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1962-03-28 第40回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十八日(水曜日)    午前十時二十八分開会   —————————————    委員の異動 本日委員田中一君及び安田敏雄君辞任 につき、その補欠として佐多忠隆君及 び清澤俊英君を予算委員長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    主査      金丸 冨夫君    副主査     千田  正君    委員            上林 忠次君            鈴木 恭一君            田中 啓一君            平島 敏夫君            米田 正文君            清澤 俊英君            佐多 忠隆君            戸叶  武君            安田 敏雄君            赤松 常子君            加賀山之雄君   国務大臣    農 林 大 臣 河野 一郎君    郵 政 大 臣 迫水 久常君   政府委員    農林政務次官  中野 文門君    農林大臣官房長 昌谷  孝君    農林大臣官房予    算課長     桧垣徳太郎君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    農林省振興局長 斎藤  誠君    農林省畜産局長 森  茂雄君    農林省蚕糸局長 立川 宗保君    食糧庁長官   大沢  融君    林野庁長官   吉村 清英君    水産庁長官   伊東 正義君    郵政省郵務局長 西村 尚治君    郵政省貯金局長 荒巻伊勢雄君    郵政省経理局長 佐方 信博君   説明員    農林省畜産局参    事官      保坂 信男君    郵政大臣官房人    事部長     長田 裕二君    郵政省電波監理    局次長     石川 忠夫君    日本電信電話公    社総裁     大橋 八郎君    日本電信電話公    社総裁室文書課    長       武田 輝雄君    日本電信電話公    社運用局長   山下  武君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十七年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十七年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十七年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  昭和三十七年度予算郵政省所管を議題といたします。  まず、政府説明を求めます。迫水郵政大臣
  3. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 郵政省所管会計昭和三十七年度予算について、その概要を御説明申し上げます。  まず、郵政事業特別会計予算でありますが、この会計予算額歳入歳出ともに二千五百四十二億一千三百万円でありまして、前年度予算額に比べて三百六億七千三百万円、一三・七%の増加となっております。しかし、この予算総額の中には収入印紙失業保険印紙等の、いわゆる通り抜けとなる業務外収入支出が六百二十九億七千万円ありますので、これを差し引いた郵政事業実体的予算は一千九百十二億四千三百万円でありまして、前年度予算額に比べて百八十二億四千六百万円、一〇・五%の増加となっております。この増加のおもなものについてみますと、業務運営費におきまして百七十億五千五百万円、郵便局舎等建設費において八億六百万円等であります。  次に、三十七年度予算に盛り込まれております重要施策事項について申し上げます。御存じのとおり、郵政業務、特に郵便業務におきましては、昨年春ころから急激に業務正常運行が阻害され、利用者から大きく非難を受ける結果となったのでありますが、このような状態は一日早く解消すべく鋭意努力をいたして参りましたが、三十七年度予算もまたこのために必要な施策中心課題として予算編成を行ないましたので、この予算は一口に申しますと郵政業務正常化予算と言っても差しつかえないものと思っております。  その施策について申し上げますと、業務量及び施設増加に必要といたします要員につきましては、一万五千二百二十二人の定員増員を行ない、局舎狭隘の解消と労働環境改善については、六十四億八千六百万円の予算をもって郵便局舎等の新営を行なうほか、二億数千万円の経費をもって居住性向上施策を行ない、郵便物集配運送施設改善につきましては、より一そうの機械化を推進して労働力の軽減と郵便物の迅速なる配送に努めるとともに、従事員訓練実施特殊有技者手当増額等能率向上のための諸施策をも実施して業務正常運行を確保することといたしております。郵政窓口機関設置につきましては、無集配特定局二百局、簡易郵便局八百を増置することとし、簡易郵便局につきましては、手数料を倍額程度まで引き上げて、その普及を推進することといたしております。  貯蓄の増強につきましては、新年度における郵便貯金増強目標を純増一千五百五十億円、簡易保険新規募集目標十九億円、年金八億円とし、その達成に努めることといたしておりますが、郵便貯金につきましては、最高制限額現行三十万円を五十万円に引き上げ、また、簡易保険郵便年金福祉施設につきましては、これを能率的に運営するために、福祉事業団を設立いたしたいと考えまして、それぞれ法律案を今国会提出いたした次第でございます。  次に、歳入予算について申し上げます。歳入予算総額歳出予算と同様二千五百四十二億一千三百万円でありますが、この中から収入印紙収入等業務外収入を差し引いた郵政事業の実体的な予算額は一千九百十二億四千三百万円でございまして、前年度より百八十二億四千六百万円、一〇・五%の増加となっております。このうち郵便業務収入総額は八百九十億三千百万円、為替貯金業務収入は四十四億五千六百万円でありまして、前年度予算に比べて、郵便業務収入では百二十三億四千九百万円、為替貯金業務収入では九億三千二百万円といずれも増加しておりますが、これらの収入は昨年料金改正を行ないまして以来きわめて順調な歩みを続けております。なお、これらの収入のほか、他の会計から繰り入れを受ける受託業務収入が八百九十六億六千九百万円、郵便局舎等建設財源に充てるための借入金等資本収入が四十四億八千三百万円、その他の雑収入が三十六億四百万円となっておりますが、いずれも前年度より若干の増加を見込み、収入予定を立てている次第でございます。  次に、郵便貯金特別会計予算について申し上げます。この会計予算額は、歳入歳出ともに八百七十三億四千五百万円でありまして、前年度予算額に比べて八十八億三千七百万円の増加となっております。歳入増加は、郵便貯金増強に伴います郵便貯金資金資金運用部への預託利子収入増加によるものであり、歳出増加貯金預入者への支払い利子四十七億六千三百万円、業務委託費としての郵政事業特別会計への繰り入れ金七億六千万円、予備費十六億九千九百万円、借入金償還金十六億一千九百万となっております。  簡易生命保険及び郵便年金特別会計におきましては、歳入予定額は二千百四十七億四千万円で、前年度予算に比べて百九十五億円、歳出予定額は千一億六千百万円で、三百三十四億九百万円といずれも前年度より増加しておりますが、歳入歳出差額、すなわち歳入超過額千百四十五億円につきましては法律の定めるところに従いまして積立金として処理し、資金運用部に預託することといたしております。なお、三十七年度財政投融資原資中、簡保年金資金は千五百億円を予定いたしております。  次に、一般会計予算について申し上げますと、その歳出予算額は、二十八億四百万円で、前年度に比べて二億六千四百万円の増加となっております。この予算には、有線放送電話施設公社線との接続に関する試験研究を全国二十カ所で行なう経費三千六百万円、宇宙通信開発研究に要する経費一億七千七百万円、国際放送拡充強化に要する経費一億九百万円、臨時放送調査会設置等重要な施策を行なうための経費が含まれております。  次に、日本電信電話公社予算案について申し上げます。この予算損益勘定におきましては、収入は三千二百四十四億円、支出は二千五百五十一億円で、収支差額の六百九十三億円は建設財源及び債務償還に充てられることになっております。建設勘定におきましては、総額二千百二億円で、この財源自己資金一千二百六十三億円、外部資金八百三十九億円を予定しております。また、この支出の内訳を申し上げますと、一般拡張工程に一千九百八十五億円、町村合併に伴なう電話サービス改善に五十一億円、農産漁村電話普及特別対策に六十六億円となっております。  以上をもちまして、ひとまず、私の説明を終わりますが、なお、詳細な点につきましては、御質問をいただきましてお答え申し上げたいと存じます。何とぞよろしく御審議下さいますようお願い申し上げます。
  4. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) これより質議に入ります。  質議のおありの方は順次御発言を願います。
  5. 千田正

    千田正君 郵政大臣にお尋ねいたします。第一点は、どうも郵政事業は、特に国民に対するところの奉仕に徹底しなければならないと私は思うのでありますが、最近、労働攻勢というような問題と相からんで、郵便物遅配、昨年末、また最近、本日等の情勢からいうと、賃金闘争春闘というようなことで、われわれ国民としましては、この郵政業務が円滑にいって、われわれの求めるように迅速に郵便物の配達、あるいは電報、あるいは電話サービスが十分に国民の期待に沿うような方向に向かってやっていただきたいというのは切実なる国民要望でありますが、どうも最近の情勢ははなはだ芳ばしくない。きのう、きょうのこの労働賃金闘争におけるところの春闘に対する郵政省としての大臣はどういうふうな御所信をもって臨まれるか、その点の御所信を承りたいと存じます。
  6. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) いわゆる春闘というものにつきまして、私は全逓が違法なる行為をしないように念願をいたしますと同時に、早く仲裁裁定を受けまして、その仲裁裁定を実行することによって事柄を円満に解決して、郵政業務運行に支障のないようにしたい、こう考えております。
  7. 千田正

    千田正君 そういうお答えをいただくのは期待しておりましたし、また新聞等においても大臣所信が発表されておりますので、十分に御解決が願えるものと期待しております。ただ、私は毎年のように年末年始に際してこの郵便物遅配、これは非常に国民にとっては迷惑な話でありまして、今、大臣がここに予算の御説明のありましたとおり、相当収入増加しておる。そういう立場からいいますれば、毎年の年中行事のように行なわれるような、こうした労働攻勢に対しては十分に早いうちに手を回して話し合い、あるいは何らかの方法において解決して、年末闘争等においては十分にそれに備える覚悟をもってもらわないというと非常に国民は迷惑する。それは郵政省を責めるばかりでなく、従業員の方々も自分らの立場というものを、やはり国民の公僕としての誇りをもって、これに対処しなければならない、そういう精神に欠けておるのじゃないかという国民の声が最近は非常に強いのでありますから、そういう点を十分納得させてやっていただきたいと思います。  そこで第二点の問題は、放送問題として、民放でやるストでありますが、これに対しまして、昨日の夕刊あるいはラジオ等放送になっているところによりますると、いわゆる民放労組が今度のストに参加して、一応、放送機関をある程度押えておるようなふうにも思われるし、それは話は違うと労働組合側は言っておるし、その辺の実情はどういうふうになっておりますか。
  8. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 現実状態は、各社によってそれぞれいろいろ違っている点もあるようでありまして、現在調査を命じております。夕べの夕刊に出ました私の談話というのは、新聞の紙面から受ける印象は、私に君が新聞記者諸君に話をしましたよりは相当にセンセーショナルな感じを受けるのでありますが、ラジオ、テレビとも公共性が非常にある。まあ学校放送なんというものもやっておりまして、学校はそれを教科の中に組み入れて教育をしているところもある。それをいきなり電波がとまるようなことになってしまっては、非常に公共立場から考えて困った事態である、同時に、放送関係労働者のいわゆる労働基本的な権利に対して疑問を持つわけでは決してありませんけれども放送関係従事者というものは、おのずから自分公共的な仕事をやっているのだという良識をもって、そういう自分たち立場を自覚しつつやっていただきたいと私は思っておるのでありまして、こういうような事態、将来において電波組合によって管理されるような状態がかりに起こるというようなことになれば、これはまた国の財産として、国家が一定の基礎基準のもとに免許をしている電波が、その基礎基準と全然違う方向に出ることもあり得るというようなことになることは、これは非常にゆゆしい問題であるから、そういうような問題は、将来、放送法改正等のときに十分よく検討しなければならない、問題の一つになるであろう、こういうような趣旨の話をいたしたのでありまして、本日、私の手元に民放労働者組合連合会といいますか、そういうところから、発言が不穏当であるから撤回をせよという抗議文も来ておるようでありますが、撤回をしろといっても、何を撤回するのかわかりませんが、私の真実はそういうところであります。
  9. 千田正

    千田正君 放送事業本質からいえば非常に公共性を持っておる。それから労働運動としての賃金闘争というものと、放送本来の姿というものは別個に考えなければならぬのではないか。あくまで放送というのは国民の文化、あるいは公共仕事に寄与するという大きな原則があるわけであって、これに対して労働組合賃金闘争によってそれを管理するとか、あるいは占拠するというような、そういう行動は別個な問題として考えなくちゃならない問題じゃないか。そこで、あなたが昨日の新聞あるいは今朝の新聞等に御発表になられたように、放送法の一部改正というものは、これはある程度やはり本質に沿うて考えられなければならぬ問題ではないかと思いますが、改正法に対するお考えは、近い将来あるいは改正するとか、あるいは是正するというお考えを持っておられるかどうか。
  10. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 放送法につきましては、その他の点について幾多改正を要するといいますか、時勢の進運にこたえて変えなければならぬところもあるように思いますので、実は今国会におきまして、この予算の中にも、放送法等調査会設置予算百万円というものが計上されておりますし、別途、郵政省設置法の中で、付属機関として放送法等改正調査会設置に対する法律案をお願いをいたしておりまして、これは二年間の時限的な機関でございますが、これによってひとつ慎重に検討してもらおうと思っております。ただいま申しましたものも、この調査会における放送法改正をすることについての論議のテーマの一つになる、こう考えております。
  11. 千田正

    千田正君 私はもう一つ、これは電信電話公社の問題ですが、私まことに残念だと思うのは、これがどういうためにわれわれの電話が迅速にかからないか。たとえば私は昨晩も、試みじゃなくて実際必要の関係上、この電話薄にあるように、市外通話というものに対して一〇〇、あるいは一〇六を呼んでもなかなか出ない。しかも三時間、四時間呼んで、呼んで呼んでもなお出ない。これはいわゆるその線が不足なのか、いわゆる受け入れ態勢が不備であるためにそういうふうなのか、一体どういうわけで出ないのか、こういう点であります。それで、私自身としましては、こういうふうに電話局で発表しておりますところの電話薄を通じまして、故障の場合は一一三と、一一三を呼んでも出ない。それは話し中でなくて、サインがあっても出ない。さらに文句というか、ある場合にはというので、ここにちゃんとありますところの、電話薄にあるところの二三一の五一五一——苦情があるときはこれに申し込めというから、これを呼んでみても、これも出ない。午後八時以後になるというと、これは従業員は退庁してしまってだれもいないということなのか、あるいはどういうわけでそういうふうにかからないのか。私の電話故障なのかと思うと故障ではない。そうして四時間も待って、ようやく十一時ごろに、夜中にかけると、相手は夜中に起こされたのでたまらない。一体どういうことなのか。少なくとも電信電話公社なるものは、私が申し上げるまでもなく、国民へのサービスのために徹底しなければならぬ。にもかかわらず、その奉仕精神というものは欠けているといっても過言ではないだろう。もし欠けておらないとするならば、その施設について、あるいは受け入れの方針について何らかの欠点があるのじゃないか、この点について私はお尋ねしたいと存じます。
  12. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) ただいまのお尋ねに対してお答え申し上げます。御承知のとおり、公社設立以来、私どもといたしまして、第一、第二次の五カ年計画を推進して、まさに第二次計画も来年度をもって終わろうとしておるのであります。これは一面におきましては、電話に対する需要がことに熾烈になって参りまして、新しい電話をつけてもらいたい、電話加入に対する国民要望が非常に強いのでございまして、これに応ずるということと、一面においてはすでに加入しておられる加入者電話所有者サービスをできるだけよくしたい、サービス維持改善をはかるという目的でこの計画を立てておるわけであります。ただ、これがためには非常に多額の金を要しまするので、なかなか思うように実は参りません。この両方の面ともにそれぞれ御不満を国民に与えておることは、まことに恐縮いたしております。特に最近、御承知の財界の好況であるということと、一般加入電話増加したために、市外通話取り扱い数が非常に増加して参りました。これに対する設備なり要員なりの手当が十分間に合わないがために、市外通話サービスが非常に悪くなって御迷惑をかけておるのであります。この点、まことに恐縮にたえないのであります。根本的にこれを改めるためには、どうしても市外通話即時通話に、しかもダイヤルを回すことによって交換手の手を経ないで市外通話ができるような自動即時というところまでいかないと、ほんとうの改革にならない。私どもとしては一日も早くこの程度市外通話がなるようにしたい。そのために昨年国会の承認を得ました料金改訂などということも、実はこの道を達成するための一つの手段でもあるわけであります。これがこの九月また十月ごろから新体制の料金改訂になりますと、今までは近距離だけの自動即時であったものが、今度相当長距離即時通話もできるようになるわけであります。徐々にこれによってこの目的を達し得る。私ども今現在の計画では、やはり今後十年、第三次五カ年計画、第四次五カ年計画が完了したときに、われわれのある程度の理想に近いものができ上がるのじゃないか、かように考えておりますので、根本的な問題としてはいましばらくお待ち願わなければいかぬと、非常に残念でありますけれども、現在の状態やむを得ず、この点をお願い申し上げなければならない、かように考えております。  なお、ただいまの市外通話の特に悪いのは大都市において悪いのでありまして、東京、大阪、名古屋等大都市が特に実はよろしくないのでありまして、これに対して私ども特に注意を払いまして、東京で申しますと、三十五年度には東京市外局に四百名ばかりの増員を特にいたしまして手当をした。三十六年度にも、やはり四百名以上の定員を特に配置して手当をいたしておるのであります。ところが、一般市外通話の数の増加はわれわれの手当以上にさらに増加いたしますので、ついに御迷惑をかけておるような次第でございます。なお、そのほかにもいろいろ当局としては苦労して手当をしておる点につきましては、局長から説明させていただきます。
  13. 千田正

    千田正君 それは、おっしゃるのは大体あなたのアイデアであって、私はアイデアだけを言うのでなくて、現実にわれわれが使っていて不便である。もう一つは、これは人間のことでありますから、一日じゅう一ぱい勤めるわけにいかないだろうから、あるいは夜間の部と昼間の部と、おそらく昼夜交代従業員配置されておるだろうと私は想像している。私は配置状況を聞きたい。私はゆうべあらゆるところにかけてみた。ベルが鳴ってもだれも出ない。あなた方のほうではこういうことに対して監督しているのですか。一体、夜だれもいないことについて、しかも本局あるいは分局においても、あるいは故障係においても。そうして、いわゆる電話簿には故障のときにはこういうところを呼んで下さい、夜間のときはこういうところに電話すれば出ますということを書いてあって、そういうところを呼んでみても、話中じゃない、十分も鈴がなっていても一人も出てこない。これはどういうことですか。これは人が足りないということでは申しわけが立たないと思う。人間配置に対してはどうやっているのですか。昼間だけしかやらぬということになっておりますか。
  14. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 実際の取り扱い状況を、ひとつ局長から説明させていただきます。
  15. 山下武

    説明員山下武君) ただいま御指摘のように、最近のサービスがたいへん悪うございまして、各方面に御迷惑をかけておりますこと、まことに申しわけないと存じます。  夜間配置状況のことでございまするが、私のほうは昼間と大体同じ程度といいますか、業務量に応じまして、昼間も夜間も一人当たりの働らく量は同じ程度に実は配置いたしておるわけであります。深夜といえども相当数の人員をそれぞれのところに配置しておるわけでございますが、最近業務量が非常にふえましたのと、実は私どものほうのいいろな計画といいますか、要員のやりくりの点から見まして、今ちょうど一番まずい時期にぶつかっておりまして、この十七日の日に、御承知かと存じまするが、高崎、前橋、あるいは伊勢崎、湯河原、熱海等自動即時にいたしまして、それから三日前の二十五日に横須賀の電話自動即時にいたしまして、大体百五十人ほど最近浮いてくることになっております。それを配置がえいたしまして、他の部門の業務量増加に対応して処理しようという計画にいたして、なるべく私ども増員ということは避けて、一方において機械化によって人を浮かして、それを新しい業務量増加に回そうというような計画を進めておりますことと、ちょうどこの三月中ほど以後にそういう事態がございまして、予定としては四月一日までに新しい職場とか採用のほうにつかせて新しい仕事になれさせる、そういう段取りで今やっておるわけでございますが、通話の量は、ちょうど年度末に差し迫りまして、いろいろな会社やその他も忙しいし、学校関係の出入りもあるし、非常に業務量がふえておりまして、ちょうど今の境目といいますか、やりくりしている一番のときに該当いたしまして、いろいろ御迷惑をかけておりますこと、まことに申しわけないと思っております。
  16. 千田正

    千田正君 今の御説明だというと、昼夜に分かたずに交代でちゃんと職務につかせているのだ。忙しいことも了承しました。しかし、鈴が鳴っておって出ないということは、どういうことなんですか。忙しいということで、かけているのはかけておる信号があるわけだから、それはわれわれもやむを得ないです。しかし、鈴が十分も二十分も鳴っておって出ない。故障なのかと思って故障のほうにかけてみても、鈴が鳴っておって人間が出ない。それで夜間のいわゆる宿直だろうと思ってかけてやってみても、出ない。これは忙しいから出ないというわけにはいかないでしょう。これはあなた方の監督不行き届きなのか、サービス精神に徹底するようないわゆる訓練に欠けておるのか、どっちかだと思うのですよ。どちらなんです、それは。それがいてても出ないということであれば、これははなはだけしからぬわけで、こういうことでは怠慢もはなはだしいのですが、いないということはなおさらこれはひどいじゃないですか。どういうわけなんです。
  17. 山下武

    説明員山下武君) ただいま申し上げましたように、大体昼間と夜間と、その一人当たりの働らく量は同じ程度配置しておりまして、どの部署にもいないということはないわけでございます。それで、御指摘のように、たいへん応答がおそくなるものが相当たくさんございまして御迷惑をかける場合が多いわけでございますけれども、全部が全部そうだというわけでもございませんので、ただいま申しましたように、一人当たりとしては決して夜間といえども、今日具体的な数字も持っておりますが、一人当たりの働らいている度合いとしては、大体昼間の状態と同じ程度にやっておるわけでございます。ただ、座席その他が夜間は非常に、昼間は各座席にみんなついておりますけれども夜間は人数も少ないし、取り扱いの場所が方々にまたがったり、いろいろなことで、集約的に扱う度合いがどうしても昼間より夜間のほうが具合が悪い、そういうことのためもあって、夜間非常に悪い点が多うございますが、別段夜間だからといって従業員がなまけておるとか、そういう点は、私ども夜間現場に行って見ましても、忙しく働いているということは私ども承知いたしております。
  18. 千田正

    千田正君 それでは聞きますがね、電電公社の夜間電話は何番ですか、夜間は。われわれがあなた方を呼び出して応答するのは何番ですか、本社ですよ。
  19. 山下武

    説明員山下武君) (五〇一)四二一一でございます。
  20. 千田正

    千田正君 本社のほうでは、この名簿には、文書課が夜間受け付けることになっておる。その文書課さえも出ないのです。いたんですか、一体。あなたがそう答弁をしたって、いないですよ。ほかからも、僕は三カ所の電話を利用してかけてみた。応答がない。リンばかり鳴っておる。夜間はここで受け付けますということを、あなたの本社ではちゃんと書いておる。でたらめ言ったってだめですよ。調べてごらんなさい。
  21. 武田輝雄

    説明員(武田輝雄君) 今御指摘がございましたが、夜間、本社への連絡は文書課ということでそこに載せておりますが、実は非常に申しわけないんですが、去年の暮れごろから、文書課の宿直を、非常に仕事が少ないものですから、ずっと今までとめておりましたが、今運用局長が申しました代表番号の四二一一のほうへ合わせて、そちらのほうで受付をいたしておりますので、ということに変えましたので、今先生が御指摘になりましたような事態になっておりますが、電話番号簿の訂正がおくれているためにそういうことになっておりますが、その点申しわけないと思っております。
  22. 千田正

    千田正君 それじゃ、ちっとも公衆のために、あなた方はサービスなんて言えないじゃないですか。これにはちゃんと夜間は、あなた方の本社としては、ここへかけて下さいというので、かければ、いない。局長の話では、夜昼とも同じ人数を配置をして、公衆の迷惑にならないようにしておりますと言っているけれども、何時間かけたって、一〇五番も一〇六番も出ませんよ。今夜実行してみますよ。そんなでたらめなことを言っちやだめですよ。ほんとうにあなた方は公共精神に徹して、国民奉仕機関であるという信念であるならば、十分にこういう訓練をしなきゃならないはずです。かりにそれがオーバー・ワークであれば、あるいは労働賃金に対してもある程度増すことも考えられるでしょうし、かりに春闘だとか、やれ年末闘争だとかいうなら、国民も納得いくでありましょう。サービスもしないで、料金だけは取る、それでは国民をばかにしておることでよ。私は今夜もかけますよ。出るか出ないか、やってみます。私は、こういうことではならないのであって、もう少しあなた方はほんとうに国民に対するサービスということがあなた方の仕事の大前提であるということであるならば、もっと十分な訓練もし、また監督もやり、また従業員の納得のいくような方途をとってやっていただかないというと、何のために料金を上げて、そして何のためにサービスをしているのか。国民のおこるのは当然だと私は思う。  先ほど総裁がおっしゃったように、それは十年計画、五年計画といろいろある。われわれも予算委員でありますから、むだに私は十五年予算委員をやっているわけじゃない。第一回から今日に至るまで、私はあなた方の内容は調査しております。しかしながら、現実においてこういうサービス精神に徹しないようなことであっては、本来この事業に対して、われわれ国民はあなた方を信頼するわけにいかなくなってくるということは、はなはだ残念なことである。大体今お話しのように、即時自動化したいということですが、その間のつなぎはどういうふうにしてやっているのですか。スムーズにいけるようにやれますか、そういう計画はありますか、どうですか。
  23. 山下武

    説明員山下武君) 先ほども申しましたように、最近の状況は、業務量増加とかあるいは要員計画で、一方自動化をして人を浮かして、新しい増加に対応してやる、あるいは新年度になったら新規採用をして充員するとか、そういういろいろな施策の谷間、ちょうど今境い目みたいなところにございましたために、たいへんサービスの悪い部分がございまして、御迷惑をかけているわけでございますが、私どもといたしましては、今の自動即時化、その他人手を要らないでいいような計画しょっちゅう継続的に進めているわけです。それで、ある時期においては、自動化が拡大いたしますと、人がぐっと要らなくなるかと思うと、また業務量がふえるために人が足りなくなる。その間を臨時の学生を雇いましたり、あるいは家庭の主婦に昼間だけ働いてもらうようなことをお願いしたりなんかいろいろ方法を講じまして、なるべくならば定員的に永久にずっといる人の量をふやさないで、将来自動即時になっても、ことさらに人を復元しなくてもよろしい方法をとるために、いろいろそういうような苦心をしているわけでございます。  先ほども御指摘になりましたように、私どもとしましては、そういう間隙といえどもサービスを悪化してはいけないということで、肝に銘じております。最近のいろいろな御批判に対しまして、私どもとしてはこれではやはりいけないから、いろいろと工夫をしてすみやかにサービス改善をはかりたいと、今いろいろと研究をいたしておりまして、近いうちに先生の御指摘のような趣旨に従いまして、ある程度サービス改善をするようにいたしたいと、せっかく努力いたしております。
  24. 千田正

    千田正君 あなた方の努力をしていることはよくわかりますが、たとえばゆうべの場合でも、現実の問題ですから、よく聞いて下さい。一〇六番、市外通話です。何回やっても出ない。最初の一回は、午後の八時に申し込んで、十二時近くになっても出てこない。私は、あなたのほうの本社だとか私のほうの分局だとか、故障係とか、あらゆるところをやってみた。ところが、途中からですよ、故障係が、あなたは何番にかけたでしょう、あなたはこれこれで前にもかけていたでしょうと言う。そうだと言うと、今つなぎますよ、それとも切りますかと言う。こういうサービスの言い方はない。一体最近は奉仕精神というものは非常に欠けている。  最近は、世界各国を歩いても、電話事業というようなものは、ほんとうに国民サービスするものであると、奉仕精神というものを第一義にして、そうしてやるのが、電話にしろ、電報にしろ、郵政事業本質であるはずである。私は、こういう点においても訓練が欠けているのではないか。外国に行ってごらんなさい。あなた方も行ってらっしゃるからわかるでしょう。電話を申し込んでも、必ずイエス・サーとかちゃんと聞いておる。丁寧です。紳士です。何かしらそういうことに欠けておるのじゃないか。そういう点を少し考え直してもらいたいということ。  もう一つは、時間もないし、私あまりしゃべりたくないからやめますけれども、この四月以降になるというと、御承知のとおり参議院選挙が近づいてくる。選挙等になりますというと、さらに電話の回数が輻湊するだろうと思う。ある場合においては、検察庁においては特別の犯罪人を捜査するために電話のもとに対してキャッする場合もあるだろう。たとえば労働組合が支持する政党と支持しない政党との問題があった場合、そういう場合においてもわれわれは非常に危険性を感ずる、最近の訓練からいうと。まずそういうことはないと思いますが、もしもそういうことがあった場合どういうことをやるか、どういうあなた方はそういう人に対して監督をし、指導しますか、その点を聞いておきたい。
  25. 山下武

    説明員山下武君) 私のほうといたしましては、地方の小さいところはあるいはそういうことがわかり得る場合があるか知りませんが、大局におきましては、その電話の持ち主がどういう方であるかというようなことは、実際の交換取り扱い者にはとてもわからないのでございまして、市外のどこにお申し込みになりましても、どこから何番からかけていたのか全然わからない。ランプがつくから、お互いが応答しておる状況でございます。それから、地方の小さいところでは、あるいは交換手の中では、御指摘のようにその加入者についていろいろな考えを持っておるような人が絶無ではないかもしれませんが、私のほうは、いろいろな取り扱いを長年やっておりまして、秘密を厳正に保持することを、取り扱いにおいては公平に、絶対にその間不公平の批判を受けることのないように、採用のときから繰り返し繰り返し訓練いたしておるわけでありまして、ただいま御指摘のようなことのないように万全を尽くしておるつもりでございます。
  26. 千田正

