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1962-01-26 第40回国会 参議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年一月二十六日(金曜日)    午後二時四分開会   —————————————   委員異動 十二月十四日委員永岡光治君、小柳勇 君及び阿具根登辞任につき、その補 欠として坂本昭君、松澤兼人君及び成 瀬幡治君を議長において指名した。 一月二十五日委員梶原茂嘉辞任につ き、その補欠として野本品吉君を議長 において指名した。 本日委員村松久義君及び太田正孝君辞 任につき、その補欠として田中啓一君 及び野上進君を議長において指名し た。   委員長異動 一月二十四日小山邦太郎委員長辞任 につき、その補欠として湯澤三千男君 を議院において委員長に選任した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     湯澤三千男君    理事            平島 敏夫君            米田 正文君            加瀬  完君            藤田  進君            田上 松衞君            千田  正君            加賀山之雄君    委員            小沢久太郎君            大谷 贇雄君            金丸 冨夫君            古池 信三君            小林 英三君            小柳 牧衞君            杉原 荒太君            田中 啓一君            野上  進君            武藤 常介君            村山 道雄君            山本  杉君            佐多 忠隆君            羽生 三七君            山本伊三郎君   国務大臣    内閣総理大 臣 池田 勇人君    法 務 大 臣 植木庚子郎君    外 務 大 臣 小坂善太郎君    大 蔵 大 臣 水田三喜男君    厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君    農 林 大 臣 河野 一郎君    通商産業大 臣 佐藤 榮作君    運 輸 大 臣 斎藤  昇君    郵 政 大 臣 迫水 久常君    労 働 大 臣 福永 健司君    建 設 大 臣 中村 梅吉君    自 治 大 臣 安井  謙君    国 務 大 臣 川島正次郎君    国 務 大 臣 藤枝 泉介君    国 務 大 臣 藤山愛一郎君    国 務 大 臣 三木 武夫君   政府委員    経済企画庁調整    局長      中野 正一君    大蔵省主計局長 石野 信一君    大蔵省主税局長 村山 達雄君    大蔵省理財局長 宮川新一郎君    文部政務次官  長谷川 峻君    農林大臣官房長 昌谷  孝君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○昭和三十七年度一般会計予算内閣  送付予備審査) ○昭和三十七年度特別会計予算内閣  送付予備審査) ○昭和三十七年度政府関係機関予算  (内閣送付予備審査) ○昭和三十六年度一般会計予算補正  (第2号)(内閣送付予備審  査) ○昭和三十六年度特別会計予算補正  (特第3号)(内閣送付予備審  査)   —————————————
  2. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) これより予算委員会を開会いたします。  この際、一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。私、このたび、はからずも予算委員長に選任せられまして、その重職を汚すことに相なりました。微力かつまたきわめて経験未熟でございますので、この重責をどこまで果たし得るか、衷心危倶にたえないのでございますが、皆様の御協力を得まして、本委員会がその使命を全ういたしまするように、最善の努力をいたしたい所存でございます。  何とぞよろしく御支援のほどをお願い申し上げます。(拍手)   —————————————
  3. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 委員の変更につきまして報告を申し上げます。  昨日梶原茂嘉君が辞任せられ、その補欠として野本品吉君が選任されました。   —————————————
  4. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 次に、理事補欠互選を行ないたいと存じます。  現在、当委員会におきましては、理事が一名欠員でございます。互選は、慣例により、委員長の指名をもって行ないたいと存じまするが、御異議ございませんでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事加瀬完君を指名いたします。(拍手)   —————————————
  6. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 次に、昭和三十七年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算昭和三十六年度一般会計予算補正(第2号)、同じく特別会計予算補正(特第3号)、以上五案を一括いたしまして議題といたします。  政府に対し提案理由説明を求めます。水田大蔵大臣
  7. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 昭和三十七年度予算編成の基本方針及びその骨子につきましては、先日、本会議におきまして御説明いたしたところでありますが、予算委員会において本日から御審議をお願いするにあたりまして、あらためて、その概要を御説明いたしたいと存じます。  昭和三十七年度予算及び財政投融資は、健全財政の方針を堅持しつつ、従来から政府が重要施策として重点を置いて参りました諸施策を着実に推進することを主眼として編成いたしました。  この方針により編成されました昭和三十七年度一般会計予算の総額は、歳入歳出とも二兆四千二百六十八億円でありまして、昭和三十六年度当初予算に比較して四千七百四十億円、補正後の予算に比較して三千七百四十三億円の増加となっております。  また、財政投融資の総額は八千五百九十六億円でありまして、昭和三十六年度当初計画に対し一千三百四億円、改訂後の計画に対しては七百七十三億円の増加となっております。  一般会計について申し上げます。  歳入のうち、租税及び印紙収入は二兆四百二十一億円でありまして、三十六年度当初予算に比較して三千七百七十二億円、補正後の予算に比較して二千七百七十五億円の増加となっております。これは、現行税法に基づく増加額が、補正後の予算に比べて三千八百十億円と見込まれ、これから税制改正による減収額一千三十五億円を差し引いた額であります。  税制の改正につきましては、別途政府委員からその詳細を御説明いたしますが、三十七年度においても、三十六年度改正に引き続き、国民の税負担の軽減及び税制の体系的整備をはかるための税制改正を行なうこととしております。  すなわち、間接税につきましては、戦後、減税が見送られがちであったため、その負担が全般的になお相当重く、また課税対象相互間にも負担の不均衡が目立っていることを考慮し、酒税、物品税、入場税、通行税、印紙税及びトランプ類税につきまして、それぞれ負担の軽減、合理化をはかることといたしております。  直接税におきましても、所得税について、中小所得者の負担の軽減をはかるため、基礎控除など諸控除の引き上げ及び税率の緩和を行なうとともに、新たに寄附金控除制度を設けることとするほか、相続税についても、遺産にかかる基礎控除引き上げることといたしております。  さらに、税制の体系的な整備の基礎をなすものとして、国税通則法を制定するほか、企業年金に対する税制を初めとして、各税を通じて所要の整備を行なうことといたしております。  以上の改正による減税額は、平年度で一千二百四十四億円、初年度で一千四十一億円となる見込みでありますが、これより関税定率法等の改正による増収を差し引き、三十七年度一般会計における税制改正減収額は、九百八十七億円となるわけであります。なお、三十七年度におきましては、このほか、国税、地方税を通ずる税源配分を適正化し、地方税源を強化するため、所得税の一部を道府県民税へ移譲し、たばこ消費税の税率を引き上げることとし、これに伴い、入場税の地方譲与制度を廃止することといたしておりますので、国税において四十八億円の減収を生ずる見込みとなっているのであります。  租税以外の収入は、総額二千五百九十六億円でありまして、前年度に比べ、二百二十九億円の増加を見込んでおります。そのおもなるものは、専売納付金でありまして、先に申し述べましたたばこ消費税率引き上げに伴う減収を織り込んだ後で、九十九億円の増収となっております。前年度剰余金受け入れにつきましては、すでに確定しておりますとおり、一千二百五十一億円でありまして、前年度より七百三十九億円という大幅な増加となっております。  歳出につきまして、そのおもな経費の概要を申し述べます。  社会保障関係費は、引き続き重要施策の一環として、国民生活の安定向上と社会福祉の充実をはかるため、総額二千九百七十六億円を計上し、三十六年度当初予算に比べ、五百十五億円を増額しております。  そのおもな内容といたしましては、生活保護費において生活扶助基準を三十六年度当初予算に比べて一八・六五%、補正後予算に比べて一三%引き上げるなどの改善措置を講じ、六百四十五億円を計上いたしております。  また、児童保護その他社会福祉費につきましては、養護施設などにおける措置内容改善充実をはかるとともに、三十六年度に発足した児童扶養手当制度の拡充に必要な経費を織り込み、総額百九十六億円を予定しております。  社会保険費におきましては、国民健康保険について診療報酬引き上げの平年度化を見込むほか、保険財政の現状にかんがみ、療養給付費補助金国庫負担率を五%引き上げることとし、総額六百六十一億円を計上いたしております。  国民年金関係では、福祉年金について、所得制限の緩和、母子福雄年金の子の加算額の引き上げ、他の公的年金との併給などの改善措置を講じ、また、拠出制年金についても、新たに保険料免除者に関する国庫負担を行なうこととして、国民年金費五百十一億円を計上し、その内容の充実をはかっているのであります。  さらに、結核及び精神衛生対策費につきましては、三十六年度に発足した全額公費負担制度の推進をはかることとし、三十六年度当初予算に比べ百三十三億円を増額して、総額四百十六億円を計上いたしております。  失業対策費につきましては、最近における雇用情勢にかんがみ、日雇労働者常用化促進のため新たに雇用奨励制度を設けることとしたほか、失業対策事業の賃金日額の引き上げを行なうなど、三十六年度より六十四億円を増額して、四百九十七億円を計上いたしております。なお、石炭対策費におきましても、炭鉱離職者援護対策のため五十億円を計上いたしておりますので、これを加えますと、失業対策費の総額は、五百四十七億円と相なっております。  文教及び科学技術振興費は、三十六年度当初予算より四百八十二億円を増加して、総額三千五十三億円となっております。最近における産業の著しい発展に伴い、ますます高度、かつ、多量の人的能力が要求されて参っている現状にかんがみ、理工系教育を中心として、文教の刷新と科学技術の振興には、格段の配慮を加えた次第であります。  三十七毎度におきましては、前年度において策定された理工系学生増募計画を繰り上げることとして、理工系学科の増設及び国立高等専門学校の創設などを通じて、理工系学生を二千五百四十人増加させるほか、私学につきましても、理工系学生増募に関連して必要な補助金を増額するとともに、私立学校振興会出資金も増額いたしております。工業高等学校につきましては、高校生の急増も勘案し、増員のための施設整備費を増額するほか、新たに農業高校の教育内容の近代化をはかるため、施設、設備に対して補助することとし、また、義務制、非義務制教育を通じ、理科教育設備の充実を推進することとしております。  以上の科学技術教育拡充整備に即応して、科学技術振興費につきましても、原子力、航空技術研究などの研究活動を引き続き推進することとし、総額三百十九億円を計上いたしております。  教育水準を確保し、教育機会の拡大をはかることも、今日きわめて重要であります。これがため、義務教育費国庫負担金につきましては、学級編制の改善等に伴う教職員の増加及び公立学校共済年金制度の発足を予定して、一千五百四十二億円を計上するとともに、公立文教施設につきましても、学校統合等に重点を置いて、引き続きその整備を推進することといたしております。さらに、育英事業費につきましては、特別奨学生制度に重点を置いて、その増額をはかることとし、また、特殊教育僻地教育の振興、要保護及び準要保護児童生徒に対する就学援助の拡充強化に努め、もって教育の場における社会保障の充実にも資することといたした次第であります。なお、義務教育教科書の問題につきましては、新たに、三十八年度新入学の小学校第一学年児童が使用する教科書を無償とするよう措置するために必要な経費を計上するとともに、臨時に調査会を設け、これに関連する諸問題を検討することといたしております。  恩給関係費は、一千三百一億円であります。三十七年度におきましては、新たに三十七年十月から恩給金額の改定を行なうことといたしておりますが、他方、失権に伴う減少などがありますので、三十六年度に比べ、二十億円の減少となっているわけであります。  地方財政は、ここ数年来、国、地方を通ずる財政健全化の努力と経済成長に伴う地方税などの大幅な増収により、全体として著しく改善されて参りました。三十七年度におきましては、さきに申し述べましたとおり、税制改正にあたり地方自主税源の強化をはかることといたしましたほか、地方財政の現状等にかんがみ、三十五年度以降当分の間設けられた臨時地方特別交付金を廃止し、他方、地方財政の健全化を一そう促進するため、地方交付税の率を二八・九%に引き上げることといたしております。  この結果、地方交付税交付金は、歳入に計上いたしました所得税、法人税及び酒税の二八・九%に相当する額に三十五年度の精算額を加えた四千四百八十億円を計上し、臨時地方特別交付金は、三十五年度の精算額二億円を計上いたしております。  また、財政投融資におきましては、特に、災害復旧対策高校生急増対策のほか、上下水道、地下鉄などの生活環境施設及び港湾、工業用水道等産業基盤の整備に重点を置いて、地方債の増額を行ない、一般会計予算及び財政投融資を通じて、地方行財政水準の向上と住民福祉の充実を期している次第であります。  防衛関係費は、総額二千五十八億円、三十六年度当初予算に比べ、二百八十億円の増であります。このうち、防衛庁費につきましては、ロッキードF104戦闘機関係経費及び給与改善費など、人件費の増額を計上するほか、前年度に決定を見た第二次防衛力整備計画に基づき、防衛力の漸増をはかることといたしております。  三十七年度におきましては、長期にわたる経済発展の基盤を強化するため、道路、港湾、治山治水等の社会資本を一そう充実するとともに、災害復旧を促進して、国土保全施設の強化に努めることとし、公共事業関係費を三十六年度当初予算より九百三十八億円増額して、総額四千五百二十二億円を計上いたしております。  道路整備につきましては、三十六年度に策定した総額二兆一千億円に上る長期計画を着実に実施することとし、一般道路及び有料道路を通じ、特に都市交通の混雑緩和に重点を置いて、一般会計予算及び財政投融資をそれぞれ大幅に増額いたしております。なお、阪神地区の自動車専用道路を建設する阪神高速道路公団の発足を予定しておりますことも申し添えておきます。  また、港湾につきましては、船混みの解消等をはかるため、重要港湾を中心にその整備を促進するとともに、国有鉄道及び電信電話施設計画的拡充のため、政府関係機関予算及び財政投融資を通じて、所要の資金措置を講じております。