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1962-11-01 第41回国会 衆議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十一月一日(木曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 木村 俊夫君    理事 佐々木義武君 理事 高橋清一郎君    理事 細田 吉藏君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君       有田 喜一君    有馬 英治君       尾関 義一君    川野 芳滿君       簡牛 凡夫君    壽原 正一君       砂原  格君    福家 俊一君       増田甲子七君    赤松  勇君       石村 英雄君    加藤 勘十君       勝澤 芳雄君    島上善五郎君       田中織之進君    松原喜之次君       山田 長司君    内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 綾部健太郎君  委員外出席者         運輸事務官         (港湾局参事         官)      岡田 良一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      岡本  悟君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  向井 重郷君         日本国有鉄道         総裁      十河 信二君         日本国有鉄道         常務理事    大石 重成君         日本国有鉄道         常務理事    河村  勝君         日本国有鉄道         参与         (営業局長)  遠藤 鉄二君         専  門  員 小西 眞一君     ————————————— 十一月一日  委員矢尾喜三郎辞任につき、その補欠として  赤松勇君が議長指名委員に選任された。 同日  委員赤松勇辞任につき、その補欠として山田  長司君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山田長司辞任につき、その補欠として矢  尾喜三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件(私鉄運賃値上げに関する問  題)  港湾に関する件(検数事業に関する問題)  日本国有鉄道経営に関する件(戦傷病者等の  無賃乗車及び国鉄事故等に関する問題)      ————◇—————
  2. 木村俊夫

    木村委員長 これより会議を開きます。  陸運に関する件及び日本国有鉄道経営に関する件について、調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。高橋清一郎君。
  3. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 昨日運輸大臣が新潟にお出ましになりました場合、関係者帯同いたしまして請願申し上げた事項に関連してのことでございます。  実は戦争犠牲者中、特に身体障害を受けましたいわゆる戦傷病者方々に対する取り扱いの是正と申しますか、特に本日は、戦傷病者介護者日常行動について便宜を与えてもらいたいということが本旨なのでございます。御存じのように、いわゆる戦争犠牲者と申しますならば、戦没遺家族であり、傷痍軍人であり、引揚者であり、長いこと勤務いたしましても、恩給の特典を得るに至らなかったいわゆる軍恩関係人たち、あるいは戦争中でありますが、農地を取り上げられてしもうて、その補償をぜひ政府において親心を願わなければならぬと強く要求をいたしております人たち、これらの方々が、大体いわゆる戦争犠牲者の最たるものであろうと思うのであります。でありますが、そのうちで、何と申しましても、身体的の障害を受けて現にわが身を詰めておる人たち日常行動にきわめて不便を感じておりますいわゆる戦傷病者方々立場というのは、特に留意しなければならぬ問題でなかろうかと思うのであります。従いまして、その人たちの特に考えておりますことは、これは特にずっと数年前からの懸案事項として当局にもの申しておる事項なのではございますが、いわゆる介護者でありますわが妻、あるいは親戚の者、同居人、こういう介護者についても、一人でもって行動をとることは容易でない人たちでございますだけに、特段の御配慮を願わなければならぬということは言うまでもなかろうと思うのであります。従いまして、特に運輸関係について請願の筋を立てるということは、すなわち今から七年前と思うのでありまするけれども、当時の運輸委員会常任委員長を初めといたしまして、理事皆様方政党政派を超越いたしまして、満場一致をもちまして、新しくこういう人たちに対しましては、いわゆる日本国有鉄道無賃乗車に関する法律施行がもたらされた次第でございます。昭和三十年法律第百五十八号でございます。その際は、介護者の問題につきましても、ある程度取り扱いをもたらしてもらったのでありまするけれども、それからすでに期間も七、八年経過いたしました今日でございます。従って、いわゆる立法当時でございました七、八年前と現在におきましては、交通事情は著しく変化しております。身体障害を有する戦傷病者でございますから、年令的な要素であるとか、いろいろな勘案もいたさなければならない。あるいは立法趣旨等からいたしましても、この介護者範囲をいい方向へ拡大してもらわなければならぬという要求が出てくるということは、言うまでもなかろうと思うのでございます。  この法律は、明らかに戦傷病者に対する国家補償の一環として立法されたものであろうと思われるのであります。そういう意味からいたしまするならば、具体的な点に特に留意していただきたい内容を申し上げさせていただきますならば、特段の御理解をいただいて参りましたことは、すなわち二項症までの者に限定されておるのでございます。介護者範囲政令に委任されておるのであります。これが二項症までに限定されているのでありますが、二項症以下の症状の戦傷病者に対しましても介護を要するということは、先ほども申しました趣意からいたしますならば、当然であろうと思うのであります。そうした意味におきまして、とりあえず運輸大臣からお答えいただきたいことは、こういう事態になりつつあります現況でありますだけに、特に戦争犠牲者の中でも日常行動に今非常に困っている方々に対する方策として、私は、少なくとも介護者範囲を拡大していただいて政府親心をお示しいただくという当然な要求について、その措置を具体的に申し上げますが、第三項症以下の者に対しましても、二項症以上と同じ取り扱いをしてもらうということについて、善処しようというお約束ができますかどうかということについて、とりあえず運輸大臣からお願いしたいのであります。
  4. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 お答えいたします。  高橋委員のおっしゃいましたように、戦後処理といたしましては、国家のため一番大事な命をささげた者に対する救済方策等を、最も早く最善にやらなければならぬというので、御承知のように、遺族に対する給付等をやったのであります。それから法律で、旧軍人、軍族並びに戦傷病者に対する援護の一方策といたしまして、これらの人に対しましての国有鉄道及び連絡船乗車船につきまして、その運賃無賃といたしたのであります。これは国家財政が非常に苦しい中から特にこういうことをやらしたのでありますが、それを仰せのように、その家族の方であるとか、兄弟の方であるとかの困っている人にまで広げるということは、鉄道の方へも再三そういうようにしたらどうかということを言っておるのでございますが、この鉄道無賃乗車は、鉄道の割引としては唯一の例外といたしまして、国家補償しているのであります。国鉄が引いただけを国家が賠償したような格好で引いておるので、それをさらに仰せのように広げるということは、十分研究はいたしまして、御趣旨に沿うように進めたいとは思っておりますが、今ここで、それじゃできるかとおっしゃられると、お答えすることはなかなかむずかしゅうございまして、差し控えたいと思います。御趣旨に沿うよう、さらに督励いたしまして、国鉄と交渉いたすということで御了承願いたいと思います。
  5. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 鉄監局長にお尋ねいたします。昭和三十七年七月三十一日厚生省発援第百三十八号の厚生事務次官から運輸事務次官あて戦傷病者等日本国有鉄道無賃乗車等に関する法律の一部改正についてという書面をごらんになったことがありますか。
  6. 岡本悟

    岡本説明員 まことに残念でございますが、今記憶がないのでございます。
  7. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 運輸次官おいででございませんければ、この通達ははっきりしないことでしょうけれども、しかし、これだけの書面事務次官あてに出まして、その担当であるあなたの方に回っていないという事態は、事務怠慢ではないかと思うのであります。問題が問題でありますだけに、おそらくは厚生省関係におきましても、社会労働委員会等においても鳩首協議いたしまして、その結論を導き、事務当局において善処せよという意味での通達ではなかったかと思うのでありますが、そうした文章が肝心のところに出ていないということになりますと、これは非常な職務怠慢でもあろうと思われるのであります。さっそく、きょうお帰りになりましたならばよく御検討され、この趣意のものがあるかないか、またこれについてどのようなお心がまえをお示しになっているかどうかということにつきましても、関係部課皆さん方とも御協議願いたいと思うのでありますが、このことについては、実を申し上げますと、法律でもってただいま申しましたような趣意をぜひ一つ内容に盛ってもらって、抜本的な改正をやってもらいたいということなのでございます。しかし、私は、この問題は法律による改正となりますと、なかなか容易でないと思っています。ただいま大臣からのお示しがございましたように、法律改正という段取りの場合には、容易でない。従って、手っとり早いということになりますと、先ほど申しました昭和三十年の第百五十八号によります法律施行令改正することによりまして、その趣意をいい方向改正してもらうように取り扱ってもらいますならば、ある程度までこの介護者の問題もいいところまでいくのではなかろうかというような気がするのでございます。すなわち、これもまた具体的に申し上げますが、二項症以上の場合におきましては、一枚の引きかえ証で本人介護者が同時に乗車できる。しかし、三項症以下の場合におきましては、この引きかえ証を二枚使用してもよろしいというふうに考えられるのでありますが、このような施行令改正ということでの取り扱いと申しますか、親心をもちまして、この問題の解決に当たるという誠意がございますならば、法律改正ということでなくして何とか問題の解決ができるのではなかろうかという気がするのでありますが、これについての御答弁をいただきたいと思います。
  8. 岡本悟

