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1962-03-27 第40回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十七日(火曜日)    午前十時二十四分開会   ————————————— 昭和三十七年三月二十六日予算委員長 において、左の通り分科担当委員を 指名した。            金丸 冨夫君            上林 忠次君            鈴木 恭一君            田中 啓一君            平島 敏夫君            米田 正文君            佐多 忠隆君            戸叶  武君            安田 敏雄君            赤松 常子君            千田  正君            加賀山之雄君   —————————————    委員の異動 本日委員佐多忠隆君辞任につき、その 補欠として田中一君を予算委員長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    主査      金丸 冨夫君    副主査     千田  正君    委員            鈴木 恭一君            田中 啓一君            平島 敏夫君            米田 正文君            田中  一君            戸叶  武君            安田 敏雄君            赤松 常子君            加賀山之雄君   国務大臣    運 輸 大 臣 斎藤  昇君    建 設 大 臣 中村 梅吉君   政府委員    北海道開発庁総    務監理官    木村 三男君    運輸大臣官房会    計課長     黒住 忠行君    運輸省海運局長 辻  章男君    運輸省船舶局長 藤野  淳君    運輸省船員局長 若狭 得治君    運輸省港湾局長 坂本 信雄君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 高橋 末吉君    運輸省自動車局    長       木村 睦男君    運輸省航空局長 今井 栄文君    運輸省観光局長 梶本 保邦君    海上保安庁長官 和田  勇君    気象庁長官   和達 清夫君    労働省労働基準    局長      大島  靖君    建設政務次官  木村 守江君    建設大臣官房長 鬼丸 勝之君    建設大臣官房会    計課長     三橋 信一君    建設省計画局長 関盛 吉雄君    建設省都市局長 前田 光嘉君    建設省河川局長 山内 一郎君    建設省道路局長 河北 正治君    建設省住宅局長 斎藤 常勝君   説明員    法務大臣官房営    繕課長     住吉 君彦君    大蔵省主計局主    計官      宮崎  仁君    大蔵省主税局税    制第一課長   細見  卓君    日本国有鉄道理    事       中村  卓君    日本国有鉄道営    業局配車課長  武田 啓介君    日本国有鉄道建    設局長     好井 宏海君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○主査及び副主査互選昭和三十七年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十七年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十七年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————   〔年長者平島敏夫主査席に着   く〕
  2. 平島敏夫

    平島敏夫君 ただいまから予算委員会第三分科会を開会いたします。  本院規則第七十五条により、私が年長のゆえをもちまして、正副主査選挙を管理させていただきます。  これより正副主査互選を行ないたいと思いますが、互選は投票によらず、便宜、選挙管理者にその指名を御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 平島敏夫

    平島敏夫君 御異議ないと認めます。  それでは、主査金丸冨夫君、副主査千田正君を指名いたします。(拍手)   —————————————   〔金丸冨夫主査席に着く〕
  4. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) ごあいさつ申し上げます。皆様の御推選によりまして私が主査を勤めることになりました。御協力をいただきまして、これから本分科会運営を行なっていきたいと存じます。何とぞよろしくお願いいたします。   —————————————
  5. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) 審査に入ります前に、議事の進め方についてお諮りいたします。本分科会昭和三十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、運輸省建設省郵政省及び農林省所管について審査を行なうわけでありますが、お手元に御配付いたしております日程案のように、本日は運輸省建設省、二十八日は郵政省農林省所管について審議をお願いし、二十九日の午前中は、以上のうちで質疑の残ったものをこれに充てるという方法で進めて参りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  7. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) それでは、これより審査に入ります。  昭和三十七年度総予算中、運輸省所管を議題といたします。まず、政府説明を求めます。斎藤運輸大臣
  8. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 昭和三十七年度運輸省関係予算について御説明申し上げます。  はじめに、予算規模について申し上げます。  まず、一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は十二億六千八十三万二千円、歳出予算総額は六百九十五億六千四百五十一万六千円であります。いま昭和三十七年度歳出予算総額を前年度予算額と比較いたしますと、百三十三億七千八百七十三万五千円の増額であり、約二四%の増加率を示しております。この増加額の内訳をみますと、行政部費系統におきまして三十九億三千四百八十万八千円の増額であり、公共事業費系統におきまして九十四億四千三百九十二万七千円の増額となっております。このうちには両系統を通じ定員二百三十一人の純増が含まれています。なおただいま申し上げました歳出予算総額のうちには、北海道港湾事業費等他省所管分六十五億四千百五十万六千円が含まれています。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、木船保険特別会計歳入歳出予定額は、前年度より若干減少し二億九千四百六十四万九千円となり、自動車損害賠償責任保険特別会計歳入歳出予定額は、附保自動車車両数増加に対応し、前年度より約十億円増額され、六十三億一千三百七十三万円となっております。また前年度から新たに設置されました港湾整備特別会計におきましては、その歳入歳出予定総額は、最近における船込み等に対処するため前年度より約五十一億円増額され、三百五十五億二千四百三十一万六千円となっております。  なお、このほか、昭和三十七年度財政投融資計画中には、当省関係分として約千七百五十億円が予定されております。  政府といたしましては、昭和三十六年度以降約十年間に国民総生産を倍増することを目標として国民所得倍増計画を策定し、わが国経済の健全な発展をはかろうとしております。当省におきましてもこの趣旨にのっとり、海陸空にわたる運輸交通部門全般について効率的な諸策の遂行に努力いたしておるのであります。  しかしながら昨年来経済発展のテンポは予想を大きく上回り、内需の旺盛と輸出の停滞により国際収支の悪化を招くに至り、これが改善をはかるため強力な対策が要請されている実情でございます。  また急速に発展する第二次産業部門輸送需要の伸びは、運輸交通部門供給力を大きく上回りまして、これが経済成長に対する阻害要因となりかねない危険性が顕著に表われてきているのであります。さらには、わが国経済国際的環境は、貿易為替自由化促進が強く要請されておるなど一そうそのきびしさを加えているのであります。  これらの諸点を考慮いたしまして、国民所得倍増計画の第二年度目に当たる昭和三十七年度の予算におきましては、同計画基本線を維持しつつ、最近における経済事象の変化に即応して、まず国際収支改善をはかるための貿易外収支改善輸出振興経済発展に即応する輸送力増強さらには防災体制強化、交通安全及び海上治安確保運輸関係科学技術振興等の諸施策重点をおき、これらを積極的に推進することといたしております。  以下部門別重点施策の要旨を御説明申し上げたいと存じます。  まず、海運関係について申し上げますが、おもな事項といたしましては、第一に、海運企業基盤強化対策に必要な経費といたしまして、六十二万六千円を計上しております。  経済発展に即応し国際収支改善をはかり、工業用原材料安定的輸送確保するためには、大量の船腹保有を必要とするのでありますが、企業基盤がきわめて脆弱なわが国海運企業が大量の船腹建造遂行し得るようにするためには、その企業基盤充実強化する必要があるのであります。  このため新たに海運企業整備計画審議会を設けまして個々の企業整備計画を慎重に審議し、審議会の答申を得まして、財政上の措置をしようとするものであります。  第二に、外航船舶建造融資利子補給に必要な経費として、七億九千三百十五万六千円を計上しております。本制度は、外航船舶建造資金を融通する市中金融機関に対する利子補給を行なうことによりまして、海運企業合理化に対する自主的努力と相待って海運企業金利負担を軽減し、海運企業基盤強化しますとともに、これに国際競争力を賦与しようとするものであります。  第三に、外航船舶建造にかかわる日本開発銀行に対する利子補給に必要な経費として一億五千六百九十二万二千円を計上しております。これは市中金融機関に対する利子補給と同じ趣旨により、日本開発銀行に対してその融通いたします外航船舶建造資金につき、利子補給を行なおうとするものであります。  なお、これら利子補給にかかわる新たな契約限度額として市中金融機関に対する分として、十八億五千六百十三万九千円、日本開発銀行に対する分として十六億七千五百四万五千円を計上しております。  第四に、外航船舶建造に必要な資金として、日本開発銀行からの融資二百億円を予定しております。これによりまして、昭和三十七年度においてわが国貿易規模に即応した外航船腹整備をはかるため約五十万総トン建造を行なう予定であります。  第五に、三国間輸送助成に必要な経費として四億六千万円を計上しております。これにより前年度に引き続き、三国間輸送促進してわが国海運発展と外貨の獲得をはかりたいと存じます。  第六に、移住船運航費補助に必要な経費として一億二千七百八十一万六千円を計上しております。これによりましてわが国移住計画に基づく移住者輸送の円滑な遂行をはかることといたしております。  第七に、戦時標準船処理対策に必要な資金として、財政融資二十八億円を予定しております。これは、前年度に引き続き、航行にたえられない状況に立ち至っている戦時標準船代替建造を行なうために必要な資金でありまして、特定船舶整備公団分として十六億円、日本開発銀行融資十二億円を予定しております。  第八に、特定船舶整備公団国内旅客船建改造に必要な資金として七億円を予定しております。これにより昭和三十七年度におきましては、同公団は約四十隻四千五百総トン程度国内旅客船建改造実施する予定でありますが、最近における管理費増加にかんがみ、そのうち一億円は出資をもって充てることとし、残余は資金運用部資金からの融資予定しております。  第九に、太平洋客船建造研究に必要な経費として千五百万円を計上しておりまして、これにより太平洋客船建造についての諸問題の研究を行ないたいと存じます。  次に、船舶関係について申し上げます。  第一に、船舶経済性向上対策に必要な経費として千四百五十五万円を計上しております。これによりまして最近における船舶自動化、構造の合理化等の趨勢に対応し、わが国海運国際競争力強化に資するため、船舶経済性飛躍的向上を目途としてこれが試設計を行ないたいと存じます。  第二に、造船関連工業振興に必要な経費として九十五万六千円を計上しておりますが、貿易及び為替自由化に対処して、国際競争力の弱い造船関連工業合理化等促進する所存であります。第三に、中小型鋼船造船業及び木船造船業合理化に必要な経費として五百八十一万五千円を計上しております。これにより引き続き、これら造船業技術向上経営合理化をはかりたいと存じます。  次に、船員関係としましては、第一に、海上要員確保に必要な経費として二千六百六十二万四千円を計上しております。これは最近深刻化しつつある海上労働力の不足を打開するために、船員供給源の開拓に必要な経費百六十二万四千円と、船員福祉厚生を増進するため、国内における船員厚生施設整備する公益法人に対してその整備費の一部を補助するために必要な経費二千五百万円とであります。  第二に、船員教育充実に必要な経費として一億二千六百九十九万三千円を計上しております。これは、船腹の増大に対処するとともに、船舶運航技術近代化に即応して、館山に海員学校新設するほか、教育施設充実教育課程新設などを行なうために必要な経費であります。  次に、港湾関係について申し上げますと、第一に、港湾整備五ヶ年計画に基づく港湾整備事業促進に必要な経費として二百二十五億七百四十二万八千円を計上しております。  このうちには、一般会計から特別会計への繰入金二百十六億六千三百七十五万円が含まれております。国民所得倍増計画に基づき、貿易量の伸長、工業生産の拡大及び国土開発の進展に対応して緊急かつ計画的に港湾整備をはかる必要がありますので、昭和三十六年度を初年度として港湾整備五ヶ年計画実施に努めておりますが、最近の主要港湾における著しい船混みの状況にかんがみ、昭和三十七年度においては、その早急な解消をはかるべく、六大港の整備重点を置いて港湾整備事業早期実施を行なう所存であります。  これら港湾整備事業は、前年度において設置されました港湾整備特別会計によって実施されているのでありますが、同会計歳入歳出予定額は三百五十五億二千四百三十一万六千円と前年度に比べて約十七パーセントの増加率を示しております。  また、これを勘定別にみますと、港湾整備勘定においては、その歳入歳出予定額二百八十六億八千三百八十四万四千円の規模をもちまして、港湾改修事業として、横浜港ほか約三百港の整備を行なう予定であり、特定港湾施設整備勘定においては、その歳入歳出予定額六十八億四千四十七万二千円の規模をもちまして、輸出港湾として大阪港ほか一港、石油港湾として千葉港ほか四港、鉄鋼港湾として千葉港ほか七港及び石炭港湾として苫小牧港ほか七港につきまして港湾施設整備を行なう予定であります。  第二に、港湾及び海岸防災事業推進に必要な経費として百二十六億二千七十二万八千円を一般会計に計上しております。これによりまして特別高潮対策事業チリ地震津波対策事業伊勢湾高潮対策事業等海岸防災施設整備港湾及び海岸災害の復旧を促進する所存であります。  以上申し上げましたとおり、昭和三十七年度における港湾関係予算は、一般会計及び特別会計を通じて、前年度に比し八十四億一千六百十三万二千円の国費の純増予定しております。  また、財政融資五億円により、港湾運送事業者事業の用に供するはしけ、ひき船等整備拡充特定船舶整備公団に行なわせ、船込み解消に資することとしております。  次に、鉄道関係としましては、第一に、国鉄五ヵ年計画推進に必要な財政資金として八百億円を予定じておりますとともに、日本国有鉄道新線建設費補助に必要な経費として四億二千四百七十九万五千円を計上しております。  このうち前者は、東海道新幹線の建設を初めとする国鉄輸送力増強をはかるための所要財政資金であり、後者は、昭和三十五年度及び昭和三十六年度における新線建設費相当額の一部を、日本国有鉄道に対して補助するための経費であります。  第二に、地下高速鉄道建設促進に必要な資金として、帝都高速度交通営団に百億円を、東京都、大阪市、名古屋市及び神戸市については総額百七十億円の財政資金融資予定されております。  第三に、地下高速鉄道建設費補助に必要な経費として一億八千百七十八万円が計上されております。都市交通円滑化をはかるためには、地下高速鉄道網の早急な整備を行なう必要があるのでありますが、その建設費は巨額に及び、これが経営の重圧となっている現状にかんがみ、東京都、大阪市、名古屋市及び帝都高速度交通営団に対し、建設費の一部を補助しようとするものであります。  第四に、踏切道改良費補助に必要な経費として二千二百二万三千円を計上しております。これによりまして、さきに成立をみました踏切道改良促進法に基づき、踏切道改良促進をはかるため、保安設備整備を行なう経営の苦しい地方鉄道軌道事業者に対してその費用の一部を補助する予定であります。  次に自動車関係につきまして申し上げますと、第一に、自動車行政基本体制充実強化に必要な経費として三億一千七百二十二万八千円を計上し、また要員も六十九人の増員を行なっております。これによりまして、激増する自動車車両数に対応し、京都ほか六カ所の車両検査場整備を行ない、もって検査登録機能強化をはかるとともに、自動車輸送統計機構及びタクシー免許業務体制整備等を行なう予定であります。  第二に、自動車事故防止対策強化自動車輸送秩序の確立に必要な経費として六百四十七万六千円を計上しておりますが、これによりまして運転者実態調査分解整備事業者及び自動車運送事業者の監査、白タク、無免許トラック等の取り締まりなどを強力に実施する予定であります。  次に航空関係のおもな事項といたしましては、第一に、日本航空株式会社に対する出資として産業投資特別会計中に三億円を計上しております。同社国際競争力強化するため前年同様政府出資を行なうものであり、なおこれとともに、同社の発行する社債について二十二億円、借入金について八億六千八百八十万円を限度として債務保証を行なうことにしております。  第二に、国際空港整備に必要な経費として二十七億七千万円を計上しております。このうち東京国際空港につきましては二十三億三千六百八十万円を計上しておりまして、これにより滑走路新設ターミナル周辺整備ターミナルビル増築分買収等実施する予定であります。また大阪国際空港につきましては四億三千三百二十万円と、ほかに国庫債務負担行為二十億八百万円を計上しておりまして、現在施設改修のほか滑走路新設のための用地買収実施する予定であります。  第三に、国内空港整備に必要な経費として九億四千九百万円を計上しております。これによりまして既定空港として名古屋空港外十二空港整備を続行しますとともに、新規空港として青森外空港整備に着手し、また鹿児島外空港追加改良整備を行なう予定であります。  第四に、航空機乗員養成費補助に必要な経費として二千万円を計上しております。航空機乗員の払底に対処してその緊急な養成促進するため、民間における養成に対してその経費の一部を補助しようとするものであります。なお、このほかに防衛庁に対しても航空機乗員委託養成予定しております。  第五に、航空の安全の強化に必要な経費として一億九千六百四十三万七千円を計上しております。これによりまして航空路監視レーダー新設航空保安施設整備及び管制用国際無線電話設置等実施する予定でありますが、前記レーダー新設に必要な経費としましては、ほかに国庫債務負担行為二億九千百六十一万八千円が計上されております。  次に観光関係について申し上げますと、第一に、日本観光協会に対する出資といたしまして、一億円を計上しております。これは外人観光客増加に対処して、同協会の設置する総合観光案内所設備資金として政府出資を行なうものであります。  第二に、同協会に対する補助に必要な経費として四億二千四百七十三万九千円を計上しております。これによりまして日本観光協会海外観光宣伝活動整備充実をはかり、昭和三十七年度にはダラス及びフランクフルトに海外事務所新設いたしますとともに、総合観光案内所運営費及び一般管理費についても新たにその一部を補助することといたしまして、海外観光客の積極的な誘致を推進する所存であります。  第三に、ユースホステル整備に必要な経費として国立ユースホステルセンター増設備費五千百五十万七千円地方公共団体ユースホステル整備費補助金四千七百五十万円を計上しております。これによりまして国立ユースホステルセンターの完成をはかるとともに、公営ユースホステル約九カ所の整備を行なう予定であります。  次に海上保安関係についてそのおもなものを申し上げますと、第一に、海難救助体制海上治安体制強化に必要な経費として十億五千九百四十八万三千円を計上しております。これによりまして老朽巡視船艇を三隻代替建造し、八隻、主機換装いたしますとともに、塩釜航空基地新設航空機増強、第十管区海上保安本部充実を初めとする海上保安組織強化通信施設整備海上警備力強化等を行なう予定であります。なお巡視船代替建造に必要な経費として、国庫債務負担行為一億六千九百四十四万円を別途計上いたしております。  第二に、船舶航行安全確保に関する体制整備に必要な経費として、航路標識整備費十億五千万円、水路業務整備拡充に必要な経費一億八千八百四十四万四千円を計上しております。これによりまして港湾整備に即応する港湾標識電波標識等整備を行ない、集約管理の一環として灯台見回船を建造するとともに、瀬戸内海における航路の精測を行ない、測量船建造実施する予定であります。  気象関係といたしましては、第一に、防災気象業務整備強化に必要な経費として七億二千二百十六万九千円を計上しております。これによりまして札幌、仙台に気象用レーダー新設伊勢湾地域自動応答式無線ロボット装置新設地震津波及び火山観測施設整備等実施して、台風豪雨雪対策及び地震津波火山対策強化充実をはかりますとともに、防災要員二十二人増員農業気象業務及び航空気象業務拡充強化実施する予定であります。  第二に、基礎的気象業務整備強化に必要な経費として三億九千七百二十八万三千円を計上しております。これによりまして観測船一隻の代替建造大船渡測候所新設を行なうほか、無線模写放送整備気象官署間通信施設整備実施するとともに、気象に関する研究強化等を行なう予定であります。  次に科学技術関係について申し上げます。第一に科学技術試験研究補助金として五千九百五十八万二千円を計上しております。これによりまして、次に申し上げます運輸技術研究所における試験研究と相まって、民間が分担する試験研究促進し、運輸に関する技術発達改善をはかる所存であります。なおおもなテーマといたしましては、超高速優秀商船建造に関する研究航究機航行安全確保のための管制施設近代化に関する研究、新型式輸送機関開発に関する研究等予定しております。  第二に、運輸技術研究所研究施設拡充強化研究促進に必要な経費として一億六千四百五万五千円を計上しております。これによりまして引き続き原子力船開発研究促進いたしますとともに、電子航法評価試験体制整備を行ない、また輸送機関経済性向上近代化等に関する研究等実施し、各種輸送機関施設合理化近代化に資する所存であります。  第三に、港湾技術調査研究機構に必要な経費として八千六百七十三万七千円を計上しております。港湾工事に関する研究部門調査設計部門とはこれまで分離独立しておりましたが、港湾技術の強力な発展をはかるため、これらを統合して港湾技術研究所を設置いたす予定であります。  最後に航海訓練関係でありますが、練習船進徳丸の代船建造に必要な経費として五億二千万円を計上しております。これによりまして、前年度に引き続き、老朽化しております練習船進徳丸の代船の建造実施する予定であります。  以上をもちまして昭和三十七年度の運輸省関係予算についての御説明を終わります。何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。  なお、引き続きまして昭和三十七年度日本国有鉄道予算の概要につきまして御説明申し上げます。  昭和三十七年度の予算の編成にあたりまして、三十七年度は日本経済の著しい成長のあとをうけて、経済発展は幾分控え目にならざるを得ないと考えて収入支出予算を組みましたが、一方また、国鉄輸送力増強及び近代化のための国鉄新五ヵ年計画実施の第二年度として、この計画実現に支障をきたさないよう十分の配慮をいたした次第であります。  以下収入支出予算につきまして、損益、資本及び工事の各勘定別に御説明申し上げます。  まず損益勘定について申し上げます。収入におきましては、鉄道旅客輸送人員は五十四億九千万人、輸送人キロは対前年度七・三%増の一千三百六十九億人キロとして旅客収入二千九百四十六億円を見込み、また、鉄道貨物輸送トン数は二億一千百万トン、輸送トンキロは対前年度五・九%増の五百八十億トンキロとして貨物収入二千百二億円を見込んでおります。以上の旅客、貨物収入のほか、雑収入等を含めまして、収入合計は五千二百四十六億円となっております。  次に経営費についてみますと、人件費につきましては三十七年度の昇給と期末・奨励手当合計三・二五カ月分を見込みまして、給与の総額は一千七百八十一億円といたしております。また、物件費につきましては、節約に特段の努力を払うことにいたしておりますが、おもなものといたしましては、動力費四百八億円、修繕費六百五十九億円を見込んでおります。これらをあわせまして経営費の総額は、三千六百二十億円となっております。  以上の経営費のほかに、受託工事費四十億円、利子及び債務取扱諸費二百六十二億円、減価償却費五百七十一億円、資本勘定へ繰り入れ六百八十八億円、予備費六十五億円をあわせまして、損益勘定の支出合計は五千二百四十六億円となっております。  次に資本勘定について申し上げます。収入といたしましては、先ほど申し上げました減価償却引当金五百七十一億円、損益勘定から受け入れます六百八十八億円のほか、資産充当七十五億円、鉄道債券六百十五億円、資金運用部等からの借入金四百七億円、合計二千三百五十六億円を計上いたしております。  他方、支出といたしましては、このうち二千三十五億円を工事勘定に繰り入れるほか、借入金等の償還三百十四億円、帝都高速度交通営団等への出資七億円を予定いたしております。  最後に工事勘定について申し上げます。三十七年度は輸送力増強及び近代化重点をおき、東海道幹線増設工事を推進するとともに、主要幹線の複線化、電化、電化されない区間のディーゼル化、さらには通勤輸送の混雑緩和、車両の増備をはかるため、三十六年度に比して百十億円増の二千三十五億円を計上いたしました。  以下、工事勘定の内容について御説明申し上げます。  まず、新線建設につきましては、前年度と同額の七十五億円を計上いたしております。  次に、東海道幹線増設につきましては、昭和三十四年度に着工してから四年目を迎え、工事も最盛期に入りますので、前年度より百七十二億円を増額いたしまして六百十億円を計上し、幹線増設工事の促進をはかり、東海道線の輸送の行きづまりを早期に解消いたしたい考えであります。  次に、通勤輸送対策といたしましては、前年度より十四億円増額し、東京附近六十五億円、大阪附近十七億円、電車増備二百三十両、四十五億円、計百二十七億円を計上いたし、輸送需要の増大に対応するとともに混雑緩和をはかることにいたしました。  次に、幹線輸送力増強のために前年度より二十一億円増額いたしまして四百九十億円を計上し、その能力の限界近くまで利用されており、輸送需要の増大に応じ切れなくなっている東北本線、北陸本線、上信越線、中央本線、鹿児島本線等の輸送力増強し、これら線区における輸送隘路をできるだけすみやかに解消することにいたしました。  次に、電化及び電車化につきましては、前年度より二十四億円増額し、二百四十八億円を計上いたしまして、現在工事中の東北本線、常磐線、信越本線、北陸本線及び山陽本線の電化を促進するとともに、既電化区間の電車化を積極的に行ないまして、列車回数を増加し、サービスの改善経営合理化をはかることにいたしました。  以上のほか、ディーゼル化、諸施設の取りかえ及び改良、総係費等を含めまして、支出合計は、二千三十五億円となっております。これらに要します財源といたしましては、資本勘定から受け入れます二千三十五億円を充てることにいたしております。  以上御説明申し上げました日本国有鉄道予算は、これに予定されました収入をあげ、予定の工事計画を完遂するためには格段の努力が必要であろうと考えられますので、公共企業体としていま一そうの経営合理化をはかり、もってわが国経済発展に資するように指導監督して参りたい考えであります。  以上、昭和三十七年度日本国有鉄道予算につきまして御説明申し上げました。これまたよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  9. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  10. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) 速記を始めて。  それでは質疑のあります方は順次御発言を願います。
  11. 戸叶武

    戸叶武君 最近の物価の値上がりは、池田内閣の高度成長政策の結果だと一般が認めておりますが、この物価の値上がりと外貨不足というものが、次の危機を招こうとしておりますけれども、特に物価の問題と密接な関係があるのは鉄道運賃の問題だと思うのであります。最近物価問題と関連して一般が非常に心配している点は、私鉄運賃の値上げが近く行なわれるんではないかという警戒でありますが、政府としてはどういう態度になっているのか。それからその今後の見通し等について承りたいと思います。
  12. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 私鉄大手十四社の問題につきましては、最近御承知のように都市交通が非常に混雑をいたしておりまするので、その緩和のために輸送力増強の必要があるわけであります。したがって、差しあたり輸送力増強をどの程度にしなければならないか。またそれによってどの程度の資本費に圧迫がかかってくるかということについて、ただいま検討を加えておるわけであります。経済企画庁とともに検討をいたしておるわけであります。まだ検討が済みませんので、それを申し上げる段階には参っておらない次第でございます。
  13. 戸叶武

    戸叶武君 先般行なわれた日米貿易経済懇談会といいますか、箱根会談においても、アメリカ側の代表から指摘せられた点は、民間の設備投資というものが過大になったが、それに比べて公共投資がおくれている。特に港湾や道路、交通関係の面が非常におろそかになっているということを指摘されておりまして、政府もそれから若干あわててきたようですが、これは今までの怠慢からそういうことになったのですけれども、急にここで交通緩和を名として、いきなり私鉄運賃を値上げするというようなことになれば、勢いそれは物価のほうに、はね返ってくると思うのでありますが、その問題に対して今検討中というだけでは、私たちは満足できないのですが、それに対して政府はどういう責任を負うのか、また、今選挙前に早急に値上げしなくちゃならないという考えと、どうも世論がうるさいから参議院選挙後にという新聞に取りざたが出ておりますが、見通しとしては、いつごろ政府は態度を決定するつもりですか。
  14. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) この問題は昨年の秋以来の問題でございます。ただ、私鉄十四社それぞれ経営内容が異なっておりまするから、この検討に時日を要しておるわけでございます。見通しといたしまして、いつごろかというお尋ねでございますが、まだはっきりした数字的な結果も出て参りませんし、またこれを、政府財政援助によって、どの程度カバーできるかということも検討しなければなりません。したがって、ただいま見通しはいつごろだということを申し上げるわけには参らないのでございます。
  15. 戸叶武

    戸叶武君 その考えられる政府財政援助というようなのは、内容的にはどのくらいの幅を持っておりますか。
  16. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) これも大蔵当局と話をいたしておるのでありますが、たとえば本年度と来年度に交通緩和のために四百億ずつ、八百億の投資がさらに必要だとした場合に、どの程度低利の長期融資ができるかということにかかるわけでありますが、どの程度という見通しは、まだついておりません。
  17. 戸叶武

    戸叶武君 長期融資並びに利子補給というようなことも考慮しておられるかどうか。
  18. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 利子補給の点は、地方鉄道が地下を行かなければならないというような場合には考慮をいたしておりますが、ただいまのような四百億の計画の中に、地下を行く分はそうたいしてございません。したがって、利子補給という面につきましては、この来年度予算に見込んでおりまするもの以外の点は考えておりません。
  19. 戸叶武

