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1962-10-31 第41回国会 衆議院 オリンピック東京大会準備促進特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十月三十一日(水曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 伊能繁次郎君 理事 小金 義照君    理事 田中 榮一君 理事 山中 吾郎君       荒舩清十郎君    上村千一郎君       大沢 雄一君    金子 一平君       小平 久雄君    中村 梅吉君       藤原 節夫君    松永  東君       田原 春次君    柳田 秀一君  委員外出席者         文部事務官         (体育局長)  前田 充明君         運輸事務官         (観光局長)  梶本 保邦君         参  考  人         (東京オリン         ピック準備局         長)      関  晴香君         参  考  人         (オリンピック         東京大会組織委         員会事務次長) 村井  順君         参  考  人         (オリンピック         東京大会組織委         員会事務次長) 松澤 一鶴君         参  考  人         (東京オリン         ピック資金財団         事務局長)   近藤 直人君         参  考  人         (日本体育協会         專務理事)   竹田 恒徳君         参  考  人         (日本観光協会         理事)     間島治郎君         参  考  人         (日本ホテル協         会常務理事)  近藤  清君         参  考  人         (国際観光旅館         連盟常務理事) 福田  彰君     ————————————— 本日の会議に付した案件  オリンピック東京大会準備促進に関する件(外  客の宿泊施設等の問題)      ————◇—————
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  オリンピック東京大会準備促進に関する件、特に外客宿泊施設等の問題について調査を行ないます。  まず、参考人出頭要求についてお諮りいたします。  すなわち、本件調査のため、日本観光協会理事間島治郎君、日本ホテル協会常務理事近藤清君及び国際観光旅館連盟常務理事福田彰君、以上三名を参考人と決定し、本日その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたします。      ————◇—————
  4. 島村一郎

    島村委員長 なお、本日は委員長から、他に参考人として、東京オリンピック準備局長関晴香君、オリンピック東京大会組織委員会事務次長村井順君、同じく松澤一鶴君、東京オリンピック資金財団事務局長近藤直人君、日本体育協会専務理事竹田恒徳君の諸君にそれぞれ御出席を求めております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ、本委員会調査のためわざわざ御出席を賜わり、まことにありがとうございました。厚くお礼申し上げます。  それでは、オリンピック開催に伴う外客宿泊施設並びに観光事業受け入れ態勢整備状況について、まず政府当局よりその概要について説明を聴取し、続いて間島参考人近藤参考人福田参考人から、順次、お一人約十分程度でそれぞれのお立場より御意見をお述べいただきたいと存じます。  まず、運輸省観光局長梶本保邦君にお願いいたします。
  5. 梶本保邦

    梶本説明員 「オリンピック東京大会宿泊対策関係資料」といたしましてお手元にお届けいたしております資料につきまして、簡単に御説明をさしていただきたいと思います。  まず、第一ページに、入国外客数及び将来のその見通しの表がございますが、結局、オリンピック対策と申しましても、一体どのくらいの外人が日本へやってくるのかということを推定することから始めなければならないわけでございますので、われわれとしましては、どの程度数字が推定できるかというふうなことをいろいろのデータで考えてみたわけでございます。この数字をごらんいただきますと、最近の入国外客数というのは、大体対前年一割七分程度ずっと増加を続けております。そうしてそれがこのままの状態で参りますと、オリンピックの開かれます昭和三十九年には約四十二万人の外客数わが国を訪れるであろう、かように想定をいたすわけでございます。しかし、オリンピックがございますので、一体普通の通りの人なのか、あるいはどのくらいさらにそれに上積みされた入国外客数があるかという問題でございますが、それにつきまして、私どもは、最近三回にわたって開かれましたローマメルボルンヘルシンキの三つの場合につきまして、それぞれの国においてオリンピックの開かれました年にその国へ入って参りました外客数と、その前年の外客数と、それからオリンピックの終わりました次の年の外客数、これを比べてみたわけでございます。それからそれらの国の特殊事情をいろいろと考慮し、それから最近の日本外客の推移の状況、こういったものから、私どもとしては、この二ページのグラフにございますように、昭和三十九年には五十五万人の来訪外客があるだろう、かように想定をいたしておるのでございます。この表をごらんいただきますならば、昭和四十五年百二十五万人というふうに目標が掲げられてございますが、これは例の所得倍増計画決定最高目標でございます昭和四十五年のときにおいて、外客消費額ベースで六億一千万ドルということがすでに閣議決定なされております。その六億一千万ドルの外客消費額ベースというものを外客の人数に換算いたしてみますならば、百二十五万人という数字になるわけでございまして、それと、昨年までの実績二十四万九千人という数字をこのカーブでつないでみますと、このように非常になだらかなカーブが描かれるわけでございまして、われわれとしては、この目標数字は努力によって達成でき得る可能目標である、かように考えておるわけでございます。それで、三十九年の四十二万人、それに対して五十五万人、つまり十三万人というものが、このオリンピックの年にわが国に訪れる、より多くなるであろうところの数字、かように考えておるわけでございまして、これはイタリアの場合はわれわれにとってはあまり参考になりません。と申しますのは、年間千九百万人も訪れておりまして、日本の一年間の二十五万人と申します数字が、イタリアのわずか五日分でございます。イタリア観光客の五日分が日本の一年間の観光客である、このような状況でございますので、イタリアの場合はあまり参考にならないと思います。従いまして、メルボルンの場合とヘルシンキの場合とを比較検討いたしまして、このような数字想定いたしたわけでございます。  それだけの外客日本を訪れるというふうに仮定いたしまして、一体最高ピーク時には東京並びにその周辺にどのくらいの外客が滞在するであろうか、こういうことが次に問題になるわけでございますが、私どもは過去におけるオリンピック例等にかんがみまして、また入場券の発売の枚数、そういったいろいろの点を検討いたしまして、私どもは、最高ピーク時におきまして一日三万人という数字想定いたしておるわけでございまして、その三万人を対象にいたしまして私どもとしては宿泊対策を立てておる、かような状況でございます。  それで、一体現在、登録ホテルとか登録旅館といわれるものがどのくらい、どの地方にあるかということが問題になるわけでございますが、それが六ページにございます。これは、日光、京浜湘南富士箱根伊豆というふうに、各地域別登録ホテル登録旅館の軒数と部屋数がここに書いてございます。これは全国数字でございますが、それは一体どのくらい整備をしなければ外客を受け入れられないか、逆に言えば、どのくらい整備をしなければ十分な接遇をすることができないか、こういうふうなことを一応想定いたしましたものが、次の七ページの全国整備計画でございまして、これをごらんいただきますならば、昭和三十九年の九月、オリンピックの直前までに、ホテルとしては一万七千二百室、旅館としては一万五千室の部屋数が必要である、かような整備計画になっておるのでございます。この数字を算定いたしますにつきましては、いろいろの要素を検討いたしたのでございますが、まず、オリンピックオリンピックと、オリンピックに名をかりて運輸省ホテルなり旅館整備ばかりを考えておるじゃないかというふうな御批判が一部にございますが、私どもとしては、決してそのようなオリンピックのときだけを考えた宿泊対策を立てておるわけではございません。そのあくる年の昭和四十年の来訪外客が一体どのくらいになるか、これは、私ども想定によりましても、二ページのグラフにございますように、あくる年は五十万人に下がる、かように考えております。これはヘルシンキメルボルンの場合を考えましても、その次の年には下がっておりますので、わが国だけイタリア並みに強気の想定をいたすこともどうかと思いますので、私どもは、下がるのではないか、かように考えております。従いまして、この四十年の下がったときの五十万人を対象宿泊施設を考える。そうすると、この五十万人以上のはみ出たものはどうするかという問題でございますが、それは臨時対策としていろいろの手を考えていけばいいじゃないか、そうすれば、ホテル旅館をつくっても、決してむだな施設にはならない、かような考え方をとっておるわけでございまして、そのような非常に謙虚な、じみちな計画のもとに、ホテルにつきましては一万七千二百室、旅館については一万五千室、このような想定を出したわけでございます。後ほどまた時間が許されれば、この詳細の、かけたり割ったりして出しております数字については御説明いたしますが、一応このまま進めさしていただきます。  それで、そのような数のホテル旅館をつくりますのにどのくらいの融資が必要であるかということが、次に問題になるわけでございますが、それが八ページに書いてございます。これは、ホテルにつきましては、デラックスなホテルをつくれば非常に切りのない話でございます。また日本旅館にいたしましても、床柱一本に非常に高価な材木を使えば、幾らでも金のかけられることでございますが、やはり宿泊料金を低廉なものにしていきたいというふうな私ども立場、また低所得者層がだんだんと外客としてふえてきつつあるという観光界の動向、こういったものを考え合わせますならば、いたずらにデラックスなホテル旅館をつくるばかりが能ではない、かように考えておるわけでございまして、ホテルにつきましては一室五百万円見当ホテル旅館につきましては一室当たり二百万円、坪当たり二十万円見当、かような想定をいたしております。それの総工費の三分の一は財政投融資つまり開発銀行あとの三分の一は市中銀行あとの三分の一は自己資金、三分の一ずつ、かような考え方をとっております。そのようにいたしまして、ホテルについては百二十三億三千万円、旅館については四十三億四千万円、来年度は開発銀行並びに北海道、東北開発公庫として七十億、旅館中小企業金融公庫対象といたしまして十五億、合わせて八十五億というものが私ども要求として出しておる数字でございます。  それから東京並びにその近辺のホテル旅館の数でございますが、これは九ページに書いてございます。これは東京都二十三区、横浜、逗子、藤沢というふうに、これらの地域におきましてどのくらいのホテル旅館があるかという数字でございます。一番いいことは、東京都二十三区内にすべての人が収容できる設備があればこれに越したことはないわけでございますけれども、とてもそういったことは望めませんので、一応広軌幹線が完成した暁を想定いたしまして、東京まで一時間半程度で到着し得る範囲を宿泊可能地域として私どもは考えた次第でございます。そのようにいたしました地域が、ここに書いてございますような、箱根までずらっと並べております地域でございますが、この地域においてホテルが四千九百六十六、つまり約五千、それから旅館が二千七百二十三、約二千七百、こういうふうな数字現有施設としてはなるわけでございます。  その次に、十ページ、十一ページがございますが、これは省略さしていただきまして、十二ページ、つまり三万人をどのようにして受け入れるかという問題でございますけれどもホテルで一万三千五百人、旅館で四千七百人、合わせて一万八千二百人、それから、これではもちろん足りませんので、ユースホステルで一千人、旅館の改造で二千百人、船中泊で四千人、それでもまだ足りないわけでございまして、その足りない分は、私どもとすれば、いわゆる民泊と申しますか、民間の方にお願いをいたしましてそして宿泊をさしていただくというその民泊、あるいは公共用のアパートというふうなところを一時拝借するというふうな方法、あるいはまたキャンプというふうなことも考えられるのではないかと思うのでございますが、とにかくあらゆる手を尽くして残りの数字をカバーするというふうなことを考えておるわけでございます。それで、この収容人員が、ホテルで申しますと一万三千五百人、所要のベッド一万室、既存ベッドは、先ほど申し上げましたように五千室ございますので、もう五千室つくらなければならない。旅館の場合は千八百室つくらなければならない、こういうふうなことになって参るわけでございます。  なお、この備考欄同伴係数というのがございます。また、外客利用率というのがございますが、同伴係数は、ただいまのところは、最近の統計によりますと一・三程度、それよりちょっと低い程度でございます。つまり、十三人来られて十室あればいいというふうな格好に統計ではなっておるわけでございますが、このときには少し同伴係数を高めようじゃないかというふうなことで、一・五まで高めた数字でぎりぎり一ぱいの係数としてここに五千室というものを計上したわけでございます。それから外客利用率でございますけれども、これは外客が一体どのくらいホテルなり旅館収容力のうちで占め得るかと申しますか、提供し得るか、こういう数字でございます。これももちろんいろいろな過去のデータを調べたのでございますが、とてもこの数字まで参らないわけでございますけれどもホテルとすれば今までの最高のところを一つオリンピックのときには開放していただこうじゃないかというのが、外客利用率の九割でございます。でございますから、千室あるホテルについては、九百室はオリンピックのための来訪外客のために開放していただく、こういうふうな上でこの数字を出しておる。ほんとうにぎりぎりの線を私どもとしては出しておるわけでございます。同様に、旅館の場合につきましても七割を来訪外客に開放するということは、これはまた非常に困難であろうかとも思いますけれども、私どもとすれば、国際観光旅館連盟首脳部方々に十分私どもの衷情を披瀝しまして、そして国家的行事であるから、特にこの際はぜひこれだけの利用率をわれわれが生み出し得るように御協力を願いたいということでお願いをいたしておるわけでございます。つまりホテル旅館につきましてもそれぞれ最高限ぎりぎりの数字をはじきましたのが、このような数字に相なってくるわけでございます。私どもとすれば、先ほど来申し上げますように、決してオリンピックに名をかりた宿泊施設ではございませんで、その次の年の下がったときを目標にした宿泊対策でございますので、これだけの施段をしていただいてもむしろ足りないのであって、余るというようなことはとても考えられない状況でございます。  宿泊対策につきましては、以上の通りでございます。
  6. 島村一郎

