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1962-08-28 第41回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年八月二十八日(火曜日)     午前十時二十七分開議  出席委員    委員長 木村 俊夫君    理事 佐々木義武君 理事 鈴木 仙八君    理事 高橋清一郎君 理事 細田 吉藏君    理事 山田 彌一君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君       有田 喜一君    有馬 英治君       伊藤 郷一君    尾関 義一君       川野 芳滿君    簡牛 凡夫君       壽原 正一君    砂原  格君       關谷 勝利君    福家 俊一君       増田甲子七君    石村 英雄君       加藤 勘十君    勝澤 芳雄君       島上善五郎君    松原喜之次君       内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 綾部健太郎君  出席政府委員         運輸政務次官  大石 武一君         運輸事務官         (大臣官房長) 廣瀬 眞一君         運輸事務官         (海運局長)  辻  章男君         運輸技官         (船舶局長)  藤野  淳君         運輸事務官         (船員局長)  若狹 得治君  委員外出席者         海上保安庁長官 和田  勇君         気象庁長官   和達 清夫君         郵政事務官         (電波監理局         航空海上課長) 三枝  豊君         専  門  員 小西 真一君     ――――――――――――― 八月二十四日  十勝岳における火山観測体制に関する請願(安  井吉典紹介)(第二二四号)  同(本名武紹介)(第三二八号)  踏切道改善に関する請願谷口善太郎紹介)  (第二四七号)  同(川上貫一紹介)(第二八二号)  同(川上貫一紹介)(第三二七号)  磐越西線の電化及び電車化に関する請願(八田  貞義君紹介)(第二五三号)  信越線御代田駅における折返し線廃止に関する  請願増田甲子七君紹介)(第三〇〇号)  長野市に電動車基地新設に関する請願増田甲  子七君紹介)(第三〇一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 八月二十七日  鉄道の建設並びに整備促進に関する陳情書  (第二三五号)  瀬戸内海航路開削整備に関する陳情書  (第二三六号)  海運業強化発展に関する陳情書  (第二三七号)  海運及び造船の振興に関する陳情書  (第二九八号)  三陸沿岸縦貫鉄道早期敷設に関する陳情書  (第三三三号)  奥羽、羽越本線の複線化促進に関する陳情書  (第三三四号)  生橋線の敷設促進に関する陳情書  (第三三五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  船舶職員法の一部を改正する法律案(第三十九  回国会内閣提出第五五号、第四十回国会参議院  送付)  気象に関する件(三宅島噴火に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 木村俊夫

    木村委員長 これより会議を開きます。  この際、気象に関する件、特に先般の三宅島における噴火について調査を行ないます。  質疑通告がありますので、これを許します。加藤勘十君。
  3. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 大臣並びに気象庁にお伺いをしたいのでありますが、過ぐる日三宅島雄山爆発事件につきまして、新聞紙の伝うるところによれば、気象庁としては、定員の定めがあるにもかかわらず、予算がないということで、三宅島測候所には地震に関する観測の要員が全然いなかった。従って、爆発に関する現実の問題として、しばしば地鳴り等が発して、地震現象が起こり、島民の間には相当の不安が起こっておった。遠からずして大きな爆発があるのではないか、こういうおそれが抱かれておったときに、政府観測機関としては、全然それを科学的に予報することができない。島民現実の情勢による常識的な判断に相づちを打つ以外に手がなかったということは、三宅島という島が、かって昭和十五年に同じ山の爆発がありまして、この爆発のために流れ出た溶岩道路を閉塞してしまって、島の交通が遮断されておる。そしてそのときには数名の人の被害もあった。その後、そういう災害に備えるために予算が割り当てられ、人員が定められたにもかかわらず、今日までその定員人員がそこに置かれていなかったということは、一体どういうわけでしょうか。まずその点からお伺いしたいと思います。
  4. 大石武一

    大石(武)政府委員 お答え申し上げます。  三宅島測候所におきましては、以前にも火山爆発がありました。そのような経緯から、現在九人の人員を定住させまして、ずっと毎日々々火山爆発予報に、予防に必要な観測をいたしておるわけでございます。御承知のように、三宅島火山爆発につきましては、その火山性質上、たとえば磐梯山のような一挙に山を飛ばすというような爆発をする火山とは違いまして、溶岩の出る性質火山でございますので、そう爆発的なものは予想されず、従って、現在までの観測におきましても、必ずしも万全とは申されないかもしれませんが、できる限りの努力をいたして参った所存でございます。  なお、詳しいことにつきましては、気象庁長官からお答えさしたいと思います。
  5. 和達清夫

    和達説明員 今回三宅島が大爆発をいたしまして、これに対しまして気象庁関係が前もって十分の注意を出すことができなかったことは、まことに申しわけない次第でございます。  さて、ただいま次官からお話がありましたように、三宅島には測候所がありまして、九人の職員がおります。しかしてここは毎日少なくとも四回の気象観測を行ない、これを通知いたしております。また、その地方には天気予報情報などを出してやっております。また、そのための通信員も必要でございます。このようにいたしまして、九人の定員の中で、火山観測に従事しておる者は非常にわずかであることが、今回の経緯を考えますと残念であった次第であります。火山観測といたしましては、遠いところから煙などを見てその状況観測しておる。また、少なくとも年に三回は火口の内外の活動を出かけていって調査する。また一方、地震計測候所に置きまして、この地震計は簡単なものが一台あるにすぎませんけれども、これで連続に火山活動を見ておるわけでございます。これらの設備は、火山活動を前もって予知するにははなはだ貧弱なる設備であることは、残念ながら申し上げざるを得ないのでありまして、火山観測整備に対しましては、全国的にわが国ではまだ十分に行なわれておらない状態でありますので、昨年以来その整備に努めて参りましたが、三宅島昭和三十九年度に施設する計画になっておりましたところが、今回の爆発になった次第でございます。
  6. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 私から申し上げるまでもなく、三宅島噴火は、御承知のように、常に活火山として煙を吹いておるという状態ではなくして、その前提的な現象としては、地鳴りが起こり、地震現象があって、そしてその後いつかの日に大きな爆発がくる。これは昭和十五年のときの経験でも明らかであります。今度の場合でも同様に、その前には現実にもう幾たびか連続的に地震現象が起こっておるのです。にもかかわらず、全然爆発を予測することができなかったということは、設備と人の不足によるのではないかと思うのです。今日非常に気象観測についての技術的な知識が向上しておるときに、日本のように天災による災害が非常に多い国においては、特に火山爆発であるとか、地震の問題であるとかいうような天災的な災害に対しては、これを予報し、予防するような設備が、ぜひとも設けられなければならないと私は思うのです。そうでなければ、非常に住民は不安を感じて、いつ何どきどのような爆発が起こるかわからぬということでは困ると思うのです。今度の三宅島爆発は、この前の昭和十五年の経験によりまして、村の人々がその経験から、あの付近にはあまり居住をしていない。それで比較的人畜の被害は少なくて済んだのですけれども、御承知のように、今度飛行場が設けられまするのは、あの雄山からじき近いところなんです。そういうじき近いところに飛行場が設けられるというときになりまして、なお依然として今度はどこから爆発するかわからぬというのに、いつまでもそれに対する予防的な、もしくは予報的な設備を持つことがないというようなことでは、私は、飛行場を設けても、非常な不安が伴うのではないかと思います。そういう点から見まして、急速に、三十九年度という予定を繰り上げて、私は、予算を増額して、その設備を全うされることが必要でないかと思うのです。大体気象観測測候設備というものが運輸省にあるということは——どもは今運輸省関係で聞いておるのです。が、おそらく航海であるとか、あるいは航空であるとか、そういう方が運輸省関係である関係上、運輸省所管になっておると思うのですけれども、今日は原子力が発達して、もう運輸省の単純な航海航空という時代から一歩前進しておるのじゃないか。こういうことになりますと、いつまでも旧態依然として一体運輸省所管のままの状態に置いてよろしいのかどうか、こういうことについても疑問を持たないわけにはいかないのですが、そういう点についてのお考え方はどうでしょうか。これは政務次官からあわせてお答え願いたいと思います。
  7. 大石武一

    大石(武)政府委員 加藤委員にお答え申し上げます。  ただいまの、気象庁所管運輸省でよろしいか、あるいは他の省に移管したらどうだろうか、検討せいというお話でございます。現在まで運輸省所管でありますことは、それなりのいきさつがあったことと思います。それなりの経過によりまして、現在まであると考えております。しからば、この気象庁運輸省以外に、あるいは科学技術庁等にというお話がありますが、そういうところに移管したらどうかという御意見も、新聞その他で拝見しておりますが、御承知のように、気象庁の現在の仕事は、今後もそうと思いますが、これはむしろ科学的な研究を中心とするというものではございませんで、現在のいろいろな気象状況を計算したり、調査したりしまして、それをできるだけ行政方面に及ぼしまして、航空の安全なり、航海、またすべての交通その他の安全に備えるという方面仕事が、第一の仕事だと考えております。そう申しますと、やはりどうしても航空なり、航海なり、交通なり、すべてそのような一番人間気象関係に縁の深い業務を扱っております運輸省所属しておりますことが、一番実際の仕事にやりやすいのではないかと考える次第でございます。われわれも、今いたずらになわ張り争いだけじゃありません。他の省に移管させるのが正しいという結論が出ますならば、喜んでそれに従いたいと思います。が、ただいまのわれわれの見解におきましては、現在の姿が実際の仕事の上において適当ではなかろうかと考えておる次第でございます。
  8. 和達清夫

    和達説明員 気象庁所属につきましては、中央気象台気象庁になりますときに、いろいろ御議論のあったところでございます。申し上げるまでもなく、気象業務は、各省業務と関連しておりますし、特に防災関係業務と密接な関係があります。しかし、気象資料を常時迅速に、しかも詳細に必要としているところは、航空保安業務が第一でありますので、この点においては、航空局と同じ省に所属するのが、最も適当と思われます。事実、外国におきましても、気象庁あるいは中央気象台所属は、多く運輸関係の省に属しております。しかし、気象庁各省関係のあることは申し上げるまでもないことでありまして、この前の御議論でも、いろいろそういうことがございまして、結局、そのとき気象審議会というものをつくりまして、各省の御要望その他連絡をよくするために、現在十分にその機能を果たしておると考えております。なお、気象庁が、非常に日進月歩の技術であります。ので、科学技術関係の省に、あるいはそういう機関等に入るということも考えられますけれども気象庁の第一の任務は、毎日昼夜を分かたず、職員現業業務をいたしておるという点にあります。その現業業務が、一番の根幹であるという考え方において省の所属は考えるべきだと私は思のでございます。
  9. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 もちろん、私どもは、気象庁がどこの省に所属しなければならぬというような考え方は持っておりません。政務次官が言われたように、現在運輸省所管にあるということが、運輸省のなわ張り根性というような、そんなけちな根性運輸省所管であるというようなことは、みじんも考えていないのです。もちろん、気象庁長官がおっしゃったように、航海航空、そういう現実現象を見るということが主眼でありますから、現在のところ、運輸省所管ということについてかれこれ言うのではありません。その点は、むしろどこの省の所管であってもかまわないのですが、要するに、日本のような天災的な災害の多い国においては、できるだけこれを予防し、もしくは国民予報して、災害最少限に食いとめるような施設が必要であると思う。それがために、現在の運輸省において、計画とすれば、先ほどおっしゃったように三十九年度の予定になっておるそうでありますが、その年次を変えて、予算を来年度の予算に増額を要求されて、定められた定員を定置して、さらに設備を完備するような考え方について、どういうようにお考えになっていらっしゃるか、この点をお伺いしたいと思います。
  10. 大石武一

