運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-02-09 第40回国会 参議院 本会議 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月九日(金曜日)    午前十時四十五分開議   ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第七号   昭和三十七年二月九日    午前十時開議  第一 臨時行政調査会委員任命に   関する件  第二 新産業都市建設促進法案   (趣旨説明)  第三 日本国に対する戦後の経済援   助の処理に関する日本国とアメリ   カ合衆国との間の協定締結につ   いて承認を求めるの件及び特別円   問題の解決に関する日本国タイ   との間の協定のある規定に代わる   協定締結について承認を求める   の件(趣旨説明)  第四 昭和三十六年産米穀について   の所得税臨時特例に関する法律   案(内閣提出衆議院送付)  第五 昭和三十六年五月の風害若し   くは水害、同年六月及び十月の水   害、同年七月、八月及び九月の水   害若しくは風水害又は同年八月の   北美濃地震による災害を受けた農   林水産業施設災害復旧事業等に   関する特別措置法の一部を改正す   る法律案内閣提出、衆議院送   付)  第六 昭和三十六年五月、六月、七   月、八月及び九月の天災について   の天災による被害農林漁業者等に   対する資金融通に関する暫定措   置法の適用特例に関する法律の   一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  第七 昭和三十六年六月及び十月の   水害、同年七月、八月及び九月の   水害若しくは風水害又は同年八月   の北美濃地震による災害を受けた   公共土木施設等災害復旧等に関   する特別措置法の一部を改正する   法律案内閣提出衆議院送付)  第八 昭和三十六年五月の風害若し   くは水害、同年六月及び十月の水   害、同年七月、八月及び九月の水   害若しくは風水害又は同年八月の   北美濃地震による災害を受けた地   方公共団体起債特例等に関す   る法律の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)   ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、裁判官弾劾裁判所裁判員及び裁   判官訴追委員辞任の件  一、裁判官弾劾裁判所裁判員裁判   官訴追委員北海道開発審議会委   員、積雪寒冷単作地帯振興対策審   議会委員国土開発縦貫自動車道   建設審議会委員国土総合開発審   議会委員及び飼料需給安定審議会   委員選挙  一、日程第一 臨時行政調査会委員   の任命に関する件  一、日程第二 新産業都市建設促進   法案趣旨説明)  一、日程第三 日本国に対する戦後   の経済援助処理に関する日本国   とアメリカ合衆国との間の協定の   締結について承認を求めるの件及   び特別円問題の解決に関する日本   国とタイとの間の協定のある規定   に代わる協定締結について承認   を求めるの件(趣旨説明)  一、日程第四 昭和三十六年産米穀   についての所得税臨時特例に関   する法律案  一、日程第五 昭和三十六年五月の   風害若しくは水害、同年六月及び   十月の水害、同年七月、八月及び   九月の水害若しくは風水害又は同   年八月の北美濃地震による災害を   受けた農林水産業施設災害復旧   事業等に関する特別措置法の一部   を改正する法律案  一、日程第六 昭和三十六年五月、   六月、七月、八月及び九月の天災   についての天災による被害農林漁   業者等に対する資金融通に関す   る暫定措置法適用特例に関す   る法律の一部を改正する法律案  一、日程第七 昭和三十六年六月及   び十月の水害、同年七月、八月及   び九月の水害若しくは風水害又は   同年八月の北美濃地震による災害   を受けた公共土木施設等災害復   旧等に関する特別措置法の一部を   改正する法律案  一、日程第八 昭和三十六年五月の   風害若しくは水害、同年六月及び   十月の水害、同年七月、八月及び   九月の水害若しくは風水害又は同   年八月の北美濃地震による災害を   受けた地方公共団体起債特例   等に関する法律の一部を改正する   法律案   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。    ————————
  3. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) これより本日の会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  相澤重明君、棚橋小虎君から裁判官弾劾裁判所裁判員を、辻武壽君から裁判官訴追委員を、それぞれ辞任いたしたいとの申し出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。    ————————
  5. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) この際、日程に追加して、  ただいま辞任を許可されました裁判官弾劾裁判所裁判員二名、裁判官訴追委員一名及び欠員中の北海道開発審議会委員積雪寒冷単作地帯振興対策審議会委員国土開発縦貫自動車道建設審議会委員各一名、国土総合開発審議会委員飼料需給安定審議会委員各二名の選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 御異議ないと認めます。
  7. 鍋島直紹

    鍋島直紹君 裁判官弾劾裁判所裁判員その他各種委員選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
  8. 米田勲

    米田勲君 私は、ただいまの鍋島君の動議賛成いたします。
  9. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 鍋島君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 平井太郎

  11. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 日程第一、臨時行政調査会委員任命に関する件を議題といたします。  内閣から、臨時行政調査会設置法第五条第一項の規定により、安西正夫君、今井一男君、太田薫君、佐藤喜一郎君、高橋雄豺君花井忠君、蝋山政道君を臨時行政調査会委員任命することについて、本院の同意を求めて参りました。  本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  12. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 過半数と認めます。よって本件は同意することに決しました。    ————————
  13. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) 日程第二、新産業都市建設促進法案趣旨説明)、  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。藤山国務大臣。   〔国務大臣藤山愛一郎登壇拍手
  14. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ただいま議題となりました新産業都市建設促進法案提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  わが国経済が近時めざましい発展を遂げつつあることは御承知のとおりでありますが、今後引き続いて安定した経済成長を維持するためには、なお解決すべき幾多の課題をかかえているのであります。なかんずく京浜、阪神等既成の大工業地帯における人口及び産業過度集中は、いわゆる過大都市化の問題として、工業用水の枯渇や地盤沈下等生産面への弊害のみならず、住宅難交通難等生活面にまで深刻な弊害を惹起しつつあり、また既成工業地帯へのこの集中傾向は、同時に、それ以外の地域との間にいわゆる地域格差を生ぜしめる原因となっているのでありまして、これらはわが国経済の均衡ある発展に重大な阻害要因として作用し、早急に総合的な対策を講ずることを必要としているのであります。  以上のような地域的課題解決する方策の一つとして、前国会において、いわゆる低開発地域における工業開発促進するため、低開発地域工業開発促進法の成立を見たのでありますが、さらに、全国的な視野に立った適正な産業配置構想のもとに、産業立地条件都市施設整備をはかることにより、新たに相当規模産業都市地方建設することが特に緊要と考えられるのであります。この対策は、既成大都市過大都市化の誘因を減殺し、地方産業人口既成大都市へ流出するのを防いで、そこに定着させ、また新産業都市中核となってその地方開発に大きな波及的効果をもたらすという点で、地域格差是正の有効な手段たり得るものと考えるのであります。  本法律案は、このような趣旨から、地方開発発展中核となるべき新産業都市建設促進するため、所要の措置を講じようとするものであります。  次に、この法律案要旨を申し上げます。  第一点は、内閣総理大臣は、関係都道府県知事の申請及び経済企画庁長官等関係大臣要請に基づき、新産業都市建設審議会の議を経て、大規模な新産業都市となる可能性を備えている区域を新産業都市区域指定し、新産業都市建設に関する基本方針を指示するものとしたことであります。  第二点は、区域指定を受けた場合は、関係都道府県知事は、新産業都市建設協議会意見を聞いて当該区域にかかる建設基本計画を作成し、内閣総理大臣承認を申請するものとしたことであります。  第三点は、内閣総理大臣の諮問に応じ、新産業都市建設促進に関する重要事項を調査審議するため、総理府に新産業都市建設審議会を置くものとし、また、新産業都市区域の属する都道府県建設基本計画作成等について調査審議するための機関として新産業都市建設協議会を置くものとしたことであります。  第四点は、国及び地方公共団体は、建設基本計画の達成のため必要な施設整備促進することに努めるとともに、また、これらの施設の用に供するため必要な土地取得につきましては、公有水面埋立法等規定による処分にあたり特別の配慮をするものとしたことであります。なお、建設基本計画を達成するために行なう事業に要する経費に充てるために起こす地方債についても、特別の配慮をするものとしたことであります。  第五点は、国及び地方公共団体は、新産業都市建設に寄与すると認められる製造事業運輸事業等事業を営むものが必要とする資金確保に努めるものとしたことであります。  第六点は、地方公共団体が新産業都市区域内に工場を新増設する者に対して不動産取得税または固定資産税の減税をしたときは、当該地方公共団体に交付される地方交付税算定の基礎となる基準財政収入額算定につき特別の措置を講ずるものとしたことであります。  第七点は、新産業都市の一体的な建設促進するため、関係市町村は、合併により、その規模適正化に資するよう配慮するものとし、合併に際して議会の議員の任期等に関する特例を設けるものとしたことであります。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。(拍手
  15. 平井太郎

    ○副議長平井太郎君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。吉田法晴君。   〔吉田法晴登壇拍手
  16. 吉田法晴