    島村委員長 次に、間島参考人お願いいたします。
  7. 間島大治郎

    間島参考人 最初に、海外におきまするオリンピック反響ということを簡単に申し上げてみたいと思います。  私ども日本観光協会では、現在海外に十一の宣伝事務所を持っております。既存旅行業者もまた海外では相当仕事をいたしておるわけでございます。昨年以来、こういった事務所に対しましては、オリンピック東京大会に対しまして、特に宿泊方式入場券購入方式に関しまする問い合わせというものが殺到いたしております。それが最近まできまっておりませんので、非常にインフォーメーション提供に困っておったような実情でございまして、地域的に見ますと、もちろん、アメリカ、欧州各国、豪州、南米、そういうような地域におきまして非常に反響が高いのでございます。その数を把握することはなかなか困難ではございますが、たとえば日本の最大の旅行業者であります交通公社だけで、そういった具体的なインフォーメーション提供を受けて自分の方のお客になるであろうと予想されますものが、すでに本日までで一万二千人というふうな数に上っておるのでございます。こういうふうに非常に反響は大きなものがございますが、またごく一部には、この時期には非常に混雑を呈するであろうというふうな考え方で、非常にハイ・クラスの観光団はこの時期を避けようというふうな動きもございますが、しかし、全般といたしましては、むしろ彼らの要望をどのようにして満たすか、結局これも受け入れ能力の限度までしか考えられないわけでありまして、先ほど観光局長お話になりました同時滞在の人口三万人というふうな数字は、決して多い数字ではございません。結局それぐらいはどうしても整備していただかないと、海外要望にこたえることはできないのではないかというふうに考えております。観光事業にとりましては、このオリンピックは、従来普通のときはほとんど日本に来る人がなかったような国を含めて、世界のすみずみから人が来るわけであります。また、オリンピックを見るだけでなしに、日本の各地を旅行するのが通例でございますので、観光事業の見地からは、非常に日本観光宣伝上いい機会でございますので、私どもは、日本実情をよく知らせる意味観光宣伝、それから受け入れ態勢整備に努めたい、かように考えておるわけであります。観光宣伝につきましては、お手元に「ビジット・ジャパン」というフォルダーを差し上げてございます。今までは、先ほど申し上げました通り宿泊入場券購入方法がはっきりしておりませんので、宣伝にも困難を感じておりましたが、ようやくそれが決定いたしましたので、今後は本格的な観光宣伝に乗り出そう、かように考えて、お手元に差し上げましたような「ビジット・ジャパン」は、英語、フランス語、スペイン語ドイツ語で合計十万部をとりあえずつくりまして、世界各国に配布いたしております。今後におきましても同種のものその他いろいろ計画を進めております。また、日本実情を知らせる意味におきまして映画というものが非常に効果的でございますので、各種の映画を来年度中にはいろいろつくりまして、オリンピックに来るお客にあらかじめ日本のよさというものを宣伝したいということで、現在計画中のもの、撮影中のもの、たとえば「着物」あるいは「日本の国土と住民」「関西」「瀬戸内海」「日本旅館」というふうなものが、現在すでに着手しておるか、あるいはまた来年度中に完成いたしましてオリンピックに間に合わせたい、かように考えております。また、海外における宣伝網といたしましても、現在十一カ所の宣伝事務所を持っておりますが、これを来年度、再来年度で十五カ所までにいたしたい。また、世界各国宣伝嘱託員を置いておりますが、現在の十五カ国、これも倍加したい。そういった宣伝網を充実いたしまして、今後オリンピック並びに観光客のPRということには十分徹底するようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。  受け入れ態勢といたしましては、宿泊施設のことは先ほどお話があった通りであります。しかし、オリンピックには一時に多数の人が日本に参りますので、接遇上はいろいろの問題があるわけでございます。たとえば、そういった方々に十分な日本旅行に関するインフォーメーションを与えなければいけない。従来は海外だけにそういった事務所を持っておりましたが、日本国内にもどうしても必要でございますので、まず本年十二月には東京有楽町付近インフォーメーションセンターを設置する予定で現在進めております。また来年度におきましては、西の中心でございます京都、あるいは羽田空港、それから新幹線オリンピックまでには完成いたしますので、新幹線東京駅というふうなところにインフォーメーション事務所を置きまして、日本へ参りました外客に不便のないようにいたしたい、かように考えております。  次に、日本観光事業で非常に大きな問題は言葉の障害でございます。これにつきましてはいろいろ対策もございますが、あと二年という期間で日本のそういった観光関係のある人たち能力を高めるということも非常に困難ではございますが、できるだけ英語によります表示あるいは図板というふうなものを関係方面お願いして整備していただく必要があると思います。また語学の問題にいたしましても、もちろん関係従業員の教育ということには力を入れるつもりではございますが、またそういった人たち並びに外客にも十分利用できる会話書というようなものをつくりたいと思って計画を進めております。話はできなくても、その会話書を指さすことによって用が弁ぜられるというふうなものにしたい、かように考えております。それからガイドの養成が問題でございます。現在ガイド国家試験制度になっておりますが、ガイドを専業といたしております者は非常に少なく、また必ずしもガイド能力が十分ではございません。毎年私どもの方でガイド研修会というふうなものをやっておりますが、これをさらに強化して、また多量に養成したいと考えております。また、オリンピック時におきましては、臨時にこのガイドに従事する者に対する特別措置というものをとっていただく必要がある、かように考えております。  それから宿泊の問題に関連いたしまして、今後十二月一日にいよいよ予約が開始されるわけでございます。しかし、これにつきましては、おそらくいろいろな問題が発生すると思います。ローマオリンピックの例を見ましても、やはり宿泊につきましては、全体の状況を把握いたしまして、そして十分なインフォメーションが提供できるような宿泊センターとでもいうべき組織が必要ではないか、かように考える次第であります。  それからもう一つ、いろいろな問題がございますが、ローマオリンピックで失敗しました一つの大きな理由は、御承知通りオリンピックに際しましてホテル料金等を非常に値上げした、また非常に窮屈な予約制度をとりましたために、評判が悪くて、実際はオリンピックを開いてみますと宿泊施設が余ったというふうな状況でございます。日本におきましてはそういった轍を踏まないように、また、これが日本観光事業の成果というものを世界じゅうに宣伝し得るいい機会だという意味におきまして、関係業者方々に十分な協力を得たい、かように存ずる次第でございます。そういう意味におきまして、最近、御承知通り四月一日から、従来ございました外客に対する料理飲食等消費税の免税が撤廃になりまして、その分だけ外客はよけいの金を払わなければならないことになった、これの外客に対する反響はかなり強いものがございまして、必ずしも日本ホテル料金というものは安くない、その上に税金分だけ高くなるということで、ことしに入りましてから観光のための外客日本へ参ります数の伸びが少し落ちて参りましたのも、こういったことが影響しておるのではないかというふうに心配いたしておるわけであります。オリンピックを控えまして、こういった点に対しまして何らか特別な御配慮を関係方面方々お願いいたしたい、かように存ずる次第でございます。
  8. 島村一郎

