででありますが、水産の関係で、先ほど田中知事からもお話がありましたように、真珠を初めとする水産被害というものは今回も相当程度出ておるわけでございます。これは次長も御承知のように、昭和三十四年の伊勢湾台風のときには、約七十億近くの真珠被害がありましたし、さらにまた、チリ津波の際にもほぼ同額、むしろ内容的にはチリの方が深刻な姿を持ったわけでありますけれども、そういう被害に次いで、今回また熊野灘あるいは志摩方面の地域における真珠の被害が出ておる。これはいかだ施設あるいは母貝その他の養殖関係も含めて、約四億ないし五億ということに額としてはなると思うのですけれども、従来真珠等の被害については、伊勢湾の際には特例をもってこれに対する助成の前進を期し、あるいはまた、チリの際にはさらにそれを拡大して措置をした、こういうふうに相なっておるわけでありますけれども、今回の台風十四号の場合の真珠に対する対策というものは、具体的にどういう御方針でやられようというのか。ことに真珠は三重県が大体総生産額の六割ないし七割を占めるという、昔からのしにせの場所になっておるわけでありまして、連年的な災害を今日まで受けてきておる。従って、そういう関係では、天災融資法の関係で融資を受けている金の償還過程においてさらにまた今回の被害を受ける——御承知の通り、伊勢湾のときは、真珠の災害融資については、天災融資法の関係では五十万円まで借りられるという特例の拡大をやったわけでありますが、そういうものの借りかえ等の問題も、あるいは償還期間の延期あるいは条件緩和というふうな諸問題も生じておるわけであります。これは単に真珠だけに限った問題ではなくて、そういう償還期間なり、あるいは条件緩和その他の問題については、村田さんでなくても、担当の局長からでもいいわけでありますが、そういう問題も含めて、真珠関係等についての対策を具体的に今回はどうされるおつもりであるかということを伺っておきたい。
  52. 村田豐三

    ○村田政府委員 ただいま御指摘がございましたように、今回の十四号台風被害で、真珠関係三重県にもっぱら被害が発生しておるようであります。まだ詳細な報告は私ども受けておりませんが、現在まで承知をいたしております県の報告によりますと、一億二千万円をこえる被害になっておるようであります。これは角屋先生もよく御承知のように、養殖施設に対しまする対策といたしましては、施設の復旧に要しまする国の補助の問題、天災融資法の適用によります融資の問題、あるいは公庫融資の問題といったような各種の対策が従来も講ぜられて参っておるのでありますが、先ほど官房総務課長からも御報告申し上げましたように、今回の三重県の真珠被害が天災融資法の適用になるかどうか、これらの問題は、ただいま全体の報告等を調査した上で官房方面でも検討中のようであります。私どももその線に沿ってただいまいろいろと資料の整備その他の検討をいたしておりまするので、もう少し具体的にこれらの被害の内容等が明確になりました上でしかるべき検討をさらに加えて参りたい、かように考えております。
  53. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 天災融資法その他の問題については、天災融資法の発動等の関係がございますから、相互関連め問題でございますが、真珠等の被害に対する助成の問題というものの考え方をもう少し明らかにしてもらいたい。
  54. 村田豐三

    ○村田政府委員 従来養殖施設に対しまする国の助成につきましては、一定の条件のもとに相当高率の補助をいたしておりますことは、御承知の通りでありますが、今回三重県の真珠養殖施設の受けました被害が、従来のそういう扱いに該当しますかどうか、これにつきましては、町村ごとの詳細な被害報告等をも検討いたして参らなければなりませんので、ただいまそれらの資料等に基づきまして検討をいたしておる段階でございます。
  55. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 話の途中でありますが、気象庁の長官が大へんお忙しいところを御出席になったようでありますので、長官に伺いたいと思います。先ほど私は、三宅島の噴火並びに地震による被害の問題で数点お伺いしてみたわけですが、ちょうど長官お見えになりませんでした。長官には過般の委員会の際にも三宅島の問題についていろいろお伺いをしましたが、三宅島のみならず、最近の火山の活動状況からする気象庁の防災体制というものはきわめて不十分であり、早急に体制を整備しなければならぬ、これは火山に対する問題ばかりでなくて、台風その他に対する防災体制の問題も含めて、従来から私ども非常に強調してきたところでありますが、最近、この問題に関連して一歩前進をさせるというプランが進んでおるように承っておるわけであります。その点を一つ明らかにしてもらいたいのと同時に、先ほど三宅島の問題で警察庁からも報告があったわけでありますけれども、今後の三宅島の噴火並びに地震の予測というものを現時点で気象庁としてはどういうふうに見ておられるのか、その点をあわせてお答えを願いたいと思います。
  56. 和達清夫

    和達説明員 三宅島の火山観測施設につきましては、昭和三十九年度に計画されておりましたものを、昭和三十八年度に繰り上げまして一応の観測設備を整えたいと存じております。  なお、三宅島火山の現在の活動状況でありますが、火口付近状況はなお詳細な報告はまだ来ておりませんけれども、三宅島測候所において観測されました地震の回数をもって火山活動を知る一つの目安といたしますならば、人のからだに感ずる地震の数で申しますと、噴火の起こった二十四日はきわめて多数、二十五日も二百回以上、二十六日以降は、二十六日に八十七回、二十七日に十九回、二十八日に百十六回、二十九日に二十九回、三十日に百八十二回、三十一日に六十五回となっております。これを見ましても、三宅島の噴火活動は現在もなお一進一退続いているということを申し上げられると思います。  さて、これからさらに大爆発が起こるか、この程度の一進一退で経過し、だんだんおさまるかというのが問題でありますが、正直に申しまして私には予想がつきかねます。しかし、現在観測の応援隊も行っておりますし、研究者も東大その他参って火山活動を監視しておる次第でありますから、今後活動が非常に盛んになって参りますれば、それらによってキャッチできますので、それだけをもって噴火の予知が絶対できるとは申しませんが、ある程度今後の状況が突然大活動にならないうちに推測もつき得るという点もございます。
  57. 芳賀貢

    ○芳賀委員 角屋委員の質問に関連して気象庁長官にお尋ねしますが、質問の要旨は、北海道における台風号並びに十号の災害対策の一環として、御承知の通り、昨年と今年連続して北海道における台風被害が生じたわけで、その被害のおもなる要因は、いわゆる集中豪雨を伴った台風被害による主要河川の水害ということになるわけですが、こういうような北海道地域等における気象条件の変化等が大体判断されますし、今後もそういうような気象条件の変化に基づく災害等が憂慮されるわけです。そういう場合、たとえば北海道の主要河川である石狩川であるとか、天塩川、十勝川等の上流地域における奥地の雨量観測の設備が、御承知の通り、非常に貧困といわざるを得ないのです。ですから、これからの連年災害を受けることを予測した対策というものが必要になるわけですが、その場合には、やはり上流地域における確実的確な雨量観測の設備等が速急に整えられる必要があるわけでありまして、この点については、気象庁においても相当計画的に考慮されておると思いますが、たまたま昭和三十八年度の予算要求が八月三十一日までに各省から大蔵省に提示されることになっておるわけですが、この際、今回の被害の一番甚大であった石狩川水系、特に空知川の上流地帯とか、あるいは天塩川、十勝川等の主要河川上流地域等における雨量観測、特に無人雨量観測等の施設の状態が今日どういうような現況になっておるか、あるいは今後の完全なる設備の拡充等については、明年度予算要求の中でどういうような具体的な計画に基づく要求をお出しになっておるのか、これが第一点です。  もう一点は、ただいま角屋委員からも、三宅島の噴火並びに地震に関する質問が行なわれておるわけですが、北海道の場合においても、御存じの通り、七月の上旬に十勝岳が爆発しまして、相当被害が出ておるわけです。この十勝岳の場合は、従来火山観測については臨時的にときたま観測を現地でやっておるという程度であって、一番大事な、常設された火山観測所というものがないわけでございます。ですから、この点についても、少なくとも明年度の予算要求の中においては、十勝岳における火山観測所の常設、こういう設備がどうしてもわれわれとしては必要であると考えるわけでありますが、これに対してどのような予算措置を考えておられるか、この二点について長官から説明をお願いします。
  58. 和達清夫

    和達説明員 北海道の水害対策でございますが、北海道は、本州あるいは九州に比べますと、雨量としてはやや少ないのでありますが、水害を受ける点においては同じでございますので、鋭意雨量の観測その他に努めて参りました。水害対策といたしましては、昭和三十三年以降毎年のようにそれぞれの地域において施設を作って参りました。三十八年度におきましては、主として夕張川水系につきまして、水資源の利用及び水害防止のために観測施設を設置する予定であります。  なお、十勝岳に対しましては、昭和三十八年度に観測施設を整備するよう予算計上中でございます。
  59. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいま夕張川水系の分は説明がありましたが、私のお尋ねしたのは、現在の段階において、この主要河川上流地域等において雨量観測の設備等がおよそどうなっているかという現況、あわせて、先ほどおっしゃった北海道の三大河川といわれる石狩川、天塩川、十勝川等の水系についてもすみやかなる設備が必要と思いますが、この点に対する三十八年度の予算措置、どういうような要求をなさっておるか。
  60. 和達清夫

    和達説明員 水害対策としましては、北海道は、昭和三十三年以降、檜山支庁、上川支庁、空知支庁、十勝支庁、網走支庁、日高支庁、胆振支庁、釧路等の支庁に毎年年次計画をもって行なって参った次第でございます。もちろん、この計画がもう少し迅速に行なわれればよろしかったのでございます。今後もできるだけ努力しまして、北海道全域におきまして、水害対策に十分なる資料を提供できるだけの観測施設をつくりたいと思っております。
  61. 芳賀貢

