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石川説明員 今まで相当の金を使って方々の探鉱をいたしまして、特に人形峠に相当のものが見つかったということは事実でございます。今度行って参りまして、なかなかよく探鉱の仕方——私、実は、専門とおっしゃられましたが専門じゃありません。今までにずいぶんどっさり山は取り扱いましたが、専門じゃありません。しかし、見ますと、そんなにへまなやり方をやってはおらぬと思います。そういう批評をなさる方があるようですけれども、そういうことは公社としてはやっておらぬと見て参りました。
それから、実は人形峠の付近に、あれほど遠距離のところに、ああいうふうなデポジットがあるとは初めは思わなかった。だんだんそれが見つかって参りますので、まだまだ見つかるだろうと存じます。それに鳥取県側の神ノ倉あたりをちょっと拝見いたしましても相当有望なように思うし、神ノ倉のもう少し東の方と人形峠の方と、あるいは何らかの連絡があるのじゃないかということも
説明を聞きまして、それももっともだと感じて参りました。ですから、私は
日本の鉱床としてはかなり広い面積に散らばっているものであると思います。ただし、今までのいろいろ採掘をやりました結果から、どういうふうな賦存
状態にあるかということは明確になって参りましたし、また鉱床のあるところはこういうところにあるのじゃないかという想像もつくようになりました。それから、電探とボーリングとは大体一致するということもわかって参りましたので、これからは今までよりもさらに有効な探鉱ができるであろうと思います。
現在わかっておりますものは、鉱量の見方につきましてはいろいろな
方法がありますが、確定と推定といろいろあり、予想というやつもありますが、それをすっかり加えれば公社の方で言っている二百五、六十万トンはおそらくかたいだろうと思います。それで予想を除きますと金属ウランとして約千トン余りあるということであります。こういうわけでございます。それからまた五カ年計画をごらんになっても、私実はこの間持って参りましたのを拝見いたしましたが、もうあと四・五年やれば、今までくらいな賦存
状態であれば五百万トンくらいになるだろう、こういうことでございます。
現在の
状態においてそれじゃどうするかという問題がございます。あの鉱石を拝見いたしまして、私前から水洗鉱をやったらどうかという話をしたのです。というのは、ウラニウムの母岩の方が中に入っておらないで、ウラニウムの小さな粉が外に、ちょうどきなこのようについている鉱石でありますから、これは洗う方がいいだろう。それでハイドロ・マイニングでやったらどうかということで、去年あたりからやっておるから、その
方法によって水で洗鉱いたしますと、早く安くできます。そういうことも
研究しております。それで品位を上げて持ってくれば、コンマ〇のものがあるいは百分の二になるだろう、ということになれば非常に安くなるのじゃないか、こう考えております。
それから製錬の方でございます。製錬の方は、あの鉱石はいろいろ今までの
研究の結果、非常に品位の悪い割合に取り扱いがやさしいということでございます。これは品位の悪いのをカバーするという材料になるのと、先ほど申し上げました簡単な水洗によって品位を上げて、品位の悪いのをカバーするということになるのではないか、こういう考えを当事者は持っております。
それから、現在はウラン精鉱が非常に値下がりしておりますので、不経済で、製錬をやりましても、やはり相当大
規模にやっても、なかなか引き合わぬのではないかと思っております。何しろ貧鉱でございますし、御承知の通り、カナダあたりはパー・デー一万五千トンというような大きいのがあります。しかもカナダはウランの含有量がコンマ一で、あそこはよろしいのでございますけれども、石は非常に固い。ですから、相当大きな
規模にしないとあそこの鉱石は引き合わない。ところが一方、これは私、見ませんけれども、
アメリカあたりの鉱山は、数年前からいろいろ話を聞いてみますと、非常に小さな、中には
日本でマンガンを掘るような掘り方をやっておるようなところもあるそうでございます。数人でやっておるそうでございます。それで百トンくらいしか掘れないような山もある。しかし、人形峠というのは鉱量がまだ少ないものですから、それでそういう大きなことは当分はできません。しかし将来いざというときには製錬にかかれるような準備をしたらよいだろうというので、パー・デーで百トンの小さなプラントをつくりまして、そして直接製錬をやっていくというような考えで今予算を御請求しておるような次第でございます。要するにもっと大きくなったときに、いざ製錬にかかれるような準備をしておこう。今まで東海村にもプロセスをきめるために実験工場がありましたが、非常に小そうございました。今度はあそこにあるものも利用できるものは利用して、パー・デー百トンくらいのプラントをつくって試験をする、こういうことにしたいわけであります。
