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1962-03-28 第40回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十八日(水曜日)    午前十時二十分開会   —————————————   委員の異動 本日委員木村喜八郎君及び市川房枝君 辞任につき、その補欠として坂本昭君 及び柏原ヤス君を予算委員長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    主査      田上 松衞君    副主査     山本  杉君    委員            大谷 贇雄君            野本 品吉君            横山 フク君            加瀬  完君            坂本  昭君            矢嶋 三義君            柏原 ヤス君            奥 むめお君   国務大臣    文 部 大 臣 荒木萬壽夫君   政府委員    文部大臣官房長 宮地  茂君    文部大臣官房会    計課長     安島  弥君    文部省初等中等    教育局長    福田  繁君    文部省大学学術    局長      小林 行雄君    文部省社会教育    局長      斎藤  正君    文部省体育局長 前田 充明君    文部省管理局長 杉江  清君    文化財保護委員    会事務局長   清水 康平君    厚生政務次官  森田重次郎君    厚生大臣官房長 山本 正淑君    厚生大臣官房会    計課長     今村  譲君    厚生省公衆衛生    局長      尾村 偉久君    厚生省環境衛生    局長      五十嵐義明君    厚生省医務局長 川上 六馬君    厚生省薬務局長 牛丸 義留君    厚生省社会局長 大山  正君    厚生省児童局長 黒木 利克君    厚生省保険局長 高田 浩運君    厚生省年金局長 小山進次郎君    厚生省援護局長 山本浅太郎君   説明員    法務省人権擁護    局長      稲川 竜雄君    法務省人権擁護    局調査課長   池田 保之君    大蔵省主計局主    計官      岩尾  一君    大蔵省主計局主    計官      谷川 寛三君    文部省管理局助    成課長     井内慶次郎君    厚生大臣官房国    立公園部長   木村 又雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十七年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十七年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十七年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 田上松衞

    主査田上松衞君) ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。  本日は、午前中に厚生省所管についての御審議を願い、午後は文部省所管について審議を行ないたいと思いますので、御了承いただきたいと存じます。  それでは、昭和三十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算厚生省所管を議題にいたします。  まず、政府説明を聴取いたしますが、この際御了承いただきたいと思いますことは、灘尾厚生大臣が病気のために出席不可能の旨申し出がございました。あと診断書を出すことになっております。したがって、政府説明森田厚生政務次官にお願いいたすことにいたしたいと思います。御了承願います。森田厚生政務次官
  3. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) 昭和三十七年度厚生省所管一般会計及び特別会計予算案概要について、御説明申し上げます。  厚生行政につきましては、皆様の御協力をいただき、逐年予算増額がなされており、これにより、厚生行政の進展をはかり得るものと信じている次第であります。  さて、昭和三十七年度厚生省所管一般会計予算における総額は二千七百二十三億二千九百四万二千円でありまして、これを昭和三十六年度当初予算二千二百七十六億二千四百五十万円に比較いたしますと、四百四十七億四百五十四万二千円の増加と相なり、また、第二次補正後の昭和三十六年度予算二千三百七十八億五千八百六十一万一千円に比較いたしますと、三百四十四億七千四十三万一千円の増加と相なり、前年度予算に対し一四・五%の上昇を示しており、また、国家予算総額に対する厚生省予算の比率は一一・二%と相なっております。  以下、特に重要な事項について、その概要を御説明申し上げます。  まず、第一は、国民保険推進に必要な経費であります。  国民健康保険については、国民保険計画に基づき、被保険者数を四千五百三十四万三千人として所要経費を算定するほか、療養給付費国庫補助率を二割から二割五分に引き上げることとし、これに要する経費七十九億五百余万円を計上いたしております。  また、事務費補助及び国民健康保険団体連合会に対する補助金についてもそれぞれ増額するなど、総額五百四十二億八千四百余万円を計上いたしており、前年度予算に比し七十三億八千万円の増額となっております。  次に、国民保険推進に必要な基礎的条件整備するため、公的医療機関整備及び僻地診療所設置等をはかっております。  また、私的医療機関等に対する融資のため、医療金融公庫に対し、新たな事業資金として、政府出資二十五億円を含めて九十億円を用意いたしております。  第二は、生活保護費及び社会福祉増進に必要な経費であります。  まず、生活保護費でありますが、生活扶助費につきましては、飲食物費を引き上げるとともに内容改善をはかり、一三%引き上げることとし、これに要する経費二十九億一千三百余万円を計上いたしております。このほか教育扶助出産扶助生業扶助及び葬祭扶助につきましても、基準改訂を行なうことといたしております。  また、勤労控除及び一時扶助についても所要改善を行なうとともに、保護施設職員待遇改善を行なうなど、生活保護費として総額六百四十五億二千四百余万円を計上いたしており、前年度予算に比し三十八億四百余万円の増加となっております。  次に、社会福祉増進に必要な経費でありますが、身体障害者及び精神薄弱者保護と更生とをはかるため、前年度に引き続き収容施設を拡充することとし、新たに老人福祉対策として老人福祉センター及び老人家庭奉仕員を設置することといたしております。  第三は、児童福祉及び母子福祉増進に必要な経費であります。  児童保護費につきましては、保育所給食費収容施設飲食物費及び日常諸費をそれぞれ増額するとともに、新たに産休代替制度を創設し、また、児童福祉施設職員待遇改善をはかるため、給与額一般職員については七・五%、保母等については一三%引き上げる等、児童保護費として百五十二億七千七百余万円を計上いたしており、前年度予算に比し二十八億六千五百余万円の増額となっております。  また、児童扶養手当につきましても、増額措置をとっております。  第四は、主要疾病対策に必要な経費であります。  まず、結核及び精神衛生対策でありますが、昭和三十六年度下半期より実施いたしました命令入所及び措置入院についての新対策をさらに強力に推進するため、結核対策費として三百二十四億六千四百余万円、精神衛生対策費として九十一億三千余万円、計四百十五億九千五百余万円を計上いたしており、前年度予算に比し百二十二億四千百余万円の増額となっております。  次に、小児麻痺対策についてでありますが、定期及び臨時予防接種のため一億三千九百余万円を計上するとともに、ポリオ・ヴイールス・ワクチンの検定及び買い上げ等経費など、小児麻痺対策として総額五億四千百余万円を計上いたしております。  第五は、生活環境改善向上に必要な経費であります。  明るい生活環境を実現するため、特に環境衛生施設整備をさらに強力に推進することとし、簡易水道については十三億九千六百余万円、下水道終末処理施設清掃施設等環境衛生対策費として二十三億七千七百余万円をそれぞれ計上いたしております。  このほか、国立公園等施設整備のため三億二万三千七百余万円を計上し、また、地方改善事業費として二億九千四百余円を計上いたしております。  以上、昭和三十七年度厚生省所管一般会計予算について、その概要を御説明申し上げたのであります。  次に、昭和三十七年度厚生省所管特別会計予算の大要について御説明申し上げます。  まず第一は、厚生保険特別会計についてでありますが、一般会計より百一億九千五百二十四万三千円の繰り入れを見込みまして、各勘定歳入歳出予算をそれぞれ計上いたしております。  第二は、国民年金特別会計についてでありますが、一般会計より五百十一億四千百十三万四千円の繰り入れを見込みまして、各勘定歳入歳出予算をそれぞれ計上いたしましたが、国民年金につきましては、免除された保険料にかかる国庫負担として九億五千五百余万円を計上し、また、福祉年金につきましては、本人の所得制限の緩和、母子福祉年金加算額の引き上げ、配偶者公的年金制限の撤廃及び公的年金との併給を行ない、これら改善分として十億八千百余万円を計上するなど、国民年金国庫負担金として、前年度予算に比し三十七億六千四百余万円の増額となっております。  第三は、船員保険特別会計についてであります。  船員保険特別会計につきましては、五億四千九百三十一万四千円の一般会計よりの繰り入れを行ない、歳入百二十二億九千四百六十万八千円、歳出九十一億八千七百二十六万八千円を計上いたしております。  第四は、国立病院特別会計についてでありますが、一般会計より二十三億九千余万円の繰り入れを見込みまして、歳入歳出とも百六十八億二千六百二十四万六千円を計上いたしております。  最後に、あへん特別会計についてでありますが、歳入歳出とも四億九百九十七万円を計上いたしております。  以上、昭和三十七年度の厚生省所管一般会計及び各特別会計予算案につきまして、その概要を御説明申し上げたのでありますが、何とぞ本予算案の成立につきましては、格別の御協力をお願いいたす次第であります。
  4. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 主査議事進行について。
  5. 田上松衞

    主査田上松衞君) 矢嶋君。
  6. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 質問者がかなり数あるようですが、本分科会として、限られた時間内に一応の審議を終わるために、質疑に入る前に、大体その質問希望者と持ち時間を割り当てて、そして限られた時間内に可能な限り能率的に審議なさってはどうかと思うのですが、いかがでしょうか。
  7. 田上松衞

    主査田上松衞君) 矢嶋君の御発言のことにつきましては、私のほうからあらかじめ御相談申し上げたいと思っていた事項でございました。すでに私の手元に質問通告を出しておられる方は、木村委員矢嶋委員奥委員横山委員加瀬委員の五人でございます。したがって、大体午前中と申し上げましたけれども、こうしたたくさんの質疑者がございまするので、特に午後一時ころまでを目途といたしまして、五人の方々にそれぞれできるだけ公平に時間を分けていただけばどうかと、こう思っておったわけであります。大体考えてみますると、一人の割当時間後、質疑応答を加えまして三十分程度、やむを得ない場合最長三十五分くらいで終わるようにひとつお心がけいただくならばどうかと、こう考えておるわけでございます。
  8. 横山フク

    横山フク君 やはり議事進行ですけれども、午後の文部のほうの質問希望者というのは出ておるのですか。やはり相当数あるのですか。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと速記をとめて下さい
  10. 田上松衞

    主査田上松衞君) 速記をとめて。   〔速記中止
  11. 田上松衞

    主査田上松衞君) 速記を起こして下さい。  ただいま御説明のありました厚生省関係予算につきまして、御質疑の方に順次御発言をお願いするわけでありますが、現在出席政府委員の方は次のとおりです。  森田厚生政務次官山本官房長今村会計課長、尾村公衆衛生局長五十嵐環境衛生局長川上医務局長大山社会局長黒木児童局長高田保険局長小山年金局長山本援護局長、以上のとおりであります。御質疑の方は順次御発言をお願いします。
  12. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 政務次官にお伺いしますが、厚生省予算書を見て感ずることは、非常に零細といいますか、補助行政が多いわけですね。補助費委託費というのがね。そしてこの厚生省だけでよくなし得ない面が非常にある。地方団体がその財政も豊かにならなければならぬし、また理解も持って協力態勢ができなければ成果が上がらないし、それから中央官庁におきましても、労働省、自治省、こういうところとはきわめて緊密な連絡をとって運用しなければなかなか成果が上がらない。そこに私は非常な厚生省予算執行にあたってのキー・ポイントがあるような気がするわけですがね。閣内では閣僚懇談会というようなことを、経済閣僚懇談会というのをよく耳にしますが、厚生労働自治、それに文部相当関与すると思うのですが、そういう関係閣僚所管事項について経済閣僚懇談会に匹敵するようなものを持って僕は対処する必要があるのじゃないかと感じているのですが、実態はどうですか。
  13. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) 今御意見のような閣僚懇談会のようなものは、今まで私はやはり御意見のように行なわれていないように思うのです。やはり御指摘になりましたような事情にあると思います。しかし、事務当局では緊密な連絡は旧来からとっているわけであります。ただいまの御意見相当考える価値のある御意見だと思いますので、十分検討いたしまして結論を出したいと、こう考えております。
  14. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は事務当局だけでなくって、関係大臣がそういう懇談会——連絡であり、協力であり、研究である、そういうものを持ってやることが必要だと、各省の予算書を見て痛切に感じますので、特にこの点大臣にお伝えいただきたいと思います。  それから、大臣がお見えになっていないから政務次官に伺いますが、あなたは厚生省にお入りになって厚生行政をやって人柄がおそらく変わられたと思うのですが、そんな感じしませんか。私は変わると思うのですね。変わらなければおかしいと思うのですよ。こういう予算書をしさいに検討して——これはたいがいの人間は通産省に行った場合と厚生省に行った場合、それはいろいろと性格人柄が変わってくると思う。これはあなた、変わらざるを得ないというような感じは受けませんですかどうですか。ちょっと簡単に伺ってみたいと思うのですがね。
  15. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) まあ私個人の主観的なことに関するお尋ねのようでありますが、入りまして、内容をしさいに検討してみまして、私はわきにいて考えていたことよりまあよくやっているな、ここまでよくやっているものだというふうな工合に考えまして、これはいいところへ私は入ったものだというので、多少政策ないし自分の人生観の上にも相当の変わり方をいたしております。
  16. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の伺っているところと歯車が合わないけれども——一部しか合いません。また時間がないから追及しませんけれども、この一般会計予算書を見て、保守党内閣の、池田内閣厚生予算としては、僕は野党ながらまあまあという——この今の経済機構とこの予算性格から、厚生省予算としてはまあまあというできだと、かように僕は評価してもいいと思うのです。もちろん僕らの立場から納得のできないところもありますけれども、今の与えられたワク内における予算としては厚生大臣相当努力をされたものだと敬意を表してもいいのじゃないかという僕は見方をしていますがね。ただこういう予算だと、合理的に、しさいに、計画的に運用されるとしないとで、その効果というものは非常に違ってくると思うのですよ。不適当な人がやれば、こんなものは零細な予算で、やってもやらぬでも同じようなことになる。ところが、これはやり方では、わずかな国家予算だけれども、非常な国民生活上に影響を与えるという面が予算にあると思うのですね。これは他の省の予算と比べると非常に趣きが違うと思うのですね。そこから厚生省大臣以下、公務員の方々の僕は性格に影響してくると思うのですね。その点この運用に特に僕は期待をいたしておきたい、かように思うわけです。  それから一般的なことを伺いますが、これはこういう予算を見て感ずることは、都道府県の衛生部長なんか、補助獲得にしょっちゅう上京するような傾向はないですか。これを私はみだりに、これは国政全般にも通ずることなんですが、そういうことのないように注意していただきたいと思うのですよ。でないと、国費並びに地方団体費が不効率に使用されるおそれがありますので、その点御注意申し上げておきたいと思うのですが、官房長いかがでしょうか。
  17. 山本正淑

    政府委員山本正淑君) 今御指摘のように、厚生省予算補助金関係が多いのでございまして、しかも補助率は必ずしも高率の補助金でございませんので、地方負担の問題がございますし、むしろ厚生省から、この行政を伸ばすために地方費負担を積極的に計上してもらうというふうに、まあ何といいますか、お願いするというような性格のものもあるわけでございまして、かつまた府県の所管部長課長におきましてそのつど定例の会議を開いておりますので、しょっちゅう予算獲得のために上京しなければならぬという現状にはないと考えておりますが、なお御指摘の点は十分注意したいと思います。
  18. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 政務次官に強く要望しておきますが、私はさっき関係閣僚懇談会というものを提唱したわけですが、それは地方財政計画の策定、地方財政運用、それから地域行政の是正、こういう点について自治大臣と対等の立場ぐらいで関心を持ってやられないと、お宅でこういう予算を組んでなにしても、実際生きていかないと思うのですよ。そういう角度から、緊密なる労働自治文部等関係大臣連絡調整が必要だということを申し上げたのですから、その点お含みおきいただきたいと思うわけです。  それから飛びますが、お宅の試験研究機関がかなりあるわけですが、これは各省庁そうですけれども、まあお宅のは非常に小規模研究機関というのがありますね。これは国全体としても言えるわけなんですが、各省庁でもそうですが、私はこの試験研究機関というのは、あとう限りはまとまったところに、大きな規模であって、それぞれのセクションで緊密なる連絡調整をとりながらやれば、その研究効果も上がるし、また国費効率的に活用できると思うのですね、小さな規模のものが個々に別世帯を設けますと、僕は予算の使用も不効率になるし、また研究所も効果が上がらないのじゃないかというような感じがするのですが、そういう感じは持っておりませんかどうか、伺いたいと思うのです。
  19. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) 私厚生省に入りましてから、実は試験所工合などどうなっておるか見たいと思いまして、二、三実地を視察してみました。御指摘のとおり、研究費が非常に少ないので、びっくりするような場面にぶつかっているわけなんで、今回の予算にもぜひそれを盛りたいと思って、若干ふやしてもらったというような格好なんですが、しかし、とてもそんな程度のふやし方なんかでは不十分だと私痛切に考えております。その点、来年あたりひとつ相当予算を取って、そうして研究に資したいと考えておる次第であります。
  20. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたのほうの所管研究機関で、たとえば製薬会社とか、民間から物あるいは金で援助を受けているようなことありませんか、どうですか。
  21. 山本正淑

    政府委員山本正淑君) 厚生省研究機関のうちの幾つかは国家検定の業務をやっておりまして、その関係におきましては、検定に伴う手数料は公式のものが出ておりますが、それ以外の関係についてはさようなことはないと、かように考えております。
  22. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 なければけっこうですが、私はここに予算書を見て僕の直感として来るのは、たとえば製薬会社から持ってくる、それを検定するその検定料、謝礼の形で、まあ汚職とはならなくても、実際物か何かでお手伝いというか、助成——助成と言っちゃおかしいが、お手伝いみたいな形が行なわれる可能性があるような感じを受けるのですがね。これはなければけっこうですが、そういうことにならないように事前に御注意いただきたいと思います。  次に承りたいことは、具体的な問題になりますが、私前から関心を持っているのですが、予算書の四百五十四ページの16にある性病予防費補助金ですね、これは百七十一万二千円減額になっているのですが、売春防止法が制定されてからもう数年になります。他国の例があるわけですが、一体この性病は現在どういう状態だと把握されておられるのか。われわれは子供を持つだけに心配の点もあるわけですよ。で、皆さんたち専門でありますから、どういう現状認識をされておるのか。この予防費補助金等減額になっておりますが、それらの点もあわせてお聞きしたいと思います。
  23. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) 性病対策の問題の御質問でございますが、性病全般としては今私どものほうで把握している限りにおきましては、売春防止法施行以後、国全体に性病蔓延が強くなったというようなふうには把握しておりません。と申しますのは、私どものほうで毎年約百二、三十万人の全国的に任意の性病に関する検査をやっておりますが、これはグループ別にも分けますし、それから性病予防法に基づきます妊婦あるいは婚姻前の相談という形で、大体毎年同じような統計的に見まして基礎グループをやっておりますが、それで見ますと、ごくわずかずつ、非常にわずかではございますが、性病保有率が低下しておる、こういうことになっております。これは一般国民の推計でございますが、ただしその中で変動を見ておりますのが、いわゆる売春常習者というのが、これが防止法の強化に伴いまして検挙されますが、これを性病予防法の十一条で強制検診をやっておりますが、その結果では、これは常習者については年々罹病率がふえておる。五年間で約三倍の罹病率になりまして、五年前にはほぼ一二%の罹病率でありましたのが、最近はほぼ三〇ないし三五%の罹病率、すなわち三人に一人は持っているということ、ただしその常習者の数が三年前と比べますと、これにかかります者がほぼ二十分の一になっております。したがいまして、実質的な数というものは、濃厚にはなっておりますが、量的にはふえていない、こういう形になっております。これだけがふえているという部分でございます。一般的には今低下の傾向にある、こういうことでございます。
  24. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたの御答弁を承ると私も大体安心するのですがね。売春防止法制定当時に、これをやると性病が陰にこもって云々だと、あの法案に反対される一つの根拠にされておったと思うのですがね。実施後の状況から見てそういう心配はないと、かように国民は安心しておってよろしゅうございますか。
  25. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) これが実施後皆無になったということですと安心できるわけでございますが、若干ずつ減りつつあるという形で、まだ相当数は現にあるということでございますので、まあ絶対安心ということにはちょっと困るわけでございます。これはまだまだ性病対策をやっていきませんと、社会変動でこれがまた再び芽を吹くような形、たとえば非常に若い者のほうが性的に乱雑になってくるという環境変化が起こりますと、今度意外な方面で蔓延のもとになりますので、そういうふうに少し広い形で対策はむしろ強化しなければいかぬと思いますが、ただ従来との数的な比較においてはよいほうの傾向にある、こういうことで御了承願いたいと思います。
  26. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この点には特に今後とも御注意いただき、善処していただきたいことを要望しておきます。  次に伺いたい点は、社会保障の柱としての医療保障年金、これは重要な一つの施策であり国策であるわけですが、これらの点について近年ずっと整理され、統合されて体系が整備しつつあることは非常にけっこうなことだと思うのです。しかし年金一つを見ましても非常にアンバラがあるということ、それから国民年金厚生年金をとりましても、今の貨幣の価値等からいってあまりにも金額が、考え方は社会保障だけれども、実態的にそれに沿わない。それから医療保障についても、国民健康保険のように、今度の予算でも考慮されておりますけれども、療養給付水準というものは実態からしてあまりにも低過ぎる。これらを躍進させることが今のわが国の政策の一つの大きな柱でなければならぬ、かように思うわけですがね。今の時点に立って厚生省はどういうお考えをお持ちで、今後いかように計画的に推進されようとされているか、その点と、それから年金はある程度の掛金をかけて、そうして大体二十年後に——厚生年金の場合もそうですが、大よその公的年金はそうなっていますが、給付をするということなんですが、貨幣価値も変わり生活水準も変わって参れば、そのときに変えなくちゃならぬ。そこで、やはり生産人口が老令人口を養うというような考え方というものももう少し突っ込んでいかなくちゃならないじゃないかというような感じを持っているのですが、政務次官並びに担当局長からそこのところを承っておきたいと思います。
  27. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) 御存じのとおり、この医療制度あるいは年金制度の保険関係は日本において順次発展してきまして、あるものにあるものが加わるという形で参ったものですから、やはりこれはもう大体できるだけ統一するような形に持っていかなければならぬのではないか。なお国民健康保険等を中心にしました皆保険へ持っていったので、相当現実的に困難な場面にぶつかってくるということは御指摘のとおりであります。したがいまして、厚生省といたしましては、これを根本的にひとつ検討して、体系的なものにいたしたいというところに大体の焦点を置いて目下検討しておるような実情でございます。それぞれのこまかいことは各局長から御答弁いたさせます。
  28. 小山進次郎

    政府委員小山進次郎君) 医療保障の点についてお答え申し上げます。ただいまお話しのように、国民保険になりましたけれども、非常に多くの保険がございまして、しかもその間に給付のアンバランスがございます。大体人口の約半分が国民健康保険の対象になり、その他のものが健康保険でありますとか、共済組合でありますとか、あるいは船員保険でありますとか、そういった各種の保険の対象になる。その一番大きな対象をかかえておる国民健康保険におきましては五割給付で、本人家族とも原則としては五割給付に現在なっておるわけであります。その結果、一人頭の医療給付の額等について見ますというと、健康保険政府管掌ないし組合管掌の医療給付の額に比べますとかなり低い状況であります。これらを将来どうするかということにつきましては、いわゆる社会保険の総合調整という問題として社会保障制度審議会において現在鋭意検討中でございまして、遠からず答申が出ると考えております。根本的にはそれを基礎として再検討いたしたいと思いますが、当面の政策といたしましては、やはり全部を平均しまして、上のほうをまあ引き下げるということはこれは適当でございませんので、やはり低いほうの分を少しでも上に引き上げるということが第一の政策目標にならなければならないと考えております。その意味において国民健康保険財政力を強化する意味において、国庫負担率二割を二割五分に上げた。あるいはまた給付制限を行なっておるところにつきましては、できるだけこれを撤廃するように強力に指導したいというような施策を現在進めておるのでございます。どこまでも低いほうの底上げをしていくということを当面の施策として重点を置いて考えている次第でございます。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあ方向はいいと思うのですね。努力されていると思うのですよ。今度二〇%が二五%になるのはけっこうですが、しかし最小限僕らの考えでは幾ら悪くても三〇%だと思いましたけれども、そういう数字には遺憾な点があるが、方向だけは前向きではある。今後格段の御研究、努力をお願いいたしたいと思うのです。  もうあとわずかの時間でございますすが、次に伺いたい点は、四百四十四ページの児童扶養手当、これは非常に関心と期待を持たれてスタートしたものであり、また一月四日付の官報号外資料の厚生白書にも、児童扶養手当の重要性というものを報告されておりますが、この現在の運用状況はどうか、重点的に簡単にお答えいただきます。
  30. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 御案内のように、今年の一月一日から施行になりましたが、認定請求の受付は市町村におきまして十二月上旬から開始いたしております。現在のところ三月十六日までの都道府県における受付状況の実績が参っておりますが、これを三十六年度の予算と比較して御報告いたします。予算では三十六年度に七万四千九百三十一件を見込んでおったのでありますが、三月十六日現在の受付状況が七万一千三百六十四件でございます。  ほほ順調に参っておると存じます。なお、三月十五日以降郵便局におきまして現金支給の手配をいたしておりますが、まだ実績等については報告に接しておりません。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは私は新聞でも見まして関心を持っているのですが、やはりPRが不足しているのじゃないですか。それと中央はいいのでしょうが、地方団体等で研究勉強がやや不足で、PR、指導というものが不徹底のきらいがあるのじゃないかと思うのですが、この点はどうお考えになっておられるか。さらに積極的な指導行政を強化していただく必要があるのじゃないかと思いますが、お答えいただきます。
  32. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 確かに御指摘のとおり、地方におきましてそのような地方もございますので、御意見によりましてさらに、積極的に広報活動を活発にやろうと思っております。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 休暇村造成費補助金というのは、今度一千万円増額になって合計三千万円予算要求されておりますが、このアイデアはおもしろいと思うのですが、どの程度の希望があり、現在いかように進捗し、それからどういう地点に休暇村を作るつもりか、重要なポイントだけお答えいただきます。
  34. 木村又雄

    説明員木村又雄君) 国民休暇村事業につきましては、これは三十六年度の予算で二千万の補助金をちょうだいいたしまして、三十七年度ではそこにございますように、一応政府原案としまして三千万の補助金が計上されております。これが事業の地区といたしましては、国立公園並びに国定公園の地域につきまして、その地域が国有地である、あるいはそれに準ずるもの、そういう所で、しかも国民の利用が非常に期待されるというふうな場所を選定いたしまして、これが事業を実施いたしたいというふうに考えておるのでございまして、御承知のように、これは基本的な施設につきましては一般会計予算で行ないまして、三十六年度は四千万の経費で行なう予定でございまして、道路であるとか、あるいは給水施設であるとか、駐車場であるとか、そういうものは一般会計予算で行ないまして、あと国民宿舎であるとか、そういった有用施設の設置につきましては、これは年金事業団から融資を受けましてその事業を行なう、こういう建前でございます。三十六年度につきましては、現在年金事業団に融資を四億程度お願いを申し上げておりますが、ただいま申し上げました一般公共施設については、現在すでに手をつけておるわけでございます。三十六年度では五カ所ばかりを考えております。三十七年度では、さらに七、八カ所を予定しておりまして、合わして十二、三カ所、三十六年度、七年度合わして行ないたい、こういうふうに考えております。なお、これについての要望は、現在のところ全国的に考えますと、五、六十カ所ぐらいの要望がございます。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 こういうものは、僕はわずか三千万だが、非常にいいアイデアだと思うのですね。推進していただくとともに、そうして、こういう国による施設が、全国的視野から見た場合に、一地域に偏在しないように御注意いただきたい。この国立公園のことでひとつ私の私見を申し述べお答えいただきたいのですが、少し営利を目的とする施設を作り過ぎると思うのですがね。まあ手近な所として、皇居前広場を見ましても、新宿御苑を見ましても、こういう所で飲みもの屋を作るということは、それは便利は便利でしょう。それから設計等に相当な配慮をしておるということは私は了とします。しかし、手近に飲みもの屋がなくて、自然の宝物の中にわれわれが短時間で行けるというところによさがあるのであって、業者とかいろいろ陳情があると思いますが、ああいう所にみだりに施設を作ることは今後厳に私は慎しんでもらいたいと思うのですが、政務次官のお答えをいただいておきます。
  36. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) ただいま御指摘のとおりでございまして、過去においてはそういうことはございましたが、現在のところ、私ども御趣旨に沿いまして、そういう線で、たとえば新宿御苑につきましては、保存協会という公益団体を作りまして、また皇居前につきましても公益団体を作りまして、もっぱらそういう公益団体が中心でそういう施設、必要な施設を最小限度作るように指導しておりますが、今後も大いにそういう方向で十分指導して参りたいと思います。
  37. 野本品吉

    ○野本品吉君 ちょっと関連。今の問題ですがね、国土の総合開発とか、鉄道あるいは道路の新建設とか、そういうものと国立公園の保守の問題、それからこれはあなたのほうの関係ではないけれども文部関係の天然記念物の保存であるとか、それから史蹟、名勝の保存、私は最近の今言った国土の総合開発の問題、道路の建設の問題、鉄道の建設の問題と今のような問題が競合してきて、ややもするというと保守すべきものがどんどんこわされていくというこの実態に対しては、単に小さなどこそこの村とか、部落とか、町とかいう問題でなしに、国の大きな方針としてこの問題に対する基本方針を持たなければいかぬ。この基本方針がないために、さっき矢嶋さんの言われるような営利業者というものが既成事実を作って、それを拠点にしてどんどんこわしていく。私はこれは厚生省だけではいけないけれども文部省、建設省その他関係各省で、今言った保守すべき国立公園、あるいは天然記念物、あるいは文化財的な遺産、そういうものと、国土総合開発の各種の建設事業というものをどういうふうに調整していくかということを、これは重要な事柄として御検討願いたいと思うのですが、これは政務次官どうですか。
  38. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) その点は最も留意せねばならない点だというので、厚生省としてはむしろがんこ過ぎるじゃないかと思うほどかたく堅持しているような態勢でございます。私次官になりましてから公園部長とよく意見を交換してみるのですが、私から見ましても、少しかた過ぎるんじゃないか、もう少し道路など通さしてもいいじゃないか、見せるための国立公園だから道路がなければしょうがないだろう、こういうような意見を立てたりするのですが、それもなかなかそう簡単にお受けにならないというほど部長さんのほうがかたいということでございまして、御期待に——あなたの御意見には沿うているように考えている次第でございます。特に、これは最近またいろいろ問題が起こっていることも新聞等でも散見いたしております。この点十分各省とも連携をとりまして御期待に沿うよういたしたいと思います。
  39. 野本品吉

    ○野本品吉君 今のお考えで一応了承するんですが、要するに、これは厚生省だけの問題でなしに、政府全体の問題として一つの方針を持って臨まなければいけないんで、午後文部大臣に対しても私はそのことを言うつもりでありますが、御検討願いたい。
  40. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 厚生省が食糧費のベ・アですね、単価を引き上げているわけですよね。各組織、項でこれは何%引き上げたんですか。あるいはその組織、項によってその引き上げ方が違いますか、一律に引き上げますか。お答え願いたい。
  41. 今村譲

    政府委員今村譲君) 食糧費も、児童の施設とか療養施設とか、それから病院と、系統の違ったのはありますが、児童系統のいわゆる社会福祉事業につきましては、生活保護法の一三%、あれに関連して一定の率を上げております。それから病院、療養所の百十五円、今度九円上げましたけれども、それも最近の物価事情で……。
  42. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 何パーセントぐらいですか。
  43. 今村譲

    政府委員今村譲君) パーセントにしまして……。
  44. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは内閣全体として統一しているの。厚生省で統一しているの。そちらを聞きたい。
  45. 今村譲

    政府委員今村譲君) 内閣全体はちょっと……。
  46. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 厚生省は何パーセント。
  47. 今村譲

    政府委員今村譲君) 約一〇%でございます。
  48. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは一〇%じゃ低いね。これは至るところで値上げされているから、どういう気で上げたのかと思ったが、それではカロリーが足らなくなるんじゃないの。最近生鮮食料品の値上げからいって一〇%は時宜に適したものじゃないと思うんですがね。政務次官はいかがですか。
  49. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) その点は私あまりよく心得ておらぬので、はなはだ恐縮ですが、事務のほうから答弁させます。
  50. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 会計課長、あなたが知らないと知らないね、だれも。
  51. 今村譲

