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1962-03-24 第40回国会 参議院 予算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十四日(土曜日)    午前十時十三分開会   —————————————    委員の異動 本日委員田畑金光辞任につき、その 補欠として向井長年君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     湯澤三千男君    理事            川上 為治君            鈴木 恭一君            平島 敏夫君            米田 正文君            加瀬  完君            藤田  進君            田上 松衞君            千田  正君            加賀山之雄君    委員            植垣弥一郎君            小沢久太郎君            太田 正孝君            大谷 贇雄君            金丸 冨夫君            上林 忠次君            小林 英三君            小柳 牧衞君            櫻井 志郎君            下村  定君            杉原 荒太君            田中 啓一君            野本 品吉君            一松 定吉君            大森 創造君            亀田 得治君            木村禧八郎君            北村  暢君            佐多 忠隆君            戸叶  武君            矢嶋 三義君            赤松 常子君            向井 長年君            市川 房枝君            奥 むめお君   国務大臣    外 務 大 臣 小坂善太郎君    大 蔵 大 臣 水田三喜男君    文 部 大 臣 荒木萬壽夫君    厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君    農 林 大 臣 河野 一郎君    通商産業大臣  佐藤 榮作君    国 務 大 臣 藤枝 泉介君    国 務 大 臣 藤山愛一郎君   政府委員    総理府総務副長    官       佐藤 朝生君    防衛庁参事官  麻生  茂君    防衛庁長官官房    長       加藤 陽三君    防衛庁防衛局長 海原  治君    防衛庁経理局長 木村 秀弘君    防衛庁装備局長 久保 忠雄君    大蔵省主計局長 石野 信一君    大蔵省管財局長 山下 武利君    文部大臣官房長 宮地  茂君    文部省社会教育    局長      斎藤  正君    農林政務次官  中馬 辰猪君    農林大臣官房予    算課長     檜垣徳太郎君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    農林省振興局長 斎藤  誠君    林野庁長官   吉村 清英君    労働政務次官  加藤 武徳君    自治政務次官  大上  司君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    自治省税務局市    町村税課長  佐々木喜久治君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十七年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十七年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十七年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) これより予算委員会を開会いたします。  委員の変更について報告をいたします。  本日、田畑金光君が辞任せられ、その補欠として向井長年君が選任せられました。
  3. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 昭和三十七年度一般会計予算昭和三十七年度特別会計予算昭和三十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き、質疑を行ないます。大森創造君。
  4. 大森創造

    大森創造君 私は、防衛庁と、それから大蔵大臣外務大臣に御質問申し上げますが、きょうは、衆議院外務委員会も開かれているようでございますので、そちらのほうの都合考え、まず冒頭に、外務大臣一つだけお伺いして、あと手のあいたとき、私のほうの質問の順序であとのほうになりますので、もう一回お願いいたします。  今度沖縄の新政策が発表されましたが、衆参両院で同様に決議した小笠原問題については、ケネディ大統領の新政策の中に何も触れられておりません。どうしたわけでございますか。外務大臣のお考えを承りたい。
  5. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 政府といたしましては、沖縄小笠原に関する施政権返還を要求いたしているわけでございます。この小笠原に関しましては、わが同胞小笠原におりませんものですから、その施政権のいろいろな問題、ことに沖縄における同胞経済、福祉の増進ということと直接関連がない、こういうことであろうと思います。施政権返還要求としては、沖縄小笠原、ともに要求しております。
  6. 大森創造

    大森創造君 そうしますと、今度の新政策に触れておらなくても、沖縄と同じように将来返還される、そういうことに変わりございませんか。
  7. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) われわれは、さように心得ております。変わりございません。
  8. 大森創造

    大森創造君 六百万ドルとかいうものが、小坂さんとライシャワー大使の話し合いによって、住民に対する補償がきまりました。この問題については、どういうふうに扱いますか。
  9. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) この問題は、実は小笠原におりました同胞が、現在そこにおらないわけでございます。したがって、このおらないうちに所有権移転等が行なわれますることは非常に困る。そういうことはアメリカ側考えておらぬというのであります。ただ、現実にそこに帰っておりませんので、見舞金としてさような、六百六十万ドルでしたか、今数を正確に記憶いたしておりませんが、見舞金をもらったと、こういうことでございまして、その権利の移転を伴うというものの性質ではないのでございます。
  10. 大森創造

    大森創造君 そうすると、その六百万ドルというものは、現地住民分配することになりますか。事務的にめんどうな事務もございましょうが、大体その時期はいつになるのでしょうか。
  11. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) これは私、窓口といたしまして、六百万ドルでございますか、受け取りまして、そしてこれを総理府のほうへお渡しいたしております。総理府のほうで、その分配その他についてお考えをいただく、かようなことでございます。藤枝長官総務長官時代にその問題に御関係がありますので、私よりもあるいはよく知っていらっしゃるかと思います。
  12. 大森創造

    大森創造君 藤枝さんにお伺いしますが、その六百万ドルの分配はいかがなさるおつもりですか。
  13. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 私からお答えするのは不適当かと思いますが、私、総務長官時代にこの問題に関係いたしたので、お答え申し上げますが、これは、ただいま外務大臣からお話しのような性質のものでございまして、当時の住民分配されるということで、目下総理府において、分配の基準その他について、各省の御意見を聞きつつ決定を急いでおる段階であると存じております。
  14. 大森創造

    大森創造君 次に韓国の問題について。ユン・ポソン大統領辞任されております。きょうは衆議院外務委員会のほうもございますので、この問題について、情勢変化に応ずる外務省日本政府態度というものが、相当外務大臣を中心にして吟味されるだろうと思います。私は、このことについて一言だけお伺いしたいと思いますが、憲法を上回る非常措置法かできた。議会はない。地方議会も含めて議会はない。非常事態でございます。ただ、小坂さすのお話を聞いてみますと、この政権合法性は依然としてある、張勉クーデターによってやめて、そしてユン・ポソン大統領が当時の憲法によって大統領に就任をし、これが今度やめても、今度は、来年になったら民政に移管するんだからという、その継続性の第一点、その一点について合法性を認められております。そこで、私のお伺いしたいのは、韓国政情は非常に不安定だと思いますが、不安定の程度が非常に高いと思いますが、いかが御認識でございますか。
  15. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) これは外国のことでございますので、私がこの立場でいろいろ批判することは、どうもちょっといかがかと思うのでございます。私どもは、ありのままによくその実態を検討して参りたいと思っております。
  16. 大森創造

    大森創造君 李承晩がああいういきさつでやめられて、それから張勉内閣ができた。そしていわゆる、われわれの側の言葉で言いまするというと、コーリアン・ロビー方々が、自民党代表方々が、張勉内閣崩壊寸前韓国を訪問されて、いろいろ調査をされてきた。聞きまするというと、ああいう結果になることあと四、五日でもって、そういうコーリアン・ロビー方々調査をされて、こっちに帰ってこられて、政権は安定している、何事もないんだということを政府あるいは民間の方々に放送されている。そのさなかに、ああいう軍事クーデターが起こった。当時外務省も、それから自民党方々も、そういう事態認識は全然おわかりにならなかった。そして今度は、第六次の日韓会談をやろうとする、外務部長官外務大臣と交渉しようとして、いろいろ始めようとする。そのさなかに、今度はユン・ポソン大統領が、とにかくいやしくも国家の元首ですが、それがやめるという事態が起こった。来年になったら民政に移管すると、こういうことを言っておられますが、今までの経緯にかんがみて、政府外務省、あるいは自民党首脳部においても、ほんとう韓国政情というものを御理解なされておらないと思います。だから非常にあぶないと思う。あすある事態というものは予想できない。李承晩から張勉内閣への移行、それから、張勉内閣から軍事クーデターによってああいう形になるということを日本外務省は全然お知りにならなかった。そういう過去のいきさつにかんがみて、民政移管も私はあぶないものだと思っている。どうでしょうか。今度のユン・ポソン大統領によって、まあかろうじて合法性といいますか、政党政治であるという認識のもとに、そういうものにつないで交渉されようとお考えでありますようでありまするけれども、この際、非常な事態変化によって、外務当局は、この日韓会談について、そうあせらんで、延ばしたらどうですか。そういうお考えはございませんか。
  17. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私の考えも少し聞いていただきたいと思います。私は決して、日韓会談をあせるとか、何でもかんでも、非合理なものでも、そこで会談を妥結さしてしまうということを実は考えていないのでございます。ただ、日本韓国国交を正常化すべきものであると、こう思っておるのであります。そこで問題は、いろいろ政情その他についてのお話もございましたが、一度きまったことがあとに継続されるという見通しが大事なのであって、かりに先方に種々な変化があっても、その日本との間に取りきめたことが後に継続されることであるならば、これは、あえて先方国内政情の安定、不安定をそれほど神経質にならぬでもいいんではないかというふうに思っておるのであります。しかし私は、今回外相会談をやってみまして感じましたことは、まだ非常に根本的な認識において開きがあるということであります。たとえば、わがほうから申しますれば、竹島の問題などは、これはもう全くおかしなことでありまして、われわれとしては、竹島はわが領土であるということは、歴史的に見ても、諸種の考証から見ても、当然だと思っておるわけであります。ところが先方は、これは独島といって自分のほうの島だ、こう言っているわけでありますが、かりに、こういうような問題について先方主張とわがほうの主張平行線であるならば、国際司法裁判所というような公正な国際機関に出して、これが黒白をつけるということは、国交を正常化するということに両方とも思っているなら、あたりまえなことだと、こう思っているのであります。そういうことに先方が応ずることが、日韓会談というものを完全に遂行するための一つの前提と言ってもいいような考え方である、こう思っておるのであります。また、李承晩ラインというようなものも、これは国際法上許されぬ問題であります。したがって、そういう問題は、これは過去においても、いわゆる反日、抗日ということをバック・ボーンとして政権の基礎とした李承晩時代の遺物で、日韓両国が手を携えて、お互いの経済的な繁栄、そうして世界平和への貢献ということを考えるならば、これは、そういう考えを変えなければいかぬというのが私の考えなんであります。ところが、そのことすらもなかなか理解せられないということであるならば、これは、そういうことが理解されるまでしんぼう強く話していくよりしようがないじゃないか。そういうことがあって、そうして両方国民気持が盛り上がって、そうして会談が妥結ということになるのがほんとうではないかというふうに思っておるのでありますが、この点については、私は会ってみて、まだまだその点が熟していないという感じを率直に受けたのであります。こういうものは全然触れんでおいたらいいじゃないか、会談そのものをやらんほうがいいじゃないかという御議論もあります。しかし私は、やってみることそれ自身は決して悪いことじゃない、やってみて、無理な形、不合理な形で妥結することは悪い、こういうのが私の気持であります。
  18. 大森創造

    大森創造君 私は、日韓会談の問題について、竹島の問題は外務大臣も御認識のようでございますが、これが一つの大きなポイントではないかと思います。日本側主張は、今外務大臣がおっしゃったとおりでございますが、韓国側も、非常にこれは現在の国を統べるああいう独裁的な政権のあり方からいって、竹島は譲れないという立場だろうと思います。ですから、第六次日韓会談の正式の議題になるならないはともかくとして、竹島問題の解決ということは重大だと思います。そこで、国際司法裁判所への提訴ということについて、向こう外務大臣は了承いたしましたか。
  19. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私は、この問題についていろいろな方面から打診をしておりますのですけれども、人によっては、かなりこれについて理解を示すような人もあります。しかし、公式に先方外務大臣とその意見をかわしてみますると、なかなかかたいのでございます。したがって私は、そういう基礎的な理解日韓間の国交を正常化することにするならば、真にそれを思うならば、こういう問題については、今直ちにきめるのじゃなしに、国際司法裁判所という公正な機関に応訴することぐらいは、合理的なものの考え方をすれば、当然なことである。それすらも理解できないということであるならば、これはなかなか問題があるというのが私の率直な気持です。
  20. 加瀬完

    加瀬完君 関連。前の外務大臣の御答弁についての関連でございますが、国交を正常化するということは、これは当然なことで、私たちも何も異議を差しはさむものではありません。また、その取りきめたことに継続性を持たせるということも当然でございます。そこで、取りきめが可能であるか、あるいは取りきめたことの継続性が保持できるかということは、相当の見きわめを必要とすると思うのです。今までの日本政府韓国に対する見方というものは、どういう情報をもとに見てきたか知りませんが、必ずしも百パーセント当たっておった、正確度が保たれたとは言われないと思うのです。そこで、これから日韓会談を進めるとするならば、今までの情報収集方法では、そごを来たすおそれというものも、われわれは警戒しなければならない。そこで、今までとは違った何か情報収集といいますか、正確に韓国政情を把握する、そういう意味の効率を増す新しいものをおとりなさったのかどうか、この点を伺います。
  21. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) なかなか機構的には今の状態で正確に外国状況を知るということは、これはものの考え方でございますが、これは韓国に限らず、なかなかむずかしい面があるわけでございます。しかし、私は、日韓会談を進めるとする場合に、今度はソウルでやりたい、こういう場合には、私どもはやはり私ども代表機関というものがソウルにあって、少なくとも代表部があって、そしてその代表部との連絡のもとに会談をしなければ、これは公正な会談ができないというおそれもある。したがって、私は韓国代表部を置いて、その上でなら私が行って話すこともあり得るという気持を持っておるのでありますが、これが置かれないということであると、なかなかこれはむずかしいから、こういうことは先方にも言ってございます。
  22. 加瀬完

    加瀬完君 私の質問が十二分に理解されていなかったかと思いますが、そのソウル会談をするかしないかということではありませんで、大森君が指摘したように、韓国政情というのに非常に変動が激しいわけでございますから、それを見きわめなくては、外務大臣の言う継続性を保持しようと言っても、保持ができるかどうかも疑問になってくる。それで韓国政情を、今までのような方法ではなくて、綿密にこれはキャッチする必要がある、そういう手だてが新しく立っての上で日韓会談を進めようとするのかどうか、こういう意味です。
  23. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) これは、大体継続するであろうという見通しを立てる場合には、やはり先方当局者とも十分話して、そうして諸種の観点から見きわめをつけるわけでございます。これは、こういう会談をきちんとできるという情勢になれば、その継続性の見きわめをつけた上できめるということになります。これはできると思います。
  24. 大森創造

    大森創造君 竹島の問題もあり、それから請求権の問題にもなりまするというと、なかなか政府が意図するような、あるいは韓国側の意図するように事態は進渉しないと思うのです。政情不安もございますので、会談はやってみるが、私はこの際あせらぬで、外務大臣がさっきおっしゃいましたけれども、この際ゆっくり一、二年延ばす、そういう余裕のある態度でやる、そういう純理的に日韓会談を正面からとらえるということよりも、むしろ、向こうもあせり、こっちもあせって、まあ今度の国会でも終わったならば矢つぎばやに無理な手でも打ってこれをでっち上げようという意図も一方あるだろうと思うのですが、どうですか。その問題については、外務大臣のお考えのように、ゆっくりした態度でおやり願うようにお進め願えませんか。
  25. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) こちらの態度もございますが、先方態度もあり、先方がどういうふうにこの問題を取り上げていくかということも見ながら考えて参りたいと思います。今直ちにここで延ばすとかというようなことを言うのは、私は適当でないと思いますが、十分に先方の様子を見ながらその会談に臨む態度考えるということは必要だと思います。
  26. 藤田進

    藤田進君 関連。今、竹島問題を大森君が質疑されておりますが、大事なことが一つありますから、外務大臣に確かめた上で質疑を続けられる必要があろうと思うのです。  竹島問題について、あるいは李承晩ライン等につきましては、本委員会におきまして、外相会談に臨まれる直前、各委員からただしました。そのときの外相の御答弁は、これは根本の問題であるから、これは大きな前提問題であるという趣旨の御答弁がなされて参りました。先ほどのお答えによりますと、竹島問題をいろいろ話したけれども、まだまだ納得してもらえる状態でないという趣旨の御答弁があったわけでございます。しかし、私ども、これをそのまま信頼するについては、いささか疑問を持ちますのは、向こう外務部長官ですか、ソウルに帰られまして、その日にソウルから届いた電報によると、竹島問題についてどうかという問題に対して、日本側からは、竹島問題は全然話には出なかった、この問題は日本側から何ら出されていないと、非常にはっきりした答弁記者会見でも、ソウルではされているわけであります。そうなると、議会における当委員会における御答弁あるいはただいまの交渉せられたかに見えるものとに大きな食い違いがあるわけです。発表についての御相談はあったでしょうが、そこまで一致点を見出さないでお別れになっておるのかもわかりませんが、ほんとう竹島問題について議題に出されたとするならば、その経過について、もっと詳しく話をいただきたい。向こう側は何ら話が出なかったと言うのであります。どちらがほんとうなのかは、国民としても疑問に思っているところであります。  もう一点は、今この日韓交渉について、急がなくていいじゃないかという質疑でありますが、ある意味では、外務省筋情報なり、見解としては、すでに伝えられておりますように、今度大統領が辞職されたということは、日韓会談については、かなり時期的に延びる可能性が強いという情勢の把握をしておられると、私は理解しておる。わがほうからこれを延ばす、延ばさないということ以外に、そういう新しい事態のもとに、日韓交渉というものは、必ずしも五月とか、あるいは参議院選挙が終わったあととかいったような、当初の見込みというものがずれていくという見解に立たれているのではないでしょうか。この点、情勢の判断として、大臣からのお答えをいただいておきたい。
  27. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 簡単にお答えを申し上げますが、会談内容は、双方で言わないということにいたしております。しかし、同席しておった者もございますから、この点は明らかだと思います。  それから日韓会談議題は三つということになっております。しかし、その際に何を言ったということは言わないということになっております。しかし、日本側で出席した者も大ぜいおりますから、それは明らかだと思います。  それから、先方のいわゆる今の大統領辞任に伴ういろいろな事態、これはからだにたとえれば、下痢症状みたいなものでございます。その間には、少し運動も手控えるというのが常識だと思いまして、(「下痢症状というのは何だ。」と呼ぶ者あり)人間の体にたとえれば、下痢を起こしているような状況である。そういうときには、人間からだはあまり動かさぬほうがよろしいという意味でございます。
  28. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 藤田君、どうですか。じゃ、ひとつ簡単におやり下さい。簡単に。
  29. 藤田進

    藤田進君 それでは変えてお聞きしますが、これは事務当局情報を持っていれば、それも御答弁あわせていただいてけっこうですが、ソウルにおける崔部長さんですか、この人がはっきりと、竹島問題は議題日本からも出なかったと、これは非常に簡潔に言っている。その情報を知っているのか、知っていないのか。必要とあれば、そのものを私持ってきます。今、そんなことを言われると思わないものだから、用意していませんが、そういう情報は全然外務省に入っておりませんか。そうだとすれば、内容は言わないと言ったことについて、向こうが言ったことは、約束をたがえているということにも私はなろうかと思う。向こうは、議会ではない場所ではっきりと言っているわけです。そういう情報は全然知らないのか、知った上で今のように言われるのか、重ねてお伺いいたしたい。
  30. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 知った上で言っております。しかし、事実は動かせないことだと思います。
  31. 大森創造

    大森創造君 あと二つだけ簡単にお伺いして、外務大臣質問を終わります。最初に申し上げたことでなく、あなたのほうの御都合もございますから、二つだけお伺いします。  沖縄の問題について具体的にお伺いしますが、沖縄渡航の問題、これはどうでしょうか。今度の新政策によって具体的に変化がございますか。
  32. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 渡航は自由にするようにということで、だんだん話が今まででもそういう方向で進んできております。総理府でやっておりまするが、その統計を見ましても、非常に減っておりまして、今〇・七%ぐらいのようなことを聞いておりますが、もっとどんどん少なくなるかと思います。
  33. 大森創造

    大森創造君 最後に一つだけお伺いしますが、アルジェリアの承認の問題、これは別に承認しないという理由もないと私は想像するのでありますが、これについてどういう態度でありますか。
  34. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) これはGPRAの代表と、それからフランスのジョクス国務相との間に、合意ができましたのですが、今度はフランス側において、これはレフェレンダムに向うということになっております。新聞情報では、四月の八日ごろ行なわれるということをいっていますが、まあその後のことだろうと思っております。
  35. 大森創造

    大森創造君 次に、防衛庁のほうにお伺いします。  決算委員会で先日お伺いしましたけれども、私はわからないところがありますので、重ねてお伺いします。「おやしお」という潜水艦、これは一体竣工したんですか。竣工しないんですか。
  36. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 就役いたしております。
  37. 大森創造

    大森創造君 この前のお答えでは、魚雷がアメリカの供与品であって、これがまだ来ないから就役しないというお話でありますが。
  38. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 「おやしお」については、三十一年度に計画をいたしまして、三十三年度までの継続費をお願いしたわけでございます。何分にも国産の第一艦でございまして、いろいろ設計上途中で変更するようなことがありまして、三十二年に、三十四年度までに延期を御審議をお願いいたし、そうしてその後三十四年になりまして、アメリカの供与品で、この際、訂正さしていただきますが、先般の決算委員会では、魚雷発射管とお答え申し上げたと思いますが、そうではなくって、シュノーケル装置の安全装置、これがアメリカの供与品でございます。そうしてそれの供与がおくれておりますので、三十四年に、さらに三十五年度まで延期をお願いいたしたような次第でございます。そのアメリカの供与品のおくれということは、シュノーケル安全装置でありますことを、ここに訂正さしていただきたいと思います。なお、三十五年度末になりまして、これは国産でございますが、高速魚雷の納入がおくれましたので、三十六年度以後に繰り越しまして、それは納入済みに相なって、現在は就役をいたしておるわけでございます。
  39. 大森創造

    大森創造君 大体いきさつはわかりましたが、そうしますというと、このシュノーケルを供与品として、艦体の一部でございますね、そういうことになると、竣工検査をして竣工する。三十六年度の決算には、いわゆる継続費の決算として報告になりますか。
  40. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) そのとおりでございます。
  41. 大森創造

    大森創造君 それではお伺いしますが、高速魚雷はどうしておくれましたか。魚雷製造は、非常に日本で得意だろうと思うのですが、どうして繰り越しなどをいたしましたか。三十一年度から三十三年度までの継続事業でこの船を作るということになれば、国産でできるのだから、この高速魚雷の開発のためにおくれるということはわからぬととろがありますが、いかなる事情でおくれましたか。
  42. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) お答え申し上げます。ただいまお話のございましたように、魚雷につきましては、従来から国産しておりますのでございますが、今度高速魚雷と申しますのは、型がちょっと違っておりまして、新しい型の魚雷でございます。したがって、その開発のために、試験的にいろいろやりまして相当時間がかかったということでございます。従来の型の魚雷でございましたら、こういうことはなかったわけで、全然新しい型の非常に速度の早い魚雷でございますので、相当途中で仕様変更その他ございまして、時期がかかったということでございます。
  43. 大森創造

    大森創造君 その魚雷は、予算としてどういう項目でとっておりますか。弾薬費の中に入れてございますか。
  44. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) それは艦艇建造費の中に入っております。
  45. 大森創造

    大森創造君 そうすると、私は重大問題だと思うのです。今甲型警備艦とか、乙型警備艦とか、潜水艦とか、各種の艦艇が作られておりますが、高速魚雷、そういうものが船と抱き合わせの予算でとられるということは、この際私は注目しなければならないと思います。御承知のように、潜水艦にしても、ポラリスだとか、核弾頭だとか、装備品が非常に進んだものができております。そういう時勢でございますから、これはどうなんですか。これは魚雷の予算も船と一緒に抱き合わせで予算をとるということは、国会の審議を通じても明らかにならない、そういう危険性もあると思います。予算のあり方として、その形でよろしゅうございますか。
  46. 石野信一

    政府委員(石野信一君) 技術的な面もございますので、私からお答えいたしますが、ただいまのお尋ねは、艦船とワンセットになりまして、最初に必要な魚雷で申しますと、六本というものだけを考えておるわけでございます。したがいまして、その後に補充的に必要であるというようなものは、弾薬の別個の項目になります。
  47. 大森創造

    大森創造君 防衛庁のほうは、何げなしに当然なことのようにお答でございますが、私は重大問題だと思います。ポラリスあるいは核弾頭をつけるとか、各種の新しい、おそろしい威力を持つ装備をつける場合に、その船と一緒に予算をとるということになれば、国会のほうの審議にも、何となくわからなくなるような危険性もある。昔の日本の帝国海軍当時も、こういうことをやりましたが、これは予算総則でも変えて別な項目で予算もとるというふうにしたほうが望ましいと思いますが、大蔵大臣、いかがでございますか。
  48. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これを継続費にしている理由はいろいろございますが、船体とか、機関とか、武器等に分割して幾つかの契約を、工程に応じて年度を異にして契約をする必要があるということから、継続費にすることが一番適当であるというふうになっておることでございまして、もともと、こういう船舶類は本体だけじゃなくて、それにいろいろの装備を必要としますので、そういうものを一セットにして、そうして事業規模の全体を示して国会の承認を得るということがやはり適当だと思いますので、自後にいろいろの消耗部品とかその他の必要なものが出てきましたときは、今主計局長の言いましたように、これは別途の予算として要求いたしますが、最初の建造はやはり一つのセットとして全体規模を国会に示して継続費としてお願いするというようなことになろうというふうに私ども考えて、一番最初の問題はやはりそのほうが適当じゃないかと思います。
  49. 大森創造

