○渡辺(惣)
委員 そこで、さらに問題になりますのは、今度の
災害の特徴でありますのは、何と申しましても空知川の問題となって集中されてくるわけです。道央地帯ですね。先ほど
倉成君が
質問で触れられましたが、空知川の水流の中で
ダムらしきものが五カ所あるわけです。それは桂沢
ダムの方向に向けたのが二カ所、芦別の野花南と滝里、これは水流を調整する能力が何もない
ダムであります。第三の、下流にありますのは、班渓発電所と申しまして、芦別地帯にありますが、いわゆる発電用の
ダムがあるわけであります。との
ダムは、前年の例からいきますと、水がはんらんいたしました当日は、秒間二千四百トンの水を放流して、それで下流の芦別、赤平が
水害になったわけです。今度はこの
ダムは調整の機能を全く失って、秒間四千三百トン放流しておるわけです。そのために、瞬時にしてその下流の赤平で二百四十二戸の
住宅が全部押し流されてしまったわけであります。ここは前年も四尺くらい水がついたところでありますが、本年行ってみますと、土台の棒くいが寒々と墓場のように残っているだけであります。全部跡形なしに二百四十二戸の
住宅が流されてしまったわけです。そういたしますと、この水流にこういう予防
措置を講ずべき
ダムの
施設が何らない、何も調整能力がなかった、こういう結論が出て参ると思います。そういたしますと、当然問題になって参りますのは、先ほど
倉成君が触れました金山
ダムの問題であります。御承知のように、金山
ダムは開発庁
長官の所管でございますから、いろいろお骨折りをかけておりますが、この金山
ダムの存在いたします南富良野村におきまして、村民が全部役場へ押しかけて来まして、ほとんど大衆的な話し合いになったのであります。ここでは、
昭和三十五年の暮れに開発庁開発局が間に入りまして、そうして二百四十数戸の水没農家を説得して納得させて、そうして立ちのきの約束を取りつけた。ここは約七百町歩水没いたすことになったわけであります。本町のあります役場の所在地も、市街地が半分水没してしまうわけであります。その他、二つの駅にまたがりまして、
国鉄の幹線でありますが、これがこの七百町歩の水没地帯になるわけです。ところが、開発庁開発局が間へ入りまして、水没農家に対する補償の問題を話を進めてこられたのに対して、十億円という全体の話し合いの中で、三十六
年度は一億円、これが三十七年三月に支払われているわけであります。
年度の
最後に支払われているわけです。続いて三十七年、当
年度になりまして四億円、これは本年の六月に支払っておるわけであります。補償額の半額の金を一応払ったわけです。ところが、ここで奇妙なことが出て参りましたのは、この農家が、
あと半分の五億円という補償金が出ないうちに、半額しかもらってないのに、いたたまれなくて離農を始めているわけです。すでに六十戸くらい離農いたしているわけですね。とても待っておられない、
あとの金がいつ出てくるかわからないということで、昨年、不安のうちに、半分の金を受けて離農しておる。今
長官は、三十八
年度にはその補償金を全部払う、こうおっしゃっている。それはこれから予算を組むわけですが、そうすると、かりに三十八
年度の予算で五億円の予算が組まれれば、全額補償
金額は完了するわけですが、三十八
年度と三十九
年度、これらの水没農家はこの地点で営農することを認めておるわけです。離農はするけれども、三十八
年度、三十九
年度の二年間はここで収穫をあげてもよろしいということになっておる。この地帯は四十一
年度になりますと完全に七百町歩が水没になる。ところが、村
当局と
地域住民からいたしますと、そちらとの約束で、補償金の支払いの問題と関連して、三十九
年度一ぱいは営農してもよろしい、作付をしてもよろしい、こういうことになっておりますから、当然少しでもここで収穫をあげていきたいと思いますから、ここで
最後までねばる農家もあるわけです。ところが、反面問題になって参りますのは、一体この二百何十戸の水没農家が、五、六十世帯を除いて、現実になお
あと二年間そこで営農を継続するということになりますと、この地帯全体が全部水没予定地ですから、また
被害激甚地です。ひどいものです。橋梁も
道路も全部決壊しています。しかもここは町村道でございます。
国道や県道は山の手の方に引っ越していますから、ここは純然たる町村道です。そうすると、現実に二百戸近い農家が
昭和三十九
年度一ぱいまで営農するということになりますと、この地帯は当然これらの人々に対して
道路もつけなければならぬ、橋もかけなければいかぬ、そうすると、全部町村
負担になってしまうということで、一体この七百町歩にまたがる水没を予定せられておる
地域に対して、いわゆる赤字の中で財政処置をすることができるのかどうか、それが経済効率的であるかどうか、もしそういうことを村
当局が踏み切ると、残存する農家や村民たちは、やがて引き揚げていく人たちのために将来非常な
負担を背負わなければならぬという問題が出てきて、実は大混乱が起こっておるという状態です。適正な
措置を講じなければ、
あとの人々も納得しない、町村財政も成り立たない。そこで、この問題が解決されなければ、これは石狩川自身があれしなければ、
ダムで調節するか、あるいは水流の放流を予知する方法で何かしなければならぬのですが、これのために犠牲になります金山
ダムの水没農家をめぐる問題、及び水没地以外の残存する村づくりの問題、こういう問題をどういうように
——今までの十億円だけ払えばいいのだ、
あとはどうでもいいのだ、こういうことでは政治にならぬと思います。この問題は、下流のものは金山
ダムの早期完成を期待して、どこでもその陳情が出てくる。金山
ダムが完成すればそういうことは起こらないのだ、こういう極端な意見まで出てきておりますが、金山
ダムに行ってみますと、別な表情が出てきて、非常に混乱をいたしておるという状態ですが、これを開発庁
長官はどうお考えになるか。残る農民に対する農業経営の安定、町村財政をどう救済していくかという問題について、今度の
災害でお考えになる余地があるかどうか、御見解を承りたいと思います。