    政府委員今村譲君) 最近の物価情勢から見まして、一〇%というのは、従来のカロリーなり栄養素なりというものを落とさない、物価差をカバーして多少それが前進になるというふうな格好になるぎりぎり——だいぶすったもんだやりましたが、一〇%におさまったというふうな格好です。
  52. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 会計課長に伺いますが、あなたのほうの予算書を見ると収入督促旅費というのがちょいちょい出ておりますが、収入督促旅費というのは何ですか。こういうのはむだな金だと思うんですが。
  53. 今村譲

    政府委員今村譲君) これは病院、療養所の医療費の支払いでございますけれども、それがなかなか思うように完納されません。これは生活保護患者とかなんとかというのははっきりしておりますけれども、払える人間でなかなか払わないという場合には、やはり国の債権保全という意味では決算の関係でも厳密にそれは徴収せねばならぬということでありますので、そういう施設につきましては若干ずつ入っております。
  54. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 若干と言いますけれども、あっちこっちに入っている。たとえば国立結核療養所だけでも千二百八十三万五千円というのが入っておるのですよ。こういうものは、お互いの少しの善意と心がけでこういう予算というものは他に向けられるので、これはあなた厚生省でこれだけの金をもらってほかの方面に使ったらずいぶん有益に使えますよ。こんなのはむだな金だと思うのですよ。こういうものの改善策というものはできないのですかね。それほど人間が悪くなっているのですかね。国立結核療養所だけでも約千三百万円ですよ。
  55. 今村譲

    政府委員今村譲君) 一カ所にありますと数が多いからそれほどでもありませんけれども、やはり債権を簡単に不納欠損で落とすということは、相当の手続と時間が要りますし、筋からいえば、やはり納めてもらわなければならぬということでやむを得ずとったものです。
  56. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 こういう金額は、これは後年度の予算案では三角じるしがついてくるように努力してもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  57. 今村譲

    政府委員今村譲君) しかし、滞納の実績も、非常に景気がよくなってどんどん払ってくれるという格好になりますならば、そういう三角ばってんでもけっこうだと思いますけれども、その辺の情勢はもう少し検討してみなければ自信を持った御答弁はできないと思います。
  58. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あと二問伺いますが、委託費というのがちょいちょいとありますが、公的扶助の調査とか、いろいろありますが、まあけっこうですが、これはなにですか、委託させてほしいと申し出てくるのが多いのですか、いやいや言うのをこっちから委託するのが多いですか、どうですか。
  59. 今村譲

    政府委員今村譲君) 大体行政の企画で、こういう調査がほしいというので予算をもらいまして、たとえば生活保護法の調査については東京都あたりにやらせるとか、むしろこっちのほうからわいわい言うのが多いと存じております。
  60. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あまり喜んで受けられるというわけじゃないのですね。お願いするという格好ですね。
  61. 今村譲

    政府委員今村譲君) そういう格好がほとんど大部分でございます。
  62. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこにやはり厚生省らしいところがあるんですね。こういうところあたりの委託費というのは単位が何千万円ですから、調査さしてほしい、調査さしてほしいと猛烈な運動があって委託をしておるが、たいした調査もしないで何千万円という委託費で何人か一年間食っておるというのがたくさんありますから、そういうのを突っつき出して、厚生省でやれと、こういうことで交渉をやらなければならぬと思いますが、まあそこに厚生省らしいところがあると思いますが……。  最後に伺いますが、四百四十八ページに、指名定員外職員給与というのがありますが、指名定員外職員給与というのは各省庁に見ない項目ですが、これはどういうのですか。
  63. 今村譲

    政府委員今村譲君) これはもとの引揚援護庁時代に——結局引き揚げ業務というのはどんどんと業務は減ってくるはずである。したがって、現在おる定員を、将来何カ年かの作業のカーブを見まして逐次減らすべきであるという格好にしまして、今年度三十七年度は十五名、いわゆる強制退職といいますか、定員を減らすという格好になるわけでございます。その場合に、勤続年数に応じまして、定員の外ではあるが、指名をされた人間は、十カ月あるいは八カ月——これは勤続年数によりますけれども、給与をもらって、それが切れたときに完全に退職という格好になるという一つの暫定措置のようなものでございます。定員縮小に伴う一つ措置でございます。
  64. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後に希望だけ申し上げておきますが、この予算では七十六ページにわたっておるのですね、お宅の説明は。そのページ数の多いことにおいては最右翼じゃないかと思うのです。ところが内容はやはり繊細、それからたくましさに欠けておるのですね。最近の所得倍増計画等から考えても、厚生省はこの関係予算にたくましさを加えるということは非常に重要だと思うのですね。したがって、今の内閣のこの予算の中でこの程度厚生大臣が編成したことはまあまあのできだと言っていいだろうと僕はさっき申しましたが、この運用に十分に注意されるとともに、効率を上げられるとともに、今後のことについては一段の努力を大臣並びに厚生省の皆さんを通じてやっていただきたいということを希望申し上げておきますから、これに対する所見を承っておきます。
  65. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) まあまあという程度でもおほめの言葉をいただいたことは厚生省としてたいへん喜びにたえないところであります。御存じのように、厚生省は、大体において社会保障制度の、まあ世界でやっておることを一通り研究して、そうして、大体この辺で相当じゃないかという項目を並べております。ただ大臣ともよく相談いたしたのでありますが、これらの項目が、項目は広いが底が浅い、だからどうしてもこれは予算を十分取るということを今後厚生省で努力しようというような申し合わせをいたして努力をいたしておるような次第でございまして、今後とも皆々様の御鞭撻をいただきまして、さらに一そうの努力を重ねたいと考えておる次第でございます。よろしくお願いいたします。
  66. 田上松衞

    主査田上松衞君) 矢嶋君の質疑は終了いたしました。
  67. 奥むめお

    ○奥むめお君 今度の厚生省予算を、数字的に御質問申し上げるというよりも、大局的に伺いたいと思うのですけれども、この冬たいへんかぜがはやりましたが、インフルエンザの予防対策は用意なさいませんですが、いかがでございましょう。そういう問題を伺います。
  68. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) 本年度は、例年と比べますとある程度の予測をいたしまして、例年の約三倍のインフルエンザ・ワクチンの製造をあらかじめ用意いたしました。夏以来地方にこれを通達いたしまして実施を進めたのでございますが、そのインフルエンザ・ワクチンが例年より多い。予防対策を上回ったといいますか、この前のアジアかぜに次ぐような大きな流行を来たして、結果においては全国的な、質的にはこの前よりも非常に死亡率その他から見まして軽うございましたが、範囲におきましては非常な広範な流行を来たした。結局十分な、完全な予防はいかなかった、こういう結果でございます。したがって、これにかんがみまして、またことしの冬以降、まあ主として冬季でございますが、もっとも菌は違うかと思いますが、これに対するワクチンの確保、予防対策、それにはまた流行予測を確実にする。こういう形で、今回の新年度予算にもさような形でお願いをいたしまして、対策も総合的に今厚生省で検討進行中でございます。さような形で準備いたしたい、こう思っております。
  69. 奥むめお

    ○奥むめお君 政務次官に伺いますが、小児麻痺でもずいぶん非常に手おくれにして、国民のほうから大騒ぎをして、やっと、注射ができるようになりましたですね。で、手おくれにしないで、インフルエンザでも早く手を打たれることが国民の不安を非常に軽くすると思いますが、もっとそういう点で予算措置、そのほかでお考えがあってよかったのじゃないですか、いかがでございますか。
  70. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) 御意見に全然同感でございます。まあ、今までの行き方に若干手おくれがあったのではないかと反省いたしている次第でございまして、今後そういうことのないように予算措置等をいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  71. 奥むめお

    ○奥むめお君 それから、ごみの環境衛生整備費の問題でございますが、予算で下水道の終末処理費と清掃施設費と合わせて二十三億七千万円、これは四分の一なり、三分の一なり、各府県に対して国庫が補助するのですから、大体三倍にも四倍にも予算が使えるのかと思いますけれども、地方の様子はどうでございますか。それだけの十分な、手一ぱいの予算を使って、環境衛生を整備しておりますか。このごろ非常に屎尿、ごみの問題では苦情が多いのでございまして、大至急してもらわなければならないのに、四十五年度を目標にして計画を立てる。生活が変わってきたのはここ二、三年でございますですね。また都市集中、六大都市もたいへん人がふえて参りまして、生活環境もまるで変わった。アパートもずいぶんふえている。この社会環境を見た上で、こういう問題というものは、四十五年度を目標にしていくのでなくして、ここ二、三年が一番たいへんなのじゃないかと思うのです。また苦情を見ましても、二割はそういう問題でございますですね、国民の苦情は。もっと努力をしてほしいと思うけれども、どういう御計画になっていますか。数字はもらっておりますから、よろしゅうございます。
  72. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 屎尿処理を含めまして、清掃の問題につきましては、ただいま奥先生から御指摘のとおりであります。特に屎尿処理問題は、人口の都市集中と、農村における肥料問題とからみまして、近年非常に大きな社会問題となってきているわけであります。資料でもごらんいただきましたように、三十六年度を初年度といたします十カ年計画を立てまして、できるだけ早く整備したいということで、極力努力をしている次第であります。予算総額あるいはその運用につきましては、いろいろ御意見もあろうかと存じますが、年々急角度に施設の整備が増強いたしているような状況でございます。
  73. 奥むめお

    ○奥むめお君 ちょっとそれを数字的に見せて下さい。書いたものがありましたら、それを下さい
  74. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) それでは、後ほど資料で差し上げます。
  75. 奥むめお

    ○奥むめお君 年々しり上がりにふえる。
  76. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) さようでございます。
  77. 奥むめお

    ○奥むめお君 それとも、ここ二、三年のところをぴちっとやるというのですか。
  78. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) たとえば屎尿浄化槽の補助予算は、最近五カ年で三倍にふえているというようなことで、また下水道終末処理の補助予算も、最近五年間に三倍にふえているというような状況で、非常な速度で整備の計画ができているわけであります。この傾向をさらに増強して参りまして、できるだけ早い機会に十カ年計画を整備して参りたいという考え方で進んで参りたいと思います。
  79. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) これはもう局長の答弁で尽きていると思います。これは特に屎尿の点を御指摘いただいたのでお答え申し上げたいと思います。  最近厚生省にずいぶん陳情がやってきます。その中でも最も数の多い陳情というものは、屎尿処理なんです。しかも、それがわれわれから見ると、農村じゃないか、あなたのところで屎尿処理で一体こんな陳情するのはおかしいじゃないか。それは次官、認識不足だ、急テンポの農業構造の改善等から、この屎尿処理の問題が一番めんどうな問題になっていると言うのであります。今年度は予算十億が取ったはずでありますけれども、とても求めに応じ切れないものがありますので、何とかこれは、参議院の選挙でも終わったあとで特別議会でも開かれるというようなことがあれば、これはひとつ時代の要請にこたえるために、特別に追加予算のようなものが、もし可能ならひとつ出したらどうだ、今からひとつ用意しておく必要があるのではないかと、局長とも打ち合わせているような事情でありますので、御了承願いたいと思います。
  80. 加瀬完

    加瀬完君 関連。今の奥先生の御質問の問題ですね。年々何倍かに伸びているとおっしゃいますがね、要求額に対して補助金を出す率は一体何パーセントになっているか。補助の対象として、市のほかに、いわゆる今政務次官のお話しのような町村まで含めて補助の対象を一体どれくらい拡充しているか。もう一つは、厚生省で補助をきめても、起債等でなかなか今度は大蔵省の方に問題が出てきて、実際の計画をしてから三年ぐらいしなければ仕事がはかどらない、こういう状態で今まではあったわけですが、その点は解消されましたかどうですか。この三つの点を伺います。
  81. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 第一点の、どのくらいの要望があって、どのくらいこれを消化しておるかということでございますが、書類の上ではかなり先を見越した要望もございまして、大体私どもがこの要望にこたえ得る率と申しますと、厳密に計画を査定してみなければわかりませんが、三分の一程度ではないか、あるいはそれを少し上回る程度ではないかと考えております。それから、町村までに及ぶ問題でございますが、御承知のように、屎尿消化問題は都市人口集中と密接な関係がございまして、従来は市を主体として、実績上市のほうに多く整備予算が流れておるというのが事実でございます。しかし、逐次町村のほうにもこの予算が流れていく段階になって参っておることを申し上げたいと存じます。それから起債のワクとの関係でございますが、起債のワクにつきましても、年々増額いたしておりまして、たとえば下水道終末処理の関係では三十七年度は約三〇%の増、それから屎尿消化槽につきましては約二〇%の増加を見込んでおるわけでございます。大体補助予算と見合って運営が可能ではないかと考えております。
  82. 加瀬完

    加瀬完君 昭和三十五年度くらいまでは大体大きな県で二カ所くらい、小さい県だというと一カ所くらいにしか該当はなかったんじゃないですか。で今三分の一ですかぐらい取り上げているとおっしゃいますがね、取り上げる三分の一の前に、府県で相当セーブされているのですよ。これは御存じだと思う。十五も十六も出るけれども、大体神奈川なら神奈川は三カ所くらいでとまりだと、それをまあ四カ所か五カ所ぐらいにセーブして厚生省には進達をする、こういう形をとっておりますから、実際の要求と厚生省に書類として出てきたものとでは相当隔たりがあると思う。その要望の何%しか厚生省のほうに上がってこない。こういう実情はお認めになりますか。それから起債もふえていると言いますけれどもね、ふえているというのは、たくさんの要望のうちのもう選ばれたごく幾つかの市町村が起債を希望しても、これをまかなうのに競争の状態に置かれている。現状はこうじゃないですか。ですから、今も奥先生の御指摘のように、もっと拡充して下水なりあるいは屎尿処理の施設というものをさせようとするなら、大蔵省にも交渉して、起債のワクもふやすし、それから補助金そのものも、さっき次官の言うようにふやして……。各府県に二カ所とか三カ所とかこういうことでは、この問題の解決にならないと思う。  で市の問題ですがね。市制を施行しておりましても、ほとんど農村地帯の市もあります。町や村であっても、村はとにかく、町であっても、東京近郊のように住宅の団地や何かできて、もう近代都市の形態を備えてきておる町もあります。むしろ屎尿、下水の施設という名称だけのものよりは、実態的には連檐戸数からいえば八割にも九割にもなっている町や、あるいは村でも一部分といいますか、屎尿処理を必要とするような団地や何かできたところのほうが実際には必要であるけれども、こういうところはだいぶ考えてきてくれてはおりますけれども、なかなかその選考のときに条件が第一条件というわけにはいかないと、こういうことで、われわれは地方におりまして非常に困っております。私はほかの委員会でもこの点はお願いをしまして、今度は東京近郊の幾つかの町はおかげさまでお認めをいただきましたけれども、まだ認められておらない遠くの市でも近代都市化した町が幾つかあるわけですから、こういう点はやっぱり中に入れていただかないと住民の要望に沿えない、こういう状態にありますので、奥先生の御指摘の点もう一歩積極的に考えていただきたい。これは希望になりますから政務次官から一つお答えいただきたい。
  83. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) 全然同感でございます。できるだけ努力いたしまして御期待にお沿い申し上げたいと思います。
  84. 奥むめお

    ○奥むめお君 環境衛生監視員というのは何を監視しますか。——どなたに伺えばよろしいか……。
  85. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 環境衛生監視員は保健所に所属しておるわけでございますが、環境衛生をめぐる営業の衛生状況その他環境衛生に関するもういろいろな面の監視を実施しておるものでございます。
  86. 奥むめお

    ○奥むめお君 そうすると、それは環境衛生関係法律、あの法律だけの営業ですか。もっとほかにも関係するのですか。床屋とかふろ屋とか。
  87. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) いわゆる環衛法に関する営業だけではございません。そのほかにも環境衛生上いろいろな問題がございます。たとえば水の問題でございますとかあるいは屎尿の問題でございますとか、そういった関係も監視いたしておるわけでございます。
  88. 奥むめお

    ○奥むめお君 幾人おりますか。
  89. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 人数につきましては必ずしも十分なものではございません。全国で兼務、専務を含めまして約三千三百人程度と記憶いたしております。
  90. 奥むめお

    ○奥むめお君 環境衛生関係の業だけで幾ら、何軒ありますか。
  91. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 環境衛生関係だけでそれ専門に監視しているという……。
  92. 奥むめお

    ○奥むめお君 いや、監視する人というのはもうわかりましたから、そういう営業の家は何軒あるかと、全国で。
  93. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 正確な数字は取り寄せまして追ってお答え申し上げますが、飲食店関係が約二百万かと記憶しております。そのほか含めましておおよそ三百万と……。
  94. 奥むめお

    ○奥むめお君 三百万。
  95. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) はあ。
  96. 奥むめお

    ○奥むめお君 政務次官よく聞いて下さい。衛生監視の人が三千三百人、全国ででございますね。それで商売をしている人が今おっしゃったように三百万。一人が一日に何軒回ったら一回回り切れるかと、そういう環境衛生監視をしていらっしゃるわけなんです。そのためにどれだけ国民が迷惑を受けておるか。これが第一の問題でございます。いつもこれが少ないじゃないか少ないじゃないかとわれわれは要望しておるのであります。  それから環境衛生法、その法律自身、この間も厚生大臣質問いたしましたけれども、基準料金をきめるわけですね。中央審議会の委員がね。床屋は幾らにするか、パーマは幾らにするか、それがたいへん高く実行されておりまして、しかも、そんなに取らぬでもいいのだと、安くしたいというておりましても、組合からひどくいじめられまして安くできない。もちろん基準料金上でございます。基準料金の下じゃございません。基準料金があまりに高いからそんなにまでもらわなくてもいい。経費を節約しているうちもあるでしょうし、そんなに費用がかからぬうちもあるでしょうし、堂々としていても借金でやっている人、親方は遊んで歩いて職人だけさしている人もあるでしょうし、金のかかるうち、かからないうち、いろいろ違いますから非常に差があるんですね。この前、去年の十一月ですか、環境衛生、あの法律がちょっと改正になりまして、都道府県の知事が関与できるようになりましたね。そして営業停止をくらわせられる、アウトサイダーに対して。あれはなぜああいう法律の改正が必要でございましたか、伺いたいと思います。
  97. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) ただいまお尋ねのいわゆる環衛法の中には、アウトサイダーの不当な活動によりまして、組合員の健全な業態の運営が阻害されるというような場合に、一定の条件をつけまして、アウトサイダーに対しても営業方法とか料金を守るということを命令する規定が従来入っておったわけであります。これは厚生大臣が命令をするという形になっておるわけでございます。この命令を出すに至らないが、しかし、十分注意をしてもらって、アウトサイダーの活動に適正な運営を望みたいという場合があり得るわけでございます。そういう場合を予想いたしまして、都道府県知事が一定の要件が備わっておりました場合には、審議会に諮りましてアウトサイダーに対して勧告をする、法律に基づいて勧告をいたすということができるように改められたわけでございます。これは業界の健全な運営に資するという趣旨であろうと理解いたしておるわけでございます。
  98. 奥むめお

    ○奥むめお君 これはほんの一事の例でございますけれども、業界側のほんの少数の役員がきめるんですね、料金を幾らにするかと。それに従わない……、従わないといっても基準料金きめられたものの上はやってるけれども、その人たちがこそこそといじめられるのが、こわいからほんとに秘密のうちに割り引きしておりますよ。そういう例を幾人も見ております。なぜ商売を、自分が商売するのに安くするからといっていじめられなきゃならないか。基準以下というならこれは別ですけれども、こういう例が幾つもあります。  環境衛生法でありますが、私はこれはどこの役所でもそうですけれども、業者と役所が組んでそういう法律を作る、業者に押されて役所が作らざるを得ない羽目に落とされているんだと、こういうふうに見ます。この環衛法のあれができたときには、国会で、参議院で私一人が反対して全部これ賛成なすった法律なんです。それははっきり厚生省は衛生法規だとおっしゃる。私はあと半分読んでこれは値上げ法律だといって反対しました。実際行なってみると値上げ法律で今日の物価高の半分は環衛法関係の協定価格による値上げなんですね。これがずっと高いところへいっている。もうほんとに正体暴露しているわけなんです、環衛法というものはね。しかも今度法律を改正する、で、幾らについているかということは、私この前も続み上げましたからあなた方御存じですが、床屋では六割二分労務費に見て勘定してある。美容では五割三分労務費に見ている。クリーニングでは五割六分以上、みんなちょっとコンマ以下がありますが、労務費に見ている。それだけ労務費を見て基準価格をきめておいて、しかもそれよりはるかに高い値段で町では組合が強制している。もう一番物価の上がっているのは、ちゃんと算定の基準が出てるだけに環衛法が非常に大きいんです。政務次官、こういう問題が物価値上げの大きな要素になっております。どうぞ御所見を伺いたいと思うのでございますが、数字のものは幾らでも私差し上げられますけれども、そうして環衛法を守るのは厚生省でございます。
  99. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) 業者と厚生省が一緒になって、業者の強要でそういう立法をしたのではないか、という御意見もあったようでありますが、その点はまあ厚生省としては何も業者の肩を持たなければならぬ事情にはございません。したがいまして、そのきめたことは、おそらくは第三者の意見とか、あらゆる方面のことを検討した結果、やはりこれは必要な法律だというので、一面この過当競争などもありますので、それをどう調整するかという意味できめたことだと思います。しかし、その法律をきめた結果、またこれはその運用上の面からいろいろの行き過ぎ等も起こることは現実として私はあり得ると思います。御指摘のようないろいろの支障が現出しておるということになりますれば、やはりその運用上の面から十分検討して、指導すべきものは指導する方向へ持っていかなければならないものだと思います。今突然お伺いいたしましたので、的確な答弁はできませんが、しかし、御指摘の点は十分考えまして、よく検討いたしてみたいと考えておる次第でございます。
  100. 奥むめお

    ○奥むめお君 で、ここの私がいただきました資料の中に処分の数が出ておりましたですね。環衛法の関係の監視の結果処分なすったのが出ておりますが、ちょっとこれの説明をしていただきたいのだけれども、営業取り消し命令をしたのが飲食店で六十六、これは食品衛生関係、時間がないから環衛法関係で……。  それでは基準料金をちょっとここで申し上げておきますと、大体床屋は百六十円できまっている。それが二百十四円、二百四十七円、二百三十四円、東京で男の方がどのくらい床屋へ払っているかによって見当つきますが、百六十円が基準、大体百五十円のところは地方でございます。それから美容が基準が六百円。ところが私の四谷辺で、うちの近所見ましても八百円になっている。この数字では東京が六百九十七円と書いてあります。七百円というのはもうごくまれでございますね。それからクリーニングが、ワイシャツで基準料金が東京で三十七円、これが三十九円六十銭、これは厚生省の調べでございますけれども、このままのむとしても、基準料金よりはるかに上回っている。そうしてそれを安くしたらいろいろ文句を言われる、こういう料金のあり方でございますね。環衛法関係というものは、私はこれについても厚生省行政というものは何のためにあるのかと、衛生法規だと、監督するのだとおっしゃるけれども、わずかに三千五百人しかいかない監視員で全国の店を監視して歩いている、そんなべらぼうなことで、監督だけやかましくて、それも業者に監督さしておいて、ずいぶんべらぼうな話だと思う。この予算をふやされませんか、監視員の保健所の予算を。いかがでしょうか政務次官
  101. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) 御意見の点はよく省へ持って帰りまして、検討を加えました上、予算は私のほうとしてはできるだけとって、できるだけ数をふやしたいという考え方なんですが、旧来の努力があるいは足らなかったのかも存じません。その点は十分ひとつ本来の職能を発揮できるような態勢に予算をとりたいと考えております。
  102. 奥むめお

    ○奥むめお君 おふろ屋の衛生監視でございますが、これはおふろ屋、東京は十九円でございますが、十時過ぎになりますとおふろがひざくらいまでしかないところが少なくない。あふれるのがおふろ屋の規則でありますけれども、夜おそく行くと、三助は十一時までの門限でおけ洗いにかかる、流しを洗いにかかる、それで十九円、衛生の取り締まりも何もないのですね、こういう問題御存じでしょうか、関係者の方。
  103. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 監視員の手不足から十分に行き届いた指導監督ができているかということにつきましては、御指摘のような問題があろうかと存じます。昨年の暮れに全国の最高価格を十七円からいろいろ検討の結果十九円にいたしましたのも、その適正な営業の運営によって衛生基準を確保してもらう。それを強く自主的に打ち出してほしいということから、それを確保するための必要な措置として額の改定を認めたわけでございまして、行き届かない点は、なお組合の幹部等にも十分話をいたしまして、また、都道府県も督励いたしまして、指導の面にさらに努力を続けて参りたいと思います。
  104. 奥むめお

    ○奥むめお君 私、厚生省の前半として予算書を拝見しましても、今できてしまったこと、あるいは戦後の日本のやむを得ない社会情勢の上で起こった不幸に対する手当が大部分であって、つまりあと始末、うしろ向いて手当して歩くのですね、前向きの姿勢というものが予算の中に非常に少ない。私から言えば厚生省はなぜこの消費者行政が云々されるときに、厚生省こそまっ先に立って各省を鞭撻すべきだと思っておりました。非常にそれを期待しておりました、だけれども、追い回して、あとからあとから始末していくのが多過ぎて、少しの予算をたくさんにまいて、そしてなすっていらっしゃる。これは農林省でも今JASマークを作ってカン詰をよくしていくのだ、一生懸命張り切っております。通産省はJISマークを作って製品をよくさせるのだ。厚生省は一番からだに直接影響のある食べものの問題で何をなすっていらっしゃるか、この消費者行政ということは、決して物価だけでないと思うのです。国会では物価問題だけであり過ぎることが残念だと思う、内容であり品質であると思っております。人間のからだを守るということであると思うのに、厚生省が肝心の仕事を全然考えていない、まことに残念だと思っております。  たとえば牛乳の監督は厚生省でございますね、牛乳はどういう指導をしていらっしゃるんでしょう、許可のときに。
  105. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 牛乳の衛生の確保は、乳牛の乳ぶさを離れるときから問題が出てくるわけでございます。私ども今指導に力を入れておりますのは、まず、原乳の衛生の確保ということに第一の重点をおいております。その後牛乳の取り扱いにつきましては、食品衛生法に基づきました規格基準がございまして、一定の規格に合う製品、一定の消毒、あるいは小分け、あるいは密栓等の基準ができておりまして、その基準に基づいて牛乳を処理し、衛生を保つというふうに指導いたしているわけでございます。
  106. 奥むめお

    ○奥むめお君 牛乳を増産されるのはこれは農林省の仕事ですが、これをびんに詰めて売る、消費者に届くまでは厚生省の仕事でございましょうね、ざっと見たら。いろいろな牛乳が出ているんですね市販には。一つ例を申し上げますと、ここにある大メーカーのA牛乳、ホモ牛乳、コーヒー牛乳、フルーツ牛乳、フルーツ・ヨーグルト、それからもう一つ値上げの知らせが来たのにミネラル牛乳、スーパー牛乳、コーヒー牛乳、フルーツ牛乳、ヨーグルト、フルーツ・ヨーグルト、ソフトラック、スノーラックこういうさまざまなものを、これはみな業界が自由に作っておるものでございますか。こういうようなことは厚生省はタッチ——指導できませんか。
  107. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) これは私どもがどういう品物をどの程度作れということは、私ども行政からは関与できないと思うのでございます。私どもは指導監督できますのは衛生面だけと考えます。
  108. 奥むめお

    ○奥むめお君 現実どんなものが売られておるかということもお調べになる権限はないのですか。あなた方の領域じゃないですか。どんなものを飲んでおるかということを調べる。
  109. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 私どもの役所の権限として調べるということは、これはできないのじゃないかと思いますが、ただその業界の指導育成というような面から日常どういうことであるかというようなことを向こうの同意を得てそれを処置するということは。
  110. 田上松衞

    主査田上松衞君) 奥委員にちょっと申し上げますが、さっき了承いただいた持ち時間がすでに過ぎておるわけなので、ぼつぼつ結論に入っていただきたいと思います。
  111. 奥むめお

    ○奥むめお君 はい、そうですが。もうちょっと待って下さい。それじゃその問題あとに。  それじゃお薬の問題でございます。このごろ食品も非常に変わりましたし、インスタントあるいはそのほかの変わった食品がたいへんだくさん出ておりまして、われわれの口に毎日入っているわけですが、こういう問題について私ども不満に思いますことは防腐剤あるいは色づけ、つやつけ、いろいろな薬品が食品に加工添加がされておりますね。こういう取り締りはなさっていらっしゃるんでございましょうか。
  112. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) ただいまのお尋ねの点は、いわゆる食品添加物という部類かと存じますが、これは食品衛生法に基づきまして先ほどもちょっと申し上げましたが、規格、基準をきめまして健康上有害でないものにつきましてこれを指定するという制度をとります。指定以外のものまた規格基準にはずれておるもの等はその製造販売使用等を禁止していくというような指導監督をいたします。
  113. 奥むめお

    ○奥むめお君 たとえばマイシン関係の抗生物質ですね、食品にも使われておりますがお菓子にも入っております。これは薬屋で何か手続をとって売るべきものであるんじゃないですか。ところがそれが市販に出ておる。いかがでございますか。
  114. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) お尋ねの抗生物質で食品衛生に関係のございますのは、遠洋航海等で長い間魚を運ぶ場合に、それを冷蔵するための氷にある含有量の限度をきめまして、使うことを許しております。これは冷蔵の過程から流通の過程まで全部こちらで取り調べまして、それ以外に流れないようにということで遠洋漁業の結果得られました魚の保存をするということで、しかもそれをカン詰その他熱によって処理して、食用に供するものにだけこれを使うように認めております。食品衛生の関係で、抗生物質の問題はその一点かと思います。
  115. 奥むめお

    ○奥むめお君 それが陸へ上がってくるときに十分な検査が行なわれておりますか。
  116. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) これも食品衛生監視の立場から、含有量を一定限度にきめまして、それ以上のものは市場に流さないように監督しております。
  117. 奥むめお

    ○奥むめお君 燻製の魚が、燻製と称しているけれども、薬をつけて、色がそれによくにたものがつけてありますね。これは味も悪うございます。見かけはたいへんよく見える。こういうのに使う液、あるいは粉、また、たとえば黒豆を煮るときに硫酸を使うと非常に色がよくあがる。これなんかは硫酸ならば薬といえますね。ところが、燻製用に使うあれは何でございますか。そして薬としてなにしていらっしゃるかどうか。
  118. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 食品添加物の種類が非常に多うございまして、毎年新しく認めるものが二十種類くらいあるわけであります。今お尋ねのものが何であるか、私ここで直ちにお答えをする用意がございませんが、はなはだ抽象的でございますけれども、食品の抜き取り検査等を実施しておりまして、添加物として指定されていないもの、また規格、基準に合わないものについてはこれを使わないようにという指導をいたしておるわけであります。
  119. 奥むめお

    ○奥むめお君 町の苦情を厚生省はどっかで受けとっていらっしゃいますか。保健所を通して集まりますか、中央官庁に。
  120. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 個々には保健所でいろいろ御相談を受けておる場合もございましょう。また、地方庁の苦情相談所、あるいは相談所というような形でこの問題を御相談しておるという場合もあろうかと思います。
  121. 奥むめお

    ○奥むめお君 それにいろいろ対処する方途を講じていらっしゃいますね。
  122. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 一応私どもでできます範囲は、できるだけ御相談に応じまして、運営の適正化を期しておるつもりであります。
  123. 奥むめお

    ○奥むめお君 ひとつ要望をしておきます。私そういう点で、このインスタント時代に非常に食品が質的に変わってきておる今日、厚生行政が人の命を守るということから出発してもらわなければ困ると思います。業者はもうかればいいのですから、体裁のいいものを売るでしょう。どんな危険なものも微量だからといって許しておいたら、それが積もり積もってからだをそこなうと思うのです。こういうおそるべき食物の時代だとわれわれは考えております。厚生省ちっともたよりにならない。ほんとうにたよりにならない。現に食品監視があのとおりの現状でございます。こういう問題を厚生省の一番大事な仕事として考え直してもらわなければならぬ。これが消費者行政だと思う。この点を強く要望いたしますが、政務次官の御所見を伺いたい。
  124. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) たいへん大事な問題と思いますので、私はやはり政治というものは末端の末端で問題が起こっておる。その末端の問題を十分受けとって、それを行政に反映させるのがほんとうの政治なんだということを考えておるものでありますから、ただいま御指摘の点、全然私も同感でございまして、特に監視員の問題につきましては、先ほどから何べんも御指摘になられたのでありますが、この問題は相当大事な問題だということを私もよく納得をいたしまして、よく検討をいたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  125. 田上松衞

