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1962-09-01 第41回国会 衆議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年九月一日(土曜日)     午前十時十七分開議  出席委員    委員長 木村 俊夫君    理事 佐々木義武君 理事 鈴木 仙八君    理事 細田 吉藏君 理事 山田 彌一君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君       有田 喜一君    有馬 英治君       尾関 義一君    川野 芳滿君       簡牛 凡夫君    壽原 正一君       砂原  格君    關谷 勝利君       中馬 辰猪君    増田甲子七君       赤松  勇君    石村 英雄君       加藤 勘十君    勝澤 芳雄君       小林  進君    島上善五郎君       田中織之進君    松原喜之次君       内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 綾部健太郎君  出席政府委員         内閣官房長官  黒金 泰美君         運輸政務次官  大石 武一君         運輸事務官         (海運局長)  辻  章男君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      岡本  悟君  委員外出席者         厚生事務官         (社会局施設課         長)      瀬戸新太郎君         厚生事務官         (保険局企画課         長)      広瀬 治郎君         運輸事務官         (船員局労働基         準課長)    住田 正二君         気象庁長官   和逹 清夫君         専  門  員 小西 眞一君     ————————————— 九月一日  委員島上善五郎君及び矢尾喜三郎辞任につき、  その補欠として小林進君及び赤松勇君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員赤松勇君及び小林進辞任につき、その補  欠として矢尾喜三郎君及び島上善五郎君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  海運に関する件(海運企業の強化に関する問題  等)  日本国有鉄道経営に関する件  気象に関する件(三宅島噴火に関する問題)  請願   一 信越線御代田駅における折返し線廃止に    関する請願井出一太郎紹介)(第六    号)   二 同(唐澤俊樹紹介)(第六六号)   三 同(中島巖紹介)(第六七号)   四 同(下平正一紹介)(第一二七号)   五 同(羽田武嗣郎紹介)(第一二八号)   六 同(松平忠久紹介)(第一九二号)   七 長野市に電動車基地新設に関する請願(    井出一太郎紹介)(第七号)   八 同(唐澤俊樹紹介)(第六八号)   九 同(中島巖紹介)(第六九号)   一〇 同(下平正一紹介)(第一二九号)   一一 同(羽田武嗣郎紹介)(第一三〇号    号)   一二 同(松平忠久紹介)(第一九三号)   一三 熱海市錦ケ浦にヘリポート建設反対に    関する請願櫻内義雄紹介)(第一五八    号)   一四 国鉄調査線南勝線早期敷設に関する    請願足鹿覺紹介)(第一八四号)   一五 山陰線米子、出雲市両駅間の複線化に    関する請願足鹿覺紹介)(第一八五    号)   一六 山陰線大山口駅に急行及び準急列直停    車に関する請願足鹿覺紹介)(第一八    六号)   一七 十勝岳における火山観測体制に関する    請願安井吉典紹介)(第二二四号)   一八 同(本名武紹介)(第三二八号)   一九 踏切道改善に関する請願谷口善太郎    君紹介)(第二四七号)   二〇 同(川上貫一紹介)(第二八二号)   二一 同(川上貫一紹介)(第三二七号)   二二 磐越西線の電化及び電車化に関する請    願(八田貞義紹介)(第二五三号)   二三 信越線御代田駅における折返し線廃止    に関する請願増田甲子七君紹介)(第三    〇〇号)   二四 長野市に電動車基地新設に関する請願    (増田甲子七君紹介)(第三〇一号)   二五 東北本線複線化及び電化早期実現    に関する請願柳谷清三郎紹介)(第四    二二号)   二六 奥羽本線の勾配改良及び複線化等に関    する請願柳谷清三郎紹介)(第四二三    号)   二七 青函隧道早期建設に関する請願(柳    谷清三郎紹介)(第四二四号)   二八 首都の交通緩和及び防火のため国鉄武    蔵野線敷設等に関する請願花村四郎君紹    介)(第四四七号)   二九 老人国鉄運賃割引に関する請願(古    井喜實紹介)(第四七七号)   三〇 信越線御代田駅における折返し線廃止    に関する請願原茂紹介)(第五五二    号)   三一 長野市に電動車基地新設に関する請願    (原茂紹介)(第五五三号)   三二 崎津漁港灯台設置に関する請願(足    鹿覺紹介)(第七八八号)   三三 菱刈駅の貨物取扱い存続に関する請願    (池田清志紹介)(第八八九号)   三四 薩摩永野駅の貨物取扱い存続に関する    請願池田清志紹介)(第八九〇号)   三五 踏切道改善に関する請願川上貫一君    紹介)(第九二〇号)   三六 同(志賀義雄紹介)(第九二一号)   三七 同(谷口善太郎紹介)(第九二二    号)      ————◇—————
  2. 木村俊夫

    木村委員長 これより会議を開きます。  日本国有鉄道経営に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。赤松勇君。
  3. 赤松勇

    赤松委員 私は、日本社会党中央執行委員会決定によりまして、日本国有鉄道公社総裁責任に関する問題につきまして、政府にただしたいと思うのであります。  まず第一に、官房長官お尋ねしたいのは、総理内閣組閣以来、いわゆる責任政治ということを強調されて参りました。すなわち政治に筋を通す、折り目を正す、こういうことを絶えず強調されて参ったわけであります。もちろんその所信には変わりはないと思いますけれども、この際政府所信を一つ明らかにしていただきたいと思います。
  4. 黒金泰美

    黒金政府委員 今赤松さんからのお尋ねでございますが、政治責任につきましては、折り目を正して、特に慎重に考え折り目を正して参りたいと考えております。
  5. 赤松勇

    赤松委員 慎重に折り目を正すということはよくわかりませんけれども、大体綱紀を粛正し、かつ責任の所在を明らかにして、もって政治折り目を正す、こういう意味であると思うのであります。この委員会におきまして、十河国鉄総裁は、社会党久保委員質問に対しまして、監査報告にもありますように、事故をなくするためにも、現場規律、ルール、筋を通すということが必要である、そういう見解に立ちまして、職場の規律を正す、悪い管理者があれば、もちろんこれを処理いたします。そうでなければこれは処罰しない、こういうことで筋を通してはっきりしたい、これが四十五万が一致協力する基本じゃないか、こう考えてやっておる次第でありますと、こういう答弁もなすっておられるわけであります。ところが、三河島事件以来今日まで発生いたしました国鉄事故は、非常にたくさんあるわけであります。わけてもこの中で、南武線の例の二重衝突事件があったわけでありますけれども、当時私は外国旅行をしておりまして、その模様はよく存じませんが、帰りまして新聞を読みまして、その悲惨な状況に実は胸を打たれたわけであります。当時の新聞がここにございます。三河島事件さながら「草をつかんでもがく手」こうあって、現場模様が詳しく報道されておりますけれども列車の下敷きになった乗客が草をつかんでもがいておるというような状態がここに載っております。この事件発生いたしました当時、十河総裁は健康を害しまして、たしか軽井沢におられたようであります。そして、この事件発生に対しましては、事故不可抗力だ、国鉄には責任がない、従って自分総裁をやめる意思はない、こういうことを明らかにされたようであります。その後、運輸大臣は、国鉄責任がないというような談話を出すことは不穏当である、そういう談話を出すべきではない、当然国鉄自身にも責任があるのであるから、その談話は適当でない、こういうことをやはり新聞で語っておられるわけであります。私どもどう考えてみましても、たとえばこれらの事件の概要が新聞に載っております。私は、技術者でありませんから、その事故原因、そしてそれが不可抗力であるかどうか、そういうことは私はよくわかりません。よくわかりませんかそういう事件発生するにはやはり原因というものがある。その事件発生を阻止することは決して不可能ではないと思うのです。これは防げば防げる問題である。たとえばこの事件発生いたします前に、あの地区地区労労働者諸君は、たびたび駅長に対しまして、そういう事件発生するおそれがある、従って至急踏切をつくってもらいたいというような申し入れも行なっておるのであります。そういう対策が十分に行なわれた後に、何か不可抗力的な原因のためにああいう事件発生したとすれば、またこれ考慮の余地があるのでありますけれども、そういうことが一向に行なわれていない。住民の強い要望にもかかわらず、事故発生対策というものが十分に講じられていない。そういう中で事件発生した。ところが、彼は、軽井沢でのうのうと静養しながら、国鉄には責任がない、不可抗力——そういうことではたして責任が全うできるのかどうか。そういう談話国民が読んだ場合に、国民はどんな気がしますか。三河島事件であのような惨事を引き起こした。どういう判決が出るか、そんな裁判所の判決など問題じゃありません。問題は、これは外国の場合でもみなそうでありますけれども交通事故によって、あるいはああした事故によって人命を失ったという場合には、その最高責任者は厳重な処罰を受けるのであります。これはもうどこの国の場合でも同じであります。これは綾部さんよく御存じだと思うのでありますけれどもひとりわが国において——河島事件のような大事件発生した。それにもかかわらず、最高責任者であるところの総裁が、これは不可抗力だ、国鉄責任ではないんだ、こういう放言を許しておいていいものかどうか。これは当然引責辞職をすべきなんです。これはあたりまえです。今さら私は政府筋論を聞こうとは思いませんけれども、これは常識論です。今まで、たとえば加賀山総裁が、桜木町事件発生した際、彼は責任を負いました。洞爺丸事件では長崎総裁責任を負うてやめている。今度の場合でも東鉄局長責任を負ってやめている。つまり責任を負ってやめたということは、やはり国鉄責任があるということを意味している。それを、総裁が、国鉄責任はないのだ、事件不可抗力である——こういうことを許しておいていいのかどうか。日本国有鉄道法規定するところの、すなわち二十二条の二に、役員の罷免という規定があります。「内閣は、総裁が心身の故障のため職務執行ができないと認めるとき、又は総裁職務上の義務違反その他総裁たるに適しない非行があると認めるときは、これを罷免することができる。」明確にこう書いてある。その解釈については、いろいろな形式的な解釈は許されません。これは道義的にかつ政治的にこれを解釈しなければならぬと思うのであります。つまり、この中で、総裁職務上の義務違反があった場合——明らかに義務違反じゃありませんか。これが義務違反でないと政府はお考えでございますか。そうであるならば、国民の前に、義務違反ではない、国鉄責任ではない、総裁責任ではない、こういうことを一つ明らかにしていただきたいと思います。運輸大臣どうですか。それから官房長官
  6. 黒金泰美

    黒金政府委員 私どもといたしましては、今のお話に出ました法律上の問題というよりは、その法律以前の責任の問題であり、そうしたいわば道義的な責任というものは、これは総裁も、各方面の世論なり何なりお聞きになっておられますから、それを十分に尊重なさって、良識と良心に従って総裁がみずから進退をおきめになるべきものである、かように考えております。
  7. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 南武鉄道事件につきましての総裁軽井沢での談話は、ただいま赤松さんがおっしゃったようなことではなかったのですが、いずれにせよ、国民に、すなわちお客様に御迷惑をかけたという点については、私は非常に遺憾なことだと思います。そうして、総裁がかような発言をしたということは、私は国民に対して相済まぬという気がいたしまして、翌日すぐ総裁を呼んで、大臣室警告をいたしました。総裁は、あの談話自分の本旨でない点があったから、運輸大臣に御迷惑をかけてまことに済まなかったというような意味のことを言われておりました。  そこで、総裁責任問題でございますが、私は、官房長官がただいま答えられたように、全く法律以前のいわゆる個人良心の問題でございますから、総裁もその点は十分考慮しておることと信じて、その推移を見守っておる次第でございます。
  8. 赤松勇

    赤松委員 官房長官談話は、各新聞を私ずっと調べましたところ、終始一貫それは個人良心の問題であるということを強調されておるわけであります。ところが、日本国有鉄道法においては、十三条において、「総裁は、日本国有鉄道を代表し、理事会決定に従い、日本国有鉄道の業務を執行する。」明らかに彼の責任がここに明記をされておるわけであります。もちろん個人良心を尊重しなければなりません。もし私ならば、あの場合直ちに辞職をいたします。またそうあるべきだ。これは法律以前の問題だ。ところが彼は辞職してない。現実に辞職していないじゃありませんか。国民世論を問うてと言うけれども国民世論がいかにこの事件に対して憤りを持っているかということは、私が説明するまでもない。官房長官も十分御承知だと思う。あなたは選挙区に帰って選挙民に聞いてごらんなさい。あの事件について憤りを感じているか感じてないか、あるいは国鉄総裁責任であると思うか、ないと思うか聞いてみなさい。すぐ答えが出る。私は新聞投書欄を調べてみました。ほとんどの投書は、これは当然総裁責任であるからやめるべきであるということを国民世論は明らかにしている。その世論を尊重しない、世論に従わない、日本国有鉄道法規定するところの職務執行を怠っておるということになるならば、この国有鉄道法の二十二条の二の規定に従って、内閣は彼を罷免することが当然じゃありませんか。どうしてこれをおやりになりませんか。いつまで彼の良心をお待ちになるつもりですか。もう一度官房長官にお答え願いたい。
  9. 黒金泰美