    ○芳賀委員 委員長に申し上げますが、長官お急ぎのようですから、私の質問しました北海道における雨量観測、あるいは火山観測等、観測所の設備内容については、これは後刻資料をもって提出してもらうように、委員長からそういう要求をして下さい。
  62. 秋山利恭

    秋山委員長代理 今お聞きの資料はできますか。
  63. 和達清夫

    和達説明員 承知いたしました。いつごろお届けいたしましょうか。
  64. 芳賀貢

    ○芳賀委員 なるべく早く。
  65. 秋山利恭

    秋山委員長代理 では、後刻配付いたします。
  66. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 厚生省がおいでになりましたので、厚生省関係災害救助法発動の問題ももちろんあるわけですが、今度の台風十四号の関係では、三重県では度会郡の南島町の関係災害救助法の発動を受けたわけでありますが、この機会にお伺いしたいのは、南島町では住宅被害相当深刻に出まして、これの住宅対策という問題を今進めなければならぬ段階にあるわけですが、そこで、厚生省の関係では、例の応急仮設住宅という問題が実は関係があるわけです。先ほどの中村君の質問と関連いたしまして、応急仮設住宅は今日五坪、十三万円、こういうことで考えられているようでありますけれども、額の引き上げ等の問題は、従来から委員会でしばしば論議になった問題でありますが、これは十分考えてもらわなければならぬと思いますけれども、ただ運営の問題として、従来から、応急仮設住宅問題は、考え方としては、全壊家屋の大体三分の一程度、ただ、伊勢湾等の場合でもそうでありましたし、あるいはその後における京都その他の災害のときもそうでありましたが、これは必ずしも三分の一ということにこだわらない、実情に即して、これが四割あるいは五割になっても、それは必要であれば当然それに基づいて考えていかなければならぬ、また、坪数の問題についても、そこに入る家族の構成がいろいろ違うというような点から、五坪のものを画一的につくるということでなくて、その家族数その他を考えて、全体の総坪数の中での運営の問題については弾力的に考えてもらってけっこうだというふうに私ども承知をいたしておるわけでありますが、しかも五坪という問題についても、現地の建設資材の取得状況、その他の単価の状態から見て、単価の範囲内で坪数が少々プラスされても、それは認めていこうというふうな方針のように、従来の災害対策の経緯の中では承知をいたしておるわけでありますが、災害の応急仮設住宅の今日の運営の方針という問題について、この機会にお伺いしたいと思います。
  67. 瀬戸新太郎

    瀬戸説明員 災害救助法に基づきます応急仮設住宅は、あくまでも応急的な、雨露をしのぐための小屋がけという趣旨でございます。そこで、あとの住宅の復旧なりは、これは住宅行政の一環として、災害住宅等で早急にやっていただく、こういう建前に立っております。従いまして、まず単価の点も非常に低いではないかという御指摘をいただくわけでございますが、実は昨年十万円を十三万円に引き上げたようなわけでございまして、特にこの建設にあたりましては、国有林材の払い下げ等を受けまして、できるだけ経済的なやり方をするというようなことで、大体今日までのところ十三万円程度でできておるということでございます。  それから数の点でございますが、これは一応従来の実績等を勘案いたしてみますと、三割程度の実績になっておるわけでございます。そこで、全壊流失あるいは全焼家屋の三割ということに基準は一応きめてございますが、御承知のように、災害の規模、様相はまことに一定いたしませんので、その状況々々によって弾力性のあるやり方をしておるわけでございます。従いまして、三割というのは一応のめどでございますから、今度は割合を上げるということではなくて、実際に真に必要な戸数は認めていく、こういう方針をとって参っております。従いまして、結果として割合をはじいてみますると、三割が四割になり、あるいは五割になるという場合もあり得ますけれども、私どもの考えでは、割合を変えるということではなくて、実際に必要な戸数は認めて参る、こういう方針をとってやっておる次第でございます。
  68. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 農林経済局長忙しいようでありますから、話が前後しますけれども、農林経済局長にお伺いします。  先ほどもちょっとお尋ねした点でありますが、昭和三十四年の伊勢湾台風、あるいはその後のチリ津波、今回の台風十四号、もちろん台風十四号の前の七号も関係ありますけれども、三重県における被害等が連年被災をして起こるわけです。そこで、天災融資法の発動によって経営資金等を借りる場合の金が、幾たびかこれを累積していかなければならぬという現状に今日あるわけです。たとえば伊勢湾台風から見ますならば、今日返済の大体終わりに近いところへきて、あるいはチリ津波でさらに借りておる場合には、そういうものを累積して、今回また、真珠養殖その他農林関係でもそうでありますけれども、天災融資法で融資を受けなければならぬ、そういう関係で、融資の総ワク、あるいはまた融資の借りかえ措置、あるいは償還期限の延伸、条件緩和、各般の問題が、従来からもいろいろ議論されてきたことであり、出て参るわけですが、こういうものの取り扱いに対するお考えについてこの機会に聞いておきたい。
  69. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 お答え申し上げます。  天災融資法の負債がだんだん積もって参りまして、たとえば今度借ります場合にも、それをどうするかは、償還金が重なって参るわけでございますから、そういう問題については、今の天災融資法の限度内、たとえば内地では十五万、北海道二十万、それから激甚災の場合には、その限度ワクを今度変えましたけれども、そういうような範囲内におきまして経営資金の必要額にその年の償還分の上乗せをいたしましてそうして借りられる、こういう現在の制度になっておるわけでございます。条件その他の、たとえば償還期限とか、それから融資その他の条件というような問題については、利子は御承知のように三分五厘でございますから、ほとんど最低でございますので、これをどうこういじるわけに参らぬと思います。それから償還期限の問題は、これは今五年でございますか、そういうようなことでございますけれども、激甚災の場合には、今度の法律で果樹等の場合には七年に延ばす、こういうような考え方をとっておるわけでございますけれども、今の情勢では、大体その程度の緩和措置といいますか、対策でどうやらやっていけるのじゃないか。根本的にはいろいろ問題がございましょうけれども、まずとりあえずそういうようなことでやっていったらどうかというふうに考えておるわけでございます。
  70. 芳賀貢

    ○芳賀委員 関連して経済局長にお尋ねしますが、問題は、北海道の台風九号、十号に基づく麦類の被害についての共済制度における損害評価並びに共済金の支払いの問題です。今次の災害によって小麦あるいは大、裸麦等は甚大な被害を受けて、特に主産地である網走支庁管内等を中心として今までにないような相当大きな被害を受けておるわけです。それで、問題になるのは、これらの麦類は、食管法上からいうと、政府買い上げの品目になるわけでございますけれども、被害によって政府買い上げの等級に達しないものが相当数量ある。今回の災害対策の一環として、食糧庁の方では等外の上までは検査機関で買い上げすることになっておるが、それ以外のものは規格外で買い上げ対象にしないというような方針のようであります。そうすると、これは食管法との関係もありますけれども、農民が政府に売り渡す目的で耕作して生産したものが、不可抗力の災害によって政府買い上げの対象にならない、商品としての使用目的を失ったようなことになるわけですが、そういう場合、これらの麦類については、共済制度上から見た場合、収穫のうちに入るか入らぬか、これは損害評価上重要な問題だと思うわけです。ですから、これについて経済局としての見解とか方針があると思うので、この点をこの際明らかにしてもらいたいと思います。
  71. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 麦の被害の場合にはしょっちゅうそういう問題が起こるのでございます。米の場合ももちろんでございますが、それは理屈で申し上げますると、政府買い上げにならないものであっても、それは自家用になるものもございましょうし、あるいはえさになるというようにものもございましょう。えさは極端かもしれませんけれども、自家用に使うというものもございましょう。そういうようなことで、政府買上げにならないものは全部共済の対象になる被害だというふうには、理論的に言えないと考えるわけであります。しかし、実際問題としては、そういう商品にならないようなものについてはできるだけ被害と見て、共済金の支払いができるようにというつもりで、これはこまかいことは今資料がございませんけれども、いろいろ、ふるいの目での規制の関係の緩和であるとか、そういうようなことで損害評価の緩和措置を、事実上の問題として、知事にも共済組合連合会にも連絡をしておりまして、できるだけ救済するというつもりでこの問題を考えて、損害評価をやっていくようにということで指導いたしております。この前の伊勢湾台風、その後の長雨等でもいろいろそういう問題が起こりましたし、去年の米の場合でももちろん問題がございましたが、そういうような形でできるだけ救済するというつもりで運用いたしておるわけであります。
  72. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もう少し具体的にしておかぬと、また末端にいって混乱が起きるわけですが、政府の買い上げにならぬ場合でも、自家食糧になるような場合は被害対象にしないということであれば、自家用にしようが、政府買い上げにしようが、これは人間が食糧に使えるという場合、むしろ政府買い上げの対象をもう少し広げたらどうですか。自分のうちで食える、しかし政府は買わぬというのはおかしいと思う。そういうことであれば、局長の言われた自家食糧に何とか間に合うという程度のものは、何とか食糧庁において検査等級を——今等外の上以上を買い上げるのだが、たとえば中くらいをもう一つ加えて、これは食糧ですから、軽率な扱いはできませんけれども、自家食糧に何とか間に合う程度のものまで、食糧庁と相談されて、買い上げの検査等級の中に新たに加えるという措置はとれると思いますが、いかがですか。
  73. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 食糧庁で買い上げないものはみな被害だというふうに、簡単に機械的に割り切るのもちょっとどうかと思うのでございまして、事実上、食糧庁の検査関係と共済連合会の損害評価の方の関係、そういうものと連絡をとらせまして、実際問題としては、そういう食糧庁の買い上げの対象にならないようなものについては被害としてできるだけ見れるように、極力そういうような考え方で損害評価の指導をいたしておるわけであります。具体的に、目の大きさとか、色がどうだとか、粒がどうだとか、そういうこまかいところまで一々連絡をとりまして指導いたしまして、損害評価についての特別の取り扱いの通牒を連合会に出しております。そういう考え方でわれわれは損害評価をやることにいたしておるわけであります。
  74. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私の指摘しておるのは、局長の言った自家食糧になる程度のものは、災害対策の一環として、一般の国民も食べられる場合には、検査等級をさらに等外においても新設して、できるだけ政府買い上げの措置を拡大すべきではないか、そうでないと、政府買上げにはならなかったが、自家食糧にはなるから、被害対象にはならぬのだということになると、現地の損害評価作業は非常に混乱するわけであります。ですから、明確に一線を引く場合には、政府買い上げになるものは別ですが、ならないものの場合は、その数量と反別というものを勘案して、これは損害として認定する、こういう単純な方針を末端に流さないと、あとで救済の方法も何もないということになると困るので、この点はもう少し責任のある答弁をしていただきたいと思います。
  75. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 おっしゃるように、そう単純になかなか割り切れない問題でございます。と申しますのは、たとえば政府が買い上げないということでございましても、たとえばまじり工合、要するに、被害粒がどの程度まじっておるか、どういう粒がどの程度まじっておるかというようなことでいろいろ検査規格をつくっておるわけでございまして、そういうようなものでどうしても規格に合わなくても、残ったものについてもその他の用途があるわけであります。自家食糧という言葉は語弊があるとすれば、使い道はあるわけでございます。その場合に、商品価値としては全然ないかといいますと、経営の上からある程度それだけのプラスはあるわけです。ですから、その分は被害としては見なくてもいいではないかという面が幾らか残るわけでございます。政府が買い上げないもののうちにも、えさにも使えるし、あるいは自分の家でも、もう少しいろいろ選別すれば食えるという程度のものもございましょう。そうすると、そういう点は機械的には割り切れない点もございますし、損害評価のときに、いろいろふるいの使い方とか、被害粒のまじり工合とか、そういうようなものについてできるだけ緩和をいたしまして、政府の買い上げの対象にならぬようなものは、全体と言っては語弊がございますが、できるだけ多く損害として見れるようにという考え方のもとに指導しておるわけであります。
  76. 芳賀貢