    千田正君 あなた方のほうはそういうお答えでいいでしょうが、現実において、これは地方選挙において、地方選挙で特定の立候補者が電話からいろいろの問題が漏れて非常な不利な立場に立った、こういう問題がたびたび方々に起こります。これはやはり私は非常に今までは大いに応援をいただいているから、どうということは言いたくないし、この際こういうことを申し上げたくないんだが、やはり中正公平な立場国民奉仕精神に徹してもらいたい。そういうことを暴露したりあるいは内通したりというようなことは、これは例の機関がやることであって、少なくとも中正な立場電話なり電報なりそういうものを取り扱う者は、ほんとうにそういう公僕精神に徹してもらわないと、はなはだわれわれ困るんじゃないか。これは厳重に、選挙も始まるし、いろいろな問題が起きてこない前に、私は一言そういう点については要請しておきます。  時間もありませんから、この程度で終わりますけれども郵政大臣に私はお伺いいたしますが、今電信電話公社のほうからのお話によると、今計画を立てて、そうして順次国民に迷惑かけないような方途を講じておるのだ、こうおっしゃるわけです。しかしながら、非常にわれわれとしては不便を感じておる。今まで私の申し上げたとおりに、この電話簿によるところの市外通話を申し込むというと、三時間も五時間も待たされて、ようやく通じたときは夜中である。相手は非常に憤慨する。これでは電信電話公社の設立の目的はないわけです。むしろ、これは民間のサービス会社がやったほうがいいくらいだ。少なくとも、やはり国の予算をある程度出してやって、それから国民からも協力を得てできているものであったならば、公衆のための便宜を十分考えてもらわなくてはならぬ。もし予算が足りないからできないというのなら、郵政省としてこれは十分考えてもらわなくちゃならない。十年先のことをわれわれは今ここでやっているわけじゃないのです。あなたも今度は選挙でしょうが、選挙のとき、ちょっと待ってくれ、あと三時間たたなければ出られないということでは、われわれ選挙なんかできやしない。実際の問題としてそういう問題が起きているということに対して、郵政大臣はどう考えますか。
  27. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 千田さんのおっしゃることは非常によくわかりますし、私も実際電話を利用する立場に立ちましたときには、全く同じような感じを持ちますが、一方電電公社というものが、あれだけどんどん電話の利用がふえていく中に対抗して、電話をつけてもつけても積滞の数が減らないというふうな、それほど電話の需要の旺盛なところに対処して、一生懸命にやっている姿を見ますというと、これは一つの過渡的な現象と言ってしまったら、あるいは千田さんからおしかりがあるかもしれませんけれども、一定の計画が実現するまでの間暫時やむを得ないのじゃないかと思います。ですから、私はこのごろは逆に、日本中電話がかけられるようになったのがありがたいので、もしかけられない状態だったら、たとえ何時間待ってもかけられるといいなあと、こう思うだろうと思うのです。そういうことで一生懸命に総裁以下やっておりますし、郵政省としてもできるだけの協力はしているつもりでございます。  ただいたずらに予算をよけいふやしてやったからといって、そういうものが一ぺんに解決するわけではなくて、これは日本全体の生産能力の問題にも関連をいたしますし、雇用全体のバランスの問題にも関連してくる。これは当分の間しょうがないのじゃないかなと思って、このごろは私はあきらめているような次第でありますが、できるだけひとつ努力して、一刻も早くそういうことが解消するように、総裁ともよく相談してやりたいと思います。
  28. 千田正

    千田正君 大臣は非常にあきらめが早くて……。そうわれわれはあきらめられませんよ、そんなことは。あなたはあきらめられるかもしれないが、そうはいかない。  そこで、私は総裁にお尋ねするのですが、あなた、今十年、五年と言うけれども、十年を五年に縮め、五年を三年に縮めるためには、私は金が必要じゃないかと思う。何の面でそんなに長くかかるのだということですよ。これは予算が、そういう計画に裏づけするところの予算が足りないからじゃないですか。私はそう思うんです。今大臣は金の問題ばかりじゃないとおっしゃるけれども、もしそうだとすると、あなた方の計画がどんどん実行できないということは何が原因なのか。予算の裏づけが少ないからという意味じゃないですか。そのほかに何があるんです、できない理由は。
  29. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) ただいま、どうして十年かからなければできないかというお尋ねでございます。これはただいま御指摘の金の問題はむろんあります。しかしながら、金の問題もありますけれども、それよりも、これをやるためにはやはりいろいろ必要な資材の用意が要るわけでございます。また、これを建設する要員、また計画を進める人の問題もあります。したがいまして、今かりに特別に今までより倍の予算を出す、来年はことしより倍つけろと、こうおっしゃっても、すぐにはそういうことはできませんので、私どもといたしましては、少しずつそういう資材に対するかまえ、また人員、建設要員に対するかまえ等も、養成しながら漸次ふやしていこう、こういうことでありますから、ごらんになりますと、いかにも気の長い話のようにごらんになると思いますけれども、私どもとしてもどうもこれ以上ちょっとこの際としては、そう一時に半分にしろ、三分の一にこれは計画を縮めろと言われても、ちょっとお受け合いいたしかねるわけであります。  それから先ほどいろいろ御注意いただきました点につきましては、十分私どもも注意して御趣旨に沿うように努力はいたしたいと思います。  なお、選挙の際の不公平の取り扱い、こういうことは、従来長年にわたる通信事業の性格として、公平にやらなければならぬということは、もう電信電話のみならず郵便においては、全部私は通信事業においては徹底しておると考えておりますので、あるいは中には不心得の者が絶無とは私は申しませんけれども、私のほうでは、そういうことのないように、さらに一そうの注意を加えていきたいと思います。  なお昨晩のお申し込みについて、もしもう少し具体的に聞かせていただけますと、場合によっては、さらに現実に取り調べまして、昨晩の取り扱いがどういうふうであったかということを取り調べたいと思います。あるいはこの席でなくてもよろしゅうございますから、あとでひとつ十分当時の状況をお伺いいたしまして、十分お取り計らいをいたしたいと思います。
  30. 千田正

    千田正君 どうも私はむしろ民間会社を作ったほうがいいんじゃないか、こう思うのですよ。なぜかというと、よく総裁のおっしゃるように、金の問題じゃない、要員も十分すぐにはできない、それから資材もできない。これをせんじ詰めれば、予算の問題になってきますよ。私は、ある程度計画を立てて、そして十分に要員を養成しようとすればできないはずはないと思います。郵政事業の一番初めは、これは言うまでもなく、明治初年においてさえ、あの何もなかったときにおいてさえも、やろうという精神に立ったからこそ、初めて日本に郵政事業というものができて、電信電話もできてきた。私は、総裁以下そういう気持になれば、あるいはできないことはないのじゃないか。十年という年月からいいますと、今のいわゆる近代化の世の中に、これは十年なんていうなまぬるいことを考えていたのでは、これはたまったものではない、国民は。十年たたなければ、「一〇六」を呼んで一時間以内に向こうへ到達するということはできない、そんな気の長いことを言っては困りますよ。あなたも私もあと十年生きるのは私は疑問だと思っておる。それなのに電話もかからないうちに死んでしまうのは残念だと思いますので、それでもう少し早くこれは達成するようなことを考えてもらいたい。私は今の話をせんじ詰めると予算が十分じゃないからじゃないかと思う。要員を作るといったって、ある程度の金を出して、ある程度の待遇を考えれば、十分養成できると思う。資材にしたってそうだ。私はそういう点にもう少し研究なり、あるいは積極的な意欲を持っていただかないというと、この問題はいつまでたっても解決しないのじゃないかと私は思う。私はそう思いますよ。  それから後段の、今の現実の問題は、私はあとからあなた方の直接の人に申し上げます。こういうことではわれわれは仕事はできない。少なくとも国会議員としての立場においてわれわれは電話もつけていただいているし、スムーズに国民のための仕事をやろうと思っても、三時間も四時間も五時間もかかっても、なお通じない。本社を呼べば夜間の勤務の人もいない。そういうことでは、私はあなた方のほんとうの国民に対する答弁にはならないと思う。だからこの際真剣に考えていただきたいと思います。私はこれで質問を終わります。
  31. 赤松常子

    ○赤松常子君 私は、たまたま最近、第一線に働いていられる女の方と多く会う機会を持ちましたので、そのときに訴えられた諸問題を中心に二、三お尋ねしたいと思っております。  それは、私郵政事業全般にはしろうとでございますから、的はずれのこともあるかと思います。その辺はまた御教授願いたいと思っております。全特定の業務に働いていらっしゃる方々が、一番おっしゃったことは、局舎が非常に古いし、狭いし、とても能率的に仕事ができないということを強く訴えていらっしゃいました。今度の予算を拝見いたしますと、郵便局舎の改善施設拡充経費に去年よりは相当取っていらっしゃいますが、ことしこの費用の中で、いわゆる遠方にある、僻地にあるその特定郵便局のほうにどのくらい回って、どういう宿舎の改善をお見込みでいらっしゃいましょうか、おっしゃっていただきたいと思います。
  32. 佐方信博

    政府委員(佐方信博君) 郵便局舎でございますと、昭和三十七年度には、特定局を八十局作るというふうなことになっております。
  33. 赤松常子

    ○赤松常子君 ふやすのが八十局ですか。それと私の言いたいのは、既設の局舎の復旧、非常に老朽になっている。これの補修と申しましょうか、そういうことはどの程度経費にお見込みでございますか。
  34. 佐方信博

    政府委員(佐方信博君) 特定郵便局につきましては、新しく作るものは国で作りませんで、特定局を志望なさる方、あるいはまた公共団体等のごあっせんによって作る、それは三十七年度予算で二百局を全国で考えております。それからただいま申し上げました八十局と申しますのは、これは今まであります局の中で、相当大きな特定局等を改築していく、作り直していくというのが八十局入っておりますということでございます。
  35. 赤松常子

    ○赤松常子君 それから、そういうふうに局舎ができましてけっこうだと思うのですが、このバランスで、全国的に過不足なくお考えでいらっしゃることと思います。こういう平均化ということも相当考えて二百局、また八十局お考えでいらっしゃいましょうね。何か片寄っているとか、そんなまた不便であるとか、そういうことのないように御考慮がもちろん払われていると思いますけれども……。
  36. 佐方信博

    政府委員(佐方信博君) 特定郵便局の場合につきましては、先ほど申し上げましたような、ある程度大きな局でございますね。それは国が直接作っていこうということで、年次計画をもちましてやっていくわけでございます。同時にまた、一般的に特定局で、地方で古くなるとか、いろいろなことがありますと、これは局長さんがみずから金を借りて作り直す。そうしますと、役所としましては、それに対する借用でやっていくという立場になっているのでございます。一般の普通局でございますと、これはほとんど国営で、みずから持っておりますけれども、全国一万四千になんなんとする特定局につきましては、沿革的な理由もございましたし、それから局の特殊な理由もございまして、原則としては、局長さん等が提供の義務はございませんけれども自分で作ったものを国が借り上げていく、しかしそれでは非常に大きな局でありますとか、特別なところで、なかなかできないときには、そこは計画的に国で作っていこう、それがことしは八十局になっている、こういうことでございます。
  37. 赤松常子

    ○赤松常子君 私ここに働いていらっしゃいます方々のいろいろな声を聞いて、少しオーバーではございますけれども、なかなかむずかしい問題があるようでございます。いわゆる零細企業の形態ですものね。ですからほんとうにいい意味の家族主義、家族的であればいいけれども、マイナスの、いわゆる何と申しましょうか、封建的な空気の中で働いている方の声のほうが強うございまして、これは大臣も、もう御存じだと思いますけれども、ことにそういう特定郵便局は、雇われている女の人が中心でございますので、郵便局のお仕事もいろいろ一人でせんならぬ、電報も打たなければならぬし、切手も売らなければならぬし、電話の交換もせんならぬ。そういう上に、まだふろもたかんならぬし、子守りもせんならぬしということを訴えていらっしゃるのでございまして、こういう御指導、そういう封建的な、まだまだ地方へ行くと、古くさい空気の中で働く人々の給与、待遇とか、あるいは環境とかいうもののよりよくなるような指導を実際どういう場合になさっていただいているのでございましょうか。
  38. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) 特定局の職員が、局舎が小さく定員も少ないために、いろいろな仕事をしなければならないということは、これは業務量なんかにからみ合いましてやむを得ないことかと思うのであります。ただいまのお話しのように、たとえば局長の家の子供を見るとかいうようなことまでさせられるという面につきましては、私ども局長の私用までさせることのないように、かねがねあらゆる機会に相当強く指導もしている次第でございます。よく聞きますと、たとえばふろの水をくまされたというようなことを聞かされたりいたしまして、調べてみますと、局長の家のふろに入らしてもらっている、そういう全く別の関係で、お互いのギブ・アンド・テークといいますか、そういうことになっている問題は別といたしまして、局長の権威をかさにして職員を私用に使うというようなことは、絶体にしないように指導している次第でございます。
  39. 赤松常子

    ○赤松常子君 それは私、たとえ小さくても、局長と職員との共同生活の場でございますから人間的にこちらが進んでお茶を入れましょう、赤ちゃんが泣いておればお手伝いしましよう、そういう美しい気持は育ててもらいたいと申しておきました。しかし、その関係がやはり主従の関係にある現状においては、それ以上になかなかその暗い生活が局舎の中にございますことをどうぞ、ごく最近私いろいろ聞いたものですから、より明朗化するように特段の御指導がいただきたいと思っております。それで今申し上げました切手も売る、何もするということの、それはまあ本人たちがいやいやながらやらせるのでなくて、今あなたのおっしゃったとおり、人数が少ないから何もせんならぬということで、進んでやってはいるようです。ところが、何かここに電話交換手の人と電報を打つ人が位が上で、窓口で切手を売っている、はがきを売っている人が軽く扱われるというような空気がなきにしもあらず、またそういう技術の訓練、これも計画的になされるのでなくて、だれかがしているのを見て、いつか知らず覚えるというような非常に何と申しましょう、その場限りの訓練のようで身に覚えるようなやり方のようでございましたが、こういう実務の訓練、これもどういうふうに、特に何か一定に集めて教えていらっしゃるのでございましょうか。
  40. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) 数年前から職員を新しく採用いたしました場合には、本務者にいたします前に一カ月研修所に全員入れまして、一カ月研修所の訓練を受けさせます。それから職場に戻りましたあとでも、職場訓練をやることになっております。特定局では適当な指導者がその局にいない場合が多うございますので、その近辺の適任者を選びまして、訓練指導員という形で選んできまして、業務研究会その他の機会に新しい職員につきましては特に力を入れまして、集めて指導なり訓練をやるという、そういうやり方をとっている次第でございます。
  41. 赤松常子

    ○赤松常子君 今申しますのは、その職場、職種によって何か身分の上下があるような、そういう空気が残っている、そういうことがある。ところが給料は同じなんでございましょう、そういう何かしら仕事によって階級があるというような空気に堪えられないということを申しておりましたですが。
  42. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) 私ども聞き及びます限りでは、たとえば電話の交換なり、電報の受付等の事務と、窓口の事務と、そういうような間に、何といいますか、差別感というか、そういうものがあるということは全く存じませんでした。内勤と外勤等につきましてときにそういう気持を持たれる人があるというようなことを聞いておりますので、そういう面に、一面心の持ち方という面からも変えるような、いろいろな機会に努力しておりますが、同時に待遇その他の面につきましても、待遇、給与とか制服とか、その他いろいろの面でもそういう気持を払拭する方向で努力している次第でございます。ただいま御指摘の面につきましてはなお気をつけて参りたいと思います。
  43. 赤松常子

    ○赤松常子君 私は、大臣に、この特定郵便局のあり方及び将来やはり特定郵便局をもっと全般にふやしておいでになる御計画なのでございましょうか、それが一点。  それから今申しますように、ほんとうに零細企業でございますから、そこにさまざまな人的関係人間関係というものが妙にくすぶっている。これをなくするためにどういう行政指導をなさっているのでございましょうか。御存じでございましょうけれども、こうい点大臣の御意向を伺っておきたいと存じます。
  44. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 郵便の窓口というものは、どんどんふやしていかないと、サービスが徹底いたしませんので、特定郵便局は大体千五百局くらいふやす予定でもって、毎年二百局くらいずつ計画的にやっております。本年も二百局くらいふやして予算もお願いしております。  なお、ただいまの局員と局長との人的関係ですけれども、それはやはり局長のほうによくひとつ指導をして、いわゆる封建的でないようにしていくことが必要だと思いますので、そういう点は研修会を、局長管理者としての研修会を開いてもおりますので、そういうような機会に十分徹底をして、いい人的関係を作り上げるように努力したいと思います。
  45. 赤松常子

    ○赤松常子君 ほんとうに、くれぐれもお願い申し上げておきます。  それからもう一、二お尋ねいたしたいのでございますけれども、最近機械化が進んでおりまして、能率が上がっているという事実もおっしゃっておりますけれども、まだまだ相当都市の郵便局で二階、三階があり、ことこと階段を上がって行かなければならぬ、それで荷物を、小包を肩にかついでおりたり上がったり、これではほんとうに能率を上げたいと思ってもそれでくたびれてしまう、こういう訴えを、従業員の方、これは男子の方が別の機会に強く言っておられましたが、最近ある映画で、どこでございましたか、ずっと流れてくるようないい施設ができておりましたですが、これの進め方は、この機械化計画の推進の中に含まれていると思いますけれども、そういう近代的な機械化された局の数が多くなることを念願いたしておりますけれども、本年度はどのくらいの都市の、どのくらいの規模の郵便局が機械化される予定でございましょうか。
  46. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) 先生のお手元に行っております機械化計画の推進というところを今御指摘になったかと思いますが、これは最初に申されました、その二階や三階に物を運ぶといったような、そういう搬送設備ではございませんで、外の自動車その他の関係をいっておるのでございますが、ところで、その局内の搬送設備でございます。それから、もう少し大きい局になりますと区分を、区分けをする、そういった機械化、そういうものにつきましては、五カ年計画で一応計画は立てております。立てておりますけれども予算の制約その他がございまして、それとまあ郵便事業というものの特殊性からいいまして、なかなか一挙に進捗できない状態でございます。具体的に、御参考までに、新年度の大きな機械化計画を申し上げてみますと、東京都の石浜というところに今度小包の専門局を作る予定でございます。ここには相当大きな区分けの機械、それから搬送設備等を取り入れる計画にしております。それから東京中央郵便局と大阪の中央郵便局にも改造をいたしまして近代的な搬送設備を推進する予定でございます。そういったような大集中局を最優先的にやっていきまして、徐々に第二段階、第三段階の局に及ぼしていきたい計画でおるわけでございます。先ほど先生のほうにお話がありましたという二階、三階に上がるのに小包みを手で運ぶというような、これは普通局だろうと思いますが、比較的小さな普通局だろうと思いますが、そういうような所につきましては、エレベーター、リフトをつけるとかいうような改造は、こういうものと合わせまして、これは取り上げるほどの大きな経費ではございませんので、特に能率に影響するというような所は、こういった大計画と合わせまして並行的にやっていく予定でございますが、ただ、その局数その他がいくらになりますか、ちょっと手元に資料がございませんけれども、私どもそういう所も忘れないで、合わせて実施していくつもりでおります。そのほか小さな把束機だとか、あるいははがきや切手の販売機とか、こういうようなものも合わせまして、新年度数億円の経費を計上して、徐々にではありますけれども、外国の施設等に負けないような改善をやっていきたいという努力をやっておる次第でございます。
  47. 赤松常子

    ○赤松常子君 従業員の方がそうおっしゃっているのです。一生懸命にやっているけれども、どうも前時代的に、歩いて自分の体力でこなしていくということではやりきれないのだ。早く機械化をしてもらえれば、荷物もたまらないということも言っておられましたのですから、で、ちょっと伺いますけれども、この間たいへんすばらしい近代化をしている例を見たのですが、あれは鎌倉の局でございましたかしら。
  48. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) それはおそらく京都の中央郵便局だろうと思います。京都の中央郵便局でございますれば、これは世界のトップ・レベルに位するような日本のモデル・ケースとして作ったものでございまして、おそらくそのことかと思いますが、今後あれに負けないようなものを徐々に作っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  49. 赤松常子

    ○赤松常子君 ぜひそうしていただきたいと思っております。  それから次に、これは電波法に関連して、やはり家庭の主婦の声でございましたのですが、これはどういうふうに言ったらいいのでしょうか、こういうのです。船舶に乗って海洋漁業、遠洋漁業に出ているその留守家族の奥さん方がるるおっしゃっていたのでございますけれども、選挙に際しまして、自分の主人が投票権は持っているけれども、たまたま海洋に出ているために投票日に間に合わない。もちろん選挙法に従って一カ月後に選挙があり投票が行われるということがわかっておれば、不在投票をしていくのですけれども、それ以前から、長い人は一年半も二年も前から故国を離れていて、しかし国民の権利は使いたい、そういう場合の処置として、何か海上から候補者に投票できるような道を開いてもらえないものか。これは国民の権利を守るという意味で、何とか考えてもらいたいという、そういう声を聞いたのでございまして、私ももっともだと思ったのでございますけれども、しかしこれは選挙法の改正ともからみますこともよく存じておりますが、私もその選挙法の改正委員会にもこういう課題を持ち出して何とか考えていただこうと思っております。そこで、選挙法の改正ができたと仮定いたしまして、こういう操作、取り扱いというものはむずかしいものでございましょうか、いかがでございましょうか。
  50. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) これは要するに電話で投票するか、電報で投票するということだと思うのです。やり方はですね。電話で投票するということが、一体投票の秘密を確保する上においてどうかとか、電報も同じでございます。選挙法のほうで考えてもらって、そういう道を開くということになりますれば、私もどのほうの電波電話あるいは電信の関係では、秘密を守れと言われても、これはちょっとなかなか守れないわけであります。守れないというのは、交換手も知りますし、電報を受ける人も知るわけですから、純然たる秘密投票ということを、電話のほうなり電報のほうでやれと言われても、それは困難かもしれませんけれども、通常の電話なり電信なりを利用して投票することを認めると、こういう選挙法の改正があれば、私のほうはそれで扱ってもいいのじゃないかと思います。しかし、これは私は選挙法の専門ではありませんけれども、投票の秘密ということになると、なかなかこれは重大問題で、遠洋からそういうものでやるのなら、国内でどうしてできないのかという次の問題が起こってきますと、国内でかりに私が東京で選挙権を持たないで鹿児島で選挙権を持っていたときに、東京におりながら鹿児島の選挙をしたい、そのときに電報でやらせてくれといったときに同じ問題が出てくると思うので、なかなか容易ならざる問題であると私は思います。これは私選挙法の関係ではございませんけれども、選挙法の立場から言うと、なかなかたいへんだなという感じです。
  51. 赤松常子

    ○赤松常子君 これでおしまいにいたしますけれども、国内ではほんとうに投票したいと思えば、それだけ熱意があれば帰って投票所に行くのが当たりまえと思いますけれども、そういう地理的条件が非常にむずかしいけれども、投票したい、あの方に一票入れたいというこの気持を何とかかなえてあげたらと、私聞いておりましたときに思ったのです。これはひとつの課題でございますから、また選挙法改正のほうにも私申し入れるつもりでもございますが、お考えをいただきたいと思っております。以上でございます。
  52. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 時間もないようですから簡単に伺いますが、これは私しろうとですからわからないのですが、放送の何十周年かの記念でNHKがやっておりますが、われわれの生活の中に深く入ってきておるテレビ、ラジオですね、この番組については、おそらく政府はほとんど関係がないのだろうと思いますが、NHKあるいは民放について、政府としての監督というか、こういうものがどの程度できるものかどうか、その点ひとつ伺いたい。
  53. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 番組に直接政府は干渉する権限を持ちませんが、放送法には、番組は調和のとれたものでなければならない。教養とか教育とか娯楽、報道とか、そういう番組の種類の間に調和のとれたものでなければならないという一般的規定がございまして、それをNHK並びに民放において、その条文によって調和のとれたものを編成する。そうして番組審議会というものがそれぞれの局にありまして、その審議会の意見に従って、調和のとれた番組を編成するようにしている。で、われわれといたしましては、それを上から見ておって、おのずから感想はございます。ある一つ放送局の番組が調和のとれたものであるかどうかということについては、おのずから感想は、これは持つわけでございますけれども、直接に番組の内容編成には干渉いたしておりません。
  54. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 今のお話ですと、現在のものでは調和がとれておるとは必ずしも思えないという御解釈と拝していいと思うのですが……。
  55. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 中には調和のとれていないと思われるものもないではないが、大体調和はとれておるという考えであります。
  56. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 映画のほうじゃ映倫というものがあって、自主的にやっているのですが、今言われた審議会というか、民放については、そういった映倫に相当するような機関があるのですかないのですか。
  57. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 放送法第四十四条の三に、番組審議会を中央及び地方に置いて、学識経験者等をもって組織して、それが番組に対する審議をする、こういう法律があります。
  58. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 法律はわかるのですが、実際の運用として、その審議会がどういうふうに編成され、どういうふうに活動しておるかという実態はどうですか。
  59. 石川忠夫

    説明員(石川忠夫君) NHKにおきましては、中央に中央審議会、それから地方各局におきまして地方審議会が置かれておりますし、また、民放各社におきましても審議会が置かれておりまして、その審議会の委員は、ただいま大臣からお話がありましたとおり、学識経験者をもって充てるようになっておりまして、中で「三分の一以内は、当該放送事業者の役員又は職員をもって充てることができる。」、こういうことになっております。それで、審議する内容につきましては、放送局によって少しずつ違っておるようでございますが、会社のほう、あるいはNHKのほうから、こういう番組はどうだろうかということを、諮問といいますか、はかりまして、それについて審議会で意見をいただき、あるいは審議会のほうから、ああいう番組はどうだろうかというようなことで意見の出ているところもあるようでございます。
  60. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 私が伺っているのは、その法律の建前を伺っているのじゃないので、実際にどういうふうな活動をしているか、学識経験者はどの法律にも書いてあるのです。適当な人が見つかって組織されて、ほんとうに活動しているかという点を伺いたい。
  61. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 大体私の印象では、各地方及び中央もそうですけれども、各会社の番組審議会の委員というものは、その地方の大体名士を集めている状態です。そうして一部には非常に、何といいますか、会社の御用的な審議会もないではないと思いますけれども、最近なかなかよく発言をして、番組の内容について、あの番組はうちの会社としてはとてもいけないからというようなことを言って、したがって、地方の放送局から中央のキー局に対して、ああいう番組はやめてほしいというような意見を言ったりして、非常に働いている番組審議会もあるようです。番組審議会が非常によく働いているところの放送局は、おのずからよくなりつつある。傾向としては、番組審議会の働きというものが、逐次効果を現わしつつあるのじゃないかという印象を持っております。
  62. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 この番組の内容については、いろいろ世間でもいわれているし、われわれも感ずるわけですが、ひとつこれはほんとうに審議会というものにりっぱな方々を得られて、ほんとうに活動するように、これはひとつ郵政大臣として特に御配慮願いたい。
  63. 千田正

    千田正君 ちょっと関連して。私は、民放の場合特にお聞きしたいのですが、これは万々一あることはないと思いますけれども、たとえば民間放送などというと、スポンサーというものが相当ものをいう。選挙に対して、特定の候補者に対して、かりにスポンサー側がそういうものを有利に利用するということはあり得ないとわれわれ考えているが、あるいはあり得ることもある、そういうことに対して何らかの案がありますか、制限とか、あるいは指導とかいうようなこと……。
  64. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) まあ放送が政治的に公平であることという法律の規定もありますから、私はその心配は実はあんまりしておりません。
  65. 千田正