    大森創造君 これは昔ならともかく、今の艦船の性能は非常に高度化されておるときに、ナイキとか、アジャックスとか、ホークとか、あるいは核弾頭というふうなものが何げなく船体と一緒になって予算が要求されるということになっていくと、私は非常に危険だと思いますが、今の大蔵大臣お答えによれば、継続費であって、最初はワン・セットでやったほうがいいというお話でございますが、将来はひとつ御考慮願いたいと思います。  そこで、念のためにお聞きしますが、今作られておるところの潜水艦だとかあるいは甲型、乙型の警備艦などについて、核弾頭とかポラリスとか、そういう物騒なものがワン・セットの予算で組まれるという事実はございませんか。
  50. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) この核装備をしないということはもう基本的な方針でございまして、現在建造をいたしまたは予定をいたしておりますものにそういうものを装備することは全然ございません。
  51. 大森創造

    大森創造君 それで、予算書を拝見しますというと、昭和三十六年度、七年度あたり、あるいは決算書などについても同様でございますが、甲型警備艦、乙型警備艦という名称が書いてございますが、これは私が漏れ承るところによると、昭和三十三年度か三十五年度あたりに防衛庁内部ではそういう名称は廃止して護衛艦ということになっておるだろうと思います。甲型、乙型とも警備艦ということになっておるが、どうしてわれわれに出す予算書には依然として甲型、乙型警備艦としてあるのでございますか。
  52. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) この警備艦の名称についてはいろいろ検討はいたしておりますが、現在やはり警備艦という名前で呼んでおるわけでございます。
  53. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ちょっと大森さん、一つ関連して……。大蔵大臣にお伺いしますが、今大森さんは重要なポイントを伺っておると思うのですがね。予算のこの編成方式を見ると、防衛本庁は組織一本でいっておるわけですね。これだけ予算の膨大化した防衛庁の予算編成にあたって、組織を防衛本庁一本だけにするという予算の編み方というものは私はおかしいと思うのですよ。二年ほど前あったでしょう、ターターのときに警備艦の改修費をターターに流用しておったわけですね。こういう予算の組み方は、それはできるわけですよ。しかし、現在ある艦船の改修と、アメリカの第一線級にあるターターを入れるという場合には、質的に違うと思うのですね。その点を大森さんは指摘しておると思うのですよ。だから、もう二千億を突破したのですから、これだけ膨大化した防衛庁の予算を編成して国会の審議を受けることになれば、研究機関もあるし、陸海空も分かれておるし、もう少し質的に区別つくのは組織を何本か立てて、そして予算書を組まなければ、防衛本庁一本——これは国防省となれば別にするつもりかもしれませんけれども、しかし総理府の一部になっておるわけですけれども、この防衛本庁という、省にはなっていないけれども、予算の内容、それから額ですね、そういう点からいってこういう予算の編成の仕方でいくということは私はおかしいと思うのですが、大蔵大臣、どうお考えになっておるか、お答えいただきたいと思います。
  54. 石野信一

    政府委員(石野信一君) お尋ねの組織の点でございますが、これは従来から外局はこれを一本の組織とする慣例になっておるわけでございます。したがいまして、項とか目の分け方をもう少し詳しくこまかくしたらどうかという点にも関連があると思いますが、その点は、一つの問題は、陸海空というような区分をしたほうがいいかどうかというような問題もあろうかと思います。ただ、これが陸海空とおのおの別別に予算を明確にして、各分野でおのおのが必要なものを持つということになるよりも、できるだけ総合的に彼此流用していくということが便利だというふうな点もありまして、そういった点もまた従来の考え方によっておるわけであります。ただ、項と目というものにつきましては、できるだけ細分するというような方向で従来から努力をしておりますし、今後も検討して参ることになると思います。比較的簡単になっておりますのは、各省の場合に比較しまして、項に分けます場合に、目的というものが防衛という非常に単純なものであります関係で、各省のように非常に複雑多種にわたっておらない点が特徴かと思います。お尋ねの点で、できるだけ細分していったほうがいいということで、私ども検討はいたしておるわけでございます。
  55. 大森創造

    大森創造君 どうして、防衛庁のPRの雑誌には護衛艦というふうになっておるのに、国会に出す予算書のほうには、甲型、乙型警備艦というふうになっておるのですか。
  56. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) この甲型、乙型と分けましたので、トン数千五百トンを境にいたしまして、大きいほうを甲型、小さいほうを乙型といっております。これらをひっくるめて目的別に考えますると、護衛という考え方でございまして、それで護衛艦という名称を使っておるわけでございます。
  57. 大森創造

    大森創造君 甲型警備艦、乙型警備艦というのは、アメリカでは何といいますか。
  58. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) ディストロイアー——駆逐艦といっております。
  59. 大森創造

    大森創造君 これは甲型警備艦はアメリカでいえばディストロイアー、甲型も乙型も含めてこういうものを護衛艦というのが世界各国の状況であるようでありますので、そうしまするというと、いかにも日本でも海軍ができて、そしてそういう堂々たる軍艦があるんだという印象を与えたくないために、わざわざややこしい甲型警備艦とか乙型警備艦という名称を使っているのと違いますか、タンクを特車というがごとく。
  60. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 申し上げるまでもなく、現在においては軍という考え方はございません。その用途から割り出しまして護衛艦というような言葉を使っておるわけで、決してそれが何か非常に軽微なものに誤解させて簡単に考えるようにするというような意図を持っておるわけではございませんので、現在の日本の自衛隊のあり方といたしまして、その中の艦艇をいかなる名称とするか、自衛隊にふさわしい名称としてこういう名称を使っているわけでございます。
  61. 大森創造

    大森創造君 次にお伺いします。朝日新聞に出ていたんですが、「海上自衛隊では艦隊の防空能力向上のため艦対空ミサイル、タータ積載の護衛艦(三、〇六〇トン)を四十年二月完工の予定で準備を進めている。」と、これは三十六年度の予算書を見ますというと、あったらごらん下さい、四十一ページ。これの昭和三十六年度乙型警備艦建造費として、四十億七千八百五十九万六千円というこの項目に該当しますか。この朝日新聞に書いてあります三千六十トン、そうでしょう。
  62. 木村秀弘

    政府委員木村秀弘君) ただいまの朝日新聞の記事は、おそらく昭和三十五年度の甲型警備艦でございまして、今回三十七年度予算でもって改訂要求をいたしております分だろうと思います。
  63. 大森創造

    大森創造君 それではお伺いしますが、三十五年度の甲型警備艦の継続費というものについて、この記事によりますというと、「三十七年度予算では当初計画の二千六百トンより大型化することが決定した。」ということでございますから、二千六百トンに足して、完工年度の四十年二月完工のときには三千六十トンとなる船でございますか。
  64. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) ターターを搭載する艦艇、初め三十五年度に予算をお願いいたしましたときには二千六百トンということで考えておりましたが、その後ターター装置の変更等によりまして、これでは載せかねるということが判明いたしたものでございますから、ただいま御審議をいただいておる三十七年度で予算の増額を願いまして、そうして三千六十トンの警備艦を建造する、それにターターを搭載する予定でございます。
  65. 大森創造

    大森創造君 三十七年度に年度割額の変更が当然あるわけですね。私が見た限りでは、三十七年度の一般会計予算の中にはどこに書いてあるのだか、ございません。これはひとつあとでお示しをいただきたいと思います。  次に移りますが、それではターターに、この艦艇にこういう説明がございます。頭部は在来型の弾頭で核は不可能であるということでございますが、そのとおりでございますか。
  66. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) そのとおりでございまして、核武装はできません。核弾頭はつけられません。
  67. 大森創造

    大森創造君 とにかく最近の兵器については、高度に発達をして、われわれ国民の目から見まするとわかりませんので、どうしてターターには核弾頭がつかないかということを、この席を通じて、一分間くらいで御説明を願います、しろうとでもわかりやすく。
  68. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) いろいろな兵器につきまして、核弾頭をつけられるものとつけられないものとございますが、現在装備をするターター程度の推進力その他から考えまして、これが核弾頭はつけられないものになっておるわけでございます。
  69. 大森創造

    大森創造君 防衛庁長官、見たことありますか。ほんとうに見て事実知っておるならば、すぐこうだというふうな説明が具体的にできると思うのです。どうなんですか。いわゆる国会答弁用の答弁じゃなくて、どなたかわかりやすく説明して下さい。
  70. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 私、まだ現物は見ておりませんけれども、説明書その他によりまして、ただいま申し上げましたように、核弾頭はつけられないというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  71. 大森創造

    大森創造君 なぜつけられないか、もう少しわかる人に御答弁願いたいと思う。まさか、防衛庁長官初め数人の方がおいでになっているのだから、しろうとでもわかるような説明できる人いるでしょう。心細い限りですからね。こういうターターであるとか核弾頭とかはこういうふうになっているのだということが、技術的な説明ができないということは心細い限りです。お答え願いたい。
  72. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 御承知のように、現在の大砲とかの程度、あるいは機関銃というような程度には、核弾頭がつけられないわけです。その程度のターターの能力。したがいまして、核弾頭はつけられない。もっと大きなものでなければ、たとえば御審議をいただいておりまするナイキ・アジャックスは、これは核弾頭はつけられません。ハーキュリースになりまして、初めて核弾頭はつけられる。これだけの大型になりませんと、現在の核の開発の関係ではつけられないというふうに私は記憶をいたしております。
  73. 大森創造

    大森創造君 どうも防衛庁長官や、その他の関係の方は、善意でございましょうが、今までの日本の防衛漸増計画などを見まするというと、言葉どおりに受け取れないところがあるので、この点もあとで確認したいと思う。  そこで、その次に移ります。ナイキ大隊を作るという構想はどういうことなんですか。
  74. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 重要な都市その他の周辺を航空機による攻撃から防衛するための防空兵器でございます。
  75. 大森創造

    大森創造君 その工事を昭和三十七年度から始めるのか、予定しているのは何カ所予定しているのか、本部はどこと、そういう具体的なことについて御説明を願います。
  76. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 本年末に一個大隊を導入する予定でございます。大体四個中隊に分かれますので、関東周辺の既存の自衛隊の基地に置く予定でございますが、その具体的な場所につきましては、なおもう少し研究をさせていただきたいと考えておる次第でございます。
  77. 大森創造

    大森創造君 大体構想の中にある場所というのはどこですか。
  78. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 武山、土浦、入間、それから習志野等が候補地にあがっております。
  79. 大森創造

    大森創造君 まあ習志野もどこもお断わりしたいと思う。特に土浦のごときはもってのほかで、茨城は那珂湊の射爆場や百里原の基地がございますので、これ以上ナイキが参るなんということは県民あげて反対でございますから、これはひとつあらかじめ申し上げておきます。  発射台なんかわかっておりますか、どれぐらい作るのですか。肝心なところを何も知らないで工事をやるということはないのだから、そこらは知っているでしょう。
  80. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 一個中隊に九発射台でございますから、四個中隊では三十六になるわけでございます。
  81. 大森創造

    大森創造君 このナイキというものを使うことを予想しないというとこういうものを置かないのだけれども、使うということになると、これは今までの例にかんがみて、土浦のああいう航空隊があったところは全滅にやられております。これは大東京の周辺にナイキ大隊を作るということになって、五カ所なり六カ所できるということになると、これを使うことになると、逆にこっちがやられてしまうということになるわけです。そういうことではございませんか。
  82. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) どういう襲撃があるかということを現在から予想できませんけれども、大体攻撃をする目標というものは、大都市とか、あるいは工場地帯とか、あるいは相当な有力な基地というようなものが考えられるわけでございます。攻撃の目標からいたしましたら、ナイキの一個中隊がありまするというようなところは非常に小さな目標になるわけです。むしろ、そういうものを攻撃するよりも、工場地帯であるとか、政治の中心であるとかというものを、あるいは大きな飛行場というようなものがねらわれるのではないかと思いますので、ナイキの陣地が直接に攻撃の目標になるということは、まずまず考えられないのじゃないかというふうに考えております。
  83. 大森創造

    大森創造君 そういうことは、藤枝防衛庁長官、保証できませんよ。茨城県についていえば、百里原の飛行場というやつは、これは徹底的にやられて、それで今度は入植増反だということをやっておる。また、自衛隊のほうでは航空基地にしようとしている。土浦にしても、記憶なまなましいのです。あそこに、水郷へおいでになるときに船の中で聞かされますから、霞ケ浦航空隊の歌を。当時をこれは思い出すというと、こういうナイキなどというものが配属されることは絶対禁物だ。ナイキを配属したって防空になりませんよ。防空になると思いますか。
  84. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 御承知のように、ナイキは誘導ミサイルでございまして、命中率も非常にいいものでございます。したがいまして、都市周辺の防衛、すなわち、味方の戦闘機によって撃ち漏らして入って参りました爆撃機等に対する防御といたしましては、非常に有効に働くものと私は心得ております。
  85. 大森創造

    大森創造君 防衛庁長官の御答弁いかんにかかわらず、私は、非常にナイキが置かれるがゆえに、茨城県として危険を感じます。あるいは東京都周辺の予定されている地域の住民もそう感ずるだろうと思います。これは日米関係を別にして、純粋に防空ということ、われわれの生命財産の安全という立場からすると、私どもナイキという物騒なものを置かれないほうが身の安全だという感じを持ちます。これは押し問答しても始まりませんからこれでやめますが、どうですか。  次にお伺いいたしますが、ジュネーブの十八カ国軍縮委員会ができて、米ソも、三段階による完全軍縮による申し合わせができている、今交渉中です。そのとき、今度の防衛庁の予算を見ますというと、広報関係に去年の三・五倍、二千四百万円が今度は八千五百万円、国防意識の高揚を国民にするのだということをいわれておりますが、これはどうなんですか。こういうことをやるというと逆でありませんか。これは戦争意識をあおるようなことになるだろうと思うのですが、どうですか。
  86. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 一般的に自衛隊のあり方その他につきまして、国民の皆さんの御理解をいただくように努めなければならぬと私ども考えまして、広報費の増額をお願いしておるわけでございます。  なお、ただいま御指摘の防衛意識の高揚という問題でございます。これは防衛の手段についてはいろいろ御議論もあろうかと思いますけれども、やはり民族の生存を確保すると申しますか、民主主義のわが国を守るという国民的な気持というものは、これはやはり防衛手段のいかんを問わず、持っていかなければならないものというふうに私ども考えておりまして、そういう意味で今後国民理解を深めて参りたいという考え方で増額をお願いしておるような次第でございます。
  87. 大森創造

    大森創造君 次に、大蔵大臣にお伺いしますが、ずっとここしばらくは、今まで申し上げましたような各艦艇、そういうものを建造するのに、継続費という予算を使っておりますが、継続費というものができたのは、終戦後いつからでございますか。そして、どういう趣旨でできましたか。
  88. 石野信一

    政府委員(石野信一君) 昭和二十七年度に財政法の改正が行なわれましてできたわけでございます。趣旨は、全体の計画と申しますか、その事業のまとまった一つの事業というものを、その全体についても、目標として国会に御審議願ったほうがいい。しかも、それが年度またがりまして契約が行なわれておる。艦艇につきましては、たとえばエンジンをまず契約いたしまして、次の年度で船体を作る、さらに今の武器などは次の年度にわたる、こういうようなことで数年度にわたって契約をしていくという必要があるものにつきまして継続の制度を認めたわけであります。
  89. 大森創造

    大森創造君 大蔵大臣にお伺いしますが、かつての戦艦大和、それから長門、陸奥なんというのを作ったのは何で作りましたか、帝国憲法時代に、予算的に。
  90. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) よく存じませんので、事務のほうから……。
  91. 石野信一

    政府委員(石野信一君) ちょっと私も戦前のことをよく知りませんけれども、多分継続費だと思います。必要でございましたら、調べまして、あとお答えいたします。
  92. 大森創造

    大森創造君 時間が迫ってきましたから、結論を申し上げますと、これは今の艦艇、潜水艦、甲型警備艦、乙型警備艦、その他これに類するものは、昭和二十七年の財政法の一部改正のときに時の大蔵大臣は池田勇人氏でございましたが、ここにきょうはおられませんが、木村禧八郎先生と大内教授の問答によって、明らかに今防衛庁が作っておる艦船というものは絶対作らぬということになっております。当時の速記録を今持っております。絶対作らぬということになっております。これはくどくその点が念を押されております。かつての戦艦「大和」「陸奥」「長門」というものを作ったのは継続費であって、いわゆる臨時軍事費という特別会計があって、継続費である。それで、この財政法の一部改正のときに議論になったのはこの一点であります。これは日をあらためて池田大蔵大臣、今の総理大臣にお伺いしたいと思いますが、大蔵大臣が、戦艦大和、陸奥、これはかって継続費で行なわれたのでありますが、昭和二十七年、第十三回国会でもって、継続費を提案する理由のものは、こういうまぎらわしいような軍艦みたいなものを絶対作らぬということを言っております。それで継続費というものは、たとえばこれは池田大蔵大臣の言葉であります。関門トンネルなどについて長期を要しますから、それで五年間の継続費だということで御審議をお願いするのだ、そうすると、木村先生や大内兵衛教授はこう言っております。そう言ったって危険だろう、時のたつに従って艦船も作るようになりはしまいかということを、ずいぶんくどくだめ押しをされております。それで、それを計数的に見ますると、確かに当時警告したとおりになっておりまして、継続費を使ったのは昭和二十七、二十八、二十九、三十一年で、公共事業の継続費は一銭も計上されなくなっちゃって、それから今度は軍事費一本にすりかえられた。これはおそろしい日本の総理大臣はペテン師だろうと私は思う。どう思いますか。
  93. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) それは艦艇のようなものを継続費にすることがいい悪いという問題ではなかったと思います。当時大蔵大臣の御答弁は、今軍艦、戦艦を作るというようなことは考えていませんという答弁をしたということは聞いておりますが、これは当時のあれからみまして、日本がそういうものを作るか作らぬか、今作るということは考えていないということと、船舶に類するものを継続費という形で作ることがいいか悪いかという問題とは別問題だと思っております。
  94. 大森創造

    大森創造君 あなたが当時の大蔵大臣でないからそういう答えでございましょうが、そういう今のような大蔵大臣お答えができるはずがない、当時の記録を見ると。今はそういう軍艦は作らぬというふうに——あなたもきっと当時の記録をごらんになったのでしょう、私が継続費について質問すると言ったから。今は作らないが、やがては昭和三十一、三十二年ごろになったら軍艦らしいものをこれによって作るということを初めから予定した御答弁だったのですか。
  95. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) ここに記録がございますが、継続質の期間の問題で、「まあ昔は軍艦を造る場合が一番多かったと思うのであります。併し、我々は今軍艦を造ろうなんていう気持は全然持っておりません。」と当時答えております。
  96. 大森創造

    大森創造君 今は作っているのですね。
  97. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは自衛権を発動するため何が必要かということによってきまる問題でございますので、今国を自衛するために船が一隻も要らぬということにはならぬと思いますので、必要に応じて今作っていると考えております。
  98. 大森創造

    大森創造君 水田さんは、私は非常にまじめな方で、根が正直な方だとかねがね思っていたけれども、今のやつは完全にごまかしておる。これは当時の記録を見ますと、あなたは頭がいいからわからないはずはない。これは自衛のためのどうのこうの、あるいは攻撃のためのどうのこうのではございませんよ。当時は、昭和二十七年から、その前の年に講和条約と安保条約というものが調印された。二十七年に発効した。警察予備隊を自衛隊に切りかえたのが二十七年。そこで、当時はこういう継続費というものでもって、将来はそれに軍艦らしいものを、攻撃であろうと自衛であろうと、そんなものにかかわらず、そんなまぎらわしいものは絶対に作らないというお答え趣旨ですよ。それ以外に考えられませんよ。あなたが当時の記録をお読みになったならば、必ずそうですよ。攻撃でなくて、自衛のための云々ということは憲法論争であって、今問題になっているこの点と違いますよ。自衛であろうと自衛でなかろうと、今防衛庁が作っている艦船は継続費を用いないという言明でございますよ、これは。これはどなたに聞かれたってそう解釈できる。いかがお考えですか。
  99. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 当時は、まだ海上警備隊もないというときで、二十七年の四月から海上警備隊が発足して、当時は米国側から供与される船を使用するということを考えておった時代でございますから、この当時の大蔵大臣答弁のように、今軍艦を作るということは考えていないと、こう言ったものだと思います。
  100. 大森創造

    大森創造君 今というのは昭和二十七年当時で、今は作らないけれども木村先生の言われたのはこういう趣旨ですよ。だんだん軍備というものが膨張してくると、何年か過ぎたら、この継続費というものは、昔と同じように、軍事関係をまかなうような予算に変わっていくのではないか、だから継続費を五年云々ということにしないで、二年にしたらどうだとか、それから自然的にそういう方面に予算が使われないための方法として、厳密な制限規定を設けたらいかがかという趣旨の発言がなされております。だから、今海上自衛隊なり、防衛庁のほうで作っているのを継続費でもって作るということは、当時の答弁からいってまずいことですね。お答え願います。
  101. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) さっき申しましたように、軍艦を作ることがいいか悪いかという問題と別でございまして、こういう艦艇を作るという場合には、予算の立て方としては、継続費というものをもって対処するほうが、これは妥当だというふうに考えております。
  102. 大森創造

    大森創造君 そういうお答えであれば、昭和二十七年の財政法一部改正のときの池田大蔵大臣答弁は、全くこれは詭弁になると思います。これは論より証拠、私は証拠をお見せしますが、池田大蔵大臣答弁によるというと、公共事業費をまかなうのであって、艦船、軍艦に類するようなものは、絶対これによって、継続費で作らないというりっぱな言質があるのですよ。それを裏づけるように、昭和二十七年に継続費が復活をして、昭和二十七年、二十八年、二十九年、三十年、ここまでは全然防衛庁関係は使っておりませんね、これはどうですか。
  103. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 私の記憶が間違いでなければ、三十一年度から継続費をお願いしたと存じております。
  104. 大森創造

    大森創造君 そのとおりですね。潜水艦を作ったのが財政法の一部改正をした昭和二十七年ですから、二十八、二十九、三十年と、四年たってから初めて継続費を潜水艦を作ることで出しておる。一方、公共事業費のほうはずっとこうやってきて、三十一年にゼロになっておる。三十年まで公共事業費を継続費でまかなってきたが、あとは軍備一本ですね。これはいかがです、この事実はお認めになりますか。
  105. 石野信一

    政府委員(石野信一君) おっしゃるとおり、公共事業費のほうに使っておりまして、それが最近と申しますか、おっしゃるとおり、三十一年ごろから防衛庁の艦艇建造のほうに継続費が使われる、こういうことになっておることは事実でございます。そのいきさつと申しますか、理由を申し上げますと、公共事業費のほうも、継続費をもっと活用したらどうかという意見もあります。これは一つの検討事項ではございますが、設計等が艦艇等に比べまして、非常に一つの船を作るというようなふうに、初めから全体の計画がはっきりしていない心河川改修などは設計がだんだんに変わっていくというような関係もございまして、今の継続費の制度で参りますと、艦艇のように、はっきりこういうものが一つできると、それが三年なら三年、各年こういう計画で契約をしていくというようなことにできているという面がある関係で、公共事業費のほうには、必ずしも各省から要求がないわけでございます。しかし、公共事業費の円滑な運営のために、もう少しこれを活用したらどうかという意見もございますので、今後そういう問題は検討して参ることになると思います。ただ、継続費を艦艇に使うことがいいかどうかということは、これは政治的な面は別でございますが、それは別問題で、この意味では、全体の船として幾らかかるかということは、あらかじめ国会の御審議にも提供されるわけでございますから、そういう面のいい面もあるのじゃないかと思います。
  106. 大森創造

