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1962-03-27 第40回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十七日(火曜日)    午前十時四十五分開会   ————————————— 昭和三十七年三月二十六日予算委員長 において、左の通り分科担当委員を 指名した。            大谷 贇雄君            小林 英三君            野本 品吉君            山本  杉君            横山 フク君            加瀬  完君            木村禧八郎君            矢嶋 三義君            田上 松衞君            柏原 ヤス君            奥 むめお君   —————————————   委員の異動 本日委員柏原ヤス君辞任につき、その 補欠として市川房枝君を予算委員長に おいて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    主査      田上 松衞君    副主査     山本  杉君    委員            野本 品吉君            横山 フク君            木村禧八郎君            矢嶋 三義君            市川 房枝君            柏原 ヤス君            奥 むめお君   国務大臣    労 働 大 臣 福永 健司君    自 治 大 臣 安井  謙君   政府委員    労働大臣官房長 松永 正男君    労働大臣官房会    計課長     住  栄作君    労働省労政局長 堀  秀夫君    労働省労働基準    局長      大島  靖君    労働省職業安定    局長      三治 重信君    労働省職業訓練    局長      村上 茂利君    自治大臣官房長 柴田  護君    自治大臣官房会    計課長     今秋 信雄君    自治省行政局長 佐久間 彊君    自治省選挙局長 松村 清之君    自治省財政局長 奥野 誠亮君    消防庁長官   藤井 貞夫君   説明員    大蔵省主計局主    計官      岩尾  一君    厚生省年金局国    民年金課長   高木  玄君    労働省労政局労    政課長     久野木行美君    労働省婦人少年    局庶務課長   千葉 幸雄君    労働省職業安定    局失業対策部長 和田 勝美君    自治大臣官房参    事官      大村 襄治君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○主査及び副主査互選昭和三十七年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十七年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十七年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————   〔野本品吉主査席に着く〕
  2. 野本品吉

    野本品吉君 ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。  これより正副主査互選を行ないたいと思いますが、互選は、投票によらないで、便宜選挙管理者にその指名を御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野本品吉

    野本品吉君 御異議ないものと認めます。  それでは、主査田上松衞君、副主査山本杉君を指名いたします。   —————————————   〔田上松衞主査席に着く〕
  4. 田上松衞

    主査田上松衞君) 一言ごあいさつを申し上げます。  ただいま、選挙管理者の御推選と皆様の御同意をいただきまして、私が主査の席を、山本さんが副主査の席を汚すことになりましたが、少なくとも私に関する限りは、きわめて不敏不才で、かつふなれでございまするので、はたしてこの重責を全うし得るかどうかを危惧いたしておるわけでございます。だが、どうぞ皆様格別の御協力と御支援を賜わりまして本分科会運営を行なっていきたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)  審査に入ります前に、議事の進め方についてお諮りをいたしたいと思います。本分科会は、昭和三十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、大蔵省文部省厚生省労働省及び自治省所管について審査を行なうわけでありまするが、きょうは労働省自治省、それから明日は厚生省文部省、最後の二十九日は大蔵省所管について審議をお願いいたすという方法で進んで参りたいと考えております。ただいま申し上げました順序で進めることにいたして御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田上松衞

    主査田上松衞君) 御異議ないようでありまするから、さように決定いたします。   —————————————
  6. 田上松衞

    主査田上松衞君) これから審議に入ります。昭和三十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算労働省所管を議題といたします。  本件につきまして、まず政府説明を聴取いたします。福永労働大臣
  7. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 昭和三十七年度一般会計及び特別会計予算案中、労働省所管分につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計につきまして申し上げます。  一般会計歳出は、総額五百八十一億九千六百八十九万五千円でありまして、前年度に比較いたしますと九十八億六千三百七十六万八千円の増加となっております。  次に、この歳出内容につきまして、概略御説明申し上げたいと存じます。  第一は、労働力確保及び離職者等雇用対策に必要な経費であります。最近におけるわが国の雇用及び失業情勢は全体として改善されてきておりますが、産業構造変化等に伴いまして、産炭地域や農村などにおいては失業者の滞留ないし労働力の過剰の事態がある反面、大工業地帯、特に中小企業においては、新規労働力及び技能労働力が著しく不足しており、また中高年令離職者の再就職の困難が加わるなど、雇用情勢は楽観し得ないものがあるのであります。かかる雇用及び失業情勢に対処し、あわせて経済安定的成長を維持するため、広域職業紹介体制充実強化するとともに、雇用促進事業団業務拡充して、移転労働者のための住宅確保移転費訓練手当支給就職資金の貸付などの援護対策推進して労働力移動円滑化をはかり、産業間、地域間、年令別等における労働力の不均衡を調整して産業の求める労働力確保するとともに、離職者等に対する雇用増大をはかることとし、これらに必要な経費といたしまして一億四千九百七十九万五千円を計上いたしております。このほか、失業保険特別会計に十三億一千三百五十万三千円を計上いたしておるのであります。特に、炭鉱離職者に対しましては、石炭産業合理化進展に伴う緊急性炭鉱労働者特殊性にかんがみ、従来の転職訓練及び緊急就労対策事業充実強化するとともに、雇用促進事業団による移住資金訓練手当支給などの援護対策のほか、住宅確保奨励金の大巾な拡充雇用奨励金支給職業訓練に伴う別居手当技能習得手当支給など特別援護対策を強力に推進いたしまして、炭鉱離職者生活の安定と雇用増大をはかることとし、これら施策推進に必要な経費といたしまして四十九億七千四十万二千円を計上いたしております。このほか、失業保険特別会計に六千九百五十二万三千円を計上いたしておるのであります。  次に、産業構造高度化技術革新進展に伴う技術者技能労働力の著しい不足の現況並びに農業の近代化生産構造変革等に伴う転・離職者の再就職の困難なる実情とにかんがみ、職業訓練拡充強化して技能労働力養成に努めるとともに、離職者等雇用促進をはかり、あわせて技能水準向上を期するため、公共職業訓練施設整備充実するとともに、転職訓練拡充し、また中小企業技能労働力確保技能水準向上のため、事業内職業訓練施設設置及び円滑な運営をはかり、あわせて国家技能検定実施することとし、これらに必要な経費といたしまして九億一千九百七十八万八千円を計上いたしております。このほか、転職職業訓練拡充強化のため、失業保険特別会計に二十三億一千三百七十五万四千円を計上いたしておるのであります。また、新たに労働力移動中高年令離職者雇用増大をはかるため、失業保険積立金を財源とする特別融資制度を創設いたしまして、移動労働者のための住宅等建設福利厚生施設設置等に対する融資を行なうこととし、これに必要な資金といたしまして、財政投融資二十億円を計画いたしておるのであります。  第二は、失業対策に必要な経費であります。最近における雇用失業情勢にかんがみ、経済長期安定計画に見合って完全雇用の達成を期するべく、鋭意雇用対策推進に努めておるのでありますが、過渡的な失業現象に対処するため、失業対策事業実施いたしまして、失業者生活の安定と労働能力維持向上に努めておるのであります。明年度失業対策事業といたしましては、日雇労働者実態民間需要現況から見まして、労働能力の比較的高い者に対し日雇労働者転職訓練拡充するとともに、新たに就職支度金及び雇用奨励金制度を設けまして、一般常用雇用への復帰を推進し、あわせて特別失業対策事業等高度の事業への吸収に努めるとともに、一般失業対策事業につきまして、事業費単価の引き上げ、就労日数増加などの改善を行なって、就労者生活安定と事業能率向上をはかることとし、これらに必要な経費といたしまして二百七十九億七千六十九万七千円を計上いたしております。このほか、建設省所管臨時就労対策事業費八十三億円を計上いたしておるのであります。なお、失業保険費国庫負担金に必要な経費といたしまして百三十五億六千七百四十五万六千円を計上いたしております。  第三は、労働条件向上及び労働福祉増進対策に必要な経費であります。労働生産性を高め、賃金の上昇、労働時間の短縮等労働条件向上をはかるため、設備近代化技術技能向上と相待って、賃金体系合理化賃金制度改善指導等賃金に関する施策推進することとし、特に、我が国の中小企業労働条件実情にかんがみ、最低賃金制度及び中小企業退職金共済制度普及と相待って、一斉閉店、週休制普及など労働時間の合理的改善労務管理近代化、安全及び労働衛生管理改善等中小企業労働条件向上、大企業との格差是正のための施策を積極的に推進することとし、これらに必要な経費といたしまして二億八千七百二十六万円を計上いたしております。このほか、労働者災害補償保険特別会計に二千八百三十二万円を計上いたしておるのであります。なお、賃金行政重要性とその円滑なる実施を期するため、行政機構を整備することとし、これに関する労働省設置法の一部を改正する法律案を本国会に提出いたしておるのであります。  第四は、婦人及び年少労働者身体障害者等保護及び福祉増進に必要な経費であります。零細企業労働者婦人及び年少労働者身体障害者等に対する保護及び福祉増進をはかるため、内職相談施設青少年ホーム、働く婦人の家などの施設拡充、ホームヘルパーの養成推進身体障害者に対する職業訓練施設整備充実適応訓練実施家内労働改善指導などを積極的に推進することとし、これらに必要な経費といたしまして九千七百七十四万六千円を計上いたしております。  第五は、労使関係近代化に必要な経費であります。経済社会の繁栄と民主主義の発展のため、自由にして民主的な労働運動進展を期し、正常な労使関係確立をはかるため、労働事情を迅速的確に調査把握し、あわせて労使双方が時代の要請を充分認識され、相互信頼を基調とした話し合いを行い、労使問題の合理的処理解決をはかるとともに、労使関係における法秩序確立等よき労働慣行確立し、労働紛争議予防労使関係の合理的にして円満なる調整を行なうこととし、これらに必要な経費といたしまして四千百三十七万七千円を計上いたしております。  第六は、労働関係国際協力推進に必要な経費であります。最近、労働問題について国際的関連が緊密化し、労働関係国際協力重要性が特に高まってきておりますことにかんがみ、ILO等国際会議に参加協力するほか、新たにアメリカに労働担当在外公館要員設置するとともに、内外労働事情認識相互間の理解を高めるため、来日外国労働関係者講演会等を行い、また職業訓練を通じて国際技術技能協力を一そう強力に推進することとし、これらに必要な経費といたしまして一億二百十九万四千円を計上いたしております。このほか、失業保険特別会計に七千三百万円を計上いたしておるのであります。  第七は、産業災害及び職業病防止対策に必要な経費であります。産業災害及び職業病発生現況にかんがみ、中小企業の安全及び労働衛生管理改善指導と相待って、設備検査技能検定環境改善保護具検定有害業務実態調査予防思想普及等産業災害及び職業病防止対策を強力に推進するとともに、予防研究を科学的に実施することとし、これらに必要な経費といたしまして九千九百八十一万五千円を計上いたしております。このほか、労働者災害補償保険特別会計に六千二百三万九千円を計上いたしておるのであります。なお、じん肺等長期傷病者補償費国庫負担金といたしまして、六億六千九百七十四万円を計上いたしております。以上のほか、労働統計調査費といたしまして六千七百八十万五千円、人件費等一般行政事務費といたしまして八十九億三千百六万一千円、労働保護官署及び公共職業安定所庁舎等整備費といたしまして、建設省所管に一億一千七百三十四万五千円が計上されており、また労働者災害補償保険特別会計及び失業保険特別会計に一億七千二百八十一万九千円を計上いたしておるのであります。  以上一般会計について申し上げたのであります。  次に、労働者災害補償保険特別会計につきまして申し上げます。この会計歳入歳出は、いずれも六百七十五億二千九百七万一千円でありまして、前年度に比較いたしますと、百四十九億一千二百五十二万八千円の増加となっております。歳入のうち、保険料収入は四百二十二億六千二百万円でありまして、前年度に比較いたしますと、四十二億九千万円の増加となっております。また、歳出のうち、労働者災害補償保険給付費は三百六十五億七千万円でありまして、前年度に比較いたしますと、五十六億六千三百万円の増加となっております。この保険給付費のうちには、けい肺等じん肺患者及び脊髄障害等重篤な患者に対する長期傷病給付といたしまして、十二億九千七百八十五万九千円が含まれております。なお、労災病院等施設設置運営するため労働福祉事業団に対して行なう出資並びに交付に必要な経費といたしまして、十八億二千二百八十五万一千円を計上いたしております。この出資金のうちには、新らたに被災労働者等のための休養施設設置費三千九十五万四千円及び生業援護療養援護などの援護基金二億円が含まれております。  次いで、失業保険特別会計につきまして申し上げます。この会計歳入歳出は、いずれも七百八十三億五千四百四万一千円でありまして、前年度に比較いたしますと、百三十六億八百二十九万二千円の増加となっております。歳入のうち、保険料収入は五百五十九億五千四百九十二万七千円でありまして、前年度に比較いたしますと、八十八億六千二百九十二万七千円の増加となっております。なお、一般会計からの受け入れは百三十五億六千七百四十五万六千円であります。歳出のうち、失業保険給付費は五百三十九億一千九百六十二万一千円でありまして、前年度に比較いたしますと、百二十九億六千百六十二万一千円の増加となっております。なお、農林水産業失業保険加入につきましては、明年度全国的に適用するよう取り計らうとともに、遠隔地日雇い労働者に対する保険給付を円滑に行なう措置を講ずることといたしております。また、職業訓練施設移転労働者用住宅等建設拡充及び運営を行なわせしめるため雇用促進事業団に対して行なう出資並びに交付に必要な経費といたしまして、三十四億九千百七十三万四千円を計上いたしております。  以上、昭和三十七年度労働省所管一般会計及び特別会計予算につきまして概略申し上げたのであります。  何とぞ本予算の成立につきまして格段のお力添えをお願い申し上げる次第であります。
  8. 田上松衞

    主査田上松衞君) 質疑に入ります前に、政府側出席者を御報告申し上げます。福永労働大臣松永官房長住会計課長大島労働基準局長三治職業安定局長村上職業訓練局長和田失業対策部長大宮労働統計調査部長大野労災補償部長千葉婦人少年局庶務課長渡辺年少労働課長、以上の方々が出席しております。  ただいま労働大臣の御説明のありました労働省関係予算につきまして、御質疑のあるお方は、順次御発言を願います。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間によって、質問の内容、それから深さというのを変えていきたいと思うのです。大体他にも委員の方が質疑があると思いますが、今からどのくらい質疑の時間をお与え下さるか、それをまず伺いたいと思います。
  10. 田上松衞

    主査田上松衞君) 現在までは、格別質疑の申し出がございません。したがって、大体質疑応答を含めまして一時間ぐらいの程度は差しつかえないかと思います。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それじゃ、それを含んでこれから若干お伺いしていきます。労働大臣に、私はすわってお伺いしますから、すわってお答え願いたいと思いますが、国によって予算構造というものはそれぞれ違うと思いますが、まあそれは当然でありますが、日本一般会計予算約二兆四千億の中に、労働省関係予算が約五百八十一億円と計上されているわけですね。この日本という国の予算構造は、どういう点に特徴があるのか。また、他国のそれと比べてしいて長短を言えば、どういう点があると御認識になっておられるか。そういう点を伺いたいと思うのです。
  12. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 予算構造全体の中で、労働省関係の諸施策等に必要と申しますか、政府が支出いたしまする予算につきましては、世界各国の実例を必ずしも私はつまびらかにいたしておりませんが、私の感じとして、ないし私の希望といたしまして、日本の場合におきましては、この種の行政が前々から相当行なわれてきたけれども、何と申しましても、戦後急速にこういう部門に力点が置かれるようになったというような点等からかんがみまして、まあ全体の中でかなり重点が置かるべきものであると、こういうように考えておる次第でございます。そこで、そういう趣旨からいって、従来の労働省関係予算が、まあそういう意味において相当な考慮が払われておるか、ないし、十分な考慮が払われておるかということになりますと、私から申しますと、なお一段と力を入れなければならないのである、決して十分とは申しがたい、こういうように存ずる次第でございます。したがって、今次予算編成の際におけるいろいろの折衝の場合におきまして、私どもはまあ私どもなりに相当に努力をいたしましたつもりでございます。しかし、矢嶋先生等からは、まだなかなかおほめをいただくところまでいかないので、いろいろおしかりを受けるかと思いますが、まあ従来の——言葉が適切であるかどうかわかりませんが、予算成長率というか、その成長過程にかんがみまして、今年は労働省としてはだいぶ伸びたというように一応言われておるわけでございます。一般会計につきましても、九十八億六千三百七十六万八千円の増加となっておるのでありますが、しかし、これはまあ従来の伸びと比較しての一応の数字的な見方でありまして、まだまだこういう程度ではいけないので、さらに将来については、われわれは一そうの努力をしなければならない、こういうように考えておる次第でございます。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは予算委員会分科会ですから、主査にお願いしたいのですが、おいでになっていなかったならば、大蔵省担当主計官出席は要請しておいていただきたいと思います。  で、大臣の御答弁ですが、私はこの本年度の今審議の対象になっている労働省関係予算案が前向きの前進のものであるということは認めます。同感です。しかし、その中に、まあ私、私見を申し上げて今後お願いいたしたい点は、何といっても、この安全とか、それから、ことに日本少年婦人労働者というものは非常に悪い条件環境の中に働らいているわけですね、そういう方面の改善策とか、それから最近の労働力の偏在があらゆる統計にはっきり出ていますが、日本のこの地域的産業間の格差というものは非常に大きいわけなんですね、だからとそういうものの是正、具体的に言えば、低位の労働環境にある労働者への福祉施設の急速なる充実ですね、こういうものは、たいして金はかからないで、ほのぼのとした感じを起こすもので、それは安全でもあり、また能率向上にも通ずるわけで、大企業のそれと中小企業のそれとはあまりにも大きいわけですね、そういう点についての配慮を最近の労働省予算として方向づけされていることは、私は前向きの前進だと思うのですけれども、まあ先進国のそれと比べて、私はそう詳しく調査しているわけではないけれども、戦後急速にこの構造変化を来たしつつある日本産業界ですね、こういう事情をあわせ考えるとき、やはり国の一般会計予算の中における労働省予算の性格、それから労働省予算重点の置きどころというのは、飛躍的に僕は推進しなければならないのじゃないか。確かに、一般会計予算は約九十億増額はされておりますけれども、国の一般会計は二四・四%伸びたのですから、その伸び率から申しますと、必ずしも飛躍的に伸びたとは言えないと思うのですね。標準か、あるいはとんとんというところだと思うのですよ、概算でいいますと。そういう一般的な私は認識を持っているのですがね。これは希望とあわせてですが、大臣の御所見を承っておきたいと思うのです。
  14. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 私どもが重々心せなければならない点についての御意見をまじえてのお話があったのでありますが、私も全然同感でございまして、今おあげになりましたような諸点について、特段の配意ないし対策強化ということが行なわれなければならないと存ずる次第でございます。特に労働行政は、お話にもございましたように、金の額もさることながら、いろいろ心あたたまるような措置を講じなければならない、こういうように存ずる次第でございます。御指摘のごとく、伸び率という言葉で表現いたしますと、まあ普通のパーセントになるのではございますが、御承知のように、国政全体の中で、道路とかその他ごっそりふえるようなところがあるような中で、まあこの程度増加となったので、まあまあというふうに関係者は見ておるわけでございますが、しかし、御承知のごとく、決してこれをもって足れりとしてはならないし、私はある程度、こういう関係予算がどういうふうに伸びるかということが、日本が文化的にどれだけ伸びたかということの一つの尺度にもなろうかというような気持もしますので、そこで、御注意をいただきました点については、今後大いに努力して将来に処したい、こう思いまするし、現実の予算につきましても、御趣旨のような考え方で、この予算を十分活用して参りたい、こういうふうに存じている次第であります。
  15. 田上松衞

    主査田上松衞君) 矢嶋君に申し上げます。大蔵省から岩尾主計官が見えておりますから、そのつもりで御質疑願います。
  16. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 現在もそうですが、将来にわたっても、どの国でも、私はこれから労務管理というものが重要だと思うのですが、それは何人も異論のないところだと思いますが、大臣の眼から見て、日本企業家労務管理というものは、どういうふうに見ておられますか、またどういう希望を持っておられますか、この機会に伺いたいと思います。簡単でけっこうです。
  17. 福永健司

    国務大臣福永健司君) まあ一般労務管理も進歩はいたしておりまするけれども、先ほどもお話がございましたように、労務管理の点でもかなり格差がございます。ことに中小企業等について、特にこういうことを考えて参らねばならぬと思うのでございます。したがって、私どもといたしましては、労務管理近代化という点でおくれをとっておりますような産業企業について、特に感心を持ってこれが改善努力していかなければならぬと、こう思う次第でございます。日本の現実は、労務管理については、かなりまだまちまちであるという点はおおいがたいのでございます。
  18. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 翻って、日本労働者労働組合に対しては、大臣の目からどう見えますか、また、どういう念願とか希望とかいうものを持っておられますか、承っておきたいと思います。
  19. 福永健司

