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1962-03-15 第40回国会 参議院 法務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月十五日(木曜日)    午前十一時二十七分開会   —————————————   委員異動 三月十四日委員赤松常子辞任につ き、その補欠として松浦清一君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松野 孝一君    理事            青田源太郎君            井川 伊平君            亀田 得治君    委員            井野 碩哉君            大川 光三君            野上  進君            林田 正治君            高田なほ子君            辻  武寿君   政府委員    法務大臣官房司    法法制調査部長 津田  實君   最高裁判所長官代理者    最高裁判所事務    総局総務局長  桑原 正憲君    最高裁判所事務    総局総務局第一    課長      長井  澄君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○訴訟費用等臨時措置法等の一部を改  正する法案内閣提出、衆議院送  付)   —————————————
  2. 松野孝一

    委員長松野孝一君) これより法務委員会を開会いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  三月十四日付、赤松常子辞任松浦清一君選任、以上であります。
  3. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  商法の一部を改正する法律案並びに行政事件訴訟法案審査のため、それぞれ参考人から意見を聴取してはいかがかと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選、日時及びその他の手続については、委員長理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。
  6. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。本案は、去る三月九日衆議院より送付され、本審査となっております。  本案については、三月六日の委員会において、法務大臣より提案理由説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  ただいま法務省津田司法法制調査部長最高裁桑原総務局長、同じく長井総務局第二課長が出席しております。御質疑のおありの方は、順次御発言下さい。
  7. 亀田得治

    亀田得治君 若干御質問をいたしたいと思いますが、現在までの日当なり、宿泊料の与え方、つまり最高額がきまっておるわけですが、たとえば日当ですと、現在は三百円以内、改正額ではそれが千円以内、こういうふうになっておりますが、今日までの実績ですね。それはどの程度支給されておるのか、そういう点をまずお聞きしたいと思います。
  8. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 現行法では、最高額三百円、それ以内ということになっておりますが、何しろ最高類三百円という比較的低い金額でございますので、大体支給状況は、三百円で支給しておる状況でございます。
  9. 亀田得治

    亀田得治君 おそらくこの証人日当につきましても、予算上の見積もりというものがあるのだろうと思いますが、そういったような人数の上の見積もり違い、そういうふうな点等の矛盾などは、今までは出てきておらぬわけでしょう。
  10. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 現在までのところは、そういった事例は起こっておりません。
  11. 亀田得治

    亀田得治君 今回、証人の場合ですと千円以内、こういうふうに改正額がなりますが、この予算の組み方はどういうふうになっているのですか。つまり、現在までのおおよその予想される人数というものがあります。それに対しまして掛ける千円、そういうことになっておるのか、そこら辺のことです。
  12. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 証人日当予算につきましては、これは、予算単価としては五百円ということになっておるわけでございます。したがいまして、千円の範囲内で、その予算単価と見合いながら、ある程度段階を設けて、段階支給をしていくということになるわけでございます。
  13. 亀田得治

    亀田得治君 そういたしますと、法律改正の表の面だけを見ますると、今まで三百円以内というのがこまかく、最高額の三百円を支給していたということなんですね。今回は、それが千円になるのだというふうな印象を一般に与えるわけですが、実際の予算というものは五百円で組まれておるということになると、結局三百円が五百円になった、予算上はそういうことになるわけですね。平均五首円ですから、七百円の人もあるでしょうから、今度は三百円なり四百円の人も予想されるわけですが、そういうふうに理解していいわけですか。
  14. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) ただいまも申し上げましたように、予算単価五百円で、その範囲内において最高額を千円ということになりますので、千円という人もありますし、また、それより下回って、八百円、七百円、あるいは工百円、三百円というような、何段階かが設けられることになると思っております。
  15. 亀田得治

    亀田得治君 大体その段階につきまして、どのような何か腹案などがあるわけでしょうか。
  16. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 現実に支給する場合に、どういう段階を設けるかということにつきましては、ただいま最高裁判所雑務当局において検討を紡げておるわけでございますが、まだ、ここで申し上げるほどはっきりしたものは出て参らないわけでありますけれども、少なくとも、われわれとしては、最低は従来のとおり三百円、これより下げることはないようにして、五百円の予算単価を適正に配分することによって、何段階かのランクを作っていきたいというふうに考えているわけでございます。それにつきましては、証人として出頭して尋問を受けた時間の長短、それから、証書事項難易重要性、それから、証人出頭するのに非常に時間を要した、そういうようないろいろな条件を勘案いたしまして、その支給金額についての基準を定めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  17. 亀田得治

    亀田得治君 基準の中の二、三について今御説明があったわけですが、たとえば、証人として出る人の日常収入ですね。所得の多い少ない、いろいろな人があるわけですが、そういうようなことは一つのやはり基準になるのですか、ならぬのですか。
  18. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) そういう証人の職業、地位、そういったものについて、それを基準として考えるかどうかということについては、まだ最高裁判所事務当局の中でもいろいろ議論がございまして、そういうことを考えるべきだという議論もありますし、そういったことは一切無視して、むしろ証人として法廷に出て証言をする、そこを中心にして事を考えるべきだという議論が出ておるわけでございます。
  19. 亀田得治

    亀田得治君 一説考えられるわけですが、そのおのおのの根拠というのをちょっと御説明願えませんか。理由ですね。これは、取り扱い上非常に大事な点だと思います。
  20. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 証人日当につきましては、これは一体本質が何であるかということは、いろいろ議論がございまして、損失補償だというような議論もありますし、いや、損失補償だけではないので、ほかの要素もあるのだというような、証人日当本質論にも考えて、いろいろな議論が出てくるわけだと思うのでございますけれども、もしそういった証人日当損失補償だというふうな考え方に徹すれば、証人収入その他についても、そういったものが一つ基準になるということは考えられると思うのでありますけれども、現在の段階においては、証人日当本質についていろいろな考え方が出ておりまして、まだ確たる本質論というものもきまっておらぬ状況でございますので、そういった面から、いろいろ証人日当本質を考えながら議論する場合に、そういった二つの説が出てくるのだというふうに私は考えております。
  21. 亀田得治

