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松村(清)
政府委員 七月一日に行なわれました
参議院議員通常選挙につきまして、その概要を御
報告申し上げます。
今回の
選挙は
地方区七十六人、
全国区五十一人、計百二十七人について行なわれたものであります。まず今回の
選挙は、前国会で
公明選挙を実現するために、
公職選挙法のかつてない大
改正が行なわれたのでありますが、この
改正法に基づく
最初の
選挙でありまして、この
改正法の
周知徹底につきましては、短い
期間ではありましたが、できるだけの
努力を払ったのでございます。
次に、
参議院議員の
選挙につきましては、従来から
国民の
関心があまり高くなく、
投票率は他の
選挙に比べて低く、第二回の
通常選挙では七二%でしたが、以来回を重ねるに従って率が低下し、
前回は五八・七%に下がりました。この傾向ですと、今回はさらに
投票率が低下するのではないかと懸念されたのであります。このことは、
議会政治の建前からも望ましいことではありませんので、
政府は特に総額六億円の経費を支出して、
全国の
有権者のすべてが進んで
参議院議員選挙の
投票に参加し、公正かつ明朗な
選挙が行なわれるよう、
啓発活動を積極的にいたしました。なお、これとあわせて、わが国の
選挙の悪弊である
買収、
供応を今回の
選挙からなくするよう
買収、
供応追放運動を
全国的に展開いたしました。
今回の
選挙におきます
有権者数は、
男子二千六百八十万人、
女子二千九百三十万人、合計五千六百十万人で、
前回の
選挙より約二百六十万人
増加しております。その
投票率は、
全国的に見まして
予想外に良好でありまして、
全国平均で六八・二%に達し、
前回の五八・七%を約一〇%も上回ったのでございます。この
投票率は、これまで行なわれました
参議院議員選挙のうち、
昭和二十五年の第二回
選挙における
投票率に次ぐよい
成績でございます。なお、今回は、従来きわめて
投票率の低かった東京、大阪の大都市の
投票率も著しく向上し、
前回は四〇%台でありましたが、今度初めて六〇%台を上回る
成績を記録しました。さらに、今回の
選挙では、婦人の
投票率の向上が目ざましく、
前回に比して一一・二七%上回り、
投票率においてはなお男女の差が三・五%ありますが、
投票者の絶対数では、
女子は
男子を六十八万人こえていることが注目されます。このように
投票成績がよかった
理由といたしましては、
国民の
政治的関心がようやく高まってきたことをあげることができると思います。
公明選挙運動につきましては、
政府も、民間の団体や
報道機関と密接に提携して、
努力を続けて参ったのでありますが、今回の
選挙にあたっては、ただいま申し上げましたように、予算的にも特別の
措置を講じて、
国民の
政治的関心を高めますとともに、いわゆる
選挙のムードを盛り上げて、
有権者のすべてが
投票に参加し、公明な
選挙が実現することを期したのであります。また、今回の
選挙におきましては、
新聞、
ラジオ、
テレビ等の
報道機関の全面的な協力があずかって力あったものと考えられます。昨年夏、
選挙制度審議会が
選挙制度の
改正に関する
審議を始めましてから、今春
選挙法が
改正され、さらに、今回の
参議院議員選挙を終わりますまでの間、
新聞、
ラジオ、
テレビ等の
報道機関は、終始きわめて積極的に
選挙に関する事項を取り上げ、
国民の
選挙に対する意識と
関心を高める上に大きな貢献をされたと思います。なお、今回の
選挙法の
改正により、
政党本位の
選挙運動が重視され、
政党の
活動が拡張されましたので、各党とも活発な
選挙活動を展開したことも、大きな影響を与えていると考えられます。
投票当日の天候も、
全国的に曇りであり、一部は朝のうち雨でしたが、その後天気が回復するなど、きわめて好都合であったことも、
理由の
一つにあげることができると思います。
選挙の
状況の詳細につきましては、御配付申し上げました資料によって御了承願いたいと思いますが、その中から二、三拾ってみますと、今回の
立候補者数は、
全国区百七人、
地方区二百二十一人で、
前回と比較いたしますと、
全国区では、十五人少なく、これまでの
選挙の中でこれは最も
候補者数が少ないのでありますが、
地方区では、
前回に比べて十三人
増加しております。
次に、今回選出されました
議員について見ますと、現
議員八十一人、元
議員七人、
新人三十九人であります。
新人は
前回の
選挙では五十二人でしたが、今回は減少し、これは今までの
選挙のうち最も少ない数であります。また、現
議員は、
前回六十九人でありましたのが八十一人に
増加しておりますが、これは今までのうち最も多い数で、
新人と現
議員との
当選が対照的でございます。なお、
全国区の
当選人の
得票数は、第一位の
当選人が百十六万五千票であり、
前回の九十四万一千票を大幅に上回る記録でございますが、最下位の第五十一位の
当選人は三十七万六千票で、これも
前回の二十六万六千票に比し、大幅に上回っております。しかし一方では、今回の
全国区の
選挙で、
得票数が少なく、
法定得票数すなわち七万一千票に足らないで
供託金を没収された人が、百七人中二十七人、約二五%の多きに達しております。
選挙違反の
状況につきましては、
所管当局からお話があろうかと思いますが、今回は、
選挙法が大幅に
改正され、また、ここ一、二年
公明選挙運動がきわめて活発に行なわれてきておりますので、これらが
選挙の
公明化に大きく寄与するものと期待されておりましたが、
選挙違反が依然として跡を断たない
状況にありますことは、はなはだ遺憾に存ずるところでございます。
今回の
選挙の
管理執行の面におきましては、
改正選挙法が成立しましてから
選挙の公示までわずか一カ月という短い
期間であったにもかかわりませず、
全国的に見てほとんど問題がありませんでした。このことは、先ほど申し上げましたように、
投票率が非常によかったことと並んで、特筆していいことかと思います。しかし
選挙の
管理執行の面につきましても、改善すべき点があろうかと思います。このことは、各
方面の
意見を聞いて、今後十分検討して参りたいと思います。
また、
投票率がよかったことはまことに喜ばしいことでございますが、これが今回の
選挙だけの現象でなく、真の
国民の自覚に基づいたものになるよう、そして
選挙が少しでも
公明化されるよう、今後
公明選挙の推進に一そう
努力していかなければならないと思います。
以上をもちまして、簡単でございますが、今回の
選挙の結果の御
報告といたします。