さらに、工業用水道につきましても、一般会計及び財政投融資を通じ、その整備を推進することとし、また、近く発足する水資源開発公団の事業資金の確保に努めることといたしております。  国土保全の面では、治山治水対策事業において、三十六年度当初予算より百四億円を増加計上し、既定の長期計画に沿った経費の配分をはかるほか、大阪高潮対策事業の早期の完成について特段の配慮を加えるとともに、三十六年発生災害を初めとする災害復旧に遺憾なきを期するため、三十六年度当初予算に比らべ、二百五十億円の増額をはかることといたしております。  農業基盤整備費につきましては、農業の生産性の向上、農家所得の伸長をはかる見地から、総額五百五十七億円を計上して、その推進に努めております。  住宅対策費は、総額二百六億円でありまして、三十六年度当初予算に対し、五十二億円を増額いたしております。三十七年度におきましては、引き続き、住宅の質的改善に努めることといたしましたほか、低額所得者の住宅難を緩和するため、特に第二種公営住宅及び改良住宅に重点をおいて予算の増額をはかることとし、災害復興のための住宅を除き、公営及び改良住宅の建築総戸数を五万八千五百戸と予定しております。また、財政投融資におきましても、住宅金融公庫に対しましては、四百九十億円、住宅公団に対しましては、五百三十九億円の資金を投入することとしております。  環境衛生対策費といたしましては三十八億円を計上して、簡易水道、下水道及び清掃施設などの環境衛生施設整備改善に格段の配慮を加えております。  貿易及び経済協力の振興につきましては、本来、税制、金融等を主体として総合的に措置すべきものと考えられるのであります。税制におきましては、従来から輸出振興のための特別措置を実施して参ったのでありますが、さらに、前国会において御審議いただきましたとおり、税制改正を行なって、新たな措置を追加いたしました結果、三十七年度における輸出振興のための減税額は、総額約二百十億円に達する見込みであります。また、日本輸出入銀行につきましては、財政投融資において、財政資金八百十億円を投入し、貸付規模を一千二百五十億円に拡大することといたしました。一般会計といたしましては、これら税制上、金融上の措置を補完する立場から、各種の助成措置を講じて参ったのでありますが、三十七年度におきましても、日本貿易振興会に対する補助等を増額するほか、新たに工作機械の輸出伸長のための経費、日本観光協会及び新設の海外技術協力事業団に対する出資などを計上し、また、海外経済協力基金に対しても、六十五億円を追加出資することといたしております。  中小企業対策といたしましては、その近代化、合理化を促進し、経営基盤の安定強化に資することといたし、中小企業近代化促進事業小規模事業対策及び中小企業指導事業のための経費を増額して、効果的な施策の拡充をはかるとともに、中小企業信用保険公庫の融資基金として二十五億円を出資して、引き続き、信用補完制度の強化をはかっております。  他方、財政投融資の面におきましても、国民金融公庫、中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫の貸付規模を一そう拡大し、中小企業金融の円滑化をはかることとして、財政資金をそれぞれ大幅に増額することといたしております。  三十七年度における農林漁業関係予算は、農業基本法等に基づく諸施策を具体化することを基本的態度とし、国民経済の一環として均衡のとれた農林漁業の発展を確保するため、格段の配慮を加えております。  すなわち、需要の実態に適合した生産構造の改善をはかるため、畜産、果樹栽培等、成長部門の振興を積極的に展開するとともに、農畜産物及び漁業生産物の価格の安定、流通の合理化等のため、予算を増額いたしておりますほか、さらに、経営の規模の拡大と近代化をはかるため、農業構造改善対策事業を本格的に実施するとともに、農業基盤の整備、強化にも努めております。  他面、農林漁業金融の拡充につきましては、農業近代化資金貸付規模の拡大と一部金利の引き下げをはかるため、一般会計農業近代化助成資金を大幅に増額いたしますほか、財政投融資におきましても農林漁業金融公庫の貸付ワクを七百十億円に増額することといたしております。  貿易自由化に伴い、エネルギー構造の変化は、今後ますます進展することが予想されますので、これに対応して、石炭産業の合理化、近代化を促進するとともに、離職者の援護に関する諸施策を推進することが緊要となっております。  三十七年度におきましては、税制の面で、石炭と競合関係にある原油に関する関税率軽減についての暫定措置を廃止するとともに、一般会計予算においても、石炭対策を強力に推進することといたしております。すなわち、石炭鉱業近代化資金の増額を初めとする合理化対策産炭地域振興事業団の創設などによる産炭地域振興対策及び雇用奨励金制度の新設などを初めとする離職者援護対策に格段の配慮を加え、昭和三十六年度当初予算に対し五十五億円増の百三十五億円を計上している次第であります。  食糧管理特別会計への繰り入れにつきましては、同特別会計食糧管理勘定におきまして、三十七年度は七百一億円の損失が生ずるものと見込まれますので、経理運営の健全化に資するため、調整勘定へ六百七十億円を繰り入れることとするとともに、農産物等安定勘定におきましても四十億円の損失が見込まれますので、これを補てんすることといたしまして、合計七百十億円を計上いたしております。  産業投資特別会計への繰り入れにつきましては、日本輸出入銀行に対する二百億円の出資など、同特別会計の行なう産業投資支出の財源に充てるため、二百三十億円を計上いたしているのであります。  以上のほか、個々の事項についての説明は省略いたしますが、沖縄援助等の経費、オリンピック東京大会実施準備のための経費などに配慮いたしておりますほか、特に、予備費につきましては、毎年度災害等のため不足を生じている状況にかんがみまして、財政の健全化、弾力化に資することもあわせ考慮し、三十六年度当初予算に比べ、百億円増額して、二百億円を計上いたしております。  以上、主として一般会計について申し述べましたが、特別会計及び政府関係機関の予算につきましても、一般会計に準じ、経費の重点的、効率的使用をはかりますとともに、事業の円滑な遂行を期することといたしまして、所要の予算を計上いたしております。  なお、三十七年度におきましては、新設の特別会計及び政府関係機関はございませんが、特別会計につきまして、三十八年二月以降、農業災害補償制度の改正に伴い、農業共済保険特別会計を廃止して、農業保険事業団を設けることとしておりますので、年度中には、一特別会計が減ずることとなっております。  財政投融資につきましては、それぞれの項目で御説明したところでありますが、その原資としては、産業投資特別会計五百三十二億円、資金運用部資金五千八十二億円、簡保資金一千五百億円が見込まれますほか、民間資金の活用をはかることとして公募債借入金一千四百八十二億円を見込み、原資の総額を八千五百九十六億円と予定しております。  運用につきましては、輸出の振興及び中小企業金融の円滑化に重点を置くほか、引き続き、住宅、上下水道等生活環境施設の整備に努めるとともに、農林漁業の振興、地域開発の推進及び道路、港湾、工業用水等産業基盤の強化に、特に配慮した次第であります。  最後に、今回提出いたしました昭和三十六年度予算補正について申し述べます。  この補正は、災害対策費など、当面必要な最小限度の経費に限定したものでありまして、三十六年度において多額に上ると見込まれる租税の自然増収等は、剰余金として、極力、後年度に繰り越すことといたしております。すなわち、一般会計予算補正は、歳入歳出とも、五百四十九億円でありまして、歳出として、災害対策費義務的経費不足補てん等を計上いたしますとともに、歳入において、所得税等、租税及び印紙収入を同額追加いたしているのであります。また、特別会計予算につきましては、主として一般会計予算補正に関連して、交付税及び譲与税配付金特別会計ほか、三特別会計について所要の補正を行なうことといたしております。  以上、ごく概略を御説明いたしましたが、なお詳細にわたりましては、政府委員から補足して説明させることといたします。何とぞ、すみやかに御審議の上、御賛同願いたいと存じます。   —————————————
  8. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) この際、委員の変更につきまして報告をいたします。  本日太田正孝君及び村松久義君が辞任せられ、その補欠として野上進君及び田中啓一君が選任されました。   —————————————
  9. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) ただいまの大蔵大臣の説明に関しまして補足説明がございまするので、順次これを聴取いたすことにいたします。石野主計局長
  10. 石野信一

    政府委員(石野信一君) 大蔵大臣の提案理由の御説明の補正説明をいたします。  お手元に「昭和三十七年度予算の説明」という書類と、それから「昭和三十六年度予算補正(第2号及び特第3号)の説明」という二つの印刷いたしました書類が配付されておると存じます。時間の関係もございますので、この書類につきまして重要な点を拾い読みながら説明をさしていただきます。  まず、「昭和三十七年度予算の説明」のほうにつきまして、第一ページをお開きいただきます。  第一ページの右側の欄に、表のようなふうになっております点から御説明いたしますが、これは予算の全体のワクを説明したものでございます。現行税法をそのまま三十七年度に適用するとした場合の租税及び印紙収入の見込額二兆一千四百五十六億、カッコに四千八百七億とございますが、これはその下のほうのカッコもすべて三十六年度の当初予算額に対する増加額であります。租税外収入、すなわち専売納付金等の租税外収入の見込額が二千五百九十六億、当初予算に対して二百二十九億の増加でございます。内訳は、あとにも出ているのでございますが、専売納付金が千五百八十九億、日銀の納付金が二百四十七億。増加額の内訳は、専売が九十九億、日銀が九十五億になっております。前年度剰余金、これは決算の確定いたしました剰余金千二百五十一億、対前年度七百三十九億の増加でございまして、合計が二兆五千三百三億で五千七百七十五億の増加でございます。これに対しまして、国税における増減税に伴う減収は九百八十七億、これは一般的減税が千五十三億で、租税特別措置の整理合理化による増収が十二億、差引千四十一億の減収、これは平年度では千二百四十四億でございますが、この千四十一億から、さらに関税定率法等の改正のための増収が五十四億ございまして、差引九百八十七億になるわけでございます。それから国と地方の間の税源配分の適正化に伴う減収が四十八億ございます。これは所得税の道府県民税への移譲が二百十八億の減収で、入場税の地方譲与制度の廃止が百七十億の増になりまして、差引四十八億の減収、全体で千三十五億の減収になりまして、先ほどの二兆五千三百三億から差し引きますと、二兆四千二百六十八億になります。これが三十七年度一般会計の予算のワクに相なりまして、三十六年度当初予算に対して四千七百四十億の増加でございます。  次の表は、一般会計と国民所得の比率を示した表でございます。一二十六年度のところに(a)と(b)ございますが、(a)は、当初予算の当時の見込みの国民所得、これに対する当初予算一兆九千五百二十八億の比率でございます。(b)は成立予算、すなわち、先般成立いたしました補正第1号までを含めました予算で、最近の国民所得に対する比率を示したものでございます。したがいまして、今回提案になっております補正第2号を含めますと、この数字が、三十六年度の数字が一五・六〇%になるのでございます。三十七年度は一六・九六%でございます。  それから二ページに参りまして、重要施策の重点的実施といたしまして、税制の改正、社会保障の充実、産業基盤の充実と国土保全の強化、文教と科学技術の振興、貿易の振興及び対外経済協力の推進、四ページになりますが、農林漁業の振興、七番が中小企業の育成強化、八番が地方財政の健全合理化、こういう重要施策についての説明がございますが、後ほどさらに詳しく個別の項目について御説明いたしますので、説明は省略させていただきます。  四ページの下のほうに表がございますが、三十七年度一般会計歳入歳出予算、この点では三十七年度の予算額に対しまして三十六年度の当初と補正後という数字があげられておりまして、増減が比較されております。この補正後といいますのは、先ほど申しました第一次の補正までが含まれた数字で、今回提案になったものは含まれておらないわけでございます。個別の増減等につきましては、おもなものは先ほど大臣からも御説明がございましたので、省略をいたします。  少しこまかい点ですが、変わった点を申しますと、六ページの注のところの、まん中辺に書いてございますが、農業基盤の整備でございますが、ここに掲げましたもののほかに、同一の内容の事業は、一部雑件のほうの農業構造改善対策費の中に約十五億含まれております。これが公共事業のほうの農業基盤整備のほうには含まれておりません点が、従来の点と変わっておる点でございます。  特別会計歳入歳出予算につきましても同様の比較が表として掲げられております。  八ページのほうになりまして、政府関係機関収入支出予算も同様であります。  九ページには三十七年度財政投融資資金計画がございますが、これは後ほど理財局長から説明いたすことに相なっております。  それから十二ページに参りまして、一般会計の歳出予算、これについて各項目を御説明をして参りますが、1、生活保護費とございまして、三十七年度六百四十五億二千四百十一万四千円とございます。この右側に三十六年度五百八十九億六千九百八十八万一千円という数字がございますが、以下各項目こういうふうになっておりますが、この三十六年度の数字は、先ほど申しました第一次の補正までを含んだ数字でございます。したがって、当初予算に対する比較はこの説明の中には出ておりませんで、第一次の補正を含んだもので説明してございますので、当初予算に対する説明は、そのつどランク、ランクで申し上げたいと思います。  生活保護費の六百四十五億二千四百十一万四千円は、当初予算に対して約六十二億の増加でございます。  その下のほうの(1)にございますように、生活扶助人員につきましては、大体横ばいと見込みまして百四十六万三千人、それからほかに生活保護基準の引き上げに伴い予想されます対象人員の増加、いわゆる落層でございます一が、それを二万二千世帯と見込んでおります。  それから生活保護基準につきましては、生活扶助の二二%の引き上げで、東京都標準五人世帯で一万三千四百七十円となると書いてございます。これは三十六年度の当初予算でも一八%引き上げまして一万一千三百五十二円になっておったわけでございますが、補正で五%上げまして、今回二%上げまして、一万三千四百七十円となりますと、三十六年度の当初予算のそれに対しては一八・六五%の引き上げということに相なるのでございます。  勤労控除につきましても平均約一五%の引き上げを行なっております。一時扶助の場合、教育扶助、その他各種の扶助について基準の引き上げ等を行なっております。  医療扶助につきましては、受給件数及び単価の増を見込んでおりますほか、あとで御説明いたしますが、結核及び精神衛生対策の関係で、新対策が三十六年度の下期から実施されましたために、そちらのほうに経費が移り変わる分がございます。それの平年度化で減少が五十二億となっておりますが、その他に増の要素がございまして、全体としては八億二千四百万円の減少となっております。  保護施設につきましても、施設職員の給与等の改善による事務費の増を計上いたしております。  それから児童保護その他社会福祉費百九十五億七千百万円、当初予算に対して五十四億の増加でございます。  十三ページの左の上から、児童保護費につきまして、養護施設等の入所措置児童の食費の改善、日常諸費、教育費、医療費等の増額、それから施設職員の給与その他の処遇改善、こういう関係で費用を計上いたしているわけであります。  時間の関係でおもな点だけを拾って参りますが、四番に参りまして、世帯更生貸付金が五千万円上回って計上いたしてございます。  原爆障害対策費につきましては、その支給対象となる特別被爆者の範囲を、爆心地から二キロメートルを三キロメートルに拡大するという措置を講じております。  