    大森創造君 私は、継続費というものが存在をして艦船などを作る場合には、継続費の項目によらざるを得ないだろうということは、私は初めから認めておる。それはそうなんですよ。誤解しないで下さい。長期計画によらざるを得ない、公共事業にしても艦船製造にしても。それでいいわけなんです。しかし、昭和二十七年に継続費というものが復活した際に、この継続費というものでもって軍艦なり、それに類するようなものに使われるようなことになりはしませんかということを質問したのに対して、再三再四この一点だけなんですよ、念を押されているのは。池田大蔵大臣は、絶対にそういうことをいたしませんと言うから、その昭和二十七年に復活した財政法の一部改正によるところのこの継続費を使ってはまずいでしょう。どうですか。
  107. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) ですから、私が考えますのには、そういうものを作ることを当時は考えていなかった、意思がなかったから、ここに使いませんと言ったのではないかと思います。で、作るという以上は、やはり継続費というものをもって対処するのが正しいだろう、当時はそれを考えていなかったから使いませんと言ったのじゃないかと思っております。
  108. 大森創造

    大森創造君 これは少なくとも、軽く考えても食言ですよ。継続費というものが、ただいまの大蔵大臣答弁するように、軍艦を作らないような、そういうことを予想しなかった時代に答弁したということはわかりまするけれども、しかし、その心配があったからこそ、木村委員だとか大内兵衛さんなどが盛んに質問しているのだ。今はこれはそうお考えであっても、やがては艦船を作るのにこの継続費を利用することになりはしませんかと、——いいですか、そういう点を念を押されておるのですよ。だめ押しをされておるのですよ。ところが、そういう心配はございませんと言っておる。だから、これは今までやってきたことは、当時の大蔵大臣のあれからするとペテンですよ、背信ですよ。完全にその事実をお認めになってから、さてこれからどうする、今作ちゃったやつはどうするという議論ならわかりますが、大蔵大臣のその当時の継続費の説明、池田さんの説明からみるというと、矛盾しているでしょう、これは。この点だけお認め願いたい。
  109. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) その点でしたら、当時そういう質問をした質問者のほうに明があったと思います。
  110. 大森創造

    大森創造君 明があったと、片方は大蔵大臣ですよ。その一点について吟味されたときに、いや、そういうことはありませんと言って、現在昭和三十一年から公共事業費はゼロにしちゃって、艦船ばかり作っている。これはペテンです、結果から見ると。人が悪く言えば、初めからこれを予想していたのじゃないかと思っております。あなたは池田内閣大蔵大臣だから、そういう弁護する立場にありますが、どうもあまりにこれはひどい。公共事業費はゼロにしている。われわれの側のほうで不安に思っていた艦船製造のほうを一本にしている。だから、これはあとで総理に聞きますが、あなたはわきから見て、私の言うていることと、あなたが釈明されていることと、池田当時の大蔵大臣、これは私の側に軍配があがるでしょう。あやまりなさいよ、池田さんにかわって、大蔵大臣防衛庁長官。それで、こういうことを言っている。こういうことでいっては困るから厳密な制限を設けたらどうですか、こう言っている。どう御認識になりますか。すなおに認めて下さい。
  111. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) ですから、問題はぺてんにかけたということじゃなくて、こういうふうになるということを予想しなかったということは間違いだったと思います。
  112. 亀田得治

    ○亀田得治君 関連。ただいまの問題ですが、これは総理がおられればきわめてはっきりすると思いますけれども、しかし、当時はすでに日本の再軍備政策というものが始まっておるわけでして、当然それは進行していれば再軍備をとる者の立場としては艦船などのごときは考慮の中に入ってくるはずです。だから、普通ならばともかく質問者からそういう問題を出されて、そのときになってみなければわからぬとかといったような答えがあるはずです。ただいまの大森君の追及されておる点は、そういう答えになっておらぬところに問題がある。だから再軍備政策を始め、それを推進しておる当の責任者が艦船のごときものを全然その当時考慮に入れておらぬ、そんなことは私はちょっと詭弁だと思うんです。だから、ほんとうにそういうことは考慮に入れないで総理大臣お答えになったものとすれば、これはぺてんだとはいえないかもしれぬが、しかし、そういうことはちょっと想像されませんね。で、もしそういうことが考慮にあったものといたしまするならば、これは明らかにぺてんであり食言になるわけなんです。したがいまして、これはぜひ総理の、総括質問がいずれあるわけですから、その際に明確にやはりしてもらいたいことを、ここで要求しておきます。委員長・理事打合会で適当に取り計らいをお願いいたします。
  113. 一松定吉

    ○一松定吉君 委員長関連大森君の御質問を承ってみておりますると、大森君の立場からはごもっともな御質問であろうと、これは私も協調いたします。(大森創造君「立場でないですよ。」と述ぶ)聞きたまえ、僕の言うことを。(大森創造君「聞いてますよ。」と述ぶ)黙っていて聞け。黙ってくれ、僕が発言中じゃないか。  私の考えでは、当時の大蔵大臣が将来もやりません、こういう言明をしたならば、大森君の質問はもっともでありますけれども、政治というものは生きものですから、きょう言うたことが、日本情勢が変わったときにはあしたどういうようなことになるか、これは政治は常に動くものだから、そのとき言うたことが永久にいつまでもその言責に従わなければならぬということはありません。これはその当時の状況によって、今はやりませんと、こういうようなことは、今はという言葉をかりに使わなかったとしても、答弁する者は現在を見て答弁をするのであるから、将来も私は断じていたしませんというのならその人の責任であるということであって、時勢が変化すれば、人によっては将来はいたしませんと他の人が言うたことを私はかわってしなければならぬような場合もできることは、これは政治の実際です。それを今現に池田大蔵大臣のときに言うたからといって、情勢変化があった今日において、いわゆる経続費というものによってそういうものを作るということが今日の情勢をおさめる上には必要であるというような場合には、池田君のその当時言ったことは、違うような失言のあることは、これは政治の実態から見て当然です。全然そういうことを言うたからいつまでもその人の言うたことを、将来もそういうことはしないんだというようなことをもし言うならば、これはその人の言うことが間違いであって、今大蔵大臣の言うとおり、その当時の形勢からいえばこれは池田さんはしないということを考え、想像されていなかったからそういうことを言ったのでありましょうという大蔵大臣答弁は正しい意見だと思います。それを次から次へ追及して食言だとか、あるいはいろいろなことを言うて非難攻撃することは間違いであって、もしそういう点について、何かこの予算委員会のこの運行について、これがきまらなければとうていいけぬということになれば、それは池田君に質問すればいいので、今亀田君の言うように、大蔵大臣防衛庁長官を追及したからといって、その当時の責任者ではないのですから、池田君を呼んで、あなたはそのときにこういうことを言うのだがどうですかというなら、これならばよくわかるのですよ。そうでなくて、大蔵大臣防衛庁長官に、お前はそういうことを、池田君の意思はどうであったかということは、池田本人でなければわからないので、池田君を呼んで追及なさるということが私は必要だと思いますから、この程度にとどめて、そうしてさらに質問を続行してもらいたい。(「議事進行」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  114. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) ちょっとお待ち下さい。今の一松委員お話は議事進行に関することだと思います。そこで、今のその先の大蔵大臣の事柄について問題ができたためにそういうふうな御議論になったことで、亀田君も先の大蔵大臣が出てくるまではその質問を保留すると、こういうお話がありましたので、やはりこれは総理が出ましたときにお聞きになることにいたしまして、そうして大森君の質問を継続していただいたほうが、お互いの議論になりますと、これはどうも議事進行、議事進行で、議論をお互いにかわしますと、なかなか時間ばかり経過いたしますから、そこで大森君、御質問をひとつ私は願いたいと思います。(「議事進行」「一松委員の言い分だけで議事進行するのはけしからぬ。」「休憩休憩」と呼ぶ者あり)それではこういたしましょう。社会党の諸君は三人で今の質問をなさっておりますが、一人にひとつ制限して議事進行の御意見をやって下さい。加瀬君、
  115. 加瀬完

    加瀬完君 一松さんが今のようにおっしゃいましたけれども大森君の質問は、継続費の問題では、当時の大蔵大臣、今の総理大臣の池田さんは、艦船などには使わないということを明言しておるのにかかわらず、しかも亀田委員の指摘するように、防衛計画が進行中であって、艦船の建造などいうのはもう明らかな事実、それにもかかわらず絶対に使わないと言っておって、今それを池田内閣の首班である池田さん……。
  116. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 私語をしないようにお願いいたします。
  117. 加瀬完

    加瀬完君 その池田さんによって相変わらず継続費が使われている。こういうことに一体責任は感じないかと防衛庁長官なり大蔵大臣なりに伺っておって、筋は通っている。ひとつも筋違いでない。ですから、大森君は池田さんに尋ねたかったのだけれども、一般質問でありますから、総理を出さない慣例でありますから閣僚に聞いている。大森君の質問がいかにも不合理であるような御発言は当たらないと思います。その点だけをはっきりしておきます。
  118. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 議事進行。
  119. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 矢嶋君、きわめて簡単に述べて下さい。
  120. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大森君は社会党を代表して質問しているのですが、過去のことを言っているのではないのですよ。将来に対する不安があるから質問しているのであって、適当な質問ですよ。というのは、政党政治ですよ、政党は国民に対して責任を持たなくちゃいかぬ。二十七年からずっと保守党の政権が続いているのですよ。きょうの質問で核武装はいたしません。ターターの核弾頭は使わない。しかし、核弾頭というものが小型化してくれば——ナイキ・アジャクスは入れない、ナイキ・アジャクスというものは使わないといっても、しかし、これは入れる。これは必ず将来つくようになりますよ。見ておってごらんなさい。沖縄即時返還返還したら核武装をとる。そうして即時返還することを要求している。今の世界情勢でアメリカはそういう沖縄の核武装、ほんとうに持っていってそういうことを言っておるのですか、そういう点が。これから保守政権がおそらく続くでありましょう。しかし、それは国民に対して責任がありますよ。先がわかっているのにかかわらず、先の見通しを意識しながら、間違った形で国民に訴えてきた。過去から将来についての不安がある。だから、二十七年の時点において艦船に継続費は使うということは、警察予備隊が保安隊になって、それから自衛隊に変わって、亀田委員が言うように、当然予想されたことですよ。ですから、その予想のつかないような池田さんじゃないと思うのです。真にその予想がつかなかったならば、池田さんとしては国民に不明をわびるべきであり、連綿として続いた保守政権は、国民に対して責任を持たなくちゃならない。これが今日の時点においても、これからの防衛計画の、あなた方の答弁に対して不安があるから、過去はともかく、今後に対してのしっかりした言質を取りたいという立場大森委員質問申し上げているわけで、その角度に従ったお答えをいただかなければならぬと思う。
  121. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 先に亀田さんからの御質問がございましたのでお答えいたしますが、当時に大蔵大臣が答えていることは、さっき申しましたように、しかし、われわれは今軍艦を作ろうなんという気持は全然持っておりません、したがって、この継続費制度を作っても、軍艦ということを考えていないということを言ったと思いますが、あなたは、それは当時もう計画が進行しているときなんで、もう船を作るのはわかっているはずだ、だから、ごまかしじゃなかったかということでございますが、池田大蔵大臣答弁をしている日が二十七年の一月三十一日でございますが、このときには、日本にまだ海上警備隊もないという時代で、当時の国会議論をみましても、吉田内閣は再軍備はしないという方針でいた時代でございまして、その後海上警備隊というものができた程度でございますから、当時においてこういう大きい軍備計画というようなものは進んでいなかったという時代でございますので、やはり池田大蔵大臣が答えたのは、こういう艦艇を作るという時代を予想しなかったことからの答弁だろうと私は考えます。
  122. 大森創造

    大森創造君 時間がありませんから、一つ申し上げますが、冷静にお聞き願いたいと思うのです。継続費によって艦船を作ってはいけないということは私は申し上げているのじゃない。昭和二十七年に財政法の一部改正によって論議されたそのいわゆる継続費というものについては、これはそれを使ってはいけないということであります。当時そのことをだめ押しされたのは木村禧八郎先生でございますから、これはひとつ冷静にお考え願うというと、今までやってきた艦船を作るという予算上の措置はあやまちであったというこの事実は、いかに正直な現大蔵大臣お答えになろうと、私は、この点だけはちゃんと頭を下げてもらわなければならぬ。一松大先輩から、私のほうが何かペテンと言うが、ペテンは向こうだと思う。どこまでも国会の論議は冷静に、そうしてどっちの側に真実があるかという点も吟味されてほしいと思うのです。大きい声されるも小さい声されるも、事実には変わりない。実は木村先生がおっしゃった趣旨は、大内教授がおっしゃられた趣旨は、再軍備はずっと進められている、だから、あと何年か過ぎたらこういう事態が起きるのじゃないか、そうすると、かつての軍備をまかなったように、この継続費が流用されるのじゃないか、だから制限規定を設けるべきであるという趣旨質問されているのですよ。それに対して池田総理大臣は、そのようなことはしないと明言されている、将来。しかも、亀田委員がおっしゃられたように、昭和二十七年という年は、明敏な、後に総理大臣になるほどの池田さんはわからないはずはない。来年あたり艦艇を、再来年あたり潜水艦を作るような時勢であろうということも、また、それをわからないような池田さんなら、とても総理なんかになれはしませんよ。だから、どうしてもこれだけはお認め願うよりほかない。これは総理大臣を引っぱってきて聞けばいいというように一松先生はおっしゃられますが、そのとおりでございます。しかし、これは閣僚の防衛庁長官と今の大蔵大臣は、その木村先生その他の人がだめ押しされたその継続費をもって現在の艦船を建造している責任がございます。そうして、これはあなた方はこの論争を黙って考えるならば、私のほうに完全に分があるという事実を認めてほしかったのであります。名医ならわかります。藪井竹庵ならいざしらず、あなたの御答弁は、あまりに池田さんをかばうようにしているから、明敏な頭が曇ってきたりする。それで私は押し問答しても始まりませんから申し上げますが、ひとつ委員長にお取り計らい願いたいと思いますが、次回に、当時の大蔵大臣の池田さんを呼んで、そうして別ワクで私の質問を留保しておくということです。そこで、そのときに多数で押し切りますから、自民党は。木村さんのお話のとおり、そのつど年度割のやつを審議していいかと言ったら、満場一致できまっちゃうかもしれない、多数できまっちゃうかもしれない。その意味のことをだめ押しされておりますから、当時の木村先生とか、あるいは大内教授という、そういう人に参考人としておいで願って、そうして、できるならば、当時警告されたように、制限規定を設けるように私はしたいと思うのです。そうでないと、池田さんは、今軍艦作るつもりはないと言って、現に三十一年になったら潜水艦を作っているのですから、将来どうなるかわからない。だから、この継続費については、完全に論理の一貫性がございませんから、あやまってもらう、そうして、将来どうするかという問題は、参考人を呼んで、そうしてはっきりした結論をつけたい。それについて委員長いかがお考えですか。
  123. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 今の大森委員からのことにお答えいたしますが、それは総括質問でけりをつけたらどうですか。(「別ワク別ワク」と呼ぶ者あり)どういう意味ですか、別ワクというのは。それでは大森委員から、今重大な事柄ですから、私一存できめるのもどうかと思いますから、理事会でよく相談しまして決定したいと思います。
  124. 大森創造

    大森創造君 私は、だんだん時間も迫ってくるし、自民党の方も御迷惑でもあろうと思いますが、これは重大問題だと思うのですよ。こういうことが、さっき一松さんおっしゃられたように、今作らないと言っても、それは時勢の変化だからどうだということをお認めになると、これは国会はないほうがいいですよ、そういう国会ならば。これはいかに大きな声をされようと。そこで、私は、できるならば、重大問題だから、理事会でおきめ願うこともけっこうだが、きょうの午後からでもひとつ総理大臣においで願いたい。これは早いほうがいいですよ、話を出しましたから、総理大臣に午後においで願って、それで木村先生もおられますから、条件はそろっているから、舞台はできているから、きょうの午後からちょっとおでかけ願いたい、そういうふうに理事会でお取り計らい願いたいと思います。
  125. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 御希望として承っておきます。その先お述べ下さい。まだありますか、あなたの質問時間まだありますから。
  126. 大森創造

    大森創造君 あとは総理大臣がおいでになってからにしましょう。自民党もそのほうを御希望でございますから、そういうことにして、ここのところは円満落着、問題はあとに残しますから、以上で一応中止いたしまして、午後の総理大臣が来てからにいたします。
  127. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) それでは、ただいまの大森君の質疑は、多少の余裕があることを保留いたしまして、午後一時に再開することにいたしまして、休憩をいたします。    午前十一時四十九分休憩    ————・————    午後一時二十分開会
  128. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) これより予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。向井長年君。
  129. 向井長年

    向井長年君 私はまず、通産大臣と自治大臣に、そして大蔵大臣関連いたしまして質問いたしたいのですが、今回政府が出されました地方税法の一部を改正する法律案の中において、さきの国会でもいろいろと取り上げて質問いたして参りましたが、電気ガス税の問題でございます。これについて政府はさきの国会で池田総理を初めとする各関係大臣は、現在の実情の中においてはこういう税金は必要悪の税金である、あるいは非文明的税金である、したがって、一日も早くこれを撤廃する、こういうことを言われておるわけであります。それに対しまして、今回この内容を見ますならば、非常に不合理な形においての一部軽減を行なおうといたしております。それはまず撤廃しようとするならば、今回出されておるこの軽減の総額を考えましても、自然増収が約一割ある、したがって、自然増収の程度を何とか軽減しようということであって、撤廃の趣旨から考えていくならば、そういう形において地方財政に対するところの裏づけを何ら考えようとしていない、こういう中から自然増収だけを少し軽減しよう、こういうことになっておると思います。したがって、これを考えますならば、根本的に撤廃するという意思があるのかないのか、この点明確じゃないと思うのですが、この点ひとつ通産大臣なり自治大臣なりにお聞きいたしたいと思います。
  130. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 電気ガス税が好ましくない税であるということは、政府部内におきましても意見は一致し、またその点は在来から御説明したとおりでございます。そこで、そういう好ましくない税といたしますると、これは廃止の方法をとるのが当然であります。ところが御承知のように、地方財源の観点に立ってみますと、非常に頼りになる税だ、こういう表現がされております。まあ年間四百億以上のものになっておりますが、これを一時になくするということは非常に困難でございます。そういう意味から、なしくずしとでも申しましょうか、漸次これを減らしていく、こういうような考え方でございまして、そういう意味の措置をとりつつあるわけでございます。ただいま御指摘になりましたように、減税の方向としては漸次これをくずしていくという考え方でございますので、今回の改正等では率が不十分だ、あるいはもう少しやり方があるんじゃないかというような御意見もあろうかと思いますが、基本方針はただいま申し上げたような次第でございます。
  131. 大上司

    政府委員(大上司君) お答えいたします。  実は、安井大臣が出られまして答弁するところ、よんどころなく私がかわらせていただきまして、まことに恐縮でございますが、ただいま通産大臣が申し上げたとおりでございまして、政府当局としては、根本的にこれは廃止したいというような考え方のもとに参ったのでございますが、ごらんのとおり、地方財政の建前から、または徴収上の技術上のいろいろな方法、あるいはこれがはね返りまして、徴税費等との関係から見まして、財政的な面から本年度はこういう提案をしましたが、将来は、先に申しましたとおり、通産大臣がおっしゃったとおり、そのような方向でこれをさらに研究していきたいという建前でございます。
  132. 向井長年

    向井長年君 今両大臣から答弁がございましたが、それは撤廃する、軽減する、そういうことじゃなくて、これから今現状においてふえてくる分を、これを一応かけないでおこう、今までのものは根本的にそのまま置いておこう、こういうことになっておると思います。というのは、その財源は、通産省のほうでは約四百五十億程度だと思いますが、これに対して今度の軽減は五十億程度の軽減になるかと思いますけれども、こういうものは約一割一分程度は年々いわゆる自然増収してくる、この分だけをなくして、そして根本的なものはそのままにしておく、こういうことでは、撤廃しようという意図がどこにあるかわからない。少なくとも地方財政にしわ寄せせずして、政府みずからがそれに対する裏づけを考える、こういうことでなければ撤廃するということは成り立たぬのではないか、こう思うのです。通産大臣答弁を願います。
  133. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほどお答えいたしたような考えでございます。もちろん今回の方向が不十分だと言われる御批判は受けなければならぬ、かように思います。
  134. 向井長年

    向井長年君 自治大臣はどうですか。
  135. 大上司

    政府委員(大上司君) ただいま通産大臣がおっしゃいましたとおりでございます。
  136. 向井長年

    向井長年君 そういう形で考えていこうとするならば、政府は撤廃ということを口にいたしましても、これは地方財政に対して政府がみずから裏づけをしようとする考え方ではなくて、今後も自然に上がってくると、こういう点をまあ免税なりあるいは基礎控除をやっていこう、こういう考え方であるのか、こういう点明確ではないと思うのですが、この点もう一回はっきりしていただきたい。
  137. 大上司

    政府委員(大上司君) 本税は、今日の現況では、財政的な面、すべての面でただいま申し上げたとおりでございますが、将来はこれを何らかの方法で是正していかなければならないということは、根本方針としてはきめられております。
  138. 向井長年

    向井長年君 是正はわかっておるのですが、その裏づけです。この四百五十億をなくしちゃったら地方財政は困るのです。これに対して政府が裏づけを考えてこれをなくしようとしているのか、これはどちらか。
  139. 大上司

    政府委員(大上司君) その財源の裏づけというものを、さらに今日の地方財政の財政面の強化という面から研究しつつございます。
  140. 向井長年

    向井長年君 大蔵大臣その点どうですか。
  141. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 御承知のように、税制調査会では、国税、地方税の税源配分と申しますか、調整をするということを一つの目標にして三年間検討いたしましたが、これが根本的にこの調整をやるということはむずかしい、きのうもお話ししましたように、まず国、地方の事務配分というような問題、それから交付税の配分の仕方、それから国の補助金、負担金のあり方というようなものと全体を考えてやらなければ、そう簡単に調整ができぬという結論になりまして、本年度はとりあえずこの所得税を府県民税に一部委譲するという形で、これによって地方の財源は百億前後強化することになったわけでございます。これはいわば成長株で、今後非常に伸びていく税源を譲っておることにもなりますが、この点は地方財政にとっては非常にいいことと思っております。今地方税の問題では、電気ガス税以外の事業税、市町村民税、鉱産税、各種にわたってこれをほうっておくということは妥当ではなく、やはり減税の必要があるという幾つかのものを持っておりますので、平年度としては四百何十億かの減税になると思いますが、この問題にも手をつけなければならぬということになりました関係で、電気ガス税が、これは悪い税金だ、これはなくしたいという考え政府では持っておりますが、これを一挙にそれらのことを考えてなくすることはできない。ことに地方団体からはこの減税についての反対が非常に多いのでございますが、これは財政上の理由で無理もないことと私どもは思っておりますので、結局これは将来、国税と地方税のあり方の調整というようなところから、やはりこれをなくする方策を講ずる以外には仕方がないのじゃないかと思います。
  142. 向井長年

    向井長年君 大蔵大臣に重ねて質問しますが、一般の地方税とは性格が違うと思うのですよ、これは御承知のとおり。それだから池田総理もあるいはまた通産大臣も、これは必要悪の税金だから早急になくさなければいかぬ、こういうことを言っておると思うのです。そこで今大蔵大臣が言われましたように、一般公共団体からこれはなくすることは困る、こういうことがあるというが、しかし今国会においてもこれを撤廃しろという請願が、これはもう非常に各方面から出ておると思うのですよ。こういう現状から考えて、一般の税金と違うという趣旨は、何と言ってもこれは生活の必需だと、こういうことです、最低限度。これに対して税金をかけるとは何事だと、たびたび強調して、池田総理もあるいは関係大臣もこれを早くやめなければならぬ、あるいはやめてもらいたいということを、通産大臣もこの間言った。そういう性格を持つ税金と、一般の税金とを同じように考えるということは、これは政府としてもどうかと思うと同時に、もう一つは、ただ単になくするなくすると言うだけじゃなくて、それに対する裏づけをどう考えておるか。地方財源がなくなれば確かに四百五十億なくなれば困るが、これに対して政府みずからがこれに対するところの財源の裏づけというものを持たなければ、撤廃というものは実際できないのじゃないか、こういうことを明確にしてもらいたいということを今質問しておる。
  143. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 地方財政は、今よくなっておるところでございますので、これがよくて、これをすぐに撤廃できるような財政計画が立てられるということでしたら、これはすぐにでも撤廃できるということになろうと思いますが、今のところは地方財政としてはなかなかそこまでの財政的な余裕がない。したがって、さっき申しましたとおり、やはり国の補助とかあるいは国と地方との税源調整とか、こういうようなことの中でこれを解決していくことが、私どもは妥当だと思っておりますので、ことしはこの程度しかできませんでしたが、税制調査会で引き続きこの問題と取り組んで、国と地方の税源調整というようなものと今年度に引き続いて取り組んで、これを審議してもらう日程になっておりますので、この結論を待ってこのような解決を私どもはばかっていきたいと考えております。
  144. 向井長年