    吉田法晴君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました新産業都市建設促進法案について、総理及び関係大臣質問をなさんとするものであります。  まず、所得倍増計画そのものが、地域格差階層格差等増大しており、本法案こそは、この格差を解消すべきであるのに、実際はその逆ではないかという点を、お尋ねしたいのであります。  本法案は、第一条の目的に述べられておるように、人口及び産業過度集中防止並びに地域格差是正目標としております。人口及び産業過度集中も、地域格差も、実は同じ現象のうらはらでありますが、これらを是正することはきわめて緊要のことであります。しかし、これらの是正策を講ずる前に、なぜ、これらの過大都市とか地域格差という問題が発生したかということを、池田首相に根本的に反省してもらわなければならないと思います。というのは、池田内閣高度成長政策所得倍増計画というのは、成長内容所得配分関係を問題にすることなしに、むしろ、量的に、成長率が高ければ高いほどいいのだという、非常に安易なものでございまして、このような政策が推進せられるならば、必然的に人口産業都市への過度集中あるいは地域格差が生じてくるのは、明らかなことであります。このような法案を提出せざるを得ないこと自体所得倍増計画の矛盾を端的に示しているといっていいでありましょう。この際、首相に、成長率が高ければ高いほどいいのだという単純な考えを、根本的に反省、是正していただいて、もっと成長内容所得の階層的なあるいは地域的な分配を重視すべきではないか。そして本法案による新産業都市建設も、階層的な、あるいは階級的、地域的格差の一そうの拡大でなくして、その根本的な是正と解消のために大きく役立ち、いずれの地域の国民も、ひとしく向上する文化生活を享受し得るようにすべきではないかという点が、質問の第一点であります。  第二点は、全国総合開発計画が完成しないのに本法案を提出するのは、順序が逆なのではないかという点であります。  昭和二十五年に施行された国土総合開発法によれば、国が全国総合開発計画を作成すべきことを規定しております。しかるに、国土総合開発法施行以来十年以上を経過した今月、いまだに全国総合開発計画は決定されておらず、ようやく昨年の夏に草案ができ上がったという次第であります。このこと自体政府の怠慢と総合開発に対する熱意の不足を物語るものでありますが、それはとにかくとして、その全国総合開発計画には、「都市及び農村の規模及び配置調整に関する事項」とか、「産業の適正な立地に関する事項」が含まれております。本来ならば、そのような全国的な計画構想に基づいてこの法案が立案さるべき筋合いのものであります。本法案第五条には、「新産業都市区域指定は、全国総合開発計画に適合するものでなければならない」とありますが、そもそも、かかる新産業都市なるものを開発拠点として作るかどうかも、全国総合開発計画ができ上がっていない以上、不明なのでありまして、体裁ということから考えても、全国計画のでき上がらないうちに本法案を提出するのは不当であり、順序が逆であります。なるほど去年発表された草案には、「拠点開発構想」という一節がありますが、それはいまだ草案にすぎず、いかなる種類の拠点を作るかについては、いまだいろいろと各方面で意見のあるところであります。全国総合開発計画ができてしかる後、この種の法案を出すべきではなかったか。そういう意味では、本法案全国総合開発計画の策定とは順序が逆になっておるではありませんか。このように全国総合開発計画なしに新産業都市をきめるとすると、陳情や、政治力や、資本等の片寄った力によってきめられることになりはしないか。これが質問の第二点であります。  第三点は、本法案は、企業偏重主義に傾いておって、人の雇用の面が軽視されておるという点であります。  本法案は、要するに、地方開発中核となるべき産業都市建設して、そこへ企業を誘致しようというのでありますが、かかる立法例は、英国の工業配置法あるいは地方雇用法、あるいはイタリアのヴァニーノ・プランなどと比較することができます。しかし、ここで注目すべきことは、この種の外国の立法例や施策が、いずれも失業多発地帯雇用増大目標に掲げていることであります。人のために作られておるという点であります。しかるに、本法案においては、第五条の、新産業都市区域指定要件に見られるように、土地だとか水だとかいうものについては定めておりますけれども、雇用については全く触れていないのであります。それではわが国西欧諸国に比べて失業者が少ないかといえば、決してそうではありません。産炭地域織物工場地帯などには、多数の失業者が滞留していることは、諸氏御承知のとおりであります。このような失業者不完全就業者が多いところにこそ、企業を誘致して雇用機会増大せしめるべきでありまして、その意味からしますと、指定要件には、人の問題、人の雇用についての規定を入れるべきではないでしょうか。政府考え方は、おそらく雇用増大などは、目的要件に掲げなくとも、結果として生じてくるのだというのでしょう。これは、企業中心施設資本中心考え人間を従属せしむる思想の現われにほかなりません。このような企業優先主義、人より物を重んずる思想では、ほんとうの意味格差是正は不可能であります。この人間尊重人間中心の建前から、法の構想考え直すべきではないでしょうか、失業多発地帯、たとえば産炭地域あるいは織物工場地帯等雇用拡大をはかるものとして、本法考え直す考えはないか。経済企画庁長官通産大臣お尋ねをしたいところであります。  第四点は、新産業都市の数及び規模を明らかにせられたいという点であります。  本法案には、指定手続とか要件についてはさまざまのことが書かれておりますが、それを見ましても、新産業都市の大体の構想は一向明らかになりません。だから、具体的に、新産業都市というのは、全国でおよそ幾らくらい作るつもりなのが、その規模はどのくらいのものなのか、各地域経済圏というか、ブロックは幾つくらい作るのか、明らかにせられたい。  第五点は、新産業都市建設は、国の助成措置が明確でないので、結果としては、関係地方自治体財政を圧迫し、一般住民市民生活に悪影響を及ぼさないかという点であります。  地域格差是正あるいはそのための産業の再配置という事業は、本来は、地方自治を尊重しつつ、国家がその責任においてなすべきことであります。しかるに、本法案においては、施設整備資金確保について、きわめて抽象的に国の努力義務規定しているだけで、何ら具体的な国の助成措置は定められていないのであります。したがって、実際問題として、公共事業地方負担分土地造成の費用、その他起債のワクの拡大等地方自治体が膨大な財政負担を背負う結果となり、それが住民福祉行政にしわ寄せされて、市民生活はかえって窮迫するおそれが十分に考えられる。たとえば、今までの各都市工場誘致の例で申しますと、日向の延岡地区のように、県費十二億円、市費一億円、合計十三億円の投資によって百万坪の土地造成を行なったが、十年間工場一つもやってこないばかりでなく、年々九千万円の利息を払わなければならぬという事態が起こっておる。また、四日市地区のように、多くの工場が進出してきたのはいいが、他方予算面財政面では市民生活に直接必要なものが軽視されるようになったとか、あるいは地価が高騰して一般市民住宅用地に事欠く状態になったという事例もございます。そこで、新産業都市建設地方財政を圧迫し、一般市民生活のための地方自治体本来の福祉行政を不可能あるいは困難にしないように、国の助成措置を明確にすべきではないか。経済企画庁長官建設大臣自治大臣等お尋ねをいたします。  第六点は、都市への過度集中抑制大都市の再開発のための措置を放置して、新産業都市建設に手をつけるというのは、片手落ちではないかという点であります。  過大都市発生防止地域格差是正は、地域開発と並行して、首都圏大都市の再開発、あるいは四大工業地帯への産業集中抑制等措置を講じなければ、実際には不可能であります。四大工業地帯への集中傾向はいまだに規制せられず、野放しにされております。また、首都の再開発を行なうべき首都圏整備委員会は、東京の交通と同じく、半身不随に陥ったままであります。新産業都市という地方開発の一構想を打ち出したのを機会に、既成工業地帯、特に四大工業地帯への工業立地の再開発考えたり、首都圏の画期的な再開発に手をつけるべきではないでしょうか。総理及び関係大臣に伺いたいところであります。  第七点は、官庁間の所管争いのために法の円滑な運用が妨げられるおそれはないかという点であります。  本法案は、すでに新聞等で報ぜられておりますとおりに、自治省地方基幹都市建設建設省広域都市建設通産省地方工業都市建設という三つの構想がミックスされてでき上がったものであります。その結果、本法案においても、新産業都市区域指定要請大臣に、経済企画庁長官農林大臣通産大臣運輸大臣建設大臣及び自治大臣と、六人の大臣がなるという、きわめて繁雑な制度となっております。なぜこのように六人もの大臣関係しなくてはならなかったのか、また、これら多くの官庁官庁セクショナリズムの結果、真に全国的総合的な見地から新産業都市建設していくことが不可能になるのではないか、あるいは、羽島駅のように、それぞれの大臣の面子と資金関係によって新産業都市がきまるというような弊害が生ずるおそれはないか、総理に伺いたいところであります。  第八点は、経済企画庁は本法案実施官庁としての任にたえ得るやいなや。実施のための予算集中や特殊の機構考えるべきではないかという点であります。  本法担当官庁経済企画庁であるということでありますが、実際問題としては、経済企画庁調整の窓口にすぎずして、建設省とか通産省とか自治省とかがそれぞれの予算を持ち、事業実施していくということになるのだと思うのであります。このような形で、経済企画庁は、はたして本法責任を持って実施していくことができるかどうか。少なくとも新産業都市建設にかかわる予算は一括をして企画庁に集中するような制度、あるいは特殊な機構、たとえば公団のごときものを設ける考えがあるのかどうか、総理及び経済企画庁長官に伺いたいところであります。  次は、市の合併特例に関する法律合併した市でも新産業都市指定され得るかどうかという点であります。  政府は別に「市の合併特例に関する法律案」を今国会に提出して、三市以上の合併の際の特例を設け、大都市の出現を期待しております。新都市規模からいうならば、「市の合併特例に関する法律」によるものと本法案によるものとは、ほぼ相似たものでありましょう。都市性格が双方違うというならば別でありますが、一方は都市規模だけを規定し、他方産業都市という都市性格だけを規定しておるのであります。両者の関係はいかになるのでありましょうか。もし「市の合併特例に関する法律」で合併した都市が新産業都市として指定され、あるいは一段と飛躍したいと願うものがある場合に、新産業都市指定されることはあってもいいのではないでしょうか。念のために経済企画庁長官自治大臣お尋ねしておきたいと思います。   〔副議長退席議長着席〕  最後に、この法案は、計画中身がなくて、四千万円余の調査調整費だけがついておりますが、前述のような条件がそろわずに、あえてこの法案を提出するゆえんのものは、参議院選挙前に、各地方、各都市に、自分のところは新産業都市になり得るのではないかとの幻想を与え、参議院選挙に利用するのではないか、あるいは結果から見てそういうことになるのではないか。佐藤通産大臣は、新潟県知事選挙の応援に行った際、十一月三十日、新潟記者会見をして……
  17. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 時間が超過しました。
  18. 吉田法晴

