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1962-03-17 第40回国会 参議院 予算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月十七日(土曜日)    午前十時三十五分開会   —————————————   委員の異動 本日委員藤原道子君及び田畑金光君辞 任につき、その補欠として大和与一君 及び片岡文重君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     湯澤三千男君    理事            川上 為治君            鈴木 恭一君            平島 敏夫君            米田 正文君            加瀬  完君            藤田  進君            田上 松衞君            加賀山之雄君    委員            植垣弥一郎君            小沢久太郎君            太田 正孝君            大谷 贇雄君            金丸 冨夫君            下村  定君            杉原 荒太君            田中 啓一君            野本 品吉君            村山 道雄君            山本  杉君            横山 フク君            木村禧八郎君            佐多 忠隆君            高田なほ子君            矢嶋 三義君            大和 与一君            山本伊三郎君            赤松 常子君            片岡 文重君            市川 房枝君            牛田  寛君            奥 むめお君   国務大臣    法 務 大 臣 植木庚子郎君    外 務 大 臣 小坂善太郎君    大 蔵 大 臣 水田三喜男君    文 部 大 臣 荒木萬壽夫君    農 林 大 臣 河野 一郎君    運 輸 大 臣 斎藤  昇君    建 設 大 臣 中村 梅吉君    自 治 大 臣 安井  謙君    国 務 大 臣 川島正次郎君   政府委員    内閣官房長官  大平 正芳君    総理府総務長官 小平 久雄君    警察庁長官   柏村 信雄君    法務省刑事局長 竹内 寿平君    外務省アメリカ    局長      安藤 吉光君    外務省移住局長 高木 広一君    大蔵大臣官房財    務調査官    松井 直行君    大蔵省主計局長 石野 信一君    文部省体育局長 前田 充明君    農林大臣官房予    算課長     檜垣徳太郎君    水産庁長官   伊東 正義君    運輸省海運局長 辻  章男君    海上保安庁長官 和田  勇君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    海上保安庁警備    救難部救難課長 松本 満次君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十七年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十七年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十七年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) これより予算委員会を開会いたします。  この際、特に政府側一言申し入れをいたしたいと思います。  相変わらず各大臣の御出席がおそいので、まことに遺憾にたえません。大臣方のうちには定刻より御出席を賜わり、数十分お待ちになっておる方もあるのでありまするが、また一面におきましては、はなはだしく常に出席がおくれられ、その上故意におくらすのではないかという疑いさえ、委員の方から出ております。まことに遺憾千万にたえません。今後一そうの御注意を賜わるように御願いを申し上げます。   —————————————
  3. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 委員の変更について報告をいたします。  本日田畑金光君及び藤原道子君が辞任せられ、その補欠として片岡文重君及び大和与一君が選任せられました。   —————————————
  4. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 昭和三十七年度一般会計予算昭和三十七年度特別会計予算昭和三十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
  5. 田上松衞

    田上松衞君 議事進行。今、委員長のほうから閣僚に対するところのいろいろな御注意がございましたが、それだけでは満足できません。率直に申し上げますけれども委員はすでに全部そろっておりまするし、その他の関係大臣も早くからおいでになっておることは、委員長の御説明のとおりであります。にもかかわらず、河野農林大臣がほとんど、何の理由だかわからぬけれども、これまで遅刻されておるということは、われわれ了解できません。私は、本日のトップに立ちまする片岡委員質問に関してですが、実際は、要求しておりまする大臣のすべてに御出席を願わなければならぬ立場があったのであります。だけれども、先刻、労働大臣のほうは急な御病気のようで、やむない事情だと認めてこれを了承したのでありました。さらには外務大臣のほうは、日韓会談関係から、十一時までにここをひとつ解放してもらいたいという申し出がありまして、これまたやむないことだとしてその間の事情も了承しておったわけであります。私ども理事といたしましては、片岡委員に対してこの了解を求めるだけでも非常な苦心があったわけであります。ただ、この場合、なるべく早く外務大臣のほうから質問に入りたい、こういう順序をきめておったのでありまするけれども、たまたまこの事柄は、農林省に関する問題がありますので、どうしても農林大臣の御出席の上でなければ質問に入れないという事情があったので、いらいらしておったのであります。今、もう定刻を過ぎることほとんど三十九分、こういう時刻になっておいでになるなんというようなことでは、どういう事情であったのか、その間の御釈明をいただかない限りは、了承できないと思います。河野農林大臣の御釈明をこの際要求いたします。
  6. 湯澤三千男

  7. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) たいへん遅刻をいたして御迷惑をかけまして相済みませんですが、実は途中で道路の悪い所で自動車があれしまして遅れましたことは、はなはだ相済まぬと思います。
  8. 田上松衞

    田上松衞君 道路が悪かったなんというようなことは、それこそ、さっき委員長が言われた言葉の中にちょっと感じたのでありますが、まるでそれでは、道路を悪くしておるのは一体だれの責任かということになる。河野農林大臣も含んで、現閣僚の大きな責任じゃないか。そういうようなことを遅刻理由として言うのであっては、いよいよこれはもう奇怪千万だと思います。もっと明確に、何時ごろ出て、どういうような事情だったかということまでしていただかなければ、了承しかねます。重ねて御釈明要求いたします。
  9. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 大体、間に合う予定で家を出たのですが、今申し上げたような事情遅刻をいたしました。
  10. 田中啓一

    田中啓一君 資料要求外務省にお願いしたいと思っておるのでありますが、最近、ソ連では、農業政策重大変革があった模様でありますが……。
  11. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 田中君、議事進行ですか。
  12. 田中啓一

    田中啓一君 資料要求です。それで、外務省に入っておりますフルシチョフ報告と称せられるものを、できるだけ詳細なものをちょうだいできれば、わが国の農業政策に対しても、重大な参考になろうかと思いますので、お願いいたしたいと思いますが、委員長よりよろしくお願いいたします。
  13. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) よろしゅうございますか。
  14. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 承知いたしました。
  15. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 質疑を始めます。片岡文重君。
  16. 片岡文重

    片岡文重君 大臣諸君出席について、すでに委員長からも御忠告があり、議事進行で、同僚諸君からも注意がありましたが、私どもは、国会正常化ということをきわめて重視いたしております。しかし、国会正常化ということは、決して与党の便宜のみを計らうということではないのであって、与野党が互いに誠意を持ってやるということでありますから、この点は、十分御留意をいただきたい。特に、本日の質問にあたっては、ほとんど各大臣から先に回すとか、あるいは欠席をするとか、あるいは繰り上げ質問をせよとか、いろいろな要求が出ております。それらに対しては、私は、誠意を持って便宜を計らうよう、お答えを申し上げておるつもりです。しかるに、今日のような事態があったのでは、はなはだもって不愉快千万ですから、今後の運営のためにも、ぜひ大臣諸君の一致した誠意のほどを要求いたしておきます。特に、労働大臣は、本日御出席できないとのことでありまするので、はなはだ遺憾でありますけれども、今日起こっておる労使の紛争について、特に、仲裁裁定申請等組合問題等もありますが、これらの問題は、後の機会に譲らしていただきます。まず第一に、本日お伺いしたいのは、運輸大臣に対して、並びに農林大臣、さらに外務大蔵の各大臣にも、同時にお聞きをいただきたいのでありますが、最初に、運輸大臣に伺います。  本年の去る二月十四日の夜、千葉富津町の沖合いで、アメリカ油輸送船イーグル・コーリア号座礁し、そのために大量の油を流出させ、富津青堀を中心とする同地方沿岸漁民に、実に、被害組合数十三、被害概数二万四千、被害戸数四千戸に達する全滅的な被害を与えております。この事件について、運輸大臣はどの程度の御報告を受けておられるのかというのが第一問であります。  この種問題をここで取り上げて御質問を申し上げる理由は、ひとり千葉県沖に起こった問題ばかりでなしに、たまたま水産庁から提出されましたもちろんこれは委員会で求めて提出してもらったのでありますが、二十九年の八月から起こった、この漁民その他を対象とするこの種の被害件数だけでも、北は北海道から南は長崎に至るまで、二十九年八月から今日まで、しかも、この中にはただいま御質問申し上げんとする富津沖は入っておりません。それにもかかわらず、四十件をこえているわけであります。しかも、これらの被害は、ほとんど被害漁民泣き寝入りに終わっておって、何ら改善される見込みがない。こういうところから、黙視しがたいと考えて御質問を申し上げるわけであります。最初運輸大臣から、その報告を受けておられるかどうか。もし受けておられるとするならば、その発生原因責任の所在、事故発生後の今日までにとった保安庁その他の処理、それから被害額がどのくらいになっているのか、それらの概況について、御説明いただきたいのであります。
  17. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) イーグル・コーリア号が、二月十四日に東京湾口の第二海堡の西側に乗り上げまして、そうして船底に穴があいたために油が流れ出て、千葉富津方面ノリひび相当被害を与えているという事実は、私は聞いております。海上保安庁といたしましては、ノリひび被害が、このイーグル号の船から出た油であるかどうかということを、調査いたしておったのでございますが、神奈川県の工業試験所鑑定を依頼をいたしたり、いろいろいたしておったのでございますが、諸般情勢から判断をいたしまして、これはイーグル号から出た石油だろうということを、ほぼ断定をいたしているわけでございます。富津方面ノリひび被害のあることを聞きまして、これがイーグル号から出た油であるという断定がほぼできましたので、ノリ栽培業者に対しまして、防除措置を知らせますると同時に、このイーグル号代理店に対しまして、できるだけその油の被害を減少せしめるような措置を事実上指示をいたして、同代理店もある程度のことをやっているようでありますが、なかなか費用と、それからまた事柄がむずかしいわけでありますので、ノリひび相当被害を与えていると、かように聞いているわけであります。  運輸省海上保安庁といたしましては、この水産物に対する被害防除措置というようなことにつきましては、必ずしも責任官庁ではないのでございまするけれども、しかし、海上保安庁は一応海のことをあずかっております関係、ことに座礁等関係から、ただいまのような措置をとった次第でございます。
  18. 片岡文重

    片岡文重君 イーグル・コーリア号の流した油によって、ただいま申し上げました漁業協同組合等被害が起こったということは、運輸大臣としてこれをお認めになられるのかどうか、その点ひとつ。
  19. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) これは、いよいよ損害賠償とかなんとかということになりますと、相当法律問題としてむずかしい問題になろうと思いますが、しかし、海上保安庁の見解では、まあおおむねそう断定してよかろうという程度でございまして、実際、裁判所に出て、それだけの証拠のものを全部あげているかと言われますと、私はまだ不十分であろうと思いますけれども、大体しかし常識的に見て、そう断定していいのじゃないかというので、その代理店に対して、いろいろ善後措置を講じさせているわけであります。代理店に対してそういう措置を講じさせますことが、あるいは海上保安庁としては少し、何といいますか、親切過ぎることであるかもわかりませんが、しかし、海上保安庁座礁についてのいろいろ調査の権限を持っておりまするし、当面早急に処置をすべき事柄として指示をしているわけでございます。
  20. 片岡文重

    片岡文重君 イーグル号の流した油であろうということは、常識的には判断できるけれども、確証を持ってそうだと断定することはできないというようなお話のようですが、今までの事例からいっても、当然これらの事件訴訟になるかもしれない。で、その場合に、裁判所における立証が不十分であれば、どういう結果になるかはわかり切った話です。のみならず、事故が起こったのですから、当然その事故原因が何であるか、責任がどこにあるかというようなことは、海上保安庁として調査するのは当然のことなのだ。それが確信をもって運輸大臣としてそれがそうだと言い切れないのはどういうわけなんですか。
  21. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) ノリひびに与えました影響が、おそらくその油からでありましょうし、当時他に油を流したと認められる船がありませんから、おそらくそうであろうということを推測するわけでございます。ただ、ノリひび被害が、必ずその油であったかどうかということは、これは水産試験場なり、あるいはその他の試験場分析の結果もありましょう。工業試験所に対しまして、油の鑑定を依頼したのでありますが、水分が多いので何とも一言えない、こういう返答でございます。ただ、常識的に見て、ノリひび被害がはたしてその油であったかどうかという断定は、これは水産試験場でやってもらわなければなりません、海上保安庁はそういう機能を持っておりませんので。ただ、出た油であるということであれば、おそらくそれ以外に流した船はないと推測をしております。しかし、海上保安庁東京湾等に流れ出る油を常時調査をしておるわけでございませんから、正確な意味において、どうであろうかと私は申し上げておるのでありますけれども諸般情勢から、まあそう断定するのが常識的であろう、かように申し上げておるのであります。
  22. 片岡文重

    片岡文重君 私は、時間が少ないので、あまり時間をとりたくないのですから、簡潔にひとつ明確に言ってもらいたいのですが、そうすると、かりに訴訟になったときに、この被害を与えた油は、イーグル号のものですと主張することができるんですか、できないのですか。
  23. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) この点は、今申し上げましたように、私は報告を受けております限りにおきましては、大体そう推測できるという程度しかできないであろうと思います。
  24. 片岡文重

    片岡文重君 水産庁なり、あるいは海上保安庁なりで、その油を分析試験をしてもらったと思うのですが、その結果は、何カ所くらいで試験をし、そうしていつごろどういうところからとった油に基づいて試験をされたのか、その詳細についてひとつ発表して下さい。
  25. 和田勇

    政府委員和田勇君) お答えいたします。五カ所につきまして、二月十五日、十七日に調査をいたしております。
  26. 片岡文重

    片岡文重君 私のお尋ねをしておりますのは、水をとった場所と、それからその試験の回数、結果、そういうところまで、結論まで詳細に言っていただきたいのです。
  27. 和田勇

    政府委員和田勇君) お答えいたします。こまかいことでございますが、採取いたしました場所は、イーグル号の破孔付近海上が一カ所、それから青堀海岸が一カ所、それからイーグル号の左舷の付近海上、それから第二海堡北方海上青堀海岸ノリひび場所でございます。試験を依頼いたしましたのは、先ほど大臣からお答えいたしました神奈川県の工業試験所でございます。
  28. 片岡文重

    片岡文重君 結果はどうなっておるのですか。
  29. 和田勇

    政府委員和田勇君) お答えいたします。今も申し上げました五カ所のうち、イーグル号付近のものは、イーグル号の油と同じでございまするが、その他の青堀海岸とか、あるいは第二海堡北方海上とか、あるいはノリひびのものにつきましては、水分が非常に多うございまして、工業試験所試験結果では同一のものであると断定できないということでございます。
  30. 片岡文重

    片岡文重君 油類水分、特に海水を含んでくれば、その自家作用によっても変質をしてくるであろう。特にそれが時間がかかればかかるほど変質は考えられます。しかしながら、少なくとも十五日に十五カ所からとっているとすれば、そうひどい違いは出てこないはずであるし、もしその結果が違う、水分を含んでおって違うというならば、その破孔付近——イーグル号の破孔というのは、おそらくその破れた穴のことであろうと思うのだが、そういうところの付近でとった油を同一の条件で、つまり青堀海岸あるいは第二海堡その他の同じそういう付近にある海水をもって同一状態において試験をしたことがあるのかどうか。少なくとも同一状態において試験をすれば、同じ——全然同一ということはないにしても、最近値を出すほどの状態になり得るはずだから、そういう状態でも試験をやったことがあるのかどうか。
  31. 和田勇

    政府委員和田勇君) 今お答えいたしましたように、片岡先生のおっしゃるような調査はいたしておりますが、つけ加わえて申し上げまするが、さっき大臣から御答弁申し上げましたように、私のほうは刑事事件といたしましては、港則法違反——これは故意です、故意の場合には、罰しますが、故意がございませんので、これは問題になりません。そのほかに、刑法の百二十九条で、業務上過失艦船破壊罪の容疑で十九日に——明後日ですか、書類送検することにいたしております。つけ加えて御説明申し上げます。
  32. 片岡文重

    片岡文重君 そういう先のほうまで私は聞いているんじゃないんです。あなた方がすでにそうしてイーグル号をかばうような考え方に立って、責任の明確になることをおそれるような態度でこういう問題を従来処理されておったから、今までの被害はすべて漁民泣き寝入りに終わっている。今私の聞いているのは、その責任がはたしてあなた方によってどこまでも主張し得る状態におかれておったのかどうか。おかれておったんじゃなくておいたのかどうか。そういうことに主眼をおいて尋ねているのであって、その責任があるとかないとかということはこれからのことだと思うのです。言うべきことを答えて下さい。
  33. 和田勇

    政府委員和田勇君) 私のほうでは与えられた法律、命令を執行いたすのでございまして、決して、イーグル号事件につきましてこの外国船主をかばうというようなことは毛頭ございません。
  34. 加瀬完

    加瀬完君 関連運輸大臣農林大臣に伺いますが、この地域は数年前にも同じ事件がありました。これは運輸大臣言葉をもってすれば、常識的には防衛庁の油であるということは、何と申しましょうか、一点疑惑の余地のない問題であったわけです。ところが、丸善石油研究所東大生産技術研究所試験を依頼しましたら、東大のほうはおそらく防衛庁の油と同一のものであるという結論を出しました。しかし、丸善石油のほうは結論が違いました。政府補償は何らありません。常識的に考えられることでも、法律的に根拠になるものを提示していただかなければ問題の解決には特に今度の場合にはならないと思う。  農林大臣に伺いたいのでありますが、こういった零細漁民を守る意味において、農林省は進んで、一カ所ではなくて、それぞれの権威筋に十二分に検査を、分析を依頼しなければならないと思いますが、この点どう取り運んでおられますか。なお、訴訟になった場合、漁民側が有利になるような根拠というものを積極的に御努力下さっておられるのかどうか。片岡委員の御質問関連をいたしまして詳しく御説明を求めます。
  35. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 本件につきましては、ただいままで運輸大臣その他から御説明申し上げたような経過でございますが、なお、千葉県におきましてもそれぞれ分析試験をやっておるようでございます。  私といたしましては、はなはだ、どう申し上げたらよろしいか、本件アメリカ側が非常に善意でございまして、外務省を通じ、アメリカ大使館を通じ、目下交渉をいたしておりますところによりますと、すでに先方からこれの損害補償をすべく代理者も選定してきておるようでございます。これに対して、組合側からも代理者を選んで、そこで一応折衝をやろうということに話がいっておるようでございます。なるべく可能な範囲において漁民組合側補償がせられることを期待いたすと同時に、なお、訴訟に不十分な点があれば、政府においてもしかるべく援助をしなければならぬだろうと考えておる次第でございます。
  36. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 先ほどからお答えを申し上げておるとおりでございまして、海上保安庁調査をいたしておりまするのは、いわゆる港則法違反をやって、そして故意に油を流したものがありはしないかということで調査をいたしたわけでございます。したがって、四囲の情勢から、他に故意に油を流したものがないということがほぼ推定ができましたので、そこで、その代理店に対して収拾策を連絡いたしましたのは、これは今おっしゃいますように、漁民に対する親切心からいたしたのでありまして、海上保安庁としては、そこに港則法に違反するものがありはしないかということで調査をいたしたわけでございます。漁民のほうの立場はもっぱら水産庁がいろいろと調査をしておられることと思います。
  37. 加瀬完

    加瀬完君 この航路は油を捨ててはならないことになっておりますね、法律的に。そうですね。ですから油が流れたら今大臣のおっしゃるように、どこの船が流したのだろうということを探索するとともに、その確認をするためにはその油の性質というものを当然これははっきりさせなければならないと思う、はっきりさせる責任運輸省にないとするならば、これは関係各省に連絡をして確かめなければならない責任が当然運輸省にあると思う。これをおやりになっておりますか。
  38. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) おっしゃるとおり油を流してはいけないことになっております。ただ座礁して、そこから流れ出たものは、こいつは故意でございませんから犯罪にはならない。そこで故意に流したものがあるかどうかを調べてみたところが、どうも故意に流したと考えられるものが今のところない、かように申し上げたわけであります。
  39. 加瀬完

    加瀬完君 どうも済みませんでした。
  40. 片岡文重

    片岡文重君 ちょっと、外務大臣は何時に退席されるのですか。
  41. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 十一時から会談をする予定になっております。
  42. 片岡文重

    片岡文重君 それではたいへん残念ですけれども、ここでちょっと外務大臣に伺っておきたい。  御承知のように、一九五四年に海水汚濁防止条約というものが発効して、日本では同時にその条約署名をしております。そのままになっておりますが、聞くところによると、今年のうちに、三月中と聞いておりますけれども、この条約に関する国際会議がロンドンで開かれるそうです。日本ではこれに署名はしておるけれども、まだ加入はしておらないということでありますが、ILOその他の問題も、これらの国際信義の上からいっても、また、ひんぴんとして起こるこの海水汚濁を防止する意味から申しましても、私は、すみやかにこの海運国日本、水産国日本がこの条約に加盟すべきであると考えるのですけれども外務大臣はこの点をどうお考えになりますか。
  43. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 仰せのように、昭和二十九年八月にわが国は署名をいたしております。しかし、油水分離装置の船舶への取り付け、港湾における廃油処理施設の設置等の諸規定の執行につきまして所要の国内体制の整備されておらない現状でありますために、まだ受諾いたしておりません。しかしながら、またこれもお話のように、今月末からロンドンで本条約の改正に関する国際会議が開催されまするから、われわれは、これに積極的に参加いたしまして、わが国の立場をよりよく反映した新条約が作成されるように努力いたしまして、わが国の早期加入に努めたいと考えております。
  44. 片岡文重