    大石(武)政府委員 お答え申し上げます。  火山爆発予防につきまして万全を期さねばならないことは、加藤委員のおっしゃる通りであります。それに従いまして、われわれも万全を期して参りたいと念願し、協力して参りたいと思います。先ほど気象庁長官の話では、三宅島測候所設備定員の増強いつきましては、三十九年度であるという方針になっておるのでございますが、それを繰り上げて、一日も早く予算化してその充実をはかれという御意見でございます。ごもっともな御意見でございます。われわれも、その方面に向かいまして一生懸命努力いたしまして、でき得る限り来年度予算にもこれを盛りまして、万全を期して参りたいと思う次第でございます。ただ、日本の国は、なかなか予算をたくさん取ることがむずかしいということは御承知かと思うのでございますが、それに従いまして、いろいろと計画があるわけでございます。一番危険度の高いところから、あるいは火山の性格によりまして、爆発をすれば、非常に大きな被害を及ぼす火山と、溶岩が多く流れて、ある程度予防をすれば人間の生命は守れるというような性質のものがございます。それらの関係で、三宅島雄山の方については、溶岩の流れるもので、大爆発を来たす火山でございませんので、それは三十九年度と少しおくれた計画になっておるかもしれませんが、御意見を尊重して、でき得る限り早い機会に充実するように努力する所存でございます。
  11. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 現在三宅島だけというわけではないでしょうが、火山爆発等に関する設備を完備するための三十七年度の予算は、どれくらいになっておりますか。それからそれを増額するとすれば、大体どのくらいを必要とするか。  もう一つ新聞紙によりますと、水上という東大地震研究所教授です。が、現地に行かれて具体的に調査に当たっておられるということが報道されております。この水上教授は、どういう資格でただ一個の学者としてだけやっていらっしゃるのか、それとも政府の特に任を帯びて行っていらっしゃるのか、その点はいかがですか。
  12. 和達清夫

    和達説明員 気象庁火山関係予算につきましては、人件費、あるいは観測費とか、いろいろございますので、まことに申しわけありませんが、ただいま資料を持ち合わせませんので、後刻御報告いたしたい。ただ、三十八年度の要求といたしましては、約八千八百万円でございまして、要求人員が二十二人になっておりました。三十八年度の計画は、阿蘇山、三原山に精密なる観測を施すこと、十勝岳、霧島山に一通りの観測施設を施すこと、なおそのほかに、このように突然に爆発するようなもののためには、活動が開始されたときに派遣するという機動班を二班、三十八年度に作りたい、こういうような計画になっておる次第でございます。  なお、東大地震研究所水上教授三宅島に急行されたことであります。が、水上教授は、私の知る範囲では、火山学最高権威の一人だと私は思っております。この機会は、研究に最もよい機会でありますので、観測機械その他研究室方々とともに急行され、直ちに観測研究を行なっておられます。そういう火山観測された結果は、火山活動を察知するのに重要な資料でありますので、私どもはできるだけその資料を向こうからもらって、そしてわれわれの観測と合わせて一般の方々にできるだけの情報を提供したいと思います。
  13. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 そうしますと、水上教授の御研究は、政府の命を帯びて特にというのではなくて、学者としての立場からの研究をなさる、こういうことでございますね。——その結果は、もちろん最大限にこれを利用される。よくわかりました。  今大臣がおいでになりましたけれども、来年度予算は、八千八百万円、定員が二十二名、こんな貧弱な程度で、この火山国ともいわれる日本の国において火山研究がやられるということは、あまりに情けないじゃないかと思うのです。もちろん、ものには緩急重要の差がありますから、重要なものでまだ他にたくさん費用を要するものがありましょう。ありましょうけれども、少なくともこういう目に見えない、起こってからでなければわからぬというような予防に関する施設は、わずかな費用ならば、ここにさくことを惜しんではならぬと思うのです。そういう点から申しましても、八千八百万円に、かりに三宅その他予想されておる三十九年度のものを加えたところで、おそらくこれは二億円にはならないでしょう。こんなわずかな——一方においては何百億円、何千億円というふうな費用国鉄の方に使うというときに、運輸省予算として、国鉄国鉄としての使命があるから、それをさくということはできないでしょうけれども、少なくともその基本をなす気象現象観測であるとか、そういう天災災害予防であるとか、予報であるとかいうことの設備のためには、もっとたくさん——たくさんと言ってもたかが知れておる予算だから、これは気象庁もがんばって、私は、必要なものはやはり要求されて、そして運輸省においてもそういう点を考慮されて、目には見えないけれども、これは非常に重要だと思うのですよ、現われてから、大きな災害を受けてから、かれこれ言ったっておそいので、その前にできるだけ被害を少なくするためには、施設がよくなければならない、こう思いますので、この点は、大臣も今度は有力な大臣だから、一つこの予算関係においては、少なくともこういう天災、人災を未然に予防し、もしくは予報し得られるような施設については、時間を繰り上げて施設をし得るような程度予算——これは聞けば来年度は八千八百万円というのだから、これにプラスしたってどれだけのものでもない。これは一つ政務次官大臣を助けて、有力な大臣のもとに一つ強力に主張して、そういう災害に対しての国民の不安を除くように努めてもらいたいと思います。  それから、これはここにほんとう自治省の方がおられるといいと思うのですが、きょうは自治省関係は来ておられませんね。——今度の三宅島災害発生について、いち早く災害救助法を発動されて、私は、その措置は非常に敏捷であったと思うのです。この点はけっこうだと思います。それからまあ新聞紙だけですから十分なことはわかりませんが、大体救助物資も順調に送られておる、こういうようなことでありまするが、御承知のように、あの島は、循環道路は六キロちょっとあるのですね。これがあの島の唯一の交通機関であり、それからまた産業の動脈ともいわれるのです。ところが、あの溶岩が流れ出ましたために、完全に神着坪田の間の道路は遮断されてしまって、神着を目の前に見ながらそこへ行くことができないで、こういう工合に六キロも迂回しなければ坪田に行けぬ、こういう状態になっております。から、これは一つ早急に災害救助法を発動されて、島民のそういう食糧その他の不安が除かれたと同様に、道路に対しての施設を急速に——といっても、おそらく熱でそばへはまだちょっと寄りつけぬと思いますが、寄りつけるようになれば、道だけでも——すでに海岸の方へ流れて出ているから、道も何もなくなっていると思いますから、できるだけ道路を開拓していくようにやってもらいたい。これは運輸省から、委員会においてそういう強い要望があったということを伝えていただきたい。
  14. 大石武一

    大石(武)政府委員 御意見ごもっともでございます。早速そのような手配をいたしたいと思います。
  15. 加藤勘十

    加藤(勘)委員 私の質問を終わります。      ————◇—————
  16. 木村俊夫

    木村委員長 船舶職員法の一部を改正する法律案を議題として、審査を行ないます。  質疑通告がありますので、これを許します。肥田次郎君。
  17. 肥田次郎

    肥田委員 先般に引き続いて質問を継続したいと思います。まず、船員局長に聞くのはどうかと思うのですけれども、法案の提案責任局ですから、郵政省のなにが見えるまでに少し聞いておきたいと思います。  オート・アラーム確実性と申しますか、この確実性について説明してもらいたいと思うのです。先般、久保委員質問に対してある程度説明がされておりますけれどもオート・アラーム性能について、いわゆる安心だという結論までにはいっていない、こういうふうに思います。ですから、その後の調査事項がはっきりしておれば、それをお答え願いたい。  なお、本質的な問題点として、三枝課長の答弁というか、それを読んでみると、要するにオート・アラームというものは、大体において使用に耐える程度、それがその後逐次性能が向上しているんだ、こういう程度しか言われておらないわけです。ですから、ほんとうオート・アラームにたよって問題はないのかどうか、このことがやはり問題点になるだろうと思います。言われておるように、いわゆる国際水準だからという言い方は、久保委員にも言われておりますが、そういうことだけが安心感のよりどころにはならない。オート・アラームという機械性能というものは、ほんとうにこれで十分なんだ、これはりっぱに人間のかわりをするのだ、こういうことにならなければ、安心はならないわけなので、オート・アラーム性能について、一つ説明を願いたいと思います。
  18. 若狹得治

    ○若狹政府委員 オート・アラーム性能につきましては、郵政省におきまして現在型式承認を行なっておりまして、オート・アラーム性能検査をいたしておるわけであります。オート・アラームが初めて国際条約に取り上げられましたのは、一九二九年の国際人命安全条約におきまして、人間聴守にかえて、オート・アラームをもって足りるという条項ができまして、自乗三十年間の日数を経ているわけであります。外国船におきましては、一名の通信士による聴守、それ以外の一日二十四時間中十六時間というものは、オート・アラームによって聴守いたしておりまして、そういう経験が三十年間にわたって続けられておるわけでございます。また、現在の電波法におきましても、五千五百トン未満千六百トン以上の船舶につきましては、オート・アラームの設置を認めておりまして、オート・アラームを設置した船舶につきましては、八時間に関しましては、オート・アラームをもって人間の聴覚による聴守にかえることができるという規定が、現在すでにあるわけであります。昭和二十五年の電波法改正以来、取り入れられているわけであります。また、今日日本におきましてつくっております輸出船日本製オート・アラームを装備しておりますけれども、すでに約百隻近くの輸出船に装備いたしておりますオート・アラームにつきまして、今日までのところ何らのクレームも受け取っておらないという状況でございます。この性能につきましては、昭和二十八年ないし二十九年ころに、郵政省において、オート・アラーム性能を、実際乗船いたしまして、世界的にも相当空電事故の多い海域においても実験をいたしたわけでございます。しかしながら、その後約十年の歳月を経ておりますので、オート・アラーム性能というものは、現在非常に向上しております。また、わが国におきましても、現在すでに百七十隻程度船舶オート・アラームを装備しておる現状でございます。従いまして、今後オート・アラーム性能につきまして、郵政省においても十分御検討いただいておるわけでございまして、郵政省におきましても、この性能は全く信頼するに足りる、国際水準に決して劣らないということを申しておられます。われわれとしては、オート・アラーム性能については、全く問題はないというように考えておるわけでございます。
  19. 肥田次郎

