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1962-11-10 第41回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十一月十日(土曜日)    午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 福永 一臣君    理事 加藤 高藏君 理事 瀬戸山三男君    理事 二階堂 進君 理事 石川 次夫君    理事 中島  巖君 理事 山中日露史君       井原 岸高君    岡本 隆一君       大沢 雄一君    實川 清之君       木村 公平君    三宅 正一君       正示啓次郎君    中村 梅吉君       山口 好一君    坂本 泰良君       日野 吉夫君    田中幾三郎君  委員外出席者         内閣官房長官 八田 貞義君         大蔵事務官         (主計官)   高柳 忠夫君         農 林 技 官         (農地局長)  任田 新治君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君         建設事務官         (道路局長)  平井  學君         日本国有鉄道理         事       滝山  養君         日本国有鉄道参         事         (施設局踏切保         安部長)    渡邊 寅雄君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 九月五日  委員齋藤邦吉辞任につき、その補欠として廣  瀬正雄君が議長指名委員に選任された。 十一月六日  委員田中幾三郎辞任につき、その補欠として  西尾末廣君が議長指名委員に選任された。 同日  委員西尾末廣君辞任につき、その補欠として田  中幾三郎君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員坂本泰良辞任につき、その補欠として猪  俣浩三君が議長指名委員に選任された。 同日  委員猪俣浩三辞任につき、その補欠として坂  本泰良君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設行政基本施策に関する件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 福永一臣

    福永委員長 これより会議を開きます。  本委員会におきまして、建設省関係公共事業等調査のため、議長の承認を得て、委員北九州山陰方面及び東北方面に派遣いたしましたのでありますが、この際、派遣委員よりその報告を求めることにいたします。  第一班岡本隆一君。
  3. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 去る九月二十五日から三十日までの六日間、福岡山口島根鳥取岡山の各県の主として道路中心とした建設省関係公共事業調査を行なって参ったのでありますが、そのすべてを御報告申し上げますことは相当の時間を要しますので、要点のみを御報告いたすこととし、あわせてこれに対する当局の見解を承りたいと思うものであります。  まず、九月二十六日に竣工いたしました若戸大橋中心とした北九州における一級国道三号線、二級国道百九十九号線等について申し上げます。  一級国道三号線は門司市より九州西部を経て鹿児島市に至る延長四百キロにわたる九州の大動脈としての最重要路線でありますが、その改修率について見ますと、昭和三十七年度末におきまして福岡、佐賀両県内改良、舗製とも一〇〇%、熊本県内改良率七八・五%、舗製率七三・八%、鹿児島県内改良率七六%、舗製率六九・五%となっておりまして、今後八代以南に整備の重点を置くべきことは当然でありますが、特に三太郎峠改修は、本路線の効用を全うするための焦点でありますので、これが早急なる完成をこの際特に要望いたしておきます。  一方北部につきましては、沿道産業発展に伴って早くから整備されてはおりますが、交通量の激増により二次改築の必要に迫られております。  二級国道百九十九号線は、近く発足する北九州市の港湾及び工業地帯を通過する重要路線であるのみならず、すでに飽和状態に達した一級国道三号線のバイパス的性格を持ち、今回完成を見ました若戸大橋もその一部であります。  本路線改修計画延長約二七・三キロ、総工費五十億七千九百万円余で、現在その進捗率は三八・七%であり、おおむね若戸大橋中心とした中間部分改良が終わったのみでありまして、これが目途とする現行五カ年計画のワク内での完成は困難ではないかと危惧されるものであります。  もちろん本路線は、その地理的条件よりして幾多の難問題があることは承知いたしておりますが、せっかく日本橋梁技術の精華ともいうべき若戸大橋完成を見たにもかかわらず、これと結びついて北九州における交通緩和のために最も期待される本路線完成がおくれることは、その社会的、経済的損失もはかり知れないものがあると思われるのでありまして、本事業の推進について、なお一そうの努力を期待するものであります。  次に小倉八幡バイパス計画について申し上げます。  本計画一級国道三号線、小倉市富野より二級国道二百号線、八幡市引野に至る延長約十六・二キロの路線で、日本道路公団によって計画されておるものであります。これは小倉八幡両市の市街地を通過する一級国道三号線のバイパスとして、二級国道百九十九号線とともに、すでに飽和点に達した北九州地域開発上、多大の効果を発揚するものであり、これが早期着工が望まれるのであります。  以上、北九州における代表的路線について触れて参ったのでありますが、これが本州と直結する関門国道トンネルは、三十三年三月完成から四年間を経た現在、その交通量は約二倍に達し、現在までの年間通過交通量増加率から見ても、遠からず飽和状態に達するのは明らかであります。このことからやがて同トンネルのほかに、関門海峡架橋必要性が起こってくると思われるのでありますが、これは現在早期着工が叫ばれております中国縦貫道九州縦貫道との連絡とも関連する問題でもあり、当局でもすでに検討中であるとは考えていますが、当局のこれに対するお考えを伺いたいと思います。  次に一級国道九号線について申し上げます。  本路線は京都市より兵庫鳥取島根の各郡を東西に縦貫し、山口県下関市に至る山陰地方唯一動脈幹線でありますが、その改良舗装率を見ますと、昭和三十七年度末におきまして、山口県内改良率四八・九%、舗装率三八・九%、島根県内改良率四七・三%舗装率二五・一%、鳥取県内改良率六八・二%、舗装率三四・八%でありまして、本年度全国一級国道改良率七八・九%、舗装率六五%と比較してみましても、あまりにも立ちおくれた感がいたすのでありまして、沿道地元からも本路線改良舗装促進に対する熱心な要望があったのであります。  最近の一級国道事業実施方針が、一連区間経済効果をあげることを目途としておることより見ても、また地域格差是正見地からしても、この山陰地方を縦貫する唯一幹線の本路線改修については、特に積極的な考慮を払う必要があると存じますが、当局の御方針を承りたいと思います。  特に本路線島根鳥取の両郡にわたりまして視察いたしまして感じたことでありますが、その間の相当部分の未舗装区間における沿道住民の悩みは実に深刻なものがあるのであります。道路整備にあたっては、改良終了後において舗装に着手するのが順序であるとは思いますが、この際未舗装区間における防塵処理をすみやかに実施すべきであると思います。  次に、陰陽連絡道路について申し上げます。  山陰山陽とを連絡するところの道路のうち、一級国道では鳥取——姫路市間を結ぶ二十九号線、鳥取——岡山市間を結ぶ五十三号線、松江——広島市間を結ぶ五十四号線、二級国道では、姫路・倉吉線、津山米子線広島松江線広島江津線等がありますが、これらの路線はすべて山陰山陽の各経済圏を直結する非常に利用度の高い路線であるにもかかわらず、その改良率舗装率ともきわめて低く、山陰地方産業経済、文化の振興上大きな障害となっておる現状であります。しかも山陰地方及び山陽地方内陸部は、京阪神と北九州の大市場を控えながら、輸送上最も重要なる役割を果たす道路網整備がおくれているため、これらの市場と直結せず、地域間の一体化も阻害され、その大部分が低開発地帯として取り残されておるのであります。  これらの実情を見ますとき、中国地方後進性を打破し、その均衡ある発展のためには、瀬戸内海沿岸における臨海工業地帯を有機的に結ぶ幹線道路整備もさることながら、これとタイミングを合わせた支線道路整備についても配慮を怠ることのないよう望みます。  なお特筆すべき点として、山口県においては本年度県道路予算十六億八千万円余のうち、その三分の一を主要地方道小郡三隅線及び防府・山口線に投じ、重点的に工事施行中であることであります。これは県の道路事業方針総花的施行を極力押え最も緊急かつ重要な路線について事業を断行しようとしている証左でもあり、国体を来年度に控えての特殊な事情もあるとはいえ、道路事業費総花的配分についてとかくの批判のあります今日、参考にすべき問題でなかろうかと思われるのであります。  次に、岡山郡と香川郡を結ぶ中国——四国連絡架橋の問題について申し上げます。  本計画ルートとして瀬戸内海島嶼部を利用して高松——宇野間、坂出——玉野間坂出——児島間を橋梁連絡する三案がありますが、そのいずれも、一、四国全体の既存の道路鉄道等の体系に即応する合理的な本土連絡ルートであること。二、橋脚の基礎となる地点の水深が浅く、かつ潮流もおそいため工事施行が容易であること。三、台風、波浪が少なく、かつ瀬戸内海水産資源船舶運航障害が少ないこと等の利点とともに、遠く山陰四国九州地方に至る広域経済圏の確立を基調として、後進地域開発振興に寄与し得ること等があげられておるのであります。しかしながら御承知通り本土四国連絡架橋ルートとしては、他にも兵庫県−徳島県を結ぶ案、広島県−愛知県を結ぶ案があり、そのいずれにいたしましても国内にいまだ例を求めることのできない径間一千百から一千四百メートルの長大つり橋とならざるを得ないのみならず、四国全体の開発に与える影響もまことに甚大なるものがあると考えられるのでありまして、技術上、経済上その他各般の見地から十分に精密な基礎的調査を行ない、広く総合的かつ国策的見地のもとにルートを決定すべきものと考えられるのであります。  その他、地元の熱心な要望についてそのおもなるものを見ますと、治水、砂防、海岸事業促進連年災害復旧事業早期完了山口秋吉台有料道路鳥取米子境港間有料道路、同境水道有料橋等早期着工及び二級国道津山米子線一級国道への昇格等がありますが、これらの要望事項については、当局におかれましてもすでに御承知のことと思いますので、十分に御検討の上早急に措置されるよう要望いたしまして、簡単ではありますが、御報告といたす次第であります。(拍手)
  4. 福永一臣

    福永委員長 なお、第二班の派遣委員からの報告聴取は省略いたしまして、参考のため会議録に掲載いたしいたいと思いますが、これに御異議ござませんか。   〔疑議なしと呼ぶ者あり〕
  5. 福永一臣

    福永委員長 御疑議なしと認め、さよう取り計らいます。  以上で派遣委員よりの報告聴取は終わりました。派遣委員各位にはまことに御苦労さまでございました。      ————◇—————
  6. 福永一臣

    福永委員長 建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。中島君。
  7. 中島巖

    中島(巖)委員 これは委員長要望しておくのですが、休会中月一回の委員会大臣が出席せぬなんというばかな話はないのですから、委員長の方から政府の方に対してその旨を伝えて、そうして今後こういうようなことがたび重なれば委員会としても態度を決定せねばならぬ、こういように考えるので、委員長に厳重申し入れますから、さよう御承知いただきます。
  8. 福永一臣