    黒金政府委員 ただいまのお話でございますが、いろいろ法律の条項についての詳しい解釈につきましては事務当局からお願いした方がいいかと思いますが、私ども見解では、結論的に、今の二十二条の二でございますか、この法律適用は今のような場合に直ちにできようとは考えていない、それが結論でございまして、従って法律によってこの問題を処理するということでなくて、法律以前の問題として取り扱いたい、こういう考えであります。
  10. 赤松勇

    赤松委員 法律解釈については事務当局に聞いてくれというばかな官房長官がどこにある。今私が読み上げたのは、日本国有鉄道を代表して職務執行する、その職務を怠っている総裁に対してどうするんだ、法律解釈の問題じゃありません。ちゃんと法律は明記している。法律解釈事務当局に聞いてくれ、そんな無能な官房長官がありますか。何という答弁です。あなたは内閣の番頭ですよ。そんなことで総理の補佐ができますか。しかも、本人良心にまかせる、本人良心にまかせると言っているけれども、一向本人はやめようとしないじゃありませんか。これは私は仄聞したところでございまして、別に確証があるわけじゃありませんけれども、何か彼は大磯に住んでおって、大磯の白いたびの好きな御老人のところにしょっちゅう通って、ごきげんを奉伺しておるということを僕は聞いておりますけれども、そのために彼の進退が左右されておるというような、そんなことは私は考えたくないのであります。池田総理は、自分所信に従って政治折り目を正す、こういうことを言っておられますから、従って私はその所信を信じておりますけれども、今官房長官の御答弁を聞けば、本人良心にまかせる。良心にまかせると言っておっても、三河島事件以後どれくらい事故が起こっておりますか。ざっと数え上げても、その後発生いたしました事件は、六月十九日午前九時三十七分、東海道線島田−藤枝間の踏切で特急「おおとり」が死傷者二人を出しておる。それから、七月十七日午前十時ころ、国電山手線池袋−大塚間で、やはり脱線して乗客がけがをしておる。同じく十九日の山陽線岡山駅でも貨物列車事故があった。同じく二十日の午前九時五十分、国鉄鹿児島線で重軽傷六十六人の事故があった。こういうように三河島事件以来まさに事故は頻発している。あなたたちは、従業員つまり国鉄職員責任にすべてを背負わせようというような間違った政府の方針のもとに、今日まで世論の反撃をたくみにかわしてきておるけれども、一番最高責任者であるところの国鉄総裁については、いや彼の良心にまかせるのだ——下の者にはきびしくやるけれども総裁に対しては良心にまかせるのだ、まかせるのだと言って、これを放任しておる、こういうことで政治折り目を正せると思いますか。どうして出処進退を明らかにしないのです。総裁にそういうことをやらしておいて、そうして職員だけにその責任を求めても、それは筋違いです。あなたのような答弁がそのまま新聞に載れば、国民の物笑いになりますよ。おそらく選挙区ではあきれるでしょう。その個人良心にまかせるというような答弁ではなしに、今日まで私ども十河総裁が自発的にやめるものと期待しておりました。ところが一向にやめる気配はございません。事件はその後頻発しております。従いまして、政府といたしましては、忍耐には限界があります。この際日本国有鉄道法を発動して、二十二条の二によって彼を罷免いたします。あるいは罷免すべく政府で相談いたします。どうしてそういう態度がとれないのですか。おかしいじゃありませんか。重ねて官房長官答弁を求めます。
  11. 黒金泰美

    黒金政府委員 ただいまいろいろと御批判を賜わったのでありますが、国有鉄道法二十二条の二はどうもこの場合に適用がむずかしいという見解で、先ほど申し上げましたのは第十三条でありますか、御指摘になりました総裁職務、その点に関するものではなくて、罷免権規定につきまして、この事件罷免権まで発動することは困難であろう、こういう結論を申し上げた次第であります。
  12. 赤松勇

    赤松委員 あなたは、先ほどは、法律論の問題ではない、法律以前の問題だ、こうおっしゃった。今度は、この法律規定解釈すれば、これによって罷免するということは困難だ、こういう答弁をなさっておる。ここに三月二十二日の新聞がありますけれども、この新聞で「相次ぐ汚職、頭痛の国鉄」、こういう見出しで、国鉄内の汚職が相次いで起きた、十河総裁を初め最高幹部のショックはきわめて大きいようで、そのために支社長会議を開いて、十河総裁から再び厳重な指示を行なったということが載っております。再びですよ、相次いで汚職事件が起きて、そうして一たん指示をした、それでも汚職がとまらない、再び厳重な指示をした。一体汚職の問題などは総裁責任になりませんか。どうですか、官房長官運輸大臣はどうですか。お二人で答弁して下さい。
  13. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 明らかな汚職はもちろん責任になります。
  14. 黒金泰美

    黒金政府委員 今のお尋ねでありますが、御本人汚職はもちろんでありましょう。部下の汚職につきましても、監督上十分責任はあろうと思います。
  15. 赤松勇

    赤松委員 その通りだと思います。従って、官房長官運輸大臣も、汚職責任はやはり総裁にあるということが御答弁によって明らかになりました。そうすると、汚職の問題でも彼に責任がある、あるいは頻発する事故の問題についても彼に責任があるということになって参りますならば、これはもう私は日本国有鉄道法に従って彼を罷免することの法的根拠というものは十分生まれておると思うのであります。つまりその義務を十分に果たしていないということはもう明白なのでありますから、一つこの際彼をどうするか、ただ個人良心に待つというのでなしに、どうするかということをはっきり言ってもらいたい。冒頭にあなたに申し上げましたように、私は、国会対策委員会じゃありません、日本社会党中央執行委員会決定で、お前質問しろ、そういうことで執行委員会を代表して質問している。もし政府の方で明確な意思表示がないならば、この臨時国会はあすで終わるでありましょうけれども通常国会においては、社会党政府運輸行政に協力できないような事態が起きるかもしれない。冗談じゃありません。私は何も個人質問しているのじゃないのです。党の最高機関決定に従って質問をしておるのでありますから、従って、日本社会党中央執行委員会に対する答弁というように考えて、責任のある答弁をしてもらいたい。いかがですか。官房長官及び運輸大臣は、汚職の問題では責任があると言っておる。責任のある総裁をなぜ首切らぬかと言っておる。論理はきわめて簡単明瞭です。
  16. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 その汚職のなにが明確になる場合に責任があると申している。汚職がまだ明確になっておらない場合を想定されて、汚職があったらどうするかというお尋ねのように私はとったのでございますが、いずれにせよ、そういうことは非常に遺憾なことで、私は総裁にそういうことについても警告を発したのであります。さよう御了承願いたいと思います。
  17. 黒金泰美

    黒金政府委員 今運輸大臣からお話しの通りの経過でございますが、私どもは、先ほど申し上げましたように、二十二条の二の規定の発動以前の道義責任の問題じゃないか、かように考えております。
  18. 赤松勇

    赤松委員 運輸大臣、私は仮定質問をしているのじゃないのです。先ほど申し上げましたように、本年三月二十一日に支社長会議を招集して、そこで再度厳重な指示を彼は与えた。つまり相次ぐ汚職に対して前に指示をしたけれども、その後また汚職が続発している。従って厳重な指示を再び十河総裁は行なっておる。これは現に起きておる事件です。これから起きるという事件じゃありません。仮定の問題でなくて現に起きておるから、再度指示しているのでしょう。だから、仮定の問題を言っているのじゃなしに、先ほど運輸大臣がおっしゃったように、汚職の問題が発生すれば、それは明らかに総裁責任でありますという答弁をすなおに受け取っておきます。  それから、官房長官でありますけれども、あなたは法律以前の問題だということを終始強調されておりますが、私はあまりくどくど申しません。しからば一体十河総裁がやめない場合はどうするのだ。現に今までやめていないじゃありませんか。三河事件発生以来、先ほどずっとその後起きた事故をあげました。彼はやめていない。またやめる意思を持っていない。何やらしげるというじいさんにぶら下がっておるようでありますけれども、その後やめようとはしない。またやめる意思を持っていない。そういう場合に政府としてはどうしますか。法律以前の問題というあなたの答弁に、私はもうこれ以上反発しません。では法律以前の問題として彼の個人良心に待つ。良心に待っておっても一向やめようとしないし、やめる意思もないようであります。そういう場合は政府としてはどうしますか。あなたは、総理と相談をして、そして私どもに対してきちんとした回答をよこす。今ここで答弁できなければ、あとでけっこうなんです。何ともなりません、個人良心に待つより仕方がありません、そんなばかな腰の抜けた政府というものがあるのですか。そんなことでどうして綱紀が粛正できますか。いかがですか。
  19. 黒金泰美

    黒金政府委員 本人意思に反して罷免できるのは、今御指摘になりました二十二条の二の規定であります。この二十二条の二の規定に該当しない場合には、本人意思に反しては罷免ができない。従いまして、御本人良心と良識の判断に待つ以外に、罷免権はこの二十二条の二の規定しかございませんから、それに該当しない場合には、御本人良心に待つ以外に方法がない、かように考えております。
  20. 赤松勇

    赤松委員 そうすると、問題は二つあるわけですね。一つは、この規定によって、本人意思によって自発的にやめない限りやむを得ないのだ——さっきあなたは世論ということをおっしゃったけれども、今度は世論がなかったが、要するに個人意思でやめるという意思を表明されない限りはやむを得ないのだ、こうおっしゃる。これは私は政治論としても誤っておるのじゃないか、こういうふうに思います。そういう態度をあなたがおとりになるならば、法律以前の問題として個人意思に待つ以外にない、こうおっしゃるならば、これは総裁であろうと職員であろうと、全部に対してそういう態度をおとりなさい。それならば筋が通る。ほかの者にはきびしい態度をとるけれども総裁については、法律以前の問題として、総裁自身の自発的な意思の表明なくしてはいかんともしがたい、そんなばかな理屈は成り立たない。総裁であるから特別に考慮するというようなばかなことはあり得ない。それでは綱紀の粛正はできぬ。そういう考え方ですべて個人の自発的な意思に待つというならば、全部そうしなさい。そういうことを今まで政府はやっていないじゃないですか。そこで、あなたは、今度は国有鉄道法の二十二条の二で彼を罷免することができない、こういうふうにおっしゃる。ところが、その法的根拠というものはちっとも明らかになっていないじゃないですか。どうして罷免できないのか。それでは罷免できないとおっしゃるだけの法的根拠を明らかにしてもらいたい。あなた自身、内閣官房長官として、それくらいの見識は持っておるでしょう。
  21. 黒金泰美

    黒金政府委員 先ほど御指摘になりました法律でありますが、「総裁が心身の故障のため職務執行ができないと認めるとき、又は総裁職務上の義務違反その他総裁たるに適しない非行があると認めるとき」、どうもこの非行というところまではちょっと認められないように思いますし、また心身の故障のために職務執行できない、これもちょっと認めにくいように思いますので、この法律規定によって、御本人意思に反して罷免することは今むつかしいのじゃないか。従って、逆に申しますれば、いやしくも国鉄をあずかっておられる総裁でありますから、世論の動向なり、御自身の良識、良心によって十分な御判断をなさって、慎重に進退を決せらるべきである、こういう法律の制裁規定を発動する以前の問題でありますので、さような考えを持っておるわけでございます。
  22. 赤松勇

    赤松委員 三つのあれがあるわけですが、非行というのは、これは私はあの人についてはよく知りませんけれども、ないだろうと思います。もう相当な御老人なんですね。心身ともに消耗されてあれ以上の職務執行はおそらく困難ではないか。満鉄時代ならば、まだ若き日の十河さんならばいいのですが、今はとても——この間社会労働委員会に来ていただいて小林委員などが質問をしておりましたが、その御答弁も、質問する方が遠慮したいほど実に頭の整理ができなくて、心身ともにまことに疲れ切って、消耗し切って、あれ以上おやりになっておると、かえってそのためにいろいろな問題が起きて参りますから、これは一つこの際慈悲心から罷免をすべきである。第二は、明かに総裁としての義務をこれは果たしていないじゃありませんか。果たしておると思いますか。さっき私は汚職の問題を出しました。そうしたら、この汚職責任総裁にもあるということを運輸大臣も認められ、官房長官も認められた。しかも三河島事件以後どれだけの列車事故があったかということも、私はあなたの前にずっと羅列した。これだけの事故が起きておって、なおその義務違反にはならないというような官房長官解釈は全く間違っておる。そんなばかな解釈が通用すると思いますか。重ねて官房長官所信を聞きます。
  23. 黒金泰美

    黒金政府委員 この解釈問題は、詳しい点はもう少し私より専門家にと申し上げたのでありますが、私どもが読んでおりますのは、義務違反、これもいろいろ程度があろうと思います。一ぱい義務がございますから、その義務の違反もいろいろありましょうが、「義務違反その他」とあって、まず職務上「義務違反」を一つ例示にあげまして、その他総裁たるに適しない非行と、こう書いてありますので、だれから見ても非行と思われる程度のここまでこの規定では罷免の条件としておる、このようにわれわれ考えておりまして、非行とまでは言えないのじゃありますまいか、こういう考えでございます。
  24. 赤松勇