    主査田上松衞君) 奥委員質疑は終了いたしました。     —————————————
  126. 田上松衞

    主査田上松衞君) この際、分科担当委員の異動について報告いたします。市川房枝君及び木村喜八郎君が辞任されまして、その補欠に柏原ヤス君及び坂本昭君が指名せられました。     —————————————
  127. 田上松衞

    主査田上松衞君) なおその後の政府委員の出席をお知らせ申し上げます。木村立公園部長、これは先刻も御答弁されたので御承知かと思いますが、なお、牛丸薬務局長が出ておられます。さらに大蔵省のほうから岩尾主計官が見えておられます。  質疑を続けます。
  128. 横山フク

    横山フク君 まず政務次官に伺いたいのです。この間の一般質問の途中で厚生大臣帰られたので、残っておるのでございますが、核爆発の実験が再開される。禁止の方向に動いておるといってもあるいは再開されるかもしれぬ危険性がございますが、日本人はビキニの洗礼を受けておるというか、経験者ですから、そうああいった間違いは侵さないであろうと思いますが、間違いというものはあり得べくしてあるのではなくて、不測に起こることもあると思います。もしそういう場合が起きたときに、あのビキニのときには、あとから考えると少し厚生省でもあわて過ぎたというか、いろいろな点で顧みて失敗したというか、厳重な点があったと思います。そういうことで国内でもいろいろ禁止の問題もございますが、こういうようなことに対して厚生省は、ああいうのは突発的に起こるのだから、それに対しての対策というものを厚生省として用意されておりますかどうでしょうか。
  129. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) 厚生省といたしましての今回の落下放射能問題の対処でございますが、これは昨年十一月から、閣議決定に基づきまして内閣に落下放射能の対策本部ができまして、科学技術庁が主として省の中では庶務的な幹事役を引き受けながら、関係各省が全部参加いたしまして、この対策を練っておるわけでございまして、従来のソ連圏で行なわれましたものに対しては、調査その他をそれぞれ分担いたしまして、総合的に分担いたしましてやってきておりますが、今回の予測されます南太平洋の場合にはまた若干、被害がもしあるとすれば様相が違いますので、先般来対策本部を中心にいたしまして、各省がいろいろ案を練っておりまして、昨日もその幹事会も開かれました。それから三十日にまた本部会議が開かれまして、厚生省として今までの過去の経験も入れまして、必要な対策内容をここで決定に持ち込む。それによりまして具体的な方策を十分調査準備しよう、こういう形で現在進めておるわけでございます。
  130. 横山フク

    横山フク君 そういうことはあり得べきことではないと一応考えられますけれども、もしあった場合、そうしてそういうものを廃棄したような場合、その人々に危害があったような場合、そういうときの予算措置ということも考えるべきじゃないかと思うのですが、一応そういうことに対しての予算関係の心がまえをお持ちになっていらっしゃるのでしょうか。どうでしょうか。
  131. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) これはただいま申し上げましたように、この対策本部で各省が持ち寄りまして、必要なものは、昨年の秋以来もそうでございましたが、予備費あるいは従来のこれの調査費を新しい事態に暫定的に流用するとか、かような形で各省が対策本部で持ち寄ってやる、個々ばらばらにそれぞれの省で自分の考えで年次予算に個々に入れるような形でなくするということに今進んでおりますので、本部の決定等がありますると、それに基づいて予備費あるいは追加予算なんか組まれることになるのではないか、こういうふうに承知いたしております。
  132. 横山フク

    横山フク君 一応次に移りましょう。大気汚染ですね。落下放射能の問題も重要な問題ですし、ふだんに徐々に蓄積されておりますけれども、頻度からいったらもっとおそろしいのは大気汚染じゃないかと思います。これに対して厚生省で今年度の予算には地方研究所の補助金程度が考えられておるだけですけれども、そのほかに対してどういう考え方を持っていらっしゃるのか、予算の上の面だけではなく。予算の上の面だけでは地方衛生研究所の補助金だけになっていますがね。
  133. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 大気汚染関係予算としましては、専門の方の御意見を伺う費用として三十八万円ほどの予算がございます。それから公害の激しい地区でそれを調べてみたい、実態を把握したいということで七十一万円ほどの予算がございます。そのほかに先生御指摘の地方衛生研究所の機械設備等の整備補助金として六百万円ほどを計上いたしておるわけでございます。そのほかにこれは運用の面でございますが、付属機関の研究費あるいは厚生科学研究費の中の項目としての取り上げ方ということで研究予算が含まれて参ります。
  134. 横山フク

    横山フク君 厚生省で、工場公害防止のほうで、まあ煤煙規制のほうをとりあえず立法措置をされるようですけれども、あれは環境衛生ということの主導権は厚生省にあるのでございます。厚生省でこの公害防止に対して何らかの警鐘を打ってそれが通産省のほうに響いて、通産省が煤煙防止の炉の措置をするとかいう形があるのが私は本来の筋だと思うのです。ところが、厚生省では通産省に対して何らか勧告というとたいへん大げさな言い方になりますが、この問題に対して通産省のほうに働きかけたことがあるのでございましょうか。
  135. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 大気汚染を含めまして、公害の問題は古くから煤煙等を主といたしまして非常に大きな事件を起こしあるいは話題となって、特に最近では社会的な問題として取り上げられておりますことは御承知のとおりでございます。これは御指摘のように国民の保健衛生の面からそれをできるだけ排除していきたい、被害を少なくしていきたいという私どもの強い気持があるわけでございます。先ほど申し上げましたわずかな予算でございますが、三十五年の秋でございましたか、から公害問題調査会というようなことで、私どもの役所でもこの問題について具体的にどう処理するかということを考えながら検討をいたして参ったのでございます。これと呼応いたしまして、通産省のほうでももちろん工場から出ます煤煙その他については自主的に規制して参りたいという動きがあったわけでございます。私どもがいつどういう働きかけをしたかということは、今的確に申し上げる材料は持っておりませんが、双方からこの話し合いが進みまして、今回煤煙等の規制をしたいという運びになったのでございます。
  136. 横山フク

    横山フク君 この大気汚染のほうで私調べたのです。結局厚生省の資料が一番ないのです。私は厚生省が一番この問題に対して熱心で、一番先にするところだと思ったのですけれども厚生省に一番なかったということはたいへん残念だったと思うのです。時間の関係でその次の問題に移らしていただこうと思うのです。  保健所の問題ですが、保健所の予算をいろいろ見ますと、窓口収入というのがあるのですが、この窓口収入というのはおかしい。私は保健所としてはそこで金銭収入というものを考えるところじゃないと思う、保健所の性格から言って。しかもなお窓口収入ということをねらっておるし、都庁でも、二、三年前までは窓口収入の順位によって発表されておるのです。貧弱県だと窓口収入をかせぐことを奨励しているようなところがあるわけなんです。これに対してどうお考えになりますか。
  137. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) 保健所の業務上、収入を上げるということはこれはもう全然方針でございませんで、これは保健所法にも原則として無料の原則というのが第九条に明記してあります。ただし例外といたしまして、政令で定めた特に費用のかかるものについては、政令に指定した項目に関する限り収入をとってもよろしい、実費を徴収してよろしい、これは政令でこまかく規定してございます。したがって、原則はあくまで保健所は保健衛生の指導あるいは助成をする、それぞれの団体の動きを助成する、こういうことになっておるわけでございますから、窓口収入というようなものを奨励する、ことに競争させるというようなことはもう全然方針に反するわけでございます。私どもとしましても、とにかく保健所が収入をよけいに上げれば、その保健所を地方の経営体がめんどうを見るというような風潮が若干ありましたもので、強くこれを是正するように指導を重ねておるわけでございます。ただ、ただいまお話しになりました窓口収入が、全体の保健所の支出経費に対しまして約一割五分ほどの収入がございます。これは中身はただいま申し上げましたように政令で規定しております種類のもの、これはおもに健康診断、ことに結核の集団検診、これは市町村の責任になっておりますが、それがほかの医療機関に委託すると同様に保健所に委託される、こういうものは政令でも取るようになっておる。あるいは予防接種を市町村から委託を受けた、こういう場合と、それからごく一部は県知事がみずからやる部分が健康診断並びに予防接種とございますが、それも政令で規定してあるものだけは実費を取る、こういうことでございます。方針としては、医療機関で一般にできることを保健所がやりまして収入を競うというようなことは全然行政目的と違いますので、さようなことは厳に戒めておる、こういうことでございます。
  138. 横山フク

    横山フク君 全体の一割五分と言うのですけれども厚生省の「厚生指標」ですね、これを見るというと二割八分になっておりますね。これを見ますと違いますね。この厚生省から出ておる謄写版刷りのこれを見ましても、窓口の収入の多いところは二〇何%になっております。少ないところでも二〇%そこそこにあるのです。決しておっしゃるように一割五分、一五%というところはないのです。これは厚生省で作られた印刷物でございますので、そう違いはないと私は思うのです。これははっきりしておりますが、時間の関係でこれを詰めて、私のほうが正しいからと言って何かとっちめようという気持はありませんから、ただ二割余になっておるということだけをはっきりいたしておきます。  それからもう一つの問題で、窓口収入は健康診断や何かとおっしゃるけれども、健康診断ではないのです。これを見るとエックス線がおもなんです。健康診断の手数料、もちろん健康診断もあるでしょう、これはありますけれども、エックス線は結核の診断ですね。ところが結核のほうは無料でもって検診するということになっておる。これが巡回のときでしたら無料になる。それから結核の検診週間をはずれたときはどの人が行きましてもこれは料金を取るのです。その料金を見ますというと、たとえば普通の御婦人が行った場合でも、一万人がいわゆる検診期間、ところが、その検診期間に婦人が行かないで、その時にはずれて行った場合にはお金を取られるのです。これは全体でもって、東京都内の保健所でも三万になっておるのです。一万に対して三万ということになりますと、お金を取られる人のほうが三倍から多いということが言えるのです。これは東京都内で交通の便のいいところです。交通の便の悪いところになりますと一斉検診はしないのです。自分に何かの自覚症状があったときに初めて行くのです。そしてそのときお金を取られるのです。だから、これが保健所よりむしろレントゲン車を出して、そうして診断をするというのだったら、これは費用がかかるから、実費ということも言えるでしょうけれども、保健所に来て診察を受けた場合には、これは結核予防法の建前から言って、この週間をはずれててもこれは無料でもってやって、窓口収入というものはねらうべき筋でないのじゃないかと私は思うのですけれども、いかがでございましょうか。
  139. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) ただいまの御質問はちょうど二つの問題がありまして、一つは無料という意味は、公費無料ということになっておりまして、保健所に支出されますのは、ちょうど市町村が国費のもちろん補助を受けますけれども、公費で、本人はただで、市町村が支出すると、それを医療機関にも集団健康診断を受けさせればそれを払うし、それと同様な立場で保健所に委託すれば、保健所に支払うと、こういうことで御本人に関しては無料であって、市町村と保健所の間にいわゆる徴収関係が窓口で起こる場合もございましょうし、そういう形が一つ。  それからもう一つは、東京都の場合はちょうど市町村とそれから府県の保健所の性格を両方持っているわけでありまして、市町村が自分で行なうというものを東京都とか、指定都市に関する限り保健所がそれをやっているわけでございます。したがって、これは市町村なみのことをやっておりますので、ちょうど区役所の衛生係のようなことを同時にやっておるもので、一般の保健所とはちょっと違った形になっておることが一つ。  それからもう一つの問題は、今の指定の時期以外に行くと、健康診断費は本人の負担になる。これは現在の制度ではそうなっております。これは結核予防法では法律に規定した市町村長が指定した方法と期日によって受けた場合に、この予防法上無料になっておりますが、これは任意に自分が健康診断を受けに行くと、結核に対しましてもこれは現在のところどうしても有料である。またこれは府県でも、一般的な健康診断全部が給付になっておりませんので、そういうような形になる。こういう形で東京都は特にそれが今市町村をかねておるという形で全国的よりは、先ほどのお話のように金額もずっとふえておりますが、全国的の一般のものは、先ほど言いましたように一割五分程度、こういうことでございます。それからいま一つ誤解を受けておりますのは……。
  140. 横山フク

    横山フク君 ちょっとお話し中なんですけれども、もっと簡単に言って下さい。あなたの答弁のほうが私の質問より長い。
  141. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) それからもう一つは狂犬病の予防注射、こういうものは保健所で便宜扱っている都市がございますが、これは保健所の収入ではなくて、県直轄の仕事を窓口としては保健所が利用されている、こういうことがあると、こういうことでございます。
  142. 横山フク

    横山フク君 東京都が市町村をかねているから、よそより多いとおっしゃるのですけれども、残念ながらお宅からいただいた表ですと、東京が一番少ないのです。宮崎県や鹿児島県のほうが多いのです。ですから、その説明は理屈に合わないです。しかしそれは一応抜きにします。そうして指定されたときに、指定された方法のときだけだということは承知しております。ただその周知方ということに対してあなたのほうで予算を上げておりますか。一般の御婦人たちは周知していないのですよ。だから、そのときに行かないから金を取るのだということでは、私はこれを完全に実施するためには不十分、不親切なやり方だと思うのです。知らぬのですよ。それをどういうふうに知らせるのかと言ったら、それを知らせる予算はありませんと言うのです。
  143. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) これは結核の健康診断に関するそういう普及周知の告知等の予算が、これは例年計算して組まれておりまして、国庫補助の対象になっておるわけでございます。ただ、地域によりまして必ずしも徹底するような方法を講じてない部面もなきにしもあらずでございますので、今のお話のように、よく徹底するようにまたそう改善万を指導いたしたいと存じます。
  144. 横山フク

    横山フク君 まあ先ほどのお話ですが、たいがい多いところでは、もうこれは二〇%をこえて二〇何%になって、少ないところでも二〇%になっておるわけです。そうして残りの三分の一ですから、もし窓口収入ということになれば、全体の支出面から見たらば、補助金は二三%ぐらいにしか当たっていないわけなんですね。これは窓口収入のあるものを除いての三分の一ということは私わかるのです。実際にお金をもらっておるのに、その金をもらったものにまで補助金を出す必要はないと思うのです。実額だけに三分の一出すのがあたりまえだと思うのです。ところが、保健所を建てる場合、あるいはお医者さんを頼む場合——これは定数の中の医者ですよ。その人たちの場合でも、実際のかかったものの二分の一とかいう形の補助金ではないわけですね。これは基準というものがあって、基準の二分の一になるのです。まあ、それは多くかかり過ぎるといけないから基準というものをつけるのですけれども、基準の二分の一である結果、実際は一九%しかなっていないのがあるのです。これは資料に出ておることですけれども、これはひど過ぎると思うのです。片方のほうでは実際にかかったものの三分の一だ、片方は実際にどんなにかかろうが、基準の二分の一だ、基準の三分の一だというのですね。どっちも少ないほうをねらったやり方をしておるのですがね。これは少し矛盾があるとお思いになりませんか。
  145. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) 保健所の国庫補助金につきましては、今の御指摘のとおりで、これは一定の補助金の基準というものをきめまして、その数量とその基準に合わせまして補助を出すという形になっておりますために、現実には地方庁で人件費等はそれぞれの県のベースが高いところがあるという形、あるいは建物につきましても、相当高い建物を作る、あるいは基準どおりのものというふうで、今のお話のような結果になっております。これはできるだけ全国的に……そうかといいましてばらばらにやるわけにいきませんので、全体として水準を上げていく、こういうふうに予算の獲得の努力をしたいと思います。
  146. 横山フク

    横山フク君 まあ実際にかかったのが高いところがある、そうかと思うと低いところがある。それなら伺いますけれども、基準どおりでもって間に合ったところが、全国の保健所ができたのではどこにありますか。少なくともそれで間に合ったところがなければいかぬと思う。ぜいたくなところは、それは勝手です。しかしぜいたくしない限りにおいては間に合う基準でなければならないと思いますが、基準どおりで間に合った、あるいはお医者さんの給料にしても、基準どおりの給料で間に合ったところ、建物にしても、基準どおりの予算でもって建設のできたところが全国でどこにありますか、それをお示し願いたいと思います。
  147. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) 遺憾ながら、たとえば保健所の施設費のお話がございましたが、坪数につきましても、こちらで百五十坪とか二百坪とかきめたものに満足されないで、ほとんどのものが継ぎ足すという形でございます。あるいは人件費におきましても、医者が中心でございますが、基準どおりで雇えるというところはないようでございまして、実際に可能であった例はまずまず少ない、これはもっと上げていかなければならぬ、こう思います。
  148. 横山フク

    横山フク君 この問題はもっと詰めたいと思うのですが、いずれ社労でいたします。  それじゃ医務局に対して伺います。局長、簡単に言って下さい、あなた長過ぎるから……。医務局長に伺いたいのですが、この間、藤原委員が一般質問でなさったことはごもっともだと思うのです。結局この問題は定員の問題になると思うのです。定員の問題に対して、四ベッドに一人の看護婦ということは、どういうふうにお取り扱いになるつもりですか。
  149. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) 御承知のように、現在の医療法では四ベッドに一人は有資格者という考え方をしておるわけで……。
  150. 横山フク

    横山フク君 ちょっと……私は現在の医療法を聞いておるのじゃないのです。この医療法の四ベッドに一人ということは無理だということを指摘しておるのです。それに対してあなたもそうだと、こう言っておるのです。これは前の局長からですから、相当長い期間です。それに対してあなたのほうでどういうふうな御対策をしていらっしゃいますか、こういうことを聞いておるのです。変えようとして努力なさったか、なさらなかったかと、それを聞いておるのです。
  151. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) 古い基準でありますので、再検討をしたいと思います。看護協会から三対一という方向も出ておりますので、その方向でも検討しておるわけであります。現在看護婦が看護婦でなくてもできる用務を担当していますので、それを補助者等にまかせていくべきだと思います。
  152. 横山フク

    横山フク君 私二つ疑問があるのです。看護協会で三対一にしたいということを言っているから、それをやろうということでどういうところに働きかけたか、そういうことに対して具体化するために努力したかということが一つ。  もう一つは、これは看護婦が必ずしもやらなくてもいいものがある。それを整理する、これはわかります。それで整理するとおっしゃったのは、それはもちろん三対一なり四対一なりのほかにその人たちの定員をとらなかったら整理した意味にならぬですけれども、その点を中でもって整理するなら意味ない。それを伺いたい。
  153. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) どこに働きかけたかということでありますが、まだ三対一の方向も含めて検討するという段階で、国立の施設などでもそういう点を検討する準備をしています。  それから看護婦が足りないからといって、すぐ看護の基準を下げようとは考えておりません。外国の病院の場合等とも比較検討いたしておりますが、日本の病院では補助者が少ないものが多いので、補助者を含めて実際の看護体制を向上さしていきたいと考えます。
  154. 横山フク

    横山フク君 あなたのおっしゃるのは少しおかしいのです。四ベッドに一人だから四十ベッドに十人です。十人の定員の中に補助者を入れたのなら、結局看護婦のする仕事がほかの補助者になるだけの話で定員には関係ないのです。その人の仕事の労働力には、看護婦がするかほかの人がするか、オーバーであることには変わりない。仕事がオーバーだったら、定員のほかでもって、補助者というものは、四対一のほかに補助者を定員でもって持つということになるならわかるので、仕事の面で負担をかけるということではだれかが苦労する。無理な苦労をするという形においては変わりないのだと私は思うが、お答え願います。
  155. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) もちろん看護婦にしわを寄せるようなことは考えていません。看護婦が現在やっておりますものの中から、看護婦でなくてもできる仕事、これを看護協会は三割くらいあると言っておりますが、そういうものを取り除けば結局……。
  156. 横山フク

    横山フク君 時間がないから簡単に伺うのですが、看護婦の中から取ればというのだから、看護婦の中から取ったら、それだけは定員として認めるか認めないかということを聞いているのですよ。
  157. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) それは補助者をですか。
  158. 横山フク

    横山フク君 そうですよ。看護婦の四対一のほかに定員としてお認めになるのかということを伺っているのです。
  159. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) たとえば三対一にする場合でも、三対一の一を全部有資格者にする考えは持っていません。
  160. 横山フク

    横山フク君 そうすると、あなたの言うことはすれ違ってくるのですが、三対一にするということを前提であなたのほうは言っていらっしゃるのですね。私は四対一なら四対一でもって、雑役なら雑役をはずせば結果としては三対一になりますね。看護協会のほうの試算というものを伺っておりますが、時間がないからまた別のときに詰めようと思います。  それからもう一つは新生児ですね、これは母親と一緒に四対一に入っているのです。人間になっていないのです。入院した場合にベッドが新生児室なり保育室なりに入っていても、この人たちに対する看護婦の定員というものはないわけです。これは四対一であろうと、もうすでに早急に認めなければならぬ問題であるということは、私何回も繰り返しているので、この問題だけでも早急に解決しなければならぬと思いますが、どうお思いになります。
  161. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) 前々からその点御指摘を受けておりますが、国立病院でも一応調査いたし、また、有識者などの意見も聞きまして、ほぼ成案を得ております。なるべく早く改善したいと思います。
  162. 横山フク

    横山フク君 先ほど私、政務次官に伺ったのですが、政務次官は御答弁なかったのですが、私はこの問題は予算分科会では初めてです。しかし、社労では何回も繰り返している、六年間。しかし、いまだに解決できない。これは熱意の問題です。のらりくらりと答弁するだけでは、私は黙っていられないのですね。この問題に対してほんとうにおやり下さるかどうかということを政務次官に伺いたいのです。確約していただきたいのです。
  163. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) 非常に専門的なことでありまして、先生の御意見を拝聴いたしておりますが、はなはだ不学でありまして、よく了解できないのでございます。先生は非常にわかっているはずだということの前提で御意見をお述べになるのですが、その前提がどうも私まだよくのみ込めておりません。したがいまして、私ここでやるかやらぬか確答しろとおっしゃられても、ちょっと確答できませんが、しかし、先生が特に看護婦の問題については非常な権威者であるということも聞いておりまするし、前々から先生が問題を提供されて、厚生省にどういう態度でこれを解決するかということを、問題提供をなされておることは聞いておりましたから、それはよく検討いたしまして、そうして何かこれは対策を出してお答えにいたさなければならぬものだというふうに考えておりますから、この程度で御了承願いたいと思います。
  164. 横山フク

    横山フク君 私は時間がないから説明しないのです。それで御理解ならないということは、一応無理ないのです。しかし、これは医療行政の中の一番のもとになるのです。これを解決しないでもって医療行政をやっても、新生児の保健指導だの、子供が大事でいろいろな予算を取ったって、根本の新生児というものに対してベッド一つ、看護婦の要員もつけていないで、そうしてほかのことをやっても、ちぐはぐということが言える。根本になっているのです。ところが、それに対して幾ら言ってもあなたは御存じないということは、厚生省はこの問題を一番軽く見ているからこそ、政務次官になられて八カ月になられても、まだこの問題に対していろはのいの字もお耳に達していないと思うのです。そんな軽く見られてはならない問題だと思う。  それから私は、ちょっと最後に時間がないので、一つだけ。ジェット機以上なんですが、医務局長に伺いたいのです。この看護婦、助産婦、保健婦の需給対策をどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  165. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) 現在、非常に御承知のように不足しておるということで、問題は多いわけであります。さしあたってパート・タイム制度を一つ活用したい。御承知のように現在、看護婦の登録を持っております者が二十三万人くらいいるのです、働いていないで。ですからこれをひとつできるだけ活用しようということを考えております。それから、先ほど申し上げましたような、看護婦でなくてもできるような仕事を相当看護婦さんがやっておられるわけですから、あるいは雑役をふやしていくということをさしあたってはやらなければならないと思います。  それから、ことしからできるだけ看護要員をふやしたいと思います。養成所の養成を確保する、国がまず率先して定員を、フルに生徒をとるようにいたしております。それから将来、やはりどうしても養成所を助成いたしまして、ことに足りないところの養成所をふやしていく、あるいは財政を拡充していくということ。それから特に大事な点は処遇の問題だと思うのです。処遇をほかの職業婦人に比べて、これは必ずしもよくないと思いますので、待遇改善あるいは勤務条件の改善に努力していきたいと思います。
  166. 横山フク

    横山フク君 パート・タイムを採用するとおっしゃいますけれども、パート・タイムの予算はどこにも組んでいないのですね。あなたのほうはパート・タイムをすると言っても、それはその場のがれの答弁でしかない。看護補助者を入れたいというが、その看護補助者の定員も一つもない、そう言っても無理です。また養成をなさるとおっしゃいますけれども、現在の養成所でも看護婦さんの勉強している人というのは定員に満ちていない。これはよけい作っても、二十人定員のところに学生は十人、十五人しか来ない。それじゃあなたのおっしゃる十カ年計画、四十五年の計画を見てみますと、四十五年の計画どおりやってもなおかつ最終年度において三万何千人足りない。ところが、この養成計画はこの計画どおりにいくはずがない。二十校は作れない。作ってもそれだけの生徒が来ない。現在でも充足されていないのですから、来っこない。これはただ形の上で将来あるべき姿を最大限度に考えて無理してお作りになっても、しかも、なおかつそのときに三万三千十九人欠員です。足りないのです。充足されていない。保健所を合わせたら、保健所では千二十五人足りないのです。これではあなたの言うように、これはやはり需給対策を立てているとおっしゃっても、これでは私は満足した需給対策ではないと思う。そして、これもできないということは、あなた方のほうの課長さんもはっきり言っております。一応作りましたけれども、こんなものはできませんとはっきり言っている。私もできるはずはないと思う。これはどこにあるかといえば、労働強化です。それからあなたのおっしゃる収入の低下です。この二点でもって看護婦さんにくる人はございません。しかし、国立はまだいいですよ。民間のほうはもっと悪いです。だから国立のほうへ民間から行きたがっている。ほかから見たら悪い国立でも民間から行きたがっている。民間は看護婦がいないで非常に困っている。民間の看護婦さんがいなくなったら、病人はどうしますかという問題を真剣に考えなければならない。私は少なくとも最低賃金はもう作るべきだと思う。これは労働省の問題じゃないですよ。一般の人たちに対しては労働省が労務管理というものを、監督しております。しかし、看護婦や保健婦、助産婦は国家登録で、身分は厚生省にあるのですから、また、特別な業種ですから、厚生省が主体になって、少なくとも看護婦の最低はかくあるべきだという姿を出すべきなんです。社会党の人に言われる前にあなたのほうで出すべきですよ。ところが、それがいまだにできないで、そうしてのらりくらりと今日まで、満足にできないようなものを紙に書いて、これだけ私はやっておりますと言っている。しかし、できませんけれども、という形であったのでは、私はこの問題は過ごされないと思う。もう少し私がここで言ったからには、今まで予算委員会では一つも言わない、自分のほうの問題だから。しかし、ここでこれだけのことを言う限りにおいてはもう少し真剣にまじめに、じみちに考えて、何らかの対策を立てなければだめですよ。もう最低賃金をお作りなさい。私はそう思うのですけれども、あなたはどう思いますか。
  167. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) たいへん厚生省でやっていない点を御指摘になりまして、ある意味においては激励していただいていることだと解釈しているのでございますが、実は、私ら非常に素朴な看護婦観というものを持っておったわけだったのです。ところが、私はある非常に大事な表彰の席に臨んだことがあるのです。そこで表彰されて参列している看護婦の方々、自分もああいうふうな表彰の栄誉を受けたいものだという顔に表われる輝きを私は期待しておったのです。ところが一向そういう空気が出ていない。これは非常におかしいんじゃないかということが第一点。それからもう一つは、看護婦の方々がストライキのほうへ回る、これも非常にわれわれのもと考えていた看護婦観がこわされたという意味で、大問題だということを実は私は考えているものの一人なんです。その後、ただいま御指摘になりましたような、まず人員において不足なんだ、養成所を開いても入ってこないじゃないか、今のような社会情勢ではどうもならぬじゃないかということですね、待遇改善の問題。しかも、資格が非常に高くて、その高いところをみてもそれに相応する待遇じゃないという点。これなどもすみやかにこれは解決しなければならない問題だと、私たちもその程度には考えておったわけです。しかし、詳細にきょう御指摘になられた点等を承りまして、これはすみやかにやはり解決すべき大問題であるということを痛感いたしました。これは必ず何らかの対策を立てておこたえいたしたいと存じます。
  168. 横山フク

    横山フク君 最後にちょっと。病院のストのときに、医務局に指導課をお作りになったのですが、何を指導していらっしゃるかということを伺いたい。病院ストのときに看護婦さんは同情された。というのは、低賃金で重労働に甘んじている看護婦さんに同情した、あの人たちの賃金を上げるために。ところが一般の人はもっと低いのです。ストをした人たちはいいところの病院です。もっと悪い人があります。その人たちのためにあなた方が病院経営者たちをお集めになって、待遇改善に対しての話し合いをお持ちになったことがおありになりますかどうですかということを伺いたい。
  169. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) 指導課を作りまして、診療管理、労務管理、財務管理等に関する調査や指導をいたしております。最近は特に看護婦問題にからんで処遇の改善の問題が非常に重要であります。確かに御指摘のように、民間のほうが相当悪いので、医師会、病院協会などにも働きかけて改善をはかっております。そういうことで、病院ストのための反省もだいぶあると思いますが、当時から見ますと、かなりよくなっていると思っております。まだそれは不十分ではありますけれども
  170. 横山フク

    横山フク君 結論を一分間お許しいただきたいと思いますけれども、これは医務局としては、病院の姿、看護婦の姿はかくあるべきだということは、あなた方は見ていらっしゃると思う。ところが、保険財政のほうで押えられるところはどこを押えられるかといったら、結局看護婦のほうに押えがきているのです。ですから、結局入院料に押えがきている。ここのところから、経済からきている。そこで病院の姿はかくあるべきだということを立てられても、あなたのほうは押し切られているということに原因があると思う。ベッドが足りないということもそこにあると思います。そうではなくて、せっかく国民保険までしたら、病気にならないように、病気になったら早くなおるようにするためには、やはり看護体制というものが整っていなければならぬのです。そのためには、保険行政のほうをあなたのほうの医療行政のほうが牛耳って、医療は基本的にはかくあらねばならぬというぐらいにあなたのほうに力がなければいけないのです。それがこんなことであったのでは、いたずらに病人を作り、病人を長くするのはだれがするかといったら、医務局がする以外にはないということです。もう少ししっかりやっていただきたいということを私は申し上げまして、たいへん長くなりましたが、終わります。
  171. 田上松衞

    主査田上松衞君) 横山委員質疑は終了いたしました。質疑を続けます。
  172. 坂本昭

    坂本昭君 予算書に盛られた金額、あるいはまた、その実施内容等について疑問がありますので、私は結核対策とポリオ対策、この二つについてお尋ねをいたしたいと思います。  まずお伺いしたいことは、要入院患者は実態調査でも九十六万、また、保健所に登録されている数からいっても二十六万といわれておりますが、それに対する命令入所の患者さんの数の関係をどう見ているかという点であります。この命令入所という言葉は、実は非常に悪い言葉だと思うのです。ほんとうならもっと民主的な言葉を使うべきですが、しかし、公費負担によって患者さんが自己負担を免かれるという点で、日本の結核対策の主流をなすものだと思います。そういう点で、今の要入院患者に対する命令入所の患者さんの数の関係を大体どういうふうに厚生当局は見ておられるか、まずその点を簡単に。
  173. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) 三十七年度のただいまの御指摘の六万二千六百十六件というものが、国内で予測される命令入所の必要な患者のどのくらいに当たるかということであろうかと思いますが、これは絶対に開放性で感染のおそれのあるという病状上の問題と、今度それが現実にほんとうに危険かどうかという点では、やはり環境上の問題と、こういう二つをからみ合わせて考えまして、来年度はさしあたり一番その条件の悪い、早急に命令入所いたしまして隔離し、さらに治療を加えるというものを来年度としては計上した、こういうことでございます。
  174. 坂本昭

