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1962-09-28 第41回国会 衆議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年九月二十八日(金曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 木村 俊夫君    理事 鈴木 仙八君 理事 高橋清一郎君    理事 細田 吉藏君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君       安藤  覺君    有田 喜一君       有馬 英治君    尾関 義一君       金子 一平君    川野 芳滿君       簡牛 凡夫君    壽原 正一君       砂原  格君    關谷 勝利君       福家 俊一君    赤松  勇君       石村 英雄君    加藤 勘十君       勝澤 芳雄君    島上善五郎君       田中織之進君    松原喜之次君       矢尾喜三郎君    内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 綾部健太郎君  委員外出席者         運輸事務官         (海運局長)  辻  章男君         運 輸 技 官         (船舶局長)  藤野  淳君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      岡本  悟君         海上保安官         (総務部長)  山崎  城君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君         日本国有鉄道常         務理事     河村  勝君         日本国有鉄道参         与         (施設局長)  山口 和雄君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 九月三日  委員田中織之進君辞任につき、その補欠として  西村関一君が議長指名委員選任された。 同日  委員西村関一辞任につき、その補欠として田  中織之進君が議長指名委員選任された。 同月二十八日  委員伊藤郷一君、中馬辰猪君及び矢尾喜三郎君  辞任につき、その補欠として金子一平君、安藤  覺君及び赤松勇君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員安藤覺君、金子一平君及び赤松勇辞任に  つき、その補欠として中馬辰猪君、伊藤郷一君  及び矢尾喜三郎君が議長指名委員選任さ  れた。     ————————————— 九月二日  一、鉄道軌道等の事業における公共負担の国庫   負担等に関する法律案久保三郎君外九名提   出、第四十回国会衆法第二一号)  二、陸運に関する件  三、海運に関する件  四、航空に関する件  五、日本国有鉄道経営に関する件  六、港湾に関する件  七、海上保安に関する件  八、観光に関する件  九、気象に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件(私鉄運賃の値上げ及び砂利採  取による小田急相模橋梁沈下に関する問題  等)  海運に関する件(造船計画問題)  日本国有鉄道経営に関する件(日本国有鉄道  の合理化に関する問題海上保安に関する件(  堺港における巡視船配船問題等)      ————◇—————
  2. 木村俊夫

    木村委員長 これより会議を開きます。  陸運に関する件、海運に関する件、及び日本国有鉄道経営に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。勝澤芳雄君。
  3. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今、国鉄で行なわれている施設合理化といいますか、新保守体制、この問題を中心にお尋ねをいたしたいのですが、総裁も副総裁も御都合が悪くて見えておりませんし、また担当滝山常務もきょうはお見えになっていないようであります。しかもまた時間もないようでありますから、簡潔にお尋ねをいたしますので、できるだけ要点をかいつまんで率直な意見を賜わりたいと思うのでございます。また、河村常務は、きょうは初出場ですから、職員局長でなく、常務理事になったのですから、そのおつもりで一つ御答弁願いたいと思います。  今、施設の新保守体制ということをやられておるようでありますが、この目的なり概況というものについて、簡単に一つ説明願いたいと思います。
  4. 河村勝

    河村説明員 国鉄におきましては、御承知のように輸送量が毎年非常に増大しておりまして、片っ方では列車速度が非常に向上しております。そういう際に、安全で乗り心地のよい輸送を確保しますためには、どうしても片一方では線路軌道構造強化をやらなければなりません。同時に輸送量の増大に対処するために、だんだん労務の需給も逼迫して参りますので、今までのような労力を主体とした線路保守をやめまして、機械力を使い得るような新しい保守作業をやらなければならぬ。そういう両方の面から軌道近代化をやりつつあるわけでございまして、労働条件関係することがございますので、この春から組合側提案をいたしまして、現在交渉の途中でございます。
  5. 勝澤芳雄

    勝澤委員 伝え聞くところによりますと、この線路工手というのは、相当欠員がある。その欠員を補充せずにそのままやられておる、そのために、保守というものは割合と放擲されておる、こういうように聞いておりますが、現状はどうなっておりますか。
  6. 河村勝

    河村説明員 現在、線路工手の総数は約三万五千名ぐらいでございますが、欠員と申しますのは約千二百人ぐらいでございまして、欠員割合はごくわずかでございます。そういう欠員の場合にも、足りないところは臨時雇用員をもって補っておりますので、実際問題として支障はないと考えております。
  7. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今度の新保守体制によって一万二千人も削減すると聞いておりますが、そうなんですか。
  8. 河村勝

    河村説明員 まだ組合側にそういう数字提案をしたことはございませんし、従いまして、数字問題についてここで申し上げるのはいかがかと思いますけれども、遠い将来の話は別としまして、昭和四十年まで、この五カ年計画に伴う合理化としましては、そのような大きな数字にはなっておりません。
  9. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、今度の新保守体制合理化によって線路工手を削減するようなことはない、こういうふうに理解してよろしいのですか。
  10. 河村勝

    河村説明員 まだ組合側にその合理化のこまかい内容まで説明をしておりませんので、具体的な数字をここで申し上げるのは差し控えなければいかぬと思いますけれども、ゼロではございません。合理化でございますから、若干の減はございます。
  11. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それは今話をしている中でしょうから……。それで、今よくいわれていることは、この間も週刊誌でいわれているのは、車両デラックス線路スクラップ、もう八十年来、国鉄線路状態というものは変わりがないということをいわれているわけです。列車速度が速くなっても、間合いはない、ろくな保守はできない、保守はしたくてもなかなか欠員の補充をしてくれなくて、臨時人夫だ、しかも昔と違って線路見張りもつけなければならぬというふうに、作業量がふえているわけです。ふえているにかかわらず、人はふえていない。むしろ減っている。それをほったらかしている。事故が起きれば、事故責任現場の末端に押しつけて、その保守をやらなかった大きな責任というものについては目をおおっている、こういうことがよくいわれているわけです。今度の新保守体制も、どうも聞いてみますと、机の上で作ったプランを無理に押しつけて、これでやればいいんだ、やらないで事故が起きたらお前たち責任だというような言い方で押しつけておるように聞いておるのですが、これは組合なりと十分話し合いをして、そして協力を求めてやっていく、こういうかまえでおるのですか。これは管理運営だからおれが勝手にやるんだ、お前たち黙っていろ、という従来のやり方でやるのですか。どうなんですか。
  12. 河村勝

    河村説明員 先ほど申し上げましたように、この計画は、軌道構造強化に伴って合理化を進めていこうというわけでございまして、線路に手を入れないというのではなしに、主要線区には、従来木の枕木のところにコンクリートの枕木を入れるとか、その他の線区におきましても、枕木の数をふやすとか、砕石の量をふやすとか、軌道構造強化と並行してやっておるわけでございます。決して安全を無視して合理化を進めようということではございません。同時に、組合に対しまして今日までかなりの長い間交渉をやっておりますことは、これは近代化に伴う事前協議の約束に基づいて組合側協力を得るためにやっておるわけでございまして、先生の今のお尋ねのようなことでなしに、あくまでも職員協力を得てやっていきたい、そういうつもりであります。
  13. 勝澤芳雄

    勝澤委員 軌道構造強化といわれておるのですが、しかし、現実に五カ年計画投資状態を見ると、軌道構造強化をやっていないじゃないですか。もしやっているとするならば、五カ年計画投資額総額と今まで投資した額を御説明願いたいと思います。
  14. 山口和雄

    山口説明員 ただいまの先生お話に御説明いたしますが、軌道構造強化するということで、昨年、一昨年以来続けておりまして、目下のところ、東海道線主体に、大体本年度で終わる予定でございますが、六十億近いものを東海道に入れております。それから今後の問題といたしましては、昭和四十年までに約四百七十億というものを予定して準備を進めております。
  15. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それで施設局長、五カ年計画で四百六十九億の予定をしておる。実際には、三十六年度で六十九億、三十七年度で五十三億、三十八年度で五十億の、以下の見通しです。この見通しからいくならば、四百六十九億にならぬじゃないですか。この数字でいくならば、軌道強化をサボっているということになると思うのです。それじゃ、三十九年度、四十年度はもっと大幅にやるのですか。そんなに資金事情はよくなるのですか。これは軌道強化を放擲してそのほかに向けられているというならば、私が前段に言いました、車両デラックス軌道スクラップという、まさにこの方向に向かっているのじゃありませんか。これは施設局長、あなたの責任ですよ、どうでしょうか。
  16. 山口和雄

    山口説明員 予定と実際が食い違いましておしかりを受けましたのですが、はなはだ申しわけないと思いますが、予算実行につきまして、いろんなことで若干動いて少なくなったという事実はございますが、しかし、私どもが考えておりますところの軌道強化に準じて近代化をやっていくということで進めておるわけでございまして、最終目的はぜひこの額をもって達成していきたいというふうに考えております。
  17. 勝澤芳雄

    勝澤委員 軌道強化されていないということについては、私は大へん残念だと思うのですが、その点ではやはり施設局がもっと積極的に——実情をよく知っているわけでありますから、やはり金もうけのことも重要ですけれども、安全な快適な輸送をする具体的な基盤になるわけですから、その基盤になるところの発言の力が、私はこの実績になって現われてくると思う。割り振りはけっこう上手に割り振りしてあるけれども実績割り振りを下回っている、むしろその半分にもいかないということは、大へん残念だと思うのです。こういう点から考えても、私は、今度の近代化問題については、相当技術的な、あるいは長い間経験を持っている従業員がおるわけですから、経験というものと科学的なものをマッチして、十分納得理解をした形で移行をしていかなければ、私は重大なことになると思うのです。何といっても長い間経験によってやってきた人というのは、その経験あるいは勘というものは一番確かなものだと思いますし、また新しい、学校を出てきた者は、学問的なものが優先をして、経験はまだまだ未熟ですから、その調和をしていかなければならぬ。そのためには、長い伝統と歴史の中でやってきた仕事ですから、相当長い時間かけて話し合いをし、了解をし、そうして協力を求めてやっていかにやならぬので、その点で、従来のような、河村さんの職員局長のようなやり方でやったら、この問題は私は重大な問題だと思う。先ほど前提に申したように、常務理事になったわけですから、この点は従来になく、また職種として一番いしずえになる職場人たちですから、取り扱いについては十分注意をしなければならぬと思うのですが、どうでしょうか。
  18. 河村勝