    吉田法晴君(続) 「新潟中心とする百万都市構想は有望だ」と新産業都市の確約をしております。参議院選挙の前には新産業都市になり得るのではないかとの幻想を与え、あとでは選に漏れる、あるいは中身がないということで、この法案玉手箱法案になる心配がないかどうかをお尋ねいたしたいと思うのであります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  19. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 経済高度成長は、えてして拡大都市をもたらしやすいのでございます。私は所得倍増計画に関連いたしまして、こういう新しい都市建設することが、地域的の格差あるいは業種別の格差を少なくするゆえんと思いまして、本法案を提案いたした次第でございます。  また、御質問の、総合開発計画ができない前にこういう新産業都市建設法は、順序が違うじゃないか——お話のとおり、総合開発計画法は昭和二十五年にできました。その後、実は遅々として進んでおりませんでしたが、今年度末を目標といたしまして成案を急いでおるのでございます。できましたら、両法律が相ともに進んでいくと考えております。なお首都圏問題につきましては、交通、住宅等につきまして、十分その効果が上がるようにいたしております。  また、今回の新産業都市建設法に関係大臣は多過ぎるではないかというお話でございました。また、労働大臣を入れないのはいかがかという御質問もございました。私は、とりあえず直接関係のものから新都市をこしらえる。そして労働等の問題は、常に協議をしながら進めていこう。あまり多くなることも問題でございます。少なくなってもいけない。こういって、中ごろのところをとったわけでございます。(拍手)   〔国務大臣藤山愛一郎登壇拍手
  20. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) お答えいたします。  全国総合開発計画ができない前にこの法案を出すのは、はなはだ時期を失くしているのではないかということでございますが、昨年七月、その草案を発表いたしまして、ただいま意見を聞いておるところでございます。三月末には総合開発計画を策定いたすのでございますから、したがって、本法案を今議会に御審議を願いまして、そうして成立の上は、並行して進められると思います。しかも、この新産業都市計画というものは、全国総合開発計画の中の拠点都市として考えられるべき問題でございまして、したがって、本法案におきましても、五条二項におきまして、総合開発計画に適合したものでなければならぬということを規定いたしておるのでございます。  第二点は、企業偏重に傾いておるではないかという御質問でございます。むろん、新しい産業都市を作ることでございますから、企業につきまして重点を置きますことは、これは当然でございますが、しかし、企業というものが、ただいま御指摘のございましたような労働力の需給関係に非常に影響を及ぼす、また、それなくして企業が成り立って参らないことは、当然でございます。しかも、同時に、こうした都市ができて参りますれば、産業関係者、労働力等の提供者に対しても、教育、文化あるいは住宅等の問題も解決して参らなければ、新産業都市の十分な機能を発揮していけないのは当然でございまして、それらの点につきましては、基本計画を策定する上におきまして十分注意いたしますと同時に、この案ができますときには、各関係大臣意見をそれぞれ十分聴取することにいたして参るわけでございます。なお、一般的な問題として、産炭地振興法その他別の法律によりまして地域的な問題を扱う法律がございますが、それらと相補足していくことは当然のことでございます。  また、新産業都市の数や規模はどうかという御質問でございます。よく百万都市と言われておりますが、必ずしも百万という数にこだわることはないと思っております。また同時に、総合開発計画における拠点地域でございまして、低開発地域振興の法律案との中間的な問題でございますから、したがって、非常に多くの数ができるということは必ずしも考えられないと思います。しかし、実情に適しました将来の国土総合開発に適合するような数は確保していかなければならないということでございます。これにつきまして、これらの都市指定する上において、陳情等でいろいろ左右することのないように、政府においても留意いたしますとともに、審議会等もできまして、それらによって、指定については十分な検討をした上、公正にやるべきだと考えております。  なお、国の助成措置その他につきましては、自治省のほうからもお答えすると思いますけれども、これらの公共投資の所要額等につきましては、基本計画策定の場合に十分それらを基本計画の中に織り込みまして、そして、それに対応するような施策を、それぞれ将来の予算等において行なっていただくことになるのでございます。  なお、都市過度集中そのものを放置しておいて、こういうものを作るよりも、都市過度集中ということ自体も今日では大問題だから、やって参らなければならぬじゃないかという御質問でございますが、これにつきましては、御承知のとおり、首都圏既成市街地における工業等の制限に関する法律、あるいは工場立地の調査等に関する法律の一部改正が先般通りましたけれども、そういうようなことによりまして規制をするという、他の法体系で処置して参ることが適当かと考えておりまして、この法律そのものの中には特にうたっておらないわけでございます。  なお、官庁間の争いがあって、そして関係大臣が非常に大ぜいになったではないか。——この法律のできた最初の関係が、自治省もしくは通産省、あるいは建設省と、それぞれの構想を持っておられたのを一括したのでございますから、その過程においては何か官庁間の争いがあったようでございますけれども、今日では円満に話し合いがつきまして、一本になってこの法律適用に邁進するということにいたしておるわけでございます。同時に、運用におきましても、この法律自体が非常に広範な政府の施策に関係をいたしております。したがって、これらの官庁間の調整を十分にしていかなければならぬことは当然でございます。それぞれの官庁の立場でもっていろいろ意見のあることは、これまた当然です。なければならぬと思います。しかし、それを大局に立って調整をして参って、そして国家の重要な目的に邁進するのでございまして、そういう点について最大の注意をしていかなければならぬことは申すまでもないことでございます。  なお、経済企画庁は企画的な仕事をいたす官庁でございまして、直接の実施というもの、それぞれ監督官庁がございますので、それらの監督官庁にお願いすることでございまして、現在において、企画庁自体が公団等を作って、これを実施していくという考え方は持っておりません。  なお、市の合併特例等につきましては、自治大臣からお答えをすることだと思いますので、省略いたします。(拍手)   〔国務大臣佐藤榮作君登壇拍手
  21. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 新産業都市建設企業偏重ではないかというお尋ねがあったと思います。ただいま藤山長官から詳細にお答えがございました。私も全然同様でございますので、省略させていただきたいと思います。特にその藤山さんのお答えのうちにありましたように、必要開発地域につきましては、吉田さんすでに御承知のように、産炭地振興臨時措置法がございますし、またこの国会に対しましては産炭地振興事業法案を提案いたしまして御審議をいただく予定でございます。  最後の問題で、この法案選挙に利用されるのじゃないかということで、私の新潟における記者会見の模様に触れられましたので、当時の実情を一言申し上げてお答えにかえさせていただきたいと思います。私、御承知のように、新潟に参りまして、知事選挙の応援に参りましたが、その際に新聞記者会見を持って、その際に、記者のだれでしたかの質問に答えて、私が新潟地方の将来の発展についての私見を述べた。これは当時の新聞記事に伝えられておるとおりでございます。これはしかし、私が選挙のために特に発言したものでない、これを御了承いただきたいと思います。(拍手)   〔国務大臣安井謙君登壇拍手
  22. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 地方開発地域格差の解消のためには、国と地方が相協力してこれに努めることが必要であることは申すまでもないと思います。この法律のねらいの一つはそれにあろうかと思うのであります。すなわち、都道府県の知事が関係の市町村と協議をいたしまして、その自治体の決議によって国にこれを申請をして、そうして国が、これが妥当なものであれば、それぞれの立地条件の改良その他の措置をするわけでありまするから、これが決して一方的に地方財政が圧迫をされる、そういったものではなく、地方の負担すべき区分あるいは国の負うべき区分というものが、最初から計画的に明瞭にされておるわけであります。したがいまして、自治省ではその区分に従いまして必要な起債その他の措置もやる、あるいは財政的に、税金の面で減税等をやりました場合には、これを交付税で補てんをする、こういうような措置をやろうとするわけであります。  なお、この新合併都市特例法案との関係につきましては、現在、地方によりまして数都市合併をいたしたいという機運が非常に燃え上がっております。で、それを今日促進いたしますための経過措置をきめようとするのがその法律案でありまして、新産業都市ができまして、さらに合併促進をされます場合には、この新産業都市法案によって合併をやる。さらにまた、現在の市町村が合併をいたしました際、将来、新産業都市指定を受ける可能性は、またこれで十分にあるわけでございます。(拍手)   〔国務大臣中村梅吉君登壇拍手
  23. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) ただいまの中で、公共事業等についての費用負担の問題がございましたが、この点は、ただいま自治大臣からお答えを申し上げたとおりでございます。したがって省略をさせていただきます。  なお、過度人口集中を排除するためには、首都圏整備開発事業などをむしろ先に活発にやるべきではないかというお話があったように思いますが、この点は現に努力をいたして、総理からもお答えを申し上げましたように、既成市街地における工場、学校等の増設新設の制限等を行ない、また、衛星都市指定育成等に努めておるのでございますが、問題は、やはりそれだけではこの過度集中は排除できませんので、もっと他の地方に、総合開発草案にもございまするように、拠点都市というものを育成していく、魅力ある拠点都市を各地方に作る、育てていく、これが私は大都市への過度人口集中を排除していく上の一番大きな仕事ではないかと思うのであります。かような意味におきまして、首都圏整備開発事業と、この新産業都市建設法律に基づく事業とが、相並行して参りまして、初めて過度人口集中を排除するのに適切な成果をあげることができるであろうと思うのであります。そのような角度で考えておりますので、もちろん首都圏整備開発事業につきましては、今後とも一そう努力をして参りたいと思っております。(拍手
  24. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。    ————————
  25. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第三、日本国に対する戦後の経済援助処理に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件及び特別円問題の解決に関する日本国タイとの間の協定のある規定に代わる協定締結について承認を求めるの件(趣旨説明)。  両件について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。小坂外務大臣。   〔国務大臣小坂善太郎君登壇拍手
  26. 小坂善太郎