    向井長年君 そこで、答弁非常に不満ですが、その内容ですが、今回とられた内容、税制改革の中でこの内容については昨年度は低所得階層と申しますか、これに三百円の免税点を引いた、これも意見がございますが、本年度はまず第一に一〇%を一%軽減して九%にする、こういう案を一つ出した。あるいは公衆街路灯を、特に料金を割引したところにおいてはこれは非課税にする、あるいはもう一点、産業用の紙パルプほか何点かをこれまた非課税にする、こういう形をとっておられるわけなんです。この数字から考えましても、一%は四十五億になると思います。それから公衆街路灯は約一億程度、それから産業用の紙パルプは十四億程度、こういう点を考えると約六十億の財源があると思うのです。一歩譲って考えるならば、その精神に立って考えるならば、この六十億という額と、さきに免税にいたしました三百円の——これが約十五億ですか、そういうものを入れますと、七十五億という財源が生まれてくるわけです。こういう点を合わせて、なぜ先ほどから言った趣旨に従ったいわゆる一定の家庭の生活必需に対するところの免税点を引かないか、こういう点をわれわれは疑問に思うわけなんですが、どういうことでこういうような方針をとったか、これは自治大臣あるいは通産大臣にお聞きしたいと思います。
  145. 大上司

    政府委員(大上司君) お答えします。非課税の根本方針といたしましては、何と申しますか、生活必需品等はもちろんそうでございますが、電気等の使用量によりましてそれの電気、ガス税をちょうだいする。したがいまして非常に生活程度の高いものには当然使用量がはね上がって参ります。こういうような建前におきまして、必需品ということはわかりますが、担税力と言いますか、納税のでき得る者を主体として考えて参って本年度の措置をしたのでございますので、なお、さらにこれに対する措置といたしましては、特に街路灯とか、あるいはその他につきましては、まあ全体的に見ましていろいろ徴収義務者と申しますか、源泉課税のごとく、電力会社が特別徴収義務者となって納付さしていくというような建前もございますので、捕捉の面においても非常に不均衡な点は生まれてこないというような建前から、本年度この措置をとったのでございます。
  146. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 基本的に考えますと、電気、ガス税が消費税であることは、もう私が申し上げるまでもないことでありますが、そういうことを考えますと、いわゆる生産用に供されるもの、直接物価に影響があると、かように考えられるものはなるべくそういう影響のないように、そういう意味の免税と言いますか、軽減をすべきだ、こういう議論が成り立つであろうと思います。もともと、先ほど来申し上げておりまする好ましくない税でございますから、いわゆる廃止の方向へ考えられるべきだ、かように思いますが、ただいま言われる企業の面について免税をいたしますのは、ただいま申すように物価等の影響を避ける、こういう観点に立っての処置でございます。またこれは自治省のほうの関係の問題でございますが、基礎控除をしないという、そういう方向をとり得なかったということは、やはり市町村の財政に及ぼす影響、これが非常に大きいということ、そういう観点に立った結果であろうと、かように私は考えます。
  147. 向井長年

    向井長年君 じゃあこの一%引き下げの問題ですが、今、自治省政務次官のほうからは、こういうことを言われております、納税に相応した、いわゆる所得に相応した形においてこれをやっていく、こう言われていますが、静かに考えますならば、先ほどから冒頭に言っておるように、どの家庭でも最小限のなには必要であるということです。そういう観点に立って言えば、一%ならどういう数字が出てくるか、三百円ちょっとこえたら、三百円から三百五円にこえたら今までは三十円の税金がかかったのが三円これは減税になる。一般のキャバレーとか百貨店とか、いわゆる大量営業用に使っているところは、何千円から万に近いところの減税になる。こういうことは、一般の税金としては建前上普通かと思います。しかし先ほど来言われるように、一家庭で生活するに必要なだけあれば、こういう減税の仕方が、正しい国民にこたえる道であるかどうか。こういう点を明確にしていただきたい。
  148. 大上司

    政府委員(大上司君) お説のとおり税の建前からもって参りますと、先生のおっしゃるとおりでございますが、ただ徴収の、いわゆる税の客体と申しますか、課税物件並びに徴収技術の面から考えまして、このようなことをせざるを得なかった。もちろん、これについては、いわゆるキャバレー、カフエのごときものと違って、生活の必需品ではないかということは、十分わかってはおりますが、徴収あるいは地方財政の建前より、この線で線を引いたのでございます。
  149. 向井長年

    向井長年君 徴収技術といったって、どっちをとったところで、徴収技術は徴収義務者に負わしておるわけでしょう。どれをやろうとこのほうが、今出されたほうが、徴収義務者としての立場からいうならば、大きな複雑なやり方なんです。徴収技術をどう考えているのか、これでいいのか悪いのか考えてもらいたい。これが一点。  もう一点は、今言われたように、地方財政の関係だというが、もちろん、いろんな関係が出てくると思います。その減税によって出てくることは、先ほどいうように将来なくしようとするならば、それに対する裏づけというものはどう考えるのか。裏づけなくして考えることはできないと思うのです。そういうことを今やる時期じゃないか。やろうとするならば、今からやらなければ、ただ便宜的に事務的にやろうとすれば、こういうことしか出てこない。こういう点を自治省はどう考えるか。
  150. 大上司

    政府委員(大上司君) 第一点の質問については、いわゆる消費税に対する比例税率と言いますか、こういう方法でやっております。  第二点の問題は、いわゆる地方財源の裏づけがないとできぬじゃないかというお説でございまして、ごもっともでございますが、なおこれにつきましては、鋭意われわれのほうとしても研究をし、なお大蔵省とも自今いろいろと折衝を続けていきたいと思います。それでは、具体的に何を見返りの財源にするかという点につきましては、そこまでまだ結論に達しておらぬような現況でございます。
  151. 向井長年

    向井長年君 政務次官、そういうおざなりの答弁じゃだめですよ。税務局長がおるでしょう、税務局長にお伺いしたい。今、徴収技術が、このほうがやりよいと言われた。しからばこういう形をとった場合に、どういう労働力がかかるか、あなた知っていますか。ちょっと言って見なさい。
  152. 大上司

    政府委員(大上司君) まず第一に、電灯会社がいわゆる課税するものと非課税にするものとに分類をしていかなければならない。あるいはこれによりまして、なお、さらに徴収すべきものを台帳によって区分けする。それはお説のとおり徴収の、いわゆる特別徴収義務者においては、繁雑であるということは十分わかっておりますが、これに対する見返りと申しますか、いわゆる徴税費というものの還付というか、この点等も十分考えてはおりますが、そのとおりに電灯会社には非常な経営のコスト高ということが生まれてくることはわかっておりますが、そういう建前から、個々に地方公共団体が徴収に当たらなくてもよいと、あるいはこれに対するいろいろなそごも起こらないというような考え方で現在徴収しております。
  153. 向井長年

    向井長年君 それは政務次官、答弁になっておりません。今、徴収技術が非常に簡便だという立場でどういう方法をとったというのでしょう。こういう方法をとったために、徴収技術はどれだけ複雑になったかということを数字で表わしてみなさいよ。いいですか、これをやったために——徴収義務者は会社ですから、私は何も言いません。そこで働く労務者は、これによって一カ月に十八時間という労力が、これによって付加されてくるのですよ。こういうことを知っていますか。そういう中で徴収技術が簡便になったというようなととは、全く机上の空論なんです。どうして簡便になったか、その理由を教えていただきたい。税務局長おられるでしょう。税務局長にちょっと答弁していただきたい。
  154. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 向井さん、後藤田局長は病気で寝ておるそうですが、それで市町村税課長が出ておりますが、いいですか。
  155. 向井長年

    向井長年君 いや、政務次官答えられるなら答えて下さい。
  156. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは自治省が答えるのが筋かと思います。しかし向井さんがただいま御指摘になりますように、電力会社それ自身が一体どういう見方をしているか、そういう意味で通産省に関係のある事柄でございますので、一言お答えしたいと思います。すでに今回の一〇%を九%にしたということにつきまして、経営者側からは、たいへんな事務の過重だ、こういうことを言われております。しかし、とにかく一〇%が九%になる、こういうことで電気ガス税というものを漸次なくする、こういう方向でありますので、その意味ではひとつ了承をしていただきたい。先ほど来お話がございますように、どうせ電気ガス税を廃止していくとなりますと、いろいろの財政上の問題が起こることは、これは当然でございます。そういう意味から、この自然増収があるような際、あるいは非常に税が伸びる、こういうような場合に、電気ガス税を廃止することは容易でございますけれども、なかなか地方財政も窮屈でございます。そういう意味から申しまして、今回、その率は不十分でありますが、まず自然増収分程度は引き下げようということで一%下げたわけであります。それも先ほど向井さん御指摘になったように、こういう下げ方をしないで全般についての下げ方はどうなんだ、こういうことでございましたが、全般的に下げるということになりますと、市町村によりましては非常に財政上に影響をこうむる、こういうことで下げる行き方としては、必ずしも理論的に全部が一致する議論ではございませんで、まず消費税であるという性格から見て、また地方財政にも影響がないという方向で、今回一%下げたわけでございます。そのしわ寄せが、ただいま御指摘のとおり電力会社等に寄っておるという実情でございます。そういう意味のことを通産省としてももちろん把握し、非常に気の毒には思っておりますが、今後の電気ガス税のあり方等についての一つの方向を示すものとして、経営者も、そういう意味ならひとつ協力しよう。こういうようなことで今回の行き方にやむを得ず賛成しておられる、こういうように私ども理解しておる次第でございます。
  157. 向井長年

    向井長年君 今、通産大臣から言われたように、経営者は政府の言われることにやむを得ず賛成をしておると私ども見ております。しかし、そのしわ寄せは、先ほど言ったように、そこで働く労務者にかかってくるのです。今、電力事業の中においては、合理化問題が大きく取り上げられておる。こういう中でこういう税制の改革をした場合に、先ほど言ったように一人当たり十八時間という労働が、計算上かかってくるわけです。こういうことを頭に置かずして、徴収が簡便であるから、あるいは徴収義務者にまかしてあるから、すべてこれでやればよい、こういう考え方をしておると、大きな間違いが起こる、こういうことをはっきり考えて減税方法というものを考えてもらいたい。したがって私たちの主張する、あくまでも撤廃であるけれども、暫定的に基礎控除方式をとれ、生活必需品じゃないか、それは少なくとも五十二キロ六百円程度であれば普通の生活はできる、こういうことをたびたび自治大臣にもいろいろと具申をしておるわけです。そこで自治省のほうでは、電気料金を安くしたら、これはするとか、あるいはどうだとか、こういうことを言っておりますが、国民のためにするもので会社のためにするのでないということ、これは自治省、はっきり反省してもらいたい。  そこでもう一点、この問題について、公衆街路灯の問題ですが、料金を割り引きずるところにおいては、これは非課税にする、これは全くおかしい、わからない、どういう意味ですか、その点。
  158. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今、公衆街路灯の免税の問題についてでございますが、御承知のように二会社だけ実施しております。料金改訂の際にこれを実施するというようなお話が自治省のほうから出ております。どうも腑に落ちない話でございますので、通産省としては料金改訂ということを待たないで、料金改訂をしたときに免税をしておるような区分方式が現在のままでも可能じゃないか。とにかく負担を軽減をするということに一そうの努力をすべきである、こういうことで、ただいま自治省と交渉しております。おそらくそのうち結論が出てくるのではないかと思います。別に料金改訂を待たずとも、改訂をしましたとき、とりましたような処置、いわゆる区分方式がとれるはずでございます。そういう区分をとって処置をつけたらどうか、こういうことをただいま折衝しておる次第でございます。
  159. 向井長年

    向井長年君 いや、通産大臣、そうすると今のこの法案改正の中で、料金割引じゃなく三公衆街路灯に対しては非課税にするということを、今直ちにできるということですね。そういうことができるということですね。
  160. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 料金改訂をしなくとも、現行のままでも同じような待遇の処置ができるはずです。だから非課税——あるいは軽減でございましたか、非課税でしょうか……。
  161. 向井長年

    向井長年君 非課税です。
  162. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) そういう処置をとってしかるべきじゃないか、だからその計算方法をやろうじゃないかということで、自治省と交渉いたしております。
  163. 向井長年

    向井長年君 今通産大臣は交渉しておるというが、この法案が今出てきておるわけなんですがね、改正法案が。これに対してはただ料金割引の適用を受ける公衆街路灯、こう書いてある、これは東京と九州です。この間、料金値上げをした——上げなくていいのに政府は値上げをした。したがって、そこに一般の電灯料金なり電力料金が上がって、公衆街路灯を下げた、こういうところは減税するが、ほかはしないのだということは、公衆街路灯の性格から——これに付して自治省は電気料金を改訂したら公衆街路灯の料金を改訂する、こういう態度で進んでおるが、もってのほかです。少なくとも今通産大臣が言われたように、料金の割引をしようとしまいと、この際あわせて全部公衆街路灯は非課税にする、こういうことが通るかどうか、ひとつ自治大臣のほうから答弁願いたい。
  164. 大上司

    政府委員(大上司君) お答えします。要約して結論的に申し上げますと、現在ではこれを全面的に先生のおっしゃるような方向に持っていくということは至難でございます。その理由といたしましては、いわゆる課税対象を一体だれが判別するか、だれが認定して仕分けていくかということ、それにつきましては電灯会社に一任する。あるいは全面的にやることも至難であり、また市町村において、これが区分けするというようなこともいろいろございますが、そういういわゆる課税対象という面からみましても、これをただいま直ちに先生の御趣旨のとおりには措置ができかねると存ずる次第でございます。
  165. 向井長年

    向井長年君 どうしてですか、それは。課税対象ははっきりこれは、あなた明確にわかるでしょう、公衆街路灯としては。そんなもの、しようと思ったら——会社に見させていかぬというのだったら、政府にやらしてもいいし、あるいは市町村にやらしてもできるのですから。大体この街路灯を全部、日本全国これを非課税にしたらどのくらい財源がかかるか、知っておりますか。
  166. 大上司

    政府委員(大上司君) 計数といたしましては三億円程度でございます。
  167. 向井長年

    向井長年君 それは間違いですよ、調べたところが三億ございません。通産省では三億と言っておりませんよ。通産大臣、幾らですか。これは通産省かどっかの調査を見ましたところが約一億です。一億程度の財源を、しかも見分けがつかない……見分けがつかないことはない。公衆街路灯というものは明確です。市町村なり警察が知っておりますから、そういうところをそのままにして、そうして二つだけというのは私はどうしても了解できない、この点通産大臣は自治省と折衝してその実現をはかりたいと言っているのです。自治大臣ひとつはっきりして下さい。
  168. 大上司

    政府委員(大上司君) ただいま持って参りました計数の基礎的なものを事務当局から説明させていただきます。
  169. 向井長年

    向井長年君 いやいや、そこであなた今言ったこと、これは三億円の財源だけの問題でなくて、見分けがつかないという問題です。あなた、見分けがつかないと言われた……。
  170. 大上司

    政府委員(大上司君) だからその理由——さらに計数上の問題を事務当局から御説明させていただきます。
  171. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) お答えいたします。今の減収額の見込みの三億という数字は、現在東京電力並びに九州電力で料金割引制度を実施しておりますが、両電力会社の実績を基礎にして他の電力会社の分を合わせて推計したわけであります。ほかの電力会社につきましては、現在まだ料金割引制度をやっておりませんので、現実にどれだけになるかということは推定以外に方法はありませんので、一応両電力会社の数字から推定いたしたわけであります。  それからこの公衆街路灯につきまして、この全電力会社についての措置をやるべきだという問題につきましては、実は昨年度の改正におきまして三百円の免税点制度が設けられ、それによりまして通常の住宅地域等における防犯灯その他につきましては実質上非課税措置によりまして、ほぼ九割程度ぐらいまでのものは非課税、免税になっているというふうに考えているわけであります。それを今回公衆街路灯といたしまして電力会社の料金割引制度とくっつけましたのは、結局この制度は設置者の負担を軽減する措置である、したがって、電力料金の軽減措置と相待って税負担を軽減することによりまして、おおむね戦前の街路灯についてとられておりました軽減措置に近づけたいと、かような考え方をとっているわけでございますので、私ども考え方としましては、税制面並びに公共料金の面におきまして、両者相待ってその軽減を行ないたい、かような考え方をとったわけであります。しかして、その料金の割引制度がない場合にこれを税制面のみでやります場合には、どうしてもその判定につきましては電力会社自体でその処理をいたしましても、あるいは市町村等の関係で、市町村が主になって判定をいたします場合におきましても、どうしてもその判定が乱に流れやすい結果を生ずるのではないか、さらにまた、この非課税措置が電気料金の徴収と結びつかずに、単独で行なわれる場合におきましては、電力会社自体の事務処理上も相当な負担の増加を来たすのではないだろうか、こういうようなことで、私どもとしましては料金制度と結びつけたい、かように考えたわけでございます。なお、この公衆街路灯につきましては、当初その内容というものが、まだその制度としてどういうものが公衆街路灯であるかということにつきましても、はっきりした定義がなかなかつきにくいわけでございますが、現在料金割引制度をとられております会社におきましては、通産省の取り扱いの方針がはっきりされておりますので、そういう意味におきましても、料金制度と結びつけたほうが、事務処理上もきわめて税法の取り扱いとしましても、正確を期することができるのではないか、かように考えた次第であります。
  172. 向井長年

    向井長年君 課長何を言っているか、さっぱりわからぬ。そんなことを私は言っておるのじゃないですよ。二カ所、いわゆる九州と東京においては、公衆街路灯という判定をしている。そして非課税にしている。現にしておりますから、するといっておるのだ。それならば、一つの判定が出ておるのですね。それと同じように、全国的にやりなさいということです。その財源は三百円の免税を含めるとわずか一億程度だ。これがなぜできないかと言っておるのに、通産大臣は自治省と折衝してやるようにしたいと言っておる。自治省はそれに対して、どうしますという答弁がないのです。それを聞いておるのです。長々とよけいなことは要らない。
  173. 大上司

    政府委員(大上司君) お答えします。その点につきましては、当初お説のとおり全国的にこれを移行せしめていくというところの方針としては、さらに検討して、将来は当然そうすべきであると考えております。
  174. 向井長年

    向井長年君 政務次官、将来じゃなくて、今の法案が出されている、こういう中で、今、私が質問しておる。その中で、通産大臣はそうやらなければならないと思っておると、自治省と折衝したいと言っておる。こういうことに対してあなたはどうですかと聞いておるのですよ。将来じゃない、今の問題です。
  175. 大上司

    政府委員(大上司君) 現在提出いたしまして御審議願っております建前から見ますると、今直ちにそれをするということは、私たちのほうにおきましても至難でございますので、ひとつ将来の問題としてこれを検討し、そういうふうに移行せしめるということで御了解願いたいと思います。
  176. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私の考え方、これはただいまお答えがございますように、将来ひとつ検討していこうということであります。通産省、自治省間の問題としては将来の問題でして御了承いただきたいと思います。ただいま出ております法案そのものでは、他の地域に及ぼすことはできません。これは限定的なものでございますから、だから将来の問題としてさしていただきたいと思います。私は二地区でできることならば、他の地区でも可能だ、かように考えております。
  177. 向井長年

    向井長年君 この問題については、将来というか、現に審議段階であるので、これに対して、もちろんこれからいろいろと審議されるわけですが、政府特に通産省はそういう意見、あるいは自治省においても検討しなければならないという立場、したがってこれに対しては、修正するという意見が出てくれば、これは当然だ、こういう立場で今後御検討をしていただきたいと思います。  そこで、今後の問題につきましては、時間がございませんから触れませんが、特に続いて通産大臣にお聞きしたい問題は、先般の国会で御質問いたしましたが、電気事業法案の問題について、電力審議会を設けて、そうして検討したい。したがって、電力審議会設置法案は今国会で出す、こういうことになっておりますが、この審議会が生まれた場合に、この審議会でいろいろと諮問される内容はどういうものですか。言うならば、電力事業の形態の問題とか、あるいはまた開発問題、あるいは料金問題、あるいは供給責任、すべての問題、こういうものが入るのか、入らないのか。そういう限定はどういうところまで考えておられるのか、ひとつお聞きしたい。
  178. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 近く設置予定の電気事業審議会に諮問したいと考えております事項は、電気事業の企業態勢はどうあるべきか、または電気事業に対する公益事業としての規制はどうあるべきか、豊富低廉な電力の供給を確保するための方策はどうあるべきか、料金水準及び料金体系はどうあるべきか、また電気施設に対する保安態勢はどうあるべきか、以上のような基本的な問題につきまして御審議をいただきたいと考えております。
  179. 向井長年

    向井長年君 そうすると、豊富低廉かつ良質な電気を供給するためにはどうあるべきかということは全部入りますね。これは。
  180. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お尋ねのような点は全部入ると思います。
  181. 向井長年

    向井長年君 そうすると、電力事業の現在の形態の問題もこの中で討議される、そういうことになりますか。
  182. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほどお答えしたとおりでございます。
  183. 向井長年

    向井長年君 もう一点通産大臣にお聞きしたいのですが、ちょうど三月の十三日の読売新聞で、エネルギー懇談会の答申の中で、こういうことを書いているのですが、電力料金の値上げ容認かという見出しで、いろいろ内容ございますが、政府は特に電力料金の値上げと財政資金の投入増加を強調してくれることを暗に期待している、こういう記事が出ておりますけれども、これはエネルギー懇談会がそう出してくれることを、そういうことは事実なんですか。
  184. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 新聞記事はどういうようになったか、私も存じ上げません。しかし、最近物価が非常に問題の際でございます。電力料金についても、いろいろなうわさが立っております。たとえば、東北電力は改訂を申請しているとか、あるいは通産省がそれに賛成だとか反対だとかいうような、いろいろなうわさが出ております。この点では、この委員会におきまして、東北電力の問題については正式な申請は出ておりませんということをはっきり答えました。また申請が出ていない現在におきまして、料金値上げに賛成だとか反対だとか、そういうような意思も表明いたしておりません。これもはっきりいたしております。なお、一般の問題といたしまして、ただいま物価問題非常にやかましい際でございますし、いろいろ公共料金が物価に影響のあること、私どもも見逃がすわけに参りません。そこで、ただいま申し上げたような具体的な申請はございませんけれども、当分の間電気料金は改定しない、こういう通産省の態度を前回も表明いたしたのでございますが、ただいまもお尋ねがございましたので、重ねて態度を明確にいたしておきます。
  185. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 向井君、あなたの持ち時間は終了いたしました。
  186. 向井長年

  187. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) じゃ簡単に願います。
  188. 向井長年

    向井長年君 労働大臣おられませんが、労働政務次官にお尋ねします。  国鉄の職能連が仲裁裁定をやっておりますが、ちょうどこれは三月二十日期限が満了しております。三十日の、いわゆる公共企業体の法令によっても。これに対して、いまだこれに対する裁定が出ていないわけですが、労働省としては、これに対してどういう見解を持って、あるいはまたこれに対するところの、できるだけ早い機会にやらなければならぬ、こういう立場から考えなければならぬと思うのですが、どういう見解でございますか。
  189. 加藤武徳

    政府委員加藤武徳君) お答えいたします。ただいま向井委員の御指摘のように、国鉄の職能労組、あるいは国鉄の地方総連等、労働組合もしくは連合会から公労委に対しまして仲裁裁定が出ているのでございます。ただいまの御指摘のように、すでに三十日間の期限を経過いたしましたものは、六件のうち一件でございますが、いまだ結論が出ていないということは御指摘のとおりでございます。そこで、公労法施行令の規定の中には、仲裁委員会が裁定する場合には、裁定を始めて三十日以内には終わるようにしなければならない、かような規定もあるわけでございまして、労働省といたしましては、極力早く結論を出していただくことを希望いたしておるのでございます。しかし、御承知のように、労働省が行政範囲として直接はタッチし得ない第三者の機関の手にあるのでございまして、労働省からとやかく公労委なり、仲裁委員会にいうべき筋合いのものではない、かようなことで気をもんでおる次第でございます。
  190. 向井長年

  191. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) まだありますか。
  192. 向井長年

    向井長年君 これだけです。各与党と社会党の理事には了解を得ているのでありますから……。
  193. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 第二問ですから、きわめて簡単に。
  194. 向井長年

    向井長年君 そこで、今の答弁ですが、今、これが期限満了で、おそらく二十六日ごろもたれるとか、なんとかいっておられるようですが、これに対して気をもんでおるのじゃなくて、法の建前がきまっておる以上は、所管省はこれに対して促進するのがあたりまえじゃないですか。これに対してただ気をもんでいるだけですか。なぜ促進しないのですか。
  195. 加藤武徳