    福永委員長 承知いたしました。
  9. 中島巖

    中島(巖)委員 最初に副官房長官にお尋ねいたします。大体政府としては十二月八日から臨時国会を開催するというようなととが新聞で報じられておる。そうしてこれに提出するところの補正予算は例の公務員のべ・アであるとか、食管の赤字であるとか、石炭対策であるとか、この三つである、こういうようなことが新聞に報じられておるのであります。ところが政府災害復旧事業を三・五・二でやる、こういうことをしばしば言明し、また当建設委員会において、前の中村建設大臣直轄事業は二年以内でやる。こういうことを言明されたわけであります。それから先月三十日の建設委員会において河野建設大臣に私が尋ねましたところ、その通り必ずやります、そういうことを言明しておったわけであります。  そこで全国的の資料もここにありますが、けさもらったところでまだ目を通してありませんので、長野県の関係なついてごく簡単に触れたいと思います。長野県はほとんど三十四から連年災害を受けておるわけであります。それで本年度の三十六年災に対するところの内示額は、県工事市町村工事を合計いたしまして三〇%、三十六年災でありますから本年は二年目でありますけれども、三〇%の内示額しかない、そして初年度、二年度で六一・一%程度しかない、あと政府としては補正予算でも組まぬ限りはさいふの底をはたいてしまって金がない、こういう状態なのです。従いまして、結論的な話になりまけすれども、臨時国会補正予算政府は組むべきである、こういうように考えておるのでありますが、災害復旧過年度災に対する補正予算政府は組む気があるかどうか、この点最初に副官房長官にお尋ねいたしたいと思います。
  10. 八田貞義

    八田説明員 今御質問補正予算を組むかどうかにつきましては、なお関係省庁におきまして目下検討中でございます。
  11. 中島巖

    中島(巖)委員 おそらくそういうような御答弁であるだろうと思っておりましたが、これから当局に対していろいろ質問をいたしますから、えらい長い時間ではありませんから、よくお聞き願って、そして総理の方へ反映をしていただきたい、こう考えるわけであります。  最初河川局長にお尋ねいたしますけれども、長野県の三十六年災の査定事業費総額が百四十九億というように教字になっておりましてそれから三十四災、三十五災などを合計しますと二百七十一億、こういう数字になっておるわけであります。そこで建設省は本年度内示額を県の方へやってあるのでありますけれども、それによりますと三十四年災が三十四、三十五、三十六、三十七と四カ年になりますけれども九四%——一〇〇%にならぬという状態であります。さらに三十五年災においては六六・五%、こういうことになっております。三十六年災、すなわち昨年度災においては六一・一%、こういう数字になっておるわけであります。そこでこの三十六年災は当年度、つまり初年度は相当の額がいっておりまして、県工事に対して二三・一%、市町村工事に対して二三・一%、これを平均いたしまして総額で三一・一%という、三・五・二の比率以上の額がいっておるわけであります。ところが二年目の五〇%の本年に至りましては、三一・六%しかいっておらぬ、昨年とほとんど同額で、合計いたしまして県工事で六四・七%、市町村工事においては二三・一%、こういうことで六一・一%という数字で、かえって昨年度より二年目の方が工業費が少ない、こういうことになっておるのですが、これに対して河川局としてはどういうお考えを持っておるか、最初にそれをお伺いいたしたいと思うのであります。
  12. 山内一郎

    山内説明員 長野県につきましては詳細な資料を持っておりませんが、全国的のお話を申し上げますと三十六年災におきまして、昨年度予備費におきまして三〇%の支出をいたしております。本年度はこれに対しまして進捗率六七でございますので、本年度分としては三七、予算編成のときにこういう予定をしたわけでございますが、その後いろいろ調査をやりました結果——調査というのはまだ査定がそのときは完了いたしておりませんので、その査定最終の結果並びに昨年は激甚災でございまして、特別措置がございましたが、そのかさ上げ分の整理というものをやりました結果、六七と言っておりましたのは、全国的に申し上げますと約五六%の実質の進捗を見ておる、現在こういう結果になっておるわけでございます。それに対しまして長野県につきましては、三十七年度の全体の進捗率が約六二%、全国よりは非常に激甚でございましたので、緊要度考えて六二となっておりますが、当初の進捗よりもだいぶん落ちておる、こういう結果になっております。
  13. 中島巖

    中島(巖)委員 今河川局長の御答弁はその通りだと思いますけれども、今度は実際の運用する面におきまして三十四年災、三十五年災、三十六年災が重複したような個所もある。そうして結局国では、三十四年災は本年度で四年目でありますから大体一〇〇%というような指示を最初やってあったように、また当然県としてもそれを考えるわけであります。ところがこれを九四%しか本年度はできぬことになっておる。さらに五年災におきましては六六・五%しかできぬことになっておる。五年災、四年災を復旧しなければ六年災は手をつけられぬというような場所がありまして、六年災の内示額を四年災、五年災の方へ本省の了解を得て回さねばならぬというようなはめになっておる。従ってその結果は、六年災は若干その方に食われておるために結局五八・二%しかできない。そうすると本年度の三十六年災に対する割当が食われまして、二七%しか第二年目にできぬというのが現状なんです。この現状を率直にお認めになるかどうか。すなわち、三五・二の五をやるべき二年目に二七%しかできぬという実情になっておる。これをお伺いしたいと思うのです。
  14. 山内一郎

    山内説明員 最初に三・五・二の問題でございますが、これは従来から緊要事業は三・五・二、全体は四年、こういう方針でやっておるわけでございます。従って、緊要緊要外をひっくるめて言いますと、第一年度災害を受けた年でございますが、これは二五%、その次の年は四〇%、その次は二〇、最終年度は一五、こういう進捗率でやっているのが現在の災害復旧方針でございます。しかし先ほど申し上げましたように、三十四年災、五年災の再調査と三十六年災の最終結果による数字をもとにしてやりますと、この進捗率にも現状は達してない、こういう状況であります。
  15. 中島巖

    中島(巖)委員 いや僕の質問したのは、そういうことを聞いておるのじゃない。それはあとから聞くのです。僕の質問したのは、三十六年災であなたの方から内示した額を三十四年災、三十五年災に食われたために三十六年災は二七%しかできないのであるが、それを認めるかどうか、こういう質問なんです。
  16. 山内一郎

    山内説明員 今のお答えにも入っているかと思いますが、三十四年災は四カ年復旧をやる方針を貫きたいと思いますので、四年災の不足分をカバーすれば五年災、六年災はさらに減る、こういう状況であります。
  17. 中島巖

    中島(巖)委員 そこで、先ほど河川局長お話の問題に入りますけれども、公共土木国庫負担法の第八条の二に、災害復旧に対する政府の行なうべき処置を規定いたしておる。さらにその施行令の第七条の二において、具体的に政府がどういうことをせねばならぬかということを規定いたしておる。この法文の解釈と、建設省が現在この法律によって行なってきておること、その点について、若干前の質問に関連して触れたけれども、はっきりと、基本的な方針を明確にしてもらいたい。  たとえば、災害におきましても、その災害激甚の差によって格づけをしてある。そしてその格づけによって、ある格以上は三・五・二でやらなければならぬ、あるいはその他の災害については、ただいま局長からお話のありましたように、四カ年でやる、こういうようにはっきりいたしておると思うのです。その点について、本法と施行令とによって建設省で立ててある従来の方針を明らかにしてもらいたいと思う。
  18. 山内一郎

    山内説明員 災害復旧事業のその進捗の度合いにつきまして国庫負担法に書いてありますことは、負担法の第八条の二に、緊要災害復旧事業に対する政府措置が出ておるわけでございます。これによりますと、緊要事業につきましては、当該年度及びこれに続く二カ年度以内に完了することができるように、財政の許す範囲において国庫負担金の交付について必要な措置を講ずる、こういうことになっておるわけでございます。従って三・五・二ということはどこにも明記はされておりませんが、これは財政当局打ち合わせをしまして、従来三・五・二の方針でやっておる。従って、それは三年以内ということで割合を一応内示をして打ち合わせをしていく、こういうことでございます。はっきり明記をされておりますのは、緊要事業について二カ年以内に完了するように財政の許す範囲において措置する、こういうことでございます。
  19. 中島巖

    中島(巖)委員 そこで、話はこまかくなりますけれども、実際の運用面というと、格づけをABCC′Dとしてやっておられる。そしてABC緊急度の高いものとして三カ年にこれを終わらせる。これに対しては三・五・二を適用する、これに間違いございませんか。
  20. 山内一郎

    山内説明員 緊要事業を格づけをいたしまして、それは三年以内に終わるように財政の許す範囲においてやる。従来やって参りましたことは、財政がその年は許されましたので、三・五・二でやっております。
  21. 中島巖

    中島(巖)委員 そこで、今のお話で言うと、長野県の災害激甚地帯は、上伊那下伊那なのですが、この下伊那上伊那災害は、ABCがほとんど、九二・三%に上っておる。そうすれば、この法律に基づいて過去に建設省のとってきた方針からいえば、この九二%に対しては三・五・二でやらねばならぬ。本年度は五〇%をつけねばならぬ。それが過年度災害に食われて、わずか二七%しかついておらぬ、こういう状態なのです。まずこれをお認めになるかどうかが第一点。  第二点として、旧来そういうことをしてきたとすれば、大蔵省に対して補正予算を要求したかどうか、これが第二点。  この二つに対して御答弁をいただきたい。
  22. 山内一郎

    山内説明員 数字の点は私の方と多少違いがございますが、緊要事業を三、五、二の割合でいたすとしますと、現在の予算では多少不足をいたします。そういう点を考慮して、補正予算につきましては、大蔵省と今事務的に折衝いたしておる段階であります。
  23. 中島巖

    中島(巖)委員 主計官は見えておるわけですね。——今、河川局長との一問一答によって内容はおわかりだと思いますけれども、建設省よりこの補正予算に対して大蔵省と話し中でありますという今河川局長答弁でありましたが、大蔵省としてはどういうお考えをお持ちですか。
  24. 高柳忠夫

    高柳説明員 補正予算につきましては、まだ政府方針が固まっておりませんので、相手の省庁から補正予算の要求というものを取り寄せて検討しておるという段階ではございません。ただ、ただいまお話しの長野県の例にもありましたように、特に三十六災の災害につきましては、三十七年度予算災害復旧費を計上する際に、十一月ごろの被害でつかまえ得る数字基礎にして組んだということ、それからその後被害報告額査定額等について、若干の異同もありました。  それから第二点といたしましては、被害の額の算定にあたっても若干の事務上の問題もありまして、御指摘のような進度を完全に確保するということになりますと、特に三十六災については、ある程度の不足を生じはしないか、こういうお話は伺っております。従いまして、そのお話基礎にいたしまして、どのくらいの額が必要であるかという事務的な検討をただいま進めておりますが、それを補正予算措置するか、三十八年度予算措置するか、またその他の方法で措置するかという点については、現在のところまだ結論は出しておらない状況であります。
  25. 中島巖