    国務大臣福永健司君) この点も、労働組合もいろいろございまするし、またさらには労働組合というような組織を持つに至っていない労働者等もいるというような事情等にもかんがみまして、私どもは、こういう関係においても、できるだけすみやかに近代化する必要がある、こういうふうに考えておる次第でございます。私に率直に言わしていただきまするならば、あまりごたごたがなくて、相互に信頼してうまく話合いをつけていけるような姿が一段と促進されることが望ましいと、こう思うのでございますが、この点につきましては、いろいろの原因から、まだ不十分な姿がございます。決して一方的に労働者諸君にどうことというつもりではございませんし、経営者側において大いに考慮してもらわなければならぬというところも多々あるわけでございます。相互に理解を持ち、信頼し合って、こういう点についても大いに改善されることが望ましいと、こういうふうに私は考えております。
  20. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 経済面で考えた場合に、利潤配分ということが問題になると思うのですが、そういうことは本日は時間もないから論じないとして、一般論として、これは人件費が、官であろうと、民であろうと、膨大化する要素を含んできますけれども一般論として、日本の若い人々、薄給労働者の給与というものは、もうちょっと上げてしかるべきじゃないでしょうかね。これは、高給者は人数も少ないから、相当上げても人件費の増加にあまり影響しないから上げやすいので、そういうことをやっておりますけれども、若い人——低給者の、ベアをやるとなると、人件費の総予算に大きく影響するから、公の機関としても、民間の企業家としても、なかなかちゅうちょするところがあるでしょうけれども、しかし僕は、長い目で見れば決して悪いことはないし、いい結果が出てくるのだし、またいろいろな条件等から考察したときに、どうしても、日本の官であろうと、民であろうと、労働者の給与というものは、若いところ、薄給者のところをもう少し早急に上げる必要があるのではないかということを痛感している一人なんですが、大臣はどういうようにお考えになっていらっしゃいますか。
  21. 福永健司

    国務大臣福永健司君) お説の点につきましては、おおむね私も同感でございまして、そういうことになりますと、はたして日本制度がこのままでいいかということ等の問題とも関連するわけでございますが、ヨーロッパ等に参りますと、たとえば二十一歳なら二十一歳になれば最高の賃金も能力次第でとれるようになっておるというような方法の国等もあるわけでございます。日本の場合には年功序列というようなことがかなり大きくものを言っておるような現状でございますが、はたしてこのままの姿がいいのかどうかということもございますが、いずれにいたしましても、労働条件向上、ことに若い人々について、能力があるにもかかわらず割合に低いというこの現実は、私は見のがしてならぬと思う。したがって、これは一気にというわけにも参りませんが、お説のようなことを考慮しつつ、私はより合理的に日本賃金を改めていくことについては、労働省はこれは十分検討していかなければならぬ、こういうふうにこの点は私は強く感じております。
  22. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 やや具体的になりますが、さっきの話に返るのですが、この予算書を見ますと、労働教育に必要な経費というのは、昨年度は百六十三万五千円、それが本年度六百七十八万八千円と、相当飛躍的に——絶対額は大したことはないですけれども、比率からいえば飛躍的に増額されているのですね。これはなにか従来と変わった内容のことをやられるお考えかと思うのですが、簡単に御説明願いたいと思います。
  23. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 具体的な問題でございますから、政府委員からお答えさしていただきます。
  24. 久野木行美

    説明員久野木行美君) 労働教育に対しましては、従来は、金額は少のうございますが、各地方におきまして、いろいろと補助事業等についてやっていただいております。ここに出ました金額と申しますのは、本省としてやる金額でございまして、これ以外に、中小企業の補助事業によりまして、各地方におきまして、教育は各地方の独自の金も加えられまして全面的にやられておる、こういう次第でございます。五百二十万円につきましては、これは国際交流関係につきまして、来日外国の労働者の方々に諸外国の事情もこちらに伝えていただくために、種々、懇談会、講演会、その他国内事情を視察していただきました所感を日本労働者の方々にいろいろ知らせていただく、そういう関係について設けた金でございます。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういう点が増額になったというわけですね。  そこで、説明要旨の第六に、労働関係国際協力推進に必要な経費説明があっているわけですが、これに関連して承りたいのですが、大臣、国会でよく論じられましたILO八十七号条約の批准に関する法律案提出の件ですね、予算の総括質問が終わるころまでにめどをつけるべく努力するというのが、総括質問段階における総理並びにあなたの御答弁、お約束であったわけですが、どういうめどがつきそうですが。
  26. 福永健司

    国務大臣福永健司君) この点、私も非常にある意味での焦慮を感じているのでございまして、実はさっき終わりました閣議におきましても、私は私なりの発言をいたしまして、国会がここまで参りました段階において、今後の政府提出案件等について、閣議でも話し合ったわけなんでございます。今矢嶋さんのおっしゃいますILO八十七号条約関係の問題につきましては、これはほかの案件とは違うのであって、ぜひ今国会で仕上げをするようなことに特段の力を注いでいかなければならぬ、したがって政府全体としてもこれに理解をしてもらわなければならぬという意味のことを、私本日も強調いたしましたのでございますが、十分御承知のように、今私どものほうでも、党のほうで野党の皆さんと折衝をいたしまする形を作りまして、率直な話、まだごあいさつに伺った程度で、実質的には進行するというところまであまりいっていないようでございますけれども、そういうほうに対しましても、私は鋭意これを促進してもらいたいということで、関係の人々にお願いをしているのでございます。そういうような次第でございますので、このほうの折衝等と見合いつつ、われわれも善処していかなければならぬと思うのでございます。もっと早くにめどがつき、そうして仕上げができるというようなふうになることは、私はほんとに望ましいのでございますが、今のところ御承知のような事情でございますが、ぜひここでこれが促進されるようにということに強い熱意を持っているわけでございまして、党におきましても、かなり多くの人々が、そう考え方において今後の与野党折衝を進めるべきであるというふうに考えているようでございます。もちろん、これのみにたよっているというわけではございませんけれども、従来の経過等からいたしまして、どうしても党対党の折衝も進まないと、ただ提出するというだけでは、今までの経過にかんがみてまずい。ぜひ提出して仕上げができるようなことになるようにという意味での今後ともの努力を——今後とも申しましても、ここで大いに努力しなければならぬ、現時点から大いに努力しなければならぬと、もうこれは強く感じている次第でございます。どうもはっきりしためどが申し上げられないことを非常に申しわけなく存ずるわけでございますが、私はあくまで今国会で仕上げをしたいという考え方で進んでいる次第でございます。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ILO八十七号条約が日本で論じられるようになった段階、それから政府与党が批准せずばなるまいと考えを固められた段階、その当時における日本労働組合のこの受け取り方並びにこれに関連する国内法改悪に対する対処の態度ですね、そういう内容的なものは、その当時の時点と現在の時点では、僕はかなり違ってきているような感じがするのです。だから、あの当時に政府与党並びに日本産業界企業家が非常に懸念されたその程度は、現在は相当緩和されているのじゃないか。また労働組合自体も、反省という言葉は適当じゃないかもしれませんが、やはり配慮の深まりというものは、相当僕は変わっているのじゃないかと思うのです。それが若干感情的に意地っぱり的なものが出てきて混迷している点は、何か日本の政治の混迷さを象徴するような感じがして、ものさびしい感じがするのですが、こういう点は大臣はどういうふうにお考えになっておられるのか。私は、この問題は、国際的な問題でもあるし、院内外で論じ尽くされた問題でして、法案が出さえすれば、二、三日で国会で処分しようとすればできると思う。極端に言えば、一日でもできると思うのですよ。院内外で論じ尽くされたことですからね。だから、法律案は、内閣官房長官の話では、三月一ぱいに出さなければ云々と言いますけれども、私は、これから努力すれば、国会末期の数日前だって十分これは国会に出す可能性はあるし、まためどもつくと思うのですね。したがって、私は、担当大臣としてはあきらめないで、とにかくこの国会に法案は出すのだという一線は堅持していくものと推察しているのですが、その辺のところを聞かしていただきたい。
  28. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 非常に国会運営にごたんのうなお立場からのお話でございまして、私もただいまのお話につきまして多分に同感の点があるわけでございます。先ほど申しましたように、本日の閣議でも、ILO関係のものはこれは特別なんだ、一般のものと違うのだということについて、私みずからも強調し、同時にその理解を求めたのであります。お話のように、話し合いがつけば、これはもうきわめて短時間に仕上げも可能だと思うのでございますが、そういう意味で、私はぜひこの話し合いがつくようなところへいくことを期待いたしておるわけでございまして、諸情勢もだいぶ変わってきたとおっしゃいますが、まあその変化を認識するについて、人によっては若干その意味が違うかとも思いまするけれども、いずれにいたしましても、確かに情勢も変わってきておるのであり、したがってそういうことを頭に入れて折衝中でございますので、私の表現もよほど気をつけなければならぬと思うのでございますが、いずれにいたしましても、そういうことを十分頭に入れて、党のほうでも善処してくれるようにというように、私は期待を持っているわけでございます。そういう次第でございまするから、今お話のごとく、私は最後まで努力をしたい——必ずしも最後までいかなくても、話し合いがつけばたいへんけっこうなことでございますが、いずれにいたしましても、一般案件と違いまして、今日出ていないからもうだめなんだ——一部新聞等にどうもここまでくるとだめらしいような表現等もございましたが、私はさように考えておらないのでございます。矢嶋さんもお話しのように、何とかして仕上げをする方向への努力をいたしたいと、またぜひそういうような結果になることを望んでおる次第でございます。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この問題は、国内外に非常に影響性のある問題であり、また内外から関心を非常に払われている問題でありますから、所管大臣として今後とも善処されるように、強くこれは御要望申し上げておきます。  時間の関係上、続いて国内的な問題について承りたいのですが、きのうきょうあたりから盛んに報ぜられている公労協関係の調停申請の問題ですね、これは団交を当局が一方的に打ち切って調停を申請したので、組合側が硬化したとも報ぜられておりますし、組合側では仲裁裁定を申請したい、当局側の同意を得たいが、当局はこれを拒否するような情勢だとかいうようなことが伝えられております。けさ国鉄の時限ストは中止になって幸いだったと思うのですが、これは春ですからね、いろいろな動きがあると思うのですが、結論的なことは大臣に伺いたいのですがね。私は、政府関係当局の連絡調整ですね、その方向というものは、仲裁に同意するという方向で労働大臣として関係当局の連絡調整をはかられるのが適切であり、時期的にもタイミングが合っているのじゃないかと、こんな感じを持っているのですが、大臣の御認識並びに今後の方針を承っておきたいと思います。
  30. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 私といたしましては、この種の関係のことでできるだけ話し合いも行なわれ、そして相互信頼相互理解の実があがることが望ましいと、こういうように考えておるわけでございますが、公労委は公労委なりの今努力をいたしておるところでございまして、したがって、公労委が努力しておりまする調停について、これまた私も期待を持っておるわけでございますが、同時に、矢嶋さんのおっしゃいますように、調停だけでうまくいくかどうかというようなことについても、これはもとより考えなければならない。したがって、仲裁についても、政府として、関係各省等の、ないしは関係各公社等の連絡調整等についても、考慮をいたしていかなければならぬわけでございますが、せっかく公労委で努力をしてくれておりますので、現時点で直ちに仲裁云々についてあんまりはっきりしたことを申すことはいかがかと思いますが、お話のようなことも、もとよりこれは考慮をしていかなければならぬと考えております。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今のは典型的ななまくら答弁ですがね。大臣は何ですか、茶話でもどうだ、仲裁裁定受けてやったらどうかといったようなニュアンスで対処されていくようなお気持なのか、そういうことはけ飛ばしておけというような気持でおられるのか、どういうようなところでいかれようとするのか、そこのポイントのところを伺っているのです、あなたの気持を。
  32. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 現在進行中の公労委においての調停作業、これはこれなりに大いに敬意を表して、その成果を期待しておるわけでありますが、先ほど申しましたように、なかなか事態は容易ではございませんので、次の段階としての仲裁ということも当然これは考えていかなければならぬわけでございます。なまくら答弁とおっしゃったが、なまくらではないのでございますが、この段階ではなかなか私どもといたしましてもお答え申し上げるのもむずかしいことでございまして、せっかく努力中のものにつきましては、これはこれなりに期待もし、大いに御苦労願いたいと思いますが、しかしその次のことについても、もとより私ども考慮をいたしておるわけでございまして、け飛ばしておけとか何とかという心境では決してございません。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これ以上これは深入りしませんが、大臣としては国民に決して迷惑はかけないという基本線に立って御善処を特に要望しておきます。  それで、先ほどのにちょっと返りますが、このたびの予算書を見ますと、アメリカにレーバー・アタッシェを一人置かれるように要求されてきておりますが、現在労働省は全部でレーバー・アタッシェは大体どのくらい置いてあるのですか。
  34. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 現在は、ジュネーブとボンとロンドンと、これだけだったかと思います。そこで今度アメリカに回してもらうようにしたわけでありますが、まあ御質問いただいたので、ついでに申し上げさしていただいて恐縮でございますが、私は実はこの点について、非常にこんなことではいかぬと実は考えておる一人でございして、日本と同程度くらいな貿易ないしは同程度くらいな工業水準にある国で、日本と一けた違う——日本が三人が四人に今度なるわけでございますが、そんな国というのはおよそないのでございます。少なくとも一けた違いの三十なり四十というのがヨーロッパあたりの通例でございます。実はこの予算の御説明を申し上げますときに、労働関係の諸知識等も国際的に把握していかなければならぬような意味のことも触れましたのでございますが、実ははだ寒い感じを私はいたしておるのでございまして、もっともっと世界情勢について的確に把握し得る体制を作らなければならない。ある国は七十幾つかの国にレーバー・アタッシェを出しておるようでございますが、やはり専門家が出ていって、そういう情報、知識を把握するのでないと、一般外交官ではなかなかそう的確にということにいかぬのじゃないか、こう思うのでありまして、これはまあ一般外交官の能力が云々ということではなくて、実際問題として、仕事の性質上そういうものだと、こういうように思うわけでございます。今実は三人から四人になりますというのが実際なんでございますけれども、ほんとうに先回りをして申し上げて恐縮でございますが、私はこの点について非常に残念に思っております。これはどうも、相当経済的にも成長したと言われておる日本で、この姿は非常に不満足なものだと、これはもう強く感じております。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは労働大臣と私は全く同感なんですけれども、私はこれを見て、アメリカにこれだったら、びっくりしているのです。本年度四十七億の輸出を達成したい、その中に占めるアメリカのウエートからいって——これは労働行政と貿易の行政というものは相関関係にありますし、今までこれはレーバー・アタッシェがこんなことだったのかと、私も不敏にして知らずに、びっくりしているわけですが、労働大臣と全く私はこの点については意見が同じでありますが、参考に大蔵省岩尾主計官の見解を承っておきたいと思うのですが。
  36. 岩尾一

    説明員岩尾一君) レーバー・アタッシェの問題でございますが、従来、戦前におきましては、大使館、公使館等の在外公館がございまして、それに対しまして各省から、たとえば大蔵省でございますと財務官でございますとか、そういう形で、各省独自で事務所を設置して国際的な業務をやるというような建前にあったわけでございます。ところが、戦後、一応敗戦ということで、外交関係が従前どおりでなくなりまして、したがいまして、新しく公使館、大使館等を設置いたします場合には、そういった各省の出先というものは一切整理をいたしまして、新しく作る大使館、公使館ですべての仕事をやるという建前で発足をいたしました。その後、それがなかなか、今大臣のおっしゃいましたように、専門家ではございませんので、そううまくできるわけではないというような主張が出て参りまして、逐次各省から人間が出て参るという形になったわけでございます。そこで、その際いろいろその当時の国際情勢上最も必要な省の必要な人間という形で逐次増員がされておりまして、これはレーバー・アタッシェということで労働省のほうでも人間をお出しになるわけでございますけれども、外務省の人間になってしまうということで結果としてはいくわけでございまして、今回は、昨年行なわれました日米力の経済協力のいろいろな閣僚会議というものを前提にいたしまして、ワシントンに行かしたわけでございますが、従来の沿革はそういったような沿革で、なかなか各省から人を出すというふうに戦後はなっておらないのでございまして、いろんなことがあった場合に逐次増員をしていくということでいっておるわけでございます。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もうこういう時代になると、内政も外交も区別つかないのですね。僕も二度ほど外国を旅行さしていただいたことがありますが、それぞれ、通産省、あるいは農林省、いつぞや文部省の人は外務省へ出向して行っておりますが、それは非常に意義があると思うのですよ。外務省の専門の外交官が演出家になるのですか、そしてそういう各省の人がプロパーに役者となって動くところに、私は非常な力が出てくると思うのです。だから、戦後改められたのは、やはり欠陥があって逐次そう変わってきつつあるわけですから、こういう点の予算編成については、今後も新しい時代に即応して御研究なり御理解いただかなければならぬと思うのです。この点は御要望申し上げておきたいと思います。  それから、時間がだんだん主査と約束の時間が迫って参りますので、先へ進みますが、婦人及び年少労働者ですね、大臣どうお考えになりますかね。ドイツなんかは、戦争に負けて未亡人もたくさんできたわけだが、ともかくうまくいっておりますね。日本婦人、ことに未亡人の職場というものは、失礼だけれども不健康なところが多いですね。それから、青少年の働く環境というのも、感心しないのが多いですね。最近は中学生なんかがアルサロに行っているのがちょくちょく報道されているのを新聞等で見ますが、この婦人少年の働いている人というのはずいぶんいるわけですが、取り締まりというよりは、事前にあたたかい指導、そういう面に一段と力を入れる必要があるのじゃないか。これは前向きの姿勢ではありますが、今度のホーム・ヘルパー養成推進をやるということが要求されておりますが、青少年ホームとか働く婦人の家等の増設なんかということはたいした金が要ることではないし、それから地方から来て東京都内で働いている「根っこの会」なんかあるですね。ああいう会なんかも、大臣としては関心を持たれて配慮されることが大事じゃないか。ことに婦人少年労働環境というものについて私は関心を持っているのですが、大臣の御抱負をひとつ承って、今後の件についてお約束していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  38. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 御説の点、全然私も同感でございまして、個人的なことを申し上げてたいへん恐縮ですが、私は実は十八年間子供のめんどうを家内がないから自分でみるというような、ちょっと普通の家庭とは違った事情にありまするだけに、今のお話がしみじみ感ぜられるわけなんでございますが、そこでまあ、今度の予算編成の前にも、私は婦人少年局長にも、従来この部門の予算が非常に少ない、しかも、文部省厚生省その他で婦人の、あるいは少年関係の仕事をやっておりますが、少なくとも婦人少年行政について局のあるところは労働省だけであるだけに、ここでうんとそういう方面に重点を置かなければならないということで、まあうんと前進するような考え方での要求もするように、またそうしてみたところで金額がそうたいしたものではありませんので、そういう方針で参ったわけでございます。まあ人件費を除きまして比較いたしてみますと、三十六年度八千六百余万円だったのが、今度まあ一億六百余万円になっておるので、ある程度伸びてはおるのでありますが……。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 しかし、絶対額がね。
  40. 福永健司

    国務大臣福永健司君) しかし、絶対額が、何と申しましても、ほんとうに少ないと申しますか、ある意味で微々たるものだという表現になろうかと思う。まあ今度の場合ある程度伸ばしたとはいうものの、こんなものは普通の伸びではいけないので、ほんとうに飛躍的に伸ばさなければならないというところの部門であろうと思います。現実に出ておりますのが、ごらんのとおりのものでございますので、まあ今のようなお話をいただくのはごもっともなんであります。今後につきましては、ほんとうに画期的な努力をしなければならない、こういうふうに感じております。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点について、私は岸内閣の倉石労働大臣当時に、この問題を論じ、各都道府県に婦人少年室というのがあるのですね、これが普通のところは室長さん一人しかいないので、ずいぶん多忙をきわめて、ずいぶん成果をあげているわけですね、それで、少なくとも、婦人少年室というのがあって一人とは、神ならぬ身の、病気もしようし、親戚知己などがあって事故があれば、ブランクができるのだから、最小限度東京と大阪のようなところは三、四人置く必要があるのではないかと言ったところが、岸首相が、それはそのとおりだと言って——予算委員会でですよ、それで倉石労働大臣も、明年度からさようにいたしますという速記録を残したのですね。そうして、本年度の予算書を見ますと、婦人少年室長はもちろん四十六でありますが、婦人少年室長補佐というのは十二人ですね。これから見ると、依然として指導的な有資格者というのは小さな県には一人しかいないのじゃないかという私は感じを持って、岸内閣の倉石労働大臣時代の公約が果たされていないと、この予算書を見て私は感じておるのですが、実情はどうなんですか。とにかく、大きい都府県においてはいざ知らず、どんな小さな県であろうと、お茶くみの人なんか別ですよ、婦人少年の指導の素質を持った——それが課長であろうと課長補佐であろうとそれは問いません、有資格の人が最小限は二人は必らずいなくちゃ、とてもそれは私は成果はあげ得ないと思うのですよ。その点は、実情はどうなっておるのか、お答えいただきたいと思うのですがね。
  42. 千葉幸雄

