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1962-10-31 第41回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十月三十一日(水曜日)    午前十時五十三分開議  出席委員    委員長代理 理事 木村 公平君    理事 荒舩清十郎君 理事 小川 豊明君    理事 勝澤 芳雄君 理事 西村 力弥君       飯塚 定輔君    椎名悦三郎君       福田 赳夫君    古井 喜實君       山本 猛夫君    久保 三郎君       芳賀  貢君    藤原豊次郎君       山田 長司君  委員外出席者         法務政務次官  野本 品吉君         検     事         (大臣官房経理         部長)     新谷 正夫君         検     事         (民事局長)  平賀 健太君         検     事         (刑事局青少年         課長)    荻野かく一郎君         検     事         (保護局長)  武内 孝之君         法務事務官         (入国管理局         長)      小川清四郎君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 九月五日  委員鈴木正吾君及び藤井勝志辞任につき、そ  の補欠として飯塚定輔君及び原田憲君が議長の  指名委員に選任された。 同月十一日  委員森本靖辞任につき、その補欠として山田  長司君が議長指名委員に選任された。 十月四日  委員芳賀貢辞任につき、その補欠として中澤  茂一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中澤茂一辞任につき、その補欠として芳  賀貢君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員芳賀貢辞任につき、その補欠として楢崎  弥之助君が議長指名委員に選任された。 同日  委員楢崎弥之助辞任につき、その補欠として  芳賀貢君が議長指名委員に選任された。 同月三十一日  委員久保三郎辞任につき、その補欠として藤  原豊次郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員藤原豊次郎辞任につき、その補欠として  久保三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十五年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十五年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十五年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十五年度政府関係機関決算書  昭和三十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十五年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十五年度物品増減及び現在額総計算書(  法務省所管)      ————◇—————
  2. 木村公平

    木村(公)委員長代理 これより会議を開きます。  津雲委員長海外旅行中のため、その指名によりまして、私が委員長職務を行ないます。  昭和三十五年度決算外三件を一括議題といたします。  法務省所管決算につきまして、審査を進めます。  なお、私は質疑予定がございますので、委員長の席を理事でありまする小川豊明君にかわりたいと存じます。   〔木村(公)委員長代理退席小川(豊)委員長代理着席
  3. 小川豊明

    小川(豊)委員長代理 質疑の通告がありますので、これを許します。木村公平君。
  4. 木村公平

    木村(公)委員 本日、私は法務省関係決算関係しまして、若干のお尋ねをいたしまして、法務省の代表の方々から一つ釈明をいただきたいと存ずるのでございます。  これはすでに会計検査院の昭和三十三年度決算において、批難事項として指摘されたものであろうかと思うのでございますが、法務省東京入国管理事務所が、昭和三十四年に職員の不正行為によりまして、国に損害を与えた事件でございます。事件内容は、法務省ではもう十分おわかりとは存じますが、念のため私からお尋ねをいたすわけでございます。  事件は、東京入国管理事務所の、歳入歳出外現金出納官吏でありまする野木義治という者がございまして、これはただいま服役中であると伺っておるのでありますが、この野木義治が、昭和三十二年の十一月三十日から三十四年の七月二十八日までの間に、二十三回にわたって、正当な理由がないのにもかかわらず、自己あて記名式小切手を振り出して、日本銀行から預入金合計千六百八十万五千円引き出して横領し、しかもこれを不正に使っておったのであります。この千六百八十万五千円のうちで十万五千円とそれから七十万円、合計八十万五千円は、一応は引き出したのでございますけれども、また間もなくこれを預入いたしておりますから、ほんとうに使い込みましたのは残金の千六百万円であります。これを横領いたし、さらに不正使用いたしたわけでございます。  そこでいろいろ疑問が出てくるわけでございますが、一般に国の歳入歳出は、財政法の第二条による現金収納支払い建前としておるのでございますが、それ以外のもの、たとえば保管金であるとか供託金であるとかいうそれ以外のものは、歳入歳出外現金として取り扱われておるのが現在の建前でございます。そこで、これらは国が会計法の第三十三条によって保管をしておるわけでございます。この現金出納保管をするために出納官吏事務規程第一条第五項で、歳入歳出外現金出納官吏が設けられておることは、私が申すまでもございません。そうして同規程の第六十条から六十二条に及んで、保管金取扱規程及び保管金払込事務等取扱規程によって、出納保管の業務を行なうことになっておると思われるのでございますが、その点に対しては後ほど一つ詳細な御答弁がいただきたいと思うのです。  短い質疑でございますから、一応全部申し上げて御答弁をいただきたいのでございますが、東京入国管理事務所は、一体どのような牽制組織でもって保管金を受け入れて払い出しをされておるのか、この点を一つ伺いたいと思います。  それは一でございますが、さらに二には、保管金の種類は、契約保証金入札保証金等、非常に多岐多様でございますが、東京入管の場合はどのような性質保証金であったのか、たとえば不正入国者から預かって得たところの保証金であるのか、この保証金を使い込んだのかどうかというようなこの性質、また年間の——年によって違うでございましょうけれども一体保証金扱い高は、平均いたしますと過去十カ年間にどのくらいになるか。ことに過去十カ年間の——今御説明ができないといたしますれば、三十五年度、三十六年度の両年度の取り扱い高を伺っておきたいと思います。  それから第三には、被害金の千六百万円は、おもにどこの国の不正入国者のものであったのか。韓国であったのか、あるいはその他の国であったのか、どこの国の者の金をこの野木何がしという者が横領しておったのであるか、この点も伺っておきたいと思います。  それから、権利者に対する、つまり今収監されておる者、保証金を納めた者です。この権利者に対する償還状況及び使い込まれたあと処理について伺っておきたいと思うのでございますが、こういう相当莫大な、千六百万円というような、しかも一人の出納官吏がこれを横領しておったのでございますが、被害金償還予算措置として法務省本省においては、どういうような款項目からこれを弁償される道があるのかどうかということも伺っておきたいと思います。  それから、野木というこの出納官吏補てんした金額は、昭和三十四年度末までに四百四十五万四千六百十八円となっておりますが、その残余のものはどういうような方法で弁償するのであるかということも伺っておきたい。  なお、約二カ年間で二十三回も小切手を振り出して不正な横領を行なっておったのでございますが、なぜ監督の地位にある者が発見できなかったのか、ここに何か盲点があるのではなかろうか。直接の監督者役職名一つ伺っておきたい。当時から今までおられる局付検事さんは池上努という方であると伺っておりますが、そこで直接監督役職名について伺っておきたいと思います。  この野木というものは歳入歳出外現金出納官吏であったろうと思うのでございますが、三十四年五月十六日付で総務課長事務取扱に任命され、仮上陸及び仮放免等保証金出納事務単独処理していたようでございますが、このような会計組織及び事務運営の欠陥と申しますか、組織事故発生の原因となったとも思われのでございますが、その後どのような方法事故の絶滅を期しておられるか、その点も伺っておきたいと存ずるのでございます。  今の野木横領事件については大体その程度でございますが、先般当委員会において局長さんにお尋ねをいたしたのでございますが、その御答弁の中に、何か食物の差別待遇が現在行なわれておるという御答弁がありましたが、できればそれを是正されることが好ましいのではないかと思いまして、私どもの意見を開陳いたしておいたのでございますが、その後の局長さんのお考え方もあわせて伺っておきたいと存じます。
  5. 小川清四郎