    片岡文重君 この会議に積極的に参加されることはもちろんでありますけれども、たとえばセパレーター、あるいはセットリング・タンク、そういったようなものの施設は、これは業者なり、これまた国が補助してやるなり、いずれにしても早急に整備さるべきものが今日までほとんどやっておらない。この条約加盟も業者たちの強い反対もあるやに聞いております。しかし、水産関係者はすみやかにやってほしいと言っておる。これは私は、今年度においてせっかくの機会でありますから、加盟すべきだと考えますけれども、今年度のこのロンドン会議に加盟する意思がないのかどうか、重ねて伺います。
  45. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ただいま申し上げましたように、われわれは積極的に参加して早期加盟実現に努めたいと、かように考えております。しかしながら、この国際会議に参加する場合に、わが国の立場もよりよく説明いたしまして加盟いたしたいと考えております。
  46. 片岡文重

    片岡文重君 早期実現という言葉は、非常に含みがあるようですが、とにかく可及的すみやかに加盟をするようにぜひ御尽力をいただきたい。要望いたしておきます。  それから、今まで質問いたしておりましたこの漁民被害でありますが、聞くところによれば、この座礁した船の調査は、海上保安庁として、あるいは海難審判所等において、当然これは船内に立ち入りまして調査しなければならぬはずです。ところが、そういうことができておらないらしい。それからまた、船長に対する報告も未提出じゃないのですか。この船は提出されておったとしても、今まで未提出な場合があり、あるいは令状をもってしなければいけない場合がしばしばあった。明らかにこれは日本の国法を傷つけるものでありますから、この際外務大臣は、アメリカに対してはもちろん、諸外国に対して、日本の領海内で起こった事故については日本の国法を順守するように厳重な抗議を私は行なっていただきたいと存じますが、外務大臣の御所見を伺います。
  47. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 今の点につきましては、私も詳細その現場の事実を存じませんから、運輸大臣からお答えいただくほうが適当かと思いますが、要するに、イーグル・コリア号の事件は、これはアメリカがチャーターして参った油送船でございます。ところが、よく私のほうで調査いたしましたところでは、二月の十四日にチャーターして、油を積み込むことを終わりまして、チャーターの条件を解除されたあとで起きました事件でございます。したがいまして、この運航者でございまするユーナイテッド・マリタイム・コーポレーションですか、これが関係する民事事件ということになるわけでございます。しかしながら、関係者も非常に多いことでございますし、事わが漁民の問題でございますから、私どもは、地位協定の十八条によるこの関係ではないけれどもアメリカ側としてはよくこれ考えてもらいたいということで、アメリカ大使館にこのことを申しまして、米側としましても、先ほど農林大臣お答えいただいたように、非常に好意的にこの問題について考えてくれておるようでございます。私どもも、関係の省庁と連絡をいたしまして、渉外的にはできるだけ御便宜をはかりたいと、かように考えておる次第であります。
  48. 片岡文重

    片岡文重君 軍用船であると民間船であるとを問わず、従来外国、特にアメリカの船舶が被害を与えた、あるいは海難事故を起こしたような場合に、日本の国法をすなおに受け入れてそれを順守する傾向ではなかったということを私は外務大臣に言っておるのです。とにかく、民間船か軍用船か問わないのです。今までの経過がそうであったというのです。ですから、そういう問題については、外務大臣として——とにかく、日本の領海内に起こった事柄については日本の国法に従うべきである。これは国際法上認められておることであって、特に、池田内閣の皆さんは、日本は大国だ大国だと言っているのだから、大国としてのこの際態度を持って、当然の要求をすべきである。それをアメリカに対して注意を喚起してほしいと、こういうことを言っているわけです。
  49. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 日本の国法を領海内で守らないというようなことをアメリカが言ったことは一度もございませんし、もしそういうことがありますれば、これは私どもとしては正当な措置をとらせることに決してやぶさかではございませんけれども、事は国内のできごとで、国内の所管庁においてこの問題を所管しておられるのでございますから、その官庁においていろいろ差しさわりがあって、外交交渉が必要なことになりますれば、私はいつでもそれに従って渉外的なことはいたすつもりであります。
  50. 片岡文重

    片岡文重君 これから運輸大臣等に御質問を申し上げる過程において、外務大臣もなるほどこれでは一ふんばりアメリカに交渉せざるを得ないという気持になると思うのですけれども、さっきの御要望もありますから、一応あなたに対する質問、要望をここで打ち切りますが、とにかくアメリカがそう言っているのではない——そういうことを一言も言っておらないけれども、事実において日本の国法を軽視している。これに対しても厳重な注意を喚起してほしい、こういう要望をします。外務大臣に対しては終わります。  運輸大臣に対する質問を続けます。先ほどの御答弁によりますと、いかにも責任の明確になることをおそれておるような態度に受け取られますし、海上保安庁の長官ですか、そういうことはないと、えらいたんかを切られましたけれども、従来の例で、先ほど加瀬委員からも指摘されましたが、被害者側の出した資料と加害者側の出した資料と比べて、加害者側の資料に重きを置いて、千葉県から出した被害者側の試験結果を拒否しておられる例がある。うそだと思うならば、私はここに資料を出してみてもいい。そういう例が今までもある。これは珍しいことではない。今回の事件だって、すみやかに発動して、水産庁なり保安庁が適切な措置をとれば、今ごろになって——もうすでに一カ月たつじゃないか、一カ月過ぎておる。それでもなおその試験結果が明らかにならない、責任が明らかにならないということは、あり得ないはずです。やっておらないというのは、明らかにおそれているからに相違ない。責任の点は重大ですし、特にアメリカ側日本に好意的な態度で交渉に応じているということを繰り返しておられますから、あなた方の言はそのまま私は受け入れるとしても、しかし被害の額が非常に大きいのです。被害査定等の問題になっても、十分問題が起こる。  そこで、示談が成立しなければ、当然いやおうなしにこれは訴訟にならざるを得ない。そこで、責任というものをきわめてはっきりと私は伺っておきたいのですが、この点について、同一状態に今後置いて、あるいはこれを同一状態に近い状態に置いて、これはむしろ水産庁にお願いしたほうがいいと思うが、さら試験をしてもらいたい。  それから、海上保安庁といえども、これは当然、海上の保安をつかさどる立場からいって、全然責任がない、そういうところまで立ち入るべきでないということにはならないと思う。特に、あなたは過失ではないということを明確に言っておられますが、なぜ過失ではないのですか。
  51. 和田勇

    政府委員和田勇君) お答えいたします。港則法では、故意を罰しているわけでございます。これは、座礁いたしまして、わざと灰を捨てるとか、そういうことはやっておらないということを申し上げたのであります。刑法百二十九条の場合は、過失でも罰しますので、十九日に送検すると申し上げたのであります。
  52. 片岡文重

    片岡文重君 十九日に送検するということになれば、一応海上保安庁としては、十分な調査の上に立って、これは送検すべきだという結論に達して、送検されるのだと思います。その場合、送検する理由は、たまたまあの航路上において事故を起こしたというだけのことなんですか、それともそれによって多数の被害を与えておるというところまで含んでおるのですか。
  53. 和田勇

    政府委員和田勇君) お答えいたします。  私のほうは、ただいま申しました刑法の過失艦船覆没、こういった点でございまして、ノリひびに与えました損害につきましては、漁民の皆さんからも御報告をいただいておりますが、専門でございませんので、はたしてこれがどの程度の金額の損害であるか、また先ほど繰り返し申しましたように、海水が入った油と、イーグル号付近及びイーグル号の船倉にあります油とが同一性を確認できない、推定程度でございまして、この関係の因果関係断定はできませんので、私のほうは所管外でございますので、今申しました刑法百二十九条の点だけでございます。
  54. 片岡文重

    片岡文重君 事故の起こったときに海上保安庁の係官が、保安署ですか事故を検証されました、調査されましたそのときの報告はどういう報告が保安庁になされておるのか。  それから、船長からの報告書というか、始末書というか、これは当然求められておりますが、それはいつ出されたのか、どういう内容であるのか。
  55. 和田勇

    政府委員和田勇君) お答えいたします。私のほうの直接調査に当たりましたのは横浜の海上保安部でございます。もちろん本庁も指示いたしております。また、本庁からも人を派遣いたしておりますし、巡視船、巡視艇また飛行機も出しております。それから報告は逐次参っておりまして、日にちははっきり覚えておりませんが、向こうの船長からのステートメントは約一週間前に参っております。
  56. 片岡文重

    片岡文重君 事故発生して直ちに調査に行ったはずですが、そのときの調査はどういうふうにして行なわれたのですか。それから船長の報告書の内容ということをさっき申し上げたのですが、その内容はないのですか。
  57. 和田勇

    政府委員和田勇君) お答えいたします。私のほうは、すぐ翌日に、十四日の二十一時三十分ごろに乗り上げまして、船底が破れて油が約一千五百バーレル出たということを翌朝になって知りましたので、さっそく船を出して調べております。船長の供述は、自分は本船の前を横切ろうとした船が二隻ございまして、これと衝突を避けようとして第二海堡座礁した、その際に今申しましたように底を破って油が出たということでございます。
  58. 片岡文重

    片岡文重君 事故発生したという連絡が二十一時三十分にあって、直ちに出動して調査をした、その調査をした場合には船内に立ち入って調査したのかどうか、そのときの報告はどういう報告がなされておるのか。
  59. 和田勇

    政府委員和田勇君) お答えいたします。事故のありましたのが二十一時三十分ごろでございまして、翌朝受けております。その翌日船内に立ち入らずに調査をいたしております。
  60. 片岡文重

    片岡文重君 事故があったという連絡は、その事故の起こったときの二十一時三十分、つまり十四日の二十一時三十分に連絡があったと先ほどおっしゃったのじゃないですか。
  61. 和田勇

    政府委員和田勇君) 事故がございましたのは二十一時三十分ごろで、連絡がございましたのは翌朝でございます。
  62. 片岡文重

    片岡文重君 二十一時三十分ごろに事故が起こって、それで連絡があったのは翌朝ということになると、翌朝の何時ごろに連絡があって、それで調査に行ったのは一体何時ごろなのか。
  63. 和田勇

    政府委員和田勇君) 先ほどお答えしましたのを少し訂正さしていただきます。二十一時三十分ごろにイーグル号座礁したというのは、二十二時に保安部に参っております。そうして夜でございますので、御案内のとおりまっ暗でございますので、私の方は翌朝、こういうことでございます。
  64. 片岡文重

    片岡文重君 二十二時ごろに連絡があって、それで調査に行って、夜のことだから引き返した。しかし、その場合に調査もしないで引き返したのですか。行って調査をして引き返したわけでしょう。どういう調査をしたのか、どの程度調査をしたのかということを聞いておるのです。
  65. 和田勇

    政府委員和田勇君) 二十二時ごろに人命、財産に被害はないかということを調べまして、直接の油の流出はもちろんあるということは存じておりましたが、暗くてよくわかりませんので、一応座礁いたしましたときに、あるいは死傷者が出る、あるいはその他の工作物等の財産に被害がないか調べまして、油の方は非常に御案内のようにこれは水面に拡散したものでございまするから、翌朝詳細に調べたわけでございます。
  66. 片岡文重

    片岡文重君 ちょっと長官の答弁について申し上げますけれども、何かあなた少し潜在意識といいますかな、何か自分が考えるところがあって返事しているようだけれども、私は決してあなたを困らせようと思って聞いておるわけじゃないのですよ。そう先のことまで考えないで、ほんとうのことを言って下さいよ。二十二時に調査に行って、そうして人命——油の流出することはわかった。さっきのお話では暗くて何もわからなかったと言っているじゃないですか。流出していることがわかったというならば、当然これは、やはりあの第二海堡ですから、近くに漁業のさくやなんか、ノリさくやなんかあることがわかるわけだから、そういう措置もとられなければならないのだけれども、それはわからなかったというのならばしようがない、過去のことだから。人命も損傷ないと今あなたおっしゃったようだけれども、少なくとも人命は損傷がないなどということは船内に立ち入らないでどうしてわかるのですか。あなた今船内に入っておらないと言ったじゃないですか。
  67. 和田勇

    政府委員和田勇君) お答えいたします。たいへんたびたび答弁を訂正いたして恐縮でございますが、二十一時三十分に座礁、それを二十二時に受けまして、直ちに出動いたしまして、船内には立ち入っておりませんが、イーグル号から聞きましたところ、人命財産に損傷はないということで、そのときは油の流出を存じなかったというのが現状でございます。
  68. 片岡文重

    片岡文重君 日本の船がそういう座礁事故なんか、海難事故を起こした場合に、今このイーグル号には、長官は船内に入っておらないという話でしたが、日本の船が日本の領海内で海難事故を起こした場合に、保安庁の係官は、その船の船内には立ち入らないのですか。入って調査をしないのですか。
  69. 和田勇

    政府委員和田勇君) おっしゃるとおりでございまするが、このイーグル号の具体的な事件につきましては、今申しましたように、人命財産に損傷がないということで、まあ引き揚げた、こういうのがほんとうでございます。
  70. 片岡文重

    片岡文重君 あのね、その人命財産に損傷はないということを船の外から見てわかったのですか。船の中にある財産や人命の損傷はないということは舷側からどうしてわかったのですか。
  71. 和田勇

    政府委員和田勇君) 事故が起こったのは夜でございまして、私のほうの巡視船がイーグル号の船長から聞いておるわけでございます。
  72. 片岡文重

    片岡文重君 その船内に入らないで人命財産に異常がないというととがイーグル号の船長の証言からわかった、わかったのでなくてそれを信用したということだと思うのですが、しからば、なぜ立ち入らなかったのですか。調査しなかったのですか。日本の船の場合に、やはりそういう海難事故の場合に、船長の言うとおりに、はい、そうですがと言って、海上保安庁の係官は引きさがるのですか。
  73. 和田勇

    政府委員和田勇君) 夜分のことでございまするし、向こうの船は非常に大きく、かつわがほうの巡視船は非常に小さいものでございましたから、一応先生のおっしゃるように、船長の言を信用して、われわれのほうはさように考えたのであります。ところが座礁いたしまして、直ちに油が流出したのではございませんで、徐々に流出したのだとは思いますが、これもその翌朝になってわかった、こういうことが事実でございます。
  74. 片岡文重

    片岡文重君 ちょっとそこにおっておやんなさいよ。どうもあなた、何か先を意識しておられるようだけれども、今油の流出を聞いておるのではない。船内に入らないで、船長の言うことを聞いてきた、こっちの船は小さいのだけれども、大きな船でもちゃんと縄はしごもあるし、降りられるようになっているでしょう。そうでしょう。それを上がれない。特に夜なら、なおさら船内に入って、人命に危惧はないかどうか、考えるのがあたりまえじゃないですか。それをもっと、とにかくはっきりした、われわれがなるほどもっともだとうなずけるような説明をして下さいよ。
  75. 和田勇

    政府委員和田勇君) お答えいたします。一般論としましては、私のほうも外国船といえども船内立ち入りをいたしております。しかしこの事件が起こりましたときの具体的な状況を申し上げますと、夜分であり、それから少し波もあったというようなことで、危険であるというようなことから、しかも今申しましたように、乗組員あるいはその他の財産に損傷がないというので、通常日中でございますれば船内立ち入りはしばしばやっております。この点は誤解のないようにお願いいたします。
  76. 片岡文重

    片岡文重君 ちっとも誤解などしていない。冗談じゃない。夜分であればなおさら入ってその調査をするのはあたりまえだし、入るようになっている。あなたは風も強くて波も高かったというようなことを言ったけれども、そんなようなことはありませんよ。
  77. 和田勇

    政府委員和田勇君) 翌朝、私のほうが零時十五分に横づけをいたしまして入っております。
  78. 片岡文重

    片岡文重君 どうもこれほどの被害を沿岸漁民に与えておきながら、しかも、突如としてこの事件をあなた方に伺っているのじゃないのです。農林水産委員会においても、衆参両院において伺っている事件ですよ。それだのにこれは経過の第一歩、事件の発端じゃないですか。それくらいのことがこうして何べんも何べんも繰り返して聞かなければ返事ができないというのは、あなた方いかにこの問題について誠意がないということを露骨に証明しているものだ、初めて言っているのじゃないのだ。私はあまりこういうところででかい声を出したくないんですよ。しかし、つい出ちゃうのだ、そういう答弁をされると。そこで、とにかく立ち入りをしなかったということは明らかになりました。しかし、なぜしからば立ち入りしなかったというと、向うの船が大きくてこちらが小さい、しかしそれは理由にはならない。もっとあなた方には入れない理由があったはずですよ。波も決して高くはない。特にこれは海上に浮んでいる船で、強風下に難破した船ではない。今あなたの説明によれば、本船の前を横切ろうとした船をよけるために座礁したわけです。明らかに本船の前を、よけなければならないような至近距離を小さな船が通るような状況にあったのではないか。特に気象庁の調査によれば、当時は快晴であった。風速三メートルじゃないですか、ほとんど海上においては無風状態だった。入れないことはないですよ。
  79. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 片岡さん、警備救難課長がよく事態を知っているそうですから、これに説明をさせたいと思いますが、いかがですか。
  80. 片岡文重

    片岡文重君 私はこの際了承します、本件については。しかし、その了承するについては、運輸大臣を初め海上保安庁長官も、先ほど申し上げましたとおり、この事件は決してきょう突如として私は不意に伺っておるのではないのです。衆議院農林水産委員会でも現地視察をしており、参議院農林水産委員会でも現地視察をしており、衆参両院において調査しておる。しかも昨日衆議院の農林水産委員会では決議までしているじゃないですか、それなのに、むずかしいことを聞いているのではない。調査をなされたその経過の第一歩を伺っている。それが責任者として答弁ができない。しからば、これは運輸大臣として答弁するのはあたりまえじゃないですか。そうむずかしいことを聞いているのではないんですよ。それなのに何べんも答弁できない。はなはだもって私は心外至極です。千葉県の特に二万近い漁民があしたの米にも困るような被害状態に陥っているのです。いつ一体これを解決してくれるのです。そういうことを考えたならば、ほんとうにあなた方は政治家として責任をとるなら、もっと被害漁民立場に立って考えてもらいたいと思います。答弁ができないというなら、私は事件を明確にして、責任の所在を明らかにするのが目的ですから、そのわかる担当官の説明を了承します。
  81. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 私どもは、座礁報告海上保安庁が受けて、何時何分に行って、どうしたという詳しいことは私は聞いておりません。と申しますのは、ノリひび被害がどこの油であるかということが問題であったわけですが、それは先ほど申し上げましたとおりであります。したがって、座礁した当時に海上保安庁がなすべき措置をしなかったということであったかどうかということについては、私は何時何分にどうだというようなことは、私は今まで聞く必要はないと思っておったわけです。
  82. 加瀬完

    加瀬完君 関連
  83. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) よろしゅうございますか。
  84. 片岡文重

    片岡文重君 どうぞ。
  85. 加瀬完

    加瀬完君 運輸省は、初めて油の流出があったわけじゃないですね。何回もあったことです。一年おきぐらいにある。しかも、どこの国籍の、どこの船が流した油だということを明確にしたことは一回もない。被害は一年おきぐらいにたびたびあるわけです。したがって、今度の場合も、水産庁の問題だとか農林省の問題だとかということではなくて、油というものにはもっと敏感になっておらなければならないはずです、責任上。そこで私はあらためて伺いますが、立ち入ったか立ち入らないかは別問題として、船に損傷があったか、なかったかというのは当然聞いたんでしょう。油の流出はあるんじゃないかという疑念は何にもお持ちにならなかったのか。油が流れ出すというような心配がないかということは聞かなかったのかどうなのか。この点だけを明らかにしていただきます。
  86. 和田勇

    政府委員和田勇君) お答えいたします。  その前に、ただいま先生から、運輸省は一回も確認してないというお言葉でございますが、お言葉を返すようで恐縮でございますが、実際にこういう事件につきまして私のほうで、何々丸あるいは何々号が油を流して損害を与えたという結論を出したことはございます。  次に、先生が仰せになりましたこのイーグル号事件につきましては、その際にまだ油の流出がなかったというのがほんとうでございます。
  87. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 片岡さん、先ほどのあなたの御質問に対する終始一貫した答弁を救難課長からやらせますか。
  88. 片岡文重

    片岡文重君 了承します。
  89. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 課長、先ほどの片岡さんの質問をお聞きになっておるでしょうが、続けて終始明確に——大体の御質問の点がわかっておると思われますから、それをおっしゃって下さい。
  90. 松本満次

    説明員(松本満次君) お答えいたします。  二月十四日の二十一時三十分ごろ第二海堡に米国の船が座礁したというので、横須賀の保安署にその連絡が二十二時ごろに参りまして、それからすぐ所属の巡視艇を現場に差し向けたのでございます。ところが、その巡視艇が到着したころには、ちょうど潮の流れのまっ最中でございましたし、船もちょうど座礁しておるところでございまして、磯波も多少ございましたので、夜間でございますので、すぐ船を横づけして上へ上がって調査するということが非常に困難でありましたので、翌朝といいましても朝午前一時十五分でございますが、翌朝になりまして、しばらく待っておりまして、そうして船へ上がりまして調査したのでございます。
  91. 片岡文重