    説明員千葉幸雄君) 私からお答え申し上げます。  ただいまの婦人少年室の定員の点についてのお尋ねでございますが、予算書の中には、婦人少年室長四十六人と、おっしゃるとおり、室長補佐だけが載っております。婦人少年室の一般職員は、労働保護官署一般職員と予算編成上の都合がございまして一緒に入っているわけでございます。あの年から実はふえておりまして、前年度までは百八十八人、したがいまして、大きな室で五人置く室が四室、四人の室が四十二室というふうな関係になっております。なお、本年度婦人少年関係では、さらに一名の増員が認められまして、これは鹿児島婦人少年室から奄美大島に駐在するという形で一名の増、合わせて百八十九名というのが、三十七年度の予算内容となっております。一般職員が労働保護官署の中に溶け込んでおりますので、そういうような関係の工合なんでございます。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その数字は、大体僕が予想したところですがね。問題は、婦人少年室長四十六、婦人少年室室長補佐十二というのがありますね。これは一般論として、指導能力の高い水準にあるんですよ。だから、室長四十六に対して室長補佐十二というところに、私は疑問を持つわけです。室長補佐というのは四十六なくちゃうそですよ、私はそこに重点を置いているわけです。使い走りをしたり書類整理をしたりするという人は何人おったって——それは何人でもおったほうがいいですが、そういう点はポイントになりませんよ。室長四十六、室長補佐十二というこの差が三十四あるわけですね、ここに問題があると思うんですが、これは室長補佐はやはり四十六にすべきだと思うんです。すなわち、指導能力のある人が質的に確保されるということがポイントだと思うんですね。大臣の御所見を承っておきます。
  44. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 私ども非常にありがたい御発言をいただいておるということになるわけですが、なかなか人を増すという折衝はいつでも相当難航するのでございますが、婦人少年行政重要性にかんがみまして、今おっしゃいますことにつきましては、十分心して私は今後に処したいと、こう考えておるわけでございます。今度の場合は、働く婦人の家を二カ所増設するとか、勤労少年ホームを四カ所増設するとか、内職補導施設を五カ所増設するとか、そんなような、その他幾つかのことがございまして、今後指摘になりました点については、一人増しただけで、まあ定員外の者を定員化するというものは、その関係のものは若干ございますが、いずれにいたしましても、非常に不十分な結果でございます。これはもうどうしても将来実際に改善することによってお答えしなければ、言葉だけではいけないので、ぜひ努力したいと思います。
  45. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 婦人少年関係には幾ら予算を投入しても、私は過ぎることはないと思うんですよ。絶対額というのは微々たるものであって、問題にならないんですね。少年なんというものはこれからぐんぐん伸びていくんですから、国家的に見たら複利計算で伸びていきますよ。それは右するか、左するか、その方向次第では、国家的に見ても、社会的に見ても、マイナス面も出てくるんですね。これは、少年対策に幾ら出しても、私は出し過ぎるということはない状況だと思う、日本実情は。おとなの社会が悪いということが大きな原因ですが、私は非行青年が出てくる必然性が相当あると思うんですよ。そういう者を事前にチェックしていい方向に向ければ、社会的、国家的に見ても発展性が大きいわけですからね。だから、飛躍的な意欲的な予算を組まなければならぬと思うんですよ。  それからまた、婦人の場合でも、まだ日本婦人は力を出し切っていないと思うんです。特に未亡人なんかは、転落しないのが不思議だと思うんです。これは、転落した人をほめるわけではないですけれども日本の未亡人等の置かれておる諸環境からいって、転落したからといって、そう自信を持って責めることはできないと思うんですよ。これは転落しないのが不思議なくらいです、職場環境からいって。ですから、そういう点では、戦後はまだ続いているような感じを受けますが、婦人少年に対する予算の比重のかけ方というものは、これは前年度よりふえているにはふえていますよ。しかし、比重のかけ方に問題があるということですね。この点にはぜひ一つ御配慮いただきたいことを、特に要望しておきます。そのためには、人員をふやすのはむつかしいかしらぬが、都道府県の婦人少年室はなかなか仕事をやっておりますよ。非常に幅広く仕事をやっておりますね。そうして成果を上げていますよ。それで、やはり、室長、室長補佐という指導能力のある人は、私は小さな県でも二人程度置いておくということは大事なことだと思うんですね。これは岸さんもごもっともだということだったんですよ。で、倉石労働大臣がそれを受けて、来年からやりますということだったんですよ。私はことしは四十六と四十六と並んでいるかと思って見たら、四十六と十二しか並んでいないのですね。これはごまかされたなと思って、これは福永労働大臣お約束してもらわなければならぬと思って質問したわけですから、努力してもらえましょうか、質問します。
  46. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 倉石労働大臣の時代にそういうお話があったということは——その間に石田労働大臣を経て私にきておりますが、しかし、考え方は、これはもう何人間に入ろうと、これは受け継いでいかなければならぬ次第でございます。先ほども申し上げましたように、この点重々心して今後に処したいと考えております。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 労働大臣は、あるいは大臣やめて、内閣がかわるかもしれないが、あなたは官房長なら、少なくともここ数年間は労働省におられて、いずれは次官にでもなられると思うのですが、予算省議等をまとめる際に、今の大臣の御答弁に沿って省内をお取りまとめなさることを、今や御決意なされたと思うのですが、念のために、あなたの速記を残しておきたい。
  48. 松永正男

    政府委員松永正男君) ただいま大臣から御答弁申し上げました御趣旨を十分体しまして、今後予算編成等において努力をいたしたいと思います。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間がだんだん迫って参りましたので、新規予算に関して若干承りたいと思うのです。この予算書の七百七十ページにある労働関係広報宣伝委託費というのが、今年度新たに五百二十万二千円計上されておりますね。これは従来より変わってどういうことをやられるというお考えですか。
  50. 久野木行美

    説明員久野木行美君) 五百二十万円につきましては、先ほどちょっと申し上げましたように、国際関係日本労働情勢の現状にかんがみまして、広く日本労働者の方々に世界の情勢を見ていただくことが大切である、知っていただくことが大切である、そういう観点から、来日いたします外国労働関係者の方々に日本実情を見ていただいた上で、講演会ないしは懇談会をしていただきまして、その機会にいろいろと日本の状況に対する御所感なりお考えというようなものをお話ししていただろう、そういうために日本労働協会に委託いたしたい、そういうことで計上されておる経費でございます。
  51. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 実は、今のお話なんですが、いずれにしても、先ほどからお話が出ておりますような趣旨のことについては、こちらから労働関係者が出ていって学んでくる、また向こうからも来てもらう、両方考えなければならないわけですが、外貨を節約しようということで、出すほうのほうはどうも、今度もずいぶん折衝いたしましたのですが、率直な話、あまりうまくいかなかったのです。これは正直に申します。そこで、せめて外貨を使われない、来てもらうほうの費用という何で、こういうことに相なったのでございます。たいした額じゃございませんが、まあしかし、考え方はそういうような次第でございます。
  52. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 わかりました。少し飛ばしまして、日雇労働者実態調査委託費を新たに一千万円計上されておりますね。常に関心を持たれておるところですが、日雇い労働者の利用というのは、能率の上がらない面がありますね。これは日本の特異現象ではないかと思う、労働行政の中で。これで調査をされるということは非常にけっこうだと思うが、どういう角度から調査されて、どうなさろうという構想のもとにこれをやられるのか。それからまた、この調査はいつごろ終了する予定か。三十八年度の予算編成作業に間に合うようにできるのか、できないのか、そういう角度からお答えいただきたいと思います。
  53. 和田勝美

    説明員和田勝美君) 三十七年度におきまして、日雇い労働者労働実態調査費を計上さしていただいておりますが、これは失業対策事業に働く方々につきましては、世上いろいろの問題が言われておるわけでございます。そういう世上のいろいろの批判もございますので、私どもといたしましては、じっくりとその失対事業に働いておられる方の実態をよく見きわめていろいろの対策を講じていきたい、そしてできるだけ民間常用雇用のほうに復帰をしていただくようにしたい、こういう考えでございまして、どういう形で失業をしてこられたかという失業の形態、あるいは現在どういう労働能力を持っておられるか、あるいはどういう生活実態であるか、こういうようなことにつきまして、調査を三十七年度一ぱいかけまして実行したいと、そういうための経費でございます。
  54. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この調査の結果には期待を抱いておるものです。昭和三十八年度の予算編成作業に間に合うでしょうか、どうでしょうか。
  55. 和田勝美

    説明員和田勝美君) 三十七年度中に実行いたしますが、三十八年度の予算編成の際、実際に入りますのが夏ごろからでございます。多少間に合いかねる面があるのではないかと思いますが、できるだけ今の御趣旨に沿うように努力をいたしたいと思います。
  56. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 労働大臣に御要望申し上げておきますが、宗全な調査統計整理ができなくても、中間的なものが出れば、一応概算要求の資料にはなりますのでね、一年早ければ早いほどそれだけ効率的になるわけですから、そういう角度で部下諸君を督励していただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  57. 福永健司

    国務大臣福永健司君) そういう心がまえで善処いたしたいと存じます。
  58. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に、最近の産業災害実情はどういう状況にあるか、これを承りたいと思います。
  59. 大島靖

    政府委員大島靖君) 最近の産業災害実情につきましては、絶対数は逐年やはり増加いたしております。ただ、雇用労働者がこれまた逐年増加いたしておりますので、産業災害率という点から見ますと、すなわち私どものほうでは災害の千人率と申しますが、千人率の点から申し上げますと、逐年低下いたしております。ただ、問題点といたしまして私ども痛感いたしております点は、大企業中小企業で災害率が非常に大きな較差があるということであります。大体中小企業のほうでは、千人の中で大体年間四十くらいの死傷がある。大企業になりますと、これが二十以下、十八、九というところでございます。すなわち、中小企業の災害率は大企業に比べまして倍以上になっておる。しかも、その中小企業における災害が全体の災害の中の約四分の三程度の大きさを占めておる。この中小業の災害というものが非常に大きな重点である。それから、昨年も私どものほうで機械器具産業につきましての災害を調査いたしましたところが、新しく職場に入りましてから六カ月以内で死傷いたします者が全体の四七、八%になっておる。約半分の災害が、新しく職場に入って六カ月、新入工員、この点が非常に大きく見られまして、こういった点、今後の私どもの災害対策の大きな努力目標として重視して参りたいと、かように考えております。
  60. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大事な産業戦士ですから、人という、人命という立場からいっても、また企業という立場からいっても、これは極力押えるようにしなければならぬと思うのですがね。  時間がないから、参考に承っておきますが、中小企業千人中四十人と言いますが、国際的に見て、最も少ない国はどのくらいなんでしょうね。それから、統計をとっている国で最も多い国はどのくらいあるでしょうか、中小企業、大企業に分けて。
  61. 大島靖

    政府委員大島靖君) 災害率の国際比較というのは、実は非常に、産業分類が違いますし、とりにくいのでありますが、たとえばアメリカと比べましたときに、アメリカあたりは大企業中小企業という災害率の分類はいたしていないのでございますが、全般といたしましては、災害率は日本のほうがなお相当高いということは言えると思います。
  62. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 相当というのは、どのくらいですか、数字で。
  63. 大島靖

    政府委員大島靖君) たとえば日米の災害率の比較を全産業で見ますと、アメリカの場合が六・四七に対しまして、日本の場合は一七・四三と、こういう数字になっております。ただ、これが直ちに正確にこの比率にはならないのでありますが、産業分類、それからどの程度のカバレージを持つかという意味で問題はございますが、大勢といたしましては、アメリカあたりに比べましてなお相当高い。相当高いのは、今申しましたような、中小企業のほうの災害率というものが非常に影響しているんじゃないか、かように考えます。
  64. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは大臣、抜本的な云々というのはなかなかむずかしいかもしれないが、しかしある程度少なくするのは簡単ですね。職場に入ってから六カ月以内に事故を起こしたのがこの中で四八%を占めるというのは、これは当人並びに指導者が少し配慮すれば、悪い条件環境下でも、ある程度数を押えるということは簡単にできることで、こういう点の指導というものはやればすぐ僕は成果が上がると思うのですが、それぞれのルートを通じてこういう点の改善策に格段のひとつ力を入れるべきだと思うのですがね。これは大島さん御努力をなさっておられることと思うのですが、職場に入って六カ月以内に四八%というのは、ここ数カ年間の統計ですか、最近こういう統計が出てきたのですか。こういう統計数字というようなものを、二年も三年も継続さしてはならないと思う。もしそうならば、指導行政が不十分だ。その行政官の責任が追及されると思うのですが、いかですか。
  65. 大島靖

    政府委員大島靖君) 今申しました数字は、継続してとった数字ではございまません。昨年一カ年の、特に機械器具産業だけをとってみたものであります。しかし、全般の趨向も察せられるわけであります。そこで、この対策といたしましては、ただいま先生御指摘になりましたように、一つは新入工員に対する安全教育の問題、それからもう一つは中小企業における安全施設の整備の問題、この二つであろうかと思います。で、安全施設の整備につきましては、昨年の秋以来、中小企業の安全施設の整備のために特別融資制度を、大蔵省と協議いたしまして、すでに開始いたしました。大体二十億円程度融資金額を準備いたしております。逐次これが一般にも周知されて参りまして、現在その利用はかなりふえて参っておりますが、まだ十分ではございませんので、今年度も——三十七年度におきましても、これは大いに活用してもらいたい。それからなお、新入工員に対ます安全教育につきましては、特に今年度力を入れたいと思っております。本年度の予算の執行におきましても、そういった点に重点を置いて参りたいと考えております。
  66. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あと二、三点お伺いさしていただきたい。労働大臣に伺いたいのですが、日本産業構造高度化しつつある、国際的に技術革新の波が非常に大きく押し寄せて来つつある、そういう状況下で、日本としては、なかなか追っついて臨機即応できないというような点もありましようけれども、しかし私は、昨年国会から派遣されて阪神地方を視察したときに、神戸製鋼とか、ああいう一流の大産業企業体に、農業高等学校を卒業したのが相当就職しておりますね。それから、それを企業内訓練所で教育しておるわけですよ。なぜ工業高等学校卒業生とか、普通科高等学校の卒業生あたりを採用しないのですかと言ったら、手に入らないというのですね。それで、農業高等学校の卒業生を採用して、企業内訓練所で訓練しているわけですね。これは本人にとっても不幸だし、国家的に見たら不経済でむだなことだと思うのです。これは急激に産業構造が変わっていくところに、日本の国政の施策が追っつかないというなにもあるでしょうが、こういう面は至るところにある。これは労働行政だけでは解決できない問題だけれども、しかしあなたに非常に関係のある問題でね。経済指標その他あらゆる統計をとっても、今労働人口、労働力の偏在というものが一番大きな労働行政面の問題だと思うのですけれども、こういう点の是正的政策というものは、内閣の総力をあげて、一日早くやれば、それだけ国家的な——個人的にもそうですが、利得があるわけですから、なさるべきだと思うのです。努力しておる姿は認めますけれども、具体的に入って見ますと、ずいぶんちぐはぐな点がありますね。これらの点についての労働大臣認識と今後の対策を承っておきたいと思います。
  67. 福永健司

    政府委員福永健司君) 御説のような点、大いに注意して対処していかなければならないわけでございますが、御承知のように、工業学校関係のものを漸次ふやしていく措置政府全体としてもとっておるわけでございますが、しかし非常に不十分であるというようなこともございます。現実問題といたしまして、私も自分の近くのところで経験いたしておるのでありますが、たとえば、今のような情勢だから、ある農業高等学校をやめて工業高等学校にしたらというような話が出ると、工業高等学校を増設すること自体はたいへんけっこうだが、農業高等学校をやめちゃいかぬというようなこと等で、自分のところの家の近くだからというので、漫然と農業高等学校に入ったが、時代の動き等に目ざめて、学校はそういうところは出たが、就職は工業方面にというようなのもだいぶあるようでございます。そこらに非常に日本全体として不徹底なところがありまして、私どものほうでも、実際問題として、先ほどお話がありましたような、初めからそれなら別の教育を受けていたほうがいいのだと思われるような人が別の教育を受けながら工場に入るというような者、そういうような者を労働省関係の機関でもお世話を申しておるのが現実的にあるわけでございます。しかし、非常にそういう点では徹底を欠いておるところが多いことは、御承知のように、認めなければならないわけでございます。技能労働者確保ということについて、まあ今年度予算もそういう点について留意はいたしておりますが、現実に実例をあげてお話のありましたようなことについて、より一そう徹底して施策を講じていかなければならないと思う。したがって、御指摘のごとく、労働省限りで解決つくというわけではございませんけれども、こういう点につきましては、閣内でも大いに注意を喚起して、政府施策全体がそういう方向にいくように、特段の努力をいたしたいと考えております。
  68. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今後閣内で、関係閣僚の上でさらに検討していただきたいことを要望しておきます。  なお、このたび、大企業中心になると思うのですが、退職年金の積立金に関する税法の改正がありましたね。あれで私は、大企業の退職手当とともに、並行して退職年金制度企業体に今後ずっと伸びてくるのではないかと、こういう感じを持って見ているわけですが、非常にけっこうだと思うですけれども、現在の実情はどうなのか。それとあわせて、ここに中小企業退職金共済制度普及とありますね。これは退職金だけで、年金まではいかないのではないかと見ているんですが、その辺はどうなのか。私は、大企業中小企業にかかわらず、今度政府がとられた税法の改正なんかは適切だと思うんですよ。一挙に充実したものができなくても、ささやかでも年金共済制度というものを作るということは、非常に私は大事なことだと思うのですが、実情と今後の御方針を承っておきたいと思います。
  69. 久野木行美

    説明員久野木行美君) 中小企業の退職金共済制度関係の現状をまず申し上げますと、これは、御存じのように、製造業等におきましては三百人以下、商業、サービス業関係につきましては五十人以下というものを、中小企業の対象といたしまして実施しておりますが、昨年の十月現在の加入実績を申し上げますと、事業場数におきましては、三万八千四十事業場でございます。それから、その事業場におられます従業員数が約五十万人、正確に申し上げますと五十万八千二百二十八名でございます。こういう状況でございまして、今後もこの関係の従業員数、また事業場数というものを増加していくというために鋭意努力しておるわけでございますが、三十六年度の月平均の加入数は、事業場数で毎月千六百十四件、それから従業員数におきまして約二万五千名、こういう現状になっております。で、この面につきましても、各労政関係の地方機関等を通じまして、この普及ということに当面鋭意努力しておる、こういう状況でございます。
  70. 福永健司

    国務大臣福永健司君) これらと関連しての方針についてというお話でございます。外国等の例では、年金等につきましても、公的制度のほかに、それぞれの企業等においての私的な制度がかなぬ発達成長いたしております。わが国の場合、まだそういうことでは見るべき姿に至っておらぬのでありますが、今お話がございましたように、こういうことにつきましては、私どもも将来の方向といたしまして望ましいことに存じまするし、そういう心がまえで検討を進めていきたい、こういうように考えております。
  71. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間がないので進みますが、石炭産業合理化ですね、これがもたらす影響、顕現化せられる事象というものは種々複雑であり、また深刻な問題があると思うんですがね。それだけに、本年度の予算案を見ても、ずいぶん対策費は伸びておりますね。必ずしも十分でないでしょうが、とにかく伸びているという事実ははっきりしていると思う。それで、どうですかね、労働大臣、これは内閣全体の政策でありますが、この合理化の速度というものを少し緩慢化する、期間を少し延ばすというような配慮が必要じゃないかというような感じがするんですがね。これだけの予算で前の方針どおりにやられると、それで大丈夫だと、こういうような立場に内閣として立たれると思うんですけれども労働行政の担当大臣としては、私は少しやっぱり無理じゃないかというような感じを持たれておるんじゃないかと思うんですが、ここあたりどうでしょうかね。
  72. 福永健司