    小川説明員 ただいまの木村先生の御質問に対しまして、最初の御質問につきましては、私はなはだ申しわけない次第でありますが、会計の詳しい面につきましては、十分な知識がございませんので、後ほど本省経理部長の方から、御答弁をお願いいたしたい、そういうふうに御了解をいただきたいと思います。  そこで、入管局長への御質問につきまして、できる限り詳細に御答弁を申し上げたいと存じまするが、最初にこの野木義治事件でございますが、御指摘のように、昭和三十二年の十一月から三十四年の七月にわたりまして、二十三回にわたり、仮放免保証金一千六百八十万五千円を領得いたした事件でございます。  そこで、仮放免保証金につきまして一応簡単に御説明を申し上げますと、仮放免をいたします場合には、保証金は最高三十万円、三十万円以下の保証金をとることになっております。いろいろ本人事情と申しますか、財政的な理由、あるいはその他の関係で、個々のケースにつきまして保証金の領をきめることになっております。それで、過去十年間の保証金金額につきまして御質問がございましたが、ただいま過去十年間の数字を持って参っておりませんので、当時の仮放免保証金と、それから七月三十一日現在の保証金金額を一応申し上げまして、もし御必要でございますならば、過去十カ年間につきましてはできるだけ早く差し出したいと存じます。  当時三十三年から三十四年にわたりまして、仮放免の数は全国で約三千名でございます。そうして保証金金額は一億七千万円でございます。そのうちで東京入国管理事務所関係が、大体人数におきまして約三分の一の一千名でございます。保証金金額におきましては六千七百万円の金額に上っておった次第でございます。年によりまして非常に事情が違いますので、現在におきましてはやや減りまして二千百件ばかりの仮放免件数がございます。保証金金額は八千三百五十三万四千九百円というふうな数字でございます。そうして東京入管につきましては、件数にいたしまして七百八十七件、金額にいたしまして二千七百三十九万円というふうになっております。その保証金を納めた者の国籍につきましては、非常に数も多うございますし、ただいまのところはっきりした数字を持ち合わせておりませんので、これも過去十カ年の数字とともに、なるべく早い機会に差し出したい、こういうふうに存じておる次第であります。  そこで、本件野木が、当時東京入国管理事務所総務課長代理を勤めておりました次第でございますが、何ゆえにこういうふうな多額の金額横領されるのがわからなかったかという御質問でございます。これにつきましては、当時の記録を私もいろいろ調べてみたのでございますが、まことに申しわけない次第でありますが、一言に申しまして、やはり本人が非常に監督者に対して信用を得ておりましたために、監督者といたしましても、監督不行き届き責めを免れないというふうな事情でございます。その上に、当時各地方の事務所本局から流しました取扱要領というのがございます。その内容は、これは昭和三十一年の七月十九日付で「仮放免者保証金及び在留資格関係手数料取扱について」という局長名通達を出しておる次第でございますが、これは一言に申しまして、保証金扱いにつきましては十分注意を要しまするので、なるべく現金取り扱いを避けまして、直接日本銀行の本、支店もしくは代理店小切手で納入させる、そうして日本銀行歳入歳出外現金出納官吏の名義になっております口座に納めさせるという方法をとりますと同時に、事務所内におきましては、いわゆるダブル・チェックと申しますか、仮放免等の件につきましては、審査課所管でございますので、出納関係総務課審査課との間で、相互に金額その他のチェックをするというふうな訓令を出しておったのでございます。しかるところ、この訓令が、当時東京入管事務所におきまして、十分に守られていなかったというはなはだ遺憾な状態が認められた次第でございまして、本人信用と、そうして本局からの通達が十分に行なわれなかったという点につきましては、まことに遺憾な次第でございます。当時各責任者監督責任者その他につきましては、厳重な処置が行なわれておるようでございます。  次に、その後の弁済の方法につきましてお尋ねがあった次第でございますか、これはただいま御指摘がございましたように、本人から返却させました金額を除きまして、残りの一千百五十四万五千三百八十二円につきましては、国が賠償及び諸払戻金科目から補てんをいたしております。従いまして、仮放免保証金を納入いたしました外国人に対しましては、事実上の損害は与えていないわけでございます。  それから、本人は御指摘のように当時直ちに懲戒免官になりまして、東京地方裁判所で六年の懲役を課されまして、現在宇都宮刑務所服役中でございます。昭和四十年十月に満期になる予定でございます。その間、この残額の一千万円以上につきましては、当時法務大臣野木義治を相手といたしまして、損害賠償和解事件訴訟を提起いたしまして、昭和三十五年六月二十九日に中野簡易裁判所におきまして和解が成立いたしました。昭和四十年の三月三十一日までに野木義治は一千万円余の債務金を国に支払うことになっておる次第でございます。  それから、監督責任者処罰につきましては、ただいま申し上げましたように、それぞれ相当処罰をいたしております。  そこで、何ゆえに当時この野木が仮放免保証金単独処理をしておったかということでございますが、これもただいま申し述べましたように、本人が直接総務課長代理もやっておりましたし、それからアシスタントの出納員人数関係でおりませんで、結局こういうはなはだ遺憾な事態になった次第でございます。今後はこの点につきましては十分に注意をいたします、人員の配置、それから監督の面につきましても注意を加えておりまして、その後におきましてはこういう事件は起こっておらない次第でございます。  なお、池上検事につきまして御質問でございますが、これは局付検事という名前で、入管令その他所管法令事項につきまして、いわゆる法律顧問的な役割を勤めておるわけでございまして、各般の問題につきましていろいろ検討研究をさせてはおりますけれども、直接にはこういう事務には携わっておりませすので、その点をお断わり申し上げたいと存じます。
  6. 木村公平

    木村(公)委員 経理部長さんかどなたか補足答弁はありませんか。
  7. 新谷正夫

    新谷説明員 大体今入管局長答弁されましたが、補てん状況について敷衍して申し上げますと、千六百万円のうち、四百四十五万四千六百十八円につきまして、昭和三十四年九月十九日から三十五年一月二十七日までの間に数回に分けまして本人の方から補すんを受けております。こまかく申し上げますと、三十四年九月十九日に二百五十万六千百七十六円、同月二十五日に十一万五千円、十一月二十日に九万千五百六十円、十二月七日に十三万二千二百五十円、三十五年一月二十七日に百六十万九千六百三十二円、以上合計四百四十五万四千六百十八円でございまして、これらの補てんされました金は、従来の貯金あるいは動産、家屋、家財道具を売却いたしました代金あるいは人に貸しておった金を回収いたしまして、それをかき集めまして、今申し上げました四百四十五万四千何がしの金額補てんになっておるわけであります。これを千六百万円から差し引きました金額か先ほど入管局長からお答えがありました一千百五十四万五千三百八十二円ということになるわけであります。
  8. 木村公平

    木村(公)委員 先ほど来の局長の御答弁によりますと、この野木何がしが使い込みました公金の性質は、仮放免保証金だということが明らかになったわけでございます。そうして仮放免保証金のうちで、ただいま経理部長の御答弁によりますと、四百数十万弁済できたけれども残りの千百五十四万でございますか、これがまだ残って、これに対して、局長答弁によりますれば、法務大臣野木を相手取って和解内容とする訴訟と申しますか、簡易裁判所に提起されて、その結果簡易裁判所においては四十年の何月までに残金を支払えという判決があったというお話でございますが、これは実際問題としては、家も屋敷も動産、不動産ことごとく売って支払っておる。本人からもう国はもらうべきものは何もない、あれば刑務所で働いて出所のとき若干の金くらいはあるかもしれませんが、何百万、何千万という金があり得るはずがないのでございます。こういう判決がかりにありましても事実上は取れないということになるのですが、あなたの方のお見込みは実際の問題としてどうですか。
  9. 新谷正夫