    亀田得治君 現在までには、そういう点についての検討などはされなかったわけでしょうか。
  22. 津田實

    政府委員津田實君) この証人日当の問題につきましては、前回の当委員会におきましても問題になりましたところであり、前回におきましては、二百三十円を三百円以内というふうに引き上げた改正をお願いしたわけでありますが、その際に、法務省といたしましても、あまりに安過ぎるじゃないかという問題がございまして、最高裁判所とともにいろいろ検討をしてきたわけでございます。しかし、今回の立案趣旨は、まさにそれら検討してきた結果に基づいて出てきたのでございまして、この立案趣旨を簡単に申し上げますると、千円以内ということに一躍三百円からなったわけであります。その理由は、その内訳はどういうふうに考えておるかというわけでございますが、まず一般に、証人日常生活を離れまして裁判所その他の場所に出頭するという場合には、だれでも雑費を要することは間違いない。その雑費の尤たるものは、昼にかかれば弁当が要るというふうなことであります。従来これは、国家公務員が出張いたします場合におきましても、雑費を要するという考え方のもとに日当支給されておるわけであります。そこで、証人につきましても、国家公務員日当の少なくも最低額程度のものは雑費として要るということを予想するのが相当である、その意味におきまして、今次におきましては、国家公務員の六等級以下の者につきましては三百円の日当支給するという改正法律案を国会に出しておりますのて、少なくとも証人に対しましては最低三百円の出頭雑費を与えることは当然だ。しかしながら、その上に、それじゃ証人に対していかなる補償をすべきかという問題でございますが、いかなるものを与えるべきかということであるのですが、証人報酬あるいはお礼を与えるという考え方は、これは外国の法制にもございませんし、わが国においてもこれはとるべきではないと思う。したがいまして、そうなれば、証人に与えるものは、やはり自分生活を犠牲にして出てきたことに対する損失があれば、損失補償するという考え方で行かなければならないと思います。現に今回の提案理由におきましても、損失補償的性質を充実するということを説明いたしておりますが、これはまさにその意味でございまして、あとは結局損失補償に移るべきだという考え方であります。  そこで、今の三百円最低出頭雑費を与え、ほかにいかなる程度損失補償をすべきかという問題になるのでありますが、これは損失補償である限り、損失がある限りは、全部補償するのが理想的でありますけれども、しかしこれは、国家財政見地から、さようなことができないということも考えられますし、また、非常に莫大な損失をこうむった人について一々損失補償するということも、これはいかがなものかというようなことがありまして、やはりそこにある程度平均ということを考えざるを得ない。そとで、一応の考え方といたしましては、全国勤労者世帯世帯主一カ月当たり定期収入を考えた。その定期収入は、昭和三十四年の全国消費実態調査報告によりますると、一カ月二万七千百五十六円ということになります。これを実際稼働する日二十五日で割りますと、千八十六円という数字が出たわけです。そこで、千八十六円なんでありますが、それに、現在におきましては、国家公務員最低日当は二百三十円でございますから、それを加えますと、千三百十六円という数字になる。そこで、千三百十六円という数字基礎といたしまして、千三百円くらいが相当であるというふうに、私どもはこの法律立案する前に結論をつけたわけであります。しかしながら、その線で最高裁とも折衝いたし、あるいは大蔵省とも最高裁側予算の面で折衝いたしたわけでありますが、全国勤労世帯平均まで補償を拡張するということは一挙には参らないということも考えられまして、最高千円くらいまではいい、いわば平均世帯より若干下回った世帯の人については完全補償ができるという程度にまで今回は改めるということが、ほかの財政的見地その他の比較から適当であるということになりまして、千円という最高額をきめた。したがいまして、損失補償の要らない人については、出頭雑費のみを支給するのが相当であるというふうに考えられるわけでありまして、たとえば、国家公務員証人として裁判所に呼ばれました場合は、その日は特別休暇になるわけであります。特別休暇になれば、当然その日の給料は差し引かれないわけでありますので、ほかに損失は何らこうむらないわけです。ただ単に公務員が日帰りで出張したと同じ理屈になるわけでありまして、その人に対しましては、三百円の出頭雑費を与えるような方式をとればいいんじゃないか。これに反しまして、現在失業対策就労者労務者就労一人当たり予算単価が、本年、三十七年度は四百二十五円になる予定でございますが、かりにそういう失業対策事業に出る労務者が一日出頭した場合には、当然出頭によりまして四百二十五円の損失をこうむるわけでございます。したがいまして、その人に対しましては、出頭雑費三百円プラス四百二士五円を与えれば、これは完全にその人は補償されるということになる。そういう余地が当然与え得るのであって、そういう方に対しては七百二十五円を与えるべきだという考え方に立っておるわけであります。そういう根拠のもとに今回の立案をいたした次第でございますので、私どもの考えておる立案趣旨はそのようでありますので、そのような趣旨で運用されるのが私は相当であるというように考えておる次第でございます。
  23. 亀田得治

    亀田得治君 だいぶわかりましたが、そういたしますと、証言の内容とか、その難易とか、あるいは証言の台に立っている瞬間とか、そういうものの比重というものは下がるようなことになりませんか。  それと、もう一つは、たとえば月給をもらっている人は割合低くていいということになりますが、自分で商売をやったりしている業者ですね。こういったような人については相当な額にしなければならない。もちろん、法律では千円以内ですから、最高千円に近いということになるということになろうと思いますが、その問題と、そこらのところはどういうふうな理解ですか。
  24. 津田實

    政府委員津田實君) 先ほど申し上げましたように、証人報酬を与えるという観念はないし、またそれはとるべきでないという判断をいたしておりますので、したがいまして、証言難易とか重要性ということは、これはその証人だけについて直接判断し得るものではなく、また、裁判所がこの証人は重要であったから高額の日当支給するということは、はなはだ適切ではないと思います。これは、裁判を終わってみなければわからぬということも言えますし、あらかじめこの証言は重要であるなんということをきめるわけにいかないし、証人の側から申せば、ほんの一言証言するにしましても、自分にとっては同じことなんであります。そういう意味におきまして、証言重要度において差をつけるということは、私は適切でないと思うのであります。したがいまして、もっぱら今の出頭雑費の問題と、損失補償の観点から立てるべきであって、ただいま御質問のように、高度の損害をこうむったということが一応証明されるならば千円を、三百円は出頭雑費でございますから、あとの七百円の範囲内において補償をする。しかし、七百円の範囲内でまかなえないようなものについては、本人には、証人義務、国民の義務としてそれは一応是認してもらうという考え方に立つより仕方がないというふうに考えております。
  25. 亀田得治