    坂本昭君 今日の命令入所の患者さんの対象というものは、ほとんど貧困層に私はかたまっていると思う。そういう点からいうと、今あげた数、九十六万あるいは二十六万に対する六万二千六百十六という数は、あまりに少な過ぎるんではないか。だから、これは厚生省の本来のあげた数ではなくて、大蔵でなたをふるったんではないかと思う。主計官、ちょっと御説明願いたい。
  175. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 全体の問題といたしまして、結核の要入院患者に対しまして、どういう措置をとるかという問題が一つと、それから現在の命令入所の数についての御質問というふうに思いますが、最初の問題につきましては、従来の各種の統計資料に基づきまして、これは昨年、あるいは一昨年から、先生からもいろいろお話があったかと思いますが、実際上結核がなおったか、あるいは菌が出ておるか、あるいはどの程度の容態であるかという判断は、なかなかむずかしいようでございます。そこで、推定され得るものから、健保等について見られる実際の入院率等を考えまして、今後の要入院率は動いていくであろうということを推定いたしております。ちょっと私、数字ははっきりここに持っておりません。それから命令入所につきましては、先ほど局長からお話がありましたように、本来活動的な感染性の結核につきましては、これを入院治療する、しかし特に環境の悪いものについてそれを優先し、かつ低所得者について優先をしていこう、こういう趣旨でございます。それで、三十六年は、新政策といたしまして十月から実施をした最初でございますので、結果はまだよく判明いたしておりません。その段階で予算編成ということになりましたので、大体推定され得る資料を基礎にいたしまして三十七年度の状況というものを推測したと、こういうことでございます。
  176. 坂本昭

    坂本昭君 どうも大蔵当局の御説明では納得できないです。この計画そのものは、厚生省がもちろん主体性を持って計画しておられると思うんですが、一体厚生省結核をなくすつもりなんですか、それともそのままほおっておくつもりなんですか。なくすというならば、何年計画でどうなくすという、そういう計画を持っておられるんですか。
  177. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) どの疾病もぜひなくしたいということでございますが、特に結核は、今まで頻度と被害度が質的にも強いものでございますから、これはもうぜひなくしたいという方向でやっておるわけでございます。ただ、それには、だんだんと減らしていかなければ、一挙にこれを一年間なりでやるとかいうようなことは困難でございますので、さような形で総合的に逐次やっていく、こういう目標を立てておるわけでございます。
  178. 坂本昭

    坂本昭君 だから、今、現段階では、何年でなくすという確たる計画を持っておられますか。
  179. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) これは、結核を日本からなくすという点については、まあ何年といいましても、ちょっとむずかしいんではないかと思いますのが、すでに相当減らしてきた国におきましても、まだ結核患者それ自体は、日本の何分の一というパーセンテージにはなりますけれども、あるわけでございまして、早く結核症をなくしたいことはもうやまやまでございますが、スピードを早くする、減少の傾斜を強くする、こういうことであろうかと存じます。前に結核の死亡率については半減という目標を立てまして、終戦後から六、七年で半減目標を達したわけでございますが、この死亡率そのものにつきましては、もうすでにそのときからはまた三分の一になっております。ただ、患者をなくすというためには、今言いましたような濃厚感染源を一番先に手をつけるといいますよりも、これを重視して、このワクをどしどし広げていけば、新発生患者も減るであろうという形と、それから、医療保障によります、その他の、開放性でないまでも、結核患者の悪化も防げて、治療目的を達していくと、こういうのが全部総合されて初めて非常に減少していくと、こういうふうに考えておりますので、従来よりははるかにスピードを上げてこれはなくしたいし、またなくせるんではないか、こう存じております。
  180. 坂本昭

    坂本昭君 大臣のかわりに次官にお尋ねいたしますけれども、今の局長の答弁は、だいぶごまかしが多いんです。それは確かに、結核の患者を一人もなくすということは不可能かもしれない。しかし、アメリカは日本の四分の一か五分の一程度に死亡患者を減らしている。その少ないところへこぎつけるということは、これは年次計画をもってやればできるのです。そういうことを実は今計画していない。先ほど、半減計画を持った——あれは計画じゃないのです。自然にそうなったのです。医学の進歩と、それから薬の向上によって、厚生省の計画によらないで、自然にそうなったのです。だから、こんなのは私はあまり自慢にならないと思う。しかし、今はもうそういう段階にきているのですから、計画を持てば、さらにもっと早くスピード・アップすることができる。そのことを私はお尋ねしているのです。まあひとつ大臣のかわりにお答えしていただきたい、実際そういう計画を持っておられたら。
  181. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) 非常に大事な問題でありまして、私も、結核相当多額の予算を経常的に使っていること自体、社会保障全体から見て残念だと実は考えている。残念だというのは、決して結核を軽く見るという意味でなく早くこれをなくすことによって、これにかかる費用を積極的に——社会保障のほうへ回したいものだといった意味においてです。そこで、まあこれなぞは、私は専門じゃありませんから、一体、年度計画をきちんと立てて、それによってはたして所期の目的を達成できるものかどうかということについては、専門的知識は持っておりませんが、もしそういう年度計画等を立てることによって所期の目的が達成さるるものだということになりますれば、早くそういう計画を立ててこれをなくしたいものと実は考えているわけなのであります。ただ、これはまあ余分なことでありますけれども、実は私も子供を結核でなくして、お医者さんというものは実にたよりにならぬものだということを考えた時代があるのですが、(「けしからん」「失言だぞ」と呼ぶ者あり)いや、ほんとうにその点は考えた。そこで何とか医術の進歩あるいは医薬の進歩によって、注射一本でこれをなおしてもらえないものかなあということを切実に考えたときがあった。しかし、今日厚生省へ参りまして、とにかく減ってきたという点で、非常にありがたいものだと変わってきているわけなんでございますが、御期待に沿うように、これは早く解決したいものだと考えております。
  182. 坂本昭

    坂本昭君 ただいまの答弁では、全く期待に沿わんです。ことに、責任を医者だけに転嫁して、そして日本の結核対策の失敗を、またその不十分さをごまかそうとするごときことは、私は大臣にかわって答えた次官の言葉としては納得できません。結核というものは、医者の技術的な力にはよるけれども、政治によってなくすることができるのです。ことに、今、非常に多額の予算を組んでいる、そしてまたそのためにほかのほうに予算が流れていかぬで困っていると言われるけれども結核の場合は、当初五カ年計画で相当莫大な金を使えば、あとなくなってしまう。だから、そういう点では、ほかの計画よりもずっと有効的なんですよ。だから、そのことを次官が考えられないで、医者の個人的なせいだというようなことを言われるのは、これは次官は政治家として私ははなはだ不適当だと思うのです。今の言葉は、私は納得できませんね。
  183. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) 今のは、たいへん誤解を招いたようですが、私はそういう意味で申し上げたのではないのですから、もしそういうふうにおとりになれば、私はそれは取り消します。早く医術の進歩と医薬の進歩でこれをなくしたいのだということを申し上げたい意味で申し上げたのでありますから、その誤解はひとつ取り消すことにいたします。どうかそういうふうに御了解願いたいと思います。そして、御期待に沿うよう計画を立てて、早くこれを退治したいものだという点じゃ、全然同感でございますから、そういうふうに御了承願いたいと思います。
  184. 坂本昭

    坂本昭君 そこで、やはり一番問題なのは、今日結核の患者は貧困層に多いということです。だから、この今回のこういう数では足らないということなんです。そこで、特に経済基準といったようなものを今度の命令入所に使っている。私はこれは取っぱらったらいいと思う。撤廃したらいいと思う。そのことについて、なぜ撤廃されないか御説明いただきたい。
  185. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) これは先ほどのお答えと関連があるわけでございますが、まあこの三十七年度は平年度化した初年度であるという形で、ある数に押えたために、より条件の悪いものに優先させるという形で一定の基準をきめておきませんと、次々に毎月ないしは毎日出てくるものが、このワクをこえたはるかに条件よりも弱いものが先にこの数を著しくオーバーしてしまうということになりますと、本年度は一番最悪のものから優先するというものが、これが多数にはみ出されるおそれがある、こういうことでございますので、まず一番条件の悪いものの線を示した、こういうことでございます。
  186. 坂本昭

    坂本昭君 そこで、現在入院中の国保や社会保険の家族の問題ですがね。こういう人たちは、もう今日一番貧困な、いわゆる典型的な結核国民層の人たちだと思うのですね。こういう人たちの切りかえについて、一部では進んでいるようですが、全般的には切りかえが阻止せられている。私はこれは非常に目的に沿わないと思う。この点は、これは保健局の所管かもしれないが、結核対策の面で公衆衛生局長のひとつ御説明をいただきたい。
  187. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) ただいま申し上げましたように、所得の線をさしあたり引いておりますので、たとえば健保の家族でございますと、月給を取っている本人は勤務しているわけでございます。月給を取っているという形で、大多数がこの制限水準の外にあるという形で、さしあたり該当しない、こういう者が健保のほうでは相当数あります。それから国保もそういう者もございましょうし、それから、その中に入る者は、これは絶対にしないという形でなくて、該当する者は今年度は逐次する、こういう形にとっておりますが、ただ、何といたしましても、同じ国保の家族でございますので、外におる者で現に菌をばらまいておるという者を同じ中では優先する、こういう形でございますので、新入院のほうに力を注いでいき、在院の者は一応の目的は達しておるという形で、条件には入るにいたしましても、数との見合いで若干おくれている、こういうのが大部分ではないかと思います。
  188. 坂本昭

    坂本昭君 今の御説明を聞いていますと、やはり根本的には予算のワクが少ないという印象を受けざるを得ないのです。だから、命入というものを予算的にどう計画の中に入れるかということを一番最初に伺ったんだが、どうも明確なものが出てこない。結局は予算というワクの中でしかやれないことを理屈をつけている。それにしても、私は納得できないのは、去年五万四千でしたね。それで、三月末に各県から上がってきたものの数は、七万二千出てきている。私は、去年の十月、十一月ごろこの法律改正が出されたころ、全国的に当たってみて、十万以上くらいはあるんじゃないか、そしてまた現段階で、要入院患者の比率からいって、やはり三十七年度はこの法律改正に基づいて十万以上は組むべきではないか、そういうふうに考えておった。そして、厚生当局も九万四千の当初のワクを作っておったと聞いている。そして、厚生省がかなりワクを引き締めても、三月末には地方から上がってきたものを総計すると七万二千。それが、今度六万二千六百十六というふうに非常に押えられてきた。この理由はどこにあるか、その点をお伺いしたいと思います。
  189. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) 予算上は、あくまで三十六年度は五万四千でありまして、三十七年度は六万二千で、約八千ベッドの増加でございまして、これは増加できるようになっております。しかしながら、今のお話の、各県が持ってきましたのは、十月の切りかえのときに在院の者を全部切りかえてほしい、そういうような形で、これと私ども予算を組みました一定の制限を付するという線とが若干食い違いまして、こちらで制限を設けざるを得ない五万四千の以外の数も、今七万四千というような形で入ってきたわけであります。それを私どもが早く是正をすべきであったわけでございますけれども、その点につきましては、結果的には幸いと申しますか、六カ月予算のうち五カ月でこの予算執行が済む、これは請求の関係でそういう形になったのです。これを甘く見ておったということは、私どものミスでございます。さような形で、やはり予算の設定は、そういう運営とは別個に、前年度予算に対して八千ふえるということで、三十七年度予算を組んだものでございますから、これはもう当初からそれに合わしたような水準、すなわち均等割以下の者を条件にする、こういう形でやっている、こういう実情でございます。
  190. 坂本昭

    坂本昭君 これは主計官にも伺いたいのですけれども、東京都あたりは八千くらいの予算を組んでいる。今度の具体化されたものは五千くらいです。ですから、命令入所というのは一つのいい法律改正ですが、これの恩恵を受けるほうの数が減ってきている。前にこの法律の一部改正が出されたときに、これは前の大臣だったと思うのですけれども、地方で組んだものに対して、国は予算を義務的につけるという約束をわれわれとしては取りつけておった。ところが、せっかく地方から、特に経済の困難なときに上がってきた、その数よりも減ってきたということは、僕はどうも大蔵省がだいぶなたを入れたのではないか。これはどうも岩尾さんに責任があるのではないですか、ひとつ説明して下さい
  191. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 結核命令入所の問題は、昨年取り上げられた問題でございますけれども、先生もよく御承知のように、現在皆保険になりまして、医療というものは、すべて国民保険でかかることができる——もちろん家族については一部負担の問題はありますけれども、方向としてはそういう方向でできているわけでございます。その中で、特に結核について命令入所という措置をとるのは、どういう点に理由があるのか、そういう点が問題になったわけでございます。そこで、結核につきましては、先ほどから議論のありますように、非常に活動的に他に感染されるので、社会防衛的の意味も一つございますし、さらに、こういう病気にかかりますと、特に世帯主の場合は、長いわけでございますから、生計の道を断たれ、生活が苦しくなる、所得を非常に失うという問題がございます。そういったことを考慮いたしまして、たとえば生活保護でございましても、本来、結核で医療保護になりましたならば、全部公費でみてもらえるのでございますが、同じように、結核予防法の命令入所の制度においても、こういうことをやりたい。現実には、従来の生活保護の医療扶助でございますと、県としては、二割の負担があるものでございますから、なかなか入れるのをいやがるといいますか、こういう形があって、実際上の結核の予防の進展に対してもあまり効果がなかったのではないかというので、片方こういった保険制度の完備という問題がありながら、この制度を実施しようということに踏み切ったわけでございます。そこで、それを実行する場合どういう問題が起こるかと申しますと、現在こういった保険体制のもとにおいて入院しておられる方につきまして、どういう人から先に切りかえていったらいいのか。実は、先ほど申し上げました社会防衛という見地から見た場合に、在宅の患者でしかも菌をまいておられるというような方の取扱いはどの順位に置いたらいいかというような問題が起こるかと思います。われわれは、まだ初めてでございますので、その辺の検討が十分にできなかったわけでございますけれども、少なくとも一番所得の少ない方から重点的にやっていこうじゃないかというので、生活保護の方について全部切りかえる。それから、健保の本人等については保険でみておられるわけでございますし、入院等しておられるわけでありますから、これは前のとおり。国保の患者等で、家族で、または本人で世帯の中心であるというような方については、むしろ優先的に取り上げていきたい、そういう趣旨でいろいろと計算をいたしまして、今言ったようになったわけでございます。  それから、先ほど申されました義務制の問題でございますが、現在法律は、先生御承知のように、負担するということになっておりますので、当然、都道府県知事が命令入所をいたしましたならば、これは国が負担しなければならないということに相なるわけであります。ただ実際上、今申し上げましたような意味において、片方において社会的防衛の趣旨もあれば、片方において低所得者に対する対策という趣旨もございます。そういう両点を考慮しながら、都道府県知事が命令入所した場合においては、これは負担しなければならぬということで、十分みて参る。その都道府県知事の判断の問題でございます。
  192. 坂本昭

    坂本昭君 では、大臣にかわって次官の御答弁をいただきたいんですが、知事が負担するという決意がもちろん行政的に現われてくるのですが、そうしたことに対して、厚生当局がこれを阻止するような、そういう行政指導は全然行なっておられませんか。
  193. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) これはやはり、補助予算になっておりますので、年度の当初から補助の基準というものを——これはすべての補助予算がそうでございますが、基準を行政指導として厳格に流すわけであります。その基準に合ったものに沿って府県知事はこういうような適用をするということが、ほかのものと同様に原則でございますので、したがいまして、その中に、先ほどから言いましたような、国として意図しております三十七年度の一定の水準というものを織り込みまして指導しておるわけであります。さような意味で、結果的に府県知事がやってしまったものをさらに阻止するということはないわけでございますが、あらかじめこういうような線で今年度の補助予算は組まれておる、また補助する方針である、こういうことを事前に流しておる、これは当然でさようなことはやっております。
  194. 坂本昭

    坂本昭君 それでは、別の立場大臣にお答えいただきたいのは、一番問題点は経済基準なんです。したがって、来年度、再来年度と経済基準を変えて、すべての国民命令入所という形で結核をなくしてしまおうという方向へ結核対策が進むように、そういうふうに、厚生大臣として、厚生省として、考えておられるか。つまり、経済基準を緩和しあるいは撤廃する、すみやかに撤廃するお考えがあるかどうか、その点だけ伺っておきたい。
  195. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) これを実施いたしました実験に照らしてみて、反省を加えつつ進んでいきたいと考えているわけでありますが、目標は、ただいま御意見がありましたとおり、できるだけ実情に沿うように、基準等も変えまして、そうしてすみやかに所期の目的を達するように実行いたしたいと、こんなふうに考えております。
  196. 坂本昭

    坂本昭君 そこで次の問題は、先ほど来横山委員も触れておられましたけれども、看護力の不足、それからベッド自体も私は足りないと思う。したがって、そういう中で、要入院患者が入院ができない。入院ができないという患者がかなりいると思う。そういう点で、待機患者がいっぱい現在あると思うか、ないと思うか。私は当然待機患者があると思うのだが、公衆衛生局長は、入院できない患者がどういう状態であるか、その点どうつかんでおられますか。
  197. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) これは数年前までの、いわゆる今お話しの待機患者といいますと、これはすべての諸条件がそろっておりまして、ただ入るベッドがないという意味の待機患者が大部分であったわけでございますが、現在はさような意味の待機患者は著しく少ないように、部分的でございますが聞いておりまして、ただ、大阪付近とか、あるいは福岡の付近というふうなところで、少しそういう状況がある。その他の意味での待機患者という場合には、ほかの条件、たとえば今のお話しのいろいろな意味の医療費の適用が、何と言ったらいいか、きまらないというような形での待機患者は相当あるかと思いますけれども、ベッドが足らぬので行くところがないという意味のものは、最近はあまり聞いておりません。ただし、特定の病院が非常に評判がよくて、そこでなければいやだという意味で、そこの病院のあくのを待っているという待機患者は、これは相当ございます。
  198. 坂本昭

    坂本昭君 確かに、大阪だとか、あるいは国立療養所でいうと、宮城の療養所ですか、そういうところには待機患者がかなりいるのですね。そこで、医務局長にお伺いしたい。今度習志野の療養所初め五カ所を国立病院に転換される。これは私は、今のような状態からいうと、はなはだ解しかねるのです。したがって、その転換される理由、つまり、国自身が結核対策を引き下げる、そういう理由をひとつ承りたい。
  199. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) その入所命令の措置が非常に強化されたので、国立療養所としてもその対策を立てなければならぬわけでありまして、そういう点でいろいろ検討いたしたのでありますが、現在定床と患者の数というのは数千開いておりまして、相当空床があるわけでございます。命令入所で入院する結核患者のうち、国立療養所に入院する者は、その三、七分の一ぐらいに相当するわけでございますが、そういうことで計算してみますと、やはり大体三、四千程度ふえるだろうということを予測しておったわけでございます。一方退院患者も実は相当ございまして、現在のところ差引そう目立ったふえ方はしていないような状況にあるわけでございます。転換をいたしますのは、御承知のとおり、五カ所いたしておるわけでありますが、これはその地方における医療の需給の状態から見て一般病院にしたほうがいいということで、その土地の人あるいはその施設などの希望によって転換することにいたしたわけでございますが、しかしこれは転換いたしましてもやはり結核病床があまり減らないような考えで残しているようなわけであります。それから、これらの施設には、一般の患者もすでに相当とっているところもございますし、そういう意味で、そう無理のない転換だと思っているわけでありますが、御注意のような点はよく考えて、実際転換いたしましても、結核病床の確保につきましては十分注意して参りたいと思います。
  200. 坂本昭

    坂本昭君 ただ、ここで一番問題点は、国立療養所と国立病院の運営の根本的な差異、これはもう局長一番知っておられるのですね。一方は国の一般会計でいっている。一方は独立採算制でいっている。そこにやっぱり結核対策に対する国の重点の指向が変わってくると思う。それから、特に二割引きの問題ですね。一体これはどう扱うことになりますか。私は、結核対策として、国の方針がとにかく向上じゃなくて、引き下げになるものと、こう言ったわけですけれども、今のように転換された場合に、独立採算制のもとに、内容的にも、患者さんの受ける側としても、落ちてくるのじゃないか。二割引の問題はどうなりますか。
  201. 川上六馬

    政府委員川上六馬君) 二割引は、従来入院している患者については、そのまま継続してやっております。しかし、新規の患者につきましては、今のところ割引はいたしておらないわけであります。
  202. 坂本昭

    坂本昭君 だから、新規も従来もないのですよ。とにかく、結核患者に対して割引制を実施することは、経済的に貧困な層の結核対策として大きな役割を果たしてきた。そのことがつまり中心になるのです。中心になるのだから、私は、いやしくも国でやっている場合ならば、国立病院だから二割引を実施させるというならいいんですよ。にもかかわらず、現在ある国立療養所をそうやって二割引を停止させる、新しい人についてはやめるということは、政策として私は低下ではないか、そう聞いているわけです。これは大臣のかわりに次官ひとつ御答弁を願います。
  203. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) ただいまのような事実の存在すること、ただいま承ったのでありますが、しかし、事実そのとおりだとしますれば、これは十分検討に値する問題だと考えます。よく検討いたしまして、調整いたしたいと考えております。
  204. 坂本昭

    坂本昭君 それならば、国立病院の結核の患者さんも、療養所と同じように二割引でやっていただけますか。
  205. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) それは、どういう事情に基づいてそういうようなことが起こってきているのかという経過等も、私今存じておりません。そこで、御意見のような——私はそれでいいんじゃないかと実は個人的には考えますけれども、しかし何か事情があってそうなっているのじゃないかと思うのです。したがいまして、その点を十分検討した上でありませんと、ちょっと即答いたしかねます。
  206. 坂本昭

    坂本昭君 そうすると、とにかく国が結核対策において、命令入所とか、こういう点で補助金も出しています。さらに、国の運営する国立病院、療養所においては、特に国が結核対策に重点を指向する限りにおいて、犠牲を甘んじて受けていく。そういう経営については、次官は、大臣にかわってお答えをいただくのですが、そういうことは筋が通っているというふうにお考えになられるわけですね。
  207. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) 理論的には、私はそうあっていいと考えております。
  208. 坂本昭

    坂本昭君 それでは、ポリオの問題について御質問いたします。まず、昭和三十六年度当初予算が幾らだったか、三十六年度にいろいろ支出がありましたが、結果的に総額の支出が幾らになったか、それから三十七年度幾らになったか、簡単に御説明いただきたいと思います。
  209. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) これは各局に分かれておりますが、今のお話はポリオ関係でございますので、便宜私のほうから、総括を出しておりますので、お答え申し上げます。三十六年度は、一切のポリオ関係を合わせまして、当初予算四億六千八百七十八万円、それに予備費十三億九千三百五十万、合わせまして三十六年度の総額予算十八億六千二百万円余、こういうことになっております。それから、三十七年度はまだ予備費はないわけでございますので、現在組まれております各局にわたるポリオの関係予算が合計いたしまして四億八千百七十八万円、これは予算書の中の関係予算を合わせたものであります。以上のとおりであります。
  210. 坂本昭

    坂本昭君 三十七年度の緊急の生ワク予算として幾ら見てありますか。
  211. 牛丸義留

    政府委員(牛丸義留君) 薬務局で計上しておりますのは、八百五十万人分の経口生ワクチンの買い上げの対象でございますが、一億九千三百九十九万六千円でございます。
  212. 坂本昭

    坂本昭君 今の緊急買い上げの分の、買い上げの時期、それからそのワクチンの規格について、どういう計画を持っておられますか。
  213. 牛丸義留

    政府委員(牛丸義留君) 今回の投与は、昨年八月の投与の継続分でございますので、大体趣旨としては同じ考え方で考えるわけでございますが、第二回の投与は、一型と二型、三型混合という二回の投与、それと同じような方式に考えております。そして輸入の時期は、年度が来月変わりますので、早々に輸入の準備をいたしまして、条件が、整い次第、前回と同様指名競争入札の方法で国が買い上げたい、こういうふうに考えております。その品質その他についても、昨年の秋のときと第二回目の分と同様な趣旨でやりたいと思います。
  214. 坂本昭

    坂本昭君 効果の確実な生ワクに全面的になぜ切りかえないか。私は、この点は、去年来の予算折衝、いろいろな輸入の折衝を見ていまして、大蔵省のほうが非常に割り切っておったと思うのです。金を使って効果の上がるようなやり方をしたほうがいい。そういうことを、大蔵当局のほうがもっと割り切った見解を持っておったと思います。それがなおかつ全部生ワクに切りかえられていないという、この点について、次官にお尋ねするのも少し無理かもしれぬけれども、ひとつ簡単な御答弁をいただきたい。
  215. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) 今のところ、どういう理由か私にはよくまだのみ込めませんので、御了承願いたいと思います。局長のほうからその理由を……。
  216. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) ただいまの御質問は、ソークをなぜやめないかという意味ではないかと存じますが、セービンは、先ほどの予算説明でおわかりのように、緊急といたしまして、昨夏以来やりまして、早くこれは決定をいたして、製造所その他がきまりまして、これを法律に入れたほうがいいということになれば、法律改正が要るわけでございます。それは準備を進めているわけでございます。したがいまして、それに至るまでは、一応ソークの三才未満の現行法がございますので、これは著しく強制するつもりはございませんが、一応用意しておく、こういう形でございます。
  217. 田上松衞

    主査田上松衞君) 坂本委員に申し上げますが、もう時間が三十分過ぎているわけでございますが、ただし女性の方にも十分程度認めておりましたので、そのつもりでやっていただきたい。できるだけ結論に入っていただきたい。
  218. 坂本昭

    坂本昭君 最後に、先般生ワクの輸入については、ソ連から輸入したといういきさつがあって、物議をかもしたり、いろいろ議論もあったのですが、これについては、大臣は当時非常にすっきりとした立場をとって、いいものはいいものとしてとるということを特に強調しておられた。国のいかんを問わずにいいものは使いたい。このことは、私は科学に関する限り正しいことだと思うのですね。そこで、たまたまこの前予算委員会でも質問したのですが、ソ連のスパンダリオ氏との間に、貿易協定が成立されて、そして大体一対一で輸入をしていく、向こうからも同額、こちらからも同額のものを、ひとつ貿易として扱おうという話が出ている。これは専門的なことですから、薬務局長に伺いますが、もちろん御存じだと思うのでございます。そしてまた、その後ソ連の態度を見ていると、平和共存という立場推進しようという意気込みだろうと思いますが、さらに日本の医薬品、ビタミンBだとか、ズルファミンだとか、そういったものについて、一対一どころではない、日本から二入れて、そしてソ連からは一でもよろしい、そういうふうな意向も見られて、これは日本とソ連の漁業だとか、いろいろな関係、あるいは石油の問題についても今出ています。私は、こういう点は、極東、世界の平和を守るためにもけっこうなことだと思います。向こうから悪いものをわざわざ買ってあげる必要はないけれども、いい製品ならば、十分私は買って、そしてこの日ソの貿易を促進するということが、日本の業界にとってもけっこうなことだと思う。こういう間の事情について、薬務局長はどういうお考えを持っておられるかを局長に伺い、また大臣にかわって次官から、その基本的な方針を医薬品の輸入輸出について伺っておきたい。これが最後の質問でございます。
  219. 牛丸義留

    政府委員(牛丸義留君) 一般医薬品の輸出なり輸入の問題ということも、これはもう大いにわれわれも輸出を振興していくべきでございますが、しかし事ポリオに関しましては、大量のものを、ほとんど全国民に投与するというような大きな問題でございますので、品質がよくて、そして安いものであるならば、国境のいかんを問わず輸入すべきじゃないか。前回もそういう方針で競争指名入札をいたしましたので、今回も同じような趣旨で購入の手続をやりたい、こういうように考えております。
  220. 坂本昭

    坂本昭君 それから、ソビエトの今の問題、協定医薬品の輸出入。
  221. 牛丸義留

    政府委員(牛丸義留君) 先刻成立しました日ソの通商条約の改定で、医薬品は大体輸出のほうが輸入よりも二倍以上の金額の、医薬品に関しましては協定の金額内容になっておりますので、そういう点につきましては、私どものほうでお世話を申し上げる点がございますならば、大いに輸出も振興し、その見返りとして輸入も当然考慮すべきじゃないかというふうに考えております。
  222. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) ただいま局長から詳細答弁いたしましたとおり、やりたいと思っておる次第でございます。
  223. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について。  これで終わるわけですが、午後は文部関係相当質疑希望者も多いと思うのですよ。それで、出席していない人は関係ないでしょうが、ここにいる人が少しがまんすれば可能なので、私見を申し述べますが、できれば一時間休まないで、二時二十分ぐらいから再開してはどうかと思うのですが、こういう意見を参照して、ひとつ主査で取り計らっていただきたいと思います。
  224. 奥むめお

    ○奥むめお君 私、ほんの一つ簡単に厚生省に聞きたいことがあるのだけれども、中性洗剤を通産省四十万トン今度入れる——四十トンですか、契約したと新聞に発表していますね。あれはあなたのほうは、三十一年度に中性洗剤を奨励していらっしゃるのだけれども、今も同じ御方針でございますか、ひとつ聞かせて下さい
  225. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 中性洗剤の全部が食品衛生関係で使われているわけではないと存じますが、私どもが三十一年度にこれを食品の洗浄、特に食品とか野菜とかの洗浄に使うことによって、寄生虫、塵埃そういったものの除去に有効であるというところから、これを一般に推奨したというのは事実でございます。また、最近におきまして、一部の学者の方から、これを厳密は調べてみると、必ずしも無害とは言えないという御研究の発表のあったことも事実でございます。私どもは、その学者の御意見は御意見として、私ども試験研究機関でなおその点につきまして追試をいたしておるわけでございますが、御発表になりました限りの内容、その他諸外国の発表の状況等から見まして、ただいまの段階では、使用上十分洗浄——水で洗うというようなことに注意いたしますれば、従来の方針を直ちに改める必要はないというふうに考えておるわけでございますが、なお引き続き検討を続けておる状況でございます。
  226. 奥むめお

    ○奥むめお君 いつごろそれは発表になるのですか、研究の結果は。非常に今問題になっておりますね。
  227. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 私どものほうでは、急性の毒性につきましては、一応私どもの直属の機関でも調べております。しかし、今回はかなり慢性の毒性についても御議論があるわけでございます。微量慢性にどういう影響があるかというようなことにつきましても、研究いたしておるわけでございます。かなり時間がかかるのではないかと考えております。
  228. 坂本昭

    坂本昭君 ちょっと関連して一つ。今の問題について、中性洗剤については、今まで社会労働委員会でもたびたび質問したことがありますが、一点だけ伺いたいのは、厚生省が、あたかも宣伝の主役を演じているかのごとき広告の文章は、これはすみやかに撤廃してもらいたい。それからまた、あと洗浄するという点で、疑わしいことについては、明確な使い方についての指示を与えてもらいたい。これだけはすぐできるかどうかお答えいただきたい。
  229. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) この点につきましては、前回も触れてお答え申し上げましたが、広告の行き過ぎ、あるいは誤解を招く点につきましては、厳重に業界を指導いたしまして、すでに改めた点もございます。また、改めさせます。  それから、なお、使用方法の点につきましては、関係の部長会議あるいは所管課長会議を通じまして、その点十分行き届くように指導をいたしたいと思います。
  230. 田上松衞

    主査田上松衞君) 質疑通告者の御質疑はこれで全部終了いたしました。他に御発言もないようですから、厚生省関係質疑はこれをもって終了することにいたしたいと考えますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  231. 田上松衞

    主査田上松衞君) 御異議ないものと認めます。  これで暫時休憩をいたします。午後は二時二十分から再開いたします。    午後一時三十六分休憩      —————・—————    午後二時二十七分開会
  232. 田上松衞