    新谷説明員 入管局長が先ほど御答弁いたしましたように、懲役六年の実刑を受けまして、現在宇都宮刑務所服役中でございまして、それが満期になりますのが昭和四十年の十月二十二日であります。  それから、判決というお話がありましたが、裁判上の和解が成立いたしたのでございまして、三十五年六月二十九日中野簡易裁判所裁判上の和解が成立しております。それによりまして昭和四十年三月三十一日までに支払いを完了するということになっておるわけでございますが、この満期の時期におきましては、現在のところ服役中ということになるわけでありまして、お話通り本人が出所いたしません限りは、収入の道がございませんし、即時にこれを払えと申しましても、ただいま申し上げたような状況で、いろいろ工面して一部納入いたしておりますが、それ以上のことはおそらく現段階ではむずかしいであろうというふうに私どもは考えるのでございます。しかし裁判上の和解でございますのでこれは確定判決と同じ効力を持っております。国の立場といたしますれば、一千万円余りの残金回収のためには、本人が出所いたしました後にもさらに回収のために努力すべきものであると私どもは考えておるのでありまして、現在これが回収不能であるというふうに断定することはちょっと困難であろうと思います。しかし、ささいな金でございましても、少しずつでも国に賠償すべき筋のものでございますから、本人が出所いたしました後にさらに回収するように努力すべきものというふうに私どもは考えております。
  10. 木村公平

    木村(公)委員 おそらく回収はできますまい。しかし仮放免保証金というものは、先ほどの御答弁では、全国的に見ますると、三十三年−三十四年の一カ年間において一億七千万円もあった。漸減の傾向にあるでしょうけれども相当の額なんですが、これを使い込んで、刑事上の処罰はできるけれども、いわゆる国が損害の受けっぱなしだということがひんぴんとして起これば、これは容易ならぬ問題だと思いますので、その点は一つ十分御戒心を願いたいと思うのです。  そこで、それに関連してお伺いするのでございますが、当時の入管局長アジア局長をこの間までやっておった伊関佑二郎君だろうと思う。それから東京入国管理事務所長狩野謙重君だったと思う。それから局付法律顧問的存在であったところの——検事とおっしゃったが、それは石川芳雄。ところがこの問題が起きて間もなく伊関佑二郎君はやめまして、すなわち三十三年五月十日にやめて勝野という局長にかわっておる。それから東京入管の方の事務所長は、狩野君がやめて山本君がなっておる。それからさらに、そのあと——高瀬さんの場合は退職じゃないのですが、山本あと盛田敬一というのが三十六年十一月十六日に退職になっておりますが、この責任関係からいって伊関、それから勝野に移った経緯狩野から山本に移った経緯、これはこの問題に関係がありますか。
  11. 小川清四郎

    小川説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げますが、入管局長伊関佑二郎君から勝野康助君にかわりました事情、並びに当時の東京入管の所長でございます狩野謙重から山本紀綱にかわりました事情、これは全然本件とは関係はございません。と申しますのは、事件が発覚いたしましたのはその後でございます。通常の人事異動に基づきまして交代しておるようでございます。
  12. 木村公平

    木村(公)委員 そうすると、その後とおっしゃると、次は局長高瀬時郎、東京入管事務所長盛田敬一君なんですが、これは事件関係して退職されたのですか。
  13. 小川清四郎

    小川説明員 局長の方は関係がございませんで、入管事務所長山本紀綱本件責めを負いまして退任いたしておりますので、山本紀綱につきましては関連がございます。
  14. 木村公平

    木村(公)委員 これは先ほどの御答弁の速記を見ないとわからないが、御答弁の中で、事件が発覚したのは三十四年八月十九日なんです。そうするとその発覚した後に勝野局長はやめておる。それから山本紀綱さんも東京入管事務所長を三十四年十一月にやめておるわけです。これは山本さんの方だけは関係があるけれども勝野の方は関係ないのですか。
  15. 小川清四郎

    小川説明員 入国管理局の機構の問題に関係するのでございますが、入国管理局と、それから東京を初めといたしまする全国十三カ所の入国管理事務所との関係につきましては、入国管理局長は全般的な事務を総括しておるのでございますが、やはり審査事件を中心にして見ました場合には、各入国管理事務所がある意味において独立の官庁を形成しておるというふうな関係にございまして、そのために入国管理事務所長主任審査官と申します入国審査官の任命を受けております。入国管理局長の方が単なる法務事務官でございますのも、おそらくそういう関係を考慮してのことだろうと存じます。  そこで、伊関局長並びに勝野局長につきましても、法務大臣の方から外務大臣に一応の事件内容を通報はしておるのでございますが、当時みな外務省の方に帰っておりましたので、どういう処分が行なわれているか、必ずしも明瞭でないのでございますが、局長東京入管事務所長との関係につきまして、そういうふうな考え方から監督責任の追及の仕方が多少違っておるのではないかというふうに考えられます。
  16. 木村公平

    木村(公)委員 もう一つお伺いしたいのでありますが、この仮放免保証金出納事務のみの場合では、総務課長事務取扱という職務権限を持っておる野木がほとんど一人でやっておった。そこで何をやっておったかも長い間わからなかったわけですが、その後この件については多少の改善措置がなされたのですか。
  17. 小川清四郎

    小川説明員 その点につきましては、先ほどちょっと触れたのでございますが、当時すでに行なわれておりました保証金並びに手数料取扱要領を励行いたしますとともに、本局といたしましても、やはり本省経理部とともにしばしば事務所の監査を行なうというふうに両方の面で監督を厳重にするようにいたしておる次第でございます。この取扱要領が励行されておりましたならば、当時どこかの時点で問題がチェックされたと思うのでございますけれども、今から申しましてもはなはだ遺憾でございますが、当時そういうことが行なわれていなかったということが一番大きな問題になっておりますので、事務所そのものでただいま申しましたような審査総務双方チェックし合うという制度を励行する、それから現金出納官吏が金を引き出す場合には、やはり厳重に所長の判をとって、そうしてその間をはっきりしてから引き出すというふうに——これも当時はややルーズに行なわれていたようでございましたから、その後は厳重に現地の事務所でやらしております。  それから、ただいまも述べましたように、本省経理部の方でも、われわれと一緒に監査に立ち会っていただくというふうなことも励行しておりますので、その後はこういう事態は起こっていないわけでございます。
  18. 木村公平

    木村(公)委員 三十四年一カ年の例を見ますと、仮放免になりますのが大体三千名、そして金額が一億七千万円ほどだとおっしゃるのでありますが、最高三十万円以内の保証金を積んで仮放免されるわけでありますが、これが三千名もいる。保証金を積んで仮放免は受けたが、その後行方がわからなくて、受け取りにこないような者の金はどうなんですか。
  19. 小川清四郎

    小川説明員 ただいままでのところ、受け取りにこなかったというケースはないようでございます。
  20. 木村公平

    木村(公)委員 さらにもう一つ伺っておきたいのは、この前当委員会においての局長さんの御答弁の中にあったかと思うのでありますが、今一番日本に対して不正入国の多いのは韓国人だというお話、そこでそういう韓国人というのは麻薬なんかの不正持ち込みと関係でもあるのじゃないのですかという質問をいたしましたが、そういう事件とはほとんど関係がない、そういうケースはない、犯罪容疑者というものは見当たらないという御答弁でありましたが、そうすると日本として考えるべき大事なことは、こういう大部分の韓国人が、不正に入国したことは法規上はいけないけれども、犯罪には直結しておらない、むしろそういうようなケースではなくて、不正入国した一部分の者の方が、今われわれの最も痛憤し、憂慮いたしているところの麻薬等の持ち込みが多いというふうに想像できるのですが、その点どうですか。韓国人の不正入国者というものは、出入国管理令には違反するけれども、今までのあなたの取り調べの結果は、ほとんど犯罪には関係がないというこの間の御答弁です。それを前提にしますと、麻薬なんかの持ち込みというものは、密入国した韓国人以外の者に多いというふうに推定せざるを得ないわけですが、そうすると、どこの国の者が多くて、そしてどういうようなケースでこれを持ち込んでくるかということも、ちょうどいい機会ですから、その点について伺いたいと思います。
  21. 小川清四郎

