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1962-10-31 第41回国会 衆議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十月三十一日(水曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 木村 俊夫君    理事 佐々木義武君 理事 細田 吉藏君    理事 山田 彌一君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君       有田 喜一君    有馬 英治君       尾関 義一君    加藤常太郎君       川野 芳滿君    簡牛 凡夫君       砂原  格君    福家 俊一君       増田甲子七君    石村 英雄君       加藤 勘十君    勝澤 芳雄君       島上善五郎君    田中織之進君       畑   和君    松原喜之次君       内海  清君  委員外出席者         運輸政務次官  大石 武一君         運輸事務官         (海運局長)  辻  章男君         運 輸 技 官         (船舶局造船課         長)      鈴木 春夫君         海上保安官         (海上保安庁警         備救難部長)  樋野 忠樹君         専  門  員 小西 眞一君     ————————————— 十月十九日  委員島上善五郎辞任につき、その補欠として  堂森芳夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員堂森芳夫辞任につき、その補欠として島  上善五郎君が議長指名委員に選任された。 同月三十一日  委員矢尾喜三郎辞任につき、その補欠として  畑和君が議長指名委員に選任された。 同日  委員畑和辞任につき、その補欠として矢尾喜  三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  海運に関する件(第十八次計画造船に関する問  題)  海上保安に関する件(金剛丸事件に関する問  題)      ————◇—————
  2. 木村俊夫

    木村委員長 これより会議を開きます。  海運に関する件について調査を進めます。  この際、政府当局より第十八次計画造船の現在までの経緯について、説明を聴取いたしたいと存じます。大石政務次官
  3. 大石武一

    大石説明員 本年度は、第十八次造船といたしまして五十万トン造船を予定しておったわけでございます。これはとうに建造に着手すべきでございましたが、御承知のような世界的な海運業界景気の低迷、ことに日本海運業界におきましても、いろいろな不利な条件がございまして、あまり景気がよくなかった。また、一つは国全体の景気の引き締めの状態もございまして、なかなかこの新しい造船に対する熱意が十分でございませんで、その造船意欲というものが薄れておりまして、その発注が非常におくれておったわけでございます。そこで政府といたしましても、何とかこの計画を遂行することが将来の日本海運の発展のために必要であると思いまして、いろいろと工夫しておりましたが、やはりどうしても造船意欲を向上するためには、この不況に打ち勝つためにその条件をよくしなければならぬ、ことに融資条件をよくしなければならぬということでいろいろ工夫をいたしまして、ようやくその条件を整えたわけであります。御承知のように、今まで定期船につきましては七〇%の開銀融資でございましたが、これをこのたびの十八次造船につきましては八〇%の融資に引き上げました。それから不定期船その他につきましては、今まで五〇%の融資率でございましたが、これを七〇%に引き上げまして、有利な条件において造船ができるようにという処置をいたしたのでございます。  さらに申し上げたいことは、今までのような方式を廃しまして、造船をいたしたいという希望のある会社から申し込み順によりまして許可して参ることに方針をきめたわけでございます。このようにいたしましたので、開銀融資率が多くなりまして、結局は五十万総トン造船計画が多少下回りまして、あるいは四十万総トンくらいに落ちつくのではなかろうかという見通しを立てておる状態なのであります。これが現在までの第十八次造船につきましての経緯でございます。
  4. 木村俊夫

    木村委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。内海清君。
  5. 内海清

    内海(清)委員 私は、先月の当委員会におきまして、十八次計画造船早期実施ということについていろいろ御質問申し上げ、運輸当局の所見を承ったのでありますが、その後、政府におかれましても、いろいろと運輸省中心にしてこの問題を進められて参った。特に本月の十九日あるいは二十三日の閣議等でこれが強く取り上げられまして、大体二十六日の閣議了解を取りつけた、一応のケリがついたという形でございます。それにつきましては、今次官お話のようなことが決定したことを新聞紙等で承っておるのであります。ただ、この十八次がこういうふうに決定いたしましたことは——この前私が御質問申し上げたような造船業界並びにこれに関する関連産業を含め、さらに鉄鋼業界のこの非常な苦しい状況が、この工事量確保ということによりまして、十分ではございませんけれども、一応のめどがついたということは、まことに喜ばしいことだと思うのであります。  私はここで一つ伺いしておきたいと思いまするのは、特に十九日の閣議におきまして、総理から、この計画造船について強い発言があったということであります。それは要約して言いますならば、いわゆる今までの計画造船を廃止して、力のあるものにつくらしたらいいではないかというふうな発言。その後、その発言中心にいたしまして、運輸大臣あるいは経済企画庁の長官あるいは官房長官等発言が、少しいろいろな点において食い違いがあったのではないか、そういうふうな感じを受けたのであります。このことは、当時報道関係からもいろいろ言われておりましたが、業界にもその解釈をめぐっての多少の混乱があったということであります。つきましては、この十九日の総理発言真意というものはどういうものであるか、その後の十八次計画造船実施にあたりましてのいろいろな問題がきまってきますと、だんだんと明らかになってきているように思いますけれども、これはさらに十九次にもいろいろ関係が出て参ります。たとえば融資の問題もございましょうし、あるいはどこに船を作らすか、専業者優先にするのか、非専業者も含めるのかというふうなことにも、これは関連をしてくると思うので、そういう意味合いからも、一つ総理発言真意についてお伺いを申し上げたいと思います。
  6. 大石武一