    戸叶武君 過去二回ほどの国鉄運賃の値上げの場合におきましても、国鉄としては私鉄と違って公共のための大きな犠牲を払っている、学生に対する定期の問題その他いろんな便宜をはかっている、それから赤字覚悟で新線をも建設している、そういうもろもろの問題があるので、これを国家のほうから長期融資なり利子補給というものが十分なされない以上は、運賃値上げによってそれを補っていかなければならないという見解で、この値上げを求めてきたのでありますが、私鉄の場合においては、今までずいぶんもうかるところにばかり線を作って、しかも運輸省なり国鉄、ことに運輸省あたりの古手官僚をかかえ込んで相当金をもうけているが、もうけた金はあまり社会公共のために吐き出していない。そうしてこういうときになって交通緩和というものを名として、いきなり値上げというものを打ち出すことに対しては、私鉄の沿線におけるところの、これを利用している住民の人たちに相当の抵抗があると思いますが、こういう問題に対して、政府側では、ただ私鉄側の言い分だけを聞いて、これを利用しているところの通勤者その他の意見というものは十分配慮しようとしていないかどうか。運賃値上げには当然その問題がからんでくると思いますが、それに対する御見解を承りたい。
  20. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 主要都市における私鉄の一番の問題は、先ほど申しましたように、通勤通学輸送の緩和をはかるということでございます。そうして御承知のように通勤通学の定期割引は、相当社会的な点を考慮いたしまして、高い割引率を私鉄に強要いたしているわけであります。したがって、この通勤通学輸送の面におきましては、私鉄の経営はとうていペイしないという現状でございます。しかも通勤通学輸送のために、施設増強しなければならぬというわけでありまして、これは決してもうかるための投資ではないわけであります。  そこで問題は、通勤通学の高額割引をもう少し下げるかどうかという問題がありますが、しかしこの点は、やはり社会政策的に見まして、とるべき措置でない、かように考えて、しからばこれを国費で——社会的な要請でありまするから、国でこの面を見るかという点があるわけでありますが、これは非常に莫大な数字に相なることと存じます。したがって、そういう面から、やはり全体の利用者負担というところを今まで原則として参ったわけでおりますが、しかし、今おっしゃいますようないろいろな点もありますので、できる限りの財政的の援助もしたい、かように考えて大蔵当局とも今話をしているわけでございます。一般の利用者の方々の点も十分考慮いたしまして、また物価に及ぼす影響、物価体系全体とにらみ合わせまして最終の結論を出したい、かように考えております。
  21. 戸叶武

    戸叶武君 私鉄の経営は、国鉄と違って土地会社なり、あるいは映画会社なり、子供の遊び場なり、そういう施設を持っておって、特に土地会社でずいぶんもうけている。それを総合的に検討しなければならないし、またもう一つは、通勤通学の人たちの高額割引の点を指摘しておりましたが、世界じゅうで日本ほど超満員電車を走らせているところはないと思います。すし詰め通勤といいますか、あれでもって通勤着のエネルギーが消耗されることはたいへんなものであって、そのことに対して、今まで定員というけれども、定員どおりでもって通勤ができるところの電車や列車はないと思うのです。そういうものに対しても、いろいろな規則はあってなき状態でありますが、私鉄の場合の経営を考えまするときに、国鉄の内容を検討するのとは違って、総合的な経営に私鉄はなっているのですが、そういうところまで全部メスを入れて、総合的検討の上に立ってこの運賃値上げの問題も論議しなければならないと思いますが、そういうものも十分審議会その他においては検討されておるんでしょうか。
  22. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) おっしゃいますそれらの点も十分検討をいたしておるわけでございます。
  23. 戸叶武

    戸叶武君 最近一番疑惑を生じているのは、この大手十四社に対して、運輸省なり国鉄の古手役人が、重役その他幹部に相当流れ込んでいるのじゃないか。もう私設国鉄の感がある。国鉄は、うまい、もうかる所はやらないで、もうかる所は全部大手十四社で食ってしまっているというような非難も出ておるのでありますが、これに関して運輸省のほうでは、本委員会に資料を提出してもらいたい。今まで課長級以上の待遇でもって、この大手十四社に運輸省なり国鉄出身の人たちがどれだけ入っておるか。これを詳細に知りたいと思うのですが、その資料を提出してもらいたい。
  24. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) ただいまの資料をできるだけ早く整えて御提出いたしたいと思いますが、突然のことでございまするから、若干の時日をかしていただきたいと思います。  なお、今おっしゃいますような事柄から、私鉄に対して運輸省が特別の便宜をはかったり、特別の考えをもって対処しておるということは、これは少なくともそういうような考えをもって運営をいたしておりませんということを言明いたしておきます。
  25. 戸叶武

    戸叶武君 国鉄疑獄がひんぱんに発生するのを見て、あるいはひとり国鉄だけではない、こういう関係が交通関係においては随所に行なわれておるのではないかという疑惑を世間が持つに至っておるのでありまして、この運賃値上げの問題は、今日の物価高に対する大衆の抵抗とともに、私は相当深刻な問題が惹起すると思いまするので、このことに関しては、今の運輸大臣の答弁の内容を検討すると、目下検討中で、さっぱりわからないので、おそらくはこの七月、参議院選挙前に、私鉄運賃の値上げなどをとても許し得るような準備態勢ができていないという認定を私は得ましたが、少なくともこの参議院選挙の前において私鉄運賃値上げなどということはなされないかどうか。それに対する運輸大臣の答弁を求めます。
  26. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 参議院選挙ということを別に考慮に入れてどうこうということはございません。適当な結論をなるべく早く出したいと考えております。
  27. 戸叶武

    戸叶武君 適当なじゃわからないので、私らがいろいろ質問すると、その内容を具体的にわれわれが理解できるような答弁がないので、そういうような不準備な状態のもとにおいて軽々率率に運賃値上げなどということができないという認定をわれわれはせざるを得ないのです。だから少なくともこの三、四カ月の間は、私鉄運賃の値上げを許可することなどはできないと思うがどうか。あなたはそれをできると思うのか。私はできないと思うが、イエスかノーかの返事を聞きたい。
  28. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 先ほど申しましたように、最後の決定をいたしますまでにいろいろの要素がありまするから、いつまでにできる、参議院選挙までに必ずできるとか、選挙を終わらなければできないとか、その時期的な問題は、ただいま申し上げかねます。
  29. 戸叶武

    戸叶武君 私は、別に参議院選挙と区切ったのではない。今のような答弁内容では国会でも納得できないし、世間も納得できない。少なくとも最低限この三、四カ月以内においてはそういう結論が出ようという道理はないという認定を持っておるので、この三、四カ月以内には私鉄運賃の値上げなどというものはできないと私は思うのだが、運輸大臣はできると思うかできないと思うか。それだけの煮詰めた結論をひとつ聞いておるのです。適当な機会じゃわからないんです。
  30. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) なるべくすみやかに結論を出したい、かように考えておりますが、三カ月以内にできるかできないかというお尋ねに対しましては、なるべくすみやかに結論を出したいと思いますという以外には、お答えはできないと思います。
  31. 戸叶武

    戸叶武君 なるべくすみやかになんというのは、最も不届きな官僚用語です。なるべくすみやかにといえば、あしたできるかもしれない。われわれ国民の代表者が、常識的に国会で運輸大臣に向かって質問しているのに対して、答弁において非常に不満足のものがあるのです。われわれの認定においては、ここ三、四カ月はとてもそういうことはできるような準備態勢に入っていないという認定なんだが、最小限度少なくとも三、四カ月以内に私鉄運賃の値上げなどはできないと私は思うが、あなたはそれでもなるべく早くと言うが、それはその三、四カ月をこえてか、それともそれ以後におけるなるべく早くか、その一線について明確に答弁願いたい。
  32. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 関係各省間の交渉もございますから、私は明言できないと申し上げているのでありまして、三カ月以内にできる場合もあり得ましょうし、あるいはできない場合もあり得るかもしれません。今ここで見通しを言えとおっしゃっても、見通しは今申し上げる段階でないと、かように申し上げておるのであります。
  33. 戸叶武

    戸叶武君 答弁がきわめて不満足でありますから、またあらためてこの問題は質問することにいたします。  今、日本の輸送の問題につきましては、先ほど運輸大臣が言われましたように、東海道方面に重点が置かれているようでありますが、北海道なり東北から関西なり九州に行くのには、運賃また距離的にも北陸線を利用するほうがいいということになっておるが、北陸線は輸送の力が非常にないので、それでトンネルを作ったりいろいろな形において多少打開はされておりますが、今日の状況においてはどういうことになっておりますか、東北や北海道の関西、九州方面への輸送関係は。
  34. 中村卓

    説明員中村卓君) 簡単に御説明を申し上げます。  国鉄といたしましては、御承知のように、新五ヵ年計画というものを本年度から実施いたしておりまして、それによりまして裏日本縦貫につきましても幹線増強あるいは電化という計画を着々と進めておるわけでありまして、この電化につきましては、大体ただいまのところ北陸線について申し上げますと、今年の上半期において敦賀−福井間が完成いたします。それから金沢までの完成は三十七年度の下期でございます。それから富山までは大体三十九年度末くらいまでを目標に、五ヵ年計画予定どおり進行させております。  それから線路増設関係におきましては、大体三十七年度におきましては、敦賀−福井間が上半期に完成し、引き続きまして福井−金沢間の線増を完成いたす予定でございます。  なお、あと北のほうにつきましては、部分的に一番輸送の詰まっております点から、若干、部分線増とわれわれは申しておりますが、区間々々、部分的に一部輸送力が詰まっておりますところから線増をやっていくという計画で進んでおります。
  35. 戸叶武

    戸叶武君 数年前に運輸委員長をやっていた当時に、北陸線を調査しましたときに、全体の貨物の三分の一くらいしか消化できない状況だといって、その隘路についていろいろな陳情もありましたが、現在はどのような状況になっておりますか。
  36. 武田啓介

    説明員(武田啓介君) 北陸線の貨物輸送につきまして申し上げますと、ここ十年間に輸送トン数におきまして約倍になってございます。全国の二十六年対三十五年を申し上げてみますと、一億六千三百トンが一億九千五百トンまでになっております。北陸線を担当いたしております金沢局は、四百八十万トンから八百二十万トン、非常に伸びておるわけでございます。今御質問の在貨の消化率でございますが、今でも全国的に申しますと、必ずしも金沢の局はいいほうではございませんが、しかしながら、鋭意、中村理事から申し述べましたような線増の計画等が進められておりまして、次第に好転はいたしております。特にこの四月、五月ごろは、金沢は春期繁忙期とも申すべきときでございますので、貨車を特に増配をいたしまして、在貨の解消に従っております。現在のところ、かねて十何万トシありましたものが、すでに十万トンは割っておりまして、このままさらに貨車なり輸送力なりを増強することによりまして、この在貨の解消に努力いたしたいと考えております。
  37. 戸叶武

    戸叶武君 運賃値上げ以後において、この新設線に対してはどのような形で、どのような費用配分で新設線が進行しておりますか。
  38. 好井宏海

    説明員(好井宏海君) 御質問がよくわからないのでございますが、新線建設につきましては、現在大体建設審議会の線に沿いまして、全面的には言いかねますが、ほぼ順調に進行をいたしております。中にはいろいろな地方事情もございまして、できないといいますか。そういうものもございます。大体まあ当初の方針にすれば、ほぼ順調に推移しておりまして、本年度約七十億に近い決算になる見込みで考えております。
  39. 戸叶武

    戸叶武君 この鉄道建設審議会委員でおった時分から、やはり私たちは問題にしていた問題ですが、日本は島国ですが、一番大陸性を持っている所は、山形や福島県の会津や栃木県の日光のほうにつながる山地帯でありますが、明治時代から野岩羽鉄道というものが問題となり、しかも最近において予定線から当然建設線に入るべき段階に、この四、五年間は調査のし直しという口実のもとによって、それを阻害されておりますが、豊富な森林資源なり鉱物資源のある地帯において、積雪地帯も多いのでありまして、あの地帯に鉄道が敷けなければ全く交通というものは途絶せざるを得ないのでありますが、何がゆえにこれがおくれているか、その間の事情を承りたい。
  40. 好井宏海

    説明員(好井宏海君) 野岩線がおくれておることにつきましては、御指摘のとおりであると思います。この線も当初は順調に考えておったのでございますが、五十里ダムの建設の問題がございまして、ルート変更が起こったわけであります。それで、五十里ダムの建設によってルート変更を考えましたところ、トンネル地帯に火山地帯を通過しなければいけない点が出て参りまして、その地帯についてボーリングその他を今まで実施をいたしておりましたが、ほぼ別に工事上の東天なる障害にならないということがわかって参りましたので、ルートといたしまして、滝ノ原から今市間に出るルートと、それから滝ノ原から西那須野に出るルートと両方ございまして、このいずれを建設するかということがまだ問題として残っておりまして、滝ノ原−今市間はほぼ六十七億程度でございます。滝ノ原−西那須野間が四十二億の工事費と推定されるのでありますが、営業的に見ますと、滝ノ原−今市間のほうが、まあ観光ルートとして非常にいい所を、鬼怒川温泉、それから川治温泉等を通っておりますので、旅客のほうにおきましては今市ルートのほうが年間約二百四十六万、それから西那須野ルートは百四十八万というふうに、まあかなりの差がございます。それから貨物におきましては年間二十六万トンで、両ルートともほぼ同じくらいのものでございます。営業計数から見ますと、まあ今市のほうが若干いいということで現在考えられておりまして、これは建設審議会におきまして優劣いずれか、まだはっきりいたしませんので、皆さんの御意見によって優秀な方面の建設が始められるというようにわれわれは聞いております。われわれのほうでは、そういうふうな資料を提出しているようなわけでございます。
  41. 戸叶武

    戸叶武君 建設審議会といいますけれども、最終的な決定というものは、政治的な圧力じゃなくて、運輸省なり国鉄のほうで出してくるところの資料というものが大きな決定力を持つのだと思いますが、地元といたしましては、この問題に関して今市とか西那須野とかというものにこだわらないで、それぞれ地元においてはそういう意欲があるであろうが、この長い懸案の問題を解決するのには、運輸省なり国鉄のほうの技術並びに専門家の検討によってそれを決定してもらいたいという要望を持っているのでありますが、この建設審議会というものは、何といってもしろうとの集まりです。そうしてややもすればそういうふうに運輸省なり国鉄が責任をそこへ転嫁する行政補助機関的なものとして役所に——このごろはそういうことがはやっておりますけれども、そういうことをやっていると、そこを中心としての請願、陳情、政治的な圧力というものによって、新線建設というものがいろいろな点においてゆがめられる危険性があると思うので、私はこういう問題に対しても、やはりどちらが得か、どちらが国のためになるか、地域住民なり公共的な福祉とも結びつくかということを検討するだけの見識が各省にあってほしいと思うのですが、このごろは、役所がなるたけ八方美人で、責任を転嫁して、何か間接的に審議機関というものを置いて、飯の一ぱいもごちそうして、そうして逃げる、こういうやり方がもう一番今のスポイルされた行政運営になっていると思うのですが、このことはそういうことのないように、慎重にやってもらいたいと思うのです。  ほかに質問者も非常にあるようですから、私は先を急ぐことにいたしますが、ただいまオリンピックが近づくのにあたって、オリンピックオリンピックと言って東京ばかりがだいぶ騒いでおりますが、この交通の混雑な状態を見て、外国の私の友人も、よくこれでオリンピックを東京へ引くなどという心臓を日本人は持ったものだなと言って驚いておりました。きのうのテレビに出て来た山形のほうのいなかの学童が、テレビでもって何ということを言ったか、「人がえらく多い所だな、」その次は、きっとこれは車に引き殺される所だなと言うだろうと思っておりましたが、こんな都市は私は世界中にないと思うのですが、その中で、やはり一番鉄道関係で私は考えなくちゃならないのは、踏切の整備だと思います。もうどこの国でも、こういう進んだ都市付近におきましては、立体交差の形をとり、ブリッジをするなりトンネルをやるなりして、日本のようなああいう一つの踏切がある所は、諸外国においても非常に少なくなっていると思うのです。これは私は、運輸省でも国鉄でも十分知っていると思いますが、聞くところによると、道路のほうは建設省、こっちは国鉄とか、いろいろその役所のセクショナリズムが災いして、いろいろな問題が片がつかないが、それが最近は若干調整されたといわれておりますが、どういう面が調整されたのですか。
  42. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 鉄道軌道と道路との立体交差の問題は、緊急に行なわなければならぬと考えております。すでに法律も出ておるわけでございます。今おっしゃいましたように、鉄道の面と道路の面と、ときどき意見が違うわけでありますが、鉄道といたしましては、できるだけすみやかに立体交差にしてほしいという要望を持っております。意見の違います場合には、なるべくすみやかに上のほうに上げてトップの段階で話し合おうということで、先般も千余りの個所決定をいたしましたが、個々に話し合いがつかぬという問題は、建設大臣と私で話し合おうということにいたしまして促進をはかっているのでございます。
  43. 戸叶武

    戸叶武君 そういうところまできたならば、なるたけもっと手っ取り早くびしびし問題を片づけていってもらいたいと思います。  それから、観光関係でもって一億ドル以上のアメリカのドルの落ちるのを、とにかくスイスなりフランスなり、特に最近はイタリーなりは、どうやってこれを吸収するかということに懸命のようでありますが、日本におきましても相当外貨が観光関係でもって落ちてきているようでありますが、最近の状況はどうなっておりますか。
  44. 梶本保邦

    政府委員(梶本保邦君) 最近における外客の入国数というものは著しく伸びております。大体の傾向を申しますと、人数の点で大体一七%増ずつの傾向を示しております。それから外客消費額ベースで申しますと約一八%増の傾向を示しております。昭和三十六年、過去一年間の例を申しますと、二十四万三千人の人がわが国に参りまして、わが国において落としました金額は四百九十三億円、ドルにいたしますと一億三千七百万ドル、かような数字を示しておる状況でございます。
  45. 戸叶武

    戸叶武君 私は国が栃木県で、日光線に一週間に一回ずつ乗り歩いておりますが、この間もベルリンから来た航空会社の人に聞いてみると、日本でやはりこのホテルの設備と道路の問題はもっと考慮しなければ、たとえば日光あたりに行った場合でも、箱根あたりに行った場合でも、景色を見る時間よりも、自動車でとまって待たされている時間が多いので、これではとても観光にはならない。外国の観光地でこういうのはない。もう一つは便所の問題です。これは言いづらいことだけれども、どうして日本では人間が小便をたれるということを忘れているのだろう。この間、華厳の滝に行って、あのエレベーターを下りて冷えてしまったので、便所にかけ込もうと思ったら、ろくな便所もない。そうしたら、レークサイド・ホテルまで帰って便所を借りろと、これは間に合いっこないですよ。これは金を取ってもよろしいのだから、何で有料な便所でも何でも国際観光地に設けないのか。どうも日本の役人というものは頭がコンクリートで、形式的のことばかりやって人々の機微に触れる点が欠けているのだが、そういうようなことはどういうふうに今考えているか。道路、ホテル、便所の問題。
  46. 梶本保邦

    政府委員(梶本保邦君) 外客を受け入れるためには海外宣伝活動を活発にすることはもちろん必要でございますけれども、何と申しましても、ただいま御指摘のように、国内の受け入れ態勢を完璧にするということがやはり最も必要なことだと私どもも考えておるわけでございます。  まず、お話の道路問題でございますが、これは御承知の建設省関係が中心に行政を行なっておられますので、私からお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、宿泊施設の問題が第二の問題でございます。現在、宿泊施設といたしましては、御承知の登録旅館、あるいは登録ホテルという制度を設けることによりまして、外客が日本へ参りました場合に、その受け入れ態勢の万全を期する、こういうふうな方策をとっておるのでございますが、なかなか思うようにはホテルの新築、あるいは増築、それから日本旅館の新築、改築という問題も、財政融資の面からは、私どもの希望するような方向には必ずしもいっていないという残念な状況でございます。現在では約一万二百室のホテルがございます。しかし、私ども当面の御指摘のオリンピックというものを考えますと、どうしてもそのときまでには三万三千室のホテルを常備しておきたいと、かように考えるわけでございます。そういたしますと、あと二万有余室のホテルを作らなければならない、こういうことになるのでございますが、開発銀行から過去十年間、昭和二十六年から三十五年までの十年間に、ホテル関係で融資を受けました額がちょうど五十五億でございます。ホテルの数で申しますと、四十五ホテルになるわけでございます。わずか十年間に五十五億と、こういうふうな状況でございます。何と申しましても観光ということがまだ日本では物見遊山と申しますか、遊びという観念から脱却されていない。これも私ども観光の仕事に携わる者にとりまして一番残念なことでございまして、工場を建てて煙突を作って、そこから煙が出なければ産業でないというふうな感覚を打破していく、これも私どもの大きな仕事だと考えているわけでございます。今年度は、今日現在で申しますと、開発銀行からのホテル関係の融資は約二十三億でございます。来年度は私どもはこれを上回る数字を期待して、関係方面といろいろ折衝をいたしておる、かような状況でございます。なお、日本旅館等につきましても、今年度ようやく財政融資の対象として考えるというふうなことになりまして、一部融資もちょうだいいたしております。また中小企業金融公庫、日本長期信用銀行等からも、いろいろ融資の道を仰いでおる、こういう状態でございますけれども、いかんせん三万三千室、昭和三十九年にわが国へ来る外客数は一応五十五万人と想定いたしております。その中には一時上陸客もございますから、宿泊を対象とする外客は四十八万人、四十八万人に対して三万三千室、現在は一万二百室余りと、かような状況でございますので、やはりこの面については鋭意さらにさらに私どもは努力を続けていかなければならない、かように考えているわけでございます。  その次は、ただいま最も機微にわたる問題であるが、ちっともお前たちは考えないじゃないかというお小言をちょうだいいたしたのでございますが、私どもこの問題については全く頭を悩ましておる問題でございまして、たとえば今お話の出ました日光を中心に考えて参りましても、わが国に来られる外人客の延べ滞在日数というもので日光を見てみますと、わずか二%しか日光に滞在しておられない。こういうような状況になっております。それは結局、日光を中心とする受け入れ態勢というものが完備されていないということにも問題があるわけでございますが、日光へ行くことが、ちっともけっこうじゃないというような状況でございます。バス旅行ならバス旅行をいたします場合に、やはり途中において用を足すという問題があるわけでございますが、途中通過する府県におきましては、俗に言えば自分のところへ金が落ちないというふうなことから、通過する府県は、ややもすれば冷淡になりがちであるというふうなことも非常に困ったことだと私は考えておるわけでございまして、要するに、国際観光ルートに当たりますところに、いわゆるレスト・ハウスというものを作っていく、こういう方針を、おそまきではございますけれども、打ち出しております。それを具体的には、それではどうしていくかという問題でございますが、これは日本観光協会に対して政府から補助金が出ておりますが、その補助金の一部をさくことによりまして、府県にその補助金を出して、そうしてレスト・ハウスを整備していくというような方法をただいまやっておるのでございますけれども、なかなか全国の国際観光ルートに当たるというようなところの目ぼしいところに全部つけ得ないというふうな状況でございまして、これを私ども、十分その点につきましては、お説のように心がけて、これからもさらに進んでいきたい、かように考えております。
  47. 戸叶武

    戸叶武君 外国の観光地等では、交通が輻湊したところで、道路が十分整備されていないというところには、エプロンというものを、出っぱりを作って、それが見晴し台になったり、自動車置場になったり、あるいはそういう便所の施設があったりするようになっているのですが、日本のような国において、道路を全部広げるのが理想だが、それだけの金がないという場合でも、たとえば外人の人たちは具体的に箱根なり日光なりに、どうしてああいうエプロンを作ってないのだろうか、ちょっとした出っぱりを作れば、事故を起こした車を引っぱっていくという場合においても、ほかの人に迷惑をかけないが、一つえんこしてしまうと、ずっと行列を作ってしまう、それに対して何の処置もしない。こんな血のめぐりの悪い観光行政というのはないということを具体的に指摘しておりますが、そういうふうなことは考慮しておりますか、これは建設省の領域ですか、道路のこぶみたいなものだから、上のほうで話し合って、そういう問題をぴしっと片づけることになっているのでしょうか。
  48. 梶本保邦

    政府委員(梶本保邦君) 決してこの問題についても、建設省の領域というふうな言葉で回避する意思は毛頭ございませんけれども、御承知のとおり、観光行政については、関係各省が非常に多うございまして、ただいまのところでは、総理府のほうに観光の仕事についての調整の機能をしていただくというふうなことで、審議室が設けられて、その中で運輸省、厚生省、建設省、それから文部省というふうな関係各省にわたる問題についての調整をしていただくというふうなことがございまして、そうしてそこで、いろいろと問題を持ち寄って、一つ一つ問題の打開に努めておる、これがただいまの現状でございまして、その席上では、その話が決して出ないわけではございませんので、日本では道路の問題とか便所の問題とか、あるいはホテル、旅館の問題、いろいろ問題がそのつど出ておるわけでございますけれども、なかなか思わしく先生御指摘のようには進んでいないというのが、残念ながら現在の実情だと思うのでございます。なお、私どもは今後一そう、オリンピックも近いことでございますので、努力をいたしていきたいと、かように考えております。
  49. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) ただいまのエプロンの問題は、まことに適切な御意見だと存じます。できるだけひとつ、私のほうで予算的な措置を考えて、実現をいたしたいと、かように考えております。
  50. 戸叶武

    戸叶武君 レジャー・ブーム、観光ブームの中で、実際観光地に近い農村では、良家の子女もほとんど姿をなくしてしまったのです。このごろは、旅館でもって千二百円で雇うそうです。とにかくゴルフ場へ雇われると千二百円、米作っていても、大の男が八百円以上の労賃にならないというときに、そういうブームが沸いているのですが、若い人たちだからアルバイト気分であって、学校出た人でも、良家の子女でも、どんどん金になるからというので、旅館のサービスガールになっていきますが、その人たちの労働条件なりあるいは待遇及び風紀の問題、こういうような問題に対しては、どういうふうに処置しておりますか。
  51. 梶本保邦

    政府委員(梶本保邦君) この問題は、非常にむずかしい問題でございまして、と申しますのは、結局いわば国民全体が観光意識というものに目ざめること、これが一番必要なことだと思うのでございます。先生からも諸外国の例を、ただいまちょうだいいたしたのでございますが、まことにイタリアにいたしましても、スイスにいたしましても、国民こぞって観光ということについて心から自覚して、観光をりっぱな産業として扱っている、これはほんとうにあちらへ参りました場合に、うらやましく感ずる次第でございますが、どうもわが国に一歩帰って参りますと、観光というと、なんだ、遊びかというふうなことで、戦前からの一つのこういった物見遊山、遊びということに対する一つの何といいますか、先入主的なものがある。そのあることが、観光が産業であることを非常にじゃましているのじゃないかという気持を私ども持っているわけでございまして、これについては、やはり観光ということについての国民的な自覚をみんなが高めること、これ以外に私はこの問題に方法はないというふうに考えているわけでございまして、非常に力が足りないので恐縮でございますけれども、日本観光協会を中心にいたしまして、毎年観光週間というようなものを設けるとか、あるいは観光についての意識の向上をはかる月間を作るとかいうふうな方法をとりまして、機会があるごとに、正しい観光の意識を皆さんに持っていただくというふうに努力をいたしている次第でございます。
  52. 戸叶武

    戸叶武君 運輸大臣が先を急いでいるそうですから、それでは運輸大臣に質問いたしますが、最近の自動車ブームでもって、タクシー運転手の争奪戦が行なわれているのですが、東京あたりでは、平均四万円ぐらいの収入になっていると思いますが、地方にいてはやはり一万五千円、二万円というような程度のものもあるようですが、この大都市と地方における所得格差、待遇上の違いというものが、いろいろなスカウトの出現や何かにもなっていると思うのですけれども、そういう点の資料なり、そういうものに対して、どういう対策を持っているか、これは今後非常に白熱化してくると思うのですが、運輸大臣から御所見を承りたい。
  53. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) ただいまの運転手の奪い合いの問題は、これはタクシー業界におきましても、一つの大きな問題でございます。したがいまして、業界の方々に対して強く要望をいたしまして、さような運転手の奪い合いのないように、自粛をするように、強く要望をいたしております。また、業界もこれらの幹部の連中は、そういうことのないように、ただいま相当監視をいたしているという状況でございます。
  54. 戸叶武

    戸叶武君 これは一万五千円ないし二万円と四万円じゃ手取りが非常に違うのだから、そこに争奪戦がないようにといったって、人の流れが起きてくるのは当然で、人の流れが起きるところには争奪戦が起きるのは当然で、ただ今のようなお説教だけでは、私は片づかないと思うんですが、この問題に対しての対策というものは、運輸省では何ら持っていないんでしょうか。
  55. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) やはり必要に応じるだけの運転手の数をふやすということだと存じます。したがいまして、これは警察庁のほうも関係があるのでございますが、また運輸省のほうといたしましても、いわゆる運転の練習場を増設をし、そうしていい運転手をできるだけ数多く養成をするように努力いたしておるわけであります。
  56. 戸叶武

    戸叶武君 それでは最後に、ホテルの問題をいろいろ述べられましたが、外人の人たちが共通に言うことは、日本のホテルは高いということです。私は確かに高いと思う。それだけ金がかかるから高いのはあたりまえだというが、スイスあたりでも、ほんとうのかせぎ場は夏でも七月の末から八月ぐらいで、八月の末はもう寒くなるくらいですが、日本ほどこんなに高くないと思うんです。高く払ってもいいお客もあると思いますが、今後オリンピックに来るような人たちは、相当若い人たちも来るんで、やたらに高いホテルばかりを作るのが能でないので、今観光関係においてはユース・ホステルを各地に作っているようでありますが、ユース・ホステルの今の増設状況はどの程度になっているか、またどのぐらいで泊まれるのか。ドイツあたりでは、おおむねこれが利用されております。それからアメリカでも、もっと簡単なモーテルが発達しております。これからオリンピック前後においては、当然ああいう六ドルか七ドル、高くても八ドル程度で簡単に自動車を置いて、いなかのモーテルで泊まれるようなものが出てくると思うんでありますが、こういうオリンピックというような一つの盛り上がりができたときには、そういうことも私はそれを契機として、ずっと出てくるんじゃないかと思いますが、安い値段で泊まれるような施設、ユース・ホステルなりあるいはモーテルなり、そういうものに対しては、どういうような考えを持っておられるか。
  57. 梶本保邦