    河村説明員 当初の五カ年計画軌道強化で四百七十億と申しましたが、それと比べれば若干ピッチが落ちておりますけれども、決してそのために線路が危険であるというような状態に持っていくことのないようにということですが、その点は十分配意してやっております。同時に、先ほど組合側との協力につきましては、決して今までも私は、一方的に、勝手にやったわけではございません。十分組合側協議の上で協力を求めてやってきたつもりでございますが、この件につきましても、十分配意してやっていくつもりであります。
  19. 勝澤芳雄

    勝澤委員 線路が危険であるとかないとかいうのは、ここで論議をしたって、あなたは危険でないと言うし、また一方施設の人から見れば、今までの常識から考えるならば、これでいいだろうか、こういう意見がたくさんあるわけなのです。そのことが、今あなたの方と組合で話をやっている事故防止対策委員会の中でも、たくさん出されていると思うのです。ですから、それはやはり事務的なものとしてでなくて、技術的なものとして十分納得をさせ、理解をさせなければいけないので、事故が起きたときの責任をよく調べてみますと、やはり私が言うならば、危険な状態にあった、もっとこれを働いている人たちの言う意見に沿って直しておればこういう事故はなかったではないだろうかという点が、たくさんあると思うのです。もしそのときにそういう状態に放置した監督の人が責任をとるならば私はけっこうだと思うのですけれども、最近の国鉄はまさに無責任態勢です。これは三河島事故職場へ行ってみたって、よその会社に行ってみたって、あんな事故をやって総裁が勤まるなら、国鉄はまさに日の丸だ、こう言われております。ましてや今度の五カ年計画の修正でも、御承知の通りです。五割も予算見積もり違いをやって、これでまだのほほんとしている。この態勢でいいだろうか。これは現場の駅長さんはもちろんのこと、民間の鉄道会社がそう言っておるのです。こういう態勢なのです。ですから、その中で、あなたたちはこの合理化を進めようとしておる。近代化を進めようとしておる。大へんけっこうだと思う。思うけれども、やはり責任を下に転嫁することをやめて、責任態勢をしっかりして、その中で理解納得協力を求めるような形で物事を進めていかなかったならば、いつまでたっても、今の国鉄の再建なんて不可能だと思うのです。ましてやこの予算概況を見てみれば、まさにそのしわは一番目に見えないところに寄せられて、そうして施設の一番下積みの——見えないからいいんだ、線路がどうなっていようが、汽車は走っているじゃないか、走っているから危険がないんだ、こういうものの考え方をしては、私は重大だと思うのです。どうでしょうか施設局長、今の状態の中で、施設について責任を持てますか。責任を持てないんですよ。あなたは常務がおるから遠慮されておるけれども、遠慮せずに施設立場で、もう少しこれはこうならなければならないんだということをしっかりとして、それに向かって国鉄をよくしなければならない。そういう点で、もっと積極的な軌道強化の方策、もっと大幅な保守に対する金をたくさん入れて、そして危険のないような線路を作る、危険のないような状態に置く、こういうことについてのあなたの御意見をまず聞きたい。
  20. 山口和雄

    山口説明員 ただいまの先生お話にお答えいたしますが、国鉄線路が、おっしゃるように、過去においては非常に長年の間同じような構造で参っておりまして、私ども、お説にありますように、何とかしてここで強化して、金を入れ、そして強化しながら今後の輸送に対応していきたいというふうに念願しております。私も、そちらの方の関係の者といたしまして、御指摘がありましたように、不十分でございますが、努力いたしておるつもりでございます。  今後の保守体制におきましても、やはり軌道強化する、そして機械力をつぎ込みまして、作業を能率的にしていくというのが目的でございまして、そのために不安になっていくということは、これはまた技術的な問題でいろいろ議論があろうかと思いますが、現場のいろいろな意見につきましては、十分聞きまして、そして実行段階でやっていきたい、かように考えております。今後行ないますところの新保守体制につきましても、こういう体制をとりますと、もちろん組織問題にもなりますので、現場組織もこれに合うような姿で考えていきたい。それに伴いまして、試行という段階におきまして、試みに行ないながらこの体制に切りかえていくという中継ぎの段階を実は計画しておるわけでごごいます。
  21. 勝澤芳雄

    勝澤委員 時間がありませんので、あと簡単に申し上げますが、特に私は、災害が多い台風時期にくると思うのですけれども台風がきたというと、保線従業員は、夜夜中でも、妻や子を家庭に置いて、現場に、危険なところに見張りは出ているわけです。ほかの職種もそうですけれども、実に鉄道を自分のものと思って、まさに真剣に保守をしている。そしてそれに報いられる状態というのは、国鉄始まって以来、まだみのかさを着て、地下たびで、一番劣悪な労働条件の中で働いている、これが実情だと思うのです。最近における保線関係傷害事故を見ましても、殉職事故におきましてもふえておりますし、また直接的な問題でも、たとえばレール棄損による運転事故、あるいは請負工事による事故、あるいは橋げたの衝撃事故というような観点からいきまして、大へん保線関係傷害事故運転事故というものが多くなってきつつある。このことは、何といってもこれに対する力の入れ方が足りなかったということに私はあると思うのです。ですから、安全な輸送を確保するためには当然なすべきことが行なわれていなかったのじゃないか。むしろ営業あるいは運転本位で、列車回りのないようなほんのわずかな時間で作業をさせられる。保線なりあるいは電化なり保守なりというものを考えずにダイヤというものが組まれている。ここにもやはり問題があると思うのです。ですから、そういう観点から、今度はいろいろな角度から検討されていると思うのです。従いまして、一つこの問題につきましては、技術的な問題と従来の経験的な問題があるわけでありますから、十分組合側話し合いをして、その了解の上に物事を進めていくというふうにやっていただきたい。管理運営の事項だから、君たちの言う意見は聞いた。しかし、おれの方は勝手にやるのだ、こういうことは、今回はやはり避けなければならない。また、そういうことをもしやるとするならば、再び起きた事故についての責任というものは、十分とってもらわなければならぬ、こういうように考えるわけでありまして、その点についての一つ河村さんの組合との話し合いというものについて——職員局長から常務になったのですから、労務担当ですから、その基本的な考え方を明確にしていただきたい。
  22. 河村勝

    河村説明員 先ほども申し上げましたように、組合側協力を得るように最後まで努力するつもりでございます。
  23. 勝澤芳雄

    勝澤委員 協力を得るように努力する、よく吾孫子さんもそう言うが、最後にはやってしまう。しかし、これは期間がきまっているわけではない。ましてや保守に対する管理者側と、そしてそれを実際に施行する実施者側との意見が食い違うということは、国民としては重大な問題だ。あなたの方ではこれでいいと思うと言うが、組合の方ではこれでは危険だと思うと言っているのに、そのままやられているということは、大へん心配だと思う。管理運営国鉄立場事故が起きないからということだけでは済まされないと思う。それはやはり技術者の良心と、あるいは仕事をしている人たちの信念というものとを十分調和させて、納得理解を求めて、組合側労働者側意見を十分一致させてやる、こういうふうにすべきだと思うが、その点について、もう一度明確にお答え願いたい。
  24. 河村勝

    河村説明員 組合側との話がまとまらないままに実施するということは、決して望ましいことではございませんので、極力そういう事態を避けるように努力して参っておるつもりでおります。
  25. 勝澤芳雄

    勝澤委員 施設局長最後にもう一つお願いしておくのですが、きょうは滝山常務見えておりませんので、あなたもなかなか言いにくい点もあろうと思いますが、これは施設局始まって以来の大きな仕事だと思うのです。また、これは施設労働者としては大へん重大な問題であると同時に、やはり理解をし、納得をしなければ承知できない問題だと思うのです。それほど線路を愛し、線路のためにみな尽くしてきたわけですから、そういう点から言うならば、やはりあなたが、この施設労働者の気概といいますか、感情といいますか、一番よく御存じだと思う。そういう点から、これはただ単なる労働問題としてだけではなく、国鉄輸送の安全をとにかく守るのだという立場から、しっかりとした対策を立て、話し合いをして、納得のいくような形にさせていかなければならぬ。そのために、あなたも十分意見を聞き、努力をすべきだと思いますが、その点についてのあなたのお考えを最後お尋ねしたいと思います。
  26. 山口和雄

    山口説明員 お話もっともでございまして、技術的な面につきましては、私どももかねてから現場意見を聞き、かつまた、そちらの専門の技術者を総動員しまして、そうして将来のあり方というものを検討して参ったわけでございます。現在もなお研究しておりますが、この体制に移りますということは、お話にありましたように、施設としては長い歴史の間で非常に重大な問題でございますので、私ども、心からこれをスムーズにこういう姿で移していきたいというふうに考えております。
  27. 勝澤芳雄