    小川説明員 先般の当委員会におきまして、密入国をする韓国人の状況につきまして、申し上げたと確かに記憶しておるのでございますが、麻薬関係につきましては、今までのところは、密入国者が所持して持ち込んだというふうな具体的な例はないのでございます。しかしながら、密入国をした韓国人が全然犯罪に関係がないと言い切るわけにも参りませんが、麻薬につきましては、少なくとも最近のところそういう事例がないというふうに御了解をいただきたいと思います。  それから、麻薬のルート等につきましては、御承知のようにただいま麻薬対策推進本部というのができて、急遽対策を練っておる次第でございますが、私どもの方の関係におきましては、大体中国人などが相当多いという状況でございまして、現在川崎の入国者収容所にも三十数名の中国人が入っておりますけれども、その中には相当麻薬前歴者もおるようでございます。ただ、こういう問題につきましては、証拠がなかなかつかめませんので、御承知のように、ごく少量のものでも高価なものだし、入関の前を通って税関に行きます場合におきましても、なかなかむずかしいということが一番の難点になっております。しかしながら、われわれといたしましては、できる限りの措置を取るように工夫しておりまして、そういった前歴のある者はそういった要注意外国人リストをつくって、事前にチェックするように考えております。ただ、この前こういう事件がございました。小型の韓国船で、相当多量の麻薬を密輸入した事件がございました。これは船員によって行なわれた次第であります。  そこで、われわれといたしましては、船舶並びに航空機の船員、搭乗者につきまして、よほど注意をしなければならないというふうに考えておる次第でございます。ところが、たとえばただいま申し述べましたような小さな船でございますと、乗員のチェックも比較的簡単でございますが、乗員が千人をこえるような大きな船などで持ち込まれた場合などには、なかなか問題がむずかしゅうございます。と申しますのは、入国警備官にいたしましても、審査官にいたしましても、さほど多数を配置するわけにも参りませんので、たとえば一々舷門立哨をして乗り降りをチェックするというふうなところまではなかなか手が回らないわけであります。そういうふうな意味で、われわれといたしましては、現状におきまして、できるだけの配慮はいたしておりますけれども、今なおそういった密輸入のルートが絶えませんので、ただいま申しましたように、今後どうするかということについて十分考慮して検討している次第でございます。
  22. 木村公平

    木村(公)委員 私一人で長いことやっておりますと恐縮でございますが、ちょうどここには副大臣の政務次官である野本君もおられますから、これは大事な大きな行政の根幹をなす問題だと思いますので、ぜひとも一つお聞き置きをいただきたいのです。  今数十名の不正入国者がありますが、その大部分は、この間の御答弁によりましても、韓国人であるといわれておるのでございます。ところが、その韓国人が不正に入国をしたことは法規違反であるけれども、入国した者が、それならば麻薬を扱っておるとか、あるいはその他の犯罪者が入国者の中にたくさん輩出するかというと、そういうようなケースはない。不正入国したそのことは法律違反であるけれども、入国後の状態を監視しておると、必ずしも不正行為が続くわけでなく、むしろ善良な者が多いというようなことも御答弁の中からうかがえるわけなんです。そうすると、この法律を私どもが十数年前につくったのでございますが、その立法精神からいきますと、わが国に不正に入国する者を取り締まるということは、なぜそれをしなければならぬかというと、他国からわが国に不正に入国して、わが国の利益を害する、国民に不測の損害を与えるおそれがあるというケースが非常に多かったのでございます。そこでこの機会に出入国の監視を厳重にいたそうではないかということから、この立法がなされたものであると記憶いたしておるのでございます。  ところが不正に入国した者は善良な人が大部分だ。その人たちは、入国そのものは不正だけれども、上がった後には別に悪いこともしないということが立証できるとするならば、もう少しあたたかい態度をもって韓国人に接することが必要になってくるのではあるまいか。おそらく入管の職員諸君は、国を思うあまり、不正に入国した者に対しましては、断固として峻厳にやろう、それだけが頭に一ぱい入っている。これは順法精神でまことにりっぱなことなんです。考え方としても、これは決して排斥すべき考え方ではございませんけれども、もともと立法の趣旨は、みだりに日本へ外国人が入国して、日本国並びに日本国民に対して不利益を与えるケースが非常に多かったということが、実は立法の動機になっておるという記憶が私にあるのであります。そこで、だんだん日にちがたってきて、現段階では、不正入国者は、ことに韓国人の場合が大部分だそうですか、その場合に、上がってから別に悪いことをしていない。むしろ在来からおる韓国人の中にあまりよからざる者があるかもしれませんが、親を慕い、兄弟を慕い、あるいは韓国そのものの政情、国情にあきたらずして、あこがれの日本へ命がけでやってきた、小さな船に命を託してやってきた、その後の行動は、あなた方入管の方々は十分監視をされておると存じますが、監視をされた結果、そういう人たちが、内地において犯罪を犯しているということがないような御答弁があったものでありますから、それならば少しここで行政政策を変えなければならぬのじゃないか。不正入国者に対して峻厳に取り締まることは必要だけれども、一たび日本へ来た者につきましては、あるいは仮釈放の問題であるとか、あるいは保釈の問題であるとかという、いわゆる刑事政策的ないろいろなことが配慮されてよろしい段階にもうきたのではあるまいかという点も、これは高度の政治問題でもございますので、一つ政務次官からも御見解を承っておきたい。  この動機は、何度も申すようでございますけれども外国人が日本に不正に入国して日本国並びに日本国民に不当な損害を与える危険が非常に多いという段階においてこの法律ができたわけです。ところが、その後世の中が平和になって落ちついてきて、今不正に入国した者をいろいろ入管で御調査になりますと、入国したそのことは不正である、従って法規には十分抵触するから、強制送還をしなければならぬ、あるいは収容もしなければならぬけれども、それが内地に上がってから犯罪を犯しているかというと、そう犯罪を犯していない。むしろそういうものでなく——名前を申し上げると非常に弊害があるかもしれませんが、韓国人にあらざる者がむしろ麻薬を扱ったり、その他の重大なる犯罪につながっておるケースが多い。韓国人の場合は、入国そのものは不正であるけれども、入国の動機というものをいろいろ調べてみると、親を慕って来るとか、兄弟を慕って来るとか、あるいはこの間善政だといわれたのは、何かこちらの学校へ入りたいとかいうので不正に入国してきた、そこで入管の方でも、その心がけがよろしいというので、一まず仮釈放か何かをして逗留を認めたというようなことが新聞に出ておりましたが、ああいう新聞記事を見て喜ぶのは日本人ではない、韓国が喜ぶのです。この間韓国に行った国会議員の報告によりますと、あの記事一つがどのくらい韓国で喜ばれているかわからない。今後韓国と交渉に入る場合にも、ああいうようなことが非常なプラスになるということを私は伺っておりますので、ちょうどよろしい機会ですから、この機会に、不正入国というものは十分取り締まらなければならぬけれども、入国して犯罪を犯さざる善良な人に対しては、政治的に考慮すべき余地があるのではないかという点についても、私は含みのある御答弁がいただきたいと思っておるのです。  それから、先ほどまだ御答弁を伺っておりませんでしたが、実は川崎の入管、これが川崎化成工業との間に土地の交換をやろうとしてそれができなかったのか、今途中でありますから知りませんが、その点についてもいろいろおもしろくないうわさがございますので、アウト・ラインだけでも伺っておきたい。  それから御答弁漏れになっておりますのは、食費の差別でございます。韓国人、中国人をのけたものの食費は高いけれども、韓国人、中国人というものは、東洋人とか呼ばれて、食費が安い。同じ外国人でも差別がされておる。しかもわずかの差別なんです。二十円か三十円のことですが、そのようなけちくさいことをやらないで、そういう差別をとってやれば、おそらく喜ばれるのじゃあるまいかと思うので、私はそう深い関係はありませんけれども、一食について五十円か三十円、そういうわずかの差別をなさって、そうして日本に対して誤解を抱く危険を生じさせるよりは、むしろそういうふうな食費の差別というものはやめて、一視同仁、食べさせるものならば同じものを食べさせるようにしていただきたいということを、私は希望として申し上げておいたのですが、その点の御答弁がございません。予算措置をなさるとすればわずかなことです。政務次官もおられるし、いつでもわれわれもお手伝いができると思いますから、その点の御答弁を伺っておきたいと思います。
  23. 野本品吉