    中島(巖)委員 農地関係なんかは、本年度指示された額をすでに全部使い果たしてしまっておるのです。そして公共土木関係も、大体年内に指示された額が終わるというような状態なのです。そこで、災害が非常に激甚だったから、旅から相当多くの業者が入っておるわけです。これが仕事が切れて引き揚げなければならぬ、農地では現在そういう状況になっております。それから公共土木も月末になればそういう状態になる、こういうことなのです。それで一般の人たちは非常に素朴に考えて、国会の答弁なんかで各大臣が、前の中村さんも河野さんも、三、五、二でやります、こういうわけだから、本年度は五〇%くるだろうという考えが、農地も公共土木も、今話したように三〇%が切れて、昨年度、過年災に回したりなんかして、額が少なくなってしまったということで、非常に地元では恐慌を来たしておるし、旅の業者も切り上げていかなければならぬ、こういう立場にあるわけです。  そこで今主計官お話は、足らないことはわかっているから、臨時国会補正予算に盛るか、あるいは通常国会に出すかというようなことを検討しておるというお話でありましたけれども、現地の状況から見て、どうせ出す金なら、国庫負担法の本法にも、あるいは施行令にもあり、そうして従来それを実施してきておるのであるから、その他の補正予算も出るのであるから、災害復旧補正予算も今回盛るべきである。こういうように考えるわけで、きよう大蔵大臣の出席を要求しておりましたが、大蔵大臣は出られないというのでありますが、あなたのそれに対する御意見、私見でけっこうですから私見を一つお聞かせ願って、大蔵大臣によくお話願いたいと思っております。
  26. 高柳忠夫

    高柳説明員 御趣旨の点は、帰りまして上司にお伝えいたしまして措置いたしたいと思います。また、ただいま長野県の例が出ておるわけでございますが、そのうち農地農業用施設関係につきましても、同じような問題があろうかと思いますが、農林省の方にも私の方から連絡いたしまして、まだ未配付の予算額が若干残っております。全国的に若干残っておりますが、そのうち長野県につきましても数億程度の配付予定額があるというふうに聞いておりますので、今のような問題とあわせまして、確定次第早く本年度予算の配付を促進するようにお願いいたしておる次第でございます。そういたしますと、大体進捗率といたしますと、農地農業用施設につきましては、当初予定したところ辺までは一応計算上参ることになろうかと思います。一般的な災害復旧費につきましては、幸い本年災は昨年と比べて比較的軽微でありましたので、大体予備費で支出する予定でおります。すでに五十六億出しておりますが、あと今の予定ですと約その倍くらいの額でおさまろうかと思います。大体予備費範囲でまかなえる見通しが、今後大きな災害がなければ見通しができる。従いまして、過年災の処理につきまして財政の許す範囲でどういうふうに処置するかということは、いずれ上司の御指示もあろうかと思いますが、きようの御趣旨をお伝えして善処いたしたいと考えております。
  27. 中島巖

    中島(巖)委員 農林省関係にお尋ねいたしますが、私の方へ県からきておる資料によると、三十六年災、昨年度の農地施設関連事業を合計いたしまして、二六%の災害復旧の進度率であるけれども、本年度はこれより相当大幅に上回る予定であったけれども、二五%しかの内示額をやってない。そうすると結局二年度において五一%しかできない、こういうような資料がきておりますが、これで間違いありませんか。
  28. 任田新治

    任田説明員 ただいま大蔵省高柳主計官からもお話がございましたが、農林省といたしまして、本年の四月現在におきましての過年災の実態の調査をいたしておった関係上、どうにかその数字が固まって参っておるわけでございますけれども、その実態をつかんだ上で保留額を解除いたしまして各県に割り当てる方針にいたしておるわけでございます。そのような関係で現在の状況では進度がおくれておるような形になっておるわけでりあますが、この解除いたしました場合に、PWの改定でありますとか、あるいは物価の改定の問題が若干ありまして、当初の計画通りのものにはなりませんけれども、大体ただいまのお話の点よりは進度が上がって参ります。そういうふうに考えております。しかしながら、当初建設の場合と同じ様に、三十六年災につきましては六七%の進度を考えておったわけでありますが、そこまではちょっと参らぬというような実情でございます。
  29. 中島巖

    中島(巖)委員 さらに農地局長にお尋ねしますが、今保留分があるからまだ出せる、こういうお話がありましたが、その保留分は過年度災総額に対して何%くらいお持ちなんですか。
  30. 任田新治

    任田説明員 額といたしまして、全国的に二十二億保留しております。
  31. 中島巖

    中島(巖)委員 二十二億というと過年度災総額に対して何%くらいになるのですか。わからなければわからないでよろしいのですが……。  そこで最後に官房長に要望いたしておきます。ただいまの建設省並びに農林省に対する質疑応答によっておわかりになったと思いますけれども、過去の国会において中村建設大臣も、現在の河野建設大臣も、三、五、二でありますということをたびたび言明しておるのです。しかも三十六年災に対して、当初は先ほど申しましたように、三一%で政府が言明したより一%もよけいにできておるのです。ところが、五〇%やるところの三十七年度に至っては、内示額は三〇%程度の内示額をやったけれども、三十四年災、三十五年災に食われて二七%しか実質において工事費が渡っておらぬわけです。これは政治に対する不信という、災害復旧と同時にそういう大きな問題があるわけであります。ただいま主計官は、今年度災は予備費でまかなわれたけれども、過年度災については足りぬことはわかっておる、これは臨時国会予算を出すか、あるいは通常国会で予算を出すかということは今寄り寄り協議中である、こういう答弁であったのです。どうせ通常国会で予算を出すのなら、これは政府や国会の信用のためにも、どうしてもこの臨時国会補正予算を組むべきものである、災害地のため、また政府や国会の威信のために、どうしてもそうすべきでものである、こういうように考えるわけであります。その点、きょうは大臣もお見えにならないし、官房長官もお見えにならぬが、しかし幸いに若くして賢明なあなたがお見えになったから、これはどうしても自民党政府の威信のためにも、ぜひ臨時国会補正予算を提出してもらうように御努力をお願いいたしたいと思います。
  32. 八田貞義

    八田説明員 ただいまの御意見、まことに貴重な御意見でございますので、十分関係省庁と話を進めまして、善処いたして参ります。
  33. 中島巖

    中島(巖)委員 次に、道路局長に中央自動車道のことについてちょっとお伺いいたしたいと思うのです。実は、かつて名神国道工事に着工するとき、たしか昭和三十二年だと思いましたけれども、京都にバイパス線がありまして、これに対して三十二億の予算を計上しておったのを、法律改正をしてそれを運用して、何でも三十三億五、六千万をもって名神国道に着手したわけなんです。ところが、用地買収の関係で難航いたしまして、わずか二億八千万程度しか使えない、一割も金が使えない。それで三十億以上を三十三年に繰り越したわけです。それで三十三年は八十億予算をつけた。従って、約百十億何という予算がありまして、たしか二十億程度しか第二年度も使えなくて、九十億の予算をまた三十四年度に繰り越したわけです。それはどういうわけかというと、用地買収であるわけです。その結果、現在のはっきりした数字はつかんでおりませんけれども、三十七年度までに供用開始で完了すると言ったのですが、現在まだ完了せずに、昭和四十年の供用開始なんということを何度も何度も途中で変更して国会に報告した。そして最初予定した用地の買収費を約四倍以上使ったのです。つまり三十七年度にでき上がるというのを四十年度に繰り越してしまって、そして用地買収費が、最初の予定の四倍も使った。この原因は結局関係者が用地買収を早急にやらなんだということで莫大な用地買収費、国費の予定の四倍も使い、そして三年もおくれたという状態です。  そこで中央道の関係についてお尋ねするのでありますけれども、たしか五月だと思いましたが、当時の道路局長の河北幹事は、国土開発縦貫道建設審議会におきまして、東京−富士吉田間は十月中には道幅の釘打ちも終わって用地買収にかかります、そして用地買収はどこを先あとということでなしに買収のできるところからすぐかかります、そういう答弁をして、さらに会長の中村建設大臣もその通りにいたしますということが、ここに審議会の会議録もありますが、これにはっきり載っておる。そこで局長にお尋ねすることは、現在どういう状況になっておるか、あるいは前の河北幹事、あるいは中村会長の言うた通りにするのであるかどうか、この点をお伺いするわけであります。
  34. 平井學

    ○平井説明員 前大臣、前局長時代の御方針は基本的には私どもも受け継いでやって参っております。具体的に申し上げますと、本年度予算では、いろいろ前任者のさような引き継ぎもございまして、どこからと申しましても、やはりいろいろその他の要素も考え地元住民、いわば地主その他の人々との関係考えまして、現在具体的に私どもの考えておりますのは、三十七年度におきましては東京都の区域内におきましては府中市付近から八王市付近までの間を重点的に買収を進めていく。御参考までに申しますと、調布付近におきましては所在の地主、住民、こういった人々との間に目下いろいろの難問が予想されております。これを打開すべく努力いたしておりますが、以下といたしましては、本年度はまず重点的には府中市付近から八王子市付近が実行が割合やさしいし、この方が能率的であるというふうに考えてやっております。  なお三十八年度につきましては、この夏の審議会でも報告したと思いますが、本年の十数億の予算に対して、相当大幅の予算を大蔵当局に対して要求いたしております。全線にわたって用地買収を進めるという強い方針でございます。  なお用地買収が済みました区間につきましては、本年度も含めて、その長大トンネルとか長大橋梁、これは山梨県の区域の方が多いのでありますが、そういった点は一部発注をする、こういうふうな計画で進めております。  なお御案内でございましょうが、山梨県当局におきましては、山梨県の区域内の敷地につきましては、もう全面的に協力をして下さる、こういうたびたびのお申し出もございます。現在直接には日本道路公団の方において、山梨県当局と具体的に話を進めていただいておるような次第でございます。
  35. 中島巖

    中島(巖)委員 山梨県当局は、用地買収に対しては既成同盟会などをつくって、態勢を整えて、そして用地買収を一括して道路公団から引き継ぎをしてもらって、責任を持ってやる、こういうようなことをたびたび言明をしておるわけであります。それから先週の週刊朝日だかに、ダウは低く富士は高しなどという記事が出ておりましたけれども、株式はめちゃくちゃ安いけれども、富士山ろくはここ半年で十倍も土地の値が上がった、こういうことを書いて、それには中央道のことも書いてあったわけでありますが、そういうような状態でありますから、やはり先ほどお話ししたような名神高速道路の轍を踏まないように、山梨県側は、山梨県に道路公団が委託して、早期に買収さしてしまった方がよくはないかと思いますけれども、局長考えはどうであるか、あるいは道路公団は現在どんな話を進めておるか、その二点について様子をお聞かせ願いたいと思います。
  36. 平井學

    ○平井説明員 御指摘の通り、用地買収事務相当部分を山梨県側に委託するという方針は確定いたしております。現にその方針で進めておりますし、道路公団の報告によりますと、本月の九日、昨日、この沿線の関係者に説明会等も終わりまして、早急に進みつつあるような報告を受けております。
  37. 中島巖

    中島(巖)委員 それからもう一つお伺いしますが、聞くところによると、公団の理事で、前に建設省にいた人などが、やはり東海道案を支持して、中央道に対して反対の気色を見せておる。そしてその用地買収なんかにもちゃちゃを入れたり、そして事ごとにそういうような態度をとっておるというような話をよそから聞いたのでありますが、そういうことはないですか。もしそういうことがあったとすれば、やはり監督官庁として建設省は、相当大幅なお得意の人事異動をやるべきだと思いますけれども、この点局長さんにお伺いしたいと思うわけです。
  38. 平井學

    ○平井説明員 用地買収にちゃちゃを入れるというようなことは断じてございませんし、聞いておりませんです。さようなことがございましたら、さっそく上司に報告して処置いたしたいと思います。
  39. 福永一臣