    亀田得治君 さっきの総務局長の御答弁は、そこら辺の考え方がまだ非常に熟しておらないというふうにお答えになり、私も聞いたわけですが、まあ津田さんの説明で相当はっきりしてきたわけですが、それはどういうふうに理解しておいていいでし、よう。
  26. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 先ほど申し上げましたように、証人日当というものが本質は何であるかということに関連する問題でございますけれども証人日当損失補償だというふうにはっきり割り切ってしまえば、そういった議論も出て参るかと思いますけれども、そういった証人本質論につきましては、まだ検討をしなければならぬ面も相当あるわけでございまして、裁判所としては、運用上先ほど申し上げましたようなことが証人日当額をきめるについて基準として考えられるのではないかというふうに、まあ議論が出ておるわけでございます。
  27. 亀田得治

    亀田得治君 いずれにいたしましても、これは、予算が通り、法律がきまった後、標準というものを各裁判所に対して最高裁からお示しになるわけですね。そうしなければ、とてもまちまちになって、たいへんなことだと思います。まあそういう立場から聞いておるわけでして、従来ですと、三百円以内という金額が非常に少ないものですから、まあ大体三百円を支給しているということだから、これはあまり上下をつける余地もなかったわけですがね。したがって、それは大した理論的な問題も究明する必要はなかったかもしれませんが、今度の場合は、一応そこに差をつけ得る余地が出てきておるわけですから、まあ何円幾らというこまかいところまでのことを私は聞くわけじゃないのですが、その標準をきめる、あるいは差をつける、そういったようなことについての基本的な考え方というものは、これはやはり予算なり法律と一緒に、最高裁当局がやはり考え方というものははっきりしてもらう必要が私はあろうと思うんですがね。まあ一方で私たち予算委員会を持っているわけですが、当然予算分科会において、この金額がはたして妥当かどうかということが当然問題にされなければならないわけですが、その場合にも、基準が一体どこなのかということで、大蔵当局に対する私たちのやはり考えの述べ方も変わってくるわけです。ですから、ぜひこの点は至急御検討をいただいて、まあ大体間違いないというふうな程度固め方でいいと思いますが、考え方を出してもらいたいと思うんですがね。次回の委員会でけっこうですが、それはいかがですか。
  28. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) この法律案法律となりました場合に、これを執行していく上において、予算との関係もございますので、ただいま事務当局といたしましては、この執行基準というものをきめて現地の裁判所に流したいというふうに考えて、せっかく検討を加えておるわけでございます。先ほど申し上げましたようないるんな基準が考えられます。また、これに反対する見解もあると思いますけれども、要は、私たちは、なるべく客観的にはっきりした基準というものをつかんでいきたいというふうに考えておるわけでございますけれども、早急に、ただいまのお話にありましたような、基準を確定するというふうにまでは参らないかもしれませんけれども、とりまとめていきたいと思っております。
  29. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 委員長からも裁判所のほうに申し上げたいと思いますが、亀田委員から次回までというお話がありましたが、私も、これは四月一日から施行するわけですから、今まで大体、確定的なものでなくても、支給基準がわかっていなければいかぬように私は思うのですがね。次回まで大体の腹案は出していただけませんか。
  30. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 予算執行するについて、基準事務当局としてはそういうふうに考えておるわけでございますが、これは、証人日当幾らにするかということは、実際は裁判に当たる裁判官がきめることなので、それも一つ参考資料にすぎないことになると思うのですけれども、ただ、予算執行上、あまりルーズになりますと、金が足りなくなるということもありますので、なるべくはっきり基準をきめたいというふうに考えておるわけでございますが、確定的な案を次回までにということはあるいは困難かと思いますけれども、一応考え方の筋といいますか、そういったものをお示しいたしたいと思っております。
  31. 亀田得治

    亀田得治君 それを拝見した上で、なお確めたい点があれば確めようと思いますが、それからもう一点は、一人当たり予算単価としては五百円ということで、人数はどれくらいになっているのでしょうか。
  32. 長井澄

    最高裁判所長官代理者長井澄君) 予算額算出方法は、人数によりませんで、前年度の支出実績に、前年度の事件数と新年度の事件数との割合を掛けて、増額に要する分を見ておるわけでございます。したがいまして、人数によって計算をいたしておりません。
  33. 亀田得治

    亀田得治君 前年度の事件数幾らに見ているわけですか。そうして今年度の事件数と、そうして一つ事件について証人何名というふうに計算しているわけでしょうが、そういうやり方でもいいですから、具体的な数字を……。
  34. 長井澄

    最高裁判所長官代理者長井澄君) もう少し具体的に申し上げますと、昭和三十七年度の金額算出方法は、昭和三十五年度の支出実績掛ける昭和三十五年度の事件数分の昭和三十六年度の事件数、したがいまして、一件何人の証人という計算はいたしておりません。前年度の支出実績というものを基礎にいたしております。
  35. 亀田得治

    亀田得治君 だから、前年度の事件数について、一人当たり三百円として幾らという計算をすれば、一件について何名と、証人の数が出てくるわけでしょう。
  36. 長井澄

    最高裁判所長官代理者長井澄君) 逆算をすれば出てくるわけでございます。
  37. 亀田得治

    亀田得治君 それは、逆算しなければ計算上おかしいじゃないのですかね。三十五、三十六、三十七、三十八と、事件数はふえていく。そのふえるのに比例して前の金額をふやしたと、それだけですか、計算の仕方は。
  38. 長井澄

    最高裁判所長官代理者長井澄君) そういった方法計算いたしております。
  39. 亀田得治

    亀田得治君 大体そういうふうにやっても、結果は同じことになるかもしれませんがね。まあ一応そういうふうに聞いておきましょう。一件当たりにすると証人何名になりますかね。作当たりといいますかね。とにかく証人調べなどのない事件刑事事件なとは相当多いでしょうし、だからほんとうは、証人調べのあった事件についてだけそういう何か調べたものがあれば、御報告してもらいたいと思います。
  40. 長井澄

