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1962-05-04 第40回国会 参議院 本会議 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年五月四日(金曜日)    午後零時十分開議   ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十九号   昭和三十七年五月四日    午前十時開議  第一 地方自治法の一部を改正す   る法律案内閣提出衆議院送   付)  第二 災害対策基本法等の一部を   改正する法律案内閣提出、衆   議院送付)  第三 道路交通法の一部を改正す   る法律案内閣提出衆議院送   付)  第四 市の合併特例に関する法   律案内閣提出衆議院送付)  第五 新産業都市建設促進法案   (内閣提出衆議院送付)  第六 木船運送法の一部を改正す   る法律案内閣提出衆議院送   付)  第七 戦傷病者戦没者遺族等援護   法等の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  第八 都市美観風致を維持する   ための樹木保存に関する法律   案(衆議院提出)  第九 国土調査促進特別措置法案   (衆議院提出)  第一〇 財政法の一部を改正する   法律案内閣提出衆議院送   付)  第一一 農地開発機械公団法の一   部を改正する法律案内閣提   出、衆議院送付)  第一二 石油業法案内閣提出、   衆議院送付)  第一三 下請代金支払遅延等防止   法の一部を改正する法律案(内   閣提出衆議院送付)  第一四 不当景品類及び不当表示   防止法案内閣提出衆議院送   付)  第一五 ばい煙排出規制等に   関する法律案内閣提出衆議   院送付)  第一六 恩給法等の一部を改正す   る法律案内閣提出衆議院送   付)  第一七 昭和三十七年度における   旧令による共済組合等からの年   金受給者のための特別措置法等   の規定による年金の額の改定に   関する法律案内閣提出衆議   院送付)  第一八 外務省設置法の一部を改   正する法律案内閣提出衆議   院送付)   ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、国会法第三十九条但書規定に   よる議決に関する件(肥料審議会   委員)  一、旧軍港市国有財産処理審議会委   員の任命に関する件  一、米国核実験再開に対する政府   の態度とその対策に関する緊急質   問  一、日本国に対する戦後の経済援助   の処理に関する日本国アメリカ   合衆国との間の協定締結につい   て承認を求めるの件  一、特別円問題の解決に関する日本   国とタイとの間の協定のある規定   に代わる協定締結について承認   を求めるの件  一、日程第一 地方自治法の一部を   改正する法律案  一、日程第二 災害対策基本法等の   一部を改正する法律案  一、日程第三 道路交通法の一部を   改正する法律案  一、日程第四 市の合併特例に関   する法律案  一、日程第五 新産業都市建設促進   法案  一、日程第六 木船運送法の一部を   改正する法律案  一、日程第七 戦傷病者戦没者遺族   等援護法等の一部を改正する法律   案  一、日程第八 都市美観風致を維   持するための樹木保存に関する   法律案  一、日程第九 国土調査促進特別措   置法案  一、日程第十 財政法の一部を改正   する法律案  一、日程第十一 農地開発機械公団   法の一部を改正する法律案  一、日程第十二 石油業法案  一、日程第十三 下請代金支払遅延   等防止法の一部を改正する法律   案  一、日程第十四 不当景品類及び不   当表示防止法案  一、日程第十五 ばい煙排出の規   制等に関する法律案  一、日程第十六 恩給法等の一部を   改正する法律案  一、日程第十七 昭和三十七年度に   おける旧令による共済組合等から   の年金受給者のための特別措置法   等の規定による年金の額の改定に   関する法律案  一、日程第十八 外務省設置法の一   部を改正する法律案   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。    ————————
  3. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。  この際、日程に追加して、  国会法第三十九条但書規定による議決に関する件(肥料審議会委員)を議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  内閣から、衆議院議員足鹿覺君、重政誠之君、首藤新八君、本院議員北村暢君、堀末治君を肥料審議会委員任命することについて、本院の議決を求めて参りました。  これらの諸君が同委員につくことができると議決することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。    ————————
  6. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、  旧軍港市国有財産処理審議会委員任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  内閣から、旧軍港転換法第六条第四項の規定により、荒井誠一郎君、田中治彦君、千金良宗三郎君、中村建城君、渡辺武次郎君を旧軍港市国有財産処理審議会委員任命することについて、本院の同意を求めて参りました。  本件に同意することに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  8. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって同意することに決しました。    ————————
  9. 藤原道子

    藤原道子君 私は、この際、米国核実験再開に対する政府態度並びにその対策について、緊急質問を行ないたいことの動議提出いたします。
  10. 鍋島直紹

    鍋島直紹君 私は、藤原君の動議賛成いたします。
  11. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 藤原君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。藤原道子君。   〔藤原道子登壇拍手
  13. 藤原道子

    藤原道子君 私は、日本社会党を代表いたしまして、アメリカ核実験再開に対して、政府態度並びにその対策についての緊急質問を行ないたいと思います。  私が申し上げますまでもなく、ジュネーブ核実験停止委員会におきましても、この核実験禁止、これに対しましては、あらゆる困難とあらゆる努力を積み重ねまして、その成果は、まさに査察問題を残すばかりというところまで煮詰まってきたやさきにおきまして、全世界悲願にも似た世論を無視いたしまして、ついにアメリカ再開に踏み切ったのでございます。昨年ソ連核実験再開いたしましたとき、全世界の憤りと不安と驚きはその極に達しました。これに対しまして、私どもソ連に対し抗議をし、あらゆる核実験阻止態度をとって参りました。その放射能のちりは、梅雨期を前にいたしまして、またしても私たちの上に降下するであろう。取り返しのつかない災厄が全人類の上におおいかぶさろうといたしておりまするとき、ついにアメリカがこの国民の不安を無視いたしまして実験再開に踏み切ったことは、断じて許すことができません。ましてケネディ大統領は、かつて、人類核爆発を絶滅しないならば、やがて核爆発人類を絶滅するであろう、こういうことを声明されました。私たちは、これに対して大きな期待を持って参りました。ことにわが国といたしましては、世界でただ一つ被災国でございます。その原爆の被害は、長年月を経た今日におきましても、なお年々数十名の生命を奪っております。さらにまた、不具の子が生まれはしないか、こういう不安が絶えず脳裏を離れない。あるいはまた肺ガンのごときも、全国平均の四倍の発生率を示すといわれております。しかも私たちは、今回実験が行なわれておりますところの太平洋上におきまして、かつてのアメリカ実験によりまして、第五福龍丸の久保山さんが生命を奪われたことも忘れてはなりません。私たちは、核被害を受け、しかも、このことが今日ようやく世界世論となりまして、何が何でも核爆発停止しなければならない、これを許してはならない、これを侵すものは人類の敵であるとさえいわれております。しかるに、ソ連アメリカも、自国が優位のもとに立ってこれを禁止しよう、こういうこと、さらに相互不信感が増大いたしまして、結局、終わりなき競争を展開しているのでございます。やがては地球上の人類の破滅をさえも来たそうといたしております。私は、いずれかの国が、困難ではあるけれども、不安ではあるけれども、じっと歯を食いしばってこの核実験停止いたしましたとき、世界世論はこの国を支援いたすでございましょう。結局、平和の最後の勝者となることを考えてもらわなければならないと思います。しかるに、こうしたことを考慮することなく、またしても遠く自国を離れた太平洋上において実験再開し、すでに今日三回にわたって繰り返されているのでございます。私は、これに対して、アメリカが申しておりますように、ソ連実験よりは放射能は少ないんだ、日本には何ら損害は与えないんだ、万一損害があったときには、具体的要求があったときにはこれを検討する、あるいは公海の自由に反しない、自由国家群を守るためにやむを得ないんだ、あるいはソ連実験したから、やむを得ずこれを実験するのだ、こういう私どもとしては理由にならない理由をもって強行されることは、断じて許すことはできないのでございます。(拍手)まして今回の実験は、従来と違いまして、秘密主義をとっております。記者団をも入れないということでございます。内容も発表いたしておりません。  そこで、私は政府にお伺いをいたしたいと思います。今回の実験が声明されまするや、一応政府としては反対申し入れをなさいました。抗議もなさいました。しかし、新聞の報ずるところによりますると、まことに軽くあしらわれた。私は、抗議はしたが、取り上げなければ仕方がないのだといってすましてはいられないと思います。国民は、やるだけやったのだから仕方がない、申しわけ的な抗議だと受け取っております。私は、具体的に損害があったら補償するとか、公海の自由は侵していないとか、こういうことで断じて引き下がってはならないと思います。紙の上の抗議ならば、幾らやっても問題にされない。新聞もこの間報じておりましたが、しゃべるだけならばオウムにまかしておいてもいいのだ、こういう記事が載っておりました。私は、この際、池田さんにお願いしたいと思います。日本国民のみならず、各国がこれに反対しているこの死の兵器に対しまして、損害よりも何よりも、まず第一に、これを禁止させなければならぬ、停止させなければならないと思います。したがいまして、池田さんが、この際、広島、長崎の人人、あるいは全国の盛り上がる反対運動考えまするとき、超党派的に、あなたの総裁であるところの自民党も、超党派的に国民反対運動に立たれるべきだと思います。  それと、いま一つ、盛り上がる国論を背景といたしまして、この際、あなたが直接アメリカへ行ってほしいのです。直接アメリカへ行かれまして、被災国、ただ一つ被災国民としての、この日本国民意思を率直にひとつケネディに進言して、何が何でも実験を阻止してもらわなければ自分は帰れない、こういう強い意思交渉してほしいと思いますが、そうしたお考えはございませんか。各国の代表も、こうした問題に対しましては、アメリカに渡ってケネディと話し合いをいたしております。私は、日本総理アメリカへ出かけて、強い反対申し入れをいたしますことは当然の措置であると考えますが、池田総理のお考えを伺いたいと思います。  さらに、アメリカでは繰り返して申しておりますけれども公海の自由は侵していないのだ、これは先例もある、こういうことを言っております。けれども、私は、アメリカの言う公海自由というのは、数十年前の太平洋艦隊の演習のことを指していると思うのです。大砲の打ち合いや艦隊の行動、こうしたときの問題、そういうものと、今日の人類を絶滅させる、こういうようなおそるべき死の兵器実験とは、同一に論ずるわけには参りません。論より証拠、日航機はどれだけの航行を続けておりましょうか。そうして、これは実験を高度でやります場合には、航行禁止と、そのつど通知をして、二日ぐらいは航行禁止すると発表されております。私は、その上に、日本人といたしましては、蛋白源を海に求めております。ここを働き場所としている漁民の立場は、一体どうなるか。さらにおそるべきことは、高度で実験いたしました場合、宇宙のバン・アレン帯が吹き飛ばされ、これがもとに返るまでには一世紀もかかるのではないかというようなことを新聞に報ぜられております。非常な不安を人類に与えております。私は、一国のこうしたわがままを許しておくわけにはいかないと思います。  せんだって、羽生委員外務委員会における質問に対しまして、小坂外務大臣は、アメリカのこれに対する口上書はまことに不満であります、まことに遺憾でございます、こういうことを答えておいでになります。けれども国民といたしましては、遺憾である、あるいはまた、不満であるとかでは納得がいかないのでございます。これに対してどのような措置をとろうとしておいでになるか、この際、明らかにしていただかなければなりません。  私どもは、直ちに、対策といたしましては、国連に提訴するとか、あるいは緊急総会を求めるとか、あるいは、ただいま開かれておりますところのジュネーブの核停委員会に強く強く訴えるとか、いろいろ方法はあろうかと存じます。外務大臣といたしまして、この重大な問題に対しまして、いかなる方法をとろうとしておいでになるか。私は、この点もあわせて伺わなければなりません。  私は、ソ連であれ、アメリカであれ、こうしたわがままなことは断じて許せないのです。これは、あなたもそのようにお考えであろうと思いますが、ただ、この際、やったけれどもだめだ、外交上の問題は話せない、こういうことで、じんぜん日を送っておりますることは、いかなる結果を招来するかを考えまするとき、至急に具体的な措置に出られ、世界人類の不安を一掃する、こういう態度に出られますことを強く要望してやみません。生命を守り、平和を守ることが、まず政治担当者といたしましては、最優先すべき問題と思います。  さらにまた、私がお伺いいたしたいと存じますのは、政府は、外交権政府にあるのだ、こういうことをしばしば言っておいでになります。けれども、今のこの非常事態に際しましては、ただ、それだけにゆだねるわけにもいきますまい。何とかして核爆発禁止したい、阻止したい、この悲願は全国民のものでございます。したがいまして、首相がアメリカおいでになるのみでなく、超党派的に、私は、抗議使節団を派遣すべきだと思います。こうした意思はおありになるかどうか。さらにまた、野党、各種民主団体が、抗議のためにアメリカへ行きたい、アメリカへ行って抗議をしたい、こういう希望を持っております。こういう際に、時節柄、入国等におきましていろいろな問題があろうかと思います。私は、こうしたときに、政府は率先してこれに協力して、少なくとも、この目的の達成されるように努力さるべきだと思いますが、これに対してのお考えも伺わなければなりません。  私は、アメリカにおきましても、非常に反対運動が盛り上がっていると報ぜられております。そしてまた、アメリカ国民は、道徳的、政治的な敗北である、こういう決意を持って反対運動を展開していると聞きます。私はこの際、世界におけるただ一つ被災国といたしまして、ことに、いかなる場合にも最優先して被害を受けます女性の立場から、私は、このことを強く政府に要望する。科学的な問題に無知な国民は、非常に不安に思っている、こういう点につきまして、具体的に、政府のお考え対策、お覚悟を伺わしていただきたいと思うのでございます。  以上、私は、再質問を留保いたしまして、質問を終わることにいたします。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  14. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答え申し上げます。  核実験停止につきましては、これは絶対に停止しなければならぬということは、われわれ全国民悲願であります。したがいまして、いかなる国がいかなる理由に基づこうとも、絶対にこれを停止すべきことを、私は、各関係国のみならず、一般世界に対しまして声明しておるのであります。したがいまして、関係国抗議をいたすのみならず、軍縮会議あるいは国連の場を通じて、あらゆる機会にこのことを提唱いたしておるのであります。  幸いにいたしまして、ジュネーブ会議におきまして、核兵器実験停止のための提案をし、アメリカソ連も、交渉基礎とするということに同意いたしました。したがいまして、私はジュネーブ会議を通じまして、査察問題を中心としてこの停止が実現されるよう、格段の努力をただいまも続けておるのでございます。私が渡米いたしまして、ケネディ大統領にこれを申し出るということは、昨年の六月、私は口をきわめて実験停止を申し出ておるのであります。したがいまして、今、私が自分で渡米するということは考えておりませんが、お話のとおり、民間の方々が盛り上がる気持で米国あるいはソ連おいでになることにつきましては、政府はこれにつきまして便宜を与えることは当然でございます。私は、官民こぞってこの問題につきまして実効のあるよう、努力を今後続けていきたいと考えております。  公海自由の原則につきましては、お話のとおり、軍事演習のごとく、短期間に限られた地域で行なわれることは自由でございましょう。しかし、今回のごとく、長きにわたって広範囲において人類に害のあるといわれる核兵器実験をするということは、私は不当であると考えております。国際法上につきましての問題はございましょうが、少なくとも、この不当なことにつきましては、いち早くやめるべきことを今後とも主張して参りたいと考えております。(拍手)   〔国務大臣小坂善太郎登壇、拍   手〕
  15. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 今回のアメリカ核実験につきまして、これが停止を要求するために、国連緊急総会開催提案してみたらどうか、あるいは国連への提訴を考えてみたらどうかということについて申し上げたいと存じますが、これは御承知のように、昨年十二月二十日、米ソ両国共同提案といたしまして、ジュネーブにおける十八カ国の軍縮委員会において、六月一日までにその結果を報告するように、こういう決議が採択されましてできた現在のジュネーブ軍縮委員会でございますから、ここにおきまして、四月十四日、八カ国案が提案されまして、米ソ両国がこの提案交渉基礎とするということを決定いたしておりますので、われわれといたしましては、この作業が進みまして、核実験停止協定が成立するように、この場を最も有効に利用するというほうが、むしろ緊急総会開催ということよりも、この核実験停止について有効ではなかろうか、かように考えまして、その方向で努力をいたしている次第でございます。(拍手)    ————————
  16. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、  日本国に対する戦後の経済援助処理に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求める件、  特別円問題の解決に関する日本国タイとの間の協定のある規定に代わる協定締結について承認を求めるの件、   (いずれも衆議院送付)  以上両件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。外務委員長井上清一君。   〔井上清一登壇拍手
  18. 井上清一

