○内海
委員 先ほど關谷
委員から
海運に対する要望があり、またただいま
久保委員からいろいろ
海運政策につきましての御意見があったのであります。私も
海運並びに造船について若干の要望を申し上げたいと思うのですが、時間の関係がございますので、いろいろ申し上げたいこともございますがそれは後甘に譲りまして、簡単に要望を申し上げておきたいと思うのであります。
先ほど来話がありましたように、昨日
海運問題につきまして七名の参考人から意見を聴取いたしたわけであります。ところが参考人は、今日
海運産業の整備法案が問題になっております関係上、期せずしてこれを中心にしての意見が述べられたようであります。いろいろございましたが、私の聞き及びますところでは、大体において大多数の方々が今回
政府の提出されました整備法案につきましてはその内容に不満足である。すなわち現在わが国の
海運の置かれております立場、現状から見まして、これではとうていわが国の
海運の基盤を強化して再建をはかっていくことはできぬだろう、さらに、きわめて激烈な国際競争に打ち勝って、わが国の産業の発展と
国民経済の伸長は期し得ないだろう、こういうふうな御意見が多かったのであります。もちろん今日までの
政府の
海運政策についてはいろいろ批判すべき問題もあると思いますが、しかし、今日最も危機に陥っております
海運の状況を見ますときに、これは他のいろいろな面に影響することがきわめて多いのであります。従って、現実を十分把握いたしまして、改むべきものは改めると同時に、わが国の基幹産業であります
海運の基盤を強化して、国際競争に打ち勝って、わが国の産業の発展なり、あるいは
国民経済の伸長をはからなければならぬと思うのであります。特に今日、わが国の
海運の状態というものは最もこの解決を急ぐものでありまして、このことは、今日まで国会でいろいろ取り上げられまして、着々とその解決を見ております石炭産業、あるいはまた非鉄金属というものに匹敵するものではないか、かように私は
考えておるのであります。来たる国会には、
政府で十分これらを
考えられまして、確固たる
海運の再建のできる、基盤強化のできる法案を確立していただかなければならぬと思うのであります。
いろいろ申し上げたいことはありますが、時間の関係で省略いたしまして、私は、ここに、かような見地から少しまとめたものがありますので、これを読み上げまして要望にかえたいと思うのであります。
今や世界の大勢として、海上運賃は低下の方向をたどり、かつ国際競争は激化して、ここに高性能船建造の必要が増大し、ために、これに要する資本費はますます膨張の一途をたどり、
海運業全体の
経営は著しく苦境に陥っている。これに、戦時補償の打ち切りに基因する自己資本の過少、金利の負担等がわが国
海運業の
経営基盤にさらに重圧を加え、ために、その国際競争力は、いよいよ弱化せざるを得なくなっている。しかも邦船の積み取り比率は次第に低下して、国際収支における
海運収支は年々赤字が増大するばかりである。
よって、現在わが国
海運業が当面している諸問題の解決をはかるため、この際、
政府が次の諸施策を講ずるよう要望する。
(一)
政府は、
海運企業の既往の負債に対し、補助金の支出、開銀融資延滞金利のたな上げ等、その助成を大幅に強化すること。
(二)
政府は、昭和四十五年度に千三百三十五万総トンの外航船腰保有を目標とし、毎年度の計画造船量の増加、今後の造船金利負担の引き下げ、造船融資における財政融資比率の引き上げ等の措置を講ずるとともに、あわせて、
海運企業の協調、提携、合併促進等の措置につき特段の努力を払い、これに必要なる諸政策をすみやかに確立すること。
以上であります。
さらに、これに関連いたしまして、造船業につきまして簡単に要望事項を申し上げまして、
政府の強力な施策を講じていただくように希望するものであります。
わが国の造船業の現状につきましては、すでに御承知の
通りでありまして、何と申しましても、やはり終戦後今日まで造船業はわが国におきまする計画造船というものを中心にして進んで参ったのであります。それに加えまして、造船能力の関係から余裕がありますので、輸出船あるいは
個人資金船その他に依存して今日まで参っておることも御承知の
通りであります。ところが、この整備法案がかような状態でありまして、十八次船がせっかく五十万トンの計画があるのに、これの着工は非常におくれる状況にある。御承知のように、年々、計画造船は、大体秋に適格船主が
決定されまして、そうしてこの建造にかかるわけであります。ところが、そういう関係で、造船業者といたしましては、例年の例から参りまして、大手の造船所等におきましては、計画造船を載せる船台を大体確保しながら、他の船を受注しております。ところが、本年度はかような状態でありますので、大臣も御承知のように、今日わが国におきまして、大型船台が六十八基ございますが、今日の状態から申しますと、九月末になれば三十六基が遊ぶということであります。さらに、造船業は御承知のように関連産業というものがございます。この関連産業は、造船労働者よりもはるかに数多い、倍以上おるのであります。これらは、この計画造船がおくれることによりまして、造船業とこの関連産業にまことに重大な影響を及ぼすのであります。しかも関連産業は大体中小企業者が大部分であります。従って、場合によれば、社会問題さえも引き起こすのではないかというふうに私
ども憂えておるのであります。かような
意味合いから
考えまして、この十八次船は早急に着工するように御配慮が願いたい。もちろんこの整備法案がさらに今後練られまして出され、それによって計画造船が行なわれるということでございますならば、少なくとも年度内の起工というふうなことさえ危ぶまれる状態にあると思います。十分造船業の実態も御承知の大臣であります。特に、造船業の特殊性というものがございまして、これは船主がきまって受注がきまったら直ちに着手できるものではございません。少なくとも鋼材関係その他は半年以前から計画を立てなければならぬものであります。こういう特殊事情も十分お
考えいただきまして、この造船業者の要望にこたえていただきたい。さらに、関連産業の窮状をここで十分救い得るような施策を講じていただきたいと思うのであります。業界におきましては、大体この法案より別個に、
政府の施策によって建造できるように御配慮願いたいということを申しておるようであります。今日、さみだれ建造その他いろいろの説が出ております。これらの点を十分お
考えいただきまして、早期に着工できますように、今日まで
委員会で、少なくとも六月には船主
決定を願いたいと造船の事情から私は要望しておったのであります。少なくとも十一月にはこれが起工できるような配慮が最も望ましいことである、かように
考えておるのであります。これらの点、十分御勘案願いまして、万遺漏のない処置を講ぜられますよう強く要望いたしたいと思うのであります。
何かこれらにつきまして、大臣の御所見がございましたら伺っておきたいと思います。