    国務大臣(小坂善太郎君) 去る一月九日東京において署名されました日本国に対する戦後の経済援助処理に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定締結について御承認を求めるの件に関し、趣旨の御説明をいたします。  御承知のとおり、ガリオア等、米国の戦後対日援助の処理は、アメリカとの間の多年の懸案となっておりまして、米国は、わが国と同じくガリオア等の援助を受けた西独に対し、これが解決を申し入れたとほぼ時期を同じくして、わが国に対しても、昭和二十七年秋、これが解決を正式に要請して参りました。その結果、昭和二十九年夏、本件に関し、米国側と数回にわたり公式会談が開催せられました。  その後も米国よりは本件の早期解決方につきしばしば要請があり、他方わが国の賠償問題もほとんど解決し、経済力も比較的向上いたしました今日、わが国の国際信用を高め、かつ、日米友好関係を強化する見地からも、本件をすみやかに解決することを適当と考えまして、昨年五月十日私から在京米国大使に対し、本件交渉を再開いたしたい旨を申し入れ、種々交渉を進めて参りました結果、今般本件を最終的に処理する協定につき、合意をみるに至った次第であります。  今回の協定におきましては、米国の戦後対日援助に対する最終的処理といたしまして、わが国は四億九千万ドルを、年二分五厘の利子を付して、十五年間にわたり半年ごとに支払うことを規定しております。わが国がこの支払額及びその支払方法について米国側と合意いたしましたのは、援助の総額についての日本及び米国の双方の計数及び学童給食用ミルクのごとく、この援助総額から控除すべき各種の項目を考え、かつ、西独のガリオア処理協定の前例などの要素を勘案し、また、韓国及び琉球との清算勘定残高を反対請求権として処理した結果であります。  しこうして、この四億九千万ドルの支払方法としましては、この協定の効力発生の日から起算して、半年ごとに十五年間にわたって元本及び利子を支払うこととなっており、現実の賦払額は、当初の十二年間は毎回二千百九十五万ドル、その後の三年間は毎回八百七十万ドルとなっており、元利合計五億七千九百万ドル(二千八十五億円)となっております。  なお、本協定におきましては、わが国はいつでもこの支払計画を繰り上げて支払うことができ、他方もし将来経済事情が悪化したような場合には、日米双方協議の上で、支払いを延期するよう取りきめることができることとされております。  またこの支払いは原則としてドル貨で行なわれますが、米国は、総額二千五百万ドルを限度として、わが国に対し円貨払いを要請することができることとなっております。  なお、この協定には二つの附属交換公文がありまして、これらは本協定審議の際の参考として提出してあります。  その第一は、支払金の使途に関する交換公文でありますが、これにより、わが国が支払う金額の大部分は発展途上にある諸国に対する経済技術援助の資金として利用されることが期待されます。  またその第二は、支払金の一部円貨払いに関する交換公文でありますが、これによりわが国の支払額のうち、前述の二千五百万ドルに相当する円貨は、日米両国間の教育文化交流のために充当される予定であります。  以上が本協定並びにこれに附属する文書の概略説明でございます。  顧みまするに、この米国の援助が提供された終戦直後のわが国の事態はきわめて困難なものでありました。当時、わが国の食糧生産は戦前の半分以下に低下し、国民は未曽有の食糧難に当面したのでありますが、わが国には食糧や生活必需物資を輸入する外貨はちもろん、外貨獲得の余力もなかった状況でありました。しかも海外からは数百万に上る復員、引揚者を迎え、国民の食糧対策をいかに進めるかは、わが国民にとってまさに死活の問題であったのであります。このような際、米国が提供した対日援助が、いかにわ復興の原動力となったかは何人もこれを否定し得ざるところであります。  ただ、このような米国の援助は、無償でなされたのではないかと考えられる向きもあるようでありますので、この際この点につき一言申し上げます。当時援助物資は連合国総司令部から日本政府あての覚書によって、日本側に引き渡されたものでありますが、この覚書には明瞭に、援助物資の支払いについては後日これを決定する旨が規定されております。このような経緯から、政府は、この援助は将来何らかの処理を要するものであるとの意味において、債務と心得ているとの立場を一貫してとって参り、また国会に対してもそのように言明してきている次第であります。  御承知のとおり、わが国と同様の立場にあります西ドイツは、すでに九年前の昭和二十八年にこの返済協定を結び、さらにその後繰り上げ支払いまで行なって、大部分の債務を履行し、国際信用を高めております。これに対しまして、未だかつて対外債務の履行を怠ったことがなく、対外信用において、いずれの国にもひけをとらぬわが国といたしましては、この米国の援助に対して返済を行なうことは、矜持ある国民として当然と考えます。しかもわが国が支払うのは米国が援助した全額ではなく、その三分の一にも満たない額であります。  なお、国民の支払いました援助物資の代金は、見返資金特別会計に積み立てられ、昭和二十八年度に産業投資特別会計に引き継がれましたが、その額は約二千九百億円に及び、現在までに多額の運用益を生みつつ、わが国産業発展と民生の向上に大いなる役割を果たしているのであります。  ガリオア債務の支払いにつきましては、開発銀行出資金に対する毎年度の納付金と、開銀貸付金の約定に基づく回収金・及びその利子収入によっても、十五年間に十分完済し得るものであり、債務支払い後も納付金のもとになっている出資金は、そのまま手つかずに残りまして、引き続いて収益を生み続けてゆくわけであります。  以上申し述べました事由により、政府は今回の協定は、本件援助に対する解決としてはきわめて妥当なものであると確信しております。  以上が、「日本国に対する戦後の経済援助処理に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」の締結について御承認を求めるの件についての趣旨の説明でございます。よろしく御賛同をお願い申し上げます。   —————————————  次に、去る一月三十一日にバンコックにおいて署名いたしました「特別円問題の解決に関する日本国タイとの間の協定のある規定に代わる協定」の締結について御承認を求めるの件に関し、趣旨の御説明をいたします。  戦時中、日本の債務であった特別円勘定残高処理の問題につきましては、昭和三十年七月に締結された「特別円問題の解決に関する日本国タイとの間の協定」によって解決されたのでありますが、その第二条に規定されている九十六億円の経済協力に関し、協定締結タイ側はこれを無償供与であると主張してきました。わがほうは、協定第二条の経済協力は、投資及びクレデイットの形式で、資本財及び役務を供給することによって行なわれるのであるから、これは償還を前提とするものであるとの立場に立って、九十六億円を日本から投資ないし融資として、タイにおいて経済協力を行なう方式を基礎として種々折衝を重ねて参りましたが、いずれも実施されるには至らず、第四条に規定されている合同委員会を開こうにも開けない状態でありました。最近に至りまして、タイ側は、協定の解釈に関する日本側の立場は正しいことを認めざるを得ないが、そもそも戦時中の日本の債務であった特別円問題を解決する協定実施した結果、逆にタイ側が債務者となるような解決方法は、タイの国民感情として納得できないので、何とかこれをもらえるような形で解決してもらえないかと要請して参りました。  政府といたしましては、本件がいつまでも身近なアジアの友邦であるタイとの間の係争問題となっていることは、日・タイ両国関係の現在及び将来より見て好ましいことではないと考え、かたがたタイわが国にとって東南アジアにおける最大の輸出市場であること、及びタイには一千万人もの在留邦人がいて、東南アジアにおける日本人の活動の基地ともいうべき役割を果たしていること等も考慮して、(発言する者あり)今般大局的見地より、八年間に分割して九十六億円をタイに支払い、タイ側はこの金をもって日本の生産物及び日本人の役務の調達に充てるという方式で、本件解決をはかることとした次第であります。  今般締結されました協定は、昭和三十年の協定の第二条九十六億円の経済協力に関する規定及び第四条経済協力実施のための合同委員会に関する規定にかわる新しい協定であります。この協定により、(「訂正しろ、一千万とは何だ、一千万とは」と呼ぶ者あり)失礼いたしました。訂正いたします。先ほど、タイには一千万人いると言ったそうでございますが、一千人の在留邦人でございます。訂正いたします。この協定により、日本政府が毎年十億円ずつ七年間、第八年目に二十六億円をタイ政府指定にかかる日本並びにタイの外国為替公認銀行に設けられる特別勘定に支払い、タイ政府がそのうちより日本国の生産物及び日本人の役務の調達を行なう方式並びに手続が定められ、また、前記合同委員会は廃止されることになりましたが、日・タイ両国政府は、本協定実施のため相互に緊密に連絡をとることになっております。  なお、タイ政府は毎年すみやかに調達契約を締結かつ実施して、特別円勘定の残高を最少限度にとどめ、かつ、利子等の生ずる余地をきわめて少なくする意向であることを明らかにしております。  政府としては、本件解決されれば、日・タイ両国の友好関係は飛躍的に増進されることと確信するとともに、今後ますますアジア外交を積極的に推進するよう努力する所存であります。  以上が「特別円問題の解決に関する日本国タイとの間の協定のある規定に代わる協定」について御承認を求めるの件についての趣旨の説明でございます。よろしく御賛同をお願いいたします。(拍手
  27. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。森元治郎君。   〔森元治郎君登壇拍手
  28. 森元治郎