    赤松委員 どうもあなたと議論をしておると、こちらの方が心身ともに疲れてきますが、それではこのことを一つ明らかにしておいてもらいたいですね。その法律論はあなたの解釈が間違っているということを前提として、そこで先ほどから法律以前の問題だということをあなたはおっしゃっている。法律以前の問題で個人の自発的意思を待つよりほかにしょうがないと言う。それは十河総裁自身の問題ですが、政府としてはどういうふうにお考えなのか。政府としては、汚職の問題、あるいは頻発する事故の問題、あるいは新五カ年計画を変えていかなければならぬような事態も今起こってきている。政府の方はもう八百億からの財政投融資をやっているので、これ以上国鉄に対する財政投融資は困難だ、こう言っておる。そうすると、あの五カ年計画をやろうとしても金の出場がないということで、国鉄は今お手上げの状態なんだ。これなどもちゃんと運賃を値上げするときに、この運賃を値上げしてもらえば電化も進みます。鉄道の改良工事も進みます。施設もよくなります。事故が起きないように努力します。そういうことを言って運賃の値上げをやった。ところが依然として事故が頻発をしておる。運賃を上げてもらえば五カ年計画はスムーズにいきます。こう言っておる。ところがこれががたがたになっている。これがはたして義務を正しく全うしていると言えますか。そこに法律以前の問題としてこういうようにいろいろな問題が発生しておる。これについて十河総裁責任をどう政府考えておるのか、この点を官房長官明らかにしてもらいたい。
  25. 黒金泰美

    黒金政府委員 具体的な措置その他につきましては、直接の監督責任にあられる運輸大臣からお話があると思います。私どもといたしましては、やはりいやしくも大ぜいの職員を抱え、非常に大きな財産を、しかも税金から、国から出てきました財産を持って、非常に大きな公共性のある事業を運営しておられる当面の最高責任者でありますから、この最高責任者の御判断を待っておるような次第でございます。
  26. 赤松勇

    赤松委員 御判断を待っておるということを私は聞いたのでなしに、御判断をなかなかなさいません。もっともやめないという判断をしたようであります。法律以前の問題として本人意思を待つより仕方がない、こうあなたはおっしゃる。しからば、政府としては、今言ったように、汚職の問題や五カ年計画の問題や事故の頻発の問題や、そういう責任についてどう考えておるのか、私はこう聞いておる。だから正しく答弁して下さい。
  27. 黒金泰美

    黒金政府委員 今申し上げましたように、政府といたしましては、繰り返すことになりますから、簡単に申し上げますけれども、いろいろ国鉄総裁進退責任の問題でありますから、この国鉄総裁が御自身の良心に従って御判断になるのを期待しております。
  28. 赤松勇

    赤松委員 だから、その御判断は、先ほどから言っているように、いいんですよ。政府自身はどう考えているか。問題が起きていなければいいんですよ。問題が起きているじゃありませんか。三河島事件以来ずっと汚職事件も起きているじゃありませんか。「心を締めて仕事をせよ」「十河総裁再び厳重な指示」「相次ぐ汚職、頭痛の国鉄」、そうしてこの責任十河総裁にもあるということを、先ほどの答弁で認めている。五カ年計画の問題、汚職の問題、事故の問題、こういう責任を当然とらなければならぬところの総裁、それを自己の判断にまかせると政府の方が言うのならば、政府としては、この責任をどう考えているか、もう一度御答弁願います。
  29. 黒金泰美

    黒金政府委員 政府といたしましては、遺憾な事態でございますが、今仰せになっている総裁進退につきましては、総裁御自身の御判断に待っている次第であります。
  30. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 赤松さんが列記されたようないろいろの事件が起こっているということを総裁も御存じと思いますから、総裁良心に待つほかに、私としてはここで申し上げかねます。
  31. 赤松勇

    赤松委員 政府は遺憾であるということを言いました。それはそうでしょう。あれはいいなんて言えません。しかし、遺憾であるけれども、御本人の御判断におまかせするよりほかにしょうがない、こういうような御答弁ですね。それならば、私は先ほどから聞いておるが、御判断をあそばして、そうしていつまでもやめない。心身ともに疲労の極に達している、もう歩行さえ困難な御老体です。そんなものをいつまでも総裁としておく必要がないじゃありませんか。人材は雲のごとくある。どんどん若い人を登用すればいい。あるいは副総裁の吾孫子だっていいじゃありませんか。もっとも彼にも責任があるけれども……。私は何もここで人事権を発動するわけではありませんが、とにかく人材は雲のごとくいるのだから、よぼよぼのおじいさんにいつまでも国鉄をまかせておく必要はないと思う。どうしてあれくらい大きな事件発生しているにもかかわらず、いつまでも被自身の御判断なんていうことを言っているのですか。どうもこの間政府のやり方が筋が通らぬ。筋を通す通すと言いながら、こういう人事の問題については結論を下さない。大磯の方がちらちら目の前に現われてくるのじゃないか。もしそういうことであれば、私はそれこそ遺憾なことであると思いますが、とにかくこういう事件発生したことについては、政府の方は遺憾である、こう言って、そうして自発的な意思を待つけれども、もし彼が自発的にやめないという場合には、政府はどうしますか。あなたが答えられなかったら——どうもお見受けするところ、まだ官房長官になりたてのほやほやだから、前官房長官も非常にりっぱな方でありましたが、まだあなたはこれから大いに学んでりっぱな官房長官になる人だから、あなたにぴしっとした答弁をしろと言っても無理なことはよくわかります。そこで、綾部さんとよく相談し、かつ総理とも相談して、あの事件については、法律論ではなしに、日本国有鉄道規定もさることながら、政治に筋を通すという立場から、われわれとしてはこうしたいと思いますというところの答弁ができませんか、どうですか。一つよく相談をして、この問題について先ほどから言っているように、私は個人で何も質問しているわけじゃない。ただ官房長官が遺憾だと言った言葉を中央執行委員会に報告するわけには参りません。従って、政府としては、社会党中央執行委員会からそういう十河総裁責任追及、罷免の要求があった、それに対して政府で一応よく検討してみる、そしてわれわれに回答する、そういうことぐらいはできませんか。あなたがそこでしなやかなからだで訥々と答弁をされても、私はどうも政府の権威ある答弁というふうには、失礼ながらどうも受け取れないのであります。そこで、練達の士綾部さんもおられますので、あとで総理ともよく相談をされまして、そして十河総裁責任については政府はこう考えるということをきちんと回答される、そういう措置はとれませんか。綾部さんいかがですか。よく二人で相談して答弁して下さい。そんなばかな答弁じゃ僕は引き下がれませんよ。そうでしょう。日本国有鉄道法の中の義務違反にはならぬと思う、法律以前の問題で本人の自発的意思に待つより仕方がないと思う、そんなことで国民が承知しますか。よく二人で相談して答弁して下さい。
  32. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 相談しなくても、私再三申しますように、あなたが列挙されたような事故が起こってきておる。それは十河さんもよく知っているから、彼の良識に待つ、彼の判断に待つ以外に、私の方としては目下のところ彼の良心の発意を待つという考えでおります。
  33. 赤松勇

    赤松委員 世論というものがありますね。世論は尊重しなくちゃならない。先ほど言ったように、私も新聞投書欄をずっと調べてみたし、いろいろな人に聞いてみますと、当然彼は責任をとるべきである。三河島事件で死傷した家族の人たちがどんな気持でおるか、もう一ぺんよく考えてみなさい。人ごとじゃありませんよ。この新聞の見出しにもあるように、この間の事件などは、列車の下から手を出して草をつかんでおる。もうそれは切断されているのですよ。切断されている手が草をつかんでいる。そしてうめいている。三河島事件と同じような惨事があそこに展開されているということが新聞に載っているわけです。そういう犠牲者の気持というものがあなたたちの胸の中に反映しませんか。反映すれば、そんなばかな答弁はできません。これは本人の自発的な意思を持つ以外にございません——それならば、国鉄職員の中でいろいろな事件が起きた場合に、本人の自発的な意思に待つ以外にありません、全部にこういう態度をとられますか。それなら筋が通る。すなわち、日本国有鉄道法の二十二条の二についてはこういう解釈をしていると言いながら、いや法律以前の問題だとおっしゃるじゃありませんか。法律以前の問題として、道義上の問題として当然責任を追及しなければならぬのに、それは本人の自発的意思に待つ以外にない、こうおっしゃるならば、全部にそういう態度をおとりなさい。これからそういう方針で臨みなさい。他の者には非常にきびしくやる、総裁については今後の自発的な意思に待つ、そんなばかげた政治というものがありますか。何のために日本国有鉄道法というものがあるのですか。明らかに二十二条の二には、「内閣は、総裁が心身の故障のため」、明らかに心身が故障しているんだ。「職務執行ができないと認めるとき、又は総裁職務上の義務違反その他」云々としてある。明らかに義務違反じゃありませんか。これはだれが考えても明確なんだ。それを法律屋に何か法律上の変な解釈をさしてごまかしていこうという態度は許されない。もっとすなおに——責任があるということをさっきから言われる。そして遺憾であるということも言われた。遺憾であれば一体どうするのだ。政府の方としては本人の自発的意思に待つ以外にないというのでは、三河島事件の犠牲者及びその後頻発した事故の犠牲者、そういう諸君は納得しません。国民自身も納得しない。この間起きました南武線の事件で、私は技術屋でありませんからよくわかりませんけれども、何か二分ぐらいな差しかなかったために、二重衝突やむを得なかったのだというようなことを言っている。私はある国鉄の人に聞きましたけれども、東海道線というのは五分置きぐらいにたっておりますね。そうすると、前の列車が故障しても、次の列車が駅のホームから離れると、事故があってもそれをとめる手段がないというのですね。かりにとめても、惰性でぐっと行って追突するという。だから、無電の装置か何かあれば別でありますけれども、今のような施設の状態では、東海道線は一番いい車だなんといって安心して乗っているけれども、一たび前の列車事故をすれば、もうこれは追突するのです。というのは、非常にその間隔が短い。時によっては三分ぐらいの間隔しかないようです。前の列車事故をしたのを後部に伝えることができないというような事態がしばしば起きている。これなども一つは国鉄責任です。三河島事件のときなども、無電装置が欠けておったからああいう事件が起きたということを、一部専門家からいわれている。そういう二とをちっともやっていないじゃありませんか。一体東海道線のどこにやっていますか。「こだま」につけましたか、「つばめ」につけましたか、「はと」につけたか。つけていない。乗客は何も知らぬから非常に安全なものだと思っている。ところが、実際の専門家から聞くと、あれはいつ追突するかわからない。みな知らないから平気でおる。知っておる者はあぶなくて乗っておれない。こんな事件はこれから何度も出る。出るたびに、それは国鉄責任ではないなんといって逃げられる。今度は政府責任を問うと、それは法律以前の問題で個人の自発的意思に待つより仕方がない、これではだれが責任を負うのですか。これが責任政治と言えますか。綾部さん、あなたは戦前もおやりになっておって、よくおわかりになっておると思うのですけれども、戦前は、たとえば道義上の——もし大臣にちょっとでも汚職があると、それが問題になって内閣辞職というところまでいった。あの明治憲法の中でも、そういう点は非常にきびしかった。全く当今ルーズじゃありませんか。綱紀は極度に乱れている。あれだけの大きな事件が起きながら——あれは外国だったら大へんですよ。総裁は懲役に問われるかもしれない。日本の場合は非常にありがたい。これは法律以前の問題でありまして、個人の自発的意思に待つより仕方がありません。こう政府はおっしゃる。今度は、肝心の国鉄総裁は、国鉄責任はありません、こう言う。死んだ者はどうして浮かばれますか。どこへ一体責任をとってもらえばいいのか。これで国会に黙っておれといわれても、われわれ黙っておるわけにもいかぬ。あなたも古い政治家ならば、政治の道義ぐらいはわきまえておられるのだから、戦後派の官房長官と同じような考え方でなしに、もっともっと政治の道義というものをよく考えたら、若い官房長官がそういうことを言えば、あなたがたしなめて、そんな答弁じゃいけない、一ぺん池田にもよく相談しようじゃないかというぐらいのことを答弁したらどうなんです。それでこそあなたは綾部政治家だということになる。ところが、官房長官のしり馬に乗って、同じような答弁本人の自発的意思に待つより仕方がありませんというようなことを言う。それで綾部といえますか。全くあやしべだということになる。もっと責任ある答弁をしてもらわなければ、終われといっても終われますか。だれが責任を負うか。こんなことで終われるか。自民党の諸君だって、僕は同じだと思う。殺しておいて、だれが責任を負うのです。事故不可抗力だ。だからじいさんに責任を問うておるけれども政府の方は逃げておる。どうです。一ぺん答弁して下さい。
  34. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 先ほど来しばしば述べられた通り見解をとっております。
  35. 久保三郎