    政府委員加藤武徳君) 政府といたしましては、早く裁定の出ますことを期待はいたしておりますが、先ほど申しましたような第三者の機関の手にゆだねられておるのでございまして、ただいまこのことに関しておそいとか早い、あるいは早くやれ、おそくやれなんということを言うべき筋合いではない、かように考えておるのでございまして、先ほど申しました公労法施行令の規定は、もちろん紛争が早く解決することが望ましいのでありまして、仲裁委員会に対しまする努力義務規定といいますか、さように解釈をいたしておる次第でございます。
  196. 向井長年

    向井長年君 そうすると、これがおそらく近く出されなければおかしいのですが、出ました場合には、これは政府としては少なくともこの裁定、仲裁案をそのまま尊重する、のむ、こういう考え方を持っておるかどうか、これは大蔵大臣に……。
  197. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 裁定が出されれば、これは従来どおり裁定を尊重したいと思います。裁定の結果をみて、具体的に私どもは検討して善処していく次第であります。
  198. 加藤武徳

    政府委員加藤武徳君) 仲裁裁定が出ました際に、従来も政府は尊重して参っておったのでございますし、特に昭和三十一年に公労法を改正いたしましてからは、必ず裁定を厳格に実施をする、かような方針で実行して参ったのでありまして、この方針に今後も変わりはございません。
  199. 向井長年

    向井長年君 もう一つ。あわせて労働省にお聞きしますが、ILO八十七号批准の問題について、これは先般労働省が政府代表してジュネーブに行って、何か今国会では批准ができないというような了解をとりつけておる、こういうことで行ったようですが、その当事者が政務次官だったと私は聞いておりますが、今国会においてそれを批准できないということは、各党でこれに対して、あるいは提案されて話し合って、そういう結果になったとは考えられないのですよ。以前から予定して、もうだめだということで、そういう形をとられたことは、何としても了解できないのですが、どういう理由ですか。
  200. 加藤武徳

    政府委員加藤武徳君) ただいま御指摘のように、去る二月二十二日からジュネーブにおきまして結社の自由委員会、また三月六日から理事会が開かれたのでございまして、私は政府代表で、日本政府考え方を了解願うために現地に参ったのでございますが、政府の方針といたしましては、従来たびたび公にいたしておりますように、この国会に改正法律案とともに八十七号条約を上程いたしまして、法律の改正並びに条約の承認を願いたい、この基本の方針には変わりがないのでございまして、今国会で上程しない、あるいは批准できないと、かような了解を得るために私は参ったのではございませんで、日本政府考え方なり、日本政府態度理解願うために現地に参ったのでございまして、今国会に上程をいたしまして、法律の改正を願い、八十七号条約の承認をいただきたい、この基本の方針にはみじんも変わりがないということを御理解願いたいと、かように思うわけであります。
  201. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 向井君、もうこれで。
  202. 向井長年

    向井長年君 そうすると、この批准問題については、今国会では政府は提案をする一こういう態度で、ただいま進んでおるということですね、こういうように解釈してよろしいですか。
  203. 加藤武徳

    政府委員加藤武徳君) ただいま申し上げましたように、今国会に上程して条約の承認を願い、法律の改正もしていただきたい、この基本方針には微動もございません。
  204. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 向井君の質疑は終了いたしました。   —————————————
  205. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 次に、市川房枝君。(拍手)
  206. 市川房枝

    ○市川房枝君 最初に委員長に資料の提出のことについてお願いをいたします。これはこの間もお願いしたのでございますが、三十六年度の国から補助金、負担金、交付金、補給金、委託費、資本金、基本金、国から利子補給を受けているものから融資を受けた会社その他の法人についての調査をできるだけ早く各省庁から提出させていただきたい。府県、市町村は必要がございません。
  207. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 了承いたしました。
  208. 市川房枝

    ○市川房枝君 まず、文部大臣にお伺いしたいと思います。この間の総括質問のときに伺いたいと思いましたが、時間がございませんでしたので、まあきょう譲ったわけでございます。  昨年の暮に、選挙制度審議会から池田総理に提出しました答申案の中に、文部大臣の所管に関する事項が含まれておりましたが、大臣はごらんになりましたでしょうか、またそれに対してどんな措置をお取りになりましたか、伺いたいと思います。
  209. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。答申には、学校教育の面と社会教育の面で十分に公明選挙の趣旨を徹底しろという趣旨のことがあったと記憶いたしております。学校教育の線では、小中学校、高等学校の社会科で民主政治のあらましを教え、そのまた一環としての最も典型的な選挙につきまして、十分に教え込むように、かねて学習指導要領にも規定されておりますし、それに基づいた文部省の検定をしました教科書にも、小中高、それぞれ例外なしに教えることになっておるのでございます。  それからそのほかに、副読本を準備したらどうだということもあったと思いますが、この副読本につきましては、文部省自体としまして特別に全国的に指示をいたしておるわけではございませんけれども、制度上ためになる副読本は使ってよろしいという学校教育法上の趣旨が明記されておりまして、実際問題として自発的にそれぞれ副読本を通じても、ただいま申し上げたようなことを補習的に教えておる実情でございます。それからさらにまた児童会とか生徒会、さらに学級会、その他学校行事としましてやっておりますことは、そういう生徒会等の活動につきましても、役員の選挙あるいは一定の規則を設けまして、それぞれ仕事を分担させてやるということを、児童会等の組織を通じまして実地訓練をするということもやっております。社会科につきましては、むろん教育基本法の趣旨に基づきまして、良識ある公民的な素養を高める角度から、それぞれの団体等を通じましてもかねて指導しておりまするし、かつまた選挙の時期になりますれば、特にそういう活動を活発にすることによって徴底をいたしておるのであります。それに対しましては、いろいろな資料等を作成し、配付をし、もしくは地方公共団体を通じて社会教育面に公明選挙徹底のための宣伝啓蒙をやるように、かねて指導をいたしておる次第でございます。
  210. 市川房枝

    ○市川房枝君 今の文部大臣の御説明を伺いますと、たいへんやってて下さるように伺ったのですが、選挙制度審議会がそういう決議をしたというゆえんのものは、やはり学校教育においても社会教育においても足りないのだ、こういう認識のもとに決議したと思うのでありまするが、その点はいかがですか。
  211. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) そういうお示しのようなゆえんもございましょう。ですけれども、実際は相当かねてからの選挙に対する認識、公明選挙の当然のことながら必要性につきましては、学校教育を通じましては徹底しておると自負いたしております。ただ問題は、社会教育の面でいささか徹底を欠くうらみがあろうかと思いますが、これとても、先刻申し上げましたように、これはかねてやってもおりますし、選挙時期になりますれば、なおさらそういう活動は活発になっておるのが今までの実情でございます。むろん今までで万事オーケーというわけにはもちろんいきませんけれども、努力はしなければなりませんが、御想像以上に徹底はしておると考えます。
  212. 市川房枝

    ○市川房枝君 社会教育の方面で婦人学級がございましてそこで学習をやっておりまするが、これは文部省が費用を出して委嘱をしておやりになっておりますから、現在どの程度学級があって、その学習内容の中にこの今の民主主義政治あるいは選挙に関する内容はどの程度含まれておるか。これは社会教育局長さんが御報告いただいてけっこうです。
  213. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) もともと先刻も申し上げましたとおり、社会教育は一言にして申し上げれば、公民教育という面が重点になっておるわけでございまして、御指摘のこともやっておるわけですが、具体的には政府委員から御説明申し上げます。
  214. 斎藤正

    政府委員斎藤正君) お答えいたします。全国で開設されております婦人学級は、学級数にしまして二万七千余ございます。参加者数は二百万をこえます。この中に市町村が開設いたしました婦人学級が一万四千余、そのうち文部省の委嘱学級が千四百十三学級、その他府県の委嘱いたしましたものが二百十七学級、その他は市町村自体あるいは市町村が婦人団体と共催でやっておるのでございます。学習内容につきましては、今お尋ねの社会生活に関するもの、これは政治教育あるいは一種の公民教育あるいは環境改善等の事柄でございますが、これは委嘱学級で申し上げますれば、学習内容の一八・五%でございます。また家庭生活に関するものが四三・五%となっております。
  215. 市川房枝

    ○市川房枝君 私文部省のごく最近の資料で拝見しますと、三十五年の千四百十三学級の学習時間は十二万七千四百二十五時間です。その中で、今お話のこととは少し違うのですが、市民教育という区分けがあります。それが私は確かに入っておると思うのですが、市民教育が六%なんです。これはついおととい御配付になった資料から拝見したのですがね。だからこれを見ますると、文部省が直接指導しておられる婦人学級で、民主教育あるいは選挙に関することは実に少ない、こういう数字ができておりますが、どうですか。
  216. 斎藤正

    政府委員斎藤正君) 先ほど申し上げました一八%の中には、生活改善と地域課題の解決のためのものを含んでおりますので、その中でいわゆる市民性の向上という点からいたしますものはお話のとおりでありまするが、しかし婦人学級の学習の内容といたしましては、やはり婦人の関心は子供の教育ということが多うございますので、先ほど申し上げたようなパーセンテージになっておりますけれども、全体といたしまして、いかなる問題を学習いたしますにいたしましても、市民としての教育、政治教育なりあるいは地域に対するいろいろな課題に取り組むという学習態度が取られるものと思います。
  217. 市川房枝

    ○市川房枝君 もう一つ、実は今全国婦人教育研究集会というものが文部省の主催で開かれておりますが、そこで婦人教育の機会の拡充と内容の充実ということで、きょうまで行なわれておるわけでございます。私ちょっと伺ったのです。そのときの資料をちょっと拝見したのですが、三十六都道府県から問題点が二百五十ぐらい出ているのですが、その中で政治教育ということについてはわずかに五県からだけ問題が出ている。それも一題ずつ出ているにすぎませんので、非常に政治というものについて、あるいは政治教育について無関心だといいますか、あまり関心がないだろうという、実はこの資料でも今そういう感じを受けるのですが。
  218. 斎藤正

    政府委員斎藤正君) お答えいたします。先般婦人団体の幹部研究集会にいたしましても、今般行ないました婦人教育に関する研究集会にいたしましても、婦人団体の活動なり婦人の総合学習として、政治そのものというよりは、むしろ自分たちの教養を向上するという観点から進む傾向が非常に出ているわけであります。したがいまして、政治活動そのものについての議題がないために、市民としての教養あるいは公民教育というものの関心が少なくなっておる、こういうことではないと思うのであります。
  219. 市川房枝

    ○市川房枝君 いろいろな御説明がつくでしょうけれども、私は今申し上げた数字等で、政治教育といいますか、選挙といいますか、そういうことに対して関心が薄いといいますか、これはむしろ地方の社会教育あるいは婦人学級なんかの指導者が、わざと政治教育に関するようなことは避けているのだ、まあめんどうを起こすといけないというようなことと解釈をしておりますけれども、実際はもう少し政治的な関心はあるだろうと思うのですけれども、出てくるのはそういうわけです。そこが私まあ問題だと思うのですが、なぜ避けて、政治教育の大事ないい機会がありながら、それをもっと取り上げて勉強させるようにしないのか、という点に私は疑問を持つのですが、これは文部大臣からひとつお答えいただきたい。
  220. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。ことさら避けておるのかどうか、ちょっと私もそこまで実態を把握できておりませんので、事実に即して申し上げかねますけれども、社会教育主事の養成はそれぞれの大学にお願いをして頂いておりますが、それらの人々が主としてその指導に当たるわけでありますが、その場合には、相当政治面につきましても、一般公民としての教養を高める意味では力を入れているはずでございまして、うまくやっているはずだと、こう思っておるわけですが、先生のほうが現場を詳しいかもしれぬので、うっかりしたことは申し上げられませんが、具体的事実に即したお答え政府委員にさせていただきます。
  221. 斎藤正

    政府委員斎藤正君) 先ほど申し上げましたように、社会教育の関係団体として、あるいは社会教育の学習の場として、直接政治の活動ということではなくて、むしろその基盤となる教養を得るということの傾向が非常に強いために、表向きはそういうことになってくるかと思います。その傾向は、私どもといたしましては、社会教育関係団体としての活動が、じみちになってきているというふうに考えておるわけであります。
  222. 市川房枝

    ○市川房枝君 私はそういう婦人学級なんかで政治活動といいますか、それはすべきではないと思うのですが、その政治についての知識といいますか、討論といいますか、中立の立場において理解を深めるというか、それはぜひやってもらわなきゃならないのですね。それを政治運動と称して、そして避けるというそのことが今の局長のお口裏にちょっと出てきたと私は思うのですけれども、そとを私は問題にするわけです。ひとつその点はまた適当な機会にお話したいと思います。  次に、文部省は社会教育法を改正して、社会教育関係団体に補助金をお出しになるようになりましたね。婦人団体には三十五年度に一千万円補助をされたようですが、その結果は一体どんなですか。結果はいいとおっしゃるにきまっていると思いますが、具体的にちょっと社会教育局長に伺いたい。
  223. 斎藤正

    政府委員斎藤正君) 三十五年度、三十六年度と婦人の団体活動に対して助成いたしました。率直に申しまして、特に府県の段階におきまして婦人団体の活動が従来財政難のためにいろいろ困難がございまして、その面につきましては私どもは十分に社会活動の促進、積極化という意味で効果があったものと考えておるわけであります。
  224. 市川房枝

    ○市川房枝君 私は地方の関係者から、補助金をもらうようになってからの影響といいますか、それを受けておるもので申しますと、結局婦人団体が補助金をもらいたいために縮まってしまったといいますか、前よりはおとなしくなってあまり意見も言わなくなった、いわゆる自主性がなくなってきているんだ、こういうことを報告を受けているのです。これは当時法改正に私は反対した立場でありまするが、そういう点を実は予想し、心配をして反対をしたわけでしたけれども日本経済は驚くべき発展を遂げておりますが、しかし政治は十八世紀だといわれていることは皆様御承知のとおりですが、なぜそうかと言えば、日本にはまだまだ封建的な対人関係が支配をしておりまして、親分子分だとか、あるいは官尊民卑、あるいは義理人情というものが強く残っておる。そして独立した意識といいましょうか、あるいは人格の独立といいましょうか、あるいは批判力といいましょうか、あるいは正しいことを主張する勇気が欠けております。こういうことは政治教育以前の問題でありまして、そういう点を私は確立しなければ、日本の政治は決してよくならないんだ、こういうふうに今考えておるんですが、そういう点から言いますと、ほんとう政府が婦人団体に補助金をやって、そうしてむしろ依頼心を助長する、自主性をなくしていくということは、ちょうど逆の方向へ行くわけでありまして、その補助金をもらっても依頼心を持たないで、これは税金なんだから当然もらってもいいんだというふうなことに解釈をしていけば、また多少違いますけれども、今の段階ではそうではないんだ、やっぱりそれをもらいたいから自主性をかえってそこなうというように私は見て心配をしておる一人なんでありますが、その点は大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  225. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。なかなかむずかしいデリケートな問題ですので即答いたしかねるような気持がいたしますが、率直に申し上げまして、私は今、だれしも口を開けば民主主義と言い、民主的という言葉を使いまするが、はたして民主主義というものの真髄といいましょうか、そういうものを完全に把握しているかどうか多分に疑問を持ちます。これは私自身疑問としている部分がございますが、欧米の民主主義が根をおろし発達し今日の段階を迎えるにあたりましては、民族的な相当の苦難を経て、ある時は血を流し、あらゆる苦難を乗り越えてようやく到達している線だと思います。それを敗戦を契機といたしましてちょうだいに及んだ、これは事実だと思います。二千数百年の細胞の末端に至るまでの習慣性、あるいは今おっしゃいました義理人情等も身にしみ込んでいると思います。日本日本なりに、東洋は東洋なりに一つ人間らしさというか、人間はかくあるべしという一つ考え方を持っておったのだと思いますが、そのうちのいい部分を温存しつつ、悪い部分を除いて、デモクラシーの考え方によるよきものを移し植えて、みずからのものにする段階にまだ来ていない。数百年を経て他の民族はデモクラシーを体得した。それをいわばちょうだいに及んで十数年でほんとうに完全に消化できるはずのものではないというのが、おっしゃるような根本のウィーク・ポイントと思うわけでございます。共産党ですら民主的と言う時代ですから、はき違い、未消化、不消化の部分が多分にあると思います。それを自分のものとするための指導、それが社会教育の重要な部分であることは御指摘のとおりと思います。それをせめてテンポを早めたいという意欲は文部省としては従来持っておりますけれども、何分にも社会教育主事の養成にしても遅々たるものでございますし、しかも受け入れ側の一般態勢が今申し上げたことが当たるかどうかは別といたしまして、一応言えるような気がします。そういうことのためになかなか思うようにいかない悩みを感じつつ前進をしている状態だと、かように理解をしております。
  226. 市川房枝

    ○市川房枝君 問題はちょっと別になりますが、文部大臣にやはり伺いたいのであります。今売春防止法が実施されておりまするが、その結果必ずしも芳ばしくないと私ども認めております。この法律が効果をあげます根本の一つの問題は、やはり男子、女子両方ともに対する純潔教育といいますか、それを学校教育または社会教育において徹底させるということが必要だと思うのでありますが、その文部省はこの純潔教育に対してどうもあまり御熱心でないといいますか、あまり一生懸命やっていただいていないような感じを持つのでありますが、この社会教育審議会の中に純潔教育分科審議会というのがあったのですが、昨年何かこれは消えてなくなったらしくて、それで今純潔教育懇談会というようなものがあるそうですが、それはどの程度動いておりますか、大臣のこの問題に対するお考えを伺いたい。
  227. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。詳しいお答えはできませんが、ただ審議会からの答申に基づきまして、純潔教育についての示唆を与えられております。その線に沿いましてわずかではございますが、パンフレット等を作りまして地方公共団体を通じて、それを流すことによってせめて純潔教育の一半の責任を果たしたいという努力が今日まで数年なされ続けておる状態でございます。もっと具体的にお答えすべきでございますが、これは政府委員から申し上げることをお許しいただきたいと思います。
  228. 斎藤正

    政府委員斎藤正君) 純潔教育の分科審議会につきましては、先ほど大臣お答え申し上げましたように、その進め方の基本につきまして一応全部の問題にわたりまして答申が終わりまして、その後の具体的活動として資料を作っているというような仕事が残っておりますので、その一種の起草委員会のような形の委員会を事実上設けまして、その方面に多識をお持ちの方あるいは学校あるいは警察等の実務の担当者等を入れまして、年々資料を配付しておる次第でございます。また、単に純潔教育という名で呼ばれない部分でありましても、婦人学級の中でありますとか、あるいは成人学級の中でありますとか、あるいは青年学級の中で、正しい男女のあり方についていろいろ学習が行なわれていると承知しております。
  229. 市川房枝

    ○市川房枝君 次に、佐藤通産大臣にお伺いしたい。通産省の外郭団体に消費者協会というのがございますね。通産省はほんのちょっぴりですけれども補助金をお出しになっているようなんですが、私どもが了解している通産省というのは、いわゆる産業行政といいますか、企業の利益を増進するためにお骨折りになっているお役所だと考えておるわけです。したがって、業者の、企業の側にお立ちになっている役所だと思うのですが、その役所が、どうして消費者協会というか、いわゆる消費行政のほうにお入りになった理由といいますか、お考えをちょっとお伺いしたい。
  230. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 通産省はとかく生産業者だと、そういう意味で生産者の立場あるいは商業を営む人の立場を擁護する、かような見方をされておりますが、これは大へんな間違いでございます。申すまでもなく経済が発展し、産業が興る、これは一体どこで消費されるか、最終目的はやはり消費者の利益と一致するものでございます。そういう意味の指導が通産行政の本来の姿といわなければならない。だから直接日本国民の消費に関係しないものといえば、生産されてそのまま外国へ出ていくものでございますが、しかし、それは産業そのものから見まして本来の姿ではない、でございますから、私どもは消費者行政に十分の関心を持ち、深い理解を持つことは当然のことだと、かように考えます。
  231. 市川房枝

    ○市川房枝君 この消費者協会というのは昨年の九月に結成されたようで、その披露会がホテル・ニュージャパンでありました。通産大臣御出席になったようでありますが、私は招かれなかったんですけれども、興味を持っておりましたので、お願いして実は出席さしてもらったんです。第一私は、消費者協会というのが、ホテル・ニュージャパンで、カクテル・パーティということでびっくりしたんですが、それよりも、出席された方々をお見受けしますと、財界のそうそうたる方々ばかりでありまして、消費者を代表していると思われる婦人は十数名くらいにすぎない。それで、会長には日本商工会議所会頭足立正氏がおなりになられまして、私は二度びっくりしたわけですが、これではどうも消費者の会ではなくて、何か生産者の会みたいに思えたのですが、殖産大臣はあの会に御出席になって別に不思議とも何ともお思いにならなかったでしょうか。
  232. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 別に矛盾を感じなかったのであります。ホテル・ニュージャパンがどうも気に食わないとおっしゃいますが、いろいろ各団体等を御招待申し上げたものでございますから、やはり足場の便などをというところで、あの場所が選ばれたわけでございます。
  233. 市川房枝

    ○市川房枝君 通産大臣はしょっちゅうああいう所へお出入りになっておりますから、あたりまえとお思いになるでしょうけれども、私ども消費者といいますか、一般の婦人たちは、あんな所に入ったこともないし、大体あそこで一人前幾らかかるだろうと私はお金を勘定していたのですが、消費者というものはそのくらいのものなんでして、どうも感覚が私ども少し違うと思ったんですが、実はその消費者協会の事業の一つとして商品テストをなさることになった。第一回としてフォウムマットレスのテストをおやりになって、暮れにその結果の発表があったらしいのですが、ところが業者側から抗議があって、二月九日の日経新聞にお詑びの広告が出ているのです。それは、消費者協会から業者に対して数字が間違っているとかなんとかということで、相済みませんでしたという広告が出ていたのですが、そのことを大臣御存じでしょうか。
  234. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 事務当局からお話は聞いておりました。ただいま御指摘になりますように、テストの途中の数字が間違っていたのであやまった、これは大へん正しいことで、間違いがあればもちろんあやまることだと思います。問題は、こういう商品テストが公正また公平に中正に行なわれるかどうかということだと思います。通産省といたしましては、公平中正に行なわれるように、十分責任をもって指導しておるつもりでございます。
  235. 市川房枝

    ○市川房枝君 そのテストのあとのことを、私どもはちょっと聞くところによりますと、今後はテストしたら公表する前に業者に内示をするのだというお話なんです。一体これはだれのためのテストなんでしょうか。やはり私は、どうしても業者の方々がそういう会の幹部であり、そういうところからのお金で消費者協会が運営されるということになれば、これはもう純粋な消費者の立場に立ち得ないのだ、こういうことをはっきり言っていいと思うのですが、どうもあまりそう申し上げて悪いのかもしれませんが……。
  236. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) そういう意味の御批判をいただくことは、大へん将来にしあわせだと思います。ただいま御指摘になりますように、商品テストをいたしますけれども、専門家がかかるにいたしましても、メーカーそのものではないものでございますから、データーになります数字その他においてもし誤り等があれば、これは消費者に対しても、またメーカーに対しても公正を欠く、こういう意味から一応テストの結果をメーカー等にも知らせておく、こういう意味の内示をするということで処理しておるようでございます。これはメーカーの意向を聞くというわけではございません。それによりまして間違いがあれば直すし、間違いがないものは自分たちの信念を消費者にお勧めする、こういう態度を堅持しておるつもりでございます。
  237. 市川房枝