    肥田委員 そうすると、船員局長は、この前久保委員質問をせられておる五十一分の二十一という故障率については、いつごろかの問題で、そういうものはもう今日では全然考慮する必要はないのだ、こういうようにお考えになっておるのですか。実はこれに対しては、ただいま言われたと同じようなことしか、この前も答弁がないわけです。ですから、このあった事実について答弁の的がはずされておるので、そういうようなことは、実は問題ないのかどうか。これを説明してもらわなければ、十年の歳月でそういうものは一切解決したのだということなら、その後ここで言われておるように、やはりデータというものをわれわれに示してもらう必要があるのじゃないかと思うのです。ですから、このオート・アラームの確率というものは、もう人間に十分かわるべき性能が今日備わっておるのだとういことを、船員局長は言い切れるということにわれわれは理解していいわけですか。
  20. 若狹得治

    ○若狹政府委員 先ほど申しました故障率というような数字につきましては、われわれはっきりした資料の根拠というものにつきまして検討いたしておりませんので、その資料の信頼性についてとやかく申し上げることはできませんけれども郵政省が実験をいたしました当時から、今肥田先生のおっしゃいましたように約十年の歳月を経ました。その間にオート・アラーム自体の性能というものは、非常に進歩いたしておるわけでございます。最近のオート・アラームにおきましては、空電等の事故という問題は全くないというように、われわれは郵政省から聞いております。従いまして、現在の段階におきまして、オート・アラーム人間の聴覚にかわって十分作動し得るものであるというように、われわれは確信いたしております。
  21. 久保三郎

    久保委員 関連。このオート・アラームの故障というか、誤作動について、私のところに最近電報が入りまして、この誤作動の統計が、ある船一隻ですが、ここに来ております。これによりますと、大へんな誤作動でありまして、短期間でありましたが、そういう事実について、運輸省としては御存じないはずはないと思うのであります。われわれは、残念ながらオート・アラームについて見たことも、経験したこともございません。でありますから、そういう実際に仕事に従事しておる諸君からの資料を基礎にしております。しかしながら、先ほど申し上げたように、次の機会にその資料をお見せいたしたいと思うのでありますが、電報が参っておりまして、誤作動が非常に多い。回数が書いてあります。そういうことでありまして、そういう点について十分検討されて、ただいま肥田委員に対して御答弁になっているのかどうか、こういうことが一番大事だと思うのです。お話をだんだん聞いておりますと、緊急の場合はオート・アラーム一つにたよるのだということです。船舶通信士の任務については、いろいろございましょうが、その中で一番大事なのは、広い海洋の中において、いわゆる緊急の場合に、その触角として十分な機能が発揮できなければ、航海の安全は自分自身ばかりでなくて、世界全体の船の災害というか、これを最小限度に食いとめ、あるいはこれを予防することが不可能だという、一つの任務として大きなものがあると思います。ところが、その大きな任務を背負わせるところのオート・アラームが、残念ながら誤作動が多いということでは、これは使いものにならないと思います。そういう点を十分御承知の上で、十年のいわゆる経験があるからこれはもう大丈夫だ、さらに外国船の新造船についても、全部日本製オート・アラームをつけてやって、いまだかつてクレームがきたことがないというが、はたして外国船の方は、オート・アラーム一本にたよっておるのかどうか。こういう点についても、あなたの方から詳細な調査に基づいての御説明がなければ、審議の過程において了解ができかねると思います。いかがですか。あわせてお答えいただきたい。
  22. 若狹得治

    ○若狹政府委員 外国船状況でありますが、昨年われわれのところで横浜入港の外国船の統計を調べたわけでありますが、調査対象は約六十数隻でありますが、そのうち、二名の船舶通信士を乗船せしめておる貨物船は、約四隻でございます。その他のものは、全部一名の通信士をもって無線局の運用を行なっておるわけであります。従いまして、それらの船は、すべてオート・アラームによってSOSの受信をしておるという状況であります。従いまして、外国船において、オート・アラームというものはもう常識の問題でございます。今新たにその性能がどうこうという問題にはなっておらないという状況でございます。ただ、非常に誤作動があるという久保先生の今のお話でありますが、現在の日本船舶においては、三名の通信士が乗り込んでおるものが大部分でございます。従って、オート・アラームにあまりたよらないということは、オート・アラーム整備もあまり行なわない。従って、オート・アラームのテストを常に怠らないで、機械状態を正常に維持する努力が足りないというような面があるわけでございます。そういうものについて誤作動が場合によっては起こり得るということが考えられますけれども機械整備を十分に行ない、テストを必ず実施していくならば、決して誤作動というものは、今日の機械状況からいたしまして、われわれは考えられないというように考えておるわけでございます。
  23. 久保三郎

    久保委員 関連ですから簡単にしますが、ただいまのお話では、外国ではもう常識であると言い切られ、さらに日本船については、乗組員が多いのでオート・アラームにたよる必要がない。よってオート・アラーム整備に十分でない。そこからいわゆる誤作動があるのだ。こうおっしゃいましたが、そう言い切れますか。そういう実態、誤作動のある日本船についているオート・アラーム整備状況を御調査なさった上でのただいまの御結論になるのでしょうか。いかがですか。
  24. 若狹得治

    ○若狹政府委員 現在のオート・アラーラムの性能の向上しております現状から見まして、もしひんぱんに誤作動があるといたしますれば、そういう原因が最も考えられるのじゃないだろうか。機械自体の故障によりまして、機械自体の性能が劣るから誤作動があるんだというようには、われわれには、現在の機械の発達状況から見まして、考えられないということであります。
  25. 肥田次郎

    肥田委員 ここで船員局長繰り返してお尋ねしますが、今までのわれわれが求めめておる答弁というものは、ほんとうにその機械にたよっていいのかどうか。機械にたよっていいんだということになれば、この問題はそれでいいわけです。それでいいかどうかというのは別にして。ところが、それに対して的確な返事というものはないのです。これは言葉を遠回しにしてあるというのですか、そういう言葉を使っておられると思いますが、こういうふうな証言しかしていないのですよ。三枝説明員の説明を聞くと、「逐次オート・アラーム性能が向上しておりまして、現在におきましては、諸外国オート・アラームにまさるとも劣らぬという性能を持っております。」こういうふうに言ってある。ですから、このオート・アラームという機械そのものが絶対完全なものだということには触れてないわけですね。性能はよくなっておる。まあまあというやつが逐次性能が向上してきておる。その性能国際水準に決して劣っていない。むしろまさっているくらいなんだ。こういう非常に抽象的な証言なんです。それからさらに久保委員が、そうすると、それはもうとりもなおさず、いわゆる一定の形式的に定める条件にはなるけれども、それ以上安全なものではないのかどうか、安全なものかということになってくると、やはり三枝説明員は、「非常に微妙な問題でございますけれども、そういう規格に合ったものをもって人のかわりになるという国際制度のもとにおっては、十分使いものになる、かように考えております。こういう答弁なんですね。要するに、機械のことですから、絶対に大丈夫ということは言えないかもわかりません。けれども質問の要点というものは、そんなかた苦しいことを質問しているわけじゃない。安全なのかどうか、まかしてもいいのかどうかという質問をしている。そうすると、いわゆる国際規格に合っておるんだから、要するにまあまあ国際的な水準にあるんだから、こういう答弁しかないということでは、オート・アラームの信憑性というものは、何らここではっきりされておらない、こういうふうに考えるわけです。そうすると、その中に何%か、何十%かの誤差率というものがあるのですから、その誤差率というものが起きた場合、いわゆる船員救助が適当でなかった、緊急通報の受信ができなかった、こういう際の責任というものは、どこが負うことになるのですか。機械に負わせるのですか。そういう際にはどういうふうに理解したらいいのですか。だれが責任を負うのか。
  26. 若狹得治

    ○若狹政府委員 もちろん、責任問題ということになりますれば、船舶のいろいろな設備、その運用という面につきましては、すべて責任は船長にあるわけでございます。ただ、先ほど肥田先生もおっしゃいましたように、完全無欠なものはないというお言葉でございますけれども、われわれといたしましては、できるだけこの性能を完全にしていこうということで郵政省にお願いしておるわけでございますけれどもオート・アラームにつきましては、先ほど申しましたように、郵政省におきまして一々検定を行っておるわけでございます。これは法律によって行なっておりますので、われわれはそれを信頼しなければならないと思うわけでございます。また、御承知のように、オート・アラームは、他船のSOSを聞きまして、救助その他に必要な措置を講ずるわけでありますけれども、この前の委員会でも申し上げました通り、大体海難の九二・三%につきましては、五十海里以内の沿岸で起こっておるわけでございます。しかも、海上保安庁の無線局は、人間の聴覚によりまして二十四時間の聴守を行なっておるわけであります。この遭難信号の大部分——九〇数%は五十海里以内に起こりまして、海上保安庁の無線局がキャッチいたしておるような状況であります。従いまして、人間の聴覚による現在の体制からオート・アラームに切りかえましても、これによって海難が増加するような心配はないというように、われわれは考えておるわけでございます。
  27. 肥田次郎

    肥田委員 船員局長、海難が増加するという表現については、私はそういうことを言っておるわけではないのです。海難が増加するということでなしに、オート・アラームの緊急通報という性質は、相手方の船の異常を自分に伝える役目でしょう。だから、問題は、救難の役目か果たせるか、果たせないかということになるわけです。私はそういふうに理解しておるのです。が、それは誤りですか。向こうからのを受けることになるのですから。直接に海難が起こる、起きないということとの関係にはならぬと思います。  それから責任の問題ですが、簡単に船長の責任ということにはならぬだろうと思います。こういう方法でこれだけのものはよろしいということをきめて、相手方の救難信号がこちらの機械が悪くて受信できなかった、機械が働いておっても、そこにだれもいなかった、こういう状態は認めておるのではないですか。その機械の操作時間、八時間なら八時間の間は機械にまかせておいてよろしいということで——まかせておいてよろしいということは、その機械が故障を起こした場合には、その責任は船長が持ちなさいといっても無理な話であります。そういうことにはならないと思います。だから、機械の確率という問題は非常に重大な意味を持っておる、こういうことになるのですが、これはどうですか、もう一度お答え願いたいと思います。
  28. 若狹得治