    片岡文重君 夜間のことでもあり、潮流が激しくて、まっ最中であった。で、はいれない。そうすると、その一時十五分ころにこれに到着をして、そうして待っておった。待っておって翌朝になってから船内に入ったのですか。
  92. 松本満次

    説明員(松本満次君) 巡視艇が到着したのは横須賀まででございますから、もう少し早く、十四日の晩に着いておると考えます。それから着いてすぐは船へ上がれなかったのでございますが、しばらく待っておる間に潮がたるみに近くなりまして、そうして入った、こういうのでございます。
  93. 片岡文重

    片岡文重君 じゃ、船内に入ったということが明らかになりましたが、そうすると、船内に入ってその調査をされた結果、人命、財産に異常がないことがわかった。しかし、人命はともかくとして、財産に異常がないというその異常のない財産からどうして油が流れるようになったのですか。
  94. 松本満次

    説明員(松本満次君) 当時は、船の周囲を見ましたのでございますが、油の流れておる状態は発見できなかったのでございます。
  95. 片岡文重

    片岡文重君 発見できなかった……。
  96. 松本満次

    説明員(松本満次君) はあ。その件は、船に聞いてもおそらくわからなかったのじゃなかろうかと思います。ところが、人命、財産に異常がないというので、自分も周囲を調べまして、異常がないように認めましたので、一たんまた横須賀へ引き返しまして、そうして翌朝七時ごろだったと思いますが、再び調査に出かけた。この時分にはもう日が出ておりますし、海面もすっかり明るくなっておりましたので、油が出ておるということが認められたのでございます。
  97. 片岡文重

    片岡文重君 それでは、救難課長の答弁でやむを得ませんから、今の十五日の一時十五分に本船に到着をして、それから今日までとられた措置について、メモもあると思いますので、概略でけっこうですから、ここで全部説明してもらいたい。
  98. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) それは救難課長からでもよろしゅうございますか。
  99. 片岡文重

    片岡文重君 やむを得ません。大臣やなんかじゃわからんというのだから。
  100. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 今の片岡委員の御質疑の点よくおわかりですね。どうぞ説明を願います。
  101. 片岡文重

    片岡文重君 メモを持ってきていいですよ。
  102. 松本満次

    説明員(松本満次君) お答えいたします。横須賀から巡視艇が参りまして、またそれと一緒に横浜のほうからも巡視艇が参って、二隻で調査しておったのでございますが、その二隻のうちで、おのおの時間は多少変わっておりますけれども、巡視艇「ちぐさ」がイーグル号の左舷側及び第二海堡の北側附近一帯に重油が多量に浮流しておるということを横須賀へ帰ってきまして十五日の十時三十分に報告をしております。それから片や横浜から出て参りました巡視艇も、ほとんど前後いたしまして油の流出を認めております。これは十三時三十分でございます。したがいまして、横須賀保安署は、直ちに代理店であります飯野海運に対しまして流出油の処理について早くこれを化学処理をするように勧奨をしております。その勧奨に従いまして、十六時に曳船関東丸、これは百六十トンでございますが、これは乳和剤のガムレンという薬品をドラムカン十二本に詰めまして横須賀を出港いたしまして、この取扱店は山水商会でございますが、行っております。関東丸は、現場へ到着後、第一、第二海堡の間の流出油にガムレンを散布して沈澱をせしめたのでございますが、時間がおそうございまして、もう暗くなるし、また、風が強くなって参りましたので、作業を中止してその日の二十時二十分に帰投をしております。それから油が流れておりますので、横須賀の海上保安署は直ちに富津から木更津方面の漁業組合に対しまして連絡をいたしまして、付近のノリ組に対しまして自衛手段をとるように通知をしてあります。それから、ずっと十六日になりまして、千葉県の大貫から青堀にかけて漂着油によるノリの被害発生したという報告を受けております。それに対しまして、横須賀の保安署は、同日の十一時四十五分、代理店に対しまして、このイ号の引きおろし作業時に油が流出するかもしれないということが予想されますので、その除去に対しまして万全の準備をするように、勧告をしております。
  103. 片岡文重

    片岡文重君 その程度で……。今の説明の中で一つ聞いておきたいのですけれども、直ちに巡視艇「ちぐさ」その他もう一隻が出動しておるのですが、これを認めたのは十五日の十時三十分ころに、油の流出を認めておる——認めたのはもっと早いでしょう。これは十時三十分に帰投して報告をしておる。少なくとも油の流出が沿岸に向かっておるということになれば、漁民に非常な損害を与えるであろうということはすぐわかるはずです。なぜ、これを帰投するまで待っていたのですか。船から、無電その他によって当然早く処置すべきだと思う。どうしてこれを帰るまで報告待っていたのですか。
  104. 松本満次

    説明員(松本満次君) 船には直接保安署との間の通信をする設備がございませんので、やむを得ず、横須賀まで引き返しまして報告したという次第でございます。
  105. 片岡文重

    片岡文重君 運輸大臣は、先ほどいかにも海上保安庁のやることに手抜かりはないというようなことをおっしゃっておられたが、大体、今あなたがお聞きになってもわかるように、これはどういう措置をとったか、どういう経過をとったかということを詳細に掌握しておらなくて、どうして責任があったかないか、つまり手抜かりがあったかないか、海上保安庁としての責任があるかないかということが言えますか。事件が起こってから海上保安庁として当然とるべき措置をとったか、とっていないかということは、詳細に何時何分にどういう報告をしたかということを聞かなければわからないじゃないですか。それを全然承知しておらないで、ひたすらに責任がなかったかのごとく、なかったなかったということだけで、きわめて私は無責任だと思う。今伺えば、少なくとも巡視艇が無電装置も持っておらない、こういうものをあなた平気でもって配属させておいて、運輸大臣として、あなたよろしいですか、これ……。
  106. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 巡視艇が無電装置を持っていないということは、装備の重大な欠陥だと思います。今後、巡視艇にはすべて無電を備えるようにいたしたいと思います。
  107. 片岡文重

    片岡文重君 時間がありませんから、たいへん意に満ちませんけれども、先に質問を進めます。  先ほど冒頭の報告の中には、何かこの船は民間船であるというようなことで、外務大臣でしたか、どの大臣でしたか忘れましたが、地位協定十八条にも該当しないというようなことも言っておられましたけれども、この船がどういう性格の船であったかということは、海上保安庁としては御調査になったのですか。
  108. 和田勇

    政府委員和田勇君) お答えいたします。これはアメリカの軍用船でも、また御用船でもございません。純粋の民間船でございます。
  109. 片岡文重

    片岡文重君 その軍用船でもない、公用船でもない純然たる民間船だということは、どうして立証できるのですか。この船が持ってきた物は、私の聞くところによればアメリカ海軍の油を積んできたということですよ。
  110. 和田勇

    政府委員和田勇君) 調達庁からそういうことを承っております。
  111. 片岡文重

    片岡文重君 調達庁の者は来ておりますか。
  112. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 片岡君、来ておりません。
  113. 片岡文重

    片岡文重君 やむを得ません。こういう場合に海上保安庁としては、海難事故を起こした場合にも、軍用船あるいは公用船といいますか、そういうものと民間船とでは、きわめてデリケートな問題も起こるでしょうし、したがってその取り扱い等についても、非常な相違があると思う。特に軍用船の場合には、これは条約によって立ち入りができない、調査はできない、これはしかし調査をしているのですから民間船だ、この民間船であるということは、調達庁から聞いて初めて知ったということになると、その調査に行ったときにまだその性格はわかっておらなかったはずですね。
  114. 和田勇

    政府委員和田勇君) お答えいたします。私のほうで、船が入って参りますときに出入港手続がございまして、その書類で存じておったわけでございます。
  115. 片岡文重

    片岡文重君 出入港手続と言いますと、これは入ってきたときの手続ですか、出るときのですか。少なくとも出入港手続が事前にとられたということになれば、これは来るときから軍関係ではなかったということを意味すると思うのだが。
  116. 松本満次

    説明員(松本満次君) 油を積んで横須賀へ入港するまではわかりませんでございましたが、横須賀へ入りましてから、入港届と一緒に出港届を出しております。それによりまして、まあ帰りはおそらく一般民間船であったと思うのでございます。
  117. 片岡文重

    片岡文重君 どうもその程度の確認では、私はきわめて不十分だと思うのですけれども、時間がありませんから、それらの詳細については、のちの委員会等において、さらにお尋ねをすることにいたします。  で、運輸大臣に伺いますが、海難審判法による所定の調査が、当然なされていると思うのですけれども、その調査の結果はどういうことになっておりますか。
  118. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) まだ海難審判所の調査の結果は聞いておりません。
  119. 片岡文重

    片岡文重君 どうも政府のこれに対する態度は、きわめて誠意のないものと認められますから、この際私はちょっと参考までにここで申し上げておきます。  二十九年の二月九日に千葉県の館山市、白浜町の沖合いで、船舶の廃油によって海草、アワビが甚大な被害を受けました。それから数えて三十五年の十二月十八日まで十四件。千葉県だけですよ、これは。千葉県の東京湾岸だけで十四件、二十九年の二月から三十五年の十二月まで。しかも全部がこれは船です。二十九年二月が船舶の廃油、三十年の一月は同じ、十一月が座礁船による廃油、三十一年同じ。以下です、全部船の廃油です、これは。しかもですよ、これに対する被害はほとんど補償されておらない。こういう状況にあるのです。これは今千葉県だけです。北海道、東京、神奈川、愛知、大阪、和歌山、兵庫、広島、山口、長崎、各県にこれは及んでいるのです、出ておるのです。こういう状態にあってですね、零細な、その日の生活にも困るような漁民がたくさんおる、それらの被害に対して一顧もしておらないやり方です、きわめて残念です、私は。  それで今後のことについてですね、少しく伺いかつ要望も申し上げておきたいのですけれども、先ほど運輸大臣のお聞きのところで外務大臣に、この海水汚濁防止条約について、すみやかに加盟するよう要請いたしました。で外務大臣も、早急に加盟するような国内の措置をとりたいということを言っておられましたが、この加盟措置をとるためには、やはり国内の施設としていろいろなものを作らなければならない。しかも、その作るためには、これは石油業者その他の人たちの積極的な協力がなければできません。でこれについて運輸大臣はどういうふうにお考えになっておられるのか。業者を督促して、いろいろな陸上施設等を早急に整備させる、国もなすべきことはやるということでこの条約の加入について積極的な促進の努力をしていただけるのかどうか。所見を伺っておきます。
  120. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 私も、外務大臣お答え申し上げましたように、できるだけ近い機会にこの条約の批准のできるように国内態勢を整えたいと思っております。それにつきましては、農林大臣の御協力も得てやりたいと、かように考えております。
  121. 片岡文重

    片岡文重君 昨年の十二月の中旬に千葉県の船橋の沖合いで、沖合いではありません、これは岸壁です、船橋港の岸壁で、これはある石油会社、これは明らかになっております、で何か強制的な、まあ強制という言葉をここで使っていいかどうかわかりませんが、とにかく示談が成立したとかしそうにあるとかいうことを聞いておりますから、しいてこれを取り上げるわけではないのですけれども、しかしながら、このなされた事故が、船橋港の沖合いではなくて船橋港の岸壁の近くで、ある石油会社のタンカーが油を投棄しているのです。そのために、この近くのノリさくは全滅近い被害を受けております。で、しかしながら、これを投棄するときには、ほとんど気づかずにやったんでしょうけれども、投棄している現場を漁民が見ておる。けれども写真にもとれないし、あとになって立証することもできない。そこで会社側はこれを否認をしております。そうしてあとになって、進出会社一同として見舞金をもってこれを片づけようとしておるわけです。見舞金の程度ですから、これはいわゆる握り金です。それでもまだ取れたほうはいいほうなんですよ。そういう状況にあるのですが、これらの例を見ても、この油類試験場を、早急に鑑定できる油専門の試験場を、船橋とか川崎とか横浜とか、あるいは四日市とかこういうところに早急に国として、あるいは地方公共団体に補助を与えるなどしてこういう油類試験場をひとつ設置さしたらどうかと思うのですが、これはむしろ運輸大臣というよりも、農林大臣のほうに関係があるかもしれない。で、ひとつ、経費等の点もありますから、ぜひこれは私は相談をして作ってもらいたいと思うのですけれども、両大臣の御所見を伺いたいと思います。
  122. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) どの省の所管か、非常にむずかしい問題でございますが、いずれにいたしましてもそういうことが必要であろうと存じます。関係省協議をいたしまして、できるだけ御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  123. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。  たびたび沿岸にこういう汚水汚毒のあることは非常に遺憾に存じます。水産試験場等を活用いたしまして、十分そういう際に備えるようにいたしたいと思います。水産試験場等に設備を十分いたしまして活用するようにいたしたいと思います。
  124. 片岡文重

    片岡文重君 今でも水産試験場等にはその施設は若干はあるようです。特に今度の事件についても、水産試験場等の施設も利用しているようですが、少なくとも事故が起こってから一カ月も二カ月もかかる。しかも、その間には油の変質等によって結果は出てこないのです。こういうふうなことでは困るので、早急にやっていただきたいということをお願いするわけです。  それから今のはこれは試験場ですけれども、さらに東京、名古屋あるいは阪神、千葉等の各油類の陸揚げをするような港には、廃油の処理場、これは陸上施設です。明らかに。廃油の処理場をひとつ早急に私は設置してほしいと思う。これはないのは日本だけだと聞いております。海上汚濁の見地からいっても、これは早急に浮いておる油を集めて処理するということが必要だと思うのですが、この点についてもひとつ、これはどうもどこの所管になるかちょっとわかりませんけれども、こういう点が起こった場合にひとつ大蔵大臣としてもできる限りの予算措置を了承してほしいと思うのですが、いかがですか。
  125. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今の問題は、所管は通産省でございますが、十分相談いたします。
  126. 片岡文重

    片岡文重君 次にこれは運輸大臣に要望を申し上げます。  先ほどの巡視艇一つをとってみても、今日は海難救助あるいは海難調査に向かう巡視艇が無線装置も持っておらないというようなことでは、これはもう他は推して知るべしです。で、数年前、これはやはり千葉県の富津沖アメリカのフリゲート艦による事故がありましたときに、それから銚子河口における海難事故あったときに私は調査したのですけれども、ほとんどそのときと進歩しておらない。で、高速の近代設備を持った巡視艇をすみやかに私は整備してほしいと思う。で、特に救命ブイの投射機等、船の中からも陸上からもやれるようなものをひとつやってほしいと思うのですが、それからさらに港湾関係の要員がきわめて足らないということも聞いております。さらにこの救難設備について非常な不満足な状態にある。こういうものも早急にひとつ実現をしてほしいと思うのですが、運輸大臣はどうお考えになっておりますか。
  127. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 私のほうとしましては、ほしいほしい念で一ぱいでございます。今後もさらに大蔵大臣にお願いをいたしましてできるだけ早急に整備のできるようにいたしたいと思います。
  128. 片岡文重

    片岡文重君 大蔵大臣にはまとめて答弁していただきます。  農林大臣にお伺いいたしますが、お聞きのとおりの状況で、非常な困難な状態にこれらの漁民は陥っております。そこでとりあえず当面の生活資金、それから再生産準備資金等について、これは加害者も明確でありますから、全面的に国家がこれを補償する等のことはでき得ないとしても、何らか政府が地方公共団体を督促する等の措置をとって、十分な、でき得る限りの、法にとらわれた冷たい措置でなしに、実際にその日の生活に困っておる漁民立場に立って、ひとつでき得る限りの措置をとってもらいたいと思うのです。何か、一昨日ですか、聞くところによると、文楽の保存会にも相当な予算措置を講じたいという御発表でありました。まことにけっこうなことです。大いにやっていただきたいが、同時に、その日の生活に困るような人たちに対してもそういう臨機応変の措置がとられてしかるべきだと思うのです。農林大臣としてこの点についての積極的な関心のある御答弁をいただきたい。
  129. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 県のほうもせっかく御努力をされておるようでございますが、いろいろ相談をいたしております。県としてやっていただく点と、国としてやるべき点とを調整をいたしまして、国としてなすべきことにつきましては、十分大蔵省と連絡をとりまして、でき得る限り努力をするつもりでおります。
  130. 片岡文重

    片岡文重君 大蔵大臣に、今の点とあわせて先ほどの施設急設の問題、さらに所得税法等の活用によって、これらの漁民の減免税についてでき得る限りの措置をとっていただきたいと思いますが、大蔵大臣いかがでしようか。
  131. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この問題は、今まで各大臣から御答弁でお聞きのとおりでございまして、私ども、地元の問題でもございますので、非常にこの問題は心配いたしまして、河野大臣以下、皆様にお願いしてこの問題の解決をお願いしておりますが、お聞きのとおりで、米軍のチャーター中のものであったかどうかということは調達庁で今調べておりますし、それによってくるいろいろ地位協定以下の法律解釈の問題は外務省でございますので、ここで相談の上、これは政府としては積極的な渉外活動をやるというような方向で現在進んでおりますし、それから水産庁を中心といたしまして、今後の問題をどうするかというようなこともただいま関係者と相談をしておるときでございます。ただ、天災と違いまして、原因者が判明すれば、そこが当然賠償すべき性質のものであって、そういう問題をおいて国が直接この助成措置をとるという性質のものでございませんので、その点に問題がございますが、しかし、いずれにしろ、この解決は相当長引くことと思いますので、その間のつなぎ資金のようなもの、融資のあっせんというようなものは、これはしなければならぬと思っておりますので、これはただいま大蔵省も農林省といろいろ相談をしておるところでございます。  で、税のほうの問題は、油の流出でノリや貝が死滅したということですから、当然赤字になることと思っておりますが、この赤字はこれから向こう三年間にわたって控除されるということになっておりますし、ノリをつけている棚の問題は、これは雑損控除の規定を適用して所得から控除するばかりでなく、やはり三年間に繰り越して控除をするという方法をとることになっております。現地の税務署からの報告によりますと、とりあえずそういう補償のない申請を期日までにさせてある状態であるということでございます。それから、そのほか町村民税につきましては、これは自治法の規定によりまして町村長が、負担力が著しく減少したときには、地方税法の規定によって市町村長が減免を行なうことができるということになっておりますので、これは現地において今後しかるべく措置されることと考えております。
  132. 片岡文重

    片岡文重君 農林大臣にもう一つ伺っておきたいのですが、共済会に養殖漁業者の加入の問題です。現在では御承知のように養殖漁業者はほとんど加盟しておりません。これは法の不備、加入できないような条件に置かれておる、ですからこれを現状にマッチするように急速に改めてもらいたいと思うわけです。この点については関係業者はもちろん、全水共あたりでもきわめて熱心に運動しているはずですから、これは早急にひとつよく意見を聞いてもらいたいと思うのですが、農林大臣のひとつ御所見を伺っておきたいと思います。
  133. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。  お話しのとおりの情勢でございますので、十分検討いたしまして、なるべく結論を早く出し、善処いたします。
  134. 片岡文重

    片岡文重君 この問題については、まだまだこれからというところでありますけれども、時間がございませんから、委員会関係のところで残余の問題をお伺いすることにして、一応この点については留保しておきたいと思います。
  135. 加瀬完

    加瀬完君 関連政府委員に御確認をいただきたいのですが、ただいまの油の問題でありますが、油は、外洋から流入したものではない、湾内に沈澱された油が浮流したものでもない、陸上から流出したものでもない、座礁船の油以外流入原因はない、こう確認してよろしいですか。
  136. 和田勇

    政府委員和田勇君) お答えします。ただいま先生のおっしゃったようなことかと存じます。
  137. 加瀬完

    加瀬完君 ことだと思います、では足りませんで、確実にこれ以外ないという確認をいただかないと、訴訟になった場合にあいまいになりますから、これは運輸大臣から御確答をいただきます。ほぼ、というふうなことをおっしゃらないで……。
  138. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) ごもっともに存じますが、正確に申しまして、浮流したものでもない、あるいは外から入ってきたものでもないということは、これははっきり断定をしろとおっしゃるのは、ちょっと無理じゃないかと思うのであります。ただ、海上保安庁としましては、故意に流したというものはどうも見当たっていないということははっきり申し上げております。
  139. 加瀬完

    加瀬完君 油がどこから流出したかという原因をはっきりさせるのが、これは運輸省責任ですね。したがいまして今度の場合ですよ、沈澱したものが浮き上がったものでもなければ、陸から流れ出したものでもなければ、外から来たものでもないということを御確認いただかなければ、あなた方の責任は明確にならないと思います。政府委員がああ答えているのですから、それをもっと確実に大臣からお答えになれば、私はそれで満足します。
  140. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 海の上に油があった、それはどこから来たものか、これは運輸省が確認する責任があるとおっしゃいますが、しかしどうも今のところそういうことになっておりませんので、たとえば工場から流れ出るものもありましょうし、具体的の場合は、私はよく存じませんですよ。そこにそういうことがあったかどうか、あるいは今おっしゃられました浮流というか、下に沈んでおったものが浮いてくることがあるようなお話しでございましたが、そういうことがもしあるといたしました場合に、これを海上保安庁が確認する、あるいは運輸省が確認するとおりしゃいましても、今の機構ではちょっとその点は確認できません。
  141. 加瀬完