    大石説明員 去る十九日の閣議におきまして、総理計画造船につきまして御発言になりましたことは、新聞でも私読んでおりますし、また一応、簡単な話でございますが、大臣からもその旨のあったことは承っております。ただし、どのようなお考え総理が十九次計画造船をやめたらよかろうと言われたかということにつきましては、大臣も必ずしもそのほんとう真意と申しますか、何と申しますか、その真意がわからないと言ってもおかしいのでありますが——なるほど十九次計画造船なるものはやめたらよかろうというのは、一つ総理としてのお考えだろうと思います。でございますが、それにつきましても、ほんとうにそのままやめてしまったらいいのか、あるいは今まで通り計画造船を続けたらいいのか、あるいは計画造船をやるにしましても、もう少し違った形をとったらいいのかということにつきましては、やはり今後慎重に検討しなければならぬ段階だと存じております。今までなぜこのような計画造船が毎年々々続いたかということにつきましては、やはりその必要があったということ、それ以外の最善の方法がなかったということが大きな土台で、このような計画造船が続いて参ったのだと思います。従いまして、今かりに完全に十九次以後の計画造船をやめたらどうかという御意見がありましても、たださようでございますかとそれに従うには、まだ少し早過ぎると思います。もう少し十分に検討いたしまして、十九次造船以後のものをやめた場合に、それにかわるよい案があったならば、それにかわることは当然でございましょうし、またよい案がなかったならば、やはり今まで通り計画造船を続けていくだろうと思います。また計画造船を続けていくにしましても、今までと違うやり方が必要となるならば、そういうものをとるべきであろう。まだ十九次造船の時代には少し時間がありますので、その前にそれに対する対案というものを十分に検討いたしまして、それによって三十八年度予算要求なりをいたしたい、こう考えておるわけでございます。ただ、直ちに総理の御発言通りにやめてしまうという考えはないのでございます。
  7. 内海清

    内海(清)委員 そうすると、この総理発言に対しては、十九次を控えまして、目下どういうふうにするかということが十分検討されておる過程だ、こういうふうに解釈してよろしいわけでございますか。
  8. 大石武一

    大石説明員 その通りでございます。
  9. 内海清

    内海(清)委員 しかしながら、総理のこの発言というものが、確かに業界に対してある程度混乱を与えたきらいがある、こういうことは、私どもはなはだ遺憾に思うのであります。これに対しましては、十九次の予算要求が今なされておるときだと思うのでありますが、できるだけ早い機会にはっきりした政府方針というものをおきめいただいてお示し願いたい、かように要望いたしたいと思うのであります。  それで、十八次につきましては、先ほど次官お話のように、大体財政融資比率が従来より引き上げられまして、いわゆる定期船が八〇%である。その他が七〇%、こういうことに相なり、さらに今日までの一括公募一括決定という方式が、いわゆる雨だれ方式に変更をされた、いわば自由建造の方向に向かった、こういうふうに考えておるのでありますが、この点は、それで御決定になっておるわけですか。
  10. 大石武一

    大石説明員 その通り将来においては決定いたしております。
  11. 内海清

    内海(清)委員 ここで一つさらにお伺いいたしたいと思いますのは、定期船につきましては、従来これは海運局の方から適格船主推薦というものがあったと思うのであります。今回も、最初におきましては、定期船につきましては、やはりさような方針であるように承知しておったのでありますが、これもやはり開銀等関係であるいは雨だれ方式が採用されるのではないか、かようなことも承るのであります。この点はいかが相なっておりますか。
  12. 大石武一

    大石説明員 ただいまのお説の通り定期船につきましては、個々に申し込みがあるものから運輸省において推薦をいたしまして、造船をするようにいたしております。
  13. 内海清

    内海(清)委員 そうすると、やはりこれも雨だれ方式でいかれるということでございますか。
  14. 大石武一

    大石説明員 おっしゃる通りでございます。
  15. 内海清

    内海(清)委員 そういたしますと、政府のこういう方針決定いたしまして、ただいま申し上げましたような融資率でありまするから、これに関しましては、市中金融機関協調融資が必要なわけでございます。定期船につきましては二割であり、その他については七割ということでございますが、私ども新聞紙上で承りますと、これに対しては大蔵省から全銀協の方に対して協力を求められておる。全銀協の会長も協力を約された、こういうように報ぜられておるのでありますが、これは今どのような状態に相なっておりますか、一つ承りたいと思います。
  16. 大石武一

    大石説明員 市中金融機関協調につきましては、そのような大蔵省からの御努力もあるようでございますが、さらに運輸大臣も非常に努力されまして、十分その了解を得ているということを聞いております。従いまして、協調融資はできるものとわれわれは確信をいたしております。
  17. 内海清

    内海(清)委員 さらに、この問題に関しまして、従来、これはいわゆる海運企業基盤強化関連いたしまして、船主側におきまして、十八次には参加できにくい、こういう態度があったのでございますが、十八次のこういう政府方針決定に対して、船主側のただいまの態度はいかがでございますか。
  18. 大石武一

    大石説明員 船主側におきましても、この政府措置に対しましては非常な好意を見せまして、できるだけこの政府方針に応じて、自分たちの方でも建造に努力したいという気分のようでございます。
  19. 内海清

    内海(清)委員 船主側におきましてもただいま非常に協力的態度であるということで、まことにけっこうでございますが、これにつきましては、船主側にもいろいろ今後の問題があると思うのでございます。ことに十九次に対する問題もございましょうし、あるいは開銀でこれが適格船主決定にあたりましても、いろいろな面が勘案されなければならぬ。今日の海運企業状況にかんがみて、これは当然であると思うのでございます。そういうふうな関係が出てくると思うのでありまするが、これらにつきましては、いずれまた後ほど少し御質問申し上げたいと思うのであります。  十八次は、ただいまのお話のように融資率が引き上げられましたので、今回の場合、当然これは建造量が削減されるということに相なるわけであります。今日この建造量が削減されますことは、わが国の経済の成長の段階におきまして要請されておりまする外航船腹の拡大の必要性、こういう面から見ましても、あるいは国際収支の改善という面から見ましても、まことに遺憾でありますけれども、今直面いたしておりまする造船業、あるいはまた、これに関連いたしておりまする産業、あるいは鉄鋼業界に対しまする影響を考えますと、これはまたやむを得ない問題だと、こういうふうに思っておるのであります。そこで海運局長にお伺いいたしたいと思いますが、ただいま次官からは、建造量の総ワクは五十万トンが減りまして四十万程度ではないか、こういうことでありますが、大体もう少し明確に、どの程度に相なるのでございましょうか。
  20. 辻章男

    辻説明員 大体財政資金ワクは、本年度一応予算的にきまりましたものの範囲内で、先ほど次官からお答えいたしましたように、融資率を引き上げた次第でございます。従って、船価が昨年通りとすれば、約四十万トン程度と見込まれるわけでございますが、あるいはこの中で予定しておりますような船の種類が変わりますとか、あるいは船価が一応算定をしておりますものよりも変動がありますれば、それに伴いまして建造ワク見込みが変わるわけでございます。現在のところでは、大体ワクとしては四十万トン程度以上に具体的に申し上げる自信がないわけであります。
  21. 内海清