    井上清一君 ただいま議題となりました「日本国に対する戦後の経済援助処理に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件」並びに「特別円解決に関する日本国タイとの間の協定のある規定に代わる協定締結について承認を求めるの件」につき、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  これら両件につきましては、二月九日、本会議場において外務大臣から協定の署名に至るまでの経緯並びに内容説明が行なわれておりますので、ここでは両協定の要点のみを申し上げます。  まず、日米間の協定は、ガリオア等米国の戦後の経済援助に関する一切の懸案問題の最終的処理として、わが国が四億九千万ドルの債務を負担し、年二分五厘の利子を付して、半年ごとの賦払いにより、十五年間にこれを支払うことを規定したものであります。なお、この支払金については、一部は円貨払いとして日米文化交流のために使用され、その余の大部分は低開発国経済開発のため使用されることに一応了解されているのであります。  次に、タイとの特別円協定は、昭和三十年に締結された特別円問題解決に関する日タイ間協定規定された九十六億円の経済協力条項が、タイ側事情により実施不可能となったので、わが国は、両国間の伝統的友好関係及び経済協力を維持強化するため、これを無償供与とし、九十六億円を八年間に分割して支払いタイ側はこれをもってわが国の生産物及び役務の調達に充てることを規定したものであります。   —————————————  右両件については、二月十三日、外務委員会において提案理由説明を聴取し、政府に対し関係資料提出を求めるところがありましたが、四月六日、衆議院よりの送付を待って委員会質疑を開始し、池田総理大臣小坂外務大臣のほか関係大臣の出席を求め、また、二日間にわたって七名の参考人から意見を聴取するなど、前後十三回の委員会において、二十数時間にわたり、きわめて慎重に審議を行ないました。  次に質疑のうち、主要なるものについて申し上げます。  まず、米国との協定につきましては、第一は、債務性についてであります。ヘーグの陸戦法規米国占領政策目的米国政府当局証言終戦処理費とのつり合い、対日平和条約経済援助処理に関する規定のないこと等を理由に、ガリオア等援助債務ではなく無償贈与ではないか、また、もし債務ならば、いつ債務として確定したのであるか等の質疑に対し、政府は、昭和二十一年七月の連合国司令部覚書一八四四号等において、援助物資支払いの条件及び経理については後日決定する旨明記さている事実、その他、極東委員会決定米国政府当局証言阿波丸協定付属了解事項等にかんがみ、日本政府は、対日援助は、確定債務ではないが、無償贈与でもなく、従来一貫して債務と心得るとの立場をとり、今回の協定承認により、初めて債務が確定するものであるとの答弁を行なっております。  次に、国民放出物資を受けた際、すでに代金を支払っているので、今回の協定は二重払いになるのではないかとの質疑に対し、政府側は、まず、米国に対しては従来何らの支払いをしておらないので、二重払いの問題はあり得ないこと、また、国民が支払った代金見返り資金特別会計に積み立てられ、その資金を受け継いでいる産業投資特別会計は、運用益を合わせ現在約四千億円に上り、今回の協定に基づく対米支払いは、この産投会計運用益によってまかなわれ、税金から支出するものではないので、二重払いとはならないとの答弁でありました。  このほか、援助総額について日米両国の金額の食い違い、支払い額決定経緯支払い金の使途、西独の場合との比較等についても熱心な質疑が行なわれておりますが、いずれも会議録により御承知願いたいと存じます。  次に、タイとの特別円協定につきましては、昭和三十年の協定において、九十六億円の経済協力投資及びクレジットの形式によることに規定しているのを、今回無償供与に改めたことについての質疑に対し、政府側は、この経済協力条項は、タイ側国内事情により、協定発効後間もなく実施不可能となり、六年の長きにわたり両国間に種々折衝を重ねてきたが、要するに、タイ側としては、戦時中の日本側の債務解決する協定を実施する結果、逆にタイ側日本に対し債務を負うようなことは、タイ国民感情として耐えがたいところであるから、これを無償供与に変更するよう強く要請したので、わが方は、本件をこれ以上未解決のまま放置することは、両国伝統的友好関係経済協力及び貿易関係の維持増進、わが国の東南アジア諸国との友好関係の促進等の見地から妥当でないと考え、大局的見地から解決をはかることになったのであるとの答弁がありました。  なお、このほか、タイ側無償供与を主張したのは、三十年協定交渉の過程において、わが方当事者に何か責任があったのではないか。日タイ両国のような敗戦国相互間の請求権は互いに放棄するのが国際慣例ではないか。今回のような協定改定は将来の悪例とならないか。改定にあたってあらかじめ国会に諮るべきではなかったか。タイに対し無償供与に変更することは他の諸国に波及するおそれはないか等の点、並びに本協定に紛争処理条項を設けなかった理由わが国の在タイ資産問題等について質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  委員会は五月二日質疑を終局し、本四日討論に入りましたところ、両件に対し、社会党を代表して戸叶委員より反対、自由民主党を代表して木内委員より賛成、民主社会党を代表して田畑委員より反対、同志会を代表して佐藤委員より賛成の意見がそれぞれ述べられ、採決の結果、両件はいずれも多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  19. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 両件に対し、討論の通告がございます。  まず、日本国に対する戦後の経済援助処理に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件に対する討論を許します。加藤シヅエ君。   〔加藤シヅエ君登壇拍手
  20. 加藤シヅエ

    ○加藤シヅエ君 私は日本社会党を代表いたしまして、「日本国に対する戦後の経済援助処理に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件」について、委員長報告反対いたします。  本協定につきましては、長い間、両院におきまして、わが党の委員たちがあらゆる角度から検討いたし、質疑が行なわれて参りましたが、いかにひいき目に見ましても、ガリオア・エロアを、国家と国家の間で法的な債務として承認するに足るような答弁を得ることができませんでした。この質疑応答の内容国民が詳しく知らされましたら、池田総理大臣とは何と気前よくお金を払うことが好きな大臣だろうと驚くことでございましょう。(拍手)国家の大切なお金のことでございますから、このような支払いに法的根拠があるかのような無理の多い協定には、何としても賛成することができないということを、次の数点の理由をあげて申し述べたいと思います。  政府は、ガリオアの債務性の根拠を、一九四六年七月二十九日付連合軍総司令部の日本政府あて覚書、同じく一九四七年六月十九日付極東委員会決定の降伏後の対日基本政策に関するもの、それから一九四七年二月二十日マッカーサ元帥が米国議会に対して発したメッセージ抜粋等に求めております。しかし、こうした資料を検討して明らかになりましたことは、ガリオア援助が贈与か債務か、その区別が明瞭を欠き、釈然としないということでございます。  ガリオア・エロア対日援助が行なわれておりましたのは、対日平和条約締結前の日本アメリカ軍の占領下に置かれておったときのことでございます。当時は、わが国の主権の上に連合軍総司令官の超憲法的な権力がわれわれを支配しておりました。敗戦による窮乏の当時、私どもは、国会はあっても、何事もGHQの許可なくしてはできない状態で、外交権はなく、貿易は全面的に管理されておったのでございますから、われわれには自由意思に基づく取引がなかったことは、ここに申し述べるまでもないことでございます。したがって、この時期にアメリカから輸入された援助物資は、国際的な取引によって債権債務を発生させるような性質のものではなく、あくまでも、食糧難にあえいでいた日本国民を餓死させないためのアメリカ占領政策であり、また、アメリカの高邁な人道主義精神に基づく救いの手であったと私どもは理解し、かつ信じておりました。後年、わが国アメリカ合衆国との間には、MSA協定による小麦の輸入がなされ、これも一種の援助といわれておりますが、これは明らかに最初から国際的な取りきめがございまして、相互がその条件を相談づくで取りきめたものでございますから、はっきりいたしております。けれども、ガリオア援助は物資の輸入の形式で行なわれましたけれども、いつどんな品物が、どのくらいの数量輸入されるのか、その価格が幾らなのか、支払い方法はどうするのか、相談を受けてはおらず、物資を入手しても自由な処分は許されなかったのでございます。さらに、国民は、この援助物資を、他の配給食糧と同じように代金支払い、その代金は途中から見返り資金として積み立てられるようになりましたけれども、その積立金の使途方法も連合軍総司令官の指図どおりにしなければならなかったことを、国民はよく承知いたしております。したがって、私ども、ことに主婦の立場から申しますならば、この放出物資の中には、牛馬を喜ばせるようなものを人間が食べなければならなかったし、主食がほしくてほしくてたまらないときにお砂糖ばかりが主食のかわりとしてよこされたり、当時の日本人の食生活の習慣から口に合わないチーズが、これまた主食のかわりとしてよこされたときなど、これにお金を払って受け取った主婦たちは、アメリカ人とは、こんなくさい石けんを食べるのかと驚き、かつ当惑したこともございました。しかし、とにかく飢餓状態から日本人を救ってくれたのだと思えば感謝であると考え、国会で何回も感謝の決議をしたことは忘れもいたしません。また、その感謝の気持は、あくまでも贈与、援助に対する感謝で、たとえ、こうした米国の厚意に対して、後日、日本国民のお礼心を表わすことを考える日があるとしても、今ごろになってこれに法的根拠ある債務であったなどと言われるのでは、あのとき感謝した国民の気持はおさまらないものがあるに違いございません。(拍手)  政府提出された資料の中のマッカーサー元帥が米国議会に対して発したメッセージの中に、こんな文句がございます。すなわち「米国の予算からの支出は日本債務となる。援助は慈善ではなく、また日本国民も慈善を欲していない」云々と、このマッカーサー元帥のこうした言葉が、もしガリオア・エロアが日本に対する債務と法的に義務づける根拠となりますなら、その当時から、政府としても、後日の返済に備えて、司令部管理下の日本の輸入物の品目、数量、代価、及び公平な為替レート等が整備されておらなければならず、また、国民にもその心がまえを持たせるような発表が、その当時からなされなければならなかったはずだと思います。こうした準備が一切なされておらなくて、今日、この四億九千万ドルの債務は、小坂外務大臣のお言葉によりますと、西ドイツのそれより非常に有利に負けてもらったと申されますが、負けてもらう前の総額は幾らになっていたのかという勘定書きは、質疑応答の過程において、これまた明らかにされないままで済んでしまいました。わかったことは、日米相互の勘定書きを突き合わせて国民に納得させることは不可能であるほど、当時の勘定は混乱しておったということでございます。(拍手)このような事態のもとに、政府はガリオア援助を法的債務として支払おうとされることは、先ほど申し上げました国民米国に対する寛大な援助に対して感謝した、その気持のやり場に困るということになるのではないかとおそれるのでございます。また、法的債務などという扱い方をしなければならない性質のことなら、こちらにも言い分があるのではないかという気持さえ起こってくるのも当然ではないでございましょうか。  すなわち、西欧的な合理主義に基づくギブ・エンド・テークの法則から見ても、日本国民はいろいろ援助物資をもらった、しかし、その代償としてアメリカもこの援助に見合うだけの利益を取り戻しているのではないかということでございます。アメリカが獲得した利益は、政治的なものと経済的なものと二つに見ることができます。今日、わが国の貿易は、わが方の輸入の約半分、輸出の約三〇%は対米貿易で占められております。こうした貿易関係が、わが国にとって、よかったか悪かったかをここでは論じません。しかし、今日貿易の自由化による激しい競争場裏にあって、日本米国にとって第二の大量輸出国、お得意様でございます。そうして、この販路の開拓は、実にアメリカの余剰農産物をガリオア援助という名によってどんどん日本に送り込んだことによって開拓されたとすれば、あちらさんにとっても、これは御迷惑をかけたというよりは、やるものはやったが、取るものも取ったという見方も成り立ち得るのではないでございましょうか。さらに政治的なものを見ますなら、対日平和条約並びに安保条約は、アメリカの意のままにリードすることができた、その基礎工事はガリオア・エロアの援助によってなされたということは申すまでもない事実でございます。しかし、政府といたしましては、ガリオア援助債務だから支払わなければならないと、このような協定に調印され、国会に承認を求められている反面、総理大臣も外務大臣も、この協定承認を得るには国民を納得させるのに非常な無理があるということを、内心十分御承知であるように察せられます。  それで、せめてもの言いわけであるかのごとき二つの交換公文をつけられました。その一つは、ガリオア・エロア返済金の中の一部、すなわち二千五百万ドルに相当するものは円貨で支払われ、日米教育文化の交換の目的のために使用されるとのことでございます。これは日米間にいまだ文化協定もない折から思いつかれたことなのでございましょうけれども、これがはたして政治的ひもつきでなく推進されるかどうか、国民としては懸念が残っております。純粋かつ効果的に文化交流を果たすためには、この際ユネスコ精神のごときものをモットーとすべきではないかと警告いたしておきます。次に、いま一つの交換公文は、返済金の大部分を東アジア諸国の経済援助のために使用するとのことでございます。これもまた、一応もっともらしく見えますが、交換公文の文面を見ますと、両国政府は、この目的のために「随時相互に密接な協議を行なうものとする」とございますが、これらの言葉の裏にどのような意図が秘められているのか、質疑応答の過程において明瞭にされませんでした。また、このお金が法的債務として債権者に払われようとするのでございますから、借金をお返ししてから、あの返した金はこんなふうに使ってもらいたいというような言い分は、どれほど債権者から尊重してもらえるものやら期待ができないのが、ほんとうのところではないでございましょうか。  米国政府は過去六年間に低開発国に与えた援助総額は約五十五億五千五百万ドルといわれながら、これが有効な成果をあげていないとの批判は、ケネディ大統領自身の反省の言葉もその演説の中に見られるので、せっかくドル貨や物資を注ぎ込みながら、被援助国側に不満が多いとは何という皮肉な現象でございましょうか。私は、低開発国援助は軍事援助であっては絶対に相ならぬばかりか、当該国の権力者の私腹を肥やし、民生安定の面に流れなかったために、住民の反政府感情、ひいては反米感情を助長したといわれる、過去の誤りに同調するがごとき愚を繰り返してはならないと思うのでございます。  日本政府は、アジア・アフリカ・グループの一員としての自覚を持ち、その立場に立っての低開発国援助であり、アジア地域を核武装による冷戦から守る安全地帯の建設に意を注ぎ、旧植民地に残る貧困を排除する偉業がなされなければならないと存じます。このような見通しもプランもなく、この協定によって国民の尊いお金が使われていくであろうことに、私は反対しなければならないのでございます。  最後に申し述べたいことは、本協定は、日米両国の親善を強調されている政府目的のためにも、はなはだまずいものであるということでございます。先日、日本の講和条約発効十周年に際して、日本が主権を回復した後の十年間の日本外交を顧みての感想や批判が、各方面からなされておりましたが、その論旨の帰結するところのものは、現在国内的に二つの相反する立場から国の外交が論争され、挙国一致の世論を生み出すことのできないことの不幸なる現状を指摘されたものが多かったと思います。このような外交論議の不一致の原因は、激動する国際情勢の中にあって、国民の持つ世界観の相違、客観情勢の認識のズレ等、いろいろあると思われますが、今回のガリオア・エロア援助に関する支払い協定反対する理由一つは、必ずしも、世界観の相違とか、情勢の認識の違いとかいうむずかしいことを持ち出さなくても、われわれ日本人の素朴な国民感情としても、どうしても納得できないということでございます。  池田総理は、外交は常に国民大衆の理解と支持を背景に持たなくてはならないことをよく御承知なのでございます。そして、あるよその国の国民感情が承知しないのだからとせがまれれば、国の債権さえも放擲して、のしをつけて多額のお金をくれておやりになるほどの人情家でいらっしゃいます。その総理が、自分の国の国民感情をどうして考えて下さらないのでございますか。(拍手国民の気持に目をふさぎ、耳をおおって、アメリカのドル防衛には義理を立てようとしておられます。しかし、そのやり方は、あまりにも不手ぎわであり、末梢的な技術外交であり、日本がアジア地域において果たすべき大きな使命についての信念も構想も配慮されておりません。そればかりか、政府の念願しておられる日米親善関係さえ、このような国民感情を置き去りにした官僚外交によって傷つけられるのではございませんか。対米外交には、日本国民の幅の広い理解と支持なくしてはよい結果を得られないことに思いをいたしますなら、総理外務大臣も、本協定調印までに、なぜもっと、西欧的なものの考え方と東洋的なものの考え方のギャップを、いかにして相手方に理解させるかについての努力をなされなかったのか、はなはだ残念に思います。私は、今ここに、かつては、ちょうだいしたものと思って感謝の決議をした、その同じ壇上から、あれは債務だったから支払わねばならぬという協定反対討論をしなければならない、国民の割り切れない気持を訴えながら、前述の数点の理由に基づきまして、本協定承認することに反対いたします。(拍手)   —————————————
  21. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 苫米地英俊君。   〔苫米地英俊君登壇拍手
  22. 苫米地英俊