    加瀬完君 くどいようで恐縮ですが、座礁船から油が流出したと認めると、こうおっしゃっているのでしょう。そうするならば、沈澱の油でもなければ、陸上の油でもない、まして外洋から来たものでもないということが確認されなければ、座礁船から出た油だということは確認できないのですね。で、十六日の巡視艇は、油の流出しているのを認めているのですから、座礁船から油が流れているのを認めているのですから、したがいまして、沈澱の油でもなければ、外洋から来た油でもなければ、この地域は陸上から流出する条件はございませんから、座礁船の油だとこれは御確認をいただいてよろしいのじゃないかと思います。この御確認ができないというならば、何をしておったか。もう一回これはやり直さなければならない。
  142. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 正確に申し上げまして、座礁船から油が流れ出たということは確認をいたしております。
  143. 片岡文重

    片岡文重君 文部大臣にお尋ねいたします。時間がありませんので舌足らずですが、ひとつお考え下さい。  お尋ねしたいのは、学校給食の制度について、完全給食にひとつやっていただきたいと、こういうことが御質問の趣旨です。それで、昨年答申が出されました学校給食制度調査会から、この答申を拝見し、そして今年度計上されました予算を見ると、この答申が尊重されたとは私は言えないと思うのです。で、文部大臣としては、この点はどういうようにお考えになっておられるのか、そこからまず伺っておきたいと思います。
  144. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、昨年八月であったと思いますが、学校給食制度調査会から答申がなされております。結論的にだけまず申し上げれば、あの答申の趣旨を尊重いたしまして、検討をして実現をはかりたいと思っております。ただ、答申も相当理想的な考慮を払っておるようでございまして、現在の学校給食法の趣旨を、根本趣旨を変更してでも、完全給食へ持っていけという趣旨で貫かれているように存じますが、このことは、検討するにいたしましても、相当むずかしい問題であろうとは思っておりますが、学校給食の持つ価値、意義等にかんがみまして、できるだけ実現をはかりたいという気持で検討をし始めております。
  145. 片岡文重

    片岡文重君 あの答申の趣旨を尊重してやると。理想的な面も、確かに今の皆さん方のお考えからすればいえるでしょう。しかし、それまで考えなくとも、とにかく少なくとも小学校五カ年、中学十カ年程度の年次計画は、私はすぐ立ててしかるべきじゃないかと思う。そういう点を、やっぱりその程度のことは、あの答申に従ってやるべきじゃないか。予算にはしかし組まれておらない。まことに私はこれは残念だと思うが、この点は、年次計画等を立てる意思があるかないか、この点をひとつ。
  146. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  年次計画を立てて実現をはかりたいと思います。ただ、先刻も申し上げましたように、答申の実質的なねらいは、現行法では、御案内のとおり給食のための施設設備ないしは人件費等を父兄負担等にならないように十分にやろうという目標は、努力的な考え方で、給食の実施義務者に要請しておる趣旨でございますが、答申は、給食費そのものを国費で半額負担の見当でやれと、こういうことになっておりまして、それまで含めてのはっきりした年次計画は、これはなかなか簡単ではないと思いますけれども、現行法の趣旨に基づいた年次計画をまずもって考え、並行的に、答申の趣旨を実現する裏づけをあわせ考えながら、できることならばやりたい、かような考えであります。
  147. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 片岡君。持ち時間が切れましたが……。
  148. 片岡文重

    片岡文重君 一つだけ結論的に……。今の御答弁では大へん私は反論といいますか、反問したい点がありますけれども、時間がないそうですからやめます。  そこで答申の線を全幅的に受け入れなくても、たとえば答申にいっている学校給食の責任体制を明確にすべきである、これはもっともであると思う。しかしながらこういう点になると、現行の学校給食法その他を改正しなければならない。その他にも私は改正する点がたくさんあると思うが、学校給食法の改正について、近い将来におやりになる意思はないのかどうか。できるならば、私はそういう漸進的な態勢でもすみやかにとって、現行法を改正していくべきじゃないかと思うのですが、所見を伺います。
  149. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  答申の意図しております程度の理想も、現実は容易ではございませんけれども、それに到達すべき意欲を持ちまして、そうして同時に、今御指摘のように、現行法で当面最小限度でも改正すべき点、それを何から実施するかという点も具体的に考えまして、検討したいと思います。
  150. 高田なほ子

    高田なほ子君 関連して。一問だけ関連さしていただきます。答申案に近いように当局が御努力なさることは、ただいまの御答弁でわかりました。先般から、公聴会でもこの問題が取り上げられておりますが、四月から大体平均三百三十円程度の給食費が五百二十円ほどに値上がりする。これは一般的な物価上昇にからんでの傾向であろうかと思いますが、これについてやはり相当の多額に上る面がありますかどうか、ひとつ保護措置を講じてもらいたいものである。私はこれはもっともな議論だろうと思う。この早急な保護措置というものについて、関係各省等について、いろいろの御相談をされているのではないかと思いますが、学童給食費の値上がりに関する当局の緊急な手当というものについて御答弁を願いたいと思う。また、その内容の一つとして、牛乳を全学童に飲ませてもらいたいものだ、こういうようなお話しもあり、これは私どもが完全給食の建前から従来主張してきた面であります。これらの点につきましても当然早急に手をお打ちになっているはずだと思いますので、この点もあわせて御答弁を願いたい。
  151. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。給食費がある程度値上がりの傾向を帯びておりますことは、一般物価情勢の反映から、やむを得ないことと思いますが、しかしやむを得ないで済まされない意味は十分にわかります。そこで、当面それに一般的に対応しますやり方としては、施設整備費の助成費を幾らか三十七年度はふやしてもらいまして、さらに交付税の関係でございますが、前年度よりも十億円ばかりふやしまして、調理員その他の人件費の父兄負担になっているものを解消させる努力をいたしまして、不完全ではございますけれども、そういう一般措置を通じまして、できるだけ父兄負担を少なくしたい。必要な物資そのものの価格をどう抑制する措置を講ずるかは、政府全体としての一般的な方策のままにまかせております。文部省だけとしてそれをどうするということは、いたしておりません。  それから、輸入粉乳を使いまして、一般にミルクを供与しようという計画を持っておりましたが、三十七年度の予算措置を通じましてはできておりませんことは遺憾でございます。今後努力したいと思っております。
  152. 高田なほ子

    高田なほ子君 ただいまの御答弁について重ねて、施設整備費等についての特別助成の問題については、私ども承知いたしております。また、そのことを了といたします。しかし、現実問題として野菜、生鮮食料等の値上げにからんで、はなはだしい値上がりがこの際あるわけです。そこで、閣議でもこの物価対策等についていろいろの緊急な方針が出されておるようでありますので、ここにやはり学童給食費については特段の措置が講ぜられるような方法をここでもって検討する、こういうような必要があると私は思うのです。文部大臣も、まあ政府一般の物価政策にからんでということでは、とうていこの学童に対する義務教育無償の原則を貫くことができないんじゃないか。非常にこの値上がりについて父兄問はやかましい議論が出ておるわけです。ですから、学童給食に対してだけの値上げというものを抑制する方法というものを早急に講じてしかるべきだと思いますが、重ねて何らかの名案が腹案としておありにならないのか、こういう点をお尋ねしておきます。
  153. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げますが、給食用の諸物資の価格そのものを文部省の行政面から直接どうするという機能は持ち合わせませんので、さっき申し上げましたように、政府全体としての物価対策として処置したいと。当然なし得ます最小限度のことは、御案内の各都道府県に学校給食会がございます。この学校給食会がその地域内における学校給食用物資の共同購入等をいたしまして、物価は同じような一般経済事情に応じて変動していましょうとも、出同購入による有利性を発揮する努力をいたしております。そのことをさらに徹底し効果あらしめるように指示は与えております。また、特殊法人の日本学校給食会を通じましても、そのようなことは指導いたしております。しかし、現実的には二階から目薬的たらざるを得ませんことを遺憾に存じますが、要は根本的には一般物価対策に依存せざるを得ないと存じております。
  154. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 片岡君の質疑は……
  155. 片岡文重

  156. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) まだ何かあるんですか。
  157. 片岡文重

    片岡文重君 質問じゃありません。よろしいですか、私の質問は終わっておらないんです。質問したいことがたくさんありますので、この問題について打ち切りではなしに、また機会があればやらしていただきたいし、打ち切っておりませんから、その点だけをお断わりしてやめます。
  158. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 片岡君の質疑をいたしたい点も残っておるそうでありますが、これは別の機会にお述べを願うことにいたしまして、本日予定せられました片岡君の質疑はこれをもって終了いたしました。
  159. 田上松衞

  160. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) どうぞ。
  161. 田上松衞

    田上松衞君 この際特に発言を許されまして申し上げておきたいと思うのですが、今後、要求大臣が余儀ない用事で出席できない場合、あるいは遅刻ないし早退しなきゃならぬような事情等の場合には、相当の時間をもちましてあらかじめその理由を添えまして、お互いに完全に了解を遂げられるように、特段の委員長からの御注意をいろんな方法でやってもらいたいと考えるわけなんです。実際には、先刻の農林大臣遅刻理由なんというものはなっていません。とにかく東京におきまするところの交通難なんというものは、ひとり農林大臣だけがこうむっておることじゃないんですよ。全部に共通する問題であります。それは全くなめ切っておると言うに尽きる言葉であります。私は特に申し上げておきたいのですが、今、片岡委員からも言われたように、実際のところを申し上げますると、私どもは無理をいたしまして、ずっともう数日前から質問要旨と、ないしは要求大臣を書き上げまして、お届けしておるわけなんですよ。そうして片岡委員も十分聞きたいことを、自分の予定あるいは計画を組んで、持ち時間の四十五分には尽きるようにという計画をやっておったのでありますけれども、そのペースは完全にこわされてしまいまして、さっきから御承知のような状態でありまして、どの大臣から先にやってくれないか、どの大臣は省いてくれないか。完全にぶちこわされてしまったために、出しておりますところの事項のほとんど半分を尽くしていない状態なんであります。くどいようですけれども、文部大臣に対しまする質問が、あなたはもうすでにいろいろ御答弁の用意もなされておっただろうと思うんですが、たくさんあったわけなんです。学校給食に関する問題であるとか、あるいは教科書等の問題であるとか、それらのいろいろな設備であるとかというような問題について民社党を代表して聞きたいたくさんの問題があり、さらには仲裁裁定の完全実施等に関する労働省に対するようないろいろな問題もあったわけなんですけれども、それがはなはだわずかの時間の間でこの場でぐらぐらされてしまったので、完全にぶちこわされてしまって、まことにやりにくくてしようがないということであります。これはひとり片岡委員が残念だったというだけでなくして、私どもは国民全体の立場から見て、こんなことでは困ると思うわけであります。お互いに申すまでもなく、持ち時間に制限があることであって、その中にいろいろ計画して苦心してくるのでありますから、こんなことでこわされてはいけない、こう考えますので、さっき委員長は再三にわたってこれで何回だかいろいろ公式に注文つけられたのですけれども、しかしもっと今後委員長がひとつ責任を持って、あらゆる場合において大臣にさらにぜひとも厳重にひとつ警告をしていただきたいということを申し添えておきます。
  162. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 議事進行
  163. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 矢嶋君、きわめて簡単にひとつ。
  164. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ただいま河野農林大臣の名前が出たから一言申し上げますが、河野農林大臣は、九日の閣議で参議院の予算委員会大臣の呼び方がいけないと発言して、閣議をリードをして、前例もなく官房長官を通じて衆参両院に対してやや抗議的な申し入れをしているんです。これは異例のことですよ。これをリードされたのは、河野さんですね。私はその後の河野さんの立法府に対する行き方を静かに見守っておった。先般の田中質問のときは、本人が了承を与えたからとはいえお出でにならなかった。亀田委員が呼んだところがすぐおいでになって、本日の釈明にあたっても、そう誠意のあるものとは思えない。いかに実力閣僚といえども、態度を改めなければ私は決意がある。その決意についても、今日被害者であった民社党から発言があっから、やはり委員長として本委員会の権威の上からも、表立ってでなくてもいいから、いつでもいいから、反省を促していただきたい。これだけ申し上げておきます。
  165. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 田上君と矢嶋君の発言了承いたしました。  一時四十分に再開することにいたしまして、休憩いたします。    午後零時三十九分休憩    ————————    午後一時五十三分開会
  166. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) これより予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行ないます。大和与一君。
  167. 大和与一

    大和与一君 私は、当面の交通問題、交通難の緩和をいかにするか、こういう問題にややしぼってお尋ねを申し上げたいと思うのであります。  最近の新聞を拝見しますと、ほとんど連日のように交通問題が、必ずといいますか、毎日のようにいろいろな問題が書かれております。官房長官に一番初めお尋ねをいたしますが、昨年の新道交法ができましたときに、附帯決議で、内閣では責任を持って交通問題を処理しなくちゃいかぬ、こういうような決議があったのですが、それに対してどのような措置がなされたか、それを第一にお尋ねします。
  168. 大平正芳

    政府委員(大平正芳君) ただいまお述べになりましたような御決議もございましたので、内閣といたしましては、御案内のように、臨時交通関係閣僚懇談会というものを設置いたしました。メンバーは運輸大臣、建設大臣、国家公安委員長、行政管理庁長官、科学技術庁長官、それから官房、総務両長官がメンバーになっております。都市における交通難の緩和対策、事故防止対策等につきまして、鋭意応急並びに恒久的な措置をあわせて検討し、成案を得たものから実行に移すというようにいたしております。
  169. 大和与一

    大和与一君 それは今始まったことであって、その前に、私のほうから御指摘をしますと、交通対策本部というのが内閣にできておったはずですが、これに対して総理府総務長官から、具体的な今日までの交通難緩和に対する打開策、具体案、それをお示しをいただきたいと思います。
  170. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) 交通対策本部は、御承知のように、一昨年の十二月に設置をされたものであります。これは総理府総務長官を本部長としまして、関係各省の次官クラスをメンバーといたしておるわけでありますが、さらに幹事会も担当の部課長をもっていたしております。そこで、この対策本部は、当初はもっぽら例の砂利トラック等による事故防止、そういう関係から、いわば交通安全ということを重点にして始まったのでございましたが、その後交通の調整という面につきましてもこれを行なうことにいたしました。自来今日まで、各省間の協議調整の機関としてその仕事をやって参ったわけであります。ところが、事務的段階だけでの決定がなかなか困難な問題もございますし、また一面、交通の事情が、御承知のとおり、ますます逼迫をいたして参りましたので、昨年の十二月にこれを大所高所から御判断を願おうということで、先ほどお話の出ました閣僚懇談会が発足をいたしたわけでございます。
  171. 大和与一

    大和与一君 今のお話につきまして、ほとんど何もやっていないわけであります。私も運輸委員会でたびたび御質問をいたしましたが、藤枝長官のときから、ほとんどまあお説ごもっともであるということばかり聞かされて、具体案は何ら示されることがない、何もやっていなかったとこういうふうに断定してもまず間違いなかろうと思います。それで、おそまきながら、今からでもいいのですが、交通の閣僚懇談会というものは、権限はどういうのですか、責任者はだれか、これをまずお尋ねいたします。
  172. 大平正芳

    政府委員(大平正芳君) この懇談会は、官制上の権限は別に持っておりません。最終の責任は閣議が負う、座長とか会長とかいうようなものは設けてございませんが、この懇談会の庶務的な仕事の中心は総理府の総務長官がおやりになる建前であります。
  173. 大和与一

    大和与一君 そうすると、お言葉を返すようで恐縮ですが、閣僚懇談会は思いつきの機関ですか。新聞発表は官房長官がまとめておやりになっているのでしょうか。たとえば二月十八日には朝日新聞に「運輸省で総合的対策」として、いろいろと一面にこういうふうに書いてある。今度けさほどの読売新聞を見ますと、また建設省が大へんりっぱなものを作った。作ることは差しつかえないのですけれども、それらを、一体閣僚会議は、各大臣がてんでんばらばらに意見を言って、それをほんとうに総まとめにまとめて具体的に実行です、こういうことはなされておるかどうか。たとえば車種別規制はおきめになったけれども、まだ実際にきまってないじゃないか。そうすると、そういう意見を言うだけであって、それが実際上は行なわれなくてもいいというのか。その辺の明確な御判断をいただきたいと思います。
  174. 大平正芳

    政府委員(大平正芳君) 各省には責任大臣がおられまして、御案内のように、交通行政というのは非常に多岐に分かれておるわけでございます。懇談会で意思を統一し、具体的な政策につきましてよく照会いたしまして、そのところからいたしまして、各省の段階で具体化に移す、こういうことになるわけでございます。また、懇談会としての外部に対する作業を発表されることは、先ほど申しましたように、庶務の中心を御担当いただいております総務長官がやるということになっております。
  175. 大和与一

    大和与一君 そうすると、閣僚会議できめたことは新聞にはそのまま一応出るけれども、具体的な実施の場合には、関係各省が話し合いをするから、若干形が変わる。しかし、精神は変わらないで、何とか打開したいという熱意の現われである、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  176. 大平正芳

    政府委員(大平正芳君) 仰せのとおりです。
  177. 大和与一

    大和与一君 そうすると、新聞発表ですが、これはお答えがなかったのですが、新聞発表は閣僚会議のなまのまま出るものですから、これがそのまま実施されると思うのですね。ところが、実際は何ら実施もされない、あるいは大臣の御意見を聞くと、運輸大臣とあるいはほかの大臣とは、いや、そういうふうな意味であるとかないとか、こういういざこざまで天下に醜態をさらしている。こういうのじゃ困るのですが、その点は閣僚会議として一応こういうふうな考え方がある、それを今度は実際に行なわれる場合には、この交通閣僚会議責任を持ってやるということですか。そうすると、交通対策本部というのは、今はあってなきがごときものである。今までも何もしなかったけれども、もうほとんど要らぬものだ、こういうふうに考えていいですか。
  178. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) まず新聞発表の件でございますが、交通関係閣僚懇談会におきまして決定をみた事項、その他交通関係閣僚懇談会で話題になった事項等は、私から発表をいたしております。なお、また、先ほどお話がありましたとおり、交通関係の各省等から、いろいろな構想と申しますか、案と申しますか、そういうことがときどき現われまして、その間、どうも政府としてばらばらではないかというような御批評も閣僚にも届いておりますので、さきの閣僚懇談会におきまして、交通関係の各省の考え方の発表は、なるべく懇談会に一回披露して、そこでまとめてひとつ発表するようにしようという申し合わせも閣僚懇談会ではいたしておるのであります。おるのでありますが、それぞれの担当の事項等について、今日もときどき各省からまだどういう経路で入手されるかどうか存じませんが、記事等が現われておるということも事実であります。なるべくまとめて今後いくようにいたしたいと思います。それから、交通対策本部のほうは無用になっておるのじゃないかというようなお尋ねでございますが、交通対策本部は、先ほどお答えいたしましたような使命で発足いたしたのであります。今日におきましても、もちろん各省間でまず事務的に検討をいたしまして、ここで結論を得ましたものは、その結論閣僚懇談会に報告いたしてもらいますし、また、結論を事務的な段階では得られないという問題につきましては、そのまま閣僚懇談会に持ち上げまして、そこで協議をいたす、大体そういう方式でやっておるわけでございます。閣僚懇談会におきましても、御承知のとおり、いろいろな問題がたくさんございます。そういう際におきましては、これをやはり逆にまた事務的に一応検討させる、こういう場合もございます。閣僚懇談会と対策本部とが一体となってその間運営をいたしておるわけであります。そういう点から申しまして、対策本部が無用になったとは私どもは考えておらないところでございます。
  179. 大和与一

    大和与一君 それよりも、責任の所在はやはり明らかにしてもらはなければならないのですが、閣僚懇談会でも、三木長官が座長であっても、これは会議の主宰者であって、責任者ではありません。そうすると、関係各省大臣がやったことは責任を持つけれども、その仕分けをしてまとめるというのはだれがやるのですか。ほんとうの責任者はだれですか。総理大臣ですか、そこのところどうも責任が明確でない。だから、やはり新聞なんかに勝手に書かれて、省内、閣内不統一、こういう感じを国民に与えて、こんなことじゃまかしておけぬじゃないかという国民の不信も起きております。責任の明確な所在を明らかにしていただきたい。
  180. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) 先ほど官房長官からも御説明がありましたとおり、閣僚懇談会は官制上のものではございませんから、閣僚懇談会としての責任者、何と申しますか、官制上の責任者というものはないと私ども考えております。あくまで懇談会でございます。そこで、これが議がきまったような場合においては、それぞれの機関の大臣がその責任においてこれを実行する。発表は、先ほど申しますとおり、総務長官が行なう、こういう運営になっておるのであります。
  181. 大和与一

    大和与一君 やはりお聞きしても明確じゃありません。そこで、官房長官は、目は小さいけれども、魂はしっかりしているから、これは例になりませんが、やはり群盲象をなでる、こういう姿だと思う。今もいろいろなことを言っておるけれども責任の所在すら明確でない。それじゃ一体運輸大臣が交通問題は全部責任持ちますか、建設大臣が全部責任を持って政府の代弁をして、一切の交通問題をおれはやるのだ、こういうふうなことを言えますか。そういうふうにおっしゃるならそれでいい。ところが、それはおれのなわ張りだけを認めるけれども、全体が一つも今まで総合的、大局的、大乗的な解決がないから国民からこれだけの批判を受ける。これは単なる交通問題だけじゃなくて、政治の貧困だ、ひとしく国民の多くの人が追及をされることだと思います。その点もう一ぺん御答弁をいただきたい。
  182. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) 交通に関係いたしておりますそれぞれの大臣が、官制から申しますと、その一人々々が交通全体についての責任を持つという立場にはなかろうと思います。そこで、いわゆる行政の一元化、特に交通行政の一元化というようなことが各方面から申されていることも万々承知いたしていますが、ただいま即刻そういう行政機構を作ると申しましても、事実問題としてなかなか容易でございませんので、少なくもこの機能上、政府の意思というものを統一していきたい、こういう願望から関係閣僚の懇談会を設けまして、そこできまった考え方に従って、それぞれの所管の事項について各大臣責任を持っていく、こういうことにただいまのところは相なっておる、そういう考え方で進んでおるわけであります。
  183. 大和与一