    岡本説明員 仰せのように、この法律にはごく大綱が示されておるだけでありまして、詳細はすべて戦傷病者等日本国有鉄道無賃乗車等に関する法律施行令に譲ってございます。不具廃疾等程度及び介護者等範囲は、政令に譲ってあるわけでございますので、この政令を適当に改正することによりまして、ある程度趣旨に沿うことはできるものと考えます。問題は、御承知のように財政の問題でございますので、財政当局との話し合いができればすぐ解決つく問題でございますので、その方向に向かって至急検討してみたい、かように考えております。
  9. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 あなたの方で御調査願えますれば、すぐわかってくると思うのでありますけれども、運輸省におきましても、国鉄当局におきましても、おそらくは過去の使用実績というものは十分承知していると思うのであります。従いまして、まずはざっくばらんに申し上げますと、余裕はあるはずだと思います。余裕があるということは、すなわち、新たな経費は必要としないというふうに考えられるのでございます。従って、今のようなあと書きで善処しようという御発言でございますから、特にこの点について細部まで突込むという態度はとりませんが、取り扱いについて親心をもって善処しようという御趣旨がございますならば、私必ず考えられるであろうと思うのであります。  最後に、現在の法律では二等車に限られておるのでございますが、戦傷病者の精神的、肉体的苦痛、あるいは交通事情、特に列車の混雑から、座席もなく、二等から一等に移級したいという戦傷病者の心情は、これも無理からぬものがあろうと思うのでありますが、しかし、これが現在次のような取り扱いをされておるのであります。身体障害者福祉法による身体障害者手帳を所持しておる戦傷病者等一等に乗るときは、一等料金全額が徴収されておるのであります。また身体障害者手帳を持っていないところの戦傷病者は、一等と二等の差額だけ払えばよいことになっておるのであります。このようなことは、障害程度の重い者は高い料金を、そして軽い者は安い料金をというように、まことにそぐわない状況になっておるのであります。均衡を失しておるのでございます。従いまして、戦傷病者が移級乗車する際におきましては、差額だけで乗車できるように措置されたいという、これは関係者の一致いたしました強い要望があるのでありますが、これについてのお考えを鉄監局長からお願い申し上げます。
  10. 岡本悟

  11. 遠藤鉄二

    遠藤説明員 法律では二等ということになっておるわけでございます。一等の問題につきましては、二等の切符、を買って乗っていただくわけでございますけれども、その場合に、二等が非常に混雑いたしまして、一等座席があるという場合に、いわゆる上級乗りかえをいたします。これはやはり必要であろう、こういうことで乗りかえを認め、そしてその場合に、二等についてはただで、無賃でございますから、差額をいただく、こういうことになっております。これは御承知通りでありますが、それが昨年であったと思います。法律に載っております問題は、二等の運賃だけの問題でございます。急行料金本人負担する、こういう建前になっておりますけれども、昨年いろいろな御希望がございましたので、二等の急行料金準急料金につきましては、国鉄の方の負担といいますか、そういう格好乗車券に判を押して、急行料金を払わなくても二等の急行には乗れるというように改正をいたしたわけでありますが、その際、それでは一等急行料金をどうするかという問題につきましては、ちょうど昨年あたりからわれわれ準急急行以上の列車を大増発いたしたわけでありまして、まず急行準急なら、普通の場合にはかけられるように考えておりましたので、特に二等から一等への急行券の場合に、その差額をどうするかという問題まで必要ないのではないかということで、その問題は、やはり一等急行料金本人全額負担、こういうことになっておるわけでございます。しかし、そういう場合が非常に多いということでございますれば、これは考慮いたしてもよい問題でございまして、実情をよく調べまして研究をしたいと思っております。
  12. 木村俊夫

  13. 赤松勇

    赤松委員 私は十河総裁に対しまして初めて質問するわけでありますけれども、十河総裁が、長い間鉄道マンとして、いわゆる鉄道専門家である、また長い鉄道生活を経られまして、その識見におきまして、能力におきまして、かけがえのない人であるということも、よく存じ上げておるのであります。しかし、一番大切なことは、この前官房長官運輸大臣も明確に御答弁になりましたように、責任の所在を明らかにし、かつ政治の中に倫理を確立するということが、何よりも大切である。政府の方は盛んに道徳教育を強調されておりますけれども、まず政府みずからがえりを正して政治の筋を通していくということが大切であるという観点から、前の運輸委員会におきまして、私は、三河事件以来の頻発する国鉄事故の問題について、十河総裁責任をただしたのであります。しかるに、その後汚職事件頻発をしておる。あの際、私は汚職事件については言及しませんでした。しかし、すでに参議院の決算委員会におきましても、この問題が大きく取り上げられ、国民もまた、非常な疑惑の目を国鉄に向けておるわけであります。ことに新幹線は、外国の資金を借りて行なうところの重要な事業であります。その財政はすべて国家国民負担にかかってくるのでありますから、いやしくも一銭たりといえどもそれをむだに使ってはいけないということは、言うまでもないことであります。  そこで私は、第一にお尋ねしたいのは、三河事件以来国鉄において発生いたしました大小事故が一体何件あるか。もう一つは、十河総裁就任以来今日まで、すでに取り調べの終わったもの、あるいは取り調べ中のもの、そういう汚職事件が何件あるか。その事故汚職件数示していただきたい、こう考えます。
  14. 十河信二

    十河説明員 事故件数汚職件数は、ただいま私手元に持っておりません。調査いたしまして御報告申し上げることにいたします。
  15. 赤松勇

    赤松委員 むろん、私は今大小と言いましたから、小さな事故までここで全部件数を示せということは、非常にむずかしいと思うのでありますけれども、しかし、国鉄当局としては、国会へ出てこられて、そして事故の問題、汚職の問題が当然きょうは論議になるということがわかっておるのでありますから、従って、三河事件以来の事故件数のトータルぐらいは、絶えず資料としてはお持ちになっておるべきだし、当然そういうものは用意して国会おいでになるべきではありませんか。質問をして、よくわからないから、これから調べてそして後に答弁をするというようなことでは、私ははなはだしい職務の怠慢だと思います。それならば、小はよろしいから、大でけっこうです。汚職並びに事故の問題について、どれぐらいな件数があるか、もしお手元資料がなければ、記憶をたどってもらってもけっこうでございますから、それを示していただきたい。
  16. 十河信二

    十河説明員 三河島の事故あと、大きな事故は南武線の事故、それから豊肥線にも、これは死傷者はありませんでしたが、事故がありました。それからいま一つあったかと思いますが、私の今記憶しておるものはこれだけでありますが、なお調べましてお答え申し上げたいと思います。  汚職は、東海道新幹線汚職の問題が起こりましたことは、非常に残念に思います。これは名古屋、大阪、東京、横浜、そういうところに新幹線関係汚職が起こって、ただいま司直の手でお取り調べ中だと存じます。従ってどういう事実があったのかということは、詳しくはわかりません。そういう点かと思います。
  17. 赤松勇

    赤松委員 汚職事件のおもなるものを聞いたら、ろくろく答弁ができないということでは困る。そこで総裁うしろにおる諸君、十一時半まで待ってあげるから、今すぐ公社の方に電話して調べなさい。そうして答弁しなさい。そんなことは調べればすぐわかる。  そこで、念のため総裁に申し上げます。まず事故の問題でありますが、事故の問題につきましては、大小取り入れたら、これはもう無数だ。おもなるものを申し上げますと、今あなたがおっしゃった東海道線島田−藤枝間の踏切で特急「おおとり」がオート三輪をはねて死傷者を二人出しておる。これは六月十九日。七月十七日には国電山手線池袋−大塚間で電車が脱線し、そのために四時間半不通になっておる。そうして乗客が三人負傷しておる。十九日の午前、山陽線岡山駅で、貨物列車の入れかえ作業中、信号を誤まって転轍機の切りかえを間違ったため、機関車がひっくり返った。同じく二十日の午前九時五十分、鹿児島において電車列車に追突して重軽傷六十六人を出しておる。こういうように、三河事件以後事故頻発をしている。これについて、総裁はもちろん責任を感じておられると思うのでありますけれども、その通りでございますか。あなたの所信をお伺いしたい。
  18. 十河信二