    ○野本説明員 法秩序の維持ということを使命といたしております法務省といたしましては、入国後の状況がいずれにあるにしましても、少なくとも不正入国に対しましては、法秩序維持の建前からしっかりした態度で扱わなければならぬと思うのです。ただ、お話しのような立法の御趣旨、それから法律のできました後の経緯、情勢の変化等々につきましても、私どもといたしましては、現在無視するわけにも参りませんので、それらの点を考慮いたしまして、十分検討をいたしてみたいと思います。  食費の問題につきましては、これは私はいろいろと差別をつけるというようなことは、人道的な見地から見ましても、国際的ないろいろな見地から見ましても、適当でないと考えます。
  24. 小川清四郎

    小川説明員 私先ほど私の不注意で忘れておりまして大へん失礼いたしました。食費の件でございますが、九十円と百三十四円の差別は、やはり欧米人にはバターとかなんとかいうこともございます。あるいはコーヒーなどを出すとか、そういったことで、金額的に見ますと四十四円の差別のように見えますが、実体的にはそういうふうなことで、欧米人に対して少し余分な金額になっております。そこで、部内でもよく相談をいたしまして、むしろこの中国、韓国人の九十円の方を少し上げたらどうかということで、そういう方向で予算の方も考えて参りたいというふうに考えております。
  25. 木村公平

    木村(公)委員 質問は終わりました。   〔小川(豊)委員長代理退席木村(公)委員長代理着席
  26. 木村公平

  27. 小川豊明

    小川(豊)委員 私は非行少年といいますか、青少年の問題についてお尋ねしたいと思います。  最近の少年犯罪の傾向というものを五月二十八日の朝日新聞で見ますと、まさに激増の一途にある。昭和十六年には五万二千人であったのに対して、昭和三十五年には十五万人と三倍になっておる。それから昭和三十六年には十九万六千人とさらにはね上がっている。検察庁の少年犯罪受理人員というのを見ますと、昭和三十六年においては五十六万人になっているわけです。一般犯罪よりも少年犯罪が非常に激増しているというのが現状であるわけです。  そこで私はお尋ねするわけですが、これについて法務大臣は、この対策について、やはり五月二十八日の全国少年係検事会同において、「少年犯罪を減少させるためには、教育、文化、社会福祉やその他の行政面における適切な施策と、社会全体の不断の努力が必要であり、少年犯罪防止の機運を国民運動にまで発展させなければならない。」こういうふうに訓辞をされておるわけです。これは適切な訓辞だと思います。そこでお尋ねしたいのは、この国民運動にまで発展させようとするその方向あるいは具体的な施策について、どういうことをなさろうとお思いなのか、その点を一つ法務次官にお聞きしたいと思います。
  28. 野本品吉

    ○野本説明員 一般の犯罪が大体その数において横ばいの状態になっておりますときに、青少年の犯罪が非常に著しくなっておる事実については、ただいまお話しの通りでございます。最近の青少年犯罪の傾向といたしまして、私どもは、その犯罪の罪質が非常に粗暴になってきておる、それから犯罪の形が集団化してきておる、それから犯罪の年令が非常に下がっておる等々のことにつきましては、深い注意と関心を持っておるのでございます。  そこで、これらの問題の解決のためには、根本的には、なぜそういうふうな状況になっておるかということの科学的な検討を必要とする、その科学的な検討に基づいて適切な対策を立てなければならぬと私どもは考えておるわけですが、ただいまお話のございましたように、少年犯罪が何ゆえに起こってくるかということ、それから、犯罪を起こした少年に対してどういう処遇をしていくことが適当であるかということを考えますと、これは家庭教育の問題、学校教育の問題、社会一般の風潮の問題等々、いろいろあろうと思いますので、そこで従来の青少年対策というものを考えますときに、厚生省は児童保護の立場から、労働省は少年労働者の保護の立場から、あるいは法務省は非行少年の立場から、それぞれの角度から少年の問題をとらえて、それぞれの立場から適切な施策を講じておるわけでありますが、私どもとしましては、さらにそれぞれの青少年対策というものが、家庭、学校教育、社会一般、総合的な立場からこれが実施されていかないというと、十分な効果をおさめていくことが困難になるのではないかというふうに考えております。法務省といたしましては、法務省の立場からいたしますれば、少年の非行をどういうふうに押えるか、非行を犯した者の処遇をどのようにして更生改善の実をあげるかということで、今いろいろと検討を加えております。具体的なことにつきましては、事務当局から御説明をさせていただきたいと思いますけれども、要するに科学的な研究に基づいて、合理的な総合的な効果的な方策を考えなければいかぬということが、今真剣にこの問題に取り組んでおるということだけ私から申し上げておきます。
  29. 小川豊明

    小川(豊)委員 国民運動に盛り上げるという具体的な施策というものをもっとお聞きしたかったわけですが、その前に、ことしの六月一日に金沢で中部地方更生保護大会というのがあって、これには法務大臣が出席されておると思います。その話の中で、青少年犯罪防止の国民運動を盛り上げたい。重点として家庭のしつけ、学校教育、社会環境の整備が考えられる。学校教育では、日教組の方針がはね上がっているため青少年の非行の遠因になっている。ここではまるで日教組は非行少年の製造元でもあるかのようにきめつけているわけです。この議論は別として、そこで私はこの発言を裏返してみると、社会環境の調査、いわゆる家庭の調査、これは今の制度では最高裁判所と家庭裁判所の範囲になるわけです。それから学校の教育というのは、これは文部省の管轄になるわけです。そうすると法務行政としてやることは何をおやりになるのか。先ほどの御答弁では各方面を総合してと言われています。そこで総合はだれが一体どこで総合するのかということが、青少年、ことに非行少年対策として問題になってくると思う。国民運動として一般に社会を明るくする運動が叫ばれているわけです。しかし、法務行政全体の中に、今いう社会環境の調査あるいは家庭の調査とかというのは、最高裁や家庭裁判所の範囲になっておる。学校教育は文部省の管轄になっておる。とすると、ここに統一というものが欠けておるのではないか。そういう欠けておる統一の中から国民運動が盛り上がるはずがない。この統一を一体どこでどなたがおつけになるお考えであるか。この点を一つお尋ねしてみたいと思う。  それから、非行少年対策機構として警察、検察庁、家庭裁判所、少年鑑別所、少年院、地方更生保護委員会、保護観察所、こういうたくさんの機関が置かれておるわけです。ところがこれらの機関は、それぞれで少年を処分したり、処遇したりしているわけです。こういう機関の連絡、協調というものが欠けているのではないか、こういうことが痛感されるわけですが、それはそれで、今のままでいいとお思いになるのか、この点について改善しなければならない点がありと思いなのか、この点が一点。  それから、非行の過程、更生の方法についても、社会調査といいますか、こういう点については、これは家庭裁判所の調査官がおやりになる。それから心身の鑑別は少年鑑別所がやっておる。処分の決定というのは家底裁判所の裁判官がやっておる。同じ人間の非行に対して、環境と心身と二つに分けて別の機関がこれを診断しているのであります。しかも家底裁判所の調査官は最高裁の方です。少年鑑別所は法務省です。法務省と最高裁が別々に扱っておるわけで、ここにも役所のセクトといったようなものが思わされるわけです。  それから、いま一点あげるならば、診断機関が今申し上げたように二つある。診断するのだから今度は治療しますね、その機関がまた別々に分かれておる。いわゆる治療、これを直すのは厚生省系統の児童相談所、教護院、養護施設、こういうところがやっておる。法務省系統では、保護観察所、少年院、少年刑務所、こういうように二つに分かれて、診断をするのも別々であれば、これを治療する方も別々の機関がやっておる。司法と行政というのは分離していくのが当然だとしても、少年に対する保護あるいは処分、これは一体司法なのか行政なのか。私にはこの点がわからない。保護だとすれば行政だと思うのです。ところが、こういうふうに二つに分かれて、非行少年に対する診断も別々に下しており、それの更生するやり方に対しても二つの機関がやっておる。  少年対策というものは、今冒頭にこれを総合してとおっしゃられたけれども、これは政府としては一元化、統一されなければならないにかかわらず、一元化も統一もされておらないというのが今日の現状ではないか。むしろこの点については、私は法務行政の担当者が中心になってこの努力を行なうべきではないかと思っているわけだが、行なっているとすれば、どういう方向をとって、この一元化をはかろうとするのか、この点をお尋ねしたい。  以上二、三点あげましたが、この点に対する御答弁を願いたい。
  30. 野本品吉