    大和与一君 これは納得できませんが、こればかりやっておるわけにはいきませんから、次に進みます。  池田内閣の所得倍増計画によると、鉄鋼増産に伴って自動車の計画生産、十年で十倍、こういうふうなことがおそらく数字に出ておるようであります。そうすると、また車がふえるわけですが、その計画の中には、当面の都市の交通問題についてこれとからみあった問題、そんなにふえて一体どうするのだ、自動車を作ることに対して反対ではありませんが、どういうふうな考え方をそれに対してお持ちになっているか、お尋ねいたします。
  184. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 今のお尋ねはどなたに対して……。
  185. 大和与一

    大和与一君 総務長官は総理大臣の代理、あなたは何でもやらなければね、その他に属するものは全部。
  186. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) ただいま閣僚懇談会のほうは、当面の仕事として都市交通問題を重点的にやっておるわけでございます。この交通問題が、お話のとおり、自動車の生産の問題ともちろん密接な関係のあることも事実でございます。今申しますとおり、当面都市交通をやっておりますので、通産大臣には、ただいままでのところは閣僚懇談会にはお入りを願っておらないのであります。今お話のとおり、交通問題は生産の問題とは非常に大きな関係等もございます。その他いろいろな複雑な問題がございますので、かねて両院で御決議等もございましたので、そういった基本的なもの、また、将来に関する長期的な問題、そういうものを御審議願うという目的のために、交通基本問題調査会というものを設置をいたしたい、こういうことでただいま御提案を申し上げておるわけでございます。
  187. 大和与一

    大和与一君 これもあまり答弁になっていませんが、まあひとつ次に進んで、文部大臣に、一つしかありませんから、先にお尋ねをいたします。  人命尊重という立場に立った少し長期的な交通難の打開策ですが、その一つとして教育の問題ですけれども、これは児童に対する交通知識の普及、こういうことも一つでありますが、もう少し進んで、中学校、高等学校といいますか、そういうところで現物で教育をしながら、あるいは、またこれからの日本は、自動車とか、ラジオとか、電気の一般のことは、もうこれは常識としてみんなが覚えておかなければならぬ、こういう世代になると私は思うのです。そういう場合に、文部大臣として、高等学校あたりで現物を示しながら、操作とか、あるいは構造とか、その他の教育をし、あわせて交通道徳の啓蒙教育をする、こういうふうなお考えはおありですか。
  188. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。今お話のように、みんなが自分で自動車を運転するという立場に立った学校教育というものはいたしておりませんで、ただ、自動車というものはどういうものかということを一般基準常識として教えるという角度から教えておるのにとどまるのであります。ただ、一部の高等学校では、課外活動としまして、特殊な希望のある者だけが自動車運転を習っておるというものはあるようですけれども、学校教育の目的それ自体から必要とする角度から、おっしゃるような自動車の操作そのものを教えておらないわけでございます。
  189. 大和与一

    大和与一君 一般の自動車を操作、操縦する人は、雇用関係にある人は別ですけれども、いわゆるかみなり族といいますか、こういうものは別に金もうけでやるわけではない。そういう者が横行ばっこして他人にけがを負わしたり、殺したりする、こういうことがずいぶん最近あるわけですが、これを教育担当の大臣としては、こういう現象が出ることは、全般的な教育者としてのやっぱり敗北というか、非常に不十分な点があると、このようにお考えになりますか。
  190. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。また最近とみに交通事故が多くなって、子供なんかが被害者になることがあります。あるいはまた加害者側の運転者が年令が若い者がかなりある。まあ両面から問題を教育の面に結びつけて考え得ると思いますが、まあ被害者側という——子供なるがゆえにとかく注意を怠りがちだから心配だ、そういう角度からの取り上げにつきましては、かなり徹底して従来から配慮いたしております。ちょっと申し上げますと、安全教育という立場から申し上げますと、たとえば小学校の学習指導要領には、「生命を尊び、健康を増進し、安全の保持に努める」ということで教える基準を示しておりまして、それに応じて、小学校で使います教科書には、近代交通の一般的様相を説明いたしまして、その中にあって自分みずからが安全に通行するような心がまえを教え込むような教科書があるわけであります。中学校につきましても、「生命を尊び、安全の保持に努め、心身ともに健全な成長と発達を遂げるように励ませる」という建前をとりまして、これに応じた教科書が使われておりまして、昨年の警視庁の調査をちょっと聞いたのでございますが、最近一カ年間における東京都内の交通事故の中で、児童生徒の側に責任があると考えられる事故というものは、児童生徒の事故の中で一割以内——何パーセント、きわめてわずかである。これは緑のおばさんやら、黄色いおばさん等の協力ももちろんありましょうが、親としても関心を当然持つことであり、ひいては、また今申し上げたような学校教育での先生たちの注意が徹底している、子供たちみずからも一応の常識を持っていることによるものと私い思うのでありますが、そういう意味では、被害者のほうでは教育上十分に配慮されておると申しても過言ではなかろう。ただ加害者と申しますか、運転者側に立った場合には、さっき申し上げた角度からの教育方針なものでございますから、必ずしも御指摘のようなことは期待できないと思いますが、これは一般教育という立場から見ましても、やむを得ないことではなかろうか。ただ、人間としての心がまえ、基本的に遵法精神を十分に養うということもむろん必要でございましょうし、したがって、また、交通道徳、あるいは交通関係の法令等につきまして、お互いが従わないと不幸なことになるという基本的な常識問題に多分に依存するところがあろうと思います。そういう意味での人間形成と申しましょうか、そういう立場からする教育は、今後も十分注意を集中して努力さるべきものと心得ております。
  191. 大和与一

    大和与一君 文部大臣もうけっこうです。  次に、衆議院の本会議あるいは参議院の運輸委員会、地方行政委員会で交通関係の決議をなされましたが、それの内容に伴った御質問をいたしたいと思います。  衆議院の本会議では、今人命尊重ということが一番大きな問題になっておりますが、国民感情からいっても、これが一番大きな問題だと思うのです。それと、まあ交通行政の一現化、こういうことも、逆に言うと一元的な交通行政、交通対策が今日まで行なわれていなかった、こういうふうに言わなければならないと思うのであります。それで、この交通行政の一元化ということは、川島行政管理庁長官が文芸春秋に書いたのを読んで、なかなか、これはすぐにできぬことだけれども、りっぱなことだと、こういうふうに拝見したのでございますけれども、長官として、何か行政の一元化についての具体的なお考えがおありになるかどうか、お尋ねします。
  192. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 昨年夏以来、交通行政の観察をいたしまして、その結論として私の得ましたことは、現在の交通行政を一元化する必要がある、こういう結論を得たのでありますが、しからばどこからどういう機構を持ってくるのかということについては、まだ結論を得ておりません。検討しております。最近できました臨時行政調査会にもお願いして検討を願っておるわけでございます。先ほど来お話の交通閣僚懇談会は、できるまでの間、各省庁間の調整連絡をとる機関として置いたのでありまして、一日も早く交通行政を確立しまして、行政懇談会というような形はやめたいと、こう考えております。
  193. 大和与一

    大和与一君 大きく分けて、たとえば私は何も賛成していないけれども、交通省なんという言葉を使って運輸、警察あるいは建設、こういうところからもぎってきて合わせるもの、あるいは、たとえば総理府に交通指導部——交通のエキスパートばかり集めたスタッフ、そういう形の指導法、おおまかに言って二つあると思うのです。それについてはどうでございますか。あれだけ文芸春秋にずいぶんいろいろと書いたのですから、これは大へんいい御意見もあったのですから、今の二つの点に限って御意見を承りたいと思います。
  194. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 交通行政の一元化の問題は、今お話のように、交通行政の各省庁の連絡調整をする強い官庁ということも一つの方法であります。現在の交通閣僚懇談会は責任はありません。連絡調整だけでありまして、多少政治的の推進力は持っておりますけれども責任者を置いて交通行政の連絡調整をとるという考え方が一つと、それから、さらに進みまして、各省庁からして適当に事務を皆出しまして、実施官庁を作るということも一つであります。それらの点において結論を得ませんので、その点を今考えております。
  195. 大和与一

    大和与一君 それではいつごろを目安にしてお考えになっておりますか。
  196. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 私は、なるべく早くやりたいと思うのですが、これは一般の行政機構を見てもわかるのですが、各官庁の事務を総合するということは非常な困難があります。それでこそ臨時行政調査会みたいな有能な機関を置いたわけでございまして、できるだけ早くやりたいと思いますが、いつ結論を得るかということはここで申し上げる時期に達しておりません。なるべく早くやりたいと考えております。
  197. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 関連。川島長官、ただいまの大和委員質問に対する答弁は不十分ではないでしょうか。昨年秋、あなたの名前で斎藤運輸大臣以下関係大臣に出された勧告の中には、明確に交通行政の一元化はぜひやらなければならないということを書いてありますね。あの活字からは、連絡調整などという、そういうニュアンスは全然出てこないと思うのです。ですから、勧告を出された行管長官としては、大和委員の質疑の一元化とは何ぞや、それが受け入れられるかどうかは別として、勧告された行管当局としては、一元化というととはどんなものだという青写真を持っておられてのあれは勧告書ですよ。その点を大和さんは伺っているのですが、連絡調整の場合もあるだろうし、また、ピックアップして実施官庁を作られる場合もあるだろう、こういう答弁では、昨年の秋あなたの名前で出された勧告書と私は背反すると思うのです。だから、その点もう一回御答弁いただきたい。
  198. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 私は、交通行政を一元化しまして実施官庁を作ることは望ましいと考えておるのです。その方向に進もうと思っているのですが、いろいろな制約がありまして、直ちにその結論に到達しない場合は、暫定的に連絡調整機関を作ったらどうか、こういうことを申し上げておるのです。現在の交通閣僚懇談会も連絡調整機関でありますけれども、何らの法的権限はございませんからして、これに法的基礎を与えまして、強く連絡調整の機能を発揮するようにしたらどうかということを申し上げましたので、最終的には交通行政一元化を考えております。考えておりますが、これは今すぐにできるかというと、なかなかできない。できない事情は今の官界にあるわけでありますから、そこで私はいろいろ苦心をしておるわけであります。
  199. 大和与一

    大和与一君 次に、輸送の順序といいますか、考え方で、公益優先という言葉があります。これは公益優先そのものについては違った意見はないと思うのですが、いかがですか。これは運輸大臣ですかね、総務長官。
  200. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) 公益優先という考え方それ自身は正しいものと私ども考えております。ただ、具体的に何がこの公益優先に該当するかということになりますと、なかなか実際問題としての判定はいろいろあろうかと思いますが、考え方としては正しいものだと思います。
  201. 大和与一

    大和与一君 ですから、次には、それは国民生活の必需品とか、あるいは公営輸送とか、いろいろあると思うのですが、車の種類からいうと、だからトラックとかバスとか、ハイ・タクとか公営交通とか、こういうものがその他のものよりも優先することは明確だと思うのですが、その点はいかがですか。
  202. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 運輸大臣。御答弁願います。
  203. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 公益優先というのは、公益のために私益は場合によれば遠慮してもらわなければならぬということだろうと考えます。今の交通関係につきましては、今あげられましたのは大体公共事業と承知しておりますが、これは特定の個人でなしに、相当不特定多数の人たちに関係を持つ事業ということでございます。したがって、交通規制なんかをいたします場合には、やはりできるだけ多数の人の利便ということを考えるというのが一つの考え方であろう、かように考えます。
  204. 大和与一

    大和与一君 それならば、車種別規制なんという問題が出たときも、やっぱり全体を考えて、公平にやらなくちゃならぬと思うのです。これはもう私が言わぬでもわかっていると思うのですが、そうすると、具体的に今出された問題は、たとえば警察庁、警視庁でお考えになっていることは、トラックならトラックだけを、これをまあ警視庁だけでなくて、やっぱり運輸省関係の陸運局とも話し合いをされていると思うのですが、それはいつ話がまとまるのですか。また、大体どういうことなのか、おわかりだったら教えてもらいたい。
  205. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) 規制の問題につきましては、お話のとおり、当初警察庁関係で一応の案が出ます際には、いわゆる路線トラックというような言葉も用いられておりましたが、その後運輸省関係当局と話をいたし、協議を続けておるわけでありまして、逐次そういった特定の業者、特に先ほどお話の公共事業的性格の強い路線業者というようなことではなくして、一般的に申して、いわゆる車種別に、車の大きさによって規制を考える、こういう方向にただいまも進んでおるのであります。ただ、そうなった場合に、はたして何トン以上の車から手をつけたらばよろしいかという点につきまして、だいぶ話が煮詰まっておるようでありますが、最終の結論にまだ至っていないということでございます。さらにまた、時間的な規制の関係におきましても、大体の意見は一致を見つつあるのでありますが、これも最終的な結論に至っておりません。あるいは路線の関係からいたしましても、これまただいぶ話が煮詰まって参っておるようでありますが、最終的な結論まで至っておらぬ、こういう事情でございますが、いずれにいたしましてもここ近々のうちに両者において話をつける。事は政治的な大きな問題でもありますが、同時に規制の方法という技術的の問題でもございますので、これら関係の当局におきましてただいま熱心に検討いたしておる、そう遠からず結論が得られるものと、かように考えております。
  206. 大和与一

    大和与一君 いつできますか、今の話。
  207. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) ただいまの交通規制は警視庁、ひいては警察庁が責任をもってやっていただくことになっておるわけでありますが、運輸省あるいは陸運局との話し合いもだんだんと進んでおります。私はおそらく数日中に話が決定を見得るんじゃないかと、かように考えております。
  208. 野本品吉

    ○野本品吉君 関連。交通事故の問題を通じまして、いろいろと配慮されておるわけですが、私は実はしばらく前に、長男を自動車で殺しております。そういう経験がありますものですから、警視庁の前を通りますたびに、「今日の事故」という、あの赤い数字が必ず私を引きつけるわけであります。こまかい計算はしておるわけではありませんが、大体におきまして東京都内の死亡者は、月々私の概算では八十人ないし九十人と推定いたします。それから負傷者の数はその大体四十五倍から五十倍、こういう推定を基礎にいたしますというと、全国で年々少なくとも一万人近い死亡者があるということが推定されます。その五十倍とかりにいたしますと、五十万人の負傷者が出てきている。私はその数字を思い起こすたびに、一万人の戦死者を出し、五十万人の負傷者を出しておる、こんな大きな戦争が一体今までいつどこであったろうかということをいつも思い起こすわけです。したがって、この自動車による事故を防止する問題は、一万人の戦死者を出し、五十万人の負傷者を出す大きな政治的な戦いである、こういうふうにいつも考えておるわけです。したがって、この問題に対していかに対処すべきかということは、これは政府といたしましても非常に重大深刻な問題として考えていただきたい。そういうためにこそ閣僚懇談会というものができ、その他各方面で事故防止のためのいろいろな考慮が払われておるんでありますが、このことはただいま申し上げましたような意味におきまして、閣僚懇談会というようなものが、形式的に終わらないように、できるだけ早くその実効をおさめるように最大の努力を払っていただきたい、こういうことを心から希望するわけでございます。このことに対しましては、これはもう御返事はこうであろうと思いますけれども、この際特に内閣の代表の官房長官からひとつはっきりした御答弁をいただきたいと思います。
  209. 大平正芳

    政府委員(大平正芳君) 仰せの趣旨に沿いまして、鋭意努力いたします。
  210. 加瀬完

    加瀬完君 関連。今までの御回答で私にはまだはっきりしないのでございますが、交通問題を解決しようとして閣僚懇談会をお作りになったと承っているわけですが、主としてどういう点が問題になって、どういう点を解決しようという話が出て、それで閣僚懇談会を持たれたのか、それから今までの経過の中で、初め問題とした点で、御解決のめどのついた点はどういう点なのか、これらをもう少し詳しくお話をいただきます。
  211. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) 先ほども申し上げましたように、閣僚懇談会といたしましては、当面の仕事として、特に都市交通の問題、これを主として取り上げているわけでございます。そこで都市交通の問題といたしましては、これまた申し上げるまでもないわけでございますが、一面におきましては、事故防止の問題、一面におきましては、交通渋滞を緩和するという問題、主としてこの二つの問題があるわけでございます。そこで、これらの問題を具体的に解決をいたして参ろうということで、協議をいたしているわけでございますが、その中ですでに実行に移されたという点は、たとえば御承知のとおり、駐車場法の改正が国会に提案されております。駐車場法につきましては、御承知のとおり、従来は大都市の一定の指定された地区、特にいわゆる商業地区等を指定いたしまして、そこに一定程度以上のビルを作ったりする場合には、駐車場を作らなければならぬといったような、義務を課し得る、こういう立場になっておりました。今日では、必ずしも商業地区だけが混雑いたしているということでもございませんので、それらの周辺にまでも、この周辺につきましても、一定以上の建築物の新築の場合も、今回新たに増築の場合においても、駐車場を持つことを義務づけることができるというような内容、あるいはまた指定地区以外におきましても、特に人の多く集まるというような施設につきましては、当然駐車場の付置を義務づけることができるといった工合で、駐車場法の改正等も閣僚懇談会での話し合いをもとにいたしまして、すでに御提案申し上げているわけでございます。そのほか、踏切道の改善法に基づくものではございますが、この踏切道の改善法に基づきます改善の個所を、やはり閣僚懇談会でこれを急いで指定すべきだということで、話し合いをいたしまして、これもすでに第一次の指定がされております。そのほか、特に東京都内の問題といたしましては、現場の交通問題を扱っております警視総監に来てもらいまして、東京のこの事態に緊急に処するためには具体的にどういう個所について、どういう処置をとったらよろしいかというような意見を徴しまして、それに基づいてこれらのもののうち、三十七年度の予算においてどれだけのことができるか、それにまた東京都の工事能力その他を考えまして、予算には計上されておらぬが、さらにそれに追加して、どの程度のことができるかというようなことも検討をいたしておりまして、この点につきましても近々のうちに東京都と、それから関係の建設省あるいは自治省、これらの意見がまとまる予定になっております。それを受けて閣僚懇談会としましては、国としての処置について具体的に進めて参りたい、こういうことを論議しておるわけであります。さらにまた、いわゆる自家用車を持っておるものの車庫設置の義務づけというようなことについても各方面から申されております。懇談会においても実は当初から取り上げておるのであります。そこで、この問題につきましては、常識的に申しますと、車を持っておるものが車庫を持つくらいには当然ではないか、あるいは逆に道路上に車を長時間にわたって放置しておる、特に自分の使う車をいつまでも路上にいわゆる常置の状態で置くというようなことはいかがなものであるか、こういうことで当然車庫なりあるいは常置場所なりを設置させるべきだ、こういう考え方に立っておるわけでありますが、これを法制化するとなりますといろいろ問題があるようであります。そこで、今交通対策本部を中心にしまして、関係各省で早急に検討させておるわけでありまして、これも近々のうちには結論を出したい、かように考えております。その他交通全般の問題としまして、結局大都市の交通問題というものは、住宅政策とあわせてやはり考える必要があるだろう、こういう見地から住宅公団等の関係者の意見も徴しまして、都市のいわゆる再改造と申しますか、そういう面にも今後力をいたしていこう、こういうことに相なっておるわけであります。大体今まで話題になりましたおもなるものは以上のようなことであります。
  212. 藤田進

    ○藤田進君 関連。今大和委員質問並びに関連して加瀬委員質問についてかなり広範にお述べになりましたが、肝心な点が落ちておるように思うので、私もぜひお尋ねしたい。それは近くまとまることになっているといわれる内容ですね、おそらく車種別の制限といったようなことだろうと思います。これはるる伝えられているわけですから、それについていろいろな世論なり利害関係者の意見も徴しながら調整がとられると思うので、その事情は了とするのであります。しかし、近くまとまるであろうと思われる車種別制限の全貌をお答えいただきたい。また、私どももこの席を通じて意見も申し上げて参考に供し、善処をわずらわしたい点もあると思う、この点が御答弁から漏れております。どういうことを考えているし、またそれがまとまるであろうという予想でけっこうです。
  213. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 車種別規制といわれているものにつきましての、この直接の責任は御承知のとおり地方の公安委員会でございます。東京都で申し上げますれば、東京都の公安委員会が実施の、あるいは決定の責任機関でございます。しかしながら、国家公安委員会、あるいは警察庁といたしましても、それが及ぼす全体の影響というようなものから一様に深い関心を持って、いろいろ相談を受け、また指導もいたしているというような格好でございます。  それで、かねて一試案として発表されましたものは、これは一つのひな形でございます。これを中心にして各関係方面からいろいろな御意見を徴して、そうしてできるだけいいものにして、必要の最小限度のものを満たしていこうというのが目的でこの折衝が進んでおったわけでございます。それがだんだん煮詰まりまして、おそらく今運輸大臣もお話のとおり、陸運局と警視庁の間で事務的な折衝もできまして、数日中には大体結論が出るんじゃなかろうか。やはりこれは何と申しましても大型の車をある程度、影響力をできるだけ少なくしながらも、規制していく方向に相なろうかと思っております。なお、しかし、それはただ一方的に規制をするというだけじゃなく、これをきっかけにしまして、それぞれ車を動かしている会社あるいは団体、個人、そういうところへ呼びかけをいたしまして、できるだけ必要の最小限度に今後車の運転は自主的にやってもらいたい、いわゆる自主的規制とでも申しますか、こういう点をさらに各界と相談の上強く進めていく、こういうふうな考えで進んでいる状況であります。
  214. 大和与一