    福永委員長 次は二階堂進君。
  40. 二階堂進

    ○二階堂委員 あまり時間もございませんから、きょうは簡単に一つ国鉄の方に御意見を承ってみたいと思います。道路整備五カ年計画に関連いたしまして、国鉄との立体交差の問題につきまして二、三国鉄側の御意見を承り、できますれば、一つその立体交差の整備事業促進に御協力をお願いいたしたい、こういうわけできようは来ていただいたようなわけであります。  私は、主としてきょうは国鉄側に質問をいたします。また道路の方につきましては後日建設省にいろいろと私の考え方も述べまして、促進方をお願いいたしたいと思います。  御承知通り、この道路整備五カ年計画に基づきまして、一級国道昭和四十年でありますか、大体九四、五%ないし九七、八%の改良舗装を完了するという方針をきめて、着々その事業を推進して参っております。先般私も東北四県あるいは近畿あるいは九州等の二、三の県を、道路整備事業中心といたしまして視察いたしましたが、非常に鉄道との立体交差の事業がおくれておるということが目についたわけであります。  そこで私は建設省に対しまして、一体この立体交差の事業促進がどういうふうになっておるのか、立体交差の未着工の個所が、主として一級国道でありますが、どういう状況にあるかという資料を私は求めてみました。ところが、昭和三十七年度踏切除却、立体交差事業で、未着工の個所の調べが私の手元に届いております。これを見ますと、内地におきまして——これは地建関係で申しますと、建設省の地方建設局関係で見ますと、東北、関東、北陸、中部、近畿、中国、四国九州、この地建関係とそれから北海道であります。この個所で三十七年度事業計画されております中で、全体予定個所数が内地におきまして九十一カ所、未着工の個所が四十四カ所であります。北海道が予定個所が二十八個所で、未着工の個所が十二個所であります。このうち、道路側の理由によって着工ができないというのが、内地において八件、鉄道側の理由によるという報告が三十六カ所となっております。北海道におきましては、道路側の理由が七カ所で、鉄道側の理由が五カ所となっております。こういう数字を見てみますと、こういう立体交差の予定個所が着工できないという理由が主として鉄道の側にあるということが、この数字の上から明らかになっておるわけであります。断わっておきますが、これは建設省から出した資料であります。これは鉄道の方からの資料を私はとっておりませんし、また理由もとっておりませんので、あるいは一方的な数字なり、あるいはその理由になっておる点がある建かとも存じますが、私は本日はこの設省からもらっておりまする資料に基づきましてお話を申し上げるわけであります。昭和三十三年か四年かでありましたか、私はこの委員会に国鉄の方に来ていただきまして、当時は大石理事であったかと思いますが、この立体交差の問題を議論いたしまして、そうして促進方をお願いいたしました。以来国鉄の方もこの立体交差の促進につきまして、非常に窓口の簡素化あるいは促進等において御協力を賜わった実績は私も承知いたしておりまして、この点は非常に感謝いたしておるわけでございます。しかしながら、今申し上げました通り、事実において、昭和三十七年度に予定されておる立体交差の個所は、主として国鉄側の理由に基づくことで非常に仕事がおくれておるというところが非常に多いわけであります。そこでこれらの原因をいろいろ——それは国鉄の方にも言い分がありましょうし、道路の方にも言い分がありましょうが、私はきょうは主として、国鉄の方が見えておりますので、国鉄の方に少し苦言を呈してみたいと思うのでございます。東北地建関係だけで見てみましても、一級国道整備計画で鉄道と立体交差する場所は五十八カ所となっております。このうち国鉄関係は五十六カ所であるが、現在着工されているものはわずか三カ所にすぎない。今後残りの五十二カ所については、大部分三十八年度初めに着工を計画しており、四十年度には完成できるように努力しておるが、国鉄との協議が進まないので苦慮いたしておるという状況である、こういうふうに書いてあります。これは東北地建の関係で、一級国道に関連する立体交差でありますが、五十八カ所もあるといううちで、わずかに三カ所しか着工できていない、こういうことであります。私は東北地建管内の全部の個所の個所別の理由と、それからいつ協議が始まったか、どういう理由でおくれておるかという個所を一カ所々々々建設省からもらっております。これは建設省の言い分でありますが、きょうは個所別にお尋ねする時間もありません。そこで、このようにおくれておる理由は、国鉄の方との協議が非常におくれておるということが一つであります。それはやはり国鉄の方の基本計画というものが、たとえば復線にするとか電化にするとかあるいは立体交差にするとかしないとかいったような基本計画が確定しないこと、それから現地においての具体的な計画がおくれておるとか、あるいはまた改訂されておるというようなこと等がありまして、これはおくれておるということだと根本的には私も考えております。しかも、この協議を開始いたしましてから、道路局の方は地建の局長が主として交渉の相手に当たっておるわけでありますが、この協議が始まってからいろいろな計画打ち合わせが具体的に確定するまでには、少なくとも一年以上の時日を要しておる。早いのは八カ月とか、あるいは一年八カ月とか、九州で見ますと大体一年から一年八カ月かかっておる、こういうような状況であります。東北に参りましていろいろ聞いてみますと、一応今の単線で立体交差の計画が進められておったが、今あなたの方では複線計画があるのだ、その複線計画がきまらなければ道路の方との立体交差の協議がまとまらない、こういうような理由も相当あるようであります。こういうふうに基本的な計画があなたの方でおきめになっていないということも、一つの基本的な原因であろうかと思っておりまするが、なおまた、協議が大体まとまりましてからも、あなたの方の地元の現地の局とのいろいろな交渉にまた時間を要する、これも事実のようであります。これはあなたの方の国鉄内部の機構の非常に複雑なことにも起因しておるかと私は思うのであります。大体鉄道との立体交差につきましては、建設省の方はほとんど地方の建設局長が大体窓口の相手になって仕事を進めておるわけであります。ところが、あなたの方は、管理局長がおられ、そしてまた地方には支社長という方がおられる。   〔委員長退席、瀬戸山委員長代理着席〕 それがまた本社の方に通じてきて事務手続を要求する。そうすると本社の方では施設局ですか建設局ですか、そういう局がある。それからまた今度は支社長にその手続が返って、そして工事局長に返って、そうして現地の責任者に返っていく。国鉄の内部の機構は私は十分存じておりませんが、手続上判こをもらってその書類を回さなければならない。機構が非常に複雑になっておる。こういうような手続だけでも本社と支社の間で一カ月もかかるというのが普通であるように伺っております。私は、このことにつきましても、かつて大石理事に来ていただいたときにも、もう少し窓口の簡素化をはかったらどうか——これはひどい例でありますが、昭和三十三年ごろでありますか、九州のあなたの方の関係のある個所の仕事でありますが、仕事の協議が終わっても、あなたの方にはまだ信号の掛がある、あるいは電気の方の掛があるとか、非常に下の方の担当者の窓口が多い。そうすると、仕事を進める場合にも、業者が——私はそのときに申し上げましたが、今はそういうことはないと思っておりますけれども、業者がその窓口の掛、四つか五つ窓口がある、その窓口の方々を一席招待してごちそうまでしなければ一向納得が得られないというような事実があります。私はそのときの業者の名前とか人の名前は申し上げませんでしたが、私は事実そういう証拠を持っておったのであります。そういうこと等も率直に私は委員会で申し上げました。そういうこと等もあって非常にその促進方を協力していただいた事例も私は持っております。現在はそういうことはないと思っておりますよ。しかしながら、非常にあなたの方の窓口が多くて、手続をする上において複雑な経路がたくさんある。そこで地建の局長が幾ら相談をしても、事務的手続においてすら、行ったり来たりに一カ月以上もかかるということになる。しかも立体交差については、はなはだ失礼なことと存じますが、あなた方の方では非常に熱意がないというふうに受け取られてもしょうがないというような具体的な例がいろいろあるわけであります。そこで、私は一体この立体交差の問題等について、道路の方は五カ年計画一級国道昭和四十年度までにほとんど改良舗装完成したいということで、これは当然のことなんです。今日の輸送の混雑しておる状況等をいろいろ考えてみますと、これはどんどん工事を進めていかなければなりませんが、非常に目立っておくれておる個所というものが、道路の側にも理由があっておくれておる個所もありますが、今申し上げた通り、国鉄の方の理由が相当多い。こういうように工事施行がおくれておる、しかも事務的にも長期間を要するというようなことでは、道路の五カ年計画整備というものは昭和四十年度までには終わることができないといったような実情に追い込まれていっておると私は思うのです。こういうことに対して、一体国鉄の方とされましては、どういうようなお考えでこの立体交差の問題について対処しておられるのか、またどういうお気持で今後これらの問題を解決していこうと考えておられるのか、大体の考え方の方針だけを承りたいと思います。
  41. 滝山養

    ○滝山説明員 今立体交差のおくれている問題につきまして、いろいろ御指摘がございました。われわれといたしましては、立体交差というのは、今非常に重要な施策と考えておりますので、非常に遺憾に存じますし、また国鉄側の不行き届きのためにいろいろと御迷惑をかけておる点については申しわけないと存ずるわけでございますが、個々の問題は別といたしまして、全体的に申し上げますと、実は今御指摘のおくれております原因の主といたしまして、従来立体交差の問題につきましては、踏切の除却と申しまして、踏切がなくなるものにつきまして、国鉄側としてはいわゆる番人のおります踏切の取れるものについては分担をするという指導をしておったのでございますが、そういった設計協議並びに分担の問題が協議の上においてやや不明確な点があったことは事実でございますけれども、昨年の秋に通していただきました踏切道改良促進法案ができまして以来、運輸省と建設省におきまして法律の指定によって個所をきめる、そうしてまた両方の分担というものが明確にされましたので、その面は解決されまして、従来そのためにおくれておりましたものは、今どんどん解決できておると考えております。  それから、なお計画の点につきまして、率直に申し上げますと、道路計画の方は非常に積極的に国道計画がいち早く進められたのでございますが、国鉄の増強計画というのは非常におくれておりまして、三十六年度からの第二次五カ年計画におきまして、国鉄全般の増強計画の将来の姿が立てられたものでございます。東北の場合で申し上げれば、東北本線の先の方は従来単線で考えておりましたものを、今度複線区間に指定するというようなことになりまして、全般的に複線区間がふえたことは事実でございますが、その点国鉄の計画がおくれておったために、協議に支障があったことは事実でございます。この点につきましては、複線区間を明確にいたしておりますので、この問題も今日では解決しておる言っていいと思うのでございます。そういう点につきまして、二つの点が基本的に御迷惑をかけておる問題だろうと思うのであります。  なお組織の点につきまして、率直に申し上げますと、国鉄の立体交差の問題は、やはり列車の運転に非常に関係しますために、国鉄の組織からいいまして非常に関係の多いこともまた事実でございます。なお従来線路の保守管理は現地におきましては、管理局というところがやっておりますが、たまたま今国鉄側の複線工事をやりますのは工事局でございます。御指摘の個所は、東北本線のような場合は、従来の受身の組織であります管理局と複線工事を進めます工事局と両方の関係がございますために、両者の協議、それからまたこれに対する国鉄側の会計の規程でございますが、道路の上を越します場合には財産が道路側に移りまして、それは分担金という鉄道経費で処理しております。ところが鉄道の下をくぐります場合には、橋の財産が国鉄に所属いたしますために、それは工事経費で処理する。これはいわゆる財源が全く違った関係にございますために、事務処理において、従来本社において処理しなければならないという関係もございまして、現地の設計協議のあと事務に乗るまでの間に支柱を通し、また本社の中において関係部局といろいろと協議をすること等もございまして、時間がかかったことも事実だと思います。この点につきましても、今何らか促進するような方法を検討中でございますので、幾らかでも御迷惑を減らしたいと考えております。  それから熱意の点につきましては、実は踏切の問題は、近来非常に重大な問題でございますので、第二次五カ年計画では従来の規模に数倍の立体交差を取り上げまして、本社におきましても踏切保安本部というものを設置いたしまして、建設省また運輸省と連絡を密にしながら踏切の促進をはかっておりますので、決して熱意がないというものではございませんが、しかし何分にも非常に業務が急激にふえて参りまして、従来の五倍とか十倍の業務量になっております。その点現地の施工能力につきましても、いろいろと対策を立てながら御迷惑をかけないように措置しておるつもりでございます。  なお、この機会に踏切全般について申し上げる機会をいただきますれば、実は踏切の場合、国道の場合には、建設省の側におかれましては地方建設局が中心でございますので、道路側の計画が非常によくまとまっておりますが、従来の困っております踏切を除却いたします場合には、市道、町村道、県道という場合がございまして、その場合の方が実は今度窓口が多くなって、その方の踏切が進まないというような問題がこちら側にもございますものですから、今踏切の除却につきましては、道路側と緊密な連絡をとって、なるべく早く御相談もし、全貌もつかんで処理できるように現地を指導しておりますので、今御指摘のような点の全貌を通じまして、業務の円滑な運営をはかりたい、こう考えている次第でございます。
  42. 二階堂進