    ○野本説明員 御承知のように少年法が施行されまして十年の歳月を経過しております。この少年法の施行運用の経過、それから現状から見まして、私どもはこの少年法に対しまして十分な検討を加えて、その改むべき点は改めなければならぬというふうに考えております。目下いろいろと検討を加えつつあるわけです。ただ、少年法の問題につきましては、その関連するところが、ただいまお話のございましたように、児童福祉法との関係等もございますし、それから裁判所とのいろいろな関係もございますので、相当慎重にかまえなくてはならないと思っておりますが、しかし今の青少年の状態を見ますと、少年法に対して再検討を加えて、そして実情に合い、実効の上がるような道を見出すべきではないかというふうに現在考えております。  それから、総合的にということにつきましてお話がございましたが、これは私個人の見解でありますけれども、現在法務省、厚生省、各省で青少年対策というものが考えられておりますけれども、遺憾ながら、これを高い立場から合理的に能率的な効率的な運用ということを考えた場合に、十分でない。中央青少年協議会というものがあって、青少年問題に対する調査、審議、連絡、調整、こういう使命を持って、中青協というものが法律に基づいて設けられておりますことは御承知の通りでありますが、これらの点につきましても、さらに考えていかなければならぬというふうに考えております。  それから、法務省としてどういうことか、具体的に一、二の例を申しますと、少年法に対する根本的な検討を加えるということは、先ほど申した通りでありますが、さらに来年度の予算等におきまして、私どもは今まで検挙された非行を犯した少年の処遇について改正する必要があるのではないか、それは資質とか、あるいは非行の度合いとか、それから本人の環境とか、それらのものにマッチした処遇をする。別な言葉で申しますれば、少年院の特殊化、専門化等によって、そして少年院の矯正効果というものを上げるようにすることも考うべきではないかということで、今いろいろと検討しております。一つの例として申し上げます。
  31. 小川豊明

    小川(豊)委員 対策を練っている、対策を考えている、現状ではどうも不十分だから考えなければならぬという答弁はわかるのです。私が冒頭に申し上げたように、ものすごい勢いで少年犯罪が増加しているわけです。これは国にとっては大きな問題だと思うのです。従って、これは考えなければならぬけれども、考えている間に日が暮れてしまって、どんどん激増していくことに対する対策というものを、私は、もっと真剣に急がなければならぬと思うのです。  私がさらにお尋ねするのは、在宅少年に対する監督、観察について、試験観察とはこれは家裁の調査官がやっております。それから保護観察は保護観察官がやっております。法務省と最高裁はいわば同一系統の官庁でありながら、この点だけでも私は統一がないような気がするのですね。  それから、非行少年の早期発見でも同じことです。中学生の場合には、十四才以上は家庭裁判所になる、十四才未満は児童相談所になりますね。ところが十三才と十四才の少年が共同で何かまずいことをした場合に、これは別別の機関で調べて、別々の処分をしているでしょう。やっていることは一つじゃないですか。こういう点についても、私はかなり——先ほどからるる申し上げたように、役所の中にそれぞれの機関を持っていて、この激増していく非行少年に対する対策を考えていることはわかるけれども、それに対する統一というものが欠けているような気がする。あなたの方では、十分に統一はとっているのだ、協調はしているのだ、こう御答弁したいところでしょうが、それならばこんなに幾つにも分けてそれぞれがやっていくのではなく、これを一本にしてやっていくことを考えなければならぬじゃないか、こう思うのです。どうお考えでしょうか。
  32. 野本品吉

    ○野本説明員 それぞれの役所が、それぞれの法律に基づいて青少年対策を打ち出しておりますから、従って、役所の立場からすれば、自然にそういう傾向になりがちであろうと思う。しかし、そういう各役所の立場に立てこもって、そして自分たちのやっていることが青少年対策の全部であるかのごときものの考え方でなしに、十分な連絡調整をいたしまして、もう少し——相手の青少年は一つなんですから、従って同一の青少年に対する対策というものが、ばらばらに行なわれておるかの感なきを得ない現状に対しましては、私はお説の通り考えております。
  33. 小川豊明

    小川(豊)委員 私の申し上げたことに対して御同感ならば、ここで御同感を表されても、私たちは非行少年でも何でもないので、これはぜひ非行少年のために一日も早くこの対策を立つべきだと思う。  それから少年法の適用範囲、これは現在の二十才というものを二十三才まで引き上げる。同時に十八才から二十三才までの犯罪少年に対しては、統一的な対象として扱う、こういう点が法務省並びに最高裁判所の間では議論されていることを私はいろいろの文書で見るのです。見解にかなり相違もあるようですが、一応こういう点について議論されている。こういう点について、欧米等の——全部とは言いませんが、一部には、青年裁判所の制度というものをつくっておられるようですが、こういう点も考えて、家裁と刑事裁判所が競合して少年事件を管轄する二元的な現行制度を、ぜひ私は一元化する必要があるのではないか、こう思うのですが、法務当局としてはどうお考えになっておりますか。やはり今のような二元的な行き方がいいのか、それとも一元化した方がいいとお考えになっているか、この点についての法務当局の考えを聞きたいと思う。
  34. 荻野かく一郎

    ○荻野説明員 先ほど来小川委員から御指摘になりました諸点につきましては、政務次官からも答弁されました通り、いろいろな役所でいろいろな機関がやっておるわけであります。そういうふうな制度、法規になっておるのでございます。その一番大きな問題点は少年法でございます。従いまして、私ども法務省の、部内ではございますが、担当の刑事局、矯正局、保護局、司法法制調査部、それから法務総合研究所、これらの担当官によりまして、昭和三十四年の九月から少年法の調査研究会というものをつくりまして、ただいま御指摘のございましたような少年法における適用年令の問題、あるいは少年審判制度の基本的構造の問題、あるいはまた審判の対象の問題、審判手続の問題、検察官関与の問題、少年鑑別の問題、あるいは保護処分制度の問題、これらの大きな問題を論議しておるわけでございます。語弊があるかもしれませんが、ただいま第一読会というものを終わりまして、第二読会でやや詳しいところまで進んでおるわけでございます。  私ども事務当局の考えとしましては、なるべく早くこの研究会を終了いたしまして、そして来年の四月以降もう少し広い範囲で、法務省だけでなしに裁判官も入れる、弁護士の方も入っていただく、民間の有識者も入っていただく、学者も入っていただく、そういうもう少し組織立った大きな機関にいたしまして、私どもが今日まで研究いたしましたこの材料をもとにして、早急にこの結論を出していただくように計画しておるわけでございますが、来年度の予算要求にもこの費用を盛り込んでいるわけでございます。  ただいまお話のございました青年裁判所の設置の問題、これなども甲論乙説ございますけれども、西ドイツの制度等も研究いたしまして、できればそういう方に持っていきたい、こういうのが大多数の今日までの意見でございます。ただ、これが法務省の意見であるというふうには、現段階では申し上げかねる次第でございます。
  35. 小川豊明