    ○森元治郎君 私は日本社会党を代表して、ただいま議題となりましたタイ特別円経済協力の解決に関する協定、及びガリオア、エロアなど、いわゆる戦後アメリカの対日経済援助費の返済協定の二つについて、政府の所信をただしたいと存じます。  今度のタイ特別円処理くらい暗い影のある不思議な交渉はありません。九十六億円の経済協力は、日本タイ両国が条約によって厳粛に投資及びクレジットの形式で融資を供与すると、明々白々な取りきめをしておりまするのを、池田総理が昨年暮れ東南アジア訪問の際、タイのサリット総理大臣と二人きりで、しかも、たった一回の会談でこれを廃棄し、無償供与と改めることに合意してしまったのでありまするが、あまりにもこれは勝手過ぎるのであります。これまでの政府答弁では納得が参りません。条約を誠実に履行できなかった真相を、ここにすべて明らかにしていただきたい。同時に、今後かかることなしと断言できるかどうかを、あわせて総理大臣から伺いたいと思います。  政府は、これまで、有償の協力とあるのを無償だと解釈するのは、タイ側の誤解もはなはだしい、条約の実施ができないのはタイ側の横車だという態度をとって参りました。それをなぜ一挙に譲ってしまったのか。総理の説明によれば、これは衆議院でありまするが、押し問答ではラチがあかない、東南アジアにおけるタイの地位、伝統的日タイ親善関係タイの国民感情などを考慮して、大所高所から事の解決をはかったというのでありまするが、はたしてそうでありましょうか。そもそもタイ側は、物資などを徴発されたほうが借金を払うというような理屈はないという立場から、自分の思いどおりに解決を見たことを喜んでおりましょうけれども、政府の言うように特別の恩恵とは思っておりますまい。あやふやな大所高所的処理について総理から伺いたいと思います。  私は、日タイ交渉を見て、物がわからないのは、はたしてタイ側だけであるのか、こちら側には何も云々されることはないのだろうか、若干の疑問を持たざるを得ないので、お伺いしたいことがあります。特別円協定が調印された昭和三十年ごろを思い出してみますると、当時の日本は、賠償問題は未解決であり、対外債務の全貌のはっきり見通しがつかない事情にあったので、タイとの取りきめにあたっても、当時の自民党鳩山内閣も渋い態度をとったことは、うなずかれると存じます。しかしタイ側は、たとえ有償の形式でも、無利子とか無期限とか、贈与に近いものを欲して頑強にがんばったから難航したのであります。そのときの政府のある責任の地位におられる人が、作為か不作為かは知りませんが、タイ側に、有償とはいってもこれは息の長いものであるかのごとき思わせぶり、ヒントを与えたということであります。だからタイ側も、投資及びクレジットの形式で日本資本財及び日本人の役務を受けることに同意したのではないかと思われるのであります。さもなければ、いかにタイ国でも、あれだけはっきりしている条約の文言を取り違えるはずがないと思うが、どうでありますか。当時タイ国駐在大使は太田一郎さんでありましたが、協定ができた翌年の春、任地を離れましたが、その理由は、いろいろな苦情を聞いて、いづらくなったためであるということを私は聞いております。一時のがれの小手先外交が禍根を残す好例であると思うので、総理、外相から、それぞれ御答弁を承りたいと思います。今かりに百歩を譲って、無償とした場合には、供与額の減額は当然ではないか。事務当局のほうは、大体この線で交渉を進めていたと聞いております。なぜ総理はこれを取り上げなかったのでありますか。タイ国及びサリット首相からの手厚いもてなしに、つい気を許してしまってお忘れになったんではないかと存じます。また、小坂外相は、総理のこの新しい取りきめの場合に、相談に乗っておられたのか、つんぼさじきであったのか、減額交渉について総理にどんな意見を具申したのか、その間の事情を明らかにしていただきたいと思います。  われわれは、かかる不明朗ないきさつを持った協定、しかも内容内容だけに、これこそ国会に事前に諮るべきものであるのに、その措置もとらず、憲法や条約を軽視しているこの協定を認めるわけには参りません。  次に、ガリオア、エロアなど、戦後アメリカの対日経済援助の返済についてお伺いをします。  これは、タイ特別円同様まことにはっきりしない問題であります。政府は、対外信用上返済することは当然のことであると言っております。問題は、なぜ返さなければならないかにあると思います。  そこで、一番初めに日本が占領地救済ないしは経済復興援助が与えられたとき、これをどういうものだろうというふうにお受け取りになったのか、お尋ねをしたい。最初にもらった去る二十一年、総司令部は、返済方法は後日決定をすると言った。また同じく二十二年には、マッカーサー元帥が、アメリカ議会に対して、アメリカ予算からの支出は日本の債務となると言いました。このことを聞いて政府当局者は、なぜか、どれが一体それにあたるのか考えるいとまもなく、ただ一途に債務と心得てしまって国民に押し付けたところに、この問題混迷の発端があったと思うが、どうでありますか。  われわれは、アメリカ側が、戦後わが国が苦しみのどん底にあったときにいろいろな援助をしてくれたことに対しては、心から感謝をいたしております。しかし実は、その援助の代金はちょうだいするのだと聞いては、国民も釈然とするわけには参りません。しかし、債権だ、債務だと、むずかしいことになりますれば、われわれも西洋人のように合理的な基礎で問題を考えなければなりません。はたして債務であるのか。その総額は——、その法律的根拠は——、また日本はアメリカの援助に全然報いるところはなかったのか等々、たくさんの疑問が出て参ります。そこで、これらの疑問をこれから一つ一つお伺いをいたします。  第一に、このような問題には国民の納得が前提だと思いまするが、国民はただ、あっけにとられているのが実情であります。これをいかにごらんになるか。(拍手)また債務という法律的根拠は何であるかであります。政府趣旨説明によりますれば、さきに引用したマッカーサーのアメリカ議会へのメッセージにしても、占領地行政の遂行にいかに経済援助が有効であるか、国民の税金はいかに有効に使われているかを、議会と国民に知らせようというゼスチュアが見られたと思いますが、どうお考えでしょうか。  次に、アメリカは、援助によって、日本を自分の政治的影響下につなぎとめることができまして、アメリカの利益になっているとすれば、援助は当然無償の代価であるかとも考えられますが、どうでありますか。  その次は、日本は援助の代償として、終戦処理費四十七億ドルを負担しております。これはポツダム宣言の被占領国の負担する終戦処理の範囲をこえておるのではないかと思いまするが、どうでありますか。  第四点は、債権債務は対等の国家間で起こるものであります。占領国、被占領国間にはありません。占領国は、当然占領地援助の責任があるとされておるのが通説でありまするが、どうでありますか。援助資金が債務なら、当然自由に使用できるはずでありまするが、実際はただ与えられるだけで、自分の好きなものすら手に入れることができなかったではありませんか。これをどう解釈されるか。債務ならば、憲法、財政法によって、国会承認を受けるべきであるのに、政府が勝手にこれをきめるのはおかしいと思います。総理は、大蔵大臣当時の去る二十六年九月十四日、これはサンフランシスコ講和会議の当時でありますが、新聞記者会見で、対日援助は債務でないということがアメリカ当局者との話し合いで確認されたと言っておりますが、今日では債務と心得ると言っておりますのは、この矛盾をどういうふうにお話になりますか。われわれは、理由の明らかなものを拒否するというものではありません。政府提出の根拠資料なるものもはなはだばく然としていて、これだけでは実態をつかめません。しかし、これは関係委員会の討議に譲ることにします。  政府はまた、返済額はアメリカ援助の全額ではなく、その三分の一に満たないと自賛しています。返済の可否が問題であるとき、こんなことは全然問題になりません。私は、政府が無理押しして成立をはかろうとするのは、究極のところ、アメリカのドル防衛の協力をあせる一方、お体裁の大国主義の自己満足というほかはないと思います。今なすべきことは、債務の返済を急ぐことではなく、もう一度出直して、本問題の善後処置についてアメリカとじっくり話し合うことであります。  それから、タイとの交渉でもそうでありますが、あやしげな腹芸という芸当は間違いのもとであります。国民の税金を使うにあたって、政治家はもっと責任を感じて、じっくり、かつ堂々と進退すべきものであると思うが、総理の見解をただしておきたいと思います。  なお、交換公文によれば、日本の支払金の大部分を、アメリカは、自国の低開発国の経済援助に使用すると言っておりますが、そのアメリカの計画なるものは承知しておられるかどうか。また同公文には、「適当な立法措置をとることを条件として」とあるが、日本の意向はこの使途について考慮されるのかどうか。また、この援助には、韓国というのは対象に入っているかどうか。  次に、日米間の教育文化交流に二千五百万ドル相当の円貨を充当する計画となっているそうでありますが、その内容もあわせ御答弁を願いたいと思います。これは外務大臣からお願いをいたします。  終わります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  29. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) まず、タイ特別円につきましてお答えいたしますが、サリット首相と二回会ったのでございます。しかもその前に、外務大臣も向こうの外務大臣と相談しております。一回でさっとやったのではありません。またこの問題は、ずっと以前から、もう大使を通じて交渉さしておったのでございます。御承知のとおり、十五億円の戦時中の調達物資の代金、これを、金で返すべきものは金の計算にいたして、それぞれいろいろやったあげく、結局百五十億円ということになったのであります、現金で五十四億円返す。九十六億円は、お話のように、投資またはクレジットの形式によって日本資本財または労務を供給する、こういうことになっておる。そうして第四条のそのやり方につきましては、合同委員会を開いてきめましょう、こうなっておるのでございます。で、九十六億円をいかにして払うかということを六年間いろいろ交渉いたしましたが、合同委員会でできない。なぜそうなったかと申しますと、日本のあの二条の解釈については、向こうは異論はありません。日本の言うとおりだ。しかし、タイは実は間違ったのだ。しかも、戦争中に十五億円の物資を徴発せられて、日本はその金を払うと言いながら、結局タイの債務になる。こういうことはタイの常識で判断できぬ。そこで私は、昭和三十一年の石橋内閣のときに、こういう案を出しました。九十六億で精油会社——石油精製工場を作ろう、そうしてその利益を積み重ねて、九十六億円をタイに何年間で渡すようにしたらどうか、こう申しましても、この案もけられた。いろいろやっている。急にやったわけじゃない。しかも。外務大臣が申しましたように、タイの国民としてみれば、日本に協力して、あの昔の金で十五億円出したのを、今度は五十四億円払ってもらって、九十六億円はタイの借金になるのだ、これでは常識に合わぬ。条約はそうでありますが、タイが間違いましたから直して下さい、これなんです。そこで有償で、九十六億円で工場を設けて、何年間で払うということはきめていない。今、九十六億円の工場をあそこに設けて、二十年も三十年も、利益配当で九十六億円になるまで、日本の金であそこに工場を設けて、そうしていくことがいいか。あるいはまた、九十六億円の現金を貸して、そうしてどういう利子でやるか、九十六億円を今貸して、年二分とか三分とかいう利子で九十六億円利子がたまってくるように、九十六億円を、今、日本が貸すがいいか。あるいは向こうに譲ってやって、九十六億円は今払えぬと、しかし、長い目で見て九十六億円を上げましょうと言ったほうがいいか。経済的にどっちがいいかということを計算して、もともとこれは外交の機密でございまするが、私は減額でいこう、一ぺんに払うから金額を負けろと、こういう交渉も大使をしてずっと前からやらしているわけです。そこで、たとえば一年ごとに十億円払う、そして最後の八年目に二十六億円払う、これを今の金で一ぺんに払うとしたらどうするか。こういう点をいろいろ出発前に、外務大臣、大蔵大臣とずっと検討して、しかもまた向こうでは、私は当初は十五年間で払おうと言ったら、向こうは一年、二年までいい。そして十年とか五年、まあ結局は八年ということになって、しかも、八年でやりますと十何億円ずつ出さなければいけませんから、当初の七年間で十億円ずつ、あと二十六億円、こういうことで、できるだけ向こうに恩恵を与えるように、そうしてわれわれの財政上の支出が、長い目で見て、一ぺんに九十六億出すということよりも、これのほうが国のためにいい、そうして向こうも喜ぶ、ということでやったのであります。タイも非常に恩恵を感じております。私はタイに参りまして手厚い招待を受けた、こんなことは全然ございません。タイは非常に感謝いたしております。従来は、北緯十五度線以北の資源の調査は各国に許していない。日本にのみその調査を許そう。そうしてまた、今まで日本はかなりの輸出超過、一億二千万ドルの輸出で、そうしてタイからの輸入は七千万ドル足らず、五千万ドルの輸出超過、これをタイ特別円解決がつかなきゃ経済断交をやろうかという声もある。こういう点をずっと考えてみると、今度の特別円の問題は、私は、タイに喜ばれ、そうして国際信用を高め、将来の東南アジアヘの基地がますますよくなったということを確信いたしておるのであります。  また、ガリオアの問題は、何ゆえ払わなきゃならぬか、こうおっしゃいますが、何ゆえ払わなきゃならぬかということは、もうあれをもらいますときに、昭和二十一年のマッカーサーの覚書で、支払いの条件及び計算については追ってきめる、こういうスキャッピンが出まして、そうして片山内閣はこれによっていろいろ物をもらって、そうしてもらったものは、小麦とか、あるいは砂糖とか石油、綿花等々、たくさんございます。私が昭和二十四年の吉田内閣の大蔵大臣になりますまでは、そのもらった物資八億ドルというものはどこへ行ったんです。これはみな輸入補助金、輸出補給金、こういうふうにして、アメリカからもらった八億ドルの援助というものは、やみからやみに行って、だれもわからなかった。こういうことでいいんでしょうか。私は昭和二十四年に大蔵大臣になりまして、アメリカから輸入したものは国民に売って国民から金をもらっている。国民から輸入物資の金をもらって、政府はその金を持っている。だから、その輸入物資を国民に売った金をためて日本経済を復興したのが、対日援助見返資金特別会計であります。その金が産業投資特別会計に行って、外務大臣が言っているように二千九百億円今残っておるんです。だから、国民に金を払ってもらって、政府はこれを持っている金を債務と心得ているんだから、こういう機会国会でその手続をとって、そうしてわれわれがためておった金の利子で、大体、利子で払っていこうというのが今回の考え方。私は国民は納得して下さると思う。もしそれ、アメリカの輸入物資を国民に売りつけておいて、政府はそのままネコババしてアメリカに払わぬと言ったら、たいへんです。政府の信用にかかわります。国民から出してもらって、その金をためて日本産業の復興のもとをなし、そうして今後もそのためた金の利子でおおむね払っていける、こんないい外交はないじゃありませんか。(拍手)恩を知り、そうして信用を高める。これがわからないのは、私はどうか……。しかし、できるだけおわかりになるように、委員会でも申し上げたいと思います。こういう事情でございます。  アメリカからの輸入物資をもらって、おれはこのまま過ごそうという気持は、よくございません。払える金がまだ残っております。その利子で払える。こういうことは、私は非常に、国としても外交上からもいいと考えておるのであります。(拍手)   〔国務大臣小坂善太郎君登壇拍手
  30. 小坂善太郎