    最高裁判所長官代理者長井澄君) 昭和三十五年度の計算について申し上げますと、民事事件については、一件当たり高等裁判所事件につきましては一・四人、地方裁判所事件につきましては、控訴事件について一・一人、一審事件について一・三人、簡易裁判所につきましては、一件につきまして〇・四人、以上平均いたしますと、一・三人という割合になっております。次に、刑事事件については、被告人一人当たり高等裁判所〇・八人、地方裁判所二・六人、簡易裁判所一・〇人という割合になっております。
  41. 亀田得治

    亀田得治君 これではっきりしました。これは、証人調べのあった事件もなかった事件も全部ならした数字ですね。
  42. 長井澄

    最高裁判所長官代理者長井澄君) さようでございます。
  43. 亀田得治

    亀田得治君 結局、まあ法規上は、具体的な証人についての支給額というものは、担当の裁判官がきめることになるわけですが、裁判官の決定の仕方によって、その裁判所に与えられておる予算のワクですね。こういうものの過不足の状況ですね。まあ今までは三百円ということで行っておりますから、ほとんどたいした問題は起こらぬと思いますが、今後の場合には、多少そういう問題が起こるんじゃないか。ある裁判所幾らか高い水準をとる場合には、予算との食い違いができてくる。そういう場合には、やはりこれは裁判費用ですから、必ず予備費等を使いまして、それは補給していくという考え方でいくのか。あるいは、お前のところはちっときめ方が高過ぎるから、もっと低めろ、こういうふうな指図をする格好になるのか。それはどういうことになりますか。
  44. 長井澄

    最高裁判所長官代理者長井澄君) これは補助費等に属する費目でございますから、指図をして支出を規制するというようなことはなく、財政上の措置をとっていただきまして、必要なものは支出するということが法律上定められておるわけでございます。
  45. 亀田得治

    亀田得治君 そういうことは、法律上どこかにはっきり書いてありますか。書いてあればいいのですがね。今、法律上定めてあるということでしたから……。
  46. 長井澄

    最高裁判所長官代理者長井澄君) 財政法第三十五条の第三項に規定がございまして、「大蔵大臣は、前項の要求を調査し、これに所要の調整を加えて予備費使用書を作製し、閣議の決定を求めなければならない。但し、予め閣議の決定を経て大蔵大臣の指定する経費については、閣議を経るととを必要とせず、大蔵大臣が予備費使用書を決定することができる。」この大蔵大臣の指定する経費」というものの中に裁判費が入っておりまして、この規定によりまして支出することができることになっております。
  47. 亀田得治

    亀田得治君 わかりました。それから次は宿泊料の関係ですが、今回は若干引き上げられるが、日当ほどの引き上げではないわけですね、引き上げ率は。これは、どういう基準でこのような額になったわけでしょうか。
  48. 津田實

    政府委員津田實君) 国家公務員の六等級以下の職務にある者につきまして、今回一千五百円と一千二百円に引き上げられる。それに準じて、こちらのほうも一千五百円と一千二百円、地域によりまして引き上げる、こういうことでございます。
  49. 亀田得治

    亀田得治君 この宿泊料の点は、証人日当ほどには従来は窮屈でなかったような感じも数字の」だけではするわけですが、従来の実績ですね。これは、六大都市の場合には、一千二百二十円、その他は九百八十円、この点は最高額支給していたのか、この範囲内で相当差等などを設けていたのか、どっちですか。
  50. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 宿泊料につきましては、定額でございますので、法律に書いてあるとおりの額を支給しております。
  51. 亀田得治

    亀田得治君 いや、定額といったって、法律は「以内」となっているでしょう。
  52. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) ただいまの点は、私はそういうふうに考えておったのですが、手元に資料がございませんので、よく調査してからお答えいたしたいと思います。
  53. 亀田得治

    亀田得治君 しからば、従来の宿泊料予算というものは、一人当たり単価は、六大都市は千二百二十円、その他は九百八十円、こういう単価で組まれたわけでしょう。どうも総務局長が、これが定額だというふうに誤解されておるところを見ると、予算単価がそういうふうになっているような気がするのですが、そうですか。
  54. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 予算の額は最高額で組まれておるわけでございます。
  55. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、今回の増額をされて千五百円以内、千二百円以内という、この点も、予算単価としては最高額で組まれているわけですか。従来そんな最高額で組まれていますかね、これは。
  56. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) その点、所管の者がおりませんので、よく調査をいたしてから、はっきりしたことをお答えしたいと思います。
  57. 亀田得治

    亀田得治君 じゃ、そうして下さい。そうしてもし最高額でこの新しい改正額も組まれておるということなら、これは大して問題はない、最高額支給すればいいのだから。そうでなしに、証人日当のように、たとえばまあ千五百円以内とはいうが、千三百円とか、そういったような単価が組まれておるとすると、やはりこの支給の仕方ということが相当問題が出てくるわけです。これは、証人日当の場合とまた違った感じが出てきますね、問題としては。たとえば、宿泊であれば、人によってこれはうんと違いますからね。もちろんそれを全部補償するということはまあできないわけですが、非常にむずかしい問題があるわけでして、そこの点もあわせてひとつ次回に御答弁願いたいと思います。  それから次に、執行吏の点ですね。これも宿泊料が上がったわけでありますが、これはつまり、法規上は、この範囲内において地方裁判所の所長がきめるわけですが、その点ちょっと。私、今こまかい点をちょっと記憶しておりませんので、きめ方、支給の仕方ですね。まず御説明願いたいと思います。
  58. 津田實

    政府委員津田實君) この執行吏の宿泊料に対しましては、最高限でございまして、現実にどの程度金額支給するかは、各地方裁判所が各高等裁判所の認可を受けて定めることになっております。これは、執達吏手数料規則等によって、そういうことになっております。
  59. 亀田得治

    亀田得治君 そういたしますと、畠等裁判所の長官の承認を得て所長がきめると、所長がきめるのは、これは所長の管内の執行吏についての標準をきめるわけですか。一つ一つ支給について、たとえば証人なりのようなやり方で個々についてきめるわけですか。この点はどうなっておりますか。
  60. 津田實

    政府委員津田實君) 一般的にきめるものでありまして、個々にきめるというふうには解釈されておりませんが、現実の点につきましては、最高裁判所の運用にかかっておりますので、最高裁判所の方で申し上げます。
  61. 亀田得治

    亀田得治君 その点どうですかね、最高裁のほう。
  62. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 運用上は、その定められた最高額支給しております。
  63. 亀田得治