それから児童扶養手当でございますが、これも母子福祉年金にならいまして、第二子以降の支給額を月二百円増額いたしまして、したがいまして、第二子四百円を六百円に、第三子以降は二百円を四百円というふうにいたしております。  社会保険費でございますが、これが六百六十一億三千万円、当初予算に対して百三十九億の増加でございます。  これのおもな点を申しますと、十四ページの左側の欄の(4)のところにすぐ下がったところに書いてございますが、新たに、療養給付費の国庫負担率を二割から二割五分に引き上げることといたした点でございます。  それから事務費の補助につきましても、被保険者一人当たり単価を、三十六年度の当初予算の百十円から百二十円に引き上げております。それからなお、新たに、助産婦の補助金として、一億六千万円の補助を計上いたしております。  次に、国民年金費五百十一億四千百万円でございまして、三十七億六千五百万円程度の増加でございます。  これのおもな点は、まず第一が、拠出制の年金保険料の国庫負担金につきまして、いわゆる免除者の保険料に関連する国庫負担を計上いたしまして、三十六年度において免除された保険料の総額の二分の一相当額を計上いたしております。  それから福祉年金給付費につきましては、(イ)(ロ)(ハ)(ニ)と掲げてございますが、受給権者本人の所得による支給停止基準額を、いわゆる所得制限でございますが、十三万円から十五万円に引き上げております。  母子福祉年金または準母子福祉年金の受給権者が、義務教育終了前の子、孫または弟妹と生計を同じくいたしますときに、その子、孫または弟妹の二人目以降に加算する額を、現行の二千四百円から四千八百円に引き上げることといたしております。  (ハ)はいわゆる併給でございますが、公的年金受給者の受ける公的年金の額が二万四千円以下である。これは公務により死亡または廃疾となった場合は七万円ということでございますが、この二万四千円または七万円との差額をその者の受けるべき福祉年金額の限度で支給することといたしております。  それから(ニ)は、福祉年金受給権者の配偶者が公的年金を受けている場合の受給制限を撤廃することといたしたわけであります。  それから五番の失業対策費に参ります。カッコの中に入っております数字は、石炭対策費炭鉱離職者援護対策費を計上いたしておりますので、これを含めた数字でございます。五百四十六億五千五百二十五万八千円、当初予算に対して八十八億の増加でございます。  おもな点は十五ページの右の下のほうにございますが、一般失業対策事業の吸収人員については十九万五千人とし、就労日数については〇・五日ふやして二十二日とする。また、賃金日額についても、三十九円引き上げまして、四百二十五円といたしますとともに、夏季年末特別対策分を五日分増加して、二十・五日分といたしております。  それから特別失業対策事業及び臨時就労対策事業につきましては、その失業者吸収率をそれぞれ一〇%ずつ引き下げております。  それから十六ページに参りまして、三番の、一般失業対策事業に就労している失対適格者を一般的普通の常用の雇用者に復帰させますために、就職支度金を貸与し、また、これらの者を雇い入れる事業主に雇用奨励金を支給する、そういう都道府県に対しまして、三十七年度から補助金を支給することといたしております。  それから六番の結核及び精神衛生対策費、これは四百十五億九千五百万円、これは当初に対して百三十三億円の増加でございますが、おもな点は、結核対策費につきましては、精神衛生対策費も同様でございますが、先ほど申しましたように、三十六年度の下半期から、命令入所患者あるいは措置入院費につきまして、原則として全額公費負担、国庫が十分の八、都道府県が十分の二ということに新対策が行なわれまして、これが三十七年度では平年度化いたします関係で、この金額が相当の増加をいたしているわけでございます。  文教関係に入りまして、七番の義務教育費国庫負担金子五百四十二億、百九十九億円の増加でございますが、これにつきましては十七ページの左の上にある給与費という点から御説明いたします。  三十七年度の児童生徒数は三十六万七千人の減少、小学校児童が七十五万四千人減りまして、中学校生徒は三十八万七千人の増で、三十六万七千人の減少がございます。教職員の数は、従来の方式により算定いたしますと、三千六百四十二人の減少になるわけでありますが、他面学級編制の改善をはかりますために、教職員が四千二百九人の増加等の増加要素を見込みまして、差引千四百五人の増加を見込んでいるわけであります。  それから新しい点は、二番の公立学校共済年金制度を、それを三十七年十月一日から実施することにいたしまして、義務教育教職員にかかる所要額を二十七億五千三百万円計上いたしております。  それから八番の国立学校運営費、七百七十六億、当初予算に対しては百三十億の増加でございます。これは十七ページの右の上に書いてございますように、教官研究費、研究設備更新費、特別設備費等を大幅に増額いたしますほか、大学の理工系学科を二十四学科増設いたしました。高等専門学校を十二校創設する等、理工系学生二千五百四十人の増加をはかり、海洋研究所、経済研究所の新設等に必要な経費を計上いたしております。  科学技術振興費の三百十九億二千八百万円、当初に対しまして三十六億程度の増加であります。これは原子力関係の経費、各省所管の試験研究機関の経費及び試験研究補助金等でございます。そこに各項目別には数字が出ておりますが、省略をいたします。また、所管別の数字が十八ページの上にございますが、省略いたします。  おもな点を申し上げますと、原子力関係費では(イ)のところに書いてございますが、日本原子力研究所に新たに放射線化学中央研究所を設置した点であります。  それから(ホ)のところに書いてございますが、放射能調査費につきましては、核爆発実験の再開によりまして、放射性降下物が急増することが予想されますので、三十六年の予備費でも措置をいたしましたが、その調査を強化するための所要経費を計上いたしております。  各省試験研究機関の経費もそれぞれ所要額を計上いたしておりますが、特に申し上げますのは、十九ページの左の上の運輸省においては、運輸技術研究所の港湾部門と本省港湾局の調査設計室を統合して港湾技術研究所を新設いたしている点であります。  それから科学技術研究費の補助金、委託費、交付金につきましては、基礎的研究を重点的に充実するために、文部省関係で科学研究費補助金及び交付金を三億七百万円増額する。それから通産省関係で、鉱工業技術研究費補助金を四千八百万円増額、日本科学技術振興財団に対して、補助金一億五千万円を予定しております。それから宇宙科学技術の開発促進のために約一億二千万円を計上するというような増額をはかっております。  それから特別研究促進調整費、これは科学技術庁に計上いたしております。三十七年度においては五千万円増額をして、一億八千万円にいたしております。  それから日本科学技術情報センターの出資及び補助、それから(ハ)の理化学研究所出資、(ニ)の新技術開発事業団出資、いずれも増額計上いたしております。  文教施設費は二百四十八億五千五百万円、当初予算に対しまして七十五億の増加でございます。  国立文教施設費につきましては、画期的な充実整備をはかっておりまして、特に科学技術教育の振興の見地から、理工系学部の建物等に重点をおいて増額計上いたしております。  公立文教施設費につきましては、三十六年度で小学校、中学校の不正常授業解消のための校舎整備計画が完了いたしますので、三十七年度においては、義務制校舎の社会増対策とか特別教室の整備及び学校統合に重点をおいて所要額を計上いたしました。  工業高校生増員のための一般施設の整備費も、三十六年度に引き続きまして、補助対象とすることとして所要額を計上しております。  なお、小学校校舎、学校統合、屋内運動場等について鉄筋比率の引き上げを行っております。  二十ページに参りまして、教育振興助成費、(1)の産業教育振興費でございますが、工業高校生の二万人分の施設、設備費の補助金を計上いたしましたほかに、新たに農業高等学校の教育内容の近代化をはかるために、その施設、設備の補助金、一億七百万円を計上いたしております。  それから理科教育振興費、これは理科教育設備費の補助金を大幅に増額いたしました。  それから私立学校の助成費でございますが、これは私立大学における科学技術教育を充実するとともに、理工系学生の増募に必要な研究設備及び教育実習設備の補助を増額いたしました。あるいは私立学校振興会に対する出資金を十二億円に増額しておるのでございます。おのおのの経費の内訳は次に書いてございます。  特殊教育振興費につきましては、要保護、準要保護児童生徒就学援助費については、従来の教科書費、修学旅行費、学用品費及び通学費の単価を引き上げたほかに、新たに寄宿舎の費用を補助対象として取り上げることといたしております。  それから準要保護の扶助率と申しますか、保護率、これを三十六年度四%から五%に引き上げ、要保護を合わせまして七%から八%になるわけでございます。  それから特殊教育、僻地学校教育の振興についても、特にいろいろと配意をいたしております。  それから(6)の義務教育の教科書費でございます。これは先ほど大臣の御説明にもありましたが、三十八年度に小学校第一学年に入学する児童が使用する第一学年用の教科書を無償とするために必要な経費約七億円を計上しております。これに関連する諸問題については、臨時に調査会を設けて検討することとなっております。  育英事業費六十三億、約九億の増加でございます。これは特別奨学生につきまして、三十六年度で御承知のとおり、大幅な改善を行ないました関係で、その学年進行で経費が増加いたしますほか、大学院の博士課程の学生に対する貸与単価を引き上げることといたしております。一種が八千円、二種が一万二千円、両方一万五千円に引き上げております。  国債費は六百八十四億五千六百九十三万円、これは国債償還のととろでごらんいただきます。四百九十七億六千七百二十五万二千円、前年対比が約二百七十八億の増でございますが、これは財政法六条に基づきまして、三十五年度決算剰余金の二分の一に相当する額がほとんど全部でございます。  それから二十二ページに参りまして、十四番の文官等恩給費、十五番が旧軍人遺族等恩給費、十六番が遺族及び留守家族等援護費でございます。これは三十七年の十月から新たに恩給金額、年金額の改定を実施することといたしておりまして、おのおのまん中辺に書いてございますが、文官等恩給につきましてはそれがために増加する金額二億九千百万円、それから旧軍人遺族等恩給費が四十一億六千万円、それから遺族及び留守家族等援護費で五億三千三百万円の増額を見込むことになっておりますが、死亡等による失権がございまして、各項目ともそれぞれ全体としては若干の減少に相なっております。  それから二十三ページに参りまして、十七番の地方交付税交付金及び臨時地方特別交付金、これは最近の地方財政の現状等にかんがみまして、三十四年度に実施されました所得税の減税に伴う地方財政の減収というものにかんがみて臨時に設けられておりました臨時地方特別交付金——三税に対する〇・三%を廃止することにいたしました。他面地方交付税交付金のほうは、従来の二八・五の率を〇・四%ふやしまして二八・九%、それで四千四百八十億三千八百万円の金額と相なります。当初に対して九百五十億円の増加でございます。  国、地方を通ずる税制の調整関係は主税局長からあとでお話すると思いますが、二十三ページの右の下のほうに書いてございます地方公務員共済年金制度の発足ということが今度の新しい点でございます。地方債につきましては、高校生の急増対策、環境衛生対策等を中心に増額を行なっておりますが、これは財政投融資で後ほど御説明があると思います。  それから二十四ページに参りまして、防衛関係費でございますが、全体として二千五十七億九千百万円、当初に対して二百八十億の増加でございます。防衛庁経費が一千九百九十三億九千八百万円。なお、新たに国庫債務負担行為として四百六十八億八千七百万円、継続費として三十億五千五百万円を計上いたしております。  その陸海空別の表は二十四ページの右の上のところにありますが、おもな点を申し上げますと、(イ)のところに書いてあります陸上自衛隊におきましては、三十六年度に着手した十三個師団への改編を終了いたします。それから、ヘリコプター十四機を新たに購入する、その他災害救援用器材を整備する等民生協力をさらに推進することにいたしております。海上自衛隊においては、新たに自衛艦五隻の建造、それから大型対港哨戎機P2V−7の国産最終年度として十五機の生産を見込んでおります。航空自衛隊につきましては、FO戦闘機の国産のための経費を計上いたしますほか、三十七年度からは航空自衛隊において民間パイロットの養成を行なうことといたしております。  施設提供等諸費が六十億七千三百万円。それから相互防衛援助協定交付金、これは合衆国軍事援助顧問団に関する交付金三億二千万円。  それから賠償等特殊債務処理費、これは賠償等特殊債務処理特別会計繰り入れる経費でございますが、二百九十二億五百万円を計上いたしております。  それから、次は公共事業関係費でございますが、カッコの中にあります数字は労働省所管の特別失業対策事業費と建設省所管の臨時就労対策事業費を含めた金額でございまして、四千五百二十一億六千万円。当初予算に対しまして九百三十七億五千二百万円の増加でございますが、これは、三十六年災害の復旧、それから治山治水、道路及び港湾整備等の各事業について大幅な促進をはかっているための増額でございます。  二十六ページに事業別のこまかい計数が並んでおりまして、三十七年度と三十六年度の数字がございます。おもな点を説明いたしますと、二十七ページの下の左のほうに、治山治水対策事業費八百三十億六千二百万円。その治水事業でございますが、五百四十二億四千七百万円。治水事業につきましては、三十六年災害の経験に顧みまして、既定の治水長期計画を繰り上げて、重点的な促進をはかることとしております。大阪地区の高潮対策につきましては、緊急整備計画を立てて、これに基づいて事業を実施することといたしております。  次のページに参りまして、二十八ページに、治山事業九十八億七百四十万円。これも治水事業と同じく既定の長期計画を促進いたしております。  それから(ハ)に参りまして、海岸事業七十五億三千五百万円。海岸保全の関係では、東京、大阪等の重要地帯、それから台風常襲地帯及び大規模な侵蝕のある海岸を中心に大幅な増額を行なっておりますが、大阪地区の港湾区域の高潮対策については、緊急整備計画を立て、これに基づいて事業を実施することにいたしております。チリ津波対策事業、新潟地盤沈下対策についても、既定の計画に基づいて事業の推進をはかっております。  伊勢湾高潮対策事業は百十四億七千三百万円でございますが、これによりまして従来国が直轄で実施してきた事業の大部分は完了することを予定しております。  それから、道路整備事業費千八百七十五億七千三百万円、当初予算に対して三百七十四億七千八百万円の増加でございます。これは、三十六年度に決定いたしました道路整備五カ年計画(総額二兆一千億円)に基づきまして、この重点的促進をはかったものでございますが、この一般会計計上分の内容は、二十九ページの左のほうにございます揮発油税収入千六百五十五億七百万円、それから前々年度揮発酒税収入決算調整額が八十億六千六百万円、一般財源百四十億、合計千八百七十五億七千主百万円でございます。  道路の点はあとでも特別会計のところで触れますので、港湾に参ります。港湾は二百二十四億八百九十万円。これも五カ年計画を考えておりまして、その船混み対策等を考慮いたしまして、特に予算上大幅に増額をいたしたものでございます。  それから漁港が五十七億五千七百万円、約七億三千百万円の増加。  それから空港が三十七億二千五百万円で、約十億の増加。これは東京国際空港につきましては、新滑走路の建設等のために二十三億三千七百万円計上いたしました。大阪国際空港につきましても、四億三千三百万円計上いたしております。  それから、林道都市等整備事業費百七十九億五千二百八十万円でございます。ページは次に参りまして三十ページでございますが、造林が五十三億六千四百五十万円。林道が三十六億九百五十万円。それから都市計画が四十九億九千百五十万円。都市計画では、特に三十七年度におきましては下水道の整備に重点を置きまして、その点では三十六年度に比べてまして約四九・五%——五割の増加に相なっております。工業用水道事業費三十七億八千万円。