    大和与一君 次は交通事故をなくするために、一体、事故の種別、大別と申しますか、規則違反、酔っぱらいとか、無免許とか、こういうのが、おそらく私は半分以上もひょっとしたらあるんじゃないかと思うのです。パーセンテージでいいですからそれをお示しいただきたいと思う。そうして、あわせてこの前大森の警察署に行ってみましたら、交通巡査が十人しかいなくて、そうして今度は事故の処理があるものですから、実際は三人ぐらいしかいない。大森のああいうところで、これではとても話にならぬじゃないかと考えたのです。そうしますと、今の警視庁なり警察庁の、これはいい意味の適正配置というか、まあ機動隊なんかあんなにたくさん要らぬような気がするが、まあどこから持ってくるかわかりませんが、そういうような交通関係の巡査をもっと出して実際立ってもらえば、これはずいぶん違いますよ、事故が。だから、そういう点をお考えになっているかどうか。そうしてたとえば今度駐車違反なんということを取り締まっている形ですが、これも署長の話だと約三%ですよ。二%か三%、こんな程度ですよ。だから、これはおまわりさんを責めるわけにいかないので、もっとたくさん出せば、おそらく規則違反とか、スピード違反はずいぶん減るだろう。そうすると、自動車事故の私は大半は、これはもう少し徹底した交通の善導というか、そういう立場に立てばなくなると思うのですが、第一にそういう規則違反、スピード違反とか、無免許とか、酔っぱらいとか、こういうパーセンテージと、第二、第三、第四の質問お答えいただきたいと思います。
  215. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) お答え申し上げます。  最初事故原因別のパーセンテージのことでございますが、三十六年の上半期に発生いたしました交通事故原因について見ますると、運転者側の原因のうち、おもなるものは徐行違反、これが四万一千件、一九%……。
  216. 大和与一

    大和与一君 パーセンテージだけでいいです。
  217. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) それから、右折左折不適当というのが八%、追い越し不適当、これが八%、わき見運転が八%、おもなものはそういうものでございます。それから歩行者側の原因のうちおもなものは、車の直前、直後の横断が五四%、幼児の一人歩き六%、めいてい俳回中が五%、踏切り不注意五%、路上遊び四%、おもなものはそんな状況に相なっております。  それから、御視察などになって警察官が第一線で取り締まりに当たっておる者が非常に少ないというお話でございますが、これはまさに御指摘のとおりでございます。本年度まで三カ年で警察官の一万名増員ということが完了いたすわけでございますが、交通関係事情からいたしまして、その一万名のうち四千名を交通警察に充てるように配慮をいたし、それぞれ各府県にもそういう気持を持って当たるように指導をいたしておるわけでございます。しかしながら、それが完了いたしましても、おそらく交通専従員としては一万二、三千名ということでございまして、まだ十分とは申せない状況であろうと思います。先般警察法の改正で、来年度から交通局を作るということの改正が通過いたしました際にも、附帯決議の中において警察官の増員、さしあたって配置転換による交通取締官の増員をはかるべきだという御趣旨がございました。私どももその御趣旨を体しまして、できるだけ第一線にそういう指導をして参りたいというふうに考えておるわけでございます。現に来年度は警察官の増員ということは一応中止をいたしておるわけでございますが、各都府県それぞれ交通の事情からいたしまして、あるいは独自に警察官の増員、あるいは一般事務職員の増員によって内勤の警察官を第一線の交通取り締まりに充てる、というような方法を講じておるわけでございまして、逐次御趣旨に沿うような方向に努めて参りたいというふうに考えておるわけでございます。また最近取り締まりにあたりましても、単に各府県単位の取り締まり、あるいは一定の地域のみ取り締まるということでなくて、先般東海道筋、十都府県連合いたしまして、共同の取り締まりをして相当の成績を上げておりまするし、各地方におきましても管区ごと、あるいは数管区共同いたしまして、共通の日時に共通の方法で取り締まりを実施するということで相当の成績を上げ、またそういう取り締まりを相当徹底してやって参りますと、そのときは非常に事故も減るというような状況に相なっておりまするので、こういう点もできるだけ今後努めて参りたいと思います。
  218. 大和与一

    大和与一君 今の事故の種別ですが、無免許とか、酔っぱらい運転とか、通行区分違反とかそういうのがあるでしょう。そのやつをひとつ教えてもらいたいのです。  それから交通警察、交通関係に従事するおまわりさんが出世をしないということになるとやはり一生懸命やらぬでしょうから、そういう点はちょっと俗な聞き方だけれども、やはりちゃんと登竜門はあけておいてやらなければいかぬと思うのです。そういう点は十分に考えておるのか、ないのか。  それからやはり大事な問題は、先ほど運輸大臣は、四、五日中に車種別の制限がきまるであろうと、こういうふうなお話がありましたが、これをもうちょっとやはり今一番天下で聞きたいのはこの問題だろうから、車種とか制限時間とか実施の方法とかいうものについて、もうちょっと差しつかえなければ運輸大臣警察庁長官総理府総務長官から御答弁をいただきたいと思うのです。これは一番大事なところだと思うのです。
  219. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 今の事故の種別をもうちょっと調べてみたいと思いますので、私手元に……。
  220. 大和与一

    大和与一君 いいです。
  221. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) それから交通警察に従事する者につきましても、もちろんほかの職種におります者と別に区別して出世を妨げるような事情は毛頭ございません。十分にそういう点は配慮をいたしておるわけでございます。  それから車種別規制の内容について、できる範囲で話をしろというお話でございまするが、先ほど大臣から申し上げましたように、警視庁において鋭意今関係方面と検討をいたしておるのでありまして、来週早々と申しますか、もう数日中には結論を得て発表いたされると思います。決して警視庁だけで自分の見解だけを固執するということでなしに、十分に各方面の意見、特に陸運局等の意見も入れまして、話し合いのついたところで規制いたしていきたい。またこの規制は法的規制のみによって効果を十分発揮し得るとは考えられませんので、先ほどこれまた大臣から申し上げましたように、一般の協力、自主的な規制というような点、またその他直接的に規制をするという方法でなく、道路の交通の円滑をはかるいろいろな方法もあわせて実施をして参るという考えでおるわけでございまして、ただいまここで私の口からまだ決定になりません次第もあり、また警視庁でもただいま鋭意検討いたしておる関係もございまして、ここで御発表申し上げるわけには参らないことを御了承願います。  事故別のやつはすぐ調べまして……。
  222. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) ただいま警察庁長官お答えしたとおり同様でございます。
  223. 藤田進

    ○藤田進君 私が先ほど質問いたしまして、総務長官からのお答えがなかったままに安井さんのほうから答弁がありたわけです。警察庁長官はその口から言いにくいでしょう、しかしこの種問題は、あるいは中にあるかもしれない外交交渉とかいう問題とは違うわけですし、およそこういうことでまとめたいし、まとまろうということは言われて一向差しつかえない。またそれによってこのために公聴会とかなんとかやっておられるわけで何でもないのですから、結論が出てそれを取り入れる価値があるならば取り入れられて、この数日中に最終結論を出されてけっこうなんですし、その規制は交通に携わる者全体が心よく守り得るものでなかったら役に立たないと思う。それを公安委員会が告示すればこれには刑罰が伴うということを、この前警察庁長官が言っているわけです。それほど強権であるものであるならば、なおさら大和委員もしばしば言っているように、私も関連して言っているように、今安井さんのほうでは大型車という範囲を一応言われておりますが、しかし従来かなりこの車種別の問題については議論があってそれをまず受けて、ここでアジャストして出そうかということであろうと思うのですから、この段階でこんなことを言われたところで国際信用どうこうじゃありますまいし何ら問題ない。むしろ今後の処理がやりやすいようになることだと思うので、警察庁長官としては言いにくかったでしょう、総務長官としては、交通対策の一応世話役でございますから、あなたから、ひとつぜひこの点は私も聞かなければあとに下がれませんのでお答えをいただきたい。
  224. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 同じことですから私からちょっと。大和委員のきょうの質疑のポイントはそこにあるわけです。大和委員自身意見を持っているわけです。だからあなた方の意見を承って、大和委員調査議論しようというわけなのに、その点を全部ベールでおおっておったのでは調査議論にならぬわけですね。少なくともわれわれ国民は、閣僚懇談会で一つの線を出した、そして国民にマス・コミを通じて周知させ、そして警察庁のほうから出された、そうしたところが運輸省の側からそれは産業活動に阻害があるといってこれにけちをつけた、そして運輸省のほうから陸運局なる案が出た、今度は警察庁からそんなもので今の東京の交通事情が解決できるかと、こういう反論がマス・コミを通じて国民に知らされている。そうすると国民は一体政府は何を考えているのかということになり、それできょうの時点にきているわけです。だから、そういう国民の声を背景にして大和委員自身も意見を持っている。あなた方の大まかな意見を聞いて調査議論しようというのできょう質問されている。それをさっきの警察庁長官はそうでもないと思うが、運輸大臣はああいうそっけない御答弁です。運輸大臣と国家公安委員長は対立的な立場にありますから、あれできないと思いますが、少なくとも閣僚懇談会の世話役であってかなめの総務長官としては、今藤田委員が言われるように、何とかここで大和委員の満足するような答弁をしなければ私も下がるわけにはいかないです。
  225. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) お答え申し上げます。  実は先ほど大和委員の御質問に対しまして、車種別規制についてのいきさつを概略申し上げましたので、先ほど省略いたしたのでありますが、ただいまもお話しありますとおり、車種別の規制の方法につきまして、一番先に警察庁関係から一つの試案が閣僚懇談会に提出されたわけであります。その後これに対しまして運輸省関係から別の案が出されたと申しますか、それに対する意見が述べられた、こういうことでございます。これは別段異議を申し込んだとかなんとかという立場ではなくして、何分にも交通上非常に大きな問題でございますのは、もともと関係の当局間でこれを協議する、こういう場合には協議をするという建前になっておったそうであります。本来は公安委員会が規制の権限を持っているのでありましょうが、どういう方法でやるかといったような場合においては、運輸省であるとかあるいは建設省であるとか、そういうところの意見も十分聞いてやる、こういう建前になっておるそうでありまして、そういう建前から運輸省のほうから意見が出た、こういうことであります。そこで先ほども申したのでありますが、警視庁、警察庁関係最初の案では、この路線トラックの関係は現在でも実は相当程度夜間の運行をしていることでもございますから、この種の車について規制を先に行なったらどうだろうか、たしかこういう案だったと思いますが、しかしそういった車種別の規制をするということが、はたして適当かどうかということについてはいろいろ議論がございます。そこで一般的に車の大きさによって規制をいたすほうが適当であろう、こういうことに大体話が進んで参ったようでありまして、ただ具体的に、しからば何トン以上の車を規制するか、こういうことになりますと、まだ最終的な意見がただいままとまっておらない、こういう実情であります。  それからたとえば最初の案によりますと、東京都の二十三区全域について規制を行なうというような案、あるいは特定の路線について行なう、こういうような車の種類等によりまして、そういう案もございましたが、特に二十三区全域にわたって規制をするというようなことは相当影響も大きいし、特定の路線についてはやはり穴をあけてもよろしいのではないか、こういったような点についても協議が進められておるようであります。  それから時間的に申しましても、最初の警察の案では午前八時から午後八時まで、こういうことでございましたが、これも八時から八時までの十二時間連続で規制をするということは、これまたあまりに影響が大きいのではないか。そこでその中間に時間的な穴をあけると申しますか、そういう方法を当然考えるべきではないか、特にたとえば観光バス等についても、英国では二時間だと思いますが、それの規制をするという最初の案であったと思いますが、それについても特殊の場合には除外例を設けたらどうであろう、こういったことで、先ほど来関係閣僚から話がありましたとおり、それぞれ打ち合わせをして大体この意見は一致を見ているようであります。実は今週の火曜日の閣僚懇談会までに結論を得てはしいと、そういうことを各省の関係当局に申しておったのでありますが、遺憾ながら結論までに参りません。そこで、では来週までにぜひひとつ結論を得てはしいとこういうことでありますが、何分にも関係する向きが非常に広範であるばかりではなく、もちろん影響も非常に大きいし、また技術的にもいろいろ困難があるようでございますので、若干結論を得るのに延びております。残念でありますが、しかし一面問題が問題だけに慎重にやっておる、こういうことでございますので、何分御了承いただきたいと思います。
  226. 大和与一

    大和与一君 下がれない人が二人できたんですが、これは関連質問だから時間の制限がなくて、あしたまでやってもいい、しかしそれじゃ土曜日でもあるし困るから、私もしゃくにさわるけれども宿題として一応確答はお預けをしましょう。  もう一つは、これを東京でやった場合に、すぐ地方の都市などに今すぐ及ぼす、やる計画なり考え方があるか、これが一つ。  もう一つは交通違反の罰金、これは交通改善のために使われていないと承知しているのですが、どこに使われているか、それは相当の金額だと思うのですが、あるいはこれから交通改善のために使うことができる、こういうふうにしてもらえるかどうか、この二点をお聞きします。
  227. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) 第一点のことでありますが、当面検討いたしておりますのは東京都における交通規制の問題に限られております。したがって、これを直ちに他の地方都市等に及ぼすということはないと思いますが、しかし、何と申しましても交通のことでございますから、これを全国的に他の都市に及ぼすという点につきましては、公安委員会のほうで、かりにそういう必要が起こって参れば、その間の調整をとられるものだろうと考えます。  それから交通違反の罰金の関係でございますが、これにつきましても閣僚懇談会におきましても、何回か実は話題になったわけであります。これを直接交通改善のために、あるいは渋滞解消のために振り向けるべきである、そういう方途を講じたらどうか、こういう議論が再三出ました。現在では、もちろん一般の財源——一般の財源と申しますのは適当かどうかしりませんが、国庫に入っておりますので、それが特に交通関係に使用されておると、こういうことにはなっておらぬと思いますが、将来の問題としてこれはひとつ検討してみようではないかということにはなっております。
  228. 加瀬完

    加瀬完君 ちょっと関連関連ばかり多くて恐縮ですが、はっきりしないので伺います。公安委員会にまかせて、地方条例でこの問題を処理しようとするわけですけれども、地方条例で処理できるかどうか、こういう点について閣僚懇談会は何か問題をお持ちになっておらないか。たとえば東京都公安委員会運輸省なり警察庁なり、あるいはそれぞれの関係各省に連絡をして、一つの条例を作ろうというのは容易な問題ではありません。むしろ東京都でありますから、閣僚懇談会で一つのきちんとした線を出し、骨子的なものを出して、それを東京都の公安委員会に示して協力をして作るという方法を、なぜおとりにならないのか、そういう疑問を持ちますので、この間の事情を御説明願います。
  229. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) お話の点は、全体の政策的な面、社会的な影響。そういうような観点からは、十分国家公安委員会も相談にあずかり、また指導もいたしておるわけでございますが、個々のそういった事態をきめるのは、今日の制度のもとでは、御承知のとおりに各地方の公安委員会、こういうふうにきまっておりますし、これはまた、条例は必要のないものであろうと心得ております。  それからもう一つ、さっきの大和さんの、一体東京がやればほかもそれぞれ見ならってやるのかという点につきましては、目下のところでは、東京を一応モデル・ケースとして考えてみるが、ほかの都市にはすぐ直ちにこれを取り上げるというふうにはなっていないと思います。
  230. 加瀬完

    加瀬完君 条例か規則で結局お示しになる以外に、これは示しようがないわけでしょう。閣僚懇談会とかそれぞれの意見がまとまらないものを東京都公安委員会にやれと言ったって、東京都の公安委員会で各省に交渉して、一つの理想的な毛のをまとめるというのは、なかなか骨の折れることではないか、法律的にも東京都の警視庁というのは、各都道府県の警察部とは違うわけですから、警視庁の警視総監の任命も本部長の任命とは違っておるわけです。これを特別に警察庁ともあるいは国家公安委員会ともあるいは内閣とも相互の関連を持って問題を処理しなければならない立場に置かれておるわけです。ですから閣僚懇談会できちんとしたものを出し、それを東京都に示す、大阪が必要だったら大阪に示すという形にしたほうが、進め方としてはよろしいじゃないか、こういう点を伺っておるのです。国家公安委員会とのつながりではなくて、交通閣僚懇談会という毛のがあるのだから、そこで案をまとめなければ、東京都にまかせたってできる問題じゃないだろうと、こういうことです。
  231. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) その点につきましては、最初にそういった方向でものを検討していきたい。それから全般的には、今、加瀬委員の言われますように、影響力につきましては、閣僚懇談会でも十分の御懇談をいただきまして、現在のところ、はなはだしい意見の食い違いというようなものはほとんど今はなくて、大体方向は皆さん御一致を願っておると、こういうことで、早晩これは結論が出るだろうと、こういうことであります。
  232. 大和与一