    ○芳賀委員 問題を整理して、政府買い上げになるものはできるだけ買い上げ措置でいく、政府買い上げ対象に万一ならない場合であっても、使用価値があるという場合は、これは農家自身にどこかで処理しろといってもできないのですから、網走支庁管内だけでも大体百万俵ぐらい不良品があるということを聞いているわけです。そうなれば、これらの麦類等については、たとえば集荷販売の機関としては、現地に農業協同組合もあるし、北海道には北連という機関もある、全国的には全販連というものがあるのですからして、これはやはり農民の協同組合ですから、こういうものを全く傍観しているということはできないと思う。しかし、これを最も効果的に処理するという場合においても、政府が相当熱意を持って、あるいは経済局とか食糧庁が、これらの買い上げ対象以外の、災害による不良品等の処理については、相当あっせんとか、処理に対する指導的役割とか、こういうものに乗り出すという熱意がなければ、これは実行困難だとも思うわけです。この点については食糧庁長官と坂村さんと十分適宜に相談をして、やはり総合的な方針というものを早急に立って、そうして最終的には共済制度の中でそれは結論的に処理するという順序でいくべきだと思いますが、この点について伺いたいと思います。
  77. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 おっしゃる通りだと思います。ですから、従来も、末端では食糧事務所等がいろいろそういうことのあっせんの世話等をいたしておりますが、また私の方でも協同組合を通じてそういうことは積極的にあっせんなり何なり、あるいは関係地域内で消費するとか、他のものに売るとか、そういうようなことも考えてやらなければいけないのではないかということで考えております。
  78. 芳賀貢

    ○芳賀委員 関連のついでですから、もう一点だけお尋ねします。  それは、先般の当委員会で、農地局長を政府代表と認めて質問をした中に、保留した問題があるわけです。この保留した事項は、第一点は、救農土木事業に対する政府の方針をすみやかに立てて、これを明らかにしてもらいたいという点と、第二点は、石狩川水系の上流の金山ダム建設の水没地域内における災害復旧並びにこれに伴うところの対策に対して、この方針を早急に明らかにしてもらいたいという点と、第三点は、天塩川流域の中川村地内における。パンケ地区の無堤地帯の農地買い上げの措置等については、これは建設省あるいは開発庁当局等と十分協議されてこれに対する方針を明らかにしてもらいたい、この三点だけ宿題にしておったわけですが、これに対して農地局長から政府を代表してお答えを願いたいと思います。
  79. 庄野五一郎

    庄野政府委員 先般の本委員会で保留されておりました、ただいま御指摘の三点につきましてお答え申し上げます。  先般の本委員会の終了後、直には建設省、それから北海道開発庁、それから北海道庁の方にも連絡をいたした次第でございます。それで、第一点の救農土木の点でございますが、御質問のように、道からもそういった御要望が出ております。それで、この救農土木の取り扱いにつきましては、従来の例から見ますると、市町村区域におきまする減収額で三割以上、それから該当農家といたしまして農作物の減収が五割以上、こういった農家で、そして災害によりまして施設あるいは農地の災害復旧等による労務の労賃を得る機会がない、こういった場合に、従来救農土木といったような措置を講じてきた次第でございます。それで、具体的な点でありますが、北海道といたしましてどういう町村においてその必要が生ずるかという点につきましては、北海道庁に具体的な実情報告してもらうように中島副知事に指示いたしてございます。それにつきましてはまだ報告が参っておりません。建設省並びに北海道開発庁に対しましては、今回の九号並びに十号の被災地帯におきまする既存の土木工事——あるいは農地関係で申しますと、農業関係の工事があるかどうかという点については、私の方は私の方で調べております。建設省におきましては、河川並びに道路等の既存の土木工事があるかどうか、こういう点について九号並びに十号の被災地域における実情を調べていただきたいということと、今回の災害によります災害復旧工事としてどの程度がそういう地域において予定されるか、こういう点をお調べ願いたい、こういう連絡がとってございます。そういう資料が集まりまして、該当町村といいますか、北海道庁の調べによりまする被災町村が具体的にわかってきますと、それによりまして、既存の工事、今後の災害復旧工事、そういうもので労賃を得る機会がどの程度あるか、それを基礎といたしまして、なおそれでも不足するといったような場合には、またこの救農土木といったようなことを考えなければいけないのではないか、そういうふうな考え方で、それぞれの官庁並びに道においてただいま調査中でございます。以上でございます。御了承願いたいと存じます。  それから金山ダムの水没予定地の中におきまする農地関係被害でございまするが、これにつきましては、御指摘のように、水没補償が大体話がつきまして、一部支払い、一部まだ支払いが済んでいない、こういったような状況になっております。それで、これにつきましては、建設省において実情調査し、それから関係農民の意向も聞いて処理したい、こういうようなお話でございまして、なお、北海道の知事にも、水没が三十九年以降において予定される地帯の農地あるいは農業施設の復旧をやることがはたして妥当かどうかという点についても、よく地元関係農民の意向を調べて御報告願いたい、こういうことで北海道にも伝えてあるわけでございまして、なお、建設省関係については建設省から御答弁願いたい、こう思っております。  それからもう一点の中川村につきましては、これは原始河川の無堤防地区におきまする農地の問題でございます。河川の改修がどういうふうになりますか、この点については建設省から御答弁願いまして、それによりまして、こちらの農地の復旧状況をどうするか、そういう点を考えたい、こういうように考えております。
  80. 鮎川幸雄

    鮎川説明員 救農土木に関する問題につきましては、先ほど農地局長からお話になった通りでございまして、ただいま関係資料を私の方でも整備いたしておるわけでございます。資料ができましたならば、農地局とも十分御相談申し上げたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから金山ダムの水沈予定地の災害復旧の問題でございますが、この点につきましては、金山ダムの完成予定時期が、若干時間的な——四十一年になると思いますが、その水没時まで復旧をする必要性と申しますか、その現地実情と申しますか、それに即してそれに必要な範囲だけのことはやる必要があるのじゃないか、この点につきましても、関係のところとよく協議いたしまして善処いたしたい、こういうように考えておるわけであります。
  81. 芳賀貢

    ○芳賀委員 中川村の方は……。
  82. 鮎川幸雄

    鮎川説明員 最後の点、ちょっと御質疑の点がはっきりいたしませんでしたので……。
  83. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは先般の委員会で提起した問題ですが、中川村は天塩川が流れておるのですが、中川村の中の、左岸の大宮地区は堤防が完成しておるわけです。右岸のパンケ地区は堤防がないのです。こういう、左岸に堤防があって右岸に堤防がないのは異例なことなんだが、その理由は、右岸に堤防敷地を完全に獲得して堤防を建設すると、農地がなくなってしまうというような事情もあるわけです。この関係の農家戸数が八戸、面積にして五十二ヘクタールですね。だから、このまま放置しておくと、増水のためにパンケ地区は毎年のように作物は収穫皆無状態になる。ですから、営農を続けていくことができないのです。だから、結局は、堤防を建設するためには、その農地を全部買収しなければ堤防工事はできない。しかし、そういうことをすることが国家経済上有利か、あるいはその地域を全面的に河川敷地として買い上げて、そうしてこの八戸の農家は安定して営農できる地に転住してもらった方がいいか、この二点については、これは建設省、農地局並びに開発庁と、現地協力も必要ですが、十分調査の上、いずれかの方針を出すべきじゃないか、こういうことを先般農地局長を通じて私から提起してあるわけです。
  84. 鮎川幸雄