    ○若狹政府委員 今の責任の問題でありますけれども、もしオート・アラーム整備を怠ったために海難の警急信号を聴取できなかった。そのために大きな海難事故が救われないで終わったというような場合に、もし責任問題が起こるとすれば、それは十分な整備を行なわしめなかった船長の責任であるということを申し上げたわけでございます。整備を十分にやって、なおかつ、そのときの、たとえば空中状態その他によって、あるいはその機械が悪いというようなことによって起こった場合、直ちにそれをもってなお船長の責任であるということを申し上げたわけではないのでございます。ただ、現在の状況から見まして、機械整備を十分に行なっておれば、必ずSOSの信号が聞けるはずであるというふうにわれわれは考えておるわけでございまして、それを怠っておったということになりますれば、その機械整備を行なわなかったという責任につきましては、当然船長にあるということを申し上げたわけでございます。
  29. 肥田次郎

    肥田委員 問題が少し焦点をはずれておるわけではないのですけれども、非常にこまかい問題になってきましたけれども、なお確認しておきたいのは、機械整備ということは、どういうように理解されておるのですか。機械の操作、完全整備というものには、非常にむずかしい範囲があるのです。そうでしょう。要するに、相手の発信を受けるという状態を確認すれば、それで整備ができておる、こういう概念になるわけですが、それ以上の整備ということになると、いわゆるいないときの、あとの八時間なら八時間の操作にかえ得る整備ということになると、機械的にどういうふうにして整備できますか。できない問題ではないかと私は思うのですが。
  30. 若狹得治

    ○若狹政府委員 それは郵政省から御説明する方が適当かと思いますが、オート・アラームにつきましては、テストを行なうように郵政省令できめられておるわけでございます。従いまして、それを受信しておる船舶は、省令にきめられたテストを必ず行なわなければならぬ。従いまして、そのテストをやりまして、もし十分な成果が上げられないということでございましたら、機械自体の故障でございますので、これは早急に整備しなければならないということを申し上げたわけでございます。
  31. 肥田次郎

    肥田委員 機械のテスト、テストと言われますけれども、この機械のテストというものは、そうたんねんにやるものではないのです。機械のテストというものは、形式的なテストです。常時操作の間じゅうを見ながらやっておるというような、そういうテストができるわけじゃないのですから、いわゆる機械が動作するかしないか、これだけのテストをやって、動作するということになれば、それで機械のテストの責任はもう済んでおるわけです。問題はあとの時間が働くか働かないかということになってくるから、その間に起きてくる問題は、機械性能がよくなったと言われるけれども、その間にやはり機械が動作しないという状態も起こり得るじゃないか、そういうことを考えられないで、ただ整備という言葉だけでこの問題を解決するということはできないだろうと思います。  それから、総体に機械というものは、発信は、自動発信という装置もあるけれども、大体船なんかの場合には、船自身が発信する、それからまた海岸局なら海岸局その他の他の船が発信をする、これはあくまでも人がついているのですね。ところが、受ける方に限ってだれもいないのですから、受信というものの方が私はむしろ機械的にはむずかしい問題だと思っております。発信は絶えず人がついておるのですから、これは機能がわかります。けれども受信は、とにかくだれか受けていてくれるだろうということになるわけなんです。そうして幾つかの船が受けても、幾つかの船は受けられないという条件が起こってくるんじゃないか、これを私は先ほどから問題にしているわけです。ですから、そういうような問題をどのように理解をしておられるのかということに、私は質問の焦点がなってくるのです。その点について簡単に答弁をいただけぬとなれば、ここに十ぱいの船がおった。ところが、その十ぱいの船が全部アラームの装備をしておったけれども、その中の二、三ばいは受信をできなかったというふうな状態があってもいいのかどうかということです。  それからこれも船員局長でけっこうですが、五十海里という範囲に配置されておるという。これはSOSを出してから、一番はじめから目的地に五十海里、今の船でどれくらいで現地の遭難個所に到着できるということになりますか。
  32. 若狹得治

    ○若狹政府委員 先ほどの御質問、いろいろございましたけれどもオート・アラームのテストを十分に行なっておるというような状態でございますれば、人間がそばにおらなくても、緊急通信は受信できる状態になっておるというようにわれわれは考えておるわけであります。  なお、五十海里に到達するには何時間の程度が必要であるかという問題でございますけれども、これは船舶性能にももちろんよりますけれども、海上保安庁の船舶でございますれば、大体四、五時間程度で現場に到着することができると思います。
  33. 肥田次郎

    肥田委員 それでは三枝課長にお伺いしますが、実は先般三枝課長久保委員質問に対して答弁をしておられることで、今船員局長の方に同じような質問をしておったわけです。というのは、オート・アラーム機械の確立ということについて、前国会での質問を要約すると、オート・アラームという機械性能そのものの表現は、抽象的ですけれども、こういう表現になっておると思うのですね。オート・アラーム機械がテストをされてから、その後十年の間に逐次いわゆる性能が向上して、現在では、日本の製品は諸外国の品物と決して劣らないほどの性能ができてきておる、そういうふうに答えられておるわけです。ところが、これに対するこちら側の質問の要旨というものは、この機械は間違いがないのかどうか、十分人にかわるものなのかどうかという趣旨であるわけです。それからさらに、その程度のものであっても不十分であろう、これは久保委員質問です。で、三枝課長の方で考えておられるのは、これでは十分人にかわった機械性能として完全なものかどうかという質問に対しては、非常に微妙な問題でございますけれども、そういう規格に合ったものをもって人のかわりをするという国際制度のもとにおいては使いものになる、こういう答弁をされておるわけです。要するに、一つの定義の中にあてはめてすれば、まあまあこのくらいの機械で十分任務を果たせるだろう、こういうことになると思うのですが、われわれは、それでは不十分じゃないか。要するに、機械というものは、機械である限りは故障がないということは言えないのだ。だから、もう絶対百パーセント故障等はない、そういうものなのかどうかという、しつこいほどの質問に対して、非常に遠回しに、まあ大丈夫なんだという答弁しかされておらないので、機械性能、確率というものについて、一つ自信のあるところをお答え願いたい、こう思うのです。
  34. 三枝豊

    三枝説明員 二十七、八年ごろ、オート・アラーム調査について、実は私、第一回の団長でペルシャ湾の方へ参りまして、この目でオート・アラームをよく見て参りましたけれども、確かにその当時のオート・アラームというものは、動作基点等を調整しなければ、空電、混信等について非常に鋭敏に作用を受けるというような状態でございまして、動作基点を調整すれば使いものになるという報告をいたしておりましたけれども、その後約十年たちまして、十分研究もいたします。し、技術の進歩もありまして、先ほど先生がこの前の答弁をお読みになりましたように、現在のものは、諸外国のものに決して劣らないで、国際水準並みのものに達しておるわけでありますけれども、その性能について、人間のかわりをするかという御質問に対しては、これは国際規格が、実は条約の方に、空電、混信がないときに警急信号が来たら働く。これを逆に読みます。と、ある程度強い空電、混信があればやむを得ないんだという規格になっております。しかしまた、別の勧奨規定の方では、そういう空電、混信の影響をできるだけ少なくするようにというような規定もありまして、そういう空電、混信の影響をできるだけ少なくするようにという、今研究努力をしておるわけでありまして、人のかわりをするかというふうに言われますと、これは完全に人のかわりはしない。ただ、人間といえども、そういう警急信号またはSOSを、何か別の考えごとをして聞きのがすこともありましょうが、完全な人間の耳とオート・アラームを比べましたら、もちろんオート・アラームの方が劣る、かように考えております。
  35. 肥田次郎

    肥田委員 そこでもう一つ。今ちょうど課長がお見えになったときに、少し話は関係しておったのですが、機械整備という問題は、実はわれわれしろうとでよくわからぬのですが、受信機の方の機械整備、これはどうなんですか。最初にちょいと整備しておけば、それでもういわゆる大丈夫なのかどうか。問題点はこういうことなんです。機械整備ということは、完全に整備しておけば、その機械はもう絶対に八時間持つのかどうかというのが、質問の要点なんです。もしそれが持たないで、それで片一方では盛んに発信しておる。ところが、こちらでは機械の故障がいっておって——空中障害だとか、あるいは陸地障害、そういうものは別にして、機械の故障で相手の非常信号を受信できなかった。それがたまたま調べてみたら機械の故障だ。ところが、その前にその機械はちゃんと所定の整備過程を経て、そうして八時間のオート・アラームの任務につけたんだ、こういうふうなことが起こった場合に、その責任はいずれにあるかといえば、これはおのずから整備していなければならぬ船長の責任になる。しかし、整備をしておけば大丈夫だろう、こういう船員局長の答弁です。ですから、ほんとうに受信の方の機能というものはそういうふうに理解してよろしいですか。ただ、先般久保委員があなたの方に質問しておられます。数字をあげてみると五十一分の二十一という、いわゆる五十一パイの船の中で二十一が故障がいっておるという状況があった、こういうことが言われておるわけです。だから、そういうふうに半分に近いような故障率があるのに、それが今日完全なものだということにはなかなか受け取れないから、それらをあわせて一つお答えいただきたいと思います。
  36. 三枝豊

    三枝説明員 機械のことになります。が、これは先生方のお宅のラジオ、テレビと、もちろん製作に十分な注意はしてありますけれども、原理的には同じような受信機なんであります。真空管を使い、抵抗を使いしてございますので、そういう部品の故障がございますから、これは絶対皆無ということは申すことができません。ですから、オート・アラームに故障があるかないかという御質問ですと、これはときどきあるであろう、こういうふうに考えられる。ただ、それがゆえにオート・アラームにつきましては、毎日一回航海中はテストをしろ、こういう義務が課してございます。毎日一回テストして、働いているかどうかということを確認いたします。それからもう一つは、真空管が切れたり主要部分の故障がございますと、その故障を知らせるベルが鳴る。これもオート・アラームの規格の中になっております。そこで、たとえば真空管が断線いたします。と、ちょうど警報ベルが鳴ることになっております。これはそれで故障がわかりますので、直ちに手配をして、重大な故障ですと、手間はかかります。けれども、そう重大な故障というのはたびたびあるものじゃございません。軽微な真空管のとりかえ程度のものですと、すぐに通信士がとりかえができまして、完全なものにするというわけでございます。
  37. 肥田次郎

    肥田委員 それからもう一つお伺いしたいのですが、それはオート・アラームが作動するときに、その非常を伝える。これはオート・アラームという機械を全然知りませんので、それはどういう装置にして一般に知らせる、あるいは責任者に知らせるという、機械的な点はどうなっているのでしょうか。この点をちょっとお答え願います。
  38. 三枝豊

    三枝説明員 警急信号というものは、御承知のように、四秒、間隔が一秒の一分間に十二線というものであります。このうちの三個または四個のつながった信号をとらえてオート・アラームは働くということになります。ですから、非常に空中状態がよければ、日本オート・アラームは最初の三回で働くことになっておりますので、最初の三回ですぐにベルが鳴る。空中状態その他で、最初の三回か、中ほどがだめなら、終わりごろの三回で働くことになります。この十二線のうち、どれか三個で働くことになっておりまして、その受信機がそういう警急信号をとらえた状態になりますと、警報装置の方へスイッチが入りまして、ブリッジと通信土室と無線通信室の三カ所のベルが同時に鳴るようになっております。
  39. 肥田次郎