    勝澤委員 あと時間がありませんので、この問題はこれで終わりますが、特に最近いろいろな事故が起きて注目を浴びている国鉄ですし、ましてやそのもとになるレール問題ですから、一つ慎重に、そして世間も納得する、働いておる人も納得するという形で、この問題がかりに行なわれるとするならば、行なわれるようにしてもらいたい。特に、伝えられるように一万二千人も減るのだという話の中では、働いておる人たちの動揺も相当多いようであります。今お聞きしますと、そんなことはまだ考えていないということでありますから、これはまだ話し合いが十分なされていない、話し合いの過程だというふうに理解をいたしますので、一つ十分話し合いが行なわれて、そしてこの問題が紛争をして、政治の場でまた論議をされて、そしてそれがまた事故を生み、この問題が後に批判をされないように、一つやっていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。
  28. 木村俊夫

  29. 安藤覺

    安藤委員 ただいま勝澤委員から、国鉄私鉄全国にわたっての運輸、交通の安全化問題について、広い角度からいろいろ御質問があり、御意見の陳述があったわけでありますが、私におきましても、まずもって全般的な国、私鉄安全運輸の面について、当局においてはいかなる御処置をおとりになっておるか。ことにこれらを総括して御監督なさる運輸大臣責任とお立場において、いかなる御処置を講じておられるかについてお尋ねがしたいと存じますが、運輸大臣まだお見えになっておりませんので、とりあえず事務当局の方々にお尋ね申し上げておきたいと存じます。  きょうは、運輸省関係は、国私両鉄道を御監督になっておられる鉄監局長がお見えになっておるようでありますから、そのお立場から冒頭にお尋ねいたしたいのでありますが、ここ過去数回引き続いての国鉄のあの惨害事件、また、私鉄におきましても、国鉄ほどの人命殺傷等のことはございませんでしたが、かなりいろいろと事故が起きておるようであります。これらにつきましては、総体的にはいかなる監督、指導の御処置をおとりになっておられるか。勝澤委員お尋ねになりましたことによりましてお答えになっておるかもしれませんが、私、在席いたしませんでしたので、もう一度御厄介でもお知らせを願いたいと思うのです。
  30. 岡本悟

    ○岡本説明員 鉄道の安全確保は、鉄道事業者といたしましては最大の使命でございます。運輸省におきましても、安全の確保については平素十分指導を厳重にいたしておるつもりでございます。先般三河島事件が起こりまして大へん迷惑をおかけいたしたのでございますが、これにつきましては、すでに御承知のように、運輸大臣といたしましては、国鉄の監査委員会に対しまして特別監査を命じまして、その報告を求めておりましたが、これも先般詳細にその報告が参りまして、種々の対策案が述べられております。これらを国鉄側に通告いたしまして、厳重に、忠実に実施するというふうに指導いたしております。また、先般、南武線におきまして御承知のような二重衝突事件が発生いたしましたが、これは主として踏切の安全対策問題でございますので、踏切関係につきましても、かねてから踏切道改良促進法を通じてやってきておりました対策をさらに強化いたしまして、緊急整備をいたしまして、乗客の皆様方が安心して国鉄の機関を利用できるという態勢に持っていきたいということで、目下、来年度の予算におきましてこの方途を実現できるような措置をとっていきたい、かように考えております。  なお、この私鉄全般につきましては、これは古くから運輸省がとっております方策でございますが、安全対策といたしましては、保安監査をやっております。定期的に保安監査を行ないまして、もし安全のための施設に欠陥があるような場合は、これを厳重に指摘いたしまして、直ちに補修させるというふうなことをいたしております。この保安監査と申しますのは、たとえば線路につきましても、線路を一々ずっと歩いて厳重に検査いたしておるのでございまして、そういうことで保安の確保、安全の確保につきましては、われわれといたしましては十分気をつけましてやっておるつもりでおります。
  31. 安藤覺

    安藤委員 ただいま御答弁をいただいたのでありますが、三河島事件に引き続いての南武線事件、しかも、三河島事件については、ずいぶんと運輸大臣から厳重なお言葉をもって国鉄当局に御注意があったようであります。引き続いて、それをせせら笑うがごとく南武線の事件が起きたということ、また、関西方面における私鉄事件が起きてきたということは、何か運輸大臣のせっかくの注意、監督も、まるでろう紙の上を水がすべっているような感じがいたすわけでございまして、これは国民全般がはなはだ遺憾に思っているところである。私は、運輸関係については全くのしろうとでございますので、用語その他についても不適当な、お笑いをいただくようなことが数多く出てくるのじゃないかと存じますが、しろうとなりに考えてみまするときに、やはりこうした事故の発生原因には、人の問題施設設備の問題と、二つに大きく分けられるのじゃないかと思います。いかに施設を完備いたしましても、施設がよくても、人これになすべき注意をなさず、技術において操作を誤るようなことになれば、結局は同じ事故が発生するわけでございますので、これは人と施設と両々相待っていかれることが一番肝心でありましょうし、同時に、ただいまお答えいただいたように、あらかじめこうした事故が起きることなきゃという御心配のもとに、その施設について保安監査をなさるということは、ぜひなくしてはならぬことだろうと思います。それを厳重に、定期的になさるということは、非常に喜ばしいことであります。また、そういうことのために、来年度には予算を計上してと、抜け目なくお話しでございましたので、私も及ばずながら勢子を勤めさしていただいて、できるだけ多く獲得できるように努力さしていただきましょう。そのことはお約束いたします。  そこで具体的な問題としてお尋ね申し上げたいのでありますが、それは、東京新宿−小田原間を走っております小田急の問題でございます。これを語りまするには、この小田急の経過しておりまする三つの大きな川がございます。多摩川、相模川及び酒勾川、この三つでございまするが、御承知のように、日本の国づくり、産業の発展、経済の拡充、大東京の建設、道路の整備、拡充、港湾、河川の改修、こういったことにつきものなのは、砂利でございます。しかも、この砂利が非常に大量に要ることによって、これの砂利の値段の高低は、建築費の上に大きく響いてくるわけであります。勢い、東京を中心といたしました至近距離の河川において、この砂利を採取しようといたします。言うなれば、多摩川、相模川、酒勾川、ことに、多摩川は限界点に達しましたせいか、ここ数年来は、相模川が至近距離にあるということと砂利質が非常によろしいということの理由をもちまして、ここに砂利採取が集中された形になりました。こうしたことの結果、河床が下がりました。現在の河床低下はどの程度かということの正確さは、後に河川局長さんにお尋ねもいたしましょうけれども、かって二十年、十年、五年前にかけました永久橋の橋脚が、ことごとく洗われてしまうというような姿であります。わけても相模川に架橋せられました小田急の鉄橋、及び小田急の鉄橋の上流の約五百メートルばかりのところの旧相模橋、現在は人道橋になっておりますが、これらの橋脚の洗われることははなはだしいものがございまして、私が小田急について調査を依頼して取り寄せました資料によりますと、小田急におきましては、去る昭和三十四年八月の大洪水から先般の三十七年八月までに費やしました費用は、橋脚舗装だけで一億円を投じております。しかも、先般の九月の四日のあの豪雨によりまして、上流の相模ダムが一斉に放水いたしました結果、さらに橋脚の足元を洗われたのみならず、これが傾きまして、まことに危険な状態にさらされました。その緊急補修のために、今六千二百万円をかけて工事をいたしておるということでございます。しかるところ、この相模大橋を小田急が上下通ります本数は、二百八十二本でございます。上り百四十二本、下り百四十本、車両数にしますと七百八十五両、それに搭乗しております人員は、六万人をこえております。今や神奈川県におけるところの内陸地帯の輸送交通機関上における唯一絶対のものといって妨げありません。ことには御承知の首都圏衛星都市第一号の相模原市があり、これにあふれた工場等が、その沿線の綾瀬、海老名、厚木、伊勢原、秦野にあふれてきております。ますますもってこの鉄道を利用する人はその数を増していき、絶対一日一刻も欠かすことのできない重要な幹線になっております。しこうして現在その補強工事のために、橋上を電車は十五キロの速力に落としまして通っておる次第でございますが、たとい十五キロに落とそうと、現在のところにおきましてはその通過に妨げないのでありますが、もしも今後予想されるでありましょう——昨年のごときは十月の十日にも大きな台風が襲っておった事実があります。今年といえどもまたああした台風がないとは限りませんので、もしこういった台風が来、集中豪雨があり、相模湖の門を再び開くようなことがあるとすれば、全く危険な状態を越えてまでなお橋脚が傾くということがないとは保障し得ないのであります。これらについて、先ほども常時保安監査を行なっているというお話でございましたが、当局におかれまして何らかお調べになっておられるかどうか、御承知の向きにつきまして一つお聞かせ願いたいと存じます。
  32. 岡本悟

    ○岡本説明員 お尋ねの小田急電鉄の相模川の橋梁につきましては、仰せのように、すでに八月二十六日の十四号台風によりまして、第十六号橋脚が沈下傾斜を来たしまして、列車の運転上危険を感じましたので、直ちに徐行運転を行なって応急復旧に着手いたしております。この状況につきましては、先生の方がむしろよくお調べのようでございますので、詳しくは申し上げませんが、運輸省といたしましては、この状況にかんがみまして、やはり根本的には河川管理問題であるというふうに判断いたしまして、河床低下の防止策につきまして、先般私の方の事務次官から神奈川県知事あてに、相模川河床低下防止について、要望書を出しております。河床低下防止につきましては、貴県に対し小田急電鉄株式会社から再三要望しているところであり、貴県におかれても、かねてからこれが対策につき考慮中とのことであるが、今般小田急電鉄から要望書の提出があり、当省といたしましても、列車の安全かつ正常な運行を確保するため、緊急に積極的な河床低下の防止措置を講ずる必要性を痛感するので、本件の重大性にかんがみ、さらに特段の善処方御配慮願いたいという趣旨の書面を差し上げております。  なお、安全の確保でございますけれども、そういう根本的な修繕をいたしますと同時に、河床低下の防止につきましては、納奈川県におきまして、適宜適切な措置をとっていただくということを要望し、また、とりあえずは先生仰せのように列車の運行速度を落としまして、なお常時三名の監視員を配置いたしまして、橋梁の変状を——形が変わっていくということにつきましては、常時測定を行なっております。また、その他非常措置については、体制を整えまして、洪水及び異常出水時等、万一の場合に備えておる次第でございます。
  33. 安藤覺