    国務大臣(小坂善太郎君) 大部分総理大臣からお答えになりましたのでございますが、まず、タイの問題であります。  これは、その投資またはクレジットの形式で供与するというので、違うじゃないかということであります。これはもうタイ側でも、よくその日本側の主張が正しいことを認めておりまするが、これではもう動かないというので、大所高所に立って変えたわけでありまするが、それでは今度、かりに投資及びクレジットの形で、向こうがどうしてもいやがるのにこれを押しつけてどうなるか。これは、かりに先方が受け入れざる以上これができるわけがありませんけれども、これがかりにできたとしても、こういうものは返ってこないのであります。それでは、今回、両方が喜ぶような形でずばりときめて、そうして日本のアジア外交を大いに推進しようというのが、私は非常に日本外交として明るい面をアジア外交として出していくということで、どうかお認めをいただけるのではないか、かように思っておるのであります。  それからガリオア・エロアの点でございますが、去年、終戦処理費は五十四億ドル払っているからこれでいいじゃないかというお話でございましたが、これはドイツでも、この場合、百二十七億ドル払っております。これは平和条約でこの終戦処理費等の請求権というものは放棄しておりまするから、これが対象とならない、あるいはガリオア・エロアの場合に差引勘定の対象にならぬことは、もう森さん、よく御承知のことだと思うのであります。それから、よく西独と比較をしておりますけれども、そんな比較は意味がないんだ、西独は、いろいろなものをもらっても、いやなものは断わったとか、あるいは五一年に処理協定を結んだとか、こういうような御議論があるわけでございます。ところが、これは御承知のように、西独の場合は、ポツダム四カ国の分割占領が行なわれまして、西独には、アメリカのほかに、イギリスもフランスも占領地区があったわけでございます。したがって、統一政府というものはないのであります。そこで四九年にアデナウアー政府ができた機会に、新たに五一年に処理協定を結んだ、こういうことでございまして、これは占領の形式が違うということからきているのでありまして、その協定を片方は結んだとか、そういうような議論は、この実情を解しない議論と言わざるを得ないと思うのであります。  なお、いろいろなものを断わったというようなことがありまするが、先方の政府に照会してみましたけれども、さようなことはないということであります。むしろ日本の場合には、いろいろな点について交渉して、控除してもらうべき正当の理由がわれわれにあるものについては、極力これを交渉して、西独の場合よりもずっとわがほうが有利になっている。たとえて言えば、西独の場合は、三三・一七八をアメリカの要求のベースにかけて、十億ドルというものを算出しているのでありますが、日本の場合は、アメリカの出している資材から見ますと、全体の二五・八%しか払っておらない、しかも日本の出した資料に基づく計算からいうと二八・五%払っているのでありまして、はるかにこのほうが有利であるということは明瞭であると思います。  その他いろいろ御質問ございましたけれども、交換書簡の問題に一つ触れておりますが、文化交流等については、これは十分打ち合わせて、意義のあるものにしたいと思いまするし、また、開発のおくれている国に対する援助は、アメリカの国内の適当なる立法を条件としていたしますわけでございますが、地域については限定されておりません。十分これはわが国との間にも相談が行なわれるものと期待している次第でございます。  以上でございます。(拍手
  31. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 松浦清一君。   〔「答弁漏れがあるぞ」と呼ぶ者あり、その他発言する者あり〕
  32. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 松浦清一君。   〔松浦清一君登壇拍手
  33. 松浦清一

    ○松浦清一君 ……(「ちょっと待ってくれ、答弁漏れがあるぞ」と呼ぶ者あり)   〔松浦清一君降壇〕
  34. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 森君、何ですか。
  35. 森元治郎

    ○森元治郎君 答弁漏れ二点。一つは、もし無償というならば、減額の交渉をすべきであったのではないか。外務大臣はどうされたか。総理大臣はどうされたか。もう一つは、タイ側がこれは無償で供与されたのだと誤解をした、その誤解をさせたのは日本側の間違いではなかったかという先ほどの質問。その二点についてもう一ぺん御答弁を願います。
  36. 松野鶴平

  37. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 減額の問題は、先ほどの答弁でいたしたと思います。大蔵大臣、外務大臣と話をいたしました。そして、一時金で安くしようという交渉もいたしておりました。答弁いたしておると私は思います。  それから、あの二条の問題で誤解をさせたのは日本ではないか、日本のやり方が悪かったのではないか、こういう御質問でございます。私はそうは思いません。向こうも、あの条文はわれわれが落度だったんだと、こう言っておる。向こうの落度だと私に言っております。日本の解釈に間違いはないと言っておる。われわれが誤解させたということは毛頭ございません。   〔国務大臣小坂善太郎君登壇
  38. 小坂善太郎

    国務大臣(小坂善太郎君) 今総理大臣から御答弁がありましたとおり、二点については、よく相談した結果、そのとおりでございます。
  39. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 松浦清一君。   〔松浦清一君登壇拍手
  40. 松浦清一