    国務大臣福永健司君) もう私どもといたしますと、離職者が出た場合に、そういう深刻な事態に立ち至っている人々をぜひお助けしなけければならないというような顧慮から、いろいろの、予算も計上し、ことに新しい制度も今度は採用いたしましたのでありますが、本来からいたしますと、そういうような離職者が出ないほうがほんとうは望ましいのであります。あまり私どもの仕事が繁昌するようでは、これはまあありがたくない——ありがたくないというと困りますが、そういう事態が必ずしも望ましいとは国政全体としては言えない、こう思うのでございます。ところが、そういうような合理化推進するほうの仕事は、労働省というよりも、通産省その他に実はなりますので、私どもといたしましては、労働省でやらなければならぬことについては、いろいろそれのための用意はいたしまするけれども、同時に、一緒になって相談いたしますときに、通産大臣その他に、そんなにこっちへ回ってくるものがよけいにならぬように上手にやってもらいたいということは、これはちょいちょい申しておるとろであります。その限りにおきましては、今矢嶋さんのおっしゃいますのとやや以た気持もあるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、といって現実に離職者が出てくるという場合については、やり切れぬというようなことではなく、これに対しては十分対処していかなければならないということでございます。先ほども申し上げましたように、なるべくその離職者が出ないことのほうが望ましい。石炭産業を安定させて、こういう施策があまり必要でないようなことになることを究極的には私どもは望んでおる次第でございます。そういう心がまえで——国の施策全体をどう推進するかというときにおきましては、私どもはそういうような心がまえで、いろいろ主張するところは主張していきたい、こう考えております。
  73. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 お約束の時間がきましたので、これで終わりますが、最後の質問ですが、その前に、今福永労政が展開されておるわけですが、この予算が成立した後は、これでさらに進展すると思いますが、しかし、昭和の三十年の世代に福永という労働大臣日本にいたということが歴史に残るためには、ILO八十七号条約をどのように処理できるかという一点にかかると思うのです。これは失礼だけれども、吉田内閣時代に福永官房長官という官房長官がおったということは日本の政治史に残っておると思うのです。ILO八十七号条約をこのままで、内閣改造で御退任になるということになれば、日本の政治史上に福永労働大臣がいたということは、あるいは残らぬのじゃないかと思う。ただ、石炭産業合理化のときに苦労された大臣がおられた、その名は福永さんだという名は残るかもしれませんが、私はそこは歴史にその名をとどめるかどうかの分岐点だと思う。会期もあと一カ月以上あるわけですから、このILO八十七号条約の批准の件については、大臣の全知全能をしぼって最後の努力をしていただきたいことを、私は、日本の政治のためにも、産業界のためにも、労働界のためにも、特に御要望申し上げておきます。  これは要望でありまして、最後に伺いたい点は、この三十七年度の歳出予算の概要、これの五十一ページに出ております庁舎新営に必要な経費労働保護官署庁舎新営費、それから公共職業安定所庁舎新営費というのが計上されておりますが、鉄筋と鉄骨と木造に分けて単価をお教えていただきたいと思います。それを承って、私質問を終わりたいと思います。
  74. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 前段御鞭撻をいただきました点は、たいへん恐縮に存じます。まあ私どもの名前はたいしたことはないので、どうせどうということはございませんが、しかし、ILO八十七号条約の批准問題につきましては、ただいまいただきましたお言葉に沿うように、せいぜい努力をいたしたいと存じます。  後段の点につきましては、数字等を政府委員から申し上げます。
  75. 住栄作

    政府委員(住栄作君) 庁舎新営の予算につきましては、構造は全部コンクリート・ブロックで、単価は六万五千円でございます。
  76. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 全部そうですね。
  77. 住栄作

    政府委員(住栄作君) そうでございます。
  78. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 終わります。
  79. 田上松衞

    主査田上松衞君) 他に御発言もないようです。他に私の手元に今まで申し申みがございませんので、これで労働省関係質疑は終了することにいたしたいと考えますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 田上松衞

    主査田上松衞君) 御異議ないと認めます。これで暫時休憩いたします。午後は一時三十分から再開いたします。    午後零時三十二分休憩      —————・—————    午後一時五十一分開会
  81. 田上松衞

    主査田上松衞君) 休憩前に引き続いて分科会を再開いたします。  午後は、昭和三十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算自治省所管を議題といたします。  まず、政府説明を聴取いたします。安井自治大臣
  82. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 自治省関係昭和三十七年度歳入歳出予算につきまして、その概略を御説明申し上げます。  昭和三十七年度の自治省所管一般会計予算は、歳入三千四百余万円、歳出四千五百六十七億二千七百余万円であります。  歳出予算では、前年度の当初予算額三千六百十八億四千八百余万円に対し、九百四十八億七千九百余万円の増額となっております。前年度の第一次補正後の予算額三千八百三十一億六千百余万円に対し七百三十五億六千六百余万円の増額となっております。  自治省所管歳出予算に計上いたしましたものは、自治本省及び消防庁の所管事務の執行に必要な経費でありますが、以下そのおもなるものにつきましてその大要を御説明申し上げます。  まず第一は、交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れに必要な経費であります。その総額は四千四百八十二億二千百余万円でありまして、前年度当初予算額三千五百六十六億一千百余万円に対して九百十六億九百余万円の増額となっております。前年度の第一次補正後の予算額三千七百七十九億一千三百余万円に対して七百三億七百余万円の増額となっております。  この経費は、昭和三十七年度における所得税、法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の二十八・九に相当する額の合算額に、昭和三十五年度における交付税及び臨時地方特別交付金で、まだ交付していない額を加算した額を計上いたしたものでありまして、すべて交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れられるものであります。なお、地方交付税の繰り入れ率は地方財政需要の増高に対処して地方自主財源の充実強化をはかるため、昭和三十七年度以降国税三税の収入額のそれぞれの百分の二十八・九とし、百分の〇・四を引き上げたのでありまして、これに伴い、臨時地方特別交付金は廃止することといたしたのであります。  第二は、参議院議員通常選挙の執行に要する経費であります。その総額は二十四億三千六百余万円であります。この経費は、公職選挙法第三十二条の規定に基づいて、昭和三十七年七月七日に任期満了となる参議院議員の通常選挙に要するものであります。  第三は、選挙の啓発関係経費であります。  まず常時啓発に要する経費でありますが、その総額は三億五千万円でありまして、前年度の三億円に比べて五千万円の増額となっております。この経費は、公明選挙運動を強力に推進し、国民の政治意識の向上をはかるために必要な経費であります。  次に、参議院議員通常選挙の公明化推進費でありますが、総額一億円であります。この経費は、参議院議員の通常選挙に際し、選挙が公明かつ適正に行なわれるよう選挙民に周知するに必要な経費であります。  第四は、国有提供施設等所在市町村助成交付金でありますが、総額十二億円であります。この経費は、国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律に基づいて、国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し交付するものでありますが、三十七年度は前年度に比べて二億円の増額をはかったのであります。  第五は、奄美群島復興事業関係経費であります。まず、奄美群島復興事業費でありますが、総額十四億四千九百余万円でありまして、前年度の十四億一千五百余万円と比べて三千三百余万円の増額となっております。この経費は、奄美群島復興計画に基づく昭和三十七年度分の事業実施するために必要な経費及びその運営に必要な人件費等であります。  奄美群島復興計画は、昭和二十九年度から昭和三十八年度までの十カ年計画で、国費百二十一億一千八百余万円をもって、同群島の復興をはかるため、公共土木施設の整備、産業の振興等総額二百十四億一千九百余万円の事業を行なおうとするものであります。本事業は順調な進捗を見せ、逐次その成果をあげて参りましたが、昭和三十七年度末における事業の進捗率は、国庫補助事業の計画総額に対し約八八%に達する見込みであります。  次に、奄美群島復興開発融資基金出資金に必要な経費でありますが、その総額は六千万円であります。この経費は、奄美群島における産業振興に必要な金融の円滑化をはかるため、奄美群島復興信用基金に対する追加出資に必要な経費であります。奄美群島復興信用基金は、創設以来、その目的達成のため努力をしておりますが、群島経済の復興をはかるには、なおその資金に不足しておりますので、明年度においても追加出資をしようとするものであります。これにより同基金に対する昭和三十七年度末における政府出資総額は三億二千万円となります。  第六は、公共土木施設及び農地等の小災害地方債の元利補給に必要な経費でありますが、総額八億九千六百余万円で、前年度の三億七千五百余万円に比べて五億二千余万円の増額となっております。この経費は、昭和三十三年、三十四年及び三十六年の各年度における公共土木施設及び農地等の小災害にかかる地方債について昭和三十七年度分の元利償還金相当額を関係地方公共団体に交付するために要するものであります。  第七は、地方財政再建促進に必要な経費でありますが、総額二億五千余万円で、前年度の四億九千三百余万円に比べて二億四千二百余万円の減額となっております。この経費は、財政再建債に対する再建の指導及び財政再建団体が起こしました財政再建債に対する利子補給を行なうために必要な経費であります。前年度に比べて大幅な減額となっておりますのは、財政再建が順調に行なわれ財政再建債の償還が進みましたのに伴い利子補給金が減少することによるものであります。  第八は、固定資産税特例債の元利補給に必要な経費であります。その総額は三億九千四百余万円で、前年度の二億一千七百余万円に比べて一億七千六百余万円の増額となっております。  この経費は、地方財政法の規定に基づいて、固定資産税の制限税率の引き下げに伴う減収補てんのための地方債について、昭和三十七年度分の元利償還金相当額を関係市町村に交付するために要するものであります。  以上のほか、住所表示制度の整備を促進するため一千八百余万円を計上しておりますが、これは、町名地番制度審議会の答申に基づいて、住所表示制度合理化し、国民の日常生活の便益を増進するため、新住所表示制度を実験的に実施するために要する経費であります。  さらに、新市町村の建設促進指導するための経費として三千三百余万円、新産業都市の建設促進するため地方開発関連調査費として一千余万円、辺地地域における公共的施設の総合整備を促進するための経費として八百余万円、地方公務員の新退職年金制度実施するための経費等を計上しております。  また、固定資産税の評価制度の改正、地方公務員の新退職年金制度実施等に対処するため、定員を十八名増加いたしております。  なお、予算計上の所管は異なっておりますが、当省の事務に関係のある予算といたしまして、公営企業金融公庫の経営基盤を充実するために必要な政府出資金を増額するための経費三億円が別途大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。これにより昭和三十二年度以来の公営企業金融公庫に対する政府出資金は二十四億円になります。  以上が自治本省関係一般会計予算の概要であります。  次に消防庁の予算の概要を御説明申し上げます。  まず第一は、消防施設整備費補助に必要な経費でありますが、総額七億円で、前年度の六億八千万円に比べて二千万円の増加となっております。  この経費は、消防施設強化促進法に基づき市町村の消防施設整備費及び都道府県の消防学校設置費に対して補助するために要するものであります。昭和三十七年度におきましても前年度と同様消防ポンプに対する補助の増額を主とし、消防力の近代化を一そう促進する所存であります。  第二に、退職消防団員の報償に必要な経費でありますが、総額六千九百余万円であります。この経費は、消防団員が多年勤続して退職する際に、国としてその労苦を謝するための報償を行なうものであり、前年度とほぼ同額を計上しております。  第三に、消防団員等公務災害補償責任共済基金の補助に必要な経費でありますが、総額五千六百余万円で、前年度の二千二百余万円に比べて三千三百余万円の増額となっております。この経費は、消防団員等公務災害補償責任共済基金法に基づき基金が実施する公務災害補償に要する経費及びその事務費に対し国庫が補助を行ない、基金の円滑な運営をはかるために要するものであります。  第四に、消防吏員及び消防団員に授与する賞じゅつ金に必要な経費でありますが、総額一千万円で新たに計上されたものであります。この経費は、消防吏員及び消防団員が一身の危険を顧みないで職務を遂行して、死亡または不具廃疫となり、特別の功労があった場合に警察職員に準じ、賞じゅつ金を授与し、その功績を賞揚しようとするものであります。  そのほか、災害予防宣伝事業等を日本消防協会に委託するために要する経費として一千四百万円を計上いたしました。  次に特別会計予算の概要を御説明申し上げます。  自治省関係特別会計といたしましては、大蔵省及び自治省所管交付税及び譲与税配付金特別会計だけでありますが、本会計歳入は四千八百五億九千七百余万円、歳出は四千七百九十四億六千百余万円でありまして、歳入一般会計から地方交付交付金及び臨時地方特別交付金の財源として受け入れられる収入、地方道路税法及び特別とん税法の規定に基づき徴収する租税収入、交付税及び譲与税配付金特別会計法の規定に基づき前年度の決算上の剰余金の見込み額を本年度において受け入れる収入その他であります。  歳出は、地方交付交付金、臨時地方特別交付金、地方道路譲与税譲与金、特別とん譲与税譲与金として、各法律の規定に基づいておのおの定められた地方公共団体に対して交付または譲与するために必要な経費その他となっております。  以上昭和三十七年度の自治省関係一般会計予算及び特別会計予算につきまして御説明いたしました。何とぞよろしく御審議のほどを御願い申し上げます。     —————————————
  83. 田上松衞

    主査田上松衞君) この際、分科担当委員の異動について報告いたします。柏原ヤス君が辞任され、その補欠として市川房枝君が指名されました。     —————————————
  84. 田上松衞