    ○市川房枝君 私は経済のことはあまりよくわからないのですが、業界は、それこそ設備投資の拡大で生産がだんだん過剰になる。そうすると、今度は消費者に目をつけて、マスコミその他を通じて消費の奨励といいますか、あるいは消費者の系列化といったような現象が盛んに起こってきておる。こういう現状から、消費者協会というものも私は生まれてきたのかと見るのですけれども、しかし一軒の家計を預かっている普通の、純粋の消費者の立場から言うと、どうもこの行き方は私は納得ができない。むしろこれはアメリカのBBB、商業改善協会というのがあって、これはメーカーと販売業者の組織として、そして自主的に消費者に上手な買い物の知識を授ける、あるいは消費者からの苦情を受付けて業者に反省をさせるというような、業者に対しての権威あるお目付役となって、消費者に喜ばれておるそうであります。だから、もしもその性格が何だか、どっちについているのかわからないような今のような行き方ではなくて、これは通産省として業界をそういう方向へ向けて下されば、むしろ消費者のほうはそういう立場で私は了解ができると思うのですが、その点を一ぺんもう少し考えていただきたいと思うのです。
  238. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 御承知のように私はJISマークを制定したり、あるいは電気用品、家庭用器具でございますとか、あるいはまた繊維製品等につきましても品質表示の法を制定いたしまして、メーカーにもそういうことを指示いたしております。しかし、いずれもがいわゆる強制規定というものではございません。いわゆる任意規定でございます。これが生産者指導のあり方としては望ましいことだと思います。最近は誇大広告その他のものが批判されております。今回またそういう意味の法案も近く提案されるやに伺いますが、いずれにいたしましても、消費者の立場、消費者の利益、それを保護する意味のものは、法律的に不十分ではございますが、順次整備されつつあると思います。この方向はこの方向で進めて参りたいと思います。ところが、消費者と申します部類はいろいろございまして、なかなか知識が不足であるとか、あるいは利用の点についての理解を得ていないとか、かような意味でメーカーの言っていることと消費者の言っていることと必ずしも合わない点があるのでございます。これはメーカー側の不都合というばかりではないようであります。そういうことを考えますると、やはり消費者協会なるものが、ときには相談に応ずるし、あるいは苦情も引き受けるし、あるいはまた一般的なゼミナール等も開きまして、そして啓蒙と申しますると言葉が不適当でございまするが、普及徹底の運動もする、こういうことが実は望ましいのだと思います。ただいまおあげになりましたように、会長が足立さんだから、いわゆる中以下の消費者階層を代表しない、こういうようなお気持も一部にはあろうかと思います。しかし私は、これは正当に物事を見ない考え方ではないか、そうしたものではない、そういうひがんだ見方をすることはないと思います。ことにこの消費者協会の構成メンバーにはそれぞれの婦人団体なり、また消費者運動を展開しておられる方もそれぞれ入っていらっしゃるのでございます。これらの方々の御意向等も十分伺うつもりでございます。問題は、やはりその趣旨を十分生かしていくということが必要だと思います。ただ、消費者協会ができたばかりでありまして、まだ活動をようやく始めたところでございます。そういうところからやや誤解を受けている、あるいは披露の場所が不適当である、あるいはまた会長の顔ぶれが財界の大立者である、こういうような意味で誤解を受けたようでございます。しかし、これは地についた消費者協会の実際の活動を見ていただけば、順次そういうような誤解は解けていくんじゃないか。問題は、どこまでも最終的に国民生活の向上にあるのだ、福祉の増進にある、そういう意味において、生産者もまたいわゆる財界の方々も協力していくのだ、こういうことにぜひとも運動を盛り上げていきたい、かように思います。政府の出しておる補助金なども、当初は百万円程度でございまして、まことに微々たるものでございますが、三十七年度は三百万円くらいになっておりますが、順次この運動は拡大し、また徹底さすべきじゃないかと、かように私は考えております。
  239. 市川房枝

    ○市川房枝君 今消費者協会には婦人の消費運動をやっておる人が入っているという話でしたが、実はそういう人たちは困っているのですよ。入ってしまったものだから、ちょっと文句というか悪口は言えないのだけれども、どうしようかと言っておられて、私に少しその点を突いてくれなんていう内輪話もあったのですから、それはあまり看板にお持ちになるというと、あとでかっとくるかもしれません。それで、私は産業界の方が商品について消費者に理解をさせるとか、いろいろして下さることはけっこうだと思うのですよ。ただ立場が、消費者側みたいな顔をしないで、堂々と企業者の側に立ってなさるほうが明朗なんで、それで、私は消費者のほうとして伺いたいと思うのです。その点で私は申し上げるわけです。今大臣がおっしゃいました不当景品類及び不当表示防止法案の問題、この間、奥さんがここで大臣にお願いなさって、大臣が賛成から一歩進めて、推進をしてということを私も伺っておったのですが、あれは今度の国会に近く提案されるようでございますか、いかがですか。
  240. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 自民党でも真剣に取り組んでおりまして、近く提案するように、先ほど私が政調会長の御意見を聞いたのでございますが、さような取り計らいをするようにと申しました。
  241. 市川房枝

    ○市川房枝君 消費者の立場では、ぜひ法律を成立させていただきたいので、この上ともよろしくお願いしたいと思っております。  次は藤山企画庁長官にお願いしたいと思っております。私、今、通産大臣に消費者行政には通産省は手を出さないで、むしろ企業側としてやっていただきたいということを実は申し上げたのですが、それじゃどこが一体消費者行政を取り上げるのが適当か、こういうことになりますが、企画庁には消費雇用課というのがあるようでございますが、藤山長官どういうふうにその問題をお考えでございましょうか。
  242. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今日、消費者の行政が非常に重要になってきております。また政府としても、消費者行政というものに相当な重点を置いて参らなければなりませんです。ところが御承知のとおり、各省がそれぞれ産業の指導官庁であって、産業助成の方法をとっておられますので、一応今の政府の組織の上からいけば、将来行政調査会等が行政機構の整備をされますときに、どういうふうに考えられるか、今の場合には、企画庁がある程度基礎的な問題を取り上げることが必要じゃないかということで、企画庁としてはそういう方向に進めつつあるわけなんでございます。
  243. 市川房枝

    ○市川房枝君 企画庁は去年の暮れに、国民生活向上対策審議会というものをお設けになりましたね。そして第一号、第二号と諮問をなさったのですが、その第一号のほうは、何といいますか、生活環境の問題、それから第二号のほうは、私どもが言ういわゆる消費行政といいますか、この第二のほう、つまり「経済の成長発展並に技術の革新に伴う消費生活の多様化傾向、新らしい物資の出現、販売競争の激化等に対処し、消費者保護のためとるべき対策の基本的方向」、これは非常に私どもここに期待するのですが、この答申案はどういうことになっておりますか。
  244. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お話のように、昨年秋出発いたしまして、東畑先生に会長をお願いいたしまして、そしてこの審議会の運営について、どういう問題を取り上げるかということで、数回にわたって委員方々のフリー・トーキングが行なわれ、その結果として、今お話ございましたような、環境整備という問題と、消費者の保護という二つの部会ができまして、それぞれの部会で、いろいろ部会自身の発意で御検討を願っております。まだその過程でございますから、答申はまだいただいておりません。近い将来答申になろうか、こう存じております。
  245. 市川房枝

    ○市川房枝君 その第二号のほうの答申はいつごろになりますか。その答申に従って、企画庁としては、それに対するいろいろな点をお考えになっているということでございましょうか。
  246. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 大体今の部会長の御検討の方針からいいますと、秋くらいまでに答申されるということになっております。したがって、その答申を待ちまして、われわれ消費者行政は、その答申を尊重しながらやって参りたい。こういうふうに考えております。
  247. 市川房枝

    ○市川房枝君 秋じゃちょっとおそい、もっと早くひとつやっていただきたいと思うのですが、この三月の二十一日の朝日新聞の夕刊、ここにありますが、半ページを使って「消費者は自衛する」という大きな題目で、全国にわたっての消費者が、この物価高に対して、自分たち自身を自衛するいろいろな工夫をしていることが出ております。これを見ますと、まるで政府なんか要らぬみたいな、何といいますか、政府にたよれないからやはり自分たちで自衛しなければならぬという感じを与えられるので、どうもあまりおもしろくないのですが、それからもう一つ朝日の三月二日のこれは「暮しの時評」というのですけれども、そこで「おしよせる販売攻勢」「巧妙な値上げ」「消費者も自衛する」またここにも自衛すると書いてあるのですが、その中に、聞き捨てならないことが書いてありますから、ちょっとこれを読んでみます。「物価の値上がりは大メーカーが腕を組んで、原材料の値下がりを防いでいるためだ、独禁法の強化が必要だ、という声が上がると、通産省が真先にこれに反対するし、」——これは通産省のほうは御不服かもしれませんが、そう書いてあります。「通産省が真先にこれに反対するし、交通難で路線トラックや遊覧バスの運行を制限しようとすると、運輸省が横ヤリを入れる。業者の代弁をするお役所はそろっているが、消費者の立場を一元的に考えるお役所は全くない現状である。」そう言っておりますが、これをどういうふうにお考えになりますか、御感想をちょっと伺いたい。
  248. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 先ほど申し上げましたように、消費者の立場をこの際十分擁護しなければならぬことは当然でございます。各省それぞれ産業の助成措置をとる分野の役所が多いわけでございますから、したがって、今の行政機構の中では、企画庁としては、この問題に積極的にやって参らなければならない。  そこで、各省に対しましても、たとえば物価の問題について総合対策を作って、そしてその総合対策の線に沿って、各省に一致協力してやっていただきたいとお願いをするわけであります。そして、それによって政府一つの方針を打ち出す。むろん物価問題等につきましては、消費者各位の御協力を得ることも必要である。自衛という言葉は、いかにも残念な言葉でございますけれども政府がやりますにつきましては、やはり御協力を願って、そして、不当な値上げあるいは便乗値上げ、あるいは値上げムードというようなものも、消費者の御協力を得て押えていただくということも必要なことであろうと思うので、そういう意味におきましては、十分消費者の各団体とも連絡を取りながら、消費者の不服等を政府に伝え、また政府におきましても、政府のやります総括的な問題につきまして、御協力を願いながら進んでいくのが一番適当ではないか、こう考えております。
  249. 市川房枝

    ○市川房枝君 そうすると、消費者の立場を一元的に考えるお役所として、経済企画庁を考えていいわけですか。今のお話だと、そういうふうに……。  ところで企画庁は、この国会は特殊法人、国民生活研究所法案を御提案されておりますが、これは消費者保護の法律ではありませんね。国民生活向上対策審議会の答申によったものでもない、まだ答申が出ていないのですから。これはどういうことで、御提案になるようになりましたかお伺いいたします。
  250. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 消費者の実態を調査いたしまして、今後の社会環境の中におきます消費者のあり方等についての調査検討もいたしませんければ、ほんとう意味での消費者行政というものが、それらのデータの上に乗って参りませんといけないのではないかというふうに考える。  したがって、国民生活研究所を作りまして、むしろある意味から言うと、研究、調査、基礎的な調査、そういうものをしっかりやって参りたい。そしてその上に立って立案する、あるいは実施の問題を考える。こういうことにして参りたい。こういう意味でございます。
  251. 市川房枝

    ○市川房枝君 そう伺いますと、たいへんけっこうなんですが、研究所の予算なんかを調べてみますと、国及び民間からの出資金一億ずつで、研究所の事業は、その利息と——四千万円くらいだけですね。そのうちの半分以上が人件費、実際の事業のためには千六百何万円くらいしかないんですが、それで何をして下さるか。あれを見ますと、それは今まで企画庁がやっていて下さった調査であって、何も新しいこともないので、どうも少し失望したわけですけれども、それは今ので見て、そうかもしれませんけれども、それはどうですか。
  252. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今回提案しております国民生活研究所は、社団法人の国民生活研究所を改組して特殊法人にいたしまして、これから発足するのでございます。過去の研究の集積されたものもございます。さらにこれを拡大して参るつもりでございますが、今回の場合においては、政府が出資金をいたしまして、そうしてなるべく民間の出資にたよらないでいきたい。しかし現状においては、ある程度の民間の出資も得なければなりませんけれども、その点については、大蔵大臣は非常な理解をもって、この折衝にあたりまして、まっ先に一億円の出資を承諾されたのでありまして、今後は、そういう意味において、逐次各研究所の活動と同時に、それを企画庁としては大蔵大臣とも御相談の上で充実さしていきたい、こういうふうに思っております。
  253. 市川房枝

    ○市川房枝君 国民生活研究所——一体国民生活というのは何かといいますと、生活という場合に、今いろいろ解釈がありましょうけれども、私どもは家庭生活というものをやっぱり基本として考えていただきたいと考えるわけですが、その重要な、生活の一番基本的な総合的な研究所としてスタートなさろういうのに一億円、多いというかもしれませんけれどもほんとう大蔵大臣、そんなけちなことを言わないで、もっと金を相当多くしてやっていただきたいと思うんですが、大蔵大臣どうなんですか。国民生活研究所の一億円は、大奮発なすったと思いますか。
  254. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 新しく作る問題でございますから、これが出て、どういう仕事をやるかという内容がはっきりして、またこのやる仕事が、ほんとうに有効だということになりますれば、予算の問題が起こると思います。最初の発足でございますから、予算のつけ方としては、奮発した部分に入るだろうと思います。
  255. 市川房枝

    ○市川房枝君 今企画庁長官が、この国民生活研究所の特殊法人は、今までの社団法人国民生活研究所の延長といいますか——そういうようなお言葉をお使いになったんですが、これはどうも、私心配なんですよ。社団法人の国民生活研究所というのは、ちょうどさっき申しました消費者協会と同じころにできたらしい。それで消費者協会が、ホテル・ニュージャパンでカクテル・パーティをやったら、こっちのほうは工業倶楽部でカクテル・パーティをやったんだそうです。競争の立場にいるというんですが、私に、そういうあれが入ってきておるのですけれども国民生活研究所といいますが、これもさっき申しました家庭生活といいますか、一般の、そういう人たちの生活という考え方から言えば、やっぱりカクテル・パーティを工業倶楽部でして、そのとき御出席になった方々も、消費者協会と同じことに、財界のそうそうたる方ばかりだったそうです。  それで一体、だれの生活を研究するのかということで、そういう高級の偉い人たちの生活は、われわれにはあまり関係がないということになってしまうのですが、その点で、私は、かえってその会に、中へ巻き込まれるというような特殊法人だと、あまり感心をしないと思うのですけれども、それはどうなんですか。
  256. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 一応社団法人がございましたから、そして、そういう面の仕事を委託研究その他でもやっておりましたし、企画庁としても、若干の何と申しますか、委託費を出しまして調査を頼んでおります。しかし、こういう段階になりますと、そういう形では必ずしも適当じゃない。やはり相当国費を入れて、そうして、やはり何と申しますか、いわゆる財界の団体ではないという形に切りかえていくことが必要だと思うのです。その意味において、大蔵大臣お話しして、大蔵大臣も、今回——まあ市川さんは少ないとおっしゃいますけれども、とにかく、スタートとしては大奮発していただいたことだと思うのでございます。  そういう面から進めていきたいということであって、したがって、将来大きな寄付金を大会社に非常に当てにするというようなことを考えておらぬのでございます。
  257. 市川房枝

    ○市川房枝君 今、二つがちょっと競争的な立場にあると申し上げたのですが、その社団法人の研究会と申しますか、消費生活協会といいますか、両方で、実は同じようなことをしていらっしゃるのですね。企画庁ですか、苦情の窓口というものをやっておいでになって、そして、これは主婦連といいますか、それから消費者協会で消費者相談室ということですけれども、それを主婦連に頼んでおるようです。それぞれ、ある程度金が出ているようですが、苦情の内容はほとんど同じであり、地方へ行きますと、みんな重なっちゃって、そして実はだいぶ地方のほうでは困っておるのです。  だから、そういう点も、大臣も御存じかどうかわかりませんが、お考えの中に入れておいていただきたい。  それから、この苦情はあとでどう処理なさるか。まあ企画庁だけの問題について申しますと、苦情の中のあれを見てみますと、これは去年の十月から十二月までの二カ月間の報告ですけれども、清掃が一番多くて、それから交通、運輸、それから物価、それから商品とか、社会道徳とかいうことになっておるのですが、それはなかなか苦情を持っていっても、そんなに右から左へできることではないのです。一般の婦人たちは、それを持っていったら、ある程度解決するかと、実は淡い希望を寄せると私は思うのです。それで、いつまでたっても何にもならないということになると、失望をする。  そこで、苦情ということは、ちょっとジャーナリズムにはなかなかいいのですけれども、実際、はたしてそれがどの程度、どういうふうに生かされるかということですが、やり方については、なお研究をしていただきたいと思います。
  258. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この苦情の処理の問題でございますけれども、そういうものを集めまして実態をつかんでいきながら、実際の場合におきまして、企画庁自身が実施官庁でございませんので、したがって、それぞれの苦情を各方面に、担当しておられる方面にお渡しをいたしまして、そして、こういう苦情があるから、、それについて処理をしていただきたい。それは単に政府ばかりでなく、先ほどお話のような問題については、あるいは東京都という場合もございますし、そういうことで、企画庁としては、実態の調査をし、それに対するそれぞれの官庁に仕事をしていただくように勧奨もし、あるいは、強くさらに何か政策的に必要な問題については、予算等、問題の検討をしていく、こういうことでございます。
  259. 市川房枝

    ○市川房枝君 次は、農林大臣にお伺いしたいのですが、この三月六日から八日まで、農林省主催で、農家生活改善発表大会というのが都市センターで開かれて、全国から約千人の婦人たちが集まったのですが、大臣は御出席になりましたか。
  260. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 委員会都合で出席できませんでした。
  261. 市川房枝

    ○市川房枝君 主催者といいますか、担当のほうでは、大臣がおいでいただけるといって非常に待っておったらしいのですが、とうとうおいでいただけなかった。昨年の大会には、当時の農林大臣、周東さんでしたか、奥さんと一緒においでになって、そうして農村の婦人たちの一生懸命やった仕事の報告なんかを聞いて、非常に感心をなさったというようなことも実は聞いておるのですが、この農林省にございます振興局のいわゆる普及部の生活改善課の仕事、これはまあ婦人の課長がおりまして、その下に約二千人の婦人の生活改良普及員というものがおりますが、これは大臣御存じでしょうが、その仕事を大臣はどういうふうに評価しておいでになりますか。私どもは相当高く評価しておるのですが、大臣の御感想を伺いたいのです。
  262. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 課長さんがたいへん熱心な方で、私も二回ほど、仕事をしていらっしゃる内容の説明を聞きましたが、たいへんけっこうなことだと考えております。せっかく、一生懸命やっておるわけであります。
  263. 市川房枝

    ○市川房枝君 大臣は十九日の奥委員の御質問に対して、農村婦人の労働に対して、むとんちゃくではいない、こうおっしゃられたのですが、農業においての婦人労働の割合は、だんだん多くなってきて、男子よりも上回ってくるくらいではないかと思うのですが、大体、農村の労働に対しての婦人の占める役割、これは政府委員の方でけっこうですけれども、わかっておりましたら、知らしていただきたい。
  264. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) お答えいたします。最近は、農村から青少年が都市に流動するという傾向が顕著でございまして、その結果、農村におきましては、婦人の地位が、比較的農業作業の面におきましても、次第に高まってきておるという実情でございまして、実際におきましても、人数からいきまして、婦人の数のほうが、かえって男子より大きい、こういう実情になっておるわけでございます。
  265. 市川房枝

    ○市川房枝君 農村の婦人の労働の問題は、農業基本法にも、婦人労働の合理化という言葉で入っております。この間、大臣から国会に御報告になりました農業の動向に関する年次報告、その中にも出ておりますが、これは、婦人労働の合理化ということは、婦人労働を軽減するという意味じゃないのですね。合理化ということは、どういう意味になりますか。
  266. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 実は数日前に、昨年度の農業経営の日本一、つまり、最優秀者の表彰をNHKでしていただきました。むろん、農林省も審査をいたしております。この場合に表彰されました家庭を見ますると、御夫婦と男の子一人、三人で、その奥さんは、たとえばプロパンガスを使って、そうして、たきぎをとるよりも、プロパンガスのほうがいい。そうして自分が畑へ行って、自分に適する耕作をする。電気洗濯機も備えて、そういうふうな従来の婦人の役割であるべきものをなるべく合理化する、そうして自分は農業労働の一員として機械の操作までやるということが非常によろしいということで、そこらのところを買われて第一位に表彰をされている、ここらのところに合理化の実例があると考えております。
  267. 市川房枝

    ○市川房枝君 今のお話にもありましたけれども、農村婦人、ことに労働をしておる人たちは、そのほかにも家庭の主婦としての、また家事労働があります。言うまでもなく、二重の負担になっておるわけでして、そこでそれをうまく調整するとか、先ほどおっしゃったような、薪でなくてプロパンガスを使うというような生活の合理化といいますか、それが必要になってくるわけです。したがって、いわゆるそういう生活の指導といいますか、これが非常に必要になってきますし、また、夫あるいはその家族の農業においての生産を高めるためにも、やはり家庭の生活というものを合理化するということが非常に必要だと思うのですが、そういう意味で、私は農林省の生活改良普及員の人たちの役割は非常に大きいと思うのですが、現在は男の方といいますか、生産を上げるための普及員はたくさんおいでになりますが、それは一万七千余人ですか、婦人のほうはその一割くらいで、現在千八百五十人しかないそうです。その支所といいますか、二、三カ町村で一つの区切りになっているらしいのですが、そこに女の指導員が一人しかいない、これをもう少しふやして、そして婦人の労働ばかりではない、農村の生産をもっと上げるようなことにお考えいただけるとたいへんいいと思うのですが、いかがでしょうか。
  268. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) だんだん御指示のように増加するように年々努力をいたしておるわけでございます。一ぺんにはできませんが、せっかく努力するつもりでおります。
  269. 市川房枝

    ○市川房枝君 普及員の人たちが、一生懸命やっているのですが、そういう人たちの生活、どういう生活を指導するのか、一番経済的で、しかも、健康にもいいというか、そういう家庭生活の内容あるいは今の科学技術の進歩に伴う消費財の進歩といいますか、そういうものを加えて研究、調査というふうなものが農林省にはないのですが、そういう予算はないんでございましょう。そういうものがなくてはいけないと思うのですが、ただ、私が知っていることとして、生活技術館というのがあって、そこでそう人たちの訓練といいますか、指導をやっているらしいけれども、それは二十人か三十人くらいで、とても小さくて用に間に合わないというのですが、だからこれをもっと拡大をしていただく必要があると思うのです。  それからもう一つ大臣にお願いしたいのは、農業機械化のための融資の法律は、この前臨時国会で通ったことは、大蔵委員会にいて覚えておりますが、それは農機具に対しての融資であって、婦人たちはやはり生活を合理化するためにといいますか、近代化するために、共同の食品の加工所だとか、あるいは共同でパンを焼くかまどを作る、あるいは共同の縫いもの、あるいは洗濯場というようなものをほしいのだけれども、その金が手に入らない。つまり融資をどこからもしてもらえない。だからそういう生活の近代化ということに対しての融資をする道を開いてほしいという希望が、農村の婦人たちにございますけれども、いかがでしよう。
  270. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 局長から申し上げます。
  271. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) お答えいたします。  農家の生活改善を進めていきます場合において、いろいろの施設関係についての改善をすべきことが必要なことは御指摘のとおりであろうと存ずるわけであります。ただいまそういうものに対する直接の融資措置というものはございませんけれども、農村におきましては、たとえば新農村建設事業の中におきまして、各般の共同施設として設置する場合に助成するというふうな方法もとっているわけでございます。また、来年度の予算におきましては、今後農家の婦人の生活改善という意味におきまして、やはり身をもって体験するような実習の場所が必要であろう、こういう考え方に基づきまして、年次計画で農家の生活近代化センターというものを設けることにいたしております。これはさしあたり個所数はまだ数カ所でございますけれども、その施設を通じまして、農家生活合理化のための実践的な体得、研修を行なわせる、こういう趣旨のものでございます。今後こういうものを通じまして、農家の生活環境を改善していくというようなことに資して参りたいと、かように考えております。
  272. 市川房枝

    ○市川房枝君 今の近代化センターといいますか、それが五カ所ほど今度新しい予算でできることを私承知しております。それはそれでけっこうなんですけれども、あれは何か坪三万円ぐらいですね、豚小屋よりももっと悪い。豚小屋だってこのごろはコンクリートで作るというふうなことをいっているようなことをちょっと耳にするのですが、そういうようなことはもう少し婦人のほうにウエイトを置いて下さって、婦人たちがほんとうに喜んで働くといいますか、健康で一生懸命働けるような環境といいますか、それを作っていただくように、特に農林大臣にお願い申し上げます。  次に、内閣総務副長官にちょっと伺いたいのですけれども内閣の統計局では、家計調査というものをしておいでになりますが、あの調査は、政府としてどういう目的のためにといいますか、その結果を何にお使いになっておりますか。
  273. 佐藤朝生

    政府委員佐藤朝生君) 総理府統計局でやっております家計調査の第一の目的は、国民生活の動向をつかむためのものでございます。これがいろいろな方面に利用されているわけでございまして、一例を申し上げますと、国民所得のうちの個人消費支出の推計、あるいは農業基本法に関連いたしまして、農家と非農家の所得を比較するための資料、その他人事院におきます給与ベースの算定の場合に使われている、そういう方面に使われております。
  274. 市川房枝