    久保委員 ちょっと関連して。  先ほど来お話を伺っておりますと、政府見解は、何か法律以前の問題だ、こうおっしゃっていますが、法律以前の問題で、十河総裁事故の問題やらその他たくさんの問題について十分考えておることだから、自主的に御判断をいただくのが一番いい、こういう御答弁でもります。法律の問題についてはしばらくおくにしましても、御説の通り法律以前の問題ならば、政府は自主的判断に期待するという、そういう意味ですね。そうすると、その中は、責任をおとりになるのが当然だろうが、法律によって罷免権を発動するのじゃなくて、それは十河総裁自身でそういう辞任をするのが筋であろう、こういう意味での法律以前の問題でありますか。政府としては、いやどっちでもいいんだというのじゃないでしょうね。先ほどからのずっと一連のお答えを聞いておると、やはり総裁自身が責任がある、しかしそれはどこまでも法律政府罷免をするようなものにはちょっと疑問がある、こうおっしゃるのじゃないでしょうか。そういう意味ですね。だから、政府見解は、くどいようでありますが、総裁自身が決着をつける問題ではあるが、やめるのが当然だという前提でありましょうね。いかがですか、官房長官
  36. 黒金泰美

    黒金政府委員 今お話がございましたが、われわれ、先ほどから申し上げておりますように、いろいろ事件の起こりますことは遺憾でございます。ただ、その遺憾な事件に対処いたしまして、いやしくも国鉄総裁進退は、御自身で、良識と良心を持って、そして進退を慎重にお考え願いたい、こういう考え方でございます。
  37. 久保三郎

    久保委員 良識で慎重にお考えいただきたいというのは、それはやめぬでもいいとか、やめろとか、いずれともかまわぬ、こういうことですか。そうだとするならば、そういう発言をすること自体が不謹慎だと私は思うのですがね。あたりまえの話です。だから、一応私としては、政府としてはこういうことだが、この際おやめになるのがいい、しかし、国鉄法二十二条で政府自体の権力に基づいて罷免するというのは、これはちょっと違う、そういう意味なんでしょう、あなたの方の御見解は。官房長官、いかがですか。官房長官お話では、慎重に御考慮なさることであるというだけであって、それじゃ政府は全然知りませんということでしょう。そういうものではないんじゃないですか。それはいかがでしょう。くどいですが……。
  38. 黒金泰美

    黒金政府委員 まあこちらの返事も下手で、何回も繰り返して申しわけないのでありますが、事件の起こりましたことは政府としても非常に遺憾に存じております。ただ先ほど御指摘になった国鉄法の二十二条の二の規定を発動する問題か、これはなかなか発動はむずかしいように思います。従って、この問題については、政府罷免権を発動するとか、そういったような問題でなしに、その前の法律以前の問題として、総裁がどういう責任をお感じになり、どういう措置をおとりになるのか、一応これは総裁良心と良識に従って御行動になるべき問題、これをわれわれは見ておるわけでございます。
  39. 久保三郎

    久保委員 いや、そのことはわかっておるのですよ。だから、そこをはっきりあなたはおっしゃるべきじゃないかと思うのです。くどいようですが、私は端的に、政府はこれだけの問題を起こしていて、これからも将来の問題を考えれば、この際もう法律以前の問題として十河総裁自身が御判断いただく時期だと言う裏は、もうおやめになるのが当然じゃないか、こういう御意思であるのかどうか、だめを押しておるわけです。そうでしょう。その方がわかります。回りくどく言っちゃうと何だかわからぬ。その点を聞いている。ずばりそのもの、政府は、おやめになるべきである、ただしこれは法律問題以前の問題だから、十河さん自身の御判断にまかせる、こういうことですね、そうですが。
  40. 黒金泰美

    黒金政府委員 これは非常に表現が下手で回りくどくて恐縮でございますが、重ねて申し上げます。事件が頻発することは遺憾に存じております。ただしかし、そうかといって、今の事件について国鉄法第二十二条の二の規定を発動するのはちょっとむずかしいと思いますので、そういう法律を今適用するわけには参りますまい。そこで、従って、一つ総裁良心と良識によって御判断を願う、その経過を見ておる、かような考えでおります。
  41. 木村俊夫

    木村委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  42. 木村俊夫

    木村委員長 速記を始めて。
  43. 久保三郎

    久保委員 官房長官、あなたのお話はわかっているのですよ。こんなふうに回ってくることは……。それを私は聞いているのじゃないのです。いずれにしても、政府としてはやめることを期待しておるということでしょう。そうでしょう。
  44. 黒金泰美

    黒金政府委員 先ほど申し上げた通りでございます。
  45. 久保三郎

    久保委員 だめだ。直接監督の衝に当たる運輸大臣官房長官の話はわかったようなわからぬような話です。奥歯に物がはさまっておるのですよ。実際言って、裏を返せばどうなるかわからぬということです。そういう段階じゃないかと思うのです。だから、法律論がどうでも、あるいは法律以前の問題、そんなことは問いません。しばらくおきます。これはおきますが、あなたの方の見解によれば、私が言う通り、やめることを期待しておっしゃっておるのかどうか。そうでなければ国民は納得しませんよ。いかがでしょうか。
  46. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 たびたび申しますように、そういう判断を国鉄総裁に求めているので、良識と……。
  47. 久保三郎

    久保委員 やめることの判断ですね。
  48. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 いやいや、それは一人できめられて、私はそれをどうしたということは差し控えたいです。
  49. 小林進

    小林(進)委員 関連。  実は官房長官が用事があってお帰りになりましたから、官房長官に直接お伺いできないのが非常に残念でありますけれども、今も運輸大臣、いみじくも国鉄総裁辞任の問題は本人良心の問題であるとおっしゃいました。これは、官房長官も、前回の社会労働委員会には、しばしば総裁の良識と良心によって進退をきめてもらわなければならぬと、悲痛な声で叫ばれておりました。けれども、あれくらい運輸大臣も、新聞紙を通じ、また委員会を通じて、本人の良識と良心に基づいて出処進退を明らかにしなければならぬ。内閣の番頭の官房長官も、本人良心と良識でもって行動してもらわなければならぬ。しかも、それくらいあなたたちが言われるにもかかわらず、総裁はおわかりになっていないとこれは判断してよろしいのじゃないかと思うのでございますが、いかがでございましょう。これはあなた方運輸大臣官房長官の真意を解せずして、お前の良心によって行動せい、お前の良識によって行動せい、こう切実に言われているにもかかわらず、いまだその良心と良識に基づく行動がないということは、彼自身がもはやすでに良心と良識を喪失しているものと断じなければならぬのであるとわれわれは思うのでありますが、この点いかがでございましょうか。この点を一つお聞かせ願いたいと思います。
  50. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 しばしば申しますように、総裁自身の良識と良心に訴えて解決する以外に方法はないと思っております。
  51. 小林進

    小林(進)委員 今も申し上げておりますように、世論の良識も、いわゆる良心も、これはやめられることが良識であり良心である、これは一般の世論であります。おそらく、先ほどもわが党の委員が繰り返し質問されたのに対し、運輸大臣官房長官本人の良識、良心に基づいて行動すべきであるということは、私はその言葉の裏の中には、やはりやめることを期待されておる、期待されるという言葉がもし言いづらいならば、やはり世論の動向のごとくこの際やめるのが総裁としての良識である、良心である、こういうふうに運輸大臣は判断をしておられるものとわれわれは了解してよろしいかどうか。やめるのが良識である、良心であると運輸大臣はお考えになっておる、こうわれわれが解釈してよろしいかどうか、いま一回お聞かせ願いたい。
  52. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 たびたび申しますように、そういうことを国鉄総裁良心と良識で判断してもらいたい、かように考えております。
  53. 木村俊夫

    木村委員長 この際暫時休憩いたします。    午前十一時二十二分休憩      ————◇—————    午前十一時四十一分開議
  54. 木村俊夫

    木村委員長 これより再開いたします。久保三郎君。
  55. 久保三郎

    久保委員 ただいまの国鉄十河総裁の問題に関して、いろいろ質疑応答が繰り返されたのでありますが、特に政府答弁においては、手続問題の説明は十分なされているようですが、赤松委員政府見解を尋ねておるわけであります。それに対して必ずしも明確でないのでありますから、この問題については、時間の関係等もございますので、本委員会散会後の理事会において御検討いただきたい、かように思いますから、委員長において取り計らっていただきたい。
  56. 木村俊夫

    木村委員長 ただいま久保君より御発言の通り委員長において取り扱いをいたします。      ————◇—————
  57. 木村俊夫

    木村委員長 海運及び気象に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  58. 久保三郎

    久保委員 厚生省は、大臣が見えられないそうでありまするが、私がお尋ねしたいのは、先般の通常国会において成立いたしました船員法の一部改正についてでありますが、その中で、当委員会でもかなり論議があり、問題になりましたのは、一つは、漁船船員の船員法適用の範囲の問題であります。それで、漁船船員の場合は、三十トン以上のものは、これは従来もそうでありますが、これはその通り実は船員法が適用になるわけです。そこで、改正の重点は、二十トン以上三十トン未満の間のものについて、いわゆる政令で定めるものは船員法の適用を受ける、こういうことに実はなっているわけでありますが、御案内の通り、漁船船員の労働条件あるいは社会保障制度の問題、こういうものをひっくるめて、必ずしも十分ではない。しかも非常に恵まれない立場にありまして、これらに対する施策の不十分さは、目に見えて最近における漁船労働者の減少ということにも相なっているわけです。そこで、本委員会でも、最終的な結論は、法案は原案通り可決するにいたしましても、二十トン以上の漁船全体については、いわゆる船員保険を適用させるという目的で、船員法の適用を受けさせるべきである、こういうような本委員会の附帯決議に相なっておるわけです。その後、政府の内部においては、この附帯決議を含めて、関係省庁であるところの運輸省あるいは厚生省、さらに水産庁がそれぞれ作業を進めていると思うのでありますが、まず第一にお尋ねしたいのは、厚生省においては、当時最後まで、必ずしもこの附帯決議に同意を完全に与えておらなかったように思う。しかし国会の決定がある限りは、この附帯決議の趣旨に沿って作業は進めるべきと私は考えておりますが、今日までの作業状態はいかようになっているか。さらに、厚生省の見解は、二十トン以上の漁船船員に対して、ほとんどの船員に対していわゆる船員法適用考えを持って作業を進めているかどうか。そういう点について見解を御表明いただきたいと思うのです。
  59. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 私、厚生省の保険局企画課長の広瀬でございます。  ただいまの御質問につきましては、ただいまお話がございました通り、先般の船員法の一部改正によりまして、その適用範囲が拡大されたわけであります。そうしてその範囲につきましては、具体的には二十トンから三十トンの問の漁船につきましては政令できめるととになっておりして、私どもその後関係省の間でいろいろ話し合いを進めておるわけでございますが、その政令は明年度の四月一日から施行するということを目途にして作業を進めておるわけでございます。  先般の国会におきましては、当初、関係省の間では、二十トンから三十トンの問の漁船につきましては、いわゆる従業制限による二種三種を定めるという考えでおりましたが、その法案に対する国会の審議の内容及び附帯決議によりまして、原則としてできるだけ広く、全部適用するというような御趣旨の決議がございましたので、その線に沿って検討しているわけでございます。  御承知の通り、船員保険法の被保険者になるためには、その範囲は、船員法の適用のある船員が自動的に船員保険法の適用になるのでございまして、まあ法律上そういうことになっておりますが、純粋に船員保険だけの立場で考えますと、やはりこの船員保険法を適用するためには、雇用関係が明確であること、それはいろいろ年金等の支給につきまして、資格期間が何年あるかということが基礎になるわけでございます。それからまた、賃金、給料の支払い関係が明確になっていること、これは保険料の徴収なりあるいは給付の基礎になるわけでございます。そういう観点からいたしまして、大体二十トンから三十トンにつきましても、いわゆる二種、三種につきましてはほとんど問題がないと当初考えておったわけでございますが、なお附帯決議のこともありまして、一種が問題になるわけでございます。ただいま申しましたような、保険を適用する場合のいろいろな前提条件につきまして、この一種につきましては、必ずしも全部ではございませんが、中には、これらの点があいまいなものもあるように聞いておりますので、現在その調査を進めているわけでございます。その調査の結果によりまして、この一種の取り扱いをどうするかということをきめたい、現在のところそういうふうに考えております。
  60. 木村俊夫