    主査田上松衞君) なお現在の政府委員出席は、安井自治大臣、柴田官房長、今枝会計課長、佐久間行政局長、松村選挙局長、奥野財政局長、藤井消防庁長官、以上のとおりであります。  ただいま御説明のありました自治省関係予算について御質疑のお方は順次御発言を願います。
  85. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最初に、今度地方税制の改正を行なったわけですが、これは税制調査会の答申に基づいて、国税、地方税を通じていわゆる税源配分ということで、画期的なことだと思うのです。このこと自体は、多年要望されたことの一部が実現されたのでありまして、このこと自体は私は前進だと思うのですね。思いますが、そこで伺いたいのは、今後におきましてこの税源配分の問題をどこまでやはり前進させるように考えているか。もう大臣がよく御承知のように、税制調査会でも税源配分を行なう前提としては、これはいろいろな角度から考えなければならないのであって、特にその一つの重要な前提としては、大臣予算委員会で答弁されましたが、国と及び地方との行政事務の再配分の問題ですね、これが一つの重要な前提になると思うのですね。今度の場合はそういう前提がまだ満たされないで行なわれたと思うのですが、今後の税源配分の問題をどういうふうにお考えになっているか、その点についてまず伺いたい。
  86. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) お話しの今度の地方税改正におきまして、ある程度の税源配分という操作をいたしたわけでありますが、これで地方と国との完全な意味の財源調整ができておるかというと、まだはなはだ、御指摘のとおり、不十分だと思います。また地方団体同士の財源帰属問題につきましても、相当の今度は改正はいたしておりますが、まだまだこれで十分であるかどうか、相当問題が残ると思います。そういった問題と、今お話しの国と地方の事務配分の問題、また地方の都道府県と市町村団体間の事務配分の問題、こういうものも合わせて今後さらにこれを進めていかなければなるまいと思っておりまして、この事務配分の問題につきましては、地方制度調査会で昨年秋から御検討を願っております。近くこの答申も出るやに伺っておりまして、私どもそういったものを参考にいたし、さらに今後もそういった調整を進めていきたいと思っております。
  87. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その国と地方との事務再配分ばかりでなく、交付制度についても、あるいはまた国の補助金、それから負担金ですね、そういう問題とも関連して、これは総合的に考えなければならぬ問題だと思うのです。そこでもう少し具体的に、国と地方の事務の再配分の問題については自治省としてどういうふうに考えておるのか。これは税制調査会の答申もあると思われますけれども、それはそれとして、自治省としてはどういうふうに考えているか、どういうあり方がよろしいか、これを一つ。  それから、やはり交付制度はこのままでいいのかどうか。それについてもやっぱり検討を加える必要があるのかどうか。それから、国の補助、負担金についてもやはり問題があろうと思うのです。そういう点について少し具体的に今後の方向についてお考えを述べていただきたい。
  88. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 行政事務の配分の問題につきましては、実は今直ちに全体的に国と地方との配分をどれとどれを分けなければならぬという問題が、総体的な問題としてはあまり課題になっていないと私は考えるのでありますが、むしろそれより国でやるべき仕事、地方でやるべき仕事の区分があるにかかわらず、国でやる仕事が地方に対しておぶさっておる。いわば十分な計算上あるいは法律上きめられた補助なり単価なりが実行されてない、こういう面はかなりあります。また当然国でやるべき仕事でありながら地方へかぶせてしまっておるというような面があります。この点を今特に地方制度調査会では御検討を願っておる、こういう事情でございます。  それから業務の配分といいますか、地方のそれぞれの団体間の問題につきましては、やはり広域経済といったようなものを考えなければならぬ。たとえば数府県が一体になって行政なり産業の水準向上をはかるといったような仕組みが徐々に今要望として起こっておりますし、それに対するそういうような行政指導をしたいと思っておったのですが、ことしの国会では法律にまでこれをきめるにはちょっとまだ成熟いたしておりませんので、方向としては、今後広域な行政、財政のエーリアというものを考えていきたい。さらに同じ県内におきましても、小都市が総合的に合併をする、あるいは相互連絡をしながら総合的に開発をしていく。たとえば北九州五市が近く合併するという運びに相なりまして、いわゆる政令都市というものに相なります。また、たとえば岡山等でも今度岡山、倉敷を中心とした一種の百万都市という構想が目下進んでおるやに伺っておりまして、したがって、地方団体内部にそれぞれの都道府県内部における地方団体の統合という問題、それから府県同士の数府県にまたがる行政、財政上の統合、こういうものをそれぞれにおいてできるだけ指導していきたいと思っておるわけであります。  それから、先般の財政問題につきましては、この交付税がはたしてこのままでよろしいかどうかということはいろいろな角度からの御意見もあろうと思いますが、私といたしましては、当分この交付制度というのは今のような形で置いていくということがよろしかろうというふうに考えております。ただ、この財政問題としまして国の補助といったような問題につきましては、まだまだ相当考える余地があるんじゃないか。たとえば三十六年度の予算におきまして、自治省といたしましては、未開発府県といいますか、後進府県、非常に財政力の弱い府県につきましては、いわゆる公共事業に対する国の補助率のかさ上げという制度をとりまして、これは法律にいたしまして、おそらく三十六年度分としても百七、八十億のかさ上げ補助額というものが支給されると思います。むろんこの三十六年度の百七、八十億円というのは、三十六年度中には直轄事業に対して出す。それから補助事業につきましては、それを精算した上で三十七年度においてこれを出す、こういう仕組みになっておりますが、結局通算いたしまして、そういったような補助行政前進をいたしておると思うのであります。しかし、まだこの補助行政、それから今の交付税との関連、そういったようなものにつきましては、これは地方制度調査会だけでも、今お話があったかと思いますが、若干機構として御検討願うのに不十分なところもあろうかと思いまして、これは今大蔵省とも相談いたしまして、しかるべき協議機関ができれば、そういったものも考えていきたいと目下検討中でございます。
  89. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今広域行政について伺ったのですが、一ころ問題になった道州制の問題ですね、あれはどういうふうに考えておりますか。
  90. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) これは正直に申しまして、道州制につきましては、地方制度調査会から、かって、将来の方向としてそういうものがあるべきじゃないかという御答申もいただいておりますし、われわれもその線について考えなければいかぬと思っておりますが、今ここ一両年のうちに直ちに道州制というものを官制的に取り上げていくというのにはまだ客観的に機運が熟していないというふうにわれわれは判断しておりまして、それよりむしろ実質上必要な広域行政をそれぞれの団体が相互にとっていく。それに対して自治省といたしましても適当な指導助言をしていく、こういうふうに当分の間やっていきたいというふうに思っております。
  91. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 道州制の問題で一番問題になるのは、首長の官選の問題ですね。この点については大臣、どういうふうにお考えですか。
  92. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 道州制の場合の長を、これを任命にするか選挙によるかという問題は、これは非常に大きな問題であります。現在の日本の自治制度が都道府県という自治制度を置きながら、またその下に市町村という基礎的な自治体があるというような組織、さらにこの道州制の場合にどういうふうに持っていくかということはかなり大きな課題であろうかと思いますが、まだ私としてはそういうものを具体的に想定しておりませんので、どちらにすべきかということのまだ結論を出しておらぬ状況であります。
  93. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 次に伺いたいのは、今度の交付税率の改訂にあたりまして、御承知のように、三十五年度の国税の減税による方の減収分ですね。これを補てんするために〇・三%ですか交付税で見たわけですね。それを今度廃止する。そのかわり今度〇・四%交付税率をふやすと、〇・一%ふえることになるのですが、これに関連しまして御承知のように、地方公務員の退職年金制度に関連しましてね、それで地方自治体が三十六億ですか国庫負担を要求したわけですね。ところが、結局まあ大蔵省は反対で、実質的にはその肩がわりという形で〇・一%の交付税率の増加ということになったんじゃないでしょうか。実質的には。
  94. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 実質的にはそうなったということも言えようかと思います。ただ、まあそれの引きかえでこうだというはっきりした取りきめではございませんが、実質上はそれが縁になって〇・三をやめる。来年交付金をやめると同時に〇・四%の定率を交付税に織り込むということができ上がったと言ってもいいかと思います。
  95. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと不交付団体はどうなりますか。
  96. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 不交付団体につきましては、これは影響がないわけであります。不交付団体といたしまても、地方公務員共済組合法を施行いたしますときに相当に支出があるわけでありまして、その支出によってさらに赤字が出るということになれば、これは交付税でその穴を埋めていくと、こういうふうにやるわけであります。
  97. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 交付税で見るのですか。不交付団体ですよ。
  98. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 不交付団体もそういったような余剰の支出ができましたために基準需要額収支に赤字が出た場合には、これはそれを交付税で埋めていく、全体としてまかなえればそれはまかなってもらう、こういうことであります。
  99. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 交付税でまかなうというのはどういうのですか。
  100. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 言葉が悪いのですが、そういう場合に赤字が出るということは、不交付団体が不交付団体でなくなるということです。不交付団体たる資格を失って交付団体たる資格を得るような場合があり得る。これは交付団体、不交付団体というのは、要するに財政上の計算上起こってくる問題でありまして、初めから動きのつかぬという問題ではないわけであります。その年の財政によって交付か不交付かということがきまるわけであります。
  101. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは今の地方公務員の退職年金制度実施によって、東京都がたとえばいきなり全体として赤字団体になると、こういうふうにはちょっと考えられませんがね。いろいろ自然増収や何かあるのですけれども、しかし退職年金制度実施によって東京都でそれだけ負担がふえることによってほかの財政支出に影響が起こってくるわけでありましょう。ですから、それについては最初自治体の分三十六億の国の負担を要求したのですが、そのほうが私はすっきりするのじゃないかと思うのですがね。じゃあ、東京都について交付税でめんどう見るといっても、東京都が交付団体にならなければめんどう見ないわけでしょう。そういうわけなんでしょう、全体を総合しちゃうのですから。
  102. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) お話しのとおりであります。そこで今のこれは一割国庫負担という問題がこの二年間、一昨年の予算編成の際起こり、三十六年度の際も起こって、これは大蔵省と物別れになって、とうとう共済組合制度というものが実施延期になったわけであります。そこで三十七年度に同じような意味で一割の国庫負担、これは私は理屈は十分あると思うのでありますが、しかしこれに対して大蔵省側としては大蔵省側の理屈がある。こういった共済組合法を施行しておる団体でも、国が補助していない団体もほかにもある。ことに地方団体としては地方の公共団体自体がこれは負担してやるべきものであって、国がそれをわざわざやる必要がない。全体の建前からいけば、全体の財源補給というものは交付税を通してやるのだからということで、これをどこまで進めていきましても、両方結論に達しない。そこで、そのままいけば一年延びてもいいかといいますと、私ども最近の状況から、これはぜひ実施をしたほうがよろしい。同時に、それに当たります、三十数億といいますけれども、三十七年度につきましては少なくとも十月以降の実施、それから義務教育関係のもの等につきましてはこれは当然補助が出る、人件費上出るわけでありますから、実際の支出額は三十七年度につきましては十五億円で、十五億のうちの十億余まりが全体のいわゆる交付団体に対する必要額、それから五億足らずが不交付団体に対する必要額、こういうふうに大まかに区分ができようかと思います。したがって、御指摘のように、東京都と大阪、その他大都市、大府県で交付団体になっているようなものについては、総額四億ぐらいの負担増というものがこの国庫負担をやらないために起きておることは、これは事実でございます。しかし、これはその程度でございまして、分けて見れば、その団体の非常に大きな影響力というふうにも考えておりませんし、税の増収等もあるときでありますから、その程度は不交付団体についてはひとつここらでがまんしていただく。さらに三十八年度以降等は、この様子を見た上で、必要があれば、税制の上なり、あるいは交付税の上なりでさらにまた必要な措置を考えていきたいと思っております。
  103. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 東京都の場合です。不交付団体ですね。特に東京都の場合、義務教育費の国庫負担について、あれは建前としては教職員の経費の半額国庫負担になるわけですね。東京都の場合は減額されているように聞いておりますが、そうなんですか。
  104. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) これは東京都も義務教育費については半額負担という建前をとっておるわけであります。しかしながら、東京都は全体の財政といいますか、首都であるというようなことから、教員に対する給与は全体のレベルより高いわけであります。そこで東京都が受けておる補助といいますのはいわゆる定額定員、この東京都は、普通国できめられている標準定額定員によればその半額は幾らであるという計算分だけを受けているのでありまして、その上に越した分につきましては、これは全部自治体が自主的にやっているものだからということで、この分については補助を受けていないのです。
  105. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この補助をさらに減額するというような意向が大蔵省にあるやに聞いておるのですが、そうなんですか。
  106. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) これは減額になりますかどうかなんですが、少し計算の算式方式をを変えてはどうかということは、大蔵省にも一つの理屈はあるわけなんで、いわゆる黒字団体の財政状況自体によってこれをもう少し加減してはどうか、こういう意向があったことは事実でありますが、私ども今せっかくきめておる定額定員に対する半額国庫負担は動かさないほうが地方団体としてはよろしかろう、安定するという意味からこれは反対いたしまして、大蔵省が取り下げておるという状況であります。
  107. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この地方公務員の退職年金制度実施に伴って、さっきのお話ですと、東京——不交付団体では大体四億ぐらい財政負担になるというお話だったのですが、これに対して、どうもわれわれが聞いておるところでは、これは正確かどうかわかりませんが、大蔵省から相当圧力がかかって、最初の三十六億ですか、国庫負担の要求に対して、大蔵省側からそれにあまり強く固執するのであれば義務教育費の国庫負担分は減額するぞとか、もっとするぞとか、あるいは臨時交付金の廃止ですね、をするぞとか、そういうふうにいろいろ圧力がかかったので、そこで結局妥協して、それで臨時交付金は廃止するが、そのかわりに交付税は〇・四%上げる、それで退職年金に対しては交付は行なわない、そうして義務教育費国庫負担の不交付団体に対する一切の減額は撤回する、そのかわりに今後審議会で検討するというようなことになったように聞いておるのですね。そうしますと、この減額するについては、まだこれが撤回したといっても問題がそこで解消したわけでなくて、審議会の答申いかんによってはまた東京都あたりでは減額される可能性も出てくるわけですね。そういう点ですね。これは財源調整という立場からそういうことをお考えになっておると思うのですけれども、どうもわれわれには納得いかいなのですね。地方公務員の退職年金によって、まあ財源があるから四億の負担はしてもいいのだ、そういうだけでよろしいのかどうかですね。それは財源は相当あっても、東京あたりはまた支出も非常に大きいわけですから、むしろ考え方によっては、もっと行政水準をほんとうに高めて自立させようとすれば足りないという見方も成り立つわけなんですね。ですから、富裕府県であるからなるべくそこの財源を取ってそれで貧困自治体にそれを回すという考え方ですね、こういうことは基本的には私は問題があるのじゃないかと思うのですね。やはりもっと全体をにらんで、国の立場でそういう財源調整というものはやるべきじゃないかと考えるのですが、こういう点どうなんですかね。
  108. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) この点は全く木村委員の仰せのとおりであろうと私ども心得ておるわけでありまして、今問題は二つあろうかと思いますが、一つは例の一割国庫負担というものを富裕団体の負担にしてしまっておるのはいささか穏当じゃないじゃないかという御議論は、これは私もその議論としてわからぬわけじゃないのでありますが、実はこの一割補助の問題につきましては、ほか団体、三公社五現業といったようなものにも国が出しておらぬわけでありまして、そういったようなものとのバランスもあって、大蔵省としては補助の形でやることはどうしてもできないということで、いささか残念でありましたが、交付税のほうに振りかえるということも、これは理論の立て方としては、まあまた考え方によってはそれでやっていってもいいじゃないかということも考えられるものでありまするから、従来の主張を一応引っ込めて、そのかわり交付税のほうで見る。〇・一上がりました分がちょうど十五億、こういうことになりまして、不交付団体、少なくとも三十七年度分につきましては十分な措置がこれでできておるというふうに考えておるわけであります。  それからもう一つ御指摘の、地方団体間同士の財源調整をやることによって大蔵省は常に何かをたくらんでおるのじゃないか、これもお話しのとおりでございまして、今までは大蔵省はやはりそういった一種の富裕団体というようなものを考えて財源調整を地方同士でやりたいという希望は常に持っておったのであります。しかし、ことし三十七年度の予算を組みます際に、なるべく義務教育費の問題であるとか、それから今の交付税率の問題とか、いろいろ議題には供して参りました。しかし、これも予算の折衝のいわばやりとりの過程で、まあ大蔵省側としては何か種を出しておかなければおさまるところにおさまらぬといったようなことも正直な話あったと思いまして、まあそういう問題がそう今後大蔵省が無理をして、どうでもこうでもやる、こういうふうには言ってないので、だんだんと考え方も最近は変わってきておる。こういうものが今度の税源調整等にもある程度現われてきているということであります。また富裕団体と言われております東京都にしましても、大阪市にしましても、まだまだやる仕事は、御承知のとおり、非常にたまっておってむしろ考え方によっては、首都としてのレベルから言うならば、まだやり足りない、財源が足りないという計算も、計算の仕方によっては出てこようかと思います。そういうようなことがありますので、私どもは、今お話しのとおり、地方団体間だけの調整ということには今後も絶対に応じない建前をとってやっておるわけであります。
  109. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はその建前はやはり貫いていただきたいと思うのですが、財源調整ということで、国が腹を痛めないで、それで富裕団体からの財源で貧困自治体の財政の困難を調整するということは、考え方自体が間違っておると思いますので、その点は自治大臣の考えははっきりしましたが、その建前は、今後この財源調整の問題はさらに前進されると思いますので、そういう際に、そういう建前で貫いてもらいたいと思います。  次に、これは具体的な問題ですが、今度の財源配分によって、これは予算委員会でもお伺いしたのですが、どうも各自治体間に不権衡が生ずるのじゃないかという感じがしてどうも仕方がないのですが、具体的に、各府県別、市町村別には無理だと思うのですが、その実態がわかるといいですが、予算委員会では自治大臣は、今度の国税、地方税を通ずる税制改正によって、三十七年度に、ある府県では何パーセント増収になるというようなことを御答弁ありましたが、それは自然増収等含めて計算されていると思うのですね。私は、自然増収というのは別にしまして、今度の税制改正によってどうなるかという結果を承りたいのです。
  110. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 地方同士の財源調整につきましては、今、最初御指摘の富裕団体なり、不交付団体を犠牲に供してのこの財源調整はいかぬ、この建前も、今度は貫いたつもりでございまして、そのために都道府県の府県民税というものを所得税から分割をして、一部委譲をする。それからたばこにつきましては、配分の方法を変えることによって地方は非常に有利に相なりますが、その点は、そのかわり二%だけたばこ消費税の率を上げるということによりまして、配分の変更によって不利になった分は地方団体、いわゆる不交付団体も、上がった率でカバーできるというふうな操作をやったわけでありまして、個々の府県について、どういうふうに増税になりますかという点については、まだ今なかなか集計ができないわけであります。今度の配分が地方へ幾ら行って、いわゆる国からの配分が幾らで、そして地方同士の配分がこうなったという数字は、事務当局からも御説明できるかと思っております。  それからもう一つ、今お話しの基準財政需要額というものを計算いたしました結果、先般予算委員会でもちょっと簡単に申し上げましたように、大体地方の貧弱府県と言われております府県が全部二〇%前後の基準財政需要額の増加というものを見込み得るような見通しになっております。それに対するいわゆる需要額というものは、交付税でまかない得る金額の範囲内だと心得ております。
  111. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その交付税で見るとしても、その基準財政需要全部を見るわけじゃないですね。大体八割ですか、そうですね。
  112. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) やはり収入も八割でいきますから……。
  113. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私の聞きたいのは、今度府県税が平年度で四百二十二億ですね。初年度は。
  114. 大村襄治

    説明員(大村襄治君) 二百七十三億です。
  115. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 二百七十三億ですね。それで地方自治体自体の減税と、それから国のほうから財源を分ける。これは都道府県民税の増税とたばこ消費税でありますね。そのほかに地方自治体として減税する分があるわけですね。それから国から入場税として取られる譲与税関係では、地方道路税は少し増税になるのですね。差っ引いて譲与税関係では、取られる分が大きいわけですね。そういう国に取られる分と、それから国から地方に増収分として与えるそれとの差っ引きと、それから地方自治体自体がもらう限度ですね。そういうものを総合しまして、平均として私の結論というのは百十三億ぐらいの減税になるように思ったのですがね、地方自治体としては。それは全体としてそうなんですが、それは府県別に見ますと、非常に差があるのじゃないかという気がするわけです。その点をこれは自然増収は一応別にしまして、今度の国税、地方税を通ずる税源配分によってそのために格差が生じたのではいけないのではないか、そういう点なんですよ。
  116. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) その点につきましては、また詳しい数字については政府委員から答弁するかと思いますが、今御指摘のように、税源の減税の分につきましては、初年度が二百七十三億、平年度が四百二十二億、これに対しまして、税源配分によって国から委譲を受ける金額が初年度は二百五十二億、平年度二百七十五億。これは府県民税とたばこ消費税との金額である。それに対しまして、今お話しの入場税というものの譲与税制度をやめますために計算上百七十億がそれぞれ減る。差し引いたしまして、初年度が八十二億、平年度が百五億だけ税源がふえる。これはいわゆる自然増とかそういったものを計算しない上であります。八十二億の初年度の増のうちで、これは都道府県が四十六億、市町村が三十六億ふえる。それから府県が百五億ふえますうちに、都道府県が六十六億、市町村が三十九億、これが平年度合計百五億ふえる。こういう格好でありますが、実は入場税を百七十億減るという計算をしているわけであります。しかし入場税の百七十億というものは、これはいわゆる大衆課税の最たるものでありまして、逐年これは税率を安くしていくということをどうしても考えなければならぬ。地方税であってもこれは当然考えなければならぬし、ことに今度国税でこの譲与税を廃止してしまったら、約半額程度にこれは減税をしているわけでありまして、実質上は百七十億の響きというより、せいぜい七、八十億の響きなんでありまして、今度の税源の配分をやった結果といたしましてというような意味から、この数字の出ております八十二億なり百五億よりは、さらに七、八十億ふえた財源の確保が、地方団体ではできているというふうに言えようかと思います。
  117. 田上松衞

    主査田上松衞君) 大村参事官、補足説明しますか。
  118. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 できたら、どうかひとつ。
  119. 大村襄治

    説明員(大村襄治君) 税源配分の影響について、ただいま大臣お話し下されました点を少しく詳しく申し上げたいと思います。  税源配分によりまして地方団体の税収入に影響のある項目は三つほどあるわけでございます。第一が、道府県民税税率を所得税の税率との関連において改正して道府県民税の増収をはかるという点でございますが……。
  120. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは幾ら。
  121. 大村襄治

    説明員(大村襄治君) この点が、初年度、三十七年度でございますが、百八十一億、平年度百九十八億でございます。  第二の項目が、たばこ消費税の税率の引き上げという点でございまして、これが初年度七十一億、平年度七十七億。  第三の項目は、法人事業税の分割基準の合理化でございますが、これは地方団体の相互間の税源の移動のある事項でございまして、総額は変わりございません。したがいまして、道府県民税とたばこ消費税の二つを加えますると、初年度で二百五十二億、平年度で二百七十五億の地方全体の増収に相なるわけでございます。  それに対しまして地方団体の収入の減る項目といたしまして、入場税の地方譲与の制度の廃止の問題でございます。これは国税と地方との関係で、この際廃止をするようになっておるわけでございますが、その額が初年、平年とも百七十億というふうに……。
  122. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 百六十一億じゃないか。
  123. 大村襄治

    説明員(大村襄治君) これは三十六年度の地方財政計画におきましては百六十二億というふうに計上しておりますが、その後の若干の増もございますので、三十六年度末で廃止するといたしますと百七十億というふうに推計されるわけであります。この百七十億の減収分を差し引きますと、初年度で八十二億、平年度で百五億の増収と相なるわけでございます。
  124. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 地方道路税があるでしょう。
  125. 大村襄治