    亀田得治君 そういたしますと、法律では、各地の所長が高等裁判所の長官の承認を受けて標準をきめると、こうなっているわけですが、各地の裁判所によってこれは違いがないわけですか、まあ六大部市とそのほかの違いは法律上もあるわけですが、それ以外の遣いというものは実際土はなくなっているわけでしょうか。
  64. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) ただいまお尋ねの点は、おっしゃるとおりでございます。
  65. 亀田得治

    亀田得治君 宿泊料の安い高いという点は、まあ全般から見ると大したことはないということで、そういうふうなお取り扱いになっているわけでしょうが、今回の改正額についても、特に地裁の所長が、自分の土地の状況によって変えるというようなことにはならないわけですね。全部この最高額できめていくのだ、こういうふうに理解しておいていいわけですか。そういう理解でしたら、執達吏手数料規則十八条の規定の仕方などが、ちょっとこう現状にふさわしくないような感じがするわけですね。法律だけ見ていると、地裁の所長が、その土地の事情を勘案して、そして適当な標準をきめていくと、こういうふうにとれるわけですが、今度の改正額についてはどうなるのですか。
  66. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 執行吏が執行するための宿泊を要した場合の宿泊料支給基準につきましては、今、従来の基準を別に変更するという考え方は持っておりません。
  67. 亀田得治

    亀田得治君 従来の基準は、今度変わるわけでしょう。変わった高い基準で、一本で全部いくと、こういうことならそういうように面してもいいわけです。
  68. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) ただいま水準を申し上げましたのは、最高額支給をして参ったその基準を変更する考えはないということを申し上げた次第でございまして、したがって、今回の改正にかかる最高額旅費として支給をする方針を続けていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  69. 亀田得治

    亀田得治君 そうしたら、こういう執行吏、手数料規則十八条の規定の仕方なども、もうちょっと定額的にきちっとして、こう改めたらどうなんですか。何か、それ以内において、その以内に圧縮できるような解釈になるわけですね、普通は。もうそういうことはせぬと、今までもやっていないということであればですね。そういうことは議論になっていないわけでしょうか。
  70. 津田實

    政府委員津田實君) この訴訟費用等臨時措置法の宿泊料の立て方は、定額ではなくて、最高額という立て方になっております。これは、執行吏の場合のみに限らない問題であろうと思うのでありまして、最高額ということになれば、現実に実費弁償という性質を有するわけでありますから、現実にそういう高額な宿泊をしなかったといえば、その宿泊の実費弁償の限度において支払えばいいという議論になってくるんではないかというふうに考えられるわけですけれども、これは、この訴訟費用等臨時措置法全般に通じての問題だというふうに考えております。したがいまして、前回にも申し上げたわけでございますが、訴訟費用等臨時措置法につきましては、できるだけ早い機会に本法に還元する。しかも、その本法は非常に古い法律なのでございますので、本法自体を全面的に改正する必要があるということを痛感いたしておるわけでございまして、その問題につきましては、過去において検討いたしておりますのみならず、昨年の例の証人日当の問題以来極力検討を続けておるわけでございまして、近い将来必ず臨時措置法のこの部分はあらためて本法にいたしたいというふうに考えておりますが、その際の問題として十分検討いたしたいというふうに考えております。
  71. 亀田得治

    亀田得治君 それから、関連してお聞きしておきますが、臨時措置法の第五条による執行吏に対する国庫補助の基準ですね。これは年々上がってきているわけですが、だんだん変わりまして、現在は十五万六千円、年間。こういうことになっておりますが、この点についての実情を……。こういうものは、ほとんどもうどこの執行吏でもお世話にならぬ、というような状態なのか。こういう線で、相当補償などを受けて非常に助かっている面もあるのか。そこら辺をちょっと説明をして下さい。
  72. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 昭和三十五年度の数字しかわからないのでございますが、三十五年度におきましては、補助金の総領は五十五万二百九十八円、そしてこの補助金を受けた者は合計十二名ということになっております。
  73. 亀田得治

    亀田得治君 十二人というのはどこですか、場所は。
  74. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 宇都宮地方裁判所の栃木支部、それから宇都宮の地方裁判所の本庁、それから前橋地方裁判所の本庁、それから甲府地方裁判所の都留支部、それから沖地方裁判所の松阪支部、金沢地方裁判所の輪島支部、広島地方裁判所の竹原支部、山口地方裁判所の柳井支部、岡山地方裁判所の勝山、新見両支部、松江地方裁判所の西郷支部、それから鳥取地方裁判所の米子支部、それから鹿児島地方裁判所の名瀬支部、それから宮崎地方裁判所の高千穂支部、長崎地方裁判所の壱岐支部、それから仙台地方裁判所の大河原支部、秋田地方裁判所の横手支部、以上でございます。
  75. 亀田得治

    亀田得治君 今対象になった十二名の方々ですね。この方々の家族の構成などはどういうふうになっておりますか。
  76. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) その点は調査ができておりませんので、ただいまのところは不明でございます。
  77. 亀田得治

    亀田得治君 これは、司法制度上ぜひ必要な制度でして、私は、結局これは裁判の最終段階の処理をする人なんですから、どうしてもなければならぬ、収入が少なくたって……したがって、国家としてそれを最低限の保証はしていく、こういうわけですが、その最低の保証のお世話にならなければならないという人は、これは相当困った状態にあるに違いないわけなんです。したがって、そうならば、適正な保証ということでなければならぬわけですね。そういう意味でお聞きしているわけですが、適正であるかないかは、その執行吏の家族の状況、こういうことがキャッチされておらなければ判断がつかぬわけですよ。私は、おそらく少なくとも三名ぐらいの家族はあるのじゃないかというふうに思うわけですね、これは想像ですが。だから、これは十二名ですから、すぐお調べ願えればわかるのじゃないかと思いますので、その表を一つ出してほしいのですがね。それはできますか。
  78. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 具体的には、各地の地方裁判所がそれぞれの執行吏の収入を認定した上で、補助金の支給の裁定をしているわけでございますので、おそらく現地の裁判所では、ただいま御指摘の事情も考慮して、支給の裁定をしていると思いますので、さっそくその点を取り調べてみたいと思います。
  79. 亀田得治