    政府委員(梶本保邦君) 先生のお尋ねに対して、二点問題があると思います。  まず第一は、日本のホテル料金が高い、これに対する対策はどうかと、こういう問題でございます。それにつきましては、ホテルの建設費でございますが、大ざっぱに申しまして、現在のところ一室一千万見当とお考えいただければけっこうかと考えております。ホテルには、ロビーも要れば食堂も要る。調理室も要れば機械室も要るというふうに、いろいろの付属した施設があるわけでございますが、そういったものを全部入れまして、有効な部屋数で建設費を割りました場合に、一室の建設費が約一千万と、かようお考えいただいてけっこうでございます。一室一千万の建設費でございますと、どうしても宿泊料といたしましては五千円以上とらなければ採算がとれないのでございます。  したがって、私どもは、そういったデラックスなホテルばかりを建設していっていいのかどうかという問題に突き当たるわけでございまして、最近、運輸省といたしましては、一室五百万見当のホテルを作ると、こういうふうな方針をはっきりと打ち出しておるのでございます。一室五百万見当のホテルになりますと、現在建設されておりますあちこちのホテルのちょうど半分の建設費でございますから、宿泊料といたしますと約二千円見当、五ドル程度、そこまで日本のホテル料金を下げたい、かように考えておるわけでございます。それが、非常にデラックスなホテルを作らさないのかと、こういう御質問もあろうかと思いますが、これにつきましては、デラックスなホテルをお作りになりたい御希望のある場合は、それはどうぞ増資をするなり市中銀行から借りるなり自己資金でやって下さい。国が財政融資の対象として考えるホテルは一室五百万見当のホテル、これを一つの政策として打ち出しているわけでございます。なお、近く国会に提案をいたしたいと思っております法律改正案がございます。国際観光ホテル・整備法の一部改正でございますが、この法律改正によりまして、ホテル料金をあらかじめ運輸大臣に届け出る、それが外客の待遇上不当に高いと思われるときには、運輸大臣が変更を指示することができる、そうして、それに従わなかった場合には、行政処分あるいは罰則を課すことができると、こういうふうな一つの大きな前進した考え方をいたした次第でございまして、いわば今まで野放しでございましたホテル料金について、運輸省として何らかの規制に乗り出そうと、こういう気持を持っておりますことを了としていただきたいのでございます。  第二の先生の御質問は、ユース・ホステルの問題でございますが、現在は二十六ございます。これが来年度に九つできますので三十五、それから国立のユース・ホステルが一つございまして、来年度の予算で認められておりますものが九カ所、結局、来年度中に四十五カ所のユース・ホステルが全国に一応でき上がると、こういうふうな状況でございます。現在のベッド数は約千七百ございます。それに対して、そのほかに民間ユース・ホステル、いわゆる契約ユース・ホステルと申すものが約一万七千がございますので、結局、公営のユース・ホステルが一、民間の契約ユース・ホステルが九と、一対九の比率にただいまなっております。これを私どもは将来七万五千ベッドにまで持っていきたい。七万五千ベッドのうちの八割は民間ユース・ホステル、二割を公営のユース・ホステル、こういうふうに考えております。  現在青少年の数は二千六百万おりますが、昭和四十五年には、十五才から満二十九才までの青少年の数が二千九百万になる、かように私どもは承知いたしておりますので、いろいろな面におきまして、外国の人を迎える場合はもちろんでございますが、国内の青少年対策としましてもユース・ホステルの建設に努力を続けていきたい、かように考えております。
  58. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  59. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) 速記を始めて。
  60. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 現下の大問題を十分か十五分で大臣に質問せいというのは大体無理なんですが、分科会の時間が足りないから仕様がない。  まず、交通運輸について、大臣が、需給のアンバランス、わが国経済成長阻害要因になるおそれがある、なりかねないということを言っておられるのは、これは非常に認識が足りないんで、ほんといったら、現在すでに阻害していると、こう見る見方が私正しいと思うんですか、まず海運について伺いたいんですが、これは総括質問でも伺ったんだが、海運企業の基本対策基盤強化について、その後の進展状態はどうなっておりますか。
  61. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) ただいま大蔵省と事務的につめております。近いうちに、法案提出の運びになり得ると思っております。
  62. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 非常にけっこうで、審議会がつくられて答申を得てからやるという御決定があったのだが、これはわれわれから見ると、政府の得意の隠れみのを作るのじゃないかと思って、実は心配している。これはひとつ、はっきりと海運をほっておいてはいかんと私は思う。大いにふんどしを締めて、運輸大臣にお願いしたいと思います。  もう一つ、海運の問題で、五十万総トン、本年度、これははっきりと市中銀行だとか開発銀行のあれは得てありますか。
  63. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) この五十万総トンにつきましては、市銀の協調融資をはっきりと取りつけておりません。今後の海運市況なり国際金利なりを見合いまして、そしてできるだけやりたい。今のままで、半分の市銀の協調融資を得たいと考えておりますが、今後の状況いかんによりましては、これらについての政府の助成を、あるいは場合によったら少し高める必要があろうかと、かように考えている、そういう段階でございます。
  64. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 次に航空関係ですが、航空関係についても、空港整備その他に相当な予算を見ておられるが、今国際交通が非常に激しくなっている。国際空路は入り乱れて非常にたくさんになっている。つまりこれは競争が非常に激しくなっているということなんですが、わが航空事業国際競争力については懸念がないものかどうか、その点について大臣の御所見を伺いたい。
  65. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 今日の国際間におきまする航空の競争は、ジェット機の出現によりまして、非常に猛烈になってきております。いわゆるジェット機のために輸送力が非常にふえて、各国が非常に競争いたしておりますから、各国とも国際線においては、みな赤字を出しているという現状でございます。  したがいまして、わが国もその例には漏れないのでございまして、今まで国内線によって、相当カバーをいたしておりましたが、今後情勢のいかんによりましては、政府の援助の手を、今までより以上に差し伸べないと、国際競争に打ち勝てないというおそれがあるわけでありまして、ただいま、航空審議会を昨日開いていただきまして、その間の諮問もいたしている次第でご、ざいます。
  66. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 実際これは、大臣おられなくなってからでいいんだが、航空局長が出ておられるようだから、この旅客の航空による入出国について、邦人並びに外人が、一体どういうように航空機を利用しているか、ことに日本航空が、どれくらい役割を果たしているかということについて資料があったらあとで伺いたいと思うのですが、非常に私が知るところによれば、パン・アメリカンを初めとして、非常な競争をして、つまり商売根性を出している。まあ日航ができたときは、振袖サービスなどで、かなり名を売ったようですが、今日ではそういうことだけではなかなかいかない、お客を集めるということについて、非常な努力がいるように思うのだが、航空事業について、財政的の面も考えていかなければならんが、航空会社のサービスの監督については、十分これはお願いしなければいけないと思うのですけれども、お願いしておきます。  それから次に陸運関係、国鉄予算のことですが、新幹線の計画が当初の予算とは非常に狂ってきている。土地買収そのほか思いがけない経費がかかるということで、非常な当初の予算では、なかなかできないというように聞いているのですが、これは私ども新幹線を作り上げなければいかんが、これは一方五ヵ年計画に影響を与えるようであってはならんと思う。これについて運輸大臣は、これは特に御心配になっていると思うのですが、新幹線計画並びに五ヵ年計画は、これはもちろん響かせないというお考えであろうと思うのです。本年以降の予算に対し、これについて運輸大臣の御確信を伺いたい。
  67. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 新幹線並びに国鉄五ヵ年計画は、これはどうしても期限内に完成をいたしたいと考えております。東海道新幹線も工事が非常に進んで参りましたので、あるいは本年度の予算以上に進むかもわかりませんが、総体といたしましては、当初予定のとおりで大体あがり得るように、ただいまのところでは聞いております。万一あがらないということになりましたならば、それに対しまして財政的措置をとりたい。かように考えておる次第です。  なお日航の利用率につきましては、後刻航空局長から申し上げますが、大体、日航機を日本の旅客の人ができるだけ利用するようにという指導もいたしておりますし、また官公吏等におきましても、日航で行けるところは、なるべく日航機を優先的に使うように官公吏に対しましては指導いたしておるわけでございます。最近日本人の利用率は相当あがっておると考えております。数字は航空局長からお答えをいたさせます。
  68. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 もう一つ、あと戻りいたしますが、これは航空機関係だと思うのですが、大臣の御説明の中で新型式輸送機関開発に関する研究という点があげられておるのです。これは一体どういうものを考えておられるのですか。
  69. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) これは航空でなしに、船のほうでございます。水中翼船でありますとか、また、今日本におきましても、将来やはり原子力を利用する船という点も研究の中に入れておるわけであります。
  70. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 私は航空についても、やはりお考えにならなくてはいかんと思うのです。たとえば日本のような国で狭い国ですと、ローカルの輸送は、もっとヘリコプターだとかあるいはバーチカルに上がっていくなんとかという新型式の輸送機関があるのだが、こういうものは大きな飛行場を要しない。したがって、また人員も、それほどローカル線となれば多くないわけですから、なにも飛行機々々々と一点ばりでなくていいんで、飛行場の設備などは、できるだけ小さくてもいい。しかも目的を達するという輸送機関について、日本はこういう狭い国、細長い国だから、非常にマッチした輸送機関というものを研究し、これをもっとなんというか、実用化することを考えるべきだ。特に私はその場合に、ヘリコプター等がだいぶ測量その他に活躍を始めておるが、これこそ日本の輸送機関としてローカル線などに、もっと旅客輸送に働く事態を早く作るべきだ。そうすれば空港整備の今度の予算でも、たくさんの輸送上の整備があげられておりますが、これは土地を使う。つぶすことについて、先ほどゴルフ場の話が出ましたが、飛行場といえども非常に町の近くの大事な場所をつぶすわけです。  そういうこともあって、日本全体として有利な輸送方式というものを検討せられる、そういうものがあるかどうか、これはまたもう一つ、民間のヘリコプター会社が、だいぶ免許を申請をしておる。政府としては、この乱立等の不当な競争の起こることを心配しておられるようですが、私は鉄道の初期においても、民間にこれを許して、できるだけこれを作らせた。そうしてそれによって発達して、それでこれがだんだん発達してくれば、これは続いて合併なり、さらに強大な機関として、あるいは会社としていく基礎ができる。あまり押さえることは、私はよくないというように考えますが、運輸大臣の御所見を伺います。
  71. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) ヘリコプターによる近距離輸送は、今後日本にますます必要になって参ると考えております。東京都内におきましても、たとえばヘリポートというようなものも一設けることを考えたい、というふうに考えておる。またこれらの飛行機、ヘリコプター等につきましては、通産省のほうで製造の指導をいたしておるんでございますが、ただいまの御意見等も十分伝えまして、御意見に沿うような研究をさせていただきたい。かように考えております。
  72. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 もう一つ、今、公共企業体等の労働問題が、あるいは調停、あるいはさらに仲裁ということで日程に上ってきているようですが、これはあとで当局のほうから伺うつもりですが、大臣として一般的見解として、この問題についてどういう御見解であるか、労働組合との関係です。大臣、あまりこまかいことを聞いておられないかもしれないが、今すでに当局のほうからは、調停委員会にかけておる、組合としては、もう調停を吹っ飛ばして仲裁に持っていくのだといっておる。  したがって、本来のこの労働関係が当局同士の話し合いということがなかなか行なえない、そこでは解決しない、それならば、それで調停という段階で語し合いで進むのが順序だ、調停機関にかけて。ところが、そういうものを一切飛び越えて仲裁までいく。そうして組合のほうでは、こういうことの成り行きもかまわずに実力行使だ、スケジュールを組んでやっている、そういう労働関係は私は世界にはあまりないと思うのですが、一体、大臣はどういうふうに考えておられますか。
  73. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) ただいまおっしゃいましたように調停の段階を飛び越えて、すぐ仲裁裁定という行き方は、これはいかがなものであろうかと私も考えておりますが、ただいまの争議の昨今の情勢は、やはり仲裁裁定に持ち込んでいくという状況でございます。労働大臣ともよく話しまして、できるだけ世界の民主主義的な労働組合の労働争議のあり方というように、これは労使とも一日もすみやかに持っていくべきだ、かように私も考えております。
  74. 赤松常子

    赤松常子君 大臣に一、二点……
  75. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) 大臣だけにお願いいたします。
  76. 赤松常子

    赤松常子君 終戦後たいへん社会悪が激増して参りまして、私ども売春問題であるとか、いろいろ取っ組んで参りましたけれども、それと非常に結びついているのは麻薬問題ですが、最近アメリカと日本が麻薬天国といわれていること、非常に私は恥ずかしいことだと思うのですが、そのおもな舞台が、密輸のルートが船舶とそれから飛行機なんです。これの対策は、いろいろ考えられまして、それは省くといたしますが、たとえば日本側の駐在官を香港に一人置いているのですね。この間厚生省の方に聞いたのですが、ところが、その駐在官が、きょう出帆した船がどうも怪しい、麻薬の密輸が行なわれている、こういう情報が入った場合に、その舞台は、船の中の司法と申しますか、公安といいますか、そういう事実がわかっていて、船に乗り組んでいる人々の中に、船長さんが、そういう場合の公安官の資格をお持ちなんでございましょうか。私は、その舞台でこれを取り調べる、あるいはその船舶の上で、あるいは飛行機の上でこれを何と申しましょうか取り押えるということはできないものでしょうか。
  77. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 船が領海に入りました場合に、海上保安庁が、そういう連絡を受けまして取り締まりの任に当たる。いわゆる公海、公の海を航海中におきましては、船長はそういう権限を持っていないのであります。
  78. 赤松常子

    赤松常子君 それじゃ、みすみす中国の領海から出て日本の領海に入るその航海中は、公の海を航行している間は手をこまぬいている以外にないわけでございますか。
  79. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) ただいまの制度といたしましては、船長には、そういう取り締まり権がないそうであります。したがって領海に入りましたときに、海上保安庁の船が、船の中に入り込みまして、そうして検索をし取り締まりをするということでございます。
  80. 赤松常子

    赤松常子君 私伺ったところでは、密輸に使われている人の中に、船長さんもいらっしゃる、あるいは飛行機の乗務員も、これに関係しているということを聞いておるのでございます。そういう一体、権限を持った人が、それの現場をとらえる前に拉致することはできないのでございますか。
  81. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 密輸事件は海上保安庁と警察、それからいま一つ麻薬につきましては、麻薬取締官が中心にやっておるわけでございます。したがって、現場を押えた場合はもちろんでありますが、そうでなくて事件としてあげて参りまして、そうして船長も関係していた、あるいは船員が関係していたという場合には、取り締まりいわゆる処罰が十分できるわけでございます。
  82. 赤松常子

    赤松常子君 私、どうも、ここが抜け穴だと思うのでございまして、ほんとうに麻薬は小さい荷物なんですね。だから、大きな何千トンの船のどこに隠しても隠しおおせるのですね。六畳一間の検挙と申しますか、捜索にも、二時間かかるという報告を聞いておるのですが、あの広い船の中でどこに隠したかということは、それは一々はわからないと思うのでございます。ですから、それがみすみす日本に持ってこられるということに手をこまぬいているということは、非常に私残念なんです。何かこういうところに対して、将来もっと船の中の公安、保安というものに責任が持てる制度というものができないかと、私非常に残念に思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  83. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 麻薬の密輸入に対しましては非常に苦労をいたしているわけでございます。ただいまおっしゃいますとおりであります。さらに関係当局と十分知恵をしぼりまして、できるだけ麻薬の密輸入を防止をいたして参るように一段の努力をいたしたと思います。
  84. 赤松常子

    赤松常子君 どうぞ、ほんとうにその点お願いしたいと思います。  それからもう一点、きょうから港湾ストライキが始まっているのでございますね。日本で、どこが今関係しているのか、どういう状況か、どういう規模か、おわかりでございましたら、今の時点における状況をお知らせ願いたいと存じます。
  85. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 港湾労務者の一部にストをやるという情報が入っておりますが、港湾労務者の数からいいますると一部のあれでございまするので、ただいまのところ、出港には大した影響はないと思っております。後刻、詳細の点は、海運局長から後にお答えいたさせます。
  86. 赤松常子

    赤松常子君 どうぞ、まとまったら御報告願いたいと思います。
  87. 千田正

    千田正君 きわめて時間がないのは残念ですが、きょうは運輸大臣、総理大臣になったつもりで、政府代表のつもりで、私は運輸行政の根本を聞くのですが、おそらく前に戸叶君もお尋ねしたろうと思いますが、国有鉄道の本質は私が申し上げるまでもないのですが、新幹線の建設等に対して非常に遅遅として進まない、私の考えるには、何回も分科会をやるたびに主張しているのですけれども、国鉄は従来のとおりのいわゆる独立採算制というものをとられるならば、幾らたっても赤字の解消はできない、そこで幹線の建設予算は、国の予算からまるがかえで出してやって運営国鉄にまかせるというような方途をとらなければ、おそらくいつまでたっても予期したようなスピード・アップができないじゃないか、こう思うのですが、大臣の御所信をまず第一に聞きたいと思います。
  88. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) その前に、先ほどの加賀山さんのお尋ねで、私少し数字を間違っておりましたから……新幹線の建設費は、用地代だけでも約三百六十億不足いたしておると考えております。ただいま大蔵省と折衝中でございます。私もできるだけ新幹線建設に支障のないようにいたしたいと思います。国鉄の新線建設あるいは改修等につきまして、国でまるがかえにしたらどうかという御意見でございますが、おそらく、ただいまの状況では、日本の経済成長に見合う鉄道網の完備ということは不可能じゃないかという御趣旨からであると存じます。これらにつきまして、新しい財源の取得の方法、あるいは政府財政的な投融資の考え方というものを立てなければなるまいかと今、考えておるわけでありますが、しかし、全部まるがかえにして、運用だけを国鉄にまかすということも、なかなかこれは踏み切れない問題だと考えております。  しかし、問題のある点はわかりまするので、これらの点につきまして、ひとつ来年度予算編成までに、何らかの方針を考えたい、鉄道建設審議会のほうでも考えていただきたいと、かように思っておる次第でございます。
  89. 千田正

    千田正君 従来もそうですが、たとえば東北とか、北海道とか、あるいは山陰とか、九州とかいうような、早くいえば文化に恵まれないところの僻陬の地であればあるほど、国鉄あるいは鉄道の開通というものを主眼として、これは運輸省なり国鉄なりに、住民が何回となく陳情しているような状況であります。これは憲法の建前からいっても、文化をひとしくする、あまねく国民に均霑するような方法を考えなければならないのであって、独立採算制という立場の国鉄から考えれば、早くいえば、薪炭であるとか、あるいは金にならないような雑穀というようなものばかり運ぶようなのでは、喜んで最初からそういうほうに手をつけたくないというのは、これは国鉄の考えとしてはやむを得ないと思うのです。  ですから、そういうマイナスの点をカバーするという点は、いわゆる国有鉄道という名前、しかも、憲法の原則による国民全般に文化の恩恵を与えるという観点からいうならば、むしろ、そういうマイナスの点は国において財政措置を十分に見てやって、そうして、そういう東北、北海道、九州とか、あるいは山陰とか、そういうところの人たちの期待にこたえる方法、これこそが、ほんとうのいわゆる運輸行政の根幹であると私は考える。これはぜひやっていただきたい。  それで、国鉄審議会の問題、——これは人の名前をさして言うのは非常に残念でありますけれども、前運輸大臣ですか、審議会の問題——鉄道の建設許可等に対しての汚職問題というような忌まわしい問題が出るということは、非常にわれわれとして残念なことでありますが、この審議会そのものの内容が、もう少し慎重に検討する必要があるのじゃないか。どうも今までのような行き方では、国民の期待するような方向に行かないのじゃないか。こういう点については、大臣としての御所信がありますかどうか、伺いたいと思います。
  90. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 新線建設につきましては、自民党のほうも、政府のほうも、国民の要望にこたえまして、そして、ことに都市と農村、山村との格差をなくするという考え方から、今までの考え方を、今までのやり方をもう少し飛躍をさせたい、かように考えております。  ただいまおっしゃいました汚職と関連するとおっしゃいますのは、運輸審議会の点ではなかろうかと思います。鉄道建設審議会には、そういうことはほとんど考えられません。しかも、運輸審議会は、御承知のように国会の承認を得て運輸審議会委員が任命をせられております。したがって、運輸大臣や政府の意見だけで任免のできないことになっておるわけでありまして、非常に自主性を確保されているわけであります。私は、今日の運輸審議会運営が満点であるとは思いませんが、大きな骨組みとしては、運輸審議会運輸大臣の圧力に屈することなしに、独自の公正な意見の吐けるような建前になっております。この建前をもとにしながら、あるいは審査をする事件が非常に多過ぎるとかいうようなこまかい点はあります。これらの点についての運用をさらに考えていかなければならないかと、かように思っております。  しかし、大綱におきましては、今の審議会のあり方は、これは自主性を十分に法律で確保されておりますので、したがって、今、これについて全廃という点は考えておりません。
  91. 千田正

    千田正君 運輸審議会の問題をやっておると、時間がとれて、私も残念ですが、これは私たちの耳に入っておることでも、相当、たとえば各種の営業許可の問題、そういうような問題にからんで、いろいろな問題が起きてくる、そういう問題がたくさんありますが、ここでそういうことで、こまかいことを言っておる時間がありませんから、これはほかの機会に譲りまして、それから、先ほど加賀山委員からも指摘されておりましたが、国際航空の発達に伴って日本の、いわゆる国際空港としての設備が十分じゃないじゃないか。たとえば敷地の問題にしましても、あるいは一体、運輸省の管轄になるのか、あるいは建設省の管轄になるのか、たとえば埋立工事、そういうのは、どっちの一体、管轄になるのですか。
  92. 今井栄文

    政府委員(今井栄文君) 空港の埋め立ては、運輸省の所管でやっております。
  93. 千田正

    千田正君 いわゆる羽田が国際空港としての面目を発揮するためには、相当の用地を必要とするのですが、現在、埋め立て中であるようでありますけれども、完成するまでには、何年かかりますか。
  94. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 羽田の埋め立ては一応完成をいたしました。今、滑走路新設にかかっておるわけであります。しかしながら、あれ以上さらに埋め立てるということは、事実上非常に困難なようでございます。ここ数年は、まだ間に合うかと思いますが、しかし、あるいは十年以降のことを考えますると、羽田の空港は、必ずしもあれで十分とは言えない。別にもう一つ、さらに空港を設けなければならぬじゃないかというようなことを、今、首都圏整備委員会等とも相談をいたしまして、そういうような考え方で今後進んで参りたいと思います。
  95. 千田正

    千田正君 羽田の空港は一応できたといっても、われわれから見れば、ほかの外国の都市の空港から見ると、必ずしも大きいものじゃない。それから、あれから都心に入るところの道路、これはあなたのほうの管轄じゃないでしょうけれども、建設省に、これは多少この面も追及したいと思いますが、あれでは、オリンピック、オリンピックなんて騒いでいても、空港だけは一応できても、空港から都心につながるところの道路というものは、いつまでたっても、なかなか改修できない。京浜国道から羽田空港までは、もうでき上がるかと思っても、なかなかでき上がらない。ああいう面は、ひとつ運輸省からも建設省に強く要求していただきたいと思います。  時間がないから第三の問題を伺います。それは海難の救済に対して、非常に最近、漁船や何かの沈没、あるいは救済を要するものが非常に多い。私の資料だけでも、昭和三十五年の十一月から十二月三十一日まででも、一昨年は、救助を要するものは千四百七十九隻、沈没の全損が二百四十六隻、死亡者五百三名、昨年十一月一日から十二月三十一日まで、救助を要するものは千四百四十四隻、そして沈没して全損したものが二百三十七隻、死亡者、行方不明と合わせて五百二十二名、こういうふうに、沿岸の漁民や、あるいは漁船が沈没している、これは何も、あなたのほうの管轄ばかり責めるわけじゃなくて、水産庁のほうにおけるところの船の整備等に対しても、われわれは相当注意を要求しますけれども、これに対するところの海難救助に対する方針が従来と少し、もっと幅を拡大するとか、あるいは性能のよい船を造船するとかして、こういうことに対処する必要があるんじゃないかと思いますが、こういう点に対して大臣はどうお考えですか。
  96. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) おっしゃるように海難の救助の率は四割程度と思っております。これをもっと高める必要がありますので、したがって巡視船あるいは巡視艇を高性能を持ったものに変えて参りますと同時に、その数をふやして参りたい。また飛行機、ヘリコプターといったものを増強いたしたいと、かように考えております。  本年におきましても若干その目的は達しましたが、これではとうてい十分ではございませんので、今後相当の計画をもって大蔵省に強く要望をいたしたい。御要望に沿うようにいたしたいと、かように存じております。
  97. 千田正

    千田正君 最後にもう一点だけ。もう一つは、これはかつてのいまわしい事件として、われわれは国民的に悲しい事件だったと思うが、洞爺丸事件であるとかあるいは瀬戸内海の連絡船の沈没であるとか、ああいうことをわれわれは繰り返したくないと思うのでありますが、そういうのに対する厳重な注意と、それから、あれから船が新造されても、もう古くなってきているんじゃないか。代替船やその他に対する予算の措置やあるいは計画等、そういうものはお持ちになっておられますか、どうですか。
  98. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 国鉄の連絡船につきましては、たえず注意をいたしておるわけでありまして、ああいうようなことによって船の整備が悪かったから事件が起こるというようなことのないように、また海上気象等との連絡も密にしまして、さらに今後繰り返さないように十分の配慮をいたして参りたいと考えております。
  99. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 航空関係でさっきちょっと申し上げたのだが、何というか、船でいうと積み取り率になるのだが、航空関係で、そういうような性質の資料がありますか、どうですか。
  100. 今井栄文

    政府委員(今井栄文君) 資料はございます。何でしたら詳細なものは後刻提出いたしたいと思います。概括を申し上げますと、国際線の状況でございますが、国際線は逐年入国出国ともにふえておりまして、現在昭和三十四年から三十六年までの統計によりますと、日本に対する入国並びに出国はそれぞれ二九%、二四%、二九%というふうに入国者、出国者がふえております。  したがいまして、先ほどお話の出ました観光的な観点からしますと、非常に国際的な水準を上回る率で増加しつつあるということが言えると思います。  具体的な数字で申し上げますと、全体で入出国者の総計は、昭和三十六年度の一部推定が入りますが、五十二万二千人となっております。この中で太平洋から入りますものが約十万、出国も同じように約十万でございます。それから東南アジアそれから欧州方面から、あるいはまた豪州から入って参りますものが約十四万でございます。これもやはり同じように入国も出国もほとんど同数でございます。それからまた韓国から参ります方々が約一万二千、出国が一万四千というふうに大体見合った数字でございます。全部合わせますと、入出国者の数は、航空機によりまして羽田空港を経由して約五十二万人というものが出入りしているというのが現状でございます。  この中で日本航空がどの程度積み取りをしておるかと言いますと、太平洋線におきましては、主としてアメリカのパン・アメリカン並びにノースウエスト両社との関係でございますが、全体の二五%は日航が積み取っておる。七割近いものをアメリカのキャリアが積み取っている。残りをイギリス、カナダその他が分けあっているというのが現状でございます。  なお日本航空は、新しいジェット機が今月または来月早々に入って参りますれば、ハワイ線あるいはロスアンゼルス線というような太平洋線の増便も考慮しておりますから、積取率はかなり変わると思います。  それから南回りにおきましては非常に競争が激甚でございまして、国際キャリア約十数社の競争になっておりますが、東南アジアにおきましては、日本航空は大体一五%の比率をもって積み取っております。  それから北回りは御承知のように四社の競争になっておりまして、KLM、エール・フランスそれからスカンジナビア・エアラインそれから日本航空この四社がそれぞれ週二便ずつ運航いたしております。日本航空は昨年六月この路線に加入いたしたわけでございます。現在の積取率は必ずしも高いわけではございませんが、一二%程度の旅客は日航が積んでいるというのが現状でございます。  それから国内線につきましては、国内線の旅客は、特に幹線を日航は運営いたしておりますが、非常に増加率の激しい昭和三十五、三十六年までを見ますと、五〇%以上が旅客が入っておるという状況でございまして、国内幹線全体の旅客数で申し上げますと、百三十万人の方が飛行機を利用しておられる。大体そのうちの、昭和三十六年度におきましては、日本航空の一〇に対して、これに参加している全日空が約二と、一〇対二というような比率で幹線を運営いたしております。しかし全日空は、さらにまた機材計画もございますので、三十七年度におきましては、全日空の積収率が多少まだ上回るというふうなことも考えられます。
  101. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 北方回りは非常に悪いように思うのです。これらをもっと努力していただかなければならないと思うのですが、一般に私はさっきちょっと申し上げたが、たとえばあの大会社のパンアメリカンあたりでも、お客を集めるのに非常に苦心しているようです。外から来るのですが、アメリカからこちらに来るについて。そういうこともよく御研究になっていただきたい。運賃はきまっておることだし、あとはどういうことが出るか、もちろん荷物を目方を大目に見たりするようなことも、IATA等の関係から、これはできない。そうすれば、どういうことが残されておるかということになるわけですね、そういう点をよく考えて、ひとつせっかくやる以上は、国がもちろんこれは資金的、財政的に援助しなければならないことは明らかであると思うが、ひとつ会社自体において、そういう点をもっと研究を怠りなくやっていただくように御研究願いたい。それから、さっきちょっと申し上、げた新型輸送機関といいますか、ヘリコプター、これはヘリコプターの現在の機能なりコストなりの問題があって、なかなかそう急にはいかないと思います。日本のような地形を持っていると、ああいうものは非常に役に立つ、適切なものだと思うのですが、こういう点にひとつ、うんと研究費を注ぎ込んで、それがコマーシャルにいくように御研究になり、ヘリコプター、そういうものをもっと何といいますか、奨励というと語弊がありますが、促進助成していただくといいと思うが、その点について、局長はどういうふうにお考えになりますか。
  102. 今井栄文