    十河説明員 事故の続発いたしましたことは、まことに私の微力、不徳のいたすところと深く反省して、責任を感じております。
  19. 赤松勇

    赤松委員 あの三河事件が起きましたときに、私はテレビを見て思わず胸が詰まったのです。というのは、もちろん犠牲者諸君に対する哀悼の念もございましたが、あなたがみずから犠牲者の宅を訪問されて、そうしてその仏前で合掌され、家族の人に対しては、率直に国鉄総裁として責任を感じておる、自分責任をとる、そうして補償についても十分なことはいたします。こういうような家族の方におっしゃっておられます。家族立場からいえば、幾ら補償されても、命と取りかえるわけには参りません。従って、恨みはあなたに集中しておったと思うのであります。そういう場合に、責任者立場にある人が、現地に出かけていって、そうして家族を訪問して、みずから家族とひざ突き合わせて慰問の言葉を述べるということは、よほどの人でなければできないことだと思うのです。そういう点で、私はあなたの姿をテレビで見て、胸の詰まる思いがしまして、十河さんよくやってくれた、こういう感じを受けたのでありますけれども、しかし、それは全くテレビのビジョンだ。跡形もなく消えちゃった。その後どういうことが新聞に報道されておるかといえば、これはサンケイ新聞の十月十八日夕刊の「その後」というところにこう載っている。これはお帰りになって一ぺんお読みなさい。いいですか、ここで読んでみましょう。「あっというまに百六十人の命をうばった常磐線三河島駅衝突事件——あれからもう五か月余がすぎた。一般の人の記憶もうすれかけ、ひところ、東京荒川署荒川区役所に殺到した見舞い金品持参者も姿をみせなくなった。だが、残された遺族たちにとってはむしろこれからがたいへん。国鉄遺族補償はまだ十数人がまとまらず、遺族のうえには悲しみにくわえて生活の苦しみが重くのしかかっている。あの日、一家の柱であった長男裕夫さん(三五)二男達男さん(二七)のふたりを一度に失った副島俊一さん(六九)、ミツさん(六四)の老夫婦裕夫さんの妻、貞代さん(三三)と東京都葛飾区の公団亀有団地でさびしく暮らしている。」「裕夫さんが残した孫の茂利ちゃん(三つ)、美花ちゃん(一つ)のおもりをするミツさんは、朝晩四十分間ずつ、なくなったふたりの写真のまえで手を合わすのが日課になった。」「そしてふたりのいきどおりはそのまま国鉄にぶつけられるのだ。ふたり国鉄のしめした補償書類に、どうしてもハンを押さない。そのわけを俊一さんはこういうのだ。「十河さんはなんといいました?遺族のなっとくのいくようにします——ところが実際はどうです。天くだり式金額をきめて書類ハンを押せ——どれだけくれ、とはわたくしはいいません。金なんかもらったってもう家庭の平和はもどってこないんです。どうしてあの金額をはじきだしたのか、ふたりを殺したことをどう思っているのかを説明してくれ、といっているのです。十河さんに会って話し合いたいといっているのです。そうでなくてはわたくしたちの気がおさまらないのです。」」「いままで国鉄から係り員が三回きたが、副島さんの答えはちっとも変わらない。これからも変わりそうにない。暗い生活にたえ切れず俊一さんはこの夏、東北旅行へ出かけた。裕夫さんが死ぬまえ、父母を旅行させようと積み立てておいてくれたのだそうだ。」「「三月に、おかあさんが安心できるようにとお墓の石碑をつくってくれたのに自分らがさきにはいるなんて」——こんなぐちのあとに「国鉄にかたきうちをしてやる方法はないものだろうか」——そんなことばまでとびだすさいきんの副島さん夫妻だ。」、こう書いてある。この新聞を読んで、あなたどう思いますか。また、あなたは人間でしょう。だから、あの仏前で合掌された。この六十九才の老夫婦の三十五と二十七のかけがえのない子供さんが、孫を残して死んでいった。あのときに十河さんは何と言いました。遺族納得のいくようにします。こう言ったけれども、その後全然納得のいくような措置がとられていないという恨み言葉を述べておられます。どうしたらかたきがとれるか、これが遺族の憤りです。これに対して、国鉄の方はどういう補償をしたのですか。また、どういう努力をしているのですか。係員が三回来た、判こを押せ、こう言っている。そんなことで子供二人を殺された人の気持がおさまると思いますか。もっとあなたは人間の命というものを厳粛に、考えてもらわなくちゃならぬと思う。そんなことは、私が言わなくても、相当の御年配のことでありますし、もう世間のことはわれわれ以上に十分すいも甘いもかみわけていらっしゃる十河さんのことでいらっしゃいますから、私はくどくどは申しませんけれども、現実にまた最近の新聞に、十月十八日といえばほんのこの間の新聞に、こういうような遺族の声が出てくる。あなたはこの新聞をお読みになりましたか。国鉄諸君、高級幹部の諸君は、新聞を読んでいると思う。こういうものがあれば、もし十河さんが読んでいなければ、まっ先に総裁に見せて、そうしてどこに一体手落ちがあるか、どこに血が通わないところがあるのか、どこでパイプが詰まっておるのか、そういうことをよく検討しなければならぬ。あなた方は、デスクの上にすわっておれば、ひとりでに月給をもらえる。子供を二人失って、そうしてこの団地で暮らしておるところの、孫をかかえて生活苦に悩んでおるところの副島さん夫婦というものは、だれも月給を持ってきてくれないのです。そういうことをあなたたちはもっと真剣に考える必要があると思うのですが、一体どのように考えておられるか。どういう補償をされておるか、どのようにして遺族納得さしておられるのか、それを私は聞きたいと思う。
  20. 十河信二

    十河説明員 その新聞は私も読んで、まことに申しわけない、私もその点に涙を新たにした次第であります。補償につきましては、そのほかの方々は、だいぶ皆さん御納得を得ましてやっておりますが、大体の標準というものもきまっておりますから、これはどうしたらいいかということを、かわるがわるみんなで行って、御遺族の方と今御相談をしております。その新聞が出ましてから後にも参って、いろいろ御相談をしておるところであります。私としては、そういう不幸な方には、どんなことをしてもこれはとうてい償いがつかないということも、十分承知いたしております。そういう次第で、おくれておりましてまことに申しわけないと思いますが、なおそういうことでよく御相談をして、御納得を得るようにしたいと努力しておるところでございます。
  21. 赤松勇

    赤松委員 副島さんところにだれをやりましたか。それから今総裁が説明になりましたが、基準をつくって、そうして補償金を支払っておる、そうおっしゃいましたが、一体どのくらいの補償金が支払われておるのか、そのことを事務当局でいいから答えてもらいたい。それから総裁がこれを読んで、副島さんのところに人をやったというが、だれをやったか。もっと大きな声で答弁してもらわないとわからない。
  22. 十河信二

    十河説明員 かぜを引いておりまして申しわけありませんが、参りましたのは、関東支社長石原が行っております。
  23. 赤松勇

    赤松委員 補償額はどうなんだ。事務当局じゃないと、これはわからないよ。総裁でいいですか、わかりますか。
  24. 十河信二

    十河説明員 補償額は皆さんが言ってくれるなということで、また言わないことにいたしておるのであります。
  25. 赤松勇

    赤松委員 妙なことを私は初めて聞いたのですが、みんなが言ってくれるなと言うから、補償額を言わない。今のお話によれば、大体基準をおつくりになったのでしょう。基準というものは、何も隠す必要はないと思うのです。その基準の上下はあるかないか知らないけれども、それはあっても仕方がないと思うのでありますけれども、言ってくれるなというのは、ほんのごく少数の人の希望意見ではないかと思うのです。だから、言ってくれるなという人のものを除いて、大体一人に対して死んだ者には幾ら、あるいはけがをした者には幾ら、どの程度のものをお支払いになったのか、それを説明願いたいと思う。
  26. 十河信二

    十河説明員 ただいま申し上げましたように、犠牲になられた方々皆さんが非常に困っておられるのですから、その皆さんの御納得のいくようにということで、皆さんが言ってくれるなということで言わないことにいたしておりますが、どうせ全部片づきましたら全体は出てくることでありますけれども、ただいまのところは、そういう話し合いになっております。
  27. 赤松勇