    ○苫米地英俊君 私は、自由民主党を代表し、ただいま議題となりました日本国に対する戦後の経済援助処理に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件に対し、賛成の討論を行なわんとするものであります。  今回の協定によって、わが国が戦後米国から受けた経済援助に対し、最終的解決が行なわれるのでありますが、この際、私は、皆さんとともに、まず終戦当時わが国民が置かれた姿を想起せざるを得ないのであります。当時、わが国土は荒廃し、食糧生産は戦前の半分以下に低下し、国民は未曾有の食糧難に当面したのでありますが、わが国には、食糧や生活必需品を輸入する外貨も、外貨獲得の余力もなく、しかも、外国からは数百万に上る復員、引揚者を迎え、食糧その他の生活必需品の入手は、わが国にとってはまさに死活の問題で、あのまま放置すれば、三百五十万人の餓死者が出るのではないかと憂えられたのでありました。対日援助物資は、かかる際に米国から放出せられたのでありますから、その配分を受けた国民は、ほんとうに救われた気持になり、心から感謝したのでありました。今なお、この歓喜の光景は、われわれの記憶に新たなところであります。  次に、本協定に対する反対意見のおもなもの二、三について、その当たらないゆえんを申し述べたいと存じます。  まず、反対の第一点は、債務性についてであります。ヘーグの陸戦法規米国政府関係者の議会の証言等を引用して、対日援助米国の占領目的の一環として行なわれたものであるとか、日本が負うた巨額の終戦処理費とのつり合い等を指摘して、ガリオア援助債務性を否定し、あるいは債務性の根拠は薄弱であるとの議論があるのでありますが、ガリオアと終戦処理費とは、全く性格を異にしたもので、何らの関連がありません。ガリオア等援助債務性を持つことは、極東委員会決定や、昭和二十一年七月の総司令部の指令一八四四号、阿波丸協定了解事項等によって明らかであります。わが党は、政府とともに、一貫して債務と心得るという立場をとってきたのでありますが、今回の協定の国会承認によって債務を確定の上、支払いをするということは、きわめて妥当な措置であります。  次に、反対の第二点は二重払い論で、国民は当時、放出物資を受領した際、代金を支払っているのだから、今回の支払いは二重払いになるというのであります。しかし、日本政府は、米国にはただの一ドルもまだ払っていないので、米国に対して二重払いの問題は起こり得ないのであります。また、国民が支払った代金は見返資金特別会計に積み立てられ、これが産業投資特別会計に引き継がれ、その額は二千九百億円に及び、その運用益を合わせれば、今日約四千億円に達しておるのであります。今回の協定に基づき、今後十五年間に支払うべき約二千八十五億円は、この産投会計運用益から支出するものであり、国民の税金から支払うものではないので、国民立場からも、二重払いの問題はあり得ないのであります。  次に、反対の第三点として、債務内容が不明であるとしております。債務支払いには、まず債務総額を明確にすることが必要である。しかるに、日米双方の提示した数字には食い違いがあること、また、援助総額のうちには、贈与か債務か、不明瞭なものが含まれているなどの批判でありますが、
  23. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 時間が参りました。
  24. 苫米地英俊

    ○苫米地英俊君(続) 日本側は、援助物資として確実に受領したもののみを集計した数字を日米交渉基礎とし、この総額から控除すべき各種の項目を差し引き、西独処理方式を適用し、さらに、対米債務として処理すべきものを差し引く等、十分わがほうの主張を認めさせ、総額の三分の一以下に減額したものを支払額と決定したのであります。これは、西独の場合に比し有利な解決であり、きわめて妥当な額であると考えるのであります。  また、支払金は、その一部が日米文化交流に使用される以外、その大部分が低開発国経済援助に振り向けられることになっておりますことは、この支払金わが国民の希望に沿う形で使用されることでありまして、
  25. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 時間が超過しました。
  26. 苫米地英俊

    ○苫米地英俊君(続) 衷心から歓迎するところであります。しかるに、一部には、この金が米国の手を経て、韓国、台湾、ベトナム等の軍事援助に転用されるおそれがあるとして非難する向きもありますが、かかる議論は全くの杞憂か、しからずんば故意に歪曲した邪推と申さなければなりません。  これを要するに、米国側が当初から債務として何らかの処理を求めている以上、これらの援助のおかげで現在のような目ざましい復興を遂げ、相当な支払い能力を持つに至った今日、これに対して妥当な解決をはかることは、国際信義を重んじ、自尊心を尊ぶわが国民感情に沿うものであり、一般国民はこれで晴れ晴れした気持になるものと確信するものであります。
  27. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 苫米地君、時間が来ました。
  28. 苫米地英俊

    ○苫米地英俊君(続) 多年にわたる日米間戦後処理の重大懸案の解決により、真に日米対等の立場で友好協力の時代に入ることになり、わが国の国際的地位の向上、世界の平和及び繁栄に寄与するところきわめて大であります。  以上の理由により、私は、本協定に対し、全幅の賛意を表するものであります。これをもって私の賛成討論を終わります。(拍手)   —————————————
  29. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 赤松常子君。   〔赤松常子君登壇拍手
  30. 赤松常子

    ○赤松常子君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま上程になっております日本国に対する戦後の経済援助処理に関する日本国アメリカ合策国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、反対意思を表明いたしたいと存じます。  戦後のアメリカの対日援助、いわゆるガリオア・エロア問題は、いつかは解決しなければならない両国の間のかねての懸案ではありましたが、元来この援助の性格そのものが、法律的にあいまいな点が多く、公正妥当な解決は容易でないと見られて参りました。すなわち、この援助は、占領地の秩序を維持し、住民を飢えから救う占領国の国際法上の当然の義務だから、無償と見るべきなのか、それとも、わが国アメリカに対して負うところの正式の債務なのかの根本が明らかでないのみならず、援助の種類、すなわち救済と経済復興の区別があいまいだったり、援助の金額に関する記録が非常に不備であったりする状態でございました。しかし、本院の外務委員会審議を通じて私どもが明らかにしたとおり、このアメリカ援助の中には、確かに占領軍としての当然の義務の部分、つまり狭義のガリオアの部分もございましたが、全体を無償と断ずべき根拠はございません。むしろ、アメリカ側の記録や日米間の文書について見れば、少なくともアメリカ側では、あとに支払いを相談する意思を留保していたことは否定し得ないところでございます。言いかえれば、無償とは言い切れない性格のものでございました。ただ、このような事実が、いかに占領中であったからとはいえ、歴代保守党内閣によって国民に明らかにされていなかったので、国民の受け取り方は、むしろ無償の援助考えて参ったのでございます。  さて、無償でないとするならば、全部が有償であり、かつ、正式に定められた日米両国間の債権債務でありましょうか。しかし、この援助は、新憲法のもとにおける国会の承認を受けた債務でないことは言うまでもございません。また、元来が占領された国と占領国との間の一方的な命令、服従関係から生まれた物資の受け渡しであるこの援助が、自由な意思で取りきめられた債権債務でないことは、論を待たないところでございます。阿波丸事件の処理にあたっての日米間の文書のいきさつはあっても、さすがの日本政府も、これをもって日本債務を負ったものとは言っておりません。かく考えて参りますと、この援助は、占領中に行なわれた全く異例な特殊な援助であり、その性質は、少なくとも全体としては無償の贈与でもなく、しかも、正式の債権債務でもないところの、ある種の道義的な債務というような程度の債務性を持ったものと判断するのが正しいと確信いたしております。  そうだとするならば、本件解決はいかにするのが一番いいのでしょうか。私どもの見るところでは、苦しいときに負ったところの助けに対しては、かりに先方が贈与だ、ただでやると言っても、後に楽になったときには、何らかの償いをするとか、お礼の気持を表わすのが、誇り高く道義性の強い日本国民のとるべき態度でございましょう。したがいまして、われわれ民社党といたしましては、占領当時からの懸案であったこの問題を、いつまでもいつまでも放置しないで解決することに賛成であり、今や、勤勉な日本国民の偉大な努力のたまもので、わが国が復興し、世界に対して高度経済成長率を誇るようになった以上は、いわゆる出世払いの気持で償いをすることが適当であると主張いたします。具体的には、アメリカとの間に協定いたしまして、アメリカ本件の債権を放棄し、日本はこれに見合って、両国協定する額を、後進国、特に東南アジアの経済開発援助に使用することとすべきであると考えております。この方式は、一見したところ、アメリカ賛成しそうもないように見えますが、金持のアメリカに直接返さないで、後進国に回すほうが、日米間の大局的な関係から言っても、また、後進国援助についての自由諸国間の協力という観点から申しましてもはるかにすぐれた解決と信じて疑いません。私ども民社党が、昨年四月、すなわち池田内閣本件援助問題の解決のための最終的な日米交渉を開始する前に、以上のような建設的な提案を行なったにかかわらず、政府が一顧だに与えず、ひたすら西独方式に準拠した解決を強行したのは承服し得ないのでございます。  すでに前述のとおり、本件援助の本質から見まして、これは贈与と債務の中間的なものであるにかかわらず、なぜこのような解決、すなわち今さら何億ドルを正式の債権債務として認めて支払うなどという方式を政府がとろうとするのか、全く了解に苦しむものでございます。たとえば金額をおおむね援助側の計算による三分の一以下に切り捨てるといっても、正式な債務でない性質のものを今さら支払うというようなあと味の悪さは、日米関係の将来に大きなマイナスを残すものと言えましょう。このような解決方法をとろうとすれば、総額がはたして幾らなのか、それにはどんな確実な根拠がそろっているのか、さらには、四億九千万ドルの根拠いかん、ないしは、もっと減額せよなどという議論が尽きないでございましょう。また政府は、口を開けば、西独方式にならったとか、それよりも今度の日米協定のほうが一そうわがほうに有利だとか言いますが、ドイツの場合はその特殊事情に基づくものであって、これにならうべき合理性は少しもございません。結局のところ、政府本件協定を正当づけようとする最後の理屈は、占領時代からの長い日米交渉において、吉田、池田両氏がすでにしばしばアメリカに対して、「ドイツにならって支払います」と約束してきてしまったからというにほかならないのでございます。私どもは、交渉経緯を一切無視せよというのではございません。けれども、過去の経緯にとらわれたこのような解決、また日本国民がすっきりと納得しないような、そうして日米関係に累を及ぼすような、うしろ向きの解決には、断じて賛成できがたいのでございます。  私どもは、さきに衆議院審議に際して、政府に対し、本件協定を撤回し、あらためて以上申し述べました内容の新たな日米協定を取り結ぶよう提案したのでございますが、政府自民党がかたくなにこれを拒否したことを、はなはだ遺憾に思うものでございます。ここにあらためて、本件協定に対し、民社党の明確な反対意思を表明し、討論を終わる次第でございます。(拍手)   —————————————
  31. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 次に、特別円問題の解決に関する日本国タイとの間の協定のある規定に代わる協定締結について承認を求めるの件に対する討論を許します。森元治郎君。   〔森元治郎君登壇拍手
  32. 森元治郎