    木村委員長 關谷勝利君。
  61. 關谷勝利

    ○關谷委員 久保委員質問中でありますが、私、十二時にやむを得ざる用件がありますので譲っていただいて、簡単に海運問題について大臣に要望を申し上げたいと思います。  この間海運全般の問題につきまして参考人の方々に来ていただいて、いろいろ日本の今の海運のあり方につきまして御意見を拝聴したのでありまするが、その際に、期せずして海運企業整備臨時措置法案に意見が集中したようでありました。そうしてその参考人の人々の御意見はほとんど全部といっていいほど、あのような不徹底な案では日本の海運界は再建はできない、かえって海運企業の壊滅を招くおそれさえあるというふうな御意見があったのであります。私たちといたしましても、現在提出せられております政府原案でははなはだ不満足であって、これはかえって海運業の発展を阻害するものであるというふうな感じさえ持ったのであります。そこで私たちは、現在のあの海運企業整備臨時措置法案というものは、これは審議もしなかったのでありますし、提案の理由の説明すらできなかったような状態でありますが、これにつきまして私は、次の通常国会におきましては、強力な海運基盤強化策を打ち出して、そして早く日本の海運が再建できて国際競争力に勝てるようにしていただきたいと思いますので、要望をいたしたいと思います。その要望書を読み上げてみます。  わが国の経済成長を維持達成するためには、国際収支の均衡が不可欠の要件であるが、近年著しく貿易量が増大したため、邦船の積み取り比率は年々低下の一途をたどり、国際収支悪化の一つの要因となっている。従って貿易外収支を改善し、国際収支の均衡をはかるためには、今後大量の船腹建造を行なう必要がある。しかるにわが国海運の現状は、過去における戦時補償の打ち切りと、巨額な借入金による船腹建造並びにこれに伴う割高な金利負担の重圧のため、その基盤は著しく劣悪化し、とうてい今後の大量の船腹建造に耐え得ない状態である。よって政府は、総合的な海運対策を確立し、海運企業の基盤強化と国際競争力の強化をはかるため、左の措置につきすみやかにその実現を期すべきである。  一、海運企業の過去の債務の過当な重圧の軽減をはかること。  二、外航船舶の大量建造のため所要の財政資金を確保するとともに、利子補給制度を強化し、金利負担の軽減をはかること。  三、船質の改善をはかるため、戦時標準型船舶とともに老朽船につきこれを解撤し、代船建造を行なうこと。  四、船舶の大型化、専用船舶に対処するための適切な施策を講ずること。  五、法律により強制せられ、国際競争力強化の障害となっておる船舶職員の定員を世界水準並みに是正すること。  右を要望いたしたいと思います。
  62. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 ただいまの關谷委員の要望書につきましては、全く同感でございまして、私どもその趣旨を尊重いたしまして、重ねて皆様方の御協力と御協賛をお願いいたしたいと思うのでございます。
  63. 久保三郎

    久保委員 さっきの御説明では、とにかく第一種の問題にしぼられております。雇用関係が明確であるかないかというような確認の問題をめぐって問題があるという御説明に結論は聞いたわけですが、しかし御承知のように船員局の方で確認の方法はあるわけです。しかも確認漏れのものも実際いって多少ありましょう。全部の漁船船員を確認するまでの企業形態にあるいはなっていないかもしれない。そういう場合を考えれば、全部待ってやるのがいいかどうかという問題が一つありましょう。しかし考えられるのは、何といっても早くこの適用を受けさせるというのが、まず趣旨でなければならないと思います。本委員会における附帯決議もその通りであります。確認をし得られるものは、これは相当わかります。しかもこれは大半わかるので、ついてはそういう確認の問題を取り上げて、この第一種の適用について結論をいまだに得られないということについては、本員としてははなはだ遺憾に思うわけです。ついてはこの方針をこういうふうにきめてほしいと思うのです。いわゆる確認し得られるものをさしあたり全部これに入れ、逐次この確認の方法をさらにとっていくということ、こういうふうにしなければ、一人残らず全部向こうの浜にいる漁船はどうか、ここはどうかというようにやっていったのでは、日本全国のすみずみまで一人残らずということでは大へんだと思います。まず第一に確認し得られる大半のものがあるわけでありますから、これを対象にして考えていくということでなければ前向きではないと思います。そういう意味で今後検討を早められる必要があると思います。いかがですか。  さらにもう一つは、御承知のように、法律は来年の四月一日、新年度から適用開始ということであります。そういう意味でこれはやはり全体がそうなんでありますから、第一種についても、当然来年の四月一日の新年度からこの船員法適用ということを考えておるのですか、厚生省としてはいかがですか。
  64. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 ただいま仰せの確認できるものだけでもすぐやったらどうかという点でありますが、それも一つの方法であるかと思います。ただ問題は、この船員保険法の建前は、当初確認ができていないものでありましても、疾病なり負傷なり障害が起こった場合に、成規の手続がしてない場合におきましても、あとでそういう事実があったということが確認された場合には、保険料を納めていない場合でも、被保険者として必要な保険給付を行なう建前になっておりますので、いろいろ技術的の問題で確認できたものだけを被保険者とする、確認できないものは、よく調べてみたらそういう雇用関係があって当然被保険者とすべきであったということがわかっても、そういうものには給付しないというようなことは、現行法ですぐにそういう立法制度がとれるかどうか若干問題があると思いますので、その点ももう少し研究したいと考えております。
  65. 久保三郎

    久保委員 私は今の制度を変えることを検討しろと言うのではないのです。全体がつかめなければ、今あなたがおっしゃるような船員保険の内容でありますから、成規の手続を踏んでいなくても、事故発生した場合にあらためて手続をとれば船員保険の特徴としていわゆる給付が受けられるということであります。これは当然です。これを変えることを検討する必要はない。あなたの方の考えには、全体で何人いるのか、雇用関係はどういうことになっておるか、全部調べ上げなければそういうものには乗れないというお考えがありはしないかと思うのであります。そういう意味については、先ほど私が言った通り、把握できるものを対象にして、これは大半なんですから、大半ができないならばいざ知らず、大半のものが確認できるのでありますから、そういう方向で作業を進めるべきであるということが私の見解です。今の給付の内容、船員保険の内容を検討して、その対象になるものはきっちりきめろという意味じゃないんですよ。誤解されては困る。いかがですか。
  66. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 ただいまのような方法も一つの方法であると私個人としては考えておりますが、その病気になったときに初めてそれをやるという場合も想定して考えますと、実は数年前からそういう雇用関係があって、本来ならば数年前から被保険者として保険料を納めるべきであった、ところがたまたま確認ができなくて事故が起こるまで実際保険料を納めておらなかったというような状態をかりに仮定いたしますと、必要な給付を与えると同時に、過去二年なり三年なりの本来払うべき保険料を当然負担してもらわなければならないというような問題が起こるわけであります。そういう場合に、そう何年分も一緒に保険料をとれないという現象も出てくるだろうと思いますので、その辺の取り扱いをどうすべきかというような技術的な問題が若干残ると思いますので、その点はもう少し検討したい、そういう意味でございます。
  67. 久保三郎

    久保委員 ただいま保険財政にからんで保険の対象になっていない者がいわゆる給付を受ける事態が発生した、そういう場合に、既往にさかのぼってどの程度とるかあるいはとらぬかというようなことが、問題の検討の主要な点であるというようなそれだけでは、実際いって簡単じゃないですか。私は船員保険について暗いので、ありますが、もっと大きな問題があるのですか、いかがですか。問題としてないとするならば——この船員法改正のときに審議の過程でたまたまちらつかせられましたのは、保険財政の問題だと思うのです。しかし方針として国会がやるべきだと決定したのでありますから、何をちゅうちょするのか、実際こう言いたいのですよ。保険財政がそこでうまくいかないというならば、これはやはり財政当局に要求するなり何なりは、当然厚生省の責任においてやるべきだと思うのでありますが、いかように考えておられますか。
  68. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 ただいま私が申しましたこれは一つの例でございますが、必ずしも保険財政だけという意味ではございませんで、本来保険料を払うべき人が払わなくて、事故が起こった場合に、実は僕は被保険者であったということを確認してくれといって確認された場合に、給付だけをもらうということになりますと、もちろん保険財政にも給付はありますが、やはりその給付の源が一般の被保険者の保険料からなりますので、そういう意味から考えましても、公平の原則にも反するというような問題も出てくるわけでございます。  それでもっと大きい問題とおっしゃいましたが、実は先ほども申しましたように、国会の附帯決議、私どもは全くこれを尊重するつもりでございますし、内容につきましては同意見でございます。ただ保険を適用する上におきましては、先ほど申しましたように、いろいろその基礎条件が必要でありまして、その基礎条件が完備しておりませんと、この保険制度の運用が円滑にいかない場合も出てきますので、そういうきわめて事務的な、技術的な問題についてどうすれば一番いいか、どういう問題があるかという点をただいま検討しているという段階でございます。
  69. 久保三郎

    久保委員 いろいろお述べになりましたが、そういう問題点を整理して関係省庁の間で折衝をされていると思うのでありますが、すでに来年度予算概算要求の時期でもございます。そういうものをにらんでいますと、私はどうもまどろっこしくて見ておられないという感がするわけです。本気で四月一日からやるつもりなのかどうなのかということなんです。企画課長もその点は十分知っておられると思うのですが、いずれにしても、この問題の決着はいつごろまでにおつけになるということで関係省庁とは協議を進めておるのですか。そういうめどはなくて、じんぜん検討しておるわけですか、いかがです。
  70. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 この問題はもうすでに先般の国会のときに提案された問題でございまして、できるだけ早く結論を出したいというつもりで関係省とも話し合いを進め、私どももいろいろ調査をしているわけでございます。
  71. 久保三郎

    久保委員 労働基準課長おいでですから聞きますが、これは運輸省が一応主導権をとるというか、船員法の適用ですから、主管の官庁というか、保険の方は厚生省ですが、運輸省としてはいかなる程度に今日作業を進めているか、その点を伺いたい。
  72. 住田正二

    ○住田説明員 運輸省といたしましては、附帯決議の趣旨に沿いまして、原則として二十トン以上のものを適用範囲に入れるということで関係省と話し合いをいたしております。ただいま厚生省からお話がありましたように、厚生省の方としても原則として二十トンについては御異論がないようでございます。ただそういう技術的な問題で保険に入る場合、いろいろ問題があるというお話でありますので、運輸省としましては、そういう技術的な問題を解決するために運輸省として協力できるものがあれば、できるだけ協力申し上げて、保険の方に新しい船員が入ってくるということが円滑にいくようにしたいというふうに考えております。予算の関係がありますので、できるだけ早くこの問題を解決したいと考えております。
  73. 木村俊夫

    木村委員長 加藤勘十君。
  74. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 久保君の質問の途中ですが、気象庁長官が何か用事があるそうですから、先に気象庁長官にお伺いします。  先般の三宅島の爆発の問題についてお伺いしたときに、予算の関係で設備がない、人員がいないということで、爆発、地震等の予測研究は事実上不可能だ、こういうような御答弁がありまして、これに対しては、ことに三宅島の爆発の問題については、その施設を三十九年度に行なう予定になっているということでありましたので、それではおそいから来年度に明後年度の予算を繰り上げて、ぜひ予算を請求して、設備と人員を充足して、予報等についての施設を完備してもらいたい、こういう希望を述べまして、これに対しては大臣も同時に予算の問題については考慮する、こういうような御返事がありました。そしてそのときに三宅島の爆発の現状から危険の度合いがどういうふうになっていくであろうか、今次から次へと地震現象が相次いで起こっているが、はたして人畜に障害があるような大きな危険を伴うかどうか、こういうことに対しては、それはよくわからぬというようなお話でありました。その後新聞の報道を注意深く見ておりますと、一応地震現象が遠のいたようでありましたが、またこの数日来非常に強度の振幅を持った地震現象が次から次へと頻発している。これがために三宅島の村民が非常な不安を感じて、遂に小学校、中学校の学童を東京都の千葉県地方の施設に避難せしめるということが決定したということが報ぜられております。そうすると、その後頻発している地震現象はどうですか。水上教授の新聞に伝えるところによれば、大した危険はなかろうというようなことでありましたが、気象庁としての御見解はどうですか、一つ率直に聞かしていただきたいと思います。
  75. 和逹清夫

    和逹説明員 最初に火山活動について申し上げます。  噴火の起こりましたのは、二十四日の夜でありますが、二十四日には噴火も非常に連続し、地震もきわめて多数連続して起こっておりました。二十五日にも引き続きからだに感ずる地震が二百回以上、詳しくは調査中でありますが、その後二十六日以後はからだに感ずる地震の数にしますと、三宅島測候所は、二十六日に八十七回、二十七日に十九回、二十八日に百十六回、二十九日に二十九回、三十日に百八十二回、三十一日に六十五回というような経過をたどっております。これを見ましても、この程度の火山活動は今日まで一進一退続いているわけであります。しかもその中に強震とわれわれが申しています相当に強い地震が、二十六日に一回と三十日に一回ございました。これらから見まして、今後の火山活動はなお現在続いておるということは申せますが、はたしてこの前と同程度あるいはそれ以上の大爆発が起こるかどうかということは、正直に申して少なくとも私には予測できません。水上教授が言われていますのは、過去の三宅島の爆発の様子からそういうことを言われたとも思われますが、現状におきましてはそう強い活動と申すわけではありませんけれども、依然活動中と申し上げるよりほかないと存じます。  なお気象庁における火山観測設備のうち、三宅島につきましては、計画は昭和三十九年度でありましたが、さっそく昭和三十八年度に要求いたすことにいたしました。
  76. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 そうすると気象庁の責任においては、爆発現象はまだ続いておるけれども、どの程度の危険度合いがあるかということについては、率直にいって断定ができない、こういうお説でございますね。これは観測設備がないという点からやむを得ぬことだと思いまするが、村民が依然として不安を覚える、児童を継続して自分のひざ元に置いておくことができないという事態というものは、やはり何かしら人間としての予感といいますか、学問的でない感じからそういう感じを受けて、それが避難という現象になって現われてくるんではないかと思うのですが、こういうことについては純学問的な立場からどういうように見たらいいでしょうか、一つ率直に聞かしていただいた方がいいと思うのです。
  77. 和逹清夫