    内海(清)委員 それでは建造ワクは大体四十万トンといたしまして、そのワクの中におきまして——十八次五十万トン決定の場合は、年度内起工二分の一、年度内契約が二分の一ということに相なっておりましたが、今度の四十万トンというワクの中でも、大体そういうふうに実施されるわけでございますか。
  22. 辻章男

    辻説明員 大体半分が契約起工、半分が契約だけというふうな予算当初の考え方をそのまま踏襲して、四十万トンというふうに算定しておる次第でございます。
  23. 内海清

    内海(清)委員 それではさらに進みまして、この際、少しこまかい問題になりますけれども、海運局長にお伺いいたしたいと思いますのは、いわゆる海運局といたしまして、これは開銀といろいろ調整の問題もありましょうが、大体の実施要領と申しますか、こういうものが決定いたしておりますならば、お知らせ願いたい。
  24. 辻章男

    辻説明員 その点につきましては、例年開発銀行打ち合わせをしておるわけでございますが、先ほど来政務次官から御説明いたしましたように、いわゆる雨だれ式に変えますとか、そういう点に関しまして、なお今開発銀行とそういう点についての意見調整をはかっておるところでございます。
  25. 内海清

    内海(清)委員 ただいま開発銀行との意見調整中ということでありまするが、いろいろ報道機関を通じて見まするというと、今回の場合、定期船が五万トン程度ではないかというふうなこともあるようでありますが、この点はいかがでありますか。
  26. 辻章男

    辻説明員 私ども、そういうふうな、今度の開発銀行融資によります造船につきましては、従来とやり方を変えておりますので、定期船につきましても、五万トンというふうに確定的には考えておりませんが、むしろ三万トンから五万トンの間ぐらいであろう、そういうふうなくらいの見当に考えておる次第でございます。
  27. 内海清

    内海(清)委員 そうすると、この点は、建造ワクの中で、定期船を何万トン何隻程度、その他不定期船、タンカー、専用船、これらも何万トン何隻というふうな面については、まだ決定を見ていないわけでございますか。
  28. 辻章男

    辻説明員 むしろそういう船種別トン数決定しますよりも、弾力的にケースバイケース考えていきたい、さような考え方で進みたいと考えておる次第でございます。
  29. 内海清

    内海(清)委員 しかし、定期船につきましては、やはり考慮の問題がございましょう。あるいは過当競争の問題もございましょうし、国際的な問題も含まれておるわけでございまするから、運輸省におきまして、これらの事情を勘案して、大体御決定になるもの、考えをおきめになるものと思うのでありますが、その点いかがでありますか。
  30. 辻章男

    辻説明員 今おっしゃる通りの見地に立ちまして、ケースバイケース推薦をするつもりでございますが、トン数ワクにつきましては、弾力的に考えていきたい、かように考えておる次第でございます。
  31. 内海清

    内海(清)委員 さらに、この実施要領について一、二お伺いをしておきたいと思いまするが、今回は、基準船価を廃止して、契約船価に対して所定の財政資金融資するというふうなお考えのように承っておりますが、この点はいかがですか。
  32. 辻章男

    辻説明員 大体海運局考え方としましては、おっしゃるような考え方で進みたいと考えております。
  33. 内海清

    内海(清)委員 さらに、今回の十八次に限って、従来まで強く進めておられました低性能船解撤の義務づけ、これを全船種に廃止するというふうに承っておるのでありますが、この点につきまして、廃止されるとするならば、どういうふうな理由でこれを廃止されるか、それを一つお聞きしたい。
  34. 辻章男

    辻説明員 先ほど来政務次官からも御説明がございましたが、非常に世界的に海運界不況でございまして、今回の融資比率引き上げ程度では、なかなか海運マーケットを対象にして、コストの点から申しまして建造が困難ではなかろうか。もし建造が困難でございまして、せっかくこういう措置をいたしましても、建造希望者がなければ、早期に新造船をやって、造船所あるいは関連工業の、何と申しますか、アイドルを防いでいこうという大きな政策にひびが入ってくるわけでございますので、船主建造条件をよくする意味におきまして、本年度に限りこれを見合わせていこうという考え方に立っておるわけでございます。
  35. 内海清

    内海(清)委員 次に、専業者優先の問題です。それは先ほど申しました総理発言からいいますと、専業者優先ということは考えぬという一つ意向があるのではないか、こういうふうに思うのであります。従来、専業者が優先されておったことはその通りでありますが、今回の場合、これはどういうふうになりますか。なお、専業者が優先されるといたしましても、もし非専業者と共有するような場合、こういう場合はどういうふうにお考えでございますか。
  36. 辻章男

    辻説明員 この点につきましては、従来通り専業者を優先させるという方針には変わりございません。今御指摘がございました非専業者との共有の場合におきましても、共有する分だけにつきまして、それだけ非専業的な色彩が出てくるというふうな考え方考えております。  それから総理発言専業者優先ということに反するのではないかというようなニュアンスの御質問でございますが、これはまた聞きでございますが、総理の御意向も、必ずしもそういうことではないんで、やはりどうしても専業者でつくる船がない場合には、次の段階としてそういうものも考慮してもいいではないか。従いまして、専業者を優先させるという考え方にはそう径庭がないように承っております。
  37. 内海清

    内海(清)委員 今海運局長から総理発言の内容について御答弁があったわけでありますが、この点は、先ほど次官にも申し上げましたけれども、政府部内でそういう問題はすっきり意見調整をして、統一した見解を一つ発表していただきませんと、業界にもいろいろ混乱を起こしかねないことでございます。この点は重ねて要望し、特に十九次の予算要求の時期でございますので、早急にこの点をお願いしておきたいと思うのであります。  それでは次に、お話によりますと、今開銀実施要領その他あるいは公募要領等についてもお話段階であると思うのでありますけれども、大体この申請の受付の開始は、いつごろの見込みになるようでございますか。
  38. 辻章男

    辻説明員 これは開発銀行融資でございますので、いつから受け付けるかということにつきましては、むしろ開発銀行の仕事であるのでございます。私ども打ち合わせの際に聞いておりますところによりますれば、市中協調融資関係もございますので、市中金融機関開発銀行打ち合わせの済み次第やっていきたい。その時期につきましても、開発銀行も早急にやっていきたいが、早ければ来週早々からでもそういうふうなことが可能なようにいたしたいというふうに、開発銀行から承っております。
  39. 内海清