    ○森元治郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました特別円問題の解決に関する日タイ間の協定のある規定に代わる協定について、反対の討論を行ないます。  一体、相手国と十分かつ円満な話し合いの結果、協定ができて、国会の承認を得て批准されたものの一部が、ゆえなく実施されないままに廃棄されまして、別に新しい協定を結ぶがごときは、世界史上初めてのことであります。政府説明によれば、ベルサイユ条約のドイツ賠償に、これに似た先例があるという説明がありましたけれども、ドイツの場合は、憎しみにあふれた連合国と敗戦国との関係、初めからお互いに無理であるというのを押しつけたものでありまして、日タイの場合と全く違うのであります。そうして、この交渉過程の裏には、まっ黒い影がありまして、この点では鶏三羽のベトナム賠償とともにわが外交の汚点であります。断じて容認することはできません。  事の起こりは、昭和三十年の日タイ特別円協定で、「日本経済協力のため、九十六億円を限度として、投資及びクレジットの形式で、日本国の資本財及び日本人の役務をタイに供給することに合意する」と明文化されておりまするのに、タイ側は、協定締結のすぐあとから、「条文のいかんにかかわらず、九十六億円は無償供与の了解であった」と頑強に主張し、さらに「これは戦争中のわれわれの債権である」とまで言い張ったことから起こったものであります。まずこの点、この問題の大前提が明らかにされねばなりません。しかるに小坂外相は、「なぜタイ側がさような誤解をしたのかわからない」の一点ばりでありまして、そうしてまた、タイ側は、自分の落度だったと言っていると、外相はわれわれに報告をしております。池田総理に至ってはもっと高姿勢でありまして、「そのもとはどうかというようなことよりも、三十年協定に変更を加えることがいいか悪いかを御審議願いたい」と言っております。裏を返せば、国会は単にイエスかノーの答えを出せばいいので、よけいなせんさくは要らぬというのであります。これはまことに国会を侮辱したものでありまして、条約は尊重すべしとある憲法に対して真正面からの挑戦でもあります。衆参両院の審議を顧みても、九十六億円の経済協力が実施されなかったのは、三十年協定交渉当時、日本側が無償供与も同然であるとほのめかしたのではないかという点、また、右交渉に当たったタイ側アメリカ人弁護士が、日本政府筋の話として、内容は無償である旨をタイ側に伝えたということなどが取り上げられましたが、とうとうこれに対して、真偽のほどについては政府から明確な答弁がされなかったのであります。結局、タイ側の誤解、協定の実施不可能となった直接の原因というものは、とうとう解明されないままで終わったのであります。池田首相は、過去を云々しても始まらないから、大所高所から改定に踏み切ったと言いますが、くさいものにふたをした、合理性のないこれは大飛躍でありまして、われわれは納得がいきません。問題の根本事情がわからずして、どうしてわれわれは、この新しい協定の是非を論ずることができましょうか。本協定反対するゆえんであります。  次に、日タイ特別円解決はすでに済んでいるのであるから、もしこれを改定するような新協定を作成するというならば、当然本文かどこかにその理由が明記されなければならないはずでありまするが、ただ単に前文に、「特別円に関するすべての問題を解決し、」とあるだけで、タイ側の誤解その他の事情によってこのようになったということはどこにも見当たりません。しかも、九十六億円はタイ側の主張どおり全額有償から無償にさせられ、しかもタイ側に戦争中の債権だからあたりまえと心得られていたのでは、はたして落度はいずれの側にあったのかと疑いたくなるのであります。協定の形式も、内容から見ても、どうもタイのほうが正しい解釈であって、日本側が誤解しておったような結果に見えるのであります。もしそうだとすれば、国民を欺いたことになりますし、三十年の批准国会に対しては誤った報告政府がしたことになると思います。池田首相は、国会、国民に陳謝をして、政治責任をとるべきであります。この九十六億円は、国民の税金から支払われるのであります。タイ側は、口を開けば、敗戦国から債務を負うのは国民感情が許さないとがんばります。総理大臣は国民の代表でありますから、しっかり交渉したかと思うと、鉛筆などをなめながら、支払いの年度割りなどにばかり頭を使っております。日本国民の感情にどう響くかという深い思いをいたした形跡がないのであります。それどころか、先ほどガリオア・エロアの問題で加藤さんが申しましたように、政府は、アメリカがどう言うとか、阿波丸事件がどうであるとか、極東委員会がどうである、マッカーサーの声明がどうと、向こうの例ばかりを引きまするが、タイの場合でも、タイ側の言うように、自分の主張が通らなければこの不面目をタイの歴史に残しておくんだとか、経済断交もやりかねないという、タイ側の放送ばかりを援用して、国会、国民に立ち向かったのは、われわれを侮辱するものであろうと思います。  また、総理は、初年度から十億、最終年度に二十六億の八年払いに持ち込んだのは、いかにも得意のようでありまするが、相手側に協定を改めさせられ、無償という原則までとられ、金額もそのまま承知させられては、どこに成功があるか、私たちは理解に苦しむのであります。  また、タイ国は、日本が五、六千万ドルの出超となっているお得意さんであるから、あまりにすげないこともできないというならば、十億ドルも日本が入超になっている対米通商交渉や、ガリオア・エロアの返済でも、もっと強気に出ていいはずではないかと思います。なぜ国によって甲乙をするのかわからないのであります。  特別円協定を含む日タイ同盟条約関係一切は、去る二十年九月十一日のタイ側の廃棄通告によって効力を失っております。したがって、これら文書に基づいて設定された特別円勘定自体も廃棄されるとの見解も有力であります。いずれにせよ、敗戦国間の請求権は相互に放棄するのが通例であります。三十年協定交渉にあたってのわがほうの考え方は、これであったはずであります。しかしながら、終戦後タイ国は日タイ同盟を廃棄し、対米宣戦布告を取り消したことによって、特殊な地位に立つ国ということで、あえて五十四億円の債務支払いと九十六億円の経済協力という協定を結んだのでありまするから、この協定以上の犠牲を払う必要はないのであります。五十四億円プラス九十六億円の現金払いが必要となる根拠は何も見当たりません。また、戦後タイに引き渡した金塊三十九トンのうち七件の売却取りきめに基づくものが二十一・八トンでありまするが、それを時価に換算すれば八十九億円となります。これに当時一万田蔵相が支払うべき額とした四十七億円と五十四億円との差七億円を加えれば九十六億円となり、本協定の九十六億円はすでに事実上支払い済みであります。二重払いの疑いも濃い性格のものであることを指摘しなければなりません。大体、債権債務の話し合いとか、外交の話し合いというものは、国及び国民の権利義務を、合理的に、かつ粘り強く主張して、一銭一厘でもおろそかにしないのがあたりまえでありまするが、日本の場合は、ほしいくせにお体裁ばかりかまって、自己の主張が非常に弱い。池田内閣はその尤なるものであります。  タイとの交渉にあたっては、当然日本の在タイ債権、財産について並行的に先方に考慮を促すべきでありますが、知ってか知らずか何もやっておりません。怠慢であります。わが国タイの資産は、イギリスの調査によれば、二百七十六万ポンドだということであります。サンフランシスコ平和条約第十六条によれば、この資産は、大使館分を除いて、資産またはそれとひとしいものをわが国の選択によって国際赤十字に引き渡すことになっていた。ところが、これをイギリスは、関係国と相談したとはいえ、一方的に処分さしてしまったのは、平和条約に違反する行為と言えます。強い抗議をなすべきでありまするが、これに対して池田総理は、「この関係は、日本としては、ただわが国の選択権の問題にすぎない」と、うそぶいております。なぜ権利があるならばこの選択権を行使しないのか、この点が不可解であります。わが国の在タイ資産、わが国の戦時中建設した泰緬鉄道がどう処分されているかも、鉄道そのものがどうなっているかも確かめようとしておりませんで、泰緬鉄道は使いものにならないとか、タイでは厄介物にしているのだと、みずからをあざ笑う始末であります。池田内閣には外交というものはできません。相手の気持を迎えることが親善でもなければ、友好でもありません。敗戦国であっても、平和憲法をかたくとって動かないならば、卑屈になる要はないのであります。正しいことはあくまでも主張することが、相手から真の尊敬を受け、かえって友好に役立つことを忘れております。  日本は、賠償支払いのためすでに三千六百億円以上の重荷を背負っている。その上、ガリオア・エロア、それにタイの九十六億円、近く予想されるビルマの金などを合わせますると、やがては七、八千億円にもなるのであります。物価倍増政策の失敗に国民が苦しんでいるとき、支払い能力があることはけっこうなどと喜んでいるのは、正気のさたとは思えません。  それでは日本が外国から取るべきものはどうなっているかといいますと、さっぱりであります。清算勘定残高を見ましても、ブラジル、韓国、アルゼンチンなど合わせて一億ドルにも上っておりますが、焦げついたままさっぱり清算が進んでおりません。池田内閣のように、払うものはちょうちんを下げて探し歩くが、取るものはゼロでは、国民に会わす顔がないではありませんか。(拍手)国政担当の能力なしと言わなければなりません。また、去る昭和三十二年にイギリスが太平洋で水爆の実験をやった際に、わがほうは五千万円の損害補償をイギリス政府に要求しましたが、まだ一銭も取れておりません。かえって、算定の基礎があやふやだなどと指摘されて、泣き寝入りの状態であるということであります。これでは、今行なわれている太平洋におけるアメリカ核実験でも、アメリカからは、損害補償の要求があれば払ってあげます、考えてあげましょうと言われているけれども、とても取れそうもありません。すこぶるたよりないのであります。  私は、さきに本院において、このタイ無償供与に対して減額をやるべきではなかろうかということを伺いました。私は、ただ減額ではなくて、あくまでも協定の根本趣旨を残しつつ減額交渉すべきだと聞いた。タイ側自分の三十年協定の解釈が誤りであったと認めているのだから、無償供与にするかわりに減額の要求をするのは当然であったにもかかわらず、しかも六年前の古い話でありまして、日本も今や国連の加盟国であって、日本タイ双方ともに平等の伝統的平和関係を再確立して動いているのでありますのに、合意した協定に従わないというのであるから、九十六億という金額にとらわれる必要はごうもなかったと思います。協定をあくまで守る筋を通しつつ本件処理ができなかったのは、醜態であります。今回の失敗は、外交に弱いという世評を払拭しようという総理の気負い過ぎが、つまずきのもとであります。数字に強いと思ったその瞬間、その自信、長所が、実は大きな短所であったことを証明していると思います。(拍手)政治家としては、これは心すべきことであります。外交に手柄を立てようという小さい個人の野心、はずみで、失敗した例はたくさんあります。いずれにせよ、総理の旅先における独断的措置、独裁的行動は、許すわけには参りません。  また、本協定の取り扱いについてでありまするが、国民は、いや、与野党とも、三十年協定は九十六億円を限度とする投資及びクレジットの設定と理解して、協定の文字どおりに無償供与ではないとの立場をとって承認したのであります。それが白と黒の変わり方をするのでありまするから、本件協定の署名に先立って、国会を通じて国民の了解を求めるという政治的配慮がなさるべきであったと思います。事の軽重もわきまえず、事前の必要はない、事後に承認を求めればいいなどと、法制局長官の言うようなことを総理は言っております。ことに総理の、「これまででもみんなずっとやっているではありませんか」の暴言に至っては、あくまで追及しなければなりません。  また、本件外交史上重大な問題で、徹底的に国会の審議をすべきでありまするが、池田総理は、自民党総裁として与党を督励して、衆議院において質疑を打ち切り、強行採決を敢行して自然成立に追い込んだのは、まことにけしからんのであります。参議院における審議権を制限して、参議院の軽視もはなはだしいと言わなければなりません。  最後に、この事件処理の他に及ぼす影響でありまするが、総理は事もなげに、この責任は池田内閣が負いますと言っておりまするが、しかし、これは長く尾を引く問題でありまして、被害国民がこれからずっと背負っていかなければならないのであります。よその国は日本外交をどう見ているかを考えたことがあるのかどうか。これからいよいよ日本はくみしやすしと見られるでしょう。賠償再検討を迫っているビルマ、八億とか十億ドルとかうわさされる請求権を突きつけようと待っている韓国にデリケートな影響を及ぼさないという保証はありません。これは、相手国の態度の判定をいつも誤算をして、かえって事をめんどうにしているという実態があるからであります。国の動向をつかむことはむずかしいのであります。ことに、目下日本とフィリピンとの間では、日本の国会で承認をされた通商航海条約が行方不明になっております。これは、政府は当時のガルシア大統領のナショナリスタ党が選挙には必ず勝つから、フィリピン議会は通るだろうと、たかをくくっていたところが、選挙の結果を見ると、逆に負けてしまいました。フィリピンの上院通過がなかなかおぼつかなく、いつのことかわからず、宙に浮いております。こういうふうに、政府の見通しは連続的に間違っております。これからどんな間違いを起こすか、憂慮にたえません。どの角度から見ても、本件の妥当性を発見することができません。私は、本協定を白紙に返して出直さない限り、われわれは絶対に反対であります。ことに、今回の日本の反共のタイ援助が、アメリカの対アジア政策の肩がわりであるとすれば、いよいよもって反対せざるを得ません。池田内閣の親友が、韓国、国民政府、南ベトナムとともに、みな軍国主義、独裁主義の国々であることは、危険であり、今や国民間に定着した平和憲法を守るべき義務のある日本としては、池田内閣の軽率かつ危険な今回の協定を御破算にするのが当然の責務であると信じます。  社会党を代表して反対をいたします。(拍手)   —————————————
  33. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 青柳秀夫君。   〔青柳秀夫君登壇拍手
  34. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 私は自由民主党を代表して、本協定に対し、賛成の意を表するものであります。  御承知のとおり、タイ特別円問題の解決に関する昭和三十年協定中、九十六億円の経済協力条項は、タイ側事情により、実施不能に陥っていたのであります。もとより、わがほうといたしましては、国会で承認され、有効に成立した協定を、軽々しく改定すべきものでないとの見地から、この経済協力の実施に関し、約六カ年にわたって、あらゆる努力を重ねて参ったのでありますが、タイ側無償供与を要請して譲らず、経済断交さえほのめかすに至り、わが国といたしましては、大局的見地から本件解決を決意する必要に迫られるに至ったのであります。  そもそも昭和三十年協定は、五十四億円を現金払いとし、別に九十六億円を経済協力とすることによって解決を見たのであります。しかしながら、率直に申しまして、この解決タイ側にとっていささかきびし過ぎたのではないかと考えるのであります。すなわち、タイ太平洋戦争に際して、もっぱらわが国に協力する見地から、米英に対して宣戦布告まで行ない、さらにわが国に対して巨額の軍費を提供し、これによって、四年の長きにわたり、駐留日本軍の物資、役務の調達が可能であったことなどを想起いたしまするならば、戦時中の債権の返済を受けるために、かえって自分のほうが債務を負うようなことになるのは国民感情として納得できない、経済協力はぜひ無償にしてほしいというタイ側の主張は、了解にかたからざるものがあるのであります。よって、今回わが国といたしまして、実行可能な方法タイの要請を受け入れ、多年にわたる懸案を最終的に解決することは、まことにやむを得ざる措置と申さねばなりません。  九十六億円の無償供与は、わが国の生産物及び役務の形で供与せられまするが、八カ年の分割払いでありますから、かりに三十年協定に基づいて九十六億円が提供され、二十年後に返還されるとして計算いたしますれば、今回の協定のほうが、わが国にとって実質的負担が重くなるとは申されないのであります。のみならず、本協定の実施を契機として、タイ官民のわが国に対する信頼感が高まり、両国間の経済協力及び貿易関係の飛躍的増進が期待されておりますので、喜びにたえないのであります。  なお、今回の措置が、他の諸国に対する賠償や、経済協力にも悪影響を及ぼすのではないかとの論がありますが、本件は戦時中の債務処理であり、賠償とは全く性格を異にするものでありますから、他に波及するようなおそれはあり得ないのであります。  また、この無償供与は、SEATOの中核であるタイに対するアメリカ援助の肩がわりをするのではないかとの論がありますが、わが国としては、供与される「設備」には、武器弾薬を含まない旨を合意議事録に明らかにしており、これは全く故意にする非難であります。  アジア諸国との友好関係の維持増進は、わが国外交の基本方針でありまして、これがためには、まず、アジア各国との懸案を解決することが必要なことは申すまでもありません。本協定が異例の措置であることを認めるものでありますが、日タイ両国伝統的友好関係の将来及びアジアにおけるわが国の地位等を考えるとき、本協定締結はきわめて適切な措置と申さなければなりません。  以上の理由によりまして、私は本件に全面的に賛成の意を表するものであります。これをもって私の賛成討論を終わります。(拍手)   —————————————
  35. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 田畑金光君。   〔田畑金光君登壇拍手
  36. 田畑金光