    肥田委員 それから、これも先般の答弁の中にある問題ですが、要するに、この改正案がかりにきまったといたしますと、それの整備のために電電公社の方でも二カ年かかる。それから郵政省の方では、周波数をきめるについて一年くらいかかる。これは要するにあなたの方だけで、関係方面だけで三年の日時がこの整備のためにかかるということになるのですか。この答弁はそういうふうに理解していいのですか。
  40. 三枝豊

    三枝説明員 三カ年の経過期間を置きました理由は、海岸局の整備だけではございませんけれども、その海岸局の整備だけに限定いたしますと、まず、現在非常に逼迫しております短波周波数、これを電電公社は四波か五波ということを言っておりますけれども、これに対応するために四波か五波という、そういう数波の周波数を探し出すこと、これがまず第一段階でございます。これを電電公社に指定いたしまして、電電公社の機械で出してみる。これは今は周波数事情が国際的に非常に困難でございますので、その周波数がはたして外国の通信を妨害しないかどうかというようなテストが、若干必要でございます。その上、電電公社で、これはやはり相当大がかりな機械になりますので、その機械の製作をメーカーに依頼する。そういう製作日時、そういうものを合わせまして三年必要であります。しかも三年あれば十分であろう、こういうわけでございます。
  41. 肥田次郎

    肥田委員 もう一つ、このオート・アラーム機械を一台整備するのに、今の価格でどのくらいの経費を要するのでしょうか。
  42. 三枝豊

    三枝説明員 五十万円程度であります。
  43. 肥田次郎

    肥田委員 三枝課長への質問は、これでけっこうです。
  44. 久保三郎

    久保委員 関連。前にもお尋ねしたのですが、先ほどの空電、混信の場合は、オート・アラームは誤作動してもやむを得ないということです。そこで、専門的なことで私自身よくわかりませんのでお尋ねするわけですが、空電、混信という場合は、一般の無線も障害を受けるわけですか。空電、混信があった場合は、一般無線もオート・アラームも用をなさねのでありますか。いかがですか。
  45. 三枝豊

    三枝説明員 もちろん、いろいろと通信方式がございまして、空電、混信に影響のないような通信方式というものを現在いろいろと考えておりますけれども、現在救難用に考えております。五百KC、A1とかA2という現在の方式ですと、これは一般のラジオと同じようなもので、雷が鳴りますと、ラジオにガリガリという音が入ることは御存じだと思いますが、そういうような影響は一般通信機にもございます。先ほど私が、オート・アラームと人との関係は、人よりもオート・アラームが劣るということをちょっと申しましたけれども、それは人間の耳は空電の陰から所要の信号を聞き出すことができますけれども機械は空電も信号も一緒に受けてしまう。これはちょっと専門的にわたりますけれども説明しますと、先ほど申しました四秒・一秒間隔の信号が参ります。これがやはり一秒、二秒は若干のトレランスがありまして、これは少し狭くなっても広くなってもいいように条約の規定がございますが、四秒・一秒の間隔で参ります。その間隔のところへ空電なり混信なりがぼっと入りますと、四秒・一秒がふさがりまして、九秒の長線になってしまう。これではオート・アラームが働きません。また、南方の空電地帯に参りますと、非常にガリガリ連続的な空電がありますので、その空電がときどき四秒・一秒の信号を形成いたしますと、これはそのまま働いてオート・アラームの誤動作ということがあります。先ほど申しました間隔を埋めるというような場合には、不動作の現象がありますし、それから空電が警急信号を形成する場合には、誤動作という場合もあります。これは非常に空電や混信が強い場合のことでありまして、それがある程度のものならば、現在はAGCという自動調整装置がついておりまして、そういう空電、混信の影響をできるだけ少なくするような設備にはなっております。
  46. 久保三郎

    久保委員 結局空電、混信の場合は、機械としては人間と同様な働きは不可能であるというのでありますから、その点で実は大へんな相違がある、こういうふうに理解していいかと思うのであります。  それからもう一つお尋ねしたいのは、先ほどお話の中にもありましたが、結局超短波の周波数ですか、こういうものには相当の用意も要るということで、三年間というか、そういうものができたということでありますが、はたしてこれはそういう見込みがあるのかどうか。  それからもう一つは、それを待ってから法改正すべきであって、今直ちにそういうことを前提にして法改正をすることは、どうも作業のやり方が逆ではなかろうかと思うのであります。  それからあわせてその問題でお尋ねしたいのは、今まで電波法の改正というのは、実は国会に出て参りませんで、この前の国会に船舶職員法と同時に提案されているわけであります。このいきさつは、もう課長御承知の通りでありまして、船舶職員法を改正するためには、オート・アラームを含むところの電波法を改正しなければいかぬという——実は電波法が必要であるかどうかの判定を下して電波法改正を企図されるべきでありましょう。ところがそうじゃなくて、船舶職員法の方で、前に運輸省から説明があったように、定員の合理化というか、需給関係からいって、これを減らす、そのために船舶職員法を改正するのだ。電波法を改正することはあまり御説明がないのです。提案されている法律案にはそういう意味のことが書いてあります。が、御説明自身には、電波法が改正になりますので、という御説明はあまりなくて、御説明の力点は、船舶職員法そのもの、いわゆる船舶乗組員の通信士定員を減らし、合理化するのだということ、それは需給関係が非常に窮屈であるから、こういうことでありまして、どうもわれわれとしては、どちらがほんとうなのかよくわからぬ状態なんです。はたして電波法を改正する必要が今日ただいまあって、単独で電波法改正が必要であって提案されているのかどうか、疑問に思うのです。やぼな質問だと思いますが、念のためにお伺いしておきます。
  47. 三枝豊

    三枝説明員 前段の方のお答えといたしましては、周波数のめどが立ちましたので、法の改正案を提出したようなわけでございます。  それから職員法と電波法関係でございますが、電波法といたしましては、従来はいろいろの条件がございまして、なかなか改正に踏み切れなかったわけでございますけれども海運界の実情等を見まして、また、私の方も通信士の検定という面でタッチしております通信士の需給、そういうものがきわめて逼迫しているというような事情を承知いたしまして、現在の電波法は、あまりにも手厚い措置が、諸外国と比べて、してある、これは事実でございますので、これを国際水準並みにしよう、こういうふうなことから電波法の改正案を提出したわけでございます。
  48. 肥田次郎

    肥田委員 それでは引き続いて船員局長質問いたしますが、今われわれの方でオート・アラーム性能についてわかったことは、要するに、電波障害だとか、その他の物体の障害があるような場合には、その機械は十分な動作をしないということを前提とした性能が、いわゆる今の標準性能だというふうに理解をされるわけです。それから機械のことだから、もちろん故障がある、百パーセント故障がないということは、われわれも考えていないわけで、故障があるということ、それから人のかわりをするほどの十分な機械ではない、人よりすぐれた機械ではない、こういうことも、今三枝課長説明を聞いてよくわかりました。  それで、問題になるのは、やはり今久保委員質問の中でも少し触れておられたように、要するに、郵政省の方で整備をするについても三年くらいの期間を要するだろう、こういうふうに言われているわけなんです。そうすると、この法改正の趣旨にあるような、要するに通信士の需給問題を考慮して、一時に変化することを考慮して、こういうふうな具体目的というものは、全然影をひそめていることになるのですね。そんなものが問題じゃない。要するに、期間を置かなければやむを得ないのは、この機械に取りかえても、こういう法改正をやっても、それでまあまあという言いわけができるような、そういう機械設備をするために大体三年の日時が要る、そのために三年を設けた、こういうことになる。ですから、法改正の趣旨とは全く相反する結果をわれわれは感ずるのです。そんなものなら、何も法改正する必要はないじゃないですか。お手のものの通達、指示、こういうもので準備をさしておいて、そうしてそれができた暁に法改正に手をつける、これが順序じゃないですか。都合が悪いときには幾らでも法改正はほったらかしておいて、次官通達なんか平気で出されておる。そういう手段をこの問題に限ってなぜとらないで、三年間たたなければ実際にできない問題を、法律で今ここで準備をしてかかろう、こういうことになったのか。一つ船員局長の方から御答弁を願いたいと思います。
  49. 若狹得治

    ○若狹政府委員 今ほど肥田先生から、オート・アラームというものは、空電等の事故の場合には作動しないということでございましたけれども、これは先ほど郵政省から御説明がございましたように、自動調整装置がついておりますので、空電が終わりますれば、直ちに作動するというような状況になっておるわけでございます。従いまして、よほど大きな空電がない以上は、オート・アラームは十分作動し得るという状態のものでありますので、われわれといたしましては、外国に比べまして法律的には三十年おくれましたけれども、できるだけ早くこういう法律体制をとりたいというように考えるわけでございます。  なお、現在提案いたしております法律案によりますれば、五千五百トン未満の船舶は、従来はオート・アラームを設置いたしましたものにつきましては二名の通信士、すなわち無線局の運用時間からいきますれば、十六時間の運用ということになっております。改正案におきましては、これを八時間の運用、通信士の数にいたしまして一名というように改正いたすわけでございます。また、五千五百トン以上の船舶につきましては、今後の方針としては、外国船並みに一名ということを考えておりますけれども、先ほど郵政省から御説明のありましたように、電電公社の設備が拡充され、また電波の割当が増加するまでは、当分の間二名の通信士、無線局の運用時間といたしましては十六時間の運用をすることによりまして、この経過期間を乗り越えていくということを考えておるわけでございます。
  50. 肥田次郎