    ○二階堂委員 私は国鉄の内部の機構なり経理上の複雑なことについては十分勉強いたしておりませんが、今承るといろいろな事情もあるようであります。しかしながら、やはり道路が一方的と申しますか、その計画を進めている際に、あなたは今協議をやって促進しておるのだとか、あるいは東北本線も着々解決していくのだとか、あるいは熱意において決して劣るものではないというようなことをおっしゃいますが、私はここに具体的な例を持っております。これを一つ一つずつ私が言って説明を聞きますと、なるほどあなたの方にもいろいろ落度があるし、熱意がないという証拠が出ております。これを申し上げますと、大へんお困りになるだろうと思いますが、私は今これを持っております。それは自分の方にもいろいろ理由がありましょう。私もその理由を承知しております。予算関係、経理の方のいろいろな関係あるいは鉄道の非常な安全性の問題もありましょう。いろいろな問題があるにしましても、いま少し地方に事務処理の権限を委譲して、そうして促進をはかるというようなことを積極的におやりになれないものかということを非常に感ずるわけです。これは私が先般申し上げまして以来、幾らかそういう事務促進のことをやっておられるようには伺います。しかしながらいまだに大体手続をして一カ月以上もかかるとか、書類だけでも行ったりきたりするのに一カ月もかかる。判こをもらうのに幾つも回ってもらわなければならぬ。私はかつて九州に参りまして、あなたの方の九州支社に持っていったところ、一日中持ち回りでやっている。それも私がやかましく言わないと一カ月もかかる。これは鹿児島の具体的な個所の問題でありますが、そういうところから申しまして、もう少し真剣になって、あなたの方も立体交差の問題を、協議を早くきめて、仕事に移れるように一つ機構の改正も、事務の能率化も積極的にはかっていただかなければならぬと思っております。もう少しそういう機構を簡素化されるというようなお考えはないものか、どうですか。
  43. 滝山養

    ○滝山説明員 今ちょっと私の説明の悪い点があったかと思いますが、個々の問題につきましては、十分検討させていただきまして、こちらの責任のある点については十分改めたいと思いますし、今御指摘の業務の点につきましては、国鉄としてもそういう非難がございますので、全般として権限を落とす、本社も踏切の問題につきましては、別個にそれと並行いたしまして、権限を落として、伺いの時間を短縮することを今鋭意検討しております。近くこれを何とか処理したいと思っております。
  44. 二階堂進

    ○二階堂委員 そうすると、具体的にあなたの方は踏切なら踏切の担当の部局を設けるとか、責任者を設けるというふうにして、機構の改正をおはかりになるというわけですか。
  45. 滝山養

    ○滝山説明員 これは二つございまして、機構の面につきましては、本社に踏切保安本部が今できておりますが、地方におきましても、支社、管理局に今三、四カ所できておりますが、これを全面的に広げて、ほとんど全部の管理局に踏切の中枢をつくるようなことを進めております。これは近く全面的にしたいと思っております。  それからあと書類の扱いにつきましても、先ほども申し上げましたように、できるだけ時間を短縮するために権限を落としまして、伺いの時間を短縮することが実現できるように今努めております。
  46. 二階堂進

    ○二階堂委員 具体的に計画協議に対して国鉄の回答のおくれているものの事例が出ておりますが、これは一級国道七号線の上浜跨線橋というものが一つの具体的な事例として出ておりますが、この立体交差の問題は昭和三十六年十一月二十九日付東北地建局長から秋田鉄道管理局長計画協議を行なっておる。それについて昭和三十七年十月三日付で督促をさらに行なっておる。計画協議以来十一カ月たってもいまだに回答がないと書いてある。これは地建の方の書類ですよ。地建では具体的に設計がこのようなことで着工できないということになっておる。こういう事例があるわけです。十一カ月たってしかも一回地建局長があなたの方の秋田鉄道管理局長あてに設計協議を行なって線増、電化計画、所要けた下空間、建築制限などの打ち合わせを行なった。さらに同件について昭和三十七年十月三日付で督促をいたしておるが、協議以来十一カ月もたってもいまだに回答がない。こんなことは無責任じゃないですか。これはどういう理由で回答がおくれてきているのか。  それからさらに計画協議に対して国鉄の回答はあったが、その後回答を変更したものがある。回答を一ぺんやったが、計画を変更したということで、あなた方の方から変更の返答があったというのが一級国道の西田子跨線橋ですか、岩手県一戸町における踏切の問題であります。これは橋をかける問題でありますが、昭和三十四年二月十六日付で計画協議に付するということに対する国鉄の回答が昭和三十四年十二月二十八日、いろいろと立体交差についての回答があった。また三十六年三月九日に奥州街道踏切三カ所除却についての回答があった。その後計画変更が次々になされたというので、昭和三十七年当初の着工予定が現在まで延期されておるというような個所があります。  それから計画協議に対して国鉄側の回答が非常に不明確だというようなところが一級国道の七号線の蔵館跨線橋、これもあなたの方の国鉄側の回答がきわめて不明確であるので、道路としては具体的な設計計画がいまだに行なうことができない。こういうことでは国鉄側に非常に誠意がないと思うのであります。  それから国鉄と地建の方で一応協議が終わって、そうして仕事にかかろうという段取りになっても、今度は請負業者の問題であなたの方は、おれの方に従来仕事をやっておる専門の業者がおるからそれにやらしてくれ、こういうようなことまでいろいろ苦情を言ってくるところもある。これは一体どういうことですか。鉄道の方は鉄道の方で自分で専門に仕事をやらせる会社というものが指定してあるわけですか。道路の方は早く仕事をやろう、設計も済んだ、一つ自分の方でやらしてくれということで、道路の方でそういう業者を推薦したところが、これは鉄道の方で何か特異工事能力を有する業者の中から選定されたいというようなことを申してきている。そのことでまたもめておる。従って道路局の方はやむを得ずそういうことにいたしましょうといって、あなたの方に工事をまかしたところが、それがまだいろいろなことで工事がおくれてきておるというようなことも事実としてここに具体的に出ております。これは建設省資料ですから、あなたの方の資料はまた別に御意見があるでしょうが、私は先ほど申しました通り主として地建を回ってきて資料を集めて、その集めたものをプリントとして刷って持ってきてくれといって私が要求したからここに持ってきた。あなたの方には国鉄は国鉄なりのものがあるかもしれませんが、その点はもし間達っておったら指摘していただきたい。そういうことまであなたの方は道断の方の仕事に対して干渉されておるという事実がある。そういうことでいろいろおくれてきておる。  だから要は私はもう少し窓口の簡素化をはかっていただいて、そうして地元とかあるいは支社長くらいで判こを押されて解決できるというような機構といいますか、そういう一つの促進をする機構というものを整備していただきたいと同時に、もう少し熱意を持って道路の方とも話し合いをしていただくことが、今日道路交通の問題を解決するあなた方の方の根本的な心がまえではなかろうかと私は思います。そうすれば私はこんなに仕事がおくれてくるという結果にならぬと思っております。  こういうことは具体的に何十カ所もあります。一つ一つ書いてあります。これを申し上げますと時間もかかりますが、なるほど私は道路の方もそううそばかり書いて出しておるとは思っておりません。そういうこと等もあります。  それでは道路の方でいろいろもめて、全部一つ予算をもって仕事をやりましょう、こう言っても、それじゃ従来やった北の道をこういうふうにつけかえてくれとか、いろいろそういうような註文も出てきておる。あるいはせっかく道路の立体交差の話がまとまっても、今度はあなたの方で上に鉄の橋をかけます。何と言うのか知らないが、これを発注するのに協議がおくれたために発注がおくれてくる。そうすると橋のけたをつくるのに少なくとも八カ月もかかる。それができておらなければ仕事にかかれない。こういうような事例があります。これもやはり鉄道の方は、おれの方の業者がおるのだからそこに発注する、その発注の時期がおくれたから従ってその道路の仕事がおくれてきておるという事実もあります。ですから私は今いろいろな事例を二、三申し上げましたが、これは国鉄の方とするといろいろな御意見があろうと思いますが、それはお断わり申しておきますが、ここに出てきております私が感じたことを地建の方にお願いして提出してもらったこの書類には、そういう具体的の事例が出ております。従って私は、その事実に基づいて国鉄の方にお願いを申し上げておるわけでありますが、そういうことについて、これは個所別にどうだこうだという意見はなくても、一つ国鉄側のお考えをもう一ぺん聞かせて下さい。
  47. 滝山養

    ○滝山説明員 今御指摘がございました個々について御迷惑をおかけしたことについては、非常に申しわけないと思っております。それからその促進については善処したいと思います。ことに全面的のお話し合いをするということをぜひ実行することによって解決したいと思っておりますので、そういう工合に指導しておるわけであります。  なお、請負のことについてお話がございましたが、実は橋げたの立体交差の問題は、列車を運転しながらその上を、あるいはその下を掘ったり、あるいは重量のあるけたを動かしたりする関係で、国鉄の中においても業者について過去の経歴とかあるいは実際の資格というものを厳選してやっておるしきたりがございますので、決して道路側であるからということではございませんが、しかしこの点についても今後立体交差の仕事が非常にふえて参りますので、こういうことについても今後円滑にいくように今対策を立てようと思っておりますが、従来はそういう理由でもって未経験の業者に対しては安心しておまかせできないというような態度をとってきたのじゃないかと考えておる次第であります。いずれにいたしましても、いろいろ不備な点について改善する決意でございますので、よろしく御了承を願いたいと思います。
  48. 二階堂進