    千田正君 経営者がやっていますよ。
  66. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 私は、さっきから千田委員、赤松委員のお話を伺いながら、どうも郵政、それから電信電話、両方とも人事管理、労務管理の面に少し足りないところがあるのじゃないかという感じを持つわけです。郵政省の組織をつまびらかにしておりませんが、たとえば人事部長労働組合等の折衝等にも当たられると思うのだが、こういういわゆる団体交渉等に非常な時間を充てられなければならない。したがって、中の人事管理がそれだけ手薄になるというようなきらいは、これは郵政、それから電電、両方ともそういうきらいはありませんか。大臣の御所見を……。
  67. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) そういうきらいは、私は実はないと思っているのですけれども、しかし、だんだんに団体交渉の業務も非常に深刻になって参りますし、同時に、人事管理の面も非常に広くなってくる。もう少しさらに突き進んで親切な心持ちでやらなければならぬというようなことから、今回郵政省といたしましては、従来官房の一部であった人事部というものを独立の局に昇格をいたしまして、そうして局長にもう少し広範な権限を与えて、そうして円滑にやっていきたいというので、設置法の改正を実はお願いしている次第であります。
  68. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 さっき千田委員からお話のあった電話の応待、これは私どものほうも、もう痛切に感じている。わざわざ、あいた時間ならと思って、八時、九時という時間に呼び出すと、一〇三とか一〇六とかは出てこない。これは即時通話になっていると言われるが、ちっとも即時じゃない。これはやはり人事管理の面からして、あるいは予算が足りないのか人が足りないのか、いらいらしているのじゃないか。電話口で交換に当たられる人たちからつっけんどんに言われると、われわれはとりつく島もない気持になるわけです。面と向かっていれば、何を言うんだと言えるが、電話じゃそれが言えない。全くこっちが泣き寝入りする以外に道がない。これは人事管理の面に——この前も、これは郵政の問題だが、遅配ということが起きてきて、これはその後、現在は解消されておるように私ども見ておりますが、これは全然もう心配のないことになっておりますか、どうですか。人事管理、そういう面についての御感想を伺いたい。
  69. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 私は、大部分の郵政従業員、これは電電公社のほうも含めてですが、非常に親切な、公務員的な、公僕的な気持を持っておると思います。しかし、一方、組合というのがあって、従事員たる前に、まず組合員であれ、こういうような教育をしておる。私は、こういう教育をすることが、一体労働組合としてやっていいことなのかどうかということについて重大な疑問を持つわけですけれども、そういう学習活動もいたしておるのでありまして、それに対して、省側といたしましても、研修の道を通して、公務員たる精神を十分吹き込むように努力をいたしております。で、遅配の問題は、現在では、一応通常の超過勤務というものが、ある通常の姿の超過勤務が行なわれれば心配なくいくと思っておりますが、これを物をためるということを手段にして組合が闘争を開始してくると、これは遅配を起こすことを目的として向こうが行動してくるのですから、勢い遅配が起こってきやしないかと思います。そこで、組合に対しても、国家の公器を扱っている以上は、遅配というものを武器として闘争をすることは違法であるということを呼びかけておるわけでございまして、私は、遅配という問題は起こさずに済ませようと思って、最大限の努力をいたしておるわけであります。
  70. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 その問題について、私は、いつも集配をする方々、これは非常に重要な役割だと思うのですが、末端において集配事務に直接携わる人たちの定員とか、あるいはその人を獲得することに心配はないのか。また、町名番地がこれからまた変わっていこうという場合も予想されるわけですが、そういう心配はないかどうか。  それからもう一つは、そういう人たちの平均の給与、待遇は、一体どういうふうになっておるか。これは人事部長でよろしいのですが、伺っておきたい。
  71. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) 外勤職員の採用が、あまり採用に不自由をしてないかどうかという点につきましては、全国的に見ますと、そんなにただいまのところ採用に困難を感じていない状態でございます。東京とか大阪とかいう大都市におきましては御指摘のような点がございます。従来、個々の局で欠員があり次第に充足しておりましたのを改めまして、大体年間に予想されます欠員を、学校卒業者を対象にしまして、まとめて年度当初に採用して訓練していく、あらかじめ年度当初から配置をしておくというようなことを三十七年度当初から始めることにいたしました。相当の応募者も得まして、ただいま実施しているところでございます。  なお、今後もそういう勢い、傾向が激化するのかとも思われますので、私どもといたしましても、その面についての対策をさらに拡充して参りたいというふうに考えている次第でございます。
  72. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 待遇の問題は。
  73. 長田裕二

    説明員(長田裕二君) 待遇の問題につきましては、私、今、外勤職員の平均給与について資料の手持ちがございませんが、郵政職員の平均給与二万三千円余りのうち、外勤職員はその平均よりも相当上回った金額でございます。なお、初任給その他につきましても、内勤よりも一千二百円くらい高目に維持している次第でございます。
  74. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 言葉のしりをつかまえるわけじゃないのですが、さっき郵政大臣が、どうも遠距離が呼び出せるようになっただけでもありがたいと思えというような意味にとれる御発言があったので、これは私は、郵政大臣ともあろうものがとんでもない話で、こういうことが、また一時国鉄にもあった。乗せてやるんだというような——これは非常によろしくないことなので、ぜひ撤回してもらわなければいかぬと思うのです。それは電信電話公社が営々として非常に努力して業務を拡充し、そうして整備してきておられる事情は、よく私どもにもわかります。わかりますが、先ほど千田委員が切々と言われた、これはほんとうに遠距離通話をしようとしている人ほとんど全部の私は経験だと思うのです。  それから、もう一つ私は伺いたいのは、一体今——これは東京でよろしいのですが、電話加入を申し込んで、いわゆるウエーティング・リストに載っている人というのはどれくらいあるのですか。とにかく電話をかけることはぜいたくなことじゃないのだし、いかにも電話をかけることが恩恵のようになっているわが国の状態は、はなはだもってこれは間違っていると私は思うわけです。これはたとえばアメリカあたりでも、申し込んでから何年も待つなんということはあり得ないし、また、たくさんの電話公債だとか、義務のようなものをたくさん納めなければならぬということもないのじゃないかというふうに私は解釈しておるわけですが、こういうことは、日本ではまだ電話をかけてもらうということが恩恵のような状態で、しかも、それを申し込んでも、ほうっておけば何年たったらかけてもらえるのか、これすらわからないというような状態、一体加入者のウエーティング・リストというものはどれくらいになっておって、こういうものがもっと楽に、あるいは安く電話が架設せられるのは一体いつなのか、その点について郵政大臣あるいは電電公社総裁のお見通しをひとつ伺いたい。
  75. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) ただいま御指摘の、電話が申し込んでもつかないという状態は、私ども実は非常に恐縮をいたしておるのでありまして、昔に比べますと、最近特に電話の需要というものが熾列になってきたためと考えるのでありますが、戦前に比べまして、戦後非常に加入の申し込みがふえて参りました。そこで、戦時中に非常に荒廃した電話の現状を復旧するということと、それから、さらに将来の増設ということを考えまして、従来の国営であったものを公社営に改めたというのが、昭和二十七年でありましたか、そういう趣旨で公社ができたわけでありますが、公社といたしましては、その趣旨に適応するために、御承知のとおり、二十八年から第一次の五カ年計画というものを立てまして、その五カ年間に実は百万ちょっとこす新規の電話を架設したわけであります。この百万という電話は、実は明治二十何年かから電話が始まったのでございますが、その後戦前において、昭和十八年でありますか、これが戦前における最高の電話の架設状態であります。現在数であります。このときが百万をちょっとこした状態であります。つまり約五十年かかった、戦前に五十年かけて架設した数を五年間に建設したという実情でございます。それでもなお需要に応じ切れませんで、漸次申し込んでもつかないでたまっている電話がふえてきたと、こういうことであります。したがいまして、第一次拡充計画が済んだ後に第二次拡充計画というのを策定いたしました。このときは先ほども申し上げましたように、五カ年間に百万、年間二十万ずつかけたのであります、第一次の五カ年計画では。第二次の五カ年計画ではもう少しよけいかけなければ、これはとうてい積滞に対する計画を減らすわけにいかないので、当時の最初の計画といたしましては、年々の申し込みがおよそ二十四万まず申し込むものとみて、二十四万ずつ平均五年間にかけると、こういう計画を最初立てたわけであります。そういたしますと、はなはだ微弱ながら年々三万ずつ今までたまっておったものが減らしていける、こういうつもりで当時の計画は立てたようであります。しかしながら、いよいよ始めてみますと、国民電話に対する申し込みが非常に熾烈でありまして、二十四万とか五万というのではとうてい足りない、どうしても三十万以上の申し込みのある状況でありましたので、第二次五カ年計画計画の途中ではありましたけれども、三年目からはこの計画を改めまして、あとの三年間は四十三万ずつ新規架設をする、こういう計画に改めました。それも、先ほど千田先生からありましたときにもお答え申し上げましたように、第一次にぱっと二倍にも三倍にもするというのはとても当時の人の力、資材の力、金ももちろんありますけれども、そういう各種の条件が整いませんので、まず大体四十三万平均に三カ年の計画はやるというふうに改めたのであります。しかもその計画のやり方も、初めから四十三万でなくて、最初は四十万、二年目には四十三万、第三年目には四十六万というふうに逐次年々数を増していくやり方でやろう、こういう計画を立てたのであります、このときに将来に対する見込みを立てましたのが昭和四十七年度末までに従来の申し込みの積滞というものは一掃する、これはずいぶん気の長い話でおしかりを受けるかもしれませんが、先ほど申し上げたような事情でなかなか右から左にやろうといっても私ども力は及びませんので、さようなゆうちょうな計画とおしかりを受けるかもしれませんが、さような計画を立てたわけであります。ところが、それだけの計画を私どもとしては相当精一ぱい大きくしたつもりでありますけれども一般の需要の申し込みというものはそれをさらに上回っております。したがいまして、実際においては第二次五カ年計画の三年目は四十万、まず大体予定のとおりであります。その次の四年目には初めの計画は四十三万の計画であったのを五十万の計画に改めました。第三年目は、つまり三十七年度は六十万の計画を提案をいたして、予算措置もいたしております。かように第二次を終わりまして、今後さらに先ほど申し上げましたように十年間、つまり第三次五カ年計画、第四次五カ年計画を終わった四十七年度の終わりには大体において積滞がなくなる。現在の状態では全国に九十数万、百万は少し割るくらいの積滞が残っております、現在の申込みの状態、なお、つかないものは。と同時に、四十七年度のときになりますと、したがって、その年のうちには申し込みは全部つけ得る状態だと、さようにできるつもりで私ども計画をいたしております。同時に市外通話のほうも、四十七年度末には全国市外通話は全部即時にやれるようにしたい、それから交換につきましても手動交換というものは、そのときになりますれば、ほとんど大部分は自動に改める、こういうような計画で、大体四十七年度末を目ざして私ども計画を進めておる次第でございます。
  76. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 言われたとおり、たいへんお気の長い計画と言わなければならぬと思うのですが、私どもはジェットに乗ればわずかな時間で外国へ飛んでいけるという時代です。電話というものが普及しておる今日、だれしも比較的安くこれを使えるということになることは、これはもう国民の社会生活、経済状態にとっては必須のものになると思うのです。百万もウェイテング・リストに載っておるということ自体、これはもっと早く解消する方策が立てられてしかるべきだと思うのです。これはなかなかそうはいかぬのだという、予算だけでは、金だけでは済まぬという問題があると思いますが、私はやり方によってはもう少し速度を早めることができるのじゃないか。考え方によれば、この東京が非常に交通で混雑しておるのに、電話なんかでもっと便利になれば、電話で済む事態はたくさん考えられる。国民考え方も電話ではたいへん失礼だから行かなければいかぬということがよく言われるのですが、私はそうは思わないので、電話で話が済めばこれに越したことはない。それにはやはり電話が楽にかけられるということが一番大事になるわけですから、その意味では郵政大臣にはもっと促進方を、ありがたいと思えなんという気持は捨てて、促進方をお願いいたします。郵政大臣の御所見を伺いたい。
  77. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 先ほどは、私は皆にありがたいと思えと言ったんでなしに、私はありがたいと思ってあきらめておる、こういうことを申し上げておるのでして、結局加賀山さんのお話に対して、私も一生懸命努力いたします、こう申し上げるほかはございません。ただ、サービスをよくするということと積滞をできるだけなくして、個数をふやしていくという問題は、どっちを一体優先すればいいのかということはなかなかこれはことしの予算をつけるときに一応考えて実は判断をしてみたのです。どんどん新しい電話の架設をふやしていくのが、六十万個としてやるのですが、これはかりに六十万個ふやさないで四十五万個ぐらいに減らせば、現在のサービスなり市外通話なんかを、現在敷いておるものの市外通話をよくすることができるかもしれないというようなことも考えたのですが、一般情勢はやはり薄くても広いという方向にどうもあるように思います。そのほうがまたいいんじゃないかと思ったものですから、新規の加入を思い切って六十万、これは電電公社としては相当の努力じゃないかと私は思うのですけれども、そういうことに予算の編成の方針がきまったわけであって、結論はできるだけ努力をいたします。
  78. 戸叶武

    戸叶武君 これは公社に切りかわってから相当の成績を上げているとの説明を受けましたが、まだほかの進んだ国々から比べれば、電話というものがまだ一般化されていないので、そこを加賀山さんもついているのだと思いますが、やはりこれから特に中小企業、零細企業なんかは労賃が上がってきて、人手が足らなくて人を使わないようになってくるのです。今一番電話架設で困っているのは、そういう零細企業や中小企業の人たちが優先的に電話を求めようと思っているのですが、それが一番あと回しになっているのですが、やはり交通の混雑とそれから人手の不足というものを補う一つの大きな問題は、私は電話の問題だと思うのです。交通というとばかの一つ覚えみたいに、自動車関係とだけ取っ組んでおりますが、今、東京の自動車の中で一番事故を起こすのはどっちかといえば、小僧さんが飛ばしているところの小型の貨物、それから自転車、オート三輪、そういうようなところ、これは私は電話がほんとうにもっと円滑にいくと、これらが非常に整理されてくるのじゃないかと思うのです。前に、これは大臣なんかの年代の人と思いますが、奥村君や中野正剛氏が逓信次官の昭年五年でしたね、やはり電力国営と電話民営というものを打ち出したのは。電力国営なり電話民営という言葉の問題でなくて非能率なアイドル・システムとしての官僚システムではなかなかこういうサービス業が成立しないというので、思い切ってとにかくそういうことでやらなくちゃならないというので、昭年五年代でも問題になったので、今私は、予算がない、金の問題だということだけでなくて、私は思い切ってこれは公共事業の中でも非常に大きなウエートを占めておるのじゃないかと思うのです。今の説明を聞いてみても、予定した速度よりは申し込みのほうが多いので、計画はいつも時代の要請よりおくれているのです。これはやはり今の大きな第二次産業革命とも言うべきところの経済革命が今行なわれているので、その中で一番苦しいもがきをしているのは、人を一人なり二人なり三人なり使ってやっと経営をやっているような人だと思う。それが一番ほしいのは電話なのです。私は今の交通緩和を加賀山さんが言ったように自動車の問題だけに責任を転嫁しないで、そういう側面からやはり解決をつけるためにもこの問題は重要と思うので、あと百万近くも申し込みがあればそのほうは何ともできないというような状態では時代の進展からずっとおくれているということを物語っていることが一つと、もう一つは、あなたはやはりサービスの問題と結びつけましたが、今の郵政関係の事業全体を見ても、まだ日本の官僚システムの一番悪いところは、私は上から下への縦のミリタリ・システムで行政が経営されている、窓口の前線で戦っている人たちに対するねぎらいなり責任体制というものが十分にできてない。どこの国でも行政組織の抜本的改正というものは、古い形のミリタリ・システムでなく、パンクチュアルなシステムによって近代的な行政運営の方式をもっていかなければならない。抜本的な私は行政改革が今出てきていると思うのです。それは、下の労働者を首切るというのではなくて、上の判こだけ押す、指揮、命令する頭でっかちの官僚のアイドル・システムを打ち砕いて、ほんとうに窓口の前線部隊が活動できるような私は責任体制のパンクチュアルなシステムに切りかえてやらなければならないときがきたのだ。その点を一番私はしなくちゃならないのは、郵政事業から始めていかなければならない。何としても、各戸を個別に配達している人たち、郵便局の窓口で働いている人たち、それから電話でもってサービスをやっている人たち、こういう人たちに重きを置いていけるような態勢を作ってもらいたい。特にあなたのような企画性のある人がこういう問題に対する方向づけをやらないと、いつまでたっても私はこれは直らないと思うのですが、大臣からひとつこの二つの問題を、あなた二つの問題なかなか一緒にやれないようなことを今の答弁で言っておりますが、これはむずかしい問題ですけれども、ウエートの問題で言っているのでしょうが、両方とも私はやっていただきたいと思うのですけれども
  79. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 最初に、中野正剛先生は大臣と同年配ぐらいということですが、中野正剛先生は大先輩であります。  まあ問題の本論につきましては、ただいまお話の電話がこの日本の経済にとってどうしても必要だ、ぜひ必要であるということは確かにそのとおりだと思います。私実際いろんなことを考えてみてつくずく思うのですけれども万事よくアメリカと比較される、アメリカではアメリカではというような話がありますが、日本の国の全体の国民所得を考えてみて、日本の国民所得の全体が十七兆六千億、アメリカの軍事費に及ばない。十八兆というアメリカの軍事費に及ばない状態でございますような日本の経済全体の問題から考えて、日本の電話だけがアメリカと肩を並べるような状態には、これはなかなかいかないのじゃないかということをよく一ぺん考えていただかなければならない。その間にわずかに目ざましく一生懸命にやっているのが電電公社の現在の姿だと思っております。ただ、電話というものを民営に移した場合にはたしていいか。おそらく民営に移した場合にはもうかるところ、すなわち非常に要求のある都市、点と線とが中心になって、いわゆる地方的な、面でおおっていくような現在の電電公社のあり方、そういうようなものと違った格好で電話がいってはしないかというような感じが私にはいたしまして、やはり日本電電公社の今のシステムがいいし、方向がいい、まあ、それをできるだけ促進するようにこれからも努力したい、こう思っておるような次第でございます。  それから、サービスの面につきましては、まことに同感でございまして、窓口が、ほんとうの第一線が一番大事で、そこから積み上げてきた一つの機構でありたいと念願をいたすのでございまして、私も、ですから第一線の窓口にいる人、あるいは配達に出る人がほんとうに公務員たる精神に徹して、そして国民の公僕たる精神に徹して責任を感じ、そして努力してくれることを期待し、その基礎の上に郵政事業というものを盛り立てていきたいことを念願しておりまして、先ほども申しましたけれども、われわれ、組合の方が、郵便事業者というものは従業員たる前にまず組合員であれというような、そういうものの考え方でやらないように、ほんとうに公務員たる本質に立脚した一つ立場において、そういう立場において、組合活動を決して私は否定もしないし、いたしませんばかりでなし、大いに尊重するのですけれども、そこのところをよく考えて、いわゆるこれが労使間の関係の正常化ということだと思いますが、その正常化の基礎の上にサービスの向上というものをし遂げていきたい、これが私の念願でございまして、今後とも大いに努力いたしたいと思います。
  80. 戸叶武

    戸叶武君 先ほどからお聞きしていると、大臣従業員たる前に組合員たれという教育を労働組合のほうでしているが、まず公務員たることが先だと言いますが、これは労働組合の人たちも私はわかっていることではないかと思います。問題は今のような不安定な状態において労働者の生活が保障せられていない状態のもとにおいて問題があるのでして、そういう問題を抜きにして、そしてそういうふうな観念で大臣が指導する限りにおいてはなかなかトラブルは私は改まらないと思います。やはりドイツでストライキが起きないというのは、ストライキをやらなくても済むような、大体インフレーションは起こさないし、物価はほとんど上がらないし、社会保障は確立している、賃金はノーマルな形で上がっている、そういうことをして、その上でそういう御意見ならば通るのですが、やはり正常化されていない状態のもとにおける公務員の苦悩というものが今の労働組合の人々に反映しているので、そのことはどっちがいい悪いじゃなくて、もっと冷静に私は労使ともに、特に経営者の側においても反省しなければならない。経営者の考え方で労働者におっかぶせていくという考え方ではいけないのじゃないか。  それからもう一点、民営を主張しているのじゃないのです。電電公社でいいと思います。しかし前のような官僚システム形態というものは、電力では国営、電話では民営というようなものが出たのは、そういうところからそういう問題も奥村君あたりから出されたので、これは一つのやはり示唆になると思います。私たちは今の電電公社でよろしいと思いますが、やはり電電公社が相当の前よりは能率を上げているというけれども、全体の要請に対してはこれは非能率だという声が出ている事実を私は無視してはいけないと思う。しかも今の変化というものは、日本にとって第二次産業革命というような非常に大きなもので、しかもその犠牲というものが中小企業、下請企業、零細企業、そういうところにきておるので、そういうところの行き場所というのが、人手も足りないわ、金も借りられないわ、何とかして電話一つも手に入れなければ、これは商売がぶっつぶれるという点でせっぱ詰まった様相が今出てきていると思うのです。大臣も、これは相当浪人もやったから、ただの官僚と違ってよくわかっておると思うのですが、この要請にこたえるという形を私は求めておるわけですから、その点を誤解しないようにしていただきたい。     —————————————
  81. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) ここでちょっと御報告申し上げます。  分科担当委員の変更について御報告いたします。  本日、田中一君が辞任され、その補欠として佐多忠隆君が選任せられました。     —————————————
  82. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) ほかに御質疑はございませんか。——御質疑がなければ、郵政省所管の質疑はこれをもちまして終了することにいたしまして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) 御異議ないものと認めます。  午後は一時半から再開いたしまして、農林省所管について審議を行なうこととし、暫時休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      —————・—————    午後一時四十九分開会
  84. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) これより午前に引き続き第三分科会を再開いたします。  昭和三十七年度予算中農林省所管を議題といたします。  まず政府説明を求めます。中野農林政務次官
  85. 中野文門