    鮎川説明員 ただいまのところ、私も現地状況について詳細に存じておりませんので、私どもの存じております範囲について申し上げますと、関係地区の状況は、ただいまお話あった通りだそうでありますが、結局、これを一方の地区のように築堤工事でやるか、その他の方法でやるかという問題があるのじゃないかと思います。築堤工事をやるといたしますと、相当の面積を必要とするわけでございますが、それだけの地域現地にあるかどうか、こういうことになってくるわけでございますので、ただいまのところ、その地区につきましては、護岸その他の必要な工事でできるだけ治水工事をやるというようなことで、築堤の改修の方法についていろいろ検討いたしておる、こういうふうに了承いたしております。
  85. 芳賀貢

    ○芳賀委員 冗談じゃないですよ。左岸にはもう完全な堤防はできているんですよ。右岸は無堤地帯なんです。だから、水害等で水位が上がった場合は、護岸工事をしたって、堤防じゃないのだから、水位の上がった分は溢水して、関係地域に壊滅的な被害を毎年与えておるんですよ。だから問題は、対岸と同じような築堤工事をやるか、あるいはまた、五十三ヘクタールを河川敷地として全面的に買い上げして、そうして現住している農家が他に転居するか、方法はこの二つしかないんですよ。護岸なんかやったって、何もそれは増水を防ぐことはできない。そういう迂遠なことではなくて、方法としては二つしかない。二者択一で、どうやるかということを関係各省と相談して——これはきょうはっきりできなければ、もう少しあとでもいいが、方針を明確にして、その地域における気の毒な農家の将来に対して指針を与えるべきじゃないか、こういうことを私はただしておる。
  86. 鮎川幸雄

    鮎川説明員 ただいまの問題は、河川の治水の技術上の問題も相当ございますので、よくその点につきましては内容等も調べまして、後刻またお答え申し上げたいと思います。
  87. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、この問題はさらに保留して、この次の機会に政府の方針を明確にしていただきたいと思います。
  88. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 文部省は会議関係で午後の出席に支障があるようでありますから、たくさんありましたけれども、簡単に二点だけをお伺いしておきたいと思います。  一つは、先ほども三重県知事からお話がありましたように、今回、台風十四号の関係で、三重県の小中学校の八百四十九校のうちで、五百五校が大なり小なり学校被害を受けておるという状況にあるわけです。また同時に、一志郡の美杉村多気中学の場合においては、がけの側面にあった学校の関係もありまして、宿直中の先生が圧死したという問題も生じておるわけですが、そこでお聞きしたいのは、学校の関係は、もうすでに二学期が始まっておる段階でありまして、速急に災害復旧をやらなければならぬ。そこで文部省として、台風十四号関係の査定を急ぐ、あるいは災害復旧を急ぐということは当然のことでありまして、こういう方面の段取り、あるいはこれは特殊なケースでありますけれども、こういう殉職した問題に対する対策というのは、従来からどういうふうに取り扱っておるのか、この二点をお伺いしておきたい。
  89. 井内慶次郎

    ○井内説明員 今回の台風十四号によります文教関係被害で、ただいま報告を受けております総額は、約一億一千万円でございますが、その大半にわたります六千万円余が三重県の災害というふうに報告を受けております。ただいま御指摘のございました美杉村の多気中の件につきましては、今朝村長も参りまして、詳細に打ち合わせいたしました。ただいまお話ございましたように、山くずれによる校舎倒壊によりまして教員が一名死亡するという悲惨なことが起こりまして、まことに大へんでございましたが、昨日校葬が行なわれたようでございます。で、今朝村長等と、被害写真等によりましていろいろ状況を御相談いたしたのでありますが、山くずれが生じました地帯のすぐ周辺にさらに山はだに亀裂の生じた部分等もございまして、現地で復旧するということが非常に困難だという事態が現実あるようでございます。そういったことも加味いたしまして、できれば新敷地に移りたいという希望もあるようでございます。この点、できるだけ地元の負担を軽くするように何らかの工夫をしなければならないということで、本日村長とも相談をいたした次第でございます。なお、校舎全壊によるものにつきましては、他の町村の場合、詳細な事情をまだとらまえておりませんが、美杉村の場合は、幸いに本年危険校舎の改築の補助対象にいたした学校がございまして、いずれ取りこわす予定の古い校舎があったものでございますから、そこに直ちに移りまして、そこで授業再開に支障がないようでございます。  災害査定の段取りといたしましては、ただいま、県の委員会から来週中に負担申請を持ってきてもらいまして、それに基づきまして現地立会の日程を大蔵省主計局司計課の方に御相談に上がり、可及的すみやかに現地の査定をやらしていただきたいと思っております。  それから第二点の、宿直中殉職されました石橋教員の件につきましては、主といたしまして公立学校共済組合の方でできるだけの手当をいたすようになろうかと存じております。  以上でございます。      ————◇—————
  90. 秋山利恭

    秋山委員長代理 この際、お諮りいたします。  去る八月二十八日決定いたしました閉会中審査の申し出の件に、中村重光君外四十九名提出にかかる昭和三十七年七月及び八月の風水害による被災者援護に関する特別措置法案を追加し、閉会中もなお継続して審査いたしたい旨議長に申し出たいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 秋山利恭

    秋山委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  92. 秋山利恭

    秋山委員長代理 なお、本委員会に付託されております請願は一件でありますが、先ほどの理事会の決定の通り、保留することといたします。御了承願います。     —————————————
  93. 秋山利恭

    秋山委員長代理 この際申し上げます。本委員会に参考送付されました陳情書は四件であります。  暫時休憩いたします。    午後一時二十一分休憩      ————◇—————    午後二時三十一分開議
  94. 稻葉修

    稻葉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。角屋堅次郎君。
  95. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 午前に引き続きまして、台風十四号の災害対策の問題を主としてお伺いをいたしたいと思います。  政府委員の出席の関係もありまして、建設省関係に主としてお伺いいたしたいと思いますが、まず住宅関係でありますけれども、午前に三重県の田中知事からもお話が出ました中で、度会郡の南島町の関係は、災害救助法の発動もあり、特に住宅関係被害相当深刻であったわけであります。もっとも、南島町全体の総戸数からすれば、被害戸数というのはそう大きな数ではありませんけれども、しかし、地域的にやられているわけでありまして、その地域相当深刻な問題になっておるわけであります。災害救助法の発動に伴う厚生省の応急仮設住宅というふうな関係の問題については、これは午前中にもお伺いいたしまして、これはこれとして現地の要請に基づいて県とも連絡をし、厚生省とも連絡をして、応急仮設住宅の総戸数を何ぼにするかということはいずれきめられると思うのですけれども、あとは、やはり災害関係の公営住宅、あるいは住宅金融公庫から金を借りて個人で建設をしていく、こういうふうな形が当然考えられるわけですが、公営住宅法の問題については、従来であれば、伊勢湾その他のときもそうでありますが、それぞれ特例法をつくって、この問題にはさらに高率の補助を出して処理してきたわけですけれども、今回の場合は、激甚災害の財政援助の法律が制定されて参りますと、特例的な形で措置をするという従来の慣例というものが改められることに相なるわけです。ただ、従来からも、特例法をつくるときに、適用の政令の内容というものが大へん問題になりまして、二市町村の被害戸数の全体との割合、あるいは総戸数、これが県で全体を見た場合、あるいは関係の市町村で見た場合、こういうようなことでいろいろ政令基準がありまして、その関係で、たとえば三重県の南島の場合に、今度の激甚災害の場合の財政援助の法律というものが適用になるかということになると、まことに至難の問題だと思うのですけれども、こういう新立法の関係政令の内容というのは、従来の政令をそのまま踏襲される、大体そういう方針でいかれるのかと承知しておるわけですが、まずこの辺の問題はどうでございましょうか。
  96. 尚明

    ○尚説明員 公営住宅法に基づいて、災害公営住宅につきまして災害特例の新立法をつくります際のその政令の案でありますが、従来、公営住宅法で特例法ができました場合の激甚地指定が、通常、一市町村の滅失した戸数が全体の一割をこえる場合と、もう一つは、総戸数が二百戸をこえる場合、こういう二つだけの線でございましたが、そういたしますと、中間でもって非常に矛盾のできる公共団体が生じましたものですから、今回政令で設けたいと思っておりますのは、その辺に不公平なく、なだらかに、その基準に中間の段階等も適合するようにということを目途にいたしまして、関係各省と協議しておるところでございます。
  97. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 ということになるのですけれども、具体的にさらに大体どういう腹案で考えておられるか。
  98. 尚明

    ○尚説明員 ちょっとまだ数字がまとまっていないので、ここで詳細には申し上げられませんけれども、今の矛盾と申しましたのは、一市町村で総戸数二百戸以上というときにすぐ特例法が適用になる、従来の例でありますと、大都市、つまり何万戸もあるような——この前の室戸のときでも、大阪のように非常に多いところは、二百戸ということで、全体の割からいえばきわめて微々たるパーセンテージであるにもかかわらず、適用になった。ところが、中間の、あるいは小さい町村で、かりに千戸くらいの小さな町村の場合に、これが百戸以上なければ一割に相当いたしませんので、そうしますと、九十何戸でも該当いたしません。従いまして、大阪では、たった二百戸あるいは二百二、三十戸で該当するのに、千戸ばかりの町村では、百戸がちょっとでも切れると適用にならない。しかるに公共団体の力としては非常に差があるということで、その間を中間的につなぐような階段方式を間に何段階か入れようということでやっておるわけでございます。
  99. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 その場合に、町村合併等が行なわれました経緯から見まして、そういうものを適用する場合、従来もよくやった例でありますが、被害地域的に集中するという場合があるわけですから、旧町村割りでその適用を当てはめる、こういう考え方には変わりないわけですか。
  100. 尚明