    内海(清)委員 今の局長の御答弁によりますると、運輸省は大体関せずえんというような御答弁であります。これはもちろん、特に今回の場合、表面上申しますると、発開銀行、いわゆる金融機関でこれを進めていくという形に相なると思いまするけれども、やはり運輸省においては、海運造船その他一般についての管理監督の地位にあるのでありますから、運輸省意見も当然述べられるべきであると私は思うのであります。そういう点につきましては、もう少し運輸当局としてははっきりした態度をおとりいただきたい。この問題は、今日の造船あるいは鉄鋼の問題でありますと、一日も早期決定していただかなければならぬ問題であります。来週早々できればまことにけっこうでありますけれども、これの推進につきましては、一つ十分意を用いていただきたい、これを要望しておきたいと思うのであります。大体十八次の今回の決定につきましては、その他ございますが、一応本日は以上でとめておきたいと思うのであります。  この際、私は、特に造船関係につきまして、十八次の早期実施、これに直接関連ございませんが、その他の問題についても重要だと思われますけれども、特に予算編成期でもございまするし、一、二御質問申し上げておきたいと思うのであります。  御承知のように、今回の十八次実施決定によりまして、造船業並び関連産業界におきましても、当面、年末を控えまして四十万トン近い工事量が確保されましたことは、確かに一歩前進でありまして、喜ばしいことであると思うのであります。ところが、御承知のように、今回の四十万トン年度内着工は、その半分の二十万トンでございます。従いまして、こういう点から考えますならば、今後の造船業並びにこれに対しまする関連産業の操業の問題も、なかなか容易でないのでありまして、先般の私の質問に対する船舶局長の御答弁から見ましても、非常に困難な問題があるわけであります。いわゆるわが国造船能力というのは、年間約二百万トンでございまして、の手持ちというのは、大手二十四社でみましても、一年二、三カ月にすぎない。しからば、今回の四十万トンを含めまして——四十万トン年間建造量から申しますと、わずかに二・五カ月分足らずである。そうすれば、造船の特性というものから見まして、今後なお非常に憂慮すべき問題である。このことは、従って今後の船台需要にもそう大して響く問題ではない。四十万トンでありますれば、隻数にいたしまして十五、六ぱい程度でございます。こういうふうな状態で、まことに憂慮すべき問題があると思うのであります。  そこで、私は船舶局関係にお伺いいたしたいと思いますのは、十八次の実施によって、今後の大型船台使用状況稼働予定状態から一、二お尋ねしてみたいのでありますが、本年の十二月末にはどういう状況になるか。さらには来年の三月、来年の六月末においてはどういうことになるか。この点をちょっとお伺いしてみたいと思います。
  40. 鈴木春夫

    ○鈴木説明員 船台の使用状況につきまして最初お尋ねがありましたが、十八次船が予定されない前におきましては、十二月末におきまして、船台六十七基のうち十八基が使われるだけで、残りの四十九基がから船台になる、こういう予定でございましたのが、十八次船が入りますと、五基程度はふさがるのではないかというふうに考えられます。  三月末になりますと、使用される船台が、従来のままですと十一船台の予定でございましたが、それになお十船台が加わるのではないかと推定されております。  それからなお来年の六月になりますと、使用される船台が六基だけになりますが、それにあと九基加えまして十五基が使用される。残りはから船台という工合に、多少改善される関係になると考えております。しかし、依然としてから船台は非常に多うございます。工数面から考えますと、今年十一月ぐらいから急速に造船所工事量が減って参りまして、来年当初になりますと、一時間残業線を総合的に見まして切るような形になります。それに今度の十八次船が入って参りますと、大体来年の七月、八月ぐらいまでは本年の十月程度、数字的に参りますと、一時間残業ないし二時間残業の中間ぐらいの工事量で横ばいでいくようになるかと思います。これは総合的な勘定でございまして、個々の造船所では、あるいは非常にきついものも多少残るかと思いますが、非常に困るという状況は、一応小康を得るという関係に来年の七月くらいまでになるのではないかと予想しております。
  41. 内海清

    内海(清)委員 ただいまの造船課長のお話を聞きますと、船台需要から申しますと、なおきわめて不十分である。しかし、今回の措置によりまして一時小康を得るかということであります。しかし、造船業の特質から申しますると、これはどうしても今後逐次需要がふえていかなければ相ならぬ問題であります。ところが、そういう面から考えましたときに、先ほど申しましたように、わが国造船業年間建造量は二百万トンということでありますが、計画造船はただいま決定したようなことでございます。これが建造量で減少いたしております。従いまして、この工事量が外くなるのは、やはり国内におきまする自己資金船と輸出船、こういう二つによって補っていかなければならぬわけであります。先般の船舶局長答弁によりましても、今後の新規受注は困難だ。自己資金船におきましても、本年度許可になったものはわずかに十四万トンである。昨年度は、大体五十万トンの自己資金船ができておるはずであります。この面におきましても、非常に受注が困難である。ことにこの海運企業の基盤が詭弱であるために、国内の金融機関というものは、自己資金船に対する融資というものはほとんどでき得ないという状況であります。いわば外資導入の場合に初めて自己資金繰りができるという状況でありますので、今後の受注というものはきわめてむずかしくなってくると思うのであります。それならば輸出船というものが十分とれるかどか、こういう問題でありますが、これもまた、世界海運市況は依然として悪いために、非常に困難である。本年度の輸出船の受注目標は、大体百万トンであります。昨年度は、百万トンに近いものができたのであります。ところが、この八月ごろにおきまするソ連船の大量受注によって、ようやくその百万トンの三分の二を消化しておりますが、今後の三分の一の見通しが立たないという、こういう状況であると思うのであります。しかし、この輸出船について私どもがいろいろ調査してみまするというと、この輸出船に関しましては、わが国の非常に高度に進歩しております造船技術、こういう面から考えまして、受注の条件いかんによりましては、過去のいろいろな経験から、まだまだとれるのではないか、こういうふうに考えるのであります。相当量の受注が可能である、こういうに私は考えるのであります。  そこで、私は一つ伺いいたしたいと思いますことは、いわゆる延べ払いの問題であります。私どもが従来承っておりますのに、世界各国の造船受注のいろいろな受注競争において、延べ払いの問題で非常に流れた商談が多い、そういうことを承っておりますが、ここで一つ伺いいたしたいと思いますのは、三十六年度におきまして、この延べ払いの問題で商談が流れた、こういうのがどう程度にありますか、一つ伺いいたしたい。
  42. 鈴木春夫