    主査田上松衞君) 休憩前に引き続いて分科会を再開いたします。  これから昭和三十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算文部省所管を議題といたします。  始めまする前に御了承をいただきたいと思います。文部省所管事項につきましては、すでに私の手元に質疑の通告者が四名おります。さらにあと二人ほど追加される見込みであります。したがいまして、委員方々には、非常に無理な御注文とも考えまするが、質疑応答を加えまして大体三十分程度で終わるようにお含みいただきたいと、考えます。なお、政府委員のほうも、できるだけこのような時間の関係から、質疑者質疑に対しましては要領よく、話をわき道にそらさないようにしていただいて、的確にひとつ御答弁いただいて、議事の運営に御協力をいただきたいと考えます。
  233. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 お願い申し上げておきますが、主査のお気持はわかりますが、けさ午前中の委員会のときにもうちの加瀬委員からお話がありましたように、文部関係質問がなかなか多いので、午前中できるだけ早く終わるようにしようという話があったわけで、できるだけ早く終わるように大いに心がけてやりますけれども、その三十分というのは一応のめどにしておいて、あまり動かない数字でないように御了承いただきたいと思います。午後ですから、昨日は第二分科会は八時までやったんです。これは八時は長過ぎたけれども、五時までに終わらなければならないということはないんだから、能率的にお互いに審議しなければならないと思いますが、それだけ希望として加瀬委員もおられませんから、申し上げておきます。
  234. 田上松衞

    主査田上松衞君) 承知いたしました。皆さんお聞き及びのような状態でございますので、時間が七時も八時にもならぬようにいたしたいというのでかように申し上げおてるわけなので、どうぞ委員の皆さんたちも政府委員のほうも御協力いただきたいと考えます。  まず、政府説明を聴取いたします。荒木文部大臣
  235. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 昭和三十七年度文部省所管予算案の大要について御説明申し上げます。  昭和三十七年度文部省所管予算額は、二千八百九十五億九千九百六十三万円でありまして、これを前年度予算額二千五百九億四千七万七千円に比較いたしますと、三百八十六億五千九百五十五万三千円の増加となっております。また、この文部省所管予算一般会計予算に占める比率は約一二%となっております。  次に、昭和三十七年度予算案のうち重要な事項について申し述べたいと存じます。  第一は、初等中等教育の改善充実に必要な経費であります。  義務教育水準の維持向上をはかるため、前年度に引き続き、公立義務教育諸学校の教職員定数の増加及び施設の整備に必要な経費を計上いたしましたほか、義務教育諸学校の教科書を無償とする方針を確立して、とりあえず新たに昭和三十八年度小学校第一学年に入学する児童に対する教科書を無償とするために必要な経費を計上いたしております。  まず、義務教育費国庫負担金といたしましては、小中学校児童生徒数の自然増減、学級編制の改善等に伴う教職員千三百人の増員、人事院勧告による給与改訂の平年度化、昇給、多学年学級担当手当の引き上げ等に必要な経費を含めまして給与費千四百九十三億四千万円、教材費二十一億四千二百万円、また新たに共済年金制度を実施するため共済組合負担金二十七億五千三百万円を計上したのであります。  次に、公立文教施設につきましては、これが整備に必要な経費百一億七千五百八十三万五千円を計上したのであります。  すなわち、小中学校校舎の整備に二十億八千四百四万二千円、工業高等学校の一般校舎整備に三億九千三百十九万六千円を計上いたしましたほか、屋内運動場の整備、学校統合に伴う校舎等の整備、危険校舎の改築等を推進することといたしましたが、小中学校における特別教室の整備、構造比率の改訂等は特に配意した点であります。  次に、義務教育教科書を無償とするために必要な経費として七億百九十万円を計上いたしておりますが、その実施に関する重要事項につきましては、別途調査会を設けて調査審議することといたしております。  第二は、科学技術教育の振興に必要な経費であります。  まず、初等中等教育におきましては、理科教育及び産業教育の振興に重点を置き、それぞれの振興法に基づく補助金を十一億六千五百四十七万五千円及び二十六億七百七十三万四千円と増額計上したのであります。特に産業教育につきましては、中堅技術者の不足に対処するため、前年度に引き続き、高等学校の機械課程五十三、電気課程六十一、工業化学課程三十八、建築課程七、土木課程七、合計百六十六課程を新設することとし、また、新たに高等学校における農業教育の近代化を促進するための補助金を計上したのであります。  次に大学教育につきましては、国立学校において、工業高等専門学校十二校を創設するほか、理工系二十七学科の新設、十四学科の拡充改組により、二千五百四十人の学生増募を行ない専門技術者の養成をはかることといたしました。さらに科学研究の面におきましては、原子力、宇宙科学等の重要基礎研究推進するとともに、海洋研究所を共同利用研究施設として新設する等の措置を講じ、また、科学研究費交付金等に必要な経費として二十五億七百万円を、在外研究員の派遣に必要な経費として一億九千百万円を、また民間学術研究団体補助金として一億三千百万円をそれぞれ計上したのであります。  第三は、国立学校の拡充整備に必要な経費であります。  まず、国立学校運営費でありますが、これは、国立大学七十二、国立短期大学五、国立高等専門学校十二、国立高等学校八、大学附置研究所六十一、大学附属病院二十三を運営するために必要な経費でありまして、本年度におきましては、先に申し述べましたように、科学技術教育振興の線に沿いまして、東北大学外五大学に原子力に関する学科、講座または部門を増設し、北海道大学外十九大学に理工系の二十二学科を、久留米工業短期大学外一短期大学に理工系の三学科をそれぞれ新設し、また旭川外十一地区に高等専門学校を創設いたしますとともに、海洋研究所を共同利用研究施設として東京大学に、経済研究所を京都大学にそれぞれ創設することといたしたのであります。また、教官研究費、学生経費、設備費等についてはそれぞれ予算増額を行ない、基準経費の充実をはかったのであります。  以上申し述べました経費を含め、国立学校の運営に必要な経費総額は七百七十六億六千六百八十九万五千円でありまして、国立学校の項に五百五十八億九千百七万六千円を、大学附属病院の項に百五十一億八千九百六十五万三千円を、大学附置研究所の項に六十五億八千六百十六万六千円をそれぞれ計上したのであります。  次に、国立文教施設整備につきましては、施設の現状にかんがみ予算の大幅の増額をはかることといたしましたが、科学技術振興の見地から理工系学部の施設を重点的に整備するとともに、一般施設整備、病院施設の整備、老朽建物の改築等のため、前年度予算額の八三%増の百三十一億七千二百十三万八千円を計上したのであります。  第四は、教育の機会均等と人材開発に必要な経費であります。  優秀な学徒で経済的に困窮している者に対して国がこれを援助し、その向学の志を全うさせることは、きわめて重要なことであります。このため、日本育英会に対する奨学資金の貸付と、その事務費の補助に必要な経費として六十三億千二百九十三万三千円を計上したのでありますが、本年度は既定計画に従って特別奨学生を増員いたしましたほか、大学教官の養成確保の見地から大学院博士課程の学生に対する奨学金の単価の引き上げ等を行なったのであります。  次に、義務教育の円滑な実施をはかるためには、経済的理由により就学困難な状況にある児童生徒に対して特別の援助を行なう必要があるのでありますが、これが援助の範囲につきまして準要保護四%を五%に引き上げることとし、教科書については三億七千三百四十一万六千円、給食費については七億九千七百五十二万千円、修学旅行費については二億四千六百四十八万六千円、医療費については二億千八百二十七万四千円、学用品費については七億五千七百九十八万円、通学費については千百十九万五千円を計上いたしましたほか、新たに寄宿舎居住費として八百二十四万八千円を補助することといたしたのであります。  次に、僻地教育の充実をはかるため、僻地教員宿舎建築費四百九十戸分、テレビ受像機設置費四百校分、その他火力発電の施設、スクール・バス、ボートに対する補助等を含めまして、一億五千四百二十五万千円を計上したのであります。  次に盲学校、ろう学校及び養護学校への就学奨励につきましては、新たに高等部の修学旅行費を援助の対象とする等のため必要な経費を加えて二億七千二百三十一万五千円を、さらに、養護学校、特殊学級等の設備の整備費並びにスクール・バス購入費に対する補助を合わせまして七千百三十五万円を、また、盲学校及びろう学校における新職業開拓のための補助金として五百八十五万六千円を計上する等、特殊教育の振興をさらに推進することといたしたのであります。  次に、全国一斉学力調査に要する経費として、一億五千八百三十万四千円を計上いたしておりますが、これは、教育課程に関する諸施策の樹立及び学習指導改善のための資料を得る目的のものでありまして、引き続き中学校生徒を対象として実施いたしますほか、新たに小学校第五学年及び第六学年の児童について、従来の抽出調査を拡大して実施することといたしております。  第五は、勤労青少年教育の振興に必要な経費であります。  勤労青少年教育の振興は、学校教育と社会教育の両面において推進しなければなりませんが、学校教育の面におきましては、従来に引き続き、放送利用による高等学校通信教育の普及のための経費として千六百九十八万六千円、定時制高等学校設備費及び通信教育運営費の補助として一億二千二百八十二万千円、定時制教育または通信教育に従事する校長、教員に対する定時制及び通信教育手当の補助として二億千四百十一万七千円、夜間定時制高等学校給食施設設備の補助として五百四十八万六千円をそれぞれ計上いたしましたほか、夜間定時制高等学校の生徒約三十一万人に対して、ミルクのほかに新たにパン及び添加物をも給与することとして、これに要する補助金一億七千六百六十四万円を計上いたしたのであります。  次に、社会教育の面におきましては、前年度に引き続き青年学級の振興に必要な経費として一億二千五百四十八万三千円を計上いたしましたほか、社会通信教育の振興をはかるため千三百万円を計上いたしたのであります。  第六は、社会教育の振興に必要な経費であります。  社会教育の振興につきましては、青年学級及び社会通信教育の振興に要する経費のほか、前年度に引き続き、婦人学級の開設、婦人の国外研究活動等を助成するため八千六百十五万二千円、青少年団体及び婦人団体その他の社会教育関係団体の行なう事業を助成するため七千万円、さらに、公民館、図書館、博物館、青年の家等の社会教育施設設備を整備するため二億三百四十一万五千円、教育放送等視聴覚教育の積極的な活動を助成するため七千五百三十四万二千円、芸術振興のため千四十一万六千円をそれぞれ計上いたしたのでありますが、公民館等社会教育施設の整備及び社会通信教育の振興は特に重点としたところであります。  第七は、体育の振興に必要な経費であります。  体育は、国民の健康を維持増進し、その生活を明るくする上に重要な意義を持つものでありますが、まず、オリンピック東京大会を二年後に控かえ、その実地準備諸費として国立競技場の拡充、屋内総合競技場の建設、戸田漕艇場の改修、朝霞射撃場の建設、オリンピック組織委員会の充実、競技技術の向上等に要する経費を含めまして十六億八千八百二十七万七千円、体育館十四カ所、プール八十五カ所及び運動場四カ所の国民体育施設を整備するための補助金として一億七千六百十四万円、アジア競技大会選手団派遣費として三千万円、さらに、スポーツ教室の育成等の特別助成費として七千四百八十六万二千円をそれぞれ計上したのであります。なお、学校給食につきましては、給食内容改善充実及び施設設備の整備の促進をはかるとともに、小麦につきましては従来の国庫補助を継続することとして、所要経費二十七億七千六百六十一万五千円を計上したのであります。  第八は、私立学校教育の振興に必要な経費であります。  私立学校教育の重要性につきましては、あらためて申すまでもないところでありますが、まず、私立学校の施設及び設備の整備に要する資金に充てるため、私立学校振興会に対する政府出資金として十二億を計上し、また私立学校における科学技術教育を拡充振興するため私立大学等理科特別助成として十二億千八百二十六万五千円、私立大学研究設備助成として六億八千八百十六万九千円を、さらに私立学校教職員の福祉増進のため私立学校教職員共済組合に対しその給付費及び事務費の一部を補助するに必要な経費一億五百六十一万五千円を、それぞれ計上したのであります。  第九は、国際文化の交流に必要な経費であります。  まず、国際文化の交流につきましては、東南アジア、中近東等よりの外国人留学生の招致に要する経費として、学部留学生の給費額の引き上げ、帰国旅費の支給等に要する経費を含め一億五百八万円を、また、外国人留学生の受け入れ等の事業を行なっている財団法人日本国際教育協会の事業費の補助として二千百六十一万七千円を計上いたしたのであります。  次に、沖繩教育に対する協力援助につきましては、従来からの教員の内地派遣研究制度の実施国費沖繩学生の招致、現職教員の再教育講習会に対する講師の派遣及び沖繩在住高等学校生徒の特別奨学制度実施のための資金援助のほか、新たに、沖繩教育向上のための指導委員の派遣、琉球大学教官の内地研修並びに沖繩青年及び婦人の内地教育研究活動費について援助を行なうこととし、これらのために必要な経費八千二万円を計上したのであります。  第十は、文化財保護に必要な経費であります。  文化財保存事業につきましては、前年度に引き続き国宝重要文化財等の保存修理、防災施設の整備を行ない、さらに、無形文化財の保護、国宝重要文化財の買い上げ等を行なうために必要な経費を含めて七億三百二十五万八千円を計上いたしました。また、国立劇場の設立準備のためには前年度に引き続き千九百四十万円を計上いたしております。  以上のほか、教職員の研修、研究の場としての教育会館の建設、京都国立博物館の庁舎の新営等のため必要な予算を計上しているのであります。  以上、文部省所管に属する昭和三十七年度予算案の大要につきまして御説明申し上げた次第であります。何とぞ十分御審議の上御賛同あらんことをお願いいたします。
  236. 田上松衞

    主査田上松衞君) ただいま御説明のありました文部関係予算につきまして、御質疑の方に順次発言をお願いするわけですが、現在政府委員の出席の方は、次のとおりであります。荒木文部大臣、宮地官房長、安島会計課長、福田初等中等教育長、小林大学学術局長、斎藤社会教育長、前田体育局長、杉江管理局長、清水文化財事務局長、谷川大蔵省主計局主計官、稲川法務省人権擁護局長、以上のとおりであります。
  237. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 若干伺います。大臣もすわってお答えいただきたいと思います。  まず伺いたいことは、今度の予算でまずここは非常によかったと思うところと、予算編成を終わってこの点非常に心残りがするという点を簡単にお答えいただきたいと思います。すわってお答えいただいてけっこうです。
  238. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) とっさの場合正確に申し上げかねるような気持がいたしますが、何をおきましても教科書無償の課題が基本的に確立されましたこと、むろん予算の分量としては少のうございますけれども、おそらくは全面的実施の基本線が定まりましたことは画期的なものだと思う意味において、今のお尋ねの点の一つかと思っております。  科学技術者の養成は、多年要望されております。昨年は特にそのことが声高く叫ばれたのでありますが、その意味においては、高等専門学校の設置もこの前きめていただいた線に沿って実現することになりましたし、いささか前進したんじゃなかろうかと、かように思っておるのであります。  義務教育諸学校の関係につきましては、事あらためて申し上げるまでもなく、既定の線に沿って伸びておると思います。  いささか遺憾だと思いますことは、できることなら、高校生の生徒急増に対しては、純粋に教育的見地から計画的な実施ができることを念願しておりましたけれども、その形での実現ができませんでしたことは心残りではございますが、しかし毎々御答弁申し上げておりますように、必要な財源措置だけはどうやら措置できましたので、やれやれと思っておるところであります。  思いつきますままに、簡単ながら以上申し上げました。
  239. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私が予期していた答弁よりは下回っておるのですがね。今度の文部省の予算というものは、ある意味で性格を持っておると思うのです。無性格予算でないと思うのですね。だからもう少し大臣みごとな答弁をするかと思ったのですが、思いのほかですけれども、若干内容的に伺ってみたいと思います。  まず私は、文化財保護委員関係予算ですが、これは十二億八千万円、約一億九千万ばかり伸びてはおりますけれども、国の一般会計予算が二兆四千億のレベルまで達すれば、先輩からわれわれが引き継いだ古文化を守り伝えていく、伝統芸術を守り、これを後世に伝えていくというわれわれの国民的義務を果たす意味において、私は一段と飛躍しなければならぬのじゃないかと思うのです。ところが、河井文化財保護委員長がなくなられてから若干私は消極的になっているんじゃないかという印象を受けるのですが、大臣の所見を簡単に承ります。
  240. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 飛躍的とおっしゃいますと、その御期待にはこたえてないと思いますけれども、じみちに前進しておると考えております。
  241. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 具体的に伺いますが、京都の国立博物館、新たに約八千八百万円の予算要求がなされておりますが、八千八百万円予算要求をされたことは多としますけれども、本日まで——ある意味において日本の顔だと思うのです、世界に対する日本の顔だと思う。あの京都の博物館の内部、それから環境をほとんど放任をした形でああいう事態にしておったということは、全く私は遺憾なことだと思う。しかし、このたび八千八百万円ばかり計上されたのはおそきに失しますけれども、よかったことだと思いますが、これでも私はしろうとで見ても不足だと思うのですね。世界の人が日本に来たならば必ずあそこはのぞくところですから、日本の誇るべき土地だと思う。そういう意味で予算がついたのですけれども、今後の一段の努力を要請いたしたいと同時に、国立劇場の問題ですが、私昨日質問通告しましたことが、けさのラジオの私たちの言葉のとき、偶然に東京のある人が投書したのを放送しておりましたけれども、河井委員長時代からでき得べくんば東京オリンピックまでに間に合わしたいという強い念願のもとに進めて参ったのですが、本年度千九百四十万円の準備費みたいなものが計上されている程度で、ずいぶんと難航してきまったあの三宅坂の建設用地には、国立劇場建設用地という立て札がものわびしくいつまでも立っているという姿、それで一方ではレクリエーション云々とはいいながら、大規模なキャバレーが、そういうような遊興施設が金融機関の融資を受けて続々と建っていくというのは、僕はさか立ちしていると思うのですがね。これは大臣、国立劇場も一体いつを目途に完成するつもりか、この点は非常に遺憾だと思うのですが、お答えいただきたいと思うのです。
  242. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) これは矢嶋さん御承知のように、国立劇場を古典の劇の実演場とするか、近代劇場としてあるいはバレー等を含めるかどうか等について論議がございまして、このためにも時間が相当かかったと思います。さらにオリンピック関係で、高速道路の建設をめぐりまして、不確定な要素が登場してきたためにも幾らかおくれておると思います。いずれにしても御指摘のとおり、予定地ばかりがのさばっておる、看板ばかりがのさばっておるのじゃなしに、一刻も早く完成を念願しておりますが、今年は実施設計、設計を募集いたしまして、具体的に着手する段階になりまして実はほっとしておるのであります。建築そのものには三十八年度からかかる段取りまでようやくこぎつけたという状態でございます。なるべくすみやかに完成をしたいと思っております。
  243. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文化財保護委員会の事務局長に伺いますが、近ごろ保護委員会は冬眠しているのじゃございませんか。
  244. 清水康平

    政府委員(清水康平君) 以前と同様、ますます微力にむちうってやっておるつもりでおります。  国立劇場について補足いたしたいと思いますが、ただいま大臣から、建築基本構想の問題、それから高速道路の問題のお話がございましたが、その他この建築法上の日当たりあるいは駐車場というような問題もあったり、あるいはまたあすこに警察官官舎の問題がありまして、ちょっと足踏みしたかに見えましたけれども、幸いにこれらの問題はほとんど全面的に解決いたしているのでございます。ただいま全体的な構想等につきましては、大蔵省、建設省と緊密な連絡のもとに煮詰めておりますので、今年は設計協議をいたしまして、ただいまの予定といたしましては、今年、三十七年度においては設計協議いたしまして、三十八年度におきましては基本実施設計、それから三十九年度から工事にかかる予定になっておる次第でございます。
  245. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 谷川主計官に伺いますが、あなたは、こういう方面には非常に深い御理解を持たれておることと思いますが、念のために伺っておきます。
  246. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) ただいま文部省からお答えになったところで尽きておりますので、私ども御計画ができ次第、できるだけのことをしたいと思います。
  247. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最近、伝統芸術としての文楽が商業ベースに乗らないで松竹さんが手放す、ついては日本の伝統芸術を守る立場から、何らか、商業ベースには乗らないが、国の助成のもとにこれを守り、後世に伝えたいというので、大野伴睦さんを通じて文部大臣に打診があって云々ということを報じられておるのですが、約五千万円の赤字を出して経営を続けて参ったが、松竹の事情としてどうしてもやれない。このまま放置すれば、この伝統芸術は滅びるということになると思うのですが、それでは相ならぬことだと思うのです。文部大臣はこれをどういうふうにお考えになり、今後いかに対処されようとしておられるのか、お伺いしたいと思います。
  248. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 新聞に出ておるとおりでございます。話のきっかけは大野さんから出たわけでございますが、それより前に、文化財保護委員会としては、文楽そのものを貴重な文化財として考えておるわけでございまして、従来松竹の経営のもとにどうやらやってきたものの、お話しのごとく、まさにコマーシャル・ベースはどうにもならないというところまで追い詰められておる。だからといって放任すべきものでないことは御説のとおりだと思います。具体的にどうするかにつきましては、まだむろん正式の動きは文部省との関連においては何ら出てきておりませんけれども、伝え聞きますると、財団法人を新たに作って、当然文部省の認可の形になろうかと思いますが、そうして運営の適正を期し、公共的な立場においてこれを受け取るという形をまず整える。それに対して、文化財保護の見地から、国としても応分の助成を行なうということを希望しておるようであります。具体的内容は今後の問題でございますけれども、できるだけ国の立場においても協力する価値である、かように考えております。
  249. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 御善処を要望しておきます。そこで伺いたいのですが、国立科学博物館、国立西洋美術館、こういうものは文部本省直轄機関になっておるのに、国立博物館だけが文化財保護委員会に入っておりますね、この理由を簡単にお答え願います。
  250. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) ちょっとその具体的な経緯を私存じません。政府委員からお答え申し上げます。
  251. 清水康平

    政府委員(清水康平君) 国立博物館が文化財保護委員会の付属機関になっておる理由につきましては、私の知る限りにおきましては、御承知のごとく、文化財保護の中心は保存と活用でございます。保存と活用は申し上げるまでもなく、車の両輪のようなものでございまして、不可分の関係にあるわけでございます。文化財保護委員会の保護行政として保存すると同時に活用する、分けられないということで博物館は文化財保護委員会の付属機関になったもの、さように承知いたしておる次第でございます。
  252. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 法制定の場合に論じられたことだと思うのですがね。それはきょうは時間の関係上伺いませんが、ただ伺いたいことは、昨年の秋から正月にかけて某新聞社の主催で国立博物館でフランスの総合美術展をやりましたね。あれは入場料は高いわけですね。あの数カ月にわたる間国立博物館をああいう形に使われると、国立博物館の本来の保存、活用ということに僕は支障を来たすと思うんだね。総合美術展、それは非常に意義がありますよ。私も見せていただきました。しかし国立博物館という建物を何カ月間にわたってああいう形で使うということは問題があると思うのですね。どう考えておられますか。
  253. 清水康平

    政府委員(清水康平君) 先般フランス美術展が国立博物館で行なわれたのでありますが、これは御承知と思いますが、日仏文化協定の趣旨に基づいて行なわれたのでございます。それで平常の陳列がそれによって本来の東博の性格がそこなわれはしないかという意味の御質問があったのでありますが、私どもとして、また東博——東京博物館といたしましても、特にフランス美術展のために平常行なっている陳列が等閑視されるということのないように特に留意いたして参ったのでございまして、たとえば本館の階下、それから表慶館におきまして国宝、重要文化財のうちでも優品を選びまして、そうして展示いたしたのでございます。普通の、平常の陳列品のうちで指定品は、フランス美術展のときには部屋は一応一階と表慶館にしたのでございますが、優品を並べた。そして平常陳列に支障を来たさないようにしたのでございます。それから私どもの心がまえといたしましては、フランス美術展を見た人は、やはり一緒にそのあとでも先でもいいから日本の美術展を見てもらいたい。見てもらうことによって日本の美術がフランスの美術に劣らざるりっぱなものであるということを相当再認識いただいたのではないだろうかと思っておる次第でありますが、長い期間やることについては、今後なお検討して参らなきゃならぬと思っておる次第でございます。
  254. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 両方見る人はいいのですけれどもね。修学旅行団みたいに博物館だけ見ようと思う者には非常に支障を来たしたと思うんですね。やはり運用上注意しなきゃならない問題だと思っています。時間がないから次に進みます。  施設関係ですが、今度の予算で国立文教施設がおそまきながら大幅に増大したというのは、一つの大きな特徴だと思うのですね。非常によいことだと思います。それから行動面についても相当前進をいたしております。ただ私は親委員会でも伺ったのですが、やはり単価がはたして適正か。補正予算のときに引き上げたそのままを踏襲しているのですがね。私はやはり適当ではないと思う。私は国立国会図書館と各省庁を通じて調べたのですが、やはり小中学校、高等学校の建築単価というものは比較して見て少し低きに失する。それと小学校〇・九坪、中学校一・〇八坪という基準坪数ですね、これは教科課程の改訂もあったことだし、この一・〇八という基準坪数を動かさないと、どうしても教育効果を上げるためにりっぱな施設をしたいとなるというと、基準よりはオーバーした建築をいたします。それは結局は地方団体の独立財源による支出、さらにはPTAの寄付という形で出てくるわけでしてね。今、教科課程の改訂が行なわれたことなんですから、この一・〇八坪というこの数字ですね。これは私は再検討する段階に来ていると思うのですが、管理局長、お答え願います。
  255. 杉江清

    政府委員(杉江清君) まず単価につきましては、年々その引き上げに努力いたしております。また年々多少ではありますが引き上げが実現されておるわけでありますが、この単価はなお不十分だと考えます。ことに構造比率の点について、実情から考えて、それを引き上げたいと考えておりますが、今後十分努力いたしたいと考えます。なお基準坪数でございますが、これについても、ことに現行の坪数においては、特別教室の積算がほとんどされていないのでありまして、この点は今後改善すべきものであると考えております。今後ひとつ十分努力いたしたいと考えます。
  256. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣、ただいまの答弁でよろしゅうございますか。
  257. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 具体的に私はお答えいたしかねますが、この基準坪数が定まりまして以来、相当年数を経ておると思います。また御指摘のように、教育内容それ自体の変動もあることですから、検討すべき課題であろうとは存じます。十分に検討しまして、大蔵省とも相談したいと思います。
  258. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 皆さん方が予算を獲得し、地方団体を指導して建築して下さっているわけですが、燃えるのもよく燃えますね。それで国立の文教施設も非常に近ごろ派手に燃えるようですが、一体過去一カ年間に国立関係地方団体関係でどの程度焼失しているのか、お答え願います。と同時に、おもなるその原因はいかようなものと把握されておられるか、お答えいただきたいと思います。
  259. 杉江清

    政府委員(杉江清君) まず被害の坪数を申し上げますと、昭和三十六年度においては、学校一万四百六坪、中学校五千八百二十一坪、高等学校三千五百十二坪、大学三千七十六坪、合計二万二千八百十五坪になっております。その原因にはいろいろございますが、何といいましても、その大きな原因は、学校の建物の大部分が、木造建築であるということにあると思います。学校の建物の総面積のうちの木造は八〇%以上を占めておる現状でありまして、だから、その対策としては、この建物の不燃化を推進することが大切だと考えております。なおその原因についても調査した詳細なものは一応用意してございますが、もちろん管理者の不注意によるものも中にございますので、それらの絶無を期して十分な指導を今後とも続けて参りたいと考えております。
  260. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ところが、この損害は億単位にしても二けたですね。たいへんなものですね。しかも、それは教育に支障を来たすのですからね。僕は責任を持って言うのじゃないが、僕の印象では、長野県あたりの国立大学がよく焼けるような気がしますね。やっぱりそういう何か記憶がよみがえるのですがね。木造であるということもいけないだろうが、そればっかりではないでしょうからね。やはり管理を十分にして、焼失等のことがないように適切なる措置をとっていただきたい。これは御要望申し上げておきます。  急ぎますから次に伺いますが、文部大臣、親委員会でそれはちょっと承りましたが、この四月から給食費はどのくらい生徒一人当たり高くなると判断されておりますか。
  261. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 小学校が二円二銭、中学校が二円六十八銭値上がりということに相なります。
  262. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは一食についてですね。月に幾らになりますか。
  263. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 政府委員からもっと的確に申し上げさせます。
  264. 前田充明