これも、十二億八千六百万円の増加と大幅に増加して、重点を置いた点でございます。離島電気導入等には二億七百四万九千円。  それから、五番は農業基盤整備費でございますが、五百五十七億二千九百万円、当初に対して八十八億円の増加でございます。これは農業基本法の趣旨に即しまして、農業生産性の向上、農業総生産の増大をはかり、また農業構造の改善をはかる観点に立って、これらの諸事業の拡充をはかることにいたしております。それから、三十七年度から、従来畜産振興対策事業費の一環として計上されておりました草地改良事業に要する経費を、農業基盤整備費として取り扱うことにいたして、予算の拡充をはかっております。一部同種の事業が構造改善事業のほうに計上されております点は、先ほど申し上げたとおりで、これは約十五億円ございます。  個々の内容につきましては、時間の関係もございますので省略いたしまして、三十二ページの右側の災害復旧等事業費に移ります。七百三十七億四千四百万円で、約二百五十億の対当初増加でございます。これは災害復旧が六百六十九億でございますが、御承知のように、三十六年の発生災害が、三十四年の伊勢湾台風のときの災害に比べまして、あれよりは小さいわけでございますが、あれに匹敵するほどの大災害でありましたこと、これがために急に多額の経費を要します上に、過般の国会で公共土木施設及び農林水産業施設についての災害関係特例法が制定されました。これに基づく高率の負担、補助等を行なうために、復旧費が増額をいたしておるわけでございます。災害関連費につきましても、同様でございまして、六十八億と、約十四億の増加に相なっております。  鉱害復旧事業費十億七百万円、調整費が十二億と、前年に対して二億増加いたしておりますが、これは経済企画庁に計上される経費でございます。  住宅及び環境衛生対策に二百四十四億三千六百万円、当初に対して五十九億六千八百万円増加いたしております。  住宅対策費は二百六億円、これは五十一億八千二百万円の対当初増加でございます。建設戸数は、公営住宅五万四千戸、改良住宅四千五百戸、計五万八千五百戸、三十六年度の公営住宅五万二千、改良住宅四千、計五万六千に対しまして、二千五百戸増加しておりますが、これは、主として低額所得者の住宅難を緩和するために、特に第二種公営住宅改良住宅に充てることといたしております。政府の住宅対策といたしましては、このほか、住宅金融公庫の融資、それから住宅公団の住宅建設とがございまするが、これらは財政投融資へ入れられますので省略いたします。  環境衛生対策費、これは八十五億で、これも二十三億増、相当の巨額でございますが、三十四ページにございますように、下水道終末処理施設費及び屎尿消化槽等の施設費に重点を置いて増額しております。  それから22に参りまして、貿易振興及び経済協力費百三十九億。約三十億の対当初増加でございますが、おもな点は、  (1)の日本貿易振興会、いわゆるジェトロの海外市場調査、貿易あっせん及び国際見本市等の事業の拡充をはかることといたしております。  それから、新たに工作機械の輸出振興をはかるために、五千万円の補助を計上いたしております。  それから、四番目にございますように、日本観光協会の行なう国際観光事業に対する助成を強化いたしまして、この観光協会に対して一億円の出資を予定いたしております。  それから、新たにアジア協会等の関係団体の業務を統合して、政府ベースの技術協力の実施に当たる特殊法人といたしまして海外技術協力事業団を設けることといたし、二億円の出資を予定いたしております。  それから、海外経済協力基金に対しましても、六十五億円の追加出資を行なうことにいたしております。  次は、三十五ページの右側の中小企業対策費でございますが、三十七年度九十一億三千七百万円、約四十六億円の増加でございますが、  第一点は、中小企業近代化促進費として四十七億五千万円、これは設備近代化、工場集団化及び共同施設設置等のための国庫補助を大幅に増額いたしたものでございます。  それから、小規模事業対策費として十億一千九百万円を計上いたしております。  また、新たに診断指導員の養成研修等を行なうために中央に設けられまする中小企業指導センターに対して一億円の補助を予定いたしております。  それから、中小企業信用保険公庫の融資につきましては、三十六年度は産投特別会計から二十億円出資をいたしておりますが、今度は五億円増額いたしまして、二十五億円の出資を行なっております。  次は三十六ページの石炭対策に移りますが、百三十五億四千九百万円、これは当初に対して五十五億円の増加でございますが、カッコ内の数字は、公共事業費に計上されております鉱害復旧事業費、港湾整備事業費のうちで石炭港湾関係費がございますが、これを含めた金額でございます。  (1)の(イ)のところにございますが、石炭鉱業合理化事業団、これに対しまする出資を大幅に増額いたしまして、大規模近代化工事、中小炭鉱機械化及び流通合理化等のための近代化資金貸付として三十二億一千万円、それから炭鉱整備と運賃延納に伴う保証基金三億三千万円、合計三十五億四千万円を計上いたしております。  それから、非能率炭鉱の整理につきましては、新たに炭鉱整理促進費補助十億六千四百万円、それから保安不良炭鉱整理費二億八千七百万円を計上いたしております。  それから、新たに産炭地域振興事業団を設立いたしまして、五億円を出資しております。  それから、離職者援護対策につきましては、新たに雇用奨励金制度、訓練別居手当及び技能習得手当の支給制度を導入することといたしました。これにつきましては、この一月から実施いたしますために、あとで御説明いたします補正予算におきましても、その本年度中の実施のための経費を計上いたしております。  三十七ページの食糧管理特別会計への繰り入れ七百十億円。当初予算に対し三百二十億の増加でございますが、これは、三十七年度で食糧管理勘定に七百一億円の損失が見込まれますので、食管会計の経理運営の改善をはかりますために、一般会計から調整勘定へ六百七十億円繰り入れるものでございます。それからもう一つ、農産物等安定勘定において、三十七年度四十億円の損失を生ずる見込みでありますので、その四十億円を一般会計から繰り入れることにいたしました。その合計が七百十億円でございます。  産業投資特別会計への繰り入れ二百三十億円、これは先ほど大臣の説明にありましたとおりでございます。  予備費の二百億円につきましても、大臣の御説明にありましたとおりでございます。  雑件に移りまして、沖縄援助等経費十億七千五百万円、前年に対しまして約倍額になっております。三十六年六月の日米共同声明の趣旨にかんがみまして、特に重点が置かれた経費でございまして、従来からの技術、文教、医療及び気象観測援助等の施策を引き続き強化いたしましたほか、総理府所管において、消防施設整備援助、身体障害者授産施設建設等、文部省所管、厚生省所管、ここに書いてありますような項目によって新たに措置をいたしております。こまかい項目が三十八ページの左側からずっと並べてございますが、時間の関係で説明を省略いたします。  青少年対策につきましても、引き続き事業を推進いたしますほか、新たにスポーツ教室の開催に要する経費、夜間定時制の高校生に対してパンの給食を実施する経費の一部を設置者に補助することにいたすための補助費を計上いたしまして、十四億五千二百万円。  それから、三十九ページの右の移住振興費でございますが、十五億六千七百万円。中南米諸国等への移住者一万一千名と派米農業労働者五百名を送出する計画のもとに、この経費を計上いたしております。  それから、四十ページに参りまして、オリンピック東京大会実施準備費八十四億三千三百万円。これは、在日アメリカ合衆国軍隊から、選手村等に予定されておりますワシントン・ハイツとリンカーン・センター住宅地区の返還を受けるために、その代替施設を建設するために必要な経費等でございます。一部今回お願いいたしております補正に計上いたしております。  それから(5)が農業構造改善対策費約四十三億でございます。これは農業基本対策の重要な手段の一つといたしまして、全国の農村が農業生産基盤の整備開発、農業経営近代化施設の導入等、農業構造の改善に関しまして必要な事業を、地域ごとの主産地形成の観点から、総合的、計画的かつ自主的に実施するのを促進するために必要な経費であります。三十七年度は、三十六年度に指定した全国九十二カ所のパイロット地区とそれから二百市町村につきまして、三カ年にわたる構造改善事業の初年度分を実施するために、国がそれぞれの補助対象事業費の二分の一を補助するものでございまして、このほか農林漁業金融公庫農業近代化資金による融資も予定されておるわけでございます。  農業近代化資金融通促進費は六十六億九千万円でございまして、三十一億程度の増加でございます。これは、御承知のように、三十六年度に農業系統金融機関の基準金利九分五厘と農業近代化資金の貸付金利七分五厘との差額の二分につきまして、都道府県の行なう利子補給の金額の二分の一を補助することとして発足したものでございます。これを三十七年度におきまして、その大部分であります個人施設に対する新規貸付について貸付金利を六分五厘に引き下げまして、貸付金利との差額三分の二分の一を補助することといたしました。それから全体の融資ワクにつきましても、三十六年度の三百億円を、二百億円増額いたしまして五百億円を予定いたしております。農業近代化助成資金繰り入れば三十六年度の三十億が五十三億に三十七年度は相なるわけでございます。  それから畜産振興対策費につきましては、草地の造成改良を特に充実いたしますために補助率を一部引き上げまして、それからこれを公共事業として農業基盤整備事業の一環に組み入れましたことと、それから畜産振興事業団に出資または交付——出資金五億円、交付金十億円を予定いたしておる点等がおもな点でございます。  水産業振興費は二十二億二千五百万円、七億五千万円以上の増加でございます。これにつきましても新たに沿岸漁業の構造改善対策事業を設けております。  それから四十二ページの農業保険費でございますが、百三十七億でございます。おもな点は(1)に書いてございますが、農作物共済を中心とする制度改正を三十八年度から全面的に実施することとして、三十七年度においては、さしあたって機構の改正を行なうことといたしております。このために、三十八年二月以降農業共済保険特別会計を廃止して、農業保険事業団を設立することとして所要の経費を計上いたしております。これは今回お願いをいたしております補正のほうで、三十七年の二月からこの特別会計の廃止と事業団の設立を予定いたしておりましたのが、法律が継続審議に相なりまして実施が一年延びたわけでございます。したがいまして補正のほうで、三十七年二月に予定されておりましたのが実施されない関係の修正の予算をお願いをいたしております。それから(3)に書いてございますが、家畜共済診療点数を引き上げましたこと、それから家畜共済の加入促進をはかるための奨励金を交付いたしておりますこと等がおもな点でございます。  (10)の海運対策費でございますが、海運企業整備計画審議会六十二万六千円の審議会経費が計上されております。これは個々の企業の合理化計画及び整備計画を審議するための諮問機関といたしまして、この海運企業整備計画審議会を設けることとなったことに伴う経費でございます。外航船舶建造融資利子補給九億五千七万八千円、これは三十六年度に引き続きまして、計画造船につきまして、市中金融機関分につきましては年一分九厘九毛、日本開発銀行分については年一分五厘のそれぞれ利子補給を行なうものでございます。三国間の輸送助成については四億六千万円。移住船運航費補助一億二千七百八十一万円。  それから、次の地下高速鉄道建設費補助一億八千百七十八万円、これは三十七年度新規のものでございます。都市交通対策の一環といたしまして、帝都高速度交通営団及び地方公共団体の経営いたします地下鉄事業につきまして、当分の間、建設費の一部を補助するものでございます。  (12)参議院議員通常選挙費でございまして、三十七年度二十四億三千六百八十六万四千円でございます。  それから、以上歳出を終わりまして、歳入でございますが、税の関係は主税局長より説明を行ないますので、四十五ページの左側をごらんいただきまして、専売納付金千五百九十五億三千二百万円、それから官業益金及び官業収入、政府資産整理収入、雑収入をごらんいただきまして、おもなる点だけ御説明いたしますが、日本専売公社納付金千五百八十八億で、九十九億円の増加でございます。増加しているもののおもなる点を申し上げますと、官業益金及び官業収入の中の病院収入、これは学校付属病院及び国立療養所等の事業に伴う収入でございまして、病床数が増加いたしましたほか、診療内容の向上及び診療報酬の引き上げによりまして四十一億一千九百万円の増加を見ております。もう一つは、右側のまん中辺にございます納付金の中の日本銀行納付金が約九十五億増加しております。それから四十六ページの最後の前年度剰余金の受け入れ千二百五十一億二千九百七十七万円、これは、先ほど申しました決算の認定によって生じた剰余金でございます。  特別会計につきましては、大体一般会計の裏をなしておりますので、説明を省略させていただきますが、全体といたしましては、先ほど大臣の説明にもございましたとおり、新規の増加はございません。農業共済の再保険特別会計が三十八年二月に廃止される予定になっております。したがいまして、変わった点等おもなるところを申しますと、四十七ページの産業投資特別会計の右の欄の上から三分の一くらいのところに歳出がございますが、そこの米国対日援助債務処理費、これの七十九億五百万円が計上されております。  ずっと省略させていただきまして、五十六ページをお開き願いたいと思います。五十六ページの左側に郵政事業特別会計がございますが、そこの(2)のところの説明で、業務量の増加等に対処するために七千八百八十九人の増員を見込んだほか、常勤的賃金支弁職員等につきまして七千三百三十三人の定員化をはかって、定員の増加をはかっております。それから特定郵便局二百局、簡易郵便局八百局の増置を予定しております。郵便貯金増加目標額を千五百五十億円と見込みまして、郵便貯金総額制限を三十万円から五十万円に引き上げることを予定しております。  右の(16)の簡易生命保険及び郵便年金特別会計でございますが、これも簡易保険郵便年金福祉事業団というものを新設することにした点が新しい点でございます。この会計から当該事業団に対しまして福祉施設の建設財源として四億三千八百万円を出資いたしております。事業団の運営費として四億四千二百万円を交付することといたしております。  (18)の道路整備特別会計でございますが、一枚めくっていただきまして、五十八ページの左側に、三十七年度予算のおもなる内容の説明がございますが、そのうちおもなるものを申しますと、(1)の一級国道の整備でございます。これは重点を従前どおり置きまして、三十七年度においては三五・一%の増額を行なっております。(4)にございますように、最近の都市内の交通の実情から街路の整備にも重点を置いております。それから(5)にございます有料道路事業につきましては、日本道路公団及び首都高速道路公団に九十億及び十五億それぞれ出資、それから先ほど大臣の御説明にもございました阪神高速道路公団の新設に伴い、これに対して二億円の出資をし、合計いたしまして百七億円の出資をこの特別会計から予定いたしております。日本道路公団は、名古屋——神戸間、いわゆる名神国道の事業を一段と促進いたしますとともに、東京——名古屋間、東京——富士吉田間の高速自動車国道の工事に着手いたします。  それから治水特別会計でございますが、五十九ページの右の上のほうにございますが、水資源開発公団の発足という点が新しい点でございまして、これによりまして従来国が直轄で施行してきた矢木沢ダム、下久保ダム、それから新規着工予定の高山ダムの三ダムについては、三十七年度の中途でこの水資源開発公団の事業として承継されることとなっております。  以上で特別会計の御説明を終わります。  政府関係機関につきましては、専売公社が専売納付金千五百八十八億円ということは先ほど申しましたが、これはたばこ事業では千六百億円の納付金が見込まれるのでございますが、塩事業とショウノウ事業と通算差し引きいたしまして千五百八十八億円となっております。  国有鉄道、電電公社、以下公庫等がございますが、国鉄、電電の建設に関連いたしまして、財政投融資のほうで説明がございまするので、これで三十七年度予算の説明を終わらせていただきます。  