    説明員(大村襄治君) 地方道路税のほうは制度改正ございませんで、これは自然増収でございます。先ほど一般の税の自然増は度外視してというお話がございましたので、その点ははずして申し上げておるわけでございます。  以上が税源配分による差し引きの数字でございます。ところが、一般減税の数字は先ほど大臣が御説明申し上げましたように、初年度二百七十三億、平年度四百二十二億の減収が見込まれるわけでございます。税源配分により差し引きの額と一般減税の額とを加えますると、全体で初年度百九十一億、平年度三百十七億の減という数字になるわけでございます。これは府県市町村通じて地方全体の見通しでございます。  なお団体別の影響になりますると、この改正項目がこの団体にどういう影響を及ぼすかという点をしさいに検討しないといけないわけでございます。たとえば税源配分の第一項目であります道府県民税の税率の改正の影響でございますが、この影響は現行制度でありますると、大体三十七年度三百二十億くらいの収入見込みがありますところを、改正によりまして五百億、三百二十億程度のものが百八十億ふえて五百億程度になるという見込みでございます。今までの累進税率を比例税率に改めましたことの効果といたしまして、百八十億の増収分というのが主として財源の貧困なほうの増し歩合が多くなる。私どもの推計でございますると、不交付団体の府県における伸びが平均三割程度なのに比べまして、交付団体のほうの伸びが六割くらいという、これはまあ大ざっぱな推計でございまするけれども、そんなような見当も立つわけでございまして、百八十億の増収の行く先という点から見ますると、概して財源の貧困な団体のほうによけい増収分が回って参る、こういうふうな見通しでございます。  また地方たばこ消費税の税率の引き上げと同時に、課税標準の合理化実施することといたしております。従来は地域内の販売店の販売価格に対して税率を乗じて税収を算定しておったのでございますが、今回の改正によりまして、前年の全国平均の一本単価というものを基礎にいたしまして算定をするというふうに改めております。これによりまして、もし税率の引き上げがなかった場合には、不交付団体から交付団体に、府県、市町村を通じての移管でございますが、四十億くらいの税源が動く。ただ税率の引き上げが府県、市町村それぞれ一%ずつでありますので、七十一億の増収でございますが、それと同時に行なわれますので、効果といたしましては不交付団交の減もそれほど多くは出ないという見込みでございますが、制度的にはそういうふうな改正も実施したいと思います。  それから法人事業税の分割基準の合理化ということで、従来従業員の数をなまのまま分割の基準に用いておりましたのを、本社所在の都道府県におきましては、従業員の数を二分の一に落として計算するというようなことをいたしております。これによりまして平年度二十億、初年度十三億の税源が不交付団体から交付団体に回ってくるというような改正も同時に織り込んでおりますので、税源配分の全体の見通しと団体の影響という点は、今申し上げましたようなことが組み合わさって現われて参りますわけでございます。試みに道府県の段階で申し上げてみますと、税源配分の改正によりまして、先ほど平年度二百七十五億の増と申し上げたと思いますが、そのうち、道府県分が二百三十六億でございます。そのうち交付団体分が百九十五億の増、不交付団体四十一億の増となるわけでございます。  一方入場税の地方譲与制度の廃止による減百七十億、これは実際問題といたしまして交付団体の減になるわけであります。その百七十億を差し引きましても、交付団体は二十五億の増、不交付団体は四十一億の増、そういう団体をグループ別にして推計いたしますとそういうような状況が見込まれるわけでございます。したがいまして、この府県を財政力指数でABCDあたりに分けて推計してみますると、現在の段階では正確な計算はしがたいわけでございますが、大体の傾向といたしまして、ABの段階は入場税の譲与制度の廃止を織り込みましても相当な増収が見込まれる。それからCの段階におきましても相当数の県はやはり相当増収の傾向が看取できる。Cの一部とDの一部でございますが、若干入場税の譲与制度の今までの収入額を減とみなしました場合の推計におきましては若干の減を生ずる団体が見受けられる、大体そういうふうな状況でございます。各府県におきましては、この改正法ができましてから、それぞれ関係県の収入を組むのでございますので、大体の傾向としましては以上のようなことになっております。
  126. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体わかりましたが、どうも私が心配するのは、その格差がこの税源配分を通じて出てくるんじゃないかという気がしたものですから、しろうと的な計算をしてみたところ、格差が出てきたわけなんですよ。これはわれわれの計算方法にやはり問題もあるんじゃないか。過去の実績をもとにして入場税を廃止したときはどのくらいどの府県が減る、そういうことでやった結果、府県別に非常に格差が出てきたわけなんですよ。ただいまのお話でも、Cの一部とか、D等については若干の減収が出てくると言うのですが、やはり格差が税源配分のために出てこないように今後措置される必要があると思うのですし、そうした場合のまた措置ですね。交付税等でこれはまた見なければならぬと思いますが、その点十分よく検討されまして、そのために格差が出てきたのではこれは非常にいけないことだと思いますので、そういう点について御意見を伺っておきたいんですが。なお、資料的に、今すぐじゃなくてもいいです、実態が知りたいわけですから。これは自治省としても十分必要であると思われますので、多少時間がおくれてもけっこうですから、その資料ができましたら、御提出願いたいと思うんです。
  127. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 資料につきましては、御承知のとおり、交付税を配分いたします際には、各都道府県、市町村別に全部一応基準計算をやってしまいますから、そういうときは必要な資料の御提供もできようと思いますし、それから今の事務局のほうで申し上げましたのを概括的に言いますと、たとえば税源の配分というものを、初年度におきましては、今の団体間の配分ですが、これが八十二億できておりますうちに、交付団体に有利になっておるのが五十四億、不交付団体は二十八億しかふえない。それから平年度におきましては百五億税源の配分ができるわけでありますが、そのうち交付団体に対して八十億、不交付団体に対しては二十五億しかふえない、こういうふうな税源上のあんばいはいたしております。さらにしかし個々の団体で不足する分、あるいは税源の著しく減るというような財政事情の悪くなった分につきましては、交付税のほうでそれに必要な操作をやりまして、個々の分につきましてはまだ出ておりませんが、全体の趨勢につきまして、財政局長から御説明申し上げます。
  128. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 地方税制の改正を行ないます場合には、税源の帰属としては不交付団体と交付団体との関係がどうなるか、これをしさいに検討しなければならない、かように考えておるわけであります。交付団体の間にありましては、団体間に若干税収入の帰属がどう変わろうと、地方交付制度で究極的には調整されるわけでございますので、それほど神経質になる必要はないのではないか、こう考えるわけでございます。先ほど説明がありましたように、交付団体につきましては多少酷なくらいな調整を地方税制の改正において加えておるわけであります。県民税につきましてもしかり、たばこ消費税についてもしかりでございまして、課税標準なり、累進税率のあり方等についてたいへんきびしい改正を加えておるわけでございます。そういうことがございますので、交付団体の税収入の増加は非常に少ない程度にとどまっておるわけでございます。交付団体の間につきましては、基準財政需要額を算定いたします際に、常に税収入がどう変わっていくかということを念頭に置いているわけでございますが、先ほど御指摘のありましたように、基準財政収入額は府県にありましては標準税収入の八割、市町村にありましては標準税収入の七割、こう算定するわけでございます。したがいまして、税収入が伸びていけばいくに従って二割分なり、三割分なり計算の外に置かれる額が多くなってくるわけでございますので、自然、基準財政需要額を増額します場合には、税収入の乏しい団体に比較的には多く増額されるような改正をしていかなければならない、こう思っているわけでございます。府県につきまして、今回提案をいたしております地方交付税法の改正案によって参りますと、交付団体をAグループからDグループまで分けておるわけでございます。分けるにあたりましては、基準財政収入額を基準財政需要額で除しまして、その価の大きいほど財政の豊かな団体であるということにいたしておるわけでございます。そういたしますと、Aグループにおきましては、高校急増対策とか警察官の増員、この特殊なものを除いて計算をいたしてみます。そういたしますと、Aグループは静岡、兵庫、福岡、京都、広島、山口、埼玉、三重、岐阜、富山、これだけの府県でありますが、一八・九%の増加になっております。Bグループは滋賀、千葉、長崎、和歌山、茨城、石川、岡山、栃木、北海道、愛媛でございますが、一九・二%増加して参ります。Cグループは群馬、新潟、長野、香川、宮城、奈良、福島、福井、熊本、佐賀、宮崎、大分でございますが、一九・四%に伸びて参ります。Dグループは青森、岩手、山形、高知、島根、山梨、秋田、鹿児島、徳島、鳥取でございますが、このグループは二〇%にさらに伸びて参ります。このような改正を行なっておるわけでございます。さらに、先ほど大臣が話されましたように、後進地域開発のための公共事業費の国庫負担の特例措置、これによりましてAグループはほとんどこの加算を受ける団体はございません。一、二ある程度でございます。Bグループ以下に対しまして百八十億円をこえる財源が別個与えられるわけでございます。このことは基準財政需要額の計算には算入いたしておりませんので、全くプラスになるわけでございます。そういたしますと、AグループよりもBグループ、BグループよりもCグループ、CグループよりもDグループのほうの財源が、こういう国のほうで操作できる方面においてかなり加算されてきているということを御了解いただけるのじゃないかと思うのでございます。  地方税収入のあり方としては、まさしく財政力の豊かな団体のほうに自然増収が多く出て参る、こう私たち判断いたしておるわけでございます。でありますればこそ、こういう方面で格差是正をいたしたわけでございます。全体を通じまして均衡の得られた財源の帰属が行なわれる、こういう期待をいたしておるわけでございます。
  129. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 次にお伺いしたいのは、さっき自治大臣お話しになったのですが、この行政事務の再配分の場合、当然これは国がやるべきものとそれから地方自治団体がやるべきものと区分してやることが理想的なんですが、現状において国が行なわれる事務をその地方に行なわしめて、その場合の事務費につきまして、ことに人事費等につきまして国が十分にこれを補てんしていない、地方自治体に負担さしているという問題があるわけです。これはもうすでに御承知と思うのですが、国民年金につきまして具体的に問題が起こっているわけですね。それは平塚市においてこういうケースがあるわけですね。平塚市におきまして、今の地財法第十条の四によりますと、国民年金の事務費は地方自治体に負担さしてはいけないことになっているのですね。で、第十条の四項によりますと、御承知のように、「もっぱら国の利害に関係のある事務を行うために要する左の各号の一に掲げるような経費については、地方公共団体は、その経費を負担する義務を負わない。」ということになっておるのですね。その中で、「健康保険、日雇労働者健康保険、厚生年金保険、国民年金、労働者災害補償保険、失業保険及び船員保険に要する経費」、この経費は、地方公共団体はその経費を負担する義務を負わないことになっておるのですが、ところが、実際には地方自治体にこの経費を負担さしているわけなんですね。で、厚生省は三十六年度ですか、二十一億三千万円、市町村にその人件費を交付しているのですけれども、国の交付金だけではまかなえないわけですね。そこで、かなり地方自治体の負担において人件費等をまかなっている事例があるわけです。そこで平塚市の場合、そういう事実を指摘して、それで平塚市の監査委員の監査を求めたわけですね。これは地方自治法の二百四十三条の二ですかに基づいて、そうしてその監査委員の監査の報告が出ているのです。監査委員の監査の報告は、要するに、国の事務であるがゆえに地方公共団体はこれらに要する経費については当然に負担する義務がないとされ、言いかえれば、国がその必要経費の全額を負担するということであって、これらの事務の完全な執行が困難であるということから直ちに地方公共団体がその経費をみずから積極的に負担するということは、たとえそのことを禁止しているものではないという法の趣旨であるとしても、いたずらに負担区分の原則を無視することになり、地方財政の健全な運営をそこねるおそれがある、こういうように結果を報告しているのです。そして自治省の意見も徴したようであります。自治省の意見としては、地財法十条の四の規定は、同条の事務について地方公共団体が国庫支出金を越えて当該事務の執行に要する経費の支出を禁止している趣旨のものではない。禁止しているのではない。だから、地方自治体が自発的に負担する場合には、これは十条の四の規定に反しないのである。こういう自治省の解釈らしいのであります。これは私はそういう解釈は当たらないと思うのです。地方自治体も自分の自治体の経費をさいて国民年金、人件費等を負担すれば、ほかの経費に影響があるのですから、喜んで積極的に私は負担しているのじゃないと思うのです。厚生省のほうの交付金が少ないからやむを得ず、また、その重要な事務をほうっておくことができませんから、やむを得ず負担しているというのが実態でないかと思うのです。そこで、こういう負担については、やはり自治省としてこれは正しいものではないという指示をやるべきではないかと思うのすが、この点についてはどうお考えですか。
  130. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) お話しのように、特に人件費につきまして国の負担区分が少なきに失するというような問題があるわけでございます。私たちも苦慮をいたしておるわけでございます。地方財政法に規定しているとおりに、必ずしも負担分が支出されていない。しかし大蔵省の側に言わせますと、全額を負担するということになれば、老令の給与の高い人たちをそちらに回すことになってしまう、また回されておるから結果において少ないという事実もないわけではなかろうと、こういうような見解を持っているわけでございます。しかしながら、そういたしましても、実質的に御指摘になりました国民年金なり、あるいは国民健康保険なりの事務についての国庫負担分が私たちも少ないと、こう考えますので、実態調査に基づいた結果を大蔵省にも示しまして、年々引き上げの努力を払っているわけでございます。事務の所管としては厚生省でございますけれども自治省からのそういう意見もあずかって、若干毎年引き上げられはしてきている、こう思っているわけでございます。  今おあげになりました職員の給与費のうち、ものによりましては、国費の職員がそれらの仕事を直接やっているわけでございます。ものによりましては、機関委任されまして地方公共団体の職員がそれらの仕事をやっているわけでございます。国費の職員がやっているということになりますと、超過負担という問題は原則として起ってこないわけでございます。機関委任されて参りまして地方団体の職員がそれをやるという場合に、今御指摘のような問題が起きてくるわけでございまして、将来、こういうような問題をどう扱うことが実際に適当しているのかということにつきましては、なお私たちは研究の余地があるような感じを持っているのであります。事務を地方団体に委任して全額給与費を国が負担することになります。しかしながら、国はどちらかといいますと、一律的な基準で地方団体に配分して、地方団体その他におきましては給与の額はかなり違って参るわけでございます。担当職員のあり方によっても違ってくるわけでございます。したがいまして、今のような制度を続けていきます限りにおいては、私は若干そこに差が生じてくると思います。その程度を越えて今の金額は少ないと思います。やはり大蔵省に対しましても、地方財政法の考え方というものをはっきり守ってもらいたい、そうして経費についての負担区分を国も府県も市町村も適正に守っていくというような姿にいたしません限りは財政秩序は確立してこない、こういう心配を持っております。お話しいただきましたような線に沿って今後も努力していきたい、こう思っております。しかし、基本的には制度のあり方についてなお検討を払っていかなければならぬ余地はあるだろう、こうも思っておるわけであります。
  131. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 地方財政運営の基本を規定した地財法の第二条二項によれば、「国は、地方財政の自主的なかつ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」とございます。この原則は守らなければならないと思う。私の感じでは、地財法の第二条第一項のほうで、「地方公共団体は、その財政の健全な運営に努め、いやしくも国の政策に反し、又は国の財政若しくは他の地方公共団体の財政に累を及ぼすような施策を行ってはならない。」、この点のほうが非常に強く強調されて実施されていまして、第二項のほうがどうもここで無視されている、とまでは言わないまでも、軽く扱われているのではないか。今の国民年金の事務なんかについても、いい例だと思うのです。これは私は十条の四ではっきりこういうふうに規定しているのですから、実際は地方自治体が自発的に負担するのはかまわないという、そういうような妙な、われわれから言えば、官僚的な解釈ですね。そうして、その事態を軽視するのではいけないと思うのです。やはり地財法の第二条の精神というものに基づいてこれは当然国が負担すべきものと私は思うのです。そういうふうにやはり今後指示されるべきじゃないかと思うのです。  そこで、これに関連して厚生省のほうに伺いたいのですが、厚生省としては現在国民年金事務の単位費用を幾らに見ておるのか。またそれが十分であるとお考えになるかどうか。それから、もう事実において市町村は人件費の二、三割を市町村のみずからの負担においてこれを補てんしているのですね、非常に不十分でありますから、厚生省のほうは。そういう実態をちゃんと把握されているかどうか。そうして、前に厚生省は、三十七年度から市町村に負担をかけないよう予算措置をとりたい、こういうようなことを高木国民年金課長の談話が読売新聞に掲載されておる。それで三十七年度においては市町村に負担をかけないような予算措置をとっているか、その点について伺いたい。
  132. 高木玄

    説明員(高木玄君) 拠出制国民年金の事務費の単位費用でございますが、三十六年度中の予算は被保険者一人当たり九十円ということで予算が組まれております。三十七年度におきましては、被保険者一人当たり百十円ということで二十円の増額を見ておるわけであります。御指摘のとおり、地方財政法の規定の趣旨からいたしましても、国の事務である国民年金事業等の執行のために真に必要な費用につきましては、市町村に持ち出しさせないというのが建前でございます。まあ、そういう方向で私ども努力して参っておるわけでございまして、今後とも必要な予算確保については努力いたす所存でございます。  なお、三十五年度のこの拠出制国民年金の市町村に対しまする事務費の予算額は約十七億でございます。三十五年度におきまする全国市町村の決算につきまして調査いたしましたところ、国民年金事業のために各全国市町村が支出した費用の総額に対しまして、こちらから交付いたしました交付金の額が七三%に当たっております。したがって、十分でない点につきましては実態を存じておるつもりでございまして、なおそういった点につきまして、今後とも真剣に努力いたす所存でございます。
  133. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵省、だれかいますか。
  134. 田上松衞

    主査田上松衞君) ちょっとお待ち下さい。
  135. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 問題は、やっぱり大蔵省にかなり問題があると思うんですね。で、建前としては、私は、自治省のほうの建前、そういう十条の四、この建前はやはりあくまでも貫いていただきたいですね。それで、平塚市の場合に監査委員の人が自治省に意見を求めたわけですけれども、これは自発的に負担するんだからまあ法律には違反しないという解釈はできるかもしれませんけれども、そこはもう少し十条の四の建前、それから地財法第二条第二項の建前は貫くような方針で指導していただきたいと思うんですが、この点いかがですか。
  136. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) お考えは全く同感でござごます。ただ、平塚からの質疑に対しまして、支出が違法であるか違法でないかという点にしぼった答え方になっておるものですから、多小御不満をいただいておるような表現にとどまっておるというふうに思うわけでございます。しかし、本旨はそうじゃございませんので、気持は全く一緒でございます。したがいまして、今後ともいろんな機会におきまして、そういう考え方が守られますように大蔵省に対しましても強く希望いたしていきたいと思いますし、また地方団体に対しましても、そういう考え方を明確にいたしていきたい、そう思います。
  137. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 厚生省のほう、いかがですか。
  138. 高木玄

    説明員(高木玄君) 先ほど申しましたように、市町村が国民年金事業の執行のために真に必要といたします費用につきましては、その必要な経費確保について、今後とも努力いたす所存でございます。
  139. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 で、厚生省は三十七年度は百十円ですか、それで十分と考えられて、それで予算要求したのか。あるいは、もう少し要求したところが、大蔵省に削られたのか、その間の事情
  140. 高木玄

    説明員(高木玄君) 要求額は今予算できまりました額よりも多うございますが、これはいろいろな折衝の結果、そこに落ちついたわけでございます。
  141. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 幾らぐらい要求されたのですか。
  142. 高木玄

    説明員(高木玄君) 二十八億程度だと思います。
  143. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それで査定は幾らだったですか。
  144. 高木玄

    説明員(高木玄君) 二十一億四千万円でございます。
  145. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それで単位費用被保険者一人当たり幾らに見られておりますか。
  146. 高木玄

    説明員(高木玄君) 要求は百二十円で要求いたしました。
  147. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それが百十円。
  148. 高木玄

    説明員(高木玄君) さようでございます。
  149. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それで、百二十円で大体市町村に負担をかけないような予算措置と考えられますか、二十八億で。
  150. 高木玄

    説明員(高木玄君) 拠出制国民年金事務につきましては、三十六年の四月一日から保険料の徴収が始まったわけでございます。で、予算を編成いたします時期におきましては、制度全体が軌道に乗った形での実績というのを実はまだ把握しかねる段階でございましたので、必要な事務量につきまして、職員の能率等で計算いたしまして、大体百二十円程度あれば国民年金事務の執行に支障なかろう、こういうことで予算要求いたした次第でございます。ただ、私どものこの国民年金事業は生まれたばかりの事業でございますので、まだいろいろなデータが絶えず動いております。そういった点から、たとえば被保険者数の把握等につきましても、いろいろと見通しについてむずかしい問題等がございます。予算要求の時点におきましては、百二十円あれば大体においていけるのじゃないか、かように考えておったのでございます。
  151. 田上松衞

    主査田上松衞君) 木村委員にちょっと申し上げます。自治大臣にほんのちょっとだけ顔をかしてくれということですが、よろしゅうございますか。
  152. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ええ、私はけっこうです。それじゃ財政局長がおられますから、財政局長でけっこうです。  それで、ただいま私は一つの事例としてこの国民年金の問題を取り上げたのです。ただ、そればかりでなく、そのほかにも地方団体が経費を負担する義務を負わないものについてかなり負わされている面もあるのじゃないかと思うのですけれどもね。国民年金事務だけでなく、ほかにもですね。日雇労働者健康保険とかその他について、国が当然負担すべきものが地方自治体の負担に転嫁されている面がかなりあるのじゃないかと思うのですね。そういう点は奥野財政局長、よく把握されていると思うのですがね。そういう国民年金だけでなく、全体としてそういう実態がどうなっているか、お聞きしたいのですが、これはわれわれも大蔵省にそういう実態を明らかにして、それで要永しなきゃならぬと思っているわけですけれどもね。ですから、その実態と、それに対してどういうお考えを持っておりますか、この際伺っておきたいと思うのです。
  153. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 今お話しになりました十条の四の項目のうちでは、国民年金と国民健康保険に関しまする事務費について問題があると考えております。それから公共事業費につきまして、たとえば中学校の建築費を国が二分の一負担する。その場合に、一定の坪数なりあるいは単価なりが予想されている。しかし、それではとても建てられないとか、あるいはもっと広い坪数でなければなかなか住民の納得が得られないとかというようなことから、それ以上の負担をせざるを得ないというような事態に追い込まれているというようなものがございます。それから、さらに十二条に、地方団体が権限を持たない仕事については、国は経費を負担させるような措置をしてはならないと、こう書いてあるわけでございますけれども、この点につきましても若干問題が起こりがちでございます。現に心配をいたしておりますのは、国立高等工業専門学校につきまして地方団体が国に負担を転嫁させられることがあるかないか、こういう問題でございます。いずれの問題につきましても、自治省といたしましては、関係省に、地方財政法の趣旨のありますところを十分述べているわけでございますし、また各関係各省におきましても、逐次改善努力していただいている、こういう気持を持っておるわけでございます。先ほど厚生省のほうから話がございましたが、あるいは義務教育施設なり、公営住宅なりの建築単価につきましては、昨年の補正予算で若干の増額が行なわれたというようなこともあるわけで、今申し上げましたような点につきまして、さらに一そう負担区分を適正にしてもらいたいという希望を私どもとしては持っておるわけでございます。
  154. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今財政局長の言われたように、十二条関係は、特に税外負担との関連が強く出てくるわけですね。せっかく自治省で今度税外負担をなくすために約百億くらい予算措置を行なっているわけですがね。したがって、十条の四、十二条にですね、警察、それから国の教育施設等、こういう点について、この建前を十分貫くようにされたいと思うのです。これは大蔵省に問題があるわけですが、大蔵省はもうおりませんようですから……。
  155. 田上松衞

    主査田上松衞君) ちょっと申し上げます。大蔵省には鋭意出席を求めております。
  156. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私の質問は、大蔵省に対する質問を保留しまして、一応これで終わりといたします。
  157. 田上松衞

    主査田上松衞君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  158. 田上松衞

    主査田上松衞君) 速記を起こして下さい。  木村委員の御質疑はなお終了しておりませんけれども大蔵省主計官が見えるまで、次の質疑者に移りたいと思いますので、御了承いただきます。
  159. 市川房枝

    市川房枝君 自治大臣にこの間から伺い漏らしました点を幾つか伺いたいと思います。  選挙制度審議会の答申の中に、選挙運動費用及び政治資金の収支報告及び公表方法の合理化ということが出ておりまして、今度の改正案には領収書をつけて出すというように入っていると思うんですが、合理化というのはそれだけでしょうか。もっとも法によらない、規則による規定もあるわけですけれども、それをまず伺いたい。
  160. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) この届出様式は非常に現在でも複雑でございます。受け付けた自治省自体がこれを総合的に集計しようと思っても、なかなかダブった計算なんかがあってできないような仕組みがありますし、そういう点を今後できるだけ考えまして、さらに何といいますか、今後手続の様式については十分検討して、政令でもって合理化、簡易化をはかっていきたい、こう思っております。
  161. 市川房枝

    市川房枝君 その方向は、具体的なことはまだはっきりしておりませんか。
  162. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 目下検討中で、ちょっと結論が出るところまでいっておりません。
  163. 市川房枝

    市川房枝君 その規則によるものは法律によらなくていいですし、それから、今度の改正案がもし成立しないとしても、これは自治省のお考えでできますね。だから、これはぜひひとつお考えを願いたいと思うのですが、この前一度申し上げたことがあると思うのですけれども、現在の、ことに発表の仕方というものは、非常にわかりにくくて、一般の有権者には、大体公報というかあるいは官報というものを見るチャンスも少ないし、それから、見てもなかなかわからなくて、わざとわからなくしてあるのかとほんとうは疑いたくなるほどに思うわけですが、ひとつそれはぜひ御検討を願いたいと思いますが、報告書で——報告書といいますか、その法律の中で、選挙費用を届け出でる場合に、間違いはありませんというか、それをつけることになっておりますね。ところが、現在の届出の様式で見ますと、選挙管理委会からもらってくる用紙のおしまいにちょっと印刷してありますわね。それで、そこへ判こだけ押せばいいので、うっかりするとそれは見落としてしまいまして、届出の内容が正確であるということをそこへ書く趣旨にはなっているのですけれども、実際にはほとんど重きを置かれていないと思うのです。だから、これなんかはやっぱり別な紙にはっきりとそれを書いてつけるということにすれば、幾らか責任を感ずるのでないかと思うのですが、どうなんでしょう。
  164. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) そういった点、一ぺんよく検討しまして、今の御指摘のようなもの、あわせてひとつ考えてみたいと思います。
  165. 市川房枝