    政府委員(今井栄文君) ヘリコプターの将来性につきましては、先生の御指摘のとおりでございます。現在ヘリコプター会社は、主として産業航空を中心にして約三十社程度が全国的に活動いたしておるわけでございます。  まあ航空の将来のためには、できるだけ乱立しないように、一定の輸送秩序のもとに統制のある運営をするようにというのが私どもの考え方でございます。もちろんヘリコプター自体が、非常に近距離の局地的な企業でございますので、それぞれの地域の特殊事情に応じては、やはり事業者というものも、当然存立を認めていくということを考えていかなければならないと思います。各地の実情を十分調査いたしまして、全体的に乱立しないという建前のもとにおいて、新しい事業者についても、十分これを育成していくというふうな方向で考えていきたいと思っております。
  103. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 さっき運輸大臣に、ちょっと総括的だけれども、御所見を聞いたのですが、国鉄のほうからひとつ、あらましでよろしいのですが、組合との今度の交渉の経過についてお話し願いたい。
  104. 中村卓

    説明員中村卓君) 新賃金の要求に対する交渉経過というふうに、私、先生の御質問を了解いたしまして、お答えいたしたいと思います。  御承知のように国鉄におきましては、大ざっぱに分けまして四つ組合がございます。一番今度の問題を早く取り上げた組合から順々に一応経過を申し上げてみたいと思いますが、一番最初に申し出ましたのは、職能別連合、いわゆる職能別という組合でございまして、要求は大体基本給の一五%プラス千七百円ということでございます。これにつきましては、要求が昨年の秋十月ごろにございまして、その後六回ばかり団体交渉をやりましたが、どうしても結論に達しませんので、十二月の十五日に、組合側から調停要求を申請をいたしまして、調停にかかりまして、調停が数回行なわれたわけでございますけれども、二カ月以上たちましても結論が出なかったので、二月の十五日に、仲裁申請をいたしております。現在仲裁の手続が進行中でございます。  それから、その次の地方総連合でございますが、これも、大体ただいま申し上げました職能別連合と同じような経過でございまして、要求額は、若干は違いますけれども、大体一人頭の平均は五千五百円、似たような額でございますが、これも団体交渉を十二月の中旬に八回ばかりやりましたが、打ち切りまして、調停申請をいたしまして、さらに、調停が長引いて結論が出ませんので、三月の初めに仲裁に持っていっております。この両者につきましては、昨日、職能別の関係につきましては、第四回の仲裁委員会でございます。それから、総連合の関係につきましては、第二回の仲裁委員会がございました。いずれも結論が出ておりません。  それから、いわゆる国鉄労働組合——一番大きな、三十万以上の組合員を持っている国鉄労働組合でございますが、このほうは、十二月の初めに要求を出して参りまして、その後八回ばかり団体交渉をやったわけでございますけれども、これもなかなか結論が出ません。私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、二つの組合が、もうすでに仲裁手続を進行中でございますし、また国労側が違法な闘争を組んでいるという話を聞きましたので、どうだ、仲裁に持っていかないか、という話をしたわけでございますけれども、これは、向こうが拒否いたしましたので、やむを得ず調停に、三月十六日に、持っていっております。  それから、動力車につきましても、ただいま申し上げたような、国労と同じような状況でございまして、十二月の初めに賃金改定の要求がございまして、団体交渉をやりましたけれども、やはり結論が出ませんので、国労と同じように、仲裁に持っていったらどうかということを申したわけでございますけれども、それを向こうが拒否いたしましたので、三月十六日に、国労と同じ日に、調停申請をいたしております。このあとの両者につきましては、昨日第一回の調停委員会が開かれたようなわけでございます。  なお、きょうの新聞にもちょっと出ておりましたけれども、国鉄労働組合といたしましては、昨日、仲裁に持っていきたいから同意してくれという、当局の同意を求めて参りましたけれども、当局側といたしましては、一つには、先ほど申し上げましたように、二十八日、あるいは来月の十日ころに、いわゆる総評のスケジュール闘争に基づく、まあいわゆる非合法な闘争を組んでいるというようなこと、それから先ほど申し上げました、昨日行なわれました第一回の調停委員会には、国鉄労働組合としては正式に応じなかった、応じられないという理由を説明にきたのだというようなことで、国労側の代表が顔を出したようですけれども、正式には応じなかったというようなことを耳にいたしまして、向こう側の仲裁に持っていこうという申し出に対しては、拒否したわけでございます。  現在の段階では、そういうことでございまして、それぞれいわゆる第三者機関に事案がかかっているわけでございます。
  105. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 あらましの事情はわかりましたが、何といいますか、どこでもそういう傾向があるのですが、一般の労働組合においてもあるのですが、どうも団体交渉というものが、たとえば相撲の仕切り直しみたいなもので、ただやる形だけだ。それでなかなかきまらないで、結局は仲裁にいってしまうということが、公労委のほうでも、中労委の場合でも例になって、日本の労働関係というものは、きわめて自主性のない、自主的な交渉能力がないように思われて、非常にこれは労働関係としてはおもしろくないことだと思います。これについては国鉄当局自体に、何といいますか、予算に縛られて当局自体も完全に自主性をもって交渉に当たれないというような弱みがあるという点もあると思うのですが、この問題については、この辺が一つの問題、それからまた国鉄については、四つの組合があって、おのおのお互いの組合の交渉経過、成り行きなんかをお互いにみながら牽制し合っているような傾向があって、との点も非常に労働関係を、何というか、むしろ混乱させているように思われる。結局私は結論的には、仲裁が出て、そうして仲裁にいってしまうより仕様がないと思うのですが、労働組合が、この調停をきらって調停に出てこない。けさの新聞で見ているのですが、これは調停では仕様がないということからきているのか、あるいは結局戦術からきているのか、調停で事が済む見込みがないという、そういう見通しからか、どちらからきているのですか。
  106. 中村卓

    説明員中村卓君) 先生のお話でございますけれども、すべての労働問題が、仲裁委員会、あるいは調停委員会にいっているわけではございませんで、そういうところにいきますのは、いわゆるベースアップ、新賃金の要求の問題だけでございまして、その他ずいぶんいろいろの問題がありますけれども、大体それは、団体交渉によってほとんど九〇%以上、あるいは百パーセントと申し上げてもいいと思いますが、新賃金以外のものは、両者は妥結して実施しているわけでございます。  ただいまの最後の御質問につきましては、はっきりは私責任をもったお答えができませんけれども、われわれが想像いたしますところでは、公労協の戦術といたしまして、事情聴取に、個々の組合は単独には応じない。昨年はやったわけでございますけれども——それに似たようなことがあったわけでございますが、それと同じように、公労協全体として、一括して話を聞いてもらうのだったらするけれども、個々の組合単独には、事情聴取に応じないという態度の現われでないかと想像いたしております。
  107. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 組合の要求に対して、当局がある程度の条件を出されたことと思うのですが、現在のところでは、非常に開きがあるように伝えられておりますが、どの程度の開きがあるのですか。その点は、ここでは公表していただけますか。
  108. 中村卓

    説明員中村卓君) 先ほど国鉄と動力車労働組合の要求はあまり詳しく申し上げなかったのですが、組合側の要求は両方とも似たようなものでございまして、大体基本給の四%プラス五千円という要求でございまして、大体六千円前後になるのではないかと考えられますが、これに対しまして当局側といたしましては、昨年も、御承知のように三十六年の春のベースアップ一〇%を仲裁裁定で実施されておりますし、それから労働生産性の問題その他いろいろ理論的な根拠がございますけれども、それからもう一つ財政的な理由からも、全然今回は、ベースアップの要求には応じられない、いわゆるゼロ回答をしておるわけでございます。
  109. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 問題は生産性の問題ですが、たとえば運賃、これは生産性というても、いつも運賃が改定される場合に問題になる点で、結局運賃を幾ら上げても、いわゆる年中行事として、それが生産性、いわゆる能率の向上とか合理化によって得られる資金以上に、賃金が持っていってしまっては、これは国民として非常な迷惑を受けるわけです。  私は、仲裁とか調停の関係はあるが、こういう関係は、もう少し何といいますか、はっきりと、世論に訴えると言ってはちょっと強いのですが、国民によくわかるようにして、どういう要求が出て、当局はどういうことを言っている、組合はどういう要求をしているのだということが、もう少しわかったほうがいいように思う。これはすぐ、公務員であれば国民の税金に、国鉄であれば運賃にはね返ってくるわけなんで、国鉄が自分の従業員だからといって、組合の要求を全面的にのむということはとうていできないはずなんです。そういう場合の当局の側の心がまえとしては、もう少しそれがわかるように、国民にもぴんとくるように数字的にも説明されたり、あるいはこれを公表されたりする必要があると思うのだが、こういうことは一面労働組合を刺激する、労働組合がまた扱いにくくなるというような配慮が他面におありだと思いますが、しかし、こういう労働関係は、もっと公明に私はやるということが、労働組合の発達のためにも必要であるというふうに考えるわけなんで、そういう点について、担当の中村理事の御見解を承っておきたいと思います。
  110. 中村卓

    説明員中村卓君) 先生の御意見もごもっともと思うのでございます。われわれも機会のありますごとに、そういう点につきましてはPRもしているわけでございますけれども、まだまだ、そういう点の努力が足りないかと思います。御参考までに生産性と実質賃金の関係、三十年度を一〇〇といたしまして三十五年度までの数字が手元にございますので、ちょっと申し上げてみますと、生産性向上を一人当たりの換算車両キロというように見ました場合に、これは理論的な問題もございますが、一応常識的には生産性の指標となっておりますので、これで申し上げますと、三十年度を一〇〇といたしますと、一人当たりの換算車両キロは、三十五年度は一二一・六でございます。実質賃金の指数は、三十年度を一〇〇といたしますと、三十五年度には一三一・五ということで、生産性の指数よりも実質賃金の指数のほうが上回っておるわけでございます。  そういう点から考えましても、われわれのほうといたしましては、理論的にもなかなかベースアップの根拠が薄いのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  111. 千田正

    千田正君 関連して。今、加賀山さんの御質問にもありましたが、私は国鉄の労組は毎年のように、年中行事のように賃金闘争をやる。私は外国を見て歩いても、そんなに年がら年じゅう闘争しておるような労働組合はどこにもないですよ。しかも公共企業体として外国の労務者あたりだったら誇りを持っておる。やはり国民に奉仕するという奉仕の精神というものを、一貫して貫いた、いわゆる公共企業体の職員であり、従業員であるという誇りを持ってやっておるのですね。  どうも最近の労働の、そういう問題になるというと、賃金闘争にだけ焦点を置かれて、自分らが置かれておる国民の期待されておる立場であるということを忘れられておるのではないかと思う。それは国有鉄道内における心がまえなり、あるいは新入社員にしてもそうだし、新しくかかえるときの従業員に対しても、首脳部の十分なる薫陶が惨透しないのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  112. 中村卓

    説明員中村卓君) 新規採用者——新入社員でございますが、これにつきましては、大体一カ月くらい各地方の職員養成所というところで教育をいたしまして、それからそれぞれの職場に配置いたしておりますし、その後におきましても、職員の再教育ということにつきましては、私たちも常日ごろから関心を持っているわけでありまして、強力に実施しているつもりでございます。大部分の職員は、ただいまの先生のお話でございますけれども、国鉄に就職して仕事をしていく、国鉄に職場を得て働いていくことに誇りを持って働いているのじゃないかと私たちは考えております。  ただ、いわゆる新賃金の問題、ベース・アップの問題になりますと、これは御承知のように国鉄の労働組合だけの問題ではございませんで、官公労、総評、公労協というような横の連係の下に、いわゆるスケジュール闘争というような形で、毎年々々こういう問題を起こしまして、場合によってはいわゆる違法な争議行為をやりまして、国民の皆さんに御迷惑をかけるというような事態も他方においては惹起したわけでございますけれども、最近の国鉄の労働組合の様子を見ておりますと、この面につきましては、相当いわゆるおとなになってきたのじゃないかというような感じも受けます。と申しますことは、たとえばこの間妥結いたしました四工場、被服二工場と京都の自動車工場、豊川の分工場、これを廃止するというような、いわゆる国鉄の相当当局側の思い切った合理化の提案につきましても、いろいろ紆余曲折はございましたけれども、最終的には円満に妥結して、時期は若干おくれましたけれども、当局の方針どおり実施していこうというように同意を得たわけでございまして、そういう点につきまして考えてみますと、かなり昔と違いまして、国鉄経営ということにも頭を使いながら労働問題を処理していくという態度に、だんだん変わってきたのじゃないかというふうに考えられる面も出て参ったのであります。ただ、先ほど申しましたように、特に新賃金の問題になりますと、すべての総評関係の組合の、場合によっては先頭切ってやらなければならないというような立場に置かれている場合もあるやに見受けられますので、なかなか国鉄労働組合単独の意見なり気持だけで動けないという面もあるのではないかと、われわれ想像しているわけでございますけれども、いずれにいたしましても、今年度は、そう激しいような闘争はやらないで済むのではないかという見通しを持っております。
  113. 千田正

    千田正君 今お話を伺っているというと、国鉄の労働組合の諸君は十分に誇りを持っておられるということで、これはけっこうなことなんです。そうして賃金の闘争だけは、これはほかの団体との関係上やらなくちゃならないのだ。どうもそこはロジックが合わないのです。ということは、誇りを持ってやっているにかかわらず、十分な賃金を与えられてないとすれば、それは運営に欠陥があるのか、あるいは国鉄財政状態なり、そういう根幹に労働組合の諸君が十分に納得していない。あるいは十分にそれを了承しているならば、そういうことは、そうたびたび起こるはずはないのじゃないか。だから、国鉄財政あるいは経営というものに、十分に労働組合の諸君が納得のいくような状態に置かれてあれば、たとえほかの組合から共同闘争をやろうじゃないかといわれても、おのずからそこに国鉄のバックボーンがあるはずです。私はそこに、あなた方のなにに疑問を持っているのです。労働者は誇りを持っているということはけっこうなことだし、そうあるべきであるし、それには間違いないとするならば、なぜ賃金闘争を起こすのだというようなことになると、そこにあるいは国鉄経営実態を十分に了承してないのじゃないか、把握してないのじゃないか。把握をさせるだけの、皆さんが十分に知悉するだけの、そういうあれが足りないのじゃないか。われわれはそう思うのです。  国鉄というのは、別のものじゃないので、国民の機関なんですから、なにもそれは単なる営業会社じゃないのですから、われわれの機関だと、われわれは思っています。国鉄の労働者ばかりのものでもない。あなた方ばかりのものでもない。日本国民全体のものだと、われわれは考えているのですから、そういう点からいえば、十分にそれが納得いくような、了承するような方向になっていないのじゃないか。それだから、そういうことがしょっちゅう繰り返されるのじゃないか。今のお話だと、それは十分納得しているのだけれども、いわゆる同じ総評なら総評の傘下にあるのだから、お互いにそうやらなければならないのだということだったら、それは日本国民としての考え方のはき違えじゃないかと私は思います。そういう点はどうお考えになりますか。
  114. 中村卓

    説明員中村卓君) 一応経営の内容につきましても、ある程度の理解を持っているということは、先ほど四工場の廃止というような、当局の相当思い切った合理化につきましても、組合側も一応納得してもらって、妥結をして円満に実施をする段階になったという例を申し上げたのです。そういう問題については、相当最近は頭から合理化反対というようなことじゃなくて、やはり国鉄経営というものを理解しながら、その中において労働問題をできるだけ解決していこうという態度に、だんだんと変わりつつあるという一つの例証として申し上げたわけでございます。そういう意味から見ると、時刻改正の問題におきましても、増員は全然せずにあれだけの列車増発をやったわけでございまして、組合や関係職員の協力なくしては、われわれの力だけでは、とてもできない問題でございまして、そういう点におきましても、大過なく時刻改正ができたという問題につきまして、やはりそういう協力があったというふうにわれわれも感じておるわけでございます。  そういう点につきましても、だんだんとわれわれのほうの気持なり、経営の方式なりというものについて理解が深まってきたのではないかというふうに考えておるわけでございますが、賃金の問題につきましても、これはまあ職場職場によりまして、いろいろの見方がございます。特に、まあ昨年もそうでございましたけれども、いわゆる人事院の勧告が出まして、国家公務員のベースアップというものが去年も十月に実施されたわけでございまして、それに関連いたしまして、自分たちも何とかしてくれなくちゃ困るという気持で、組合のほうの、向こう側の立場に立つと、そういうことも考えます。また消費者物価も上がっていることは、これは御承知のとおりでございまして、それにつきましては、当局は当局なりにいろいろな反論をいたしまして、まあ先ほど申し上げましたように、調停なり、仲裁なりの段階でいろいろやっておるわけでございますけれども、そういう点につきましても、われわれといたしましては、及ばずながらいろいろ組合にも国鉄経営の内容ということを団体交渉その他の席を通じまして話をし、理解を求める態度でやっておるわけでございますけれども、やはり新賃金の問題になりますと、先生のお言葉のあれでございますが、ちょっと様子が違ってきているようなのが過去の数カ年間の慣例の一つにもなっておりますし、いわゆる春闘ということでスケジュール闘争をやっているというのが、遺憾ながら現在の段階の状態ではないかと考えております。
  115. 千田正

    千田正君 ただ私、何回も申し上げますように、あくまで国民の鉄道だということをお忘れなく、生産者にしても、消費者にしてもあるいは旅客にしましても、そういうことによって迷惑をこうむるということは非常に残念なことですから、やはり国有鉄道というものは国有鉄道だけの問題ではなくて、これは国民全般のものだという観念で、国民は皆さんに協力もするし、それから期待もしておるわけですから、だから労働組合のやることに対しても、われわれはある程度の了解をしております。だから、それは十分にお考えになってやることをわれわれは要請したいのです。
  116. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 もう一つ伺いたいのだが、今ちょっと話に出た問題で、経営合理化のために、この輸送というものに直接関係のない工場を廃止して、これを民間に移すという交渉があった、組合も、これをいろいろよく理解して妥結した、ところがここに社会党議員がいないのは非常に残念ですが、ある社会党議員が、そんな協約はわれわれ認められない、これはだめだと言って非常に組合や、当局を困らせているそうなんですが、ちょっとそういうことを聞いたのですが、私は、とんでもない話だと思うのです。ひとつどういうことであるか、伺いたいと思います。
  117. 中村卓

    説明員中村卓君) 最初の前提として四工場の廃止ということを申し上げたのですが、そのうちの被服工場の仕事は、全然外注に切りかえます。それから豊川の分工場は——名古屋の分工場でございますが——この豊川の分工場を廃止いたしまして、仕事のほうは浜松の工場へ移転するわけでございます。京都の自動車工場も、これも同様廃止はいたしますけれども、仕事は鷹取の工場へ移転して、そこでやるわけでございます。そういうわけで、被服工場等四工場の廃止と申しましても、その二つを完全に廃止をいたしまして、外注に切りかえる、あとの二つは廃止はいたしますけれども、その仕事は依然として国鉄の他の工場で直営の形態で経営していくということでございます。  この問題につきまして、一応三月の三日でございますか、組合と妥結をしたわけでございますが、その後におきまして、社会党のほうから若干内容について、実施方について要望がございました。われわれもその点につきましては、いろいろと職員の中には、配置転換を受ける者もございますが、職員の私的な、個人的な事情のある方もございますし、あたたかい気持をもってやっていくという従来の基本的な方針には変わりはございませんので、この妥結した内容については全然変わらずに、実施方法について十分慎重な考慮を払うということで、社会党の先生方の御了解も得たわけでございます。話は、すっかり落着しております。
  118. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 落着していれば、たいへんけっこうでございますが、次に自動車局長に一つ伺いたいんですが、この激増する自動車に対応して、いろいろ車輌検査等に新方式をとって、極力要員整備してやっていこうという局長施策には敬意を表しているのだが、この間、交通規制について第一次的な規制の案がきまって、四月二十日からでしたか、実施されるが、第一点は、この規制で、あとどれくらいもっと局長は、これは先のことですから、なかなかわからぬが、私はおそらくこの程度では、何かもっと根本的な施策をしないともたないと思うんですが、局長としては、どういうふうに考えておられるか。  それから、最近の事故を見ると、大体トラック、小型貨物自動車、そういったものがその役割を演じているようです。一面バスが非常に大きくなり過ぎたために起きている事故が非常に多いということですが、私はこれは技術とともに、徳育というか、運転をする人たちに、社会公共の理念をもう少し植えつけるように、そういった面の精神面の教育というものが足りないように思われるのですが、自動車局長として、それに対する自動車運転者養成あるいは再教育の方策をお持ちかどうか、この二点について伺いたいと思う。
  119. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 東京都内におきます交通規制につきましては、先般陸運局と警視庁の間で話がつきまして、その線に従って公安委員会のほうで実施することになっておりますが、その内容につきましては、すでに御承知と思いますけれども、トラックにつきましては、七トン以上の大型のトラック、時間帯は午前八時から十一時まで、午後一時から午後七時までということになっております。また道路につきましては、大体都内の主要道路二十路線について通行禁止ということになるわけでございます。それから特殊な車、長物車あるいはトレーラー、こういったものも規制の対象になってきます。それから大型のバスにつきましても、バス型の車輌につきましても、規制の対象にいたしておりますが、これは時間は夕方の午後五時から七時までということになっております。  大体そういった内容をもった交通規制でございますが、これによりまして、どの程度交通が緩和できるかという御質問でございますが、何分にも、こういった規制は、初めての試みでございますので、いろいろ効果についても検討いたしたのでございますが、規制の効果を非常に強めようとすれば、こうむる影響が、犠牲が非常に大きくなるという点がございますので、産業経済あるいは日常生活の影響を極力少なくして、しかも規制の効果は極力高くしょうという考え方で、まずこの線に落ち着いたわけでございますので、したがいまして、これが実施後どういうふうに効果があるかということにつきましては、実は大きな期待はできないんじゃないかと、かようにまあ考えております。  そこで考えられますのは、こういった強制力による混雑緩和の規制とは別に、行政指導によりまして、できる限り都内の混雑を緩和しようということに、むしろ今後の重点を置いていきたいと、強制力による規制はこの程度で様子を見ながら、反面行政指導による混雑緩和策を立てていきたいというふうに、二本立てに考えております。  で、行政指導によります緩和策といたしましては、何と申しましても、道路上に長時間にわたって車を放置するということをなくしようということでございまして、その方法といたしましては、直接、車の規制ではなく、地域におきます駐車の禁止、この駐車禁止区域を現在でもいろいろやっておりますが、さらにこれを徹底して強化していこうということを現在考えております。それからなお、都内を通行しております通行の仕方にいろいろ指導を加えまして、すでに現在やっております右折禁止あるいは一方交通、さらに今後は道路を、たとえばこの道路をトラックならトラックだけ、あるいは乗用車なら乗用者だけといった道路の使用区分につきましても、今後いろいろ検討をして、できるだけ流れを円滑にしていこうというふうなことを強くやっていく考えでおります。この点につきましても、この強制力による規制案につきまして陸運局と警視庁と話し合いをいたしました際に、行政指導による混雑緩和の措置につきましても十分話し合っておりまして、今申し上げましたような方法を、さらに強化していくということを考えております。なお路上に車を放置してあるものを積極的に除くというための駐車禁止区域のほかに、さらに現在考えておりますのは、むやみに路上に放置しておるものを、駐車禁止区域でなくても取り締まるという方法も考えております。さらにこれらの取り締まりを受けた車の置き場所につきまして、車庫あるいは常置の場所を必ず持たすということで、これらも含めました特別立法も実は昨日来関係者の間で練っておりまして、大体成案を得ましたので、関係各省共同提案の形で国会に御審議を願うことになる予定でおります。  まあこういうふうな方法を講じまして、強制力による規制の効果をさらに補充し、強制力による規制よりも、もっと大きい効果を行政指導でやっていきたい。本来道路は交通を、どんどん車を通すべきであって、規制するのは本意でございませんので、こういった行政指導によって効果を上げたい、かように考えておるのでございます。  次に最近の交通事故、特にトラック等によります交通事故の非常に頻発しておりますことは、まことに憂慮にたえないところでございます。これらの原因をよく調べてみますというと、ほとんどが運転者の不注意あるいは過失、これに基づく事故が多いのでございます。  そこで特にトラックの運転手等につきましては、ただいま御指摘のありました運転者の教養教育、そういう面にも力を入れるようにという御質問でございましたが、現在一般の運転の免許につきましては、御承知のように、道路交通法によりまして公安委員会が免許を与えております。で、この免許の年令につきましては、現在一般的には十八歳ということになっておりますが、やはり若年の者がどうしても事故を頻発しやすいという傾向がございますので、このほうは本日の閣議を通ったはずでございますが、年令を二十歳に引き上げるという道路交通法の改正の措置を講ずることになっております。  それから事業者につきましては、道路交通法による公安委員会の免許を取っている資格者に対しまして、さらに事業者が、それ以上の条件を持った運転者でなければ使ってはならないということをきめております。これは特に旅客用の車を運転する場合、バスあるいはハイヤー・タクシーの運転手でございますが、これらは公安委員会の免許資格の上に、さらに半年あるいは一年旅客用の車の運転の経験を持っておるかないしは陸運局長が指定しております教習所に入れまして、教習の課程を経たものでなければ、事業所のほうでは使ってはいけないという規定を設けております。で、この陸運局長の指定いたしております教習所の教科科目の中に、ただいま御指摘のような教養を高めるための科目を今回新設いたしたい。さらに特にハイヤー・タクシーにつきましては、東京とかあるいは大阪とか、大都市におきましては地理に通ずるということも、やはり事故防止あるいは教養の一端にもなろうかと思いますが、地理を教習科目として加える、この二つの科目を加えまして、運転手の教養を高めるというふうな措置を講じたいと思っております。なお、運転手の教養一般の向上につきましては、やはり事業者のほうで積極的に常に監督指導する際に、教養を高めるという見地に立って指導をし、あるいは監督をする必要があろうかと思いますので、この点は事業者に対して、平素から強く要望いたしておるような実情でございます。
  120. 赤松常子

    赤松常子君 今の強制力を強めるという行政指導をやっていくとおっしゃっておりましたのですが、私大へんいいと思うのですが、最近新聞で見ますと、駐車場を持っていない業者の車がずいぶんあって、業者がずいぶん検挙されている。私それだけではいけないのであって、車をどうぞこちらへ駐車しなさいという駐車場の設置を、今、土地が高くて、とてもたいへんでございましょうけれども、国なり都なり何か空地を利用して駐車場をそういう経営で持たれて、こちらのほうへいらっしゃいというふうにならないものでしょうか、そういう構想はないものでしょうか。ただ、びしびし取り締まっただけではだめだと思うのです。そういう意味の行政指導を具体的になさっていただきたいと思うのでございますが、どういう御計画がございましょうか。
  121. 木村睦男

