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政府委員(大澤一郎君) 刑務所等におきまして、収容者に接する
職員に、いろいろな職務上、執務上につきましての不満等がありました場合、それが収容者に直ちに反映いたしまして、
職員の和が欠いておるような場合に、収容者にいい結果を与えないということは、火を見るよりも明らかであります。指導する
立場にある
職員間におきまする融和、一致協力ということがきわめて必要なことは、申すまでもないことであります。われわれといたしましても、職場の空気を明るく、各員がお互いに信頼して、
職員相互が一致協力していくことが、収容者に対する浄化の先決条件であるというふうに
考えておるわけでございます。常々さように心得ておるわけでございますが、一面刑務所等におきましては、数千人の収容者を一カ所に収容いたしまして、一日の規律ある生活を維持いたしますために、
職員の組織におきましても、御存じのように、所長、部長から
課長、また看守長、看守部長、看守というふうに、明確な職階制のような——階級制と申しますか、さような組織をもって当たっておりますので、さような面から、所内の秩序保持から、上意下達と、指揮、指導、命令という点が明確に行なわれなければならないのでありまして、さような組織の面におきまして、命令が下にそのまま浸透するというような形をとられておりますために、下部
職員が上意に服することになれて参りまして、自己の所信ないし希望なりを上にはなかなか言いにくいというような気風の生ずるのも、これ組織の性格から払拭できない弱点じゃないかと思うのでございます。さような
意味で、下部
職員が、さような所内の空気と申しますか、長い間の空気で、自己の所信なり希望なりを率直に言わないというような気風が見受けられるのでございます。さような
意味で、ただいま御指摘のように、希望なり
意見が上のほうに届きにくいという点も争えない点ではなかろうかと思うのであります。この点につきまして、われわれといたしましては、先ほど申しましたように、
職員の気持が上下一体になりまして融和してこそ、初めて浄化教育の効果が期待し得るのでございますが、
職員の自由な申し出ということを上のほうで聞くようにという点につきましては、常に
機会あるごとには申しておるわけでございますが、さていかなる方法がいいかということにつきましては、これは各所に一任しておるわけでございます。ある刑務所におきましては、さような空気を察しまして、投書箱と申しますか、
意見を上申する希望の箱を置きまして、下の看守が自由にそれに投函して、それを所長が集めて見るというような方法をとっておるところもございます。また
職員の職務研究会等、これはまあ各所で行なっておるわけでございますが、各課から人が出まして、職務についての相互の
意見、あるいはまた課のあり方、連携の問題等につきまして職務の研究会を開催しておるわけでございます。その
機会に、また積極的な御発言も出ておるわけでございます。所長なり監督者が人事管理の面にたんのうな人は、さような方法をとっておるわけでございますが、一部でもし
もさように、下部
職員が自己の希望なりあるいは
意見を自由に言えないというような空気がありますると、きわめて遺憾な問題でございます。この点は、われわれといたしましても、さらに所長会同その他
機会をつかまえまして、
職員の融和、上下一致のために、かようなことの起こらないように、ひとつ十分注意していきたいと思っている次第であります。なおまた、人によりまして、狭量な人がありまして、自己の
やり方等を批判されると、それに対して快い顔をしないという者がやはり大ぜいの中にはあろうかと思いますが、さような場合には、管区の
職員等の実際上の問題として、いろいろ本
人たちから上申もありますし、またわれわれのほうで監査、巡閲等の
機会には、努めて監査官、巡閲官が
職員の人と会いまして、さような希望、
意見等を聞きまして、人事管理の運営が円満に参りますように努めておる次第でございます。