    政府委員(前田充明君) ただいま大臣から申し上げましたのは、三十六年度、小学校につきまして十七円七十四銭が十九円七十六銭、二円二銭、中学校は二十二円六十六銭が二十五円三十四銭、二円六十八銭上がるわけでございまして、これは学校によって幾分相違はございますが、これは一応準要保護児童に対する補助金の算定から申し上げたわけでございまして、これを一カ月ということになりますと、一カ月はまあ二十日やるといたしますれば、その二円の二十倍の四十円、そういうことになるわけでございます。
  265. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この数字は的確な数字じゃないですよ。こんなものじゃないですよ、値上がりは。非常にこれは父兄の負担はかさむと思うのですね。文部大臣、この予算編成のときに大蔵省に文部省はやられたのじゃないですか。百グラムについて一円の補助を、八十五グラムにして八十五銭の要求をして、そのかわり脱脂粉乳の補助をつけて、そうして実質はカロリーが落ちないようにという要求をしたところが、百グラムを八十五グラムにするところはまるまる大蔵省で取り上げられて、それでカロリーを補充するための脱脂粉乳関係はけられてしまったから、パンが十五グラム小さくなっただけで、あとはけられてしまって、もちろん夜間高等学校に新たにパンを加えられたということは前進で、非常にけっこうだと思います。だから、給食関係予算総額はふえておりますが、しかし食糧管理特別会計繰り入れは、約十七億が約十四億と下がっているわけですよ。そうしてパンが小さくなって、脱脂粉乳の要求が通らなかったからミルクがつかなくて、だから、実質的によくするためには父兄の負担が多くなってくるわけです。これは大蔵省に文部省はしてやられたのじゃないですかね。どういう感想を持っておられますか。
  266. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) おっしゃるとおりと言えると思います。
  267. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 谷川主計官、これはちょっと僕はいただけないなにだと思うのだがね。八十五グラム要求して、八十五グラムだけはそのまま文部省の言うとおりに採択したわけでしょう。それに何かアルファがついていなくちゃ意味をなさぬのに、だから、これに予算編成の過程を見ておって、あまりいただけないと思っていたのですが、ことし予算の修正ができなければやむを得ないが、来年の予算の編成に際しては僕は考慮してもらう必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
  268. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) いろいろ御意見あろうかと思いますが、当初は私どもはまた別の考えを持っておりましたが、文部省のお説に従いまして、食管会計等も従来同様の考え方で、それに実績等を加味いたしましてただいまのような予算にしたわけでございます。一般的に申しますと、いろいろ御意見はございましょうが。大蔵省といたしましては、貧富を問わない補助というよりは、格差解消という意味におきまして、要保護と準要保護方々を中心にした、それからまた定時制の高校の方々を中心にした給食制度でありたいというふうに考えまして、先ほど大臣から御説明のありましたような、つまり準要保護の割合を上げる、それからカロリーの改正に伴いますところの値上がり分をさらに加味しまして単価を上げるとか、それから一方におきまして農村部等におきましては一部まだおくれておりますので、施設費の補助金を上げるとかということをやっておる次第でございます。
  269. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 重要なポイントがふえたから、はっきり黒白をつけておきたい。あなたのお考え方が給食予算に出ておりますよ。要保護児童、準要保護児童と述べていますが、その考え方を改めていただけなければならない。親委員会で大蔵大臣文部大臣の考えをはっきり伺って明確にした。あなた方主計当局では、貧富の差によってと、こういうことを言われている。学校給食の中には教育的効果というものが主体にあるわけですから、だから、富める者も貧しき者も云々ということはない。たとえば、あなたにお子さんがあって、うちの子供は給食費の補助なんかしてもらわなくてもいい、こう思われるかもしれない。われわれ国会で大蔵大臣文部大臣が確認して、文部省が主張しているのはそういうことではないのです。お金持ちの子供とか貧乏人の子供とか、こういう差はないのです。一つの教育効果として学校給食というものは大事だと思う。これが体位の向上になる。ここなんですからね。だから、貧しき者だけに給食の補助をして、負担能力のある者にはしないで、余った金は他の社会保障制度に使うということは池田内閣の方針だが、そういう考え方もある。主計官、あなた方が持っていらっしゃるということは今まで承知しておったわけですが、はしなくもそれが出たのですが、今後その考え方は、親委員会で大蔵大臣文部大臣が私の質問に明確に答えておりますから、来年の予算の編成にあたっては、少なくともその考え方は改めていただかなければならぬと思いますので、この点特に申し上げておきます。この点だけ、大臣、間違いございませんね。
  270. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) もちろん根本問題になるわけでございますが、大体矢嶋さんの御指摘のように、われわれも考えておるわけであります。ただ具体的になってきますると、基本線はそのとおりでありますが、ややお話とは違うことがあり得ると思います。それは、学校給食について制度調査会を設けて審議してもらって、答申をもらっておることは御案内のとおりでありますが、この辺からいきましても、また現行の学校給食の法律からいきましても、施設設備は国費もしくは公費で全部敷設する。食費そのものについては必ずしも法律上からは当然には出てこないと思いますが、答申の線は半額を国公費で負担し、半額は本人持ちといった考え方で答申をいただいております。その線で参りたいと思っておるのでありまして、その半分に関して貧富の差か現われてくるやり方ではむろん教育上も適切じゃない、かように思います。あと半分は、これは生きんがためのかてでもございますから本人持ち、ただし要保護、準要保護は、さっき大蔵省から答弁がありました考え方で十分に考えていく。この両建でいくことが最も適切じゃないか、かように考えております。
  271. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一つ伺いますが、重要なポイントが解決したから次に移りますけれども、さっき二点程度言われましたけれども、一食少なくとも四円から五円近く上がりますよ。これは父兄の負担が非常に多くなるので、今後十分関心を持って善処をしていただかなければならぬ、かように思っています。  次は親委員会でもちょっと伺った点ですが、オリンピックの点ですがね、これは一体日の丸何本あげるつもりですか。
  272. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 昨年の正月に天皇陛下の午餐におごちそうになりましたときに、むろん座興で申しましたのですけれども、金メダルを全部ちょうだいしたいものだとみんな張り切っておりますと申し上げたわけであります。現実にどのくらいかということは選手強化の努力、あるいは選手それ自体が、もっと国民の代表であるという使命に燃えてがんばってくれないことにはどうにもならぬ、ローマのような醜態を演じないようにと念じております。
  273. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 僕は一番大事なことは、やはり総理がどういう決意を持って先頭に立つか立たぬかという、この一事に尽きると思うのですがね。オリンピックをどうでもいいと言う人があるかもしれないけれども、やる以上は、日の丸があがらなければ、国民に対する影響というものは大きいですよ。だから、これは相当無理しても、いよいよこれをやるということがきまった以上は、国費相当投入しても、長い目で見れば、日本の国民のため、日本民族のために非常なプラスになる、かように思うのです。そういう点では、関係ある大臣として、総理へ適切なる助言と誘導をぜひやっていただかなければならぬと思っております。これに対する所見と、それから親委員会で伺いました戸田のボートのコースの問題ですね、これは私はだれからも頼まれていないのですけれども、戸田はやめるべきだ、相模湖にすべきだと思うのです。相模湖は水がきれいだし、選手村云々といっても中央線も通っているんだし、今までオリンピックのボートというのは、湖でやった前例が多いのです。そうしてあれは施設するのに金がかからない。もし要る場合は、神奈川県がやると言うのです。しかも、あの泥水できたない戸田、周囲には工場があり、そして民家がたくさんあり、そして六億円もかかる。そしてきめるときには埼玉県がやると言っておったが、きまったところが、国で出してくれなければやらないと言う。こんなところになぜやるか、僕は不思議でならないのです。埼玉県が約束どおりにその金でやれば、それはいいでしょう。環境をきれいにしてやれば、水がきたないけれどもいいでしょう。それができなくて、六億を二億五千万円くらいに計画変更して、そしてあまり好ましくない建築物があって、そこにおむつやパンツやさるまたやら干したような環境下に国際的なボートレースをやったら国辱ものですよ。どういうわけで、僕は、あの戸田にしてからが、もたもたしているが、オリンピック準備というのは、初のからいろいろな問題でもたもたして、右に左にいき、ぐるぐる回ってはもとに帰る。選手村もそうですが、こういうところに間違った勢力が入るのではないか。それから船頭多くして船山に登るようなことがあるんじゃないか。非常に杞憂するのですが、だから私は冒頭に何本日章旗を立てるつもりですか、ということを伺ったわけなんです。これは、大臣関係大臣ですが、白紙還元まではいかなくても、僕は再検討に値する問題だと思うのですね。僕の伝え聞くところでは、カヌーなんかは戸田ではやらないと言っている。それは相模湖でやろうかと言っている。ボート・レース協会のほうでは、なにカヌー協会はなまいきなことを言うかというようなことを言っているらしい。これは裏面の真相のようです。大臣の御所見を伺いたい。
  274. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 総理大臣には、私からかれこれ申さないでも、私以上に熱意を持っておると信じております。戸田のボート・コースは新聞等でいろいろ喧伝されております。しかし、オリンピック組織委員会というのを特別に作りまして、スポーツに関する専門家を集め、そして国際オリンピックをやるについての技術的な、専門的なことの唯一最高の機関として運営して今日まで参っております。そこで、関係各省もこれに出席をしておりますが、そういうことでいろいろと論議しました結論として、戸田のボート・コースを改修して、あそこでやるということに決定をしているわけであります。これを御破算で、やり直しということも一つ意見としてはあり得ましょうけれども、現実問題としては、そうしますことがより一そうの混乱と、時期を迫っておりまして、いろいろな影響をもたらすことをおそれるわけでありまして、すでに戸田のボート・コースの七十メーターを九十メーターに幅を広げること、浚渫すること、護岸を作ること、法をきちんとすることということを目標といたしまして、御審議願っている予算にも、第一年度の経費として計上もいたしております。したがって、繰り返し申し上げますれば、オリンピック組織委員会の線にのっとって、政府もその線を是認して具体的措置にも着手しておりますから、この予定の計画に従って、万難を排して実行する、このことが適切であると考えます。
  275. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 不満ですが、次にいきます。私は、もう時間がないから、理由を言わないで、結論だけを伺いますが、いろいろ意見があっても、南極観測は再開すべきだという意見です。文部大臣は、大臣としてはどういうお考えを持っているか、伺っておきたいと思います。その理由は、時間の関係上私は申しません。
  276. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 私も再開すべきだと思う一人でございます。ただ、一応取りやめましたのは、いかにもよたよたしました宗谷を使って、防衛庁から借用に及んだ、これまた装備十分でないところのヘリコプターでもってやっておりますことは、万一生命の危険があったらたいへんだということをまずもっておそれますので、一応臨時的に始まりました地球観測年からスタートして、そうして継続してやりたいという状況で今日に参りましたけれども、一応これを取りやめて、天佑神助を期待しないでも確信を持ってやれるという条件を整備しまして再開すべきものだ、こういうふうに考えて、一応の中止をしました。再開すべきものと思っております。
  277. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あと二項目について聞きます。親委員会で開けなかったのですが、学力テストの問題ですが、これに九月実施の中間報告がなされておりますが、その重点と、この調査結果というものをいかように行政に反映さしていかれようとするのか、その具体的なことを伺いたいと思います。
  278. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 中間報告をいたしましたのは、例の抽出テストの分だと思いますが、学習指導ないしは教育条件の改善等に活用するためにこそ抽出テストもやったわけであります。一斉調査の結果はまだ中間報告の程度にまでいきません。もうしばらくで中間報告ができそうだと事務当局から聞かされておりますが、いずれにしましても、学力調査の結果は、学習指導なり教育条件の改善等に具体的に役立てるという目的のためにやるわけですから、そういう考えで善処したいと思います。抽出テストそのことにつきましての具体的措置につきましては、要すれば政府委員からお答え申し上げます。
  279. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 大臣からお答えになりましたとおりでございますが、若干補足いたしますと、まだ抽出調査の分でございまして、昨年の九月二十六日に実施いたしました小学校の国語と算数と、高等学校の英語でございますが、この分につきましても、まだ中間でございますけれども、いろいろ小学校につきましては教育課程の改訂に伴います移行措置等において、いろいろ反省すべき点もございますので、そういうような点につきまして、私どもとしては教育課程の改正の趣旨が十分徹底するような考え方からいたしまして、今年度からこの結果に基づきまして、できる限り学習指導の改善等に、これを講習会あるいは研究会等の機会を通じまして、十分利用したいと考えております。
  280. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 予算書の三百七十ページを見ると、「全国一斉学力テスト実施に必要な経費」として約一億五千八百万円が要求されているわけですが、今度小学校五、六年生に算数、国語にわたって悉皆調査をされようというわけですが、去年の九月、十月の調査というものは非常に日本の教育界に混乱を起こしたと思うのです。場所によると、教育の現場らしからぬ現象も起こっております。文部大臣、これだけの予算使って成果をあげるためには、もうちょっと教育の場にふさわしいような形で行なえるように話し合って努力される余地はないのでしょうか。私は一つの提案を申し上げるのですが、国立教育研究所の予算説明から見ましても、私は文部省で所管してそうやられるよりは、文部本省の直轄機関である国立教育研究所あたりでやられれば、もう少し話し合いもうまくいくし、あなた方から言えば誤解のような面もなくなるだろうし、意思が疎通して円滑に行なわれるのじゃないか。で、今後行なうとすれば、国立教育研究所は、ここに「教育課程について、その内容、方法及び教育効果の実態を調査し、」云々という目的があるわけですからね。ここでやられたらどうかと、かように私は感ずるのですが、ともかく昨年起こった事態というものは好ましい事態ではないと思うのですね。これに対する大臣の所見を承っておきたいと思います。
  281. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) まあいろいろ違反事件等が起きまして混乱して参りましたことは、遺憾だと思います。ただ私は、他の委員会等でも申し上げておりますが、学力調査というのは、もともと学校教育法の規定します線にスタート・ラインを置きまして、義務教育の現場におきまして学力の到達度がはたしてどの程度であるかということを調べることは、文部大臣という立場において当然の責任であるという立場に立って、一斉調査を実施したのであります。これは私は、制度上の要請として当然のことだと思うのでございます。そのことについていろいろ勘ぐられた向きもあろうかとは存じますが、勘ぐられる内容は全然ないわけですけれども、現実にはそういうこともあったと思いますが、教員組合の立場においてこのことについて物を言われるところに、そもそもの間違いがあると私は思います。教職員組合というものは、あくまでも教職員自体の福祉の増進待遇改善その他の法定事項につきましての団結権を保障されているのであって、組合という立場において、教育政策そのことについてかれこれ団結権を行使しながらの集団的な言動がありますことは、きわめて遺憾であると思います。間違っていると思います。さりとて、教職員の現場の意見を聞かないというのじゃむろんございません。現場の教職員の意見というものは当然あり得るので、それは学校長を通じて出てくる。組合を通じて出てくるべき筋合いのものではない。それにまた、現地の教育委員会と一緒になって意見が出てくる。それはあくまでも尊重し、今後改善に資すべき貴重な意見として尊重されねばならぬと心得ております。基本的に私はそう思うのでございまして、昨年一斉調査をやりましたそのままをただがむしゃらにやろうとは毛頭思っておりません。昨年の混乱の一つの原因は、集計事務につきまして、デスク・ワークで考えたよりも現場の仕事量が多かった、そこに考慮の足らぬところがあったと私は認めます。したがって、その点をもっと改善し、仕事量を少なくし、そうしてしかも学力調査の効果を期待できるように改善する努力は、当然のこととして、再検討をして今度は実施したいと思っているわけであります。
  282. 田上松衞

    主査田上松衞君) 矢嶋君に申し上げますが、あなたの所定の時間は十八分を経過いたしました。
  283. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今の大臣の言葉には反論をしたいのですが、時間がないですから反論はしないで、意思表示だけしておきます。あなたのほうの主張を全部私は否定しません。あなたの主張の中にも、肯定する部分があります。しかし、賛成いたしかねる面も多々あります。現実の問題として、そういう大臣のお考え、態度を貫かれるのでは、とにかく現実の問題は救われないという、この切なさというものは、どうしてもぬぐい去ることができないわけですね。この私らが持っている切なさというものが解消できるように、行政府として、所管大臣として、何か打開策を講じてもらいたいというのが念願である。で、あなたの意見の中には、肯定される面もあるが、反論したい面もあるということを意思表示しておきます。時間の関係上反論できないことは残念ですけれども、最後に承りたい点は、佐世保工専に起こった問題ですね、これは私は地方行政委員会で警察庁を追及したのですが、一体警察の捜査能力はどの程度かと言って、かなえの軽重を追及したのですが、あんな簡単な事犯で犯人が本日まであみらないということは、まことに残念だと思うのですね。で、八科目の試験用紙が二百枚ずつ、合計千六百枚紛失した。警察に聞くと、届出が非常におそかった、そうして試験がある間は協力してもらえなかったので、捜査のスタートがおくれたので、犯人があがらない。犯人があがったら報告しろと警察庁長官に言ってあるのですが、まだ報告が来ないから、まだあがらないのでしょう。全くだらしないことだと思う。それから、なぜ早く届け出なかったか、そういう点については、文部省としてはどういう処置を現地にとられたのか。それから、千六百枚の行方がわからないのに合格者を発表して、そのままになっておるわけですね。この行方がわかればなんですが、行方次第では、私はゆゆしい問題だと思うのですが、その点については大臣はどういうふうにお考えになっておられるのか。問題のミス事件もあったんですが、これもある特定学校のごく少数の教官に校正をしてもらったという。その教官も教官だと思うのですよ。私は、あの新聞を通じて見れば、きわめて簡単な誤りがありますね。これらの点について、もう時間がないからあれしませんが、頼んだ方も頼んだ方、頼まれた方も頼まれた方、全く恥ずかしい次第だと思うんですがね。それもあわせ、どういう処置をとられたのか。それから千六百枚の試験用紙の行く先がわからぬのですが、その結果次第では、私はゆゆしき事態が起こると思うのですが、したがってあの時点における文部大臣のとられた処置について、私は納得しがたいものがありますので、伺っておきたいと思います。
  284. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) この問題は、文部省の立場から一言も申し上げることはございません。もう恐縮しております。ことに、試験を受けました学生生徒に対しまして、何と言っておわびのしようもない、恐縮千万に思うわけでございます。すでにできたことだからやむを得ないという意味で、ほおかぶりでごかんべんを願って、今日にきておりますが、さりとて、現実に万に上る受験生が試験を受けた、その事実を前提とします場合、いたずらに時日を遷延しておることは、今度新たなる混乱のもとに、受験の生徒たちに悩みを与えることになることをおそれまして、次善、三善の策の足らざることを遺憾とは思いましたけれども、できるだけの調査をいたしまして、あの試験を有効とするという結論に到達する処置をいたしておるのであります。それは、あの問題が起きまして、直ちに十二カ所の試験をします責任者——主として大学当局に依頼をしておったのでありますが——連絡をいたしまして、試験場の状況、試験の結果を内申書に照らし合わせて、それからまあ、大数観察的な観察たらざるを得ませんけれども、一々当たりまして、何らかの変化が、言いかえれば、問題が具体的に、漏れた結果が変化として現われてくるか否かという角度からも十分に検討をしてもらいまして、各地区とも、そのような漏れたという事柄からきた不当な結果がないと判断されるという報告を得まして、今申し上げたように、あの試験は有効なものとして、関係法律等が、予算等が成立しましたならば、処置をするという前提のもとに、今日までたどりついておる状況でございます。
  285. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 申しわけないが、もう一問です。  人権擁護局長お見えになっているのに、質問がおくれて恐縮ですが、お伺いしたい点は、文部大臣と人権擁護局長にお答えいただきたいわけですが、かつて私は国会でも問題にしたわけですが、大分県の高田高校の野球部の問題ですね。門岡ピッチャーの中日、プロへの契約の時期発表の仕方が悪かったからというので、一カ年間長期にわたって高野連があの野球部の対外試合を禁止したということは、僕は人権の問題だと思うのですがね。その指導がよかったか悪かったかは別として、ともかく、一人の人物がそういうことをしたから、他のチーム・メンバー、昭和三十七年四月に入学する生徒に対しましても、対外試合の機会を与えないということは、僕は人権問題だと思うのです。それほど高野連というものが、権限を持つということはいけないと思う。それをしなければどうもこうも学校スポーツは保てぬというなら、やめてしまえばいい、極端に言えば。そういう人権を侵犯してまで、そういうことはやる必要はない。それで、人権擁護局長にお伺いしたいのでありますが、あれは僕は人権侵犯問題だと思うのです。高野連は解消すべきだと思う。これに対する見解を文部大臣はどうお考えになっておられるかということ。僕は、スポーツの振興ということは、議員立法で、非常に大事だと思うのですけれども、プロとアマを明確に区別すること、それから学校における学校スポーツというものは、本然の姿を失してはならぬと思うのです。偶然昨夜の夕刊で、皆さんもごらんになったと思うのですが、和歌山県立商業高等学校で、定員の一割増の五百五十一人発表した。それ以外に運動の上手な生徒だけを二十七名、こっそり学校長は入学通知を出したということで、和歌山県で問題になっているが、これは文部省に直接責任はないのですけれども、そういう曲った姿で学校スポーツが取り扱われているという点については、適切な機会に、都道府県教育長あるいは教育委員長を通じて適切なる指導と助言を文部省はする必要があると思う。こういう状態を放置しておいたならば、スポーツの振興というものは逆な結果をもたらしてくると思う。この二点について、人権擁護局長が先、あと文部大臣に答弁していただいて、私の質疑は終わります。
  286. 稲川竜雄

    説明員(稲川竜雄君) 私、発令早々のために、まだ委員の任命を受けておりません。稲川でございますが、非常に重要な御質問で、恐縮なんですが、まだごたごたしてまして、今までの経過は存じておりませんので、調査課長を連れて参っておりますから、調査課長をしてお答えさせることを御了承願いたいと思います。
  287. 池田保之

    説明員池田保之君) それでは、私から御説明いたしますが、ただいま御質問を受けました件につきましては、大分地方法務局の人権擁護課で、門岡選手及びその父親、あるいは学校当局者、その他の学生等につきまして、調査を進めておったわけでございます。なお、地元の豊後高田人権擁護委員会協議会におきましても、この件につきまして連帯責任を負わせた点につきまして、いささか酷ではないかと。よって処分の緩和を要望するという公開要望書を発表いたしておるわけであります。  なお、この件につきまして、当該門岡選手以外の選手によるチームにつきましても一年間の一切の対外試合を禁止するということにつきまして、いささかかわいそうではないかという感じを持っておるわけでございますが……。
  288. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 法務省の見解を聞いている、人権擁護局の見解を。
  289. 池田保之

    説明員池田保之君) そこで、いささかかわいそうではないかという感じを持っておるわけでございますが、なおこれは、全国高校野球連盟と、その野球連盟に加入している高田高校の教育上の、あるいは教育の一端である体育問題との関連におきまして、慎重に取り上げられて、妥当な解決が得られるのではないかという見解から、私のほうの人権機関としましては、この処理問題につきまして、なお当事者間において妥当な措置がとられるように、ただいま見守っているという状況でございます。
  290. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 全国高等学校野球連盟は、自分みずからの規約として選手資格規定を持っておるようであります。これに関連しております限りは、この規約を守ることは、これは当然のことだと思います。加盟校以外との相互関係までも高校野球連盟が規制するということは、これはちょっと妥当でないんじゃないかと、かように私は考えます、  和歌山商業高校のことは、私も新聞でちょっと見ましたが、御指摘のとおり、ちょっと非常識なやり方だと思います。機会を得まして、一般的に警告を発し、もしくは指導助言等の措置をいたしたいと思います。
  291. 田上松衞

    主査田上松衞君) 矢嶋君の質疑は終了いたしました。  質疑を続けます。
  292. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 給食のことについてお伺いいたしたいと思います。  学校給食制度調査会が、学校給食が果たした役割と教育効果を大きく確認し、小学校の五カ年、また中学の十カ年の年次計画を立て、完全給食、全校実施をはかるべきことを答申しておりますが、政府としては、この完全給食、全校実施ということについて、どういう御見解を持っていらっしゃるか、聞かしていただきたいと思います。
  293. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 学校給食制度調査会の答申は、ぜひ尊重して、これが実現をはかりたいと思っております。
  294. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 そこで、予算説明書を見ますと、学校給食費の項に、食糧管理特別会計繰り入れに必要な経費につきまして説明がついておりますが、その説明に、学校給食に対する父兄負担の軽減をはかるためと説明してございます。また一方、一般会計より受け入れの項を見ますと、食生活改善推進のため云々とありますが、この二つを見ましたときに、教育的立場から給食を考えているのか、社会保障立場から考えているのかという点に、何か食い違いがあるように思いますが、この思想を統一すべきだと思いますが、この点いかがでしょうか。
  295. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 学校給食をやります基本線は、先刻も矢嶋さんの御質問に対してもお答えを申し上げたとおり、教育上の効果を考えるがゆえに実施するということが基本線であると思います。同時に、社会保障立場もあり得る。それは要保護ないし準要保護、言いかえれば、貧しきがゆえに給食の教育的効果に均霑できない人がおるとすれば、これは不幸なことであるから、一般的な社会保障立場において、国なり公共団体なりが国費、公費をもって協力援助の手を差し伸べるということをあわせて一本に考えて実施さるべきものと思うのであります。基本線は、教育的効果が重大でございますから、そのためにこそ実施する値打があるものと心得ます。
  296. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 大蔵省にお伺いいたしたいのですが、予算編成の過程において、予算省議第二日目の新聞発表に、学校給食は現在一律に一食一円の国庫補助が行なわれているが、これを打ち切る方針で検討していると、そして要保護児童の対策に力点を置くと、こういうふうに発表されておりましたが、大蔵省の学校給食に対するお考えはどうなのでしょうか。
  297. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 先ほど矢嶋委員の御質問に対しまして申し上げましたような考えでやっております。ただいま、昨年の予算編成過程におきます新聞のニューズのお話がございましたが、そういう発表は私どもはしたこともございませんし、いろいろ新聞社のほうでまあ総合判断されてお書きになったと思いますが、私どもの考えは、先ほど申し上げたとおりでございます。
  298. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 そこで、学校給食をすみやかに全国一律にと願う者の一人ですが、この現在の普及状況はどんなふうな状態なんでしょうか。
  299. 前田充明

    政府委員(前田充明君) 現在の学校給食の普及状況を申し上げます。小学校につきましては、児童数におきまして約六四・二%の完全給食と約五・八%の補食給食で、合わせまして約七〇%でございます。中学校につきましては、完全給食の約九%と補食給食の約三・六%で、合計で計算いたしまして約一二・六%の普及率になっておるのでございます。
  300. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 学校給食の伸びを調べてみますと、最近四カ年ぐらいの間はやや停滞ぎみだと、また給食に伸びるべき補食給食がむしろ減る傾向であるというふうになっておりますが、先ほど政府がおっしゃったように、全校実施給食を推進されていくためには、今後相当な努力が必要であると思いますが、この停滞ぎみであるとか、補食給食が減りつつあるというようなことについては、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
  301. 前田充明

    政府委員(前田充明君) 補食給食につきましては、おっしゃるとおり、三十五年におきまして幾分減ったのでございます。しかしながら、これは、補食給食をやっておりました学校は、完全給食に切りかえたと思われるのでございます。と申しますのは、完全給食のほうが、その一年で、前年と比べまして千三百三十三校ふえておる状況でございます。したがいまして、全体として私どもとしては見たいと思うのでございます。なお、最近伸びが幾分停滞ぎみだというようなお話でございますが、確かにそういう傾向はございます。これは、相当に都市方面では進んで参りましたのが、農山漁村、そういう僻地的なところにおいてなかなか伸びがないと、そういうことからの結果であろうと思うのでございます。それは、いなかのほうは、何と申しますか、現金を出したがらないとでも申しますか、同じ、こうものを食べるのに、なるべくお金で出さないようにしたいというような気風があるように、私どもの調査では、そんなふうに答えが出ているのでございますが、そういうことから伸びが非常に少ないのじゃないかと思うのでございます。しかしながら、学校給食が特にこの農村方面において伸ばすべきであると私は考えるのでございます。と申しますのは、どうしても農村におきましては蛋白質給源をとることが少ないので、そういうところに特に学校給食を奨励することによって、学校給食の価値がなお一そう上がるのではないか、こういうことになるわけでございます。  そこで、まあどうやってそれでは伸ばすかという問題でございますが、そういたしますと、まずまあ考えられますことは、ミルクをまずやっていくと、そういたしますと、まあ蛋白給源を非常にとるわけでございますから、そこでなるほどこれはいいんじゃないかというように一般に父兄がお考えになる。それではひとつまあ学校給食をやってみようかと、完全給食をやってみようかというふうになって、完全給食へこう進んでいくというような方向が、まあ割合スムーズにできるだけ早く進む方向ではないだろうか、かように考えております。  なお、ミルクにつきましては、現在非常に安い価格で飲めるわけでございますが、なお、現金を出すという問題についても、非常にいいんじゃないかというふうに考えております。
  302. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 農村に実施の困難な特殊事情があるということはいろいろわかりましたが、給食実施に必要な栄養士の問題などがその理由になっているかどうか、ちょっとお伺いいたします。
  303. 前田充明

    政府委員(前田充明君) 栄養士は、現在約二千三百人ぐらい栄養士が置かれております。それは小学校、中学校、あるいは教育委員会、まあそういうところに置かれているのでございますが、給食を実施いたします場合には、栄養約にいいということが一つの重要な条件でございますので、栄養士の必要であることは私どもも十分痛感しておるのでございますが、現在ではこの程度でございますので、今お説のように、できるだけ栄養士を置くように努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  304. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 三十七年度の予算で、準要保護児童、生徒のワクを五%に引き上げましたが、その根拠はどこにございますでしょうか。
  305. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 根拠というお尋ねでございますが、これは準要保護児童に対する援助を拡大していきたいという考え方でございまして、従来から年々このパーセントを引き上げて参っております。三十七年度におきましては全体の五%程度に引き上げていくと、こういうことでございます。
  306. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 まあそれで貧乏な子供が助かりますが、その給食費を滞らせている子供はまだ非常に多くて、調べてみますと一・九六%もあるといわれておりますが、この保護を受けている子供はいいとしても、そういうすれすれのところで受けていない、そういう子供たちを、親は相当苦労して給食費を持たせてやっている事情なんですが、現在計画されている半額負担を、さらに全額負担に進むべきではないか、こういうふうに思いますけれども、いかがでしょう。
  307. 前田充明

    政府委員(前田充明君) 半額国庫負担を、全額の理想ということではどうかというお話でございます。もちろん、全額ということになれば、父兄としては非常に助かるわけでございますが、先ほど大臣からもお話し申し上げましたように、現在の学校給食法におきましては、一応施設設備等については設置者のほうで負担し、その他のものは父兄が負担する、保護者が負担するということになっております関係もございまして、まあ答申は半額というわけでございまして、もう半額までいくまでに、まず完全実施というところの問題がございます。完全実施をやりまして、それからもう半額負担にいく。まあしかし、その間にはもちろんできるだけ父兄負担を軽くする方法として考えなくちゃならぬ問題がたくさんございますのですが、ともかく段階を追って進むと、そういうことでなければなかなかむずかしいのではないかと考えております。
  308. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 教科書無償の問題についてお伺いいたしますが、教科書を無償にしたという意図についてちょっとお伺いいたします。
  309. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 憲法の二十六条が、義務教育は無償とすると宣言いたしております。これに対して、御承知のとおり、現在は、教育基本法におきまして、義務教育では授業料はとらないという趣旨のことをまた宣明いたしておりまして、今度の教科書を無償とするという建前を確立しようとしておりますことも、憲法に基づいて、その趣旨を、その理想をさらに前進し、実現していきたい、こういう考え方に立っております。
  310. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 さらにその問題を推し進めて、問題になっておりますPTA会費を全廃するというようなことについて、どういう御意見をお持ちでしょうか。
  311. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) まあその点は、なかなかむずかしい問題と思いますが、私の今考えております考え方に従いまするならば、憲法のいう義務教育無償という趣旨は、無償になすべき具体的課題が、その本質があくまでも普遍的であり、かつまた平等な本質を持つものでなければ、憲法のいうところの無償にするという対象にはなり得ないもの、かように考えるわけでございます。で、PTA負担が多いと言われますが、そのPTA負担が多いと言われる内容そのものが、なかなかつかみにくい要素を含んでおると思います。で、本来学校教育上父兄に負担さすべからずという建前になっておるものが、はしなくも父兄負担になっておる点は、これは是正していくべきものと思います。そうでないものの父兄負担は、なかなか微妙な点ではございますが、形式的に申しますれば、それは国なり公共団体で当然考えるべき筋合いのものじゃない。要保護、準要保護に対する援助の問題等、社会保障的な角度からどうするかという問題はむろん一般的にございましょうが、純粋に教育的立場だけに立って考えます場合、父兄負担が妥当でないというけじめは、本来父兄に負担さすべからざるものが負担させられておる面の是正、——それに一応限らるべきものという考え方に立っております。
  312. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 そこで、PTA会費の問題については、学校の施設に使ってはならないという内容を、文部省、自治省で通達を出していると思いますが、これによってPTA会費は事実父兄負担が軽減されているかどうかということを御検討になったか、お伺いいたします。
  313. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) これも、害態調査はなかなかむずかしい課題でございますが、父兄負担にしてはいけないものを父兄負担にしないようにという措置は、ずっと文部省としてもとり続けて参っておるわけであります。まあ大体、小中学校で申しまして、不当に父兄負担になっておると推定される金額は二百億見当じゃないかと思われます。それが三十五年の実態調査による数字だと記憶いたしますが、三十六年度において約五十億円余り、三十七年度において七十億円見当のものを、父兄負担軽減措置をする意味において財源措置を講ずるという建前でおるわけでございます。したがって、三十五年の実態調査で推定されました父兄負担金額の大半は解消するという勘定になります。ですけれども、現実には、父兄が負担しておる金額というものは、今申し上げた意味と違った内容も含めて考えます場合には、かなりあろうかと想像されるわけでございます。その点の実態調査は、なかなか簡単に参りません。今申し上げたような趣旨で、一応けじめをつけて解消する努力をいたしておることだけを申し上げます。
  314. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 教科書問題の中で、教科書は地域的に統一すべきであるということを強く感じているものですが、事実家庭の母親たちも、そのほうがいいという意見も強い。また、職場の教師なども、それを望んでいる者が非常に多い。また、大臣の御答弁にも、各教科ごとに一種類、同じものを使うという結論になるというふうにおっしゃっておりますが、このように統一すべきであるという意見相当あるにもかかわらず、それを具体化していくポイントである採択権があいまいである。これはどうしてあいまいなのか。法案などを読んでみますと、確かに採択権ということについて云々しているところがありません。これがどうしてそのようにいいかげんなっているか、お伺いしたいのです。
  315. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 御指摘のように、現行の教科書の発行に関する臨時措置法には、採択をだれがやるかという具体的な指定めいたことはないようであります。ですけれども、現行の教科書法が制定されました後に、地方教育行政の組織運営に関する法律ができたと思いますが、その二十三条でございましたかには、教育委員会が教科書に関することを取り扱う、そういう権限があるということを明記しておると思います。それと、日本の教育が義務教育に関します限り地方分権的な立場に立って、基本線をそこに置いて制度づけられ、運営されておることも、御案内のとおりであります。その地方分権の末端の担当者は教育委員会である。その教育委員会が教科書についての権限を持っておりますことからいたしまして、採択権は教育委員会にありと結論することは、現行法上明確な具体的な規定は今申し上げたとおりないといたしましても、当然の結論であると存じます。そういう考え方で今日まで文部省としては参っておるわけでございまして、したがって、教育委員会が採択します場合、その教育委員会の行政区域内においては、同一教科書が採択されることを法律制度上は期待している。また教科書を使う側の児童生徒ないしは保護者の立場からいたしましても、その行政区域内では、一つである、同じであるということを便宜とすることは、これは当然であり、かつまた地方分権的な制度上の基本線に立って考えてみましても、その地域にふさわしきものが採択されることが望ましいわけですから、そういう見地に立った採択が、何種類もあるということは、常識上あり得ないという意味合いからいたしまして、その地域内では同じ教科のものならば一種類であることが望ましい、私が申し上げた趣旨はそういうことでございます。採択権限の具体的な明記はございませんが、今申し上げたように解釈すべきもの、制度上の必然的な結論だと心得ます。
  316. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 大臣にお伺いすると、そのようにはっきりおっしゃるのです。ところが、東京都におきましても、また地方の市や県に行きましても、何かそうした採択権がうやむやであって、現場の先生が選んで、そしてそれを教育委員会に報告している、届け出ている程度であって、それについて今おっしゃるような感じが受け取れないわけです。また、東京都の教育長は、教師の選択権を奪うから統一はできないというふうにはっきりと言っておりますので、こうした何か両方で違った考え方を言っている。そして、事実は教師が選んでいる。そして、ばらばらである。こういう点について、採択権をはっきりきめるために、地域別に採択委員会などを作って、きちっと統一をとっていくというような方法を法律の上で私はきめたほうがいいと思いますが、いかがなんでしょうか。
  317. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) まあ立法論として、最後におっしゃいました趣旨は、考えねばならない課題だと思いますので、その点ではもっと検討させていただきたいと思います。具体的に東京都のやり方が適切であるかどうか、現行制度の上からいって適切であるかどうかということならば、適切ではないと私は考えます。教育委員会の指導が間違っている、かように考えているのであります。
  318. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 そこで、そういうふうに採択権はまだきめるわけにもいかない、こう仰せですが、それならば、今のままで、先生方の選んだ教科書に対して投票させる、そして数の多い教科書、みなの選んだ票の数の多い教科書をきめてですね、そしてやるということも考えたんですが、そういう点はどうでしょう。
  319. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 採択権限がどこにあるかということは、先刻申し上げましたとおりでございます。その意味において、東京都の現実は、少し脱線していると思います。ただし、現場の教師の意見を聞くべからずということじゃありません。意見は大いに聞いてしかるべし。ただし、採択の責任を住民に対して制度上持つものは、権限と責任を持つものは、教育委員会にあり。しかも、地方分権的な基本線に立って考えましても、同じ行政区域内において種々雑多であるということは、教科書を使う側、需要者の側から見て適切でないことは、言うを待たないと思います。東京都につきましては、そういう意味においては、指導をいたしたいと思います。ただ、明文上不分明であるから、もっとはっきりしたらいいじゃないかというお説に対しましては、先刻申し上げましたように、今後立法問題として検討させていただきたいと思います。
  320. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 展示会についてお伺いいたしますが、毎年開かれている展示会の効果というものはどのようになっているんでしょうか。
  321. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 教科書の展示につきましては、できるだけのこの現場の教師等がその展示施設を利用しまして、教科書の研究なりあるいは選択等についてできる限り勉強してもらうというシステムであります。そういうことで、常設のもの、あるいはまた場合によりましては、最近地域的に分館を設けまして、いろいろそういう施設をより多くして参ったわけでございますが、大体数にいたしまして、これは延べでございますが、教職員大体五十万程度利用しておるというようなことになっております。したがって、以前よりも延べ人員におきましてはかなりふえてきておると、こういうように考える次第でございます。
  322. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 展示会でできるだけ勉強するようにと、そういうふうにおっしゃっておりますが、この展示会については、終戦後の混乱の中から開かれた展示会は、確かに注目を浴びて、必要であったと思いますけれども、現在は教科書は大体どんなものかわかってきておりますし、今まで使ったものになれてきている。そういうふうになっておる現状で、展示会はむしろあまりみな熱心に研究の場として使われていない。また、教科書会社などで聞きますと、非常にたくさんの教科書を見本に出すと、むだが多いように思うのです。ですから、この展示会などは、研究の余地があるんじゃないか。また、むしろ廃止したほうがいいくらいに思っておりますが、いかがでしょうか。
  323. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 展示会の運用につきましては、いろいろこれを改善する余地はあると思いますが、現在のところにおきましては、たとえば昨年は、中学校の教育課程の改正に伴います教科書の採択の関係から、相当この展示館は利用されるわけでございます。また今年は、高等学校の教育課程の改正に伴います教科書の新しいものができますると、それに伴う研究という趣旨におきまして、展示館の利用も相当活用されると考えております。したがって、いろいろこの運営上に工合の悪い点がございますれば、これは私どもとして今後十分検討して参りたいと思いますが、現在のところこれを全廃するというようなことでは考えてないわけでございます。むしろ、今の教科書行政のあり方としては、やはり展示館というものを、相当これを活用していくということのほうがいいというような考え方でございます。そういう点はできる限り今後も検討して、改善の要する点は、十分改善を施していきたい、こういうように考えております。
  324. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 最後に半日学校制度についてお伺いいたしますが、これは、第三十四回のときも、また今回も、半日学校制度について政府はどのように考えていらっしゃるかということを伺いました。また大臣から御答弁もいただいているんですが、もう少し具体的に、詳しく、この半日学校制度に対する御意見がありましたならば、聞かしていただきたいと思います。
  325. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 定時制高等学校等の問題であろうかと思いますが、御承知のように、勤労青少年の教育を受けるいろいろな実情から申しまして、特にやはり、働きながら勉強するわけでございますので、この勤労の実態と合うような学校なり学習の形態というものを考えていく必要があると思っております。したがって、特にこの定時制高等学校におきましては、まあいろいろな型が考えられるわけでございまして、現在におきましても、この動労の実情に応じて授業形態を変えていくと、たとえば夜間五日制というようなものもございますし、また、昼間一日で夜間三日というような形もございます。それから今御指摘になりますような、半日と申しますか、勤労をしながら半日、いわば晴耕雨読というような考え方であろうと思いますが、そういうような形でやるということと、それからまた、最近この通信教育の問題も相当出て参りましたので、昨年学校教育法の一部改正をいたしまして、今後、定時制教育と通信教育との連携等も十分活用いたしまして、そういう働きながら学ぶ青年たちの実態に合うような教育をしていきたいということで私どもとしては検討をしているわけでございまして、できるものからなるべくすみやかにやっていきたい、こういうような考え方でございます。
  326. 柏原ヤス