なお、
値段の問題です。価格は、どうも私は
計算ができませんから、公社で出してくれとしばしば頼んでありますが、なかなか出てこない。今公社でいうところでは、これははっきりした
数字ではありませんが、今ポンド八ドル——
アメリカのジョンソンが昨年アルゼンチンのウランの
会議でもって、大体今の
値段はべらぼうに安いのだ、それで将来は八ドルというのが適当だろうという議論で、みんなが——みんなというのは世界の地質学者、製錬学者が賛成したという話を聞いておるのです。その
値段ならどうにかやっていけるだろう、こういうことでございます。しかし、御承知の通り、イギリスが今度カナダと一万何千トンか契約しましたのは精鉱一ポンドにつき約五ドルでございます。もちろんその五ドルはカナダ全体に対して約束したので、カナダの各鉱山はカナダ内部できめているらしゅうございます。安い鉱山には安く、少し高く出してやらなければ持たない山は高くというようなことをカナダ内部でもやっておるようですが、結局五ドル。しかし、
日本でときどき入札して買うわずかなものは、ポンド三ドル、五ドル、
日本に着いて七ドル、安くなっている。
ですから今、
日本で製錬を大きくやるという鉱量もございませんし、大きくやるということは損ですから、せめて五百万トンくらい見つかれば、一日千五百トンか二千トンくらい、それくらいならば、十年もし続く見込みが立てば、大きくやった方がよかろう。しかし、そのとき大きくやるのに一体どんなプロセスにいった方がいいかということで、今
研究すべく数億の金を出してもらいまして試験する、こういうことになっておるわけでございます。
なお、私は前から言っておったのですが、人形峠の鉱床は東の方に伸びている。北と南の方にも広くなっている。しかるに、どうも西の方で切れているのがおかしいという考えを持っておりましたが、このごろ伺いますと、西の方の広島県境の脊梁山脈の中にウランの徴候があったという話でございます。まだまだよけいあるかもしれません。そういう
状況ですから、もう少し時をかしていただいて探鉱していったらどうか、こう思います。
それで、今まで使いました探鉱費が十二、三億になっております。そのトン当たりどうなるだろうかという問題です。これは大きな問題ですが、トン当たりいろいろな
計算方法がございますけれども、鉱石当たり三百円くらいかかっているのではないか。見方にもよりますが、もう少しかかっているかもしれません。
それから、四、五年前、
原子力委員会が、プライベートに山をおやりになった方が鉱石を掘り、その鉱石を公社に持ってくる場合の
値段をきめたらどうかということがございました。そのとき発表した鉱石の
値段の
期限がきましたので、これから先の
買い上げ価格をどうするか
研究いたしましたが、結局そのまま続けることにいたしました。あのときウランの含有量がコンマ一でトン五千円ということになっておったのです。もちろん鉱石の種類、それから製錬がうまくいくかいかないかという問題は非常に鉱石の
値段に
関係するのですけれども、大体そういうことにしてあったのです。まあ今日も四、五千円の値打ちがあるのではないかと思っておりますが、これはもう少し公社の方で調べてもらうように言ってあるのです。先ほど申し上げたように、専門家の方々は、
アメリカあるいは世界的に考えても、将来八ドルというのはいくだろうという話でございます。
それから、これはよけいな話でございますけれども、世界のウラン鉱の産出国から精鉱を買ってもらいたいというので、しばしば人が来ます。そのときの話を伺いますと、大体数年間はウランの
値段は上がらない。しかし、一九七〇年くらいになると上がるぞ。これは鉱山の側の人ですから、上がる楽しみを持っていなければならぬと思いますが、そういう話を山主はしております。
大体
原子炉の進み方は、今はあまり平和利用がございませんが、
原子炉の進み方いかんによって
値段が出てくるだろうと思うのです。これはわれわれ民間であれば、こういう安いときに買っておいたらいいじゃないかという気がいたすくらい安うございます。分量も、
日本で使うのは、今天然ウランとしてコールダーホールに入れるのは、いろいろの実験で使うのが年に十トンくらいです。その十トンくらいのものがちょうどできるようなものを今度はテスト・プラントをつくって獲得する、こういうようなことであります。コールダーホール炉に装入するものは相当使える品質なのですが、
日本産の天然ウランを使ってくれぬかということを私、前に英国に行ったときに、ほんとうの談判ということではないのですけれども、サウンドしたのです。そうしたら、これは困る、わずかなものを持ってくるというのでなく、うんと連続的に仕事のできるほど天然ウランを持ってきてくれれば自分の方の生産のラインに入れることができるけれども、少しくらいのものでは困る、こう言っておりました。
大体これでお答えになりましたかどうか、一応申し上げました。