    赤松委員 私は、間接的でありますけれども、遺族方々のずいぶん不平を聞きますよ。さらに、補償金が少ない。あの当時、国鉄は、金額は言わないけれども、誠心誠意やりますと言ったのと、実際示された金額とは非常な隔たりがあるという不満をずいぶん聞くわけであります。この新聞記事にも副島さんが言っているように、金の問題ではないと言いつつも、なお係員がやってきて機械的に判こを押せ、こう言う。判こを押さなければ、またやって来て判こを押せと言う。こういう本人納得のいくような、いわば道義的な話し合いというものが進められていない。頭から官僚的に判こを押せ、押さなければやらぬぞ、ほしければ判こを押せ、こういうやり方をやっておるということは、現に被害者本人新聞に語っておるのですよ。これは非常に重大な問題だと思う。これは知らず知らず国鉄そのものがサービス精神を忘れ、自己の責任を忘れて、そういう押しつけによって物事を処理しょうという官僚主義の現われと思うのです。  そこで委員長にお願いしたいが、国会に対してその資料を提供ができないというわけはありませんから、一つ委員長において——これは部外に出すなとおっしゃるならば、部外に出しません。われわれの参考資料として、ぜひ一つ配付願いたいということを希望しておきます。  なお、運輸大臣の約束の時間が十一時半でございますが、総裁ばかりに質問をしてあれですが、あなたに時間がないから一言言っておきますけれども、前の委員会におきまして、私は、日本国有鉄道法の第二十二条二、すなわち、総裁の職務上の義務違反という点について、これを罷免する用意があるかどうかということをあなたと官房長官に聞いたわけです。あなたは、その際、本人の自発的な良心に待つ以外にない、こういうことをおっしゃった。これから総裁の心境を聞きたいと思うのでありますけれども、その後、総裁責任を感じて責任をとろうというところの、どうも自発的な辞職の意思はないようであります。今も総裁みずからおっしゃったように、三河事件以後大事故頻発している。しかも、新しく汚職の問題が出ている。これはあとで申し上げますけれども、たとえば岩手の問題、名古屋の問題、あるいはこの間の横浜の問題、大阪の問題とか、汚職事件頻発しておる。こういう状態で総裁がなお恋々としてその職にあっていいのかどうかということは、非常な問題だと思う。重ねてあなたに私は希望しておきます。もう答弁要求しません。あなたは、当然国鉄法第二十二条二によって、これは総裁に対して適当な措置をとるということが必要である、こう思います。しかし、政府の方は依然そういう態度であるならば、この際、再検討していただいて、そして何らかの措置をとってもらいたい。もしあなたがとられない、あるいは政府がとらぬということになりますならば、私は、遺憾ながら党の決定に従いまして、総裁がその責任をとられるまで、私この責任の追及をやらざるを得ないということをあなたに申し上げて、あなたに対する質疑は保留しておきます。  委員長、十月の二十七日に、盛岡工事局の汚職の問題が発生をしております。これは業者が二人逮捕されております。それは東北本線の花券−二枚橋間の複線化工事の際に、さきに収賄容疑で逮捕された同工事局第三土木係長の林松一郎、これにそれぞれ数万円ずつ贈って、そのために逮捕をされております。それから同じく十月の十八日、これは名古屋の幹線工事局の者でありますが、この名古屋幹線工事局第一課の職員、これがやはり金銭の贈賄を受けまして、そして家宅捜索をされて、本人は逮捕されておる。すでに起訴されておるようであります。それから横浜における、この間参議院の決算委員会で問題になりました日本開発KK、この問題でありますが、この日本開発KKというのは、資本金がたしか八百万円の小さな会社です。この資本金八百万円の会社で、名前は日本開発ということになっておりますけれども、ただオフィスを持っているだけで、土地のブローカーのようなことをやっておるようです。これは、横浜で七千五百円で買った土地を一年たたない間に三万円から四万円で売って、一挙に何十億という  約二十億、この報道がはたして誤りであるかどうかわかりませんが、とにかく二十数億円の利益をあげたことがあるのです。八百万円の会社で、国鉄が土地を買収するということを、これは聞いたか情報をとったかわかりませんが、土地の買収を七千五百円でやって、そしてこれを国鉄に三万円から四万円で売り渡しておるという事実があるわけでございます。この男は、元国鉄に勤めておりまして、国鉄の内部には相当のコネクションがあるようであります。横浜地区の場合は、昭和三十五年の夏までに測量が終わった。初めは三万坪を買い付けて、それから十万坪以上の土地を買い付けた。このために、この事件について、すでに検察庁が乗り出しまして、本人が逮捕されておるということも、これは事実であります。また、その裏には銀行と政界人がおるのではないか。つまり銀行は、八百万円の小さな会社に対して七億から八億の融資をしておるわけです。七億から十億の資金を担保物件もなしにここへ回しておるという事実、さらにその口添えについては政界のある者が動いておるという事実、こういうことが報道されておりますが、一体こういう汚職事件頻発をする。ことに横浜の場合は、先ほど言ったように、外国からお金まで借りて新幹線をつくろうというときに、一銭一毛たりといえども、これは国民負担になるのでありますから、大切に使わなければならぬ。それをこの土地ブローカーに二十数億円一挙にもうけさせるということは、要するに、国鉄が二十数億円損をするということになるわけです。この事件に対して、総裁はどのように考えられておりますか。
  28. 十河信二

    十河説明員 そういうことが問題になりましたことは、まことに遺憾千万だと存じております。しかし、ただいま司直の方の取り調べ中でありまして、事実はどういう事実があったのか、事実の詳細はわかりません。私どもは、その中地の会社が、幾らでいつその土地を買ったものか、そういうことをよく存じません。しかし、とにかくこういうことが問題になったことは、今お話のあったように、どこでも——東海道新幹線に限らないのでありますが、特に東海道新幹線は、国際的にも注目の的になっております。そういうことのないようにということで、かねてから厳重に戒めておったところであります。そういうことが起こりましたということは、まことに遺憾千万だと、私は深く反省をいたしております。
  29. 赤松勇

    赤松委員 遺憾千万だ、残念である。そういうことの起こらないように注意をしておったが、こういう結果になってまことに遺憾である。深く反省をしております。そういうことは、何度も何度もあなたは言っているわけですね。三河事件以来、何度も反省されているわけだ。しかし、反省々々と言っている口の下から、こういう事件がどんどん起きてくる。現にこの汚職事件については、今東京都千代田区神田三崎町二の六鉄道建設興業会社の営業部次長をやっている石原という男が関係している。この石原という男は、その当時国鉄の課長をやっておった。そうして日本開発会社が買収をしたときには、これは普通で言えば、対策委員会というものが、土地の関係者などや市町村関係者によってつくられておる。そこで説明会を開いて、その後対策委員会で買収価格を提示して、そうして折衝をして、その後に最終契約をするというのが、今までの国鉄のやり方なんです。それが三十六年の九月に、横浜駅の周辺を買収する際、このときは日本開発会社が買収した。そのときに石原課長が、あの用地の買収はすでに話がついている、こう言って、用地課員の買収折衝を押えたというのが、疑いの原因として石原が逮捕されているわけです。これは明らかに中地という社長と意思を通じてやったのであろうという疑いから、ただいま逮捕をされているわけであります。この課長が、つまり用地課員が買収折衝手続をとろう、そういう今言ったような対策委員会を設けて、買収価格を提示して折衝する手続をしようとしたときに、課長が、あの用地はすでに買収の話がついているから、だからやる必要はないと言って押えておる。中地と石原の関係というものは、もう疑うべき余地がないわけです。国鉄の課長が、この汚職を、二十数億円の不当利益を、これをみずから助けておるという事実、そうしてその後彼は、その犯罪をくらます意味でしょう、国鉄をやめまして、現在は鉄道建設興業株式会社というものに勤めて営業部の次長をやっておる。国鉄の労働組合の組合員がやめると、これは行く先がありませんから、中には日雇いをやる人もある。あるいは他の工場で働くという場合もあるわけですが、国鉄の、少なくとも課長以上ぐらいなクラスになって参りますと、ほとんど国鉄関係の外郭団体に入ってしまう。そうして汚職の手引きをやっておる。今まで汚職の発生したのは、もうほとんど、国鉄の高級職員として勤めておった諸君が外郭団体に入って、そして内部の者とコネをつけて汚職をやっておることは、ずっと系統的にあるわけです。総裁が、ただ遺憾であります。残念であります。反省いたします。こういうふうにおっしゃいましても、三河事件以来の事故の問題、さらに相次ぐ汚職の問題、こういう点から申しまして、これ以上、国民としても、国会としても、もう黙っておるわけには参らぬ。ことに国会の承認を経て、内閣はあなたを総裁として指名したのでございますから、私どもとしましては、これ以上黙っておるわけには参らない。先ほど来私は申し上げましたように、あなたは鉄道マンとしては豊かな経験を持っていらっしゃる。高邁なる識見も能力も持っていらっしゃる。私は、その人物におきまして、あなた自身を高く評価しておるわけでありますけれども、そのことと、監督の責任、つまり職責に対するところの義務違反というものとは、おのずから違うと思うのです。なぜこういう問題が発生するか——いや、おれでなくたって、だれが総裁をやっておっても、汚職は、出てくるときは出てくるよ、やるときはやるんだよ、事故が発生するときは発生するんだよ、こうあなたが一言おっしゃれば、問題は全部終わっちゃう。それでは責任を負う者はないわけです。われわれは選挙がある。選挙でもってわれわれはきびしく批判される。あなたは選挙がないから、内閣があなたを罷免しない以上、あるいはあなたが自発的に国鉄をおやめにならない以上、これは何ともできない。どんなことが起きたって、反省します。遺憾でございますと言っておれば、そのままいすにすわっておれるのだということになって参りますならば、やはり政治の倫理という立場からいって、私はこれは非常な問題ではないかというように考えるわけであります。そこで、十河さん、日本の鉄道マンとしてはまさに最高の人物なんですから、もうこれ以上国鉄におられまして、私のような若い者からやいやい言われて恥をかくよりも、この際は、きれいさっぱり——新幹線の工事もいよいよ着工されて、だれが申しましても、これは歴史に残るのです。十河さんがおやりになったということは、歴史に残ります。これは、汚職が起きても、事故が起きても、その歴史を抹殺するわけには参らぬのであります。それはさん然として歴史の一ページに刻み込まれるのでありますから、この際あなたは一つ、余生を大いにゆうゆうと自適していただく、この辺がどうも、失礼ながら引退の時期ではないかというように私は判断をするのであります。国鉄は、有為な人材も下にはたくさんおるのでありますから、あなたは引退されて、そして人事を大いに刷新されまして、生き生きとした人事交流をやって、新しい民主的な国鉄をつくり上げるという突破口をこの際おつくりになる意思はないでございましょうか。私はもうこれ以上——今後も、あなたがやめぬ限りは、何度も何度もやらざるを得ないのでありますが、いかがでございますか。あなたの心境をこの際お伺いしたいわけです。
  30. 十河信二