    柏原ヤス君 今お伺いして申し上げたいことは、定時制のあの制度、また通信教育制度、そういうものと何か並行させて、半日学校制度だから、半日勉強して半日仕事をするというふうに結びつけていらっしゃるようですが、私どもの考えております半日学校制度というものは、そういう観点から申し上げているのじゃないんです。定時制また通信教育、こういうものは私は中途半ぱな、ちょっと見ると働く青年のためを考えているような制度ですけれども、私はそうじゃないと思うのです。で、もっと半日学校制度というものは根本的な大きな教育制度であるということを一言申し上げて、私の質問を終わります。
  327. 田上松衞

    主査田上松衞君) 柏原君の質疑は終了いたしました。  質疑を続けます。
  328. 加瀬完

    加瀬完君 高等学校の急増対策だけについてお伺いしますが、文部省が一番初めに出した案と、今度のまとまった政府計画と、都道府県の計画との間に相当な開きがありますね。都道府県の計画はあとにして、第一次案と、いわゆるまとまった第二次案といいますか、政府計画の開きというものは、これはどのように御説明をされるのですか。文部大臣でなくてもいいですよ。
  329. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) ちょっと具体的に申し上げかねますから、政府委員から……。
  330. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 文部省の当初の計画は、事業量といたしまして、一般校舎三十四万坪、屋体四十一万坪、産振施設として二十三万坪、土地購入としまして百八十万坪、以上でござますが、閣議決定の際におきます数字は……
  331. 加瀬完

    加瀬完君 事業費だけでけっこうです。
  332. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 一般校舎分では四百八十億になります。それに対応いたします数字としましては三百六十九億になります。
  333. 加瀬完

    加瀬完君 違うでしょう。政府計画は、急増分の校舎等の整備は、坪数にして二十万七千五百二十五坪、金額にして百十五億でしょう。
  334. 杉江清

    政府委員(杉江清君) これは、ただいま申し上げましたのは、総事業量を申し上げたのです。明年度の事業量といたしまして、閣議決定は二十万坪ででございますが……。
  335. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、一番初めの文部省案と政府計画案との開きは、増設分も含めますと、坪数で五十五万坪、金額で百十四億、これだけの開きが出ているわけですね。で、第一次案は、都道府県の計画と比べると相当開きがある。にもかかわらず、今度の決定案というものが、第一次案よりも後退するということでは、実際地方の要求というものとははるかに離れるということにはなりませんか。
  336. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 一応数字につきまして、助成課長から説明さしていた、だきます。
  337. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 先ほど局長から御説明申し上げました数字でございますが、一般校舎、屋体で三十四万坪、四十一万坪という御説明でございましたが、これは新設校、増設校の区別でございまして、総体では、七十五万坪の全計画量が当初の文部省の案でございまして、この七十五万坪の計画量に対しまして、先般閣議に御報告願い、了承をいただきました全事業計画量は、七十五万坪に対しまして約六十七万坪ということでございます。この差は何であるかという点でございますが、これは、七十五万坪と積算いたしましたときの生徒の数の見込み方につきまして、その後、公私立の関係でございますとか、進学率の伸びとか、そういったものについて若干の修正を加えております。そういう生徒数の若干の減の問題並びに新設で収容たいしまする計画と、既設校で収容いたしまする計画との間におきましても、若干の誤差が出て参りまして、ただいま文部省が大蔵省、自治省とも協議をととのえまして持っております政府の高校急増対策によりまする公立分の増加生徒数を収容する一般校舎、屋体の整備量といたしましては、六十七万坪が妥当であろうということで一応数字を求めております。なお、加瀬先生からお話のございました、知事会のほうで最近お取りまとめになられました三十七年度分の計画量でございますが、これの関連におきましては、当初約二百億程度金額はずれておるという資料を、私どものほうでも知事会からいただきまして、ただいま検討を加えております。一般校舎につきましては、三十七年度年度割りといたしまして、二十万坪を一応校舎といたしましては予定いたしております。これは、三十八年四月の予定生徒数を収容するに必要な一般校舎の建築量ということで二十万坪という数字を出しているわけでございます。先般知事会のほうから、この二十万坪に対しまして三十二万坪という数値が出ております。三十二万坪の中身をただいましさいに検討させていただいておりますが、これは、県の予算編成の実情を御存じかと思いますが、いわゆる増改築という予算のあり方が相当ございます。それで高等学校の危険改築等の事業量は一応別の問題といたしまして、そういうものをはずしまして、純粋な一般校舎分だけを見ますと、大体ただいままでの中間集計では、二十万坪が四万坪ないし五万坪程度ずれるだろうという数値を持っております。その理由といたしまして、各府県の実情を見ておるのでございますが、特に新設校の予定事業量におきまして、三十八年の入学予定数に見合いまする基準による建築量を上回りました三十九年対策が、三十七年に建築いたしまする新設校については、若干入ってきておるのではないか、そういう見方を一般校舎につきましてはいたしております。
  338. 加瀬完

    加瀬完君 高等学校の進学率というのは、年々上昇していますね。第一次の文部省案には、年々の上昇率というものを見込んで三十八、三十九、四十年、こういう計算をしたと思う。今度はその進学率の上昇の見込みを低めておりませんか。低めて結局、政府計画というものに合わせておるということはありませんか。若干そういう操作をしておるのでしょう。
  339. 杉江清

    政府委員(杉江清君) この点は、当初より同じ方針を持っておりまして、三十五年度の進学率を三十八、九、四十年も維持する、しかし、生徒数が減りますから、その進学率を六〇%、六一%、六三%と高める結果になるわけでございます。そのような計画で考えております。
  340. 加瀬完

    加瀬完君 それならば第一次政府案と、第二次政府計画というものと、そんなに違いが出てくるのはないわけじゃありませんか。しかし、これは時間がありませんから、また別の機会に伺うとして、次に、土地購入費について、この政府計画と都道府県の計画では非常な開きがありますね。これが一点。それから一体百八十万坪のうち五十四万坪が寄付になっておるのですね。こういう計画で一体実際において地方の高校建設が進みますか。先ほどからたびたびPTA寄付がどうだとか、こうだとか出ておりますが、六八・四%というのは寄付ですよ。これが一体政府計画として認められますか。これは文部大臣に伺いたい。六八・四%もあなたまかせという計画がありますか。一体政府計画で、土地がなければ校舎が建たないでしょう。そのもとの土地は、六八・四%は寄付ですよ。こういう計画を政府計画と認められますか。これで妥当と言えますか。
  341. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 御指摘の点は、これはちょっとかぶとを脱がざるを得ない点でありますが、これはもともと土地について、学校の用地について、国なり、あるいは公共団体等で措置します場合のものの考え方が、ずっと前からの慣習を踏襲してきておるという便宜さにいわば便乗しておるのが実情だと思いますが、それを一挙にこの急増計画について措置しますことが、事実問題として困難であるということから御指摘のような点が出ておると思います。理論的には、私はお説のように妥当でないと思わないわけじゃございませんけれども、もっときちっとしますためには、制度上も、そういうことが許されないような、また国としても、そういうことを十分に考え合わせて処置をするという態度があらためて検討されて結論が出ませんと、実際問題としてはやりにくいということだと考ておるのであります。よろしいことであるとは思いませんけれども、事実問題としてやむを得ないだろうと思います。
  342. 加瀬完

    加瀬完君 沿革からいいますと、最初の公立学校というのは、全部地方公共団体が一切費用を持ったわけです。終戦直後、いわゆる普通の中学校、女学校というものから高等学校の規格に合わせるために、地方予算というのが非常にまだ固まっておりませんでしたから、それで、これは検察庁に至るまで寄付を集めたような時代がありましたから、そのころ寄付の風習というものが生まれたわけですけれども、今度のように、急増対策で、一つの学校に千坪とか千五百坪とか運動場を広げるのとわけが違いまして、一万坪、一万五千坪なりというものを新しく設けるのですから、これを慣例に従いまして寄付でやるということであっては、学校を建てなければならぬ必要があっても、寄付に地元が応じられないところは、学校が建てられないということになる。これは学校行政からいえば非常な片寄った高校配置ということにもなりかねない。これは、主計官いらっしゃいますね。
  343. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) はい、おります。
  344. 加瀬完

    加瀬完君 一体あなたのほうで、土地の全額を寄付によって予算編成をしておる府県が幾つあるか御存じですか。
  345. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 先日知事会のほうからちょうだいいたしました陳情書に、その府県が出ております。相当多数のところが寄付を期待しているようになっておるようであります。数を数えたわけではありませんが、どこの県がそうか承知しております。
  346. 加瀬完

    加瀬完君 ですから、これは文部省だけの問題ではないと思うのですね。十七府県ですよ。十七府県が予算編成の中で、土地代金は全部寄付ということになっておる。こういう予算を地方に組ましたって完全な高等学校の配置ができるはずはないでしょう。なぜ土地購入の費用というものを、急増対策なんですから、しかも、国が補助やなんか出さないのですから、せめて財源措置は、寄附なんかに仰がないような方法を大蔵省としては考えなければ、これは文部省だけの責任ではないと思う。主計官のお考えはどうですか。
  347. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 土地の購入費につきましては、先ほど文部省からお話がございましたように、百八十万坪要る、文部省の御計算では約百億程度でございますが、これを年度割りにしますと、三十七年度は五、六十億の用地費が要るという御計算のようであります。なぜ起債のほうなりでもその分を見なかったかという御質問でございますが、これにつきましては、いろいろ先ほどお話のように、知事会のこの資料で一応寄付というような数字が出ておりますけれども、私どもは、たとえば、都道府県や市なんかの所有地の利用ができるものがあるんじゃないか、それから統廃合いたしました小中学校跡地の利用等もできるんじゃないか、国有財産についても、いろいろな便宜をはかるというようなことも考えまして、的確に何億要るという推計も困難なため、一応予算上は起債に土地購入費を計上いたしておりませんが、これは文教委員会でも文部大臣等からお話がありましたように、四十億程度のものは別途起債の許可を地方の実情を見ましてやろうじゃないかということを考えておる次第でございます。
  348. 加瀬完

    加瀬完君 だから認識不足もはなはだしいと言うんです。あなた方現地をもう少し当たってごらんなさい。机上で、たとえば統合中学校、小学校の敷地が余るだろう。県有地が余るだろう。県有地を持ったり大きな国有地があって、その払い下げ可能なようなところはすでにいろいろ利用されておりますよ。しかも、新しく高等学校を建てなければならないところは、これはもう新都市形態の造成されたところといいますか、新しく集団地ができたところですよ。地価が暴騰しておる。そういうところで、一万円以上も出るようなところを、安くても、二万坪、二万五千坪を寄付に仰いで、地元が応じ切れますか。東京近郊でも、高等学校が当然必要なところも、寄付金に応じられないで高等学校は建てられませんよ。ですから、仕方がありませんからそれは東京へ集中するわけです。あるいは既存の学校に集中するわけです。競争率は非常に激しくなり、いわゆる中学浪人というものもたくさん出る、そういうところに高等学校を建てなければならぬ。しかし、地元の寄付ということではどうにもなりませんよ。考えてごらんなさい。下水もやらなければならない。上水道の設備もやらなければならないでしょう、新都市計画として発展したところでは。屎尿の処理もやらなければならないでしょう。道路もやらなければならないでしょう。そこへ膨大な敷地を寄付しろったってできますか。そういう事情は御勘案の上で、五十七億のうちの三十九億も寄付を仰ぐという計画をお認めになるのですか。文部省も文部省ですよ。こんなべらぼうな計画を野放しにしておいたら、高等学校は必要なところに建たないじゃありませんか。もっと大蔵省に実情をなぜ十二分に説明しないのか。大蔵省だって言ったらわかるはずだと思う。しかし、文部省は一応おきまして、主計官、どうです。そういう実情があることをお認めになりませんか。ならなかったら、事実がそうなんだから、もう一回検討して、来年度からでも考慮して下さい。地方計画でこんなべらぼうなものは認められませんよ。五十七億のうちで三十九億の寄付金なんて、そんな公立学校の計画がどこにありますか。お答えいただきます。どうしても納得いかない。
  349. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 私が先ほど申し上げましたように、起債で措置することで遺憾なきを期し得ると思っております。知事会の御陳情には、先ほどお話のような数字が出ておりますが、これはまた文部大臣から先ほどお話のありましたように、率直に言っていろいろ地方の方から伺ってみますと、むずかしい問題があると聞いております。つまり当該市町村に高等学校を誘致いたしますために、いろいろ地元でも御協力を申し上げるというようなお話があったり、いろいろなことでむずかしい問題があるというように伺っておりますが、いずれにいたしましても、私どもは、寄付については、別途、あまり法外なことにならないよう指導するとして、起債のほうで別ワク措置することによりまして十分やっていけるというふうに考えております。
  350. 加瀬完

    加瀬完君 じゃやっていけるかいけないか、次の県について具体的におっしゃって下さい。大分県の今言った予算額に対する償還額の比率は何%になっておりますか、昭和三十五年。
  351. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 償還額でございますか。
  352. 加瀬完

    加瀬完君 予算額に対する起債償還額の比率。
  353. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) ちょっと資料を調べさしていただきたいと思います。
  354. 加瀬完

    加瀬完君 一三・七六%になっていますよね。一応一四%というのが、今までは限界点としてあなた方は起債を許されなかった。大分は一三・七六%ですよ。それで一般財源から新しく許可されるであろう起債額を引いても、六億八千二百万、これだけが高等学校の費用にかかるという計算が出ております。新潟県は、償還額の比率は一〇・五七%ですけれども、高等学校の費用に新しく要する金額は十億千四百万円ですよ。埼玉県も八億です。大分は今言ったとおり。和歌山は一二・七%の償還比率に対して、新しく五億二千百万円の高等学校のための金が要るのです。だから、これらの県はみんな土地はゼロの計算であります。交付税とかなんとかうまいことを言っておるけれども一つの県で十億円支出増になるものが交付税で埋まるはずがないですから。新潟だの和歌山だの大分だの、どうして高等学校を作るのですか。どうしたら、財源が確保できるか、ひとつ教えていただきたい。
  355. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 御質問は、例のいつか御質問がございました起債の制限に該当するところに関する問題だと思いますが、私どもの調査では、公債費の償還額の一般財源に比します割合が一五%以上でないことという例の制限でございますが、ただいまはこれに該当する府県はございません。私どもの調べたところでは、千葉県、富山県、高知県、佐賀県、徳島県等が、一五%以下ではございますが、一二%をこえておりまして、割と比率が高いところでございますが、いずれにいたしましましても、制限に該当するところは全然ございません。それから赤字の点からの制限に該当するところはもちろんございません。したがいまして、今後の高校生急増対策によります起債増加額を加えましても、この一五%の制限に該当するところは、その他の一般財源等もだんだんよくなっておりますので、出て参ることはなかろうかと考えておる次第でございます。
  356. 加瀬完

    加瀬完君 昭和三十五年の調べですが、一四%にいかなくても、一〇%以上の比率になっておるところは、今までは危険段階として一応マークされたわけであります、一〇%以上にみななっておる。しかも、高等学校急増対策というもので、今度は自己財源をうんとここに投じなければならぬ。しかも、それで足りなくて起債を目一ぱいに借りるということになれば、昭和二十八年、二十九年以後の地方団体と同じように赤字の前兆じゃありませんか。公共事業がふえて、公共事業をやれないと、起債をやるから公共事業をやれと言われて、起債をもらった県はみな再建団体になって四苦八苦の苦しみをした。そういった形において、地方の犠牲において高校急増対策を済ませれば、あとまた再建団体にすればいいということでは、これは地力の健全財政ということにならない。なぜならば、今度の内閣は施政方針で、地域格差是正ということを言っておる。地方団体の地域格差をなくすということを言っておるのです。地域格差がますます出るわけじゃありませんか。自己財源があると言うけれども地方財政計画で三千七百億ふえておりますね。そのうちの二千六百五十四億というのは、これはもう義務的経費でしょう。単独財源として使えるものが九百五十七億でしょう。その中で高等学校急増費として一応あげておるのは百三十三億でしょう。政府案と地方団体の案の間でも百四十億以上の開きがある。財源は百三十三億です。それでやっていけますか。
  357. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 私はやっていけると思っております。全体の計数を申しますと、三十六年度の起債団体につきまして、例の制限規定に当てはまるところはないかという計算をやりましたが、平均いたしまして、地方債の償還額の一般財源に占める割合は七%でございます。そうして、先ほど申し上げましたように、一部の団体に割合の高いところがあるが、それとても、今後の起債増加を見込んでも十分やっていけるということを申したわけであります。くどいようでありますが、この七%の割合も、これは制限一五%の半分以下でございますので、なんでございますが、逐次また一般財源の充実によって改善されるわけでありますので、一方におきまして、高校の起債がございましても、私は心配なかろうというふうに考えている次第でございます。
  358. 加瀬完

    加瀬完君 一般財源が拡充されるという保証がどこにありますか。それが一つ。七%というのは平均でしょう。各団体から見れば一〇%をこえておるところもある。私が今問題にしているところは、どこの府県もみんなできないと言っておるわけじゃない。貧弱団体はできないじゃないか。じゃ、貧弱団体は高等学校を作らなくてもいいのか。こういうわけにはいかないから、ある程度作らざるを得ない。作らざるを得ないといったって、たとえば新潟を例に引けば、ある程度目一ぱいにこれは起債をしょっている。その上に自己財源を十億も出すといったって、それを交付税で埋められるか。これは主計官の御存じのように、三十六年度の税法でやれば、当然増収になるべきものが、地方税は今度はその税制改正のために、減収になっています。そういうものと相殺したときに、地方財源はふえていませんよ。ふえているところもある。ふえているところは、いわゆる不交付団体、Aクラスの団体です。Bクラス、Cクラスの団体というのは、だんだんだんだんAクラスと開きが大きくなってきて、自己財源というのは少なくなってきている。しかし、高等学校はやはり分に応じて作らなければならない。そうなってくれば、これは起債をしょわなければならない。起債をしょっている率は、非常に高いわけで、起債をしょえばほかの事業ができなくなる、高等学校のために、地方住民は高等学校だけ作ればいいというわけにはいかない。道路も作らなければならない、土地改良もしなければならない。そういうものは一切やらないで高等学校だけ作れということになるというと、これはそんなに県費を出し切れないから寄付金も募れということで、一般住民の寄付に転嫁される。地方財政法を改正したって何だって、そんなものは何の役にもたたないじゃないか。こういうことを繰り返しておったってだめだということなのです。だから、富裕団体まで全部国が見ろということを言ってない。貧弱団体で公平平等であるべき義務教育に準ずる準義務教育とも見らるべき高等学校の教育が、富裕県はうんと高等学校を作り、貧弱県は作れないということになる心配がありますから、そういう財政の困難な団体に対して何か考えなくていいか。財政が困雑だということは、住民の所得も低いですよ。住民の所得が低いにもかかわらず、今度は寄付金はうんとふえるということでは、これは高等学校は建たないじゃないか、こういう点をもっと具体的に実情を調べていただかなくては、認識していただかなくては困ると思う。この点は文部大臣いかがでしょうか。
  359. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) まあ大体財源の計算上の措置は、一応できておると理解いたしております。先ほど来、知事あたりからの具体的な話を根拠にしてのお話は、実情まさにそうだろうと思うのですが、私は、根本的には今の地方交付税法あるいは起債の問題等が財源の裏づけとして考えられる。そうして各都道府県で自主的にしかるべくやれという制度の根本にむずかしさがあるのじゃなかろうかということを感じますが、これはお尋ねに対する回答になりませんけれども、そういう一般的な不備欠陥が想像される。その制度に依存することの結果が、具体的な都道府県において、実際問題としてのへんぱさが出てくるということじゃなかろうかと思います。それに依存して適当にいくだろうとはむろん思いませんけれども、まあ計算上は裏づけ財源措置はできておるはずだから、都道府県知事が責任を持っておやりなさいということは、概念上は一応できておると私は思います。実際問題とのギャップは、根本的な制度上の問題もあるのじゃないか。
  360. 加瀬完

    加瀬完君 制度上じゃないのですよ。文部大臣がそういう頭ですから困る。あなたも認めたでしょう、土地の購入を寄付金でやるということは、これは必ずしも賛成できない。ところが、寄付金でやるという前提で地方の予算案は組まれておることは、私は知事会の話を聞いたのじゃない。各地方の予算を全部集めてトータルを出してみると、今のような開きが出る、これでは困るだろうということなのです。それから、文部省はもう少し勉強してもらうことにして、時間がありませんから大蔵省、あなたのほうの大臣政府委員の御説明を聞いていると、高校急増対策というものは、国の責任じゃないから補助金を出さないと、こうおっしゃっておる。それならばですよ、府県に私立学校の助成費を出さなければならないように一体財政計画を組むのはどういうわけですか。間違いないためにはっきり言っておきますが、私立学校に助成費を出すことは、私は賛成ですよ。府県に私立学校の助成費を出させるならば、公立学校のこういう困窮している状態の高校急増対策費について国が助成費を出してなぜ悪い。国が出せないというなら、地方に出せという理由がどこにあるか。これは文部大臣に聞きましょう。大蔵省はあとでいい。
  361. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 高校の急増の私学に対する国の対策として、まず振興会からの融資と、それから産業教育に対する補助金、そのほかに地方交付税で積算したわけでありますが、それは地方公共団体が一応融資をする、その場合の利子を見るというような建前を一応とりまして、約十億を見ております。それから一般助成の分として、今まで、五億であったのを、それを倍額を見て十億にふやした。そのやり方は、基本約には融資の考え方をとっておる。したがって、それは現にそういった実績が相当あるわけでございますから、そういう意味において地方が助成する実績の裏づけを国で考える。
  362. 加瀬完

    加瀬完君 実績というものでものは解決できない。必要があるから実績が生まれたのでしょう。それなら高等学校急増対策という必要が地方団体に生まれれば、府県が私立学校に助成していくならば、国が高等学校に助成するのが、筋だって当然立つでしょう。それはだめにして。困窮している私立学校を救済することには異論はありませんが、同じく困窮して自分の学校も立たず、府県に私立学校の助成費をかぶせて国が知らぬふりをするのは筋が通るかということです。
  363. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 都道府県が融資その他で助成をしておりますが、その裏づけを国で見るということは、国が起債、交付税等の措置をするのと同じ意味を持っていると思います。
  364. 加瀬完

    加瀬完君 交付税で見るだけでは足りないのですよ。自己財源を持ち出しているのです。あなたは全く財政的には考え方が少しおかしいよ。私の言うのは、端的に言うから端的に言って下さい。私立学校が困っておって、府県がこれに助成費を出さなければならないという理論が正しければ、困っている府県に対して、公立学校の費用のために国が助成費を出さないという理屈がどこにあるかというのです。
  365. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 国としては、起債と交付税の積算を基礎に組み入れているわけです。それから私立学校については、自己財源で相当部分を負担する建前をとっているわけです。なお、金額にしてはわずかだと思いますけれども、その一部を融資及び地方公共団体の財政にまかしているわけであります。
  366. 加瀬完

    加瀬完君 府県だって大部分の費用を持ち、何もくれない。交付税で算定すると言って、あなた交付税法を読んでごらんなさい。あの交付税法によれば、交付税というのは、当然地方団体の財源なんです。固有の財源なんです。高等学校に使おうが道路に使おうが、こんなものにひもをつけることがおかしい。第一条の目的にちゃんと書いてある、交付税の目的に。こういうものをひもつきでやるのじゃなくて、全部管理運営といいますか、使い方は、地方団体の発展の目的に沿うように地方独自にまかされているものなんです。今度のように交付税を繰り越して、その九十二億か何かをひもをつけて流すということでは、交付税法違反だよ、正しく言えば、法律の精神から言えば。文部省自身もそういう意味ではなくて、はっきりと補助金は幾ら、起債のワクが幾ら、自己財源が幾らという初め計画をしたでしょう。県に私立学校の補助を出させるということであれば、国が補助金を公立学校に出しても一向おかしくない。なぜ引っ込めちゃったのか、文部大臣。これを引っ込めたらあなた方はどういう理由で私立学校に補助金を出せと言われるのか。あるいは大蔵省は県に指導ができるか。だから府県は出せないといって、和歌山、愛媛、高知は、今度の予算に私立学校補助金を全然組んでおりませんよ。筋が通らないじゃないか。国の責任じゃないというならば、県の責任ということになる。県の責任じゃないですよ。形の上では判断できない問題なんだから、私立学校助成というものをやらないと、高等学校急増対策というものは百パーセント目的を達しないから府県が出せというわけでしょう。それは喜んで出すべきものだと思う。それならば府県の高等学校急増対策について、やはり起債というのは借金だから返さなければならない。だから起債ではなくて補助金で出すべきじゃないか、筋から言えば。補助金で一時に出せないというならば、起債の元利償還というものを将来考える、そのめどもさっぱりついておらない。それでは一体文部省は何をやっておったか。文部省の初めの主張はどこにもない。もう踏んづけられていることにはならないかということなんです。
  367. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 私は、先生のお話よくわかりますが、私立学校に対する例の十億でございますが、この助成金を交付税の算定基礎に算入しているということと、今の高校生急増対策として国が工業高校以外に補助金を出さないという問題とは全然別個だと考えております。私どもが考えておりますのは、これはもう何回か親委員会等でも議論されたことでございますが、ただ単に先生お話のように、義務制でないからというだけじゃございません。もちろん基本的な考えといたしましては、国と地方の行政事務につきましては、これはシャウプ勧告以来でありますが、その後いろいろ改正はございましたけれどもさい然と、これは国でやるのだ、これは府県でやる、これは市町村でやるという事務の配分が行なわれております。それによりまして税源の配分も一応行なわれておるということでございますので、そういうシステム、行政組織のもとにおきまして、特別に問題の起こったときには、すべてそれは国の責任というのはおかしいのじゃなかろうか。そこで問題でございますが、先ほどお話がございましたように、五百五十億といったような相当巨額の金が一時に要るという問題でございますが、府県がその五百五十億を消化いたします場合に、国の補助金がなければ処理できないような財政状態であろうかということを次に考えてみなければならないと考えます。これにつきましては、ただいまのようにいろいろ議論が分かれてくるのでございますが、私どもは、一般的に言いまして、最近の府県財政は非常に好転しておりますので、これは加瀬先生も御案内のとおりでございますが、三十五年度末の決算をとって見ますと、積立金と実黒字を合わせまして、府県で約七百四十八億円という状況でございますすので、こういった状況等から見まして、財政的に国庫補助がなければ高校生急増対策をやっていけないという状態にはないというふうな判断をいたしたわけでございます。さらに、一時に多くの金が要りますので、これを起債で処理するということになりました場合に、先ほど来御議論がありましたように、いろいろ自治省で起債の制限をやっていますが、その制限に触れるような状態であろうかという点も考えなければならぬと思います。これにつきましても、府県の中で赤字が多いからとか、起債額が非常に多いからといって起債を制限され、そのために高校生急増対策を起債でやっていけないというところは、一般的にいってないという状況であります。こういったことを総合判断いたしまして、私どもは工業高校の補助金は従来どおり継続しますが、一般高校につきましては、補助金ではなく起債でやっていこう。そうして一方におきましては、九十一億円を交付税の算定基礎に入れる。その場合に、これは加瀬先生も御承知でしょうが、三十五年度の進学率は、平均いたしまして三五%でありますが、これを基準にして交付税を分けるのでございますが、その場合に、先ほど問題になりましたような貧弱府県が概して進学率が悪いという状況でございまして、三五%を基準にしてやると非常にかわいそうなことになるという事情も考えまして、これは自治省で政令できめることになっておるようでございますが、交付税法の改正案の附則に書かれておりますとおり、そういった進学率の悪い概して貧困な団体に対しましては、補正増をいたしまして、弾力的に運営をいたしたいということも考えられておるわけでございまして、私は、むしろ画一的になりがちな補助金よりも、このほうが弾力的だというふうに考えておる次第でございます。議論の分かれるところでございますが、私どもさように考えております。なお、先ほどお話がありました来年度の税制改正で、地方から取り上げる分が多いじゃないかというお話がありましたが、私は地方財政の専門ではございませんけれども、これは加瀬先生のほうがお詳しいかと思いますが、県民税の増強が一方にある、これは国のほうが減るわけであります、たばこ消費税の増額がある、これは地方がふえて国が減る、そのほかに入場譲与税の廃止ということで国の取り分が多くなる部分がございますけれども、差引いたしますと、地方団体の取り分がむしろ増加しているという計算になっておるわけでありまして、そういう点でも弁護さしていただきたいわけでありますが、国が得手勝手なことを考えてはいないということを申し上げたわけでございます。
  368. 加瀬完