    ○田畑金光君 私は民主社会党を代表して、ただいま議題となりました特別円問題の解決に関する日本国タイとの間の協定のある規定に代わる協定締結について承認を求めるの件に対し、反対の討論を行なおうとするものであります。  タイ特別円に関しましては、昭和三十年八月、「特別円問題の解決に関する日本国タイとの間の協定」が締結され、わが国は五年の分割払いによって五十四億円をタイに支払うとともに、経済協力として、九十六億円を限度とし、投資及びクレジットの形により、わが国の資本財及び役務を供給することを約したことは、御承知のとおりであります。しかも、このことは、当時の国会の厳正な議決を経ている事柄であります。しかるに、池田首相は、昨年秋、東南アジア諸国を歴訪した際、タイ国のサリット首相と会談し、未払い分残額九十六億円の処理について、従来の協定を全く廃棄し、ここに提案されている新協定に基づいて、九十六億円を無償でタイ国に供与するという、国会の権威を冒涜するがごとき約束を取りきめて参ったのであります。もちろん、われわれは、三十年の協定締結にあたり、九十六億円の貸与条件、期間等が明確でなく、この点についてはその後の話し合いによって合意することになっていたことを、十分承知いたしております。しかし、その話し合いは、あくまでも期間と条件の問題であって、貸与すべきものを無償にするとかどうかの話し合いを行なうことでは決してなかったことだと考えております。このことは、協定の重大な内容変更でありまして、われわれの断じて容認できないことであるとともに、国民の理解に苦しむところであります。  現行のタイ特別円協定第二条には、「日本国は、両国間の経済協力のための措置として、合意される条件及び態様に従い、九十六億円を限度額とする投資及びクレジットの形式で、日本国の資本財及び日本人の役務をタイに供給することに同意する。」と規定しており、九十六億円が無償供与でなく有償貸与であることは、文言上きわめて明瞭であります。このように、条約の明文上いささかの疑点がないにもかかわらず、これを無償供与に切りかえようとする政府態度は、国民の利害を無視した奇怪しごくの態度と言わなければなりません。  本来、戦争中の同盟国相互間の債権債務関係は、敗戦の場合に放棄するのが通例であります。たとえば、第二次大戦後のイタリア、ブルガリア、ルーマニアに対する平和条約では、これらの国は、同盟国であるドイツに対する請求権を一方的に放棄し、日本の平和条約では、相互放棄を条件としてドイツに対する請求権を放棄しているのであります。ところで、タイは、当時わが国と同盟条約を結んでいたことは御承知のとおりであります。しかも、この同盟条約並びにこれに付随する協定タイ国が一方的に廃棄する通告を行なってきましたのは、昭和二十年の九月十一日でありました。このような事実から見まして、当時はタイ特別円債権は無効になったという見解すらあったのであります。しかしながら、わが国は、タイ国との親善関係を保持するという大局的見地から、昭和三十年八月、現行のタイ特別円協定を結び、タイ国の要請にこたえて、五十四億の無償供与と九十六億円の経済協力のための有償供与を約束したというのが、これまでの偽らざる経緯であります。このように、わが国は、タイとの関係については、最善の誠意と努力を今日まで示し続けてきたのでありまして、したがって、国民といたしましては、これ以上の犠牲を払う必要は毫末も認められないという気持だと思います。われわれは今回、政府がこのような経緯の中で、さらに新協定を提示して参りましたことは、何としても理解できない内容でございます。  政府は、新協定の提示にあたりまして、これは、両国の友好関係や経済協力を進めるため、高度の政治的判断に基づいて決定したと言っておりまするが、これは国民を瞞着した詭弁で、国民としてはとうてい承服できない点でございます。私どもは、日本の誠意を披瀝いたしました現行協定によって、政府がなぜタイ国側を説得できなかったのか、はなはだ理解に苦しむものであります。  タイ特別円協定は、御存じのように、昭和三十年八月五日、両国はそれぞれ憲法上の手続を経て処理され、効力を発生しているのであります。すなわち、タイ国におきましては、当時、旧王国憲法により、閣議決定という条約承認の正規の手続がとられているのであります。しかるに、条約発効後わずか四カ月、すなわち昭和三十年十二月には、はや、タイ国の外務大臣日本にやってきて、九十六億円の有償貸与は間違っており、第二条は資本財及び役務の無償供与であると主張しているのであります。昨年十二月九日の毎日新聞の解説は、この間の事情を次のごとく指摘しております。すなわち「三十年の交渉当時、日本側の某交渉委員が、日本国内の常識で、金を借りるということは、もらうのと同じことだといったことで、交渉が急転解決したいきさつがあった」云々と報じておりまするが、はたしてこれが事実だとすれば、これこそ両国間の紛議を招き、今日の事態に至らしめました最大の原因であり、日本政府外交の重大な失態と言わなければなりません。一たん政府が国家間の厳正な協定として取りきめ、しかも国会が決議したものを、一回の首相訪問によって変更するなどとは、国民の血税を私物化するもはなはだしく、池田総理の思い上がった態度は強く糾弾されなければなりません。なるほどガリオア・エロア返済協定については、二重払いにならない、新たな国民の税負担にはならないという政府の主張を、かりに正しいと認めたといたしましても、タイ特別円返済は、文字どおり国民の税負担を加重することであり、賠償額をさらにふやすことでございます。ことに、国会の決議を経たものを変更するのであれば、あらかじめ国会に報告し、国会の承認を求めることが、立法府に対し行政府のとるべき態度であると考えます。外交政府がやることだから、国会は事後承認でよろしいというようなことは、特に今回の場合は許されない独善的態度であると私は考えます。池田総理外交面における大所高所論は、そのまま内政面における経済の高度成長論と同趣旨であり、やがて破綻を招くことは明らかであり、他の国への賠償支払いにも大きな影響を与えることは必至でありましょう。現に、ビルマとの間には、日本・ビルマ平和条約第五条の再検討条項によって、ビルマが強く賠償の増額を要求してきていることは周知の事実であります。また、日韓会談の最も困難な議題が請求権問題であることも明らかな事実であります。さらにはまた、四月十五日の朝日新聞の伝うるところによれば、シンガポール政府は、第二次大戦中、日本軍がシンガポール在住の中国人を殺害した事件に関し、英国政府を通じ、非公式に損害賠償要求について日本政府の意向を打診してきたと報じているわけであります。  われわれは、正当な要求や戦争中に犯した罪悪に対する公正な償いは、わが国としては当然やらなければならない義務であると思います。このことは国民も認めるところであります。しかし、タイ特別円協定のように、池田総理や、一部の人々にしか理解できないような大所高所論で国民の税金を浪費されるということは、断じて承服できない事柄であります。このような思い上がった外交や、ひとりよがりの高度の政治的判断とか大所高所論というような文字の遊戯は、決して国民のための政治ではないと考えております。わが党はこのような危険な要素を持つタイ特別円協定改定には強く反対するものであり、この際、政府の反省を強く訴えまして、私の反対討論を終わるものであります。(拍手)   —————————————
  37. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 佐藤尚武君。   〔佐藤尚武君登壇拍手
  38. 佐藤尚武

    ○佐藤尚武君 ただいま問題となっておりますタイ特別円に関しての協定につきまして、同志会を代表いたしまして、私は賛成討論をいたすものであります。  一たん発効しました昭和三十年の日タイ協定が、タイ側反対のために実施に至らなかったということは、少しく異例の感がないわけでもありません。同協定については、第二条の九十六億円の経済援助は、日本からする経済援助が終局においてタイ側債務になることに対して、タイ側の反感を生じ、このために実施が困難に陥ったというその事情は、われわれとしても理解ができないわけでもありません。大東亜戦争中のことを考えてみまするというと、タイが当時日本の同盟国といたしまして、日本側に対して多大の便宜を与えてくれた国でありまするが、戦時中、同国内には数万の日本兵が駐屯し、終戦当時においてはそれが十二万にも及んだということでありまして、タイ側に対しては莫大な迷惑をかけたわけであります。とのような事情からいたしましても、日本が軍費としてタイ国内で費消したバーツ貨に対して日本銀行に設けられましたタイ特別円勘定の残高というものは、これは当然日本政府において弁済する義務があったことを、われわれとして認めなければなりません。しかるに、戦後日本貨の暴落のために、その帳じりの返済が困難となり、ようやく昭和三十年の協定ができたものの、実施を見るに至らずして、デッドロックに陥りました。それを、昨年十一月の池田総理タイ訪問によりまして、徹底的な話し合いをされて、そうしてこの行き詰まりを打開し、それに基づいて本年一月三十一日両国間に協定の調印を見るに至りましたことは、両国親善関係の持続のため、大いに慶賀しなければならぬところと思うのでありまして、私はこの点において、外務当局の異常な努力を多とするものであります。  私は、日タイ間の親善関係をきわめて重要視するものであり、タイは久しい以前から日本に対しては伝統的な好感を持ってくれている国であります。古いことを思い出して申し上げるようでありまするが、あの昭和八年、今からちょうど三十年足らず前になります昭和八年、日本が満州問題で国際連盟を脱退した際のごとき、まさに日本は四面楚歌の中に陥っておった当時のその日本に対しまして、ただタイ一国のみがきわめて同情ある態度に出たというあの当時の光景は、われわれ日本代表部としてはとうてい忘れることのできない感激であったのであります。タイ国の日本に対しまするこのような友情は、日本としてどこまでも尊重すべきでありまするし、また同国との親善関係の維持は、日本にとりましてとうといものであらねばなりません。その意味におきまして、今回の特別円問題のごとき不幸ないきさつを一掃いたしまして、両国間親善関係の持続上わだかまりを取り去ったということは、両国のために大いに歓迎すべきことであると私は信じます。  この意味におきまして、私は今回のタイ特別円問題に関する協定に対して賛成の意を表するものであります。(拍手
  39. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより採決をいたします。  まず、日本国に対する戦後の経済援助処理に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件を問題に供します。  表決は記名投票をもって行ないます。本件承認することに賛成諸君は白色票を、反対諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名を点呼〕   〔投票執行〕
  40. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。   〔投票箱閉鎖〕
  41. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。   〔議長開鎖〕   〔参事投票を計算〕
  42. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数     百四十七票   白色票       九十六票   青色票       五十一票  よって本件承認することに決しました。(拍手)      —————・—————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      九十六名       杉山 昌作君    石田 次男君       谷口 慶吉君    森 八三一君       牛田  寛君    竹中 恒夫君       田中 清一君    櫻井 志郎君       加賀山之雄君    村山 道雄君       大泉 寛三君    大竹平八郎君       中尾 辰義君    鈴木 恭一君       佐藤 芳男君    白木義一郎君       三木與吉郎君    苫米地英俊君       田中 啓一君    佐藤 尚武君       村松 久義君    堀末  治君       藤野 繁雄君    村上 義一君       大谷 瑩潤君    黒川 武雄君       野上  進君    山本  杉君       谷村 貞治君    天埜 良吉君       米田 正文君    鳥畠徳次郎君       岸田 幸雄君    北畠 教真君       金丸 冨夫君    川上 為治君       徳永 正利君    仲原 善一君       石谷 憲男君    増原 恵吉君       勝俣  稔君    佐野  廣君       鍋島 直紹君    武藤 常介君       田中 茂穂君    谷口弥三郎君       杉浦 武雄君    新谷寅三郎君       木内 四郎君    石原幹市郎君       宮澤 喜一君    吉武 恵市君       林屋亀次郎君    小林 英三君       平井 太郎君    中野 文門君       堀本 宜実君    村上 春藏君       鹿島 俊雄君    植垣弥一郎君       赤間 文三君    青田源太郎君       林田 正治君    松村 秀逸君       松野 孝一君    井川 伊平君       塩見 俊二君    上林 忠次君       梶原 茂嘉君    高橋  衛君       高野 一夫君    河野 謙三君       横山 フク君    平島 敏夫君       館  哲二君    小林 武治君       大谷 贇雄君    青柳 秀夫君       井上 清一君    柴田  栄君       高橋進太郎君    小沢久太郎君       古池 信三君    西郷吉之助君       安井  謙君    木暮武太夫君       重宗 雄三君    堀木 鎌三君       一松 定吉君    青木 一男君       野田 俊作君    岡村文四郎君       剱木 亨弘君    重政 庸徳君       下村  定君    湯澤三千男君     —————————————  反対者(青色票)氏名      五十一名       大森 創造君    千葉千代世君       山本伊三郎君    鶴園 哲夫君       横川 正市君    松永 忠二君       森 元治郎君    大河原一次君       光村 甚助君    亀田 得治君       加瀬  完君    大和 与一君       大倉 精一君    小笠原二三男君       中田 吉雄君    高田なほ子君       米田  勲君    加藤シヅエ君       清澤 俊英君    吉田 法晴君       木村禧八郎君    阿具根 登君       永岡 光治君    松澤 兼人君       須藤 五郎君    北村  暢君       永末 英一君    基  政七君       安田 敏雄君    田上 松衞君       田畑 金光君    平林  剛君       秋山 長造君    久保  等君       片岡 文重君    相馬 助治君       戸叶  武君    矢嶋 三義君       天田 勝正君    岡  三郎君       重盛 壽治君    藤原 道子君       村尾 重雄君    中村 正雄君       曾禰  益君    千葉  信君       近藤 信一君    羽生 三七君       内村 清次君    赤松 常子君       棚橋 小虎君    ————————
  43. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 次に、特別円問題の解決に関する日本国タイとの間の協定のある規定に代わる協定締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件承認することに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  44. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本件承認することに決しました。(拍手)    ————————
  45. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第一、地方自治法の一部を改正する法律案、  日程第二、災害対策基本法等の一部を改正する法律案、  日程第三、道路交通法の一部を改正する法律案、  日程第四、市の合併特例に関する法律案、  日程第五、新産業都市建設促進法案、   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上五案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。地方行政委員長小林武治君。   〔小林武治君登壇拍手
  47. 小林武治

