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近藤(清)
参考人 昭和三十九年の
オリンピック時にあたりまして、われわれ
ホテル協会の中に
オリンピック準備
委員会というものをつくりまして、それで受け入れについて万全を期そうということで、いろいろ検討いたしてございます。
なお、受け入れにつきまして、
オリンピックの観客を
宿泊させる
ホテルその他の数を申し上げますと、現状におきましては、
東京では二十八軒の
ホテルがございます。この中には一部軍が使ったりしておりますけれ
ども、その室数は大体五千七百くらい、
収容人員は九千五百名、それから横浜、湘南、伊豆、
箱根等の、
先ほど観光局長の
お話がございましたように、一時間半以内で
東京に出てくることの可能な地区の
ホテルが二十二ございます。この室数が約千二百ございます。
収容人員が三千四百二十名、こういう現況でございます。三十九年の
オリンピック時の
宿泊収容
状況は、目下
計画いたしておりますもの及び建築中のものなどを合わせますと、
東京の
ホテルの数は約四十軒くらい、約十二軒くらい増加の予定でございます。室数が九千くらい、それから
収容人員が一万五千四百くらい、それから横浜、湘南、伊豆、
箱根地区におきましては、
ホテル数が三十一軒くらい、室数が二千六百九十くらい、その
収容人員が五千四百くらいになる
計画でございます。これは必ずしも
運輸省の
数字と一致しないかもしれません。これはわれわれの方でいろいろ集めました情報あるいは
計画でございますので、その点は
一つお含みおきいただきたい。これはあくまでも
計画でございまして、必ずしもこれが実現されるとは限りません。それにはいろいろ目下問題がございまして、融資の問題などはまず一番先に考えていただかなければならないのではないかと存ずる次第でございます。御
承知のように、
ローマで
オリンピックが開催されましたときには、
ホテル資金法というものがございまして、そしてかなり申請に近い
数字を融資されたように聞いております。なお、その返済期限も二十五年くらい、それから利率も年五分くらいの非常に安い利率で融資されておる、こういうふうに聞いておりますので、
わが国におきましてもそういう融資ができますれば、大へんありがたいものではないかと考えるのでございます。そうしますと、目下
計画の足踏みをしております
ホテル業者におきましても、これが呼び水となって
ホテル建設の意欲を燃やすというふうにも考えられる次第でございます。
次に、
ローマと
日本の
宿泊料の相違でございますけれ
ども、
ローマにおきましては、
イタリアの政府が特に
オリンピック料金というものを認めまして、一割あるいはそれ以上の増額をした、そして
予約金等も、食事を朝あるいは昼、晩一食をつけたものの値段で
宿泊予約をしておったそうでございますが、われわれの方におきましてはそういう轍を踏まないように、
予約の受け入れを考えまして、部屋代は現行の料金で一応
予約を受け付ける、しかし、物価の高騰などによりまして三十八年の十二月三十一日までに著しい変動のありましたときには、
ホテル協会の
オリンピック準備
委員会において協議をして、そしてこの値段をきめるというふうな考えも持っております。もちろん、このときには、
運輸省におきまして料金の届出制という法律がございますので、
運輸省にもいろいろ御相談をしてやっていきたいと考えておる次第でございます。
なお、ただいままでの受付
予約の申し込み
状況と申しますか、外国から
オリンピック時に部屋をとってくれという申し込みが約千六百件、人員にしまして一万五千五百名くらい来ております。しかし、われわれの方の申し込みの受付期間は十二月の一日からということになっておりますので、まだそれを全部受け付けてはございませんけれ
ども、逐次増加をしているように考えられます。これは八月末日現在でございます。
それからなお、この受け入れにつきましても、先ほど
間島さんからも
お話のございましたように、もしできますれば
宿泊インフォーメーション・
センターというものを早く作っていただいて、そうして混乱を防ぎたい、こういうふうに考えております。それはどういうことかと申しますと、こういうふうにもう一万五千五百も申し込みがきておる。実際において部屋の数は二万そこそこというようなことでございますと、おそらく、Aの
ホテルへ申し込みが参りまして、Aの
ホテルは一ぱいだと、
ホテルはやむを得ずその
お客さんは断わらなければならない。お気の毒だけれ
ども部屋はございません。しかし、もしこういう