  9. 近藤清

    近藤(清)参考人 昭和三十九年のオリンピック時にあたりまして、われわれホテル協会の中にオリンピック準備委員会というものをつくりまして、それで受け入れについて万全を期そうということで、いろいろ検討いたしてございます。  なお、受け入れにつきまして、オリンピックの観客を宿泊させるホテルその他の数を申し上げますと、現状におきましては、東京では二十八軒のホテルがございます。この中には一部軍が使ったりしておりますけれども、その室数は大体五千七百くらい、収容人員は九千五百名、それから横浜、湘南、伊豆、箱根等の、先ほど観光局長お話がございましたように、一時間半以内で東京に出てくることの可能な地区のホテルが二十二ございます。この室数が約千二百ございます。収容人員が三千四百二十名、こういう現況でございます。三十九年のオリンピック時の宿泊収容状況は、目下計画いたしておりますもの及び建築中のものなどを合わせますと、東京ホテルの数は約四十軒くらい、約十二軒くらい増加の予定でございます。室数が九千くらい、それから収容人員が一万五千四百くらい、それから横浜、湘南、伊豆、箱根地区におきましては、ホテル数が三十一軒くらい、室数が二千六百九十くらい、その収容人員が五千四百くらいになる計画でございます。これは必ずしも運輸省数字と一致しないかもしれません。これはわれわれの方でいろいろ集めました情報あるいは計画でございますので、その点は一つお含みおきいただきたい。これはあくまでも計画でございまして、必ずしもこれが実現されるとは限りません。それにはいろいろ目下問題がございまして、融資の問題などはまず一番先に考えていただかなければならないのではないかと存ずる次第でございます。御承知のように、ローマオリンピックが開催されましたときには、ホテル資金法というものがございまして、そしてかなり申請に近い数字を融資されたように聞いております。なお、その返済期限も二十五年くらい、それから利率も年五分くらいの非常に安い利率で融資されておる、こういうふうに聞いておりますので、わが国におきましてもそういう融資ができますれば、大へんありがたいものではないかと考えるのでございます。そうしますと、目下計画の足踏みをしておりますホテル業者におきましても、これが呼び水となってホテル建設の意欲を燃やすというふうにも考えられる次第でございます。  次に、ローマ日本宿泊料の相違でございますけれどもローマにおきましては、イタリアの政府が特にオリンピック料金というものを認めまして、一割あるいはそれ以上の増額をした、そして予約金等も、食事を朝あるいは昼、晩一食をつけたものの値段で宿泊予約をしておったそうでございますが、われわれの方におきましてはそういう轍を踏まないように、予約の受け入れを考えまして、部屋代は現行の料金で一応予約を受け付ける、しかし、物価の高騰などによりまして三十八年の十二月三十一日までに著しい変動のありましたときには、ホテル協会のオリンピック準備委員会において協議をして、そしてこの値段をきめるというふうな考えも持っております。もちろん、このときには、運輸省におきまして料金の届出制という法律がございますので、運輸省にもいろいろ御相談をしてやっていきたいと考えておる次第でございます。  なお、ただいままでの受付予約の申し込み状況と申しますか、外国からオリンピック時に部屋をとってくれという申し込みが約千六百件、人員にしまして一万五千五百名くらい来ております。しかし、われわれの方の申し込みの受付期間は十二月の一日からということになっておりますので、まだそれを全部受け付けてはございませんけれども、逐次増加をしているように考えられます。これは八月末日現在でございます。  それからなお、この受け入れにつきましても、先ほど間島さんからもお話のございましたように、もしできますれば宿泊インフォーメーションセンターというものを早く作っていただいて、そうして混乱を防ぎたい、こういうふうに考えております。それはどういうことかと申しますと、こういうふうにもう一万五千五百も申し込みがきておる。実際において部屋の数は二万そこそこというようなことでございますと、おそらく、Aのホテルへ申し込みが参りまして、Aのホテルは一ぱいだと、ホテルはやむを得ずそのお客さんは断わらなければならない。お気の毒だけれども部屋はございません。しかし、もしこういう宿泊センターのようなものがございますれば、そのときに、こういうBのホテルあるいはCのホテルというようなホテルがあるけれども、そこへお泊まり願えないかというふうなインフォーメーションもできますので、これはぜひ早急に設置していただきたいとお願いする次第でございます。  それから最近の問い合わせには、特に遊飲税のことをやかましく言ってくるお客さんが相当ある。遊飲税はいつ廃止されるか、あるいは、オリンピックのときには遊飲税は現行のままかというような問い合わせも相当あるわけです。それにつきまして、われわれも今のところはわからぬという返事しか出せない。それと、その遊飲税に伴いまして、この四月一日以降われわれのところへ各ホテルなどにもたくさんの苦情がきておる。特にホテルで勘定をして出ますときには、お客さんとホテルの会計係とけんかのような状態を起こすことがままあるわけです。そしてお客さんは金を投げつけていったり、あるいはまた、その分だけ払わないでいくというようなことで、かなり問題を起こしておる。なお、参考までに申し上げますと、手紙がたくさんきております。抜粋いたしますと、国際的に考えても世界一高いじゃないか、アメリカあたりでも大体三%くらいだ、日本で一割ということは、とても観光国として考えられないというようなこと、それから中には、基本的人権の侵害だ、人間に与えられた衣食住のうちの食住に対してこういう高額な課税をするということは、どういうことか。これはわれわれがまるでそういう税金をとっているようなことを言われます。それから、こういう高い課税に対して何ら見返りがないじゃないか、高いから道路がいいとか、高いからこういうものがあるからということであればいいけれども、道路は悪いし、何にも見返りがないじゃないか、こういうことです。それからもう一つは、ホテルの食堂と外部の食堂の課税の問題、ホテルの食堂でも現金で払ってしまえば課税の対象にはなりません。しかし、ホテルでもしサインをして、それをビルの方へ回して部屋代と一緒に合算して払いますと、たとえ五百円未満のものにつきましても一割の課税をする。ところが、表に出て五百円未満のものを食べますと、そこで現金を払いますので課税の対象にならぬ、こういうことは非常に不均等なことではないか、この説明がどこへ行っても十分ではない、こういう説明をもう少ししなければ、日本にはオリンピックをやる資格がないじゃないか、こういうようなことであります。それと、サービス料に対して課税をするということはとんでもないことだ、世界の笑い話じゃないか。これは名前はサービス料となっておっても、外国人にしましてはチップでございます。チップというものは、お客さんのサービス業者に対する好意のしるしだ、それに対して税金をかけるということはとんでもないことだ、こういうことをホテル業者及び観光業者が黙っているということはおかしいじゃないか、こういうことについてもっと日本人は考えていかなければならぬ、外国人に対しても、こういうこまかいことも、どうしてこういうようになるかという税体系をPRしてもらわなければ困る、こういうような苦情がたくさん参っております。それと、かなり問題になりましたのは、東京都で今年水飢饉だった。日本に来て、水がなくて顔も手も洗えないというようなことは、考えてもみなかった。来てみたら、お湯にも入れない、そうして高額なホテル料金その他をとられて、まっ黒い顔をして帰らなければならぬということでは、もう再び日本には来たくないというような苦情の手紙が数百通参っております。かようなことなどもございますので、一つこの委員会におきましてもこういう面を御検討の上善処していただきたいと存じます。  なお、われわれの方の従業員の訓練につきましては、別にオリンピックだからどうするという訓練でなく、訓練は絶えず続けてやっております。しかしながら、特にオリンピックという、世界各国からいろいろの方が見えますので、語学の面とか、その国の習慣、風俗などはいろいろな点で研究をして教育をいたしております。  なお、申し忘れましたけれども、先ほどのわれわれの方のホテル協会の会員以外のホテルも若干ございますので、こういうホテルにも呼びかけまして、そうして外人を収容できるように協力を求めております。この数が大体五百名くらいあるのじゃないかと考えられます。これは昨年ロータリーがございましたときに協力を願っておりますので、今後協力していただけると考えております。  以上、簡単でございますけれども、これをもって終わらせていただきます。
  10. 島村一郎

  11. 福田彰

    福田参考人 私、旅館立場から簡単に御説明申し上げます。  御承知のように、旅館と申しましても、非常に種類が多うございます。先ほど観光局長からお話がございました政府登録から始まりまして、一般国内旅客を対象とした旅館まで入れますと、東京都内だけでも約二千軒ございます。きょう私の立場から申し上げますことは、外人客を主として泊めても差しつかえのない旅館、あるいは東京都のオリンピックに対して協力を申し出た旅館という立場でございますので、この軒数は、東京及び熱海、箱根、伊東まで入れましても百軒そこそこでございます。従って、全般の旅館という考え方から参りますと、比率は非常に低うございますが、昨年のロータリーの場合におきましても、外人を泊めてその実績を上げたわけでございまして、われわれとしても、その範囲内においては、従来のホテルだけに依存するのだという考え方をやめまして、できるだけ旅館としても独自の立場から外人を受け入れようじゃないかという考えの百軒でございます。  しからば、その百軒がどういうふうな状態になっておるかと申しますと、先般東京都でオリンピックに対して協力を申し出ました部屋数を申し上げますと、現在のところ、京浜地区で三百九十室でございます。それから箱根が四百九十六室、湯河原が二百十一室、熱海地区が八百八十四室、伊東地区が百三十室、合計二千百十一室でございます。これはオリンピック開催までには多少増加の見込みでございますし、現在確実に増加するものだけでも東京地区で約四十五室ほどございますが、今申し上げました数字は、ことしの四月に実際に調査したときの数字でございます。  それから先ほどホテル協会の方からもお話がございましたが、ホテル旅館の建設資金の融資の問題がもう少しスムーズに参りましたら増加するという具体的な数字は、ことし開発に融資を申し入れたにもかかわらず、これが通らなかったという部屋数が約三十五室ございます。これがもし通っておれば、当然オリンピックまでには三十五室ふえるであろう。それから開発銀行のみならず、中小企業金融公庫等の貸出金額をもう少しふやしていただければ、せめて五千万くらいまでにしていただければ、何も十室、二十室という大きな数字でなくても、五室、あるいは改造という数字が相当出てきまして、何分にも軒数が多うございますから、たとい一軒五室ずつやりましても五百室ふえるわけでございまして、こういった点で何とか現状に合った貸出金額を認めていただけたらと、こういうふうに思っております。  それから旅館立場から申しまして、一般と多少違っておる点を申し上げますと、これは最初に、オリンピックに対してどういうふうな形で協力してくれるかという会合が東京都の要請でございましたときに、私ども旅館の代表は、何分にも外客にはふなれであるということから、できれは東京都あるいはそれにかわる機関において、宿泊のコントロールと申しますか、何かそういった事務局をつくってもらえないだろうか、これは換言いたしますと、先ほど近藤さんからお話のありました宿泊インフォーメーションセンターといったものになると思いますが、当時としては私どもはそこまでは考えておりませんでしたが、ただふなれな旅館も中にはあると思いますので、そういったもののコントロールをスムーズにするためには、どうしてもそういう中心部において全体を把握する部門がなければ困るという考えでございましたが、当時の情勢としては、それをまだつくるところまでいかないということでございましたので、現在のこの百軒の旅館におきまして、特にほかと変わっておりますことは、外客予約に関しては一切エージェントを通す、つまり旅館に独自に申し込まれた外客に対しても、一応外客の取り扱いになれておるJATAと申しますか、これは観光局で、特に外人観光あっせん業者として認定を下しておる団体がございますが、そのJATAのメンバーにその客を還元する、そしてそこで事務的な処置をしていただいて旅館に返ってくる。これは非常に繁雑なように、また客に迷惑になるようにお考えになるかもしれませんが、実際には客には負担をかけないでできるわけでございまして、エージェントに対するマージンは旅館側から支払うということで、現在もその趣旨で進んでおります。これがホテルと多少違っておる点でないかと思います。  それからもう一つ違いますことは、宿泊範囲が広うございます。つまり東京から一番遠いところは伊東まで範囲に入っておりまして、また実際にそこらあたりまでを使わなければ収容し切れないということになりますと、地方事情と申しますか、その状況によって宿泊料金の差異が現状では相当出ておるわけであります。しかし、これは特に熱海地区に泊まりたいから泊まるという客は比較的少なくて、東京には泊まれないから熱海地区あるいは箱根地区に行く客も相当多いということになると、そこに料金の差があまり目立っては不都合ではなかろうかという考えのもとに、われわれといたしましては、何かそこにある一定の線を引こうじゃないか、これも別に東京都からの強い要請があったわけでもなし、観光局からそうしろと言われたことではございませんが、いずれにしましても、同じような部屋で、片一方では三千円であり、片一方では五千円であるということではまずいのではなかろうかということで、この四月以降数回にわたり皆さんの御意向を聴取しまして、大体における料金の統制と申しますか、均一化をはかりました。これは簡単に申し上げますと、東京、熱海、箱根、伊東、いずれの地区を問わず、バス付二人部屋で十二ドル五十セントから十五ドル、バスなしの場合には、二人部屋で九ドルから十二ドルというふうな範囲をきめまして、この範囲内でやってもらおう。特別室的なものはこれ以上でやってもよろしいという例外はございますが、大体においてこういう線をきめたわけであります。  それから、これは外人の客にはあまりなじみがない制度でございますが、いわゆる旅館として従来行なわれております一泊二食付の料金、これも実際にやりますと割安の面もありますので、もし希望者があればこういう制度も採用しようじゃないかということで、今度東京都から全国へ流されますサーキュラーにはこの料金表を掲示させていただきました。  それで、旅館側として特に現在やっておりますことは、この十二月一日が予約開始日ということになっておりますが、それまでにエージェントとの話し合いをもう少し密にする。これは月に二、三回われわれオリンピックの準備委員会つまり旅館側の準備委員会でございますが、そういった連中とJATAとの打ち合わせをして今後の問題を検討する。それから部屋の改造その他については、やはり運輸省その他の指示に従って、外客宿泊規定と申しますか、そういう規格ができておりますが、なるべくそれからはずれないような線をやっていきたい。先ほど申し上げました現在の百軒以外の二千軒のうちでも、オリンピック協力してもよろしいという旅館がまだ相当数ございますが、これについての指導といいますか、今後の運び方については、現在のところまだ全然手をつけておりません。  旅館側として申し上げるようなことは、大体以上のことでございます。
  12. 島村一郎

    島村委員長 以上をもって政府当局並びに参考人からの説明聴取を終わります。     —————————————
  13. 島村一郎

    島村委員長 これより質疑を行ないます。質疑の通告があります。順次これを許します。田中榮一君。
  14. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 今回の東京で行なわれますオリンピック外客に対するいろいろな収容施設につきましては、観光局長並びに関係参考人方々から詳細承りまして、一応了承いたしたのでございまするが、これに関連しまして二、三お尋ねいたしたいと思います。  観光局長にちょっとお尋ねいたしまするが、資料の九ページに、東京都二十三区内ホテル数四千百八十一とございますが、この東京都区内四千百八十一というホテルは、どういうホテルをおとりになっての計算でございましょうか。これは普通、外人は外人、そのれから国内の商用の方々あるいは観光方々、そのほかまた必要な泊まる方もあるのですが、これはどういうのですか。お知らせを願いたい。
  15. 梶本保邦

    梶本説明員 これは現在国際観光ホテル整備法という法律がございまして、その法律に基づいていわゆる政府登録制がしかれております。つまり、外人を受け入れるにふさわしい規格を持ったホテル、こういうふうな意味で登録制がしかれておるわけでございますけれども、その登録されたホテル部屋数だけをここに書いておるわけでございます。
  16. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 先ほどホテル協会の方からのお話によりますると、東京では二十八ホテルがあって、大体五千七百室、収容人員九千五百人という御報告があったのでありますが、大体これは観光局においてもよく御了承になっておりましょうか。
  17. 梶本保邦