    政府委員木村睦男君) 駐車施設を持っていないので、それを検挙して取り締まるというお話でございましたが、これはちょっと誤解がおありになるのじゃないかと思います。ただ単に、駐車施設を持っていないということで処罰にはならないのでございまして、道路上におきまして駐車をしてはならないという場所へ駐車した場合に違反として取り締まる、こういうことになっております。  なお駐車の施設を根本的に整備すべきではないかというお話でございますが、まさにそのとおりでございまして、やはり路上から長時間の駐車の車をなくするためには、事業者がみずから駐車施設を持つのも当然でございまして、そのほうの努力も要請しておるのでございますが、一方やはり公共の駐車場といいますか、そういったものを相当増加して作る必要があるというふうに痛感いたしております。この問題につきましては、私たち運輸省だけの仕事でもございませんので、交通関係の各省の関係者が集まりまして、内閣も交通対策本部というものを構成しておりますが、そこで寄り集まって協議をいたし、その具体的な方法を考究いたしておるのであります。先般来、まず何と申しましても、土地を安く手に入れるということが先決でございますので、東京都あるいは行政管理庁等で、都有の土地あるいは国有財産に属する空地あるいは今後埋め立てる予定のある場所、そういうものを総ざらいに調べまして、そうして、それをお話のような交通関係の施設に転用するということで、関係各省集まって検討いたしております。そういう意味の駐車場につきましては、現在は建設省のほうでやっておるわけでございます。建設省のほうで、この空地あるいは埋め立ての予定地につきまして、駐車場を作る計画をいろいろ現在検討いたしております。  また運輸省といたしましては、やはり駐車場的な機能もございますが、ターミナルの設置につきまして、そういった土地につきまして、現在計画を練っております。  こういうふうにいたしまして、一般駐車場をなるべく安くできて、そうして安い料金で使えるようにしませんと、現在、すでに御承知のように都心等にも有料の駐車場が相当ございますが、やはり土地柄だけに料金が高いものでございますので、そこがあいておって路上に車をとめるという点がございますので、そういう点をあわせて考えまして、駐車場の増設ということを現在いろいろ検討いたしておるわけでございます。
  122. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) ほかに御質疑はございませんか。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  123. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) 速記をつけて下さい。  本日は、御質疑がなければ運輸省関係の質疑は、これをもちまして終了することといたしまして、御異議ございませんでしょうか。
  124. 赤松常子

    赤松常子君 今の千田委員の御発言を含んでございますね……。
  125. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) では、今の御発言もございましたので、本日は、運輸省関係の質疑は、一応この程度にいたします。  午後は二時から、建設省所管についての審議を行なうことといたしまして、暫次休憩いたします。    午後一時二十三分休憩    ————・————    午後二時二十五分開会
  126. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) 休憩前に引き続き分科会を再開いたします。  分科担当委員の変更について御報告いたします。本日、佐多忠隆君が辞任され、田中一君が選任されました。   —————————————
  127. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) 昭和三十七年度総予算中、建設省所管を議題といたします。  まず政府説明を求めます。中村建設大臣。
  128. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 建設省関係の昭和三十七年度歳入歳出予算につきまして、その概略を御説明いたします。  まず、総額について申しますと、建設省所管の一般会計歳入歳出予算といたしましては、歳入は十五億四千七百余万円、歳出は三千十九億二千四百余万円であります。歳出におきましては、このほかに、総理府及び労働省の所管予算として計上されておりますが、実質上建設省所管の事業として実施される予定経費がありますので、これらを合わせますと、昭和三十七年度の建設省関係予算は三千四百十二億七千百余万円となり、前年度の当初予算に比べ七百五十八億五千余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ四百十二億六千四百余万円の増加となっております。  次に、特別会計予算の概要を御説明いたします。  治水特別会計予算総額は、歳入歳出とも七百六十八億六千四百余万円で、前年度の当初予算に比べ百七億八千六百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ八十五億七千八百余万円の増となっております。  これを勘定別にいたしますと、まず、治水勘定につきましては総額六百九億二千三百余万円で、前年度の当初予算に比べ百三億六千余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ八十一億八千余万円の増でありまして、うち一般会計より受け入れとして四百七十六億八千余万円、地方公共団体工事費負担金収入として八十三億九千四百余万円を予定いたしております。  また、特定多目的ダム建設工事勘定につきましては、総額百五十九億四千百余万円で、前年度の当初予算に比べ四億二千六百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ三億九千八百余万円の増でありまして、うち一般会計よりの受け入れとして、七十九億三千百余万円、地方公共団体工事費負担金収入として二十五億六千四百余万円、電気事業者等工事費負担金収入として三十三億九千二百余万円を予定いたしております。  なお、このほかに財政法第十五条の国庫債務負担行為として直轄河川改修事業に十六億円、多目的ダム建設事業に三十八億一千万円を予定しております。  次に、道路整備特別会計でありますが、本特別会計昭和三十七年度予算総額は、歳入歳出とも二千七十一億四千九百余万円で、前年度の当初予算に比べ四百十八億七千五百余万円、また、前年度の補正後の予算に比べ四百十六億八千四百余万円の増でありまして、うち、一般会計よりの受け入れとして一千八百五十六億九百万円のほか、直轄道路事業の地方負担金収入として百五十五億四千七百万円、前年度剰余金の受け入れとして十億円を予定いたしております。  このほか、財政法第十五条の規定に基づく国庫債務負担行為として、直轄道路事業に七十五億円、首都圏街路事業補助に四十億円を予定いたしております。  次に、個々の事業予算重点について御説明いたします。  第一に、治水事業につきましては、国土の保全と民生の安定を期する見地から、その促進に努めてきたところでありますが、昭和三十七年度におきましては、近年の災害発生の状況にかんがみ、緊急を要する事業重点を置いて、治水事業十カ年計画の一段の推進を期することとしております。  昭和三十七年度の治水事業関係予算のおもなものとしては、治水特別会計において河川事業に三百二十五億九千四百万円、多目的ダム建設事業に百四十三億四千五百余万円、砂防事業に百十八億五千七百余万円、伊勢湾高潮対策事業直轄事業分に十八億四千六百万円、水資源開発公団交付金に十二億七千余万円。一般会計において海岸事業に十七億八千八百余万円、チリ地震津波災害地域津波対策事業に二億七千六百万円、伊勢湾高潮対策事業補助事業分に三十四億二千二百万円を予定しております。  次に、そのおもな内容について申し上げます。  まず、河川事業につきましては、直轄河川において、継続施行中の利根川等九十九河川のほか、新規に櫛田川及び緑川の二河川を加え、合計百一河川及び北海道の特殊河川において十六河川の事業実施する予定であります。  これらの事業実施にあたりましては、経済効果の大きい重要な河川、近年災害発生の著しい河川及び放水路、捷水路工事、引堤工事及び低地地域に対する治水対策強化のため排水ポンプの整備等重点を置いて事業促進をはかる方針であります。  補助事業におきましては、中小河川改修事業として継続施行中の三百五十五河川のほか、緊急に改修を要する二十九河川を新規に採択するとともに、小規模河川改修事業として継続施行中の百八十六河川のほか、新規に七十一河川の着工を予定し、事業促進をはかることとしております。  高潮対策事業につきましては、その緊要性にかんがみ、大阪地区について緊急整備三カ年計画を立てて事業推進をはかるとともに、東京地区についてもその促進をはかることといたしております。  多目的ダム建設事業につきましては、治水効果及び用水需要の増大を考慮して事業促進をはかることといたしております。すなわち、直轄事業では十二のダムを継続して施行するほか、新規に北上川の四十四田ダム、淀川の高山ダムに着工することとし、また、実施計画調査としては、天竜川の小渋ダムの調査を継続するほか、新規に矢作川の矢作ダム、紀ノ川の大滝ダム及び日野川の印賀川ダムの調査に着手することとしております。  補助事業としては、十六のダムを継続して施行するほか、新規に小阿仁川の萩形ダム等五ダムを着工することとし、また、実施計画調査としては、三つのダムの調査を継続するほか、新規に大沢川の高坂ダム等六ダムの調査を実施する予定にいたしております。  次に、砂防事業につきましては、直轄事業として継続施行中の二十六水系のほか、新規に姫川水系について実施するとともに、地すべり対策事業として継続施行中の手取川水系のほか、新規に大和川、胆沢川、銅山川の三水系について実施することとしております。  補助事業としては、特に重要河川水系及び最近災害発生の著しい河川の工事に重点を置いて施行するとともに、最近の災害発生の状況にかんがみ、豪雨の際に土砂の流出により被害を受けるおそれのある渓流について、特に予防砂防を実施することとしております。  次に、海岸事業につきましては、近年頻発する海岸災害の被害状況及び海岸事業の進捗の状況にかんがみ、防災上緊要な地域における海岸保全施設整備重点を置き、直轄事業としては、継続施行中の五海岸のほか、新規に青森津軽、遠州及び由比の三海岸について事業促進をはかることといたしております。  補助事業についても同様の方針に基づいて実施することとし、高潮対策事業、海岸侵食対策事業として継続六十四海岸のほか、新規に二十九海岸を予定し、重点的に事業促進する方針であります。  また、チリ地震津波災害地域津波対策事業につきましては、昭和三十七年度以降おおむね五ヵ年で完成することを目途に事業促進をはかることといたしております。  伊勢湾高潮対策事業につきましては、昭和三十六年度に引き続き事業実施し、直轄事業においては昭和三十七年出水期までに完成し、補助事業については昭和三十八年度中に完成することを目途にその促進をはかることとしております。  なお、水需要の急増に対処して、水資源開発促進するため、新たに設置されます水資源開発公団において、昭和三十七年度は事業費四十一億四千万円により、利根川水系及び淀川水系における多目的ダム、可動堰、幹線水路等の建設及び水資源開発に関する調査を実施することとしております。  このため、建設省において予定していた利根川水系の矢木沢ダム、下久保ダム及び淀川水系の高山ダムの事業実施公団に引き継ぐこととしており、その建設費の治水負担分として昭和三十七年度においては十二億七千万円の交付金を公団に交付することとしております。  第二に、災害復旧対策関係予算について御説明いたします。  災害復旧対策関係の予算総額は、一般会計よりの歳出として五百二億八千四百余万円でありまして、内訳は、災害復旧事業費四百五十五億四百余万円、災害関連事業費四十六億六千四百余万円、鉱害復旧事業費一億一千五百余万円であります。  そのおもな内容を申し上げますと、まず、災害復旧事業費につきましては、直轄災害は、内地二カ年、北海道三カ年の復旧方針に基づき、三十五年災は完了し、三十六年災については内地分は完了し、北海道分は八〇%の進捗をはかることといたしております。  補助災害につきましては、緊要事業は三カ年、全体として四カ年で復旧する方針のもとに、三十四年災は完了し、三十五年災は八六%、三十六年災は大七%を復旧し、従来よりもその促進をはかることとしております。  また、災害関連事業につきましては、災害復旧事業と合わせて適切な実施をはかり、再度災害を防止する効果を上げることといたしております。  第三に、道路整備事業について御説明いたします。  政府におきましては、経済の高度成長に伴う自動車輸送の需要増大の趨勢に即応して道路の改良、舗装等の整備を緊急に行なうため、昨年総額二兆一千億円の新道路整備五ヵ年計画を決定いたしましたが、昭和三十七年度におきましては、その第二年度として、特に一級国道の一次改築、並びにオリンピック関連道路、大都市地域の道路及び産業開発及び観光上重要な地方道路の整備重点を置いて積極的に事業推進をはかることとしております。  昭和三十七年度における一般道路事業予算といたしましては一級国道に八百三十六億一千四百万円、二級国道に三百三十一億六千八百余万円、主要地方道に二百六十三億六千七百余万円、一般地方道に二百三十六億三千四百余万円、市町村道に百四十七億四千四百万円、その他調査費、積雪寒冷特別地域道路事業費、機械費等に百十八億九千三百万円を予定し、これにより、国道及び地方道を含めて約二千六百八十八キロメートルの改良及び橋梁の工事と、約二千二百二十八キロメートルの舗装工事を実施し、五ヵ年計画のおおむね三二・九%を達成することといたしておりますが、特に昨年度から施行されました踏切道改良促進法に基づく踏切道の立体交差化等の改善につきましては、積極的に推進をはかる考えであります。  なお、従来に引き続き、内地の一級国道のうち、交通量の特に多い区間を国が直轄で維持修繕を行なうこととし、昭和三十七年度におきましては、さらにこの区間を約七百キロメートル追加して、合計約四千三百キロメートルとする予定にいたしております。  なお、前述の道路関係予算には、国土開発縦貫自動車道の路線について調査を促進するための調査費として九千万円を計上しておりますが、これにより東北、中国、九州、中央、北陸、四国の各自動車道について調査を実施することとしており、また、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に必要な道路事業費及び機械費等三十二億七千八百万円を計上しておりますが、昭和三十七年度より新たに除雪事業に対しても国庫補助を行なうこととしております。  また、街路事業予算につきましては、三百八十億七千四百万円が含まれておりますが、これによりまして、立体交差を含む改良、橋梁及び舗装等の街路事業実施して都市内交通の円滑化をはかるほか、人家が密集した地区で、街路の整備とともに市街地の合理的利用をも必要とする地区について、土地区画整理による都市改造事業及び公共施設整備に関連する市街地の改造に関する法律による市街地改造事業実施推進いたしたいと考えております。  次に、有料道路について御説明いたします。  まず、日本道路公団につきましては、道路整備特別会計からの出資金九十億円、資金運用部資金の借入百四十億円、民間資金の借入百九十億円、国際開発銀行からの借入八十六億円の外、業務外収入等を合わせて五百七十六億一千三百万円の資金により事業実施することとしておりまして、高速道路については、名神高速道路(小牧−西宮間)の尼崎−栗東間約七十二キロメートルを概成するとともに、その他の区間についても工事の促進をはかり、また、新たに国土開発縦貫自動車道中央自動車道(東京−富士吉田間)及び東海道幹線自動車国道の建設に着手することとし、一般有料道路については第三京浜道路、船橋千葉道路、若戸橋等の工事を前年度に引き続き促進するとともに、新規の事業にも着手する予定であります。  次に、首都高速道路公団事業につきましては、道路整備特別会計からの出資金十五億円、東京都出資金十五億円、東京都交付金二十八億九千八百万円、政府資金の借入七十億円、民間資金の借入八十億円と、その他の収入を合わせて二百二十七億八千六百万円の資金により事業を行なうこととしておりまして、一号線及び二号線の一部並びに八号線の完成をはかるほか、前年度に引き続き、一号線、二号線、三号線、四号線、四号分岐線、五号線及び六号線の建設を継続実施するとともに、新規に二号分岐線の建設に着手することとし、また、駐車場については、江戸橋駐車場の完成をはかるほか、本町駐車場の建設を継続実施し、新たに白魚橋駐車場の建設に着手することとしております。  次に、大阪、神戸地域における交通麻痺状況に対応して自動車専用道路の建設推進するため、新たに阪神高速道路公団を設立することといたしました。同公団におきましては、全体計画として八路線、延長おおむね、五十八キロメートルの自動車専用道路を建設する予定で、このうち昭和三十七年度以降四カ年間に三路線、延長おおむね十三キロメートルを事業費約二百億円をもって建設しようとするものであります。昭和三十七年度における同公団資金としましては、道路整備特別会計からの出資金二億円、地方公共団体資金二億円、地方公共団体交付金一億円、政府資金の借入五億円、民間資金の借入五億円、合計十五億円を予定し、これにより環状線の一部の建設に着手することとしております。  第四に、都市計画事業について御説明いたします。昭和三十七年度における都市計画事業関係予算は四百四十七億六千五百余万円であります。このうち、まず、街路関係事業予算額は、首都高速道路公団及び阪神高速道路公団に対する出資金を含め、三百九十七億七千四百万円でありまして、これにつきましてはすでに申し述べました道路整備特別会計に計上されております。  次に、一般会計に計上されております都市計画事業予算額は四十九億九千百余万円でありまして、これにより下水道、公園等の整備をはかることとしております。下水道関係の予算額は四十七億四百万円で、前年度に比し十五億五千七百万円の増でありますが、なお、地方債の増額をもはかることとし、都市施設中最もおくれている下水道の整備促進に努める所存であります。公園関係の予算額は二億八千七百余万円でありまして、国営公園、都市公園及び墓園の整備をはかることとしております。  第五に、住宅対策について御説明いたします。  政府は、国民生活の向上と社会福祉の充実を期するため、十カ年に約一千万戸の住宅を建設する目標のもとに、昭和三十六年度を初年度とする五ヵ年間に約四百万戸の住宅の建設を見込み、特に低家賃住宅の大量供給と不良、老朽、過密居住住宅の一掃をはかるため、政府施策住宅に百六十万戸を当てることとし、前年度に引き続き昭和三十七年度におきましては二十六万五千戸の建設計画しております。この戸数は、前年度に比較いたしますと、一万九千戸の増となっておりますが、特に昭和三十七年度におきましては、住宅の質の向上をはかるため、一戸当たりの規模の引き上げと、災害防止の見地より不燃堅牢構造の住宅の増加重点を置くとともに、建設単価の是正及び現下の宅地取得難に対処するための宅地供給量の大幅な増加をはかることとしております。また、民間自力によって建設される住宅は、最近の実績より見て約四十七万戸程度と推定されますので、これを合わせて昭和三十七年度におきましては、約七十三万五千戸の住宅の建設を見込んでおります。なお、政府施策住宅二十六万五千戸の内訳は、公営住宅五万四千一尺改良住宅四千五百戸、公庫融資住宅十二万五千戸、公団住宅三万三千戸及び災害復旧公営住宅九百六十六戸を含み、厚生年金融資住宅等四万八千五百戸でありまして、これに対する予算措置として、公営住宅に対しましては、一般会計予算において百八十三億一千九百余万円を予定し、第一種住宅二万一千五百戸、第二種住宅三万二千五百戸及び災害復旧のための第二種住宅九百六十六戸の建設に対し補助することとしております。  住宅地区改良事業といたしましては、一般会計予算において二十二億八千八百余万円を予定し、劣悪な居住環境を改善し、あわせて市街地の合理的利用をはかるため、不良住宅の除却及び改良住宅四千五百戸の建設に対し補助することとしております。  次に、住宅金融公庫におきましては、産業投資特別会計よりの出資金九十五億円、政府低利資金三百九十五億円、自己資金九十七億余円、合計五百八十七億余円の資金により、十二万五千戸の住宅建設及び宅地の取得、造成、災害による被災住宅の復興等に要する資金の貸付を行なうとともに、新たに、特に危険な宅地の防災融資の道を開くことといたしました。  なお、賃貸住宅につきましては、一戸当たりの規模の引き上げを行ない、質の向上をはかることといたしております。  また、日本住宅公団におきましては、産業投資特別会計からの出資金七十五億円、政府低利資金二百十四億円、民間資金二百五十億円、自己資金五十四億円、合計五百九十三億円の資金により、賃貸住宅二万二千戸、分譲住宅一万一千戸の建設、市街地施設建設及び宅地の取得造成事業を行なうこととしております。  以上のほか、都市における火災その他の災害を防止し、あわせて土地の合理的利用の促進及び環境の整備をはかるため、防災街区造成に対する補助金として、一般会計予算において二億七千万円を予定しております。  第六に、官庁営繕について御説明いたします。  建設省実施いたします官庁営繕のうち、建設省所管予算として計上されておりますのは五十七億三千百余万円でありまして、前年度予算に比し五億四千二百余万円の増額となっております。  実施にあたりましては、特に中央官衙地域の早期整備と、中央、地方の合同庁舎の建設、その他一般官署の建てかえの促進等に重点を置くことといたしております。  次に、オリンピック東京大会実施準備費について御説明いたします。  この経費は、オリンピック選手村等をワシントンハイツ地区に建設するため、同地区及びリンカーンセンターに現存する米軍施設の代替施設を調布水耕農園跡その他の地区に建設するためのものでありまして、このため六十七億四百余万円を計上するとともに、このほかに財政法第十五条の国庫債務負担行為として七十九億二千九百万円を予定いたしております。  以上のほか、昭和三十七年度予算中のおもなものについて申し上げますと、産業開発青年隊につきましては五千六百余万円を計上し、幹部及び海外移住隊の訓練を行なうとともに、新規の北海道を含め、道府県の青年隊の運営費等を補助することとし、また新たに中央訓練所を設置して、技能訓練の徹底を期することとしております。  水防対策につきましては八千八百余万円を計上し、無線局の増設、水防施設整備に対する補助等を行なうほか、新たに永年勤続の水防団員に対し、退職報償を行なうこととし、水防態勢の強化充実をはかることとしております。  広域都市建設計画調査につきましては千六百余万円を計上いたしておりますが、これは近年の著しい産業構造の変化と工業化の趨勢に対応して、大都市地域においては過大都市の弊害を是正し、地方においては地方開発の中心地域として地方中核都市の育成発展をはかる必要がありますので、前年度に引き続き広域的な都市建設計画を樹立するため必要な調査を実施する経費であります。  以上が昭和三十七年度の予算の概要でありますが、なお、組織関係のおもなものといたしましては、本省においては、砂防部及び宅地制度審議会新設し、地方建設局においては、東北地方建設局及び九州地方建設局に用地部を新設する等、所要の整備を行なうことといたしております。  定員につきましては、昭和三十七年度においては、伊勢湾高潮対策の直轄事業が完成するとともに、建設省において施行する多目的ダムの一部が水資源開発公団へ移管されること等のため、全体としては二百一人を減員することといたしておりますが、常勤職員及び常勤的非常勤職員の定員化により四千七百九十一人の常勤職員及び常勤的非常勤職員を定員に繰り入れることとしておりますので、昭和三十六年度の定員に比べて四千五百九十人の増加となり、昭和三十七年度における建設省の定員は三万五千七百二十人となります。  以上をもちまして昭和三十七年度の建設省関係の一般会計予算及び特別会計予算説明を終わります。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  129. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) それでは、ただいま説明のありました建設省関係について質疑のあります方は、順次御発言を願います。
  130. 赤松常子

    赤松常子君 おくれてたいへん失礼いたしました。  私ほんとにしろうとでございますから、いろいろお教えいただきたいと思います。  まず第一に、非常に日本は国土が狭いし、人口がだんだんふえてきております。国土を非常に効率的に使うということが、今後やはり政府に課せられた大きな問題だと思うんでございます。ちょっと雨が降れば土地が流れたり川があふれたり、そういう国土開発に対する政府の責任の重大さと、それから、あわせて何か無計画のように思われるのでございます。雨が降ったり風が吹いたりすると、ちょこちょこと対策をする、それより、もっと恒久的な国土開発計画というものをお示し願いたいと思います、簡単でけっこうですから。
  131. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) まことに本質的には赤松さんのおっしゃるとおりでございまして、防災的な見地から、もっと徹底的にやるべきであり、やりたい熱意に燃えておるわけでございますが、日本の国全体の社会資本の投資が、従来いろいろな事情でおくれてきておりますので、われわれとしましては、国土総合開発計画を初め、建設省でいろいろ調査をいたしておりまする地域計画の基本的なこと、あるいは災害防止のためにどの河川から、どういう地域から、あるいはどういう砂防などから中心的に行なうべきかということを、相当計画的には進めておるわけでございますが、なかなか一挙に手が回りかねるような現状でございますことは、まことに遺憾でございますが、御指摘のとおり、われわれとしては今後とも国の財政事情その他を勘案しまして、全力を尽くしてやっていきたいと思います。
  132. 赤松常子

    赤松常子君 ことに最近は自然の災害よりも人災のほうが非常に目立ってきておるということは、私非常に残念だと思うのでございますが、かりに最近政府が治水のために十カ年計画を、前期五ヵ年に四千億、後期五ヵ年に五千二百億、計九千二百億円を投じて治水の十カ年計画をやっていらっしゃいます。治山に対しても千三百億円かけていらっしゃるようですけれども、こういう金で十カ年で、はたしてどのくらいその目的が実現されるものか、十年たてばこういうことはなくなるものか。この予算と仕事の分量との比較ですね、これがはたして妥当かどうかお示し願いたい。
  133. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 御承知のとおり現在の十カ年計画は九千二百億円ということで組まれておりますが、これは、この長期計画を立てました昭和三十五年からの施策でありますが、当時の国の財政事情として、もっと進めたいのはやまやまだとしても、やむを得なかった数字であったわけであります。そこで、だんだん国の財政事情も改善をされ、われわれとしてはもっと促進をする必要を痛感いたしておりますので、実は昭和三十六年度予算編成、ことにまた今年の三十七年度予算編成にあたりましては、普通の伸び率でなしに、いわば相当に長期計画の先食いをできるだけいたしまして促進をはかっておる次第でございます。これらはいずれ国の財政事情と見合いまして、適当の時期にまた増強をすべき性質のものである。したがいまして、そういうような将来の強化及び増強の準備だけは遺憾なく整えておりまして、財政事情の許す限り促進をはかって、事前に災害を防止できるような防災的な進め方に置きかえて参りたいと、こう思っております。
  134. 赤松常子

    赤松常子君 たいへん物価の値上が一りも示されておりまするし、最初の予算からずいぶん私そういう材料の点でも無理があるのじゃないかと思うのです。今年のそういう面に対する投資、これを具体的にお示しになっているのでございましょうか。私しろうとでわからないのですが、そういう点ちょっと具体的にお示し願えればと思っております。
  135. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 三十七年度の治水全般の事業の概要でございますが、事業費としては全体として八百十七億の事業をやる、こういう予定にいたしております。内訳でございますが、その内訳は河川、ダム、砂防、機械、こういうような内訳になるのでございますが、河川がそのうち四百九十五億、ダムが百四十八億七千万、砂防が百五十九億八千万、それからさらにこれらに必要な建設機械の費用として十三億四千万、金額で申し上げますと、そういうような金額になっております。どういう事業をやるかといいますと、河川につきましては、大きく分けまして国が直轄でやる直轄河川それから都道府県の地方がやります中小河川、小規模河川に対する補助、こういうような大分けになるわけでございます。また、ダムにつきましては、非常に最近災害が多いという点と、それからなお水資源の開発という点が重要視されて参りまして、いわゆる多目的ダムとして直轄のダムと補助ダムと両方ございますが、そういうダムについて先ほどの百四十八億七千万、こういう仕事をやる予定でございます。なお、砂防につきましては、非常に水源地帯が荒廃をいたしておりますので、せっかく河川事業を進めましても、上流の土砂が流れてきてせっかくの効果が上がらない、こういう点を重要視いたしまして、従来の伸び率よりも来年度はさらに促進をする、こういう意味で砂防事業重点的な施行、こういうふうに考えております。概略来年度の治水全体の事業としては、以上のとおりでございます。
  136. 赤松常子

    赤松常子君 去年の台風はたいへん小さい川、中くらいの川のはんらんが目立っていたわけでございますが、今も計画の中にそういう小さい川にも補助金を出すとおっしゃっておりましたが、ところが、御承知でもございましょうが、狩野川は数年来はんらんし、去年また同じ所が切れているのでございますね。まことに不思議なのですが、狩野川は相当有名なはんらんする川なので、相当金を注ぎ込んでいらっしゃるようですけれども、また去年も同じ所が切れて、そして相当田畑が冠水している、これは一体どういうところに手落ちがあるのでございましょうか。
  137. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 狩野川の点につきましては、三十三年でございますか、非常に大災害がありまして、その後の措置といたしましては、上流の非常にやられた地域につきましては、災害復旧で全般的に一定の計画で大体処理をいたしております。なお下流の直轄河川の部分も同様に改良費と災害復旧費で大体手当を終わっておりますが、なお問題は、放水路というのを現在建設中でございます。この放水路が非常にまあ巨額な費用を要するわけでございますが、これも来年度としては、できるだけ早く通水をしたい。昭和三十八年か九年の目標で、一ときも早く通水をいたしまして、放水路から下流の地域を救いたい、こういうふうに考えております。昨年災害を受けましたのは、その放水路から下流の本線の支線に当たる部分でございますが、この支線の部分につきまして、これはまだ直轄でも手は伸びておりませんし、補助河川へも入れなかった川でございますが、これは来年度は直轄河川に取り入れまして、昨年災害を受けました所は、そういう災害復旧はいたしておりますが、なお改良的に直轄河川で手をつけて完璧を期したい、こういうふうに考えております。
  138. 赤松常子

    赤松常子君 私はそういう工事については、たいへんしろうとなんです。放水路も私見に参ったのでございますけれども、何かお金をもっと注ぎ込んで、早い時期に放水をできるようにできないものなのか、あるいはこまぎれになさっておるからまた次の台風時が来て流れるんじゃないか、そういうところの運営と申しましょうか、操作と申しましょうか、予算の配分と申しましょうか、どうも私は現地を見まして非常に不可解でございましたが、どういうところにそれは原因がございますのでしょうか。
  139. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 狩野川の放水路につきましては、従来からも重点的に考えてやっていたわけでございますが、非常にたびたび狩野川水系が災害を受けますので、施行の可能の限度まで来年からひとつ大いにやりたいと思います。それも計画的に、やはり予算を幾らつぎ込んでも、仕事の段取りとかやる順序というものがございまして、御承知のように隧道を掘っておるわけでありますが、あの隧道工事も今全力をあげてやっている最中でございます。三十八年、三十九年には通水をしたい。これは完全な通水でございまして、部分的な通水は、昨年度も一部流れ得るように、その入り口の所でございますが、そこに建設をいたしまして、下流のほうの被害を幾分でも救いたい、こういうつもりでやっております。
  140. 赤松常子

    赤松常子君 いろいろ問題もあると存じますけれども、次に移ることにいたします。  水の問題でございますが、雨が降れば降るで、少し日照りが続くと水道もとまるというように、非常に水の、何と申しましょうか、計画的な使い方といいますかが、まだなされていないようでございます。それで、水資源の開発促進法なり水資源の開発公団など、非常に取り上げられて制定されておりますけれども、その法律ができてから今日まで、具体的にどういう水資源の開発、水の効果的な利用というものがされておるのでございましょうか。
  141. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 水資源の開発につきましては、公団ができる前に、建設省におきましても、多目的事業として促進をして参ったわけでございますが、なお今後促進をしたいという理由で、水資源開発公団法というのを制定していただきまして、今後は非常に大規模なものについては水資源開発公団でやる、こういうことにいたしておるわけでございます。現在法律が通っているわけでございますが、公団の設立の準備をやっている段階でございまして、できました場合に今後促進をして参りたい、そういうふうに考えております。
  142. 赤松常子