    市川房枝君 それから、届出の内容が正確かどうかということは、今度の改正案でもほんとうは届出だけ別にそれを審査するとかなんということは、別にございませんですね。もし今の改正案が通ればといいますか、選挙費用が大体倍額くらいになり、ふえる。そうすればある程度その届出の内容は少しは事実に近くなるということは言えるかもしれませんけれども、どうもやっぱりまた今までと同じようにほとんど形式だというふうにも思われるのですけれども大臣はその点どうお考えになりますか。
  166. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) この一月に、非常に誇大視して選挙費用について私は言われておる向きもあるのじゃないか。それから国会議員が通常社交的に平素かかっている費用、そういうようなものをこのやはりかかったものというふうに考えていくと、金の額もなかなか張ってくるといったような場合があろうかと思いますが、私は今度のあの改正がもし通るということになりますと、これは相当事実に近いものへやり得るのじゃないか。同時にまた、届出様式をできるだけ簡明にいたしまして、事実上のチェックもできるようなふうにしていけば、かなり効果が上がるのじゃないかというふうに思っております。
  167. 市川房枝

    市川房枝君 公表の様式を考えて下さるということですが、どうなんでしょうか。これはイギリスで実行しているんですが、候補者全部の届出を一冊にまとめて、そうしてイギリスではこれを売っているわけです。三百円くらいで売っているわけでありますが、日本ではそういうことが法に規定がないからといいますか、規則に規定がないからできないのだというお答えを私いただいたのでございますけれども、それはたいした金ではないし、私そういうことになれば、一般の国民も多少興味を持って、よしんば内容が事実ではないということを承知の上でも、幾らか全部の候補者を並べてみるということで関心を持つ。あるいはそうなって国民がそれを知るようになれば、候補者のほうも幾らか良心的に書き出すということにもなると思うのですが、そういうふうにまとめて出すということは自治省のお考えでそれはできることじゃないかと思うのですが、どうなんでしょう。
  168. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) まず一冊にまとめるという方式は相当いろいろ検討してみなくちゃなるまいかと思います。今の制度で私なんかもいろいろあの書類を見ていますけれども、これはまとまったという見方がどうもなかなかできないことは実情でありますから、そういった点をもっとまとまるようにできるだけ今後は合理化いたしまして、それから本にして売り出すというのは、私は法律は要らないものだと思いますが、もう少しちょっとこの状況を検討をさしていただきたいと思います。
  169. 市川房枝

    市川房枝君 もしその報告書を作るときには、各候補者の選挙費用だけでなくて、各政党あるいは政治団体の選挙による届出の内容も私それにつけて出して下さると興味があると思います。イギリスのはそれはしてないわけですけれども、ただ候補者だけの、それも収入のほうでなく、支出のほうだけ細目で分けて出しておりますけれども、それをひとつおまとめ願いたいと思います。
  170. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 十分御意思を尊重して検討してみたいと思っております。
  171. 市川房枝

    市川房枝君 次は、公明選挙運動について伺いたいと思います。先ほどの自治省予算説明のときにもありましたけれども、三十七年度は公明選挙費用といいますか、常時啓発を含めての費用が今までに比べてふえておる。一番よけいふえておる。地方費も加えて七億円になっているのでありますが、おふやしになった趣旨ですね、それはわかっているようでもありますけれども、当局としてのお考え方を伺いたいと思います。
  172. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 選挙費の問題をできるだけ合理化しなくちゃいかぬし、選挙を公明にしなければいかぬということはお話しのとおりでございまして、候補になるべき人が十分心得ると同時に、国民全体がその関心を持っていただくということは非常に大事であろうと思います。そういった選挙に対する国民のいろいろな世論の喚起、あるいは公明な態度の保持といったようなものをできる限りやっていきたいという趣旨で、予算も三十六年、七年と、かなり大幅にふやして参っておるわけでありまして、やり方は、方法は、民間の団体に委託します分、あるいは自治省自体がマス・コミ——テレビ、ラジオ、新聞といったようなものを通じて大いに理解を求めていく方法、さらに私は来年度については、でき得れば映画のようなものにでもして、でき得る限り広い層に公明選挙のあり方というものの認識を持ってもらいたい、そういう方法でできるだけ運動を強く推進していきたいと思っております。
  173. 市川房枝

    市川房枝君 この間、三月二十二日のこれは朝日新聞でしたか、「公明選挙へチエくらべ」というので、風船に標語を書いたり、花の種をまいたりというようなことをずっと書いて、七億円の使い道が書いてあるわけですが、これは新聞だけでなく、自治省のお出しになりました内容のものを私拝見をしているのですが、今映画を作って云々ということを大臣おっしゃっていましたけれども、前から映画を作っておりましたね。それで拝見しますと、どうも別に新しいことは一つもなくて、今までと同じやり方といいますか、のようなふうに思うのですが、こういうことをしてこれで選挙が幾らかでもきれいになるというふうにお考えになりますか。
  174. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) やはりそれのために百八十度転換するとも思いませんが、それは五歩でも十歩でも前進させるということには相当効果があると思いますし、それから映画というのは、今まで試験的に映画を作ってどこかここかで上映して、その集まりで上映をして歩くという程度のものではなくて、私今考えておりますのは、各常設館にできるだけ幅広く、常設館でかけられるということは全国的に相当な大衆がこれを何度でもながめてもらえる。まあこういう方法を今相談を進めておるわけでありまして、そうなりますと、従来のような映画のあり方とはかなり違ったように影響がありはしないか。それをやっても、それで百パーセント効果が上がるかどうかということになると、いろいろ問題があろうかと思います。ほかに御名案でもありましたら、ひとつまた伺って、ぜひわれわれも実行に移したいと思うのですが、なかなか即効薬のような妙案が見つからぬものですから、われわれも苦慮しておるところもございますので、またひとついい案でもありましたらお教え願えれば非常にありがたいかと思います。
  175. 市川房枝

    市川房枝君 ことしの一月でしたか、年金会館で公明選挙推進大会というのがございました。大臣も御出席になったと思いますが、私族行中で伺えなかったのですが、友人たちから、非常に盛大で年金会館始まって以来あんなに人が集まったことはないのだ、会場にあふれてほんとうに入れなかったのだということを聞いたのですけれども大臣はそういう情勢をごらんになってどういうふうにお考えになりますか。
  176. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 私は少なくともああいった会は非常に成功じゃないかという感じがいたしました。特に、集まられた方は、それぞれ有識者の方方が多いように見受けましたし、ただ、あそこに集まっているのが、あの年金会館が一ぱいであふれていても、東京都の人口から見た場合に一体どれだけの比率になるのかということを考えますと、あれだけ集まったそのことは非常に有意義であっても、それが全体に対する影響というものについては、まだまだ推進をしていただかなければなるまいというふうに思います。
  177. 市川房枝

    市川房枝君 たいへんよく集まったということが何を意味するかといいますか、どうしてあんなに集まったのかということを、だんだん私出席者たちからいろいろ聞いてみますと、あれはみな旅費が出ているのですね。地方から出て来る旅費が出ているし、記念品ですかがもらえたのだとかいうから、そういうふうな意味が多くて、それであんなに集まったんじゃないかというふうに言われるんです。だからあの会自身が非常に盛大だったということ自身が、国民の間に公明選挙運動に非常に熱がある、熱意を持っている人がたくさんいるのだ——いや、大臣がおっしゃったように、東京都の人口に比べれば幾らでもないわですが、しかし一応公明選挙推進委員という肩書きを持った人たちが相当集まったのですから、あの会合の情勢から非常に熱意がある、そういうように判断できるのですけれども、その裏のほうのそれを聞いてみますると、集まったわけがわかるわけでして、必ずしも熱意が見られないというか、私これも前から申し上げておることですが、公明選挙運動というものはけっこうだし、しなくちゃならぬと思うのですけれども、どうもこれだけの国費を費やして、はたして公明選挙運動の一体実績が上がっておるのかどうか。この前の衆議院選挙なんか、これは今までにない一番悪い選挙だったということが言われておるのです。そして今度の参議院の選挙、これからの問題ですけれどもどうなりますか。どうも公明選挙運動というものに対して国民が踊らない、幾ら太鼓をたたいても踊らない、こういう現実ではないか。これは自治省の直接そのほうの御担当の方にもほんとうにお気の毒なくらいですけれども、一生懸命にやって下さるのですけれども、どうも国民がついてこないというような感じがあるわけでして、それでそういうふうに私は思うのですけれども大臣はどうなんですか。
  178. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) これはなかなかむずかしい問題でありまして、私どももより効果のある方法がひとつ御指示なり、御提案願えれば、できるだけそれも採用していきたいと思っております。しかし、これはやはり日本全体の政治的な意識と申しますか、選挙に対する認識というものがだんだんと日を追って高まっていくということでなければならない。御承知のイギリスが、非常にいい選挙制度になったについては百年かかったと言われておるように、一朝一夕で右から左にいくものではなかろう。また、どこかここかでたとえば選挙管理委員会なり、あるいはモデル・ケースのようなものでやっていくということはそれなりに意味があると思いますが、それが直ちに今大きな波紋を描いて、たいへんなことになるというふうにはまだまだわれわれ考えられません。これはしんぼう強く、できるだけ手を広げてやっていく以外に手はなかろうと思っております。
  179. 市川房枝

    市川房枝君 この間の総括質問の場合に、総理、大臣もそうおっしゃいましたが、政府は公明選挙に非常に熱心なんだ、その証拠に予算をふやしているじゃないか、こういうことをおっしゃっておったのですけれども、それでそれは一応そうも言えると思うのですけれども、何だか結局選挙の腐敗といいますか、やはり一般の国民のほうに転嫁しちゃって、そしてそっちのほうさえ金をふやせば、それで政府の公明選挙に対する言いわけが立つみたいな感じを——これは少しひがんでとっているのかもしれませんけれども、そういう感じを実は受けるのです。だからそういう点で私は、むしろ政府のほうは政府自身の問題というのでしょうか、あるいは政府のいわゆる与党といいますか、そういう方のほうを向いてなさらないで、国民のほうばかり向いておっしゃるという私は感じを深くする。私ばかりじゃない、国民の中には実はそういう感じを持っておる人たちも相当ある。いかに公明選挙なんと言ったって振り向きもしない、むしろ反感を持っておる場合に出会うことが相当あるのです。これは私非常に残念だと思うのです。ですからそういう心がまえといいますか、考え方といいますか、そういう点を私は非常に心配するんです。それで現に今度参議院選挙では買収供応追放運動というのが考えられておりますね。これは自治省が御計画になっているのですか。
  180. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) これは自治省が直接働きかけると言いますより、例の御承知の公明選挙推進連盟が、いろいろそういった企画を立てていただいておるというふうに思いますし、それから今お話の国民にばかり向いて言うのはけしからぬというお話、それはごもっともでございまして、これは何といっても候補者自体が自粛をして、直していかなければならぬ、しかし同時に投票するのは国民なんであります。その国民が、どうもあの候補者おかしいじゃないかという認識のもとに、どんどんそういう連中には投票しない、こうやっていただけば金を使ったやつのほうが悪いんだというふうなことができてくるかと思うのでありまして、私はそれをぜひ国民の側からも徹底していただければ、もうこれが一番早道だというふうに思う次第であります。
  181. 市川房枝

    市川房枝君 根本的には国民の側にあるとは思うのですけれども、しかし現状から言えば、やっぱり候補者のほうも悪い、両方悪いんだということにならなければいけないと思うんですが、今の買収供応云々は私は民間から言うならかまわないと思うのです。けれども政府自治省が印刷物としてそれをお取り上げになるのは、ちょっと少しどうかと思うんです。だから、これをもし自治省がお取り上げになるなら、お取り上げになってもいいんですけれどもやっぱりこれを政府与党のほうでですね、いわゆる候補者の側に買収供応しないようにということを、はっきりこれは大臣といいますか。総理といいますかの側から、そういう意思表示でもといいますか、要求といいますか、それをしていただくと、それで国民のほうもそれをやる、それならいいんですけれども、その候補者のほうはそのままにしておいてというか——ことに今度悪いのは選挙法の改正で連座が骨抜きになった。これは政府の側からおっしゃればいろいろ理由が私はあると思うんだが、しかし国民の受ける感じは骨抜きにして、結局買収しても供応しても違反しても、ひっかからないようにしておしまいになった。  それからもう一つ、いわゆる買収供応するのには金が要るんだ、その金を選挙に関しては寄付してはならないということでなすったけれども、それはもう要するに作文であって、実質的には少なくとも選挙の金は禁止はしていない。今までと同じに金は幾らでも出るようにしておき、そうして今の連座のほうで罰せられないようにしておきながら、そうして国民に供応買収追放運動なんと言ってもそれはおかしいと、こういう感じを実は持つのです。だから、これはひとつ私大臣からやっぱり候補者の側に買収供応しないということの意思表示を——もっとも選挙の前には国会で決議をなさいますけれども、これは国会の意思ですけれども、少なくとも自治大臣としてはこれをひとつやっていただきたい。そうすると、私公明選挙運動というものをやっている人たちも少し元気が出てくると思うんですけれども、いかがでしょうか。
  182. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) それはごもっともな仰せでありまして、候補者自身が何よりも第一に自粛をするということが大事だろうと思います。これはひとつ総理、総裁等にもよく進言いたしまして、そういったことも十分考えるようにしたいと思います。  また、先ほどの選挙法の改正につきましても、なるほど骨抜きという御議論もあろうかと思いますが、現在の法律から言えばこれは相当進んだ——少なくとも現行法から比べていただけば相当に進んだものであることは、これは間違いない。これは最も理想とした形態まで進み得たかどうかは別としまして、現行法に比べれば格段の前進をいたしておるといっても間違いなかろう、そういうような方面からも極力公明選挙に対します実際の手を打っていきたいと思っておる次第でございます。
  183. 市川房枝

    市川房枝君 有権者の常事啓発の責任、直接の責任、あるいは公明選挙運動の責任を持っておりますのは選挙管理委員会でありますが、選挙制度審議会で選挙管理委員の人選についての答申があったのですが、それは大体そのまま——これは自治法ですね、自治法の改正の中に盛り込まれましたか。
  184. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) そのとおりでございます。
  185. 市川房枝

    市川房枝君 まあ、あの条項が自治法の中に含まれれば、幾らか人選の上でよくなるかとも思いますが、ただあれは政党が推薦なさいますね。地方議会が推薦をするという形になっておるのですが、そこでその推薦の場合に従来はどっちかといえば、選挙に落っこちた人とか、あるいは今度選挙に立たないような人とか、その人が必ずしも選挙管理委員として、ことに政治の啓発の責任を持っている管理委員として適当でない人が相当ある。まあ選出されてきた経路、現実があったわけですが、これはやはり政党の側でその法の趣旨にかなうようにというか、いい人を出して下さるということにしていただかないといけないと思いますが、それは政府与党、あるいは野党の社会党のほうにも、両方に希望したいことですが、それをひとつお願いをしたいと思っておりますが、その委員の人選のことについて、選挙制度審議会の決定の中に、婦人を選任するよう努めることという項目が入っておりましたね。ただそれは法律の中にそう規定しろというんじゃないんです。いや私なんかそれを主張したのですけれども、会長なんかは、これは小委員会で四人のうち二人女にするように、法で規定したらどうかというような御意見も実は出たりしましたが、全体として、法律の中で規定するのは必ずしも望ましくない。しかし婦人が出ることは望ましいから、婦人を選任するよう努めること、こういう言葉が入っておりますけれども、そうすると、だれがこれを努めるか、その規定をどこで一体推進して下さるのかということ、自治省が当然して下さると思いますが、いかがでしょう。
  186. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) これは御承知のように政党が推薦するという形、全国選挙管理委員会でもそうでありますし、地方の管理委員会もそうであると思います。ですから政党自身ができるだけ御考慮になってやっていただくということが大事だろうと思います。ことに、それにしてもなかなかやらぬじゃないかというと、政党も悪いのかもしれませんが、しかし、今のところ政党政治の世の中でありますから、政党自身がそういう発議したものに従うという建前になろうかと思います。自治省といたしましては、でき得る限りそういうことがあってほしいのだという要望が強いことをできるだけ各政党にも認識していただきたいと思っておりますが、この全国選挙管理委員会では、御存じのように御婦人委員長にしている。それも自由民主党が御推薦を申し上げてやっている次第であります。
  187. 市川房枝

    市川房枝君 今お話のように、全国の中央選挙管理委員会では五人に一人婦人が入っておりますけれども、地方の都道府県の選挙管理委員会は百八十四人のうち六人しか女が入っていませんし、それから全国の市区の選管では二十六人、それから町村の選管のほうでは一万四千百八十七人のうち女は百二十三人しかいない。総計しますると、女は現在の選挙管理委員全体の中で〇・九〇三%と一%にまで達していない。この数字は自治省からいただいたわけなんですけれども、これは私非常に残念だと思いますが、有権者の数からいうと婦人のほうが二百四十万多いのですし、それから婦人団体は御承知のとおりにいわゆる公明選挙運動にはずいぶん使われているといいますか、青年と婦人というようなわけで協力しているので、この公明選挙運動なるものを推進する立場にある選管の中に、私は一人くらいはどこの選管でも婦人が入っていてもよい、そうするとずいぶん空気も違ってくるのじゃないか、そうすれば婦人たちももっと公明選挙運動、常時啓発なんかにも私は一生懸命になってくるのじゃないかと思うのですが、ですから、これは自治省には権限がおありにならぬということは私は承知しておりますけれども、いわゆる行政措置というのですか、そのための何か特別の通牒といいますか、何かそういうものでも出して地方へ推奨するあれを出していただけませんでしょうか。
  188. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 格別それだけのための手配はいまだしておらぬようでありますが、答申自体の精神は、それぞれこの地方の自治体なり議会へもよく伝達しておりますし、また今後機会あるごとにそれは進めていきたいと思っております。
  189. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵省からどなたか見えていますか。
  190. 田上松衞

    主査田上松衞君) 厚生省関係では岩尾主計官自治省関係では高柳主計官が見えております。
  191. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 さっき地方財政法の十条の四と、それから第十二条関係について質問したのですが、具体的に厚生年金の経費について、特に人件費等について国の交付金が少ないために地方自治団体の負担している面がかなりあるのですね。それで厚生省のほうから伺いましたが、厚生省はその実態を把握している……、確かに国のほうの交付金が少ないから、地方自治体が負担している分があると思うのです。三十五年度では大体十七億交付して、その七三%くらいの交付の率になっている。そうすると、二七%が地方自治体の負担ということになっているわけですね。そうすると、地財法の十条の四項、これはよく御存じだろうと思うのですが、健康保険、日雇労働者健康保険、それから厚生年金保険、国民年金と、はっきりこういうふうに書いてあるのです。それでこういう「もっぱら国の利害に関係のある事務を行うために要する——経費については、地方公共団体は、その経費を負担する義務を負わない。」ということになっておるのですね。それで一応地方自治体が形は自発的に負担するという形をとっても、これは自発的に積極的に負担しているのでないのであって、実態は国の重要な事務であるから、国からの交付金が少なくても、負担しなければ事務が進捗しないからやむを得ずやっている、これが実態であると思うのです。そこで三十七年度については、厚生省は二十八億を要求したところが、大蔵省は二十一億にこれを削った。それから被保険者の一人当たりの単位費用については百二十円要求したが、百十円に削っているというのですね。この点について、大蔵省としてはどういう根拠でこれを削られたのか。従来もずっとそうであったのですけれども、地方自治体のそういう当然国が負担しなければならぬ分について地方自治体にこれを負担さしているということについて、それをいいと思っているのかどうか、この点について伺いたい。
  192. 岩尾一

    説明員岩尾一君) 先生の御質問は、社会保険全般の事務費にも関連のある問題かと思います。
  193. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 特に国民年金、それから健康保険について問題が起こっているわけです。
  194. 岩尾一

    説明員岩尾一君) 現行あります社会保険の各法律あるいは国民年金等におきましては、政府がその事務の執行に要する費用を負担する、あるいは予算の範囲内でという文句が入っておるものがあったりいたしておるわけでございます。で、基本的には、事務の執行に要する費用というのをどういうふうに考えたらいいのかということになるわけでございますが、先ほど局長からも答弁があうたかと思いますが、やはりかかったものはみんな見るということになりますと、まあ非常にルーズな事務の運営をやったところも見なくてはならない。あるいは一生懸命やったところは少ししかもらえないという結果にも相なりますので、したがって、やはり事務の執行に要する費用として交付する額は一つの基準というものをもって配らざるを得ない、こういうことに相なるかと思うのでございます。そこで三十七年度につきましては、三十六年度に計上いたしました一人頭九十円という単価、これにつきまして実際の公務員等のベースアップ等を考慮に入れて百十円というふうなアップをみたわけでございます。実際上厚生省のほうで百二十円という要求をしたではないかという御趣旨でございますけれども、それでは三十六年の九十円はどういう計算をしたかと申しますと、実はその際には、これは市町村と申しましてもいろいろございまして、被保険者が十万人のところもあれば、あるいは二、三千名というところもあるわけでございますが、大きな大都市もあれば小さな町もある。そこでそういった各被保険者の数に応じたまあ事務の運営というものをノルマ計算をいたしまして、それを全部積み上げて参りまして、割ってみると九十円になった。そこでそれに対して先ほど申したような積算をもってはじいてきたわけでございます。厚生省のほうは、今申しました百二十円というのはそういう根っこの計算について、いやここは一人ということになっておるけれども二人なんだというようなお話があって、その辺の折衝の結果まとめたわけでございます。  また、先ほどお話のありました三十五年の決算の問題につきましては、これはまあ三十五年は御承知のように国民年金の拠出はまだ発足をいたしておりません。準備段階でございまして、この期間におきましては新しい国民年金制度実施するために広報宣伝、そういうことに力を注いだわけでございます。実際上の拠出年金が始まって事務がどれくらいかかるかというのは、やはり三十六年の結果というものを見ませんとよくわからないわけでございまして、三十七年度以降につきましては、そういった実績等もよく勘案の上検討をいたしたい、こう考えております。
  195. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この経費というのは人件費だけじゃないですね。これは経費となっていますが、人件費だけじゃないでしょう。
  196. 岩尾一