    梶本説明員 この機会に申し上げますが、ホテル旅館には、一番高度のものはいわゆる政府登録旅館登録ホテル、その次の段階になりますと、いわゆる国際観光旅館連盟に入っているクラス、その下のものは日本観光旅館連盟のクラス、これは昔いわゆる国鉄推薦旅館といっておりましたものが、今名を変えまして日本観光旅館連盟となっております。その下にありますもろもろのものは、いわゆる旅館業法の対象になる旅館でございまして、これは運輸省の所管外でございます。われわれとしましては、日本観光旅館連盟までが運輸省の法人として認可をいたしておりまして、そこまでを平素行政指導の対象にいたしておるわけでございます。従いまして、私どもが行政の対象として平素協会の役員の方々お話しし、かつオリンピック対象等を論議いたしますのは日本観光旅館連盟まで、かようにお考えいただきたいのでございます。
  18. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 それから、万が一ホテル旅館関係で収容のできない場合におきましては、いわゆる民泊という考え方もとられておるそうでありますが、私も前に、どうしてもホテル旅館が収容し切れない場合におきましては、相当オリンピック外客に対して好意を持っている方々の御協力をいただいて、民間人のしかるべき邸宅に宿泊お願いしたらどうかということを当委員会で申し上げたのでありまするが、現在運輸省あるいは東京都におきまして民泊に対してどのような措置をとられ、またどの程度の許諾者があったのであるか、ちょっとその点をお知らせ願いたいと思います。
  19. 梶本保邦

    梶本説明員 この民泊の問題は非常にむずかしい問題だと思うのでございますが、昨年五月二十八日から六月一日までの間開かれました国際ロータリー・クラブ東京大会における例を調べてみますと、いわゆる民泊としまして八百五十五人泊まっておられます。それは全体の数七千三百四十八名でありますが、そのうちで八百五十五人がいわゆる民泊、一割強でございます。こういうような数字になっております。しかし、ホテル旅館の場合でございますと、だんだん整備増強すれば可能でございますけれども、この民泊の場合は、昨年度とオリンピックの開かれる昭和三十九年度とそう格段の開きがあるようにも考えられないわけでございまして、いろいろ家庭の状況、それから日本家屋の構造、いろいろの問題があって、むずかしいんじゃないかと思うのでございますが、私が漏れ伺っておるところによりますと、十月十日現在でお引き受けしてもよろしいという申し出がございましたものが二百十八件、六百ベッドというふうに私は聞いております。なお、これにつきましては、ただいま一部の方で、何と申しますか、この民泊のこういった受け入れの協会と申しますか、そういったものを法人化してつくろうじゃないかというふうな動きが一部にあることも承知いたしておりますが、ただいまのところはそのような程度でございます。
  20. 関晴香

    ○関参考人 ただいまの御説明に補足して申し上げたいと存じます。東京都におきまして、いろいろ招致の責任もございます。せっかく見える外客を、一人でも希望を満たさないのはまずいという観点から、この民泊を検討いたしております。先ほどちょっと観光局長からもお話ございましたが、九月から実際に都民に呼びかけましてこの募集を始めたわけでございます。当初の見込みといたしましては、そう期待はできないということで、一応、水洗便所があるとか、あるいは若干の外国語を解するとか、そういうことで国際親善上からもぜひお願いしたいということで、広く都民に訴えておりました。もちろん、この文書の十二ページの表にございますように、計画通りホテル旅館整備されてもどうしても五千人近い不足が生ずるわけでございます。そのうちで幾らかでもこういうことで、ロータリーの例もございますので、補充できたらというところで出発いたしたわけでございます。十月一ぱいで締め切ったわけでありますが、二百三十数件、五百余室、ベッド数にしましてちょうど八百ほどのベッドがあるということで、申し込みがございました。私ども慎重にこれから現地につきまして調査いたしまして、これを活用したいというふうに考えておるわけでございますが、さらにこの調子で参りますともう少し望みがあるのではないかというふうに考えられておりますので、今後あるいは大会社の寮とか、そういうようなものをねらい撃ちにして今後協力を願っていけば、まださらにある程度の見込みはあるんじゃないかということを考えております。この運輸省の表にもございますように、ホテル以外は、この五千人の不足分に対しまして公共用アパート等、この中で民泊を考えておるわけでございますが、公共用アパートにつきましても、一応私ども都営住宅等につきまして検討いたしましたが、都営住宅は、家賃の関係から非常に近いところは全然敷地がなく、将来も期待できませんし、また設備も非常に程度が低いものでございますので、これは利用の余地はないということで、今後は政府の公営住宅の方にこの検討をお願いしたいということでお願いもしておるわけでございますが、それにつきましても、やはりこういう大会社の寮等、今後つくるもの、あるいは現在あるもので地方からのお客とか社員用の寮、こういうようなものをできるだけこの機会にあけていただければ、もう少しこの数は今後ふえるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  民泊につきましての東京都の事情を申し上げました。
  21. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 私は、この民泊の意義には二つあると思うのです。一つは、相当な家庭において外人をお泊めしてそして家庭的な雰囲気を味わってもらって、日本の国情、風俗、習慣その他を十分に理解をしてもらうという点が一つ、それからいま一つは、たとえば会社の寮であるとか、あるいは公団住宅、都営住宅、その他宿舎、そういうものに単に物質的に収容するというだけ、この二つの意味があると思うのでございます。たとえばロータリーであるとかMRAの方々をお泊めする場合におきましては、むしろ前者に属する民泊でありまして、家族的にこれを待遇して、そして日本人の考えていること、それから日本の風俗、習慣その他を十分に外客に御理解願って、そして親善の意義を果たしたい、こういう意味民泊が、私はロータリーなりMRAにおいてに多いのじゃないかと思うのであります。今回来られる外客に対しましても、できれば前者のような待遇を与えることが、一番日本に対して好感を持ってくれるのじゃないかと思うのであります。ただ収容する場所を提供するということならば、むしろこれは旅館に入れていただいた方が、向こうもビジネスにいきますから気が楽であります。そういうことでなく、特別に日本人と接触したい、日本の家庭に入って、日本人というもの、日本というものをもう少し理解したいというような方に対しましては、私は前者の待遇を与えることが最適じゃないかと実は考えているわけであります。会社の宿舎とか、あるいは公団住宅ということも、これはなければやむを得ない措置であろうと存じますが、そういうものはすべて旅館において収容できる、私はさように考えておる次第であります。  それから、日本観光協会間島理事にお伺いしたいと思うのでありますが、私は、つい最近、これはヨーロッパでございませんが、アメリカ各都市をほとんど全部歩いて参りまして、観光協会の出先の皆様方にも大へんお世話になったのでございますが、その際に、オリンピックの誘致の問題についていろいろ懇談したわけであります。その際に、出先の方々のおっしゃることは、われわれの待遇の問題もさることながら、今後オリンピック外客をアメリカ国内において誘致する場合において、何よりも一番大事なのはPRであります。ところが、このPRに関する経費がきわめて少ないのであります。たとえばアメリカで一番発行部数を出しております。日本で申しますれば雑誌の「旅」というものに該当する「ホリデイ」という雑誌があるのであります。これはどこの空港でも、どこの市内の雑誌を売っているところ、あるいは新聞を売っているところにも「ホリデイ」だけは出ておりますが、これに一回、日本宣伝の写真入りの記事を出しますと、一ページ出すだけでも少なくとも五千ドルから八千ドルかかるそうであります。ところが、一カ所に対する宣伝の経費の割当が、ニューヨークのようなところでも一万ドルあるかなしかというふうに私は聞いております。数字があるいは間違っておるかもしれませんが、その程度しか割当がない。ほかの、ホノルル等に参りますと、おそらく三千ドルくらいの経費しか一カ年において割当がないそうであります。そういたしますと、「ホリデイ」に一回広告するだけで一カ年分の経費が吹っ飛んでしまう、こういう状況で、いわんや、「ライフ」のような雑誌にはとても手が届かぬというのが、出先の方々の御意見であります。オリンピックを控えまして、三十七年、八年はもう最高宣伝時期ではないかと私は考えておりますが、そういうことに対しまして、日本観光協会の執行部としてはどういう考えをお持ちになっておりますが、それを伺いたいと思います。
  22. 間島大治郎

    間島参考人 ただいま御指摘の、海外におきますPR費が非常に足りないという先生のお話は、ごもっともでございます。実は私ども海外宣伝を始めましてから、できるだけ早く、やる以上はこのPRが徹底するように最小限度の規模を持ちたいということで、少しずつふやして参ったのではありますが、残念ながら、現状におきましては総額でまだ七万ドル程度でございます。その大部分はアメリカの、特にニューヨークで使わせておりまして、その他の事務所では多くても三千ドル、あるいは小さい事務所には千ドルぐらいしか配賦していないところもあるわけでございます。実際問題といたしまして、従来若干予算がふえましたときにも、事務所の経費でどうしても支払わなければならない人件費あるいは家賃とか、そういった削減できないような経費に優先的に充当いたして参りましたので、せっかく海外事務所で活動いたしましても十分なPRができなかったというのが現状でございます。どの程度の規模が適正かということは、これは非常にいろいろな意見がございますが、各国がやっております実情というものを参考にして考えますならば、われわれといたしましては、二十万ドル程度は要るのじゃないかというふうに考えております。しかし、私ども来年度の予算編成におきましても、いろいろな事情でそこまで持っていくことはできません。たとえば民間からの醵出金というようなものも集めなければなりませんし、その限度もございますので、来年度におきましては、たしか十二、三万ドルというふうな計画でございまして、今年よりはかなり増額しようということで進めてはおりますが、そういうところになかなか金が回らないというのが実情でございます。
  23. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 観光局長一つお尋ねいたしますが、今間島さんからお話がありましたように、私は今度来る外人の半分ぐらいはアメリカ人ではないかと思いますが、アメリカ諸都市における観光協会のPR費用というものは、今申しましたように、わずか一回雑誌に出すだけしか一カ年の経費が割り当てされていないということでありますが、この点につきましては、運輸省側も、日本観光協会に対するいろいろな財政的な措置につきましては、三十八年度、三十九年度というものは時期的に非常に重要な時期ではないかと考えておりますので、オリンピック誘致の点から考えて、相当な助成なり財政的援助をしませんと、外務省が宣伝をするにいたしましても、外務省は外務省としてのプロパーの仕事がありますので、オリンピック宣伝まで外務省にやってくれということはなかなか無理だと思います。どうしても日本観光協会が主体になって宣伝をいたしませんと、アメリカ国内においても徹底しておりません。日本国内におきましても、東京オリンピック考え方はまだ十分徹底していないのであります。いわんや外国においておやでありますので、この点は一つ観光局長を初め運輸省最高首脳部におかれましても、一つ十分お考えを願いたいと思うのであります。そういう点につきまして観光局長の御決心をお聞きしたいと思います。
  24. 梶本保邦