なお、「三十六年度予算補正(第2号及び特第3号)の説明」という書類をごらんいただきたいと思います。その二ページをごらんいただきますと、三十六年度の一般会計歳入歳出予算が当初一兆九千五百二十七億七千六百二十七万七千円、それに先般お願いをいたしました補正第1号九百九十七億一千四百万円、これに今回の五百四十八億九千二百万円が加わりますと、二兆一千七十三億八千二百二十七万七千円と相なるわけでございます。これを最近の国民所得と比較した数字が、先ほど申しましたように、一五・六%に相なります。  その補正の内訳でございますが、全体の五百四十八億九千二百万円のうちで、災害対策費が三百億でございます。それから義務的経費の不足補てんが六十五億一千八十八万八千円。その内訳は、生活保護費児童保護費、国民健康保険助成費、失業保険費国庫負担金、精神衛生費補助、義務教育費国庫負担金、農業保険費、伝染病予防費補助、その他でございます。医療費改定に伴う増加経費が四十五億五百十四万五千円。オリンピック東京大会実施準備費八億八千八百八十九万九千円。炭鉱離職者援護対策費八千二百八十万円。それから農業災害補償制度の改正予定時期の変更に伴い必要な経費、これは先ほど申しましたように、増加分と減少分がございます。増加分が二億四千四百四万円、それから減少分が三億三千三百七十三万円。それから地方交付税交付金が百二十八億二千五百万円、臨時地方特別交付金が一億三千五百万円でございます。  歳入のほうは、所得税、法人税、酒税、物品税、関税でございます。  歳出の内訳を簡単に御説明いたしますと、災害対策費災害復旧事業費、おのおの項目ごとに当初と補正1号と補正2号の追加と合計が出ておりますが、補正2号の追加は二百七十三億二千十万五千円でございます。これは三十六年度発生の災害が、この前の補正予算提出の直前に第二室戸台風が起こったのでございますが、三十六年度補正第1号によってとりあえず百三十三億四千六百三十万円を追加いたしまして、そのほか予備費を追加計上して対処することとしたのでございますが、その後実地調査の進捗等に伴いまして不足を生ずる見込みとなりましたので、今回その不足見込み額の百四十七億六千二百七十三万円を追加計上することとしたものでございます。それから過年災害の復旧につきましては、三十三年災、三十四年災、三十五年災に関しまして実地調査の結果等によりまして、三十六年度において事業費の追加を必要とすることになったので、百二十五億五千七百三十七万五千円を追加計上することといたしております。  それから災害関連事業費も同様補正第2号追加十七億三千二百十六万七千円を追加計上いたしております。  それから大阪高潮対策事業費七億一千五戸万円でございます。これは三十六年の九月の第二室戸台風による被害に顧みまして、緊急整備計画を立てて、防潮堤の築造、その他所要の工事を計画的に実施することにいたしたものでございます。  義務的経費の不足補てんにつきまして簡単に御説明いたしますが、生活保護費、補正第2号追加四億六千五十七万七千円、そこにカッコで、ほか十二億八千九百二万六千円というものがございますが、各項目ごとにこういうカッコのついたのがございますが、これは医療費の改定に伴う分でございまして、別の項目に計上されておる分でございます。児童保護費が補正第2号追加一億六千二百七万三千円、国民健康保険助成費が、二十四億四千八百九万六千円、失業保険費負担金が十三億六千二百三十五万一千円、精神衛生費補助一億五千三百七十三万二千円、それから義務教育費国庫負担金が七億五百三十七万三千円、農業保険費が九億二百九十三万七千円、これは三十五年産の農作物及び蚕繭共済分の不足額十億五千八十八万五千円を追加いたします反面、三十五年度の家畜共済分の超過額の一億四千七百九十四万八千円を修正減少するものでございます。農業保険関係で、このほかに農業災害補償制度の改正予定時期の変更に伴うものがあります点は先ほど申したとおりでございます。伝染病予防費補助、これが一億九千六百七十二万二千円。  次が医療費改定に伴う増加経費でございます。これが補正2号追加は四十五億五百十四万五千円でございますが、六ページの左のほうにございますように、当初予算におきましては、三十六年七月一日以降の診療報酬等の改定による増加額を総医療費に対しまして一〇%と見込んで所要の経費を計上したのでございますが、七月一日の改定は一二・六%の増加となり、さらに、緊急是正として同年十二月一日から二・三%の引き上げが行なわれたので、これら診療報酬等の改定に伴い必要な経費を追加計上するものでございます。  オリンピック東京大会実施準備費は、先ほど申し上げましたが、八億八千八百八十九万九千円、これはワシントン・ハイツ及びリンカーン・センター住宅地区が選手村、屋内総合競技場等の建設予定地として返還されますので、その代替施設を調布水耕農園地区等に建設する必要があるわけでございますが、工期の関係上、三十六年度で屋内総合競技場建設予定地区にかかる代替施設の建設工事に着手する必要があるのでございます。このほか国庫債務負担行為として上記の金額を含め二十二億一千二百万円を計上しております。  それから炭鉱離職者援護対策費が、1号補正が六十一万五千円、今回の2号追加が八千二百八十万円でございます。これは先ほど申しましたように、雇用奨励金制度、それから訓練別居手当、技能習得手当の制度を設けることになったわけでございますが、これを雇用促進事業団をして三十七年一月一日より実施させるために必要な経費でございます。  農業災害補償制度の改正予定時期の変更に伴い必要な経費は、先ほど申しましたように、その改正が七年の二月から三十八年の二月に一年延びました関係の修正でございます。  地方交付税交付金及び臨時地方特別交付金は、今回の補正で所得税が百三十億、法人税が二百六十億、酒税が六十億円、計四百五十億円の増収を歳入に計上いたしておりますので、この三税に対する従来の比率によって計算いたしまして、地方交付税交付金臨時地方特別交付金の増加する額を計上するものでございます。  特別会計につきましては、別に御説明することもないかと思いますので、以上で大蔵大臣の提案理由の説明に対する補足説明を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)
  11. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 次に、村山主税局長から補足説明を願います。
  12. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) お手元に配付してあります三十七年度租税及び印紙収入予算説明、それからもう一つの書類で三十七年度税制改正の要綱と、この二つの書類につきまして、補足説明を申し上げます。  まず、予算説明のほうでございますが、この書類の中にどういう事柄が書いてあるかというのを最初目次で見ていただきたいと思うんでございます。  目次を見ていただきますと、一ページが総説とありますが、これは二兆四百二十一億という三十七年度租税及び印紙収入予算額が出るに至りました経過並びにその算出の根拠の概要がここに述べてございます。三ページにあります租税及び印紙収入予算額、これは三十六年度に対比いたしまして、三十七年度の現行法による収入見込額並びに税制改正によってどれだけ減収が出るか。差引どれだけになって、対前年度どれだけの増減になるかという数字が一覧になって出てございます。それから四ページに書いてあります三十七年度税制改正による事項別減収額、これは来年度税制改正につきまして、各改正事項別にどんな減収になって出てくるか、それが税目別にどうなるか。初年度がどうなり、平年度がどうなるかということが書いてございます。第四番目に各税ごとに現行法による収入見込み額並びに改正法による収入見込額のこまかい算出の根拠が書いてございます。第五は、これは税制改正の要綱、別にこちらにございますこれの写しでございます。最後に、付表といたしまして五つばかり表がございますが、そのうち国民所得に対する租税負担率、それから改正後の直接税及び間接税の比較、この辺がちょっと見ていただきたい数字でございます。以下順序に……。  まず、三ページの予算額の全体について概括的な御説明を申し上げます。  左の欄を見ていただきますと、一般会計特別会計に分けてございます。一般会計は、これはもちろん国の収入でございます。特別会計は、税としては国税であるけれども、財源としては地方のものでございます。したがいまして、ここでは一般会計の合計欄を中心にして御説明申し上げたいと思います。横に見て参りますと、三十六年度補正予算額というのが出ております。それが合計欄で見ますと一兆七千六百四十六億、カッコの数字は当初予算でございまして、先般の九百九十七億を計上する前の数字でございます〇一兆六千六百四十八億でございます。それに対しまして現行法ベースで、三十六年度に幾ら自然増収が出るかというのが次の欄でございまして、補正予算額に対しまして三千八百十億、当初予算に対しまして四千八百七億の自然増収になるということでございます。合計いたしますと、二兆一千四百五十六億四千四百万と相なるわけでございます。その次の二欄が来年度税制改正による一般会計減収額が書いてございます。二欄ございますが、左の分は税源配分による分でございまして、これは国と地方の財源のやりとりの関係でございまして、一般の国民の租税負担とは何にも関係のない事柄でございます。そこで見て参りますと、所得税欄で二百十八億国は失います。そのかわりに入場税の百七十億をちょうだいいたします。差引四十八億二千一百万円、これは国はこの税源配分によって失うということでございます。  なお、この税源配分につきましては、租税に関係する項目はこれだけでございますが、この以外に、先ほど大臣並びに主計局長からちょっとお話がありましたように、たばこ消費税税率を県、市町村それぞれ一%ずつアップいたします。これは結局専売公社の益金をそれだけ食うわけでございまして、その数字は初年度七十一億円、平年度七十七億円と見込まれているわけでございます。ですから、初年度でいいますと四十八億プラス七十一億、この合計額だけが一般会計としては収入として失われるわけでございます。  その次の右にありますのは、これは国民に関係のある減税の額が出ているわけでございまして、所得税でいいますと四百三十二億六千七百万でございます。ただこれは来年は所得税につきましては四分の三の減税でございますので、平年度はこれより大きな数字になるわけでございます。法人税につきましては、改正がございますが、差引増減ゼロという教字でございます。その次が相続税で九億八千九百万円、再評価税で四億二千四百万円の減、それから酒税で三百九億九百万円の減、物品税で百七十二億三千九百万円の減、トランプ類税で四千七百万円の減、通行税で二十四億六千六百万円の減、入場税で七十億六千四百万円の減、それから関税、これは関税定率法の改正で、石油、その他百三十三品目について税率改正が行なわれる予定でございますが、それは結果といたしまして五十四億六千六百万円の増収に相なるわけでございます。このうち約五十億程度のものが石油の税率改正による増収でございます。それから印紙収入の欄で十七億ございますが、これは税目でいいますと印紙税並びに登録税でございます。合計いたしまして九百八十七億一千三百万円、一般会計で来年度の減税によって失われる。関税は通常内国税といっておりませんので、この増収額を差し引いてネット、ネットといいますか、内国税だけの減を立てますと千四十一億の減収になるわけでございます。  この税源配分による減収四十八億と、一般減税による九百八十七億の合計額一千三十五億三千四百万円を差し引きまして、改正後の税収見込額がその次の欄に出ておりまして、二兆四百二十一億一千万円、これは前年度の、三十六年度予算に対しまして対補正後二千七百七十四億九千七百万、対当初三千七百七十二億の増ということになっておるわけであります。  その次に、四ページ並びに五ページに来年度税制改正による事項別減収額の一覧が出ておりますので、ついでにこのことを御説明申し上げます。左の欄は事項別の改正事項でございます。横の欄が税目別がずっと出ておりまして、所得税法人税、その他、計、とこう出ております。左の半分が初年度、右の半分が平年度と出ております。所得税の小計欄をずっと見ていきますと、事項別に出ておりまして、最後のしりの答の四百三十七億六千七百万、これがさきの数字と一致しておるわけでございますが、事項別で見て参りますと、基礎控除で百三十九億、配偶者控除で六十六億、税率の引き下げで百九十六億、別に税源配分によって二百十八億ということになっております。生命保険料控除で二十三億、専従者控除で二億九千万、寡婦控除でもって五億五千万、寄付金控除で三億となりますが、租税特別措置合理化によりまして、国民貯蓄組合の免税制度の適正化という措置によりまして五億の増収がありますので、合計いたしまして四百三十二億六千七百万、こういうことになるわけであります。法人税につきましては、一方企業年金の創設によりまして、減収七億となりますが、同時に重要物産制度の改正によりまして増収がまた七億立ちますので、差引ゼロということでございます。その他の欄につきましては、先ほど御説明した数字と全く同じ数字がそこに載ってございます。そこで、初年度の最後の計を見て参りますと、一番下の総計のところを見ますと九百八十七億、先ほどの数字でございます。その上に関税定率法による分がございまして、五十四億、それを差し引きますと、先ほど申しました内国税では、その前の上のほうの欄の合計額でございますが、千四十一億となるわけでございます。この九百八十七億、それは地方税で、それから初年度二百七十三億程度の減税ということに相なりますので、国税地方税を通じて計算いたしますと、初年度——来年度改正は千二百六十億と相なるわけでございます。平年度はどうなるかというところは、一番右の下の欄を見ていただきますと、国税だけで千百六十四億になってございます。地方税が四百二十二億でございますので、合計いたしますと、国税地方税で来年度改正による平年度減収額は千五百八十六億と相なるわけでございます。この平年度千二百四十四億、内国税でございますが、千二百四十四億という数字は昭和二十五年のシャウプ勧告以来今日までほとんど毎年のように減税をやっておりますが、金額として昭和二十八年と並んで最も大きな金額になるわけでございます。地方税の四百二十二億、これまた——これははっきりわかっておりますのは二十七年以降しかわかっておりませんが、二十七年以降最大の金額に上っておるわけでございます。  各税の見積もり方法につきましては、時間の関係がございますので、省略さしていただきまして、そのおもな根拠につきましては、先ほど申しました一ページから二ページにかけて総説というところに書いてございますので、そこのところだけを申し上げておきます。それで、経済の見通し、生産あるいは物価等につきましては、すべてこの一月十六日の閣議決定の見通しの数字によってございます。したがいまして、その点は省略さしていただきます。ただ給与等に——源泉所得税につきましては、雇用を四%、それから賃金水準の伸びを六・一%ということを見込んでございます。間接税につきましては、酒は全体といたしまして、ここはキロリッターで出ておりますが、石数にいたしますと、全体で千六百七十七万石、対前年度に対して一六%の消費増を見込んでございます。砂糖消費税につきましては、そこに書いてございますように百五十万トンの消費、それから石油につきましては七百四十九万キロリッター、対前年一七%のアップ率を見ておるようなわけでございます。大体そんな調子でこの現行法ベースによります収入見込み額ができておるということでございます。  次に、来年度税制改正内容につきまして、ごくその概要を御説明申し上げます。もう一冊のほうの税制改正の要綱というほうをごらん願いたいと思います。  最初の五行ばかり書いてございますので、ちょっと読んでみますと、「国民税負担現状にかえりみ、昭和三十六年度税制改正に引き続く税制体系的整備の一環として、中小所得者負担軽減を主眼とする間接税及び所得税の減税を中心に国税において平年度千二百億円(初年度千億円)程度の減税を行ない、あわせて、所得税の一部を都道府県民税に移譲する等国と地方団体間の税源配分の適正化を図るほか、国税通則法の制定その他各税を通じ、税制整備するため、次のとおり、税制改正を行なうものとする。」ということで、以下各項に分けて書いてあるのでございます。