    政府委員(中野文門君) 昭和三十七年度農林関係予算案についてその概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計における農林関係予算案の総体について申し上げます。農林省所管合計といたしましては、二千二百二十九億円となっておりますが、これに総理府、大蔵省、文部省、労働省及び建設省所管を加えた農林関係予算合計は二千二百五十九億円となり、これは昭和三十六年度補正後の予算二千二百十八億円に比較すると二百四十一億円の増加、また昭和三十六年度当初予算一千八百七十二億円に比較すると五百八十七億円の増加となっております。  この予算の編成にあたりましては、特に農業につきましては、さきに制定された農業基本法に基づく諸施策の推進をはかることとし、林業、水産業につきましてもそれぞれ施策の充実をはかることとしたのでありますが、以下本予算編成の重点事項について申し上げます。  第一に農業生産の選択的拡大を推進し、食糧需要の動向に対応して成長農産物の伸長と生産の合理化をはかるための予算について申し上げます。  一、最初に畜産の生産振興につきましては、畜産経営の基盤となる飼料自給度の向上に必要な草地改良事業を計画的に推進するため、新たにこれを公共事業として実施することとし、事業量の拡大、補助率の引き上げ、補助内容の充実等を行なうことといたしております。これがため、九億五百万円を計上しておりますが、このほか農業構造改善事業の一部として行なうものも含め、総額十億九百万円となっております。また、家畜導入、家畜衛生対策、家畜改良増殖等の事業につき整備充実をはかることとし、このため十八億六千五百万円を計上しております。なお、新たに畜産振興事業団が畜産振興のため行なう助成事業に対して国は同事業団に交付金を交付することとし、十億円を計上いたしております。  二、次に園芸の振興につきましては、生産、流通を通ずる行政の円滑強力な実施を期するため新たに園芸局を設置してその推進をはかることとしたのでありますが、果樹農業の生産振興につきましては、果樹農業振興特別措置法に基づく果樹園経営計画の樹立実施を促進し農林漁業金融公庫から融資する果樹植栽資金を十五億円に拡大するほか、果樹栽培適地調査、果樹種苗対策、果樹病害虫防除対策等に必要な経費として四千百万円を計上いたしております。  三、テンサイの生産振興につきましては、北海道のみならず府県のテンサイにつきましても力を注ぐことといたしたのでありますが、前年度に引き続き、日本テンサイ振興会に対する政府出資、優良種子の確保、テンサイの集団的導入等の助成を実施するほか、新たに府県テンサイについて、栽培適地の検定調査、移植栽培促進のための共同育苗圃の設置、テンサイ用機械の導入等の振興措置を講ずることとし、これらに要する経費として四億八千五百万円を計上いたしております。  四、以上のほか、農業生産の選択的拡大を促進するための予算措置といたしましては、特用作物の振興に要する経費として二千万円、養蚕生産の合理化に要する経費として一千四百万円、大豆及び菜種の生産改善対策について八千七百万円をそれぞれ計上いたしております。なお、麦作対策といたしましては、小麦、菜種の生産改善、家畜の導入等に対する助成を行ない、大麦、裸麦の転換を促進することとし、このため五億八千万円を計上いたしております。  第二に農業の生産性の向上と総生産の増大に関する経費について申し上げます。  一、まず農業基盤整備事業につきましては、生産の選択的拡大の方向を考慮しつつその計画的推進をはかるため総額五百五十九億八千五百万円を計上いたしております。  (1) このうち土地改良事業につきましては、総額三百四十億九千五百万円となっております。その重点について申上げますと、特定土地改良工事特別会計事業については事業の計画期間内完了を目途として一般会計より四十億三千八百万円の繰り入れを行なうほか、借入金を含め六十四億九千万円の事業を実施することとしております。一般会計国営事業及び県営事業については事業効果の早期発現と経済的施行を配慮し、団体営事業につきましては、農地の集団化と末端の圃場条件の整備との有機的連繋をとりつつ事業の拡充をはかるとともに、区画整理事業について特に三反歩区画の形成を促進することとしております。  また非補助事業についても積極的に事業を拡充することとし、三分五厘資金の融資ワクを百五十三億円に拡大いたしております。  (2) 次に干拓事業につきましては、農家の経営規模の拡大をはかるとともに国土造成及び保全に資するため事業の計画的推進をはかることとし、八郎潟干拓事業について四十九億円の事業を行なうほか、大長崎干拓の全体設計に着手する等のため、特定土地改良工事特別会計については一般会計よりの繰入七十六億百万円のほか、借入金を含め百十九億四千四百万円の事業を行なうこととし、一般会計事業については七億七千九百万円を計上いたしております。  (3) 開拓事業につきましては、総額百二十三億四千九百万円を計上いたしておりますが、振興地区の建設工事と開墾作業の促進、入植施設の拡充に重点を置いて事業を実施するとともに、一般農家の経営規模の拡大をはかる見地に立って開拓パイロット事業の推進に努め、また、機械開墾地区の事業の促進をはかることといたしております。  (4) また農地の開発に必要な建設用機械の貸付等の管理業務を農地開発機械公団に一元化する方針のもとに地方農業機械管理所を廃止し、その保有する汎用性機械を同公団に現物出資するほか、公団が事業実施上必要とする建設機械の購入等につき出資を行なうとともに、公団経営の健全化をはかるための補助金とあわせて二億五千五百万円を予定いたしております。  二、次に、農業の生産性を向上し農業高度化を達成するために必要な技術的基盤を確立するための試験研究事業及び技術の普及指導事業等に関する予算について申し上げます。  (1) 試験研究体制の整備強化につきましては、特に畜産、園芸等に重点を置き、畜産試験場及び園芸試験場の施設整備、内部組織の充実をはかったのでありますが、このほか新たに大規模機械化営農体系を確立するための産業開発的総合研究を実施する等国立試験研究機関の研究内容の充実に努め、都道府県試験研究機関に対する総合助成の拡充等と相待って、最近の農業の動向に即応した試験研究の推進をはかることとしたのでありまして、これがため五十四億二千四百万円を計上いたしております。  (2) 技術の改良普及に関する予算のうち農業改良普及事業につきましては、生活改善事業も含め二十九億二千六百万円を計上いたしておりますが、普及職員の活動旅費の大幅増額、普及員に対する研修の強化、普及機動力の整備等を行なうほか、新たに改良普及員に対して指導を行なう普及指導主事を設置することとし、また、生活改善事業については専門技術員及び漁家担当普及員の増員を行なうことといたしております。また、畜産技術の指導事業といたしましては、畜産会の行なう畜産技術経営診断事業のほか、産乳能力検定事業及び生乳品質改善事業等を実施することとし、一億四千四百万円を計上しております。一方、蚕糸技術改良事業においても蚕業技術指導所職員及び蚕業普及員の活動化と資質向上をはかることとし、四億三千五百万円を計上いたしております。  (3) 以上のほか、主要農作物の優良種子の確保、地力保全、農業改良資金、植物防疫事業等農業の生産性を向上するための諸事業につきましては、九億七千一百万円を計上して事業の充実をはかっております。  第三に、農業構造を改善し農業の近代化をはかるための予算措置について申し上げます。  一、三十七年度からは、農業の構造改善事業に本格的に着手することとし、おおむね十カ年にわたり三千百市町村を対象として農業基盤の整備開発、農業経営近代化施設の導入、農業経営の近代化と立地に即した主産地形成を目途とする諸事業を自主的計画に基づき総合的に実施していくこととしたのであります。このため三十七年度におきましては、全国の地域分類、営農類型を代表する九十二地区について農業構造改善事業推進の拠点となるパイロット地区事業を実施するとともに、一般地域事業の初年度として二百地域を指定し、一地域当たり九千万円の事業に対する平均二分の一の補助と二千万円の融資事業を三カ年間にわたり行なうことといたしております。また別に全国三百市町村において農業構造改善事業計画の樹立を促進することとし、都道府県、関係機関を通ずる指導体制の強化と相待って事業の強力な推進をはかることといたしております。  以上の事業に要する経費として四十二億九千三百万円を計上いたしております。  二、農業近代化の根幹となる農業の機械化を強力に推進するため、深耕用、土層改良用、草地造成用等の大型トラクターの導入、機械化栽培実験集落の設置、開拓営農振興用小型トラクター導入、農業研修室の充実、及び新たに行なうヘリコプターの農林水産業への利用促進事業を含め五億八千万円を計上いたしておりますが、このほか、農業機械の試験研究と検査事業を一貫して行なう特殊法人農業機械化研究所を民間と協力して新たに設立することとし、これに対し政府出資二億円と事業費の補助二千五百万円を行なうことといたしております。  三、次に農業近代化資金融通制度の拡充強化について申し上げます。農業経営の資本装備を充実し農業の近代化をはかるために前年度創設された農業近代化資金融通制度につきましては、貸付資金ワクを三百億円から五百億円に拡大するとともに、協業施設を含む個人施設に対する融資については、新規貸付金利を六分五厘に引き下げることとしたのであります。このため農業近代化助成資金の追加繰り入れ、利子補給補助及び都道府県信用基金協会に対する出資補助に要する経費として六十六億九千一百万円を計上いたしております。  第四に、農産物の流通合理化と価格の安定をはかり、農業者の所得を確保するに必要な予算について申し上げます。  一、農産物の流通改善につきましては、まず家畜畜産物について、家畜市場の再編整備、中小都市枝肉冷蔵施設設置、酪農会議の新規設置等流通組織の整備改善を行うこととし、これらに要する経費として一億七千七百万円を計上いたしております。このほか畜産振興事業団の行なう畜産物価格安定事業を拡大するため同事業団に追加出資五億円を行なうこととしております。また、青果物の流通合理化について自主的な出荷調整を促進するため、流通改善協議会の開催等に対して二千三百万円を計上するほか、三十七年度においては新たに青果物生産農家の経営安定対策に着手することとし、さしあたり王ネギについて、全国的な出産出荷調整事業と並行して、市場価格が一定水準以下となった場合の差額補てん事業を実験的に実施するため、これに必要な資金の造成に対して五千万円を助成することといたしております。なお、生鮮食料品の適正かつ円滑な流通を確保するため、中央卸売市場の施設助成として一億五千万円を計上いたしております。  二、農産物の加工及び需要を増進するための予算としては、関係企業の経営調査指導、小麦の学校給食等の経費として十四億五千七百万円を計上し、また、輸出振興対策としては、日本絹業協会による生糸の海外需要増進事業の充実等とともに、新たに輸出生糸問屋の借り入れる生糸取引資金につき債務保証を行なう輸出生糸信用保証基金協会の設置を助成することとし、これらに要する経費として八億二千四百万を計上いたしております。  三、次に、食糧管理特別会計における食糧管理及び農産物価格安定事業につきましては、国内米麦の管理及び輸入食糧の管理を現行方式により実施することとし、これら食糧管理事業を実施するため食糧管理特別会計の調整資金に対して一般会計より六百七十億円の繰り入れを行なうことといたしております。また、澱粉、カンショなま切りぼし、テンサイ糖、飼料等の価格安定事業につきましては、これらの事業によって見込まれる損失補てん額として四十億円を食糧管理特別会計の農産物等安定勘定に繰り入れることとしております。なお、大豆輸入の自由化に伴う国内産大豆及び菜種の保護措置としては、前年度に引き続き、価格差補給のための交付金二十五億円を計上いたしております。  四、農業資材の生産流通の合理化及び価格の安定に必要な措置といたしましては、肥料、飼料、農薬等農業資材の検査事業を整備充実するほか、飼料需給安定法に基づく輸入飼料の買入売り渡し措置に伴う差損額として、前述の食糧管理特別会計への繰入額中に二十九億円が見込まれておりまして、これを含め所要経費三十一億二千一百万円が計上されております。  第五に、農業経営担当者の養成確保と農業従事者の就業促進及び福祉の向上に関する予算について申し上げます。  一、農業近代化推進のにない手となる農業経営者の養成につきましては、農業講習所、経営伝習農場等の研修施設の整備、農村青年活動の促進、農村青壮年海外派遣事業等について、二億六千二百万円を計上いたしております。  二、農業従事者の就業促進につきましては、農業委員会組織による農業労働力調整協議会の開催に対する一億二百万円の助成のほか、日本海外協会連合会、都道府県、拓殖農協連合会及び農業拓殖基金協会等の行なう農業移住促進事業に対して補助するため一億三千六百万円を計上しております。  三、農業従事者の福祉向上に関する農林省関係予算といたしましては、すでに述べました生活改善事業を除くほかは、開拓地の振興対策、離島振興対策、僻地農山漁村電気導入、農山漁村同和対策等の経費であります。  1、開拓地の振興対策としては、不振開拓者の営農安定と生活環境の整備をはかることに重点を置き、開拓者資金融通特別会計による融資として三十四億九千二百万円を確保するほか、中央開拓融資保証協会に対する追加出資、開拓営農指導員による営農指導事業の充実、開拓保健婦の増員等に要する経費として十一億五千四百万円を計上しております。  2、離島振興のための農林関係予算としては二十七億七千八百万円を計上いたしておりますが、これはすでに述べました農業基盤整備費に含まれる農地条件整備事業のほか、治山、造林、林道、漁港修築、海岸等の事業及び離島電気導入等の公共事業であります。  3、僻地農山漁村電気導入事業につきましては、三十七年度においては五カ年計画の第三年度として所要経費二億三千九百万円を計上し、また、農山漁村の同和対策といたしましては、政府の同和対策の一環として同和地区内の農山漁家の営農の振興と生活環境の改善に必要な助成四千六百万円を計上しております。  第六に、林業振興対策の推進について申し上げます。  一、まず、造林事業につきましては、五十三億六千五百万円を計上しておりますが、前年度に引きつづき拡大造林に重点を置き、補助造林を拡充実施することとし、新たに密植方式の導入、事業単価の引き上げを行なうほか、融資造林の拡充をはかるため農林漁業金融公庫の融資ワクを三十三億六千万円に増額いたしております。  二、林道事業につきましては、奥地林開発を重点に林道網の整備をはかるとともに、前年度より開始した山村振興林道事業について、従来の計画期間を短縮して山村地域の開発に特段の考慮をはかることとし、また、新たに全国的な林道網調査に着手することといたしたほか、林道改良事業、森林開発公団林道事業への助成を引き続き実施することとし、これらに要する経費として三十六億一千万円を計上いたしております。  三、治山事業につきましては、治山治水緊急措置法に基づく治山事業前期五カ年計画の第三年度として、国有林野事業特別会計治山勘定において、民有林の治山事業を計画的に実施するため、一般会計より同勘定に八十五億七百万円を繰り入れることとしておりますほか、水源林造成事業につきまして、前年度に引き続き森林開発公団によりその事業を実施するため、必要経費十三億円を一般会計より同公団に出資することといたしており、合わせて九十八億七百万円となっております。  四、次に、森林計画制度の改善と保安林の整備管理事業の充実に関する予算でありますが、森林計画制度につきましては、林産物の弾力的供給をはかるとともに、森林資源の積極的維持培養をはかるために、従来の伐採制限を緩和する等、合理的な制度の運用を期することとしたのでありまして、このため三億二千二百万円を計上いたしております。  また、保安林の国土保全機能を特に強化するため、保安林管理体制の整備充実をはかることとし、六千九百万円を計上いたしております。  五、林業経営の改善と技術の普及目的とする林業普及指導事業につきましては、前年度に引き続き普及指導職員の資質の向上と活動の強化に努めることとしておりますが、新たに森林組合を事業主体とする機械化作業組織を育成することとし、三十七年度においては九十二組合を対象として機械購入の助成を行なうこととしております。  また、山村における製炭者の経営合理化をはかるため、共同製炭に対する助成を強化することといたしております。これらの林業経営改善に要する経費として、六億一千八百万円を計上いたしております。  六、一方、林業関係試験研究の推進につきましては、国立林業試験場の運営の充実、都道府県の林業試験研究活動の強化等のため、五億七千三百万円を計上いたしております。  第七に、水産業の振興に関する予算について申し上げます。  一、まず、三十七年度の水産関係予算におきましては、沿岸漁業の振興対策に特に重点を置いたのであります。このため、新たに沿岸漁業の生産基盤の整備開発、沿岸漁業の近代化のための施設導入等を含む沿岸漁業構造改善事業を地域の特性を生かして計画的総合的に実施することとしたのであります。三十七年度においては、漁業経営近代化促進事業を五地域について一地域当たり事業費三億円、四カ年間にわたり実施するとともに、漁礁設置等の漁場改良造成事業を全国において一地域当たり事業費三億円、十カ年間にわたり実施することとし、これらに要する経費として八億三千六百万円を計上しております。沿岸漁業改良普及事業につきましては、五千九百万円を計上し、普及活動の強化と普及員の増員等をはかっており、また、漁村青壮年の資質の向上、実践活動の促進等のための経費として一千七百万円を計上いたしております。  二、次に水産資源の維持培養に関する経費といたしましては、北海道サケ、マス、孵化放流事業及び内水面漁業資源の維持培養事業を拡充実施するため、二億五千二百万円を計上するほか、新たに瀬戸内海における漁業資源の培養と漁民に対する栽培化漁業の教育研修の目的のもとに、国は稚魚の飼育管理技術の確立している重要魚種について、初期飼育と漁民研修のための施設設置することとし、九千五百万円を計上いたしております。一方、海洋漁場の開発を推進するため、海洋漁場の調査費として一億二千七百万円を計上いたしております。  三、水産物の流通改善事業といたしましては、主要生産地における冷蔵庫及び冷蔵自動車の設置、のり保管倉庫の設置助成等に対し一億七千五百万円を計上いたしております。  四、次に、水産試験研究の強化につきましては、国立水産研究所及び都道府県水産試験場が行なう試験研究に対し五億二千八百万円を計上いたしております。  五、漁業の生産拠点である漁港の整備につきましては、漁港整備計画に基づく漁港修築事業を既着工地区の早期完了に重点を置き、五十七億五千七百万円を計上いたしております。  第八に、農林漁業融資事業につきましては、前述の農業近代化資金のほか、農林漁業金融公庫資金の融資の拡大をはかることとし、新規貸付ワクを七百十億円に増加することといたしておりす。このうち、三十七年度に資金交付が予定されます金額六百六十六億円につきまして、一般会計出資十三億円、産業投資特別会計出資百二十億円、資金運用部特別会計等からの借り入れ三百二十三億円、回収金等二百十億円を充当することといたしております。  新規貸付ワクの内容につきましては、土地改良事業において、非補助小団地等土地改良資金を百五十五億円に増額し、補助残融資とあわせて二百五十二億円、林業については、造林、林業経営改善資金等を増額し六十七億円、果樹園造成事業の拡充をはかるため十五億円、自作農維持創設資金を前年度に比し三十五億円増額して百九十五億円とし、新たに農業構造改善事業に必要な資金、沿岸漁業構造改善事業の実施に伴う漁家経営安定化資金、酪農振興のための乳業施設の合理化資金を新設いたしました。  第九に、その他の重要施策について申し上げます。  一、まず、農業団体の整備強化に関する予算といたしましては、農業委員会、農業協同組合関係団体の活動を促進するための指導援助を行なうとともに、前年度に引続き農業協同組合の合併を積極的に推進するほか、農業協同組合の整備特別措置等を継続実施することといたしております。また、開拓農協の事務処理を補強するほか、新たに不振土地改良区の再建をはかるため実態調査及び再建方策の指導を行なうこととし、これら団体関係予算として十八億八千三百万円を計上いたしております。  二、次に農業災害補償制度につきましては、農作物共済について料率の改訂、蚕繭共済について共済金額の引き上げを実施するほか、家畜共済については、診療点数の引き上げに伴う農家の掛金負担の軽減をはかるとともに多頭飼育者の加入の促進をはかるため、新たに加入奨励金の交付を行なうことといたしました。  なお、昭和三十八年二月より農業共済再保険特別会計を廃止して農業保険事業団を設立することといたしております。以上により総額百三十七億六百万円を計上いたしております。  三、災害対策公共事業の推進のための経費二百二十八億七千六百万円について御説明申し上げます。まず、海岸事業につきましては、チリ津波対策事業を含めて、十七億四千五百万円を計上し、伊勢湾高潮対策事業につきましては、所定の計画に従って二十二億一千二百万円を計上いたしております。  また、災害復旧事業につきましては、三十六年発生の梅雨前線豪雨、第二室戸台風等による激甚な被害の状況にかんがみ、三十六年度における予算措置とあわせてその復旧進度を引き上げ、事業の促進をはかることとし、百八十九億一千九百万円を計上いたしております。  次に昭和三十七年度の農林関係特別会計予算案について申上げます。  第一に、食糧管理特別会計について申し上げます。まず、国内産米麦につきましては、米は、その管理について現行の事前売り渡し申込制度による集荷方式を継続し、その集荷量を六百三十万トンとし、麦につきましても、現行の無制限買い入れ制度により買い入れを行ない、その買い入れ数量を大麦、裸麦及び小麦を合わせて百四十六万トンといたしております。  また、予算上の買い入れ単価は、米は前年産米の決定価格と同額の百五十キログラム当たり一万一千五十二円五十銭とし、麦につきましても三十六年産麦の買い入れ基準価格と同額といたしております。  なお、米の消費者価格及び配給数量は従来どおりとし、また別に卸、小売業者の販売手数料の改訂を行なうこととしております。  輸入食糧につきましては、国内産米麦及び輸入米麦の需給事情を勘案し、必要な限度の数量を輸入することとし、その買い入れ価格も最近の実績及び今後の見通しにより算定いたしました。  農産物等につきましては、従来の方針を継続して価格の安定をはかるものといたしますほか、テンサイ糖について一部工場の製品の買い入れを行なうことといたしました。  飼料につきましては、畜産振興政策の進展に対応し、飼料の需給及び価格の安定に必要とする所要予算額を計上いたしております。  なお一般会計よりの繰り入れは、前述のとおり調整資金勘定に対し六百七十億円、農産物等安定勘定に対し四十億円となっております。  第二に、農業共済保険特別会計については、農業勘定といたしましては、歳入歳出ともに、百二十二億七千万円でありまして、うち一般会計よりの繰り入れば八十二億六千三百万円となっております。  また、家畜勘定につきましては、歳入歳出ともに、二十八億三千四百万円で、うち一般会計よりの繰り入れは七億二百万円であります。  第三に、漁船再保険特別会計について申し上げます。この会計の普通保険勘定におきまして小型漁船の加入の促進をはかるため、二十トン未満の漁船についての国庫負担対象の付保率を一〇%引き上げ六〇%とするほか、新たに、事故防止のために奨励金を組合に交付する道を開くこととし、歳入歳出ともに二十九億九千四百万円を計上し、うち一般会計よりの繰り入れば五億六千九百万円となっております。その他、特殊保険、給与保険、業務の各勘定は前年度に引き続きほぼ同様の方針で計上いたしております。  第四に、国有林野事業特別会計について申し上げます。まづ事業勘定につきましては、木材増産計画と木材価格安定緊急対策とによる収獲量及び事業量を予定するほか、治山治水緊急措置法による前期五カ年計画の第三年度事業量により三十七年度予算を編成いたしております。なお、この会計の資金と組織を活用いたしまして、民有林への協力をいたすこととし、関連林道開設事業の増強をはかるほか、特別積立資金の取りくずしにより、融資造林の拡大のための農林漁業金融公庫への出資十三億円及び森林開発公団への出資十三億円、その他の林業振興費財源を含めて三十億円を一般会計を通じて、それぞれ支出いたすことといたしております。このため事業勘定の歳入歳出は八百二十五億六千九百万円となっております。  次に、治山勘定につきましては、さきに一般会計で御説明申し上げましたが、歳入歳出額は一般会計よりの繰入額のほか地方公共団体の負担金収入等を含めまして、九十三億七千七百万円を計上いたしております。  第五に、中小漁業融資保証保険特別会計について申し上げます。この会計は、昭和三十一年度以降六億円の基金で保証業務を実施いたして参りましたが、保証実績も漸増の傾向にあり、その保険金支払いも増加が予想せられ、この基金に不足を来たすおそれがありますので、三十七年度一億五千万円を一般会計より受け入れ歳入歳出ともに八億九百万円を予定いたしております。  以上のほか、特定土地改良工事特別会計につきましては、さきに御説明申し上げておりますが、森林保険、自作農創設特別措置、開拓者資金融通、糸価安定の各特別会計につきましては、それぞれ前年度に引き続きほぼ同様の方針で計上いたしております。  最後に、財政投融資計画について御説明申し上げます。昭和三十七年度における農林関係財政投融資計画は、農林漁業金融公庫への出資を一般会計より十三億円、産業投資特別会計より百二十億円といたしますほか、資金運用部資金等からの借り入れにつきましては、農林漁業金融公庫三百二十三億円、愛知用水公団事業十三億円、開拓者資金融通特別会計三十二億円、特定土地改良工業特別会計六十二億円とし、財政投融資総額は五百六十三億円となっております。  以上をもちまして、農林関係一般会計予算案及特別会計予算案並びに財政投融資計画の概要の御説明を終わります。よろしく御審議を賜りますようお願いいたします。
  86. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) これより政府説明に対する質問に移ります。質疑のあります方は順次御発言を願います。
  87. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 豚の問題についてちょっとお聞きしたいと思います。政府は農業基本法によって新しい成長的な選択拡大を重要な問題として、家畜特に豚の増産を奨励されたのでありますが、結果は、最近において、特に去年末からの価格が暴落をして、さらに二月大暴落をするというような情勢になって、農家は非常に困惑をいたし、将来の見通しがつかないというような状態に当面をいたしております。最近のこの豚の価格の暴落の状況、特に最近の暴落した原因、今後これはどういうふうに推移するであろうか、それに対して政府はどういう措置をとろうとしておられるか、一応概要をお説明願  いたい。
  88. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御指摘のように、豚が一時に多頭飼育されまして、その結果、需要がこれに伴って増大いたして参りませんために、市況がとみに悪化いたして参りまして、お話のように一月から二月にかけまして、だんだん下がってきました。これにつきましては、大ざっぱに申すと今申し上げたとおりでございますが、反面におきまして、取引関係が非常に不適当でございまして、卸の段階におきましても、もちろん、小売の段階におきましては、さらに卸が下がっても、小売価格がこれに伴って下がっていかない、したがって消費がついてこないというような点等もございましたために、非常に迷惑をかけているわけでございます。そこで政府といたしましては、昨年御審議をいただきましたこれら畜産物の価格対策をすみやかに発動いたしまして、そして審議会の議を経まして、一応二百四十五円という価格で市場から買い入れをするということにいたして、現に買い入れを実施中でございます。このことのために一応下値は、ときに出荷が非常に一時に参り下がることもありましたけれども、もう最近一応落ちついて、順次非常にたくさん生産されておりますものが消化されれば、あとは正常になって参ると考えております。
  89. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 政府基準安定価格を出された直後においても、たとえば三月の二十日前後でしたか、非常な暴落をやっている、こういう事象はどういうことが原因だとお考えになっておりますか。
  90. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御承のとおり、一番大きな屠場でございます芝浦屠場が中央卸売市場の指定を受けていない、ここの取引は非常に適当でない、というようなことのために、政府としてはこの市場から豚の買い入れをいたすことは不適当であるということでやっておりません。今大宮、横浜であるとかいうところでやっておりますので、これらの市場は政府の所期の買い入れ価格である程度価格を維持しておりますが、たまたま地方から送って参りますものは、従来の流れに従って芝浦に送ってくる、芝浦に一時に品物が入ってくるために一時下がったということは考えられます。
  91. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 芝浦の機構その他については後ほどさらにお尋ねしたいと思いますが、その前に今大臣のお話がありましたように、去年の暮れあるいは今年にかけて非常な暴落をした。大体ほうっておけばこういうふうな暴落をして、農家が非常に困ることがすでに昨年から見通されたと思うのです。しかるに畜産物価格安定法は昨年の十月末に実施されたにかかわらず、その後これに関する省令なり政令制定、あるいは事業団の事業開始、そういうものが非常におくれたためにこういう事態を招いたのじゃないかと私たちは見ておるのですが、一体そういう政令、省令はいつごろどういうふうに出されてやったか。それから事業団の準備、営業開始、その他はどういうふうになされたか、それらを少し正確に御説明願いたい。
  92. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 政府委員説明いたさせます。
  93. 保坂信男

    説明員(保坂信男君) 事業団の発足は大体十二月の中旬でございましたが、省令の手続につきましては関係面ともいろいろ協議し、若干の時間を要しました。これは十一月の二十七日に公布施行をいたしております。
  94. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 事実と違うんじゃないですか、政、省令が出たのは二月に入ってからじゃないですか。それから事業団が店開きしたのもこれも二月に入ってからでしょう。正確にそこのところを。
  95. 保坂信男

    説明員(保坂信男君) ただいまの御説明が多少不十分でございましたけれども法律が通りましてから、とりあえず事業団が発足いたします最少限度の政令を、十一月二十七日に政省令関係を公布いたしまして、その後事業団の業務方法等に関する内容の規定等につきまして、ただいまお話がございましたように二月七日にさらに改正をいたしまして、その後事業は実施をされることになったのでありますが、事業団そのものの発足につきましては、先ほど申し上げましたような日に発足いたしたのでありますが、事業に関する諸規定の整備が二月七日になりましたので、事業団の畜産物の買い入れその他の準備としましては、二月に入りましてから整った次第でございます。
  96. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今お話のように、必要な政令が改正されたのが二月七日。それから事業団が業務体制を整えて店開きしたのが二月二十日というようなことになっているんじゃないかと思うのですが、この間三、四カ月も時日をとっている、そういうことを許さない事態のであったにかかわらず、非常に手間どってしまった。こういうことになったのは政府当局の非常な非能率、怠慢のそしりを免れない。それがああいう暴落を来たしたとしか考えられないんですが、その点は大臣どういうふうにお考えですか。
  97. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 結果から見ると、確かそのそしりを免れないと私は思います。ただ政府のほうの目算といたしましては、産地にあります豚のことでございますから、いつごろがこれの売る時期であるか、いつごろになればどういうふうに出回ってくるか、この見当はついておったわけでございます。そういうことからして、こんなに早く出回ってくるとは思わなかった、少し早く、早出ししておるという事実もあるわけであります。それとかたがた、理由にはなりませんが、法律にもありますとおりに、審議会の議を経て価格の決定をするということにいたしております。そういう関係で、審議会の構成が実は国会休会中でおくれたということ、決してこれはそれだけが理由ではむろんありませんが、一つその構成がおくれたということもございました。見当を違えたのは、少し農家のほうが前途を不安に思われて早く出してこられたということにあった。これは逆に申せば、準備がすっかりできておればそういうことはなかったろうということも言えると思いますが、いずれにいたしましても、そういったような原因結果のかみ合いから今申したようなことに相なったことにつきましては、はなはだ遺憾だと考えております。
  98. 戸叶武

    戸叶武君 関連して。今佐多さんが言った点はやはり重要であって、それは例年三月、四月というのは豚の値が下がることは明らかなので、すでに政府が予測したのは、三月末には二百三、四十円に下がるだろうという見通しも若干持っておったようですが、それが二月にもうすでに下がっているので、そういう点が生きた経済、豚を多く飼い過ぎて、これは下がるとすると大へんなことになるというふうに生産者が敏感にそれを受け取ってあのような暴落となったのですが、こういう生きた経済の動きに対して対処するだけのひとつの順応性というものが農林省になかったということを如実にこれは物語るもので、私はこれは大臣だけの責任じゃないが、農林省の事務官僚責任は大なるものがあると思いますが、どうですか。
  99. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 今もお答え申し上げたとおり、確かに早く出てきた点が見当を間違えた、それと同時に価格決定をする審議会の構成がおくれで、準備がこの一点にしぼられてしまったという点で、実は委員の皆さんにも御勉強願って、夜を徹して御審議を願ったようなわけでございまして、われわれとしましては、できるだけ実は急いでやったつもりでございますけれども、いろいろな原因結果がああいうことになったということで、はなはだ遺憾に思っております。
  100. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ことしの初めに第一番目の暴落がきた。その直前に大臣が談話を発表された。その談話を発表されて、むしろその談話を発表されたことが契機になって非常な暴落を来たした、事実的にはそういう結果になっているようでありますが、これをどういうふうにお考えになりますか。
  101. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 私の考える限りでは、今も考えは同じくして準備をいたしておるのでございますが、豚を買ったらば、それは学童給食に回す、心配なさらぬでも、豚が余って困るというようなことにいたしませんという談話を出して、一時とまったように考えておりますが、何かはかの談話がございますか。私それ以外にはないのでございますが。
  102. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 あなたが一月三十日に談話を発表されて、今みたいなことを言われた。たとえば二月の二十日ごろから事業団による買い入れを開始するとか、あるいは買い入れた場合には学校給食に回すとかいうようなこと、それから小売価格の引き下げを勧告するとかいうような談話を発表された。その発表されたのが一月の三十日で、これを契機としてむしろ三十日、三十一日、一日、二日と非常な大暴落を来たしている。だからあなたのあの談話がむしろこういう暴落を誘導したことになった。結果的に事実はなっているのですが、それは、だから下落の誘因を作ったのは、原因はもっとほかに背後的なものがあるのでしょうが、誘因になったのはあなたのあの談話であったとしか事実からは思えないのです。だから大臣としては下落をとめるおつもりで話されたのならば、もっと話し方もあったのじゃないか。そういう点は非常に不用意な談話だったんじゃないか、こういうふうに思いますが、どうですか。
  103. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) あとからいろいろ御批判はあるかもしれませんが、御承知のとおり、私がその談話をいたしましたときには、もう芝浦の屠場に豚があふれておりまして、殺し切れないというようになってきましたので、そこでやむなく私はそういう談話を発表せざるを得なかったのでございます。ところが、この取引が毎日千頭以上殺す、殺したものは適当に都内でさばくというやり方をいたしておる。たくさんくるから下がる、こないから上がるというような公正な取引をいたしておりませんので、今のようなことをして思惑で豚屋が勝手な相場をつけるのでございますから、この芝浦屠場について抜本的な処置を講ぜざる限り、私はちょっと行政当局として手の打ちようがない、現状におきましては。やむを得ず横浜と大宮のほうを指定いたしまして、この方面で今どんどん買っておりますから、この方面に相当のものが集まる。同時にまたこれでも足りませんから、産地で買うようにして、芝浦になるべくいかないようにというふうにまで実は考えて、そして芝浦を刺激して、ここを公正な取引所にするというふうなことにでもいたしませんと、どうにもしようがないんじゃなかろうか。こう実は思っておって、せっかく各方面と協議しつつ進めておるというのが現在の段階でございます。佐多さんの御指摘の点につきましては、結果からそういうふうになったのははなはだ遺憾でございますけれども、当時の事情からやむを得なかったということも御了察賜わりたいと思うのでございます。
  104. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今のような事情があったのでしょうが、それがまた三月の二十日前後に同じような暴落のあれが繰り返されておりますが、これらを考えますと、さっきも大臣は芝浦の仕組みが悪いのだというようなお話がありましたが、大宮とか横浜だとかで買い支えをするというような、外からのいろいろな施策以外に、それじゃ芝浦の市場自体をもう少し変えなければならないという問題が出てくると思うのですが、これに対してもっと具体的にどういう施策をやろうとしておられるのか、やられるのか、その点を御意見を承りたいと思います。
  105. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) もう少し公正な妥当な取引をする市場であるようにしてほしいと考えておりますが、御承知のとおり、何分東京都を通じて施策をするのでございますから、東京都にいろいろ要望はいたしますけれども、なかなか所期の目的が達成できないということで、はなはだ遺憾に考えておる次第でございます。
  106. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、策はないと、しからばこれらの屠場に関する限りは策がない。したがって三月二十日に出ましたような、ああいう暴落は今後ともなお起こるのだ、そしてそれが全体の価格の変動に非常な影響を及ぼすこともやむを得ないのだというふうに考えておくべきかどうか。
  107. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 私は、人為的な相場であって——場相が人為的という言葉はいいか悪いか知りませんけれども、あそこにいる業者がただ手を握ったり放したりしてやっているので、そして豚がよけいいるから下がるとか上がるとかいうことじゃなしにやっております。あの姿を佐多さんもごらんになったかどうか知りませんけれども、ごらんになれば、これは農林大臣の資格でも無理だということになるのじゃなかろうかと思うのです。これはもう皆さんにも、見ていただいた方もだいぶあるのですが、これを直せといいましても、どうも二十何人も問屋がおりまして、私は相当厳重に問屋には言って参ったのですが、なかなかその後そうなりません。今大宮と横浜が買っております。大宮と横浜は、大体われわれの言うとおりになっておりますけれども、あそこで一日か二日今言うとおりぽこんと下げる、下げたからといっても、そこで下がるだけで、わきに影響するものでもない、小売りの下がるものでも何でもないということでございます。これは非常に困ったことだと思いますけれども、一体農協あたりがこういうところに出荷するのが私は悪いと思う。そういう点までもうちょっと、芝浦では買ってないのだから、横浜や大宮なりが公正な農林省の指定する屠殺場になっているのだから、その方面に品物を送るということになれば、二百四十円なら、その前後の値段で取引されておるというわけでございますから、まあこのことは理屈になるかどうかわかりませんけれども、はなはだ遺憾で、なるべく早くなるようにこの上とも東京都を督励して参りたいと思います。
  108. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 芝浦の屠場の設備その他から考えて、あの大宮だとか横浜、その他の地方の市場の設備の不足その他から考えて、どうしてもやはりほうっておけば芝浦に集まらざるを得ないような仕組みになっているんですね。それからたとえば芝浦に送らないで大宮に送ればいいとおっしゃるけれども九州あたりから送るとすれば、芝浦に送るよりか大宮送りになると、一日か二日の日にちが延びてしまう、それだけ目減りができて不利になるから、やはり安くとも芝浦に出さなければならぬということになって、どうしても芝浦の市場がつぶす量からいっても多いし、したがって市場価格を支配する力は依然として残っておる。こういうふうになると思うのです。したがって、価格を安定をさせるということをほんとうに考えておられるんだったら、芝浦に施す手がないということで投げておられるのじゃなくて、もっと積極的に、具体的にいろいろな施策を進めなければならないと思う、どうですか。   〔主査退席、副主査着席〕
  109. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 施策を実はいろいろやってみたけれども、手がないのです。今のやり方では、これはもう私もほんとうに手をあげているのはこのことだろうと思う。やりようがない。やむを得ませんから、東西市場に政府施設のもとに新たにやりたいということを考えまして、これを鋭意研究準備しておるということでございます。これはもう東京都に幾ら言いましても、東京都はできないと言いますし、屠場におります豚屋さんが言うことを聞かない、あんな屠場はどうも困ったもんですね、だれでも行ってやるわけにもいかぬでしょうし、なかなかあれが二十数社おるものが、せめてあれが二つか三つになればそこでせりもできましょうが、今のところではせりもできないあの姿でおる。で一体どうして価格をきめているのか、きめ方もよくわからないということで、伝票を持ち寄って、きょうはこの辺でよかろうじゃないかということできめるらしいんですが、説明を聞いていてもわからないんです、というのが実相でございます。はなはだ遺憾に思いますが、できるだけひとつ善処いたしたいと思います。
  110. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 はなはだ遺憾に考えるのですが、これがやはり自由経済なり何なりの、それから選択的拡大とか何とかいってどんどん増産その他を奨励されるにかかわらず、そのけつはこういうことでいかんともしがたいといって手をこまねいておられる。まことに無責任な態度で、これは何とかやはり体制を変える、したがって、必要な場合には法的な措置もするというようなことで、あそこを抜本的に変える施策を尽くすことをやはり努力をされなければならないと思う。これを強くひとつ要望をしておきます。  それから、やはりこんなに暴落してくるのは、需給の関係にアンバランスができてきているのではないかというふうに考えるのですが、豚の需給を長期的に、あるいはこの一年間くらい、さらにはこの数年間を、将来どういうふうに需給の関係がなるというふうに考えておられるのか、あるいはどういう見通しのもとに今後の営農指導をやっていかれようとするか、その点を御説明願いたい。
  111. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 生鮮食料品の需給の調整をして参るということは、非常に困難なことであると私は考えます。困難であるからといって放擲すれば非常に重大な事態が起きてくることでございますから、これを可能な範囲において需給の数字を取りまとめまして、そうして、そこに生産の指導目標を立てて生産の奨励をして参りたいと思うのであります。特に酪農、畜産製品につきましては、新たにわれわれ勘定いたしております構造改善の場におきましては、主産地を形成して、そこに目標を定めて製造の奨励をして参りたいと考えておる次第でございます。
  112. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 主産地の形成をやられて積極的な施策をやられるのですが、積極的な施策をやった結果は今みたようなことになってしまう。これは積極的な施策をやられればやられるほど、需給の調整なり何なりということを数字的に計画的にやられなければならないと思います。そこで過去にどういうふうに需給の状況がなってきたのか、そうしてさらに今後それをどういうふうになると見通されるのか、あるいはどういうふうに持っていこうとしておられるのか、その辺を数字的にひとつ、これは政府委員でけっこうですから、もう少し詳しく御説明願いたいと思います。
  113. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) ちょっと私から。実はこれまで私も在野時代からいろいろ見て参ったのでございますけれども、最近のわが国の畜産製品、動物蛋白に関する需給の関係は、いつでも農林省の予定が私は合ったことがないと思います。これはいつでも間違っておる。幸いにして少なく間違いましたから、いつでも足りない足りないというところできたと思います。ただし一部豚等については、季節的に例外が見られます。これは従来の統計等も、決してこれが全然悪いとは申しません。悪いとは申しませんが、およそ他の農産物に比較いたしまして、動物蛋白の需要が急激に増加いたしておりますことは御承知のとおりであります。この伸び率が一般国民生活の改善に従って伸びておると私は思うのであります。したがってこれが経済の景気、不景気というものに非常に影響されておる、所得の関係に非常に影響されておるということで、ただ過去の数字を基礎にして勘案いたしますれば、過去の考え方で参ればこれは違っていく、これは如実に違ってきたと私は思うのでございまして、そういう点から勘案いたしまして、過去の数字を基盤にいたし、今後の経済成長率等を勘案して、そこに目標を定めていくべきものである。これらにつきましては、およそ各方面の御意見を承って慎重に検討の余地があるだろうと考えているわけでございます。ちょっとつけ加えておきますが、したがって、主産地形成等につきましては、酪農審議会等の意見も十分承って、そしてこの形成をやって参りたいと思っておる次第でございます。
  114. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今のような考え方から今後の需給をどういうふうに見通し、どういうふうに計画を立てておられますか。数字的に、事務当局でもけっこうです。御説明願います。
  115. 保坂信男