    梶本説明員 ただいまお話通りでございまして、日本に来る外客の五割四分がアメリカ人でございます。従いまして、日本観光業界と申しますか、観光行政の現状は、アメリカを無視しては考られないというのが真の姿でございます。そのアメリカ自体がこの十一月八日に観光局の出店を東京に開設するというふうなことで、観光ということに諸外国が非常に乗り出して参っております。非常に残念でございますが、日本自体はまだまだこの観光というものに対する考え方がおくれておるのじゃないかということを率直に認めざるを得ないと思っております。しかし、私どもとすれば、できるだけあらゆる機会に皆様方にお願いをいたしまして、さらに決意を新たにいたしまして観光国策に邁進いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  25. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 それから東京オリンピックのポスターでありますが、これは私、アメリカにおきましてどこか一流のホテルの中に張ってないかと思ってずいぶん探したのでありますが、残念ながら一枚も見当たらないのであります。そこで、あのオリンピックのポスター、スタートしようとしているポスターですが、あれは非常にできがいいというので、委員会でも諸先生からおほめの言葉にあずかったのであります。あのポスターは私は非常にできがよかったと思うのです。それで、もちろん観光協会の出張所等にはあれが張られておりますが、私はマイアミというところに参ったのでありますけれども、御存じのように、マイアミは有名な避寒地であります。そこのホテルのロビーでぽかんとたばこを吸っておったところが、ある外人が来て、三十九年には東京オリンピックが開催されるそうであるが、ホテル代は幾らかという質問がありまして、大体ホテル代はこの程度だ、ああいうときには夫婦者はじゃまにされるそうだけれども、そういう点はないか、絶対そういうことはないと言って笑って話したのでありますが、ああいう避寒地であるとか、それからたとえばラスベガスのようなところには相当な人が出入りするわけでありますが、結局日本に来るという人々は、ああいうマイアミに行ったりラスベガスに行ったり、あるいは国立公園に行ったりするような人々、もちろん運動関係に熱心な方もいると思いますが、そういういわゆる余暇を利用してあっちこっち見物して歩こうというような人も、三十九年の東京オリンピックには相当来朝すると思うのです。ニューヨークのビジネス・センターのみにああいうポスターを張らずに、むしろヒルトン系のホテルであるとか、あるいはそういう方面にもよくお願いをして、マイアミの観光地であるとか、あるいは国立公園であるとか、そのほかそういうところにもあのポスターをでかでかと張ってアメリカ人の注意を喚起するということが私は必要ではないかと思うのでありますが、一体アメリカの観光案内所に何枚くらいのオリンピックのポスターを御送付になったのでありますか、それをちょっとお聞きしたいと思うのです。
  26. 間島大治郎

    間島参考人 私直接の担当でありませんで、何枚東京都からいただいておったか正確には覚えておりませんが、おそらく数百枚じゃないかという気がいたします。
  27. 松澤一鶴

    松澤参考人 今のポスターの発送枚数につきましてお尋ねでございますが、今手元資料がないためにこまかいことはわかりませんが、相当数をアメリカその他に出しております。ただ、いずれにせよ、あのポスターを刷りました全体の枚数が三万枚でございまして、これらを諸外国にばらまきますと、おそらくアメリカにも千枚、もしくは各飛行機会社等を通じて頼みましたものを加えましても二千枚程度ということになると思います。従って、われわれ組織委員会といたしまして、大体ポスターの印刷枚数も相当限られております上に、それ以上にわれわれが困難を感じておりますのは、これを発送します費用で困っております。幸いにして日本航空あたりが大へん力を入れてくれまして、外国に持って参りますだけは無料で持っていっていただけますので、かなりの枚数は出ておりますが、いずれにしても二、三千枚程度が少なくともアメリカあたりには出ていると思います。それを今のようにホテルまでまきますことにつきましては、ある程度また向こうの方におまかせしなければならない事態になりまして、その発送の度合い等につきましては、必ずしも私どもの方の希望が全部はいれられておらないと思います。しかし、かなりのものを出しているつもりでございますけれども、何といっても広い国にわずか二、三千枚の程度では、やはりお目にとまることが少なかったと思いますが、この点につきましても何とか今後努力していきたいと思います。
  28. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 私は今回は主として中小企業を調べて歩いたのでありますが、あちらの百貨店等に参りますと、百貨店の中にも、西ドイツとか、あるいはローマとか、そういったところのポスターが盛んに張ってあるわけであります。日本のものがないかなと思って見たところが、日本のはほとんどないということで、非常に私はさびしく思ったのでありますが、アメリカ人が半分くらい来るという場合においては、ヨーロッパに対する宣伝もさることながら、やはりある程度アメリカ国内に重点を置いてそして宣伝ポスター等もこまかく張っていただければ、私は相当関心を持ってくるのじゃないかと考えております。前回の委員会に私が申し上げましたように、あのりっぱなポスターは、たとえば床屋、ふろ屋、それから喫茶店、飲食店、劇場、そういうところに張るには少し大き過ぎる、あまりにりっぱなものであります。だから、われわれが選挙をやるときに小さな選挙ポスターをでかでかと張って一般の人々の関心を引くと同じような一つの戦術を用いまして、国内のポスターというものはむしろ形を小さくして数を多くする、そしてああいうりっぱなものはできるだけ海外にこれを送って海外の人々にいわゆる関心を持ってもらう、こういう方針でいくことが必要じゃないかと私は思うのであります。これは一つオリンピック関係の皆様方、並びに観光協会等においても十分御検討を願いたいと思います。  それから次に近藤さんにお尋ねいたしたいと思いますが、サービス料金に対して課税することは非常に不合理だということ、これは私どもも同感であります。サービス料金にまで課税するということは、まことに不合理であると思っております。ただ大蔵省の課税方針というものがそうなっておりますから、これはやはり政府として十分その課税のやり方をもう一回再検討してもらわぬと、現在のところはこれを直ちに解決するということは非常に困難じゃないかと考えております。そこで、現在料飲税に対して外人が非常に関心を持っているということは、これは私も近藤さんからおっしゃられるまでもなくよく存じておるわけでありますが、現在の財政状況としてなかなか困難であります。ただこれを今後どういうように持っていくかということは、これは運輸省なり、または観光事業特別委員会等でもこれを十分取り上げておりますので、今後この点につきましては十分努力はいたしたいと思っております。  そこで、最近アメリカなんかのホテル状況を見ますと、パークの問題で、たとえばロスアンゼルスにあるビルトモーア・ホテルのごときはパークができない、仕方がなくて、ヒルトン系のホテルでは、全部空港の付近に広漠たる土地を買い取って、そこへ自動車をそのまま部屋の前に持っていかれるというモーテル式のホテルを建てております。日本としても将来そういう考えを持つ必要があるのじゃないかと思うのですが、これはどういうものでしょうか。
  29. 近藤清

    近藤(清)参考人 これは今先生のおっしゃったように、東京でもかつて日本橋の交差点のところに八洲ホテルというホテルがございました。これはかなり古いホテルでありましたけれども、あそこもちょうどパーキングの非常に悪いところでございまして、まわりに自動車もとめられないということからして、ついに廃業しなければならなかった。そればかりでもないと思いますけれども、とにかくホテルの前へ自動車をとめておきますと、すぐに交通巡査が来まして、交通違反だといって取りのけられてしまうというようなことから、もう商売も成り立たぬというようなことで、あれをビルに売ってしまった、こういうふうな事実もございます。特に都心のホテルは、パーキングの点では非常に困っております。丸ノ内ホテルのあの周辺では、特に今度のイエロー・ゾーンでございますか、ああいったようなことで、あの付近に自動車を置くことができないというので、外客接遇上相当に困っております。幸いに、最近できます大きなホテルなどは、自動車のパーキングということを考慮に入れてつくってはおりますけれども、しかし、なかなかそれだけの土地、駐車場をとるわけにいきませんから、こういう点では、今後都心のホテルにつきましては何か特別な御処置を願ってやっていただきたいと考えております。さような次第でございます。
  30. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 最近百貨店が都心から郊外に疎開するという状況は、主としてこれはパーキングの問題からきているのじゃないかと思いますが、私は、やはりほんとうに外人に宿泊を——結婚の式場とか、そういうことであるならば、都心が便利であるかもしれませんが、ほんとうに外客宿泊の便宜のためにというのならば、やはりヒルトン系のホテルのやっておる経営方針の、郊外に相当なパーク場を作ってホテルを経営することが、将来ホテル政策としては最も重要なことではないかということを申し上げた次第でございます。  次に、旅館連盟の福田さんにちょっとお尋ねいたしますが、最近観光地の旅館組合で、サービス料を一割から一割五分にぽんと勝手に引き上げているところがあるのです。それで、先ほどいろいろお話がありましたが、東京、横浜、熱海、湯河原、伊東というところで、サービス料が一割のところもあれば、一割五分のところもある。料金を一定されましても、サービス料がそういうように一割とか一割五分になっておると、これは外人としてはピンとくると思うのです。そこで、これは旅館組合の関係というよりも、むしろ観光局長にお尋ねしたいと思うのですが、旅館のサービス料を引き上げるということは、これは別に認可制でも何でもないと思いますから、これは二割にしようが一割にしようが、旅館組合の勝手な処分でできると思うのです。お客さんにそれを言えば、部屋の中に、サービス料一割五分にいたしますということを掲げれば、お客は泊まった以上、これはどうしても払わなくちゃならぬということになるのです。そこで、日本交通公社がその点について監督されておるのであるか、運輸省観光局の方で監督されておるのかどうかわかりませんが、一割とか一割五分という勝手な率を組合としてどしどしきめてしまうということは、これは私はおもしろくないと思うのです。従来の習慣では、大体サービス料一割というのが通り相場です。ところが、あるところによっては一割五分にぽんとはね上がっておるという点については、観光局ではどういうお考えを持っていらっしゃいますか。
  31. 梶本保邦

    梶本説明員 この問題につきましては、少し申し上げなければならないのでございますが、運輸省観光局としましては、大きな観光行政の一つとしまして、ノー・チップ制を打ち出しております。これは自民党の総務会におきましてもつとに御決定をいただいた一つの大きな政策でございまして、この五月一日に私の名前で、全国観光業者に対しまして、ホテル旅館、あっせん業者、ガイド協会、観光協会、都道府県知事、陸運局長あるいは海運局長、一切がっさいの観光に携わっておられる方面に対しまして、ノー・チップ制の通達を出したのでございます。それは、世界各国観光局長の会合があるわけでございます。IUOTOといっておりますが、八十二カ国が現在参加して、国連の下部機構の一つの諮問機関のような格好になっておるわけでございますが、そういった世界観光局長会議におきましても、このノー・チップ制というものが常に問題になるわけでございます。ですから、諸外国において、その一挙手一投足がチップの対象になっている、生まれ落ちたときから、チップというふうな雰囲気の中で育っているから、何気なく出したりもらったりしているのかと思いますと、やはりそうじゃございませんで、チップという問題については、これはなくするのがほんとうだというのが、世界観光局長みんなの考えのようでございます。現に飛行機に乗りますと、もうどんな国に参りましても、スチュワーデスにチップを払うところは一カ国もございません。それと同じでございまして、空を飛んでいる間はノー・チップで、一たび地上におりれば、荷物一個持ったとたんにチップの対象になるというのは、これは非常におかしな話でございまして、われわれとしましても、ノー・チップということは日本観光の魅力の一つにしたい、これが私どもの念願でございます。ところが、ここに一つの大きな現実の障害に突き当たりましたのは、旅館の女中さんの給与の問題でございます。これは今くどくど申し上げなくても御了承いただけるのでございますけれども、今旅館の女中さんが非常に払底しつつございます。名前をお接待さんと変えてみたり、いろいろの方法をとっておりますけれども、根底は、私の見るところでは、やはり給与体系の問題だと考えております。これがまだ完全に整備されていない、ここに日本旅館制度の一つの大きな問題点がある、かように考えているわけでございます。従いまして、サービス料は一割取る。でございますから、先ほど福田さんでしたか、近藤さんでしたか、おっしゃったように、千円の宿泊料でサービス料が一割取られて千百円、それに対して料飲税がかかる。その千百円に対して料飲税の一割がかかるというのが日本の今の課税の方式なんで、それはおかしいということについては、先生も御了承いただいたのでございますが、そのほかに、旅館においてチップというものがやはり日本においても間々行なわれている、この大きな事実、これを私はオリンピックまでに絶対にやめさせたい、やめてもらいたい、これが私の強い信念でございます。従いまして、それを業界に要望しているわけです。ところが、その給与体系の問題、賃金体系の問題で今暗礁にぶち当たっているわけでございます。実は私は、どうしても固定給を多くしていってもらいたい。今固定給と歩合給との比率が、固定給の比率が非常に少なくて、歩合給の方が非常に多いところが間々あるわけなんです。あなた方が収入を多くしたければ、お客さんにうんとサービスしてチップをよけいもらいなさい、その方が実入りが多くてけっこうでしょうというような経営者がある。こんなことではとんでもない話だという気持を持っているわけでございます。従いまして、その領収書につけるサービス料というものは、たといそれが一割であっても、一割五分であっても、明示されておれば、客の方は気持がいいじゃございませんか、そのかわり、びた一文もそれ以外のチップはとってはまかりならぬというのが、今の運輸省の方針なんです。それを業界に私も指示し、かつ業界の首脳部に集まってもらって、機会あるごとに、ホテル協会の総会、日観連の総会、国観連の総会で私は強くそれを主張しております。それでサービス料は、たとい一割を一割五分に上げられても、チップというものは全廃してもらいたいということを実は私は申したのです。それで、あるいは先生がお目にとめられましたように、最近一割のところが一割五分になっているところがあるかもしれませんけれども、実ははっきりした数字を領収書に明示しなさい、わけのわからないようなお金の取り方はやめてもらいたい、こういう趣旨でございます。しかし、正しい姿としては、御指摘の通り、やはり日観連なりにおいて自主的に、一割なら一割、一割五分なら一割五分というふうに統制がとれて、日本へ行けばどこの旅館へ泊まっても一割五分である、そのほかにはチップは一厘もとられなかったというふうな姿が、ほんとうにあるべき姿だと私は考えております。将来の行政の方向もそのような方向に持っていきたいと考えております。
  32. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 外国人というものは、非常に大ざっぱのようであって、なかなか勘定高い人々です。たとえば国内の航空機に乗る場合も、この航空機に乗ったら飯が出るか出ないかを先に考えて、まず飯の出る飛行機に乗るというのが外国人の根性です。従って、日本に来た外国人が、東京へ泊まって一割のサービス料をとられ、ほかの土地へ泊まって一割五分のサービス料をとられるということになると、やはり相当ぐずぐず文句をつける一つの種になるのじゃないかと思うのです。今一割五分をやっているところを一割にしろということは無理かもしれませんが、しかし福田さん、こういう点は、オリンピック外客に対しては、一割なら一割という同様のサービス料で全国やらぬと、ところによって一割五分とられた、こっちは一割だ——これは非常にそろばん高いのですよ。われわれとしては、ホテルへ行くと、ちょっとビルをとって金を払っていくのですが、あの連中は、金を払っても、よけいなものがついているのじゃないかと、ビルをちゃんと見ている。少しでもあったらすぐ文句をつける。これが外国人かたぎですから、私は、この一割五分と一割の差というものは外国人に非常にいい感じを与えないと思うのですが、こういう点はどうなんでしょうか。
  33. 福田彰