    肥田委員 それは私が聞いておることではないのです。あなたの言われておる答弁は、ただしゃくし定木のことを答えられているだけなんでしょう。今のような経過からすれば、何も法改正を先にやって、三年後に実施するというような——三年間といえば、来年のことを言っても鬼が笑うのに、三年先のことを言わなければならぬような、そんな無理なことをしなくても、通達なら通達でちゃんとそれだけの整備をしてもらうような状態を整えておいて、でき上がったときにこの法律を出されても問題がないじゃないですかということを言っておる。  それで、機械性能ということは、私も機械機械なりに理解をしています。けれども問題点は、オート・アラームを装備したら、もうこれでりっぱに人のかわりをするのだ、人がいなくてもいいのだ、こういう印象づけを盛んにしているのです。だから、機械性能について若干質問したのです。これをつけたから大丈夫だ、こういう言い方をしている。五十万円の機械を一尺据えて、それで人が一人減らせるのですから、こんな安いものはない。だから、そういうことは、この法改正のいわれておるところとは、全然別な問題が出てきておる。この法改正については、企業競争に負けないようにしたい、これも一応一つの筋としましょう。その一つの筋としたところの企業競争に負けないようにするために、通信士が不足なんだ、こう言っておる。そういう不足な通信士というものは、待遇が悪いから来ないのだ、こう言っておる。そうしてその通信士を減らして何とかやっていこう、これもわかるのです。そういう純粋なものなら、私らもわかるのです。ところが、そうじゃないのです。通信士を減らすということが目的であって、一基五十万円のオート・アラーム人間をすりかえるということが問題であって、通信士が足りないとかなんとかいうような問題は、ほんとうの腹の中では少しも考えていない。そういうところが隠されておるのじゃないかということが一つです。表向きには何とかかんとかうたい文句はあるけれども、全然関係のない面だけうたって、実際のところは、そういう問題とは全くかけ離れた重大な問題が残されておる。そうして、では実際そんなに必要があるならば、今すぐやってもいいじゃないかということになると、できませんということになるでしょう。三年先じゃないとできない。三年先でもどうかわからない。そういう整備状態がちゃんと相手方の方でできない限りは、その通り実施していいかどうかということは、そのときになってみなければわからない。そうすると、片一方では、船会社の方ではどんどん人を減らす準備をしていくだろう。そういう状態が起こってきたときに、目的とは全く違ったところの紛争が起こってくるおそれがあるように私は思うのですが、そういう点について、船員局長は全然考慮されておりませんか。
  51. 若狹得治

    ○若狹政府委員 今度の法律改正は、船舶通信士の離給緩和に役立たないということでありますが、これはたびたび需給関係について御説明申し上げておりますように、現在の海運関係に働いております船舶通信士の現行法によります定員は、二千七百名余りであります。そうして、このたびの法律改正による経過措置によりまして、五千五百トン以上の船舶は二名、五千五百トン以下の船舶は一名になるというように考えますと、この二千七百名が千八百名になるわけであります。そういう点で相当需給緩和に役立つであろう。また、今度三年後においては、その数は千三百名になるだろう。従いまして、需給関係には、われわれとしては十分に効果があるように考えておるわけであります。  なお、今先生のおっしゃいましたように、機械をつけるとか、あるいは法律がきまったから直ちに全部の人員を法定通り最低限度まで下げるというような問題については、もちろん労働問題もございますし、われわれといたしましては、現在の経過期間が、労働問題の面から見ても、また、電電公社の整備状況その他から見ても、適当な期間であるというように考えておるわけでございます。
  52. 肥田次郎

    肥田委員 私は、今の答弁をいろいろ聞いておって感じたことは、要するに、この通信士が減ってもやっていけるような状態をつくるということが法改正の趣旨であるように理解をしますので、従って、これはいろいろな当面の障害、危険をもたらすことになるのじゃないかと思います。この問題については、次会に引き続いて質問をしたいと思いますが、現在すでに争議の手段として無線局を一時休止して運航させておるという状態もあったことが、報告されております。それから任意に航行区域の資格変更をする、こういうことも法的に一つ説明を願いたいのであります。  それかはもっと本質的な問題として、これは船員局長に限ったことではないと思いますが、要するに、将来の海運政策として、日本海運企業というもののほんとうの強化をはかろうというその一端として、この法改正がやられることになるというふうには考えられるが、しかし、もう一つその奥にあるところの、いわゆるほんとうの将来の海運政策というものの強化について、どういう対策を政府として持っておられるか、こういう本質的な問題について質問したいと思いますので、これは次会に一つ十分のお答えをいただくつもりで、きょうの質問を打ち切りたいと思います。次会というのは明日でありますから……。
  53. 木村俊夫

    木村委員長 内海清君。
  54. 内海清

    ○内海(清)委員 船舶職員法の一部改正につきまして、私の方からも御質問申し上げたいと思います。  この法の改正というか、これは長年の問題で——長年の問題ということは、そこに非常に多くの困難な問題が伏在しておることを意味するものだと思います。ところが、昨年、この問題を運輸大臣の諮問機関でありまする海上航行安全審議会に諮問した。その諮問の内容というのは、大ざっぱに申しますと、船舶通信士の資格、これを変更し、さらにその定員というものを削減しようということが骨子であるように思うのであります。ところが、これが審議会にかかりますと、審議会では、私ども承知しておる範囲では、十分な技術的な究明がなされていない。さらにまた、その審議の過程におきましても、安全性を低下させないというような積極的な理由もないままに、単純な外国船並みにするというような主張が採用されまして、いわば政策的な見地からこの問題を取り扱おう、こういうようなことになっておったようであります。そこで、この審議会は三十名の構成になっておりまして、海員組合からも五名の委員が入っておって、この海員組合を代表して審議会に参加しておりました委員は、このような審議会によって出された問題については責任が持てぬ、こういうふうなことから委員を辞任したことは、これは御承知の通りであります。ところが、そういう過程において、審議会は、それらに対する何らの反省措置もなしに、この諮問に対してうのみにいたしたような答申が行なわれた、こういうことであります。そもそも、長年の問題でありまするこの法案に対する今回の改正の出発点におきまして、私はすでに問題があったと思うのであります。大体私はそういうようなことを承知いたしておりますが、この審議会の審議の経過について、一つ十分お話していただきたいと思います。
  55. 若狹得治

    ○若狹政府委員 航行安全審議会は、昨年の八月に、この船舶職員法の改正の問題を諮問いたしたわけでございます。十回にわたりましてこの審議会を行なって、審議していただいたわけでございます。その場合に、安全性の問題その他いろいろ御議論がございましたけれども関係の多数の委員方々、労働組合関係委員を除きます。大多数の方々が、このわれわれの諮問案通り船舶職員法を改正すべきであるという決議をいただいたわけでございます。御承知のように、航行安全審議会は、技術的な審議会でございまして、労働組合の代表の方と申しましても、これは労使の関係の事項を審議するというような性格の審議会ではございませんで、この問題についての専門的な知識を披瀝していただくということで委員にお願いしておるわけであります。従いまして、委員は十一名でございますが、このうち、一名が組合の代表の方でございまして、十名の方が賛成なさいまして、一名の方がこの審議の仕方について反対があるという御意見でございました。船舶職員法改正自体に反対があるとかないとかいうような問題ではなしに、もっと安全の問題を慎重に審議すべきであるという御意見で、早急に採決をとるということについては、御反対があったわけでございます。しかし、他の十名の方は、これで十分航行の安全の問題についてははっきりした結論を得ることができたということで、審議会の答申が出た、そういうような状況でございます。
  56. 内海清

    ○内海委員 ただいまの局長の御答弁によりますと、きわめて問題がなかったようでありますけれども、審議会の性格というものは、今局長のお話のようなものかもわかりませんが、少なくともその技術的な面において実際その衝に当たっているものは、いわゆる通信士、海員、乗組員であります。その実際の衝に当たってきている人として、技術的な面の審議が十分できない、さらに安全性を低下させないというような積極的な理由もなく、納得がいかないような審議をされるところに責任が持てぬから、こういう審議会に参加できぬということであり、そこに非常に問題があったと思うのであります。こういうような審議会であればあるほど、少なくとも十分話し合いの上で、それらの点をお互いに了解して答申が行なわれるということが、最も肝要である。安全の面について安心だと言われますが、この法案がかかりまして、多くの問題になっていることは、御承知の通りであります。かような点からいたしまして、その出発の審議会の答申そのもの、審議会の審議のあり方について、問題があると思う。いま一度その辺に関する御意見を伺いたいと思います。
  57. 若狹得治

    ○若狹政府委員 航行安全審議会の構成メンバーは、具体的には、日本船員協会の会長、あるいは大日本水産会、あるいは高等商船学校の卒業生で組織しております海洋会の方、あるいは大学の教授、あるいは海上保安庁の技術関係の権威者であります人、そういうような海上の安全についてわれわれが十分信頼してその意見を聞くことのできる方々のお集まりでございまして、そういう方々の間で、この安全の問題については非常に慎重に議論がかわされたわけでございます。その結論としまして、安全の問題については、通信士を減少してオート・アラームをもつてこれにかえるというような改正になりましても、問題はないという御結論を得たわけでございます。従いまして、労働組合の関係委員方々が、この審議のあり方について、なお安全の点についてさらに検討すべき問題があるという御意見でございましたけれども、先ほど申しましたように、十一名のうち十名の委員が、この点については十分確信を持って法律改正を行なうべしという御結論をいただいたような状況でございますので、われわれは、その答申を尊重いたしまして、法律改正を行なうことといたしたわけでございます。
  58. 内海清

    ○内海(清)委員 なるほどただいまのお話もわかるわけでありますけれども、そういう実際の仕事の衝に当たっておるのは通信士の諸君です。他の方々は、いろいろ学者の方もありましょうし、あるいは船主側の方もありましょう。およそそれらの方々のこの問題に対する観点と申しますか、考え方というものには、おのずから差があるかと思う。このことは局長もおわかりになると思うのであります。従って、それぞれの立場における考えを十分に述べ合って、討議して、お互いに納得したときに初めて答申というものは意味をなすのであります。それが必要でないならば、そういうふうな構成をする必要はないのであります。ところが、それの中の実際のその仕事に当たっておる人々の意見というものを無視して、それを除外して、ここに答申されておるところに、今回の問題の起点があるのじゃないか、かように考えます。この点について、局長は、この答申についてはあくまで間違いないというはっきりした御確信があるかどうか。
  59. 若狹得治

    ○若狹政府委員 航行安全審議会の問題は、職員法の改正によりまして、航行の安全の度合いが低下するかどうかという点についての結論をいただくということでございますけれども、われわれは、各界の権威者がこぞって、この職員法の改正をいたしましても安全度は低下しないという結論をいただきました。ただ組合側の委員は、この審議の方法等につきまして御異論があったという状態でございますので、もちろんその背後にいろいろな労働問題その他の問題もあるだろうということで、具体的にこの安全の問題というふうに限定いたしました場合に、組合側からは、必ずしもその問題についてはっきりした結論をわれわれが聞いたわけではございません。ただ審議の仕方が不十分であるということで御反対があったわけでございます。しかしながら、各界の権威者がこぞって、そういう御意見にもかかわらず、安全の問題はこれで十分であるという御結論をいただきましたので、われわれは、確信を持って法律改正に踏み切ったわけでございます。
  60. 内海清