    ○松浦清一君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ガリオア・エロア援助の処理に関する日米協定、日タイ特別円協定の、双方の承認を求める件につき、わが党の態度を明らかにしながら、政府に対し若干の質問をいたしたいと存じます。  申すまでもなく、この両案件は、戦時中並びに戦後のわが国が生きていく悩みの中に残してきた未解決案件なのであります。終戦後十七年もたった今日でありますから、これらの未解決案件を一日も早く解決して、戦争の残した一切の懸案をすみやかに解消することは、当然と思うのであります。しかしながら、この案件には、その本質に対する理解の仕方に問題があると思うのであります。私ども民社党は、かねてより表明いたしておりまするとおり、一国の外交は、イデオロギーをもって観念的に律すべきものではなくて、まず国全体の利害と国の安全保障の見地に立って、具体的に展開すべきものと考えております。この意味において、外交には、党派を越えた国民共通の立場をとるべきものと思うのであります。特に今回政府が提出した両案件は、対外支払いを目的とし、ガリオア・エロアのごときは、十五年間に二千八十五億円という巨額の支払いが予定されているのでありまするから、本院としても、これがどうして国民の負担による債務となるのか、明確にする必要があると思うのであります。この見地に立って、私はまずガリオア・エロア協定について、次の諸点につき政府の御説明をさらに詳細に承りたいと思います。  その第一点は、政府は、ガリオア・エロアを、いずれも対米債務として確認する立場に立っておりまするが、国民の感じとしては、対米支払いは、食糧代金としての支払いその他の経済復興用物資を購入する代金の支払いとして、すでに政府に対して支払い済みであるという事実をどうしても忘れることができないのであります。ただいまの総理、外務大臣の御答弁を聞いておりますると、二千九百億円ためた金があるから、それで払えば損はないという、ただいまのお説でございまするが、それは本質的に私どもの理解と意味が違うのであります。  すでに本件が対米債務であるかどうかについては、今日までの国会論議及び政府答弁を検討しますと、政府考え方は、本件は債務性が濃い。濃いという理由は、突き詰めてみれば、米国側が贈与であると言明したことがないということが唯一の根拠のようであります。ところが、先ほどもいろいろ問題となりましたように、米国側においてすら、占領当時のマッカーサー最高司令官の米国議会に対するメッセージや、ドッジ氏の証言内容に照らしてみましても、債権債務として確認いたしてはおらないのであります。わが国側におきましても、かつて国会が輸入食糧に対する感謝決議を全会一致で行なったのは、債務ではなくして援助として理解していたからであります。このように日米双方とも債権債務として確認していなかったものを、債務性濃きものという解釈を積み重ねて今日に至り、ついに協定調印という既成事実を作り上げてしまったということは、国民の利害をあまりにも軽視した独断ではないかと思うのであります。詳しい論議は予算委員会及び各委員会に譲るといたしましても、ここで端的に総理お尋ねをいたしたいのは、あなたはガリオア・エロアを当初からわが国側の債務として確認する立場に立ってこられたのか。それとも、対米外交上の政策配慮や米独協定等の先例等にかんがみて、政策的に債務として認める立場へ次第に変わってこられたのか。この間の事情を明確にしていただきたいと思うのであります。  第二に、自民党外交は一貫して対米追随外交と言われ、秘密外交と批判されるのも、このような国民的利害を軽視して、いたずらに米国政府タイアップしては対米追随の既成事実を作り上げているからではないかと思うのであります。国民の多くは、ガリオア・エロアは、本来、米国の占領政策に基づく贈与と考えているのであります。これを政府がどうしても債務と判断しなければならなかったその理由と根拠をお示し願いたいのであります。  第三に、また本案件がかりに成立いたしますると、産投特別会計は、将来十五年間の長きにわたりまして対米支払いの別ワクを設けることになり、それだけ産投会計運用の弾力性を失うのであります。すでに明年度の海運等に対する諸対策がこの面より制約されているのではないかと見られまするが、それによって財政投融資関係産業に影響がないというならば、その根拠について、大蔵大臣の御出席がございませんから、総理より御答弁が願いたいのであります。  次に、日タイ特別円協定についてお伺いをいたします。今、日本の国民は、ガリオア・エロアを債務と心得、日タイ特別円九十六億円が無償供与に変わってきた、そのいきさつについて、得心のいかない大きな不満を持っているのであります。すでに池田首相は、衆議院において、ビルマ賠償再検討問題については、外交担当者として見通しを誤ったから陳謝すべきであると答弁しておられまするが、国民は、あなたの答弁を聞いて、日タイ協定が借款から供与に変わった事情についても、何か両国政府間において国民に知らされていない特別な事情が存在しているのではないかという印象を受けておるのであります。これは政治に対する不信であり、外交に対する疑惑であります。本国会開会以来、この問題は、外交の過剰観念論争は別として、実質的な国の利害に関する問題として、衆参両院において質疑が行なわれて参りました。しかし、なお疑問は解けず、国民は不審顔であります。したがって、私が総理に求めたいのは、日タイ特別円協定の事情変更についてのいきさつを、それを聞いている国民が納得できるように詳細な御説明をわずらわしたいのであります。  次に、外務大臣に伺いますが、あなたのただいまの趣旨の説明を聞いておりますと、大局的見地に立って供与にしたほうがいいと言っておられます。すなわち、今後の日タイ貿易の拡大及び九十六億円の支払い金額が、わが国側の生産物と日本人の役務の調達に充てられるという点をもって、大局的とされているようでありますが、あなたの大局的見地は、今は九十六億円の供与をしても、将来はこういう形でわが国の利益になるという、具体的説明が欠けておると思うのであります。ただいまの総理や外務大臣の御答弁を聞いておりましても、なおその点は不明瞭であります。外国との協定によって支払う義務を負わされたほうの国民は、それが直ちに現実の負担となるのであります。その対象として、協定された内容が抽象的であっては、がまんならぬのは当然であります。あらためて、この点につき外務大臣の説明を求めます。  私は、以上の両案件について、ただいままでの政府の説明だけでは、何としてもこれをすなおに納得することができないのであります。願わくは、農漁山村に「すき」、「くわ」をかかえて不審顔をしている国民が納得ができるように、重ねて詳しい御説明をわずらわしたいことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  41. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) ガリオア・エロアの問題につきましては、先ほどお答えしたとおりでございまして、輸入物資が放出されるときにも、マッカーサー元帥は、この放出物資に対しましての支払い条件、計算につきましては追って定むと、こういうふうに覚書が出ているのであります。われわれはこれを知っております。そうして、私は戦後大蔵省におりましたが、この輸入物資の代金というものは国民がみな払っておる。小麦粉も、あるいは衣料品も、そうしてまた工場に送られました石炭、石油等も、みんな払っております、会社や個人で。その金がどういうふうに使われたかと申しますると、先ほど申し上げましたように、複数為替レートで、そうして輸出補助金とか輸入補給金、こちらへ、安定帯物資というものがございまして、価格も非常に押えておった。外国から物を入れましても、安く売ったために、その補助金に輸入物資の代金が充てられたのです。こんなことをしておったらたいへんなことになりますから、昭和二十四年の対日援助見返資金特別会計というものを設けて、そうして国民のお払いになったお金をそこへためて、復金をやめて、そうしてその金で重点産業日本産業を興すことを私は計画して、皆さんの承認を得てやってきたのであります。で、大蔵省の説明では、その金が今二千九百億円ある。私はまだ別に貿易特別会計から外為特別会計へ入れた金が七百億くらいあることを記憶いたしております。こういうふうにして、国民に配給したものは、お金を政府が取り上げて、昭和二十四年からやっておるのであります。私は債務であると確認はいたしておりません。そういう関係で、いつかはこれは払わなければならぬかもわからぬので、準備したわけでございます。先ほどサンフランシスコの講和会議のときということがございましたが、これはサンフランシスコではこの問題が出たわけではない。ドッジ氏や、あるいは外務省、向こうの国務省のヘメディンガーが、ガリオアなんか、ドイツでもこれは問題になるが、われわれはみんな払われはしない。私は債務か債務でないかわからない。しかし、いずれはこれはアメリカが要求するんじゃないかぐらいの話はしておりました。そういう機運もずっと前からある。私はそういう準備をしておる。そうして、いつかは払うべきものである。計算並びに支払い方法は追ってきめるという覚書が出ているのです。だから、私は昭和二十八年に、ロバートソン会談におきましても、直ちにこの会議を開こうと言ったのですが、まだドイツと日本は違うというので、ずっと今まで延ばしてきたのが実情であります。われわれは、債務ときめる場合におきましては、やはり国会承認を得なければなりません。したがいまして、今回これを債務とあなた方の承認によってきめたい。そうして四億九千万ドル払う。このために産投の金が減る。そうでしょう。今まで払わずにいた金ですから、それを払うとすれば、金は減るでしょうが、しかし減っては困る。減っては困るというので、私はこれを十五年間にして、今持っている金の利子だけで——利子と一部の回収金だけで払っていこう、こういうことです。ですから、金を払えば、こちらの運用資金というものはあれしますが、今二千九百億円と申しますが、今までこれを運用してためておった利子もまた別にあるのでございますよ。産投会計というものは六千億になっております。相当な金が、今までの運用利益がありますから、私はそういうことを勘案していきたいと思っておるのでございます。  それから、特別円の問題につきまして、特別な事情があるか。——そんな事情はございません。私は虚心たんかいに、日タイ関係を今のように、もう十七年、二十年前の借金を一部払って、あとは今度は貸付だという、向こうの承服しないような条件でいつまでもごたごたすることは、日本タイとの関係上よくないし、タイ日本に対しまして特別のいいお客さんです。毎年このごろは五六千万ドルこっちの輸出超過です。こういうことを考えてみましたときに、しかも、九十六億円をどう使おうかということを相談しながら、その相談ができずに六年も過ごした、しかも、その金は二十年前のものである、こういうとき、やはりわれわれとしては、従来のタイとの関係、将来のタイとの関係、そうして東南アジア全体の関係から考えまして、有償だといっても条件がきまらない、こういうことはよくないというので、私は、はっきりこの際きめたわけでございます。(拍手)   〔国務大臣小坂善太郎君登壇拍手
  42. 小坂善太郎

