○小林武治君 ただいま
議題となりました
地方税法の一部を
改正する
法律案外一件について、
委員会における
審査の
経過並びに結果を御
報告いたします。
地方税法の一部を
改正する
法律案は、地方
財政の実情を勘案しつつ、地方税の減税を行ない、国、地方団体間の税源配分の適正化をはかって地方独立財源の
充実を期する等、地方税制の合理化を進めるため所要の
改正を行なおうというものであります。
今回の
改正による減税規模は、平年度四百二十二億円、初年度二百七十三億円でありますが、一方、税源配分の適正化のために、別途所得税の一部の委譲を受け、道府県民税率を改める等の
措置により増収が見込まれるので、差引平年度において減収額三百十七億円、初年度において減収額百九十一億円となるのであります。
法案内容の概略を申し上げますと、
一、住民税については、課税所得七十万円以下の
所得者に対する
負担軽減のため、準拠税率における段階区分の
改正を行ない、これを
昭和三十八年度分の個人の市町村民税から適用することとし、また扶養税額控除の標準額を六百円と法定し、
二、個人事業税については、その税率を引き下げ、
法人事業税については、普通
法人の所得のうち課税所程二百万円以下のものに適用される税率の引き下げを行ない、
三、道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税の税率を、それぞれ一%ずつ
引き上げるとともに、その課税標準を、公社が小売人に対して売り渡した製造たばこの数量に
全国平均小売
価格を乗じた額に改め、
四、料理飲食等消費税については、現行の場所による税率適用区分を廃止して、一人一回の消費金額三千円をこえる場合には一五%、三千円以下の場合には一〇%とするが、旅館における宿泊の料金の税率については一律一〇%とするとともに、旅館における課税標準の特例の額を現行五百円から八百円に
引き上げ、
五、小型自動車に対する自動車税の税率について総排気量による区分を設けて、それぞれの税率を定め、
六、固定資産税について、非課税の
範囲及び課税標準の特例に
改正を加えるとともに、固定資産の
価格の決定は、市町村長等が自治大臣の示した基準方法等によって決定しなければならないことに改め、
七、電気ガス税の税率を一割引き下げるとともに、非課税品目の整理合理化を行ない、
八、
国民健康保険税の標準課税総額を引き下げること等が
改正の主要点であります。
以上のほか入場税の地方譲与の
制度は、この際これを廃止するというのであります。
地方行政
委員会におきましては、
法案の重要性にかんがみ、特に東大教授遠藤湘吉君外二名の参考人から意見を聞き、また、安井自治、水田大蔵各大臣、その他
政府当局との間に、減税規模、国税、地方税を通ずる税制の抜本的改革、固定資産税等における課税標準の特例
措置、料理飲食等消費税の地元市町村に対する還元、地方鉄道に対する固定資産税の軽減、また
国民健康保険税のあり方等、数多くの問題点について
質疑応答を重ね、慎重
審査を行ないましたが、その詳細については
会議録をごらん願いたいと存じます。
かくて三月二十七日
質疑を終局し、
討論に入りましたところ、鍋島
委員は、本
法案の
趣旨に
賛成の旨を述べられ、次いで、公衆のために道路、橋、その他政令で定める場所に照明用として
設置された電灯または火災報知機灯等で政令で定めるものに使用する電気に対しては、電気ガス税を課することができない旨を
内容とする修正案を
提出されました。秋山
委員は社会党を代表し、
原案並びに修正案にいずれも反対の旨を述べられ、その
理由として、低所得層に対する配慮が不十分であること等をあげられました。基
委員は民主社会党を代表して、修正案並びに修正部分を除く
原案にいずれも
賛成の旨を述べられました。
かくて修正案及び修正部分を除く
原案につき、それぞれ
採決の結果、いずれも多数をもって可決いたしました。よって本
法案は修正議決すべきものと決定した次第であります。
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次に、
地方交付税法の一部を
改正する等の
法律案について申し上げます。
本
法案の骨子とするところは、地方公務員の退職年金
制度の創設を初めとして、地方団体の
財政需要の
増加にかんがみ、地方交付税の率を
引き上げ、これと関連して臨時地方特別交付金を廃止するとともに、各種公共事業、
社会保障制度の拡充に伴う地方団体の所要経費、
給与費の
増加等に対応する財源を付与し、基準
財政需要額を増額して地方行政水準の
向上をはかるほか、いわゆる高校急増問題に対処するための特例として基準
財政需要額の加算の
措置を講ずる等であります。すなわち、
一、地方交付税の率を二八・五%から二八・九%に
引き上げる一方、臨時地方特別交付金を廃止することとし、
二、公共投資の
充実、社会保障
関係経費の財源付与、税外
負担の解消の促進、
給与改定の平年度化等に要する経費の財源を基準
財政需要額に算入する等のため、
関係行政項目の単位費用を
引き上げ、
三、河川費、港湾費等の測定単位の数値の補正方法に
改正を加え、
四、高等
学校の経費について
教職員数を測定単位に加え、
五、
政府が高等
学校生徒急増
対策費として明年度に見込んだ総額百五十四億円は、うち十三億円を国庫支出金で、五十億円を地方債で
措置し、残額九十一億円を基準
財政需要額に算入することととし、これがため
昭和三十七年度の特別
措置として、生徒
増加見込み数に基づく所要経費を基準
財政需要額に加算すべく、しこうして、その算定は道府県及び指定都市についてこれを行なうものとし、なお、私立の高等
学校については、その
増加生徒数を測定単位として、私立高等
学校援助のための都道府県の所要経費を算定すること等を、
改正の要点とするものであります。
地方行政
委員会におきましては、安井自治、荒木文部の両大臣を初め、
政府当局との間に
質疑応答を重ねて慎重
審査を行ないましたが、その詳細については
会議録によってごらん願います。
かくて三月二十九日
質疑を終局し、
討論に入りましたところ、秋山
委員は
日本社会党を代表して本
法案に反対、その
理由として、
政府の地方に対する財源
措置はなお不徹底であり、ことに、高校急増
対策、国立工業高等専門
学校の
予算等に見られる国の地方への
負担転嫁は不都合である旨を述べられました。
かくて
採決の結果、本
法案は多数をもって
衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御
報告申し上げます。(
拍手)