    赤松常子君 今、公団の設立準備期だとおっしゃっておりますが、いつごろそれが済み、その法律の効果というものがいつごろから現われるのでございましょうか。
  143. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 御承知のように建設省だけで公団運営をやるというわけでなくて、経済企画庁が各省関係の間を受け持って運用して参るわけでございまして、大体われわれも参画をいたしておりますが、四月の中ごろから公団ができるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  144. 赤松常子

    赤松常子君 次に、水資源の開発に伴いまして工場誘致が行なわれます。産業文化の開発も、たいへん私はいいと思うのでございますけれども、何か、その地方の一町村、一市のみの利益のためにという計画で、視野が狭いものですから、そこだけはいいかもしらぬけれども、その水源の奥など、あるいは悪水が放水される地域——すぐに工場を誘致されても、それのマイナス面がその地域に現われているということ、私はその計画の範囲、視野というものが、非常に狭いと思うのですが、こういう指導はどうなさっておるのでございましょうか。もっと広い地域においてなさるべきじゃないかと思うのでございますが、そういう指導はどうしていらっしゃいますでしょうか。
  145. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) ただいまのお尋ねはごもっともでございまして、最近、全国的に工場なりの、あるいは人口が工場にひっついて集中をするという所につきましては、特に交通の問題でありますとか、水の問題でありますとか、土地の問題というものが非常に重要な要素でありまして、しかも、それは町として従来の市町村というような狭い範囲の区域の中だけで考えてはいけないという状況になっておりますので、政府全体といたしましても、いわゆる国土総合開発法による全国計画、あるいはまた昨年来から議論をして実施の具体措置を考えております所得倍増の地域計画問題という形で、建設省におきましては、広域都市の計画調査というものを実施いたしております。したがって、そういう地域についての交通なり土地なり、水の問題というものを、当該行政区域の範囲にこだわらないで、もっと広域的にその均衡のある計画を立てなければならぬ、また、そうすることによってその計画を公共投資の上において合理的に実現をするという方式の基礎を作りますための調査を、三十六年度から実施をいたしております。したがって、それをオーソライズいたしまして、ただいまのような御指摘の事柄が現地において行なわれないように、省全体として進めて参りたいというふうに考えております。
  146. 赤松常子

    赤松常子君 私それは当然していただきたいところでございますけれども、たとえばブロック別に一つのまとまりをもって事業をなすっていらっしゃるのでございましょうか。県単位になさっているのでございましょうか。もっと具体的にその点、どの範囲においてやっておられるのでございましょうか。
  147. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) 全体の計画につきましては、いわゆる日本の国土には過大都市として人口が非常に集積いたしております四大工業地域というのがございます。そのほかに、いわゆる全国計画でもまあ草案にも盛られておりますように、各ブロックに一つの拠点を開発しようという拠点という構想がございます。そのほかに、各拠点を中心といたしました周辺に、県単位の一つの魅力的な中小の都市を作ろうという計画と相呼応いたしまして、建設省といたしましては地方建設局、これはまあブロックを担当いたしておりますので、地方建設局を中心にその計画の立案を当該府県の関係の機関と相談をして作っておる、こういうのが実際の調査の仕方でございます。
  148. 赤松常子

    赤松常子君 最近産業都市計画もできておりますし、そういう面と交流をなすっていらっしゃることだと思っておりますが、その次に、最近たいへん工場地帯に地盤沈下がどんどん現われております。まあ私よりもそちらさんのほうがお詳しいと思うのでございますが、これなど、ただ水をくみ上げる、これを制限するだけじゃとても私は解決しないと思うのでございますね。そういうことはどういうふうにお考えでございましょうか。その対策を具体的にお考えでいらっしゃいましょうか。ただ汲水の制限だけしておいでになると思うのです。
  149. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) この点、非常に重要な点でございますので、問題は、やはりそうした工業用水等をくみ上げる地域につきましては、今度の水資源開発の見地から、やはり工業用水を造成して水を供給するということが一つと、もう一つは、大阪あるいは東京のような地盤沈下地帯におきましては、現在くみ上げている水をどういうふうにして規制をして地下水の保存をはかるかということが非常に肝要であるわけでございますので、両面進めるわけでございますが、今国会におきましては、御承知のとおり、ビル用水及び工業用水の規制に関する法律がいろいろ難航しておりましたが、ようやくまとまりまして、本日の閣議で決定をしてこれから提案御審議を願う段取りにいたしておるわけであります。両方これが併行して進みませんと、地盤沈下を防止していく使命、目的を果たすことができない、まあ政府としましては総合的に実は目下活発な努力を開始いたしておるという段階でございます。
  150. 赤松常子

    赤松常子君 今のおっしゃいましたことで、ちょっとお聞きしたいのでございますけれども、工業用水の造水とおっしゃいましたが、これは具体的にどういうふうになさるのでしょうか。工業用水の造水、工業用水を下からくみ上げるのでなく、たとえばほかの水源から持ってくるのか。
  151. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) まあ水はいろいろな用途に関連がありますので、勢い多目的ダム、あるいは海にむだに流しております川の水を、河口堰、可動堰を作りまして、そこでくみ上げをして利用するというようないろいろな道がありますが、まあこれらのいずれもできるだけ活用をいたしまして、ことに工業用水の多量な地域については、今度の水資源開発促進法に基づきまして、いろいろな手段、多目的ダムや河口堰、可動堰などを作りまして、水をできるだけ大量に造成して、それを造水路で工業用水を作って供給をすると、こういうまあ建前でございます。先ほど来御指摘がありましたように、各地域などでまだ総合開発が徹底的に行き渡っておりませんものでございますから、工場誘致などを部分的にする所については、なかなかそういう行き渡りがまだできませんけれども、やがては逐次全国的にそういうことを進めて参るべきであると私ども考えまして、まあ今のところ、そういう方向に熱心に進んでおる、こういう段階でございます。
  152. 赤松常子

    赤松常子君 そうすると、大へん構想としてはいいと思うのでございますけれども、それはやはり工場の費用においてそういう造水の予算というものをまかなうのでございましょうか。たとえば汚水を濾過して川に流すということすらもなかなか工場自体が、会社自体がしませんですね。そういう隘路がありはしないかしらと私心配するんです。その会社にそういう施設の費用を持たしめておやりになるのか。
  153. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) これは結局行き方としましては、国及び地方公共団体その他まあ水道の水も入り用でありますから、水道の水を使う都道府県、市等が分担金を出す、交付金を出しまして作り上げた水は、結局工業用水として供給するときにはトン当たり幾らということで、これが地下水をくみ上げておるのと比較してコストにあまり大きな影響をしたり、悪影響を産業に及ぼしたりしてはなりませんから、これらのコストを見ながら供給をするということに相なるわけでございます。まあかたがた東京の江東地区の地盤沈下対策などとしましては、今ありまする汚水処理場の水を化学的に処理いたしまして、相当大量の水を今度は工業用水にそれを利用するということも国費及び東京都の経費等を投入いたしましてやっておりますが、まあこういったことも各地区について考えられる限り、今後活発にやるべきものであるとは私も考えております。
  154. 赤松常子

    赤松常子君 少し安心いたしました。一工場にだけまかしておけない問題だと思っておりまして、国及び都が補助を出してそういう施設をする、そうして供給するという構想、私少し安心いたしました。  次に、道路のことでございますけれども、非常に最近輸送量がふえております。まあここに一例あげますと、トラックだとか、あるいはバスだとか乗用車、それの利用率というものが非常にふえてきておりますが、こういう点に関して、道路整備のために十カ年間に六兆円必要と政府は発表していらっしゃいます。ところが、実際の道路整備計画では、十カ年に四兆九千億しか出していらっしゃいませんが、この金額で、今道にあふれている、ごった返す交通量でいためられる道路の整備ができるものか。あるいは、やがてオリンピックも参りますが、日本の悪道路は、もう私が申すまでもございません、世界的に有名ですが、そういう道路の舗装というものまで行き届いてできるものでございましょうか。四兆九千億円、十カ年計画でこれだけの金でしたいという計画のようでございますが、これだけの金でそういう目的が達せられるのでございましょうか。
  155. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 日本の道路が戦前戦後を通じて、いろいろな国の事情から、やむを得ずたいへん手おくれをいたしておりまする現状にありますので、この金額で万全を期せるかといえば、私どもはとうていそうはいかないと思います。ただ四兆九千億という数字が出ましたのは、所得倍増十カ年計画経済調査会で調査をした結果出てきました数字で、日本の経済の伸び率、あるいはそれに伴う財政事情、こういうものを勘案して、この程度の規模なら適当であろうという数字なんでありまして、これで完成できるとはわれわれも考えておりません。したがいまして、できるだけ経済の成長をはかり、国力の充実をはかりまして、あわせて道路財源の調達をして促進をはかる必要がある、こう考えております。現在のところは、御承知のとおり昨年以来の二兆一千億、五ヵ年計画推進いたしておるわけでございますが、これによりまして、われわれは全国重要地点を結んでおりまする一級国道だけは完全に改修をし、舗装を完了して、全国至るところ重要地点は舗装道路で連絡がつくというようにいたし、あわせて二級国道、主要地方道等の整備をはかって、財政規模に応じまして極力有効な促進をはかっていきたい、こう思っております。
  156. 赤松常子

    赤松常子君 では、一級国道の全舗装は十年かかるのでございましょうか。
  157. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) との五ヵ年計画で完成いたしますから、昭和四十年までにはでき上がる予定でございます。
  158. 赤松常子

    赤松常子君 オリンピックがだんだん近づいて参りまして、そのオリンピック用の道路の建設が始まっておりますけれども、もう三年後にオリンピックはやってくるわけでございますが、私の住んでおりますのは世田谷ですが、世田谷の三軒茶屋に、もう数年前からオリンピック用の道路ができるということで掘り返しておりますけれども、まだそのめどがつかないのです。こういう渋滞、こういう、何と申しましょうか、着工してもう三年もたって何ともできない。その原因は何なのでございましょうか。どこに手落ちがあるのでございましょうか。気長に待つ以外はないのでございましょうか。
  159. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 大体、今、道路その他こういう公共用地を必要とする事業をいたしますのに一番困難を感じておりますのは、やはり用地取得でございます。オリンピックの関連道路事業は大体二十三本ほど計画をいたして、オリンピック開催時までにそれぞれ完成を目途としてスケジュールを組んで努力をいたしておるわけでございます。用地取得、買収が一ぺんに一本の線を全部できればいいのですが、早くまとまった所と、まとまりのおそい所とできますので、確かにでき上がりを見ますと非常にだらだらした調子でございますが、昨年来いろいろな連絡会議を設けまして督励をいたしておりますので、非常にピッチが上がって参りまして、昨年も金額的には予定金額よりもよほどよけいの事業促進ができました。われわれといたしましては、今年も明年も引き続きこの努力を続けまして、何とかオリンピック関連道路事業として計画しましたものだけは、それまでに完成をいたしたいというつもりでやっておりまする次第で、大体この計画した分だけは達成ができるかと、今のところ思っております。
  160. 赤松常子

    赤松常子君 簡単にいたします。たいへん御苦労のわかるような気がするのです。土地を収用なさる、その場合に非常に地価が上がっておりますので、ずいぶん御苦労があると思うのです。こういう場合に、日本の土地の値上がりというものに非常に無制限無方針、無計画なんですが、外国あたりの様子を聞いてみますと、非常に土地の値上がりの規制といいましょうか、統制といいましょうか、非常にきびしい法律ができているようでございますが、そういう点に関して何かお考えがございましょうか。
  161. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 実はわれわれも、いかに時勢のしからしむるとは申しながら、極力これに対する適切な対策を樹立する必要を痛感いたしまして、今国会にすでに御議決をいただきましたが、宅地制度審議会を作りまして、これは役所だけが考えましても、一般の理解と協力がなければできませんし、それから法律上、税制上のいろいろのむずかしいからみ合いの問題がございますから、あらゆる関係の有識の士に集っていただきまして、十分討議を尽くして、急速にこの対策をひとつ立てたいと、こう思いまして、今すべり出したところでございます。
  162. 赤松常子

    赤松常子君 ほんとうにこれは大事なことでございますし、サラリーマンの方々が家を建てるにしても、なかなか土地が手に入らない、そういう現状でございますから、私も世田谷の畑の中に住んでおりますけれども、一々たいへんな問題が起きておるのです。これは申さないことにいたしますが、最後に、午前の運輸省に関する質疑のときに私一つお尋ねしたのでございます。それは、駐車場がないということに対して、業者に駐車場を設けなさいと言ったって、土地の値上がりでなかなかそこまで手が回らない。で、公共用の駐車場を作ることにいたして、考えているとおっしゃったのですが、国有の土地であるとか、あるいは都の有閑地であるとか、そういうのが、東京都内に限定してお尋ねするのでございますけれども、どのくらい一体あるのか、土地の値上がりでなかなか手放さないと思うのでございますけれども、そういうことを許さないような対策というものを、どういうように考えていらっしゃるのでしょうか。  もう一つ具体的に、東京都内にそういう有閑地というものがどのくらいあるか、簡単でよろしゅうございますが……。
  163. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 民間の有閑地というものは、やはり個人の私権関係がありますので、ちょっと私どもも手がつけにくいのですが、最近行政管理庁が中心になっていただきまして、国有地で一般財産として転用のできるものがどのくらいあるかという調査をいたしましたところ、大体十七、八万坪という計数が出て参りました。これもしかし全部そういう駐車場なんかに使える場所ではないというものがあります。それを今東京都それから警視庁、建設省等が集まりまして、具体的にどれだけ活用ができるか、また活用すべきであるかということの今煮詰めをやっておる最中でございます。したがいまして、実際に可能なものの坪数というものはまだ明確に出ておりませんが、努力次第によりましては十七、八万坪のほかに、まだ行政財産でやはり整理のつくものもあろうと思いますから、もっと煮詰まらないとわかりませんが、非常に最近そういう事情が切迫して参りましたので、非常に手おくれの感はいたしますが、目下そういうことをやっておるわけでございます。
  164. 田中一

    田中一君 先ほど大臣の予算に対する説明の中にもあったように、住宅問題、ことに公営住宅等が相当質量ともに伸びているというように説明なされたのですけれども、住宅金融公庫並びに住宅公団などのものも同じように自画自賛していらっしゃる。そこで、実際にそういう家が建てられた場合に、国民が喜んでこれに入居しようという意欲を持ち得るかどうかという点を伺いたいんです。それは公営住宅の面でまず伺うと、公営住宅法ができまして十二年たちました。したがって、今では国が国民に住宅を供給することはもう当然の義務と心得なきゃならないものと、徹底的に心得ておるというふうに見るのが当然と思うわけです。民間住宅建設数が四十数万戸云々といいますけれども、そういうものには関係がなく国が直接すべきものであるということに徹しているというふうに見ているわけなんです。そこで、そういう見方からして、今日の公営住宅法という法律をつぶさに検討してみますと、非常に大きな矛盾と問題があるということです。よくあなた方閣僚は、口を開けば所得倍増計画による国民所得の増大と言う。今日あらゆる面において所得というものはどんどん伸びているということを言っておるけれども、この公営住宅法の第一の目的にあるところの公営住宅法制定当時の社会環境、国民の生活程度というものは、おのずから今日と違っておる。違っておる時代に制定された法律だということです。国民所得は伸びているから、一体政府はどうしようとしているのか。質並びに環境等のよいものを作るんだと言いながら、この公営住宅法でうたっているものとは矛盾がある表現の仕方をしているんです。これは何かというと、家賃です。家賃の問題なんです。二年前に家賃のアンバラを是正いたしました。したがって、土地の問題につきましては、もう昨年の国会を通った市街地の改造法または防災建築街区造成法等々、あるいは住宅公団法の改正等によって、まあわれわれ長い間主張したところの未開発の空間の利用ということが実現されるような道が開かれて参りましたけれども、それに伴って家賃が上がるということになりますと、これは公営住宅法の精神とおのずから違ってくるわけなんです、家賃が上がるということは。しかし、公団に十五回、二十回申し込みをして、抽せんをしてもいまだに家を持たれない方々は、これは八千円でも一万円でもけっこうでございますという言葉は述べておりますけれども、実際に入っておるというものは、いつの間にか一方的に悪家主と同じような形で家賃が上がってくるということになりますと、また別な問題が起こってくる。公営住宅法には、家賃を上げる権限はむろん建設大臣が許可するんでしょうけれども、しかし法の精神とはおのずから違ってくる。そこで、一体国が供給しようという住宅に対する家賃というものは、何の基準によって、どこに決定的な価値というか、家賃という価格をきめようとするのか、伺っておきたいんです。質がよくなるということを言っておる。不燃化が促進されると言っておる。しかしながら、そのために家賃がどう変わってくるか。家賃のきめ方がどうなってくるか。なるほど今は建設費というものが基準になって寸それぞれ必要な管理費経費等が入って家賃の基礎をきめている。これは一応の計算でいいと思います。しかし、だんだん上がって参っております。十二年前から比較しますと、ずいぶん単価が上がっております。労務費も上がっておる。これはむろん国民の所得が伸びたから、賃金が伸びたから当然上がるんであって、それは非常に望ましい経済成長だということだけでは解決つかないんですね。国民所得というものは、家賃の値上げを認めようとするほど、そう一律に平均して上がっておらない。しかしながら、公営住宅法というものはそうじゃない。金を持たない、金の少ない者に供給しよう。家賃体系というものは、国が供給する住宅、これに対する家賃というものは、今までありますところの公営住宅法の基準でやろうとするのか、あるいは新しい別の体系でやろうとするのか、この点をひとつ方法としてお示し願いたい。これは絶対量が足りないのが今一番困ったことです。絶対量が足りないことについてここでは今言いません。しかし、二年前におきめになった家賃の値上がりというものは、ある部分におきましては供託をして訴訟を起こしている。私はこれに賛成しておるんです。大いにやってくれ。少数の千人か二千人足らずの者がやっているけれども、少なくとも国の供給する住宅に対する家賃というものの争いが法律的に明らかになるのが望ましいのだ。あなた方はつらいだろうがおやりなさい。結論を出していただきたいということを、僕はその人たちに対しては済まぬけれども、大いにやらしておるわけです。これはおそらく建設大臣も賛成だと思うのです。国が供給する住宅に対する家賃体系というものをどう考えておるか。どの辺がいいんだ、どういう形がいいんだということをひとつお示し願いたいと思うのです。
  165. 斎藤常勝

    政府委員斎藤常勝君) 公営住宅の家賃につきましては、現在の計算の方法といいますか、家賃の体系というものを変えようという気持は現在のところ持っておりません。しからばどういうようなところが最も適当であるかということを考えますと、対象になります入居者は低所得層でございますので、こういう方々の収入というものは、やはり所得倍増によりまして賃金は伸びておるわけでございます。賃金は伸びておりますけれども、その生計費の中で占めるエンゲル係数というものは必ずしも高所得者ほど低くなってはおらないわけでございます。したがいまして、そういう点をかれこれ考えまして、現在のような制度の格好で、やはり地元が負担する部分、したがいまして、高率の補助を出しまして、地元の負担を軽減して実質上の家賃の軽減に充てるというような現在の方式を守っていきたいと、こう考えておる次第でございます。だんだん家賃が上がって参りますのは、おっしゃるとおりでございますが、その主たる原因が建設費の上昇でございますので、建設費の安定ということにつきまして、われわれは各方面から努力をいたしまして、それによって実質上の家賃の計算の基礎になる金額が少しでも下がるようにしながら、しかもまた、非常に個人に対しては高いという場合におきましては、減免の措置等を講じながら、安定した家賃体系に持っていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  166. 田中一

    田中一君 国民所得が上がる、このもとは、賃金が余分になったから……。それからそれと同じように建設単価が上がる、家賃が高くなる、これはもう正しいか悪いか知らぬが、一つの循環です。しかし、野放図に物価が上がるということも考えられない。これは決して自然的なものじゃないんです。二年前から考えてみますると、これは所得倍増論というものを打ち出して国民の消費経済に対する警戒心をゆるめてきたということ。それから当然日本の経済国内経済の進み方というものは、国内消費に依存しているんです。外国に物を売って、そのために余分なものが、日本にドルが入ったということがないことは明らかなんです。国際収支が赤字になったことを見ても明らかなんです。実際は国内消費、国民の消費生活の向上によって日本の企業は繁栄していく。だから労働者の賃金もふえてくる。これと、一人の労働者の賃金がふえるということと、十年たった場合のその生計、消費経済というものは、決して正しいバランスを示しておらないんです。負担がますますふえてくるということが多いんです。子供が二人、三人になる。そうすると公営住宅の今日の範囲では、とてもたえられなくなるのが実情なんです。しかし、それもお前は十年前に家を持ったのだから幸福じゃないかというかもしらぬけれども、それと家賃は別です。当然なる国の義務なんです。これにうたってあるように供給するのだ、金のない者に住宅金融公庫は金の融通を——金がない者に金を貸してやるんだ、そして家を建てさせる。公営住宅の場合もそのとおりです。それが年々上がってくるという、家賃が上がってくるという傾向は、これは好ましくないわけなんですよ。したがってこれを国民の生活、国民の収入によるある水準で何らかの措置をとらなければ、野放図に上がる一方なんです。かりに形を変えて、来年あたりから不景気になって、あるいは建設費、労務費も下がり、材料も値下がりになってくる、安い費用で建設された家が出現したとするのです。その場合に、今の算定基準ですと、これは家賃が安くなるということなんですよ。そういうことでよいかどうかということです。したがって、もう国が供給する住宅に対しては、国民の生活に見合うような、安心して住めるような均等の家賃政策というものを持たなければならないのじゃないかということなんです。これは住宅局長に聞いているのじゃない。建設大臣に聞いているわけですが、その点はどうかというのです。このままでいくと常にそういう動揺がある。
  167. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 外国でも公営住宅等は、ただ建設費だけの計算でなしに、収入に見合ったきめ方をしておる国柄もありまするようで、建設省としましても、こういう点もいろいろ研究はいたしておりますが、日本の現状として、結局建設費というものとの関連において家賃の御負担を願わなければならない現状にございますので、先ほど住宅局長から御説明申し上げたような形で進んでおるわけでございます。問題は、今建設単価の問題もあるわけでございますが、そういう関係から、国で予算単価を立てまして補助をいたしておりますが、やはりこの公営住宅を管理いたしまする地方公共団体の負担分も確かに過大でございます。これを今後財政の需要と見合ってどういうふうに是正をしていくかということが、差しあたり公営住宅の家賃問題と非常に緊密の関係のある問題であると思いますので、われわれとしましては微力を尽くしておりますわけでございますが、一面においてできるだけ戸数をよけい建てたいし、さりとてそういった是正をいたしますと、総体の数量に影響が参りますので、いろいろ痛しかゆしの点を考慮しながら現在進んでおるようなわけでございます。まあ一面材料の木材価格あるいはセメント、その他不燃にいたしまするのには鉄鋼関係とか原料関係の値上がりということが一番おそろしいことでございますから、こういうことについては政府部内全体で統一をいたしまして、できるだけそういうことにならないように注意いたしておりますが、建設労務費だけはやっぱり他の労働賃金の上昇に伴いましてどうしても上がって参りますし、それから人手不足になりますと、それに伴う値上がりがございますしいたしますので、遺憾ながら建設費が今日は高くついておりますので、入居者の低所得階級の負担分も確かに軽くはない現状で、われわれも心配いたしておるのでありますが、御指摘の点も十分考慮しながら、今後だんだんと是正の道を講じていきたいと、こう思っておるような次第でございます。
  168. 田中一

    田中一君 公営住宅、国が供給する住宅というものは、単なる家主が家を作って貸しているという性質のものでないのです。これははっきり社会保障的な性格を持っているのです。生産価格をペイする家賃というものは、これは資本主義社会における、また封建時代からずっと一貫している家主の持つところの、商業ベースに乗ったところの家賃政策なんです。そういうものでないことはもう明らかなんです。ことに公営住宅は三万二千円以上の者に対しては一種公営住宅、それから二種は一万六千円と、こうきめております。国民所得は伸びておりますよ。何も公営住宅に入っている方が伸びているのじゃないのです。みんな伸びているのです、まあそれが経済の成長と申しますか。けれども、それはちっとも変わっておらないのです、そういうのは。もうその限度は停滞しておるのです。そうして家主が家を供給するのじゃなくて、社会保障的な性格を相当持った性格のものを建てている以上、家賃というものは生産価格によって左右されるべきものじゃないのです。そういうものではないのです。一方、よく入居者と管理者側とのけんかの中には、家賃ではない、これは使用料だ、国の施設であって一時使用を許しているにすぎないのだということを言っている。しかし国民、われわれ社会においては、これは家賃に違いないのです。したがって問題があると、これは一時使用だ、立ちのけ、賃貸契約でなくて、これは一時使用さしているのだから立ちのけ——現に立ちのきの訴訟を起こしているのがたくさんございます。今の家賃の値上げに関する法律改正によって、あるいは割増金を払わないところは立ちのくのだといって、立ちのきを命じているところがございます。それでいいかどうかという問題は、もう十二年たった公営住宅並びにその他の住宅に対しても考えなければならぬと思うのですよ。そうして住宅金融公庫が融資をする住宅の家賃、それから住宅公団が供給する公営住宅その他また国家公務員の住宅、これらのものの家賃のアンバランスというものは、どう国民に説明したらいいのか。実際がやはり社会保障的な性格を持っているものなんです。みんな違っている。むろんそれには原資が違うからとか何とかというような、いろいろな理由があるでしょう。住宅公団の場合には民間資金が入っているとか、あるいは公営住宅にしても国の分は少ないのだ、三分の一だとか半分だとか言いましょう。またほかには東京都のように、東京都自体が都営住宅——全額東京都が負担して供給している住宅もあるのです。みんな家賃が違います。多くの国民は絶対量が不足だものだから、それでも入りたいという希望が多いわけなんですよ。しかし入っている者は年次々々上がってくるという建設費の増大によって、家賃も上がってくるのだということに対しては、これは不満を持っている。一ぺん住んでしまうと不満を感ずるのです。もっと安くていい所に住みたいという気持を持つことになるわけなんですよ。だからまあこの辺で家賃政策というものを一ぺんきめるべき段階だと思うのです。国が供給している公営住宅ですら八十万戸ございます。住宅金融公庫並びにその他の住宅というものを全部加えますと、もうおそらく二百万戸はこえているのじゃないかと思うのです。それでもなおかつ住宅問題は解決されるきざしが発見できません。そうすると二百万人の現在入っている者の家賃のアンバランスというものは、社会保障的な性格である以上、はっきりと——建設費の問題ばかりではございません。環境のファクターもございます。たとえば三鷹から東京駅、丸の内辺に通うのと、千葉から通うのとではおのずから負担が違うのです。そういうものも考えながら家賃制度というものをはっきりとさせる、という考え方に立たなければならないと思うのですよ。この点ひとつ今の制度でもっていくのですというだけでは済まないのです。おそらく鬼丸官房長が住んでいる、君のところは国家公務員の住宅だろう、家賃は幾らだ、君のところは。おそらくそれを多くの国民の前に知らしてごらんなさい。かつては九百円程度であった。今はもっと上がっているはずです、僕らがずいぶんやかましく言っているから。それと、税金を負担し、あらゆるものを自分で働いているという労働者が、やむを得ず入る七千円、八千円という十二坪程度の家と比較をしてごらんなさい。官房長の家は何坪ありますか。公務員住宅、家賃は幾ら払っておりますか。敷金は幾ら払っておりますか。これはおそろしいほど違うものなんです。したがって公務員だからこそ安くていい環境の住宅に入らなければならないという理由はありません。これが国鉄の駅長さんならばいざ知らず、自分の勤務する一番近いところに官舎を置いて、これは義務づけられている、それとは違う、官房長遠くたっていいはずだ。建設省のそばにいないでもいいはずだ。一体どうなっているか。官房長、あなたの家賃を知らせて下さい。自分の家ならいいです。官舎に入っている人は手をあげて下さい。実際にそれはひとつ国民にはっきり知らして下さい。都市局長は官舎か、公務員住宅だね。ひとつ説明して下さい。僕が質問するのですから、答弁して下さい。
  169. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 私目下公務員住宅に入っておりますが、ちょっと家賃のことは覚えておりませんのであとで調べまして御報告申し上げます。
  170. 田中一