    ○尚説明員 町村合併が行なわれました場合に、その被害戸数の算定にあたりまして、合併前の数字を適用していくということは、在来も行なっておりましたし、今後もそういたしたいと思っております。
  101. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今回の南島町の場合に、被害の総戸数あるいは被害の全体の戸数に対する割合等から見て、今度の激甚災害の財政援助の法律の適用を受けるかどうかということは、非常にむずかしい問題かというふうに思います。これは非常に残念でございますが、そういうふうな判断がされるわけですけれども、ただ、そうなりますと、現行の公営住宅法に基づいて町村でこれを建てていこうという場合には建設をやるわけでありますが、そうしますと、補助率の関係は、たしか三分の二、それと二分の一、こういう形になって参るかと思うのです。特例法の場合は、災害滅失戸数の五割の範囲内において高率適用の政府責任を負うということだったわけですけれども、普通の公営住宅法の場合には、災害のための公営住宅を建てるという場合には、別にそういうことについては限度の制限は設けてない、こういうふうに解釈してよろしいのでございますか。
  102. 尚明

    ○尚説明員 公営住宅法の建前は、こういうふうになっておるのでございますが、災害公営住宅として該当する一定戸数以上の被害がございました場合は、国は滅失戸数の、たとえば特例法のときは五割について責任を負うわけです。それから一般の災害の場合には、三割について責任を負うということになっておりまして、その法律自体も、責任を負う限度の戸数をいったわけでございまして、もし他に、たとえば保留の戸数とか、調整用の戸数とか、一般の公営住宅建設の中にゆとりがありました場合には、さらにそれに追加をするということも、これは法適用の範囲でない問題として、なし得る状態になっております。今回の南島町の場合も、先生もおっしゃいましたように、なかなか法適用に持ってくることがむずかしいわけでございますが、私ども過去の経験によりまして、小災害に対処する等のために、大体十月、ころまでは常に公営住宅をある程度緊急の用意のために戸数を保留いたしております。たとえばそれが災害に用いられる場合も予想し、あるいは他の公共の土木の道路事業その他で立ちのきのために急に必要になるという事態もしばしば起こりますので、そういう保留を持っておりますので、これを小災害に当てて一般の公営住宅として扱いまして戸数を割り当てる、こういうことに相なるかと思います。
  103. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今お話しの点はまことに適切な配慮だと思いますが、今日リザーブされておるこういうための建設省の手持ちというのは大体どのくらいですか。
  104. 尚明

    ○尚説明員 法律適用になる場合のことを予想いたしまして、在来年度の初めにおいて千戸保留いたすことにいたしております。これは過去の災害で今まで若干出しておりますが、まだ相当残っております。そのほかに、先ほど申しましたように、災害以外の公共土木等の工事のための調整として、これはただいまで大体三百戸ぐらいございます。それを用意してございます。
  105. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 結局そうなりますと、たとえば南島町の場合に、公営住宅、これは二種になるわけですが、公営住宅を建てたい場合には、リザーブの問題もあり、さらにまた、今までの既定の一般計画の中でもしまだゆとりがあるとすれば、そういうものも含めて、現地の事情を勘案しながら処理をしていくということだと思うのですが、総戸数としてそう大きな戸数ではありませんので、南島町で第二種の公営住宅を建てるという場合には、十分それは処理できるということでございましょうか。
  106. 尚明

    ○尚説明員 大体今回の十四号までの台風につきましては、そういう御要望に対して全部対処できるものと考えております。なお、具体的に南島町だけでは、ただいま、電話の連絡でございますが、大体十戸余りを御希望になっているように承っておりますが、この程度は当然確実に割当し得るものと考えております。
  107. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 住宅金融公庫の金を借りて個人で災害復旧をやるという場合は、これは建設のための限度額という問題もありますし、また総体戸数としてはそう大きなものではありませんが、現地としては相当の数に上ります。半壊等の補修に対する住宅金融公庫の貸付、こういうふうな問題から見て現行の金額というものについても御説明願ってけっこうかと思うわけですが、そこで現地側にすみやかにそういう住宅金融公庫の金をおろしていくという問題のサービスの配慮も、当然、災害の場合には特に考えていかなければならぬと思うのですが、そういう手配の問題はいかがでございますか。
  108. 尚明

    ○尚説明員 一般的に申しまして、公庫の災害貸付につきましては、二種類ございまして、特に災害のためにきわめて適切に配慮しようといたしましたのは、災害復興住宅という制度でございまして、これは大体災害の大きさが全体で五百戸、一市町村で二百戸以上の場合に適用されますし、また、これに準ずるやや少ない災害の場合でも指定されることがございます。この方は手続等がやや簡素化されておりまして、借りよくなっておりますが、しかし、貸付の限度は、建物にいたしまして大体十二坪程度が建てられるお金といたしまして、通常、内地の木造では四十八万円、それから修繕につきましては二十一万円程度を貸すことになっております。  次に、今回の十四号台風についてでございますが、十四号は、私どもの算定によりますと、全災害が百八十一戸ほどになっておるわけでございますが、これは先ほど申しました災害復興住宅の適用をすることはやや困難でないかと思われるわけでございます。かかる場合を考慮いたしまして、住宅金融公庫としては災害特別貸付という制度を設けております。災害特別貸付と申しますのは、大体一町村で十戸ぐらい以上まとめてやられましたときにすべて用いる手段でございますが、これは一般的に公庫の住宅貸付をいたします場合は、希望者が多いので抽せんをいたすわけでございますが、この災害特別貸付におきましては、この災害地に関する限り、復興される方に対して無抽せんで貸付を申し上げるということをいたしております。今回の十四号台風はこの適用になるものと考えまして、目下その準備をいたしております。なお、こうした場合にこの貸付が行なわれるということは、すみやかに、公庫支所及び府県を通じまして、一般の人にわかるようにパンフレットもしくは広告等でお知らせするというやり方をいたしております。
  109. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 住宅関係は、これは一刻もゆるがせにできない、早急にやらなければならぬ問題でありますので、応急仮設住宅、あるいは第二種の災害の公営住宅、あるいは住宅金融公庫を通じての災害住宅の建設もしくは補修、こういう問題については、これは何も三重県の南島町ばかりに限りませんで、全体的な災害対策として、従来も御経験があるわけですから、すみやかに推進をしてもらいたいと思います。  河川局の方にお伺いしたいわけでありますが、今回の十四号台風のときもそうでありましたが、昨年の災害の際に、災害対策特別委員会から、大阪とか京都とか、そういうふうな関係地域を回りました際に、さらに三重県にも参りまして、いわゆる三重県の伊賀盆地の建設省関係の防災対策というか、あるいは災害復旧、そういうものをどうするかということをいろいろ調査したことがございます。それに基づいていろいろ論議等もやりましたが、ただ、御承知の通り、これは大阪湾に流れる淀川の問題とも関連をいたしまして、上流部にある伊賀盆地の治水対策というものをどう立てるか。昨年の災害は非常にひどい状態でありまして、湖水のような状態にまで相なりまして非常な被害を及ぼしたわけですけれども、その際には、伊賀盆地に流れてくる水というものは、岩倉峡という非常に狭い峡谷を通じて下流淀川までつながっていくわけでありまして、現地住民の切迫した気持からいうと、その岩倉峡を実力ででも開さくをしなければ、抜本的な伊賀盆地の災害対策は立たないのじゃないかという険悪な空気等も一時出まして、これは災害の実相から見れば、そういう気持になるのも十分理解ができるところであります。ただしかし、これは下流の笠置町初め、ずっと京都、大阪方面にまで非常に大きな影響を持つ問題でありますので、現地住民としては、下流のそういう京都、大阪の治水のために伊賀が犠牲になっているのだという、そういう激しい憤りの気持も非常に強いわけであります。従って、やはり今後淀川を含むこういう関係の治水面、利水面——これは水資源開発公団の、主として利水面を中心にした今後のこの地域における計画の推進の問題ももちろん関係はありますけれども、たまたまこの伊賀盆地の場合は、それぞれの中小河川に防災のダム等をつくるというふうなことを考えましても、ダム・サイトの相当貯水量をたくわえるという適地が必ずしも多くありませんで、小規模のそういうものを多数つくらなければならぬ、しかも、そういうものになりますとなかなか手間がかかるというふうなこともありまして、もしそういうふうなことでやるとするならば、やはり長い期間にわたってそういうことをやるのでなしに、なるべく短い期間の間にやはり総合計画を立てて推進をしていかなければならぬという実情に、素直に言って、あると思うのです。これはこういう地域においては常常痛感する問題でありまして、何年でありましたか、相当年数前には、あそこで山津波等を含む相当深刻な被害もありましたし、その後、伊勢湾あるいはその後における昨年の災害というふうなことで、しばしばこういう地域では相当大きな被害を受けておるわけでありますが、本年度も、先ほど写真でも出ておりましたように、非常に被害を生じておりますけれども、伊賀盆地方面の治水対策というものを、県と折衝といいますか、県と連絡をしながら今後どういうふうにして進めていこうとするか、基本的な考え、あるいは具体的なプランについてお伺いしたいと思います。
  110. 鮎川幸雄