    亀田得治君 しかし何でしょう。この法律の建前は、昭和三十五年であれば、一年間に十四万二千円に満たない、たとえば十二万円しか収入がなかったというような場合には、その差額の一万二千円を支給しているということでしょう。そういうわけですから、法律でこういう差額だけ支給するのだとなっているわけですから、法律を変えぬことにはどうにもならぬわけですね。そこで、実際に執行吏の豪族の状況などを検討して、現在十五万六千円まで上がっておりますが、はたしてこれで適正かどうかどいう点が非常に問題だと思うのです。私は、これじゃ低過ぎるのじゃないかという考えを持っておるから聞くわけなんです。だから、その点を至急調べて出してもらいたいと思います。  それからもう一点、そこまでの調査ができてるかどうかわかりませんが、かりに昭和三十六年からは年間十五万六千円と、こういう最低保証になっておりますが、これを月二万円と、月二万円の収入は保証するというふうにしていきますと、年間二十四万、こういうことになります。家族構成なり仕事の性格から見て、やはりそれくらいのことは必要なんじゃないかというふうな考えを持つわけですが、月二万円、年間二十四万とした場合には、保証すべき対象、これがどの程度ふえるか、こういう点についての何か御調査等あればお聞きしたいわけです。
  80. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) ただいま手元にはその数字を持っておりませんし、所管の者もきょう参っておりませんので、さっそく御趣旨の点を伝えて、もし調査の結果があれば、それをお知らせいたしたいと思っております。
  81. 亀田得治

    亀田得治君 これは、基準額がいつも低いということで、最近のずっと経過を見ますると、ほとんど二、三年おきぐらいに変わってきてるわけですね。したがいまして、当然これは大蔵省との折衝の資料などとしても、私が今申し上げたようなものは作られておるんじゃないかと思いますので、ひとつ参考までに、その点も資料として出してほしいと思います。
  82. 井川伊平

    ○井川伊平君 ごく簡単にお伺いいたしますが、証人等の日当の支払いにつきまして、千円以下となっておる関係から、いろいろの段階を設けることにしておるという御趣旨のようでありますが、段階を設けるということは、その事件の係の裁判官等の自由な判断がまじって、きわめて全国的に見ればまちまちでありまして、法の趣旨を無視するようなことになるおそれはないかと、そういうことから考えれば、むしろ段階がないほうがいいんじゃないか。しいて段階を設けるとすれば、段階を認めるについてのいろいろの基礎の条件をはっきりきめて、それに点数等をきめて、午前中の場合は何点、午後を何点、午前と午後とつながったときは何点、それから、同じ市町村内から出てきて帰れるのは何点、そうでなく、たとえば午前中に済んだのであっても、自分の家へ帰るのに相当時間のかかる場合には何点とかいうように、点数制度というようなものを基準をきめて、判事さんが勝手にあんばいのできないようにする。そうすることが厄介なら、段階を設けないで、一定の金額にすると、こういうことが必要でないかと思うのでございますが、その点に関しましての御意見はいかがですか。
  83. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) ただいま御指摘のとおりでございまして、最高裁判所事務当局としては、なるべく客観的な、はっきりした基準段階支給する場合の金額を発見することができるようにしたいというふうに考えておるわけでございまして、ただいま御指摘がございましたような、客観的に把握し得るような要件を段階支給基準として定めたいというふうに考えて、せっかく努力をしておる次第でございます。
  84. 井川伊平

    ○井川伊平君 それに関係がありますが、各裁判所とも、そうした費用についてはワクが与えられているのではないかと思うが、年度末に近づきまして、そのワクとのあんばいで、千円以下になっておるというのが、残っているのは少ないから低いほうの率でやれといったようなこともできないことはない。また、予算が非常に年度末に豊かになってきた場合には、その千円近いところで多くを払うということがありはせぬかということが、よけい払うほうにわれわれとして異論があるわけではありませんけれども、ここにわざわざ法を改正いたしまして、証人等の立場を十分考慮しているのに、予算の関係でそういうことをされたといたしますれば、立法の趣旨というものは没却されてしまう。こういう点につきまして、どういうような取り扱いになっておりますか。お聞かせを願いたいと思います。
  85. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 従来は三百円という最高額を大体支給しておりましたので、そういった、多くやり過ぎたとか、少なくやり過ぎたということはなかったわけでありますが、今回は最高額千円ということで、ある程度段階支給をするということになりますと、先ほど申しましたように、その運用が十分慎重でなければならないというふうに考えるわけでございます。したがって、その運用するについての基準をはっきりきめまして、それによって予算が足りなくなったとか余ったとかというようなことのないようにしていきたいというふうに考えているわけでございます。
  86. 井川伊平

    ○井川伊平君 次に、証人等が日当等をちょうだいいたしますのに、何らかの理由で放棄して帰る。放棄するというようなのが相当あると存じますが、ありますかありませんか。あるとすれば、証人のうち、あるいは本人も入りましょうが、そういう者で何。パーセントぐらいが放棄されるか。この数字、パーセンテージ。
  87. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) たとえば事件の関係者として、身内の軒であるとか、家族の者であるとかというような者が出て来た場合は、放棄する場合があるように聞いておりますけれども、どの程度のパ一センテージが放棄率であるかということは、ただいまのところ判明いたしておりません。
  88. 井川伊平

    ○井川伊平君 身内の者であるとか何とかいう者は、費用の予納の関係もありまして、もらう者が家族の者であるとすれば、要らぬという者があるかもしれませんが、そういう問題ばかりじゃなしに、たとえば、午前中に済んだから帰りたいけれども、もう裁判所の書記官が昼休みになり、それで、一時まで待っておったのではとてもやりきれぬからというので、放棄して帰る者がある。あるいは、領収書を代書人に書いてもらうのがはなはだ厄介だから、それを待っていると汽車に乗るのに間に合わぬ。あるいは、夕刻おそくなった場合には非常に迷惑する。こういう関係がありまして、相当放棄する者があるのではないかとも考えますが、そういう者はありませんか。
  89. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) その点につきまして、少なくとも私自身は聞いておらないのでありますけれども、所管の者がおりませんので、適確なことが申し上げられないのでございますが、もしそういうことがあれば、これは非常に不都合なことでございますから、裁判所としても、十分そういうことがないように、適切な措置をとっていかなければならないというふうに考える次第でございます。
  90. 井川伊平