    説明員(保坂信男君) 需給の関係につきましては、目下農林省内部におきましても作業の段階で、まだ確定をいたしておらないのでありますが、過去二十六年から三十五年までの傾向値から見まして、需要の所得弾性値等を検討をいたしまして、将来の十カ年等の見通しを検討をいたしておるわけでございますが、大体大まかな、まだ確定的に申し上げる段階ではございませんが、現在の肉の需要量に対して三倍近くになるのではないかというふうなことで考えられると思います。それを直線的に傾向値を伸ばして参りますと、来年はどのくらいになるであろうというようなことが考えられるわけでありますが、肉の需要量として五十万トン前後になるのではないかということで、まだ検討の段階でございます。
  116. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の五十万トンというのは何ですか、肉全体ですか。今の私の聞いているのは、豚がどういうふうになるかということをもっと数字的に正確に、過去はどうだったのか、今後はどういうふうに見通され、どういう見当でおられるかを、正確にひとつ知らしていただきたい。それができなければ、いろんな買い上げとか、事業団にどういうふうに買い上げさしていくとか、あるいは今後農家に対してどういうふうに奨励をしていくとか、あるいはどういうふうにとめていくとかいうことが、かいもくわからない。こういうことはもう価格安定法なり何なりがきまる前から必要であったことだし、価格安定法がきまった以上は、そういうことがかなり詳しく正確に計画が立てられ、あるいは見通しもつけられていなければならない。それをもう少し正確に御説明願います。
  117. 保坂信男

    説明員(保坂信男君) 豚肉につきましては、昭和二十八年当時におきましては、約九万三千トン程度、十万トンに至らない数字でございましたが、三十五年におきましては、十四万七千トン、十五万トン近くの数字に相なっておりまして、二十八年度から比べますと、一五八%程度に相なっております。先ほど検討中の数字ということで申し上げました五十万トン程度の数字は、食肉全体で、豚のみではございません、その中で豚はどのくらいになるかということを試算をいたしますと、約半分程度、二十五、六万トンになるのではないかということで、目下検討中でございます。
  118. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、三十六年、二十万トン、三十七年は大体二十五万トン程度というふうに考えておられると見ていいのですか。したがって、頭数で言ってどれぐらいと考えておられるのか。それから農家に対してはこれをどういう見当でさらにふやせとか、減らせとか、この程度でとめろとかいうような指導をされるつもりなのか、その辺をもう少し正確に御説明を願いたい。
  119. 保坂信男

    説明員(保坂信男君) 先ほど来申し上げておりますように、確定的な数字についてはまだ省内において検討中でありますので、ただいま申し上げましたのは、私どもの手元で事務的にその見当で作業を進めております心組みを申し上げたわけでありますが、そういたしますと、年率一〇数%で増加をしていくということが……一一、二%になりますが、その程度増加率、これはもちろん生産率は非常に高いわけでありますが、屠殺率その他斃死率等を勘案いたしまして、増加して参りますのは一一、二%になるであろうと思います。過去におきまして御承知のように、豚肉が非常に好不況によって波の高低がございました。高いときには農家が非常によけい作るというようなことから一時的にはそういう需要の伸びをこえて、非常に大きく生産をされるというような傾向がございました。そういう点については、ただいま申し上げましたような数字の見当もございますので、そういうことを勘案してそれぞれ指導員なり各方面の指導を通じまして計画生産の面におきましても適正な生産に進みますように極力指導に努力して参りたいというふうに考えております。
  120. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 一応政府のほうでは、所得の問題にしても何にしても、一応年度の数字を立てて、計画、見通しを作っておられるのですから、特にあなた方が選択的拡大として増産を奨励をされる。しかも重点的に考えるのだと言われる畜産というようなものについては、もう少し早くから、もう少し正確な見通しなり何なりがあってしかるべきなのではないか。そういうことを今に至ってもまだよくわかりませんと、これからやるのですなんと言っているから、こういう価格の暴落その他が来て、あわてふためかなければならないということになるので、もっとその辺は能率的に、早く正確に見通しを立て、計画を作る。それであってこそ、初めて農業基本法とかなんとか、選択的拡大とか大きなことが言えるのではないですか。そういうことをやらないで、ただお説教、呪文みたように選択的拡大とか畜産、有畜農業だとか言って、計画なしに、具体的な指示なしにやられるからいろいろな混乱が生ずる。その辺をどうお考えになりますか、大臣
  121. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 実は農業基本法によりまして、われわれは主要農産物の見通しにつきまして御報告を申し上げることになっておりますが、それが審議会で今審議中でございます。その審議会の議を経てこちらのほうに発表するということになっておりますので、今審議会の段階にありますので、その内容について御説明を少々はばかっておるものと了承いたしますので、この農政審議会の議を経て近日のうちに御発表申し上げたいと考えております。しばらくの間御猶予をちょうだいいたしたいと思うのでございます。
  122. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 審議会でおきめになる。したがって、そこで確定した数字がわかってから発表されるということはちっともかまわないと思うのです。しかし、審議会でおきめになるためには事務当局その他から原案なり草案をお出しになるでしょう。したがって、事務当局は今こういう見当で、こういう大体の見通し、こういう感じで、こういう数字を検討しているのだ、ということをむしろお示しになって、そしてそれらを国会その他で十分論議をしながら逐次決定をしていくということのほうが民主的な決定の仕方じゃありませんか。むしろそういう態度に出られることのほうが私はいいのだと思うのですが、それをただきまらないから発表はできない。何も確定数字を発表しなさいと言っているのではないのです。
  123. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 何さま作業中のことでございますので、農政審議会で審議をいたす過程におきまして、審議会の空気等もございますので、今審議中でございますから、なるべく早く審議を経て、こちらのほうに御報告申し上げたいと考えておりますので、佐多さんのおっしゃることもごもっともで、みんなでひとつ論議しながらいいものを作ったらというのも一案かと考えますけれども、農業基本法によって、政府は審議会の議を経て今後十カ年間の見通しを国会に出せということになっておりますので、作業中でございますから、したがって、事務当局としても審議会の見合いがございますので、正確に申し上げることを控えているということと了承いたしますので、しばらくの間御猶予をちょうだいいたしたいと思う次第でございます。
  124. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 では確定数字はそれを待つとしても、今農家が一体今後豚の飼育に対してどういう心構えでやればいいのだということで非常に迷っているのが昨今の実情だと思うのです。そこでお聞きをしますが、今後さらに豚は増産を積極的にやる。今まで増産したあのテンポで、あるいはさらにそのテンポを早めてでも増産に励むということをやるべきなのか、いやそうでなくて、今はすでに需要の伸びその他から見れば過剰生産ぎみなんだから、ここで若干押えなければならないのだ、少なくとも横ばいの程度でいいのだというふうな考え方をすべきか、あるいはもっと行き過ぎているから少し引き下げろというふうにすべきか、そこらの見当はどういうふうにお考えになっていますか。
  125. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 佐多さんも御承知のとおり、豚の政策というものが世界じゅうにうまくいっているところが一体あるでしょうか。これは私は別にそういうことを申すのは無責任な話かもしれませんが、これだけめんどうなものは——当局で方針を示して、その方針どおりやってこいと言ってもなかなかどこでもいかないで困っているものが実情ではないかと思うのであります。ちょっと言葉が過ぎたらすぐとんでもない事態を起こすということになりますので、私は価格政策で、価格で指示をして、そしてその価格を見て農家のほうで考えてやっていただくという程度でよろしいのじゃないか。それを積極的に計画的にここでやることは非常に危険があるというふうに考えますので、この程度の価格ならば政府は責任を持ちますからという程度で、あとは農家の御判断におまかせするということで行きたい。そのうちに、だんだんやっているうちに、農家のほうも見当でわかるようになるのでしょうし、屠場その他の取引機構等も整備されるでございましょうし、すべてが準備ができて動きもよくなってくるようになれば、おのずからそこに見当もついてくるということだろうと思うのであります。したがって、私としてはなるべく早く今後の取引価格について新価格を発表いたしまして、これから先はこういうふうに価格は政府において保障して参ります、これについて一つ農家の方はお考えいただきたいということで指導して参りたい、こう考えておるわけであります。
  126. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、もっぱら価格政策でやろうというお話ですが、それならばお聞きをしますが、安定基準価格——三十七年度の安定基準価格これは今諮問をされておるかと思いますが、この価格算定の方式は、大臣なり事務当局ではどういうふうにお考えになっていますか。
  127. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 今その方式を諮問をしておるところでございます。その答申を待って措置するつもりで考えております。
  128. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その方式はあの法律の建前からすれば、生産事情その他を勘案しながら再生産を確保するということを旨とするというふうに述べてありますから、どうしても帰着するところは、生産費それから農民の農家所得、それを補償してやる以外にないと思うのですが、それらの点を大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  129. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) そこらのところまでは私もよくわかると思います。そこらのところまでは審議会のどなたがお考えになってもそのとおりでございますが、その際に、コロの値段が一体どのくらいが妥当かどうか、ここらのところに一番問題がかかると思います。他はえさにしましても、これはある程度政府のほうにおいて見通しが立ちます。したがって、再生産を補償するという、その再生産の一番大きな要素になるコロは一体三千円がいいのか、二千五百円がいいのか、三千五百円までは認めるのか、それをどこから積み上げていくのかというところに問題があると思いますので、そこらのところを各委員諸君の御意見を承っているというところであります。
  130. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、算定の方式は、生産費あるいは所得補償方式をやるということは、これはもう既定の事実だ。あとは生産費を構成する各費目をおのおの幾らに見るかということで違ってくるだけなんだ、こういうふうに聞えるのです。ところが、この間第一回の安定基準価格を出された算定の方式は、そういうふうに生産費なり所得を補償するという方式にはなっていなかった。全然なっていなかったと思うのですが、その点は今度の第二回のあれでは方式自体を今言われた明瞭な方式、それにもう一定していくのだ、あとはただ計算の仕方だと、こういうふうに考えておいていいのですか。
  131. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御承知のとおり、先般きめましたのは暫定価格でございまして、これはどこまでも暫定的のものでございます。第二回目からはいやしくも明年度基準になるべき価格を幾らくらいに見たらよろしいかということになるだろうと思います。ただ、私として今どうしたものかと思っておりますのは、暫定価格と基準価格とのその飛び越えをいつ飛び越えたらいいだろうか、どういうふうにして飛び越えていくべきものであろうかというところに、多少の御意見を各方面から承る必要があるのじゃなかろうかと思っておるのでございますが、いずれにいたしましても、明年度基準価格につきましては、今申し上げましたように、法律の示すようにしていくべきものだと考えております。     —————————————
  132. 千田正

    ○副主査千田正君) この際、分科担当委員の変更について御報告いたします。  本日安田敏雄君が辞任され、その補欠として清澤俊英君が選任されました。     —————————————
  133. 戸叶武

    戸叶武君 大臣がこの二百四十五円というのは応急処置としての暫定価格であるが、これを基準価格にどういうふうに移行するかというところを慎重に検討しているんだということでありますが、ちょうど暴落の過程で大臣が、さっき佐多さんが指摘したような段階は二百三十円の段階で、二百三十円の最低価格で、二百円まで落ち込むことを食いとめようという形で政治的な発言をされたのだと思いますが、あの段階でも畜産課長あたりは、その数日前にお聞きしたときでも、やはり最低価格は二百四十五円あたりで食いとめなければたいへんだという考えを持っておったようだし、結局は二百四十五円できまったのですが、二百三十円という、大臣が態度を表明しても、二百二十円にその日のうちにくずれているという状況ですけれども、これは暴落を食いとめるカンフル注射であったということは私たちも認めますが、今農業団体でもって打ち出しているところの価格というものは、都市労賃の一時間九十八円八十四銭というのをとって、キロ当たり四百二十六円という線を打ち出しておるのですが、牛乳のほうは、たしか一升七十八円十一銭ですから、牛乳のほうではそう大きな幅がありませんけれども、豚肉の問題ではやはり三百円を下がるようなことになっては、農家で豚を飼っても赤字になる。やはりできるならば四百二十六円という線までほしいのだという線が具体的に出てきているのですが、あの段階に大臣並びに農林省の人々にお聞きしたのでは、その前にいろんな統計、農林省からも若干いろんな形で出ておりますけれど、的確な資料がないのだということで逃げておりましたが、今後基準価格の問題に入っていく場合においても、その審議会なり何なりに、具体的なデータというものが出なければ、やはり私は審議会で決定するのに非常に困難だと思うのですが、農林省はその審議会に資料として提出するもの、農林省がまとめたもの、あるいは政府機関における統計を基礎としたもの、あるいは農業団体のもの、いろいろなものを出すと思うのですが、大臣といたしましては、その点、非常に重要なことですけれども、あんまり開きがあり過ぎたのでは、これは話にならないと思うのですが、米価の問題なんかは、いろいろな今までの変遷を経て、開きがそう大きなことになっていないのですが、今回この豚の問題の価格決定においては、非常に重要な段階だと思うのですけれども、その資料が農林省においては整っているかどうか。審議会というものに責任を転嫁するのでなくて、その決定に必要な資料が整っているかどうか、それを承りたい。
  134. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 私は、何分コロのことでございますので、十分万人を納得さすだけの資料は整っていないと思います。したがって、各方面の御意見を十分承り、そうして実情に合うところの数字をまとめてきめるよりほかに仕方がないじゃないか、こう考えております。
  135. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今お話がありましたように、第一回の暫定価格二百四十五円というような価格では、再生産を確保することが絶対的に不可能だというような値段になっているのですが、今度は方式としては、生産費あるいは所得補償方式という法の建前を完全に守るというお話でありますから、そうだとすれば、今、戸叶君から話がありましたように、三百円以上というような数字でなければ、なかなか再生産は確保できない。そういう意味では、この間の二百四十五円の暫定価格を相当上回る額でなければ再生産を確保できないということになりますが、その点はちゃんと覚悟の上で、それは方式としてはきまったことですと、こういうふうにお答えになっていると了解していいのですか。
  136. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) でございますから、先ほどから申し上げたように、三百円といい、二百八十円といい、三百二十円といい、条件を積む場合の条件になりますコロが幾らになるかということで違って参ります。でございますから、三百円になるじゃないか、それは覚悟の上じゃないかとおっしゃっても、決してこれは、ああいうものは覚悟する場合もあれば、覚悟するわけに参らぬ場合もございます。そこで豚の値段をきめることはむずかしい。こういうものに佐多さんが幾ら御議論になっても、佐多さんの御議論にはなかなか豚は乗っていかないだろうと思います。
  137. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そのコロの値段というものは、私たちがもらっているいろんな業者その他からの資料によりますと、底の値段は、そんなに開いてないと思うのですが、ただ底だけで全部が決定的だというふうにはならないのじゃないかと思うのです。そこのところは議論の余地がありますが、ここで議論はよしますが、とにかく今言ったような意味で再生産を確保するということに、今度は文字どおりひとつその確保するという建前を実現するような価格決定をされることを、特に希望をしておきたいと思います。  それからもう一つ、価格の問題について、価格が各市場によって、扱う基準価格の格差が設けられているのですが、あの格差は非常に不合理だと思うので、これはむしろ廃止をして統一価格でやられることが必要じゃないか、こう思いますが、この点はどういうふうにお考えですか。  その前に、各市場の値段は今幾らになっているのですか、正確にひとつ各市場別に……。
  138. 保坂信男

    説明員(保坂信男君) ただいまお尋ねのございました各市場の豚肉の市況でございますが、これは豚肉の上のもので、二十七日でございますが、大宮におきましては二百四十五円、横浜におきましては二百四十六円、名古屋におきましては二百四十六円……。
  139. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 政府が買うのがですか。
  140. 保坂信男

    説明員(保坂信男君) 市場価格でございます。
  141. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 いや、事業団が買うのは。
  142. 保坂信男

    説明員(保坂信男君) 続けて申し上げますが、広島におきましては二百十五円、福岡二百十円、大阪は、二十七日はあまり取引がございませんで二十五日のデータでございますが、二百二十一円でございます。  ただいま追加してお尋ねのございました事業団がその市場で買います価格は、大宮、横浜、名古屋は二百四十五円でございます。大阪が二百二十円、広島が二百十五円、福岡が二百十円でございます。
  143. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それらを各市場別の格差をつけないで同一価格とするということのほうが妥当だと思いますが、その点はどうお考えですか。
  144. 保坂信男

    説明員(保坂信男君) ただいまお尋ねのありました市場の間の差の問題につきましては、いろいろ御論議があるわけでございますが、従来の市場の取引の実勢等から考えましても、三十六年度の一年間のデータをとりまして、いろいろ格差がございます。それらを参酌して決定をいたしたわけでございますが、御承知のように、関東、東のほうと西のほうとでは仕立て方も違います。東のほうは皮を取る、皮をはぐわけでございます。西のほう、大阪以西は湯むきで、皮のついたままの仕立てはなっておるわけでございます。それと市場の従来の動向の実態、これはおそらく東京周辺、関東が豚の大きな消費地でございます。これは通常精肉のほか加工業者が、関東周辺に非常に集中しているという事情もあるかと思いますが、そういうふうな事情から肉の部分のほか、いわゆるごみ皮と申しますか、そういうものの取引の実勢、需給関係が非常に異なっておりまして、関東の市場におきましては、ごみ皮の値段も非常に高い。福岡その他におきましては、その点のさばきが十分でないので、そういう面においても非常に低い。いろいろの関係が影響をしていると思いますが、そういう市場価格の実勢になっておりますので、それらをそんたくして格差をつけたわけでございます。
  145. 千田正

    ○副主査千田正君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  146. 千田正

    ○副主査千田正君) 速記をつけて。
  147. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の各地域の格差が、皮むきだとか湯むきだとか、それによって違うとか等のことならばいいのですが、そうでなくて運賃その他の違いがあるからとか、それからまた、運賃格差だけでなくて、従来そういう格差があったから、その格差をそのままつけているのだということでは、政府が事業団をして買い上げさせる趣旨に反すると思うのです。少なくとも事業団をして買い入れさせるということにした以上は、そういう運賃その他はむしろ買い入れ者のほうで負担をするという形において地域差はなくするということが、建前上当然だ、ほかの農作物なり何なりを買い入れるときには、そういう方式をとっておられると思います。そうであるにかかわらず、ただ過去において自由市場の買い入れその他がなかったときにこうだっから、それをそのままで買い入れるというのは、建前が違ったことをちっとも違ったように措置しておらないということになりはしないか、どうです。
  148. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 佐多さんのようなものの考え方も、私はあると思います。が、しかし、一般の生鮮食料品、これらの価格がそういうふうに価格形成されておるという事実も私は認めて、私は政府が扱うことも扱い方の一案だと思うのです。必ずしも運賃は全部産地別に違って悪いというふうに、政府は専売をしておるというふうにやらなければならぬというわけにもいかぬのではなかろうか、現に生鮮食料品すべてについて見ます場合に、みな非常に地域差もしくは運賃等が影響いたしまして、それぞれの産地の生産者の取得金が非常に異なっております。この事実は、他のものすべてそういう形になっておりまして、それがバランスされてそれぞれの主産地が形成されるということになりますから、これをまた豚についてそういうふうなことをやりました際に、豚が地域的に非常に有利、不利益というようなことが、あらためて別の角度から見て出てくるという場合もあり得るのじゃなかろうかと思うのでございまして、これらは、経済計画を主張なさるお立場とわれわれとの違いじゃなかろうかと思いますので、これについて議論をここで申し上げたところで私は仕方がありませんので、ひとつお許しをいただきたいと思うものでありますが、御批判は十分受けます。
  149. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 政府が支持価格制をとっている、あるいは買い入れをするときには、ほかの農産物ではどうなっているか。ほかの農産物ではみな一律に買い上げているのじゃないかと思う。それから、政策としても、あなた方は、今後は地域格差を解消するのだということをやかましく言っておられるので、地域格差の解消の、一つの非常にいいチャンスだと思うので、こういう制度を実施されるのを機会に、やはりそういうことは直していただくということのほうが、あなた方の日ごろの主張とちゃんと合うのじゃないかと思いますが、この点はどうですか。
  150. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) ただいまお答え申し上げたとおりに、にわかに踏み切れない点があるのであります。順次、御指摘のような点は検討すべき課題ではございますけれども、にわかに踏み切れないという点があることを御了承いただきたいと思います。
  151. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それから事業団で買う場合に、三十六年度はどれくらいのものを買うおつもりなんですか。買える計画になっているのか。予算的にはどういう措置なり、どういう計画が作られているのか。その辺を御説明願いたい。
  152. 保坂信男

    説明員(保坂信男君) 事業団といたしましては一応三十六年度の事業計画予算といたしましては、ただいま食肉の買い入れ、保管の金は五億七千万円弱でございますが、そういう予算を計上をいたしておりまして……。
  153. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 五億七千万……。
  154. 保坂信男

    説明員(保坂信男君) はい。
  155. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それは事業団の全額ですか。
  156. 保坂信男

    説明員(保坂信男君) 豚肉を一応想定をいたしておりまして、それの三十六年三月末までの予算といたしまして、一応そういう額を計上いたしております。頭数はちょっと明らかでありませんが、約三十六年三月末までの予定としましては四万頭程度ではないかと思います。それは予算でそれだけでございます。
  157. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 三十七年度は。
  158. 保坂信男

    説明員(保坂信男君) 三十七年度は期限が切迫をいたしておるわけではございますけれども、まだ事業団としての予算計画を認可をいたしておりませんのでつまびらかではございませんが、まあ私どもの見通しといたしまして、どのくらい買い上げるかということは、なかなかむずかしい見通しでございますが、おそらく三月四月あるいは五月の上旬ぐらいまでにかけて、あるいは買い上げが行なわれるのではないかというふうに思いますが、通じて正確ではございませんが六万頭前後になるのかではない、そういうことは今後の市況の回復なりいろいろな事情によって、たぶんに変化をして参ると思いますので、単なる見通しでございますが、そのように考えておるわけでございます。
  159. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 この豚肉の価格暴落の対策として、大臣学校給食に回して需要増加をはかりたいというようなことを言われたようですが、これはどういうふうにその後進捗しておるのか。それからその他需要増加、消費促進にどういう手を考えておられるか、その辺を御説明願いたい。
  160. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 今大蔵省に対して、これを冷蔵庫に保管をし、実際に処分する場合には予算としてどの程度の目減り、金利倉敷がかかる、それを想定して、これを先に処分をして、学校給食にどのくらいまで下げて処分してよろしいかということを大蔵省と折衝中でございます。その折衝が済んだ上で、私としては文部省に対してどの程度で豚肉を学校給食に処分したいと思うが、貴方においてこれを善処していただきたいということを、文部省に申し入れをいたしたいと考えております。
  161. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その他は……。
  162. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) その他は先ほど申し上げましたが、小売価格が卸売価格に追随いたしません点がありますので、非常に遺憾に考えておりまして、これは、総じてのことになるのでございますが、何分家畜衛生が厚生省の取り締りになっておりますので、牛乳を初めとして、生産、屠殺、取引等にいろいろ支障を来たす場合があるわけでございます。そういう意味からいたしまして、行政機構を早急に改革する必要のあるものといたしまして、何とか厚生省と交渉いたしまして、これを農林省のほうに移管を願いたいという申し出を先般閣議において私はいたしました。閣議において両省から代表者を出して、そうして実際の運営の面について打ち合わせをいたすということにまで今進んでおるわけでございます。これをぜひ実行いたすようにいたしまして、牛肉、豚肉の小売商等の取引等の指導を農林省においてできるようにいたしたいと思っておりまする半面、少し行き過ぎた話になるかもしれませんが、実は今話し合っております話は、大都市の映画館を転業してもらいまして、そうして映画館の中に小売店を、周囲の小売店を集めてマーケットを作ってもらいたいいう点を、具体的に申しますと、大蔵さんという、映画会社の社長と経済局長と私の三人で近日お目にかかって具体的な話に入ろうということにいたしておるのでございまして、こういうところのひとつ適正な販売をいたすということにいきたいものだと——今またしゃべっていいのかとおしかりを受けるかもしれませんが、計画として今進めているわけであります。
  163. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それに関連すると思いますが、食肉銀行というやつをあっちこっちでやろうという計画、あるいは実際にスタートしたところもあると思いますが、これに対しては大臣はどういうふうなお考えですか。
  164. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) それは私の考えておりますものかどうか知りませんが、これも今申し上げた取り締まり衛生等の関係で、なかなか肉屋で始めにくい、したがって、肉屋で包装したものを百匁なり二百匁なり包装したものを冷蔵庫に預ってもらって、そうしてそれを入用の者に配るということを地方においてやっているようであります。私はこういったような不便を抜本的になくする意味において、ひとつ先ほどのようなことをぜひ厚生省との間に、この間も厚生大臣に承りましたら明治以来のものであるから農林大臣が言ってもそう簡単にいかぬということでありましたが、ぜひこれはひとつ実現するようにいたしたいと考えてせっかく努力するつもりであります。
  165. 戸叶武