    安藤委員 ただいまさっそくにすでに納奈川県に向かって次官通達などの処置をして下さっておられるそうでありまして、まことにけっこうな、敏速な御処置だったと存じておるわけであります。今監視員を常置するとおっしゃいましたが、それは小田急の職員をしてそうせしめられておるのでありますか、運輸関係方面からの人でございますか。
  34. 岡本悟

    ○岡本説明員 小田急電鉄の職員でございます。
  35. 安藤覺

    安藤委員 なお私申し上げたいことは、ただいま根本的には河川改修の問題、砂利採取の問題というお言葉でございまして、それはその通りでございます。しかし、当面いたしておりまする問題は、今専門で申されております通り、二ミリ何とかの傾斜であるということであり、もしそれこの前の洪水のようにダムの方において毎秒八百トンの放水をするというようなことがあるとすれば、今小田急がせっかく加えております六千二百万円の予算をもって応急補修工事をいたしておるものも、簡単に突き流すのじゃないか。局長はあるいは一度ごらんになっておることがあるかもしれませんけれども、ことにこの相模小田急鉄橋より五百メートル上流に、古かりし、今は人道橋になっており、県道でもなくなっておりますが、橋がございます。この橋はもうすでに一切の車の交通をとめておるほどぐらぐらいたしておるわけでありますが、この橋脚でも洗い流されてごろごろころがりながら下流の小田急のその弱い橋脚へぶつかり、かつ水でその底をあおり掘ったならば、いとも簡単にいってしまうのではないか。その場合において、夜中の十二時、一時に何ミリかのレールの傾斜等があったことを気づかずに終列車等が通った場合には、それこそ三河島と同様な大惨事を起こすのじゃないか。今おっしゃいましたように、常時監視員を置いておるということでございますから、その点も避けられようとは存じますけれども、しかし、恒久的な河川改修とか砂利採取という問題以前に、今急場に迫った不安な問題なのであります。そこで、先ほど承りますれば、次官名をもってすでに神奈川県知事に通達を出しておられるということでありますが、神奈川県におきましても、その通達に即応されてか、ここで予算約九千万円を組まれてこの十月から工事に着手され、来年三月に完成させる予定のもとに、小田急の下流約手メートルのところに砂防堰堤をお作りになる模様でございますけれども、これとても、少し大きい水が出ますと、この砂防堰堤そのものが、この一億程度の工事では流されてしまうだろうということが憂慮されるわけであります。それはまた建設省の問題としてお尋ねもし、お願いするとして、さしずめもう一度これは大臣から一つ神奈川県庁に向かって、あの小田急のやっておりまする応急工事の援護的な意味において、あの小田急鉄橋、その二百メートル上流の相模大橋、そのまた三百メートル上流の先ほど申し上げました人道橋、これら三つの橋を囲んで何らかあのところへ大がかりに付近の砂利を寄せてくるとかなんとかいうことによって、ほんとうに安全性を保てるようにお計らいをいただくべく、再度御注意を喚起申し上げたいのですが、大臣今突然おいでになりまして、まだ私の御質問申し上げてきたことの趣旨がよくおわかりいただけぬかもしれませんけれども、すでに大臣のお耳にも事務当局から達しておることでもあろうと存じまするので、一つ交通運輸安全の確保という意味合いから、この御処置をおとりいただきたいと存ずるのですが、いかがでありましょうか。
  36. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 まず私、きょう閣議で時間が今までかかっておくれたことをおわび申します。  今の安藤委員の御質疑はもっともでございまして、さっき局長が言ったように、すぐその処置をとりました。一昨日進徳丸の進水式にたまたま内山知事に合いましたから、強く厳談をいたしまして、今安藤委員の申されたことが未然に防げるだけの人力と金力の尽くせる限りのことをやってくれなければ、これは大へんな問題になるぞということを、私は知事に直接——前には電話でやったのですが、直接会って申し上げましたところが、安藤委員が非常に心配されて、地元のためにいろいろ注意されておるし、小田急に対しても注意しておって、その地方の出身の議員として自分は非常に安藤議員に感謝しておるというようなことも申されておりまして、異常の非常な洪水のない限り、普通予定し得られる範囲の洪水に対しましては、必ず万全の処置をとるということを言明されておりました。それと同時に、砂利採取者は、あれはたしか摘発しても十万円の罰金がもう最上の刑だそうでして、それくらいなのは平気だというので、幾らやってもとるやつが絶えぬので、その対策に実は弱っているんだというようなことまで申すほど、内山知事は脳裏に深く入れまして、御趣旨に沿うような処置をとるべく最善を尽くすと申されておりました。それですから、私は、想像し得られないような大水がない限り、双方、小田急としても神奈川県知事としても、地元の安藤委員としても注意をされておるからして、私は、三河島事件のような事件は起こらないことを信じておる次第でございます。
  37. 安藤覺

    安藤委員 桐一葉落ちて天下の秋を知るという言葉がございますが、桐一葉落ちざるに早くもきょうの事態を察せられまして、大臣が一昨日内山知事にそういった御処置をおとり下さいましたことは、まことに御明察、かつ、御親切な御態度だと感謝申し上げます。ただ、そこで重ねて申し上げたいことは、予定される範囲の豪雨洪水ということについては万々心配ないようにするというお言葉でございますから、まあ予定される以上のことであれば、これは何人といえども防ぎ得ないでありましょうけれども、その予定されるというのがおよそ限界もあることでございますから、さらに一そうの御注意を強く喚起していただく上からも、一つ御文書をもつて一段と県当局処置方をお願い下さるよう、お願い申し上げてやまない次第であります。  それから建設省の山内局長にちょっとお尋ね申し上げるのでありますが、何といいましても、河川の荒れて参ります問題は、砂利採取にあります。砂利の取り過ぎという言葉もございますが、なるほど取り過ぎということも考えられます。しかし、取り過ぎかいなかということは、護岸工事、河床の整備、そして河床の整備に伴うただいま申し上げたような各川にかかっておる橋の補強施設、並びにあの相模川の沿岸、東西両岸にわたる五千町歩になんなんとする水田の水の取り入れ口の頭首工、これの露出、そして崩壊の危険にさらされている事実、こうしたものは砂利の採取によって、河床の下がるのにつれて、もしくはこれを先回ってそれだけの補強工事がされているとすれば、砂利の取り過ぎということにはならぬわけでございますが、しかし、それとても限度があるわけであります。何にしましても、この砂利が、今日では、かっての石炭にかなうほどの貴重な建設資材になっておるときに、でき得ればこの至近距離の多摩川あるいは相模川、酒勾川等から採取することによって、より低廉な建設材料を提供するということが願わしいことでございます。しかし、それにも、ただいま申し上げました通りに、護岸工事あるいは頭首工の補強、橋脚の補強というようなことと相並行して、どこまで河床を下げていっていいのかという問題が、科学的に検討せられなければなりますまいが、それにつけましても、これらの点について、河野建設大臣は、御就任早々この多摩川、相模川の点について御心配になり、あなたに向かって何らかの指令を発せられて、抜本的な対策を講ずるよう御命令があったやに承っておる。この河野大臣からあなたにお示しになられましたる方針、及びあなたがその御指示にのっとってお打ちになっておられる手だて等について、お差しつかえない限り、また現在立案せられました程度まで、一つお示しを願いたいと思います。
  38. 山内一郎

    ○山内説明員 砂利の問題は、ただいまいろいろ御指摘がございましたように、非常に重要な資源であると同時に、やはりそれを取り過ぎますと、いろいろな重大な影響が起きて参るわけでございます。従って、どうしても守らなければいけないものとか、河床、こういうものは徹底的に規制をしていく。なお、それ以外の区域で取り得る範囲は有効にその資源を使っていただく、こういうような基本的な考えでいるわけでございます。大臣が就任早々この問題についていろいろわれわれに御指示がございまして、その線に沿いまして、ごく最近でございますが、政令を改正いたしております。その政令の改正の線に沿いまして、今事務的に着々進めているわけでございますが、まず第一点は、そういうような重要な河川を建設大臣が指定をする。この指定も、すでに、現在はまだごくわずかございますが、多摩川、相模川について指定をいたしております。それに続きまして、規制区域というものを県知事がきめる。これは、重要なる構造物に影響のあるところは徹底的に規制をするという区域をきめる。これは、従来、県限りで一応保護区域というようなことでやっておられましたが、今度は、河川法の政令ではっきりとその規制区域をきめる。この区域内は、ほとんど採取はさせないという区域でございます。そういうような点と、さらにそれに違反した者については罰則をきめたわけでございますが、これも従来あいまいであった点をはっきりと政令できめました。こういうような点でただいまやっておるところでございます。  なお、先ほどもお話がございました、それではそれだけでいいかどうかという問題は、やはり相当な床どめ工事を現在の段階ではやらざるを得ない、こういう状況でございまして、神奈川県と協力をいたしまして、先ほど御指摘のありました小田急のそこに、今までは出水期を待っていたわけでございますが、出水期がはずれましたので、ごく最近着工して来年の三月に仕上げる。これは先生の御承知の通りでございますが、それをやると同時に、その他の区域につきましても、重要なところを来年度から逐次やって参りたい。両々相待って今後の万全を期したい、こういうつもりでやっておるわけでございます。
  39. 安藤覺