    ○井川伊平君 裁判所におかれましても、きょうはおそくなりそうだから、早く調べの前に日当等を受け取ってくれといったような、そういうお心づかいをなさる裁判所も事実ありますが、所によりますと、そういうことをつい注意しようと思っても忘れることがあり、注意する努力をしようとすることを考えない方も中にはあられる。それから、領収書を書いてもらうのに、代書人に書いてもらう。代書人が飯を食っている、あるいはほかへ用を足して、いないという場合もあり得ると存じますが、こういうものは、そういう領収書といったようなものを出さないで、裁判所に一定の書類、帳面を置きまして、署名をいたして判を押せばすぐ渡してもらえるといったような、何かそういう便宜な取り扱いはできないものでございますか。
  91. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 御指摘のようなことはないように、今度の法律改正を施行するについて、十分現地にも意思を徹底するようにしたいと思うのでありますが、ただいまお話の中に出て参りました、別の書類を領収書として徴収するということはないわけでございまして、裁判所の備付の書面に、所定の署名捺印をするということで済むわけでございます。別にあらためて領収書というものを作る必要はないわけでございます。
  92. 井川伊平

    ○井川伊平君 別のことをお伺いいたしますが、執行吏の役場に行って見ますと、同じような顔ぶれの人が毎日のように詰めている。執行吏が出かけるときにはついて出かける。こういうようなものがありますことは、いなむことのできない事実であると存じますが、それは、役場としては非常に便利なことでありますね。執行の際の立ち会いを願わねばならぬ場合に、立会人をほかに求めなくても、すぐ立ち会いをしてもらえるという便利がありましょうし、また、有体動産等の競売の際におきましても、すぐ競売人がおられるという便利もありましょうが、しかし、そうした便宜の反面におきましては、強制執行を受けるほうの立場からは、とかく反感をもって執行吏を見る、あるいはいろいろと揣摩臆測をして考えるといったようなふうになることは、人間の自然な心理状態だろうと思いますが、そういう執行を受けるものの立場において、何だ、執行吏は自分の役場へしょっちゅう出入りするものを連れてきて、非常に価格を安く取らしたというような、いろいろな非難が全然ないわけではないと存じますが、そうしたことについて、非難のあることを御承知かどうか、お伺いいたします。
  93. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) ただいまお話に出ましたのは、いわゆる立会屋とか執行屋とか競売屋とか、そういった言葉で呼ばれているものが特に大都会での強制執行事件の関係について存在をしているということは、十分推察されているわけでございます。ただ、遺憾ながらそういったものの活動状況については、的確な把握ができないわけでございまして、その実態を十分に明らかにするというととが非常に困難なわけでございます。で、こういったことについては、何らかの関係でそういったものが介在しているということがわかりますれば、それについて適切な措置もとられるわけでございますし、また、一般的に執行吏に対して監督を厳重にするということによって、そういう忌まわしい事件が起こらないように努めていかなければならないということを考えている次第でございます。
  94. 井川伊平

    ○井川伊平君 今のお話によりますと、ふに落ちないですね。過去にそういう事実があったことは御存じのようである。そういうことがあれば注意するのだ、今までも注意したかもしれないですね。したともせんともおっしゃらない。かりにしたとする。しかし、それは何らの効果をあげてないということになりましょう、してみれば、今後そういう注意をするということだけでは、われわれ聞いておって満足はできないことになりますね。何か有効適切な措置が行なえるものかどうかということをお聞きしたい。お伺いいたします。
  95. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) そういうものが活動しているということは推測されるわけでありますけれども、具体的な事件として私たちがそれを知ったということはほとんどないわけでございます。ただ、東京の地方裁判所執行等につきましては、担当の裁判官が競売場を見て回るとか、あるいは競売ブローカーというものに疑いを持たれる者については競売を許さない、そういったような監督あるいは対策を講じているわけでございますけれども、何分、ただいま申し上げましたように、こういったものの活動状況はつまびらかでありませんし、また、こういった者が裁判所外において活動することが非常に多い場合がございますので、具体的にどういうふうな対策を立てるかということについては、ここで具体的な問題としては申し上げられないわけでございますので、今まで申し上げましたような、そういう個々の場合について適確な監督を行なっていくというふうになっているわけでございます。
  96. 井川伊平

    ○井川伊平君 私は、執行を受けます者が、現在の司法制度あるいは執行についてのやり方、そういうものに不満を持つほうが無理かもしれないが、内容的に言えば無理かもしれないが、しかし、無理にいたしましても、そういう不平を持たせるということは、これは、政治の上から考えますると、おもしろくないことだと考える。でありますから、あまりそういう点において重点を置かれておらないようでありまするし、ことに、東京だけのお話をいたしておりますが、そうじゃない。相当小さい、たとえば三十万、五十万の都市におきましても、こういうことは私はあるように思う。だから、そういう点にひとつ、一度御考慮をしていただく。こういうことをお願いを申し上げておきまして質問を終わります。
  97. 辻武寿

    ○辻武寿君 証人に対する日当本質論が、さっき亀田先生の質問で出たんですが、桑原総務局長お話によると、それが統一されてない。沖田さんの話では、大体損失補償だというように私は受け取ったんですけれども、どのような考え方があるのですか。もう一ぺんそれを聞きたいと思う。
  98. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 日当本質につきましては、一番簡単に割り切れば、損失補償というふうに割り切れば、一番すっきりするわけでありますけれども本質論としては、私たちもそういうふうな考え方が十分考えられると思うわけでございますけれども、私が先ほど申し上げましたのは、現在の臨時措置法のもとにおける日当というものについては、必ずしも損失補償一木だけでは割り切れないものがあるのではないかというふうにお答えいたしたわけでございます。
  99. 辻武寿

    ○辻武寿君 損失補償一本でないというのは、他に何かあるんでしょう。どういうような例があるか。
  100. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) たとえば、一つ考え方を御紹介いたしますと、そういった損失補償というようなことは、国民が証人として裁判所出頭して、裁判所の真実発見のために協力するという見地からいって、損失補償するということではなくて、そういった国民の義務に基づいて裁判に協力していただいたということに対して、何分の日当を差し上げるというような考え方も一部にはあるわけでございます。また、そういった一元的に割り切れないものもありまして、一元的にはたして現在の日当というものを考えられるかどうかということについて、見る人の立場によっていろいろ考え方が出てくると思うのでございます。
  101. 辻武寿

