○
齋藤(憲)
委員 ちょっと関連。私は
長官の
所信表明に対しまして、今回は御
質問を申し上げないことにいたしておるのでございますが、ただいま岡
委員の
国産技術振興、外国
技術導入という問題は非常に重要な問題でございますので、この際関連
質問として当局のお
考えを承っておきたいと思うのであります。問題はきわめて重大でございますので、またこれも御即答を要求するわけでありません。十分御勘考の上御答弁を願いたいと思うのであります。
それは、昨日の
日本経済に通産省の
技術導入の報告書というものが発表されておるのであります。これから推測いたしますと、非常に
日本の外国
技術の導入というものは大きな役割を
日本の
経済界に占めておる。私の従来記憶いたしておりました数字は、
昭和二十八年から三十六年の九月を入れまして、甲種
技術援助契約の特別認可件数が千五百五十二件、これに要する金が三億五千二百四十一万九千ドル、こう私は記憶しておったのでありますが、これによりますと、二十五年から三十六年三月までの十一年間に認可された甲種
技術導入契約千三百九十六件、ちょっと減っておる
ようであります。がしかし、これに要した金というものはやはり三億六百万ドル、こう書いてございます。それともう
一つは、三十年から三十六年までの累計で千五百億の乙種
技術援助というものがあるということが、ここには書いてないですけれ
ども、われわれの記憶にあるのであります。この
新聞を読んでみますと、
日本の
産業界に及ぼす外国パテント及び外国
技術導入というものが非常に大きなウエートを占めておる。外国貿易で直接入るのが三億ドル、国内需要で内需充足、輸入防遇に入るものが四十億ドルと書いてある。ここには
一つの大きな外国パテント及び外国
技術導入に関する
日本の
経済、
産業界というものを感ずる点があるわけであります。しかも、ノーハウよりはパテントを多く
日本では金を払って導入をしておる。そうしてこのノーハウ及びパテントには外国輸出の制限がついておる。大体これを読みますと、東南アジアには七五%くらいは輸出ができる
ようになっておるけれ
ども、その他の地区においては一五%ないし二〇%しかできない。パテントを、ノーハウを入れて金を払っておいて、そうして一五%ないし二〇%しか外国貿易ができないというのが大体の外国
技術導入の状態の
ようであります。私の御
質問申し上げ
ようとしている焦点は何かと申しますと、今日の
技術革新に対処して、国の
科学技術振興策の中核的役割を果たす国立の
研究機関を、最近の情勢に即応していかに
刷新充実するかということです。これは
長官の
所信表明の中でも非常に大きな問題である。「この七月、
科学技術会議から総括的事項に関して第一次
答申が提出され、さらに具体的事項については最終
答申が出されることになっております。私といたしましては、とりあえずこの第一次
答申の線に沿って
研究機関の性格の明確化、業務分野の重点化、
立地条件及び施設の
改善、
研究者の処遇
改善等について、早急に
実施すべきものから逐次実行に移したいと思います。」こう述べておられます。先ほど私は
国立試験研究機関を
刷新充実するための方策についての第一次
答申書を読んで見ました。これには、われわれも前々から
考えておることが書かれておるのでありますけれ
ども、今、
日本が差し迫った貿易の自由化を前提として、これほど
日本の
産業界に大きなウエートを占めておる外国のパテント及びノーハウに対して、いかなる角度から国立
研究機関の整備
充実をはかって、外国
技術依存からの脱却をはかるかということは、
答申には書かれていないのであります。私は
科学技術庁設置法第三条の条項をいつでも読んでみますと、これは明らかに
科学技術の
振興によって国民
経済に寄与するということですから、直面しておる問題と、それから国家百年の大計というものは、
科学技術の面においては常にあるわけであります。ですから、いつもわれわれの
考えなければならないことは、通産省が出しましたこの外国
技術導入によって
日本がこうむっておる
産業の実態というものにメスを入れて、
科学技術的にこれをどう処置していったならば
日本の
産業体制というものが、
日本独自の
体制において世界におくれをとらざる
ような
充実したものになっていくか、そのことをはかっていくことが私は
科学技術庁設置の大眼目だといつも
考えておるのであります。残念ながら、そういうところにこれは触れておられないのであります。これは大問題でございますので、きょう御即答を要求するのではございませんが、