宿泊センターのようなものがございますれば、そのときに、こういうBの
ホテルあるいはCの
ホテルというような
ホテルがあるけれ
ども、そこへお泊まり願えないかというふうな
インフォーメーションもできますので、これはぜひ早急に設置していただきたいと
お願いする次第でございます。
それから最近の問い合わせには、特に遊飲税のことをやかましく言ってくる
お客さんが相当ある。遊飲税はいつ廃止されるか、あるいは、
オリンピックのときには遊飲税は現行のままかというような問い合わせも相当あるわけです。それにつきまして、われわれも今のところはわからぬという返事しか出せない。それと、その遊飲税に伴いまして、この四月一日以降われわれのところへ各
ホテルなどにもたくさんの苦情がきておる。特に
ホテルで勘定をして出ますときには、
お客さんと
ホテルの会計係とけんかのような状態を起こすことがままあるわけです。そして
お客さんは金を投げつけていったり、あるいはまた、その分だけ払わないでいくというようなことで、かなり問題を起こしておる。なお、
参考までに申し上げますと、手紙がたくさんきております。抜粋いたしますと、国際的に考えても
世界一高いじゃないか、アメリカあたりでも大体三%くらいだ、
日本で一割ということは、とても
観光国として考えられないというようなこと、それから中には、基本的人権の侵害だ、人間に与えられた衣食住のうちの食住に対してこういう高額な課税をするということは、どういうことか。これはわれわれがまるでそういう税金をとっているようなことを言われます。それから、こういう高い課税に対して何ら見返りがないじゃないか、高いから道路がいいとか、高いからこういうものがあるからということであればいいけれ
ども、道路は悪いし、何にも見返りがないじゃないか、こういうことです。それからもう
一つは、
ホテルの食堂と外部の食堂の課税の問題、
ホテルの食堂でも現金で払ってしまえば課税の
対象にはなりません。しかし、
ホテルでもしサインをして、それをビルの方へ回して部屋代と一緒に合算して払いますと、たとえ五百円未満のものにつきましても一割の課税をする。ところが、表に出て五百円未満のものを食べますと、そこで現金を払いますので課税の
対象にならぬ、こういうことは非常に不均等なことではないか、この
説明がどこへ行っても十分ではない、こういう
説明をもう少ししなければ、
日本には
オリンピックをやる資格がないじゃないか、こういうようなことであります。それと、サービス料に対して課税をするということはとんでもないことだ、
世界の笑い話じゃないか。これは名前はサービス料となっておっても、外国人にしましてはチップでございます。チップというものは、
お客さんのサービス業者に対する好意のしるしだ、それに対して税金をかけるということはとんでもないことだ、こういうことを
ホテル業者及び
観光業者が黙っているということはおかしいじゃないか、こういうことについてもっと
日本人は考えていかなければならぬ、外国人に対しても、こういうこまかいことも、どうしてこういうようになるかという税体系をPRしてもらわなければ困る、こういうような苦情がたくさん参っております。それと、かなり問題になりましたのは、
東京都で今年水飢饉だった。
日本に来て、水がなくて顔も手も洗えないというようなことは、考えてもみなかった。来てみたら、お湯にも入れない、そうして高額な
ホテル料金その他をとられて、まっ黒い顔をして帰らなければならぬということでは、もう再び
日本には来たくないというような苦情の手紙が数百通参っております。かようなことな
どもございますので、
一つこの
委員会におきましてもこういう面を御検討の上善処していただきたいと存じます。
なお、われわれの方の
従業員の訓練につきましては、別に
オリンピックだからどうするという訓練でなく、訓練は絶えず続けてやっております。しかしながら、特に
オリンピックという、
世界各国からいろいろの方が見えますので、語学の面とか、その国の習慣、風俗などはいろいろな点で研究をして教育をいたしております。
なお、申し忘れましたけれ
ども、先ほどのわれわれの方の
ホテル協会の会員以外の
ホテルも若干ございますので、こういう
ホテルにも呼びかけまして、そうして外人を収容できるように
協力を求めております。この数が大体五百名くらいあるのじゃないかと考えられます。これは昨年ロータリーがございましたときに
協力を願っておりますので、今後
協力していただけると考えております。
以上、簡単でございますけれ
ども、これをもって終わらせていただきます。