    福田参考人 先ほど、宿泊料金を均一化するときにお話を簡略化いたしましたために、今の御質問をいただいたわけでございますが、実は料金をきめますときに非常に意見が出たのでございます。と申しますのは、御承知のように、熱海、伊東地区の宿泊料金というのは、日本でも非常に代表的に高うございます。従って、われわれで検討し、ホテルの料金等から見てこの程度が妥当ではなかろうかという線を出しましても、熱海地区では反対意見が大へん多うございました。しかし、いずれにしても日本の国家的な行事でもあるし、それからこれも一年間通じてやれということではないので、ともかくもこのオリンピック期間中の、全国国内旅行を入れても一カ月かそのくらいの期間であるからということでこの料金を納得させたような事情がございます。それがまず第一にお話ししておかなければならないことなんですが、それからサービス料の問題も当然われわれの方で検討をいたしました。それで、ただいま観光局長さんからお話のございましたように、チップをとるなという考え方を徹底するという考え方を進めて参ったわけでございます。東京都内で現在一割五分をとっておる——現在と申しますか、もう二、三年前からとっておるおたくが三軒ございます。それから熱海地区は昨年一月一日からほとんど一割五分になっております。それでこれをどういうように調整するかという問題が起きたわけでございますが、つまり、料金を多少不本意な線できめるかわりに、サービス料は一割五分という線でこの期間中はやりましょう、従って、この東京都から出される料金表の最後の項目にうたってございますが、サービス料は支払い総額の一五%をいただきます。ただしチップは不用ですということをつけ加えてございます。つまり五%分はチップだというふうな考え方をしていただければ、確かに勘定高い外人の方でも、それ以外に出すことがないのだということであれば納得していただけるのではなかろうかと思っております。
  34. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 私は、観光局長がノー・チップ制を主張されることは非常にいいことと思います。私はノー・チップ制に対しましては満腔の賛意を表しておるわけでありますが、ただ、一割と一割五分のサービス料の差異というものは、必ず外人客の間でいろいろ問題になると思います。どうしても一割五分をその期間中でも下げることができないというならば、十分に外国人に対して、この土地は一割五分だからよろしくお願いするということを前もって御了解を得ておきませんと、外人というものは勘定高いから、いろいろの点について文句が出ると思いますから、その点だけは私は警告を発しておきます。
  35. 福田彰

    福田参考人 なお追加させていただきます。  私どもでこの料金表をつくりましたのは、東京周辺、熱海地区の宿泊外客を主体とした、つまりオリンピック・ゲームが行なわれる期間中の宿泊を主としてまず検討したわけでございますけれども、この外客の方がゲーム前あるいはゲーム後に国内を旅行されることは当然想像されますし、また国内を旅行していただかなければならないわけでございます。従って、そういうケースは当然起こることが想像されますので、一応このオリンピック・ゲームに対する外客対象とした考え方でつくりましたけれども、これはこの期間中における海外の国内旅行者にもこの線で適用してほしい、現在まだ決定まではいっておりませんが、この線をわれわれとしてはきめたから、この線以下でやってほしいということは、もうすでに指示をしてございます。
  36. 松澤一鶴

    松澤参考人 ただいま田中委員からの御発言の中の小ポスターにつきまして、一言つけ加えさせていただきたいと思います。  この前の委員会におきましても御注意がありましたので、さっそく組織委員会におきまして、すでに第二回目に発行いたしましたポスターを小型化して配るという案につきまして検討いたしました。なお、この点につきましては、デザインいたしました者とも打ち合わせをいたしました結果、あのポスターが全体として暗い調子を基調にしておりますために、小型化するとはえないというような意見が出まして、田中委員の御意見はこれを別の図案において行ないたいというような取りきめをいたしましたために、うまく事が運んでおりません。これらにつきましては御了承願います。御意見は別の方面に生かしたいと考えておりますことだけをつけ加えさせていただきます。
  37. 島村一郎

    島村委員長 田原春次君。
  38. 田原春次

    ○田原委員 東京オリンピックにいろいろ各方面で受け入れ態勢をやっていただいておることは、ほんとうにありがたいことであります。ただ、今聞いております範囲で二、三疑問の点がありますので、それを御質問申し上げておきたいと思います。主として梶本観光局長にお尋ねいたしましょう。  「東京及びその周辺地域登録ホテル及び旅館の現有室数」という、九ページの資料を見ますと、東京から箱根、熱海方面だけしか出ておりませんが、たとえば日光、富士五湖、千葉県の市川、船橋という方面にも、相当の設備をすればできる中小のホテルもありますので、それらを今から奨励、指導、助長したらどうか。そのためには、交通の便がそれほど思わしくありませんので、オリンピック期間中は特別のバスを許可するとか、それまでに道路がよくなっておりますればその道路を経由する。つまり一時間半以内というのですから、道路の問題が解決すれば、一時間半以内で富士五湖あたりのホテルから来れると思うのです。そういう点を何も考えておられないのか、書いておりませんが、それをお尋ねいたします。もししてなければ、そういう方面に力を入れていただいたらどうかと思います。
  39. 梶本保邦

    梶本説明員 ただいま御指摘の点につきましては、事務的には十分検討をいたしたわけでございまして、富士五湖地区でございますと、たとえば河口湖畔のホテルというふうなものが当然対象になるわけでございますが、あそこからの時間というものを想定いたしますと、ちょっと一時間半というのは困難じゃないかというふうに考えたわけでございます。それから日光地区でもございますが、これもやはり時間的にどうも一時間半では不可能じゃないだろうか、かように考えたわけでございまして、オリンピックが済んで日本をあちこち見て回っていただくときには、もちろん富士五湖にも泊まっていただくし、日光にも行っていただきたいのでございますけれどもオリンピック・ゲームそのものを対象といたしました場合には、ちょっと宿泊対象の範囲外ではなかろうかというふうに、事務的には考えておるわけでございます。船橋、市川方面はもちろん一時間半以内でございますけれども、いかんせん、登録ホテル登録旅館に該当するものがございませんで、これは一応登録ホテル登録旅館というものを対象にして申し上げた数字でございます。
  40. 田原春次

    ○田原委員 私は世界各国を回って、パスポートも、今数えて二十三枚あります。戦前からぐるぐる回っております。主としてアメリカでいえばルーミング・ハウス、あるいはヨーロッパでいえばペンション、そういう安宿専門で回っているのですが、特に安宿を好きで回っているわけではありませんけれども、費用の関係で回っておる。そうすると、今のお話登録ホテルに限るというようなことは、何か一流ホテルで、こういう設備をしなければならぬというような規定になってくるので、むしろ東京でこれから先ふやすべきものは、私はペンションやルーミング・ハウス、あるいは三流ホテルじゃないかと思うのです。最近できましたニュージャパンにしても、ホテル・オークラにしても、アメリカのホテルとしてもずいぶん高いのです。五千円から七千円とりますからね。ところが、現在ニューヨークでも、田中さんあたりはいいところに泊まったと思うが、私は安いところ専門に探すのです。そのかわり南京虫なんかおりますが、現在でも五ドルから七ドルくらいなのです。昔はもっと安かったのがあります。ですから、今からの努力で、一体収用力を考えておるのか、一等ホテルだけを整備して外観だけを考えておるのか。私は登録制度はあってもいいけれども、準登録というか、無登録というか、外国から来るオリンピック目当ての者でも——たとえば北米でも二世の学生や南米のブラジルの学生とも去年あたり会ってきておりますけれども、とてもホテル・オークラ滞在客じゃないのです。パレス・ホテル滞在客でもないのです。それらに知らぬ顔をするのじゃなくて、やはり来る者みんなに見せてやらなければいかぬと思うのです。しかも日本旅館はみな便所が悪いから、くさい便所ではとてもがまんできなくて泊まりません。ですから、先ほど国際観光旅館連盟福田さんの御計画でも、便所の問題があるだろうと思うから聞かなかったのですけれども、少なくともペンション、ルーミング・ハウス、スモールサイズ・ホテル、こういうものを、今からでも間に合う、改造くらいできると思うのですが、そういう方面をもっと広げまして大ぜい来れるように、それから、ふところ工合ではこういう安いところもありますという宣伝とサービスをやったらどうかと思いますが、そういうお考えがあるかどうか、この際伺っておきたいと思います。
  41. 梶本保邦