    和逹説明員 火山の爆発には強烈なる爆発性のものと、溶岩を流して爆発としてはそれほどでもないものというような種類があります。三宅島は今回の溶岩の流れたのを見ましても、非常に強烈な爆発をするタイプというよりも、溶岩を流すというようなタイプに近いものと思われます。従ってその火山の被害というものは、もちろん近くでは落石、崩壊等もございますけれども、溶岩がくるという点において最も危険があるわけです。こういうような立場から、大爆発で非常に急に被害を受けるというととはまずないんではないかというような考えもあって、水上教授あたりもそういうことを言われたのじゃないかと思うのです。  なお、火山の中で一番おそろしいのは、熱雲といいまして、非常に熱い空気が噴火口のところからふもとの方へ流れ下ることであります。これがきますと、まず全島——全島は大げさでありますが、その霧のきたところは、ほとんど助からないということであります。こういうような大被害というものは、実はわが国において、しっかりした記録においてはあまり見ない。それに類したのはありましたけれども、あまり見ないので、外国の火山において、それによって全滅したという記録があります。これが最もおそろしいのでありますけれども、まずそれは日本の火山では、今まであまり見なかったから、ないとしますれば、次が溶岩の危険だと思います。これも現在島の東の方に流れておりますので、今回の爆発に伴えばあちらの方へいくというような考えをしますれば、まあほかの地域は溶岩の危険もそれほどでない。しかし、新しい火口でもできまして北の方に流れることも、三宅島の歴史から見ればなかったというわけではないのであります。それやこれや考えますと、こういう防災というものは、めったにないかもしれませんけれども、万全のことができるならば、できるだけした方がいいと私は考えております。
  78. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 そうしますと、率直にいいまして、三宅島の爆発は溶岩を流出するという性格の爆発であるから、他のおそろしい性格を持った爆発とは違って、それほど大きな爆発があるとは思われない、こういうことは一つ言われるわけですね。ただしかし、であるけれども、三宅島の性格上、どこにどういう新しい爆発が起こらないとも限らない、だから大事をとった方がよい、一口に言えばあなたのお説はこういうことでございますね。それはおそらくだれでもそういうことになるだろうと思うので、それ以上にお尋ねしてもこれは仕方がないことだと思いますが、先ほどおっしゃったように、予算関係は、来年設備を早めるということは、やはり今後の島の人々の不安を除くという点からいって必要な施設だと思いますから、ぜひそういうことに進めていっていただきたい。  ただ、一つお伺いしておきたいのは、溶岩が東の方へ、主として道路から海の方へ流れ込んでおるわけですが、これの熱は、どのくらいの時間をおいたらば、そばへ寄れるように冷却しますか。その点わかりましたら一つ知らしていただきたいと思います。
  79. 和逹清夫

    和逹説明員 私ちょっとその方面の知識がありませんけれども、私は、ハワイの溶岩流のところで、その溶岩が流れたあとでその溶岩の上に道を作って車で通ったのは、半年くらいあとだったのではないかと思いますが、その間三カ月ぐらいたちましたら人が歩けるとか、そういうような程度しか私存じません。
  80. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 それでは気象庁長官、よろしゅうございます。  それから厚生省の方に伺いますが、今度の三宅島の爆発が起こりまして、すぐ次の日に災害救助法が発動された。これは私は非常に敏活な措置として、最もよい手段をとられたことと感謝しております。それに伴って、問題は救援の具体的な方法ですが、主としてこれは実施に当たっておるのは、東京都の仕事かと思いますけれども政府責任において、こういう天災による災害については、できるだけやはり政府の努力を必要とすると思うのです。つきましては、その後の救援の実情、それから今後の対策、御承知のように流岩によって道路はなくなってしまいまして、あの島を一周する幹線道路が中断してしまったわけです。道路は、これは熱がさめなければ近寄れないからどうにも仕方がありませんけれども、熱がさめれば、東京都知事の申請によって、自衛隊が何か道路づくりをやるということが新聞に出てましたけれども、これは東京都知事の申請によって行なわれることだと思いますが、あの島は御承知のように耕作面積が非常に狭い土地なんです。食糧が普通でも静岡、東京方面から移入しなければ生活のできない食糧不足の島なんです。そういう島でありまするから、食糧の供給、それから灰がうちの中にまでたまってしまって、これを一掃することが容易なことではない。それから御承知のように、あの島は水のない島です。今まで天水をためて、天水を飲料水にしておったわけなんです。その天水が、ふたをしておるところもありまするが、そのふたももちろん完全な密閉ではありません。おそらく天水おけにも灰が非常に入っておるだろうと思うし、それから屋根からといで受けておる。その屋根に灰がたまれば、従って一緒に流れ込むというようなことで、飲料水がどうされておるか、私もその点は非常に不安に思っておるわけです。明日国会からも、参議院の方はどうか知らぬが、衆議院では、自民党、社会党両方から行って現状を見ることになっておりますから、行ってみればわかりますけれども、こういう飲料水、一般用水、それから食糧、それから道路の点から物資の補給、その他の日常必需物資の補給の点等について、どういうような方策をお持ちになっていらっしゃるか、それを一つ聞かしていただきたいと思います。
  81. 瀬戸新太郎

    ○瀬戸説明員 三宅島の爆発に伴います災害救助の問題でございますが、お話しのように救助法の適用は二十五日の牛後四時に決定いたしまして、直ちに都の職員を現地に派遣いたしまして、避難所の開設等をいたしまして、救助の実施に当たったわけでございます。特に避難所は六カ所、これは小学校が主点でございますが、約二千四百人でございます。それで直ちにたき出しの実施、飲料水の供給、被服、寝具の支給、医療班の派遣、こういったような措置をとっているわけでありますが、特にお尋ねの給水につきましては、どうやら現地で水の方は溶岩の降ってくる地帯以外のところから求めますが、容器に非常に困窮しているということで、ドラムカンあるいはそれより小さなカンを現地に送りまして、水のあるところからそちらに運んで給水をやっておる、こういう状況でございます。それからさらに東京から食糧としましては、乾パン一万八千四百食、カン詰が五千食、毛布一万枚、被服が四千点、たくあん、福神漬、梅ぼし、こういうものを八十一たる、こういうものをまずさしあたり送りまして、救助の実施に遺憾なきよう、進めておるわけであります。  今後の措置でございますが、ちょうどきょうから新学期を迎えたという関係もありまして、昨日東京都へ中学生六百人、小学生七百人、それに老幼婦女を含めまして約二千人の人たちを、館山の東京部の臨海学園あるいは東京都の区の経営する臨海学園に集団避難するということを決定いたしまして、計画を進めたわけでございますが、ただいまのところ約千四十名の希望者がございまして、これは自衛隊の船によりまして、今夕六時ごろには館山に到着するという運びに至っております。なおこれは希望に応じて、また状況によりましてはさらに人員も追加して、また違う便で避難がふえていくという実情もあろうかと思います。そこで、そういうような遠隔の地へ避難するということで、救助の態様と申しますか、これも従来にあまり例がないのでございますが、これらの避難経費につきましては救助法によりまして措置をして参りたい、かように考えております。  そこで、実はけさ八時に、今後の救助対策等の関係もございますので、実情調査ということで、自治大臣が八時に現地へお出かけになりました。そこで厚生省からは社会局長が、今後の問題の計画を立てるために同行して参っておりますので、その結果を待ちまして、場合によれば救助法をこえた措置もあるいは必要になってこようかと思いますが、いずれにいたしましても、その結果を待って避難措置をとって参りたいというふうに考えております。
  82. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 時間がございませんから簡単にもう一つだけお尋ねしますが、なるほど水は、あの島には山の上に二つの池がありまして、その池の水も何か方法を講ずれば利用できるとかという。人家まで運ぶのはこれはなかなか容易なことじゃないので、ドラムカンや普通のカンで運ぶということは非常に困難だと思いますが、しかし、そういうことは困難であってもやらなければならぬことですから、ぜひそれはやっていただきたい。  それから、やはり問題は、私は食糧だと思うのです。田畑がつぶれた。それから今までバター、チーズ等を作った酪農が割合に盛んでした。そのバター、チーズを作る牛の飼料というものが灰をかぶって役に立たぬ、こういうことに対しても、直接人命の問題ではないけれども、村の産業が途絶してしまうということになると、村民全体の非常な不安を来たすことになるわけですから、そういう点についても一つ、いずれ自治大臣や社会局長がおいでになって実際をごらんになれば、もうわれわれが言うまでもなく十分気をつけてやられると思いますけれども、食糧の点を、ことにもう乾パンとかいうようなことでなくて、やはり米なり麦なり、そういう常食を普通以上に供給ができるような方法を一つ講じてもらいたいと思います。  これだけを希望して私の質問を終わります。
  83. 木村俊夫

    木村委員長 久保三郎君。
  84. 久保三郎

    久保委員 私の質問がとぎれとぎれになって大へんなにですが、時間も迫っておりますので……。ところで厚生大臣は来られるのですか。——課長さんでは大へん失礼だが、運輸大臣をわざわざお待たせしているわけですから、早く大臣を呼んできてほしいと思います。  そこで厚生省にお伺いしますが、くどいこと、こまかいことは別にいいです。やるのかやらぬのかというのが結論であります。そこで申し上げたいのは二つです。いわゆる第一種の適用範囲については関係省庁間の合意に達しておるか、いかがですか。
  85. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 先ほど申しましたような保険としての技術的な問題がありますので、この点がまだ明確になっておりませんので、この問題だけがまだ残っております。
  86. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、全体として適用範囲はいまだに何らめどがついていない、そういうことですか。
  87. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 今の段階ではまだその結論に達しておりません。
  88. 久保三郎

    久保委員 いつごろめどをつけられる見通しですか、時期は……。
  89. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 先ほど申しましたように今調査を進めておりまして、その調査の結果によると思いますが、たとえばこういう問題を解決すればできるとか、今のままで進むとか、その調査の結果を待たないと、いつというはっきりした日時は申し上げられませんが、いずれにいたしましても、できるだけ早く結論に達するように努力したい、そういうふうに考えております。
  90. 久保三郎

    久保委員 その調査はいつから始めましたか。
  91. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 これは初めに、調査をいたしますについても、どういう点を調査すればいいかということをきめる必要がありまして、すでに近県につきましてはサンプル的に調査を開始しております。それでその結果に基づきまして調査要項をきめて、近く大規模な調査をしたい、そういうふうに考えております。
  92. 久保三郎

    久保委員 その大規模な調査はいつから始まっていつに終わる予定ですか。
  93. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 あと一、二のサンプル調査をした結果、できるだけ早く着手して、できるだけ早く結論を得たい、そういうふうに考えております。
  94. 久保三郎

    久保委員 そのサンプル調査はあと二、三残っているというが、それはいつ終わるのですか。
  95. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 これは一、二週間のうちに終えたいと思っております。
  96. 久保三郎

    久保委員 すると、大規模な調査は今月中旬から始まるということですか。
  97. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 それが終わり次第、しかるべき調査様式がきまり次第やりたいと考えております。
  98. 久保三郎

    久保委員 法の施行は四月一日からとなっているのですが、これは御承知ですか。
  99. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 承知しております。
  100. 久保三郎

    久保委員 予算の要求は必要ないと思いますか。
  101. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 その調査の結果どういうことになるかわかりませんが、その結果いかんによりまして、それに応じた予算が場合によっては必要になるというふうに考えております。
  102. 久保三郎

    久保委員 予算は場合によっては必要ないということになりますか。
  103. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 いずれにしてもその結論が出ませんと、何ともちょっと御返事申し上げにくいわけです。
  104. 久保三郎

    久保委員 いやお尋ねしているのは、場合によってというお話ですが、場合によっては予算は一文も要らぬのか、そういう場合もあるのかということです。
  105. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 だから実施につきましても、その調査の結果どういう結論が出るかわかりませんけれども、先ほど先生がお話しになりましたように、一種でも雇用関係あるいは賃金関係が、こういうところははっきりしている、こういうところではまだはっきりしていないから若干延ばすというような結論が出れば、それに応じた予算が必要でありますし、それらの点調査の結果を待たないとそこがはっきりしないということであります。
  106. 久保三郎

