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木村禧八郎君 最後に、物価対策について簡単に伺います。これまで物価問題についていろいろ論議されてきたわけでありますけれども、
政府の
答弁は、どうも納得いかないのです。今まで
政府の
答弁を要約いたしますと、それに対して、これは私は間違いと思うのですが、その点についてはっきり御
答弁願いたいのです。
まず第一に、
政府の今まで
答弁されてきたことは、物価騰貴は、経済が成長していく場合に、それにひずみが生じてきた、その結果として現われてきたというそういう
考え方が
一つあります。また、物価が上がっても、それ以上に所得がふえるから家計を圧迫しないだろう、こういう
答弁もあったわけです。また、卸売物価が安定していれば、消費物価は上がっても心配ないという、そういう
説明もあったわけです。あるいはまた、消費者物価の値上がりは一時的である、特に生鮮食料品等の値上がりがひどかったが、これは一時的のものであるから、やがては安定するであろう。要するに、この物価値上がりはあまり心配がないのだ、それから、これは経済が成長していくときには不可避の現象である、そういう御
答弁なんです。そうしますと、要約して、これはいたし方がないというような結論にならざるを得ないのです。そこで伺いたいのは、経済が成長していく場合に、労働賃金が上がっていく、そのためにサービス料金が上がる、そういう価格の騰貴は、かりに認めるとしましても、それだから必ずしも物価水準が上がらなければならぬということはないと思うのですね。他方において生産性の向上したものを下げれば、物価水準は上がらないで済むと思うのです。そこで私は、
政府はそういう価格対策と物価水準対策とを、これは二つ区別して
考えなければならぬと思うのです。需給
関係から、また、経済の成長に伴って不可避的に上がるものもあります。これはわれわれも認めざるを得ない。それまでも私は反対するわけじゃないのです。しかし、一般家庭としましては、そっちのほうが上がっても、生産性が向上したものがそのまま下がれば、物価水準としては上がらなくても済むわけですから、家計を圧迫しなくて済むのです。たとえば電車賃値上げに反対の人はたくさんおります。これに対して、今交通が非常に混雑しておるから、混雑を緩和するためには、どうしても私鉄が料金値上げをして混雑を緩和しなければならぬ、こう
説明されれば反対できないわけです。しかし、家計には響くわけですから、
政府のほうで、料金値上げすれば家計には響くでしょうから、他方においてもっとそれに見合う減税をするとかあるいは他方において物価を、生産性の向上した鉄の値段を下げるとか、その他の物価を下げれば、平均してそれは家計に響かないのだ、こういう政策をどうして打ち出さないのですか。こういう政策をはっきり打ち出せば納得すると思うのです。国鉄の運賃だって、上げた場合、他方においてこれだけ下がるのだから、物価水準としては上がらないのだ、こういう
説明をすれば納得いくのです。なぜそういう
説明をされ、また、具体的な政策の裏づけをされないか。
政府のほうは、鉄道運賃は上げる、私鉄運賃は上げる、そのほかのほうは下げないのです。そこに問題があるのです。これは物価水準に対する根本的な物価対策です。今度の打ち出された十三項にはそういう点がないので、物価水準に対する対策はないのですよ、個々のものにいろんな対策がございましても。ですから、学者の
意見を聞いても、
世論も、
政府は物価対策を出したのだけれども、なかなか物価はこれで安定するだろうという安心感は国民にないのです。
政府が打ち出しても、また私鉄運賃は上がる、この前と同じじゃないか、こういうふうに理解しておるのであります。この点について私は最後に伺いたいのですが、物価騰貴の根本原因はどこにあるか、この点をはっきり私はしていただきたい。これは今までの高度成長政策からきていると思うのです。部分的には賃金が上がったり野菜が上がったりなんかしておりますけれども、一番根っこは高度成長の行き過ぎにあったと思うのです、根っこはですよ。これを直さなければいけないと思うのですよ。ここに触れた対策を講じなければいけません。その前提としては、池田さんの高姿勢のああいう政策
態度をやめなければいけないのです。十分反省して、今までの高姿勢の政策は間違っておったと、こういうことを池田さんがはっきり言われると、成長ムードというのはここで安定すると思う。池田さんは、依然として高度成長は間違いでない間違いでないと言うから、やっぱり行き過ぎが是正されないのであります。私は、時間がございませんから、個々に具体的に伺いたいのでありますけれども、一番基本的な今の問題について……。