    十河説明員 私に対して過分のお言葉をいただきまして、また、御親切な御忠告をいただきまして、私は感謝にたえません。しかし、汚職の問題も、ただいま申し上げました通り、目下司直の手で取り調べております。石原も、今、逮捕せられたというお話でありますが、私が聞いておるところでは、逮捕せられていないように伺っております。そういうふうななにがどういうふうに発展いたしますか、わかりません。いろいろ事件が起こりまして、私は深く反省して、こういう事件事故をなくするようにできるだけの努力をいたしております。ただいまのところ、こういう汚職の問題があるからといって、今すぐやめるという考えは、遺憾ながら持っておりません。
  31. 赤松勇

    赤松委員 それじゃ、今やめる意思がなければ、何ですか、新幹線でもでき上がったら、そのときはおやめになるという意思でございますか。どちらにしましても、三河事件以来、あなたは責任をとっていない。だれも責任をとっていない。東鉄ですか、あそこの局長ですか、一人やめたかなんかして責任をとったようですけれども、あれだけの人を殺しておいて、局長一人に全部責任を負わして、最高責任者のあなたがのほほんとしておられるなんということは、私は、あなたの強心臓、悪心臓に実は驚いておるわけでありますけれども、そういう点については責任を感じているということは再三おっしゃいましたが、どうでございますか、くどいようでございますけれども、責任を感じておるならば、適当な機会に引退をしたい、こういうふうにお考えになりませんか。どうでございますか。
  32. 十河信二

    十河説明員 私も万年総裁を勤めることは、もちろん肉体的にも精神的にも不可能でありますから、そんなことは申し上げられません。さればといって、いつやめるかということをここで申し上げることは、遠慮いたしたいと存じます。
  33. 赤松勇

    赤松委員 総裁、この間、毎日新聞だったかな、「こだま」の運転手の東京−大阪間を運転する非常に危険な状態ですね、あれが書いてありましたね。私はあれを見てびっくりしたのです。一分違うと追突したりなんかしちゃうわけですね。今度新幹線ができれば、ああいう点はよほど緩和されてくると思うのでありますけれども、ああいう乗務員の労苦というものは、国民はあまり知らないわけですね。しかも、職員の給与ベースが民間と比べて均衡を失しておるということも、これはあなたも御存じであるし、国会でも問題になっておるわけであります。三河事件だって、私はそうだと思うのですね。あの線で一体どれぐらいな汽車が走っておるか、しろうとのわれわれだって非常に心配です。たとえば東海道線の場合なども、途中で事故が起きたら、そのあと列車がすでに駅を発車すると、おそらくもう連絡がとれないのじゃないですか、無電かなんかでもない限り。今無電の設備がないということになると、これは追突は免れない。ブレーキをかけても、惰力でもってどおんとぶつかるという危険な状態だということを、私は乗務員からも聞きましたし、それから毎日新聞の記事を読んで、これじゃということを実は感じたわけであります。ああいう状態ならば、事故が発生するのはあたりまえなことです。僕は、名前は言いませんけれども、国鉄のある人が冗談話に、なに、十年に一回ぐらいの事故は計算に入っているんだ、こういうことを不用意に、冗談まじりにおっしゃったことがあるわけですが、それは十年どころか、あるいは一年に一回ぐらいあってあたりまえな状態であります。みんな知らずに汽車に乗っている。のろのろ走っている、どうしてもっとスピードを出さぬか。スピードを出したら追突してしまう。ですから、あの線というものは、ほとんど列車がずっと続けて走っているようなものですから、ブレーキかけて止めたって、追突する危険が十分にあるわけです。そういう中を、従業員諸君が命を的にして働いているわけです。しかも、給与ベース、待遇というものは、民間と比較して著しく均衡を失しているということなども、あなたは十分にお考えになって、そうしてそこで労働問題がかりに発生をしたとしても、そういう状態の中で、非常に危険度が高い中で、心身の消耗をあれしながら危険な作業に従事しているということを、十分お考え願いたいと思うのであります。私は、実はきょうはあなたとここで四つに組んで、手きびしく十河さんをたたきつけるか、私がたたきつけられるか、大いに勝負したいと思ったのでありますけれども、あなたの答弁を聞いていると、私も、どうもそんな勇気がなくなって、年令の差異、あるいは生理的、肉体的な条件からくるかどうかわかりませんが、どうもそういう勇気がないようであります。この辺は、一つあなたの自発的な良心の喚起を私は求める。それと同時に、政府に対して、あなたをやめさせろという要求は、これからずっと続けていくということを明らかにいたしまして、私の質問を終わります。      ————◇—————
  34. 木村俊夫

    木村委員長 この際、私鉄運賃値上げ問題について、ただいままでの経緯を政府当局より説明を聴取いたしたいと存じます。岡本鉄監局長
  35. 岡本悟

    岡本説明員 昨年八月、大手私鉄十四社から賃率平均一五・七%の値上げを内容といたしますところの運賃改定の申請を受けましてから、運輸省といたしまして、私鉄各社の経理内容、輸送力増強の必要性、及びそのための工事計画の具体的内容につき検討を加えますとともに、政府の物価政策等の関連もございまして、経済閣僚懇談会を中心といたしまして、政府部内におきましても、慎重に検討して参った次第でございます。  その間、昨年八月申請を受けました直後に、運輸審議会に諮問いたしまして、御審議をお願いして参ったのでございますが、本年十月十九日に、御承知のように賃率平均一〇%の値上げを適当とする旨の答申を受けまして、運輸省といたしましても、私鉄運賃値上げ国民生活に及ぼす影響をできるだけ少なくするとともに、私鉄の逼迫した輸送状況を改善する必要性を考慮いたしまして、答申の平均一〇%値上げは妥当なものと考えまして、同日答申通り十一月一日からの平均一〇%値上げを認可いたしたのでございます。  大手私鉄の沿線は、近年人口の都市集中と団地の造成等によりまして、通勤、通学客が急激に増大いたしておりまして、列車の混雑は激しくなる一方でありますので、これに対処いたしまして、私鉄の輸送力の増強と運転保安の確保のためには、総額一千二百億円をこえる工事を昭和三十六年度から三カ年間に実施させる必要があると考えますが、この工事の実施に伴う資本費の増高が、すでに収支の均衡を失っております私鉄経営に著しい負担を加えることとなりまして、このまま放置することはできない状態にございますので、最小限度の運賃改定を認めたものでございます。  今回の認可に際しましては、各社に対し、必要な輸送力増強及び運転保安工事を確実に実施するよう指示いたしますとともに、その実施状況につきまして、定期的に報告させることといたしております。  なお、今後とも私鉄の都心乗り入れ工事、踏切保安施設の工事等、公共性の高い問題につきましては、財政投融資及び税制上の措置につきまして、関係各方面の協力を得て、強力の推進いたしたいと存じております。  簡単でございますが、以上が経過でございます。
  36. 木村俊夫

    木村委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。井岡大治君。
  37. 井岡大治

    ○井岡委員 これはいつからおやりになったのですか
  38. 岡本悟

    岡本説明員 今申し上げましたように、去る十月の十九日に認可いたしまして、十一月一日、きょうから実施するということでございます。
  39. 井岡大治

    ○井岡委員 私鉄運賃の項については、これは運輸省の専決事項でありますから、あえて運輸委員会に御報告をされる必要はないかと思いますけれども、私は、運賃値上げに伴う国民生活への圧迫、同時にこれと関連して、諸物価の値上げ等々から考えますならば、当然これらの問題について、当局は、せっかく運輸委員会が開かれておることでもありまするから、進んでやはり態度を明らかにする必要があるのではないか、こういうように考えるわけです。ということは、最近の私鉄の保安施設、あるいはその他の条項等が、かなり乱れておるわけですから、これらの問題について、単にどういうようにやるのだというようなことを、その条項だけでなく、もっと具体的に説明をされないと、運賃の値上げの理由というものは非常に薄弱になってくる、こういうように思うのですが、この点等についてのお考えを承りたいと思います。
  40. 岡本悟