    久保委員 予算要求の時期と調査の時期は合う見込みですか。
  107. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 さしあたり、通例によりまして概算要求は今月まででございますが、大蔵省へ出すことになっておりまして、私どもはとりあえず見通しのついた二種、三種につきましてはその数字をはじいておりますが、一種についてはそういう問題がまだございますので、保留にしております。
  108. 久保三郎

    久保委員 保留にしておるということは、大蔵省に前もって話してあるのですか。あとから一種は出すのか、いかがですか。
  109. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 大蔵省説明をまだしておりませんので、そういう問題があるということは説明を聞いてからするつもりであります。
  110. 久保三郎

    久保委員 しろうとでわからぬが、そういうふうにむずかしいのですか。概算要求もできない、それほどむずかしいのですか。大ざっぱにもつかんでおらぬのですか。全然どこにも資料がないのですか。いかがですか。
  111. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 一種の漁船に乗っている人が何名いるかということは、これは大ざっぱなことはつかんでおります。これは運輸省の方からある程度の資料はいただいておりますが、問題はそれらの者の報酬がどの程度であるか、あるいは先ほど申しました雇用関係がどういうふうになっておるかという点が、まだつかまえていないということであります。
  112. 久保三郎

    久保委員 運輸省にお尋ねしますが、厚生省のお答えの中にある雇用関係なり賃金が実態として把握できないのですか、いかがですか。
  113. 住田正二

    ○住田説明員 二十トンから三十トンの今回新しく適用になる船員と、三十トン以上の現在船員法の適用になっている船員と比較いたしまして、二十トンから三十トンまでのものは小さな業種が多いと思いますが、問題としてはやはり共通点が多いので、運輸省といたしましては二十トンから三十トンまで特別の問題があって、そのために船員保険法の適用あるいは船員法の適用が困難であるというような事情はないのじゃないかというふうに考えております。
  114. 久保三郎

    久保委員 今の説明に対して厚生省はどういう考えですか。
  115. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 先ほど申しましたように、私どもも当初は二種三種というように考えておりましたので、二種、三種につきましては実態調査をすでに終わっておるわけでありますが、一種という問題は当初考えておりませんでしたので、まだそこまで詳しい確信を持ち得る資料を持っていないわけであります。
  116. 久保三郎

    久保委員 どうもお話によると、やる考えではあるのだろうが、法律にきまっている四月一日からという、そろいう考えが今のところないわけですね。いかがですか、あるにはあるのですか。
  117. 広瀬治郎

    ○広瀬説明員 もし実態がわかりましてやるといたしましても、その調査の結果こういう保険を適用する前提問題につきましてこういう問題がある、こういう問題があった場合に四月一日すぐには無理だけれども、たとえば半年なり一年なり、帳簿はこういうふうにつくるとか賃金台帳はこういうふうにしろとか、保険の適用に必要な事項を一年なら一年十分に関係省とも協力して指導すれば、一年のうちには適用できるという結果になるかもわかりません。だから、わかり適用してしかるべしだという結論が出たといたしましても、そういう問題のいかんによりましては、直ちに適用できるかあるいは若干猶予期間と申しますか、そういう教育指導期間を設ける必要があるか、その辺も実態調査をやった結果に基づいて判断したい、そういうふうに考えております。
  118. 久保三郎

    久保委員 どうもお話からいくと、どういう問題が出るかわからぬからという前提で話が進められている、問題が出れば問題によっては半年、一年延ばす場合もあるかもしれぬ、延ばすことを前提にお考えですね。国会の決定というか決議を尊重するという建前は一つもないようです。先ほどお尋ねした適用範囲についてもこれからだ。適用範囲をきめてその対象がどんなものか調べるのがあたりまえじゃないですか。いかがですか。運輸省と両方から答えて下さい。適用範囲がきまらぬものを実態調査して何になるか。どれとどれとが適用範囲の対象であると、こうきめるのが当然じゃないですか。それによってその実態がどうなっているか、その数はどうあるか、雇用関係はどうあるか、賃金関係はどうあるか。これをきめてかからなければわからぬではないか。適用範囲もきまらぬ、確認もできない。今サンプル調査をやっている、これから二週間かそこらかかって終わるだろう、それからおもむろに考えて、いわゆる大規模の調査をして、その結論を待って、問題が出るだろうから、問題によっては半年か一年先に延ばす考えである、そういう方法もある、そういう方法を聞いているのじゃないのです。当委員会結論は、いわゆる二十トン以上は原則として適用させろ、こういうのだ。その方針を国会がきめたんだ。それをとやかく言ってやっていること自体に、私は不信の念を抱かざるを得ないのです。なるほどおたくにはおたくの問題もありましょう。保険財政を扱う面からいって、簡単に国会の決定に服し得ない面も私はあると思う。思うが、少なくとも大筋がきまったんだから、やはりきまった方向に努力することがなくてはならぬ。法律はいつきまっておるのですか。法律がきまってから何カ月になるのですか。サンプル調査をやってまだ終わらぬというが、どの程度のサンプル調査をやったのですか。時間もありませんし、私は別に責め立てることが主でありませんから申し上げますが、少なくとも前進の方向はなかなか見受けられない。適用範囲くらいは、これとこれだけは除くが、これは一種でもやる、そういう調整くらいはもうできているはずなんだ。できなくてはならぬ。そういう点で、どうもわれわれは不満です。実施の時期についてもまだわからぬ。法律は四月一日だ。運輸大臣、今までお聞きの通りでありまして、われわれ自身は大へん不満であります。結局これは事務官僚にまかしておく段階でないと私は思うのです。厚生大臣は、前にはこの委員会にもおられまして、十分その間の前後の事情も御承知だと思うので、そういう意味からいって、これは来年四月一日、いわゆる新年度から全部適用させるように、一つ早急に話をまとめてほしいと思うのでありますが、おそらく事務当局だけで、船員局はお願いするということでいくのでしょう。厚生省は銭の関係があるから、ちょっと待ってろ——待ってろとは言わぬけれども、それはこういう問題がある、ああいう問題がある、こまかい問題を出しておられるのじゃないかと思うのであります。これも無理からぬことでありますが、これは両方の事務当局の折衝だけでは、なかなか国会できめたような方向にはいかぬと私は思うのです。そうなれば、せっかく三月もかかって審議した結論も、たった一つの前進ともいわれるところの船員法改正が、この一角からくずれると思うのです。よって、これは近く厚生大臣とあなたが御折衝いただいて、時期もちゃんとはっきりきめて、両方の事務当局に明示して、これを前進させるように御尽力いただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  119. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 御趣旨に沿って、厚生大臣と相談して、進めるようにいたします。
  120. 久保三郎

    久保委員 お約束いただきましたから、時間の関係もありますので、この問題はこのくらいにしますが、後ほど委員会を開くまでには相当な期間があるので、その間、私はあなたの方へまかり出て、その結果についてお伺いすることにいたしますから、どうぞそのつもりで早急に御連絡をいただきたい、こういうように思います。厚生省も、あなたを責めて悪いのでありますが、それは組織の問題でありまして、あなた自身の考えじゃないと思いますが、少なくとも国会の決定、一応の筋を通ったのでありますから、やはりその方向で、局長に言って前進してもらわなければいかぬ。船員局自体もそうです。ただ単におざなりの折衝をしていたのでは前進しませんから、もっとはっきり大臣の指示を得てやってほしいと思うのです。この問題は以上にします。  そこで、次に運輸大臣に二、三お尋ねをするわけでありますが、海運問題であります。  御案内の通り、本臨時国会は明日限りで終わるわけであります。ついては、前国会、前大臣から提案されている海運企業の整備に関する臨時措置法案、こういうものも、いまだわれわれの要望にこたえることができずして提案の説明もできない、こういうような実態なんです。先ほどもお話があったように、きのう海運問題についてのいろんな関係方面の意見を聞きましたが、いろいろ意見も同一でありません。先ほどの關谷委員の御発言では、私の考えとは食い違った御見解がいろいろあったようでありますが、少なくともいろいろ問題はある、ものの考え方についても大へんな相違もあるということを看取いたしました。  そこで、私はこの際こまかいことを質問する必要はないと思うのです。むしろ海運企業の整備に関する臨時措置法案は、残念ながら与党内部の問題として、日の目を見ずして今日まできている。しかも前国会の幕切れ寸前にこれを出した。これまた不明朗きわまりない。こういう姑息な手段でやっているからこそ、海運政策というか国の政策はちっとも前進しないと私は思うのです。もちろん綾部運輸大臣は新しく運輸大臣の席につかれたのでありますから、今までの経緯については何ら責任はないと私は思うのです。しかしながら、反省だけは政府自体が運輸行政の中でしなければいかぬ。結局、利息を負けることやなんかだけこそこそやれば海運対策だと思っているのが大きな間違いだと思う。  きのうも私は参考人に申し上げたのでありますが、一つには、いわゆる戦時補償の打ち切りというものにいまだ未練がある。あるいはそれを口実に利息を負けてもらうことやなんかは当然だというふうな支配的な空気もなきにしもあらず、こういうことが一つある。それからもう一つは、何といっても再建途上に起きたところの造船疑獄といわれるようなものが、今日残念ながら、有識者の間では別として、国民一般大衆の中には不信感がいまだ根強いものがある。これを払拭するのがまず前提であります。これをぬぐい去ることを前提にしないでの海運政策は、残念ながらにっちもさっちもいかないだろうと私は思う。そのためにはやはり政府もみずから反省し、あるいはさらにその態度を検討して出直さなければいかぬと思うのです。そういうお考えも今日持たれているかどうかが一つであります。  さらにもう一つ申し上げたいのは、船舶職員法の改正にしてもそうです。これも問題は政治のコースの混乱からきている。こういう法案はいわゆる海運対策として全体の中の一つであります。これ一つによって起死回生をはかり得ない。ところが今までの海運対策というのは、企業整備にしてもそうです。こういうものを少しずつやっていく。しかもこれは全部うしろ向きと称される。こういうものでは私は前進はないと思う。  そこで今日の海運不況の原因は、大きく分けて二つある。  一つは、自民党政府の間違った弱い外交だ。その中でも特別にあげなければならぬのは、アメリカに対する従属外交が一つである。この考えを修正しない限りは——きのうも問題になりました日米通商航海条約の改定にしても、これは問題なんです。さらに最近の問題としてはシップ・アメリカンの問題がある。なるほど事務当局を介しての出先の折衝はあったでしょう。しかしながら、残念ながら日本海運企業にとっては前進はない。そういう外交の進め方についての反省をすべきではないか、そういうことが一つある。  さらにもう一つは、いわゆる賠償や経済援助に対するところの反省であります。この反省もないから、新興国におけるところの海運企業の進出がある。しかも日本海運企業とは競合する部分が相当多い。こういう問題もまずあるわけであります。とにもかくにも外交政策の一大転換をはからなければいかぬと思う。  それからもう一つ言いたいのは、いわゆる計画造船に対するととろの批判、検討であります。反省であります。今日の海運企業の不況をもたらした原因の一つはここにもある。さらには所得倍増計画が四十五年に一千三百三十五万トンを目標にしている、積み取り比率は六三%である。これが残念ながら計画造船の今日までの政策に対する反省がちっともない、海運企業そのものを考えないところの背伸びした計画だ、これは修正の必要があると私は思う。修正と批判がなくちゃならぬ。  さらにもう一つは、御案内の通り新しい世界の海運構造に対応するところの日本の海運構造はなっていない。たとえば一つ例にとれば、いわゆるオペレーターとオーナーの系列強化の問題、これは言うならばやはり計画造船のたまものであります。こういうものを勇断をふるって整理せねば、いろいろな補助政策をやっても絶対にだめだと私は思う。  そこで、結論としてもう一つお尋ねしたいのは、少なくとも過当競争一つとっても、これは配船調整くらいの手でだめだとすれば、思い切って航路調整まで踏み切る、そのために必要ならば海上運送法の改正も考えなければいかぬ、こういうふうに私は思うのです。そこで、あなたに最終的にお伺いしたいのは、海運政策の前提は、今日何といっても海運企業の食道は他人の産業の胃袋につながっているという実態、この実態を切らなければならぬ、この前提の上に物事を判断すべきだと思うのだが、こういう問題についていかように考えられますか。
  121. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 海運の不況対策につきましては、ただいま久保さんのおっしゃったようなことも考えられます。がしかし一面世界海運の不況ということが非常に大きな原因になっており摂して、私どもはそれに対処する船主側の考え方も甘かったのじゃないかというような気もいたしまして、諸種の点から考慮いたしまして、先ほど關谷委員が言われたような趣旨のことを今度もう一回考えに織り込みまして、皆さん方とも御相談の上進みたい、かように考えております。
  122. 久保三郎