    安藤委員 いち早くそうした御処置をいただきまして、まことに感謝申し上げます。さらに願わくは、局長におかれて砂利採取についての年次計画等もお立てになって、しかも、県のみならず、建設省御自身におかれても厳重な監督をなされて、砂利の採取量を守らせるように——一気にこれをとめますれば、あの砂利採取業に従事しております約三千七、八百の従業員の失業問題も起こしましょうし、また、相模川の砂利が全然東京へ入らなくなる、横浜へ入らなくなるということになりますと、これまた東京の町づくり、横浜の町づくり、あるいはあの付近の首都圏衛星都市としての建設にも支障を来たすことでございましょうから、急速なとめ方はできますまいけれども、厳重に年次計画を立てられて、その年次計画を業者にかたく守らせるように特段の御配慮を願いたいと存じます。同時に、先般これは局長に直接陳情申し上げたことでありますが、例の磯部の頭首工、これによって約四千町歩がまかなわれておることでございまして、これも累卵の危うきに瀕するという言葉がございますが、まさにその通りでございます。これは御自身もすぐ御視察なさったことでございますから、ここにくどく申しませんが、どうか来年度予算において特段の御処置をとって、あの四千町歩を耕す農民をして心を安んぜしめられますよう、お願い申し上げてやまない次第であります。設計関係につきましては、以上にとどめておきます。  運輸大臣に重ねてお願い申し上げるのでございますが、先ほど局長も保安監査を厳重にいたすということでございました。これはまことにけっこうなことでございますので、ぜひこれを、ただに小田急線のみならず、全国の国私鉄ともに、このためには人件費を相当に要することがあっても、一つお進めを願いたいと存じます。  それにつきまして、もう一つ大臣にお願い申し上げたいのでありますが、横浜を起点といたしまして厚木まで参っております相模鉄道という鉄道がございます。これが厚木飛行場の外側滑走路のところを約百メートルばかり離れたところを通っておりますが、たまたまこの厚木飛行場の発着陸の飛行機が、しばしばこの相模鉄道の架線に引っかかりまして、非常に大きな事故を起こしております。昭和二十二年以来本年の八月の十一日までに、実に十三回の事故を起こしております。ことに、その事故を起こす個所がほとんど一定化しているといっていいほどであります。滑走してきて離陸する、間もなく線路が通っておりますから、この架線に引っかかりまして、このためにもし電車が通りかかっているときであったならば、どえらい事故になります。たまたま電車が通っていないときなら、架線に引っかかった飛行機に乗っておった人だけが死に、あるいは負傷するだけでございますが、電車が通りかかっておったというようなことがあったら、大へんなことになります。そこで相模鉄道は、調達庁に極力お願いし、調達庁としましても、これは捨ておけないということで、昨年からその個所だけを隧道にしようというようなことで、予算の計上を大蔵当局に折衝いたしておるのでありますが、なかなかに大蔵当局の了承を得ることができないようであります。明年度に向かっても、調達庁はこれに対して予算化をはかっておるようでありますが、運輸大臣といたされましても、運輸輸送安全化の上から、ぜひとも一つ協力下さって、これが実現をはかられますよう、そのことによって運輸当局の直接の責任において非常に軽きものをもたらすのでありますが、一つ大臣、このことに関してまた格段なお力添えをいただきたく、お願い申し上げておきます。
  40. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 本件につきましては、去る三十七年八月三十日付で、調達庁長官に次官からきびしく要望と申しますか、施設の改善その他につきまして通達を出しております。さらに、今安藤委員のおっしゃるように、昭和二十八年以降に九件飛行機事故がございまして、そしてしばしば被害があることはもうよくわかっておりまして、おっしゃる通り、満員の旅客が乗っておったような場合だったら、大へんなことになるものですから、これにつきましては、一番いいのは、今おっしゃったように隧道にするのがいいのですが、それには一億一千万円ぐらいかかるやに聞いております。それですから、それを調達庁としては要求するようにして、そういうことのなからしめるよう努力するように、調達庁に向かってさらに注意を促すつもりでございます。どうぞさよう御了承願いたいと思います。
  41. 安藤覺

    安藤委員 ただいまの問題につきましても、すでに御承知済みだということでありまして、まことに安心いたすわけでありますが、しかし、何と言いましても、予算がとれませんことにはいかんともいたしようがございませんので、調達庁自体もずいぶん御努力下さることを確信いたしておりますが、調達庁も、全国各地の基地を抱いてなかなか予算もふくれ上がることでございましょうし、容易でなかろうと思いますが、一つ大臣の方からもぜひ大蔵大臣にお手伝いの声をおかけ下さって、これが実現し、安全な輸送ができますようおはからい下さることを重ねてお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。      ————◇—————
  42. 木村俊夫

    木村委員長 この際、海上保安に関する件について、あわせて調査を進めます。井岡大治君。
  43. 井岡大治

    ○井岡委員 御承知の通り、大阪の港が、南港並びに堺港、あるいは近く泉北港、こういうようにだんだん大きくなって参っております。そこで、先般大阪の保安部に行きました際に、ぜひこの大きくなった事態を直視していただいて、適切な処置を講じてもらいたい、こういう御陳情がありました。その一つは、現在の巡視艇が足らないのだ。だから、十八ノットの巡視艇を二隻ふやしてもらいたいということ。第二点は、堺からあそこまで手続なりいろいろなことで来ますと、今のあの大阪の交通状態ですと、来るだけで一時間半ばかりかかりますから、それはなかなか大へんなことだから、ぜひ出張所を堺に設けてもらいたいということ。それからこれに伴って信号所を設置をしていただかないと、われわれ保安部の者としてはなかなかうまくいかない、こういうことを言っておられました。ぜひこれを次の委員会でやっていただきたいという御希望があったものですから、一つこれらについてぜひ特段の御配慮をいただくことをお願いして、簡単でよろしゅうございますから、お考えを承りたいと思います。
  44. 山崎城

    ○山崎説明員 ただいまお尋ねの件でございますが、私どもの出先機関として神戸に第五管区海上保安部がございまして、この出先機関の方から、ただいまのお話につきましては十分事情を聞いております。また直接にも、最近の堺方面の発展の状況に即応して私ども体制を整備しなければならないということについて、十分承っておりますので、さしあたり来年度の予算の要求といたしまして、まずお尋ねの第一点の巡視艇の問題でございますが、それは十五メートルの巡視艇というのがございますが、これの代船建造を九隻、それから増強九隻、合計十八隻、来年度に全体として要求しておるわけでございます。もしもこれらの予算を獲得できますれば、そのうちから大阪方面に配属することができますから、それによりまして同方面の勢力の増強を十分にはかることが可能であるかと思うのであります。  それから次に出張所の問題でございますが、一応私どもとしては、来年度の予算といたしまして、堺に分室を設置するという要求をいたしまして、これは定員二名の要求を伴っております。  それから第三点の信号所の点でございますが、これも来年度の予算に要求をいたしておりまして、定員四名で要求いたしております。
  45. 井岡大治

    ○井岡委員 非常にささやかな、定員二名の分室ということになりますと、これは実際はお休みがとれない、こういうことになるので、この点はもう少しお考えになる必要があるのではないかと思います。同時に、これは要求でございますから、その通りにいくかどうかわかりません。そこで大臣、この問題は、来年度はすでに堺港は動きますから、ぜひ一つ予算の要求には格段の御努力をいただきたい、こういうことだけお願いをして、せっかく保安部の諸君たちも非常に期待をしておることですから、私の方からも言いますし、同時に総務部長の方からも連絡をしていただきたい、こう思うのです。
  46. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 井岡委員の御質問の通り、私も、実はこの間現地を見まして、その必要性を痛感しておる一人でございますから、なるべく御希望に沿うよう努力いたしますが、委員各位においても御協力をお願いいたしたいと思います。     —————————————
  47. 木村俊夫