    岡本説明員 御承知のように、大手私鉄十四社の沿線の人口が非常にふえて参りまして、特に通勤客が非常にふえて参っております。一例をあげますと、東京都並びにその周辺の場合でございますけれども、いわゆる首都圏と申しております大体通勤可能の五十キロ圏内とお考えいただければいいのでございますが、年々この圏内におきまして、人口は一年に三十万前後ふえております。ところが、その半分はいわゆる通勤客になるという統計の数字が出ておるのでございまして、非常な勢いで通勤客がふえておるということが言えるのでございます。もちろん、私鉄も輸送力の増強に相努めておりまして、昭和三十年度に比較いたしますと、昭和三十五年度には、運転しております車両の走行キロは三割増に相なっておりますけれども、遺憾ながら通勤客の増加というものはそれを上回っておる勢いでございますので、御存じのような、特に朝のラッシュにおける通勤の混雑が激化しておるというふうな状態が現われておるわけでございまして、始終、これも新聞等で御存じのように、客車の窓ガラスが相当数割れるとか、あるいは乗り切れないで、その次の電車あるいはそのまま次の電車へ乗りおくれるというふうな状態も随所にあるわけでございまして、こういった状態々急速に解消せしめなければならないというのが、現在の鉄道行政の、特に都市交通行政の大きな課題になっておるわけであります。そのために、運輸省といたしましても、昭和三十六年度から新しく三カ年計画を立てまして、この三カ年のうちに総額千二百六十五億円の投資をさせまして、輸送力の増強を実施し、踏切あるいはその他の運転保安を確保するという工事をやらせようということでございまして、そのためには、当然資本費が非常にふえて参ります。あるいは減価償却をしなければならない額もふえて参りますし、あるいは経常費的に見ましても、人件費等の値上がりもあるのでございまして、収支の均衡を失するという状態になるわけでございます。従いまして、必要なこういった工事のための投資を行ないますためには、まず収支の均衡を得させる、つまり、必要な投資のための借入金をやりましても、それに対する利子も払える、あるいは減価償却もできるというふうな経営基盤の健全化ということをしてやらなければできないわけでございますので、そういう見地からやむを得ず運賃値上げを認めた次第でございますが、もちろん、これが家計あるいは消費生活に及ぼす影響は見のがすことができないとは存じますけれども、まあ統計的に申し上げますと、つまり全般的な、総体的な見方をいたしますと、交通費の家計に占める割合は二・一%でございます。これはごく最近の総理府の統計でございますが、そのうち、私鉄運賃の占める割合は〇・四%ということに相なっておりますので、その〇・四%の一〇%値上げということになりますと、総体的に見ますと、まずまずそう大して影響はないというふうに判断いたしたのでございます。もちろん、私鉄業者の申請は一五・七%でございましたものを、いろいろ検討いたしまして、そういう物価政策上の考慮も加えまして、平均賃率一〇%の値上げにとどめたわけでございまして、あと経営者の経営努力に待つということでございますので、国民、利用者一般の御了承も願えるかと存じます。もちろん、この運賃値上げをいたしましたものは、すべて利用者に還元させるという建前でございまして、そのために、先ほど経過で申し上げましたように、運賃認可の条件といたしまして、必要なる輸送力の増強工事を公表いたしまして、これはぜひともやらせるという条件をつけておるような次第でございまして、必ずやこの運賃値上げというものが、輸送力の増強、あるいは保安の確保ということに現われまして、利用者の皆様に還元していくということが、現実におわかりいただけるものと考えております。
  41. 井岡大治

    ○井岡委員 私は、それらの問題をやはり公にするということが必要だと思うのです。ということは、先ほどお尋ねをいたしましたように、少なくともそこまでお考えになつてこれを値上げしたというのであれば、これは国民に明らかにしなければいけないわけです。そうでないと、今言われたように、その条件が円滑に遂行されておるかどうかということの監視をする者が、だれもおらないわけです。結局はあなた方だけにおまかせをするより仕方がないということになる。そういうことでは、今後の私鉄経営というものを、さらに基盤を強化していく上においても、大きな影響を持つのではないだろうか。もしこれがうまくいかなかった場合に、だれが責任を持つんだ、こういうことになりやしないかということです。少なくともこれは専決事項でありますから、別にここで言わなくてもいいんだということでなくて、進んで、こういう考え方を持っておるから、国民は協力をしてもらいたいという考えこそ、私は私鉄基盤を強化するゆえんだというように考えるのです。その点について、今後そういう措置をとられるのかどうか。あるいはそういう値上げをされた計画というものを公にすることがむずかしければ、少なくともやはり運輸委員諸君には配ってやる、こういうような親切があるのかどうか。こういう点をお尋ねをしておきたい。
  42. 岡本悟

    岡本説明員 実は、当委員会には、私鉄十四社の工事計画、つまり輸送力増強あるいは運転確保のための工事計画についての資料は、まだ御配付申し上げておりませんけれども、すでに、十九日に運賃改定につきまして認可いたしました際に、新聞社の方にはこれを発表いたしまして、新聞社を通じて、すでに国民の前に明らかにしておるのでございまして、おもな工事につきましては、各社別に新聞を通じて利用者各位は知っておられるわけでございます。その点、運輸委員会に御報告申し上げるのが大へんおくれまして申しわけございませんが、後ほどまた御配付申し上げたいと存じます。  そういうわけで、従来と違いまして、各社の工事計画は全部発表してございますから、国民は一々これをトレースすることはできるわけでございます。その点御了承いただきたいと存じます。
  43. 井岡大治

    ○井岡委員 今、新聞社に発表したから国民はみんな知っておるだろうということだけれども、私はあの記事を読んだのですが、新聞社の記事は一五・七%の値上げを一二%にした、あるいは一〇%程度にするんだ、これだけであって、そうして保安その他のことを十分にやるように今後指導するんだ、これだけしか載っておらなかったように記憶をしておるわけです。私は、別にこの値上げそのものをどうこう言う考え方は、いろいろあなた方がお考えになっておるのだから、これはまた別な機会に申し上げます。しかし、将来、私鉄をどう発展をさすかという基盤をつくるためには、やはり公にしておいた方がいいのではないか。そうでないと、いろいろな事故が起こった場合において、その事故責任は、今の国鉄総裁の話じゃないけれども、これは全部、金が足りなかったからできなくて、こういう事故が起こったんだ、こういうことがえてして言われがちなものです。それを監視するのはだれか、こういうことを私たちはやはり考えてみる必要があるのではないか。そういう意味から、私は、でき得るならば、新聞社にお配りになるだけの資料がおありなら、運輸委員会にお配りになっても決して差しつかえないのではないか、こういうように考えておるわけなんですが、こういう配慮をされるかどうか、この点をお伺いしておきます。
  44. 岡本悟

    岡本説明員 井岡先生は、十九日に認可いたしましたその翌日の新聞には、ただ平均一〇%の値上げを認めたという記事だけであって、工事計画については何ら出ておらぬというふうなお話でございますが、私の見ました限りにおきましては、ほとんどの新聞社が具体的な工事計画を載せております。従って、沿線の利用者の皆さん方は、大体どういうことをするんだということはちゃんと記憶に残っておるというふうに私は判断しております。  なお、当委員会に御配付申し上げなかったのは大へん手落ちでありまして、その点は、さっそく仰せのように御配付申し上げたいと存じます。  この工事計画につきましては、実は一年間にわたりまして私の方で各社の詳細な工事計画を一々当たりまして、必要最小限度、つまり通勤、通学輸送力の打開に関係ある工事のみに限定したいきさつもございまして、非常に苦労をいたしまして査定したものでございますので、そのこともつけ加えて申し上げておきたいと思います。
  45. 井岡大治

    ○井岡委員 ですから、私は先ほど申し上げておる。これはあなた方が苦労されたことはわかります。こう言っておるのです。将来をどうするかということを考えないではいかないから、そういう処置をとってもらいたい、こう言っているだけであって、そのことを直ちにけしからんとかけしかるということについては、あるいは国民生活に及ぼす影響はどうかということについては、別の機会にあらためて申し上げることにする、こう言っておるわけですから、そういうように御理解をいただかないといけないのではないだろうか。そうして現在行き詰まった交通というものをどうしたら解決するかということについて、みんなで努力する、研究をする、そういうことでない限り、行き詰まった今の交通難というものは打開できない、こういうように私は考えているわけなんです。そういう意味で、十分今後なにしていただきたい。このことについて特にお願いをして、私は、それを見せていただいた上で、十分な今後の施策等についてお伺いをする、こういうことにいたしたいと思います。
  46. 木村俊夫

