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国務大臣(佐藤榮作君) ただいまお答えしたように、ある程度のズレのあることは、これは私
どもも、その事実は否定するものではございません。ことに大体鉱工業生産は十一月がピークだろうということを実は申したのです。十二月は、やや下がるというので、大体ピークが十一月だろうと、かように思いましたところ、一月が今度またふえた、三・八%。二月はただいまのところ、
電力料の
資料等から想定する程度でございますが、あとまた一週間ほどすれば、二月の実績も
数字が固まるだろうと思います。そうしますと、大体横ばいということになるだろうと思います。この点は、どうしてこういう
数字が出たか、いろいろ私
どもも季節修正値そのものにも、最近こういう
傾向があったのです。どうもとかく十二月は低目、一月は高目になっている、こういうような過去の経験等がございますから、そういうようなこともあるのではないかと思います。
言いかえますならば、その一カ月一カ月だけで全部を判断するのは、まだやや早計じゃないか。もう
一つ別な
数字から申せば、十月以降の鉱工業生産
指数は、前年同期の十二月、一月と比べてみると、若干ずつではございますが、下っておるはずでございます。お手元にあれば、おそらく一二三くらいが十月で、それから順次下がって一月は一一九くらいになっている、二九幾らということになっていると思います。これは
数字の見方でございますから、この点から考えると、やや引き締めの効果は出てきたのじゃないかと思います。もう
一つ引き締めの効果が、今後出てくるのじゃないかと期待いたしますものに、たとえば繊維や鉄鋼関係が本格的な操短に入る、あるいは機械の受注が、やや手控えぎみになっている、その他二、三の例等を考えますと、この辺に、やや景気の引き締めのいわゆる調整の効果が出てくるのじゃないか、実は、かように考えます。
ところで一方、やや心配なのは、この製品在庫のほうも相当ふえてきておりますから、それがやっぱり重みになる。今後、どういう形を
経済がたどるか、これは製品在庫がふえたということは、実は調整の効果だと思います。そういう
意味の調整の効果が出てきたと、こういうものも一面ございますが、先ほどの鉱工業生産の伸び、これは、私のように二通りの見方をいたしましても、ただいま高水準であることは、これは間違いございません。その点から見ますと、ここらに
一つの心配があるわけであります。ことに鉱工業生産の強含みということ、これが一体、どういうところによっているか。
一つは一月に入って金融が一服したという
気持、あるいは今後のあり方から見て、今までのような引き締めの状態で推移するものじゃないだろう、いわゆる財界の生産気がまえというものが、私
たちが調整を期待していながら、調整の効果を期待しているにかかわらず、依然として強い。こういうところに実は問題があるのじゃないかと思います。
藤山長官も、かつてこの
予算委員会等で指摘しておられましたが、
政府といたしましては、こういう情勢の推移というものをたえず注意してみまして、そうして時々適切な施策を打っていかなければならぬものだ、かように思います。
いわゆる全体的な計画の変更云々ということもさることだと思いますが、やはりそのときどきに対する施策が必要ではないか、かように考えますると、一番心配なのは生産の強含み、また同時に金融が一服したというそういうような形における
物価のあり方などが、実は
一つの心配の点だ、かように思いますので、新しい施策をとるわけではございませんが、今までの調整策の不徹底なものを徹底していくということが、この際必要ではないか。先ほど期待しておるように、調整の効果が一面に現われておる、同時にまた、調整策の具体策のものを実効が上がるように推進していくというようなことになれば、あえて基本的な計画を、また変更するというところまではいかぬでも済むのじゃないか。問題は、今の状態を、ただあれよあれよと言って過ごしちゃ相済まないのですから、十分注意し、そうして適切な
措置をとる、これが
政府として一番大事なことだ、かように考えております。