長官の御
所信の中における、貿易の自由化を前提として、
日本の
科学技術のおくれを取り戻さなければならない、しかるに、膨大な
科学技術の面において外国依存をやっておる。しかも、その率は年々増加の傾向がある。これをしも防ぎ切れない
ような
科学技術振興対策であったならば、それは羊頭狗肉の策であるといわれてもやむを得ないので、われわれとしてはどうしてもこういう根本的な問題を菱除して、
日本の力において
日本の
産業体制の確立をはかる。それはあくまでも
日本の
科学技術の
振興にあるんだ、これを国立
研究機関を総動員して、どういう角度から
充実刷新をはかっていくかという具体策がなければ、やはりその
所信表明というものは
口頭禅に終わるのではないかと思います。ですから、どうか
一つ予算編成を前に、そういうはっきりした
体制をお示し下さいまして、われわれをしてその国立
研究機関の
充実に対して、全力をあげて御
協力を申し上げる
ような
体制の確立される
ようにお願いを申し上げておきたいと思うのであります。どうも
質問にはなりませんけれ
ども、関連してそういうことをお願い申し上げておきたいと思うのであります。
もう
一つ、国立
研究機関を
刷新充実するための方策についてという
答申を拝見してみました。ところが、ここに新しい言葉が出てきた。「純粋
科学」の
研究という言葉が出てきたのです。
科学というものに対する用語は、この際
一つ統一してもらいたいと思うのです。用語がでたらめになるとわれわれが戸惑うわけであります。官庁は勝手な用語をつくる。用語の解釈によってまた非常に時間を費やすわけになりますから、
一つ統一をしていただきたいと思うのであります。通産省で常に使っております重化学工業という言葉、私が外国に参りましたときに、それをヘビー・ケミカル・インダストリーといったら、とんでもない誤解があったわけであります。なぜそういう誤解があったかと申しますと、外国語ではちゃんとライト・インダストリー、ライト・ケミカル・インダストリー、ヘビー・インダストリー、ヘビー・ケミカル・インダストリーと区別ができておる。そこに向かって
日本のいわゆるヘビー・ケミカル・インダストリー、重化学工業というものの中には機械工業も何もみんなぶち込んであるわけです。ですから、もう
日本の
科学技術というものが国際的になって参りましたならば、国際的な用語の統一ということを
考えないと、非常にあやまちが出るのではないか、か
ように私は最近痛感いたしておるわけであります。そういうことで、よけいなことでございましたけれ
ども、私も字引を引っぱって見ましたら、私の引いた字引には、純正
科学、ピュア・サイエンス、アブストラクト・サイエンス。応用
科学、アプライドサイエンス。それから自然
科学、ナチュラル・サイエンスまたはフィジカル・サイエンス。絶対
科学、アブソリュート・サイエンス。厳正
科学、イグザクト・サイエンス。人文または精神
科学、メンタルまたはカルチュラル・サイエンス。社会
科学、ソーシャル・サイエンス。文化
科学、カルチュラル・サイエンス。
科学技術、サイエンティフィック・テクニックと書いてある。ですから、官庁においてはこういう字引を引っぱって、やあいい言葉を見つけたといって使われたのでは、われわれ読む方では、一体純粋
科学とはどういうものを
意味するのかさっぱりわからない。純粋
科学というものが
科学技術の中に入ってくるということになりますと、
科学技術というものに対する定義が非常に変わってくるのではないかと思います。これは前国会において、
三木長官に私は
科学技術の解釈をただしておるわけであります。
科学・
技術か、
科学技術という
一つの熟語か、どう解釈していったらいいかと言ったら、いわゆる
科学技術という
一つのテクニックだ、
技術の伴わない
科学というものは国民
経済に寄与することにはならないのだから、「
科学技術」と解釈した方がいいのではないかというふうなお答えもあったのであります。まだ私は、
科学技術庁の言ういわゆる
科学技術というものの用語統一に対してはすっきりしないのでありますから、国際的に複雑多岐になって参りました最近の
科学技術をすっきりする
意味において、どうか用語の統一をはかっていただきたいと思います。関連
質問にはなりませんでしたが、これだけを
一つお願い申し上げておきます。
それから、私の申し上げました外国
技術導入に関する問題に対しての当局の御
意見は、これもまた何らかの文書の形をもって、
参考資料をつけて御回答願いたいと思います。