ここに書いてございますように、ことしの改正は去年の改正と一体をなすべきものとして、それのいわば姉妹版として考えられておるわけでございます。昨年度はもうすでに御承知のように、企業に対する法人税並びに中小所得者に対する所得税の減税を中心に行なったのでございます。わが国の税の現況を見てみますと、一般に国民所得に対しまして二〇・七であるとか、大体二〇%程度というようなことを言っておりますが、よく分析してみますと、家計に対する税と、それから企業に対する税ではかなり重さが違っておるように思われるわけでございまして、企業に対する税、つまり法人税法人税割、事業税、この税率を見ますと、各国に比べて決して重いことはないわけでございます。税率といたしましては、ただ今日の企業の資本構成とか資金調達とか、あるいは今後予想される設備の近代化等に即応する税制の仕組みにおいて、なお工夫の余地があるということが去年指摘されまして、そのため、去年は税率軽減ではなくて、配当に対する税率を三八から二八に引き下げるとか、あるいは耐用年数を一般的に二割程度短縮するとか、あるいは同族法人に対する加算税の税率改正するとか、こういう企業の基盤強化に対する税制の仕組みが変えられたわけでございまして、平年度、これで約五百億の減税が昨年行なわれたわけでございます。  一方、家計に対する税といたしまして、所得税が、その課税最低限から見ましても、あるいは各所得階級別の実効税率を各国と比較いたしましても、非常に重い点が指摘されまして、昨年、やはり各種の控除、配偶者控除の創設あるいは扶養控除引き上げ、専従者控除の創設、拡充、それから給与所得の引き上げとか、こういう控除改正が行なわれるとともに、税率につきましても、課税所得七十万以下のものについて軽減が行なわれたことは御承知のとおりでございます。  ただその際、なお所得税については今後も減税する必要があるということは指摘されておりましたし、同時に、間接税につきましては、所得税にも増して重いのではないか、間接税はぜひとも三十七年度において提案すべきであるという論議がかわされたわけでございまして、今回、いろいろ間接税について検討した結果、今度の改正案が提案されているわけでございます。で、昭和二十五年から三十六年までの減税総額を見てみますと、これは各年度改正のそれぞれの平年度減税額の単純合計でございますけれども、約八千億に上っているわけでございます。そのうち、間接税の減税というのは実に五百億足らず、あとはほとんど直接税の減税に充てられておるわけでございます。  こういうわけで、間接税の減税というのが、重いままに今日まで放置されてきたということがございまして、ことしは間接税の減税を中心といたしまして、一部、去年やり残しました所得税の減税、それと、かねて懸案になっております国税所得税税源配分、この三つの事柄を柱といたしましてこの改正案が提案されておるわけでございます。  所得税からごく簡単に申し上げますと、基礎控除、配偶者控除をそれぞれ一万円引き上げます。これは三十二度度以来据え置かれております。配偶者控除は昨年、本人と同額にされまして、それと同じような思想で、基礎控除引き上げと同じように行なわれており、専従者控除引き上げ、これを現行二十五才以上の者につきまして十二万という割り増しをやっているわけでございますが、年令基準を二十才に引き下げるという改正でございます。  それから税率緩和でございますが、二ページのところに書いてございます。現在は一〇%から七〇%までの十三段階税率、所得階級で十五万円から五千万超ということになっております。ここで新たに二階級設けまして、下のほうに十万円以下という金額を設けまして、八%にして二%下げた。上のほうに新たに六千万円超というのを置きまして、これは七〇から七五に上げているわけでございます。この辺は県民税との税源配分をなだらかにするためにやった技術的なやり方でございます。  県民税につきましては、現在やはり国税と同じように所得階級は十三段階でございまして、最低税率が〇・八%、最高税率が五・四%、それぞれ〇・二%ずつ盛られているわけでございます。今度の改正では百五十万円を境にいたしまして、その下は二%、それの上のほうは四%という二本の比例税率にいたす予定になっております。そういたしますと、一番下のところでは〇・八%は二%でございますから一・二%増率になるわけでございます。上のほうでは五・四から四になりますから、一・四%の減率になるわけでございます。その点を所得税のほうの税率で調整しておるわけでございます。総じて言いますと、所得税の今度の税率改正のうち約半分くらいは、これは税源配分のための税率改正であるということがいえるわけでございます。後ほど表につきまして、所得税及び県民税を通じて各所得階級別にどんな負担関係の変化を生ずるかという点を表につきまして御説明申し上げたいと思います。  寡婦控除についての引き上げ、これは税額控除でございますが、三十年来据え置かれておりますので、この際五千円から六千円、文化功労者年金の非課税の創設、相続税につきましては、基礎控除額現在百五十万円に相続人一人当たり三十万円をプラスしたもの、普通の世帯でございますと、相続人は平均五人程度でございますので約三百万円、これを今度二百万円に相続人一人当たり五十万円を加算した金額四百五十万円、大体五割程度上げる。めどといたしましては、大体二町五反くらいの農家が課税にならないというねらいをもってこの課税をやっておるわけでございます。  その次は酒税でございますが、これは小売価格におきまして一割、税率において平均二割程度引き下げようということが大きなねらいでございます。第二は、最近従来の特級酒につきまして基準価格を廃止いたしました。そこで、だいぶ自由になったわけでございまするが、だいぶ高い酒が出て参っております。酒の税金は従量税でございますので、法に対する比率から見ますと、高い酒のほうが非常に負担が安くなっておるという点が目立って参りましたものですから、相当高級な酒については、従価税を採用したいということでございます。それから三番目に特殊用途、これは二%くらいの数量がこの方面に回されておりますが、従来税率が普通よりも一五%程度軽減されてそれが回されておったのですが、今度の減税によりまして、その必要はほとんどなくなり、今度の減税によってそのものがかなり下がるという状況でございますので、この際これを廃止したいということでございます。そのほか、酒の種類は九種類ございますが、やや古い分類でございますので、新しい分類に切りかえていくというような改正でございます。その結果どの程度の減税額になるかということが、四ページにそれぞれ一升当たりあるいは一本当たり出ております。代表的なものをいいますと、清酒の二級が五十円、合成清酒が四十五円、しょうちゅう甲四十円、ビールが十円、減税率は大衆酒が右の欄でごらんのように非常に高いわけでございます。  次は物品税でございますが、物品税は現在品目数にいたしまして約七十品目、物品数にいたしますと約五百八十物品くらいに分かれて課税の対象になっておるわけでございます。第一種、第二種、第三種とございます。第一種というのは、小売で課税する分でございまして、小売で甲と乙に分かれますが、それぞれ二割あるいは一割というふうな課税の仕方をしております。それから第二種は、製造でしかも従価課税、しかも第三種は製造で従量課税でやっておるわけでございます。それで今度の改正の第一は、最近における消費の状況から見て物品税を課税するほうがむしろおかしいと思われるようなものにつきまして、七十品日中十六品目課税を廃止しておるわけでございます。どんなものがあるかということは(1)に出ておりますが、そのようなものでございます。第二は、同じような思想によりまして免税点を思い切って引き上げる。第一種物品、小売課税はおおむね二千五百円でございますが、これを免税にして六千円まで引き上げるということをやっております。なお、第二種物品につきましても、免税点のあるものは、ことごとく三割ないし五割、ものによっては大幅に引き上げております。新たに免税点を設けたものは五種類ばかりございます。  それから次は税率でございますが、これは第二種の税率は現行三%から五〇%までの八段階税率になっておるので非常に複雑でございます。そこで基本税率を二割に置きまして、その加重税率としましてはその上に二本置きまして、三割、四割、五割というのはやめてしまって、それから下のほうの軽減税率を一〇%を五%にして、これも三%というものは廃止してしまうということにいたしまして、それぞれ新税率によって区分して参ったわけでございます。五十五品目ありますが、これのうち十三品目は廃止になっておりますので、残るのは四十二品目でございますが、そのうち二十七品目については、それぞれ税率の引き下げが行なわれておるわけでございます。その書いてあります内容は、ここに出ておりますように、たとえばルームクーラーでございますと四〇%から三〇%に下がるというように、以下同じようなことで出ておるわけでございます。  第四番目は、製造課税から小売課税へ移して、小さな納税者が事実上、税を転嫁するに困難なような事情でございますので、この課税を移すという措置がございます。人形、玩具、家財道具等がそうでございます。  物品税改正の最後は、最近出て参りましたもので、従来の課税物品との権衡から、ある程度課税せざるを得ないものがありますので、そのものをあげております。約九品目、ただしこれらについては、経過的な措置として最初は一〇%からスタートして、一定期間そういった軽減税率を適用して参りたい。  次は入場税でございますが、現行は映画でいいますと七十円までが一割百円までが二割、百円超三割となっております。これを一律すべて一〇%に統合する。それから現行の免税点は、臨時興行の場合ですと二十円、児童引率については三十円でございますが、一般にはないのでありますが、新たに三十円の免税点を設ける。それから展覧会場、博覧会場、遊園地、アマチュア・スポーツに対する入場税はすべて廃止する。それから入場税につきましては、先ほど申し上げましたように税源配分改正の結果譲与する制度は廃止いたしました。  それから通行税につきましては、昨年二等寝台に対する課税を廃止して一等寝台だけにとどめたのでありますが、税率はなお二割になっております。これを間接税全体の税率整備する際に、他との権衡をとってこれを一等も一割に引き下げるという措置をとっております。  それから印紙税でございますが、これは手形に対する税率を思い切って軽減するということでございまして、内容は、現行記載金高一万円未満を非課税にしております。これを思い切って五万円に引き上げる。これは取引程度でいえば約五割が五万円未満でございますが、その点はその程度にする。それから五万円から十万円未満二十円を十円にする。以下それぞれ必要な制度上の整備をはかる。  トランプ類税につきましても、高級品につきましては若干引き上げまして、それから下級品につきましては若干引き下げまして、その間税率のバランスがとれるような措置が講じてございます。  第三が租税特別措置並びに税制整備の関係でございますが、第一は利子課税及び配当課税の問題でございます。預金の利子につきましては、現在は分離一〇%の比例税率で課税する。それから配当につきましてはこれは法人のほうの配当でございますが、これは一年間二八%の課税とする。いずれもこの三十七年三月三十一日で期限がくるわけでございますが、この配当課税のやり方は、まだ実施後日も浅く効果もはっきりいたしません。また金融情勢も非常に微妙な情勢でございますので、その辺を考えましてこれらの措置はともに一年間延長するということになっております。  それから国民貯蓄組合制度でございますが、現行非課税限度が三十万円でございますが、郵便貯金の預入限度が五十万円に引き上げられたことに伴いまして、この非課税限度を五十万円にする。しかし同時に現在二重加入等のことが、制度上ともするとそういうことになりがちでございましたのを、できるだけ自動的にそういうことにならないように制度を改めていくという措置も同時に講じて参る。  それから生命保険料の控除でございますが、現行は掛金一万五千円までは全額所得から引きます。それから一万五千円をこえて三万円まではその半分を引くと、こうありますのを、その三万円というものを五万円まで上げて、一万五千円から五万円までの半分を引きます。ただし、初年度はその増加額については、やはり四分の三を適用することにいたします。したがいまして、初年度は最高限度は三万円、平年度は三万二千五百円ということでございます。  それから、新築貸家住宅の割増償却及び登録税の特例等は、これは期限がございますが、最近の住宅情勢にかんがみまして、これを延期いたします。  それから、新規重要物産免税制度につきましては、最近における日本の企業の進歩の状況にかんがみまして、またこの制度の趣旨にもかんがみまして、国産技術によるものに中心を置いて指定して参るように運用したい。これは法律の改正には出て参りませんが、運用上の問題でございますが、考え方の違いがありますので書いてあるわけでございます。  同じように、合理化機械等の特別償却制度、これは昨年度改正で、普通償却のほかに、別ワク三分の一の初年度特別償却が認められるわけでございます。これは指定の仕方が向こう三年間ぐらいの指定でございますが、昨年度のように経済の激動の際に、非常にそういたしますと弾力性を失いますので、もう少し期間を短くして指定して、そのつど洗いざらい見直して参りたい。増減収には関係ございません。  それから、航空機の通行税軽減、これは現行一〇%になっておりますが、今度一般の税率が一〇%になりますので、それを五%に引き下げる。  それから、外航船舶等の登録税の特例、これは現行は基本税率の約二分の一でございますが、これを四分の一程度まで引き下げるということでございます。  次は、税制整備の関係でございますが、その一つは、国税通則法関係でございます。これは大体三つのねらいがあるわけでございますが、一つは現在各税法ごとに実体規定と手続規定がございまして、しかもその手続規定は、各税を通じて似たようなことになっております。にもかかわらず、それがみんな各税法の中にあるために、その各税法が非常にわかりにくくなっているわけであります。そういう共通のものを、国税通則法としてカッコの外に出して、各税法は実体規定だけにしたほうが非常にわかりやすい。それから同時に、その共通的な事項について、必ずしも理由なくして違っている分がございますので、そういう点も十分検討した上で、統一的なものにして参りたい、これが第一点でございます。  それから第二点は、これは納税者の利益と直接関係があることでございますが、現在の利子税とか加算税、いわゆる付帯税の制度が非常に高いという感じがするわけでございまして、これは納税者の利益に着目しながら合理化して参りたい。  それから第三番目は、納税者が行政処分に対して不服がある場合の再調査、あるいは審査の問題でございますが、今度一般訴願法が行政府審査法に切りかわる関係がございます。それとの関係で、所要の規定の整備をはかりながら、やはり税の方面についても、それと平仄をとって手当を加える必要があるということでございます。  それから最後にもう一つ、現在の税法では、基本的な法律関係がどうもはっきりしない。租税債権の発生、確定、消滅というようなところ、あるいは徴収権と賦課権との除斥期間施行の関係、あるいは間接税と直接税における処分の賦課期限の期間が違うわけでございますが、この問題。それから課税方式上、申告納税方式と賦課課税方式と分かれているというような問題、これも問題でございます。それから、申告から更正決定、それから訴願、訴訟に至るまでの間の前後の手続の関係からくる法律的効果がどうなるか、こういう一般的な関係が非常に税法としてははっきりしませんで、そのためにいろいろの解釈とか通達とか、あるいは判例等において、非常にまちまちになっておる。その辺をはっきりさして、納税者の方々に知っていただく必要があるということでございます。まあそういったことで、この際各税法の基礎的な税法といたしまして、国税通則法を制定いたして参りたいということでございます。  その次は、所得税法、法人税法の制度上の整備の関係でございますが、一つは所得税につきましても、法人と同じように公益目的のために寄付をした場合に、限度を置いて損金算入を認めるという制度でございます。法人につきましては、指定寄付金、あるいは法律できめております使途については、損金に認めておるわけでございます。