    ○小林武治君 ただいま議題となりました法律案五件につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。  まず、地方自治法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法案は、地方自治法及び関係法律について、(一)選挙管理委員の資格要件を定め、その兼職禁止及び任期等について合理化をはかり、(二)地方公共団体が出資、債務保証等をしている法人、すなわち、いわゆる公社等に対する地方公共団体の関与の方法を定め、(三)地方公共団体は、職員の退職手当の基礎となる勤続期間の計算について通算措置を講ずるように努めなければならないものとし、(四)新たに指定都市の指定があった場合に必要となる特例及び経過措置を定める等を骨子とするものであります。  地方行政委員会におきましては、地方における公社設立の現状と今後の見通し、地方公共団体の職員の人事交流、選挙管理委員会等、行政委員会の政治的中立性の確保、指定都市の指定方針等、多くの問題について当局との間に質疑応答を重ね、慎重審査を行ないましたが、詳細は会議録によってごらんを願いたいと思います。  四月二十四日質疑を終局し、二十六日討論に入りましたところ、秋山委員は、日本社会党を代表して本法案賛成の旨を述べられ、なお、各派共同提案にかかる附帯決議案を提出されました。附帯決議案の内容は、    附帯決議案  一、いわゆる公社等に対する指導方針をすみやかに確立すること。  一、副知事、助役その他常勤の職員は、選挙管理委員を兼ねることができないよう法定すること。  一、指定都市の指定については、適正厳密な基準を設けること。    右決議する。 というものであります。  かくて採決の結果、本法案は、全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。  秋山君提出の附帯決議案についても、全会一致をもってこれを委員会の決議とすることに決定した次第であります。  なお、これに対し、安井自治大臣は、決議の趣旨を体し善処したい旨を述べられました。   —————————————  次に、災害対策基本法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法案は、災害対策基本法の施行に備え、同法及び関係法律について必要な規定の整備を行なおうとするものであります。すなわち、まず災害対策基本法について、(一)さきの臨時国会において、一応同法案より削除されました緊急事態に関する規定を復活して、異常かつ激甚な非常災害が発生した場合において内閣総理大臣の行なう措置を定め、(二)中央防災会議委員に学識経験者を加える等の改正を行なうとともに、災害救助法、地方自治法等、関係法律について災害対策基本法の施行に伴う所要の改正を行なうことを主たる内容とするものであります。  地方行政委員会におきましては、激甚災害にかかる統一的恒久立法、災害対策上、気象観測の重要性等の問題について、当局との間に質疑応答を重ね、慎重審査を行ないましたが、その詳細は会議録によってごらんを願います。  四月二十四日質疑を終局し、二十六日討論に入りましたところ、別に発言もなく、本法案全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。   —————————————  次に、道路交通法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法案は、まず政府原案について申し上げますと、最近における交通事故の実態にかんがみ、大型自動車免許の資格年令を十八才から二十一才に引き上げるとともに、大型自動車免許の受験資格として、現に一定の免許を受けており、かつ、一定の自動車の運転の経験期間が通算して二年以上の者でなければならないこととし、その他必要な規定の整備をすることを内容とするものであります。  以上の政府原案に対し、衆議院において修正が加えられましたが、修正の要点は、(一)大型免許を受けた者であっても、その者が二十一才以上で、かつ、自動車の運転の経験期間が通算して二年以上の者でなければ、政令で定める一定範囲の大型自動車を運転することができないものとし、(二)大型自動車の運行を直接管理する地位にある者は、その業務に関し、運転者に対し、右の規制に違反して運転することを命じ、またはこれを容認してはならないものとし、(三)これらの違反行為に対する罰則を定め、(四)本法施行の際、現に大型免許を受けている者については、運転免許の改正規定は適用しないものとする等であります。  地方行政委員会におきましては、政府側から提案理由の、また、小澤衆議院議員から修正趣旨のそれぞれ説明を聞いた後、政府及び衆議院側との間に、年令の引き上げと経験期間を二年とした理由等について質疑応答を重ね、慎重審査を行ないましたが、その詳細については会議録によってごらんを願います。  四月二十七日質疑を終局し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本法案全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。   —————————————  次に、市の合併特例に関する法律案について申し上げます。  本法案は、まず政府原案について申し上げますと、北九州五市合併の機運が高まり、その他の地域においても市の合併の動きが見られる等の現状にかんがみ、市が、都市の経営の合理化をはかるため、市の合併を行なおうとする場合において、必要な関係法律特例を定めるものであります。すなわち、その要点は、(一)この場合の市の合併とは、指定都市を除く三以上の市の区域の全部または二以上の市及び一以上の町村の区域をもって一の市を置くことをいうものとし、(二)以上のような市の合併について、町村合併促進法または新市町村建設促進法におけるとほぼ同様な関係法律特例を認め、(三)国、都道府県等は、新都市の建設に資するため、必要な措置を講ずるように努むべき旨を定めるほか、本法の有効期間を十年間とする等であります。  以上のような内容政府原案に対し、衆議院において、(一)本法の適用対象となる合併の範囲を「二以上の市又は二以上の市及び一以上の町村」に改め、(二)産炭地域振興臨時措置法によって指定された産炭地域内における市町村の合併について本法を準用することを定め、(三)新都市の人口が五十万以上になる市の合併で、この法律の施行の日から一カ年以内に行なわれるものについては、関係市町村の議会の議員の任期延長と新都市の議員の定数増加の双方をあわせ行なえる道を開く、いわば特例特例規定を設ける等の修正が加えられて、本院に送付されて参った次第であります。  地方行政委員会におきましては、安井自治大臣から提案理由の、また、渡海衆議院議員から修正理由のそれぞれ説明を聞いた後、政府側及び衆議院側との間に、本法案のごとき特例立法は便宜的に過ぎて、市町村合併の基本方針をあいまいにするおそれはないか、衆議院の修正にかかる「財政上の措置」の内容いかん、予想される新しい指定都市のあり方等、多くの問題点について質疑応答を重ね、慎重審査を行ないましたが、その詳細については会議録によってごらんを願います。  四月二十六日質疑を終局し、二十七日討論に入りましたところ、秋山委員は、日本社会党を代表して本法案賛成の旨を述べられ、なお、各派共同提案にかかる附帯決議案を提出されました。決議案の内容は、    附帯決議案   本法の実施にあたり、政府は左の諸点について検討し、適切有効な措置を講ずべきである。  一、新都市の建設にあたっては、住民福祉の増進に特に留意せしめるよう強力な行政指導を行なうこと。  一、職員の身分の保障、給与の改善等に十分配慮すること。  一、新都市と他の市町村との間の格差の是正、特に貧弱団体の行政水準の向上に努力すること。  一、産炭地域の市町村合併はその特殊事情によるところ大であるから、財政上その他特別の措置を講ずること。  一、市の合併は地方自治の根本にふれる重大問題であるからその取扱いについては適正厳密な基本方針を確立すること。  一、いわゆる広域自治行政については、これを市の合併に限定することなく、事務の共同処理あるいは都市連合等の方策についても慎重に検討すること。  一、町村合併促進法により行なわれた町村合併の実績をつぶさに再検討し、新市町村の建設育成に一層効果的な行財政上の措置を講ずること。  右決議する。 というものであります。  かくて採決の結果、本法案全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次いで、秋山君提出の附帯決議案は、これまた全会一致をもってこれを委員会の決議とすることに決定いたしました。  これに対し、安井自治大臣は、決議の趣旨に沿って善処する旨を述べられました。   —————————————  最後に、新産業都市建設促進法案について申し上げます。  本法律案は、まず政府原案によれば、大都市における人口等の過度の集中を防止し、地域格差の是正をはかるため、産業の立地条件及び都市施設を整備することにより、その地方開発発展の中核となるべき新産業都市の建設を促進する目的をもって、(一)内閣総理大臣は、関係都道府県知事の申請及び関係大臣の要請に基づき、新産業都市の区域を指定し、その建設に関する基本方針を指示するものとし、(二)区域の指定を受けた場合は、関係知事は建設基本計画を作成して総理大臣に承認を申請するものとし、(三)国及び地方公共団体は、建設基本計画を達成するために必要な諸施設の整備をはかるべき旨を定め、(四)新産業都市の一体的な建設のため、関係市町村は、合併によりその規模の適正化に資するよう配慮すべきこと等を要点とするものであります。  以上の政府原案に対し、衆議院において、(一)本法の目的一つとして、「雇用の安定」を加えるとともに、要請大臣に労働大臣を加え、(二)国は、必要な財政上その他の措置を講ずるよう努むべき旨を定める等の修正が加えられたのであります。  地方行政委員会におきましては、藤山国務、安井自治、佐藤通産、福永労働の各大臣、その他政府当局並びに衆議院側との間に、本法案の目ざしているものは何か、新産業都市の建設を看板にして無理な市町村合併が強行される心配はないか、地方開発関係の諸法律を統合する考えはないか等、多くの問題点について質疑応答を重ね、慎重審査を行ないましたが、その詳細については会議録によってごらんを願います。  五月二日、質疑を終局し、討論に入りましたところ、増原委員は、自由民主党を代表して、本法案賛成の旨を述べられ、なお、各派共同提案にかかる附帯決議案を提出されました。その内容は、    附帯決議案   新産業都市の建設は、わが国将来の産業経済構造と地方自治制度に直接重大な関係があるから、本法の実施に当り、政府は左の諸点を検討し、所期の目的の完遂に遺憾なきよう措置すべきである。  一、新産業都市建設の成否は公共事業の先行投資の適否が決定的要素をなすものであるから、これについては予算その他の財政措置について特別の配慮をすること。  一、建設基本計画の実施については、必要事業を強力かつ一体的に遂行し得るよう中央、地方の組織の整備について検討すること。  一、国土総合開発その他地方開発関係諸法律は、この際、統合あるいは整備を検討し、人口の過度集中の排除と地域的格差の是正に遺憾なきを期すること。  一、建設基本計画の実施に要する事業費は充分に確保し、特に地方団体の必要財源については、国において事業の目的に適合する措置を講ずること。  一、新産業都市建設については、行政事務の共同処理等、広域行政の諸方式を充分に活用し、関係市町村の合併は事業の実施に必要な範囲に限り、いやしくも作為強制に亘ることのないよう厳に留意すること。  一、新産業都市の建設に伴う社会経済事情の変動により地域住民の福祉が害われることのないよう特に行政指導に努めること。  右決議する。 というものであります。  秋山委員日本社会党を代表して、本法案賛成し、政府が慎重かつ意欲的に本法の実施に当たることを要望する旨を述べられ、なお、附帯決議案に賛成する旨を述べられました。  かくて採決の結果、本法案は、全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。  また、増原委員提出の附帯決議案は、全会一致をもってこれを委員会の決議とすることに決定した次第であります。  右決議に対し、藤山国務、安井自治の各大臣より、それぞれ決議の趣旨に沿って善処する旨を述べられました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  48. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  五案全部を問題に供します。五案に賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  49. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって五案は可決せられました。    ————————
  50. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第六、木船運送法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。運輸委員長村松久義君。   〔村松久義君登壇拍手
  51. 村松久義

    ○村松久義君 ただいま議題となりました木船運送法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。  本法案は、最近における内航船舶の鋼船化の傾向にかんがみ、物品運送にかかる五百総トン未満の小型鋼船による海運業についても、木船によるものと同様の規制を行なうことといたしまして、本法の題名を「小型船海運業法」と改め、小型船による海運業の健全な発達をはかるため、従来の登録制を強化し、その資格要件として、新たに事業を遂行するに必要な能力及び資力信用を加え、一方、二十総トン未満の小型船による運航業等については届出制に改め、また営業保証金の現金供託制を合理化して、有価証券による納付を認めること等を内容とするものであります。  委員会におきましては、新たに登録の資格要件となる能力及び資力信用の基準等につきまして質疑が行なわれましたが、詳細は会議録により御承知を願います。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、別に発言もなく、直ちに採決の結果、本法案全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  52. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  53. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。    ————————
  54. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第七、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。社会労働委員長高野一夫君。   〔高野一夫君登壇拍手
  55. 高野一夫

    ○高野一夫君 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審議の経過並びに結果を報告いたします。  本改正案は、最近の社会経済情勢等にかんがみ、戦傷病者、戦没者遺族、未帰還者留守家族、引揚者等に対する従来の援護措置を改善するため、関係の各特別法に所要の改正を加えんとするものであります。  本改正案は、衆議院において修正せられたのでありますが、  政府提出の原案の要旨は、第一に、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正して、障害年金、障害一時金、遺族年金及び遺族給与金を増額すること。第二に、未帰還者留守家族等援護法の一部を改正して、留守家族手当、葬祭料及び遺骨引取経費を増額し、また現行規定による療養給付期間の満了後も療養を必要とする者に対しては、当分の間、なお、療養を給付し得ること。第三に、未帰還者に関する特別措置法の一部を改正して、厚生大臣が同法により戦時死亡宣告を請求し得る場合を、民法第三十条の失踪宣告の場合と合致せしめ、また、戦時死亡宣告に基づいて弔慰料を支給する遺族の範囲を、三親等内の親族にまで拡大すること。第四に、引揚者給付金等支給法の一部を改正して、交付国債の元利金の消滅時効について特例を設けること等であります。  次に、衆議院における修正の要旨は、第一に、引揚者給付金等支給法の改正事項を追加して、引き揚げの直前に外地で出生した子、並びに日本国政府の命令または要請によって外地に生活の本拠を移したものと厚生大臣が認定した者に対しては、外地居住期間が六カ月未満であっても引揚者給付金を支給すること。また、遺族給付金の支給要件中、本法適用日の前に死亡した引揚者の死亡当時の年令を「二十五才以上」から「二十才以上」に引き下げること。本法による給付金の消滅時効期間の「五年間」を延長して「六年間」とすること。第二に、この法律の施行期日を公布の日とすること等であります。  委員会においては、小澤辰男衆議院議員並びに政府委員等に対して質疑を行ないましたが、そのおもなるものとしては、「戦時災害で死亡した徴用工や動員学徒の遺族に対する五年間の給与金を、旧軍人軍属の遺族に対する年金と同額まで増加し、かつ年金化すべきではないか。」また、「もとの陸海軍の旧令共済組合員の遺族に対する年金は、支給対象の範囲、支給事由の発生時期等について不均衡であるが、すみやかに是正すべきではないか。」また、「時効等により年金たる恩給を受け得ない軍人軍属に対し援護法による給付を行なっているが、立法の建前としては恩給法を改正して措置すべきではないか。」「未帰還者に関する調査の結果いかん。未帰還調査部を廃止した後の未帰還者対策はどうか。」「引揚者や遺族に対する給付金国債の発行状況と今後の見通しいかん。」などのほか、戦時災害援護の基本方針、留守家族等の援護対策、裁定の事務の促進等についても熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知を願います。  かくて質疑を終わり、討論、採決の結果、本法律案全会一致をもって衆議院送付案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  なお委員会は、徳永委員提案により、動員学徒等準軍属の遺族の処遇改善、特例扶助料、特別弔慰金の支給制限の緩和、未帰還者並びに特殊勤務についた満鉄職員等の調査究明等に関する附帯決議を、全会一致をもって行ないました。  以上報告いたします。(拍手
  56. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  57. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。    ————————
  58. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第八、都市美観風致を維持するための樹木保存に関する法律案、  日程第九、国土調査促進特別措置法案、  (いずれも衆議院提出)  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。建設委員長大河原一次君。   〔大河原一次君登壇拍手
  60. 大河原一次