    田中一君 このように恥かしくてきっと説明もできないのでしょう。そこで今住宅政策については質も量もよくなるような政策をとっているとおっしゃっている。どういう形でとろうとも、国民の生活とそむくような高家賃では、これではよい住宅局にならないのですから、家賃制度というものを立てるようにひとつまあ今研究でもいいでしょう、急速に研究するようにひとつしていただきたいのです。そうして公営住宅法を全面的に検討することです。公営住宅法を検討されますとおのずから原資の問題だけになりますから、ほかの住宅供給の制度というものもおのずからその原則に立ち帰って変わってくるのではなかろうかと、こう思われるのです。むろんその場合には足りない、これはもう補助工事ですから、足りない都道府県には別途家賃の補助をしてもいいと思うのです、ある場合には。ある場合にはそうして一つの体系が生まれ、みなに均霑され生活しやすい家賃になるならば、あるいは黒字になるかも存じません。その点ひとつ答弁して下さい。
  171. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) まあ外国のある州などでやっておるという話を聞きますように、社会保障の建前で貫いて低所得階級の所得に応じた家賃の計数を出しまして、公営住宅の供給ができればこれが一番理想的だと思います。現在の日本のあり方は、御承知のとおり地方負担分及び管理費等が計算をされて家賃の計数を出しておりますので、まあ半分とまではいきませんでも、国費で負担しておる分が社会保障の形ということになって、社会保障と、しからざる行き方との混合体のような姿でありますが、私どもとしましては、最近所得のふえた方々の割り増し金の問題等もございますし、いろいろ公営住宅家賃の立て方等につきましては苦慮をいたしておりまする次第で、住宅局でも最近力を入れて研究をいたしておりますが、まあわれわれまだ十分の知識がございませんので、御指摘のような点につきまして今後ひとつ十分勉強をしてみたいと思っております。
  172. 田中一

    田中一君 宮崎主計官。今建設大臣が説明したような、本年度の公営住宅は規模、質もよくなったというのですが、単価は三十六年度と昨年の臨時国会とはどう違っておるか。それから臨時国会の是正されたものと、三十七年度とどう変っておるか。またそれの積算の根拠をひとつお示し願いたいと思います。
  173. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 住宅の単価につきましては、三十六年度におきまして相当の値上がりをいたしました関係で、公営住宅につきまして補正予算を組みましてこの是正をはかったことは御承知のとおりでございます。で、三十七年度の予算にあたりましては、この補正予算におきます是正ということを考慮に入れまして、大体この補正予算単価を基礎にして予算を決定したということになっております。具体的には若干指数のとり方等によりまして少しく値上がりをいたしておりますが、ごく大ざっぱに申し上げますと、木造の住宅についてはおおむね三十六年度の当初単価に対して二〇%の引き上げ、それから耐火住宅については一〇%の引き上げになっております。それから用地につきましては大体一九%の引き上げ、こういうことになっております。具体的には、公団、公庫等で若干の動きがございますけれども、おおむねその基準でできております。この単価の考え方はどういうことかと申し上げますと、三十六年の際にも問題になりましたように、最近の非常な値上がりがございました。それを見ていこうという考え方によりまして三十五年六月、三十六年六月との値上がりの率を見まして、これによって三十六年当初の単価に対して是正をしていく、こういうととで積算してございます。大体以上でございます。
  174. 田中一

    田中一君 そうすると、予算上は今の木造二〇%、それから用地一九%結局これをこめて流用してもいいのだという解釈ですね。たとえば、まあ今あなたがおっしゃるように、三十五年六月、三十六年六月までの一年間の値上がりというものを平均を出して積算しているんだとおっしゃっているけれども、用地費が相当伸びておる、伸びておるというのは一九%とおっしゃっていましたね、この場合には流用は認められますか。土地がかりに前年と比較して一〇%程度のもので取得できた、全般的に九%あまり。これは逆に今度は耐火住宅の場合には足りないからこれをもっていくんだということもあり得るというわけですね。
  175. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 御承知のとおり、公営住宅等の予算の執行は、予算が成立しました直後に支出負担行為の実施計画を組みまして、それによって具体的内容が決定されることになっております。具体的内容と申しまするのは、各公共団体別の各構造別の割り振りというようなことがこの際きまるわけでございます。その場合の単価につきましては、今予算に組まれておりますのは全国平均一本の単価でございますけれども、実際には各地域別に相当相違もございますので、この地域の相違を、加味します、と申しますかそれを考慮しましてこれを地域別の単価に割り振るわけでございます。また、その場合には個々の住宅建設計画も府県等から申請があるわけでございますから、その点も考慮いたしまして住宅局のほうとして実行できる予算を組んでいく、こういう建前でございます。流用というとちょっと語弊がございますが、要するに公営住宅といたしましては、そういう地域別の実際にできる単価というものをこれから組んでやっていく、それが実情に合うようにやっていこう、こういうことでございます。
  176. 田中一

    田中一君 耐火住宅並びに用地というのは一体となって住宅だという観念でいいのですね、理解の仕方は。用地は用地の取得だけ、建築部分は建築部分だけというふうに割り切って考えるのですか、考えないでもいいのですか。
  177. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 一応今のようなことに単価がはじかれますから、一戸当たり幾らということになっておりますから、それでその内容はそういった実行上のことは上げてもいいということになっております。
  178. 田中一

    田中一君 そこでこの伸び率のうち、賃金と資材というものに分けた場合にはどういう工合いに見込んでおりますか、ですから二戸当たりの資材、用地は別として、建築物の場合、労銀と資材とわけたらどういうパーセンテージになりますか。
  179. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 資材につきましては日銀卸売物価指数をとっておりますが、それについてみますと、木材が二七・六%の増、セメントは六%の減でございます、それから砂でございますが、これが二三・八%、砂利が一七・二%、鋼材がおおむね五%程度の値上がり、ブロックが七%程度、こういうふうに見込まれております。それから労賃の関係でございますが、これにつきましては労働省の調査によってやっておるわけでございまして、建設業の常用労務者賃金ということでみておりますが、一九・五%のアップということで計算ができております。
  180. 田中一

    田中一君 そうすると、これは一般職種別賃金PWと何ら関係なく積算されておるということでいいのですか。
  181. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) PWは御承知のように年間一回のものでございまするので、こういった割り合い短期の異動を見るのに適当でございません。労働省の毎月勤労統計調査というものとPWと、したがって数字的には直接的には関係しておりませんが、趨勢をみておりますと大体似ているようでございます。
  182. 田中一

    田中一君 基準局長はきておりますか。
  183. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) 見えております。
  184. 田中一

    田中一君 PWはどうしますか、ぼつぼつこの辺で、今、宮崎主計官からは、まあそういう基準によらないが、似通った数字になっておると言っておりますがPWそのものをどうしますか。
  185. 大島靖

    政府委員(大島靖君) PWにつきましては御承知のとおり昨年実施いたしました屋外労働者賃金調査、これに基づきまして各職種、各県別に算定するわけでございます。ただいま昨年の調査の結果を集計中でありますが、ほどなくでき上がると思いますが、まだ現在のところその結果は判明いたしておりません。
  186. 田中一

    田中一君 いつも四月にPWO改定をする場合にはするのだと言っておりますけれども、一昨年あたりは予算説明書にもちゃんとはっきりと明記してあったというふうに記憶しているのですがね。予算説明書にですよ、草稿という予算説明書にははっきりと賃金は本年は二三%値上げしている、ということを明記しておったように私は記憶しているのですが、宮崎主計官どうですか。
  187. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) PWは例年四月に改正されますので、それまでの段階はPWそのものの値上げ率というものが出たことは今までないと思います。御指摘の点は、たとえば失業対策事業の賃金であるとか、そういったものは予算できめまするもので、そういうものについての値上がり率は予算説明に出ておると思います。そういうことであろうかと思います。
  188. 田中一

    田中一君 そうすると失対、臨就等の賃金の値上がりを予算で組み込んである。ところがあなたの方で実態調査をした結果、どうもそれじゃ足りないのだというようなことがあった場合には、どうなさるつもりだったのですか。
  189. 大島靖

    政府委員(大島靖君) 失対事業の賃金につきましては、私所管外でございますが、ただ予算案を決定いたしますときには、ただいま申し上げますように、大体PWというのは毎年四月にきまるものでございますから、まだその結果はわかっておりませんので、したがって、従来の賃金の状況でありますとか、あるいは生活保護の関係、そういったものを勘案して決定されるわけでございます。
  190. 田中一

    田中一君 労働省はせんだっても大臣と合ってみると、大臣は、これは人に言っちゃあ困るけれども、実はPWを自分のほうに持つのいやなんだ、こういうものをわれわれ労働省として持っておる必要がないのだ。どうも大蔵省は何かやはり基準作らなきゃならぬからひとつ持ってくれというので、やむを得ず持っておるのだということをるる言っているのです。  それでこれは率直に聞きますが、労働省としてはPW、ことに終戦処理の廃法を部分的に生かして、それを使っているなんていうのは日本の恥ですよ。労働者の賃金というものを法律できめるなんていうばかな話はありませんよ。もうこのことは何年も、五、六年来予算委員会等では常に追及しているのですけれども、ことに各代々の基準局長も、これはもう今度はやめます、今度はやめますと言っている。ところが相変らずアミーバのように生きているのです。生かしているのは何かというと、いつも主計局だそうです。主計局が生かしておくのだそうです。これは国が直用する労働者に対する賃金の一応の標準をきめるのだというならば、そのような形でもって単独立法すればいいのです、また行政措置でもできないはずはないのです。おそらく、営繕局でも道路局でも河川局でも、前年度のあるいは前々年度の賃金の実態からいろいろ推定したもので単価をきめているわけですよ。ところが直用する労働者に対しては云々ということでもってやっておりますけれども、そんな必要は全然ないと思うのですが、その点は基準局長どう思っておるか、同時にまた宮崎主計官、あなたは公共事業を担当している人としてどうしてもこういうものはなくちゃならない、あるいはこれがなくちゃならないのだというところに立っているのですか、ちょっと説明して下さい。だめですよ、打ち合わせしちゃ。
  191. 大島靖

    政府委員(大島靖君) PWの制度につきましてはいろいろ御議論がございまして、その中にはもう廃止してもいいんじゃないかという御議論も、もちろん私ども拝聴いたしておるわけであります。ただこの存置につきましては、ただいま主計官から申し上げましたように、直接直ちに予算積算の根拠になっているわけでもございませんので、したがって大蔵省がこれを存続云云という話は、私もただいままで承知いたしておらないのであります。ただかりに廃止したといたしましても、結局各種公共事業予算の執行におきまして、やはり労賃について一定の基準というものはどうしても必要なんで、したがってPWを直ちに廃止いたしましても、やはり同じようなものが何らかの形で必要だということは争えないと思います。もちろん御承知のとおり現在のPWの制度は、法律的には直轄公共事業の直用労働者のみに適用があるものでございますが、ただ事実上関連する各種事業において利用されておる、ここに実際との乖離がありましていろいろ問題がある。で、かねてから田中先生にもいろいろ御心配をいただいて、はなはだ恐縮にいつも思っておるのですが、本年度におきましてもそういった面を十分考慮いたしまして、PWの金額そのものにおきましても、またその運用の面につきましても、できるだけ実情に沿うような形に持っていきたい。私どものほうも建設省ともいろいろ打ち合わせして、できるだけ先生の御趣旨に沿うような方向で努力をいたしたいと思っております。  なおPWの制度の今後につきましては、私どもも先生の御趣旨を含みまして、将来とも検討いたして参りたいと、かように考えております。
  192. 田中一

    田中一君 半分くらい正直です。そういう傾向にあるんです。したがってこれは憲法でも明らかに賃金の問題は労使話し合いできめるということに、憲法二十七条でしたかな、きまっておるわけなんですよ。ところが一方的に昭和二十三年だと思いますけれども、PW——あれはもう法律を作った大部分の内容というものはなくなってしまっているにもかかわらず、あの表だけが残されておるということは、これはもう日本の恥です。したがってここでははっきり言えぬでしょうけれども、私はまあ今度の四月の賃金の改定がなされて、そしておのずから廃法になるんだというように理解いたします。そこで宮崎主計官、あなた答弁して下さい。
  193. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) ただいま労働省のほうの御説明ございましたように、公共事業の実際の単価をきめるという問題につきまして、現在私どもが担当しております予算の範囲では、PWを直接使っておるものはほとんどないわけでございます。で、一つこれに準拠しておりますのは、毎年度の災害復旧事業の査定をいたします単価でございますが、地域別にやらなければなりませんので、建設省では、基本単価でありますが、これがPWを大体とっておるということでございます。ただしこの場合でも最高最低がございますので、実際の問題として、それでぴしゃっときまったかというとそうでもないというような形になっておりますが、しかしまあ一応これに準拠しておることは事実でございます。したがいまして公共事業予算を編成し、あるいは執行するということのために考えて参ります場合に、現在ありますPWの制度というものがどうしてもなければならぬということは私はないと思います。ただ労働省のほうでもおっしゃっておられましたように、国としましてこういった賃金についての適正な統計資料を持つということはぜひとも必要でございますので、そういった意味のことで、このPWが今一つの大きな調査資料として根拠があるものになっております。そういったものが今後ともやはり必要である、こういうふうに考えておりますが、制度的なものとして必要かということになれば、私どもとしては必ずしも必要でないと思っております。ただしこれはまあ公共事業担当の私の意見でございまして、失業対策の関係や何かになりますと、またどういう議論がございますかわかりませんが、一応私はそういうふうに考えております。
  194. 田中一

    田中一君 大体明確な答弁で、ずばりな答弁はできないでしょうから大体了解します。  そこで失対事業でどうこうという話だったから、道路局長どうですか。あなたのほうでは失対事業を労働省にしていただいてる。しかしあなたのほうではもともと予算は向こうで持ってこっちでやってるのか、あなたのほうではどう考えます。失業対策事業の一つとして道路事業を行なっている場合ですね。組まれた予算をそのままもらってやってるということにすぎないのですか。
  195. 大島靖

    政府委員(大島靖君) 私所管外でありますが、労働省の問題でございますので私からお答え申し上げたいと思いますが、先ほどから申し上げますように、失対事業の賃金にいたしましても、またPWがきまる前でございますから、従来の賃金の実情とか生活保護その他の情勢を勘案いたしまして、決定するわけでございます。なおいわゆる緊就、臨就といったような問題につきましても、PWがきまりましてから賃金をきめて参る、こういうふうな形になっております。したがって緊就、臨就等の問題につきましても、まだ新年度の問題につきましては、PWがきまってから後に処置せられるものと承知いたしております。
  196. 田中一

    田中一君 じゃ宮崎君。大体近いうちにだれもかれも……、残しておきたいというのは政府だけなんです。あらゆるところで、たとえば地方公共団体においても、こういうものがあってもこれによって仕事はできないんだということを言っております。したがってもうこれは廃法に近いというように理解しておいていいわけだな。それは宮崎君に聞いてる、宮崎君のほうが残しておきたいということのように聞いてるもんだから。
  197. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 私直接の担当としての分も一応ございますので、御趣旨はよくわかっておりますから、一つ関係の方面ともよく御相談しまして今後の運営について円滑にいくように処置して参りたいと、かように考えております。
  198. 田中一

    田中一君 けっこうです、それじゃ。もういいですわ。宮崎さんは残っていて下さいよ、あなた。  法務省の営繕課長見えていますか。
  199. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) 見えております。
  200. 田中一

    田中一君 私は先般北海道を大体ずっと歩いてみて気がついたのですが、網走のあなたのところの公務員住宅というか、官舎というのか非常にひどいものがあって、また最近作っているものもあなたのほうでは相変わらず木造を作っている。何でも北海道では木造を作らないんだ、国の資金が流れるものには作らないんだという法律があることを御存じだと思うのですけれども、相変わらず木造を造っている。これは一体どういうことなのか。ことに網走のああいう官舎、あるいは職員の官舎なんというものはもう住むに耐えぬような家が並んでいるわけなんですよ。いわば社会的にも歴史ある網走監獄なんですから、それは相当いたんでいると思いますけれども、それにしてもなぜそういうものが建てかえられないのか。あなたのところの所管の営繕関係の官舎とか庁舎とかいうものがどんどん新造されながら、ああいう北海道の北の果てにある網走の官舎がああいうものでいいのかということになりますと、これは非常に問題なんですよ。どういうわけで今まであなたのほうの営繕費というものが伸びないのか。そうして一体今の植木法務大臣は網走監獄に一ぺん行ったことがあるかどうか。行った場合にあなたが案内したと思うのです。また植木さんの前の法務大臣も行ったことがあるかどうか。大臣が網走監獄を視察したことがあるかどうか一ぺん聞いておきたいと思います。
  201. 住吉君彦

    説明員(住吉君彦君) 御説明申し上げます。すでに御存じのことと思いますけれども、公務員宿舎の建築予算は、一般の私どもの庁舎その他の施設費以外に、大蔵省の管財局のほうに一応ワク予算としてきめられまして、そうしてその大蔵省管財局のほうから、各省庁から出て参ります宿舎要求を総合勘案いたしまして、そのワク予算の中から法務省の宿舎として何戸、金額幾らということで建坪、構造、建築費、その他の諸経費をいただくわけでございます。御指摘のとおり網走刑務所の官舎は全く木造ばかりでございまして、法律にございます防寒建築の基準にのっとっておりません。実は宿舎予算は法務省の例を申し上げますと、法務省は御存じのとおり収容官署を相当かかえておりますので、他の省庁に比べて割合は相当いいだろうと思いますけれども、それにいたしましても、法務省の宿舎は各財務局の管理しておられます合同宿舎を入れまして、総戸数におきまして八千三百戸ございます。職員定員は所管全体で四万数千おりますので、概算で申し上げますと五人に約一戸の割合で宿舎が設けられております。そういたしますと、結局宿舎予算の要求のあり方といたしましては、まず充足率と申しますか、宿舎の割当を受けていない職員に、新規に宿舎を貸与してあげたいという気持が先立つものでございますので、御指摘のとおり寒冷地区に木造建築のまま放置されておりますが、その寒冷地区でもまだ宿舎の貸与を受けていない職員もございますので、むしろそちらのほうに重点がかかっておるという状況でございます。それから宿舎予算は先ほど申しましたとおり、所管全体を含めまして年間約一億二、三千万のところをいただいております。これくらいをもちまして木造宿舎を改築するというところまではなかなか手が回っておりません。御指摘の網走刑務所の宿舎は大正年間の建築にかかるものでございます。その後補修を加えまして現在に至っておりますが、補修、修繕がきかない程度にいたんでおりますので、早急に改築しなくてはならない、こう思いながらも、今申しますように宿舎の総戸数自体が不足しておりますので、おのずと新規要求は、改築よりもむしろ新築というほうに傾いているのが現状でございます。  それから歴代の大臣は特に収容施設については御関心がおありなので、私実は前大臣がおいでになられたかどうかよく記憶しておりませんが、植木大臣もごらんになっていると思います。
  202. 田中一

    田中一君 これは宮崎さんのほうの所管じゃないの、——それではあなたから伝えて下さい。ひどいもんです。一棟九戸建で聞いてみると明治四十年に作って、まだ住んでいるのです。むろんそういう収容施設にも不幸にして住まなければならぬという現状でありましょうけれども、何といっても住むに耐えぬ環境に置くということは、これは間違いです。予算がとれないという、手が回らないということは予算がとれぬということだと思うのですが、手が回るんでしょう、あなたの営繕課には百何十人かの人がおるんでしょう。手が回るけれども金を出してくれないということですね。これは一つ宮崎さん、ことに網走地区なんかひどいもんです。大体ほかの公務員住宅と比較して、法務省が一番よくないです。ほかのものはどうやら修理なんか行き届いておりますけれども、網走なんか一戸建てるより少ない補修費しか年間いっておらぬのです。これはひどいもんです。むろんそのかわり家賃なんかどういう家賃をとっているか知らぬけれども、これはひどいもんです。これはどうしてもああした寒冷地、僻地の住対策というものは十分しなければならぬと思うのです。これはとても見て来てどうにもならぬから申し上げるわけなんです。  木村参事官、北海道でね、最近あなたのほうでいろいろな除雪施設のたまり場を作っております。これは御承知のようにたまり場というのは住宅、宿舎です。相変わらず木造を作っておりますね。これはどういうことなんです、法律があるにかかわらず。むろん法律には強制しておりません。強制しておらぬけれども、少なくとも北海道各住民、それから国家公務員、地方公務員等が強く要求してでき上がった法律があるにかかわらず、最近作るものも相変わらず木造を作っている、これはあり得ないと思うのです。この資料は先般建設委員会で建設省から出してもらいましたが、はなはだどうも納得がいかない。ことに北海道開発局ばかりじゃないのです。相変わらずほかの出先公務員宿舎というものは、木造が間々見えるわけなんですよ。あの法律はおそらく知らないんじゃないかと思うのですが、これは知らしめることに官房長、あなた方何か連絡しているんですか。それともあるいはまた宮崎主計官が、公共事業だけやって、公務員宿舎については関係ないと同じように、建設省でも全然そういうものに対しては、法律の所管者の建設省として、監督じゃないけれども指摘して、話し合いでもするようなことはできないんですか。それはどういうような措置をとってこられたのですか、何にもしていないということなんですか。そうして木村君、君のほうではそれでいいのかどうか。
  203. 木村三男

    政府委員木村三男君) お答えいたします。北海道の耐寒住宅、防寒住宅ですか、この関係につきましては、私どもとしましても先生のおっしゃったように知らないわけじゃなくて、できるだけのことをやっているつもりでありまして、建設省自体の連絡につきましては、私どもまだ歴史が浅いものですから、特に住宅関係の担当者というものは、常に建設省のほうから派遣願いまして、そうして法律なり何なり詳しい人に来てもらっているような関係で、その面で連絡は十分とってやっているつもりであります。ただ御承知のように北海道の事情を申しますと、私どもとしては先生のおっしゃったとおりに運用したいと思っているのでありますが、まあ歴史を申しますと、まだ開発局ができる前に北海道庁と、宿舎の札幌あたりそうなんですけれども、古いやつの割りふりをいたしまして、そういうやつがかなり残っております。これも耐用年数からいきますと、もう尽きているのでありますけれども、そういうやつがまま残っておりまして、これも程度の悪いやつから逐次やりかえております。  それから、もう一つの特殊事情は、従来工事関係の仮設物的なものを作っておりましたが、公務員宿舎法の観点から見ますと、公務員宿舎法によるほんとうの宿舎に切りかえるということで、ここ二、三年だいぶ苦労いたしまして、あらかた整理いたしたのでありますが、その中にも歴史をしょっておりまして悪いやつがまじっておるというようなことは、先生御指摘のとおり、ごらんのとおりであると思います。それから、今後建てるものにつきましては、建設省からも資料を差し上げておると思いますが、考え方といたしましては、公営住宅につきましては、北海道はブロックということになっておりまして、これは建設省さんの御指示のとおりやっていると存じますので、私ども非常に喜んでおるわけであります。ただ事業系統から、従来の仮設物的なやつを公務員宿舎らしく仕上げていくというやつは、予算の出どころが事業系統から、建設省関係、農林省関係というようなところから少しずつ集めまして設置計画をやっております。そういう関係で、あまり事業費のほうに食い込むわけに参りませんので、木造のやつが相当入ってきておるというのは御指摘のとおりでございます。この点につきまして、まあ私どもとしては宿題でございまして、なるべく御指摘の線のように法律の趣旨をよく体しまして、そういう点に持っていくような方向にいたしたいと考えておりますが、実情は先生の御指摘になったとおり、木造が相当入っておることを正直に申し上げます。
  204. 田中一

    田中一君 これは宮崎君、事業費で行なう宿舎、これは先だってなくなった岸道三氏が私のところに来て、これは実は指摘されると困るのだけれども、実はこうしているのだということを自分から話していたのですが、これは事業費でもってます。宿舎を作ってしまうのです。当然管理者が必要なんですから……。これはあとで作るべき鉄筋コンクリートの家を作ってしまう。そうしてでき上がると、それが管理者の宿舎になるわけです。こういういき方をしているのです。これは一体どういう——差しつかえないことなんでしょう、どうなんです。
  205. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) ただいまお話の出ておりましたような公共事業費あるいは公団事業費等から、間接費として支出いたします分のうち、宿舎費も当然認めることになっております。従来公共事業等につきましては、取り扱いとしまして、臨時に作るものであって、数年たてば事情が変わるから、仮設のものを建てろというような取り扱いにしておったわけでございます。しかし、その後いろいろの面から検討してみますると、どうも仮設という形であるべきものもございます。これはダムのように、終わればなくなってしまうというようなものもございますが、事業によりましては相当長期にわたってこれを利用するというものもございますので、三十二年に公共事業費として工事事務費という制度を作ります際に、営繕費については、そういったようなものについては、公務員宿舎と同様の規格のものを作ってよろしいというふうに直しておるわけでございます。今、北海道の問題について御指摘がございましたが、これはまあ戸数等の関係で、全部がまだ十分の規格になっておらないわけでございますが、将来の問題としては、私は直していくことが適当であるというふうに考えております。道路公団等につきましては、これは建設をいたします段階では、いわば仮設で作るわけでございますけれども、当然その後に管理をするわけであります。御承知のように計画上三十年の料金徴収期間で徴収するとか、あるいは十五年にするとか、いろいろきまっております。そういった計画によりまして管理のために必要なものは、またそういったような規格のものを作っていくことは、これは経済的ということにもなりますので、そういうふうにやって参ることはもちろん可能でございます。  で、まあ住宅に関する水準の問題は、公営住宅もそうでございますが、この戦後の混乱時代から最近までいろいろ相当質的にも変わってきております。また構造、あるいは技術その他の点も変わっておりますので、最近の事態に即して運用して参ることはけっこうだと、こういうふうに考えております。
  206. 田中一

    田中一君 道路局長、国道の維持管理は地建にまかされております。国道の整備をしたあと、あなたのほうで、今、宮崎主計官が言っているのと違って、やっぱりバラックが建っているのです。そしてこれはむろん管理権というものが地建に委譲された以上これは都道府県じゃなくて——だんだんそのキロ数がふえていくのです。あなたのほうでもそういうように一応管理事務所並びに宿舎等も考えながら建設されているというふうなことになっておりますか。これは営繕の関係か、あなたのほうか、事業費だからあなたのほうですね。むろん河川局も同じです。どういうように考えておるか、ちょっと答弁して下さい。
  207. 河北正治

    政府委員(河北正治君) 新しく事務所を設ける場合に、御指摘のように指定区間等が年々改良が進むに従いまして延びて参ります。それで、将来とも指定区間の管理のために必要であると認められる事務所につきましては、ブロック建等の永久構造物をいたしております。また、宿舎のほうはまだそこまで参っておりません。
  208. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 河川関係におきましても、将来直轄で管理をすべき区域、あるいは個所につきましては、宿舎あるいは事務所等について永久的な考え方で進みたいと思っておりますが、現在のところは、まだ全部そういうようにはなっておりません。今後はそういうふうに進んで参りたい、こういうふうに考えます。
  209. 田中一

    田中一君 北海道は特に法律でもって規制している。三十七年度の予算ではどうなっていますか。
  210. 木村三男

    政府委員木村三男君) 三十七年の関係につきましては、先ほど宮崎主計官からもちょっと話が出ましたが、支出負担行為の実施計画ということで、今局のほうから資料を取りまして、いずれ大蔵省に持ち込むつもりでやっておりますので、正確な数字は今のところつかまえておりません。
  211. 田中一

    田中一君 それじゃもう一つ、これはあなたのほうで宮崎主計官に言っておいて下さい、そういう書類が来たならば。それから、除雪のモーター・グレーダーはどこにもある、もう全道にあると言っていいのです。ところが、むろん車庫もあります、車庫もおそらく北海道に雪が降らなくならない限りこれはもう営造建築物であるはずなんです。車庫ですから。ところが、これに不思議なことには車庫には必ず事務所がないのです。それから便所がないのです。もうどこを調べても便所というものはありません。北海道の人たちはきっと表でもってするように習慣づけられているかどうか知らないけれども、私はそんなことはないと思う。これはどこを歩いても便所はありません。車庫には便所がついておらない。それからたまり場がない。寒いのですからね、どうしてもやはりたまり場に待機することが多いと思うのですが、これは必ずそういうものを、付属量的なもの、付属施設というものは絶対につけるように、ひとつ要求していただきたいのです。
  212. 木村三男

    政府委員木村三男君) たいへん参考になり、御指摘いただきまして、実は私どもも東京におりますとなかなか現地へ参りませんので、そういうことをおそらく現地のほうも遠慮しているのではないかと思いますので、御指摘のような点につきまして、できるだけ早く解決の措置を講じたいと思います。
  213. 田中一

    田中一君 これは宮崎さん、そういう場合には、喜んでそうかそれは知らなかったといって開発庁の要求は、全部了承なさるつもりでしょうね。
  214. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 御要求が参りましたならば、できるだけ善処いたします。
  215. 田中一