個人については、現在その制度がないわけでございます。そこで、ある限度を限って個人にも認めたらどうか。個人になぜ限度を設けるかというと、これは財産から出すか所得から出すかという問題がありますので、所得にかかるものとしてある限度を設けるわけでございます。これはどこの国の立法でも大体そういうことになっています。そしてやり方としましては、ここに書いてありますように、三%、あるいは三十万円をこえてその所得の一割に至るまでの金額、その間の金額について寄付金控除を認める。控除の仕方としては所得控除ではなくて税額控除のやり方にする。その間の金額に二〇%という率をかけて求めた金額を、その人の税額から控除するというやり方であります。したがいまして、そこでそのそれぞれの人の税率によってかなり違ってくるわけでございまして、平均うわずみ実効税率が二〇%未満の人にとっては、非常に寄付金控除はきくわけであります。それから以上の人にとってはそれほどきかないということでございまして、所得の小さい人の寄付のほうが恩典が税額にしてみると大きくなってくる、こういう計算になるわけであります。  その次は、企業年金に対する税制整備でございます。現在退職引当金につきましては、社内留保を認めてございますが、これは今やめてももらえるという金額を基準にして、その人について積み立てを認めているわけであります。企業の最近における要求はそうではなくて、将来定年退職した者に対しては年金を出したい、今やめてももらえない、ただ定年退職した者に対して支給すべき年金を今から積み立てたい、これを税法上何らか損金算入にする道がないかということでございます。それを今度手当をいたしましてそれは損金にいたします。個人のほうに対する課税は、現実に年金をもらったときに給与所得として課税いたします。ただその場合、国は所得税に対する金利を失っているわけでございますので、その分を計算してその金利をちょうだいいたします。税の形をとりますので、法人税の形はとってございますが、その率だけを計算して千分の十二ぐらいで取ると、ちょうどいい計算になるということでございます。  それから譲渡所得の課税の簡素合理化。これは昨年の臨時国会で山林所得についてこれはすでに実施いたしました。現在の譲渡所得の計算でございますと、個人がある資産を譲渡する、そこで本来ならば譲渡収入から取得価額を引いて譲渡するわけでございますが、例の再評価法が働いておりまして、再評価額を取得価額にいたします。そのかわりに再評価額と取得価額の差額は、再評価額として六%の再評価税を納める、こういうややこしい規定になっているわけでございます。今日もうすでに財産税実施後、日もたっているわけでありますので、もう再評価といろ時期でもないし、かたがた納税者も税務当局も非常に手数がかかるものですから、思い切りまして、その場合に、その再評価税をあえて使わずに、再評価税法上における再評価時、現在昭和二十八年一月一日の時価をもってそれで取得価額に見てしまう。それで再評価税をあえて取りませんという改正をいたしたいというわけでございます。先般、山林所得について実施しております。おくればせながら、譲渡所得税についても、今国会で歩調を合わせて改正して参りたいということであります。  その他所得税法については、外国人課税の問題、あるいは内国法人が外国に投資する場合の外国税控除の問題等について、所要の規定の整備を加えたいということでございます。ここに、十一ページのところに、先ほどの税源配分の裏側の措置が書いてありまして、国のほうは先ほど申しましたように、所得税税率引き下げという方法になりまして、それを受け取る方法は、道府県民税のほうにおきまして、そこに書いてありますように、二%、四%という税率をかけることによってその税収を受けるわけです。  それからたばこ消費税は二%上げます。  それから入場譲与税は廃止する。  こういう行き方でございます。言いかえますと、入場譲与税と所得課税を引きかえたわけであります。入場譲与税は、過去の五年間くらいの伸び率を見ておりますと、大体テレビに押されまして人員が減っております。ただ料金が若干上がっておりますので、年率約五%くらいの上昇率でございます。所得税のほうは過去五年間くらいの伸び率をとってみますと、二割二、三分方の上昇率を示しておりますので、成長株、ボロ株の引きかえというような形になっております。そのほかたばこ消費税、これは非常に普遍性の高いかなり安定性の強い税源でございますが、二%を地方税として持っていくということでございます。  税制改正概要はその程度でございますが、その結果どんなことになるかということを、前の予算説明のほうの書類で、三十五ページをちょっと見ていただきたいと思います。ここで、今度の改正によりまして所得税の課税最低限がどうなるかという点が出てございます。便宜給与所得者だけ申し上げます。今度は基礎控除が中心でございますので、独身者に最も強く響くわけでございますが、独身者は現在十二万九千円が課税最低限であります。それが平年分で十四万二千円初年度は四分の三の減税でございますので十三万九千円となります。標準世帯では、その欄の扶養親族四人の欄を見ていただきます。現行三十九万八百七十円、それが四十一万四千六百九十三円になるわけであります。約二万四千円の引き上げ。それから三十七年度分は、初年度分は四十万八千九百円、約一万八千円くらいの課税最低限のアップになるという表でございます。  その次に、所得税と県民税を合わせて負担関係がどうなるかという点を、三十七ページの給与所得者の独身の欄、それからその次の三十八ページの標準世帯について見ていただきますと、まず十五万円のところで見ていただきますと、あとは全部同じでございますが、現行所得税額が一番上に出ております。所得税で千五百六十五円、県民税百二十五円でございます。そこで改正になってどうなるか。平年分で見ていただきます。改正案の下のほうの欄でございますが、所得税で四百五十二円、県民税は三百十三円と相なります。合計七百六十五円でございます。減税額を出しますと、その下の欄でございまして、所得税で千百十三円の減税、県民税で百八十八円の増額になりまして、差引九百二十五円の減額と、減税率はそのまま一つ下の欄でございますが、合計いたしまして五四・七の減税割合。その五四・七%をずっと右にその欄を見ていただきますと、二十万円、三十万円とずっと所得の階級別に所得税と県民税を合わせた減税率が出ているわけでございまして、上にいくほど恩典が少ないということが出ております。(「県民税だけ比べると、そうはならない」と呼ぶ者あり)これはもちろん税源配分でございますので、同時に並べていただいて見ていただくわけでございます。そういうことでございますので、税法の改正におきましても、県民税の税率改正分は所得税法の改正と同時に同じ法律の中で出す予定でございます。  それから夫婦、子三人の標準世帯につきまして一番下の欄を見ていただきますと、減税率が五十万円のところで二三・五%、その次は一五・一%、一一・四%というふうに同じように上にいくほど減税率が低まっておるという数字でございます。  最後に、先ほどもちょっと申しました負担率の関係を見ていただきたいと思いますが、四十六ページでございます。昭和九—十一年から三十七年度までの負担率、国税地方税を含めまして、これは専売の納付金も含んでございます。それが国民所得に対してどれくらいになっておるか。古いところは省略いたしまして、三十五年を見て参りますと、二一・五%でございます。三十六年度の当初予算段階では二〇・七、それが非常に税収が伸びまして、経済が伸びたために、それが二二・八%ぐらいになる見込みでございます。三十七年度税制改正後の率でございますが、二二・二%、税制改正をいたさないと二三・二くらいになっておったであろうと思われるわけでございます。  以上、概略でございますが、補足説明を終わらせていただきます。(拍手
  13. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) それでは次に宮川理財局長
  14. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 昭和三十七年度財政投融資計画につきまして、補足説明をお手元の予算説明に基づきましていたしたいと思います。  昭和三十七年度財政投融資計画につきましては、資料の九ページから十一ページにかけまして、原資見込み及び資金計画の総括表が掲げてございます。これをごらん願えば計画の全貌が御理解いただけると思いますが、以下、順を追って御説明いたします。御説明の便宜上、まず六十六ページの財政投融資のところをお開きいただきたいと思います。  三十七年度財政投融資計画規模は八千五百九十六億円でございますが、これに必要な財源は、出資原資として産業投資特別会計五百三十二億円、融資原資といたしまして、資金運用部資金五千八十二億円、簡保資金千五百億円、合計七千百十四億円の財政資金のほか、民間資金千四百八十二億円の活用を予定しております。総額で三十六年度当初計画に比べまして千三百四億円の増加を見込んでおるのでございます。なお資金運用部資金五千八十二億円の内訳は、郵便貯金が千五百五十億円、厚生年金が千三百二十億円、国民年金が四百億円と相なっております。  これらの原資をもとといたしまして運用いたしまするわけでございますが、運用基本方針といたしましては、中小企業金融円滑化及び輸出振興重点を置きますほか、引き続き住宅上下水道等生活環境施設整備に努めますとともに、農林漁業振興地域開発推進並びに道路港湾工業用水等産業基盤強化に特に配意いたしております。以下、その内容を御説明申し上げます。  その下に、昭和三十七年度財政投融資使途別分類表という毛のがございます。これは融資の対象を、目的を大別いたしまして分類いたしたものでございますが、(1)の住宅から生活環境整備、厚生福祉施設文教施設、中小企業、農林漁業。この(1)から(6)までにあげられておる項目はいわば国民生活に直結する分野でございますが、この分野の資金額は、財政投融資総額は四千四百八億円でございまして、全体の八千五百九十六億円に対しまして五一・二%に当たっております。  次に、(7)の国土保全災害復旧道路、運輸通信、地域開発。この(7)から(10)に至る分野は、いわば国民経済基盤となる分野と申すべきでございますが、この金額は、総額は二千五百六十四億円でございまして、全体の二九・八%に当たっております。  この(1)から(10)までの国民生活に直結する分野並びに国民経済基盤となる分野を合計いたしますと、六千九百七十二億円でございまして、総額の八千五百九十六億円に対しまして八一%に当たるのでございます。以下、各個々の機関ごとに簡単に御説明申し上げます。  まず、特別会計でございますが、特に御説明することもございませんので、六十一ページの政府関係機関というところをお開き願いたいと思います。  政府関係機関のうち、専売公社は財政投融資に関係ございませんで、まず国鉄が問題になるわけでございますが、六十二ページの下のほうに書いてございますように、国鉄の工事費といたしましては、三十七年度総額で二千三十五億になります。この内訳を申し上げますと、東海道幹線増設工事の本格化に伴いまして、これに六百十億円を計上いたしまして、一般改良費は千三百五十億円、新線建設費は七十五億円を計上いたしております。これに伴いまして財政投融資といたしまして、三十六年度に比べまして三十五億円を増額いたしまして八百億円を予定いたしております。  次に日本電信電話公社でございますが、六十三ページにございますように、三十六年度に比べまして十万加入増の六十万加入の架設を行なうことといたしております。建設費用は二千百二億円でございます。  次に国民金融公庫につきましては、国民大衆の生業資金に対する融資の円滑化をはかりますために、政府出資二十億円、政府資金借り入れ四百六十五億円及び自己資金九百六十三億円によりまして、合計千四百四十八億円の貸付を行なうことといたしております。これは前年度の当初計画に対しまして一八%増に当たっております。  次に住宅金融公庫でございますが、十二万五千戸を建設いたしますため、三十六年度五百二十二億円に対しまして三十七年度は六百二十三億円の貸付契約を締結する予定でございます。しこうして三十七年度の貸付予定額は五百八十八億円となりまして、三十六年度に比べまして百三億円を増加いたしております。  次に農林漁業金融公庫につきましては、三十七年度におきまして七百十億円の新規貸付契約を行なうことといたしております。  次に中小企業金融公庫につきましては、中小企業金融円滑化をはかりますために、貸付額を増額をすることといたしまして、政府資金借り入れ五百九十億円及び自己資金三百九十五億円によりまして、合計九百八十五億円の貸付を行なうことといたしております。これは前年当初計画に対しまして一八%増に当たります。  次に北海道東北開発公庫につきましては、二百三十億円を原資といたしまして、出資三億円及び貸付二百二十七億円を行なうことを予定いたしております。  次に公営企業金融公庫につきましては、三十七年度の貸付予定額は二百四十五億円を予定いたしております。  次に中小企業信用保険公庫は、本年度財政投融資をいたしませんで、一般会計から二十五億円の出資を受けることと相なっております。  次に医療金融公庫につきましては、前年の七十億円に対しまして二十億円増の九十億円をもって貸付を行なうことを予定いたしております。  次に日本開発銀行でございますが、九百八十五億円の貸付を行なうことといたしております。その内訳は、電力が二百三十億円、海運が二百億円、地方開発が二百億円、その他が三百五十五億円と相なっております。  次に日本輸出入銀行でございますが、千二百五十億円貸付を予定いたしております。このため自己資金四百四十億円を見込むほか、産業投資特別会計出資二百億円、資金運用部資金借り入れ六百十億円、計八百十億円の財政資金を受け入れることといたしております。  次に公団並びに特殊会社関係でございますが、六十七ページの日本住宅公団より御説明いたしたいと思います。  日本住宅公団につきましては、三万三千戸の住宅を大都市及びその周辺に建設いたしますとともに、建築単価の値上がりを考慮をいたしまして、五百九十三億円の事業を行なうことといたしております。  年金福祉事業団につきましては、三十六年度に引き続き病院及び厚生福祉施設に対する融資をいたしますほか、新たに住宅を融資対象に加えまして、合わせて百五十億円の融資を予定いたしております。  次に特定船舶整備公団でございまするが、港湾船混み解消のため、新たにはしけ及びはしけ引船の建造を公団の事業に加えまして、三十二億円の事業を行なうことといたしております。  次に帝都高速度交通営団につきましては、二百十億円の資金をもちまして継続工事中の四号線の整備をはかりますほか、北千住・中目黒間の二号線と中野と東陽町間の五号線の工事の進捗をはかることといたしております。  愛知用水公団は、御承知のように愛知用水事業が完了いたしましたので、前年度に対しまして今年度資金といたしましては減少いたしまして、二十六億円の資金をもって事業を行なうことといたしておりまして、主たる事業は豊川用水事業の進捗でございます。  次に日本道路公団でございますが、この公団は名古屋・神戸間高速自動車国道の建設を促進するとともに、新たに東京・名古屋間及び東京・富士吉田間の高速自動車国道の建設に着手することといたしまして、四百九十五億円の事業を行なうことといたしております。  次に首都高速道路公団につきましては、上野・羽田間の一号線と八重洲・新宿間の四号線を中心に高速道路、関連街路及び駐車場の建設を行なうことといたしておりまして、二百十億円の事業規模に相なっております。  次に阪神高速道路公団、これは阪神地区における自動車交通の激増に対処いたしまして新たに設けるものでございまして、十億円の事業を行なうことといたしております。  次に水資源開発公団につきましては、利根川及び淀川水系の水資源の開発利用の促進のための事業を行なうことといたしております。事業規模は三十九億円に相なっております。  次に産炭地域振興事業団は、産炭地域の振興をはかりますために新たに設けられたものでございますが、これに対しましては、一般会計から五億円の出資を行ないますほか、資金運用部資金の借り入れ五億円を予定いたしております。  次に石炭鉱業合理化事業団は、新たに長期運転資金の貸付業務を行なうことを目的といたしまして、その原資として資金運用部資金の借り入れ十五億円を予定いたしております。  