    ○大河原一次君 ただいま議題となりました二法案につきまして、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  まず、都市美観風致を維持するための樹木保存に関する法律案について申し上げます。  本法案は、最近、都市樹木が枯損し、滅失しつつある実情にかんがみ、都市美観風致を維持するため、樹木保存に関し必要な措置を講じようとするものであり、要旨のおもなる点は次のとおりであります。  まず、市町村長は、都市計画区域内における保存樹または保存樹林の指定、指定の解除、及び保存に関する必要な助言等を行ない得ることとし、また建設大臣及び都道府県知事は、市町村に対しその報告を求め、必要なる勧告をすることができる等を規定しております。一方、これら樹木の所有者及び一般人に対しても、樹木保存の義務を課する等の措置を講じようとするものであります。  委員会における審議の詳細は会議録に譲りたいと存じます。  かくて質疑を終了、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。   —————————————  次に、国土調査促進特別措置法案について申し上げます。  本法案は、わが国の経済発展と民生の向上のため、国土の開発及びその利用の高度化に資するため、国土調査事業の緊急かつ計画的な実施の促進をはかろうとするものであって、昭和二十六年に制定されました国土調査法の趣旨を一そう推進せんとするものであります。  本法案の要旨について申し上げますと、  第一点は、国土調査事業十カ年計画の策定について、国の総合的な開発、農地利用の高度化等、当面緊急な施策を講ずる区域について所要の調査を行なうこととし、昭和三十八年度以降十カ年計画を策定せんとするものであります。計画決定の手続といたしましては、内閣総理大臣が国土総合開発審議会並びに関係都道府県知事の意見を聞き、行政機関の長に協議して作成し、閣議決定を要するものとしております。  第二点は、この事業の内容は、国の機関の行なう基本調査と地方公共団体または土地改良区の行なう細部調査に区分され、本事業の実施については、本法案に定めるもののほかは、国土調査法の規定を適用することといたしております、  第三点は、政府は、この計画を実施するため、行財政上の必要な措置を講ずるものとすること等であります。  当委員会における審議の詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。  質疑を終了、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  61. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  まず、都市美観風致を維持するための樹木保存に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  62. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。    ————————
  63. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 次に、国土調査促進特別措置法案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  64. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。    ————————
  65. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第十、財政法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。大蔵委員長棚橋小虎君。   〔棚橋小虎君登壇拍手
  66. 棚橋小虎

    ○棚橋小虎君 ただいま議題となりました財政法の一部を改正する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案の改正の第一点は、第二十九条の追加予算及び予算の修正に関する規定の整備であります。  過般、補正予算による一般会計からの産業投資特別会計資金への繰入金の措置をめぐって論議が生じたことは、すでに御承知のとおりでありまして、今後かかる論議が生じないよう、その年度において国庫外への払い出しとならないような後年度の支出財源に充てるための繰り入れも、予算の追加の対象とする注意規定を設けることとし、また、追加予算及び予算の修正も、実際には両者が一体となって補正予算として編成されていることにかんがみ、両者を統一して補正予算とし、現行規定では、追加予算は予算作成後、予算の修正は予算成立後の事由に基づくことを要件としておりますが、予算の追加を行なう場合及び追加以外の変更を加える場合も、ひとしく予算作成後に生じた事由によることとする等、所要の改正をしようとするものであります。  また、これに準じて、国会の議決を要することとなっている公社、公庫等の政府関係機関の追加予算及び予算の修正に関する規定についても、整備をはかることとしております。  改正の第二点は、財政制度審議会について、今後、国の財政会計制度上の各般の問題を検討するにあたり、広く有識者の参加を予定し、会長を大蔵大臣とするとともに、特別の事項の調査審議に当たる臨時委員を置くことができることにしようとするものであります。  なお、本案は、衆議院において、施行期日につき、「昭和三十七年四月一日」を「公布の日」とする修正が加えられたものであります。  委員会におきましては、参考人より意見を聴取し、審議いたしたのでありまして、おもな質疑内容を申し上げますと、「第二十九条第二項の、予算成立後の事由に基づく予算の修正の規定は、成立予算の節約なり繰り延べを行なう場合は予算の修正を要するという趣旨に解され、実行予算制度を認めない新憲法下における意義の深い規定であるが、これを予算の追加の場合と同様に予算作成後の事由に基づくこととすることは、本来の制度の趣旨を没却せしめるものであり、案の段階の予算と、成立後の予算の区分を明確にして規定すべきではないか。」との質疑に対し、「現行規定の追加予算と予算の修正が、その要件を異にするために、全く別個の感じを与えるが、実際には両者を一体として補正予算として編成しており、両者の要件が異なるために編成上の不便もあるので、実際に即するよう改正するものである。」との答弁があり、「追加予算の要件について、必要不可避の経費に不足を生じた場合に限りとあるのを、特に緊要となった経費の支出と改めるのは、現行規定を緩和するものではないか。また、それによって予算の弾力的運用をはかることが改正の根本趣旨ではないか。」との質疑に対しては、「財政制度審議会の意見もあり、とかく紛議のあった字句の整備をはかる技術的な改正をするものであって、現行規定の実質的な意義を変更するものでもなく、また、これによって予算の弾力的な運用をはかろうとする意図に出でたものでもない。」との答弁がありました。  そのほか、経費の不足の意義、資金の概念と性格、財政及び金融と景気調整の問題、繰り延べ予約構想と繰り越し明許費の関係、決算剰余金の処理との関係等の諸点にわたって質疑がなされましたが、詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、須藤委員より、「今回の改正は、憲法第八十三条の精神を破壊し、国会の予算議決権、財政の監督権を制約するものであり、また所得倍増計画の破綻による独占資本の救済、軍国主義、帝国主義の復活に便宜を与えるものであるので、本案に反対する」旨の意見が述べられ、荒木委員より、「本案は、第一に、補正予算提出の要件を緩和するものであり、憲法、財政法全般の趣旨に違反する疑義があり、第二に、改正によっても、第六条の決算上の剰余金の使途制限の規定、及び第十二条の会計年度独立の原則の規定との関係において、依然疑義を残すものであるので反対する」旨の意見が述べられました。  かくて討論を終わり、採決の結果、多数をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。  右御報告申し上げます。(拍手
  67. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  68. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。    ————————
  69. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第十一、農地開発機械公団法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。農林水産委員長梶原茂嘉君。   〔梶原茂嘉君登壇拍手
  70. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 ただいま議題となりました農地開発機械公団法の一部を改正する法律案について、委員会における審査の経過と結果を報告いたします。  この法律案は、農地開発機械公団の整備をはかって農地開発改良事業の推進に資するために提案せられ、これが内容は、政府から公団にさしあたり一億五千万円を出資し、さらに国有の農地開発用機械等を追加出資できることとし、また、公団の業務を拡大して、公団は委託を受けて機械等の整備あるいは修理の事業を行なうことができることとするとともに、公団の役員、余裕金の運用及び財務等に関する規定を改正した等であります。  委員会におきましては、公団事業の実績、現況、及び、将来、開発用機械を公団において一元的に管理することの当否、公団の業務運営、経理及び欠損の原因及びその責任、役員の人事並びに行政管理庁の勧告との関係、政府出資の運用計画その他について、質疑検討が行なわれたのでありますが、これが詳細は会議録に譲ることを御了承願いたいと存じます。  かくして質疑を終わり、討論に入り、安田及び天田両委員からそれぞれ反対の意見が述べられ、続いて採決の結果、この法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  右報告いたします。(拍手
  71. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 本案に対し討論の通告がございます。発言を許します。安田敏雄君。   〔安田敏雄君登壇拍手
  72. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております農地開発機械公団法の一部を改正する法律案に対して、反対の討論を行ないたいと思います。  反対の討論をいたしますにあたって、本法律案提出されました直接の責任者でありますところの河野農林大臣が、サケ・マス漁業交渉のために訪ソいたして不在でありますので、私は反対の討論をしても意味がないと思いまして、差し控えようと思いましたが、農業構造の改革が重大な課題となっている今日の農業の現状からみて、重大な責任と任務を有する農地開発機械公団の機構や業務運営があまりにも不当でありますから、国民の税金につながる問題として、国会を通じ、国民の前に明らかにすることが政治の正常化でありますことを信じまして、あえて討論をすることにした次第であります。  御承知のとおり、公団は、昭和三十年十月、国際復興開発銀行からの融資と余剰農産物見返り円資金を借入して、高性能の輸入、国産の機械を買い入れ、農地造成事業とジャージー種乳牛の導入事業を実施する目的で作られた団体であります。発足当時の北海道、青森県の開発事業及び乳牛導入事業は、それぞれ三十五年、三十六年度をもって一応終わったのであります。今回の改正案は、今後その機械と施設の活用をはかるため、管理公団として公団が再出発するために、公団組織の強化が計画されたものであります。  すなわち、改正法案は、農地の開発に必要な建設用機械の貸付業務を公団に一元化する方針でありまして、農林省の保有する機械を現物出資するほかに、機械の整備修理事業を行なうよう規定し、あわせて建設機械購入のために政府出資一億五千万円を行ない、さらに、過去の事業上の繰り越し欠損金一億三百七十余万円をきれいにするために、一億五百万円の国庫補助金を支出することを計画しております。この点は、先ほどの委員長説明では省略してあるようでございます。  以上のように、法案内容は簡単なものであり、政府説明も、もっともらしく聞こえますが、これを率直に額面どおりに了承してよいものかどうかは、今日の官僚支配の増大しております政治の現時点において、私は、本法律案に対して多くの疑問点を究明しなければならないのであります。現に、本法律案は、衆参両院の農林水産委員会審議の経過から見ましても、また行政管理庁の監察報告によりましても明らかなとおり、公団が発足以来今日に至るまで、その業務運営が全く放漫であり、ずさんであったことは、公団本来の使命に反するものでありまして、立法の精神をじゅうりんしたものとして糾弾されなければなりません。  以下、反対理由を具体的に申し上げたいと思います。  反対の第一の理由は、公団発足以来六年間にわたり累積いたしました一億七千二百三十五万円に達する膨大な赤字の発生の原因についてであります。この点について、まずもって追及されなければならないことは、農林省当局の公団業務に対しての指導管理がほとんど皆無であったことでありまして、それが毎年繰り返されてきたことであります。たとえば、予算や業務方法書の認可承認が非常に遅延しておりまして、昭和三十六年度のごときは、予算において一年近くも未認可の状態でありまして、公団は未認可のまま仮予算を執行しおりますが、これでは予算統制が適切を欠くことは当然のことであります。また業務方法書についても、同様に、認可が遅延しておりまして、昭和三十六年度を例にとってみますと、適用月日と施行月日が一年もずれているという状態でありまして、公団の賃貸料、受託料等の料金適用が混乱する結果となっております。これは明らかに農林省各局と公団監理官との責任分担が不明確でありますことから生ずる問題でありまして、おざなりのお役所仕事をしている結果と言えるのでございましょう。  次に、公団の赤字累積の一因となっております問題として、機械の稼働率が適正を欠いており、購入以来全然稼働していないもの、稼働率が著しく低いもの、あるいは遊休化しているものがあるということであります。たとえば、耐用時間が一万二千時間もあるパワー・ショベルの使用実績を例にとってみますと、三十二年より五年間で、合計使用時間は二千四百時間くらいしか稼働しておりません。やっと五年がかりで五分の一しか使っていないありさまであります。またダンプ・トラックほか数種類の機械は、最近三カ年間の実績を見ましても稼働率は六〇%台であります。特に、購入いたしました機械の中でも、昭和三十一年以来全然使っていない機械が十一台もある始末でありまして、地方公共団体等の要請によりまして貸付機械の購入をいたしました中にも、貸付契約をしないままに全く稼働していない機械があることは驚き入った次第であります。こんなことでは、世銀よりの借款は、事業の目的もなく、使いもしない機械を購入するために、ひもつきで借入したものであると言われても、政府は抗弁のしようもないことでありましょう。また、いかに弁解しようといたしましても、国民は納得するわけには参らないのであります。  次に、受託工事について申し上げますと、昭和三十五年度は七千万円以上の欠損を生じておりますが、その原因は、出血受注、事前調査の不十分、工事施行監督の不始末、機械配車の不備、手戻り工事、下請業者の選択の不適格等の結果でありまして、明らかに公団の責任は免れないところであります。しかも、山梨県の災害復旧工事の赤字に関連して、その責任をとって理事二名と職員二名が引責辞職しております。これは明らかに公団首脳陣の連帯責任でなければならないはずでありますのに、最高責任者であります当時の成田理事長は何らの責任もとっていないということは、まことに不可思議であり、遺憾とするところであります。  その他、業務実施体制と業務運営について見ましても、内部統制機能が弱体なるがために、中堅技術員の不足と重なり合って、職場全体の勤務状態も芳ばしくないとのことであります。  次に、経理上について指摘いたしますれば、有形固定資産の減価償却は、会計規程に定めてない定額償却を平然として行なっております。これは、篠津泥炭地、八郎潟干拓地、石川県の流水客土、岡山県の建設用等の機械ばかりでなくて、開墾用、建設用の一般機械についても、こまかくは、工具、器具、備品についても、行政管理庁監察の報告書に、そのでたらめさが詳細に指摘されているとおりであります。  そこで、ここでつけ加えて申し上げたいことは、公団がオーストラリアからジャージー種の乳牛の導入を行なったことでありますが、このことは、本来ならば農林省の畜産局で行なうのが当然の本筋でありますが、世銀よりの借入金の関係で公団が政府にかわって行なうことになったものであります。昭和二十八年度から三十一年度までの政府輸入の乳牛は、四千八百九十一頭でありまして、このうち廃用牛は二百三十五頭で、百頭について四頭の割合でありましたが、昭和三十一年度から三十五年度までの公団輸入の乳牛は、八千三百七十三頭と、なるほど多く輸入しておりますが、このうち廃用牛は六百十七頭でありまして、百頭について七頭以上の割合に廃用牛がふえているわけであります。すなわち、公団の取り扱いになってからのほうが輸入乳牛のロスが多いわけでございまして、一応、乳牛導入事業についての所期の目的を達成したとはいえ、公団の業務運営が疎漏であったことは以上の事実から見ても間違いない事実であるわけでございます。  以上申し上げましたことを要約するならば、公団の業務運営は、行政管理庁から不当事項であると指摘されておりますように、失敗続きであります。かりに民間会社でこのような赤字経営を生じた場合には一体どうなることでしょう。その会社は倒産か、解散してしまうことは必然であります。そして、重役は退職金をいただくどころか、私財を投げ出しても償いをしなければなりません。公団理事長の責任はとうてい免れないところであります。  次に、反対の第二の理由について申し上げます。  今回の改正案は、政府出資を行なって公団を強化するとの趣旨でありますが、事業量の確保について見ましても、依然として具体的な保証がないことであります。その上、老朽化した国有機械を公団に押しつけて、機械の整備修理の業務を追加しようとしておりますが、どうも収支償うような見込みがないようであります。これまでの経過から見ましても、赤字発生の要因を将来に残しているようであります。ことに、今回、面目を一新して再出発をするのだということでありますのに、三十七年度の予算と業務方法書が、これから農林省で検討するということでありますから、これらの認可は一体いつごろになりますものか、全く不明であります。全くあきれたことではありませんか。しかも、過去の乱脈をきわめた業務運営に対して、反省をしているのかどうか、疑いたくなりますことは、昭和三十七年度の交際費の見積額に示されておりますように、三十六年度まで五十万円であったものが、一挙に四倍の二百万円にはね上っていることであります。このような公団の現状に対して、国民の血税で、一億五百万円もの赤字の穴埋めをいたし、さらに一億五千万円という政府資金を注入し、公団を食わせていこうという政府の腹計算のようでありますが、はたして赤字を防げる自信があるのかどうか、おそらくこれまでのような二の舞となるだけでございましょう。政府は公団の実体を根本的に改善することを怠って、改正案に示されたような甘い考え方は、あまりにも国会と国民を無視し、民主政治の基調を犯す独善行為であって、私ども日本社会党は断じて承服することはできないのであります。  反対する第三の理由は、公団の理事一名の増加という改正案に関連して、公団の人事についてであります。  まず、顧問、嘱託について申し上げます。行政管理庁の指摘にもありますように、逐年その顧問、嘱託の人員が増加し、現在では計七名になっておりますが、年額五百万円近くの経費を使いながら、その活用度がきわめて僅少であります。また、支給する報酬も、何らの基準が設けてなくて、腰だめ式であるということであります。これらの委嘱は、公団に直接寄与する会計士であるとか、あるいはまた、弁理士等に限定することが必要であると思うわけであります。  最後に私は、理事長の人事について触れなければなりません。このことは、私としては遠慮しようかと思いましたが、前にも申し上げたとおり、山梨県の災害復旧工事に関連して、理事と職員が引責辞職をしているという事実からいたしましても、また、近来いわゆる実力者という人たちの情事人事がとかくの非難をあびている向きもありますので、あえて言及する次第であります。この公団の理事長は、創立以来の理事長成田努氏が昨年九月末愛知用水公団理事長に栄進したあとへ、東北開発株式会社の理事でありました松本烈氏がそのあとがまに入ったのであります。成田氏は、六年間にわたり、この公団の理事長として最高の責任者でありました。私がこれまで申し上げましたように、過去一億七千二百万円もの巨額の赤字を生じて、会計検査院からも不当事項として指摘を受けており、だれが見ても、公団の業務運営が拙劣であったことは疑いもないことであります。しかも、理事と職員に責任をとらせてやめさせたのであります。ところが、本人自身は、責任上進退伺いをするでもなく、莫大な赤字をかかえております公団から、しかも、自分が最高責任者として一億七千万円の赤字を出しておきながら、おくめんもなく一千二十九万六千円という多額の退職金をいただいて、愛知用水公団の理事長として栄進したものであります。なるほど退職金規程に定められておりますから、当然のことであると思う人もありましょうが、現在のところ、この公団では、前線で働いている現場の従業員に対しましては、退職金規程が定められていないということであります。したがって、従業員の退職金は仮払いをしているという状態にあるわけでございます。こんな状態では、従業員の勤労意欲は低下するとも決して向上することは考えられません。今日、雇用問題は、すべての事業を通じまして最も重要な課題でありますことは申すまでもないところでございます。従業員の退職金規程を、六年間も理事長をしていながら、いまだに定めていないということは、全く怠慢のそしりを免れ得ないのであります。退職金といえども、もとは国民の税金であります。しかも、これらの金は、機械使用料金のアワー・コストにかけられて、結局は農民の負担になって参るわけでございます。民間会社ならば、退職金どころか、その赤字の責任を背負って、あべこべに弁償しなければならないことでしょう。最高の責任者として、成田氏は、みずからの判断で責任をとり、退職金のごときは辞退して、その出処進退を明らかにすることは、理の当然ではないでしょうか。また、発足当時任命をなさった河野農林大臣も、当然成田氏に対しまして道義的責任を追及するということが、公僕の立場からいっても、社会通念からいっても、常識というものではありませんか。それにもかかわらず、成田氏を愛知用水の公団の理事長に任命したということは、全く理解できないところで、情実人事と言われても当然のことであります。次に、現理事長の松本烈氏でありますが、同氏は、昨年九月まで、国策会社であります東北開発株式会社の理事でありました。松本氏が昭和三十二年同社に送り込まれたのは、当時の経済企画庁長官であった河野さんの強力な推薦であると、当時の新聞に書いております。今や東北開発は汚職事件を起こし、検察当局の追及を受けております。最近の新聞紙上の社会面をにぎわしております。なるほど河野農林大臣の答弁によれば、松本氏は汚職には関係がないということであります。閣議でも異論なく了承されており、決して手落ちはないということでありますが、当時会社の運営について、正規の理事会も開かずに、重要な事項を勝手にきめていたことは事実であります。これが会計検査院から、昭和三十四、五年の両年度の決算について経理の不足を指摘されたのでありまして、全役員の任期満了ということで、役員全体が引責辞職をしたことは明らかであります。したがって、当時の理事は、松本氏を含めて、現在いまだに退職金が留保になっている状態にあるわけであります。ともかく東北開発の汚職事件は、いまだに結末がつかないで、どう発展するかもしれません。したがって、問題の多い農地開発機械公団の理事長に栄進させるというようなことは、普通常識ある人ではとうていできないことであると信じます。あつかましさもこのあたりまで進めば、まあまあごりっぱと言うほかはございません。このような人事は、成田、松本氏らの個人的な問題でなく、事柄は、高級役人の人事一般につながる重要な問題でありますから、あえて個人の名前をあげて申し上げたのであります。委員会においての審議で、わが党の小笠原委員が次のように発言しております。「この公団の理事長の人事について、国会や新聞で公に論議報道されましたことは珍しいことである。成田氏も松本氏も肩身が狭かろう。両人が感ずるところあって進退伺いを河野農林大臣に申し出たならば、大臣は率直にこれを受けて、いやしくもその職に引きとめることはないであろう。」こういうことを大臣に申し上げているわけでございます。まことに適切な発言であると言わなければなりません。近代政治において、人事の専断は決して許してはならないことであります。  以上、農地開発機械公団の新旧両理事長の人事は、不法と言わないまでも、明らかに適正を欠いている不当人事と言わざるを得ません。政府当局の反省を促したいのであります。おそらく、農地開発機械公団は、再出発いたしましても、この事業の内容からして、先ほども申し上げたとおり、赤字経営は必然でありましょう。私としても、決してその経営が赤字を生ずることを期待するものではありませんが、三十七年度以降も赤字を生ずるならば、この種の事業は、むしろ高能率を発揮する民間会社にゆだねることのほうがはるかに国費の節約になり、農地開発事業も適確に推進されるものと確信するものであります。  私は、この際、各種公団及び事業団が最近漸増する傾向にありますが、これらの団体が公共的事業を遂行するにあたり、利潤を上げるという必要はないと思いますけれども、もとをただせば、それらの運用資金国民の尊い税金でありますから、赤字を生じてはならないということが原則であると思います。したがって、役員の任命に際しても、単に高級役人の退職後における老後の身分の温存を主にすることなく、その事業の運営の健全化に人事の主眼点を置き、従来のように、所管の大臣の専断にまかせずに、閣議においても一そう慎重に検討することを要望いたし、今後は、公団及び事業団等に対しまして行政の監察機能をさらに強化し、所管大臣の監督等も厳密にすることを付言しておきます。  終わりに、本法律案に対して、与党自民党は、その立場からして、おそらく賛成することはわかっておりましょう。しかし、おそらく両院の審議の経過からして、割り切れない、あと味の悪いものを感ずることでありましょう。かかる不備な法律案や人事関係について反対することは、議員本来の正しい姿勢であると私は確信するものであります。国会の正常化と保守党の近代化が望まれるときに、参院自民党各位の本法律案に対する良識に期待いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手
  73. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  74. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。    ————————
  75. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第十二、石油業法案、  日程第十三、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案、  日程第十四、不当景品類及び不当表示防止法案、  日程第十五、ばい煙排出規制等に関する法律案、   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長報告を求めます。商工委員長武藤常介君。   〔武藤常介君登壇拍手
  77. 武藤常介