    ○二階堂委員 この踏切除却法ができたり、あるいは立体交差につきましては、国鉄と地建とで結ぶ建国協定というものに基づいて促進しておることは私も承知いたしております。一体この踏切を早く除却して交通の緩和をはかったり、あるいは事故の防止をはかるということは、道路も国鉄も同じようにお考えになっておると思います。そこで大都会が非常に交通が混雑して事故が多い。従って踏切の除却工事も大体地方と大都会とを比べてみましても、もちろん大都会は、交通関係の事情等によりまして相当緊急に拡張したり直さなければならない個所も多いと思うのでありますが、今国鉄の方では踏切だけについて計画をきめて促進をはかろうとおっしゃるのでありますが、踏切除却に対する予算というものは、一体毎年具体的に何億とか何千万という計画をもって予算措置をしておられるのか、その辺のところをちょっとお聞かせして下さいませんか。
  49. 滝山養

    ○滝山説明員 立体交差につきましては、今回の五カ年計画におきまして、国鉄関係としては大体三百四十カ所、百五十億という予算を計上いたしまして、年度々々に分けてやっておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、現在の法指定によりまして、どの地帯を立体交差にするかということにつきましては、運輸省、建設省におきましてきめられることになっておりますが、その場合に、先ほどもちょっと触れましたが、従来鉄道側からは、交通量の多い踏切を除却したいという非常に強い希望もあり、建設省側では、一級国道整備していくという立場もございますが、今回の法律によりまして、両者それぞれ協議をいたしまして、一級国道については、必ずしも人間のおる踏切が重要視されなくても国鉄側で分担する。それからまた、今申し上げましたこれは建設省以外の地方自治団体、市町村の関係がございますが、交通量の多い踏切も高いところから取り上げていただく。また、国鉄側で複線工事をやります機会にも、この際やったらいいというふうな踏切も取り上げていただくという工合に、個々に両省において御相談願いまして、法律でもって指定する、指定したものをあげていく、こういう形をとっております。  御参考までに、今年度の立体交差の予算は、いわゆる鉄道の分担だけ申し上げますと、いわゆる工事経費といっておりますが、鉄道の財産に帰属いたしますものが五億、それから道路側の財産に帰属いたしておりますものが十三億、来年度は今の協議がまとまりますので、それぞれ五億、八億、十三億、二十億というような工合に、こういう特殊のものを来年度予算に組み込んでおりますが、協議がまとまって法指定ができたものから順次かかっていくという態勢をとるわけでありまして、話がまとまりましたら、どんどん予算を増額していくということを事務的にとっておるわけであります。
  50. 二階堂進

    ○二階堂委員 その五カ年計画ですか、今百五十億とかおっしゃいましたが、全体の五カ年計画でそれだけのお金を見ておられる。今ちょっとお話がありましたが、話がまとまっていけば、たとえばことしは五億ですが、足らなくなった場合には七億とか十億とかふやせるというのですか。
  51. 滝山養

    ○滝山説明員 具体的に話がまとまって工事が進む段階になった場合には、それを修正していくということです。
  52. 二階堂進

    ○二階堂委員 ちょっと道路局長にお伺いします。  あなたは、着任早々、そう日にちもたっていないから、立体交差の問題なんかあまり勉強しておられないかもしれませんが、頭のいい局長ですから、もうとっくに勉強しておられると思いますけれども、道路の方で、立体交差をする個所というものは、五カ年計画に基づいて相当わかっておるはずなんです。この協議をせられる場合、一年前にそういう協議を始められるのか、あるいは一年半前とか二年前とか、これは少なくとも国鉄の方は時間も相当かかりますので、私は、一年ないし二年前から国鉄の方にそういう協議の申し入れをしなくてはならないものだと思うのですが、建設省の方とされましては、一体どのくらいの期間を置いてそういうなにをやっておられるのかということが一点。  それから大体昭和三十七年度のこの個所を見ましても、相当たくさんの、全体で九十一個所予定の個所がありますが、そういう個所についての予算措置というものは、一級国道事業費の中で見ておられると思うのですが、その点はどうですか。大体まとまらぬだろうから、あそこは来年度になるだろうと要求しておられるのか。それとも三十七年度は、これこれの個所はやらなければならぬということで、具体的に国道予算の中で、事業量の中で立体交差に必要な予算というものは現実に見ておられるのか、その点はどうですか。
  53. 平井學

    ○平井説明員 お答えします。踏切道の改良ないし規模についての鉄道側との協議は、御案内のように建設省側と運輸省両方で事前に協議をいたします。たとえば今年度も十月初めに百三十個所、運輸、建設両方で指定を終わりまして、双方でそれのルートに流すのでございますが、これは第二次指定でございます。それでどの程度事前に打ち合わせをするかというお尋ねでございますけれども、私は明聞しておりませんけれども、従来から運輸当局と十分期間を見て、両方で内容、個所についても百何十個所について協議を済まして、それぞれの役所の事務系統の判をとって、仲よく流すということでやっておりますので、十分余裕は見ておるはずでございます。  なお明年度、三十八年度の規模を一応御参考に申しますと、たしか百二十個所で八十億の予算を目下大蔵に要求しております。要求額でございますから、この通り実現しない場合には分けて、一応三十八年度では道路整備の方も相当進ませねばならない時期でございますので、そういう意味で八十億を要求しておるわけでございますけれども、われわれとしては百パーセント実現を目ざして、運輸、建設両方で歩調を合わせてやらせてもらうように、事務的には進めてやっております。
  54. 二階堂進

    ○二階堂委員 その協議が、私は東北地建も回って見ましたが、複線の問題等がありまして、なかなかあなたの方の計画がはっきりきまらないから、道路の方としては、一体どういうような幅で、どういうような上を通るか、下を通るかというようなことはきまらないのだ。最初は単線の計画で話をしておったが、今度は複線だ。複線の計画はいつきまるかわからないのだ。きまってからでなければ協議に入れないのだということを伺っております。この東北線の、これは何線というのですか、あなた方は御承知でしょうが、あの複線化が現在問題になっております。複線化の計画はいつになればはっきりするのですか。四十年を過ぎて、四十二年度も四十三年度にもならなければわからぬということになれば、道路はその間残らなければならぬのです。わずか百メートルとか二百メートルではないのです。相当長きにわたって改良ができておる。舗装ができて、たんたんたる道ができておりますが、そこへいくと百メートル、二百メートルではない。相当長い距離のものがそのまま放置されておる。それで車の一つのネックになってきている。こういう個所は一個所ではない、五十何個所です。それがたった三個所しか着工できていない。そういう事態を考えますならば、早くそういう計画もきめていただいて、もしきまらないにしても、そこだけは大体複線になるという計画ならば複線ということにして、そうしてあなたの方で金がなければ、道路がそれだけの金を出しておいて、道路の方を早く整備しておいて、あなたの方で負担しなければならないような金というものは、次年度内で道路の方がもらうということも、道路として考えてもいいのではないかと思うのです。そうじゃないのです。実際行って見ると、複線がきまらないから一向その計画に応じられない。その複線はいつきまるのかというと、昭和四十年度にきまるか、四十一年変にきまるか。それがきまってからでないと協議に入れない。一体その複線の計画というものは、明確に路線の名前は存じておりませんが、いつきまるのですか。もしそれがきまらなければできないということならば、道路の方はちゃんときまっておるのだから、道路の方がそれだけ負担しておいて、あとであなたの方から金をもらうというようなことも一つの促進の方法になろうかと思うのでありますが、そういうような考えは、道路局、建設省の方ではないのか。そのくらいの考えを持って促進してもらわなければ、一個所ではないのだ、たくさんの個所なんです。四号線ですか、七号線ですか、ずいぶん交差があります。ずいぶんあいているのです。そうすると車は全部そこにネックになっている。これではせっかくつくった輸送力増強の点から考えての道路効果というものは半減してしまう、こういうような実情でございますが、そういうようなことについて、一つ明確にあなたの方で一体いつごろまでに複線化がきまるのか。
  55. 滝山養

    ○滝山説明員 今御指摘の東北線の北の方の個所をとりますと、これは先ほどもちょっと申し上げましたように、昔の増強計画の中にはなかったのでありますが、今われわれとしてはこれを複線化する計画に指定しておりますので、この法指定がございましたら複線ということをはっきり出すということになっております。  それからなお将来国鉄が複線のために道路のまた幅員を広げて出す分については、国鉄側が分担できるような措置をとれるようにしておりますので、今後は御迷惑をかけないで済むのではないか。二、三年前からこの法指定の問題がはっきりしない場合、あるいは国鉄自身の関係で再修正ができる前については、将来の見通しについて非常に不安定な要素があったために、ずいぶん御迷惑をかけたのじゃないか、こう思っております。
  56. 二階堂進

    ○二階堂委員 よくわからなかったのですが、複線化の計画はいつごろまでにはっきりするのですか。  それから今の分担の問題ですが、これは何か促進できるように今話し中だ、促進しておるとおっしゃいますが、促進々々じゃいけないのだ。具体的にいつごろからどうなるのだということを明確に答弁ができるのですか。
  57. 滝山養

    ○滝山説明員 今承認になっております四十年度までの第二次五カ年計画の中に全部予算化しているわけじゃないのです。しかし引き続き青森までは複線にするということはきまっておりますので、その部分にかかるということになりましたら、その部分については今申し上げましたように国鉄の将来の条件をつけるわけでございますから、国鉄側において費用を負担して、それで複線の幅をこの際つくっていただくということができるようにしたわけでございます。
  58. 二階堂進

    ○二階堂委員 今問題になっておる何カ所かの個所がおくれておるのは、道路ができておってもそこだけ残っておるわけです。そうするとそこは、私が回ったときには、まだ複線化の計画がきまらないから、道路の方と協議に入れないのだという話も承りました。ところが今あなたの方の御意見を聞きますと、それもできるのだというふうに聞き取れるような発言でございましたが、事実そのように了解していいのか。そうであるならば、あなたの方の国鉄の支社ですか、支社長あたりにそういうことを言ってやって、もう少し話がうまくまとまるように指導していただかなければ、あなたがここでおっしゃることと地元でおっしゃることとは食い違っておるのですが、そういうことで地元地元で一つの意見を持っておると思います。それが本社の方の意見を伺わなければできないのだとか、あるいは複線化がきまっておりませんから道路の方との交渉に入れないのだというような御意見なんです。あなたの方は非常にわかったような話をおっしゃいますが、地元の方は、末端に行きますと線路であるとか通信であるとか何とかであるとか、いろいろなものがたくさんあるでしょう。そういうところの係長さんとか課長さんたちはおいそれといってなかなか話に応じてくれないというような実情にあるのです。上の方は非常に話がいく。向こうに行っても上の方は話はわかるが、下の方はわからないと道路の方もよくおっしゃる。事実そうなんです。上の方で大体の話をわかって下の方にもちゃんと浸透さしてどんどん話ができるようにしていただくことが——私が今申し上げているようなことを促進していただくという熱意の問題なんですが、その熱意があなたはあるとおっしゃるが、下の方はなかなか熱意がない。冷えきっておる。上の方は熱意があるが下の方は氷のごとく冷たいということじゃ、どうも仕事の方が一体となって進んでいかないということになるのですが、そういうことがあるかどうか。私は一方的な意見ですから、あなたの方もよく御調査下さいまして、それが浸透するようにしていただきたい、こういうことをお願いしたいのですが、どうなんですか。
  59. 滝山養