  48. 久保三郎

    久保委員 時間もたくさんございませんので、運輸大臣一つだけお尋ねしたいのでありますが、その前に、これは要望事項でありますが、つけ加えておきたいと思うのです。  きょう、実はこの委員会終了後、当委員会として東京の陸運事務所、さらに羽田空港の管制業務、こういうものを調査することに相なっているわけです。すでに御案内の通りでありまして、陸運事務所並びに航空管制業務、いずれも業務量に応じた人員の配置がないというのが一つ。さらには、労働条件の劣悪といっては語弊があるが、さらに改善されないままでありますので、なかなか需給が困難であるという面もあるので、実はその実態を調査しようというのであります。ついては、予算の概算要求の段階でありますので、これらについては、引き続き御協力というか、御尽力をいただいて、これらの業務が円滑に遂行できるように、さしあたり要望しておきたいと思います。  そこで、私の質問でありますが、それは私鉄運賃問題であります。巷間伝えられるところによりますれば、昨日大臣と企画庁長官がお話し合いになりまして、一応の運賃値上げの線というのをおきめになったように報道されているわけでありますが、運賃値上げの問題については、もうすでにわれわれは当委員会においてわれわれの考えを大半申し述べておりますので、重複を避けますが、少なくとも運賃値上げを検討する前提として、政府がいかなる施策を行なうかが、まずとらるべきものじゃないか。この施策をあと回しにして運賃値上げを論議することは、本末転倒であるし、政府の責任というものを回避することではないだろうか、こういうふうにも考えているわけです。ついては、この運賃値上げということは、単純な、いわゆるそれぞれの経営実態だけを見てやっておられるかどうかという問題が、第二番目にあるわけです。言うまでもございませんが、なるほど運賃値上げの率は、巷間伝えられるところによれば、一割程度だということでありますが、運賃値上げによる実際の影響というのは、そういうものではないのであります。御承知のように、たとえば二十円区間を二十五円にするというのも出て参ります。そうなればこれは一割じゃないのであります。そういうしわ寄せというか、そういう影響が、庶民一般、国民大衆の生活に非常に影響する。そればかりではなくて、最近、御案内の通り、池田内閣は所得倍増内閣じゃなくて、物価倍増内閣であるという巷間の偽らない批判もあるわけです。これは実感としてやはりそうだと思うのでありまして、役所の中で、テーブルの上の計算では、なるほどそういうものではないと出るかもしらぬ。しかしながら、経済というものは生きものでありますから、単に算術的な計算ではとらえ得ないものが、大臣御承知の通り、あるわけであります。しかも、池田内閣が高度成長経済をバランスのとれたものに持っていくというならば、当然ここで物価の問題には最大の関心を持たれていると思うのであります。最大の関心を持たれると同時に、その抑制の問題について腐心されるのが、まずもって政策の重点ではなかろうかと思うのであります。もちろん、所管大臣としては、私鉄経営実態についてしさいに御検討なさることは当然でありますが、国務大臣として、反面、日本経済の実態についてもまた施策を練られるのがほんとうだと思うのでありますが、こういう観点から言うならば、この際、私鉄運賃の値上げという問題以前に、政府の施策として、私鉄経営を健全ならしめるためにはどうすべきか、こういうものを確定されて、そしてなおかつそれでもいかぬ、そういう場合においてのみ国民の世論に問うのが、この値上げの問題ではなかろうかと思うのでありますが、昨今の新聞紙上に伝えられる点では、残念ながら、値上げの幅についてのいわゆる交渉というか、政府部内においての検討が進められておる。どうも施策の方は、大ざっぱなものは出ているようでございますが、これは作文的なものにすぎない。来年度の予算要求の段階でありますので、そういうものについても明確な判断というか、見通しがなくては、残念ながら、値上げの幅をきめるにしても困難ではなからうかと思うのであります。よって、私がお尋ねしたいのは、そういう観点から、いわゆる私鉄経営全体について、国民経済的な立場から考えておられるか。そのためには政府の施策が先行すべきであると考えるが、この点についてはどうなのか。こういう点をお尋ねしたいと思いますが、いかがですか。
  49. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 久保委員お尋ね、御趣旨ごもっともと思います。私どもも、政府の財政の許す限りは、政府がまず私鉄の改善に努力するようにやりまして、しかる後、それでもまだ足りぬという場合に値上げその他の私鉄側の方法にやるべきがいいのでありますが、御承知のように、財政の現状は、ことに国鉄の新幹線が完成するまでは、なかなか財政的に困難でございますから、国鉄がすでに一昨年値上げした以上、私鉄もそれに付随して、自分の資金で交通の緩和、安全その他についてするのは、私は経営者としてやむを得ざるものと考えて、その上げた使途をやかましく言うて、交通の安全と確保に努めるように指導していきたい、かように考えております。
  50. 久保三郎

    久保委員 大臣のお話では、大体施策の方も、財源的に逼迫しているのでということが一つ。もう一つは、国鉄も昨年値上げしたから、その問題もあって、こういうことになろうかと思うのでありますが、それも一つの理由にはなりましょう。しかしながら、国鉄経営私鉄個々の経営とではまた違うのでありまして、国鉄が値上げしたから、それぞれの私鉄も、大手十四社でありますか、これも一斉に値上げしなければならぬという理屈は、どこからも出てないと思うのであります。むしろ一社々々の経営実態、そういうところから値上げが是であるか非であるかという問題が当然出てくるし、先ほど申し上げたように、その一つ会社が、鉄道企業が、かかるところに原因がある、経営不振であるというならば、あるいは輸送力増強が足らないとすれば、政府の施策としてこの会社に何をすべきかということであると思います。従来たびたび申し上げておりますが、一斉値上げということ自体について問題があると思います。値上げだけが先行しておって、私鉄経営全体のそれ、それの経営の実態について、しさいに御検討いただいておるような向きはないのではなかろうか、こういうふうに見ているわけであります。そこに問題があると思うのであります。いずれにしても、政府の施策の先行といっても、結局は財源の問題に相なろうかと思うのでありますが、経済の基礎が——経済というか、いつも経済の隘路というものが、輸送の面に来ている。これは長い伝統と因習というか、そういうものにとらわれてきているわけであります。実際言うと、所得倍増計画に先行するものは輸送その他の公共投資でありますが、公共投資の方は、わずかにやっております。しかしながら、輸送面については、公共投資というものは、空港あるいは港湾以外にはほとんどない。あとはその企業にまかせておる。こういう実態なんです。それに対する反省が全然なされていないのではなかろうかと私は思うのであります。そういうところに問題がある。それでだれもが考えることは、長期低利の資金をそれぞれの企業に提供する。それによって輸送改善をさせるということも、一つでありましょう。これらについてはどうおやりになるのか。さらには税制によるところの措置もあるでしょう。一般企業と同様に、この鉄道軌道業者を見るべきかどうか、これにも問題があるのであります。たとえば固定資産税そのものをとりましても、非常に問題がある。こういう問題についても、目鼻はまだついておらないのではないか。さらには、われわれが今日ただいま提案しておるところの公共負担の思想についてはどうなのか。それについても、今まで明確な御判断はあまりいただかなかった。なるほど鉄監局長は、そういうものは反対だというのではないが、大幅には賛成しかねるということでしたが、そういう問題がいわゆる国家の政策としてなされない限りは、単に運賃値上げを認めるかどうかというのは、企業者にとっても、利用者にとっても、どうもあまり理の通った話ではないと思うのであります。むしろそれならば、運輸大臣の認許可の中の運賃統制の権限をはずすべきだと思うのです。運賃統制の権限を持っておるということは、国家政策として財政投融資でそういう措置を講じながら輸送を確立させるという反面が、思想としてはあります。でありますから、私がここで申し上げたいのは、運賃値上げの是非を判断する以前において、いわゆる大手十四社なら十四社の輸送力を増強する場合に、政策としてどうあるべきか、この政策を先行すべきである。これだけの政策はできる、しかしこれ以外はまかない切れないというならば、そのときに初めて国民大衆の世論に問うて、運賃値上げが必要かどうかをきめるのが筋ではないかと思うのです。しかも、そういう運賃の判断をする運輸審議会自体も、残念ながら、今までは利用者大衆の意見を率直に聞くような機構には、実際はなっていない。なるほど法律の建前はそうなっているかもしれないが、たとえば一つ会社の沿線住民の声を聞くというような建前にはなっておらぬ。そこに国民大衆の運賃値上げに対するところの反対論が出てくるわけです。そこで、くどいようでありますが、政府の政策として今日先行さるべきものは、何をお考えでありますか。いかがでしょう。
  51. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 私どもは、運賃値上げの先行として、ただいまおっしゃったように租税面、財政面、すなわち低利な公共投資をせしめるとか、あるいは固定資産税を国鉄並みにするというようなことをあわせ行なっても、まだどうしてもやっていけないという観点に立って、やむを得ず——申すまでもなく公共企業は、能率よく安全にやって、それを利用する者が対価を払うというのが、公共企業経営の方針ですから、そういうものに従って私どもはやっていくつもりでございまして、先行すべきものについては財政の許す限り要望をいたしておるのですが、悲しいかな、その要望をなかなか聞いてもらえないのです。財政の現状がそこまでいっていないのです。そういうことを御了承願いたいと思います。
  52. 久保三郎

    久保委員 これは運輸大臣としては御努力いただいておるそうでありますが、私が申し上げたいのは、少なくともそういう政策がこういうことになった。しかし、これをあわせ行なってもなおかつ間に合わぬという場合に、初めて運賃値上げの是非を検討されるのが当然ではなかろうかと思うのであります。いまだ私は寡聞にして、大幅な政策なり小幅な政策がこの私鉄経営についてとられるということを聞いておりません。でありますから、ここで運輸大臣に御要望申し上げたいのは、少なくとも運賃値上げの是非をきめる前に、政府の政策について、これは前進があるのか、前進がないのか、その辺のこともはっきりきめてかからなければいかぬと思うのです。単に運賃値上げだけやってやろう、かわいそうだ、苦しいらしい、こういうだけでは筋が通らぬと思うのであります。でありますから、当然今大手十四社を中心とした私鉄運賃値上げの問題は、少なくとも三十八年度なり——もっとも臨時国会ももう開かれましょうから、追加もできますから何でありますが、いずれにしても、そういう政策がコンクリートにできて、初めて検討すべきものだと思うのです。そういう意味で、この政策を先におきめいただきたいと私は思うのですが、そういうことはお考えになっておりませんか。政府の政策を先にきめていくという方針は、いかがでしょう。
  53. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 さっき申しましたように、そういうことをやりつつやって、しかも、私鉄の交通の現状は、ただいまの交通緩和に役立つだけの資金を得る方法が他にないという見解に立って、これをやっておるわけであります。
  54. 久保三郎

    久保委員 そういたしますと、大臣、あなたのお話では、もうこれ以上政府の政策の前進はあり得ないという前提に立って運賃値上げをおきめになるわけですか。いかがですか。
  55. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 それと並行してやるつもりです。
  56. 久保三郎

    久保委員 並行してやるのでは、やはり私の考えとはちょっと違うと思うのです。これは並行でやった方がいいか、先行した方がいいか、いろいろありましょうが、私は、日本経済の全体、国民生活の問題、そういうものを考えれば、少なくとも先ほど言ったような政府の政策の前進がこの程度、これがぎりぎり決着だというところまでおきめいただいて、そのあとで御検討なさるのが正しいと思うのでありますが、そういう方向ではなく、あわせていこうというのですか。あわせていくということになりますと、来年三月なり四月ということに相なりますね。
  57. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 そういうことには、私の考えではなりません。今まででもそういうことをやってきたのです。
  58. 久保三郎