    ○市川房枝君 その家計調査から、内容といいますか、私はほんとうは食費なら食費が何カロリーか、金をよけい使っても必ずしもカロリーが上というわけに参らないので、そういう内容まで知りたいのですけれども、しかし、そこまでなかなかできないというようなお話もありますが、それから同じ内閣の……、私の時間は終了したのですが、最後にちょっと言いたかったことだけ、一つだけ言わせていただきたいと思います。  私は、所管の皆様方から消費行政といいますか、あるいは生活の問題について伺ったのですが、消費行政をもっと強力にしていただきたい、それをまとめてどこかでやっていただきたいということを一つ感ずるのであります。それから生活のほうでは、いわゆる内容といいますか、生活の内容というものの調査が実はできていないのです。企画庁のはどうも内容まではいきそうもないのでありまして、これはひとつぜひそういうものを作っていただきたい。そして各省の所管のそれぞれでなさることはもちろんけっこうですけれども、やはり連絡をして、私はやはりまとめることが必要ではないか。そういう意味で、これはまあ行政機構の問題になりますけれども、私はこのいわゆる消費者行政、それからことに家庭生活に関する行政、そういうものは一つにまとめていただくのがよくないか。そしてほんとうの消費の立場に立った役所、これはまあ外国で消費省とか庁とかいうものもあるようでございますが、私せいぜい内閣の科学技術庁あるいは経済企画庁と並んで、まあ消費庁といいますか、あるいはまあ生活庁といいますか、そういうものとしてやっていただきましたら、非常に国民、ことに消費者の人たちは喜ぶと思うのです。これは課題としてひとつお考えをいただきたいと思うのです。これは御返事をいただかなくてもけっこうでございます。  じゃあ私はこれで……。
  275. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 市川君の質疑時間は終了しました。
  276. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 農林大臣にちょっとお願いいたしたいのですが……。
  277. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 矢嶋君。
  278. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 農林大臣、たいへん恐縮ですけれども、ただいまの市川さんの農林大臣質問があったからひとつ調査をお願いしたいのです。具体的な問題で恐縮ですけれども、最近農民の間に、農業共済についての動揺が見られるわけです。私どものところに具体的に最近電報、電話が盛んにかかってくるのは、大分県で昨年の水稲被害について、あなたのほうの出先機関の所長さんの調査処置が適当でないというので相当動揺して、組合をやめるというような動きもあるので、その陳情に上京したいということが盛んに連絡来るのですが、私押えておるわけです。そして所長さんは最近転任されておられなくなったというので、全県的にかなり不満が起こっておるようです。それでたいへん恐縮ですけれども、おたくの行政の機構で一応どうなのか御調査をひとつわずらわしたいと思うのでございますが、やっていただけませんでしょうか。
  279. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) さっそく調査いたします。
  280. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 市川君の質疑は終了いたしました。   —————————————
  281. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 次に北村暢君。
  282. 北村暢

    ○北村暢君 私は当面の物価対策として、農林関係で流通機構の問題について非常に力を入れておられる、河野農林大臣も非常に積極的にやっておられるということについて、まず敬意を表したいと思うのですが、取り上げられたのはよかったのでありますが、その内容的な問題について相当業界に問題を起こしております。そういうような点についてひとつ具体的にお尋ねいたしたいと思います。  まず第一点は、東京、大阪等の大消費地についての中央卸売市場について国営的な、国の管理を強化したい、直轄をしたい、そういうものを新たに設けていきたいというような意向の記者発表もあったようでございますが、この点についての構想、それからもう一つは、都内に生産者の直接の直売場を設ける、こういう構想も発表になったようでございますが、それらの経緯と大臣のお考えになっている構想というものについてお伺いをいたしたいと思うんです。
  283. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) ただいまお尋ねの点は、大体これまで申し上げてありますとおりでございますが、あらためてもう一ぺん申し上げることにいたします。  実は私は東京、大阪のそれぞれの卸売市場を視察に参りまして、たとえば最も悪いのは芝浦の肉の市場、さらに神田の青物市場にいたしましても、東京で申せば築地の魚、野菜の市場にいたしましても、また大阪の中央市場にいたしましても、いずれも計画をいたした当時と事情が全然変わっておる、条件の違っておるところでそれぞれの使命を達成しなければならぬような状態にありますので、東京、大阪両当局に、これらについての整備拡充等についてお願いを申しておるのでございますけれども、なかなかこれがはかばかしく進みそうもない。たとえば、東京の場合で比較的整備されておるといわれる築地の市場にいたしましても、東京都の人口が五百万程度の人を対象にして計画されたものであるということのために、中は非常に雑踏いたしておりまするし、中の施設も非常に旧式であって、そうしてしかも公正、適正なせりが行なわれておるとは思えない。これでは、生産者のためにも、消費者のためにも不適当であるというふうに考えられますので、さらにまた、最近のいろいろ通信機関その他の進歩発達の結果、全国に中央卸売市場と称するものの数がそんなにたくさん要らない。名前は中央卸売市場法の適用を受けてやっておりましても、その実際は東日本と西日本という、生鮮食料品の価格形成に実情はあるようにわれわれども考えるのでございます。したがって、東日本ないし西日本の形成する価格というものが決定される場としては、よほどにそこに合理性のあったものが必要であるし、またそれにふさわしいものが必要であるというふうに考えられますので、今前段申し上げましたとおりに、当面必要な市場の改革も、なかなか困難であるというような見地からいたしまして、これは価格は今申すように、取引が単に東京都に限らない。東京の場合にいたしましても、その三割ないし四割は近県の消費する品物がこれらの市場を通じて流れていっておるというような実情でございますので、東西両地に、適当なところに国が管轄するところの市場を作って、そうしてその設備その他を国で行なう。むろん、誤解が一部あるようでございますが、国が実際買ったり売ったりとか何かするということは、それは毛頭考えておりません。市場はあくまでも市場でございますから、設備その他は合理的に国が施設をいたしまして、そこに合理的な取引が行なわれて、これで価格形成ができることが必要であるというふうに考えて、目下農林省事務当局において検討をいたしておる段階でございます。なるべく早く結論を得て、各方面の御意見を承った上で実施に移りたいと考えております。  次の直売場の問題でございます。これも実は卸売と小売との間に、値段の関係が、時にないようにさえ思える場合がある。これは北村さん御承知のとおり、豚の値が幾ら芝浦で下がりましても、普通の小売価格は全然影響ないというような点、そのほか他の生鮮食料品にいたしましても、卸売市場の価格と小売屋の店頭の価格との関連性が薄い場合も間々見られるのであります。これらは近時人口の増加に並行して小売店が増加していかない、そういう店を作るには非常に金がかかってなかなかうまく伸びていかないというような点が最も多く見られるのじゃないかというような点から、大阪ではその点は非常にうまくいっておりまして、大阪市の指導するところの市場が非常にうまくいっておる。これを私は調査をいたしまして、東京でもぜひそういうものをやってもらいたいということを東京都の当局に申し入れました。都の当局は、ぜひこれを区のほうに下げて、各区において少なくとも一カ所以上のものを作るから、区のほうへまかしてくれという段階にあるということを、東京都から報告を受けて、その実情の、私はまあ今報告を待っているという段階でございます。
  284. 北村暢

    ○北村暢君 ただいまの御説明承りますと、直轄の市場というものを新たに設けたいというのは、現在の東京、大阪の中央卸売市場——本場、分場あるわけですが、それと別個に新しく設置をする。そうして国の直轄の卸売市場、それから従来の中央卸売市場法に基づく卸売市場、そういうものができる、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。
  285. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 大阪にいたしましても、東京にいたしましても、現在の市場はいずれも狭隘を告げております。したがいまして、東京の場合には、ちょっと年次忘れましたが、だいぶ先になりますが、品川の海岸の埋め立てをする、そこに大市場を作る予定になっておるそうでございますが、なかなか相当の先のことでございます。今の市場がこのままでここ数年継続して参るということは、非常にますます合理性を欠くことになっていくだろうと考えられますので、別にそういう市場を作ったらどんなものかというので研究いたしておるということでございます。
  286. 北村暢

    ○北村暢君 今、私の質問は、別に作るのはいいのですが、市場の制度として、国の直轄するものと、それから従来の開設者が都道府県市町村ですね、こういう中央卸売市場法に基づくものと、別に作るのか。そうするというと、あの中央卸売市場の市場の制度について根本的に変わってくるような感じがいたしますので、そこのところをお伺いしているところです。
  287. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 今、私申し上げましたように、東日本と西日本で、まあ、たとえば芝浦で肉の値がきまる、そうすると、これは芝浦で、中央卸売市場法の適用を受けることができずにおるにもかかわらず、ここの値段が流れて、東日本の肉の値を指導しておるように私は考えます。すぐ、それがまあ東日本一帯を指導する。西日本でもそういうことがいえる。したがって、これは、これまでの電話がすべてダイヤルでいく時代と違って参りまして、すぐにわかるということでございますから、中央卸売市場というものが今のようにありましたところで市場ごとに価格形成をしていない。皆東日本、西日本に、むろん特殊なものはあります。ありますけれども、大量の、大衆に適応するような魚でも野菜でもというようなものにつきましては、きょうは幾らだということで東日本も指導し、西日本も指導するという格好になっておるということでございますから、今私の考えておりますようなものを作りましても、それが既存の東京の分場にも影響いたしますから、何もその一カ所で取引をしなければならぬことはない。また取引は従来どおりいたしておるにいたしましても、最も中央的な性格を備えたものを作って、そうしてそこに合理性を求めて価格指導をやらせることが適当ではないかというふうに考えられますので、市場法についてもむろん改正をいたしまして、そうして新しく生鮮食料の価格形成はどういうふうにしていくことが一番合理的かということを、今日の時勢に合うようにもう一ぺん勉強し直す必要があるのじゃなかろうかと考えておる次第でございます。
  288. 北村暢

    ○北村暢君 私は、まあ大臣が直接見られまして、そういう考え方を持たれたということについては、この点は非常に業界でもやはり問題になるところだと思っております。  そこでお伺いいたしますが、私は東日本と西日本の価格形成をするものが、今大臣の構想する一つ二つの新しい市場を設ける、近代的な市場を設ける、それによって価格を形成してくる、そういう重要な役割を果たすような市場を作っていくのだ、こういうことのようでございますけれども、今日の神田市場あるいは築地、こういう市場のできている歴史的な経過、こういう点からいって、この問題は非常に重要な問題だと思います。ただ、そういうりっぱな市場ができましても、やはり今日の弊害である混雑したり何なりして適正な取引ができないという問題については、それだけでは私は解決しないのじゃないかと、このように思うのです。したがって、そういう新しいものができても、今日すでにあります東京の本場、幾つかの分場、幾つかの配給所があって、そうして取引が行なわれているわけです。したがって、私は現在あるものを確かにむずかしいのでありますけれども、やはり整備をしていくということがひとつ望ましい。たとえば国営にしたから、完全に直轄にしたから東京都内における流通というものがスムーズにいく、こういうふうには私は考えられないのでありまして、今の法律においても相当な農林省の監督権限というものはある。東京都が開設しておるわけでありますけれども、監督権限があるわけです。その監督権限が十分に行使されていない。たとえば神田市場は非常に狭隘だからどこかに移そうじゃないかという意見があって、これはどういうふうに結論が出たかわかりませんけれども、とにかくそういう意見がありましたけれども、実際問題として神田市場は狭い狭いといっておりますけれども大臣御存じかどうかしりませんが、神田市場に唐接する七百坪のものが、これが大臣の承認もない、何もなしにこれは法律違反だと思うのですが、そういう形で処理されている事例があって、この問題は追及されたところなんです。狭い狭いといいながら監督がルーズなためにそういうことが行なわれておる。こういう点が私ども納得いきませんし、さらに特に市場のあり方について、市場の最大の目的はせりというものが正しく公正に行なわれることが必要だと思うのですが、前にも大臣質問書を出したのでありますが、大手の水産会社が実際には築地の卸売人というものの株というものを相当占めておる、実質的には大手の水産会社が卸売人になっているというような事態のために、実際問題として公正な取引が行なわれない。サンマとかイワシとか、そういう大衆魚においてすら、とにかくこの公正な取引が行なわれないで、そしてさし値でもって行なわれておる。気に入らない価格だったならばそれは落とさない、品物を引っ込めてしまう、こういう実態が現実に行なわれておる。そういうものをほうっておいて、新しいものだけ作れば改善できるというような考え方には、私はならないのじゃないかと思うのです。こういうような点について一体どのように考えておられるか、所見を伺いたい。
  289. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 私も同様に考えておりますが、何分、今の神田市場におきましても、一例をあげますと、たびたび申すことでございますが、入荷の量が多い日に値段が高くて、入荷の量が少ない日に値段が安いというような事例が間々あるわけであります。これらは完全にせりが行なわれていないという一つの事例だと思うのでございます。今のように卸売人が何軒もございまして、あちらでもせりをやっている、こちらでもせりをやっているというような姿は、私は完全に中央卸売市場の役目を公正に果たしているものとは思いませんが、およそ中央卸売市場である以上は、せりは一カ所でやってもらいたい。同一の品物は一カ所でせりをやるということにしますと、きょうは大根はどのぐらい入った、大根のせりはここでやる、ニンジンはこっちでやるというようなことでありますれば、非常にけっこうでありますが、今のようにあとからあとから品物が入ってくるわ、どれだけ品物が入っておるのかそれもよくわからぬわというようなところで行なわれているせりは、私はどうも適当でない。魚の場合はそういうことがございませんが、魚にしても、御承知のとおり、あれだけ卸売人がおりまして、そうして千人以上の仲買いがおって、その間にあちらでもせりをやっている、こちらでもせりをやっているというようなことでございますから、きょうはアジは幾らだ、サバは幾らだといって、あちらのサバのせりは幾らだった、こちらのせりは幾らだったというようなことでございますから、これじゃうまく適当にいかないというのでございますから、それからといって、それじゃこの卸売人を一人に、一つの単位にまとめることはできぬかといいましても、これがなかなか実情できない。その最もはなはだしいのは芝浦の肉屋の場合でございまして、肉屋のごときは卸売人が何人おるかわからぬというようなことでございます。これを東京都にいろいろと御注意を申し上げてお願いをいたしますけれども、実情はなかなかはかばかしくいかないというのが現実でございます。  したがって、私は、他に適当な公正な市場を政府が設営して、そこに卸売屋は一社、今の卸売業をやっておられる人はみなそれに参加したらよろしい、単一でいきましょう。仲買人もまた同様、仲買人というのは何人までいきましょう。それに入る人は、今の仲買人が数軒合わさってひとつやりなさいというようなことでいくよりほかにしょうがないのじゃなかろうかと思うのでございます。現に大阪におきましては、東部、東のほうに新しい市場が今でき上がるところでございます。幸いにして、このほうは単一の卸売人でやろうということに大阪の業界の了解を得て、先般私参りましたときに、魚屋さんに話をつけて、一カ所にいたしますということに実はいたして参ったのでございますが、どうしてもそういうふうにして公正なせりを行なって、そのせりが全国を指導していく、標準規模、せりの標準が幾らだということが全国に放送されて、それに右へならって価格ができる、きまる、価格形成ができるということにいってほしいものだと思っておるわけでございます。
  290. 北村暢

    ○北村暢君 どうも確実な答弁いただけないのですが、ということは、たとえばもう一つの例として、ある分場の配給所でありますが、これがまあ企業の内容が悪くなって他人に権利を譲渡した。そのために、その市場は認められませんから、当然類似市場ということになっておる。ところが、その分場の者が、企業内容が悪くなって他に売って類似市場として実際あるのに、これをほうっておいて、またこの市場で卸売人としての申請をしておる。そしてまた、東京都はそれを認めようとしておる。こういうようなことでは、公正取引の上において非常に妨害になる類似市場というものがふえていく結果になってくる。そういうような形が現実にありながら、そういうことはほうっておく。それで公正な取引をしようったってできない。でありますから、今新しいものを設けるのもいいですけれども大臣の権限において、現在の中央卸売市場法によっても相当な監督権限というものはあるのでありますから、したがって、それについての権限を行使して、こういうことが行なわれないように適正な取引が行なわれるような監督をやるべきだと思う。そういう面はやってもなかなかできないのだ、これでほうっておいたのでは、私は、新しくできたものはいいかもしれませんけれども、都内にも相当多数の分場、配給所があるのでありますから、これについて放置をするということは許されない、このように思いますが、この点についてはどのように考えますか。実はそういう点からして、中央卸売市場の卸売人の営業権そのものが利権化して売買されておる、こういうことなんです。そういうことは売買されるような形になりますので、これは私は許されないことではないか、このように思いますが、御指導はどのようにされますか。
  291. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 私、監督は都がやっているものと心得ますけれども、もし、違うかもしれませんが、今係が来たらあらためて明確に答弁させますが、たとえば東京の各中央市場に参りますと、場長は東京都が一切の監督をやっておりますので、農林省から職員がそこに出ておりません。そういうことでございますから、直接は都が監督しておるということでございますので、今北村さんの御指摘のような点は、私も都の副知事にお越しを願って、ああのこうのといろいろ注文はいたしますけれども、はかばかしく参りません。そこで、実は遺憾ながら自分でやるよりしようがないかなという気持で、実は私も考えたのでございまして、実際は今お話しのような点が私ども見受けられるので、非常に遺憾に考えております。
  292. 北村暢

    ○北村暢君 それから、直売場の問題については、これは東京都に指定店というような形で話がついて、都の指導する販売店というようなものを考えられているようで、大手の水産会社が直売場を申請してきているようでございますが、これは認めることにはならないのかどうか。  それから、私はこの百売場というのは、何か小売に対しての、一つの何というか、小売業者の中間経費が高くて、そうして小売業者が高く売っている、まあこういうようなことに考えているようでございますけれども、しかし、この小売の問題は、確かに問題はあるかもしれませんけれども、この直売場を設けるということは小売業者に非常な大きな影響を与えますし、すでにスーパー・マーケット等が出てきて非常に問題のあるところでございます。それからまた、この直売場というのは、市場の発生した歴史的な経過からいって、昔はやっぱり直売だったのですが、生産者がやっぱりみんな直接持ってきて市をやっておったと、それが今発展した過程で取引量も多くなるし、それから時間も、短い時間の中に大量のものを処理するというので今の市場というものが発展してきた、こういう形にありまするので、直売は必ずしも進んだ形とは私ども理解しておりません。したがって、そういう点では、この流通機構というものを乱すというような形からいって、これは慎重にやはり対処すべきではないかと、私はそう思います。これは意見でございますから、ひとつ十分今後において論議をいたしたいと思っております。  市場関係の問題についてはその程度にいたしまして、次に、木材の価格安定のための緊急対策、これについての経過がどのようになっているか、この点について御報告をいただきたいと思います。
  293. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 御説明申し上げます。御承知のとおり、昨年の八月十五日の閣議了解によりまして、あのような増産対策を実施して参ったのでございますが、ただいま、民有林、国有林を合わせまして、増伐分といたしましては、約三九%進んでおります。で、輸入につきましては、予想よりもかなり上回っております。輸入あるいはチップにつきましては上回っております。で、こういった対策に応じまして、価格の状況でございますが、八、九月ごろのピーク時に比較いたしまして、十二月、一月ごろが最低で、約二割下がっております。で、二月に若干強含みに変わりましたが、二月末に至りまして、ややまた軟化して参りまして、ただいま弱含みで横ばいを続けておる状態でございます。で、私どもといたしましては、三十七年度へかけまして、二年間にわたってこの対策は弾力的に実施をする予定でございます。
  294. 北村暢

    ○北村暢君 価格の推移は、前年度に比較して月別にどういうふうになっておりますか。統計の資料に合うように、昭和二十七年を一〇〇%としての数字をひとつ発表して下さい。
  295. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 日銀の卸売物価指数にいたしますと、これは木材全体と申しますか、加工品も全部入っておるわけでございますが、昭和二十七年度を一〇〇といたしまして、七月二〇一・八、八月二一四・四、九月二一六・七、十月二一六、十一月二一一・八、十二月二〇九・七、三十七年一月二〇〇・四、二月二〇五・四ということでございまして、市売りの価格の総平均を出しますと、杉の板にとりますと、八月が二万二千、九月が二万四千、十月が二万四千、十一月が二万一千六百、十二月が二万五百、一月が二万、二月が二万一千六百、三月が二万五百と、こういう推移をいたしております。
  296. 北村暢

    ○北村暢君 パルプ用材の推移はどうなっていましょうか。
  297. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) パルプ用材というものを分けて調べました資料はただいまございません。
  298. 北村暢

    ○北村暢君 先ほどの私の質問は、前年度に比較して、どうだったかということを聞いておるので、今の発表された数字ですというと、前年度の同月と比較して高かったのか、低かったのか、ちょっとわからないのですよ。私の聞いている範囲ですというと、確かに八月の緊急対策によって、十二月には木材の値上がりがおさまって下がってきた、しかしながら、前年同期に比べれば、まだ高い、パルプ材においてはなお一般用材よりも値下がりの歩合が低かった、このように理解をしておりまするので、そういう点がひとつわからないのです、今の言われたようなことではですね。下がるには下がった——春は非常に上がっておったわけですから、異常な上がり方だったわけですから、それは下がりは下がったのだけれども、昨年の同期と比べてどうなのか、こういう点がわからないのです。どうなのです。
  299. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 昨年の同期との比較は、ただいま資料を持っておりませんのでわからないのでございますが、大体、現在が昨年の三月程度と同じ水準にございます。それからパルプ材につきましては、パルプ材と申しますのは、大体先生御承知のように、ほかに製材加工等に使えない木を使うというようなことが最近は特に主体になって参りましたものですから、この値上がり、値下がりの影響というのは、こういったおもな構造物に使います材よりは影響が少ないというように考えております。
  300. 北村暢

    ○北村暢君 ただいまの御説明ですと、まあ昨年の——昨年といいますか、三十六年の三月ですというと、二〇四%程度ということでしょうね。若干下がったようでございますが、しかしながら、これについて、この値下がりの状況というものは、緊急対策としての増伐、輸入、こういうものがあったために下がったのか、金融引き締め等について、買いたくても買えないというような情勢で、増伐もあったが、そういう点、あるいは紙パルプ等は操短を実施してきている、こういうような実態があるようです。そのようなことが影響して価格が若干下がったのじゃないか。そういうようなことで、この二月期になって反騰してきた。まあ十二月、一月、二月というのは、どちらかと言えば一年間を通して値の下がる時期なんですね、木材としては。したがって、年間を通して下がる時期に下がった程度のものか。今後一体どうかというと、横ばい状態ではあるけれども、私どもはこれに、緊急対策によって非常に効果が現われて、今後の価格というものが心配ない状態になった、このようには私ども理解できない。したがって、このような緊急対策が来年も続けて——今年度も続けてやるわけでありますが、これが緊急対策で終わらないで、恒久対策になっているのじゃないか。また、恒久対策というものをすでに立てなければならない段階にきているのじゃないか、このように思いまするので、この点についての見解をひとつ承っておきたい。また、大臣には、せっかく立てられた緊急対策なんですが、その結果がどうなったかということぐらいのことは、大臣にも少し知っておいていただいて、やった対策がどうなんで、今後どうなるのかというようなことは、ひとつ御答弁をいただきたいと思うのです。
  301. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) お答えいたします。御指摘のように、一−二月というのは、若干需要の落ちるときでございます。しかし、私どもといたしましては、三月というのは、これは、もうすでに需要が上がり始める時期だと考えておりましたのが、やはり弱含みに変わっているというところに考えなくちゃならぬところがあると思うのでございます。この分析でございますが、やはり価格というものが、需給のバランスに応じて安定をしてくるという考え方からいたしますと、この増伐によって供給を増す、それからまた、設備の抑制あるいはその他の規制等によりまして、需要が若干落ちてくる、そういうような関係も、確かに相待ちまして、こういう情勢が出てきておるかと思っております。私どもといたしましては、御指摘のように、緊急対策は、三十七年度も引き続き実施をいたして参りますが、すでに、恒久的な対策につきまして検討を進めて作業を続けておるところでございますので、この三十七年度を実施いたしますとともに、将来にわたりまして、この需給の調整という点につきましては、慎重に実施をして参りたいというように考えております。
  302. 北村暢