    ○滝山説明員 今御指摘のような遺憾の点があり得ると思いますので、その点については十分改善する決意でございますからよろしく……。
  60. 二階堂進

    ○二階堂委員 その決意を伺いましたから、その決意が下まで決意されるように特に私はお願いしておきます。それで近いうちに——一、二週間じゃないのですが、こういう個所についてあなたの決意がいかように下まで決意されるようになったかということを私はもう一ぺん調べてみたいと思います。これは九州におきましても、私の鹿児島県におきましても二カ所国鉄の問題でおくれておるところがあるように伺っております。また近畿六県も回りましたが、そこでもあります。また東北におきましても——具体的に全国の個所別の調べがきております。この個所別について協議がいつ始まってまだ計画がきまってないとか、あるいは国鉄がこういうことに反対しているとか、いろいろ出ておりますけれども、ここで一々私は申し上げませんが、これは道路の方にも私はある程度責任があるということも認めます。しかしながら理由のおもなるものが国鉄の側にあるということが数字の上にも出ておりますので、従って、私は繰り返して申し上げますが、この資料をもとにしての意見でありますので、もしこれが正しければそのようにしていただきたい。間違っておればそれは間違っておるのだということを指摘していただきたい。そうして協議を早くまとめて実施ができるようにしていただくことが、われわれが考えておりまする輸送力の増強あるいは経済基盤の強化というような大きな国策の上から考えても、その促進になると思う。これはあなたの方にどうしても協力してもらわなければ仕事が促進されませんので、この点を一つお願い申し上げまして、きょうは時間もありませんからこの程度にしておきますが、またいずれ私はここに来ていただきまして、こういう個所は一体どうなっておるのかということについて一つ御意見を承りたいと思いますから、それだけを一つ保留しておきます。
  61. 中島巖

    中島(巖)委員 関連して。踏切の問題ではないのですが、実はこのごろ東北の視察をしたのです。そうしましたところが、青森市ですが、あれは青森市の中央に、あなたの方の青森停車場が十五万坪あるわけであります。そこで市長さんなんかの陳情は、青森駅の中央に高架橋をかけてもらいたい、こういうことなんです。そこでいろいろな事情はあるだろうけれども、あの地方の地価を聞いてみると、坪四十万円くらいしておる。かりに二十万としても十五万坪あれば三百億だ。だから青森の町のまん中へあの鉄道を置かずに、青森駅をそっくり山の手の方へ持っていけば、結局坪二十万で売っても三百億あるのだから、その予算でもって駅が山の手の方に移動できるんじゃないか。そうした方が全般的から見てよくなるんじゃないかというように私見てきたのですが、しかし、あそこには連絡船やいろいろな関係もあるし、それらについて研究されたことがあるかどうか、ちょっとお伺いしたい。
  62. 滝山養

    ○滝山説明員 青森駅は、今お話もございましたように、北海道との連絡船の接続しておる駅で、そこで貨車を積み込んだりお客を乗せるところと、その背後に貨車をさばきます操車場というのがあるわけであります。御指摘の場所は、両方ともつながっておりますから、どちらが便利でございますか、町から見れば支障があるということは私の方でもわかりますけれども、連絡船に関するものは動かすわけには参りません。それから操車場も相当膨大な面積がありまして、奥羽線、東北線の両方の接続の関係がございますから簡単に動かすわけにいかぬと思うのでありますが、ただ今走っております東北本線が、町に非常に近接して通っておって、それが町の発展を阻害するという問題がございまして、町から、東北本線の位置を少しつけかえまして、操車場に沿わして、少し町から離すことになるのですが、そういう強い御要望がございますので、市と今御相談しながら将来複線の計画の一部としまして、町から離して東北線を走らすということには考えておりますけれども、しかし駅並びに操車場はそのものを動かすということは、今全然考えておりません。
  63. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員長代理 坂本泰良君。
  64. 坂本泰良

    坂本委員 私の質問することは先日質問要項を提出しておきましたので御検討願っていると思いますから、専門的のことが多いようだし、また資料等の点もあると思いますが、簡単に一つお聞きしたいと思います。  第一は、先般北海道に参りまして災害調査をやるし、さらに九州の方も災害調査をやりまして、ダムに関連したことでございますが、第一は、発電専用ダムと洪水調節ダムとそれから多目的ダム法によるダムと、こう三つあるようですが、この三つの種類のダムがあるかどうか、その点いかがでございますか。
  65. 山内一郎

    山内説明員 ダムにいろいろございますが、発電専用ダム、それから洪水調節専用ダム、それ以外にいろいろな目的を合わせました多目的ダムがございますが、なお専用ダムについては上水道専用とか、灌漑用水専用のダム、そういうものがございます。
  66. 坂本泰良

    坂本委員 次に北海道の金山ダムというのがあるのですが、これと空知川本川の、これは北電芦別ダムというのですか、これとは関係があるように考えられますが、この点いかがでございますか。
  67. 山内一郎

    山内説明員 金山ダムは洪水調節、発電、それから灌漑の多目的ダムでございますが、芦別ダムは発電専用のダムでございます。ただいま関係という御質問でございましたが、どういう関係か、同じ空知川の上流と下流にはございます。
  68. 坂本泰良

    坂本委員 私の聞き方が悪かったのですが、そうすると同じ水系の上流と下流のダムだ、こういうふうに伺ってよろしいですか。
  69. 山内一郎

    山内説明員 その通りです。
  70. 坂本泰良

    坂本委員 次に、ただいまの北電芦別ダム、これは発電専用ダムですが、これが三十六年の災害と三十七年の災害がありまして、この間私たちは三十七年の災害を見まして、三十六年災害の点も聞いたわけですが、この災害の内容、これは資料でけっこうですが、結局放水によって災害が生じておるということになりますと、ダムをつくりまして、その放水については、ダム操作規則というようなのがあって、それによって放水をやるかどうか。  さらに放水の災害の原因は雨量にもよるのですが、その前の気象の点についても、重要な関係があるわけですが、そういう点について相当雨量があっても放水しても差しつかえないということで、やはり放水しなければいかぬわけです。それが放水によって、下流がことしは二百戸ですか、家屋が流出しておるわけですが、その放水について特に遺憾の点がなかったかどうか。芦別ダムの放水について、これは規制があるわけですが、どういう規制があるか。それからこの災害は、この放水のどういう欠陥で生じたか、この点承りたいと思います。
  71. 山内一郎

    山内説明員 芦別ダムは、御承知のように高さも十八メートル程度の小さなダムでございまして、操作規則によりますと、一秒間に六百立方メートル以上になると、全部とびらを開放する。従って、上流から流れてくる洪水は全部下流に流す、こういうことになっておるわけであります。ところで三十六年と三十七年の災害のときの流量を見てみますと、三十六年では一秒間に二千四百立方メートル、三十七年は四千三百立方メートル、こういう調査の結果が出ておりまして、そういう洪水時の最盛期には、もう上流の洪水がそっくり下流に流されてくる、こういうことになっているわけでございます。従いまして、放水のために下流が災害を受けた、こういうことは現在まで調査したところではございません。  それではどういうわけで下流の家屋が流出をしてしまったかという点でございますが、だんだんと家屋が川の中に入って参りまして川として当然洪水を流すというような区域にうちが立っていたというようなことを聞いております。そういうことが一番の原因ではなかろうか、そういうように考えております。
  72. 坂本泰良

    坂本委員 多少は今まで洪水がないから、安心して河床の点に入った点もあるでしょうが、しかしながら古くから家ができておるし、これは民間の所有地であって川ではないわけです。従って、もちろんこういう発展ダムをつくる場合には、放水等の問題についても、そういうところまで考えまして、そうしてダムをつくる以上は放水をしなければならない、こういうふうに考えられるわけですが、そういう点についての施設と申しますか、そういうものは何らこれにはなさらなかったのかどうか、その点いかがですか。
  73. 山内一郎

    山内説明員 先ほども芦別ダムについて申し上げましたが、これは非常に小さなダムでございまして、大きなダムの場合には、芦水を一時貯留をいたしまして、それを下流に一時にどっと流す、こういうことも考えられますが、このダムについてはそういうことは考えられないわけでございます。従って、今後下流の災害がないようにするという点につきましては、やはり治水対策を根本的に考えなければいけないというふうに考えられます。
  74. 坂本泰良

    坂本委員 そうしますと、この芦別ダムについては、気象とか雨量等とかを考えて放水の点を慎重に、下流の水害が起きないようにやるということは全然考えられていない、こういうふうに承っていいわけですか、少なくとも一秒六百立方メートル以上の場合は。
  75. 山内一郎

    山内説明員 芦別ダムは発電専用のダムでありますが、やはり雨量の少ないときには、先ほど申しましたように六百立方メートル以下の場合には操作はしないのでございますが、それ以上になった場合にはもう貯留する能力はないわけであります。従って、その当初におきましては、とびらを徐々に開く、こういう操作をやっております。しかし、それがある程度以上になりまして、二千立方メートルとか四千立方メートルになりますと、もう操作をする限界をはずれております。従って、上流からの洪水をそっくり下流へ流してしまう、こういうことでございまして、ダムの操作による原因ではない、こういうふうに考えております。
  76. 坂本泰良

    坂本委員 そうしますと、上流の金山ダムですね、これは空知川の芦別ダムの上流になるわけでしょう。この金山ダムは洪水調節ダム、発電ダムだとさっきお聞きしたのですが、この点についての洪水調節は、このダムによっての洪水調節によって、芦別ダムの調節と申しますか、いわゆる一秒二千四百立方メートル、三十七年では四千三百立方メートルですか、これを調節するだけの能力があるかどうか、その点いかがですか。
  77. 山内一郎

    山内説明員 金山ダムはだいぶこの芦別ダムより上流になっておりまして、約八十キロくらい離れているわけでございますが、その地点における計画洪水流量というのが毎秒千立方メートルになっております。金山ダムにおきましては、その千立方メートルを七百六十立方メートル、カットいたしまして、カット以外のものは下流へ流す、こういうことにしております。従って、もしこれができていたとした場合に、今回のような洪水が芦別ダムにきたとすれば、その程度の流量は減るわけでございます。従って、金山ダムによりまして、芦別ダムの下流に対する流量というものは、先ほど申しましたように幾分かは洪水量が減る、こういうことになります。
  78. 坂本泰良

    坂本委員 そこで三十七年の芦別ダムの洪水、放水による災害と三十六年災害、若干資料をもらいましたが、あと資料を出してもらえるかどうか、その点いかがですか。
  79. 山内一郎