    説明員岩尾一君) 積算の過程におきましては、人件費だけではございません。庁費、旅費等すべて入っております。それからもう一つ年金について特異な点は、年金につきましては国民健康保険等と違いまして、年金の出張所というものがございまして、徴収事務その他は出張所でやっているわけであります。いわば市町村は一種の窓口ということになっておりますので、それに必要な経費というものは、いずれも大半は人件費でございますけれども、旅費、庁費等も一番最初のノルマ計算の際には入っているわけでございます。
  197. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは実態によって、実際に被保険者の数等によってその経費に差異が出てくることは、これはあり得ることでしょう。それはまあ一率平均でやるということに問題が一つあることは、これはわかります。しかし実際問題としてどの自治体にいきましても、これはいつも言われるわけなんですよ、実際に。それでさっきも質問したのですが、平塚市においてこれが具体的な問題として取り上げられて、それで監査委員が監査をしているのですよね。はっきり地方財政の健全な運営をそこねるおそれがあるということを監査委員の監査の結果として報告しているわけですよ。ですから実態をもっとよく大蔵省は把握される必要があると思うのですよ。それはほかの自治体、どこにおいでになっても必ずそういうことをあなたはお聞きになるに違いないと思うのですね。だから実態をよくもっと把握されまして、そして現実に持ち出し分になっているのですから、これについてはやはり実態をよく調査した上、事実に即してない、実態に即してない不合理があることをはっきり発見されたら、これはやはり是正される必要があるのじゃないかと思うのですが。
  198. 岩尾一

    説明員岩尾一君) 先ほど年金局のほうで御答弁いたしました、大体国費十七億を支出いたしますと、実質額の七三%であったという答弁があったわけでございますが、これは一律に全部七三%ということじゃないわけなんでございまして、十分足りているところもあれば、非常に足りないところもある。あるいは余っていると言っては語弊がありますけれども、そういうところもある。そこで被保険者一人当たりということで一つの単価ではじいていくと、実際上被保険者が千人くらいのところの仕事の量と、それが非常にふえて十万になった場合と、あるいは中間の場合と、いろいろ見当をつけて参りますと、まあむしろ一番まん中辺くらいがつらいのじゃないか。数が多くなればかえって金もたくさん入ってきて、仕事のほうも能率的にやれる。少ないほうも楽にやれる。しかし、ちょうど中間くらいの中都市くらいが苦しいのじゃないかというような見当は一応われわれとしても持っているわけでございます。したがいまして、来年あたりの実際上の市町村の事務の執行等の結果等をよく見まして、そういった単純なる一人頭がいいのか、あるいは被保険者の数に応じて一人頭というものを多少変えていったほうがいいのかという点は検討いたしたい。こういうふうに考えております。
  199. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう技術的な問題も重要です、それは。しかし実際において市町村が持ち出しにならないように措置するのが、これが十条の四の規定なんでしてね。それから地財法二条の二項の趣旨もそういうところにあるのですね。ですからそれは実態に即して、十分持ち出しにならぬような措置を今後考えられる必要があると思うのです。これまではとにかく実態にそぐわなかったということはもう厳然として事実として存在しているのですからね。その点そういう前提に立って今後そういうことのないように措置されることを望むわけです。これは一つの例として私はあげたのですよ。これは地財法十二条関係においても国の教育施設とか、研究施設、あるいは警察庁に要する経費とか、国の機関の設置、維持、運営に関する経費、この十二条関係においてもそういう点がずいぶんあると思う。これはまあ税外負担という形で住民の負担になるのですね。これはもうしばしばこういうことが指摘されておるのですが、結局それを指摘しても、議論してそれでいつも終わりになっちゃっている。私はそういう機関もあって、自治体関係のそういう勉強もしているんですけれども、そういうところではしょっちゅう議論になるのですが、自治体としては不満を持っているわけです。どうもこういう点について、国民が十分に見るべき経費を見てないということをどこへ行ったって聞くんですよ。ただ議論されて、ただ不満を抱いているだけでは一歩も前進がないわけですから、それで私は国民年金の経費についての具体的な例が一つ平塚市にこういう事例が起こったものですから、これを一つの具体的な事例としまして、そういう点について今後大蔵省認識を深められる必要があるんじゃないか、そこで御質問しているわけですが、こういう点について御意見を承っておきたい。
  200. 岩尾一

    説明員岩尾一君) 先生のおっしゃる意味は十分よくわかるわけでございます。ただ、私が答弁いたしましたように、実際上事務の執行に要した費用を全部見るのかというところが非常に問題点になるかと思います。そこで実際の事務の執行に要する費用というのは一体どれだけなんだろうか、その市町村で幾らになるんだろうかという点が問題になるわけなんで、そういった意味において、あちろん市町村に過大な負担を課することはいけないことでございまするから十分避けたいと思いますけれども、また実際上国民年金を適正に執行するために必要な費用というものは幾らあったらいいのかという点についての検討も十分これはいたさねばならぬ。そういった点は十分考慮いたしまして、今後につきましては十分御趣旨を体して検討いたしたいと考えております。  なお、年金につきましてはいろいろ問題がありますので、特に印紙を市町村の窓口で売るわけでございますが、その場合、その手数料として三%分を市町村に還付する、さらに前向きとして前納印紙を売りさばいた場合には加算手数料を二%つけることにしておりますので、被保険者一人あたり大体印紙手数料は三十円、加算手数料は二円五十銭程度の加算になると思いますので、三十七年度においてはかなり楽になるのではないか、かように思います。
  201. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この経費については全部を見るのが原則だと思うんですね。ただ経費を実際算定する場合、その計算の仕方、算定の仕方がなかなかめんどうかもしれませんね。ほかの事務をやりながらやっている人もあるかもしれませんね。ですから、それは重複する面もあると思いますし、その計算の仕方にはいろいろ問題はあると思うのですけれども、原則としてはその経費は全部見るというのが建前じゃないですか。
  202. 岩尾一

    説明員岩尾一君) かかった経費を全部見るということではなくて、たとえば、先ほど局長が御答弁になったかと思っておりますが、本来ならば、非常に若い職員を使ってやってもらいたいところを非常にお年寄りの月給の高い方を使っておやりになれば非常にかかる。それは市町村としても努力して安くあげるようにやっていただきたい。たとえばいろいろ印紙等の売りさばき等をやります場合に、四人おればいいのを六人使ったという場合に、六人置いてやった所は六人全部見るという趣旨ではないというふうに私は考えております。実際の事務の執行に要する基準というものがやはり問題になるので、それ以上事務が放慢——と言うと言い過ぎでございますけれども、いかないように事務に要する費用というものを算定する、こういうふうに考えるわけでございます。
  203. 横山フク

    横山フク君 今のお話なんですが、少し岩尾主計官の言われることで聞きたいのですが、実際にかかったのをみんな払うというのは無理だ、これはわかるんですよ。放慢にやったから、放漫にやったそれだけ払えない、これはわかる。それから給料の多い、安い給料の人で済むのに高い給料をやっている、だからその人のはやれない。これはわかるんですがね。それならば今お払いになっているその額で足りている所がありますか、と伺います。放慢にやっている所は足りませんよ。しかし、ほんとうに緊縮にやっていたならば足りている所がどこかになければならぬのですが、全体の中でどこが今の補助金の中で足りていますかということを一応具体的に伺いたいと思うのですがね。
  204. 岩尾一

    説明員岩尾一君) 先ほど私三十五年について申し上げましたとおり、これは一律に七三%ではございませんが、足りている所もあれば足りない所もあるという数字でございます。こまかい数字は年金局のほうが持っておると思いますが、もし必要でございましたらごらんいただきたい。年金にも現在の交付金で十分やっておる所もございます。それから国民健康保険等につきましても、四〇何%という市町村は現在の交付金でやっておるという所もあるわけであります。
  205. 横山フク

    横山フク君 年金のほうはまだ発足早々ですから、ほんとうにスムースにいっていないと思うのですね。ですから足りている所というのは相当数ある。もし中間を押えたり、あるいは上を押えたならば足りているところのほうが多くなければならない。実際の全額を払うのですから、放慢な所とかあるいは高所得者にやらせているという所はそう数はないのですから、どこだってなるべく安く間に合わせようとしているのですから、足りている所が相当数なければいけないと思うのですがね。でありますから、それは岩尾主計官はどのくらいのパーセンテージのものが、支給されているので足りているというふうにお考えになっておるか、それは一つや二つ足りている所はあるかもしれませんね。それならば全体の……。
  206. 岩尾一

    説明員岩尾一君) 年金でございますか。
  207. 横山フク

    横山フク君 国保のほうで払っておる……。年金のほうは、あなたのお話のとおり、まだ発足早々ですから、そうスムースにできていない。これからやられてくると思うのです。国保のほうは発足して相当年金数がたっておりますから、ですからこれはある数字は出てくると思うんです。国保のほうです。年金も同じですが、事務費というのは国のほうで出すんですから。そうならと、これは足りているのはどのくらいあるかということが出てくると思うのですけれども
  208. 岩尾一

    説明員岩尾一君) たいへん恐縮ですが、資料をちょっと持っておりませんので。
  209. 横山フク

    横山フク君 概算で。
  210. 岩尾一

    説明員岩尾一君) 国民健康保険課のほうへお聞きになればおわかりになると思いますが、私の感じでは、大体六〇%ぐらいは足りているんじゃなかろうかという気がいたしております。
  211. 横山フク

    横山フク君 もうちょっと。六〇%足りている。これは私よく聞きます。しかし、その六〇%がはたして正確な数かどうかということに一つ疑問を持ちます。しかし六〇%が足りているとしても、この六〇%という数字は低い数字だと私は思うのですね。もちろん国で事務費をみるというならば、もう少し高いところの数字でなければならぬ、パーセンテージがなければならぬということは言えると思うのですね。それは主計官お認めになりますか。
  212. 岩尾一

    説明員岩尾一君) 今申しました数字は私は六三だったと思います。これは三十五年の実績でございまして、その後三十六年、三十七年と、累次の公務員のベース・アップ等を考慮いたしまして大幅に上げてきております。したがいまして、今の数字は、現状あるいは三十七年においてはまあもう少し改善されておるのではないか、こういうふうに考えております。もちろん先生のおっしゃいますように、あまり低いんじゃないか、少ないじゃないかということに対しましては、決して十分であるとは思っておりませんけれども、先ほどのような事情もございますので、市町村のほうにも努力を願い、われわれのほうも努力をいたしまして、適正な事務費を算定していきたいというふうに考ております。
  213. 横山フク

    横山フク君 これは議論になると思うのですがね。まあベース・アップで大幅に事務費を上げていると言うけれども、そんなに大幅に私は上がっておるとは思わないし、そのパーセンテージが三十五年から今日六三%。何%になったらいいのか。これは、集計するというのに役所は年限がかかりますから、三十七年がわかるころにはもう三十九年になっていますからね。またそのときになって、この場合はベース・アップしているし、やっていると思いますから、今年度は足りているというようなことでずるずる逃げられちゃう。現在の集計ができていないんだから。集計ができたころには時代が変わっておりますから、これはつかまえることができないですよ。今の額の上がり工合、事務費の上がり工合、補助費の上がり工合、ベース・アップの上がり工合を見て、そう大幅とも思えないし、六三%が七〇%に出ているという、そういう数までいっていることも疑問に思いますし、来年はこの点に対して主計官としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。この場合にベース・アップしたから上がったというならパーセントは結局同じになるのですよ、ベース・アップを上回っただけ上げなければ、パーセントは高くならないということはいえますね。そうじゃないですか。私、自分で特別国保組合をやっていたのですよ。だからよく知っているのです。
  214. 岩尾一

    説明員岩尾一君) おもに人件費の問題になるわけですが、御承知のように地方公共団体の人件費というのは非常に差がありまして、公務員より非常に高いところもあれば非常に低いところもある。そういう状況のもとに、今申しましたような事務費、人件費を同じような被保険者の一点単価当たりではじいていくわけでありますから、先ほど申し上げたようなひずみが出ておるわけであります。将来の問題といたしましては、先ほど木村先生に私からお答えいたしましたように、そういった被保険者の数あるいは都市の実態というものを全然見ないで被保険者一人頭の単価だけではじいて参るという方向が実態に合うのかという点については十分検討いたしたいと、こう考えます。
  215. 横山フク

    横山フク君 結局同じことを、どうどうめぐりを繰り返す形になると思うのですが、今のお話を伺いますと、地方によってはベース・アップが公務員より高いところもあるし、低いところもあるというお話ですね。事実事務費、この事務費の補助というのはほとんど人件費だということがいえるのですね。人件費だからということで今のお話ですと、賃金ベースの高いところもあるし、低いところもある、だからというお話ですね。高いところもあるし、低いところもある、それを前提にしておるから、平均のところで、今のだったらどこら辺のところでそれで足りていきますかということを申し上げているのですから、今のはちょっと御答弁にはならないと思うのです。高いところもある、低いところもあるのは私たち知っている。知っているのが前提で、あの補助金でまかなっておりますかということを伺っているのです。そうすると今の六三%というのは決して望ましい数でないということはお認めになりますかと伺っている。またそれに対して望ましい数字でないから、だからこれを上げることに今後なさいますかどうですかということを伺うわけなんです。
  216. 岩尾一

    説明員岩尾一君) 私の申し上げましたのは、六三%というのはそういった全体の中でいろいろとベースの低いところもありますし、したがって現在の国の単価をもってまかなうところも出てくくる、しかしながら非常に大都市等でベースの高いところにおいてはそれではなかなかやれないところも出てくる、こういう実態でございますから、したがって六〇何パーセントというのがかりに事実といたしますと、その数字であることは決していいことではないと思いますけれども、しかし市町村のほうにも御努力を願って、能率的に事務を運営していただいくそうして実際上国の交付する額でやられるような体制を考えていきたい、国のほうもそういった実態に合うような、先ほどいったような配分を考えて適正に執行するようにしたい、こう考えております。
  217. 横山フク

    横山フク君 もう一つ伺わせていただきたいのは、この六三%という数の内容なんですね。大きな組合が三七%あって、それで地方の小さい組合なんかがたくさんあると、組合単位でいくのと、それから人単位でいくのとでは相当違うわけです。たとえば三七%というのはこれで足りない。三七%には大きな組合で組合員が相当あるということになると、実質的には半々になるかもしれないのですね。ですからこれの六三%というのもこれも内容を見ないと、これがはたしてまた逆にいったならば大きな組合はみんな足りているのだ、だから六三%というけれど、人頭にしたならばこれはもっと高いものになるということがいえますけれども、大体大都市は大きい組合であるし、そういうところは人件費が高くなるし、六三%ではまかなえないほうに入っておると思う。もしこの六三%が組合単位でパーセントをとったとすれば、実質的にはもっと低いものになるだろう、こういうことがいえるわけですね。  そんなことで、これ以上関連質問でよけいな時間をとるのは恐縮なんですが、また厚生省の部会がございますから、これに関連したことも伺いたいと思っておりますので、これでやめますけれども岩尾主計官が御努力下さると言うし、また配分法を人頭割だけでなくて組合単位、基礎経費というものはどこでもかかるのですから、そんなことで御考慮になるという先ほどの木村委員に対する御答弁もあったようでございますので、私はこれで終わらせていただきます。どうも失礼いたしました。
  218. 田上松衞

    主査田上松衞君) 今の答弁要りますか。
  219. 横山フク

    横山フク君 なお、念のために言って下さればなおいいです。
  220. 岩尾一

    説明員岩尾一君) 今の先生のお話は特別組合のお話……。
  221. 横山フク

    横山フク君 いや、私のは一般の……。
  222. 岩尾一

    説明員岩尾一君) 私のずっと御説明いたしましたのは市町村単位のお話でございます。
  223. 横山フク

    横山フク君 両方込めています、私たちも。
  224. 岩尾一

    説明員岩尾一君) それで六三%というのも資料を持ちませんので記憶でございますから、その点は御了承いただきたいと思いますが、御趣旨はよくわかりましたので、検討いたします。
  225. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ただいまの六三%は国の交付金でまかなっているというところが六三%なんでしょう。三七%は不足であるということなんですね。それ自体が非常に問題ですよ、もうそういう実態が出ているのですから。ですから、これに対してどういう認識を持っておられますか。さっきもいったのですが、地財法第二条二項では国は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行なってはならないということになっているのですね。実態は国が経費を十分に負担しないから地方自治体に負担を転嫁していることになっているわけです。先ほど、もっと若い給与の低い人を雇ってやればそんなに経費がかからないのだ、あるいはまた二人ぐらいで済むところを三人も四人も雇っているから経費が必要以上にかさむのだ、そういう面を全部見るわけにいかぬ、こう言っておられますが、機械的にそういうふうに僕は考えられたらこれは非常に問題があると思うのですよ。今の労働力の需給の実態等をごらんになれば、今、中学卒の若い人は非常に不足なんです。で高、中年層というものの失業が多いわけでしょう。そういうような実態のもとでそういう年令の高い人を雇った場合はまた違うわけですね。これも全体の国の何というのですか、雇用政策等から見た場合やむを得ない面もあると思うのですよ。そういう点もやはり考慮しませんとね。若い人を雇えば給与が低いからそうすべきところを、年をとった人を、高年令層の人を雇っているからそれに対して十分給与がめんどうを見られないということに機械的に判断してもらうと、これはまた問題があると思うのですね。それから十分足りているといっても、それが労働強化になっている場合もあると思うのですね。そういう面もやはり十分考えられる必要があると思うのですよ。ですから、要は実態を見てあらゆる角度からこれは検討される必要があると思うのです。それで私は実感としてそんなに国民年金事務のために地方自治体が放慢にやっているとは思えないし、どこへ行って聞いてもかなり無理してやっているわけなんですよ。無理してやって、それで不足を生じていることをわれわれは聞いているわけです。ですから、そういう点は実態の把握が重要なわけですね。それで抽象的に御答弁があってもそれは納得がいかない。現実が、そういう不満を方々から聞くのですね。実態に合っていないと思いますので、この十条の四の場合、あるいは十二条の場合ですね、今後十分その点は地財法の第二条二項の精神、国は地方自治体に負担を転嫁するような施策をやっちゃいけない、この原則に反しないように、これは各省からいろいろ大蔵省予算折衝の過程で説明があると思うのですよ。ですから、十分御存じと思うのですけれども、しかしその結果が実際に合わぬようになっておりますから、私は大蔵省が十分認識していないのじゃないかと、こう思うわけですね。私は何でもかでも予算さえふやせばいいのだ、そんなむちゃな質問をしているわけじゃない。実態から見ましてそうなっておらない。これはもう常識から考えて、十目の見るところこれははっきりそうなんですよ。地方団体に当然国が負担しなければならぬ経費を負担さして、地方自治体に転嫁していくということは、もうあなた方よく御存じのはずですよ。全体の予算編成の過程において全体のにらみ合いから相当押えなければならないかもしれませんが、では財源はないのかといえば、財源はないと言わせない、われわれは言わせませんよ。こんなに自然増収のあるのに、自然増収をむやみに使っいいというわけではありませんけれども、財源的にはないわけではないのですから、こういう機会に、財源があるのですから、不均衡は、不合理は是正すべきじゃないか。思い切ってやはりやってよろしいのじゃないかと思いますが、その点について。
  226. 岩尾一

    説明員岩尾一君) ちょっと私の御説明が足りませんで、今申しますような高齢者を雇う問題でありますとか、あるいは実際四人でやるのを五人でやらす、あるいは逆の場合に労働強化になるのじゃないかというような御指摘でございます。私そういう意味で申し上げたわけでございませんで、いわゆる、国で事務の執行に要する経費という基準をはじいてやる場合に、どういう基準にすべきであろうかという場合に、課長が一人、課長補佐が一人、係長がどれくらいというふうにはじいてみますと、そういうことになるということを申し上げたのであります。お説のようないろいろ問題もございますので、十分実態を見まして善処したいと思っております。
  227. 田上松衞

    主査田上松衞君) 高柳主計官には特別にございませんか。——別に御発言もないようですから、自治省関係質疑はこれをもって終了することにしたいと考えますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  228. 田上松衞

    主査田上松衞君) 御異議もないようですので、さよう決定いたします。  次回は明二十八日午前十時から開会いたしまして、厚生省文部省関係について審議をお願いいたします。  本日はこれで散会いたします。    午後四時四十四分散会