    田中一君 まだたくさんあるのですが、それはもうやめます。  そこで最後に伺いたいのは、オリンピックに関するいろいろな意味の施設が持たれておりますけれども、比較的進んでいないところは、どこにその問題があるかと言っているのです。なぜ進まないのかということなんです。私などもまあオリンピックというものの招致は反対でした。私はオリンピック特別委員会でも率直に申し上げたのです、反対なのです。しかしながらきまった以上、これはしなければならぬというふうに踏み切っているのですけれども、問題はどこにあるかという点を聞きたいのです。どうもいろいろな形でもって一つ解決すれば一つ問題が出てくるというようなもので、この都内の高速道路二号線、これなんかも初めから反対しておりました。ところがようやく最近賛成に踏み切ってきたのです。ところがいよいよ金をいろいろきめて、補償額も大体話し合いがついた。そうすると今度は税金の問題、これは宮崎主計官のほうじゃないというから、今税制第一課長に来てもらいますけれども、妙なものでしてね、補償金はもらった、それに税金を取られるのだとなると、何だか二重に取られてそれだけ損するような気がするのが国民感情らしいのですね。かりに個人個人の契約であるならば、税金部分は補償額の中に入っておりますよということなんでしょうが、おそらくそういうものじゃないと思うのです。補償額はどこまでも補償、税金を含まない補償、そしてそれに対する税制上から、当然お前の所得であるから取るのだということになって取られるのだろうと思うのです。まあそれに税制上の措置としては、公共用地等の場合には半額ですから、なあ宮崎さん、取られるというようなことで緩和されるということになっておりますけれども、そういう点ひとつ……。そういう点が明らかに都民の中に理解されないと、つまらない抵抗が生まれてくるわけなんですが、その点ひとつ……。これはどうです、前田君のほうだな、オリンピックは。道路——高速道路、都内の。どのような状況で進んでいるか、まず報告してほしいと思うのだが……。
  216. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) オリンピックに関連いたしまして必要な都内の道路——街路につきましては、期日までに間に合わせることが最も大事でございますので、極力その推進をはかっております。三十七年度におきましては、特に予算を大幅に増額いたしまして、確実に三十九年のオリンピック開催までには所要の道路ができますように努力をしておるのであります。その中には、国で補助をして東京都が実施いたします事業と、それからただいまお話が出ました首都高速道路公団が首都高速道路として作る道路と、都の単独事業として実施をいたします道路と、この三種がございますが、いずれも三十七年度及び三十八年度におきまして予定どおり進捗せしめる計画におきまして目下事業推進しておる次第でございます。
  217. 田中一

    田中一君 そこで、たとえば放射四号線、これもオリンピック道路関連事業というのだけれども、放射四号線の青山七丁目付近なんかも郵便局がことしの一月の中旬までがんばったために、少しも交通問題が解決されない。今、社会党も自民党ももう党派を離れましてオリンピック道路のためには協力をしている。一番うるさい政党でも協力しているのです。ところが公共企業体が一番協力をしない、非協力だと思います。まず警察、郵便局等は、いつもじゃまをしている、これは一番社会に、地域に密着している職場というか、施設なものだから。たとえば青山警察の庁舎もいち早く取り払っておやりになれば、付近の人たちもそれでは自分も一緒にやろうじゃないかということになる。相当進んでおります。進んでおりますけれども、一番最後までがんばるのは公共建造物なんです。公共用地の取得に関する特別措置法のときにも、るる自分の意見を言っておきましたけれども、相変わらずそうなんです。これは前田局長、青山からずっと歩いてごらんなさい。でんとして全然動く気配のないというものは、全部公共建造物です。民間は裏のほうから仕事を始めて移ったりなんかして、ぼつぼつくしの歯がかけたように協力している。私は公共建造物が早く協力をする態勢を整えるのが正しいと思うのですよ。そこで、宮崎主計官、これはあなたのほうではないのかな、そういう場合、予算措置としては、三年後にやればいいの、だから、最後までがんばるという見解をとっていらっしゃるのか、そういうものをいち早く範を垂れる意味において直ちに予算化して移すなら移すという方法をとっているのか、どっちなんですか。
  218. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 御指摘の首都高速道路の関係で移転を必要とするようなものにつきましては、昨年度あたりから具体的に事業が進んで参りましたので、予算の策定以前にそれぞれ所管のところと打ち合わせをいたしまして、そうして公団計画に合わすように予算措置をする、こういう方針でやっております。御指摘の郵便局の場合のように、どうも趣旨が徹底しない場合もあったようでございますが、私どもとしてはできるだけそういうふうにやっていくようにしたいということで、首都高速道路公団も私の担当でございますので、それぞれ担当の主計官なり、あるいは各省にも呼びかけてやっておるわけであります。ただ残念ながら具体的な問題になりますと、非常に工事計画そのものが確定しにくい場合もございます。そういったもので一、二問題が生じておるものがあるように私承知いたしておりますけれども、今後ますますそういう点は連絡を円滑にしましてやって参る。予算上は工期に合わすように計上していくというのが建前でございます。
  219. 田中一

    田中一君 今、宮崎君、工期に合わすように計上していく建前なんですと。その工期というのは、ぎりぎり結着三十九年の何月かに間に合えばいいのだということを予算の建前とするのが正しいやり方なんですか。どうもそういう点が徹底しておらないから、ほかの公共建造物が居すわって、なかなか動かないのです。むろん、金がないから動かないということになるのでしょうが、そういう点は、率先して予算化して、範をたれるとか、何もえらいことを言う必要もないけれども、そういうことを進んでするのがあたりまえだと思うのですが、その点、どうなんですか。それで、どういう工合に前田都市局長は指導しているのか、そのくらいのことはねじ込んでいってさせなければだめです。必ず一番多いのです。宮崎主計官、今、渋谷から三宅坂までの間でもって、衆議院議長公舎、参議院議長公舎は、とりあえず取り払いました。自民党も取り払いました。社会党も取り払いました。あと残っておるのは、あすこへ参りますとたくさんあります。警察があります。青山御所は当然削られるはずです。それから区役所があります。その他、公共建造物というのはたくさんあるわけなんです。それは、あなた方、どうするかという話し合いをしておりますか。予算上の裏づけの問題、それから前田局長は、実際に、そういう人たちと、促進するための話し合いをしておるかどうか。
  220. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 先ほど申しましたように、国の予算として措置すべきもの、あるいは公社等の機関につきましては、三十七年度につきましても、事前に相談をいたしまして、必要な予算を、公団が着工する時期に間に合うように作っていくという建前でやっております。具体的に今申し上げてもよろしゅうございますが、相当個所数の予算が、昭和三十六年度からやっております。ただ、公共団体が持っております区役所等につきましては、これは、私ども、直接にはあれしておりませんので、建設省なり警察庁のほうで進めていただく、こういうふうに考えております。
  221. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) ただいま先生の御指摘のとおり、まず、公共的なものから移転をしていくことは望ましいことでございまして、工事は、直接東京都のほうで実施いたしておりますので、私自身は、直接の関係のものとは打ち合せいたしておりませんけれども、東京都と定例に打合会を開きまして、まず、移転の促進ということに全力をふるっております。ただいまお話しの赤坂区役所及び警察署は、計画では、用地といたしましてそこを通らないことになっておりますので、その点は、まだ、このままで残ると思います。
  222. 田中一

    田中一君 ほかにまだあります。たとえば、あれは国有財産ですか、青山御所。宮内庁のものですか、あれは……。
  223. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 東宮御所の土手のところは、目下、工事の着手の準備をいたしております。
  224. 田中一

    田中一君 それから公共用地取得の特例を立法化する際に、いろいろ、建設省審議会等にも答申を求めていたのであるが、土地の収用されたあとの課税の問題については、十分考えろというようなことが言われておった。ところが、この三月二十日に出たところの、公共用地審議会ですか、この答申には、一向、税制の問題には触れておらぬ。もっとも諮問にもなかったのでしょうが、触れておらない。現行法はどうなっているか、現行法というか、法制上の問題よりも、行政措置としてどういう扱いをしておるかという点を、ひとつ第一課長から聞きたい。
  225. 細見卓

    説明員(細見卓君) 現行法の大体の取り扱いを申し上げますと、土地が公共事業等で収用されました場合、まず第一番に土地を買いかえるというような場合ですと、その場合に譲渡所得がなかったものとみて、しかし、買いかえました土地が、売りました土地よりも安く買えたということで、差額が出たという場合、普通御承知のように譲渡所得がかかるわけでありますが、その場合も普通譲渡所得の半分、つまり四分の一にする、こういうことに相なっております。
  226. 田中一

    田中一君 それは税制調査会からの答申案とは違っておりますか。
  227. 細見卓

    説明員(細見卓君) 税制調査会の答申と申しますか、これは直接税制調査会の答申で、今回改正いたすこととして提案いたしておりますのは、従来土地がたとえば収用になりました場合、道路等ですと、家屋というものは収用の対象にならないというようなことがございまして、その家屋を取り除かなければならない、あるいは移転補償をもらうというような場合に、その家屋分について、今申し上げましたような譲渡所得の特例がなかったわけであります。その点はむしろ現状からすれば、土地と同様に考えたほうがよかろうということで、租税特別措置法が一部改正として、今衆議院は通りましたが、目下提案中でございます。
  228. 田中一

    田中一君 どうも妙なものでね、税金を取られないというと、ずいぶん得したような国民感情があるのですね。百万円もらった、そのうちのかりに三万円でも五万円でも取られるとなると、何か損したような気がするのです。これは政治が悪いから、損したような気がする、ほんとうは喜んで出すのが税金ですけれども。そこで税金取らぬような方針はできんですか。むろんこれは補償金払うほうの制度と、税金取るほう制度と、違うのだということになりますけれども、だからこそ、やはり特別措置法でもって、それは喜んで自分の土地を提供しようという気持を起こさすのが、やはり政治だと思うのです。
  229. 細見卓

    説明員(細見卓君) 同じ土地と申しましても、たとえば投資用に持っておった土地が、たまたま道路が引っかかって収用されるというような場合と、文字どおりそこに生活を営む、あるいは生業を営んでおったというふうな土地が収用される場合とでは、相当違うだろう、その辺を考えまして、現在の制度は主として、生業なりあるいは住宅というようなものを持っておられる人のことを考えまして、買いかえられた場合には、その土地を収用されることによって何ら所得が出なかったものとして考える。いわば非課税にするということにいたしております。
  230. 田中一

    田中一君 公共用地の取得に関する特別措置法は、物には物をという精神なんです。物には物という精神ですから、これはむろん現金は扱わないわけです。しかし金を扱うからといって、すぐ課税の対象になるということになると、この土地収用法そのものが悪法なわけです。今度の、収用の時間を短縮するというので、われわれは反対していますけれども、特別措置法では、これは物には物をということになっている。今かりに事業主体が一億円の土地の補償金を出すといっても、同じ条件のもとに一億円の土地が求められないのです。買いたいけれども、やむを得ず八千万円の土地を買ったという場合が多いのです。たとえば金は幾らでも出しますよといった場合に、同じ条件のものは、一億円の補償金をもらっても、一億五千万出さなければ買えないというわけです。事業主体が買ってくれればいいのです。金は要りませんよ、同じ環境のものをどこそこに買って下さいといって、それを実行してくれればいいんですが、そうはいかない。かりに今度は金の問題は別としても、同じような環境の土地がほしいといって求められないのが日本の土地の現状なんです、ことに盛り場等は。そうすると、まあ条件がうんと悪い。悪いけれども、それは八千万円でようやく手に入ったというものは環境が悪いということですよ。価値が低いということですよ。自分の店が、かりに商店にしても自分の店が五十坪あるのだ。五十坪あればいいのだ。しかしながら五十坪で一億円の土地は手に入らぬ。しかし、五十坪でもって場所は悪いけれども八千万円で手に入ったという場合に二千万円に対する課税がかかってくるわけでしょう。あるいは一億円で手に入らなかった。自分で五千万円持ち出して手に入った、かえ地が。その場合には、別に五千万円だけ税金を、税のほうで、税務署のほうで負担しましょうというわけではないので、どうもそこのところに割り切れぬものがあるのですね。制度だからやむを得ないというけれども、目的は税を取るのが目的ではない。用地の取得なんです。たとえば道路にしても、道路の拡幅ということが目的なんです。これを一日も早く喜んでさせるということが目的なんです。それが、税を取るためにそういう意欲を失うということになると、これは悪い政治なんです。一億円補償金をもらって一億二千万円出さなければ同じような場所が買えないという場合は大体そうです。同じような環境のものならば買えません。一億円、だからあそこの土地は一億円補償金をもらったから、おれのところは売るものか。一億円の価値がある、一億二千万円なら売ってやるということになる。一億二千万円でもいい環境の場所なら売りませんよ。そうすると、やはり物には物という、一億円のよい環境の土地を買うならば金は要りません、あの土地を買って下さいということにならざるを得ないのです。そうでなければ、ほんとうに公共事業というものはスムーズに行なわれないのです。やはり税制そのものを変えていいのです。税金取るのが目的じゃないのです。超過所得があったからといって取るのでしょうけれども、評価されているところの土地が低い場合にはやはり営業権その他の問題に悪影響があるのです。そういうものを十分考えないで、一律に平均でもって少しは軽減し、四分の一になるのだから払えということじゃやはり国民の協力というものは、公共事業に対する協力というものは伸びてこないということを言わざるを得ないのですが、今私も特例法の、特例か臨時措置か、その法律は知りませんけれども、そういう点は税を取るなんということが間違いなんですよ。まけさしてやったっていいじゃありませんか。今まで一億円もらって五千万円でもって少しは、何というか楽をしようというような人たちに対しては楽をさせたらいいじゃないか。自分の環境というものが公共事業のためにゆすぶられるという場合には、いろいろな補償のなにがあるでしょうけれども、たかだか百万円に対してどのくらいになりますか。たいしたものではないと思います。たいしたものでないところにまた問題があるのです。そういうものはおやめになって、超過所得云々なんて言わないで、非課税にしたらどうなんです。そういうことによって相当私は公共事業というものは伸びると思うのです。取るならばもっとたくさんもうけている法人からお取りなさいよ。せんべい屋のおやじさんやクリーニング屋のおやじさんから取らないで、しゃくし定木なそういう課税の方法は公共事業推進をはばんでいるもとなんです。これはまあ一課長に言ったところが、一課長何とも答弁できぬかもしれぬ。水田さんでも来てもらわなければどうにもならぬけれども、これはほんとにそうですよ。あなた方が、そういう国全体の事業というかけ声をかげながら、少しの税金を取るためにその事業というものの進展をはばんでおるということになるんです。一課長どう考えますか。
  231. 細見卓

    説明員(細見卓君) 非常に高度の政治論は私どもわかりませんが、まあ、税を扱う者といたしまして、税制というのは、御承知のように公平が第一になっておるわけでありまして、その意味におきまして、まあ、不動産を含めまして資産から生ずる所得というものはむしろ一番担税力があるという面も実はあるわけであります。しかし、現行の所得税といたしましては、所得の種類を分けて特別の課税をするということはいたしておりませんが、譲渡所得につきましては、特に何年かにわたってその所得が発生してきたというような面もありまして、御承知のように、十五万円を引きまして、それの二分の一を課税をするのでありますが、今おっしゃった点につきまして、ただ単にこういう公共の用に供されるために収用された場合と比較いたしまして、一般にただ土地を売ったというような場合に、かりに一千万円の収入が入ったといたしますと、先ほど申しましたように、譲渡所得は軽減課税になってはおりますが、大体一四・二%、税金にいたしまして百四十万程度の税がかかることになっております。で、おっしゃるように、かりに代替資産が全部買えなくて、七割程度しか買えなかったといたしましても、その税金は十七万円になりまして、一・七%と実に十分の一程度に軽減になっておるというのが実情でありまして、もちろんおっしゃったような零細な企業の人が土地を取られるという問題がありますが、その場合はむしろ、お言葉を返すようですが、代替資産がそっくり返る。代替資産が買えないような人は、むしろ大きな土地あるいは非常にりっぱなものを持っておられた人が、なかなかそれに見合うものが買えないということになるんじゃなかろうかと思います。
  232. 田中一

    田中一君 私は妙なことを知ったんですがね。たとえば土地を買う、その場合に、これはさら地であったとしてもいいんです。その場合に、これは四万円の土地だ、しかし税金をうんと安く払うためには地上権を設定するわけです。地上権というものは何も物権じゃありませんから登記する必要ございません。バラックを一軒建てた、そうすると、四万円の土地を、一万五千円を土地の代金として二万五千円を地上権として買ったことにするわけですね。これは何でもない、ほおっておけばいいんですよ。そうすると取得は一万五千円です。これは何とか計算して税金がかかってくる。その課税標準額云々というのが出てきます。地上権を買ったという二万五千円に対しては、これは税務署が何といってきたって報告する義務はありませんから、うっちゃっておきます。それが課税標準価格として見ているところの価格よりも低い場合にはとやかく言って参ります。売買価格というものを認定でもって課税してくる場合、もっと高いものに課税する場合がある。しかし、一応課税標準額というものよりもこえていれば大体税務署のほうでは文句を言わない。これが実情だそうです。そうすると、正直に、たとえば公共団体等はそういう裏の取引的なことはできない。事実は、十万円というものは十万円ということになりますけれども、おそらく東京都もそういう意味で、何らかの形で土地を取られる人たちの利益をはかるいろいろな便法を用いられていると思うのです。私これでいいと思うんです。なるほど地上権というものが物権化して、地上権、借地権というものが物権化して、借地権といいますか——その場合には、それはそれの価値は生じますから、これはもういいと思うのですが、今のような制度ですと、そういう抜け道がある。抜け道は一番よくあなた知っておると思う。それをつかまえる方法はありませんよ。そうでしょう。ありますか、それをつかまえる。またそういうことで多く土地の売買が行なわれている慣行ということも御承知だと思いますが、その点どうですか。
  233. 細見卓

    説明員(細見卓君) 補助金でございましても、他人に譲渡いたしたものであれば、当然譲渡取得の対象になるわけでございますし、底地は底地で対象になるわけでございます。執行上それがうまくつかまれておらないじゃないかというお話でございますと、これは別のことでございますが、われわれのほうは、最近いろいろな土地売買に関する資料の収集等につきましても努力をいたしまして、そうした執行上の手落ちというものをなくしていく方向で、軽減すべきものは軽減いたしますし、当然払っていただくものは払っていただく、こういうことにいたしたいと思います。
  234. 田中一

    田中一君 まあ、あなたにそういう質問をしてもしようがない。しかし、少なくとも建設省のほうでは、前田都市局長……。そのために抵抗がだんだん強くなり、何だか自分で喜んで土地を提供したわけではない、評価も自分が思っているよりも非常に過酷な評価をしている、そうして場合によれば、結局争っても負けるんだということになれば、不満ながらもまあ妥結をする、折れるわけですよ。しかし、それには無論、君が払う。たとえば特例があろうとも、君が払う税金は、この補償金の中に別ワクに入っておりますよといったところで、相手は承知するものではない。なぜならば、買うほうでは、そんなものを入れて買うものじゃないのですから。そうすると、やはりいやいやながら売るんだから、売り価格というものが不十分な、満足したものじゃないという場合には、それが税金をとられることによって、やはり事業推進されないということになるのですよ。これは建設政務次官、あなた、今大蔵省のだれも、その政務次官が来ておらぬから、ひとつその点は十分考えて、何も取る必要もないのじゃないかというのですよ。そういう特例というものはあり得る、税制ならば。そういう場合には、率先して非課税にしたらいいじゃないかと私は考えるのです。そういう点はひとつ次官に強く、大蔵省のほうにも話し合って、事業推進するのが目的なんですから、みつぎ取り、旧約聖書の中にも言っておりますよ。そういう歓迎されないものだということは、旧約聖書の中にも書いてありますよ。そういう点は、よき愛されるみつぎ取りをするようにあなた、次官会議でもひとつ大臣に言って、閣議でもその点をお願いするようにして下さい。お願いします。
  235. 木村守江

    政府委員木村守江君) ただいまの田中委員の御質問でありますが、たいへんに建設省にとりましてはありがたい御意見でありまして、私ども建設省関係といたしましては、そのようにいたしたい。この公共用地取得の特別措置法を作るときから主張しておるのでありますが、なかなか意見の一致を見ませんで、今日のような状態になって、田中委員から指摘されるような状態に相なっております。しかし、御支持がありましたならば、何とかして、でき得れば御意見のような方向に進みたいと考えておる次第であります。
  236. 金丸冨夫

    ○主検(金丸冨夫君) 千田正君から質疑の申し出がありましたが、お取り消しになりました。他に御質疑はございませんか。
  237. 田中一

    田中一君 それじゃ、その時間僕に下さい。
  238. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) よろしうございます。
  239. 田中一

    田中一君 さっき赤松委員の大臣に対する御質問の中で、宅地問題に対してどういう手を打っているかということの質問があったようですが、これはひとつ大臣じゃしょうがないので、宅地問題といっても、土地問題なんですよ。国土問題なんですよ。これはやはり根本的な対策というものを立てなければならぬと思うんですよ。国土の再配分の問題、国土の何か整備の問題です。そういう点は今度の設置法の改正によって、宅地審議会ですか、宅地制度審議会というものを作っているというけれども、宅地だけではないですよ。国土全体の問題なんですよ。それこそ場合によったら、ここに川があってもいいか、この川はこっちに移そうではないかということも必要なんです。これは徳川三百年の中にも、ああして利根川のつけかえもやっているんですよ。ここにやはり国土計画というものは必要だということが言えるのです。こま切れの現象々々に捉われた応急措置というものが、これは当然しなければならぬと思いますけれども、全国的な規模に立つところの国土計画というものは立てなければならぬのです。それが背景になくちゃならぬということです。道路整備五ヵ年計画にしても、治山治水十カ年計画にしても、実際の問題は、この四つの島にわれわれの国民が今一億と言っておりますが、二億になってもいいだけの準備をされる、二億なら二百年かかるとするならば、二億になってもいいという国土計画を持つということが、これが背景にならなければ、実際の問題は解決されないということです。一面これは宮崎主計官——大蔵省のほうでも年々上がってくる土地の価格というものに対しては相当ろうばいしていると思うんですよ。今度の一九%の用地費も予算上の値上げを認めているということは、これは結局全国的な規模、全国的な視野に立つところの国土計画というものが背景にできておらぬというところに帰着するのだと思うのですよ。二億人の人間が住む、そのためにはこうしなければならないのだということがあり得ると思うんですよ。応急措置としての宅地制度審議会というものに対する認め方は、これは了承いたしますけれども、そうした面のものがなくて、やれ広域都市の、やれ何々のと言って、自分の行政権力というものを伸ばそうとしたり、自分の政治的な選挙地盤を固めようとしたりというようなことで終始していることは、それこそわれわれは後の世代の国民のためにはならない政策なんです。これは、この問題については、大臣がいれば非常にゆっくり質問をしたいと思ったのですが、そういう背景のもとに、この宅地制度審議会というものが持たれなければならぬと思うのですが、一体宅地制度審議会は何を考えておるのですか、何をしようとしているのですか、説明して下さい。
  240. 木村守江

    政府委員木村守江君) ただいまの御質問でありまするが、御意見ごもっともでございまして、宅地制度審議会は、決して宅地制度そのものだけを独立して考えたかのように思われますが、この問題は、国土全体の開発、いわゆるただいまあります国土総合開発法、この一環として処理すべきものだと考えております。したがって、宅地制度審議会はその精神に沿いまして、もっぱら宅地の問題を審議するような方向に至っております。道路の問題あるいは住宅の問題、あるいは河川の改修の問題、または海岸の整備の問題、これらもいずれもその精神にのっとってやっているのが建設省の実際の姿であろうと考えております。
  241. 田中一

    田中一君 今の宅地制度審議会は何をしようとしているのですか。
  242. 関盛吉雄

    政府委員関盛吉雄君) 今お話にございましたように、全国的な国の計画というものをやはり基礎にいたしまして、今後の土地の利用計画というものを定めていくというような形になるべきなのが、結局において、期するところの宅地の合理的利用の最終的な結論になろうかと思っております。三十七年度から発足いたします宅地制度審議会におきましては、当面いろいろな問題が出ております。宅地のいわゆる取引秩序の維持に対する考え方なり、あるいはまた評価鑑定の問題でありますとか、あるいは地価の抑制の措置としての投機的な仮需要を抑制する方策というような、いろいろな問題が出ておりますので、こういったようなことをめぐりまして、制度的な根本問題を掘り下げて進んでいきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  243. 田中一

    田中一君 私有財産制度を認める現状からいって、一体そういうことがあり得るかとなると、これはもうおそらく建設大臣の所管内における一つのあがきにすぎないのです。行管の長官である川島さんが、交通問題がどうかといえば、すぐ、駐車場を探す、駐車場を探すには、いわゆる公共用地を探して、それを駐車場にしようなんという考え方、まるで国土計画というものが全然前提に立っておらぬということなんです。そうすると、まるっきり公共用地というものを全部駐車場にするような勢いだ。そんなものじゃないのですよ。あんまり国民をだまさないでいただきたいということだ。街路に車を置くのは困る。どこかにあき地がないか。公共団体あるいは国有のものがあるだろう。それをこうしよう、ああしようと。そういうものが国土計画ではないのです。ことに、今、局長が言っているように、はっきり背景に、日本の民族二億がどう生きるのだということ、これが計画されて初めて立つ問題なんです。取引がどうの、何がどうの一面においては地価の値上がりを促進しているのは政府施策です。諸施策が全部値上がりを促進しているのです。たとえば今の公共用地の取得に関する問題にいたしましても、いやいやながら取れるという感じしか持っておらないのですよ。がんばるだけがんばるのはあたりまえのことなんです、いやなんだから。そうしてその上にまだ、そこからも税金を取ろうなんということを考えている。喜んで出すような政策をとりなさいということなんです。先ほど建設大臣も、私有地というものはこれは私権もございますからどうこうできませんけれども、公共用地等は考えておるなんと言っておるけれども、そんなものじゃないのですよ。そういうごまかし半分ないいかげんな答弁では答弁にならないのです、実際に。私は、宅地制度審議会がその程度のものを考えているのなら、この制度こそ地価を上げるという制度にすぎません。地価を上げるという役割を、きっと、究極、持っているのだと思うのです。地価を下げるという制度はそういう制度じゃないのです。そういうテーマでもって審議するものじゃないのです。土地があれば金を貸してやろうという住宅政策、困難なことは打っちゃって、平面的に土地を乱用する団地制度、これらのものはことごとく地価を上げるという制度なんです。私はきょうの新聞でしたか、川島正次郎君がゴルフ云々と言っておる。私はもともとゴルフは昔からやっておりました。今しませんけれども、ゴルフ場をうんと、作らせようと思っておるのです。これ、非常にいいことだ、いずれわれわれの社会がくれば、これをりっぱな団地に仕上げようと思う。ある場合には、これがオープンな、料金を一つも取らないリクリエーションの場としてもいいです。やっぱり時代々々の嗜好によって、おそらくここにいる政府委員説明員は全部ゴルフ族だろうと思うのですが、川島さんはゴルフをしなかったらしいから、ああいうことを言っているけれども、ゴルフ場をああして乱造することも一つの宅地価格をつり上げる原因になっているのです。一切の今やっている施策というもの、政府施策というものは宅地を上げようという政策に尽きておるのです。その中で取り引きの問題がどうの、何の問題がどうのなんということ、そんなことは同じように宅地の価格をつり上げるというねらい方なんです。取り引きをする者にいろいろな苛酷な条件をつければ、それを目をかすめてもっともうけのあるような方法で——もうけのある方法ということは宅地が上がることなんです。たとえば中央道という道路、これがとうとうああした路線に決定されました。国道二十号線と平行して国土開発縦貫道という道路が甲州街道と平行して持たれるということになりました。おそらくその価値というものは相当伸びるでしょう。これも政治的、政略的な土地の価格を上げる政策なんです。その中で一体どう考えるかとなると、これは今あなたが言っているようなことじゃ、そうした問題だけでは宅地の制度は——宅地の制度は宅地を上げるという制度ならば別ですが、適正価格に押えようという考え方ならば、とうていこれはあなたの目的は達せられないということです。私は、この点についていずれ機会を見て、じっくりと考えたいと思うのですが、質問したいと思うのですが、少なくとも内閣総理大臣が直轄して日本の国土というものをどう持っていくかということ、資本主義社会も社会主義社会もありません。われわれ一億の人間が五百年、千年栄えて二億、三億になった場合に、この島でどうするかということを考えるのが政治のもとです。川のつけかえもけっこうです。川のつけかえも山をつぶして、あるいは海を埋め立てる、こういう計画も必要ですそういう背景がない考え方に立ったのでは、どこまでも地価を上げようという政策にすぎないということを私は指摘しなければならぬと思うのですよ。大蔵省のほうでも地価が上がってくれれば税金が余分に取れるといってあるいは喜ぶかもしれませんけれども、国民の生活は楽になりません。これは今、僕は自分の寝言だけ言っておきましてやめますけれども、いずれこの問題についてはとっくり話し合いをしなければならぬと思うのですよ。関盛局長のもとに今度できたという宅地制度審議会がほんとうの姿で運営をするように、そうして審議会委員がまだきまっていないでしょうから、その場合には、やたらにあなた方の先輩である役人なんか入れないで、制度のものではないのです、社会の実体の問題なんです、経済の問題なんです、人口問題なんです。こういう問題を考えて、ひとつ的確ないい審議会委員を選定されて——まあ飯沼一省さん、りっぱな方でしょうけれども、何でもかんでも飯沼一省、何かいうと鈴木雅次——あなた方の先輩だけが入って、あなた方の息のかかった方向に向かって答申をしようという考え方は、今度の場合はひとつおやめなさい、これだけ申し上げてきょうの質問をやめます。
  244. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) 他に御質疑はございませんか。——御質疑がなければ、建設省関係の質疑はこれをもちまして終了することとして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  245. 金丸冨夫

    主査金丸冨夫君) 御異議ないと認めます。  明日は午前十時から郵政省関係について審議を行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十分散会