    ○内海(清)委員 安全の問題は大丈夫だという大部分の人の意見だということです。組合側が委員を辞退したのは、審議の過程において、審議の仕方に問題がある。そこに私は問題があると思う。審議の仕方に問題があるときに、答申の正しいものが出ることはない、これが問題の発生点であると思うのです。でありますから、局長はそういうふうに言われますけれども、これは実際この法案がかかってみて、多くの問題が生まれ、疑点が生まれてくるのは、審議の過程で納得した審議が行なわれていないというところに私はあると思うのであります。この問題につきましては、いろいろ押し問答いたしましても、局長の答弁は大体きまっておるようでありますから、このぐらいにしておきたいと思いますが、私は、この点がはなはだ遺憾である、まず出発点において一つのあやまちを犯したのではないかというふうに考えておるわけであります。  さらに、私の聞いておりますところによりますと、審議会の答申が行なわれる以前に、すでに運輸当局におきましては、国会の委員会方面に対して改正案の要綱を配付されたというふうなことも聞いておるのであります。もしこれが事実とすれば、全く審議会を無視した問題じゃないかと思うのであります。ところが、審議会の方では、そのことを当然のこととして見のがしてきた。これでは私は、審議会の存在意義は全くないと思う。こういうことが事実であるとするならば、そういうきわめて反動的な船員政策、海運政策というものに対しましては、これはどこまでも私は排撃しなければならぬ問題であると思うのであります。このことについて、一つ明らかにしていただきたいと思います。
  61. 若狹得治

    ○若狹政府委員 審議会の答申が最終的に出る前に法律改正の要綱が外部に出されておったという御質問でございますけれども、われわれといたしましては、すでに昨年の六月の十三日に、閣議了解というものが、電波法の改正について行なわれておったわけでございまして、政府の意思が決定されているということで、それに基づきまして法律改正の準備をいたしたわけでございます。同時に、航行安全審議会にも法律改正の御諮問をいたしたわけでございます。しかしながら、あるいは一部事前に、関係のところにそういう法律案要綱が流れたというようなことが、あったかどうか、私は詳細に記憶いたしておりませんけれども、もしあったといたしましても、当然それは、航行安全審議会の御答申があった場合にはこういう法律改正が行なわれるということで、御説明いたしておるのではないかというように考えておるわけでございまして、私の記憶では、航行安全審議会の御答申が出る以前に、すでに各方面法律案要綱を御説明して、いかにも既定方針のごとく御説明したという記憶は現在ございません。
  62. 内海清

    ○内海(清)委員 これがなければけっこうでございますが、私の聞き及んでおる範囲では、さようなことがあったということであります。もし閣議了解事項でもって法改正にそのまま踏み切れるものであるならば、この審議会は必要ない。審議会の答申を待たずにそういうものが出されておるとすれば、これは非常な問題であります。審議会の存在意義はないと思う。事前に、審議会の答申がどうであろうとこれは提案するのだというふうな説明があったかどうか、私はその点は存じませんけれども、この点は一つ局長の方において事実をはっきり調べていただきたい。今後の審議会のあり方について、これは重大な問題であると思う。この点は、次会までに、一つそういう事実があったかどうか、はっきり御調査願いたいと思う。  時間がありませんが、次にお尋ね申し上げたいのは、わが国におきまする無線の通信体制が、すでに確立されて十八年ぐらいになると思うのであります。十八年の間、海運あるいは水産の面にこれがずっと実施されて参りました。この間に、海運にいたしましても、水産業にいたしましても、好況のときもありましたし、もちろん非常な不況のときもあった、これは御承知の通りであります。ところが、その間では、何らかかわりなしにこれが実施されて今日まで参った。そうして、海上におきまする船舶の安全と船舶の運航に大きな貢献をしてきた、この船舶の通信体制を、今になってこれを改変しょう、改変しなきゃならぬ事由、これがこの問題について、提案されて以来の多くの論議の過程から見て、私どもは十分受け取りにくいということであります。この場合、通信士を三名であったのを一名にしても、三名の場合と同じような状態が確保できるというような条件が整って、そうして十分納得ができるかどうか、そういうふうな客観情勢というものが、あるいは進歩とか、あるいは情勢の変化とか、こういうふうなものはきわめて少ないと思うのです。従って、この際これが行なわれたとするならば、海上の安全性が低下いたしまして、そうして船舶航行に支障を生じる。特に私問題と思いますのは、これは船舶の宿命でありまするが、一般社会から隔離されておる、この隔離性、これをますます増大さして、船員の人間的な生活にも重大な影響を及ぼすのではないか、かように考えるのであります。この点につきまする御所見、これはあとでいろいろ具体的に御質問いたしますが、一つ総括のあれとしてお答え願いたいと思います。
  63. 若狹得治

    ○若狹政府委員 ただいまのお説の通り、無線局の無休執務体制というものができましてから、非常な日数を経ておるわけでございます。これは過去におきまして、何度か改正の議論が出たわけでございますけれども、当時の社会情勢から見て、なかなか国際水準への改正ができなかったわけでございます。ただ、昨年度に至りまして、無線の機器の発達の状況というものから見まして、先ほどからいろいろ御指摘がありましたように、最近の急速な発達というような状況から見て、オート・アラーム性能というものも十分信頼することができるというような情勢になって参りましたのと、無線通信士の需給関係が非常に逼迫いたして参りまして、昨年の状況によりますと、船舶通信士を護得できないために無線局を閉鎖してしまうというような状況も出て参ったわけでございます。具体的に申しますと、近海の航行資格を持っている船舶を沿海の航行区域の船舶に資格を変更いたしまして、せっかく積んでおるところの無線局というものを閉鎖してしまうというようなことが行なわれておったわけでございます。この点は、むしろ船舶の航行の安全のために無線局を義務づけておきながらも、その結果は全く反対の、船航の航行の安全を阻害するというような状況が現出したわけでございます。そういう点から見まして、早急に国際水準に改めることが、航行の安全をむしろ守る方法であるというようにわれわれは考えたわけでございます。また、海運状況から見ましても、現在の国際水準以上の人間を配乗するというような余力はないわけでございまして、昨年度から定員の減少ということを極力推し進めておるわけでございますけれども、この無線通信士の問題につきましては、法律があるためにこれができないというような状況になっておるわけでございます。しかも、需給関係が非常に逼迫いたしておりまして、外国の船は一名の乗船でもって十分出航ができるにもかかわらず、日本の船航は、二名の船舶通信士を乗せましても、なお出航できないというような状態になることは、いかにも不合理であるということをわれわれは考えまして、この改正を早急に行なっていただきたいということで、法律案を提案いたしたわけでございます。
  64. 内海清

    ○内海(清)委員 隔離性の問題について答弁して下さい。
  65. 若狹得治

    ○若狹政府委員 御説の通り、海上の労働というものは、社会から隔絶されて、長時間にわたって一船の中で共同生活を行なうというような状況でございます。従いまして、現在の無線通信士は、たとえば船内の新聞を発行する。つまりいろいろな文化活動を行なっていることは事実でございまして、そうしてまた、そういう活動も今後ともわれわれは必要ではないかと思いますけれども、そういう文化的な面を法律によりまして強制すべき問題であるかどうかという点につきましては、法律は船舶の安全運航のためにあるものでございますので、安全運航の最低限度を法律によってきめればいい。従いまして、そういう文化活動につきましては、法律とは別個に、労使間において御相談なさればいいことである。法律はそういう問題まで立ち入るべきではないというように考えておるわけでございます。
  66. 内海清

    ○内海(清)委員 私は、ただいまの御答弁にはいろいろ問題があると思います。今日、海運企業の経営の状況から見て、いろいろ問題があるということも承知いたしております。さらに、そういうことからもしこれを減らして、私先ほど申したように、三名を一名にしてもなおすべての条件が低下しないという条件というものは、われわれはまだ納得できないということであります。  なお、通信士の需給の問題、あるいはこれらの教育体制、養成対策というものにも、問題がございます。これにつきましては、あとで具体的にいろいろお尋ねいたしたいと思いますけれども、先ほどお話の、船舶の一般社会からの隔離性の問題、そういう人間的な問題は、この際考える必要はないんだということ、ここに私は非常な問題があると思う。今日までこの面において、こういう文化活動人間的な生活を豊かにするということが行なわれてきたのであります。これを一挙にしてそういうものは考えない、ここに私は将来の大きな問題が——ことにこの人の問題を取り扱われる船員局長の立場として、こういう御発言に対しては、私は非常な問題があると思う。やはりすべての問題の基本は人にある、こう思うのであります。そういう人間性を無視してはたしてうまくいくかということ、いかに法といえども、こういう点を十分考慮して法を制定しなければならぬ、私はかように思います。この点につきましての御所見をお願いします。
  67. 若狹得治

    ○若狹政府委員 船員の船内における文化的な活動というような面につきまして、現在の通信士が、通信固有の公衆通信の発受というような義務を処理いたしまして、なお相当の余力があるために、いろいろな活動をしておられることも事実であります。また、他の部門のお手伝いをしておいでになることも事実でございます。しかしながら、法律をもって強制するという問題につきましては、あくまでも船舶の安全性を維持するという点に限定すべきでございまして、それ以上の問題につきましては、法律が関与すべき問題ではないと私は考えております。
  68. 内海清

    ○内海(清)委員 もちろん法律は、船舶の安全性が第一義になるということは当然であります。しかしながら、現在までのこの制度におきまして、それが行なわれてきておる。それを一挙に、そういう人間性を無視してやってもよろしいということにはならぬと私は思う。第一義的には、もちろん船舶の安全ということを考えなければならぬ。安全があって初めてそこに人間性も生まれてくる。けれども、そういうものを全然無視してしまうというところに、多くの問題が発生してくると思う。特に労使関係におきましても、さようであります。それらにつきましては、今後もさらに一顧だにされないお考えでありますか、いかがですか。
  69. 若狹得治

    ○若狹政府委員 安全性の最大限度を法律によって規定いたすわけでございますし、それ以上の船員の厚生あるいは文化生活の面につきましては、当然労使間においてお話し合いが行なわれることとわれわれは考えておりますけれども、われわれ労働関係を担当いたす者といたしましては、そういう話し合いが円満に行なわれ、船員の文化生活もさらに充実するような方向に進むことを希望するわけでございます。しかしながら、法律の問題は、あくまでも安全の問題に限定すべき問題であるというふうに考えております。
  70. 内海清

    ○内海(清)委員 大体局長のお考えはわかりましたが、この点でただいまの御答弁ははなはだ遺憾であると思うのであります。やはり法といえども、その基本をなします人間性の問題については、十分考慮さるべきである、私はかような考えを持っておるのであります。この点につきましては、労使間において考えるべきであると言うが、特に船員問題を担当しておる局としては、十分なる指導的な態度が必要であると私は思う。それがなければ、決して船員の対策ということはうまくいかぬと思う。その点に対する御所見はいかがですか。
  71. 若狹得治

    ○若狹政府委員 先ほど申しましたように、船舶職員法自体におきましては、安全の最大限度を規定いたしたわけでありますけれども、船員の船内生活の向上をしめるという点については、われわれは今後ともあらゆる努力を傾けて参りたいと考えております。
  72. 内海清