    ○鈴木説明員 ただいまの御質問の、延べ払いの関係で、日本で受注できそうなものが条件が整わないために成立しなかったものがどのくらいあるかという御質問でございますが、これはなかなか的確にこうであるというふうに言い切れないものがございます。しかし、外国からいろいろ引き合いがございまして、その引き合い条件が整わない、食い違う、こちらで受け入れられる条件以上に要求されたものが非常に多うございます。そういったものを集計したものがございますが、これは必ずしも全部網羅しているとも限りませんし、あるいはその中には、確実に成約に持ち込めたものでないかもしれませんが、とりあえずそういうものを集計したものを申し上げますと、三十六年、暦年でございますが、一年間に、九十六万九千四百デッドウェート、総トン数でいきますと七十万総トンばかりございます。金額にいたしまして一億六千八百万ドル程度のものでございます。
  43. 内海清

    内海(清)委員 ただいまあげられた数字、いわゆる九十七万重量トン程度である。もしこれが全部この延べ払い条件ということで商談が流れたということでなくても、これは確かにわが国年間輸出船の受注を必要とするトン数に近いものであります。また、金額にいたしましても、ただいまのお話によりますと、一億六千八百万ドル、実に膨大なものであります。従いまして、今日わが国の経済成長の段階から申しまして、輸出の振興ということは、これは至上命令でありまして、第一に考慮しなければならない問題でございます。それがこういう問題で取り逃がしておるということに対しましては、はなはだ遺憾に思うのであります。ついでに、その延べ払い条件は、諸外国の造船国のものとわが国のものとどういうふうに違うのか、その点をお聞かせいただきたい。
  44. 鈴木春夫

    ○鈴木説明員 諸外国の延べ払いでございますが、これは個々の商談によりまして、内容がなかなかつかめない点が多うございます。しかし、われわれの方でわかりますのは、国際入札にかけた場合などには的確にわかる機会がございます。そういう機会をつかまえまして状況を推察してみますと、大体八年八〇%、その程度の延べ払いを要求されている分が多うございます。場合によりますと、十年延べ払いも要求される場合もございます。それに対しまして、諸外国の受け入れ状態を申しますと、八年八〇%以上の条件で受け入れを申し出されるところが非常に多うございまして、それ以下の七年七〇%を固執しているようなところは、非常に少ないようにわれわれ見ております。特に非常に条件のよろしいところは、十年に及ぶような延べ払いを認めようというようなことを申し出しておるところもあるようでございます。
  45. 内海清

    内海(清)委員 諸外国のものは、ただいまのお話によりますと、八年八〇%が大体最低である。わが国におきましては、七年七〇%が現状であります。しかし、最近におきましては、ケースバイケースによって、あるいは八年八〇%ということも言われておるようでありますが、しかしながら、この延べ払い条件の緩和ということは、今後の輸出船の受注におきまして、きわめて重大なことであります。少なくとも諸外国の最低には、すべての輸出船を持っていつていただきたい。今日まで輸出船をとりましたことは、みな造船所並びに関連産業の経営者の努力はもちろんでありますけれども、ここに働きまする労働者の犠牲によってとられてきたのであります。そういうことで、この延べ払いの問題は、今後きわめて重要な問題である。政府におかれましても、特に運輸当局において、この八年八〇%以上、これは必ず今後確保して、その通りにやるという、この点に関しまして一つ次官からはっきりした御所見をお聞かせいただきたい。
  46. 大石武一

    大石説明員 輸出船の受注ということは、なるほどわが国国際収支の改善にはきわめて重大なことでございます。でき得る限り条件をよくして、受注を多くして、輸出をしたいということは、全く同感でございます。ただし、一つここに問題がございますのは、輸出船を受注して出すという場合でございますが、これはただ出しっぱなしというわけに参りません。これが外国の外航船として活躍します場合には、強い言葉で申しますと、日本の外航船との強い競争相手になるわけでございます。従いまして、あまりよい条件で輸出船を受注いたしましても、それがかえって逆に日本外航船の強敵となる場合には、やはり考えなければならぬ問題があるのじゃないかと思います。従いまして、仰せの通り、でき得る限りのいい条件で外国との熾烈な競争に耐え得るような条件にいたしたいと思いますが、それには、やはり日本船主の国内で建造される船との条件等も十分に勘案いたしまして、両方がうまくいくような条件において、できる限りのいい条件に持っていかなければならぬと考える次第でございます。
  47. 内海清

    内海(清)委員 ただいま次官の御答弁によりますと、結局輸出船は、いわば相手国に優秀な船を与えて国内海運を圧迫する条件になるのではないかというふうに受け取られるのであります。ところが、もちろんわが国造船所におきましては、国内船がまず工事量確保の支柱であります。従いまして、十八次造船におきましても、私ども強く早期実施を要望したのはそれであります。それで足らざるところをいわゆる輸出船で補うのであります。しかも、世界におきまする造船国は、わが国のみでございません。わが国でつくらなければ、西独にいたしましても、イギリスにいたしましても、その他西欧の各国におきまして、造船国はずいぶんあるわけであります。それと今日競争いたしておる。わが国がつくらなければ、わが国が輸出しなければ諸外国は船が持てぬという状況であるならば、御説のことも十分うなづけるのであります。これはかってフィリピンの高速船のときにも、そういう問題がございました。この点は、一つ十分お考えいただかなければいかぬのじゃないかと思うのであります。その点いかがでございますか。
  48. 大石武一