    小川(豊)委員 私、きょう委員会があるので、もっと詳しくほかのことまで調べてきたいと思ったが、その時間がなかったので、自分の県についてだけ照会できたので調べてきたのですが、保護観察所についてお尋ねすると、さっき政務次官は予算の点を言われたわけですが、保護観察事件が、千葉県で、昭和三十三年に三千四百三十四件、三十四年に三千六百九十四件、三十五年に三千八百三十五件、こういうふうに上っていっているのです。毎年一割の増加ですね。  ところが、ここでは尋ねしたいのは、最近十年間の職員の増員というのは一名もあなたの方では増員されておらないと思うのです。これでいくと保護観察官は一人平均四百二十六件を受け持っていますね。これを聞くと、アメリカ等では一人の受け持つのが五十件だそうです。日本では四百二十六件、こういう非行少年に対する保護観察を受け持たしている。これで一体保護ができるのかどうか。保護どころではない、見回りさえできないのが現状じゃないか、私はこう思う。これを全国的な表があったので見てみますと、昭和三十六年度の取り扱いは十七万二十七百人です。観察官は六百五十九人です。一人の観察官で三百人以上受け持っているわけです。しかもこの三百人について毎月保護司から送られてくる報告書を検討したり、補導上の問題点を見つけたり、それから適切な対策を立てたりまる任務というものは、この保護司が持っているわけでしょう。学校の教師でも、健全な生徒を扱っていても、一人の先生が扱う生徒数は五十人が限界だとされているわけだ、教育上からいって……。にもかかわらず、再犯防止をしなければならないこういう非行少年の件数を、一人に三百人以上も持たせて、それで一体健全な保護観察ができるとあなたに考えていますか。私はこれはでき得ないことなんだが、あなた方自身もこれはおそらく不可能だというとこを御承知になっているのじゃないかと思うのです。  ところが、政務次官はちょっと席をはずされたが、あなたさっき予算云々と言われたが、これまでの予算の経過を見ますと、三十六年度には百人の増員をしていますね。ところが、三十七年度にはこれが零ですよ。一人も増加していません。ことしなんかまた百名増員を要求するということも聞いていますが、こういうふうにどんどんふえていく少年の補導に対して、百名くらいの増加で——増加しないよりもいいけれども、一体これでこの対策が立つとお思いになっているのかどうなのか。あなた方は、真剣に非行少年を更生させようとする努力というものがほんとうにおありなのかどうなのかということを、私は予算の面、人の面から見ると疑いたくなるのです。非行少年を三百人も持たせて、しかも報告書を見たり、検討したり、補導上の問題点を見つけたり、その対策を立てたり、非常に複雑な困難な仕事を三百人も持たせて——一人の少年でさえもそれを更生させるのは大へんな努力を払わなければならない、苦心が払われなければならないにもかかわらず、三百人も持たせてこれで一体できるとお思いなのですか。この点どういうつもりでこんな要求をなすっているのか。これでいいとお思いなのか、もっと要求しなければならぬけれども事情がいかないからこれでおくのか。それならどういう対策を立てるのかということを一つここで明確にしてもらいたい。  それから、予算の問題が出たからもう一つ申し上げますが、民間の有識者等でできている司法保護司というのがありますね。ところがこの司法保護司に対象者一人に対して月二百六十円でしょう、実費弁償として二百六十円差し上げているのでしょうが、一体二百六十円で——保護司が受け持つのを見ると、このあれでやっていくと三・七人を受け持つそうです。これじゃ御本人が非常に持ち出しにならざるを得ない。民間の人にこういうかなり大きなウェートを持たせておきながら、その人に経済的な損害までもかけているということについては、私は遺憾ながら非行少年を更生させる熱意というものを疑わざるを得ない。この点について増額をされるおつもりなのかどうなのかという点をお尋ねしたい。
  36. 野本品吉

    ○野本説明員 私は、その点につきましては、いろいろ考えておるのでございますが、大体家庭裁判所で扱う非行青少年のうち、少年院に収容されて、施設による矯正教育を行なわれているのは、きわめて少数でございまして、大部分の者はいはゆる保護観察の名のもとにおいて保護観察官と保護司の手によって善導されておる。そこで、保護観察官が保護観察に付されております子供と直接の交渉を持って指導ができるようなことが望ましいと思うのであります。従って、今のお話の保護観察官の数が少ないことによって、その手を十分伸ばすことができないという点につきましては、全く同感でございまして、今の保護観察官の数では、あれだけ多数の保護観察に付されておる子供に対して、責任を持った指導ができるかどうかということは、全く疑問でございまして、不可能に近いのじゃないかと思っております。従って、保護観察官の数をできるだけふやして、そうして保護観察の使命、責任というものが果たせるような態勢に持っていくように努力しなければならぬということで、来年度の予算におきましてもそういう人員の増というものを要求しておるわけです。  それから、保護司の問題につきましても、あの人たちの青少年に対する愛情とか善意に甘え過ぎてはいけないということ。従って、法務省としましては、非常な御迷惑をかけております多くの保護司に対する待遇と言うとなんですが、処遇の点につきましても、積極的に考えなければいけないというので、増額をする方針で予算を要求しておるわけです。保護司の方につきましては、私は先ほども申しましたように、従来ややもいたしますと、国の法律に基づきます公の仕事というものが、地方の有志であります保護司に甘え過ぎておるから、甘え過ぎてはいけないという考え方で保護司の問題を考えておるわけであります。
  37. 小川豊明

    小川(豊)委員 次官は、私のお尋ねしたことに対して、全く同感だと言われておるのですが、私は反論があってもけっこうだと思うのです。同感であるならば、こういう状態になっているのだから、これはあなたの方でもっと熱意を入れて更生の事業に対しては努力をしてもらわねばならぬと同時に、この大きな一環になっている保護司に対する手当のことも、経済的な負担、これでいくと莫大な負担を御本人に背負わせるようになる。こういう大事な問題を民間の有識者の犠牲でカバーしようとする考え方をまず捨てなければならぬ。  それからさっき申し上げた、扱う観察官一人に、三百人も一体非行少年といわれる人を預けて、それで更生させようの何のと言ったって、これは全く不可能でしょう。私はぜひあなたの方にお願いしたい、法務省当局にほんとにお願いしたいのは、ここでの答弁答弁でお茶を濁すとかなんとかいうことでなく、この点については私はもっと真剣に力を入れていってもらわぬと、大へんなことになるのじゃないかと思うので、一つぜひ皆さん力を入れて、この点についての予算の面、それから連絡統一の面でも、機能の面でも、十分に使命を果たせるようにしてもらいたいということを、私は繰り返し声を大きくしてお願いするわけなのです。ぜひこの点は努力してもらいたい。  最後に、これはそれとは関係ありませんが、法務省本省の人事の問題について一つお伺いいたします。簡単な問題ですが、本省課長以上はこれは全部検事さんがなっているわけですね。そのため検事さんの課長以上は局付検事と称しておるそうですか、検察の仕事は検事さんの任務でありますし、私はそれでいいと思います。一般事務一般事務官によっていくのが筋ではないか。ですから人権擁護局の局長課長までを検事でやっているわけですね。そうすると、人を調べてきた検事さんが人権擁護——別に検事さんが人権じゅうりんをしているわけでも何でもありませんが、検事さんが人権擁護の方に回っているということになってくるのも少しこれは疑問に思われるわけです。人権擁護なら人権擁護でいくべきではないか。ついこの間までは取り調べの方に回っていたのが、今度はこっちで擁護になっているというのも、人は使いようだとばかりは言っておられない。一体これでいいのか悪いのか、これは改める必要があるのではないかということをあなたの方でもお考えだろうと思う。ところが、これは予算の関係やその他の関係で、やむを得ず検事さんをそっちの方へ局付とかなんとかにしてしまって事務の方を担当させている。事務なら、私は事務官でいいと思う。検事さんの数も足りないことですから、現場へ出ていくのが一番好ましいことじゃないか。検事さん自身にしても——私はそれがいいのか悪いのかわからないが、検事さん自身にしても、局付課長局長になっておられるけれども、やはり本来勉強された道に進まれるのがいいのではないか。なぜ一体こういう措置を人事面でとらなければならないのか。これをとるのがいいのか。よくはないけれども、ほかの予算その他の事情があって、これをしなければならないのか、この点が私にはわからないので、この点一つ御解明願いたいと思います。
  38. 野本品吉