    戸叶武君 関連。河野さんは思いつきをときどき発表しますが、これはいいことです。たくさんやる中に失敗があっても、とにかく志は高く買うのだが、映画館を活用するというのは、直売所のような形式でするのですか、それともスーパーマーケットのようにするのですか、これは斜陽産業としての映画館を思い切った切りかえとして結んでの着想としては私はこれはおもしろいと思うのですが、どういうふうなあれですか。
  166. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 第一次的には付近の小売店をまず希望を集めて入れてやるようにするのがよかろう、そうして大阪の市営市場を十分参考にして、そうして摩擦を少なく、実効が上がるような指導方針にいくのがいいだろうと考えております。
  167. 戸叶武

    戸叶武君 群馬県の一例として大衆消費を増大するために高崎ハムのようなところでは、農民の、生産者の委託という形でもって、そうして豚を買い上げたやつを農村に還元するという方式で非常に消費が伸びているというのですが、日本では前に佐多さんからも質問があったように、どうも需要に応ずるために生産々々と言っておりながら、経済の中において、非常に大切な大衆消費への移行ということを積極的に農林省は今までの習性から考えていないようですが、やはり生産を奨励する場合においては常にそれと消費との結びつきがなしに生産奨励というものは役所のセクショナリズムからかもしれませんけれども、これは非常に無責任なことになって、結局今度のようなしりぬぐいができないようなふん詰まりの状態ができてくると思いますが、そういうことに対してはどういうふうに考えておりますか。
  168. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御承知のとおり、農業の転換期でございますので、いろんな行き詰まり、落度が出て参っておることははなはだ遺憾に考えますが、それを十分注意して、そして事前にこういう事態の起こらないようにしていくというほかないのではないか。一方やっておることにつきましては、準備ができて、それからさて店を開くというふうにやって参ればこういうことはないのでございますけれども、何分何もかも取り急いでやらなければいかぬ段階にありますので、時に非常に御惑迷をかけることもあるかもしれませんが、こういうことのないようには十分注意していきたいと考えております。
  169. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 食肉の外国からの輸入ということはどういうふうにお考えになっておりますか。特にどうも聞くところによると、アルゼンチンですか、ニュージランドですか、この間使節か何かが来たときに、綿羊を相当入れるというような黙約があるというような話を聞いておりますが、それらはどういう話になっておりますか。
  170. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 当然入れて差しつかえないものは入れなければ足りないのが現状でございます。入れたらいかぬということではないのでございますけれども、牛にしましても年々相当の牛肉を入れなければ国内の消費は満たないということになっておりますので、日本人が世界じゅうの牛を食べてしまいやしないかといって輸出の可能性のあるものはどこからでもさらって参るような状態でございます。ただし、国内の需給を勘案しつつ参るということにいたしておりますから、したがって、今申し上げる牛であるとか豚であるとかというようなものについては自由にこれの輸人は認めない。ただし、綿羊の場合におきましては、加工用原料が主でございますので、これはあの程度の関税で十分に従来も影響なしにやって参りましたし、将来においてもこれでいけるだろう。ただし、支障のあります場合には、すぐにこれについては適当な臨時応急の措置をとるということにいたしておるわけであります。
  171. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 牛の肉についてはあるいは問題はないかと思いますが、今の綿羊の輸入ということには相当問題があるんじゃないか。今さなきだに国内の豚の値段が下がっている。そしてむしろ豚は過剰生産だと言われているようなときに、綿羊を入れるということになれば、さらに圧迫をされるということになりはしないか、それを懸念するのですが、一体綿羊はどれくらい入れるという話になっているのか、そうしてそれがはたして圧迫をしないのかどうか、その辺の見通しは。
  172. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) たしか一割だったと考えますが、関税をかけておりますればこれだけ下がった豚ととうてい競争できません。豚がある程度の価格以上の場合に原料として入るということでございますので、最近はほとんど入っておりません。
  173. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 いや、そういう値段のいかんにかかわらず、ニュージーランドとの間には何か貿易取りきめその他で入れるということをお約束になっているじゃないですか。何か秘密協定があるとか秘密取りきめがあるとかいううわさがもっぱら飛んでいる、その点をはっきりして下さい。
  174. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) はっきりいたします。それはもうすでに全部発表になっておるとおりでございまして、秘密協定でも何でもございません。佐多さん御承知のとおり、ニュージーランドから参られた方が、こちらのほうにおいてガット三十五条の通用を除外してくれということをこちらから強く要請いたしまして、よくわかりました、それではそういうふうに自分は引き受けて帰りますから、そのかわりに自分のほうの綿羊について特別に関税を上げるというようなことはしないようにしてくれ、現状のとおりでやるようにしてくれ、ただし、緊急の場合におやりになることはよろしいということで、ただし、これは自分がお引き受けして帰って、もし帰るまでは発表されると困るから国へ帰って国のほうの態勢ができるまでは……。その内幕をあまりしゃべると適当でないかもしれませんが、帰るまでは秘密にしてくれ、こういうことで帰られたのであって、秘密協定でも何でもないのであります。帰って向こうが三十五条の適用をしないということになりまして、約束どおり向こうもできましたから、こちらのほうも発表した、こういうことでございます。秘密取引でも何でもございません。
  175. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 現在の価格状況では、そうしたら圧迫される懸念はない、その価格。そこはどうなっておりますか。どうなっているから圧迫されないというふうに……。
  176. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 今の段階でも豚の値が下がっておりまして、これはもうテンパーセントかかっておれば特殊なもの以外は入ってこない。したがって、しばらくの間入ってきておりません。
  177. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今、向こうの値段は幾らなんですか。入れるのはどうなんですか、そこのところ。
  178. 保坂信男

    説明員(保坂信男君) 今資料をちょっと持っておりませんが、関税込みでキロ二百円程度ではないかと思います。
  179. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 どこで二百円ですか。
  180. 保坂信男

    説明員(保坂信男君) CIFで。
  181. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、CIF二百円だと、国内価格が圧迫される危険性はない。したがって、これは結果としては入らないということですか。
  182. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) ただいまの御指摘でございますが、今までニュージーランドの羊肉の輸入は数年来からAAになっておりまして、最近二万七、八千トンから三万トンぐらい入っております。そういうことでございまして、日本の国内産の綿羊の肉というものはこれはもちろん問題じゃございません。二、三千トンでございまするけれども、それだけのものが三十六年中にもおそらく二万七、八千トンは入っていると思いますけれども、全部加工用に回っておりますわけでございます。具体的な値段は直接のあれでございませんからわかりませんけれども、その状況で全体の豚肉なり牛肉なりに対する影響としては現状のままいくのであれば問題はない、一〇%の関税がかかっておりまして問題はないという想定のもとにやっておるわけでございます。
  183. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それから価格安定審議会のほうのことですが、価格安定審議会が先ほどもちょっとお尋ねしたように発足するのが非常に手間取っておそかったのですが、特にその委員の構成について、どういうふうな基準でこの委員構成をお考えになったのか。何か聞くところによると、生産者代表の声が十分に聞かれていないというような不平があるようですが、一体どういう基準でこのメンバーはお選びになったか、そこのところをひとつ御説明願いたい。
  184. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) これは委員の顔ぶれをごらんになればおわかりのとおり、別に生産者代表が少ないとか、何とかが多いとかいうことは私はないと思います。しいて申せば、学識経験者という方の数がふえているということだと思うのでありまして、先日も御非難を受けましたのは荷見安さんをなぜ入れないのか、荷見さんを入れても必ずしも豚の生産者でもなければ、これが入らなければならないという理由にも私はならなかろうと思うのでございます。
  185. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 いや、だからどういう構想でこれだけの人をお選びになったのか。
  186. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 豚に関係の各方面の権威者でございます。説明いたしましょうか、一人々々、役柄、関係を。
  187. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 一人々々具体的に説明を願う必要はない。大体たとえば生産者代表をどうとか、学識経験者をどうとかというようなあれでお選びになったのか。それから国会議員を入れるのに、法律を作るときの話は、国会議員はもう少し人数を多く入れるというような話し合いだったのじゃないかと思いますが、それがそのとおりに行なわれていないという問題があると思います。それらのいきさつはどういうことなんですか。
  188. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) これらのいきさつは両党の幹部にお聞きいただかなければ私のほうではわかりません。両党の幹部から御推選のあったものを私はそのとおり御推選申し上げたのでありまして、数がそれしかこないものを私のほうからやりようもございません。
  189. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 いやいや、数はあなたのほうでお示しになって、その数に従ってこちらは、党は人を具体的にきめただけで、数のワクなりなんなりはあなたのほうでおきめになったのでしょう。
  190. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 数は、両院からどのくらいのものを入れるということは、ちゃんと党のほうで御承知のはずでございます。この程度の人を出したらということが初めからあったわけであります。したがって、そのワクが二人あけてある。初めほかの方を推選いたしまして、両党代表の推選のあるものが国会関係でおくれました。推選がおくれましたために委員会の発足がおくれたことはこれは間違いございません、そのとおりでございます。ところが、その数はちゃんとあけてあったが、それだけの数の御推選もございませんから、そこで今まで二人はあけてあります。だれを補充しようか、両党から御推選があれば直ちに埋めるということで私としては進むわけであります。
  191. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 どうも僕の聞いているのとは話が違うのです。私の聞いているのは、法律の制定その他では大体二十四人のうち八人程度国会議員を入れる。五人ですか……。  それじゃあと二人が残っているのは、それが充てられる、二十四人のうち二十二人で、二人欠員はそれが充てられている、そういうことなんですね。
  192. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) そうです。
  193. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それじゃ、よろしゅうございます。  それからこれの会長はどういうことなんですか。何か大臣のほうで指名されるのですか、互選されるのですか。
  194. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 審議会の形式は互選になっておりますけれども、あらかじめ適当と思われる方をわれわれのほうで、皆さんなかなかお引きけにな受りませんからお願いをして、大体この人ということでお願いしてあります。内輪を申せばそういうことでございます。これは一橋大学の先生で、これらの研究者として日本の権威者ということになっておりますので、お願いしたわけでございます。
  195. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それから、これはこの審議会だけでなく、米価審議会その他にも通ずることですが、これらの審議会を非公開にしていくというふうにおきめになったようですが、どういうお考えから非公開にされたのですか。
  196. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 審議会は秘密会ということが当然なものだそうでございます。当然なものが当然のとおりに行なわれておりませんので、実はこれを当然に戻しただけでございまして……。
  197. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 どこで当然なんですか。
  198. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) それは法制局の意見がそういうことになっております。
  199. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 従来の慣例では必ずしもそうではなかったのではないですか。米価審議会だけが公開されていたわけですか。ほかのものは全部非公開ですか。そういうことになっておりますか。
  200. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) そういうことです。
  201. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それは正確ですか。
  202. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 正確です。  ちょっと、漁業調整審議会は法律で公開にするということが明記してあるそうでございます。これ一つだけ公開にするということが明記してございますから公開でやっておる。私どもは法制局の意見に徴して、われわれはいろいろ研究いたしました結果、秘密会で、今お話のとおりに、米以外は全部秘密会でやっております。
  203. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それから次に砂糖の問題を少しお聞きしたいと思います。砂糖の、甘味資源の需給対策十年計画、十年の見通し、あの見通しはその後数年を経過したようですが、さらに変えられたのかどうか、最近の実績と、それから三十七年度の見通し等の数字を、これは政府委員でけっこうです、ひとつまず御説明願いたい。
  204. 大沢融

    政府委員(大沢融君) 御承知のように、三十四年に甘味資源の総合対策というようなものを農林省できめまして、それに基づいていろいろのことをやっておったわけですけれども、当時見ました今後の砂糖の需要の見通し、そういうものは、その後、まあ所得が非常に上るというようなことと相待ちまして、非常に、——当時四十三年について砂糖の需要が百五十万トンぐらいになるということで考えておったのでありますけれども、その後砂糖の需要というものの伸びが非常に大きくて、昨年あたりそのくらいの数量になっておるわけでございます。したがいまして、甘味資源全般の問題をどういうふうにするかということは、当時考えましたことと多少事情が変わっておりますので、テンサイですとか、あるいはブドウ糖ですとか、その他の、イモからできるブドウ糖ですとかいうような甘味資源全般につきましての対策をせっかくどういうふうにしていくかということを検討しておるところであります。  それから、明年度の需要の見通しでございますけれども、今のような所得の伸びから見ますならば、粗糖、普通の砂糖などについて見ますと、昨年は百二十万トン、百三十万トンぐらいだったものが約五%ぐらいは伸びると思います。
  205. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 砂糖の自由化問題については大臣、どういうふうに措置されるつもりですか。
  206. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) ただいまわが自民党におきまして、甘味資源対策調査会設置して、せっかくこれについての案を作っておいでになります。ところが、私といたしましては、この予算の中にもありますとおりに、テンサイにつきまして、イタリアについていろいろ検討いたしました結果、全国的にテンサイの栽培を試験してみよう、そうしてその試験の結果と相待って、明年度において、——明後年度になりますか、予算その他の措置をとりたい、次の国会で法案、予算を整備して、できるならば国内のテンサイ栽培の生産の拡充をいたして参りたいという考えを持っておりまするために、この期間原料糖の暴落等に対する対策として、一時時限的に外糖の輸入を政府においてこれを行ないまして、そうしてそれを適正な価格で砂糖業者に売り渡しをする、差益の吸収をする法制を整えたいというので、せっかく今、そのほうを調整をいたしておる最中でございます。
  207. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、特別の振興法というのは来年作られる。その場合にテンサイ糖は寒地ビートに限らず、暖地ビートも入れておやりになる、こういうことと考えていいですか。
  208. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) そのつもりでございます。
  209. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それから、その際に、西南諸島でやっておるカンショ糖の問題あるいは澱粉糖の問題も同じ性質のものだと思いますが、それも全部ひっくるめてやるべきだと思いますが、その点はどうでしょう。
  210. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) それらをひっくるめて国内における甘味資源対策を根本的に立て直して抜本的な案を樹立していきたいと考えておるわけです。
  211. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それらを入れて、外糖と、それからテンサイ糖と、カンショ糖、それから澱粉糖、そういうものを入れて三十七年度の需給計画はどういうふうに考えておられますか。
  212. 大沢融

    政府委員(大沢融君) 先ほど申し上げましたように、約五%ぐらいの需要の伸びがあるだろうということで、外国から入れます粗糖を百二十万トン、大体三十六年度と同じくらいのものを予定いたしております。したがいまして、あと需要の伸びます部分につきましては、テンサイ糖でありますとか、あるいはブドウ糖でありますとか、あるいは御承知のカンショ糖、これは非常に伸びておりますが、そういう伸びたもので需要をまかなっていく、こういうようなことを考えております。
  213. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それらのもの、数字的にはどういうふうに予定しておりますか、ブドウ糖、テンサイ糖、カンショ糖、それから澱粉糖、そういうもの。
  214. 大沢融

    政府委員(大沢融君) ただい外糖輸入等の関係で、数字の調整は検討中でございますけれども、大体におきまして、カンショ糖では、計画といたしまして、分密糖で約四万トン程度、それから含密糖で二万トン、合わせまして七万トン程度のものを予定しておりますし、ブドウ糖では約十万トン程度というような数字を考えて、検討中でございます。
  215. 清澤俊英

    清澤俊英君 ビートの数字は幾らだ。
  216. 大沢融

    政府委員(大沢融君) 国内ビートからできます砂糖というようなものは、大した数量ではありませんが、大体二万トン程度くらいになるであろうかと思いますが、北海道産のビート、これからは三十七年度約二十万トン程度のものを考えて、総合的な検討をしている段階でございます。
  217. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 砂糖、特に国内の砂糖は、テンサイでも、カンショでも、原料が少なくて、設備のほうが先に行き過ぎて、設備が多くなり過ぎておるというようなきらいもあるようですが、これらの設備規制について何か大臣のほうではお考えになっているのかどうか。特に北海道のテンサイ糖の備をどういうふうに今後考えるか、あるいは府県のビート糖の設備はどういうふうに考えるか、それから南西諸島のカンショ糖の設備をどういうふうに考えるか、設備自体について相当な規制をされる必要があるのじゃないかと思うのですが、それらの点は、来年の法の措置、立法を待たずして、今年から行政指導としてやられなければならない問題じゃないかと思いますが、その点をどういうふうにお考えですか。
  218. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 現在までにイタリアにおいて調査しております段階におきましては、今やっております内地の暖地ビートはあまり感心いたしません。これをそのまま続けることは適当じゃないと思います。もう少し規模を大にして、そうして工場設備等についても十分な改善を加え、さらに生産につきましても、集団耕作というようなものを指導してやっていくのでなければ十分に目的は達成できない。いろいろな点について考えなければならぬ点が非常に多いようでございます。これらの点についてさらに検討を加えた上で明年度施策をいたしたい。また、明年度施策の結果、どの程度の含有量のものができるかということについても、全国的に検討いたしましてやりたいと思っておりますので、現在各府県で一部やっておりますような安易な気持でやることは、絶対失敗だと私は思います。したがって、私は、軽軽にこれについて行政指導をするとか、その責任を政府が負わなければならぬという立場をとるということは、必ずしも適当でないと思いますので、今砂糖屋さんがもうけた金であっちこっちでやるとか何とかという甘い考えは、あとのしりぬぐいは政府にさせるというような考えは、厳に私は戒めていくべきものだと考えておるわけであります。
  219. 戸叶武

    戸叶武君 関連して。来年決定するにあたって、イタリアについて研究するというのは、暖地ビートの問題と思いますが、暖地ビートの問題は、すでに十年前くらいから岡山その他四、五県で試験栽培をやっていると思いますが、これはイタリアから直結したものよりも、イタリアの経験を基礎にアメリカの南部の栽培方式を取り入れたのかと思いますけれども、ヨーロッパにおける砂糖問題というものは日本以上に非常に窮屈で、西ドイツなり、あるいはイギリスなり、フランスなり、自給態勢を確立し、特に最近におきましては、イタリアがあれだけ砂糖の輸入国であったのが、輸出国——自給態勢を確立するだけでなく、輸出に回るような成績を上げているので、イタリア、ヨーロッパ諸国において克服してできたことが、日本において克服できないということはないので、この十年間のいろいろな試験栽培でも、前進しないのは日本の砂糖関係の独占資本というものが割拠しておって、そうして結局、為替割当並びに砂糖の精製の過程における大もうけ——五、六年前にあったところの三日景気のときには、砂糖業者がそれによって年間四百億円くらいもうけるだろうというふうに取りざたされるような仕組みになっておるのですが、少なくとも私は、日本においてたばこが専売になっているように、専売というものはなかなか簡単にできないけれども、しょっぱいほうの塩のほうなんかは専売になっているのに、甘いほうは全くあけっぱなしで、そうして独占資本は甘い汁を吸われていくので、専売という形でなくても、何らかの規制があって、大衆は砂糖と塩をなめずに生きていられないので、文明の速度が進むに従って砂糖の消費量が伸びるのだというので、ちゃんとこれは、原糖輸入という形だけじゃあぶなくなるなと思うと、先回りして、北海道にはわっと独占資本がむしり取り合戦して、自民党の中もがちゃがちゃになるほどのああいうなわ張り争いをやる。そうしておもむろに、そういう態勢ができたら、今度は内地にもという形で、この数年来の動きというものは、私たちが見ているのに、非常に私は不明朗な動きだと思うのです。大臣が今この自由化に備える砂糖の輸入管理の体制を打ち出しても、その抵抗が非常に激しくて、通っていけない。自民党における砂糖法案というものがでっち上げられようとしておるようですが、私は、この問題は、あなたが食管問題でずいぶんかみつかれましたが、これは食管問題よりも、だれでも塩と砂糖はなめないやつはないのだから、砂糖のたたりというものは相当私はきついと思いますから、米であなたは手をやいた、その名誉を、せめて砂糖ぐらいで回復しないと、えらいことになると思いますが、日ごろ私は、一つの発案を出して、それを強引に推し進めるというところに河野農政の妙味があると思うんだが、砂糖の問題はだいぶにぶっているようなんですが、この問題に関して農林大臣の今抱いている施策というものは、世間ではやはり、河野はああいうふうに言っているけれども、次期総裁の問題で後退するのではないかということが伝わっていますが、ひとつ、この問題は影響するところが大きいと思いますから、大臣から私は砂糖の問題ははっきりしてもらいたいと思います。
  220. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) この問題は、新聞に出ましたとおり、あのとおり考えているわけであります。実は、きのうも衆議院のほうで、もうやめちゃったのかという御非難がありましたが、あれは社会党はあげて賛成するからしっかりやれという御声援を得まして、非常に喜んでいるわけでございます。決してやめるようなことはいたしません。昨日も、閣議におきまして、案ができ次第追っかけて出すから、あらかじめ例外としてこの法案だけは閣議了解をしておいてくれ、こう言って、一応党との意見調整がつき次第国会に案を出すつもりでございます。出ましたら、社会党さんが賛成なら一日で衆参両院は通過いたしますから、参議院に参りましても、砂糖のことは、ほかで質問して、この法案では質問なさらぬようにひとつお願いをいたしておきますから、よろしくお願いをいたします。
  221. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 先ほど、ビート糖なりカンショ糖について非常に消極的なような発言をされたような感じもするのです。さっき私が申しましたのは、原料の対策その他十分な施策が行なわれないうちに設備がやたらにできたって、設備のほうが過剰になっているというような傾向があるが、これに対してもっと何とか規制するなり何なりするということをお考えになっているかどうか。あれはあのままでいいんで、もっと積極的に伸ばしたほうが、そして原料糖をもっと大々的に増産をするというほうに全力を注いだほうがいいというふうにお考えになっているのか、その辺の感じはどうなんですか。
  222. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 実は、私の経験から、日本における暖地ビートというものは成功しないということを考えておったんでございます。ところが、そんなことを自分一人で一人ぎめをすることは適当でないと思いまして、大臣に就任以来、直ちにイタリーに調査団を派遣いたしました。派遣して、私の理論に裏づけをしようと思ったところが、報告は逆の報告が出たわけであります。そこで、イタリーの現実はこれこれしかじかである、日本の暖地ビートはこういう点に留意すれば成功するという第一次の報告を得ましたので、そこで直ちに折り返し第二次調査団を昨年の十一月に派遣をいたしました。第二次調査団は、県知事さん一名、それから北海道でビートをやっておられる経験者の技術者、技師長が二名、それに今度はテンサイ生産の関係の農林省の技術者を二、三名、それに政務次官を加えて、第二回の調査団を派遣いたしました。この結果は、知事さん——これは大分県の知事さんでございます、それに芝浦か明治だったと思いますが、その技師長が参りまして、非常に感を深くして帰っておられます。今までのような考え方じゃいかぬ、やればできるんだということで帰っておりますので、そこで私は、技術者の意見をいれて、早急にわが国内におけるテンサイの生産、特に、これらの報告によりますと、テンサイは収穫時における天候が一番大事である、収穫時における天候に合せて生産をすることが急所であるというようなことの報告を受けております。したがって、技術的な指導が一番大事であると考えまして、これを全国的に試験生産をいたしますために、予算を要求いたしておりますので、この予算が成立をいたしますれば、直ちにそのテンサイの全国的試験研究に一歩を入れますと同時に、一面におきましては、どういう機械を取りそろえ、どういう規模でやったらよろしいかということを各方面にPRいたします。したがって、現在やっておられる諸君が、今のままで、独走するとか、今のままでこれでいけるとかいうようなことをお考えになろうとは、私は考えません。したがって、私は日本における暖地ビートに対する感覚というものは一変して参るのじゃなかろうかと思うのでございまして、まあいずれ予算でも通りましたならば、あらためて国会終了後にこの問題について各方面の懇談会なり意見交換会なりを作って、そして抜本的に国をあげて集団的な工場中心の生産というようなことでいくことが適当のようでございますから、それらについて十分勉強いたしたいと考えておるわけでありまして、決して消極的ではございません。
  223. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そういうふうに積極的な態度をお考えになっているとすれば、今さしあたり、たとえばビート糖については最低の生産者価格を支持する制度を作るとか、あるいは南西諸島におけるカンショ糖はビートと同じように、あるいはビートよりもっと有利な糖業になると思います。したがって、原料カンショ価格の支持制度を作るとか、あるいはカンショ糖にしても、ビート糖にしても、ブドウ糖にしても、政府の買い上げ制度を考えるとかということを、この際早急にすべきではないかと思いますが、それらの点について、どういうふうに考えますか。
  224. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) ここまで申し上げては少し言い過ぎで、お小言があるかもしれませんが、私は、これからの農業は保護農業であってはいかぬ、既存の農業については保護助成も続けなければいけませんけれども、新しくやっていくものについては、たとえばビートにしても、農家の採算が合うというものでなければ奨励してはいかぬと思うのでございます。北海道については、これは大いに御意見もあろうと思いますけれども、ビートを奨励する場合には畜産はつきものと思います。ところが、北海道のビートの場合は、畜産もついてくるだろうと思ったものが、停滞いたしまして、酪農がついて参りません。したがって、この残滓を餌にして、そして畜産まで総合してこれが経営されるというような経営形態は考えられない。テンサイはテンサイだけで勝負すべきだ、そしてその値段を考えるべきだ、六千円以上でなければいかぬ、そろばんがとれぬじゃないか、だれも作らぬじゃないかという議論が、もう世論のごとくに指導されております。六千円というビートで一体国内の甘味資源対策がどういうことになるかということになりますと、イタリアのように、現に百二十二円というものを置きかえるということには、なかなかならない。それでは私はいかぬと思うのであって、そうでなくて、むしろ下げても生産が引き合うというようなふうにするには、どういうふうに技術上考えなければならぬか、生産上考えなければならぬかということが大事だと思うのでございます。それを安易に、工場を作ればよろしい、その周りにビートを作ればよろしいといって長野県で作って岡山県に持ってきてつぶせばよろしいというようなことで奨励するというような奨励の仕方は、厳に私は戒めなければいかぬと思うのでございます。したがって、今北海道の場合についても、私自身は必ずしも満足ではございません。今六千円という値段で何でも出せ出せといって、どうもお聞きになりません。そうでなければ生産が減ってしまうという。生産が減ることも困ります。ところが、一方において、最近は酪農の奨励という意見はほとんど払拭されて、姿を消しております。こういうことでは、これからの農政は非常に大きな支障を私は来たすと思うので、そういう点について総合的に農業経営を持っていくということでなければならないと思うのでございまして、これを無制限にするのが是か、そうでなく、今年は六千円いたしますが、来年からはもう少し酪農を入れて、残滓の処理を有効にしていただいて、そしてテンサイの工場と、それからテンサイ生産の農家の経営、双方が合理化されるように、ひとつ各方面から御指導いただくことが必要ではなかろうかと思う。きのうも話が出たのでございますが、六千円にすれば、工場はそろばんに合わない、やむを得ないから、例の十八億からでも金を出して、工場ごとに値段が合うようにしたい、今テンサイを作っておられる農家に六千円以上になるようにというようなことが、しきりに取りざたされております。そういうことで、政府はなぜ踏み切らぬかという御要望が朝野をあげて強いようでございます。われわれ自身これは踏み切るべきかどうすべきかということで困惑しているのが現状でございますが、御了承いただきたいと思います。
  225. 戸叶武

    戸叶武君 佐多さんが今甘味資源の問題で質問を展開しましたが、私は、大臣も、そのことは考慮しているようですが、日本の農民の中において、今政府が価格支持政策を七〇%やっているというのが、これは中途半端なもので、やや農民の要求に近い価格が決定しているのは米くらいです。米作地帯の新潟なり秋田なり山形なりというようなところの農民は、農家収入相当部分を占める米価の安定というものによって、あるところまで生活が保障せられておりますが、その他の畑作地帯においては、麦の値段の暴落によって非常に農家収入というものが減退しておる。しかも、麦の問題の見通しはつかないのであります。そこで、たとえば関東における、赤城さんが農林大臣に出ましたときには、おか作地帯の振興ということを言われましたが、これも中途半端で終わりました。しかし今このおか作地域において、やや農民の要求に近い——米ほどじゃありませんが、価格が若干安定しかかっているのはタバコです。その次はビール麦です。ビール麦も、私は不満足です。そういう意味において、やはり麦作転換という抽象的な方式でなくて、麦作にかわって何を作ったら安定作物として農家収入が安定されるであろうかということの施策を打ち出さないところに、今までの農林行政の失敗があるんですから、やはりこのビートの暖地栽培——私は可能だと思うのです。条件は違いますけれども、イギリスだって日本以上に湿気の多いところです。それから、西ドイツだってそうです。そういうところで、さらに困難なイタリアにおいて克服したのを、日本でできないはずはない。しかも、アメリカ南部で実験して成功している。これだけの実績があっても、日本の農業技術指導というものは、とにかく品種改良と称して、南方から来た米を北海道まで持っていって、できなくてもこれは作ったほうが得だというのは、できなくても六千円くらいの災害補償を得るんだから、とにかくできなくても、これで安定するという方式の中にずっとやっているんですが、私は四、五年前の北海道の三年にわたる冷害というものを見たときに、特にビートまでやられているというのを北見で見たときに、この北方農業というものが、まだ北方農業なり寒冷地農業というものが日本では確立しないで、この内地農業が北海道までずっと今までの農業技術者の惰性でやっているのをまざまざと見せられたのでありますが、その中で、たとえばビートが相当伸びないでこうだという中で、一番何しているのは、これは飼料ビートです。西ドイツのハノーバーなんかに行きますと、砂糖をとるビートと、それから飼料専門の飼料ビート、両方栽培して、天候異変に対抗するだけの備えがあります。北海道はそういう態勢がまだ十分整っていない。そういうものもこれはしっかり研究してやってもらわないと、今までの農林省における長い間の惰性というものが、瑞穂の国の思想でもって、新しい変動している態勢に対応するだけの自己体制ができていなかったと思うのですが、今度は技術指導の面に費用も相当とって、農林大臣は技術革新と結びつけてこの農業革命の転換を考えようとしているようですが、そういう点は、米作本位の牢固として抜くことのできない偏狭な考え方というものを是正しなければ、この農業の新しい事態における適応は困難だと思うのですが、農林大臣はどういうふうにお考えですか。
  226. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 私は戸叶さんの御意見に全く賛成でございます。ただその際に、米麦を軽視はいたしませんとつけ加えておきませんと、いつもそれでしかられるのでございますから、軽視は決していたしません。私は、暖地のビートに三カ月の間に二回イタリアに調査団を派遣したということで、麦作について全面的にいけるなら置きかえをしたいというふうに実は考えているのでございますが、まあこれから、今年年間を通じてビート専門でひとつ全力をビートに傾注して勝負してやろうと思っているわけでございまして、本年の国会までにはビートに対しての結論が何とか出て、そうして御審議願えるような態勢に行ければ、非常に私はしあわせだと思っているのでございます。できるだけひとついたします。
  227. 戸叶武