    国務大臣(小坂善太郎君) 非常に農村の端におる国民にもわかるように話せということでございますから、例をもって申しますと、ガリオアの問題は、たとえば、私が困って、ある人から援助を受けた。そこで、松浦さんにその物を差し上げて、松浦さんからはお金をちょうだいした。そこで私が家を作ったわけです。で、家作がふえまして、これは今貸して、利息が相当になっておる。そこで、そのときの約束に従いまして、いずれ追って相談して何分払うと、こういうことで、家作からの収入でその借りたものを返す、こういうことでございますから、借りたときにありがとうと言ったから、もうただだというようなことじゃなくて、やはりちゃんと払って堂々と世の中を渡るほうがいい、こういうことだと考えております。  それからもう一つタイのほうは、これはタイ特別円の問題は賠償ではございません。まあインドその他には、債権者会議等でもって、一昨年、昨年と引き続きまして一億数千万ドルのものを出しておるわけでございます。その他の賠償の国にも出しておるわけでございますが、タイは、総理からもお話があったように、戦争中、日本の借りておったものをそのまま焦げつかしてしまっている。そして六年間も、向こうが解釈をことさらに曲解しておりますといいますか、そういう立場でおりますけれども、六年間もそういうふうにほうってある。そこで日タイ関係が冷却してしまっているのでありますから、これをひとつ今度きれいにして、そうして将来の日タイ関係をもっとよくして、アジアにおける日本の立場をさらに強固な明るいものにしよう、こういうことでございます。その結果、おそらく、これは将来のことでございまするけれども、いろいろタイのほうでは、今まで他国に許したことのない工業調査を日本と一緒にやっていこうとか、あるいは共同の事業をやるとか、そういうようなことがぽつぽつきているわけでございます。で、貿易が伸びますることはもとよりでございます。総理が言われましたように、タイとの輸出は一億一千万ドル出ております。この片貿易の分だけでも五千万ドルあるわけでございます。九十六億円というと、大体二千六百万ドルでございます。二千六百万ドル払うことによって、またさらに多くの貿易が期待されれば、あるいは日本の気持というものがタイ側に伝わることによって、大いに日本の地位が上がる。こういうことならば、この際にこれをきれいな形で解決したほうがいいのじゃないか、こういうことでございます。  以上お答えを申し上げます。(拍手
  43. 松浦清一

    ○松浦清一君 総理大臣から、先ほど森君の質問に対して答弁された内容と同じような答弁をいただいたのですが、私は、そのガリオアとエロアの二千八十五億円が高いとか安いとか、また、特別円の九十六億円が多いとか少ないとか、そういうことを議論の焦点にしているのじゃないのです。ガリオアとエロアのほうは、国民が受け取っている感じは、これはもらったものだ、贈与されたものだと思っていたんです。そうしてそれをもらった金を払っているわけです。それが政府のほうで債務というふうに考え方が変わってきて、そうしてもう一ぺん払わなければならぬというようになったのはどういうわけだろうかという不審が大いに出るわけであります。(発言する者多し)もらったと考えていたものが借金であったと変わってきたのはどういうわけか、この点についての御答弁がないようであります。(発言する者多し)
  44. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 静粛に願います。松浦君、あなたの質問済みましたか。(発言する者多し)静粛に願います。   〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  45. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今お答えしたとおりでございます。国民はもらったと思っている——これはあなたの独断じゃございますまいか。私はそう思っていない。したがって今まで本議場におきまして、もう十年にわたって、債務と心得ておりますということをはっきり言っております。だから私は、あなたが国民はもらったと思うと言われることは独断だ。われわれ感謝決議をいたしました。感謝決議をしたのは、輸入物資の放出に関する感謝でございます。何も、下さってありがとうとは国会は決議しておりません。よくごらん下さい。  それから、もう払ったのにもう一度と、こういう……(発言する者多し)
  46. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 静粛に願います。
  47. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) (続)払ったのにもう一度と、だれが言っておりましょう。国民はそのものの代金をお払いになりました。しかし政府はまだ払っておらぬ。国民に、売りました金を政府は持っておって、アメリカに払っておりません。もう一度というわけではないと思います。(拍手、「進行進行」「議長」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  48. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 静粛に願います。松浦君、あなたの時間はなくなりました。  これにて、質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。    ————————
  49. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第四、昭和三十六年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長棚橋小虎君。   —————————————   〔棚橋小虎君登壇拍手
  50. 棚橋小虎

    ○棚橋小虎君 ただいま議題となりました昭和三十六年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  本案は、昭和三十六年産米穀について、生産者が事前売り渡し申し込みに基づいて売り渡した場合は、従来と同様に、その売り渡し所得について一石当たり平均千四百円を非課税としようとするものであります。  本委員会の審議におきましては、米価政策に対する政府の基本的な考え方、今次税制改正による農民の税負担に対する影響等について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  51. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  52. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は全会一致をもって可決せられました。    ————————
  53. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第五、昭和三十六年五月の風害若しくは水害、同年六月及び十月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美濃地震による災害を受けた農林水産業施設災害復旧事業等に関する特別措置法の一部を改正する法律案、  日程第六、昭和三十六年五月、六月、七月、八月及び九月の天災についての天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法適用特例に関する法律の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)、  以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長梶原茂嘉君。(「定員が足らぬぞ」と呼ぶ者あり)   —————————————   〔梶原茂嘉君登壇拍手
  55. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 ただいま議題になりました法律案二件について、委員会における審議の経過と結果を報告いたします。  まず、昭和三十六年五月の風害若しくは水害、同年六月及び十月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美濃地震による災害を受けた農林水産業施設災害復旧事業等に関する特別措置法の一部を改正する法律案でありまして、この法律案内容の骨子は、さきの臨時国会において、昨年の五月以降全国各地に起こった風水害等による農林水産業施設災害復旧事業等について、特別措置法が制定されたのでありますが、この特別措置を、その後起こりました十月上旬の台風二十四号並びに十月下旬の集中豪雨及び台風二十六号等による農林水産業施設災害復旧事業等に対しても適用することとしようとするものであります。  次は、昭和三十六年五月、六月、七月、八月及び九月の天災についての天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法適用特例に関する法律の一部を改正する法律案でありまして、この法律案内容は、これまたさきの臨時国会において成立いたしました被害農林漁業者等に対する災害融資の特例法を、昨年九月下旬から十月上旬までの長雨、十月上旬及び下旬の暴風雨並びに十月下旬の豪雨による被害農林漁業者に対しても適用しようとするものであります。  委員会におきましては、政府当局から提案の理由その他について説明を聞き、両法案を一括して質疑に入り、今回の対策において開拓施設及び小型漁船に対する措置を行なわない理由、従来の暫定法と今回の特例法との関係、ひいて災害の基本的対策天災資金融通額、特例法の適用地域指定方法、災害の実情とその対策費、災害が農家経済に及ぼす影響並びに、農業基本法の建前からこれが対策等について、審議検討が行なわれたのであります。これが詳細は会議録に譲りたいと存じます。  かくて質疑を終わり、討論に入り、別に発言もなく、採決の結果、これらの両法律案は、いずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  右報告いたします。(拍手
  56. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  57. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって両案は可決せられました。    ————————
  58. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第七、昭和三十六年六月及び十月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美濃地震による災害を受けた公共土木施設等災害復旧等に関する特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。建設委員会理事武内五郎君。   —————————————   〔武内五郎君登壇拍手
  59. 武内五郎

    ○武内五郎君 ただいま議題となりました「昭和三十六年六月及び十月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美濃地震による災害を受けた公共土木施設等災害復旧等に関する特別措置法の一部を改正する法律案」につきまして、建設委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  本案は、昨年十月の台風第二十四号、第二十六号及び下旬の集中豪雨による公共土木施設等の被害の実情にかんがみ、前国会において成立した特別措置法に所要の改正を行ない、同様な特別措置適用しようとするものであります。すなわち、公共土木施設等災害復旧事業並びに災害関連事業について、国庫負担率の引き上げ等を行なおうとするものであります。  本委員会におきましては、恒久立法と、かかる特別なる措置との関係等について質疑が行なわれましたが、詳細は会議録に譲りたいと存じます。  かくて質疑を終了、討論を省略して直ちに採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  60. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  61. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。    ————————
  62. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第八、昭和三十六年五月の風害若しくは水害、同年六月及び十月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美濃地震による災害を受けた地方公共団体起債特例等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長小林武治君。   —————————————   〔小林武治君登壇拍手
  63. 小林武治

    ○小林武治君 ただいま議題となりました法律案について、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。  本法案は、昨年十月中旬、下旬にわたり、台風二十四号及び二十六号並びに集中豪雨によって各地に多大の被害を見るに至りましたので、これらの災害を受けた地方公共団体に対して、昭和三十六年法律第二二二号による特例措置適用し、もって被害地方団体の財政運営の円滑化と小災害復旧事業促進をはかろうとするものであります。  すなわち、その内容は、これら災害を受けた地方公共団体中、一定の要件に該当するものに対し、地方税等の減免により生ずる財政収入の不足を補うため、または災害対策に通常要する費用をまかなうために地方債の発行を認めるとともに、公共土木施設及び農地等の小災害復旧事業にかかる地方債について元利補給金を交付することを骨子とするものであります。  地方行政委員会におきましては、二月一日、安井自治大臣より提案理由の説明を聞いたのち、当局との間に質疑応答を重ねて慎重審査を行ないましたが、その詳細については会議録によってごらん願いたいと存じます。  二月八日、質疑を終局し、討論に入りましたところ、格別の発言もなく、採決の結果、本法案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定した次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  64. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  65. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。  次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十二分散会