    久保委員 今までやってきたというのは、今までの政策で仕方がない、だから、ここでやっていけないためには運賃値上げだ、こういうことになりますか。
  59. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 御承知のように、私鉄大手十四社が値上げの申請をしたのは、昨年の八月十五日です。それ以来、財政の面あるいは租税の面その他のことについて、いやしくも交通緩和に役立つ施設につきましては、いろいろ検討いたしました結果、公益事業の能率をよくして、適当な運輸をする者に対して適当な対価を払うというのが原則ですから、その原則に従うようにするために値上げをすべきであるという結論に達してやっておるわけであります。
  60. 久保三郎

    久保委員 くどいようでありますが、運輸省としては、去年の八月からの懸案事項というか、それは私も知っております。それから見れば、どうも運輸省というか、運輸大臣というか、歴代の大臣は、一年以上も何をやっておられるのだろう。あまりにも政治力というか、力がなさ過ぎると思う。一年間たっても、ちっとも政策の前進はありません。なるほど三十七年で、財政投融資の面で若干あったでしょうが、踏切の問題ではこれはないにひとしい。それで終わりだ。それで運賃値上げというのは、どうも粗末ではないか。それなら、なぜ去年の九月か十月なりに値上げに決着しなかったか、私は不思議に思う。ところが、ずっとこの一年間、運賃値上げをどうしたらいいか、参議院の選挙があるからあと回しにしようということでやってきたでしょう。それでは、運賃値上げの是非は別として、私鉄経営は円満にいかないと私は思うのです。そこで私が言いたいのは、ここまで持ってきたなら、運輸大臣は最近における大物でありますから、一つ新しい前向きの政策を出したらどうか。財政投融資にしても、もうちょっとましなものを出したらどうか。利子にしても、ほかの振り合い上からいって回転率は悪いのでありますから、投下資本としては回収率は悪いのでありますから、そういう点からいっても、利率の問題も、利息の問題も、考えていく。あるいは私らが提案しているところのいわゆる公共負担法にのっとって、その一部でもいいから実現してやろうとかということがなければ、国民大衆は、今の大臣の答弁だけでは納得しませんし、われわれ国会議員としても、ああそうですか、政策はないのですか、これだけですか、それじゃしようがない。運賃値上げ以外にないですな、こういうことじゃ政治じゃないのであります。これは事務官僚の仕事でありまして、これは大臣をわずらわしたり、国会で論議する必要はないと思う。そこに陸運行政の貧困さがあると私は思う。しかも、一斉に値上げをきめるなんというのは、大体ものの理屈からいっても話になりません。しかも、私鉄経営の実態について、一社々々洗うべきだ。洗っておりましょうが、これはなかなか政治的なものがあって、そうはいかないようであります。いずれにしても、もう時間もありませんからここで私はやめておきますが、少なくとも単に運賃値上げの是非を論議すべきではなく、それ以前にもっと私鉄経営に対しての政府の施策を先行決定すべきである。その上において世論に問うた方がいい、こういうことであります。どうぞ十分考えていただきたい。  同時に、資料要求をしておきますが、この大手十四社を中心にした私鉄経営の実態はよくわかりませんから、それに対するところの資料、並びに今までの政策がなぜ前進しないのか。それは文書によって御回答いただきたいと思います。たとえば税制の問題にしても、資金供給の問題にしても、それから公共負担に類するものも、あるわけであります。そういうものについてのものの考え方運輸当局なり政府当局考え方を、これは簡単でいいですから、文書で御回答いただきたいと思います。以上です。     —————————————
  61. 木村俊夫

    木村委員長 内海清君。
  62. 内海清

    ○内海(清)委員 私は、海運、造船の問題について少し詳細に御質問申し上げたいと思っておりましたが、あと時間の関係がございまして、もう二十分もないようなことに相なったのであります。はなはだ遺憾に存じまするが、ごく簡単に御質問申し上げ、いずれまた次の委員会でも十分時間をいただきまして、重ねて御質問いたしたいと思うのであります。  海運問題につきましては、さきの臨時国会の最終段階におきまして、いわゆる海運企業の基盤整備の臨時措置法案が、御承知のような審議未了、廃案になりましたわけであります。その最終段階におきまして、それぞれの政党から御要望なり御意見があったわけであります。その後、運輸当局におきましては、これに対しまする非常な御尽力で、次国会に提案すべく吟味が行なわれておるようであります。ここで詳しいことは今申し上げませんが、どうか私どもの要望いたしておりまする事項が十分に政策として具現いたしますように、ここでこの問題は簡単に御要望だけ申し上げておきたいと思うのであります。  次に、時間がありませんから、質問いたすことがはなはだちぐはぐになるかもしれませんが、造船の問題について若干お尋ね申し上げたいと思うのであります。  先ほど申しましたような基盤整備の臨時措置法案が廃案になりましたために、三十七年度のいわゆる十八次造船が、せっかく予算措置がなされておるのでありまするが、船主協会においては、かような法案の内容ではわれわれは十八次に参加することができない。さらにまた、金融業界におきましても、この状態では融資がむずかしいのだ、こういうふうな状態になりまして今日に至っておるわけであります。しかしながら、造船業界といたしましては、すでに造船業界の事情も御承知でありましょうが、今日大体百八十万トンの造船能力を持っておるといわれております。その従業員は約十万でありまして、これに関連工業を加えますと、三十万にはなんなんとする従業員であります。家族を含めますれば、およそ百五十万程度に相なるということが認識されておるわけであります。ところが、この造船業界におきましては、国内船におきましては、いわゆる計画造船、自己資金船、さらにその能力の関係上から輸出船、こういうものによって工事量を確保して参っておるのであります。しかしながら、何と申しましても、この国内船の中の計画造船がベースになることは申し上げるまでもございません。次いで自己資金船、その余力をもって輸出船を建造するというのが、建前になっておるのであります。しかも、造船所の特質といたしまして、御承知のように、非常に多くの従業員を持っておるということであります。しかも受注生産であります。さらにまた総合工業でありまして、受注から起工までに相当の準備期間が要る。さらに起工いたしましても、その工期は非常に長い。また、金額的に申しましても、一件十億、二十億、大きいのになれば三十億をこすというまことに膨大な金額でありますので、従いまして、そういう制度からして、一たん決定いたしました船台計画というものは、決して容易に変え得るものではないのであります。そういう観点から考えまして、この十八次は、今年度におきまして五十万トンが決定いたしたわけでありまするが、造船所は、この五十万トンを支柱といたしまして、受注計画、工事量の充足という面を考えて参ったのであります。ところが、この五十万トンは、二十五万トンが年度内起工であり、二十五万トンは契約ベースである、かようなことになっておるのであります。従って、初め予想しておりましたよりも年度内におきます工事量が非常に減少した、かような実態に相なっておるのでありまして、この工事量の充足ということに非常に今日困っておるのが、実情であると思うのであります。そういう関係から、造船業界におきましても、少なくとも本年度は、六月末までには造船所の工事計画に支障のないように船主決定をしていただきたい、かようにお願いして参ったのでありまするが、先ほど来申しました整備案等の関係から、これが一向進展しなかった、こういう状態にあるのであります。しかも、この造船の市況は、国内船、輸出船ともに今非常に悪化して参っておりまして、新規受注が非常に減っております。それに加えまして、最近の大手の造船所は、かなりの面において陸上部門に進出いたしておりまするが、昨年来の景気調整、金融引き締めによりまして、これがまた非常に減っておる、こういう実情にあるのであります。従って、もしもこのまま十八次の実施がずるずるとおくれるようなことに相なりますならば、各造船所には多くのアイドルが発生いたします。すでに発生いたしております。特に年度後半に至りましては、この造船所の操業度は非常に低下いたしまして、憂慮すべき状態にあるのであります。ことに関連工業は、御承知のように、いわゆる中小企業が大部分でございます。さなきだに金融引き締めによりまして、今日非常な苦境にあるときであります。これに一そうの拍車をかけまして、社会問題さえも起こしかねない、こういうことが憂慮されておる実態でございます。従いまして、この際十八次造船は早期に実施されまして、この危機を克服することが大事だ、私はかように考えておるのでありますが、この造船業の実態につきまして、大臣はどのように認識しておられましょうか、この点を一つお伺い申し上げたいと思います。
  63. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 ただいま内海委員の申された通りに私どもも認識いたしまして、何とかしなければ、せっかく世界に優秀な技術を持っておる造船業界が、またこれに関連する付帯業界が、非常な危機に瀕しておるということを痛感いたしまして、何とかしてなるべく早く計画造船の少なくとも二十五万トンだけは年内にきめたいと、今せっかく各方面と折衝いたしております。そうして私どもとしても、どうしてもやりたいと考えております。
  64. 内海清

    ○内海(清)委員 大臣もせっかく御努力中であるということでありまして、造船業界の実態についての御認識が私どもと同一であるならば、いかなる困難も排除してこれを実施していただきたい、かように考えるのであります。  時間がありませんので、簡単に船舶局長さんに御質問申し上げたいと思いますが、現在各造船所の持っております手持ち工事量、これに加えまして、この船台の使用状況、ことに先ほど来決定を見ましたソ連船を含めての状態、さらに受注の今後の見通し、国内船につきましては、海運局長にもお願い申し上げたいと思います。
  65. 藤野淳