    ○北村暢君 私は、こういう価格対策をとりましても、実は、今後における木材の増産というようなことを考える場合、天然林を人工林に変えていくと、こういうことになりましても、今後は、開発その他においても、とにかく奥へ奥へと行くわけなんです。増産のものは、条件からいっても、労務費もよけいかかるし、作業費もよけいかかるし、価格の下がる要件というものは非常に少ないのじゃないか、こういうふうに思うのです。したがって、従来、林野関係において、需給の面一点張りしか価格対策というものはないわけなんです。で、緊急増伐というような形で価格を押えるという形をとりましたけれども、今後において、今までが異常な値上がりなんですから、それを、若干横ばい程度になったとかなんとかいっても、その横ばいになった程度そのものが高いわけなんです。しかしながら、それが上がらない保障はない。今後、値上がり要素になるような悪条件だけが相当あるわけなんでありまして、需給の見通しからいって、値下がりがどんどんしていくというような楽観的な見通しというものは立たないのじゃないか、そういうふうに私は心配するわけです。したがって、大臣にもこの問題については、緊急対策で一応押えたけれども、しかし、それも実際にいえば、金融の引き締めとか、あるいは引き締めによります買いたくても買えないという一般経済情勢というものが大きく左右しておるということからいっても、この問題は、恒久対策として、慎重にひとつ解消していただきたい。この点は、農林大臣に、ひとつ、ぜひ決意のほどを承っておきたいと思うのですがね。
  303. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 価格の問題ぐらい心得ておかなければいかぬじゃないかというお話でございますが、その程度のことは私も心得ております。ただ、何分、専門家の御質問でございますから、私の答えだけでは、とうてい満足が参らぬだろうと思って、長官に答えさしたのでございます。対策を講じたら、それによって値段がどのくらい下がるかということぐらいだったら、私、わかります。大体この辺まで下がりますれば幾らかけっこうだなと思って、今そのまま続けさせろという指示をいたしているのでございます。今お話のとおり、今後もひとつ十分それに注意してやれということは、そのつもりでおります。  あわせて外材の輸入等についても、できるだけやる。最近は曲がりなりに、御承知のとおり、輸送費が一番かかる、輸送費についても特殊な船をひとつ改造してやっていったらどうかというので、実は重油運搬のタンカーを改造いたしまして、そうしてこれによって輸送すれば、運賃が四割ぐらい下がるということ、それも実は開銀融資等で、そういう専門船を作るということも指導しているというようなことで、今後できるだけ、外材の輸入等につきましても、ひとつ骨を折りまして、国内の需給を円滑にはかっていくということに努力いたしているわけであります。今後におきましても、木材の価格安定を期するためには、できるだけ努力を払うという決意でおりますことを申し上げます。
  304. 北村暢

    ○北村暢君 輸入の問題が答弁されましたから、関連してお尋ねしますが、今後における木材の輸入の問題は、今ラワンが大宗を占めているわけでございますが、今後の輸入計画を見ますと、ソ連材が約三分の一を占める、こういう状況のようです。したがって、今度の日ソ貿易協定によりましても、来年度二百五十万立方予定のところが、二百五万立方の協定で終了したということのようでございますが、今後日ソ貿易における木材の長期の輸入というようなものについて、予定するような倍以上のものになるようでございますから、したがって、そういう見通しが簡単にできるかどうなのか、これはひとつ通産大臣からお答えをいただきたいと思うのです。
  305. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ソ連木材の輸入についてお答えいたします。  昨年、ミコヤン副首相来日に際しまして、たいへんシベリア木材の宣伝をされたのであります。その際に、あの写真を見ると、非常に簡単に木材が来るようだが、ああ簡単には来ないだろう、そのとおりだということを実は申したと思います。しかし、日本は木材をほしいのだが、できるだけひとつソ連としてもシベリア木材を輸出するようにしよう、そこで今回三十七年の通商取りきめをいたしますに際して、買えるだけひとつ買おう、こういうことで相談した結果が、ただいま御指摘になりました二百五万か十万石程度のものでございます。これは当時スパンダリアン代表団ともいろいろ交渉いたしたのでございます。御承知のように、相当鉄路からも離れている。そういうところで、レールを確保することも困難である。また、港へ持ってくることが非常に苦しい。また、港の貯木場の施設等も不十分だ。こういう点で、まず可能な数量というのが、あのきめた数字でございます。これは今後、また日本からも伐採の技術指導等に出かけることも可能なようでございますから、そういうようなことによって港への輸送がもっと容易になれば、その数量はふえてくるのじゃないかと思います。しかし、今の状況ではすぐ二倍、三倍というものはむずかしいのじゃないか、かように思います。  ただいま御指摘になりました南方材、これは相当まだ未開発の地域等もございますので、それにはある程度の期待は可能じゃないか、かように思います。カナダあるいは米国材等は輸入が非常に困難でございます。
  306. 北村暢

    ○北村暢君 次にお伺いしたいのです。通産大臣に、このパルプの今後の需給の見通しは一体どのようにお考えになっておりますか。
  307. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) パルプ産業は製紙用並びに繊維用、二つあることは御承知のとおりであります。ところで、自由化に備えまして、いろいろ安くパルプができるようにということで特に業界も工夫いたしております。その工夫の立場から、いわゆる針葉樹の使用量をできるだけ減らしていく、そうして広葉樹並びにチップ材等を使って、そういうところでできるだけコストを安くする。これが針葉樹の使用が三〇%あるいは三五%という程度に落ちてくれば十分国際競争力ありということでございますので、大体そういう方向で指導して参っております。ところが、御承知のように、最近原木が相当高くなったということと、それからもう一つは、市況の関係もございまして一服の形でございます。で、三十七年の増加量として考えますると、きわめて少額の増予定じゃないか。大体今の生産の横ばいというような見方が一応できているのでございます。しかし、まあいずれにいたしましても、今後の経済情勢の変動等によりまして、これには相当の動きのあることは、これはただいまからそれだけのことは考えておかなければならぬだろう、かように思います。
  308. 北村暢

    ○北村暢君 そこでお伺いしたいのは、まあ需給の見通しはあまりはっきりしませんけれども、広葉樹と針葉樹広葉樹に切りかえていくような方向でもって、というような御答弁でございますが、とにかく相当このパルプの所得弾性値の関係からいっても伸びていくだろう、これはまあ経済関係の推計の中でもすでに出ているところでございます。それでは相当従来からいえば伸びるようになっているようでございます。そこでこのパルプの設備投資が非常に最近行なわれたわけでございますが、これはこの設備投資の状況を今後一体どのように考えておるのか。設備投資というものは大体終了したように考えておるのか。それとも今後相当伸びていくのか。そこら辺のところをひとつお伺いいたしたいと思います。
  309. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 大体この設備投資は、ただいま先のお尋ねにお答えいたしましたように、自由化に備えまして競争力というものの点がございますので、最近の調査から見ますると、設備投資については業界は慎重な態度をとっておるように考えられます。これはまあ大体二月時分、先月時分に調査した結果でございます。この三十六年度の当初計画としては五百八十七億——これはもう紙のほうも入るわけでございます——設備投資がありまして、パルプ設備としては百八十四億という数字でございましたが、三十七年度は、パルプに関しては百三十九億、百四十億程度でございます。やや前年よりか低目の数字が出ております。これは、結局ただいま申し上げるような自由化に備えるというばかりではございません。原木の需給状況等から立地上の配慮等も十分考慮して行なわなければならぬ、こういうような意味から、やや手控えぎみの状態にある、かように思います。
  310. 北村暢

    ○北村暢君 ただいま自主繰短が行なわれておるわけですが、この自主操短の程度はどのくらいのもので、それからその自主操短をやっておる原因は何でしょうか。
  311. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 自主操短をやっておれば……一応事務当局から説明さすつもりでございますが、事務当局の話では、ただいまやっていない、かようなことでございます。
  312. 北村暢

    ○北村暢君 自主操短をやってないというのはおかしいので、これはやっているはずですがね。事実上、上質紙、クラフト等については自主操短をやってておる。おそらく二月でしたかね、二月ごろから実施するということになっておったんですが、それはやらなくてもいいような状況になったら、変化があるのかもしれませんけれども、二月ごろからやるということを私はほぼ確定的のように聞いておるのでありますが、どうでしょう。
  313. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私が聞き違えたのでございますが、パルプ自身の操短をやっておるというようなお尋ねに聞いたものですからお答えしたのですが、パルプ自身はやっておらない。しかしただいま御指摘のとおり、上質紙は売れ行き等も思わしくございません。そこで上質紙の生産は自主操短をするということで、これはもう役所とも十分相談の上でそれにかかっておるわけでございます。
  314. 北村暢

    ○北村暢君 その原因が一体何かということですね。
  315. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 原因といわれるのは、上質紙自身の売れ行きが悪いのです。相当のストックを持っておる、こういうことでございます。そういう意味で生産を手控えるという考え方でございます。
  316. 北村暢

    ○北村暢君 フル運転をすれば、このパルプの資材のパルプ原木の需要と現在の設備投資下におけるフル運転自体の支障はないのか。私は設備投資というものは、今日自由化に目がけて相当な過剰設備になっておるのではないか。すでに売れない面ももちろんありましょうけれども、過剰生産になってくるようなきらいはないのか、その心配はないのか。したがって、自主操短をやっておる紙の自主操短は、金融引き締めその他による一時的なものなのか、本格的な過剰生産になってきたのか、この点をお伺いしたがったわけなんですよ。
  317. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) パルプでなしに、今度は製紙の立場から申しますと、なかなか需要は、新聞紙その他ざら紙といいますか、そのほうが非常に需要が多いのでございます。しかしながら、いわゆる上質紙と申しますか、価格の高いもの、そのほうにつきましては比較的需要が弱い、こういうことでございます。で、製紙会社として一番苦心し苦労しておりますのは、いわゆる原木、さらにパルプが高いという意味から、なかなかざら紙と申しますか、一般の用紙は非常に売れ行きは相当強くても、採算自体から見まして、だんだん苦しくなってきておるというのが、実は現状でございます。しかし、ただいまこれはフル操業をしておるというのが現状でございまして、業界指導の面におきましても、ただいま申し上げましたように、相当ストックのあるほうはこれは生産を手控える、そうして需要の多いほうにかかれということを実は申しているのでありまして、これは今日の現況等から見まして、将来上質紙を作ることについては設備としてはあるいは過大ではないかと思います。これは普通の需要の盛んなときでございますと、そういう紙を作っているほうが利潤が大きいわけでございますけれども、しかし最近は非常に需要が衰えておる。そういう意味で生産をあんばいしている。かように私考えております。
  318. 北村暢

    ○北村暢君 私は紙の問題は、これは文化の水準が高くなればなるほど、所得弾性値の点からいっても紙の需要というものは将来高くなっていくだろうというふうな想像をするんです。ほかの産業と違いまして紙は相当将来伸びる、こういうふうに見ているんですがね。私の見方が誤りであるかどうだかわかりませんが、そういうようなことで、今の自主操短というようなものも、金融引き締めその他による、問屋の在庫がなくなるまでメーカーから買わないというようなことが反映されて一時的なものでないかと想像するんです。そうすれば今後まだ伸びる可能性がある、こういうふうに思っておるのですが、そういう見方は間違いでしょうか。
  319. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 大勢としては北村さんの御指摘のとおりであります。紙の使用数量はどんどんふえていくと、かように考えてしかるべきでございます。ただいまの上質紙の問題は一時的な現象ではないかと思います。さらにまた外国へも出ていく余地は考えられるのでございます。紙工業そのものとしての将来性は、御指摘のとおり、どんどん拡大していく、かように私ども考えております。
  320. 北村暢

    ○北村暢君 そこで、貿易の自由化の問題とも関連するわけですが、化繊用パルプ、紙用パルプ、これの自由化に対して一体どのように考えておられるか。この点についてその時期的な見通し等について質問いたします。
  321. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 一口にパルプと申しますけれども、そのパルプもいろいろ品種がございますが、一番問題にならないものは、すでに昨年の四月機械パルプと称せられるものは自由化いたしておるわけでございます。あと残っておるものも時期を二回に分け、四月さらに九月と、こういうように大体時期を分けて自由化する計画でございます。これもただいま当面しておる情勢等から見ますると、よくそのパルプの実勢を見きわめて、そうして順次自由化していくと、こういうことでございます。
  322. 北村暢

    ○北村暢君 業界はまだ自由化については反対のようでございますが、この点についてはどのように受け取っておられるか。で、自由化した場合に国内のパルプが完全に国際的に競争が可能なのかどうなのかということでございます。私はそう簡単にいかないんじゃないかというふうに思うのでありますけれども、この点について十分な態勢があるのかないのか、お答えいただきます。
  323. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほどお答えいたしましたように、針葉樹に対する依存度が強いと国際競争力がない。この針葉樹に、さらに広葉樹なり、あるいはチップ材を取り入れて生産方式を変える。その準備期間を業界としては強く要望しておったわけでございます。大体その準備期間を今日迎えたといいますか、ある程度準備は整った、かように私ども考えております。したがいまして、自由化いたすことは、全部を直ちにやりますと、やはりもう業界も困ることでございます。しかしながら、パルプの品質等で順次これを行なうということは業界も一応準備をしたので、まあこれもやむを得ないという気持でいるんじゃないかと思います。ことに、また紙の製造方式としての指導もいろいろございまして、直ちに一貫性を持たすような方法で紙を作らすという、パルプと製紙を別にしなくとも済むような技術的な指導もいたしております。こういうことを考えますと、いわゆる大メーカーとしては一応の態勢を整えられた、困るのは中小の紙のメーカーだということだろうと思います。こういう中小のメーカーに対しましてのパルプの需給状況、これは私どもまた勘案してしかるべきだろうと思いますので、言いかえますならば、安いものならば国内産業を圧迫しないという建前のもとに輸入することも可能だと思います。だから、中小企業が、自由化されて直ちに参るとは実は考えません。むしろ中小メーカーとすれば、パルプが自由に入るという立場からは経営は楽じゃないか。むしろ大企業、パルプを作り、同時に紙を作る。それを技術的に指導する。これに私どもが特に力を入れて参ったものでございます。
  324. 北村暢

    ○北村暢君 そこでですね。確かに私もずっと調べてみますというと、機械等の設備投資というものが行なわれまして、製造工程においては相当近代化されてきておる。国際的にも太刀打ちできる。ところが、やはり原料部門としてのパルプ資材、この占める地位がパーセントからいえばどんどんと上がってきておる状態なんですよ。したがって、合理化は進んだのだけれども、原木価格のほうは逆に上がっておるのですね。したがって、この占める比率というものは——原木の生産コストの中に占める比率というものはだんだん上がってきておるわけです。そういうようなところからいって、国際的に自由化した場合に、自由化に備えて、このパルプの生産工程の工業面については、合理化が進んだ。確かに相当競争力が出てきたのだが、今後このパルプ原木が上がっていくというやつについては、これは非常に大きなネックになってくるのじゃないかと私は思うのです。またべらぼうに下がる可能性というものは今のところない。そこで木材の価格の問題について私は恒久対策を立てろということを、実は先ほどから農林大臣にも言っておるのでありますが、これはパルプの自由化をした場合に一番大きな問題は、やはり原木になってくるのじゃないかというふうに思うのです。したがってこの点はひとつ価格の面について、原料が高いことには何ぼ合理化してもこれはかなわないわけですから、これは農林大臣のほうに問題が出てくるので、そういう面で、この紙パルプ産業全体の上における原木に対処する価格政策というものについて、私はひとつ十分考えるべきだと思うのですが、この点について私が全部調べたところによるというと、そういう比率が非常に強くなってきておるということでありますから、対策をひとつお伺いしたい。
  325. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま御指摘のとおりでございます。また高い上に絶えず不安定な状況にある。こういう状況のもとにおいてパルプを作るということは、これはまあなみなみならぬ問題でございます。だからこそ、先ほど申し上げますように、比較的値段の安い広葉樹だとか、あるいはチップ材をパルプを作ります際に混用していく、こういうことを実は計画しておるわけでございます。私どもの調べでは、いろいろな価格が出て参っております、アメリカにおいてパルプを作っておる木材の価格と、日本における針葉樹の価格を比較してみますと、アメリカは日本の約半値以下、そういうような数字が出ております。日本に来ておる価格ではございません。またソ連材等にいたしましても、これは今までの状況等から見まして、ある程度の差はあるわけでございますが、日本自身が安い材料を使う、そういうことを工夫せざるを得ない。今後の問題といたしましては、針葉樹の価格を安定する、安く安定することができれば、それに越したことはない。そういう意味でいろいろ苦心し、農林省にも特に相談いたしまして、国有林の払い下げ、その他原木の確保について御協力を願っておるような次第でございます。
  326. 北村暢

    ○北村暢君 最後に通産大臣に……。  今チップ工業というのは合理化のために非常な勢いでもって振興しておるわけでございます。その圧倒的なものは中小企業でございます。したがって、そういうようなことで、生産基盤というものは非常に弱いのでございますが、この数年における伸びというものはものすごいものでございます。でありますからこの面については、先ほど大臣から御答弁がありましたように、基盤が非常に不安定でございますので、そういうような点からいって、チップ工業の助成といいますか、振興というものについては、規模が零細企業である点からいって、特段の配慮をしていただきたい、このように思うのです。この点についての所見をひとつ伺いたい。
  327. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) チップ工業は、ただいま、御承知のとおり、製材業者が同時に兼業しておる。あるいは、その業者自身はどこまでも中小企業そのものでございます。で、私ども通産省といたしましては、先ほど申すように、パルプの生産事情、これを、値段を安くする意味において、また今日まで廃材になっておるというものが利用されるという面において、ぜひとも基盤の強化をはかっていきたい、かように考えます。しかし、これは、通産省と申しますよりも、農林省の監督下にある業態でございますので、そういう意味で農林省にも私どもお願いもし、また協力して、このパルプ産業のために十分の功績を上げるようにいたして参りたいものだと、かように考えております。
  328. 北村暢

    ○北村暢君 次に、国有林の特別会計における剰余金の状態をお知らせ願いたいと思います。
  329. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 御説明申し上げます。この歳計剰余金でございますが、この会計の予算は収支均衡を原則として編成されておるのでございますが、最近の木材需要の激増に伴いましての木材価格の高騰によりまして、通常の年度におきましては、予算編成時におきます収入見積りよりも、事業実行の結果の収入が多くなっております。そういうことによりまして歳計剰余金が発生しておるのでございますが昭和三十六年度についてはまだその実績が出ておらないのでございますが、三十五年度までの歳計剰余金の累計額は二百四十五億円になっております。
  330. 北村暢

    ○北村暢君 この歳計剰余金ですが、先ほど長官が言われましたように、企業会計になっておるわけで、収支均衡をとるような形になっておるようでございます。そこで二百四十五億で、三十六年度はおそらく百億以上のものが出るという想定が出ておるので、膨大な剰余金というものがあるというふうに思います。それでもなおかつ——こういう剰余金があるのですが、この剰余金が、合計経理の面からいえば、特別会計の中において、まだ企業会計として確立がなされていないじゃないか。ということは、治山事業関係、あるいは国有林、林政協力事業、一般会計の繰り入れ、こういうようなものが雑然と特別会計の中で経理をされて剰余金というものが出てきておる、こういうことだろうと思うのです。したがって、企業会計として確立する上においては、これらの勘定を明らかに区別すべきでないかと思う。それでなければほんとうに企業というものがもうかったのかもうからないのかということははっきりしないというふうに思うのですが、この会計制度について検討する意思があるかどうかお伺いいたしたい。
  331. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) お答え申し上げます。この経理方式のうちで一番問題になりますのは、先生の御指摘の問題と同時に、蓄積経理の問題があるかと思うのでございます。そういう点を、ただいま検討をいたしておるところでございます。この作業も、さらに促進をいたしまして、なるべく早い機会にこの会計制度のはっきりした姿を持ちたいというふうに考えております。
  332. 北村暢

    ○北村暢君 ただいまの答弁では、あまりはっきりしないのですが、企業としての採算をとる上における。一般会計で当然やらなければならないような民有林、保安林の買い上げであるとか、治山事業であるとか、関連林道であるとか、こういうものは特別会計の中で経理されているわけです、支出として。これはやはり、企業という点からいけば、はずして、勘定として考えるべきじゃないか。したがって、この会計制度の整備というものをはかるべきじゃないか。そうでなければもうかったかもうからないかということがはっきりしない、そういうふうに思うので、蓄積経理の問題はあとにお伺いしますが、その点についてお伺いしているわけです。
  333. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 他の企業会計と異なりますところが、やはりこの国有林のそういった公共性の面の非常に大きいところかと考えるのでございますが、御指摘のような意見もありますと同時に、やはり経営体の内部の問題であるとか——治山等につきましても、内部の問題であるという意見もあるのでございます。そういう点について、ただいま検討を進めておるところなのでございます。
  334. 北村暢

    ○北村暢君 大蔵大臣にお伺いしますが、国有財産の台帳の評価がえは、一般の官庁のものは五年ごとにやるようになっておりますが、企業の国有林というようなものは、これは適用になっておらないようでございます。したがって、これは一体どのように取り扱っておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  335. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 企業に属する財産のほうは、一般物価の変動とかその他特殊な事情によって固定資産の価格が著しく変わった、そうして不適当になったというときになって改定するという建前になっております。国有林野の事業財産につきましては、昭和二十九年に再評価をやったきりで、今日まで評価がえをしておりません。しかし、最近この再評価の要望が強くなってきましたので、ただいま国有林野当局において実態的な調査をしていただく予定になっております。
  336. 北村暢

    ○北村暢君 この剰余金によって市町村の交付金が交付されておるわけですが、これが国有林が半数を占めるような町村で、この台帳の価格が非常に低いために、これは北海道の恵庭町の例ですが、非常に大きな国有林を占めながら、年間わずかに七十万程度の交付金しかないということで、市町村は非常にこれらの点について不平を言っている。木引税もなくなる、交付金はさっぱり台帳が改められないということで、非常な不満があるわけでございます。したがって、今約六千億か七千億の企業の資産を持っておるはずでございます。固定資産があるはずですが、それの交付金がわずか五億程度——固定資産税に見合うものが五億程度というようなことで、これがほとんどふえていないんですね。この点は、町村の財政に非常に大きく影響しておる。特に、国有林の非常に大きな地位を占めておる町村では、非常に参っておるのですね。そういうような点からいって、この点について、非常に国有林そのものが所在の市町村に寄与するといいますか、そういう面からいって大きいのでありますが、ぜひひとつこの点については、何らかの処置を早く講ずべきだと思いますが、いつごろになるか、ひとつ明確にしていただきたい。
  337. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) おっしゃいますように、市町村交付金と民有林に対する市町村の固定資産税とが均衡を失しておるということからのいろいろ御要望がございましたので、さっき申しましたように、ここで林野庁当局に実態調査をしていただいて、できるだけ早くこの評価がえをしたいと考えております。
  338. 北村暢

    ○北村暢君 農林省はどうですか。
  339. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 林野庁といたしましては、三十七年度に実態の調査をいたしますことにいたしまして、大蔵省と協議をいたしておるところでございます。
  340. 北村暢

    ○北村暢君 次に、国有林の蓄積経理の問題、これは林野庁長官は私が尋ねないのに答弁があったのですが、この蓄積経理の問題について、標準伐採量について経理をする、そういうことになっておるようでございますが、現実の成長量よりもはるかにオーバーして切っておるということによって、標準伐採量で経理をしますというと、当然収益というものがものすごい勢いで高く出てくる、こういうことになっておるわけです。したがって、林力増強計画を実施しました最近になって、この剰余金利益というものが相当上がってきておる。三十六年度で百億以上こういうものが出てくるようになっておるわけでございますが、これは国有林野事業特別会計法の第四条の、現実の損益について確定する建前になっている損益計算の理論からいくというと、利益を先食いした結果になるので、これは特別会計法第四条の違反になるのではないかと、私はそう思うのです。したがって、との点についてはひとつ明快に答弁をいただきたい。会計制度を検討するだけの問題じゃないと思うのです。そのことによって剰余金がたくさん出て、そうしてそれが林政協力というような形に持っていかれますと、国有林そのものの荒廃というものの中で、そういう剰余金がほかに使われるということになりまして、非常に思わしくない結果が出てくるのじゃないか、このように思いまするので、時間がございませんからこの問題についてはいずれまた別の機会にやりたいと思いますが、そのように私は考えます。したがって、この点についての明快な答弁をひとついただきたいと思います。
  341. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 北村君の質疑の持ち時間は終了いたしました。
  342. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) その点でございますが、剰余金と利益金とは、区別をして考えたいと考えておるのでございます。剰余金は先生の御指摘のような増産あるいは価格の値上がりによって出てくるわけでございますが、利益金は別に出て参っております。したがいまして、増伐あるいは造林不足の差引というのは損益計算の上でやることになっておりますので、私どもとしてはそれで差しつかえないように考えておる次第でございます。
  343. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 北村君の質疑は終了いたしました。   —————————————
  344. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 本日の理事会におきまして、今後の総予算の取り扱いについて協議をいたしましたので、その内容について報告をいたします。  まず、一般質疑は、二十六日月曜日まで行ないます。  分科会は、二十七日、二十八日、二十九日午前これを行なうことにいたしました。なお、この審査日数は、前例としないことにいたしております。  分科会の数は四個とし、その所管事項、各分科会の担当委員数及び各会派への割当につきましては、お手元にお配りいたしました刷りもののとおりといたしました。  分科会担当委員の選定及び変更につきましては、委員長に一任すること。  また、各分科会において参考人の出席を決定したときは、その取り扱いを委員長に一任することといたしました。  なお、各分科会の主査の報告は、二十九日午後零時三十分から行ない、引き続き締めくくりの総括質疑に入ります。この質疑時間は三百五十分とし、その各会派への割当及び質疑順位につきましては、お手元にお配りいたしました刷りもののとおりにいたしました。  以上でございます。  ただいま報告のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  345. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 御異議ないと認めます。  次回は、明後日午前十時に開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十七分散会