    ○野本説明員 御指摘の点につきましては、十分検討いたしまして善処するようにいたしたいと思います。  なお、先ほど来いろいろ御質問を通しまして、私どものやっております仕事に対しまして、非常に御理解ある気持で御激励をいただきましたことについて感謝を申し上げます。
  39. 小川豊明

    小川(豊)委員 それはけっこうです。感謝されるのは私はいい気持で、悪い気持じゃないですが、ただ感謝のしっぱなしでなく、これはほんとうに実施してもらいたいのです。そうでないと大へんなことになるだろうと思うのです。これはぜひ——私に感謝するだけじゃなくて、一つ最大の努力をここへ法務省としては込めてもらいたいということ。  それから最後の問題は、どういうことなんでしょうか。検事さんが局長課長をしている。法務省としてそれが望ましいことなら言うところはない。そうじゃない方がいいけれども、仕方がなくてこうやっているとするなら、これは改めなければならぬ、その点はどうなんです。この方がいいのでしょうか、今やむを得ずそうやっているのでしょうか。
  40. 野本品吉

    ○野本説明員 まだ私ども大臣も就任日が浅いのでございまして、どういう事情でそういうふうになってきているかにつきましてもつまびらかにいたしておりませんから、十分検討を加えていきたいと思います。
  41. 小川豊明

    小川(豊)委員 保護局長、それなら質問は繰り返しません。今私が御質問したことは、今あなたがそこでお聞きの通りです。それに対して、最後の一点だけでもいいのですが、検事さんが局長課長になっている。これは事務ですよ。事務なら事務官でいいじゃないか。検事さんはそれぞれその道を勉強され、また経験も踏まれているわけですから、現場へ——現場と言うのは失礼だが、出て検察の事務に当たるというか、検事の仕事をやられるのがいいのではないか、何でこういうことをなさっておられるのか、これがいいからこうなさっておるのか、それともこれは好ましくないけれども、今としてはいろいろ予算その他の関係があって仕方がないからこうしているのか、この点を私はお尋ねするわけなんです。どうか一つ答弁願います。
  42. 武内孝之

    ○武内説明員 私、保護局長でございます。この一月法務省に参りましたが、今のお尋ねの人事問題につきましては、私としましては全く存じませんので、帰りまして大臣にお尋ねの御趣旨を申し上げたいと思います。
  43. 小川豊明

    小川(豊)委員 武内さんも検事さんですか。
  44. 武内孝之

    ○武内説明員 そうでございます。
  45. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると、局長になり、課長になり、事務を扱っていくことと、検事の本来の仕事をおやりになることと、一体どっちが検事さんとしてはいいんですか。
  46. 武内孝之

    ○武内説明員 私自身の経験を申しますと、私、検察官として今まで参りましたが、保護の方面の仕事に従事いたしまして、非常に勉強になって喜んでおるわけでございます。いろいろ一面的に見ないで、物事をいろいろな方面から見るという機会を得ましたことを私は喜んでおるわけでございます。そういうわけで、私自身には非常にプラスになっております。
  47. 小川豊明

    小川(豊)委員 もう一点。これは大へん失礼な聞き方だが、検事という角度だけで見ていたものを、今度は事務官の仕事もおやりになってくる。従って、非常に視野が広くなって、私としてはけっこうだ、こういうふうにちょっと聞こえたんですが、かりにそうだとすると、検事さんというのは、ただ単に検事の仕事をやる場合に、みんなかわって事務官になったり、検事になったり、検事から事務官になったり、しょっちゅうこうやった方が、全部が視野が広くなっていいということに解釈されるのですが、どうなんですか。
  48. 武内孝之

    ○武内説明員 これは私個人の能力を考えて申しましたので、人には検察官の方で非常にすぐれた人もおるでしょうし、行政関係で非常に能力を発揮される方もおるでしょう。私も検察はすべて人の改過遷善ということを終局の目的として行なわれるものだと思いますが、そういう意味から申しますと、直接の保護の担当者になったということは、今まで保護のことを考えておりながらも、やはり縁遠く、間接に考えておったのが、じかに実務に触れてみますと、非常に自分自身の気がつかなかったこと、人は気がついておりましても、私の気がついていなかったことを私なりに発見して、勉強になった、こう申し上げたわけでございます。
  49. 小川豊明

    小川(豊)委員 今の御答弁は、武内さん個人の御答弁で、そういうふうにお考えになっているわけですが、全体としてどうなんでしょう。事務の方へ行くこと、検事という仕事から離れて事務官の仕事になることをあなたは喜んでおられる、自分の勉強のために喜んでおられるというのですが、ほかの方々もやはりみなそういうことなんですか。これはむしろあなたにお聞きするのは大へんよくないのです。むしろ次官なり大臣なりにお聞きすべきだと思いますが、次官の答弁では、就任後日が浅くてその点まで検討しておらない、こういうことだと思うのですが、もし皆さんがそれを好んでいるなら私はそれでいいと思うのです。役所の立場として御答弁なさる場合、今の制度の中ではそういう御答弁のほかはないと思うけれども、人の好まないところをそういうふうに割り当てていくことは、必ずしも国全体の面から見たときには効果が上がるとは私は思わないから、そこでわれわれの立場からいえば、もしそういうことを皆さんが好まないなら、やはり検事検事本来の仕事に携わるべきだというお考えならば、予算面か何か理由はわからぬが、われわれは論議をそこに集中して、そういう制度を改めるようにしたらいいだろう。今の方が検事さん全体のためにプラスになるというなら、これはもう言う必要はないし、今の制度でどんどんいってもいいと思うのですが、その点で私自身仕事違いで判断をしかねているので、この点を判断の資料として皆さんの意見をお聞きしたいこう思っていたのです。制度の中におられる方は、今の制度を守るほかはありません。しかし、そうでない場合には、われわれはそれを改めるのが任務だと思いますから、今のそういう制度がよろしいのだ、制度もいいし、われわれもいいのだというなら、それはよろしいのであって、そうでなく、改めた方がいいのだというなら、これは改めるようにわれわれは国会として動かなけばならない、こう思ってお聞きしたわけです。  これ以上その点の御答弁を求めてもいけないと思いますが、次官、これは一つ帰って首脳部で相談すべき点じゃないかと思うのです。私は何も検事が人権擁護局に行ったから悪いと言っているのではないのです。検事さん自身は、本来の検事の任務があり、そのためにまた勉強されたのだから、そういう事務の方は事務官でやったらいい。検事さんだって決して手が余っているわけではないでしょう。それならばそっちにいてもらう方がいいじゃないかという意味でお聞きしているので、これは一つ帰って検討して、またあとでお聞かせ願うこととして質問を終わります。
  50. 木村公平

    木村(公)委員長代理 法務省所管決算につきましての本日の質疑は、この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十六分散会