    ○藤野説明員 造船業の手持ち工事量は、主要の造船所二十四工場で約二百四、五十万トンございます。この数字は、年間の建造量二百万トン内外に比較いたしますと、一年数カ月分の工事というふうに考えられるのでございますけれども、実態は、すでに起工を行ない、工事中の船が相当ございまして、今後に起工し、工事を始める船は、その一部でございます。それを船台の使用状況、稼動予定の方から御説明申し上げますと、六千五百総トン以上が建造できます船台が、二十四工場で六十七基ございまして、九月末現在で三十二基があき船台になる予定でございます。この使用中の船台の中には、計画造船が三基、自己資金船が九基、輸出船が二十三基含まれております。ところが、建造許可を終わりました船につきまして、三十七年の十二月末の予定を見ますと、六十七基のうち五十基があき船台になります。それから三十八年の三月末になりますと、五十基が五十六基に上りまして、わずか十一基が使用中の船台というようなことに相なるわけでございます。ソ連船は八月二十一日に調印されました十七隻、九千数百万ドルという大きな受注が相当注目されたのでございますが、三十八、三十九、四十年と、三年間にわたります工事であります関係上、使用船台に及ぼす影響はわずか三基ないし二基の程度でございまして、三十七年度あるいは三十八年度前半には、さしたる影響はないというふうに考えます。新規受注の見通しにつきましては、本年度は、自己資金船はわずかに十四万トンを建造許可したにすぎないのでございまして、今後の自己資金船の困難である事情は、十分御考察の通りでございます。輸出船につきましては、世界海運の市況が依然として非常に悪うございまして、受注の見通しは、昨年に比べますと非常に困難に相なっております。ただ、ソ連船の大量受注によりまして、現在まで百万総トンに対する受注の達成率は約三分の二になっておりますが、今後の受注は非常に困難でございます。従いまして、今年度あるいは来年度の初頭にわたる船台の使用状況が、今後の輸出船の受注によりまして改善されることは、まずないというふうに考えられる次第でございます。  先ほど先生のおっしゃいました造船のアイドルと申しますか、二時間残業はもうすでに切っている工場がたくさんございますし、来年の三月になりますと、二十四工場全部が二時間残業を切り、また、そのうちの半分は八時間定時の作業量をキープすることが困難になりまして、重大な問題になってくると私どもは予見をいたしておる次第でございます。
  66. 辻章男

    ○辻説明員 先ほど大臣からお話しございましたように、金融界といたしましては、政府の海運に対する助成の腹がまえが明確でないと、これ以上新しい船に対して融資することは困難であるということを昨年来言われまして、私ども先月審議未了になりました海運企業の整備に関する措置法のようなことを考えた次第でございますが、ああいう結末になりましたので、現在種々検討いたしておるところでございます。ただいま大臣からお話がございましたように、しかし、造船所の事情が非常に逼迫しておりますので、これにどういうふうにして金融機関の協力が得られるかどうかということを、いろいろ打診しているところでございます。
  67. 内海清

    ○内海(清)委員 もう時間が参りましたようで、さらに割愛せざるを得ないのでありますが、海運局長さんにこの際特にお尋ねしておきたいと思いますのは、まあ十八次早期着工は、造船事情からいって必至であるということであります。しかしながら、先ほど申しましたように、運輸当局におきまして、いわゆる十九次に対しますと申しますか——海運政策についていろいろ御努力中でございます。これはおそらく十九次の前提になるものと思うのでありまして、少なくともこの前出されました整備法案よりも、うしろ向きの問題強化されるでありましょうし、まして前向きの利子補給、あるいは融資率の引き上げ、その他の問題強化されると思うので、そこで十八次を進める上におきまして、私非常に問題と考えますのは、この十八次を実施するといたしました場合に、十九次とのいわゆる建造条件の調整であります。これはいろいろ問題があると思うのでありますが、一つ局長のその面に対する御所見をお伺いしておきたい。
  68. 辻章男

    ○辻説明員 これは、来年度以降のいわゆる計画造船の条件につきましては、いろいろ省内で検討をいたし、大蔵省当局と折衝に入っている段階でございまして、これがどういうふうな政府全体といたしまして条件になるかは、未確定でございます。片方、本年度の融資の条件、財政の比率等につきましては、すでに一応予算的にきめられておりますので、私どもとしましては、一応来年以降の問題は非常に不確定な要素も多うございますし、現在の予算の認められた範囲内におきまして、各方面の意向を総合しまして政府としてのとるべき策をきめたい、かように私としては考えておる次第でございます。
  69. 内海清

    ○内海(清)委員 一応本年度の予算できめられた範囲内、こういうことに相なりますると、あるいは建造量を減らしてもっと比率を引き上げるとか、まあこの措置はできると思うのでありますが、利子補給の問題につきましては、それではいかないわけであります。この利子補給の問題は、十九次、いわゆる今度の海運政策を決定いたします際に、十八次にさかのぼる、こういうふうなことはお考えになっておらぬわけでございますか。
  70. 辻章男

    ○辻説明員 現在のところ、そういう考えは持っておりません。
  71. 内海清

    ○内海(清)委員 そういたしますと、そこに非常な問題があると思いまするが、この点は一つ政府におきましても、運輸省関係におきましても、十分御研究になって、いずれにいたしましても十八次はスムーズにこの際建造ができますように、これは造船所対策の面から強力にお願い申し上げたい。  なお、この十八次をやりますにつきましての問題のポイントは、いわゆる市中金融関係がこれに融資を踏み切るかどうかということと、いま一つは、船主協会があの前の法案の内容では十八次に参加できないということを声明いたしております。これはどうしてこれを引き下げさせるかということだと思うのであります。後者の問題につきましては、もちろんこれは運輸当局の十分なる行政指導によりまして私は可能かと思うのでありますが、前者の金融機関関係問題につきましては、運輸当局が今日もっぱらこの折衝に当たっておられるということを承っておりまするが、もしこれらの点につきまして、今日までの様子をお聞かせ願えればこの上ないと思いますが、海運局長いかがでございますか。
  72. 辻章男

    ○辻説明員 金融機関の方面につきましては、そういう意向を打診いたしておりますか、今までのところ、まだいろいろ金融界で検討しておられまして、明確な意見等はまとまってない状態でございます。
  73. 内海清

    ○内海(清)委員 これは一つ早急にあらゆる努力をして、この解決に当たっていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  それから大臣にもう一つお伺いいたしたいと思いますのは、大臣は、今日までしばしば少なくとも十八次五十万トンのうち、年度内起工の二十五万トンについては何とかしてこれを早くやりたいということを御言明になっておるわけであります。その大臣の方でお考えになっておりまする二十五万トンの早期着工に対する方策がございましたら、一つお伺いしておきたいと思います。
  74. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 さっき海運局長から答えましたように、何と申しましても金融業者の協力を得なければできぬことでございますから、金融業者と折衝をしているという段階以外に、ここで明確にお答えする材料を持ちません。
  75. 内海清

    ○内海(清)委員 そういう過程において大臣がこういう御言明をなさること、これは私は業界等に与えまする影響がいかがかとも考える点もあるのでありまするが、しかしながら、大臣のその決意というものがこの言葉に現われたのだと思いまするので、それに反しないように今後強力に進めていただきたい、こういうことを思うのであります。  時間が超過いたしましたが、最後にもう一つだけ海運局長さんにお伺いしたいと思うのであります。この十八次が非常に問題になりまして。いろいろ十八次の建造については論議されておりますが、そのうちで、よく世間で言われておりますいわゆる雨だれ建造の問題であります。この問題は、今日わが国の鉄鋼業界も非常ないわゆる操業短縮をやりまして、困難な状態にあり、さらに石油業界の問題もございましょうが、しかしながら、鉄鋼業界におきましても、今一番困っているのは、私は厚板部門だと思うのであります。従って、この十八次を進めることによって、この厚板というものが多量に使用され、ここに鉄鋼業界の一つの行く道も生まれるのではないか、かような考え方を私持っております。これは鉄鋼業界あるいは石油産業等との十分の話し合いをされるならば、この雨だれ方式と言われておりまするような建造方式も可能ではないか。これはもちろん非常な努力が要ると考えるのでありまするが、これに対する一つ海運局長さんの御所見をお伺いいたしたい。
  76. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 ただいまのお説ごもっともで、その通り考えまして、私は、鉄鋼大手筋と今折衝いたしております。そのことだけ申し上げます。
  77. 辻章男

    ○辻説明員 いわゆる鉄鋼関係につきましては、ただいま大臣からお話がございましたので、私からお答え申し上げませんが、いわゆる計画造船の雨だれ方式の問題でございますが、これは実は従来からもやれないことはないのでございまして、私どもも、これについて特に雨だれ方式をやってはならぬというふうなことを開発銀行に言っているわけではないのでございます。開発銀行の立場としましても、非常に、何と申しますか、予定建造トン数よりも応募が多くなりますと、その中で最も適当なものというふうな考えから、従来は一括きめられるケースが多かったのでありますけれども、こういうふうな情勢であるいは当初の応募が予定トン数に達しない場合には、当然今おっしゃったような雨だれ方式になっていくんじゃないか、かように考えておる次第でございます。その点につきましても、開発銀行とよく打ち合わせてやっていきたい、かように考えております。
  78. 内海清

    ○内海(清)委員 今までの計画造船の一括船主決定のこの方式、これにつきましても、いろいろ御議論のあるところであります。しかし、雨だれ方式になりますと、造船所側からいうと、これは将来計画もなかなか立ちにくいというふうな点もありまするけれども、今日の造船の不況からいえば、一応これもやむを得ないのではないか、私はかようにも考えるのであります。これらにつきましては、いろいろな方式をお考えであろうと思いまするが、一つ十分御勘案いただきまして、あらゆる障害を排除して、造船業界、さらに関連産業を含めまして、十八次の早期着工ということに対しまして、一つ格段の御努力をいただくことを強く要望いたしたいと思います。  なお、造船に関しましては、もちろん工事量の関係から輸出船の問題、これらについても多くの問題がございまするが、時間がかなりオーバーいたしましたので、本日は以上で質問を終わりたいと思います。
  79. 木村俊夫

    木村委員長 次会は十月三十一日及び十一月一日、午前十時三十分より委員会を開会いたす予定でありますから、あらかじめ御承知おき願いたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十分散会