    ○内海(清)委員 次に、けさほど米、オート・アラームにつきまして、いろいろ政府当局から専門的な説明もあったわけであります。これはけさ局長もお話ございましたけれども、一九二九年、海上人命安全条約で一応オート・アラームというものを認めるということは出ておる。しかし、この人命安全条約におきましても、その基本的な態度は、四六時中直接人間が耳で聞くことを原則とする、この規定はあるはずでございます。この一九二九年の場合にも、いろいろ議論があって、一応認めたけれども、その後、実際においては何ら役に立たない。形の上では認める形はしたけれども、何にも役に立たぬということで無視されてきた。そこで一九四八年になって、その性能基準というものをきわめて厳密にした、こういうことであります。さらに一九六〇年になりましては、四八年にきめたこの基準に合わないものは一切認めぬ、これはさらに内容をきびしくした、こういうふうになっておると思うのであります。従って、テストなどにおきましても、平常状態非使用状態でこれをテストしては相ならぬということになっておる。たとえばアンテナをはずしてテストをしては相ならぬというふうな規定もあるわけであります。このアンテナの問題は、私が申し上げなくとも御承知だと思う。先ほど郵政省から説明があった通りに、警急信号の場合、これは一分間やるわけで、四秒ずつ十二回で、その間に一秒の間隔を置くということになっておるのであります。ところが、これがアンテナを張っておる場合は、混信とかあるいは空電等でこれが役に立たぬ場合がある。ベルが鳴らぬ場合がある。そこでテストもそういうふうにきめられておるはずであります。ところが、私の聞くところによりますと、船員局のお役人の方々も、二十四、五日に自民党の運輸−委員の皆さんと一緒に船を御視察になったようであります。二十五日の視察で、オート・アラームを装備しております三井船舶の那智山丸、このときには、私の聞いておりますところでは、アンテナをはずして、非使用状態でテストが行なわれておるということを聞いておる。局長はおいでになりましたかどうか。おいでになりました人に、その辺の状況を御質問いたしたい。
  73. 若狹得治

    ○若狹政府委員 私は、二十五日の現地視察には随行いたしましたけれども、おくれて参りましたので、そのアンテナをはずす操作が前に行なわれたかどうかということにつきましては、私は記憶いたしておりません。  なお、先ほど自民党の議員の方々と申されましたけれども、二十五日には、社会党からも御参加になって現地を視察しておいでになるわけでございます。
  74. 内海清

    ○内海(清)委員 私の聞き及んでおりますところでは、アンテナがはずされてテストが行なわれた。これでは混信、空電が入らぬわけであります。従って、オート・アラームの作動は正常に行なわれるということだと思うのです。この点は、一つ事実を明らかにしていただきたいと思います。  それからさらに二十四日には、東京港に停泊中のオート・アラームの装備船の岬丸を御視察になったようでありますが、このときに、船舶通信士との話もあったようであります。これによりますと、本船の通信士は、四月以降だけでも六回SOSを聞いているが、オート・アラームは一回も作動したことがない、従って、通信士のかわりにはならぬ、ほんの気安めであるということを強調したというふうに聞いておりますが、このことは事実でございましょうか。
  75. 若狹得治

    ○若狹政府委員 そういうような説明があったことは、事実であると考えております。ただ当時通信士は、テストをすればこのオート・アラームは作動いたしますということは、何回も繰り返して申しておりました。従いまして、警急信号が過去において発信されたときになぜ作動しなかったかというような説明は、私どもには了解できなかったわけでございます。今先生のおっしゃいましたような、そういう御説明があったことは事実でございます。
  76. 内海清

    ○内海(清)委員 この点を一つ——六回のSOSを発せられたが、オート・アラームが作動しなかったということの事実、これらについて一つ調査いただきたい。これは船員の通信士の方が申しておるのでありますから、われわれが調査したのでは、まだいろいろあると思うのです。当局でその事実について御調査願って、御報告願いたい。そういうことを言っておるのでありますから、私はそのことを信じまして、一つこれを御要求いたします。
  77. 若狹得治

    ○若狹政府委員 今の御質問では、六回のSOSの発信があったけれどもオート・アラームば作動しなかったというふうな御質問であるかと存じます。けれども、当時の御説明は、耳で聴守いたしましたのは六回ありましたけれどもオート・アラームによっておりますときにSOSを受信したことはございませんという御説明でございまして、従いまして、そのオート・アラームによる聴守の時間中に、はたしてSOSが発信されたかどうかという点は、われわれにははっきりしないわけでございます。それから、たとい発信されても、何がゆえにそれが受信できなかったかという点につきましても、われわれは明確な結論を出すことはできないだろうと存じます。そういうような状態でございますので、御説明申し上げておきます。
  78. 内海清

    ○内海(清)委員 これは実際そういう話を聞かれて、それに不審を持ちながら明らかにされぬということはおかしい。これは私、今申し上げましたように、四月以降だけでも六回SOSを聞いておるが、オート・アラームは一回も作動したことがない、こういうことをおっしゃっている。そういうふうに言ったというのであります。それがどういうことでそうなったかということを、実際そこに行かれて、事情を聞かれて、それを究明されないということは、私はちょっと納得がいきません。それでは御視察になった目的に合わぬのじゃないか。でありますから、これは場合によれば、そういう人も、可能ならばこちらにおいで願ってお話を聞いてもいいと思いますけれども、それもあれでありますから、一つこの点につきましても調査して、われわれが言うことはわからないのだということだけでなしに、今この問題が非常に論議の中心になっておるときであります。そういうときに、この問題をこのままにしておくことは、私はいかがかと存ずるのでございます。これについても御調査願いたい。もし困難であるならば、私の方でできるだけの調査はしてもいいと思います。いかがでございましょうか。
  79. 若狹得治

    ○若狹政府委員 六回のSOSの受信があったということでございますけれども、それは通信士が勤務いたしておる間に六回の警急信号を聞いたということであります。従って、その間はオート・アラームが作動しないのは当然でございます。通信士が休んでいる場合にオート・アラームが鳴ったか鳴らなかったかという点、その間にはたして警急信号の発信があったかどうかという問題になると存じますけれども通信士現実に勤務いたしておる間は、当然オート・アラームを使わないで、自分の耳で聞くわけでございますので、その間オート・アラームは働かないのは当然のことでございます。
  80. 内海清

    ○内海(清)委員 今の局長のお話はおかしい。さっきは、そういうことを聞いたが、原因はわからなかったとおっしゃる。今は、それとは違うじゃありませんか。だから、そういう点が明らかにされなければならぬ。その点いかがですか。
  81. 若狹得治

    ○若狹政府委員 私の申し上げておりますのは、過去におきまして、岬丸のオート・アラームは一回も動かなかったということの原因につきまして申し上げたわけであります。六回の警急信号にオート・アラームが作動しなかったということにつきましては、先ほど申し上げましたように、これは通信士が直接耳で聞いておるわけでございますから、その間にオート・アラームは作動するわけはないのであります。従いまして、それ以外の、通信士が執務しておらない時間においてオート・アラームが作動しなかったという原因は、はたしてオート・アラームの故障によるものであるか、あるいはその期間たまたまSOSの発信がなかったものであるか、そういう点について、われわれは当時の説明でははっきりした回答を得ることができなかったということでございます。
  82. 内海清

    ○内海(清)委員 どうもおかしいですよ。私が申し上げましたのは、もう一ぺん読み上げますと、四月以降だけでも六回SOSを聞いておるが、オート・アラームは一回も作動したことがない。この言葉について、私は先ほどあなたに質問した。そうすると、あなたの言われることは全部矛盾じゃないですか。いかがでございますか。
  83. 若狹得治

    ○若狹政府委員 四月以降六回の警急信号を受信した、けれどもオート・アラームは動かなかった、そういう説明でございましたけれども、六回の警急信号は、通信士が現に執務中に自分の耳でキャッチした信号である。それ以外の時間はオート・アラームによっておるわけでございまして、その期間においてオート・アラームが作動しなかったということは、先ほどから申し上げておりますように、はたしてSOSの信号が出たけれどもオート・アラームが動かなかったものか、あるいはSOSの号がたまたま発せられなかったものであるかという点についての、はっきりした事実をわれわれはそこでつかむことはできなかったということを申し上げてるおわけであります。
  84. 内海清

    ○内海(清)委員 私は、この言葉から申しますと、こう解釈しておる。オート・アラームについては、私よりあなたの方が専門家だと思いますけれども、四月以降六回聞いたが、オート・アラームは作動しなかったということは、もちろん聞いたということは、自分が耳で聞いておったに違いない。ところが、オート・アラームが作動しなかったということを言う以上は、そのときもオート・アラームを作動するような状態に置いておったからこそ、この言葉が出たと思う。まあこのことはあなた方聞かはたのですから、そこの状態について一度御調査いただきたい。もし何なら私の方で調べてもいいと思います。その点を一つお願いいたします。どうですか、その点は。
  85. 若狹得治

    ○若狹政府委員 われわれのところでできるだけ調査いたしますけれども、今先生のおっしゃいました問題につきましては、通信士が直接聴覚によって聴守する。すなわち、勤務いたしておる間はオート・アラームによってないわけでございます。オート・アラームはかけておらないわけでございます。従って、就寝しておる場合だけオート・アラームを使っておるわけでございます。その間にはたして警急信号の発信があったかどうかという問題については、はっきりした事実をつかむことができなかったということを申しておるわけであります。
  86. 内海清

    ○内海(清)委員 あなたの言われることはわかりますよ。それはかけておらぬときに鳴らぬことはあたりまえです。これは当然なんです。ところが、この言葉から言えば、そうはとれぬじゃないですか。この言葉から言えば、そうとれますか。もう一度読みます。「四月以降だけでも六回SOSを聞いているが、オート・アラームは一回も作動したことがない。」この六回に対して一回も作動したことがない。(「かけていなければ聞こえるはずがない」と呼ぶ者あり)もちろん、かけてなかったら、そのことは明らかですよ。かけてなかったかあったかということは、これではわからぬ。だから、この言葉通りに解釈すれば、私の解釈が出てくる。これは間違いでしょうか。
  87. 若狹得治

    ○若狹政府委員 私は、直接現場で通信士説明を聞いたわけでございます。けれども、私は六回の警急信号は耳で直接聞きました。しかし、オート・アラームはそれ以外の時間にかけておりましたけれども、その時間にオート・アラームは作動しませんでした、というふうな説明というように了解したわけでございます。むしろ常識的にも当然の説明であるというふうに考えているわけでございます。  ただ、その原因につきましては、SOSの発信があったものかどうか、あるいは機械整備が十分行なわれておったものであるかどうかという点については、原因をはっきりとつかむことができなかったというわけでございます。
  88. 内海清

    ○内海(清)委員 この問題は、押し問答したところで、ここで結論は出ませんが、私の方も一ぺん調査してみます。が、一つ局長の方でも、可能ならば御調査願いたいと思います。  本日は、これで一応終わります。以後の質問は、次会に保留いたします。
  89. 木村俊夫

    木村委員長 次会は、二十九日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十四分散会