    木村委員長 田中織之進君。
  47. 田中織之進

    ○田中(織)委員 一点だけ鉄監局長に伺いますけれども、今度の私鉄の運賃値上げを認可するにあたっては、先ほどあるいは局長から報告があったかもしれませんけれども、当然運輸審議会に相談をかけていると思うのですが、それは具体的にはいつでしょうか。
  48. 岡本悟

    岡本説明員 昨年八月に申請がありまして、たしか九月十五日前後であったと思いますが、運輸審議会に諮問いたしまして、運輸審議会自体といたしましても、自来検討を重ねて参りまして、十月の十九日に運輸審議会が答申を出したわけでございまして、運輸大臣としても、この答申をいただきまして、即日認可したような次第でございます。
  49. 田中織之進

    ○田中(織)委員 形式的には運輸審議会から十九日に答申があって、即日認可したという形になっているのですけれども、すでに、審議会の答申が出る前に、やはり閣僚懇談会なり閣議で、運賃の問題についてどの程度の値上げを認めるかということについての政府の腹がまえというか、そういうものをきめて、形式的に運輸審議会の答申が出るのを待って、即日認可をした、こういう形になっておると思うのです。きょうはあまり時間もありませんから、別の機会に追及いたしますけれども、その意味で、運輸審議会の答申が、運賃の改定等の場合における運輸大臣の認可の必ずしも決定的な条件であるかどうかということについても、私どもまだはっきりつかんではいませんけれども、少なくとも常識的に考えるならば、やはり運輸審議会というもので十分討議した後に決定されるべきものだと私は思うのです。それでなければ、運輸審議会というものを設けている意義がない。そういうところに、先年問題になった武鉄事件のような形の新線の認可の問題というようなものも、運輸審議会等の——これは建設関係の委員会もありますけれども、そういうものとの関連でそこに一つの私の方としては理解できない問題が残っておる、このように実は考えるのです。その意味で、運賃値上げの問題についても、申請をして以来、たびたびこの委員会で取り上げられていると思うのです。しかし、今局長が答弁されたような、各社の安全運転、あるいは運送力増強に関する工事計画というようなものから、値上げはやむを得ないのだ、こういう計画があるんだという形で出されるのではなくて、井岡委員から言われたように、そういうような資料は、申請されたときに、やはり国会運輸委員会にすぐこういう形で出てきているというものを見せていただかないと、運輸大臣に決定権を与えておるということについて、いわゆる常時監察機関としての国会の機能というものを果たすわけに実は参らないので、その点は、きょうは局長以上の方はおられませんが、私は、局長を通じて運輸大臣なりその方面へはっきり伝えてもらいたいと思うのです。これにしても、きょう報告された。きのうも、たまたま委員会が開かれているのです。きのうは政務次官が出て、十八次計画造船についての融資条件等が変更したということについての報告は、当局から説明されている。きょう運輸大臣が退席する以前に、運輸大臣からこうなんだと言うなら、これまた理解できないことはないと思う。きのう運輸政務次官から、運輸省として重大な問題だからと言うて、造船計画についての最近の決定事項というものを報告されるなら、なぜきょうなされる局長の報告というものをきのうやらないか。そういう点から見ても、これは運輸省の専決処分だから、権限内の問題だから、そんなのはあとでもいいんだというような考え方は、今たまたま出てきたように、新聞に詳しい工事計画が発表されたんだから、皆さんそれで御理解いただきたい、利用者もとにかくそれを見てなにしているでしょう、こういう言いぐさは、私はないと思うのです。われわれは、閉会中でもこうして委員会を開くことが認められており、また、皆さん方に質問をする権限が与えられているというのは、これは行政機関に対する国会一つの職能というか、義務というか、そういう立場からやっているわけですから、私は、その点で、たまたま今度の運賃値上げの発表の形式、あるいは決定がなされる場合の運審との関係の問題というようなことについても、多くの問題を含んでいると思うのです。そのことについては、いずれ機会を改めて、この運賃値上げが一般物価にどういう影響を及ぼすかという問題に関連して、井岡君同様、私ら社会党の立場において、こうした公共料金の値上げには反対しておる立場から——しかもこれはもう参議院の選挙の前から問題になっている。おそらく池田さんがヨーロッパへ行かれる前には発表するだろうと言っていた通り、やはり四日に出発する前に発表して、一日から実施している。そういうことから、政府与党の、あるいは政府の計画的な相当長期の見通しの上に立って作業を進められておることが、たまたま出てきているわけなんです。いずれそういうことと関連して別の機会に追及いたしますけれども、私は、この機会に、やはり新線建設の場合で毛そうでありますが、運輸省に設けられておる運輸審議会なり建設審議会なり、そういうようなものと事務当局とが、そういうような委員会の機能を十分活用することを考えなければ、こういうような問題については、運輸大臣の権限にまかせないで、やはり一々国会にかけなければきめることができないような法律改正をやらなければならぬことになると私は思うのです。その点から見れば、あなたたち事務当局をさらに縛るような結果に発展しないとも限らぬと私は思うので、この点は十分今後留意してもらいたいという点、これは意見だけ申し上げて、私の質問は終わります。      ————◇—————
  50. 木村俊夫

    木村委員長 港湾に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。山田長司君。
  51. 山田長司

    山田(長)委員 港湾運送事業の問題につきまして、数点伺っておきたいと思います。  昭和三十四年に法律六十九号をもって制定され、港湾運送事業は同年の十月一日に実施され、それから附則第二項の規定によって三年間の猶予がなされておった。それがこの十月一日に発効したことになるわけです。そこで免許事業としてこれが取り扱われることになったが、この法律の制定については、ここで申し上げるまでもなく、運送事業法の第一条に、港湾運送事業の健全な発展をはかり、もって公共の福祉を増進することを目的とするという規定がありますように、港湾事業の重要性は今さら申し上げるまでもないことですが、この法律が出た当時、参議院においては、特に本法の制定にあたって、港湾労務者の福利厚生施設の拡充をはかるということが附帯決議になっておると思うのです。しかるに、運輸当局は、この法律の発効を目の前にして、これらについてはどういう処置がとられておるのか。まず最初に伺っておきたいと思います。
  52. 岡田良一

    ○岡田説明員 ただいまお話のございました港湾労務者の厚生施設の拡充の点でございますが、港湾運送料率が、この法律施行されます前までは公示料率ということになっておりまして、その内容は、原価計算をいたしまして、それを公示いたしまして、それに対して特に異議がなければそのまま発効する、異議がある場合には、運輸省に異議の申し出がありまして、これを運輸審議会できめる、そういうような関係になっておりますが、運輸省といたしましては、港湾の作業料率の中に、労務者に対する福利厚生のための特別の金を入れるようにという指導をして参っております。昨年の九月に港湾運送料率の値上げをいたしましたときも、関係業者の間では話し合いがつきませんでしたので、これは運輸審議会の決定によって最終的に決定したわけでありますが、その中にも、やはり港湾運送事業者の厚生施設のための分担金を各社が出すということで原価計算をいたしておりまして、それを集めまして、港湾労務者の福利厚生施設の拡充に資するということになっておりまして、これが今後だんだん実行されていくと思います。  第二の点といたしましては、港湾労務者の福利施設の拡充のためには、港湾管理者においてできるだけ協力をして、力を入れてくれということを港湾管理者にもお願いいたしまして、現在その線で各港湾管理者においていろいろ努力をしていただいております。  それから労働省関係におきましても、雇用促進事業団というものが最近できまして、昨年の船込みを契機といたしまして、雇用促進事業団において港湾労務者の専用の住宅を建てるとか、また港湾労務者の福利厚生施設を事業団がつくるという方向で、来年度予算においても要求をしておるように聞いております。以上であります。
  53. 山田長司

    山田(長)委員 港湾運送事業法の第六条に掲げている免許基準に適合する、適格か不適格か、この各種の免許申請書類もむろん調査をすると思いますが、この調査書類の対象としている実態調査、これはしかる場合にどうしてやりますか。
  54. 岡田良一

    ○岡田説明員 実態調査は、地方の海運局なり支局において、申請書が出ました場合に、その内容と現実に合わない点があるかどうかを実態調査することにいたしております。
  55. 山田長司

    山田(長)委員 万一調査を行なわないで、書類の提出だけで免許あるいは不免許をきめたというような場合が、私はないとは限らぬと思うのです。こういう場合、法の権威を失墜するもはなはだしい結果が生まれると思うのですけれども、この場合、当局はこれに対するどういう処置をとりますか。
  56. 岡田良一

    ○岡田説明員 現在海運局及び同支局におきましては、これに従事しておる職員の数も非常にわずかでありまして、この申請書類が一度に殺到いたしますと、実態調査の点もなかなかむずかしくなると思いましたので、できるだけ書類を早目に出すようにという指導をここ三年間ずっとしておったわけでございますが、業者の方としましては、ぎりぎりにならないと書類が出せないというふうな、業者としてはあまり早く書類を出したくないというような気持もあったと思いますが、結局最後の締め切りのぎりぎりになって書類がたくさん出て参っておるような状況であります。現在としましては、海運局を総動員をいたしまして、実態調査に遺憾のないように期したいと思っておりますが、なお海運局の職員が不足と思われますので、来年度予算で海運局の関係の職員を多少でも増員したいというふうなことも、現在考えております。しかし、実態調査につきましては、若干時日がおくれましても、できるだけ完璧を期するように指導をいたしております。
  57. 山田長司