    鮎川説明員 ただいま伊賀盆地の治水対策についての御質問でございますが、伊賀盆地は、先ほどもお話のなかにありましたように、淀川の支川になります木津川の上流に当たる地域でございまして、いわゆる淀川水系の一環をなす地域であるわけであります。この地域の治水対策につきましては、この水系全体の治水の基本対策に即して行なわなければならないわけでございまして、御指摘のように、従来から伊賀盆地においてはたびたび災害が発生して、そのために、伊賀盆地の建前から見た治水上の対策等もいろいろ検討されておるわけでございますが、この地域対策だけでは——まあ淀川水系全体の治水のバランスを保って行なわなければならない建前になっております関係上、どうしても今までのところその根本的な解決に至っていない、すなわち、本川の改修等の状況に即した上流の改修計画ということが必要になってくるわけでございまして、今のところまだ本川筋が十分な治水の対策にまで至っていない、そこで今のところまだ伊賀盆地におきましては十分な治水対策ができていないというのが実情でございまして、その点は、先ほども御指摘があった通りでございます。  このような状況に対しましてただいま建設省でやっております点を申しますと、伊賀盆地に流れております長田川と拓植川と二川あるわけでございますが、長田川につきましては、中小河川改修事業によってでき得る範囲の改修事業を行ないまして、盆地の一部をかこってできるだけ被害をなくするという方向でただいまのところをやっておるわけでございます。さらに今後、この中小河川改修事業のほかに、先ほどもございましたような、ダムによる治水対策、その他の点につきましても、敷地の問題等も十分検討して参らなければならぬというふうに考えておるわけでございます。さらに根本的には、淀川水系全体の治水計画がバランスをとれてできますように、上下流を通じた基本的な対策ができ、しかもそれを実施に移すことができますよう、いろいろな角度から調査を進め、また実施の方に移して参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  111. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今回の台風十四号の関係地域の問題と関連をいたしまして、昭和三十四年の伊勢湾台風で非常な大災害を受けたとき、あの当時三重県で六百億をこえる災害というたのでありますが、今回の十四号は約三十億というのでありますから、スケールとしても、範囲から見ても、深刻さは伊勢湾のときがずっとひどかったわけでありますが、その際に、災害の査定で建設省、農林省関係で査定を受けて災害復旧をすることに相なっておった問題について、御承知の通り三年とか四年とかいう形で災害復旧をする場合に、場合によりますと、廃工といいますか、そういう形に処理するところが、地区的に、局部的に従来も出て参ったことがございます。そういう点で、今回災害救助法の発動を受けた南島町の関係、あるいはお隣りの南勢町の関係、あるいは紀勢町の関係等において、かねて伊勢湾の際に、農地の関係あるいは建設省関係災害復旧の査定を受けておって、査定通りに仕事をやっていくという形が、廃工の動きも一部伝えられているということで問題を持ってきたことがございます。さらにまた、そういう地域において問題になりますのは、例の南海地震に伴う地盤沈下対策ということで進められて参りました事業の関係等の取り扱いの問題についても、やはり現地に参りますと、たとえば紀勢町の錦あたりでは相当地盤沈下の関係もありまして、伊勢湾台風以降相当に金をかけて、家あたりの地上げをやるというふうなこと等もやっておりまして、私ども当時、こういう地上げの問題については相当な助成をして、一戸々々が自己資金でやるのではなくて、共同的にやって、被災住民の負担を軽減することを考えたらどうか——これはもちろん錦ばかりではありませんでして、三重県の北勢あるいは愛知県の海部郡というような関係のところで、一戸あたりの農家のそれぞれの地所に建てるのではなくて、デルタ地帯、低湿地帯においては、共同の敷地というものに助成をやってやったらどうかということを提唱したこともございますが、紀勢町の錦あたりでも、国からの政策がないとすれば、みずから積極的にやらなければならぬということでやっておるわけですが、地盤沈下対策というふうな問題等についても、その後ややともすると力が抜かれてきているんじゃないかという気持を現地としては強く持っておるわけです。これは現実に地面が年々どの程度下がっていくかというデータは今詳細には持ち合わせておりませんけれども、やはり相当徐々に下がってきておることは間違いないわけです。従って、具体的な事例に基づいてお尋ねをしておるわけではありませんが、地盤沈下対策の推進、あるいは伊勢湾台風等で査定を受け、現実に建設省関係あるいは農林省関係でやらなければならぬというふうな問題については、特に熊野灘方面の海岸護岸の関係、あるいは農地に対する保護のための堤防の関係というのは、現地としては非常に真剣にその必要性を痛感しておる問題でありますので、災害復旧費とその農地との関係あるいは背後関係というふうな簡単な理由で廃工等にしない、やはり当初の計画に基づいて推進をする、こういうふうにぜひしてもらわなければならぬというふうに思うわけですが、この点、建設省、農林省関係のお考えを承っておきたいと思うわけであります。
  112. 鮎川幸雄

    鮎川説明員 ただいま廃工に関する問題と、地盤沈下対策に関する問題のお尋ねがございましたが、廃工にします場合には、よく現地実情等を調査いたしまして、その結果に基づいて、これで十分である、廃工にしても十分であるという結論に基づいてやっておるわけでございまして、そういうおそれのあるところは廃工にしていないんじゃないかと思いますが、もしそういうことでいろいろな点でまだ不十分なところがあるかどうか、そういう点は私どももよく検討は進めて参りたいと思います。  なお、南海地震に基づく地盤沈下対策の問題でございますが、この対策につきましては、すでに御承知のように、当初計画に基づく事業は、たしか本年をもって大体完了することになっておったかと思います。ただしかし、その後各地における実情等が、当初計画以外の問題で解決を要する問題等がだいぶ出て参りまして、それにつきましては、さらに調査を進め、また各地域等の御要望等もございまして、当初計画に今年度また来年度も含めましてさらに計画を拡充して、従来の地盤沈下対策事業もあわせて普通経費でやるようにいたしておるわけでございまして、今後ともこの点につきましては問題が解決できるまで、私どももこの対策については力を注いで参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  113. 梶木又三

    ○梶木説明員 南海地震によります地盤沈下変動の事業につきましては、ただいま建設省のお答えになったように、農林省でも今鋭意まだ続けて実施いたしております。  伊勢湾台風によります農地並びに農業用施設の復旧でございますが、先生がおっしゃったように、できるだけ廃工をなくする線で進んでおりますが、熊野灘の付近で一部反当百万円以上のような地区が若干ございまして、これにつきましては、今県と細部の打ち合わせをやっておる最中でございます。
  114. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 あと島本委員の方からの御質問の関係もありますし、いずれ閉会中また具体的にいろいろ出てくる問題についてはお尋ねをしたいと思いますので、あと一点で本日は終わっておきたいと思います。  昨年の災害の際に、これは具体的な一つの問題でありますが、伊勢の豊浜大橋の問題につきまして、建設省も非常に積極的な御配慮で、永久橋をこの際災害関連で積極的に取り上げて、災害復旧を兼ねた橋を作ろうということでいろいろ御努力を願っておるわけでありますが、この点については、私も直接地元でありますので、かねていろいろ要請をして参ったところでありまけれども、本年予算もつき、仕事にかからなければならぬという段階でございますが、この予算関係あるいは今後の進捗をしていく方針の問題について、この際お伺いしておきたいと思います。
  115. 安芸元清

    ○安芸説明員 お答え申し上げます。  豊浜大橋は、宮川にかかっております長大橋でございますが、昨年の災害にかかりまして、災害関連事業といたしまして、総経費約一億六千一百万で事業をやることに現在相なっております。今年は、災害費二千二百万、それから関連事業費二千万、合計四千三百万程度をもちまして下部工事をやろう、こういうことに相なっております。下部工事の橋脚のウエルを沈下するという工事が今年度やられるわけでございますが、今年度は六基。ピアをつくるという計画に相なっております。重要な橋梁でございますので、できるだけ早く仕上げるということが大事でございますが、下部構造は、出水期もありまして非常に危険な作業でございますので、今年は若干予算的に少ない点もあろうかと思いますが、来年度からは、下部工事が終わりましたならば、上部構造に大いに力を入れて極力促進していきたい、かように考えておるわけでございます。
  116. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは建設省も御承知の通り、名古屋から伊勢を通って三重県の志摩方面に行く国道の関係だけでは、今日交通事情が非常に錯綜して参りまして、経済その他の要請に十分こたえ得ない、従って、私どもは、例の名古屋から四日市へ抜けてきます名四国道の線をさらに南下いたしまして、主として海岸に沿って伊勢までおりてくる国道というものをすみやかに建設しなければならぬというふうに考えておるわけですが、そういう関係から見ますと、この豊浜大橋の関係は、そういう際にやはりその路線の中で大きな役割を果たすべき性格を持ってくるというふうに思っておるわけであります。従って、工事の性格、あるいは幅員その他、いろいろ各般の問題についても、そういう次の時代の要請にこたえるというふうな点も十分配慮しながら、しかもまた、この地域現地の方方としては、すみやかな完成ということを非常に強く望んでおるわけでもありますので、これが計画の内容あるいは予算的な措置等についても、積極的に一つ今後とも努力を願いたいというふうに強く希望いたしておきたいと思います。  冒頭に申し上げましたように、いずれ閉会中にも審査の機会があるわけですから、本日は、当面十四号の災害の問題、あるいは三宅島の今後政府が積極的に進めなければならぬ災害対策の問題についてお伺いをいたしましたが、本日はこの程度で終わります。
  117. 稻葉修