    戸叶武君 それを私たちが五、六年前から提唱しましたときに、各篤農家というものが反応して、県や何かの試験場だけでなくて、われわれもやっぱり実験したいから何とか指導してもらいたいというような手紙や要望もありましたが、大臣がそれだけの決意ならば、日本の今のおか作地帯における農家というものは深刻に悩んでいるわけでございますから、やはり酪農の問題、果樹栽培といいましても、なかなかこの麦作転換というものは一番困難なのでありますし、そういう点を十分やってもらいたいと思う。それが一つ。  それからもう一つは、やはり、タバコなり、ビール麦、曲がりなりにもこれは一つ計画栽培になっているのです。一つの契約栽培です。これは米も、ある意味において、計画栽培とまで言わなくても、相当計画性が持たれてきていると私は思うのです。今後における農家収入の安定というものは、投機作物でなくて、換金作物であって、つまり、農林大臣が言っているように、政府におぶさらなくても割りに合う、農家収入が安定するような作物にいかなくちやならないので、したがって、そこにはどうしても、ヨーロッパやアメリカで失敗したような価格支持政策でなくて、日本独自のやはり一つの価格安定政策というものを編み出さなくちゃならない。米価の問題はとにかくあるところまで来ておりますが、問題はやはりたばこ、それからビール麦の問題です。タバコの問題なんかも、ことしは耕作農民の労賃というものを考えなくちゃいけないというので、値段が相当上がったわけなんです、上がったが、農家の手取りというものはふえていない。口実は何かというと、どうも品質が悪い。品質が悪いというけれども、だれが判定するのかというと、肉眼判定です。これはいろいろな弊害がありまして、昔から米の検査員とタバコの検査員は農家に行ったらのんだくれになって帰ってくるというほど、これは相当飲ませてごちそうしたところはいいけれども、そうでないところはだめなんだという、必ずしもそうばかり言わないのですが、農民は非常にこれに対して不信感を持っているのです。これは水かけ論になるかもしれませんが、結局、私はその紛争の中にことし入ってみましたが、タバコ検査におきましても、これは深刻な戦いがあるのですが、ああいうタバコ検査のような問題は、肉眼によるところの主観的な検査以外にできないものかどうか、そういう点を承りたい。これは大蔵省の領域になるかもしれませんな。早く、農林大臣が言うようにこれも私は、大蔵省だの農林省だのといっても、当然農民に関する問題だから、ちょうどいいから聞きますが、農林大臣はそれを打ち出しましたけれども、今まで税金をとるほうが主管であるというので、タバコじゃ相当政府はもうけはいるが、その生産者である農民というものは非常にひどくたたかれて、タバコ作るところには嫁さんも行かないというほど今日は痛めつけられているのですから、ひとつこの際、こういう行政を一貰して、やはりこれはタバコの問題は今の大蔵官僚の手にゆだねていたのではだめだと思うのですが、この問題に対して農林大臣はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  228. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 実は、できるだけそういう問題をこの際解決いたそうと考えまして、農林省からは、砂防工事、港湾、漁港の二十三市に属するもの、これらを運輸省もしくは建設省に可能な限り移譲する、そして先ほど申し上げた厚生省から畜産、畜肉衛生もしくは牛乳に関する行政を農林省に移管するということを、一応閣議で御了承を得まして、関係省から委員を出して折衝に入る段階に今いたしておるのでございますが、今お話しの点も、確かにそのとおりと考えますから、実は私のほうから外務省に移住に関する業務は一切移譲いたしまして、葉タバコの問題は大蔵省から農林省にかえるといこうとを重ねてひとつ閣議に提案いたしまして、順にやることにいたそうと思います。
  229. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこまで大臣考えていただくなら、蚕糸問題ですね、私は機屋もしくは糸のほうは通産省へ移したらいいんじゃないか。そうして、こういうものはこっちへ持ってくる。農林省はもう養蚕一本でいく。そうしないと、どうも糸や機のほうに引っぱられてしまって、養蚕が充実する形にならない。やはり、対等の位置に置くには、それも一緒に条件として考えていただかなければ……。
  230. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御意見でございますから、至急部内で検討いたしまして、長年の懸案でございますので、ひとつこれにつきましてもよく検討いたします。輸出に関係のある生糸のごときは、輸出取引は一体どちらの所管かというような問題等につきましても考えてよろしいと思いますから、よく検討いたします。
  231. 戸叶武

    戸叶武君 タバコとよく似ているのはビール麦ですから、このビール麦は農林大臣のほうの所管でしょうから、その問題から入りますが、今生産者としての農民のために、タバコ耕作者組合なりビール麦耕作者組合という特殊農協のような形で伸びてきておるのですが、この内部を検討すると、ほとんどこれは御用組合というか、下請機関で、たばこ専売公社の下請機関としての御用組合のボス組織がタバコ耕作者組合であり、独占資本のビール会社の下請機関としての一つの御用組織がビール麦耕作者組合で、この今の農業協同組合法で規定せられているところの農協というものとだいぶ性格が違うのでありますが、農林大臣相当、今の農協のボス組織というものに対しては、きびしい批判を持っておられるようです。私も同様に持っている一人であります。やはり、農協のやることなら何でもいいというわけじゃありません。しかし、この協同組合組織の上において一番必要なのは、生産、販売、消費に至るまでの系統共販体制を確立して、生産者の利益を擁護しながら、中間マージンというものをなるべく少なくして消費者に渡らなきゃならぬという仕組みだと思うのです。ところが、このビール麦耕作組合のようなものは、必ずしもそうではないのです。たとえば、ビール麦一俵に対して、ビール会社から指導費という名目でリベートが十七円おりてきております。栃木県の加工量は全国のビール麦生産においては四分の一を占めているのですから、約二千万円近い金が入っております。しかも、その金の用途というものはきわめてあいまいであり、理事者などに聞くと、おれたちがビール会社と交渉してもらった金なんだからと、自分たちの力でとったような形を言っておるのでありますが、これは生産農民に還元すべきものであります。しかも、ビール麦耕作の指導というものは、ビール麦耕作組合というよりは、単協でほとんどやっているのであります。今の農協というものが全くいろいろな形において虫ばまれて、しかも、上のほうにいくと、そういう系統、共販体制を作らなければならぬという全国的な農協の動きに対して、農協中央会の会長をやっている人間が、また経済連の理事をやっている人間が、これと競業関係にあるところのビール麦耕作組合の会長を占めている。農協という団体のほうに立っている役員が、そのボス的な地位を利用して、そして農協法に違反するような競業行為をあえてしても、農林省は監督官庁でありながら、これはしばしば私は指摘しているのでありますが、厳重にこれを取り締まると言っておりますが、いまだかつて、緩慢にして、この農協法違反に対してきびしい取り締まりをやっていないので、これに対しては具体的なデータを持ってきておりますから、とっくりこの農林省の農林行政に対する私は怠慢に対して、大臣に追及したいと思います。
  232. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 御指摘のビール麦耕作組合と農協との問題でございまするが、これは、御承知のように、末端におきましては、大体農民は一緒でございまするが、それが中途の段階で、一面におきましては、麦耕連といい、一面においては経済連、あるいは農協といいまして、中途で、分かれて、どちらかといいますると、争っておるというような実情にあるのでございまして、そういう事態が、できるだけ農業団体の内部でそういう問題が起こりませんように、いろいろ注意して指導をして参っておるのでございまするけれども、なかなかすっきりした姿でまだそれが動いていないという状況でございます。そこで、御指摘の競業関係の違反の問題でございまするが、これは昨年度いろいろ御指摘ございまして、農業協同組合中央会の役員と、それから麦耕連の役員と兼務しておりますことが、はたして、農協法の四十二条の二でございまするが、あの競業関係に違反するかどうかという問題につきましては、いろいろ実質的に競業になるのだ、そして実質的に工合悪いのだという事態でありますれば、これはやはり法律上も競業のあの条文の法律違反になる、こういうような考え方でおるのでありまして、そこら辺を法制局ともいろいろ詰めたのでございまするが、なお、ほんとうの実態がどれだけ競業関係で、しかもそれを法律論としてぴしゃっと割り切りまして、これは違反だからといって、いわゆる農民団体の中でそれをやるべきかどうか、こういうような実情もございまするので、そういう点を十分もっと慎重に検討する必要があるのじゃないかというふうに考えておったのでございます。  それから一面、先ほどの御指摘のように、麦耕運と農協というようなものが、そういうけんかをすることではなくて、もう少し協調関係にいく、こういうようなことが実態になって参りますれば、その場合には、これはいわゆる競業という問題も解消するのでございまするから、ですから、そういう団体の問題でございまするので、必ずしも、一、二の例をとりまして、これは法律的にどうしても競業——法律違反だといってやるべきかどうかという問題もあろうかと思うのでございます。そういう点を十分慎重に調査もし、検討をして参っておったようなわけでございます。最近の実情は、だいぶそこら辺の協調関係がだんだん動きつつあるのでございまして、そういう実態も十分考えまして、十分処置をとりたいと思っております。
  233. 戸叶武

    戸叶武君 私は、三十五年の二月に公開質問も出して、そしてこれらのボスと戦ってきているのですが、これは私の意思じゃなくて、私の県では農協大会で決議され、全国的にこの問題のトラブルがありますけれども、農協組織の上に立っているところの役員というのが、農協運動というものに対する理念の理解がなくて、しかもボス組織で、そこを足場として今度は麦耕連の会長も兼ねる、それだけじゃない、今度はビール会社その他麦芽の会社もやるとすれば、その中の重役にも入る、これじゃ一体農協とは何ぞやという問題が出てくると思うのです。こういうふしだらな態勢に対して、三十五年以来幾たびか警告しても、国会がある間は、農林省からの注意もあるので、もうやめるというようなことを言い、国会がやめちゃえば、今度はのさばっちゃってどうにもならない。この問題は、あとは農林委員会で私はじっくりやりますから、一応とにかく大臣の耳にまで入れておかないと、今の経済局長のところだけでとどまっていると、いつまでも踏ん抜けないから、ひとつ大臣は、農協のあり方に対して——農協のあり方より、農協のボス組織に対して、私たちは憤りを持つのでありまして、今後の農協をどうするかの問題に対しては、日本の農協の実態からいたしまして——昔、私は、大正まだ中期と思いましたが、私らが、まだ子供の時分ですけれども国会を傍聴したときに、下岡忠治さん、それから田淵豊吉さんなんかの演説を聞いて、特に仙人であられる田淵さんの演説に私が感心したのは、単に農業というだけでなくて、農業の実態というものが、漁村と、それから水田耕作を主としたところの平野農村と山村と違うのだから、それに対するおのおのの施策が異なっていかなければならないと言われたのですが、今の農協の中で、米作地帯は、倉敷料、手数料で、ばかが農協幹部をやっていても金がもうかるようになっているのです。山の中へ行ったら森林組合がとっちゃって、農協はどんな有能なやつが来たって、とにかく金が入ってこないのですから、農協は立ち行かなくなってくるのです。これは漁村だってそうです。こういうような戦時中に行なわれたような農業会方式のまま、惰性で実態に沿わない農協がなされているので、私は、今のような農村というものを、大臣は比較的恵まれた農村を背景の地帯にすわっているから実情を知らないのでしょうが、どうぞこの山の中の村を歩いてみて下さい。農協の職員ほど気の毒なものはないのです。これは全く、政府なり何なりが相当に人件費なり何なりの手伝いをしなければもうやっていけないのです。それと、森林組合との調整をどうするか、また海岸地帯ならば漁村においてこれをどうするかという問題が何とかされなければ、いつまでも監督官庁としての農林省が、農協という既存概念に依存して、そうしてボスの言うことは大目に見ていこうという弊習が牢固として抜けないのですから、実は私は大臣にお聞きしたいのは、あとはこまかい点は、私は農林委員会でじっくり、こまかい具体的例をあげて、今度は農協ボス退治をやりますから、そのときに譲りますけれども、もう少しやはり——割合に良心的な農協幹部なんかもいるんだが、良心だけなら弱くてだめです。もっと私は政治的にも、農協を背景としたボスが国会に出ていて、そういう圧力だけに屈して、そして農協のあるべき正しい姿というものができそこなっているんですから、私はひとつ大臣から、かくしっかりやるという——内容を示してくれというなら、これはじっくり二時間でも三時間でもやりますが、きょうは時間がないですから、まず宣戦布告だけして、大臣の決意を聞きたいと思います。
  234. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御決意のほどはよく承りました。実情を後刻当該局長から十分聞きまして、そして私としては、最後の方針をきめまして、明確にいたしまして、最も近い機会にお答えいたします。
  235. 戸叶武

    戸叶武君 たとえば、ビール麦の問題で、一つの例でありますが、検査の網目を二・二ミリから二・四ミリに広げたというときに、生産農民とは相談しないで、そして農林省のほうできめちゃって、農民は、二・四ミリだから、不合格品が多く出るのです。そういう犠牲を払っているのです。ところが、その不合格になったビール麦が、農協の倉庫なりあるいは政府関係の倉庫に入るか、それがずうっと大体ビール会社に横流れしている。ビール麦の粒が大きい小さい——小さくてもビールはできるのです。安く買いたたかれているのです。そういう仕組みでも何でも、とにかくわれわれが気づかないうちに、簡単に農林官僚の手心によって、そういう二・二ミリから二・四ミリの検査規格の変更などというものがなされて、農民は割合にそういう点にうといから、非常に犠牲を払っている。しかし、ビール会社は、二・二ミリの検査から二・四ミリであれしたが、不合格品の麦を買っちゃ悪いことはないのです。買ってビールを作っているが、いまだかつてもうかり過ぎたからといってビールの値段を下げたことはない。しかも、今度のようにビール会社が非常に値を下げなくちゃならないときにも、また五円か下げないということを言っている。そして——前に私は硫安の問題でてこずったことがあるが、二十円くらい下がるかと思って、河野さんやってくれるかと思うと、河野さんは硫安値下げの合理化の問題で、五円下げるのにやっとで、あの独占資本の硫安関係にとにかく押しつぶされちゃった。五円で手を上げた。今度ビール会社は、われわれ二十円くらいは、少なくとも十円は下げると思ったが、五円でごまかそうとしている。こういうことがやられているのに対して、私はこれを徹底的に庶民に知らせますから、そういうことに対して、農林省もう少し私は監督をきびしくしてもらいたいと思うのですが、農林大臣これも……。
  236. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) よく実情を承りましたから、今ここで聞いてみたらわからないのです。さっそく調査をいたして、御返事いたします。
  237. 戸叶武

    戸叶武君 とにかくこれは、私は、農林官僚の人たちには、やはりこの課長から部長にいくまでに、二年くらい国内留学をさしてもらって、浪人させるというのは悪いけれども、やはり末端の農村に入って、そして農村の事情というものをもっと知らせないと、外国の官僚システムというものが、ミリタリ・システムではなくて、ファンクショナル・システムになって、前線というものに対して非常に責任体制が確立して、そして待遇もいいのです。ところが、日本じゃ頭でっかちで、本省に行ってずうっとあぐらをかいていると出世して、末端の人たちの声というものは中央にあまり入ってこない。中央は、今の大蔵官僚の弊害は、非常に頭のいい者は大体数字を並べて勝手に処理していくという、一つも末端と中枢の神経との結びつきというものがないのです。私は、ひとつ農林省あたりから率先して——中国の人民公社でも、ソ連でも、今農業問題で動脈硬化にかかっているのは、責任体制が確立していないということ、共産主義、社会主義を問わず。それから指導体制に対する熱意が欠けている点。結局人の問題だとフルシチョフなんかも言っておりますが、私は日本の農政というものをほんとうに建て直すためには、こんな官僚の農政であっては——大切なことはそれでめしを食ってながら知らない。これでは済まされないのです。これでは商事会社では首だと思います。こういう状態のもとにおいて、このスポイルズ・システムに走っているけれども、せっかく今行政改革というものに自民党も乗り出すそうですし、河野さんもその実力者として相当圧力を私はかけられるのだと思いますが、日本のほんとうに第二次産業革命に対応して、能率的な生きた行政というものがされるのには、上から下へ、下から上へという幾日も日のかかる非能率なミリタリー・システムを廃止して、一つのファクショナル・システムにして、前線の人の待遇をよくし、人も十分に配置して、そして末端の責任体制を確立するというのでなければ、共産主義たると、社会主義たると、資本主義たるとを問わず、こういう国家体制のもとにおける官僚的なスポイルズ・システムというものがどこの国でも沈滞している。それをどう切りかえるかということを、中共の指導者やソ連のフルシチョフですら考えている。そういうときに、いわんや日本においては早くそういうことをやらなければならないと思うのですが、農林大臣は、この行政改革の問題とも関連して、今後の役人のあり方、特に農林官僚のあり方というものに対してどうお考えなのか、ひとつ決意を聞きたい。
  238. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) それは、御指摘でございますが、わが国の農政が明治以来長きにわたって中央集権的な、中央指導的な農政であったために、中央に優秀な者が集まって、これは中央から一切命令を出す、そうして農業自身が国のための農業という立場をとってきた、その弊害だと私は考えます。それを今回、少なくとも農家のため、自立農業の育成のための農政に切りかえるということにいたすわけでございますから、各地各様の農政が完全に打ち立てられなければならない立場に参ると思うのでございます。したがって、その意味において、私は、全国に農林局を設置して、そして少なくとも全国七、八カ所の地区に、前線で指導できる役人を配置する。これは一部に御意見もあるようでございますけれども、今のここにおります幹部の諸君も、みんな地方に出してやろうと思っておるのでございますが、これもなかなか、反対は中にもあるわけですので、だからなかなかこれは法案が進まないのです。しかし、ひとつ清澤先生あたり、参議院のほうで特に御配慮いただきまして、ひとつこの法案を通していただきますれば、権限の委譲は私は大幅にいたします。したがって、ぜひ大幅に委譲してしかるべく、人事を刷新し、もしくは幹部を地方に配置して、そうして地方の農林局を整備するという考えでございますから、どうかひとつその節はよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
  239. 戸叶武

    戸叶武君 まあ河野農林大臣、そのくらいのことはやれると思うのです。僕らもいいことは大いに応援しますから。  次に、清澤さんも待っておりますから、質問を移しますが、牛乳の問題で、牛乳では農業団体が大体一升七十八円十一銭という線を出しておりますが、長野県あたりの農民は、末端で一合十六円で売るならば、八円はもらいたい、一升八十円はもらいたいという線を出しておるのは、全然根拠がないことではないので、どこの国の農林省の統計を見てみても、これは末端で売られる値段の半分は生産農民がいただいているのです。これは、日本では集約酪農ができていないから、集荷の不便からという口実で今までしてきたのですが、それがために、集約酪農のための指定地域も設け、だんだん私はよくなってきたと思うのですが、よくなればよくなるほどかえって隔たりが大きくなるというところに、今日の私は非常に問題があると思うのです。これは外国どおり日本はいかないと言いますが、外国だって不便なところで——町のまん中で乳牛を飼っておくところはどこもないのですから、やはり集荷なり輸送なりというものは相当の費用もかかるのです。ただ小売関係の一合びん——この間河野さんは日本の一合びんに問題があるのだと言いましたが、その方法は私は外国どおり変えられないことはないと思うのです。末端の小売体制の問題にしても、外国では簡単に、とにかく消費者が、ロンドンあたりだと、町角の店に行くと、新聞を売っているのと同じく、コーナー、コーナーにはそういう店があって、そして持ってくる。パンと牛乳だけはほんとうに安くて、こじきでもこれは十分に得ることができる。これが私は福祉国家のあり方だと思うのです。日本の今の牛乳の問題で、河野さんが言われたように、今大体農家から六円で買われる。そして十一円でメーカーから小売のところに渡っていく。この間の幅が、六円と十一円の間に五円の幅がある。また、十一円と末端の小売の間に五円の幅がある。このごろ洗濯の注文取りなり牛乳配達なり新聞配達なんというものの料金も上がって、たいへんなのは事実でありますけれども、私は、外国でも、そういう点は、牛乳配達なりそういう人たちには相当の待遇はされているので、日本と何ら違っていない。日本よりもっといいくらいです。これはどこかそこいらに問題があるのじゃないか。それを私は、ずっと、地域差もあるでしょうが、農林省は正確な統計をとってもらいたい。そして、関西のほうは卸から小売にいくまでのマージンは多いし、これは関西のほうが小売関係のボス組織が発達しているので、なかなか抵抗があるので、メーカーのほうも苦しんでいるようですが、私は、こういう流通機構の改革というものは、抽象理論でなくて、具体的に、農家から幾らで買って、幾らの集荷料なり運賃がかかって、それがメーカーのところに入って、大メーカーのところに入っても、低温殺菌したあとは、びん詰めぐらいなんで、大したことはないのですから、そして今度は末端の小売にいく。その間に、びんの破損があるとか、あるいは小びんに詰めるあれだとか、それはどのくらい、なんぼくらい処理してどのくらい手間賃がかかるかというところまで、実際に沿うて私はそういう調査を行き届けるのが農林省である。農林省が食糧庁という名前になっていないので、西ドイツあたりは食糧農林大臣となっているが、やはり河野大臣は、農林大臣でなくて、食糧農林大臣とまでしなければ、そこまで行き届かないのかもしれませんが、問題はやはり、農林省というものが、農業生産だけの指導をやるのでなくて、大衆の、消費者の利益をも擁護して、生産者の利益を擁護すると同時に、消費者の利益を擁護するという体制を作らなければ、ほんとうに日本の農政にはならないと思うのですが、そういう点、この前に言いましたときに、十分な資料がないのだと言いますが、もうだいぶ時間がたちましたし、河野さんは非常に迅速な、織田信長以来の迅速な作戦家でありますから、資料はすでに整えていると思いますから、詳細にひとつ御報告願いたい。
  240. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御承知のとおり、日本の牛乳は、まず生産者の、何といいますか、卸といいますか、これらが十一円、その下が五円、これは大体そのとおりで指導いたしておるのでございまして、その内容につきましては、相当に検討を加えております。検討を加えておりますが、どうも今の段階で、全体の御協力を願わなければ、なかなかむずかしい。たとえば、私は第一にお願いしたいと思いますことは、加工牛乳、こういうものをひとつやめてもらって、そしてみんなが牛乳を飲めばいいのだ、加工牛乳なんてインチキ物だというふうに変わっていただく必要がある。そうして、みんなが牛乳をお飲みになって、加工牛乳はインチキだからこれはやめるというところまでぐらいはせめて行っていただくと、牛乳の問題は解決しやすくなってくる、こう私は思うのであります。その次には、先ほども申し上げましたが、厚生省から移管をいたしまして、一体びんに詰めなければいかぬかどうかという点であります。いつまでもびん詰でなければいかぬ、びんの破損が乳価の中に非常に大きなウエートを占めているという点についても、改善する余地があると思います。しかし、そういう点につきましては、いずれも手のつけにくい段階に置かれておりますので、実はやむを得ず、先般も十五円を十六円に上げる際に、配達費が高いからそのほうに五十銭、さらに生産者のほうに五十銭、生産者のほうを六円五十銭で、全体を通じて十六円ということにいたしまして、これ以上上げる場合には、もう役所の同意がなければ上げませんという一札を取って、まあ仕方がない、泣く泣くがまんをしたと、こういうことでございます。これ以上手をつけましても、なかなかつける方法が実はないのです。別に価格統制令があるわけじゃございませんし、どこでしぼってよろしいかというようなことになるわけでございまして、これ以上はまず生産農民の団結、そうしてその団結によって取引をもう少し合理的にするとか、いろいろの面において価格の適正を期するために、乳価決定の委員会を作るとかというような方法でいくよりほかに方法がないのじゃなかろうかと思うのでありまして、せっかく勉強はいたしますが、何分現在のところではこの程度で手のつけようがないということでございます。
  241. 戸叶武

    戸叶武君 河野さんがお手あげじゃ、これはどうにもならない。やはり私は加工牛乳の問題は、農林大臣が言っておるとおりでありますが、事実上東京都内で市販されるのは、このごろは加工牛乳のほうが多くなったそうです。私のところでも二十一円で売りつけられているというから、おかしいじゃないかと言っても、それに応じなければ配達してくれないかもしれませんよというような状態で、これは私は、配達する牛乳は加工牛乳は許さないような何らかの取り締まりをしてもらいたい。そうして加工牛乳と称するものは飲食店なり何なりほかへ行って買うなら別だけれども、ああいう形でもって、まともな形において牛乳が配達されないというのでだんだん私は悪くなってきたと思うのでありまして、これだけはひとつ厳重に取り締まってもらいたい。  もう一つは、やはり学校給食の問題ですが、われわれが、牛乳の大衆消費を伸ばそうというときに、学校給食を強力に推し進めたのですが、あれによって私は消費は伸びたと思うのであります。で、これはもっと私は伸びる可能性がある、とすれば、今のような厚生官僚がきめたあの低温殺菌のいろいろなかたくなな条項でなくて、いなかでは煮沸でいいのです。衛生に悪いの何なんだのへ理屈を言っておるけれども、あれは農林委員会では、あれはいいということになったのだが、長い間の惰性でそれは許されないのだが、いなかの工場だとかあるいはいなかのへんぴな学放というものは生産者から直接私は安い値段で学校給食……、魚も肉もあまり食べられないようなところで、幾らか補助金を出せばこれはやり得るのです。特に私は、寒冷地帯だとか山村とかにおいてこれは必要なことなんであって、その学校給食を牛乳によって、簡単な方法でやっぱり大衆化してもらいたい。  もう一つは、さっき佐多さんが質問した中の綿羊の——羊の肉でありますが、羊の肉を日本人は食べつけておりませんけれども、イギリスではあれほどマトンは大衆の嗜好になっております。ジンギスカンなべなどという形だけでやらなくても済むのです。現に福島県あたりにおいては、白河あたりを中心として、学校給食のほうへ回して喜ばれております。あの安い肉をもっと私は——外国からのは加工用かもしれませんけれども、山間地帯において、金持でなければ肉牛は飼えません。その次のクラスが豚を飼う、もっと零細なところはヤギぐらいしか飼えないという農家もあるのです。羊くらいしか飼えないという農家もあるのです。これは私はやはり山村におけるところの農民の体質をよくするためにも、また、児童の体質をよくするためにも……。山村に行くほど肺病が多いですから、栄養が足りないですから、私はこういう問題をもっと山間部なんかの零細農民に、やはりもっと羊を奨勧して、そうして私はやってやらなくちゃならぬ。しかし、羊がやっと伸びかかったときに、よそからやたらに入ったので、羊を飼ったのではとても合わないというので、山村における零細農民すら羊を飼うことができないような状態になっておりますけれども、これは私は山村の収入というものは、非常に今困っているのですから、やはり羊においてでも、あるいは鶏においてでも、そういうこまかい収入だけれども、そういうものが確保されるようにしなければならない。今度の応急処置としての、豚肉の暴落によって、これが学校給食へ応急処置としてされるということは、河野農政における一つのプラスですが、どうぞこれは豚のことが縁となって羊にそれをつないでいっても一向差しつかえないのですから、私は寒村その他における農家の収入と、その児童及び山間部におけるところの生産者の体質改善という形から、そういう処置をとってもらいたいと思うのですが、これに対しての農林大臣の御見解を承りたい。
  242. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) だんだんの御意見は、私も全く同感でございます。しかるべく善処して努力いたします。
  243. 千田正

    ○副主査千田正君) 河野農林大臣は五時半に退席したいということですから、あと清澤さんと、赤松さん——それを十分勘案して、重点的に御質問願いたいと思います。清澤君。
  244. 清澤俊英