    梶本説明員 ただいまのお話、まことにごもっともでございまして、先ほど融資の御説明を申し上げましたときに、ホテル一室五百万見当と申し上げましたのは、全く先生のお考えの通りを申し上げておるわけでございまして、ホテルにはロビー、控室も食堂、いろいろそういった付属の設備があるわけでございますけれども、そういったものを一切がっさいひっくるめましてホテルそのものを一つの大きな建築物、構造物と考えまして、それの総建設費を有効な部屋数で割りました場合に、最近できました超デラックスなホテルでございますと、一室千二百万かかっております。それからちょっとしたホテルでございますと、今先生のお名ざしになったようなホテルでございますと、一室一千万円見当でございます。一室一千万円の建造費をかけますと、どんなにいたしましても四千円、五千円の宿泊料をとらなければまかない得ないわけでございまして、私どもは、デラックスは、もちろんそうしたものが日本にあってもけっこうでございますけれども、やはり五ドルないし六ドル程度と、かように考えております。そういたしますと、邦貨に換算して二千円前後、部屋の建設費一室当たり五百万円見当ならばその料金で可能だ、かような考え方のもとに、一室五百万というふうな計画をいたしておるわけでございます。もちろん、それ以上デラックスなホテルをおつくりになりたい方は、どうぞ自己資金でやって下さい、運輸省として融資のお世話を申し上げるのは一室五百万円見当つまり料金にして五ドルないし六ドル程度ホテルでございますよということを、もうつとに政策的に明言いたしておるわけでございまして、全くお考えの方針でただいま進んでおるわけでございます。  なお、登録ホテル登録旅館というのは、ただ運輸大臣登録というお免状のようなものをカウンターに掲げておくだけではございませんで、これによって、御承知通り、固定資産税だとか、あるいは法人税が軽減になるという恩典があるわけでございます。国としてそれだけの恩典を与えるということは、一面、業者に対してそれだけの義務を負っていただく、こういうことが国の気持として当然あるわけでございまして、その義務たるや、やはりオリンピックのようなこういった国家的行事のときには、進んで国策に協力してもらい、そして部屋も開放してもらうというふうなことになって現われてこなければならないわけでございます。そういった意味から、一面恩典を与えるから、一面そういった協力の義務を持ってもらう、行政の対象としてわれわれが非常に把握しやすいという意味において、この登録ホテル登録旅館というものをまずこの数字の表としてあげておるわけでございまして、毛頭、日本へ来られました外人は登録旅館以外には泊まってはまかりならぬというふうなわけでもございません。現にいろいろの方面に、われわれとしては泊まってもらいたくないような旅館にまで泊まっておられるような状況でもございますし、オリンピックのときには、国際観光旅館連盟の会員の方方、日本旅館連盟の会員の方々で御協力願える向きに対しては、われわれとしては喜んでお願いをし、かつ協力をしていただく、こういうふうな気持でおりますので、決して何が何でも登録旅館でなければならないのだというふうなことでおるわけではございませんで、ただ行政の対象として十分に把握でき得る対象であるという意味であり、かつまた恩典を与えておるから、こういったときには義務として履行をしていただきたいという意味でこの表を掲げておるわけでございまして、決して先生の御趣旨とは違った方向に運輸省観光局は進んでおるとは私は考えていないわけでございます。
  42. 田原春次

    ○田原委員 それは議論すれば何ぼでもできますが、やはり政府に登録したホテルという感じと、登録しないというホテルでは、泊まる方にすれば安全な方がいいから、無理していいところに泊まることになる。ですから、たとえば公園の場合でも、国立公園と国定公園があるのですね。そんなふうに、登録ホテルと準登録ホテルというか、推薦ホテルというか、承認というか、英語にした場合どんなになりますか、いずれにしても、あぶなくないなという感じがあれば、ふところ工合で旅行できますからね。諸外国に旅行していると私もよくぶつかりますが、二、三年前から積金などして、おばあちゃんなんか団体で旅行しているのがありますけれども、それは一級ホテルに泊まりません。ですから、オリンピックについて考えましても、スポーツマン、OB、その家族、それから一部少数の金持ちじゃないかと思います。一番数が多いのは、スポーツをやったことがあるOB中心じゃないか。それはとてもホテル・オークラ・クラスじゃないのです。それからやはり招致さすようにする必要があると思う。  それに関連して、福田さんでも局長さんでもいいが、へ理屈を言うのじゃないのですが、たとえば先ほどの「ビジット・ジャパン」これはいいですが、とかく英語で何でもかんでも出したがる。たとえば今度英語、フランス語、ドイツ語スペイン語を出す。スペイン語を出すなら、何でポルトガル語を出さないのかと言いたい。再来年のオリンピック目当てにたくさんの連絡をしてきておるのです。ホテルがなくてみな困っておるのです。英語で書いたって、ラテン・アメリカにおる日本人の二世なんか、大体英語を習っていないのですから、かえって向こうでは侮辱を感ずると思うのですよ。でありますから、来年の予算の関係もあると思いますが、拒否するわけじゃないと思いますから、できるならばポルトガル語、中国語、朝鮮語、インドネシア語、こういう近くの日本に親しいものをもう少し刷って、飛行機だとか船だとか、そういうところに配ってもらいたい。南米に行きますと、南米航路でもみな英語が置いてあるのですが、向こうで生まれた二世は言いますよ。なぜ日本スペイン語やポルトガル語を書いてくれないのかと話しているくらいですから、これはこまかい問題ですが、きょうは発言する機会でありますから、どうせ出すのなら、広く世界各国の言葉で出してもらいたいと思います。  もう一つ局長にお尋ねしたいのは、先ほどのホテルの数に関連いたしまして気のつきましたことを申し上げて、それをオリンピックに活用してもらいたいと思うことが三つあります。  第一は、休業、廃業、すなわち登録取り消しのホテルが数カ所あります。これらは資本の関係、融資の関係、経営者の関係等もありますから、一概には言えませんが、そういう方面に、オリンピック関係に使えるような、簡単な設備でできるものなら、融資なり補助なり、何らかの方法を考えてもらいたい。  第二点は、YMCA、YWCA、そういうようなものに類似の寮舎、大学の寮舎等をそのときに臨時に開放してもらう方法はないか。これもやはり洗面所と便所の問題がありますから、関連して考えなければいけないと思いますが、そう大した補助金にはならぬと思います。その間学生はほかに行くのです。これは外国に例があります。外国のお客さんが来たときは、自分たちは臨時にちょっと市内の普通の家におる、そうして外国から来たお客さんを歓待する、あるいはYMCA、YWCA、あるいはカトリックの寮等に歓迎するという例がたくさんあります。そういう点は、親切というものと工夫だけで、大して予算を伴うものではないと思いますから、一つ考えてもらいたいということです。  第三点は、それに似たようなものでありますが、官邸とか、大きな屋敷、また役所の持っている屋敷でまだ開放されていないものがたくさんあります。これを何とかオリンピック期間を限り開放してはどうか。数年前にサンパウロに三笠宮御夫妻がいらっしゃった。そうしますと、首府のリオデジャネイロでも大統領官邸を開放する、大統領はその間ホテルか自分の郷里に帰っている。サンパウロでも州統領の官邸を開放して、そこにお客さんを迎えて、州統領自身は近くの小さいところに入っている。ラテン・アメリカにそういう例があります。いいホテルがあっても、親切味をそういうことで現わすわけです。従って、衆参両院議長の公邸とか、そういうととろには日本間がたくさんあるのです。それから総理大臣官邸あるいは外務大臣官邸、あるいは農林省の三番町分室などというのも、まだ幾らでも住めるのです。ですから、そういうところを一つあなた方で見つけていただいて、臨時オリンピック関係お客さんを歓迎するためにこれだけ開放しましたという、これはできぬことはないと思います。理屈を言えばちょっとできないかもしれませんが、親切味でやればできることですから、そういう点、少し観光局長さんが先頭に立って今から交渉されたらどうでしょう。これは初めての発言ですから、確たるお返事はできぬかもしれませんが、一応気持を聞かしていただきたいと思います。
  43. 梶本保邦

    梶本説明員 先生のお話になりました第一の問題につきましては、要するに融資ワクの拡大という問題に帰着して参るわけでございまして、現在までホテル旅館に融資されました一件当たりの最高額は十二億程度でございまして、大体六十億建設費のかかったホテルに対して十二億、これが一番融資していただきました最高のものでございます。そもそもホテルに対する開発銀行の融資の始まりましたのは昭和二十六年からでございまして、観光というものに対して国が財政投融資対象として考えるということになりましたことは比較的おくれてのことでございます。従いまして、昭和二十六年から昭和三十六年までの過去十一年間に開発銀行が融資されました総額は八十四億でございまして、八十四のホテルでございますので、一件当たりちょうど平均いたしまして一億、こういう数字になっているわけでございます。昨年度は約三十億の融資をちょうだいいたしております。今年度はおそらくそれを下回ることは絶対にないと私は確信をいたしているわけでございますが、要するに、もう少しホテルとか旅館とかいうものに対して融資のワクを広げていただくということが、わが国宿泊施設のレベルを高め、かつ、ゆとりをもたらすことになるのではなかろうか、かように考えているわけでございます。  それから第二のYMCA、YWCAの問題は、私ども観光局の範囲といたしましては、例の御承知のユース・ホステルがありまして、このユース・ホステルは、今年度予算化したものを入れまして四十五カ所になります。四十五カ所のうちの一カ所は、国立ユース・ホステル・センターとして国立のものが滋賀県の大津にございますが、これを入れまして四十五、ベッドの数にしまして約三千ベッドでございます。民営の契約ユース・ホステルがベッド数にして約二万七千でございます。公営が三千でございますから、合わせて三万ベッド、九対一の比率でございます。将来は私どもはこれを八対二の比率にして、七万五千ベッドにまで持っていきたいというのが、昭和四十五年までのユース・ホステルの増備計画でございます。そのときには公営のものが一万五千、民営契約ユース・ホステルが六万ベッド、こういうふうな数字を予想いたしておりますが、その目標の七万五千ベッドたるや、今日現在の西独のユース・ホステルの総ベッド数であります。西独のベッド数にまで十年後に日本は持っていきたい、こういった希望を持っているわけでございます。先ほど申し上げました宿泊対策の一環として千ベッド、ユース・ホステルで受け持っていただきたいというのも一つの現われでございまして、現在では、先ほど来問題になっております一時間半以内の地域におきましては三百五十ベッドしかありません。それを東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、この五つの都県におきまして約六百五十ベッドつくっていただきたいという考え方を持っている。来年度はそれだけということで今予算を要求いたしておるわけでございまして、なおYMCA、YWCAについては、私ども直接の所管の問題でもございませんけれども、御趣旨の点はよく私にもわかるわけでございますので、なお努力をいたしたいと考えております。  それから第三番目の大邸宅の開放の問題につきましては、例としてあげられましたいろいろの官邸は、ちょっと観光局長の手に負いかねるような大きな問題でございますが、御趣旨はまことにごもっともでございまして、これはその衝に当たられる方がそういった気持になっていただくことがまず先決問題じゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。  それから、三つお話になったのでありますが、その前にポルトガル語の問題がありました。これは南米のサンバウロに来年は日本観光協会の在外事務所を設置いたしたい、かような予算要求をいたしております。従いまして、当然ポルトガル語が問題になってくるわけでございます。そうでなくても、来年度は計画としてポルトガル語で出す予定をいたしております。なお、南米は、御承知通りスペイン語を話す国が非常に多いわけであります。また国連の公式の言葉にもなっているのがスペイン語でありますので、そういった点についても、今まで不十分であった点は率直におわびを申し上げます。そして今後そういった国々につきまして抜かりなく手配をしていきたいと考えております。
  44. 田原春次

    ○田原委員 あと二つほどだけですが、それは観光局がほんとうは中心になってもらいたい。形は税関になりますかね。オリンピックといわず、特にアメリカから自動車を持って日本観光に来る、それが税関の自動車輸入税にひっかかって、とんでもなく予定を狂わすことがしばしばある。私の知っている実例でありますが、北米のシアトルにおります洗たく屋さんで、もう三、四十年働いて金ができた。それで、長男の二世——アメリカ人ですが、お前にお父さんの郷里を見せてやるというので、夏休みに親子で横浜に上がって、神戸まで行って、それからまた船で帰るつもりで自動車を持ってきた。ところが、横浜でこれが上がらないのです。自動車の臨時輸入規則か何かあるのですね。二週間以上自動車でひっかかって、横浜の旅館に泊っていた。せがれは、お父さんの国というのは何ですか、こんな国なんか見なくてもいいと言っておこって帰っちゃった。せっかく三、四十年も働いて、自分の国を子供に見せたいという善意のお父さんは非常に失望して、これもしようがなしに自動車を置いたまま汽車で旅行をして帰った。これは観光局じゃありませんが、運輸省としては陸運局の関係と、それから大蔵省の関税局だと思いますけれども観光に来るのですから、従って観光局からやはり話をされまして、むずかしい理屈を言わぬで——自動車の密輸も相当あります。彼らはどんな規則をつくっても密輸入をやるのです。むしろ官庁などを利用して汚職、涜職でやっているのもあるのですから、それと、一般の善意の短期の自動車旅行者をごっちゃにするような規則はいかぬと思う。これは一押し、二押ししてもらえば、純然たる観光客であって、そしてみずから自動車を運転して日本の国道を通る、その間は、むしろ有料道路もあるし、ガソリンを日本で買うのですから、やはりお客さんです。観光局の方から少し努力してもらって、あまりむずかしい自動車持ち込みに対する制限を言わないようにすることが必要である。おそらく、アメリカからあなたの言うように五割四分も来るというなら、そのうち何割かは船で来るでしょう。その船で来るのは自動車を持ってきます。これは南米でもヨーロッパでもアメリカ人は持って歩いていますからね。従って、それに対する処置をやはりあらかじめ準備しておきませんと、これはまた横浜へ来て、日本の役人がやかましくて、上陸第一歩に不愉快な思いをさせることになる。そうさしちゃいかぬと思うのです。でありますから、今から観光局で十分各省あるいは省内において交渉されまして、純然たる善意の短期ツーリストの携行自動車に対しては、その日に上げるようにしてもらいたい。もっと言えば、シアトルの人の場合は、アメリカ人が持ってきたものは上げておるのです。それを、顔は日本人であるというので、これはえらく何か文句をつけておくれてしまった。それを二世がおこったんです。おれは、顔は日本人でも、アメリカ人だ、それを何で差別するか。一種の卑屈な白人崇拝の考えがちょっとでもあってはいかぬと思う。これは親切というか、公平でなくちゃいかぬ。これは一つの議論ですけれども、あなたよく覚えておいて下さい。まだ間があることですが、しかし、来年にはひんぱんに来るのであります。オリンピックが過ぎても、そういう短期の旅行者に対する善意のサービスはあってしかるべきだと思う。自動車問題に対する行政措置をいい方に進めていくようにやってもらいたい。何かそれに御意見があればこの際承りたい。
  45. 梶本保邦