    稻葉委員長 島本虎三君。
  118. 島本虎三

    ○島本委員 私の話はおもに北海道に限定いたします。それも北海道の九号、十号台風の措置に限定いたしますから、その限りにおいて——以前私はこれに対してはほとんど尋ねてきましたが、その中で一、二大事な点が落ちております。その点について少し掘り下げて皆さんにお伺いしてみたい、こういうふうに思うわけです。  それは、河川局長あたりからこの問題の答弁がありまして、十分われわれも了知したのですが、現在の北海道の石狩川のような原始河川をそのままにしておいては、これはいつでも雨の降るたびごとに災害が起きることは、もうだれしもが認めるところです。それをなくするためには、開発庁長官も、建設大臣も、ともどもに、築堤を急いで、それとともに、その下流の水の排除に全力を注ぎたい、こういうことでございまして、趣旨としてはけっこうで、早くこの工事を急がなければならないと思います。それで、今そういう工事を行なうことを前提として、現在のような状態で築堤は上からやってくる、そうすると、下流方面に参りますと、どうしても水は——河床が高い石狩川の現状では、支流をかかえているあの江別付近、またはそれから下流の方になりますと、好むと好まざるとにかかわらず、たった六十ミリほどの雨でも、小河川の方はそれによって完全に流れてしまって、あと石狩川が若干の増水をすることによって逆流して、一週間、二週間という湛水が続く、冠水が続く、こういうことになるわけでございまして、こういう状態の解決がまず第一である、こういうことが今までの前提だったわけです。それで、いろいろやる方法はあるわけですが、石狩川の下流の変更ということについて、建設省の方ではどういうような構想を持っておるのか、初めにその構想を聞かせてもらいたい。
  119. 鮎川幸雄

    鮎川説明員 石狩川につきましては、本年及び昨年も災害が発生いたしまして、この点についての治水事業については、私どももいろいろな点から検討を進めておるわけでございますが、石狩川につきましては、既定の十カ年計画の方針といたしましては、全川にわたりましてまず堤防を築造いたして、水害の軽減をはかるということが第一の急務と考えておるのでございまして、これによって暫定計画による堤防を概成するということにしておるわけでございます。しかしながら、最近におきましては、物価高等によりまして工事量が非常に減少することになりましたので、当初の計画量を達成するための措置を講じますとともに、さらに今後計画拡充を必要とする点もあるわけでございまして、現在、従来の計画を再検討いたしておるわけでございます。特に今度の災害によって緊急を要するところにつきましては重点的に施工して参りたい、こういう考え方で進んでおるわけでございます。
  120. 島本虎三

    ○島本委員 それはわかっているのです。まことに御苦労さまです。十年などと言わないで、もっと計画を早めてやりたいという大臣答弁もあるのです。その点はわれわれ承知しておりますから、遠慮は要りません。この計画をもっと早めてやってほしい。治山治水、河川関係の各計画ともどもに早める、これは大臣の言明に従って早めてもらわないといけない。十年なんて、なまぬるい。  それともう一つ、たとえば、今のようにして参りますと、下流方面に参りまして、築堤を、暫定堤防でもよろしい——かりに地点を江別と置きます。江別と、石狩川が日本海に注いでいる落差が何メートルございますか。ほとんどない。落差が少ないものですから、いつでもあの辺はあふれる可能性が多いわけです。そういうような状態で堤防ばかりつくっても、その方面の治水対策が完備したということにならない。そこが大事なところなんです。ただ単にそのままの川で浚渫することもいいですけれども、石狩川など、浚渫することはできますまい。そうなりますと、別の川をつくるか、また別の方へ抜くか、何らかの計画がない以上、いかに計画ばかり進めていっても何にもならないと思うのです。この大きい石狩川の治水計画に対しての計画がございますかと聞いている。
  121. 鮎川幸雄

    鮎川説明員 具体的な石狩川の治水計画の内容については、私この機会に御答弁いたしかねますが、全体の計画としては、先ほど申し上げた通りで進んでおるわけでございます。先ほどもお話のように、さらに工事の促進をはかるために緊急にこれを実施するということと、さらに今までの不十分であった点を拡充強化してやりたい、いわゆる新しく五カ年計画をつくってやりたいというのが全体の考えでございまして、石狩川にいたしましても、そのような基本的な考えに基づいて具体的な内容をいろいろな面から検討いたしておるわけでございます。お話の、本川の関係だけじゃなくて、それに関連する支川等も考慮に入れて十分な治水対策考えるべきじゃないかという点は、まことにごもっともな点でございますので、私どもといたしましては、本川の改修をやると同時に、それによって影響を及ぼされる中小河川の問題につきましても十分に考えていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。たとえば、そういう場合には直轄の区域を延長していかなければいかぬということもございますし、場合によりましては中小河川改修もあわせてやる、いろいろな点を総合して考えていかなければならないと思います。具体的な計画については、今日はお答えするだけの準備をいたしておりませんので、お答えできかねるわけでございます。
  122. 島本虎三

    ○島本委員 私の方としては、その点は、局長であればなおいいのです。大臣でないのは残念ですが、これは強く要請したい。この落差の少ないようなところへ、堤防を、暫定堤防でも築いて川から水を集中する場合には、下流地帯はいつでも水びたしになる可能性がある。従って、落差が少ない以上、どこか水流をたくさんつくって流してやるか、水を太平洋の方へ変えてやるしかしようがないのでしょう。こういうような大きい計画をやらないでただ進めていっても、何にもならないというのです。この前ここまであまり深入りしなかったから、今ここで聞いておるのですが、やはりこの辺までの計画を考えるべきだと思うのです。日本海の方へ何本か抜くか、苫小牧の太平洋の方へ分流して持っていくか、そうしないと石狩川の治水はできないと思うのですが、この点、私の言うのは全然不当ですか。
  123. 鮎川幸雄

    鮎川説明員 ただいまの御意見は、ごもっともな点も多々あると存ずるわけでございますが、治水の対策としては、上流から下流に至ります一貫した計画を、いろいろな角度と要素等を考えてやらなければならないわけでございます。いずれ、この点につきましては、内容を十分私どもの方にも準備いたしまして御説明申し上げたいと思うわけでございますが、今日はその用意がございませんので、お答えができないわけであります。
  124. 島本虎三

    ○島本委員 これは大事な問題なんです。これはやはり早く準備して、この次の災害対策委員会のときまで宿題として考えてもらいたいと思います。  それで、今の答弁によって、下流の方へ築堤によって早く水を流すようにするのが、まずとりあえず考えられておる治水計画であるというふうに言われた。私の方では、現在のような原始河川を、たとい十年間で完全に暫定堤防にして全部持っていっても、下流の方では、落差が少ない以上、札幌からそのまま豊平川の方へいって、支笏湖の方から千歳川がそのまま流れていく。一方は、道だけではどうしてもできないので、直轄河川の指定をして、いつでもこれらの対策に当たっておるほど重要な河川です。そのほかにまだまだあるのです。川が注いでおるのです。ここでは上から堤防をやってくることによって、逆にいつでも水びたしになる地帯なんです。この人たちのことを考えたら、堤防を進めると同時に、もう一つ別のことを考えてやらないと、一方の犠牲を片方が全面的に今後受けなければならないことになるわけです。そうすると、中小河川の面でも、暫々定堤防がないところがございましょう。暫々定を暫定にしてくれという要請が強く出ておるのに、暫々定堤防もまだないでしょう。こういうような個所を急がないとだめだと思う。はたしてこの中小河川でそういうようなのがあるか、総体的に調べてみるべきじゃないですか。そしてどうしてもこれは石狩川の方が河床が高いですから、たとい六十ミリくらいの雨が降っても、一たん流れても逆流して参りますから、完全にこれはもう逆水門をつくらなければならない。これも当然な計画なんです。逆水門をつくっても、これは完全に自分の方の水が今度は流れなくなって、その辺一帯水浸しになる。従って、そこに揚排水ポンプをつけないとだめだということになるのです。この揚排水ポンプを中小河川の必要な個所に全部やりながら堤防の計画を進めることが、やはり現在では一番必要じゃないかと思うのです。中小河川の面でもこういうような点を考えられておりますか、この点の計画をお知らせ願いたい。
  125. 鮎川幸雄

    鮎川説明員 ただいまお話のように、内水排除の問題につきましては、実は昨年の災害から各地においてこの問題がいろいろな問題を発生いたしまして、従来の計画におきますと、率直に申して、内水排除についての考え方は比較的乏しかったわけでございますが、築堤の計画と同時に、こういう内水排除の問題も大いに力を入れるべきであるということになりますし、また各地実情から申しましても、内水排除対策、特に排水ポンプ等を設けまして、河川改修とあわせてやるべき仕事がだんだん出て参ったわけでございます。御指摘のような北海道におきましても、内水排除を行なうべき地域相当あるように私ども伺っておるわけであります。一般的に申しますと、今度の新しい治水計画におきましては、内水排除の計画を相当取り入れまして、この新しい五カ年計画をつくっていきたいというふうに考えておるわけでございますが、ただ、御承知のように、内水排除につきましては、河川において行なうべき内水排除の問題と、農地排水の問題、さらに、市街地に関連する場合におきましては、都市の排水問題等もあるわけでございまして、こういう関連の事業、関連の施設等も考慮いたまして、十分その地域実情に即した内水排除事業を実施して参りたい。特に私ども河川の立場といたしましては、従来必ずしも十分でなかった内水排除事業といたしましては、今後とも十分力を注いで参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  126. 島本虎三