    大和与一君 次にもう一つ、この混雑を緩和するために、トラック・ターミナル、これは大きい、小さい、いろいろありますが、自動車ターミナル法が三十四年の四月十五日に通っているわけですが、これも私運輸委員会でたびたび、いろいろの意見を申し上げておいても、ほとんど促進されていなかったのです。それを最近は、いろいろあちこちの意見の中にターミナルを作ることも一つの方法じゃないか、こういうことが相当強く、あるいは大臣の中にも出ているのじゃないかと思います。そうしますと、ターミナル法を見ますと、大体まあ営業のことを書いてあって、やろうとしても、大きな力を持っているものは自力でできますが、中小企業とか、そういう力の弱い人も当然作っていいのですから、そういう場合、交通関係者の、弱い人が集まって何かやろうという場合に、何か政府相当めんどう見てやらなくちゃならぬ、こう思って、たびたび当時の運輸大臣と、法文のことでもだいぶ意見のやり取りをしたことがありますが、そこで、今日ではもうそういうふうに言っておられないような、当面緊急を要する事態になったと思うのです。たとえばターミナル問題について、ターミナル法第三十一条には「用地及び資金の確保に関する措置を講ずるように努める」ようにする、こういうふうにある。やわらかい文章ですけれども、積極的にこの困難打開のために、あるいは建設大臣なり、あるいは国家公安委員長なり、もちろん運輸大臣が主体になりますけれども、そういう中からやはり具体的に行なうことができるような、資金面なり、あるいはその他の面の援助を具体的にやると、まあ建設大臣も含めて……。こういうお考えがあってしかるべきだと思うのですが、それについて、えらく建設大臣今うなずいておりますが、運輸大臣、建設大臣の御意見を聞きたいと思うのです。
  233. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 御意見のようにトラックあるいはバス等のターミナルの整備をすることは、自動車交通の混雑を緩和するという面からも、相当役立つ問題だと考えております。そこで、どういう所に設けたらいいか、また、どういう組織がいいかということを検討しているわけでございまして、東京におきましては、具体的にどの地域がよろしいか、都心部がいいか、あるいは郊外がいいか、あるいは今計画されておりまする高速道路と一般道路と交差をする所とか、具体的な個所も東京都の都市計画委員会の当局等とも連絡をいたしまして、そうして計画をいたしております。そうして構想がまとまって参りましたならば、今おっしゃいます用地の獲得、あるいは財政的の援助等について考えて参りたいと、かように考えております。
  234. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 関連。今、都市交通の問題につきまして、いろいろと閣僚各位の御意見が出ておりましたが、私、建設大臣並びに大蔵大臣の御決意のほどを伺っておきたいと思うのですが、かような都市交通の問題につきましては、昨年首都圏建設から道路建設、あらゆる問題について、私は皆様方の御意見を拝聴した一員。ところが一年たちまして、がぜんこれがこういう問題になってきている。警察庁のほうにおきましても、今回の規制、これは何も好んでやることじゃないけれども、いろいろなあれだけの事故が起こり、またいろいろなあれだけの負傷者が出るという場合においては、ただいまの取り締まりその他でもってはどうにもならぬということになれば、自然当局も押えるというようなこと以外には知恵がないということになるのでしょう。また、それじゃ規制をする場合において、自家用車を規制するということにすれば、みんな便宜が悪いから、反対する。あるいはまたトラックを規制するということになれば、そういうものの商売をしている人は、相当の飯の食い上げになるというようなこともありましょうし、これも反対するのも私は無理がないと思う。ところが、かような問題になりまして、なぜこういう工合になったかということを昨年私が大きく指摘を申し上げて、お願いも申し上げておったのですが、結局、かような死傷者をたくさん出すことが、なお次々に大きくなるということ、この犯人、犯人といえばこれは言葉が適切でないかもしれませんが、それは、私はやはり建設関係のほうだろうと思うのです。なぜかならば、今日まで都市関係が、かように交通が複雑になっていくということについては、これはもう早くからわかっておったはずです。現に建設省で御計画になった旧五カ年計画におきましても、都内四十何カ所の立体交差というようなものも計画なさった。それが、もう今日旧五カ年計画からいえば、すでに五カ年が過ぎるということになっているにかかわらず、ほとんどこの実施ができておらぬ。特に最近環状七号線あたりで一つ完成したというようなことの報告を受けたわけでありますが、かような状態であります。ところが、ただいまの都内の交通をほんとうによくやるということは、とめることではなくて、この流れをよくするということなんです。それをやらないでおいて、ただとめるとか、あるいは死傷者を防ぐということばかりに夢中になっておっても、これは問題は解決しません。でありますから、私は、建設大臣が二兆一千億をお出しになって、日本全体についてここに交通関係を見直していこうという御意見または御計画は、これはもうまことに適切だと思うわけでありまするが、特に東京あるいは大阪——もう大阪も同様でありまするが——かような所における問題は、建設省の御意向でこれを少し予算措置をしていただくならば、こんな工合に私は延びておらぬと思う。三十七年度は一体どういう手を打たれましたか。それを一つお伺いしたいのであります。問題は、かような死傷者を出し、かようなトラックの、あるいはまた乗用車の交通をとめなければならぬというような事態に持ってきたということは、結局、これまでの考慮が払われてなかったということに私は帰着すると思うのでありまして、かような点については、何といってもやはり予算措置だと思います。ところが建設省では、いろいろお伺いしますというと、すぐに国道あるいは第二国道の関係であって、あとは都にみんなさせるようになっておるというようなことを、この前も聞きましたが、やはり今度も同様であります。しからば都に、すべての道路交通における一番大事な立体交差というものをやらせるにしても、それに対しては何といってもやはり金なんです。富裕都府県であるかもしれないけれども、それはまた各方面にたいへんな金が要る。でありますから、これは私が昨年申し上げましたように、国が大きく取り上げて、この打開という方面に特別の資金的措置を講ずるというのが急務だということを私は強調したのです。ところがことしは、昨年より一体どういう工合に、東京都に対してこの資金的措置をなされたか。これがなされないということであるならば、これはもう制限だのあるいはまた事故取り締まりだのを一生懸命やってみたところで、それは枝葉末節のほうをやたらに突っつき回すだけで、根本を解決することにはならない。すべての方々に、かような事態になりましたから、あるいは規制で、適当な期間、お前たちはがまんせい、今地下鉄の工事をやっているからその間がまんせいということならわかる。しかしながら、いつまでたっても、根本的なところはよくならない。またよくするために、一向根本的な措置をしない。もちろん公団の道路が若干はできておりましょう。あるいはまたオリンピック道路が、三十九年までにはこれぐらいできるということも伺っておりますが、これは都内交通のあれにはならない。また、春日町にいたしましても、祝田橋にいたしましても、あらゆる点の交通を少なくともあのロスアンゼルスの交差みたいに、四方八方でなくてもいいから、東西南北だけでもいい、これは十分に通してもらうことを早く計画するのがいいのじゃないかと思うのですが、そういう二点。それからまた、大蔵大臣のこれに対する御決意はどうか。それをお伺いしておきます。
  235. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 具体的なことは建設大臣からお答えがあるかもしれませんが、今度の予算編成におきましては、今、道路計画においては、地方格差の問題、地方開発の問題等が出ておりまして、予算の配分に非常にむずかしい問題がございましたが、何といいましても大都市の交通問題が急務となって参りましたので、特に街路事業費には本年度力を入れることにいたしまして、予算は昨年度に比べて三割三分街路事業費をふやして五百九十二億円を計上いたしましたし、また踏切の除却は、三百三カ所ということにしまして百五十二億円の予算を計上いたし、それによって道路相互あるいは道路と鉄道との立体交差の問題、橋のかけかえというような問題も、今年度は相当この問題を強力に推進し得る態勢をとっております。また、阪神におきましても同様の問題がございますので、御承知のように阪神高速道路公団を新設することにいたしまして、所要の経費を盛りましたし、さらに大都市の交通問題として大事なのは地下鉄問題でございますので、これについての建設を進めるために、一般会計から利子の補給をするという道を開きまして、また、私鉄の都心への乗り入れというような問題については、新たに開発銀行から融資する道を開くというようなことで、今度の道路費においては、私ども今の現状に顧みて、相当この都市交通対策中心に予算を強化しておると考えております。
  236. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 御指摘のとおり立体交差を進める必要性が非常に緊迫いたしておりますので、今度の五カ年計画の中では、全国としましては、千八十九カ所の立体交差化を予定いたしまして、これが五カ年計画の積算の中に組み込んであるのでございます。東京都関係としましては、現在五十九カ所ほど予定をいたしておりますが、そのうち昭和通りに六、七カ所の立体交差を作りますことと、あるいは池袋の大踏切、先ほどお話のございました環状七号の立体交差、祝田橋の立体交差等計画をいたしておりますが、それぞれ相当の大工事になりまして、また日本では、まだこういう大規模な立体交差についての経験も乏しいので、設計やあるいは関係方面との折衝に手間取っておりまして、結果として昨年、三十六年度から始めましたものでありますから、成果が上がっておりませんが、われわれとしましては極力促進をして参りたいと思っております。鉄道との立体交差のほかに、道路道路の立体交差も非常に緊要でございますので、私自身も現実にそれぞれの個所につきまして検討をいたし、極力事務当局を督励し、あるいは東京都の実施すべきものも非常に多いのでありますので、東京都を督励いたしまして御期待に沿うように努力して参りたいと思っております。
  237. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 ひまはおとらせしませんが、東京都に道路交付金としてことしはどういうことになっておりますか。去年は幾らか。その点。
  238. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 声を大きく願います。
  239. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 本年度は、国費は二百三十数億円だと思います。ただ東京都内の道路は、ほとんど全部が都道でございますので、都が事業主体でございますが、御承知のとおりオリンピック関連事業が二十三本ございまして、その促進に全力を注いでおりまする段階で、非常に事業能力としても余力が乏しいので、こういう点からも、差し迫っておる道路交通問題を解決する道路整備事業というものが、意のごとくに参りませんので、われわれも苦労をいたしておるわけでございますが、オリンピック関連道路事業は、予定どおり進めるとしても、その他に工夫をして、どれだけの経費が要り、どれだけの方法が立つかということを先般来東京都と折衝いたしまして、東京都からも資料を出させまして煮詰めておりますような段階でございます。
  240. 大和与一

    大和与一君 次に、運輸大臣にお尋ねしますが、路面電車について、若干の意見があるようですが、これは一体、一ぺんにやめるのかあるいは一部やめるのだったら、こんなものは交通は隘路があれば同じことですから、ずっと広げていかなければ効果がないのですから、その辺のお考えを聞きたいと思います。  それからもう一つは、私鉄、その他の関係機関との共通乗車券というか、あるいは同一賃金といいますか、そういうベルト地帯というか、そういうものは、何かやったら交通緩和ができると思われるか、あるいはそういう考えがあるか。  それから建設大臣、時間がありませんから、少し急ぎますが、建設大臣には、東海、東北、甲信越の道路を大きくするのが、全部今のところ宮城を通らなくちゃいかぬ。これは直接に、大きな環状線ができて全部これがつながるようにいつなるのか。  それからダーリン・ベルト地帯ということを考えておられると思いますが、ロンドンでやっておるのですが、これに対して、どういうお考えか、若干の構想を伺いたい。  それからニューヨークでは、いろいろな政府機関なんかをいなかに持っていったのだけれども、やはりビジネスの関係で、そんなことじゃ商売にならぬ、取引がかえって不便だというので、むしろ改善しつつあるのが今日の姿です。あるいはまた、ニューヨークでは一万台の駐車場を作ると提案しまして、ニューヨークの市議会が否決した。やはり復古調になりつつあるけれども、今日の問題としては、高速列車とか、電車をむしろ作らなければいかぬ、こういうふうな話もあるのですが、そういうこともあわせ見ながら、東京が世界一の大都市になったのですが、ニューヨークより雑然としたこの中で、一体どういうふうな根本対策があるのか、これは運輸大臣に両方お答えいただきたい。それからデパート、ビルなんかに駐車場を作ろうという意見もありますが、これはへたすると、かえってそこにみんな集中して、劇場とか、そういうところに作ると、かえって交通が——だんだん車がふえて混雑するんじゃないか、こういうふうな意見もありそうなんですが、これに対してはどうですか。  それから道路工事、これはオリンピックがあるから、若干、今のところはやむを得ない面もありますけれども、われわれしろうとが見ておって、きょう掘りまして、また十日たったら違うところを起こして掘っている、こういうことがあります。ああいうことは、今までもそうなんですが、関係機関が話し合いをして、もっと手ぎわよく、一ぺん掘ったら同じところをずっと掘って、そこでなるべくならばやってしまえばいい。そういう一体、道路工事の調整、期間の短縮、こういうことは、具体的にできるものか、できないものか。どうも今までは、できていないように思うが、これは全国ケースでも見受けますが、それはどうか。きょうの読売新聞に出ておった大都市再開発問題懇談会——これは懇談会か何か知らぬけれども、読売新聞の朝刊、一面に出ているが、これに対しての、そちらのお考えを言ってもらいたい。
  241. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 市電の撤去の問題でございますが、今後やはり路面電車は、できるだけなくしていくように指導をいたしたいと考えております。ただこのためには、これにかわる交通機関がなければなりませんので、一日も早く地下鉄あるいは高架の高速道路、鉄道というものを作りまして、そうして、それができてくるに応じて、逐次なくしていくように指導をいたして参りたいと考えております。  御承知のように、市電はそれぞれの都あるいは市において経営いたしております。そこには市民の意向を反映する議会等がございますが、方針としては、そういうふうに指導して参りたいと考えております。  それから地方鉄道と地下鉄との切符の共通の問題、これは交通緩和の点から考えましても、地方鉄道が、地下鉄とお互いに共同乗り入れをするということが絶対に必要だと考えております。このためには、相当の工事を要しまするし、施設も要しますが、それを今やりたいと思って指導いたしておるわけでございます。そうなりますと、自然に切符も共通をするようにして参らなければなりませんので、その準備をいたしております。
  242. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 都心部を通らないで通過できるような道路としましては、現在昭和三十九年までに完成を目途といたしまして環状七号道路を整備建設中でございます。なお並行しまして、この外側にできる環状八号道路を昨年以来、相当大規模な予算を投じまして羽田の空港をスタートに、現在建設を開始しておるわけでございます。なお、そのほかに京浜地区から千葉方面に通行するものが、東京湾の関係でどうしても都心を通ります。この都心通過を避けるためには、海のほうに別の道路を作ることが考えられますので、これは東京都と相談いたしまして、今漁業補償の折衝中でございますが、これがまとまりましたならば、東京湾の整備の一環としまして、百メートルくらいの道路を防災的な使命と双方にないまして、江戸川方面から蒲田方面に直通するものを作りたい。行路の点は地下道にするか橋にするかは研究中でございますが、そういうふうにいたしたいと思っております。  グリーン・ベルトの問題は大きな問題で、ロンドンでニュー・タウンを作り始めましたときは、その周辺にグリーン・ベルト地帯を作りまして、国費で用地買収して確保したのでありますが、日本で首都圏整備が始まりまして衛星都市圏の建設を始めました際に、私ども在野中でございましたが、国費によって要所々々を買収して、グリーン・ベルト用地を確保する必要があるという主張を持っていたのでありますが、これは膨大な経費を要しますので、日本の現状としては、とうてい実行することが不可能であるということで、今日まできております。そこで首都圏整備委員会としましては、できるだけ既成市街地の外側に大学の運動場、会社の運動場あるいは適当な寮等を建設してもらうように行政指導をいたしまして、極力そういう方面は緑で確保をいたしたい、こういう程度で進んでおるわけでございます。  それから、例の既成市街地の大都市再開発問題懇談会の問題は、実は現状で放置することはとうていできませんので、私は就任いたしまして以来、省内の担当局に命じまして、既成市街地の再開発はどうすべきであるかということを、いろいろな角度から各般の資料を集めまして検討を命じてやらせております。  一例をあげますと、東京都には、たくさんの都市計画予定路線の決定が都市計画審議会できまっておりますので、これが全部完成すれば、日本道路はすばらしいものになるのでありますが、しからばこれをやりましたならば、どれくらいの経費がかかるか。二年前の積算では一兆五千億、二年おくれた今日では二兆円をこえるだろう、だろうでは困るのは、煮詰めた数字を出すと、それが可能であるかどうか。それがむずかしいとするならば、もっと金をかけないで、二階建道路などの工夫をして交通をさばく道はないか。その他、だんだんベッド・タウンが遠くなりまして、輸送が非常に麻痺状態にありますので、既成市街地を、もっと合理的に高度利用をして開発したいし、あわせて公共用地を生み出すような道を講じたらどうか。一連の試みとして最近まとまってきましたものとして、半蔵門から四谷見附までの間を三十メートル以上の——三十二メートルにきまりましたが、道路をあけまして、両側を高層建築にして、げたばき住宅を建てるというのが一つまとまりまして、これは都市計画審議会に付議されました。これに類似する方法がいろいろ考えられますので、事務当局で検討しておりますが、事務当局だけでやるということは、独走のきらいがありますので、近来各大学にも、都市問題研究の学者が非常にたくさんできましたが、これらの方々にお集まりをいただいて、御意見を十分伺い、討議をしていただいて、世間も納得し、非常にもっともだと思われるようなものをひとつ生み出してみたい、こういう努力を払う道として、実はそういう懇談会組織を作りまして、近々のうちに、第一回会合をいたしましてスタートをいたしたい、こう思っておるような次第でございます。  道路の堀り返し問題は、これは全く非難の目標でございます。大体都内の道路が、国道も若干ございますが、都道及び区道でございますので、それに電話線、電気、水道、ガス等が入っておりますので、それらの道路占用機関が、必要があって掘るわけでございますが、これにつきましては、最近、東京都の道路管理部に関係機関の協議会を作らせまして、そしてできるだけ統一的に掘るようにということで相談をし、また、二、三年先に掘る予定の施設の状態のものに対しては、一個所が掘るときには繰り上げて同時施工をしてもらうというような打ち合わせ機関を作りまして、ひとつ一ぺんこの整備が済んだら、これからは、ばらばらな掘り返しはさせないようにということを今進めておるわけでございます。  一方、最近非常に掘り返しが多いのは、舗装が、昭和三十四年以降の舗装は非常に完全舗装になってきましてよろしいのでありますが、それ以前にできました舗装は——東京あたりの早く舗装のできました所は、ほとんど全部でございますので、まあ至るところしわがあり、ひびがあり、凹凸がありますので、これをオリンピックまでに主要道路は、最近の完全舗装に置きかえようということで、都のほうも熱心にやっております。国のほうもそれを督励してやっておるわけでございます。そういう関係で、主要道路につきましては、埋設物の関係のほかに、舗装の完備ということのために最近非常に工事が多いわけで、一そう目立っておると思います。  われわれとしましては、世間の非難をできるだけないようにしていきたいということのために実は苦労いたしておるわけでございまするが、今後も御意見を尊重いたしまして十分配慮いたしたいと思います。
  243. 大和与一

    大和与一君 運輸大臣に、路面電車のことですが、路面電車はやめる気持がある、それから共同乗り入ればやる、こういうふうにお聞きしましたが、そうですか。  そうすると、これはなかなか大へんな問題で、そう簡単にはいかぬと思うのだが、とにかく路面電車のほうは東京都内の低所得者ですね、こういう人たちはバスも何もないところで、相当これはやはり恩恵を受けておると思います。そういう低所得者に対する配慮が十分なされなければ、これはやはり相当大きな問題だと思う。ですから、もう少しそういう点は、今すぐではないでしょうけれども、やるならば百パーセント効果のあるようなとき、そういう方法、しかも、そういうものは少し生活に弱い人たちがあまり困らない、こういう一石三鳥くらいの内容を盛ったものでなくちゃ困ると思うのですが、そういう点ひとつ、運輸大臣の御意見を承ります。
  244. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 路面電車の撤廃の問題は、今おっしゃいましたことのほかに、まだいろいろむずかしい問題がございますが、大和さんあたり御専門であろうと思いますが、料金の問題もおっしゃるとおりでありますが、しかし、今日の交通状況、あるいは今後のことを考えてみましても、どうしても路面電車というのは、これは地下鉄か高架にかえていかなければならないと考えております。これにかわるものとして、さらにバスがございますが、しかしながら、地下あるいは高架の高速軌道を、路面電車にかえるだけ作り上げるというのには、若干の年月を要しますので、できるところからやって参りたいと考えておりますが、料金の問題も、バスあるいは地下鉄等の料金を考え合わせまして、そういうことのできるだけ早くできるようにして参りたい、こう考えております。  それから地方鉄道と地下鉄等との相互乗り入れ、これは、どうしてもやらなければならんと考えておりまして、現実にその計画を今進めております。たとえば東横線と地下鉄の問題という工合に、また大阪のごときは、地下鉄道が直接都心にまで乗り入れて参るということを指導いたしておりまして、これらのためには、必要な長期低利の融資もはかっているわけでございます。
  245. 大和与一

    大和与一君 人命尊重の立場に立って、規則違反がずいぶんありますね。——さっきのまだわからんですか、大体わかったですか、パーセンテージ。それ、ちょっとわかったら……。
  246. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 先ほどは、交通事故原因について申し上げたのでございますが、規則違反という点からいたしますと、ただいま手元にありますのは、三十六年中におきまする東京、大阪の件数でございますが、東京について申し上げますと、速度違反が二三・二%、駐停車違反が一七・八%、無免許運転が一一・九%、一時停車違反が一〇・九%、通行区分違反八・四%、信号無視五・二%、標識違反三・九%、乗車積載違反三・七%、一方交通違反二・七%、軌道敷内通行二・七%、その他八・七%というふうになっております。
  247. 大和与一

    大和与一君 そうすると、やはり私さっき目の子で言ったけれども、それらの違反を善導できれば、適正人員の配置その他でできれば、これは半分近くは——私は国民の感情においては、善良な国民が死傷する。これが一番頭にきているので、ほかのことはそんなにわかりませんよ。これはひとつ、政府としても黙っちゃおれんから、閣僚懇談会でも取り上げて一生懸命やっていると思うのです。大体半分ぐらいは、それで悪質な違反がおさまる、こういうことになりますね。
  248. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 確かにお話のように、注意深く取り締まり指導というものが行なわれますれば、事故相当部分が緩和される。しかしながら、さらに、やはり道路の施設その他について十分注意すべき面もあろうと思います。しかし要は、運転者あるいは歩行者の交通道徳の高揚と申しますか、ということと、それを初期において、できるだけ完璧に指導し、悪質な者を取り締まるということが必要だと思います。
  249. 大和与一

    大和与一君 悪質な者、酔っ払い運転とか無免許とか、これはちょっと、どうにも救いがたいものだと思うのです。そういう者に対して、今の処罰よりも——これをまた大きく分けると営業用、自家用となると、やはり自家用のが多いのじゃないかと思うのですが、そういう場合に、現在の処罰を、ほんとうにどうにも救いがたいような悪質な者については、もっとおきゅうをすえる、こういうふうな気持がおありになるか、お伺いします。
  250. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 警察といたしましても、取り締まりの重点は、もちろん悪質犯に置いているわけでございます。もっとも刑事処分の問題は警察だけで参るわけでございませんので、検察さらに裁判の問題として十分に考慮をしていただきたいというふうに考えているわけでございまするし、先般一昨年の暮れに道路交通法を改正いたしましたときにも、そういう趣旨をも含めまして罰則の強化ということをいたしたわけでございます。さらにただいまお話しのような悪質犯につきましては、行政処分としての運転免許の取り消しあるいは停止というようなことにつきましても十分意を払っていくというつもりでいるわけでございます。
  251. 大和与一

    大和与一君 それで昨年の新道交法ですね、これをちょっと一つの見方からすると、警察官の権限を拡大して罰金を重くした、こういうふうな批判もあるのですね。私の聞いたのはほんとうの度しがたい悪質犯に限った今の質問ですよ。それは誤解のないようにしてもらわないと困るのですが、そうすると去年の新道交法以来それを受けている人たちが、まあ大体において何か事故があった場合は、運転するほうに落度が多いかもしれませんが、しかし一応は何かあった場合に、警察官もその運転者の意見を聞いてやる、こういうような配慮はあってもいいんではないか。あるいはまた非常に小さい話だけれども、群馬県の伊勢崎の旭町の踏み切りでは、踏切警手が遮断機を早くおろしたといっておまわりさんがどなり込んできたという話がある、小さい話だけれども。それでやはり去年の新道交法ができて、私の耳に入るのはあまり芳しくない話が多いのだけれども、おまわりさんがあまり元気がよ過ぎて、罰金ばかりびしびし取るという声をだいぶ耳にするのですが、それに対するその経緯というものはあなたのほうではどういうふうにお考えになっておりますか、全くうまくやっていると言うか、欠点もありますというふうに率直に言うのか、どっちですか。
  252. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 一昨年の暮れに改正いたしました趣旨は、罰則を強化いたしたと申しましても、その当時の、現行法制定の当時からいろいろ経済事情が変わってきたということが大きい原因の一つでございます。さらにまた悪質な者についての罰則強化という点が加わっているわけでございますが、この罰金につきましては警察官の裁量ではございませんで、警察はこれを送致して裁判面で行なわれるわけでございます。しかし相当悪質な者について処罰が重くなっているように承知をいたしておるわけでございます。  それから警察のその後のやり方が完璧であるかというお話でございますが、私も決して完璧であるとは思っておりません。しかしながら、一昨年道交法改正いたしました一つのまたねらいは、あの道交法を改正することによって一般にも交通についての関心が深まることを期待し、また警察におきましても適切な取り締まり指導ということの責務を痛感させるという意味も大いにあったろうと思います。その結果は、もちろん昨年においても一昨年より事故、死亡者等がふえてはおりますけれども、その前三カ年間の平均が大体二〇%余の増加率になっておったのが、一応六%ないし九%にとどまっているというような状況からも、一般の関心が非常に交通問題について高まってきたと思うのであります。しかし、まだまだ警察の態度、措置というものが、私も十分とは思っておりませんので、この点につきましてはさらに指導督励を徹底して参りたいというふうに考えます。
  253. 大和与一

