○千田正君 オットセイ談義はこれだけでやめたいと思うのですが、オットセイの皮を獲得しているのはアメリカの一商社にしかすぎません。一商社。世界にルートを持っている、大きな一商社だけが持っていく。そこが皮を販売して、その金の分配を
日本の国が受けている。しかも
日本の零細漁民の犠牲においてそういうことをやられているということは、われわれ
国民として非常に考えなくちゃならない。しかも一資本業者です、アメリカのオットセイの皮を扱うところの商社は。私は、そういうことによって
日本の零細漁民が国内法に縛られて、そうしてイワシだのイカを食うのを黙って見ていて、なおかつ資源保護だと言わざるを得ないということは、僕は非常に撞着矛盾していると思う。そういう点については、もう一度ひとつ十分に調査されて、方途を講じていただきたい、こう思うのであります。
それで、
大蔵大臣にお伺いしますが、一般
会計でもけっこうでありますけれども、実際の問題はそういう
内容を含んでおりますので、これは、水産庁あたりからそういう保護の
予算の請求があった場合は、思い切って、国際条約に抵触しないような保護政策のほうにも出していただきたい、これは要請しておきます。
最後に、時間がありませんがお伺いしますが、ただいま日ソ漁業条約に高碕代表が行っております。行く前に十分外務
大臣、あるいは特に河野農林
大臣とは御相談なさって行ったようでありますけれども、この日ソ条約は一体こんなことでいつまで続くのか。こんなことをいつまでもやっていたのでは、
日本というものの漁業、ひとり漁業の問題ではなくて、
日本の北方における権益というものはゼロじゃないか、ゼロになってしまうのではないか、そう私はひそかに悲しむものであります。たとえば領土という概念からいうというと、しばしば総理
大臣もおっしゃるように、歯舞、色丹、国後、択捉、この南千島は
日本の領土なりということを、
政府は断固としてわれわれに声明している。それならば、その領海だけは少なくとも
日本の漁師が行ってとっても差しつかえないはずである。そういう領土問題とからんで、私は、日ソ漁業条約というものはある程度打開をする方法があるのではないか。これは資源保護を、
日本側が自主規制という問題で、はっきりしたアイデアを持ってこれこれをやるのだという決意がついたならば、条約などはある程度解放してもいいじゃないか、これは高碕さんも言っているのです。こんなことで毎年々々、規制だ禁止だと、最近に至っては、ほとんど
日本の北海道、あるいは三陸の沖に近いところまで、禁止区域だ、規制区域だというて、向こうが盛んに主張してきている、そういうことのないような方法をわれわれは考えていただきたい。オホーツク海などに至っては、もうとうとう入れない。
日本の北海道の、領土の目先で、領海でもそういうところを十分通れないということは、これは、
日本の外交の敗退であると私は思う。これは、どうしても北方の領土ということを主張するならば、その領土の領海だけは、やはり
日本の力において、ある程度十分に漁業ができるように考えなければならない。資源保護は、当然これは各国との共同の資源保護をやりましょう。やりましょうが、無制限に相手から勝手に規制を強要されたり、禁止区域を強要されることは、この際ある程度、
日本の国力の今日であっても、堂々と論陣を張って対抗してでも、その方途を考えるべきじゃないかと私は思いますが、外務
大臣及び農林
大臣のお考えを、この際明瞭にしていただきたいと思います。