    久保委員 私の申し上げたいのは、關谷委員が要望されたこととは少しく違う点がございますので、本来ならばこれは時間をかけて論議というか御意見を伺わなければならぬと思うのでありますが、不幸にして海運問題は重大であるといいながら、本会議において大臣が提案を説明されて、堂々と国民に国会を通じて所信のほどを承りたかったのでありますが、残念ながら、御要望申し上げたのでありますが、その希望だけで今日に来たったということは、日本海運界のためにも不幸だと私は思うのです。ぜひこれは反省に立って、来たるべき国会において堂々と所信のほどを天下に表明してほしいと思います。そういう意味で、その際私はあらためてわれわれの考えを申し述べたいと思うのでありますが、一つは、先ほど申し上げたように反省すべき事項として計画造船の修正が必要だ、反省が必要だ、よって所得倍増計画に基づくところのいわゆる船腹増強計画は少なくとも見直さなければいかぬ、こういうふうに考えております。  それからもう一つは、順序は別でありますが、最近におけるIMFのコンサルテーションにおける八条国移行という問題があります。こうなった場合に外国為替管理法は撤廃される、そうなれば今でさえ困難な、いわゆる外国用船に対する需要というかそういうものが一般産業には多くなってくる。そうなればそれだけ日本海運業のシェアは縮まるというのでありますから、これは何でも自由がいいというのじゃありません。ある程度これに対する規制の道も考えるべきだと思うのです。  さらにもう一つは、シップ・アメリカンに対する対策は先ほど申し上げた通りであります。これもなるほど海運は国際的なものであるから、国際協調の場所においてのみ解決すべきものであるということは重要である、こういうふうなことも今までの政府の支配的な考えであったようでありますが、これも修正されなければならぬ段階だと思うのです。体裁のいいことばかり言ったってなかなかそうはいきません。よって、シップ・アメリカンがさらに強力になるとするならば、わが方もこれに対抗する措置を考えるべきではないか、こういうこともあります。  さらに自国船主についても、さっき申し上げた通り、単なる支払い内閣という考えでは済まぬ。なるほど賠償は正当に払うべし、経済援助もお互いのためにやるべきでありますが、といって自分の別な分野を侵されるような形もとるべきではないと私は思います。当然これは対等の立場において賠償と経済援助はやるべきであります。そのために海運もこれに含めて考えるべきだと私らは思う。そういう点を確保しなければ、どんな補助をしても、これは他人の胃袋につながってしまう。  それからもう一つはオーナーの問題があります。これは巷間でもいろいろ考えておられるようでありますが、海運企業のいわゆる船質の改善とあわせて、オーナー企業については別途再編成の時期ではないか。そのためにはやはり新たな政策が伴うことは当然であります。そういう時期だと思う。  さらに便宜置籍船、いわゆる輸出船形式によるところの建造方式についても、これといわゆる日本におけるところの陸上産業の長期運賃契約等も、これまた日本海運のじゃまになってくる。こういうものについてもこれは反省をしなければならぬ。  さらに過当競争の問題は、先ほど申し上げた通り、定期不定期についてもタンカーその他を含めて、少なくとも単に業界の協調を望むというだけでは足りないのでありまして、むしろ日本海運というものが、海運業そのものではなくて海運に関連する全体の産業を含めた日本経済の中でこれは処理する。その場合には当然過当競争の問題が出て参りますから、いわゆる国民の投資というか、そういうものの有効適切な経済効果をはかるためにも、やはり過当競争に対してはある程度きつい規制も必要な場合が出てくると思う。そのために必要とあれば海上運送法の改正も考えねばいかぬ。  もう一つは、いわゆるインダストリアル・キャリアの問題でありますが、これも今申し上げた通りであります。こういうものの建造保有の方式も、きのうもある参考人は憲法で自由でありますから、保障されておりますからと言って、こういう気がまえでおるのであります。何をやっても自由だ、そういうことになれば、海運企業は死んでいくのも自由だ、こういう結論になりはしないかという質問をしたのでありますが、少なくともこういう場合にこういう問題について政府はもっと明確な立場から、専用船その他の問題についてはやはり方針を出すべきだ、こう思うのであります。  そういうことを大体われわれは考えている。具体的な問題についてはあらためて論議というか、御意見を承りたいのでありますが、少なくとも今申し上げたようなことは前提であります。こういう前提が確立しない、あるいはめどがつかない限り、利子たな上げやあるいは国際金利にさや寄せするような、いわゆる造船利子の引き下げをしたり財政比率を上げたりしても、きのうの参考人の一人からも意見があった通り、残念ながら日本海運は立ち直ることはできないと私は思うのであります。どうぞそういう意味で御考慮をいただきたい、わが方の意見と自民党の關谷委員と少し違うところがありますので、その点は御考慮いただきたいと思うのであります。
  123. 木村俊夫

    木村委員長 内海清君。
  124. 内海清

    ○内海委員 先ほど關谷委員から海運に対する要望があり、またただいま久保委員からいろいろ海運政策につきましての御意見があったのであります。私も海運並びに造船について若干の要望を申し上げたいと思うのですが、時間の関係がございますので、いろいろ申し上げたいこともございますがそれは後甘に譲りまして、簡単に要望を申し上げておきたいと思うのであります。  先ほど来話がありましたように、昨日海運問題につきまして七名の参考人から意見を聴取いたしたわけであります。ところが参考人は、今日海運産業の整備法案が問題になっております関係上、期せずしてこれを中心にしての意見が述べられたようであります。いろいろございましたが、私の聞き及びますところでは、大体において大多数の方々が今回政府の提出されました整備法案につきましてはその内容に不満足である。すなわち現在わが国の海運の置かれております立場、現状から見まして、これではとうていわが国の海運の基盤を強化して再建をはかっていくことはできぬだろう、さらに、きわめて激烈な国際競争に打ち勝って、わが国の産業の発展と国民経済の伸長は期し得ないだろう、こういうふうな御意見が多かったのであります。もちろん今日までの政府海運政策についてはいろいろ批判すべき問題もあると思いますが、しかし、今日最も危機に陥っております海運の状況を見ますときに、これは他のいろいろな面に影響することがきわめて多いのであります。従って、現実を十分把握いたしまして、改むべきものは改めると同時に、わが国の基幹産業であります海運の基盤を強化して、国際競争に打ち勝って、わが国の産業の発展なり、あるいは国民経済の伸長をはからなければならぬと思うのであります。特に今日、わが国の海運の状態というものは最もこの解決を急ぐものでありまして、このことは、今日まで国会でいろいろ取り上げられまして、着々とその解決を見ております石炭産業、あるいはまた非鉄金属というものに匹敵するものではないか、かように私は考えておるのであります。来たる国会には、政府で十分これらを考えられまして、確固たる海運の再建のできる、基盤強化のできる法案を確立していただかなければならぬと思うのであります。  いろいろ申し上げたいことはありますが、時間の関係で省略いたしまして、私は、ここに、かような見地から少しまとめたものがありますので、これを読み上げまして要望にかえたいと思うのであります。  今や世界の大勢として、海上運賃は低下の方向をたどり、かつ国際競争は激化して、ここに高性能船建造の必要が増大し、ために、これに要する資本費はますます膨張の一途をたどり、海運業全体の経営は著しく苦境に陥っている。これに、戦時補償の打ち切りに基因する自己資本の過少、金利の負担等がわが国海運業の経営基盤にさらに重圧を加え、ために、その国際競争力は、いよいよ弱化せざるを得なくなっている。しかも邦船の積み取り比率は次第に低下して、国際収支における海運収支は年々赤字が増大するばかりである。  よって、現在わが国海運業が当面している諸問題の解決をはかるため、この際、政府が次の諸施策を講ずるよう要望する。 (一) 政府は、海運企業の既往の負債に対し、補助金の支出、開銀融資延滞金利のたな上げ等、その助成を大幅に強化すること。 (二) 政府は、昭和四十五年度に千三百三十五万総トンの外航船腰保有を目標とし、毎年度の計画造船量の増加、今後の造船金利負担の引き下げ、造船融資における財政融資比率の引き上げ等の措置を講ずるとともに、あわせて、海運企業の協調、提携、合併促進等の措置につき特段の努力を払い、これに必要なる諸政策をすみやかに確立すること。   以上であります。  さらに、これに関連いたしまして、造船業につきまして簡単に要望事項を申し上げまして、政府の強力な施策を講じていただくように希望するものであります。  わが国の造船業の現状につきましては、すでに御承知の通りでありまして、何と申しましても、やはり終戦後今日まで造船業はわが国におきまする計画造船というものを中心にして進んで参ったのであります。それに加えまして、造船能力の関係から余裕がありますので、輸出船あるいは個人資金船その他に依存して今日まで参っておることも御承知の通りであります。ところが、この整備法案がかような状態でありまして、十八次船がせっかく五十万トンの計画があるのに、これの着工は非常におくれる状況にある。御承知のように、年々、計画造船は、大体秋に適格船主が決定されまして、そうしてこの建造にかかるわけであります。ところが、そういう関係で、造船業者といたしましては、例年の例から参りまして、大手の造船所等におきましては、計画造船を載せる船台を大体確保しながら、他の船を受注しております。ところが、本年度はかような状態でありますので、大臣も御承知のように、今日わが国におきまして、大型船台が六十八基ございますが、今日の状態から申しますと、九月末になれば三十六基が遊ぶということであります。さらに、造船業は御承知のように関連産業というものがございます。この関連産業は、造船労働者よりもはるかに数多い、倍以上おるのであります。これらは、この計画造船がおくれることによりまして、造船業とこの関連産業にまことに重大な影響を及ぼすのであります。しかも関連産業は大体中小企業者が大部分であります。従って、場合によれば、社会問題さえも引き起こすのではないかというふうに私ども憂えておるのであります。かような意味合いから考えまして、この十八次船は早急に着工するように御配慮が願いたい。もちろんこの整備法案がさらに今後練られまして出され、それによって計画造船が行なわれるということでございますならば、少なくとも年度内の起工というふうなことさえ危ぶまれる状態にあると思います。十分造船業の実態も御承知の大臣であります。特に、造船業の特殊性というものがございまして、これは船主がきまって受注がきまったら直ちに着手できるものではございません。少なくとも鋼材関係その他は半年以前から計画を立てなければならぬものであります。こういう特殊事情も十分お考えいただきまして、この造船業者の要望にこたえていただきたい。さらに、関連産業の窮状をここで十分救い得るような施策を講じていただきたいと思うのであります。業界におきましては、大体この法案より別個に、政府の施策によって建造できるように御配慮願いたいということを申しておるようであります。今日、さみだれ建造その他いろいろの説が出ております。これらの点を十分お考えいただきまして、早期に着工できますように、今日まで委員会で、少なくとも六月には船主決定を願いたいと造船の事情から私は要望しておったのであります。少なくとも十一月にはこれが起工できるような配慮が最も望ましいことである、かように考えておるのであります。これらの点、十分御勘案願いまして、万遺漏のない処置を講ぜられますよう強く要望いたしたいと思うのであります。  何かこれらにつきまして、大臣の御所見がございましたら伺っておきたいと思います。
  125. 綾部健太郎

    綾部国務大臣 御説のことはわれわれも感を同じくするものでございまして、なるべく早く船主をきめ、同時に着工いたさせるようにしまして、御趣旨に沿うように努力いたしたいと考えております。      ————◇—————
  126. 木村俊夫

    木村委員長 本日の請願日程全部を議題として審査を行ないます。  これらの各請願につきましては委員各位ともすでに文書表等でその内容は御承知の通りと存じますが、昨日の理事会において慎重に検討いたしましたので、これより直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 木村俊夫

    木村委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。  本日の請願日程中第一ないし第一二、第一四なし第三七の各請願はいずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 木村俊夫

    木村委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、ただいま議決いたしました各請願委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 木村俊夫

    木村委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  130. 木村俊夫

    木村委員長 なお本委員会に参考として送付されております陳情書は二十二件でございますので御報告いたします。      ————◇—————
  131. 木村俊夫

    木村委員長 閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  すなわち鉄道軌道等の事業における公共負担の国庫負担等に関する法律案、陸運に関する件、海運に関する件、航空に関する件、日本国有鉄道経営に関する件、港湾に関する件、海上保安に関する件、観光に関する件及び気象に関する件を閉会中もなお審査を行ないたいと存じますので、その旨議長に申し出たいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 木村俊夫

    木村委員長 御異議なしと認めさよう決しました。  なお、これらの閉会中審査事件が本委員会に付託されました場合、委員を現地に派遣して実情を調査する必要があります場合には、その委員派遣承認申請についての取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 木村俊夫

    木村委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、閉会中の委員会において緊急やむを得ず参考人より意見を聴取する必要が生じましたときは、その参考人招致に関する件の取り扱いにつきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 木村俊夫

    木村委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  135. 木村俊夫

    木村委員長 なお、閉会中審査事件が付託されました場合、今国会において設置いたしました都市交通に関する小委員会、観光に関する小委員会及び踏切道整備に関する小委員会は閉会中になおこれを存置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 木村俊夫

    木村委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお委員の異動に伴い小委員及び小委員長に欠員が生じました場合、その補欠選任等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 木村俊夫

    木村委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  また同小委員会において参考人より意見を聴取する必要が生じました場合には、その参考人招致に関する件の取り扱いにつきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 木村俊夫

    木村委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十三分散会      ————◇—————