    梶本説明員 通関手続は私たちの直接の所管じゃございませんが、しかし、わが国観光に来られる外客に対しては、気持よく来ていただき、気持よく日本を去っていただくというのが、私どもの一番大きな任務でございますので、御説まことにごもっともでございますし、私どももできるだけそのように関係方面に話を進めていきたい、かように考えておりますので、御了承いただきたいと思います。
  46. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 ちょっと関連のお尋ねですが、さいぜん同僚議員から、ホテル旅館関係でいろいろ御質問があったのですけれども、私は、今観光局長がちょっと触れられましたが、融資の問題についてお尋ねしたい。  さいぜん、近藤さんでしたか、イタリアではホテル融資法までつくってめんどうを見ているということでありました。八ページに、ホテル旅館の融資関係の概略の計画が出ているようですが、これまでのホテル旅館は、既存の自分の営業をしているものの資本が蓄積されているので、それを拡張するという関係で、たとえば新設でも、そこの東京ヒルトンなんかは、だいぶ前に旧星岡の土地を買ってあったから安くいったとかいうようなことです。ホテル・オークラだって、土地はそうだろうと思う。ところが、これからやろうという場合には、土地の確保でも非常に高い金がかかる。同時に、さいぜん田原議員からもお話があったように、自動車のパーキングのスペースというようなことを考えると、今後の新設については非常に多額な金がかかる。それについて、今の局長のお話では、一番最高のものが十二億であったということでありますが、一室五百万円ということでも、百室つくれば五億ということになるわけです。最近のホテルの建設状況、さいぜん近藤さんのお話も出ましたが、ホテル建設の熱と政府の融資、さいぜん、もう少し低利のものとか、いろいろありましたが、ホテル関係の融資が本年度は四十二億七千万円で、旅館の方が十五億だということですけれども、順調に円満にいっているのかどうか。私は、どうもなかなか手続がめんどうで、順調にいっていない面もあるのではないかと思う。そうすると、局長のさいぜんの御説明のように、今後こういうような形でいけば、ホテル旅館関係として皆さんが目標にしておられる程度のものが三十九年の秋までにはたしてできるのかどうか。そのほかに、いわゆる民泊とかいう言葉で御説明され、田原議員からもいろいろ施設の開放というような話も出ましたが、根本は、ホテルなり旅館営業者の施設を最小限度確保するということが何としても本筋でなければならない。そうすると、それに対して一番大切なことは融資関係だ、こう思うのですが、開発銀行あるいは中小企業金融公庫の融資と市中銀行の融資、それに自己資金、こういうことで、見通しとして、今のような程度の金利で熱意を持ってそれをやる人たちがあるかどうか、今日までどの程度にあり、今後皆さんが計画しておられるものが確実に達成せられるのかどうかということの見通しについて、一つ詳しく御説明を願いたい。
  47. 梶本保邦

    梶本説明員 先ほど申し上げましたように、昭和二十六年から三十六年までの十一年間に開発銀行の融資総額が八十四億、それも当初はほんのわずかずつでございましたのが、昨年度ようやく一年間に三十億出していただいたということで、とにかく少ないながらもホテルという問題について関心を持っていただいたということについて私ども喜んでいるわけでございますが、もちろんそれでは足りないわけでございまして、今年度はもうすでに、この差し上げました表にもございますように、開発銀行への推薦を終わった段階で、ただいま開発銀行自体の方で審査をしていただいているわけでございます。それで、私どもの大体の心づもりといたしましては、去年並みの三十億は絶対に下らない。それから北海道東北開発公庫がことしから初めて観光旅館に対して融資をしていただくことになったわけでございまして、この金額が大体私どものいろいろ漏れ承っておるところによりますと、五億程度、北海道が三億、東北地方が二億、合わせて五億、かように考えております。そうすると三十五億、それから地方開発ワクとしまして、本年度から、たとえば南畿地方だとか、四国だとか、九州だとかというふうな、観光以外にたよる産業のないような地域の開発という意味で、地方開発ワクとして数億のものを考えていただくということで、ただいま話をだんだん煮詰めております。従いまして、それがどうころんでも数億はいただけるのじゃないかということになりますと、私どもが非常に楽観的に考えますと四十億程度、かように考えておるわけでございますが、もちろんそれでも足りないわけでございまして、非常に地道な要求として、ここに書いております四十二億七千万というふうにいたしておるわけでございます。  それから中小企業金融公庫も、先ほど福田参考人からぜひ五千万程度までというお話でございましたが、これは全くその通りでございまして、昨年度からようやく二千万円にまで融資ワクを引き上げていただいたわけでございまして、その前年まで一千万程度、一千万ではほんとうに何もできないという状況でございまして、ようやく二千万円にまでなった。これを少なくとも私どもとすれば、業界の御要望もさることながら、せめて三千万円までというのが運輸省の偽わらざる念願でございまして、そういった額まで引き上げていただけば非常にありがたいというふうに考えておるわけでございまして、この中小企業金融公庫の方はどれだけのワクというふうなことが開発銀行の方に当初からワクとして示されませんで、いわば年度途中においていろいろ折衝する段階にいくということでございますので、ちょっと見通しがただいまのところつきかねるような段階でございます。  それから、早くから土地を買っておれば、ホテルの建設費もなるほどある程度安上がりかもしれません。星岡の問題、あるいは銀座の東急ホテル、それからホテル・オークラの土地といったようなものを考えればそうでございますが、これから調べて、交通上の便利なところに土地を求めて、それからおもむろに青写真をひいてということになりますと、これはお説の通り大へんなことになるわけでございまして、やはりある程度土地の見通しがつくということが、都会において大きなホテルを建設する前提条件であることには、私、率直に言って間違いないと思います。それで、ただ金さえ出してくれれば、これからおもむろに青写真をひこう、あるいは土地を物色しようというのでは、これだけ二年後に迫ったオリンピック対象にしては、話があまりにも大ざっぱ過ぎるわけでございまして、私どもは、どこの何番地という土地で、青写真がどうなって、客室がどうのというところまで煮詰めて、市中銀行の話もある程度進んでいるというものでなければ、やはりお願いの筋として持ち出すことは非常に不謹慎であり、かつまた、運輸省としてもそういうことはとんでもないことだ、かように考えておるわけでございます。そういう意味から、ずっと一軒々々のホテル旅館を私どもは事務的に煮詰めております。それによりますと、本年度開発銀行に推薦いたしましたものが、東京並びにその近辺におきまして十五件、継続のものが五件、新規のものが十件でございます。なお融資の希望が出ておったのでございますけれども、この融資ワクの関係でどうしても今年度運輸省としては残念ながら推薦でき得なかったもの——推薦でき得なかったというのは、土地が目鼻がつかないからとか、青写真ができていないからとかいうのではなしに、金さえあればでき得るものであるが、ワクの関係ででき得なかったものが五件あるわけでございます。これはその部屋数が、私どもの聞いております総合計で申しますと、八百六十八室というふうに伺っておるのでございます。それから現在計画中のもの、今年度運輸省には推薦希望が出て参りませんでしたけれども、来年度はぜひやりたいといって、もうすでに土地の確保も見通しがついて、そしてそこで計画が熟しておるというものがただいま五件ございます。それが六百十室予定をいたしておるわけでございまして、これはもうわれわれとしては確実なものだけを拾い上げてこれでございまして、なおそのほか、うわさ程度にあがっておるもの、たとえばどこかのお寺の敷地が今ゴルフ場になっておって、そこにどこかの資本と提携をしてホテルをつくるといううわさなどがあるようなものまで入れますと、これは大へんなことでございますけれども、それは入っておりません。  それからもう一つは、いろいろ考え方によって、私どもの考えについても御比判があろうかと思いますが、あの千駄ケ谷辺にあります日本旅館について開発銀行が融資の対象にするかどうかという一つの問題があるわけでございますが、これは運輸省としましては、開発銀行の融資の対象にはただいまのところいたしておりません。  そのような考え方で、今ほんとうにもうぎりぎり一ぱいの線で、まじめなところで一ついこうじゃないかというので、大ぶろしきを広げる段階ではないと思っておりますので、話を煮詰めるように煮詰めるように関係方面に持っていっておるわけでございまして、ここに書いております数字は、ほんとうに正真正銘の数字でございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
  48. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 近藤さん、福田さん、何か伺っておくことがあれば……
  49. 福田彰

    福田参考人 全般的なお話ではございませんが、実は先ほどのお話の出ました日本観光旅館連盟というのがございます。これは現在の段階では外人を対象とした旅館ではございません。しかし、この中にも行く行くは政府登録に持っていきたい、あるいは外人を扱ってもよろしい、外人を扱うことは二の次としても、整備をいたしまして登録まで持っていきたいというふうな考え方のお宅も相当多いわけでございます。ところが、これに対する設備資金といいますか、改造資金の問題になりますと、これは私ども直接の担当でございませんので、ぎりぎりの点はよくわかりませんが、大体の考え方としては、いわゆるここにあげられたような旅館ホテルのレベルより相当低い、従って宿泊料金も安い。しかも、そういうところが今度のオリンピック協力するためには、開発程度の利息では非常に苦しい。欲を言わせてもらえば、五分とか、せいぜい五分五厘くらいの金利で、しかも返却の期間を相当長くしたものを出してもらえるのであれば、先ほどお話がございました便所がくさくて困る——最近東京でそうくさいというのはあまりないのではないかと思いますが、便所を少し改造するとか、あるいはいすの置き場くらいはつくるとかいうふうなことをやる意欲のお宅も相当あるのではないかと思います。ただ、現在の中小企業金融公庫程度の金利では、今の料金のベースではちょっと採算に合いかねるというようなお話をしておられるのでございます。
  50. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 大体局長、福田さんのお話でわかったのですが、きょうは融資関係の向き、政府並びに関係機関が見えておられないようですが、次の機会に、大蔵当局、それから開発銀行中小企業金融公庫等融資関係関係者をぜひ御招致願って、川島国務大臣からも、ホテル旅館の問題についてはできるだけのことをするのだという言明もあった経緯もございますから、ぜひその間の実情も伺いたい。また、長期信用銀行等の不動産関係その他についてホテルあるいは旅館等に融資の道がないのかどうか。ホテル旅館問題は、そのときになってばたばたしても間に合わないと思いますので、次回にぜひ政府関係機関並びにその方面の関係融資機関もお呼びを願って、一ぺん事態を十分究明したいと思いますので、この点希望しておきます。  これで質問を終わります。
  51. 島村一郎

    島村委員長 他に御発言がなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。  参考人各位には、長時間にわたり本委員会調査に御協力をいただき、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  これにて散会いたします。    午後一時二十一分散会