    大石説明員 これは全く内海委員のおっしゃる通りでございます。国際競争があって、しかも競争相手が外国にもたくさんあるときには、その競争に勝ち得るだけの条件造船界に与えなければ、これは重大な問題でありますから、これに対抗し得るだけの条件を与えなければなりません。それはおっしゃる通りでございます。ただし、やはりもう一つ、そのでき上がりました外航船の運営につきましても、やはり猛烈な競争がございますから、国内の外航船に対しても、いい条件を与えなければならぬと思います。従いまして、私どもの希望しますことは、おっしゃる通り、輸出船の受注につきましては、でき得る限りのいい条件、つまり外国の造船会社に対抗できるだけの条件で持っていきたいと思います。同時に、日本の国内の外航船につきましては、外航する場合に対抗できるようないい条件を国内においてもつくらなければならぬ。これがわれわれの考えではなかろうかと感ずるわけでございます。
  49. 内海清

    内海(清)委員 次官のおっしゃることはその通りであります。でありますから、国内船の国際競争に耐える船をつくることは、一に政府の施策にかかることでございます。十九次におきましても、十分その面を御勘案いただいて、強くこれが実現するようにお願いを申し上げたいと思います。ただ、この輸出船の問題につきましては、つくろうと思うものは、いわゆる国際競争入札その他によりまして、安いところでつくるので、やはりどこかでつくるのであります。従って、わが国の輸出の問題あるいは国際収支の問題から考えますならば、そういうふうな可能なものは、やはり力を持っておりまする日本でつくって輸出することが、国策に沿うゆえんではないか、私はかように考えるのであります。  時間が相当たちましたので、この問題はいずれまた時を得て論議したいと思います。もう一つ問題がありますが、久保先生が関連があるそうでありますから……。
  50. 久保三郎

    ○久保委員 関連して。ただいまの輸出船と日本海運との関係でありますが、政務次官のお考え一つはその通りだと思うのであります。ただし、そこで考えねばいかぬのは、この調整は、あなたがおっしゃる方法だけでは私は不足であると思う。むしろこれは経済外交によって、たとえば航路同盟の中において関連して処理される方法もあるだろうし、あるいは不定期船にしても、協定その他によって処理される方法があると思うのです。今までのは賠償が主でありましたが、インドネシアの賠償にからむ船の引き渡し、あるいはフィリピンの高速船の問題、これは単に賠償は賠償だけで処理されている、あるいは輸出船は輸出船だけで処理されているところに、日本海運の問題も出てくると思うのです。これはやはり相関連して考えて進めるべきである。輸出船だけでは足りなくて、むしろその幅を広げて、日本の外交というか、そういう問題をからめて処理されることが、私は妥当だと思うのです。そういう意味も含めて今後処理されるように、私は要望しておきたいと思います。以上であります。
  51. 内海清

    内海(清)委員 ただいまの久保委員の御発言、私ども全く同感で、そういう面もあわせて今後十分御勘案願いたいと思うのであります。  時間がだいぶ過ぎましたので、簡単に申し上げますが、次に、船舶の輸出をしますためには、何としても、やはり現在わが国の輸出振興策の唯一の柱でありますところの輸銀による輸出金融強化、あるいは融資の完全を期せられることが、きわめて大事なことであります。そのためには、まず輸銀の貸出所要資金を確保する、これが最も必要だと思うのであります。さらにこの際私が特に関心を持ちますことは、最近の政府部内の一部に、輸銀の現行貸出金利を引き上げてはというふうな議論があるように承っておるのであります。これは、事実そういうことがあるのでございますか。
  52. 大石武一

    大石説明員 現在、輸銀の貸出利率は四分でございますが、これを五分に引き上げてはどうかという不規則的な発言もあるように聞いております。しかし、これは現在、私たち運輸省といたしましては、賛成いたすことはできないのであります。
  53. 内海清

    内海(清)委員 ただいまの次官の御答弁で、運輸省としては、これの引き上げにあらゆる手段を尽くして絶対反対ということで御善処されることである、こういうふうに考えるのであります。  そこで一つ伺いしておきたいと思いますのは、従来、とかく輸出船の方が国内船よりも多くの政府の金融上の恩典を受けておるのではないか、こういうふうな見方がされて、これが輸銀金利の引き上げの一つの口実となっておるように思うのであります。これは、はたしてそういうふうになっておるのか。真実、今輸出船と国内船の金利はどういうふうな状況になっておるのか、これを一つ船舶局あたりからでもお伺いいたしたいと思うのであります。
  54. 鈴木春夫

    ○鈴木説明員 ただいまの御質問の輸出船に対する資金コストと国内船に対する開銀融資にかかる資金コストの関係、この格差がどんなふうになっておるかということでございますが、輸出船におきましては、ただいま政務次官からお話がございましたように、四分で融資しているわけでございます。そのほかに、造船所自体が市中銀行より調達しなければならない資金がございます。こういったものは、市中の金利がかかるわけでございます。大体その割合は、標準的な場合で、五〇%程度が輸出入銀行から出る、あとは市中ということで勘定いたしますと、大体平均の金利が五分七厘ぐらいになります。そのほかに、保険をかけなければなりませんので、そういったものの四分三厘ほどを加えますと、大体金利が六分一厘七毛程度に、標準的になるわけでございます。それにいたしましても、国内船で申しますと、定期船不定期船によりまして融資利率が違いますので、多少差異がございますが、大体六分程度ではないかと考えるわけでございます。いずれにしましても、あまり差はない。また、造船所市中からの借り方次第では上下する。いずれが有利であるかどうか、確実には申し上げられない程度、あまり格差はないというふうにわれわれは見ております。
  55. 内海清

    内海(清)委員 資金コストの面におきましては、大体同様、あるいは国内船が多少いいかと、こういうふうなお話であります。その他の償還期限の問題、あるいは融資比率、あるいは本船担保の問題は、大体どういうふうになっておりますか。
  56. 鈴木春夫

    ○鈴木説明員 償還期限について申し上げますと、国内船では、御承知通り契約は一律に十二年となっております。ただし、油槽船は十一年でございます。これに対しまして、輸出船は、今まで標準的には七年でございます。それが現在八年が考慮されつつあるところでございます。  本船担保につきましては、国内船では船価の八〇%が認められておりますが、輸出船につきましては六〇%でございます。
  57. 内海清