    ○辻武寿君 そうすると、損失補償ということが一つ。もう一つは、国の義務を果たしたことに対する報償といいますか、お礼といいますか、そういう考え方ですね。大体二通りですね。
  102. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) いろいろ関係の人々によって考え方が違うと思いますけれども、私が耳にしておりますのは、そういった二つの考え方が非常に有力な見方として出てきておるというふうに承知しておる次第でございます。
  103. 辻武寿

    ○辻武寿君 次に、証人として出頭したくないというような場合があると思うのです、拒否する場合に。あるいは病気であるとか、あるいはとても三百円くらいでは行ったって釣り合わない。生活に困ってしまうという場合、そういう場合はたくさんありますか。
  104. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 日当等が少ないから出頭できないというふうな事例は、私は耳にはいたしておりません。
  105. 辻武寿

    ○辻武寿君 そういう、証人に呼び出された人が、とても行ったら生活に困ってしまう、つり合わないけれども、仕方がなしに行くというようなことを自分は聞くんですがね。そのために、今度日当その他がつり上げられるんだと思いますが、来なくてもいいとなれば、これは公平な裁判ができなくなるし、国民の義務だから、無理やり生活の犠牲を払っても来いと言えば、これは非民主的になってくると思うのですよ。そういうところのデータも取ってみて、十分国民が犠牲にならないように注意してもらいたいと思うのです。  それから、進んで証人を申し出る場合、私が証人に出れば裁判が有利になるから出たいというような場合、それを裁判所証人にする。それから、出たくないけれども、無理やりに呼び出されるという場合があると思うのですね。そういう場合はどれぐらいあるか、わかりませんか。
  106. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) ただいまのところ、そういった資料はございませんわけでございますけれども裁判所としては、なるほどそういった事例も考えられないわけではないと思いますけれども、何分証人というものは、裁判を適正にするために一番重要なことでございますので、一方においてその犠牲をなるべく少なくするというために、証人日当等についても十分考えていくということを考えながら、国家財政もございますので、全面的にその損失補償するということもなかなか困難な状況にございますので、その間の調節をはかるということについて、格段の努力をしていかなければならぬものだというふうに考えておる次第でございます。
  107. 辻武寿

    ○辻武寿君 証人に立てば、当然日当宿泊料をもらえるんだということを知らないで証人に立つ人もいると思うけれども、そういう例はないですか。
  108. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 証人出頭すれば日当がもらえるということをあらかじめ知っておりましたかということについて、それを知らなかったという数が、これは限られた範囲しか調査をいたさなかったのでありますけれども、全体の中で約三三・八%ばかりは、知らなかったという答えが出ております。
  109. 辻武寿

    ○辻武寿君 三四%近くも知らなかったとすれば、私は、これはたいへんなことだと思うのですよ。証人に呼び出されたときに、行けばちゃんともらえるんだということをわからせるような具体的な措置はしてないのですか。
  110. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 証人の呼出状には、そういったことが書いてあるわけでございますし、特に民事の関係におきましては、これは代理人がついておる事件が大部分でございますので、代理人または本人を通じて、そういうことを知っている方が多いと思いますけれども、ただいま申し上げたような数字が出ておりますので、その点については、十分今後その点についての措置を考えていかなければならないというふうに考える次第でございます。
  111. 辻武寿

    ○辻武寿君 日当がもらえるんだということをはっきりわかるように、表面に書いてもらえればいいと思うんですよ。  それから、あなたは裕福なんだから遠慮してくれというような場合はないですか、証人に対して。
  112. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 裁判所から少なくともそういったことを申す場合は絶対にございません。
  113. 辻武寿

    ○辻武寿君 もらわないで帰ってしまうという人に対して、あなたは日当をもらいましたかというようなことは言わないんですか。たとえば、検事が調べるとき、都合の悪いときは答えなくてもいいですよと言いますね。それみたいに、あなた来たら、日当もらって帰って下さいとか、あるいは帰るときに、日当もらいましたかというような、そういう親切な注意といいますか、そういうことを私はやるべきだと思うんだけれども、そういうことをやっているかどうか。
  114. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 検察庁の場合のことは私わかりませんが、裁判所の関係では、証人は、出願いたしますと、必ず書記官室に一応出頭することになっておりますので、そこで書記官から、証人として日当を請求しますかどうかということを確かめて、もし請求するということになれば、その手続が行なわれますので、もらうことを知らないで帰ってしまったということはないわけでございます。
  115. 亀田得治

    亀田得治君 関連。証人の呼出状が行くわけですから、その末尾のほうに書いて置いたらどうなんです。金額まてはそこへは書けないでしょうが、そういう制度になっていますよということを、そうすれば誤解などが起こらない。
  116. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 証人の呼出状には、日当寺を請求するについて判こが要りますから、判こを持ってきて下さいということが注意として書いてあるわけでございます。
  117. 辻武寿

    ○辻武寿君 私は、数回証人に立っておるんですが、一ぺんだけもらったことがある。あとは何ということもなかったです。私は知らなかった。だからこの話を出すのであって、最後に一ぺんだけもらったけれども、向こうで日出も何も言わなかったですよ。私は今困っておりませんからよかったが、ほんとうに貧しい人が来たら、知らずに帰ってしまうのじゃないかということで、そういうことがないことを、要望をして終わります。
  118. 亀田得治

    亀田得治君 もう一つ、ちょっと資料をお願いしておきますが、証人日当についての諸外国の制度ですね。そんなあらゆるものは別に要りません。英米系統あるいは大陸関係、二つ三つずつでよろしいですから、次の委員会までに整理して、プリントにして出して下さい。
  119. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) この点につきましては、ある程度の資料がございますので、ここで申し上げてもよろしいですが、時間の関係がございますから、資料として提出することにいたします。
  120. 亀田得治

    亀田得治君 その際知りたいのは、つまり、先ほど議論になっております損失補償という考えなのか、あるいは証言代に立つということに対する一つの国民としての義務というような点を重く見てやっておるのか、そこら辺については、制度上はっきりしていないようでしたから、その点もはっきりしていただきたい。
  121. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は次回に続行することとし、本案については、本日はこの程度にとどめますす。  次会は三月二十日午前十時より開会することにいたし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十五分散会