    大和与一君 法務大臣にお尋ねいたしますが、この酔っぱらい運転ですね、一番悪質な。これは従来の過失致死という、こういうふうな考えとは別に、法律改正なんというものをお考えになったことがあるか、そういうことはいかがですか。  それからもう一つは、この交通関係のいろいろな裁判ですね。こういうものは裁判所からいったら非常に小さな問題だと思うのです。そうすると係官も少ないし、その処理の迅速化というものはどの程度に行なわれているか、この二つ。
  254. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) お答え申し上げます。酔っぱらい運転等の悪質な交通事犯に対する処分の問題につきましては、特に研究もいたしております。そうしてまたその態様いかんによりましては厳重な処分をするようにやっておる次第でございます。酔っぱらい運転のみならず、その他ひき逃げ等につきましても、御承知のように、長い間研究いたしておりましたが、最近はこの問題について特に、もちろん法の許す範囲内ではございますが、厳正に取り締まっていこうという方針をもって臨んでおる次第でございます。交通事犯が非常にふえまして、これに対する対処、処理の方法としては早くから研究をいたしております。ことに、御承知のように、大都会におきましては、その違反件数の増加のために、裁判所当局も検察当局もまた警察当局も全く悩み抜いておるのであります。それにつきましては定員の増加、事務処理の簡易化の問題について特に研究をいたしておりまして、今日までにおきましても事務処理の問題におきましては相当簡易化されておるのでありますが、さらにもっと簡易化する必要があるというので、警察当局ともいろいろお互いに相談もし、それぞれ研究もいたし、近く何らかの成案を得て事務処理をうんと簡略にしていきたいと、かように考えておる次第であります。
  255. 加瀬完

    加瀬完君 関連して。法務大臣と国家公安委員長に伺いますが、今、法務大臣の御説明で、簡略にはなりましたけれども、国家公安委員長あるいは法務大臣からごらんになりまして、各公安委員会相当行政罰に差等があるんじゃないですか。同じような違反でも、ある公安委員会は非常に重く、ある公安委員会は非常に軽い。あるいは検察庁側から見て行政罰が重過ぎる、あるいは軽過ぎる。こういう点がお気づきになっておることはないかどうか。ないと言うならば、事実をあげまして、それでいいかどうかをあとでまた伺います。
  256. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 各地方の公安委員会によって交通事故、違反に対する処分に差等があるんじゃなかろうか、こういうお話でございますが、これは警察庁といたしましては一定の基準を示しておりまして、大体全体的にあまり差のないように指導はいたしております。しかしそれぞれが自治体としての警察機能を発揮しておるという建前でありますので、若干今御指摘のようなそういう差があるかもしれません。しかし、これは事情によってやむを得ない場合もあるかもしれませんが、大体あまり好ましくないと思います。今後も十分気をつけて統一するようにというように指導していきたいと思っております。
  257. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 検察当局といたしましては、その事件の送致を受けましてからあとの取り扱いにつきましては、全国常に会同その他によりまして毛実際上不権衡が起こらないように努めておりますから、おおむねあやまちなきを考えておるのであります。ただ、ただいまの御質問が行政罰云々と仰せになりましたので、その点についてはわれわれの関するところではございません。
  258. 加瀬完

    加瀬完君 関することではないということにはならないと思う。検察庁側から見た行政罰に非常に差等があれば、これはやはり問題にすべきじゃないかと思う。たとえばですね、ある公安委員会においてはスピード違反二回くらいやって五十日の停止、こういう処罰をしておるところもある。ある公安委員会では、情状によって十二分に行政指導をして大した処罰をしない公安委員会もある。どちらがいいか悪いかということはここで論議をいたしません。それがですよ、行政注意にとどまったものは検察庁には送られませんけれども、行政罰のものは検察庁に送られるわけです。検察庁では全国的にその比重を検討しなければ、検察庁側としても法の適正な運営が行なわれておるかどうかということに問題が残ると思う。もしそういう御注意がなかったならば、少なくも公安委員会の交通問題における行政罰は非常に問題がありますから御検討をお願いを申し上げます。  それから公安委員長は、ただいまお話がございましたから、相当な階段がございますから、十二分にこれは指導助言をいただきたいとお願いを申し上げます。
  259. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 運転免許の取り上げその他の行政処分につきましては、もっぱらこれは公安委員会責任になっておりますから、今御指摘のような点につきましては十分今後気をつけてやりたいと思います。
  260. 大和与一

    大和与一君 わが党はいつも弱い者の味方でありますが、事故が起こった場合の損害補償というか、たとえば自動車保険五十万円ときまっておりますが、あとからその後のいろんな処理について取り立てがなかなかできない。雇い主は払わない。被害者は弱いからなかなか言ってもだめだと、そういうふうなことがたくさん実例があるのですが、この金額を上げるというお考えはありませんか、運輸大臣か何かに。
  261. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 自動車保険の保険金が低過ぎるのじゃないかと、昨年ですか、一昨年ですか、死んだ場合に三十万円というのを五十万円に引き上げたことは御承知のとおりだと思っております。それはもちろんその最低を保険によって保障していくということでありまして、民事賠償をこれで打ち切るという趣旨ではございませんが、しかし、それにいたしましても、諸般情勢から少し低きに失するのじゃないかと、かように考えておりまして、近く検討を加えまして時勢に合うようにいたしたい、かように考えております。
  262. 大和与一

    大和与一君 しかも、この問題を解決するのには、加害者のほうには示談屋というか専門家がおる。最近は当たり屋というのができているのですね、こういうこともあると、完全にひき逃げされた場合は加害者がわからぬと、こういう事態が起こってくると思うのです。残ったのが老人や子供であったらほとんど強い話し相手にはならないわけです。それで私は、たとえば弁護士に頼んでも二割くらい取られるのですね。たとえば労働災害保険は二割なんか取られたら大問題になると思うのですが、それで私はこういう一つの提案があるのですが、これは宿題として聞いてもらいたいのですが、交通災害事務所と、こういうようなものができたらどうだろうか、そこで一応そういう事務所が交通事故については査定をする。そして査定をして事務所が認定をして一応払っておく。それからあとは、たとえば内出血とかあとの問題が起こりますから、そのときにはわからぬことでからだの変化が起こるから、そういうことも合わせ含めるとここで一応きめておいて、あとは今度何というか、裁判所にまかせると、こういうふうな、一つのこれはちょっと思いつきみたいだけれども、考え方があるのですが、こういう考え方は間違いか、参考になるか、御意見があったら聞きたいのですがね。
  263. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) ただいまの御提案はとくと検討させていただきたいと存じます。何らかの改善に役立つのではないかと考えまして検討させていただきたいと存じます。  なおひき逃げの場合には、これは自動車保険につきましては政府が負担をすることになっておりまするので、ひき逃げをされました場合にでも自動車保険により補償金は取れるわけでございます。
  264. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 交通事犯の際に、死傷等を受けた側に対しての損害補償の問題につきましては、力のある者は弁護士に依頼してそしてこれを解決することができますが、そうじゃない場合も相当あるやに見受けられます。そしてしかもそうした場合にいわゆる事故屋というのですか、その間に立ってあっせんの労をとるものがあるやに察せられるのであります。この問題については、幸いにしてわれわれも注目をいたしまして、刑法上取り締まることができるかできないかの研究はやっております。また弁護士会におきましても、現在の弁護士の手数料の制度等の上からも、これは人権を尊重する、また弱い者を援護してやるというような意味から非常に研究を要するというので、弁護士会でも非常にこの点に注目いたしまして、いろいろ対策を研究いたしております。したがって、われわれも相ともにこれらに対する適当な策を検討して参りたいと思っております。
  265. 大和与一

    大和与一君 トラック・ターミナルの問題ですが、先ほど運輸大臣は一つの案を持っていると、こういうふうにおっしゃったと思うのです。私もその案をちょっと見たんですが、まだあれはちょっと不十分だと思うのです。だから、もっとあれをよく推敲して、それでやはり早急に関係大臣がやはり交通難を打開するためにやらなくちゃならぬということを腹をきめたのだったら、やはり積極的に指導してやると、このくらいの熱意をお持ちにならないと、それは一つも解決しないということになりますから、大臣の決意というか、熱意のほどをひとつ聞かしてもらいたいと思うのです。
  266. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) おっしゃいますように、トラック・ターミナルにつきましては、まだこれならという自信のあるまでの案になっておりません。関係業者また関係の知識経験をお持ちの方々の御意見等も伺いまして、確信のある案といたしまして、そして推進して参りたいと、かように存じます。
  267. 大和与一

    大和与一君 総理府長官にお尋ねしますが、やはり私は責任の所在が明確でないのですよ。結局初めから聞いておって、あなたが一番偉いような顔をしているのですけれども、そこで、大臣を率いるわけにいかぬと思うのだけれども、たとえばさっきも披露しましたがね、二月十八日の朝日新聞のトップ記事で、「運輸省で総合対策」と、こういうりっぱな記事があるわけだ。けさまたこれで今度建設省のこういうのがあるでしょう。こういうのは一体、各省でみんなやるという気持はわかるのですよ、わかるのだけれども、それが船頭多くして船山に上るで、ちっとも具体的に進まないから国民が怒っておるのであって、進んでおれば何にも言わぬと思うのですよ。やはりそれをまとめるのは一体だれなのか、まとめるのは。そういうのは閣僚懇談会は機関じゃないのだそうですから、いわゆる懇談会だと大筋がきまって、今度それを手分けをしてやるのがあれですか、総理府長官ですが。逆に今度運輸省なり建設省なりでいいことを考えた場合に、それの長所と短所を取りまぜて、そしてまとめ役になる。大臣間の折衝でまとめるくらいなら簡単だけれども、それは実際に役所の中に入ってみたらなかなか下に行くほどそれはなわ張り根性があってそれはなかなか勇ましいですよ。陸運局に行っても、警察の考え方は浅い、警察のほうに行けば、陸運局の考え方は正しくないということを言うのです。それだから、下の話じゃなく上の話を聞いているので、どうも責任の所在が明確でない。やはり交通対策本部が、あなたが長だろうけれども、ちっとも出てこないじゃないですか、名前が。交通閣僚懇談会は機関じゃないのだから、交通対策本部のほうがまとめ役なんですから、そうすると、それ自体が自主的に下から問題を吸い上げて、それをまとめて逆に交通閣僚懇談会へ持って入る場合もあると思うのです。あるいはまたそこで積極的に創意工夫をこらしてやる場合もあると思うのです。どうも責任の所在が明確でないのですが、一応総理府長官が具体的な答弁の問題については閣内における、政府における責任者である、こういうふうに理解をしてよろしいでしょうか。
  268. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) 総務長官の立場は、御承知のとおり、各省にまたがる事項についてのやはり連絡調整ということが任務であります。当然その責任を負うわけであります。そこで交通問題につきましても、先ほど来申しておりますように、総理府に総務長官を本部長として対策本部があるわけでございますが、これも交通問題のうち、事務的に各省に関係のあるものについて連絡調整をはかっていくということが与えられたる任務であります。そこで調整のついた事項については、それぞれの所管の大臣がおるわけですから、その遂行につきましては各省の大臣責任を持って実施される、こういうふうに考えております。閣僚懇談会との関係におきましては、先ほども申しましたとおり、対策本部として事務的に意見のまとまったものを閣僚懇談会に上げて、全体としての関係閣僚の御承認をさらに仰いでやって参る。実施については先ほど申したとおりであります。また一面、対策本部だけでは意見のまとまらないという場合もございます。それらにつきましてはそのまま場合によりましては閣僚懇談会に上げて、各閣僚の御意見の調整を願う、こういう方法でただいまやっておるわけであります。
  269. 大和与一

    大和与一君 やはりだめだな、それじゃ。関係閣僚といったって、全閣僚じゃないのですからね。今入っている人だけの相談になるわけでしょう、懇談会だから。これは悪い言葉で言うと、思いつきか放言機関ですよ。交通対策本部というのは何をしているかというと、官僚間の利害調整機関。それで、あなたもやはり責任者じゃなくて——逃げて歩いておってだな、さっぱりだれかわからぬじゃないですか、交通懇談会の責任者はいない、あなたが政府責任者じゃないと言ったら。これは仕事を分けられたあとはいいですよ。それから今度、上がってくるまでの自主的な——運輸省なり建設省なりの——それは一元化をやることはいいのだけれども、それがいろいろな意見の衝突することは事実なんだから、幾らでもあるのだから、だれがそれをまとめているか、責任者はだれかということは、これは明確に逃げるわけにはいかぬと思うのだ、これは。
  270. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) ただいま申しましたとおり。ですから、連絡調整をはかる責任は私にありますと、こう申し上げているのであります。
  271. 大和与一

    大和与一君 これで私もやめたいと思うのですが、きょうたくさんの質問をしましたけれども、たとえば行政の一元化にしてもよりどころがない。責任の明確化だけでなくて、どういうふうにしようかというよりどころの基本法がないと思うのです。これも一つの宿題というか、提案なんだけれども、交通基本法というようなものをきちんと考えることができたら、おのずから範疇はきまってくると思うのですよ。そういうふうな考え方に立って早急に検討をすることが一体できないか。その辺をひとつ聞きたいと思いますね。やっぱりそれがないと、今のところは、運輸省なら運輸省だけの——道運法とか、いろいろありますね。その法律によって、それを敷衍して、あるいは拡大してそうしておさめてきたんだけれども、もうそんなものは、袋の中身が大きくなっておさまらぬ。総合的な都市計画なり、全体的な判断に立たなくちゃいかぬということは、もうだれが見てもわかるようになった。ぜひともこの辺で、交通基本法といいますか、そういう具体的なものを作って、そうして、そうなれば行政的にもその他の面においても相当はっきりしたそれぞれの範疇ができて、おさまるところはおさまる。それでもやっぱり困難なところは困難なところがある。こういうふうになるのじゃないかと思うのですが、そういう構想がおありでなければ、今からでも考える努力をしよう、しかも、それはもう今までのような口約束だけでなくて、大体の目安を、次の国会には出す、これくらいな意気込みでやっぱりやってもらわなければいかぬと思うのだけれども、それに対する御所見を承りたい。
  272. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) 従来交通基本法とも称すべきものについてはまだ話が出ておりませんでした。しかし、せっかくのお話でございますし、またさっき申しましたとおり、交通基本問題調査会というものも御提案申し上げておるわけでありまするので、この調査会ができますれば、今お話しのような問題につきましても、これは根本的なきわめて重要な問題でありますから、当然御審議をいただいて善処して参りたいと思います。
  273. 藤田進

    ○藤田進君 関連して。立法、法制化の問題に関連して、国家公安委員長が適当かと思われるが、必ずしも安井さんの所管とも思われない問題が一つあります。  私は昨年来、警察庁、警視庁、それから運輸省、それから法務省、あらゆるところへ折衝を持ってみたところ、どこも主管省でない。「そもそも監督官庁はこれはないのです」、こういうものがあるのですね。それは、交通に関する示談屋ですよ。ずいぶんありますがね。何々交通協会とかいったような名刺を持ちまして、いかにも公的機関のようなものです。調べてみると、ある弁護士あたりの名前を——これは弁護士法の関係もあってでしょう——名前をかたっている。実体を調べてみると、その弁護士は、「私は知らない。」。ところが、この被害はかなり大きなものがあります。今の損害保険なんかを渡さないで、その示談屋が取り込んでしまうといったようなものがある。こういうふうな、刑事事件を起こせば初めて警察の問題になる。その団体自体は何ら問題にならないし、監督官庁がない。——打ち合わせがあれば待っていますよ。聞いていなければ、答弁できない。  そこで、ある官庁の、まあ昨年ですね、言うのに、国家公安委員会のほうから実はその問題が出て、公安委員会で問題になっています、これは立法を必要とするとなっている。しかし、東京が最も被害が大きいのに、東京がどうなっているのか知りませんが、少なくともその経過から見ると、局部的へ局地的に問題を合理化し解決する意味から見ても、こういう示談屋——いろいろ種類があります。私はこれはずいぶん調査いたしたのでありますが、クラブ組織にしている。特定の会社がこれに会費を平日納めて、そして何台か相当な車を持っている人たちのクラブ組織。そうしてかよわい労働者あるいは日雇いの人たちといったようなものをはね飛ばしたり、いろいろな事故をやりまして、請求をしてやるがごとき説明をしながら、その損害保険の請求もしないといったような、弁護士を頼めばこれまた数万円かかるというようなことで、非常な弊害が出てきておる。解散か何か命じられたところもありましたね。これは当然この国会で立法措置がなされるだろうと私は期待していたんです。そう申し上げる私も——わが党でこれをきめているわけじゃございません。しかし、これらについて何らの措置もないし、その後私が折衝いたしました所管庁からの御回答もないわけでございます。この際これを一つお伺いしたい。  もう一点は、今取り締まりの面がかなり強く指摘された。これももっともでありますが、他面、私ども感じるのには、これは警察庁長官でよろしいが、警察官が交通にいろいろ整理その他携わっておりますが、違反をあげれば、これが賞与か何か成績に関係するのかどうかでしょうね。最近錦糸堀その他に私ども再三参っておりますが、これは不都合なのがずいぶんあります、不都合なのが。時間がありませんから、具体的に必要ならあとで、申し上げます。当然違反と心得ないで、もう当然駐車できると思って、駐車禁止の標示も何もないのでやっていると、そこが違反であって、大量に毎日、交番所で何かやっていて、大体今行けば何台は駐車しているだろう、猟師が野原にウサギをとるためにわなをかけておいて、さあそろそろ引っかかっているだろうな、まあ行ってみようがなという調子じゃないかといってある警官を責めたことがあります。最近これは一カ所や、二カ所じゃない、東京都内でも。何ら表示がない。したがって、十数台、ウインドに何々交番所に来て下さいと書いたカードがはさんであるというようなことを見ても、ほんとうに行政官として違反を未然に指導しようというものがなくて、単に違反をあげ、その点数をかせぐというふうにしか見えないのが実はたくさんあるのです。私は錦糸堀の検察官にも会いました。ところが、いやこれは毎日この事件のない日はございません、毎日何件もこれは来ております、こういう証言も私とっておりますが、こういったような点で、もっと交通に対する安全なり、違反をしない指導というものを当面やっていただかなければならぬ。親切な人はもちろん多数あります。ありますが、そういう面がかなりあることを私は知っておりますので、どういうふうに指導され、それがどういう点数のかせぎ高になるのか、お答えいただきたい。
  274. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 今の示談を目的とする協会か組合のようなものが、事実問題としてあることは私ども承知しております。これが単に任意の依頼によって任意の問題を片づけておるということであれば、今のところ直接これを取り締まる法規というものはないかもしれませんが、それが非常に行き過ぎて脅迫になったり、強要になるといったようなことがあれば、これは当然警察側の取り締まり対象になると思っております。しかし、この組織自体についてはいま少し検討を要すると思います。関係機関とも早急に検討いたしまして、何らかの結論を得たいと思っております。また、警官全体が点数かせぎのためにただやるというようなことではこれはいかぬと思います。これにつきまして警察庁長官からいろいろ申し上げることがあろうかと思いますが、私どもは、やはり社会全般の公平な安寧秩序を保つという趣旨で警官は常になければならぬと心得ております。
  275. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) ただいまお話の交通違反を単に件数だけあげることの点数主義をしておるのじゃないか、そういうことがあるというお話でありますが、警察といたしましては、そういう点数主義あるいは点数主義ということでこれに賞を出すというようなことはいたしておらないわけでございまして、もちろん困難な問題に対して挺身して仕事をするというようなその功労に対して賞を出す。実質主義にものを考えていく方針をとっておるわけであります。今お話のような問題も、あるいはたびたび駐車違反等を起こす状況にある者について取り締まりをいたしておる例かとも思いまするけれども、できるだけ予防措置、指導措置ということが前提として行なわれるべきであって、取り締まりだけを主義とするということではよろしくない、よく注意いたしたいと思います。
  276. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 示談屋の問題につきましては、先ほどもお答えいたしましたとおり、いろいろ部内で検討いたしておりますが、大体の今までの研究の段階におきましては、弁護士法の違反になるのではないかという疑いを持ってなお研究いたしておる次第であります、
  277. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 大和君の質疑は終了いたしました。  次回は、明後日午前十時に開会いたすことといたし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十三分散会