次に雇用促進事業団でございますが、雇用の促進に資する見地から、労働者住宅等の施設に対する融資の業務を新たに本事業団に加えることといたしまして、借り入れ及び貸付の規模として二十億円を予定いたしております。  次に地方公共団体でございますが、地方公共団体は一般会計債と直轄事業債と公営企業債と特別地方債の四つでございますが、まず一般会計債につきましては、災害復旧事業債の大幅な増額をはかりますとともに、高等学校校舎整備並びに清掃関係施設整備重点を置くことといたしまして、総額七百二十億円を計上いたしております。直轄事業債といたしましては、百三十億円を計上いたしております。第三の公営企業債につきましては、上下水道等生活環境施設整備工業用水道港湾施設等の産業基盤拡充整備並びに大都市の交通難緩和をはかるための地下鉄建設事業を主といたしまして、総額千四百二十五億円を計上いたしております。特別地方債といたしましては、百七十五億円を計上いたしまして、これらを総計いたしますと、三十六年度の二千億に対しまして、四百五十億円増の二千四百五十億円に相なっ  ております。  次に商工組合中央金庫でございますが、産業投資特別会計より二十億円を出資いたしますほか、資金運用部資金及び簡保資金によりまして商工債券五十億円を引き受けることといたしております。これによりまして貸付純増は、前年度三百十億円に対しまして三百六十五億に達し、一八%増に当たるのでございます。  次に日本海外移住振興株式会社につきまして、出資五億円を予定いたしております。  次に日本航空株式会社につきましては、おおむね三十六年度程度の経営規模を維持するものといたしまして、政府出資三億円、公募債二十二億円を予定いたしております。  次に東北開発株式会社につきましては、政府出資五億円、債券発行十九億円を予定いたしております。  次に北海道地下資源開発株式会社につきましては、一億円の政府出資を予定いたしております。  石油資源開発株式会社につきましては、政府出資四億円と政府保証による社債または借入金十四億円を予定いたしております。  最後に、電源開発株式会社につきましては、政府資金の供給は三百二十七億円でございまして、自己資金を合わせまして合計三百九十億円の開発工事を行なうことといたしております。  以上が三十七年度財政投融資計画概要でございます。  次に三十七年度の国庫収支の見込みについて御説明申し上げます。  お手元に三十七年度予算に関する参考資料というのをお配りしておると思うのでございますが、三十七年度の国庫収支の見込みは七百三十億円の散布超過と相なるものと見込んでおります。これは一般会計におきまして前年度剰余金の使用によりまして千二百五十一億円の散布超過が考えられますが、一方外為資金におきまして外貨準備高の減少見込み一億ドルを見合いまして、三百六十億円の引き揚げ超過が見込まれます。これらがおもな原因となりまして七百三十億円の散布超過と見込んでおる次第でございます。  以上、簡単でございますが、三十七年度財政投融資計画並びに国庫収支の見込みの補足説明といたします。ありがとうございました。
  15. 湯澤三千男

  16. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 昭和三十七年度の経済見通しと経済運営の基本的態度について御説明いたします。  お手元に「昭和三十七年度経済計画の大綱」として印刷したものがございますので、これをごらんいただきたいと思います。なお、別に昭和三十七年度予算案の補足説明という説明書がございますが、便宜この本文のほうにつきまして見ていただければよくわかると思いますが、数字的に主として少し補足して説明さしていただきたいと思います。  構成は、第一に「昭和三十六年度の経済情勢」というのが一にございまして、その次に、二ページのところに、「三十七年度の経済運営の基本的態度」という、主として政策をここに掲げまして、そういう政策をやることによってどういう見通しになるかというのが四ページの「三十七年度の経済見通し」ということでございます。最後に附表として「主要経済指標」、参考資料といたしまして「国民総生産と国民総支出、国民所得、鉱工業生産指数、農林水産業生産指数」というものを掲げてございます。  昭和三十六年度の経済情勢でございますが、御承知のように、三十六年度に入りましてから引き続く経済拡大がわれわれの予想を相当上回っておるわけであります。このあとのほうに表にございますが、国民総生産は昭和三十六年度といたしまして現在のところで実績見込みといたしまして十六兆七千七百億という数字を出しておるわけでありますが、これは昨年の一月にわれわれが国会で御説明をいたしました見通しとどのくらい違うかといいますと、その当時は三十六年度は十五兆六千二百億ということで、名目で九・八%、実質で九一二%の成長と、こう見たわけでありますが、したがって、現在振り返ってみますというと、約一兆円程度国民総生産がわれわれの予想よりもふくれ上がっておる。これを昨年一月に作りましたときの三十五年度の実績見込み十四兆二千三百億というものに対してどのくらいの伸びになるか、最近の実績見込みでは、ということを計算してみますというと、一七・八%の名目でございますが、成長率ということになって、九・八%が一七・八%になったと、こういうふうにお考えになったらいいんじゃないかということで、結局は輸入が非常に急激に増加した反面、海外の環境もございましたが、主として内需が非常に旺盛なために、輸出意欲が衰えまして、輸出もわれわれの予定しておったものよりも二億ドル近く下回るという、輸入は約七億ドル程度上回って、輸出が一億ドル程度少なくなったというようなことから、国際収支は大幅な赤字となってきたのであります。そこで、政府として昨年九月二十六日に総合的な景気調整策を実施しまして、輸出振興と内需の抑制に努めてきたのでございますが、その効果が次第に経済の各分野に浸透して参りまして、まず卸売物価が九月から下がり始め、最近までずっと下がり続けておるわけでございます。  それから生産者の製品在庫の漸増ということが書いてございますが、これは十月にはその前の月に比べまして八・五%、十一月にはその前月に比べして一・九%というふうに、生産者の製品在庫がふえる。結局生産が十月、十一月に非常に旺盛でございまして、需要がそれについてこないというために、生産者の段階で在庫がふえてきておる。それから輸入が相当ふえて参りまして・輸入商品額は大体十月ぐらいから最近までは前年の同月に比べて、大体前年同月並みあるいはそれ以下。それから輸入信用状につきましては相当減って参りまして、十二月には前年の同月に比べまして一割減ということになっております。  これに反しまして、輸出のほうは、相当最近の引き締め政策で輸出ドライブがかかって参りまして、十二月には輸出信用状は前年同月の一割アップというところにきておるわけであります。この情勢は一月に入ってからも続いておりまして、十二月には輸出入の信用状のバランスは六千四百万ドルの黒ということになってきたわけであります。また、機械の受注額等も減って参っております、十月、十一月は。そういうところを見ますと、経済の基調にも変化が表われ始めたのじゃないかというふうに見ておるわけであります。ただ、生産がまだ相当堅調でございまして、大体前年の同期に比べまして十一月ぐらいには二割程度高い水準にあるわけであります。十二月には十一月よりも少し生産は落ちるのじゃないかというふうに見ております。したがって、ここに書いてありますように、今後引き続き、引き締め基調を堅持いたしますことによりまして、経済は鉱工業生産も漸次下落をいたしまして、全般的な調整過程に入るのじゃないかというように予想しておるわけであります。  このような国内経済の鎮静化に伴いまして、上期に急激な増加をみました輸入は、漸次減退傾向をたどることが予想されますが、国際収支につきましては、なお赤字傾向を続けておりまして、年度間では——三十六年度一ぱいでは米国市銀からの借款二億ドルをのけて考えてみますと、七億二千万ドルに上る赤字になり、したがって、国際収支の改善は三十七年度の課題として持ち越されざるを得ないという状態にあるのであります。ただこれは、二億ドル借款をいたしますので、形式的には五億二千万ドルの赤字になるということになるわけであります。  なお、三十六年度には、今言ったような予想以上の経済の急速な拡大の結果といたしまして、回際収支の大幅な赤字のほかに、主要港湾における滞船、あるいは大都市における道路事情が非常に悪化するというような社会資本の立ちおくれが目立ってきた。また、労働需要の増加によりまして、三十六年度——今年度は生産年令人口が戦後一番増加の少ない年でございます。労働需要が片方では旺盛であるということから、一面では大企業と中小企業との賃金格差は是正されてきておりますが、反面労働力不足というものが見られ、相当賃金も上がってきており、さらにサービス料金、食料品等の値上がりによりまして、消費者物価が相当の上昇を示したというような、経済の各分野における不均衡も目立ってきたのであります。消費者物価につきましては、三十六年度は五・七%上がる。これは十二月まで全国の都市の数字が出ておりますが、三十六年一年間で、暦年でいいますと五・三%その前の年に比べて上がっておるということになっております。  そこで三十七年度の問題といたしましては、経済運営の基本的態度としては、輸出振興と内需の抑制によりまして下期中に国際収支の均衡を達成することを第一義的目標といたしまして、同時に当面の経済の不均衡の是正をはかりながら、長期にわたってわが国経済が均衡のある発展をするための基盤整備に努めるという方針のもとに、以下(1)から(5)まで政策の柱を掲げてあるわけであります。  (1)は、何といっても輸出振興ということが一番大事である。その次には引き締め基調を堅持する。ただその場合に、中小企業とか農林水産業等弱い面の分野に十分な配慮をする。民間設備投資はこれを抑制する。しかし必要な緊急を要するような部門については重点的な選別投資を確保する。それから四番目は消費者物価の安定に努める。五番といたしまして、所得倍増計画の第二年度にあたりまするので、次の(イ)から(ホ)までありますような長期的な課題の解決のために十分な配慮をはかる。こういう五つの政策の柱を立てたわけでございます。  こういう政策を実行し、また国民協力を得てやっていけば、こういうことになるんじゃないかというのが、3の「三十七年度の経済見通し」であります。その意味合いにおきましては、これは私のほうの長官が本会議でも言われましたように、これは単なる予測ではなくて、政府、民間を通ずる政策と努力を前提とした見通しであるということができるのではないかと思います。  それから(1)は輸出の問題でございますが、これは輸出をめぐる国際環境は、必ずしも楽観を許しません。しかし国内におきましては相当設備投資を過去二、三年やっておりまして、それが生産力化いたしますし、また内需が停滞傾向を続けるということになりますれば、相当輸出ドライブがかかってくるということでありますので、国をあげて輸出伸長のために努力すれば、三十六年度輸出額約四十一億ドルから四十七億ドル程度の伸びは、必ずしも達成不可能ではないんじゃないか。またあらゆる努力を払ってもこの程度の伸びを確保しなければいかぬということで、一四・六%程度の輸出の増を見込んでおるわけであります。  それから二番目は輸入関係でありますが、三十七年度下期中に国際収支の均衡を達成するためには、このような輸出の伸びを前提といたしましても、ここ三年来の高い経済の成長率を三十七年度には鈍化させまして、急激に増大した輸入を鎮静させる必要があるということでございまして、三十六年度は四十八億八千万ドルというふうに為替ベースで見ておりますが、これを四十八億ドル、三十六年度の水準以下にとどめるということができるというふうに考えております。こういうふうに輸入が上記のような鎮静を示す過程におきまして、在庫投資は相当急激に減少をする。それから設備投資も民間の自主的規制とか政府の行政指導によりまして次第に鎮静をし、それから卸売物価や生産も漸落ないし停滞を続けるというふうに考えております。で、一方では、ことしの秋までに貿易の自由化を九〇%やるということを政策として掲げておりますから、こういう景気調整の進行過程において、貿易の自由化をやっていかなければならぬという、なかなかむずかしい事態に対処していかなければならぬのでありますが、しかしながら総合対策を民間各界の協力を得まして円滑に推進することができ、また在庫調整あるいは設備投資の繰り延べが進行するとともに、輸出が順調に増加をいたしますれば、国内経済は長期にわたる景気調整過程を経ることなく、ゆるやかに上昇に転ずるというふうに期待をしておるわけであります。国民総生産は約十七兆七千億、正確に申し上げますと十七兆六千七百億という数字を出しておりますが、三十六年度から実質五・四%程度の成長となるというふうに見込んでおるわけでございます。  五ページの終わりのところから、各経済の主要項目について数字をちょっと御説明いたしますと、まず個人消費支出につきましては、三十六年度は非常に消費支出が伸びまして、一四・一%伸びておりますが、これが八%強の上昇を見込む。これは八・四という数字を出しております。それから設備投資は先ほど言いましたように、次第に鎮静化するというふうに考えておりますが、前年度を若干下回る水準にとどまるのじゃないか。三十六年度は三兆七千五百億という数字を出しておりますが、これが三兆六千九百億程度にとどまるのじゃないか。それから政府の財貨サービスの購入は今度の予算で決定したものに従って、地方財政も含めまして計上をして三兆六千四百億、前年度比一四・五%の増と見ております。  以上のような需要に対応いたしまして、鉱工業生産は対前年度比五・五%程度の伸びにとどまるのじゃないか。三十六年度は一九%程度の伸びになるというふうに予想されております。それから農林水産業につきましては、前年は台風の関係で相当減収したのでありますが、三十七年度についてはおおむね四%弱の上昇を見込んでおります。  次に七ページの国際収支でありますが、国際収支は輸出四十七億ドル、輸入四十八億ドルと見込みますと、運輸等の貿易外収支を含めた経常収支ではなお二億八千万ドルの赤字となるが、米国市銀からの二億ドルの借款の返済などを除外して計算いたしますると、総合収支で年度間約一億ドルの赤字になる。この赤字は大体上期中に出るのじゃないか。したがって、下期には国際収支は均衡を達成し得るというふうに考えておるわけであります。しかしながら、上記借款の返済というものを考えますというと、十一月から二億ドル借りたものをだんだん返していかなければいけませんので、その間における対外支払い準備の確保については特段の配慮が必要であるということで、先般来IMFに対して三億五百万ドルの借款を申し込みまして承認を得たわけでございます。  それから物価の面では、卸売物価は需要の減退と生産能力の拡大によりまして三十六年度後半から引き続き軟調に推移するということで、二・六%下がる。消費者物価のほうは、なお強含み横ばいで推移をいたしますので、これは二・八%程度上がるのじゃないかというふうに見通しております。  雇用面では、経済の成長率は鈍化してきますので、離職者なかんずく中高年令者の再就職について十分な配慮が必要であると思いますが、新規学卒者の就職は順調に推移しておりまして、全体としては約八十四万人程度の雇用の増加見込み得るというふうに考えております。そのあと、附表のところに今申し上げましたことが主要経済指標としてあがっております。  それから参考資料のほうの第一表が国民総生産と国民総支出、第二表が国民所得、国民所得としては勤労所得は大体一一〇%程度に伸びるのじゃないか、法人所得は九一%というふうに本年度から来年度にかけて減ってくるという見通しを立てております。第三表として鉱工業生産指数、これは通産省で作ったものでありますが、掲げております。第四表に農林水産業の生産指数がどうなるかということを掲げてあるわけでございます。  以上簡単でございますが、三十七年度の経済見通しと経済運営の基本的態度について御説明申し上げました。
  17. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 以上をもちまして予算五案に対する説明は全部終了いたしました。  本日はこれにて散会といたします。    午後四時五十八分散会    ————・————