    ○武藤常介君 ただいま議題となりました四法案について、商工委員会における審査の経過並びに結果の御報告を申し上げます。  まず、石油業法案について申し上げます。  この法律案は、近く予定される石油の輸入自由化に備え、石油の低廉かつ安定的供給を確保するため、石油精製業等の事業活動に調整を加えようとするものでありまして、内容のおもなる点は、政府が石油供給計画を作成公表して、本法運用の基本とすること。石油精製業の事業及び設備については許可制とし、石油の輸入業と販売業とはこれを事業の届出制とすること。石油業者の生産計画と輸入計画を届出制とし、政府は計画の変更を勧告できること。石油製品の販売について標準価格を設けること。石油審議会を設置すること等を規定しております。  商工委員会においては、参考人の意見を聴取する等、慎重な審査を行ないました。質疑に際しては、総合エネルギー対策、すなわち、石油と他のエネルギー源との調整の問題、国産原油、海外開発原油の開発とその引き取りの対策、石油精製業の設備投資や原油購入の問題、石油産業への資金供給の財源措置など、各般にわたって熱心な質疑応答がかわされましたのでありますが、詳細は会議録に譲ります。  質疑を終わり、中田委員賛成討論の後、採決の結果、本法案全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、討論中、中田委員より提案された四項目にわたる附帯決議案もまた、全会一致をもって当委員会の決議とすることに決定いたしました。   —————————————  次に、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案は、下請事業者の利益を一そう保護するために、親事業者の順守すべき事項として、新たに三つの事項、すなわち、不当な買いたたき、手持ち原材料等の購入の強制、下請事業者が親事業者の不公正な取引行為を知らせたことを理由として不利益な取り扱いをすること、この三つの行為を行なってはならぬとするものであります。  これに対し衆議院では、さらに、下請代金支払い期日を六十日以内とし、それ以後の支払いの場合には、親事業者が遅延利息を負担しなければならぬという修正を行なって送付して参りました。  本委員会におきましては、下請代金支払いが手形で行なわれた場合の遅延利息との関係を初め、どうすれば支払い遅延防止を有効にできるか等につき、種々質疑が行なわれましたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知を願います。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本法律案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。   —————————————  次に、不当景品類及び不当表示防止法案について申し上げます。  本法案は、事業者が行なう不当な景品付販売、懸賞付販売あるいは不当な表示について、独禁法の特例を定めようとするもので、そのおもな内容は、公正取引委員会は、事業者が提供する景品類の制限及び禁止と不当な表示を禁止するとともに、これらの事項に違反する行為については、独禁法の規定による審査審判の手続によらないでも、その行為の差しとめ等の措置を命ずることができること、事業者が、景品類及び表示について、不当な行為はこれを自粛するという公正競争規約を結んだ場合、これは独禁法の適用の除外とする等であります。  委員会における質疑のおもなる点は、本法案と独禁法との関係、消費者保護の諸問題や公取の本法運用についての心がまえ等でありましたが、その詳細は会議録に譲ります。  かくて質疑を終わり、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。   —————————————  最後に、ばい煙排出規制等に関する法律案について申し上げます。  本法案は、最近、ばい煙等によって大気が著しく汚染されている事情にかんがみ、政令で定める地域について、ばい煙発生施設の設置について届出をなさしめ、ばい煙排出基準を設定し、その基準に適合しないばい煙を出している施設に対し、使用停止等の規制措置を講ずるとともに、ばい煙や特定有害物質の施設についての事故が起こったときの措置、大気の汚染による紛争についての仲介制度、ばい煙処理施設の整備の促進についての助成措置を定めているものであります。  また、本法施行の事務は、都道府県知事が多くこれに当たることになっていますが、衆議院では、政令で定める事務を、政令で定める市長に委任できることに修正されて参りました。  以上が大要でありますが、当委員会におきましては、産業公害一般の問題から、排出基準や地域指定の方法、本法と類似の地方条例との関係、ばい煙処理施設整備のための助成措置、その他の諸問題について、熱心に質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、続いて採決いたしました結果、本法案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上四法案に関する報告を終わります。(拍手
  78. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  まず、石油業法案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  79. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。    ————————
  80. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 次に、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案不当景品類及び不当表示防止法案及びばい煙排出規制等に関する法律案全部を問題に供します。三案に賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  81. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって三案は全会一致をもって可決せられました。    ————————
  82. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第十六、恩給法等の一部を改正する法律案、  日程第十七、昭和三十七年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案、  日程第十八、外務省設置法の一部を改正する法律案、   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。内閣委員長河野謙三君。   〔河野謙三君登壇拍手
  84. 河野謙三

    ○河野謙三君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、恩給法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案の改正の第一点は、旧軍人及び昭和二十八年以前に退職した文官並びにこれらの遺族の年金である恩給について、原則として一般退職者及びその遺族の恩給年額は、公務員の二万円ベース給与の俸給を基準として算定した額に、公務傷病者及び公務死没者の遺族の恩給年額は、二万四千円ベースを基準として算定した額に増額改定することでありまして、この措置は、昭和三十七年十月以降三カ年にわたる年次計画により処理することとし、また、その実施については、公務傷病者、遺家族、老齢者から先に適用することといたしております。  なお、右の増額措置に伴い、昭和二十九年以後の退職者及びその遺族についても、これに準ずる措置を講ずることとしたほか、普通恩給については多額所得者に対する恩給停止基準の引き上げ等の改正をいたしております。  改正の第二点は、刑に処せられ、または懲戒処分等によって年金である恩給に関する権利を失った人々について、将来、年金恩給を受けられる道を開くことであります。   —————————————  次に、昭和三十七年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案は、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法規定により現に支給されている年金を、今般の恩給の額の改定措置等に準じて改定するとともに、旧国家公務員共済組合法の規定により現に支給されている年金につきましても、これに準じて所要の改正を行なおうとするものであります。  当委員会におきましては、以上二法律案を一括して審査に当たりましたが、質疑のおもなるものを申し上げますと、公務員の給与改定と恩給改定の関係、普通恩給を二万円ベースに、公務関係恩給を二万四千円ベースにした理由、軍人恩給における階級差の問題、恩給改定に伴う所要経費、旧令共済組合等の廃疾年金を二万円ベースにした理由等でありまして、小平総理府総務長官及び政府委員より、それぞれ答弁がありましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、両案につき一括して討論に入りましたところ、山本委員より、恩給法等の改正法案につきましては、自民・社会両党共同提案にかかる「旧満鉄職員等の在職期間通算に関する附帯決議案」を、旧令共済組合等年金改定法案につきましては、自民・社会両党共同提案にかかる「本法適用者と新法施行後の退職者の共済年金間の不均衡の是正及び廃疾年金、遺族年金の最低保障額設置等に関する附帯決議案」を付して、両案に賛成する旨の発言がありました。  討論を終わり、採決の結果、両法案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定し、両附帯決議案も全会一致をもって可決決定いたしました。  なお、右附帯決議に対し、小平総理府総務長官及び堀本大蔵政務次官より、それぞれ附帯決議の趣旨を尊重し、今後検討する旨の発言がありました。   —————————————  最後に、外務省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案は、低開発国に対する開発援助の重要性と事務量の増加に顧み、経済局の経済協力部を経済協力局に昇格すること、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部の長を大使に昇格すること、及び、在外公館の増強等に伴い、特別職三人、一般職四十七人の増員等の改正を行なおうとするものであります。  当委員会におきましては、対外経済協力の現状と経済協力局昇格の趣旨、海外移住の実情及び移住政策と経済協力との関係、技術研修生の受け入れ、専門家派遣、その他、技術協力の現状、東南アジアに対する投資並びに賠償による経済協力の実施状況等について質疑応答がなされましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  85. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  三案全部を問題に供します。三案に賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  86. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって三案は可決せられました。  次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十七分散会