    山内説明員 災害資料につきましては、私の方で調査している限り資料を提出したいと思います。
  80. 坂本泰良

    坂本委員 次に、下筌、松原ダムについての関連でございますが、第一に下筌、松原ダムは洪水調節ダム、こう呼ばれておりますが、それでなくて、発電を加えたところの特定多目的ダム法によるダムではないか、こういうふうに考えられますが、この点いかがですか。
  81. 山内一郎

    山内説明員 松原、下筌ダムにつきましては、洪水調節を主目的にいたしまして、副次的に発電もあわせてやる、こういうダムとして今考えて、準備工事にも一部入っておる状況でございます。
  82. 坂本泰良

    坂本委員 発電は何キロになっていますか。
  83. 山内一郎

    山内説明員 下筌発電所は最大出力一万五千、松原発電所約五万キロ、こういう計画にいたしております。
  84. 坂本泰良

    坂本委員 そういたしますと、洪水調節が主目的だと言われるけれども、発電の方も合わせますと六万五千キロになるわけです。これは特定多目的ダム法によるところの基本計画がなければならぬと思いますが、その基本計画ができておるかどうか、その点いかがですか。
  85. 山内一郎

    山内説明員 基本計画は、今極力関係者と折衝してつくっている最中でございます。
  86. 坂本泰良

    坂本委員 多目的ダム法によるダムは、基本計画をつくらなければダムの建設には着手できないじゃないか、こういうふうに考えられますが、その点はいかがですか。
  87. 山内一郎

    山内説明員 基本計画ができなければ、多目的ダム法のダムとしてはまだ建設が始まっていない、こういうふうには考えられますが、現在は河川工事として一部準備工事を着工中でございます。
  88. 坂本泰良

    坂本委員 そうすると、もうすでにダム法にいうところの新築に着手しておる、こういうわけですか。
  89. 山内一郎

    山内説明員 その点でございますが、現在は河川工事としてやっておりまして、多目的ダム法は御承知のように河川法の特例になっておるわけでございます。従って、河川工事としてダムはやっておりますが、多目的ダム法によるいろいろな規則を適用するためにはそれを逐次やっていかなければいけない。従って、多目的ダム法の一番のねらいは、ダム使用権の設定とか費用の負担になると思いますが、その段階に現在なりつつある。極力急いでおりまして、基本計画はまだできておりませんが、その段階に入りつつある、こういうことでございます。
  90. 坂本泰良

    坂本委員 結局現在は河川工事としてやっておられて、そして逐次それが進んでいって、多目的ダムになって多目的ダム法が適用になる、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  91. 山内一郎

    山内説明員 河川法は基本法でございますので、工事そのものは全部河川工事としてやることになりますが、多目的ダム法はそれの特例に当たりますので、先ほど申し述べましたダム使用権の設定とかあるいは負担金をきめる際にはどうしても基本計画がなければいけない、こういう解釈をいたしております。
  92. 坂本泰良

    坂本委員 逆に、河川法は基本法であり、多目的ダム法は特例法であるとすれば、やはり特例法が先に適用になって、多目的ダム法にいうところのいわゆる使用権とか負担金等についての基本計画ができなければ着手できない、こういうふうに法解釈上なるのじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
  93. 山内一郎

    山内説明員 先ほども申し上げましたが、ダムの工事は河川法に基づいて河川工事としてやる。河川法に盛られていないダム使用権の設定の問題、あるいは電力会社との負担金の問題、これは河川法にもはっきりいたしておりませんので、多目的ダム法によりまして基本計画をつくって逐次その辺を明確にしていく。ただ準備工事をどんどん進めまして、それでいよいよ基本計画をつくるときに電力会社が乗ってこない、こういうような場合に、本工事が進み過ぎたという場合には手戻りにもなるという場合が生じますので、そういうことのないように準備工事は進めておりますが、それにつれて基本計画をつくりまして、はっきりとダム使用権の設定者をきめて、逐次工事を進めていく、こういうふうに考えてやっておるわけでございます。
  94. 坂本泰良

    坂本委員 そういたしますと、多目的ダム法による新築工事と今おっしゃられた準備工事、それとはどういう点で区別を今後されるとか、その点いかがですか。
  95. 山内一郎

    山内説明員 この河川法による工事と多目的ダム法による新築との面でございますが、法律的にもまだ不明確な点があると思うのです。従って、われわれの考え方といたしましては、特定多目的ダム法によりまして、河川法にない面を逐次この規則で基礎づけながらやっていく、こういうことでございますので、いろいろ段階がございますが、その段階ごとに逐次基本計画とか、いろいろ準備をして進んでいく、こういうことでやっておるわけでございます。
  96. 坂本泰良

    坂本委員 そこでこの新築工事というのは、これはダム・サイトをつくることを新築工事というのですか。それともたとえばダムをつくるために道路を広げたり、いろいろ川の流れるところを放水路をつくるとか、そういうようなことは準備工事だ、それからダムサイトをやる、それが新築だ、こういうふうになるわけですか。その点いかがですか。
  97. 山内一郎

    山内説明員 単に言葉で新築といえば、準備工事段階も入るかと思いますが、その基本的な考え方は何かという点をよく考えてみますと、基本計画をつくるという段階にどうしても本工事にかからざるを得ない。基本計画をつくってからでないと、本工事にかかることはできない、こういうことは当然この法律の解釈として出てくると思うわけです。従って準備工事程度までは、その辺もまた今後変更もできますので、本工事にかかる前にはどうしても基本計画をつくらなければいけない、こういうふうにここの解釈をいたしておるような第次です。
  98. 坂本泰良

    坂本委員 そこで、本工事と新築工事と私言ったわけですが、その本工事と準備工事ですか、これとはそうするとどういう点で区分することになるわけでしょうか。法律上はこれは区別してあるようですが、実際上の工事をやられる上においての区分はどういうところにあるのでしょうか。
  99. 山内一郎

    山内説明員 いろんな調査段階とか、あるいは工事道路整備するとか、こういう程度までは準備工事として考えておりますが、いよいよダムの本体にかかる、これに関する工事が本工事、こういうことになるわけであります。
  100. 坂本泰良

    坂本委員 そうしますと、基本計画というのは、今おっしゃったような、どの段階までにできて、これを告示すればいいということになるのでしょうか。
  101. 山内一郎

    山内説明員 本工事にかかるまでには、どうしても基本計画はつくらなければいけない、こういうふうに考えております。
  102. 坂本泰良

    坂本委員 それで、くどいようですが、本工事にかかるまでという、その本工事にかかるというのはどの程度だかということなんですがね。結局は準備工事との限界になると思うのですが、それはどういうふうに解釈しておられますか。
  103. 山内一郎

    山内説明員 ダム本体の建設に関する工事を本工事というように考えております。
  104. 坂本泰良

    坂本委員 これは先ほどお聞きしたんじゃないかと思うから、確認みたいになるでしょうが、先ほど河川法の特例が多目的ダム法と言われたのですが、特定多目的ダム法と河川法との関係と申しますか、適用の順位はどうなっておりますでしょうか。
  105. 山内一郎

    山内説明員 適用の順位というのはよくわかりませんが、河川法がベースになりまして、その中に詳細に入ってないようなことを特例として特定多目的ダム法によってきめられているというように考えております。
  106. 坂本泰良

    坂本委員 そうしますと、特定多目的ダムというのは、河川法のベースでやって、そうしてそれにない部分を特定多目的ダム法でやるというと、河川法の補助法みたいになるのですが、法律の建前から、また立法された経緯等から見ますと、そういうふうには見られないようなんですが、その点間違いないでしょうか。
  107. 山内一郎

    山内説明員 その点でございますが、特定多目的ダム法の第一条に「この法律は、多目的ダムの建設及び管理に関し河川法の特例を定めるとともに、ダム使用権を創設し、もって多目的ダムの効用をすみやかに、かつ、十分に発揮させることを目的とする。」この条文でわかりますように、特例であるということと、ダム使用権を創設をする、こういうことが多目的ダム法の本旨になっているようなわけであります。
  108. 坂本泰良

    坂本委員 そこで、この特定多目的ダム法で発電、上水道も入る場合もあるでしょうが、そういうような場合は、やはり最初から創設をすることについて基本計画をつくってから始めないと、河川法によってどんどん始めてあとでその多目的ダムの発電とかあるいは上水道とか、工業用水等もまた入ってくるかもわからないですが、そういうような場合に、これは創設するについてあとでそれをつけ加えればいいのだ、こういうようなふうにもあなたのお話によると考えられるのですが、その点いかがですか。
  109. 山内一郎

    山内説明員 その点、先ほども申し上げましたように、本工事にかかるまでにはどうしてもつくらざるを得ない、こういうふうに考えております。それはどういうことかといいますと、河川工事でどんどんやれるわけでございますが、やり過ぎまして発電の協力者が、最初は協力するようなことを言っておりまして、基本計画ができなければあとで協力しないということも言えるわけでございますので、そういうことがないように、ダムの本体をつくるまでには基本計画をきめざるを得ない、こういうように考えております。
  110. 坂本泰良

    坂本委員 そういたしますと、この多目的ダム法によるところの実際上の起業者というのは建設省だけだ、こういうふうになるわけですか。それとも工業用水とかあるいは発電とか上水道というのですか、こういうのも多目的ダム法でやる場合は、これはやはり起業者は各別々にあるのじゃないか、こういうふうに考えられますが、その点いかがでございますか。
  111. 山内一郎

    山内説明員 多目的ダム法による場合には、起業者は建設大臣でございます。従ってほかの水利権の関係するいろんな協力者、これにつきましては、ダム使用権設定予定者という立場でこの事業に参画する、こういうように考えております。
  112. 坂本泰良

    坂本委員 そうすると、起業者というのは建設大臣だけであって、ほかのものは起業者でない、こういうふうになるわけですね。
  113. 山内一郎

    山内説明員 その通りでございまして、そのほかの者はダム使用権の設定予定者として参画をするということになります。
  114. 坂本泰良

    坂本委員 そうしますと、下筌、松原ダムは起業者は建設大臣のほかに発電の予定されておる九電も起業者じゃないか、こういうふうに一般にいわれているようですが、その点は間違いなのでしょうか。
  115. 山内一郎

    山内説明員 先ほども申し上げましたように、起業者は建設大臣のみでございます。
  116. 坂本泰良

    坂本委員 最後に、さっきお聞きしたんですが、下筌、松原ダムの新築の構想ですね、構想といってはちょっと抽象的のようですが、いわゆる本工事についての計画はもう全部下筌も松原もできておるのですかどうですか。
  117. 山内一郎

    山内説明員 基本的なことは、やはり基本計画ができたときにできる、こういうふうに考えます。ただ、どういう計画建設省としては持っておるかということは、できております。
  118. 坂本泰良

    坂本委員 そうすると、建設省として持っておられるのであって、それが基本計画になる場合は、いわゆる告示をしなければならぬわけですね。そればいつごろになるわけでございますか。
  119. 山内一郎

    山内説明員 ダム本体にかかるまでの努力をいたしておりまして、一応目標としては今月末を目標につくりたい、こういうふうに考えております。
  120. 坂本泰良

    坂本委員 終わりました。
  121. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員長代理 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。    午後零時五十二分散会      ————◇—————