    内海(清)委員 そういう点をそれぞれ考えてみますと、輸出船が国内船よりも特別な恩典を与えられておるということはない、こういうふうに考えられるのであります。  そこで、御承知のように、今日まで造船業というのは、輸出産業として外貨の獲得に非常に貢献してきた。三十一年度から三十六年度までをとってみますと、この六年間に十八億五千万ドルの外貨を獲得しておる。しかも、これは総輸出額の約一〇%であります。さらに単一品目では常に一、二位を占めてきた輸出産業であります。こういう点から考えまして、この輸出船の受注ということは、きわめて重要な問題だと思うのであります。御承知のように、輸出船につきましても、今日国際船舶の輸出の競争というものはきわめて熾烈でありまして、ほとんどコストぎりぎり、あるいは赤字を覚悟でなければ受注し得ない、こういう状況にあると思うのであります。従いまして、輸銀の貸し出し金利が引き上げられました場合には、金利の負担増というものは船価に重大な影響を及ぼしまして、わが国造船業の国際競争力は大幅に削減され、受注の確保は全くおぼつかなくなると思うのであります。こういうことから考えますならば、この現行の貸出金利の据え置き、これは絶対厳守されなければならない問題である、私はかように思うのであります。この点につきまして、いま一度はっきりした御答弁をいただきたい。
  58. 大石武一

    大石説明員 われわれの決意は、これより悪い条件には絶対いたさないという方針でございます。むしろ、これよりもよい条件にいたしたいと願っております。しかし、それにはやはり国内船の問題を考えなければなりませんので、さらに国内船の融資その他につきましても、よい条件を整えてあげたい、これがわれわれの今後のかたい決意でありますが、それにつきましても、われわれだけではなかなか困難でございますから、一つ内海先生からもよろしく御協力をお願いしたいと思います。
  59. 内海清

    内海(清)委員 大へんなお言葉でありますが、これは輸出船の面から申しまして、なお次官のただいまのお話のように、今後現在よりも有利な条件、そのためには国内船もこれと並行してより一そう均衡のとれるように有利な助成策がとられなければならぬ、こういうことであると思うのであります。この御意見に対しまして、私どもはまことに敬意を表しますと同時に、できるだけの力を尽くさなければならぬと考えております。この融資比率の問題、あるいは金利の問題、これはきわめて重要でございます。大臣がおられますならば大臣からもはっきり御答弁いただきたいと思ったのでありますが、御不在でございますので、十分一つこの点はお伝えいただいて、運輸当局としてこの面に対して今後重大な決意のもとに臨んでいただきたい。このことを強く要望いたしまして、私の本日の質問を終わりたいと思います。
  60. 木村俊夫

    木村委員長 井岡大治君。
  61. 井岡大治

    ○井岡委員 先ほど次官から内海さんに御答弁がありましたので、あえて聞く必要はないと思いますが、われわれとしても、計画造船それ自体について今検討をしておる最中です。先般、総理が、計画造船それ自体再検討すべきだ、こういう発言をされています。これはかかって海運基盤の問題と関連をして総理はあのような発言をされたのだと、われわれは理解をしておるわけですが、そういう立場から考えると、今後の計画造船それ自体について、運輸当局はどう考えておるのか。この点を一つ明確にしていただきたいことと、今回の第十八次造船について、定期船を八〇%に引き上げた、それから不定期船を七〇%に引き上げたということですが、これは将来もし計画造船をおやりになる場合は、この措置でおやりになるのかどうか、この二点を一つお聞かせいただきたい。
  62. 大石武一

    大石説明員 お答えいたします。答弁が逆になりますが、あとの方の御質問からお答えいたします。  今回、第十八次計画造船におきまして、開銀融資比率定期船が八〇%、その他が七〇%になりましたことは、これは今回だけの措置で、来年はまた来年としての別な問題であるという、一応大蔵当局と約束になっております。これはいろいろな事情がございまして、どうしても造船意欲を高揚させなければならぬ、あるいは非常に時期がおくれるという、いろいろな条件、それから世界も不況であるというような条件から、このようなことに相なりましたのでございまして、これははっきり申し上げますが、今回だけの措置でございまして、来年は約束いたしておりません。しかし、われわれとしましては、来年もさらに今までよりと申しますか、従来の融資の割合よりもよい条件に持っていきたいと念願して、それに努力いたす所存でございます。  それから、第十九次造船以後につきまして総理閣議発言されましたことにつきましては、総理として何か一つの示唆を与えたものであろうと思います。総理が、今まで通りではたしてよいのかどうかもの一ぺん検討してみたらよかろう、あるいはおっしゃるように海運基盤が脆弱ではないか、それについてもう少しよい案を研究したらどうかという示唆を与えられたのだろうか、われわれは考えております。従いまして、われわれは、その総理の御意見に従いまして、十分に検討いたしまして、第十九次計画造船をやったらよいのか悪いのか、さらに、やる場合にはどう改善したらよいか。さらに、もっと重大な海運基盤についても今検討をしておりまして、井岡先生の方のお知恵も十分拝借いたしまして、万全を期して参りたいと願う次第であります。
  63. 井岡大治

    ○井岡委員 次官より、検討しておる、こういうことですから、私は今ここで直ちにその結論を求めようとは思いません。しかし、少なくとも海運基盤の問題等については、次の通常国会等で当然政府考え方というものを出さなければならないだろうと思う。従って、その際に、今後の計画造船それ自体をも含めた海運基盤の強化になるのかどうか、この点だけお伺いをして、私の質問は本日のところは終わりたいと思います。
  64. 大石武一

    大石説明員 海運基盤の強化につきましては、前の国会におきましても、一応政府が提案いたしまして、それが残念ながら流れてしまったのでございますが、そういうことも含めまして、より広範な案を今用意いたしております。これをもう少し整理いたしまして、皆様の御意見も拝聴して、ほんとうによいものをつくり上げたいと今努力いたしておる最中であります。今までのわれわれの考えといたしましては、その計画は、第十九次計画造船を断行いたす方向でございます。しかし、せっかく総理お話もございますので、もう一ぺん計画造船につきまして検討いたしまして、一番よい方法をとりたい、こう考えている次第であります。      ————◇—————
  65. 木村俊夫

    木村委員長 次に海上保安に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。肥田次郎君。
  66. 肥田次郎

    ○肥田委員 私がきょう質問をしたいと思いますのは、大体こういうことです。七月の二十一日に、金剛丸という船が北朝鮮の興南港でスパイ容疑で抑留された。そうしてそれが十月二十一日に釈放されたわけですが、これについてスパイ事件などということが言われておるのです。しかも、天川という第五管区の係長に依頼をされてスパイ行為をやった、こういう記事が出ておったわけです。あまり時間を要して説明されると、こちらにも都合がありますから、どういう経過であったかという要点だけまず説明願いたいと思います。  それからその次に、天川照雄という人は、一体どういう職務をつかさどっておったのかという関係、これについても説明を願いたいと思います。
  67. 樋野忠樹