    山田(長)委員 附則の二項に、経過規定がございます。この経過規定というのは、むろん検数事業を営んでいる人たちに対して、法律施行をされるにあたって、三年間は同法による免許を受けない者も事業を行なうことができる形になっておったと思うのです。しかるに、この経過規定も守られずに、しかも、この書類の提出による免許がなされるものとするならば、これはせっかくの経過規定というものを設けた何らの意味がなくなってくると思うのです。こういう点が、もし万一、この経過の三年間の規定を守られずに進められるとするならば、これは私はゆゆしい問題だと思うのですが、その点はどうなんですか。
  58. 岡田良一

    ○岡田説明員 ただいまのお尋ねは、三年間の経過規定がなしにこの法律がすぐ適用されるような場合があるか、そういうことがあると大へんな問題だというふうに理解をしたのですが、それでよろしゅうございましょうか。
  59. 山田長司

    山田(長)委員 経過の規定が設けられて、三年間というものは一応免許がなくても仕事をすることが許されておったと思うのです。その経過はないで、今度の場合、書類だけを提出して新規に許可をとろうというところがあるのじゃないか。そういうことはないかというのです。
  60. 岡田良一

    ○岡田説明員 九月三十日現在の申請状況を見ますと、新規のものは一件だけしか申請が出ておりません。
  61. 山田長司

    山田(長)委員 せっかく今までどうにか仕事をやっておった公益法人があるわけですね。しかるに、今度の申請は相当数に上っておると思うのですが、その公益法人に併呑するというふうなことではなくて、新たにどんどん許すということになれば、働いている労働者の福祉という問題などはそっちのけになってしまって、認可を受けたところは、お得意争奪戦にみずから走ってしまう。勤労者の福利を考えるというようなことのゆとりがなくなってくるのじゃないかという懸念がなされるわけです。そういう点は、どうして公益法人がありながら新たに設立をさせるのかということが、どうも理解に苦しむわけです。その点どうなんです。
  62. 岡田良一

    ○岡田説明員 現在、検数事業に対しましては、公益法人のほかに相当数の会社がございまして、それぞれ営業しておったわけですが、今回の免許切りかえの機会におきまして、原則として既存の公益法人のどれかに入るか、それとも各港で既存の法人に入らない連中が集まって公益法人を作るか、どちらかの形において、できるだけ業者の規模を大きくし、かつ過当競争をしないようにという指導をして参っております。現在、公益法人になれということが、実は法律上強制できないわけでありますので、行政指導で相当強力にやったわけでありますが、なお、なぜ公益法人でなければならないか、法律にはそういうことが書いてないというようなことで相当反撃もありまして、最終的に全部を公益法人にするということはできておりませんが、ある程度の効果をおさめております。
  63. 山田長司

    山田(長)委員 大臣の名において免許を与えるというふうなものについて、一般人が見た場合に、審査の具体性、基準というものが欠けているという印象があるわけです。やはり免許の審査の厳正を期するためにも、免許基準というものが明確に把握されるような形が生まれないと、事業の運営に障害が起こってきやしないかという気がするのです。免許基準というものは、どういうところに置いているのか、その明確性を一つ打ち出してもらいたい。
  64. 岡田良一

    ○岡田説明員 免許基準につきましては、港湾運送事業法の第六条に、需要供給の関係とか、当該事業を適確に遂行するに足る労働者及び施設を有するもの、責任範囲が明確であるような経営形態、つまり下請に全部流してしまうというようなことがない、それから当該事業の経理的基礎が確実性を有すること、というようなことを法律に規定しておりますので、この線に沿いまして、それぞれの項目について具体的に審査して、免許するかどうかということをきめることにいたしております。
  65. 山田長司

    山田(長)委員 事例を申し上げてお話をいたしますと、タクシー業者の場合に、免許をもらった者が、その免許の台数をほかの人に売って利益を得るという、免許をとるだけの仕事をしている人がいるそうです。それと、この場合における第六条の規定というものは、許可だけとってそれをほかの施設に売り込むためのものがありやしないかという危惧があるわけですよ。それで、労働者の数などというものはまことに微々たる数をかかえておって申請をしているところがあるということです。こういうことでなくて、すでに何千人かの人たちをかかえている公益機構の中へ併呑して、あるいは糾合する奨励をして、それによってこれが運営を円滑化するための努力がなされるべきものではないかという気がするのですけれども、この点はどうなんですか。
  66. 岡田良一

    ○岡田説明員 検数に関する公益法人は二社ございましたわけですが、これの設立のいきさつその他も見て、過去においてすでにこの法人に全部入れという指導をずっとして参ったわけでございますけれども、結局いろいろな関係から法人に入らない。それからまた一たん法人に入ったものでも、あとで飛び出すというようなことがあったために、その後法人以外の相当小さな業者が発生してきたというふうな経過になっております。今回の免許に際しましては、原則として、できるだけ各既存の法人に入る。しかし、それが従来のいきさつその他の関係上どうしても入れない場合には、相当の規模であれば原則として各港に一つを限って新しい公益法人の設立を認めるので、どちらかの方に業者としては道を選んで入らないと、免許ができないであろうというふうなことで行政指導をして参って、先ほど申し上げましたような結果に到達しておるわけであります。
  67. 山田長司

    山田(長)委員 最後に一点だけ申し上げて、私の質問を終わります。それは参議院の方で、港湾労務者の福利厚生施設の拡充という附帯決議が数年前になされて、この法律は通ったと思うのです。ところが、その後聞くところによると、運輸省当局は、これについての港湾労務者の福利厚生施設等については、何ら指導、監督をしてないじゃないかということが言われているわけです。この点について、労務者に向けてどういうことを福利厚生施設等の中心勢力として、この附帯決議を守って指導に当たっておられますか。
  68. 岡田良一

    ○岡田説明員 港湾労務者に対する福利厚生施設の点でございますが、中心になりましたのは、運輸省の指導によって、港湾管理者がそれぞれの港において福利厚生施設をつくる。これは港湾管理者がつくります場合に、関係の業者ももちろん金を出しまして、それの運営は、各地に港湾荷役改善協会というような団体で、前からあったものもございますし、最近新しくつくらせたところもございますが、そういう団体をつくりまして、そこで運営をやらせる。昨年からこれの地方の各改善協会なり、またその連合体を中央につくりまして、これを通じて強力に指導していきたいというように考えております。
  69. 山田長司

    山田(長)委員 実は私この質問をする気になったのは、私も二、三年前に運輸委員会に席があったこともありますが、この法律が通ったときに労務者から陳情を受けまして、もしこれが乱立した姿で生まれてくるならば、厚生施設などはちっとも考えられないで、これに力を入れるどころでなくて、お得意さんの争奪みたいな形で、そっちの方へ力が入っていって、全然港湾労務者に対する厚生福利というものが考えられない。それからあと今日に至っても、このことについての免許がどうなるかということで、実は戦々きょうきょうとして今日まで過ごしてきておるわけです。ところが、少人数の労務者をかかえているまことに微弱な営利法人ができかかっておって、まことに不安定な状態に置かれている。労務者のことなんかはちっとも考えられない事態に今日なってきてしまっている。こういうことで、このままの姿でまたまた免許がなされたとすれば、これはもう労務者の福利厚生施設どころでなくなってしまう、こういうことを伺ったものですから、この点についての指導育成というものが、運輸省当局は多少欠けておって、免許の方にばかり、書類上のことにだけ重点が置かれて、厚生施設などについての指導育成というものがなされずにおったのではないかという危惧があるものですから、伺ったわけなのです。その点、最後にもう一つ伺って、私の質問を終わります。
  70. 岡田良一

    ○岡田説明員 運輸省におきましても、実は過去において労務関係の問題についてあまり積極的でなかったようなこともあったかと思いますが、現在の状況におきましては、港湾においては、労務問題というものは非常に重要な問題でありますし、これは所管のことを言いますと何ですが、これは労働省の所管になるわけであります。しかし、運輸省といたしましても、労働省所管だと言っておるような時代ではないと思いますので、ここ一、二年来特に労働問題に力を入れるということで、昨年も、実は先ほど申し上げましたような福利厚生の金を全部原価計算に織り込みまして、ただし原価計算に織り込んだものは供出をして福利厚生資金に充てるというふうな考え方でもやっておりますので、今後とも大いに力を入れてやっていきたいと思います。
  71. 木村俊夫

    木村委員長 次会は公報をもってお知らせいたすこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十二分散会