    ○島本委員 そこで建設省考え方は一応わかったわけです。  そうすると、具体的な問題を今ここにあげますが、農地関係の方では見るに見かねるような問題がその問題を中心に起きている。それは千歳川の水系の中に、恵庭町という小さい町がある。この町に、北島松、百一戸、それから中の桝というところに四十七戸の人たちがおるわけですりこういうような人たちが、十年間に平均作がたった二回しかない。いつでも水浸しなんです。これは全部で合計四千五百万円ほどの借財ができてしまって、どうにもできなくなってしまった。もともとそこにおるのかというと、そうじゃないという。どうしたのだというと、島松のあの演習場の付近へ疎開してやってきて、農地を与えられてやっていたところが、そこが演習場になるというので、緑野というところへ移転を命ぜられた。それをそのまま政府の政策に従って移転をしていったところが、今度自衛隊の演習地の拡張のためにそこがまた買収されて、今度はそこを全部引き払って、北島松、今の水浸しになるような地帯におりてきて、今まで営々として十年間耕してきた。ことしこそ豊作だと思えば、普通の雨でさえ一週間冠水するのです。まして、二週間ぐらい冠水したならば、全部だめでしょう。十年間に平均作がたった二回です。平均作というが、こういうふうに何にもないところでは豊作なんです。それが、この雨のために十年間たった二回しかとれない。現にこういうような事態が具体的にあるのです。これは私も行って見てきたから、前の質問のときに落としたのが残念で、今やっているのです。そこにいる人たちのただ一つの願いは、排水ポンプをつけてくれということだけです。排水ポンプをつけてくれなければ、自分の方でやるから金を貸してくれというのです。そうでなければ、町でやってくれるから補助してくれ、そうでなければ早く国でやってくれというのです。もうことしも冠水されて、全然一粒も米がとれなくなってしまっているけれども、その排水ポンプをつけない以上、金は貸さないよというのが金融機関です。これは農地局長あたりに十分聞きたかったところなんですが、おそらくこういうような状態については調べなかったわけじゃなかろうと思う。建設省の方の意向は十分わかったけれども、農林省の方ではこういうような実態に対してどういうような措置をやって、どういうような指導をやっているのですか。これは大事な問題だと思うので、はっきり御答弁願いたい。
  127. 石田朗

    ○石田説明員 お答え申し上げます。  ただいま担当の者がおりませんので、具体的なその地区の問題について材料を持ち合わせておりません。ただ、そのお話を伺いまして、ただいまお話のような、いわば常に冠水するような地帯につきましては、先ほど来お話がございましたように、本格的には、まず河川堤防なり、堤以外の関係によりまして堤内の水を排除するような方式、これを考えていくのが本来の行き方だと思います。しかしながら、農地自体が湛水状態にあるということ自体もまた解決しなければなりませんし、また、現実のお話のような場所が、従来の演習地その他の関係からそこに居住せられたというような事情もあるようでございますので、これにつきましては具体的に十分調べまして、そこの湛水排除を行なうべきか、また別途の措置によりまして、そこにおられる方々が実際に耕作できるような土地を何らかの形で選んでいただくようにするか、そういうような問題を根本的に検討すべき場所ではなかろうかというふうに思うわけでありますが、これにつきましては十分取り調べまして善処いたしたいと思います。
  128. 島本虎三

    ○島本委員 これはまことに大事な問題でありまして、急いでやってもらいたい、死活に関するような重大な問題でございます。もしそうだといたしまして、急いでやるとすると、これは三十七年度の現在の予算の中からやらなければならないのです。この必要を認めた場合には、はたして現在の予算でやれますかどうか、やれなければ、どういうようなことでこれをやろうとするのか、少し先の方を見通して、私は絶対これをやらせなければならないと思うから言うわけですが、その点をはっきり答弁して下さい。
  129. 石田朗

    ○石田説明員 お答え申し上げます。  ただいまのお話、本年度の予算でできるかどうか、これは早急に措置を必要とするという事態はよくわかりましたから、十分その点を取り調べまして、できるだけすみやかに措置ができるようにいたしたいというふうに思います。予算的措置その他につきましては、なお調査をいたしましてはっきりした上でないと、お答えできないかと存じますが、できるだけ早く検討をいたしたいと思います。
  130. 島本虎三

    ○島本委員 急いでやってもらいたいということは先ほど申し上げた通りですから、その点、くれぐれもそういうような場合には十分御注意願いたい。そしてこういうような工事をする場合には、罹災者の救済工事としてやった方が、みんなやりたがっているので、いろいろ便利な点もあるので、そういうような配慮も——これはおそらく現地だと思いますが、皆さんの方でも十分気をつけておいてもらえば、画竜点睛を欠くようなことがない結果になりますので、十分御配慮願いたいと思うわけであります。それとあわせて、この揚排水施設に対しての計画は、本年緊急必要なものと認め、来年度、三十八年度からの分は予算的に全部計画的に組んでいくものであるかどうか、この点ももう一回明確に願いたいと思います。
  131. 梶木又三

    ○梶木説明員 ただいまの御質問についてお答え申し上げます。  施設並びに農地に災害があるものか、あるいは、ただ湛水もしくは冠水によります農作物だけの被害かによりまして、来年度、今後とるべき措置は変わってくるであろうと思うのでございますが、施設が災害を受けておりますれば、緊急的に来年に間に合うようにしたいと存じております。ただ、治水の関係もございまして、はんらんによって冠水だけしたということになりますれば、私どもといたしましては、早急には処置しかねると思います。
  132. 島本虎三

    ○島本委員 逆流してくる場合は、建設省ですか、農林省ですか。
  133. 鮎川幸雄

    鮎川説明員 先ほど来からの千歳川の排水ポンプの問題でございますが、建設省の方のただいまの考えを申し上げますと、現在この点につきましては具体的に調査を進めておりまして、でき得れば三十八年度からその一部を着工いたしたいという考えで検討いたしておる段階であります。
  134. 島本虎三

    ○島本委員 ことしの間に合わないでしょう。そうすると、ことしやるのは農林省ですか。
  135. 石田朗

    ○石田説明員 ただいまのお話、いろいろな点から考えなければならぬと思いますが、建設省の方の工事の進捗度合い、それから揚水機なり排水機のお話がありましたが、これで恒久的な排水機を設置しなければならないものか、あるいは臨時的な排水機を必要とするかということによって変わって参ると思いますので、それらの点、建設省とも十分打ち合わせまして、それらの点を考えあわせて措置を検討いたしたいというふうに思います。  それから先ほどお話がございました救農土木等に役立つようにやれというお話も、現実に、農地局長からもお話ありましたけれども、災害復旧工事が同時にあわせて救農土木等に役立つようにということがあるわけでありますから、それらの点も考えあわせて指導を行なって参りたいと思います。
  136. 島本虎三

    ○島本委員 それで、そういうようなポンプは、ちゃちなものではだめです。現在、二百五十馬力程度のポンプで七百ミリ口径のものを使っておる。それでもだめで、松澤政務次官の話では、五百馬力ほどのものをつけたいと言っているほどなんですから、こういうちゃちなものではだめなんです。これはやはりこういうりっぱなものをつけてやるのでなければうまくない。ことに、やる場合には、保守がかかる。その場合には、どうしても将来、自治体がやると自治体が保守しなければならない、国がやると国が保守をずっとやらなければならない。これはやった以上、国がやるのは当然ですけれども、たくさんやると、これはどうにもこうにも補助してそういうものをやる方法もあるのではないかと思いますが、保守のことはあまり考えないでやるべきだと思うのです。これは私の意見ですから、答弁は要りません。それと同時に、現在必要な場所で緊急やむを得ない場合、地方自治体が協力して自分の方でこれをやりますからということがあったならば、自治省でもよろしい、農林省でも建設省でもよろしいが、それを見た上で自治体と協力して急いでこれをやらせていって、工事の結果、建設省でとるなり、農林省でとるなり、または自治体に補助してやるなり、適当なやり方があるのではなかろうかと思うのであります。一つにこだわらないで、今のようなやり方を十分考えた上で、これは可及的すみやかに善処すべきだと思うのです。一つの問題ばかりこだわっていてはできないと思うのですが、この意見はどうなんですか。
  137. 石田朗

    ○石田説明員 今お話がございましたように、方法としていろいろ考えられますし、また同時に、技術的に、あるいは地元負担なり、将来の管理機関等をあわせて検討すべき問題が多いと思います。かつ関係者も多いことでありますが、これについては建設省とも打ち合わせて、かつ自治体等とも打ち合わせて、できるだけすみやかに結論を出すようにいたしたいと考えております。
  138. 島本虎三

    ○島本委員 これでやめます。時間なんでやむを得ないです。ほんとうはもう少しこれはつっつきたかったのでありますが、本会議が三十分から始まっておって、五分で入らなければいけないので、残念ながらこれでやめますが、前に言ったように、緊急やむを得ない急ぐものは、三十七年度の本年度予算でこれを実施する、このことはまことにいいのですから、委員長の方でもこれを十分にお聞きおき願いまして、そういうふうにして二回も三回も犠牲を受けておる、演習地だからどけ、そこをどいたら、今度は拡張するからまたどけというので、来たのが今の第三の地点なんです。農民は天を恨んでもどうにもしようがない。天を恨んでつばをはくと、自分の顔にかかってくるような状態です。金を借りてでもやろうと思えば、排水ポンプをつけない以上、金融機関は貸さない。排水ポンプをつけると宝庫になる場所です。こういうようないいところはあまりないのです。残念ながら、天は二物を与えずというか、いい場所には水を与えて困ったものですが、そういうような犠牲を二回も三回も受けておるような今までの農地政策なんですが、こういうようなものに協力してきた農民の立場に立って、これはほんとうにあたたかい気持で可及的すみやかに善処してやってもらいたいと思います。委員長も今のような実態を十分御認識願いまして、建設省なり、また農林省なり、答弁だけで終始することのないよう、賢明なる委員長十分御監視を願いたいということを申し上げまして、私の質問はこの程度できょうはやめておきます。
  139. 稻葉修

    稻葉委員長 委員長から農林省当局に申し上げますが、ただいま島本虎三君のあげられた事案については、災害対策特別委員会としては非常に責任があると思いますので、本日中に具体的に調査されまして委員長あて御報告願いたい。三十七年度予算で可能性があるかないか、この点を御報告願いたい。  なお、石狩川河川改修の計画についても、本日の河川局次長答弁では委員長も満足いたしません、今後なおよく検討して、十分なる答弁ができるよう御用意願いたい。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十七分散会