    清澤俊英君 十三分ばかりやりますから。まあ何をやってもしようがないけれども、簡単に羅列的に申し上げましてお伺いしますが、大臣のほうからも、一つ簡単に御回答を願いたい。  まずお伺いしたいのは、これは非常に深くやっていきますと時間がかかりますが、大臣が十一日に京都の岡崎公会堂で、そこで全国農山漁村振興顧問団の会合に出席せられて、大体三項目にわたる演説をせられた。この大体の構想は、さっきも河野大臣の言われるとおり、今までの日本の農業は国内的な自立経営であると同時に、軍国主義的なものの犠牲となって、そうしてやってきたんだと。そこでこれからの観点に立ってやっていくのには、世界的な現野に立って、ことにアジアの経済の進歩的な、中心となるために、農業計画を進めていかなければならぬ、こう言われているようです。その結果として、「農業基本法は昨年から実施されているが、国内的な自立農業の育成強化だけではだめだ。」これは私らもそうだと思います。「欧州共同市場の発展のように、今後日本経済も東南アジアの共同体の中で考えなければならない。このためには米作を一、二割減らし、他の農作物に置きかえ、米の輸入は続けて、アジア各国と競合しないという農政が必要となる。」そして、「このため農家は技術陣営の強化をはかって新しい第二の農業構造改善にはいるべきだ。」こういうことを考えなければならないとおっしゃっております。今までのような機械農業、技術的なもの、機械の使い方ではだめだから、もっと大きな機械を使わなければならぬとか、あるいは日本の経済のうち、ある農業の行き方としていろいろ考えられた上で、他の交易等のことも考えなければならない。これはかつて北村君が肥料問題でお伺いしましたとき、日本の経済を伸長させるために、肥料を外国に輸出するためには、今のような、二法案のようなものは問題にならない、こういうことがあった。これにも書いてある。肥料や、あるいは米の統制などというものは、これはどうしても変えていかなければならぬ、だがしかし、それを変えるとすると、農業団体がじゃまをしてなかなか困難である。こういうふうに言っておられる。そこで私はお伺いしたいのは、こういった第一次のまだ自立農家の形成も完全にいかないときに、第二次という言葉を使われているのは、一体どういうわけなのか。それから大体の考え方が、東南アジアとの経済共同体の中で、日本の米を減らして外米を買っていこう。朝鮮や台湾や、あるいはタイ、ビルマ等から、外米はもう要らないが、それを買っていこう。そのためには二割ぐらいの減収を考えなければならない。そうしてそのことが、同時にその次のいろいろな新聞によりますと、実行に移されているような気がします。そのことが実行に移されている。大体輸入においては、三十七年においてはごくわずかの輸入量で間に合うように報告せられておりますが、三六十年度は約五万八千トンかなんかの予算になっている。ところが、実際入りますものは、台湾五万トン、ビルマ二万トン、タイ一万トン、カンボジア八千トン、こういうように輸入量をふやすと言っておる。言ってることと、していることが、まだ吟味の最中にどんどんやっていかれている。これはどこまでそういう形でやられるのか。これはちょっと一言では、大臣も御返答に困るだろうと思うのですが、簡単にひとつ言っていただきたい。
  245. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 清澤さんもたぶんその新聞だけごらんになったわけじゃないのでございまして、その日の新聞をいろいろごらんいただきたいと思います。たまたま今御指摘の新聞が、間違ったことを書いているのでございまして、他の新聞にはそういう記事は載っていないと私は考えます。これはどうして間違ったか私にはわかりませんが、ほかの新聞にはそのように書いてないはずでございます。私はそういうことを言っていないのでございます。が、たまたま間違ってその新聞がそういうことを一つだけ書いた。その日の他の新聞には、そういうことは書いてないはずでございます。私も全部目を通しております。  そこでどうしてそういうことが間違ったかと申しますと、私は東南アジアと日本との経済提携とか共同体とかいうようなことは、今たまたま一部話が出ております。しかし、これがにわかに進展するかどうかはわかりません。現状を現状どおり私はそこで述べたことであります。しかし、そうであるけれども、欧州の共同体等との関係考えると、万一日本が東南アジアと経済提携しなければならぬというような事態がこないとは、何人も保障はできない。また、その他の国との関係においても、そういう場合が起こってこないとは保障できない。むしろ私は、数年先にそういう事態が起こってくることを心配いたします。自由貿易であるならば、これは農産物は心配ありませんけれども、今のいわゆる経済共同体の考え方で参りますと、自由貿易とは違いまして、農産物が直ちに競合して参る場合がございますから、常にわれわれは備えてぼちぼち考えをまとめていかなければならぬと考えます。こういうものの考え方で私はお話を申し上げたのでございます。したがって、今言うように、清澤さんが、すでにお前は実行に移しているじゃないか……、そんなことは実行にも何にも移してはおりません。今お話のとおり、新聞に書いてあるのは、一割といえば八百万トン……。
  246. 清澤俊英

    清澤俊英君 それを聞きたいのです。多分そう言われるだろうと思ってたのです。新聞一つ新聞ではない。二つも三つも出ている。これはどういうことなんです。これは時間がないから言いません。これで打ち切ります。  その次には、選択拡大ということを言われるのですが、その際に外国から安いものがどんどん入ってくる。こういう問題が出てきた場合には、非常に問題だろうと思うのです。そこで最近私どもがとりました情報によりますと、アメリカで一億八千万円の資本を有しているーアメリカだからあまり大会社じゃないかもしれませんけれども、ユナイテッド・フルーツ・カンパニーというのは、これは世界一のバナナ商なんだそうです。これが日本の国の総合六社、三井、三菱商事、日本食品、それに兼松、伊藤忠、丸紅、これらの総合商社と一緒になって、たった百八十億で会社を作って、これはもう登記が済んでいるそうです。そうしてこのフルーツ会社というのは——どこまでほんとうでどこまでうそだか私は知りませんけれども、大宅壮一君に言わせれば——時間がないから全部読めばいいが、筋だけ言いますよ、結局するならば、ドミニカにおいてバナナ革命があった。そうして政権の交代があった。これをやらしたものは、この会社だ、こういうのです。それから、この間も、キューバにおいて反革命があった。それもこの会社がうしろでやらしたのだ、こういうことが書いてある。こういうことをやりまして、そうしてその会社というものは、なぜそういうことをやったかというと、中南米におきまして、方々でいろいろなフルーツを作っている広大な農場を持っておる。そこには常備兵を持っている、飛行機もちゃんと持っているというのです。そういう強大なものであります。だから船から加工から何から、もうこいつが売り出したら世界中のバナナなんというものは、もう動きがつかない。だから、自分のものを持ってくるのでしょう。自分のものを日本へ持ってくる、そして日本に売るために、総合六社を一緒にしたのだから、資本金は要らないのです。自分のものを売らせるだけだから。そうして横浜と東京には、これから自由販売にでもなるならば、日本の過去の消費量からいうと、大体一日に一つずつ船で横浜と神戸に交代に入るという。そこには荷揚施設をするというのです。そうして六大都市を中心にして、九州と北海道へその加工場を作って、そこにどんどん送る。そこでは六本から八本くらいのバナナをポリエチレンの袋に入れて、三本のやつを入れて、五十円と百円で小売に直接売ってくれというんです。これは消費の面から見れば、まことにありがたいのですが、そういうものが今は統制になっております。割当になっておりますからあれですが、長いこと割当が続くか続かぬか、これは問題だろうと思う。大臣も言われているのだから。そういうものがすでにできて、そういう組織をやって、加工から運搬から——運搬する特別船も持っているというのだから。そうして日本まで持ってくるのだが、荷揚げからそのあとの運搬、加工まで日本の商社がやって、そうしてそこに代理店を置いて、小売店へ配給するだけ、そうして金を集めるだけだ、こういう大組織の会社が、今でき上がるというのです。御存じないか、あるか、それは知りませんが、できているのだそうです。そうして遠くまで行って見てきたというのです。こういうものを農林大臣は御存じなかったとすれば、たいへんな話です。これは外務委員のほうへ回して、佐多さんなどから調べて、こういう不良外人だったらはたして営業許可することがいいか悪いか、これは外交上の重大問題だと思うのです。ひとつやって下さい。そういう事情のものを作りましてどんどんやってくることがあったならば、これは重大問題だと思いますが、そういう点についてひとつお伺いしたいと思うのです。時間があればもっとやるんですけれどもね。
  247. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 全然私聞いておりません。そういう会社のできておることを全然聞いておりません。
  248. 清澤俊英

    清澤俊英君 お聞きにならぬのならば、ひとつそういうものがあったとしたら、どうお考えになりますか、それだけでよろしい。
  249. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) ただいま係員のほうからもらいますと、わが国のバナナは四万二千三百トン、昨年入ったようでございます。それの内訳は、台湾が四万一千トンで南米が一千トンという比率でございまして、大多数は台湾産バナナが入るようでございます。よく存じませんが、運賃の関係で南米のは遠いので引き合わぬので、大体台湾のほうのが来るんじゃないでしょうか。
  250. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは現在のことを言うておるのじゃないのですよ。そういう会社ができて、一つのそういう構想を持って進んでいることはわかっているのでしょうか、それを言うているのです。しかも、中南米のほうではそういう情勢でなかなか作れないから、だんだん今バナナを作るのは、何とか亜熱帯とかいうて中南米のほうがよかったんだそうです。今度は赤道直下の下のほうがいいというので、東南アジアに広大な地所を買って、どんどんもう仕事を始めているというのです。これはあなたがたがわからぬだけで、業者はみな知っているのだ、業者は知っていますよ。
  251. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 業者は騒ぎませんな。
  252. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすれば、業者は今の割当で、とことんもうけているのでしょう。そういうものがかりにできるとしたならば、農林大臣、どう考えていると、こういうことなんです。そういうことは避けられないと考えるのかどうか、そのことをはっきりすればいい、そんなばかげなものができて、農林大臣ぺろっと見ているのか、たいへんな話です。がっちり一口に返答してもらいたい。それもできてもけっこうだなんて、この前のような話では絶対承服できません。
  253. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 事情がよくわかりませんので、かえっ私がここで軽卒なことを申して、誤解を招くといけませんから、もうちょっと私も実情を調べました上でお答えいたします。
  254. 清澤俊英

    清澤俊英君 お調べしていただければ、私は会社の名前までもう一度よく調べてあれします。  それでいろいろお伺いしたいことはたくさんで、ここでお伺いできませんし、いずれ機会がありますから……。これはこの間出されました中間報告、農林省が中央市場の流通の形がどういっているか調べられたその報告書をここへいただいております。これは時間がないから……。いろいろな人から集めてこれを出しましたらこういう問題点がある、簡単に一言だけ申しましょう。これは北君がかつて農林省に対して、総理大臣に対して、質問趣意書を出した、今水産会社大洋はこういう体系になって、独占に入っているじゃないか、これに対してはどうなんだというたら、これから調査して御返事いただくという、ところがそういう大事な点は調査していない。報告にない。何で落としたのだ、いろいろありますけれども、これはいずれ詳しくやりますが、これを謹んで差し上げますから検討していずれかの機会にひとつやっていただきたい。  それからこの間、これは河野さんにお伺いいたしますが、神田市場をあなたごらんになって、ここは狭いと書いてある、これはたいへんなものを今引きずり出していますよ、狭いということで。狭くない、七百坪の土地というものが当初計画のとき、農林省から三分の一の補助金をもらってあの土地へ建てたのでしょう、その土地のうち七百坪というものが現に今市場に関係しておるもののために、二十九年で坪一万円で売っているのです。一万円で七百万円です。こういうことは少なくとも市場法の第六条だか何条を見ますと、一応は市場変更の際には農林省の許可を得なければならないということになっている。そういう手続はとってあるかどうか、これは。
  255. 千田正

    ○副主査千田正君) 清澤議員、大臣にだけ聞いて下さい、あとがまだ残っておりますから……。
  256. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは重大な問題です。ここで発表しますと同時に、決算委員会に、東京都から全部関係者を集めて徹底的にやりますから、そのときまごつかぬようにお願いいたします。こういうことは大臣は知らぬかったでしょう、狭い云々ということは。なんで、なにが、当時が二十万、今は三十万から五十万円するというのです。これは疑獄ですよ、疑獄事件ですよ、それを農林大臣が知らぬというのはたいへんですが、二十九年の年ですから、二十九年の十二月から翌年の三月まで河野農林大臣はやっております。その前の年は保利さんと内田さんがやっておられるので、河野さんにはあまり関係ないと思いますが。  それからあと一つだけ、河野さんちっとばかりですからがまんして下さい。これは農業基本法の審議の際に、周東さんにも言いましたが、周東さんもだいぶ困られた問題ですが、私は農業基本法全体を見ますと、基本法の構造改革は自立農家を作るということが基本、中心になっている、大体の。あれは何条かでありますが、そうなって自立農家を作りましても、私の言うのは自立農家二町なら二町の自立農家を作る、その家族制限だけでもっていけない場合があるのです。人間ですよ。人間の家族制限ですから、そのときになったら、——今までのような地主に搾取されておったときは、時によってはわらでも切って入れておけ、こういう時代の農民ではない、今は機械も買えれば農業散布機も買えればいろいろの施設もするでしょう。二毛作もやって豚も飼うでしょう、その施設もするでしょう、こういった高度の技術と生産性の向上を尽くすためにどんどんやっていくのに、必ずその家族のせがれがその家族の中でこれを、跡を継いでいこうという意思がない場合にはどうなるのだ、また、そういう家族制限が三人なら三人、——これは三人が標準で、この家族三人の標準が欠けた場合には一ぺんに終えるじゃないかという不安がある、そういう不安なことではだめだ。今、農業で労働する者は好きであって、農耕をやることが好きであって、そうして一生懸命にやる人間でなければこれはほんとうは発達しないものですよ、そういうことは考えなければならない、そのくらいのことは……。この農業基本法の中にはそういうことは一つもない。その場合に、安んじて弟だろうが、清澤のような農業の好きなやつが、から手であっても何とかしてそこへ行ってやれるだけの資格をとればそれはそこで跡を継いで農業ができるのじゃないか、こういう形が必要じゃないかと思います。デンマークの農業が発達しているゆえんのものは、私はいろいろなやつを皆さんから行ってきたのをちょうだいしたが、技術がどうだ、農業がどうだ、だれがあれだと言うが、私は北勝太郎君のものが一番いいと思います。北君のものはその点が非常にはっきりしている。デンマークのカール制度とかなんとかいう、そういう組織でもってほんとうの農業で働いている、そういう人が出れば、いつでも相当の価格で買ってそして買わされるという、それくらいのやはり親切な自作農維持の形をとって、そうして国が三十年なら三十年、五十年なら五十年の安い二分五厘ぐらいの金でやらせなければ崩壊よりほかないと思います。これはわしら実際農村で始終働いている。農村のひょうたん生活というのですが、いつでも家族成員がうまくいっているということはありませんよ。必ず十五年かそこらぐらいで家族成員がくずれてきて、どうしても農耕がやっていけない形が出てくる、そういうものを研究してみますときに、やはり北君のやっているこういうようなものを研究してそして一段の考え方をしてもらいたい、こんなことは農業ばかりじゃないのですよ、この間文春を見ていたら婦系家族というやつがある、これにはこう書いてある、跡をとっても、男があっても大阪ではむこさんに仕事させる、東京にはそういうことはない、江戸にはない、今でもこういう形が残っている、そして江戸の商売と大阪の商売は違う、どうしても江戸の商売をやっていくには腕の達者な器用なやつがやっていかなければならぬ。そこでこういうものができる、これは一つの原理だろうと思う。二十五年の年には会社が経営するために会社法か何かこの間もちょっと聞けば改正して、そしていわゆる雇い重役なるものができて経営しているでしょう。経営の能力のないぼっちゃんがやっているのでは、ぼっちゃんがやったってつぶれるだけの話でしょう。そういうようなこれは本質だろうと思います。農業という重労働をやっていく人間がきれいごとでやっていけるものじゃないのです。だからそういう自立農家を進めるなら一つの体系を考えていただきたい。
  257. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 適切なごもっともな御意見でございまして、おそらくデンマークの農業、この創造性等についてヒントを得られたか賛成されたかじゃないかと思うのでありますが、こういうあり方は当然わが国においても将来は考えらるべきケースだと私は思います。  何分農地解放の問題、その後における農地のあり方というものは今後どういうふうに転換して参るかということは、農地解放のなまなましいあとでありますためにこれになかなか手がつけかねます。これを将来どういうふうにしてもっていくかということが魂を入れることになるのであると清澤さんの御意見と全く同感であります。順次そういう方向に耕作農地について考えを進めていかなければ、ほんとうの自立農家の達成は困難ではなかろうかと思うのでございまして、今後十分注意をして参りたいと考えております。
  258. 赤松常子

    ○赤松常子君 お忙しいところ済みませんでございますが、要点だけ簡単にお尋ねいたしたいと思います。  私しろうとの立場で、また、素朴な質問でございますからお教え願えれば幸いでございます。最近いよいよ日ソ漁業交渉が始められて高碕代表がおいでなさいますことほんとうに御苦労だと思います。今まで五回行なわれましたその経過を新聞で拝見いたしますと、何か政治折衝、政治交渉というようなにおいが強くて科学的な基礎調査に基づいて対等の立場での交渉ではないようにわれわれは新聞で拝見いたすのでございます。いつでも何かソ連の大国に押されて押しつけられて引き下がるという、こういう私どもは気持を持っておりますのですが、今度は明確な納得のいく科学的共同調査の上に立っての交渉が行なわれるのでございましょうか、いかがでございましょうか。
  259. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) ある程度は学術的科学的調査も両国において意見の一致を見たことがあります。しかし、何分非常に未知広大な地域においてのことであります。しかもソ連の沿岸、オホーツク海等においてはあまり調査が十分にいっていないところがあるわけでございます。したがいまして、この科学的学問的な意見の一致に立脚して交渉の結論を得るというわけには参りかねる点があるのでございます。
  260. 赤松常子

    ○赤松常子君 条約の第四条で、漁族の資源に関する共同的な科学調査を行なうということが一応きめられているのでございますが、今大臣もおっしゃいましたように、地域が広いからということもわかるわけですが、その後両国の共同科学的調査はどの程度進んでいるのでございましょうか。  それからもう一点、今大臣がおっしゃいますように、一番日本の漁業に関係のあるオホーツク海、カムチャッカ方面まで調査が完了していないということは、私はこれはしろうとでございますけれども、一番そこを早くしていただきたいように思うのですが、共同調査が行なわれているかどうか、その進捗状態いかがですかということを伺いたいと思います。
  261. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 私から代わりましてお答えいたします。共同調査につきましては実はやっておるのでございますが、まあ、大臣から御答弁ありましたように、まだ十分でないことは確かでございます。向こうの科学者もこちらの母船に乗りますし、あるいはこちらの内地の沿岸を見たりいたしております。こちらでも実はカムチャッカの向こうは沿岸でやっておりますから、沿岸に行って調査をするというようなことはしておりますが、実はカムチャッカでも西カムチャッカだけは向こうでしておりますが、東カムのほうはまだどういう理由かわかりませんが未調査というようなことで、今御指摘になりましたオホーツクでは、これは私のほうも船は若干入れて水温の調査とか若干いたしておりますが、まだ十分でございませんので、今年度はオホーツクにも相当の船を入れまして網を張って大体どのくらいとれるか、調査船でどのくらいかかるかという密度の調査もしてみようと思っております。向こうとの交渉でわかりませんが、日本側のほうではどこでも見せようと言っておりますから、向こうもカムチャッカの東とか、そういうとこは全部見せてほしいということは今度の交渉でも十分主張したいと思います。
  262. 赤松常子

    ○赤松常子君 どうぞそれを進めていただきたいと思います。  それからいつも向こうから言われますことは、日本の漁船が乱獲しているということを強く言っているのでございますが、そういう乱獲ということは向こうが一方的に言われましたことが正確なのか、日本側はいつも反論しておりますけれども、そこの食い違いというものはどういうふうに認識してよろしいのでございますか。
  263. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) たとえば昨年のごときは両国で七万トン、日本側は七万トンとろうと約束したのに、八万トンとったという具体的な実例でございますが、その前年におきましてもややそういうふうな点がありますし、これはある程度今までは指摘されて仕方がなかった実例と申しますか、具体的な事実がある。
  264. 赤松常子

    ○赤松常子君 あの広い日本海ずっと広い海域で私もしろうとでございますけれども、一万トン多くとったということがそういう乱獲という言葉で表現されなければならないのでございましょうか。現場を知らないものですから、いつもそれが攻撃されることに対して黙って引き下がるということがおかしいと思います。
  265. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) とにかく現実の問題といたしまして、これだけ減ってきたことは事実でございます。とにかく一ころは三十万トンぐらい、三十万トン以上とっておったものが、現にこれだけ減しましても、なおかつ科学者の意見が非常に資源が乏しくなったということで意見が一致する程度に減って参ったことは事実でございます。してみれば、どれが乱獲かというような疑問があるかもしれませんが、減ったという事実を肯定する以上は、乱獲という言葉がうらはらにくることはやむを得ぬことじゃなかろうかと思うのでございます。
  266. 赤松常子

    ○赤松常子君 それは減った事実がみな日本の漁業がとり過ぎたということになるのでしょうか。ほかの国も入っているのじゃないでしょうか。
  267. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) それは相手の国を全然信用しなければ別でございますけれども、わが国が漁獲量を減していると同時に、ソ連側も年々減しているという事実があるのでございます。先方も漁獲をわが国と同様に減しておりまして、両国以外にはないのでございますから、両国の漁獲量を合わしてみますと、それがどんどん減っているから魚が減っているという事実があるのでございます。
  268. 赤松常子

    ○赤松常子君 今度、そういうことは教えていただいてよくわかりますが、本年の交渉に先がけまして三月七日でございましょうか、自主規制を発表なさいまして、相当の船団が行かないという数字を拝見いたしました。こういう数字は今の乱獲しないということとマッチして数字がはじき出されておるのでございましょうか。
  269. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) ただいま申し上げましたとおりに、昨年度七万トンという約束で、八万トン以上わがほうがとった。してみれば、二割に近いものをよけいとっておるわけでありますから、昨年と同様であっても二割程度の船を減して自主規制をいたしますということを申さなければ、昨年よけいとったと申し開きもできないということになる。しかもことしは、日ソ両国双方の科学者が認めるとおりに不漁年でありますから、去年よりも結論は漁獲量を双方とも減さなければならない年でありますから、まずもって私どもといたしましては、事務当局に命じてソ連側の一応納得するものを事前に行政上打ち出してそうして交渉に入るべきじゃないか、さもなければ、高碕さんが交渉に行っても、どうも初めから非難ばかりされておったんではまともな交渉ができないから、わがほうにおいてもこれだけの自主規制はいたしますということを、申し開きをまずしておいて、そうして対等の立場で交渉をすることが必要じゃないかということのためにとろうとした処置でございます。
  270. 赤松常子

    ○赤松常子君 やはり国際的に信頼関係を作っていくということに心を配っていらっしゃいますこと、理解いたしましたが、ただ乱獲をしないということよりも、もっと資源の培養と申しましょうか、こういう面についてどういう御配慮、御考慮が日本側でなされているか、あるいはあちら側がしているのか、もとを絶やさないようにしていくということについて。
  271. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 日本側では、御承知のように、サケ、マスの人工孵化というのは北海道が中心になりまして実際やっております。これは大体四億粒ぐらい孵化しまして放流しておりますが、ことしの予算でも五千万ぐらいふやしましたが、これは約倍ぐらいに二、三年ぐらいでやるというようなことを実は考えております。そのほかに今日本側では、協会で二億円ぐらいの金を集めて、人工孵化をしようというようなことも考えております。ソ連も樺太、千島等で、約三億粒ですから、日本より若干少ないのですが、そういうものの孵化放流をいたしましたり、あるいは特定の川につきましては、そこで紅ザケをとらないようにしようというようなことを、ソ連の中でも実はやっております。やっておりますが、われわれとしましてはもう少し、ソ連も当然でございますが、われわれももう少しこの培養していくという考え方には力を入れて参りたいというように考えております。
  272. 赤松常子

    ○赤松常子君 大臣お急ぎでいらっしゃいましょうから、こまかいことは端折りまして、もう二点だけちょっと聞いておきたい。日ソ漁業問題のことについては一応終わりにいたしますが、この間新聞で中央卸売市場を視察なさいまして、そうしてその大臣の御視察の後、対策として国の直売所を作るということも新聞で拝見いたしましたが、主婦として、この消費者の立場におります者は、非常にこの問題に関心を持っているわけなんでございますが、こういう流通機構に対する大臣の対策、お見通し——今国の直売所を作るこというようなとに対して、さっそく卸売市場のほうから抵抗が示されているようでありますが、こういう問題についてお見通しをお聞かせいただきたい。
  273. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) これは私の関係する点が二つございます。第一は、中央市場を東京で拝見いたしましてから、直売所の話はいたしました。すぐ東京都の助役さんにおこしいただいて、直売所形式はどうだろうという相談をいたしましたところが、東京都におきまして、それは公設市場を創設いたしますから、しばらく東京都のほうにまかせておいてもらいたい、各区一市場をすみやかに作るということを東京都は私に約束をいたしております。各区一カ所の公設市場を作る——東京都の話によりますと、第一次的には各区において作る、区でやらなかった場合には都でやりますからというような言質を私は得ております。と同時に、また、私は他の友人からも、先ほども申し上げたとおり、公設市場を作ろう、今の映画館をつぶして、映画館を公設市場にかえようという話を、ある映画関係者の友人からありましたので、せっかく経済局長をして、この映画会社を転向する方向に今相談中でございますから、これも東京都内に十カ所程度の映画館を公設市場に転向して施設するということを具体的にして参りたいと考えております。
  274. 赤松常子

    ○赤松常子君 これでおしまいでございます。これで最後でございますが、どうぞその実現が早くなるように願っておりますし、また、推進いただきたいと思います。  これはまた、全然問題が違うのでございますけれども、私、数年前、インドに参りましたときに、インドの農業の指導者が申したのでございますが、非常にインドの農業技術は日本の技術者に来てもらって指導してもらいたいし、学びたい。ところが、日本の政府にその技術指導者の要請をしたというのですね。それが農林省であったかどこであったか聞き漏らしましたけれども、やはり農業関係でございますから、農林省に来たのではないかと思うのです。ところが、すぐに日本の政府からきた回答は、サラリーは幾ら出すか、あるいはどういうポストにつけるかということが初めにぽんと出された回答であった。それで、インドは御承知のとおり、だいぶ貧しゅうございますし、日本にいられるときのサラリーに見合うそういうサラリーが出せない。また、どういうポストといってもなかなかそういう機構も整備されていない。それで、たいへん失望したというのですね。せっかく日本にたより、日本に指導してもらいたいと思ったのに、たいへん失望している。それで、取りつく島がないからそのままにしていたら、ある宗教団体の人が来られて、この困っておる現状を話して、それでだれかいい指導者、特に青年指導者はないだろうかといったところが、その宗教団体の人が、じゃ私どものほうで奉仕的に、ポストだとかサラリーだとか、そういうことは考えないでお送りいたしましょうといって、その宗教団体から——これは熊本の方だとか言っておりましたが、帰っていらっしゃいましたが、こういう東南アジア諸国に対する農業技術の指導というものは、その後いろいろ行なわれておると思うのでございますけれども、その後どういうふうにこういう場合は対処しておられるのか。もっとこれに対して親切に応待してお送り願えないものか、また、お送りしていらっしゃるのか、最近のそういう点の状態を、情勢を、現状をお聞きしたいと思います。
  275. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 今のお話は、まあそういうこともあったかもしれませんが、現実はそうじゃないのでございまして、たまたまそういうのがあった——実際はどうかと申しますと、農村青年も相当の者は行っております。また、農業センターを作って指導している場合もあります。でございますから、なお、今後も農業センターを作って現実に農業機械その他の技術の指導をしていこうという計画もございます。大使館も通じ、もしくは政府政府との間におきまして話がかわされますれば、農林省、そうでなしに民間の特殊な機関を通じてやる場合には、まあ農村のそれぞれの団体等においてやっておる。あちららの青年に日本に留学していただいてお世話する機関も実は日本にできておりまして、相当のことはやっておりますけれども、まあまあお示しのようなことがあったということじゃなかろうかと思うのでございまして、東南アジア諸国に対する農業指導につきましては、相当の準備、用意をいたしてやっておるわけでございます。
  276. 赤松常子

    ○赤松常子君 予算を組んでございましょうか、そういうものの派遣予算
  277. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) ただいま御質問ございました関係予算といたしましては、国内におきます外国の農業の研修者受け入れ関係予算が農林省にも組んでございます。なお海外に派遣します技術者の予算につきましては、外務省の予算と関連をいたしまして、政府全体としては措置できるように予算措置が講じてあります。
  278. 千田正

    ○副主査千田正君) ほかに御質疑はございまんか。——御質疑がなければ、農林省所管の質疑はこれをもちまして終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  279. 千田正

    ○副主査千田正君) 御異議ないと認めます。  なお、運輸省所管については、昨日質疑が若干残っておりましたが、この際質疑のお申し出が撤回されましたので、運輸省所管についての質疑は終了することとして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  280. 千田正

    ○副主査千田正君) 御異議ないと認めます。  以上をもちまして昭年三十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、運輸省、建設省、郵政省及び農林省所管の審査は全部終了いたしました。なお、予算委員会における報告の内容及び審査報告の作成につきましては主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  281. 千田正

    ○副主査千田正君) 御異議ないと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十二分散会