    ○樋野説明員 お答え申し上げます。  金剛丸は、御承知のように十七日に大阪を出まして、二十一日に興南に入りまして、十月の二十日に釈放されて、二十一日出帆した船であることは御承知通りでありますが、これが抑留されました理由は、操舵室の小川の部屋に写真機があったということで、そのほかの事情はよくわかっておりません。それから天川君でございますが、神戸海上保安部の警備課の警備係員でございまして、主として警備でございますから、密輸、密航、そういうものを担当している男でございます。
  68. 肥田次郎

    ○肥田委員 この関係につきましては、まだ十分あなたの方には情報も入っていませんか。すなわち、天川照雄という人に依頼をされて操舵手二人が写真をとった、こういう関係については、何も情報が入っておりませんか。
  69. 樋野忠樹

    ○樋野説明員 新聞にも書かれております。それから大阪の海員組合の松本次長の方からも、王管区の方で金剛丸の消息を確かめる方法はなかろうかという御相談もございまして、北鮮との間は、今までも特に大体日赤を通じまして事情を聞いておりますので、そういうことで九月の末に私ども承知しております。  それから天川のことにつきましても、そういうことは新聞にも載りましたし、どういうことであろうかと思いまして、二十五日に呼びまして事情を聞いたところが、本人はさようなことは全然ない、こういうふうなことでございました。
  70. 肥田次郎

    ○肥田委員 天川照雄という人を呼んで、こちらの方で確認をされた、こういうことですか。
  71. 樋野忠樹

    ○樋野説明員 そうでございます。
  72. 肥田次郎

    ○肥田委員 それはただ単にどういうことだったかという、このことで聞かれたのですか。何か経過報告のようなものをとられたのですか。
  73. 樋野忠樹

    ○樋野説明員 どういうことであったという、その事実を聞いたのでございます。
  74. 肥田次郎

    ○肥田委員 この問題は、そうすると、もし表向きの問題になるということになると、一体どこの所管になりますか。こういうスパイ行為を依頼したとかしないとかいう問題。それから操舵手二名は依頼をされたと言っている。そしてこの依頼をされたということを中心にして——これは直接私は聞いたわけじゃありませんが、要するに甲板長を中心にしたところのグループと船長、事務長を中心にしたグループとの間に相当反目が起こっておる、こういうことも書かれておる。それから依頼を受けて写真をとったという操舵手については、私はこういうことをやるのが一番いいことだと思ってやったのだ、こういうふうにも言っておる。この関係は、新聞に載っておるのを読んだその限りでは、さもスパイ行為をやることを国のためになると思ってやっておったのだというふうな書き方がされておるわけです。これに対して、海上保安庁はいつの間にそういうスパイをするようなことまで手を伸ばしてきたのかというような印象を、この新聞を読めば国民に与えることになるから、そういう関係について、海上保安庁では、ただの新聞の記事としてそれをそのまま見のがしておくわけなのですか。海上保安庁の名誉のために、一つその点の関係説明してもらいたい。
  75. 樋野忠樹

    ○樋野説明員 海上保安庁は、いわゆる麻薬の密輸入とか、密航等の活動関係に関する情報は、内偵その他をいたしますが、そういういわゆる軍事的のことに対しましては、私どもの方は全然関係がないわけであります。また、そういうことのないように、常日ごろ指導いたしておるわけでございます。それで、天川君のグループと船長グループとのことにつきましては、まだ私どもの方は二つに分かれておるというふうな事情をよく存じ上げておりませんが、いずれまた確かめたいと思います。
  76. 肥田次郎

    ○肥田委員 その後のこの関係については、たびたび新聞の話題にもなっておる。その問題にするところは、海上保安庁がいわゆるスパイ行為を依頼したというふうな印象を世間に与えるということに対して、どのような処置をされるのか、こういうことに私はなるのじゃないかと思うのです。要するに、天川照雄という人に対して、その点を釈明さすというのですか、はっきりさせなければならぬということが、私は一つ残っておると思うのですが、今のお答えを聞くと、ただ単に一般人としての問題であって、保安庁としてはこれはもう問題でないというようにお考えになっているのですか。
  77. 樋野忠樹

    ○樋野説明員 はっきり覚えておりませんが、二、三年前だったと思うのですが、中共関係で、上海の沖に花鳥山という島がございます。そこへしけのために入りました船が戻って参りましたときに、福岡の保安部で、港の様子というか、避難した関係でいろいろ聞きましたのがおしかりを受けましたので、従って、そういうことで海上保安庁が何か軍事的の情報に興味を持っておるというふうにとられますといかぬということで、現場にはさような誤解を招くようなことは一切してはならぬという指導もしておるわけでございまして、自来その方針に全然変わりはないわけでございます。
  78. 肥田次郎

    ○肥田委員 ここであなたの言われることは、よくわかるんですよ。しかし、私が聞いているのは、そうでなしに、これを公のところで海上保安庁としてこういう問題について明らかにする必要はありませんかということです。
  79. 樋野忠樹

    ○樋野説明員 当然私どもの方にはそういうことはございませんで、もしそういうことが必要とするならば、防衛庁関係じゃなかろうかと思っておるわけでございます。
  80. 肥田次郎

    ○肥田委員 なお、この問題についてはあとにいろいろと根を引いておるようです。従って、この関係について、報告書はやはり一度出していただきたいと思います。天川という人を呼んであなたの方でもいろいろとただしたと言われるから、その関係もあると思いますし、その他の問題の焦点は、要するにこの操舵手が天川照雄から依頼を受けたというようなことを、この関係についてもいろいろと言われているようです。一時そういう表現をしておったけれども、あとでは海員組合の方から何か言われてそれを否定するような記事にもなっておるし、その間が反転していますから、そういう関係について、一応の経過の報告というものを見せていただいて、その上でまた新たに質問いたしたいと思います。
  81. 木村俊夫

    木村委員長 明十一月一日、木曜日、午前十時三十分より委員会を開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時八分散会