    加瀬完君 正確に数字のトータルをおっしゃるならば言っていただきたいと思う、順序不同に申しまして恐縮ですがね、今最後におっしゃった県民税がふえますね、しかし、三十六年度の現行法でやるよりは事業税は減りますよ。自動車税も減りますよ。遊興飲食税も減りますよ。入場譲与税も減りますよ。こうしてみると貧弱県、いわゆるDクラスからCクラスの一部においては、交付税は〇・一%ふえたにもかかわらず、事業量は増大したにもかかわらず、ふえてこない団体が出てくるのです。私はここの団体を問題にしている。財政計画のようにトータルで言えば、そう作ってあるのですから、地方税収入であらかじめ見込みで作っているから、ふえますよ。しかし、実際やって見ると、それからこぼれてくる団体がある。これに対して、財政計画でトータルで合っているのだからと言っては救済はできない。これをどうしてくれるのだということが一つなんです。補助金をくれとかなんとかいうことを言って、いるのではない。しかしながら、私立学校に地方から補助金を出させるならば、そういう貧弱団体には、補助金なり起債は一応やるけれども、起債の元利償還という方法を考えたっていいじゃないか。もう一つ、地方固有の事務であるにもかかわらず、大蔵省は、全部国が補助金を出しているのはありますよ。文部関係指摘しましょう。地方教育委員会というのは地方の固有の事務なんです。これにも四億八千万円出している。金額が少ないといったってそれだけ出している。筋は通らない。国有の事務に何も出す必要がないというならば、それは地方でまかなっていればいいでしょう。しかし、行政的な必要があれば出すでしょう。そんならば行政的必要を認めて、高等学校の急増対策のできない貧弱団体に一部出しても、少しも問題にはならないじゃないか。それから次には、三十五年度の進学率といいますと、三五%なんという進学率がどこにありますか。三五%以下なんというのは、公立学校だけ押えても、栃木、長崎、熊本、宮崎は三五・一%で少しこえているが、公立学校の進学率だけ見ても三五%以下というのはありませんよ。そういう数字を押えて交付税の算定の基礎をやられては、交付税があなたのおっしゃるような交付税の役を果たさない。何も私は大蔵省を攻撃するんじゃない。しかし、主計官が実情を認識してくれなければ、われわれは大蔵省に地方の実情を認識してもらうところのすべがないので、あなた方に大きな声を出して、もう少し地方の事情を率直に見てくれと言っているのです。違っていますよ、あなたの数字は。
  369. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 先ほど私が申し上げました……。
  370. 田上松衞

    主査田上松衞君) ちょっと谷川主計官に御注意申し上げます。質疑の要点を十分よくおつかみになりまして、話が討論めいたようなことにならないように、さらに誘発するおそれがありますから、御質疑に対して的確に、要領よくお答え願います。
  371. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 三十五年度の進学率三五%と申しましたが、私は全日制をとって申し上げているわけでございますので、数字は間違っておりません。
  372. 加瀬完

    加瀬完君 三十六年十一月九日に文部省の助成課で調べた、この昭和三十五年度、三十六年度高等学校進学率調べというのは、これは間違いですか。
  373. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 助成課で調べました進学率は、公私立一本でございまして、全日制と定時制が一緒でございます。三十五年度の公立の全日制の進学率は、全国平均三五でございます。ただいま交付税の算定に用いている平均でございます。
  374. 加瀬完

    加瀬完君 文部省の三十六年十一月の調べが、公立学校入学者進学率、私立学校入学者進学率ということで、中卒を調査したわけですね。その公立学校の進学率だけ見ても、今あなたは三五%と言うけれども、ここに出ている数字は三五%でない。かりに三五%としたところで、私立学校の入学率を見れば、これに加えればさらに進学率は高くなる。で、注意しなければならないのは、私立学校の進学率というものは、公立学校に入れないで私立学校に入っている数も相当あるわけです。だから、これは将来の政策的な計算をする上には、一体公立学校へ希望すべきものが私立学校にどれくらい行っているかということをあわせてこれは計算をしなければ、私は正しい数値は出てこないと思う。かりに三五%と平均を押えて、その進学率で計算したら、進学率の低い府県はいつまでも高等学校がふえないということになる。それから非常に生徒が社会的要因によって急増するところは、今度は進学率で押えてもそれをまかない切れないということになります。こういう一体具体的な問題は、大蔵省は交付税の算定でどう解決するのですか。
  375. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 先ほどお話の出ました進学率の問題でございますが、三十五年度の公立の全日制の進学率の平均は三五%でございまして、これに定時制を加えました場合の公立の進学率並びに私立を加えました場合の進学率と、三種類の進学率があるわけでございますが、交付税法の一部改正の際、その基礎数値といたしまして、自治省でとられました基礎係数は、三十五年度の全日制の公立進学率の全国平均三五%をとられたわけでございます。ただいま御指摘のように、その中には、たとえば東北地方で申し上げますと、青森二八、岩手三二というふうに、全国平均以下の進学率の府県がございます。この府県につきましては、三十五年度の進学率の二八・一ないし岩手で申しますと三二・四という進学率の計算に相なりまして、こういう進学率の低かった府県におきまして、三十五年、六年、七年と進学率の伸びがあるだろうと思います。それから社会増の関係もあろうかと思います。この点は、先ほど谷川主計官からお答えがございましたように、交付税法の一部改正の際に、その際にその補正を自今行なって参るということでございまして、その補正のやり方等につきまして、文部省といたしましても、いろいろな基礎資料をもちまして、自治省に交渉いたしたい、かように考えております。
  376. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 私の申し上げたいことは、今、助成課長から全部お話しになりましたので、御答弁を省略いたします。
  377. 加瀬完

    加瀬完君 そういう交付税の計算をすると、東京とか大阪の社会増は相当あるにしても、これは自己財源がある。一応保留するとしても、静岡とか、福岡とかこういうBクラスの交付税というのはどうなりますか。交付税でありますから、自己財源その他を勘案して当然按分されるわけでしょうから、どうなりますか。確実に需要に応ずる交付税というものの財源が確保できますか。
  378. 井内慶次郎

    説明員井内慶次郎君) 交付税の算定の基礎に用います測定単位に高校急増対策費というものを出しまして、先般閣議で報告、了承を得ました交付税で措置すべき総額約九十一億を、ただいま三五の公立全日制進学率を基礎といたしましてはじきました生徒数、これに一割の圧縮等の操作を加えますが、その生徒数で割り戻しまして、測定単位ごとの単位費用を算定いたしております。それによりまして、基準財政需要額をはじきまして、基準財政収入との差を基礎に交付税を現実には交付いたすわけでございまして、ただいま御指摘のように、不交付団体のその次に位するようなB団体におきます交付税の算入にこの分としていかほど、どうなるかという点は、この点はどうしても現行の交付税制度自体の、交付税の算入の仕組みの問題に関連する問題かと思うのでございますが、交付税制度の積算といたしましては、高校急増対策総額九十一億を当該府県につきましても算入をいたしていると言わざるを得ないかと存じます。
  379. 加瀬完

    加瀬完君 では、たとえば静岡をとります。静岡で一万人の高校生急増対策を要するということであって、四校なら四校の新設校を必要とするという場合に、その学校分あるいは急増生徒分の交付税というものは、九十一億ですか、二億ですか、それからひもがついて、きちんと青森県や岩手県の計算と同じ率で流れていく。今度はそういう交付税だということになりますか。主計官、それはどうですか。
  380. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) ちょっとおっしゃる意味がわかりませんが。
  381. 加瀬完

    加瀬完君 今までの交付税というものは、いろいろはじき出す基礎の条件があったわけですね。それをかみ合わせて、上のほうから取ったり、下のほうへくっつけたり、いろいろ操作するわけでしょう。今度の高等学校の交付税というのは、高等学校急増の条件に応じてABCのいずれの県の差別もなく、同一の条件でみな流れていくものかどうか。
  382. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 私は詳しくは承知いたしておりませんが、先ほど申し上げましたように、進学率が低いところに規定どおりいきますと、少ししか交付税が参らないようになりますので、その辺は井内助成課長からお話がありましたように、先ほど私、政令と申し上げましたが、自治省令で補正増をできるような仕組みになっておるようでございますが、その他の県に対しては計算どおりにいくと考えております。
  383. 加瀬完

    加瀬完君 補正増というのは、各県の配分が補正増されるということか、それとも流す大元の九十一億が補正増されて、必要があれば百二十億にも百五十億にもなるということなのか、どちらですか。
  384. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) ちょっとそこのところなんでございますが、私は若干ふえることが、これは今の机上でやりましたなにでいきますと九十一億になっておりますが、これが実際に計算いたしました場合に、たとえば静岡とか、その他の机上の場合と違う場合もありましょうから、あるいは補正増をしても、その九十一億の中でおさまるかもしれませんが、あるいはそれ以上になる場合もあるのじゃないかと、私はよく交付税の実際のことは知りませんが、考えております。
  385. 加瀬完

    加瀬完君 そうはならないでしょう。九十一億は三十六年度の補正予算で繰り越すでしょう。できたものを繰り越すでしょう。九十一億動かないでしょう。ほかの一般の交付税から九十一億の中に高等学校の急増対策分だといってかさ上げすることはできないでしょう、これは。九十一億の中で操作するわけです。だから井内課長の言うように、青森とか岩手とか、これは若干高校急増対策にアルファを加えなければならないというところに交付税はよけい流さなければならない。そうすれば、今度は割合に富裕県だといわれる静岡とか、あるいは福岡とか広島、こういうところは当然予定された交付税が来ないということになるわけです。だから、そんな不安定なもので高校急増対策をやったって、やはりでこぼこができてだめだというのです、財源にはならないと。この点は、文部大臣、どうですか。補助金ならわかる。
  386. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 高等学校が都道府県の責任において設置されるようになっておるその制度に基づいて、そうして地方財政を切り盛りされる根拠が交付税の操作によって国の立場の地方財源措置を考える、さらにまた起債を認めることによってこれを補充する、そういう建前で動いておる現行制度のもとにおきまして、その制度に従って高校急増対策としての事業量を考え、年次計画を考え、それに見合う財源措置ができておる以上はやれるはずだという建前でまあ動かんとしておるわけでございますが、そのあとは、当該都道府県知事みずからの高校急増に対する熱意いかんということに依存しておるとも言えようかとも思います。ですから高校急増に熱意を持って処置する限りにおきましては、その財源措置は一応考えられておるから、一応遺憾のない措置ができたんだ、少なくとも形式上はそう言い得ると私は思います。
  387. 加瀬完

    加瀬完君 まあ大臣の正直なところは認めますよ。しかし、あまりに実情を知らな過ぎる。あなたのおっしゃるとおりに動いていくなら、交付税によって赤字団体というのはできないわけです。また要求するだけの起債がもらえるわけだ。起債をもらうのに地方団体は四苦八苦ですよ。単に学校だけじゃない、補助金をもらうのに四苦八苦ですよ。これは文部省が義務教育の施設の補助金につきましていろいろ陳情を受けておられてよくわかるでしょう。財政計画を見れば、三千七百億の増のうち、二千六百五十四億はひもつきなんですよ。義務的経費で出なければならないものなんです。地方が独自で使えるものは九百五十七億ですよ。これで公共事業に準ずる単独事業もやらなきゃならないし、具体的に言うならば、道路も直さなければならないし、災害復旧もやらなければならないし、土地改良もやらなければならないし、上下水道もやらなければならないし、ということになってくると、そういう要求が多くなりますと、百三十三億という予算を組んであっても、百三十三億がフルに高等学校に使えるということにはならないですよ。そうなってくると、これがあなたのおっしゃるように、知事が熱心ならばどうしてもやりたいということであれば、寄付をもらうが、市町村が一般住民にまた負担金をかけるか、こういう方法をとらざるを得なくなってくる。交付税というのは非常に不安定なものですよ。ことしは九十一億、来年はきまってない。三十八年度はどうしますか。交付税というのは、三税のもとが縮めば交付税も縮んでくるのですから。そうしたら、もう高等学校の特別財源として交付税を取るようなわけにいかなくなってくるでしょう。交付税の算定の一般の中に入れて計算するようになる。そうすると、ほかのほうに今度は影響がいくでしょう。道路と学校と競合して、学校が必ず勝てるということにならない。非常に不安定なんです、地方の財源が。だから、文部省の高等学校急増という対策に対する熱心な態度というものを私たちは認めるにやぶさかじゃないけれども、あなた方のおっしゃるように財布の中身ができておらないので、将来心配だと、こういうことなんですが、たいへん時間が長くなりましたから、いずれこの問題はあとで他の委員会ででも質問をしますので、もう少し地方の実情というものを知ってもらいたい。施政方針の演説の中でも、教育施設その他の進展のために各界と協力すると総理大臣は言っているのです。知事会とか、市町村会とか、いろいろ相談をしてもらいたいと思う。どんなに地方が困っているかということを、主計官に知ってもらいたい一つの資料があります。昭和三十五年度の市町村民税ですけれどもね、地方財政計画では、九百七十八億を計画してあるのですよ。しかし、九百七十八億じゃどうにもできませんから、制限外課税で千百六十五億、百八十七億もよけい取ってやりくりをしているのですよ。これが地方の実情です。減税だなんてうまいことを言っているけれども、実際は地方は増税ですよ。毎年。それで寄付をかぶせるようなことをしたって、いい学校ができますか。こういう点は、どうか文部大臣も、それから主計官も御認識いただいて、ことしは、三十七年度はもうこういう計画ができたのですからね、これを改めることはできないでしょう。一年やってみると、いろいろのひずみが、影響が、ゆがみが出てきます。これは三十八年度予算ではぜひ直していただきたい。高等学校は建ちませんよ、絶対にこんなことでは。その点だけを要望して質問を終わります。たいへん長時間超過しまして申しわけございません。
  388. 田上松衞

    主査田上松衞君) 加瀬委員の御質疑は一応終わりました。  引き続いて質疑に入るわけですが、この際、特に政府委員の方にお願い申し上げておきたいと思います。加瀬委員の御質疑は、まさにたった一問のことのために、実に所定の時間を超過すること三十五分であります。何とか答弁のしようもあろうものかと、主査といたしましては、ひやひやしておる状態ですが、まだ質疑が残っておるわけでございまして、どうぞあと質疑者は十分心がけの上、要領よく御答弁願いたいと考えます。  質疑を続けます。
  389. 野本品吉

    ○野本品吉君 私は、時間もおそくなりましたから、きわめて簡単に二、三の点だけ質問と要望をかねてお伺いいたします。これは文部省だけでなしに、政府全体として考えていただきたい三つの問題について申し上げます。  まず第一の問題が、文化財の問題であります。先般衆議院で、いわゆる平城京の跡の問題について、ずいぶんいろいろと論議されたようでありますが、私は前から考えているのでありますが、また午前は厚生省に向かってもその要望をいたしておいたわけです。それは最近の国土開発あるいは道路、鉄道等の建設の仕事と、歴史的にも科学的にも民族的にも保護していかなければならない文化財の問題とが正面からぶつかってくる機会が非常に多くなっているわけです。で、従来の各地の状況を見ますというと、この問題は、文化財の保護委員会だけにまかしておけない事態になってきていると私は考える。そこで、国土開発、道路、鉄道等の建設の仕事と、日本の国にあります文化財の保護、保守の問題等について、その点について一体どういうふうにこれを考え、いかに処理していくべきかということに対する基本的な方針を打ち立てておかないというと、絶体に保守しなければならない日本の文化財というものがだんだんと壊滅してしまう。で、一般の世間の傾向からいえば、金がもうかるとか便利になるとかということで、どうも建設、開発の方面には非常に力を入れ、地方の者もそれに目を向けてしまうのですが、一面、ただいま申しましたような文化財の保護の問題が閑却されやすい。そこで、先ほど申したような、将来、政府、国全体として各種の開発事業と文化財との問題をどう処理すべきかということの根本方針、基本的な方針というものを検討する必要があるのではないかと、こういうふうに考えているのです。ぜひそういうふうにしていただきたいと思うので、これは質問と希望をかねて大臣の所見を伺いたいと思います。
  390. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 今の御意見、私もごもっともなことだと存じます。現在、文化財保護委員会で問題になっておる平城京の問題を承知しているところだけを申し上げれば、地域を指定して保護するという態度をとっているようであります。例示されました鉄道の、私鉄の設備に関連して問題になっていることは、私も承知しておりますが、それは指定しました区域外である、ただし、外ではありますが、工事中に何らかの出土品等を堀り当てた場合は、直ちに工事を取りやめて指示を仰げ、ということを具体的に指示いたしまして善処しているという状況だと聞いております。  それはそれとしまして、一般的に御指摘のようなことが懸念されることは、私もわかるような気がいたします。文化財保護委員会にもこのことを認識させまして、今後の問題として、お話のような角度から検討する課題として取り上げたいと思います。
  391. 野本品吉

    ○野本品吉君 その次の問題は、私立学校の問題です。私学の振興の問題が最近特に大きな問題として取り上げられ、また論議されるようになってきておるのでありますが、年々国のほうからも、あるいは私学の育成のために、私学振興のために相当な金を出しておる。しかし、やはり私に言わせますというと、根本問題として、日本の教育行政全般から見て、日本の教育全般から見て、私学というものをどのように位置づけて考うべきか、その私学の位置づけの問題。それから、それに基づいての育成の方針の問題、その方針に基づく財政的な支出の問題、こういうふうに考えていきますと、もうそのときそのときの私学関係の者の運動とか、あるいはそのときそのときの思いつきで私学の問題が処理されるということは、せっかくの出す金が効率的にも使えませんし、一定の方針のもとに出されていかないというと、私学そのものの実際の振興も期待することができない。で、この私学の位置づけの問題、これをどう育成していくべきかという方向づけの問題、この方向を定めて、あらゆる国の私学育成に対する助成というものが、絶えず一定の方向に効果的に現われてくるようにしないというと非常にいけないのじゃないか。したがって、今の問題について今までどのように検討されておるかということをまずお伺いしたい。
  392. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) ただいまの御質問の点につきまして、どういうふうに文部省として従来考えてきたか、現に考えておるかという点については、的確に申し上げる材料を持ち合わしておりません。ですけれども、現在私学は私立学校法あるいは学校教育法等に基づいて学校法人が設立せられ、一定の条件が備わっておれば認可するという建前できておると思います。条件さえ具備すれば量的には限度がないというような状況で歩いてきておると私は今考えておるわけですが、はたして国立も財政が許す限り多々ますます弁ずる、私学もまた条件さえ備われば多々ますます弁ずるというだけであって、よろしいかという問題も、御質問の御趣旨の中に入っておろうかと思うのですが、それに何らかの基準に基づいて限度なり分界点というものを定むべきか否か、それがいいか悪いかということもちょっと今即座に申し上げかねる課題でございまして、あわせて検討すると申し上げざるを得ないと思いますが、ただ、ばく然と思いますことは、大学の数からいきますれば、世界一流の国に匹敵するくらいにある。日本の経済力、財政力というのはどうだということも一面考えざるを得ない。また科学技術者養成ということで、世間的にやかましくなりまして、私学方面からも現在の私立学校法、学校教育法等の法律の規定どおりにやったらどうだと、国会でも論議されまして、便宜、私学の学科新設あるいは定員増等は届出をもって足りるということになっておるのを、当分の間、文部省に協議してもらいたいということで運用しておること、それ自体が法律違反だと指摘されたわけであります。概念論だけからいきますと、御指摘のとおりであって、ことに当面科学技術者の養成ということに限ります限りは、限度においては届出ということで法律どおりに運用することもまた必要であろうという考え方に立ってその措置をいたしました。ですけれども、質を考えますときに、はたしてそれでいいであろうか、他面、国の私学に対する援助の方法、限度いかんということも関連はしてきますものの、そのことだけを考えましても、そのとおりであってよろしいか、言いかえれば、立法論としても現行の法律も再検討する必要があるのじゃなかろうかとも思わないわけでもございません。これまた成案があるわけじゃございませんで、御質問の要点を念頭に置いて検討さしていただきたいと思います。
  393. 野本品吉

    ○野本品吉君 今の問題ですね、私はもうこの段階においては、私学の問題に対して、根本的な検討を加えて一定の方向に育成、助成していくという基本の態度をきめませんというと、どうもむだが多くなってしようがない。そこで、文部省はむろんのことでありますけれども、広く一般の識者の声にも耳を傾けて、そうしてこの問題についての根本的な検討をやっぱり政府全体の問題として御検討いただきたいということを希望しておきます。  第三の問題は、これは小さいようでありますけれども、一人々々にとっては、きわめて深刻な問題でありますが、勤労青年の教育の問題について非常に関心を持っておる。これについては総理の演説によって明らかでありますが、そこで、私は、実は定時制高等学校、勤労青年の高等学校の卒業式には、あらゆる機会をとらえてできるだけ出る、そこで、前にも私は申し上げたことがあるのですが、民間の会社その他におきまして、文字どおり働きながら螢雪の功を積んできた定時制高校の卒業生が、普通の高等学校の卒業生とその採用の機会において差別がある。定時制高校の者は除く、こういう事実があるのですが、これは文部省でもお認めになるでしょうね、どうですか。
  394. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) その事実は私も伝え聞いております。調査しました実績等の具体的な、数字的なものがあるかどうか存じませんけれども、そういう事実は私も伝え聞いております。
  395. 野本品吉

    ○野本品吉君 その事実があるとすれば、これこそ苦労して勉強しておる青年に、期待しておる青年に、夢と希望がそれによって全く遮断され、幻滅の悲哀を感じさせるわけですね。定時制高校に行く生徒は、せめて一日働いて夜において高等学校の資格を受けて、そうして高等学校の卒業生としての平等の待遇を受けたいというのが彼らの夢であり、彼らの希望なんです。それが採用試験を受ける資格が認められないということになったらば、ほんとうにあの若い者にとって、深刻な失望感に陥るわけです。そこで、これは文部省だけの問題ではないと思うのでありますが、やっぱり通産省その他関係各省と大臣が話をつけて、少なくも来年からは定時制高校の卒業生も普通の高等学校の卒校生も同じ就職の、進学の機会を与える、こういうふうにぜひしていただきたいと思うのですけれども、これは大臣、どうですか。
  396. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 考え方としてはいささかも異存がございませんし、同感でございます。ただ問題は、この定時制の高校の卒業生の社会的な評価としての実力というものが、今日までの実績上同等に評価されないから、実際に差別されておるということではなかろうかと推察するわけでございます。したがって、文部省だけとして考えましても、定時制の教育成果というものが、全日制と結果的に同等である、同じ能力、条件にあるものだ、同じだと評価されるようにするのに、残された課題は何があるかということも、もっと具体的に把握して措置すべきだと思います。  ついでながら、私は通信教育についてもまあ同様のことが言えようかと思いますが、視聴覚教育施設が技術的に非常に発達し、普及しつつある状況に顧みますと、これまた、今御指摘の定時制と同じ意味において問題をはらんでおる、のみならず、解決する方向、努力するひとつの課題であると心得ます。むろん、文部省だけで御質問の結論に到達することは不可能に近いことも承知しますが、総合的な立場で検討してみたいものだと思います。
  397. 野本品吉

    ○野本品吉君 今の定時制高校の卒業生の実力というものが、おしなべて言えば、普通の高等学校の生徒の実力よりも、平均点はあるいは劣っておることは言えると思う。しかしながら、あの生徒の中には、それこそ非常に思想の堅固な、からだの丈夫な秀才のおることを、これを見落としてはいかぬと思う。それで私は、採用試験等に彼らが差別待遇を受ける。これは働く青年の中におる秀才を終生埋没させてしまうということになるので、一般的には力が足らぬと言えるかもしれませんけれども、そういう点についてさらに考えなくちゃいかぬ。これこそ、全く教育の機会均等の基本精神に、根本的な考え方に反するので、私は文部省も、それから政府部内のそういう考え方を持っておる方があるとすれば、その蒙は絶対にひらかなければならない。彼らの中には実に秀才がおります。一般ののんきに育った青年よりも非常にりっぱな青年が相当数あるということの認識の上に立ってこの問題に対処されるということを希望いたします。
  398. 田上松衞

    主査田上松衞君) 答弁が要りませんか。
  399. 野本品吉

    ○野本品吉君 いいです。これで終わります。
  400. 加瀬完

    加瀬完君 文部大臣、今の御質問の方も若干文部大臣と同じ意見じゃないかと思うので、これははっきりさしておかなければならないと思いますので重ねて伺いたいのですが、全日制の卒業生より定時制の卒業生のほうが劣るという御見解をもし文部省がお持ちだとしたならば、おかしいと思う。甲種実業と乙種実業じゃないですからね。一方は三年であり、一方は四年、あるいは昼間ならば三年幾らというふうに履修する時間数というものは同等の力が得られるように、同一の資格が得られるようにという教科課程のもとに編んであるわけですからね。文部大臣としては、当然全日制も定時制も、それから通信教育の卒業生も同等の力があると認められなければならないと御答弁をいただかなければ、これは教科課程がおかしいのですよ。これは御訂正をいただきたい。
  401. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 少し言葉が足りない部分があったと思います。先ほどお答えしましたように、全日制と定時制と比べれば、社会的な評価が劣っておるがごとき状態が、今日まできておるであろうと、こう申し上げたのでありまして、さらに念を押して申し上げれば、もし万一現行の制度のもとの定時制の教科課程、内容等について考えるべきものがありせば、これは文部省自身で再検討を要するが、文部省だけで社会的な評価をどうするということもなりかねますので、他の省ないしは民間等との協力も必要でございましょうし、それは総合的な、御質問の趣旨に従って検討さしていただきたい、かように申し上げたわけで、制度として違うのだ、本来違うのだということで申し上げたことでないことを訂正させていただきます。
  402. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ひとつ関連して。今、野本質問のときに、大学それから科学技術者の養成という言葉も大臣から出ましたが、私、質問の時間がなかったのでこの機会に関連してひとつだけ伺わしていただきます。それで大学学術局長、それに文部大臣の順序で御答弁をいただきますからよくお考えの上、慎重に明確にお答えいただきたいと思います。  それは大学、高専に関する問題ですが、過去の考えに誤りがあったならば、今の時点に立って今後どうするという方向を明確にお示しいただく必要があると思うのです。そういう立場で伺いたいのですが、短期大学、これ、短期という言葉自体私はおかしいと思う。これは暫定的にできたのだが、中央教育審議会の意向も一応出ておりますが、これを今後はどうするのかということと、それから、今度は高専が発足したわけですが、親委員会の答弁によると、今後増設して参るということなんですが、たとえば、久留米の短期大学みたいに、附属高校があるのもあれば、それから、宇部、長岡のように、短期大学に工専を併設しているのもある。それから五年制の工専もある。だから、六・三・三のあとに続く教育機関として短大があるわ、それに附属高校があるわ、短期大学に付設した工専があるわ、さらに工専があるわということは、何か一つの国の教育制度としては迷いがあると思うのですね。だから、一体これは、どういうふうに方向づけようとするのか。中央教育審議会の意向というものは一応出ているわけなんですね。だから、その方途というものをお答えいただくのと、それとあわせて、来年この工専をさらに増設するというわけですが、この設定については、国の永久的な教育機関であるから、最も合理的に、科学的に、データに基づいてその設置場所をきめなければならぬということを前もって大臣に要望しておきました。大臣は、もちろんそのとおりだということでしたが、事態はまことに醜態のきわみだと思うのですね。たとえば、青森県のごときは、もう醜態のきわみだと思うのですよ。もう時間がないから言いませんけれども、もうわかると思うのですよ。文部大臣、何をなさっているか。これは大臣だけが悪いのではなく、日本の政治家が悪いからだと思うのですけれども、醜態のきわみだと思う。そういうことを僕は繰り返してはならないと思う。来年、大蔵大臣も、増設するということを答弁しておりますが、来年いずこに新たに増設するかということは、これからすべての候補地が一線に並んで、すべて白紙。一線に並んで、そうして最も科学的、合理的に、データに基づいて、検討した上で、できるだけ誤れる政治力なんかの介入を許さないで、純教育行政的な立場から、文部大臣の権威と全責任によって決定さるべきものだと、かように私は思うわけです。  この二点について、担当の大学学術局長、次に文部大臣の順序にお答えいただきたいと思います。
  403. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) お答え申し上げます。  最初の短期大学を将来どうするかという方針の問題でございますが、お尋ねの中にもございましたように、中央教育審議会では一応の線を出しております。これを恒久化したらよかろうというような線を出しておりますが、この問題については、中教審の答申——これは答申ではございません、中間報告でございますが、この線に沿って検討して参りたいと思っております。  それから、高等専門学校につきましては、御指摘のように、たとえば、久留米には付属高等学校がついている。それから、宇部、長岡には明年と申しますか、三十七年度から高等専門学校が併設され、いろいろ態様があるじゃないか。将来どうするかということでございますが、短期大学と高等専門学校とは、前々から申し上げておりますように、制度的には別個のものでございますので、併設されても私はまあ当然のことだと考えております。省内の問題は省内の問題として、先に検討さしていただきたいと思っております。  それから、高等専門学校の設置場所の選定でございますが、私ども事務の考えからいたしますと、三十七年度の設置場所も、私どもも、事務的ないろいろなファクターを十分検討した上で、それに基づいて大臣に決定していただいたものというふうに考えております。それから、明年度以降の増設の場合の設置場所につきましては、これもまだ全然検討はいたしておりませんが、当然今後希望される場所、あるいは先ほど申しましたような設置方針に基づいて、新しいスタートに戻って選定されるものと考えております。
  404. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 高等専門学校は高等専門学校であり、短期大学は短期大学である。これは、制度自体が物語っておりますように、全然別個のものだ、ただし、短期大学の当分の間とあるやつを恒久化するか、全部現在あります短期大学をすべて恒久化するかどうかというような問題は、中教審の最終的な、総合的な答申が期待されるわけでありますが、そういう答申等も持ちまして、あわせて検討せねばならない課題だと心得ます。  今度、十二校の工専の設置場所の決定につきましては、不当な政治力の介入を排除しまするために、いろいろと混乱も起きたと言えないこともないのでございまして、文部大臣という立場で、責任をもって選定をいたしました。
  405. 田上松衞

    主査田上松衞君) 質疑通告者の方々質疑は、全部これで終了いたしました。他に御発言もないようですから、文部関係質疑は、これをもって終了することにいたしたいと考えますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  406. 田上松衞

    主査田上松衞君) 御異議ないと認めます。  本日はこれで散会いたします。    午後五時五十七分散会